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1977-03-30 第80回国会 衆議院 農林水産委員会畜産問題に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月三十日(水曜日)     午前十時七分開議  出席小委員    小委員長 山崎平八郎君       今井  勇君    片岡 清一君       佐藤  隆君    森田 欽二君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       竹内  猛君    瀬野栄次郎君       武田 一夫君    神田  厚君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君  小委員外出席者         農林大臣官房審         議官      石田  徳君         農林省農林経済         局統計情報部経         済統計課長   関  英二君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 三月三十日  小委員瀬野栄次郎君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として武田一夫君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員武田一夫君同日小委員辞任につき、その  補欠として瀬野栄次郎君が委員長指名小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  畜産問題に関する件      ————◇—————
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより畜産問題に関する小委員会を開会いたします。  畜産問題に関する件について調査を進めます。  畜産振興審議会への諮問及び答申について、政府から説明を聴取いたします。石田審議官
  3. 石田徳

    石田説明員 畜産振興審議会は、去る十四日に総会を開きまして、三つ部会にそれぞれ諮問を下げ渡したわけでございますが、すでに十八日の飼料部会につきましては報告済みでございます。その後、二十八日に食肉部会、二十九日に酪農部会が開かれ、それぞれお手元に差し上げてございますような答申をいただきましたので、初めにごく簡単にこの両部会の経過及び結果について御報告申し上げます。  まず、二十八日の食肉部会でございますが、政府は、諮問につきまして御審議をいただく前提といたしまして、五十二年度の指定食肉安定価格試算をお出しいたしまして、これを中心に御審議をいただいたわけでございます。  その価格は、豚肉につきましては、上位価格一キログラム当たり七百五十二円、基準価格、これは下位価格になるわけでございますが、六百十五円、牛肉につきましては、和牛上位価格千六百九十八円、基準価格千二百七十九円、乳雄上位価格千三百八十二円、基準価格千四十一円でございます。  ちなみに、五十一年度の現行の豚肉上位及び基準価格は七百三十四円及び六百一円でございまして、五十二年度の試算数値は、五十一年度に対しまして二・四%のアップになっております。それから牛肉の方は、和牛で見ますと五十一年度は上位千六百四十七円、基準千二百四十円でございますから、これに対して五十二年度の試算価格は三・一%のアップになっております。  審議会におきましては、夜分に至るまで大変活発かつ御熱心に御審議をいただきました結果、これもお手元に差し上げてあると存じますが、次のような答申をいただいたわけでございます。  答申内容だけを読み上げますと、     答 申   昭和52年3月14日付け52畜A第865号で諮問があった昭和52年度の指定食肉安定価格を定めるに当たり留意すべき事項については、下記の通り答申する。      記   昭和52年度の指定食肉安定価格については、現下における動物性たん白食糧資源重要性にかんがみ、ある程度の引上げはやむを得ないが、消費拡大を阻害しないよう配慮して慎重に決定されたい。それから建議でございますが、  1、指定食肉安定価格決定時期は3月は必ずしも適切と認め難いので、今後早急に改善検討すること。  2、食肉の流通及び取引合理化を図るため、卸売市場機能充実とともに部分肉市場育成を図る等、卸売価格小売価格連動性を確保するための有効適切な措置を講ずること。  3、食肉生産安定的拡大資質向上を図るため、肉牛及び肉豚改良増殖体制の整備、産肉能力検定充実等対策を積極的に講ずること。また、一貫経営育成を図るとともに、低利資金融通等経営安定対策を積極的に講ずること。  4、牛肉輸入については、その輸入安定化を図るとともに、畜産振興事業団調整保管機能を十分活用し、国内需給変動に即応した適切な放出に努めること。  以上でございます。  それから、昨日行われました酪農部会でございますが、これもお手元に差し上げてございますような資料試算をお諮りしたわけでございます。  中身をかいつまんで申し上げますと、一番問題になっております保証価格でございますが、これは一キログラム当たり八十八円三十七銭、それから基準取引価格はこれも一キログラム当たり六十四円二十九銭、それから安定指標価格、これは指定乳製品品目等について定めたわけでございますが、この数字は省略さしていただきます。先ほど申し上げました保証価格は前年の八十六円四十一銭に対しまして二・三%のアップ、それから基準取引価格は前年の六十二円三十四銭に対して三・一%のアップになっております。  それから同時に諮問いたしてございますいわゆる加工原料乳補給金をお支払いいたします対象になります限度数量でございますが、これは五十二年度は百五十八万トンにいたしたい、こういうことでお諮りをいたしております。御参考までに、本年は百三十八万トンでございましたので、二十万トン上乗せしているわけでございます。  このような試算数値等中心にいたしまして、昨日深夜に至るまで審議が行われまして、これまたお手元にありますような御答申をいただいたわけでございます。その中身だけを朗読いたしますと、     答 申   昭和52年3月14日付け52畜A第926号で諮問があった昭和52年度の加工原料乳保証価格及び基準取引価格生産者補給交付金に係る加工原料乳数量最高限度として農林大臣が定める数量並びに指定乳製品安定指標価格決定するに当たり留意すべき事項について、下記のとおり答申する。   なお、あわせて別紙のとおり建議する。      記  1、昭和52年度の保証価格については農業における酪農重要性にかんがみ、酪農家生産意欲を阻害することにならないよう十分配慮するとともに、市乳化を積極的に促進できるよう適切に定めること。    なお、その際、労働の評価に関しては自給飼料生産実態について十分留意し適切に行うこと。  2、加工原料乳基準取引価格については、指定乳製品安定指標価格並びに製造販売経費を適正に反映することを旨として定めること。  3、生産者補給交付金対象となる加工原料乳数量最高限度については、これを適正に定めること。  4、指定乳製品安定指標価格については、乳製品市場実勢価格を参酌し、乳製品需給の安定に資するよう適正に定めること。  建議でございますが、  1、加工原料乳保証価格等決定時期は、3月は必ずしも適切と認め難いので、今後早急に改善検討すること。  2、酪農経営における負債実態に即した金融措置を講ずること。  3、飲用牛乳消費拡大の効果的な諸対策を講ずるとともに、乳製品市場価格安定指標価格からかい離しないよう畜産振興事業団の適切な運用を図ること。  4、自給飼料基盤の強化に資するため、国有及び民有林野畜産的利用をより積極的に推進すること。  以上でございます。  これを受けまして、政府としては年度内にそれぞれの価格及び数量決定することにいたしております。
  4. 山崎平八郎

    山崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
  5. 新盛辰雄

    新盛委員 私は主として豚肉及び牛肉安定基準価格などについて質問をしてみたいと思います。  豚及びこの肉用牛生産をめぐる状況は、食肉価格は五十年春以降随時回復をしてきた。また五十一年に入ってからも安定上位価格を超えるという状況で、順調に推移してきていると説明をしておられます。昨年九月以降、特に豚肉については、長期間実施された輸入豚肉関税減免措置が原因となりまして、価格安定基準価格近くまで下落をしたということがあって、五十一年十月三十一日をもって関税減免措置は打ち切られた経緯があるわけです。このような変動が将来の問題として再び起こることがあってはならないのでありますが、畜産農家は絶えずそうした面の長期の展望を立てる面でも非常に不安を持っているわけです。それを除去させるために、いま少し具体的な施策というか方針をまず第一に示してほしい。  第二の問題として牛肉価格の問題でありますが、これとて昨年から下落傾向をたどっているわけです。その五十一年度の輸入牛肉割り当てが、上期の四万五千トンが下期においては当面二万トンという措置もとられたわけでありますが、牛肉安定基準価格諮問に対して、三月二十八日、一昨日でありますが、食肉部会答申が出された。その答申内容から見ても「指定食肉安定価格については、現下における動物性たん白食糧資源重要性にかんがみ、ある程度の引上げはやむを得ない」、そう言いながらも「消費拡大を阻害しないよう配慮して慎重に決定」をされるように促しております。これを受けて上限下限をお決めになった。牛肉平均三・一%、豚肉二・四%、いわゆる政府支持価格、いわゆる上げ幅、これが妥当なものであるかどうかということ。昨年の例から見ましても、ある程度政治的なコンセンサスを得るための政治加算、そういうものが行われているわけですけれども、今回の場合、いまこの平均の形の中で、これは決して酪農皆さんが、畜産農家皆さんが納得をされる額ではないのですから、そういう面でもっと積極的に——いま政府計算をし試算をしたものはこれであるから、これから一歩も譲らないんだ、そういう姿勢なのかそうでないのか、まずそのことを明らかにしていただきたいと思います。  第三の問題は、この諮問の中で出されております、いわゆる価格決めるまでの間に、私どもはこの農林水産委員会で全員の総意をもって畜産物価格等に関する件の決議をしたわけです。その決議をしたのにかかわらず、いわゆるこれが、ある意味では圧力をかけたとか何とかじゃありませんが、われわれの総意としてこのことに対して十分配慮していただきたいという、その決議に対する理解、そしてまたそのことをとらえてどのようにお考えになったのか、まずこの三つを各項にわたってお答えいただきたいと思います。
  6. 石田徳

    石田説明員 畜産農家が今後経営を続けていくために、安心してやれる見通しなり方途はあるかということでございますが、先生の御質問は主として肉牛中心であろうかと考えます。特に肉牛につきましては、これは何といいましても草資源前提といたします。そういう意味から、現在わが国国内飼料自給度は大変低いわけでございますが、その生産基盤拡大を図ることが第一であろうかと思います。これには従来も力を入れておるわけでございますが、今後とも一層力を入れていきたいと考えております。  それから、その他振興政策につきましては、豚、肉牛等資質向上、あるいは衛生管理経営その他につきまして、今後一層の施策充実していきたいと考えておるわけでございますが、特に肉牛につきましては、今後は中堅的な経営を重視いたしまして、その生産団地育成に一層力を入れていきたいと考えております。  こういうような生産振興のための諸施策を講ずるとともに、いま議論中心になっております価格対策につきましても、これは審議会あるいはこの委員会におきましても、いろいろ建議あるいは決議等いただいておるわけでございますが、その御趣旨等も尊重いたしまして、われわれとしては将来に備えていきたいと考えております。  それから、価格決定でございますが、特に先ほど申し上げましたような一応の試算で御諮問申し上げたわけでございます。この数字は一体今後譲れるのかどうなのか、これでびた一文譲れないのか、こういうような御質問だと思いますが、われわれとしては一応先ほど申し上げました数字が妥当であると考えまして、法律に基づき、また試算もお手元に差し上げてございますようにいたしてみまして、再生産は確保することができるというふうに考え諮問をいたしたわけでございますが、答申案等にもいろいろ述べられておりますような点を頭に置きまして、目下検討中でございますので、結果がいかようになるかということは残念ながらこの席では私から申し上げかねますが、先ほど申し上げましたような点を十分頭に置いて、目下作業中でございます。  それから、この委員会におきましていただきました決議趣旨をどういうふうに盛り込んだかということでございますが、かなりいろいろな面にわたりまして御決議をいただいておりますが、特に肉牛安定帯価格の算定にあたりましては、労賃だとか生産資材等価格上昇分等は、これは適正に見てございます。  それから、最近の物価指数でございますが、これで修正いたしてああいうような案をつくったわけでございます。これはわれわれの考え方といたしましては十分再生産を確保することができるのだというふうに考えておるわけでございますし、決議の御趣旨に沿えるものではないかと考えております。  諮問案はそういうことでございますが、答申もいただいておりますので、さらに最終的にどういうふうに決定するかにつきましては、くどいようでございますが、目下政府内部検討中でございます。
  7. 新盛辰雄

    新盛委員 お答えとして非常に抽象的で、われわれとしてももっと具体的に前向きの姿勢を期待しているわけですが、時間もないので次に移ってまいります。  まず牛肉輸入制限、これは対外的な問題もこれあり、なかなか問題が複雑でありますが、国内生産需給をもとにしてこれを強力に進めること、それが国内における牛肉あるいはそれらに付随をする生産者への大きな振興、そういうものに役立つわけなんですけれども、輸入割り当て制限、この面について、将来の展望としてできるだけそのことを、自給体制を高めていくという、国内における生産自給、そういう面に力を入れるべきではないか。これは前々から主張されていることです。そのことでこれから先の展望、そしてまた現実どのようにこれについておとりになろうとするのか。四万五千トンが二万トンになったとか、いろいろと政策はありますが、これから先さらに制限をしていくことが重要ではないか、このように思いますが、まずそのことについてお答えいただきます。
  8. 石田徳

    石田説明員 わが国食肉の中で豚肉につきましては、これは自給がほぼ可能であるというふうに考えておりますが、牛肉につきましては生産も伸びてはおりますけれども、なかなか国内生産だけでは需要を完全に満たすことはできない状態にございます。われわれの方で六十年度の見通しを立ててございますが、この際にも自給率というのは約八割ちょっとでございまして、三割弱というものは輸入に仰がざるを得ない。もちろん、数字といたしましてはいまよりもはるかに需要が伸びるわけでございますから、生産量はぐんぐん伸ばしていただかなければならないわけでございますけれども、そのように考えておりますし、もちろん、そういうことだからといって輸入を重視しておるわけではございませんので、まず国内生産を最重点に考えております。国内生産で足りない分を消費者に対してそれを慎重に検討した結果、割り当てする。御承知のように現在のところ牛肉につきましては割り当て制でございますので、これが自由に入ってくるということはございませんので、そういう割り当てには慎重を期して適正な量を今後割り当てていく。それからまた輸入いたしました物の放出につきましても、これを無秩序に放出いたしますと、国内価格に悪影響を与えますので、これは審議会でも意見が出たわけでございますが、輸入放出とを一応切り離すような形で適正な運用を図れ、こういうことを言われておりますので、われわれとしては今後特に牛肉輸入、それからそれの国内への放出等については慎重な態度で臨んでいきたいと考えます。
  9. 新盛辰雄

    新盛委員 われわれが決議しましたこの中にも入っているのですが、この酪農などに係る畜産農家負債が年々累増している、こうした実情にかんがみ、これからの整理のための所要の金融措置等を講じなさい、こういうふうに決議をしました。いま酪農家借金またその返済のために本当に四苦八苦しておられる、それに対する救済をしなければならないという強い要求があるわけですが、ちなみに、私は、九州ブロック皆さんから九州における酪農家借入金実態調査というものを実はいろいろ説明を受けました。いま現実の問題は、皆さんの方でも把握しておられると思いますが、全九州酪農家が一万一千三百戸ございます。これは成牛以上の飼育戸数になっておるわけです。この借入金内容を見てみますと、酪農経営資金八五・六%、酪農以外の営農資金四・三%、住宅生活費金一〇・一%、九州酪農家借入金は一万一千三百戸に対して総額四百二十八億円あるというのです。そしてさらにその内容を突き詰めてみますと、制度資金として六七・四%、農協プロパーあるいは銀行、そういうところから二一・二%、その他の借入金が一一・四%、こういうふうないわゆる借り入れの内容であります。こうした事実から見ましても、何にしても大変な借金を抱えて、そして自転車操業をしているというような状況の中で、これはどういうふうな解消の仕方を、金融措置を講じて従来もめんどうを見ているわけですけれども、その枠組みを拡大をして——少なくともこういう畜産農家皆さんの生活不安、あるいはまた価格が常々変動して、あるときは調子がいい、あるときは調子が悪いという中でさいなまれているこの現実を十分に認識しておられるのかどうか、そのことに対していま具体的例を申し上げました。この借入金解消のためにどのようにお考えになっているのか。また、積極的なものでなければ、現実に苦しんでいるこの畜産農家に対してどのように温かい手だてをおやりになろうとしているのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 石田徳

    石田説明員 先生も御承知のように、四十七年、八年の畜産危機では畜産農家大変打撃を受けたことは、これはそのとおりでございます。非常にえさの乱高下、高騰がございましたし、素畜価格あるいは製品であります牛肉価格等が大変高騰したり、あるいは消費が減退したりということで四苦八苦したわけでございます。これに対して四十八年、四十九年におきましても経営特別資金融通措置等を講じてきたわけでございますが、最近われわれも調査いたしてみますと、また農林省各種調査によりますと、大変負債がふえているということは確かでございます。これは全国的に言えるわけでございますが、負債と申しましてもいろいろあるわけでございまして、経営規模拡大のためのいわば健全な負債というのもあるわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましてもとにかくそういう借入金が非常に多いということは金利等の面で経営を圧迫しておることも確かでございます。そういう点を考えまして、金利の圧迫を軽減するというような措置、これは新たな融資、利子補給等を行っていく、そういう手法でございますが、これにつきまして目下検討中でございます。まだ幾らの金額でどういうふうにやるというところまで出ておりませんけれども、これを頭に置いて考えておるところでございます。  それから経常の安定につきましては、何といいましても一番大きな要素でありますえさの安定ということも大事でございます。それから素畜その他の安定も大事でございますので、それぞれにつきまして、これも先生承知のとおりでございますが、配合飼料安定制度あるいは子牛、子豚の安定制度等も講じておりまして、こういうものを総合いたしまして経営の安定を図っていきたいというふうに考えております。
  11. 新盛辰雄

    新盛委員 時間がありませんので、もっとその内容について追及したかったのですが、またわが党の各氏がおやりになりますので、次に、この価格いつお決めになろうとされるのですか、聞かしていただきたいと思うのです。
  12. 石田徳

    石田説明員 法律では毎年度年度開始前ということになっておりますので、五十二年度は三十一日までに決めなければならないわけでございまして、目下三十一日までに決めるべく努力をいたしておるところでございます。
  13. 新盛辰雄

    新盛委員 この答申建議にかかわる中で、第一項に「指定食肉安定価格決定時期は三月は必ずしも適切と認め難いので、今後早急に改善検討すること。」こういうふうに冒頭に指摘されております。いま現実の問題としてこれは法律でということなんですが、きょう、あす、あさって——あさってはないわけだ。だからこの時期は時間の問題になってきていますね。どうされるのですか、もう一回お尋ねいたします。
  14. 石田徳

    石田説明員 建議をいただいております三月は適切でないので検討しろというのは、五十二年度のことでなくて、これは間に合いませんので、それ以後ひとつ十分検討しろ。ちょっとつけ加えさしていただきますと、かなりの委員さんから三月は必ずしも適切でないのでなかろうかという意見が出ましたが、果たしていつがいいかという的確な御意思はそれほど表示されておりません。秋口がいいんじゃないかというような御意見も若干ございましたし、それから国際的にえさ生産の見込みが立つような時期、あるいは各種農産物、特に大宗をなしております米を決めた後がいいんじゃないか、あるいは、三月、四月にかけては春闘がございますが、その後の方がいいんじゃないかというような御意見もございましたが、的確にいつであるかははっきりいたしませんが今後十分検討しろ、こういうことでございます。
  15. 新盛辰雄

    新盛委員 それじゃ終わります。
  16. 山崎平八郎

  17. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 私は、畜産振興審議会諮問並びに答申が出た段階で、なお幾つかの点について詰めてみたいと思います。  まず最初に、諮問なり答申というものは現在二%ないし三%台の値上げという形になっている。きょうあすじゅうに農林省自民党と相談をして公示をする、こういう形になっているわけですが、これに対する生産農民団体農業団体、こういう方からの要求は、加工原料乳にして二二%以上、それから豚価あるいは牛肉にしても一二・七%というように非常に開きがあります。差があります。そこで農林省としては、これは自民党も含めてだけれども与党としても、この農業団体農民団体要求というものは不当なのかどうなのか、一体この違いはどこにあるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  18. 石田徳

    石田説明員 先ほど御紹介申し上げました政府試算数値とそれから農業団体の、これは統一要求価格なども出ておりますが、大きな開きがあることは確かでございます。結論から申し上げますと、農業団体等要求しておるのが不当かどうかということでございますが、これはそれぞれ計算前提考え方等が違っておりますので一概には断じ切れないと思います。われわれの方といたしましては、食肉につきましては需給実勢価格前提にいたして計算いたしております。その際に労賃とり方等がいろいろ議論対象になるわけでございますが、そこに争点がございます。それから、乳価も含めまして、計算前提になります資料とり方についても一致いたしておりません。その辺の出発点からまず違っておりまして、計算方式が違う。その中に織り込みます労務費等の単価も違う。こういうことでございまして、そのほか細かい点を申し上げれば幾つもございますが、それぞれ相違点がございますので、これはちょっと単純に比較はできないわけでございます。われわれとしては、法律の定めるところにより、またこの委員会等の御決議なども尊重いたしまして妥当なものであると考え試算数値をお示ししたわけでございます。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 本委員会は、去年は三月二十九日に決議をしたわけですが、ことしは二十五日に八項目の決議をした。この八項目の決議をするときに、その第一番目の決議の中にいま問題になっている労賃とり方、あるいは付帯労賃その他こういうものの取り扱いが非常に議論になった。その議論になったときに十分にそういうものは考慮するということで話を整理をしたわけですが、十分に考慮したとするならばこんなに大きな開きが出ることはないはずだ、こういうふうに私は思うのです。諮問の原案というもの、あるいは答申に至るまでの間の内容というものは私は了解しがたい点が多々ある。こういう点でもう一度十分に考慮されたのかどうなのか、これをお伺いしたい。
  20. 石田徳

    石田説明員 御決議の一のところに「製造業労賃が十分に反映されるよう評価するなど」云々と、加工原料乳保証価格が算定についての御決議でございますが、これは先生承知のとおり、われわれといたしましては生産費の中に各所に労賃が入っておりますが、大きく言えば牛の飼養管理、それから飼料作物等の生産いわゆるえさつくりと牛飼いといいますか、この二つの自家労賃が一番大きな要素になっていようかと思います。  その飼養管理の方の労賃でございますが、これは生産調査から出てきたものを指数で修正したのではなくて、これも従前どおりその地域における五人以上の製造業の労賃をとりましてこれに置きかえたわけでございまして、これは米価は別でございますが、そのほか各種農産物価格決定をいたしておりますけれども、こういうふうな置きかえをしておるのは余り例がないので、われわれとしてはこれは当然だと考えて置きかえ労賃を使ったわけでございます。  それからもう一点、えさづくりの方でございますが、これは昨年で申しますと五人以上の製造業労賃といわゆる日雇い労賃というものを足して二で割っておりましたけれども、五十一年度の生産調査からいわゆる農業労賃というものが出てまいりましたので、それを採用いたしまして計算したわけでございまして、製造業労賃についてはわれわれは十分に考慮を払ったというふうに考えたわけでございます。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 時間がないから細かく議論をすることはできませんが、問題の一つとして今後もこのことは続いていくと思うし、これは米価の決定のときにも当然問題になるだろう。そこで諮問前提として、値上げを抑えるというその前提三つあったように思う。第一は消費の伸びが停滞をした。二つ目は飼料が値上がりをしない。三つ目は農家の戸数が減って頭羽数がふえたから、したがって生産性が向上をした、こういうことが筋になっているように思うのですね。そこでこのことはどうだろう、そういうことですか。
  22. 石田徳

    石田説明員 第一にお挙げになりました消費の停滞でございますが、これは消費拡大に留意しなければなりませんけれども、計算をする際には消費の停滞というのはそれが卸売価格に反映しておれば別でございますが、需給実勢価格をとるわけでございますから、必ずしも計算上は出てこないわけでございます。そういう情勢であると判断をするときに使われておるわけでございます。それからえさの方は、これは大きな要素でございますから、安定要素が入っております。それから戸数が減少したということは、ただ減少しただけでなくて規模が拡大した。減少しただけであれば別でございますが、逆に規模が拡大した、生産性が向上したということでございますので、特に労賃計算の場合には単価と時間でございますが、その単位当たりの時間が減少したという面でこれは大いに作用しております。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 そこでその三つの要素の中で一つ一つ詰めていきますが、消費の問題について、先般のある新聞に卸売価格が下がった。にもかかわらず消費価格は下がっておらない。つまり二・六倍に上がったということですね。だからこれは参議院においてもことしの経済見通しにおいて誤ったということを倉成企画庁長官が明らかにしておるように、前提がすでにかなり誤っておる。そういうときに、肉にしても何にしても、生産者の方の価格を抑えてみたけれども、消費者の方はそれとは全く無関係に上がっているというこの事実について、これはもう明らかになっているのですから、関係庁の企画庁の方からひとつこの点のつながりを答えてもらいたい。——いなければ農林省の方から。
  24. 石田徳

    石田説明員 確かに先生お挙げになりましたように、生産者価格卸売価格を通じてさらに消費者価格にいくわけでございますが、これが食肉については必ずしも十分連動していないことは事実でございます。これはわれわれも大変憂慮しておりまして、これまでいろんな手を講じてきたわけでございますが、御承知のように、特に牛肉につきましては、これは卸売から小売にいく段階で加工等が非常に加わりまして複雑でございます。このままでは容易に消費者価格をそのまま下げるということはむずかしいと思いますので、いろんな手を講じて、たとえば今後は部分肉の卸売市場だとか、そういうものを講じて、これはだんだん下げていかなければならないということを考えておりますが、昨年の暮れからことしにかけましては、とりあえず消費キャンペーンをやるなりあるいは小売業者等呼びまして値下げを行うように積極的に指導はしてきたわけでございます。その結果、豚肉につきましてはかなり下がったわけでございます。この効果があったとわれわれは見ておりますが、牛肉につきましては残念ながらまだいまのところ効果が出ておりません。これは引き続きそういう努力を続けていきたいと思います。われわれ安定帯価格をつくって、その卸売価格価格の安定を図ろうとしておるわけでございますが、これが小売あるいは生産者の方に連動しない——完全にするというわけにもまいりませんけれども、これが適正に連動しないということになればこの制度というのをつくった意味がなくなるわけでございますので、今後はいかにしてその両者にうまく連動するかということを考えながら運用しろという御注文も審議会でも大変ございました。また先生からの御指摘もございますので、さらに検討を続けていきたいと思います。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 そのことを認めていることについてはそれはいいことだと思うのですけれども、生産者の方の価格を抑えて、そして価格を抑える理由として伸び悩んだ、しかしそれはちっとも消費者の方にプラスしていないということになったら、これは行政の大きな問題なんです。だからこの委員会だけの問題ではなくて、もっともっと総合的ないまの経済政策の中でこういうことのないようにしなければ、生産をする方はたまったものではない。  その次にえさの問題ですが、農林省えさは下がった下がったと言うけれども、調査をしてみると、農林省払い下げのえさが軒並みに上がっているという事実がある。これはどうですか。
  26. 石田徳

    石田説明員 農林省の操作いたしております飼料というのは、ふすま用の小麦とそれから大麦でございます。これは年度当初に決めますと一年間はほとんど動かさないわけでございますが、五十一年度は動かしておりませんが、五十二年度、これは審議会にも諮問いたしました。操作数量諮問いたしたわけでございますが、その際にも価格は来年度予算では一〇%ちょっとほど引き上げてございます。これはいろいろ議論がございまして、政府の操作飼料は安くすることに意味があるのか、あるいは量をふやすことに意味があるのかというふうな議論がございますが、この制度が発足した当時は、やはり絶対量をふやすことに意味があったと思うのでございます。ところが、最近は政府操作飼料の全飼料に占めるウエートというものもかなり小さくなっておりますが、しかしそれはそれなりに小麦なり大麦には意味がございますので、価格の点につきましても、余り安過ぎてもいかぬし、またこれは高過ぎてもいかぬということで、適正な価格で、市価あるいは外国から輸入いたします価格等も勘案して決めておるわけでございます。そういう意味で若干上がっておりますが、それは明年度の価格を算定する場合に、既定の事実といたしまして織り込んでございます。暫定予算がございますので、四月の十六日以降、その分は織り込んでございます。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 規模の拡大、頭羽数が伸びて生産性が高まったというこの背景にあるものは農家自体の努力であります。その努力の背景にはなお借金がある。北海道の問題についての酪農についてはいずれ後で質疑が出ると思いますが、養豚の面から考えてみた場合にも、四十七年に一戸当たり負債が百四十二万七千円、ところが五十年になると二百五十四万七千円と、四十七年を一〇〇とした場合には一七八・五%の借金の伸びなんです。これに対して豚の頭数の伸びというのは、四十七年を一〇〇とした場合に五十年は一〇四・九、こういう形になっていて、非常に借金がふえる中で経営を前進させざるを得ないということなんです。その金は、先ほども新盛さんから質疑がありましたように農協プロパーが多い。四十七年を一〇〇とした場合に、これは一八九・九農協の金を借りている。非常に農協プロパーに依存しているから、したがって金利は九分六厘、こういうものであって、きのうも懇談会のときにやった六分二厘三毛ですか、そういう金がなかなか利用できない状態にある。  ですから、農家が自分の犠牲と努力の上に生産が伸びたわけだから、その伸びた部分に対するメリットというのを一体どこで保証をするのか、どこでカバーをするのか。この点が明らかにならないと、農家の皆さんの不満に対してこたえることにならないじゃないですか。一生懸命借金をして頭羽数をふやして努力をしても、消費が伸びない、だから生産者価格を上げるのをがまんしろ、こういう議論はよくない。政治の責任じゃないですか。政治の責任ならばこれに対する何がしかの努力をしていくということが必要ではないですか。どうですか。
  28. 石田徳

    石田説明員 確かに各業種といいますか、肉牛についても養豚についても、また酪農についても負債のふえていることは先ほど申し上げましたように事実でございます。それから、それとの関連で先ほどのお尋ねで、戸数が減ることによって経営規模が拡大しているわけでございますが、その辺にメリットが出てきていることも確かでございますが、それの価格算定に当たっての織り込み方等がいろいろ議論になりますが、われわれといたしましては生産調査の結果、そういう生産性が向上したものはそのありのままに計算の基礎にせざるを得ないわけでございまして、それはそういうふうにして計算いたしておりますが、確かに金利の圧迫がございますので、これを除去するような形というのは、先生方からも審議会からも、恐らくほとんど全員の先生方からそういう御要望、御注意がございましたので、われわれとしてはその金利圧迫を何とか軽減するように考えていきたいと思っております。  それから先ほどお挙げになりました、たとえば六・何%の金利でございますが、これはわれわれが計算上用いたものでございまして、実態調査等によりますと、実は計算上はもう少し安いような金利も実績は出ているわけでございますが、これはむしろ置きかえてコストアップをしているわけでございます。まあいま申し上げましたことはスズメの涙くらいの効果しかないかと思いますが、金利の面については決して実態調査よりも安くは見ていないということでございます。いずれにいたしましてももうこれは各先生からも大変御注意もございましたので、それぞれにつきまして融資の制度等真剣に検討していきたいと思います。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 私は前にも小委員会で局長にも質問したのですが、酪農にしてもあるいは養豚にしても肉牛にしても、どういう頭羽数の農家を対象にして経営を、安定させていくのだという目安、目標、こういうものがこの前では明らかにされていなかった。私たちは一頭の牛、一頭の豚、一羽の鶏の生産費を償うように要求しているわけではない。少なくとも農林省生産の指導をしているには一つの目安があるはずだ。生産団地をつくってそれを指導し、補助をし、いろいろな手当てをしている。そういうところの農家がいまやり切れないと言っている。だからそういうような何頭の牛、何頭の豚、何頭の和牛対象にして、その経営をこのようにしていくのだという目標を立てなければ、これは農家としてはやり切れない。このことについてまず第一点。  第二点は金利の問題、金融の問題ですが、これは、去年の畜産振興審議会答申の中にも金融については緊急に考えろということが言われている。だからこれに対しては一つの方向が出てしかるべきであるわけですから、ことしはちゃんとはっきりした一つの道が講じられなければならないと思う。  三つ目の問題は、私はこれは小委員長にお願いをしたいし、また本委員会でも要求をしたいのですが、ぜひこの際現地の調査要求したいと思う。加工原料乳であれば、その生産中心になるのは北海道ですから北海道の調査をやる。責任持って調査をして生産者皆さんの声を十分に吸い上げていく。それから養豚、これは茨城県、私の県は日本一の養豚県ですから、ここでやはりじっくり調査をして声を聞く。それから和牛等については南九州が一つの中心地でありますから、そういうところで声を聞いて、本当に血の通った、そしてこの委員会議論をして決議をした精神が行政にあらわれるようにしていかなければこれはどうにもならない、こういうぐあいに私は考える。  この点について、ある面は小委員長要求をしているわけですが、農林省の方から答えをいただきたいと思う。
  30. 石田徳

    石田説明員 これから生産振興していく規模と申しますか、目標はどの程度かということでございますが、これまで考えてみますと比較的大規模のものが伸びてきておりますし、大規模のものに対しても融資等の措置を講じてきたわけでございますが、余り大きくなることによりまして公害が起きるとかいろいろな問題が出ております。必ずしも大きいことばかりがいいのではないというふうにわれわれ考えております。  そこで、先生も御承知のように、豚でございますといま全国の平均の飼養規模が三十八頭くらいでございます。肉牛につきましては四・三頭くらいでございます。この辺でございますが、むしろ中堅規模のものを中心にいたしまして、一頭、二頭の非常に小さいところまでというのはなかなか無理でございますが、中堅規模を中心にいたしまして団地をつくるなりしてこれからは生産振興を図っていく。減りどまりといいますか、さらにそういう人たちの規模拡大を図っていくというようなことに力を尽くしたいと考えております。  それから金融措置でございますが、これは五十一年度も講じたわけでございますが、五十二年度についても、五十一年度にまさるようなものをやりたいというように実は考えております。いまのところ本日この席でこういうものという結論を申し上げることができないのは残念でございますが、これは十分頭に置いていま検討中でございます。  以上でございます。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 では、もう一点だけ要求と私の意見を述べますが、小委員会資料を求めた中に、屎尿処理、排尿、それから畜産の環境の問題、そのことと関連をして、先ほど大団地だけでなくて小規模の経営もということを言われたと思うのですが、いま都市化している中で畜産というものは、大変環境の中でいろいろの方々から投書や意見が出されております。こういうものを処理するために費用がかなりかかっている。そのかかった費用も、これは生産費の中にはほとんど織り込まれていないと見ていい。それをみんな農家の犠牲でやっている。だから、この屎尿処理、排尿問題というものについての研究というものをさらに強化すると同時に、やはりこれは土地に還元をしていく、土地を強くする、あるいは牧野を改良する、こういうような方向で、畜産物の持っているいろいろなものを総合的に活用していくということについて努力をしてもらいたいし、そのためにも来年度は少なくともこれに対する予算上の処置をとった形で出してもらいたい。これについてはどうですか。
  32. 石田徳

    石田説明員 確かに環境問題というのが畜産の振興を妨げる一つの要因になっております。これは真剣に取り組まなければならないわけでございますが、われわれとしてはいろいろな政策をやってきております。ふん尿等の処理をするためのいろいろな資材、器材等のリースをやるというようなそういう機関もつくっておりますし、それから来年度の予算では、畜産農家で生じますふん尿を自分で処理し切れないものは、団地として今度は耕種関係の団地と相結びまして、そちらの方に利用するための予算、あるいは自分たちだけで利用するためのいろいろな施策等も講じております。  それから研究でございますが、これも確かに現在のところでは大変費用がかかります。一番大きな問題は費用のかかることではなかろうかと思いますので、これも十分これから研究をしていきたいと思いますし、それからできるだけそういうふん尿の公審等が起きないような形の畜産というものも、これは考えていかなければいかぬ。特に未利用の原野等を利用してやるというような形の予算も考えております。  それから畜産物価格の算定に当たりまして、われわれとしては、公害関係の費用というのを常に頭に置きまして、これは各所にばらばらに入っております、いろいろな施設、建物だとか、いろいろなものに入っておりますが、その際にも公害関係のもの智頭に置いて、それは十分な配慮をしているつもりでございます。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 終わります。
  34. 山崎平八郎

    山崎委員長 鳥田琢郎君。
  35. 島田琢郎

    ○島田小委員 いよいよ畜産振興審議会の各部会答申も終わって、四月一日告示に向けて牛乳、食肉価格決定が行われる重要な段階を迎えました。  冒頭に、政務次官がおいででございますから、政府は四月一日告示前の日程についてはどうお考えになっておりますか伺いたい。
  36. 羽田孜

    ○羽田政府委員 お答えいたします。  この日程につきましての御指摘でございますけれども、本日のこの委員会の御審議等もいただいて、問題点について御指摘があると思います。こういった問題を踏まえまして、また審議会答申を踏まえまして、できる限りきょうじゅうに何とか決定をしたいというふうに考えております。
  37. 島田琢郎

    ○島田小委員 それではきわめて重要な現段階にあるというふうに思いますが、残念ながら私は、国会もかつてない議論をいたしましたし、また国会決議も、従来玉虫色にピンクがかったような決議だと言われておりまして、大変私どももこの決議の威力というものについて疑義を感じておりましたが、今回の決議は、玉虫色が完全に具体的になったというふうなところまではいっておりませんけれども、しかし国会の意思というのは相当明確にされたというふうに私は考えているのであります。しかしながら、諮問されました食肉、牛乳、加工原料乳のこの三つ諮問価格を見て、私どもは実に唖然といたしました。一体政府は国会の議論を何と心得え、そして決議を一体どう受けとめていたのか。国会の意思というのは、まさに金科玉条とまでは言わないまでも、それを正確に守っていくのが行政府の責任だ、あり方だと私は思うのでありますが、きわめて遺憾であります。政務次官、御感想はどうですか。
  38. 石田徳

    石田説明員 お言葉を返すようでございますが、われわれといたしましては、先ほどお示ししましたような試算計算をしたわけでございます。それを計算する際にも、国会の御決議は頭に置きまして、十分尊重してやったというふうに実は考えておるわけでございます。先ほども一度申し上げましたが、計算の仕方等につきましても配慮はいたしたわけでございます。もちろん先生の御要望等には十分に数字の面でこたえていないというようにわれわれ思っておりますけれども、誠心誠意やって適正に出したというふうに考えておりますし、国会の御決議には相反するようなことはなかったというふうに考えております。
  39. 島田琢郎

    ○島田小委員 審議官の発言はきわめて私は遺憾だと思います。それならひとつ態度で示してもらおうじゃありませんか。  今回の諮問加工原料乳に限定をしてこれから問題を進めますが、諮問に見ます中で問題が幾つかあります。まず第一の問題点は、飼育家族労働費の見方であります。農業団体あるいは農民団体は挙げて百六円十一銭を要求いたしました。その中で最も重要な柱になっているのがこの家族労働費の見方であります。今回の諮問も、依然いままでのやり方を踏襲して変えることなく、飼育管理労働と草つくり労働を分離するという格差労賃を出してまいりました。しかも飼育家族労働費については、全国平均労賃をとっていないわけであります。これは繰り返しいままでも政府は弁明これ努めてきていて、われわれは納得し得ないところでありますが、今回これをとったのは、いままでの姿勢から見てあり得べきことだなというふうに思いますけれども、しかし昨年まではこの平均労賃とり方だって、一カ年を見たのに、今回は三カ月しか見ていないというのは一体何たることなんですか。
  40. 石田徳

    石田説明員 そのとり方は従来から同じでございまして、直近三カ月でこれを指数で修正している方法をとっているわけでございまして、直近のものを見るときに三カ月でございまして、もとのとり方は前と全く同じでございます。
  41. 島田琢郎

    ○島田小委員 それはそうじゃないでしょう。一カ年をとってずっとやってきたわけで、それは最近になって変わったかもしれませんけれども、このとり方というのは直近三カ月というふうにはなっていないはずであります。  単価は一体幾らになりますか。
  42. 石田徳

    石田説明員 これはもう従前から三カ月でございまして、お米の場合などは一年とっているわけでございますが、われわれの方としては直近のものをとっているわけでございます。
  43. 島田琢郎

    ○島田小委員 それは、米と同じくならないという理由は何ですか。
  44. 石田徳

    石田説明員 各種の価格決めておりますが、その際の計算から一定の時期までしか出てまいりませんものでございますから、直近の三カ月、一番新しいものでそれを修正しているわけでございます。そういう意味で三カ月をとっているわけでございます。
  45. 島田琢郎

    ○島田小委員 じゃ、米で一年とって、こっちで三カ月しかとれないという理由は何ですか。
  46. 石田徳

    石田説明員 計算は全部三カ月で修正しておるわけでございまして、労賃だけというわけにまいりませんので、労賃も含めて、全部の費目について直近の三カ月で修正をしておるわけでございます。
  47. 島田琢郎

    ○島田小委員 労賃に格差をつけて、新労賃と言われる農村雇用労賃を採用したと、内容的にはこういう説明でありますが、この格差をつけているそのことについての問題は、いままでもずいぶん国会で議論をされたわけですから、今回はこれを改めるべきだという主張を私どもは繰り返ししてきたし、また、国会の決議の中でも、ここのところは大変大きな問題になって、しかしその辺は十分わきまえて、あの玉虫色ではあるけれども決議がなされた、こういうふうに私は受けとめています。依然として、分離格差労賃を使ったというこういうやり方については、これは納得ができないのですが、もう一回説明をしてもらいたいと思います。
  48. 石田徳

    石田説明員 先生のいまお挙げになりました飼養管理と草つくりのこの労賃とり方に格差があるということでございますが、実は、先ほども御説明申し上げましたのでございますが、新労賃の、これは審議会の御意見等をちょっと紹介させていただきますと、審議会では、新しい労賃が出たんだからこれは全部飼養管理についても新労賃にしたらどうかという意見、あるいは全部先生がいまおっしゃったような形にしろ、こういう御意見、それから、そのいずれにするかは別にして、ばらばらにするのはいかぬので全部一本にしろ、こういう意見、こういうのも出ました。われわれとしては、諮問価格、これはまあ差が出ておりますが、そういう形のものがこれは労働の中身から申し上げまして妥当だと実は考えてやったわけでございますが、そういう先ほど御紹介申し上げましたような意見先生方の御意見決議等もございますので、実はまだ審議会等でも十分なコンセンサスが得られておりませんので、われわれとしては今回はこういうふうにやったわけでございますが、今後その点につきましてはいろいろ検討もしてみたいというふうに思っております。
  49. 島田琢郎

    ○島田小委員 基準取引価格決めていくに出たって、乳業のいわゆる乳製品をつくる製造コストというのがございます。その中に含まれている労賃というのは一体幾らで計算されていますか。それは昨年に比べてどれくらいのアップ率になるのですか。
  50. 石田徳

    石田説明員 千三百七十六円で、パーセンテージにいたしますと八・三%アップでございます。
  51. 島田琢郎

    ○島田小委員 華つくり労働費に含まれる時間当たり労賃単価は幾らで、そのアップ率は幾らになりますか。単純に比較はできぬでしょうけれども、強いて比較をするとすれば、一体上昇率は幾らになるのですか。
  52. 石田徳

    石田説明員 われわれが計算上見込んでおりますのは六百三十円四銭でございますが、実は、先ほど申し上げましたように、昨年は三つのものを足して二で削ったということでございますので、単純に比較できませんが、昨年と比較してみますと、一二・六%のアップでございます。
  53. 島田琢郎

    ○島田小委員 千三百七十六円と六百三十円四銭との比較は、余りにもこれは格差があり過ぎる。そして、飼育管理労働費の七百三十九円三十銭で比較してみても、半分とまでは言わないけれども、おおよそ半分近い労賃である。私どもは、全く別なところで働くという、そういう働く場所の違いはあるかもしれぬけれども、同じ牛乳の生産と加工に携わっているという意味では、これはまさに運命共同体の一員だというふうに理解する。乳業でお働きの皆さん方の千三百七十六円は、私は高いとは申し上げておりません。これは労使間において決めていく正当にしてきわめて妥当な価格だというふうに私どもは見て、それを製造コストに正しいとして政府も認めて織り込んでいる。だとすれば、こんなにいわゆる生産者の一時間当たり労賃を押さえ込んでおいて、それで公平だとお考えになっているのだろうか。この議論もずいぶん何回もやりましたけれども、重ねて政務次官、いまの私の言っていることにどういうお感じをお持ちでしょうか。
  54. 石田徳

    石田説明員 先生のいまお挙げになりました……
  55. 島田琢郎

    ○島田小委員 政務次官です。あなたの話は前から何回も聞いているのですから。政治的なものだから。
  56. 石田徳

    石田説明員 それでは政務次官の前にちょっと……。  メーカーのものは、これは支払いでございますし、支払いした事実そのものでございます。農家の自分の労賃につきましては、これは数字がないわけでございます。それで何を持ってくるかということでございますが、その近傍のそれに大体バランスするものをとるということで、農村雇用労賃をとったわけでございます。これは調査した数字そのものでございます。
  57. 羽田孜

    ○羽田政府委員 事実関係については、いま審議官の方からお答えしたとおりでございます。  従来から飼育労働並びにこの自給飼料につきましての御指摘があることは、私どももよく承知しておるわけでございます。そういった中で、今回の場合には、日雇い労賃というものから近傍労賃というものをとるようにしたわけでございます。そして、この飼育労働との差というものについての、これはもう当然あれじゃないかという御指摘、私も理解できるようなあれがあるのですけれども、しかし、むしろ飼育管理労働というものは非常に技術が大変であるということ、やはり一年間どうしても牛から離れることができないという特別な事情というものを加味してこれを計算しておるということについても、御理解をいただきたいというふうに思います。
  58. 島田琢郎

    ○島田小委員 だから、さっき審議官も、あるいはいままで私どもも国会でいろいろと議論をしたときにも、牛を飼っていらっしゃる人は周年拘束されている、夜寝ていても牛のことが頭から離れない、しかも非常に高度な技術を必要とする、これはお認めになっている。認めているのに出された七百二十九円三十銭というのは、これで妥当なのだろうかと私は首をひねらざるを得ない。これは行政の立場で言えば、いろいろ理屈が出てくるし、理屈ばかりではなくて、数字的ないろいろな問題が出てくるから、なかなかそれはできないかもしれない。しかし、次官、私はあえて次官に感想を求めたのは、われわれ政治家は、こうした不公正を是正していくところに政治の一つの責任と意味があるのじゃないでしょうか。それは理屈を言えばいろいろな理屈があります。しかし、同じ白い乳——乳に赤いやつはありませんが、乳をしぼってそれを国民に供給していくという立場では、いろいろな人がそこに参加をして仕事をします。この仕事に当たります。せめてその範囲の人たちが、一時間当たり働いたら同じ労賃だ、これは私は不公平ではないと思うのです。そこのところは、私は直ちに千三百七十六円実現せい、そんなことは言いません。しかし、少なくとも農業団体要求している九百五十五円十五銭くらいの実現はできないと言ったら、私は政治に一体何を期待すればいいのだと言いたくなるのではないでしょうか。この労賃を是正するというのは、最大の、しかも最も緊急な政治的課題だと私は思うのです。それあるがゆえに、昨年はこの点について不公正を是正してもらいたいという全国からのいわゆる大きな盛り上がりの中で政治的にも大きくこれがとらえられた。せんだって私は今井理事初め自民党皆さんおられるときに、あなた方もそういうふうにこれは賛成だとして一緒になってやろうと言ったのに、最後は行政の立場で握りつぶすなんて不当ふらちなことをやったのはけしからぬと私は言いました。これはやはり政治的に判断しなければならぬ時期に来ているのではないでしょうか。政務次官いかがですか。
  59. 羽田孜

    ○羽田政府委員 何というのですか、この乳価等の価格、いわゆる飼育労働に対する価というものと、工場で勤務するもの、これをただ比較するというのは非常にむずかしいと思うのでございますけれども、ただ、いま先生おっしゃるとおりに、千三百七十六円、そうしてこちらの方のあれとの差というものは余りにも大き過ぎるじゃないかということでございます。これは毎年御指摘があるわけでございまして、しかし、上がる率等につきましても、毎年毎年相当修正されておることは御理解いただけるのじゃないかというふうに思います。ことしも工場の方のとり方につきまして八・三%、そうして乳牛生産に関係する人たちのものにつきましては一二・六%ということで、率につきまして大分進めておるということも御理解をいただきたいというふうに思います。
  60. 島田琢郎

    ○島田小委員 実はさっき審議官から一二・六%アップだという答弁がありましたけれども、これは比較する根っこが違うから、これを半分に割って、つまり二で割ったものの単価で言えば七・一%しか実際には上がっていないんですよ。それが一二・六だったらいかにも上がっておるように思いますけれども、そうじゃないんですよ。そこのところは私は指摘はしませんでした。だから私は、それじゃ九百五十五円十五銭ですか、それが無理だとしても、少なくとも六百三十円四銭を七百二十九円三十銭で計算し直すくらいのことはできそうじゃありませんか。それだって乳業労働者の皆さん方の比較で言えば半分ですよ。そんなにわれわれの技術というのは、そしてこの周年拘束されている労働賃金というのは、あなた方がおっしゃるように、口では大変なことです、評価をしますと言いながらも、ちっとも態度で示していないじゃありませんか。それは言葉だけでは幾らだって言えるのですよ。言葉では言ってくれるけれども、ちっとも乳価の算定、畜産物の価格の算定に当たっては態度で示そうとなさらぬというのは、これはしかし検討すべきことだと思うのですが、どうですか、検討もできませんか。
  61. 石田徳

    石田説明員 先ほど御紹介いたしましたように、審議会でもいろいろ意見が分かれて、これはコンセンサスを得るに至っておりません。まあいろいろな意見があるわけでございますし、われわれとしては、繰り返すようでございますが、農村雇用労賃というのは、これは北海道におきますほかの耕種たとえばビートだとかバレイショだとか、そういう価格決定があるわけでございますが、そういうところに同じように用いられるものとして準備しておる方式でございます。そういうこともございますので、目下のところこれによらざるを得ない、妥当であるというふうにいま実は考えておるわけでございますが、繰り返すようでございますけれども、審議会等の意見もございましたし、先生から繰り返してのいろいろな御要望もございますので、さらに検討してみたいと思います。
  62. 島田琢郎

    ○島田小委員 委員長にちょっとお願いします。きょうは一時からの本会議という話できのうは聞いておりましたが、二時からでありますが、私はまだいま重要な質問が残っておりまして、後の人にも気の毒ですが、もう少し時間をいただきたい、こう思っておりますが、そんなに大幅にということでは考えておりませんが、もう少し質問をさせてもらいたいと思うのです。持ち時間が参りましたという通告がありましたので、本当はやめなくちゃいけないのですが、いま大事なところですから、二、三点だけもう少し、ひとつ簡明に答えていただいて、時間はできるだけ詰めたいと思いますが、お願いします。  そこで、いま春闘がこれから山場に差しかかってくるわけでありますけれども、おおよそいま報道されておりますのは、どうも一〇%に近いものが出そうだぞ、これは予想外だと言う人もおりますけれども、私はそういう状況にあるように思います。まあ乳業労賃の八・三%、これくらいの最低上昇率にして、この六百三十円四銭を評価し直すくらいのことはできるでしょう。いかがですか。だんだん譲ってきて、これ以上は譲れないというこれは議論です。政務次官、いかがですか。
  63. 石田徳

    石田説明員 目下審議会答申もいただいておることでございますし、国会の御決議等を踏まえまして、政府内部で検討いたしておりますので、幾らにするということは残念ながらここではちょっと申し上げかねるわけでございます。
  64. 島田琢郎

    ○島田小委員 奥歯にもののはさまったような答弁でありますけれども、時間の関係がありますから……。  そこで最後に一つ。去年は乳質改善奨励金というのがつきましたね。皆さんにこにこされているから、これは二円か三円くらいつけるつもりでおるのだろうと思うのですが、この乳質改善奨励金というのは、これは農民の側で言えば既得権だと思っているのです。というのは、去年の議論を踏まえますと、おととしあたりから去年、ことしにかけてバルククーラーの設置、これはほとんど終わるわけであります。そしてまたタンクローリーも入れなければならぬし、そのタンクローリーが入っていくための、車が入っていくための農道の整備で大変な金がこの乳質改善のためにかかりました。しかし、これは将来コストとして支払っていくのには、余りにも大きな負担が地元にかかっておるのであります。これはやはり単年度で解消してやるという、そういう気持ちがなければ酪農経営はなかなか困難であります。一年きりで切ってしまうなんて、私はせっかく出すなら一年なんて、あんなありがたくもないような価格で、ありがたがるような、ありがたく思えみたいな出し方ではけしからぬと去年言った一人でありますが、ことしはこれは既得権として最低一円は今度も盛り込むでしょうね。今井さんの方をちらちら見ながら言うと、あなた首を振るから、政務次官に一つ聞いておきますけれども、自民党もそれは同感でしょう。
  65. 羽田孜

    ○羽田政府委員 お答えいたします。  いま先生の御指摘、実は従来から強く御要望もございます。また各方面からも、そういったお声があるわけでございますけれども、あれは単年度ということで昨年一円のアップをしたわけでございますので、いま外のものとして考えておるということはないわけでございますけれども、ともかくそういった御意見があることは十分あれしたいと思います。  それと、いま先生御指摘がございましたように、確かに価格の面だけじゃなくて、やはり生産性を上げていく、それと負債の面、いろいろな面があるわけでございまして、その辺につきましても十分検討させていただきたいと思います。
  66. 島田琢郎

    ○島田小委員 次官に申し上げますが、従来は絶対多数の与党である自民党が、きょうあすにかけて、まあ踊り場予算、加算と称して価格決定する。しかし本院は、まさに与野党伯仲であります。われわれはそれを踏まえて国会でも責任ある議論をしてまいりました。最終決定に当たっては、われわれの意見を十分取り入れることがなければ私は承知できません。そしてまた今後の国会運営にも責任が持てません。そういう点で、ひとつしっかりした最後の、価格決定に当たってのわれわれの意見を盛り込むという、そういう御答弁がひとついただきたいのであります。  それから、ついでですから一遍に申し上げて終わりにいたしますが、統計情報部がおいでになっておると思うのでありますが、私はあなたから、答えは後ほどいただきますが、この間牛肉生産のコストいわゆる生産費の実態説明を受けましたが、国会決議で五十年に私ども牛肉価格安定制度をつくるときに附帯決議をつけました。牛肉の過去の実績というのが資料としてないので、早急に整備しろ、こういうことでありました。これは非常に重要な課題でありまして、私は先般受けた説明の中でも申し上げましたが、たとえば乳雄、まあ和牛でも同じでありますけれども、一貫生産ということをいわれておりますけれども、現場の実態は必ずしもそうなっていないのであります。たとえば乳雄について言えば、われわれ酪農家生産した牛、つまりぬれ子と称するものは、そのまま育成に回されまいります。育成で二百五十キロ程度に仕上げられますと、次は五、六百キロにするための肥育が行われるというふうに二段階になっているのであります。もっと細かく言えば三段階であります。したがって、その段階におけるコストというのがある程度きちっとしないと、そこで生産をしてそこで生活をしているという、その区切りの部分で生産をしている農家がいるわけでありますから、その辺のところの区切ったいわゆる生産調査というものが非常に必要だというふうに私は思います。こういう資料を今後早急に整備されるように期待しております。  前段の問題については政務次官からお答えをいただいて、私の質問を終わりにいたします。
  67. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいま御指摘がございましたが、国会また皆様方の声というものを誠実に反映するようにという強い御要望でございます。従来からも、政府与党でございます自民党ともちろんこれは御相談申し上げておりますけれども、当然国権の最高機関でございます国会、そしてこの委員会での御審議というものはないがしろにしてまいったつもりはございません。今度の価格決定当たりましても、今日まで皆様方から本当に御熱心に御指摘いただきましたこと、こういったことも十分留意しながら、ひとつ適正な価格決定したい、またもろもろの措置というものを講じてまいりたいというふうに考えております。
  68. 関英二

    ○関説明員 先生のただいまの御指摘は、乳雄の育成に関する生産費のことだろうと思います。これにつきましては事例的に調査をいたしておりまして、ただいま取りまとめ中でございますので、いずれ取りまとめが終わった段階で御報告できると思います。
  69. 山崎平八郎

  70. 武田一夫

    武田委員 まず二、三の点についてお聞きいたしたいと思いますが、農林省が二十八日に五十二年度の豚肉並びに牛肉安定基準価格あるいは安定上位価格を示しましたが、御承知のとおりこれは非常に引き上げ率が低い。二・四%とか三・一%というのは昨年度の例から見ると半分以下である。またきょうの新聞でも御承知のとおりに、加工原料乳保証価格も四十七年来の低価格に抑えてしまったという、超抑圧型の決定というのがうかがわれるわけでございます。これに対しまして、生産者団体はもう大変な怒りでございます。われわれの経営をまことに無視した政府の行き方、われわれがせっかく苦労して、苦しい中、大変な中を何とか今日ここまでこぎつけてきた、この生活をどうしてくれるのだというこの悲壮とも言える叫び、これについて政府皆さん方はどのように受けとめているかをまず私はお聞きしたいのでございます。政務次官からお伺いしたいと思います。
  71. 羽田孜

    ○羽田政府委員 いま先生から抑圧したあれであるという厳しい御指摘でございますけれども、農林省としましては、いわゆる生産者皆さん方の意欲を抑圧するというような考え方は毛頭ございません。ともかく生産者の方々が私どもの長期見通しに向かってやはり前進して、意欲を持って取り組んでいただきたいという気持ちを持って価格決定に臨んでおるところでございます。ただ、いま出てきておりますものにつきましては生産調査をもとにいたしまして諮問申し上げたわけでございまして、この点につきましては御理解をいただきたいと思います。
  72. 武田一夫

    武田委員 現在、日ソ漁業交渉も非常に厳しい段階でございます。考えてみますと、これからのたん白源というのは魚から畜産に移るのではないかとまで言われております。また、日本というのはこれから異常気象が非常に続くのではないか、飢饉の心配もあるというのが気象関係者また農業関係者の心配の極でもございます。そうしたときに、ある方は、これからの日本というのは畜産立国、畜産によって国というものを保つ一つの大きな原因になっていくのではないかとまで考えられている現状でございます。そうしたときに、こうしたまことに生産者の方々の意欲をそぐような答えがもし出てきたとするならば、私は、これは日本の国の破壊というものに大きく結びつくのではないかと心配しておりますが、その点におきまして私は政府の格段の配慮をお願いしたいわけでございまして、生産者の納得が得られるような価格体系というものをまず私はお願いしたい、これは要望しておきたい問題でございますが、食肉価格生産費所得補償方式というものを採用するような方向で検討すべきではないか、こういうふうに私は思うのですが、この点いかがでございましょうか。
  73. 石田徳

    石田説明員 食肉価格は、先生承知のように保証乳価などとは違いまして、価格を安定させるための安定帯価格を設定しておるわけでございます。この安定帯価格の中に市場価格を安定させる、こういうのがねらいでございますので、あくまでその前提になりますのは市場の需給実勢価格でございます。この需給実勢価格をもとにしてやっておりまして、もちろんそれをはじく際には修正の指数等はいろいろな数字をとっておりますが、基本的には何と申しましても需給実勢価格でございますので、直ちに生産費所得補償方式によるのはいかがかと考えております。
  74. 武田一夫

    武田委員 私は、算定方式に問題があるのではないか、こう思うわけです。たとえば肉豚の販売価格は三百五十円、これは実際値の平均価格ではなくて、肉豚販売価格上位価格以上の月の場合は上位価格に見合うような、そういう販売価格に置きかえて計算している。実際値、たとえば三百七十何円、これを使えばもっと上回る計算になってくる、たとえば過去五年間、六十カ月、そのうち実に四十カ月以上はこの販売価格上位価格を上回っているという、そういうのに、なぜ実際価の平均をとらなかったかということが私は問題だと思うのですが、その点についてどう考えておりますか。
  75. 石田徳

    石田説明員 これは安定帯価格でございますので、過去の非常に乱高下した異常な価格を将来の安定帯の中に投影させるのは必ずしも妥当でないという考え方に基づいておるわけでございまして、審議会におきましても学識経験者の先生方からも、この方式についてはおおむね妥当であるという意見が非常に出たわけでございます。もちろんその際にも方式、考え方は妥当であるけれども、ルールと計算というものを一度にやると、これは多くの方に誤解を招くおそれがあるから、その点は注意しろ、こういうような御意見がございましたが、やはり安定帯価格趣旨にのっとりまして考えますと、これは乱高下等のそういう異常なものは排除するのが正しい、そういう御意見が強いわけでございますが、われわれとしてもそういうふうに考えております。  それから、今回採用いたしました価格計算の場合に、六十カ月の中で三十八カ月も異常なものがあるじゃないかという御指摘でございますが、これは異常が確かに多過ぎますけれども、先生承知のように四十七、八年、九年にかけまして畜産危機あるいはその後遺症が残りまして、わが国の畜産史上まれに見る波乱の年でございました。そういうこともございますので異常の月数が多くなっているわけでございます。だんだんにこれは鎮静化いたしておりますので、将来はこういう異常なものは少なくなるのではないかと考えております。
  76. 武田一夫

    武田委員 そうすると、今後そういうような異常な事態というものはないという確信のもとに、今後こういう方向で行くという考えでございますか。
  77. 石田徳

    石田説明員 これは先のことでございますから絶対ないということは申せませんが、安定帯価格制度をつくったゆえんのものは、価格をできるだけ安定させていく、それにはそれなりの畜産振興事業団等によりますいろいろな操作があるわけでございます。高くなったときにはこれを冷やすような適切な措置を講ずる。それから牛肉等については、下のラインを下るということはいまはないわけでございますが、これも、もしそういうことがある、あるいは下に近づいたときにはこれを適正な価格に戻すような操作をする、こういうようなことによりまして、価格を安定帯の中に極力保っていくような努力をしていく所存でございます。
  78. 武田一夫

    武田委員 また生産向上のメリットというのが反映されていないということは非常に問題だと思います。五十二年度の推定生産費を用いるなどということは、これは米や加工原料乳などでもやっておりません。生産費指数の算定においては、五十二年度の推定生産費を求めるに、過去五年閥、四十七年から五十一年の実質生産費を求め、その傾向値によっているが、これで果たして生産向上の利益が農家の方々に還元されるかというと、これは全く不可能であると私は思うのでございますけれども、この点をどう考えておるのかお聞きしたいと思います。
  79. 石田徳

    石田説明員 価格計算でございますから、個々の農家にどうなるということには直ちにはならないわけでございますが、われわれとしては適正な価格法律で再生産を確保するのに足るような価格、こういうことになっておりますので、それぞれの費目につきまして配慮をいたしておるところでございます。将来ともこれが変わることがはっきりしておるものにつきましては、たとえば先ほど申し上げました国の操作いたします飼料等につきましては、これは上がるのを直ちにそのまま織り込みます。それから、もし下がるものがあればこれは下げてございますし、それから下がる傾向あるいは上がる傾向というのは、これは最近の数値を用いまして修正をしておるわけでございます。それから労働費等につきましては、これは置きかえをする等によりまして、またその他の費目についてはそれぞれ適正と思う方法でやっておるわけでございますので、われわれとしては再生産を償う価格になっているというふうに実は考えておるわけでございます。
  80. 武田一夫

    武田委員 仮に五十二年度の推定生殖費を用いるとすれば、当然物価指数というものも考慮に入れて考えていかなければならないと私は思いますが、その点はどうでしょうか。
  81. 石田徳

    石田説明員 物価指数というのはこれからの一つの見通しあるいは目標でございまして、まだいまのところ確定しておるわけではございませんので、そういう見通しを立てて経済運営をやっていこうというものでございますから、われわれとしては確定していないものは直ちにそのまま採用するということにはならないわけでございまして、将来とも、たとえば大変メリットが出るという合理化をあらかじめ予測してそれをもろに入れるとかあるいは労賃が上がるであろうということを入れるというようなことはしていないので、一定の法則に従ってやっておるわけでございまして、物価関係を直ちに現段階で入れるということは、これはちょっと妥当性を欠くのじゃないかというように考えております。
  82. 武田一夫

    武田委員 時間がございませんので次に移りますが、労賃の評価、これは先ほども質問がありましたが、非常に納得のいかないものがあります。差別した労賃評価というものは、是正しなければならない。これは生産者の切なる願いだと思いますが、その点についての見解をもう一度お伺いしたいと思います。
  83. 石田徳

    石田説明員 確かに先生方が繰り返しお述べになるように、一番意見の分かれるところだろうと私は思います。ほかの費目につきましてはそれほどのことがないわけでございますし、実際に調べたものを、調査の結果を最近の趨勢でこれは修正しておるわけでございますが、この家族労働に関する限りはこれはそういう数字がないわけでございますので、何をもってこれに置きかえるかというのは大変議論の分かれるところだと思います。先ほども紹介いたしましたように、審議会の内部におきましても、これは完全なコンセンサスは得られなかったわけでございます。大変意見が分かれております。そういうことでございますけれども、これは繰り返し申し上げましたように、われわれといたしましては、えさづくりにつきましては、一般の子牛と同じように考えておりまして、これは統計情報部で五十一年度から調査を始めました新労費によることにいたしましたし、飼育管理労働につきましては、これは従来からの方式を新しい数字をもって近傍の五人以上の製造業の労賃に置きかえたわけでございまして、現在のところ、これが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  84. 武田一夫

    武田委員 政務次官に聞きます。いま、内部においてコンセンサスがまとまらない、分かれているということですが、政務次官個人の意見としましては、これはどうしなければならない、どういうふうな方向に行った方がいいとお考えですか。
  85. 羽田孜

    ○羽田政府委員 これは長いこと論議になっておることでございまして、いま個人的にと言ってお答えすることはできないわけでございますけれども、しかし審議会の中におきましてもやはり同様な論議の分かれたところでございます。そういったものを踏まえまして、私どもも、やはりともかく今後検討していく一つの大きな課題といたしまして留意をしてまいりたいというふうに思います。
  86. 武田一夫

    武田委員 自給飼料生産の家族労働評価を飼育家族労働評価で政府試算しますと、一時間当たりが七百二十九円三十銭、こういうふうに試算すると、八十七円から八十八円のアップ。ところが、一年間の平均の一道一県の製造業労賃によって評価すれば百十九円、こういうふうに余りに差が開き過ぎている。これは非常に低く抑え過ぎているのではないかという大方の意見でございますが、その点についてはどういうふうに認識しておりますか。
  87. 石田徳

    石田説明員 これは別に低く評価しているということでなくて、お言葉を返すようでございますが、農村雇用労賃という新しい労賃調査を始めたわけでございまして、これは農林省の内部におきましていろいろな行政価格がございますが、これのあり方等も検討してまいりましたが、そこでの一つの結論として、農家の家族労働賢をどういうふうな形で見るかという議論があったわけでございますが、従来からとっておりましたものが、これはもう時代おくれであって実情に合わないということで新しい方式を採用したわけでございます。ちょうど五十一年に初めて出たわけでございます。われわれとしては、これをまず最初に採用したわけでございますが、審議会の内部におきましても、すべての労賃をこれ一本でいいじゃないか、こういう意見さえも出たわけでございます。そういう意見もあるわけでございますが、これは繰り返すようでございますが、牛の飼養管理等につきましては、これは三百六十五日拘束されている、大変熟練も要する、こういうものでございますから、もう少し高い評価をすべきであるということで、五人以上の製造業の労賃に置きかえているわけでございます。
  88. 武田一夫

    武田委員 次に、牛乳の問題ですが、非常にだぶついている、こう言っておるのですが、政府資料でも、約百万トン輸入している。さらにまた、疑似乳製品を含めた場合は、生産者団体に言わせると、二百万トン近いものが輸入されている、こういうふうなことが言われておりますが、これは乳価を抑えるための一つの政府の意図があるのじゃないかと勘ぐる向きが多いわけです。ここら辺は自給率向上につながることでもありますし、牛乳のだぶつきを抑える理由になるのではないか、こういうふうに思いますと、価格を上げて自給率アップを図るべきではないかというような声もたくさん聞かれるわけですが、その点、どういうふうにお考えでしょうか。
  89. 石田徳

    石田説明員 先生のお挙げになったように、乳製品がかなり輸入されていることは確かでございます。たとえばココア調整品みたいなものまで生乳に換算して幾らかというのは、これは自由化されておりますし、その把握は非常に困難でございますけれども、われわれ大ざっぱに見まして、まあ年によってもかなり違いますが、百八十万トンぐらいは生乳換算で入っておると思いますが、これは全部わが国生産を圧迫するようなものばかりかというと必ずしもそうではないわけでございます。これをいろいろ分けられますが、たとえばえさ用の粉乳のごときは畜産農家えさとして必要としておるわけでございますので、これは乳製品の競合というふうに考えないでえさとして考えていただかなければならない。それから、チーズ等につきましては、わが国生産がきわめて微弱でございまして、需要にこたえ切れないということもございますので入れている。それから、学校給食用の粉乳等は、児童生徒の体位の向上のためにできるだけ安いものがいいというようなことで入れておるわけでございます。それから、わが国に全く生産のないものもございます。これは工業用に向けているものだとかそういうものもございますので入れざるを得ない。ところがそれ以外のものにつきましては、たとえばバターとか粉乳が主でございますが、こういうものにつきましては事業団でコントロールをいたしております。割り当て制でもあるわけでございますから、無秩序な輸入は許しておりません。国内需給との関連でその数量割り当ててコントロールしながらやっておりますので、国内生産に悪影響を与えないようにいたしておりますし、特に最近のように生乳の生産が伸びまして、乳製品の在庫が大変ふえておる時点ではこの輸入等を抑え、また放出等も抑えておるわけでございまして、極力事業団の運営等につきましては国内価格に影響が大きくならないように配慮しておるところでございます。
  90. 武田一夫

    武田委員 時間も余りなくなりましたので、最後に今後の日本の重要資源としてのたん白源を支える畜産界の健全な発展、そのためにやはり農政全般に見られるような非常に行き当たりばったりと申しますか、困ったときに部分的な対処しかしないというような行き方をこの辺で根本的に改めて、先ほど初めに申し上げましたように、大きく言えば畜産立国というようなこういう観点から、生産者の皆様方が経営の面においても生活の面においても安心して、特に私は後継者の問題も非常に深刻でございますので、後継者が、若い青年が勇んでこの仕事に取り組めるような体制を考えていく、これが大事な問題じゃないか。それなくしてこうした問題が毎年繰り返され、正直言いましてたくさんの方々が東京に来たり、各地でいろいろな集会等をする、その労力、苦労というものを解消していくのが政治として大事な問題だと私は思いますが、その点につきまして政務次官から政府考えというものをお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  91. 羽田孜

    ○羽田政府委員 御指摘がございましたとおり、わが国のたん白資源、これを畜産物に頼る傾向というものは今後一層増大するものと考えます。ただ、私ども行き当たりばったりということではございませんで、いままででも逐次いろいろな施策を進めてきたところでございます。しかし私どもいま考えますのは、確かに直接のあれとしましては、価格というものが一番大切であるわけでございますけれども、消費する立場というものを考えましたときに、価格だけではやはり吸収できない面というのが非常に大きいわけでございます。そういった意味で今日までもいろいろと施策をしてまいりましたけれども、今後とも生産の面につきましていろいろな配慮というものを加えてまいりたいというふうに思っております。  なお、流通の面につきましでも、審議会でもいろいろ御指摘ございましたし、またこの委員会でも御指摘がございました。ともかく皆様方がつくったものが即小売価格に反映されておらないというような実態もございますので、こういった点につきましても一層メスを入れまして、生産者経営を安定してやっていただくということ、また生産者の福利というものも考えながらこれから対処してまいることを申し上げたいと思います。
  92. 武田一夫

    武田委員 どうか生産農家が誇りを持ってこの仕事に従事できる、そしてまた危機の不安というものが一掃される、そういう畜産業というものを振興するために一層の努力をお願いして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  93. 山崎平八郎

    山崎委員長 神田厚君。
  94. 神田厚

    ○神田小委員 御質問を申し上げます。  食肉部会酪農部会飼料部会三つを含めまして各答申が出まして、本日価格決定を見るわけでございますけれども、私どもはまず考えますことは、ことしの酪農畜産に対するいわゆる政府諮問試算が問題にならないほど低いということ、これで果たして本当に畜産振興畜産農家皆さんにやってもらう、そういうための諮問をしているのか、あるいは畜産をやめさせるためにこういうふうな形をとっているのか、どちらか迷うような非常に低い試算を出しているわけであります。ちなみに過去五年間にわたりましてどの程度の引き上げが行われましたかにつきまして私は調べてみたのでありますが、四十八年には五・六%、これは豚肉であります。それから四十九年に三三・四%、五十年に九・七%、五十一年では八・一%、これだけ豚の価格が上がっているわけであります。さらに牛肉では、五十一年からでありますが、これが八・五%、五十一年に上がっている。そして保証価格につきましては、四十七年に二・二%、四十八年六・一%、四十九年に四四・三%、五十年に一四・七%、五十一年に七・六%、こういうふうな引き上げ率があったわけであります。しかし今度のそれを見ますと、政府試算によりますと、豚肉では二・四%である。そして牛肉では三・一%、そして保証価格ではわずかに二・三%の値上げにしかならない、こういうことで、本当に畜産農民がやっていけるのかどうか、この辺のところをひとつお答え願いたいと思うのであります。
  95. 石田徳

    石田説明員 畜産を振興するのか抑えるのか、こういう御質問でございますが、もちろんわれわれは畜産振興のためにやっているわけでございます。ただパーセンテージだけを見ますと、先ほど先生お挙げになったように、最近は高い数値も出ております。しかしもうちょっとさかのぼってみますと、たとえば豚肉で申しますと、四十二年はゼロ、四十三年はゼロ、四十四年は四九、こういうふうなこともございますし、四十年は三、それから四十一年は二・九、こういうふうなことがございます。世の中が安定いたしております時代はこのように低いわけでございますし、先ほどお挙げになった最近の五年というのは、畜産にとっては未曽有の危機でございました。大変狂瀾怒濤時代でございました。えさにいたしましても何倍にも上がる、こういう時期でございましたので、高い数値にならざるを得なかったわけでございます。この畜産危機が鎮静化に向かいまして、一時生産等も落ちましたけれども、農家に勇気を出していただきまして、五十年から五十一年にかけてこれが回復期に向かいまして、五十二年はまさに成長期に向かっているところでございます。そういう意味で、安定しかつ着実な成長期に向かっているということでございまして、ノーマルな時代に入ったのではないかというふうにわれわれは考えておりますので、率だけでは直ちに律し得ないのではないかというふうに考えます。率は別にいたしまして、御趣旨は畜産を振興しろ、こういうことであろうと思いますので、御趣旨を体しましてわれわれといたしましても再生産が確保できるような努力を払っていきたいと考えます。
  96. 神田厚

    ○神田小委員 世の中が非常にインフレ傾向の中にあって、さらに公共料金やいろいろなものが上がってきている、こういう状況の中で、畜産に関係するいろいろな操作の中から畜産物の価格が不当に安く抑えられている、こういうふうに私は考えざるを得ないわけであります。したがいまして、こういうふうなことでは本当に畜産農家生産意欲というものがわいてこない。本当に畜産の問題についてもっと真剣に考えるならば、もっと適正な価格においてこれを諮問すべきであるというふうに考えたわけでありますけれども、非常に限られた時間でございましてわずか十五分でございますので、二、三大事な問題を御質問申し上げたいと思います。  まず豚肉の問題でございますけれども、この豚肉の場合の農家の販売価格の算定方法、これは前にも御質問があったかと思いますけれども、実際には政府は実際値をとっていないということでございまして、上位価格を超えるものについてはこれを安定価格で頭切りをしている。これが大変問題になっている問題でございます。先ほど武田委員の方からも御質問がありましたけれども、実際値で計算をすれば三百七十七円三十二銭になる。それを三百五十一円としておりますけれども、この安定帯の価格の中に抑えられている月というものは常に三分の二以上は安定帯の価格の上に出ているわけであります。それを修正値としていわゆる頭切りをしているわけでありますけれども、先ほどの御答弁を聞いておりますと四十八年には狂乱物価があってそういうふうな異常な月であったというようなことを言っているわけでありますが、これは四十八年ではなくて五十年の二月から連続して五十一年の八月まで政府は修正値を使っているわけでございます。そうしますとこれはやはり安定帯そのものの取り方に問題がある。これだけの安定帯の中に入っているならば、それで十分に養豚農家が生活がきちんとできるのかというとそうではないというような問題も含めまして先ほど御答弁になられましたけれども、現実には五十年の二月から連続して、一カ月だけ除いてありますけれども、五十一年の八月まで政府は修正値を試算に使っているではありませんか。この問題はいかがでございますか。
  97. 石田徳

    石田説明員 豚につきましてはピッグサイクルというものもございますし、生産が年に子豚も二回とれるというようなことで牛などよりもサイクルが短いわけでございます。いろいろな外部からの影響というのを非常に受けやすいわけでございます。そういうことで数などが減りますと価格がぐんと上がる、こういうのがこの数値にあらわれておるわけでございまして、ちょうどいま先生がお挙げになった時期というのが価格が上昇していた時期でございます。それを冷やすために昨年の十月ごろまでに輸入減免措置など講じた時期でございます。これはなかなか需要に追いつけないような時期であったわけでございますが、最近は生産が伸びてまいりましてだんだん安定帯の中でノーマルな形といいますか中心価格上位価格の中間ぐらいのところに落ちついてきているわけでございます。この時期は異常な時期であったわけでございまして、その分だけは上位価格に相当する価格で置きかえているわけでございます。
  98. 神田厚

    ○神田小委員 ちょっとどうも説明がはっきりしないのでございますけれども、私は安定帯の中に入っているならばあるいは安定帯を越えているようなところならば、養豚農家はそれでもう十分採算がとれるというふうに考えていいわけだと思うのですが、決してそういう楽な経営をしていないというふうに考えているわけでありまして、ですからこの安定帯自体のつくり方の問題、これが問題でありまして、さらにはこの実際値をとってきちんとした計算をし直して出さなければいけない、こういうふうに考えるわけであります。この辺のところの突っ込んだ議論をしておられませんけれども、どうも何かごまかしのような答弁については納得できませんが、時間がございませんのでその辺のところはひとつよくもう一度考え直していただきたいというふうに考えて御要望しておきたいと思います。  次に、牛の問題でございますけれども、牛肉につきまして一番の問題は算定方式が変えられているということでございます。結局素畜費の問題にしてもあるいは枝肉換算係数の問題にしましても、私どもはこれを安くするためにいわゆる換算値を変えたりしているのではないか、あるいは換算係数を変えたり方式を変えているのではないか、こういうふうな考えを持っているわけでありまして、たとえば昨年の場合には枝肉の換算係数はきちんと出ていたわけであります。資料の中にきちんと出していただいたのでありますけれども、ことしの場合にはそれが資料の中から省かれている。牛肉安定価格算定説明参考資料の枝肉換算係数の計算試算のところにY=1.538X+73.36というこういうふうな資料をつけてちゃんと出してあったわけですが、ことしはそれを出してない。出してないということは、私どもはこれは枝肉換算係数を何か出しては都合が悪いというような形で省いたのではないかというような、勘ぐっては失礼でございますけれどもそういうふうな考えも持つわけであります。この辺のところをひとつ、算定方式をなぜ年々変えていくのかという問題をお聞きしたいと思うのですが、いかがでございますか。
  99. 石田徳

    石田説明員 これは前々から何回も出ておりますが、われわれも算定を若干変えたところがございます。それはあくまでこの制度は安定帯価格制度であるという考え方に基づいておるわけでございまして、それぞれの異常値というものはできるだけ排除していきたいということでございます。ある特殊な年度の異常な数値をそれに入れますと、後年度に投影させますと、必ずしも適正でない数値が出てくるわけでございます。これは下げることにばかりきゅうきゅうとしてやったのじゃないかというような誤解を受けている面もございますが、必ずしもそうでなくて、中には下がるべきものを上げるということもあるわけでございますが、これは上げるとか下げるとかということではなくて異常値を排除していくということで前年と同じにしたわけでございます。
  100. 神田厚

    ○神田小委員 異常値を排除するというような話でございますが、去年まで出ていてことし出てないというのはこれは私は非常におかしいと思うのであります。これは異常値を排除するということとは問題が違うのじゃないか。本質的に問題が違うというふうに考えております。そういう意味ではやはり毎年毎年いわゆる係数を変えたり方式を変えたりするようなごまかしのものじゃないものをつくってもらわないと、計算でも何でも専門家が見てもややこしくてわからないようなことでやられているのでは一般の生産農民なんというのは本当にわかりません。こういうようなことをひとつ強く要望しておきたいというふうに考えております。  次に、酪農の問題でございますけれども、昨日出ました酪農答申案、これにつきましていろいろ自給飼料の労働費の問題や何かにつきまして先ほどからたくさん意見が出ております。私は特にこの答申にうたわれております中で、第一番目に「昭和五十二年度の保証価格については、農業における酪農重要性にかんがみ、酪農家生産意欲を阻害することにならないよう十分配慮するとともに、市乳化を積極的に促進できるよう適切に定めること。」ここまでは結構でございます。「なお、その際、労働の評価に関しては日給飼料生産実態について十分留意し適切に行うこと。」この「なお、」以下の文章についてはどういうふうなお考えでございますか。
  101. 石田徳

    石田説明員 これはこの委員会でも先ほどから大変御意見が出ておりますし、審議会でも非常に意見の出たところでございます。繰り返すようでございますが、その算定の仕方については、完全に一致しておりません。いろんな意見がございました。それで、その集約した形として、先ほどお挙げになったような表明になったんだと思います。われわれとしては、この答申の線に沿って検討いたしておるところでございます。
  102. 神田厚

    ○神田小委員 時間が来て、本当にもう少し話をしたいのでございますが、残念でありますけれども、最後にいろいろ意見を述べたいと思いますが、この全体の問題といたしまして、この低い諮問案で、答申がこういうふうな形で返されました。いろいろ問題があります。一つ一つ見ていくと問題がございます。しかし、これを見ていきまして、本当にこれでたとえば養豚農家は生活が安定するのか、あるいは牛肉生産農家はそれで安定するのか、さらには酪農家はそれで生産が安定して十分な再生産を保証されるような、そういうものができるのかどうか。今度のこの諮問案どおりに行われますれば、われわれが何のために国会で決議をして、国会の中でいわゆる畜産農民の皆さん方の期待を担って、六党全部で共同して出した国会決議がほとんど生かされていない。昨年度に比べましても、五%も六%も低くなっているような答申諮問案を、そのままわれわれがのむようであっては、一体国会決議の意義がどこにあるのかというような問題も含めまして、私はこういうものに対しまして非常に釈然としない気持ちでおりますが、この点につきまして、最後に政務次官にお答えを願いたいと思います。
  103. 羽田孜

    ○羽田政府委員 先ほど来皆様から御指摘があったわけでございますけれども、私どもが昨日の審議会、一昨日の審議会での答申等も踏まえまして、本当に国民に畜産物あるいは酪農製品、こういったものを安定して供給しなければならぬ私たちの大きな務めがあるわけであります。そのためにはやはり酪農の方々あるいは畜産農家の方々に意欲と誇りを持っていただけなければ、これはやはり私ども確保することはできないわけでございますので、そういったことを考えながら、審議会また委員会で御指摘ありましたことをもとにいたしまして、ひとつ適正な価格というものを決定していきたいというふうに考えます。  なお、先ほど申し上げましたように、また価格だけではなかなかできない点もございます。いわゆる生産性の向上ですとか、あるいは流通の問題ですとか、こういった問題もあわせて十分な検討をし、もろもろの施策をとってまいりたいと考えております。
  104. 神田厚

    ○神田小委員 そういう前向きのお答えをいただきましたが、とにかく後は折衝に移されるわけでございますね。その中で、どうかひとつ私どものいわゆる農林水産委員会決議を尊重していただきまして、尊重するということは、すなわち価格の問題については、もっと価格を上げるということでございます。そういうふうなことをひとつ格段にお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  105. 山崎平八郎

    山崎委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会