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1977-05-12 第80回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十二日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 菅波  茂君    理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君    理事 美濃 政市君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    染谷  誠君       羽田野忠文君    平泉  渉君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       井上 普方君    小川 国彦君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      杉山 克己君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁次長   佐々木輝夫君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      久保庭信一君         文部省大学局技         術教育課長   瀧澤 博三君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         農林大臣官房審         議官      小島 和義君         水産庁漁政部長 森実 孝郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   角屋堅次郎君     井上 普方君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     角屋堅次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田欽二君。
  3. 森田欽二

    森田委員 昨日獣医師法の一部を改正する法律案につきましては委員会の審議を終了いたしたわけでございますし、さらに附帯決議等もつけられておりますので、本日さらにお尋ねをすること自体がいかがかと思うのですが、実はそのことにつきまして質問をいたすつもりでございましたが、時間の都合で割愛されましたので、皆さん方質疑応答を承っておった中で、なおかつお尋ねを申し上げておきたい問題がございますので、まずその問題からお尋ねを申し上げさせていただきたいと思います。  この獣医師法の一部改正につきましては、すでに昭和二十五年ごろから幾たびとなく改正の必要のあることが正式のあらゆる機関で取り上げられて、文部省の方にそのことが十分伝えられておったにもかかわらず、ようやく今回日の目を見るといったような経過をたどってまいっておるようでございますが、文部省自体、その内容にむずかしい問題を含んでおるといったようなことから、その必要性は非常に感じながら、なおかつ手がつけられないで今日までこられたというのが実情だろうと思うのです。それだけに、一応次善の策として、積み上げ方式によります六年制のもとで獣医師国家試験が行われるということになったわけなんですけれども、きのう御質問なさったすべての先生方からお話がございましたように、必ずしもこれで満足なものだとは言い得ない。そのことについては文部当局もお認めになっておるようですが、もちろん六年制、大学院の修士課程に入ります時限というのは昭和五十七年からでございますから、まだ十分間があるとは言いながら、その間に、それに備えて年次的な計画が当然なされながらそれに備えていく。さらに五十八年度に卒業すればそれでいいのだということでなしに、現在の時点獣医師としていろいろな面で備えなければならないものを備えられないで卒業しておって、不十分なまま実際の診療その他に当たっておるといったようなことであろうかと思うので、その間にさらにそうした面を配慮して、内容の充実なりあるいはいろいろな設備その他教育環境をよくしていくための措置がなされていかなくてはならぬ、こう考えるわけなんですが、そういった点について文部省の方でどうお考えになっておるのか承らせていただきたい。これがまず最初にお尋ね申し上げたい点であります。
  4. 瀧澤博三

    瀧澤説明員 お答えさせていただきます。  お話しのように、今回の改正に伴いまして学生数がふくれますのは、来年度の入学生学部を出ます五十七年度ということになるわけでございますが、その時点から修士課程学生が大幅にふえる、その時点でもちろん修士課程学生増に伴います十分な整備をしなければならないということでございますが、決してそれだけで考えているわけではございませんで、お話しのように、カリキュラムの改善というものは五十三年度からやっていかなければならないわけでございまして、必要な事柄というのは必要に応じてその間にも私どもも十分やってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、各大学実情、現在の整備状況というのは大変に異なっております。それからまた、昨日いろいろ局長からも申し上げましたように、その間にも将来の学部六年制を目指しまして、関係大学統合等の問題も進めてまいりたいというようなこともございまして、具体的には各大学実情に応じまして個別に必要な措置を必要な時期において行っていくというように考えております。必ずしも一律に十の国立関係大学年次計画的に同じ方式整備していくということにはならないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  5. 森田欽二

    森田委員 もちろん十六ございます学校、その中で、たしか国立が十、公立一つ私立が五つですかあるはずなんですから、これを画一的にやっていくということでないことは十分だれしも考えればわかることなんですが、少なくともそれぞれの学校でそういうことであるならば、現在の時点でどこの大学はどういった点でこれだけの設備をなお充実させていかなければならぬといったような問題を十分把握された上でそういったお答えが出ておるのだと思うので、具体的にそれをお示しいただきたいと思うのです。
  6. 瀧澤博三

    瀧澤説明員 具体的には、お話しのように、国立の十大学、それから公立の一大学私立の五大学、非常に事情が違うわけでございまして、私立につきましても、先般来関係大学方々と今後の整備計画等につきましてお話をしているわけでございまして、私学の方でもどのような整備を今後やっていくかということについて目下御検討中の段階でございます。そのお話に即しまして私どもとしても私学助成等について必要な措置は今後講じていきたいというように考えているわけでございます。  国立につきましても、今後その統合等の問題についてどのように推移をしていくかという問題がございまして、いまの段階で五十七年までの年次計画というものを確定するという段階にまだ至ってないという状況でございまして、今後もろもろ事柄の進展に応じまして間違いないように十分措置をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  7. 森田欽二

    森田委員 いまの段階でそれぞれの学校、それぞれ具体的な年次計画を立てるということは、御答弁のように、非常にむずかしい面があるんじゃないかということもこれまたわかります。  そこで、文部省の方では早急にそういった計画を立てられるような指導なり監督なりを十分おやりいただくおつもりであろうということを前提にして考えました場合に、そういったものには必ず財源が伴っていくわけなんですね。公立あるいは国立の場合はそれぞれの予算措置がなされていくからいいでありましょうが、私立学校等で、それらに対応するだけの十分な財源的な措置ができ得ないというような学校があるのかないのか。これまた調査をしてみなければわかりませんという答弁が出てくるのかもしれませんけれども、もしないとするならば、そういったものに対してどうなさるおつもりなのか、その点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  8. 瀧澤博三

    瀧澤説明員 私立関係の五大学とは、今回の方向を決めますに当たりまして何回となく御相談をしてきたわけでございますが、今回の改正に伴いまして修士課程学生を相当ふやさなければならぬ、それに伴って必要な措置ができるかどうかという見通しにつきましては、関係大学と御相談もいたしまして、一応の見通しを持っていると申しますか、各大学見通しが立てられるということでございまして、具体的な計画等につきましては各大学で現在なお御検討中ということでございます。  文部省の方の対応措置といたしましては、現在私学助成につきましてかなり前進を見ているわけでございまして、教官の増あるいは学生の増に伴いまして、それぞれ一定の単価で経常的な補助が行われる仕組みになっております。それから施設につきましても、私学振興財団を通ずる助成その他もろもろ措置が用意されているわけでございますが、こういう制度改正に伴う特別なケースでもございますし、特別助成というような方法等もございますので、今後各大学の御計画に応じまして、関係部局十分相談をしながら間違いのないように対処してまいりたいと考えております。
  9. 森田欽二

    森田委員 いまの御答弁で、各学校とも充実していくだけの一応の計画、目当てはあるというようなことのようでございます。なお、ない場合は、それぞれの助成をするという道もあるので、そういったことも考えて万全の措置を講じていくということでございますので、了解をいたしたいと思いますが、そうした計画がおよそいつごろ立てられるのか、いまの時点で日にちを切るということはむずかしいと思いますので、計画ができ次第ひとつその計画を御提出願いたい。いまから御要請を申し上げておきたいと思います。  なお、これは文部省関係と同時に畜産局長にもお尋ねを申し上げたいのですが、きのうの大学局長ですかの答弁の中で、いわゆる入学の実員については現状を変えない、九百三十名だという答弁があったわけなんですが、そのことについては農林省も同意見だということでございます。  そこでお尋ねを申し上げたいのですが、九百三十名の入学者、それで将来、非常に間口の広くなった獣医師職域、あるいは非常に深く、専門的にやっていかなければならぬ獣医師仕事というものについて——現在の情勢の中でわれわれが考えると、当然獣医師が欲しいというところに必ずしも獣医師の配置ができていない、これが現状だと思うのです。そういうような状況の中で、現在の定員は変えないんだということを畜産局の方でも了解をされておるということが繰り返し答弁の中で出てきたと私は感じておるのですが、そういった点についてどういうふうにお考えになっているのか、われわれが養成したいと考えているだけの獣医師が十分得られるのかどうか、得られるからそういったような答弁大学局長から出たんだろうと思うのですが、その点をひとつ確かめておきたい。
  10. 大場敏彦

    大場政府委員 現在獣医師の総数として約二万二千名ばかりいるわけでありますが、これが不足であるかあるいはやや過剰であるかという議論は、これはにわかには断定できないと思います。ただ、昨日の議論でありましたように農村獣医師不足している。ことに山村地域において不足している。一面、都市においてペット獣医師が過密なような現象を呈している。そういった点で内部配分と申しますか、地域的な偏りというものはかなりある。こういったことを認識して、それについての是正は今後努力する必要があると思います。いまの御質問は今後の獣医師需給の問題と絡むことだろうと思うのでありますが、私どもは六十年の農業生産並びに需要長期見通しを持っておるわけでありますけれども、その中での畜産部門に即しましていろいろ獣医師需給見通しを立てております。総体といたしましては現在の二万二千名程度とそう変化はないであろう、かように見ているわけであります。もちろん内部においてのいろいろの職域変化とかそういったことの増減は考えなければならぬ点はありますけれども総体としてはそのように見ております。そういう意味におきまして現在の九百数十名程度というようなものが大体一つ基準になり得る、こう見ております。もちろんこれは見通しでありますから、今後の情勢に応じて修正とか手直しということは当然必要であるという局面もあろうかと思いますが、現在としてはそういう判断をして差し支えないと思っております。
  11. 森田欽二

    森田委員 文部省の方からもいまの点についてお答えをいただきたいと思ったのですが、いまの局長答弁を聞いておりますと、恐らく畜産局の方と十分お打ち合わせをなさってそういった結論が出ているのだろう。といいますのは、獣医学教育改善に関する調査研究会議の主査の越智という方から文部省大学局長あてに出されております答申案みたいなものがございますね。その中に「獣医学関係学科学生数の全体的規模については、関係省庁における獣医師需給についての検討結果をまって、改めて検討する」、こういうことが書かれておるのですね。こういう立場に立って農林省文部省打ち合わせをされて、将来の見通しも踏まえてなお九百三十名で大丈夫だというふうにお考えになっているんだと受けとめていいですね。
  12. 大場敏彦

    大場政府委員 この問題につきましては、農林省内部におきまして獣医師問題の検討会議というものを学識経験者方々に集まっていただきまして設定して検討したわけであります。その最終的な結論というものは出てはおりませんけれども産業獣医師については、六十年の長期見通しでは牛が何頭になり、それから豚、鶏の中小家畜が何頭、何羽になる、こういった頭羽数をはじきまして、それに応じまして、獣医師が大体どのくらいの家畜単位を持てば過重ではないだろうというような見通しを立てたり、あるいは直接診療に従事しないような、たとえば公務員等で勤務している獣医師については大体現状程度でいくのじゃなかろうかとか、その他いろいろ職域別見通しの作業をしつつあります。そういったことに基づきまして大体現在程度需給規模になるのじゃないだろうかという判断をして、文部省の方に私ども考えを申し上げたという経緯があるわけであります。
  13. 森田欽二

    森田委員 両者で十分話し合って検討された結果であるということと、なお需要があるということになれば変更もできる、こういうようなことですから、その問題についてはこれ以上お尋ねはいたしませんが、ただ、この際局長に強くお願いを申し上げておきたいと思いますのは、特に私どものように酪農関係仕事をいたしております者は、産業動物に対します診療に従事してくれる獣医師が得られないというのが現状なんですよ。さらに今回六年制で国家試験が行われるということになりますと、当然待遇改善というのがこれに伴って行われてこなければならないと思うのです。特にいま国なり県なりその他いわゆる公務員あるいは商社、そういったところへ流れていく人が非常に多い。本当に獣医師を開業してあるいは畜産団体等に就職をして仕事をしようという人がわりあいに少ない、これは比率でも出ておるようですが、そういったような状況の中で特に畜産振興の上から考えていただかなければなりませんことは、そういう産業動物に対する診療に携わるような獣医師をいかにしてつくり出していただくか、送り込んでいただくか、こういうことだろうと思うのです。いまの農業高等学校が、実際に農業をやる者が農業高等学校に行くのでなしに、どこかに勤める、そういったような形の中で農業高校教育が行われている。その他の農業関係学校にしても同じような傾向があるのですが、それと同じような状態でこの獣医師の問題がやはり現実の問題として感じとられざるを得ないような状態にある。そういった点について十分農林省の方で考えていただいておるかどうか、また将来ともに考えていただくことができるかどうか、これは一つ待遇の問題につながってくると思うのです。どうしても公務員と同じような待遇ができないとかあるいは勤務の条件が机の上で仕事をすることと違って実際診療をやるということになりますと、場合によってはそれこそどろまみれ、血まみれになって治療しなければならない、あるいは広い地域でその仕事をやるためには時間から時間までというわけにはいかない、そういったような面を一体どういうふうにとらえておられるのか。特にそうした人たち待遇基準になりますのが農業共済診療報酬、いわゆる点数単価等だろうと思う。ところが、三年に一回の改定しか行われないという現状が、果たしていま言うような実態を解消していくにふさわしい形であるかどうか、そこらあたりを十分考えていただかなければ、幾ら計算の上で九百三十人で二万なり二万三千で大丈夫だとお考えになっても、実際必要なところに獣医師がいないという形の解消にはつながっていかぬと私は思う。だから、そこらあたりをどういうふうにお考えになるのか、また将来それに対してどういった対応考えられるのか。たとえば国の方で現在いろいろ無獣医地区に対する定着化モデル事業などがありますね。話を聞いてみますと、五十年から始まって二、三カ所、しかもそれもそのままずっと、その制度がより生かされて役立っておるということでもないようです。こういったような状態なり、あるいは全畜連ですか、地方競馬全国協会でも何かそういったような措置がなされておるようですが、これにしてもしかりなんです。やはりどうしても待遇の問題、人件費の問題、そういった問題が絡んできていると思う。だから、それに対する対策なくしてこの問題は解消しないという気が私はいたしますので、それに対する考え方なり将来に対する何か考えがあればひとつお答えをお願いいたしたいと思う。
  14. 大場敏彦

    大場政府委員 いまおっしゃられました問題点は、結局産業獣医師不足対策をどうするのかということに尽きるのじゃないかと判断しているわけであります。いろいろ獣医師職域は非常に広いわけでありますが、その中でも産業獣医師というものが基本だと私どもは思っております。しかし、現実には農村ないし山村地域では非常に数が少なくなっている、また高齢化している、こういった残念な現象が出てきているわけでありまして、それに対する対策をもっと充実強化する必要があると私どもは思っておるわけであります。その一つとして、やはりいま先生も御指摘になりましたけれども、そういった産業獣医師を必要とするような地域に対して定着化を誘導する対策がどうしても必要じゃないかというふうに思うわけでありまして、どうしても過疎になっている理由としては、やはり家畜頭羽数が少ないし、そのために診療報酬が少ない、所得が少ないあるいは社会生活がいろいろ不便であって子弟の教育にも事欠くというようなことがあるわけですから、地元受け入れ体制というものを整える必要があるだろう、こういう観点から、いま先生が御指摘になりましたように、住居とかあるいは診療施設診療所の建物、そういったものを助成する無獣医地区解消モデル事業というものも五十年度から始めまして、数はそれぞれ五十一年度四カ所、五十二年度六カ所というぐあいで、五十二年度予算で申し上げますと約三千六百万円であります。そういったぐあいに逐次増強はしているつもりであります。  それからもう一つ、きのうの委員会でもお答えいたしましたが、各地方公共団体あるいは市町村農協等で実施しておりますいわゆる奨学金制度ですが、卒業後自分の地元で勤めれば奨学金の償還を免除する、そういった制度をとられているところもあります。そういったことにつきましては、具体的に市町村公共団体相談して私どももできるだけの援助ができないか、そういったことの腹案をいま温めておりますから、つくりました上で財政当局相談してできるだけ実施に移したいと思っております。  それから、所得とかの問題につきましては、いま御説明ありましたが、やはり共済組合獣医師所得改善ということとあるいは開業獣医師が密接にからむわけでありますから、いまの共済組合診療点数技術料部分改善、それから雇い上げ獣医師がいろいろ各種団体におります。そういった雇い上げ獣医師の雇い上げ手当改善、これは毎年やっております。技術料部門改善問題は、これは掛金の問題とからむわけでありますから、掛金改定の期間である三年に一遍というぐあいにやっておりますが、五十年度におきましては、経済局の所管ではありますが、七五%の引き上げをしておるということで、いろいろ改善努力はしておるつもりでありますけれども、これは関係局と協力いたしまして、私ども原局といたしましては今後も努力をしていきたいと思っております。
  15. 森田欽二

    森田委員 私のところで局長に十分お考えいただきたいと思いますことは、いまの問題に関連しでですが、昔、獣医手というのですか、昭和十五年ごろ何か臨時の措置を講ぜられたことがあるそうですね。これは六年制になればますます畜産団体等にはむずかしくなってくるのじゃないか、そういうような制度でも設けてもらうことにでもしなければ困るのじゃないかというようなことすら言っておったのですね。これは全く時代逆行な話だと思うのですよ。ところが、それほど獣医師を採用して何とか養成しようとしてもなかなかいい人が集まってこない、こういうような状況にあるのです。ですから、ひとつ十分定員問題等、これは不必要なものの養成をする必要はないと思いますけれども十分お考えいただくということと、特に処遇の問題については格別な御配慮を今後ひとつ御検討願いたい、かように考えまして、いまの獣医師法の一部改正についての問題は終わらせていただきます。  次に、第二点としてお尋ね申し上げたいのは、LL牛乳ロングライフミルクですか、この問題について、まあ結論から申しますと生産者乳業者との間にいろいろトラブルが起きてどうしても問題が解決をしない、こういったようなことから農林省の方にあっせんをお願いして一応そのあっせん案が出されてきておる。そのあっせん案上いうものを一応了解をした、のんだといったような話を聞くのですが、一体具体的にどういうことなのか、その点をまずお尋ね申し上げたいと思います。
  16. 大場敏彦

    大場政府委員 ロングライフミルクそのもの自体の数量は月間で七百トン程度で、現在の飲用牛乳の〇・二ないしは〇・三%ということでありますから、数量的にはそう多くはない現状であります。しかし、非常に世間的に喧伝されまして、生産者方々にもいろいろな不安感が出てきた、こういった経過がございましたので、私どもはこのロングライフミルク、それぞれメリット、デメリットはあるわけでありますが、それを一方的にルールなしにやることについてはいろいろな問題があるだろうということで、生産者、メーカーの間で冷静な判断が必要であろう。やるにしてもコンセンサスを得たルールづくりが必要であろう、こういう形でテーブルを用意するからテーブルに座ってくださいということで昨年来協議を願って、農林省も積極的にお手伝いしていた、こういう経緯があります。  そこで、いま御指摘になりましたように、これは自主的に当事者の間でお決め願うような事柄でありますが、両方から農林省の方から何らかの腹案的なもの、非公式の案でもいいから出してもらいたい、こういう御要望が強うございましたので、私どもは一種のガイドラインというような形でお出しした経緯がございます。いまそれに基づきまして御相談を願っている、こういう過程であります。  おおよその趣旨といたしましては、飲用牛乳の供給の基本にかかわる問題でありますが、これは普通牛乳、いわゆるフレッシュミルクというもので供給するのが基本であるということはあくまで崩さないということが第一点であります。  それからもう一つ生産者が特に心配しておられる点でありますが、ロングライフミルクの要冷蔵要件、乳等省令に基づきまして、現在一般牛乳は摂氏十度以下の冷蔵要件があるわけでございますが、それを撤廃するのではないだろうか、こういう御懸念があるわけでありますが、これにつきましては慎重に対処する必要がある。これは単に食品衛生上の観点だけでなしに、いろいろな社会的な現象を取り扱いいかんによっては起こしかねない問題がありますから、慎重な取り扱いをする必要があるのではないか。そういう対処の仕方をする必要があるということ。  それからもう一つは、これも生産者方々の方が御心配をなさっておることでありますが、ロングライフミルクがうんと一般的に流通しますと、国内だけの問題ではなくて、たとえばオーストラリアとかあるいはニュージーランドとかそういったところからどんどん大量に牛乳そのものが輸入されてしまうのではないか。そういうことになりますと、日本の酪農に甚大なる影響を与えるおそれがある、そういうことについてはどうなのだろうか、輸入はしないのだろうな、こういう御懸念があったわけでございます。その点についてはやはりロングライフミルクの輸入はしないのだ、こういう前提で物事を解したらどうか、あといろいろ具体的な進め方についてはいろいろ御相談願ったらどうか、こういうような考え方でわが方の考え方をお示ししたという経緯がございます。
  17. 森田欽二

    森田委員 ただいまの三点の中で、農林省だけでなしに厚生省の関連のございます問題があるわけなんですね。たとえば冷蔵庫の問題、もちろんこういうような問題については厚生省の方と十分お打ち合わせをなさっておやりいただいておるのだろうと思う。ですから、厚生省の方で、自分たちの所管だからといったことで農林省のいま畜産局長答弁なさったようなことと相反するようなことを今後勝手におやりになるようなことはまさかないだろうと思うのですが、その点について、あるのかないのか、ないならないとはっきりここで答弁しておいていただきたい。
  18. 岡部祥治

    ○岡部説明員 お答えいたします。  食品衛生上の問題は何事にいたしましても、たとえば添加物一つをとりましても食品の生産あるいは流通を所管する農林省の意見を十分調整いたしましてこれを施行しておるところでございます。特に牛乳問題につきましては、酪農行政との関連もきわめて深いものでございます。さらにいわゆるLL牛乳というものにつきましては、特に生産者に及ぼす影響もきわめて大きいものでございまして、今後とも十分農林省とも連絡を密にいたしまして、これに対処いたしていく所存でございまして、十分連絡をとっておるつもりでございます。
  19. 森田欽二

    森田委員 さらに輸入の問題ですが、御承知のようにいま酪農民などが非常に問題にしておりますのはココアのような偽装乳製品ですか、ああいうような形で輸入いたしてきますね。だからそれが生乳の問題とぶつかり合って非常に問題を起こしておる。しかもそれはますます輸入の量がふえておる。そういったようなこともあるので、非常に心配をしている面もあるわけなんです。これは恐らくこういうものの輸入というのは、畜産振興事業団で一括して輸入をするというようなことだろうと思うのですが、そこらあたりの問題について懸念をしている向きもあるのですが、そういう輸入の問題について、偽装乳製品みたいな形で入り込んでくるというようなことはあり得ないのでしょうね。もちろんこれはLL牛乳であっても、フレッシュではないにしても、全く生乳と同じようなかっこうだけはしていますので、心配している向きのある点ですが、そこらあたりどうなんですか。
  20. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいまの御危惧の点につきましては、このLL牛乳というのはまさに割り当て物資でございますから、私どもの方といたしましては割り当てはいたしません。
  21. 森田欽二

    森田委員 私は農林省の指導のあり方というものに一貫性を欠いている面があるのじゃないだろうかというような気がするのです。一方では酪農振興畜産振興というようなことで酪農の振興を農民に呼びかけながら、一方ではせっかく生産された牛乳が非常に混乱を起こさざるを得ないような、このLL牛乳問題にいたしましても国の方で助成を出されて工場を設置しているようなところもあるのじゃないですか。そういうようなところが何カ所か、たしか一カ所か二カ所かあると私は聞いているのですが、そこらあたりが私は非常に気に食わないと言えば気に食わないし、けしからぬと言えばけしからぬと思うのです。だから同じ酪農の振興なら振興にしても、一貫性がない。一方では非常に振興をさせながら、一方ではそれをぶちこわすようなことをやられている。もしこのLL牛乳が出回って全国にばらまかれるというようなことになった場合に、一体酪農民がどうなるか、そういったようなことについて考えられていなかったということではなかろうと思うのです。恐らくそういったことを専門にやられている方々助成金を出されているのだから、商売人が勝手にやったのなら話がわかるのだけれども、むしろ乳業者がやることすら指導してもらわなければならぬ農林省の立場でそういった混乱を引き起こすであろうということが想像できるようなものを、あえて助成金まで出してつくらせるといったような一貫性を欠いた面があるのじゃないか。これはこれだけでなしに——ほかは言いませんけれども、以前にもそういう混乱させるようなことがあった。(私語する者あり)
  22. 金子岩三

    金子委員長 静粛に願います。
  23. 森田欽二

    森田委員 だから、そういった点についてどう考えられているのか、どうも私自身は納得がいきかねるので、今後そういったようなことのないようにお願いをいたす意味でひとつお尋ねを申し上げておきたいと思う。
  24. 大場敏彦

    大場政府委員 LL牛乳の製造設備につきましては、一部農林漁業金融公庫の融資でお世話したという経緯はございます。私どもLL牛乳についての考え方でありますが、これはすべて悪だ、あってはならないものだという認識はしておりません。先ほどの御答弁で申しましたように、メリットもあるわけです。それはたとえば離島だとかあるいは遠洋航海の船舶用だとか、あるいはレジャー地域といったようなところ、そういったところに対しての新規需要の開拓というメリットがあるわけです。それから季節的あるいは広域にわたる地域間の牛乳の輸送手段として有効に使えば広域的な需給調整ということにも使い得るというメリットはあるわけです。しかしまた同時に、いま先生がおっしゃったようにまかり間違えば生産者同士の争いにもなる、いわゆる南北戦争みたいな争いが出てこないとも限らない。それから、小売業者の経営圧迫要因にもなりかねないし、乳業者で言えば中小の乳業者がどうもメリットの恩典に浴しにくいといったような問題があるわけです。そういうデメリットもあるわけですから、その辺のところをルールづけながらこの問題は処理していったらいいという判断でいるわけです。  そういう意味で、いいところはいいところなりに生かしながらこの問題を処理していくということでありますから、農林漁業金融公庫で融資をしたということと、ちょっとお言葉を返すようで恐縮でございますけれども、私ども考え方はそう矛盾したものと認識していないわけでございます。
  25. 森田欽二

    森田委員 よくわかるのです、いまの答弁に関する限りは。ただ、生産者が騒ぎ出したからいまのような答弁が出てくるのだと思うのですよ。生産者が騒がなかったならば恐らくほったらかされておっただろうと思う。もちろんほったらかされておって黙っておる問題じゃないですがね。だから少なくとも、それがどこのあれで融資されようと国の資金に関連のあるようなところから出されていくことが農林省にかかわり合いのない問題なんだということで取り扱われたんじゃ困る。その点はひとつ十分お考えおきをいただきたいと思うのです。私もメリットのあることはわかります。離島対策だとかあるいは船の問題だとかいろいろわかるのです。しかしおのずからそれには限度があると思う。限度があるからいわゆる生産者乳業者との間で農林省がいろいろと御配慮になってどうにかその問題がおさまってきつつあるのだと思いますので、その協議会をただ単なる名前だけでなしに、一時的なものでなしに、十分御指導いただいて、その指導のもとにこれらの問題が処理されていくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  以上でこの問題につきましては質問を終わらせていただきます。  次に、やはり畜産に関係のある問題なんですが、いつも国有林野の問題が出てくるのですね。今度の畜産物の価格の決定の際にもこの委員会でも国有林野を活用するといったようなことが要望として出てきておる。またいろいろな場合に国有林野云々ということが便法として使われてきておる。そこでいままでに国有林野でどの程度こういったものに開放されたのか、それから今後どの程度こういったものに開放し得る場所があるのか。できれば総面積なりその地区ごとの、まあ各県別ということはむずかしいでしょうが、せめて営林局ごとくらいにどの程度そういったようなものがあるのか。そういったことは当然、同じ農林省内の林野庁と畜産局だから共同で検討されて、これだけのものがあります、これだけのものはまだ開放できます、どこにどんなものがありますというくらいのことは、あれだけ国有林野の開放ということが言われているんだからあるはずだと思うのです。それをひとつ御説明願いたいと思う。と申しますのは、たとえば福岡県の場合を考えてみましても、どうにか酪農がいまやれておるのは多頭化して合理化することができたからどうにかやれておるのであって、これができなかったならば恐らく採算が合わなくて酪農をやる農民はいなくなっているだろうと思うのです。ところがそれがすでに公害の問題あるいは土地の問題、そういったようなものでいままでやっておった場所を追い出されつつある。これはすでにずっと前からそういう傾向が出ておって、なお人口が都市に稠密化してくるとその周辺に家が建ってどうにもやれなくなってくる。こういったような傾向が、福岡に限らず全国的にあるのじゃないかと思う。だとするならば、国有林野の活用ということをあれほど言われるならば、どういったところにどの程度のものがあるというくらいのことはおわかりになっていなければならぬし、両者で十分検討がされておらなければならぬと思うので、ひとつ具体的ないままでの資料と、将来これだけのものがそういうものに開放できるんだという具体的なものをひとつお示し願いたい。
  26. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 初めに、先生質問の過去におきます活用の状況について御説明しておきたいと思います。  国有林野の活用につきましては、法律ができましたのは昭和四十六年でございますけれども、それ以前から活用制度というものがございまして、昭和三十八年から昭和五十年の間に農業構造改善関連で約三万六千ヘクタールを活用いたしております。そのほか林業構造改善関連で約二万五千ヘクタールという面積を活用いたしておりまして、国有林の活用につきましては、地元産業の振興あるいは地元の福祉という意味から、法に照らしまして国有林の管理、経営の事業の的確な運営と調整をしながら、従来から積極的に対応してきておる次第でございます。  それから二番目の御質問の、それでは国有林に一体どれくらいそういう活用できる面積があるかという問題でございますけれども先生十分御存じのように、あの法律に基づきまして活用するための適地の選定基準というものを公表することになっております。この公表基準の中には、たとえば温度だとか地形だとか傾斜だとかいろいろ基準を決めておりますけれども、そういう基準に照らしまして、従来におきましては具体的に出てまいりました問題についてそれぞれ個々に検討いたしております。先生が御指摘のように、それでは国有林の中にどのくらいあるかということになりますと、これは国有林の経営の問題とそれから国有林を活用したいと御要望される地元方々の御要望との関連、この辺が非常にむずかしい問題でございまして、従来においては国有林の側からどのくらいあるかというような数字は出しておりません。
  27. 森田欽二

    森田委員 私は森林土木なり種苗連の関係もいたしておりますので、林野庁の関係の方が国有林なりそういったものをいかに大事にされているか、そういったことも百も承知しているのです。ところが、いつも何かそういった国有林野で行き詰まっている畜産振興の活路が見出されるんだと言わんばかりのことが取りざたされながら、一向いまおっしゃるように積極的な取り組みはない。これは当然畜産局の方から林野庁の方にそういったような適当な場所がどこにあるのかくらいお問い合わせになったことがあるか、あるいは共同で調査でもしてくれというような積極的な取り組みをなさったことがあるのか。これは林野の方はなるたけないようにないようにとかぶせるだろうと思うんですよ、長官おられるけれども、率直に言って。であるから、一般酪農民がそういうものがどこにあるだろうかなんて探そうといったって、探すこと自体もむずかしいし、また仮にそういうものがあったとしたって、その地区の営林署に行けば、そういったことを局に持っていくと怒られるからできるだけそういうことはそこでつぶしてしまおうというのが、やはり山を愛する人の立場からすればやむを得ないかもしれないけれども現実の姿だと思うのです。ですから、いつまでもそういった余り可能性もないようなものにいろいろ大きな活路でもあるような印象を与えておられる、あるいは与えておくということは私どもにとっても困る。それはお役所にとっても困られるだろうが、ぼくらにとっても非常に困る。だから、ぜひこの際営林局の方で、これは山のことですからどうしても主体性を持っていただく以外にないと思うのですが、そういったようなものについてある程度具体的に検討していただいて——いま本当に困っているのです。せっかく多頭化して頭数はふやしたけれども、もうそこでどうにもならなくなっている。どうしたらいいかというような問題を非常に多く持ち込まれてくるのです。ですから、そういった問題を何とか畜産振興また今後の食糧の問題のために本気で畜産局でお考えになるとするならば、そういった問題を林野庁とともに、同じ農林省の中ですから、なおさらやりやすくあらなければならぬ問題だと思うので、そういうことをこごで約束をしていただくとまた後に問題が残るかもしれませんからそこまでは言いませんが、そういったことでもやろうというお気持ちがあるかどうか、お気持ちだけでも聞いておきたいと思います。
  28. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いま先生指摘いろいろございましたけれども、林野庁の方でも、従前からいろいろ下部におきまして先生が御指摘になりましたような問題があったことを十分聞いております。したがいまして、昭和五十二年度に、それぞれの国有林内において地元がどういう御要望があるかその調査をやることにいたしております。そういうことによりまして、地元の今後の産業開発の開発調査ということをやりまして、その結果に基づきまして関係方面と十分打ち合わせをしていこうという姿勢でおります。  さらに、先生十分御存じだと思いますけれども、やはり国有林の立場といたしますと、ただいま木材の自給率は三五%でございます。したがいまして、この辺も考えなければいけない。しかし、日本の国は三千七百万ヘクタールしかございません。さらに森林は二千五百万ヘクタールしかございませんし、これをいかに有効に協調してやっていくかという姿勢の中で、今後畜産その他農業関係とも十分協調をとりながらやっていこうという姿勢に立っております。
  29. 森田欽二

    森田委員 いまの林野庁の御答弁よくわかるのですよ。ですから、なおさらはっきりする必要があるのじゃないかと思うのです。林野庁は林野庁の立場でいまおっしゃるように森林資源の問題がある。ところが、そういったような問題を抜きにして、ただ空論だけがなされておるから大きな期待がかけられる。だから、林野庁は一つも国有林を外そうとせぬじゃないかという言葉も出てくる。何か林野庁が悪者のような立場に立たざるを得ない。そういったことであってはならないし、また農林省自体でも、畜産局自体でも、そういうものが多くあるような期待を持つ、あるいは農民に持たせるということがあれば、これまた困るわけなんですから、そういった点について五十二年度に調査をされるということですから、できれば営林局も農政局も、たいがい同じところにあるのですから、十分連絡をとっていただいて、すきっとしたものを出していただきたい、このことを強くお願いしておきたいと思います。  あと余り時間がございませんので、最後に米価審議会の問題についてお尋ねを申し上げたいのです。  これは委員の構成の問題なんですが、生産者の立場からすれば、自分たちのつくったものを自分たちの手で勝手に値段が決められないという不満が非常にある。しかし、これは食糧管理法のもとで米の取引が行われるといった状態の中ではやむを得ないことだろうと思うのです。しかし、少なくとも生産者が納得するような米価審議会のあり方でなければならないという気がするのです。だから、そこらあたりを、実際の農業団体あるいは米をつくっております農民は、せめて中立の委員あるいは消費者の代表、生産者の代表、三分の一ずつぐらいにはしてほしい、こういうような要請が強くあるようです。だから、その比率が一体いまどうなっておるのか、またいま言うような生産者の代表をもっと加える、ふやしてやるというような考え方があるのかどうか、その点お尋ねをいたしたいと思います。
  30. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  米価審議会の委員の構成でございますが、御案内のとおり、米価審議会は、米価その他の主要食糧に関する基本事項について調査審議するということで二十六年からまいっておるわけでございます。現在の構成は、長い米価審議会の運営の経緯を経まして、四十年の初めから現在のような構成に相なっておるということでございます。米価そのものは、先生の御指摘もございまして、生産者なり消費者に非常に大きな意味を持っておるということは事実でございますが、物価なり財政、経済、そういう意味で国民経済全般にもわたっておるということから、お願いいたします委員方々につきましては、米について申しますれば、その生産、流通、消費というものについて専門的な知識を有する方々だけではなくて、広く全体の経済、財政その他を踏まえて適切な価格の決定について御判断をしていただくという方々をお願いしておるというのがたてまえでございます。そういう意味で、お願いする場合は常に学識経験者ということでお願いしております。  ただ、先生お話しのように、特に生産者の事情に詳しい人はどうだとか消費者サイドについて特にその方面の専門的な知識を有する方々はどうだと申しますれば、現在の委員の二十五名のうちで生産者のサイドからの専門的な御意見をいただく方が四名と消費者のサイドの方々から御意見をいただく方が四名というふうに相なっておるわけでございまして、現在そういうことでおります。  またもう一つ、ややよけいなことでございますが、運営自体は、そういうふうにして全体的な立場から御判断をいただくということで、通常の審議会、委員会等では御意見を出していただく際には多数決ということでやっておりますが、米価審議会については多数決というふうな議事運営をいたしておりません。それぞれの御意見を集約して意見を出していただくということに相なっておりますが、先生最後にお話しございましたように、委員の構成について、なお生産者なり消費者それぞれのお立場から御意見等もあることはわれわれも承知しておりますし、昨年来しばしば当委員会においても承っておりますので、従来の経緯とそれらの御意見というようなものを踏まえまして、なお現在の委員の任期もございますので、研究をしてまいりたいというふうに思っております。
  31. 森田欽二

    森田委員 時間がありませんので、いまの問題ですが、多数決で決めないということであれば、なおさらそういった要望は入れやすいんじゃないか。自分でつくったものを自分たちで決められないという農民の気持ち、それは入れられたから、じゃ要望は通るということでもないかもしれませんよ。しかし、そういったことによって幾らかでも農民の不満が解消されていくとするならばお考えいただいて結構なんじゃないだろうかという気がするのです。だから、そこらあたりの、米価審議会にしても畜産振興審議会の畜産物の価格の決定にしても毎年毎年同じことが繰り返されてきている。ああいうようなことでいいのかどうかということをここらあたりで本当に考え直してみる必要があるんじゃないかと思うのです。私は、ふだん生産者農林省との間にもっと十分な話し合い、意思の疎通というものが交わされてきておるとするならばああいったことにはならないんじゃないか、こういうような気もします。これは両方がそれぞれの立場で、どうせどこらかで線を引かなければならぬというような駆け引きみたいなことで出されてきているわけじゃないでしょう。それは、それぞれの立場で理屈をつけてお出しになっているが、その要素の中の理屈のつけ方が、それぞれの立場で自分の都合のいいようにつけられているという面もあると思うのです。ですから、両方でもう少しふだん十分問題になるような点をひざ突き合わせて話し合いをしながら、何とか少しでも不満がやわらげられるような努力をしていくといったようなことなども、もっと考えられていいんじゃないだろうか、もちろんやられているんだろうとは思いますよ、思いますけれども、何となしにそういった不満が、そうしていつも何か議員団が中に入ってどうだこうだということで、最後には一生懸命やった者が悪者になってどうもおもしろくない、農民自体にも不愉快な気持ちを残させてきている、こういうのが現実の姿なんです。だから、何とかそこらあたりをもう少し農林省の方でお考えいただいて、いまのような状態のままで毎年毎年問題が繰り返されるということでなしに、もう少し農民の、あるいはもちろん消費者も大事でしょう、それは物価の問題も関連しますからわかりますので、そういったことも含めて、特に生産者側等についてのそういった要望も踏まえてひとつお考えいただきたい。  時間がありませんので、いろいろこの問題でも申し上げたいと思うことはありますけれども、これで終わらせていただきます。いまの点、よろしく御検討をお願い申し上げておきたいと思います。
  32. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 米価決定について、生産者団体と政府側との相互交流に基づいた共通の土台から米価を決めていくことが最も望ましいことは当然でございますが、従来の経緯からそこまでなかなかたどりつけないということで残念に思うわけでございます。それは困難な問題でございますけれども、格段の努力を積み上げていくというふうに考えているわけでございます。
  33. 森田欽二

    森田委員 それでは終わります。
  34. 金子岩三

    金子委員長 井上普方君。
  35. 井上普方

    井上(普)委員 貴重な時間を拝借して質問する機会を与えていただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。  食糧庁長官にお伺いしたいのですが、古々米の処理はどうなっているのですか。どういうような方法で処理をされているのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  36. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 大体米穀年度におきましては、たとえばただいま進行しております五十二米穀年度をとりますと、五十一年産米を充当する。これは新米でございます。それから五十年産米、古米、これを充当するということで、主食用といたしましてはこれらを充当するのがたてまえでございます。  それで、先生指摘の古々米でございますが、これは過去に、四十二年から四十三年の間千四百万トン以上の生産があり、需要が減退して七百三十万トンの過剰在庫を生じた。その際は、これは緊急避難として飼料用なり工業原材料用、あるいは当時米不足に悩む東南アジアの開発途上国に対する輸出ということで処理したということでございます。
  37. 井上普方

    井上(普)委員 それじゃ現在の古々米はどういうような処理をされておるのか、あるいはその価格はどうしていらっしゃるのか、ひとつお伺いしたい。
  38. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 五十二米穀年度について端的に申し上げますと、五十一年産の新米と五十年産米の古米というもので処理しておりまして、二度梅雨を越したもので主食に充当できなくなったということで古々米ということで、これをどうするかという問題ができるわけでございますので、現在におきましては、特に古々米についての特別な処理はしておらないわけでございます。
  39. 井上普方

    井上(普)委員 それじゃ現在、菓子用であるとかみそ用であるとかいう米はどうやっているのですか。
  40. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 これは先ほども申し上げましたように、五十二米穀年度におきましては主食用並びに原材料用、先生お話しのみそ、菓子、その他については五十一年産米と五十年産米をそれぞれ充当しているということでございます。
  41. 井上普方

    井上(普)委員 それらに渡しておる価格はトン当たり一体どのくらいですか。
  42. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 これは工業用原材料米については御案内と思いますが、主食用へ流れることを抑えるために破砕精米という形で売っておりますけれども、トン当たりラウンドで十八万円ということでございまして、これは配給米の中で集団給食用等の徳用上米の価格にほぼ近い水準であるということでございます。
  43. 井上普方

    井上(普)委員 その破砕米の十八万円というのは工場渡しの価格ですか。これは精米業者に渡し、精米業者からみそ用に渡しているのじゃないですか。
  44. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 これは政府が実需者に売り渡している価格でございます。
  45. 井上普方

    井上(普)委員 実需者に対して本当に渡しているのですか。
  46. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 破砕精米を実需者に対して売っておるわけでございます。
  47. 井上普方

    井上(普)委員 破砕精米を渡す価格がトン当たり十八万円ですか。
  48. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  49. 井上普方

    井上(普)委員 正確におっしゃっていただきたい。十八万幾らでございますか。
  50. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 十八万三百円ということに相なっております。
  51. 井上普方

    井上(普)委員 この工業用破砕米について私は大きな疑問を持つのです。現在特に菓子やみそ用について十八万円で五十二年には渡そうとされておることは私も存じております。しかし、これは精米業者に渡しているのでしょう。それで、あなた方食糧庁としてはその際には米ぬかが出るだろうあるいは粉米も出るだろうといって精米業者から金を召し上げていますな。幾ら召し上げているのですか。
  52. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 申しわけございませんが、数字自体は後刻資料で差し上げることでお許し願いたいと思いますが、要するに加工賃は先生指摘のぬか等の副産物収入とを相殺した結果で、先ほど申し上げました十八万三百円ということで売っておる次第でございます。
  53. 井上普方

    井上(普)委員 食糧庁長官、それは違いますよ。あなた方が一たん十八万円で渡して、それから精米業者から取っているのじゃないですか。そこのところはあなたは手順が違いますよ。
  54. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 破砕精米につきましては、破砕精米工場へ玄米を渡し、破砕精米としてお話しのみそその他の業者に渡します。その場合に破砕精米業者の加工費はぬか等が出るその副産物収入を両方勘案いたしまして実需者に十八万三百円ということになっておるわけでございます。
  55. 井上普方

    井上(普)委員 私が調べたのとは大分違う。あなた方は一たん十八万三百円で精米業者に渡しているはずです。精米業者から今度はみそ業者にいく。その間においていまおっしゃいましたようにぬかとかなんとかが出てくるので、おたくの方は金を精米業者から取っておると私は思うのです。そこらあたりわかりませんか。
  56. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 細かい資料を持ち合わせておりませんのでお許しを願いたいと思いますが、たてまえはいま申し上げましたように政府の方で玄米を精米業者に渡し、その精米工場におけるみそその他の実需者に対する売り渡し価格については、加工費とそれから副産物収入とを勘案した数字として先ほど申し上げましたような精米価格で売られるということでございます。
  57. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、たとえばみそ業者に対しては十八万三百円で渡されておる、片方においては精米業者に対しては十八万三百円で同じく渡しておる、こう考えていいのですか。
  58. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、私の答えが先生のただいまの御質問をもたらすような答えだったという節があったら非常に申しわけないのでございますが、政府は玄米を精米業者に渡しまして、それで破砕精米に加工されて、加工費等のコスト増とぬか等の副産物収入というものを相殺いたしまして、十八万三百円の価格でみそその他の工業用原料、材料を使用する業者に売られるというたてまえでございまして、その数字の関係その他については、先ほどるる申し上げましたようにただいま資料を、細かい積算その他を持ち合わせておりませんので、資料として適当な形で出させていただきたいというふうに思うわけであります。
  59. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、現在政府が売り渡しておる標準米価格というのは、二十七万円ですね。徳用米で十七万五千五百円、これで渡されておるというが、ここで十八万三百円と差がありますけれども、そこで一体破砕米というのはどんなものかあなたは見て御存じですか。ここに私は持っておるのです。これが一体破砕米として通用するのでしょうか。これに対して加工賃が一体幾ら要って、ぬかは一体幾ら出てくるのか、私は大きな疑問を持つんです。見てごらんなさい、ここに持っています。だから加工費というものとぬか代というのはどれだけ出てきているのか私にはわからないのであります。だからそこらあたりの基礎をきちっとしていただかなければいかぬ。これを見てみますというと、私も破砕米というからどれくらいいくんだろうかと思ったら、二つぐらいにしか分かれていないじゃないですか。そこで私はお伺いするんだが、みそ業者というのは、みそというのは関西方面では全部丸米でつくっておったのです。丸米でつくられておった。ところが戦争中に関東においては破砕米でみそをつくられておるのが全国的に普及してきた。それでいまでも関西におきましては丸米でみそをつくらしてほしいという要望があるし、需要家からもそのような要求がある。ところが古々米が、おっしゃるように現在は五十一年産あるいは五十年産を使われるようになっておるから、それは古々米じゃないからこれが横流しされたら困るというお気持ちで破砕米という制度をつくられておるんだと思う。しかし、この古々米時代、すなわち余っておった時代においてもやはり破砕米でなければ渡さなかったのであります。そうでしょう。これはそのとおりです。この破砕米でなぜ渡すんだ、なぜこれをみそ業者にそのまま渡さないのかというのを私は疑問を持つ。どうですか。
  60. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  かつて過剰米で古々米あるいは数年古米といようなものを工業用原材料に大幅に売却いたしました際、さらでだに需給が過剰基調で流通秩序の維持ということで破砕精米という形でそれぞれの用途に的確に充当されるということで出発したわけでございます。したがって飯用としてはやや消費者に対して抵抗のあるような古々米というものについてもそのような措置をとったわけでございますが、現在におきましてはすでに古米なり新米というものをこれに充当しておりますので、主食用との流通規制というような問題についてなおこれを維持しなければならないという問題があることを御理解願いたいと思うわけでございます。もちろんわれわれとしては、みそ業界等からも先生いま御指摘の丸米等で売却をいたせというような御要望をしばしば承っておるところでございますが、それぞれの用途に適切に充当されるという要請と業界のそのような御要請とをどこで調和するかという点についてはなお慎重に検討をいたさなければならないというふうに思っております。
  61. 井上普方

    井上(普)委員 時代が変わったなら早速動かしたらどうです。この精米業者それに破砕精米業者というのが非常に利権の幅があるということで競争しておるんじゃございませんか。そしてそれを指定するのは食糧庁であるということで破砕精米業者は大もうけをしておるという話を私らは聞いているんですが、どうです。現に私の方の破砕精米業者で脱税でがっさりいかれておる業者もある。どうなんです。
  62. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 過剰米処理の際、工業用原材料に百万トン以上全期問で処理いたしましたが、その際に破砕精米業者の指定という問題につきましては、御案内のように昭和三十年代後半から大・裸の主食としての消費が大幅に減りまして、したがって精麦業者の転換という問題があったわけでございます。したがいまして、転換する精麦業者を主体にして破砕精米業者としてその事業を行わせるというふうな考え方に立っておりまして、企業対策という点からの線をとったわけでございます。したがって、新規の参入はその経緯から見ても必ずしも適切ではないということで、先生指摘のような経緯に相なっておるということでございます。
  63. 井上普方

    井上(普)委員 私の県におきましては、これは人口八十万、そこでみそ業者はどれくらいあるかは御想像になっていただけると思います。破砕精米業者は山の中のずっと田舎の方の一業者に指定しています。一県で一つしかございません。これに対する、破砕精米業者に指定してくれという運動はものすごいものがあった。案の定、ものすごい脱税で今度いかれておるようです。この破砕精米で一体それだけもうけるんだろうか、私は大きな疑問を持つ。同時に、みそ業者は、あの破砕精米は一体おかしいじゃないか、破砕精米自体へ渡すのはおかしいじゃないかという意見も出てきている。われわれは丸米を要求しておる、古々米時代にも要求した、御承知のように古々米なんというのは食えるものじゃない、ところがそのときにその古々米をわざわざ破砕してそして渡してくれる、えらいもうけが多いんだなということに相なっておるんです。なぜみそ業者に対して丸米でやられないのです。渡さないのです。精米業者に一たん渡して、精米業者から、しかも一県一つの工場、一つの業者、それで全部配給していく。それが県の中心にあるならともかく、えらい山の中に一軒。破砕して、そこから七十キロ、八十キロもかかるみそ業者のところに配給していく。なぜこんな指定をやったんだろうかというのが疑問の一つなんです。そして、この運賃は一体どうなるんだろうか。これでもまだもうけてるんだという疑問をみそ業者等々は持っておるんです。見てみますというと、この破砕なんというのは形だけじゃないですか。これは恐らくこれで五分の一ぐらいはまるまるいっています。そしてそれが利権と考えられる。昔私は予算委員会において、このことは質問したことがある。みそ業協会の方からひとつ安く米をくれ、そのために政治献金をしなければいかぬと言って、各都道府県に流して、業者にその文書まで流していた。受ける業者トン当たり八千円を政治献金としてみそ業者は集めたことがあります。そこらあたりを私らはもう少し明確なものにしていただきたい、こう思うのです。特に、主食は、いままた過剰米が言われるような時代になってきておる。非常に国民の間に関心は深い。ここらあたり直す必要があると思うのですが、いかがです。
  64. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 御答弁の繰り返しになるのは恐縮でございますが、まず、破砕精米制度をとりましたのは、制度自体をとった理由は、過剰米の処理の際に、他に飯用に充当されるということについて、主食用に充当されるということとの流通規制という経緯で出発した。それから、業者自体は、大・裸の中小零細工場の転換対策という面もありまして、その指定が行われたということが第一点でございます。  それから第二点は、その過剰米が終えました後も、普通の主食、飯用の米と同じものを工業用原材料に現在は売っておるわけでございますが、古々米時代は非常に割り引いた価格で売っておったわけでございます。これを一挙にこれに近づけることは、本来ならば工業用原材料米は——一般の消費者に配給いたすには家計への配慮が必要でございますが、これらの工業用原材料につきましては、むしろコスト主義で売るたてまえであるべきであったわけでございますが、過剰米時代の大幅な割り安な価格であった米を一挙に引き上げることも困難であろうということで、本来主食用に充当されるべき米を、逐次売り渡し価格は引き上げておりますけれども、本来の主食用の価格に比べて割り安に加工業者が入手できるようなたてまえをとっておる。したがいまして、そこにやはり依然として流通規制の問題があるわけでございます。したがいまして、今後その工業用原材料米の価格というものが、本来の過剰米は別でございます、現在は本来の需給操作上の通常の米でございますが、その価格との関係である程度バランスがとれ出しますと、わざわざ破砕精米をして業者にこれを渡す必要があるかどうかというような問題として、この制度がよっております条件の変化というものによって措置すべきものというふうに考えておるわけでございます。
  65. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、徳用米として出しておる米は、いま十七万五千五百円でしょう。破砕精米として渡されておる、精米業者に渡すのは十八万三百円でしょう。徳用米として渡されておるところから、横に流されないという保証は何かやっておるんですか。米に印をつけておるんですか。どうなんです。
  66. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 先生の十七万云々は十キロ当たり千七百五十円でございますか、徳用米の価格をトン当たりに換算した数字と思いますけれども、先ほども申し上げましたように、原料玄米として破砕精米業者渡してそれを加工したものが十八万三百円でみそ等の加工業者に売られるという関係に相なっておるわけでございます。したがって、繰り返すようでございますが、まだ徳用上米との間の差があるという点で破砕精米による精米をきちんとさせまして、横流れ防止ということで措置しておるというわけでございます。もちろん、われわれといたしましては、これは加工面から、会計検査その他からもこの点についての厳重な運用ということも言われておりますし、われわれの業務監査なり指導自体も、これについては最も重点的な一つとしてやっておるわけでございまして、私どもとしては現在のところほぼ制度の運用に沿った事態に相なっておるというふうに考えております。
  67. 井上普方

    井上(普)委員 徳用上米はトン当たりに直しますと、二十二万三千円ですか、徳用米は十七万五千五百円でしょう。十キロ当たり二千二百三十円と千七百五十五円ですから、トンに直しますと、徳用上米で二十二万三千円ですね、それから徳用米として十七万五千五百円ですね。これでお渡しになっておるのでしょう。  そこで、みそ業者に対してだけ破砕米としてこういうような印をつけて、徳用上米、徳用米というのは何か米に印をつけているのですか。そうしてそれの運用についてはどういう厳重な処理をやっているのですか。それであるならば、丸米を要求されておる関西のみそ業者に対してそのままお渡しになってどうです。わざわざ破砕なんということで、こんな二つに割るくらいなことにしてお渡しになるよりも、そのくらいの監査を私はできるのじゃないかと思うのですが、どうでございます。
  68. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 前段の御質問でございますが、徳用上米については、これは大型集中精米による小袋詰めと表示というようなことによりまして流通規制を維持するというたてまえで指導しております。  それから第二点につきましては、これはまた非常に恐縮でございますが、先ほどしばしば繰り返して申し上げましたように、破砕精米制度の現在の必要性とその条件の変化ということ、それと業界の強い御要望というものをそれぞれ勘案いたしまして、事態の推移によって結論を出すべき問題であるというふうに考えております。
  69. 井上普方

    井上(普)委員 むずかしい言葉をおっしゃって、わからぬようにわからぬようにあなたはおっしゃる。これは役人の通有性だろうけれども、大河原さんというのは役人のうちではちょっとけたの外れた優秀な方だということを私は承っておるのであります。まともにひとつ答弁をしていただきたい。  徳用米についてもあなた方は袋に印をつけてあるだけでしょう。米には何ら印をつけてないでしょう。みそ業者に対してだけはこうやって半分に割ったり、三分の一に割ってみて、破砕米として出しておる。それだけみそ業者に対しては信用がない、みそ業者は横流しするかもわからないから。しかし、徳用米を使っておる大手のところは、これは信用できるから、米に印をつけないのだ、こう考えていいですか。どうです。
  70. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 先ほど来るるお答え申し上げておりますように、破砕精米制度の発足した経緯、それから破砕精米制度対応する原料玄米の価格関係と主食用の価格関係というところから経済的に見ますと、やはり横流れの可能性を持ってきたわけでございます。したがって、その問題を流通秩序維持から規制するためにこの制度を、それぞれの業界の方には御不便をかけておりますが、やはり適切な用途への充当という趣旨でやってきておるわけでございまして、したがって、価格関係その他から一般の徳用上米なりあるいは下位等級の政府の原料米の売り渡し価格と破砕精米に対応する原料用の原料玄米の価格と価格のバランスがとれまして、経済的にも横流れの可能性がないというような条件に相なってきますれば、その業界の強い御要望というようなものも考えて問題を処置すべきものであるというふうに考えております。
  71. 井上普方

    井上(普)委員 これからもどんどんとみそ米を上げていくということですな。そしてバランスが一般の標準価格に大体合致したときにはやってもよろしいというお考え、こう考えていいのですね。  それでは、徳用米を使っておる業者というのはどんな人たちなのです。
  72. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生のお言葉の徳用米なり徳用上米という言葉で、徳用上米は等級で五等米を充てております。これは学校だとか工場とかの集団給食用にも使われておるわけでございます。徳用米は災害の際規格外米というようなことで生産者の方から特別買い上げをしろという米をこれに充てまして、これは一般消費者で、味は悪くても価格関係でその米を食べたいという方々について、年によって振れはございますが、二、三万トンの需要はあるということでございます。
  73. 井上普方

    井上(普)委員 それでは、私はこれを見まして、破砕米はそれほどいい米を使っておるとは思わないのですが、一等米を使っておるのですか、特等米を使っておるのですか。一等米や二等米を使っておるのですか、どうなんですか。
  74. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 先ほど来の御答弁の中で、的確に申しておりませんでしたが、工業用原材料、みそ用米等は一−四等でございまして、一等から四等まで、要するに主食用として一般的に配給しておる等級の米でございます。
  75. 井上普方

    井上(普)委員 業者に対してともかくこういうようなことをやられておる、しかも業者の方は丸米を要求されている業者がかなりある。それならば、私は標準価格に近いもので渡してもいいのではないか。むしろ破砕米としてこういうような価格でお渡しになる。いまみそ業界からは高くなったので、ひとつタイの米を六万円で輸入させてくれなんという虫のいい要望が来ています。そうでしょう。タイ米を、外米を輸入さしてくれという要望が食糧庁に来ているでしょう。しかし、それよりもむしろやはり破砕精米業者をともかくもうけさすことはないじゃないか。だから工場で使うところに対してはともかく徳用米として出しているのだから、こういうような形でひとつみそ業者に渡してもいいのではないか、私はそういう気がするのです。特に私の県において精米業者が大規模な脱税をやっておる、こういう事態があらわれておるのです。したがって、この精米業者を指定するときの一部うわさされておったようなことが事実になってあらわれたのだなとしか私には思えないのです。これに対してみそ業者等々工業用原料をつくっておる連中は大きな不満を持っておるのです。だから、こういうような業者を指定した責任は、やはり食糧庁にあると思う。まずこれを変えなければいかぬ。そうすると、あなた方は、破砕米を摺る機械の設備というものに金がかかるのだ、だからできませんと恐らくおっしゃるのだと思うけれども、そういう社会的信用を失墜した業者に、こういう半分に割らなければそのまま一般の米として通用する、横流しができるような米を扱わすことは私はおかしいと思う。ここらあたりひとつ御勘案、再検討願いたいと思うのですが、いかがですか。
  76. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 先生の御質問なり御要求については数点あると思いますが、第一点の業者については、破砕精米制度の本来の趣旨ということから、企業対策もあり、流通規制維持ということから指定した制度でございまして、仮に原料玄米な横流しをするというような事態がございますれば、それなりの取り扱いをすべきものであるということは当然のことでございますが、今後ともなおわれわれとして努力すべき点であるというふうに思っております。  それから、前段のお話でございますけれども、実はみそ等の加工業者も、その製品の売れ行きだとか、かつてのような古々米の安い原料玄米と違って、本来の一−四等の米でございます、主食用になり得る米でございますので、それを逐次コストに近づけるために値上げをしております。したがって、その点でなかなか業者としても大変な面が業界としてもあるという点もございまして、その点も配慮いたして、一−四等をコスト価格でまるまるこれを売るということについて業界としてたえられるかどうかというような問題もございまして、その製品の原料米を丸米で手に入れたいという御要望と、原料米の価格についての格段の配慮という御要望とがそれぞれございまして、そういうものを総合勘案して、それなりに取り扱っていかなければならないというように思っております。
  77. 井上普方

    井上(普)委員 私はこのことを特に申し上げたい。  米というのは主食なんです。国民の関心は非常に強い。ところが政治献金をともかく渡さなければ価格が安くならぬのだというような宣伝まで、みそ協会というのがありましてやったのです。ほほうっというような顔をしておりますが、四十八年にやっておるのです。国民の主食なんです。それを転用するのですから、慎重に扱っていただきたいと同時に、そういうような大きな脱税をやって、大きな問題になっておる業者を、破砕米の精米業者として指定すること、これについては大いに考えていただきたい。  あなた方の方で国税庁等お聞きになって、どういうような脱税をやったのか、お調べになってごらんなさい。国税庁の方は守秘義務だとかへったくれだとか言いまして、なかなか本当のこと言わない。言わないが、役人同士だったら言うでしょう。お聞きになってごらんなさい。相当なうわさになっておるのですよ。ここらあたり慎重に取り扱うと同時に、おたくの方は厳重な処置をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  続いて、水産庁お見えになっておりますね。私は日ソ漁業交渉をずっと関心を持って——一般国民も関心を持っておられるのですけれども、日本側代表として大日本水産会というのがあるらしい。これは何だと言ったら、社団法人として農林省がお認めになった社団法人でしょう。どうなんですか、ここらあたりは。
  78. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 大日本水産会は、水産関係の業界を網羅しましたいま先生おっしゃった社団法人として認可された団体でございます。
  79. 井上普方

    井上(普)委員 そもそも大日本というのは、一体名前をどういう基準であなたこれを認可したのです。
  80. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 これは戦前からの長い歴史がございまして、昭和十年前後でございましたか、この団体ができましたときからいまのような名称で伝統的にずっと団体の維持をやってまいりましたので、それが現在までも続いておるということでございます。
  81. 井上普方

    井上(普)委員 ソ連に対抗するために大日本というてつけなければいかぬのかと私は思っておったのです。しかしともかくお伺いしますと、大日本とつくのは、それは大日本愛国党か、そこらくらいのところしか大日本というのはこのごろついておらぬと思うのです。そして大日本水産会の親玉が日ソ漁業交渉についていっておるのは、これはどういう資格で行っておるのですか、お伺いしたいのです。
  82. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 大日本水産会の会長の亀長氏が前回の漁業交渉では日本政府の方の代表として委嘱を受けましてモスクワの方に行って交渉をやったわけでございますけれども、それは前回の交渉、昨年の話でございまして、今回の日ソの漁業共同委員会では、海外協力財団の理事長をやっております荒勝理事長が日ソの漁業委員会における日本代表として委嘱を受けて交渉に当たっておるわけでございます。
  83. 井上普方

    井上(普)委員 そこで私は不思議に思う。いままでずっとこう見てみますと、大日本水産会という、名前だけでも大日本だ、ソ連へ行ったらちょっと幅がきくかもしれぬけれどもそれがやっていた。今度は海外協力財団の荒勝という人が行っておる。新聞を見て、おかしいな、大日本水産会が政府の委嘱を受けて政府代表としていままでずっと行かれておったのになぜ行かないんだろうと私は大きな疑問を持っておるのですけれども、そこらの点どうなんです。そしてまた、きのう資料をもらって見ますと、日ソ漁業委員会というのはずっと、ここでは大水と書いてありますけれども、大日本水産会のことでしょう、行かれておった。このたびだけかえたのは一体どういう理由なんです。お伺いしたいのです。
  84. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 一応水産業界をできるだけ幅広く代表し、かついろいろその方の過去の経験等から見ても、水産全体について経験のある方を一応その委員会の都度代表として委嘱をし、それに同伴いたしまして当然政府の方の、たとえば水産庁の職員あるいは外務省の方の担当の職員も委員として同時にそれを補佐するという形を従来からとってきておるわけでございます。特に今回荒勝理事長にお願いしましたのは、いままで委員をお願いしておりましたその亀長代表の個人的ないろんな御都合あるいはその他を考えまして、漁業界全体の中からさっき申し上げたような基準で最も適当な方として荒勝代表にこのたびの委員会につきましてはお願いしたというような経過でございます。
  85. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、いままで大日本水産会の会長もしくは副会長が日ソ漁業交渉は一回目からずっと行かれているのですね、これを私、拝見しますと。このたびだけ海外漁業協力財団理事長という人をお出しになっておるのは一体どういうわけか私にはわからないのですが、理由を説明していただきたい。
  86. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおり、個人の御都合及び政府の方の側からまた委嘱いたします方として最も適任者をということで、ある程度相互の御都合を考えながら選定した結果、荒勝理事長にお願いをするということになったわけでございます。
  87. 井上普方

    井上(普)委員 最も適任者として荒勝さんをやったのですか。そうすると、大日本水産会の会長というのは余り適任じゃないということなんですか、どうなんです。
  88. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 それぞれ諸般のいろいろな御用件をお抱えになっている方々の中から、御都合をつけていただける方で、かつ、政府側としてもぜひお願いをしたいという方の中から選定をいたした次第でございます。
  89. 井上普方

    井上(普)委員 この漁業交渉というのは、日本を挙げて国民全部が関心を持って見守っておる。そうすると、最も適任者は大日本水産会にはいないということ、これが一つ。  それから、もしこれほどのともかく国民的な関心のある漁業交渉に対して個人的な理由によってやられるとするならば、これは私は大問題だ。少なくともいままで大日本水産会の会長が日本を代表してソ連と交渉をやられてきた経緯が藤田さんを初めずっとある。ところがこのたびだけ荒勝という海外漁業協力財団の理事長を派遣しておる。そうするならば、この個人的な理由というのは、国益を考えない、国益を次にするくらいの重要な個人的な都合があって大日本水産会からお出しにならないのですか。いままで政府の代表として出されておったのだけれども、個人的な都合があるのだ、あるいはまた、いまも最も適任者は荒勝さんだとおっしゃるということになると、最も適任者でなかった者をいままでは出しておった、それが今日の日ソ交渉をともかくこういうような目に遭わした理由の一つじゃないかという気も私はするのです。どうなんです。
  90. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 政府の代表は日ソの漁業共同委員会が開かれます都度、その都度選定をいたしまして委嘱をしてきたわけでございます。今回の事情におきまして、そのお引き受けいただける方の中で最も適任と思われる方としていまの政府代表荒勝氏を選任したというような次第でございます。
  91. 井上普方

    井上(普)委員 それじゃいままで、一回目からこの二十回まで大日本水産会の会長をずっとやらしてきたのですね、その事実は間違いないですな。どうです。
  92. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 二十回の共同委員会まででは結果的に大水の会長が政府代表を務めております。
  93. 井上普方

    井上(普)委員 今度に限ってこれほど重要な日ソ漁業委員会、これほど重要な日ソ交渉に大日本水産会が出ていないということは、私は大きな疑問を持たざるを得ないのです。そうするならば、いままでの政府の選定というものが過ちであったのか、あるいはいままでそれほどまでに大日本水産会というのは漁業交渉をちゃらんぽらんにやられておったのではなかったかという気もするのです。個人的な理由があったといたしましても、これほど重要な国益の問題に際しては、恐らく少しくらい御病気であっても私は行かれるのじゃなかろうかと思う。少しくらいの発熱では行かれるのじゃないかと思う。このたびだけ海外漁業協力財団にやらされた理由が私にはわからない。これほど国民挙げて漁業交渉の一日も早く日本に有利な条件で交渉成立を望んでおる国民、それに対して大日本水産会なんという大きな名前をつけながら、これにいままでは代表として行っておりながら、このたびこれだけ重要なときには代表として出ない。一体何だというのです、大日本水産会なんというのは。名前だけ大きくて、それほど政府に信用がないのか、あるいは業界を代表してないのか、あるいはまた日本の国益を考えない会かと私は言いたいのですが、いかがです。
  94. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 いま再三申し上げましたとおり、いろいろ職務をお抱えの方の中から政府代表をいままでお願いをしておるわけで、そのときどきのやはり御都合のつく方の中で最適任者と思われる方を政府としてはお願いをしておるわけでございます。なお、そのほかに当然、日ソ漁業交渉を進めますに当たって関連の業界等からもいろいろ御支援あるいはその都度、向こうとの交渉の状況に応じまして意見を伺いながら交渉を進める必要もございますので、大日本水産会という形で必ずしもまとまってはおりませんけれども、それぞれの業界の代表の方を顧問として同時にモスクワの方へお出かけいただいて、それらの意見を聞きながら交渉を進めているというのが現状でございます。
  95. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、一回から二十回まで全部大日本水産会の会長あるいは副会長が政府の委員の中に入っているのでしょう。このたびだけこれに入ってない。一番重要なときに、一番必要なときに大日本水産会の会長というのを除いておる。この人は能力がないのですか。どうなんです。かつては水産庁の長官をやった人だそうだけれども、この人は能力がないのですか。だから外したのですか。これほど重要なときに。いままでの経緯がずっとある。恐らく人的な交渉というのもあったのでしょう。イシコフさんとも握手した経験もあるなんということを私ら聞いたこともある。ところが今度の場合は行かない。大日本水産会なんて言いながら、そんな重要なときに行けないような会なら、これは認可を取り消したらどうです。名前だけ大日本で、最も重要なときに行けないような会長を選ぶような大日本水産会なんというのは不必要な団体じゃないですか。いままでずっと出ているのですよ。あるいはちゃらんぽらんな交渉の結果、今日のこういうような苦しいところに追い込まれているんじゃないかという疑念すら私らは出さざるを得ない。どうなんです。政務次官、どうです。
  96. 羽田孜

    ○羽田政府委員 先生から先ほど来御指摘がございましたように、確かに過去二十回でございますか、大日本水産会の会長がこれに当たってきたという経緯がございます。しかし、先ほど来次長からも御答弁申し上げておりますように、いろいろな事情、個人的な事情もございます。そしてその中でいろいろと配慮いたしましたときに、今日代表になっております荒勝氏は、今日大日本水産会の会長にまさるとも劣らない方であるということを私どもではあれいたしまして、委嘱を申し上げておるわけであります。
  97. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、こういうことになりますな。大日本水産会会長は個人的な理由によってこの重大なる日ソ漁業交渉に出席しないのだ、こう考えてよろしゅうございますな。そうするならば、日本の国益を十分に考えない、こう考えられてもやむを得ぬことだろう、国民の一般の方々はそういう考え方で対処するだろうということを私は考えるのです。時間が参りましたので、この程度にいたします。  こういうように、何の熱か知らぬけれども、熱に浮かされて日ソ漁業交渉という重大な交渉をサボるような大日本水産会、これをおやめなさるように、あるいはまた、大日本水産会なんというものを、財団を認可されたのだから、認可されないように取り消す御意思があるかどうか、ひとつお伺いしたいのです。
  98. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 大日本水産会はそれなりに業界全体の統合団体として十分な活動をいたしておりますし、先ほどのように、従来から、毎回その都度の事情を勘案して最もお引き受けいただける方の中で適任者を選定してまいりましたので、両者、大日本水産会の仕事仕事として、私ども今後も育成をしていきたいというように考えております。
  99. 井上普方

    井上(普)委員 時間が来ましたのでこれでやめますが、あなた方は何と言ったって、何の熱か、政治熱か何か知らぬ、ともかく浮かされて、大事な日ソ漁業交渉に出ていかないような大日本水産会の存否それ自体について、私は大きな疑問を持つ。大日本水産会というのは農林省の認可した団体だそうですから、ここらあたりは、一体日本の国益を考えない、最も知っておる、いままで二十回も行っておるのだから、そのたびそのたびに、これから大日本水産会なんというのは考えないようになってくるだろうと私は期待する。こういうような大日本水産会には私は大きな不信を持つと同時に、農林行政のやり方についても、水産行政のやり方についても大きな疑問を提示して、私は質問を終わります。
  100. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時二十四分開議
  101. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新盛辰雄君。
  102. 新盛辰雄

    ○新盛委員 私からは、きょうは主として水産庁関係にかかわる問題について、特にまた鹿児島県の枕崎、串木野、山川、九州の海岸線三分の一を擁するという、そうした沿岸漁業、そして沖合い漁業などを含めて、これからの二百海里時代に対応する水産振興開発、そうした問題について、まず基本的な諸問題についてお伺いをしたいと思います。  最近の海洋二法ができ上がった後、いま日ソ漁業交渉が活発に進められているわけでありますが、これに伴って南海水域における漁場の問題あるいはまた新漁場の開発、遠洋漁業の見通し、あるいは振興政策をこの際抜本的に転換をする時期にきているのではないか、そうした面でこれから私どもが漁業振興、水産の発展のためにあるべき姿としてどのように対処するか、このことについてまず農林大臣代理もいらっしゃいませんので、次官からひとつお答えをいただきたいと思います。
  103. 羽田孜

    ○羽田政府委員 それでは基本的な問題についてお答えを申し上げたいと思います。  ただいま先生から御指摘がございましたとおり、新しい海洋法時代というものを迎えまして、いま新たな時代を迎えておるわけでございます。まさに水産業を取り巻きます内外の情勢というものは非常に厳しいものがあるわけでございます。この事態の中にありましても、なおかつ水産物の安定的な供給の確保、これを私どもは図っていかなければならぬということで、いろんな施策を講じております。  先生からいま御指摘がございました沿岸及び沖合い漁業につきましては、いわゆる漁場の整備、また栽培漁業の推進、漁港の整備などを進めるというような、わが国の二百海里内の未利用資源を含めた精度の高い資源評価を行いまして、資源の維持並びに管理及びその有効利用を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、遠洋漁業につきましては、まさに強力な漁業外交というものを今後展開し、海外漁場におきますところの操業実績の確保に務めますとともに、新漁場の開発調査、またそれぞれの各国との漁業協力など積極的に推進していきたいというふうに考えます。  また、養魚、養殖漁業につきましては、養殖漁場の造成、また新養殖種及び人工飼料の開発、研究、養殖施設に対する助成など養殖漁業の振興を積極的に図っていきたいというふうに考えます。  以上申し上げましたそれぞれの施策に積極的に取り組み、今日の水産業をめぐりますところの厳しい環境というものを打開してまいりたいというふうに考えます。
  104. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうした基本的な態度が明らかになっているわけでありますが、さらに具体的に沿岸・沖合い漁業等について、仮に日ソ漁業暫定協定が結ばれたとしても、漁獲量の面における制限は当然出てくるのじゃないか。従来の実績を確保できるという見通しはいまのところ予期できがたいわけであります。そうしたことから考えると、沿岸・沖合い漁業へ目が向くわけでありますし、さきの私の本会議での質問、それを受けての総理並びに関係大臣のお答えもありましたが、また農林水産委員会でもさきに質問をしたところでありますけれども、こうして沿岸やあるいは沖合い漁業に、いまの漁獲量が減ったことによる漁業者の船が漁場を求めて殺到してくるということは当然起こるわけでありますが、大手漁業、特に優秀な船団的なものを持つそうした船は、南方あるいは南西諸島の付近に当然進出をする。あるいは従来カツオ・マグロを主体にして生活の基盤を築いてきた枕崎だとか山川、あるいはまた串木野、私どもの地場漁業の皆さん方は非常に不安を持っている。そうした進出、競合、競争、いわば国内漁業戦争が起こるのではないか、それを憂えるわけであります。こうした場合に区画制限、どの地域で線を引くか、これは日ソ漁業交渉でもいろいろ問題がありますが、国内的にもそうした面で公海という解釈もありますけれども、漁業権の問題を通じて当然政府は行政指導として行わなければならない面が出てきたのではないか、そのことが一つ。  そして、これからの沖合い漁業の、いままでもそうでありましたが、鹿児島県が南方海域で漁をしている状況はその比重一〇%ということになっております。しかし、いまのような現状でいきますと、激しい競争の中ではじき飛ばされてしまうのではないか。結局現在でもすでに鹿児島県下三百数十名の漁業労働者が失業保険をもらっておる、あるいは北洋漁業に参加していた鹿児島の漁民は今回出漁ができないということで、南に帰れということで結局暇が出たというか解雇されたというのか、一時見合わせで失業保険をもらうという現状であります。南の方は南の方で大変就労する場所がない、船がない、こういう現状にかんがみて、これからの対策をどうお考えになっているか。  さらに、こうした変動期に対応して、われわれがいままで保護、助長してきた沿岸あるいは沖合い漁業の対策として、漁業と漁民に対する政策のあり方、重点をどこに置くのか。入漁料あるいは手数料問題が、各国二百海里を引いたのですから、それに伴って発生をしてくることは当然であります。そうした場合に、小さな企業が、あるいは地方自治体の中で負担をするなどということはとても不可能に近い、これはさきの委員会でも問題になっているわけでありますが、そうした財政措置、これは国がめんどうを見るのだというのはいま検討中であるようでありますが、当然こうした細かいところもきめ細かに指導をしていかなければならないし、現実の問題として補助しなければならないのではないか、そのように考えるのですが、そのことについての御見解。  さらには、恐らく六月か七月ごろになるのでしょうが、第三次海洋法会議等によっていろいろな議論がされますけれども、何よりもいままでが後手後手という漁業のあり方、水産庁はそうしたことで後手をとっているとは思いませんけれども現実の問題どうも情報交換が、国際的な面においてもまた国内の各漁業者との間あるいはその内容において不足をしている向きがあるのではないか。そうしたことについて、これからのそういうシステムについてどうお考えになっているかをお聞かせいただきたいと思います。  そして、当然資源は福田総理のおっしゃるように必ずしも無限ではないのだ、有限なんだ、これは魚についても言えるのかどうか。魚も当然生産計画の再検討を図らなければならない事態に来ているのではないか、そのように思います。こうしたことについて、漁業振興対策あるいは調整、そうしたことに対する各地域段階において調整委員会というのですか、何かその他ありますけれども、そういう具体的な国の助成を含める措置対策、こうしたことはできないものかどうか。あるいはまた啓蒙、開発のために、もっと危機感を持たせるために魚の需要をどう拡大するかという、いままで見捨てられた魚類に対してそれを再活用できる方途を考えていくためには、農業改良普及員などというのがおるわけですし、これはそうした類似的なものとは申しませんが、漁業改良普及員というのですか、そういうことに対してもっと力を入れる政策はできないものかどうか。従来あったとしてもただおざなりで、きのうの獣医師法の問題で出た魚病師といいますか、そういうものを含める普及員的なもの、そういう充実についてこれはどうお考えになっているか。沿岸・沖合い漁業、そうしたものに関連をして、ただ抽象的にもう一回見直し——いま次官おっしゃったように、栽培、養魚、あるいは魚礁を配置して魚がこの日本の近海、沖合いに寄ってくるような仕組みというのも当然考えられるわけでありますが、そうした面の充実した対策、それについて各面にわたってひとつお答えをいただきたいと思います。水産庁、具体的にひとつお願いします。
  105. 森実孝郎

    森実説明員 各般にわたり御質問ございましたが、まず最初に北洋の減船に伴う転換をどう考えるかという点の御指摘があったと思います。率直に申し上げまして、現在わが国の沖合い漁業、沿岸漁業はすでに過剰就業の状態にあることは否定できないところだろうと思います。そこで、北洋の減船された船についても、これをわが国の近海の沖合い・沿岸漁業に転換することは原則的にはまずないし、困難であろうと思っております。現在北洋漁業に従事している船についてはそれぞれ操業区域を許可種類ごとに決めております、たとえば北転船であれば北緯四十八度以北というふうに。それからまた、沖底等で内地と兼業しているものについても許可条件で区域を定めると同時に、実績のある者以外は現在休業中についても内地の漁場へは操業を認めておりません。私どもとしては、やはり減船は減船問題として基本的に受けとめていかざるを得ない。わが国の周辺漁場への転換はまず困難であり、したがってそのために行政指導や現在の漁業調整の方針を変えることはまずないし、またできないであろう、このように思っております。  それから二番目は、労働者の雇用問題でございます。確かに現在ソ連の二百海里内のわが国の北洋漁業の操業に従事しております漁船の乗組員の数は非常に多数に上っております。私どもが調べましたところでは、北海道及び東北五県の漁村及び農漁村の出身者が大部分だろうと思っておりますが、確かに一部には他の地域の方も入っていることは事実でございます。減船に伴うこれらの乗組員の新しい雇用先をどう考えるか、職業あっせんをどう考えるかは重要な政策課題であるだろうと思っております。すでに大臣等も御答弁申し上げておりますように、新しい職業転換への給付制度等をこの北洋減船に伴う一連の労働対策としてできるだけ早い時期に方針を決めて考えたいということで、現在関係各省と協議中でございます。しかし、これらの人々が先ほどの減船の場合と同じように、直ちに内地の周辺の漁場で新しい雇用機会を見つけるということはストレートにはなかなか困難な問題があることは否定できないところでありまして、そういう意味ではやはり転換給付制度というものを活用していく以外にないのではないだろうか、かように思っているわけでございます。  それから三番目に、入漁料の問題でございます。これにつきましてはすでに日米交渉の結果入漁料の負担が大きな政策課題となりまして、長期的に見れば直接の経費支出でございますから価格等を通じて吸収していくべきものであろうと思っておりますが、直ちにこれを吸収することには経営上困難があることは御指摘のとおりだろうと思います。その意味で、中小漁業者に対しましては三年間にわたる利子補給を行いまして入漁料についての間接援助を行い、これによって入漁料の負担の軽減を図る措置を講じたところでございまして、今後もこの方向で他の諸国との関係においても問題の処理を図ってまいりたいと思っております。  それから四番目に、内外の情報交換の問題でございます。私ども確かに重要な問題だろうと思います。その意味で大日本水産会、全漁連その他関係団体を通じまして、今後、本年度からは内外の、特に国際的な情報の連絡については必要な予算措置も講じたわけでございまして、この情報連絡機構の整備あるいは必要なニュースソースの提供という問題については、相当重要な転換期だけに意を用いて努力を続けてまいりたいと思っております。  それからその次に御指摘がございましたのは、いわゆる国内におけるPRの問題でございます。この問題は先生も御指摘のように、消費面それから生産者の面、両面があると思っております。消費面につきましては、私どもは今後の状況考えるとき、やはり多獲性大衆魚の消費拡大、それからもう一つは加工魚への加工利用の増大という問題が非常に重要な課題だろうと思います。特に新しい加工需要の開拓は必要な課題だと思っております。その意味では技術開発の予算、テレビによるPRの予算あるいは集団給食のあっせん予算等を今年度から新規に計上したわけでございますが、今後ともこれらの措置は強化してまいりたいと思います。また漁業者に対しましては、やはり日本の漁業が世界の状況とつながってくるわけでございますので、普及員の活用、さらに沿岸漁業の構造改善協議会等を各県に設けてその運営の経費も助成しているわけでございますから、そういった話し合いの場所を通じ、系統機関と協力しまして、普及員、それから市町村を中心としたいまの協議会、それからもう一つは団体の指導等で情報の連絡等については努力をしてまいりたいと思います。  それから最後に、資源の保存管理、特にその的確な把握の問題でございます。重要な課題だと思っております。特に二百海里時代に突入いたしまして、わが国の二百海里内の資源の状況を的確に把握することは国内の関係漁業者に対する指導でも必要でございますし、国際交渉の面からも重要な課題になってくると思います。その意味で、本年度からは国と県の水産試験場が協力して、一元的にコンピューターを用いてデータを解析する。二百海里の資源調査予算を初年度として約五億弱計上したわけでございますが、こういった資源調査のデータを一元的に整理し、解析し、しかもそれを継続的にトレースアップしていく仕組みについては、御指摘のように今後とも強化をしてまいりたい、かように思っております。
  106. 新盛辰雄

    ○新盛委員 これはいまの問題と関連をして、通告してないわけですが、南方海域の効率的な操業を考えますと、どうしても活えさの問題でひっかかってくるわけです。そうしたことに対して水産研究所その他等では十分研究が進められていると思いますが、これを容易に供給できる対策、そしてそうした蓄養の可能性をどう見出すか、これは沿岸漁業も沖合い漁業も含めて大事なことだと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 この面に対する対策について、さきの委員会でも明らかになっておるのですが、もっと具体的に御見解をいただきたいと思います。  それと漁業経営の安定策がどうなっているかという面では、後ほど具体的数字を申し上げますが、漁船建造費だとか経営資金、あるいは魚価が非常にアンバランスがある、あるいは低迷をしている。そうした面で、実態の把握がなされないまま今日二百海里時代を迎えたということで、昨日もテレビに出ていましたが、そんなことはないと水産庁おっしゃるけれども、最近では魚の値段が上がっている。しかも買い占め売り惜しみ防止法によって魚の方もきちっととらえていかなければならないというきわめて国民にとってはうれしいニュースなんですけれども現実にそういうことについての手だてが行われているのだろうか。これは漁民の生活安定のためにも必要欠くべからざることなので、こうしたことについて通産省あたりが来て説明をすべきだとは思いますが、水産庁としてもそういう関係各省との十分な連絡をとって処置してもらわなければならないのじゃないか。この価格安定推持のために国や県あるいはそうした面の指導はどういうふうになされておられるのか、そのことについて補足的に説明願いたいと思うのです。
  107. 森実孝郎

    森実説明員 まず第一点といたしまして、南西諸島方面における資源調査の問題あるいはそれに関連して、特に主力であるカツオ漁業の活えさの確保の問題の御指摘があったと思います。カツオの活えさ確保、特にそれを良好な状態で長時間保持するということは、カツオ経営にとっては確かに重要な問題でございます。率直に申し上げまして、一昨年から昨年にかけてカツオ・マグロ漁業経営にかなりの不振な部分がありまして、問題になったことは御案内のとおりでございますが、その一つの誘因が活えさの問題にあったことは事実だろうと思います。その意味で水槽の構造の改良、それからもう一つは、かなり遠距離に出る場合においては代替活えさの開発という問題を中心にしまして、今後とも情報交換と開発研究を促進したいと思っております。特にこの問題はそれぞれ地域産業に結びついておりますので、各県の業者それから水産試験場、もう一つはフィリピンその他各方面の水域に合弁事業で出漁している企業、そういったものの実績がかなりございますので、そういった情報の整理ということを特に組織的にやってまいりたい、かように思っております。  二番目は経営問題でございます。率直に申し上げますと、過去二、三年前から昨年にかけましてはいわゆるコスト高の魚価安ということで、わが国の漁業経営が非常な苦境にあったことは事実でございます。そのような意味で昨年の国会で水産三法の通過をさせていただきまして、いわゆる漁業経営維持安定資金という制度をつくったわけでございます。昨年度は六百億の負債整理資金を計上いたしましたが、ことしも引き続き六百億の負債整理資金を計上しております。これを積極的に活用すると同時に融資保証制度についても改善を加えておりまして、そういう点の経営的なバックアップはさらに続けてまいりたいと思います。また魚価につきましても、調整保管事業がいままでは非常に限定的な魚種であったわけでございますが、昨年からカツオ・マグロを追加する、あるいは加工用の原材料も追加する等の手だてを講じておりまして、さらに昨年の秋には魚価安定基金制度を発足させまして、いわゆる調整保管事業に伴うリスクを魚価安定基金で、無利子の出世払いの融資で担保する方法も考えましたので、こういった意味でできるだけ調整保管の対象をふやし、色価安定制度による補充機能を充実させまして、そういった点の強化を図ってまいりたいと思います。  それから三番目に、最近の魚価高騰の問題でございます。率直に申し上げまして、私どもも実は一番困っている頭の痛い問題でございます。  事情をまず申し上げますと、一つは、ソ連の二百海里に関係しない魚につきましても、一月、二月は比較的、たとえばアジ、サバ類、スルメイカ、カツオ等も前年対比で好調な入荷であったわけでございますが、三月以降それぞれ特別の理由がございまして入荷が減っております。たとえばスルメイカは日本海の操業が制約されている、それからアジは冷水温の影響を受けている、それからカツオは二年生魚の接近が非常に例年に比べて遅い、こういった事情で水揚げが三月以降減っている。ものによっては七割、多いものでも九割ぐらいというふうに減っているという事情が一つございます。それから、御案内のように、四月以降ソ連の二百海里に出漁いたします底びきその他の船につきましては、出漁をストップしております。これがすり身とかタラコとかの供給に決定的に影響していることは事実でございます。  それからさらに、たとえばタラコ等について端的に言えるわけでございますが、わが国の重要な輸入ソースであった韓国が、アメリカで大幅な規制を受ける、さらにソ連の二百海里内で操業ができなくなったために、タラコ等に代表されますように輸入が減ってきている、停滞しているという現象がございます。ほかのもの、サケ・マス等は若干ふえておりますが、そういった事情が重なりまして、特に日ソ交渉が中断に中断を重ねまして、まだ最終ゴールに到達するめどがついておりませんために、いわば関係事業者は、加工業者も含めまして、企業防衛的にある程度在庫を抱え、その在庫の偏在があるということは否定できないところだろうと思います。  率直に申し上げますと、需給関係、たとえばすり身一つを例にとりましても、すでに三月末の在庫で前年対比で九割程度でございますので、四月は全然操業しておりませんから、さらに在庫量は減っているということは否定できないところでございまして、いわば新しい需給均衡点に価格が移動しつつあるということは、私否定できないところだろうと思います。しかし、やはり地域的に在庫が偏在したり、あるいは原材料手当てが偏在していることは非常に好ましくないと思っておりますので、すでに通達を出しましたが、さらに本日通達を出しまして、輸入業者、大手水産会社、県連等の漁業団体、それからさらに一部の加工業者とか市場の卸売人等を対象にいたしまして、継続的に在庫調査を実施いたしますとともに、特に加工原材料につきましては、たとえば北海道に原料が偏在して、どちらかというと内地が不足している感じもございますので、地域的な需給調整等の手を打ってまいりたいと思っております。
  108. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうした角度から、社会経済と流通機構のあり方が問題になってくるわけです。流通機構の根本的な再検討、これはもちろんそうしたことになれば、漁港整備あるいは漁港機能施設の充実、そうしたこともさることながら、これまでの魚の流通の面において、これは遠洋漁業と切り離すとか、あるいは沿岸・沖合い漁業独自の対策、そうしたものも行政機構の面のあり方としても、これは当然分離する形の中で、たとえばいまの価格維持、そして需要開発、仲買人がおったりあるいは大型の仲買人が介在する、そういう面で水揚げの場所、これによって地域開発あるいは地元における衰退あるいは振興、こういうものが関連が出てくるのです。このことについて、実は私は先般地元の枕崎漁港等でいろいろお話を聞きました。ところが、枕崎は日本のほとんど六〇%近いカツオの母港基地として、またあるいはそれによって加工をしていくわけでありますが、どうもカツオの値段が最近ものすごく暴騰してしまった。上がることを楽しみにしていたのだけれども、今度は水産加工業者にしてみれば、買うにも手が出ない。資金もない。そしてまた、加工していくかつおぶしなどは最近パックに変わった。だからこうしたことで、どうしたものだろうかと、具体的な例ですけれども大変心配をしているわけです。そういう面の流通機構、そして価格、需給、これは全国的な国内漁業戦争などという形の中で、大手が当然力を持っているわけですから、そうした面で、中小零細企業のほとんど家内工業によって行われている加工業者等はつぶれてしまうのじゃないか、その不安が出ています。これは北海道の例でもそうでありますが、当然それに関連をする輸送あるいは市場関係あるいはそれを取り巻くいろいろな業界は、大変な先行き不安を持っているわけであります。そうしたことについてどういう対策をお立てになるのか。これは重要で、かつまた当然われわれが考えていかなければならない問題なんですが、そのことについてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  109. 森実孝郎

    森実説明員 こういった問題は、私ども三つの点から考えていかなければならないだろうと思っております。  一つは、物流機能の整備充実という点だろうと思っております。その意味におきまして、漁港の整備に当たりましても、最近は機能施設整備を重視すると同時に、各主要水揚げ港に流通加工センターの整備助成面あるいは制度金融の面で積極的に進めております。こういう問題が一つあるだろうと思います。  それから二番目は、まさに先生指摘のように、産地市場が繁栄するかどうかの重要なポイントは、やはり産地仲買人の力だということは事実だろうと思います。たとえば、先生指摘のようなカツオ、マグロ、特にマグロ等で非常に焼津に集中するというのは、やはり焼津の伝統的な仲買人がかなり力を持っておる、しかもその中で相当の統合が行われたということが顕著な実績としてあるわけでございます。その意味で、産地市場の仲買いの経営の協業化の問題とか統合の問題については、制度金融の面その他でできるだけ引っ張っていきたいと思っております。  三番目は、その市場の加工業の形態がやはり問題になるだろうと思います。カツオは、実は最近非常に加工形態が大きく変わりつつございます。一つは、カツオのかん詰め、油づけ等が相当重視されてきております。国内市場でも相当消費が出てきております。それからもう一つは、かつお節等についても、いままでのようなかつおぶしではなくて、削りぶしのパックというものが非常にウエートを持ってくる、あるいは出しのもと等が非常にウエートを持ってくるという点がございます。それからその他のスナック食品の問題もございます。それからカツオを原料にした冷凍食品等が相当ウエートを持ってきております。やはり新しい商品、生活形態に対応した加工業の育成ということについては、今後とも地域実情に応じて十分私どもも御相談に乗り、それに応じて制度金融や補助を考えてまいりたいと思っております。
  110. 新盛辰雄

    ○新盛委員 これからは、漁業の安定あるいは経営の不安のないようにしていくためにも、加工業者を含めてでありますが、何としても漁業後継者ということについて考えなければならない。一方では失業が増大をしている。これは文部省の方来ていらっしゃるかどうかわかりませんが、漁業後継者の育成対策について、ただおざなりに考えているのじゃないか。Uターン組をただ安易に使うとか、また首を切るとか、あるいは解雇のやむなきに至る、失業保険だというようになってしまっているきらいがあるわけです。現に水産学校を出ても仕事がない。いままで漁業日本、水産日本としての位置づけの中で、そういう面の教育が非常に拡充していた。しかし、現実はもう乗る船がない。しかも失業者が増大をしている。こういう関係において、いわゆる専門教育の機構を持っている水産学校なり、あるいは漁業地域での中学の教育のあり方、あるいは水産教育の科目設定等いろいろありましょうが、これらについて航海技術その他の充実を図る漁民教育、そうした問題もありますけれども、これからの世代を背負って立つ若手後継者、いわゆる二百海里時代に新しい角度からの人の供給がこれからどうなっていくのだろうか、われわれが地域で聞くのでは、いつも何かいい仕事がないかという、陸に上がったかっぱのように、水を得なければ活力が出ないという人たちがいるわけです。こうした教育行政の面においても一面考えなければならないことなんですが、これから先の雇用の問題も、先ほどお答えいただきましたけれども考えなければならない問題だと思うのですが、どうでしょうか。
  111. 久保庭信一

    ○久保庭説明員 御説明申し上げます。  文部省におきましては、小・中・高等学校を通じまして、わが国が海洋に囲まれておりますことから、海洋、海洋資源等について国民の基礎教育としてこれを十分教育をするという観点から、社会科における地理また経済等の問題の中で、また生物ということからは理科の中で基礎的な問題について教育を行っておるところでございます。特に中学校につきましては、生徒の進路への関心、また能力、適性等が分化するということから、選択教科の中に水産という教科を設けて教育を行う体制をとっておるわけでございます。しかしながら、これにつきましては、そのような選択教科を置くことはやはりそれぞれの学校での努力にかかわるところでございますが、それには地域社会等との関連もございまして、全国で現在行われておりますのは、北海道を初め高知、福岡等数校にとどまっておるわけでございます。しかしながら、この教育は、中学校三年間を通じまして時間数としては選択教科の時間の中で行われることでございまして、将来への職業の選択等についての興味、関心を育てるというような趣旨の科目でございまして、文部省としては、将来の職業教育ということからは高等学校での専門教育、これが国民の基礎教育、専門教育として考えておるところでございます。  高等学校での水産教育を行っております学校は、全国で約五十校ほどございます。その生徒数は一万九千程度でございます。その卒業生が年々六千人程度出てくるわけでございますが、必ずしもこれがすべて水産業に就職できない状態でございまして、水産業に直接就職できる者の数が非常に少ないということから、高等学校での水産学科を希望する生徒の数が年々減少しておるところでございまして、水産高校を設置しております県におきましては、それぞれ努力を重ねておるところでございますけれども定員を満たすのになかなか苦労をしておるという学校等もあるわけでございます。  文部省といたしましては、教育内容についての改善または施設設備助成等を行いまして、できる限り高等学校教育として充実したものとなりますよう努力しておるところでございます。
  112. 新盛辰雄

    ○新盛委員 後継者養成の面で文部省からのお答えもございましたけれども、確かに今日のような現状でございますから、当然そういう問題は出てくるでしょうけれども、これはとにかく職場を与えなければしょうがないですね。だから、職場を与えるためには漁場の確保の問題もありましょうし、これから海洋日本はどうなるのだろうか、こうした心配も出てくるわけで、何にしても雇用対策について、専門学校を出てもそれが現実仕事につくことはできないという事情をただそのまま放置していいのか、これは県があるいは地方自治体がという話じゃないのです、これは国策としてでも考えなければならない問題じゃないかというふうに思います。これからの大きな課題になってくると思いますので、より積極的な御検討をお願いをしたいと思います。  総括的に企業的な沖合い漁業の振興あるいは開発、そうした面での共同漁業権の問題やあるいは沖合いの水域の拡大あるいは近海カツオ・マグロあるいは遠洋カツオ・マグロ、こうしたいわば高度回遊魚としての位置づけも、二百海里時代、この次の海洋法会議等ではどういうふうになるかわかりません。先行き不安です。だからいまのような、ミクロネシアでとっているからいいといっても、これはアメリカの信託統治の国ですから、現実、向こうの議会ではもう二百海里というのは言っているわけですから、もう近時、これもまた制限を受ける。あるいはまた、マレーシアその他近海の漁場開発においてもこれはより積極的な研究開発をする必要がある。これがいまからの課題ではないか。いままでは魚のことは余り物を言う人がいなかったし、どうも水産庁というのは影が薄いのではないかということもあったのですが、最近の海洋二法でもって、もう魚が新聞に載らない日はないのですから、日本の動物たん白源の四〇%を占めているという現実から、ぜひともそうした積極的な対策をお立ていただきたいと思うのです。  最後の段階で、水産加工業の振興と新規加工品の開発行政について具体的な例を示しながらぜひひとつ積極的な姿勢をお示しいただきたいと思います。  こうしてスケソウダラ等が減少してくるだろう。これはすり身にしたりあるいはかまぼことかいろいろなものをつくるのに、いま全国のそうした加工業者にスケソウが行き渡っていたのですが、これが減少する。サバとかアジとかイワシとか、そういういままで見向きもしなかったものが、いろいろ宣伝、PR等によってだんだん国民も、その方が昔に返っていいんじゃないかという話になっているのですが、この際、私は特に枕崎、山川方面におけるカツオを主体にしている加工業者、かつおぶしの製造が最近はきわめて減少しているという。これは現実、たたきにしたり、なまりにしたり、すり身にしたりあるいは鮮魚活用ということで国の方でもいま一生懸命に宣伝されているものですから。家内労働でもって一企業十人ぐらいの人で働いてつくっているのです。その工程はきわめて複雑で時間がかかって大変であるわけですが、そうした企業がもう軒並みにつぶれかかっている。もちろんいま全国的に大手も入ってやっていると言われる、パックにして市場に出されているものですから、そういう面に向かっていくであろうという予想をしておられる。いま南の方でもそういう工場は年商五億を超えるのが三社ぐらいだと言われております。しかし三億から二億、あるいはそれ以下の企業は全部つぶれてしまうのではないか、どういうふうになるのだろうかという不安を持っているわけです。  仮に枕崎の例をとりますと、従業員十人未満の工場が七三・五%を占めている。それでこれはかつおぶしあるいは練り製品、一部塩辛業者、これは専業的な加工をやっているところもありますけれども、ほとんどが家族労働を中心とした零細企業なんです。そうした企業は、最近たたきだとかなまりが焼津あるいは気仙沼あるいは東京の築地の方に直接水揚げされていく、そのことによって、地場企業は衰退をする、全国有数なカツオの港である枕崎などはもう死活の問題になっているのです。  それから、一本釣りのカツオ船が出ますけれども現実は陸揚げをする場合に、先ほど申し上げましたように去年まではキロ二百七十円程度のものがいま三百八十円だというので、加工業者は買うにも買えない。だから魚を加工するにも大変な金が要る。その点について助成をしてほしいという強い要望も出されています。そうした面で、四十年の段階では二十六万六千五十五トンあったのですが、十年たって五十年では確かに七十九万八百十トン、三倍にふえている。その努力がいままで蓄積されてそれだけ消化されていたんですが、今後またがたっと四十年代以降のように下がってくればそれだけ企業はつぶれてしまうということになります。そうしたことに対してどのような手だてをすべきであるか。これはもう現地の皆さんが大変心配していることであります。  ちなみにこのカツオの水揚げは五十年度で全国で二十七万四千トンあったのですけれども、その中で鹿児島県が占めるのは四万九千トン。当時はキロ当たり二百円だった。依然として本県の主要漁獲高という面で第一位を占めているのはカツオなんですが、そうした極端な水揚げの減少、魚価が低迷をしている、漁船の経営は思わしくない、こういう実態であります。現実は一航海当たり五十一年の一月から五月までの間の調査によりますと、百十五トン、キロ当たり二百二十七円。総額で二千六百十五万六千円。このことは、いま二百九十九トン、まあ三百トンぐらいの船で一航海するに当たって、これは五十一年八月の調査なんですが、えさ代とか飼料、塩代、燃料費、食糧費、消耗品、諸雑費、人件費、保険料、管理費、支払い利息、償却費、修繕費、手数料などの諸経費が要る。その中でえさ代あるいは燃料費、人件費、償却費、これが大半を占めています。一航海やるのに二千百二十四万円かかる。ところが売り上げの方は、これは五十一年の一月から五月までの調査で二千六百十五万六千円でしたけれども現実はその半分の千四百万から千五百万くらいで、当然赤字が出るわけであります。漁獲の面の水揚げでもそうしたことが起こってくるし、水揚げされる場所によって加工業者は大変な痛手をこうむっている。焼津の方から魚をわざわざ陸送してカツオを持ってくるということが起こっている。この現状を打開しなければいけないのじゃないか。聞くところによると約八千トンくらいのカツオがアメリカの方に行ってしまったという話がありました。これはお聞きになっていると思います。スターキストというのですか、これはどの業者だったかわかりませんが、なぜそんなことをしなければいけないのか。国内需要を高めていくことが大切なのに今日こういう現状をどうしていくのか。パックだとかあるいはたたきだとかあるいはまたなまりだとか、そういうふうに変化しつつある、もうかつをぶしを削って食べる時代じゃないんだというふうに言っているわけですけれども、これは死活の問題です。その辺のことについて水産庁として地域行政指導の面から見てどうお考えになっているか、最後にひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  113. 森実孝郎

    森実説明員 枕崎地区、山川地区等のカツオ船あるいは関係加工業者の話は、私どももいろいろ問題があることを伺っております。  一つはまずカツオ船の問題でございますが、先ほど申し上げましたようにわが国の周辺に来遊します二年魚のカツオがことしは水温の関係で非常に少ないという問題が四月以降の一つの大きな問題になっております反面、逆に四月からは魚価はかなり上がりまして、漁業経営の収益自体は価格の面ではかなりカバーされている面が出てきていることは事実だろうと思います。しかしことしはマグロ船と違ってカツオ船の経営の問題が漁業経営としては一つの大きな課題と思っておりますので、先ほど申し上げましたように経営維持安定資金等による負債整理等についてもことしはカツオの問題は特に十分重視してまいりたいと思っております。  それから加工の問題でございます。御指摘のように実はカツオの加工品の需要は新しい商品形態の開拓で最近非常に強くなってきております。一つは油づけのかん詰めの問題、もう一つは停滞していたかつをぶしが削りぶしのパックの普及で再び消費がふえ出したという問題、それからスナック商品の増大、さらに先ほど申し上げたような冷凍食品の増大等で需要は全体として堅調でございます。それ以外に、御存じのようにアメリカがイルカの混獲を禁止しまして、アメリカでのキハダやカツオの漁獲が非常に規制されたために、アメリカからもカツオの引き合いがかなりの高い価格で行われてきていることは事実でございます。新しい時期に入ったということは事実だろうと思います。その意味でこれら地区における加工業者の協業化の問題とか統合の問題、新しい加工形態への転換の問題、それに必要な共同施設整備の問題幸いにあの地区には四十八年の流通加工センターの事業でかなり大型の冷蔵庫をもう整備しておりますので、そういった面の活用も図りながら、県庁とも十分相談して業界の指導に当たり、相談に乗ってまいりたいと思っております。
  114. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、島田琢郎君。
  115. 島田琢郎

    ○島田委員 砂糖に関してお尋ねをいたします。  まず私は四月の十三日に質問をいたしました点の確認をしてまいりたいと思うのですが、一つは豪州糖についてであります。当時私は日本の砂糖をめぐる情勢の厳しさ、またその環境の中から大変社会的な問題が深刻に起こっているということを指摘をいたしました。この際、豪州糖について、国内産砂糖の現況に心配されるような波紋を起こしているので、これは政府の責任において豪州糖の長契という問題について再考をしてはいかがか。あるいはこれは外交上の問題にもなりまするから大変だろうけれども、政府はひとつ本腰を入れてこの問題解決に当たっていただきたい、こういう趣旨の質問をしたのであります。当時杉山局長が中心になって答弁がございました。私は非常に今日までそのことに期待をいたしてまいりました。まだ十分に煮詰まっているという段階ではないかもしれません、あれからまだそんなに時間がたっておりませんから。中間的な報告で結構でございますが、きょうは若干その後の経過について御報告をいただきたいと思います。
  116. 杉山克己

    ○杉山政府委員 日豪砂糖長契の契約内容改定交渉につきましては、本年の二月初めに豪州側から担当者、これはCSR社という会社の砂糖部長のローリーという方でありますが、この方が来日されて、日本側の精糖業界との間で種々話し合いが行われたところでございます。大変精力的に当方の、日本側の事情を聞いてもらったわけでございまして、その結果、去る四月二十七日にそれら調査の結果を前提にいたしまして、豪州側として契約改定案、当初の契約をこういう形で改定してはどうかという提案をしてまいりました。その豪州側の提案内容は、価格それから数量、契約期間、またこの改定に伴って政府に要望する事項、日本側への借款要望その他多岐にわたって示しておるわけでございます。  その内容は、個別、具体的には当事者間での極秘事項ということにされておりますのと、まだ当初の提示でございまして、今後折衝をする必要もあることから、詳細は申し上げかねますが、一般的にきわめて厳しい内容のもの、その点では日本側の関係者の期待を裏切るような大きな隔たりがあるものとなっております。このため、業界といたしましては、交渉開始後三カ月を経てなおかっこのような距離があるということについては大変不満を持っておりまして、とりあえず五月六日に、業界全体の意見として、この提案は受け入れられないという旨の回答を行ったところでございます。双方の主張には大きな隔たりがありますので、今後の交渉はかなり困難も大きく、時間もかかるのではないかというふうに見ております。
  117. 島田琢郎

    ○島田委員 おおよそ理解をいたしました。  そこで、私は前回の質問のときにも、これは民間の問題だとしておくのではなくて、やはり二国間における外交上の問題としてとらえるべきではないか、こういう指摘をいたしたわけでございます。政務次官からその考え方に対して政府側の意見、考え方が述べられたわけでありますが、私は今日的に見ても一層その感を深くいたしております。したがって、いま杉山局長答弁で、私は現段階における現状を理解をいたしますが、しかし、どうか政府は、この問題は大変なことでありますだけに、本腰を入れてひとつ取り組んでいただきたい、そういう意味で政府としてはどの程度までこの問題に介入をされてきましたか、また今後政府がこれにどのくらい力を入れてお考えになっているか、つまりどういうタッチの仕方をしていこうとお考えなのか、これも外交上の問題ですから、大変機微に触れる面があるとすれば、その点まで私ははっきりさせろとは申し上げようとは考えておりません。お答えいただける範囲において明確にしていただきたい。
  118. 羽田孜

    ○羽田政府委員 前回の委員会でも先生からそのような御指摘がございました。そのときにも申し上げましたように、基本的にはこれは契約当事者の間で解決される問題でございますけれども、しかし実際に巨額の欠損を抱える精製糖業界の現状、また業界の協調を維持する必要性などからも、これを私ども積極的に支援をしていかなければならぬというふうに考えております。  なお、日豪閣僚委員会などの場を通じて豪州側の協力を今日まで私どもとしては要請してきたところでございます。ただ今回の豪州側の提案は、当事者間の折衝状況あるいは日豪閣僚委員会におきますところの豪州側の発言等から考えまして納得しがたいものでございます。政府といたしましても、今後とも当事者間の交渉を積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。
  119. 島田琢郎

    ○島田委員 それでは次に移ります。  次は、てん菜と沖繩のサトウキビをめぐります問題について、主として生産段階における若干の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  実は、これも先月の二十六日に、甘味資源審議会が開かれました。その審議会の意見書なるものが建議という形で大臣に出されてまいりましたのを、私は一部写しをいただいております。この甘味資源審議会の出されました意見を中心にして若干の質問をいたしたいと思います。  第一の点は、私は前回の本委員会における質問の中でも、甘味資源審議会というのは、数ある審議会の中で大変前向きの審議会である、こういう評価の仕方をいたしました。果たせるかな、今度出されてまいりました建議、三項目にわたりますが、これを見ますと、わずか一日の短い時間でありますけれども、相当真剣に議論がなされたということを容易にうかがい知れる建議の内容になっておるというのは、大変私は喜ばしいことだと思うのであります。問題は、いままでも幾度か私は指摘をいたしましたが、せっかく審議委員の皆さんが大変前向きに真剣に議論をし、そうしてその考え方をまとめて大臣に答申されても、受ける政府側の姿勢に非常に多くの問題を持っているのではないか、こういうふうなことを感じてまいりました。そこで私は、この答申、建議を踏まえて、今後政府がどういう具体的ないわゆる政策を、あるいは行政をお進めになるか、この点をどうしてもきょうはかなり詳細に聞いておかなければならないと実は思うわけなんです。  そこでこの建議の第一項の中にございますが、てん菜、サトウキビは畑作経営における基幹作物だ、その生産振興を図っていくというのはきわめて重要だ、それは六つの柱がある、こういう指摘でありまして、第一の点は土地基盤整備を推進していかなければならない、試験研究機関を充実せよ、またさらに機械化を推し進めていかなければならない、こういうふうに柱を三つ示してございます。いまさらという感はなきにしもあらずでありますけれども、しかしいまさらながらこういう指摘をしなければならないというほど、甘味作物に対する政府の対応が、まだ現場において生産をしている生産農民の立場からも評価を受けていないということの一つの裏返しではないかとさえ実は思うのであります。  さらにまた第四の柱として、てん菜については合理的な輪作体系を確立せよと言っております。五つ目は優良種苗の供給体制を整備強化せよ、これは大変厳しい指摘であると思うわけであります。最後の六つ目にはサトウキビでありますけれども、台風や災害が非常に恒常的に襲いかかってくる地帯で生産している地域の実態としてはまさに深刻な問題でありますが、災害の結果受けた被害の補償制度というのが非常に待たれる政策の大事な一つであります。このように六つの点が第一の建議事項の中に盛られているわけでございます。  私は、順序立てて一つずつ伺いたいのでありますが、「土地基盤整備の推進、」北海道のてん菜もそうでありますが、とりわけ沖繩のサトウキビの土地基盤整備というのが、これはずいぶん早いころからいろいろな具体的な要求も出されてまいりましたがなかなかこれが進んでいかない。たとえばわが党は早くからサトウキビの基盤整備というのはこれは大変重要な、急がれる施策の一つである、そのために休耕補償というもう一つの柱をきっちりと打ち立ててやらないといけないということが当面起こってくるが、この点についてはどうなのか、こういういわゆる指摘をしてまいったのでありますが、なかなかこれが進んでいきません。時間が限られていますから簡単にで結構でありますが、これは所管は畑作振興課、つまり農蚕園芸局の仕事だと思うのでありますが、ひとつ考え方をお示し願いたいと思います。  それから、ついでにそれぞれ所管の方々に関連のあるところでありますからお尋ねをしてまいりますが、「試験研究の充実、」ということがございます。私は三年ほど前になりますが沖繩に参りまして、沖繩のサトウキビの試験研究の実態を見てまいりました。研究員の皆さん方は大変真摯な姿勢で、あの酷暑と闘いながら、しかも恵まれない地域において、子供の教育もままならぬというふうな状態を克服しながらサトウキビの試験研究に全情熱を傾けているという姿を見て非常に感銘を受けてきた一人であります。また北海道においては、民間に委託をされておりましたてん菜の試験研究機関を国立に移管をいたしましたのも、私が国会へ出てきてからの仕事一つでありまして、いまさら「試験研究の充実、」というようなことが建議されるというのには私はそれなりの理由が一つあると思うのであります。こういう点について、ひとつ原局考え方を明確にしていただきたいと思うのです。  それから三つ目は「機械化の推進」ということでありますが、これは今日的な課題で言えば機械化というのは大変重要にしてなかなかこれでいいというふうな解決点を見出すことはむずかしいわけでありますが、北海道のてん菜にしても掘り取りの機械、これらは輪作体系というようなものを推進し、それを促進していけばいくほど、機械というものはさらに一層改良が加えられていかなければならないというような期待が生産者段階から上がってくるわけであります。そしてまた、南の沖繩のサトウキビを見ますれば、サトウキビの対策の中で、実はいただいた資料を見てまいりましたら、サトウキビの、沖繩の問題になりますが、——沖繩ばかりではありません、サトウキビ全体の問題になりますが、実は集中脱葉実験事業というのと収穫合理化緊急対策事業というのがございます。ところが、これは五十年の予算で収穫合理化緊急対策事業は打ち切られて、その後五十一年、ことしの予算でも要求がされていないわけです。つまり、事業を打ち切ったということになるわけです。それから集中脱葉実験事業にいたしましても昨年で打ち切りで、ことしは予算の要求をしていないということになるわけです。「機械化の推進」というようなことが実は審議会でも問題になって建議の内容にも一項起こして盛られているというようなことは、まさにこういう点についての現地の期待を裏切っているではないかということの証拠とも受け取れるような建議の内容になっているわけでありますが、私は二、三の例をこうやって挙げてみたわけでありますが、これらについても、もっと現地に根差した「機械化の推進」というようなことがやられていかなければならぬのではないか、私はこんなふうに考えますので、このことについても原局の今後の考え方がぜひ伺いたいのであります。  さらにまた、これは農蚕園芸局、特に畑作振興課が全情熱を傾けててん菜の合理的な経営を推進するための「輪作体系の確立」というようなことを言いました。これはことしから芽を吹きました。大変御苦労でありましたし、私は、これは大きな成果だというふうに原局の御努力に敬意を表しましたし、いまも敬意を表しているわけであります。ぜひこれを本当の意味で確立をしていただくということが必要だと思います。これは伊藤課長やあるいは係の皆さん方にも具体的には幾度かお話しをいたしましたから、この点については整理をされて今後私どもが期待しているような「輪作体系の確立」ができ上がるものと思いますけれども、改めて公式の場でひとつこの点についてのお考えもお示しを願いたい、こう思うのであります。  それから「優良種苗」、これも同じ課ですから一緒にお答えいただきますが、「優良種苗の供給体制」というのは、特に「さとうきびについて」と前置きがされております。これは先ほど私が申し上げました沖繩のサトウキビの試験研究所において大変真剣にこの問題にも努力を重ねられて、一般生産者のところでは六トン程度しか取れないサトウキビも、試験圃場では十トンないし十二トンという驚異的ないわゆる反収を上げているというようなことを目のあたりにしてまいりましたが、この種苗の研究開発についてはかなり進んでいるものと私は受けとめてまいりましたが、それが一般化していかないというのは大変残念なことであります。一体これはどこにネックがあるのでしょうか、その点をお聞きしておきたいと思います。  最後の「補償制度」は、経済局長がお見えでございますから、これはまた後ほど別にしてお尋ねをいたしますので、いまの五つの問題について関係の農蚕園芸局からお答えをいただきたいと思います。
  120. 小島和義

    ○小島説明員 お答えをいたします。  まず基盤整備の問題でございますが、これは私ども直接担当いたしておるわけではございませんが、特にその特定の作物ということではなしに、北海道並びに南西諸島の一般的な土地条件の整備につきましては、従来から特別な補助率の適用などをいたしまして、畑作関係の基盤整備の充実に努めてきておるわけでございまして、今後ともその点は引き続き充実を図ってまいる所存でございます。また、特に北海道におきまして合理的な輪作を推進するためには、通常の基盤整備事業のほかにやや軽度のと申しますか、私どもの言葉で申しますと営農的な土地基盤の整備ということで心土破砕でありますとか、浅層排水でありますとかあるいは土壌改良、こういった事業を組み合わせました新しい事業を行っておりますし、また酪農地帯におきますところの牧草更新時におけるてん菜の導入というふうなことも組み合わせまして、畑作全般の振興の中心作物としててん菜を据えまして、今後とも推し進めてまいるつもりでございます。  試験研究の問題につきましては後ほど技術会議の方からお答え申し上げます。  それから機械化の問題でございますが、御指摘のようにてん菜におきましてもサトウキビにおきましても、特に収穫段階の機械化というのが非常に大きな作業の改善になるものと思っております。近年てん菜につきましてもだんだん優秀な機械が開発されてまいっておりまして、機械による収穫の比率というのも年々高まってきておるわけでございますが、またさらに今後とも優秀な機械が開発され、さらには導入されるように努めてまいることにいたしております。世界的にはサトウキビの機械化ということはもう確立していることでございますが、日本の場合には、サトウキビの圃場の単位が非常に小さい、耕作のやり方が世界の国々とも変わっておることもございまして、諸外国で使われておりますような収穫機械というのはなかなか適用ができないという事情がございます。かつて国も金を出しまして国の機械化研究所に委託をいたしまして、日本向きの小型の収穫機械というのを開発いたしまして、ほぼ実用の域に達していると私どもは思っておるわけでございますが、これまで現地でいろいろな小型の機械を入れてまいりました段階の感想といたしましては、どうもこれが現地になかなか根をおろしていないというふうなうらみがあるわけでございます。もちろん機械自身の改良の余地というのも大きかろうと存じますけれども、そのほかに使う方の機械に対する習熟というふうな問題もございますので、予算の面におきましても機械化研修というふうなことも力を入れてやっておるわけでございます。  それから、お尋ねございました機械化の研究対策は、そういう名前の予算としてはすでに五十年度をもってなくなっておりますが、今日ではサトウキビ生産改善推進事業というふうな約四億円ばかりの事業がございますが、その一環といたしまして収穫用の機械の導入も図るということになっておりますので、発展的に解消したものというふうに御理解いただければ幸いでございます。  それから、サトウキビの集中脱葉実験事業と申しますのは、圃場段階で各農家が収穫をし、脱葉するというふうな事業が非常に手間のかかる仕事でございますので、むしろ一カ所に集めて脱葉をしてみたらどうかということで、鹿児島県一カ所、沖繩県一カ所ということで、いわば実験的にやったものでございます。現在まだその事業の成果というものについて簡単に評価を下すというところまではいきませんが、そういう意味で、当初から二カ所ということで行ったものでございますので、予算といたしましては五十一年度限りでおしまいになっている、こういう事情でございます。  それから、お話のございました北海道畑作の輪作の推進という問題については、御激励のお言葉をちょうだいいたしましたが、私どもといたしましても、今後の北海道畑作を健全に発展させるためには、何とかしてりっぱな輪作が定着するということが主眼であると思いますので、もちろんてん菜が基幹作物であるということは当然でございますが、そのほかのパターンのものを含めましていかなる輪作をやらせていくかという問題が今後の大きな検討課題であるというふうに考えておりまして、五十二年度以降におきましてもそういう面の対策考えていく所存でございます。  それから種苗の問題、特にサトウキビについてのお話でございますが、サトウキビは御承知のような多年生の作物でございますものですから、長年株出し更新ということをやってまいりますと、病原菌による汚染という問題もございますし、退化するという問題もございますので、優良な健苗を供給するために鹿児島県の種子島に原原種農場を設置しておるということは御承知のとおりでございます。沖繩につきましても、これをもとにいたしまして、試験場段階で原種の増植をやらせまして、できるだけ新しい苗にかえていくというふうなことを日本に復帰いたしまして以来続けておるわけでございまして、なお沖繩にもそういう原原種の施設が必要ではないかというふうな意見もかねてございます。いろいろな事情がございまして今日まで実現を見ておりませんが、そういう施設ができなくても、沖繩における健苗の導入ということについては今後とも予算面で力を入れてまいるつもりでございますし、また引き続きそういう原原種農場の設置の可能性があるかどうかという問題についても検討する所存でございます。
  121. 島田琢郎

    ○島田委員 小島審議官お答えの中でも、もう少し私も反論したいところはありますけれども、まあ、ひとつ前向きに取り組むということでありますから、もう少しその成果を見守ってまいりたい、こう思いますが、特に輪作の問題について多少注文を申し上げておきたいと思いますのは、現地でやはりこれがスムーズに実行に移し得るような、そういう条件整備を図っていただきたい。これは伊藤課長にも具体的に実は申し上げました。その点についてはお答えを先般いただいておりますけれども単価などが移り変わってまいりますので、それに的確に対応してまいりませんと、現地ではそれならやめちゃう、こういうことになりかねません。そうすると、せっかく仏をつくっても魂が入っていないという結果になりかねませんので、その点をいま重ねてお尋ねをしたわけです。  そこで、農林経済局長がお見えでございますから……。  台風あるいは災害の常襲地域においては、どこでも同じなんでありますが、特にサトウキビは台風の被害を受けて倒れやすくて収穫作業に困難を来すというようなことが多いわけですが、それだけではなくて、最終的には収穫を放棄しなければならぬというような大きな被害を受ける場合もあるわけで、この補償制度の充実というのが大変急がれるわけです。そこで私どもは、ただいま実験中でありますけれども、畑作の共済制度を主張いたしまして、ようやく政府もこれに本腰を入れ始めているのは大変喜ぶべきことであります。私が再三ここで畑作共済制度を取り上げますと、五年間もの実験は長過ぎると言ってきましたが、そう言っているうちにようやくもうあと一年で実験が終わるということになりました。もうそろそろ最後の準備期間に入っているわけでありますから、相当の青写真と実験から本共済に移った場合の問題の整理なども進められているものと思います。しかし、きょうは余り時間をかけてこのお話をすることができませんので一言だけお尋ねをしておきますが、本共済に移していく段階でサトウキビに対してどういう問題点があるのでしょうか。また問題なくスムーズに本共済に移行できるというふうな条件整備ができ上がっているのでしょうか。これはサトウキビ生産農家にとっては大変重要な、いわゆる今後の営農上欠かすことのできない柱でありますから、この点明確にひとつお示しをいただきたいと思うのです。
  122. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 畑作共済の試験実施から本格実施への移行でございますが、私たちとしましては、五十二年度におきましては、従来三カ年で行ってきました試験実施の成果を取りまとめまして、本格実施の制度検討をいたしたいと思っております。そういたしまして、五十三年度に法案を国会に提出をいたしまして、幸いにして法律が通過をいたしましたならば、五十四年度から本格の実施に入るというスケジュールを持っております。どのように急ぎましてもこのスケジュールで恐らく手いっぱいでございまして、本格実施に入るのは昭和五十四年になるものと思っております。現在の試験実施を踏まえまして今後本格実施制度検討をいたすわけでございますが、その品目としましては、てん菜ももちろん、それからサトウキビももちろん含めて検討をいたします。現段階におきまして、特にサトウキビがこういうわけ合いで制度になじまないとかいう、そういう問題はございませんので、てん菜、サトウキビあるいはバレイショと並びまして、十分この点を検討してまいりたいと考えております。
  123. 島田琢郎

    ○島田委員 五十四年——まだ二年あるわけですか。もう来年あたりから本格実施に移れるのだと思っていたのですが、これはまた機会を改めてもう少し畑作共済制度について議論をしてみたいと考えておりますので、きょうはせっかくおいでいただきましたが、それで質問を終わらせていただきます。  さて、建議の二項目でありますが、これは杉山局長、この間私はてん菜のことについて触れました。きょうは沖繩の砂糖についてひとつお話をしたいと思うのです。  その第一の点は、沖繩のサトウキビの収穫も終わり、砂糖の生産も終わりました。余り喜ばしい結果ではありませんでしたが、しかしわれわれ農家にとっては一つの区切りがついて、収穫が終わって砂糖になってということに、やれやれほっといたしているわけであります。しかし、まだ問題がそれで完全に解決したわけではございませんで、沖繩の場合は再販価格問題というのが残されているもう一つの最後の大事な問題でございます。  政府は、買い入れ価格についてはすでに昨年決めて、沖繩には二本立ての砂糖の買い入れ価格があるわけでありますし、またそれに基づいて売り戻し価格も、五月の上期だけでありますが、大体決まっているようでございます。問題は精製糖メーカーに対する再販価格、これが非常にこれからの大きな問題なのでありますが、現段階においてはこの実態がどういうふうになっているのか、あるいは再販問題はいつごろ最終決着を見ることになるのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  124. 杉山克己

    ○杉山政府委員 甘蔗糖の取引は本来精製糖業者と甘蔗糖メーカーとの間における当事者間のコマーシャルベースで行われる性格のものでございます。したがって自主的な話し合いで解決されるべきものというふうに考えておりますが、ただ、この問題につきましては、昨年、これはまあ製品の砂糖価格がきわめて低位で低迷しておったというようなこともありまして、一般に製糖業界、きわめて不振であったというようなことも手伝って当事者間での話し合いが難航いたした経緯がございます。そういうようなことから、本年の甘蔗糖の円滑な取引を行うためには、甘蔗糖の操業開始前にあらかじめ話し合いを進めておく必要があるんじゃないかということで、私どもそのように指導したわけでございます。  そこで両者間で、具体的な金額が幾らというようなことではございませんが、取引の基本ルールについてすでに合意を見ております。今年の甘蔗糖の取引につきましては、現在までのところ仮価格で引き取りが行われております。数量的にはおおむね順調に進められておるというふうに聞いておりますが、今後ともその合意事項に従って円滑な引き取りが行われるよう指導してまいりたいと考えております。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、行政指導は現段階は必要はないという状態で順調に進んでいるのだと……。
  126. 杉山克己

    ○杉山政府委員 基本的なルール、合意事項を決めるに当たりまして指導を行ったわけでございます。この合意事項につきましては、いま話し合いを進めておりますが、特別にそれに反するとか、それがぐあいが悪いというような話はまだ聞いておりません。したがいまして、私どもその合意に基づいて当然話し合いが結了するものというふうに思っております。ただ、金の問題に直接結びつく話でございますから、これから先話し合いを進めてどう展開するかということは全く問題なしとはしないかと思います。問題が起こってきた段階で私どもは両者の言い分も聞いて合意事項の基本線に沿って指導してまいるという考え方でおるわけでございます。
  127. 島田琢郎

    ○島田委員 先ほどおっしゃった仮価格というのはどれぐらいですか。
  128. 杉山克己

    ○杉山政府委員 これは時期により、それからメーカーにより若干の差はございます。一般の市価に比べますと——これは市価がこの期間動くからということに当然なるわけでございますが、あるケースでは、一貫して一月から四月まではキログラム当たり十五円低い。それからあるケースでは、時期によって八円、一円、六円、十六円、二十一円、この程度下回っているというようなケースが出ておりまして、いずれにいたしましても、いままでの仮価格は市価を若干下回っているという状況にございます。市価見合いでこれからいろいろその金額について最終的な調整の話し合いが行われるということになっておるわけでございます。
  129. 島田琢郎

    ○島田委員 それが国内産糖業メーカーにも経営の上に大変大きく影響してまいります。それがまた生産者にも影響をしてくるという、そういう相関関係を持つものでありますから、私が言っている行政指導というのは、やはり市価見合いで十分採算のとれる販売、いわゆる再販ができるようなそういう強い行政指導を望みたい、こういう趣旨で質問をしたのであります。どうか私の趣旨を十分生かして今後の行政指導に当たっていただきたい、これは希望として申し上げておきます。  それから次に、沖繩産糖につきましては、生産奨励金というのがこれは行政上義務を負わなければならぬということになっていますが、原糖メーカーに大分立てかえをさせているわけでありますが、この支払いといいますか立てかえ分をいつ最終的には解消されるお考えですか。
  130. 杉山克己

    ○杉山政府委員 五十一年産サトウキビの奨励金につきましては、トン当たり三千七百九十円を払うということになっておるわけでございます。そのうち九百円は買い入れ価格に織り込むということにいたしまして、残りの二千八百九十円は国と企業が責任を持つ。そして企業が最終的に負担できない部分については、国としてこれを適切に措置してまいりたいというふうに考えております。  いっその措置ができるかというお尋ねでございますが、私どもまだ、事業団の売買が行われておって完了しておりませんので、これらの事務的なデータの出そろうのを待ちまして、整理した上で、できる限り早急に措置をとるというふうに考えております。それらのデータがそろわないと、正直のところ大蔵省と話を進めるというわけにもまいりませんので、できるだけ急ぐということにしておりますが、昨年の場合は、六月末に支払いを完了いたしております。
  131. 島田琢郎

    ○島田委員 それは利子はどうするのですか。利子は持つのでしょうね。
  132. 杉山克己

    ○杉山政府委員 全体的な業者の負担、収支を目て、その中で利子の分も織り込むというようなことでの配慮になるかと思います。  利子を直接幾ら見るというようなことではなくて、そういう収支全体に配慮しての決め方をするということになると考えております。
  133. 島田琢郎

    ○島田委員 次に、実は含みつ糖についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、最近私は、沖繩の状態調査いたしましたら、この含みつ糖というのはなかなか複雑にして怪奇ですね。含みつ糖市場というのが構成されておりますその要素は、一つは沖繩の黒糖、つまり含みつ糖でありますが、もう一つは台湾赤糖、いわゆる俗称ホーシャンと言われているものがあります。それから人玉糖。この三つが競合し合って、これはなかなか複雑なんですが、その全体の生産量というのは二万五千トンに及びますが、台湾のホーシャンというのがそのうち一万トンを占めるという。そのシェアは、商品別に分けますと、黒糖で三五%、ホーシャンが二七%、人玉が三八%というふうになっていて、台湾からの砂糖攻勢というのは容易ならぬものでありまして、沖繩の市場というものを大変大きく混乱をさせ、それがまた、ひいては国内における砂糖の市場を乱すというようなそういう側面も持っている。こういうふうに考えますと、これはこのまま放置していくというのが沖繩黒糖にとっては大変大きな脅威でありますし、特に砂糖の状態というのは、厳しさを加えれば加えるほど、これが販売面にも大きく影響をして困難を強いられるというような実態になっているようであります。この対策はいかがお考えでしょうか。
  134. 杉山克己

    ○杉山政府委員 国内の含みつ糖の生産量は一万トンを少し超える程度でございます。最近、含みつ糖の需要は大体三万トン程度あるということで、国内生産では不足する。その部分については台湾から含みつ糖、いわゆる台湾赤糖というものが輸入されておるわけでございます。その輸入量は需要に見合っただけのものが入ってきておるというふうに考えられるわけでございます。なお、沖繩県の離島における含みつ糖の生産につきましては、これは離島経済にとってきわめて重要な地位を持っているということから、原料サトウキビにかかわる農業所得の確保を図るという観点から、含みつ糖製造事業者の販売価格がコストより下回った場合、要するに赤字になった場合には、その分について補給をするという考え方のもとに政府が助成措置をとっているわけでございます。そういう助成措置をとっておるにかかわらず、なかなか国産のものが伸びないというのは大変残念でございますが、今後ともこういった助成措置、それから先ほど来申し上げておりますようなもろもろ生産対策、そういうことを通じて国内産の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、台湾赤糖の輸入につきましては、確かにおっしゃられるように過剰なものが入ってくると困る、国内生産を圧迫するような状況になっては困るという観点から、私どもも注意して見守っておりますが、現在台湾赤糖の輸入は五商社の手によって行われております。この五商社は、実は国内の含みつ糖をも取り扱っておるわけでございまして、需給バランスの見通し等につきましてはそれなりの必要に応じた判断をいたしておるものと思いますし、私どもとしても、その適正量の輸入が行われるよう今後さらに見守ってまいりたいというふうに考えております。
  135. 島田琢郎

    ○島田委員 私はちょっと数字的に間違ってお話をいたしましたから訂正をいたしますが、台湾赤糖は五千トンで、実は一万トンというのは再製糖であります人玉であります。この人玉を含めて一万五千トン、いま杉山局長お話ですともっと多く入ってきておるようで、二万トンも入ってきておるような実態であるようでありますが、いまの御説明で私は納得をいたしますが、十分ひとつ監視を続けていただいて、国内産優先というこの原則を貫いていただきたいし、七億六千万に及ぶ保護策というものを私は否定するものでありませんし、これだけのことをおやりになっているんだから、これは悪いとか何とかと批判をしているのでありませんが、それでもいま局長おっしゃるように、油断をするとよそから入ってくるやつで国内が乱されるということが起こりがちでありますので、監視を続けていただきたいと思うのです。  そこで、それはもうよそから入ってくるものばかり言ってもいけませんで、やはり国内でも少しは知恵を働かせなければいけない。そこで、私は現地からいろいろ提案を受けておりますのは、このまま黒糖で売っていくったってなかなかこれは大変だ、新製品の開拓がぜひ要るのではないか、こういう意見も受けております。私は門外漢で余りこの点について詳しくは知らぬのですけれども、しかし、それにしてもどういう新製品の開発があるんだろうかということをお聞きいたしましたところ、いわゆる黒糖を粉状にして粉状黒糖というものに切りかえるということが非常に大事ではないか、こういう話がありました。昨日は実は砂糖類課長と具体的に私はこの点についても話し合いをいたしました。なかなかこの点については微妙な課長の言い回しがございましたし、御苦労のほどが察せられました。したがって、余りこれも公式にいまどうこうということを申し上げれば、政府としてもこの対策に苦慮されるのでありましょうが、私は、これは政務次官にはよくおわかりだろうと思うから外郭だけ申し上げますと、こういう新製品を開発していくと言っても、それは日本全体のどこでもやるというわけじゃなくて、非常に厳しい条件を抱えた沖繩ということに限定されてまいりますと、当然沖繩での黒糖の新しい製品をつくっていくということになります。沖繩にはさらに五年間の特別の措置を延長をさせて、これらの保護育成を図っていくというようなことを最近国会として決めたばかりでありますが、やはりこういう新製品を開拓していくと、いろいろな制度やあるいは税金の対象になったりしてなかなかうまく前に進まないという問題に突き当たってまいります。たとえば、粉状黒糖にいたしますれば、糖度八六%以上は当然精製糖、白糖と一緒に十六円の消費税の対象にしなければならぬというような問題が出てくるわけであります。そうしますと、せっかく新製品を開発したとしても、税金の面でちっともやった意味がなくなるというようなこともありまして、私は、これは課長、何とかならぬのかときのうもいろいろ話をして、お互いに知恵を何とか働かせてみようじゃないかということになったのでありますが、なかなか税金の免除措置というのはむずかしい、こういう面もありますから、これは砂糖類課やあるいは農林政務次官の羽田さんに何とかうまいことやれよと言っただけで解決する問題ではございませんけれども、こういう問題点を抱え込みながらも、黒糖の販路を求めあるいは新製品を開発して、何とか地場産業を伸ばし育成していこうという現地の努力があるということを、ぜひこの機会に御認識をいただいておきたい。これに対して農林省としてもぜひ取り組んでもらいたい、検討願いたい、こう思いますので、政務次官から決意のほどをひとつ承って、それ以上のお話はもう時間も参りましたからきょうはやらないことにいたします。
  136. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいま御指摘のございました問題につきましては、ただいま沖繩県の方におきましても調査されておるとのことでございます。こういった調査を踏まえまして、私どもといたしましても、適切に措置をしてまいりたいとかように考えております。
  137. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで最後に一点だけお尋ねをいたしておきます。  これは通告にないことでございますが、御判断を持っているんだと思いますから。実は、糖業界における今日的な状況は大変深刻であるということを前にも申し上げました。その一環として政府は糖安法十三条の発動を行いまして、第二次の指示カルテルをただいま実施中であります。思うにこれは今月をもって第二次の指示カルテルの期限が終わるのでありますが、ようやくこの指示カルテルが功を奏したのか、若干の国内砂糖価格の持ち直しと維持がなされている。しかし、これもこの十三条発動を取りやめましたら、またぞろがっくりといってしまうという状態が生まれる危険性があると私は判断をしている。それがすべてではないかもしれません。しかし、これはいま業界にとって大変なことでございますが、この十三条の発動は五月をもって打ち切ってしまうお考えなのか、指示カルテルは今後どういうふうに作用、作動していくように計画をされているのか、この辺最後に一言だけお聞きをしておきたいと思います。
  138. 杉山克己

    ○杉山政府委員 御指摘のように、昨年十二月から引き続いて第二次の農林大臣の指示カルテルを行ったことにより、現在、糖価はまあまあの状況、比較的採算がどうにか償えるかというような状況で推移してまいっております。ただ、指示カルテルが五月末で期限切れになる、その後どうなるかということを考えますと、従来の状況からすればまた糖価は低落する危険性がきわめて高いのではないかというふうに懸念されるわけでございます。そこで六月以降も引き続いて指示カルテルを行うのかということでございますが、これは実は法律上、条件的にほとんど行うことはむずかしいのではないかというふうに考えられます。といいますのは、指示カルテルの要件といいますのは、安定下限価格を下回って市価が形成されている場合ということになっておりますが、現在は指示カルテルの効果もありまして、まさに安定下限価格を若干上回った価格水準で市価が形成されております。ですから、これから暴落するというようなことでもあれば格別、そうでない現在の価格程度状況で、あるいは若干下がるというようなことくらいで今後の状況が推移いたしますなら、指示カルテルを発動するということは法律的に困難であるというふうに考えます。  それでは、およそそういう価格についてあるいは需給についての調節は必要ないかと言えば、それはやはりほうっておけば過剰供給になって価格は著しく下落するだろうという危険がございます。私どもどういう形をとるかは別にして、今後とも需給調整、価格安定のための措置は必要であると考えております。業界ともいろいろ相談しながら対応策をいま検討いたしておるところでございます。
  139. 金子岩三

  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日ソ漁業交渉及び漁業問題、麦価、動物薬事行政について、農林省当局に質問してまいります。  まず最初に、日ソ漁業交渉でございますが、いよいよモスクワにおいてもその大詰めが来ております。本日もまたソ連側の要請で予定が一日ずれたようなことになっておるようでありますが、まず今回の日ソ漁業交渉、閣僚会談の内容についてでございますけれども、特に今回の交渉の最重要の問題でありますところの第一条、第二条について、現地ではかなり突っ込んだ話し合いが行われておるようでございます。その経過現状について、まず日本において、当該水産庁においてはどういうように受けとめておられるか、国民も重大な関心がある問題でございますので、その点から明快にお答えをいただき、なお引き続いて若干の問題を質問してまいりたいと思います。
  141. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のように、本日以降数日間がまさに交渉としては大きな山であろうと思っております。特に暫定取り決めの案文自体といたしましては、一条及び二条で日ソ、ソ日の協定水域をどう表現していくかが議論の中心であることは御指摘のとおりでございます。しかし、何分にもいま交渉中でございますし、いろいろな試案を出して議論が行われておる過程でございますので、具体的な内容に触れることはこの際差し控えさしていただきたいと存じます。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、日ソ漁業暫定協定の問題ですけれども、日ソ間は現在の日ソ漁業交渉の問題で交渉はできますけれども、今回七月から施行されますわが国における領海法、また二百海里水域法の両法案が国会を通過したわけでありますが、これが実施になりますと、結局ソ連側としてはソ日漁業協定というものを結ばなければならぬということになるであろうと思うのです。  われわれが伝え聞くところによりますと、イシコフ漁業相は、五月十日ごろに発言された内容によると、日ソ漁業暫定協定を優先する、こういうふうに言明をしたやに聞いておりますが、その辺について、日ソ漁業暫定協定が当然優先する問題である、かように思っておりますけれども、どういうふうにわが日本は理解しておられますか、その点も明らかにしてください。
  143. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のように、ソ連の二百海里の中でわが国漁業が操業します問題は、暫定取り決めの問題として交渉が進められているわけでございますが、同時にわが国の二百海里の中でソ連が七月一日以降操業する問題につきましては、これはいわばソ日の交渉というものが今後必要になるわけでございます。少なくともその協定水域等について大筋のラインを今回の交渉で決めていく、細部は当然双方の交渉上の準備もございますので日を改めて近いうちに行う、このようなことに展開をするのではないかと思っております。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日本領海内でソ連漁船の操業を重ねて要求をしてきたわけですけれども、これの真意はともかくとして、農相がこれを拒否したために再開交渉に困難が伴ったということで、いろいろ現地では苦慮されておることはわれわれ十分認識できるわけですけれども、この辺はソ連はかなり強硬に出てきておると思いますが、水産庁はこちらでどういうふうに受けとめておられますか。
  145. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  ソ連側はわが国の領海内操業について、特にイワシの漁獲を確保していきたいという視点から、交渉上かなり固執していることは事実でございます。しかし、それが決定的な問題になるかどうかは今後の交渉を待たなければならないと思いますが、われわれといたしましては、やはり領海内操業を認めないということは、これは世界の大勢であり、ソ連もわが国の漁業に対して領海内操業を認めておりません。そのような意味で、領海内操業については、この要求には応じない姿勢で今後とも交渉を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その件については後ほどまたいろいろ重ねてお伺いします。  そこで現地との連絡または報道等によりますと、今回の漁業交渉に当たりまして、北方四島の領有権をめぐって、これは二百海里並びに領海法の審議のときにもさんざんここで論議をしたことでございますが、われわれの予期したとおり領土問題が絡んできたことは事実であります。今回の対ソ交渉の経過の中で、北方四島の領有権に関して、日本側は未解決、ソ連側は解決、こういうような文言を両論併記で合意文書をつくるというようなことも取りざたされておりまして、わが党でもこういった問題で実は連日いろいろ議論百出しておるところでございますけれども、何か変なことになりつつあるようですが、その辺はどういうふうに農林省検討しておられるのか、またどういうふうに理解しておられるのか、国民の前に明らかにしてもらいたいと思います。
  147. 森実孝郎

    森実説明員 私が申すまでもなく、北方四島の領有権の問題自体は、わが国とソ連との間において未解決の問題だと私どもは理解しております。今回の日ソ交渉に当たっても、領土問題に対するわが国の基本的な立場を害しないようにするということが交渉の基本姿勢であることは言うまでもございません。そのような意味で、第一条ないしは第二条の協定水域の表現をどう考えていくかという問題がまさに先生指摘のように交渉上の重要な事項になるわけでございます。しかし、繰り返して申し上げるようでございますが、領土問題に対するわが国の基本的な立場が将来に対する関係において害されることがないようにするということがもちろん基本的な立場であるということはこの際明確に申し上げておきたいと思います。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 未解決、解決という言葉を両論併記する合意文書をつくるというようなことについては、当然第三回目の訪ソをするときに鈴木農相は福田総理ともいろいろなことで検討されて行ったと思うのだが、実際鈴木・イシコフ会談で、具体的な話し合いの場にこれを出しているのかどうか、どうなんですか。
  149. 森実孝郎

    森実説明員 交渉上の問題でございますので、具体的な提案について触れることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一部新聞に報道されておりますように、何か端的な意味での両論併記というふうな議論ではないというように御理解いただく必要があると思います。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本日の委員会には農林大臣の臨時代理も来ていないし、当該農相もいないので、部長が代理で答弁をすることになるので、答弁内容については、特に部長はそういう役人的な巧妙な答弁をする部長であるから、われわれもその程度であろうとは思っているけれども、この問題については相当重要な問題であり、いま国民が最大関心を持っている問題で、いよいよ大詰めに来ているので、報道その他でとかくわれわれが承知をしないような問題が次々と出てくる。もう少し国民の前に水産庁としても明らかにして、強力な水産外交をやっていかなければこれは取り返しのつかないことになるのじゃないか、こう思っています。  私たちも質問するに当たっては、余りこういったことを言うとかえってまずいのじゃないかとか、こういったことはかえって交渉に影響するだろうというので、相当考えて物を言っているわけですけれども、われわれがこういう委員会質問をするからには、君たちもソ連に聞こえるような、強力な外交をするためにぎりぎりの話ぐらいはして、国民の前に納得のいくような答弁をしてもらいたい、私はかように思う。  私は、この未解決、解決の合意文書に記載する北方四島の領有権の問題、こういった問題について、いろいろな権威筋からちらちら聞いているわけです。果たしてこんなことでソ連がこれに妥協してくる可能性があるかどうか、いろいろなこともあるけれども、部長の答弁だと、これ以上のことは差し控えさせていただきたいというようなことであるので、十分な答弁はできないと思うけれども……。  それではさらにお聞きするけれども、福田総理が去る五月一日、自民党の政経文化パーティーで松江市と岡山市を訪ねました。両市で記者会見をしましたが、この中で福田首相は、四日にも再開される日ソ漁業交渉について、焦点の水域線引き問題では、領土は領土としてたな上げしておく、漁業問題での北方四島の扱いは領土に触れないでいろいろな方法があると述べております。「いろいろな方法がある。」こう言っているのですけれども、日ソ両国の対立点となっている北方四島周辺の水域線引き問題で、政府は何らかの打開策を考えて、鈴木農林大臣にもいろいろ指示もしておるだろうが、この「いろいろの方法」というのはどういうことを意味するのか、国民の前に明らかにしていただきたい。
  151. 森実孝郎

    森実説明員 訪ソ前に政府部内におきまして、暫定取り決めの協定の規定ぶりをどうするか、あるいはそれに関連する一連の文書をどう用意するかについては、当然外交交渉でございますから、いろいろなものを想定しておったわけでございまして、それを携行いたしまして現在交渉が行われていることは事実でございます。  先ほども申し上げましたように、暫定取り決めの一条及び二条の規定ぶりとこれに関連する一連の文書の中で、いろいろな工夫をこらして、わが国の基本的立場が害されることのないようにリザーブを明らかにしていきたい、かような意味でございまして、そういう意味で総理が御発言をされたというふうに御理解を賜りたいと思います。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 鈴木農林大臣が十日の午後、第三回目の鈴木・イシコフ会談後いろいろ記者会見をしております。もちろん水産庁は十分承知しておるわけだし、また連絡も電話等来ているわけだが、その中で鈴木農林大臣は、「双方の、出来ることと出来ないことを相互に理解し合ったことは有益だったと思う。分水れいから右へ傾斜するか左に傾斜するかは別として、大詰めに来た感じだ。」こういうふうに言っておりまして、どうしてもできないことはできないと言ったというふうに言っておるが、これについては認識していますか。
  153. 森実孝郎

    森実説明員 当然、わが国の領土に関する将来の基本的立場を害するようなことを明確にすることは避けねばならないという意味で申し上げていることだろうと思っております。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 鈴木農林大臣が言っていることの内容はどういうことなのですか。これも国民の前に明らかにできませんか。
  155. 森実孝郎

    森実説明員 先ほども申し上げましたように、交渉途上の話でございますし、微妙な時期でございますので具体的な内容は差し控えさせていただきたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、要するにわが国の領土問題についての将来の立場、基本的な立場を、暫定取り決めの表現あるいはこれに付随します一連の文書の規定ぶりを通じて害されるということがあってはならない、こういうことでございまして、それにはおのずから一つの線があるということを申し上げているというふうに御理解賜りたいと思います。
  156. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 部長は、モスクワとは十分連絡をとっておるし、さきの福田首相の発言にしても、当然こういった内容はどうだということで分析もしており、内容は十分承知しておるけれども、国益に関することであるので、公開の席では、そういった内容は知っておるけれども発言できない、こういうふうに理解していいですか。
  157. 森実孝郎

    森実説明員 二つございまして、一つはいま先生指摘のような点もございますが、やはり交渉事でございまして、絶えず流動的に変化しながらいろいろの案を出し合って交渉している、そういう微妙な交渉の途上にある、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  158. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さっきのいわゆる日本領海内での操業問題に話を戻して再度お伺いしますけれども、今回の日ソ漁業交渉の推移を見ておりますと、ソ連側の日本領海内での操業要求というものはあくまでもソ連側の原則的な立場、こういうようなことを言っておるようであります。ところが、現実的にはどう処理するかということはこれとは別の問題だ、こういうふうにまた言っておりまして、われわれは原則的な立場と現実は違う、こういうふうに理解をしておるわけですけれども、日本の領海内でソ連漁船が操業することは絶対拒否するとさっきから部長も言うし、出発点の農林大臣もそういうふうに言っておりましたのでわれわれも承知しておりますけれども、いま私が申しましたように、原則的な立場であって、現実的にはどう処理するかはこれとは別だ、こういうふうにわれわれは理解していいのか、その真意というものはどういうものであるか、その点水産庁はどう受けとめておるか、お答えをいただきたい。
  159. 森実孝郎

    森実説明員 ソ連がわが国の領海十二海里内での操業に固執しております理由は、原理原則の問題というよりは、むしろ、先ほども申し上げましたように、具体的に、ソ連が最も関心を持っておるイワシの漁獲がしやすいかしにくいかというかなり現実的な問題ではないかと少なくとも現在の断面では見ております。ただ、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、領海十二海里は世界の大勢であり、かつ十二海里領海の中では外国漁業の操業を認めないというのが一般的な国際社会における原則だろうと思っておりますし、ソ連も現に十二海里領海を実施して少なくともこの数十年間はわが国の漁業に対して十二海里内操業を認めておりません。そのような意味において、われわれは十二海里内操業というものをソ連に操業自体として認めるわけにいかない。ただ、イワシの問題につきましては、大臣もすでに御答弁申し上げておりますが、ソ連の関心品目であるので、スケトウ等とのバーターによる貿易を考えるとか、あるいはまた交渉問題としては、わが国も初めて十二海里になったわけでございますから、十二海里内の操業実績は十二海里外の操業実績として実績をアカウントして交渉に応ずる、こういうふうな姿勢をとっておるわけでございます。
  160. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私も過去に三年近くソ連におったこともありますが、ソ連人という国民はニシンを大変好んで食べるということは私も知っております。イワシがニシンに比較的似ておる。ニシンがだんだん厳しくなってきたし、また漁獲量の制限をするということで、ニシンの代替品としてイワシを食べる。先日、われわれも海上保安庁の飛行機で銚子沖から鹿島灘、そして三陸沖、津軽海峡、そして函館、札幌と調査をしてまいりました。確かに銚子沖で海の上から見ますと、盛んにトロール船が日本近海に参りましてイワシをとっておる。現地で初めて私も知ったのですが、急激に十海里付近で海が深くなっておる。プランクトンが沖の深いところから陸上に向けて浅瀬に大挙して来る。それを追ってイワシがたくさん集中的に日本近海に遊魚してくる。それをとるために、ソ連はトロール船でイワシをとっているということが、現地を見ましてよくわかってきたわけですが、ソ連はそういったことで、事実、現在の漁獲量というものを、イワシをニシンにかわる品物として漁獲量を確保すれば私は納得するんじゃないか、こういうふうに思うのです。  日本の情報はソ連にはもうほとんど筒抜けでいくけれども、向こうの情報がさっぱりこっちには入ってこない、ほんの一部しか入らないということでまことに残念でありますけれども、私はあえてお伺いしますけれども、ソ連の真意は、領海内操業の現実的な処理方法を考えているんじゃないか。すなわち、ソ連漁業者の専門家等の意見をいろんなレポートその他でずっと集めて見てみますと、日本漁船のとったイワシとソ連のとったスケトウダラの交換をすればということで、一つの物物交換というようなことを向こうは腹の中に考えている、こういうふうにも思われる、またそういったことを検討しているんじゃないか、こういうふうに思うわけですね。そこで、この物々交換というものが経済的に技術的にソ連の領海内操業要求を満たすことができるかどうか、向こうも検討しているはずだと思うが、こちらの方も交渉に当たっては十分それらも検討しているだろう、私はこういうふうに思うわけです。福田総理も、また鈴木農林大臣も何かいろいろ含みのあるような言葉を言って、分水嶺を右に行くか左に行くかという大詰めまで来ておるとかいろいろ言っておりますけれども、日本にいるわれわれははらはらしてどうなっておるのだということで、幾ら外交の秘密であろうといっても、きわどいところはまた別として、ある程度国民の前に明らかにして、そして強力な国民の世論を起こして当たらなければ、四島をとられるような取り返しのつかぬようなことになっては大変である、こう思って、私は時が時だけに毎回何回も質問してまいりました、また審議してきた日ソ漁業交渉の問題であるけれども、本日、この貴重な時間を割いてあえて質問をしているわけです。  それで、先ほど言いましたように、物々交換といいますか、スケトウダラといわゆるイワシの問題、これについてソ連が日本の新しい領海である十二海里内でこれまでとってきたイワシの漁獲量を確保してやると、ソ連は自国漁船で従来どおり漁獲をしなくても、私はその点は了解するんじゃないか、そうすると一つの交渉の糸口にもなっていくのじゃないか、また、そうしてやることが一つの日本の交渉のまた大きな道を開くことにもなっていくんじゃないか、かようにも思ったりしていろいろ検討しておるわけですけれども、具体的な方法はそれほどソ連はこだわらないというふうに私たちは解釈しておりますが、そういったことについても、これは交渉の秘密だからどうしても言えないというのか、それともそういったことについては十分日本は対処する用意があって交渉しているのか。そんなこともわからぬでは、水産庁は大臣任せででくの坊で何にもやっていない、何にもできないということになるんだが、その辺も全然国民の前に明らかにできないのか、明らかにしてもらいたい。
  161. 森実孝郎

    森実説明員 わが国の漁業者が採捕いたしましたイワシと、ソ連の漁船が採捕いたしましたスケトウの洋上による交換、これはなかなか技術的にはむずかしい問題がありますが、この方式についてはすでに先回の交渉においても、このたびの交渉においても、わが国としては提案をしております。これについてはソ連側は非常に関心を示しておりますが、具体的なそういった事項の処理よりは、何と申しましても暫定取り決めの条文が現在交渉としては先行しておりますので、関心を示しながらも具体的な詰めの話し合いというものまでにはソ連はまだ乗ってきていない。わが方としてはかなり具体的な話し合いをこの交渉と並行して、あるいはワンテンポおくれて詰めたいというふうに思っております。
  162. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうすると、ソ連が物々交換を推進してきた場合、また要請してきた場合は、わが国はそれに乗る、こういう態度ですね。
  163. 森実孝郎

    森実説明員 そのように御理解いただいて結構でございます。
  164. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは領海法及び二百海里水域法の両案の審議のときにもさんざん議論をしてきたことであるけれども、もう領土問題が絡むということでわれわれは口を酸っぱくして言ってきたこと、それが事実あらわれてきたわけですけれども、私は、今度の交渉を見ましても、いろいろこちらで情報をキャッチしておる範囲しかわかりませんが、いまの交渉の推移を見ておりましても、これは一筋なわではいかない、これは長期化してきている、そして北方漁民は五月十五日をめどにもう最後の出漁をするということでいろいろと緊迫した空気が流れておるわけですけれども、かといって安易な妥結をしては困るし、漁民にもまた理解してもらいたい、補償問題も十分圧していかなければいかぬということでいろいろあるわけですが、仮に今回の交渉でお互いの主張を譲らなかった場合、決裂しかないと私は思うわけです。そうしますと、その場合は、日本は領土か魚かの重大な決意を迫られてくることは、もう再三申し上げておるわけでございます。その辺の腹は十分固めて鈴木農林大臣は訪ソしたのであろうと思うのだが、これは政務次官、あなた、ひとつどういうふうに理解しておられるか、お答えをいただきたい。
  165. 羽田孜

    ○羽田政府委員 先ほど来、大変御心配しての御発言というもの、私どもも十分踏まえながらこれから交渉に当たってまいるということを、まず申し上げたいと思います。  そして、いま御指摘がございました問題につきましては、再三先ほどからお答えしておりますように、領土について損なわない、これを私どもは一番の基本といたしましてこれから交渉に臨んでまいることを、この機会に申し上げます。
  166. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは政務次官、鈴木農林大臣が行くときには、あなたを含めてひとつその辺は十分協議し、激励をし、そうしてわが国の日ソ漁業交渉の腹というものを固めて鈴木農林大臣を送られたわけだが、羽田政務次官も十分その辺は大臣に言い含めて、決して魚と領土と交換することがないということで出発された、こういうふうにあなたは認識していますか。その辺のところはどうですか、政務次官。
  167. 羽田孜

    ○羽田政府委員 もう大臣御自身がそのように御認識されております。
  168. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私はきょうの質問で、いま日ソ漁業交渉のことをいろいろ尋ねてまいりましたが、交渉の段階ですから微妙な、また秘密に属する問題もあることは百も承知でございます。ところが、いよいよ大詰めに参りましたが、一説には、北方四島のあり方というものが、もう魚と北方四島をどうも取引するかのようなことがちらちらと耳にも入ってまいりますし、ただごとでない、こう思って、そしていろいろ情勢を分析してみますと、何か火の気のないところには煙が立たぬということがあるように、大詰めに来た場合にどういう妥結をするのか、その辺がもう大変心細い点もあるものですから、大臣がいないところで、ある程度答弁しかできないということも大体想像はしておりますけれども、モスクワに聞こえよと思って、私は実はここで取り上げて言っているわけです。でくの坊のような答弁ばかりしておっては困る、もっとしっかりした国民に対することをやらないと、まさに四海波荒らし、国難来るというときが来ているということを知ってもらいたい。  そこで、今度は魚価の問題をお尋ねしたいと思う。  魚価の高騰が続いて、参議院でもきのう物価対策委員会でいろいろ問題になっておりますが、わが党の塩出議員からもいろいろ追及しております。  私の方でも、いま関係県に三月以来調査を進めてまいりまして、近くいろいろなデータが、アンケート調査が集まることになっておりますけれども、二百海里問題で、最近、魚類価格の異常な値上がりが社会問題化しておりまして、北洋関係魚類ではないところのイワシだとかサバ、アジ、こういった多獲性魚種が異常な値上がりをしておることは御承知のとおりです。東京の築地の市場でも、あの市場の周辺には約百八十万トンの貯蔵能力を持っている大型冷凍貯蔵庫があるわけです。これは都民の約百日分に相当する魚を貯蔵できる数量でございます。これはもう水産庁はよく御存じだと思います。東京都の例を一つとってもそうです。ところが、漁港所在地の大量貯蔵設備を利用したところの冷凍業を中心とした価格操作が行われているという疑いが濃厚でありまして、東京都の都議会でもわが党は竜幹事長を中心に調査に入っておりまして、このほど都にも申し入れをしたり、いろいろな対策をとっておるところでございますが、実際にこのような価格操作の疑いが濃くなってきておりますけれども、東京の例を一つとってもわれわれは明らかにそうだと思って認識しておりますが、水産庁はどういうふうに実態を掌握し、認識しておられるか、今回の魚価高騰に対してどういうふうな検討を進めておられるか、ひとつ当委員会で明らかにしていただきたいと思います。
  169. 森実孝郎

    森実説明員 まず、最近の需給実勢がどうであるかということを申し上げたいと思います。  一月、二月は、先ほど御指摘のございましたソ連の二百海里に関係しないカツオ、サバ、イカ、アジ、イワシ等は前年より入荷量が多かったことは事実でございます。ところが、三月以降水揚げが実は遺憾ながら減っております。たとえばカツオで申し上げると、先ほども答弁申し上げましたが、七八%、四月は五五%、サバも三月は六割、それから四月は前年対比三八%というふうに水揚げがたまたま季節的に減っております。これは魚種によってそれぞれ事情が違いますが、たとえばカツオについては、水温の関係等で二年魚の接岸が非常におくれている事情、サバにつきましては、この時期の主力漁場である日本海の冷水の影響と、しけで船が余り操業に出られなかったという事情、こういった問題が響いて、実は多獲性大衆魚の三月、四月の水揚げが減っているということが一つの事実としてあることは否定できないところだろうと思います。  それからもう一つはソ連の二百海里との関係でございますが、四月以降御案内のように操業しておりません。その結果、北転船、沖底に代表されるようなスケソウ等についてストックが減ってきておる。スケソウの場合はもちろんすり身としてストックされるわけでございますが、三月末の在庫状況は、トータルで申しますと大体前年対比で九割であり、四月は操業しておりませんからさらに減っている、こういう需給実勢の変化があるわけでございます。そういった点を反映いたしまして、先行き不安もあって、日ソ交渉がなかなか先行きのめどがつかないということから、それぞれ流通業者あるいは加工業者が手当てをいたしまして、全体として価格が大変強含みに推移しているということは否定できないところだろうと思います。  そこで私どもといたしましては、まず一つは、漁業者団体それから大手の水産会社、輸入業者、卸、仲買等に対して、在庫の放出、値上げの自粛等を強く要請しており、すでに通達も出し、二回目の通達も本日施行するつもりでおりますが、特に地域的に需給のアンバランスがある、特にソ連の二百海里以内にかかわる魚種については、どうも北海道に在庫が多くて、内地に在庫が非常にショートしているという点もあるので、地域的な在庫調整を行う等の措置を講じておるところでございます。さらに、本日の通達で、この際大手の水産会社、漁業団体、卸売業者等に対して在庫状況の実態を定期的に報告するように要請しておりまして、必要に応じて、われわれもこの調査結果に基づいて、早期放出等を呼びかけたいと思っております。具体的には先ほど申し上げましたように、すり身等については今週中に内地の加工業者と冷凍魚肉の供給業者との間で話し合いをあっせんすることにしております。
  170. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いろいろ対策はとっておられるようだけれども地域的な需給調整も図っていくということのようですが、現実にもう地域的にも相当価格高騰が言われて問題化している。北洋でない、いわゆる近海の多獲性魚種であるイワシ、サバ、アジ、こういったものが高くなってきているということで、国民もこれは便乗値上げである、買い占めじゃないかというようなことを言うのは当然だと思う。また、先日倉成経済企画庁長官も、買い占め売り惜しみの防止法による立入検査をするには相当根拠が必要であるということで慎重論をとっておるとはいうものの、こういった問題の処理に当たって相当真剣に検討しておる、水産庁とも十分打ち合わせしていく、こう言ってしばしば国会で言明をし、最近の魚価の高騰に対して強力な手を打つというふうに言っているようですが、水産庁には倉成経済企画庁長官から打ち合わせ相談がございましたか。
  171. 森実孝郎

    森実説明員 経済企画庁との間では、再三にわたり事務的な調整を続けております。私どもといたしましては、第一次の在庫状況についての調査結果をいま集計中でございまして、さらに第二次の調査を実施すると同時に、必要があればスポットチェック等も行ってまいりたいと思っております。
  172. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 第一次調査はいつまでにその集計を終わって結果を発表できますか。
  173. 森実孝郎

    森実説明員 県単位にまだまとまっていない県が数県ございますので、全国がそろうのはちょっとまだ時間がかかると思います。
  174. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 何せ手ぬるいわけです。あと十日もすればできますか。一週間ぐらいでできますか。どうです。これはもう相当国民はいま切迫した状況になっていますよ。悠長なことでは困るのです。その案件は第二次調査でもいいじゃないですか。どうですか、あと十日ぐらいでできますか。
  175. 森実孝郎

    森実説明員 中間的な集計のものであれば来週ぐらいにはまとめて資料として整理できると思います。ただ、これを発表するかどうかについては、なおちょっと検討させていただきたいと思います。率直に申し上げまして、全体として在庫量が、当然のことながら非常に少ない状況にございますので、それがかえってどういう影響を与えるか等も十分考えてみなければならぬと思っております。
  176. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その結果次第によっては、これは買い占め売り惜しみの防止法に抵触する、こういうことが言われておりますけれども、これは水産庁としても十分対処しなければならぬ問題であるし、経済企画庁等とも綿密に連絡をとりながら対処してもらいたいと思う。羽田政務次官、その点はあなたも十分ひとつ農林大臣の臨時代理とも相談をして対処してもらいたいと思うが、政務次官どうお考えですか。
  177. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいま部長の方からもお答えいたしましたように、十分調査を進めまして、まさにそういった異常といいますか、実績を超えるようなものがございましたときには対処してまいりたいというふうに考えます。
  178. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この際さらに部長にもお伺いしておきますけれども、イワシ、サバだとか、こういったものは御存じのように、最近はアパートだとか団地なんかでは煙が立つというので若い人が食べない。またにおいがするとかといいますけれども、われわれは小さいときからもうイワシ、サバというのはにおいをかぐと食欲が増すということで、今日まで大変おいしい魚としてきたわけです。その点、日本国民も理解してもらいたいし、水産庁もPRも必要でありますが、今回のいわゆる海上保安庁の飛行機で銚子沖、鹿島灘を調査したときにも、ソ連漁船のものがあれだけあるのに、日本漁船が一隻も見当たらなかったというのは私は残念でたまらない。なず日本漁船も出漁してイワシやサバをとっていないのか、こう思った。それはいろいろ理由はありますけれども、要するに、国民はイワシを食べないのではなくて、イワシやサバなんかを二百海里時代が来れば見直し、大いに食べてもらわなければならない。ところが、何しろその魚を漁民がとっても、市場も取り扱い手数料というものが安い、低い。たしか五・五%だと思うが、この手数料が低いために、結局高級魚の量が少なくても、その取り扱い手数料が高く上がるところの高級魚にどうしても市場は扱い量が向く。したがって、多獲性のこういった大衆魚である安い魚にはなかなか、手数料が低いために、水揚げしても市場は余り扱わないと同時に小売店もやはりこういった魚を扱うについては、量だけ多くてもうけが少ないということでどうしても高級魚にこれが傾斜していくということで、私はまことに残念である。だから、いろいろ理由はあるけれども一つには市場の手数料というものを考え、また、これに対する何か対策を政府も講じてやる、そうして、市場でも大いにこれを扱って、国民大衆にこれがたくさん食べられるようにしていく、そして、二百海里時代に対する対応もする、こういったことでこの際考えていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけですけれども、その点はあなたたちはどういうふうに理解しておるか、また、検討しておられるか、この席でお答えいただきたい。
  179. 森実孝郎

    森実説明員 卸売市場の手数料を定額主義で考えるか定率主義で考えるかは、古くから議論のある点でございまして、大衆魚の消費促進にはむしろ定額的な発想を入れた方がいいのじゃないかという御指摘一つのお考えだろうとは思います。しかし、基本的には、残念なことに現在イワシ、サバが家庭消費になじみがたいのは、やはり従来の伝統的な調理方法以外に新しい調理方法がまだ確立していない、また、いまの家屋の構造等がそれに適していないということが重要な理由ではないかと思います。そこで、私どもといたしましては、伝統的な調理方法によるイワシ、サバ等の消費の拡大に努力すると同時に、やはり新しい今日の消費生活にマッチした加工形態を開発することが非常に重要であろうと思っております。そのような意味で、すり身原料として利用する、繊維たん白の原料として利用する、あるいはまた、新しい油づけその他の加工のパッケージ商品をつくっていく、こういう形を通じ、それを集団給食等を通じて消費の拡大を図ってまいりたい、かように思っております。
  180. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 市場の手数料の低額主義か高額主義かということは、これはもう安いに限ることは決まっておるわけだけれども、結局、イワシやサバは、そういったことが一つの大きな問題になっているわけです。だからどうしても市場も扱わないし、また、小売店も扱わないということになって、実際には庶民の口に入らないというのも事実であるので、この際手数料に対して、国が何かの形で助成をするとか、また、何かの方法で手数料に対する検討をしてあげるとか、そして、日本の二百海里内でとれる魚を国民にもまたたくさん食べていただくように、そして、国民の皆さん方にもひとつ認識してもらうようなPRもすると同時に、私は、こういったことにいまから早速真剣に取り組んで、いろいろ考えていかなければならぬ、場合によっては市場法を改正することも考えなければならぬと思う。そういったことが一つの大きなネックになっているわけです。中には、若い人にずっと聞いてみると、また、街を歩く人たちに聞いて、また、いろいろな機関によるアンケート調査等を見ましても、イワシやサバは安いから食べないという、こんなことを言うと、値上げすることを望んでおるように思われるかもしれぬけれども、むしろいまの若い人の中には、たくさんの人が、安いから食べない、こういったことを言う人もたくさんあることも事実なんです。こういったことを公開の席で言うことは、私も本当に口をはばかるのですけれども、何も高くしてやれば買うんだからというのではなくて、私は、今後日本の近海の資源というものを大事にするためにも、また、こういった二百海里時代を迎えて厳しい情勢下にある日本として、そういったことも本当に考えていかないと、むしろ日ソ漁業交渉に頭を奪われて、そしてこちらの方は手をこまねいて対策をほうっておるというわけではないと思うけれども、そういったことを矢継ぎ早にやっていかなければならぬ、こう私は思うのです。  それで、さらに私は申し上げたいが、羽田政務次官もいろいろとさっき言っておられましたけれども、わが国の二百海里水域内の問題で、漁場整備ということは当然必要で重要なことはもう言うまでもありませんけれども、私は、いろいろある中で特に沿岸・沖合い漁業の徹底した見直しを行って、わが国二百海里水域内における生産力の飛躍的な増強を図るためにあらゆることをしていかなければならぬと思うのです。特に、いままで北方も、先月私いろいろ申し上げたように、どっちかというと処女地を開拓するために次から次へと行った傾向もあるわけです。もう一回二百海里内を改めて漁場を開拓し、いままで荒削りでいったその二百海里内を検討してみると、確かにまだまだ漁場として有望なところはあるし、見直すところがたくさんあるわけです。そのことは、日本にわざわざソ連がトロール船をもって十二海里の近くまで、また、十海里から十二海里の間のあの鹿島灘にはいっぱい来ているわけですから、そういう意味からいくと、遠くへ行くのもそうだが、もっと近海、二百海里内の漁場を真剣に見直すために強力な指導をする、こういったことも大事であります。と同時に沿岸漁場整備開発計画というものを抜本的に強化をして、とりわけ、数県にまたがるような大規模な魚礁帯というものを全額国庫負担でやるべきです。魚は県の差別はないわけですから、回遊性であるのですから。私は、櫻内農林大臣時代から再三指摘しましたように、国営方式である瀬戸内海方式で行うように主張してきたところである。日本海のように各県ごとの水産試験場をつくるというようなことではけしからぬということで、日本近海を養魚場に考えよというようなことを申し上げたことがありますが、私は、そういうことを真剣に取り組んでやるべきときが来た、早急にやるべきだ、かように思っております。また、栽培漁業の飛躍的な充実を図るためにあらゆる施策をすると同時に、漁業資源に関する変動メカニズム等の解明のために科学技術研究体制を強化し、漁業資源の保護増殖を図る、こういったことも当然必要でございます。あと加工とかありますけれども、時間の関係等ありますので多少はしょって申し上げましたが、要するに、北方の漁民の窮状もさることながら、日ソ漁業交渉の難航している問題をわれわれは目のあたりに見、そして安閑とすることなく、この漁業交渉については、仮に長期化しても、領土は確実に守って、そして交渉は安易な妥協をしないということで今後進めてもらうわけですが、私は、その反面、水産庁は、二百海里水域内での強力な漁場整備、あらゆることに強力な力を尽くしていく、また、対策を講じていくということにならなくちゃいかぬ、こう思います。そういう点について、羽田政務次官または部長からでも結構ですが、答弁をいただきたいと思います。
  181. 羽田孜

    ○羽田政府委員 先ほど来御指摘いただきましたことは、まさに新しいこの事態を迎えて、私どもといたしましてそれに対して本当に迅速果断に対処していかなければならぬ問題だと思っております。先ほど来御指摘いただきましたことを踏まえまして、今後の漁業のあり方、あるいは流通の問題も全部含めまして私ども進めてまいりますことを申し上げたいと思います。
  182. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で、この漁業問題でもう一点羽田政務次官に伺っておきますけれども、今回のサケ・マス、ニシン、スケトウダラ漁の休漁については、日ソ漁業交渉の結論を待って直ちに補償措置をとるべきだと私は思うのですが、その点はもう当然政府も考えておると思いますけれども、具体的にどう考えているかということと、もう一つは、これについて立法措置を早くとるべきである、これは当然である、こういうように思うのですが、その点についてはどういうふうに検討しておられますか。その点もう一点お答えをいただきたい。
  183. 森実孝郎

    森実説明員 日ソ漁業交渉の結果を待ちまして、今後漁業種類ごとにどういう船をどの程度の規模で減船するかというふうなことも決まってくるわけでございます。そのような意味で、減船あるいは休漁に伴う救済措置は、やはり交渉の結果を待って、具体的に減船する船が決まってくる過程で決定していかなければならないだろうと思っております。その間につきましては、すでに御案内のように第三次までのつなぎ融資措置を講じましたが、低利のつなぎ融資措置を講じて企業の維持あるいは漁業労働者の生活の安定ということに配慮してまいりたいと思っております。  なお、立法措置を要するかどうかという問題につきましては、具体的な救済措置の中身、それからもう一つは国の具体的な財政的な手当て、あるいは資金的な手当て、そういったものをどうするかという全貌に従って決すべきものだと思っておりますので、いまのところ、手法についてはいろいろ議論をしておりますが、法制措置自体の問題についてはまだ結論を得ておりません。
  184. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日ソ漁業交渉と漁業問題は以上で終わりまして、次に麦価の問題で若干お尋ねしておきます。  いよいよ六月は麦価シーズンを迎えるわけですが、五十二年産麦価について、例年六月二十三日ごろから麦価米審を開いておるようでございますが、麦価米審については今後の麦価決定に当たってどういう日程で進めていかれるのか、お答えをいただきたい。
  185. 羽田孜

    ○羽田政府委員 御質問の麦価につきましては、生産者麦価につきまして六月中に決定することと定められております。六月中には米価審議会の議を経まして食糧管理法の定めるところにより決定することになると考えております。また、麦については、その生産の拡大を図るため食糧管理法に定めておりますところのパリティ方式による価格のほか、生産振興奨励金の交付などによりまして、生産振興対策が講じられているところでございますけれども、さらにその価格算定のあり方については、現在米価審議会の小委員会において麦生産振興対策との関連を考慮しつつ、幅広く検討を行っておるところでございますので、この検討結果を踏まえつつ今後さらに検討してまいりたいと考えております。
  186. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 食糧庁は生産者麦価算定方式改定のために昨年秋から米価審議会の算定方式検討委員会を開いて検討を続けておられるわけですけれども、一部報道されたところによりますと、先月二十日に同小委員会生産積み上げ方式など、すなわち四方式を掲げて問題点をまとめたペーパーを提出しておられますけれども、その点御説明をいただきたい。
  187. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の米価審議会におきます麦の政府買い入れ価格の算定につきましては、昨年の政府買い入れ価格諮問の際に、米価審議会自体として麦の生産振興との関連における麦価算定方式のあり方をみずから検討したいということで小委員会が設けられまして、昨年の十一月以来五回にわたっての論議が行われてきた経緯があるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、委員会独自の議論でございまして、いわばわれわれが事務局役をし、問題を整理しながら御論議の推移を見ておるというところでございますが、前五回にわたる御議論、最近時点といたしましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、価格算定についての基本的な考え方というものについて主要な議題が四月二十日の小委員会において行われたわけでございます。これはまずしばしば議論がございますように、生産方式によって麦価を算定するのがしかるべきではないかという意見と、しかし、麦は米等と違いまして北海道、内地等の地域とか経営の規模とかあるいは畑麦、田麦というような態様によって非常に生産費を異にしておる、しかも収量の変動が非常に年によって大きい。変動係数等が米の三倍以上だというようなこともありまして、直ちに一義的に生産方式をとることについて、それでずばり価格を決めることについてはいろいろ問題があるというような御意見とかあるいは経済が高度成長の場合には賃金その他の上昇率が高いが、今後安定成長下における賃率の上昇が鈍化した場合には、むしろ生産費の上昇率を物価上昇率が上回る。このことは逆に言うとパリティ方式の方が生産農民にとって有利ではないかというような御議論も出るとか、それぞれ生産方式についてはいろいろ御議論があったわけでございます。  次に、かつて現在の食管法四条ノ二に規定する算定方式をとる以前に、まず米価がパリティで決まりまして、それに対して対米比価方式ということで米価の何割というような方式等が決められましたが、そういう方式を、麦作が安定的な時代においての対米比価をとったらそれがいいのではないかというような御議論が一方に出ましたが、これに対しては、逆に麦と米との生産事情がそれぞれ異なるので、一義的に対米比価方式をとるのについては難点があるというような御議論、さらにパリティ方式自体が非常に物価均衡と申しますか、そういうものを反映した制度だから安定した制度だ、ただし基準時が二十五、六年というのは麦作の事情が大いに変化したのでそれらについては検討を要するであろうとか、それぞれの御意見とそれに対する問題が出たわけでございます。  いずれにいたしましても、御案内のとおり麦は米と違いまして、算定方式が食管法四条ノ二にきわめて明確に書かれておりますので、それらとの関係で、算定方式をいかにとるかという点についてどう考えるかという点も議論があったわけでございますが、全体を達観いたしました議論はほぼ終わりまして、今後これをどう取りまとめるかというようなことで小委員会の各委員の論議が収斂をしてきつつあるというのが現段階でございます。
  188. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大体詳しく説明がありましたが、今年度の麦価については、私は農業白書を見ましても、大豆、小麦等の生産者価格の引き上げを示唆しておられますが、そういう意味でかなり期待できる、こう思っているわけです。そういった意味から、どういうように取り組むかということについて、重要な時期であるので、あえてこの問題を提起したわけですが、ちょうど五月二十八日国会が終わりますと、参議院選の真っただ中になるので、この麦価の決定に当たって十分配慮していただきたいということで、私はあえて問題を指摘したわけです。  と同時に、生産者麦価というものは正当な都市並み所得を補償するバルクライン八〇%と言われるところの生産費及び所得補償方式により算定をして、各種奨励金のうち価格相当分は基本価格に繰り入れるべきであるということについては、従来からわれわれは再三言ってきておることでございますけれども、当委員会でも本日いろいろ理事会で検討しましたが、今国会の会期中に農産物価格小委員会をつくって、農産物の価格を検討するということで、これは各党一致で強力に推進しようということにいたしておるわけで、近くこれが発足を見ることになりますが、そういった意味からもわれわれも十分検討し、また国にいろいろと意見を申し上げていきたいと思っておりますが、自給率を上げるためにもぜひともひとつ生所方式によって麦価を決定してもらいたい。そうしていまお話がありましたように、農業白書でもいろいろ大豆、小麦等の値上げを言っておられますので、いろいろ検討されている事項が近く大詰めに来るということで、四方式による中でもどれがいいかということで検討されつつあるようですが、ぜひとも生所方式によってやられるように心からお願いをするわけですが、その点最後に政務次官からでも一言お答えいただきたい。
  189. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 先ほど米価審議会自体の算定方式委員会においての御議論を紹介しましたように、生産方式自体については、麦についてはそれぞれ非常に問題点があるという点については議論されておるところでございまして、私どもといたしましては、小委員会結論というものが出ました際は、それを踏んまえた算定方式を考慮すべきだと考えておりますけれども、御指摘のように、麦について直ちに生所方式をとるということは現在考えておらないわけでございます。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は当委員会で五十一年十月十三日動物薬事行政について政府の見解をただしてまいりましたが、現食糧庁長官である当時の大河原畜産局長は、全国の家畜保健衛生所の薬事監視員三千余名をフルに動員して薬事取り締まりの徹底を期していくと大みえを切られたわけでありますが、その後、薬事行政は、畜産局長の言われるように、現在薬事監視員をフルに動員して順調に正しく推進しておるかどうか、その点時間もありませんので、はしょって質問しますので、簡潔にお答えいただきたい。
  191. 大場敏彦

    大場政府委員 薬事は、中央では畜産局に薬事室をつくって、いま薬事監視の体制を整備しつつあります。それから地方では、都道府県の畜産課あるいは家畜保健衛生所におります薬事監視員というものを動員いたしまして、薬事監視体制の整備を図っていく、そのためにはいろいろ技術のための講習あるいは監視事務の打ち合わせ、そういった会議はかなりの頻度をもって開催しております。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 薬事法や獣医師法というものは現行法で問題がない、こういうふうに理解しておられるか、私はかなり問題があると思っておりますが、局長はどういうように理解しておられますか。
  193. 大場敏彦

    大場政府委員 薬事法自身、これは動物医薬品につきましては農林大臣の所管という形で責任官庁になっておりますが、法律そのものについては私ども直ちにこれを改定するとか、そういったような問題ではないと思っております。ただ、運用、執行につきまして適正化、徹底を期するという必要は痛感しております。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 都道府県の薬事監視員というものはそのほとんどが兼務ですね、そこで実効を上げ得ない、こういう状態にあります。畜産局長は万全を期す、こう言っておりますけれども、こう言うだけで国としては何らしていないと言っても過言ではない、私はかように思っているのですが、今回全面施行になりましたところの飼料安全法一つを見ましても、ますます薬事監視員の任務が重要になってきております。施行されて三年目を迎えておりますけれども、もうここらで本当に軌道に乗らなければいかぬわけですけれども、いまだしという感じが私はしております。国は一円の予算措置もとっておりません。ほとんど全部が地方自治体任せでございます。こういった点、私は薬事監視員は本当に力が出せるかと実は思っております。いわゆる国の予算的裏づけはゼロで地方自治体任せである。これでは私は本当の監視員の仕事はできないと思うのですが、その点当面大場畜産局長はどういうふうに考えておられますか。
  195. 大場敏彦

    大場政府委員 薬事監視員の体制整備のためにいろいろ薬事監視員の講習会、あるいは動物用生物学的製剤の監視技術のためのいろいろな講習会、そういった費用は年々増加を図ってきている。それから、具体的にはいろいろ薬事法上の事務執行のため、検定品抜き取り等の事務につきましては都道府県に委託しているという例がございますが、そういったものにつきましては委託費を計上して、決して多いというふうには申し上げませんが、必要な経費につきましては計上しているつもりであります。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で詳しく追及できませんけれども、次に問題点指摘しておきたいので申し上げます。  第七十五国会における飼料安全法の審議に当たって、わが党は反対したわけですけれども、その理由は、五十年六月四日の委員会で私は農林大臣に締めくくり的な質問をいたしたわけですけれども、飼料原料のチェック、認可していく審議会のあり方、飼料添加物の問題が安全性の面からチェック機構がなく不完全である。つまり、飼料安全法は悪質なざる法であるとして本法に反対したわけでありますが、わが党の高橋委員からもこれら政府案の欠陥を指摘して独自の修正案を提出したことは御承知のとおりであります。どうもそのときの指摘が最近になってみんな的中しておるというふうにわれわれは思っておるわけです。  その一つの例として、先日愛知県下の関係者より連絡をいただきましたが、ローカルでNHKの名古屋放送局が「守れるか飼料安全法」というテーマで四回にわたりテレビで放映しておるのであります。その内容一つに、愛知県の大手薬品ディーラーが要指示薬をでたらめに販売している実態をドキュメントに放映しておるのです。このときのテープは一切私持っておりますけれども、農家も自由に要指示薬が買えると話しております。また全農の名古屋支所の畜産飼料部長はその番組の中で、ふだんから薬を買い込んでおいて、病気が出てきたら徹底的にやれるようにすでに準備はできている、要指示薬についても生産者が薬を買っておいて後から獣医師の指示書をとると言っておるのであります。まさにこれは薬事法、獣医師法違反であり、飼料安全法の精神を冒涜した放映である、かように思っております。  先日も質問通告で申し上げておいたので十分調査検討しておられると思いますけれども、こういった畜産食品の薬物汚染、安全性の無視というようなことからまことにこれはけしからぬ問題である。そして、この事実はひとり愛知県だけでなく、他の県でもこういったことがあるということを耳にはさんでおります。畜産局長答弁のように、薬事監視員が機能を持って当たっておるとは考えられぬ。機能を持って当たっておればこういうことはないはずであります。こういった問題について畜産局はどういうふうに理解しておられるのか、これに対してはどういうふうに指導をされたのか、また監督しておられるのか、改めて答弁を求めたいのであります。
  197. 大場敏彦

    大場政府委員 いま御指摘のありましたNHKのテレビの話でありますけれども、私どもさらに事実関係を重ねて調査中であります。ありますが、現在私どもが聞いている地元からの報告では必ずしも事実を正確に報道していないというような報告も聞いておりますので、念のためさらに調査をいたしたい。番組等におきまして、農家が要指示薬を指示なしにあるいは処方せんの交付なしに購入している、こういう事実を報道しているようであったわけでありますけれども、どうもそれは事実に反する。地元の開拓農協に二人獣医師がいて、その獣医師の指示に基づきまして農家は購入しているというのが事実だというふうに報告を受けております。ただ、報道番組にありましたように、指示薬が獣医師の指示なしに販売されたり、あるいは農家が必要以上のストックを持つということは、これは非常に薬効上の点からもあるいは薬事法上の点からも問題でありますから、そういった点につきましてはそういったことがないように厳重に管理指導をしていきたいとは思っておりますが、事実関係につきましてはそのようなふうに私どもは聞いております。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大場畜産局長、事実関係について調査したら私のもとまで報告していただけますか。
  199. 大場敏彦

    大場政府委員 御報告いたします。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ここに全農の「全農通信」五十一年九月六日付の記事があるわけですが、先日も当局に通告しておきましたけれども、その中に「動物薬の供給体制を拡充しよう」というテーマで、「系統農協の具体的な対策として、今後薬託制度を獲得するためにねばり強く運動しよう」と記載されています。これらは全農の基本方針であることは明らかでございます。  また、農林省畜産局で発行している「家畜衛生週報」五十二年一月十七日号に全農の対応策が出ているが、その中にも薬品の供給体制確保のために「畜産重点地域には家畜診療所を設置して指示書の発行等を行う」と明記しています。これは一体どういうことか。政府の刊行物に一企業の、すなわち全農の方針を紹介するということはかつてなかったことでございますし、こういったことについては、聞くところによると去る二十日、先月の二十日に第一回会談で獣医師会と、また農林省あたりでも関係者が寄って何か検討した、何か勇み足だったということでいろいろ検討されたようにも聞いておりますし、離島とか獣医師がいないところだけにするんだとかというようなことも聞いたのですけれども、当局はこういうことを知っておられるか。この二点についてどういう対策をとっておられるか、お答えいただきたい。
  201. 大場敏彦

    大場政府委員 全農が薬託制度を——薬託制度は新飼料法の発効とともにわれわれ通達をやめたわけでありますけれども、その薬託制度を復活しようというぐあいに意図しているというふうには私ども理解しておりません。さらにまた調べてみますが、私ども薬託制度につきましては、これは飼料添加物と薬品というものは新しい法律の施行とともに分離されているわけですから、それは慎重な取り扱いをすべきものだというふうに考えております。  それからもう一つ、全農が飼料法の施行に伴う新対策を実施しようとしておりますが、それがたとえば鶏とか豚とか、そういった団地対策の一環として獣医師がいないようなところについては新たに診療所を開設してそこに獣医師を配置する、あるいはいるところであっても足りないところは雇い上げるとかあるいは嘱託という形で補充する、こういった制度でありまして、それ自身私は合目的的なことであろうと思います。ただ、実施する場合に地元獣医師とか獣医師会あるいは共済組合というものと競合しないように、悪い意味において競合しないようによく連絡をとってやれということは私ども指導しておりますし、全農もそういうことは全く私どもの指導に従うということで対応しておりますから、私はそういったことは、きのうも御議論がありましたように、新しい獣医師職域を拡大することになりこそすれ、決して獣医師職域を阻害するということにはならないというふうに思います。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの問題についてはこういったことがないように全農に対しては十分また指導もしてもらいたい。いま申し上げたようなことは明らかに獣医師法の悪用であります。きのうも獣医師法の審議のときにこれをやりたかったのですけれども、大臣の都合で、時間を割愛せよということでございましたので、きょう改めて追加してこのことをお尋ねしたわけですが、こういった点、十分ひとつ誤解のないようにこれまた調査して御報告いただきたい、かように思っております。  最後に一点お伺いしておきますが、このほかに前回私が質問を当委員会でやった際に、動物薬種商の問題でいろいろ質問したのでありますが、薬種商の試験がいろいろ行われたわけですけれども、その後この種の検定は行われていないということについては私も了解しておりますが、今後一体どうするのかということを最後にお尋ねしたいわけです。  言うまでもなくこの問題は、法的には合法であることは知っております。やらない方向で、ぜひとも今後は十分慎重に対処してもらいたい、こういうように私は思っておるわけですが、その点大場畜産局長から、前回いろいろ問題を指摘しておるので、その背景は省略いたしますが、最後にその点、御答弁をいただきたい。
  203. 大場敏彦

    大場政府委員 この話は特例販売業の取り扱いから実は起因しているわけであります。そのときに、私ども課長が県に通達を出したときから問題が起きたわけでありますが、私ども考えは、決して薬種商あるいは一般販売業にそういう特例販売業が試験を受けてなりなさいということを奨励しているわけではありません。特例販売業というのはあくまで特例にしかすぎないのだ、したがって薬の種類も限定されておりますし、県の範囲内で販売する、それから卸売業務を兼ねてはいけないんだということを言うために申し上げたわけでありまして、そういう者が薬種業の資格を取って積極的にやりなさいということを申し上げているわけではありません。ただ、試験を受ければできるわけでありますから、その試験の中身あるいは実施方法によりまして、これは安易に薬種販売業ということになり得るわけでありますから、それにつきましては確かに問題はあったであろうということで、その試験内容等の斉一化、ばらつきがあってはいけない、それからレベルはアップする必要があるだろう、こういう形で試験を実施する場合には、畜産局と事前によく相談をして試験を実施するように指導をしている、こういうことでございます。
  204. 金子岩三

    金子委員長 神田厚君。
  205. 神田厚

    ○神田委員 私は政府が過日提出しました五十一年度の林業白書、林業の動向に関する年次報告及び五十二年度において講じようとする林業施策について、それらの問題点を若干御質問を申し上げたいというふうに考えております。林政の問題と地域の林政の問題を含めまして御質問をさせていただきます。  この白書の中で、国民経済との関連の中でいわゆる経済の不況、低成長、これらが木材需要の伸びの鈍化を来してさらに価格の低迷を来しておる。そうしたことが生産意欲の減退を誘って、全体的に造林面積の減少やあるいは木材の関連産業の悪化、倒産、こういうふうなことを招きまして、林業や林産業に対しまして、非常に見通しの暗い停滞を深めているという形で指摘されているわけでありますけれども、私はこの中で一番問題となっておりますのは、いわゆる林業経営の問題につきまして、森林所有者、これらの人々が生産意欲を減退させている。この生産意欲を減退させているという基本的な原因は一体どこにあるのだろうか、このことを非常に心配しているわけであります。この点につきましてまずお伺いをいたしたいというふうに考えております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  206. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生指摘生産意欲を減退しておるというまず一番大きな問題は、最近木材産業そのものの全般がきわめて不振でございまして、とりわけ、たとえばパルプその他低質材を利用いたします産業等、こういうものが林業の場合にはどうしても活発に動きませんと、森林を切りました場合には必ずそういう低質材が出てまいります。したがいまして、造林をしようにいたしましても、林地に生えております前生樹を切りませんと造林ができない、ところがその切った木がなかなか売れない、そういう問題から造林がなかなか進まないという問題がございます。そのほか一部には林業労働力の老齢化等々ございまして、なかなか林業労働そのものが相当きつい労働でございますので、その辺の労働力の不足という問題もあろうと思います。もろもろ、そういうものが寄りまして林業活動そのものが停滞しているというふうにわれわれ考えておりますけれども、われわれといたしましては今後さらに木材に関連いたしますいろいろな問題を究明いたしまして、現地におきます造林の推進なりあるいは林業労働力の確保というものに努力いたしまして、今後林業の推進というものを図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  207. 神田厚

    ○神田委員 日本の林業の荒廃ということが非常に大きな問題になってきている。そしてその原因が浮き彫りにされてきているけれども、それに対する有効な打つ手を欠いている、こういうふうに私ども考えるわけであります。  この中で、私はいまおっしゃいましたように、いわゆる伐採の適期に来ているものが伐採ができないという状況、こういう悪い条件というものを取り除いていくためには、やはり思い切って計画的な伐採計画をお立てにならなければならない。すでに伐採の期間に入っております適齢木につきましても、それらがわずか二〇%程度しか伐採することができないという状況をどうにかして打開していかなければならないというふうに考えるのですが、その点はいかがでございますか。
  208. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 私どもは現在一番問題にいたしておりますのが間伐でございます。特に造林を進めてまいりまして、現在、戦後植えました造林木が二十年近い成長期間を経まして、今後その林地をより活力のある森林にするためにはどうしても間伐をしていかなければいけない。ところがその間伐材が売れない。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように伐採がなかなかできないという問題もございます。そういう点から、五十二年等につきましても間伐についても無利子の融資の枠を広げるとか、あるいは間伐林道をつくるとか、いろいろな対応をいたしまして、今後間伐材がより活用、利用できる面を考えながら、さらには基盤整備に関連いたします林道等々を整備いたしまして、間伐が進むような努力をし、そして林業従事者が林業に対する意欲が高まるような方途を考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  209. 神田厚

    ○神田委員 それらと関連しまして、林業の場合にやはり農業と同じように後継者の確保の問題が非常に大きな問題になっております。白書の中では学校から林業についた生徒というのはわずか五百七十人足らずである、こういうふうに言われておりますけれども、この林業後継者の確保の問題につきましてどのようなお考えをお持ちでありますか、お聞かせいただきたいというふうに考えております。
  210. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 林業後継者の問題につきましては、私どもも常々鋭意努力をいたしておるわけでありますけれども、五十二年度におきましても山村青年の教育指導あるいは林業技術の実習指導施設整備、さらには林業労働力の就業対策といたしまして、林業労働の労務の改善と促進、また最近問題になっておりますいろいろな労働安全衛生の問題に関連いたしまして、チェーンソーの作業従事者に対します特別訓練、またパトロール等々をやりまして林業労働力の安全を図る、そういうことによりまして林業労働力を確保してまいりたいというふうに考えておる次第でございますが、いま申し上げましたようないろいろな施策とあわせまして、さらに森林組合の労務班を育成するということを考えながら、今後林業労働力の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
  211. 神田厚

    ○神田委員 林業労働力の問題もそうでありますけれども、林業後継者の確保の問題をちょっと御質問申し上げたのでありますが、後継者の確保ということについて特別に何かお考えをお持ちになりますか。
  212. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 林業の場合、林業労働力の中に、私最初に後継者と両方まぜて御説明いたしましたけれども、林業の場合には後継者と労働者が違う場合が多々あるわけでございます。後継者につきましては一番最初に申し上げました山村青年の教育指導という形で、林業教室だとか学習活動だとかグループ、リーダーの育成事業というような形で、いま林研グループというのを各県につくっていただきまして、そういうものを中心に後継者の育成を図るというようなことを考えております。
  213. 神田厚

    ○神田委員 いろいろ言われておりますけれども、結局そういうことをやっても、林業研究団体などをつくっておやりになっているのはよくわかっておりますけれども、それでもなお林業後継者というのが居つかない、あるいはそこに育たない、こういう現象は何が原因だというふうにお考えになりますか。
  214. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 青少年が山村に居つかないという問題につきましては、これは単に林業だけの問題ばかりではなくて、日本全体のいろいろそういう都市、農山村の生活構造の問題等々あろうと思います。さらに林業の場合には、それに加えまして林業そのものが、先ほど来先生も御指摘になりましたようないろいろな停滞の問題、さらには山村に非常に林業の生産基盤があるというような問題等々、他の産業に見られない問題も含まれておると思いますけれども、一般的に農山村から青年が出ていくというものと非常に大きな関係があろうと私は思います。そういう点で私ども公共事業の林道費で生活環境基盤の整備ということもことしから調査を始めまして、対応してまいりたいというように考えておりますし、そういうもろもろのものを検討しながら、今後青少年後継者が農山村に居つくような方途を考えてまいりたいと思っております。
  215. 神田厚

    ○神田委員 この生産意欲の問題、さらには後継者の確保の問題、それともう一つ大事なことは、日本では木材というのは努力をすれば自給できる一つの産業であるわけであります。資源であるわけであります。それが現在六五%を輸入に頼っているという現況でありますけれども、この輸入木材の現状を長官はどういうふうにお考えになりますか。私はやはりもう少し日本の国内の材料を利用するような形に持っていかなければならない。そしてその跡にきちんとした計画的な造林をし、計画的な植林をして、そして日本の林政を、林業を振興させる、そういうふうな形をとっていかなければいけないというふうに考えているわけであります。その輸入に頼っている現況というものを打開していかなければいけないと考えておりますが、その点はどういうふうにお考えでございますか。
  216. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 私ども先生と同じように、長期的には輸入に頼ることを打開して、日本国内で自生いたします木材を利用していただきたいというふうに考えております。しかしながら日本全体の森林面積、先生御存じのように二千五百万ヘクタールございますけれども、ただいま閣議決定されております長期計画で私ども考えておりますのは、そのうちの千三百万ヘクタールを造林地にしようということで、ただいま大体その七〇%の目標が達成されております。この計画でまいりますと、昭和九十六年には大体六五%国産材で賄い得る。しかしながら、やはり需要も伸びてまいりますので、どうしても三五%は外材に頼らざるを得ない。したがいまして、いまのうちに日本の森林をより強いものにしていかなければいけないというふうに考えております。また現時点におきまして国産材を使おうということで、いろいろな面で努力いたしております。特に間伐材につきましては、先ほど御説明いたしましたように私ども今後とも努力してまいりますけれども、いまの段階では、需要に対しましてはどうしてもある程度の量は外材に頼らざるを得ない。しかしながらその間に日本の森林をより強いものにし、またこれに関連いたします諸産業を強力なものにし、基盤のあるものにしていくことが何よりも必要かと思っております。そういう面で、私どももおいおい国産材の使用率が高まるような方途を考えていく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  217. 神田厚

    ○神田委員 この輸入木材の問題は大変大きな問題でございますが、とにかく木材くらいは自給できるものは自給するという方針を強く出して、計画は固定されたものではなくて変更もできますから、そういうふうなことで意欲的に取り組んでいただきたい、こういうふうに私は考えているわけであります。  時間の関係で余り御質問申し上げられませんが、この白書の中での一番の問題は国有林野事業の問題なのでありますが、実はその国有林野事業の問題について非常に触れられてない。私はこの問題についてこの後御質問をさせていただきたいというふうに思うわけでありますが、その前に、この林業の問題で、去る三月十五日に栃木県の那須郡黒羽町、それから馬頭町で大きな山林火災が起こりました。この林野火災が非常に多くの被害面積をもたらしまして、両町合わせて千六百五十ヘクタール、被害金額三十五億円、こういうふうな未曽有の山林火災となったわけであります。このことにつきまして県におきましてもあるいは町におきましても対策本部を設置して、国有林とも連携をとりながらこの復旧対策に全力を傾注しているわけでありますが、何といいましても林業に対する現在のような状況であります。そういうふうな中で、現地におきましてもなかなか造林意欲というものがわいてこない。そういう面で、現地でこれらを指導している人たちは非常に困っているわけであります。このような問題に関しまして、私はこの全体的な復旧計画、これらができているというふうに考えておりますけれども、それらの計画を踏まえまして、こういう大きな林野火災につきまして林野庁としてはどういうふうに対処をなさっていくおつもりか、この点をお聞きしたいというふうに考えております。
  218. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 栃木県の火災につきましては、ただいま先生から御指摘のありましたように、非常に大きな火災でありまして、最近にない、特にまた造林地中心の火災が起きたわけでございます。これに対しまして私どもといたしましても四月六日に試験場のもろもろの技術者、研究者を中心にいたしましたチームをつくりまして、現地で三日間調査いたしました。その結果、今後の災害に対する対策の問題、造林に対する問題あるいは焼けました立木の利用の問題等々をいろいろ調査いたしまして、その結果に基づきまして地元の方方、さらには県の方々と十分打ち合わせをいたしまして今後の対応を図ってまいろうというふうに考えております。現時点で、すでにたとえば造林地の激甚対策というものも決定いたしておりますし、そういう形でさしずめできるものから早急に対応するという姿勢で現在取り組んでおる次第でございます。
  219. 神田厚

    ○神田委員 この問題で一番大事なのは、地域の森林所有者に対しまして造林の意欲をもう一度持たせるということであります。焼失面積の大きさ、そういうものにつきまして私も先ほど現地を視察させていただきましたが、森林所有者はどうなってもいいというような、非常に荘然とした状態からなかなか抜け切れないようであります。それを何とかしなければならないということで、町や森林組合などがこの地において植樹祭を本年度も行って、ここから新しい植林、造林、一つの模範的な造林地区をつくっていくのだ、こういうふうなことで意欲的に取り組まれているようでありますが、そういう中で私ども現地に行きまして、二、三の陳情を受けております。その幾つかをここでまた長官にお願いをいたしたいと思うのであります。  造林意欲がないということの一番の原因は、結局、こういう林業の荒廃した中で、また植えても二十年も四十年もかからなければ切れない、こういうことに対する一つの失望があると同時に、いわゆる激甚災害復旧造林の補助単価をもう少し実勢に合ったものに引き上げてほしい、こういうふうな要望をいただいておるわけであります。そうすることによりまして、全国的な平均がそうでありますけれども、一ヘクタールたとえば五十万なら五十万が、火災の後のいわゆる地ごしらえとか、そういうものを全部含めますと一ヘクタール約百万くらいかかるというのが現地の人たちの話であります。そういうことも含めまして、この補助単価を実勢単価の線に引き上げていただきたいということを考えておるわけであります。私どもは、そういうことをやっていくことによって、その地においてさらに造林の意欲というものをわかせることができる、こう考えておるわけでありますが、その点につきましてどういうふうにお考えでございますか。
  220. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生おっしゃいましたような営々と築いた造林地が一瞬にして焼けてしまったということで、森林所有者の方々については非常にお気の毒だと私も思います。  これに対しまして、先ほど申し上げましたように、林野庁といたしましても早急に調査団を派遣いたしまして今後の対策検討し、森林所有者の方々あるいは県と十分打ち合わせをしながら万全の対応をしてまいりたいと考えております。  いま御指摘にございました特にその中の造林でございますが、先ほど申し上げましたように、造林については激甚災害復旧造林ということで取り扱うということで、これはもうすでに決めております。この場合には実質的な補助率が普通の補助率より高くなりまして、一般の場合ですと県と国とで大体四〇%の補助率でございますけれども、この場合には五二%の補助率になります。  それから先生がおっしゃいました単価の問題でございますが、たとえば火災によりまして焼失した立木の取り除き、そのようないろいろな特別な焼木の除去等がございますので、そういう問題も含めた、できるだけ実勢に近い単価をわれわれとしても十分検討いたしまして、現地ともお話し合いの上その辺の単価を決定し、補助の算定をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  221. 神田厚

    ○神田委員 これは御存じかと思いますけれども、焼けた木が全部焼け切れないで残っているわけであります。したがいまして、それを伐採することから始めなければいけないわけでありまして、いわゆる火災罹災林に入るということ自体でもうすでに三〇%近い労働賃金の上昇があるわけであります。三割増しでなければそういう片づけもやらないという状況もございます。そういうことを含めましてひとつ実勢の単価に近いものを出して御援助をいただきたい、こういうお願いをしているわけでございます。いま、実勢単価に近い形で検討するということでございますので、ひとつその辺はよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、造林作業路の利用の問題などにつきましても、つくった造林作業道を民間の所有者も搬出その他で使わせていただきたい、こういう要望をいただいているわけでありますが、その点につきましてはどういうふうにお考えでございましょう。
  222. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生は十分御存じだと思いますけれども、国有林の作業路というのは、本来であれば国有林自身が自分の山を経営するために作業するに必要な道をつくりまして、きわめて簡易な道でございますので一般の方が通られると非常に危険な問題もございます、そういう点で専用的に国有林の事業のために使っておる道でございます。しかしながら今回、これだけの大きな被害が出ておりますし、また、この作業路を使う方が今後この復旧のためにもきわめて利用価値が高い、またそれが復旧のために非常に必要であるということでございますならば、この辺につきましては十分地元と話し合いをいたしまして、国有林の作業路を使っていただいて早急に適確な復旧をしていただくような御協力を申し上げたいと考えております。
  223. 神田厚

    ○神田委員 さらに、いろいろ資金面での要望が来ているわけであります。造林資金の借入枠の拡大とか県行造林資金枠の拡大、さらに一般造林資金の補助残融資の利子補給の問題、こういう問題につきましていろいろ要望が来ております。こういうことにつきましても、ひとつよろしくお願いをしたいというふうに考えておるのですが、いかがでございますか。
  224. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 造林の融資につきましては、五十二年度は農林漁業金融公庫の造林融資額が、前年度は四百四十七億でございましたけれども、五百十四億と増額いたしております。したがいまして、本資金を重点的に配分いたすことによりまして、今回の山火事の復旧造林に必要な資金につきましては十分確保できるよう、地元、県等々と打ち合わせをして対応してまいりたいというふうに考えております。
  225. 神田厚

    ○神田委員 さらに、県の方からも要望が来ていると思うのでありますが、予防治山補助枠の拡大。県及び森林組合あるいは町が、この災害に対しまして非常に意欲的に復旧作業を進めようとしております。そういう中で、いままでの予防治山の補助枠の中ではこれができない。もうすでに、いわゆる二次災害予防のために航空実播などをしております。そういう中でひとつ補助枠の拡大をお願いしたいというふうに私ども考えておるわけでありますが、その点につきましてはいかがでございましょう。
  226. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 今回の山火事跡地につきましては先般、現地にわれわれの技術者あるいは試験場の研究者が参りまして調査した結果、これは、いま先生がおっしゃいましたような治山事業のいわゆる予防治山、復旧治山の増額という形ではなくて、緊急治山という形で対応しようということにいたしております。緊急治山ということになりますと、これは従来の予防治山あるいは復旧治山とは別枠で必要な緊急治山に対応できますので、この枠の中で緊急治山として早急に山腹工事あるいは谷どめ工事等やりまして、今後控えております梅雨あるいは台風時期に被害のないような対応をいまからやろうということで、県と十分打ち合わせをさせていただいております。
  227. 神田厚

    ○神田委員 谷どめにいたしましてもあるいはいろいろな問題にしましても、非常に金のかかる問題でございます。ただこれは早急にやっていかなければならない問題でございますので、どうかその点につきましても、林野庁といたしましても大蔵省との折衝になるわけでございましょうが、ひとつよろしくお願いをいたしたい、こう御要望を申し上げておきたいと思います。  さて、私は、罹災木が搬出されて製材にされる、この場合の一番の問題は、罹災木が買いたたかれてその製品価値を非常に落とすということが大きな問題になってくるのではないか、こう考えております。したがいまして、この面につきましてひとつ行政指導なりあるいはそういうことで、不当に安く買いたたかれないように——林野庁の技術者の方々などから聞きますと製品としては余り遜色がない、一般材と大して変わりがない、こういうお話もあるようでございますから、ひとつその点についてのお考えをお示しいただきたいというふうに考えております。
  228. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 当初申し上げましたように、試験場からこういう木材関係の研究者も参りまして、今回焼失いたしました立木等がどういう状況であるかということも調べてまいりました。ただいま先生おっしゃいましたように、見かけは焼けた木ではございますけれども、中にはまだ有効に使えるものもございますし、また中には構造材としてはなかなかむずかしいというものもございます。いろいろそういう点がございます。こういうものは大体どういう方面に向けられるのだということを地元の森林所有者の方々に十分御理解いただき、そしてまた、その森林所有者の方々にそういう的確な知識がないために不当に買いたたかれるということのないような指導を県あるいは場合によりますと営林署等を通じて行いまして、いま先生おっしゃいましたようないろいろな問題が起きませんように、さらには関連の業界等もこれに協力するように私の方で指導をしてまいりたいと考えております。
  229. 神田厚

    ○神田委員 そういうことで、火災で一番の問題は、やはり一番先に申しました補助単価を引き上げる問題、つまり地ごしらえなどに非常に金がかかる問題であります。ですから、その辺のところを十分に御留意いただきたいと考えております。  次に、国有林野事業の問題でございますが、白書によりますと、この国有林野の事業につきましては、経営改善策を早急に具体化してその推進を図る、非常に抽象的な言い方しかされてないわけであります。私は、国有林野事業の問題をもう少しきちんとした明確な方向で、いままでの経緯と、赤字に転落している国有林野事業をこれからどういうふうに立て直していくのかということをもっと明確に出していかなければならないというふうに考えているわけでありますが、いかがでございますか。
  230. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 今回、私どもが作成いたしました林業白書につきましては、先生指摘のように、国有林の問題については、民有林に比べますとその内容等について細かい記述がないという御指摘が確かにあろうかと思います。ただ、林業白書につきましては、日本の林業全般の問題というふうにとらえますので、そういうとらえ方をいたしますと国有林そのものは一森林所有者であるという立場になりますので、一森林所有者の問題を余り個々に書くということも問題があろうかと考えますが、確かに国有林は国の森林でございますので、いま先生の御指摘のような考え方もあろうかと思います。白書は毎年出すものでございますし、その辺については、私どもとしても今後十分検討させていただきたいと思います。
  231. 神田厚

    ○神田委員 次に、林野庁の国有林野事業業務方針ですが、この業務方針の中にいろいろ問題のある個所があります。「事業使命達成上の必要性に照らし不要存置林野等については計画的に売払いし、収入の確保を図る」、こういう一項目があるようでありますが、時間もありませんからこの問題についてまとめて御質問を申し上げますので、ひとつお願いいたしたいと思います。  まず第一は、不要存置林野等というのは、都市の周辺及び観光地などの地価の高い地域に位置している国有林を優先的に売り払う、こういうことを意図しているのではないかと私ども考えるわけであります。  さらに、公売も行っているようでありますが、経営の基盤である土地を軽々に用途廃止して売り払うというのは、赤字補てんに重点を置いていると認められるのでありますけれども、売り払いの基本方針と具体的な売り払いの方法を説明していただきたい。  さらには、過去四十七年度以降年度ごとの売り払い実績があるわけであります。昭和五十二年以降三カ年の売り払い計画と四十七年度以降年度ごとの売り払い実績、これらの面積、金額はどういうふうになっているかをお聞かせ願いたい。これは数字の問題でありますから、資料で提出をしていただければ結構であると考えております。  四番目に、国有林野の活用に関する法律というのがございますが、この法律の第八条によれば、国有林野を売り払った収入は保安林の買い入れなどに充てることと規定されております。そうしますと、活用法の施行後、これは四十六年六月十日からでありますが、どれだけ林野を買い入れをしたか、この実績を示していただきたい、こういうふうに私は考えているわけであります。活用法の趣旨からして、もしも売り払いの収入が単に赤字の補てんに回されているということになりますと、これは法律の条項に違反するのではないか、こういうふうに私は考えるからであります。この点について御質問を申し上げたい。  以上四点であります。
  232. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 まず初めに、不要存置の売り払いの基本方針でございますけれども先生指摘になりましたように、都市近郊の高いところを売るのではなかろうか、さらには、それは、国有林の基本的な経営に係る土地を、財政状況が悪いから無理して売るのではなかろうかというお話でございますが、私ども、国有林の場合、現地の林地あるいは林地以外に、過去に貯木場であった個所あるいは苗畑であった個所その他いろいろな事業地をあちらこちらに持っております。そういうものの中で、すでにその事業の目的を達しあるいは事業の場所が移転した等々のために不要になったものを不要存置と言っておりますけれども、そういうものを売り払う場合には、基本的には、公共用あるいは公益事業の用に供する場合に、必要がある場合において、国有林野の管理事業の適切な運営を図る中においていま申し上げたような個所を売り払っております。したがいまして、場合によりますと、確かにそういうものは都市近郊にある場合が多うございますので、都市近郊のものだけを積極的に選び出して売っておるというような誤解を招く場合があるのかもしれませんけれども、逆にまた、いま申し上げましたような、国有林として事業個所が移転した等々のために現在使わなくなったものについては、日本の国土全体の利用のあり方の中で、効率的に土地を利用するという観点から、先ほど申し上げました公共的なものを中心に売り払いをするという基本方針を立てております。  それから、四十七年以降各年度の売り払いの実績、先生いま数字とおっしゃいましたが、これは後ほどまた資料で御提出申し上げても結構だと思いますが、概算で申し上げますと、四十七年から五十二年の見込みでございますけれども、不要存置につきましては大体七千ヘクタールを売り払う、また売り払った実績になっております。  それから、五十二年度以降の三カ年間の売り払い計画というお話でございましたが、いま申し上げましたように、不要存置につきましては、計画的にどこどこというものではございませんで、それぞれの地域地域におきまして公共用あるいは公益事業用という形でいろいろな御要望があった場合に、こちらの方の不要存置であればそれを御利用いただくという形になっておりますので、現時点では計画というものは持っておりません。  次に、活用法の八条で、売却の収入は保安林等の買い入れに使えということになっているではないかという御指摘でございますが、確かにそういう条項になっております。そこで、四十六年から、この法律が適用されましてから売り払いいたしました面積は二千九百三十四ヘクタールでございまして、保安林等の買い入れは一万二千百五十三ヘクタールになっております。しかしながら、面積的には圧倒的に多い面積をわれわれ購入しているわけでございますけれども、何せ売り払う場所と購入いたします場所との立地条件の関係で、金額にいたしますと、売り払いいたしましたものが八十二億、買い入れいたしましたものが約三十三億という形になっておりまして、五十億ばかりの差がございます。ただ、私どもといたしましては、今後この国有林野の活用をやっていく中で、ロングランの中でこの辺は十分対応しながら考えていきたいと思っておる次第でございます。
  233. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  234. 津川武一

    ○津川委員 日ソ漁業が難航し、私も超党派の国会議員団の一人としてソ連に行ってまいりまして、帰ってきてから塩釜から八戸の三陸沿岸、小泊から鯵ケ沢、深浦などの日本海岸の漁業関係者を回って懇談してまいりました。その中で早急に解決しなければならない幾つかの問題にぶつかりましたので、その中からさらに二、三点しぼって質問してみたいと思います。  第一は、資源の問題です。川を上るサケ・マスは遡河性の資源で、ソ連などというものが向こうのものだと言うことに真っ向から対抗して、その点で押し負けないために早急に日本の河川にサケ・マスのふ化放流事業を拡大しなければならぬという事件でございます。農林省のことしの予算で、北海道の国営のサケ・マスの予算が十一億一千六百九万、かなりふやしました。内地の放流事業二億四千二百二十八万、これもふやしましたけれども、これに対して急速にふやして、国が地方自治体にも関係漁業者にも方針を提示してやっていかなければならない、こういうことです。私は前に北海道で国営の五十億円、内地は十億円以上やるべきだということを質問したこともありますが、水産庁のこのサケ・マスのふ化放流の拡大に対して方針があったならば聞かしていただきたいと思います。
  235. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、サケ・マスのふ化放流事業はわが国の今後の栽培漁業としても最も重要な一翼を担うものだと理解しております。特に先生指摘のように、北海道はかなりの放流事業をやっておりまして、ある程度河川容量との関係ではなお余裕があるといっても、相当なところまで来ている、やはり今後開拓するのは内地だろうと思っております。特に、内地の場合は回遊期間が長い関係上、比較的良質のサケ・マスが回帰する形になりますので、その面からも評価していいものと思っております。  そこで、本年度から特に給餌放流をふやそうじゃないかということで、給餌放流の尾数をふやし、これを中心に予算の増額を図ったわけでございますが、これ以外に、実は構造改善事業の一環としてふ化場の増設等を積極的に進めると同時に、さらに北海道のふ化場でふ化して育成しましたサケ・マスの内地への輸送という問題を協会を通じて強化するという方向で考えております。  御指摘のように、非常に重要な課題だと思っておりますので、五十一年から五カ年計画で放流計画をふやし、最終的には五十五年には六億尾に近い放流まで持っていきたいと思っておりますが、今後ともこの計画に従って拡充を図ると同時に、施設整備を図ってまいりたいと思っております。
  236. 津川武一

    ○津川委員 五カ年計画で六億、私は十億やれると思っていたのですけれども。  そこで、ことしの二億四千万、これをかなり早目に消化して、不足であるならば予備費を使う、これが実際に必要になってまいっておりますが、こういう考え方があるのか。さらに、ことしのうちに来年度のものを計画して関係者と協議する、相談して体制を進めなければならない、こう思うわけですが、ここいらあたりはいかがです。
  237. 森実孝郎

    森実説明員 ことしのふ化放流尾数につきましてはすでに予算で決まっておりますので、この計画に従って実施したいと思っておりますが、サケ・マスのふ化放流事業、特に内地につきましては、私、先生が御指摘のように、毎年予算を編成する前に前広に関係者の意見を聞きまして話を詰める必要があると思いますので、御指摘の後段の点については十分に配慮してまいりたいと思っております。
  238. 津川武一

    ○津川委員 その次にぶつかった問題は、融資の問題です。「北洋漁業関係緊急融資措置」、その中で加工業者対策分の大体の構想を水産庁から教えていただきましたが、これだと納得しません。というのは、融資対象者として「昭和五十二年の日ソ漁業交渉の経過から加工場操業の停止等により緊急に経営資金を必要としている水産加工業者とする。」この項目は、等というのがあるからまあいいと思うようなこともあるけれども、ここに問題があるのです。現地塩釜に行って実態を調査しました。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 「マルは」「日水」がスケソウをとる、とってきたそのスケソウを加工する、すり身にする、この加工業者が「マルは」や「日水」や「道連」の資本系列、ここですり身にする。このすり身にしたものがもう一回「マルは」や「日水」に戻る。そして「マルは」や「日水」がこれを卸市場の卸に売る、これから今度は加工業者が買う、こういう仕組みになっているようです。こういう形で売り惜しみ、買いだめ——市場への放出が少なくなっている。  そこで、「マルは」や「日水」などのとってきたものを買って加工してすり身にする、彼らの系列資本、ここが操業停止して操短した場合に、間違いなく融資が行くでしょう。この点が行くのか行かないのか、融資の対象になるのか。そうして現実にすり身からかまぼこなどをつくっている中小加工業者、すり身はことしの三月中旬でトン十六万、私が行ってみたときには二十五万五千円から二十六万円、しかし商売を維持しなければならぬ、従業員を解雇するわけにいかないから懸命になって操業しています。この十六万から二十六万に上がった材料を手に入れるための資金が大変でございます。ところが操業停止していないので対象にならないのじゃないかと心配しています。したがって、これらの人たちが今度の緊急融資の対象になるのかどうか。これが一番大事な対象者なんです。この加工業者に言わせると、「マルは」や「日水」の大手から材料を受け取ってすり身加工する人たちは貯蔵もあるし、これがいま問題をつり上げている犯人だと言わぬばかりのこれが融資をもらって、四苦八苦のぼくたちが融資をもらえないのはこれはどういうことなんだ。どうやらこれは、見せてもらったら、彼らの心配が当てはまるようであります。この点はいかがでございます。  二点答えてください。
  239. 森実孝郎

    森実説明員 まず事実関係を申し上げますと、スケトウのすり身につきましては、母船式の冷凍すり身と陸上でつくる冷凍すり身がございます。先生指摘の「マルは大洋」等の大手水産会社が持っておりますのは、いわば洋上加工の船上すり身でございまして、これは主としてアメリカの二百海里海域でとっているものでございます。したがって、今回の北洋問題で出てきておりますのは陸上での冷凍すり身の問題と御理解いただく必要があると思います。これは船自体としてはほとんど中小船主の船のものでございまして、原料魚を釧路その他の水揚げ港において入札して、要するに競りで市場経由で売買いたしまして、これを加工業者が買っております。  ただ、この加工業者の中には実は二通りございまして、すり身という一次加工と、かまぼこその他の二次製品の二次加工を縦断的に行うものと、それからすり身加工だけですり身を凍結品にして二次加工業者に売るものとの二つに分かれております。恐らく私、そんたくで申し上げるのははなはだ恐縮でございますが、いま御指摘のございました塩釜の事例というのは——塩釜にも実は冷凍すり身専業者が数軒ございますが、恐らく二次加工業者の問題であろうというふうに見ております。これにつきましては、実は二次加工業者はかなり原料魚の利用の幅が広く、必ずしもスケトウの冷凍すり身だけに依存しているわけではございませんし、それからまたそのときそのときに応じてあるいは商品の種類に応じまして、各方面から従来からも陸上の冷凍すり身を引いたりあるいは非常に高級な船上すり身を引いたりというふうに、取引形態が非常に多元化しております。そこで一概に、先生指摘のように今回の北洋の操業ストップで従来の例から見て直ちに操業を停止しなければならないものかどうかという問題はございますが、確かに特に塩釜等で問題があることは私ども聞いております。  そこで、一つは、現に原料不足に困っておりまして、原料が全体としては北海道に多少偏在している傾向がある。これはどこの系列というのじゃなくて、全体としてでございます。北海道も通年より在庫量が決して多いわけではございませんが、しかし相対的に偏在しておることは事実でございまして、北海道のすり身を内地にあっせんすることを今週中にやりたいということで、やっております。  それからなお、金融の問題につきましては、私どもこのたびの三分資金のつなぎ融資で考えておりますのは、水産加工場の操業の停止の度合いが前年に比して過半を超えていること、それから原料魚使用のうちスケトウダラ、ニシンの占める割合が過半を占めていること等を要件としておりますが、これ以外にも通常金利のつなぎ融資は必要だと考えておりますので、具体的に事情を聞きまして融資のあっせん考えてみたいと思っております。
  240. 津川武一

    ○津川委員 塩釜の加工業者とは話をしてみました。そうしたら、問題は釧路と八戸なんです。部長はいま塩釜の事態だと言っているけれども、とってきたスケトウの中に大きいのと小さいのとあるんだって。そこで、「マルは」や大手は自分の資本でその選別をさしたり、悪いものを、そういうのをやらして、そこいらが塩釜に来ている張本人なんだよ。それを調べてごらんなさい、そこへも資金が行くだろうというのだ。それはやらなくても、いまあなたたちが出そうと思っておる「操業の停止等」の「等」の中に、材料が高くなってなかなか入らない、こういう人たちに融資するのか、してほしい、ここのところを明言してほしいのです。いまのところは必ずしも明言になっていない。
  241. 森実孝郎

    森実説明員 現実にストックを持っているあるいは含み利益を上げている、金融もついている、操業もそう下げていない、こういう企業者も特に北海道を中心に若干あることは私どもも知っております。先ほど申し上げましたように操業の停止の度合いが過半であること、スケトウ、ニシンの占める割合が過半であること、それから経営上緊急に必要かどうかという三つの要件を掲げまして、これによって、加工協同組合と県庁に確認をさせることにしております。したがって、御指摘のようなものがあれば証明、確認を行わないよう、注意を喚起してまいりたいと思っております。
  242. 津川武一

    ○津川委員 そこで、スケトウとすり身が価格が落ちたときがあったでしょう。あのとき皆さんが加工業者を一つの系列にやったね。そして保管、貯蔵したんだ。このときにあの人たちは、「マルは」の系統と「日水」の系統と「道連」の系統に組織された。それでスケトウなりすり身の価格急低落はある程度まで効果を上げた。これがいま障害になっているというのです。これが今度は、上の方から系列で流れてこない、したがって、いま出してやるというからいい。ところが問題は、水産庁は何と言っているかということなんです。彼らが行くと、どこでたまって、どこで値上げしているか、あなたたち持ってきなさい、そうするならおれらがこれをやってやるがと言う。しかし系列の中に入っているから言えない。言ったら材料がとまってしまうんだな。だからやはり具体的に水産庁が調べてこれをやらせなければならない。  もう一つの問題は、こういうので便乗値上げがあるから、加工業者が材料をためようとしたら、水産庁は、便乗値上げをあふるからやめなさいと言った。そのとき十九万円で買えたんだ、今度は水産庁の言うとおりにやったら二十六万円になった。だからこういう言葉がある。水産庁の言うのと逆、逆にいけばおれらは損をしないのにと言う。だから、現地の一線の加工業者の実態を調べると言ったが、いま私が言っているような状態だったら融資をこの中でするべきだと思うのですが、もう一回重ねて……。
  243. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のように三月下旬に北転船、沖底が非常に大量のスケトウを水揚げした経過がございます。その結果、まさにおっしゃるように一時期反落した時期がございます。ところが、御案内のように四月の操業ストップが五月の操業ストップにつながり、在庫がどんどん減っていくということで再び反騰したということは事実でございます。その過程で私も実は先生が聞かれたと同じ話を関係業者から聞いたことがございます。これは商業の判断でございまして、農林省の言うことを聞いたから損をしたんだとか得をしたんだということにはならないとは私は思いますけれども、確かに御指摘のように原料が不足で困っている人がいることは二次加工業者では事実でございます。  そこで、全体としては在庫量が減っておりますけれども、私どもは先ほど申し上げたように、特に北海道の荷を内地にあっせんすることをやりたたいということで、個別に主要なルートと話し合いを行いまして、それを冷凍魚肉協会というルートにまとめさせまして、きょうは十二日でございますが、きょう一回目の話し合いをやるということをやっているわけでございます。  それから金融の問題につきましては、先ほど申し上げました要件に該当するかどうかが問題でございますが、なお、それ以外に二次関連で問題になるところがあると思いますので、これは中小企業庁の協力も得まして、通利によるつなぎ融資はさらに別枠で考えたいと思っておりますので、相談に乗っていきたいと思っております。
  244. 津川武一

    ○津川委員 部長が最後に挙げた金融上著しく困難を来しているもの、これに塩釜のその人たちを該当させるべきだし、すると思うんだけれども、くどいようだが、この点どうですか。
  245. 森実孝郎

    森実説明員 具体的に個々のメーカーごとに判断する必要があると思います。私も何回か塩釜の人たちに会って聞きましたが、一律に議論するのはいささかどうであろうかというふうに思っております。
  246. 津川武一

    ○津川委員 これは通達の要項だと思うんだけれども、これをもっと細部にわたってつけ加える、こんなものじゃないでしょう。いかがです。
  247. 森実孝郎

    森実説明員 これに私どもが継ぎ足して指導方針を決めておりますのは、先ほどから繰り返して申し上げますように、日ソ漁業交渉の中断によって原料魚の供給不足が起こり、これによって加工場の操業停止の度合いが過半を超えていること、それから二番目は、原料魚の使用量のうちスケトウとニシンの割合が過半量を占めていること、もう一つは、経営的に逼迫して緊急に資金を必要としていること、この三つの条件を考えております。
  248. 津川武一

    ○津川委員 次に、問題をもう一つ進めます。  現在進行している日ソ漁業交渉でございますが、つい最近日ソ漁業交渉解説というのがモスクワ放送で日本に傍受されております。これを聞いて私はびっくりしました。もう一つには、五月六日のAPNプレスニュースで、日ソ漁業交渉ソ連代表団長ピョートル・モイセーエフが「建設的な交渉のとびらは相変わらず開かれている」、こういう解説記事を書いております。この中で非常に心配なのは、領海十二海里でのソ連の操業、お互いに交流する相互主義でやるのだから、日本が、ソ連が引く二百海里の中で操業したかったならば日本の領海でもこれを認めろ、領海の権利は日本の主権であることは認めるが、それをやらないとソ連がいま設定した二百海里の中で、ソ連は全部これをとる用意がある、技術もある、体制もある、したがって、日本の領海でとらせなければ、この日本の漁船が領海でとる漁獲量が減るぞ、ソ連が日本の領海十二海里内でとっている分だけそっくり減らされるぞ、こんな恫喝が二つの面で始まっております。  きょうの夕刊を見ました。日本が出す日本案、この中を見られたら一条から八条、暫定協定の一条から八条とそっくり、裏返したもの。一条あのとおり、三条、四条、五条、六条、八条そのとおり。日本の出している案には、二条の領海内での操業が入ってないです。これは新聞記事だから。もしそうだとすれば、これでソ連の船が入ってきたときにどうなるのか。日ソ漁業交渉で、第二条で領海内に入れる、そういう点で妥協する、そういう点で妙な玉虫色にする、こんな心配はないだろうねということが、私の一つ質問。そういう点をここでも明らかにして、現地の農林大臣にもう一度その点を念を押してがんばらせなければいけない。私もソ連に行ってポドゴルヌイ最高幹部会議長やイシコフと会ってみると、どうしても彼らはそれを執拗に要求している。そうでないと、報復みたいなのを考えている。したがって、ここの点が心配なわけです。したがって、この点がどうかということ。次官でも部長でもどちらでもいいですが、この際なので、この席において明確に言明していただきたいと思います。
  249. 羽田孜

    ○羽田政府委員 確かに、ソ連側の方では、わが国十二海里内におきますところのイワシ漁というものに対して大変関心を持っておるということは、私ども十分承知いたしております。しかし、この十二海里内におけるソ連船の操業につきましては、ソ連側の方も自国領海内における日本漁船の操業というものは、今日までも認めておらないところでございますので、ソ連側のかかる要求はわが国としては認めることはできないというのが私どもの基本的な考え方であり、その考え方に基づいて交渉を進めておるところでございます。
  250. 津川武一

    ○津川委員 この解説放送を見ると、ソ連が外国の領海の中でどこでどうとっているかかなり詳しく書いてあるのです。日本が外国の領海内でとっていることも書いてある。お互いの国で、領海内でとり合っていることを書いてある。これが国際的な通例だと言っている。だから、その点も十分やはり研究していただいて、鈴木農林大臣にもその点で一歩も負けないように、さらにやってほしいと思う。  そこで、日本には外国人漁業の規制に関する法律があります。この中の第三条で「次に掲げるものは、本邦の水域において漁業を行なってはならない。」とありますからいいみたいだけれども、日本の法律よりも条約が優先するでしょう。そこで、日本の提案の第二条がないのがやはり心配なんだ。はっきり領海内でとるのじゃないのだということを明記しなければ何か心配で、後でどこかで付属文書なんかで玉虫色になるのじゃないかという心配があるわけです。  そこで、もう一つは、外国人にとらせないとすれば、ここの点で、本邦の水域、これは領海の十二海里は入っているのか、今度の二百海里法でその外の百八十八海里なのか、ここいらあたりこのままでいいのか、政令を改正してやはり明らかにしなければならないのじゃないか。こんな点が多少今度心配になってきたわけです。したがって、外国人漁業の規制に関する法律、これに対して施行令や施行規則などという全般の検討が必要じゃないのか、そういう点ひとつ伺わしていただきます。
  251. 森実孝郎

    森実説明員 まず最初の御質問にございました点にお答え申し上げます。  私ども、実はきょうの新聞はまだ見ておりませんが、いまの先生の御指摘のような点からそんたくいたしますと、経済水域と申しますか漁業水域に対する日本とソ連の考え方の違いの問題が一つあると思います。ソ連の考え方を端的に申しますと、二百海里の漁業水域は、領海も含めて二百海里全体を漁業水域と考えている。つまり、漁業水域と領海がダブった形でものを考えているわけでございます。これはほかの外国には例を見ないきわめてユニークな法制でございます。それに対して、わが国の漁業水域は、はっきり法律にも、領海を除く、こうなっておりまして、いわばいま御指摘のように、百八十八海里の分、比喩的に申しますと、百八十八海里の分を漁業水域として構成しているわけでございます。  そういう意味で、条約の書き方に若干の特殊性が出てくることはあると思いますけれども、しかし、いずれにせよわれわれとしては、わが国の漁業水域にはソ連の漁船は一定の手続に従って入漁は認めるけれども、領海には入漁は認めないという方針は変わっておりません。はっきり申し上げると、日本の二百海里の暫定措置法で、もうはっきり領海は入っておらないわけでございます。その点は誤解があってはならないと思っております。明らかにしてまいります。  それから第二に、外国人漁業規制法の問題でございますが、これは本邦の水域というのは領海であるということは確立された解釈でございます。したがって、領海が三海里から十二海里に拡大されれば、当然十二海里は領海として、つまり本邦の水域として外国人の漁業が禁止されるということになる点は疑いがございません。
  252. 津川武一

    ○津川委員 その点をひとつ明確にしておいて、どうしてもやはり領海を守らなければならぬ、これはひとつがんばっていただかなければならぬと思います。  最後に、今度は日本海側。ソ連で二百海里をやったね。ところが、あの水域は、いま出ていかなければならぬサケ・マスの一番いい漁場なんです。これに入っていかなければ飯が食えない。すでに行っているんだ。それは遠慮なしに逮捕されますか。これはどうしても安全操業で速やかに手を打って、ソ連が引いた二百海里、今度日本で引く二百海里の中間線、ここいらの作業を非常に急がなければならぬ。したがって、いつ中間線をソ連と日本で確認し合うのか。黙っていてもいいのか。日本で、この間われわが修正したね。共産党もあの修正案に賛成した。あれだけでいいのか、向こうと話し合いをしなければならぬのか、ここの点を急がなければ、サケ・マスの漁期でいま行く人たちが困って、そこまで行ってまごまごしている、これが一つ。ソ連の二百海里で、こちらのずっとはみ出るところで、中間線よりこちら側に入っていいのか。それから、今度は中間線より向こう側のところへいつ入っていけるのか。入れる許可証をいつもらえるのか。これを非常に焦っている。六月中旬になってくると、とれなくなってしまう。いまいる。この間、その中でとってもらったマスを見せてもらったら大したいいあれで、大しておいしかった。皆さん焦っているわけなんだ。ここらに対する具体的な見解、具体的な指導方針、海上保安庁の船が行って、ここのところに線を引いてくれればいいとか、各県の指導船なんかが出ていってくれればいいなんという、かなり具体的な話が出ていますが、ここの点の方針と具体的な指導を明らかにしていただきます。
  253. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  まず、日本海につきましても他の海域と同様に、ソ連は明らかに中間線ということを決めておりまして、非公式でございますが、図面でもそれを認めております。私どもといたしましては、中間線の確認をしました海図を業界にアドバイスしておりまして、業界は団体を通じて個々の船にその中間線の海図を持たすことにしておりますので、この点は、まず遺漏なく措置できるものと思っております。  なお、御指摘のように、日本海のサケ・マスは、四月中は日本の二百海里の中で操業しているわけでございますが、五月に入ると、中間線を越えてソ連の二百海里の中に入るというのはまさに御指摘のとおりでございます。その意味で、サケ・マスの交渉を早期に妥結し、出漁させることは緊急の課題だと思っております。サケ・マスにつきましては、御案内のようにすでに日ソ漁業委員会で数量の枠を決めておりまして、その際、休漁する船も、業界を指導して決めておりますので、今回の一連の交渉が妥結すれば、他の業種と違ってすぐ出漁できる条件が出てくると思います。  ただ、問題は、二百海里の中の漁獲というものをどうするかは、まだそこまで交渉が行っておりませんので、この点はなおこの数日間の交渉の経過を見る必要があると思っております。
  254. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、そこで、業界を通じてアドバイスする、それをまた怒っているのです。何かあったときに水産庁は責任を負わないつもりだ、水産庁が直接こうしなさいと出てこい、これが関係者の端的な声なんです。この点が一つ。  それから、次官、そこで彼らの言うのは、水産庁だからこうなんだ、水産省にして大臣をもう一人つくれ——共産党は、大臣が余り多くなることは反対なんだけれども、この際これだけは必要だと思っているので、こういう考え方、この二点をお伺いして、私質問を終わります。
  255. 森実孝郎

    森実説明員 正式の海図を役所の責任で示す問題につきましては、わが国の二百海里法が施行されて、ソ連と正式の外交交渉をしなければできないという問題がございます。しかし、事実上は先ほど申し上げましたとおり確認しておりますから、その事実上確認した結果を水産庁のアドバイスに従って業界団体から各船主に伝達するということを当座の問題としてやってまいりたいということを申し上げているわけでございます。
  256. 羽田孜

    ○羽田政府委員 水産庁といたしまして十分な対応をこれからもしていけると思います。ただ、いま先生から御意見がございましたことは、御意見として伺っておきたいと思います。
  257. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  258. 金子岩三

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十二分散会