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1977-05-18 第80回国会 衆議院 文教委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十八日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 登坂重次郎君 理事 藤波 孝生君    理事 嶋崎  譲君 理事 有島 重武君    理事 曽祢  益君       石橋 一弥君    久保田円次君       小島 静馬君    玉生 孝久君       中村  靖君    小川 仁一君       千葉千代世君    中西 績介君       湯山  勇君    池田 克也君       伏屋 修治君    中野 寛成君       山原健二郎君    西岡 武夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君  出席政府委員         文部省初等中等         教育局長    諸沢 正道君         文部省社会教育         局長      吉里 邦夫君         文部省体育局長 柳川 覺治君         文部省管理局長 犬丸  直君         文化庁長官   安嶋  彌君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         文教委員会調査         室長      大中臣信令君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   石川 要三君     西銘 順治君   石橋 一弥君     渡辺 秀央君 同日  辞任         補欠選任   西銘 順治君     石川 要三君   渡辺 秀央君     石橋 一弥君 五月十二日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     前田治一郎君 同日  辞任         補欠選任   前田治一郎君     石橋 一弥君     ――――――――――――― 五月十八日  児童及び生徒の通学に要する交通費についての  国の補助に関する法律案小川仁一君外六名提  出、衆法第四六号) 四月三十日  私学助成に関する請願沖本泰幸紹介)(第  三九八六号)  同(長谷雄幸久紹介)(第三九八七号)  同(安藤巖紹介)(第四〇六七号)  同(有島重武君紹介)(第四〇六八号)  同(沖本泰幸紹介)(第四〇六九号)  同(津川武一紹介)(第四〇七〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四〇七一号)  同(安田純治紹介)(第四〇七二号)  同(山原健二郎紹介)(第四〇七三号)  義務教育学校等建設事業費全額国庫負担等  に関する請願井上一成紹介)(第三九八八  号)  私学国庫助成に関する請願安藤巖紹介)  (第三九八九号)  同(荒木宏紹介)(第三九九〇号)  同(浦井洋紹介)(第三九九一号)  同(北側義一紹介)(第三九九二号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第三九九三号)  同(小林政子紹介)(第三九九四号)  同(柴田睦夫紹介)(第三九九五号)  同(瀬崎博義紹介)(第三九九六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第三九九七号)  同(田中美智子紹介)(第三九九八号)  同(玉城栄一紹介)(第三九九九号)  同(津川武一紹介)(第四〇〇〇号)  同(寺前巖紹介)(第四〇〇一号)  同(西中清紹介)(第四〇〇二号)  同(東中光雄紹介)(第四〇〇三号)  同(不破哲三紹介)(第四〇〇四号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四〇〇五号)  同(正森成二君紹介)(第四〇〇六号)  同(松本善明紹介)(第四〇〇七号)  同(三谷秀治紹介)(第四〇〇八号)  同(安田純治紹介)(第四〇〇九号)  同(山原健二郎紹介)(第四〇一〇号)  同(荒木宏紹介)(第四〇七四号)  同(大原亨紹介)(第四〇七五号)  同(瀬崎博義紹介)(第四〇七六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四〇七七号)  同(田中美智子紹介)(第四〇七八号)  同(玉城栄一紹介)(第四〇七九号)  同(寺前巖紹介)(第四〇八〇号)  同(西中清紹介)(第四〇八一号)  同(東中光雄紹介)(第四〇八二号)  同(不破哲三紹介)(第四〇八三号)  同(松本善明紹介)(第四〇八四号)  民主教育確立等に関する請願外三件(井上泉  君紹介)(第四〇一一号)  同(稲葉誠一紹介)(第四〇一二号)  同(北山愛郎紹介)(第四〇一三号)  同(久保等紹介)(第四〇一四号)  同外二件(田口一男紹介)(第四〇一五号)  同外一件(千葉千代世紹介)(第四〇一六  号)  同外一件(楢崎弥之助紹介)(第四〇一七  号)  同(井上普方紹介)(第四〇九一号)  同(久保等紹介)(第四〇九二号)  同外二件(小林進紹介)(第四〇九三号)  同(古川喜一紹介)(第四〇九四号)  私学国庫助成等に関する請願浦井洋君紹  介)(第四〇八五号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第四〇八六号)  同(小林政子紹介)(第四〇八七号)  同(柴田睦夫紹介)(第四〇八八号)  同(正森成二君紹介)(第四〇八九号)  同(三谷秀治紹介)(第四〇九〇号) 五月二日  私学助成に関する請願有島重武君紹介)(第  四一八九号)  同(沖本泰幸紹介)(第四一九〇号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四一九一号)  同(安藤巖紹介)(第四三〇五号)  同(荒木宏紹介)(第四三〇六号)  同(有島重武君紹介)(第四三〇七号)  同(浦井洋紹介)(第四三〇八号)  同(沖本泰幸紹介)(第四三〇九号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第四三一〇号)  同(小林政子紹介)(第四三一一号)  同(柴田睦夫紹介)(第四三一二号)  同(瀬崎博義紹介)(第四三一三号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四三一四号)  同(田中美智子紹介)(第四三一五号)  同(津川武一紹介)(第四三一六号)  同(寺前巖紹介)(第四三一七号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四三一八号)  同(東中光雄紹介)(第四三一九号)  同(不破哲三紹介)(第四三二〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四三二一号)  同(正森成二君紹介)(第四三二二号)  同(松本善明紹介)(第四三二三号)  同(三谷秀治紹介)(第四三二四号)  同(安田純治紹介)(第四三二五号)  私学国庫助成に関する請願近江巳記夫君紹  介)(第四一九二号)  同(北側義一紹介)(第四一九三号)  同(玉城栄一紹介)(第四一九四号)  同(西中清紹介)(第四一九五号)  同外一件(大原亨紹介)(第四三〇〇号)  同(玉城栄一紹介)(第四三〇一号)  同(西中清紹介)(第四三〇二号)  民主教育確立等に関する請願石橋政嗣君紹  介)(第四三〇三号)  同外六件(河上民雄紹介)(第四三〇四号) 同月四日  私学国庫助成に関する請願玉城栄一君紹  介)(第四三六七号)  同(北側義一紹介)(第四四六二号)  同(玉城栄一紹介)(第四四六三号)  私学助成に関する請願有島重武君紹介)(第  四三六八号)  同(沖本泰幸紹介)(第四三六九号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四三七〇号)  同(山原健二郎紹介)(第四三七一号)  同(有島重武君紹介)(第四四六四号)  同(沖本泰幸紹介)(第四四六五号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四四六六号)  民主教育確立等に関する請願安井吉典君紹  介)(第四三七二号)  義務教育学校等建設事業費全額国庫負担等  に関する請願井上一成紹介)(第四四六七  号) 同月六日  私学助成に関する請願有島重武君紹介)(第  四五三八号)  同(沖本泰幸紹介)(第四五三九号)  同(山田太郎紹介)(第四五四〇号)  同(有島重武君紹介)(第四六〇一号)  同(有島重武君紹介)(第四六五一号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四六五二号)  国立千葉大学医学部付属病院腎臓病患者の透  析中に看護婦配置に関する請願柴田睦夫君紹  介)(第四五四一号)  私学国庫助成に関する請願北側義一君紹  介)(第四五四二号)  同(玉城栄一紹介)(第四五四三号)  同外一件(玉城栄一紹介)(第四六〇二号)  同(玉城栄一紹介)(第四六五三号)  民主教育確立等に関する請願外三件(岡田哲  児君紹介)(第四五四四号)  同(川俣健二郎紹介)(第四五四五号)  同(古川喜一紹介)(第四五四六号)  同(米田東吾紹介)(第四五四七号) 同月九日  私学国庫助成に関する請願大原亨紹介)  (第四七二二号)  同(玉城栄一紹介)(第四七二三号)  同外一件(玉城栄一紹介)(第四七七二号)  同(玉城栄一紹介)(第四八五九号)  私学助成に関する請願北側義一紹介)(第  四七二四号)  同(有島重武君紹介)(第四七六九号)  同(北側義一紹介)(第四七七〇号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四七七一号)  同(有島重武君紹介)(第四八六〇号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四八六一号)  民主教育確立等に関する請願小川国彦君紹  介)(第四七七三号)  同(古川喜一紹介)(第四七七四号)  幼児教育振興及び幼稚園教職員待遇改善に  関する請願浦井洋紹介)(第四八六二号)  同(津川武一紹介)(第四八六三号)  同(松本善明紹介)(第四八六四号) 同月十四日  私学助成に関する請願外一件(有島重武君紹  介)(第四九七〇号)  同(北側義一紹介)(第四九七一号)  同(長谷雄幸久紹介)(第四九七二号)  義務教育学校等建設事業費全額国庫負担等  に関する請願井上一成紹介)(第四九七三  号)  私学国庫助成に関する請願大原亨紹介)  (第四九七四号)  同(玉城栄一紹介)(第四九七五号) 同月十六日  私学国庫助成に関する請願玉城栄一君紹  介)(第五〇八九号)  同(岡本富夫紹介)(第五一四一号)  同(玉城栄一紹介)(第五一四二号)  同(安藤巖紹介)(第五一七六号)  同(荒木宏紹介)(第五一七七号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第五一七八号)  同(柴田睦夫紹介)(第五一七九号)  同(瀬崎博義紹介)(第五一八〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五一八一号)  同(津川武一紹介)(第五一八二号)  同(寺前巖紹介)(第五一八三号)  同(東中光雄紹介)(第五一八四号)  同(不破哲三紹介)(第五一八五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五一八六号)  同(正森成二君紹介)(第五一八七号)  同(松本善明紹介)(第五一八八号)  同(安田純治紹介)(第五一八九号)  同(山原健二郎紹介)(第五一九〇号)  私学助成に関する請願有島重武君紹介)(第  五〇九〇号)  同(長谷雄幸久紹介)(第五〇九一号)  同(有島重武君紹介)(第五一四〇号)  同(安藤巖紹介)(第五一九一号)  同(荒木宏紹介)(第五一九二号)  同(有島重武君紹介)(第五一九三号)  同(浦井洋紹介)(第五一九四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第五一九五号)  同(小林政子紹介)(第五一九六号)  同(柴田睦夫紹介)(第五一九七号)  同(瀬崎博義紹介)(第五一九八号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五一九九号)  同(田中美智子紹介)(第五二〇〇号)  同(津川武一紹介)(第五二〇一号)  同(寺前巖紹介)(第五二〇二号)  同(不破哲三紹介)(第五二〇三号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五二〇四号)  同(東中光雄紹介)(第五二〇五号)  同(正森成二君紹介)(第五二〇六号)  同(松本善明紹介)(第五二〇七号)  同(三谷秀治紹介)(第五二〇八号)  同(安田純治紹介)(第五二〇九号)  同(山原健二郎紹介)(第五二一〇号)  私学国庫助成等に関する請願浦井洋君紹  介)(第五一七二号)  同(小林政子紹介)(第五一七三号)  同(田中美智子紹介)(第五一七四号)  同(三谷秀治紹介)(第五一七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十六日  公立大学教育研究条件改善に関する陳情書  (第一八二号)  宮崎大学の獣医学教育機関存置拡充等に関す  る陳情書外一件  (第一八三号)  明治東洋医学短期大学設立阻止に関する陳情  書  (第一八四号)  公立高等学校の新増設に対する財政援助に関す  る陳情書外一件  (第一八五号)  高校教育制度改善等に関する陳情書  (第一八六号)  私立学校振興助成強化に関する陳情書  (第一八七号)  幼稚園教員給与費に対する財政援助に関する  陳情書(第一八八  号)  公立義務教育学校教職員定数最低保障制度  の継続等に関する陳情書  (  第一八九号)  学校給食米飯利用推進に関する陳情書  (第一九  〇号)  学校災害補償法の制定に関する陳情書  (第一九一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
  3. 中西績介

    中西(績)委員 先日の四月二十七日に定時制の問題と管理職試験についてお尋ねをしたわけでありますけれども、その中で一、二答弁いただきました中で確認したいこともございますので、さかのぼりますけれども、質問を申し上げたいと思います。  まず第一点は、定時制の問題で、教員定数配置についてこの前お尋ねを最後にいたしておったところでありますが、その中で一つ学校に八名の教員定数配置があるわけでありますけれども、そのうち二名が講師として配置をされておる、こういうことを申し上げたわけであります。その際の政府委員見解は明確でありませんので、この点でお尋ねをしたいと思うわけでありますが、この八名中二名講師配置をするということになりますと、常勤学校運営に直接携わり活動するのは六名ということに相なるわけであります。したがって、このようにごくわずかである、八名のうち二名を置くことが学校運営上果たして許されるべきかどうか、この点についてもう一度お答えいただきたいと思います。
  4. 諸沢正道

    諸沢政府委員 現在の標準法の規定によりますと、高等学校常勤の教諭の定数配置基準は、四学級の場合は九名となっておるわけでございます。したがいまして、定時制の場合でありますと最低四学級あるというふうになりますので、定数上から言えば九名ということで、その定員を配置して教育をしていただく、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  5. 中西績介

    中西(績)委員 九名になればなおさらのことでありますが、八名しか配置をされていないという問題が一つはあると同時に、講師を二名配置をするということになりますと、常時学校運営面で活動する教師の数は六名ないし七名ということになるわけですね。このような行政措置がよろしいのかどうか、この見解についてお答えいただきたいと思います。
  6. 諸沢正道

    諸沢政府委員 小規模の学校の場合におきましても、教育活動全般を円滑に運営するためにはある程度の充実した教員が必要でありますから、いま御指摘のようなケースにつきましても、私どもの方の考え方といたしましては、標準法の趣旨にのっとって最低九名の常勤教師を置いていただくというように今後も指導してまいりたい、かように思うわけでございます。
  7. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、九名置くことを指導すると言われますけれども、この前もちょっと指摘をしましたように、こういう実態があるということ、そしてなお、ごく少数のいろいろな教科によりましては非常勤講師配置しなければならぬということがありますね。そうした場合に、九名配置をし、そしてごくわずか三時間ないし十時間程度の間の講師配置をすれば、学校運営はより円滑になるわけですね。その非常勤講師配置についてまた大変な出し惜しみをしておるというのがいまの全国的な状況ではないかと思うのですね。この点をどのようにお考えになっておるのか。  でなければ、意見を申し上げますと、やはりどうしても定数の枠の中で非常勤講師配置に、これを全部十八時間なら十八時間でもって分割をするわけですね、そして配置をするというやり方です。ですから、私たちがいままでずっとお願いなり主張してまいりましたのは、一人の教師定数配置がなされるとしますならば、それに付帯する予算があるわけですから、その予算に即応して非常勤講師を、十八時間という制限枠の中でなしに、その予算枠の中で持つようにすれば、相当数非常勤講師というのは持てるわけですよ。ところがそうではなくて、十八時間という限定された枠の中で一人の持ち時間数に限定してその中で非常勤講師配置するという体制にあるから、いつも問題が出るわけですね。ここら辺についてどうお考えになっているのか。
  8. 諸沢正道

    諸沢政府委員 御指摘のように、高等学校でありますからかなり教科の数が分かれておる。したがって、一人の先生がそれぞれの専門を、十八時間という標準時間をみんな均等に受け持つというわけにはなかなかいかない。そこで個々高等学校については非常勤講師をお願いしてそれぞれの専門について少数時間を受け持っていただくというのが実情でございます。したがって、それをどういうふうに非常勤先生をお願いしてやるかということは、これは当該学校常勤先生教員配置というものについていろいろ検討していただいて、それとの兼ね合いを考えながら個々学校において個々先生専門を生かして、しかも学校運営としては円滑、合理的にやるということを十分検討しながらやるべき課題であろうと思いますので、一律にどういうふうな非常勤講師の頼み方がよろしいかというようなことは申せない点があるわけでございまして、私どもとしましては、その際に、いたずらに経費の節約ということでなしに、学校運営の最も円滑な実施ということも念頭に置きながらそれぞれの学校創意工夫をしていただくということに指導してまいりたい、かように思うわけであります。
  9. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、基本になる学校運営の要員としては九名なら九名というものを一応配置をするという考え方に立っているわけですから、このことは確認してよろしいですね。そうしますと、それより以上に今度は、先般要請していただきました資料を見てみますと、確かに五十年度に関しましては四十年よりは無免許者の持つ件数というのが相当数減っていますね。それでも五千九百九十九件、全国的にはあると言われています。私はこの中の大部分は定時制だろうと思うのですよ。全日制では無免許で臨免を取ってやるというのはごくわずかしかないだろう、こういうふうに推定できますね。そうしますと、定時制においては、全国的に見ますとこのように約六千件に上る件数があるということです。といたしますと、先ほど私が申し上げましたように、たとえば九名のうちの一名を予算面で該当する人員を雇えるといたしますならば、こういう五千九百九十九名というような件数になってこないだろう、こう私は思うわけです。ですから、私はこの前から指摘をしておりますのは、こういう無免許で教材を授業している教師がいるわけですから、これをできるだけなくすためにも、そしてまた学校運営がきわめて円滑にいく最低人員を確保するためにも、そういう予算面でしぼり取るのでなしに、やはりそれだけのものがあるのですから、余すことはないわけですから、その分についてちゃんとした非常勤講師なりの割り振りをしていけば、こういう形のものはなくなるだろう。それからこの前言った、二名も三名も全く非常勤なり、あるいは常勤であるけれども、一人の教師配置でなしに講師配置をするという、こういう形のものがなくなっていくのではないか、こういうものの指導が、やはりいま文部省が果たさなくてはならない役割りとしては大変重要な役割りがあるのではないか、こういうことを強く感じるわけですね。ですから、この点について再度確認をしたいと思いますが、九名の配置、そして今度は不足する時間数については、非常勤講師なりそういうものが六千件もないような体制、この点について指導していただきたいということを強く要望するものですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  10. 諸沢正道

    諸沢政府委員 御指摘のように、全国的に見ますと、小規模な定時制学校の場合、免許外担当教員の数が相当あるだろうということは、われわれも予想するところでありまして、高等学校教育として適切な運営を行うために、そうした点における教員配置あるいは非常勤講師採用等につきましては、適切な学校運営がより確保できますように、今後ともいろいろな機会を通じて教育委員会指導してまいりたい、かように思うわけでございます。
  11. 中西績介

    中西(績)委員 それでは次に、管理職試験について、もう時間がありませんから簡単に伺っておきますが、文部省としては、この前明確にならなかったのですけれども、このような管理職試験は、大臣答弁によりますと、「どこでだれがどういう基準で選んだか全くわからなかったというような選び方では、それはやはりいけないだろうと思います。」こういう答弁があるわけですね。そういうことからして、全国的に管理職試験なるものを実施をせよという指導をしておるのかどうか、この点についてお答えください。
  12. 諸沢正道

    諸沢政府委員 管理職試験といいましても、その中身は面接あるいは筆記試験等々いろいろあるわけでございまして、そういう意味で、一律にどういう試験をしなさいというようなことは、もちろん文部省指導しているわけではございません。ただ、現在の実態を見ますと、特に小中学校管理職につきましては、それぞれの県におきましても相当数の校長、教頭の採用というものが毎年あるわけでございますから、その人事についてきわめて公平、的確な人事を行うためには、ただその日ごろの勤務実績といいましても、必ずしも十分把握し得ない面もあろうかと思いますので、そういう意味で、文部省としてはそういう管理職採用に際しましてはできるだけ公正な、客観的な資料に基づいてこれを採用できるような体制でやってもらいたい、こういう指導をしているわけでございます。
  13. 中西績介

    中西(績)委員 文部省が直接指導せずにこういう管理職試験実施をされ、それに対応して文部省側からとしては、客観的なという言い方でありますけれども、そういう指導をされておるようですが、そこで問題は、この前私が指摘をいたしましたように、福岡県における入試問題についてはずっと指摘をしました結果、お答えの中では、具体的な内容については十分承知していない点もあるということを言っておりましたが、その後、お聞きになりましたか。
  14. 諸沢正道

    諸沢政府委員 具体的な入試問題についてはまだ報告をもらっておりませんので、今後さらに調査をしてみたい、かように思っておるわけでございます。
  15. 中西績介

    中西(績)委員 この点については、入試問題について大変な状況になっておるわけでありますけれども、まだ調査をいたしておらないようですから、十分お聞きすることはできませんが、ただ一つ、私は、この前から指摘をしてまいりましたこういう県教委の態度、これにつきましては大臣もある程度お答えをしておりますけれども、本当に反省のある体制にあるのかどうかということを推しはかるものとして、私はこの前、昇任人事問題を出したわけです。いわゆる文書訓告を受けた課長部長昇任を、三月三十一日に処分発令があって、そしてその明くる日の四月一日付には、その責任者である、しかも文書訓告を受けた者が課長から部長昇任をしておる、こういう状況でありますから、この点がこの前のお答えでは、普通、そういう事例は余りないだろうということで終わっているわけでありますけれども、こういう措置が果たして適切であろうかどうかということですね。この辺を私が申し上げると、これは任命権者の問題だとしてあなたたちは受け取り、そしてまた答弁するだろうが、しかし一般的に見て、このことは適切かどうか、局長どうですか。
  16. 諸沢正道

    諸沢政府委員 先般もお答え申し上げましたように、そのような事例は余りないだろうというふうに私も申し上げたわけでございますが、その文書訓告を受けた方は、この前も申し上げましたように、文書訓告でございますから、法律的な意味で言えば懲戒処分ではないわけでございます。そこで、教育委員会部長にだれをするかということは、これはやはり部長という管理職が非常に特定なものであり、その職につくためには、それにふさわしい能力を持っている人物でなければならないということからいたしまして、任命権者としては、だれを選考するかということはかなりむずかしい課題であろうと思います。そこで、本件のような場合につきましては、恐らく訓告を受けた課長部長にしたということは、やはりその人の能力その他を見て、この人が、部長にするには一番適切であるという判断が働いてそのような人事をしたのであろうというふうに推測されるわけでありますので、御指摘のような責任を問われたという事実が直前にございますけれども、それはやはり教育委員会としては最もそのポストに適当な人物ということでしたものと思いますので、われわれとしてはそれについてとかく申し上げることはない、かように考えております。
  17. 中西績介

    中西(績)委員 その点、大臣はどのようにお考えですか。
  18. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 一般論として受けとめますれば、任命権者がその人の素質とか能力とかいろいろなことを総合判断して人事は行われるものであろう、こう考えますので、人間の長い、いろいろな足跡の中で、その一つをとらえて決定的にその人の将来が、もうこのことによって全部だめだと決めてかかるのもおかしいし、また、そういったものを全然無視してやっていくのもおかしいわけで、やはりそのときそのときにおいてその任命権者の、こういうふうにするのが一番妥当だという判断を尊重する以外にはなかろうと私は考えます。
  19. 中西績介

    中西(績)委員 任命権者の問題としてすべて逃げていますけれども、一般的に考えて前の日に、三月三十一日にそういう処分発令があって、明くる日の四月一日付でそういう昇任人事をするわけですから。ところがこのようにきわめて寛大な県教育委員会は、今度は教師に対してはではどうかと言うと、きわめて厳しいわけですよ。そのことを見落としてはならぬと私は思うのですね。だからいま一点のこのことだけに集中的に論議をしますとあなたたちの言うような論議になるかもしれませんけれども、しかし反面、教師に対してはきわめて厳しい対応をしているわけですね。ですから、そういう処分をされた者等については昇任人事には絶対加えぬということが前提になっているわけですよ、県教委の態度としては。そういうことからすると、そういうものが一般的に見た場合に適切かどうかということを考えれば、これは当然過ぎるほどのことではないですか。その点、もう一度言ってください。
  20. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 何度言われても、余り具体的なケースを知らずに私が発言をして人事に介入するような印象を与えることはよくないと思いますけれども、あくまで一般論として申し上げますけれども、そういう小さいことがあったからと言って、その人の一生を左右するような決定、烙印を押してしまうということも私は一般論としていかがかと思いますし、そうかと言って、そんなことは全然抜きにしてやってしまうのもいけないので、具体的な事実を踏まえて、そしてその人の日ごろの能力とか素質とか勤務状態とか、いろいろなものがあるでしょうが、任命権者がやはり総合的に判断さるべきであって、そういったことにのりを越えていろいろなものを言うというのは私は慎重であらねばならぬと思いますので、一般論としての答弁で御理解をいただきたいと思います。
  21. 中西績介

    中西(績)委員 そこで問題は、いま大臣はこういう小さい問題という指摘をしましたよ。ところが、小さい問題ですか。この新聞をあなたに上げますけれども、福岡県における入試問題というのは本年一回だけではないのですよ。この近来を数えてみても四十八年、五十年、そして五十二年、この間にもありました。大きな問題だけでもこのように連続的に出ているのです。しかもそのことは、私たちが指摘をしておるのは、問題を指摘されたときにそれが全生徒に対して、受験者に対して公平になるべきように措置をすればいいのだけれども、上がってきた学校だけに訂正をするのです。そしてみずからの権威を保とうとするところに問題があるのですよ。そういうことをこの前ある程度私が指摘をしたところです。このように過去長い間何回となくあったということですね。このことを見落としてはならぬ。これは一つの入学試験問題だけを指摘しているのです。ほかにもたくさんあるけれども言わない。そういう条件の中における問題ですから、小さい問題だろうかということなのです。そのようにお考えになっているところにまた文部省に問題があるのではないか、こうぼくは指摘をせざるを得ません。そしてこのように実際に出てきた人事としては、前の日にやって明くる日には昇任をするという、そして一般的な教師に対しては厳しく、そして今度は教師昇任人事に対しては、そういう関係のあった者については一切できないというのが条件として先に出されていますよ。こういうことを考え合わせていきますと、いわゆる行政側の責任者の方はきわめて寛大に、そして一般教師に対しては厳しくという、こういう不公平なことがたくさん出ているということを見落としてはならぬと思うのです。ですからこういうような県教委が果たして客観的な昇任人事なり何なりができるだろうかということをこの前から指摘をしているわけです。ですから、それのための管理職試験が果たして客観的なものになり得るだろうか、こういう点を私は指摘をしてまいったわけでありますが、この点についてはまだ十分な調査がなされておらないようですから問題を後に残しまして、より具体的になった時点で明らかにしていきたいと思います。特にまた、文部省の官房企画室にいたのですか、浦山という方が福岡県の教育長にまた今度は出ていっていますね。そのことを考えますと、福岡県における従来のこういう問題は、局長が答えたように、福岡県における試験をやめさせようとする運動があって特殊なところだというとらえ方をしているけれども、私はちょっともこれは特殊なところではないと思う。むしろ文部省から絶えず責任ある地位に、教育長なりあるいは次長なりあるいは第一部長、第二部長なりに次々と送っているわけでしょう。そしてやってきた行政の結果がこのようになっているといたしますならば、この点は文部省のそういう指導面において大変な誤りがあるのではないか、私はこう考えるのですけれども、その点についてどうですか。
  22. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ただいまの課長の訓告の問題でございますけれども、繰り返すようでございますが、この場合の課長の責任というのはいわば試験問題を直接作成するという立場ではなく、それらを監督、指導するという立場における監督者の責任ということがあり、かつその責任は法令上で言えば懲戒処分にまで至らない文書訓告だ、こういうようなことであるようでありますが、ただ御指摘のように、訓告があってその翌日昇任をしたということは、ちょっと普通はないケースであろうというふうに先般も申し上げたわけでございまして、一般的に申しますならば、いま私具体的な事例を記憶にございませんけれども学校先生などにつきましても、文書訓告等の場合はその後の人事について特に差別をするというようなことは余りないのではないか。特にその後の勤務成績等を見て人事を行うというのが実態であろうと思うわけでございまして、その点いまのこの課長の場合は、おっしゃったように、直後にしたという意味で多少時間的にもう少しその後の勤務状況等を見る余裕があればなおよかったかと思うわけでございますが、しかしいま申しましたように、きわめて特殊的な一つのポストでございますので、いろいろ人事選考の結果、そのようになったというふうに判断するわけでございます。  なお、御指摘のように、今回の福岡の入試問題の作成について結果として誤りがあったということは、やはり率直に言って問題作成のプロセスなりあるいは陣容なりについて十分な点が欠けておった点があるということは、私はこれは率直に認めざるを得ないと思うわけでございまして、そういう点につきましては、今回の人事問題とは切り離して、私どもとしても、公立高等学校の入試問題の作成については十分慎重な準備をし、いろいろ意見を聞いて、適切な、そして誤りのない問題をつくるようにしてもらいたいということは、これまでも各県の指導担当者に指導してきたところでございますが、今後一層その点に留意をして指導の徹底をしてまいりたい、かように思うわけでございます。
  23. 中西績介

    中西(績)委員 やりとりしてもまだ十分な調査がされておりませんので延ばしますけれども一つだけ、先ほど大臣が答えた小さい問題であるのかどうかですね、この点どうですか。
  24. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これは私は最初からお断わりしておりますように、一般論としてこういう訓告を受けた人を翌日昇任させることがいいか悪いかという角度の問題から言えば、任命権者のある問題についてこういうところで具体的にそれがいいとか悪いとか、人事に対して介入するような発言、行動は慎重であらねばならぬ、こう申し上げましたので、小さいというのは表現として適切でございませんから、そういう任命権者があってそういうところで行われており、しかも懲戒処分でもない訓告ということに対しての人事に対して、一々またいいとか悪いとか意見を述べるのは慎重であらねばならぬ、こういうふうに訂正をさせていただきます。
  25. 中西績介

    中西(績)委員 この問題については、また後日機会のあるときに、調査をしてもらった結果を得まして論議をしていきたいと思います。  次に、先般、文化庁にわざわざおいでいただきまして、そのまま先日は終わりましたので、これを先にさせていただきます。  問題は、著作権法の問題でありまして、第三十条、私的使用のための複製問題についてお答えいただきたいと思うわけです。この問題につきましては、すでに文化庁の方でも十分御存じのように、昭和四十五年の四月九日の日に衆議院の文教委員会で著作権法案に対する附帯決議なるものが上げられています。三点にわたって上げられておるわけでありますけれども、このうちの特に二項目の「今日の著作物利用手段の開発」云々、そして最後に「このような課題に対処しうる措置をさらに講ずるよう配慮すべきである。」、その中にありますように、「時宜を失することなく、著作権審議会における検討を経て」云々とありますね。ところが、これはすでに四十五年ですから、経過すること約七年を経過しておるわけであります。ところが、その後の状況というのは、当時から比較いたしますと想像もつかないような状況に立ち至っています。特に日本音楽著作権協会なりレコード協会なりあるいは芸能実演家団体協議会なりの三団体あたりが調査をした結果なり、いろいろなものが資料としてあるわけでありますけれども、それらを見ますと、いま大変な状況になっています。ところが、お聞きするところでは、この審議会を開いて一定の方針なりあるいは結論なりを得ておるようでありますけれども、それが第二小委員会は四十八年の六月に、それから第三小委員会は四十八年の三月に、第四小委員会は五十一年の九月にというように、相当期間がたってから開かれ、なおかつまた、この小委員会が持たれてから以降、相当の年数がたっているわけです。その間の変化というのは、私の想像を絶するものがあるということはもう御承知のとおりであります。  そこで私がお聞きしたいと思いますのは、このような状況の中では著作権が守られるかどうかということを大変危惧するものであります。いまここで時間ございませんので、それらの詳細なデータについては申し上げません、すでにお持ちのようでありますから。そこで、この附帯決議に沿いまして、法律の第三十条、この点だけでよろしいのかどうか、この点について意見をお聞かせください。
  26. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 著作権法の御審議の際の附帯決議の扱いについての経過につきましては、ただいま先生から御指摘のとおりでございますが、現行の著作権法三十条の私的使用の範囲に関する規定、これがこのままでいいかということについてめお尋ねでございますが、御承知のとおり著作権法は、著作者の権利を擁護するという立場と、もう一つは、著作者の権利と一般公益とをいかに調整するかという点、この二つに眼目があるわけでございます。現行の著作権法三十条は、その私的権利の保護という観点と公的な利用という点の微妙な調整の上にでき上がった規定でございます。したがいまして、この規定自体を今日改正するということにつきましては、これはよほど慎重でなければならないと思います。条約上も、各国の著作権法制を見ましても、おおむねこういう方式がとられているわけでございまして、したがいまして、これに基本的な修正を加えるということについては慎重でなければならないと思います。しかし一方、御指摘のように、カセットコーダーあるいはリコピー、ゼロックス等の普及によりまして私的使用が安易に流れる傾きがある、あるいはそういう事実が指摘されておるということにつきましても、これは問題であることは御承知のとおりで、御指摘のとおりでございます。したがいまして、その問題にどう対処するかということにつきましては、いま先生からお話のありました第二、第三、第四小委員会の検討をいただきまして、文化庁といたしましてもさらに引き続き検討をしておるということであります。  その三つの小委員会の結論は、これは、いま結論と申し上げましたが、その取りまとめは、最終的な結論ということではなくて、報告自体にも述べておりますように、中間報告ということでございます。したがいまして、著作物利用の実態でございますとか、あるいは、権利者あるいは使用者双方の立場を、意見をよく聞きますとか、世界各国の立法例を調査検討いたしますとか、そういうことを続けながら慎重に対応してまいりたいということでございます。具体的には、いま御指摘のように音楽著作権協会あるいは芸能実演家団体協議会、レコード協会等から著作権法三十条の改正についての要望が出ておりますが、これも内容は御承知かと思いますが、現行の著作権三十条の規定を改正するということではなくて、私的使用の範囲につきましては、従来の体制を維持しながらその私的使用に当たって、著作者、実演家、レコード制作者は、録音あるいは機材の製作者から一定の補償金を受け取る権利を有するということでございます。そういうことでございまして、関係団体の要望というものも、現行三十条自体を改正するということではなくて、実態に対応した補償金を受け取りたいということでございます。したがいまして、この扱いにつきましては、現在権利者あるいは使用者、具体的にはただいま申し上げました三団体のほかに電子機械工業会、録音テープあるいはビデオテープのメーカーの団体等と意見交換を始めておるというところでございます。  立法例といたしましては西独にこれと同じ立法例があるわけでございますが、この立法例が、西ドイツ自体におきまして憲法に違反するかどうかという議論さえあったわけでございまして、法律的にはいろいろ問題の多い考え方でございますので、さらに引き続き検討を進めてまいりたいということでございます。
  27. 中西績介

    中西(績)委員 いま言われました西独の場合と、さらに英国の場合もすでに同じような立法化が推進されていると言われていますね。そういうことを考え合わせてまいりますと、たとえば日本の場合を申し上げましても、アメリカで訴訟になっている部分もありますね。ウォルト・ディズニー・プロとそれからユニバーサル・シティー・スタジオ、映画三社が連邦地裁に訴えを起こして、日本のソニーだとかそれの現地子会社を訴えておる状況等もすでに出ているわけですね。ですから、やはり相当この問題が出ておるだけに、しかも想像より以上の普及率、こういうものを考えてまいりますと、相当やはり問題が深刻であろうと思います。ですから、具体的にどのように措置をされていくのか、その点あればもう少し立ち入ってお答えいただきたいと思います。
  28. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 措置の前に実態と申しますか、問題点を若干申し上げてみたいと思います。  この録音、録画の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、私的なものであればこれは適法なあるいは自由な使用にゆだねられておるというのが現行の法制でございますが、関係団体の要望にもございますように、録音されたものが主として小中学生のレベルのようでございますが、交換をされるとかあるいは録音、録画されたものが一般の公開の場所で放送、放映される、放送と申しますか、一般に聞かせる、見せるというようなことが行われておるということが問題点でございますが、しかしビデオカセットなりあるいはテープコーダーが常にそういうふうに用いられるという保証は必ずしもないわけでございます。ですから、機器に上乗せして幾らかの補償金を取るという立場でございましても、その適法な、従来つまり無償であって適法な使用をしておるものについてまで使用料、補償金を取るということに結果としてはなりかねないわけであります。そこのところが一つ問題点であろうと思います。  それから第二は、そういうことによりまして、著作者の権利が具体的にどういうふうに侵害されたか、その間の因果関係の立証が必ずしも明確ではないわけでございます。  それから第三といたしまして、さっき申し上げましたように、現行法制が利用者と権利者の微妙な権利行使に関するバランスの上に立っておるわけであって、世界各国の法制もそういう形をとっておるということ。それから世界各国の著作権事情がまた非常に違うわけでございまして、わが国の場合は著作物の権利を著作者自身が保有するというケースが非常に多いわけでございますが、欧米におきましては放送会社なりあるいは出版社なりが著作権の譲渡を受けまして大部分そうした組織のもとに著作権が集中しておるというような状況等、各国の社会的、経済的な事情が非常に違うわけでございます。  ですから、そういうことを踏まえながらわが国としてどう対応していくかということは、これは理論的にも実際的にも非常にむずかしい問題でございまして、そうした点についてさらに慎重な、しかも積極的な検討を進めたいというのが私どもの立場でございます。  最近こうした問題についていろいろ御指摘が多いものでございますから、関係の権利団体のほか、さっき申し上げました電子機械工業会等とも積極的な話し合いを私どもいたしておるわけでございます。電子機械工業会におきましても、こうした問題については合理的な方式あるいは合理的な理論に立脚するものであれば必ずしも対応する用意がないと言っているわけではございません。したがいまして、現段階におきましては、そうした関係団体との話し合いを煮詰めながら問題をどう処理していくかということに努めてまいりたいということでございます。
  29. 中西績介

    中西(績)委員 具体的にはまだはっきりした回答はなかったようでありますけれども、一応やはり諸外国の事情なり、それからいま言われた関係団体なりいろいろなところと協議をすることは否定はいたしませんけれども、いずれにしても相当こういうデータ等からいたしますと大変な状況があるわけでありますから、いち早くこの点について委員会なりを開くなりして早急に一定の方向性を出すべきではないか、こう考えるわけです。この点について検討をいただきたいと思うわけです。  時間がありませんから次に移ります。  次に同和教育問題について触れてみたいと思います。  昨年の七月七日に文部省は「同和教育資料」なるものを各県教委に流されたことについては、十分御承知だと思います。そこでこの同和教育につきまして、時間の関係もありますので、一点だけお聞きしてみたいと思うわけです。  この「同和教育資料」を見ますと、この中に教員の加配措置という指摘があります。これを見ますと、「同和対策として教育上特別の配慮を必要とすると認められる小・中学校教員定数については、昭和四十四年度から次のような加配措置を講じている。すなわち、昭和四十四年」云々とありまして、これを見ますと、「その後、昭和四十九年度を初年度とする教職員定数改善五か年計画においても当該加配定数について一層の充実を図っている。」こう書いています。この「同和教育資料」についての問題点についてはたくさんありますけれども、これはきょう論議する時間がありませんので、この一点だけお聞きしたいと思いますが、この加配定数はどういう基準でされておるのか。
  30. 諸沢正道

    諸沢政府委員 昭和四十九年度から五十三年度までの第四次計画における同和地区に対する教員定数の配分の基準は、その一つは、その学校の全児童生徒数の中で占める同和地区の児童生徒の割合が一五%以上の学校については一名、それから当該学校における同和地区の児童生徒数が百人以上、比率でなくて人数で言った場合百人以上の学校に一人、そして三番目に、比率が一五%以上で、かつ百人以上の場合は二人、こういうような基準でやっておるわけでございます。
  31. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、私は福岡県でありますから福岡の例をひとつ出してみますと、福岡県の場合に先般明らかになりましたのは、文部省からの加配措置は百五十二名になっておるようです。ところが実際に配置をされておった数は四百二十八名です。ですから四百二十八名のうち百五十二名が加配の数であります。そうしますと、その差ですが、これは、それではどうされておるかといいますと、結局先般県教委で明らかになりましたのは、このプラス分については、義務制の全部の教職員定数とどんぶり勘定で、その中から持ってきて配置をされておったという実情が明らかになってきたわけです。ということは、実際には四百二十八名が必要だということを教委自体も認めておるということになるわけです。ところが実際に国からの加配は百五十二名。ということになりますと、県教委が認める実態と、国が先ほど言われた基準に基づいて配置をされたこの間に大変な差があるということです。このことはなぜ起こってくるのか、おわかりですか。
  32. 諸沢正道

    諸沢政府委員 この教員定数の配分につきましては、御承知のように標準法という標準があって実施をする。そこで、同和地区のような教育困難地区については一定の基準をもって定数を配分する。それはたとえば同和地区以外にも産炭地等も同じようなことをやっておるわけでございますが、現実には御指摘のように県あるいは府によりましては同和地区の加配定数が国の標準よりもかなり上回っておるという実態があるわけでございまして、これはそれぞれの地区における地域なり学校なりの要望等を考えて、教育委員会としてはもう少しそこに加配をしたい、した方がよろしいというような判断でやっておられるものと思います。それはそれぞれの県なり地域の要望、それに対する教育委員会実態判断に基づくものでありまして、それがどのような理由によるものかというのはそれぞれの教育委員会の判断によるのであって、必ずしも一律ではないというふうに考えるわけでございます。
  33. 中西績介

    中西(績)委員 この中身は、いま言われたような状況でありますけれども、地域からの要望なりあるいは実態としてこれが必要だ、ですから一学級の生徒数から言いますと三十名定数、これでもって割り出しておるわけですね。その結果この四百二十八名という、県がいままで負担をしておったと言ってごまかしておったのですね。ところが実際は、他の定数を持ってきてそれを埋めておったという実態が明らかになったわけです。  ですから、こういうことが起こってまいりますと、今度は一般の人からは、この加配地区、特別扱いだという、ここにまた大変な問題が生じておるわけです。このことを十分御認識いただかなくてはならぬと思うのですよ。必要だから置く、置いたのは他のところから引っ張ってきてそういうように置いておったために、そのことが今度は県下全体のそういう問題を大きくしていくという、だから今度はそのことによって何を生じたかというと、差別をさらに助長した、こういう結果を生んでおるわけです。  ですから、このことを考え合わせていきますと、それでは全国的にどの程度、いわゆる国のこういう加配定数以外に全国的に何名程度このような措置がされておるのか、そしてそれが、中身が実際に福岡のようにごまかしておったのか、それとも県単で完全に定数配置がなされておったのか、そこら辺おわかりであるならお答えください。
  34. 諸沢正道

    諸沢政府委員 国の配分しました加配定数以上にどのくらい県単あるいはほかの定数をそちらへ振り向けているかというようなことは、現在調査をいたしておりませんので明らかになっておりません。
  35. 中西績介

    中西(績)委員 そこで問題は、この「同和教育資料」を見ますと、大層何かをしたような中身になっておるわけです。文部大臣、これ御存じですか、「同和教育資料」なるものが昨年配付をされたということはわかりますね。そうすると、いま言うように定数一つをとりましても、きょうはほかの施設だとかなんとかは言いません、これだけとってみても、いま言うように福岡においても加配数から言いますと約二・五倍程度の別の教員定数配置をしなければならぬという実態にある。ところがいま答弁で明らかになりましたように、全国的にはどれだけの定数がこれに配置をされ、そしてこの加配定数との関係が、比率がどうなっておるかということすらもわからないということになりますと、これにうたっておるように、何かずいぶんやったみたいな感じで書き上げられ、うたわれておりますけれども、果たしてこれがそのように受け取れるかどうか、大臣、どのようにお考えですか。
  36. 諸沢正道

    諸沢政府委員 大臣お答えする前に少しくつけ加えさせていただきますならば、ただいまのその配置基準も第三次の五カ年計画の場合には全児童生徒のうち同和地区出身の児童が二〇%以上ということでありましたのを今回の第四次では一五%というふうに基準を緩和し、その改善を図ってきておるわけでございます。先生指摘のように、それでもなおかつ実態として十分でないではないかという御指摘かと思いますけれども、何と申しましても教員定数の問題というのは、国が全体的な標準を定めそれに従って逐次財政状況等も考えながら増員していくということでございますので、実態としてなお不十分だという点はそれぞれの県等にあろうとは十分認識できるわけでありますが、私どもといたしましてはそういう実態というものを踏まえながら、今後も財政状況その他を勘案しながら総合的に判断をして、逐次改善をしていくということでやってまいりたい、かように思うわけでございます。
  37. 中西績介

    中西(績)委員 私、大臣にこれを読んでもらって、その結果いまのような実態があるといたしますならば、この文章表現なりこのものが適切であるかどうか、これを読んだところからいたしますと、たとえばもうちょっと具体的に申し上げますと、これを全国各都道府県教委全部に配っているでしょう。ということになりますと、そういう関係のないところあたりでは、まさにこれはりっぱなことをしているという印象を物すごく強く受けるだろうと思いますね。ところが実際に関係のあるところでは逆に、ずいぶんやっているみたいな感じで書かれておるけれども、さっき申し上げたように具体的にはいろいろ問題があるよということがわかるのだけれども、一般的にはそういう受けとめ方をしやすいわけですね。そういうところにまたこの文部省の同和行政に対するいろいろな問題がその中にはあると私は思うのだけれども大臣が読んでみて、さっき申し上げたような定数一つとってもそういう問題があるのだけれども、この点、この「同和教育資料」が果たす役割りからしますといろいろ私は問題があると思うのですけれども、その感想について伺いたい。
  38. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 同和教育の問題につきましては、これは同和対策事業特別措置法とか政府全体としてやはり真剣に取り組んでおる問題でありまして、いま御指摘のこの「同和教育資料」の加配定数の問題にしましても、やはりこれはここに書いてあるように一層の充実を図ってまいらなければならぬと私ども考えますので、そういった趣旨に沿った成果がきちんと上がっていくように今後も注意をし、また指導も続けていきたい、こう考えます。
  39. 中西績介

    中西(績)委員 そこで私は、小中学校義務制に対する措置は一応このように不足はいたしておりますけれども少しずつしようかという気持ちにはなっているようですから、この点についてはこれで終わりますが、高等学校の場合にこういう措置が定数加配についてはなされておりませんね。この点についてはどのようにお考えになっておるか。
  40. 諸沢正道

    諸沢政府委員 確かに高等学校につきましては、高等学校標準法ではそういう特別の加配をするような標準にはなっていないわけでございます。しかしながら実態としては、先生御承知のように同和地区を持っております県では、それぞれの県の判断において増員の措置をとっておるように私どもは聞いておるわけでございます。  そこでこの実態についてどういうふうに考えるかということでございますが、ただいまの標準法ではいま申しましたように特別の措置をしていないわけでございますので、次の標準法の改正等の場合に、その問題についてはさらに検討の課題として考えてまいりたい、かように思うわけでございます。
  41. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、私一つの例を申し上げますからお聞きいただきたいと思うのですが、これは福岡県のある農業高校の例です。そうしますと、農業高校で生徒の定数が六百十六名です。そのうちに、教育資料の中にありますように、奨学生というのがありますね。奨学生の数が二百名を超えています。そして実在する者は大体三百名を超えるだろうと言われております。こういう状況ですから、これは、一年生のテストをやっておるのですが、そのテストの結果一覧表がここにありますから、後で差し上げます。これを見ますと、大体小中学校の関係含めて、小学校からずっと調査しましたけれども、その結果を見ますと、これは算数でありますけれども、三十点満点で十点未満が三十五名中十六名に上っていますよ。ですから小学校の関係のができないという生徒の数が大体十人、約三分の一の子がそういう実態にあります。割り算が全然できないのですね。これをちょっと見ていただきますとわかります。去年の生徒のだけれども、物理の試験のときに試験用紙の裏側で計算したのがこの計算用紙ですね、これは割り算ができないのです。これを見て私は大変なショックを受けました。本人は物すごく努力しているわけです。努力するけれども、その中身が全然わかっていない。基本がわかっていない。こういう実態があるわけですね。  ですから、これがこの学校ではそれではどうなっておるかといいますと、いままではわりあい小学区であったわけですから、中学区といっても学区制が小さい中学区であったわけですから、その振り分けは六校なら六校で振り分けられたから、まだ農学校に来る生徒の中にもある一定の幅があった。ところが倍になり三倍になっているわけです、いま学区制が。ということになると、選別はさらに十六なら十六のふるいを通していくわけですね。そうすると、一番下に残るのは物すごく層が厳選されてくるわけですよ、これはおわかりでしょう。いまそういう実態になっているわけです。ですから、学区の拡大というのがどんなに問題があるかということはこのことがよく示していると思うのです。選別をずうっとしていきまして一番最後、ふるい落とされて残ったという結果がここにある。ですからアチーブの二百点満点で言うならば三十点程度の者が全部そこに集まってくるわけですよ。このことは、私は文部省はおわかりかどうかよくわかりませんけれども、そういう実態を招いています。と同時に、さっき申し上げたように、このように奨学生が約三分の一、そしてしかも実在は半分を超えるだろう、こういうふうに言われている状況です。  ところが、このような中で実際に指導するということになりますと、一学期から二学期にかけては小学校、中学における授業をもう一度やらなくてはならぬわけです。たとえば同じ専門教科の作物なら作物、あるいは畜産なら畜産を教えるにしても、その文字が第一読めない。意味がわからない。となりますと、数学だけではありません、すべての教科でそういうものをやらなければならぬ。そのことも理解いくと思うのです。しかし問題は、そのことを今度は県教委に正式に届け出てそれをやろうとすると、それを期間を短縮してくれとかいろいろなことがまたつくわけですよ。高等学校教育をやってもらわなければならぬということが優先するわけですね。そこにまた、今度は指導要領の法的拘束性だとかいう問題が必ずついてくるわけですよ。だからこのように大変な問題がそこにはあるわけです。  ですから、時間がありませんから簡単にあれしますが、いまこの学校では、生徒数が一学級四十名、その生徒を個別指導することは不可能であるということでもって、これを二クラスに分割しています。ですから、教師の受け持ち時間はどうなっているか。倍です。こういう結果になり、現在では、たとえば病気で倒れた教師が三名。三名も倒れると、もう学校の中は回らないわけですよ。こういう実態にあるわけです。しかも、今度は教室はどうなっているかというと、分割するわけですから、教室が足りないわけですね。あらゆる特別教科の教室までも含めて使用しなければならぬという実態が出ています。そういうところですから、今度は家庭訪問するにしても、すべてこれは夜間七時から九時三十分の間にしなければならぬ。昼間行っても全然いないのです。両親がいない。いるのは病気の祖父母、あるいは父母といっても病気の方がいらっしゃるわけで、こういう大変な状況になっています。  しかし定数は、いま言われる標準定数法で配置される以外には何もないのですね、高等学校で言うなら。ということになりますと、果たしてこの「同和教育資料」に基づく、一の日本国憲法云々から始まって、教育基本法に基づいてどうだとか、あるいは「全国民の正しい認識と理解を求めつつ」云々だとか、あるいは学校教育、社会教育すべてのものが、このようにきれいごとで飾られておるけれども、できるであろうかということを私は大変危惧の念を持つものであります。  ですから、このような高校に対する事柄についてはある程度検討しようという意思がおありのようだけれども、こういう学校については県だけに任せるということでなしに、こういう環境整備なりなんなりを文部省が実質的にやるべきではないか、こう考えるのですが、もう一度局長答弁を……。
  42. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ただいまのような農業高校の実態というものにつきましては、まず第一に高等学校の子供について、いまいただきましたこの計算用紙にもありますように、およそ小学校の段階で当然身につけていなければならないような割り算の内容ができていないということは、言ってみれば小学校、中学校教育の段階が十分でなかったということを示すものであり、この点につきましては、御指摘の事例のみならず、全国的に見ましても、昨年教育研究所が発表しました「小・中・高の生徒段階における労力調査」等の実態を見ましても、小学校の段階で当然マスターしていなければならないような帯分数の引き算であるとか、あるいは基本的な漢字の学習であるとかいうものが、高等学校においても若干の生徒にできない問題があったというようなことからうかがわれるわけでありまして、そういう観点から国といたしましては、今回の学習指導要領の改定において、最も基礎的、基本的なことを徹底して習熟できるように小中学校の学習指導要領を改善したいということでやっておるわけでありまして、基本的にはそういう考え方でそれぞれの学校段階における教育内容を的確に身につけるように指導するというのがまず国の立場であろうと思うのであります。  次に、しかしながら、現在すでに御指摘のような高等学校がある場合にどう考えるかという問題だろうと思いますが、その点につきましては、先ほども申しましたように、現在の法制としては、国が直接それに助成するというような立場ではないわけであります。しかし、およそ各県といたしましては、それぞれの高等学校教育の内容というものが適切に行われるように各般の条件整備について努力をする義務があるわけでございますから、われわれといたしましてもそういうような点については一層配慮するように各県にさらに指導してまいりたい、かように思うわけでございます。
  43. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、いま言うように指導するということと、定数問題等について考えていくということと二つあるわけです。今度は大臣、自治省が指導する場合には、このような教育困難校に対する加配、こういう問題については県の負担、定数をゼロにせよという指導がなされています。ですから自治省の指導からいきますと、できるだけそういうものをなくせと言っているわけですから、そうなりますと、いまあなたたちが言われるような定数増ではなしに減少の傾向すらも出てくる可能性があるわけです。そうしたときに定数増なりを考えると言われるけれども、より具体的に言うなら、自治省との関係を明確にしていかないと、先ほどちょっと局長が触れましたように、財政の状況から云々ということも気になるわけなのです。こういうことを言っておったら、いまの状況で言うなら永久にできる可能性はありません。ですからこの点について明らかにしてほしいと思うのです。自治省との関係で文部省はどういう態度をとっていくのか、それが一つです。  それから、最後に先ほど言った県の負担、あるいはその差です。どういうふうになっているのかということが調査されておらないようですから、そういうことが全然調査されておらなければ、ただ二〇%を一五%にしたということだけであって、どれだけのものが本当に必要かという実態すらもつかんでいないとしか私はとらえることができません。ですから、この点について調査をし、資料として将来出していただけるかどうか、この二点についてお願いします。
  44. 諸沢正道

    諸沢政府委員 大臣お答えする前に若干事務的に申し上げたいと思います。  まず後の点でございますが、実態につきましてはわれわれとしては現時点で的確につかんでおりませんが、その点につきましては今後いろいろの機会に調査をしてみたい、かように思うわけでございます。ただ、各県にどれだけの定数を置いたら適当かというような必要度の判定というのは、それぞれの県によってまたいろいろ観点を異にするように私は聞いておりますので、それらの点について客観的に基準を決めるというようなことになりますと、結局先ほど申しましたように全児童生徒に占める割合とか、そういうことでいかざるを得ないのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから自治省の指導というお話でございますが……。
  45. 中西績介

    中西(績)委員 それは大臣に聞いたのです。
  46. 諸沢正道

    諸沢政府委員 その点ちょっと事務の方からまず申し上げますが、この問題につきましては、自治省は地方財政という見地から交付税の積算ということを一応念頭に置いて指導しておるのかと思いますが、そういう点につきましては、先ほども申しましたように、今後高校の標準法を改定するという際におきましては十分自治省と相談をし、よりよき改善の方向にいくように努力してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  47. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 自治省との間の問題につきましては、私ども考えております考え方を十分自治省に伝えますとともに、今後相談をするときに効果が上がるように努力をしていきたいと思います。
  48. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたので以上できょうは終わりますけれども、十分ではありませんので、さっき出ました調査しなくてはならぬ部分なりいろいろありますから、次期国会でもまた質問させていただきます。
  49. 藤尾正行

    藤尾委員長 伏屋修治君。
  50. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私は幼稚園、主として学校法人でない幼稚園の問題と専修学校の問題、大きく分けてこの二点についてお伺いをしてまいりたいと思います。  まず最初に、昭和五十二年度予算で、私立高校以下の経常費補助が三百億となりました。これは年内に配分するというような意思表示を文部省は持っておられるようでございますが、どのような手順を踏まれてそれを配分しようとしておられるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  51. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 私立高等学校以下の経常費に対する助成でございますが、この予算は三年前に始まりまして、五十二年度で三年目に当たるわけでございます。本来的にはそれまでは都道府県が助成をするということをたてまえとしておりまして、交付税措置でやってきたわけでございますが、三年前から国家的な必要性にかんがみて直接国の補助金を出すようになったわけでございます。それで、あくまでもこれは県を通じて出すことになっております。したがいまして、県の努力に応じまして、県の努力を助長するという意味において国が出すということでございますので、五十一年度もそういう方針に基づきまして、各県の努力度に応じた配分方式を決めまして各県に配分いたしたわけでございます。  五十二年度におきましてもおおむねそういう方向で配分するようにこれから配分要項をつくりまして、それに基づきまして申請を受けて配分をする、こういう手順になろうかと思っております。
  52. 伏屋修治

    ○伏屋委員 と申しますと、いまお話ございましたのは、大体五十一年度に配分したそれを踏襲しながら五十二年度も配分していく、こういう御意思であるかと思いますが、それでよろしいですか。
  53. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 基本的な考え方は同様な方針を踏襲してまいりたいと思っております。
  54. 伏屋修治

    ○伏屋委員 五十一年度配分の百八十億円につきましては、当初二十億くらいの不用額が出るという見通しがあり、あわててその配分方法について練り直しをする中で配分をいたした。それにもかかわらず不用額が十億七千万も出た、こういうようなことがございますが、五十二年度の配分について昨年度を踏襲して配分をしていくとするならば、そのような不用額というものが出るか出ないか、その辺もお聞きしたいと思います。
  55. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 五十一年度におきまして不用額が出ました原因は、個人立幼稚園の場合に補助金を受けますと、五年以内に法人化するというたてまえがございます。その辺の関係のことにつきまして、府県によりましてはその内容について十分な理解が得られなかったというようなこともありまして、個人立であってそういう意思があって、補助金をもらおうとするところは約七割ぐらいを見込んでおりました。それが最初の見込みと少し違いまして多少それが少なかったという点で、その点が不用額を出した原因でございます。ほかの学校分野につきましては足りないぐらいでございまして、また法人立の場合におきましてもそういうことはございませんで、そこが最大の原因でございます。それで五十二年度の配分に当たりましては、その辺の見込みをもう少し考えまして、一応現在の積算では、個人立幼稚園で法人になる意思があって、補助金の交付を希望する幼稚園を約五割と、少し少なく見ておりますが、その辺につきましてももう少し十分検討いたしまして、不用額を出さないようにいたしたいと思っております。
  56. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今年度も三百億ということで、昨年と比べまして非常にふえたというその内訳を見ますと、やはりいま局長からお話がございましたように、個人立幼稚園の学法化への踏み切り、そういう面が加算されまして予算額がふえたと思いますけれども、昨年の配分におきましても、個人立幼稚園の学法化へのいろいろな諸条件が整わないためにその予算を不用とした、そういうところから不用額が出たわけでございますが、その辺の見通しを再度、今年度個人立幼稚園の補助に対しての増額というものは見込まれておるわけでございますが、再度不用額は出ないのかどうかということでございます。
  57. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 今年度の補助金の増加の一部分は、単価のアップでございます。単価のアップがございますので、この点につきましては不用の出る原因にはならないと思いますけれども、あと、やはり法人化を希望する幼稚園がどのくらいあるだろうかという見込みでございますね、これにつきましてよく府県とも連絡をとりまして、現在の予算上の積算は五割となっておりますけれども、それでいいかどうかということは十分に各県とも相談いたしまして、できるだけ不用を出さないように、望むべくんばゼロにするように努力いたしたいと思っております。
  58. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その問題はまた後ほど触れたいと思いますが、五十二年度の予算の配分、大体お話はわかりましたけれども、大蔵省側はこの助成補助という形をABCのランクづけをもって補助をしておる、その効果が上がってきた、こういうような大蔵省の見解を持っておりますし、また自治省側は、そのような助成措置ではなくて教育の助成というものは定率配分にしてもらいたいというような自治省の見解もあるやに聞いておりますが、その辺は文部省としてはどういう見解を持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  59. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 この助成も三年目になったわけでございますけれども、現在までのところはやはり金額も全体の私学の経常費に比べますとそれほど大きくございませんでしたので、あくまでも誘導措置という考え方で来ておりました。実はこれを今後どうするかということで、ある定率の補助という形へ持っていって計画的に伸ばしていくという考え方も一部に出ております。その点につきましては、五十三年度の予算編成の段階におきまして十分検討いたしてまいりたいと思っております。
  60. 伏屋修治

    ○伏屋委員 ということは、このような誘導措置はここしばらくは続けるという御意思でございますか。五十三年度はそういうような両見解が相違しておりますけれども、その見解を無視しながらこれを続けていくという御意思なのか、それともどちらかの見解を取り上げて改めて考えていこうとするのか。
  61. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 いまの段階におきまして、五十三年度は誘導措置という考え方をやめるということを断言することはまだできません。それからまた、いずれかどっちかということでもないので、両方の加味した考え方もあり得るかと思います。やはり国の補助金がふえましても、県の努力というものはかなり期待しなくてはならないものがたくさんございますので、その辺も考え合わせましてひとつ検討してまいりたいと思っております。
  62. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほどとまた重複いたしますけれども、五十一年度の百八十億の不用額十億七千万というものは、個人立幼稚園の学法化への踏み切りというものがなかなかこっちの思ったとおり、当初見通しとは違っておった、そういうことからそういうようなことが起こってきたわけでございますが、このような補助を出すことによって学法化が推進できるかどうか、その辺のお考えというものをお尋ねしたいと思います。
  63. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 学法化の問題でございますが、現在学校教育法におきましても、当分の間幼稚園に限って学校法人の設置するものでなくてもよろしい、そういう規定があるわけでございます。これは幼稚園というものの特質にかんがみ、それから従来の経緯、普及状態等との関連でそういう制度になっているわけでございまして、これがもちろんたてまえとして法人立が望ましいということは当然でございまして、そのために法律もそういう制度になっておるわけでございますが、その辺の進行状態宮瀞少各県の事情にもよろうかと思います。そしてこの補助金の関係の誘導措置というものも一つの方法でございますけれども、これだけではないので、やはり各県の事情がございますので、法人化の基準の問題その他ございます。そういった問題を総合的に考えて、各県においてそれぞれ実情に応じて無理なく法人化を進めていく、こういうことに私どもは期待いたしたいと思っておるわけでございます。
  64. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その学法化の実態というものをどのようにおつかみになってみえるか。
  65. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 現在の段階で、これは五十一年五月一日の調査でございますが、私立幼稚園全体で八千六園ございます。そのうち三千三百九十九園が学校法人立、その比率は四二・五%でございます。この比率を五十年度、前年度と比べますと、五十年度では三九・九%ということで、やはり逐次比率は上昇いたしております。多少長期的に見ますと、四十七年度には三三・三%、約三分の一しか学校法人立はございませんでしたが、いま申しましたように現在は四二・五%と逐次上昇いたしてきておる状況でございます。
  66. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私学振興助成法ができましてからの実態というものがいまお話があったと思います。しかし東京あたりの実態を私もお聞きしましたところによりますと、大体学法化するという個人立幼稚園の実態というのは七%しかない、あとの九三%というものは、学法化するとはっきり意思表示をしていない。その内訳を見てみますと、学法化しないという意思表示をしたところとそれから適正配置その他の条件が解決してきたならば学法化に踏み切ろう、そういうような比率が半々を占めておるように聞いております。その辺の実態というものは御存じでございますか。
  67. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、個人立幼稚園がある理由あるいはそれが学法化しない理由はいろいろな理由があると思います。単に補助金をもらえるから、もらえないからということだけではなくて、いまおっしゃいましたような公立幼稚園との関係とかあるいは保育所との関係とかいろいろな問題があるわけでございまして、いまおっしゃいましたような事情が県によってあるということは私どもはよく承知しております。
  68. 伏屋修治

    ○伏屋委員 仮にこの五年間、私学振興助成法で認められておる五年間という補助を今後受けていく、学法化の努力を続けていく、しかしその努力もかいなく五年後にはどうも学法化に踏み切れない、そういうような現実が起こる可能性もあると考えるわけでございますが、そういう場合には一体どのようなことを文部省としては考えておられるのか、そしてまたその五年間という過程における学法化の努力に対する、地方にそういうような事務を委任するからそれで任せた、そういうのではなくて、文部省はその五年間の間をどのような努力過程を見守っていこうとしておるのか、その辺具体的にございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  69. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 個人立幼稚園に対して補助金を交付した場合に、そういう幼稚園につきましては努力の過程を報告するように、各府県からそれぞれの補助をもらった個人立幼稚園がその後法人化のためにどういうことをしたかということを報告していただくようにしております。そういうことでその状況を見守っていきたいと思っております。なお、不幸にして五年たってもどうしても法人化できないという状況になりますと、それ以後は補助金を停止せざるを得ないという状況でございます。
  70. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その五年間の学法化への努力のかいもなく学法化に踏み切れないというような現実が起こってくる可能性もあるといま申し上げましたけれども、なぜそのような問題が起こり得るだろうか。補助を出しておるのにもかかわらずそういう学法化へ踏み切れないという阻害要因というものはほかにあるのかどうか、阻害要因があるとすればどういうような問題があるとお考えなのか、その辺もお聞かせ願いたいと思います。
  71. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 これは各県によって事情がまちまちであろうと思いますけれども、たとえば幼稚園普及の状況からいって個人立の比率が非常に高いために五年たってもなかなか法人化できないという状況、やはり個人立のものに依存せざるを得ない客観的な情勢というようなものもあろうかと思います。あるいは法人化するときの基準の問題でございます。これも大変問題になりまして、財産を学校法人のものにしてしまわなければいけないかどうかという状況。これにつきましては、法人化の促進という意味もありまして、基本的な学校法人のたてまえを崩さない範囲内におきまして多少弾力的な方針を打ち出して指導をいたしておりますけれども、その辺の問題が原因で法人化できないというようなこともあるいは起こるのではなかろうかと考えております。
  72. 伏屋修治

    ○伏屋委員 文部省通達のいわゆる学校法人の認可基準の案も見ましたけれども、ここで一番問題になってくるのは適正配置の問題ではないかと私は思います。いわゆる財産の問題あるいは負債の問題、役員の問題等が具体的に書かれておるわけでございますけれども、それ以上に切実な問題は適正配置の問題ではないかと私は思います。もう御存じのとおり、公立幼稚園というものの絶対数が非常に少なくて個人立幼稚園がいわゆる公立幼稚園の肩がわりをしておるというような現況から見ていくときに、四十六年中教審の答申の中にも、今後五歳児までの就園を義務づけていこうというような意思がございます。そうなってくると、設置義務あるいは就園義務というものを果たそうとしてくると、どうしても勢い公立幼稚園がそこにつくられてくるのではないか。そうなってきたときに個人立幼稚園の存続は一体どうなるのか。非常に苦しいときには個人立幼稚園に肩がわりさせながら、いわゆる中教審路線を明確にしていくときにおいてはその存続が無視されてしまう、そういうようなことについての非常な抵抗が適正配置という問題の中に含まれておるのではないか、このように考えますが、その辺のお考えを……。
  73. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 適正配置の問題は確かに一つの問題であろうと思います。特に幼稚園は就園範囲が狭いわけでございます。遠くから子供を集めるわけにはいきませんので、配置の問題は非常に大事な問題でございまして、そういう点におきまして、私どもかねてから県当局に対して、公立幼稚園をつくることは結構であるけれども、つくる場合にはよくその位置を考えるように、その地域の状況をよく考え、また私立幼稚園の設置者、経営者ともよく相談するようにということを指導いたしております。今後ともその方向で指導を続けてまいりたいと思っております。
  74. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この認可基準につきまして、適正配置については各地方において連絡協議会を設けて適正配置を検討しなさいというその通達でございますが、むしろこれよりももう少し積極的に、その問題が学校法人に踏み切る一番の障壁となっておるならば、この基準緩和だけでなくて、適正配置についての文部省側としてのもっと適切な指導というものがあってもしかるべきではないか、このように考えますが、そういう御意思があるかないか。
  75. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 幼稚園の問題については地域に非常に密着した問題でございますので、文部省あたりで余りしゃくし定規な基準のようなものをつくることはいかがかとも思います。それぞれの実情に応じた措置が必要だと思います。しかし、ただ一片の通達だけということでは不十分ではないかという御指摘もごもっともだと思いますので、どういうようにしたらもりと具体的にその辺を指導できるか、検討を進めてまいりたいと思っております。
  76. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いま、この認可基準の通達を出されたにもかかわらず、各地においてはそれぞれ問題が起こりつつあるわけでございます。大分の方におきましては、公立幼稚園が近くにできたために存続が危ぶまれてきたというケースもあるというように、全国的に適正配置の的確な手の打ち方が遅かったために個人立幼稚園の存続が危ぶまれておるというケースが多々あると思いますが、それはどの辺まで認識してみえるのか。そういうものがあったとするならば、いまのような連絡協議会だけでよいというお考えであっては適切ではないと私は思います。連絡協議会をつくったとしてもそれが本当に機能するには相当の時間がかかると思います。それまでにどのような行政指導文部省はしようとされておるのか、その辺の積極的な態度があるのかないのかをお尋ねしたいと思います。
  77. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 いまおっしゃいましたような状況にあるということを一般的には承知いたしております。しかし、いまさしあたってそういう困難な状況になっておるという状況等につきましては、さらに早急によく実情を調べ、それから指導につきましても、私ども、少なくとも年に一回は私学の各県の主管課長を集めて会議を開いておりますが、そういうものも場合によったらいろいろな問題を含めて臨時に開くということもございましょうし、何らかの形でそういう機会を活用し、積極的な指導を進めてまいりたいと思っております。
  78. 伏屋修治

    ○伏屋委員 適正配置の問題をもう少し突っ込んでいくと、何といいましても父兄負担の格差が余りにもはなはだしいところに突き当たるわけでございます。この父兄負担の格差を解消しない限りは、両方を同時に進行しながら解決を図っていかないと、適正配置の問題も文字の上だけの適正配置になり、実質は伴ってこない、このように考えるわけでございます。そういう面におきましてのそういう経費の負担の格差解消にさらに一層の努力を文部当局も傾けていただかなければならないし、今年度三百億であったけれども、来年度はそれをさらにふやしていくという努力の積み重ねをなさる中で適正配置の問題も考慮していかないと、それは文字の上だけで終わってしまうのではないかと私も思いますので、さらに一層の御努力をお願いしたいと思います。また現在、そのような経費の負担の格差が増大するためにそういう園に通わない在宅園児が非常にふえつつあるという傾向でございます。そこら辺の実態はどのようにお考えになっておられますか、またつかんでおられますか、お尋ねしたいと思います。
  79. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 初めに前段の方のお話の格差是正の問題でございますが、経常費助成を強化することによりまして私立幼稚園の経費そのものを少なくしていく、そういう方向の努力は私どもいたしております。そのほかに、直接父母に対して就園奨励費を出してその面からの格差是正を図るということ、これは初中局が所管でございますけれども、その両面から実はやっておるわけでございます。
  80. 諸沢正道

    諸沢政府委員 幼稚園教育適齢段階の幼児のうち、幼稚園へ行きたくて、しかし経費の関係等でどのくらい行ってない者があるかという調査になりますと、いろいろな条件がございますので、的確な数はつかみがたいわけでございますが、逆に、中教審の答申のように、希望する者全員幼稚園就園を実現するためにはどのくらいの就園率があればよいかという点はわれわれも試算したわけでございまして、四歳児、五歳児ともほぼ七〇%というふうに見ておるわけでございます。残りのうち二六、七%というのが保育所に通っておる。そしてその残りの者は身体障害等のためにいわゆる普通の幼稚園に通うのは無理であろう、こういうふうななにをしておるわけでございますが、ところで現在それでは幼稚園の就園率がどのくらいかと申しますと、五歳児について言えば六四%というふうに全国的にはなっておりますので、あと保育所等に行っておる子供の数等を引きますと、希望しておるかどうかということは別として、該当年齢にあって何らかの幼児教育の機会を持っていないという者が五、六%であろうかというふうに推測をするわけでございます。
  81. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いま局長の方から助成の問題について少し触れられましたけれども、その助成、父兄負担の解消という面での父兄に直接の補助というものと、それから園に対する助成と、両面からいくというお話でございますが、個人立の幼稚園に対する助成というもので、大阪で非常に画期的な助成方式というものをつくり出されたということを私も「内外教育」という資料から読ませていただいたわけでございますが、これを見ますと、いわゆる文部省指導の適正人員、適正学級、こういうような適正規模というものの指導、その規模にもかかわらず個人立幼稚園はその園の経営のためにいわゆる適正な規模以上に水増しの園児を入れて、そしてそれに対しての補助を受けるというような形を続けておられるという一面もございます。そういう面から大阪は文部省指導される適正規模に対していわゆる助成を加えていく、このような新しい方式を生み出されておるようでございます。このような大阪方式というものが今後どのように広がってくるのか、またそれをどう文部省としては当局として認識されておられるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  82. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 先ほども申し上げましたが、この私立高等学校等、幼稚園を含めましたその経常費助成は県を通じてやります。県が補助したものをこちらから援助するという形でございますので、いま申されましたような適正な学級規模のものに対して奨励をするというような措置は県でとっていただきませんと、私どもの方で積極的にそれをやるわけにはまいりません。ただ、私ども大学の方の経常費助成は直接やっておりますけれども、大学の場合にはやはり同じような考え方で定員を守っているところは高く助成する、水増ししているところはそれだけ減らすという方式をとっております。したがいまして、県におかれましていまおっしゃったような方向でやられるということにつきましては私ども賛成でございますので、われわれの補助金もそういったところに厚くするようなことができるのかできないのか、これはもうちょっと検討を要するかと思いますけれども、そういう方向をとられることについては賛成でございます。
  83. 伏屋修治

    ○伏屋委員 直接的に補助ができるのは大学であるというような御答弁でございますけれども、やはり教育全般をつかさどる総元締めは文部省でございますので、そういう面からいろいろと諸般の事情をよく勘案しながら、今後、個人立幼稚園が学法化に踏み切りやすい環境づくり、そういう面における格差の是正あるいは適正配置の問題等、いま申し上げましたような大阪方式のような新しい試みが出てきたならばそういうものをよく検討される上において、それを文部省一つ指導として各県に伝えていく、そういうような積極的な姿勢を今後進める中でこそ学法化に踏み切っていけるのではないか、そのように思いますので、その面を強く要望いたしまして次の問題に移りたいと思います。  次は、専修学校についてでございますが、文部大臣は所信表明の中でもおっしゃっておみえになりますように、学歴偏重の社会というものを一日も早く打ち破らなければならない、そして入試地獄を解消しなければならない、そういうことを非常に強調されまして、そのためにももっと複線型の教育というものを考えなければいけない、そしてそういうような専修学校にも力点を置いていかなければならないというようなこともいろいろな談話の中から私は拝読いたしたわけでございます。また永井前文部大臣も、朝日の客員論説委員になられて直ちに専修学校の問題についての論説を発表してみえます。そういう面からも、文部大臣に改めてそのような御意思をもう一度確認したいと思います。
  84. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御指摘のように、現在教育が抱えておりますいろいろな問題、世の批判の中で、一つはやはり学歴が必要以上に幅をきかせ過ぎる社会の姿は間違いである、これをいろいろな政策努力を積み重ねることによりまして薄めていきたいというのが基本的な考えでありまして、したがって、いろいろな能力を持ち、またいろいろな要求を持っておるたとえば中学卒業生、高校卒業生の人が進んでいって技術を身につけ、職業を身につけ、能力を高めていく一つ教育機関として、私は専修学校の制度というものは今後の社会において非常に役立つものではないか、こういう判断を持っておるわけでございます。したがいまして、この専修学校だけで直ちにすべてが解決するかというとむずかしいかもしれませんが、私は、社会全体もやはり学歴ではなくてその人の資質、能力、そういったものが本当に公平に評価されるような、そういう社会の変革というものももちろん大事でありますけれども、やはりこういう選択する進路の中でこういった方法もありますよということを広く世に問うことは大事なことでありますから、そういう角度から受けとめ、今後専修学校の問題には強く関心を寄せていきたい、私もこう考えております。
  85. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いま大臣の御答弁を聞かしていただいたわけでございます。  ここに「教育の森」という一つの雑誌の中にも、専修学校へ参りましたそのインタビューの報告が載っておるところを読みましたけれども、その中にも、そこの専修学校在学の女子学生の言葉の中に、いまは人間が育つという教育というものが無視されておる、だから全く現在の社会構成というものに対しては不愉快だ、教育課程の問題あるいは入試の問題いろいろ何度も何度も繰り返されておるけれども、それはもう表層的に何度も何度も言わなければならないから言っておるのだというようなことで、繰り返されるだけの問題であって、人間を育てるということは一体どうなのかという原点を指向するようなそういう論議というものが余りにも欠如しておる、そういうようなことを若い学生が言っておるという報告がありました。そういう面からも、大臣もそのお声をお声としてさらにいまの大臣のお考えを進めていただきたいと思います。  専修学校制度ができましたのが五十一年でございますが、五十一年四月から発足してこれで一年たったわけでございます。その専修学校が一体どのような実態なのかということをまずもってお聞きしたいと思います。
  86. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 正式の調査の数字はまだ五十一年五月一日の発足直後の状況しかございません。その時期でもうすでに千四十二校できております。これは各都道府県の認可によってできるわけでございますけれども、できております。その後、非公式な調査によりますと、五十一年の十二月には千五百八十九校になっております。現在どんどん進行中でございますので、恐らく現在は二千校ぐらいはあるのではなかろうかというふうに推定されております。  その分布は全国各地にわたっておりますけれども、やはり東京が一番多うございまして、いまの千四十二校中の百二十七校が東京でございます。あと北海道、愛知、大阪、千葉、福岡と、全国にございます。沖繩とか島根県等にも、数は少のうございますけれどもやはりできております。  そのような状況でございます。
  87. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いまお聞きしたとおりでございますが、そのような専修学校の一年経過の実態というものを踏まえながら、またさらに文部大臣のそのような御方針を踏まえて、今後専修学校というものをさらに振興助成していく、そういうような御意思があると私は見ておるわけでございますが、その振興助成策というものについてどのようにお考えになっておられるのか。専修学校振興策の具体的な方途をお示しいただきたいと思います。
  88. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 このことにつきましては、御承知のように発生をしたところでありまして、当初がやはりきわめて大切でございますので、今年度予算措置において専修学校実態というものを把握しますとともに、わが国学校教育の中においての専修学校のあり方をどうするか、それから援助保護するにしてもどのようなことに留意をして、どのようなことをしていったらいいのか、基本的な事項について関係者並びに学識経験者による懇談会を設けて調査検討を行っていこう、こうしておるのでありますが、基本的な心構えについては、最初に申し上げましたように、これはやはり多様な進路のある、その希望を持っておる人々を、できれば、いつでも、どこでも、だれでもという、生涯学習の一環機関としてこれを定着させていきたい、こういう方向で検討していきたいと思っております。
  89. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その文部大臣の御意思はよくわかるのですけれども、それとうらはらに、私学振興助成に対する具体的な財政の裏づけというものの基盤が余りにも脆弱であるのではないか、このように私は思うわけでございます。私学振興助成法ができたことによって専修学校振興助成策というものの財源的な裏づけが希薄になった、そのように私は認識するわけですけれども、文部大臣あるいは局長でも結構ですからお答え願いたい。
  90. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 いまおっしゃいましたことは、私学振興助成法ができましたときに私立学校法が改正されて、そのときに、一般的に各種学校、専修学校にも準用されております私立学校法五十九条の準用が落ちてしまっておる、その点の御指摘であろうと思います。  これは、なるほど形の上ではそういう形でございますが、私学振興助成法成立の経緯を見ましても、各種学校の方をもう助成しなくてもいいのだという意思でこれができたのではなくて、やはりいろいろな学校の中で、法律をつくって法的根拠に基づく経常費助成を推進しようという意思が、さしあたり学校教育法一条の学校ということに結集したということでありまして、積極的に専修学校、各種学校をやめにしようということではない。それが国会の御意思であるというように私どもは承知いたしております。なるほど条文上はそういうようなこともあろうかと思いますけれども。したがいまして、私どもは、この私学振興助成法の成立を機にして専修学校、各種学校の助成をやめにするというような気持ちは毛頭ございませんで、むしろ積極的に進めてまいりたいと思っております。  それで実際上の問題といたしましても、この法律に必ずしも根拠がなくても、これは、ほかの学校の経常費助成も、この法律ができます前は予算補助で始まったわけでございますから、予算補助というような形で何らかのことをやることもできるわけでございますし、条文上のそういうことにかかわらず、専修学校、各種学校振興には今後とも努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  91. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私学振興助成法が成立したときには私は国会におりませんので、その実際的な経緯というものは、具体的には文書の上でしか存じ上げないわけでございますが、何か、議事録を見ましても、非常に短時日のうちに私学振興助成法が成立したような経緯を拝見いたしました。  また、そのほかにもいろいろ、私は私なりの問題点を抱えておるわけでございますが、その面はその面として一面置きまして、一応、私学振興助成法で専修学校というものを全く無視したというのではないという御答弁がいまございました。しかし、実際の上からはその存在が軽視されたということは言えると思います。そういう面からも今後、専修学校に対する補助というものを、厳密に言うならば、地方自治体が、五十九条が改正された、これを大義名分としまして、自治体の財政窮迫からも専修学校に対する補助はできませんよ、このように言われる筋があるわけでございますね。ですから、専修学校の方が補助をいままでどおり出してください、こういうような要請をしても、地方自治体によっては、私立学校法五十九条が改正されたということから補助はもう出せない、いわゆる専修学校というのは六十四条の四項の準法人であるということから私学助成法には該当しないのだ、一条校には該当しないから補助は出せませんよと言われると、それ以上突っ込む根拠はないわけでございますので、その辺は、いままで各地方自治体が出しておる補助というものをどのようにお考えになるのかということをお尋ねしたいと思います。
  92. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 先ほども申し上げましたように私学振興助成法の規定による法文関係の動きというものは、積極的に専修学校、各種学校を排除するという趣旨ではないのでございまして、現在、地方自治法の二百三十二条の二におきましては、一般的な補助の規定もございますし、現在都道府県が行っております助成というものを否定するようなことは、日本の法体系全体から見ますと、否定する必要はないと考えております。  それで私ども現在は、専修学校に対する振興方策といたしましては、まだ経常費助成というものに踏み切っておりませんで、これは専修学校の特性に照らしてどういう助成策が必要であるかということはこれからの検討が必要なわけでございまして、将来、そういったことが問題になりました段階におきまして、改めていろいろな検討が可能であろう、そう考えておるわけでございます。
  93. 伏屋修治

    ○伏屋委員 再度お尋ねしますが、五十九条が改正される前は、五十九条が四項までございました。それが改正されまして私学振興助成法が成立する過程において、五十九条が一項目にすっきりされたわけでございます。そしてそこには「別に法律で定めるところにより、学校法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。」「別に法律で定める」というのは、私学振興助成法を指しておると私は考えるわけです。そうなってくると、私学振興助成法を見ていけば、できるのは一条校であるとあるわけです。そういうことを詰めていきますと、法的な面から言いましても、専修学校はどうしても私学振興財団の助成以外はないのではないか、それは補助ではなくて、私学振興財団からの貸し付けによる助成しかないということから考えていきますと、専修学校振興するとは言いながら、専修学校の規模によっては貸し付けを受けたくても返済する能力がないということから貸し付けを受けられない、そういう能力がない専修学校というものは、幾ら振興助成と言いながらもそれが進められない、そういう矛盾にぶち当たるわけでございます。  その辺を、いま申しましたような局長答弁から言いますと、法体系の上から言っても改正前の五十九条が生きて、地方自治体がこれを補助することができるということが明確であるならば、私はこれ以上追及はいたしませんけれども、その辺もう一度明らかに確認したいと思います。
  94. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 現在、地方自治法の第二百三十二条の二という条文がございます。そこに「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」という一般的な規定がございます。この規定に基づきまして現在の段階におきましても、府県から補助することができるというふうに考えております。
  95. 伏屋修治

    ○伏屋委員 地方自治法の法体系の上からの補助ということになってまいりますが、文部大臣がおっしゃってみえるような御意図からするならば、もっと積極的に専修学校振興助成していくそのものが受験地獄を解消するのであるし、いわゆる学歴偏重社会というものを打ち破っていくのだ、このように文部大臣も御認識になっておられるようでございます。だとするならば、自治法の何条というのではなくて、もっと積極的な専修学校に対する財源的な補助というものを明文化していかなければならない、専修学校の人たちが安心して教育内容を高めていく活動ができるような補助というものがもっと積極的に進められても妥当ではないか、このように考えますがどうですか。
  96. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 専修学校に対する助成と申しますか振興方策が、どういう方法が一番適切であるかということは、経常費助成をまずやらなければならない、さしあたってすぐそれを開始しなければならない段階に来ておるというふうに私ども必ずしも考えておりません。振興方策といたしましては、振興財団からの融資もございますし、あるいは税制上の措置、その専修学校に通う学生たちに対する措置、そういうこともございます。それから、単に経済的な面だけでなくて、専修学校で勉強したことの内容が社会的に評価されるようにする、あるいは将来、可能であるならばほかの学校、大学等の単位にも算入できるようになる、これは将来の課題でございますけれども、そういうことを目指していく、あるいは教員の資質を向上するとかいう面での助成の仕方、いろいろ多方面にわたっていると思います。そして特に専修学校が持つ特色というものがあるわけでございますから、従来の学校にない特色、実力本位の学校というその特色を生かすための振興方策をとる必要がございます。そのためには、ただほかの学校に追随して、経常費助成に向かって一路邁進するのだというふうなことではなしに、もう少し幅広くいろいろな助成方策というものを考えていきたいと思っております。したがいまして、いまの法律の状況は、さしあたりこれをどうにかいじらなければ助成策が行われない、振興方策が行われないというふうには私ども考えておりません。しかし、ある時期が来れば、おっしゃるようなことの再検討も必要な時期が来るかとも思っておりますけれども、私どもそのように考えておるわけでございます。
  97. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほど、専修学校法ができて一年の経過をお聞きしましたけれども、数の上の一応の御報告はいただいたわけですが、その内容的な面におきましての御報告がなかったわけでございますが、いろいろな面におきましてかなり優秀な高校卒業生が大学を目指さずに専修学校を目指すという実態がございます。その人たちが一様に話すことは、大学を目指していくけれども、大学を卒業しても残るのは学歴だけであって、実力は何も残らないのだ、社会の中に本当に自分という人間をぶち当てて、そして社会のために貢献していこうとするときには、大学を卒業しただけでは何かむなしい気持ちがする、そういうことからも私は専修学校へ進んだのだというような生徒の談話もございます。そういう面からいいまして、内容的にもかなりいまの学歴偏重社会というものを突き崩す先兵的な役割りを専修学校というものは持っておるのではないか、そのように私は思うわけでございます。そういう面からも、いまは直接的なそういう助成策というものは考えておられないようでございますけれども、長期展望に立つ中で大局観から見ていくならば、やはり専修学校の位置づけというものをもう少し明確にして、そういう財政的な補助というものも積極的に進めていただきたい。先ほどは税の上の優遇というものもございましたが、具体的に聞く時間もございませんが、文部大臣も、今後学識経験者の懇談会を通じながら助成振興策を考えていきたいということでございますので、そのことに大きな期待をかけてまいりたいと思います。  助成策については一応終わりますが、具体的に、いまの専修学校すべてが、私が申し上げましたように、学歴偏重社会を突き崩す先兵だという強い自覚のもとに進んでおる専修学校ばかりではないと思います。いろいろな専修学校があると思いますけれども、そういう専修学校を今後内容的に充実させていくために一体どんな問題を今後文部省としては考え、そういうものを指導していこうとお考えになっておられるのか、この面をお聞きしたいと思います。
  98. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 やはりまず最初に実態を十分把握する必要があると思います。先生のおっしゃいましたような意味において、ただ数の面だけでなくて、実際の教育の中身につきまして、これから発足いたします懇談会におきましてもまず実態を把握するということから始めまして、そして検討を進めてまいりたいと思いますが、検討の方向といたしましては、大臣お答え申し上げました懇談会でこれから具体的に詰めていくわけでございますけれども、問題点として、まず現状の把握ということ、それから、専修学校における教育のあり方自体の問題をどうするのか、いまおっしゃった単なる学歴レッテル主義でない、実力主義の教育というものに徹するにはどうしたらいいのかという問題、それから、そのための教員の資質の問題、これもただ形式的な資格でない、本当に実力のある先生に教えてもらうということがまた専修学校のいいところだと思いますけれども、そういう有能な教員を確保するにはどうしたらいいかという問題、それから、先ほどもちょっと触れましたが、大学、高等学校等の連携の問題、専修学校で学んだことがほかの学校でも生かせるようにできないものであろうかという問題、それから今度は、卒業生に対する社会的評価の問題、いわゆるレッテル主義で評価するのでない、実力で評価してもらいたいということ、その他いろいろな課題があろうかと思います。そういった問題を詰めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  99. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いま局長からお話をお聞きしたとおりでございまして、専修学校というものが学歴偏重社会を突き破る先兵であるという自覚を持つように、今後ともにいろいろ内容を充実してまいらなければならないと思います。  しかし、悲しいことには、現在の専修学校の中にはいわゆる営利を目的として、そちらに走っておるものもあります。そういう面から、やはり何といいましても、専修学校を通じて人間形成をし、しかも、社会的にも中核の技術者として養成していかなければならない。そういうような実力主義を生かし切っていける専修学校にしてまいらなければならない。そういう問題から考えていくと、いまのような諸問題もあります。先生の資質の問題もございますし、あるいは経営者そのものの資質の問題も大きく問われなければならないと思います。経営者、いわゆる設置者が営利を追求していくということになれば、これはもう日本の教育というものの見通しは非常に暗くなってまいります。そういうようなことにならないためにも、設置者に対する指導というものも、これから懇談会を通ずる中で寄り寄り話し合いを深められまして、専修学校一つのイメージというものをつくっていっていただきたい。また、私の方で考えておりますことは、公立学校私立学校等のようにいわゆる人事の交流がない。しかも、教師の給与たるや非常にベースが低い。そういうところから、素質のある、資質に恵まれた教師を確保することが非常に困難であるというような問題点も、専修学校は抱えておるのではないかと思いますし、また、各学校間の単位の互換とかいろいろな問題もいま残されておると思いますけれども教員の資質向上のための派遣であるとかあるいは人事の交流とか、そういうような大胆な専修学校振興のための方策を立てて、積極的にそれを完遂していくよう、懇談会を通ずる中で進めていっていただきたいと思います。  それからもう一点、私はくどいようでございますけれども大臣お尋ねしたいわけでございます。  最初に私が申し上げましたときに、大臣は、現在の入試地獄、学歴偏重社会を打ち破ろうという積極的な熱意は私もよく理解できるわけでございます。そのためにも専修学校はどうしても振興しなければならないというふうにおっしゃっておりますけれども、私がその後で申し上げましたように、財政的な裏づけというものが非常に貧困だ、ただ私学振興財団からの貸し付けによる専修学校の助成だけでは専修学校は伸びない、そこのところを私は全く心配しておるわけでございます。再度大臣に、その財政的な裏づけを今後どのような展望を持ってつくっていかれようとするのか、所信表明における大臣の御意図に沿う財政的な裏づけの方途をどのようにとられるのか、お尋ねしたいと思います。
  100. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これは私も御質問の方向と全く同じ方向に気持ちを向けて努力をしておるわけであります。  ただ、現在のところは、御指摘私学振興財団からの貸し付けあるいは各都道府県が今日まで行ってきた都道府県単位のいろいろな助成というものにとどまっておるわけでありまして、われわれの夢を言えば、先ほど局長も申しましたように、専修学校というものが将来、いろいろな教育機関との間の相互の連関まで持ちたいと目指しておるわけでありますし、しかも、実力本位で社会に出ていって、ちょうどドイツにありますマイスターの制度のように、その道ですぐれた能力を示す人は、大学出にまさるとも劣らない非常に高い経済的な地位も社会的な評価もみんなから認められるような、そんな実力本位の社会の中に伸びていくことを願っておりますし、また現にリクルートセンターのやった調査で見ましても、専修学校の卒業生というのはすでに相当高い評価で社会に受け入れられておるというような実績等もございますから、そういったことを踏まえながら、懇談会で十分意見を聞くなり、また私ども内部で十分に検討いたしまして、せっかくのこの制度が効果をおさめていってくれるように今後とも十分関心を持って努力をしていきたい、こう考えております。
  101. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その財政的裏づけをさらに明確にすることと、積極的に推進されることを望みまして、終わります。
  102. 藤尾正行

    藤尾委員長 中野寛成君。
  103. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私は、いま大変教育問題が国民の間で論議の、また関心の的になっておりますし、そしてそれは決して学校教育だけではなくて、むしろもっと広い意味での教育が注目をされていると思います。そういう観点から社会教育の問題についてお尋ねをしたいと思います。それから後半は、特にいま地方自治体等におきまして文教費の財政の中で占める割合が非常に高い、そしてその中で地方財政をきわめて圧迫し硬直化させている。そういう状態の中で果たして現在の文教財政制度そのものがこれでいいのだろうかという、その二点を中心にしてお尋ねをしていきたいと思う次第であります。  まず、昭和四十七年に東京で開催をされましたユネスコ主催の成人教育会議が生涯教育の観点から、成人教育には学校教育と同じ地位を与えるべきだという趣旨の決議を行いました。そしてまたいま学歴社会だとかそれから受験地獄だとか、いろいろな教育に関連する言葉が出てまいりました。そしてその中で特に大切であるとされておりますのは社会、学校、家庭、この三者のきわめて有機的な結びつきというものがやはり大切ではないだろうか。これはさきの文部大臣の所信表明演説の中でも触れられたところでございます。そこで、私はぜひ、これらのことを考えますがゆえに、社会教育財政の充実、そして施策の充実、そのようなものを積極的に図っていただきたいと、こう思うわけであります。なかんずく、いま単に成人教育だけでなく、子供たちの正しい発育、成長の過程の中で家庭または社会が占める役割りというものが非常に大きな意味があると思います。極論をする人は、いまの受験地獄に子供たちを追いやる責任者の一人に母親をさえ数える人がいるぐらいであります。ある意味では親の正しい教育に対する認識もまた望まれるところであろうと思います。あらゆる子供の最初の学校が家庭であり、そして最初の教師が父母である。これはもうだれも異論がないと思います。そしてその家庭で受けた教育こそが生涯にわたってその人の人格を形成する基礎になること、事実であります。とするならば、子供たちの正しい教育が行われるために父母の正しい認識を培う教育というものは、やはりそういう機会がつくられなければいけないと思います。父母が受けた教育の時期、そして教育の内容というものが時代の進展に必ずしもマッチし得るかどうかということは大いに疑問があると思うからであります。同時に、その子供がやがて成長いたしますと、近隣社会の中に溶け込み、そして近隣社会のおじさん、おばさん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、また友達、そういう人たちとのおつき合いの中からまたより広い人格形成へ進んでいくわけでありますし、そこから学校に学び、そして学校を卒業して社会へ入っていく、そして老人になるまでより一層人格の高揚を図っていく。その場が当然社会の教育機関の中で保障されなければいけないことは言うまでもないと思います。いまさら私が申し上げるまでもなく、それこそが生涯教育の言葉の意味ではなかろうかと思うわけでございますけれども、このことについて、今後文部省として社会教育の位置づけ、そして社会教育の財政的な裏づけ、そのようなものにつきまして大臣として基本的にどのようにお考えでございますか、お尋ねをしておきたいと思います。
  104. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御指摘いただきましたように社会教育学校教育と家庭教育というものがやはりお互いに関連をしてお互いに力を合わせ合いながら生涯教育というものの周辺をぐっと固めていかなければならないのは、私は御指摘のとおりだと思います。学校教育と社会教育とを同じ地位にという指摘があったというお話が冒頭にございますけれども、大切だという面からいけば全く同じことでありまして、特にこのごろは家庭教育の場においていろいろな問題がございます。たとえばきょうだいの数が戦前と比べて非常に少ないので、昔は家庭できょうだい同士ですり傷をつくるくらいの相撲をとり合ったり、きょうだいげんかをやったり、いろいろなことをしながら学校へ行った。また今日学校教育の中では、基礎的、基本的なことをきちんと精選をしながらみんなにしっかり身につけてもらうように、しかも知育、徳育、体育の調和のとれた教育を目指してという問題点を抱えて学校教育の改革も志しておりますが、社会教育というものはさらに、御指摘のように、家庭、学校教育とともに非常に重要なものでありまして、私たちはこういう意味から、言葉は適切かどうか知りませんが、学校教育というものが第一の教育システムとすれば、その後の社会教育というものは第二の教育システムというような受けとめ方で全国の至るところにいろいろな役割りを果たす施設を設けたり、あるいは適当にそれを指導し、誘導する指導員の育成を図ったりしなければならないことは当然でございます。そういう意味で、地方公共団体が行います社会施設の充実とかあるいは国が直接整備します社会施設の問題、また国の方でも各省ごとにいろいろと所管の分かれておるような問題につきましては、それが有機的にやはり効果をあらわすためにいろいろ、たとえば総理府の青少年対策本部のようなところで各省まちまちと言われる行政を総合調整して有効に効力を発揮していくようにしなければならないわけでありまして、生涯教育が叫ばれておるときに、家庭、社会、学校というものが三者一体になって力を合わせてやっていかなければならないという御指摘は、私も全くそのとおりだと拝聴しておった次第でございます。
  105. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ところで、そういう観点から、さきに昭和四十六年でしたか、社会教育審議会から文部大臣の諮問にこたえて「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」という答申がなされております。そしてその答申の中で、現行法令の改正を含むより具体的方策の検討が必要であること等の社会教育全般にわたっての施策の充実が必要である旨答申がなされているわけであります。しかしながら、その後社会教育法を中心といたしましてそのような法改正または制度の充実、また財政面での充実というふうなものが果たしてどのくらい行われたのだろうかと見てみますと、きわめて私にはその進歩がうかがわれないと言えば極論かもしれませんが、見えないのであります。たとえば社会教育一つにいたしましても、二十四年に制定をされて二十六年、三十四年とこう改正をされておりますけれども、ほとんどその中身につきましてはその後変わっておりません。財政にいたしましても、国の文教予算に占める社会教育費というのが今年度〇・八七%、八・七%かと最初は私も思ったのですが、〇・八七%。地方自治体のやはり同じように文教予算の中に占める社会教育費というのは大体五、六%くらいではないかと思うのでありますが、地方公共団体が中心に社会教育というのはやるものだと言ってしまえばそれまででございますけれども、しかし果たしてそれでいいのだろうか。もっと国の施策として社会教育全般について取り組む必要があるのではないのか。いま地方公共団体では文教予算の中に社会教育予算が占める比率五、六%になっていますが、せめてそこまでまず国の財政規模というものを広げていくという努力がむしろいま当面なされるべきことではないだろうかというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  106. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 もう御指摘のとおりでございまして、そういう〇・何という表現しかできないシェアでございますが、しかしあえて一言言わせていただきますなれば、文部省予算というものは、よく御承知のように総予算の五二・二%までが義務教育、養護教育の負担金でございますし、それから国立学校特別会計の繰り入れが二三・四%を占めるわけでありまして、したがいまして社会教育関係費が一%以下ということに相なっておりまして、全体の中でのシェアはそうでございますが、できるだけ年々これも、満足ではありませんがふやすべく努力もいたしてまいりまして、金額で言えば今年度は二百五十一億にまでなってきた。さらにこれは来年度予算編成のときには大いに努力をして、財政的ないろいろな制約もありましょうけれども、ふやすような努力を繰り返し重ねていきたい、こう考えております。
  107. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ぜひそれにお取り組みを願いたい。大変失礼な言い方ですけれども、口約束だけでなくて本当にそのことが真剣に取り組まれなければ、いま生涯教育とか、もうすでに政府としては前の総理大臣がおっしゃったことですから取り消されたのかもしれませんが、ライフサイクル計画などというものが非常に華々しく打ち上げられたときがございましたけれども、あれもいつの間にどうなってしまったのだろうかと思うほどいまは全然聞かれなくなってしまいました。本当に教育に実効を上げるためには、また学校教育そのものの実効を上げるためにも社会教育というのは本当はもっと大切なのではないか、そう思うわけでございまして、いま大臣がおっしゃられましたこと、本当に口約束としてではなくて、ぜひ真剣にお取り組みをいただきたいというふうに思うわけでございます。  それから大変うがったお尋ねをいたしますけれども、社会教育法が当初つくられました、そして社会教育が日本の教育の中で取り上げられたその起点で、社会教育というのは本来国民が自主的にやるべき内容のものであるし、そしてまた公権力がそれにいたずらに監督をしたり介在をしたりということではいかぬのだという、第二次世界大戦当時のあの軍国主義と言われる時代の反省というのでしょうか、かなり、内容的に口を出してはいかぬのだ、同時に金も出さぬというふうな風潮が最初、発足当時にあったのではないだろうか。そのことが現在もなお引き続いていまのこういう現象になってあらわれているのではないだろうか、そういう指摘をされる方もいらっしゃるのであります。それとよく、もっと国の方で財政措置をしてほしい、こう要望をしても、いや、それは口も出さぬかわりに金も出さぬ、または国が余り財政措置をすることによって、そのことは公権力が介在をするということにつながると見られるというふうなことを口実に使われた傾向があったように指摘する向きもあるわけでございますが、その辺につきましてはもうすでに払拭されたと考えてよろしゅうございましょうか。
  108. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 実は、社会教育法の改正で、団体に対する助成禁止の条文を削除しましたときに担当課長をやっておりまして、その当時の事情をよく承知しております。現在の考え方としては、もちろん憲法上禁止をされております教育そのもののお仕事にはお金も出せませんけれども、社会教育の大部分を占めております相互の学習、相互の研修あるいは施設の設置というようなものについては、年々団体助成で額をふやしながら助成をいたしております。ただ、なかなか、団体側の御意見も聞いてみますと、満足でないという声が聞こえます。私どもますますそれを助長していきたいと存じますが、金額を補助するわけにも、これはまさに団体そのものの自発的な力を弱めてしまう可能性もございますので、自力での自己負担分がやはり多少は要ります。そこら辺が社会教育団体が日本の社会における寄付金の集まり方であるとかいろいろなことからウイークな点でございます。  そこで、今後の団体助成の考え方としましては、国全体あるいは社会全体の上で大変大事なお仕事をある団体がなさる場合には、その自己負担率をできるだけ小さく見て国の補助金をたくさん差し上げるという努力を今後もしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  109. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 おっしゃるお言葉が大変すばらしい御答弁でございますので、ついうっかりああそうですか、それでしたらもう結構ですと、こう言いそうになるのでございますが、そういう前向きにお取り組みであれば、現在のような地域的な不平不満というものももっとないのではないかというふうに正直言って思います。やはり社会教育は、施設とそして国民の皆さんが自主的に企画をされるそれを助言し、また側面的にお助けをする人材とがどうしても必要だと思います。ある意味では施設以上にその適正な指導助言ができる人材というものの方がもっと大切かもしれません。そういうものに対しまして果たしていまの状態でいいというふうにお考えなのだろうかというふうに実は私思ったわけであります。  一つは人の問題であります。特に最近新しい問題として、派遣社会教育主事制度を文部省として大変力を入れておられるようでございます。しかしながら、この派遣社会教育主事の問題につきまして、実は私も先日こういうものを読んでおりました。日本青年団協議会というものが「全国青年問題研究集会レポート集」というのをお出しになっております。これをずっといろいろ読んでおりましたら、たまたまその派遣社会教育主事のことについて非常に的確な指示、これは私の友人も公民館職員をしておったりというようなことがあるものですから、日ごろからいろいろ聞いておりましたそのことと全く同じことをここに指摘をしております。大変恐縮ですが、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。決してこれはこの書かれた方一人だけの考え方ではなくて、全国のこれを担当しておられる方々の率直なお気持ちを代弁しておられるように思うからであります。「今、社会教育行政の中に派遣社会教育主事制度というのがあります。この制度は「派遣社会教育主事方式」といわれるもので、社会教育振興のために市町村に人材がいない主事を養成したり、設置したりする財源が乏しいなどを理由に都道府県が各市町村に社教主事を派遣しようというものです。」という説明から始まって、ただ、「この派遣社教主事制度は地域住民が主体となって進める社会教育とは全く性格を異にし、社会教育の中央統制化にもつながるおそれが十分考えられるからです。本来社会教育とはその市町村の住民が中心となって振興されるべきものであって、それが自治体や都道府県の意向によって左右されるべきものではありません。それが予算の面でヒモつきにしたり、学校の校長等の管理職を登用する等、又、二−三年でその地域の社会教育振興ができるはずがないように思われます。」それから途中飛びますが、「現在、主事の資格をもっている者を全然関係のない職場へ配置転換したりしないで、社教の場でフルにその能力を発揮できるように身分を確保し、現在行われている婦人や老人など、いわゆる職をもたない人達中心の社会教育行政や、中央館中心ではなくて各地域ごとの分館中心の社会教育振興が私達青年一人一人の要求なのです。」ということが指摘されております。それから先ほど文部大臣の御答弁の中で他の役所との関係等のことが触れられましたけれども、たとえばここでもそれに近いことが触れられております。「聞く処によると県では社会教育課よりも青少年課の方がはるかに身分が上だとさえ言われています。その青少年課の仕事が各市町村においては住民課に負わされています。だから私達青少年対策の窓口が公民館なのか住民課なのかわからなくなる時さえあります。このような県の青少年対象の社会教育行政が市町村においても大きな影響を及ぼしています。」ということが触れられて、非常に不安な気持ちを持っております。  この中でも指摘されておりますように、現在の派遣社会教育主事制度というのが本当にそう大きな効果を発揮するのだろうか。現実に短期間の赴任であったり、その地域に必ずしも根を張った活動もしくは生活ができている人ではないという方であったり、それからもう一つ、私どもときどき聞かされますのが、学校の中堅以上の先生が将来教頭先生や校長先生になっていくときにこの社会教育主事をその登竜門の一つとして都道府県において使われている向きがあるのではないか。いわゆる学校教育のベテランを社会教育活動に活用するということから生まれたのかもしれませんけれども、そういう実態等があるのではないか。本当はその地域に根を張ってしっかりと地域の皆さんの要求を吸い上げ、そしてそれにおこたえすることのできる地域事情にも詳しい人、そういう人材を、そしてまたより若く行動力のある人を育てていくのが本来の社会教育主事制度のあり方ではないかと思うのでございますが、その辺につきましてはいかがでございましょうか。
  110. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 ただいま先生資料としてお持ちのレポート、実は読んでおります。また、そのほかいま御指摘のような御意見も聞いておりますが、私ども、四十九年から派遣社会教育主事制度を設けた趣旨は、現在、各市町村で、本来ならば社会教育主事を設置をし、あるいは人口一万以上では必置をするという法の趣旨もございますけれども、財政の問題とかいろいろなことで、一方では財政というか、社会教育主事の国庫負担をしてくれぬかという要請に一つはなり、いま一つは財政から言ってその設置の状況が五〇%から平均六〇%程度にしかなってないというところ、したがいまして、こういう現実の事態を考えた場合に、国も給与を見ましょう、府県が半分は見ていただきたい、そして府県の身分を持ち、かつ市町村とのお話し合い契約で市町村の身分を持った派遣社会教育主事を制度として設けました。それで、これは現在のところ、御指摘のように教職経験者が約七〇%を占めておることも事実でございます。本来であれば社会教育そのものを従来からずっと勉強してきた人たちも十分登用できるような制度になっておりますけれども、いまのところ現実はそうでございます。したがいまして、御指摘のような御批判が出る可能性もあるわけでございますけれども、先ほど先生のお話の中にもありましたように、私どもが現在、社会教育学校教育あるいは家庭教育との連係プレーということを考える上におきましてまだまだ社会教育に対する認識も足りませんので、ある意味では、そういう派遣社会教育主事として教職関係者が登用されまして、またある段階で学校に帰られることがあると思いますけれども、その人たちは、少なくとも学校教育の中で社会教育の位置づけを考え、またそういうこともやっていただけるのではないかという期待も一つは持っております。そういうことも考え合わせながら、一方では市町村の社会教育主事そのものの設置の奨励、片方では財源負担をしながら派遣社会教育主事の推進、こういうことをやりながら充実をしていきたいと思います。  また御指摘の、どうも根なし草みたいな感じではないかということも聞こえてまいりますけれども、全体的に見ますと、派遣社会教育主事として任用されるたとえば教職員の身分があった人でありましても、主事の講習は当然受けてもらいますし、また全くそういう意欲のない人が採用されるはずもないと思っておりますし、そういうことを十分考えながらそういう非難の起こらぬような指導もし、また府県を通じてお願いもしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  111. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 国としても社会教育主事を派遣して市町村で賄えないものを賄えるようにできるだけ補てんをしていこう、その趣旨そのものは一見大変すばらしいように思えるのですが、しかし、それは各市町村で本当に能力のある社会教育主事を養成するまでの過渡的な措置として国や都道府県でそれだけの財政的な措置をとる意欲がおありなのであるならば、それを市町村へ財政的な裏づけとしてむしろ回して市町村独自の養成というふうなものをもっと推し進めていく。そうすればその地域にしっかりと根を張った社会教育主事というもの、そして専門的な知識と意欲を持った社会教育主事というものがつくれるのではないだろうか。社会教育主事の本来のあり方はむしろそういうものではないだろうかというふうに思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  112. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 ただいまの御意見、全体として私も実はそう思っております。というのは、社会教育そのものは、原点はそれを担当する行政としましては市町村が前面に出るべきだと思っております。その活動そのものはやはりボランティアであるとかいろいろな人たちの活動であろうと思います。そういう意味では、本来、市町村で社会教育主事をできるだけ設置してもらうというのが法律の趣旨でございますし、交付税でもしかるべき措置をいたしてきておりますけれども、ある意味での強制力のある補助金でもございませんものですから、市町村全体の中で先ほど申し上げたように五、六〇%程度の充足率しか上がらない。これは今後も努力をしてまいりますけれども、その間における、府県と市町村が社会教育を一緒になって分担しながらやっていくという姿勢の一つのあらわれとしても、派遣社会教育主事の人選さえよければ、また活動の動きがよければ必ずしも本質にもとるものではないと私は実は思っております。
  113. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 人選さえよければ、まさにこれは人の問題ですから、人さえよければ、こうなってしまうわけで、しかし、人選というのが本当は一番むずかしいのではないでしょうか。むしろ、いま制度として、または財政的な裏づけとしてやることが国なり都道府県の仕事でしょう。国や都道府県が、人選さえよければということで、これはうがった見方かもしれませんけれども、都合のいい人選をされたとしたら大変なことですね。本来の趣旨から全く外れてしまいます。そういう意味で、本来の趣旨を生かすためにも、それが過渡的な措置であって、将来、市町村でいい社会教育主事を育てる、そういう財政的な裏づけと、またそういう人たちをそこに制度的に置くことのできる措置というものが私は必要ではないかというふうに思うわけでございます。特に社会教育関係の雑誌をこの前読んでおりましたら、これは多分文部省関係の方のお書きになったものだと思いますが、「わが国の社会教育において、これに従事する専門的職員の専門職としての専門性が確立されていないことである。ことに、わが国の社会教育職員の専門職としての人事行政上の位置づけが十分でない。たとえば、その職種の法的な資格要件を持つものは社会教育主事、司書、司書補、学芸員、学芸員補だけであるが、他の社会教育専門的職員については何らの措置もされていない。」というふうに指摘をされています。これが果たして極論なのかどうかわかりませんが、しかし、私は実態の一面を非常によくあらわしていると思うのです。そういうところにもぜひ前向きの姿勢をお持ちいただきたいのです。  それと、社会教育主事、主事補、それから社会教育指導員、現在これの各市町村へ設置をする人数の基礎はどういうふうになっているのでございましょうか。
  114. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 社会教育主事につきましては、社会教育法で人口段階別に必置の制度、あるいは置くことが望ましいという制度と分けながら指導いたしておりますが、そういう行政側の職員、プロパーの職員だけでなくて、やはり日常それぞれの地域で、自分は青少年問題に大変熱心であるとか特技を持っておるとか、いろいろな方々を社会教育の中に登用してくる、お力をかりるという制度として社会教育委員の制度を社会教育法で一応書いております。これは、しかしいま御指摘のように人口段階どれぐらいにどうせいというような基準はございませんで、私どもの方の補助として一応出しておくという形でございます。ただ、指導といたしましては、お願いとしましてはできるだけ青少年あるいは高齢者教育であるとか、あるいは婦人の問題であるとかいうところにそれぞれの持ち味を持った人を広く網羅していただきたい、年齢的にもそうしてもらいたい、こういうお話し合いと指導をしながらやっておるわけでございまして、全国的にはたとえば青少年問題に大変熱心なところは若い兄貴分みたいな連中を登用しながらやっておるところもあります。それから、ある県では教育関係者あるいは体育関係者等々をバラエティーをもって登用しながら地方地方の実情に応じた数でやっていくという形にいまなっております。
  115. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 社会教育指導員につきましては何か選任の基準みたいなものがあるのではないのですか。
  116. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 先ほど申し上げましたように予算というか補助を出す場合に、われわれの段階としまして、たとえば人口が一万五千から三万まででございますと一市町村四名程度置いてくれという補助金の積算をしていく、こういうことでございますが、これは補助金の対象としてやるわけでございまして、それ以上自己負担あるいは経費の面でいろいろなまかないをするという形で上乗せをしていく分にはどうぞおやりくださいという形で、最低限度は補助金で見ましょう、現在こういう形でございます。
  117. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それからその選任の基準でございますが、数ではなくて、こういう方をという基準があるのではないのですか。
  118. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 多少抽象的に相なりますけれども、社会教育指導員の設置の運用につきまして、補助金との絡みでこういう人を選んでくださいというものをつくっております。  一つは心身が健康であるということはもちろんでございますが、こういう社会教育そのものに活動的であること、意欲を持っておることというのが一つございます。それからお年は、下の方は押さえておりませんが、当然それは良識で判断できると思いますが、上限は六十五歳ぐらいまででお考えいただきたい、こういうこと、それから社会教育なり学校教育なりその他特定の技術であるとか識見であるとかそういうものを持っておる方をぜひ登用していただきたい、こういうことを申し上げており、またそれを補助要項の中でうたっております。
  119. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そして、学校教育の経験があればより望ましいということではなかったかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  120. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 ちょっと言葉が足りませんで申しわけありませんが、識見としましてはあるいは経験としましては学校教育あるいは社会教育に関しまして経験を有し、かつ、社会教育に関する識見と指導技術を身につけていることというのが、最後に両方にかかるような形で私ども指導いたしております。
  121. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そして、その実態文部省としてどのくらい把握をされておりますか。どうも、いまの御様子ですと、本当に実態しっかりと把握はされておられないのではないかというふうにも思うのですが、私がお聞きいたしておりますと、地方で、社会教育指導員を選任をされますときに、こういうふうに言われているのです。退職教職員もしくは校長先生をしておられてそして退職をされた、その方々が教育に参加するいわゆる延命策として利用されておられます公共団体が非常に多いと聞いているのです。先ほど六十五歳までということでしたでしょうか、そういたしますと、それを逆手にとりまして、六十歳前後で退職した、あと六十五歳までは数年ある、そうするとちょうどその延命策としては手ごろである、そのぐらいすればまた次の方々が出てくるというふうなことから、これが一面名誉職的な、一面延命策的な考え方で選ばれているところが非常に多いと私はお聞きをいたしました。そうなりますと、文字どおり本当の意味での社会教育に対して熱意を燃やして果たしてやっているのかどうか、その実態についてだんだん怪しくなってくると私は思うのです。社会教育指導員にしてしかり、そしてまたもちろん社会教育主事につきましては最近非常に研修が活発に行われているようでありますが、その人選にいたしましても先ほどのように派遣社会教育主事ということで、必ずしもその地域に根を張っていないという傾向が現実にありとするならば、私はどう見たってやはり社会教育というものが地域に根をおろしていくとは思えないわけであります。また、その数にいたしましても、先ほど来大体補助の基準が出されました、しかし、それは独自におやりになる分はどうぞというふうに言っているとおっしゃいますけれども、大体その補助の基準の数字ぐらいしか各市町村置いておりません。私がちょっと取り寄せました資料でも、たとえば大阪府で社会教育指導員全部で六十人です。人口比にしたら本当に何万人に一人ということになってしまうのですね。それから、先ほど話がありましたいわゆる社会教育主事にいたしましても、大阪府全部で二百二十一人ですね、これで本当に地についた社会教育のリーダーとして、また指導者としてやっていけるのだろうか、私は本当に疑問に思えてならないのです。  大変乱暴な御提案というか、設定をいたしますけれども、それぞれの地域で本当に社会教育を熱心に進めていくためには、社会教育委員というのが市町村に設置されているところがございます。それを中心にしながら一つ学校単位ぐらいの間隔を持ちながら専門的なまたは年齢別的な対象別の専門職、専門的な知識を持った社会教育主事というものを適正な人数を設置をする、そしてそれとよりよい連携をとりながら地域に密着をした社会教育指導員というものが、たとえば人口十万人に一人見当というのではなくて、人口一万人に一人とか五千人に一人とかというぐらいの割合で社会教育指導員というものがもっと設置をされまして、そして地域の住民の皆さんの社会教育に対する要望を吸い上げ、それを実現させていくというふうな体系立ったものがもうそろそろつくられてもいいのではないでしょうか。自主的にやるものだ、だから金も自分たちで持ち寄り、そして乏しい施設の中で勝手にやりなさいでは、私は冒頭大臣お答えをいただきました社会教育に対するお取り組みの熱意を裏づけるものにはならぬと思うのでございまして、そういう意味で、もっと抜本的にこの制度や人材の確保の問題、そういうことについて、そして専門職として、学校教育の片手間にやるとかまたはその途中でやるとかということではなくて、社会教育専門職として養成をしていく、そういう態度というものがいま望まれているのではないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  122. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 御指摘の点ごもっともでございまして、財政の裏づけあるいは市町村の実態あるいは住民の希望をよく分析しながら制度も考えていかなければいかぬと実は思っております。国が財政上の援助だけを余りたくさんしてはという先ほど冒頭のお話がございましたけれども、私どもは国の責任というのは、やはり社会教育の条件を整えて差し上げる。それは人の面と物的な面、それの責任を私ども負うておるわけでございますので、各県の社会教育関係の団体もございますし、国の全国的な団体もございますから、実はそういうところに多少の助成金も出しながら、私どもの行政担当と一緒になって事例の研究という形でいろいろな面の分析を現在しておるところでございまして、早急に結論が出るとは実は私お約束できませんけれども、じみちな努力をしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  123. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大臣、お聞きのとおりに、これは基本的に制度の改善も含めて抜本的に取り組まざるを得ない問題ではないかと思います。先ほど来申し上げました社会教育審議会の答申にいたしましても、本当にそれが法改正に至るまで、具体的に、抜本的に取り組まれたのか私は疑問に思えてならないのです。せっかくのすばらしい答申もあります。そしてこの答申が出されてからもうすでに五年以上たっています。そうしますと、新しい国民の意識の変革や社会情勢の変革等にも合わせまして、法改正も含めてこういう基本的な審議というものがなされなければいけないのではないでしょうか。いかがでございましょうか。
  124. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 社会教育が施設の整備と指導者の確保という大きな二つの柱にあることは、これは御指摘を受けるまでもないことでありまして、このことを含めて十分に検討させていただきます。
  125. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 次に施設の関係につきまして若干お尋ねをいたします。  たとえば社会教育施設、いろいろな施設があります。しかしながら最近の傾向といたしましては、国で非常に大規模なものをつくる傾向がふえているのではないか。もちろん、今度国立婦人教育会館が設置されます。国立少年自然の家も第三番目のがつくられているわけであります。こういうふうにして大きな規模のものが国立でつくられる。そのことも結構でありますが、先ほど来申し上げておりますように、地域に密着した社会教育というものが必要だ。そうすれば施設も当然、いつでも、だれでも、どこでもというのは社会教育の言葉だと思いますが、いつでも、どこでも、だれでも使える施設というものが必要なのではないかと思うのであります。そのために私は、いろいろな省庁によってつくられている施設もありますから、それをもっと有機的に活用をして、多目的な施設をできるだけ各地につくるということによって、バスに乗って、または電車に乗って出かけなければ利用できないという施設ではない、多目的でかつ身近な施設、そういうものをたくさんつくる必要があるのではないかと思います。たとえば青少年問題で、文部省として少年自然の家、青年の家、公民館、野営場、図書館等々いろいろございます。厚生省の管轄では、留守家庭児童会の事業があれば、青少年会館、児童館等々ございますし、労働省では勤労青少年ホームというふうなことになってまいります。これらが、たとえば勤労青少年ホームは学生が学校の余暇に使うわけにはいかぬとか、いろいろな制度上の制約があるわけであります。婦人にいたしましても、婦人会館というものを社会教育法ではつくることができる、こうなっておりますが、これとても市町村でできているのはまだ非常に少のうございます。これもより一層幅の広い内容のものを数多く、最近の婦人の社会に対する参加意識というものは非常に活発になってきているわけでございますから、そういうものについての感覚の切りかえというものも必要でございましょう。同時に、労働省では働く婦人の家というものがつくられるようになっておりますが、しかしこれも家庭婦人は使えないわけであります。こういうものをもっと横の連携をとりながら、施設をより有機的に、そしてできればより多目的な内容のものにして、いつでも、どこでも、だれでも利用できる施設というものが設置される必要があるのではないだろうかというふうに思うのでございますが、この点についてはいかがでございましょう。
  126. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 私ども社会教育の立場から申し上げますと、生涯教育の大変重要な一翼を担っているという意識のもとに、各府県、市町村に施設の奨励をいたしております。国としましても、先ほど御指摘のように国立で少年自然の家あるいは青年の家、今度お認めいただきました国立婦人教育会館を建ててきております。これは国立の場合は国だけで独立して運用という気持ちではなくて、その場の、たとえば九州の阿蘇の青年の家は九州全体をネットにしながら、ということは、具体的に言いますと県の青年の家であるとか少年自然の家であるとか、もっと広く言いますと青少年関係団体の活動と一緒になって支えていただく、また活動もしてもらう、こういう気持ちでおります。同じように社会教育施設相互の連携はもちろんでございますけれども、私が先ほどちょっと申し上げたように、学校教育と社会教育の連携が大変大事ではないかと思って、これは答申にもうたわれておりますが、その意味からいわゆる学校教育との連携、たとえば先ほど御質問がございました専修学校と、私どもの婦人学級であるとか青年学級であるとかいうもののつながりをつけながら、青年学級で学んだ人たちがいま少し勉強しようと思って専修学校に行くという形の連係もつけていきたいと思います。と同時に、いま御指摘のように、各省の関係でそれぞれ設置目的は違いますけれども、利用の面で連携をとるべきものはたくさんございます。実は私、この前に青少年対策本部の次長をやっておりまして、そこで各省来てもらいまして、概算要求の段階からどういうものをどういう形で、特に新規の場合には御相談をしてもらいまして、文部省も加わって承知をするし、あるいは御意見も申し上げるという形での連携、協調をする努力をいまずっとしておりまして、具体的に言いますと、たとえば私どもで今度設置をいたします国立婦人教育会館は、もうすでに労働省あるいは農林省、厚生省というところの方々と相談を持ちまして、利用計画もそれぞれお立ていただく、また指導も私どもが担当する分は担当していくという形でのパイプを具体的にもつけつつございますので、足りませんけれどもそういう努力を今後も進めていかなければいかぬ、御指摘のとおりの気持ちでおります。
  127. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 国立の規模の大きいものをつくることがいかぬと言っているわけではないわけです。より高度なものを施設を活用してやっていくということはやはり必要だと思います。しかし、そのことだけで、国はこんなことをやっているのですよという社会教育のPRに使われたということであってはいかぬ。むしろ本当は、そこはあくまでも地域活動をするための研修の場であり、また地域活動を集約したより高度なものを発揮する場であるというふうなこと。それから、なかなか地域では規模が小さいから大きな規模の事業ができない、行事ができないというものに使うとかいうことで、それは大切だと思います。しかし、やはりその基本は地域的な施設でなければいけないのではないかというふうに実は思うわけであります。そういうことで、たとえばそれぞれの地区に、私どもの希望としては、各一中学校区に一つぐらいの文化センターというふうなものがつくられるといいな、これは即座につくれるとは思いません。しかしながら、いろいろな施設があります。たとえば公民館だとか図書館だとかいうふうなものがつくられておりますけれども、このようなものをばらばらに切り割いて補助を出すということではなくて、文化センター的なもっと総合的なものに対して補助がより出やすくするというふうなことも、私は一つの方法ではないだろうかというふうに思うわけでございます。それから事業にいたしましても、生涯教育学習ということで私もどのくらいあるのかと思って書き出したら、青年学級、青年教室、婦人学級、家庭教育学級、乳幼児学級、高齢者学級、成人大学講座、何かいろいろたくさんございます。しかし、これを各市町村、本当に十分消化できるのだろうか。むしろこういうメニューが並んでいることによって、社会教育についてこれだけ一生懸命やっているのですよということが何か見せつけられるような気はするけれども、果たしてどのくらい実効が上がっているのだろう。その一つ一つの補助金の額にいたしましても、青年学級は五万円から二十万円ですか、その三分の一が補助だとか、零細補助金ということの何か筆頭にすぐ挙げられそうな感じのものがずらりと並んでしまうわけであります。むしろ、額ももちろんふやさなければいけませんが、その市町村によってそういう補助金を場合によってはまとめて、そうして集中的にことしはひとつ青年学級に力を入れようとか、ことしは高齢者学級に力を入れようとかいうふうな選択の余地も残される、そしてそれに対してこういう補助金がある程度まとめてもっと使うことができる、そういう選択の余地が、まあ独自でやるのはもちろん選択の余地があるでしょうけれども、やはり国の補助というものを非常に市町村は当てにしてやっているわけでございますから、そういうもっと何か幅の広い弾力的な運用というものが図られる必要があるのではないかというふうにも思うのでございますが、その辺につきましても御検討の余地はございませんでしょうか。
  128. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 第一点の施設の総合的なもの、こういうお話、あるいは身近なところでというようなお話、全くそのとおりでございまして、まさに公民館はそういう意味での市民のあるいは住民のセンターとして発想されたものでございまして、私どもは最近の状況が少し大きなデラックスなものに流れ過ぎておるのではないかという実は反省も持っております。したがいまして、小学校区域あるいは中学校区単位ぐらいにできていくものに対して補助金の配分の場合には、やはり私の方針として重点を当てながらいきたいと思っております。ということは、逆に言いますと、大きなものにつきましては若干補助金の占める率が落ちていくことにも相なりますけれども、そこら辺はその方がいいのではないかと思っております。と同時に、御指摘のように社会が急激な変化をしておりますので、住民の学習意欲が非常に多様多岐化いたしております。それを受ける施設というのが、具体的な問題でなくて感じとして間仕切りが余りあってはよくないということで、総合的な社会教育センター的なものを、生涯教育センター的なものをという声が実は上がってきておりまして、将来の問題としてこれは予算の面でも取り上げるべきではなかろうかという気持ちで現在検討中でございます。  それから生涯教育の学級講座の御指摘でございますが、実は従来は青年学級幾ら、婦人学級幾ら、こういう形で責少年教育、婦人教育、高齢者教室、こういう形でかきねがわりと高い予算の仕組みと運用をいたしておりましたが、五十二年度予算の構想の中で生涯教育の充実促進ということで、御指摘のようにある市町村は計画的なものが必要でございますけれども、思いつきではいけませんけれども、計画的に高齢者に相当手を当てていきたいという場合に多少の流用、かきねが低くできるような形で実は運用いたしておりまして、各市町村から見ますと積算はございますけれども、丸い数字で袋をつくるという、地についた、ポイントを当てたような仕事ができるような配慮をしつつございまして、五十二年度からそれはもうやっておりますから、その方向で今後も額の充実とそういう思想の充実を図っていきたい、こう思っております。
  129. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ありがとうございました。時間がほとんどありませんので、社会教育につきましては以上で終わらせていただきたいと思います。  次に、学校の施設または備品等につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  先般、文部大臣に就任されましたときにことしの予算の中心といいますか、重点に、体育の振興ということをお触れになったと思うのでございますが、特にそのために設備をより一層整えていきたい、また学校区の施設等も利用して地域の体育を振興させていきたいということをお触れになったと思うのでございます。そのことに関連をいたしまして、ちなみにその学校の体育施設の普及度を調べてみました。  若干資料が古うございますが、四十九年度で大阪府下の都市でございますと、屋内体育館は八二・四%設置されております。プールが五五・七%。これが東京都下の都市になりますと、屋内体育館は八八・五%、プールは九三・二%になってまいります。これは小学校です。中学校ですと、大阪府下ですと体育館が八七・一%、東京都下は九一・七、プールが大阪は六五%、東京都下は九二・四%。大体において東京都下が体育館、プールの設置率がずいぶん進んでいるようでございます。できればこういうものがより一層、単に校舎だけでなくて、先ほど来社会教育の問題で触れてまいりましたけれども学校の施設、特に屋内体育館やプール等につきましても地域の皆さんの利用にも活用できる、そのようなものが、まあ小学生が使うプールを一般社会人が使うとなるとこれは深さの関係等でちょっと問題があると思いますけれども、中学のプールなどはその活用は十分できるようになるかと思うのですが、そういうようなことについてより一層、こういう施設をできるだけ効率的に使うという意味で設置が望まれるわけでございますし、それから特に都市部はこういう体育のための自然というものが少ないわけでございますから、こういう施設はより一層必要で、またこういう施設を独自でつくるという土地が非常に少ないことも事実でございます。学校施設を有効に使うということがそれだけ望ましい、またそうせざるを得ないものがあると思うのでございます。そういうことで、学校の施設として私は校舎、そして体育館、プール、これこそ学校施設のまさに三要素だというふうにいつも申し上げるのでございますが、大臣そういうことでよろしゅうございましょうか。
  130. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 先ほど来いろいろ申し上げております中で、やはり私は学校教育というものは知育、徳育、体育、この三つが調和がとれて心身ともに健全な日本国民の育成が目的であると申し上げておりますが、そういう意味からまいりますと、やはり教室と体育場とそれからプールも、これはやはりすべての学校にあるのが望ましいということで年々整備をしておるわけでありまして、御指摘のようにこれは学校に必要な施設であるという理解は同じでございます。
  131. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そこで、私どうしてもここで改めてお願いもしそして触れておきたいのでありますが、そういう観点から現在人口急増都市等に関する施設建設の補助が出ているわけでございますけれども、まず第一点は、人口急増都市対策として、五ヵ年の時限措置ではございましたけれども、校舎については三分の二の補助が出される。しかしながらプール、体育館につきましては非常に補助率が少ないわけです。私はこれはむしろ校舎以上に、社会教育的な観点から考えても、また人口急増都市で体育施設をほかにつくることが非常にむずかしい状態等を考え合わせても、この体育館についてそれからまたプールについて来年度から校舎並みの補助というものができないのだろうか。そのためにひとつせっかく御努力をあわせてお願いをしたいと思うのでございます。  それと同時に、校舎につきましては用地につきましての三分の一の補助は何か去年ですか、その時限措置が切れて、そしてまたあと五年間延長されていると思いますが、校舎につきましては今年度で期限が切れるかのようなことを聞いておりますが、これについては引き続いて用地と同じように延長していただけるというふうに考えてよろしゅうございましょうか。
  132. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 本来義務教育の建物を補助率二分の一というのがたてまえでございますけれども、急増地域につきましては校舎と屋体につきましては特別三分の二ということでまいったわけでございます。その状況は急増地域における必要の情勢というものがまだ変わっておりませんので、来年度も引き続き三分の二を維持するように今後努力してまいりたいと思っております。
  133. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それは校舎についてということでございますね。
  134. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 校舎でございます。
  135. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大臣、実情は校舎のみが三分の二の補助ということになっておるわけでございますが、先ほど私が申し上げましたように、来年度からも校舎について三分の二の補助が継続されるということでございましたら、体育館、プールにつきましても格段の措置を私はお願いをしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。これは大臣としてのよほどのあれが必要であることは私も正直言って認めますが、せっかくの御努力をぜひお願いしたいと思います。
  136. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 急増地域の緊急な必要性ということに着目をしまして、とりあえず一番もとになる校舎についての措置をとっておるわけでございまして、おっしゃることの内容も意味もわかりますので、その考え方がいいとか悪いとかの議論はすべき問題ではございませんしする必要もない問題でございますが、ここから先は政府部内の問題でございますので、私ができるだけ努力をさせていただくということで御理解をいただきたいと思います。
  137. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 一番冒頭申し上げましたように、このような教育施設にかかるお金が地方財政をどんなに圧迫しているか。これはどんなに圧迫したって教育の重大性を考えればいいわけでございますけれども、しかしもっとほかにも大切な仕事もございます。そういうことを考えますときに、大変厳しい財政の状況の中ではあるけれども、これらの諸問題についてやはり真剣にお取り組みいただくということ、このことが私はいま緊急に望まれていることだと思うわけでございまして、超過負担の解消等に文部省が大変御尽力をいただいていることは私もよく承知をいたしております。それがかなり実態に近づいてきたことは認めるのでありますが、やはりこれらにつきましてなお問題が残されているわけでございまして、大臣、大変むずかしい顔をされましたけれども、本当にこれらのことにつきましては格段の御努力を私はお願いしたいと思うのであります。先ほど来東京、大阪近辺の設置率を私申し上げましたけれども、やはりまだまだ全校にということが行き届いておりません。このことを考え合わせまして、私はぜひそのことをお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  それから、時間がございませんからいろいろはしょるようで申しわけありませんが、ただ一点、きょう運輸省の方からもせっかくお越しをいただきまして、ちょっとお尋ねをしたいと思います。  私、先般当委員会お尋ねをいたしました。大阪国際空港にエアバスの乗り入れがいよいよ明日からですか、行われようとしております。エアバスの騒音は低いということでございますが、やはり排ガスの問題とかいろいろ問題点があるということは公害環境特別委員会等で集中審議もなされたところでございますが、たまたまここにちょうどその飛行機の進入直下にございます豊中市立野田小学校という学校、そこで子供たちが非常に騒音に痛めつけられて勉強しているわけであります。これは野田小学校だけではございませんけれども、ほかの近隣の学校もございます。これについてぜひ早急に文部省としても調査をされて、そうして運輸省と連携をとってこれが対策に万全を期してほしいということを先般の当委員会の質問でも私はお願いをしているところでございます。文部省としてはどういうふうなことでございましょうか。
  138. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 国際空港の周辺の騒音対策につきましては、文部省としてもかねてからいろいろ調査をし状況を把握しつつ特に国際空港の場合には運輸省と御連絡をとってその措置に万全を期しておったわけでございますが、いま御指摘の野田小学校につきましても騒音防止設備、施設が一応完了いたしまして、なお今回は改めて新しく暖房の関係、これは窓を閉め切りますと暖房すると空気が悪くなりますので、そういう関係も今後やろうということで着々進められておる、そういうふうに承知いたしております。
  139. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ところが、冷房したのはいいけれども、あのバルブの調節するところは一カ所なんですね。学校という細長い建物であったり、集中的な管理がむしろ不適当な施設で、そして調整するところは一カ所なんです。ですから非常に寒い、冷房によって非常に寒くなる教室と、行き届かなくて相変わらず暑い教室とある。暖房についていままでストーブをたいていたようですけれども、それについては何か新たに取り組まれるというお話がございました。またそういうことによって、せっかくそういう施設をやっていても結局窓をあけざるを得ない。窓をあければ騒音そして排気ガスが窓から入ってくる。何の効果も生じない。そしてむしろ非常に寒かったり効果が上がらなかったりすることによって、子供たちが逆に健康を損なうという事例もすでに出てきているわけであります。そういうことについて、暖房にいたしましても、これが暖房設備をつけると言うけれども、非常に暑いところと全然効き目がなくて相変わらず寒いというところがまたいまのままであれば出かねないわけであります。これはほとんど運輸省の措置でなされるわけでありますが、維持管理費は運輸省でなさっておられるのではなくて、自治体、学校設置者の負担になっていると思います。こういうものもある意味では超過負担ということであります。これらの国の施策等によって受ける被害については、やはり原因者がはっきりと負担をすると同時に、子供たちの生活環境、教育環境というものを踏まえて、それが阻害されないことをきちんと保障するという前提に立たなければ、おざなりなやり方では問題があると思うのでございまして、そのことにつきまして、運輸省からお越しいただいておりますので、梶原部長にお願いしたいと思います。
  140. 梶原清

    ○梶原説明員 空港周辺におきます学校等教育環境を航空騒音から守りますために、昭和四十二年に航空機騒音防止法を制定していただきまして、その騒音防止法に基づいて、教育施設等の防音工事費の助成をいたしておるわけでございます。  大阪国際空港周辺につきましては、昭和四十二年度から昨年度までの十年間に二百七億の国費を投じて防音工事の助成をいたしてまいりました。防音工事のほかに、四十五年度からは冷房換気のための除湿工事、五十一年度からは暖房換気のための温度保持工事をやっておるわけでございますが、御指摘の野田小学校等におきましては、集中管理方式の冷暖房をやっておりますために、各教室ごとに調節ができない。したがいまして、実態面で適切を欠く実情にあるということは十分承知をいたしておるところでございます。そこで、私どもとしましては、予算上の諸制約がございますので、当面は現用機器の調整とか改修等によりまして対応をしたいというふうに考えておりますが、将来、実態に沿いますように、性能面でも検討、調査を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、維持管理費等につきましては、騒音防止法上国が助成するということが非常に困難でございまして、現在のたてまえとしましては、航空機燃料譲与税を各都市に譲与いたしておる実態にかんがみまして、地方公共団体で御負担をいただきたいということに相なっておるわけでございます。この点につきましても御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
  141. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 すでに夏が近づいてきております。また子供たちが冷房施設の問題で悩まされると思います。どうか早急に子供たちの教育環境を守るという立場で、ぜひ運輸省としてもなお一層の御努力をいただきたいと思います。  いま私は野田小学校の例を申し上げましたけれども、ここだけではないわけです。こういう事例がすでにその周辺では幾つかの小学校、中学校、もう野田小学校の隣には中学校があるわけですし、飛行機が離陸をする兵庫県側につきましてもやはりそういう問題があるわけでございまして、これは航空機公害だけではございません。その他の公害激甚地の中にある学校教育環境を守るという観点から、総合的な実態調査というものも含めて、文部省としてもぜひ御努力いただきたいと思います。  時間が来ましたので、もう一点だけで終わらせていただきたいと思います。  理振法というのがございますね。これも学校の備品に関連をしたお尋ねになるわけでございます。教材等につきまして文部省としてもいろいろ御努力をいただいているところでございますけれども、こういう中学校のと小学校のとそれぞれ学校に渡されております資料がございますね。これに、たとえば中学校理科教育等設備台帳、小学校の設備台帳、それぞれあるわけでございますが、これに基づいて理科教育に関してのいろいろな備品、教材等の補助をなされていると思うのでございます。これも私、先日お聞きいたしましてびっくりいたしました。ここに設備基準単価が書いてあるわけですが、いろいろな品物の値段が書いてあります。この値段が実態に即してどういうことになっているとお考えでございましょうか。私がちょっと聞いたのでは、生徒用の顕微鏡で一万三千円とここに記載をされておりますが、実際には三万円以上するのではございませんでしょうか。それから天体望遠鏡二万五千円と記載されておりますが、実際は五万円以上するのではないかというふうに思うのでございます。  時間の都合で、私端的に問題点だけ申し上げますが、そういう問題点が現実にはある、これは多分お認めになると思うのでございます。たとえば大阪でそれではどういう措置がなされているかといいますと、そしてこれは生徒数に応じて何を何個という基準がまた決められておりますね。そういたしますと、これに基づいて各学校からいまこれだけのものがありません、足りないものを買ってほしいと市の教育委員会を通じて出します。それをまとめて、大阪府の場合ですと大阪府教委で購入をするようでございますが、現在の運用を私お聞きしてみましたら、この基準単価の三倍以上実際の値段がするものは買ってもらえないということでございました。それでは、三倍以下のものであれば、その差額を大阪府で補てんをして買ってくれるのかと聞きましたら、いやそうではなくて、数が三分の一なり二分の一なりになるということで、総枠の金額は変わらないという実態を聞きました。なるほど法律を見ますと予算の範囲内でと書かれております。社会教育法を読んでみましても、予算の範囲内でと書かれておりましたし、まあ文教予算というのはすることができるという文章がまた何と多いことかと思いましたが、そこですべてしり抜けになっておるわけでございますけれども、やはりこうしてあるべき備品だと決められているならば、もう少しそれに即したやり方があるのではなかろうかというふうに思った次第でございまして、これらについてお考え直ししていただくわけにいきませんでしょうか。
  142. 諸沢正道

    諸沢政府委員 昭和五十二年度の小中学校の理科教育設備整備のための国の補助金がたしか二十八億程度であったかと思いますが、いま御指摘のように、その補助の仕方は、国におきまして必要な品目、その学校規模に応じた数量、その単価ということで示してあるわけでございまして、現在の単価は四十五年当時の物価を見て決めたものでございますから、おっしゃるように、品物によりましてはとても現在その値段では買えないというものがあることは事実でございましょう。  そこで、実際の運用としてはいま申されましたように、必要な品物について県から申請が出てき、その単価はこれこれということで、必ずしも基準にとらわれずに現在の市価をにらんできておるわけでございますから、その価格について特に適正を欠くようなものでない場合はそのまま認めて補助をするということにいたしておるわけでございます。ただ、予算に限度がございますから、実際問題として非常に高価なものをたくさん一遍にそろえるということになりますと、全体の均衡、バランスもございますので、それぞれの県等において制約をしておるという事実もあろうかと思います。  そこで、このようなやり方を今後どういうふうに改善していくかということでございますが、たまたま御承知のように、現在小中学校の学習指導要領を改定いたしておりまして、小学校につきましては五十五年から本格的実施に移るわけでございますが、そのような学習指導要領の改定に伴いまして、学校において具体的に使います理科設備の内容、数量等ももう一度再検討するということで、この指導要領が完成し次第今度はそちらの方の作業に着手するわけでございまして、そういたしまして、その内容の改善を図りますとともに、今後また、その指導要領の実施に必要な設備を何年くらいの間にどのくらい充足するかという計画を同時に立てるわけでございまして、それに応じた予算を年次計画をもって準備をするという作業にかかりますが、最初に申しましたように、これは予算の補助でございますので、現実には財政当局との折衝にかかってくるということでございまして、端的に申し上げますならば、今後われわれといたしましては、この辺の予算の一層の拡充、充実を図ってまいりたい、こういうことで対処していきたいと思うわけでございます。
  143. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 これから再検討されるそうでございますが、そのときにぜひあわせてお願いします。何か聞きますと、三年ほど前に、この指導要領から静電気ですとか音につきましての内容が中学校で外されたようでございますね。しかしながら、この中には、その静電気とか音について勉強をする音叉の類ですとかモノコードだとか発電棒であるとかというようなものが相変わらずそのまま載っかっておるわけですね。これはたしか理振法の設備基準というのはことし改定をされたようにも聞くのでございますけれども、そういう指導要領から外された科目に要る備品がまだここに入っておったり、本来買わなければいけないのに買うだけの補助が出されていなかったり、何か非常にばらばらなように思うのです。理科教育振興、これは聞くところによりますと議員立法だそうでございますが、しかしその重要性はいまだに変わらないし、ますます強くなっていると思います。そういうことで、早急にこの内容につきまして再検討をし、そして実態に即する措置をしていただきたいのです。この充足率というものは各学校平均をいたしますと大体五、六〇%という実態だというふうにも聞いておるわけでございまして、早急な改正が必要だと思いますが、それにつきましてお取り組みいただけますでしょうか。
  144. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、今回の学習指導要領の改定を機にいたしまして、新しい学習指導要領に即応した設備の基準をつくって充実を図ってまいりたい、かように思うわけでございます。
  145. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ぜひそのように早急にお願いを申し上げたいと思うのです。  時間が少々超過をいたしまして失礼いたしましたが、大臣に最後にお願いをいたします。  冒頭、社会教育の問題についてお尋ねをいたしました。社会教育法の再検討、そして社会教育そのもののこれからのあり方についての抜本的な対策、再審議、そういうふうなものについて格段の御検討をぜひお願いしたいのと、それから学校等教育現場におけるこういう設備、備品等につきましては、私が指摘しなかった問題でまだまだ——人口急増都市の問題を取り上げましたが、僻地等でまだたくさん問題があろうかと思います。総合的な文教財政の拡充、そしてまたその中になりますが社会教育費の拡充、これらは大変問題が大きゅうございますけれども大臣の決断と御努力にすべてがかかってこようかと思います。そのことにつきまして、ぜひ御努力のほどをお願い申し上げたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  146. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 十分に検討させていただき、御趣旨を生かしながら、私もできるだけ努力をさせていただきます。
  147. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 どうもありがとうございました。
  148. 藤尾正行

    藤尾委員長 梶原説明員に申し上げますが、あなたの答弁中、現実にあなた方が措置しておられる施設というものの不備をお認めになった発言がございました。これは私は非常に重大な問題であろうと思います。それだけの不備をお認めになられるなら、直ちにその不備を解消すべき努力をやられなければ、これは国民的立場から困ります。どのようにされますか、お答えいただきたい。
  149. 梶原清

    ○梶原説明員 鋭意検討、努力をいたします。
  150. 藤尾正行

    藤尾委員長 直ちにその不備を直しなさい。よろしゅうございますか。      ————◇—————
  151. 藤尾正行

    藤尾委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  文教行政の諸施策に関する小委員会において、不良雑誌等の社会教育上青少年に及ぼす悪影響に関する問題について、来る二十五日参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの小委員長からの申し出がございます。  つきましては、小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選で、その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十六分散会