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大出委員 菅野さん、私は菅野さんを責めているわけじゃないのですよ、事あるごとに話してきているのですから、またお見えもいただいておるのですから。ただ、私の頭の中にたくさんの心配事があるのですよ。というのは、長い年月手がけてまいりますと、事ごとに
恩給法というものは気になるわけですよ。ほかの各種年金もございますから、それとの比較も頭に入ってくるわけですよ。きょうは、そういう意味で、厚生省の方にもお見えいただいたのは、たとえば厚生年金などの例もございまして、こちらの方は物価との
関係が密接に出てくる仕組みでございます。これは後から承りますが、そういうことがあります。それとまた、今国会はこの
内閣委員会にはまだ小
委員会はないようでありますけれ
ども、前国会は小
委員会がございまして、私が珍しく小
委員会にあらわれてこの制度化の問題に触れて、
恩給審議会の答申で制度化すべきだと書いてあるじゃないかと言ったら、そんなことはないという
答弁が皆さんの方から出てきた。ふざけたことを言いなさんなといった話になった。そうしたら、皆さんの方で答申をお配りになって、私が申し上げたように書いてあったはずですよ。そうでしょう。事、現職の、
恩給局のどなたか忘れましたが、その方から公式に
答弁をなさって、そんなことは書いてありませんというようなことを言われたのでは、ぎょっとする以上に、一体何を考えているんだと言わざるを得ぬでしょう。
ここに答申がございますので念のために申し上げておきますが、これは新居さんの
恩給審議会の答申の四ページのちょうど中ごろに「この場合、その運用については、五パーセント以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて
恩給年額を改定すべきものとし、将来におけるその実効性を確保する観点から、これを制度化するなど所要の措置を講ずることが適当である。」と、これははっきりしているのです。これだけはっきりしている答申を
受けていながら、そんなことはございませんと言われたのでは、ふざけたことを言いなさい、いまの
恩給局のそんな諸君はやめてもらいたいと言わざるを得ぬじゃないですか。そうでしょう。それでは困る。しかも、この答申の中には「第一調整
規定の運用に関する意見」で
恩給法の二条ノ二をわざわざ挙げてある。「「年金タル
恩給ノ額ニ付テハ
国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動が生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定ノ措置ヲ講ズルモノトス」と
規定しているが、この具体的な運用については次のごとく措置することが適当である。」と前置きをしているわけですね。これはさっき私が申し上げたように、解釈権を
恩給審議会にゆだねて、審議会で解釈してくれというのだから、ふざけた話でございました。政府が
法律を出しておいて、改正しておいて、この二条ノ二をどう解釈するかを審議会で検討してくれ――本当にそんなばかな話はない。だから、預けられた審議会も全く困ったと思うのですよ。その審議会が答申をして、つまり「将来におけるその実効性を確保する観点から、これを制度化するなど所要の措置を講ずる」と明確になっている。そうでしょう。ここらがどっかに行っちゃって、そんなことはございませんなんて言われたのでは、迷惑千万。
さらにもう
一つ。
昭和四十三年三月にこの
恩給審議会の答申が出された直後に、
昭和四十三年四月十八日に、当時の会長であった新居さんに、御足労だったが
内閣委員会まで参考人としてわざわざ御出席をいただいて、私は心配だからこの点をただしてある。ここに議事録がございます。
昭和四十三年四月十八日
内閣委員会議事録の第十四号。新居さんのここで答えておられることを言いますと「それから、ただそれだけではなしにこれを制度化するということばを使いましたが、」と新居さんが話しておられる。前の方、長いから切りますけれ
ども、前の方で言っておりますのは、つまり物価がどんどん上がると、
恩給生活者というのは大変な困窮状況になる、これを何とかしなければならぬのは政府の責任だ、だから、われわれが考えて、物価が上がったら上げなさいということにしたんだという趣旨のことをずっと述べまして「それから、ただそれだけではなしにこれを制度化するということばを使いましたが、ざっくばらんにいいますと、この点はひとつ政府の義務としてやってもらう」はっきりしているのですよ。いささか新居さんの方は中っ腹なんですね。政府が余りといえば無責任だというんだ。審議会をやってきた過程で、個人的に私にそう言っていましたよ。責任を負おうとしない、だからこう書いた。「ただそれだけではなしにこれを制度化するということばを使いましたが、ざっくばらんにいいますと、この点はひとつ政府の義務としてやってもらうというふうな
気持ちがあり、」つまり、審議
委員にそういう
気持ちがあったというんだ。「またそういう発言もあったのですが、政府の義務はあたりまえじゃないかというふうなことで、そういう表現はせずに制度化する。では制度化するのはどうするのだというふうな、
法律を改正するのか、あるいは政令を出すのか、あるいは閣議決定するのか、いろいろあるでしょうけれ
ども、」それがまさに政府の責任だというのですね。「われわれがいまここでその先をやったのでは時間もなくなるし、そう
法律論もやっておられないからというので」政府が諮問をしたんだから、政府がやる責任と義務があるということで出したんだと言っている。そうでしょう。
これだけ明確になっているのに、四十三年から今日まで、いかなる理由があるにせよ放任をしておくということは、私は、
恩給受給者の
方々の前に許される筋合いではないと実は思っているのですよ。かれこれ十カ年間ほっておくというばかなことはないと私は言うのです。世の中は変動常ならぬのですよ。公務員給与だって、後から
人事院総裁が来れば申し上げたいと思っておりますけれ
ども、まさかここにおいでになる
委員部の方を含めて、公務員の皆さんで、よもやそう簡単に期末手当なんというものをぶっ削られてしまうと思った人はないと私は思うんだ。民間が少し不景気だ、二年目の不景気になったといったら、途端に期末手当を削るのですよ。こんな方式でやっておりますだけで世の中済みやしない。
法律上明定しなければ、それこそまくらを高く眠れやしない。何が起こるかわかりはせぬじゃないですか。ことしだって、これだけ大騒動して、やっと実施時期四月にしたんでしょう。かつて皆さん御存じのとおり、私の議員立法のかっこうで、
内閣委員会に何の
関係もない国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済、農林漁業年金、農業者年金から援護を含めて右へならえで、わざわざ
内閣委員会で私のところで押さえていた
恩給法を通して――通さなければ一事不再議でできないから、右一カ月実施時期を繰り上げるという
法律をつくって通したでしょうが。安心できはしませんよ、そんなことは。
そこは菅野さん、やはり
恩給局長の
立場なんだから、法的にせっかくこうなって、何遍もこの点については触れておるんだから、片や公的年金制度調整連絡
会議の中から社会保障制度審議会に移すという段階ならば、ここで制度化をしなければ、いままで言ったことは全部食言だということになってしまうじゃないですか。だから、私はあなたがいろいろな理屈を述べることについてわからぬわけじゃない。私も知らない
立場じゃないから、わからないわけじゃないが、制度化しなければならないこと、これは明確に政府の義務ですよ。いみじくも新居さんが、われわれに諮問しておいて、われわれが制度化しろと言うのにやらないなんてばかなことはないでしょう、責任と義務が政府にあるでしょうと言っている。以来十カ年間近くほっておくというばかなことはないでしょう。もう一遍聞きたい。あなたの時代じゃないんだからあなたの責任を問うのじゃないが、いかがでございますか。