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曽祢委員 私は民社党を代表いたしまして、本法案に対する賛成の
意思を表明させていただきます。
本法案の中で、実質的に本
委員会において問題になりましたのは、
大学入試センターだけであると言っても過言でないと思います。私、これに賛成するゆえんのものは、先般の一般質問の際にも言及いたしましたように、現在の
受験地獄の悲しむべき世相の中において、その諸悪の根源が
大学入試のゆがんだ姿にある、
大学入試が現実から見まして難問奇問、とうていこれでは普通の
高校の
教育の履修した課程だけでは突破できないようなものに偏向している。それが
大学入試そのものをどうしても予備校とかあるいは進学塾に行かなければならないようにし、それがひいては小
学校の入学、
入試まで家庭教師や塾に通わなければならないという弊風を巻き起こした最大のポイントであるからであります。
同時に、
入試そのものを小
学校まで曲げただけでなく、
教育そのものに悪い
影響を及ぼしていることは、これまた私の質問の中で一例として挙げましたわが国の小中
学校あるいは
高校における英語
教育を
一つとってみても、いかに
入試の
内容のゆがみが
教育そのものを偏向させ、
学校で履修した英語が全然役に立たないということにもあらわれているわけであります。
以上のような観点から見まして、むろん
大学の
入試の
改善そのものが
大学改革という非常に大きなテーマの全部でないことは当然でありますが、この際、
大学改革の一環としてまず
大学入試の
改善に取り組むことは十分な合理性があると思うからであります。特に、
大学の中心とも言うべき国大及び公立
大学が珍しいことに一致して数年かけてここまでやってまいりました
大学入試の一次、二次を一本化する、そして
共通の
テストをやる、これは画期的な出来事であり、そのイニシアチブをわれわれは大いに支援し、そしてこれを奨励していかなければならないと思うのであります。もとより、
人間のすることでありますから、試行錯誤と言っては余りに言い過ぎかもしれませんが、今回の
入試に関するいろいろな研究は五十四年まではまだ予備
テストの
段階であります。これを奨励しながら、五十四年に
実施するまでには、
テストによって、やるときには試行錯誤ということを言われないような完全を期すべきであろうと思います。そのためには、この際、ゴーの信号を与えてやることが特に必要ではないかと思います。
ただし、私は特に強調したいのは、一次と二次とをどういうふうに絡ませるか、これは基本的な問題でありまして、一次
試験がとかく
マークシート方式によるために、ごく限られた
能力の
テストにしかならない、かといって、二次
試験で余りまた学科をふやしたならば、結局
受験者の
負担を多くするだけである、一種の二律背反みたいになるむずかしい問題がありますが、これらの点を十分に
検討して五十四年によきスタートを切ってほしいという希望を含めまして、賛成の意見を表明したいと思うわけであります。
加えまして、この後で恐らく附帯決議が上程されると思いますが、私はこれに関連して一言申し上げたいのは、われわれはこの附帯決議に賛成し、その趣旨は、この
入試テストが非常に重要な問題であるので、文部省は本
委員会にすでにあらわれた、また今後もあらわれるわれわれの意見等を
実施に当たって十分に考慮に入れていくべきである、これは当然なことだと思うのでありますが、しかしそれはわれわれが立法府の立場をわきまえた態度を持っておること、さらには
大学自治というものに介入する、それを妨げるという意味では毛頭ない、またわれわれの老婆心というものでありまして、事態の進行を不特定の期間とどめる、凍結するという意味では私は賛成しておらない、この点を明確にいたしまして討論を終わります。(拍手)