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内閣総理大臣(
福田赳夫君) お答えいたします。
私が今般
内閣総理大臣の地位につきましたのにつきまして、その感想いかんというお話でございますが、私は、憲法の規定に従いまして、
国会多数の方の賛同を待て、
総理大臣に指名されたものであります。(
拍手)私は、その
責任の重きをただただ恐れるというのが、私の心境でございます。
しかし、私は、自由民主党があの暮れの総
選挙でああいう厳しい
審判を受けた、あの
審判の結果を静かに反省しないでいいかどうかといいますると、成田さんの御指摘のように、私は反省すべき点は多々ある、さように
思います。
私は、自由民主党がこれまで国家のために貢献してきた、それはもう本当に自由民主党として誇ってしかるべきことであったと、こういうふうに
思います。しかし、政権長きに及びまして、そこに緩みあるいはおごり、そういう点が出てきておる。それが私はあの昨年の暮れの総
選挙で、
国民から深く厳しく反省を求められた、こういうことだと
思います。私は、そういうことに対しましては謙虚にこれを反省して、そして、自由民主党はみずからの姿勢を改めなければならぬ、こういうふうに考えております。
派閥の解体、また党組織の
改革、さらには党
財政、これはまあ御指摘のように
企業に近寄り過ぎておる、これを一般的なものに改めなければならぬ、そういう問題、また、さらには総裁
選挙のあり方、こういうものすべてにわたりまして私は大
改革を加えたい、かように考えております。そして、来るべき参議院
選挙におきましては、
国民は新しい自由民主党になったな、これは信頼できるなという形で
審判を求めたいと、かように考えておる次第でございます。(
拍手)
ロッキード事件につきましては、これはもう
施政方針演説でも申し上げましたが、徹底解明いたします。刑事
事件としては、余すところなくこれが解明をいたしたいと、かように考えております。ただ、お話しのような
政治的道義的責任、これは
国会において担当してもらいたい、それを切にお願いを申し上げます。
また、いわゆる灰色高官の問題につきましては、これもまた
国会の論議の問題だろうと、こういうふうに
思いますが、ただ、この扱いにつきましては、個人の人権という問題がありまするから、慎重に御論議願いたい、かように考える次第でございます。
国会議員を含む
証人喚問、この問題につきましては、これはもうもとより
国会の決めるところに従うべきである、私はそういうふうに考えております。ただ、
国会がこれを扱うにいたしましても、公判に悪い影響を及ぼさないようにという配慮だけはしてもらいたいということをお願いいたします。
刑事
事件としてのロッキード問題につきましては、その捜査の結果につきまして、これを
国会に
報告をいたします。その
報告の時期、内容等につきましては、
国会と協議いたします。
私は、この問題の処置として大事なことは、
ロッキード事件の
事件としての解明、これをすること、これはもうもとより大事なことです。しかし、こういうような
事件が再び起こらないようにという
措置をこの際考えるということ、これはより以上に大事なことであると、こういうふうに思うのであります。
私は、まず何よりも、われわれを含めまして国家公務員あるいは
国民全体、これは道義
社会ということに徹する、これがまず第一であろうと
思います。特に
議員、公務員、そういう国家で大事な立場にある、そういう者は、どうしても公私の別を峻別いたしまして、そして身を持すること厳に、姿勢を正すということが何よりも大事である、こういうふうに
思いますが、しかし、それと同時に、法的あるいは行政的
措置によりまして、この綱紀の粛正を
保障するという
措置もまた大事であると、こういうふうに考えるのであります。
このような立場に立ちまして、
社会党から、
政治家の資産公開をすべしと、こういう提案があります。これにつきましては、これはまあ
政治家の資産公開となれば
政治家の問題でありまするから、これはひとつ
政治家の間において御論議を願いたい。
また、
公職選挙法の
改正をすべし、あるいは
企業献金を禁止せよという、
政治資金規制の問題、これも提起されておりまするけれ
ども、私は、今後のこの問題の処置を考えるとき、金のかかる
選挙、それが金のかかる
政治ということにつながってくると、こういうふうに思うのです。そういうふうに
思いますがゆえに、金のかからない
選挙制度というものをどういうふうにつくっていくかということは、これは大きな問題であろうと思うのです。しかし、
選挙制度なりあるいは
選挙資金の問題ということは、これを各政党の共同の土俵をつくるに等しい問題でありますので、これは各党間において、金のかからない清潔な
選挙をどういうふうにするかにつきましては、真剣にお互いに協議をすべきものであると、かように考えております。(
拍手)
なお、贈収賄規定を
強化すべしと、こういうお話でございますが、これは、贈収賄に関する法定刑の
強化、こういう点は何とかしてこの
国会に提案をいたしたいと
思いまして、いま検討中であります。
さらに、多
国籍企業の行動規制を
強化すべしという問題があります。この問題につきましては、多
国籍企業に対する
指導の
強化、国連多
国籍企業委員会の腐敗防止の検討に協力するというようなことをいたしてまいりたい。
なお、
不良企業に対する制裁の
制度化という点も提唱されておりますが、これは損害を与えた
企業、それに対しましては、損害賠償の
責任があります。これを実行しやすくするということが非常に大事なことではあるまいか、さように考えております。
次に、アメリカのレイナード氏の指摘の
KCIAの問題でありまするが、私は、静かにずうっとわが自由民主党を見ておりまするけれ
ども、あのレイナード氏が指摘するような、ああいうことがあろうとは夢にも
思いません。しかし、ああいう指摘がありました以上は、これは調べる必要がある。すでに駐韓大使及び駐米大使に対しまして、一
調査方を命じております。まだ回答はありません。
金大中事件について触れられましたが、その点もあわせて
調査をいたします。
それからさらに、五十二年度
予算について、
国民に背を向けた大
企業べったりの
予算ではないかと、こういうような御指摘でございますが、いま私は、しばしば申し上げておりまするように、この世の中の弱い立場、小さい立場の人のことを考えなければならぬ、考えております。おりますが、十分に考えるためには何といっても
経済が立ち直らなければならぬわけです。私は、
昭和五十二年度というこの年は
経済の年である、それにはとにかく景気をよくしなければならぬ、そういう
ふうに考えまして、
公共事業費を多額に盛り込んだ。しかし、そういう中でも決して
社会保障費をないがしろにしたわけじゃありません。一般
予算の伸びは二二%ぐらいです。
社会保障費の伸びは一七%を上回るというように
努力をいたしておるという点も御
理解願いたいのであります。
今日の
経済情勢は、私は、大局的に見まして、
わが国といたしましては順調に動いておる、こういう認識でございます。つまり、あの三年前の石油ショック、あれから
世界じゅうが大混乱をしておる。ことに南の国々の混乱は激しい。また、北におきましても立ち上がりのできない国はたくさんあるのです。そういう中で、わが
日本、それからアメリカ、それからヨーロッパにおきましてはドイツ、この三カ国は際立った回復ぶりを示しておるわけでございまして、そういう情勢下の
わが国の
経済といたしましてはまずまずと、こういうことかと思うのであります。
そういうような情勢ではありまするけれ
ども、ただ、昨年を顧みてみますと、年度全体としてはいいのです。しかし、上半期に
成長が偏り過ぎた。そういうのでいまちょっと停滞期に入っておるのです。さようなことから、いま景気に対しててこ入れを必要とする、そういう必要のある段階と、こういうふうに考えております。
また、成田さんは赤字公債の発行について心配されておりましたが、これは、五十年代上期中にぜひこれを解消したいと、赤字公債です、特例公債をぜひ解消したいと、さように考えております。ただ、その公債を消化するために
付加価値税のごときものを考えておるんじゃないかというような御懸念が示されましたが、私は、将来を展望しますと、やはり
社会保障を
わが国としては充実しなければならぬ。それから、
生活関連の下水道でありますとか住宅でありますとか、いろいろな施設を充実しなければならぬ。そういうことを考えまするときに、どうも今日の
わが国の租税負担率が二〇%そこそこというような状態では、これはそういう必要な国家計画というものが遂行できない。やはり幾らかずつ租税負担がふえる状態にならぬと国政の運行ができないのではないかというふうに
思いますが、しかし、いかなる税をもってこれに対処するかということにつきましては、これはまだ固まった考えは持っておりません。
さらに、成田さんは、
不況から
国民生活防衛というような見地から幾つかの御質問をされておりますが、まず一兆円所得税減税を断行せよ。これは私は後から申し述べますが、そういう考えはありません。(
拍手、
発言する者あり)
それから、
社会保障を充実せよというお考えでありますが、これはその
言葉としてはそのとおりであります。いま
わが国の
社会保障制度というものは、
制度としてはかなりの水準です。しかしながら、まだ内容の厚さにおいて欠くるところがありますので、私
どもは粘り強くこれが充実に向かっていこうと考えております。
また、成田さんは、緊急公共事業をやれ、こういうお話ですが、これは私
ども現にやっているところなのです。そういう事実をごらん願いたいのであります。
それから、
雇用安定制度を
確立せよというお話でございますが、これは五十二年度
予算におきまして雇用安定の資金を設置するという計画でございます。
また、
中小企業事業分野調整法を制定せよというお話でございますが、これは
政府におきましても、昨年の
国会の御
決議に従いましていま立法の準備中でございます。
また、
地方交付税率を
引き上げよというお話でございますが、これは
地方交付税率を若干
引き上げたというに相当する
財政措置を講じてあることを御承知願いたいのであります。
また、下水道等
生活基盤を
整備せよというお話でありますが、これはそのとおりに五十二年度
予算でもやっております。
また、
最低賃金制を速やかに施行せよというお話でありますが、これは
最低賃金審議会におきます検討、これを待ちまして善処いたしたい、かように考えております。
なお、成田さんは、物価動向全体についてのお尋ねでございますが、私は、物価は、
わが国といたしましては、いま公共料金改定期でありますので、数字とするとちょっと重苦しい感じの時期でございますけれ
ども、基調としては安定の基調にだんだん向かっておる、かように考えております。そういう中で、成田さんは、私が
労働者の賃金だけを敵視しておるというお話でございますけれ
ども、そんなことはありません。私は、
わが国の
経済安定の中で労使の
関係が順調にいくということは、これはもう
経済安定のかなめである、ここまで申し上げておるような
状況でございまして、決して
労働者の立場というものを軽視しているということはないのみならず、私はその問題に最も
経済の運営上大きな重点を置いておるというふうにお考えを願いたいのであります。
独占禁止法を
改正せよというお話であり、その
改正の案はいわゆる五党修正案でなければならぬというお話でございまするが、これは、独占禁止法は、私はこの際ぜひ
国会の
皆さんの御
理解を得て成立せしめたい、こういうふうに考えておるのです。ただ、成立せしむるためには、与党を含めて各党の
理解を得なければできないことでありますから、その辺を踏まえてただいま
政府案を調整中である、かように御
理解を願いたいのであります。(
拍手)
また、公共料金を
抑制せよというお話でございまするけれ
ども、公共料金を
抑制しっ放しにしておくわけにはいかないのです。あれを
抑制しっ放しにしておきますと、国鉄のような問題が起こってくる、さようなことでありますが、まあ、とにかく公共料金の問題につきましては、
国民生活また物価の動向等をよくにらみながら弾力的に対処していきたい、かように考えております。
また、成田さんは、
日本銀行の
政策委員会を改組するなどして、通貨の発行高をコントロールせいと、こういうような御主張でございましたけれ
ども、この通貨の発行は
経済活動、その消長といいますか、そのしわ寄せというか、しりがそこへやってくるわけであります。ですから、通貨の
発行量を抑えてしまって、そうして結局
経済活動をどうせいというような筋合いにはならない問題でありますけれ
ども、通貨の発行がみだりに多くなるとかあるいは少なくなるとかならないような
経済運営をしてまいらなければならない、こういうふうに考えておりますので、その点は御
理解おき願いたいのであります。
また、不公正
税制を是正せよとの御主張でございますが、大
企業優遇税制の改廃の問題、これは、租税
改正案といたしましてこの
国会に御提案を申し上げます。
また、利子・配当
分離課税は廃止せよ、こういうお話でございますが、廃止ということになりますると、
社会秩序にかなりの混乱がある。そこで、源泉
分離課税の税率を
引き上げることにいたして、これも御提案を申し上げます。
交際費の課税を
強化せよというお話でありまするが、これも
強化いたします。
それから、
高額所得者に対する
付加税を導入せよというお話でございますけれ
ども、いまの所得税自体が累進制です。しかも高いところに行くと急にふえる、こういうような
制度になっておりますので、これは御主張のような必要はなかろう、かように考えております。
また、幾つかの点を挙げまして、
政府は憲法や法律を無視しておるというお話です。
地方交付税法に違反しておるじゃないかと言いますけれ
ども、これは違反はいたしておりません。交付税率を
引き上げることはいたしませんでしたが、これは近く
国会に御提案を申し上げまして
制度を
改正いたしまして、そして、この
地方交付税率が
引き上げになったと同様の効果をおさめるような
措置をいたしたい、かように考えております。
食管法も、これも違反じゃないか、こういうお話でございまするけれ
ども、これは、食管でとにかくできたものは全部買わなければならぬということじゃないのです。
国民生活の維持、安定のために必要な量は買いなさい、こういうことになっておりますので、減反
政策をとっておりますけれ
ども、これが法律違反であるというふうには考えないのであります。
国鉄運賃の認可制、いま
政府の方ではこれが弾力化を考えておるわけでございまするけれ
ども、これとても
財政法の原則に違った方式を私
どもは考えているわけじゃないのです。その枠内において認可の方式を少し弾力化さしていただきたいということにとどまるわけであります。
沖繩の基地の確保法案につきましても、所有者の権利保護との調整につきましては十分配慮いたしておりますので、これが憲法違反であるということはいわれのなき言いがかりであると存じます。(
拍手)
また、原子力船事業団法につきましても、あれは「五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」というふうに法律には書いてあるのです。「廃止する」というふうには書いてないのです。そういうことで、まだ廃止するための立法ができておりません。したがって、私
どもは法律違反をいたすというような考えではないのであります。
さらに、成田さんは、大幅減税でありますとかあるいは交付税の率の
引き上げでありますとか、いろいろなものを含めまして、この
予算の修正に応ずる意思ありや否やというようなお話でございます。しかし、重点は減税問題にあったようでありますが、過去において
わが国は、二兆円減税でありますとか一兆円減税だとか、華々しい減税をやってきた。そういうような結果、いま諸外国におきましては租税負担率が三〇%を超えるような状態でありますのに、
わが国では二〇%そこそこというような状態になってきておるのです。しかし、これから
わが国の歩む道というものは狭くかつ厳しい。そういう中で、かつて味わったような大幅減税、あれをまた再び味わおうという
考え方、これ自体に私は非常に疑問を持つのです。私
どもはやっぱり
社会的公正というような点、そういうような点につきましては考慮しなければならぬけれ
ども、一般的にもっともっと
生活がどんどん激しい勢いでよくなれかしという、これは気持ちはわかるけれ
ども、実際問題としてなかなかむずかしいことであろうというふうに思うのです。そういう立場から、大幅減税というのはどうも私はなかなか
理解できない。
また、大幅減税を言うゆえんのものは、いまもお話がありましたけれ
ども、大幅減税すれば消費が起こって、そして景気もよくなるじゃないかというようなお考えのようでもありまするけれ
ども、一体いま私
どもは、これはその原因をさかのぼってよしあしを論ずれば格別でございまするけれ
ども、いやおうなしに多額の公債を発行しなければならぬことになってきた。そして私は、相当の
努力をしなければなりませんけれ
ども、そのうちの赤字公債だけは五十五年までにはこれはやめたいと思っておるけれ
ども、それまでの間は相当多額の公債を発行しなければならぬ。その相当多額の発行された公債というものは消化されなければならない。消化されなかったらどうなる、これは
日本銀行が札を印刷したというに等しい状態が出てくるわけでございます。そういうようなことになったら
日本社会はひっくり返りますよ。
財政インフレ、根本的な
インフレになっちゃう。そういうようなときに、さあ減税をします、ですから
皆さん消費をしてください、こういうことが言えましょうか。いま
国債が消化されるためには、
国民が協力をして、そうして
政府の発行する公債を買ってくれるか、あるいは銀行に貯金をして、そして銀行を通じて買ってくれるか、要するに個人がその
生活の中から
国債の消化をしてくれなければならぬ、こういうようなときであります。それをさあ減税してあげます、余裕ができたからひとつ消費をしてくださいと言って、一体しかるべきものであろうかということを私は深く憂えるのであります。(
拍手)
私は、
予算の修正につきましてはメンツにはとらわれません。出したらメンツがあるから
予算の修正には応じませんというような、そんなけちな
考え方はとりません。とりませんけれ
ども、私
どもがいま提案をしておる——まあ
皆さんは一兆円規模の減税をせい、こう言うが、そこまではいかぬけれ
ども、中央、地方を合わせて四千三百億円なんです。
皆さんのお気持ちもくみ取ってここまでやっているのです。その点もまた御
理解をいただきたい、かように考えるわけであります。(
拍手)
次に、外交問題について幾つか御提案がありますが、まず在韓
米軍の問題です。これはカーター政権が在韓米地上軍の段階的撤退と核兵器の撤去を言っておるのに、
日本政府は、事もあろうにそれに対して水を差している、こういうお話でございますが、さような事実はございません。
また、カーター政権を代表いたしましてモンデール副大統領がやってきたのでありますけれ
ども、核兵器のことは一言も言っておりません。米地上軍の削減ということを言っておるのです。が、しかし、それの実行に当たりましては、朝鮮半島の安定ということを考えながら慎重にやる、こういうお話でありましたが、
わが国といたしましては、これに対して、駐韓
米軍の問題は、これは米韓間の問題である、基本的にはそういう性格のものである、
わが国がこれに介入すべき立場にはありませんけれ
ども、しかし、私
ども日本政府といたしましては、この朝鮮半島が平和で安定した、均衡のとれた状態にあることは強く希望しておるということを注意を喚起しておいた次第でございます。
また、現職閣僚が撤兵反対のというお話でございますが、これは
調査してみましたけれ
ども、さような事実は断じてありませんから、誤解のないようにお願い申し上げます。(
拍手)
次に、日中問題につきましては、私
ども日本政府の
考え方、これを申し上げておきますが、日中間は今日の状態として順調にこれが進んでおる、こういうふうに見ております。そして、
わが国のこれに臨む基本的態度は、これは共同声明を忠実に遵守することにある、こういうことでございます。
また、当面の日中平和友好
条約につきましては、これは、両方の満足し得る状態において速やかにこれを締結したい、こういうことでございますので、この点につきまして、二元外交とかなんとか言われますけれ
ども、いささかの
意見の不一致があるわけではございません。
また、共同声明第七項は、当然
条約本文に入れよというお話でございますが、これにつきましても、この共同声明挿入ということが、平和憲法に基づく
わが国の基本的立場につきまして中国側の
理解が求められるということであれば、これは前文に入れようが本文に入れようが、それは技術的な問題でありまして、こだわっておりませんです。さような
方針で対処していきたい、かように考えております。
また、日ソ両国の
関係につきましては、これはミグ戦闘機問題以降若干乱れがあったということは、私
ども事実そのとおりに考えておりまするけれ
ども、日ソ両国の
関係は、これは非常に
わが国としては大事な問題でありますので、あるいは
経済の問題におきまして、あるいは人的交流の問題におきまして、あるいは文化の面におきまして、あらゆる角度からこの友好
関係を積み上げていきたい。そうして、終局的には北方領土の返還を実現して平和
条約を締結いたしたい、さように考えておるのであります。
なお、成田さんは、外務大臣がソビエトを訪問することを
日本政府は断ったというような話でありますけれ
ども、あれは誤解です。昨年行くことになっておったのが、
内閣の交代がありましたので、ことしじゅうは行けませんよということを言っただけの話でありまして、新しい年、つまりことしは何とかして鳩山外務大臣の訪ソを実現をさせたい、かように考えておる次第でございます。
領海十二海里の問題、これは直ちに全域にわたってこれを実施するための立法を講ぜよというお話でございますが、これは漁民保護の見地から領海十二海里を採用する、そして所要の立法
措置を講じますが、国際海峡につきましては、これは、そんなことをやったら大変なことになっちゃうのです。いませっかく海洋法
会議で、国際海峡につきましては例外を設けようという
努力が進んでおるのです。また、
わが国としては、マラッカ海峡という問題もにらまなければならぬ。そういうときに、
わが国が、国際海峡も含めまして十二海里だというようなことを言いますると、これは大変
わが国として国益を損なうということになりかねません。
北東アジア非武装地帯設定ために、
政府は
関係諸国に働きかけよというお話でございますが、一部特殊な地域におきまして非武装地帯設定というような
考え方、これは私は理論的に考えられないことはないと思うのです。しかし、現実に北東アジアにおいてそういう環境が出てきておるかというと、そういう環境じゃない、そういう
見解でございます。
婦人問題につきまして、行動計画は、国際婦人年
世界会議の官費、また
世界行動計画を反映しておらぬじゃないか、特に働く婦人のことについて無関心ではないかというような御指摘でございますけれ
ども、これはそうじゃありません。これは働く婦人につきましても、労働権その他憲法に認められた権利は、ひとしく婦人も男子も享受しなければならぬということを明確にしておるので、これは何かの誤解であろうかと存じます。
それから、参議院
選挙の
議員定数を是正し、次の参議院
選挙から実施すべしというお話でございますが、私は、先ほど申し上げましたとおり、
選挙制度は金のかからない清潔な
選挙ができるように、これは全般的に検討する必要がある。そういう中で
議員の定数の問題、特に参議
院議員の定数問題が急がれる問題じゃなかろうかというふうに
思いますが、この問題につきましては、各党の間におきまして協議を進められて結論を得るようにしていただきたい、さように考えておる次第でございます。
それから最後に、参議院で過半数を割れば政権交代するつもりであるかどうかということでございますが、私は、政権の交代のルールにつきましては、これは
日本国憲法に従って行動するというそのことでいいと思うのです。(
拍手)
日本国憲法が、これが最善のルールを示しておるわけであります。このルールに従って行動する、そういう基本的な考えであるというふうに御
理解をお願いします。(
拍手)
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