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1977-04-15 第80回国会 衆議院 文教委員会学校災害に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員会
は
昭和
五十二年四月十三日(水曜日)
委員会
において、設置することに決した。 四月十三日 本小
委員
は
委員会
において、次のとおり選任さ れた。
玉生
孝久
君
塚原
俊平
君
藤波
孝生
君 水平 豊彦君 森 喜朗君
木島喜兵衞
君
水田
稔君
伏屋
修治
君 中野 寛成君
山原健二郎
君
西岡
武夫
君 四月十三日
木島喜兵衞
君が
委員会
において、小
委員長
に選 任された。 ————————
—————————————
昭和
五十二年四月十五日(金曜日) 午前十時八分
開議
出席小委員
小
委員長
木島喜兵衞
君
玉生
孝久
君
塚原
俊平
君
藤波
孝生
君
小川
仁一
君
伏屋
修治
君
山原健二郎
君
西岡
武夫
君
出席政府委員
文部大臣官房長
井内慶次郎
君
文部省体育局長
安養寺重夫
君 小
委員外
の
出席者
文 教 委 員 中西 績介君
文教委員会調査
室長
大中臣信令
君
—————————————
四月十五日 小
委員水田稔
君同日小
委員辞任
につき、その補 欠として
小川仁一
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に 選任された。 同日 小
委員小川仁一
君同日小
委員辞任
につき、その 補欠として
水田稔
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に 選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
学校災害
に関する件 ————◇—————
木島喜兵衞
1
○
木島
小
委員長
これより
学校災害
に関する小
委員会
を開会いたします。 このたび、私が小
委員長
に選任されました。小
委員各位
の御協力のほどをよろしくお願いいたします。
学校災害
に関する件について
調査
を進めます。 今日、
学校災害
は増加の一途をたどっており、その
対策
が
社会
の大きな問題となっております。
学校災害
の
対策
については、現在
日本学校安全会
が主体となって行っておりますが、その
給付内容
や
責任体制
などについて、いま一度考えてみる必要があるのではないかということが今日的問題の
一つ
となっていることにかんがみ、本小
委員会
において
調査
を進めていくことになったわけであります。 本日は、
学校災害
の
実態
とその
対応策
について
文部省
より
説明
を聴取した後、
質疑
に入りたいと存じます。 それでは、
安養寺体育局長
より
説明
を願います。
安養寺重夫
2
○
安養寺政府委員
学校事故
の
救済制度
の
現状
並びに数量的な概況を、
最初
に御
説明
をさせていただきます。 まず
学校側
に
法律
上の
責任
のある
事故
、しからざる
事故
、かようにタイプを分けますと、
最初
の
学校側
に
法律
上の
責任
のある
事故
というものにつきましては、
国公立
の
学校
の場合におきますと
国家賠償法
、
私立
の
学校
の場合におきますと
民法等
の
関係法規
によりまして
損害賠償
という
制度
がございまして、現在
公立学校
で申しますと
市長会
、
町村会
、
都道府県教育委員会
がそれぞれ共同で
保険会社
と
契約
を結びまして、それぞれの
設置者
の
責任
をそういう
保険
の
制度
でカバーをするというような実際の処理をしておるわけでございます。これはあくまで
学校
のそれぞれの
設置者
の
責任
を
財政負担
、そういうふうな
観点
からいま申しましたような
制度
でカバーしていくという実際の
運営
の工夫をしておるというわけでございます。 いま
一つ
、
学校側
に
法律
上の
責任
のない
事故
というのが概念的にあるわけでございます。あるいは
責任
の
有無
が明らかでない場合が経過的にもあるわけでございます。そういう場合に、
日本学校安全会
の
災害共済給付
というものがつくられておるわけでございます。
特殊法人日本学校安全会
、これは各
都道府県
に
支部
を設けておるわけでございますが、
運営費
は国が
負担
いたしまして、
共済給付
の
財源
としましては
保護者
の
掛金
を原資といたして、
死亡見舞い金
、
廃疾見舞い金
、
医療費
の五年間の
給付
を現に行ってきておるわけでございます。 なお、
保護者
の
掛金
の
負担
につきましては、
義務教育段階
の
学校
につきましては、
設置者
の
掛金
の四割ないし六割を
負担
をする。そしてその
財源
を
地方交付税
で裏打ちをしておるということにしておりますし、
保護家庭等
の困難な家計の
児童生徒
につきましては、さらに
設置者
並びに国が
掛金
の部分を全部
肩がわり
をするという
制度
にもしておるわけでございます。これはいわば一種の
共済給付
の
制度
で、
責任
のない場合その
損害
を補てんをしようということででき上がった
制度
で、
昭和
三十五年からやっておるわけでございます。 さらに、他の類型といたしまして、
学校側
の
責任
の
有無
と無
関係
にいろいろな
保険制度
ができております。個人的に
保険会社
と
契約
を結ぶというようなことはともかくといたしまして、最近の
一つ
の
事例
としましては、
スポーツ安全協会
の
傷害保険
というような
制度
をつくりまして、
財団法人
である
スポーツ安全協会
と個人とが
契約
をいたしまして、その
掛金
を
給付財源
といたしまして、
死亡廃疾
の場合には三百万円、
医療費
も通院、入院それぞれ一定の金額を
給付
するという
保険制度
を運用しておりまして、この
対象
の中には
学校
の
部活動
を含むというところまで入っております。
あと団体
で
スポーツ活動
をやる場合の
事故
、
災害
に備えて
保険
をするというような
趣旨
でできて、現に
運営
をされておるというものでございます。 以上申しましたのが現在の全体的な
法制度
、これは
社会福祉
の
制度
を含めまして、
責任
の
有無
を
議論
をする、その
挙証責任
がどちらにあるかとかいろいろな
態様
はございますけれ
ども
、
事故
があった場合の
責任
の
有無
を問う、それを識別するというような
制度
の中で
学校
の
事故
の
救済制度
がどのようにされておるかというような
観点
から申し上げたわけでございます。
実態
を次に申し上げます。
日本学校安全会
の
給付
の
件数
をもちまして一応
学校
の
事故
の
頻度
というものを想定しておるわけでございますが、
昭和
四十六年度、数年前の例で申しますと、
負傷
、
疾病
が七十二万六千件、
廃疾
が四百十三件、
死亡
が二百三十一件という形になっておりまして、総
給付額
が二十一億七千八百万円強というのが数年前の
実態
でございます。五十年度
現時点
で明らかにされております同じ
統計
によりますと、
負傷
、
疾病
の
件数
が八十九万四千件強、
廃疾
が五百六十八件、
死亡
が二百四十七件という形になっておりまして、総
給付額
が三十九億七千四百万円というように累増いたしております。 現在の
日本学校安全会
の
給付対象
になる
学校
はそれぞれ
法規
に定めてございますが、
小学校
、
中学校
、
高等学校
、
高等専門学校
、
幼稚園
、
保育所
というのが
対象校
になっておるわけでございます。
事故
の
頻度
を見ますと、やはり
死亡
につきましては
高等学校
が最も多い、そして
小学校
、
中学校
、このような形になっております。特に
高等学校
の場合でございますと、
部活動
とか相当激しい
運動
をする時期に
事故
が多い。それから
小学校
は休憩時間というようなときに
事故
が多いというように
内容
もいろいろでございますけれ
ども
、大体以上述べましたように、平均して言いますと、百人に四人が
負傷
、
疾病
の
給付
を受けておる。
廃疾
というのは年々ふえてまいっておりまして、五百数十件、
死亡
は大体二百の台で、そうふえてもおりませんけれ
ども
、
件数
が年々見えておるというような
実態
になっております。 それで、
学校事故
の
救済制度
につきまして
現行制度
では不十分、不徹底である、問題が多いという指摘がございますし、いわゆる
学校災害補償法
というような
趣旨
の新たな
立法制度
を要請される向きも引き続いてあったわけでございます。これにつきまして、私
ども
といたしましては当初御
説明
いたしましたように、全体の現在の
事故
、これは職場であろうとどこであろうと、
事故
の
対応
の仕方がありまして、その
法制下
においては
学校
における
事故
、
学校管理下
における
事故
につきまして
無過失責任
、そして
財源
はすべて公の
財源措置
、
負担
で
給付
をするという
制度
はなかなかむずかしいというようなことを考えておりまして、それなりに
検討
はいたしておりましたけれ
ども
、むしろ
現実
的な
対応
は、
日本学校安全会
の
給付
の
水準
を上げていく、
責任
の
有無
にかかわらず、早速にその
損害
の全部とは申しかねますけれ
ども
、一部が
給付
されるという
制度
が最も
現実
的ではないかというような形で、年来
給付
の
水準
を上げてくるということで
対応
してまいってきておったわけでございます。 若干詰めてありませんけれ
ども
、いわゆる
無過失責任
で
学校事故
の
救済制度
として
対応
すべきだということについての
問題事項
を申し上げたいと思います。 繰り返しになりますが、
一つ
は
責任
の
有無
という問題がございますし、故意、
過失
というような
原因
といいますか、
発生
の事由といいますか、そういうものが入るわけでございますし、多くの
裁判例
を見ましても
過失相殺
というような点が相当判示されておるわけでございますので、そういうような
実態
的な
判断
というものが入ってくる、また一応公の
責任
で
対応
いたしましても、
設置者
と
雇用者
との内部の求償問題というようなものが現にあるわけでございますから、そういうものを一切捨象して
無過失責任
ということにするというのはなかなか法理的な手順、
段階
としては直ちにというのは困難ではないかというような
観点
が
一つ
ございます。 それからさらに
現実
的に申しますと、
学校
、さまざまでございます。
義務教育
という
制度
と
任意就学
というような、
教育
を受ける側といいますか、受けさせる側といいますか、
対応
の仕方が性格的に異になるものをどのようにさばくかという問題がございます。それから、
国公立
と
私立
というような
設置者
、すなわち
責任
をとる
対応
の仕方あるいは
財源措置
というような面からの
対応
をどうするかという問題がございます。そういうような、
保育所
というようなものも含めると、あるいは先ほどは省略いたしましたけれ
ども
、大
学生
におきましても同じような問題がございまして、現在、
掛金
で
スポーツ災害
の
補償
をするというような
制度
を
現実
に
学徒援護会
が運用することにしておるわけでございますが、そういう点をどうするかというような問題がございます。それから、そういう
学校
に在席をする
児童生徒
、
学生
の
責任
を負う
度合い
といいますが、そういうものもだんだんに違っておるのではないか。
高等学校
ともなれば、
自分
で
自分
の行動を律する
判断
、
弁別力
を持っておるのではないか。
幼稚園
、
小学校
、
中学校
ということになるとそうも言えないではないかという問題もございます。そういうものが
学校
の
制度
並びにその
内容
における
問題点
といいますか、そういう問題がございます。 それから次は、
給付
の
水準
の問題でございますが、
医療費
につきましては、
給付期間
の延長の問題が
在来
からございます。現在は延長いたしまして、五年まで
給付
を続けるというようなことでやってまいっておるわけでございますが、これを年限を取り払ってはどうかというような御要請もあるわけでございます。こういう点についてどのようにするか。さらに
死亡
、
廃疾
につきまして、
現実
に
給付
する額を他の
補償制度
との均衡ということでどのように考えるかというようなことも実は技術的にあるわけでございます。よく
無過失責任
に引き合いに出されます
労災法
の
規定等
によりますと、これは高卒で
死亡
いたしますと
死亡見舞い金
というのが三百万円程度出るということになっております。そうなりますと、現に
学校安全会
の
水準
がここまで高まってきたということで、こういうものとはバランスがとれる。しかし、自
賠法
というようなことになりますと、千五百万円から出るわけでございますから、あの程度の高額あるいは
損害賠償
に類するような高額を
給付
すべきだというような御主張になりますと、一体、そういうような
点等
どのように考えるかというような問題が出てまいります。 それから
廃疾
につきまして
年金制度
を導入することができるかどうかというような問題がございます。現在は一時金でございます。これにつきましても、
事故
の起きました時点においては
学生
であり
生徒
であるということではございましても、それが
年金
ということになりますと、これは
一般
の
社会保障
との
関連
でどのようなことに相なるかという問題がございます。 さらには、そういうことに連動いたしまして、話は多少ほかの方へ参りますけれ
ども
、
学校
の
管理下
の
事故
というのはそうであるけれ
ども
、同じ
子供
が一
たん学校
を出まして起きた
事故
というのはどうするかというような問題がございまして、そういうのはすべて親の
責任
だというようにするのかというような問題がございます。たとえば
交通事故
などの
統計
を見ますと、
学校
から帰って母親に連れられて町に行っておって飛び出して
事故
に遭うという
件数
が大変多いわけでございますが、そういうような
事故
の
発生
の
状態等
との
関係
から、
年金
というようなこととも相なりますと、
一般
の他の
社会保障制度
との
関係
、
費用
の
負担等
の問題がいろいろと出てまいるというようなことがございます。要は、
給付
の
水準
といいますか、他の
制度
との
関連
においてどのように考え、処理するかという問題でございます。 それからいろいろ
掛金
の、要するに
費用
の
負担
の問題というのがございます。
全額公費負担
にすべきだというような御
意見
があるわけでございますが、これにつきましては先ほど申しましたように、無
過失補償制度
を導入するからそういう
議論
ということではあろうかと思いますけれ
ども
、大体、重複しますけれ
ども
、いままで申し上げましたような
児童生徒
の
判断能力
、あるいは
学校
の
設置者
の
経営規模
と申しますか、
財政力
といいますか、あるいは
学校事故
の
態様
、
原因
がさまざまであるというようなこと、いろいろ問題が錯綜しておりまして、このあたりをどのように処理するかによって
給付財源
の
措置
の仕方ということについても多様であり得るという場合も考えられ、どのように整理するかという問題がございます。 大変雑駁でございますけれ
ども
、
現状
の
制度
並びに
在来
まで、ティピカルに申しますと、
無過失責任
による
学校事故
の
救済制度
の新しい
考え方
に
対応
して
文部省
の
体育局
としまして
検討
しておる一端を参考までに申し上げた次第でございます。
木島喜兵衞
3
○
木島
小
委員長
説明
は終わりました。
木島喜兵衞
4
○
木島
小
委員長
それでは、これから
質疑
に入ります。 念のために申しますが、きょうは
最初
ですから、まず
文部省
がどう考えておるかという
説明
を聞いて、それに
質疑
をして、それに基づいて今後さらにどうするかという問題、まず
文部省
がどう考えておるか、そういうことできょうは
説明
を承るわけですから、どうぞ御自由に。
小川仁一
5
○
小川
(仁)小
委員
この前も
山原委員
が質問なさいましたが、岩手県で
小野寺勇治
という
一関高専
の
生徒
が
柔道
の時間に投げられまして頭を打って
廃疾状態
になっている、こういう状況があったわけであります。本人のけがも大変お気の毒ですけれ
ども
、実はその
保護者
の方から
学校
の
教員
が告訴されているという
状態
があるわけです。いまのところこういうふうな形で
父兄
から
教員
が告訴されている、
賠償
を訴えられている、こういう
状態
は何件ぐらいございますか。
安養寺重夫
6
○
安養寺政府委員
現時点
では三十七件
学校事故
に
関連
する訴訟がございます。そのすべてが
担当教員
なり
指導者
の
責任
を追及しているわけではございませんけれ
ども
、この
関連
では三十七件
係属
中ということになっております。
小川仁一
7
○
小川
(仁)小
委員
それから
教員
の
指導責任
、
過失責任
という形での
刑事事件
として告発されているような
事件
はございませんか。
安養寺重夫
8
○
安養寺政府委員
ちょっとそれは把握しておりません。
小川仁一
9
○
小川
(仁)小
委員
そうですか。そういう場合、
父兄
と
教師
の
関係
の問題を
文部省
でどういう
指導
をなすっておられるのか。特別の
指導
というのはないのですか。
安養寺重夫
10
○
安養寺政府委員
文部省
としましては
事故
が起きないということの方の
指導
を一生懸命やっておるわけでして、毎年
学校
にはそういう
保険
の
制度
もございますから活用していただくということのお勧めはしますけれ
ども
、ともかく
安全教育
という
観点
でいろいろな
関係者
の
講習会
なり、
小学校
、
中学校
などに
安全指導
の手引きということで各
教師
にそういう冊子が行き渡るように配付しまして、それぞれの
学校
の中での
教育活動
にそういう留意をしてもらいたいということはしています。ただ後は、
個々
の
事例
が起こりました上は、各府県に
日本学校安全会
の
支部
がございますから、そこでいろいろ相談に応ずるというような
対応
だけはしております。
小川仁一
11
○
小川
(仁)小
委員
一関
の
小野寺勇治
の
事件
の
判決文
を読んでみますと、
柔道
の
連続わざ
がその高校生に適応するのかどうか、それから
内また
をかけて投げたわけですけれ
ども
、その
内また
のかけ方がいわゆる
講道館流
の
えり
を持った
内また
ではなくて、
奥えり
を深く握ってかけた
内また
であるから無理がある、こういうのが訴えの
趣旨
になっています。こうなりますと
安全教育
という
観点
からいいますと、
クラブ活動
あるいは正規の格技、
柔道等
の時間に
えり
を持つ場所までは
指導
できないと思うのですが、
安全教育
というのは一体どういうことなのですか。
安養寺重夫
12
○
安養寺政府委員
一々のそういう競技につきましてはそれぞれの
ルール
があるわけでございますから、
体育
なり
保健体育
の時間に
教師
は
ルール
を教えて実技を練磨させるというようなことをしているわけでして、そのときどきの具体的な瞬間的な
対応
の仕方についてはその人の
指導能力
ということにもかかっているのではないかと思います。
小川仁一
13
○
小川
(仁)小
委員
非常に簡単に
安全教育
ということで逃げられますけれ
ども
、具体的に
訴状自身
、
えり
をつかんだか
奥えり
をつかんだかで訴えられた
柔道
の
教師
に、
責任
があったかなかったかということを問われる、こういう
状態
があるわけです。 それから私の経験ですと、
水泳
で
プール
の中で死んだ
子供
がございまして、その場合に
水深
が問題になりました。
小学校
三年生の
子供
に対する
水深
と六年生の
子供
に対する
水深
と、水の深さに基準がある。三年生の子が死んだのは六年生の
水深
で泳がせたから死んだのだ、こうなりますと、夏に三年生が入るときは
プール
の水を下げ、六年生のときは水を足す、こういう
状態
で一々やらないと
教師
は
過失責任
を追及されるわけです。こういう
状態
がありますと、
安全教育
と言っても、事実はあなたがおっしゃったように、
えり
のどこをつかめとか水の深さを何メートルにしろとかいう課題では解決がつかなくなってくる。したがって、どうしても
教育
全体の流れの中で
教師自身
の、
過失
と言ったら語弊があるような、当然のこととして行われるような
状態
の中で起こってくる
事故
があるわけです。こういうものはやはりさっきの無
過失
、
過失
という
判断
から言えば無
過失
に入ると思うが、どうでしょうか。
安養寺重夫
14
○
安養寺政府委員
係属
中の
件数
は三十七件くらいございますが、すでにいろいろな
事件
に
対応
して個別の
判例
が出ておるわけです。それを見ますと、
個々
の
事例
に即して具体的な事実の確認をした上で判示されておるわけですから、
一般
的に無
過失
というような
議論
に直ちにつながるかどうかというのは実は問題であるわけです。いろいろ御
専門
の方々の御
意見
を伺いましても、現在の
無過失責任
というのは、
国家賠償法
などの
関連
において適用するには
学校
の
事故
については限度があるのではないかというようなことで、
危険責任
を直ちに
学校
の場に適用するのは困難ではないかというのが
専門家
の理屈のようでございます。ですから、
弁護士会
の方でも
国家賠償法
の
規定
の一条、二条の具体的な適用で
教師
の人権を保護しながら、しかし
児童生徒
の不利益も守るというようなことを、何か
判例
をつくるという形でだんだんにやっていくしかないのではないかというような御
検討
の結果も出ておるわけですから、具体的な
事例
に即して
議論
をするという問題ではないかと思います。
小川仁一
15
○
小川
(仁)小
委員
私は
国賠法
を含めた無
過失
という
法律論
を展開しているのではなくて、さっき申し上げたような事情の中でけがした場合に、あるいは
事故
が起こった場合に、
教師
に
責任
があるだろうか、こういう
考え方
です。
安養寺重夫
16
○
安養寺政府委員
私が申し上げているのは、
個々
の
事例
に即して
議論
すべきではないか、やはり
教師
の
指導
に手落ちがある場合もあるわけですし、それを責めるのは酷であって、通常の
社会観念
から言えばそれは免責されるという場合だってございましょうし、それは個別の
実態
に即しての問題ではないか、こういうことをすべて
教師
に要求するのは無理だということばかりであるというわけのものではないのではないか、そういうことを申し上げておるわけです。
小川仁一
17
○
小川
(仁)小
委員
そうしますと、今度はそのために
廃疾
になった、
死亡
した
子供
、これに対して仮に
個々
の例で
教師
に
責任
がなかったという場合でも、訴えられた場合に
教師
と
子供
とのかかわりの中で
教育
がまともに行われない
状態
が出てくる。
一関
で言いますと、
柔道
の先生は
わざ
をかけるのがこわくなったと言っておるわけです。それから、
プール
で
小学校
の
教師たち
が
水泳ぎ
をさせる前に
水泳自身
に対する
恐怖観念
みたいなものが逆に出てきている。こういったかっこうで、
一つ
は
教育
上非常に大きな消極的な、特に
体育関係
で消極的な現象が出てきている。それからもう
一つ
は、
子供たち自身
が
廃疾
になって寝ている、一生どうにもならない、こういう
状態
が存在するわけです。 こういうのを
二つ
の面から、
一つ
は
教育
に
積極性
を持たせるという
体育局
のこれからの
指導性
の中でどう生かしていくかという問題と、それから具体的に
子供
が
廃疾
になった場合、
学校
内で起こった
事故
ですから何とかしてあげなければならないというのに現在の
安全会
の
給付
では十分であろうかどうか、こういう
二つ
の問題をいまの
文部省
の
考え方
の中から出していただきたいのです。
安養寺重夫
18
○
安養寺政府委員
最近の
子供
は柄が大きくなってもどうも弱い、体格はできても体力がないということもございますし、ちょっと転んでも骨を折るとか、あるいは昔は
高齢者
にあらわれた症状が若いときから出てくる問題とかいろいろございまして、私
ども
は全体としてもっと健康な元気な
子供
が
学校教育
の中に出てくることを望んでもおるわけです。 しかし、不幸にして
事故
が起こりました場合の
対応
の仕方として、どういう
制度
が現在の諸
法制
の中で最も妥当であって、そして
災害
に対して充足する
度合い
が高いかという問題は常に
検討
しなければならないことだと思います。 それから、
事故
が起こるということで
責任
を追及される、そのために
教育
の現場が何とはなしに
虚脱感
に覆われて、荒いことは一切抜き、
運動
もどうも避けがちということは好ましくない。それが果たして
災害
が起こった場合に
責任
は全部問わない、あるいは高額の
補償
がされるということで解決するかどうかということは、私はまた別の問題ではないかとも思いますけれ
ども
、しかし、
現実
にはそういうような
事故
を
契機
にしてどうも先生おっしゃるような
状態
があってうまくないことはまた事実なわけですから、その間にどういうぐあいに、
法理論
の上でも、
法制
の立て方としても、それから迅速に十分満たされるものはないかといろいろ考えあぐねており、この問題は古くて新しい問題ですから、当時いろいろ
議論
されて
昭和
三十五年に
日本学校安全会
の
制度
がいいのではないか、現在もそういうようなことの基本的な
考え方
に変化はそうないわけですから、
安全会
の
給付
の
水準
を上げていくということで一応
対応
していく。しかし、これにも
掛金
を急速に大幅に上げることについてはいろいろ問題もあるものですから、なかなか一遍に上げられない。本年も若干
掛金
を上げまして、それを
契機
にということになりますか、
死亡見舞い金
、
廃疾見舞い金
の額も上げることにしたわけですが、これもなかなかそれで十分だというわけにはまいらないことは事実だと思います。これはやはりだんだんにそのような手当てを、得心をしていただいて
掛金
を上げて
財源措置
をしていくという努力を進めていく、これが一番妥当な方法だというのが現在の立場でございます。
山原健二郎
19
○
山原
小
委員
ちょっと
関連
しますけれ
ども
、
一つ
は、ILO、ユネスコの勧告によりましても、
教員
は
児童
の安全を守らなければならぬということと、同時にその
教師
の
賠償
責任
から
教師
を守らなければならぬという
二つ
が混在しているわけです。それは当然のことだと思いますが、そういうふうに国際的にも出てきた中で、しかも先ほど
説明
がありましたように、最近漸増というよりもむしろまあ激増的なふえ方だというふうに考えます。その中から裁判
事件
も起こるし、各種団体もこの問題を取り上げて何とかしなければならぬという
状態
のときに、
文部省
としてこの問題について、たとえばどういう機関というかあるいは機関的なものをつくって精力的にこれに対処していくとか、そういう姿勢があるのか、それともいままでどおり
体育局
を中心にして
検討
を進めるのか。何か
文部省
としての
対策
を立てる組織が必要ではないかと思うのですが、それはあるのでしたかね。
安養寺重夫
20
○
安養寺政府委員
文部省
の従来の問題意識なり
対応
の仕方は先ほど来御
説明
申し上げたとおりですが、
学校
現場のこういった
事故
をなくすること、不幸にして起こった場合の
補償
、救済をどのようにいまよりよくしていくかということの
検討
課題は常に意識して、今後も
検討
すべきだというぐあいに考えております。
在来
は、このことに限って何か
法制
的な新しい
議論
をすべく形を整えて、中で
検討
するようなことをしたことはございません。それぞれに識者の御
意見
を聞く、あるいは任意に
学校
長なり
関係
の
体育
の
専門家
にお集まりをいただいて
現状
をいろいろお聞かせいただいたり、こうしろというような御希望を聴取しておったということでございます。 しかし、これは今後も
検討
すべき課題である、とりわけ最近いろいろの
関係者
の
専門
的な御
意見
もだんだん来ておりまして、私
ども
としては、
学校
で大いに体力づくりが振興される
一つ
の突っかい棒といいますか条件整備としてこれは得心のいくような充実を見るべきだということで
検討
したいと思っています。
山原健二郎
21
○
山原
小
委員
特に最近は日本弁護士連合会の
意見
、決議というものが出ましたし、さらに日本
教育
法学会の法案要綱も出ているわけです。また各党においてもいろいろ法案化の問題を
検討
し、
社会
党な
ども
また案をつくって出したこともあるわけです。そういうふうにかなり具体的に問題が提起され始めたことに対して、そういう体制で
対応
できるのかなという感じがしますが、その点どうでしょうか。たとえば、国会として考えますと、立法機関としての国会も
検討
はしておるのだけれ
ども
、それよりも先にいわば今日の情勢に
対応
して日本
教育
法学会から法案要綱まで出ている。これはまさに国会として突きつけられたかっこうになっていると思うのですね。そうすると
文部省
としてはそれらに対してどう
対応
していくのか。あるいはそれらの
意見
をもうすでにお聞きになって、この要綱に対しては
文部省
はこういう見解だ、まあそれは先ほどおっしゃったことに含まれておると思いますけれ
ども
、そういう今日の情勢に即応した
対応
の仕方はやはり考えなければならぬのではないかと思いますが、その点どうですか。
安養寺重夫
22
○
安養寺政府委員
繰り返して申しますけれ
ども
、いろいろ体力科学なりスポーツ医学なり、そういう基本的な問題をいろいろやっていかなくてはならぬというような問題もあることではありますけれ
ども
、それはさておきまして、毎年毎年数百に及ぶ
死亡
、
廃疾
の事案が出ているわけでございますから、これ自体に納得のいくような
対応
をしなくてはならぬということに
関連
して、いろいろ
専門家
の
意見
を聞き、
検討
もしております。いまお話しのような具体的な提案も現にあるわけでございますから、
文部省
としてもそれについて
一つ
の
考え方
を持たなくてはならぬわけです。私自身の
考え方
を申しますと、現在いろいろ
判例
も出ております。いまに起こった話ではございません。現に
係属
中の、各裁判所で
検討
が続けられておる問題もあるわけです。それを見ます限りは、
個々
の事案についての事実の認識から起こってくる差もございましょうけれ
ども
、やはり
責任
をどのように識別するかというような点に争点を置いていろいろ考えられておる。したがって、いま提案がございましたような、
無過失責任
論で
学校
の
教育
というものを考えていいのではないかという提案には、にわかに賛同しがたいというような
考え方
で、しかし、そういって、ほうっておくわけにいきませんので、では何か現在的に考えられる案はないか、これは
検討
したいと思っておるわけです。
山原健二郎
23
○
山原
小
委員
たとえば法案化の場合に
無過失責任
ということは全く重大な問題になってくるわけで、常にそこへぶつかりますし、また
法制
局の方でも、その辺を出してくるとなかなかなじまないとか、他の
法律
や救済
措置
との
関係
とか、いろいろ困難な問題がいっぱい出てくるわけですね。しかし考えてみますと、たとえば私学助成の問題にしても、まさに一番困難な憲法違反だという論理との論争が続けられて、いわゆる私学助成という問題に国会としても発展をしていき、政府も私学助成を行ってきておるというようなことから考えますと、困難はあっても
法制
化の問題は
一つ
の国民的な世論になりつつあるということは否定できないのではないか、そういうふうに思うわけですね。そんな点から考えますと、この
段階
で、国会ももちろんですが、
文部省
としても、隘路になっている点をどう克服していくかという問題として考えていくべきではなかろうかというのが私の考えですが、一方いまの
文部省
の考えですと、お聞きすると、いろいろやってみたけれ
ども
、結局
学校安全会
の
給付
をふやすとかというところにいま到達しているわけですね。それでは
学校安全会
の
給付
をたとえば
死亡
の場合とか
廃疾
の場合にどの程度にするとか、あるいはいつごろまでにその結論は出すとかというふうなことは、今日の
段階
としてお考えになっているのですか。
安養寺重夫
24
○
安養寺政府委員
その都度その都度機会を得て改善すべきだということで、今度、年度がわりに
安全会
の
給付
の
水準
を上げることをしたわけでございますが、上げることにつきましても、
在来
でございますと、
掛金
を上げるということがかなえられての、あるいは上げるために
掛金
を上げるというような相関
関係
での処置をしているわけでございます。そういう点を今後十分
検討
していきたいというようなことは大切なことだと思っております。ただ、そういうことでは不徹底、不十分であるというお話がありますし、私
ども
もそういうような世論なりお気持ちに
対応
すべく、クリエイティブであるべきだというような問題意識と意欲は持ち合わせておるつもりでありまして、いろいろな
社会保障制度
の中で、
学校
の
事故
あるいは
学校
外の年少者の
事故
にどのように
対応
するかというようなことも含めまして、いろいろなことを
検討
してまいりたい。ただ、
現実
にいま、これはどうだと言われていることに
関連
する限りは、
無過失責任
主義をにわかにそれだというわけにはいかぬ、こういうことを申し上げているわけです。
山原健二郎
25
○
山原
小
委員
最後に、いま
小川
さんがおっしゃったように
学校教育
の場の問題です。だから一方は、
過失
というものを立証しなければならぬ。まさに師弟
関係
がここで完全に崩れてしまって、相克の場所になるわけですね。これは
教育
の場から言えば全く耐えがたいことであって、小野寺さんの場合にしても、今度近野君の場合は勝訴しているのですね。近野君の方が勝訴していますが、これな
ども
すさまじい立証をしなければならぬ。立証するためには、親はその場にいないわけですね。そして
学校側
はこれを防御しなければならぬ。攻撃と防御とのすさまじい闘いというようなことが、もうすでに現在係争中の裁判だけでも、三十何件がそういう
状態
に置かれている。これは何とかなくさなければならぬということを考えますと、やはりここで
一つ
は、諸外国でどういうふうにやっておるかという例とか、あるいは裁判の記録。これは私
ども
自分
で勉強しなければいかぬことですけれ
ども
、たとえば小野寺君と近野君の場合の裁判の中身、一番のポイントですね、そういうものな
ども
文部省
としては
検討
されておると思いますが、きょうは
文部省
を呼んでお話ししているのですけれ
ども
、後はまた自由に討議しなければならぬし、参考人を呼ばなければいかぬということを小
委員長
は恐らく考えておられると思いますが、そういう点から考えますと、これから
文部省
としても、できるだけこの
委員会
に持っておられる資料を出していただきたいと思います。その点どうですか。
安養寺重夫
26
○
安養寺政府委員
そのようにさせていただきます。
木島喜兵衞
27
○
木島
小
委員長
いまの
山原
さんの諸外国の例とかあるいは
判例
の類型別と言うのかな、そういうものを早急に出してください。
安養寺重夫
28
○
安養寺政府委員
承知いたしました。
小川仁一
29
○
小川
(仁)小
委員
それに付随して資料ですが、いまのものが民事だけの資料という意味だったとしたら、
刑事事件
になっている部分の資料も一緒に出していただけませんでしょうか。
学校側
が告発されている
事件
の判決の資料です。
安養寺重夫
30
○
安養寺政府委員
若干時間をちょうだいしまして、整理させていただきます。
木島喜兵衞
31
○
木島
小
委員長
なるたけ急いでください。いま
山原
さんからいろいろ御質問がございましたけれ
ども
、その御質問の中にあるごとく、
文部省
が少し取り組みが弱いからこそ、本
委員会
をつくらなければならぬということなのですよ、いろいろ問題があるけれ
ども
。そういう意味では、ひとついま御要求の資料をなるべく早く出していただきたいと思います。 あと御質問はございませんか。
山原健二郎
32
○
山原
小
委員
ほかになければ……。 たとえば
死亡
、
廃疾
の場合、いま
安全会
が三百万出したりしていますわね。あれは和解ですか。何か基準があって和解の形態をとるのですか。たとえば植村忠司君の場合は、たしか最終的に三百万の和解金だったように思うのですが、
安全会
の
規定
じゃなくて、何かそういう配慮をしてやったのですか。現在どうやっているのですか、そういう
死亡
、
廃疾
の場合ですね。
安養寺重夫
33
○
安養寺政府委員
安全会
の
給付
は共済
制度
による見舞い金ということですから、裁判上の和解とかそういうこととは全然無
関係
に
給付
されるものです。
山原健二郎
34
○
山原
小
委員
大体ケース・バイ・ケースでですか。
安養寺重夫
35
○
安養寺政府委員
はい。
山原健二郎
36
○
山原
小
委員
それと、裁判の中身などは
文部省
としてはかなり綿密に
検討
されていますか。
安養寺重夫
37
○
安養寺政府委員
一応手に入るものは整理はしております。
山原健二郎
38
○
山原
小
委員
実際問題として埼玉県の大宮市を初め地方自治体も、いわば
件数
がふえますし、その処理に実は皆困っておられると思うのです。だから先ほど局長が
説明
されましたように
保険会社
等との
契約
によってカバーするとか、そういうかっこうになっているわけですね。もうすでに自治体としてはカバーの方向をみずから考えざるを得ないというところがあるのでしょう。だから数だけでも二百数十という自治体がすでに決議したりしておるわけです。 そうしますと、私、局長にお願いしたいのですが、国会ももちろん精力的にこの
委員会
で取り上げていくことになると思いますけれ
ども
、この問題は政府としても何らかの機構が必要だと思うのですよ。
法律
の問題とか、予算の問題とか、それから
学校教育
の問題とかということを考えますと、幾つか
関連
してくる省庁があると思います。そういうことで機構をつくる必要があるのか、ないのか。ないかもしれぬと思ったり、むしろ思い切って国会の方がこういう案を出した方がいいのかもしれぬと思ったり、官庁ではもう限度があるのではないかという感じもしたり、そんなふうなことをお話を伺いながら感じておったのですが、その点どうですかね。
安養寺重夫
39
○
安養寺政府委員
いずれにせよ、必要な
財源措置
をしなければならぬことですから、そういう通常の
関連
省庁というのは出てくるわけでございますし、
学校事故
を救済するという場合に、先ほど若干申し上げましたような
学校
の
対象
の選別であるとか、あるいは
事故
の
態様
でございますとか、あるいは
措置
の期間の問題とか、
給付
の
水準
の問題とか、いろいろなことになりますと、それぞれのまた違った角度から同じような年代層を覆うような
制度
もございますし、それを所管する官庁もございますから、あるいは
関連
が出てくるかもしれませんし、これはいろいろこれからやろうとすることの
度合い
なり程度の問題にかかわってくると思います。 しかし、第一義的にはいろいろお知恵を拝借しながら、
専門家
の
意見
を伺いながら
文部省
自体としてまず
考え方
を整理すべき問題だと思いますし、先ほど来あるいは前回も
山原委員
から御指摘ございましたように、大臣がお答えしたように、
文部省
としてともかく
検討
したいということで
在来
以上に力を入れていきたいと思っております。
小川仁一
40
○
小川
(仁)小
委員
学校教育
、特にスポーツ
関係
の
教育
ですが、実は東京では臨海
学校
をやらなくなってきた。それは海難
事故
が
原因
だということが
一般
的にいわれています。その中で
責任
を追及される、
刑事事件
で告訴される、あるいは
父兄
から
損害賠償
で告訴される、こういった形が
教育
の中に非常に広がってきているという事実をお認めになりませんか。
安養寺重夫
41
○
安養寺政府委員
私
ども
、これは部分的かもしれませんけれ
ども
、
学校
の先生方や校長先生方の話を聞きますと、そういう
事故
が起こったときはやはり一時停滞をする、これは事実のようですが、そのままにはなかなかほっておけない。
父兄
全体、
子供
自体が希望して、
クラブ活動
は従前のようにちゃんとやってくれとかいろいろな話は聞かされているわけです。それがたまたま臨海
学校
だとか山の家だとかそういうことについて、個別に事情は知りませんけれ
ども
、全般的にそのために
教育活動
が劣っているということよりももっと違った面で、どうも
子供
が
運動
をしたがらなくなっているというようなことは憂うべき現象だと思っております。
小川仁一
42
○
小川
(仁)小
委員
それは
二つ
の要因があると思うのです。
一つ
は、やはり遊び場がないということから
子供
の
体育
に対する熱心さがなくなるという問題が確かに
一つ
あると思います。 もう
一つ
の問題は、やはり
学校事故
によって
父兄
から訴えられる、検察から訴えられるという面からの影響というのは無視できない
状態
まできているということを私は感ずるのです。 したがって、どうしてもこれからの日本人、特に体位、体格というものを大事に考える上においては、
一つ
一つ
の
指導
の中で
教師
も安心してある程度やれる、こういう
状態
をつくり出すことが絶対に必要だ、こう考える立場から、やはり
学校事故
等に対する
父兄
からの訴えその他を防いでやる方法、これを考えなければならないと思うのです。現在の
学校安全会
の金額では
父兄
が満足しなくなってきているのですよ。 そういう
関係
で、これは当然
文部省
の
責任
だと思いますがね。まだそこのところを
無過失責任
論やその他の
関係
で一線をお引きになりますか、それとも思い切って、こういう小
委員会
が開かれたので一緒になって乗り込んで発展的にお考えになっていただけるという体制はとれないでしょうか。
安養寺重夫
43
○
安養寺政府委員
学校
の現場でいろいろ活発に
教育
が行われるということは最も望ましいことですから、それの阻害要因というのは排除しなければならぬと思います。 現在の
事故
というものがいろいろな
原因
によって起きておる。その
事故
の
原因
自身にいろいろ問題がたくさんございますが、それはそれとして究明する。仮に起こった
事故
がどのような形で治癒されるかということについて、最善の方法はこれからも
検討
して具体化していかなければならぬということについては、もう異存はございません。 ただ、いままでの
考え方
を固執しているわけではありませんが、多少オーバーに言いますと、現在の日本の
社会保障
を含めての
法制度
の中で、
学校
だけににわかに
無過失責任
というような道理を導入することはきわめてむずかしい。したがって何か他に方法はなかろうかというところで、事柄が重大なものですから、
文部省
としては時間をかけて取り組んでおるという
状態
を申し上げておるわけでございまして、いろいろ
関係者
からたくさんお知恵を拝借する機会があればあるほど私
ども
としてはありがたいことだと思っております。
山原健二郎
44
○
山原
小
委員
これは
無過失責任
の問題になると思うのです。そうしますと、
無過失責任
の立場をとらないということの理由として、先ほど幾つか挙げられたわけですね。先ほど言われた数項目が、大体
無過失責任
ということに対する反論としての個条として考えてよろしいですか。
安養寺重夫
45
○
安養寺政府委員
そういうような具体的な御提案も意識に上せながら、
学校事故
の
救済制度
の
検討
事項はどんなものかという御
説明
をしたつもりでございます。
山原健二郎
46
○
山原
小
委員
たとえば全体の
事故
の
対応
の仕方として、
無過失責任
と
財源
の問題が出ましたね、公の
財源
を見出すことはむずかしいという。そういう幾つかの問題が重なって
無過失責任
ということが非常になじまないとか、あるいはむずかしいということになっているのだろうと思いますが、大体いま挙げられたのが
文部省
としての
法制
化についての見解でしょうね。
安養寺重夫
47
○
安養寺政府委員
大体
体育局
レベルで
議論
をしておりますことの梗概を申し上げたわけでございます。
木島喜兵衞
48
○
木島
小
委員長
体育局
長どうなのですか、余り厳密に
過失責任
か
無過失責任
かということにこだわることがそれほど大切ですか。逆に言うならば、たとえばいまの
安全会
だって公費半分ですね。その半分に関する限りは
無過失責任
ですね。
安養寺重夫
49
○
安養寺政府委員
余り法のロジックばかりということで
対応
できなければ、できないなりに違った面で手当てをすべきだということに当然なるわけですから、両面あわせてどういう
検討
が必要かという取り組み方をしたい。 ただ、片一方の
無過失責任
をこの
段階
で
学校教育
の場に直ちに導入するということはむずかしいのではないかという
一つ
の
判断
を申し上げておるわけです。 たまたま
在来
、そのような経過もございまして、
日本学校安全会
による共済
制度
のスタートを見たい、その
水準
を上げていくことで努力をしてきたわけですが、
委員長
おっしゃいますように
掛金
を
財源
とする、その
掛金
の四割ないし六割は義務制の
学校
に限っては
設置者
が
負担
をするということになっておりまして、この性格をどう見るかというのは
議論
はございますけれ
ども
余り詰めた、
法制
化の
意見
を聞いたわけではございませんけれ
ども
、私は、これは何か就学援助というような形のものではなかろうかという感じがします。したがって、もっと徹底的に言えば、貧困家庭の
保護者
には
掛金
は一切公費で
肩がわり
をするという部分までカバーしたということになって、
委員長
からいまお話のありましたように、その部分に関しては無
過失
と言いますか、何か違った意識、
意見
、法理が入っておるかということについては、ちょっと私も、見舞い金というのは就学奨励ということではないのではないか、こういうぐあいに思っております。
木島喜兵衞
50
○
木島
小
委員長
だから
過失
賠償
責任
か無
過失
賠償
責任
かということの
法理論
だけで言えばいろいろ問題がある。けれ
ども
具体的には、どういう理屈をつけようとも
現実
的にはそういう性格の金が現に出ておる。たとえば労災
保険
なら企業は出しておりますけれ
ども
、これはその限りでは無
過失
ですね。金額の多寡は別です。しかしそれも、だから無
過失
賠償
責任
なのかどうかという
議論
になれば、またいろいろ
議論
がある。しかし、受ける者からすれば、結果的にはそうなっているのです。だから、その
法理論
にとらわれておれば確かに問題はいろいろあろう。 ことに
義務教育
の場合には、
国賠法
では公権力の行使に当たるという言葉がありますね。
教育
そのものは公権力の行使ではない。しかし親からすれば、多分に公権力の行使によって
子供
を就学させる義務を負っているわけですよ。とすれば、それを無
過失
賠償
責任
であるか否かという
法理論
だけにとらわれることなくして、実質的にはそういう形というのはいろいろ横並びではあるわけですよ。
法理論
というのにちょっととらわれ過ぎているのではないですか。
安養寺重夫
51
○
安養寺政府委員
現在の
安全会
による
給付
も義務制も任意でいいという前提になっておりまして、これは九九%加入はしておるわけですけれ
ども
制度
のたてまえはやはり任意である。そして、
掛金
を持ち寄って共済
制度
でやろうということですから、その点がいま問題になっている論点からすればちょっとずれておるわけですね。違ったところにあるわけです。ですから、そういうものを含めて発想を変えるという
議論
の方にむしろ問題提起がされておるのではないかというわれわれの認識があるものですから、そこはひとつ法の理屈を一回究明をしてみたいものだというので、いま
委員長
御指摘のように多少窮屈な
対応
の仕方をあるいはしているかもしれません。
木島喜兵衞
52
○
木島
小
委員長
たとえば
教育
法学会から出ているとかそういうものに皆さんの方がとらわれ過ぎておる。
現実
は深刻な問題がある、その問題意識はさっきおっしゃったようにある。けれ
ども
、そういう
教育
法学会等から出ておるものに余りとらわれ過ぎておるから、そのことを基準に考えていらっしゃるから発想が限定されるのではないのかという感じがするのです。
安養寺重夫
53
○
安養寺政府委員
教育
法学会の案というのは最近出てきたわけでございまして、たまたまそのような
考え方
を整理をされたのだろうとは思います。ですから、それを引用させていただいておるわけでございますけれ
ども
、この問題はもうすでにずいぶん古い話でございまして、
日本学校安全会
法をつくる場合に、国会でも
議論
になった
考え方
がございました。それ以来、われわれとしましては
検討
の課題であったわけでございますけれ
ども
、
安全会
のスタートとそれによる
給付
で一応御得心をいただいてきたのではないか。ただ、世の中いろいろ変わりますし、
学校教育
活動の実相も変わりましてだんだんに、このこと自身の
事故
件数
が激増したわけではございませんけれ
ども
、
対応
の仕方についてもう少し適切な方法が求められつつあるということがあったものですから、引き続いてずっと
検討
しておったということでございまして、余り何かにこだわっているのではなしに、われわれとしては広く考えたい、しかし大変事柄が大切でむずかしいということを御
説明
しておるわけです。
木島喜兵衞
54
○
木島
小
委員長
ちょっと済みませんが、先ほど資料を配りましたのは、公的に出ておったのではいま局長から
説明
ありましたように、
安全会
が出る前に国会で法案が出て、その三十一年に出た法案が
安全会
に発展したということでその資料と、それから日本
弁護士会
が出しました資料と
教育
法学会の資料、これは公的なものでありますからいまお配りしたわけであります。
山原健二郎
55
○
山原
小
委員
いろいろ論議してきましたが、大体
文部省
のいまの見解もわかりましたし、
文部省
もかなり積極的に
検討
するという立場をとっておられることもわかったわけです。 それで、ちょっと
事例
が違いますけれ
ども
、たとえば種痘の問題についての閣議決定による
補償
という問題も出ていますし、それからたとえば
災害
の場合、川がはんらんして
死亡
者が出たとかいうような場合は、これに対する、これは見舞い金という名前ですけれ
ども
、かつてはなかったわけです。それがずいぶん国会で論議されてついに見舞い
制度
が確立をして、現在では
死亡
について、金額はまだ問題がありますけれ
ども
、毎年、去年も五十万円上げて百五十万円というふうに、いろいろ
法律
上の問題は論議されながらも救済
措置
というのはやはり前進しているわけでして、そういう点から考えますと、
学校安全会
というものは
一つ
の大きな役割りを果たしておることは事実でありますし、中で問題になっている
裁判例
など、非常に大きな問題となっておるのはやはり
死亡
、
廃疾
というのが問題ではないかというふうに考えてみますと、非常に困難であればしぼったところで問題の解決の見通しも出てくるのではなかろうか、こういう感じもするわけです。
死亡
が五十年で先ほど御
説明
のあったような数字。それから
廃疾
の問題ですね。これは家族にとっても大変なことなので、だから裁判問題で
過失
の立証をしていくということに発展していくわけですが、これらのしぼられた範囲に対する救済
措置
というのはできるのではなかろうかという感じは私はしているのですが、そういう
検討
をされたことはあるのでしょうか。
安養寺重夫
56
○
安養寺政府委員
いろいろ
考え方
がございまして、いまお話しのように、
廃疾
、
死亡
に限って扱うという
考え方
も
検討
はしています。 他の療養費の
給付
というのは、これは大体
社会
保険
の
関連
で動いているわけでございまして、このこと自身に創意工夫という余地はまずはないわけでございます。現在は、五百円以上かかった
給付
は出すということですから、お医者さんにかかればその療養費はほとんど
給付
されるということでございますから、これは
財源
の
措置
さえどういうことであるかという
議論
をすれば足りるわけです。しかし、いろいろ問題として大きな問題はやはり
廃疾
なり
死亡
の
対応
の問題でございますから、これだけをどうかするというような
考え方
はないかという
検討
はしています。ただ、その場合は、まあこれは極論で、まとまった
現時点
の結論ではございませんけれ
ども
、
安全会
というような
考え方
からは飛び出してしまうのでないかというようなこともあるものですから、もう少し、飛び出すのだったら、飛び出した先に
一般
の
社会保障
の
制度
というものとの
関連
がどんなかっこうで出てくるのかというような問題も想定されますので、いろいろ
検討
はしております。
小川仁一
57
○
小川
(仁)小
委員
さっき御
説明
の中で、
設置者
が
保険会社
等と
契約
をしてやっているということを御
説明
になりましたね。また、岩手県ではPTAが安全互助会というものを県教委と一緒になってつくったのです。こういうものに対する
文部省
の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
安養寺重夫
58
○
安養寺政府委員
繰り返しの御
説明
になると思いますが、それぞれの
公立学校
の
設置者
である市、町、村が
国家賠償法
の一条または二条の
責任
を追及されて、あるいはみずから公の
責任
として認めて
損害賠償
金を支払う、それがいつ起こるかもわからないし、一たん起これば一時に多額の
財源
を必要とするという問題があるわけですから、それでは
町村会
、
市長会
、
都道府県教育委員会
ということが連合して
保険
に入って、そして
給付
を円滑にやろうではないかという
制度
でございまして、この
考え方
はあくまで公の
損害賠償
責任
を追及されたときの
対応
の具体策ということになっておる。いまの岩手県のような話は、すでに相当多額のお金を出す
制度
は五つぐらいございます。これは全く任意で、いわば
日本学校安全会
給付
の私的版といいますか、
法律
なり特殊法人というような形で賄うのではなくて、各府県の範囲内でそれぞれの府県もあるいはいろいろな援助をすることになっておりますけれ
ども
、
父兄
の
掛金
を拠出してもらってそれで
日本学校安全会
の
給付
の上積みをするというようなことをやっておるわけでございます。
小川仁一
59
○
小川
(仁)小
委員
岩手の場合で申しますと、
子供
の
掛金
、いわゆる
保護者
の
掛金
が中心になって
運営
されるわけです。すると、
掛金
を掛けない
子供
、その会に入っていない
子供
というのは
事故
が起こった場合にも
対象
外になるわけです。したがって全員ではないわけです。こういう形で
父兄
が自己防衛をしなければならないという
状態
、やはり余りいいことではないでしょうね。
安養寺重夫
60
○
安養寺政府委員
この前も岩手県の方々から、こういう仕儀であるので学災法を早くつくっていただきたいという陳情を私受けました。そのときに、岩手県ほどの御熱意が四十七の
都道府県
に広がれば、およそ
日本学校安全会
の
給付
の
財源措置
として
掛金
の上積みはそこでかなえられるのだから、その方でやらしていただいたらもっとよくなりますのにと言ったら、はあと言って帰っていかれたのですが……。
小川仁一
61
○
小川
(仁)小
委員
私が言っているのは、
掛金
を掛けない
子供
は
給付
の
対象
にならないのです、岩手の場合は。幼児一人二百円、小
学生
四百円、中
学生
五百円、高校生五百円です、
掛金
は。こういう事務は、みんな
学校
の
教員
が
子供
たちから金を集める。これだけでもまた大変な仕事が出てくる。
学校
がそれに協力できない場合はPTAが集めて歩く。ですからPが自発的にやりますと、参加しない
父兄
がかなりあるわけです。
子供
の
事故
というのは参加するしないにかかわらず出てくるわけですから、そういう
状態
で入っていない
子供
の
事故
が起きるとこれは
対象
にならない。これにはこういう課題が
一つ
ありますよ。 それからもう
一つ
は「第三者加害により
損害賠償
の支払いを受けた者あるいは受ける見込みの者に対しては」というので、これは見舞い金を抑えているわけです。これもいわゆる
過失
があるかないかという課題の中で、
過失
があれば加害者が出すのだからということで、争いが起こってくればやはり見舞い金の
対象
にならないわけです。
保険
関係
も私は大体そんなふうに理解しているわけです。 ですから問題が
二つ
あるわけです。先に言った
掛金
を掛けなかった者は
対象
にならぬということと、もしこの会または
保険会社
が、これは加害者が存在する、
過失
が存在するということになると、やはり争いが起こってそこに
補償
という問題が出てこない、こういうふうな形で、全面的な解決にはなっていないのです。やはり
教師
と
父兄
の間の争いがそこに起こってくる可能性を持つわけですから、こういう部分をなくしていくためには、こういうものに頼っていては
文部省
は笑われませんかね。
安養寺重夫
62
○
安養寺政府委員
文部省
は
安全会
をよくするということで、全国的な組織立った
事故
防止並びに
事故
の起こった際の補てん策を考えていきたいと一貫しておるわけでございます。ただ、それに対するいわば批判というような形のあらわれとして、数県でPTAの拠出金というようなかっこうで見舞い金
制度
が上積みされるというようなことがあるのは事実でございます。しかしわれわれとしては、そういうことを大いにお勧めするという立場にはないと思います。たまたまいまはそういうものを超えた大きな問題がございますから、一々こういうことについて、任意でおやりになることによしあしというようなことをこちらから一方的に申し上げるということは控えるべきでございますから、控えておりますけれ
ども
、そういう状況にございます。 それから、いまお話しのように、第三者加害が明瞭になって、その加害者によって
損害賠償
金が支払われれば、こういう見舞い金は出さない、もしくは出しておればその部分は返還を求めるというのは
一般
の法理でございまして、
日本学校安全会
でも現にそのような
規定
を設けてやっております。これは参考までに申し上げておきます。
小川仁一
63
○
小川
(仁)小
委員
いまのように他の団体に頼ってしまいますと、幾つもの欠陥が出てくるわけです、会費を払わない者は
対象
にはならないとかいったような。
子供
たちはやはり
教育
を受ける権利があって、しかも
学校
へ行かなければ処罰をされるという
状態
で、義務制の
学校
には通っているわけですよ。こういうふうに国の力でもって
学校
に
子供
たちを入れておいて、そこの中で
学校
の設備の不十分あるいは施設の不十分、あるいは
教育
上の無
過失
、場合によると
過失
もあるかもしれませんが、そういう
状態
で
子供
が
死亡
し、
廃疾
になった場合に、やはり国は
教育
上の
責任
の立場から
補償
する、こういう
考え方
をお持ちになるのが当然ではないでしょうか。
教育
を受ける権利、
子供
を
学校
にみんな収容する、こういう中で起こった
事故
ですから、それを
子供
から掛け金を取るという
考え方
自体に間違いがございませんか。
安養寺重夫
64
○
安養寺政府委員
現在の
制度
で
学校
の
設置者
が、これは国公私を問わず、すべて
設置者
が預っておる
児童生徒
のそういった
事故
に対しての
責任
のとり方というのは決められておるわけです。現に
国公立
でいえば
国家賠償法
の一条、二条という
対応
の仕方をしておるわけです。しかし、それではなお足りないのではないか。
教育
現場がその
事故
のためにえぐられるというような事態が放置されるのはおかしいのではないかという
議論
がございまして、どのように
対応
にさらにプラスすべきかということで、そのプラス要因として
安全会
による
給付
制度
、見舞い金
制度
をプラスしようではないか、こういうような発想に出ておるわけです。ですから、それがなお不徹底ではないかというような御指摘に対して今後どう
対応
すべきかという大変むずかしい問題を基本的に、あるいは追加して、方法はありましょうけれ
ども
、
検討
しなくてはなるまい、また現に
検討
しておるということもございまして、おっしゃるような
教育
の現場がどうこうということについて異論を申し上げているわけでもなし、ただ、方法論として現在
制度
がこうあるということで、不十分なのは何かという問題の整理がむずかしい、
検討
しておりますということを申し上げておるわけです。
小川仁一
65
○
小川
(仁)小
委員
現行制度
ではむずかしい、こういうことですね。
安養寺重夫
66
○
安養寺政府委員
さようでございます。
小川仁一
67
○
小川
(仁)小
委員
そうすると、
制度
を変えていくということの可能性はありますね。
安養寺重夫
68
○
安養寺政府委員
可能性はあると思います。どのような可能性かを
検討
しておるということです。
小川仁一
69
○
小川
(仁)小
委員
それでは、今後これを
検討
いたしましょう。
木島喜兵衞
70
○
木島
小
委員長
局長、いまのお話の続きで言うと、
国賠法
だけだと、それは
子供
のことですから挙証はなかなか困難ですよね。そしてさっき
山原
さんがお話しのように、
教師
と
子供
が法廷では敵味方になるわけですからね。そしてそういうことを恐れるから
教師
は
教育
が消極的になる、
教育
的な
観点
からすれば何らかの方法をということを考えるわけですね。そこで
安全会
だ。とすれば、もう一歩進めれば、
設置者
負担
による共済
制度
というものはありませんか、たとえば国立は国が、公立は自治体がという、いまの話に限定すれば。
安養寺重夫
71
○
安養寺政府委員
いろいろ勉強さしていただきます。きょう、何か同じようなことを言っておるようでございますけれ
ども
、これはわれわれの方も
検討
しておりますので、私
ども
の
考え方
なり立場を御理解をいただくいい機会だ、並びにお知恵を拝借するいい機会だと思うものですから、多少いろいろ
説明
が過ぎるかもしれませんけれ
ども
、今後の可能性は大いにどこにあるかということについてお教えいただくために申し上げておるわけです。いま
委員長
のおっしゃることにつきましても同じことでございまして、私
ども
大いに勉強さしてもらいます。
木島喜兵衞
72
○
木島
小
委員長
大変失礼なことを言っているようでありますが、局長おっしゃるように、古くて新しい問題だとおっしゃるごとく、古くからあるわけです。そしてなお
検討
すべき事項は、さっきからおっしゃることは、これまた古くして新しいのですよね。古くから
問題点
は同じなのです。そして結論が出ない、出ないけれ
ども
、
現実
は深刻さを増してきている。いま局長がおっしゃるような
事例
だけを言っておれば、常に古くて新しくて時間だけが経過して結論が出ないということになるわけです。そこにこの
委員会
がつくられたところの
趣旨
があるわけです。だから、さっきからお聞きしていると、局長は古くて新しくて問題があるのだ、問題があるのだという弁解だけで、ちょっと前向きの姿勢が見えない。しかし、いま最後に、一緒に研究をしましょうというようなことで少し前向きになったような感じがしますけれ
ども
、古くて新しいのですから、これはどこかで踏み切らぬければだめです。どこかで割り切らぬければだめです。割り切らない限りにおいては問題は常に存在しながら放置されることになる。 それでは、もういいですか。御質問ございませんか。
山原健二郎
73
○
山原
小
委員
そうですね、この後どうするかお話しして……。
文部省
の
意見
としては大体わかったように思うのです。
木島喜兵衞
74
○
木島
小
委員長
ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
木島喜兵衞
75
○
木島
小
委員長
速記を始めて。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十九分散会