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武部委員 為替差益の問題については、将来のことだからいまここでどのくらいというようなことは言えぬといまおっしゃってますね。なるほどそうかもしれません。しかし、この為替相場の動きをずっと見ておって、これから本当に大変な、逆流していくかということを
考えれば、そんなことにならぬのじゃないですか。五日ほど前の為替相場の先物をずっと調べてみますと、六カ月の先物は二百六十四円八十銭で取引されてますね。ずっと先物を見ても、為替の流れを見ても、乱高下は全然ない。そういう中で、繰り返すようですが、国際相場は下がってくるわ、為替の円高はどんどん続いていくわということになれば、黒字はますますふえていくという可能性は強まってくるだろう、弱まるどころか強まってくるだろうというふうに私は思うのですよ。
いま
消費者米価の九・八をゼロにしろと言うのじゃないですよ。しかし、そういうようなことも
考えながら、
食糧ですから、
国民が買う米なんですから、できるだけ抑えるように努力するのが
経済企画庁なり
農林省、
政府の務めだと私は思うのですよ。そういう
意味で、九・八なんというとんでもない
数字が出てきたが、こういうことが内容にあるじゃないか、だからそういう点をできるだけ反映をして、九・八ができるだけ下がるように努力をしてもらいたいというのを、ぜひ
企画庁長官にお願いをしたいのです。
もう
一つ私はこの機会に申し上げておきますが、
食糧管理法というものの
考え方が、さっきの
農林省の説明を聞いておりますと、だんだん変わってきておるように思います。われわれは二重
米価が
前提だというふうに解釈をしておったし、いま読み上げたように、四条の二項は明らかに「
家計費及
物価」というものが主にあって、そして「其ノ他ノ
経済事情」というのは従として
考えていく法律の内容だというふうにわれわれは理解をしておるわけです。それがそうではなくて、従と主が逆になってきておるように思うのです。
私は、いまから十七年前ですから非常に古い話ですが、
昭和三十五年に北朝鮮に行ったときに、北朝鮮のいわゆる
米価のシステムはどうなっておるかということを調べて帰ったことがあります。十七年も前のことですから非常に古いのですが、当時、北朝鮮の
生産者米価は
日本円にして一キロ五十六円でありました。
消費者米価は十一円でございました。ですから、五分の一ですね。
消費者米価は
生産者米価の五分の一の値段で売られておりました。一年半ほど前に北朝鮮に行った人が帰ってきて、自分はこういうことを見て帰ってきたと言って私に教えてくれた
数字をここに持っておりますが、十七年前と
消費者米価は同じなんですよ。一キロ当たり
消費者米価は十一円、
生産者米価は一キロ九十一円になっております。九倍ですね。
生産者が売る米の九分の一の値段で
消費者は米を買っておるのですよ。私が行った十七年前は五十六円と十一円ですから五分の一でしたが、今度は九分の一です。そして法律を見ると、
日本の
食糧管理法とほとんど同じような法律です。私はこれが
食糧管理法の精神だと思うのですよ。
食糧ですから、これは社会保障ですよ。そういうことをりっぱに法律でつくっておきながら、今日まで長い間にこれがなし崩しに、自主流通米が出てきたりいろいろな形にして骨抜きになってきたのじゃないかといりことを私は
指摘をしたいのです。
ですから、この間も、この
物価の
委員会で今後の
物価問題について論争したときに、私は申し上げましたが、今度の参議院選挙の最中に全国紙が世論
調査をいたしましたね。その世論
調査が新聞に出て、いま
国民の皆さんが
日本の政治に何を望んでおられるか。これの一位は
物価の安定ですよ。六三ないし六四%という飛び抜けて高い
数字が出ております。景気の回復は二番目ですが、ぐうんと低くて三〇%です。景気の回復は三〇%、
物価の安定は六三ないし六四%という全国の世論
調査が二、三の全国紙に出ております。ついこの間のことです。どんなに福田内閣が
物価を安定したとか鎮静ぎみだとか言ったって、
国民の皆さんは
物価の問題に一番関心を持っていらっしゃる。
物価は大変だということを
考えておられるから、こういう世論
調査が出るのです。この間の五十一
年度の結果は、御承知のように、
政府の公約をはるかに上回りましたね。九・四%になった。今度は七・七だとあなた方はおっしゃっておる。それを一体実現できるでしょうか。こういうことになってくれば、なるほどさっき
物価局長は〇・三%とおっしゃった。しかし、〇・三なんということでおさまるはずがないのだ。いま外食がほとんどでしょう。外食の値段というのは三十円から五十円単位で上がっておるのです、どんぶり物というのは。ずっと計算するとそうなっているのです。仮に一食分で十円も上がりません、それがみんな三十円、五十円の単価で上がるのです。そうすると、それに他の食物がみんな右へならえしてしまう。これが過去の例なんです。ですから、
主食というものがどんなに
物価に大きな
影響を与えるかということは、調べてみれば一目瞭然わかっておるのです。そういう
意味で、われわれはこの
消費者米価というものの波及効果、便乗
値上げを呼び起こすもとになるからこれを上げてはならぬ、
食糧管理法の精神から言ってもそうじゃないか、こういうことを
指摘してきたわけです。
時間が参りましたから私はこれで終わらなければなりませんが、率直に言って、この為替差益の問題や国際相場の問題というものが——今度の
消費者米価だって、九・八の根拠は何かと言ったって、あなた方説明ができるはずはないのです。これはつまみです。これは明らかに政治
米価です。だとするならば、九・八という政治
米価ならば、いまこういうような具体的な問題が出てきたわけですから、それを反映してできるだけその
数字を下げていくという努力をあなた方はなさるべきじゃないか。特に
物価担当の
経企庁長官としてはそういう問題にまで首を突っ込んで、できるだけ
数字を下げるようなそういう努力を、あなたは四時から米審においでになるそうですか、そういう
立場でこの米審には臨んでもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。