○今井
委員 領海法案の
審査のため、私のほか八名の
委員及び二名の現地参加の
委員をもって、去る四月二十三日、二十四日の両日にわたり調査をしてまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。
まず、調査日程について申し上げます。
第一日目の四月二十三日は、
海上保安庁の協力を得て、同庁のYS11型機に搭乗し、銚子沖、金華山沖、三陸沖へと北上し、その間、
わが国近海における外国漁船の操業状況等を視察した後、本案において
特定海域として
規定されている津軽海峡の上空に至り、その地形及び船舶の通過状況等を視察し、函館空港に到着いたしました。
次いで、函館市内において函館市長及び地元漁業
関係者等から実情
説明、陳情等を聴取した後、札幌市に参りました。
第二日目の四月二十四日は、札幌市内において、北海道知事及び北海道漁業
関係者の代表から、北海道漁業の
現状等の
説明及び陳情等を聴取した後、千歳市の水産庁北海道さけ・ますふ化場等を視察し、帰途についたのであります。
次に、調査の概要について申し上げます。
われわれは、羽田から函館に向かう途中で、高度約二百五十メートルの低空から外国漁船の操業状況を視察いたしましたが、銚子沖約十海里、鹿島沖約二十二海里、那珂湊沖約十五海里の
海域で、総計約五十隻の数千トン程度と見られる
ソ連母船、加工船、底びき網漁船が操業している現場を目の当たりに見たのであります。その
海域には、
わが国漁船の姿は全くなく、
海上保安庁の巡視船が監視を続けておりました。
次いで、津軽海峡に至り、同海峡の地形、青函連絡船の航路等、
わが国船舶の通過状況及び
外国船舶の航行等をつぶさに視察した後、函館市に到着いたしました。
函館市におきましては、矢野函館市長、三浦渡島管内漁業協同組合副会長等、四人の代表者から地元漁業の実情
説明及び陳情等を聴取し、矢野市長からは、函館市の総出荷額千七百億円のうち約五百億円が水産関連物資によるもので、北洋漁業の盛衰が地元経済に及ぼす影響はきわめて深刻である旨、同市における水産業の果たす役割りの重要性についての
説明があり、さらに津軽海峡においては道南の一市二十七町村の約千四百隻に上る零細漁船が操業し、年間五万五千トン、約百七十億円の漁獲を揚げているという実情から、外国漁船操業の完全排除を初め、
日ソ漁業交渉の中断に伴う休漁及び今後予想される減船などに関連して、完全な補償、緊急融資、水産加工業者への特別救済
措置及び漁業離職者等に対する雇用の安定、重大な影響を受ける地方財政の援助救済等について万全を期するよう強く要望されると同時に、長期的視野に立ち、北洋漁業及びその関連業の体制整備が行えるように金融
制度、漁業
制度等の抜本的見直しが必要である旨の発言がありました。
また、各発言者から異口同音に、
領海法案及び
漁業水域に関する
暫定措置法案の早期成立を図るようこれまた強く要望され、また、
ソ連漁船、韓国漁船の操業に伴う零細漁民の被害の実態調査とその損害賠償が全く行われていないことに対する善処方を切々と訴えられ、あわせて、被害の国による立てかえ払いについて要望されました。
さらに、二百海里
漁業水域の設定に当たり、その警備体制の拡充を図ること、北海道周辺については適用除外の
海域及び外国人を指定しないこと等が要望され、やむを得ず適用除外とする場合には、予想される漁具被害等の恒久的救済
制度として、国による被害救済基金
制度を確立するようその構想について
説明を受けたのであります。
われわれは、これらの
説明、要望について、さらに詳細な
説明を求めるとともに、いわゆる海洋二法案の早期成立を図ること、
日ソ漁業交渉については、万全の救済
措置を背景にし、将来に禍根を残さないよう毅然たる
態度で当たる決意であることを表明してまいりました。
次に、札幌市におきましては、堂垣内北海道知事、浜森稚内市長、兼平北海道海洋法対策
委員会会長等七人の方々から
意見を聴取いたしました。
函館市における
説明、陳情等と重複する点は割愛して、その概要を御報告申し上げます。
まず、北海道知事から、北海道における総
漁獲量二百六十五万トンのうち百六万トンを
ソ連二百海里内で揚げている旨の北洋漁業の重要性、四十九年から今年の三月までに二千七百十件、約八億円にも上る外国漁船の操業に伴う漁具等の被害の実態、さらには、
日ソ漁業交渉に伴い社会不安をも来している漁業都市の
現状及びこれに対処し北海道が講じた
措置等について
説明を聴取するとともに、
漁業者等に対し、国がまず緊急に行うべき
措置として、休業補償、減船補償及び緊急融資、水産加工業者等に対する
措置として、休業、操業短縮に対する特別救済
措置、雇用者に対する
措置として、再就職の促進、雇用調整給付金
制度の適用
範囲の拡大等について特段の
措置を講ずるよう要望され、さらに恒久対策として、遠洋漁業等の体制整備、水産業に関する基本法の制定とこれに基づく強力な施策の推進を要望されたのであります。
また、稚内市長からは、
日ソ漁業交渉の中断により四月以降に同市の水産業が受けた被害は七十億円、すなわち、同市生産販売実績の約七割に達し、市の経済活動全体がとまっているという窮状を悲痛な表情で訴えられたのであります。
このほか、他の発言者から、
サケ・
マス漁船の減船に対する国の直接助成、関連業者の負債の償還期限の延長等について要望がなされました。
これらの要望に対し、まず私から調査団を代表して
領海法案並びに二百海里法案の早期成立に向け、その施行期日の検討も含めて努力すること、水産業者等の被害救済のための特別立法については
政府をして研究させ、早い機会に成立するよう努力することをお約束申し上げ、さらに二百海里
漁業水域の設定に当たり、漁業禁止区域については完全保護を図らなければならない旨を申し上げてまいりました。
次いで、各党の
派遣委員から、以上の
説明、要望に対する質疑並びに
意見が開陳されました。
この後水産庁北海道さけ・ますふ化場のふ化施設等を視察し、全調査日程を終了した次第であります。
終わりに、今回の調査に当たり御協力をいただきました道、市を初め
関係諸団体の各位に対し、深甚なる謝意を表しまして、御報告を終わります。(拍手)