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1977-06-07 第80回国会 衆議院 農林水産委員会農産物の価格等に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年六月七日(火曜日)     午後二時五十八分開議  出席小委員    小委員長 山崎平八郎君       阿部 文男君    今井  勇君       加藤 紘一君    片岡 清一君       佐藤  隆君    菅波  茂君       福島 譲二君    向山 一人君       森田 欽二君    竹内  猛君       馬場  昇君    松沢 俊昭君       美濃 政市君    瀬野栄次郎君       稲富 稜人君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         食糧庁長官  大河原太一郎君  小委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         食糧庁総務部長 小野 重和君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 六月七日  小委員菊池福治郎君五月十九日委員辞任につき、  その補欠として菊池福治郎君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員馬場昇君同月三日委員辞任につき、その  補欠として馬場昇君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員津川武一君同月五日委員辞任につき、そ  の補欠として津川武一君が委員長指名で小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物価格等に関する件(米価及び麦価問  題)      ————◇—————
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより農産物価格等に関する小委員会を開会いたします。  農産物価格等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 麦の価格を中心として価格の問題について若干の質問をしておきます。  まず第一に、いま資料説明がありましたが、農林省予算が国の総予算に占める比率の問題について、昭和四十年の段階では、国の予算が三兆七千四百四十七億、その中で四千四十九億という予算は国の予算の一〇%以上のものがあったわけです。四十五年の段階になっても八兆二千百三十一億で九千九百二十一億、これもやはり一〇%以上であります。四十九年においても十九兆一千九百八十一億、その中で農林省予算が二兆二千四百九十九億、こういうふうになっておりますが、五十年度、それから五十一年、特に本年に至っては、農業問題が重要だと言われておりながら、農林省予算は二兆六千四百一億、これは比率にすると一〇%を明らかに割っておるわけです。もちろんこの中には赤字国債の問題やそれぞれありますが、こういうふうに国の予算の全体の中で農林省予算が漸次削減されるという傾向にあることは、これは食糧問題がエネルギー問題と同時に非常に重大な問題であるということは前からわかっているにもかかわらず、予算支えがないということについて非常に私は残念に思うし、このような予算をつくらざるを得なかったという背景なりそういうものについて、これは大蔵省の方からお答えをいただいた方がわかりがいいと思うので、大蔵省の方にお答えをお願いしたいと思います。
  4. 古橋源六郎

    古橋説明員 私ども予算編成いたします場合に常に考えておりますことは、財政効率的運用ということでございます。しかしまた、その場合において、食糧というものは一番国民の大切なものでございますから、そういう食糧安全保障というようなことも常に考えてやっておるわけでございます。  そこで、五十二年度予算の編成の中で、いま御指摘のように農林関係予算割合一般会計予算の中で九・三%と一割以下になったではないか、こういうお話でございますけれども、この場合、五十二年度予算の場合におきましては、御案内のように国債費割合が非常に一般会計予算の中でふえてきております。そういうものの中で、われわれはどのようにして農林予算を充実していくかということに意を用いたわけでございます。その国債費を除きました農林関係予算割合は一〇・一%というふうになっております。  さらにまた、私ども農政をやっていく場合に価格政策からさらに構造改善政策へということを常に頭に置いておりますが、そういうような食糧管理費的なもの、その中でできるだけ節約できるものは節約してほしい、逆ざや解消等によってそれは節約してほしいということを言っておりまして、こういう食糧管理費のようなものから、前向きの農政費というものにシフトさせたい、これが私ども希望でございます。  そこで、この食糧管理費を除きました農政費、こういうものが伸率は二〇・四%でございました。これは一般会計予算伸率の一七・四%を相当に上回っておりますし、五十二年度予算の中の伸率、いろいろよそのものを見ていただきましても、大変私どもとしては努力を払った、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 いま御説明がありましたが、これに関連をして、過般の五月二十五日に大蔵省が本年度米麦価に対する基本方針を固めた、こういう報道がされました。これによると、米の過剰を抑えるために生産者米価は大体五%以下に値上げを抑える、そして消費者米価については一〇%ほど上げる、なお米の消費を促進するためには消費者麦価値上げをする、こういう意味のことをかなり広範に報道をされている。そして、これは各団体等々がこれについて同意を与えた。いつ、どういうような場所で、だれがこれに同意を与えたかということについてまずお聞きしたいわけです。これは大蔵省及び食糧庁からお答えを願いたい。
  6. 大河原太一郎

    大河原政府委員 全体を代表して申し上げます。  本年度米価並びに麦価について具体的な方針は一切決めておりません。ことに数字にわたるものにつきましては、これは竹内委員案内のとおり、生産者米価でございますれば、生産費及び所得補償方式、原生産費は三年平均の五十一年生産費が入ってまいります。これについては七月初めまでにぎりぎりのところでいつもとらえる。並びに評価がえ労賃は、毎月勤労統計数字でございますが、この五月までの数字もはやり七月初めということになっておりまして、予断を持った数字をもってこれを言うことはできないことは事柄として当然だと思いますし、また、財政当局とわれわれとが本年米麦価等取り扱いについて何ら具体的な相談はしておりません。これは事実でございます。したがいまして、われわれとしては、いつどうだというようなことについては、事実もございませんので、お話をいたす筋合いではないというふうに思っております。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 それにもかかわらず、大新聞がこれを報道されて、それを否定をしない。そういう事実があったということで、これは五月二十六日の毎日新聞はこういうふうに書いてあるが、これを否定をされたということは聞いていないですね。だから、これを否定をされていない。ここで質問をして初めてそういう事実がなかったということを長官から聞いたけれども大蔵省が固めて各関係者同意した、こうなっているから、これは大蔵省の方にも聞いてみないといけないですね。
  8. 古橋源六郎

    古橋説明員 お答えいたします。  いま食糧庁長官からお答えいたしましたとおり、来年五十二年産米につきます価格、あるいは五十二年産麦価につきましての具体的な数字につきましては、私ども食糧庁から一つも伺っていただいておりません。  さらにまた、私どもの方で、それに対する対策というか、基本的な方針数字について具体的な案をつくったという事実はございません。現に、これは個人的なことにわたりますけれども、五月二十五日ですか、私はそのときに公共事業の促進の会議で金沢に行っておりました。したがって、私はおりません。私がいないときにそういう話が出るはずがございません。決定したということはございませんので、御了承いただきたいと思います。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 はっきり否定をされるわけですね。大蔵省否定をされ、それで食糧庁否定をされたら、これは火のないところから煙が出たというよりはもう少し重大な問題なんですね。それで、そういうことであるならばそのようにこれは改めて報道のし直しをしなくちゃならない。きょうは米価大会がありました。この米価大会の中でもこういうような新聞を見ていたかどうか、とにかく雨が降ったからか知らないけれども例年になくどうも盛り上がりが少ないような感じもする。初めからことしは値を上げないんだということで抑えつけて、場合によっては据え置きをするというぐらいのところまでどうも抑え込んでしまう、それの裏打ちをするようにこのような記事を捏造したものとしたら、はなはだこれは問題の記事だと思うのです。  私は、これ以上これを追及してもしようがないから次に移ります。  これは大蔵省当局食糧庁に聞きたいのですが、逆ざやというものを非常に苦にしている。なるほど農林省予算の中で三つの柱がある。それの一つ食管の柱だ。もう一つ農林省公共事業。もう一つは非公共事業だ。こういうことで、いままでは比較的農林省内部においては食管の占めるウエートが高かった。なるほどきょう出された資料によっても、食管が占めるウエートが多い時期が確かにあった。ところが、だんだん、だんだんこれが下がってきて、たとえば昭和四十九年には四四・四%、それが五十年には四〇・一%になり、五十一年には三六・二、それから五十二年には三一・四というように下がってきて、これは好ましいというようにいつも新聞には書かれている。そしてその分だけが公共に回ったという。だけれども、さっき一番先に私が指摘をしたように、農林省予算が国の予算の中に占めるウエートというのは九・三%。そして、それは赤字の公債や何かを差し引くと一〇・二ということになるというように説明がありますけれども、実際の問題として農林省が使えるものは九・三、そして食管逆ざやというものを解消するために生産者米価が抑えられて消費者米価値上げをして、そうしてそこで浮かび上がった金が農林省内部において別なものの価格操作とかそういうものに十分にいかなくて、農林省の外の方に持っていかれてしまうということになっているということをどうしても指摘せざるを得ない。だから、この点は消費者米価の値を上げて、消費者から取り上げたんだから、その分だけは農林省にやらなくてもいいのじゃないか、ほかに使ってもいいのじゃないか、こういう議論なのかもしれないが、そこら辺の感じはどういうふうな組み立てになっているのか。
  10. 大河原太一郎

    大河原政府委員 農政財政万般関連する御質問でございますが、食管を預かっておりますわれわれとしてのこの食管予算関連考え方について申し上げますと、逆ざや自体、これは御案内のとおり昭和四十年の初めから、本日の資料でもお示ししたように、当時はおおむね純ざやであったのが、四十年以降、物価問題その他で当時の消費者家計が相当伸びを示しておった際においても、これを据え置いたためにできたという歴史的経緯があることが第一点でございます。  それから第二点としては、逆ざや解消は単に財政とかそういう問題だけではなくて、同じ米の売り買いの関係が、買いよりも売りが安いという関係が正常かどうかという問題かと思います。したがって、可能性としては不正規流通まで起こる可能性を持っているというような問題については、事食管の健全な運営という点からは、われわれは条件さえ許せばその解消をしなければならないというふうに思っているわけでございます。そういう意味では単に財政面から食管逆ざやについて解消するというような議論が一部にございますが、われわれとしてはあくまでも食管制度の本来の健全な運営という点から両米価関係を正常化していき、出てきた結果についての経費というものについてそれは適切に扱われるべきであろうというように思っております。  もう一つ、これは官房長からお答えした方がいいかと思うのですが、農政上の問題としては、やはりいみじくも先ほど竹内委員おっしゃいましたが、両米価関係生産者米価が本来の生所方式で物価、賃金を適切に反映して決めるべきだ。それについて、いろいろ決め方について御議論があることは十分承知しております。その上で消費者家計の許す範囲で消費者米価逆ざや段階的に解消していくというふうに思っておるわけでございまして、この点は逆ざや解消のために逆算連動生産者米価を抑えるというようなことは毛頭考えておりませんし、また農政上の問題としては、現在家計支出に占める飲食費の中で、米は三%弱でございますが、生鮮食料品その他は一五%以上になっておる。これの価格流通対策等の強化も、農政上はやはり消費者要請にこたえるためにも必要ではないかというようなことで、財政については財政当局からお答えがあるかと思いますけれども、われわれは食管そのもの立場農政上の立場から、やはり必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 大蔵省の御答弁の前に、時間がありませんから、もう一つ一緒に答弁していただきますが、私は、逆ざやという、確かに去年の価格でいった場合でも、農家政府に売り渡す額と政府が販売する額との間では三千百二十一円の売買さやがあることはわかっております。それは食管法があって、生産者米価決定消費者米価決定は、いま長官が言ったとおりであって、そのことはむしろ食管法一つの特典であるわけです。それから全量買い入れということもそうだし、それから米を投機の対象にしないで、零細な所得者も安心して米が買うことができるということも食管法の特徴だから、そういう上に立って、それならば一体理想的なあり得べき食管制度というものはどういうことなのか。これは大蔵省の方から本当は聞きたい。  つまり、よく教育には好ましい人間像とかいうことが言われるようだけれども、じゃ一体食糧管理制度というものがあって、その食糧管理制度からいって、生産者米価決定消費者米価決定、その中には当然逆ざやが出てきて、その中間経費財政が償うということは、従来もそうなんだが、それが余りに大きいということで、だんだんそれを縮小する形をとってきたけれども、その中の農林省の持っていた予算がほかの方へ全体として抜き取られてしまうという状態の中で、それならばどういう形が望ましいかというこの望ましい形をひとつ聞かしていただきたい、こう思うわけです。
  12. 古橋源六郎

    古橋説明員 お答えいたします。  最初に、大蔵省食管のものを切ったらその分をよそに持っていっちゃうのじゃないか、こういう御質問がございましたが、五十二年度予算でございますが、食糧管理費を除きました農林関係予算に対します比率が、国債を除きますと五十一年度六・六五から六・九二というふうに上昇いたしております。その差約七百億、要するに、一般農政費の方が五十一年度よりも五十二年度ふえているわけであります。しかし、その際に、その財源は何かと言いますと、それはたとえば食糧管理特別会計米麦価逆ざや解消といったようなものが五百六十億ございますけれども、五百六十億以上の金をその他農政費の方に回しておるわけでございます。  こういうことから見ましても、私どもが——第一番に農林省自体がそういうことについてはすごい御努力がありまして、食管の減った分を必ず農政費の方に回せ、これは大変な御熱意でございます。私どもも、現在の食糧事情を考えれば、そういうことも必要であろうということで、こういうふうに売買逆ざや解消以上のものを農政費に回した、こういうことについてまず御理解を賜りたい、こういうふうに思います。  それから、第二番目の御質問でございましたけれども、私どもの望ましい食糧管理特別会計あり方いかんという御質問でございますけれども、私どもは、食管制度というものを現時点においてその骨幹を維持するということは大切であるというふうに考えております。したがいまして、大切である以上、その制度の存続を図るということが一番必要である。そのためには健全な運営がなくてはいけない。そのために常に私ども頭に抱くのは、農政財政か、農政に対して財政というのはどういう場合か、あるいは農政の方でやるべきことはどうか、農政財政との関係というのは、農林省にいろいろ御意見を申し上げて、常に私ども悩む問題ではございますけれども、余りにも食管会計というものの赤字財政全体の効率的運用の見地からして望ましくないというときには、私どもとしても御意見を申し上げたい、こういうことでございます。  そこで、私ども考えております食管あり方という場合には、コストの面、たとえば人件費であるとか運搬費であるとかそういうようなものは政府が持つということもいいかもしれないけれども、しかし売買逆ざやというようなものがあるのはやはり正常な物の売買として好ましくないのではないかと私どもは考えております。そういうものを段階的に解消していきたい、これが私どもの望ましい食糧管理特別会計に対する希望でございます。しかし、それ以上に現時点におきましては、先ほど長官が申されましたように、農政上においても、相対的価格関係であるとかあるいは末端逆ざやのあることに伴う不正逆流の問題であるとか、そういうようないろいろな問題がございますので、この点につきましては農林省一緒になって制度運用改善を図っていきたい、これが私ども考え方でございます。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 もう時間が来たからこれで終わりますが、私は、農業問題、食糧問題は重要な人間の体を再生産をしていくんですから、安全保障だと思っているんです。そのためには多少非合理な面があったとしてもこれに対する一定支えをしていかなければならない、つまり保護を加えなければならないというのがいつも私の農業の結論なんだ。だから、そういう点では余り合理的にすべて切ってしまったんでは日本の農業というものはどうにもならない、国際的にも太刀打ちができないことは明らかなんです。そういう点でこの点を財政の面からも検討しなければならないということを一つ申し上げておきたいし、これはいずれまたこの委員会いろいろ話をするときもあるだろう。  それから第二点は、食糧庁の方にお願いしたいのですが、先ほども懇談の中で言ったように、麦の輸入商社、そしてそれが卸をしていく過程の中におけるいろいろな報道、これに対する真偽のほどは別にしても、ないところにそういう報道があるわけはないのですから、これを正す意味で今後麦の問題については取り扱いについて十分に検討していく必要がある。  三つ目は、麦の生産計画目標については、確かに六十年度展望の中に一定のことが出ている。しかしながら、それがいまのような状態では実行が余り整っていないような感じがする。だからこの点の再検討をしていく必要があるのではないか、こういうふうに考えられます。と同時に、麦の価格決定するについて、これは後でわれわれの仲間から質問があると思いますが、二十五年、六年というあのときの価格が必ずしもあの当時農家生産を償っておったというふうには思えない。だから今度は麦の生産者価格を大幅に引き上げて麦の生産をして外国の麦の輸入をできるだけ縮小していくということがまた米との関連で大事なことになるんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点について特に資料並びに今後の検討要請をして私は終わります。
  14. 山崎平八郎

  15. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 私は食糧庁長官に聞きますけれども昭和四十七年に長期見通しが立てられました。立てられたということよりも、あの見通し数字を見ますと、このままこのような状態が続いていくとするならば、このくらいになるんじゃないかという、たとえば小麦なんかの場合におきましては四十七年と比較して六十年になると九%ぐらいの自給率、こういう見通しになっているわけなんですね。それからその後皆さんいろいろ検討されたところの文章を見ましても、生産目標国内自給率をどの程度にするかということについては大変むずかしい問題であるように書かれているわけなんであります。さっきも懇談の中で出ましたが、きょうの農業新聞なんかを見ましても、商社が大変なほろもうけをやっている、こういうことが実は書かれているわけなんです、長官も見られたと思いますけれども。そのようなことで、このまま長期見通しでいくんだということになれば、外麦輸入を極力抑えて国内麦生産を高めるというわけにはいかぬと私は思うのです。ですから私は、長期見通しなんということよりも、ことしは自給率をどの程度にするのだ、来年はどの程度にするのだ、そして六十年には、自給率昭和二十五年当時におきましては四〇%以上になっておるわけでありますから、その程度のところまでは持っていくのだというはっきりしたところの目標策定というものが必要な時期に来ているんじゃないか、こう考えるのですが、その点はどうお考えになっておりますか。
  16. 大河原太一郎

    大河原政府委員 松沢委員の御質問でございますが、国内生産需給、全般にわたる問題で私がお答えするのは適当かどうか存じませんけれども、麦について申し上げますと、基本的には国内麦製品国内消費として定着しておる。それで食用でも四百三十万トン程度需要がある。これは、まず第一に内麦の供給によってカバーできる分は極力カバーする、しかもなお不足する分については、すでに一億消費者消費は定着しておりますので、実需に見合ったものを輸入するというのが基本的なたてまえかと思います。われわれとしてはそのたてまえにのっとって毎年度需給計画策定なりあるいは現実の外麦食管買い入れというものについては行っていくべきことは当然かと思うわけでございます。  さて、前段でお話がございました、内麦の生産振興が大事なので、長期見通しというようなものでもなくて、むしろ年度年度目標を設定してこれに接近しろというようなお話かと思いますけれども、これは言いわけになるかと思いますけれども、なだれるように生産減退をいたしました国内産の麦を、その生産減退を食いとめて生産の増加を図るための振興対策ということになりますと、やはりある期間条件整備期間も要りましょうし、また需要の見方という点についても、先ほどいろいろ御議論を賜り、御説明申し上げました米自体についての減退率も、実は私ども昭和四十八、九年は米の消費の減り方が非常に減少して、大体これでいけるのではないかというようなことを思った時期もございますが、またその減り方が激しくなったということで、ならせばある数字がございますけれども年度年度では需要の点についても振れがあるということから見まして、やはりある程度の中長期期間を踏まえてその需給を考えて自給率の向上という努力をした方が現実的ではないかというふうに私ども思っておるわけでございます。
  17. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 それじゃ逆に聞きますけれども、五十二年の買い入れ計画外麦が五百六十四万七千トン、それから飼料用が千三百八十万トン、こういうぐあいにして買い入れるということになっているわけです。そこで、この委員会でも決議されると思いますのですけれども、これば各党とも外麦輸入というものに対しては漸次削減していくべきじゃないかという意見があるわけです。それに基づいて政府の方としては計画を立ててもらわなければ困ると思います。そういう点で見ますと、年々上回っておるのだが、削減計画というものはどうお立てになるのか、その点明確にしてもらいたいと思います。
  18. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  削減というような直接の消費規制はできません。それを前提とした需給計画はできませんというふうに私どもは考えております。と申しますのは、パンその他の麦製品の一億消費者に対する消費は定着しております。したがって、需要があるのに、これをその面だけで消費規制をいたします場合においては、強度の配給統制、その他の措置というような点と表裏してこれをとるべきかどうかというような点から考えなければならないと思います。ただ、われわれとしては、ほぼ一人当たりの消費量については横ばいにきた。したがって、国内への外麦供給についても実需に即した供給ということで、多めの外麦輸入し、それによってパン等の二次製品の増進を図る、そういうような点は避けるべきではないかということで、五十二年度においては実は人口増分だけをとりあえず外麦輸入計画に組んだという点がございますが、計画的な消費規制を行うという点については、麦製品が食生活に定着しているという現時点ではなかなかむずかしいというふうに考えております。もちろん、内麦が増産されますれば、その内麦の供給量に見合った外麦の数量は削減いたす、これを減らしていくということは、むしろ当然であると思います。
  19. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 だから私は言っているのですが、内麦を年次別に目標を立ててふやしていく。それはなかなかできないということになれば、それでは外麦を減らすようにした方がいいじゃないか。それもできないとなれば、それは現状のまま麦作というのは進む以外にないのではないですか。  それともう一つの問題でありますが、価格の問題につきましてもお聞きをいたしたいと思いますけれども、いまの価格というのは、法律によって二十五年、二十六年というものを基準にしてそれを延ばして、それを下回らないようにして決めるということになっているわけです。そこで、まず大蔵省に聞きますけれども、私たち見ていますと、農林省なんというのは大蔵省の農林課みたいなものですよ。とにかく財政で追い込められて、農業の拡大を図ろうとしてもなかなか農林省ができないという状態に来ているというように客観的には見えるわけです。そこで、昭和二十五年、二十六年が一つの基準になって、そして、農業パリティを掛けていまの価格を出しているという仕組みになっているわけです。  そこで、昭和二十五年、二十六年の生産費とその当時の価格というものはどんなぐあいになっておったか、大蔵省知っていますか。
  20. 古橋源六郎

    古橋説明員 お答えいたします。  いま手元に資料がございませんので、お答えできません。
  21. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 それでは、あなたがわからなかったら私の方で教えてあげます。  昭和二十五年の麦の生産費は、六十キロ当たり千九百六十九円であります。政府の統計であります。それから、買い入れ価格は千六百五十三円、一俵について三百十六円生産費を割っているわけなんであります。それを基準にしてパリティ指数を掛けて今日の計算を出そうとしても、これは、再生産ができないところの価格に決まる限りにおきましては、麦作農家が減るのは当然なのであります。生産量が減るのは当然なのであります。こういう状態の中で、麦作農家が減り、生産が減って、そうして、外麦というものが輸入増大という状態で入ってきているわけなんであります。要するに、この価格問題というものを解決しないで麦の振興対策を図ろうなんと言ってもできっこないわけなんであります。こういう点、大蔵省は一体どう考えているか伺いたい。
  22. 古橋源六郎

    古橋説明員 お答えいたします。  きょう、食糧庁長官が最初の方で言われましたことは、私どもが常に言っていることでございますけれども一つ価格だけで、一つの単体だけで全体の所得を確保しようということは非常にむずかしい。それは、現日本において土地の条件というものが非常にある。したがって、そこに労働時間を掛け合わせて、そして全体としての農家の所得というものが出、そしてそれの所得によって生活を立てていただく、こういうことを考えなければいけない、これが私の考え方でございます。  したがいまして、生産費にその分が見合っているか見合っていないかというふうに考えたときに、麦のように非常に規模の利益があるというものについては規模の利益の拡大を図る、そしてさらにそれに掛け合わせるべき労働時間というものもできるだけたくさんとれるようにする、そして米と麦とあるいはほかの作目によって全体として農家としての生活ができるようにする、こういうような考え方価格問題というものを私どもは考えていきたい、こういうことでございます。
  23. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 それにしても、昭結二十五年に反別にしまして七十六万四千ヘクタールあったのですよ。それが今日のおきましては八万九千ヘクタールに減っているわけなんですよ。これはやはりあなたでもそうだと思うのでありますけれども大蔵省がろくすっぽ月給もくれないなんということになったら、あなたはやめる以外にないのじゃないですか。問題はやはり農家に所得を補償しないところの価格であっては、麦をつくれと幾ら生産要請したとしても、それは無理な話なんじゃないですか。こういうところを一体どうお考えになっているかということなんですよ。どうですか。
  24. 古橋源六郎

    古橋説明員 これまた大蔵省全体の考え方ではございませんけれども、私の見解を申し上げますと、どういう経営の中でその所得を確保するかというふうに考えなければいけないのではないか、そういうふうに私は考えます。したがいまして、先ほどもありましたように、東海地方では麦の作付規模は二アールぐらいとか、北海道へいくとそれが百二十何アールというふうになっておる。非常に格差がある。どのような規模のもとにおける麦作で、そしてさらにほかの作物の体系を考えた上で、そして全体として所得が確保できるようにする、そういうような農家経営というものの中における所得というものを考える、これが私ども現時点において一番必要なのではないか、こういうふうに考えております。  したがいまして、ただ単に統計上生産費が合わないからということだけで問題が片づく話ではないし、現時点において価格をただ上げたからといってそれが生産に結びつくかどうか、そこらのところについて、私どもはもっと真剣に考えなくちゃいけない、こういうふうに思います。さらに、私は昔麦踏みをやりました。あの厳しい中でいま麦踏みをやるという人たちがいるか、どの程度いまの価格でやっていただけるだろうか。そういういろいろな全体の中における労働に対する評価とか、そういういろいろな問題がいま変わってきておりますから、全体としてそういう中でも必ず麦をつくろう、こういうような環境をつくっていく、それが現時点において必要なのではないか、こういうふうに私は考えております。
  25. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 長官に聞きますけれども、いま大蔵省の方では、価格を上げたからといって必ずしも麦をつくるとは限らない、こういうお話なんでありますが、生産振興奨励金をつけてから麦の生産というのは下がっていますか、上がっていますか。どうですか。
  26. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほども統計資料に基づいてお答えしたとおりでございまして、四十八年まで急速に減っていたものが、四十九年に歯どめがかかり、まだまだわずかでございますけれども、上昇に転じたというのがありのままの姿でございます。
  27. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 大蔵省に聞きますけれども、いま御答弁のとおりであります。生産振興奨励金という金をつけ加えたことによって、生産は上がっているのです。それをどうお考えになりますか。
  28. 古橋源六郎

    古橋説明員 先ほどの資料にもございましたように、生産振興奨励金をつけた結果、現在確かに米との関係においては六割四分までいっております。その結果ふえているのは、一ヘクタール以上、こういうところでございます。したがって、減っているところは減っているわけですね。したがって、どのような規模のものをわれわれは目指して麦作というものを振興するのか、現時点において受委託によってやっていくためには、たとえば水田が麦作で一町歩なら裏作で麦作としては何町歩あれば大体所得が均衡できるのかとか、そういうようなことを考えて、それに見合った麦の価格というものを考える必要がある、こういうことを申し上げているのでございます。
  29. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 これは長官の御意見を聞きたいと思いますけれども食管法には、さっき申し上げましたように、それ以上に決めなければならない、こうなっているわけなんです。それで、生産振興奨励金が二千三百円ですかございますけれども、これはほかの奨励金と違いまして一律配分の奨励金なんですね。ですから、さっきもあなたがお答えになったように、やはりそういうものをつけたので停滞から上昇の方向に進んでいる、こういうことであるとするならば、ああいう奨励金というのは一律配分なんですから、それを基本麦価の中に織り込んでしまって、強力な麦作対策というものをやった方がいいんじゃないか、私はこう考えるわけなんでありますが、その点はどうでしょうか。
  30. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  これは直接私の答弁と申すよりも、しばしば繰り返して申し上げておりますように、昨年以来、麦作振興のための麦価算定方式の検討というのを米価審議会で取り上げまして、ほぼその結論が近く出ようとしておりますが、その論議の過程におきましても、生産奨励金をプラスした手取り水準というもの、その水準自体を価格の算定方式を考える場合に重視すべきであるというようないろいろの意見も出ておりますが、まだ結論は出ておりません。ただし、先生もただいま御指摘のように、食管法ではがっちり書いております。書いておりますから、その許されるところは「参酌」その他の規定ということでございますので、結論が出た場合に果たしてこの食管法で読み切れるかどうかというようなわれわれの行政サイドとしての検討もあるわけでございますが、水準自体の評価という点についてはわれわれとしても考えていかなくちゃならないというように思っております。
  31. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 時間がありませんので今度は米の方にちょっと入ります。  米の値段を決める場合におきましては、ことしあたりは依然として過剰傾向というものがあるんだ、やはりそれなんかも考えながら決めていかなければならないというお話をたびたび聞くのですけれども、本来からしますならば、食糧管理法というのは農家がつくったものは全部買い上げなければならないというのが基本になっているわけなんです。それを、国会で食糧管理法の政正もやらないで、それこそ農林官僚が勝手にいじくって、それで生産調整をやったり買い入れ金と数量を割り当てしたりそういうことをおやりになっているわけなんだ。その是非というものは別といたしましても、需給事情というのを生産調整というもので制限しているわけなんだ。だからそういう生産調整という制度を取り入れた限りにおきましては、今度価格の面においては需給事情というものは考える必要はないんじゃないか。数量の面で抑えたんだから需給はうまくいくことになるわけなんですから、したがって、その要素を米価を決める際において取り入れるというのはおかしいと私は思うのです。もしそれを要素として取り入れるということであるならば、生産調整をおやめになった方がいいと思う。これはどっちか片っ方だと思うのですね。だから生産調整をやる限りにおいては、需給事情を考慮の上で米価を決めるというのは間違いだと私は思う。そんなことをやられたら、数量で制限をして価格で制限するということになったら生産農民はたまったものではないわけなんであります。そういう点は一体どうお考えになりますか。
  32. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  食管制度についての無制限買い入れその他の御見解は、私どもしばしば申し上げているとおり松沢委員の御見解とは異なります。これについては申し上げませんが、生産者米価決定の際に食管法の規定に「経済事情」ということで需給事情を考えさしていただいております。その場合に、生産調整を一方でしているのだから需給事情について考えなくてもいいというようなお話でございますが、生産調整下においても、なお稲作に対する志向が非常に強く、今日現実に政府在庫がこの秋三百二十万トン、来年は四百万トンということで、在庫を含めた需給事情というものはきわめて過剰基調が強まる、というよりも厳しい過剰だというふうに、私ども食管運営を預かる者としては意識しておるわけでございまして、在庫も含めた需給事情ということで考えてしかるべきではないかというふうに思っております。
  33. 松沢俊昭

    松沢(俊)小委員 これで終わりますけれども長官に申し上げたいわけなんですが、需給事情が、生産調整をやってもなおかつ長官の思うようにいかなかったということになれば、これは長官の責任であり、農林省の責任であって、他の農産物価格等をもっと引き上げることによって今度は米価でいじるということではなしに、別な——要するに、価格面においてそれを引き上げるとかそういうことによってその問題というものを解決つけていくというのが当然なんじゃないかと私は思っております。  時間が参りましたのでもう質問するわけにはまいりませんけれども、そういう点も十分考えまして、ことしの米価におきましては、大蔵省の方では、要するに財政立場からいろいろ考えておられるようでありますけれども、それは大蔵省の農林課だなんて言われないようにがんばっていただきたいと思います。  以上で終わります。
  34. 山崎平八郎

  35. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 価格委員会でございますので、農産物価格決定の原則的なことについて御質問いたしたいと思います。  法制局来ておられますか。——農民は、憲法二十八条で言うところの「勤勞者」に当たるのか当たらないのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  36. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の憲法第二十八条は「勤勞者の團結する権利及び團體交渉その他の團體行動をする権利はこれを保障する。」と規定しておるのでございますが、ここに規定されておりますところの「勤勞者」とは一体何を指すかと申しますと、自己の労働力を他人に提供し、その対価によって生活しようとする者を言うのであって、農民や商工業者のようにみずからの計算で業を営む者は同条にいう「勤勞者」には含まれないと解するのが、私どもの承知しておる限りにおきましては学者の定説となっておりますし、また最高裁の判例もつとにこのような趣旨を明らかにしているところでございます。
  37. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 農林省にお聞きしたいのですけれども生産費所得補償方式の所得補償というのは、これはどういうことですか。
  38. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  米について例を申し上げますと、生産費——投下された物財及び労働、家族労働が主体でございますが、これをもとにして価格を決める。特に家族労働部分については都市のしかるべき労賃をとって均衡させる、都市の均衡労賃によって評価がえして所得を補償するという意味だと理解しております。
  39. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 法制局に聞きたいのですけれども、米の場合生産費所得補償方式で決まっておるわけでございますが、これは投下労働力を評価して、いま御説明ありましたように労働時間だとかあるいは労働賃金だとかこういうものを算定して米の値段が決まっておるわけでございます。こういうことから言いますと、結局農民のある労働時間ある労働賃金、そういうことによって米の値段が決まる、結局労働力というものを評価しながら政府がそれを買い上げるわけでございます。そういうことから言いますと、当然農民というのは「勤勞者」に当たるんじゃないか、こういうぐあいに思うのですけれども、もう一回聞かせていただきたいと思うのです。
  40. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点は十分理解するところでございますけれども、最高裁の判例にもうたわれておりますように、憲法第二十八条は、使用者対被使用者というような関係に立つものの間におきまして、いわば経済上の弱者である勤労者のために団結権とかあるいは団体行動権を保障したものでございまして、そのような意味の勤労者以外の団体等に対してまで団結権あるいは団体交渉権を保障したものではないということが言えようかと思うのでございます。また学者の通説におきましてもそのようなことになっておるわけでございます。
  41. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 少なくとも食管法によりまして、米は自分でつくって自分で勝手によそに売るわけにはいかない。全部政府が買い上げるというようなかっこうになっているわけでしょう。全部政府が買い上げる。ほかに勝手につくって勝手に売る、そういうものではないわけでございますから、そういう点については、当然政府がこの農民の労働力、労働時間を買うという判定はできないんですか。
  42. 茂串俊

    ○茂串政府委員 米麦価等決定につきましては、もとより適正な合理的な価格でなければならないことは当然でございまして、その点につきましては、食糧管理法におきましても一定の基準を設けて、その基準にのっとって、政府においていわゆる買い上げ価格決定する仕組みになっておるわけでございます。先ほどるる申し上げましたように、農民団体あるいは農民の方々と政府との関係は、使用者、被使用者の関係に立っておるわけではございません関係で、この憲法二十八条の団結権あるいは団体交渉権等がそのまま適用になるということば、解釈としては成り立ち得ないというふうに言わざるを得ないとわれわれは考えております。
  43. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 それでは農民は何ですか。あの農民は勤労者でなければ何ですか。
  44. 茂串俊

    ○茂串政府委員 私の申し上げます勤労者の解釈につきましては、憲法第二十八条で規定しておりますところの勤労者とは、先ほど申し上げたような立場の者であるということを申し上げたわけでございます。
  45. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 法制局だから御存じと思って聞いているのですけれども、では勤労者でなければ、二十八条にかかわらず、農民はどういう職業になるのですか。
  46. 茂串俊

    ○茂串政府委員 それは農業を営む者であるというふうに理解できると思います。
  47. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 それは農業を営む者には間違いないのでしょうけれども、いろいろ職業の分類とかありますね。たとえばここであなたは使用者とかあるいは労働者とかいう言葉をお使いになりました。それで自由業とかいろいろあると思うのですよ。そういう職業の分類では法制局は何と思っておられるのですか。
  48. 茂串俊

    ○茂串政府委員 職業分類的に見てどうかという点につきましては、これは法律論ではございませんで、先ほど申し上げましたように農業をみずからの計算で営む者ということになろうかと思いますけれども、いずれにしましても憲法二十八条で規定するところの勤労者、この範囲につきましては先ほどから申し上げているような者がこれに当たるということでございます。
  49. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 いまちょっと出たんですけれども、ここでもう少し具体的にお聞きしたいのですけれども、これは食糧庁でも結構です。生産者米価というのは、私の考えでは、先ほど言いましたように生産費所得補償方式とございますから、言うならば生産費を補償するし所得も補償するということ、その中の労働時間、労働力ということがあるわけでございますので、こういう点については農民にとってみれば生産物というのを政府が買う、労働賃金を決めるというような要素が多分にある、こういうぐあいに思うのですが、どうですか。
  50. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、稲作農家はいわゆる法律論としては勤労者ではない、稲作経営を営む者ということだと思います。その生産物は基本的主食でございますので生産費及び所得補償方式ということでやっておりまして、原生産費をカバーするというのが第一点。しかも四割以上を占める家族労働部分については都市の製造業労賃に評価がえをして均衡ある所得を補償するということだというように考えております。
  51. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 だから私が言っているのは、労働賃金を評価して決めるという要素が、米価を決めるのには、生産費所得補償方式には入っているのでしょうということなんです。
  52. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  稲作という経営からつくられた生産物でございます。しかも家族労働が四割でございます。そういう意味で、それに着目して所得補償をしているのがあれでございますが、賃金そのものを決めるということと生産物の価格を決めるということは全く別個の問題でございます。
  53. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 別個の問題じゃないと思うのですよ。結局生産費と所得を補償する。所得を補償するというのですから、普通、労働者で言うのなら賃金になるわけでしょう。  そういう意味で、私はもう一つ聞きますけれども、では工業を一つ例にとってみまして、自分たちの全体でつくった物の値段を自分で決められないというのがほかにたくさんございますか。
  54. 大河原太一郎

    大河原政府委員 現在は、経済の統制なり公定価格制度というようなものは、市況によって価格が形成される産業部門の生産物についてはございませんので、例は少ないかと思います。  ただ申し上げますが、米は基本的主食だ。したがって、直接管理という食管制度のもとにございます。したがって、需給上必要なものは、国民の食糧を確保し国民経済の安定を図るという大目的から、需給価格の調整をする、配給の統制も必要の限度において行うという大目的に沿って米の流通を規制し、政府買い入れを行っておるという点で、それに伴う政府買い入れについて生産費及び所得補償方式という算定法で現在生産者米価は決めておるわけでございます。
  55. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 いまあなた方にも農民団体からたくさん要求が出ているわけでしょう。そういうときに、ちょっと法律論を離れまして、農民の団体とあなた方、買う方と売る方と話し合いをして決めるというような方式はまずいですか。一番素直な方式じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  56. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  やはり稲作農家生産した物の価格、それについての農家考え方、どう決めたいという部分についてはいろいろな方法でその御意見を聞くということは必要かと思いますが、ただ米価は、その持っておるところは基本的主食であるということ、それから一億の消費者に対しても多大の関係を持ち、国民経済なりあるいは物価、財政、万般にわたって今日全量政府が責任を持ってその数量を操作しておるという点から、単に生産者の方々と食糧庁なり農林省との話し合いで決めるというわけにはまいらないわけでございます。
  57. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 全部ほかに売ってはならぬわけですから、それで生計を営むわけですから、常識論からいって生産農民の団体と買い入れる側の政府と話し合って決めるというのが、法律はどうあれ、民主的なあり方だ、私はこう思うのですよ。  では、そこを一歩譲りまして、たとえばそこで話し合いがつかないとする。そうした場合には、いま中央労働委員会とか何かありますね。労働者と使用者がやって話がつかないときには中央労働委員会がいろいろあっせんとか調停をするわけでございますけれども、そういう意味で、農民の生産者団体とあなた方が話し合って決まらない。そういうときにいまある米価審議会、こういうものが中央労働委員会的な性格を持って、そうして、そこでたとえば調停なりあっせんをする。こういうのが、いま常識的な民主的なルールじゃないかと私は思うのですけれども、これはいかがですか。
  58. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  前段、しばしば先生が御指摘になりましたように、稲作農家の性格は勤労者だ。したがって、法律論はともあれ、それの賃金決定等については、労使交渉からその労働関係の調整というふうなお考えもあるかと思いますけれども、私どもといたしましては、これは先ほど申し上げましたように、事の性格、生産者の意向なり希望、あるいは現実客観的に見ても、再生産確保という点について配慮した価格決定を行うべきであるかと思いますけれども米価の持つ国民食糧としての意味、あるいはその他国民経済の持つ意味から考えまして、これはしかるべき米審その他の関係機関の意見を求めますが、政府が責任を持って決めるべきものというふうに考えております。
  59. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 ここで、外国のこういう農産物の値段の決め方についていま私いろいろ議論してきましたけれども、そういうものは外国では全然とられていないのですか。外国の農産物価格の決め方というものについて、余り時間がありませんから、特徴的なものをちょっとお知らせいただきたい。
  60. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  一番典型的にしばしば例が出されるのは英国の例でございますが、これは年次農産物価格交渉ということで、団体と政府がやる。これは自由流通でございます。ただ、一定の水準を想定して、この両者で話し合って政府が決めて、それと現実に実現された価格との不足払いをするというふうな、目標価格というのですか、ターゲットプライスというのですか、そういう価格については話し合って決めるという、両方が同一のデータ、需給認識と価格水準についても相当長い間のお互いのネゴシエーションから、毎年毎年余りにも違うような価格水準なり需給の認識はないという条件のもとで行われているというふうに承知しております。
  61. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 いろいろ議論したのですけれども、何としてもいま農民団体がいろいろ要求をしておる。事実、生活実態から、そしてまた食糧自給のことも考えながら要求している。政府が決めるのに非常に差がある。これは実態に合わない。これでは農業は発展していかないと私は思うのですよ。少なくとも最低農民団体と政府が話し合いをする。そこで決めるというような原則、そういう方向に近づけていくべきだ、こういうぐあいに私は思います。  時間がございませんので次に進みますが、もう一つ、麦の問題ですけれども、先ほどから言われておりますけれども、麦はなぜふえないのですか、増産できないのですか。
  62. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これには複雑な要因があると考えております。価格関係の問題もいろいろ言われますが、生産条件が日本の場合には、北海道を除きます収穫時期に非常に雨にかかりやすい。それから、裏作であります場合には、水稲との作期競合がある。それから病害に弱いというような種々の原因と、それからいままで非常に減退を続けてまいりましたのは、やはりめんどうくさがって麦の耕作をやらずに他産業に転出した方がもっと実入りがいいということが端的にあったかと思います。  そこで、そういう状態改善するために、先ほど来食糧庁長官から申されておりますように、麦の価格の算定方式につきまして、米審において真剣に御検討願っておりますことが一つ。その結論が出ればそれを十分参酌をして、価格関係についてどういうふうに持っていくかという問題が一つ。それから生産環境を整えるという意味で、先ほど申しましたように、雨に弱いという特性がございます。したがいまして、乾燥調製施設などを入れるとか、病害に強い品種のものを導入をするとか、それから、これは五十二年度から施策化しておるわけでございますが、いわゆる営農排水について配慮をいたしまして麦をつくりやすくする、そのために特別の対策事業をやる、それからなお土地改良につきましても、簡易なる土地改良をやりまして、麦のつくりやすいような土地条件を整備する、こういったことをやることによって、最近、減退傾向に歯どめがかかって、一番ボトムの四十八年対比で九%までふえてきた、そういう傾向を今後できるだけ助長をして、可能な限り麦の増産に努めたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 馬場昇

    馬場(昇)小委員 時間が来たのですけれども、北洋の魚で、百七十万トンですけれども、これをめぐってあれだけ大問題になったわけでございますし、さらには魚を人質にとられて領土問題までも後退させられる、こういうような状況が出てきておるわけでございますし、エネルギーにつきましても、石油について大陸だなで非常に問題のあるようなああいう日韓の協定もやった。今国会でいろいろ問題が出てきたわけでございます。  私は、食糧というのは本当に今後は戦略物資ということになるのではないか、こういうぐあいに思うわけでございますから、少なくとも米麦、いわゆる主食は一〇〇%自給というものをするんだ、そうしなければ、日本の食糧事情だけでなしに、日本のそういうものを戦略的に利用されながら、魚で領土問題さえも後退させられるという状況もあるのですから、少なくともいまの食糧行政を預かっておる長官としては、主食、米麦だけで一〇〇%自給は達成する、そこに向かって全努力を払うというのが基本的姿勢でなければならないのじゃないか、こういうぐあいに思います。  麦がなぜできないかと聞いたのですけれども、これに生産費所得補償方式を使ってもう少し値段を上げたらふえる。先ほど言われましたけれども、ふえているじゃありませんか。そういうことでございまして、麦の問題につきまして私は考えますと、やはり外麦輸入する、そういうことによって食生活の構造さえもその輸入という前提でもって変えさせられておる、こういう状態さえあると私は思うのです。そういう意味におきまして、米食をどう勧めるか、そうしてまた輸入をしない、たとえば百万トン減らすというだけでも米の余剰ということは出てこないということもあり得るわけでございますから、米麦あわせて少なくとも一〇〇%自給、主食は自給するのだ、日本でやるのだ、そういうような食糧行政というのを私はやる必要があろうと思うのです。時間が来ましたので、ぜひそういう食糧行政をやっていただきたいということを要望しながら、終わりたいと思います。
  64. 山崎平八郎

  65. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 農産物価格等に関する小委員会、本日が第二回目の小委員会でございます。私は冒頭申し上げておきたいのですけれども、五月の十八日に当小委員会を設置したゆえんのものは、各党とも、地元においては農産物価格というのが最も大事である、また米麦にかかわらず、主要農産物価格というものを適正に決定しなければ、日本の国民の食糧の確保、また将来にわたって大変これは憂慮すべき問題であるということで、あらゆる機会に各党とも真剣に訴えておることは事実でございます。そういった観点で、今回のこの小委員会が、米麦はもちろんのこと、主要農産物価格を真剣に討議しながら今後検討していこう、当面差し迫っております六月に決まる麦価、七月に予定されている米価を中心にやっていこうということであったわけでございます。  そういったことで、今回第二回の小委員会でいろいろ審議をしていることになりますけれども、私はまず、この小委員会農産物価格決定については最も重要な小委員会であり、党派を超越してこの問題に取り組み、国民食糧確保のために最大の努力を払わなければならぬ、かように思うわけでございます。  そういった意味で冒頭そのことを申し上げ、まず最初に私は小委員会の本格的な論戦に入る前にわが党の考えを一言申し上げておきたいと思うのであります。  私たちは、農業を国民生存のための基盤産業として位置づけて、そして農業で食える農政をということを訴えておるわけです。総合農政の発想の大転換を図って、さらに自給率の向上を目指す、こういったことを柱にいろいろ施策を立てておりますが、この委員会の最初に当たりまして、政府は私たちがいろいろ言っている中でも、食糧の自給力向上を長期にわたる国政の基本方針とする、こう言っておられるようだけれども、まず一番中心になる米麦価を審議するに当たって一口にして言えばどういうように考えておられるか、改めてお伺いしたい。私はいま申し上げたようなことを認識しておるのですけれども、その点まず食糧庁長官から見解を承っておきたい。
  66. 大河原太一郎

    大河原政府委員 米麦に即したお答えを申し上げますと、米価につきましては、先ほども申し上げましたように、具体的な方針はまだ決めておりませんが、物価、賃金の動向を適切に反映するという点を考慮しながら、かつ今日の需給事情を配慮しつつ適切に決めてまいりたい。  麦価につきましては、しばしば申し上げましたとおり、生産振興の視点から麦価算定方式の改善という点については米審等においても議論が煮詰まっておりますので、それらの議論を十分尊重いたしまして、生産振興に資するような麦価の算定方式の改善を本年度からでも実現いたしたいと考えております。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 本日、日比谷大音楽堂で要求米麦価実現・米穀政策確立要求全国農協代表者大会が行われまして、全国から六千名有余にわたる生産者代表が集いまして、ここにおられる国会議員の先生方もほとんど出席なさったと思います。私もその中で、少し早目に参りましたら、各団体からもいろいろと要請がございました。きょうの大会の直後でもございますので、まず大会で要求のあった問題について若干政府の見解をただしておきたいと思う。  まず最初に、昭和五十三年産米価については生所方式によって農業団体は二万一千百円を基礎とし、諸般の情勢を踏まえ最低限一俵二万円以上を要求し、その実現を図ることを決定したわけであります。これは六月一日決定してきょうの大会で再確認されて、この線で要求米価実現を目指すということできようの大会は盛大に終わったわけでありますが、この価格に対して食糧庁長官はどういうふうにお考えであるか。私は生産費所得補償方式から考えても、こういった価格は妥当な価格であると思って、私たちもこれを全面的に支持するというふうにきょうは決意を申し上げてきたわけです。  そこで、特に中央会を中心とした農業団体では、この価格算定に当たっては、家族労働の評価は製造業五人以上千人未満の規模全国平均賃金を算定の基準にしていたのを改めて、製造業五人以上規模全国平均賃金によれ、いわゆる青天井でやっていただきたいというのが特に重点的な要請でございます。二つには、企画管理労働の無評価を改めて、これに賃金を付与するようにしていただきたい。三つに、自作地の地代の評価は統制小作料によるのを改めて、実納小作料によれ。この三つを重点に二万円を基礎として二万一千百円の米価要求ということで、これがきょうは大会の主要テーマとなっておったのですが、この農民の切なる大会における要求、食糧庁長官も十分聞いておられると思いますけれども、これに対してどうお答えになるのか。この農民の考えを踏まえて答申を十分検討されるように米価審議会に望みたいわけですが、全国農民が、きょうの大会でもぜひひとつこのことを確かめていただきたいということでありますので冒頭お伺いしておきます。
  68. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  金額等につきましては生産者団体の御要求も決まった早々でございますので、これについていろいろの御意見は差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、後段先生がおっしゃいましたかねがねの生産者団体の御要求でございます同じ生所方式に基づいての算定方式、これについては、私どもはにわかにそのお考え方自体については今日の事情からとり得ないという点を申し上げておきたいわけでございます。  と申しますのは、たとえば青天井問題につきましては、外米を百万トン程度輸入いたしまして古米持ち越しが操作量二、三日程度しかなかった昭和四十二年にかつて青天井の算定がとられた。しかし今日の需給事情は大幅に変わっておりますし、またしたがって、都市の巨大企業まで含んだ労賃で賃率の評価がえをすることについては、米の生産需給の均衡を図るこの大事な時期でございますので、その点については慎重な配慮を要するであろう。  あるいは自作地代の実納小作料等については、家族労働について均衡労賃を付与しておりまして、地代はいわば残渣でございますので、それはやはりそれなりの統制小作料でよろしいのじゃないかとか、あるいは実納小作料自体がどういう経緯で成立しておるかと申しますと、いわゆる限界地代である。その点においては家族労賃を都市労賃としてはほとんど確保できないようなその計算から高い限界地代が実納小作料では実現されておる。それをそのまま自作地評価に持ってくるわけにはいかないとか、いろいろございますが、なお生産者団体の御要求についてはしさいに検討をさせていただきたいと思っております。
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 全国の生産者代表並びに農協相呼応してきょうの大会を開いて要請が出ているわけです。例年のことでありますけれども、ことしは特に要求米価も厳しく検討されての要求であります。最低の要求であるということで皆さん方は必死になってきょう叫んでおられましたが、そういったことを十分踏まえて検討いただきたいと思う。  そこで、私はきょうもいろいろ席上申し上げたわけですけれども、銘柄奨励金の問題です。これは北と西日本ではずいぶん差があるわけです。去年も問題になったのですけれども、あえてお伺いしておきますが、いま資料が手元にないので薄覚えですけれども、たしか銘柄は種類が百五で、特定銘柄が三十ぐらいあったと思うのですが、実際に幾らございますかね、ちょっとお答えください。
  70. 大河原太一郎

    大河原政府委員 指定銘柄制度が発足して以来現在の数字でございますが、五十一年ではおっしゃるように百五でございます。そのうちの七十五が指定銘柄、特例的に扱っておりますいわゆる特例銘柄が残りの三十でございます。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 指定銘柄が七十五で特定銘柄が三十、合計百五ということでありますが、この銘柄指定については今後は減らす方向ですか、どういうふうに扱う方向ですか。まだはっきりとしたいわゆる外部に向けての発表はないやに思いますけれども、その点明らかにしてください。
  72. 大河原太一郎

    大河原政府委員 銘柄制度につきましては、その指定の要件としては、市場評価という点で自主流通への流通量が三千トンとか、あるいは全流通量の三割以上とかというような条件とか、あるいは実需者である米穀卸売業者その他の評価が高いとか、その県の奨励品種であるとか、もろもろの条件から、毎年その前年の流通の実績を見まして指定をしておるというのが実情でございまして、本年におきましてもその基準を変えるつもりはないわけでございまして、流通実績の資料もただいまほぼ整備してまいりましたので、毎年新たに指定し直していくというたてまえでございますので、その一定の物差しを当てまして結論を出したいというふうに思っています。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 ということは、結局いろいろおっしゃったけれども、銘柄は余りふやさない、減らす方向だ、こういうように理解していいですか。
  74. 大河原太一郎

    大河原政府委員 ふやす、減らすということではなくて、その基準に該当している産地品種銘柄を指定していくということでございます。ただ、いろいろ各県の御事情がございまして、その条件にやや足らざるようなところでもショック緩和というようなことから、過去においてその取り扱いについて若干の配慮をした例もございますが、やはり銘柄制については全体としてはこれを減らしていくという基本方針は、昨年と同様でございます。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 そこでこの銘柄ですけれども、西日本では銘柄が少ないわけですね。特に熊本なんか、ほとんどないと言っていいぐらい少ないわけですが、銘柄奨励金を私は基本米価にやはり入れるべきだ、これは当然である。これで去年もずいぶんもめたのですけれども、銘柄奨励金の扱いについては当然入れる。ことしはそれはぜひともひとつ検討していただきたい。そして米価決定してもらいたいと思うのですが、食糧庁長官、その点について答弁をいただきたい。
  76. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、これは本年産米価の具体的取り扱い方針の一環でございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後の検討一つでございますのでせっかくの御質問でございますけれども、具体的なお答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 今後の検討一つだということですが、これはもう長官も十分おわかりだと思いますけれども、これは南北戦争になりかねない問題であります。このことでいつも間にはさまって苦労するわけですが、ひとつ基本米価に入れる。そうなれば南北戦争もおさまる。みんな納得すると思う。そういった意味で、ひとつ最大努力していただきたい、こういうふうに思うわけです。  次は、本日の「米麦関係資料」を見ましても、ますますはっきりしたことは、米価を抑えても米の作付面積というものは減らないということが明らかであります。これは、もういままでもそうですか、特にきょうまた新たに見ましたら、そういうことは明瞭であります。私は、この二種兼業の場合等を見ましても、五反以下の人たちが多いのが実情であることも御承知のとおりであります。  そういったことから過剰基調である、生産調整をしてもなかなか過剰基調がおさまらないというようなことでいろいろ言っておられるようですけれども米価米価需給需給、こういうふうに別個に扱うべきじゃないか。というのは、幾ら生産調整その他をやってみても作付というものは減らない、米価を抑えても減らないというのですね。そういった意見が、きょうの大会でもいろいろ話が出たのですけれども長官はもちろんこういつたことを言えば、古米の問題を取り上げ、古米のいろんな環境を考えて総合的にということをすぐに言うのですが、端的に見ましても、この報告を見ると幾ら米価を抑制しても作付は減らない、こういう傾向ですね。そういったところは率直にどういうふうに見ておられますか、お答えいただきたい。
  78. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  お言葉でございますが、大過剰時代の三年間実質据え置いた時代は別にいたしまして、最近におきましてはわれわれといたしましては、毎年の米価はそれぞれ生産費及び所得補償方式に基づいて適切に決めさせていただいたつもりでございます。  むしろ、やはり稲作の生産力の発展から今日の政府決定米価にしても他の作物と比べて相対的収益性がより有利であるというような面も稲作の作付の増加の要因ではないか。もちろん他の要因も多々あると思いますが、あるわけでございまして、やはりその点については需給の均衡を図るためには、価格決定についても慎重でなければならないというふうに考えるわけでございまして、瀬野委員のお考えは、私どもとは考えを異にするものでございます。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 まあ、食糧庁長官だからそういうことを言わなければならぬだろうと思うけれども、実際これは考えてみるとおかしなことでございます。  そこで皆さん、配付されました「米麦関係資料」の三ページの「古米持越量の推移」のところをちょっと見ていただきたいと思いますが、この「古米持越量の推移」を見ますと、三十六年から四十年、これは消費の拡大等でずっとこう減っておりますけれども、四十二年からだんだん上昇して四十三−四十五年はかなり上昇したということでずっと推移が出ております。五十年は百十四万二千トン、五十一年は二百六十四万一千トン、五十二年は三百二十万から三百三十万トンの古米である、こういうような数字で出ておりますけれども、先ほども懇談のときに申し上げましたように五十三年十月は四百万トンになるであろう、こう言われていますけれども、それではこれはひとつ、古米がたまるたまるとばかり言わずに、四百万トンになるであろう、またことしの十月は三百二、三十万トンになるであろう古米減らしに対してはどういう対策を考えておられるのか。これはまたぼうっと傍観をしておられるのかどうか。その点、明確にひとつお答えいただきたい。
  80. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  これは、このような厳しい過剰時代でございますので、今後の問題としてそれぞれの年の需給ギャップを埋めて需給均衡を図る、これを本格的に、現在行っておる稲作転換対策等を、あるいは食管運営等の改善というような点から見直すのが第一でございます。  したがってその過程で、われわれが備蓄量としては二百万トン、これは相当配給で無理でございますけれども、内外の情勢にかんがみて二百万トンは両三年持とうというふうにスタートしたわけでございますので、それを超します古米については、その全体の今後の対策の一環として検討いたしたいということでございまして、われわれとしても当然御指摘の点は早急に具体的な指針を得なければならぬわけでございますが、今日ただいますぐにその結論について申し上げる段階ではないわけでございます。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 今日ただいま結論について申し上げる段階ではないと言うけれども、これはひとつ小委員長、古米減らしの計画、これはまた当小委員会は冒頭申しましたように、党派を超越して専門的にひとつ今後やっていこうというわけですから、片一方では古米のことも対策をとっていかなければ、すでにこういったことが公に発表になっているわけですから、こういった問題をとらえて大蔵省もことしは米を五%以下に抑えるとか消費者米価は一〇%台に持っていくとかいうことで、去る五月の二十六日も私、大蔵省古橋主計官並びに農林省当局にいろいろ質問してお答えをいただいたのですけれども、そういったことが言われて相当農民もショックを受けておるし、われわれも何か前もって根回しされたようなかっこうで、本当に意気が燃え上がらないというようなかっこうになってまいります。これではけしからぬ。そういったことで、こういった問題についてもどうするかということで、五百万トンも六百万トンもたまってからまた市場に回すとかなんとかというようなことで相当な国家財政を使うということになったのではこれは大変ですから、十分これらもひとつ計画を出していただいて対策をとっていきたいと思う。ぜひひとつ計画を立てて資料を出していただくようにお願いしておきます。  そこで、次のページの四ページ、これもちょっとあけていただきたいが、「転作等の計画と実績」ですね。これは五十一年、五十二年、これは計画は九十万トンで横ばい、実績は八十万トシで、四十九年が百三十五万トン、五十年が百万トン、こうなっておりますけれども、こういう古米がある、しかも過剰ぎみであるというときに、稲転の計画が横ばいというようなことではこれは相矛盾する。国会も十二日間延長したけれども、いよいよ九日には閉会、来年度予算編成の準備にかかるわけで、いまからやっておかないともう間に合わぬが、五十三年度は稲転等についてはどういうふうに考えておられるのか、こういった面も積極的にやるべきではないかと思う。その点、食糧庁長官、現段階お答えいただきたい。
  82. 大河原太一郎

    大河原政府委員 数字に基づいて、千三百万トンの潜在生産量を前提とし、需要量を千二百十万トンと見て横ばい、その数字については事柄の判断として非常に楽観的に過ぎるのではないか、さらに厳しい事態を前提としてそれを考えろというようなお話でございますが、確かに先ほども資料説明の際、食糧庁総務部長から申し上げましたように、供給力については現在の千三百万トンを前提としてもやはり三、四十万トンの供給余力がある。需要量については、四十八年、四十九年等においては千二百万トンの実消費量がございましたので、それを前提に千二百十万トンと見ているけれども、最近の米の消費の動向から見ますと二、三十万トン下回るというふうに見て全体の米需給を考えるべきではないかというふうにわれわれも思っておるわけでございまして、それを前提として今後の米の需給の均衡を図ることが食管制度の健全な運営にとって一番大前提でございますので、諸般の角度からいろいろ検討してまいりたいというふうに思っております。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 諸般の角度から十分検討したいということでありますが、これはもうぜひとも検討していただいて、国会が終われば早速五十三年度予算の編成で皆さんいろいろ検討されるわけですが、十分含んでやっていただきたい、かように思います。  さらに、今度は麦価のことで若干余った時間でお聞きしておきますが、きょうの全国農協代表者大会において、現行生産振興奨励金を織り込んで再生産が確保できるように、小麦は六十キロ当たり一万一千二十円、大麦五十キロ当たり八千三百三十円、裸麦六十キロ当たり一万一千三百四十円ということで要求が出ておりますけれども、ことしは、去る五月私が政府にいろいろと質問した際にも、四方式を考えて算定方式については十分考えるということで、麦価についてはかなり期待を持てるような感触を私たち得ておるわけですが、ぜひともそうしていただきたい、こう思います。と同時に、この麦価についてもやはりさきの米価と同じようにいわゆる生産奨励金を基本麦価に入れてやっていただくということを十分考えて御検討いただきたいと思うのですが、その点についてひとつ全国農民に意欲の持てるお答えをいただきたいと思う。食糧庁長官から見解を承りたい。
  84. 大河原太一郎

    大河原政府委員 麦作振興の視点から麦価の算定方式についてできるだけの配慮をし、特にその際生産奨励金の交付されている実態とその手取り水準というものに配慮して、本年はもちろん今後の麦価算定について配慮いたせというお話でございますが、これについては先ほどもお答え申し上げたとおり、米価審議会等においても相当議論が煮詰まっておりますので、それらの議論を十分尊重しながら最終の結論を出したいというように思っております。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 ぜひともひとつ検討して最終結論を出していただくようにお願いしたい。  さらに、あと時間がわずかですので、三点簡単にお聞きいたしますが、米麦一体総合食糧政策の確立ということで、団体も強い要請をしておりますが、これに対しては政府はどうおこたえになるつもりですか、簡潔にお答えください。
  86. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  米麦一体、特に麦についてその生産振興を図れ、それは価格面なり生産振興の面、特に団体等では畑作麦の振興というような点をことしは言われておるようでございますが、そういう意味で、いずれにいたしましても全体的な視点から検討を進めるべきものであるというように思っております。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 さらに、外麦輸入の大幅削減をしてもらいたい。外麦に対しては価格を上げるとかかなりいろいろお考えのようですが、ひとつ全国農民のためにどういうふうに考えておられるか簡潔にお答えいただきたい。
  88. 大河原太一郎

    大河原政府委員 先ほど馬場委員にもお答え申し上げましたように、頭から外麦輸入削減するわけにはまいりません。これは今日の麦製品消費の実態というものを踏まえた配慮が必要であると思うわけでございまして、問題は内麦の増産を図って、それにまって外麦輸入を減らしていくという基本的な方針を貫くべきであるというように思っております。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 最後に、六月九日で八十回国会が終わりますと、後はもう早速麦価の審議会が開かれ、選挙後には米審がまた開かれて米価決定ということになるわけです。われわれもきょうのこの質問が最後の機会であるということであえて最後に申し上げたいのですけれども、私は六月四日農林大臣に米審の三者構成を含めて九項目にわたる重要な問題を申し入れしてきました。この米審の委員のことで最後にお尋ねしておきますけれども、農林大臣も十分検討していく。また、農業団体からも各党からもいろいろ要請があった。また、米審委員生産委員を三者構成でぜひとも実現してくれというのが農家の切なる訴えであります。六月二十二日で米審委員は任期が切れて、六月二十三日から新しい米審委員で発足する。今回の麦価米価にしても当然新しい委員の構成によって検討がされる。現に二人欠員もできておるわけでございます。そこで、私はきょうの大会でも声を大にして叫んだのですけれども、いまの米審は老齢化してきておりますし、年をとっている人が必ずしも悪いというわけではありませんけれども、やはり学識経験者に机上だけでなくて実際に自分で農作業にいそしんで経験を持った人も当然入れるべきである。そういった意味で、若返りというような面やら若い人の声をということで、次代の農業を背負う若い後継者のためにも、また若い青壮年部の農民を対象にした米審委員を入れていくということでこれは検討すべきじゃないか、こういうふうに思って大臣にも申し上げたし、機会あるごとに、せんだっても食糧庁長官並びに官房長にも申し入れたわけでございます。そういった意味でこの米審委員の構成については本当に真剣に考えていただいて、国会が終わったら国会議員が国元に帰った、やれやれというようなことでないと思いますけれども、参議院選の真っただ中にこれが開かれるということになるので、われわれも十分またこれは監視をしてまいりますが、作業にもう入っておられると思いますけれども、作業というかその人選にもう入っておられると思うが、これは政府でお決めになることでありますけれども、再三申し入れをしたことでございますので、また保革伯仲時代を踏まえて、われわれもまたそういったことで約束しておりますし、ぜひとも農民にこたえていきたいと思いますが、この米審委員決定に当たっては十分その点を踏まえて、すでにいま人選が始まって交渉に当たっておられると思うが、十分配慮された上で農林大臣から指名なさるように要望とお願いをし、また皆さん方の御意見も承っておきたい、かように思うわけです。最後にお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  90. 大河原太一郎

    大河原政府委員 米審の委員構成については、当農林水産委員会の本委員会等におきましても諸般の御意見も賜っておりますし、また団体からも直接いろいろな意見も承っておりますが、それと従来の二十五年にわたる米審の委員構成なりあるいは運営の経緯というようなものを見ながら、当然のことでございますけれども、その選任の時期に間に合うように現在検討を急いでおるというのがありのままの実情でございます。
  91. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 しっかり努力して農民にこたえていくようにお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  92. 山崎平八郎

    山崎委員長 稲富稜人君
  93. 稲富稜人

    ○稲富小委員 私は、この重大な問題をわずか十五分間で質問しろという実にばかげた話なので、本来ならもう質問したくございませんけれども、せっかく与えられた時間でございますので、端的に素朴な問題でひとつ質問をいたしたいと思います。  まず、食糧庁長官にお尋ねしたいことは、すべてのこういう器具でも机でもこの価格決定するということはその資材費あるいは設備費、労力費、そういうものが一切加算されて生産費というものが決定されることは御承知のとおりでございます。そうしなければ再生産はできないことになってくるわけでございます。ところが、農畜産物だけはひとつもそういう生産費というものが的確に加算されてない、米麦においては食糧管理法によって生産費と所得を補償する、こういうことによって米穀の再生産を確保しなければいけないということをうたいながらも、やはりその的確なる生産費というものが組まれないということ、どういうような特殊な事情において農畜産物だけがほかの産業と違うようなそういう立場に置かれておるのか、どういう考え方でそういうことに決められておるのか、ひとつ端的にその取り扱い方に対する基本的な考え方を承りたいと思うのであります。
  94. 大河原太一郎

    大河原政府委員 私どもの所管以外の農産物についてのお話でございますが、御案内のとおり他の製造業その他は自由流通でございまして、自由な価格形成が行われているわけでございます。農産物につきましては、全体の農産物の七割から八割近くまで価格政策によって支持しておる、その支持する場合におきましてはその農業における重要性あるいは主食としての重要性あるいはその商品の特性、野菜その他のなまものみたいなのは商品特性とか、それぞれによってその支持の態様が異なりますし、それに基づいてまた支持価格の算定方法も異なるわけでございまして、それぞれの農産物の特性に応じた価格支持が行われておるわけでございまして、自由流通におきましてもそれぞれ自由競争の結果、能率の差による価格形成が行われるわけでございますが、事農産物でございますので、それを一定の基準で支持したり、あるいは安定帯の中に置くとかという広い意味の支持ということで価格政策を行っておるわけでございます。
  95. 稲富稜人

    ○稲富小委員 農林省が農畜産物に対するそういうような考え方でやられているということ、これはいま始まったことじゃないのですよ。ほかの生産物でしたらつくっても引き合わなければつくらない、再生産はできないのですよ。ところが農産物というものは食わなければいけない、自分が食うためにやはりつくるのですね。つくるからいいことにして価格生産費を認めない。これがわが国の何千年来の農業に対する施策なんです。それがために、農民は常に苛斂誅求に甘んじながら、常に政治の犠牲にされたというのがわが国の悪い古い伝統だ。その伝統を打ち破ることが近代的な農業一つでもある、私はかように考える。こういうときに、農業もほかの生産と同じくやはり農業をやる者が生産しがいのあるような価格決定をするということは、これは当然政治上認めなければいけないことである、私はかように考える。その点に対して、私の考え方が違っているのかどうか、違っているのならひとりお教え願いたい。その点をひとつ承りたいと思うのでございます。
  96. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  麦一つを例にとりましても、これはパリティ価格でございます。生産費及び所得補償方式でやるべしというような強い御意見もございます。しかし、きょうの資料説明等でも明らかなように、麦につきましては田、畑あるいは地域、年によって非常に生産費が振れまして、たとえば北海道の十アール当たり四・七時間から、東北の畑では七十九時間というように、生産費そのものが非常に振れております。また、収量も米の変動計数に比べて約三倍ぐらいの変動を毎年します。したがいまして、そのような生産費をずばりとって行政価格決定するのがしかるべきかどうかというような点もございまして、にわかにその方式をとることについては問題であるという意見もございます。そのようにそれぞれの農産物に即しまして支持する価格を決めていくべきであるし、またいかなる地域のいかなる経営というものの再生産なり発展を確保するために価格政策の視点を合わせるべきか、いろいろ問題がございまして、画一的な方式という点については、御所論でございますが、なかなかとりにくい事由があるわけでございます。
  97. 稲富稜人

    ○稲富小委員 どうも長官はそういうように答弁していらっしゃるのだが、たとえば本年度米価決定するに当たりまして、政府が発表されたのは、逆ざや解消するために本年度は余り米価を上げられないということが新聞に載っておりました。これはあなたの方で発表されたのかどうか知りませんけれども、私は新聞でそういうことを読みました。これは逆ざやができた、いわゆる食管特別会計の赤字ができたということは、わが国の政治上、生産者と消費者、両方の生活の安定を期するために、調和を図るために、当然そこの逆ざやというものは生じたものだ、その逆ざや解消せなければ農業がやっていけない、こういうような考え方米価決定する、こういう考えがあるとするならば、これは基本的に間違いだと思う。これは前も、去年も安倍農林大臣は何だかこの食管法の特別会計を少なくせなければ日本の農政が確立しないのだ、こういうことさえも言われたことがあった、そういうような問題によって農政を確立する、そういうことは非常に主客転倒した考え方だ、やはり何としても価格決定する以上は生産費を補償する、そういうことによって農民が生産に対する意欲を持つ、それによって米麦の再生産を確保する、こういうような立場に立って、基礎的な考え方の上に立って価格決定はなされるべきものである。もちろんそれはいろいろな事情によって生産費が違うことがございましょう、それをどう調和をとるかということは政治上において考えなければいけないけれども、基本的な考え方というものは生産費を補償する、ここにこの生産費決定する基礎はあらなければいけない、かように私は考えるわけなんです。私の考え方が違っておるならば違っておるとひとつ指摘していただきたい。
  98. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  大事なお話でございますので、御質問の中のことについて言わしていただきますと、われわれとしては逆ざや、これは食管運営上大きな問題でございます。これは単に農林予算なりあるいは財政だけでなくて、食管運営を預かる者としてはこの両者の関係条件さえ許せばできるだけ早く正常化いたしたいというのがわれわれの基本的な考え方でございまして、稲富先生の御意見は二重米価食管固有のものであるというような御所論でございますが、私は制度として二重米価を予定しておるものではないというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、私どもとしては、繰り返しますが、生産者米価については生所方式に基づいて物価、賃金を適切に反映する、本年は特に需給事情等もございますが、全体として妥当な価格を決めたいというふうに考えておるわけでございますが、あらゆる農産物について価格支持を行う場合には生産費をとるという問題については、先ほども麦の例で申し上げましたが、生産費についても平均生産費をとるか限界生産費をとるか、あるいは家族労賃についてば原生産費の労賃をとるか、あるいはそれ以外の評価がえ労賃をとるかとか、またいかなる地域の農家生産費を償うのがいいかとか、生産費方式そのものについても余りに議論が多いところでございまして、そういう視点から今日それぞれの価格の算定方式が決められているというふうに私は実は思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、麦のごとく生産振興が急がれるものについては、その算定方式そのものはとにかくとしても、生産振興に資するように現在の方式を改善していくということが大事であるというふうに思っております。
  99. 稲富稜人

    ○稲富小委員 食糧管理法の二重価格制度の問題に対しては、どうも食糧庁長官と私とは基本的に考え方が違うようでありますから、この問題は議論しておりますと時間がありませんので、またいつかの機会にひとつ論議をしたいものだ、かように考えております。また、いまの御説明に対しましても納得のせぬ点はたくさんありますけれども、これも時間がありませんのでまたの機会に譲ることにいたしまして、最後に麦の問題に対してお尋ねしたいと思うのです。  今日麦の振興対策というものは、これは先刻から言われております。先刻から言われましたように、何と申し上げましても、麦の振興対策をやるということは、第一はやはり麦の価格なんですよ。麦をつくって、つくりがいがあったという、そういう価格対策を立てなければ麦の増産はできません。これが一つ。さらに、本当に麦の生産対策をやるとするならば、麦はこれは非常に天候に支配されることが多いのです。ことに裏作等に対しましては、田植えの時期が来るとか、あるいは雨期にかかるとか、こういうような問題があるから、これに対してはどこまでも品種の改良というものに取り組まなければいけない。この価格の問題と品種の問題に対しては、これは真剣に取り組まなければいけないと思うのです。これがなければ本当の麦作の振興対策はあり得ない、われわれはこう考えるのでございますが、どういうような具体的方策をとっていらっしゃるか、この点を承りたい。
  100. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  前段の価格につきましては、本日も各委員からもいろいろ御指摘がございましたが、われわれとしては米価審議会の検討もいよいよ結論に近づいておりますが、そのねらいは生産振興に資するように、現在の算定方式について改善、合理化を加えるという方向で議論が進んでおりますので、それらの意見を十分尊重して、御指摘価格決定については、生産振興に資するような価格決定をいたしたいというふうに思っております。  第二点の生産技術でございますが、これは責任局長もおられますが、要するに品種、作期競合に伴う品種、ことにまた収穫期における長雨等を配慮した点からゴガツワセその他の早生品種等の品種も試験研究機関の努力によって育成されてきておりますので、その普及強化を図るというような点から、品種問題については農林省としても進めておるというように承知しておりますので、一層その姿勢を強化していきたいというふうに思っております。
  101. 稲富稜人

    ○稲富小委員 最後に、毎年のことでございますが、米麦の価格決定方式でございます。きょうもすでに全国からたくさんの人が集まってやっておる。こういうような価格決定方式を毎年繰り返すということは、これは私は最もむだであるし、最も愚であると思う。もう少し、何とかこの価格決定方式というものを再検討して、そしてもっとすっきりした、生産者というものが納得し得るような米価決定方式はできないものか。先刻からもいろいろな話がありました。諸外国でも例を見ますように、生産者とそれを決定する権能を持っておる政府とがやはりもっと緊密なる連携のもとに価格決定をして、そしてやはりこういうむだのないような価格決定をやるということが非常に必要じゃないか。これに対しては、必ず毎年同じことを繰り返すというような、この愚を見ないような、そういう一つ価格決定方式というものを、十分ひとつ取り組んで検討していただきたいということが一つ。  さらに第二に私は申し上げたいと思いますことは、私は今日日本の農業というものを原点に立ち返って基本的に考え直さなければいけないときがきているのではないかと思う。すべての農産物価格というものを考えながら、ただ米だけが農業ではないんだ、麦だけが農業ではないんだ、こういうような幅の広い立場から、日本農業というものを一体将来どこに持っていくんだ、日本農業はどうすればいいんだ、こういうことをまじめに原点に立ち返って考え直さなくてはいけないときがきておるのではないか。これに取り組むことが将来の日本の農業を確立する上において非常に必要ではないか。ただ従来の惰性を継いだばかりでは、決して日本農業の将来の発展性、農民の安全性というものは保たれないと私は思う。本当にここに日本農業の将来をおもんばかるならば、どうすれば日本農業が成り立つことができるか、こういうことを幅広く考えなければならない時期がすでに到来しているのではないか、こういうふうに私は考えております。これは食糧庁長官としては余り荷が重過ぎる問題かもわかりませんけれども、私はこれはひとつ政府として考えなければいけない問題だ、かように考えますが、あなた方どう考えていらっしゃるか、この点を承りたいと思います。
  102. 大河原太一郎

    大河原政府委員 前段でございますが、稲富先生の御所論の、生産者と政府とが毎年の米価決定については十分なコンセンサスを持って決めていくべきであり、要求は要求、政府決定政府決定という乖離が依然として続いておるのは遺憾である、これについて格段な配慮をいたすという点でございますが、われわれといたしましてもそれぞれの方法を通じまして生産者の方々の御意見なり米価についての要望という点についての考え方については一段と努力をしていかなければならないというふうに思っております。ただ、残念でございますが、米価の水準そのものなりあるいは需給関係の見方等についても、われわれの努力は不足かもしれませんけれども、余りに認識の差が今日大きい。そのためにまだなかなか御所論のようなところに立ち至っていないというのはまことに残念と思うわけでございますが、努力はいたすべきであるというふうに思っております。  それから第二点の、各農作物について、価格その他の政策について総合的な配慮をすべきだ。まことに当然でございまして、農産物価格が単品ごとにそれぞれ決められて、それぞれの作物、特に今後伸ばすべき作物等についての相対収益性の確保とかそういう点について十分な配慮をいたさなければならない。当然でございまして、われわれとしてはそれぞれの作物の価格については歴史的な経緯もありまして、なかなか全く新たにスタートするというようなわけにもまいりませんけれども、総合的な価格検討という点については一段と最も大事な点として努力すべき点であるというふうに思っております。
  103. 稲富稜人

    ○稲富小委員 不十分でございますけれども、時間がありませんので、またの機会に譲ることにして私の質問を終わります。
  104. 山崎平八郎

  105. 津川武一

    津川委員 きょう、農協の人たちの要求大会がありましたし、すでに私たちもきのう米麦の価格について政府に申し入れしてありますが、私たちきょう出てみまして、農協の要求しておる米麦価は十分支持することができると思いますので、政府においてもあの要求に一〇〇%こたえるようにひとつ要請して、次の問題に入っていきます。お米です。  米は、農民の懸命な努力政府の指導もありましたりして、生産量は昭和三十七年にそこいらが限界かと思ったら、また生産量は上がっております。それから農業労働の生産性も向上しておる。日本農業の中心が米であって、米を中核にして複合農業経営も展開されているし、また低賃金にあえいでいる労働者に生活を保障しておるものとして、米をこれだけつくる技術が進んだために、そこに兼業が行われる。ここで低賃金を補っている、こういう形での兼業を可能にしている。これは非常にいいことだと思います。ますます米というものに対する施策を強めていかなければなりません。  ところが、これで困っているのが米の余り、繰越米、こういう状態になってきたわけであります。いいことが私たちを苦しめておる。そこで、米についてこれだけのいいことを他の農産物に実施したならば、たとえば基盤整備にしてもそのとおりであります。そこに深い思いをいたすわけであります。余り米、過剰米、繰越米、近く青森県の農民団体が、全量買い上げしないのは法律違反だという訴訟を起こす、これは当然だと思います。米の全量買い上げは当然だという前提、これは要求してきょうは議論しません。  そこで、余っていく米をどうするかという点、消費について言うならば、とにかく私たちは、国民の嗜好、これは何よりも大事な人権として尊重しなければなりません。パンを食べている人の口の中にお米を押し込むわけにはいきません。これは大きな前提です。だが同時に、不当に米の消費が抑えられている向きがありはしないか。たとえば学校給食、ある大企業の工場の昼飯時間二十分、これではお米のものを食べたくても食べられないでいるという状態がある。こういう状態を取り除いていく、不当に抑えられた米の消費を取り戻すということを一つの前提としていって、そこで自主開田も進む一転作からまた返ってくる。転作をやっていても、野菜はだんだん少なくなっていく、飼料作物も少なくなってくる、こういう状況なので、農民が喜んで自主的に米からほかのものに転換していける体制を速やかにとらないと、私たちは大変な状態になると思います。この点を先ほどの懇談会のときも話しましたけれども、私たちは、強い心配を持つ、ここに大きな関心を持つと同時に、農政をそこにひとつ集中していかなければならないと思います。  そこで、他の農産物に農民が転換する場合、まず問題なのは、価格です。大豆つくって、十アール当たり七万ぐらいになりましょうか。小麦つくって、いろいろな生産調整費だとか奨励金だとか団体のやつを出して八万ぐらいになりましょうか。お米をつくって四百キロやっていくと十三、三万になっている。これでは、麦に転換せよ、大豆に転換せよと言っても無理です。これはひどい人権じゅうりんの押しつけになります。そこで、どうしても農民が喜んで他の農産物に転換できるように、価格保障をやることが第一の問題です。  私たちはこの間試算してみて、去年の予算で言うならば、いまの予算にさらに四千八百億円追加するならば、米から他のものへの転換を可能にせしめる米並みの労働報酬を保障できるんじゃないか。国の予算で言うならば、一〇%落ち始めた農林予算というものを一五%ぐらいのところに持っていくならば、私たちはこの点で投資は有効的になると考えている。過去におけるあの余り米を処理するための一兆円などというむだな経費は使わないで済むんじゃないか、こういうことなんです。したがって、一の質問は、他の農産物価格保障をどうするかということ、これが第一の質問です。  第二の質問は、米から転作するについても、土地基盤の整備が必ずしも十分でない。特に灌排、排水の問題、これが完全にやられているならば、かなり転換が可能である。現在そういう灌排事業が三〇%しか行われていない。  ところで、一番おくれている灌排事業は、国営よりも県営がおくれている。県営よりも団体営がおくれている。稲作から畑作に転換するとすれば、主としてその対象面積になるところがこういう団体営の土地基盤整備で、ここのところをかなり重点的に施行していかなければならぬ。土地改良の立ちおくれというものがいま問題になっている中で、土地改良の立ちおくれを回復する第一の出発点は、団体営のそういうものでなければならぬ。特に、兼業農家がやっておる小さな面積の稲作に対して、ここいらでの土地基盤整備がおくれているので、兼業農家がそこから転作するのにもかなり困っている。したがって、ここの点の方策を第二としてお伺いします。  第三の問題は、大豆にも小麦にも共済制度が試験的に行われておりますが、稲作に比べると共済制度が段違いです。したがって、ここいらにもなかなか転換の及ばないところがありますので、たとえば共済制度などというものを稲作並みにやっていくという形のものが、稲作のいいところをしっかりと踏まえてそこに近づけていくということ、そこを越さしていくということが、いま問題になっておる、心配になっておるお米というものの根本的な解決になって、米のいいところを生かしていける、こういう政策だと考えております。  この三点について、お答え願います。
  106. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農林省で実施しております農産物価格政策につきましては、それぞれの農産物の特性に応じて価格政策の仕組みを決め、それに応じてまた算定方式を決めておるというようなことでございますので、画一的にやるのは必ずしも適当ではないんではないかというふうに思いますけれども価格政策がやはり食糧の総合的な需給をやっていく場合に重要な一つの柱であるということは当然でございますので、今後総合的な観点から見直しながら適正化に努めていきたいというように考えております。  ただ、先生がいま言われました水田から他の畑作物に転作する場合の問題といたしましては、畑作物の価格政策一般というだけではなしに、それよりはむしろ同じ水田で米をつくる場合と他の作物をつくる場合の収益性において、余り遜色はないというような条件はつくっていく必要があるのではないか。その場合われわれといたしましては、たとえば大豆に転作する場合、十勝のような畑作地帯の大豆もございますし、旭川周辺のような、同じ北海道でございましても水田から大豆に転作するように奨励しているところもあるわけです。その場合、水田転換という立場から収益性の確保を考える場合には、一般の畑作物の価格政策ではなくして、やはり別途特別な奨励措置を講ずる、奨励金を交付する、そういうような考えに立って現在転作奨励金というものを出しておるわけでございます。この価格が作物により、地域により、経営によって十分でないということのために、転作が進まないというのも一つの困難の要因になっておりますので、その点はわれわれといたしましても、先ほど来話に出ておりますような需給事情も考えまして、転作を大いに推進するに適業な奨励措置の見直しを考えていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから水田で他の畑作物をつくる場合には、御指摘のように排水が行われなければ、水稲と違いますから畑作物に転換しようと思ってもできないわけでございますので、私どもとしては、当面乾田においてまず転作を進めていくということが大事になるわけでございますけれども、経営なり地域によりましては、現在は湿田であっても、排水条件を整えることによりまして畑作物に転作が可能であるというような条件もつくっていくことが必要であるというように思います。そういう意味で国営、県営、特に御指摘のありました団体営の排水事業につきましても、そういう観点から重点的に考えていかなければいけないというふうに考えます。  第三点の共済制度でございますが、米麦、それから養蚕等は現在制度化をして普遍的にやっておるわけでございますが、他の大豆とか芋とかビートとかいうものは現在試験的な実施の段階でございますので、できるだけ早い機会に本格的な実施に移したいということで検討は進めておるわけでございます。たとえば麦につきましても、米の場合に比べまして不利であるというような点の制度の仕組みだけではなくして、運用の面で、たとえて申し上げれば、現在の麦価に加えて生産奨励金というものを交付して、実質手取り価格を引き上げることによって奨励をしておるわけでございますけれども、保険金額を決める場合にはそれらの奨励金が入らないというような点で、運用上の不利益がございます。これらは先ほど来食糧庁長官お答えしておりますような麦価の算定方式の検討の中で、適正な結論を得られれば解決できる面があるのではないかというようにも思いますので、それらの点もあわせて検討してまいりたいというふうに思っております。
  107. 津川武一

    津川委員 終わります。
  108. 山崎平八郎

    山崎委員長 では、ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  109. 山崎平八郎

    山崎委員長 それでは速記を始めてください。  次回は、明八日午前十時十五分開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会