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倉成国務大臣 五十二年度の
予算の中で直接
消費者物価に響くものは、ただいま
お話しの
国鉄運賃の
値上げ九月からの一九%、それから電電の四月からの
基本料の
値上げということでございます。この二つ合わせましておおむね〇・六%
程度というふうに
考えておるわけでございます。
いま
お話しのように、
物価の安定という見地から
考えますと、
公共料金をできるだけ低く抑えることができれば一番いいわけでございますけれ
ども、ただ、
基本的に
公共料金をどう
考えるかという問題について、やはり
国民的なコンセンサスが必要であるということを私は
予算委員会でもしばしば申し上げておるわけでございます。それはどういうことかと申しますと、私は、
公共料金というのは徹底的な経営の合理化がなければならない、まずこれが第一の
条件だと思います。経営を徹底的に合理化する、
国民生活と非常に密接な
関係があるからいやしくもむだがあってはならない、これが経営についての第一点です。第二点は、そういう徹底的な経営の合理化をやった上でやはり経営が成り立つような形で
公共料金は決められるべきものじゃなかろうか、その負担は受益者の負担の
程度に応じて負担していただくべきものではなかろうかと
考えておるわけであります。先ほど
運輸省の説明の中にありましたけれ
ども、
東京都の都営
バスあるいは
地下鉄というものの
値上げの
申請がされております。
物価について一番詳しい、そして
物価の美濃部と言われているような
東京都が
値上げを
申請してこられる、そしてそれについては各党の方々もある
程度の
理解を示しておられるということは、やはり
公共料金というのが非常にむずかしいということを示しておるわけでございます。
公共料金を抑えてしまいますとどういうことになるかといいますと、結局それは、
財政で全部カバーすることができれば
値上げをいつまでも抑えることができると思います。しかし、これには相当問題が残っておるということは御
承知のとおりです。そうすると、いつかは正常な状態に戻さなければならない。その時期を誤ると後で大きなツケが来る。これは単に答弁のための答申を申し上げているのじゃなくて、私も実は企画庁あるいは大蔵省あるいは党の政策責任者で十数年来、もう二十年近く
物価の問題に取り組んできました一員として、これはなかなかむずかしいなということを
考えておるわけでございます。
何とか
物価の
状況を見ながら正常の状態にどういうふうに戻していくかというタイムが一番大事じゃないか。そのタイムを誤ると、狂乱
物価のときにまた
公共料金を正常な状態にということで上げてしまえば、これは狂乱
物価に輪をかけるわけでありますから、やはりこのときは少々無理でもひとつ抑えるということで、狂乱
物価のときに非常に低く抑えたわけです。ところが、やはりいつかの時期にこれを調整していかなければいけない。そしてこれを早くやっておかなければ、また後にいつまでも尾を引いて大きな
値上げをしていかなければならないということになるものですから、五十一年、五十二年あたりをめどにして、ひとつ
公共料金をある
程度調整していこうと
考えたのが私
どもの
基本的な
姿勢であったわけでございます。
私
どもとしては、抑えることができればもうこれにこしたことはないし、そして、仮に
公共料金を抑えてもなおかつ経営もうまくいくし、やっていけるという名案があれば、いろいろ御教示をいただきたいと思うのですけれ
ども、そういう名案はあらゆる学者を動員し、あらゆる知恵を動員しましてもなかなか出てまいりません。したがって、私
どもとしては、先ほ
ども申しましたように、経営の徹底的な合理化、そしてその上に立って適正な料金というものを
考えていく、しかし、他の
物価の動向というのを慎重に見ながらこれの適正化を図っていくというのが
姿勢でございます。ですから、
宮地委員のお気持ちと私の気持ちは一緒なんですけれ
ども、これをただ抑えればいいというものではないというところに政策当局者としては苦労があることを御
理解いただきたいと思うのです。