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1977-07-25 第80回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年六月七日(火曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  連鎖販売ネズミ講等調査小委員       加藤 紘一君    片岡 清一君       中村  靖君    堀内 光雄君       金子 みつ君    武部  文君       宮地 正介君    米沢  隆君       藤原ひろ子君    依田  実君  連鎖販売ネズミ講等調査小委員長                 片岡 清一君 ————————————————————— 昭和五十二年七月二十五日(月曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 西宮  弘君    理事 青木 正久君 理事 加藤 紘一君    理事 片岡 清一君 理事 武部  文君    理事 中川 嘉美君       友納 武人君    中村  靖君       堀内 光雄君    中村  茂君       野口 幸一君    馬場猪太郎君       石田幸四郎君    宮地 正介君       藤原ひろ子君    工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  委員外出席者         経済企画政務次         官       森  美秀君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁物価         局審議官    柳井 昭司君         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         農林政務次官  羽田  孜君         食糧庁総務部長 小野 重和君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 七月二十五日  辞任         補欠選任   依田  実君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     依田  実君     ————————————— 六月九日  一、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(消費者米価問題等)      ————◇—————
  2. 西宮弘

    西宮委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤紘一君。
  3. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 生産者米価がこの間決定されて、いよいよ消費者米価の季節になってきたわけです。  もちろん消費者米価を上げますと物価影響いたしますし、同時に政府食管逆ざやという問題等々含めて複雑な様相を呈しておると思いますけれども、聞くところによりますと、土曜日の日にですか、大蔵、経企農林、それから官房等が集まりまして、消費者米価の値上がりを九・八に一応政府方針として決めた、こういう中で政府内部にもかなり立場の違いがあったように思います。  そこで、まず最初に、農林省の側としては消費者米価というものについてどういうお考えでその会議に臨まれたのか、その辺からお伺いしたいと思います。
  4. 小野重和

    小野説明員 生産者米価が先週最終的に、基本米価でございますが、四%の引き上げに決まったわけでございます。これを受けまして、消費者米価すなわち米の政府売り渡し価格、これをどうするかということでございますが、現在、米の買い入れ価格売り渡し価格との間には大幅な売買逆ざやがある。今回の政府買い入れ価格改定前の状態で申し上げますと、額にして三千百二十一円、率にして二三・二%、こういう逆ざやがあるわけでございます。この売買逆ざやというものは、食管の運営上も農政上もまた財政上もこれは問題でございまして、これを段階的に解消するというのが方針でございます。昨年の売り渡し価格改定の際に、政府といたしましても五年間で段階的に解消するという方針を決めておるわけでございますが、本年度はその第二年目ということになるわけでございます。  そこで、この売買逆ざやあと四年間で解消いたしたいということで私ども考えておりまして、そういう立場からいたしますと、政府買い入れ価格が四%引き上げになるということになりますと、まずその売買逆ざやの不拡大ということになりますと、それは四・九%売り渡し価格引き上げなければいけないということになるわけでございます。これにさらに二三・二%の売買逆ざやの四分の一、つまり五・八%、これを加えたものを引き上げるべきではないか、合わせますと一〇・七%という数字になるわけでございますが、この引き上げをいたしたいということで政府部内で調整をいたしたわけでございます。大蔵省は——ここに大蔵省おりませんが、去年の段階で五年間解消、五年間で売買逆ざや解消するということでございますから、しかも去年は二%の逆ざや縮小にとどまったということから、その二年分の、細かくなりますけれども、五分の一プラス去年の積み残しということになりますと、五分の一マイナス二%、それの約半分というようなことで一一・五%というような別な数字をもちまして企画庁と御相談するということにいたしたわけでございますが、企画庁こちらにおられますからあれでございますが、結局、ぎりぎり一けたか二けたかというようなことになりまして、九・八%という売り渡し価格引き上げで米審に諮問したいというようなことで、決定の運びに至ったわけでございます。その逆ざやの問題、それから物価の問題、総合的に判断いたしましてそういうような結果になったということでございます。
  5. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 経済企画庁にお伺いいたしますが、本年度の九・八の消費者米価値上げは、政府物価抑制目標に支障のない範囲だと思われますか。
  6. 藤井直樹

    藤井説明員 五十二年度消費者物価目標は七・七%ということに置いていろいろ物価対策を進めておるところでございます。その中で公共料金について、公共料金から物価を押し上げる寄与度といいますか、これについては二%程度ということをかねてから考えていたわけでございます。ことし七%台に持っていくことは、従来から見るとかなり下がったことになるのですが、やはりその中で公共料金が、五十一年度には約三・一%の寄与度でございましたので、それを二%程度にするということは、全体の物価引き下げに非常に貢献するだろうと思うのでございます。  その中で、それでは米の問題はどうかということですが、米の問題は、特に新旧基準の変更がございまして、御承知のように、米に対する支出ウエートがだんだん下がってきているということもあって、ウエートがいま大体一万分の三百くらいでございますけれども、その中で計算いたしますと、大体〇・三%程度影響が出るだろう、こう思っているわけでございます。そういたしますと、その他の現在までの、電電公社基本料金が四月に上がったとか、都市交通料金が五月に上がったとかいうようなこと、それからその他地方団体等公共料金引き上げの状況を見まして、この二%程度の中におさめることができるというふうに判断をしております。そういう意味で、全体の目標を達成する上におきまして、今回の米価引き上げを行うことが非常に影響するということは私どもはないと思っております。  ただ、何と申しましても米というのは食生活基本でございますから、やはり他の物価への影響も大きいというふうに思われますので、できるだけこの値上げ率は下げていくべきであるというふうに思いまして、昨年は一〇・二%であったわけですけれども、それをともかく一けたに持っていくというようなことでやってまいりたい。そして標準価格米のようなものはさらに下回る率にしたいということでいろいろ折衝いたしまして、全体として九・八%、標準価格米は九・五%ということになったわけでございます。
  7. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そうしますと、売買逆ざや縮小する、そして本年度としては実は五・七ないし五・八を上乗せしたがったけれども、種々の事情でそれができなかった。そうすると、あと残り年度分についてかなり積み残しが起こってきたわけですね。それをあと三年内に解消していくんだという方針には、相変わらず変わりはないということですか。政務次官、お答えいただきたいと思います。
  8. 羽田孜

    羽田説明員 御指摘のとおりでございます。今年あれした分につきましては、毎年毎年平均してあれするということよりは、目標を定めまして、その間に物価ですとかあるいはいろいろな経済事情というものをしんしゃくしながら目的を達成していこうということでございますから、いま御質問のとおりでございます。
  9. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それに関連して一つ二つ問題をお伺いいたします。  それは、本年度消費者米価値上げというものが九・八だ。その中のいわゆる逆ざや解消分が幾らあるかどうかの話は一般には余りわからないのでありまして、何となく、生産者米価政治加算された、二・五%の諮問に対して実質四・六%の値上げになった、その分の政治加算のツケが国民消費者の方に回されたのではないかという議論がございます。そして生産者米価決定の内容、生産費所得補償方式というものは勝手に変えられたのじゃないかという各種の論調がありますけれども、それに対して、その方式というのはちゃんと理論的にしっかりしたものであります、いいかげんな政治加算ではありませんと言う自信がございますか。食糧庁にお伺いいたしたいと思います。
  10. 小野重和

    小野説明員 今回の米の政府買い入れ価格決定に当たりまして、政府諮問は二・五%の引き上げでございましたが、これに一・五加わりまして四%ということになったわけでございます。これは現在とっております生産費及び所得補償方式、これの積算に関することでございまして、若干細かくなるかもしれませんが、申し上げたいと思います。  今回の政府買い入れ価格諮問に際しまして、これは実は去年の政府買い入れ価格決定に関するいろいろな経緯、これがまず基本にあるわけでございます。と申しますのは、去年の政府買い入れ価格決定に際しましては、その前年、すなわち五十年でございますが、五十年の生産者米価引き上げ率は一四・四%であったわけでございます。ところが、去年はその五十年方式をそのまま採用いたしますと、実は一・九%にしかならない、こういうことでございまして、これでは余りに急激なショックを与え過ぎるということで、幾つかの要素、具体的には五つ要素があるわけでございますが、この五つ要素を加えまして、結局は六・四%の引き上げになったというのが去年のいきさつでございます。  それで、本年の生産者米価決定に際します私ども基本的な態度と申しますのは、現在、米が過剰を強めているということでありますので、生産刺激的であってはいけないということがございますが、一方では、さればといってこれをあえて抑制するということも本年の場合いかがか、こういうことでございまして、農林大臣は自然体とか正姿勢とかいろいろ申しておりましたが、要するに、前年方式基本的に踏襲するということですが、これは生所方式の一定のルールというものがございますので、ルール範囲内で前年方式を踏襲するということなのであります。  それで、先ほど五つ要素を積み上げたと申しましたが、そのうちの三つの要素につきましては、これは前年の方式をそのままとるということで諮問案に盛り込んでおりますが、あとの二つの要素、具体的に申し上げますと、これは後で御質問があれば詳しくお答えしますけれども賃率調整とか金利、その辺の問題でございます。これにつきまして、これは去年行いましたような措置をことしはとらないということで諮問いたしたのでございますが、そういうことになりますと、やはりショックがちょっと大き過ぎるのじゃないかというような御指摘もございまして、賃率調整なり金利についてさらに調整を加えまして、その分が一・五というようなことでございます。  したがいまして、政治加算とかいろいろ言われますけれども、まあ一・五%を加えて四%ということに決定したことにつきましては、それはそれだけの理由があるというふうに私ども考えます。
  11. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 私は、国民生活必需品、特に主食みたいなものを政府が行政で決定するということの結果、本質的にどうしてもこれは政府決定かなり不満が消費者及び生産者の中に出てくるのだと思うのです。もちろん、たとえば生産者米価引き上げ政府財政で責任を持ちます、消費者米価引き下げ政府財政である程度見ますということになれば、それぞれ両方にある程度の考慮をしながらやっていけるという筋合いになろうかと思いますけれども、それはなかなか財政上困難である、特に最近のような財政事情では困難であるということになってくると思うのです。  そこで、それに対する大きな反論として、食管法というものは生産者には高く消費者には安く保障する、そういう精神が法律の中に書いてあるのです、二重価格がその前提なんです。ですから、いわゆる売買逆ざや縮小するというのはもともとおかしいじゃないかという議論が、消費者側にも生産者側にもかなり根強い議論としてあると思うのですけれども、その点について食糧庁としては、二重価格制食管法というものは前提としているんではないかという反論に対して、どう考えていらっしゃいますか。
  12. 小野重和

    小野説明員 私ども食管法は二重米価というものを当然に規定しているものではないというふうに考えております。  生産者米価につきましては、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ」定めるとありますし、また、売り渡し価格の方は、「家計費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ消費者家計安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こういうふうになっております。この場合に、両方に共通して「経済事情」というのがございますが、「経済事情」とは一体何であるのかということでございます。生産者米価の場合には、たとえば需給事情というものが入ると思います。それから消費者米価の場合には、やはりその米のコストというものも当然その「経済事情」に入ってくるのじゃないかと思いますので、いま御質問逆ざやの問題と食管法との関連ということでございますが、やはり売買逆ざやがあるということを考慮して、逆ざや縮小方向に持っていくということも何ら食管法の規定に反するものではないというふうに私ども考えております。
  13. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そうすると、今回の九・八%というのは、家計費とか物価の動向から見て、特に家計費から見て、それは引き上げても消費者自身がたえ得るような感じというふうに経済企画庁も合意して今回の値上げをオーケーした、こういうことと理解してよろしいですか。
  14. 藤井直樹

    藤井説明員 私どもとしましても、農林省もそうでございますけれども、やはり消費者米価引き上げによって国民生活物価に大きな影響を及ぼすということについて十分検討をしていかなければならないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、今回の九・八%の引き上げによりまして物価への寄与度が〇・三%程度のものになるということと、それから家計に及ぼす影響につきましても、全体として一カ月約四百二十円くらいの支出の増加になるというような点も計算されまして、もちろん、こういう主食の値段が上がっていくということについては非常に問題があるかと思いますけれども、そういうような物価それから消費支出への影響ということであれば、全体としてこういう国民食生活の安定を図っていくという意味での米の供給について、これからも十分な運営をしていくためにはやむを得ないのではないか、このように考えております。
  15. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いわゆる消費者家計に及ぼす影響という意味で、米に限らずひとつ全般的なことを経済企画庁にお伺いいたしたいと思います。  いま日本国内では、食糧自給率向上というのが一つの大前提になっております。そして、特に計画局にお伺いしたいと思いますけれども、世界的な食糧危機が取りざたされる中で、何としてでも、オリジナルカロリーで四十数%の自給率しかない日本としては、もっともっと上げなければならない。それは大豆であり小麦であり、また飼料作物でありますという議論がよくあります。と同時に、これは私たち確かにそうしなければならぬと思うけれども、しかし、その目的を達成するためにはより高い食糧国民が消費しなければならないということになろうかと思います。現在、外国から輸入しているということは、日本国内でつくるよりも安いから輸入するという側面があるのは事実です。事実、絶対に向こうの方が安い。いま牛肉論争というのが新聞紙上で騒がれております。確かに外国から、オーストラリアから輸入すれば、かなり牛肉が安くなるということは事実だ。しかし、牛肉を自給しなければならぬということで、農民の生活考えかなり高い牛肉を流通するようにしておるわけですね。これが一事が万事そうなんでありまして、大豆はいま国際価格が一俵三千五百円くらいであろうと思います。国内価格は約一万五百円を前後しているのではないかと思います。それに転作奨励金をつけますと、一俵当たり約三万円の大豆国内生産してもらっている。自給率を上げるということは、当然のことながら、そういう高い価格になるのであって、それは消費者負担するか、財政負担するか、どっちにしろ国全体として見れば高い物につくという議論にはどうにも抵抗できないんだと思います。経済長期計画で、自給率向上とそれに伴ういわゆる食料家計費に対するはね返りというのをどう考えていらっしゃるのか。  お聞きするところによりますと、経済企画庁の中には、確かに自給率向上というのは一つ大義名分であるけれども、本当にそれをやっていったならばかなり高くはね返ってくるので、本当にそれが大義名分で絶対にやらなければならぬのですかね、という及び腰的な議論かなりあるやに伺っておりますけれども、その辺についてはすっきりと経済企画庁で割り切って、将来の五年、十年の長期計画を立てられているのか、その点についての御判断をお聞きしたいと思います。
  16. 柳井昭司

    柳井説明員 お答え申し上げます。  五十一年に決定されました昭和五十年代前期経済計画におきましては、いわゆる経済的安全の確保という観点からの食糧安定的供給確保ということにつきましては、一つの大きな柱として経済計画の中で掲げておるわけでございます。すなわち、わが国におきますところの食用農産物自給率は、国際的な水準を見ましても低い水準にございますし、また、食糧をめぐるところの国際需給というものは不安定に推移するのではないかというようなことからいたしまして、食糧を安定的に確保するためには、国内自給力向上食糧輸入安定的確保、さらには備蓄の推進というようなものを大きな柱として食糧安定的供給確保ということをうたっておるわけでございます。  自給力向上につきましても、わが国国土資源なりあるいは気候等条件からいたしまして、生産が可能なもの、たとえば麦でございますとかあるいは野菜、肉類というようなものにつきましては、国民生活に占めるところの重要性とか、あるいは生産の現状の見通し、あるいは国際価格等、そういうようなものを考慮しながら農業生産の増大を図る必要があるというのが基本的な考え方でございまして、そのためには農用地確保整備、あるいは農業構造の改善、担い手の育成というような生産体制整備を通じまして、生産力向上を増強していく。具体的な目標といたしましては、昭和六十年度食用農産物総合自給率を、現在の七二、三%から七五%に上昇させるというふうなことを考えておるわけでございます。  そういうことになりますと、かなり経済的費用負担という問題が出てくるわけでございますが、経済的な安全の確保のための費用負担のあり方というものにつきましては、今後やはり国民の合意の形成に努めながら行う必要があろうかと思うわけでございます。そういう経済的安全というような観点からいたしますれば、やはり単に経済効率性だけを追求するというわけにはいかないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、たとえば公共料金等考え方にいたしましても、やはりある程度適正な受益者負担というものはやっていただく、こういうふうなことで計画では考えておる次第でございます。
  17. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いま簡単に農用地開発とか基本的な食糧確保しなければならぬとおっしゃいましたけれども、本当に自給率を上げようと思って、あと二十万ヘクタール、あと三十万ヘクタール農用地開発なんて考えますと、大変な経費がかかることだと思うのです。たとえば日本の穀物の中で、米は自給されていますから、その次に大豆及び小麦ですね、これを全部自給確保しようとしたら、いま日本には五百五十万ヘクタールくらい耕地がありますが、あと百万とか二百万の造成をしなければならぬ。それが簡単に開発されて、それにかかる費用も全部消費者に究極的に見れば負担していただいて、コンセンサスをその方向で持っていくということが簡単にできるとお考えなんでしょうか。かなりのアップになるはずですけれども、それを全部計数的にはじいていまのようなことをおっしゃっておるのか、簡単にお伺いしたいと思います。
  18. 柳井昭司

    柳井説明員 ただいま申し上げました自給率向上と申し上げます際に、品目別に非常に自給率の少ない、たとえば小麦とか大豆というような品目をとってみますと、たとえば四十七年で小麦について五%あるいは大豆について四%というふうな数字がございますが、これを全部一〇〇%というふうな形で自給率向上させると必ずしも考えているわけではございませんで、先ほど申し上げましたわが国の風土あるいは気候その他の条件に従いまして、やはり現実可能なフィージビリティーと申しますか、そういう点も考慮いたしまして、たとえば六十年見通しにおきましては、小麦については約九%あるいは大豆についても九%という現実性も考慮して、この六十年度における七五%という総合自給率は算出しておるわけでございます。  確かに先生おっしゃるとおり、六十年代の話ということになりますと、農用地造成等につきましても、かなりの数量の農用地造成考えていかなければならないということは事実でございますが、それにつきましては、それぞれの年次における財政事情等十分勘案の上、やはり経済的安全のための必要な経費については予算または利用者負担という形で考えていく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、一般的に農政費に対して幾ら支出するかということは、特に計算しておりません。ただ、公共投資というふうな観点から、社会資本形成という点につきましては、従来よりも若干高めた比率でもって計画では考えておるわけでございます。
  19. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 この議論はここまでにいたしますが、これまでの農業についての国際分業論かなり修正して、経済安全保障のためには最小限ある程度確保するということはかなり負担増になるはずだと思います。それについて、単にお経ではなくて、本当にやろうと思うとこれだけ大変なことになるのですよということを、積極的に経済企画庁の方で十分にはじいて、具体性のあるプロジェクトとして考えて、そして国民に説得しない限り、自給率向上は必要でございますといっても、ちょっと農産品畜産品が高くなると、あと輸入しなければなりません、安い物を輸入してくるべきです、そういう消費者の声が出るというところは、理論的にかなり矛盾してくるわけなんで、その意味でのコンセンサスづくりに今後ともかなりの努力をお願いしたい、こう思います。  次に、米について具体的なお話をちょっとお伺いします。  政務次官にお伺いいたしますが、本年度生産者米価決定の際に一番問題であったのは、米の過剰であったと思います。その中で、どうも最近、米離れを起こしている。インスタントラーメンからうどんから、物すごいめん類の消費がある、パンの消費がある。米をつくっている農家が組織しておる農協でさえも、一生懸命うどんとパンを売っておる。そういう中で、どうして米の消費を拡大しようか。いろいろある。学校給食もある。しかし、とりあえずおいしい米をもっとつくってみようじゃないかということで、良質米奨励制度というものをお考えになって、そしてそれにかなりの額を上乗せしたようにお聞きしておりますし、現にそういう決定になっておるようでありますが、良質米をつくって、今後とも消費者においしい米を食べてもらって、米の再評価をしてもらおうじゃないかという大基本方針農林省にあるということは、ここで確認願えますか。
  20. 羽田孜

    羽田説明員 いま加藤さんから御指摘のとおり、最近、米というものが非常に大きく増大してまいりました。それと同時に、所得が向上される中で、食事に対する質の向上というものも見られるわけでございます。その中で、米を消費拡大するためには、なるべくお米を食べていただかなければならぬということで、昨五十一年度からいわゆる良質米奨励金というものを実は設けたわけでございます。  ただ、御承知のとおり、この良質米というのは一般的に機械化に案外適さないものでございます。それと同時に、病気にも弱いというようなことで、反収が、実は普通の一般の米に比較いたしますと少ないということであります。そういったことで、農家の皆さん方は、たくさんとれる、安定してとれる米の方に志向していくということが最近特に見られるわけでございまして、そういったことを含めまして、やはりその人たちの手取りというものが十分に確保されるような方向をたどらなければいかぬであろうということで、いま申し上げました良質米奨励金を設けたわけでございます。  御案内のとおり、昨年の場合には、Aランクが七百円、Bランクが三百五十円ということだったわけですけれども、これをより強化しようということで、本年の場合には、Aランク千二百円、Bランク六百円ということに決定いたしたところでございます。
  21. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いま、生産者の手取りの面、機械化の面等がお話ありましたけれども、その思想の背後に、いい米をつくっていただければ、そしてそれが広まれば消費も拡大するはずです、米離れを防げるはずですという思想があることは確認していただけますか。
  22. 羽田孜

    羽田説明員 そのとおりでございます。
  23. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そこで、問題は、米の流通です。消費者に直接行く米の流通ですが、食糧庁の総務部長さんにお伺いいたします。  確かに、つくる方はいい米をつくりなさいというシステムを大分おつくりのようですが、果たしてそれが消費者に本当においしい米が純粋に渡る仕組みになっておるかということがこれからの最大の問題でありまして、それがなければ、つくるのはつくった、しかしいい米は末端に広まってないということになれば、片手落ちになると思うのです。特に大型消費地の東京において、良質米が直接消費者の口に入るような仕組みになっておるでしょうかという疑問があるのですが、そこは自信があるでしょうか。
  24. 小野重和

    小野説明員 これは米の小売屋さんの段階の問題でございますが、これは内容と表示、規格、こういうものがはっきり、その関連がわかっておるということが大事だと思います。東京都の場合でございますと、たとえば内地米一、二、三と区分がございます。標準価格米もございますが、内地米一というのは自主流通米のうち銘柄米一〇〇%、こういうのを内地米一ということにして、必ずそれを表示させる、そしてまたそれに適した価格をつけさせる、こういうことにいたしております。こういうことによりまして、これならば、このお米はこういう種類の米だなということがわかって、それなりに消費者は選択できるということでございまして、そういうようなことによりまして、いまおっしゃるようなうまい米の識別ができるというふうに考えております。
  25. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そこが、そう識別ができるはずですとか、そういう内地米一、二、三、いいもの、中ぐらい、それからまあまあのものというような感じが、本当にお米屋さんの段階でそのとおり実施されておるかとなったら、これは別の問題だと思います。一つの例証として、いわゆる標準価格米、質は若干落ちますけれどもお安くなっておりますよという政府御推薦のお米です。これが政府から原料として売り渡されるのは東京において何%を占めておるか、そして実際に標準価格米として売られている数量は何%であるか、それをお伺いしたいと思います。ギャップがあるはずです。
  26. 小野重和

    小野説明員 手元に県別の数字がないのでございますが、全国ベースで申し上げますと、標準価格米の原料である非銘柄米の売却の比率は全体の中で四二%でございます。一方、消費者標準価格米を買う率は三六%でございます。そうすると、その差の六%が一体どこへ行ったのか、こういうようなお話になるかと思いますが、標準価格米につきましては、各小売の店頭に必ず置きなさい、常置義務を課しております。したがいまして、ある程度ゆとりを持って供給いたしませんと、ある店では品切れになるというようなことになりますので、そういうことでゆとりを持って供給しております。したがいまして、結果的には若干その差が出てくるというのはやむを得ないことではないかと思います。  ただ、その六%の分は、ではどういうふうになったのかということでございます。これはまた先ほどの議論と同じような議論になるわけでございますが、これがいわゆる格上げ混米と言われておるものになるのかならぬのかということでございますが、これは非銘柄米がたとえば銘柄米とまぜられるということは、それ自体いけないということではないと思います。ただ問題は、そういうことが表示されない、またそれが価格に反映されないということが問題でございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたような東京都の場合ですと、内地米一、二、三というようなことで、それぞれ銘柄米がどのくらいの率であるとか、非銘柄米はどのくらいの率であるとかということを表示させ、それからそれが本当にそうであるかどうかを検定機関などに検定させるというような仕組みをとっておるわけでございまして、そういうようなことをさらにしっかりと徹底するようにいたしたい、こう思います。
  27. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 現に東京都というのは銘柄米の消費の多いところですね。そして米の主産地では標準価格米というのが非常に多く消費されておるわけです。米の主産県というのは、みんな米のおいしい、まずいの識別のできる舌を持っておる人たちですね。そこでかなり標準価格米が売れておるということは、結構いい標準価格米がその辺では流通しておるということだと思うのです。県別に見ましたら、東京において政府売り渡しの非銘柄米、それから実際に消費者の手に渡っておる標準価格米のギャップというものは私はもっと大きくなっておるだろうと思うのです。つまり格上げ混米が東京都ではもっともっと大きくされておると思うのです。一説によれば、現実にササニシキだコシヒカリだという良質米は、その表示で売られておる数量は実際の生産高の二倍くらいになっておるのじゃないか、そういうふうに一般に生産者側が言われております。私は現に格上げがされているということは事実だと思うのですね。  それで問題は、一つは、いま検定機関があって米の内容をよく調べています、まぜられているかどうか調べていますということになっていますけれども、本当にそれがやられているのでしょうか。去年政府はいわゆる家畜のえさについて、内容及び品質の表示の義務を課しましたね。ところが、われわれ人間様の食っているお米についてはその品質表示の義務はないし、また法律に基づいた検定機関もないし、そしてまぜられてもわからないような状態になっているということであるわけです。  そこでお伺いしたいのですが、本当に検定というのが権威を持ってやられているのか、または、家畜のえさにやられているのだから、せめて人間の食べる米についても品質表示または検査の法制化というのをやるおつもりはないか。そうしない限り、良質米制度を幾ら推進しても片手落ちになると思いますけれども、いかがですか。
  28. 小野重和

    小野説明員 これは義務を課しておるわけではありません。指導でございます。えさのように安全問題というわけでは必ずしもございませんので、義務まではいかがかということであります。  ただ、これは指導ではございますけれども、東京都の場合、きっちりと励行されていると思います。それで検定機関、具体的には穀物検定協会というのがございますが、そこが検定するということでございまして、実はここに見本も用意してあります。「検査済」というのを刷り込んでありますが、これは検定協会が検定したという意味の印でございます。
  29. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 しかし、私は現実にそれが十分にやられているように思わないのですね。これは食管法違反になるか知りませんけれども、私は山形県の庄内の米どころの農協からお米を三十キロぐらい東京の友達に送ったことがあります。そして、うまい、うまいと言ってくれたんです、米がこんなにうまいものかと。そしてその友達はこの庄内のササというのをもう一回食ってみたいと思って、東京の米屋さんに、庄内のササ一〇〇%のものを何ぼ高くてもいいから配達してくれと頼んだ。現実に来てみたら、やはりまずいわけですね。それでお米屋さんに、一〇〇%じゃないんじゃないかということを聞いた。そうしたら、まあお客さん、そんなに文句言うのならば、前にどんなものを食べたかちょっと見せてくれ、ビニールの袋があるはずですと言うので、見せた。そしたら、どこどこ農協と書いてあるわけですね。お客さん、こんなものと比較されてやられたらわれわれ商売食い上げですよ、こういう答えが返ってくる。やはり混米でかなり利益を上げているというのは事実ですね。そして、それをチェックするにも、えさとは違いますから、混米されてしまったならば、その後本当にいい米が何%かというのを識別する能力はないと思うのですね、技術的に。  ですから、ここで一つのポイントとしては、本当に純粋に良質米一〇〇%を生産者が直接売る場所を設けて、そして本当の純粋のものを一回消費者の舌に覚えてもらう、そういうことが一つの解決の手だと思うのです。  ところが、それはできないことになっていますね。たとえば東京で生産地の単協が直接米を小売りして、そして本当の純粋はこれでございます。どうぞ比べてみてくださいといって小売りをしようと思ったら、それが許されるかどうか、お聞きしたいと思います。
  30. 小野重和

    小野説明員 現在、食管法のもとにおきまして、集荷ないし配給、これは登録制になっています。この場合に、いまおっしゃられたように、それを崩す、たとえば相互乗り入れというような考え方もあります。お米屋さんが産地に行って集荷する、あるいは集荷業者である農協が消費地で直売する、こういうことをしたらどうかという議論もございますけれども、やはりいまの集荷なり配給の秩序というものを著しく損なうのではないかということで、大きな検討事項ではございますけれども、現段階ではそこまで行くのはいかがかということでございます。
  31. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いわゆる米の流通とか管理のシステムを著しく損なうとおっしゃいましたけれども、どういうデメリットがあるのでしょう。やって、生産者もオーケー、消費者ももちろんだまされないでいいものを食べられるのですからオーケー、両方がオーケーの話なのに、なぜできないのか。これは永遠の課題ですけれども、そろそろわれわれもこれを考えないと、良質米制度をつくっても意味がないのじゃないでしょうか。恐らくこれは東京都が認可するはずですね。そして東京都は認可していないわけです。それは恐らく既存の業者の人たちの圧力を恐れて美濃部さんがやらないんじゃないですか。それをどうしてもっと、米の流通、本当に良質米制度ということを考えるならば、食糧庁がプッシュなさらないのか、私はそこがわからない。直接消費者の利益になるし、生産者にも利益になることが、どうしてできないのか。何十年続いた米の食管制度ですけれども、大きな改革すべきところが改革されないで残っている。都会の消費者は、所得の低い人は標準米も食べるでしょう。しかし、標準米を食べる比率が都会ではぐっと低いのですね。逆に生産地の方が安い米を食べているわけです。都会の人は、団地の人でも、何でもいいから、少し高くてもいいからいいお米を持ってきてちょうだいねと言って電話する例が多いと思うのですよ。ところが、実際はいいお米が配達されていない。私は、産地が直接売るということがどうして流通形態に大きな支障を来すのか、単に既得権擁護にすぎないのじゃないか、幾ら考えてもそう思うのですが、いかがですか。
  32. 小野重和

    小野説明員 現在の食管法でございますが、食管法はもとより御案内のように戦時中にできた法律でございますが、その一番の基本は配給統制、ここにあると思います。それが現在では米は過剰であるというようなことで、そのよって立つ基盤が変わっているんじゃないかということから、いまあのような御意見が出てくると思うのでございます。そういうことでございますけれども一つは、いまのをたとえば全部変えて、一番極端なのは、もう自由流通にするということであれば、それは一つのお考え方かと思いますけれども、しかしながら、いまの食管法の配給制度、これはいついかなる事態がこれからも起こるかわからないということで、いまにわかにそれを全部外す、自由にする、こうなると食管法の改正になりますけれども、そういうことは果たしていかがかということが基本的な問題でございます。さらに言えば、実際にそういう相互乗り入れをすることによる小売業者間のいろいろな過当競争というような問題もあるかもしれませんが、基本的な議論としては、いまの食管法というものをどう考えるかというところにあるのではないかというふうに私ども考えております。
  33. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 私はそう大上段な議論をしておりません。食管法をどうしろ、こうしろ、そういう議論をしておりません。単に、東京の中にお米の卸屋さんがいっぱいあるわけですね、小売屋さんがいっぱいあるわけですね。その中の一つか二つ、モデル的な、ショーウインドー的な、本当の純粋の米を味わってもらう小売屋さんが一、二あったっていいじゃないですか。その登録がおろされないというのは、もう既存業者の利益擁護以外の何物でもない、一つ二つおろしたからといって食管法基本が崩れる話ではないと思うのですね。それがどうしてできないのだろうかということをお伺いしておるのであります。
  34. 小野重和

    小野説明員 一つ二つということを認めれば、それは一つ二つにとどまらず、全般的に広がり得る性格のものではないかということになりますれば、やはりいまの食管法の配給統制をどうするかという、そこの議論をいたしませんと、一つの物事の解決にならないのじゃないかというふうに私ども考えます。
  35. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 一つ二つ認めてそれが広がるというのは、それは余りいい米を売らなくて消費者に歓迎されなかったら、広がっていかないわけです。そして、そこはまずくて高いということだったら広がっていくわけがない。広がるということは、それだけ消費者に歓迎されるということなんですね、広がる可能性があるということは。そしてそういうことであれば、若干いままでの流通がおかしかったということを証左するだけになるのではないか。また、それも配給制度以来の食管の精神、基本ということをおっしゃいましたけれども、何も勝手に小売屋を開いていい、私がちょうど米の商売をしたくなったから勝手に開くというのじゃなくて、政府から、また登録認定権のある東京都からオーケーをとってやるわけですから、食管のそんな大きな基本を崩さないでやれることだと思うのですけれども、いかがですか。
  36. 小野重和

    小野説明員 一、二ということで、しかもそれは登録してやるということであれば、それはその限りにおいては別に食管法に反するものではない、いまの登録制度のもとでできるわけでございます。  ただ、私が申し上げているのは、一、二ということにとどまらないではないか、そこまで発展する話ではないかということで、その辺の見通しを持った上でないとなかなか最初の一、二まで踏み切れないということでございます。ただ、私、食管法食管法と申し上げますけれども食管法のもとにおいてもそれは自由ということでなければ——登録制度のもとにおいてそういうことをやるということであれば別に食管法に反するものではないわけでございますが、ただ、極端といいますか、非常にそれを幅広く認めれば、これは自由と同じようになるというようなことから、その辺の扱いは慎重に考えなければならぬというふうに申し上げているだけでございまして、確かにいまの流通の合理化の一つの手段としてそういう御議論があるということは、私どもも十分承知しておりますし、この辺をどう考えるかというのは今後の検討課題であるというふうに私ども考えます。
  37. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 この問題はまたこの委員会等でも続けてやってまいりたいと思います。特に、米離れをするということは、同時に麦を食うことであって、それは外国からの農産品の輸入をふやすことです。ということは、要するに自給率向上に矛盾することだと思うのですね。もうこれは一種のタブーになっている一つの聖域です、都会における米の流通の問題は。しかし、いまや私たちはここに手をつけないと、本当に国民が、日本の瑞穂の国で米をちゃんと食うようにならぬのじゃないかというかなりの危機感がございますので、これは、本日は第一回目ということで、またいろいろ御質問をさせていただきたいと思います。  時間が参りました。超過しましたので、おわびして終わります。
  38. 西宮弘

    西宮委員長 加藤紘一君の質疑は終了いたしました。  次は、武部文君。
  39. 武部文

    武部委員 先ほど消費者米価諮問の資料をいただきましたが、きょうの米審に九・八という大変な消費者米価値上げ諮問がなされました。この九・八という消費者米価値上げ物価にどういう影響を与えるか、こういう問題については、間もなく企画庁長官が当委員会に出席をされますので、その際に具体的な問題をお伺いすることにいたしまして、まず私は食管会計の内容について若干お尋ねをいたしたいのであります。  仮に九・八というこの諮問が実現をした場合に、農林省は一体、食管会計の赤字、逆ざやが幾ら解消するというふうに計算をしておられるか、これを最初にお伺いしたい。
  40. 小野重和

    小野説明員 九・八%の政府売り渡し価格引き上げによりまして、食管会計の損失額、これは約九百五十億減少するということになります。
  41. 武部文

    武部委員 食管会計の中で輸入食糧、この問題についてお尋ねをいたしますが、五十二年度の輸入食糧の総トン数は幾らでしょうか。食糧用の小麦と大麦です。
  42. 小野重和

    小野説明員 約四百五十万トンでございます。
  43. 武部文

    武部委員 私がいただいた資料によりますと、五十二年度小麦は四百二十六万トン、大麦が二百四十万トン、合計六百六十七万トン、間違いですか。
  44. 小野重和

    小野説明員 主食用の大麦は二十数万トンでございます。単位がちょっと……。
  45. 武部文

    武部委員 そうすると、約四百五十万トンですか。
  46. 小野重和

    小野説明員 そうでございます。
  47. 武部文

    武部委員 国際相場が非常に変動しておるようでありますが、五十二年度の輸入食糧であなた方がおつくりになった資料によると、主食用の小麦は、五十二年度予算はトン当たり六万一千二百四十円ということになっておりますが、これは間違いありませんか。
  48. 小野重和

    小野説明員 そのとおりでございます。
  49. 武部文

    武部委員 現在の国際相場は、アメリカ物で五月で三万九千四百二十一円、四月で三万九千五百三十一円、カナダが大体四万四千円から四万三千円見当ですが、これも間違いありませんか。
  50. 小野重和

    小野説明員 各種銘柄がございますので、銘柄によりましてはそういうような値段のものもございます。
  51. 武部文

    武部委員 そういたしますと、農林省がことしの予算ではっきりと表明されておるように、予算上、食糧特別会計で一トン六万一千二百四十円の予算を立てて取引をする、そういう計算で立てられた食管会計だというふうになるわけですが、現実は、いま申し上げたように、トンで一万円から、ひどいのになると一万五千円くらい格安で取引されておるわけですが、間違いありませんね。
  52. 小野重和

    小野説明員 そのとおりでございます。
  53. 武部文

    武部委員 そういたしますと、後でこの為替相場の話をいたしますが、六万一千幾らの予算を立てて、現実には、この資料によりますと、大体五十一年の四月から、毎月の輸入で、価格ももちろん変動がございますが、ずっと下がってきておりますね。五十一年の当初はトン五万三千円、これがずっと五万円から四万円台に下がって、五十二年度当初の予算のときは三万九千円ないし四万四千円、こういう数字になっておりまして、いま申し上げるように、トン一万円ないし一万五千円程度、国際相場は非常に下がり始めておる。こうなってくると、仮にトン当たりで一万円輸入の金額が下がったということになれば、いま御答弁があったように、年間四百五十万トンの輸入でありますから、これは四百五十億という額が出てくることになる。これは算術計算ですが、間違いありませんね。
  54. 小野重和

    小野説明員 小麦と大麦と若干動きが違いますが、小麦の場合、仮に一万円、予算よりも実際の買い付け価格が下がれば、それを数量に掛けた四百億程度の損失減少といいますか、そういうことになると思います。
  55. 武部文

    武部委員 結局、小麦だけでも四百億円ほど、予算は立てておったが支払い金額は少なくて済むのだ、こういうことになりますね。結局、予算上はこれだけ浮くということになる、わかりました。  次に、為替差益のことであります。当委員会で、この為替差益は消費者に還元すべきだという総理の指示があったことを受けまして、われわれは石油問題で為替差益をやったことがあります。いま四百五十万トン程度の輸入数量のお話がございましたが、このレートは幾らで立てておられますか。
  56. 小野重和

    小野説明員 若干数字の根拠を申し上げますと、いま一万円低い場合にはどういうような財政の状況の変動になるか、そういうお尋ねでございますが、これはこれから国際価格がどうなるかという問題がございます。私どもの見方では、いまが底値であると思います。これからアメリカの農業政策その他どうなるかという問題もございますし、例年いまごろは低いのでございます。秋口からまた上がるのではないかと思いますが、これはまだわかりません。したがいまして、一定の仮定を置いて計算せざるを得ないということでございまして、私、仮にある計算をするということで申し上げますと、過去二十四ヵ月の平均の国際価格、これを前提にする、それから為替は二百八十円ということで計算するということになりますと、買い付け価格がそれで五万円ということになりまして、そうなりますと、これは当初の想定に比べまして四百億の損失減といいますか、変動があるということでございます。一応の仮定計算です。
  57. 武部文

    武部委員 ちょっと私の方と計算が違うのですが、大事なことですから、私が間違っていれば教えてください。  農林省は輸入の取引をする場合の円レートは三百八円で計算しておるんじゃないですか。
  58. 小野重和

    小野説明員 予算上は三百八円ということで計算いたしておりますが、いまの私どもで申し上げたのは、二百八十円で計算して過去二十四カ月の国際価格をとりますと、買い付け価格が約五万円、こういうことでございます。
  59. 武部文

    武部委員 私の計算とあなたの計算とちょっと違うのですが、これは大事なことですから、ちょっとやりとりいたしましょう。  いま食糧が輸入される総額、主食用の輸入額、輸入食糧の買い入れ費は、五十二年度で二千八百億円でありますね。大体二千八百億円になります。あなた方、これは三百八円で計算して予算を計上しておられるわけです。現実に相場はいま乱高下がなくて、この間は二百六十三円台です。二百六十円を切るのじゃないかと言われておりますが、仮に二百六十円ということになってきますと、三百八円で計算をして四十八円の差が現実に出ますね。その場合に、一体どれくらいな為替差益が出るのか、こういうふうに計算をしてみると、非常にこれは大きなものになります。  もし仮に——私は二つの例を言いますから、間違っておれば教えてください。二千八百億円の食糧を輸入する。それは三百八円で計算をしておった。現実にそれを二百八十円の通年の為替相場に平均いたしましょう。そうすると、これだけで二百五十五億の為替差益が出てくることになります。二百六十五円のレートで計算いたしましょう。三百九十一億円の差益が食管会計の中に出てくる。この計算はどうですか。
  60. 小野重和

    小野説明員 ちょっと私どもの計算とどこが違うのか、よく私もわからないのでございますが、私どもの計算では、先ほど四百億と申し上げましたけれども、そのうち、一ドル二百八十円という前提を置きまして、為替レートの損失減少は約百八十億という算定をいたしております。
  61. 武部文

    武部委員 ちょっと食い違いがあるのですよ。私が言っているのは、あなた方が五十二年度に要求された予算は、これこれの金額で食糧を買いますと言って食糧管理特別会計の中に予算を計上された。現実には、国際相場はどんどん下がって、さっき言ったように、トン一万円も安くなっておる、あるいは一万五千円も安くなっておる。そうなれば、予算上は大変な黒字になるじゃないかということが一つと、それから、三百八円で買う計算をしておるのに現実は二百六十円台になっておるじゃないか。そうなれば為替差益は物すごく出てきて、それだけ合わせても数百億になる。私どもの計算でいくと、あなたはさっき四百億と言う、こっちは三百幾ら、為替差益と国際相場の下落とで両方合わせて計算上七百億を超すのじゃないか。九百五十億という食管会計の赤字、逆ざや解消するために九・八%値上げをするとおっしゃったわけですね。九百五十億というようにさっきおっしゃった。七百億円に近いものが、差益と国際相場の下落によって、食管会計は、当然あなた方の方は黒字になっておるじゃないですか。そのことを言っておるわけですよ。
  62. 小野重和

    小野説明員 先ほど、為替レート二百八十円で、私どもの方は百八十億、先生は二百数十億でございますか、お話がありましたが、これは国際価格自体が下がっておるわけでございます。下がった国際価格前提としてレートの部分をはじくのか、それとも国際価格が高いのを前提としてはじくのかという、そこで違ってくるのではなかろうかというふうに私ども思いますが、私の方は、国際価格自体が下がっておる、それは国際価格の分である、下がったものを前提として今度為替レートはいたさなければならない、その分は幾らか、こういうことでございますので、そこの違いなのではなかろうかというふうに思います。
  63. 武部文

    武部委員 わかりました。それなら両方合わせて幾らになるのですか。
  64. 小野重和

    小野説明員 そこで、先ほど来申し上げましたように、今年度といいますか、これからどういうことになるか、ちょっと国際価格の先行きがわかりませんので、一定の前提で計算するということで、先ほど申し上げましたように、過去二十四カ月、年間の国際価格前提として、しかも為替レートは二百八十円ということ、またフレートの問題もございます。フレートは若干下がっております。そういうものも全部織り込みまして計算いたしますと、買い付け価格が五万円ということになります。そこで、それと予算との差が四百億ということでございますが、実は予算は七十八億の損失をすでに想定しております。したがいまして、それに四百億の損失減ということになりまして、その差の三百二十億程度の黒字に、いまの計算ですと、なる、こういうことでございます。
  65. 武部文

    武部委員 確かに七十八億の赤字を想定されておりますね。これは一トン二千九十五円の赤字を生ずるという理由がその前提のようですが、それはそれとして、いまあなたのおっしゃった約四百億、その中からこの七十八億の赤字を引くと三百二十億程度。これは国際相場の下落と為替レートの円高によって三百二十億程度は黒字になるということでおっしゃった。しかし、その前提は、為替レートが二百八十円を前提にしておられますね。ところが、この為替レートの推移をずっと見ると、この一年半ばかりの間はずっと円高ですね。さっきから言うように、乱高下はありません。二百六十円から二百五十円台にまで円高になるではないかという予想があります。その中で一体二百八十円という線が妥当かどうかは大変議論のあるところだと思います。仮に一歩も二歩も譲ってあなたの二百八十円をレートとして考えた場合でも、三百二十億という黒字が出てくる。これが二百六十円台になって推移をしていけば、もっともっとこの黒字はふえるわけですね、当然のことですから。そうなれば、食管会計の中でこれだけの莫大な黒字というものが片一方では出てきておる。にもかかわらず消費者米価に対して九・八%、九百五十億円という大変な値上げをして逆ざや解消することは矛盾があるじゃないか。われわれは、二百六十円台の計算をしても、これからのレートの推移を見るならば、妥当な数字じゃないだろうかと思います。二百六十円の為替レートで計算すれば、これは五百億円を超しますよ。そうなれば、いまあなた方が考えておる消費者米価値上げの半分は、すでにこの財源として出てくるじゃありませんか。この点はどうですか。  これは企画庁長官にこれからお尋ねいたしましょう。企画庁長官、あなたはこれから米審においでになるわけですが、九・八%という異常な消費者米価値上げ諮問になりましたね。これからあなたは物価担当の大臣として恐らく御意見をお述べになると思うのですが、私はいま農林省質問いたしましたように、この円高と国際相場の下落によって計算してみれば、優に五百億程度の黒字が食管会計の中には出てくる、こういう事実が明らかになったわけですが、食管会計の中でこういう食糧の輸入の問題をめぐって黒字が出てくるということになれば、当然それは消費者米価値上げの財源の中に考えるべきである、これはあたりまえのことだと思うのですが、いかがですか。
  66. 倉成正

    ○倉成国務大臣 今回の消費者米価値上げに当たりましては、われわれとしてはできるだけ家計の安定に資する消費者米価であってほしいという基本的な考え方は現在も変わっておりません。ただ、御承知のように、食管逆ざやの現象がある。これは御承知のように、コストの逆ざやもあり、売買逆ざやあり、末端逆ざやがあるわけですが、政府の売り渡す価格の方が買い入れ価格よりも安いという現象は、やはりこれは望ましい現象ではないと思うのであります。もちろん、狂乱物価のような時期においては、生産者米価が上がりましても消費者米価価格基本としてできるだけ低く抑える、そういう見地からある程度逆ざやが出ることもあり得るかもしれませんけれども、しかし、これは原則としてこういう逆ざや解消していくべきである、こういう基本的な姿勢で、昨年関係各省の間で五カ年間でこの売買逆ざや解消する、そういう基本方針を打ち出したような次第でございます。  したがいまして、その基本方針にのっとりまして、来年の三月、消費者米価が七・七%の政府目標を達成し得るのに支障があるかどうか、そういうことをいろいろ検討いたしたわけでございますけれども消費者米価九・八%の値上げというものがCPIに及ぼす影響がおおむね〇・三%程度ということになろうかと思うのでございまして、この程度の値上がりはやむを得ないのではないか、そういうふうに判断したわけでございます。  ただいま武部委員のお話の、財政上の考慮という点からの麦の円高による利益が出てくるという問題、これはまた別の見地から議論すべき問題ではなかろうかと思うのでございまして、売買逆ざや解消ということは、もちろん財政上の問題もありますけれども、それだけの見地から議論されている問題ではない、そういうふうに私は考えております。
  67. 武部文

    武部委員 これはちょっと私はいただけません。少なくともこの九・八%という消費者米価値上げは、食管会計が赤字でこれ以上赤字がふえては困るから、この逆ざや解消するために消費者米価を上げるのだ、こういう説明でしょう。ところが、同じ食管会計の中で、米ではない、麦かもしらぬけれども、同じ食管会計の中で片一方に黒字がどんどん出てきておって、これから推定されれば五百億近く出るのですよ。そういうことがわかっておるのに、なぜ九百五十億円もこっちの方で上げて食管会計の赤字を解消しなければならぬのか、理屈にならぬじゃないですか。半分以上も出るじゃないですか。私の考えが間違っているなら、言ってくださいよ。
  68. 小野重和

    小野説明員 売買逆ざや解消したいというのは、単に財政上の問題だけではございません。私どもとしては、食糧管理の運営のために売買逆ざや解消いたしたいというのが基本的な考え方でございます。  それは、たとえば政府が一たん売り渡した米をまた生産者政府に売る、不正規流通する、逆流するとも言いますが、そういうようなことを生じさせる原因ともなるものでございまして、また、一つこれは生産者側でそういう声が強いのでございますが、こういう逆ざやがございますと、自家保有米も政府に売りまして、また政府からお米を売ってもらった方が安上がりだ、こういうような議論もございまして、やはり基本的に売り渡し価格買い入れ価格よりも低いということは物の価格関係として不自然ではないかということでございまして、それに伴ういろいろな弊害があるということが基本的にございます。そういう意味で、食糧管理の運営上の問題もあるということを私、申し上げたいと思います。  したがいまして、お米の問題はお米の問題としてどうするかということでございますし、麦の問題は麦の問題、たとえばこれは麦の売り渡し価格、これをどうするか、こういう問題だと思います。これはこの米価の前に麦価米審がございまして、買い入れ価格決定をそこで引き出したわけでございますが、麦の売り渡し価格につきましては、いまの国際価格が一体どうなるんだというようなことも、これから非常に変動の大きいものでございますので、その辺の動向も見きわめながら、ことしの麦価水準をどうするか、売り渡し価格をどうするかということを決めたい、こういうことでございまして、その辺を見きわめながら、秋になりまして麦価水準をどうするか、これから決めていくことになるというふうに私ども考えております。
  69. 武部文

    武部委員 食糧管理法というのは、そういう逆ざやが出ることを前提としてできておるんじゃないですか。さっきあなた方は、二重価格のことについて違うとおっしゃったね。「其ノ他ノ経済事情」ということをおっしゃった。確かにそう書いてある。「家計費及物価其ノ他ノ経済事情」。しかし「其ノ他ノ経済事情」というのは、主たるものではなくて、従たるものではないですか。この法律の読み方はそうですよ。「家計費物価」これが主たるものですよ。「其ノ他ノ経済事情」というのは従たるものですよ。そういうふうに解釈していくべきもので、食糧管理法というのは、当然その精神にのっとり今日までやってきたんじゃないですか。それを途中からあなた方、ぐあいが悪いものだから勝手に変えて、「其ノ他ノ経済事情」の方が主たるものになってきて、そうして二重米価はだめだとか、逆ざや解消しなければいかぬのだという論理に変わってきたんじゃないですか。  ですから、同じ食管会計の中で片一方に黒字が出ておって、こっちの方が赤字だったら、こっちからこっちへ持っていく、そういうことだって同じ食管会計の中——それならこの五百億の黒字は何に使うのですか。前の委員会で、当委員会に私はおらなかったけれども、自民党の委員質問をして、あの麦価の値上げのときに三百八十億か何か食管会計に黒字が出た。予算が成立した後に麦価の値上げがありましたね。三百八十億黒字が出てきた。そのお金は何に使うのかと言ったら、それは農林省が勝手に使います、何に使うかということはいまは言えません、こういう答弁が議事録に載っていますよ。それと同じことじゃないですか。片一方で五百億程度の黒字が国際相場の下落によって、為替差益によって出た。それは食糧管理会計の黒字だから勝手に農林省で使います、こういうことなんですか。そういう点はどうですか。
  70. 小野重和

    小野説明員 これは五百億といいますか四百億、あるいは先ほど申し上げましたのは四百億の損失減でございまして、差し引きすれば三百二十億と申し上げましたが、これが出るか出ないか、まだこれはわからないわけでございます。これから国際価格がどうなるか、かつて千四百億の赤字を出したこともございます。したがいまして、これは今後どうするかという問題でございまして、これは具体的には売り渡し価格をどうするんだ、いまのままにするのかどうか、あるいは逆にまた、いろいろな議論がございます。かつて為替差益程度の益を出しておったことが常態でございましたが、そういうこともいいではないかとか、あるいはまた米価との関係とか、いろいろな議論がございまして、そういう議論を踏まえながら、国際価格の動向を見きわめながら、今後麦価基準をどうするかということ、特に麦価水準の問題として考えるというのが私どもの姿勢でございます。
  71. 武部文

    武部委員 そうすると、今度は消費者のいわゆる麦価の問題のときにこういう問題については考慮するということをあなた方は考えているのですか。五十二年の政府売り渡しの麦の値段、これはまだ決まっておりませんね。
  72. 小野重和

    小野説明員 国際価格が下がっているということもありますが、そういう事態ももちろん頭に置かなければいけませんし、また、かつて関税相当額ぐらいの利益は出していたというような過去の経緯もございますし、そのほか米価との関係をどうするかとか、内麦との関係をどうするとか、いろいろな議論がございます。そういう議論を総合的に考えて、具体的にどういうふうに麦価水準を決めるか、こういうことだと思います。
  73. 武部文

    武部委員 為替差益の問題については、将来のことだからいまここでどのくらいというようなことは言えぬといまおっしゃってますね。なるほどそうかもしれません。しかし、この為替相場の動きをずっと見ておって、これから本当に大変な、逆流していくかということを考えれば、そんなことにならぬのじゃないですか。五日ほど前の為替相場の先物をずっと調べてみますと、六カ月の先物は二百六十四円八十銭で取引されてますね。ずっと先物を見ても、為替の流れを見ても、乱高下は全然ない。そういう中で、繰り返すようですが、国際相場は下がってくるわ、為替の円高はどんどん続いていくわということになれば、黒字はますますふえていくという可能性は強まってくるだろう、弱まるどころか強まってくるだろうというふうに私は思うのですよ。  いま消費者米価の九・八をゼロにしろと言うのじゃないですよ。しかし、そういうようなことも考えながら、食糧ですから、国民が買う米なんですから、できるだけ抑えるように努力するのが経済企画庁なり農林省政府の務めだと私は思うのですよ。そういう意味で、九・八なんというとんでもない数字が出てきたが、こういうことが内容にあるじゃないか、だからそういう点をできるだけ反映をして、九・八ができるだけ下がるように努力をしてもらいたいというのを、ぜひ企画庁長官にお願いをしたいのです。  もう一つ私はこの機会に申し上げておきますが、食糧管理法というものの考え方が、さっきの農林省の説明を聞いておりますと、だんだん変わってきておるように思います。われわれは二重米価前提だというふうに解釈をしておったし、いま読み上げたように、四条の二項は明らかに「家計費物価」というものが主にあって、そして「其ノ他ノ経済事情」というのは従として考えていく法律の内容だというふうにわれわれは理解をしておるわけです。それがそうではなくて、従と主が逆になってきておるように思うのです。  私は、いまから十七年前ですから非常に古い話ですが、昭和三十五年に北朝鮮に行ったときに、北朝鮮のいわゆる米価のシステムはどうなっておるかということを調べて帰ったことがあります。十七年も前のことですから非常に古いのですが、当時、北朝鮮の生産者米価日本円にして一キロ五十六円でありました。消費者米価は十一円でございました。ですから、五分の一ですね。消費者米価生産者米価の五分の一の値段で売られておりました。一年半ほど前に北朝鮮に行った人が帰ってきて、自分はこういうことを見て帰ってきたと言って私に教えてくれた数字をここに持っておりますが、十七年前と消費者米価は同じなんですよ。一キロ当たり消費者米価は十一円、生産者米価は一キロ九十一円になっております。九倍ですね。生産者が売る米の九分の一の値段で消費者は米を買っておるのですよ。私が行った十七年前は五十六円と十一円ですから五分の一でしたが、今度は九分の一です。そして法律を見ると、日本食糧管理法とほとんど同じような法律です。私はこれが食糧管理法の精神だと思うのですよ。食糧ですから、これは社会保障ですよ。そういうことをりっぱに法律でつくっておきながら、今日まで長い間にこれがなし崩しに、自主流通米が出てきたりいろいろな形にして骨抜きになってきたのじゃないかといりことを私は指摘をしたいのです。  ですから、この間も、この物価委員会で今後の物価問題について論争したときに、私は申し上げましたが、今度の参議院選挙の最中に全国紙が世論調査をいたしましたね。その世論調査が新聞に出て、いま国民の皆さんが日本の政治に何を望んでおられるか。これの一位は物価の安定ですよ。六三ないし六四%という飛び抜けて高い数字が出ております。景気の回復は二番目ですが、ぐうんと低くて三〇%です。景気の回復は三〇%、物価の安定は六三ないし六四%という全国の世論調査が二、三の全国紙に出ております。ついこの間のことです。どんなに福田内閣が物価を安定したとか鎮静ぎみだとか言ったって、国民の皆さんは物価の問題に一番関心を持っていらっしゃる。物価は大変だということを考えておられるから、こういう世論調査が出るのです。この間の五十一年度の結果は、御承知のように、政府の公約をはるかに上回りましたね。九・四%になった。今度は七・七だとあなた方はおっしゃっておる。それを一体実現できるでしょうか。こういうことになってくれば、なるほどさっき物価局長は〇・三%とおっしゃった。しかし、〇・三なんということでおさまるはずがないのだ。いま外食がほとんどでしょう。外食の値段というのは三十円から五十円単位で上がっておるのです、どんぶり物というのは。ずっと計算するとそうなっているのです。仮に一食分で十円も上がりません、それがみんな三十円、五十円の単価で上がるのです。そうすると、それに他の食物がみんな右へならえしてしまう。これが過去の例なんです。ですから、主食というものがどんなに物価に大きな影響を与えるかということは、調べてみれば一目瞭然わかっておるのです。そういう意味で、われわれはこの消費者米価というものの波及効果、便乗値上げを呼び起こすもとになるからこれを上げてはならぬ、食糧管理法の精神から言ってもそうじゃないか、こういうことを指摘してきたわけです。  時間が参りましたから私はこれで終わらなければなりませんが、率直に言って、この為替差益の問題や国際相場の問題というものが——今度の消費者米価だって、九・八の根拠は何かと言ったって、あなた方説明ができるはずはないのです。これはつまみです。これは明らかに政治米価です。だとするならば、九・八という政治米価ならば、いまこういうような具体的な問題が出てきたわけですから、それを反映してできるだけその数字を下げていくという努力をあなた方はなさるべきじゃないか。特に物価担当の経企庁長官としてはそういう問題にまで首を突っ込んで、できるだけ数字を下げるようなそういう努力を、あなたは四時から米審においでになるそうですか、そういう立場でこの米審には臨んでもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  74. 倉成正

    ○倉成国務大臣 私は物価担当大臣として、消費者米価ができるだけ低い水準にあるということは私自身も期待いたす次第でございますけれども、しかし同時に、先ほどからるる申し上げておりますように、逆ざや解消ということはやはりどうしてもやらなければならない、そういう結論に達しまして、五年間でこれを解消するという覚書が関係各省の中で取り交わされておるわけでございます。しかし、そうは申しましても、消費者米価が二けた以上になるということになると、ただいまお話しのように、統計数字上は別としましても、心理的な影響が大きいとかあるいは便乗値上げがあるとか、そういうこともございますので、農林大臣、大蔵大臣と御相談申し上げまして、政府の原案として九・八%、また標準米については九・五%、こういうのを政府の意思として決定をいたして、これを米審にお諮りをするわけでございます。閣僚の一人として、これが妥当であるということを御説明申しまして米審にも御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。しかし、いま武部先生のお話のように、われわれも、米価の上がったということで親子どんぶり、カレーライスというのが、その米価の分だけではなくして、大幅にこれを契機として、理由として上がる傾向がございますから、今回の場合にはそういう便乗値上げが絶対ないように、関係の業界への指導あるいは価格モニター、消費者モニター、そういうのを総動員しまして、この九・八%の値上がりがそういう物価の上昇の引き金にならないように最善の努力をいたす決意でございます。  なお、麦の問題についていろいろお話がございました。いま生産者の麦が七%上がったけれども消費者麦価は秋に決定するということになっております。麦の価格をどういう水準決定すべきかという問題は、日本食糧問題等の関連においても考えなければなりませんので、ただいまの御議論も十分踏まえながら農林省当局、また大蔵省当局と十分話し合って、十分説明のできる麦価というものを決定したいと考えております。
  75. 武部文

    武部委員 じゃ、これで終わりますが、大蔵省は一三・一、農林省はさっきお話があったように一〇・七——農林省は幾ら主張されたのですか。
  76. 羽田孜

    羽田説明員 農林省は一〇・七です。
  77. 武部文

    武部委員 大蔵省は一三・一ですね。
  78. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 当初一三・一でございましたが、一一・五というのに途中で訂正しております。
  79. 武部文

    武部委員 その辺がおかしいのですよ。どうしてこんなにくるくる、くるくる変わるのか、それがよくわからぬが、根拠がまことに薄弱だと言わざるを得ないと思います。こういうことをやっておるとまた時間がかかりますからあれですが、あなたの方は一三・一がいつの間にか一一・五に変わって、農林省は一〇・七だと言うし、それで経企庁は、二けたはいかぬから一けただと言う。一けたと言って九・八にした。九・八は確かに一けただが、これは数字から見たって二けたと同じことですよ。これは全く政治的な数字で、こね回したと言わざるを得ないですよ。  ですから、私がいま申し上げたように、消費者米価というものはそういう大きな意味を持っているんですから、これから米審に行かれて、いま決まったんじゃないのですから、そういう意味で、後これから各委員からいろいろお話があると思いますけれども消費者米価というものが持つ影響が大きいんですから、ぜひ食管会計の中におけるいろいろな問題もひとつしんしゃくをして、物価担当大臣としてぜひそういう努力をしてもらいたい。このことを要望して、私は、時間が来ましたから、終わります。
  80. 西宮弘

    西宮委員長 武部文君の質疑は終了いたしました。  次は、馬場猪太郎君。
  81. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 きのうの新聞に「一票が一俵の値をゆすり上げ」という川柳が載っておりました。お読みになったかどうかわかりませんが、経済企画庁長官は長官の立場で、農林政務次官は次官の立場で、感想をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま初めてその川柳を伺いまして、よく読んでおりませんけれども米価というものについて農民が非常に深い関心を持っておる、また消費者もこの問題について深い関心を持っておる、そういうことをあらわしたものではなかろうかと思います。
  83. 羽田孜

    羽田説明員 私ども、実は農林水産委員会の方でもこの米価の問題についていろいろと御審議があったわけでございます。そのときに常に申し上げておりましたのは、私どもといたしましては、物価あるいは賃金、こういったものを織り込んで二・五%というものを諮問いたしました。しかし、いわゆる米審で御審議をいただくわけでございますし、また委員会等でもいろいろな御指摘がございました。こういったものを十分私どもは踏まえながら決定していきたいということで、ああいった四%というものが出たわけでございます。
  84. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一般的なことでなく川柳としてお伺いしているんであって、余り率直な所感を伺えなかったんですが、当初生産者米価諮問なさるときに二・五%という原案を示されました。そして、農林大臣はできるだけ微調整をしたいという発言をなさったんです。ところが、実際には二・一%、当初の諮問とほぼ同じくらいのいわゆる政治加算といいますか、行政加算といいますか、そういうことによって四・六%に決まったわけですね。そういうことになると、何かそういうテクニックを使って、当初から四、五%くらいは上がるだろうという予想が新聞紙上にもよく出ておったわけですから、これはもう農民団体の圧力によってこれだけ上がったのだから、消費者米価の方もこの圧力によって上げざるを得ないのだという、一つのゼスチュアが含まれているか含まれていないか知りませんが、そういったことも含めて、この川柳にうまく表現されていると思うのですね、不信感を表明したと思うのです。ですから、なぜそういうテクニックを使わなければならぬのか、もっと端的に、五%なら五%、ずばりお出しになるようなそういう政治姿勢を率直に、たてまえと本音じゃなしに、はっきりお示しにならなかったのかという点で不信感があらわれておると思うのですが、その微調整が微調整でなくなったということは、どういうことなのでしょうか。
  85. 小野重和

    小野説明員 細かい話をいたしますとあれでございますが、私ども生産者米価諮問する際には、基本的には去年の算定方式を適用する、いわゆる自然体というような言葉もありますが、その場合に、これは細かいことで恐縮でございますが、生所方式一つルール、たとえば金利、これは実勢をとるというのが従来の基本ルールであります。そういうところは実勢をとるということで、前年方式ではありますが、そういう従来のルールに従う、こういうようなことで実は二・五ということで諮問いたしたわけでございます。ただ、たとえば金利の問題でございますと、去年は急激なショック緩和ということで、去年も、その前に比べますと金利は下がっておるわけでございますが、前年の織り込み金利据え置きというようなことになったわけでございます。  ことしの場合も、その点の議論、前年は据え置いたじゃないかというような議論もありました。その辺の調整を、同じ前年方式でも若干の幅がございますので、前年のそのままの方式に近いところで決まったというようなことでございまして、いずれにしても、基本的には前年方式というような方式でいったわけでございまして、いわゆる政治加算とか、そういうようなものではないのじゃないかというふうに私ども思います。
  86. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 政治加算でないのじゃないかと言われるのですが、農林大臣自身が今度の米価審議会の中で、いままでのやり方はどうもまずいのじゃないか、新しい方式考えなければいけないということをおっしゃっているのですから、いまの総務部長と大分考え方が違うのじゃないですか。
  87. 小野重和

    小野説明員 生産費所得補償方式といいますのは、いろいろな要素に分解いたしまして、それぞれの要素別にそれをどう評価するかというような方式でございます。したがいまして、その個別の議論を始めますと、いろいろな議論が出てくるわけでございます。しかも、米価を決める場合には、それはもちろん生産費とか物価、賃金などございますけれども需給事情というものも反映せざるを得ない、こういうことになりまして、従来の米価算定の歴史は、米をもっと増産しなければならぬときは要素をもっと積み上げるとか、あるいは、かつて三年据え置きをやったことがございますが、これは要素をまたとっていくというようなことをずっとやってきております。そういう点がございますので、何とか安定的なルールはないものかというような気持ちを大臣が申し上げたのだろうというふうに私ども考えております。
  88. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 何と言っても、結果的にはやはり政治加算なんですよね。技術的に幾ら言われてみても、国民の大衆一人一人は川柳で表現されているように受け取っていることは事実なのです。ですから、もっと端的に、本当に生産費が高くついてやむを得ずこれだけのものになるという納得のいく数字的な説明があれば、消費者の皆さんだってある程度理解なさるのですよ。それを中間的な案を出して、そうして駆け引きをして政治加算をするというやり方がよけい不信感を招く、そうしてまた、それが消費者生産者の離間というか、意識されるかされぬかは別として、そういうことをねらっておられるのじゃないかというふうにとられてもしようがないと思うのです。だから、一層米価問題をむずかしくしているのじゃないかと思うのです。もっと率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
  89. 小野重和

    小野説明員 従来も、政府諮問に対しましてある程度の積み上げをしまして最終決定に至ったという経緯がございます。しかしながら、たとえば四十九年当時でございますと、これは諮問決定の間に相当大きな開きがございましたが、こういうことでは余りよくないのじゃないかということで、一昨年以降いわゆる積み上げを狭めていくということによりまして、信頼のできるような米価決定のあり方にしようじゃないかということで努力してきているというのがありのままの姿だと思います。それで、政治加算という意味が私どもよくわからないのでございますが、最終決定の案について特別に不合理な点というものはないのではないかというふうに私ども考えております。
  90. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大臣と問答すべきことだと思います。これ以上はやめますが、今度の米価決定に際して一番問題になったのは、過剰米という問題と赤字という問題だと思います。過剰米というのは、五十二年度で三百二十万トンないし三百三十万トンというのが果たして過剰米なのかどうかという議論も別といたします。  いずれにしても、結局、最優先すべきは、どうして消費をふやすか、どんどん消費が進めばそういう心配もないわけですが、それでは農林省としては消費拡大についてどういうふうに具体的に対策を練っておいでになるのか、ひとつお知らせをいただきたい。
  91. 羽田孜

    羽田説明員 米の消費拡大についてでございますけれども、これはできるだけおいしい米をつくって、少しでも多く米を食べていただくということがまず第一でございます。  それともう一つ消費拡大の一つの柱としておりますのは、学校給食、こういったものをもっと助長しようということでございます。特に、昨年は一万一千トンでございましたけれども、ことし二万二千トン、それだけの消費があるであろうということがいま見込まれております。こういったものをもっと助長していくということがまず一つの柱でございます。  それと同時に、米というものが健康のために悪いといういろいろなあれがございますけれども、こういったものをきちんと皆さん方にPRしていくことも必要であろう。また、いわゆる米の加工食品というものを私どももっと研究をする必要があるであろう。  こういった中に消費の拡大を図ってまいりたい、このように考えております。
  92. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 学校給食なり加工食品を広げる、そのためには具体的にどういうふうな手だてを講じていらっしゃるのか。
  93. 小野重和

    小野説明員 本格的に学校給食に米飯を導入することに取り組み始めましたのは去年からでございます。去年は、一つはお米の値引きをいたしております。三五%の値引きを去年からやっております。  それから文部省におきましては、学校給食におきます完全給食の定義でございますが、これはそれまではパンと牛乳とおかず、これが一つのパターン、これが完全給食の定義でございますが、それはやはり問題なので、米も入れるという、これは姿勢といいますか、基本方針の問題でございますが、そういうことを去年いたしております。  それから、本年は三五%値引き、これはもちろん継続いたしておりますが、特にネックの問題になりますのは、実は具体的に申し上げますとパン屋さんでございます。いままでパンをパン屋さんが主に供給していた。これを米飯に切りかえるということになりますと、実はパン屋さんの生業問題になるということが一つございます。それからもう一つは弁当、といってもおかずは別でございまして、御飯の弁当ですね、これを持っていくようにする。そういう形を進めるのも一つ考え方ではないか。こういう二つのことを進める、いわばメニュー方式ということでことしは二億円の予算を計上いたしておりますが、パン屋さんの問題も弁当の問題も非常に希望がございます。そういうことでさらにこれを拡大する必要がある。  さらに、これは文部省の予算でございますが、文部省の学校給食の米飯関係、これは学校に炊飯施設をつくる。これにつきましても五十一年度は五億八千万でございましたが、これを一挙に十七億と三倍近く引き上げております。  そういうことで、数量から申し上げましても、去年が一万一千トンでございますが、ことしは二万二千トン、来年は四万トンを超えるような量になるのではないか。当面の目標は、現在は月に二・五回くらいでございますが、これを週に二回米飯にするということで、いろいろな施策を拡充してまいりたいということでございます。
  94. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 加工食品の調査
  95. 小野重和

    小野説明員 加工食品の問題でございますが、ことし具体的な施策で申し上げますと、いろいろな企業でいろいろな新しい食品を開発するというために、これは米で言いまして千トンでございますが、千トンをそういう企業に——企業だけではありませんが、無償で交付するということをことしの予算で計上いたしまして、いまそういう希望を募って審査をしているという段階でございます。
  96. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 学校給食なり加工食品というのは、結局、消費拡大の中心的な課題じゃない、補助的なものになりますね。やはり国民の消費がもっと進まなければならぬというのが第一義的な問題だと思うのです。ところが、実際には国民当たり一月の消費量というのは、三十七年の九・八キロから五十年には七・一キロに下がっておるというふうに数字の上ではなっておりますが、なぜそういうふうに下がってきたのか、分析をしていらっしゃるのか。
  97. 小野重和

    小野説明員 この十年くらいの一人当たりのカロリーの摂取量を見てみますと、トータルのカロリーは変わっておりません。それで、いま個別の数字は申し上げませんが、米のカロリーは減っております。小麦は横ばいでございます。ふえているのは畜産物、肉とか卵とか牛乳、それから砂糖、油脂、こういうものでございます。米が不思議なことに変わっているということでございます。これは食生活のパターンが変わってきているということが基本にあると思います。したがいまして、これをまたもとのように米中心の食生活に切りかえるということはなかなか容易なことではないと思います。  なぜこのように食生活が変わってきたかということでございます。これは所得の向上といったことが根底にあるわけでございますが、私どもは学校給食というものも大きな一つの原因ではないかと考えます。したがいまして、先ほど申し上げましたような学校給食への米飯導入というものを積極的に進めたいと思っておるわけでございますが、いずれにしましても、この問題は短期間で急に拡大するということはちょっとむずかしいということで、長期的な視点に立って根気強く進めていくということではなかろうかと私ども考えております。
  98. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 学校給食の教育から変えていく、これは相当長期にかかりますね。そしてまた、そういう中で短期にやろうと思えば一層値段ということも問題になると思うのです。今度の消費者米価九・八%、そして標準米価格九・五%ということで、標準価格米で推定十キロ二千七百五十一円が大体三千円ちょっと超えますね。そういうことになれば、拡大どころか逆に一層減っていくのじゃないか。そういう分析はなさっておらないのですか。
  99. 小野重和

    小野説明員 物は値段が上がれば消費が減るということが普通常識的ではございますが、ただ主食の場合、パンも同じでございますが、私どもその辺の関係——米の価格と消費量との関係を価格弾性値と言っていますが、そういうものを計算してみましても、その辺の因果関係というのはどうしてもうかがわれません。どうもお米の消費というのはむしろそういう構造的なもの、食生活のパターンが変わってきているということに原因するもののようでありまして、それは相当大幅な引き上げであれば影響が出てくるかもしれませんが、この程度引き上げで量的なものに変化が出てくるとは私ども考えておりません。
  100. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 主食構造が変わってきているのに、価格が上がって消費が拡大されるかどうか。価格が上がらない方が拡大はしやすいわけでしょう。それを言っているのですよ。上がってもできるだけ上がり幅が少ない方が消費は拡大されるでしょう。それにあえて一〇%近く、一けたと言われるけれども、ほとんど一〇%近く上がるということは、消費がそれだけ進みにくくなるわけでしょう。その分析はどういうふうになさっておられるか。
  101. 小野重和

    小野説明員 ただいま申し上げましたように、この程度値上げで消費が減るということは私どもないのじゃないかと思います。しかし、上げるよりは上げない方がいいのではないか、これはそういうこともあり得るかと思います。しかし、一方では、いまの食管逆ざやの問題、これは農政上、財政上、食管運営上も大変な問題でございまして、これを解消しなければならないという一つの大きな命題がございますので、これはそういう形でいきたい。消費の方は、この程度値上げで消費量にそれほどに影響があるとは私ども考えていないわけでございます。
  102. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 赤字解消の問題とか逆ざやの問題、国民大衆はそういうことを一々計算してやっているわけではないのですよ。一〇%上がるということが消費の拡大と結びつくか結びつかないかということを言っているのです。変わらないとおっしゃるのですか。上げても上げなくても変わらないということなんですか。
  103. 小野重和

    小野説明員 過去の例から見ましても、この価格につきましては過去にその引き上げも大分やってきておりますが、それによって特に影響があるとは思いません。というのは、たとえば四十四、五、六年というのは据え置きでございます。このときでも一人当たりの消費量は相当減りました。その後七、八、九年と引き上げておりますが、むしろこれは一人当たりの減り方は鈍化しておるわけであります。そういうようなことがございまして、どうも価格といまの消費量というものは相関関係といいますか、それはないのじゃないかというふうに考えております。
  104. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 四十六、七年当時といまと大分情勢も違うと思うのですよ。そしてまた、家計、ふところぐあい、国民一人一人の実質所得もずいぶん変わっていると思います。三年半にわたる不況のもとでは、やはり家計費の節約というのはどの家庭でも非常に心がけていらっしゃることだと思うのです。その中で、いままである程度高度成長時代に脂肪を中心とする食品の多様化といいますか、米からだんだん離れていく要素はあったのですけれども、逆に戻ってこなければならない要素も本当はあるのじゃないかと思うのです。米に頼らなければならない部分も相当あるのじゃないかと思うのです。その中で米価が上がるということは、米離れをまさに促進するような力が働くのじゃないか。そういうことは全然ないとおっしゃるわけですか。
  105. 小野重和

    小野説明員 私どもは、先ほど来申し上げましたように、食生活のパターンの変化というものが米の消費減退の一番大きな原因であるということで考えておりまして、それらの対策ということで学校給食その他に取り組んでいるということでございます。価格問題というのは影響はないのじゃないかというふうに、繰り返しで恐縮でございますが、考えております。
  106. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 米の中で標準価格米というのは、やはり低所得者層に非常に大きな影響があると思うのです。所得の低い人たちは標準価格米を利用している向きが多いと思うのです。自主流通米等にも手が出ない、せめて米の節約でという人が多いのです。〇・三%ほどの差はつけられましたけれども、ある程度福祉的な意味合いも持っていると思うのですが、これに対する影響が今後も非常に大きくなると思うのですが、その点はいかがでしょう。
  107. 小野重和

    小野説明員 現在、標準価格米を購入している量は、全国平均でございますが、三五、六%という状況でございます。したがいまして、その残りの三分の二くらいはいわゆる自主流通——上米、中米と私どもは申しておりますが、そういう上中米を買っているわけでございます。  それで、標準価格米は、いまおっしゃられるように、低所得といいますか、普通の需要を持った、庶民米とも言っておりますが、そういうことで位置づけられておりますから、そういう意味で、今回も九・五%ということで売り渡し価格のアップ率よりもやや低目にいたしておるわけでございますが、引き上げ率をもっと下げられないかというような御議論もあろうかと思います。  しかしながら、そういうことにいたしますと、今度は逆に上米、中米をもっと引き上げなければならないということになりまして、これにはいろいろ問題もございます。現在でも上米、中米を好んで買っておられる方が三分の二おられるわけでございます。そういうものについて著しく高い引き上げ率になるような売り渡し価格の改定というのはいかがなものであろうか。  それからまた、品質の格差と価格の差、これはおのずから一定の関係があるはずでございますが、私ども見ますところ、いま現在ぐらいが品質の格差に応じた格差の限界ではなかろうか。それ以上は品質から見て差が開きにくいと考えております。  以上のような点から、今回の標準価格米のアップ率九・五というものは、いろいろな面を総合判断しましてできたものではないかというふうに私ども考えております。
  108. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 標準価格米をできるだけ普及させようということで、かつて政府は大型精米所をたくさんつくり、そして標準価格米の普及率をできるだけ高めるという努力をなさってきたのです。今日まで大型精米所に対してどれだけの助成をやってこられて、そしてどれだけの率がいま上がってきているか、お教えいただきたいと思います。
  109. 小野重和

    小野説明員 大型精米工場を普及させる趣旨というものは、標準価格米だけでなくて、二つございます。一つは、当然、米の生産流通の合理化になる。米といいますか、精米段階でございますが、合理化をするということは当然のことでございますが、もう一つは、お米の品質と表示、表示と内容が一致していなければならない。一致しているということは、結局それを第三者がチェックしなければいけないわけであります。第三者のチェックというものは、店頭では、やっていますが、なかなかやりにくいわけであります。そこで、大型精米ですとチェックがやりやすい。それによって内容と表示の一致が確保されるという、二つの点がございまして、大型精米をふやそうではないかということで従来施策を講じておる、こういうことでございますが、現在の大型精米工場の数は五百五十工場でございます。  配給米に占める大型工場の能力でございますが、これはすでに一二三%、つまり全体を全部大型精米で精米できるくらいの能力がございます。ただ、店頭精米、つまり小売が店で精米しているのをなかなか強制的にやめさせるわけにはいきません。そこで、いまそれが併存している形になっておりまして、なるべく店頭をやめて大型の方に切りかえるように指導はいたしておりますが、徐々にそうなっておりますが、なかなか一挙にはそういかないというのが実態でございます。
  110. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 四十九年ぐらいから実際にはふえていっているのか、減っていっているのか。大型精米工場を使うということは、流通の合理化と、いま言われた品質の明示あるいは品質の表示をはっきりさせる、二つのねらいがあるわけでしょう。ふえていっているのか、減っていっているのか。
  111. 小野重和

    小野説明員 すでに四十八年ぐらいでもう能力が全体の一〇〇を超えているようなところまで来ておりまして、その後若干の増減がありますが、そういうような事態を反映いたしまして、工場数ではほとんどふえておりませんが、搗精能力では若干ふえております。たとえば四十八年に、これは月の能力でございますが、六十一万二千トンでございますが、現在は六十九万二千トンということでございます。ちなみに、十年前、四十二年でございますが、十四万六千トンでございましたが、四十二年以降相当ふえてきましたが、最近は若干ずつふえている、こういうような実態でございます。
  112. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大型精米工場を使って標準米、管理米をできるだけ消費者になじんでもらおうという意図で進んでいらっしゃると思うのですが、実際には余りふえておらないのではないですか。むしろ減ってきているのではないですか。
  113. 小野重和

    小野説明員 搗精能力はふえております。
  114. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 能力はふえているけれども、実際の稼働はどうです。
  115. 小野重和

    小野説明員 これは結局、店頭精米との関係でございまして、したがいまして、大型の掲精工場はいま申し上げたような数字でございますが、片や小売の店頭にまた精米工場がある。それで小売の方はなかなかやめないということで、結局、全体としてはフル稼働してない、こういうことでございまして、私どもできる限り店頭の精米をやめて、大型で精米したものを店頭で売るというような形にいま極力指導をいたしておりますが、急にはなかなかいかない。徐々に、段階的にそういうふうに持っていきたいというふうに私ども考えております。
  116. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 たしかその助成金は半額ぐらいやっておられると思うのですよ。莫大な額を投資して大型精米工場をつくられるのは、流通の合理化もあるし、できるだけ価格を安くというためにやっておられるのですが、二、三年前の調査では大体三割ぐらいしか稼働しておらないと思うのです。ということは、品質表示を明らかにすることをきらうということも一つあるし、個々の精米施設を持たれるということは、自分の手でブレンドをしたいということ、ですから、政府できちっと表示したものを売るよりか、そちらの方が有利だということなんです。ですから、多額の助成をして、だれにでもわかるような標準価格米の普及を意図されたけれども、指導なさったけれども、十数年来余り実際には稼働が伸び続けておらない、むしろきらわれているのが実態じゃないかと思うんです。そういうところにもむだがあるのじゃないか。消費拡大と言われるけれども、実際にはそれだけの、拡大するだけの熱意というものが本当に農林省にあるのかないのか疑わしいということを私たちはたびたび感ずるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  117. 小野重和

    小野説明員 大型精米の稼働率でございますが、全国では四二%でございます。地域的にはなかなか偏りがございまして、率直に申し上げますと、東京では二四%しか稼働しておりません。能力としてはほとんどカバーできるだけの能力がございますが、お米屋さんの言い分はまさに、本当においしいお米は米屋の店頭でブレンドして提供した方がお客さんに喜ばれるということで、大型精米になりますと一律のつくり方になりますから、やはり店頭の方が本当にお客さんに喜ばれるお米ができるんだというふうに言っておりますが、そういう面もないとは言いませんけれども、やはり店頭ではなくて、集中精米の方に持っていきたい。  実は、私どもそういう店頭精米をやめる場合に一定の助成をするというような予算、予算といいましても、これは全体のマージンの中からプールしてもらいましてそれから出す、そういう予算を組みまして、そういう措置もとりまして店頭をやめるように、できる限り集中精米に切りかえるように指導いたしておるわけでございますが、何分にもこれは強制するわけにいきませんので、必ずしも思ったような成果は上げていないというのが率直なところでございます。しかし、今後ともそういう方向で努力したいと思っております。
  118. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私も五年ぐらいずっとこの標準価格米をテスト的に指定してやっているんですよ。非常にいいときと悪いときのむらがあるんですね。自主流通米と言われる、銘柄米と言われるような米とほとんど変わらないときもあるし、非常にむらがあるということです。ということは、どういうところに原因があるのかわかりませんが、そういうむらがある、味のまずいのも多い、古米の混米率も多いということもまた事実だと思います。そして、いいときには、一たん大型精米所でばらしたものをまたほかの米とまぜ合わせて、いわゆる混米をして別にいい価格で売るというようなこともたびたび私たちも聞きます。ということは、結局、いまの大型精米で合理化を図って、少しでも米の消費を拡大しようという反面、お米屋さんの店頭で利率の問題もあって普及しない。味と利率、そういう両面からも消費が拡大しないというような面があるのじゃないかと思うのですが、その点について調査をなさったことがあるかどうか。
  119. 小野重和

    小野説明員 店頭精米によって精米されたもの、それから集中精米で精米されたもの、それと消費拡大との関係にどのような関係があるかということは、これはちょっと数量的になかなか把握できませんので、特に調査結果というものはございませんが、しかしながら、集中精米の方が、これは一定の品質は確保されるような体制でございますから、それにした方がより望ましいということは私どもそのとおりでございまして、そういう方向でできるだけのことはやっていきたいというふうに考えます。
  120. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私、申し上げたかったのは、消費拡大についてどれだけの熱意を持っておられるのかどうかということを、非常に疑わしいと思うからそういうことを御質問申し上げたわけですが、これだけやっておるわけにいきませんので、次に移ります。  時間が参りましたけれども、最後に、逆ざや解消論として赤字だ赤字だと言われるのですが、約七千億に近い食管特別会計の繰り入れに対して、七千億の意味、どういうふうな意味にとっておられるのかということをひとつお伺いしたいと思います。
  121. 小野重和

    小野説明員 食管赤字の意味ということでございますが、食管赤字には二種類ございます。一つは、いわゆる管理経費と言われておるものでございます。これは政府米の流通に伴う金利、倉敷、それから事務、人件費的なものもございますし、そういう管理経費というものと、それから売買逆ざやに伴う損失、二種類ございます。この管理経費に見合う損失というのは、食管運営という面から言いますと、財政負担ということも、これもいろいろ議論はありますが、これは財政負担ということもいいのではないかというふうに思いますが、売買逆ざやに伴う損失というものは、これは食管の運営上あるいは統制上もあるいは財政上から言いましてもやはり問題がございますので、これは一遍というわけにいきませんけれども、段階的に解消すべきものというふうに私ども考えています。
  122. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 食管赤字の意味について会計上にはそういうことがある、そういうことを私、申し上げているのじゃなしに、どういう政治的な意味を持っているかということなんです。高い安いだけ言えば、外国食糧の方がずっと安いに決まっているわけです。ですから、輸入した方がいいに決まっているんですが、そういうことじゃなしに、食糧自給率の問題もやはり食糧の安全保障という意味も含まれておるでしょうし、あるいはまた、農民の生産意欲、自給力を高めるということで農民の労賃や再生産を保障するという意味も含まれておるだろうと思います。あるいはまた、最近のように不況の場合には、また農村へ帰ってこられる、好況のときは農村からまた出かせぎに出られる率も多くなるというようなこと、雇用という問題も含まれておると思うのですよ。あるいはまた、物価の安定、食糧管理法の中で生産の保障と家計の安定というふうに言われておりますが、物価の安定という問題も含まれております。それから低所得者層向きの社会保障的な意味、こういうふうな問題全部が含まれての食管会計に対する繰り入れだというふうに私どもは解釈しているのですが、そういうふうにはとれないのでしょうか。
  123. 小野重和

    小野説明員 食糧政策の観点から申し上げたいと思いますが、現在、米はむしろ過剰であるということでございまして、一方、麦なりあるいはえさ、大豆を大部分は外国から輸入している、こういう状態でございまして、特に穀物の自給率というのは非常に低い状態でございます。これを高めるということはどうしても必要なことでございます。その場合に、これは奨励金でやるか、価格でやるか、いずれにしてもこれは相当収益性を高めませんと、とてもそういうものを国内ではつくれないということ、もちろん基盤整備その他の問題もございます。そういうことで、むしろ食糧政策全体の問題として考えますときには、こういう食管赤字の中でも、いわゆる売買逆ざやに伴うそういう赤字というものは解消して、むしろそちらの方に金を使うということが全体の食糧政策を進める上からもはるかに望ましい姿ではないかというふうに私ども考えております。
  124. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 時間が参りましたので、最後に企画庁長官に。  いま言いましたように、米の再生産ということと家計の安定、企画庁長官の場合は家計の安定の方が比重が高いわけです。そういう意味から、できるだけ消費者米価が上がらないように、最初に申し上げましたように、政治的な加算が消費者米価に加算されているのじゃないかと疑いを持たれるような今度の値上げだと思うのでございます。  新聞によりますと、初めのうちはせいぜい七、八%ぐらいじゃないかと言われていたのが、むしろ逆に二けたに近いような価格で決まったということですから、今後に対するいろいろな影響があると思います。きょうあすと、消費者米価決定についてはまだまだ努力をしていただく時間があると思いますので、できるだけ低い価格で抑えられるように、経済企画庁長官としても物価の守り手としてひとつ御決意を伺いたいと思います。
  125. 倉成正

    ○倉成国務大臣 政府といたしましては九・八%の消費者米価値上げ、標準米についての九・五%の値上げ諮問いたしております。これは政府立場としては堅持してまいりたい。しかし、米価審議会でいろいろな御意見が出ようかと思いますから、それらの問題は十分参酌いたして最終的な決定がなされるものと思います。
  126. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  127. 西宮弘

    西宮委員長 馬場猪太郎君の質疑は終了いたしました。  次は、中川嘉美君。
  128. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 政府消費者米価について、食管会計の売買逆ざやの完全解消という既定方針に基づいて、生産者米価値上げ決定に伴う財政負担を上回るところの大幅な消費者米価値上げを図ろうとしているわけですけれども、きょうは冒頭に、その米価のあり方について各委員からもいろいろと御質疑がありましたけれども、まず食管法そのものについて、食管法目的というものが一体どこにあるのか、どうも先ほど来いろいろと御答弁あったようですけれども、ここでいま一度明瞭にこの点をお答えいただきたい、このように思います。
  129. 小野重和

    小野説明員 食管法の規定は、確かに生産者米価につきましては「生産費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、また売り渡し価格につきましては「家計費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ消費者家計安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」とありまして、生産者米価は米穀の再生産確保する、消費者米価家計安定というのを旨として定めるということが書いてあります。  しかしながら——しかしながらといいますか、いま読み上げましたものはともに「経済事情」ということがございます。したがいまして、確かに消費者米価の場合には家計物価のことを当然考えなければいけませんが、同時に、この「経済事情」の中には、やはり米も商品でございますから、米のコストということも当然考えるべきであるというふうに私ども考えております。
  130. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 食管制度の目的は、国民食糧確保して国民経済の安定を図るために、また食糧の管理と需給及び価格調整することなどが目的となっているわけで、その意味では食管逆ざやであってはいけないということにはならないと私は思います。  この点はどうかという問題、先ほど来たびたび御答弁が出ておりますけれども、むしろ国民経済や需給動向等の見地から、政策的には逆ざやであってもやむを得ない、こういうこともあると私は思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  131. 小野重和

    小野説明員 食管会計とか、食管会計といいますか、あるいは両米価の関係と申し上げてもよろしいのですが、その歴史を振り返りましても、たとえば昭和三十七年ごろまでは売買逆ざやというものは存在しなかったわけでございます。その後若干の売買逆ざやはありましたが、いまのような大幅な売買逆ざやになりましたのは昭和四十八年、九年、そのころでございます。このときに生産者米価は相当に引き上げになりましたけれども消費者米価の方は物価対策という観点から抑制されまして、そういった大幅な逆ざやが出てきておるというのがいままでの経緯といいますか、事情でございます。したがいまして、そういうことは、逆ざやがあること自体が食管法と矛盾するという意味ではもちろんございませんが、しかし、両米価の間の逆ざやというのは、これは物の価格関係としても私は不自然だと思いますし、食糧管理上もいろいろ問題がございますし、農政上、財政上もいろいろ問題がございます。したがいまして、これはやはり解消すべきものというふうに考えておりますが、その場合におきましても、これは物価とか家計、そういう面に十分配慮しながら解消していくということでございまして、そういう意味で、食管法の趣旨に沿って両米価を決めていくということにつきましては何ら考え方は変わっておるものではございません。
  132. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは伺いますけれども食管赤字を解消させるということは、消費者にあくまでも負担をさせるということになるわけで、これは単に消費者に限定された財政支出であってはならないと私は思います。国が国民食糧確保して、そして安定的に供給するためのいわば食糧の安全保障費といいますか、さらには農民の生産意欲維持費、雇用安定費、物価安定費等さまざまな国家目的を持った必要経費であると考えなければならないのじゃないかと私は思います。その意味では、いわば国防費とかあるいは国家に必要な経費と何ら変わるところがないんじゃないか、いわゆるこういった必要な経費をひとり消費者負担させるということはまことに不公平ではないかと思いますけれども、この点に関して大臣のお考えはいかがか、この辺を伺いたいと思います。
  133. 倉成正

    ○倉成国務大臣 食管法でお米を管理しておる。生産者政府にだけ売り渡さなければならないということで、国民食糧確保ということ、同時に、これと関連して国民生活の安定ということを食管法は目指しておるわけでございます。したがって、この限りにおいて政府がある程度財政負担をするということは、もういかなる場合でも合理性があると思います。  ただ、その際に、先ほどから議論がされておりますように、売買逆ざや政府買い入れ価格の方が売り渡し価格よりも高いということになってまいりますと、これはちょっといろいろ問題があるんじゃなかろうか。これは物価が、狂乱物価のような時期で、生産者米価は非常に上がるけれども消費者米価はどうしても至上命題として安定させなければならない、そのために消費者米価を抑えるということで逆ざやが出てくるということは、ある場合にはあるかもしれませんけれども、しかし、本来の経済の正常な姿としては望ましくない。したがって、これはひとつ合理的な形で解消すべきものである、そういう考え方を私どもはとっておるわけでございまして、昨年、狂乱物価も一応安定の方向に来る段階において、五年間でひとつこの売買逆ざや解消しよう。しかし、昨年はその初年度であるので、大幅な逆ざや解消ということは消費者に大きな負担になるから、これは二%程度にしょう。ことしはどうかということでありますが、大蔵省等におきましては、この売買逆ざやあと四年で解消するということになると、公共料金が安定していることしあたりにこの売買逆ざやを大きく解消しておった方が将来の公共料金に対する負担を軽くするのではないか、そういう主張でございます。また農林省がその考え方に近い考え方であったわけでございますけれども物価担当の経済企画庁といたしましては、確かに家計支出の中で占めている消費支出の中でのお米の支出というのは、昭和四十年代に七%台でございましたのが現在は三%に減っておるということもございますし、CPIに及ぼす影響が、一%の値上げで〇・〇三ということで、仮に九・八%といたしましても〇・三%以下のものであるということであります。しかし、先ほど武部委員もお話しのように、心理的な影響があるので、単なる統計数字上だけでこれを判断すべきでない、何としてもこれは二けたになってはまずいということで、いろいろ大蔵、農林当局とも御相談をしまして、そして九・八%、しかし、標準米についてはこれよりも低い率で抑えようということにいたしたような次第でございます。  したがいまして、いま先生のお話しのように、いろいろな要素がこの食管法財政負担にあろうかと思いますけれども、やはりこれは合理性を持つ必要があるのではなかろうか。仮に生産者米価が非常に大幅に上がって、そして消費者米価だけを抑えたといたしますと、これはある意味では社会保障的な意味が一部で出てくるかもしれません。しかし、そうなると、松下幸之助さんにまで安いお米を食べていただくという、極端な議論をしますと、そういうことにもなるわけでございますから、やはりこれは合理的なところで決めていくということが一番妥当ではないかということで、われわれとしましてはできるだけ低い消費者米価ということを考えましたけれども、しかし、経済の合理性は貫いていくことが妥当であるということで、先ほど申しましたような政府諮問案決定したような次第でございます。
  134. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 御答弁の中にありました合理的な形における解消ということですけれども、この合理的という合理的の内容そのものに問題があってはならない、不公平があってはならない、こういうことだと私は思います。食糧自給率を高めて、そして国民食糧確保して、安定的に供給をするということは、これはもう国の責任である。食糧危機が叫ばれている今日、食糧はあくまでも外国に依存してばかりもいられない。米の生産力を維持していくということは国民食糧確保するために絶対に必要なことと言わなければならないわけですけれども食管の赤字はそうした重要な国の政策を遂行するための、先ほど申し上げた必要経費である、こういう考え方にあくまでも立ちませんと、常に消費者にすべて負担が押しつけられてしまう、こういうことになりかねない。私は、この点、くどいようですけれども消費者だけにこの負担を押しつけるということは不公平であるという考え方、この考え方について大臣はどういうふうに率直に感じておられるのか、いま一度この不公平云々ということについての御答弁をいただきたいと思います。
  135. 倉成正

    ○倉成国務大臣 食管制度が国民食糧確保ということと、それから国民経済の安定という目的を持っておるわけでございますが、これに対して国がある程度財政負担をするということは合理的な意味を持っておると思います。しかし同時に、仮にこの食管において大きな赤字が出たということになれば、これをだれが負担するかということになれば、結局これは国民の税金ということでございます。国民一般がこれを負担するということになるわけでございます。したがって、その国民全体の負担、一般的な税の負担によってこの財政負担をするのがよいのか、あるいは消費者のお米の消費量に応じて負担をするのがよいのかということは、これは政策判断の問題ではなかろうかと思うのでございまして、やはりそこにおのずから合理的な基準というものが考えられなければならないというわけでございまして、その合理的な基準とは何ぞや、これはもう少しこういうところにおいては考えるのが合理的ではなかろうかというような御示唆があれば、いろいろ御教示を賜りたいと思うのでございます。
  136. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま政策判断の問題であるというふうにもお話がありましたけれども消費者米価逆ざやを五年間で解消させる上において、政府が米を管理するための保険料とか人件費とか、あるいは金利食管制度上当然に政府負担すべき費用までも消費者負担させようということは、食管制度の否定につながるのではないか、われわれはこういったことであるならば断じて許すわけにはいかないという考え方を持っているわけであります。先ほど申したとおり、食管の赤字は国民食糧確保という国の重要な政策に沿った必要経費で、食管制度は食糧危機の叫ばれている今日ますます堅持をしていかなければならない、このように思うわけです。  こういう意味で、この食管の赤字はひとり消費者のみが負担すべきものではない。政策判断の問題であるとおっしゃったけれども、むしろ大企業とか金持ち優遇税制の改廃において負担をするのが当然ではないか、このようにも思うわけですけれども、先ほどの御答弁に関連をして、政策判断の問題とおっしゃったのはどういうことであるか、私はむしろそういった優遇税制の改廃といったことを真っ先に考えていかなければならないのじゃないかと思いますが、この点はいかがでしょう。
  137. 倉成正

    ○倉成国務大臣 現在、政府が玄米六十キログラム当たりの政府管理経費としては二千九百四十六円負担をいたしておるわけでございます。したがって、これを入れたものと政府買い入れ価格との逆ざやということになりますと、いわゆるコスト逆ざやで六千六十七円という逆ざやがあるわけでございます。したがって、これを全部消費者負担させるということをわれわれが主張いたしておりますと、これはいま先生のお話しのような議論になろうかと思うのですけれども、現在、私どもが五年間で解消しようというのはそうではなくて、いわゆる売買逆ざや解消しよう、三千百二十一円という売買逆ざやをひとつ五年間で解消していくのが合理的な考え方ではなかろうかということでございますので、その点はひとつ御理解を賜りたいと思っておるわけでございます。  したがいまして、一般の商品であればその買い入れ価格にいろいろなコストがかかってくる、それを加えたものが売り渡し価格になるということでございます。しかし、お米の場合は特殊な商品であり、また国民生活に欠くことのできないものであるので、従来の経緯によって食管負担ということでいたしておるわけですけれども、その負担の中でやはり本来は消費者負担すべきものは負担していただくのが適当ではないか、そして、その分の財政が出てまいったものは有効に国家財政の見地から使用すべきであるし、農林の場合にはやはり食糧確保という面からも他の予算にこれを使うということも考えられるのではないかと思うのでございます。
  138. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 政府逆ざや解消政策からしますと、どうも食管制度そのものを変えていこうという姿勢が非常にうかがえるわけで、私は、食管制度の目的というのはいわゆる二重価格制をとって国民に安定的に米を供給するのが目的である、こう思いますが、自主流通米制度を設けて、最近では標準価格米に銘柄米を混ぜないで古米を中心とするようにしたために、自主流通米のシェアが非常に大きくなったということ、その上に昨年の消費者米価引き上げが一〇・二%、ことしは九・八%をもくろんでおられるということですけれども、勤労者の賃金をも上回って、これは八・八%ということを考えますと、家計はますます圧迫されることになると私は思います。勤労者の賃金を上回るということについてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  139. 倉成正

    ○倉成国務大臣 先ほどからるるお話をいたしておりますように、勤労者の家計支出、昨年の五月から今年の四月までの平均をとりますと、十八万六千三百二十円でございまして、これに対して九・八%の値上がりというものの支出増が一カ月に四百二円ということでございまして、大体家計支出に対する影響〇・二%ということであろうかと思います。もちろんこれは少なければ少ないほどよいわけでありますけれども、しかし、この程度の御負担をいただくということによってさらに他の施策が充実していくということになれば、これは合理性を持つのではなかろうかと思います。  少し極端な議論をいたしてみますと、たとえば生産者米価が三〇%値上がりした、そして消費者米価を全然引き上げなかった、そういうことが仮に行われたとしますと、少なくとも大体六千億ぐらいの財政負担がふえるわけですね。そういうことになると、それはちょっとおかしいじゃないかという議論が当然出てくるわけでありますので、われわれは、やはり国の財政というのは国民の幸福のために使わるべきものであるから、どういう形で使うのが一番合理的であるかということをひとついろいろ皆様の御意見も賜りながら、一番国民を納得せしめ得るような考え方を取りまとめていきたい、そういう考え方でございます。
  140. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 家計への影響が〇・二%というふうなことに関しては、先ほども同僚委員からお話がありましたとおり、これは実際、現実には、こういった一口で簡単に言える問題ではない。本当にこのはね返りというものは毎年私たちが現実の生活の中で経験している問題であり、このことをずっと突っ込んでいきますと時間もかかります。また別途、これはこれとしてしぼって質問してまいりたいと思います。  皆さんの御意見を伺って国民の納得のいくような施策を講じてまいりたいという御答弁に対して、それに関連して伺いますけれども、米審の構成についてであります。二十五名中わずか五名しか消費者代表が加えられていないわけで、米はすべて消費者によって消費されるものでありますから、食管制度の目的からして、またこの制度を堅持していく必要性からしても、消費者の米に対する十分な理解と協力、こういったものが必要ではないか。そういう意味では、生産者消費者、そして学識経験者、こういった方々が各同数によって審議会が運営されるのが最も好ましいのじゃないかと私は考えます。冒頭に申し上げた二十五名中たった五名しか消費者代表がいない、これではならないのじゃないかと思いますが、こういった構成を変えるお考えはないかどうか、この点に関してお答えをいただきたいと思います。
  141. 小野重和

    小野説明員 米審の歴史、これはすでに三十年近くなるわけでございますが、いろいろな変遷が米審の構成についてございます。ですが、基本的に申し上げまして、米価というものは国民経済あるいは財政にも深くかかわり合いのある問題でございます。したがいまして、米の生産あるいは消費に直接関係される方のみならず、広く財政経済に学識経験を持たれる方々に御参加をいただくということが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、実は去年までは全体の二十五名——二十五名と申しましても、会長、会長代理はこれはいわば意見を述べるようなことじゃなくて、全く取りまとめに当たられる方でございますが、それは別といたしまして、生産者側四人、消費者側四人、こういう構成であったわけでございます。それで昨年、消費者側もそうでございますが、特に生産者側からも非常に強いこの構成問題についての御意見がありまして、時の農林大臣がまあ十分に研究いたしたいということで、去年はそういうことで一応そのままということになったわけでございますが、ことしその問題が再びいろいろ問題になったわけでございます。そこで、たとえば生産者側、これは農協関係が主体でございますが、これは当初、去年は三者構成ということを言っておりましたが、ことしはそこまでではなくても、まあ生産者側と言いましても耕作農民の代表、これを入れるべし、こういう非常に強い御要請が実はあったわけでございます。そこで今回、耕作農民の代表といいますか耕作農民の方を一人ふやしております。一方、もちろんバランス上と申しますか、消費者側も一人それに見合ってふやして、五人、五人ということになったわけでございます。三者構成という御意見もございますが、いままでのいろいろな経緯を踏まえて現在に至っておるわけでございまして、それからことし一人ずつふやしたこともございますので、私どもいまの構成で適正な運営が図られるのではないかというふうに考えております。
  142. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 消費者側の非常に強い御要望というものがあるわけで、いまの御答弁なりに受けとめておきますけれども、その非常に強い要望に対して、将来それではこういった配分について再度検討しよう、そういう必要性というものを感じておられるかどうか、この点を念のためにもう一度伺っておきたいと思います。
  143. 小野重和

    小野説明員 三者構成にすることが適当であるというふうに私ども考えておりません。そういう御要望もあるわけで、そういう御意見を踏まえまして、ことし一人ずつそれぞれふやしたということもございますので、私どもいま、今後そういう方向で検討するとかいうようなことを申し上げるような段階にはないというふうに考えております。
  144. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間の関係もありますので、米の問題について最後に一つだけ伺いたいわけですけれども、今回私どもの党としても総理あてに、食管会計の売買逆ざやの完全解消という既定方針に基づいた生産者米価値上げ決定に伴う財政負担、これを非常に大幅に上回るところの消費者米価値上げ食管法の精神そのものをふみにじるものであり、容認ができない、このようなことで値上げ方針を撤回すべきだということを強く総理に申し入れたわけですけれども、大臣もこのことを十分承知をされて対処されるよう、本件に関する質問の最後に強く要望をしておきたい、このように思います。一言だけ御答弁いただきたいと思います。
  145. 倉成正

    ○倉成国務大臣 中川委員のお話はよく受けとめておきたいと思います。ただ、政府立場も御了承いただきたいと思います。大蔵大臣、農林大臣企画庁長官、三者で協議の上、政府諮問案として、いま九・八%、標準米九・五%というのを米審に諮問いたしておるわけでございますが、現在の私の立場としては、政府の閣僚の一員として、この案が合理的なものである、さように思っておる次第でございます。
  146. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 次に、麦について若干伺いたいと思います。  先ほど武部委員からも同様の御質問があったわけですけれども、私なりにいま一度どうしても確認をしておきたい。先ほどの御答弁もあり、若干重複するところがあるかと思いますけれども、私なりに数字を挙げて確認をしておきたいと思います。  食管の輸入食糧管理勘定、これは大部分が御承知のとおり麦であるわけですけれども、これを見てみますと、四十八年ごろから赤字に転落をしております。五十一年度予算でも八百四十九億円の赤字が見込まれている。そして同年の決算見込みが、約百二十五億円ですけれども黒字が見込まれるに至ったわけです。まずこの点は間違いありませんね。数字の面でひとつ御答弁いただきたいと思います。
  147. 小野重和

    小野説明員 間違いございません。
  148. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 こういった原因については、外麦の現地価格が下落したとか、あるいは円高基調も大きな原因の一つであるというふうに思うわけですけれども、五十一年度予算では、為替レート三百八円として、同年の外麦主食小麦政府買い入れ価格は、トン当たり加重平均で六万八千六百四十二円、このように予想されていたものが、決算では為替レートが二百九十四円でもって政府買い入れ価格もその結果五万三千九百六十四円に終わったわけですけれども、この数字は、同じく間違いないかどうか。
  149. 小野重和

    小野説明員 五十一年度の予算ベースでは、小麦の場合でございますが、買い付け価格がトン六万八千六百四十二円でございます。五十一年の決算はまだ終わっておりませんが、決算見込みでございますが、小麦が五万三千九百六十四円ということでございます。  それで、いま為替レートのお尋ねでございますが、予算ベースは三百八円の基準レートでございますが、この実行見込みでは、五十一年度は三百一円ということでございます。
  150. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 若干ですが、レートの違いがあるようですけれども、要するに、引いてみればわかるように、一万五千円も安く買えたことになるのじゃないか。見込みとは言うものの、こういう判断が出てくると思います。その結果、予算と決算との間に実に九百億円以上の見込み違いが生ずるという結果になったわけですけれども、これは五十一年度ですね。五十二年度予算では、外麦主食小麦政府買い入れ価格は果たして幾らに見込んでおられるか、為替レートは何円と見込んでおられるか、確認をしておきたいと思います。
  151. 小野重和

    小野説明員 予算べースでは、買い付け価格は、小麦の場合でございますが、トン六万一千二百四十円でございます。為替レートは基準レートの三百八円で計上いたしております。これが今年度どうなるかということは、まだ年度が始まって早々でございまして、特に国際価格は大変変動しやすいものでございます。私どもはいまが底値で、これから秋口から国際価格は上がるというふうに見ておりますし、またレートの問題は、これはいろいろ変動要因がございますので、どうなるかということは申し上げられませんのでございますが、仮に一定の前提を置いて試算すればどうなるかということで申し上げたいと思います。過去二十四ヵ月の、まあ二年でございますが、その国際価格、こういうことではじいてみますと、その場合、為替レートは二百八十円ということにいたしておりますが、そういうふうにして計算いたしますと五万九十二円、まあ五万円ということでございます。というような、これは試算でございます。仮にこういう前提を置きますと、現在の予算ベースから四百億、損失の減になる。現在、大麦、小麦合わせまして七十八億の損失を予算では計上いたしておりますので、それが三百二十三億というようなことになる。これはあくまでも一定の前提を置いた試算でございますので、具体的にこれからどうなるのかということは何とも申し上げられないということでございます。
  152. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 米国あたりの価格の下支え政策ですね、これが今後予想されることも聞いてはいますけれども、アメリカの麦は豊作であるとも聞いているわけで、今後の外麦の価格が石油ショックのときのように急騰するということはまず考えられないと私は思います。  そこで、いま試算ということですからあくまでもそのように承っておきますけれども、現在の外麦主食小麦政府買い入れ価格、平均でわかればその価格、先ほど武部委員に対する御答弁の中では、銘柄によって違うという御答弁でしたが、何か二つか三つ、トン当たり何円くらいになっているか、もし手元に具体的な数字があればお教えを願いたいと思います。
  153. 小野重和

    小野説明員 いろいろございますが、月々で輸入される銘柄がいろいろ変わりますので、ちょっとこれが本当の平均であるとは申し上げられませんけれども、たとえばことし四月は四万一千三百七十二円、五月は四万二百円というような平均の買い付け価格数字がございます。
  154. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうなると、先ほどの議論と同じようになるかと思いますが、六万一千二百四十円ということでは高過ぎる見積もりになるわけで、この点に一つの大きな問題を感じなければならないわけです。外麦の政府買い入れ価格は四十九年をピークとして下落をたどって、たとえばアメリカ産のウエスタンホワイトという品種については四十九年の十一月七万四千百四十四円、まあ七万四千円もしていたものが、ことし五十二年の五月には三万八千円、こんなところまで落ち込んできている。半額近くまで落ち込んできているわけで、これは円高による効果も大きいと思います。五十二年度の予算では、為替レート三百八円で外麦主食小麦政府買い入れ価格が六万一千二百四十円と見込まれた上で、輸入食糧管理勘定は六十一億円、こういった赤字を計上されているわけですけれども、いま明らかになったように、外麦の政府買い入れ価格はことしに入ってから大体平均して四万円そこそこでずっと来ている。むしろ下りぎみの傾向があるわけです。年度途中ですから決算を予測することは困難だと思いますけれども、仮に現在の円高傾向が持続をして外麦の価格が安定していくとすれば、トン当たりの政府買い入れ価格の予算額である六万一千二百四十円を大幅にダウンをするのではないか。五十一年度決算では、一万五千円の見込みだったわけですけれども、先ほど申し上げたように、その結果、予算と決算において九百億円以上の差額が出て黒字決算になったわけで、いまずっと申し上げてきたように、本年度の場合はもっと大きな見込み違いになるのではないか、その結果大幅な黒字になるのではないかということです。私たちが強調したいのは実はここなので、仮に昨年同様、買い入れ価格が一万五千円程度下回るとすれば、輸入量四百万トンとしても六百億円程度の黒字が計上されることになる。こうなりますと、国内の麦の赤字二百八十億円を補てんして余りあるのではないかと思います。  私が質問してきたのは、実はここのところを聞きたかったわけで、政府はこれでも本年度消費者麦価を値上げするつもりなのかどうか、これだけの黒字が想定されてもなお消費者麦価を値上げするつもりなのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  155. 小野重和

    小野説明員 消費者麦価を具体的にどのように決めるかということにつきましては、これからの問題でございます。国際価格は、先ほど来御指摘のように、現在相当低い水準にございますが、大体いまごろはいつも毎年季節的に安いのでございます。これからどうなりますか、秋口から私どもは相当上がるのではないかと思いますが、それもそのときになれば事実が証明するわけであります。何とも申し上げられません。  しかしながら、そういうような変動をするという可能性もございますし、それから外麦の問題につきましては、いま御指摘のありました国内の麦との問題、いろいろな議論がございまして、国内の麦につきましては、内麦振興ということで、食管でも相当の損失を計上いたさざるを得ないような状況にございます。現在、予算ではちょっと的確にあれでございますが、二百億ぐらいの赤字を見ておったわけでございますが、これも先般国内の麦の買い入れ価格につきまして、いままでの奨励金を取り込むというようなことをいたしまして、そのためにまた百四十億、国内の麦勘定の損失がふえるというようなこともございます。それから、従来四十六年ごろまでは外麦勘定は大体関税相当額の黒字を計上してきたというようなこともございます。これは政府の管理物資でございますから、関税はかからないわけでございますが、しかし、仮に民間で輸入したとすればかかるであろう二〇%の関税、そのくらいは影響を出してもいいのではないかというような考えもございますし、あるいは米価との関係をどう考えるかというような問題もございます。いろいろな問題を総合勘案いたしまして、具体的に本年の麦の売り渡し価格をどうするかということをこれから検討いたしてまいりたい、かように存じております。
  156. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間もありませんので、できればいまの御答弁を踏まえた質疑ということもまた改めてさしていただきたいと思いますが、最後に一つだけ、大臣が席を外されまして米審の方に行かれた関係で、本来なら大臣に最後にどうしても一問お聞きしたかったわけですが、経済企画庁に伺いたいと思います。  過日、福田総理が円高が消費者に還元されるよう指示を行って、当委員会においてもせんだっての国会の末にそのことについての決議を行ったところですけれども、輸入物資の引き下げを民間会社に要請をして協力を得るためには、やはりまずもって政府の管理している小麦とか肉を少しでも安く提供するなど、政府みずからが模範をたれなければ私は説得力がないんじゃないか、このように思います。物価安定政策会議でも、たびたび物価安定のための輸入政策を活用することを提言しておりますし、また輸入制限が国内業者の保護だけに偏らないように、消費者の利益を害しないよう提言もしておりますが、本件に関して経済企画庁の御意見を最後に伺って、終わりたいと思います。
  157. 柳井昭司

    柳井説明員 お答え申し上げます。  為替相場が円高傾向を続けていることにかんがみまして、これが卸売物価に、あるいは消費者物価の安定にどうつながっていくかということがあるわけでございますが、卸売物価の動向でみますと、やはりすでに円高の傾向というものの直接的効果があらわれてきているのではないかというふうに考えております。したがいまして、その波及効果につきましても、さらに適切に反映されていくよう、そういう対応を図ることが必要だというふうに考えておるわけでございます。  それから消費者物価につきましては、これは現在主要三十六品目につきまして価格動向の調査を実施しているところでございますので、その結果を消費者等に対しまして情報提供を行うと同時に、必要がございましたら関連業界に対しても指導を行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、政府関与物資につきましても、円高によるところのメリットあるいは輸入差益の状況等を十分把握いたしまして、消費者に還元されるような、そういう対策がありますれば講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  158. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 以上、終わります。
  159. 西宮弘

    西宮委員長 中川嘉美君の質疑は終了いたしました。  次は、藤原ひろ子君。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  160. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 農林省にお尋ねをしたいと思います。  去る二十一日、鈴木農林大臣は、生産者米価決定の談話の中で、今後とも米の消費拡大に一層努めるほか、米需給の均衡を回復するための各般の施策を講じる必要があると考えている、このように述べられましたが、従来からお米の消費を拡大するということで対策をとってこられたはずですけれども、具体的にどのような方策をとってこられたのか、御答弁願いたいと思います。
  161. 小野重和

    小野説明員 主として予算の関係で申し上げますが、一般の消費拡大、それはたとえばテレビその他によりますいわば宣伝のようなものでございますが、そういうこと、あるいは米の新しい利用のあり方ということでございまして、これは本年度千トンの無償交付。だれにいたしますかというと、新製品を開発したいという、そういう企業でございますが、そういう者に無償で交付しまして、そういう開発を援助するというようなことをやっております。  それから、特に力を入れておりますのが学校給食関係でございまして、これは昨年度から本格実施をいたしておるわけでございますが、農林省食糧庁関係でございますと、学校給食用の米につきまして三五%の値引き売却をしているということが一つございますし、それから文部省でございますと、これは予算ではございませんが、完全給食というものを従来はパン、おかず、牛乳、こういうことに定義いたしてございます。これをパンと米飯というふうに定義を変えたというのが去年の文部省の姿勢の問題でございます。それから、炊飯施設、これにつきまして学校が自分で炊飯をする場合、共同でやる場合もありますが、そういう場合に助成をする。これは文部省予算でございますが、そういうものを拡充する、新たに予算を計上するということをしております。ことしは、考え方は同じでございますが、さらに予算を飛躍的に増大する、こういう意味でございまして、そのほか新しい事業といたしましては、これは学校給食に米飯を導入する場合に、従来パンを提供していたパン屋さん、これは中小のパン屋さんでございますが、これがパンが売れなくなるという生業問題がございまして、そこでそのパン屋さんが学校から委託炊飯を受ける。パン焼きがまでも御飯はおいしく炊けるものでございまして、そういうものに対して助成をする、こういうこと。それから弁当、これはお米の飯だけの弁当でございまして、おかずは学校で用意しますが、そういう弁当を持ってきた場合に、学校で加温保温器といいまして、温める、そういう器具がございますが、そういうものに助成するというような、いろいろなことをやっておりますが、トータルで申し上げますと、以上申し上げましたような予算が全体で四十四億円、去年は十八億円でございましたが、相当大幅な拡充をいたしたわけでございます。
  162. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 その結果、どういう効果があったでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  163. 小野重和

    小野説明員 一般の消費拡大というのは、消費拡大のいろいろな宣伝その他ございますが、これはなかなか効果としてとらえにくいのが事実だと思います。学校給食関係でございますと、これは五十一年は一万一千トン程度でございましたが、五十二年度は約倍の二万二千トンということになることは確実でございます。あるいはそれより上回るのではないかと思いますが、来年はこれはどういうことになるか、ちょっとわかりませんが、また四万トンを超える数量になるのではないかというふうに私ども期待いたしております。
  164. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 お米の消費量は、国民一人当たり昭和三十七年で年間百十八・三キログラム、こういうことでしたが、昭和五十年度には八十八・一キログラム、こういうふうに大きく減退をしておりますけれども、それはどういった理由でしょうか。
  165. 羽田孜

    羽田説明員 いま先生の御指摘でございますけれども、いわゆるカロリーの構成からいきますと、米が減退した一つの大きな理由としましては畜産物、たとえば肉ですとか牛乳ですとか卵類、あるいは油脂関係、また砂糖、こういったものの消費というものは非常に実は伸びておるわけでございます。それと同時に、野菜ですとかあるいは果物、こういったものも非常に摂取されるようになりました。こういった中で、実は米の消費というものが減退しているのではなかろうかというふうに思います。  また、パン、めん、いわゆる麦製品ですね、こういったものが非常に伸びているからという実は御指摘もあるわけでございますけれども、この十年間に一人当たりにいたしまして一%ぐらいしか実は麦の方は伸びておらないわけでございます。  こういった意味で、いま申し上げましたようなほかの食物というものが多くとられるようになった。いわゆる食事というものが非常に多様化してきたというところにあるのじゃなかろうかというふうに思います。
  166. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 食糧管理月報、この四月号を見ますと、お米の消費量の減退の基本的な要因というのが、農林省食品総合研究所食品流通研究室長の田村真八郎さんですか、この方が言っていらっしゃいます。いまの御答弁と大分違うわけですけれども、こう言っておられます。「戦後の時代は鬼畜・米塩」——鬼畜米英と言いましたのをもじりまして「鬼畜・米塩の時代であった。白米飯と塩からいおかず、これが日本社会の諸悪の根源とされ、「米離れ」をすすめるPRが洪水のように流れ出していたのである。」政府はこの点をみずからの責任として明確にしておく責任があるというふうに思います。いまの御答弁と大分違うわけですけれども、ここら辺が全くいまの御答弁では無責任になっていると思います。こういった中で政府は消費の拡大を何のために打ち出しておられるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  167. 小野重和

    小野説明員 いまの、田村さんがどういうことを言っておられるか、私ども的確にわかりませんが、確かに戦後、米というのがいろいろ健康上その他よろしくない、たとえば米を食うと頭が悪くなるとか、米を食べると太るということはちょっとわかりませんけれども、いろいろ言われておりまして、パンはいいんだというようなことが言われておったのは事実だと思います。ただ、これは政府がそういうことをPRしたとは私ども考えておりません。そういうことが言われておったのは事実だと思いますが、しかし、それも米を食べて頭が悪くなるということはおよそあり得ませんし、太る太らぬは全体のカロリーの摂取量の問題、そういうことだと思います。しかし、そういうことが言われたにせよ、基本的な問題というのは、やはり先ほど政務次官が答弁いたしましたように、食生活のパターンが変わってきておる。いわば欧米の形になってきておる、こういうところが基本的な原因ではないかというふうに私ども考えております。
  168. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほどの第二問への答弁でもありましたけれども、特に力を入れているのが学校給食の問題だ、こういうふうにおっしゃっておりました。私も五十二年度の米の消費拡大関係の予算を調べてみました。そうしますと、学校給食に重点を置いておられるということは確かに見受けられたわけでございます。そういう考えに立ちまして、それじゃ、政府はどの程度まで学校給食に米飯を拡大しようという計画を持っておられるのか、いかがでしょうか。
  169. 小野重和

    小野説明員 現在、学校給食での米飯給食の普及率は月二・五回程度でございます。これを当面——当面といいますのは四、五年でございますが、週二回。つまり土曜日を除きまして週五回給食日がございまして、その五回のうち二回、四割、これが当面の目標ということでございます。私どもとしてはなるべく早くそういう目標を達成し、さらに米飯がそれ以上導入されますように努力いたしたいと思っております。
  170. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 すべての子供は賢く、そうしてたくましく豊かに育つという可能性を持っておる、こういうふうに私は考えます。この可能性を最大限に引き伸ばして、次代を担う青少年を育成する、これが国の責任だ、こういうふうに思います。それを可能にするためには、あらゆる条件を整えてやること、環境をつくること、そのためには国民の税金を最大限効果的に使うことも非常に重要だというふうに思います。  ところが、今日、子供たちの状態はどうなっているか。体力と体格の面から検討してみますと、全く憂うべき状態にあると思うわけです。たとえばほんのちょっとしたことで骨折をする生徒が大変ふえている。腕立て伏せの姿勢の最中に左腕がぼきん、廊下でつまづいて転んで足の骨を折る、ほとんどが衝撃度の強いスポーツをしているときではない。子供同士けんかをして殴ったら、殴った方の手が折れた、これは事実、京都であるわけでございますね。こういう状態にあるわけです。その中で、私は、これは食糧問題だけでなくて、本当に子供の健康の問題、国民の体力の問題、次代のための大変な問題、重要な問題として位置づけなければならない。そうすると、栄養の点で問題はないのだろうかという疑問が出てくるわけです。  私、七月二十一日付の京都新聞、ここに持っているわけでございますが、ここに「東北大農学部の木村修一教授(栄養化学)もそういう疑問をもった学者の一人。木村教授の十年間にわたる動物実験は、そうした疑問を解明するカギになる。高タンパク質で大型化するラット(欧米型)と低タンパク食糧でも大きくなるラット(日本人タイプ)を抽出、五十世代(人間に換算すると約千百年)にわたって交配を続けた。その結果、日本人タイプのラットはビフテキを食べても、栄養分が血や肉にならず、大便の中に出てしまうことがわかった。これはあくまでも動物実験ではあるが、本来米食中心の低タンパク食糧をとって来た日本人には、高タンパク質はふさわしくないのではないか、日本人の食環境に、ふさわしい栄養摂取があるはずだ、という推論は可能だろう。」というふうに書かれているわけです。「いまや、栄養学的に方向転換を考えるべき時なのではないか。」というふうにも書いてあるわけですが、昔流の食べ方の方が案外私たちに合っているのかもわからない、こういうふうに思うわけでございます。こういった食糧問題だけではなくて、民族の問題にもかかわる重要問題だというふうに思いますけれども農林省はこれらの問題についてはどのようにお考えになっているのか、そのお考えがあれば御答弁願いたいと思います。
  171. 羽田孜

    羽田説明員 いま先生が御指摘ございましたような例というのは、私どもも実はしばしば見受けるわけでございます。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 こういったものを考えてみましたときに、もう一度、日本人が営々として築き上げた食生活、特に米というものを中心にした食生活というものを考え直してみなければならないときが来ているんじゃなかろうかと私は思います。特に学校の給食におきましては、そういった栄養問題につきましては、これは文部省の所管でございますけれども、バランスのとれた食事をということでいろいろと御苦労なさっておるようであります。  しかし、これが家庭に入ったときにどうだろうかというような問題もあるんじゃなかろうかと思います。いま情報化社会という中で、ともかくテレビが毎日いろいろな料理方法を各家庭に流しております。この中で流しておりますものは、あるときはフランス、ヨーロッパのものであり、あるいはアジアのものであり、また方々のお料理というものが次から次へと出される。それを主婦の方々は、おいしいものあるいはわりあいと手軽にできるもの、こういったものをやっぱり選んでいくというようなこともあるんじゃなかろうかと私は思います。  そういったことで、米というものが主体でありながら、その副食物というものは非常に大きく変わってきておるわけでございまして、これからの日本人の食事、栄養というものにつきまして、高温多湿な日本に一番適する米というものを中心にしながら、どうあるべきかということを私ども考えて見なければいかぬと考えております。
  172. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 京都には京都府農林漁業関係団体協議会というのがございます。ここに加盟している団体は三十三団体ですけれども、たとえば京都府農業協同組合中央会、このような農協四連、それから府の農業会議あるいは府の漁業協同組合連合会、そして府の米穀小売商業組合、それから全日農京都府連合会、こういった三十三団体で構成している協議会ですけれども、ここが「地域食糧の確立運動と対策」これの「要領案」を発表したわけです。ここにありますのは、京都では地域食糧の確立と運動、これについて「目標と当面の課題」という中では、まず第一に「「地域の生産物を第一に考え食生活」を確立する。」という項があるのですけれども、その中の一つに学校給食問題を挙げております。「地域と食糧問題に関する学校教育と学校給食を改善し、子供に正しい食習慣を身につけさせる。」そこで「日本の学校給食は、戦後の飢餓状態をMSA小麦に象徴されるアメリカの食糧政策に依存して解決してきたため、パン食が強要されてきた。食糧問題に関する学校教育と学校給食は、国民主食基本にした、民族的で地域的な食習慣を正しく発展させる立場から改善する。」このようにうたっているわけなんです。私は全くこの立場に賛成ですし、このとおりだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  173. 羽田孜

    羽田説明員 いま先生のお話をお聞きしまして、一つの大変興味深い事例であるというふうに考えます。
  174. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、食糧管理月報、これの二月号を見ますと、足立己幸先生という女子栄養大学の助教授、この方が論文の最後の締めくくりでこうおっしゃっております。「米が余ったからそれを処分するために……という発想は食べ手の人間不在で「食事」とは全く別の次元の発想である。「めし食」の発想、日本人のめし食を育てる食糧管理を期待してやまない。」こういうふうに述べておられます。お米とはまさにこういうものだと思います。人間の食事だ。先ほど言いましたように、子供たちの健康を支え、国民の健康の問題、将来にかかわる民族の問題、こういうふうにして考えるならば、余ったからどうするというようなことではない、人間不在の食事というふうな扱いはいけない。消費者米価考える際の前提はまさにここにあるというふうに私は思うわけです。  しかし、今度の政府諮問案を見ますと、マスコミの言葉をかりるならば、財政の論理がまかり通り、そして一般に指摘されているとおりです。これでは全く米離れというのが進むと思います。政府は、そうでないのだ、これで消費の拡大が進むのだというふうに自信を持っておられるのかどうか。私は、ますます米離れだ、こういうふうに思いますし、新聞などの世論もそういうふうになっております。米を食べてよ食べてよと言いながら値上げをするということは全く矛盾しているではないか、こういう御婦人の声も昨日の朝日新聞にも出ておりました。こういう中で、こういうふうに値上げして米の消費の拡大が進むとお考えになっているのか、自信のほどはおありになるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  175. 小野重和

    小野説明員 いま私どもが米の消費拡大を進めているのは、決して米が余っているから進めているわけではございません。わが国食糧政策の、大げさに言えば、百年の大計を考えた場合に、日本で本当に完全に自給できるのは、主食では米だけでございます。しかも現実には米離れというようなことがあっては大変でございまして、やはり米の見直し、特に学校給食というのはそういう意味で非常に大事だと思います。学校給食を仮に全部米に切りかえても二十五万トン程度でございますので、それ自体——大きい数字と言えば大きい数字ですけれども、そういうことではなくて、むしろそういう食生活を変えるといいますか、そういう長期的な観点から学校給食を進めている、私どもそういうつもりでおります。  それから、今回の消費者米価といいますか、米の売り渡し価格の改定、これは財政の論理がまかり通るというようなことが報道されておるようでございますが、これは財政ということも全くないというわけではないのでございますけれども、むしろこれは食糧管理の運営上の問題、また農政上の問題というふうに私ども考えております。農政上の問題ということになりますと、これは広い意味食糧政策の進め方の問題でございまして、食糧自給力向上を中心とする総合食糧政策、これを進めなければいけない。その場合に、米はむしろ余っておるわけでございますが、大豆とか麦とかえさは不足しております。したがいまして、そういうものをできる限り国内でつくる。そのためには金がかかります。金がかかりますし、全体の財政の中だから何とか予算もとれるのではないか、こういうこともあろうかと思いますが、しかし、いま借金財政というようなことでおのずから限度があるというようなことから見ましても、いまの食管売買逆ざやに伴う財政負担、それをするよりはむしろほかの食糧自給力を高めるためのそういう方に財政を振り向ける方が、全体の食糧政策の進め方としては適当なのではないかというような考え方もあるわけでございます。
  176. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それではお尋ねいたしますが、昭和五十二年度の米消費の関係予算、これを見ますと、そのポイントは、先ほどおっしゃいましたように、学校給食用の米穀値引き売却というものにあるというふうに考えております。先ほど三五%値引きしているということを御答弁いただきましたね。それは確かですね。そうしますと、要するに、三五%に及ぶ値引きをしなければ消費が拡大しないということだ、裏を返せばこういうことではないでしょうか。三五%の値引きをするからこそ学校給食が成り立っていこうとしているし、この中で全体の消費が拡大をしているということだと思います。また、そうしてでも米の消費拡大を図らなければならないという政府考えだというふうに思うわけです。そうしますと、政府の今回の九・八%もの値上げ案はこうした要請に逆行するものだ、値下げをすれば消費拡大が行われていくというのが学校給食で証明されているわけです。そうしますと、九・八%という大幅値上げをすれば、全くこれに逆行して不当なものであるのと同時に、消費の拡大というためにもマイナスになってくるというふうに考えます。そこで、再検討する意思はおありかどうか、お尋ねをいたします。
  177. 小野重和

    小野説明員 学校給食の米の値引きでございますが、これはパン給食の場合との比較でコスト高になるということから値引きいたしておるわけでございますが、そのコスト高というのは、一つは、米の場合ですと炊飯しなければいけない。また、設備の問題もありましょうし、人件費の問題もありましょう。そういう問題もありますが、さらにまた、おかずをパンの場合に比べて、これは栄養的な観点なんでございますが、またそれ以上にふやさなければいけないというような問題があるようでございます。そういうことで、パンとの関係で具体的にそういういろいろなコスト計算ということで、三五%値引きをしなければ米の方が割り高になる、こういうことでございます。学校給食の場合は、要するに具体的に現在パンが入っておる、それを米に切りかえる、こういう話でございますので、そういうコスト計算をした上で、やはり米飯の方が高ければ値引きをしなければならぬということになるわけでございます。  しかし、今回のように米を九・八%上げることによって一般の家庭の消費が減るかということになりますと、必ずしもそういうことにはならないのじゃないかというふうに思います。これはむしろそういう食生活のパターンといいますか、そういうことでいま米の消費がこのような状態になっているということでございまして、価格の問題よりはむしろそういう米の見直しとかあるいは学校給食とか、そういうところで米の消費拡大を進めていくということではないかというふうに私ども考えております。
  178. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 三五%下げなければ給食だって成り立たないということは、いまおっしゃったと思うのですね。コストが高くなるのですから、わざわざ高いものを、パンから米飯に切りかえるというようなことは文部省もしない、一般にも受け入れられない、だから三五%という値下げを行ってやって、そして米の消費を拡大していくという手を打っておられるわけですね。学校給食だって、このように三五%値下げがなければ切りかえることはできない。そうしますと、学校給食は義務教育の一環として行われている。本当は義務教育だったら無償だ、しかしそこまで一遍にはいかないという中で、三五%値下げしても切りかえながら、子供の健康のことも含めて、まあお米も余るしということもあるでしょうが、そういうことでやっておられる。そうすると、一般は一層だと思うのです。  先ほどから私は頭にくるわけですけれども、〇・二%や〇・三%だったら家計に何ら差しさわりはありませんとか、四百幾らの値上げでございますとか、全く机の上だけの計算で答弁をして、そして物価影響は余りないのだということばかりが強調されております。  しかし、実際はどうでしょうか。私はこの間の日曜日も、きょうの集中審議を前にして、主婦の皆さんと話し合ったわけです。そうすると、中学生が一人いたら、御飯をうんと食べる、そこで、この値上げをされれば米代だけで一万円超すという家計になる。これでは本当にやっていけない。便乗値上げのことも言っておられました。このことでずっと同僚議員が質問をされますと、便乗値上げに対しては指導いたしますということですけれども、過去の例としまして、指導してもそのように徹底されたためしはないわけですね。そういった中で、どうしても私は、このような九・八%という大幅値上げではなくて、学校給食にも見られるように、値下げをすれば消費量は拡大するという見地に立たなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  179. 小野重和

    小野説明員 米をふやすのに、何にかわって米がふえるのか、こういう問題でございますが、これは果たしてパンなのか、それとも畜産物か砂糖、脂なのか、こういう問題がございまして、いままでの食生活の変化を見てみますと、やはりパンではなくて、むしろ畜産物や砂糖、油脂にかわられているということだと思います。しかしながら、現実に特に一般の家庭で朝食をパンというのが最近非常に多いわけでございます。  そこで、じゃそのコスト計算はどうなるのか。パンはいろいろさまざまございますが、いわゆる標準パンといいますかは一斤百五円ないし百十円くらい、それを一食仮に三分の一斤といたしますと、その三分の一の三、四十円ですかということになります。米の場合は、標準価格米ですと今度三千円になりますが、普通一食分八十グラムとしますと二十四円ということになります。そういうことで、お米がパンに比べて高いということにはならない。まあ同じか安いか、その辺、見方はございますが、そういうことでございまして、特に一般の消費の形においても値引きしなければふえないというような形の価格関係にはなっていないというふうに私ども考えています。
  180. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、基本的な考え方立場が違いますので、朝までやっていても同じことだと思います。  そこで、経済企画庁長官にお尋ねをいたします。長官は米審に行かれましたので、代理でいらっしゃる責任ある方に長官の御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。  いまずっとお聞きの様子ですけれども日本国民主食であるお米、これはほかの消費品目と異なりまして、今日の経済事情から言って切り詰めることのむずかしい、欠くことのできない食品であるというふうに思います。この基本的な食糧でありますお米の消費者価格値上げは、外食またパンやめん類はもとより、物価全体への心理的な影響、波及効果の大きいことは、もうすでに先ほどから指摘をされているとおりだと思います。  食糧管理法が生産者米価を米穀の再生産確保を旨として決定をすると規定しておりますとともに、消費者米価家計の安定を旨として決定すると規定しているのも、お米の持つ特別の意義があるからだと思います。政府昭和四十七年に消費者米価物価統制令から外して配給米が自由価格となりましてから以降、標準価格米制度を新設して、消費者が比較的に安いお米を手に入れられるようにした、こういうのもお米がいかに国民にとって欠くことのできない大切な主食だから、このように私は思うわけです。したがって、いま消費者運動の一つとして、標準価格米の普及と品質の向上という運動が大きく広がっておりますが、これは当然のことだというふうに思うわけです。特に、低所得者は低所得者ほど米を食べるという依存度が大変高く、また勤労者や学生が外食に依存することが多いということを考えれば、お米の値上がりがこれらの人々の消費生活にはかり知れない影響を与えるというふうに思います。松下幸之助さんに云々というふうな話がありましたが、冗談ではないと私は思うわけです。  ところが政府は、米価を一〇%引き上げても物価を〇・三%押し上げるだけとか、先日の資料を見てみましても、喫茶店などで飲むコーヒー一杯二百五十円だ、これは米飯九食分なんだ、茶わんで十八杯分だ、こんなことまで書いて、これに相当するんだ、こんな説明をし、消費者米価の大幅な引き上げを合理化しようとしております。しかも、昨年度消費者物価の上昇が九・四%、本年度の労働者の賃金上昇率は八・八%、勤労者の実質収入は下がるかあるいは停滞をしているという状態ではありませんか。このようなときに消費者米価引き上げるというのは、国民生活の実情を全く無視するものだと言っても過言ではないと私は思います。現に自民党政府内部経済企画庁でさえ、本年度物価上昇七・七%の目標を達成するためには、何としても米価を低く抑える必要がある、こういうふうに言っておられたではありませんか。  政府は、消費者米価引き上げの理由として、食管会計の赤字解消を挙げ、昨年から五ヵ年計画で、生産者政府買い入れ価格消費者政府売り渡し価格逆ざやをなくすのだ、こういうことの繰り返しを何遍も何遍も先ほどからおっしゃっております。ことしもこの方針に基づいて、米作農民には生産費を償えない不当に低い生産者米価を押しつけられました。その一方、消費者米価を大幅に引き上げることによって、生産者米価引き上げによる財政支出の増大を上回るような負担を今度は消費者に押しつけよう、こういうことを考えているわけです。これは、さきに指摘しましたように、食管法の定める二重米価制度を骨抜きにする不当なものだというふうに思います。先ほどの同僚議員の質問に対する農林省の答弁は、この立場でない、二重米価制度というものは頭から否定をしておられるような答弁があったわけですが、歴史的にこの食管制度を見ても、全くけしからぬ考え方だと私は思います。  政府・自民党は、膨大な軍事費や大企業本位の財政資金、こういうものにはメスを入れないで、逆ざや解消ということばかり言って、国民主食に対する当然の財政負担を回避して、もっぱら米作農民と消費者であります国民負担を押しつけよう、これに血道を上げておられるというのが今日の状態でございます。また、政府は、ことしの生産者米価決定に当たりましても、自主流通米に奨励金をつけましたけれども、これも食管制度のなし崩し解消をねらったもので、安い標準価格米の普及とその品質向上を願う国民の要求を踏みにじるものだと心から怒りを感じるものです。  同時に、米価の問題については、米価審議会のあり方を含む米価の決め方、輸入への依存度の高い他の食糧や農産物に対して新しい価格保障制度をつくるなど、国の財政予算のあり方についても今後抜本的に検討することが必要だ、情勢はこういうふうになってきているわけです。  こういった中で、長官としては、国民の命と暮らしを守る、とりわけ物価を安定させるためにあります省庁の責任者として、こういった問題についてどうお考えになるのか。消費者米価のこの大幅な値上げ案に対して、一体心が痛まないのか、痛んでおられるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  181. 森美秀

    ○森説明員 大臣が米審の方へ出ましたので、政務次官の私、森美秀でありますが、かわって御答弁申し上げたいと思います。  先ほどからいろいろおっしゃられておるように、私どもは米というものを最大、最高の主食考えております。したがいまして、食管法に基づいて、いろいろ毎年毎年政府としては苦労を重ねておるわけでございますが、今回の場合も、皆さん方御承知のように、ともかく生産者である農民の方々にも多少は温かい政治の手を伸べなければならないし、また消費者の方々にもなるべく安く御提供申し上げようということで、消費者米価九・八%という諮問をしたわけでございます。  御承知のように、米につきましては、四十年当時は一人一カ月当たり約六・八キロだったものが、最近は四・二キロというふうに消費が減っております。これも先ほどから農林省が答えております。学校給食にもともかく重点を置こうということは、子供のころから、ともかく米が一番大事なんだ、米が私たちの一番栄養源なんだということを徹底させるためにも、学校給食というものに重点を置こうという立場でやっておるわけでございまして、決して農民に対しても、消費者の皆さんに対しても、あるいは大変に御満足のいく数字ではないかもわかりませんが、まあまあというところで御勘弁願っておるわけでございまして、ひとつくれぐれもその点おくみ取りいただきまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  182. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 長官がおられませんので、これ以上申し上げませんが、最後に要望申したいと思います。  先ほど手元に諮問の説明及び諮問案をいただいたわけですけれども、これを見ますと、諮問の中で、家計の伸び率と消費者米価の上昇率を比較して今回の消費者米価上昇率の上限をはじき出しておられます。この比較の基準のとり方は、四十三年を基準年としているわけです。四十三年を基準にとるというやり方は、五十年、五十一年に続いてことしで三年目になっていると思います。これは一見定着したような方式に見えるけれども、しかし、四十九年度の算定の場合には、四十四年からの五カ年をとっていたわけです。四十九年の場合はそうですね。四十三年の十月から四十七年九月までの四年間は消費者米価が据え置かれておりました。この間も賃金は、多くはないわけですけれども、上昇をいたしております。これでは、諮問数字のように、九〇%以上の上昇も可能だというふうな結論が、こういうふうに人為的にはじき出されているのも当然だというふうに思います。  このような基準のとり方をするのではなくて、四十九年以降の低成長下での国民生活の実態、食糧政策の変化、つまり自給率向上、これを考えて、四十九年を基準とすることが最も合理的な統計のとり方だというふうに私は思うわけです。そういうふうにして四十九年を一〇〇として計算をいたしますと、昭和五十一年の賃金が一二五・五に対しまして、消費者米価はこれを大きく上回って一三〇・五にも達するわけなんです。統計のとり方というものは、このように変わってくるわけですね。これはすなわち消費者米価引き上げる余地はないのだということを、数字は明らかに示していると思います。  政府のきょう出されておりますこの諮問案は、統計数字のとり方一つを見ても、全く反国民的だ、またこれを科学的に検討いたしましても、全く不合理だ、不当なものだというふうに思います。  このインフレと不況のもとで、国民生活を破壊し、深刻な日常生活を強いる消費者米価九・八%の大幅な値上げには、私は反対をするものです。私はこれの撤回を求めて、質問を終わりたいと思います。
  183. 西宮弘

    西宮委員長 藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会