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国務大臣(
渡辺美智雄君) 各般にわたって広範な質問でございますので、順序を追いましてお答えをさせていただきます。
まず第一は、
特別保険料の
徴収に
当たりまして、社会
保険、
審議会等にもいろいろ異論があったではないか、また、昨年の
改正の際の
国会の議決、こういうようなものも無視されているんではないか、こういうような
趣旨の御質問でございます。
われわれといたしましては、実は
社会保障制度審議会あるいは
保険審議会等でいろいろ御議論がございました。いろいろ御議論がございますが、賛否を含めまして、それらの御議論も十分に頭の中へ入れまして、いずれにいたしましても、当面の
財政状況を無視しては
保険制度は成り立たないわけです。理屈だけでは成り立たない。しかし、現実の問題にすぐこうぶつかっておるわけなので、そういうものも頭に入れて、実は今回このような緊急対策としての法案の上程をお願いしたわけでございますので、何とぞ御理解の上、御賛成賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
なお、次には、
赤字解消の問題でございますが、
健康保険の
赤字解消については、被
保険者の
負担をふやさないで、それで国庫補助を二〇%ぐらいにふやして穴埋めしたらいいじゃないかというような御質問でございます。
これは、御承知のとおり、
保険制度を維持するためには、その加入しておる、要するに組合員といいますか、被
保険者がそれを
負担するか、あるいは足らないところを、その他の国とか公共団体が持つか、二つしか方法はございません。
わが国は、実は諸外国の例から見ますると、
負担はたくさん持っておるんです。また、
保険料率も低いのです。
日本は、御承知のとおり、現在千分の七十八という
保険料率でございますが、西ドイツは千分の百十二、それからフランスの場合も一般的な
制度としては千分の百七十九・五と、こういうようなことでございますし、また、社会保障の国スウェーデン、スウェーデンとよく申しますが、スウェーデン等においては、受診時の
負担金の
引き上げの例といたしまして、一九七六年には外来に対して、外来ですよ、お医者さんにかかる都度に、
日本の金にして一千二十円というお金を払うというようなこと等もございまして、まあそういう外国の例から考えてみると、
日本の場合はそんなにたくさんの、過重なものではない。非常に低いことになっておる。しかも、ヨーロッパ等では
政府が
定率で
補助金を出しているというところは、実は私、寡聞にして知らないのでございます。厚生省でも調べさせたけれども、そういう先進国はないということでございますから、国際水準というようなもの——
日本の
医療制度もこれだけよくなって、これは
国民皆
保険のおかげだとわれわれも思っていますし、
国民の方々も、
保険制度ができてよいと大多数の方は考えておるのでございまして、この
保険制度を維持していく上において、今回の暫定
措置として、ともかくボーナスの一%、事業主も一%ですよ、それから被
保険者も一%ずついただくというようなことや、一部の
負担についてこれは
負担をしていただく。
入院時の問題におきましても、一日六十円、これは十年来据え置きですからね。その間に物価その他が非常に上がっておる。十年来据え置いておる。したがって、これは一日六十円をまあ二百円ぐらいまでするのは社会の常識から見てやむを得ないことではないか、こういうふうに考えまして、御
提案を申し上げた次第でございます。
第三番目の
支払い方式の問題に移りますが、
現行の出来高払い方式というのはいろいろ問題があるのではないか、もっと
人件費とか
物件費とか、いろいろ
内容に分けてしまって、分解した方式をとったらいいじゃないかといろいろ言われますが、一長一短でございます。
診療報酬の
支払い方式には、戦前のように、団体で、幾らの団体一年間何千人で何ぼというような決め方もありました。イギリスなんかはそれに近いそうでございますが、人頭割りで、人間割りで幾らという契約の方法もあるようでございます。
日本のものは、いわゆる
点数制に基づいて、一回かかれば幾ら、どんな病気なら幾ら、どんな手術なら幾らというような出来高払い方式でございます。一長一短はございますが、ともかくそれをばらしてやるということも実際なかなかむずかしい。この出来高払いの方法が定着をしておることでございますから、
検討して
改正すべき点があれば
改正するにやぶさかでございませんが、私どもは、今後とも、中医協等専門家の意見をよく聞いた上においてこれは対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
その次に、医薬品の問題につきまして、医薬品は、いま自由にばらばら売ったり買ったりしておるよりも、主要な医薬品については、その品質を
確保するために、
公的機関か何かこしらえて、一括して買って、それで医者に分けてやったらいいじゃないかという
趣旨の御意見だと思いますが、自由主義経済社会の中において、この現在の自由に売っておる医薬品、これを一括購入して個人個人の
医療機関やお医者さんに配付するということは、まあ理屈の上ではすぐできますが、現実の問題としては非常にむずかしい問題でございます。
したがって、そういう配付する
制度につきましては、これは
薬価基準の適正化というようなことで、
現行制度にもいろいろ問題点がございますから、それらの問題点については、今回も皆さんの意見も十分聞きまして、
薬価基準については、市場の価格が的確に反映するように、そういう仕組みをつくっていかなきゃならぬ。そういうような点から、次回の
薬価基準の全面
改正におきましては、銘柄別の薬価の収載方式というものを採用していきたい、かように考えて、目下作業を進めておるような次第でございます。
なお、
医療制度の
抜本改正については本気になってやる気があるのか、五十三年度をめどにしてと言っているようだけれども、その気があるのかということでございますが、われわれとしては、いろいろな
医療の
関係の専門家の懇談会やいろいろな
会議において、真剣に専門家の意見を聞いて、皆様方の意見も聞いていきたい。これは私もかねて
国会で申し上げているとおり、野党の皆さん方からもなかなかいい意見がたくさん実は
提案をされております。こういう意見等も、ともかくコンセンサスができるならば積極的に受け入れて、
抜本改正について真剣に考えてまいりたいと私は思いますので、今後とも本当に御協力のほど、お願いを申し上げます。
なお、
夜間急患センター等の問題で、これは夜までやっているところ、明朝までやっているところは少ないではないか、まことにそのとおりでございます。それではいかぬというようなことでございますので、
夜間急患センターについては、これからは十万人のところを五万人におろしたり、やはり在宅医院、お医者さんが在宅の方が多いわけですから、在宅のお医者さん方の輪番制等を考えて、そして十二時以降六時までの間も
患者の取り扱いができるような工夫をしていきたい、こういうことで、
救急医療制度というものを今回御
提案申し上げておるような次第でございます。
なおその次に、
救急医療について、国公立の
一般病院はすべて
救急部門を持つべきである、こういうことでございます。それは御承知のとおり、
政府関係機関が
救急に協力しないで、民間にだけやれやれと言っても、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)全くそのとおり、これはなかなか納得がいかないと非難をされるわけでございます。したがいまして、まず、厚生省の国立
関係の
病院からこれは率先してやらなければいかぬよというようなことで、やっていただいておるわけであります。
がんセンターとか特殊なところで
救急に向かない施設がございますから、これは御勘弁をいただくほかございませんけれども、さらに、国立
病院ばかりでなくて、先般、これは
予算委員会で衆院、参院両方とも、
政府のいわゆる大学
病院とかあるいは逓信
関係のところとか国鉄
関係とか、いろいろあるではないか、それも協力すべきだという御質問がありまして、直接わが方の所管ではございませんが、大変ありがたく実は思っておる次第でございます。ぜひともお願いをいたしまして、そういう機関にもできる限り
救急の指定を受けて御協力いただくように、私の方からもお願いを申し上げているような次第でございます。
次には、
救急医療整備法、こういうようなものの法制化ができないかというような御
趣旨の御質問と受け取ったわけでございますが、
救急の基本法をつくるのも確かにいいことなのではございますけれども、いますぐにこれをやるというわけにはなかなかいかない。それから、義務づけの問題というような問題もございまして、われわれといたしましては、その義務づけ法制化という前に、まず
現行制度の中でなぜ
救急医療が行われないか、そういうようなことを深く反省をして、その穴をふさいでいく、それと同時に、やはり御協力をお願いをしていった方がいいではないか、こういうようなことから、権利義務ということよりも、やはり医者とか
病院の使命感、あるいは使命感だけでやっていけないから、それに対するいろいろな
赤字対策とか助成
制度とか、そういうようなものも含めて対応して、まずやってみよう、こういうことでスタートいたしましたので、しばらくひとつそれで御協力を賜りたいと思うわけでございます。
また、
差額ベッドの問題等について、どれぐらい差額を
徴収しているのか、それは
病院名と、
金額等がわかったらば全部それを調べて公表しろということでございますが、われわれは、
差額ベッドについては、できる限りこれがないように実は指導しておるわけでございます。現在まだ一八%ございますことは、われわれとして、もう少し少なくしなければならぬ、こういうことで努力をいたしておるわけであります。
なお、差額を
徴収している
病院名等の公表という問題については、今後いろいろ御協力をいただくという
関係もございますので、この席で公表をすることは、これは差し控えさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
なお、
基準看護病院における付き添いの
実態を
調査して対策を講ずべきと思うが、どうだ、こういうような問題につきましては、基準看護の体制をとっている
医療機関においては、その
責任において必要な看護を行うというのがたてまえになっておるわけでございます。しかしながら、
基準看護病院において
付添婦等がいまでも付き添っておるという
実態が、全然ないというわけではございません。そういう事実を十分に把握をいたしまして、基準看護について御指摘のような御質問もございますが、
看護婦の
供給体制という問題については、今後も御意見等を十分参考にして考えてやってまいりたい、かように思う次第でございます。
どうもありがとうございました。(
拍手)
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