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1977-03-15 第80回国会 衆議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十五日(火曜日)     —————————————   昭和五十二年三月十五日     午後一時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  昭和五十二年度一般会計予算修正の件  昭和五十二年度特別会計予算修正の件  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す   る法律案内閣提出)中修正の件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出)  中   修正の件  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措   置法(内閣提出)及び沖繩県区域内におけ   る位置境界不明地域内の土地位置境界及び   地籍明確化に関する特別措置法案安井吉   典君外二名提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時五分開議
  2. 保利茂

    議長保利茂君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 保利茂

    議長保利茂君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  井上一成君から、三月二十二日より四月三日まで十三日間、永末英一君から、三月二十五日より四月一日まで九日間、右いずれも海外旅行のため、請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ————◇—————  昭和五十二年度一般会計予算修正の件  昭和五十二年度特別会計予算修正の件
  5. 保利茂

    議長保利茂君) 内閣から、昭和五十二年度一般会計予算昭和五十二年度特別会計予算、右両件に対し、それぞれ修正したいので、国会法第五十九条によって承諾を得たいとの申し出が、あります。  大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。大蔵大臣坊秀男君。     —————————————  昭和五十二年度一般会計予算修正の件  昭和五十二年度特別会計予算修正の件     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔国務大臣坊秀男登壇
  6. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 政府は、さき昭和五十二年度予算国会提出し、御審議をお願いいたしているととろでありますが、このたび、一般会計予算及び厚生保険特別会計等特別会計予算について、所要政府修正を行うことといたしました。  ここに、その概要を御説明いたします。  第一は、一般会計歳出予算において、各種年金恩給等改善実施時期の二カ月繰り上げのための所要額五百七十億円、掛減保護費等に関する措置のための所要額六十四億円、合計六百三十四億円を修正増加することとしたことであります。  第二は、これらの歳出修正増加の財源に充てるため、予備費六百三十四億円を修正減少することとしたことであります。  なお、特別会計予算につきましても、以上申し述べた措置に関連して、厚生保険特別会計等特別会計について、所要修正を行うことといたしております。  以上、修正概要につき御説明いたしました。  何とぞ、御承諾あらんことをお願いいたします。(拍手)     —————————————
  7. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  両件に対する修正をそれぞれ承諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ看あり〕
  8. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも承諾するに決しました。      ————◇—————  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案内閣提出)中修正の件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出)中修正の件
  9. 保利茂

    議長保利茂君) また、内閣から、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案恩給法等の一部を改正する法律案、右両案に対し、それぞれ修正したいので、国会法第五十九条によって承諾を得たいとの申し出があります。     —————————————  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案修正の件  恩給法等の一部を改正する法律案修正の件     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  10. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  両案に対する修正をそれぞれ承謝するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも承諾するに決しました。      ————◇—————  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案内閣提出)及び沖繩県区域内における位置境界不明地域内の土地位置境界及び地籍明確化に関する特別措置法案安井吉典君外二名提出)の趣旨説明
  12. 保利茂

    議長保利茂君) 内閣提出沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案及び安井吉典君外二名提出沖繩県区域内における位置境界不明地域内の土地位置境界及び地籍明確化に関する特別措置法案について、趣旨説明を順次求めます。国務大臣三原朝雄君。     〔国務大臣三原朝雄登壇
  13. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案について、その趣旨を御説明いたします。  御承知のとおり、沖繩県区域内の駐留軍用地自衛隊用地及び復帰駐留軍から返還された土地の大部分につきましては、前大戦による土地公簿公図焼失戦争米軍基地建設に伴う土地形質変更等により、一筆ごと土地位置境界現地に即して確認できない状況にあります。  このような状況駐留軍用地等に多く残っている原因は、これらの土地駐留軍等施設内にあり、または施設内にあったため、特にその位置境界明確化が困難であったことによるものでありますが、このような状況は、相続売買の際に必要となる土地分合筆駐留軍から返還された土地利用等の面で、沖繩県民経済的活動に著しい支障を与えております。  一方、沖繩県区域内において駐留軍または自衛隊の用に供している土地使用につきましては、その所有者との合意によることを原則としております。しかしながら、どうしてもこの合意を得ることができない土地につきましては、現在、やむを得ず、沖繩における公用地等暫定使用に関する法律に基づき暫定使用しているところでありますが、同法によれば、この暫定使用期限昭和五十二年五月十四日までとなっております。  そこで、右の法律に基づき現在使用している土地について見ますと、この土地は、沖繩復帰以後国が土地所有者とのたび重なる契約折衝等努力を払ってきた結果、当初よりも大幅に減少し、昭和五十二年三月一日現在、要契約件数二万八千三百三十八件のうち四百四十八件、要契約面積約百七十七平方キロメートルのうち約二十一平方キロメートルを残すのみとなっております。  政府は、この土地につきまして、今後も引き続き契約折衝等努力を払ってまいる所存でありますが、このような努力を払っても、なお、昭和五十二年五月十五日以後引き続き駐留軍または自衛隊の用に供する必要がありながら、その所有者との合意に基づく使用権原を取得できない土地が若干残るものと想像されます。  このような場合、現行の法制度におきましては、駐留軍用地使用に関する特別措置法または土地収用法に定める手続により使用することとされておりますが、さきに述べました位置境界現地に即して確認できない土地につきましては、使用しようとする土地現地に即して特定できないため、これらの法律による使用について、所要手続をとることができません。  以上述べました沖繩県区域内の駐留軍用地等の大部分土地位置境界現地に即して明らかでない実情にかんがみ、その位置境界明確化のための措置を定めるとともに、現に駐留軍または自衛隊の用に供している沖繩県区域内の土地昭和五十二年五月十五日以後引き続きこれらの用に供すべきものの使用について特例を定める必要があると考え、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  駐留軍用地等に存する一筆ごと土地位置境界明確化のための措置といたしましては、  第一に、那覇防衛施設局長は、土地位置境界を明らかにするために参考となる物証等を記載した地図作成、この地図及び厚真等一般への閲覧及び関係所有者代表者に対する交付、関係所有者協議が円滑に行われるために必要な援助図上確認を行った関係所有者に対する現地立会通知等を行うことにより、関係所有者が行う一筆ごと土地位置境界確認についてその推進援助を行うこととしております。  第二に、関係所有者一筆ごと土地位置境界確認したときは、那覇防衛施設局長は、国土調査法地籍調査に準ずる調査及び測量を行うこととしております。  第三に、政府は、駐留軍用地等区域内における各筆の土地位置境界明確化のための措置が早期にかつ適切に行われるよう所要施策を講ずるように努めるものとすることとされております。  次に、昭和五十二年五月十五日以後引き続き駐留軍または自衛隊の用に供すべき土地使用特例といたしましては、  第一に、使用特例が適用される土地は、昭和五十二年五月十五日以後も引き続き駐留軍または自衛隊の用に供する必要があること、これらの用に供することが適正かつ合理的であること及びその位置境界が明らかでないため駐留軍用地使用に関する特別措置法または土地収用法に定める手続がとれないことのすべての要件を備えている土地であることとしております。  第二に、昭和五十二年五月十五日前に、内閣総理大臣による使用の認定の告示があったときは、国は、その告示に定められた区域内の土地で、その所有者との合意により使用権原を取得できないものを、同日から、その土地位置境界確認された後直ちにとるべき必要な手続の結果が得られる等一定の事由が生ずるまでの間、使用することができることとしております。この告示に至るまでの手続といたしまして、特に、利害関係人意見書提出防衛施設中央審議会への諮問等権利者保護に配意しつつ、位置境界が明らかでないという土地特殊性に応じた一定手続を定めることとしております。  第三に、国は、毎年度使用によって通常生ずる損失を、近傍類地の地代及び借賃等を考慮してその年度の開始時の価格によって算定した額により、土地所有者等に対し、補償しなければならないこととするとともに、その土地駐留軍または自衛隊の用に供する必要がなくなるかまたはその土地使用できなくなったときは、遅滞なく、その所有者返還し、原状回復等を行わなければならないこととしております。  以上が沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案趣旨でございます。  よろしくお願いを申し上げます。(拍手
  14. 保利茂

    議長保利茂君) 提出者安井吉典君。     〔安井吉典登壇
  15. 安井吉典

    安井吉典君 私は、日本社会党、公明党・国民会議及び日本共産党革新共同を代表し、ただいま議題となりました沖繩県区域内における位置境界不明地域内の土地位置境界及び地籍明確化に関する特別措置法案につき、提案の理由とその概要を御説明申し上げます。(拍手)  昭和四十七年、アメリカから沖繩施政権返還されてから、すでに五年が経過しようとしておりますが、われわれは、まず、沖繩問題についての基本的認識を明らかにしておかなければならぬと思います。  沖繩県民は、本土国民に絶えず幾つかの問いかけをしているのであります。  かつての島津藩沖繩征服明治政府琉球処分にまではさかのぼらないとしても、太平洋戦争本土も原爆を初め空襲を受けましたが、なぜ沖繩だけが、米軍の上陸による凄惨な陸上戦闘で二十万に近い犠牲者を出し、米軍にじゅうりんされ、土地が強奪されなければならなかったのか。  二十年八月、戦争は終わり、本土には復興のつち音が響き始めたが、沖繩米軍が居座ったままであり、その後、本土経済成長路線をどんどん進むのに、なぜ沖繩だけは、全島を軍事基地化され、何と二十七年間も米軍施政権下に放置されなければならなかったのか。  四十七年五月十五日、沖繩返還条約は発効し、祖国復帰はできたが、公用地暫定使用法土地は取り上げられたまま、米軍基地はなくなるどころか、朝鮮戦争ベトナム戦争後方基地として強化され、沖繩経済開発社会開発を阻害し続けてきており、この狭い沖繩だけに全国基地の五三%が集中し、沖繩基地があるというよりも、基地の中に沖繩がある、そういう状況をなぜ沖繩県民だけが耐えていかなければならなかったのか。  復帰とともに沖繩振興開発十カ年計画が立てられ、海洋博を初め特別な公共投資が行われてきたと言うが、いま計画は中折れ地点に来ているが、計画で達成できたのは人口増加だけ、相変わらずの物価高、本土の三倍半の失業率、医療、社会福祉教育施設などあらゆる分野の立ちおくれ、産業経済後進性は少しも解決できていない。沖繩県民にとって祖国復帰とは果たして何であったのか。  このような沖繩の厳しい現実は、挙げて今日までの自民党政治責任であります。(拍手)  そして、この際、政府国会沖繩の心を理解し、この百万県民の深刻にして切実な問いかけに、誠意を持って現実政治でぜひともこたえていかなければならないと思うのであります。  われわれは、このような基本的な認識と理解の土に立ち、沖繩戦争後遺症最大のものの一つである地籍不明土地をどうするかという問題と取り組んでおりますことを、ここに明らかにしておきたいと思うのであります。(拍手)  沖繩においては、戦争による大量破壊、武力による土地取り上げ、そして三十年に近い軍事基地建設で田畑はつぶされ、山林は削られ、住宅は撤去され、土地形質は変わり、位置境界は不明となった上、戦火で土地公簿公図焼失をしているのであります。  軍用地返還されても、どこがだれの土地境界がわからず、広大な土地が荒れほうだいになっているところもあるかと思えば、米軍により市街地全部が立ち退かされ、そこが軍用地とされたが、その後返還され、新しい市街地が形成されたものの、新市街と旧市街で道路も住宅敷地も全部食い違い、トラブルの絶えないところもあり、返還された軍用地跡地が利用されているのは、わずか五.三%にしかすぎない現状であります。土地売買相続、借金の担保等日常生活のすべてに支障を来しているわけであります。  しかも、政府は、県民要求国会でのしばしばの指摘にもかかわらず、地籍問題に対する取り組みはきわめて不熱心で、現在、防衛施設庁沖繩開発庁が進めつつある作業は、どちらも手法はまちまち、遅々として進まず、地籍明確化特別立法を考慮するわけでもないし、問題を回避してきた政府の怠慢さと無責任さを、私はここに強く指摘せざるを得ないのであります。(拍手)  先ほどの防衛庁長官説明で、政府提出の新法案は、地籍解決のためのもののように言われておりましたが、私には決してそうとは思われないのであります。  五年前の復帰の時点において、政府自民党は、違憲立法という野党の非難を退け、公用地暫定使用法を強行成立させ、米軍が銃剣とブルドーザーにより取り上げ使用していた土地を、復帰後もそのまま米軍と、自衛隊に提供する暫定措置を講じてまいりました。この政府側の強制にもかかわらず、借地契約を拒否しているいわゆる反戦地主がなお五百人近くおり、公用地暫定使用法に対する違憲訴訟も提起され、現在、公判が行われております。  その暫定期間経過後も、反戦地主土地財産を引き続き取り上げておくために立案されたのが、先ほど説明された政府基地確保新法であり、現在の暫定使用法沖繩差別、強い違憲性をそのまま引き継いでおるものと言わなければならないと思うのであります。  すなわち、政府法案は、地籍明確化をうたい文句としているが、これは県民要求を逆手にとり、地籍が明らかとなるまで半永久的に反戦地主土地を取り上げ、米軍自衛隊基地を確保することを本質とするものにほかならないと言うべきであります。  かつ、この法案によっては、沖繩地籍問題の早急な解決は実はできないのであります。なぜならば、復帰返還地あるいは非軍用地地籍解決が最もむずかしいのでありますのに、政府案は、これらの土地沖繩開発庁担当で、防衛庁には関係がないとして、この対象から外しております。  また、地籍明確化手法は、関係地主集団協議に任せるというやり方でありますが、ただの一人からでも異議が出れば全部やり直し、協議は成立せず、これが訴訟にでもなれば長期間解決がおくれるものであり、このような政府責任逃れやり方では、地籍問題の解決は百年河清を待つに等しいと言わなければなりません。(拍手)  沖繩県当局は、沖繩開発庁から復帰前の地籍明確化作業を預けられ、地籍問題対策協議会担当部門を設け、真剣な取り組みをしてまいりました。その具体的な実験の結果から、地籍明確化のための土地調査に関する法律案要綱作成、昨年十月、県民の世論を背景に立法化を要請してまいりました。われわれは、これを基礎に三党の意見をも加え法制化作業を進め、政府案に対する代案というよりも、むしろ沖繩における県民生活の最も基底的な問題の解決のための法案として、ここに提出の運びに至ったものであります。  三党共同提出地籍明確化法案の骨子の第一は、まず目的については、ひたすら県民の民生の安定向上に資することに目的を限定しております。  第二に、地籍不明確の原因をつくった戦争、そして米軍の勝手な土地接収基地建設を容認してきたのは国であり、したがって、あくまでも国が戦後処理として解決の全面的な責任を負うべきものとし、実施主体沖繩開発庁長官所要経費はすべて国の負担とすることとしております。  第三に、法律対象軍用地、非軍用地を問わず、沖繩県全体位置境界地籍不明地といたしました。  第四に、明確化作業を早急に実施する必要があるので、沖繩開発庁長官位置境界明確化作業計画を樹立し、沖繩位置境界不明土地審査調整会議の議を経て作業を進めることといたしております。  第五に、明確化作業手法は、原則的には政府案と同じく、関係地主全員協議によることとし、開発庁はあらゆる角度からこれを援助し、もし協議不成立の場合も、さらに期限を付し再協議を求めなければならないことといたしております。  第六に、しかもなお協議が調わない場合には、直ちに訴訟ということになっては解決が長引くばかりであり、解決が長引けば、地籍明確化のため大きな頼りになる、当時の事情を知っておられる古老の証言その他の証拠手段、これが得にくくなってくるおそれがありますので、沖繩の特殊な状況のもとでは、行政権が公益的に介入作業を推進するよりほかないと考えまして、ここで沖繩開発庁長官決定という行政処分手法を私たちは導入したのであります。  しかし、そのことが行政の私権への介入、公権力による財産権侵害等のそしりを受けてはいけませんので、行政権介入に対する必要な民主的なチェックや救済制度等措置を万全に講ずることといたしております。  たとえば、行政権の発動は関係地主の三分の二以上の同意による申請があったときとすること。申請があったときは、公開による聴聞を行い、関係者十分意見を述べる機会を与えた上で、前述の審査調整会議の議を経て、行政処分としての決定がなさるべきこと。決定に対し異議申し立てをすることができること。異議申し立てに対する処分にもなお不服であるときは、行政訴訟あるいは民事訴訟も起こすことができること、等を規定いたしているのであります。  第七に、地籍明確化を促進するため、公共用地等に供された土地に対する損失補償、あるいは損失補給金の支給を全額国庫負担で行うことといたしております。  第八に、優先賃借権制度土地の賢い取り制度必要資金の融通、さらに防衛施設庁長官協力義務等の規定を設けております。  以上が三党案の要点でありますが、最後に、私は、返還土地原状回復地主が利用し得るまでの間の補償等については別途措置する必要があること、また本法案成立の際は、憲法第九十五条の住民投票に付すべきであるとの考えを提案者が持っておりますことを申し添えまして、以上で御説明を終わります。(拍手)      ————◇—————  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案内閣提出)及び沖繩県区域内における位置境界不明地域内の土地位置境界及び地籍明確化に関する特別措置法案安井吉典君外二名提出)の趣旨説明に対する質疑
  16. 保利茂

    議長保利茂君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。上原康助君。     〔上原康助登壇
  17. 上原康助

    上原康助君 私は、ただいま政府より趣旨説明がなされました、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案、いわゆる基地確保新法案に断固反対する立場から、日本社会党を代表して、福田総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。  福田総理、あなたはまさかお忘れではないと思うが、もう一度次のことを思い出していただきたい。  すなわち、昭和四十七年第六十八回国会において、佐藤総理は、その施政方針演説で、「返還に際し、沖繩には核兵器が存在しないことが確認され、沖繩における人口密集地及び産業開発と密接な関係にある地域に存在する米軍施設区域については、復帰後できる限り整理縮小することについても米側の了解を取りつけることができた。」と述べられ、そして、「戦中、戦後を通じて大きな犠牲を払ってきた沖繩同胞の苦悩を忘れることなく、平和で豊かな県づくりに全力を挙げ、沖繩を緑の島としての環境を保持しつつ、その開発と発展を図り、県民福祉向上最大努力を傾ける」などと約束されたことであります。  また、出時外務大臣として沖繩返還に一役買ったあなた御自身、その外交演説の中で「核抜き本土並み返還確認返還後の米軍施設区域整理縮小」など積極的に推進していくことを明らかにされたのであります。  総理、六年前の沖繩国会で、佐藤総理やあなたがその施政方針で明らかにしたように、真に沖繩県民立場に立って復帰施策を推進してこられたとするならば、復帰五年たった沖繩現状は、いま少し県民生活に安らぎと落ちつきを取り戻し、復帰してよかったという環境になっていなければならないはずであります。(拍手)  しかし、いまさら多くを指摘するまでもなく、復帰して五年を経過しようというのに、県民生活復帰前にも増して一層苦しく、核兵器及び生物化兵器存在の疑惑も何ら解明されず、基地島沖繩の実態はいささかも変わっていない現状であります。  ちなみに、復帰時に約二億八千三百万平方メートルあった米軍基地は、いまだに二億六千五百万平方メートルが米軍基地であり、依然として県土の約一二%を占めておるのであります。  この五年間に返還された軍用地は、わずかに一千七百万平方メートルで、その一部は復帰と同時に自衛隊が強奪し、実際に地主返還された土地は一千四百万平方メートルにすぎず、しかも、見せかけの細切れ返還であるため、跡地利用がほとんどできないまま放置されているありさまであります。  返還された軍用地はわずかに全体の五%以下であるのに対し、復帰時約二万人いた基地労働者は、その六五%余が一方的に解雇され、沖繩失業率全国平均の三倍も上回る七%の高いものにし、雇用不安を一層悪化せしめる結果を招いているのであります。  一方、政府沖繩振興開発起爆剤にすると過大宣伝して進めてきた海洋博も、本土企業を中心とする一部の大企業には奉仕したものの、沖繩の農業や地場産業を破壊し、中小企業を倒産に追いやり、失業と不況を本土よりはるかに深刻化させるなど、沖繩経済にはかり知れない打撃と後遺症を残して終わってしまったのであります。  このように、政府自民党が進めてきた沖繩に対する諸施策は、県民生活安定向上よりも、いかにすれば沖繩の巨大な米軍基地を自由かつ安定的に米軍使用せしめることができるかに最重点が置かれてきているのであります。提案された基地確保新法案も、政府自民党のその基本的姿勢を端的にあらわしていると言えましょう。  そこで、総理に伺いたい。  一体、あなたは、沖繩現状をどう認識され、政府が進めてこられた沖繩施策は、県民の意にかない、期待にこたえるものであったとお考えなのか、あるいはもし反省する必要ありとすれば、何をどう改められるのか、今後の施策を含めて率直な御見解を承りたいのであります。(拍手)  さて、沖繩土地位置境界地籍が不明になった要因は、過ぐる太平汗戦争によって土地関係の台帳、公簿公図などすべて消失してしまったこと、戦後は、米軍が布告、布令を乱発し、銃剣とブルドーザーをもって引きならして地形や形質を完全に変えてしまったこと、復帰に当たって、米軍が不法、不当に強奪した広大な基地を、自民党政府が現行暫定措置法を数の暴力で強行可決して、地籍さえ明確にすることなしに継続使用してしまったことにあります。  今日までこの重要課題を放置してきた政府自民党責任はきわめて重大であるにもかかわらず、政府提出法案は、現行法の期限切れに伴って、県民多年の地籍明確化要求を逆手にとったあめとむちを織りまぜた一段と違憲性の強い土地強奪法でしかないのであります。  地籍の確定という土地法制の根本にかかわる問題と、軍用地の確保、継続使用という軍事的、政治的な問題を混同関連させていることは、法律構成上も無理があり、政府の意図が地籍明確化にあるのでなしに、基地の確保と継続的無期限使用にあることは明らかであります。  この法案は、憲法で保障された法のもとの平等の原則を著しく逸脱した、沖繩にのみ犠牲と忍従を強いる差別立法であり、その正当性、合理性は全く存しないのであります。  また、現行公用地法による暫定使用期間が五年と定められておったのに対し、本法案では期限も定めてなく、事実上無期限の強制使用特例を設けようとしていることは、土地所有者の財産権をより不当に侵害するものと言わねばなりません。(拍手)  政府は、いま私が指摘した諸点についてどのように考えておられるのか、明確な答弁を求めるものであります。  さらに、いま一つ見逃すことのできない重要な点は、自衛隊用地土地収用法を適用する道を開こうとしていることであります。  自衛隊用地土地収用法によって収用し、または使用しようとする本法案の内容には、土地収用法の立法経緯から見て重大な疑義があるとされております。すなわち、土地収用法は、その三条で「土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業」を定めておりますが、それに、自衛隊の用に供する施設は含まれないとするのが、これまでの確定解釈となっているからであります。  昭和二十六年に旧土地収用法が全面改正された際に、参議院建設委員会における提案理由の説明内容や、昭和三十九年五月の衆議院建設委員会における当時の河野建設大臣の見解等からも、このことは明白であります。  この経緯から見て、自衛隊用地の収用に土地収用法を適用しようとすることは、いまだにその前例がないだけに、沖繩地籍確定を口実にして土地収用法の実質的な改悪を図り、自衛隊基地拡大に強権を持ち込もうとするものと言わねばなりません。(拍手)  政府は、土地収用法に対する従来の見解を変更しようとするのか、自衛隊基地を公共の利益になる事業と認定するのか、総理より明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  このように政府提出法案は、憲法上、法律構成の上からも多くの疑義なしとしないのであります。  加えて、沖繩地籍問題は、戦後処理の一環として、政府責任解決しなければならないのに、その責任を明確にしていないこと、地籍を明確にすると言いながら、年次計画予算措置をどうするのか、最も重要な点を全く不明にしていること、地籍問題が抱えている複雑な権利調整の手続、集団和解方式で解決できない場合の措置地籍明確化に伴う地主への補償問題等について法的措置を講じようとしていないことなど、不備な点が余りにも多いのであります。  さらに、地籍調査軍用地、非軍用地に区分していることは、土地利用の効率化の上から言っても妥当性を欠き、振興開発に大きな障害となることは明白であります。  しかも、沖繩県当局が時間をかけてまとめた地籍明確化のための要綱案を全く無視していることは、県民の意思を踏みにじる暴挙と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  軍用地、非軍用地を問わず、地籍明確化に当たって、県当局や関係市町村の協力なくして、この難題を解決していくことができると考えておられるのか、沖繩県が策定した要綱をどのように考えておられるのか、明確な答弁を求めるものであります。  さらに、現行の公用地等暫定措置法は、五年という期限がはめられている以上、来る五月十五日以降は当然失効になるものと考えますが、御見解を承っておきたいのであります。  また、現在の国会状況から見て、提出された基地確保新法案がこの五月十四日までに成立する見通しは全くないし、ましてや、法律適用のための準備期間などあわせて考えると、絶望的と言っても過言ではないのであります。  政府は、本法案が成立しない場合、どのような措置を講じるのか。安保地位協定との関連で明確な答弁を求めておきたいのであります。(拍手)  以上、私は、復帰後の沖繩の実情を踏まえながら、法案の内容をただしてまいりましたが、総理沖繩県民は乏しきを憂えているのではないのです。ましてや、自民党政府に甘い期待をかけているのでもありません。等しからずを憂い、沖繩だけに犠牲と差別を強いることにがまんがならないのです。  なぜ、復帰した今日も、国土の〇・六%にも足りない狭い沖繩に、日本全国の五三%にも及ぶ広大な米軍基地を抱え込まねばならないのですか。しかも、基地の面積が大きいだけでなしに、ポスト・ベトナム後も、米軍のアジアにおける集約複合化した戦略基地として位置づけられ、政府がこれまでのような姿勢をとる限り、その態様は今後も変わることは期待できないのであります。  安保条約と米軍基地は、わが国の安全と極東の平和のために不可欠だと主張するのでありましょうが、大の虫を生かし繁栄させるために、いつまでも小を踏み台にすることは、平和憲法の精神を踏みにじる虚構だと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  総理、憲法の上に安保条約を君臨させる軍事優先政策をとれ以上沖繩に強いることはやめるべきであります。  しかるに、あなたは、近く行われる日米首脳会談で、またもや、沖繩をいけにえにしてきたとも言える韓国条項を湾確認しようとしているどころか、朝鮮半島の安定は日本防衛の生命線などという新しいドミノ論で、南北朝鮮の分断固定化と朝鮮人民抑圧のために、沖繩米軍基地を主軸とした日米安保体制を一段と強化しようとしている態度は、断じて容認できないのであります。  総理、日米首脳会談において基地、安保、防衛分担などで日本側が新たな荷物を背負い込むことはないと国民の前にお約束できますか。明確な答弁を求めておきたいのであります。  最後に、政府自民党がかたくなに拒否し続けてきた減税問題も、結局野党の要求に応ぜざるを得なかったと同様、基地や安保に関連する法案として、これまでのように、自民党の横暴で成立させ得る国会状況でないことをあえて指摘しておきたいのであります。  政府案を潔く撤回し、県民の意思と要求を取り入れた野党三党案を成立せしめることこそ、政府自民党のとるべき責務であることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  18. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  沖繩復帰を前にいたしまして政府が公約した諸事項は一体今日どうなっているか、さようなお尋ねでございますが、復帰に際しましては、沖繩振興開発十カ年計画、これを実行するということを公約をいたし、これに基づきて鋭意政府沖繩振興のために努力をいたしてきておるわけでありまして、その結果、公共の施設の整備なんかはかなり進んだ。また、県民の所縁も、石油ショックというようなああいう事態がありましたものの、かなり水準が向上した、こういうふうに見ております。  しかし、今日沖繩の状態が所期したような状態であるかというと、私はそうじゃないと思います。今後一層沖繩の振興につきましては努力をしていかなければならない状態にある、かように考えております。  それから、核抜きの問題、これは本土並みということで実現していることは御承知のとおりでございます。  また、施設区域の統合の問題につきましては、これは最大限の努力をしたのです。しかし、お話のような実際の状態でありますが、今後ともその方向で努力を続けてまいりたい、かように考えております。  それから、今回の政府提案は憲法に違反するんじゃないか、こういうようなお話でありますが、これは土地の位置や境界が明らかでないという特殊性に適合した方法でその位置境界明確化を図る、こういうような趣旨のものでありまして、これは憲法に違反するということは考えておりません。したがいまして、これを撤回するというような意思もありません。  ただ、野党の御提案法案、社会党を含む三党提出法案につきましては、これはこれこそ「協調と連帯」、この精神で国会において政府案とともども十分御審議願いたい、かように考えておる次第でございます。  また、米軍沖繩基地を持っておる、その問題につきまして、私が今度アメリカへ行く、その際にまたこれが増強される、荷物をしょわされて帰るんじゃないかというような御懸念でございますが、さようなことは断じてありませんから、ひとつ御安心願いたい。(拍手)     〔国務大臣三原朝雄登壇
  19. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします前に、総理からも沖繩に対する考え方、姿勢についてお話がございましたが、防衛庁長官といたしましても、私自身郷土の町三分の一が基地になり、また隣の町は実弾射撃場を持っておるところでございます。それだけに基地の問題につきましては真剣に受けとめておりますし、特に沖繩は、先ほど安井先生の御意見にもございましたように、きわめて長い間歴史的な問題として大きな負担をかけておるという点につきましても、十分そうした点を受けとめながら本法案提出いたしたところでございます。  そこで、お尋ねの中にございました、この法案は現行の公用地暫定使用法の延長ではないかという御意見でございましたが、この点につきましては、基地におきます地籍の明らかでない土地について、それの明確化をやっていく。それから未契約地につきましては、現行法では直ちに使用することができませんので、所要手続を終えまして、内閣総理大臣の適切な認定によって使用しようとするものでございまして、現在の公用地暫定使用法ではございません。  次に、憲法問題につきましては、総理から御答弁がございましたので、改めて申し上げません。  それから、本法案基地のみを対象にしておるところに問題があるということでございます。  私も、その点については同感でございますが、まず、基地防衛施設庁においてやっていくということについて申し上げますが、沖繩区域内の基地につきましては、米軍基地への立ち入りができなかったこと等によりまして、その大部分地籍が不明確となっておりますし、そのため、所有者の社会的、経済的活動または国なり県なりの事務遂行上支障が起きてまいっておりますので、早急にこの土地地籍を明確にしていこうという考えからでございます。  なお、基地以外の地籍明確化につきましては、政府といたしまして、特に沖繩開発庁においてこの問題と取り組んで積極的に進めておられるところでございます。御承知のとおりでございます。  それから、どうも自衛隊土地収用法を使おうとしておるではないかというおしかりでございました。  自衛隊にも、土地収用法の適用は、先ほどはないという解釈をとっておられましたが、これはあるわけでございますけれども、しかし、今日まで本土におきましては自衛隊として土地収用法を適用いたしておりません。話し合いによって土地使用について御相談を進めてまいっておりますし、沖繩におきましても私どもといたしましてはぜひひとつ、最後の最後まで土地所有者の方々に御相談をして、土地収用法などは使わずに結末をつけたい、解決をいたしたいということでございます。そういう精神のもとにやってまいりたいと思うのでございます。  なお、この法案が成立しなかった場合はというお言葉でございました。この沖繩基地が持ちまする——非常な過重な負担をかけておりますけれども、わが国の防衛上の使命の重要性にかんがみまして、私ども何とかひとつこの法案の成立を期したいと思いますが、なお、本日、野党三党から実は新しい他の提案があっておるわけでございます。野党の方々とも十分御相談を申し上げて、政府が出しております法案、そして野党からお出しいただいております法案現地の県から出ております法案等々、彼此検討をさしていただき、国会においてぜひひとつおまとめを願いたいと思うところでございます。(拍手)     〔国務大臣藤田正明君登壇
  20. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 上原代議士の御質問は、私に対しまして二問であったかと思います。  一つは、地籍明確化について、軍用地、非軍用地と分けることなく、沖繩開発庁において一本化したらどうだ、こういうふうな質問であろうかと思います。  この問題につきましては、関係省庁と十分な協議を重ねた結果、軍用地につきましては、施設の管理とか、あるいは地主との賃貸契約、あるいは日ごろ関係地主と接触が深い、かつまた返還後の復元補償等の複雑な関係がありますために、防衛施設庁の方にこれをお願いいたしまして、そのほかの、基地外の土地につきましては、沖繩県協議の土で沖繩開発庁がこれに対処する、かようにいたしているところでございます。目下それぞれ作業を着実に進展中でございますので、現在沖繩開発庁といたしましては、現行方式が最も現実に即した問題の解決方法である、かように考えておる次第でございます。  後の一点は、復帰前の政府の公約にもかかわらず、沖繩の現況はそうはなってないじゃないか、こういう御質問がございまして、これは総理からその大綱について御答弁がございましたけれども、若干の補足を沖繩開発長官として申し上げます。  もちろん、現在のような沖繩企業倒産あるいは失業の問題等、大変重要な問題であるとわれわれも認識をいたしております。ただ、沖繩の経済の過去五カ年間の実態を見ますときに、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、海洋博後のあの状況を考えてみましても、経済の実質成長率は、本土よりはなお相当高いものが過去五年間ございましたし、また県民所得にいたしましても、本土よりも相当高いものが——向上が相当あったわけでございます。しかしながら、環境の厳しさも加えまして、沖繩経済の底が浅いというような問題もございまして、いまのような現況になったのではないかと思います。  開発庁といたしましては、これらの問題を踏んまえまして、今後の見通しについて検討してまいりましたが、現時点におきましては、従来の振興開発十カ年計画を変更することなく、今後の五カ年間も問題の解決のために計画のとおりに進めてまいりたいというふうに考えております。  具体的には、五十二年度予算案においても、振興開発事業については他地域以上の伸びを確保いたしておりますとともに、振興開発金融公庫の融資枠の拡大も十分に図っておるところでございます。  また、本年五月に期限が切れますところの復帰特別措置につきましても、復帰前に予見されなかったような沖繩経済、社会の変動も考慮いたしまして、県民生活及び地元産業に与える影響の大きいものにつきましてはそのまま延長を図るため、特別措置法の改正についての審議を現在もお願いをしておるような次第でございます。  政府としましては、これら施策により、今後さらに沖繩の振興開発と百万県民の生活の向上安定を図っていきたいと切に考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣鳩山威一郎君登壇
  21. 鳩山威一郎

    国務大臣(鳩山威一郎君) 上原議員の御質問にお答え申し上げます。この基地特別措置法案が通らなかった場合に、安全保障条約並びに地位協定上との関連でいかなる影響があるか、こういうお尋ねでございますが、この法案はただいま提案されたばかりでございまして、ぜひとも法案の早期成立を期待いたしておる次第でございますけれども、わが国は御承知のように、安全保障条約によりまして米軍施設及び区域を提供する義務があるわけでございます。この法案がこの基地の安定的な使用を確保する見地からぜひ必要なものと、こう理解をしておりますので、早期成立をお願いをいたしておる次第でございます。  それから、日米首脳会談の機会に、基地問題につきましてどのような話をするかというお尋ねでござ、いました。  日米安保条約がただいまの時点で特に強化をされるというようなことは、全く私どもはそのような事態にないと信じておる次第でございます。むしろ私どもは、この機会に沖繩基地におきます計画的な基地整理縮小、この点をぜひとも進展をさせたいということとともに、先般お話のありました沖繩におきます核兵器あるいは生物化学兵器、これらのものが絶対にないということを、この点を先方の確約を取りつけたいと、こう考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  22. 保利茂

    議長保利茂君) 玉城栄一君。     〔玉城栄一君登壇
  23. 玉城栄一

    ○玉城栄一君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案に対し、福田総理大臣並びに関係大臣にお伺いをいたします。  その前に、現在沖繩県民は、この法案の成り行きに対してきわめて重大なる関心を持って注目をいたしております。  沖繩が、これからも、なおかつ軍事基地の重、圧の中で大きな犠牲と差別を強いられていくのか、あるいは国権の最高機関であるこの国会の良識によって、沖繩の全地籍明確化のための特別立法が制定をされ、戦後処理の一つが解決されていくのか、沖繩県民はかたずをのんで、この国会の成り行きを現在見守っておるのであります。  私は、沖繩選出議員として初めてこの国会に参りました。いきなり突きつけられたのが、ただいまの政府法案であります。  沖繩が米国にゆだねられて二十七年、いやがり泣き叫ぶ子供を無理やりに、当時の吉田政府は、沖繩を里子に追いやりました。その里親のもとで、軍事基地というきわめて重い荷物を沖繩は背負わされてまいったわけであります。四十七年五月十五日、沖繩を引き取った後も、政府はなお、その重い荷物を沖繩に背負わせたままであります。  福田総理沖繩本土復帰をいたしまして、先ほどからお話がございますとおり、はや五年が過ぎようとしております。いま沖繩は、深刻な問題を抱え、苦悩しております。いまさら申し上げるまでもなく、沖繩県民が望んだ本土復帰は、異民族による軍事支配から脱却をして、平和で豊かな、そして明るい沖繩を築いていきたい、これが県民の悲願でありました。ところが、現実は、御存じのとおり、失業率本土平均の三倍以上、全国一の物価高、中小企業の倒産の続出、加えて巨大な軍事基地は、そのまま居座っておるのであります。  総理、あなたが提案されましたこの法案は、その軍事基地という重い荷物を、さらに沖繩県民に背負わせていこうというものであります。  私は、現在、沖繩県に最も必要なものは、このような軍事基地確保のための法案ではなくして、県民生活をいかに守るかという政策こそ最優先されるべきであると、総理に強く申し上げたいのであります。(拍手)  総理は、わが国が安保条約を堅持する以上、また先ほどの外務大臣の御答弁にもございましたとおり、米軍基地の必要はやむを得ないとおっしゃるかもしれません。しかし、沖繩においてあの巨大な軍事基地は、まさに諸悪の根源であり、今日まで沖繩のあらゆるものをゆがめてまいりました。そのような犠牲をなおかつ総理沖繩県民にこれからも押しつけていこうというのでありましょうか。福田総理の誠意ある御答弁を願いたいのであります。  福田総理は、連帯と協調の政治を訴えておられます。しかし、このような法案は、逆に沖繩県民に不信感をつのらせるだけであります。総理は、このような不幸な事態をどのようにお考えになるのか、お伺いをいたしたいのであります。  次に、総理は、混乱した沖繩地籍を明確にする責任主体は一体どこにあるとお考えになっておられるのか。私は、あくまでも沖繩地籍の混乱の原因戦争並びにそれに続く米軍占領による軍事基地構築がその原因であることから、当然その責任の主体は政府にあると思いますが、総理の明確なるお答えを願いたいのであります。  したがって、沖繩返還の際、特別立法を制定し、この五年間において基地の内外を問わず地籍を明確にしておくべき責務が政府にあったと思うのでございます。ところが、政府は今日までその責任と義務を果たさないばかりか、今回提案したこの法案においては、地籍調査対象基地内のみに限定をし、それ以外については一顧だにしておられないのであります。  総理にお伺いをいたします。  沖繩地籍明確化については、軍用地だけでよいとお考えになっておられるのか。それ以外は地籍明確化の必要はないとお考えになっておられるのか、お伺いをいたしたいのであります。  沖繩の混乱した地籍をすべて明確にすることは、地主を含め全県民の一致して要求する緊急課題であります。政府は、なぜ今回、全地籍明確化のための法案提出なされなかったのか、総理の御答弁をお願いするものでございます。  さらに、この法案では、土地の強制収用と地籍明確化という全く異質の問題を一つの法案に抱き合わせ提案をしておるのであります。これは明らかに、県民の要請にこたえる形をとりながら、基地の永久使用をもくろむ欺瞞的な方法であります。なぜこのような異質の問題を一つの法案の中に規定しなければならなかったか、その理由と必然性について伺いたいのであります。  次に、沖繩地籍問題で一番大きなネックは、集団和解方式、いわゆる関係地主間の話し合いで解決できなかった部分について、その地籍をどう確定するのか、これについての抜本的な解決策が講じられない限り、沖繩地籍問題は永久に解決不可能と言えるのであります。  ところが、この政府案では、やはり集団和解方式だけを採用しております。この集団和解方式で沖繩地籍問題が解決できるとするならば、戦後三十年、米民政府並びに琉球政府、そして復帰後五年間の政府の行ってきた行政措置ですべて解決できていたはずであります。関係者は集団和解方式だけでは沖繩地籍問題は絶対に解決ができないと強く訴えておるのであります。この方式で本当に地籍が確定できるとお考えになっておられるのか、重ねてお答えを願いたいのであります。  私は、沖繩の混乱した全地籍を明確にする抜本的解決方法として、先ほど野党共同案の提案がございまして、まず第一番目に、地籍問題解決についての国の責任を明確にすること、二番目に、基地の内外を問わずすべてに及ぶこと、三番目に、実施主体沖繩開発庁長官に一本化し、民主的手続保障のための諮問機関、調整機関が設置されること、四番目に、調査方法は現地確認主義を原則とし、関係者基地立ち入り権が保障されること、五番目に、境界確定については当事者の協議を原則とするが、協議が調わない場合は民主的な手続を経て、沖繩開発庁長官決定によって地籍を確定する。  以上申し上げた点は、沖繩地籍問題解決に当たって最小限必要な基本的な措置であります。  したがって、政府案には、ただいま申し上げましたこの項目は欠落をしております。この法案は、明らかに地籍明確化についての政府責任を回避し、地主にその責任を転嫁して、あたかも地籍を確定するかのごとく装い、その本質は軍事基地永久確保をねらうきわめて欺瞞的な法案だと指摘されてもやむを得ないと思うのであります。  さらに、この法案には多くの重大な憲法違反的な部分が指摘できるのであります。特に憲法二十九条で保障された財産権について、現行の公用地暫定使用法は五年という暫定期間で今日まで私有財産権を侵害し、軍用地として強制収用してまいりました。ところが、この政府案は、五年どころか何ら使用期間を定めることなく、事実上無期限に個人の財産を強制使用しようとしておるのであります。これはきわめて重大な憲法第二十九条違反であると断ぜざるを得ないのであります。総理の明確な御答弁を求めるものであります。  以上、御質問を申し上げましたとおり、この法案には余りにも重大な問題が多過ぎます。私は、このような沖繩県民にとってきわめて耐えがたい、また許しがたいこの法案は、私、県選出議員としてあくまでも撤回すべきであると強く主張するものであります。  総理に重ねてお伺いをいたします。この法案を撤回する意思があるかどうか最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  24. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  最後の御質問でございましたが、最初にお答えしますが、この法案を撤回する考え方は持っておりませんです。と申しますのは、この法案のねらいとするところは、これは駐留軍用地などの位置境界の不明確な実情に照らしまして、その明確化措置を講ずる。しかも、その明確化の際に、施設として使用される土地等につきましては正当な補償をするというわけで、憲法論をいろいろ言われておりますけれども、これは憲法第二十五条、文化的生活を保障する条項に違反するものではありません。  また同時に、憲法第九十五条による住民投票を必要とするのではないかという御議論でもありまするけれども、この住民投票は、特定の地方団体の組織、権限または運営について特例を設ける趣旨のものでありまして、本件の場合は住民投票に該当するケースではございません。さように考えておる次第でございます。  それから、玉城さんからは、野党提案の内容を細々とお話しになられ、それに賛成するか、意見はどうか、こういうことでございまするけれども、私は、今回の事態は、政府提案も出ておる、また野党三党の提案も出ておる、こういう状態でありますので、これは国会審議の場、委員会の場におきまして十分話し合っていただきたい、それで御理解を願いたい、かように考える次第でございます。  特に地籍の問題につきまして、これは政府提案では軍用地のみを対象としているではないか、他の一般土地をどうするんだというようなお話でございます。  この問題につきましては、一般土地につきましては、本当に純粋の私有地でございまするので、これは国土調査法、そういうものの運用等であるいはかなりの解決ができるんじゃないかとも考えまするけれども、皆さんの御提案の中には、これは特別法をもって対処せよというお話もありますので、それらの点につきましては、これは国会審議の段階において十分お話し合いを願いたい、かように考えます。(拍手)     〔国務大臣三原朝雄登壇
  25. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えいたします。  大体総理から御答弁がございましたので、特に申し上げることもありませんが、集団和解方式をとっておることは、これはなかなか最後には解決できないぞという見通しがあるというお話でございます。  土地地籍確認する問題につきましては、所有者が自主的に古老の協力を得て、紛糾を残さずに協議をしながら、話し合いの中で解決をしていこうという方式をただいままで防衛施設庁においてはとってまいりました。これから先もこの方式で努力をすることによって解決するものだ、そうした確信のもとに努力を進めておるところでございます。  それから、もうすでに総理からお答えがございましたが、基地だけをやって基地外についてはどうも積極性を欠くではないかということでございましたが、基地につきましては、御承知のように、米軍基地等は一般人が入りにくい点もございまするので、基地につきましては防衛庁でひとつ担当しよう、基地外につきましては沖繩開発庁担当しようということで努力をいたしておるところでございます。(拍手
  26. 保利茂

    議長保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  27. 保利茂

    議長保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十三分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 福田  一君         外 務 大 臣 鳩山威一郎君         大 蔵 大 臣 坊  秀男君         文 部 大 臣 海部 俊樹君         厚 生 大 臣 渡辺美智雄君         農 林 大 臣 鈴木 善幸君         通商産業大臣  田中 龍夫君         運 輸 大 臣 田村  元君        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君         労 働 大 臣 石田 博英君         建 設 大 臣 長谷川四郎君         自 治 大 臣 小川 平二君         国 務 大 臣 石原慎太郎君         国 務 大 臣 宇野 宗佑君         国 務 大 臣 倉成  正君         国 務 大 臣 園田  直君         国 務 大 臣 田澤 吉郎君         国 務 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 藤田 正明君         国 務 大 臣 三原 朝雄君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君      ————◇—————