○島田
委員 しかし、財政資金が八〇%を占めているということは、これは容易ならぬことでありまして、つまり固定施設に対する投下が大半を占めるわけでありましょう。そうしますと、これは建てたものを売り飛ばして借金を払うわけにいきませんから、何で払うといったら乳価で払う以外にないのですよ。それか、固定化されちゃったら負債
整理対策でやってもらうか何か、それ以外にはありませんね。あと切りかえて、そのときが来て償還できなかったら繰りかえ繰りかえしながら引き延ばしていくという策が精いっぱいのところであります。それだって限度がありますよね、いつか払わなければいけません。そのうちにだんだんかさが大きくなって夜逃げせんきゃならぬという結果にこれはなってしまうのであります。そのことを私は考えますと、やはりわれわれ酪
農家は、乳をしぼってそこでちゃんと借り入れしたお金がきちっと払われていくということでないと、とてもやれないわけなんです。
そこで、私は、いまの価格を上げる要素は少ないというあなたのおっしゃり方というのは納得できない。それどころじゃありませんよ。私はふだん厳しいことを言うのですけれ
ども、われわれの経営が人によっては企業的な経営というようなことを言いますね。これは
政府も一ころは盛んにそんなことを言ったことがありましたよ。私は企業的な経営というようなことなんかとてもとても及びもつかぬことであって、一般企業であれば、単年度でもってもうかった分の内部保留を二五%も多い人はするなんというようなことが許されている。ところが、われわれにはそんなどころじゃないですよ。再
生産を確保するなんてことがいまの状態の中ではできないわけで、単年度の収支をどうやって償うかということで精いっぱいなわけですからね。だから、せめて借金が順序よく、しかも固定化しないように払っていくことのできるようないわゆる手だてだけは講じてもらわないと、これはとても酪農を息長く続けていくことはできないというのは私はあたりまえの要求だと思うのです。そういうことを考えて、私
どもは今度の加工原料乳保証価格の算定に当たって、次の点をぜひひとつ
改善をしてもらいたいと思うのです。
その第一は、農業団体が出してまいりました価格の
基本になっている部分で、大分
農林省、つまり
政府が従来やってきたこととは要求の側とで食い違いがありますね。この点はどうですか。私は
整理する必要があるんだ、こう思うのです。
たとえば同じ
生産費所得補償方式だといっても、その方式においては名前は同じだけれ
ども中身においてはずいぶんこれは違うわけです。たとえば最もその基礎になっておりますのが
生産費の
調査のやり方であります。
農林省、
政府は、昨年から一道一県で、北海道と岩手県の
生産費
調査結果を用いているわけでありますけれ
ども、しかし現実にはまだ確かに
法律で言うところの過半数を割っている、そういう状態のところはありますけれ
ども、しかし以前、かなりの保証乳価部分といわれている
生産県があるわけでありまして、それは青森だとか山形だとか福島、鳥取、長野なんというのは、これはかっては五〇%以上の加工原料乳を
生産した地域であります。それが次第に飲用乳に取ってかわりつつあるということは否定し得べくもありませんけれ
ども、しかし、主産県だけではなくて、全国に多少なりとも加工原料乳という性格の牛乳が
生産されているのでありますから、そのうち沖繩まで含めて全県それをとれということを私は言っているのではない。また、農業団体もそれを言っているのではないのですから、せめて四、五年前まで採用しておりました一道六県ぐらいのいわゆる
生産費
調査結果をもとにして試算をされるというのが、数字的には平均値を求めるという点できわめて好ましいんではないか、私はこういうふうに思うのです。これは昨年からもうずいぶん固執していて、
法律に基づいて云々と、これは恐らく答弁されるんだったらそれ一本で押し切られるに違いない。そういうことではなくて、もっと全国的な平均のいわゆる価というものを求めていくという考え方に立って、一道六県ぐらいを最低に採用されるということのお考えにぜひ変えてもらいたい。これが第一点です。
それから二点目は、労働のいわゆる評価の問題であります。昨年もずいぶん大きな話題になりまして、自民党の方でも
生産者の要求をおおよそ入れるような考え方に立って、そして労働評価の一本化をやろうというところまでいったのに、
畜産局長の手元でこれはつぶしたのです。私はいまでもそう思っている。自民党の諸君は一生懸命やったと思うんだよ。それなのに
畜産局長は一人で握りつぶした、悪いやつだと、いまだにこれは忘れられないのです。どうなんですか。これはことしはどうしても一部いままでと違って、労働の評価というのは盛んに、
局長流に言えば新労賃でやるということに、これは
生産費
調査の結果もそうなっておりますからそうなりますけれ
ども、しかし二本立て労賃をやめるとまでは言ってないのですね。この辺のところは、私はもう——昨年もおととしもあんなに大きな問題になり、立法府の方もおおよその
意見は全部がまとまったようではありませんが、自民党も半分くらいに割れたようでありますけれ
ども、ここにいらっしゃる農林議員の人たちはみんな賛成して、恐らく一本化しようと言ってくれた人たちだろうと思うのでありますけれ
ども、とにかくこんなばかげたことが旧態依然として残っておって、口で構造政策を推進するだの、近代化を促進するだのと言っても、この価格の算定の仕方そのものが古色蒼然としており、しかも納得もできず、どう考えたって、頭のいい人が考えたんだからぼくらみたいなぼんくらな頭にはわからぬけれ
ども、飼養管理労働費が六百八十一円と割り出してきて、飼料づくりが四百三十七円八十九銭、それを
二つ足して二で割って五百五十九円、これは大野伴睦さんじゃありませんけれ
ども、
二つに重ねて割ったような価格というのは、自民党筋でもいまごろは全く通用しない価格だと思うのですよ。そういうものがいまだに
整理されていないというのでは、
日本の酪農の近代化が泣こうというものです。この点を二点目に私は
指摘をしておきたいと思うのです。
さらに、重ねて労賃でありますけれ
ども、私
どもは同じ白い乳を
生産するという立場に立って、乳業労働者の皆さん方のいわゆる労働賃金というものとも、そんなにいきなり一遍に一緒にということは無理だとしても、しかし相当これに近づいた労賃を採用してほしい。また春闘で労賃というものの問題が毎年出てくるわけでございますが、私は全国労賃にも比べて大体見劣りしない。本当は、私なんかは苦労の仕方が違うと自負しておりますから、そういう点ではどの業種の人よりも高い労賃を出してもらって罰は当たらぬと思っておりますけれ
ども、そうは言っても歴史的な流れが
一つあっていきなりそこに持っていくのには抵抗もあるでしょうから、私はそこで急激に持っていけとは言いませんが、もうそろそろこれを改めていくという考え方が出てきませんと若い人たちはどうも納得しない。私
どものような年になってくればもういまの経営に何割かあきらめて、牛が好きだ、ベコが好きだから一生懸命やるというようなことでやれますけれ
ども、若い人たちに新しい経営を任せていくということになりますれば、こうしただれが考えても納得のできないような部分をそのまま放置しておいて経営の跡を継げと言ったってこれはむちゃくちゃというものであります。この点、ことしは思い切って直してもらいたいと思いますが、以上、とりあえず二点についてだけ、私の考え方を提起いたしましたので、
局長の率直な
意見を求めたいと思います。