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中川(秀)
委員 大変いい御見解を伺いましたが、では
長官、防衛庁内のみならず、国防のシビリアンコントロールというのは
政府全体、あるいは
国会も含めまして大きな問題です。
国会の問題はわれわれ自身が考えるべきことでございますからもちろんお尋ねはいたしませんけれども、いわゆる
政府段階における今日のシビリアンコントロール、たとえば国防
会議あるいは閣議というようなものを含めて、
制度上も運用上も十分徹底して完全であるとお考えになっておられるのか、あるいは問題があるとお考えになっておられるのか、その辺をお伺いしたいのであります。本当に私見でございますけれども、二、三指摘をさせていただくとするならば、本当の意味のシビリアンコントロールというものは、とかく規則で固めたとか、あるいは適当に抑えておくとか、あるいは
会議があるとかいうようなものではない。本当のシビリアンコントロールというのはそんな安易な考え方ではなくて、むしろ有事の、あるいは戦時の事態混乱の際におけるシビリアンコントロールを常日ごろ考えて想定をして、反復し習慣づけていかなければいけないものだ。いまのシビリアンコントロールも大切ですが、そういうときのシビリアンコントロールは、本当の意味で言うと本当に国全体の運命にかかわる問題になってくることが多い。これは過去の私どもの歴史が示すところであります。しかるに現在、国防
会議、過去の四次防の問題PXL、FXの問題、いろいろな出来事を見てみますと、自衛隊の指揮監督をする側、すなわちコントロールすべき内閣、国防
会議及び防衛庁の内局等のシビリアン側に私は主として欠陥があるような気もするのであります。いわゆるシビリアン側のみずからに対する厳しい姿勢と、まさに部隊や隊員を心服させていくに足る高い識見やリーダーシップがシビリアンコントロールの本質だ。しかし、いままでの例から言うと、私は反省すべき点が多いと思う。あるいは運用上からいいましても、内閣、国防
会議、
防衛庁長官あるいは
長官補佐段階の内局と、統合幕僚
会議及び各幕僚監部、各部隊との任務分担の
範囲、責任所在、こういったものが非常にあいまいです。私はきわめて重要なそういう点が不明確なように思えてならないのであります。内閣とは、あるいは国防
会議とは一体何をするところなのか。
法律の上から見ましても、国防
会議は
防衛庁設置法の中の第三章六十二条に入っている。国防
会議構成法というのは単行法でできている。防衛庁を指揮監督するべき国防の
基本方針を定め、防衛計画の大綱を定めるべき国防
会議が、
防衛庁設置法の中に入っているというのも法制上の欠陥のような気が私はしてならない。自衛隊の任務というのは、
自衛隊法に直接間接侵略に対し「
わが国を防衛することを主たる任務とし、」云々と書いてありますけれども、非常にこれは不明確な任務だろうと思います。
法律の上で書くとすればこれしか書けないかもしれません。しかし、
法律に書けない部分を、この
法律の上では非常に無限大な任務を抽象的に書いてあるわけですが、その無限大な任務を、抽象的に書いてある事柄を、国際情勢の変化やあるいはそのときの国策、国の
実情等に応じて、国防
会議なり、閣議なりあるいは
長官なりそれぞれが責任分担をし、
範囲を決め、そしてそのときどきの自衛隊にこういう任務だ、具体的にいまこういう心構えでやれ、こういう
範囲の仕事をいま心がけよというような対応がどうしても必要だろうと私は思う。その意味で、本当に現在の国防
会議及び同
事務局を改組するか、あるいは別個のものにして新しい
機構を考えてもいいのではないか。軍事面のみならず非軍事面も含めた総合的な安全保障政策を常時
検討する機関として、本当の意味のシビリアンコントロールを
政府部内のものとしてきちっと確立すべきではないかというような、非常に駆け足の、お聞き苦しかったかもしれませんが、私の感想なんです。
防衛庁長官は防衛庁に対してシビリアンコントロール、文官統制の任に当たるだけではなくて、まさに国防
会議の議員としてのお役目も持っておられるわけです。私はこのように認識するのでありますけれども、最後に
長官のそれに対する御見解を伺って、あるいは御努力もお願いして私のお尋ねを終えさせていただきたい、このように思います。