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倉成国務大臣 わが国の長期エネルギーの
需給関係につきましては、
日本の経済成長率を実質六%台、
昭和五十五年以降の成長率は必ずしもはじいておりませんけれ
ども、大体六%
程度に伸びていく、こういう推定のもとでエネルギーの
需給関係を
考えておるわけでございまして、
昭和六十年におきまして石油に
換算しまして四億八千五百万キロリットルというのは、いま石田委員の
お話しのとおりでございます。
この際、われわれは省エネルギーの率としては、
昭和六十
年度につきまして九・四%ということで、これを実際の石油に
換算しますと八千万キロリットルの節約をするということで、かなりの省エネルギーを実は
考えておるわけでございます。もっとも、いま
お話しのように、
アメリカのエネルギー政策というのはかなりドラスティックなものでございますし、特に
アメリカのエネルギーの消費というのは民生用がかなり多いわけでございまして、
日本の場合とは消費構造が多少異なっているという点もございますけれ
ども、
国内に石油資源その他相当多くのエネルギー資源を持っておる
アメリカが、これだけ積極的なエネルギー対策を打ち出しておるということを
考えてまいりますと、
日本のエネルギー政策というのが非常に立ちおくれているということは率直に私は認めざるを得ないと思います。
また、西ドイツ等におきましてもエネルギーの問題についてかなり積極的に取り組もうという姿勢を、先般参りました経済政策
局長ティートマイヤー氏も話しておりますので、恐らく今度のロンドンにおける先進国首脳
会議におきましてもエネルギー問題というのが一つの大きな討議課題になるであろうと思っておるわけでございます。
したがって、いままでわれわれが
考えておりますこれらの六十
年度におけるエネルギーの問題、これは原子力の問題が果たして可能であるかどうかというような問題を含めてやはり再検討をすべきではなかろうかと思うわけでありまして、その際、省エネルギーという問題について、民生あるいは産業あるいは輸送、この三部門についてもっときめ細かく検討してみる必要があるのじゃなかろうかと思っております。
アメリカ等の場合には、住宅等について断熱材を使うというようなことでエネルギーの節約ということを
考えておるわけでありまして、
日本の場合、多少住宅構造の問題が異なっておりますけれ
ども、やはりそういう細かい点についてももう少しきめ細かい省エネルギーという問題を
考える必要がございますし、また、産業構造の面についても、鉄鋼、化学というようなかなりエネルギーを消費する産業構造に
日本の産業構造がなっておるわけでございます。したがって、さらに省エネルギーの見地から産業構造をどう転換していくかという問題があるわけでございますけれ
ども、経済の成長率がかなり低くなってきた
段階での産業構造の転換というのは、実際問題としては非常にむずかしい問題があろうかと思っております。しかし、この困難を避けて通るわけにはまいりませんので、こういう
アメリカの政策が出たことを一つの契機にしまして、さらに
日本のエネルギー政策について前向きで検討してまいりたいと思っておるところでございます。