○山原小
委員 いわゆる
自動販売機を含めまして、退廃文化といいますか、
ポルノ雑誌等の問題については、お話もありましたように、
PTAあるいは
婦人団体その他で問題にいたしおりますが、特に子供
たちの非行との
関係ですね。これがどういうつながりを持っているかということは、具体的に
事例もかなり出ておるように思うのですが、そのことが
一つと、それからもう
一つは、
憲法上の表現の自由といいますか、
憲法第二十一条、それから営業権の
憲法第二十二条の
関係があって、なかなか大胆な発言ができない状態があるわけですね。しかし、私
どもは去年の七月にこの問題をとらえまして、大胆な提起をして、替否両論、またずいぶんたたかれもしてきたわけですけれ
ども、私
どもの考え方としては、
一つは、
ポルノ論議をタブー視してはならぬという考えを持っています。当然この問題は論議すべき問題だと思っていますし、まして政治家がこの問題について言及することを避けるということは、決して正しいことではないのだという点で、この小
委員会がこの問題をとらえましたことは意義のあることだと思っています。
それからもう
一つは、表現の自由の問題ですね。われわれ、表現の自由というのは、当然
憲法上保障されたものとして尊重し、厳重に守っていかなければならない問題だと思っています。ただ、公共の福祉という名目の
もとにこれが侵害されるということは許されないことであって、常に公共の福祉とかいうことのために自由が侵害をされてきた歴史というものを考えましたときに、表現の自由というものは当然断固として守っていくということと、文化の問題について相互批判をしていくという、この
二つは決して相矛盾するものではない、こういう考え方に立っているわけです。
それで今度の、特に
自動販売機の問題を見てみますと、ただ強権でもってこれを一掃するという御
意見もあるし、またもっと深部にわたって
調査をしてみて、そして抑えるべき点もあるのではないか。たとえばある県の
自動販売機を備えつけた本屋さんの例でございますけれ
ども、この本屋さんはこう言うのです。「私達も困っている問題です。大手の
図書の
販売ルートを通して、毎週自動的にこういう
雑誌がおりてくるので、返品すればこちらが送料を負担しなければならないし、売らずに置いておけばまるまる店が損をするしくみになっているので、今小売店組合で対策を話しあっていますが、もっと上の方で流通ルートをとめてもらわないと小売店だけを責められても困ってしまいます。当面うちでは昼間はひどい
雑誌は抜いてかくしておき夜だけ入れるようにしています。」というような発言が、幾つか小売
業者の中から出てくるわけですね。私は、大手の
販売ルートを通じて、半ば強制的に抱き合わせでそういう
雑誌が送り込まれ、そしてそれを拒否できないような状態に小売店が置かれているのではないかという点を指摘したいのです。これは一体どうなっておるか、それな状態に現実にあるのか。これは幾つかの
書店からこういう
意見が出ていますので、これなどは全く小売
業者をいじめるばかりか、小売
業者の本屋さんの意に沿わないことを強制してくるという点で、当然不当なこととして適切な
指導をしてやめさすべきであるというふうに思います。
それからもう
一つ、非常に形を変えたかっこうで出てきている例ですが、これはある県の高等
学校一年生に送りつけられてきた手紙です。この手紙を見ますと、最初どうしてその子供に——男の子ですけれ
ども、その手紙が来たかというと、この子供があるとき、一度だけ
ポルノ電話を利用したことがあるのだそうです。そのときに住所が判明をしたのか、そこへ婦人の名前で案内書が送り込まれるわけですね。
その案内書の中には、これは私はファックスで焼きまして現物持ってきておりますけれ
ども、かなり露骨な写真を
相当数並べて、そしてこれは購入してもらいたい、しかも短期間に申し込んでもらいたい、そうでなければこちらの方は転々として店は移動しているのだ、だから前におくれた方は前のところに手紙を出しても間に合いませんから、期限におくれた方は改めて申し込みをしてくださいという婦人の手紙が、その高校一年生の子供に送りつけられているわけですね。たまたまその親が見つけて、それを私
たちに見せてくれたわけですが、これは局どめでやっているわけです。
それからしばらくしてまたその子供に、今度はもう少し長い文章が女の人の文字で、これは自筆ですが来ているわけです。それはとにかく、私の家には死んだ亭主がそういう写真類を集めている、その写真を買ってもらいたいということで、金額も入れまして、そして大阪のある純喫茶の写真まで入れて、ここへ申し込めば買えるのだということで、一度住所、氏名を手に入れますと、徹底的にその子供に対してこういうものが送りつけられて、逃げることができないように攻めてくるわけですね。こういう状態まであるわけです。
これは私は、現物そのものはどういう状態であるか入手はしていませんけれ
ども、カタログは持ってきておるわけですが、これなどは一体犯罪を構成しないのかどうか、そういった問題もあると思います。
それから、特に
婦人団体や
PTAなどでやっておりますのは、
自動販売機を全廃せよと言っても、いまの状態でできないかもしれないので、たとえば
学校の子供
たちの
通学路からは姿を消してもらいたいとか、さまざまな要求が出ながら、皆それぞれ自分の
地域の状態を調べて、この町には何台あるとかいうのを調べて、そしてそれぞれその店屋さんに行って何とかやめてもらいたいとかいうような自主的な
運動が起こっているわけですね。これは大変大事なことであって、私はまず国民的な批判によってこれを解決していくということを勇気づけ、そしてそれを大きな
運動にしていくということが大変必要だろうというふうに思うわけです。
それからもう
一つは、
文部省の仕事としては、私は何といってもこういう状態が出てきたのは、高度経済成長政策の中で全く野方図な商業主義、また性というものを売り物にする、また婦人べっ視というような、あらゆるものから来たものであるわけですね。そういったことを考えますと、それでは日本の文化、芸術というのは一体どうなっておるのかということも考えなければならぬと思うのです。日本民族というのは長い伝統を持って、そして文化も芸術も持っているわけでして、そういうものがさらに継承され発展されていくというそのことに重点を置いて、そして退廃文化というものを排除していく、国民的力をつけていくということが必要だろうと思うのです。
私はフランスへ行きましてパリで夜テレビをずうっとつけて四日間見たのですけれ
ども、おもしろくないと言えばおもしろくないのですけれ
ども、日本で行われておるような茶の間へいきなり裸が飛び込んでくるような事態は、私の短い経験でありますけれ
どもなかったのです。むしろフランス人はフランスで育った文化、芸術を愛していく、オペラやその他をみずからも楽しんでいくという空気がまだフランスには残っておるような気が私はしたのです。
そんな点から考えますと、このままでいけば日本の文化、芸術というものが果たしてどういうような状態になっていくのか。人間の歴史で当然つくられていくべき高度な文化、芸術というものが国民的な基盤の上に成立していくのかどうか、そこまで脅かされるような状態があるのではないか。芸術
活動などに対する援助とかあるいは演劇
活動などに対する援助とかいうものに対して、それなりに
相当の力を注いでいかなければならぬというふうに考えるわけです。ところがそういう面では、演劇をやるといってもいま物すごく高くなって、入場料も高いし入場税も高いということで、文化を享受することができない、子供
たちが本当にすばらしい芸術を楽しむことができないような状態にますます置かれているというのが現在の
実態ではないかと思うのです。ところが最近テレビの中に非常にすばらしい動画その他の漫画などが出てきますと、子供
たちはそれもかじりつくように見ているわけです。子供
たちも決して腐敗した文化を要求しているのではなくて、やはり健全なものをそれなりに要求しているわけで、そういう点でも私は文化、芸術といいますか、そういう国民の精神
活動に対する援助あるいは政策というものをもっと抜本的に考えていかないといけない時期を迎えているのではないかというふうに思うのです。
大体つづめまして三点ばかりのことを申し上げました。
一つは、最初言いました大手
販売ルートを通じての小売業に対する圧迫とかそういう押しつけ、それはどういう状態なのか、これは
総理府でしょうか、
警察庁でしょうか、お聞きしたいと思うのです。それからもう
一つは、子供
たちに対して送りつけてくるというそういうものは犯罪性を持っておるのかどうか、これは
警察庁だと思います。三番目の文化、芸術の問題については
文部省の方にお尋ねしたいと思います。