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1977-03-24 第80回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十四日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    染谷  誠君       玉沢徳一郎君    中野 四郎君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    小川 国彦君       岡田 利春君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林大臣官房審         議官      犬伏 孝治君         農林大臣官房審         議官      増田 甚平君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁次長   佐々木輝夫君  委員外出席者         農林省農林経済         局統計情報部長 白根 健也君         中小企業庁計画         部計画課長   安田 佳三君         建設省河川局水         政課長     吉沢 奎介君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 三月二十三日  農業機械士制度法制化に関する請願(渡辺美  智雄君紹介)(第一八四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出第四〇号)  農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四一号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤隆君。
  3. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 実は、農政の基本問題について、大臣のおられるときに、たとえば国内自給率をどう考えていくか、あるいはまた地域分担の進め方をどうするか、あるいは主要農産物のバランスのとれた価格政策をどう進めていくか、あるいはまた後継者対策とか、そしてもっと具体的には主要食糧備蓄あるいは米の備蓄、こういう基本問題を議論しようと私は思ったのですけれども農林大臣の時間がとれないようですから、きょうはそういう基本問題の中で、特にいままで余り議論は多くされてこなかった問題で、国内自給率を高めていく、これはどうしても高めていかなければいかぬわけですから、高めていくという観点から、食品産業加工食品加工食品の中には食管物資もありますし、いろいろな問題があるわけでありますが、広く言えば食品産業振興加工食品にかかわる基本問題、そして具体的な問題を幾つか、わずか三十分でありますから簡単になりますが、農林省食糧庁お尋ねをしたい、こう思うわけであります。  最初に、食生活というものが非常にレベルアップされてきたことは事実だろうと思うのです。お互いがずいぶんおいしい物を食べるようになった。生活のレベルアップと同時に、食生活それ自体が相当レベルアップされてきた。そういう食生活水準が高度化された中で、加工食品需要というものがやはり相当伸びているということだろうと思うのです。そういう意味で、食料消費の中での加工食品割合がどの程度になっているか、簡単に答えてください。
  4. 増田甚平

    増田(甚)政府委員 お答えいたします。  いまの御指摘のように、家計食料費の中の加工食品の比率、これは総理府の家計調査で調べたところ、御指摘のようにだんだんふえております。具体的に申し上げますと、昭和三十九年には四八・〇%、十年後の四十八年には五一・五%、五十年の数字で見ますと五二・二%と五〇%を超えておりまして、いま数字で申し上げましたように、漸増傾向にあるということが言えると思います。
  5. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 それは三十九年からのことでありますけれども、二十年代、三十年代と見てくると、恐らくもっとはっきり急速に加工食品需要が伸びてきたことがわかるのではないかと思います。後でこの委員会が終わってからでいいですから、二十年代との比較のものを私に聞かしてください。  それから、加工食品製造業産出額は、製造業産出額の中でどの程度割合になっているだろうかということ。それから、時間がございませんから続けてお尋ねしておきますが、加工食品企業原料に占める国内産農産物割合はどの程度であるか。それからもう一つ、主として国内産農産物原料としている加工食品産業業種、その規模従業員数、それがわかりましたら、細かいところは後で資料でひとついただきたいと思うのです。だから、要所要所だけを簡単に答えてください。
  6. 増田甚平

    増田(甚)政府委員 お答えいたします。  それでは、細かい点につきましては資料先生に御説明するといたしまして、まず製造業出荷額に占めます食品産業割合でございますけれども、これも年次別に申しますと、昭和四十年には一三・二%、四十五年には一〇・四%、五十年には一一・八%というふうになっておりまして、年によって変わりはありますけれども、大体ずっと一〇%前後というふうになっております。  それから次に、加工食品原料中に占める国産原料割合でございますけれども、これは御案内の産業連関表から拾い出したもので、ちょっと数字が古いわけでございますけれども、四十五年の数字で見ますと、五七・一%という数字になっております。  それからさらにお尋ねの、国内農産物主原料といたしております農林省所管業種でございますけれども、これはいろいろございます。たとえば米菓製造業でございますとか、あるいは肉製品製造業、それから水産かん詰めびん詰め等を含みます水産食料品製造業、それから多いのは野菜、果実のかん詰め製造業等でございます。これらの国内産農産物主原料としております業種の概要でございますけれども従業員が約四十万人でございます。それから生産額は、出荷額でございますけれども、これは約四兆円程度ということになっております。  なお、食品製造業は、いま申しました数字は四十九年の数字でございますけれども、約十三兆でございます。十三兆の中の四兆円でございますから、大体三割見当を占めておるという状況になっております。
  7. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 従業員数はどの程度か、それはわかりませんか。わからなかったら後でいいですよ。
  8. 増田甚平

    増田(甚)政府委員 大体四十万人ぐらいでございます。なお、食品製造業全体では、大体百十五万人見当で、百十五万人のうちの四十万人でございますから、大体三五%程度というふうになっております。
  9. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 粗ごなしに要点だけ数字を聞いたわけですけれども、この数字を吟味するまでもなく、こういう企業というのはきわめて零細、その基盤も脆弱な業種であるということは言えると思うのです。私が、たとえば全米工の方からの調査をさせたわけでありますけれども、その雇用状況はどういうことになっているか、労働力はどういう形で就業されておるかということになりますと、都市近郊であっても六〇%程度農業地帯からの労働力である、それから農業が非常に大きいシェアを占めておる県においては、米菓産業の場合は八〇%から九〇%がらみが農村労働力である、こういうことなんです。ですから私が考えるのは、こういう零細な、そして基盤も弱い企業に対して、国内農産物自給力を高めていかなければならぬときに、その企業が、業種が先行き不安であるというようなことになったら大変だ。これは農村農業問題、いかに近代化をしていこうと、そして省力経営でいくとか言うていろいろいいことを言っても、雇用の問題、物価の問題、もう考えると、この加工食品産業の先行き不安というものは大変大きな社会問題でもある、こう思うのです。でありますから、私は、こういう加工食品産業企業に対して農政の中で相当積極的に取り組んでいく必要があるのではないか。私も農林省でちょっと飯を食ったことがありますけれども、いままでどうもそういうことまでは手が回らない、そういうような気がするのです。そのことについてどう考えますか。
  10. 増田甚平

    増田(甚)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、食品産業につきましては原料が動植物である。したがいまして、非常に傷みやすいとか貯蔵性に乏しいというようなこともありまして、中小規模のものが御指摘のように非常に多いわけでございます。したがいまして、その基盤も脆弱でございまして、この点につきましては私どもも従来から問題点として意識しておりまして、これは必ずしも十分と言えないと思いますけれども農林省におきましても、たとえば食品流通局を発足させるというようなことによりまして逐次その対策を拡充強化しておるということが言えると思います。私ども中小企業金融公庫等によりますいろいろな政策金融でございますとか、あるいは減価償却等特例等の税制上の措置等によりましていろいろ施策を講じておるわけでございますけれども、そういう問題点がまだ依然として残っておるものでございますから、現在は、これも先生御承知と思いますけれども食品産業懇談会、これは学識経験者をメンバーとしておりますけれども、この食品産業懇談会におきまして、原料確保の問題を含めましていろいろ検討いたしておりまして、その結果を踏まえまして、私どもも必要な措置検討してまいりたいというふうに考えております。
  11. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 食品産業懇談会というのは大臣私的諮問機関、こういうものもまだ歴史も浅いようでありますが、そういうところで相当積極的に考えていただかなければ困ると思うのです。私が一番問題とするのは、そういうことで国内政策という点で見ればいま言われるとおりなんです。ところが、それに加えて貿易政策面でも相当積極的に踏み込んでいかないと大変な問題になるのではないかということを実は憂慮しておるわけであります。それはいま説明のありました税とか金融措置だけの問題ではないという意味であります。  そこで、貿易政策面では、ちょっと言いにくいことを言って悪いのだけれども農林省はいままでの経過からするとちょっと無理もないということも言えますが、通産省貿易主務官庁でありますから、農林省の方がそういう貿易についての物の考え方がおくれていると言うとちょっと言い過ぎかもしれぬけれども、私はおくれていると思うのですよ。そういう意味で、これから貿易政策面でもう相当突っ込んだ考え方を、たとえば食品産業懇談会の中においても、ひとつ貿易という問題をやはり踏み込んで考える必要があるのじゃないですか。そう思うのですが、その貿易の点についてどう思われるか。簡単でいいですよ。
  12. 増田甚平

    増田(甚)政府委員 先ほど申しましたように、原料面、これは輸入原料に依存するものもございますので、そういう点も含めまして検討はいたしたいと思っております。
  13. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 いまずっとかいつまんで基本的な問題だけを聞きましたけれども、具体的にたとえばつけものの例を見ますと、梅干しだとかラッキョウ、ショウガ、ナス、キュウリ、こういうものが、農林省野菜団地を、一生懸命に指定団地をつくりながらやっておっても、やはりこういうものがどんどん入ってきておる。もちろん生で入ってくるのではなくて塩蔵、塩づけで入ってくるわけです。それは向こうでつくられておるのですから、買いたい者が買えばいいじゃないかと言えばそれっきりなんですけれども、私は心配するのは、塩づけで入ってきているうちはいいけれども、本当にいま食生活水準がどんどん上がってきて、つけもの需要が急速にふえていると思います。そういうときに、現地で味つけを覚えさせて、現地で味つけられたつけものが入ってきたら一体どうするんだろう。つけもの工業においても農村労働力を相当吸収していることは事実であります。そういう雇用問題等も含めて考えると、これは先行き大変なことになりはしないかという心配をしているのです。あるいは水産物につきましても、たとえばいま水産問題が二百海里問題でもって大変でありますけれども、魚がなかなかとりにくいということになれば、大手の企業海外に行って魚の買いつけをやる。魚の買いつけをやるまではいいけれども、まるで入ってくるぐらいならまだいいけれども、これが一次加工、もっと進んで二次加工、こういうようなことでやがてはかまぼこが入ってくる、外国生産をされてそれが輸入をされてくる。そうすると、かまぼこ業界は一体どうなるんだろう、そこに働いている人はどうなるのか、こういう心配を実はするわけなんです。こういうのは具体的な問題が、いままだつけものでもかまぼこでもそれほど出てきておりません。おりませんが、出てきたら大変だと私は思うのです。  そこで、いま出ておる問題は何であるかというと、米菓の問題であります。食管物資である米を原料とする米菓の問題なんです。これは実を言うと、食管制度のもとで基本的に国が管理をする、こういうことになっておるわけでありますけれども、これらの企業は、やはり外米に比較して高い原料を使って、そして米の消費拡大に協力をしておる。私は米の消費拡大論者でありますから、もうパンなんかも小麦粉のパンを食わないで玄米パンを、去年も良質米制度をつくるとき私自身が国会でも主張しておるわけであります。そういうことで米の消費拡大ということも考えると、これはやはり大変なことだ。そして外国原料はどうかというと、モチ米にしてトン当たり四万円台、国内ではどうかというと四十万円近く、三十五、六万という時期もあったけれども、このごろまた少し上がってきたのですよ。そして安い原料で、安い労働力で、そしてどんどん生産されて逆輸入をしてくるというか、食管物資との競合問題が起こってくる。そしてこのせんべいが素焼きの形で、ちょうど歯ざわりが日本人嗜好に合うような素焼きの形で入ってきて、味つけすればすぐ製品になるというようなことで実は輸入をされてきておる。この輸入量が相当ふえてきているんじゃないかと思うのです。この十年間やはり相当なものだろうと思うのです。具体的な数字を聞かなくても、もうそれは十分理解できる現実だろうと思うのです。そういう中で、食糧自給率を高めていく。まだ生産調整も続けなければならぬ過剰傾向の中で、そして米の消費を伸ばす。日本でできるものは日本自給率を高めていって、どんどん自給力つけていって、そして消費拡大もしていこうというときに、これはゆゆしき問題だと私は思うわけであります。そういうことについてやはり真剣に取り組んでもらわないと大変なことになると思うのです。特に発展途上国東南アジア、そういう方面からどんどん半製品ないしは製品が入ってくる。いつの間にかIQ物資AA物資になってしまって、自由化されておって、そしてもう自由化をやってしまったんだからしようがない、後戻りはできない、それでは国内産業泣いていろ、これでは米の消費も伸びないし、自給力も高くならないし、そして農村労働力を吸収しておる米菓産業というものは壊滅すると思うのですよ。そういうことについて食糧庁長官どう思われますか。
  14. 大河原太一郎

    大河原政府委員 米菓、特にあられにつきましては、先生お話しのとおり東南アジア開発途上国からの輸入量がふえております。これは御指摘のように原料玄米内外価格差というものが非常に大きい。しかも、労賃その他製造コストという関係からふえておるわけでございまして、お話にもございましたように、四十六年以来自由化されております。したがいまして、モチ米原料とするあられ産業につきまして、国内との調整という問題が起きているわけでございますが、特に最近景気後退に伴う需要の鈍化というようなことも一層拍車をかけておるというように判断しておりますが。お話の前段にございました中小企業問題という点からも、われわれ所管業種についての格段配慮が必要であるという点は申すまでもございませんが、国内産モチ米原料消費策という意味で、米の需給問題という点から見ましても、これについて一層の配慮を払わなければならない。ただ、これについては諸般の問題、すなわち、貿易なり通商政策関係からくる諸般の制約というようなものもあるわけでございますけれども、われわれとしてはそれぞれ政府部内、関係省と一段と協議を進めまして、これへの対応については格段の努力をいたさなければならないというように考えております。
  15. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 私はいま米菓のことを具体的に申し上げましたけれどもビーフンについてもやはり注意をしておかなければいかぬと思うのです。  米を原料とする加工食品という意味ビーフンも、時間がございませんので簡単に申し上げますけれども、いまのところ四百万トンから五百万トンぐらいが輸入されておる程度だ、中国台湾からということなんですね。これも米の消費拡大、そういう問題からすると、もちろん自給力の向上ということにつながってのことでありますが、このビーフンもほっておいて——特に硬質米ビーフンに合うというようなことも聞いております。そうすると、東南アジアの方でもあるいは中国台湾等においてもさらに積極的にどんどん取り組まれた日には、せっかく国内原料があるにもかかわらず、それを活用できずに、しかもまた国内業界を圧迫するという問題にもなりかねない。これはいまの米菓工業が抱えるような悩みがこないように御注意を申し上げておきたい、こう思うわけであります。  そこで、私はきょうは基本問題の中で、国内自給率をどう高めていくかということに関連しての質問だけにということでありましたから詳しくは言いませんが、問題は米の備蓄一つ考えてみてももう少し踏み込んだ考え方加工食品、いまのような問題を考えるときに考えられないものか。ランニングストックがすでに去年の十月末で二百六十万トン、ことしは三百万トン、四百万トンになろうか、こういうことであります。そういう予測の中で、もうランニングストックという考え方ば改めるべきではないか、ランニングストックでなくて、いわゆる備蓄という問題にやはり切りかえるべきではないか。ということは、古米がどんどん出てくるわけでありますから、その古米をどう処理していくかという、たとえば三百万トンなら三百万トンサイクルで、ことしの米が来年に持ち越される。備蓄米が持ち越される。それをこういう処理をやっていって、米を原料とする加工食品に対して原料供給を安定的に安く提供をしてやるというような考え方をとるとか、そういう一つの新しいサイクル考えないことには、やはり米の消費拡大ということも容易ではないなという気がするのです。新しい米がうんととれました、消費者には古い米と半々ぐらいにしてまぜて食ってもらっていて、来年になったらことしの新しい米はまた古い米でというようなことで、消費者嗜好も今日非常に多様化されておるときでありますから、そういうときにいよいよ加工食品についての分野にこれを原料対策としてどう進めていくかというようなことも真剣に考えなければいかぬのじゃないか、こう思うのです。備蓄問題はその程度にしておきますから、その点だけについて長官から答えていただきたい。
  16. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  今日、内外食糧情勢にかんがみまして、通常の需給操作上必要な百万トンに対して、われわれは二百万トンを在庫造成いたすという考えでございます。お話しのとおり五十年産の豊作で現在は二百六十万トンになっておりますが、この考え方は、お話しにもございましたように、その米穀年度末で古米をその必要数量持ち越して次の米穀年度主食用にこれを充当する、置きかえ備蓄、いわゆる回転備蓄でございます。これに対して先生お話は、たな上げ備蓄需給操作上必要なものだけを配給に回してたな上げ備蓄というお考えでございますが、これは米管理の問題としてなお今後検討を要すべきものとは思いますけれども、やはりわれわれが第一義的に備蓄と申しますのは、いろいろな不可避なアクシデントがございました場合も、主食として常に配給をしなければならない。したがって、たな上げで四年も五年もたな上げしておるものは主食として配給が不可能でございます。したがって、われわれとしては常に新米古米と置きかえながら回転をして、主食用配給をしながら置きかえ備蓄をしていくということでございます。また、古米は非常に食味等の問題がございますけれども低温倉庫等も最大限度整備しながら古米新米との関係を調節していこうというようなことでございます。また財政のことを言って恐縮でございますが、現在トン当たり一年間二万四千円というような保管経費等を要するという財政面検討等も要するわけでございますが、いずれにいたしましても、備蓄米管理という問題で、諸般の今日のわれわれの方式がいいかどうかという問題については、十分な研究をしながら実際的な方法をとるべきであるというように考えております。
  17. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 いまの答弁でどうもすっきりはいたしませんけれども、少なくともそういう加工食品分野食管物資である原料というものをもう少し何かうまいサイクルをひとつ考えようという気持ちはいまの答弁で出ておる、こう理解をいたしておきます。  もちろん財政問題等については私どもも常に主張しているところですから、これをなおざりにしてということではございません。しかし、いわゆるたな上げ備蓄と言われましたけれども、われわれは本来の備蓄はそうあるべきだというふうに——たな上げ備蓄という言葉になると何かちょっとニュアンスが違いますので、これは後でまたひとつ議論をいたしたいと思いますが、そういう原料供給という問題についてひとつ前向きに取り組んでいただけるものと期待をいたしておきます。  それから、きょうは実はこういう食品産業についてきわめて零細な小企業零細企業、こういうものについて、いま国内では新聞、マスコミも大きく取り上げておる分野調整の問題がいろいろ議論されておるわけでありますけれども、この分野調整の問題は所管中小企業庁でありますが、長官そして担当の部長も都合が悪いということで、しかしだれか聞いておいていただきたいということで計画課長に来ていただいておりますけれども、この中小企業分野調整という問題で、加工食品産業に実はいままで相当な苦労をしてきた思いがあります。たとえばもやしの問題しかり、豆腐の問題しかりであります。そういう中で今度分野調整が何らかの形でこの国会でできると思うけれども加工食品産業について国内で何ぼ分野調整で縛ってみても、余力のあるもの、活力のあるものが海外投資を進めて金と技術を向こうに植えつけてやったのでは、国内分野調整だけでは終わらないという問題が出てくるわけです。そういう問題がありますから、農林省通産省中小企業庁も、そういうことも頭に置いてひとつお考えをいただきたい。加工食品について、中小企業分野調整にも触れてこれはひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので、最後にちょっとだけ触れておきたいのは、この加工食品の食品衛生上の問題、これも本当はもっと議論したいのですが、これはいずれかの機会を見て厚生省からも来てもらってひとつ議論をいたしたいと思います。  私は、いまいろいろ、短い時間でありましたが、食生活水準が相当レベルアップされておるという現状の中で、食糧自給率を高めていかなければならないという命題、そして海外投資には十分注意を払う、そういう考え方が必要であるぞということ、それからこの問題は単なる原料問題だけではなくて、農村雇用の問題、雇用の機会をどう与えるかという問題、公害のない産業をどう育成していくかという問題、経済の問題、社会問題であるということ、こういうことを含めて零細加工食品工業がもっともっと強くなっていくように、そして国民の需要消費者需要にこたえることができるようにひとつ十分検討していただきたいと思うのです。  質問の途中に先ほど増田議官からもちょっと答弁はいただきましたけれども食品産業振興するための食品産業の位置づけというもの、これは貿易等も含めて、農林省においてはまだまだこれからの問題である、いままではどうもおくれをとっておったということは否めない事実だろうと思いますので、それをひとつぜひ積極的に検討していただくために、食品産業振興法とかいうような法律をどのようにつくれば、もっと適切なその行政ができるのかというようなことも検討する必要もあるでしょうし、従来検討されたいきさつもあるようでありますけれども、さらに焼き直して検討する必要があると思うのです。そういうこともこの際提言としてひとつ申し上げておきたいと思うのです。とりあえずは食品産業懇談会ですか、その場において相当積極的な詰めを進めていただきたい、これだけをお願いしておきます。食糧庁長官から、本当はこれは政務次官か大臣から答えていただくべきでありますが、食糧庁長官はいろいろなところを歩いてきたわけでありますし、やがては全部また統括しなければいかぬわけだから、食糧庁長官からひとつ改めて加工食品工業について、問題を提起されたいまのこの時点においてひとつ考え方をお聞きして、私の質問を終わります。
  18. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  私自身も米麦の加工産業を預かっておりますので、食品産業の今後のあり方という点については、いろいろ先生の御提案等もございましたので、現在、農政固有の領域にとどまらず、食生活の多様化とか、その他国内食品産業原料というような視点から万般の施策、特にこれはその産業の性格から他の行政領域との調整というような点も非常に多いわけでございますので、それらを含めて、農政の固有の領域とパラレルで進むような施策の充実に努めるよう努力を続けるべきものと思っております。
  19. 金子岩三

    金子委員長 加藤紘一君。
  20. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 きょうは主に畜産局にお伺いいたします。  畜産物価格決定の時期が近づいてきたわけで、本当に幾つかの問題があります。三十分の時間で恐らく多くのことをお聞きしたいと思いますので、簡単にお答えいただければと思います。  まず最初に、基本姿勢の問題をお伺いいたしますが、いま各地で畜産物に対する農家の関心が非常に高まっております。それで、過去に畜産危機の中で非常に負債を背負った人、また途中でやめた人、脱落した人、多くの問題を抱えながら最近やっと若干の小康状態を保ってきたかなという感じで、それになおかつ、たまには明るい気持ちを持たせていただきたいという気持ちが農家の間に非常に強いのに、どうもいろんなテレビのニュースを聞きますと、据え置きだとか、たかだかいって一%だとか二%だとかいう話になる。日本農業新聞の記事の中にさえそんな悲観論が出てくる。一体農林省は畜産農家のことを考えているのかね、酪農を考えているのかね、本当に上げることを阻むそれなりの合理的な理由があるならばそれはわかるのだけれども、しかし何としても財政とかそれから何となく姿勢の問題として上げないのじゃないかねというような気分がかなりあるのも事実だと思います。  私はきょう、加工原料乳の方とそれから指定食肉、二つについてお伺いいたしますけれども、まず加工原料乳の方について、農協要求なんかで、二二%、百六円という要求であるわけですけれども、これがなぜ要求どおりできないのかということを、説得力ある理由があるのかお聞きしたいと思います。
  21. 大場敏彦

    ○大場政府委員 生産者団体の方からいろいろ御要求が出されておりますが、われわれそれを検討させていただいている最中であります。しかしそれについてのコメントは、いまこの場で私ども具体的な数値を持っておりませんので差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、いま私ども統計情報部の生産調査というものを素材にいたしまして、いま具体的に作業中でありますから、月末には、近々後には具体的なわれわれの計算値というものを出して御諮問申し上げたいと思っておるところでございます。
  22. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 いま直接質問にお答えいただかなかったように思うのですけれども、たとえば膨大に保証乳価を上げていったら一体どういう困難な状態になるか、財政上の問題以外にも何か理由があるのか、そこをお答えいただきたいと思います。
  23. 大場敏彦

    ○大場政府委員 何が大幅かどうかという議論は実はあるわけでありますけれども、しかしいずれにしても乳価を算定する場合には、やはり再生産を旨としてというような制度の趣旨に即して算定していくつもりであります。  しかしながら、現在の需給事情はかなり緩和してきている。生乳にいたしましても相当な伸びを示しております反面、飲用乳の伸びは残念ながらそれほどには伸びていないというような状況でございますし、乳製品生産はここのところ異常と思われるほどふえてきている。それがはけるならいいわけですが、在庫になっているということも考えますと、需給は非常に緩和基調になってきている。来年度の価格政策の運用の問題として、基本的には再生産確保を旨とするということはもちろん貫かなければならないわけでありますが、また消費の増進ということも結局それは生産者のためになるという観点から、消費の増進、需要の拡大というところにも考えを置かなければいけないのじゃないかと私ども思っておるわけであります。
  24. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 いまの中で、余り値段を上げると消費が伸びない、そして結局は酪農農民みずからの首を縛るという感じですけれども、ことし確かに飲用乳の消費の伸び、需要が低かった。しかし、それは去年夏場がかなり涼しかったから、たまたまそういう結果になったのではないかという見方もあると思いますけれども、その辺いかがでしょうか。
  25. 大場敏彦

    ○大場政府委員 生乳の伸びは、去年の四月からことしの一月まで、対前年比一〇七・一%であります。かなりのハイピッチで伸びております。最近は特に、北海道を例にとりますと、一月、十二月は対前年一八%というような伸びであります。この伸びはいろいろ原因が錯綜しているのだろうと思いますが、一言で言えば、一つは、酪農をめぐる環境がかつての畜産のパニックから立ち直って落ちつきを取り戻してきているという.ことは言えるのじゃないか。たとえばえさの価格にいたしましても、かなり安定してきているということは言えますし、それから、生産増大のバックには、いま先生指摘になりました、夏が非常に涼しくてそのために泌乳量が多くなったということも確かにあります。ありますが、しかし、同時に、それだけではなくて、搾乳牛頭数というものも非常にふえております。逆に言えば、いわゆる老廃牛の淘汰というものをしないで、屠殺が普通の年に比べて二割ぐらい落ちている。老廃牛に飼料を多投して乳をしぼっている。それから、配合飼料の出荷量も、北海道の例で言うと前年に比べて大体一割ぐらい伸びているといったこともありますし、それから、酪農家の意欲というものの高まりということが当然あるわけで、そういったことごとがそれぞれ相乗効果を出しながら生産の増大をもたらしているというふうに判断しているわけであります。
  26. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 そうすると背後に、飲用乳の消費も余り伸びないし、まあ減ってはいないけれどもちょぼちょぼの伸びである、それに乳製品の方もかなりだぶつき始めたというようなお考えがあるように思うのですけれども、このまま生産が伸びたら、飲用向けにしても加工向けにしてもどうもだぶつき始めたという危惧感があるのではないかと思うのですが、そういう将来の見通しをどう考えておられるか。  そこで、一つお聞きしたいのは、確かに若干そういったことがあったとしても、現に生乳換算で幾ら輸入しているかわかりませんけれども、百五十万トンから二百万トンぐらいの生乳を脱脂粉乳やいろいろな形で輸入しているではないか、その分を国内生産する方に向ければいいのであって、生産過剰というのは、輸入の見合いから考えると、どうも説得力のある議論ではないんじゃないかという強い議論があると思うのですけれども、その見解をお聞きしたいと思います。
  27. 大場敏彦

    ○大場政府委員 酪農の将来につきましては、従来みたいな一直線の棒上げというのは、これから減速経済に入るわけでありますから、もちろん期待できないにしても、安定した伸びというものは期待できると私は思っております。ですから、現在の時点で直ちに過剰だというような悲観的な見方をするのは間違っている、こう思っております。ただ、成長していく過程におきまして、需要供給とがバランスを失するということがときどきありますから、それは気をつけながら生産というものを伸ばしていく必要があるだろう。片方において需要というものを見ながら、供給というものも伸ばしていかないと、そこにちぐはぐが出てくる、乱れが出てくるということを申し上げたいわけでありまして、将来にわたって酪農が過剰になるというぐあいには見る必要はないと思っているわけであります。  それから輸入の問題でありますが、輸入はいろいろ世間で御批判を仰いでおりますけれども一つは、いま輸入しておりますものは、大きく分けて三つに分けられる。それで一つは、乳糖だとかカゼインだとかナチュラルチーズ、そういったものは、国内生産されていないかあるいはほとんど生産されていないもの、したがって、需要に対して国内供給が対応できないものであります。これがかなり多うございます。第二番目の範疇としては、学校給食用とか身体不自由者といったものに対する脱脂粉乳、あるいは畜産農家がえさ用として使う脱脂粉乳、こういうものは海外の廉価なものを輸入する、これは国内の高い脱脂粉乳では使えませんから、そういうものを輸入するというのが第二の範疇であります。第三の範疇は、まさに日本の市場における脱脂粉乳その他の乳製品と競合する可能性があるわけでありますが、バターだとか脱脂粉乳。そういう人間が食用に供するものは、畜産振興事業団が——もちろんこれは自由化物資ではありません、外貨割当物資でございまして、しかも、畜産振興事業団がいわゆる一元的な管理をして、必要があるときだけ輸入する。毎年毎年きちんと定期的に輸入しているということではございません。必要があるときに輸入するといった制度をとっておりますので、海外の乳製品日本の市場に洪水になってあらわれて、それが日本の市場を圧迫するといったことは避ける仕組みになっております。現在も確かに多く入っておりますが、基本的には、日本供給というものが価格面等におきまして需要に追いついていない、対応していない、国内生産されていないから海外から入れざるを得ない。こういうものがかなり多いというふうな認識を持っております。
  28. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 いまのお答えの中に、まあそれぞれ理由があって輸入しているんだという話と、特殊な製品というのは、なかなか日本の技術でつくれないものがいまのところ入っていますという感じで受け取っていますけれども、そうすると、家畜用の脱粉なんか日本だって将来つくるという可能性があるのじゃないか。一生懸命国内でつくっていけば、もともと子供に飲ませるためにおっぱいを牛が出したわけですから、そうやるのが人道上というか、動物道上当然じゃないかというふうに思うのです。またその量も、いまのところ余り多くなくて数万トンの範囲じゃないかと思うのですけれども、実際に多いのですか。幾らぐらいになりますか。
  29. 大場敏彦

    ○大場政府委員 家畜用の脱脂粉乳は、同じ海外のものであれ、国内のものであれ、脱脂粉乳であることには変わりないわけでありますが、結局はえさとして使い得る価格水準日本における酪農のコストとのバランスの問題だろうと私は思っております。  それで、現在は製品で約五万トン、四万九千トンぐらいを輸入しているということでございます。(加藤(紘)委員「生乳換算では」と呼ぶ)生乳換算で約四十七万トンということですが、相当な量であります。
  30. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 ちょっと途中ですけれども、問題が多いので次に移りますが、いま農家では、保証価格の水準アップの問題と、それからかなり深刻に考えているのが、百三十八万トンの限度数量をオーバーした分をどう取り扱ってくれるのかねという話であります。限度数量の枠を拡大してもらわない限り、農家としては非常に経営に圧迫要因になるという気持ちが強烈に強い最大の関心であろうかと思います。限度数量というのは、むずかしい式で、何か高等数学みたいな形で需給を計算して、百三十八万トンの枠をつくっておけばまあいいでしょうと去年三月決めたわけですけれども、これは現に計算間違いで、十五万トンぐらいオーバーしそうな感じになってきている。それは政府の計算間違いじゃないか、だから、その枠の拡大をするのは何とかやってもらわなければ困るじゃないかという意見がありますが、それに対する対処方針、それから全般的に施設に半分援助して、あと半分は枠で見ますよというやり方をなさるのか、いつごろ決断なさるのか、その辺についての感覚をお話しください。
  31. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま御質問にお答えする前に、ちょっと訂正させていただきます。  先ほど脱脂粉乳を生乳換算で四十七万トンというふうに申し上げましたが、五十一年度三十三万トンでございます。  それから、限度数量の問題でいろいろお尋ねがあったわけでありますが、いまの見通しでは百三十八万トンという限度数量を十四万トンないしは十五万トンぐらいオーバーするのではなかろうか。私ども、この処置をどうするかということにつきましては、酪農経営、生産者のお立場もよく考えながら、いま大蔵当局と何らかの措置をとるべく鋭意折衝中であります。月末までには結論を出して御報告いたしたいと思っています。全部現金で出すか、あるいは一部物的施設あるいは経営合理化のための事業の助成として出すか、その辺のところはまだ解決はついておりませんが、近々月末までにはそういったことも含めて御報告申し上げるつもりで努力をしております。
  32. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 月末までに何らかの措置をとるつもりでありますといういまの御発言を、非常に前向きのものとして受け取らせていただきたいと思います。ただその際に、内容をどうせ見ていただくならば、なるべく百三十八万トンの限度内のものと同じような扱いをしていただく努力を強く強くお願いしますし、大蔵当局との折衝にもがんばっていただきたい、こう思います。  次に、一つだけ簡単にお聞きしますが、最近還元乳というのが問題になっております。一回粉にしてまた水を足してバターをくっつけてというミルク、これは正常なものなのか、大分出回っているそうだけれどもこれを規制する手だてはないのか、また環元乳自体を人間の健康上どう考えるか、本来あるべきでないと考えているのか、その実態とその性格についての判断を、政策当局者としての判断をお聞きしたいと思います。
  33. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私は、飲用牛乳というのはやはりフレッシュな形、生のままの牛乳で飲むのが基本だという形で、そのための需要拡大を進めるべきだと思っております。ただ現実には、たとえば関西等の地区におきまして、具体的に申し上げますれば、九月から十一月ごろ生乳が足りなくなるというような事態がありまして、一方需要は強いというときに、その不足分を還元乳で補っているということがあるわけであります。ただ、還元乳は四十六年のときに最高二十六万トンございました。五十年はそれが十六万トンに減っております。五十一年には、いままでの見通しではさらに半減するのではないか、こう見ておりますから、還元乳が勢いをますます得てふえていくという過程ではなく、減少していく、生乳にかわっていく過程だと思っております。ただ、還元乳を一遍にこの際なくしてしまえという御議論があるわけでありますけれども、現実に生乳が足りない、しかし牛乳は飲みたい、こういう事情があるときに、それを一切なくしてしまうということには問題がある。やはり還元乳がそういった不足分の穴を埋めて飲用牛乳の需要を支えている、そういうメリットもあり得るわけですし、また中小乳業者は経営上余乳が出た場合にはそれを還元乳に回すというような問題もありますから、一遍に廃止してしまうのはやはり実際的ではないと私は思います。しかし、これは逐次生乳に切りかえていくというような形で、現在私ども生乳の混入率を七割以上とする、そういう表示をしろということを業界に指導いたしまして、これはすでに最近実施中であります。
  34. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 次に、指定食肉についてお伺いいたします。  いまこれが何%と諮問に出るか、大きな関心を持って見られておりますが、どうも一般に、米価にしてもそうだけれども、指定食肉の安定帯のはじき方にしてもそうだけれども、大体ことしはこの辺にいきましょうというのが最初にあって、それからいろいろ調整係数や何かで数式を変えてそれに合ったものが出てくる、逆算方式じゃないかという不安感は非常に強いと思います。ことしは去年と数式を同じものでやるのか、計算方式を同じものでやるのか、いじくらないのか、その辺についてしっかりとした事前の方針をここでお話しいただきたい、こう思います。
  35. 大場敏彦

    ○大場政府委員 食肉の安定帯制度は、これはいわゆる価格支持制度ではございませんで、価格の暴騰、暴落というものを防いで食肉の市場価格をその中に安定させるというのが制度の仕組みでありますから、私は需給実勢といいますか、需給均衡、そういった立場から価格制度をはじき、運用していくべきだというふうに思っております。具体的にどういう計算方式をとるかということは、現在まだ内部で検討中でございますが、基本的には従来の計算方式をとっていったらいいのではないかというように考えております。
  36. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 基本的には従来と同じ方式というのですが、その基本的というのはかなりいろいろときどき基本的に外れたりいたしますので、なるべく従来の方針と同じ、絶対に動かさないというような対処で、まず従来の方式ですとこうですよ、これですとたまには農家のためにもならぬときがありますからこう変えますよという理由を、説得できるような説明というのが必要だと思います。農民サイドの方からも、従来の方式ではいかぬので、中心価格の振り方をもうちょっと強く振ってくださいよ、輸入に対する限界という意味でもそういう要求が出てまいりますので、なるべく変えてくれという要求もあるわけですから、それぞれについて、余りむずかしい、だれもわからぬようなところでごまかしたりして、いつの間にか去年と同じですけれども数値はかなり変に出てくるということのないようにお願いしたい、こう思います。  その関連でお伺いしますが、どうも指定食肉については、牛についてはごく最近始まったばかりですけれども、かなり年限の経験があります肉豚については、どうもむずかしい式を使い過ぎるのではないか。シグマだとかガンマだとかアルファだとかベータだとか出てきまして、とてもとても普通の畜産農家にはわからぬようなむずかしいのが出てきて、ごまかされてしまうのではないかという気持ちが強いですね。これは直近の原生産費をとって、去年はこれぐらいかかりましたよ、物価修正するとことしはこれぐらいになりますよと単純にいったらどうかねという意見が非常に強いですけれども、いかがですか。
  37. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほどお答えいたしましたように、この制度は生産費というものの概念を直に導入する制度ではない、やはり需給というものを考え、その実勢の中で価格の安定をしていく、異常な価格変動をできるだけ抑えていくというのが制度でありますから、私は生産費を直にこの価格算定の基礎に使うということは適当ではないと思っております。価格算定の方式については、制度の連続性ということは当然考えなければなりませんから、基本的には先ほど申しましたようにいろいろ内部で検討はしておりますけれども、従来の方式を踏襲したらどうかというふうに私どもは思っております。
  38. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 肉豚の安定帯のはじき方の中で一つ問題なのは、いわゆる農家販売価格は、過去五年間の実勢を見まして、平均を見まして、それに生産費の上昇率をいろいろむずかしい計算で掛けていくというわけですね。この農家販売価格というのは実は一番基礎になる重大な数値だと思うのですが、需給実勢方式と言いながら、どうも実勢を使っていないじゃないか。たとえば卸売価格が上限価格を超えたような場合、それに合わせた農家販売価格に修正しているじゃないか。五カ年ですから六十カ月ですが、ことしの場合は大体四十カ月分ぐらい、つまり三分の二ぐらいがいわゆる頭切りされまして、実勢に合わずに修正されて、こうあるべきだったというものに修正されて出される。いわゆる頭切りというのは、若干この方式を勉強した農家の人、専門家の間でかなり議論を呼ぶところですけれども、どうも異常というのはたまたま一、二回というのが異常でして、三分の二ぐらいになったら異常じゃないんじゃないかという議論がありますけれども、その辺、ことしどうなさるおつもりですか。
  39. 大場敏彦

    ○大場政府委員 そこはいろいろ御議論が分かれるところだろうと思います。しかしながら、私ども考えは、やはりこの制度というものはこの安定帯の中に価格をおさめるのが政策目標であって、そのために事業団が下がりそうなときには買い出動し、あるいは暴騰するときには輸入を促進するあるいは関税減免等をやって輸入を促進しあるいは輸入枠を拡大するとかそういった措置で対応して中におさめる。安定帯の外のものは、元来あるべき姿の価格であるというふうには認識していないわけであります。  具体的に言えば、いま御指摘になりましたように、最近時点では確かに安定帯の上限を飛び出している月が多うございます。多うございますが、その実態をよく見てみますと、これは御承知のとおり四十八、九年のあの日本の畜産がかつて経験したことがないような畜産危機の影響を受けて、たとえば豚で言えば雌豚をみんな殺してしまった、牛の肥育仕向け率も極端に下がってしまった、こういうふうな形の後遺症の中で供給が極端に逼迫した、そういう形で価格が暴騰したというのがここ一、二年の経過だと思うわけです。そういう意味で、やはりそういう価格の水準というものをノーマルな価格水準ではないと私は判断しております。そういったノーマルでない異常な価格水準というものを将来われわれが安定政策のバンドとして使う、安定帯に投影させるということについてはやはり問題があるのじゃないか、安定帯の中に修正した形での需給実勢方式を使っている、こういったことでございます。
  40. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 確かに上限が七百三十四円というときに九百円というのは私どもから見ても異常高値であり、また農家もちょっと、こんなことで長く続くのかね、これでいいのかねという感じの意識を持つ値段だと思います。しかし、逆から言えば、三分の二ぐらいの期間が超えるというのは、これはまた全部が異常だということも言い切れないと思いますので、その辺についてはわれわれもかなり議論があるということを申し上げて最後の議論に移りたいと思います。  食肉なんかの安定帯は、確かに局長おっしゃるようにそのままお金が政府から出ていく、それで買い取ってもらえるという値段ではありません。私は、これは確かに輸入措置というそのメルクマールを決める一つの帯としての有効性はあると思うのですが、農家にしてみれば、直接的に、やはりいま特に肥育牛なんかの場合が多いわけですが、かなり負債を抱えておる。ある場所によっては資金を一億円も——通常一千万とか二千万を多頭飼育する場合には寝せる、これの資金対策、また、非常にもう固まってきた負債みたいなものがあるわけですけれども、借りかえ、借りかえでやっている、そういうものにもうちょっと手を打ってもらえぬかという負債対策、長期低利の融資の問題というのは、実はいま深刻な要望のある話だと思うのです。私たちはこれについて、かなり党としても全力を挙げていきたいなという感じがいたしておりますけれども、行政ベースとしてその辺の負債の実態を的確にとらえていらっしゃるか。それから、この問題にどう対処するつもりなのか、その方針をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  41. 大場敏彦

    ○大場政府委員 畜産の中で酪農経営の負債の問題につきましては、屡次お答え申し上げているとおり、いま大蔵省と何らかの対策を出すべく折衝中であります。  それから、いま先生が御指摘になりました肉用牛経営、その問題につきましては、実は五十一年度におきまして三百億の融資枠、利子補給枠はたしか四十億くらいだったと思いますが、そういう措置を講じている最中であります。さらにそれに対して追加要望があるかどうか、こういったことでございますが、生産者の方々から追加要求、足りない、さらにまた第二次の措置を講じろという御要求があれば、これは私どもいろいろ検討するにやぶさかではございません。
  42. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 肥育豚についてはいかがですか。
  43. 大場敏彦

    ○大場政府委員 肥育豚につきましても五十一年度たしか百億余りの融資枠で……(加藤(紘)委員「繁殖ですか」と呼ぶ)失礼しました。繁殖豚につきましては百億余りの融資枠を措置しているわけで、現在貸し付け中でありますが、肥育豚につきまして、私どもまだそれほど具体的に生産農家からの御要求という形で私自身、あるいはほかの方は聞いているかもしれませんが、伺っておりませんので、御要求の実態をよく伺って対処したいと思います。
  44. 加藤紘一

    ○加藤(紘)委員 終わります。
  45. 金子岩三

    金子委員長 島田琢郎君。
  46. 島田琢郎

    ○島田委員 昭和五十二年の畜産物価格の決定に当たって、ことしは現地における生産乳量の実態が例年低迷を続けてまいりましたものから、少し頭が出かかるような状態も生まれている。それをとらえて、まさに酪農は安定期に向かったというとらえ方をしているということは、現場の認識と農林省当局が見ている考え方とでは大変大きな実態の相違があるということをいままで指摘をしてまいりました。私は一連の質問を通じて非常に遺憾に思っているのでありますが、どうも現場の酪農家があるいは畜産農家が大変な苦労をしているという実態を正確に把握しようとしない、こういう感じがしてなりません。極言をすれば、価格を決めたら決めっ放し、実態調査も追跡調査もしていない、こういう感じにさえ受け取れます。  まず、私は、先般小委員会の席上、生産のメカニズムといいますか、酪農、畜産の実態、局長がおっしゃっているような構造政策でこれからもやろうという、そういう考え方を幾ら強行しようとされても、現地ではとても受け入れられるような状態ではない、むしろ拒絶反応が強くなるでしょう、こういうことを前提にして、構造政策によってどんなに大きな負債が生じ、今日の経営の困難な実態が生まれたかということを若干の事例を挙げて申し上げてきたつもりです。そこのところはまだ私とあなたの間では合意に達していないから、きょうはもう少しこの論議を進めたいと思うのです。  つまりあなたの論法は、資源のむだ遣いだという前提に立って、高い乳価にすると生産が刺激されて、そうでなくてもいまのように限度数量をオーバーするような状態というものは、今後収拾つかなくなるというような意味のことをおっしゃっている。果たしてそうだろうか。現地の実態を少し私は申し上げたいのですが、正月の松の内が過ぎますれば、私どもは新年度の営農設計に取りかかります。昔のような簡単な営農設計ではありません。二十数ページに及ぶ膨大なものであります。恐らくこれぐらいの営農設計書を前にして、腕を組み頭をひねりながら一家じゅう額を寄せて、ことしの営農設計をどう立てようかと苦労をするわけであります。昔は第一ページからずっと順序よく二十数ページ全部営農設計ができて、最後にいったら何とかまあ収支大きなそごを来さない計算ができ上がって、よしこれでことしの計画はでき上がったからいくぞ、こういうことになり得たのでありますが、最近はそうでない。四、五ページも記入が進んでいったら、次はもう前に進まぬのであります。なぜ進まぬか。まず大きな負債をしょっている、それをどうやって払うかというところではたと行き詰まってしまうのであります。ですから、仕方がないからページの一番最後の方の二十数ページのところから、さてことしはそれでは一人頭幾らの生活費で切り詰めて——かかった経費はこれはもう一〇〇%何とかしなければ、農協に借金が残ってしまったらまた大変なことになります。払う負債の額も決まっている。そうすると、支出のところから記入を始めます。支出の総額が決まったら、それにあわせた収入が見込まれなければ営農設計書ができ上がったとは言えない。まさか大きな赤字を承知の上で組合長のところへ持っていって、どうかことしこういう方法でやるから何とか理解して応援してくれと言っても、組合長も、よしきたと言うのには、これはしばらく時間がかかる話であります。赤字を承知の上で、ことしの営農をやりなさいなんという指導はできない。  どういう知恵を働かさなければならぬかというと、乳価は残念ながら大場畜産局長が抑えて決めているんだから、これは自分で動かすわけにはまいらぬのであります。そうしたら、ことし払う借金も含めて、かかる全体の経費をどう消化するかというのを逆算していかなくてはなりません。つまり、二十頭で搾乳していこうと思っても、それでは足りないから、本当はもうこの牛の能力の限度がきたからことしは老廃に落としていこうか、あるいは新しく個体販売でもって収入源を求めていこうかと思っても、そこのところをちょっとやめておいて、頭数をふやしていかなければならぬ。四トンの乳をしぼって計算していっても、とても収支償わぬから五トン——本当は四トンの能力しか持っていない牛に五トンの、いわゆる能力目いっぱい以上のものをかけて、単価八十七円で計算してやっと収支償わせなければならぬというような営農設計の実態になっているのであります。そこのところを、あなたのお考えでは、乳価をこれ以上上げると生産を刺激するという論法でことしは抑えるという考え方を打ち出しておられる。現場の実情の不認識もはなはだしいとこの間私は厳しく指摘したところであります。そういう実態をもう少し調査をしてもらいたい、こう思っています。  そこで、私は、今度現場からたくさんの皆さんが上京されて、私のところにも幾つかの細かい営農の実態を御報告を受けております。大変御苦労になっている実態がその中からうかがい知ることができるのであります。主産地である北海道の東北の酪農家の皆さんがいままでの経営の実態を明らかにした資料であります。こんなにたくさんあります。これは全部そうであります。その中から十勝あるいは北見、根室、釧路の酪農家の皆さんの実態の調査資料でありますけれども一つだけ引用させてもらいます。  昭和四十七年に畜産経営コンサルタントを受けられて酪農経営をおやりになっている根室の標津の上古多糠の吉原正巳さん四十歳の方の経営の実態であります。私は詳細に内容について説明を受けました。大変な努力をされて、いままさに中堅酪農家の一人として酪農にすべての生涯をかけようとしているこの人の経営の実態に触れて、私は、これをこのままに放置するというようなことになれば日本の酪農はまさに崩壊してしまうのではないかというふうにさえ危機感を持ったのであります。この人の経営の若干の説明をいたしますと、こうであります。  昭和四十一年、いまから十年前、全体の収入は百五十二万五千円でありましたが、その後、確かに大場畜産局長が言われるように、政府のしり馬に乗ったわけでもありますまいが、構造改善に努力をいたしました。十年後の今日、二千三百七十四万円を上げるという大変な努力の結晶をここに見るようになりました。しかし、残念ながら、それと並行して、この十年間で累積赤字は実に二千百万円に達するというありさまでありました。構造政策には一生懸命がんばったけれども、構造政策の協力の中で一生懸命構造改善に努力をして、今日、確かに器も大きくなり、生産の乳量も上がってまいりましたが、あわせて二千百万円の累積赤字をつくるという実態になった。これでもなおあなたは構造政策が第一義だとお考えになっているかどうかを私は聞きたいのです。これは単なる特異な例だとおっしゃるかもしれませんが、いま申し上げた、ここに三十件余りの実態の資料があるのでありますが、それはすべて、まさにこの吉原さんの経営と大同小異であります。そしてあなたがおっしゃるように、大型酪農家を目指す人たちの経営の実態であります。いま私はわずかな内容の説明を申し上げただけですが、御所見を伺いたい。
  47. 大場敏彦

    ○大場政府委員 構造政策ということを私が強調しているということはたびたび御指摘でございますが、私は、構造政策だけが酪農の政策だとはちっとも思っているわけじゃありません。要するに価格政策も大事でありますし、構造政策も大事でありますし、需要の増進対策ということも大事であります。そういったもろもろの諸対策がバランスをとった形で進められていくということが大事じゃないかということを申し上げているわけで、価格対策の重要性ということを無視しているつもりではございませんので、それは御理解願いたいと思うわけであります。  それから、いま御引用になりました大規模経営の方の経営内容でございますが、いまの酪農経営では問題は二つある。一つは、中規模層、中堅層の方々は資本装備が非常に劣弱で、より上層の階層へ発展する可能性が非常に乏しくて、それをそのまま放置すれば離脱していく危険がある。それをてこ入れする必要があるということと、もう一つは、西欧諸国にも比肩するようなかなり進んだ形での大規模化というものが北海道の場合には営まれているわけでありますが、そういった経営は、中には規模拡大の過程で非常に資本投下が行われて、まだ資本がフルに回転しない間、結局利子負担という形でそれが経営の圧迫要因になっている、あるいは資本そのものが十分に稼働してない、十分に使い切ってないという点もあるし、あるいは乳牛個体の資質にいたしましても、その方の例を申し上げているわけじゃないのであります、一般論で申し上げているわけでありますけれども、まだまだ改良する余地がある、経営を改善する余地が、ことに大規模に進んだ農家の間にはあるんじゃないか、こういう認識を持っておりますから、そこのところは決してそのままでいいということじゃなくて、やはり経営改善のための方策、工夫というものは進める、そういったところに今後の政策の一つの努力はしていかなければならないというふうに思っているわけであります。
  48. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、いま局長が言われていることについて、決して構造政策だけがすべてだと思っておらぬ、価格もあわせて考えていかなければならぬ、こうおっしゃっている点について、そのとおりにぜひこれからもお考えを貫いてもらいたいと思うのです。しかし、残念ながら、あなたがそうおっしゃっても、現実にはそうなっておらぬところに問題がある。たとえば私は、先般小委員会の席上、畜産振興審議会飼料部会の答申と建議を受けての報告がありましたものをとらえて、あなたが構造改善、構造政策を進めていく、基盤整備などもやっていかなければならない、こういうことを席上強調され、われわれにもその報告をされておりました。私は否定をいたしません。そのとおりであります。それも大事なことであります。  しかし、あなたが高邁な見識のもとにお進めになった、こう幾ら力説されておっても、あなたのお考えが現場にストレートにおりてないという実態がある。これはどうなんですかと聞いたら、それは島田委員の言う方が間違っておるので、私はそうはなっておりませんと、かなり歯切れよくお答えになっていたので、私は少し首をかしげて帰りました。きのう報告がなされました。まさに私が指摘したとおりの現場の実情になっているではありませんか。ここのところを改善する、こういう約束を担当の課長もしていますから私は追及はいたしませんけれども、しかし、緊急粗飼料の増産対策特別事業というものをおやりになった。これは私どもも主張をしていた点で、実際に実行されるということは私は反対ではない、むしろ推進をしてほしいという側に立ってこれを賛成した一人でありますし、われわれが国会議論したこと、局長考えておられるその考え方が素直に現地にも反映されるというふうにならないと、私さっき言ったように、価格を決めた、物を決めたけれども、追跡もしなければ調査もしない、ぶっ飛ばしになっているから、現場は法の精神も趣旨も局長考えも生かされていないではないか。ここのところを直さなかったら、酪農なんて幾ら一生懸命ここであなたが旗を振ったってそのとおりにはなりませんぞということを言ったのであります。緊急粗飼料増産対策の不備な面は、きのう報告を受けたとおり、私が小委員会指摘をしたとおりの実態になっておりますが、これは直すという考え方でありますから私は了解をいたしますけれども、しかしこれは一つの事例でありまして、構造政策をおやりになろうとしても、そこに介在するいろいろなネックをしっかりと見据えて、そこのところまで排除してお考えになっておやりにならないと、構造政策だって現場で生きてこないのです。結局は借金の上積みになってしまうのです。いま下積みで借金であえいでいる一番大きな要因は何かと言えば、まず機械化を促進する、施設、上物を構造改善の中でやる。これは監視がずっと行き渡らぬから単価だってまちまちで、とてもわれわれの常識では考えられないような単価になってしまう。それは全部現場の受益者、つまり生産農家の負担にはね返っていって、いまの低乳価の中では払い切れないから、払い切れないものは借金になって残っていって、固定化負債に転がっていくという現象になっているのですね。そこのところをきちっとしないと、あなたが幾ら、構造政策と価格政策はおまえの言うとおり私だって大事だと思って一緒になって考えているよとおっしゃったって、片一方の構造政策はそのとおりいっておらぬのですから、はね返りは全部借金になって酪農家の上にかぶさってきているという結果になっているのです。私は毎回質問に立つたびにそのことを指摘するのです。決して大場畜産局長がおやりになっていることや考えていることを私は真っ向から否定するのではありません。そこまでしっかりやってもらわないと困る。北海道であなたがお進めになろうとしている緊急粗飼料対策の特別事業の中では、あなたは、農家が持っているトラクターも手間もみんな使いますよ、そういうふうにつくってあるのに現場がそうなってないということを御承知でなかった。その中には北海道のいわゆる農業開発公社が介在してその九〇%のシェアを下請して、農家は一切ここに手出しもできなければ意見を差しはさむこともできないような仕組みになっているという事実をあなたはあのとき御存じでなかったということは、実に問題ではありませんか。ですから、あなたがお考えになっていることが下まで浸透してないですよ、これは行政じゃないじゃないか、こういうふうに私は指摘をしたのです。きょうはそのことを局長からひとつ御発言を願って、今後そういう方向でない方向で改善をするとお考えになっているようでありますから、公式にその約束をしてもらいたいと思うのです。
  49. 大場敏彦

    ○大場政府委員 おしかりをこうむりまして、その当時私が末端のところまで実情を把握していなかったという不勉強のそしりは反省いたしたいと思います。  しかし、いま先生指摘になりましたように、緊急粗飼料増産事業は市町村とかあるいは農協が事業主体になってやるわけでありまして、そのときにやるやり方といたしまして、自分で直轄するやり方と請負でやるやり方と二通り選択できるわけで、どっちか一つにしなければいけないというぐあいにわれわれ強制しているわけではございません。たとえばこの前小委員会先生から、農家の労力を使ったりあるいは農家が持っているトラクターを使う、そういった道が閉ざされているのじゃないか、こういう御指摘があったわけでありますが、農協が自分で直轄してそういったトラクターを借りあるいは農家を雇用する、そういったような形で事業の直轄主体になりますことは可能であります。調べてみましたら、現にそういった例もあるわけでありますから、結局は地元における農協、生産者の組織の力、それが自分として直轄し得るかどうかということにも実はかかってくるわけでございまして、私ども決して全部公社というかっこうで請負制度をとることがいいというふうには考えておりません。生産者自身が自分の発意で自分で直轄するという形をおとりになるなら、それはそれで結構じゃないかと私は思っております。
  50. 島田琢郎

    ○島田委員 私はあなたにそういう理屈を言えと言ったのじゃないですよ。それならまた議論を始めなければならぬのですが、きょうはもう時間がないからそれはやめます。そうじゃなくて、そういう実態になっていることを直すと、素直にお認めになってはいかがですか。遺憾な答弁でありまして、私はそういう答弁なら納得できない。しかし時間がありませんから、それはまた別な機会に譲ります。  さて、先ほど吉原さんの資料の引用でお話をいたしました。負債が累積されているという実態は、それは局長も御認識になっているとおりでありますから、私はぜひひとつ負債整理対策を進めながら一それが現在の五十二年の乳価を決める段階ですりかえられては困るのでありまして、どうもあなたは頭がいいから、そうやっているとすぐすりかえて、去年のようにまた負債整理対策を前面に押し出してきて乳価の上げ幅を抑えて、これで全体がよくなったのだなんということを言い始めますから、どうも頭のいい人と議論をいたしますとわれわれはこの辺をよく警戒しておかないとだめなのであります。だから負債整理対策の問題とあわせて話をするというのはきわめて危険でありますけれども、私は、低乳価によって今日の経営がいかに困難に陥っているか、こういう実態を正確に認識してもらいたいという意味で言っているのであります。  先ほどのお話を例に引くまでもなく、いまの経営の実態から見ても今日の乳価の水準というものがいかに低いかという認識に立つならば、算定方式を変えていかなくてはとてもだめだろう、私はこう思うのです。そのことについても前回まで幾つか指摘をいたしました。たとえば対象地域のとり方についても、八三%のシェアを持っているから一道一県でいいのだ、こういう言い方でなくて、やはり加工原料乳なるものは多少なりとも各府県にまたがって生産されているという実態にある限り、全県をとれと私は言いませんが、せめて一道六県くらいのデータをもとにして試算をされるということが最も正確な数字に近づくのではないか、こういう点で私の提案をいたしたのです。  次に対象農家ですけれども、従来のとり方というのは階層別の乳量にウエートを置いて加重平均して出している。ところが階層別の乳量ということになりますれば、かなり大きい酪農家にウエートがかかってきます、乳量は多いわけでありますから。しかし、先ほど局長答弁の中にもありましたように、日本の酪農を今日支えておりますのは、大型酪農家ばかりではなくて、中小規模の酪農家が相当のウエートを占めている。階層別の農家群で言えばそういう人たちが多い。こういう人たちにも、積極的な構造改善を進めながら日本の酪農の基幹としての役割りを果たしてもらうということをあなたはおっしゃっている。私はきわめて適切な答弁だと思います。そうでありますれば、そういう人たちが救われていくような乳価でなければいけないと思うのです。この辺は私の提案でありますが、階層別酪農家戸数、それに乳量を掛けた加重平均で出されるということが最も近似値に近いものだというふうに判断されます。この考えに対して、あなたのお考えはいかがですか。
  51. 大場敏彦

    ○大場政府委員 現在、加工原料乳の保証価格を算定する場合の基礎となっている生産費のとり方につきましては、主要加工原料乳地帯の階層別の生産費を、その階層の占めている乳量をウエートにして加重平均しているということでございますが、いまの御指摘は戸数をウエートにしたらどうか、こう一いうふうに私は理解をしているわけですが、理屈めいて恐縮でございますけれども、しかし、コストという場合を考えるときに、全体の乳を生産するということのコストということでありますから、やはりウエートをとるとすれば、論理の必然として乳量ではないかと私は思うわけであります。  それからもう一つは、加工原料乳の価格の算定のルールといたしまして、いわゆる不足払い法には酪農経営の合理化を促進することを旨として云云という規定がございますから、そういった意味からも、そういった乳量をウエートとして加重平均値で出すということは合致しているのではないかというふうに判断しているわけであります。
  52. 島田琢郎

    ○島田委員 いま局長がおっしゃるような現在までの踏襲でいくなら、おおよそ酪農家は何%カバーされると判断していますか。
  53. 大場敏彦

    ○大場政府委員 五十一年度の保証価格の例で見ますと、生産費をカバーするかどうというカバー率の問題でありますが、戸数で約六割、それから乳量で約九割というふうに理解しております。
  54. 島田琢郎

    ○島田委員 間違いありませんか。
  55. 大場敏彦

    ○大場政府委員 第二次生産費のカバー率で申し上げたわけであります。
  56. 島田琢郎

    ○島田委員 私の調査では、昨年の対象農家つまり階層別生産費の出し方の中で、階層別乳量を掛けてまいりますと、カバー率は三〇%という判断であります。あなたとはずいぶん違っているのですが、その試算に間違いはありませんか。
  57. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私どもは統計情報部の——これは一道一県でありますけれども、五十一年度の第二次生産費をとって、階層というのは飼養頭数でありますけれども、これを階層別にずっと並べまして、それの第二次生産費をカバーしている率をとりますと、ただいま申し上げ数字になっているわけであります。
  58. 島田琢郎

    ○島田委員 委員長に要求いたします。ただいまのやりとりではずいぶん実態が違うと私は思うのです。私の調査局長答弁とでは食い違いがありますから、資料としてひとつ国会提出されるようお願いしたい。  さて、もう時間がなくなりましたが、いろいろな問題を含めて、ことしは畜産物の価格決定に当たって非常に多くの問題を持っている年だ。それであるがゆえに、せっかく牛乳についても若干の上向き傾向が現地で出てきている、これは実態として明らかでありますから、何人も否定し得ないところでありましょう。しかし、なぜ乳量がふえてきたかという認識に至っては、まだ局長と私の認識において一致するものがない、ここのところが一致しませんと、決められる乳価も要求乳価と非常にほど遠いものになってしまうという危険があります。私は繰り返して言いますけれども、いま酪農家は負債の償還のために自転車操業を強いられ、そのためにさっき言ったように牛の能力目いっぱい、それ以上のものを、大事な牛のしりぺたをぶったたいて生産上げざるを得ない。また一頭当たりの乳量一割上げる努力と引きかえに、人間は倍働かなければとても一割の増産をすることはできない、目いっぱいのところをもっとその上上げるわけでありますから、そのためには土地も地力もすり減らしてしまう。長期的に見た場合、日本の酪農をそういうやり方を許すようにしていくならば、まさに日本酪農亡国論につながると私は思う。私たちは先祖から引き継いで孫子の代まで土地を大事にし、牛と一緒に寝起きして、そうして、自分も少しでも長生きして、酪農生産で乳しぼりをしたいという念願のもとに、ことしや来年の短期的な視点で経営をやっているのではないのです。無理強いをし、無理に働け、二千九百二十時間、一日八時間まともに働いたらこれだけ働かなくちゃならぬのですが、そんなに働いていったら人間の体はすり減ってしまう。そのすり減ることを覚悟して乳量を増産し、借金を返していかなければならないという努力のあらわれが少し乳量が上がる、そういう結果になっているという事実を、現場認識としてきちっとやはり農林当局、特に原局の畜産局長はお持ちにならないと、日本の酪農政策を見誤ってしまうという視点に立って私はきょうで三日間論戦をしてまいった。まだ縮まっていないのです、あなたのお考えと私の言っていることとは。恐らく釈然と納得されていないだろうと思う。  どうか、こういう議論を踏まえて、ぜひひとつ、現場で苦労している、先ほど例を挙げました、その例によるまでもなく、現在の牛乳では、ほかの物価と比べたってちっとも高いとは言えないのだ、こういう資料も明らかにされています。これは標津町の農協婦人部の部長さんと副部長さんがわざわざ東京においでになっています。その中で明らかにしている点でありますが、私はこの間新幹線に乗ったら、牛乳の半分しか入っていないお茶が五十円もするのです。こういう状態を考えたって、牛乳が高過ぎるからという議論を先行させて乳価を抑制するというような考え方は、一体農林省はどっち向いているのかと私は言いたい。そういう感じさえするのです。  ですから、こんなときにこそ日本の酪農をどうするかという、そういう点で真剣な議論をせんければならぬ。また、担当の局長はそういう考え方をもとにして、せっかくいま伸びかけようとした芽を摘むようなことになったら、あなたはそれこそ将来、生涯かけて悪代官のそしりを免れますまい。どうかひとつ、われわれも国会において大いに議論をし、国会の意思を行政府の皆さんにも伝えて、ともにひとつ日本の酪農を守り、畜産を守るという立場で、五十二年の価格決定に向けて全力を挙げたい、こう思っています。  いままでは、審議会に出された答申が、われわれと並行するようなかっこうで、国会でわれわれの意思が幾ら表明されたって、それが価格に反映するような仕組みになっていない、そういう状態でありましたが、今度は、もう国会の勢力分野はこのように違っているのでありますから、そこのところを踏まえて、われわれ野党の言う意見も十分尊重するという構えに立ってもらわないと、われわれとしては悲壮な決意のもとに、この価格決定に臨まざるを得なくなります。どうかその点を踏まえて、ひとつ大いに御努力を願いたい。  最後に、要求だけ申し上げて、私の質問を終わりにいたします。
  59. 金子岩三

    金子委員長 美濃政市君。
  60. 美濃政市

    ○美濃委員 近く決定されようとする畜産物価格について、若干お尋ねをしたいと思います。  二、三日前だったと思いますが、いろいろの問題で農林省の事務次官室で話し合いをしました。そのとき事務次官は、現在日本農業の中で、所得の水準が一番高いのは二種兼業農家、特に大都会周辺の二種兼業農家の所得水準はきわめて高い、こういう話をしておりました。これは畜産局長はその実態をどういうふうに把握をしておるか。農業は道楽でするわけじゃないのですから、所得を目標に働いておるわけです。どうして二種兼業農家の所得が、膨大な設備投資をして畜産専業で働いている農家よりもぐんと高いのか、それをどういうふうに把握をしておるか、ひとつ話してみてもらいたい。
  61. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私が御答弁申し上げるのが適当であるかどうかわかりませんが、現実に二種兼農家は都会の他の産業部門の方へ働きに出かけていって、かなり高い賃金水準というものを獲得している、その片方において生活の基礎としての農業というものを営んでいるというような形で、これはある意味では、単純なサラリーマンあるいは純粋農家よりも、いまの経済境遇のもとでは相対的に高い所得水準を保っているということは事実じゃないかと思います。
  62. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つお尋ねしますが、現行の保証乳価の中で保障されておる家族労賃は六百八十円ちょっとですね。これは農林省の皆さん方の賃金に当てはめたらどのクラスの賃金に該当するのか。私の計算では大体高校卒の初任給ぐらいではないか。最近は日曜日も休日も多くなっております、土曜日は半日ですから、大体二千時間ちょっとでしょう。その時間に一時間六百八十円を掛けると百万ちょっとですね。高校卒初任給はことしの春闘が終わって賃金改定が終われば、何ぼになるかはまだはっきりはしておりませんけれども、百万をちょっと超しますね。酪農家の家族労賃というものは、農林省の皆さんの所得に当てはめれば高校卒初任給該当しか保証されていない。どうですか。
  63. 大場敏彦

    ○大場政府委員 農林省の職員の給与ということになりますと、私は秘書課長じゃありませんのでちょっとわかりませんが、いま御指摘になりました賃金の単価は、加工原料乳の主要な生産地帯、具体的に申し上げますれば昨年の例では北海道とそれから青森でございますが、そういった一道一県の五人以上の製造業労賃の単価をとっているということでございます。それとほかの国家公務員その他の賃金水準というものは、これは都会においてもその業種等によっていろいろ賃金水準に差があると同様に、差があるのは当然だろうと思います。
  64. 美濃政市

    ○美濃委員 そういう問い方はしておらぬので、まず第一に農林省の皆さん方の所得に当てはめたらどうなるのかということを聞いている。どうですか。
  65. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いまそれを当てはめたらどうなるかという具体的な数字をちょっと持っておりませんけれども、とっさのお尋ねでありますからそれは後で調べてみたいと思いますが、それはもちろん農林省水準に比べれば恐らく低いだろう、その水準そのものを直ちに比較すれば低いだろうとは思います。
  66. 美濃政市

    ○美濃委員 私は高校卒の初任給に該当する、こう思います。  次に、いま局長から話がありましたが、統計事務所では調査する方も調査される方も極秘ということでやっておりますから、ここで私はどこの調査がどうだというような具体的なことは申し上げませんけれども、いま言われた加工原料乳地帯の五人規模以上の製造労賃ですが、私の所在する町も加工原料生産地帯なんです。加工原料生産地域というのは言いかえれば過疎地帯なんですよ。過密地帯や都市ではございません。ですから、五人規模以上というものはまずないわけですね。五人規模、小さい町の木工場だとかそういうものですね。そして経営者の所得は入らぬわけだ。そこで働いている人を私どもは調べておりますけれども、たとえば金銭出納や帳づけをする帳場あたりは、そういう小さい企業になりますと、農林省で言うなら局長さんや課長さんのような高給者を使用する経営条件ではとてもなくて、大体その所在の役場を定年退職されたような方がその裏におりますから、そういう方が年金をもらって老後の生きがいで働く。年金をもらっているんだから家族手当も何も要りませんということで、月額——ここで具体的な金額の表示はしませんけれども、そういう条件で、そしてそう高い賃金でない状態で働く者が全部収録されているわけです。また製板にした板を結束するとかなんとかいうのは町の奥さん方が行って働いておるという客体がかなりあるわけです。その賃金が収束されて、それでこれをしたんだから、酪農民はそれで生活できるじゃないか、そうはなりません。  たとえば、もう一つ申し上げておきますと、役所の賃金で言えば高校卒初任給の賃金しか保障されていない。皆さん方係長さんになり課長になり、あるいは局長になり、その賃金で家族の人、息子さんを高校へ出して、あるいは人間の最終目的として大学まで出して子供の教育をしておられるが、高校卒初任給の賃金該当でそんなことがやれるのですか。収録する方がおかしいのですね。そういう客体を対象に収録したもので、これでいいんだという物の考え方ですね。ですから期せずしてその賃金は高校卒初任給該当ぐらいの積算にしかならない、こう申し上げておるのであります。どうですか。
  67. 大場敏彦

    ○大場政府委員 これは制度に対する認識の問題と実は関係するだろうと私は思います。現在の不足払い法は生産費をもとにして保証価格を決めておるわけでありますが、それはたびたび申し上げておりますように、加工原料乳の主要生産地帯における生乳の再生産を可能にすることを旨として決めるということになっておるわけであります。ですから単に賃金だけの問題ではございませんで、すべての原価要素も、原価費目も、やはり加工原料乳の主要生産地帯のそれをもとにして生産費を積み上げているということがルールになっておりますから、賃金も当然加工原料乳地帯の賃金をとっている。ただ、その場合に五人以上の製造業労賃を飼育労働には適用している、こういうことではないかと思うわけであります。  それから非常に賃金が低いとか所得が低いとか、そういう議論がございますが、やはり加工原料乳の不足払い制度というのは、これもたびたび申し上げておりますが、加工原料生産地帯が生乳に売りたくてもなかなか売りにくいというマーケット上の不利を経過的に補う、そういう意味に制度としてはなっているわけでありますから、一種のその差額を名前のとおりいわば不足払いをする、そういう制度でございまして、すべてこれ以上価格形成をしてはいけない、これが統制価格だという意味合いのものでもございませんし、制度の趣旨、それから法律の規定に即しても、やはり加工原料乳地帯におけるすべての生産費目のとり方はその生産地帯のものをとるというのが妥当ではないかというふうに思っているわけであります。
  68. 美濃政市

    ○美濃委員 答弁をそういうふうにはぐらかしますが、私は家族労賃について言っているのであって、体系から言うなら、保証乳価を解剖しますと、中には適正に評価されているものもあります。購入飼料だとかそういうものは、大体現実に近い把握が行われておると思いますが、労賃について申し上げますと、そういう条件でありますから、現行保証乳価で専業酪農民が生活するということになったら、倍働かなければならぬわけですね。四千時間働けば、倍働くことになりますから、辛うじて生活ができるという条件であります。その実態は、局長覚えておるでしょう、酪農専業農家は年間何時間働いておるかということは。生活するためにはしゃにむに量産をしなければならない。膨大な設備投資をしてしまって、やめるといってもつくった牛舎やサイロを処分しても、とてもじゃないが負債総額に見合うような価値はない。もう石で手を詰められたようになって、やめるわけにいかぬ。抜き差しならぬからしゃにむに働いて、量産によってかろうじて生活しようと、四千時間、五千時間、私の収録している最高は、夫婦で六千時間ですね、一人三千時間ずつ働いておるのです。だから、その姿を見て、私もずいぶん苦労しておりますが、農家の後継者はなかなか嫁さんをもらうことができない。そういう事態すら発生しているわけですね。今日、日本の職域の中で、農林省の皆さん方が嫁さんをもらうとすればより取り見取りじゃないのですか。引く手あまたで求められるのじゃないですか。そういう状態が起きておることをあなた方は十分知っておるはずなんです。知らぬでやっておるとは、私は思わない。ですから、去年の牛乳の伸びあたりも、間に合うから伸びたという考えを持ったら大間違いですね。そういう原因を解消する乳価にしたら、乳量は減りますよ。どうにもならぬから、しゃにむにやっておるということなんですね。  最近は結核という病気での死亡率はぐっと減りましたけれども、昔は結核にかかればなかなか治らないと言われた。結核患者あたりが死亡直前になったら一遍ちょっと回復の症状を示したものですね。私はそういう状態だと思うのですよ、去年の乳量の伸びは。最後の土壇場に追い込まれておるのだ。それをあなた方は、私が言ったような患者をこれはよくなったと見ておるんじゃないですか。本当にそう思うておるのだったら、起きておる現象、畜産農家の苦しみとあなた方の感覚との間には食い違いがある。  もう一つは、それを認めれば政府原案をすぱっと出さなければならぬから、いろいろ財政的な問題なんかあって、いま局長段階ではそれを解消することができないから、やむを得ずこういう態度をとってすりかえて、腹のうちではこれは気の毒だと思っておるのか、それともいま私が申し上げたように、もう死期に近づいて回復症状を示したものをよくなったという観点に立ってながめておるのか、どっちなんです。
  69. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私は、死ぬ間際の人間がまたちょっと元気を取り戻す、小康を取り戻すというぐあいに悲観的には、率直に言って見ておりません。やはり酪農はずっと順調に伸びてきて、確かに四十八年、四十九年というような畜産危機の過程で停滞して伸び悩みを見せましたけれども、しかしまた五十年、五十一年という形で順調に伸びております。やはり回復期に入ってきているというふうに見ていいんじゃないか。もちろん従来みたいな急激な伸びを望むのはやや間違いだと思いますけれども、安定した成長路線は歩み得るのじゃないかと思っております。ですから、それほど悲観した見方をする必要はないと思っております。  それからもう一つ、現在の生産が順調に営まれている状況を見て、酪農経営は楽だというふうに私は申し上げたことは一回もないわけでございます。一ころの谷底から逐次はい上がって、落ちつきをだんだん取り戻してきているのじゃないかということは申し上げた記憶はございますが、そういうふうに認識しております。
  70. 美濃政市

    ○美濃委員 少し見方が甘いですね。そういう見方で畜産局長を長くしてもらうと、全国の畜産農家の経営をますます困難に陥れる。やはりこういう財政上の現実その他がございますから、直ちに局長の力だけで解消できるかできぬかは別としても、少なくとも見方だけはしっかり見て、これはこうしなければならぬという方針が今度誤ってしまったのでは、これは物の判断か狂っておるのでありますから……。さっき言った、死期に近づいた病人が回復症状を示したというのは、あと一週間なり二週間で死亡に至るわけですが、その一週間、二週間でいまやっておる農家がばたばたといってしまうということを言っておるんじゃないけれども、そういういま行われておるような算式で、こういう押しつけた価格でいくと、これはもうもちろん後継者は残りません。いまやっておる人は、履歴書を持ってどこかに勤めるということはできないから、しようがないですよ。いまやっておる者はもう中年齢になって、どんなに苦しんでも、年間四千時間働いても六千時間働いても、やめてこじきをするわけにはいかないです。どこか新しい場所といっても、そうはならないです。後継者は残らない。だから、長期的に日本食糧自給なんということにはならない。いまの政策では、そういうふうに農業が崩壊してくる。それを申し上げているわけです。  あなた方は、もう一遍現実というものを再検討してください。そういう間違った方式で物が判定されると——もう一遍申し上げておきますけれども、現実はわかっても、あなたの手元で直ちに解決するにはなかなか困難が多いということは、私どももわかります。しかし、見方だけはしっかりしてもらわぬと……。見方はしっかりしておるのだが、畜産局長という立場においてそれを全部直ちに解消できるかどうか。私は、畜産局長という立場にそれほど力があるとは思いません。やはりこれは政治の方向を決めて、機構的に言うなら、農林大臣があなた方の意見を入れて、そうか、そういう現実になっておるのなら仕方がない、ここまでやれ、農林大臣とあなた方でこういう話し合いが行われるような行政府が欲しいわけですね。あなた方は、物の見方が違っておって、大臣にそういう進言もしない。やはりそこまでいかなければならない。いろいろな問題にあなた方が正しく認識を持ったとしても、直ちにあなたの手元で解決できるとは思わぬ。しかし認識だけは間違わないようにしてもらわないと困る、こう思います。  次に移ります。いろいろ問題は多いわけですけれども、きょうは労働問題だけで終わると思います。  せっかく統計情報部長に来ていただいたわけでありますが、たとえば同じ乳価で、片や指定乳製品指標価格というのがありますね。この指標価格を計算する乳業のコスト、この中で、乳業会社の企画部、管理部、その人件費やそこで使っておる事務人件費が経費の中から除外されておるというものはないわけですね。あるいは砂糖の価格は計算されている。企画管理というものは全部コストに計算されておるわけですね。どうして農業だけが、農家がいろいろの用件で、たとえば年末、負債を農協の間で証書を書きかえて始末するとかなんとかいうことになったら、組勘残をどうするのだ。農協から絶えず出てきてくれ、出てきてくれと言って、三日や四日かかるわけですね。年末の組勘残の始末をするなんかいったら、やはり二、三日かかりますよ。保証人のところに行って頭を下げて保証人に判こを押してもらったり、とんでもない苦労をしておるわけですね。そういうものがあなたの手元では全部遊んだことになっちゃうわけだ。農家はそういうものがなければ全然経営にならないのですね。他の方はなっておる。他の方のなっておるのはあたりまえなんだ。言うならば、指定乳製品指標価格の計算が行われるとき、乳業のそういう部門の、銀行へ行って管理課長や総務部長が金融折衝をした、その賃金は全部入っておるのでしょう。ちゃんと抜かれておりませんよ。それがあたりまえだ。入っておるのは、おかしいと言うのじゃない、あたりまえなんだ。農家の方だけはそれが時間に入らないというのだ。全く農家の経営主が遊んだことになっちゃっている。乳価を算定する、労働時間の対象にならない。こんなばかげた話は私はないと思うのです。いつが来たら農林統計はそれが変わるのか。まあ二、三年前ですよ。そういうことが起こって、もうそういうことが農林統計で解消されぬのであれば、そんなもの委託農家は返上します、意味のないことを統計事務所から嘱託されて協力しても意味がないから、これは返上するということが起きたことは御存じでしょう。ああいう段階を経て、そういう点についても十分考慮するからということで、また農家はまじめに統計事務所の要請に応じて記帳事務をやっておるわけですね。どうしてそれが入らぬのですか。それはどこかから入れるなという指示があるのか。部長が入れようと思えば入れられるのか、あなたに入れようという意思がないのか、ここで明らかにしてもらいたい。どこかから、上の方から、そんなもの入れるなという指示があるなら、それをここではっきりしてください。そうすれば、私どもはその根源を解決していきたいと思います。しかし、部長の範囲でこんなものを入れる必要がないとあなたは判断したのか。きょうはそこをはっきりしてもらいたいと思います。
  71. 白根健也

    ○白根説明員 ただいま先生からのお話にございました内容につきましては、前々国会でも一応議論になったように私記憶しております。  それで価格の算定に当たっては、企画管理関係の経費につきましてどう考えるかというのはいろいろ御説がございまして、先生のおっしゃるとおりのような議論もまさに行われております。ただ、私どものいまの生産調査と申しますのは、これはこの前もお話し申し上げましたように、直接個々の、たとえば生乳でございますれば生乳の圃場生産に直接要した経費でございますね。それを直接的に把握するということを目的にしてやっておりますから、その範疇には入らぬということで、従来のいわば圃場原価というかっこうでは入っていないわけでございます。その理由といたしましては、先ほど来の、私の方のたてまえとして圃場原価で、ございますということが一つございますけれども、把握の仕方といたしまして、いわば打合会とか研修会とか、そういう企画管理的なものの計測のいろいろな問題がございます。と同時に、当該生産に直接要したものはそのうちいかなる部分なのか。たとえば、当年度まるまる要したということになりますれば、では次年度はゼロなのか、こういうような計測上、手続的ないろいろな問題もございます。そういう方法論的な非常にむずかしい問題もございますので、現在調査しておらないというのが現状でございます。  以上でございます。
  72. 美濃政市

    ○美濃委員 時間がちょっとオーバーしましたのでこれ以上できませんが、わかりました。  それはいまの調査方法から除外しておるわけですから、これは改めて、そういうことで直接圃場に要した労働だけが収録されて、時間の補償対象になる。いわゆる経営のために労働を要した分は全然収録されない、そういうものじゃないわけですから、それはやはり今後の調査の中では、きょうは時間の関係で処理はできませんが、どうしても入れるようにしなければならぬと思います。正しい把握ができなければかなわぬですよ。あれだけ苦労して、本当に経営の労働ですよ。経営労働が全く除外されてしまっている。農家だけは、経営的に本当に神経を使って歩き回ったものが全く遊んだことになってしまって、家族労働の対象にならないなどというばかげた話はあり得ないことでありますから、何としてもこれは解決せねばならぬと思います。あなた方も十分検討してもらいたい。もう検討はしてもらう段階じゃないわけですから、速やかに実行する段階を考えてください。  きょうはこれで終わります。
  73. 白根健也

    ○白根説明員 ただいまの点、いろいろ問題がございまして、先生すでに御承知と思いますけれども、一般の企業会計でございますと、いわば本社経費として扱っている部分が非常に多いわけでございます。したがいまして、計測の方法といたしましては、従来の私ども生産費というものと同じような計測の方法かどうかというのは非常に疑問があるわけでございます。その辺は、先ほど来、技術的にいろいろ割り掛けの問題でございますとかそういう問題を申し上げたわけでございまして、いわば一般的ないままでの議論生産調査と大分仕組みを今後検討してみないといかぬのだろうというふうな感じがしておるわけでございます。したがいまして、直ちに調査といいましても非常に困難というふうに現在のところ考えております。  以上でございます。
  74. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議
  75. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松沢俊昭君。
  76. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 午前中も畜産問題につきまして質疑があったわけでありますが、私もやはり、日本農業を発展させるためには、何としても農民の生活が安定しなければ発展させるわけにはまいらぬわけでありますし、その農民の生活を安定させるには価格政策というものが非常に重要であろうと思うわけなのであります。この前、農林大臣の所信表明に対しまするところの質問をした際におきましても、農林大臣は、やはり価格政策というのは非常に重要である、こういうことを御答弁されたわけなのでありまして、そういう立場に立って御質問を申し上げたいと考えるわけなのであります。  そこで、価格となりますと、米価もありますし、麦価もありますし、それから牛乳の保証価格、食肉の安定価格、いろいろあるわけでありまするが、やはり一番問題になるのは、米価等におきましても議論が出てくるわけなのでありますが、午前中も美濃委員の方から御質問がございましたように、農家の労働意欲をどのようにして評価をしていくか、これがやはり基本になると思うわけなのであります。そういう点から御質問申し上げたいのでありまするけれども、保証価格の問題につきましては、局長の方からは、方式はいままでとってきたところの方式を踏襲していきたいという話がございました。そこで、その方式の中の農民の労働費、これを見ますと、米価のとき使われたところの労働費も、製造工場の五人以上、そして九百九十九人までの規模の賃金というのをとらえているわけなのであります。しかし、この場合は同じ五人規模でありますけれども、そのところは全国平均ではないのでありまして、これは北海道と岩手の地域の賃金をとっておられるわけなのであります。  そこで、農林省の方から去年出されたところの「各種農産物の収益性」というのがございますけれども、米価の場合におきましては一日当たりの労働報酬というのが五千六百七十五円、それから牛乳の場合においては四千十五円、米価と比較いたしました場合においては依然として牛乳の方は低い状態に実はなっているわけなのであります。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  そこで聞きますけれども、やはり他産業並みの所得というものが保証されなければ農業というのは持続するわけにはまいらぬわけでありまするから、他産業並みの所得という立場からいって、少なくとも米価がこういうふうにして算定されているということになれば、乳価の場合においてもそのようにして算定するというぐらいなことは考えた方がいいんじゃないかというふうに私は考えますけれども、この点、政務次官も来ておりますので、政務次官からまずお聞かせを願って、そしてまた局長の方から御答弁いただきたい、こう思うのであります。
  77. 羽田孜

    ○羽田政府委員 お答えいたします。  実はそのようなお声というものは、方々からの要請でもお聞きしておるわけであります。ただ、農業生産というものはそれぞれ形態が異なっておるわけでありまして、非常に時間を要するもの、あるいは非常に時間が少なくて済むものがございますし、なお、お米につきましては国家で統制しておるものでございます。その辺の事情がございますので、即お米のあれをそのままとらえていくというのは非常にむずかしいのじゃないかというふうに思います。
  78. 大場敏彦

    ○大場政府委員 加工原料乳の保証価格の算定の考え方といたしましては、主要加工原料乳における生乳の再生産を確保することを旨として云々という規定がございますが、それに基づいて算定しているわけでありまして、そういう意味で、米の場合の統制あるいは国家管理というようなものとはやはり形も違っている。牛乳の場合におきましては、これは飲用牛乳も含めて自由な価格形成になっており、自由な取引になっておりまして、その場合の飲用乳と加工乳のいわゆるマーケットの不利のギャップを経過的に補てんするというのがこの制度の仕組みになっておりますから、根本的に制度の仕組みが違う。それからまた、米と比べて酪農の重みを決して軽く見るわけではありませんが、農業生産の中で占めるウエートとか、あるいは家計支出の中に占める問題だとかそういったものを考えれば、おのずからやはり差異が出てくる、こういうふうにわれわれは考えております。それで、そういった観点から、飼育労働につきましては加工乳の主要生産地帯であるところの製造業労賃をもって評価がえしている、こういうような実態になっておるわけであります。
  79. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それではお聞かせ願いたいと思うのでありますけれども、飼育労働と自給飼料の生産労働、この二つに分けておられまして、去年の場合は、飼育労働の場合においては一時間当たり六百八十一円二十八銭、それから自給飼料の生産労働の場合におきましては、農業臨時雇い賃金四百三十七円八十九銭、こういうぐあいに分けられて計算になっておりますが、これは足して平均して出しておられるわけですけれども、要するにこういう計算の方法というのは、これは畜産局では通用するかもしれませんけれども、一体尋常小学校を卒業したところの子供でもこれは一般の飼育労働の場合においては六百八十一円二十八銭にしておきながら、この場合においては下がったものを足して二で割るという方法というのはこれはどう考えても理屈に合わぬと私思うわけなんでありますが、局長は一体どうお考えになりますか。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 大場敏彦

    ○大場政府委員 一般的に農畜産物の生産費を計算する場合、自家労働の評価を何をもってするかということは議論になるわけでありますが、従来は農村日雇い賃金というものをもって評価がえするというのが農畜産物生産調査の一般的ルールであったわけであります。具体的に保証乳価の算定に当たっていま先生が御指摘になりましたように、どうしているかということになるわけでありますが、飼育労働につきましては、先ほど申し上げましたように、五人以上の製造業労賃で評価がえしているということでありまして、これはどうしてそうなっているのかというお尋ねでございますが、これは何回となく繰り返して申し上げているわけでありますが、やはり酪農の飼育労働の特殊性、つまり年がら年じゅう牛についていなければならない、そういった周年の拘束性の問題だとかまた同じ日でも朝から晩までずっと牛の世話をしていなければならない、そういった問題、それから容易に他の労働にとってかわることができない熟練性の問題だとか、そういった特殊性があるというふうに認識して製造業労賃に評価がえしている、こういった経緯になっているわけであります。一方牧草をつくる労働につきましては、これはまさに他の耕種農業における労働と同じようなことでございますから、従来は日雇い労賃という形で評価していたわけでありますが、しかし現実にはここ三年の経緯を見ますと、それに製造業労賃を足して二で割る平均値を採用しているということがここ三年の経緯にはなっているわけでありますが、その経緯はどうしてかと申しますと、私の記憶では、ちょうど四十八、九年の畜産危機がございまして、その後遺症が非常に治り切らないのがこの二、三年であったというふうに思うわけであります。なぜ平均をとったかということでございますが、あの当時においていろいろ畜産危機の後遺症に伴う経営圧迫要因があったということ、それを緩和する必要があったということと、それから同時にそういう中で飼料穀物の世界的な需給がタイトになってきている、堅調になってきている、そういった中で緊急に飼料作物の増産を刺激する必要がある、こういう観点から、いろいろ議論があったわけでありますが、農村日雇い労賃とそれから製造業労賃の平均値を採用したというのがたしか四十九年であったと思うわけであります。引き続き五十年、五十一年とそういった制度を採用している、こういったことでありまして、来年度どうするかということにつきましては、いま内部でまだ検討中であります。
  81. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私が聞きたいのは、理屈に合わぬやつは、これはだれがあれしたところで、これはいまそういうあなたが御答弁されたようなそのことによって納得しましたとは言わぬと思うのですよ。やはり政府は、生産農民が納得のできるような、酪農民が納得のできるような、そういう計算をすべきなんじゃないだろうか、こういう指摘をしているわけなんです。そういう点で、ことしは検討する、こう言っておられますが、検討するということは理屈に合うようにして検討するわけなんでしょう。
  82. 大場敏彦

    ○大場政府委員 そういうようなことはまだ決めておりませんので、そういう意味検討中であるということを申し上げたわけでありますが、いずれにいたしましても、ことしは従来の日雇い賃金というものにかえまして統計情報部でも新しい農村労賃というものを集計してそれを生産調査のデータに使っておりますから、そういったものをどうするか、それとの兼ね合いで検討していきたいと思っているわけで、まだ態度は決めておりません。
  83. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 これも美濃委員の方から指摘されているわけなんでありまして重複を避けたいと思いまするけれども、企画管理家族労働時間ですね、これが全然入っていないわけなんですね。しかしこれがなければ酪農経営ということはできないことになるわけですね。これはなくてもできるのか、あるいはなければできないのか、その点はっきりと答えていただきたいと思うのです。
  84. 大場敏彦

    ○大場政府委員 企画管理労働というのは具体的に何を指すのかという問題になるわけでありますが、酪農家がいろいろ勉強なさったりあるいは簿記をおつけになったり、研修会に出席したり、そういったこともあるいは入るのじゃないかと思うわけでありますが、それは酪農経営の中でそういった行為というものは不必要だというふうに私は思っておりません。しかしそれを原価要素として採用するかどうかということにつきましては、これは先ほど統計情報部長が御答弁申し上げましたように農畜産物、これは畜産物だけの話ではございません。すべて、畜産物以外の耕種農業全般にわたる——乳畜産物の生産費の中にどう取り入れるかという問題と実は関係するわけでありまして、その一般的ルールに私どもは従いたいと思っているわけであります。
  85. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 これがなければやはり経営というものができないということになれば、当然統計情報部の方で資料がないとなればないなりに農林省が計算をする場合においてはやはりそれなりのある程度のものは入れなければならないんじゃないですか、どうですか。
  86. 大場敏彦

    ○大場政府委員 統計情報部でもその捕捉あるいは分離、そういったこと自身の技術的な困難性ということを訴えておられたわけであります。統計情報部でできないものを私どもの方でやるということもこれも非常にむずかしいわけでありまして、それから先ほど申し上げましたように、原価算入するかどうかという話は、農畜産物全般の問題として、一般原則としてどうするかという問題とまさに関係するわけでありますから、乳価だけというような形でそれは議論はちょっとできない。一般ルールに、私は内部でいろいろ検討していただいて、その内部の検討に従いたいと思っているわけであります。
  87. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それからその次に乳脂率の問題でございますけれども、こういう要するに生産費及び所得補償方式ということになりますと割り算ということになるわけであります。その牛乳の乳脂率を三・七五ですか、これを三・二に引き伸ばして分母を拡大してそして答えを出す、こういう仕組みになっているようでありまするが、こういうような計算をやった場合におきましては、やはり伸ばしたものそのものにも補給金を出すというのが理屈になるようでありまするけれども、その点はどうでしょうか。
  88. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私どもは、補給金を計算するときには乳脂肪率三・二%というのが従来のこれは生産者とメーカーとの間の取引慣行基準になっておりますから、それに基づいて補給金単価を計算し交付しているということであります。農家が実際に受け取られる価格は、これはメーカーと農家との間で決められるわけでありまして、私どもが決める保証価格はあくまで管理価格ではございません。天井をこれで抑えるという価格でもございませんので、いわば最低限の保証という意味での価格でありますから、実現価格はどうなるかという問題といまの御質問は関係するわけでありますが、それは、たとえば北海道の例で言えば、乳脂肪率〇・一%につき一円というような脂肪格差をつけて払っていますが、それが適正であるかどうか、こういったことでありまして、これは結局メーカーと生産者団体の間でいろいろ長い取引などの中で決められている事柄でありますから、それはそういった形で解決していただくということが筋道じゃないかと思っているわけであります。
  89. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 三・五七の間違いでしたけれども、三一五七を薄めて、そして大きくするわけですからね。そうして計算するわけでしょう。それはそれでわかりますけれども、そういうのであるならば、補給金の場合においてもそのキロ数に応じたところの補給金を出したらどうか、こういうことで、これはやはり農業団体等におきましても政府に対して要望しているわけなんであります。ですから、これは要するにあなたの考え方かもしれませんけれども、しかし農業団体の考え方がまるきり非合理的なものであるとは私は考えられないと思うわけなんであります。したがって、そういう要望が出ているのに、あなたの方ではあくまでもやはりいままでどおりの方法でいかなければならない、こういうことなんでしょうか。
  90. 大場敏彦

    ○大場政府委員 この問題は、結局乳脂肪率の格差をどうするかということをメーカーと生産者団体でお決めになって、それをどう変えるかということに関係するわけで、それによって三・二%という——実際は三・二より高い乳脂肪率のものが北海道等で生産されているわけでありますけれども、内地でも同様であります。そういうものに見合う実現価格というものをどうやって決めるかということじゃないかと私は思うわけであります。
  91. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 局長、この農林省の見解というものはきょうの日本農業新聞に載っているわけなんですね。それで、これを見ますと、畜産振興審議会が二十八、二十九と二日間行われる、こうなっているわけなんでありまするが、審議会に諮問して、そして政府の方で答えを出す、こういうことになるんだと思いますが、この見解からいたしますと、要するに、生乳生産の増大、それから牛乳、乳製品需要の緩和、こういう状態の中で、限度数量が十数万トンオーバーするところの見込みである、そういうようなことも書かれておって、結局財政負担からいって引き上げをやるというのは非常に困難なんじゃないか、こういう見解なんですね。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕 それを審議会の前に出されたということは、一体これはどういうことなんでしょうか。
  92. 大場敏彦

    ○大場政府委員 畜産局が御説明いたしましたのは、最近の生乳の生産状況、それから飲用乳の消費状況、それから乳製品の需給状況がどういう推移をたどっているかということ、あるいは価格の状況がどういうふうになっているかということの一般的な概況を申し上げたわけであります。  それから、財政負担が大変だから価格の引き上げというものはむずかしいというようなことも言ったことがございます。ただ、これはたとえば保証価格を一円上げればどれだけ財政支出がふえるかとか、そういったことは機械的に算出ができるわけでありますから、あるいはことしの限度数量のオーバー分を見れば機械的に、仮に十五万トンとすれば三十六億金がかかるとか、そういったことは御説明した覚えがありますが、そういうことにとどまっております。
  93. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それに対しまして、農民団体からもまたこれに対するところの見解というものが出されております。  そこで補給金の問題でありますけれども、あなたの方で出された見解には、一戸当たりの平均補給金等受取額は百三十九万円、所得額に占める不足払いの割合は四五%にも達している、こういうことからして今後財政的な点から見て大変困難である。その次にはまた、保証価格をキロ当たり一円上げると三十六億円になる。こういうようなことで、何か価格を上げることを極力やらないというところの見解だと思うのです。  そこで農民団体の方では、補給金は、所得の補償ということもあるけれども生産費と所得双方に支払いされているところのものであるという解釈に立っているわけなんでありまして、そういう立場からすれば、これが何かべらぼうな所得補償をやっているような見解を示すということは、少なくとも法律を知っておられるところの農林省としては、これはやはりおかしいんじゃないか、こういう反発をしているわけなんです。それに対してあなたの方ではどうお考えになりますか。
  94. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私どもが御説明した資料が大分話題になっているようでありますけれども、実はこれはことしに始まったわけではございません。毎年同じような需給事情というものはよく御説明しているわけでありまして、ことさらことしに限って特に意図的にやったという、そういうつもりはないわけであります。  いま御指摘になりました、所得の中に占める補給金のウエートというものも、これも従来説明を申し上げていることで、特にことしだけやったということではございません。ただ客観的事実として、統計的データをもって計算すればこうなっておりますと、事実問題として、所得の中に占めるウエートがかなり高いことは事実でありますが、四五%であるということは統計的、平均的な数字として御説明したということは事実であります。
  95. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 時間がございませんから、豚のことを一つだけ御質問を申し上げたいと思います。  この豚の算定方式というのは実勢方式、こういう方式がとられているわけなんでありますが、私たちは、実勢方式では実際上農民の所得を補償しない。そういう立場からして、やはり農産物の米なんかと同じように、生産費及び所得補償方式を採用すべきであるということの主張をやっているわけなんであります。そういうような立場に立っているわけでありますが、農林省の方ではいままでどおりやはりこの方式を踏襲していくということの答弁もございますのですが、そこで問題になりますのは、基準年度の豚肉生産費を計算する場合におきまして、四十五年基準の実質生産費に修正をしまして、そして修正をした実質生産費から価格決定年の実質生産費を推定する、こうなるわけですね。ですから、つまり要するに、基準年の豚肉の生産費を一たん四十五年に戻すわけですね。戻して、出すのは一つの傾向を出すということだと思いますが、傾向を出して、そしてその傾向をそのまま生産費、要するにことしの推定生産費、これを出すわけですね。それからまた四十五年の基準の物価上昇で物価修正して、基準年それから価格決定年の肉豚生産費を算出する、こうなるわけですね。その場合、生産費の場合におきましては、これは推定するのですから、一年先のものを推定するわけですね。それから物価修正をやるという場合におきましては、これは一年間見通しておやりになるのですか。
  96. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま御指摘になりましたように豚の場合には過去五年でありますけれども、五年間の実質生産費、これは物価指数でデフレートして決めるわけでありますけれども、実質生産費で並べて、そしてその傾向線上として来年度、五十二年度の生産費を推定して、それをまた名目生産費に換算して、それから最近時点、つまり五十一年の十一月からことしの一月までの物価指数でそれをアップさせる、そういった形で見ているわけであります。そのときに、もちろん現在時点においてはっきり明らかなもの、たとえばえさ価格を値上げするとかあるいはその他の公共料金等の値上げがはっきり確定している、そういう確定的なもの、予見できるもので何も客観的に疑いのないものは採用している、こういったルールでやっているわけでございます。  なぜ傾向値をとって推定しているかということでございますが、これは御存じのとおり豚の合理化の過程あるいは経営規模の拡大の過程で非常に激しく生産費、生産の構造が動いているわけでありまして、それをもとにして、固定的に直前だけをとるということは問題でありますので、そういった合理化傾向を投影させている、こういった形であります。そこでほかのものも見ないのかというお話でございますが、これは客観的事実として現在時点ではっきり把握できるものは見る。えさで何月から——仮にたとえば現在時点で値上げしているものならそれを見る、そういった形で見ているわけであります。
  97. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 これで終わりますけれども、それは理屈に合わぬと思うのですね。片一方の方は一年間見通して、そしてその修正をする、片一方の方は見通すわけにはまいらぬわけなんですから、五十一年から五十二年の一月までのものを出して、そこで掛け合わせていく、こういうことになりますと、たとえば春闘で賃金が上がるという、上がる部分というものは、これは認められぬと、こうなりますし、それから一方ずっと過去五年間の趨勢というものからいたしますならば、やはり経営の合理化等が行われておりますから、労働時間というのが短縮されているわけなんです。ですから、片一方の方はマイナス面というのがたくさん出てまいりまして、片一方の方はプラス面を出さないもので掛け合わせて価格を出していくというこのやり方というのは、やはり低農畜産物価格を強行するところのやり方になるんじゃないかと思うのです。私は率直に申し上げますけれども、乳牛の場合におきましてもあるいはまた肉豚の場合におきましても、あらゆるところの農畜産物というのは全く農民が理解できないような計算のからくりによって低く抑えられている、これだけは私は間違いないと思うわけなんであります。  その一つのあらわれとして、この肉豚の価格を出す場合においても、このようにして、ややこしいやり方をとりながら結果的には安く決める、こういう方法がとられていると考えるわけなんであります。したがって、いろいろ聞いてみますと、畜産振興事業団等におきまして買い上げたものなんというのは四十二年からほとんどないというような状態になっているそうでありますけれども、この数年間におきまして、豚の価格が暴落をして大変困った事態というのが何回かあったわけなんであります。何回もありましたけれども、こういうような方法で決められているものでありますから、したがってその価格安定帯というものが事由上役割りを果たさないという状態に入っていると私は思うわけなんであります。だから、これがあっても豚肉の価格等をどうすることもできない、こういう状態であると思いますので、やはり実際の経営と安定帯というものがちゃんと結びつくような方法に改善を加えていかなければならぬ時期だと私は思います。畜産振興審議会がありますならばやはりそういう立場に立って政府の考え方を出してもらわなければならぬじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。
  98. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま算定方式、それから値を含めて検討中でありますが、いずれにいたしましても、この制度は価格の支持制度とかそういったことではないわけでありまして、いわば価格の暴騰、暴落を防ぐ、その安定帯の中に価格水準というものをおさめる、そういった程度の制度でございますから、そういった制度の趣旨に即して私どもは価格の作業をしていきたいと思っているわけであります。  それから買い入れがなかったというお話は、確かに四十一年のときに買いまして以来買い入れということはありませんが、しかし不幸にして昨年最低価格にほとんど接近したということがございます。しかしそのときにはいろいろ、小売価格の引き下げによる需要の喚起だとか、あるいは生産者団体の協力を得まして調整保管をする、そういった措置によって市況の回復をし、現在幸いにして豚肉はかなり上限の方に近くなっておりますが、一時は下限すれすれのところまでいったという経緯があります。そういった努力をやはりわれわれとしては払わざるを得ない、もちろんしなければならないわけでありますが、そういった払った経緯もありますので、それはいまの安定帯制度がかなりわれわれにそういった努力をある意味では強いている。小売価格の引き下げのために政府が努力しろ、しなければ大変だとか、あるいは生産者団体にいろいろ金利倉敷料をめんどうを見ることを約束して、そうして調整保管をお願いをして市況の立ち直りを図るとか、そういった努力を政府に対して強制しているという面がありますので、私は私なりに現在の安定帯制度というものはかなりの意味があるというように思っているわけであります。
  99. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 これで終わりますが、とにかく豚の上限を上の方に出ている月数というのが非常にたくさんあるわけなんです。本来からするならば、上限と下限のところを出ないようにやっていくというのがこの安定帯の使命だと思うのです。ところがみんな一みんなというわけではないですが、大部分は出ているわけです。出ているのは切って販売価格として計算の中に入れてこられるわけなんでありまして、そういう点からしますと、安定帯があるならば、やはりその安定帯の枠におさまるような、そういう中心価格というのを決めるように努力してもらわなければならないと思うわけなんであります。そういう点で、まだまだこれは改善するところの余地というのは十分にあると私は思いますので、時間がございませんのでやめますけれども、これは十分検討してもらって、そうして畜産農家が安心して経営のできるような努力をしてもらいたいということをつけ加えまして、質問を終わります。
  100. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 馬場昇君。
  101. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 私は畜産農家の経営の改善と生活安定について具体的に質問をいたしたいと思います。  私の地元の熊本県下益城郡城南町塚原というところに豊田養豚団地というのがございます。私は、今週の日曜日、二十日の日にそこを訪ねてまいりました。そこの養豚農家から五十一年度の詳細な経営実態というのを聞いてまいりました。内容を申し上げますと、五十一年度の肉豚の販売高が八千七百五十一万一千三百十七円、これが五十一年度の肉豚販売高でございます。子豚の仕入れ代金を見てみますと、六千二百十七万四千七百八十三円です。これが子豚の仕入れ代金でございます。一年分の飼料代は三千二百七十六万五千八百四十七円です。子豚の仕入れ代金と飼料代を合計いたしますと、九千四百九十四万六百三十円になるのです。そういたしますと、子豚の仕入れ代金と飼料代、これと売り上げを見てみますと、ここで七百四十二万九千三百十三円という赤字が出ておるわけでございます。さらに、電気代あるいは維持費とか固定資産税、こういうものを百三万五千三百三十八円支払っておられます。さらに、農協の借り入れ金だとか制度資金の返済、これを二百三十三万一千五百二十二円やっておられるわけでございまして、この合計とさっきの赤字の合計をいたしますと、一千七十九万六千百七十三円、これが赤字でございます。  まず、質問の第一点ですけれども、いろいろ聞いておりましたけれども、この数字を一年丹念にきちっと記録してございます。実にりっぱな資料でございました。この事実を見て私は唖然としたのですけれども、このような経営実態というのを御存じでしょうけれども、念のために申し上げますけれども、御存じですか。こういう実態を見てどうお考えになりますか。そのことについてまず最初に感想を聞いておきたいと思うのです。
  102. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま詳細な数字でお教え願ったわけでありますけれども、現在の養豚経営の実態は、先生御存じのとおり繁殖子取り農家もありますし、それからいわゆる肥育経営、先生のおっしゃっているのはいわゆる肥育経営ですね。それから一貫経営もあるわけでございますが、経営の形によって、かなり差があるのではないか。一般的に、総じて昨年は比較的——そう言ってはおしかりをこうむるかもしれませんが、比較的順調な歩みをたどったわけでありますが、ことに肥育経営が去年の春非常に子豚の値段が高かった。そこで肥育経営が、高い子豚を買ってちょうど出荷する時期になって、昨年の九月、十月でございますが、先ほど申し上げましたように、急に豚の値段が暴落した。つるべ落としのように落ちてしまったという形で、それから二、三カ月低迷いたしました。その過程でかなり経営に影響を受けたのではないか、そういうふうに判断しております。一貫経営は、もちろんそういった影響はあるわけでありますが、そういったものの影響は、ややそれよりは緩和されて、比較的去年からことしをならしてみればわりに順調な歩みをたどっておる、こういうふうに判断しておりますが、ことに肥育経営の場合には、いま先生がおっしゃったような実態はかなりあったというふうに私どもは認識しております。
  103. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 問題は、一千万円ぐらいの赤字を出しておるわけですよ。これが現実です。これはもうきちんとした資料に基づいて出たデータですから、間違いないと思うのです。こういうことは、特に肥育農家にあったのだということは御承知のようでございますけれども、そこで、これをこのままの状態で放置しておくわけにはいかぬわけです。これは壊滅、首をくくる以外にないのですよ、こんなことが続いていったら。こういう意味で、経営実態の改善と農家の生活の安定という問題に対してどうすればいいのでしょうか。そこの農家に私行きましたら、政府に聞いてください、私たちはどうすればいいのでしょうかという血の出るような叫びでこざいました。この実態の上から、経営改善、生活安定、どうすればいいのでしょうか。
  104. 大場敏彦

    ○大場政府委員 養豚経営にとって問題になりますのは、一つは、何といいましても販売価格である豚の価格の安定ということが第一だろうと思うわけであります。豚は、先生御存じのように、ピッグサイクルという形で非常に変動が激しい。昨年におきましても、春は非常に高過ぎた。しかし秋になって急に下がった。またもとに戻っておる。こういった形で価格変動に絶えず経営がさらされておる、そういったことがありますので、それをできるだけ安定させるための努力をわれわれするということが第一点だろうと私は思います。  それから第二点は、何といいましても、コストの中に大部分を占めるものとして二つあるわけでありますが、一つは子豚、肥育経営の場合には素畜ですね。子豚等の価格安定あるいは優良なる子豚、質の問題でありますが、そういったものを供給する体制をきちっとするということと、もう一つは配合飼料というか、生産資材でありますえさ価格の安定を図るということが大事ではないか。ちょっとお答えになるかどうかわかりませんが、基本的にはそういうふうに考えておるわけであります。
  105. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 問題点指摘はわかったのです。ところが農家の人があるいは私が聞いているのは、そこをどうするのですかということが問題でございます。どなたもこういうことはわかっているわけです。だから、いま問題点指摘がありましたので、その中身について具体的にいまお聞きしていきたいと思うのです。  そこで、まず指摘をされましたが、私も基本的には肉豚の販売の価格を上げるということが必要だろうと思うのですよ。ところがこれが、いろいろ審議会なんかでもまたやっておるようですけれども、この販売価格を上げるということ、そうして生活と経営を安定させるということは、どう考えてみたって生産費と所得を補償するような方法で価格を決める以外に方法はないと私は思うのです。そうして生産費が補償され、所得が補償されますと、赤字が出ないわけですから、経営は安定するし、生活が安定するわけです。だから、私は、基本的には生産費所得補償方式による価格の決定これをとらなければ、経営改善にも安定にも、生活安定にもならないんじゃないかと思うのですが、現在とっておられない。とる気持ちはないのか、なぜとられないのか、具体的にお答えいただきたいと思うのです。
  106. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私ども現在の制度は、異常な価格変動を防止して一定の安定帯の中に価格をおさめる、そのために各種の施策を投入する、そういった施策でいいと思っております。事実、そういった価格安定制度というものを前提にして、いろいろ短期的にはピッグサイクルというような循環変動というものは繰り返しながらも、やはり日本の養豚業というものは飛躍的に拡大してきている、かなり国際競争力も持つような段階まで成長してきているということはやはりあり得るわけでありますから、価格安定制度を基調としながら、いまの生産というものを伸長させていくということが基本ではないかと私は思っております。  いま御指摘になりました生産費所得補償方式導入という御意見は確かにございますが、これは恐縮でございますが、いろいろそれについても問題がどうも出てくる可能性があるんじゃないか、たとえばそういう支持制度をとって事業団が買い入れ制度をとるということになりますと、場合によっては、個々の零細な養豚農家ではなくて、先生が御存じのとおり、養豚農家は非常にコストにばらつきがあります。大規模養豚から小さいところまで、ずいぶんコストに差がありますから、そういう企業家的な養豚農家の生産を伸長させるということになりかねないわけでございます。ですから、価格を所得補償方式で決めた場合には、そういった企業養豚の生産の豚がどんどん入り込んできて、これはレベルによるわけでありますけれども、買い上げというものがどんどん出てくるというおそれが出てきて、そして買い上げが頻度が多くて売り渡しということがなくなるということで、そういう意味では制度の非常な重荷になるおそれがあるということがありますので、御意見はよく理解できるわけでありますが、そういった問題はどうもあるのじゃないだろうかというふうに思っております。
  107. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 局長答弁を聞いておりますと、決して人間を攻撃するわけじゃございませんけれども、全然血の流れていない人間の発言のように聞こえてしようがありません。私には雲の上の発言のように聞こえてならないのです。というのは、一千万円の赤字を抱えてどうにもできないという農家がそこにおるわけです。その人に対していまのような答弁で、安定帯の中に価格は入れておけばいいのだとか、そういうことではどうにもならない。そして、生産費所得補償方式をとらないとおっしゃった。ところが、実際その前にもまだあるわけです。畜産振興審議会の中に生産者代表が何人入っておりますか。そういう問題もありましょう。さらに、その前には自分の生産したものに値段をつけるというのに発言力がない、こういう実態ですね。少なくとも私どもとしては何らかそこのところを政府がやってやらなければならぬ、やりたくなければ、じゃ政府と生産農家と団体交渉でもして値段を決めようじゃないかというような、そういう方式でもとりますとか、そういう何らかの手を打たなければ、一千万円の赤字はどうにもならぬじゃありませんか。そういう点について次に質問いたしますので、それとあわせて、もう少し本当に局長なり農林大臣なんかは、命がけで農家のためにがんばっているというような姿勢を示さなければだめですよ。  第二は、さっきも局長の言われた飼料の問題ですね。えさが高いことが赤字が出る原因になっているということは、そのとおりでございます。さっき私が言いましたように、ここではえさ代に三千万余り使っておられるわけですから、これをずっと下げさえすればまたあれもできるわけですから、そういう意味におきまして、これについてはもうしばしば議論もありますし、私たちが昨年野党でえさ二法の立法の要求もしておるわけでございます。そういう点について、えさの食管法ともいうべき需給価格法というような法律をつくるとか、あるいは国内自給飼料の確立のための生産振興法をつくるとか、われわれ野党は出しているわけでございますけれども、こういうえさ対策、そして具体的に言うと、私たちが出しておる、また今度も出しますえさのこういう特別の法律、こういうものに対して、やっぱりつくる必要があろうと私は思うのですけれども、いかがですか。
  108. 大場敏彦

    ○大場政府委員 養豚農家の経営安定対策として、私どもは何もいまの価格安定制度だけでいいという気持ちで御答弁申し上げたわけでは決してございませんが、たとえば、これは肥育経営ではございませんけれども、五十一年度で百億の融資枠をもって、これは子取りが対象でありますけれども、低利資金をかなりの利子補給をしてお世話しているということもやっておりますし、農協、生産者団体等が行う長期平均払い事業に対しても出資している、そういった措置も講じているつもりであります。  それから、いろいろやはりそういう負債を抱えている農家に対する対策ということも私ども考えていかなければならない問題だと思っておりますが、それに対する低利資金の問題だとかいうことをあわせて、いろいろ御要望を聞きながら処理していきたいというふうに思っているわけであります。  それから、えさの問題でございますが、野党が御提案下さっている法律につきましては、いま私ども慎重に検討させていただいております。おりますが、えさ価格の安定ということにつきましては、建て値は若干変動はございますが、配合飼料価格安定基金というものもございますし、それから異常変動に対しましては、政府が助成している親基金というものがございます。そういったかっこうで補てんをいたしておりまして、ここ一年以上、実質的な農家の配合飼料の支払い価格というものはほとんど変動がないという状況でございまして、それが畜産経営の安定には寄与する道ではないかと思って、そういう努力は今後続けていきたいと思っておるわけであります。たとえば配合飼料価格の建て値につきましては、従来四半期ごとに変えておりましたのを、昨年下半期からは大体半年というようなことで決めることに指導いたしましたし、ことしの一月からも、一月から六月までの建て値を決めて、それ以上よほどのことがない限り動かさないというような形で、これは配合飼料の生産者の団体をそういった形で指導している、こういった状況であります。
  109. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 全然私の質問とかみ合わないのですけれどもね。いま何をしておる、かにをしておるということをおっしゃる。そういうことを実際施策をした上でこんなに赤字が出ているという現実を私は言っているのです。だから、いまやっていることは知っていますから、そうくどくど言ってもらわぬでもいいのですけれども、今後こういう抜本的な対策を講じなければよくならない、それに対してどうなんだということをいま言っているわけでございます、私の質問は。そういう意味で、答えとしては、われわれが出しているえさ二法については十分検討しておるのだというようなことしかない。前向きに検討しておるのか後ろ向きに検討しておるのか、全然わかりやしないわけですよ。やっぱりこういうものをつくって、そしてえさをきちんと下げたい、安定させたい、こういうことで具体的に出てこないから、全然わからない。  それから三番目に、これもまたさっき言われたのですけれども、子豚の価格の変動とか高値とかということで大分赤字の原因になっているわけです。ここのところの子豚の価格安定制度というものをつくると、安定ということが出てくると思うのですよ。この辺についてはどうお考えですか。
  110. 大場敏彦

    ○大場政府委員 率直に申し上げまして、子豚の安定供給というところが実は私どもの弱みといいますか、私どもの悩みであります。現実に各県に子豚安定基金というものが、これは先生御存じでしょうけれども、ありまして、そこで、たとえば子豚価格が下がった場合には補てんをしたり、あるいは種つけの奨励をしたり種つけの抑制をしたり、そういう場合の奨励金を交付しておりますが、農家の加入率が非常に低いというような形で、実効は残念ながら上がっておりません。そういう意味で、今後子豚の価格を安定するということは私ども非常に重要と見ておりますが、比較的子牛価格の方は最近非常に加入率がふえて、逐次制度が増強されつつあることは事実でありますが、それに比べて立ちおくれているということは率直に認めます。それについては今後どういう強化策をとっていくか、強化の努力はしていきたいと思っております。
  111. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 いままで赤字が一千万近く出ておる、具体的にどうするかという御質問を、まず価格の問題、それから飼料の問題、それから子豚の価格安定の問題ということについて質問いたしたのですけれども、どうもいまの局長答弁を聞いて、私が日曜日に行ってきました私の地元の城南町の塚原というところの豊田養豚団地の人たちにいま局長が言われたことを言ったって全然勇気が出てこないんじゃないか、何もしてくれないじゃないかということしか私は返ってこないんじゃないかと思うのです。そういうことだから、お先真っ暗ということでございますと、やはりさっき言いました生産費所得補償方式というものを真剣に考えるんだ、えさ二法というものもやはり具体的に提案されているのですからこれも真剣に取り組むんだ、そして子豚の価格の安定制度というものも、いま加入が少ないとか何とか言われましたけれども、抜本的にこれもやるんだ、一生懸命生産に、苦しいだろうけれどもがんばってくれというような態度が欲しいのじゃないかと私は思うのです。  そこで政務次官、せっかくおられますので、その辺についての意欲のあるところを、政務次官の政治的な考え方といいますかお尋ねしたいと思うのです。
  112. 羽田孜

    ○羽田政府委員 馬場先生からいま大変いろいろ厳しい御叱吃があったわけでございます。決して農林省手をこまねいているわけでもなく、やはり何とか私どもが長期目標を立てております自給力上げていくという中で、いろいろな実は施策をとっておるところでございます。いまの飼料の問題等につきましても、お話ございましたけれども、このところは比較的実は安定して推移しておるんじゃなかろうかというふうに考えております。また、いざというときのための備蓄等につきましてもこれから対処していこうということで、備蓄量なんかにつきましてもふやしていこうとしております。  いずれにしましても、私ども近代化の問題あるいはまたそのための融資の問題、こういった問題につきましてこれからも積極的に対処していくということを、この機会に申し上げておきたいというふうに存じます。
  113. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これはまたいずれ農林大臣とも議論をしなければなりませんが、とにかく現実どうにもならないという状態ですから、そこのところを、飼料が最近幾分安定いたしておりますとかなんとかというような悠長な問題ではないということ、安定しておりながらこんなに苦しいということ、そこをぜひ御理解願いたいと思うのです。  そこで、当面の対策としては、先ほどから出ておりますけれども莫大な負債を持っておられるわけですね。まあ私の訪れましたこの付近では、一戸当たり大体八百万円から一千万円ぐらいの負債を持っておられます。そういうことで、経営安定、生活安定のためには、先ほども同僚委員から質問がありましたけれども、この莫大な負債の整理というのは絶対に必要、これを当面しなければもう大変だという状態でございますから、この負債の整理法という法律くらいつくって、融資とかなんとかということもまた言われると思いますけれども、抜本的に負債整理法ぐらいつくって十年くらいたな上げでもしてきちっと整理いたします、こういうような前向きな負債整理のための対策というのはどうお考えになっておられますか。
  114. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほど申し上げましたように、繁殖農家につきましては低利融資をいまお世話している最中でありますが、肥育経営につきまして資金需要がどの程度あるのかということをいま私ども調査中であります。そういったことと、生産者団体の御意向も受けながら、ことに例のオイルショック以後受けた後遺症のためにかなり負債あるいはその金利負担が経営の圧迫要因になっておるという事実はわかっているつもりでありますから、何らかの措置を近々とりたいというふうに努力しているわけであります。
  115. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 国会ですから、国民の代表として質問しておるわけですから、何らかの処置ぐらいでは引き下がりたくないのです。ところが、非常に時間がないわけです。また次の機会にもやりたいと思うのですけれども、いま言われましたが、とにかく抜本的な負債対策をやって、負債整理法という法律ぐらいつくって、そしてきちんとした整理をしていただきたいということ。それから、当面の運転資金にも困っておられるわけです。銀行から高いお金を借りたりなんかしておられますから、これは先ほどから何回も言っておられますけれども、やはり長期低利な運転資金というものをたくさんつぎ込んでいただきたいということも要望申し上げておきたいと思うのです。やはり二百海里時代という外からの問題もあるわけです。これはもうそういうことがなくても主体的に畜産農家を発展させていくということは必要ですけれども、ましていわんや二百海里時代という外圧が来まして、魚の問題が大変な問題になってきておる。動物性たん白質の問題、こういうことを考えますと、日本人の生命、健康という上におきましても、この畜産の振興というのはものすごく大切だということが二百海里時代からひしひしと押し寄せてきておるわけでございます。そういう時期にいま言ったような状態に畜産農家がある。こういう状況では、生産意欲は増してこないということですよ。そして、基本というのは、さっき言ったように二百海里時代ということから自給率を増すということも必要ですし、そういう意味も含めましてちょうどこの時代は抜本的に改善をしていく施策をとらなければならぬ時代じゃなかろうか、こういうぐあいに思います。あと一つ、ちょっとありますけれども、その辺について、政治的といいますか、次官、どうですか。
  116. 羽田孜

    ○羽田政府委員 御承知のとおり農林省は安定して食糧供給しなければならぬ大きな務めがあるわけでございますので、やはりそれには生産する方々が意欲を持ってやっていただかなければならぬ、これが何といっても大前提であるわけでございます。いま先生から具体的な例を挙げてお話があったわけでございます。実は農林省としましても、そういった事例というもの、特に酪農なんかでもそういった問題がございました。何回か調査し、また四十八年以降数回にわたりまして緊急的な融資というものも特別融資なんかもやってきたところでございまして、いまいろいろと御指摘ございましたことを踏まえまして、これはひとつ本気で前向きで検討させていただきたいと思います。
  117. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 時間が来ましたのですが、最後に一言だけ。  ECから乳製品輸入量をふやせとか牛肉の輸入とかいろいろあるわけですが、われわれ前々から指摘しておったわけでございますが、国際分業という高度経済成長政策の中で、その政策が日本農業に壊滅的打撃を与えたということはもう御存じのとおりと思うのですけれども、当面の問題として、やはり工業製品を輸出する、その見返りに農畜産物を輸入させられる。一つ産業を発展させるために一つ産業を犠牲にする、こういうことはあり得べきものではないと私は思います。まして、いままさにこの農畜産物の輸入というものが日本の農家をものすごく苦しめておるわけでございますから、少なくとも工業製品輸出とかその他のことを理由にして輸入をふやしたりなんかして農家を苦しめてはならない、日本農業、畜産業振興を阻害さしてはならない、こういうことをだれでも言うわけですけれども、これについてきちっとした政府の御見解をお尋ねしておきたいと思うのです。
  118. 羽田孜

    ○羽田政府委員 工業製品との見返りに農業産品について、農産物について輸入することをやめるようにというお言葉でございます。私どもも、ともかく不足する物について輸入するというのが基本的なたてまえでございまして、国内生産農家を圧迫するようなことは何としても避けたいと考えております。そういったことで、いろいろと輸出したい国に対しましても、わが国の実情というものをいままでも十分訴えてきたところでございますけれども、今後ともそのような姿勢をとっていきたいと考えます。
  119. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 いまの答弁でいいのですけれども答弁の中で、不足する物を輸入するんだということですけれども、わざと不足させるような政策をとっておって、輸入するということだってあるのです。そういうことのないように注文申し上げて、質問を終わります。
  120. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 竹内猛君。
  121. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、建設省に対して、緊急な問題について一点、それから農林省に関しては、特に養豚問題、養鶏に関する問題に触れながら質問します。  まず最初に、建設省にお伺いしますが、茨城県新治郡新治村藤沢新田に古川興農組合というものができていることを知っていますか。
  122. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えいたします。  承知しております。
  123. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この興農組合は昭和二十九年一月十五日、二十九名によってつくられております。それがその後桜川のはんらんによって、橋のつけかえをやる。その中で、最近建設省から大蔵省に移管をしなければならない、こういうことで、五十二年三月三十一日に大蔵省に移管をするということになっているというのですが、そのとおりですか。
  124. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 御説明申し上げます。  桜川は、先生御承知のとおり、一級河川の指定区間でございまして、茨城県知事が概して管理をいたしております。そして、御質問の土地は、昭和五十一年十一月二十五日に廃川処分になったわけでございます。要するに河川区域が変更されまして河川でなくなったわけでございます。河川でなくなりますと、河川管理者である茨城県知事はこれを管理することができなくなるわけでございます。しかしながら、河川法九十一条の規定によりまして、廃川処分がありましてからなお十カ月間は知事が管理するということになっております。しかしその場合は、いわゆる河川管理が行われるのではなくて、河川管理者である知事が自後引き続いて経過的に管理する、こういう意味でございます。そしてその管理の期間が過ぎました後に、今度は国有財産法の八条の規定によりまして大蔵省の方に引き継がれることになっております。したがいまして、いま先生お話がございました大蔵省への引き継ぎの時期は昭和五十二年九月二十四日になろうかと思います。  以上でございます。
  125. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この土地は二十九戸の農家、現在は二十四戸ですが、これが今日まで共同で経営をしてきた。そして四十五年までは米、それ以降はレンコンにかわっております。いずれにしても、この生産者は、そこから上がった利益はほとんど個人に分配するのでなくて、お互いに助け合いながらポンプを買ったりポンプ小屋をつくったりあるいは公民館をつくったりしている、そして若干の娯楽としては旅行をするというのがいままでの状態であります。そしてこれは建設省にもあるいは関係者にも地代を払っておるわけですから、当然耕作権が存在をする、こういうふうに考えます。そのときに、井坂光雄村長が、現地と相談なしにその権利の払い下げを要求した、その点は承知していますか。
  126. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  いま耕作権のお話が出たのでございますが、それは私ども、いわゆる公共用の財産の上に一年更新というような形で河川管理者の許可を得て占用している土地について私法上の耕作権みたいなものが果たしてあるのかどうかということには法律上ややむずかしい問題があるのじゃないかと思いますが、後段お話がございました、村長の方から県の土木事務所の方に何か譲り受けたいというような要望書が出たということは承知しております。ただ土木事務所の方では、書類に不備があるとかいろいろなことで、それは受理しなかったというふうにも聞いております。
  127. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は非常に重要なところです。長い間共同で耕作をしたところを、その村の村長が地元に相談しないで、いきなり払い下げをしてくれ、それで、しかもそれは公共団地にするんだ、こういうことなんです。それで地元の耕作者がびっくりして、それはおかしいじゃないかということで村長と話をしたところが、今度は村長は「新治村大字藤沢新田興農組合が借用中の蓮根田(四〇八一平方メートル)については、貴組合が希望しない場合は新治村農村総合整備計画に基ずく児童公園の計画より除外することにいたします」という書類を入れておる。こういうふうになって、地元の承諾がなければそれはやらないと言っているような状態でありますから、当然、もし移管になって建設省から大蔵省にいった場合も、その耕作者に払い下げまたは耕作の継続の権利がある、こういうぐあいに理解していいかどうか。
  128. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、河川の公用廃止によりまして河川管理が行われなくなったわけでございまして、河川管理者の立場といたしましては、その廃川となった土地がどこへいくべきであるか、どうすべきかということを述べることについていささか問題があるわけでございますが、結局どういうことになるかと申しますと、大蔵省に一応移管になります。大蔵省に移管になりました後に、茨城県といたしましては、当該土地を、国有財産法の二十八条の規定がございまして、管理費用を負担し、いままで管理していた地方公共団体は譲与を受けることができることになっておりますので、大蔵大臣からその土地の譲与を受けるということになろうかと思います。したがって、これは恐らく無償だと思いますが、茨城県としてはその土地を県がもらい下げるということになるわけでございます。したがいまして、もらい下げました県が今度はこれをどうするかというのは、これは県の御意思でございます。ただ、先生の御意向などを私ども、県の方へは十分お伝えしたいと思っております。
  129. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 わかりました。そうすると、県の物になり、その使用は県が決めるということですね。——それではよろしいです。  農林省に尋ねます。  まず、畜安法によるところの安定基準価格、特に豚の場合、これはどういう農家を安定させるようにできているか、まずそこから……。
  130. 大場敏彦

    ○大場政府委員 畜安法に基づく価格安定制度は、異常な価格の変動防止ということを目的としておりますから、直接的にどの階層の農家を救うとか、そういったことを直接的なねらいとしているわけではございません。あくまで価格を安定した形で生産の伸長を図り、また消費者にも資する、そういった観点からの制度であります。現実には豚の生産は、この価格安定制度の中で、もちろんピッグサイクルというような循環変動というものはありながらも、やはり紆余曲折はもちろんございますけれども、順調に伸びてきている、こういうような状況であると思っております。
  131. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの局長答弁はおかしいんじゃないですか。農林省は養豚団地というものを育成する、最近は地域農政というようなことを言って今度は部落の段階から農業を積み上げていこうという方針も出してきている。そういうときに、豚を五頭飼っているところもあるし、あるいは三百頭、五百頭のところがある。わが茨城県などは日本一の養豚県で大変頭数が多い。農林省自体が団地を指導し、それに対する必要な融資なり助成をしてきた段階からいってみて、やはり好ましい養豚経営というものはどういうものであるかということぐらいわかっているはずだ。だから、農家のどういうようなものを安定させるかということをまず目安に置かなければ、農家の方では経営のしようがないじゃないですか。その辺はどうです。
  132. 大場敏彦

    ○大場政府委員 直接にどの階層の農家をつかまえて価格安定制度が焦点をしぼっているかということのお尋ねでございますが、繰り返しになりますが、私どもは、そういったことではなくて、この価格安定制度は、言うならば過去の需給実勢価格というものをベースにして、それの価格変動は当然ある、しかし極端に暴騰、暴落を繰り返すことは、農家経営に与える影響は好ましくないから、それをできるだけ一定の幅の中に取り静めよう、そういったために政策努力をしようということでありまして、そういった価格安定を通じて、逆には暴騰、暴落を防ぐことによって、経営に与える影響を緩和して、その中で豚の伸長を図っていこうということでありまして、どの階層の農家の生産費を補償するとかあるいは所得補償をするとか、そういったことを直接ねらいとしたもの、元来の制度の仕組みはそうなっていないということを申し上げているわけであります。
  133. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これ以上議論してもまずいから先に進みます。  今度は価格の決定の方針です。たとえば加工原料乳の問題にしても、大蔵省に相談をしなければ最終的には決まらない。あるいは豚価にしても、これも大蔵省に、あるいは牛肉にしてもそうだ。すべて大蔵省の予算が先に決まって予算の枠内で逆算をしてその価格が決まってくるということになっているんじゃないか。率直にそういう感じがしてならない。これはどうですか。
  134. 大場敏彦

    ○大場政府委員 予算が前提になってそれに合わせるというようなつもりは私どもは毛頭ございません。ただ、いろいろ財政問題と絡みますから大蔵省と協議していることは事実でございますが、やはり農林省独自の判断で、私どもの判断で価格の作業をして、それを大蔵省に持ち込んで協議をして最終的な意見調整を図っているということでございます。
  135. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 親切な価格の決定というのは、豚を飼う前あるいは乳牛を入れる前に、本当ならば価格の見通しというものを明らかにして、喜んで農家がそれに生産ができるような形で示していくのが一番親切だと思うけれども、いつもぎりぎりの間際になってから価格を出す。それはしかも予算に拘束をされている。こういう出し方が非常に親切ではない、こういうふうに私たちは思っている。だから、価格問題については、本委員会でもやや恒常的に取り上げていこうじゃないか、しかしとりあえずことしの価格は一体どのくらい上げようとしているのか、この辺の幅はどうですか。
  136. 大場敏彦

    ○大場政府委員 現在作業中でありまして、結論は出ておりません。
  137. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農家が、四十七年、四十八年、四十九年、石油ショックとえさ高でものすごく苦労をした。こういうショックからいま立ち上がろうというときに、去年は外国から豚が相当な量入ってきた。しかも、やってはならないと言っているのに、税金を外してしまって、十五万トン近いものが入った。あるいは牛乳にしても、生乳に換算すれば二百五万トンぐらいのものが入ってくる。そして国内においてはせっかく加工原料乳も生産が伸びているのに、これをいま抑えようとしているし、処理がなかなか手間取っている、こういう状態がある。  こういうときに、本当に国内生産農家の立場に立った場合に、価格というものに対してもっと親切な取り扱いあるいは努力をした分だけは価格を上げていく、生産費を補償する、所得を補償する、こういう価格の決め方、方向というものは、どうしてもできないのかどうか。これは政務次官から答弁していただきたい。
  138. 羽田孜

    ○羽田政府委員 いま先生から御指摘の豚肉につきましては、今日、安定価格制度をとっているわけでございますので、生産費所得方式そのものはやはり合わないと思います。ただ、私どもとしましては、でき得る限り市場における実勢というものを価格に反映していくということでございますので、ともかくその中で生産を図っていただきたいという気持ちで臨んでまいりたいというふうに思っております。
  139. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は、これからなお議論をするから、議論の芽だけをいま出して、なおこれから議論していきますが、それでは具体的に今度は豚肉の問題で質問します。  芝浦の屠場の価格が去年の暮れは八百二十円まで上がったときがある。ところが、ことしの一月の五、六日になると六百七十円に落ちてしまった。こういうようなことで、この中央市場によって価格の操作が、こんなにも狂う、こういうことについて、これは生産者の側に立っても、消費者の側に立っても、非常に危険なことなんです。農林省は、もうちょっとこれに対して手を入れることはできないのか、これはどうですか。
  140. 羽田孜

    ○羽田政府委員 いま先生指摘がございました、市場における建て値の問題でございますけれども、東京市場における卸売価格の安定については、従来から需給の実情をより的確に反映した価格形成が行われるように今日まで指導しておるところでございます。しかし最近において市場取引・のシェアが比較的低下しているというのも事実でございまして、今後とも施設の整備あるいは冷屠体の搬入、取引量の安定拡大など、いろいろと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
  141. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 芝浦屠場にもうちょっと農林省が指導をするということについて、もう少し明確に話をしてもらわないと、これは生産者の側でも困るし、消費者の側だってこれはよくない。
  142. 大場敏彦

    ○大場政府委員 確かに私どもそういう問題点は認識しております。豚は芝浦で取り扱っているシェアが二・八%ということで、これは年々低くなってきて、非常に問題だと思っております。それが乱高下を呼ぶ原因になっていると思いますので、それに対してやはり設備の改善だとかいうことも必要でありましょうし、やはり冷屠体取引、そういったものの普及ということも必要でありましょう。それから、やはり市場における取引の監視というものをもう少し徹底してやる必要があるというふうに私ども思って、そういう努力を続けたいと思います。
  143. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私どもは価格の値上げを要求するのが目的じゃない。価格が安くても、農家の所得が安定すればそれでいい。そのために、農林省のいままでの指導の中に、価格だけを問題にして、生産費を引き下げても農家がやっていけるような形での指導が足りなかったんじゃないかという感じがする。  私はこの間、ある農協で調査をしました。この農協は百六十五戸の養豚農家、平均頭数が八十頭です。これは茨城県の中でもかなり養豚については熱を上げているところなんです。先般、屎尿処理のために施設をつくった。この減価償却なんかを入れると、一頭について二千円かかる。それから、昨年えさの安全法をつくった。五十四品目の中で二十数品目が外されたために、〇・四%ぐらいのカロリーが減るために、一〇%ぐらい余分にえさを与えなければならない。これが一頭に二千円くらいかかるという。こういうことになっていて、畜産農家がこれだけ努力をしている中で、何とかこういう問題について農家負担というものを軽減をする。ふん尿処理とかいうようなものについては、もっと公共的な助成なり援助をして、農家の負担からこれを切り取っていく。あるいはえさの問題でも、国がつくった法律の中で、後でもちょっとまた問題が出てくるけれども、こういうような問題が出ているわけですから、これに対する始末というのはやはりやってもらわなければいけないだろう。価格の中に入らなければ、何とか国がこれに対してめんどうを見るというのは当然のことではないか、こういうぐあいに考えるけれども、その二点についてどのように考えておられるかお答え願いたい。
  144. 大場敏彦

    ○大場政府委員 まず、いわゆる公害といいますか、畜産環境の汚染の問題でございますが、これは確かにこれからの豚の生産を制約する大きな要因だと私も思っております。そういう意味で、いろいろ耕種農家と結びつけた形での家畜ふん尿の土壌還元の対策だとか、あるいは公共事業で大規模にそれをやるとか、そういった措置は講じておりますが、来年度から新たにそれを農協あるいは市町村という単位で広域的な形で結びつけて処理する、耕種経営と結びつけて処理するというような事業も新しく始めようとしております。  それから、それだけじゃなくて、個々の農家にとって細かな対策が必要であると思いますので、五十一年度におきまして、十三億を畜産振興事業団から出しまして、三分五厘でリースをするというような形のリース協会を設立して、そこでいわゆる公営関係の施設のリースをするという仕事も始めております。まだ普及しておりませんので、その普及を努めていきたいと思っております。それから、飼料添加物の規制の問題につきましていろいろありますが、豚につきましては、わりあい各種の抗菌剤の使用というものがほかのものに比べれば、従来に似たようなものは認められておりますので、私ども実態はそう影響があるというふうには実は聞いていなかったのでありますけれども、よく実情を調べて対策を講じたいと思います。
  145. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は、飼料安全法が通ってからの段階で出てきている新しい課題であるから、これはぜひ調査をして、これに対する対応をしてもらいたいと思うし、また資料も出します。  今度はえさの問題と関連をして、豚の血液を発酵をさせて発酵飼料をつくろう、こういうことが計画をされている。そして豚全体が、皮も毛もそれから臓物も骨も血液も何もかも活用していこうという、尿もそうですね、土地に還元していく、そういう努力をしているときに、これがなかなかできないような状況にある。つまり保健所と獣医師との関係、この関係がうまくなっているかどうか、そのことについて農林省は聞いているか、調べているか。そういうことができれば、えさはかなり自給といいますか、そういうものができるという話なんです。これはどうですか。
  146. 大場敏彦

    ○大場政府委員 申しわけございません。いま先生が御指摘になりましたことは私まだ聞いておりませんので、早急に調査をいたしまして、もし先生が御指摘になりましたように獣医師と保健所とか、そういったものの連携がまずければ改善いたします。
  147. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は鶏の病気の問題について、これも飼料安全法ができて幾つかの添加薬を抜き取ったということで、その後にいまわが県ではロイコチトゾーン病が起こる、こういう心配で大会のたびにこれは問題になっております。この問題について調査を要求し、調査に入っていることも承知をしておりますが、この対策として何とかこの問題を農家の犠牲という形ではなくて、これはやはり国がつくった法律によるものであるから、これに対する処置をしてもらいたい、こういうのが結論ですが、この点はどういうことになっているのか伺いたい。
  148. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ピリメタリンという例の製剤といいますか飼料添加物が、飼料安全法で規制になりまして、使用が禁止されたわけでありますが、そのためにいま御指摘になりましたロイコチトゾーンという鶏の病気の発生がこれから夏にかけて危惧されているわけでありますが、私ども基本的には従来の薬づけと言われた畜産から脱却して、薬の過多にわたらない形での使用環境をつくっていく。そういった衛生対策というものを基本的に展開していくということが大事でありまして、そういう意味で家畜保健衛生所を中心とした農民指導というものをやっております。  それから当面の対策といたしましては、やはりニワトリヌカカという媒体を退治するということが大事でございますので、それに対する消毒といいますか、そういったものについての対策をいま早急に急いでいるところであります。  なお、ロングランの対策といたしましては、ピリメタリンにかわるような低毒性あるいは無害のそういった開発ができないかどうかということもあわせて——これは将来の問題、すぐにできるわけではありませんが、研究していかなければならないと思っております。
  149. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これから暑くなって、この病気がどうも蔓延する心配があるわけだから、これについては万全の処置をしないと、今後いろいろ消費者にも迷惑をかけると思うから、農林省としては格段の処置をしてもらいたい。  それから、養鶏の話が出たからついでに申し上げるが、いま各地で養鶏振興法というものを見直してくれ、こういう意見があるけれども、これについて率直にどうですか、政務次官。
  150. 羽田孜

    ○羽田政府委員 各方面の意見をあれしながら、検討してまいりたいと思います。
  151. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 養鶏振興法に対して再検討する余地あり、こういうふうに理解していいですね。
  152. 羽田孜

    ○羽田政府委員 それこそ、各方面のあれを聞きながらやってまいりたいと思います。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後に、これはまたえさの問題に関係をしますが、外国から入ってくる飼料、ふすまを含めてこの飼料が、実際の実需者との関係と離れている。輸入する者は商社、使う者は農協であり農民なわけだ。倉庫の中にかなり眠り込む機会が長い。これは日本の場合に自給ができないから、それはある意味においては備蓄や蓄積は必要だと思うけれども、余りに商社は商社本位であるために、倉庫の中で変質をするという傾向が出ているようです。これも調査をしてもらいたいと思うのですけれども、そのためにいろいろな障害が起こっておる。だからこの品質の検査をし、できるだけ輸入消費は直結できるようにしなければならない、こういうぐあいに私ども考えている。この基本的な考え方についてどうお答えになりますか。
  154. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘のように、輸入した飼料で品質が悪化して、そのために家畜の疾病だとか家畜事故が起きたら大変なことであります。その点につきましてはよく事情を調べて、問題があれば善処したいと思います。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう一点、これは酪農の場合もそうだし、養豚も養鶏もそうですが、農家が営農計画を立てる場合、農協に金を借りにいく、あるいは学習に出る、これは皆農業経営の中の仕事ですね。ところがこれが何としても畜産物の価格の中に盛り込まれない。一体、養豚の場合どのくらいそういう仕事に日にちが費やされているとお考えですか。
  156. 大場敏彦

    ○大場政府委員 これは各方面で御議論になっているところでありますけれども、私ども統計情報部の調査網をもってしても把握しておりません。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは、これから価格問題を議論するときは大変重要なことですよ。農家はえさを与えたり、あるいは肉を運んだりするだけが農業の仕事じゃない。農協へ交渉に行く、皆さんの説明会を聞きに行く、いろいろなこの仕事というものは、農業それ自体と同じ仕事だ。豚を飼う場合には一カ月に三日かかると言っている。だから一年で三十六日というのはそういう仕事にかかるのだ、こういうぐあいに現地が言っている。これを農林省が認めなければ、豚の価格なり、牛乳なりあるいは牛の価格にこれが反映しないのはあたりまえ、何とかそういうことまで見てあげないといけないんじゃないですか。これは政務次官、最後にひとつそれを答えてもらって、私は終わります。
  158. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいま先生から御指摘ございました、そういった労働に対して考えるように、これはいままでも議論があったところでございます。これは家計簿をつけるとか、あるいは養豚の関係のいろんな勉強に費やした、そういったことについてもいままで議論があったわけでございますけれども、実は他の農産物生産費の中にもまだこれは含まれていないわけでございまして、実際実態をなかなか把握できないということで、これを織り込むことは非常にむずかしいというふうに考えるわけでございます。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは終わります。
  160. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 瀬野栄次郎君。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産物政策価格問題、有機農業及び果樹、茶等の雪害、冷害対策等について、農林省に対し質問をいたします。  昭和五十二年度の畜産物政策価格については、去る三月八日に私は党を代表して鈴木農林大臣に申し入れをいたしました。また去る三月十八日には畜産振興審議会の飼料部会が開催されたわけでありますが、畜産小委員会を当日開きまして、飼料を中心に政府の見解をただしたところでございます。また一方、去る三月二十二日十三時、東条会館で畜産物政策価格要求全国農協代表者大会が行われ、私も出席していろいろと見解を述べたつもりでございます。さらに本日二十四日十時からコープビル六階で全国開拓畜産代表者大会が盛大に開かれまして、畜産農民の血の叫びが行われました。と同時に、本日十四時全協連ビルで畜産物政策価格要求実現政党要求集会が行われて、これまた畜産農家を代表した全国の声が場内に沸き返り、厳しい実情が訴えられてきたところでございます。例年の大会と言えばそれまででありますけれども、こういう一連の大会が、軌を一にして、そしてかつてない盛り上がりの中に行われてきた。私たちは異常な感じを受けておりますが、政府のいわゆる畜産物に対するいろいろな対応の仕方が巷間それとなく伝わるところによると、畜産の飼料が安定をしている、そういった関係から何となく据え置きをするような極端な話までちらっと聞かされるところもあってみたり、またはことしの畜産物価格というものは微温的、わずか上げる、また一方には参議院選があるから少しはやらなければ票が取れないとか、こういったことが露骨に言われて、今回の畜産物政策価格というものが何とはなしに低い。しかも予防的なこういった言辞がそれとなく伝わってくる中に、畜産農家の皆さん方は大変な窮地に追い込まれていらいらした日を過ごされ、全国大会に臨んでおられる、またそういう声を大会の会場のすみずみで、また地元の人たちからも聞かされておるわけでございます。そういったことで、一連のこういった大会、農民の切なる叫び、こういった大会が行われていることを政務次官は知っておられるか、そういう大会があったことも知らないのか。まずその辺からひとつお伺いしたい。
  162. 羽田孜

    ○羽田政府委員 お答えいたします。  そういった大会がございましたことを私ども新聞でも承知いたしておりますし、また、それぞれの大会が終わりましてから私どもに対しましても非常に強い御要請をちょうだいしておりますので、そういった大会があった模様はよく存じております。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大場局長、いまの大会のこと、知っていますか。
  164. 大場敏彦

    ○大場政府委員 よく存じております。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それじゃ政務次官、それらの畜産農家の代表は、全国のこの大会でどういうことを重点に国に、また国会に対して、国民に訴えておられますか、お伺いします。
  166. 羽田孜

    ○羽田政府委員 お答えいたします。  酪農民の方々は、いま限度数量をオーバーしようとしておりますこの不足払いの対象を何とかするようにというのがまず第一点の要求じゃないかというふうに思います。  なおこの価格につきまして、再生産を確保するものをぜひとも確保してもらいたいということを強く訴えられておるのじゃなかろうかというふうに思います。  なお、他の畜産物につきましてもやはり同様な考え方で迫られているのではないかというふうに思います。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 当該局長である大場局長は、畜産農民はどういうことを強く訴えて要求をしているか、要約してお答えください。どういうふうに認識しておられますか。
  168. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私どもの理解しておりますのは、酪農につきましては、まず当面五十一年度の限度数量のオーバーしたもの十四、五万トンあるわけでありますが、それに対する対策を早急に立ててほしいという御要求があります。それから五十二年度の生乳価格につきまして、かなりそれぞれの大幅なアップを御要求なさっている、それから限度数量の拡大についても御要求なさっている、こういうことがあります。  それからあわせて、酪農の場合に負債がかなりありますから、その負債整理対策の早急実施ということも御要望されております。  それから食肉につきましては、それぞれの牛肉あるいは豚肉につきまして価格安定帯の是正といいますか、アップということを御要求されている。それから、牛乳、乳製品あわせまして、輸入の問題について、輸入の抑制といいますか、輸入によって国内の需給に悪影響を及ぼさないような措置をしろ、そういうような配慮をしろ、こういう御要求というふうに、集約すれば大体そういう形で聞いております。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大場局長から御答弁ございましたが、集約しての話でおおむねそういうことですけれども、特に本員が訴えたいのは、たくさんの要求がある中で大別すれば二つ、それは畜産農家が再生産に見合う畜産政策価格を決定していただきたい、そして農家の窮状を救ってくれというのが大きな第一点であり、もう一つについては、豪州からの輸入またはECからの乳製品輸入、こういった外圧を防ぐために輸入を抑制して国内の畜産農家を守り、自給率の向上を目指せ、この二点に集約される、かように私は思うわけです。その中で、いま政務次官と大場畜産局長がいろいろとその内容に若干触れておっしゃいましたが、まさしくその二つを柱にしていまおっしゃったような内容が論議されております。各委員からも質問があったろうと思いますけれども、私も党を代表して、改めていま大場局長からいろいろ農民の要求に対して柱を申されましたが、それに対する政府の考え——いよいよ月末には決定をする段階に当たりまして、ここで具体的なことは言えないかもしれぬけれども、畜産農家はことしの価格に対して大変危惧の念を抱いております。それに対して改めてあなたから総まくりの見解を述べていただいて、これに対する意欲を燃やしてやっていただきたい。去る十八日、大場局長に質問したときにも、あなたの顔色は悪いし、歯切れも悪いと言ったら、そんなことはありませんとあなたも相当強い決意で後で言っておられましたが、どうか畜産農民のために勇気を出して、ひとつ声を大にして方針を訴えていただきたい。その決意でことしの畜産価格というのを農民の要求の線に沿うように努力してもらいたい、こういうように思います。御答弁いただきたい。
  170. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ことしの限度数量をオーバーした問題につきましては、いま財政当局と鋭意折衝中であります。農家の経営に与える影響ということも十分考慮いたしまして、早急に、これは月末までには何らかの御報告を酪農家の方に申し上げたい、御期待に沿うような形で御報告を申し上げたい、そういう形でいま懸命に努力中であります。  それから、来年度の原料乳あるいは食肉価格につきましては現在内部で作業中でありますから、これはもうちょっと時間をかしていただきたいと思うわけであります。来年度の限度数量も同じであります。  それから輸入の問題でありますが、畜産農家の方々が御心配なさる、そういうお気持ちは私自身もよくわかっているわけで、輸入によって国内の需給に悪影響を及ぼさないように配慮はしておるつもりでありますが、しかし、今後そういった点につきましてはなおさらに注意をしていきたいと思います。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官にお尋ねしておきますけれども、春闘相場が鉄鋼の結果に待つことが大である、また鉄鋼の決定が春闘相場に大きく響くということで、ことしは春闘を鉄鋼決定前に行うというようなことがいろいろ出されております。一方この畜産関係で言いますと、三月にいわゆる政策価格が決定するこの畜産物の価格というものが、今後の、三月末に決められるいわゆる基準繭価、これにも大きく響くし、さらにはなたね、麦価、米価、大豆、そして砂糖きびからビートに至るまで、一連の農作物に大きく響いてくる、こういったことがここ数年来の傾向であることは羽田政務次官も御存じだと思う。そういった意味で、ことしのこの厳しい中にこういった畜産物の価格が先陣切って決まるわけですけれども、この結果いかんが大きく影響するわけですから、農民の関心も大きいし、またわれわれもこのスタートが特に大事であるということで重大関心を持って臨み、先日来小委員会もたびたび開いてきておりますけれども、きょうは貴重な時間をあえて畜産物政策価格の集中審議に持っていこう、そしていま別途検討しておりますけれども、七項目に及ぶ国会決議もできればきょうと思っておりますが、中身がなかなか折り合いがつかなければ明日の小委員会まで持ち越すということになりかねないということで、いま最大の実は努力をして、各党相寄り相談をしておるところでございますけれども、そういうことで一連のこの畜産物価格というものが大きな影響を及ぼすということについてどういうように認識しておられるか。そんなことはない、こういうように政務次官は思っておられるのか、あなたの決意を農林大臣になりかわってひとつお答えをいただきたい。
  172. 羽田孜

    ○羽田政府委員 他の農産物あるいは春闘相場にどんなふうな影響を与えるかということ、これは実は大変むずかしいわけでございますけれども、それぞれの価格につきまして、私どもとしましては、生産費というものを十分調査しながら、またいま諮問いたしておりますところの畜産振興審議会、こういったところの御意見というものを十分拝聴して、またこの委員会でいろいろと御指摘ございましたことも私ども考慮に入れながら適正な価格をひとつつくり上げていきたいというふうに考えております。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 お聞き違いと思いますけれども、春闘相場に影響するのではなくて、春闘相場が鉄鋼の結果によってずいぶん影響を受けていくということはもう御存じのとおりでありますが、この畜産物の政策価格の決定が今後の農産物の価格に大きく影響する、農産物関係にも畜産物の価格が影響する、こういうふうにここ数年来からなっているわけですよ。あなたも新しい政務次官であるのでそういったことを認識しておられるかどうか、認識していなければ、その認識に立って、畜産農家の大会等も行われておることはよく知っているとおっしゃるのですから、どうかその悲壮な声にこたえて、今後一生懸命に鉛筆をねぶって農家の要求にこたえてもらいたい。大臣がきょう参議院の審議に行っておらぬから、大臣にかわってあなたからそういう努力をしてもらわなければ、この場限りだけのことでは困る。一年間の農産物に影響する大きく言えばスタートラインである、こういった認識がどの程度あるかということをお聞きしたわけです。
  174. 羽田孜

    ○羽田政府委員 私も実は党の方でこちらの方の関係を担当しておりましたので、今日までも実は鉛筆をなめながら、ともかく農民の方々が本当に生産に意欲を燃やしていただけるような価格をつくりたいと思って努めてまいったところでございますので、先生のいま言われたことも十分わかるつもりでございます。ともかく適正な価格を何とかつくり上げるためにこれからも努力してまいりますことを申し上げたいと思います。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大場局長、去る三月十八日にもあなたにいろいろお伺いしたわけですけれども、現在飼料というのが一応安定している、こういうふうにおっしゃる。確かに六月までは値上げという声はかからない。しかし、もうあと三カ月ぐらいしかございません。七月になるとアメリカの相場がまた新しく決まってくる。そうなれば七月以降の飼料の値上げというものは保証はされぬと思います。ことしいっぱい十二月までいまの状態で飼料の値上げはない、安定していく、こういうように見ておられるのか。七月以降また値上げその他の問題で変動があるとすればいろいろなことに影響が起きてくる、こういうように私は思うのですが、その点についてどういう見通しであるか、その点局長からお答えください。
  176. 大場敏彦

    ○大場政府委員 アメリカの飼料穀物、昨年は非常に豊作でありまして、二年続きの豊作であったわけであります。そのためにことしもかなりその穀物の在庫の積み増しが可能だというような需給情勢になっております。  これからの生産の見通しでありますが、これはまさにアメリカの天候次第であってわからないわけでありますが、現在の一月時点における飼料穀物の農民の意向調査によればかなり増産意欲がある、こう見ております。しかし、三月から四月にかけて降雨とかそういった天候状況に左右される点もありますので、今後の情勢を見計らっていきたい。ただ、これからの一つの懸念になりますのは、飼料穀物はかなり安定した供給が期待できるのではないかと思いますが、大豆かすとか魚粉とかそういったものについての供給はやはり懸念される点があります。しかし六月以降の値段につきましても、配合飼料価格安定基金というものも充実を図っておりますし、あるいは政府が補助している親基金というものはありますから、そういった制度を活用してできるだけ農家の負担増にならないように私ども懸命に努力をしていきたいと思っております。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産農家が不安な気持ちになるようなことを発言することは、農林省としてもなかなか率直には言えないだろうと思いますので、これ以上のことを追及するということもどうかと思うけれども、私は必ずしも楽観できないと思う。御承知のように、ソ連の一方的な三月一日からの二百海里宣言によって、まさしくいま漁業界は大ピンチに立っております。当然ペルーでとれるアンチョビーなんかの問題も入漁料がもちろん要るし、また当然厳しい制約を受けることにもなりますし、日本に入る飼料というものが、漁業がこういうふうに厳しくなりますと多大な影響を受けることは当然であります。そうなれば、したがって大豆かす等の関係も起きてくるが、日本のこういった海外輸入飼料、魚粉にしてもかなりの影響を受けてくるだろう。飼料の高騰、いろいろなことが必ずまたぞろ起きてくることは、これはだれが見ても明らかである。中国においてもいま大干ばつだと言われますが、そういったいろいろな情報を入れても余り楽観するような因子はない、かように思っております。そういう中で、惰眠をむさぼっていると大変なことになるのではないか、こう思って先々のことを心配しております。そういったことを思いましたときに、相当慎重に畜産物価格を決定していかなければ、これはいよいよわが国の畜産農家は壊滅的打撃を受ける、かように思って憂慮にたえません。  それともう一つは、冒頭申しましたように、二つの柱の中の輸入の問題ですが、いま畜産農家はわれわれが各地を回りましても、率直に言ってもう素朴な質問として、われわれが売る牛や豚は安いのにどうして小売店で買う肉は高いのか、しかもわれわれの反対を押し切って、昨年のあの衆議院選前の三木総理のいろんな発言によって、むしろオーストラリアやニュージーランドの輸入超過であったものが、逆に今度は向こうから肉を二万トンも売りつけられるというアブハチ取らずという逆な結果になった、一々申し上げると失礼な話になるので省略しますけれども、そして結局日本がどろをかぶるという結果になってきた、こんなばかな話はないのです、こういうように二万トンの一般と特別枠を受け入れねばならぬ、そういう肉を入れながら、国内の小売店の肉は一向に下がらない、価格を冷やすために入れるのであれば、小売店の肉が下がるならばわれわれも高いえさを食わせて牛や豚を養って、そして安くてもこれは甘んじるかもしらぬけれども、売る牛や豚は安い、買う肉は高い、しかも輸入肉はうんと入れる、さらにはECからのいわば外圧を受けている、乳製品輸入が強いられる、これではもう踏んだりけったりじゃないか、こう言って農家は素朴に訴えております。もちろん流通機構にも当然問題がありますが、これに対して大場局長、全国の農家に、また畜産農家に対してどういうふうにあなたは責任者として答えられるのか、全国民を前に置いて答える気持ちでこの率直な素朴な質問に対して御答弁をいただきたい、かように思うのです。
  178. 大場敏彦

    ○大場政府委員 牛肉、確かにいま先生のおっしゃったところは非常に大事な問題点を突いていらっしゃると私は思います。牛肉の輸入につきましては外貨割り当て制度のもとで畜産振興事業団が一元的に輸入をして、適期に輸入し、しかも放出は、輸入してすぐ放出するという形ではございませんで、やはり国内の需給状況というものを見計らいながら、逐次適期の計画的な放出をしているということですから、そういう形で国内の需給に悪影響を及ぼさないような運営をしていっておりますし、今後もしていくつもりであります。ただし過剰な輸入をどんどん入れろという議論が片っ方においてありますけれども、それはやはり問題だと思っています。日本国内の牛肉でいいますれば、生産需要に追いつかないということはこれは皆わかってくださっているところだと思いますけれども、無秩序に輸入すれば、それはいま先生がおっしゃったようにそれだけ消費者に食べてもらって消費してもらう。そういう意味で、需要が拡大するという形で吸収されれば問題はないわけでありますけれども、そこへどうも突き抜け得ない。わき道へそれて、それが生産者の生産減という形で吸収されてしまう危険性がある。また安い価格にしても残念ながら流通機構のところに問題があって、末端の小売価格の引き下げということに必ずしもならないで、小売価格が下がって、それは生産者価格の引き下げというかっこうで吸収される、転嫁されるというようなところにまさに問題があるということでありまして、これは私ども非常に問題だということで、その点にやはりメスを入れるということに今後の政策の重点を置くべきだ、これは大臣からも私言われているところであります。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 羽田政務次官、いま大場局長から、大臣からも言われている大変な問題だということですが、あなたはどういうふうに認識しておられるか。そしてまたあなたもこのことは大臣にもよく言って、いま二百海里で漁業問題、日ソ漁業交渉で大変なときでありますけれども国内のこの問題も大変な問題でありますし、片っ方漁業でこうして二百海里時代に入りますと、やはり動物性たん白質というものはどうしてもまた畜産にウエートを置かねばならぬという時期が来る。えさが将来上がらぬという保証はない。そうすると畜産農家は喜んで畜産に励むようなことをしてあげなければならぬ。輸入を抑制せねばならぬというようないろいろな問題もあるわけです。そういったことを踏まえて、やはりわれわれの守備分野で、国民の食糧を確保する立場において、大臣にもよく話をして、こういった問題についてしっかり取り組んでもらわぬと、安易に妥協されたりしたら困るんです。福田総理も今度アメリカに行っていますけれども、OPPのいわゆるオレンジ、グレープフルーツまたはレモンなんかの輸入についていろいろ変なうわさがあって、こうした果樹農家に対しても何か外国へ行くたびにいわゆるみやげを持っていって取引をして、その結果が、工業製品のしわ寄せが農民に全部来る、また漁民に来る、こういったことはけしからぬと思っている。あなたもそういったことを含めて大臣にもよく言っていただくと同時に、あなたはどういうふうに認識しておられるか。またそのことをよく話してもらいたいと思うが、大臣が不在でございますので、政務次官からその点の決意も伺っておきたい。
  180. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいま局長からお答え申し上げましたとおり、この輸入はあくまでも国内の不足しておる物、こういった物について不足分を輸入していくというのが私どもの本来とってまいりました行き方でございます。これにつきましても、これは私からもちろん申し上げますけれども大臣自身、いま局長からお話をされたとおり、そういった決意を持っておるところでございます。しかし、いろんな大会あるいは皆様方から何回もそのことは御指摘があるわけでございまして、そういった不安を持たせないように適切にこういったものの運用というものを図っていかなければならぬというふうに考えております。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、具体的な問題で若干当局の見解をただしておきたい。  もちろん食肉部会または酪農部会を開いて、三月末には決めるということでございますので、いまどうのこうのということではないと思いますけれども、いろいろ当局も作業をし検討は進められておるわけでございますので、党を代表し認識の中にもまた認識をしていただいて、ひとつ十分な対策を講じていただきたいという意味で申し上げるわけですけれども、牛肉の安定価格というのは、乳用雄その他去勢牛の安定価格として各団体は中心価格を一キログラム当たり千三百四十七円とし、安定基準価格は一キログラム当たり千百七十二円、安定上位価格は一キログラム当たり千五百二十二円に設定しよう。去勢和牛の安定価格は中心価格を一キログラム当たり千六百二十七円とし、安定基準価格は一キログラム当たり千四百十五円、安定上位価格は一キログラム当たり千八百三十九円に設定しよう。また豚肉の安定価格についても、中心価格を一キロ七百五十三円、安定基準価格は一キロ六百七十八円、上位価格は一キロ八百二十八円、そういう要求をしておるのですけれども、現在のいわゆる安定基準価格というのは下回って、これは全然作用していないことは御承知のとおりです。これを一々申し上げるわけにもまいりませんけれども、何としてもこの安定基準価格というものを上げて機能するように、また農家が要求しているこういった問題について積算の基礎を当局は十分検討した上でことしの政策価格を決定していただく、こういうふうに運んでもらいたいと思うのですが、こういった牛肉、豚肉に対してはどういう方針で臨んでおりますか。  もちろん労働賃金の問題、これは一番大きな問題でございますが、労賃の問題にしても製造業五人以上の評価にしないと、石川県初め一、二県の基準でこれを査定し、そして全国を推しはかるというようなことではとうていいまの要求価格には及ばない、こう思うのです。労働賃金の査定にしても、製造業五人以上を平均とした価格等を検討してやる、こういったことで十分検討してもらいたいわけですけれども、そういったことについて基本的な考え方を承っておきたい、かように思います。
  182. 大場敏彦

    ○大場政府委員 食肉の安定価格帯につきましてはいま計数を整理中で一生懸命作業中であります。私ども制度の趣旨に即して適正に決めてまいりたいとは思っておりますが、これからの、ことに来年度の食肉の価格運営について大切なことは、生産が非常に回復基調になってきておる。去年は非常に足りなかったわけでありますが、幸いなことに増産基調に回復してかなり生産が回復基調になっておる。そういうときでありますから、需要を阻害してはいけない、需要のじゃ口を狭めてはいけない、やはりそこの需要の道を開いておかなければならない、そういった形で運営を図ることが大事であろうと思っております。畜産農家にとって一番大事なのは、これは釈迦に説法でございますけれども、実勢価格がどういう形で実現するかということでありますので、その実勢価格が安定的な形で推移する、そういうために、片っ方において生産が回復している環境の中で消費を阻害しないような形で価格運営をしていくということが農家にとっては一番大事じゃないかと私は思っておるわけであります。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産経営で大事なことは、何といっても飼料と経営とそれから価格、この三つであることは言うまでもないのですけれども、やはり価格の問題で畜産農家が意欲を燃やす価格でないと——あなたは生産が回復しておると言うが、回復しておることは結構なことじゃないか。回復しておることは喜ばしい現象である。ところが、外国から輸入する。矛盾があるわけだけれども、これは何ぼ言ってもしようがないわけだが、私は回復すれば喜ぶべきことであると思う。それだけ自給率が上がってくるのですから、その分は輸入を規制するということは当然である。それにどうしても力が及ばない。力足らずといいますか、その点が疑問でならぬのですけれども、新しい大臣を迎えて新体制で臨むのですから、そういった点を農家に心配をかけないようになお一層規制をしてもらうと同時に、価格については、自給率が上がるのだから、外圧を抑制してますます上がるように、畜産農家が喜んでやるように、しかも二百海里時代で厳しくなってくるのですから、そういうふうに喜んで進めていくという方向でなければならぬと思うのです。回復してくるからまた抑えるためにそれに合わせて価格を決めていくというような感じがしてなりませんけれども、そういったことでは幾らやってもイタチごっこで、国内の畜産が振興するわけがないと私は思うのです。そういったことについても十分検討していただきたい。  そこで、さっきちょっと申し忘れましたけれども、牛肉の輸入の窓口は畜産振興事業団に一元化する、そして輸入の割り当てについては国内生産を圧迫しないように厳しく限定するということは当然でありますが、放出は上位価格を基準として行う、こういうふうにしていただきたいのだけれども、その点の検討は大場局長はどういうふうに考えておられますか。
  184. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほども申し上げましたように、牛肉の需要に対して国内生産では賄えない。過去数年間を見ましても大体二割くらいをコンスタントに輸入しておるわけであります。今年度はことに生産が減りましたが、三割輸入というようなことでありますから、輸入はやはりコンスタントに入れて、コンスタントの形で供給していくということが基本だろうと思うのであります。ただ、そのときに国内価格に悪影響を及ぼさないような配慮することは当然でありまして、そういう意味で畜産振興事業団という機構ができ上がっているわけであります。いま御指摘になりました上限価格を超えたときだけ放出するということになりますと、これは価格安定制度の運営ということと実は関係するわけでありますが、絶えず価格が上限に張りつくというような形にどうも論理的にはならざるを得ない。それはそうではなくて、やはり安定帯の中にあるときも放出していく、ただしそれはそのときの現実の価格水準というものをにらみ合わせながら、慎重に放出量はかげんしていくということではないかと私は思っています。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、加工原料乳の限度数量のことがさつきちょっと出ましたが、この枠の問題で、皆さんも十分御承知のとおり、五十一年度の農林省予測が百三十八万トン、五十一年度実績見込みが百五十三万トンになって十五万トンのオーバーということになっておりますが、五十二年度を見ますと、百七十四万トンぐらいの生産が見込まれる、こういうふうになっていますが、百三十八万トンとなりますと、五十一年度と同じぐらいを見込んでおられるということになります。そうするとまたこれが問題になってくると思うのですけれども、五十二年度については五十一年度の例にかんがみて、発生する量の全量が対象になるように枠の拡大をする、少なくとも最低百七十万トンぐらいに枠を持っていくというようなことにはできぬのか、その点はどういうふうに当局は考えておられるのか、その一点だけひとつお答えいただきたい。
  186. 大場敏彦

    ○大場政府委員 限度数量の問題につきましては、現在これもいろいろ来年度の需給、つまり生乳生産がどの程度になるだろうかということとか、あるいは非常にフレが多い飲用牛乳の消費がどの程度伸びるだろうかという不確定要素がありますから、その見定めの作業をしておる最中であります。しかし、私は何も五十一年度が百三十八万トンでありましたから、五十二年度も百三十八万トンというふうに固定する必要はない、それはその年その年の需給の見通しを的確に定めながら、その中で限度数量というものを決めていくというようなことが筋道ではないかと思いますので、そういう考え方で、いま具体的数量につきましては計算をしておるところであります。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一、二点ちょっとお伺いしておきますけれども、これはどうせまた小委員会でいろいろ審議することになりますが、牛乳の乳製品自給率の問題でぜひ伺っておきますが、輸入の急増によって大幅に自給率が低下しておるわけですね。国内生産の生乳の生産量が四十五年が四百七十六万一千トン、五十年が四百九十六万一千トン、五十一年は五百二十五万七千トン、こういうふうになっておりますけれども、乳製品輸入量が生乳換算で四十五年が百十八万一千トンで八〇・一%から五十年は百三十八万三千トン、七八・二%、そして五十一年は二百五万八千トン、七一・九%、こういうふうに要するに乳製品輸入量がずっとウナギ登りに上がってきているために、自給率というものが八〇・一%から五十年は七八・二、五十一年は七一・九というふうにずっと下がっている。要するに輸入の急増によって国内市乳生産割合自給率が大幅に減ってきている。こういうようになっておりますけれども、私はこういったことに対して将来に大変危惧の念を抱くのですけれども、この擬装乳製品というものを相当輸入しつつある、こういったことについてはどういうふうに指導しておられるか。また、この結果輸入製品国内市乳市場を圧迫しまして各種の混乱を惹起しておる。そのために、私たちは無秩序ないわゆる擬装乳製品というものを防止せねばならぬと思っておりますけれども自給率の低下とともに、こういった擬装乳製品防止の問題について大場局長はどういうふうにお考えであるか、またどういうふうな対策を講じておられるか、お答えをいただきたい。
  188. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先生が擬装乳製品とおっしゃられているのは、私の推定でありますが、たとえばココア調製品とかそういったものだろうと思うわけであります。これは自由化になってすでに久しいわけでありますが、用途はチョコレート類の原料として使われておりまして、結局ココア分と粉乳、主として全粉乳でありますが、そういうものであります。これがふえておりますのは四十六年に、他方チョコレートを自由化したために結局輸入チョコレートとの対抗上、チョコレート業界輸入をふやした、こういった関係でふえたことがあるわけでありまして、私どもそれを放置しておいては問題でありますから、厳しく自主規制措置の実施を求めまして、チョコレート業界で自主規制措置を行っている、こういう状況であります。しかし率直に申しまして、今年度ややふえておりますことは事実であります。これは全粉乳の国際市況が年度後半から上昇に変わったこととか、あるいはココアの国際市況が急上昇した、そういったことで一種の先物手当てという形で業界が買ったという向きがありますので、この点については、国内の市況に圧迫を加えないように厳重に指導していきたいというふうに思っております。  調製食用油脂、バター、マーガリンにつきましても、放置するといろいろと問題が起きますので、これはたとえば主な輸出国であるニュージーランドに対しましても節度ある輸出というものにつきまして協力を求める、こういう方針でおります。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点、大場局長お尋ねしておきますけれども、この問題はいずれ二十九日の酪農部会の当日、畜産小委員会を開いていろいろお伺いすることになりますけれども、そのときのために一言触れておきますけれども、大手メーカー三社においても、最近の報道によれば相当利益を上げているということで、毎年このメーカーの利益については当委員会で追及してきたところでありますが、ことしもかなりの利益を上げているということが報道されております。それで私は、合理化のメリットというものを生乳生産者に還元せよということで申し上げたいわけです。もちろん御存じのように、生乳を一方的に上げると消費がなかなか拡大しないという点もあります。しかし、この合理化メリットというものをもうちょっと考えていただき、生産者に入るように、またメーカーの収入から生産者へ回すといったようなことをいろいろ検討してもらいたい、かように思ってあえて申し上げるわけですけれども、御承知のように生乳百キログラム当たりを生産するのに必要な飼育管理家族労働時間というものは、四十六年が四・五二時間、五十一年度三・五六時間、この五カ年間に七八・八%の水準へと、酪農家の努力により二一・二%もの合理化がなされてきました。だから農家としても、何も価格を上げてくれとまでは言わない。消費拡大を図るためには、価格を安くして生産者手取りを多くすれば、価格が安い方がいわゆる牛乳の消費拡大につながるわけですから、そういう意味でこういった二一・二%もの合理化をしたのであるから、その分の保証価格は相対的に引き下げられるというようにわれわれは理解するわけです。そこで、酪農家が一切合理化の努力をしなかったと仮定した場合には、五十一年の保証価格は九十二円九十五銭に達することになりますが、その差の六円五十四銭についてはいわば酪農家が奉仕しているということにもなるわけでございますので、この分はいわゆる合理化のメリットである。そうすれば酪農家の手取りもまたふえてくるわけですから、こういったことをしっかり努力してひとつ検討してもらいたいと思うのです。こういった合理化によるメリットを、今後酪農家がますます意欲を燃やして生産するために十分見てあげるということが親心として大事である、かように私は思うわけでございます。こういった生乳生産者に対する還元については真剣に取り組んでもらいたいが、これは毎年こうした問題が取り上げられますけれども、いわゆる大手メーカーの利益といったものの還元もさることながら、こういった生産者のメリットというものを十分考え対策を講じなければ、このままでいったら行き詰まってくると思うのですけれども、その点についてどういうように対処しておられるのか、お考えをお伺いしたいのであります。
  190. 大場敏彦

    ○大場政府委員 不足払い法の規定にありますように、加工原料乳の保証価格を決めるときはもちろん再生産の確保を旨としてという規定がございますが、同時に酪農経営の合理化を促進するというようなルールもやはりあるわけでございます。そういう意味で、急速なテンポで経営規模拡大が行われ、また合理化というものが行われているこの酪農経営の生産費を把握するときに、その合理化メリットというものを考えるというのはやはり合理的ではないかと思うわけであります。ただし、それは同時に国の財政投資もかなり投入している制度でありますから、全然国が財政投資も出さないという制度であればこれは別な議論もあるいは成り立つかもしれませんが、そういったことと、それからくどいようでありますが、現在の加工原料乳の保証価格というものはそれで頭打ちというような一種の管理価格ではございませんので、その一番下支えの価格でございますから、それより上の乳価の実現というものは生産者と乳業メーカーというような当事者間の交渉によって決定される、こういうことにあるわけでありますから、合理化努力というものはもちろん評価しなければなりませんが、それはやはり生産費の把握の中に反映していくのが筋道であろうと思うわけであります。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産問題の残余の問題は、また明日さらには二十九日の畜産小委員会等でいろいろお伺いすることにして、時間も迫ってまいりましたので、通告した有機農業問題に若干触れておきたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。  政府による従来までの農業近代化政策は、生産性向上のみを追求し、農家の経営実態や農業生産の特性を無視した姿で進められた、こういうようにいろいろ批判も出ておるところでございますけれども、要するにこういった結果から耕地利用率の低下あるいは地力の減退、出かせぎ、兼業農家の増大、機械化貧乏、食品汚染、環境破壊、農薬中毒事故など、たびたび当委員会でも追及してまいりましたが、こういった矛盾と弊害がもたらされてきておりまして、まさに近代化政策の見直しが大きな課題となっておる、こういうふうに言えるわけでございます。  そこで、私はせんだってから何回か通告して質問を予定しておりましたが、時間の関係でできませんでしたけれども、きょうはいろいろ提言をしておきまして、今後またたびたびお伺いしよう、こう思っておりますけれども、最近、化学肥料や農薬の大量投下による地力低下というものが大きな問題になっております。  ちなみに数字を挙げますと、わが国の単位面積当たりの化学肥料の使用量というものは、アメリカの五倍、ソ連の十二倍、また農薬については、アメリカの七・五倍、カナダの二十四倍というようなデータが発表されております。こうした化学肥料や農薬の多量使用による地力の低下というもので、残留毒性の増加が進んで深刻な事態を迎えるということで憂慮しているのは私一人ではございません。こういった実態を踏まえて、今後有機農業というようなことを当然強力に進めていかなければならぬというふうにも考えておるわけですけれども、まず、その辺の農林省の見解を聞きたい。政務次官からでも結構ですからお答えいただきたい。
  192. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 狭い耕地面積で大きな生産量を確保し、また増強をしていくという上で、先生おっしゃるような問題がいろいろございますが、確かに日本で農薬あるいは化学肥料の果たしている役割りもまた大きいものと思います。それが地力低下につながってくるというような話がございまして、私どもも十分その点は認識をしており、特に地力低下が災害等に対しても大きな関係を持つということが、昨年の冷害でも指摘をされておりますので、私どもとして、地力づくりに力を入れていく、全国農地の土づくり運動というようなものも展開をしておりますし、また土地利用型の集団営農組織の助成事業の中でも、集団組織とあわせまして地力保全対、策を講じていく、こういうような施策も現実に進めておるわけでございます。  なお、地力の保全のための基礎調査を実施しており、これらはこれからまとめの段階に入っていくわけでございまして、まとまったものに基づきまして、基本的な地力の維持対策を講じていく、こういう考えでおるわけでございます。化学肥料にいたしましても、農薬にいたしましても、できるだけ適正施用ということでやってまいるように心がけてまいりたいと思っております。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長は、農林中央金庫の調査部の研究センターによる有機農産物生産流通プロジェクトチームが調査しました「有機農産物の流通について」という文献を見られたことがございますか。
  194. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 読ませていただいております。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この研究センターの調査結果は重要なものであって、時宜に適した内容であるということで私どもも十分見させていただいたわけですが、それを承知しておられるということで話を進めてまいりますけれども、この内容に一々触れると時間がございません。  そこで、畜産部門と他の耕種、野菜、果樹部門などを結合させた農家及び地域間の複合経営の育成を図ったり、また畜産による排せつ物の土への還元を行い、農業基盤である田畑の健全化を図る必要があることから、堆肥造成の一環として、各地の農協や地方自治体などが現在主体となって堆肥センター、堆肥バンクというものをやっております。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕 これは、数年前安倍農林大臣が就任した直後、私からも強力に提案して、実は、私の仲間がこういったものをやっておるものですから、こういう堆肥センターというものをつくって進めたら今後大きな反響を呼ぶのじゃないかということで、数年前いろいろ提案したことがございますが、最近これがだんだん拡大されてきて、われわれも喜んでおるところでございます。  一例を挙げると、青森県においてはわら焼き公害の多発に苦慮して、同県内でも最も稲わら焼却面積が大きいと言われております西津軽郡の柏村では、すでに総工費四千百万円で堆肥生産流通センターを建設して本格的に堆肥づくりを開始しておりますが、このことについては局長は御存じでございますか。
  196. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 概略のことは承知しております。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひともこれはしっかりやっていただきたいと思います。  そこで、このように地方自治体及び農協等が自主的に進めておる堆肥センター建設については、国も何らかの助成策を講じていただきたい。こういったものが各地にできておりますけれども、各地でどのくらいできつつあるか、またこれに対する国の助成は将来どういうふうに考えておるかお答えいただきたい。
  198. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 いま手元に、その種のものが何カ所あるか、私ちょっと数字を持っておりませんが、先ほど私の申し述べました土地利用型の集団営農組織の整備の仕事の中で、いま先生の御指摘になりました堆肥バンクその他、これは省力的に堆肥生産と土壌への補給をやるということが非常に重要でございますので、そういった省力関係の機械関係を導入し、生産組織と結合させてやっていくというような仕事、それから特に畜産農家の方から出てまいります有機物を土壌に還元するというようなことと結びつけて施策を展開する、そういうようなことを中心に仕事を進めておるわけでございます。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官はいまの堆肥センター、堆肥バンク、こういったことについては初めてお聞きになったですか。これは重要な問題でありますけれども、いま局長からもいろいろ前向きの検討の話がありましたが、どうですか、御存じでございますか。
  200. 羽田孜

    ○羽田政府委員 概略を承知しております。  なお、いま先生から御指摘ございました問題につきまして、地力の低下という問題は非常に大きな問題でございますので、こういった問題について積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官もう一点。こういったことに農林省も真剣に取り組んで、地力の低下を防ぐためにも重要な問題であると思うので、もっと力を入れて指導してもらいたい。  そこで、こうした堆肥造成について公共事業で行ったらどうかという声がいま各地からほうはいとして起きてきておりますが、どういうように将来対処されるか。また政務次官、そういった方向で十分検討する用意があるのか。その点の見通しについて見解を承りたいと思うのです。
  202. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先ほど私の申し上げました施策は、いわゆる非公共の事業として推進をしておるわけでございます。公共事業ということでございますと、仕事の性格の公共性でございますとか、施設、たとえば農道でございますとか灌漑排水施設だとか、そういった施設が後に残りまして、それも償却というような観念が適当するようなものというようないろいろの角度から公共、非公共の分類が分けられておるようでございます。要するに、施策の内容として充実をして、それをできるだけ強力に推進をするということであれば、必ずしもいまのような形の非公共の事業の進め方でいけないということにはならないかと思うわけでございまして、さしあたり私どもとしては、現在の施策を拡充する形で推進をしてまいりたいと思っております。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本件はいずれまたいろいろと政府の見解をただしていくことにしまして、最後に一、二点時間の範囲で果樹及びお茶等の雪害、冷害による被害の対策についてお伺いをしたいと思います。  九州においては昨年十二月以降の異常寒波、特に二月十六日の零下十九度という寒さは、九州地域の柑橘類を初めお茶、施設野菜、果樹、畜産物等にはなはだ大きい被害をもたらしたのであります。農家経済に深刻な打撃を与えて、ここに写真もありますが、後で見ていただきますけれども、お茶なんか真っ赤になってしまって、ミカンもこういうふうに茶褐色になってしまっております。特に九州地区にあっては晩柑類、お茶、ビワの被害が大変ひどうございまして、また樹体の損傷、寒害による品質不良で商品化が不可能となって、ほとんど全滅に近い状態でございます。  一方、九州のビワもさることながら、千葉県、房州特産のビワが雪害と異常寒波のために全滅に近い被害を受けております。これは二月中旬に三日間気温がマイナス五度に下がったためと、三月五日夜から六日にかけて降った雪が積もり、マイナス五・六度の低気温が原因となって、ビワの低温の限度はマイナス三度でございますから凍死した、こういうような現象でございます。三月十六日の県の調査によってもすでに館山、富山、鋸南それから富浦、この四地域だけでも二百ヘクタール、被害額は八億九千六百四十万円に及ぶ、そして九〇%がやられ、ほぼ全滅に近い状態でございます。出荷見通しも立たない予想以上の大被害のために房州枇杷連では四月に行われるところの枇杷全国生産者大会も返上して対策に追われております。各農家では生産、出荷資材に相当大金を投じておりますために返済に頭を痛めております。  わが公明党でもきょうから調査団を派遣して調査をすでにやっておりますけれども、こういった九州の柑橘類、お茶そしてビワ、房州のビワ、こういったものについて雪害、寒害の被害の状況農林省はどのようにつかんでおられるか、その状況をまずお答えください。
  204. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 お答え申し上げます。  今回の異常寒波によります柑橘類、ビワ、茶の被害状況につきましては、他の農作物被害を含め、また東日本を中心といたします豪雪による被害とあわせまして、目下農林省の統計情報部組織を動員いたしまして被害状況の掌握に努めておるところでございます。その対策につきましては、これらの被害状況が明らかになりました段階におきまして、早急にその状況に応じまして天災融資法の発動、自作農維持資金の融通あるいは既存の借入金の償還条件の緩和等の措置を積極的に検討してまいりたい、かように存じております。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もうあなた、三月の五日ですよ。房州のビワは三月ですよ。九州は二月の十六日、二月の問題です。まだ掌握できないと言うが、いつごろにはその被害状況が把握できる見通しですか。これは早急にやってもらいたい。
  206. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、今回の被害につきましては、気象庁の見解によりますと、北極圏の寒気団の影響により一連の気象条件によるものということが一つございます。それから、豪雪によります被害と寒害によります被害とが同一の地域におきまして発生しておるという状況もございまして、雪の被害とあわせてこれを掌握することといたしておりまして、御存じのように北日本ではまだ雪解けが済んでおらないという状況もございまして、目下鋭意その調査を行っておるわけでございますが、もうしばらく時日を要するのではないかと存じております。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日本語は便利なもので、しばらくは十日もあれば一カ月もある。農林省は二、三カ月がしばらくということがあるのでもっと早くしてもらいたい。  時間が参りますので最後に、いまの件でさっき若干触れられましたけれども、九州においては対策として天災融資法の早期発動と融資枠の拡大、自作農維持資金の融資枠の拡大をしてくれ、さらには農林公庫資金、農業近代化資金等制度融資の償還期限の延長をしてくれ、また利子の減免等の融資条件の緩和をしてくれ、特にまた千葉県の房州地方においては、県は融資対策として県単の災害融資資金をぜひとも増枠していただきたい、自作農維持資金はもちろん、近代化資金の金融の措置を早急に講じでくれ、国税庁としては所得税の減免措置、また制度融資資金の償還期限の延長あるいは技術対策をぜひ農林省はやっていただきたい、徹底をしてくれ、こういったことを県としても要請が来ているわけです。被害状況がわからぬではなかなか対策もとれぬわけですけれども、東北、北海道の雪が解けるまでというのでは間に合わない。それはそれとして、とにかく房総地区のビワそれから九州のお茶及び柑橘類、こういったものは、後でちょっと見ていただきたいが、私ども現地におりますけれども、真っ赤で全くモミジ化してしまって全部枯れて落ちております。もう皆無なんです。とれない。こういったことに対しては特段の臨機応変の対策を講じなければ意味がないと思う。全体がわかってからこうというのではなくて、地方的にわかってきているのですから、それに対しては適切な手を打つ、そして発動すべきものはある程度固まってからやるとか、いろいろ一段、二段、三段構えでやらなければいかぬと思いますが、いま申し上げたことについて再度農林省の対処方針をお伺いしておきたい、かように思います。
  208. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 今回の被害につきましては現在鋭意統計情報部において被害額を取りまとめ中でございます。私たちはこの被害につきましては、天災融資法の発動その他対策について積極的に前向きに対応してまいりたいと考えております。  ただいま審議官がお答えをいたしましたように、同一気象条件のものは同一に取り扱うということでございまして、これは被害が小さいときなどはまとめていろいろやっておるわけでございますから、そういう扱いにいたしたいと思います。ただ、先ほど先生お話しございましたように、いつまでもいつまでもということでは農家の方は安心できませんので、南の方の被害がある程度見通しがつきましたならば、というのは統計情報部の方の被害が出ましたならば、それによりまして天災融資法の発動を速やかに検討をする。そうしますれば、農家の方々も、金が来るのはおくれますけれども、政府の施策の内容がわかりますから御安心をいただけるのではあるまいか、かように考えておるわけでございます。その際、天災融資法の発動ということに相なりますれば、天災資金はもとよりでございますが、自作農資金につきましても所要の措置を講ずると同時に、先ほどお話が出ました償還期限の問題でありますとかその他の問題につきましても措置をするという方針を明らかにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間も参りましたので、以上で質問を終わりますが、残余の質問は次回に譲ります。  なお、いま委員長にお断わりして被害の写真を回しましたので、政務次官を初め各局長にぜひ見ていただいて認識を新たにして対策を講じていただきたい。よろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終わります。
  210. 金子岩三

    金子委員長 津川武一君。
  211. 津川武一

    ○津川委員 昨年の暮れからことしの一、二日にかける豪雪、寒波で、ただいま瀬野委員が話されましたが、その被害の把握になかなか時間がかかるということです。ところで、雪も消えてもう農作業が始まる。たとえば豪雪で言うと、リンゴの枝折れなんか、全部土が出てきてもう対策を講じなければならない。そのときにこれから調査して天災融資法、激甚を発動するというのではまことになまぬるい。昨年のあの冷害のとき、私たち統計情報部の調査状況を見てみました。人が足りない、できない。これほど被害が野菜や果物に広がったとき、恐らく九州、四国ではミカンの被害の調査なんというのはそう簡単にできるものじゃない。だが皆さんのところには正確な報告が来ている。各県の調査報告、これは真剣なんです。したがって、これでわかっているはずだ。統計情報部はいままでそれを信じなかった。それで独自に立ててそれで事を処して、三月十五日、四月十五日、十五日ごとに検査して、それで皆さんは事を処してきたから間に合わない。ところが、現実に県庁からの報告が皆さんのところに来ていて、それと統計情報部が合致するとすぐにでも調査ができると思います。北の方の昭和三十八年のあの豪雪、四月一日にはほとんど全部、大勢がわかっていました。三月のお彼岸の中日ごろになってくるともうわかっているのだ。こういう点で、県庁などの農業団体の調査を参考にするというか、それを中心に考えて統計情報部がこれにタッチすると速やかにできる。私は一週間以内にできると思っています。こういう体制をとるべきだと思いますが、これが一つ。  第二番目は、昭和三十八年の豪雪、四十九年の雪害のときに、天災融資法と激甚を発動しております。今度の豪雪と寒波は、それと比較したときにどの程度になるのか。天災融資法発動の十分の被害が出ている、激甚の被害も出ていると思う。それはいままでの調査で、県庁などの報告でわかります。この点はどうであるのか。天災融資法、激甚が間違いなぐ発動できる被害でありますときょうここで言い切れば、農業団体も地方自治体も対策に間に合う。いまの答弁だといつ出てくるのかわからない。そこで、すったもんだして不安が出てくる。こういう点で、いま被害の実態を握った状態で、三十八年や四十九年に比べて天災融資法、激甚が発動できると思いますが、できる損害になって非常に困ったわけでありますが、そういうものであるということをここで言明できるか。この二点をまず明らかにしていただきます。
  212. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 第一点の、統計情報部の調査の結果を待たないで、県の報告によって処理したらいいじゃないかというお話でございますが、やはり従来から、統計情報部の調査の結果によって被害額を把握し、それに基づいて、天災融資法発動の場合においてどの程度の資金手当てをするかというふうに扱ってきておるわけでございます。県の報告が悪いというわけではございませんが、県の方は、被害が出ましたらそのときどきの状況によって速やかに数字を把握して報告をいたしてくるわけでございますので、私たちとしては、統計情報部の調査をできる限り速やかに行いまして、その結果によって対処することといたしたいと思います。  第二点の、現在までの状況にかんがみて、天災融資法の発動をし得る程度規模の被害になっておるではないかというお話でございますが、私たちの従来の経験からいきますと、大体そのように理解をしております。
  213. 津川武一

    ○津川委員 私も、統計情報部の権威は高く評価しています。日本農林省は非常にいい調査機能を持っている。この点は、農林省は行政上非常に誇っていいものだと私は思います。だが、人が足りないからとろいのですよ。昨年の冷害のときにも間に合わなかったのです。実態は、県と統計情報部が調査したものを持ち寄って相談したらすぐ決まったのだ。県のものをすぐとれとは私は言わない。日本のすぐれた統計情報部の活動と県の調査を合わせて協議すると一週間ぐらいでできるのじゃないかと私は思います。もう一度答弁を願います。
  214. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 お話しのように、県と統計情報部とがよく意思の疎通を図ってやることが望ましいし、また、そういうふうにやってもらいたいと思います。思いますが、やはり統計の独自の機関でございますから、まあこんなもんでしょうというぐあいにもまいりませんので、そこは統計情報部の調査に私たちは期待をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  215. 津川武一

    ○津川委員 実態の把握は、統計情報部が各県や農業団体の機関と一緒にやっています。そのことを指摘しておいて、質問を進めていきます。  畜産物の問題ですが、一つは限度数量。青森県などは、一月にすでに限度数量をオーバーした。全国的にオーバーすることも、かなり大量、しかも確実になってきております。そこで、農林省はこれまで、酪農部会までに方針を示すと言っているが、もう方針が決まったのか。  きょう私は農林大臣に、畜産物の価格の問題で申し入れをしたら、農林大臣は、そのとおりだ、五十一年度の分は皆さんが求めているみたいに決めなければならぬ、大蔵省とすぐ交渉すると言われた。酪農部会までに方針を出すと言ってきたが、どう決まっているのか。農林大臣の言っているとおりに決めているのか。まずこの点を答えていただきます。
  216. 羽田孜

    ○羽田政府委員 御指摘のございました問題につきましては、目下まさに財政当局とオーバーした分について折衝中でございます。
  217. 津川武一

    ○津川委員 予想されている限度数量を全部カバーするということでございますか。
  218. 羽田孜

    ○羽田政府委員 その点も含めまして、いま検討中でございます。
  219. 津川武一

    ○津川委員 限度数量は、昭和四十六年に百五十五万四千トン、四十七年に百五十九万四千トン、四十九年から五十年、五十一年と三年間百三十八万トンに据え置いたわけであります。ここに一つの問題が出てきます。と同時に、飲用乳は、昭和四十八年の二百九十五万トン、四十九年の三百万トン、五十年の三百十八万トン、ここのところに問題があるわけです。皆さんのところの第三次計画では、乳製品自給率上げると言っている。そして、昭和六十年に考えておる乳製品需要に応ずる生産量を確保するということも書いてある。そうすると、百五十何万トンから百三十八万トンに限度数量を落としておくというのはおかしい。いまぐらいの限度数量を超過する分がもっとなければ、十五万トンや二十万トンなければ、六十年のあの自給率に、必要な量に達し得ない。そこで、この限度数量を五十二年度以降も徹底的に上げていくことが何よりも必要となってまいりましたが、この点はいかがでございますか。
  220. 大場敏彦

    ○大場政府委員 かつては、限度数量は、いま御指摘になりましたように、百五十九万トン以上という年もあったわけでありますが、ここ一二年間百三十八万トンという形で推移しております。しかし、これは決して無理に据え置いたということではございませんで、その年その年の需給事情を勘案して限度数量を決めておるわけであります。現実にこの三年間、限度数量オーバーということではなくて、その中ではまっている、逆に市乳化は促進されているということであります。  いま、六十年見通しあるいは第三次酪近ということで御指摘がございましたが、私ども、もちろん飲用乳は国内で一〇〇%自給する、乳製品自給率も高めていくという形で努力をしていきたいと思っております。それとの関連で、五十二年度はまた百三十八万トンに戻るのかという心配が一部にございますが、私ども、何も前年度と同じだというぐあいに固定的に考える必要はない。五十二年度は五十二年度の需給見通しに即して適正な限度数量というものを決めていけばいいというふうに思っております。
  221. 津川武一

    ○津川委員 繰り返しますけれども、乳製品自給率、四十七年の八六から九四でしょう。六十年の乳製品向けの需要量が三百二十八万トン、これで据えていくと、もう限度数量をこんなところで抑えておかないで、もっともっと上げていく、少なくともいまの百三十八万トンに十五万トンとか二十万トンとか二十五万トンを加えるものをやっていかないと、そういう年次計画を立てていかないと、皆さんの三次計画が成立しないということです。したがって、三次計画に見合わしていって、五十二年度の限度数量、これを全力を傾けると同時に、カバーすると同時に、そういう点で五十二年度でも限度数量というものを拡大しなければならぬと思うのですが、いまから私はそれを言明できると思いますが、いかがでございますか。
  222. 大場敏彦

    ○大場政府委員 五十二年度の限度数量につきましてはいまいろいろ需給見通しの作業をしております。確かにことしの生産はかなり伸びを示しておりますが、それが来年どういう推移をとるのか、それからことに限度数量に関係する飲用牛乳の消費が、ことしは対前年一・九%、まあ伸びておるのですが、伸び方が足りなかったわけですね。それがどの程度伸びるかということは、これは非常に予測がむずかしい話でありますが、しかし予測しなければならない。その予測をいましておるところでありまして、いずれにいたしましても、固定的に、前年百三十八万トンだったからことしも百三十八万トン、あるいはそれより減らすとか、そういった固定観念を持ってこの問題を律する必要はない。その年その年の需給事情に応じて決めていきたい。そういう作業をしておるわけでございます。
  223. 津川武一

    ○津川委員 いまの局長答弁は、五十二年度の限度数量はもっと上げる、拡大するということですか。具体的に答えていただきます。
  224. 大場敏彦

    ○大場政府委員 具体的な計数についての確信を私まだ持っておりませんから、拡大するとか据え置きするとかそういった具体的なことにつきましてはちょっと言明はいまできない状況であります。いずれにいたしましても、生産者が御心配のないような形で処理はしたい、そういう努力をしておるわけでございます。
  225. 津川武一

    ○津川委員 きょうも農林大臣に会ったら、大蔵省とすぐ交渉して限度数量をことしの五十一年度分は全部カバーする、来年の分は拡大するようにやる——財源のことなんでしょう皆さんは。財源ならばまだあるんじゃないですか。五十一年度の輸入製品での差益金が九十九億もある。あるんだから、思い切ってやはり限度数量を上げるように要求して質問を進めていきます。  次は、畜産物の輸入の問題です。乳製品輸入が五十一年度生乳換算で一体どのくらいになっていると思いますか。
  226. 大場敏彦

    ○大場政府委員 乳製品の五十一年度の輸入は、生乳換算で約百八十万トンであります。
  227. 津川武一

    ○津川委員 ここに酪農本部、全国農業協同組合中央会、農協畜産酪農対策中央本部の資料がございます。二百五万トン、このことは覚えていますか、いかがです。
  228. 大場敏彦

    ○大場政府委員 そういう数字は聞いております。  生乳換算で百八十万トンという乳製品輸入量をいま申し上げました。それから中央酪農会議等で発表しています二百五万トンでしたかの生乳換算、この輸入量の差は、たとえばココア調製品等非常に乳製品の換算がしにくいもの、そういったものがありますので、それは除いているというところが差のおもな理由であります。
  229. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、農林省の百八十万トン、酪農本部の二百五万トンという、どうして違ったかということが明らかになりましたが、輸入の実態としては農林省の百八十万トンはうそで、酪農本部の二百五万トンというのが正しくありませんか。ココアなど換算しづらいからやめたと言っている。そして酪農本部ではココアについては、無糖のココア製品は幾らかというと十七万トン、加糖のものは四万トン、これで二十一、二万トンになって、ちょうど皆さんの方との差があるが、換算しづらいと言って——それを換算するのが政府の仕事ではありませんか。どうして百八十万トンと言い切って、酪農本部の二百五万トンを否定するのか、もう一度答えていただきます。
  230. 大場敏彦

    ○大場政府委員 否定するとかそういう意味で申し上げているわけではないのです。ココア調製品等の乳製品ににつきましては、成分組成が一様でございませんから、それを乳製品に換算することが技術的に非常にむずかしい、こういう形で乳製品換算から外しているわけでありまして、ココア等の乳製品の量につきましては私どもオープンにいつでもしているわけで、決して隠し立てしているわけではございません。
  231. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、国内生産をどのくらいにするか、輸入をどのくらいにするかということの換算、政策を立てる基本資料として、酪農本部の二百五万トンというものを農林省は基礎として考えるべきで、いま言われた皆さんの百八十万トンというのは基礎にならないと思いますが、これから行政の基礎としてそう考えていきませんか。
  232. 大場敏彦

    ○大場政府委員 もちろんそのココア調製品等の輸入量がどれだけ入ってくるかというようなことは、われわれがいろいろ今後の需給や何かを判断する場合の材料としては使わなければならない、そう思います。
  233. 津川武一

    ○津川委員 よくわかりました。そういうふうにやるように私からも強く求めておきます。  そこで、牛肉の輸入ですが、一月の日豪閣僚会議で二万トンの追加という政治決着をしました。農林省は政治決着ではないと盛んに否定しております。農林省需要上必要な追加輸入だとしていますが、あの総選挙直前に大石前農林大臣輸入追加を否定していた。このこととどう矛盾して、どう考えればいいのか。一国の農林大臣がうそをついた、農林省はうそをついたということになりますか。ここいらの見解を明らかにしてください。
  234. 大場敏彦

    ○大場政府委員 牛肉の輸入は、昨年の十一月に下期の割り当てとして当面二万トンを割り当てて、あと需給事情の推移に応じて追加割り当てをするということを発表したわけであります。ですから、二万トンで終わりというようなことは一回も言ったことはございません。追加割り当てはするけれども、いまの時点でそれは何トンであるかということをこの際確定的に言うことは、まだちょっと時期がデリケートな段階だから言えない、様子を見て追加割り当てを決めるということを当初から申し上げているわけであります。
  235. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、畜産局長は、農林大臣の言明を、それが間違いだと否定なさるわけですか。そこいらの政治的な責任はどうなるのです。一国の農林大臣が言ったのを後で局長がこの会議で、そういうつもりはなかった。これは国民はどっちをどうすればいいのです、この政治的な責任を。
  236. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私は、前農林大臣がどのようにおっしゃったか、実はそばにいたわけではないので聞いておりませんけれども、しかし私ども輸入の発表をいたしましたときに、私自身新聞記者クラブへ行っていま申し上げたようなラインで発表いたしました。当初からそういう発表をしております。
  237. 津川武一

    ○津川委員 それでは、大石前農林大臣局長が連絡をとってその間の決着をつけて、私に報告していただくようお願いします。  そこで、一月の政治的決着の際、鈴木農林大臣は、五十二年度分の一部、具体的には二千五百トン先取りしたと述べているが、今後五十二年度の輸入枠を決める際、当然のこととしてこの二千五百トンは削除を考慮すべきと思いますが、いかがでございます。
  238. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま御指摘になりましたのは煮沸肉の割り当てだろうと思うわけであります。五千トン確かにことしの一月に追加割り当ていたしましたが、そのうちの二千五百トンは来年度の繰り上げであります。したがいまして、来年度からはこれを削除するということは豪側にもはっきりと言ってあります。
  239. 津川武一

    ○津川委員 最後に、大商社などがオーストラリアその他に牛肉の開発輸入を行っている。日本経済調査協議会の提言などは、この開発輸入については特別枠を設ける、こういうふうに厚かましくも主張していますが、こういう財界の意向に沿って皆さんは事を処する、制度を改悪することはよもやあるまいと思いますが、これが一つ。  第二番目には、三月二十五、六日、あすとあさってです、EC閣僚会議が開かれ、日本向け農産物輸出増加と関税引き下げなどについて協議することになっております。日本政府はこの会議までに回答が求められているはずだが、どのように対処しているのか。農林省と大蔵省は何か意見が一致しているが、外務省と通産省は意見が一致しないでまだ対処し得ないでいるとも聞いているが、どう対処しているのか、ここのところを明らかにしていただきます。事はあした、二十五、二十六日のEC閣僚会議のことでございます。
  240. 大場敏彦

    ○大場政府委員 まず、私の方から牛肉の開発輸入の問題についてお答えいたします。  牛肉の輸入先を多角化すること自身、私は悪いことではないというふうに思っております。牛肉は、もちろん先生御存じのとおり、外貨割り当て制度でありますから全体のクォータは決まっているわけでありまして、そのマーケットを広げておくということは、考えるようによっては必要なことではないかと思っております。しかし、財界がイニシアチブをとって自分たちだけの都合で輸入をするということはわれわれは認めるべきではなくて、やはり輸入は枠の中で、そうして国内の需給に悪影響を及ぼさないような形で運営していく、こういうふうに考えております。
  241. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 ECの問題でございますが、ECは対日貿易不均衡の是正策の一環としまして、農産加工品の対日輸出をふやしたいという観点から、数品目につきまして、農林省関係は五品目ですが、五品目について関税の引き下げその他を要望いたしております。大蔵省の所管品目としては、ブランデー、ワイン、ウイスキー、葉たばこ等が挙げられております。  私たちは、こういう関税の引き下げというようなものはECの貿易関係是正ということから処理をすべきものではなくて、これはガットの場で多国間交渉によって処理をすべきものである。ECから言ってきたからECだけに関心品目について関税を下げるという考えはございません。  それから同時に、ECとの友好関係の維持ということは十分考えなければいけませんけれども、そういうふうな貿易不均衡問題ということで農産物輸入をふやす、しかもそれが国内に悪影響を与えるということであってはいけませんので、私たちはそういうふうな安易に輸入拡大を要請し、それが国内に影響を及ぼすというふうなことについては、そういう考え方はとらないということで対処いたしたいと考えております。
  242. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  243. 金子岩三

    金子委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  244. 金子岩三

    金子委員長 速記を始めてください。      ————◇—————
  245. 金子岩三

    金子委員長 農業改良助長法の一部を改正する法律案及び農業改良資金助成法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。鈴木農林大臣。     —————————————  農業改良助長法の一部を改正する法律案  農業改良資金助成法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  246. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 農業改良助長法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  協同農業普及事業は、農民が農業及び農民生活に関する有益かつ実用的な知識を取得交換し、それを有効に応用することができるようにし、もって能率的な農法の発達、農業生産の増大及び農民生活の改善に資することを目的として、昭和二十三年に発足したものであります。  本事業につきましては、発足以来三十年近くを経過し、その間時代の要請に応じて種々改善を図ってまいったところでありますが、最近における農業及び農村をめぐる諸事情の変化にかんがみ、次代の農業を担うすぐれた農業後継者を育成するためには、他の諸施策と相まって、農業後継者たる農村青少年に対し近代的な農業経営を担当するのにふさわしい農業及び農民生活に関する技術、知識を付与するための研修教育を充実強化することが緊要な課題となっております。このため、この研修教育を協同農業普及事業として位置づける等速やかに本事業の改善充実を図る必要がありますので、今回この法律案提出いたした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、協同農業普及事業の拡充であります。すぐれた農業後継者を育成する見地から、都道府県の農民研修教育施設において農業後継者たる農村青少年を対象に実施する農業または農民生活の改善に関する研修教育を協同農業普及事業の内容として加え、新たにその運営費及び施設整備費を助成することといたしております。  また、この措置に伴いまして、もっぱらこの研修教育に当たる改良普及員については、農民研修教育施設たる機関に属し、研修教育に当たることができることといたしております。  第二は、協同農業普及事業に係る助成規定の整備であります。本事業は、都道府県が農林省と協同して行うという特殊な性格を有していることにかんがみ、本事業に係る国の補助金を協同農業普及事業負担金に改めることといたしたものであります。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業改良資金制度は、国の助成を受けて都道府県に設置される特別会計の資金をもって農業者に無利子の資金を貸し付け、農業経営の安定と農業生産力の増強に資することを目的として昭和三十一年に発足したものであります。  本制度につきましては、当初から設けられている技術導入資金のほか、昭和三十九年に新設された農家生活改善資金及び農業後継者育成資金の三資金が貸し付けの対象とされていますが、借り受けの希望も多く、年々その貸付枠の拡大等制度の改善充実を図ってきたところであります。近年、農業及びこれをめぐる諸情勢の著しい変化に対応して、優秀な農業後継者を育成確保すること等についての必要性が一層増大している事情にかんがみ、農業改良資金がねらいとする政策的効果を一層高めるため、農業後継者育成資金を重点として償還期間の延長を行う等制度の改善充実を図る必要がありますので、今回、本制度の改正を行うこととし、この法律案提出いたした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、技術導入資金に係る貸付限度の引き上げであります。従来、技術導入資金に係る貸付金の限度額は、農林省令で定める標準資金需要額を基準として都道府県が定める額の百分の七十とされておりましたが、今回、これを百分の八十に引き上げることといたしております。  第二は、貸付金の償還期間の延長であります。従来、農業改良資金の貸付金の償還期間は、最高五年とされておりましたが、今回、これを最高七年に延長することといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  247. 金子岩三

    金子委員長 引き続き、農業改良助長法の一部を改正する法律案の補足説明を聴取いたします。堀川農蚕園芸局長
  248. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 農業改良助長法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、協同農業普及事業の拡充であります。  従来から協同農業普及事業では、農村青少年団体の指導者や普及職員に協力する農民を育成する事業の一環として、農村青少年に対し技術経営に関する研修やその自主的な集団活動の促進等の対策を講じてきたところでありますが、今回の改正はこうした対策に加え、すぐれた農業後継者を育成する見地から、都道府県の設置する一定の農民研修教育施設において農業後継者たる農村青少年に対して行う実践的な研修教育を協同農業普及事業として位置づけ、法に基づく国の助成措置を新たに講ずることによりその充実強化を図ろうとするものであります。  この農民研修教育施設につきましては、新規の開設も考えられますが、すでに相当数の道府県において設置されております既存の施設を母体とする場合が多いと考えます。いずれにしても、準備の整ったところから逐次体制の整備を図ってまいる考えであります。  次に、この措置に伴いまして、もっぱらこの研修教育に当たる改良普及員については、農民研修教育施設たる機関に属し、研修教育に当たることができるようにすることであります。  現行法上、改良普及員は農業改良普及所に属し、直接農民に接して普及指導に当たることとされておりますが、農民研修教育施設がすぐれた農業後継者の育成機関としてその機能を十分に発揮できるようにするためには、農業改良普及所との有機的な連携を強化するとともに、すぐれた指導職員を確保することが不可欠であり、このため、農業改良普及所における普及指導経験を通じて地域農業に精通するとともに、実践的な技術、知識についてすぐれた指導力を有する改良普及員が、この農民研修教育施設に所属し、指導職員として研修教育に当たることができるようにいたしたわけであります。  第二に協同農業普及事業に係る補助金を協同農業普及事業負担金に改めることであります。  本事業に係る国の支出金については、都道府県の行う事業に対して単なる奨励的な趣旨で交付するというものではなく、都道府県が農林省と協同して行うという特殊な性格を持つ協同農業普及事業に対して交付されるものでありますので、今回の改正によってその趣旨を鮮明にいたしたものであります。  最後に、この法律の実施時期は、公布の日からといたしております。  以上をもちまして農業改良助長法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  249. 金子岩三

    金子委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会