○山原
委員 こういうふうにばらばらに行っておる。在外公館、そういうところあるいは商社などの子弟の
教育が中心ではなかろうかというふうに思って、私見ておったのです。
そこで、私は
一つの例でパラグアイの問題をちょっと出してみたいと思うのです。日本の
政府の移住民に対する
教育と、ドイツの場合、これは西ドイツでありますが、格段の違いがあるんですね。その一例としてパラグアイ国の場合を申し上げたいと思うのです。
私は、三年前にちょうどIPUの
会議がありまして、ブラジルへ各党の議員の皆さんと一緒に参り、ブラジルのイグアスからパラグアイへ短時間入った経験がありますが、ここには日本人がずいぶんたくさんおるのです。もちろん、これはパラグアイ国籍ではありません。この国はパラグアイ国籍を取ろうとすれば取れる国でありますけれども、皆日本人として生きていきたいという
考えを持っていますし、また、パラグアイ国籍になりますと、日本に墓参りに帰ってきたりする場合にも少しややこしい問題などもありまして、ほとんど日本国籍を持っておる日本人であります。そこで約一千世帯の日本人がおるのですが、私の聞きましたところでは、パラグアイに二十五万の日本人がおると聞いておるのでございますけれども、そこで
学校が幾つあるかということで、これは国際協力事業団の出しております「パラグアイ国イグアス移住地案内」というのを見せていただきました。そうすると、ここにはスペイン語
小学校、これは現地人と日本人と一緒に学んでおるところですが、ここに
一つ、マリスカルロベスという
学校ですが、日本人がここで百名ということになっておりますが、中身を調べてみますと、いわば午前、午後の二部に分かれましてスペイン語を教えておるのですが、
本当に中身としてはお粗末なものだと思います。また、パラグアイ国そのものが
教育の普及度は非常に低いわけでして、そういう状態です。日本語の
学校があるかと思って調べてみますと、これは現地の日本人の移住民の自治会がやっとこさつくっているのがイグアス日本語
学校というのがあることはあることになっているのですが、
実態はイグアス
小学校で百三名の
生徒、イグアス中
学校で二十八名の
生徒だというふうに
紹介をこの本にはされておるわけであります。
ところで、このイグアス移住区、これはパラグアイ国イグアス移住区でありますが、ここは入植をしまして満十六年。そして、ここだけで日本人の家族が百七十家族イグアスにあります。こういう状態で、自治会が
学校らしきものをつくっているとは言うのですけれども、恐らくカリキュラムはありませんし、
教育らしいものは行われていないという状態であります。それが
実態だと思います。これだけ日本人がおるにもかかわらず、国として何らの措置がとられていない。いまこの移住者の中の一番の要求は、農業技術と経営、それと
教育の問題です。日本人の
先生が欲しいと言うわけですね。現在、子弟は、もう一番最初連れていった子供
たちは大体二十歳になっていますが、どういう状態に置かれているかというと、日本語とスペイン語のチャンポンです。中途半端でございまして、パラグアイの高等
教育を受けようとしても
言葉がわからないためにこれも中途半端、では日本へ送り帰して
教育を受けようと思っても、日本語が中途半端で日本の
教育にはついていけない。これが最大の悩みですね。今日の農村の不況の中でパラグアイまで移住しておる人
たち、この人
たちは日本全国にまたがっています。北海道、岩手が一番多いのですけれども、全国にまたがっておるわけでありますが、この人
たちの要求は
教育です。これらの親
たちは皆日本の
教育を受けて行っていますから、
教育に対する熱意とかそういうものはものすごくあるわけでして、
先生がいないということに対して非常に大きい要求を持っているわけであります。
ところで、この状態の中で、岩手県がたしか二人の
先生を送っているというふうに踏み切っているようであります。私の高知県の場合、いま県議会が開かれていますが、今度三百万円の
予算を知事はつけまして、たとえば現職の農業高等
学校の教頭クラスの人をできれば送りたいという見解に立っているようであります。いま県議会が行われている最中ですから、恐らく決まるだろうといわれておりますが、いわばこういう貧弱な状態ですね。まさにいま
局長が答弁になりましたように、もう各県任せ、国として日本人をどう教えていくかということの欠如ですね。私は、その点でいままでの
考え方を変えなければならぬ、こういうふうに思うわけです。
では、西ドイツの場合はどうかといいますと、ここパラグアイにおきまして大変に
教育を重要視しておりまして、高等
教育を授けるわけですね。したがって、パラグアイ国におきまして、西ドイツの人
たちが官庁その他で、もう支配をするというところまでいっているそうです。農業技術の面でも経営の面でも
教育の高さの面でもかなわないわけです。こういう差が生じてきておるというのが現状でございます。
そこで、私の提案でございますけれども、まず第一番に、教科の編成ができ、
教育の
計画の見通しができるような、パラグアイだけではないと思いますが、
世界各国にどれだけの移住民が日本から行っているかはよくつぶさにはわかりませんけれども、これに対してそういう対策を
考える必要があるということが
一つであります。
それから、各県任せでなく
教員の数をふやしていくということ、そして国の
補助制度を確立をしていくということが必要ではないかというふうに
考えるわけでございます。こう言っています。「無学な、開拓だけは知っている日本人がつくられても、移住そのものの成功はない」と現地の人
たちは言っているわけでございますが、
文部省としまして、外務省とも相談をしまして、この海外派遣
教員の
実態をまずお調べになって、いままでのように各県任せでなくて、
文部省として、日本人をこう教えるんだということを明確
にしていただきたいのでありますが、この点はいかがですか。