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鈴木国務大臣 最初に、暫定取り決めのイシコフさんとの話し合いは、三月三十一日までに暫定取り決めを行う、こういうことにいたしまして、それに見合って三月一日から二百海里専管水域をそのまま実施しておるわけでございますけれ
ども、その間は
日本漁船の安全操業を認める、こういうことを取りつけたわけでございます。私が訪ソをいたしましてイシコフ
大臣とテーブルに対したのが二月の二十八日でございます。翌日が三月一日、二百海里
漁業専管水域実施の日でございます。その際、
日本の漁船は、北海道初め、中小漁船等含め二千隻以上の漁船が北洋の二百海里海域の中で操業しておる、この安全操業を確保するということが私の最大の願いであり、そのことに努力をしたわけでありますが、幸いにしてこの三月中の安全操業は確保できたわけでございます。しかし、その数日間というものは、
漁業省の
関係と沿岸警備隊と申しますか、そういうコーストガード等の組織、その連絡が不十分な点等もあったようでございまして、一時二百海里の域外に退去すべしというような警告を出されたり、また照明弾等を打ち上げるというような威嚇的な行為もあったということでございますが、これもイシコフ
大臣に私からその状況を訴えまして、そしてこのことも数日の間で一応平常に戻った、こういう経過に相なっております。
操業海域、二百海里水域の問題でございますが、私は領土問題と今回の
漁業交渉ははっきり区別をいたしておるところでございます。領土問題につきましては、ここで重ねて申し上げるまでもなしに、一九七三年、モスクワにおける当時の田中総理とブレジネフ書記長との間の最高首脳会談によりまして、戦後未解決の問題を解決をして、そして平和条約の締結に向かって交渉を今後とも継続をする、こういうことが
確認をされ、共同声明ではっきり全世界に宣明されておるところでございます。それを受けまして、両国の外務
大臣間で、戦後未解決の問題の中には北方四島も含むものであるということが
確認をされておる、こういうことで北方領土の四島に関しましては、日ソ両国の間で今後の息の長い交渉課題としてはっきりしておるところでございます。したがいまして、私はその問題とは切り離して、今後の二百海里時代の北洋
漁業の操業の新しい秩序の確立ということで話し合いをしたわけでございます。その間、
日本としてはソ連と同じような土俵で交渉する必要がある、こう
考えまして、すでに国会等でも明らかにしておりますように領海幅員十二海里、これは今月中に国会に御提案を申し上げて御
審議をお願い申し上げる。さらに、
漁業専管水域をわが方においても近く設定する
方針であるということをイシコフ
大臣との会談で明確にいたしたわけでございます。この二百海里専管水域の問題につきましても、五月の国連海洋法
会議の動きを見た上でできるだけ早い機会にわが方の二百海里専管水域の
法律案も国会に提案をし、御
審議をお願い申し上げたい、このように
考えておるわけでございます。当然その際におきましては、北方四島沖合いの二百海里はわが方の
漁業専管水域の中に線引きされるものと御理解を賜りたいと思うわけでございます。