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1977-03-22 第80回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十二日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 長谷川正三君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       宇野  亨君    塚原 俊平君       増田甲子七君    湊  徹郎君       上田 卓三君    栂野 泰二君       新井 彬之君    市川 雄一君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      藤田 正明君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房総務審議官  美野輪俊三君         総理府賞勲局長 川村 皓章君         皇室経済主管  石川 一郎君         防衛庁長官官房         長       亘理  彰君  委員外出席者         宮内庁長官   宇佐美 毅君         宮内庁長官官房         審議官     福留  守君         宮内庁書陵部長 野本 松彦君         宮内庁管理部長 小幡祥一郎君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     中川 秀直君     ————————————— 三月十五日  沖繩県区域内における位置境界不明地域内の  土地の位置境界及び地籍の明確化に関する特別  措置法案安井吉典君外二名提出衆法第六  号)  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措  置法案(内閣提出第四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 三月十五日  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  三九号) は議院の承諾を得て修正された。     ————————————— 三月十六日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  成田知巳紹介)(第一四三一号)  同(原健三郎紹介)(第一四三二号)  同(受田新吉紹介)(第一四六六号)  同(大西正男紹介)(第一四六七号)  同(木野晴夫紹介)(第一四六八号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一四六九号)  同(田中美智子紹介)(第一四七〇号)  同(田邊誠紹介)(第一四七一号)  同(西田八郎紹介)(第一四七二号)  同(平林剛紹介)(第一四七三号)  同(森井忠良紹介)(第一四七四号)  同(矢山有作紹介)(第一四七五号) 同月十九日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  飯田忠雄紹介)(第一五一七号)  同(浦井洋紹介)(第一五一八号)  同(川本敏美紹介)(第一五一九号)  同(近藤鉄雄紹介)(第一五二〇号)  同(竹下登紹介)(第一五二一号)  同(東中光雄紹介)(第一五二二号)  同(藤本孝雄紹介)(第一五二三号)  同(逢沢英雄紹介)(第一五六六号)  同(竹入義勝君紹介)(第一五六七号)  同(藤尾正行紹介)(第一五六八号)  同(谷川寛三君紹介)(第一六一五号)  同(相沢英之紹介)(第一六五七号)  同(不破哲三紹介)(第一六五八号)  同(伏木和雄紹介)(第一六五九号)  同(山原健二郎紹介)(第一六六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。三原防衛庁長官。     —————————————  防衛庁設置法及び自衛隊法及び自衛隊法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 三原朝雄

    三原国務大臣 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について、御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊八百九十人、航空自衛隊九百十七人計千八百七人増加するための改正でありまして、海上自衛官増員は、艦艇、航空機就役等に伴うものであり、航空自衛官増員は、航空機就役等に伴うものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、航空自衛隊輸送航空団編成航空団編成と区分し、輸送航空団司令部及び輸送航空隊から成る編成を定めるほか、同じく航空自衛隊第三航空団司令部の所在地を愛知県の小牧市から青森県の三沢市へ移転するものでありまして、それぞれの部隊の任務遂行の円滑を図るためであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
  6. 上田卓三

    上田委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、皇室経済法一部改正につきまして宮内庁質問をいたします。  まず御質問したいわけでございますが、宮内庁長官政府委員でなくなったのはいつごろからなのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  7. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 初め一度だけ私の前の長官がなられたことがあるそうでございますが、その後ずっと次長その他の者が政府委員になるという経過でございます。
  8. 上田卓三

    上田委員 前に一度なったということでありますが、それじゃ次に御質問いたしますが、長官説明員として出席したのは過去何回あるのか、お答えを願いたいと思います。
  9. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 お答えいたします。  何回かちょっと回数は覚えておりませんが、大体通常国会その他で必ず二、三回は出席した記憶がございます。
  10. 上田卓三

    上田委員 二、三回しか出席していないということは、多くの委員会で欠席をしているということになるわけでありますが、なぜ欠席しておるのか、あるいはなぜ宮内庁長官政府委員になっておらないのか、その理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  11. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 宮内庁関係いたします委員会予算委員会とか内閣委員会が大部分でございまして、各委員からのお求めに応じて私の出ましたのは、いま申し上げたようなことでございます。  なぜならないかということは、陛下のおそばでしょっちゅういろいろ御用がございますので、その方をいたす。前からも二度ばかり国会でただいまのような御質問がございまして、総理大臣にも一応もちろん報告してございますが、そのまま今日に至っているわけでございます。
  12. 上田卓三

    上田委員 政府委員になっておらない理由が、陛下のおそばにおられるということが理由のようでありますが、これも全く納得できないわけであります。なぜならば、たとえば皇室経済会議というものがございます。この皇室経済会議で、たとえば内廷費を増額するということが決まれば、この委員会にかけられることになっておるわけでありますが、この皇室経済会議メンバーでない人が国会に出てきて政府委員として説明するということは、非常におかしいのではないか。やはり皇室経済会議メンバーとして入っている長官がみずから政府委員になって、この委員会でわれわれの質疑お答えするということが本来のあり方ではないか、こういうふうに思います。また同時に、国務大臣委員会国会に出なければならぬということであるわけであります。国務大臣を補佐するという意味で、とりわけ大臣庁でない庁の長官はすべてが政府委員になっておるわけでありますが、私の調べによりますと、宮内庁社会保険庁のみが政府委員になっておらない。あと警察庁、公安調査庁あるいは国税庁の長官、あるいは文化庁、食糧庁、林野庁、水産庁、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁、海上保安庁、高等海難審判庁長官気象庁長官あるいは消防庁長官という形で、大臣庁でない長官はすべて政府委員になっておるわけであります。そういう点で、当然宮内庁長官だけが何か国会から超越して存在しておるということはもってのほかである、これは国会の上に宮内庁を位置しておるのじゃないか、内閣からかけ離れた形で宮内庁があるということは、私は皇室というものをそれこそ天上人にしてしまうことになっておるのではないかと思うわけであります。忙しいといいましても、それは総理大臣以下各大臣、最も忙しい激務の中でもやはり国会が大事であるという形で出られておりますので、総理府外庁でありますところの宮内庁長官政府委員でないということは納得できませんので、これにつきましてひとつ委員長の方で、これは閣議で持ち回りででも結構でございますからひとつ政府委員に任命していただくように要請したいと思いますが、委員長はどのようにお考えでしょうか。
  13. 正示啓次郎

    ○正示委員長 ただいま上田委員から大変重要な御提案がございました。委員長だけでいまここでどうという御返事を申し上げるのもいかがと思いまするので、理事会その他さらに御相談を申し上げまして、追って御回答を申し上げたいと思います。
  14. 上田卓三

    上田委員 そういう形で、委員会でというよりも恐らく理事会あたりで御相談いただくということになるわけでありますが、その件に関しまして、宇佐美宮内庁長官政府委員になる意志があるのかないのか、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
  15. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 政府委員になるかならないか私自身が決めることでございません。私が申し上げる限りでないと思います。
  16. 上田卓三

    上田委員 任命されたら受けますか。
  17. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 私も公務員でございますので、総理大臣管理下にございますし総務長官監督下にもございます。命令があれば従うのは当然だと思います。
  18. 上田卓三

    上田委員 結構でございます。そういう点で政府委員としてこれから委員会に出てこられて御答弁を願いたいと思います。次回からは必ずそういう政府委員という立場答弁に立っていただきたい、このように思うわけであります。そういう点で、本委員会においては説明員という形で御出席いただいたことに対して、何かと、忙しい中を御出席いただきましたことを感謝申し上げたいと思います。  次に、いわゆる現在の憲法下での皇室経済あり方について、基本的な問題でお聞きをしたいと思うわけであります。  まず旧憲法、いわゆる明治憲法下での天皇経済を決めました同憲法の第六十六条、皇室典範第四十七条の趣旨というものは何であるかということをひとつ御説明を願いたいと思います。
  19. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました四十七条「皇室諸般経費ハ特ニ常額ヲ定メ國庫ヨリ支出セシム」となっております。旧憲法におきましては天皇地位が現在と異なっておりまして、また皇室経済も自立しておるというような形でございました。ただ、国庫からも一定額支出があったわけでございますが、大半は皇室経済自体皇室財産等がございましてそこで賄われているという形になっておったわけでございます。この常額は四百五十万円ということで長い間続きまして、その後新憲法下で、現在の皇室経済法内廷費宮廷費皇族費それぞれ分かれて皇室に関する費用が計上されるという形になっておるわけでございます。
  20. 上田卓三

    上田委員 いま石川経済主管説明によりますと、結局旧憲法下では国の財政天皇財政が別個に独立しておったということ、それから天皇財政は、国の財政会計法規と全く別個の皇室会計法という内部規定によって運営されておるということになろうと思うわけであります。こうして天皇財政は全く国民の前に公開されずに議会政府からも超越していたように私は理解しておるのですが、そう理解していいでしょうか。
  21. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいま経済主管から御説明いたしましたとおりで、四百五十万円以外は自分の収入で皇室経済が賄われました。戦後になりまして、申し上げるまでもなく経過的に財産税というもので皇室財産は国に納められ、残ったものは国有とするという憲法規定によりまして、お身回りの物その他を除いてすべて国有財産になったわけであります。しかも、今後の皇室経費はすべて予算に計上するという憲法規定のあることも御承知だろうと思います。そういうことで現在に至っているわけであります。
  22. 上田卓三

    上田委員 そういう旧憲法のいわゆる国の財政皇室財政が分離しておることはいけないのではないか、すべての財政活動が統合され、国の財政として一本化されることが望ましい、それが議会民主的統制に服することであり、近代国家財政原則である、財政民主主義と呼ばれるものであろう、こう思うわけであります。そういう点で財政規定に関する戦後の改革をいま私が申し上げたような形で理解していいのか、いわゆる戦前と戦後の違いは、あるいは旧憲法と現在の憲法との違いは、一つのものに統合されているところに改革特徴点があったと理解していいのか、その点についてお答え願いたいと思います。
  23. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 戦前は、先ほど申しましたように国からの経費は非常に限定されたのが長く続きまして、その他は皇室財政の中で賄ったわけでありますが、いま申し上げましたように、現在におきましてはすべての皇室経費予算に計上するというたてまえから国会審議を経ておるわけであります。ですから、陛下のあるいは皇室財産というものは、ごく一部のお手回りの物しかないということになっているわけでありまして、これ以上つづめる余地もないという関係でございます。
  24. 上田卓三

    上田委員 私の申し上げている意味を十分に御理解してないのではないかと思うのですけれども、戦前のそういう旧憲法の考え方がいけないということで現在の憲法のもとで大きく改められて、確かに内廷費とか皇族費という予算が定額で決められるということがあったにしても、いわゆる宮廷費というものが国家予算の中に組み入れられたということの大きな原因は、やはり皇室経済というものも国の財政の一環として組み入れることが妥当であるという観点からなされたものであるのか、そういうふうに解釈していいのかということを私申し上げておりますので、的確にお答え願いたいと思います。
  25. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいま仰せになりましたように、公的な御活動に関する経費は現在国の予算になっておるわけであります。しかし、御日常の生活でありますとかプライベートな経費については、これも総額を法律で御審議を経て決めるという形になっておるわけでありまして、要するに新憲法とともにすべて皇室財産というものは税金とか、あるいはそのまま国に帰属して、すべて必要なものは国が出すという形になったわけでありまして、これは内廷費皇族費込めて予算を経ているわけであります。
  26. 上田卓三

    上田委員 日本の現憲法下での天皇地位というものは象徴という規定になっておりまして、そういう意味では、旧憲法下での天皇制というものから一歩前進して、ある程度開かれた皇室といいますか、あるいは人間天皇という形で民主化されてきておるということについては、私たちも一定の評価をするわけであります。しかしながら、戦前天皇制というものが、いわゆる天皇のもとに軍部ファシズムによって国民が戦争に駆り出されて、そして、国内の労働運動民主運動や、その他の多くの住民の運動を圧殺するだけではなしに、対外的には、とりわけアジア侵略で多くのアジア人を、何千万という人々を殺戮する、経済を破壊する、そういう忌まわしいことが起こっておるわけであります。われわれは再び旧憲法下のような形で天皇が政治に利用され、ファシズムの道へ歩まないように何としても留意しなければならないだろう、このように思うわけであります。  ことわざに、貴族あれば賎民ありという言葉もありますように、人の上に人があるがために人の下に人がある。いわゆるとうとい者があるがために差別される、卑しめられる人々がある、このようにわれわれは考えざるを得ないわけであります。憲法第十四条では、すべて国民は法のもとに平等であり、社会的門地あるいは経済的あるいは社会的身分によって差別されない、思想、信条の自由をうたっておるわけでありますが、天皇家は万世一系というような形で血筋を重んじられるということになるわけであります。そうでない者は卑しめられるということにもなりかねないわけであります。私は過般の予算委員会でも発言させていただいたわけでありますが、日本は諸外国に比べて外国人に対する差別が非常にひどい。いわゆる民族差別が歴然として日本社会に存在している。あるいは部落差別を初めとする身分差別の問題あるいは身体障害者被爆者、あるいは貧富の差、男女の差別、職業の差別など、本当に枚挙にいとまがないような状況があるわけであります。それらと天皇地位という問題について、私は無関係ではなかろう、こういうように思うわけであります。そういう立場から、皇室経済というものをもっともっと国民の前に明らかにすることが開かれた皇室としてどうしても必要になってくるのじゃないか、こういうように私は思うわけであります。  そういう点で、五十二年度の、いまかけられております内廷費皇族費の問題を質問する前に、一般予算の中に入っておりますところの宮廷費の問題についてまず具体的にお聞きをしてまいりたい、このように思います。  この予算書にも出ておるわけでありますが、進講謝金という項目があるわけでございます。五百三十万ほどの予算が組まれておるわけでありますが、この進講謝金対象者はだれとだれなのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  27. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答えします。  ただいま御質問のございました進講謝金、これは皇太子殿下浩宮礼宮殿下東宮殿下が、各般教養部面あるいは国際事情あるいは語学その他各般部門にわたって御進講を受けられるための謝金でございます。
  28. 上田卓三

    上田委員 いま皇太子それから浩宮礼宮様お三人の進講謝金対象者は三人ということでお答えいただいたわけでありますが、進講目的は一体何なのか、目的をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  29. 石川一郎

    石川(一)政府委員 皇太子殿下は将来の皇位継承者でございますし、お子さんもそれぞれ皇位継承資格を持っておられるわけでございまして、それぞれ皇位継承者にふさわしい御教養、御学問をされるための御進講経費であると考えております。
  30. 上田卓三

    上田委員 いわゆる象徴天皇として将来なられるということで、そういう意味教養を身につけられるということになるんだろう、こういうふうに思うわけであります。皇室典範の第一条に「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」ということで、男系ということになっているわけですけれども、ヨーロッパあたりではイギリスのエリザベス女王のように女性でもなれるということで、大体日本はそういう男尊女卑というものがあるということに対して遺憾でありますけれども、そういうことはまた折に触れて問題にしたい、こういうふうに思うわけです。  もう一つお聞きしたいわけでありますが、昨年の進講科目はどういう科目であったのか、それから講師はだれであったのか、それから実施回数、そういうものを参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  31. 石川一郎

    石川(一)政府委員 いま手元資料を持っておりませんので的確にお答えすることはできませんが、先ほど申し上げましたように、英会話等レッスン等はもちろん国際上の問題がございましてやっておられますし、しかるべき先生についておられるわけでございます。それから、経済部門でございますれば、たとえば中山伊知郎先生、それから行政学でありますれば田中二郎先生というように、それぞれ一応権威の方々に御進講を受けておられるという状況でございます。
  32. 上田卓三

    上田委員 実施回数はどうなっておりますか。
  33. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ただいまちょっと手元資料がございませんので、調べないとわからないと思います。
  34. 上田卓三

    上田委員 私も大分長時間にわたって質問させていただきたいというように申し入れておりますので、午後にでもそれを御報告願えますでしょうか。
  35. 石川一郎

    石川(一)政府委員 東宮職関係でございますので、連絡をとりまして、後ほどできればお答え申し上げたいと思います。
  36. 上田卓三

    上田委員 それにつきましては一応お三方の、いわゆる対象者ごとの詳しいデータをひとつ出していただきたい。それはいいですか。
  37. 石川一郎

    石川(一)政府委員 とにかく東宮職の方へ連絡をとりまして、いまの御趣旨の点を勘案しながら調査をしたいと思います。
  38. 上田卓三

    上田委員 憲法とか経済とか、一般教養もいろいろあろうというように思うのですけれども、いま石川さんがお答えになりました、たとえば英会話というのがあるわけでありますが、こういう英会話とかあるいは古典とかいうようなものがあるのだろうと思うのですが、こういうものは内廷費で賄われるべき性格のものではないのか、こういうように思うわけであります。こういうお三方についてもやはりそれだけのそういう学校へも行かれ、またいろいろな形で家庭教師というのですか、そういう方もついておられるだろうというように思うのですが、こういう進講謝金という宮廷費の中で賄われるというのはちょっとよくわからないのですけれども、この点について、私ははっきり申し上げてこれは内廷費から出すべきだ、このように考えますが、それについてひとつお答え願いたいと思います。
  39. 石川一郎

    石川(一)政府委員 私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、三殿下皇位継承資格を持っておられるわけでございまして、その観点に立っていろいろ御勉強をされるということでございますので、やはりそうした公的性格を帯びているものであるというふうに考えて宮廷費支出するのが妥当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  40. 上田卓三

    上田委員 また後から内廷費の細目についてお聞きするわけでありますけれども、内廷費の中にもそういうものがあるわけでありますから、ここで言うところの進講謝金の中身での英会話とかそういうものと大きく類似しているのではないのか、重複しているのではないのか。内廷費の中にもあるし、いわゆる宮廷費の中にもあるということでは国民は納得しないのではないか。そういう意味で、私はこういう類のもとについてはやはり一元化するということが最も望ましいのではないか、こういうように思うわけであります。いわゆる宮廷費の中からの進講謝金によってそういう英会話などをお習いになる、また内廷費の方でもそういう費用があって、そっちの方では英会話などは習わないというなら別なんですけれども、私はその点の区別というのはつかないと思うのですけれども、その点についてお答え願いたいと思います。
  41. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  三殿下のこういう御教養関係のものは内廷費では重複して出すということはございません。
  42. 上田卓三

    上田委員 後ほどその問題についてさらに御質問したい、こういうふうに思いますけれども、次にいわゆる開かれた皇室民主化というものにとって、そういう意味では皇族教育というものは最も重要であるというように思うわけでありますが、どのような教育が必要と考えられておるのか、その具体的な点についてひとつお答えを願いたい。
  43. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 皇太子様のお子様方のあるいは皇太子様御自身の御教育という問題でございますが、皇太子様はすでに四十を超していらっしゃいますので、特に特別な御勉強を願うということもないわけでありますけれども、一般社会でいろんな問題が起こっておりますので、そういうものに対する理解とかいうことはどうしても必要がありますので、各方面の人をお呼びになって話をお聞きになるということはあるわけでございます。お小さい方につきましては、いまは全部学校に通っていらっしゃいます。だから学校で学ばれる以外のいわゆる教養、たとえば歴史の問題につきましても日本の歴史等を特に御勉強になるとか、それから外国の問題につきましてもそういう点につきまして特に注意を払って御勉強になりますとか、それぞれ必要と思われるものを随時進めているわけでございます。そういうわけで、学校の方と、それからそれの補足と申しますか、必要なものを取り上げて御勉強願うということにしているのでございます。
  44. 上田卓三

    上田委員 進講のいわゆる科目であるとか、あるいは講師を選定するに際して、だれがどのようなところで権限を持って決定しているのか、その点についてひとつ聞きたいと思います。
  45. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 これは平素いろいろ御相談になって出てこられるたとえば田中二郎先生とか、それからいろんな方の意見を聞き、殿下もいろいろ御研究になってお小さい方のは決めていられるようであります。もちろん東宮職の大夫以下も参画しておるわけであります。
  46. 上田卓三

    上田委員 どう言いますか、皇族教育というものは非常に大事でありまして、国民教育というふうなものと全然かけ離れたものになるならば、それは私は開かれた皇室ということにはならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。そういう点でやはり進講科目とかあるいは講師と言われるような方の選定については、少なくとも決定に際して国会審議をする、やはりある程度その意見を開くというようなことがあってもいいのではないか、こういうように思うわけでありますが、その点についてひとつ長官の考え方を聞きたいと思います。
  47. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいまの御質問でありますが、やはりお小さい方の御性格なりいろんな点考えまして、細かく検討するのはこういう国会の議席で議論していただくものとは大分違うのではないかと思いまして、一々国会の御審議を願うということは、私は考えておりません。
  48. 上田卓三

    上田委員 やはりそこに問題があるのじゃないか、こういうように私は思うわけであります。その一々という言い方になっておるわけでありますが、一体どのような教育をなされておるのか。そういう講師の選定なり科目、いわゆる中身について私は大きな疑義を感じておるわけであります。これはこの場では一々申し上げませんが、国民象徴天皇というならば、やはりその点について議会皇室というものを結び合わせる必要があるのではないか。そういう意味で、そういうものについて意見があればいろいろお聞きしたい、また御報告したいという態度があってしかるべきであって、国会で議論すべき問題ではないという形で拒否するというような態度に大きな問題があるのじゃないか、こういうように私は思うわけであります。皇族教育ということでありますから、全然国会から離れて存在すべき問題じゃなしに大いに関係がある、そういう意味では私は長官と大きく意見を異にするわけでありますが、再度その点についてひとつ御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  49. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 いろいろ御心配をお願いすることはありがたいのでございますが、たとえば学校の教育の教科書を一々国会で御審議してからつくるというわけでもないわけです。ですから私どもは、どういう方がどういうことをするかということは、身近な人がその方のいろいろな事情を考えて決めるということでございまして、ただ、どういうことをやっておるかという御質問に対しましては、先ほど申しましたとおりに、何回ぐらいどういう先生に何を習っておられるかということは御報告をいたしたいと思います。
  50. 上田卓三

    上田委員 長官、私はいわゆる学校の教育内容について申し上げているのじゃないのです。ちょっとお間違いいただいているのじゃないかと思うのですけれども……。宮廷費、いわゆる公の費用からこういう形で進講謝金として出されておるわけでありますから、やはりその問題についてちゃんと——それらの費用予算書になってあらわれておるわけでありますから、内廷費から出されておる問題については、そういう——いわゆる中身に関することについてはある程度明らかにしてもらわなければいけませんけれども、その私的な、私的なと言ったって公的になるわけでありますが、いわゆる私的な部分に対して私は言っているのじゃないのです。この宮廷費進講謝金という問題で私は申し上げているので、ちょっと勘違いされて、何か学校教育の問題までここで審議せにゃいかぬようにお考えいただいておるようでございますが、そうじゃないわけですから、その点についてちょっとお聞かせ願いたいわけであります。
  51. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 同じことを申し上げるようでございますが、予算に出ております内容につきまして御質問があれば、先ほどのお話のとおり調べて御報告をいたします。ただ、たとえば進講と申しましても、どんな内容かとおっしゃいましても、なかなかむずかしくなると思うので、ですからどういう先生がどの進講をしておるというようなことで御了解をいただきたいと思うのです。
  52. 上田卓三

    上田委員 そういうことはないと思いますけれども、やはり偏った科目であるとか、あるいは講師についてもいろいろの思想的な方もおられると思うわけでありまして、そういう点ですべての国民がある程度納得できる方々を講師としてお招きいただくということが一番正しいのではないか。私は、いま中身について、だれがどうだということを申し上げているわけでございませんので、一般論として申し上げておりますので、その点についてひとつ御理解をいただけますでしょうか。
  53. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいまの御質問の御趣旨はよくわかりました。私どもも、先ほども申し上げておるように、その内容について何も隠そうとも思いません。現実に先生が出ていたしておるわけでございますから隠すべき問題でもございません。もちろん、私どもの立場としては、大体において公平な立場におられる方ということでなければならないと思いますし、それから、同時にまた、そういう問題についてもいろいろな説があるということはもちろん御説明すべきものと私どもも思っております。そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  54. 上田卓三

    上田委員 それでは、この進講謝金の中には天皇さんは含まれておらないわけですね。だから、いわゆる天皇に対する進講謝金というのですか、そういうものはどこから出ているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  55. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 両陛下へのいわゆる御進講と申しますのは、あるいは特に御希望がございましたりしまして、生物学の関係の学者をそのときに呼んで話をお聞きになるとか、あるいはいろいろ経済問題がありますと、一応教養としてお聞きになるというようなことで、経済界のいろいろな立場の人を呼んでお聞きになるということで、一人の方が何回も一年を通じて出るとか、そういうような御進講関係はございません。ただ、皇后陛下外国語を御勉強になったことがございますが、近ごろちょっとどうあそばしておるか私もわかりませんけれども、前には外国人で会話の御勉強をなさったことはありますが、これはみんな内廷費で措置しております。
  56. 上田卓三

    上田委員 それでは次の項目に入りたい、こういうように思うわけであります。  いわゆる報償金というのがございますが、何に対する報償なのか。それから五十一年度の実績に即して明らかにしていただきたい、このように思います。
  57. 石川一郎

    石川(一)政府委員 昭和五十二年度の予算要求額では、報償費は五千百二十四万三千円となっております。この主なものは、皇族外国御訪問の際に贈り物をされるそうした贈品とか、あるいは国賓なり公賓がお見えになりますその際の接待費とか滞在費等に充てるものとして、大体概算四千百万円でございます。それから、行幸啓関係の手当、宿屋なんかに出す手当等に充てられるものでございますが、これが約三百五十万円。いろいろ両陛下あるいは皇太子さんあたりが贈り物をいたします御紋つきの花びんでありますとか銀杯でありますとか、そうしたものが約三百五十万円。それから歌会始、講書始等が行われるわけでございますが、それらの関係者の報酬とか祭粢料等で約三百万円。全体で五千百二十四万三千円ということでございます。
  58. 上田卓三

    上田委員 この報償費の中身についてはわかるわけでありますけれども、大体こういうものは私的なもので、宮廷費から、予算の中から支出すべきでないのではないか、このように私は思うわけであります。別段外国のだれがどうということじゃないのですけれども、戦後のたとえばGHQなどでも、こういうものは云々というようなこともあったというように聞いておるわけでありますが、それはさておいて、歌会始を初めとして、いまこの報償費の内訳として出されている行事というのですか、こういうものは全く私的なものだと私は考えざるを得ないわけでありまして、これを内廷費の方から支出するような形にしてもらいたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  59. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおり、たとえば歌会始、講書始、これは長い間の宮中が文化の中心になってきた伝統を担った儀式でございまして、やはり陛下の御地位と関連した公的な性格を持っているというように私ども考えているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてはこれはやはり宮廷費から支弁してよろしい、こういうように考えているわけでございます。
  60. 上田卓三

    上田委員 歌会始は、明治憲法のもとではたとえば、敷島の道とかあるいはお国振りと称して、いわゆる国風の宣揚あるいは国威発揚に利用されてきたわけでありまして、私は、これの弊害というものを歴史的に理解しなければならぬ、こういうように思うわけであります。そういう点で、戦後一時期こういうものは中断された歴史を持っておるわけでありますから、そういう歴史的伝統を持つというそのことについては私は別段これをやめよということじゃないのですけれども、これを公的なものから私的なものへ切りかえるべきじゃないか、そういうことを私は申し上げておるわけでありまして、その点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  61. 石川一郎

    石川(一)政府委員 これは私専門家でございませんので、公的行為と私的行為の限界というのはなかなかむずかしい問題だと思うのでございます。しかし、私的行為は一応日常の普通の行為と変わらない行為が中心になっておる。やはり天皇なり皇族なりが公的に御活動されるというように判断される色彩の強いもの、これは私ども宮廷費から支弁すべきではなかろうか、こういうように考えているわけでございます。歌会始あるいは講書始につきましても、やはり私ども講書始等は有形無形に一つ日本の伝統的行事として学問というものを尊重する機運を醸成することにもなっておるのではなかろうか、全く純粋に私的なものとも考えられないのではなかろうか、こういうように思っているわけでございまして、そういう面で宮廷費から支出するということにいたしておるわけでございます。
  62. 上田卓三

    上田委員 私はこういうものをやめたらいいということを言っているのじゃなしに、歌会始とか講書始というものについては公的なものから私的なものにしてもらいたい、全くこれは私的なものである、そちらの方の予算内廷費予算で賄われるべきだというようにわれわれは思っておるわけでありますので、その点について今後御検討いただけるのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  63. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 講書始あるいは歌会始、実はお歌の方も毎月歌の会をやっていらっしゃるわけで、お正月のものを公的にいろいろな方を招待をして儀式的に行うということであります。それから講書始の学問の講義というのも先ほど申したように平素は内廷費のようなものでお勉強になっているわけでありますが、お正月の最初のときだけを儀式的にやるという意味で、公的なものとして宮廷費の範囲で経理整理しておるわけでございます。御意見もございますから、将来は研究はいたしますが、私どもはそれは決して間違っているとはいま思っておりません。
  64. 上田卓三

    上田委員 間違っておらないと思うからこういう予算の組み方をしているのだと思うのですけれども、われわれから見るとこれは間違っているのじゃないかという形で、いま先ほど私の方からいろいろ申し上げたわけでありますので、今後ともひとつ御検討いただきたい、このように思います。  次に外国旅費でありますが、五十二年度予算で七百万組まれておるわけであります。これは去年度も七百万ということになっておるわけでありますが、だれが外国へ行かれるのか、そのだれかということと、それからいつごろどこへ行くのかということについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  65. 石川一郎

    石川(一)政府委員 外国旅費として七百万円を計上いたしております。これは皇族外国を御訪問される際、それに関連して必要になる外国旅費を計上いたしておるわけでございます。具体的にまだ、だれがどこへどのようにして行くかということは現在の段階では決まっておりません。
  66. 上田卓三

    上田委員 五十一年度も七百万の予算を組まれておったわけでありますが、五十一年度はだれがどこへいつ行かれたのか、御報告願いたいと思います。
  67. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答えいたします。  五十一年度におきましては皇太子殿下がヨルダン、ユーゴ及び英国に御訪問になっております。それから三笠宮殿下がメキシコを御訪問になっております。
  68. 上田卓三

    上田委員 外国旅費について、また後ほどさらに詳しく御質問したい、こういうふうに思います。  次に儀典関係費の一億六千二百九十七万円が組まれておるわけでありますが、この内訳をひとつ詳しく御説明願いたいと思います。
  69. 石川一郎

    石川(一)政府委員 儀典関係費一億六千二百九十七万四千円を計上いたしております。  この内訳は、ただいま申しました皇族外国を御訪問になります際の航空機の借料、それと国賓等の接伴関係経費といたしまして八千九百万円、それから宮中で招宴が行われます際の備品等の整備に要する経費として二千六百余万円、それから行幸啓関係の庁費といたしまして千七百余万円、それから贈賜用、接待用のたばことして千三百余万円、こういうものが主な内容でございます。
  70. 上田卓三

    上田委員 外国訪問のときの航空機のチャーター料が入っておる、これが八千九百万円ということでございますが、去年だれが行ったのか、そして何回分のチャーター料なのか、それをひとつお聞かせ願いたいということと、それからことしはまだ計画はないということでありますけれども、ある程度計画されているのじゃないのか、こういうふうに思いますので、わかればひとつお知らせ願いたいと思います。
  71. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ちょっと正確な数字は申し上げられないのですが、五十一年度皇太子殿下が先ほどの三カ国を御訪問になりまして、六千数百万円チャーター料でかかったかと思います。三笠宮殿下の場合はチャーターいたしませんので、一般の旅費が支出されております。
  72. 上田卓三

    上田委員 天皇御夫妻の場合でもそうでございますし、また皇太子さんあるいは皇族の方についても言えるわけでありますけれども、親善訪問ということ、いわゆる皇室外交というものは非常に政治的色彩が強いわけでありまして、本当に皇室が政治に利用されてはならない、こういうことでありますから、そういう意味では、こういう皇室皇族の親善外交と言われる御旅行については、予算がついているから、またそういう計画があるから予算を組むという形じゃなしに、政治目的があってはならぬわけでありますし、国民から見て非常に政治的に利用されているということになりかねないわけでありますから、十分国会審議をする必要があろう、こういうように思います。  次にお聞きしたいわけでありますけれども、ことしの末ごろに皇太子御夫妻が外国訪問をされるんじゃないかということをちょっと仄聞しておるわけでありますが、そういう予定があるのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  73. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 明年度におきまして、両陛下初め皇太子殿下あるいは皇族様が外国においでになるという計画は当方には一つもございません。  申し上げておきますけれども、陛下がおいでになりますときには、国をあけて外国に行かれるわけでありますから、お留守中の御代行の問題でありますとかいろいろありまして、常に政府がいろいろ考えるのが基礎的な問題でございまして、しかもいままでおいでになりましたのも、大体あちらから見えましたのに対する答礼という場合がほとんど全部でございます。  皇族様の場合はいろいろ別の用務がございまして、四月に入って常陸宮の寛仁親王が、カナダの世界身障者スキー大会があり、そこにぜひということでおいでになることが一つ決まっておりますけれども、それ以外には何もございません。
  74. 上田卓三

    上田委員 招宴の備品購入千八百万、それから行幸啓千七百五十万と予算がついておるわけでありますが、この備品はどういう備品なのか、ひとつ詳しいことをお聞かせ願いたいと思います。
  75. 石川一郎

    石川(一)政府委員 招宴関係の備品でございますので、国賓や公賓をお招きしました際の宮中で行われます招宴に使う備品を一応考えておるわけでございます。  最近備品等もいろいろ様式が変わってきておりまして、いろいろ備えつけなければならない物が出てきておりますので、そういう面で必要な備品を購入いたしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  76. 上田卓三

    上田委員 一般的にそれで理解できるということになるわけですけれども、ちょっと見ますとあちらこちらで備品というものが出ておるように思うのですね。だから招宴のときのそういう備品がこれこれ、もともとの備えつけの物はこれこれというような形でしないと、その点の判明が非常に不十分である。私たちでもちょっと調べてみてよくわからないわけでありますので、そういう点でひとつ後刻詳しいことを、備品の中身等についてお知らせ願えますか。
  77. 石川一郎

    石川(一)政府委員 これはどちらで分けたら一番わかりやすいかという問題がございまして、たとえば備品なら備品を一括してこういう物、こういう物と分けた方がわかりやすいのか、あるいは事項の性格によってまとめて、そうしてその中にこういう物がある、こういう物があるということがわかりやすいかの問題だろうと思うのでございます。  実は、いま御指摘のございましたように、儀典関係費の中にも備品が含まれておりますし、宮殿等管理費や何かにも備品が含まれているわけでございます。いま申し上げました点は、儀典関係費では招宴関係で必要になってくる備品を計上してある、それから宮殿等管理費の中には宮殿に備えつけられる備品でございますね、招宴と区別して——招宴自体も宮殿と同じだと言えば宮殿等管理費の方に組んでもよろしいかもしれませんけれども、そちらの方がわかりやすいだろうということでそういうような組み分けにいたしているわけでございます。
  78. 上田卓三

    上田委員 そういう意味で分けておるということはわかるわけですけれども、にもかかわらず国民から見ると何かよくわからないということですから、そういう説明じゃなしに、中身についてもっと明らかにされるということが今後とも必要ではないか、こういうふうに思って私は申し上げておるわけで、何か細かいことを言っているような、意地悪く質問しているようにお聞きになるかもわかりませんけれども、やはりその点を明らかにするということがぜひとも大事ではないか、こういう意味で私は申し上げておりますので、その点はひとつ意のあるところをくんでいただきたい。そういう意味で、やはり儀典関係の方でも出ておるわけでありますので、備品関係について、この項目だけじゃなしに、全体的に明らかにしていくということで、ひとつ資料を提示願いたいと思うのですけれども……。
  79. 石川一郎

    石川(一)政府委員 御趣旨の点は承知いたしましたので、今後そういう方向で十分努力いたしてまいりたいと考えております。
  80. 上田卓三

    上田委員 次に宮殿等管理費でございますが、三億七千三百九十八万円の予算が組まれておるわけでありますが、この費用についても内訳を明らかにしていただきたいと思います。
  81. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答えいたします。  宮殿等管理費といたしましては、三億七千三百九十八万円を計上いたしております。これは宮殿その他の諸施設の管理に要する経費でございまして、その主な内容は、宮殿その他の光熱水料、燃料あるいは清掃、設備の保守その他の管理費といたしまして約二億九千百余万円、それから牧場の飼料とか光熱水料とかその他の管理費が約三千六百余万円、それからカモ場の飼料その他の管理費が五百余万円、それから先ほどございましたが、宮殿とか御用邸その他の備品が約二千五百余万円、こういうことでございます。
  82. 上田卓三

    上田委員 水道光熱費とか、あるいは燃料とか、そういうものの内訳もひとつ御説明願いたいと思います。
  83. 石川一郎

    石川(一)政府委員 どうも失礼しました。  宮殿関係二億九千百余万円でございますが、このうち光熱水料は一億六千三百三十余万円でございます。燃料の関係が二千三百七十余万円、清掃と設備保守の関係が七千三百三十余万円、その他の管理関係経費が三千七十余万円、こういうことでございます。
  84. 上田卓三

    上田委員 これはたくさんな御用邸というのですか、こういうものを一括したものだというように思うのですけれども、たとえば那須の御用邸の場合は、管理費とか、あるいは備品の購入はどのくらいなのか、あるいはその他の御用邸についてはどうなっておるのか、ひとつ各別にお聞かせ願いたいと思うのです。
  85. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ただいま御質問のございました各施設ごとにどれだけになるかという正確なあれはいまございませんので、これはなかなかむずかしいと思います。一応いまの予算全体としましては、全体の所要を見ましてそれぞれ一括して計上いたしておるわけでございます。ただ、那須の関係は、御用邸の備品といたしまして、今度は昭和五十一年度、五十二年度に所要予算を計上して改修を行っております。そのためにある程度備品等でも、様式の変わったこともありまして必要になるものがございまして、三百余万円程度、先ほど申しました宮殿等の備品費の中に、那須はそういうことで計上いたしておるわけでございます。
  86. 上田卓三

    上田委員 いまここでわからないという意味ですか。結局、これは各御用邸のそういう管理費とか備品というものの積算が合計されたものとしてあらわれているのじゃないですか。
  87. 石川一郎

    石川(一)政府委員 実は全般的に支出をいたしておるものでございますから、もちろん厳密に区分をしてやれば出ることだと思いますけれども、簡単には出てこないと思うのでございます。
  88. 上田卓三

    上田委員 簡単には出ないというのがよくわからないのですけれども、ひとつ後日調べて御報告願えますか。
  89. 石川一郎

    石川(一)政府委員 予算といたしましては必ずしも各施設ごとにぴしっと区別されてなっておりません。それから、実際、光熱水料等はずっと長い間区分をしないで処理いたしておりますので、これはこれからいろいろと照会をし、いろいろ計算をすればぴしっと出てくるかもしれませんけれども、相当の期間を要すると思うのでございます。
  90. 上田卓三

    上田委員 ちょっとそれは納得できません。  何か食事という話も出ておるようですから、一応これで終わっておきます。昼からあと続けて質問させていただきます。
  91. 正示啓次郎

    ○正示委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休息いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時九分開議
  92. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を続行いたします。上田卓三君。
  93. 上田卓三

    上田委員 午前中の、いわゆる宮廷費の中の進講謝金の問題でありますが、これについて実施回数を午後明らかにしていただきたいということを申し上げたわけであります。それから、講師とか科目対象者の詳しいことをもう入手されたのかどうか、わかっておればお答え願いたいと思います。
  94. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  五十年度の実績でございます。これは非常に急いでやりましたので、あるいは多少回数に前後があるかもしれませんが、皇太子殿下の場合におきましては、英語とフランス語の御学習をなさっておりまして、五十三回でございます。時間数は、そのときで一時間とか二時間とかございます。それから国際事情関係で二十一回でございます。それから経済関係が五回、それから歴史の関係が三十七回、それから日本文学、文学関係が二十回、その他いろいろありまして、あと百三十八回ぐらいあるということでございます。  それから浩宮殿下でございますが、これは英語の関係が二十五回、それから音楽の関係が六十四回、これはバイオリンとかピアノとかいろいろお習いになっているわけでございます。それから書道の関係が十五回でございます。  それから礼宮殿下、これは英語の関係が二十九回、書道が二十五回、それから音楽の関係が三十五回、それから体育関係が十一回。  以上でございます。
  95. 上田卓三

    上田委員 講師はどうなっていますか。
  96. 石川一郎

    石川(一)政府委員 英語の関係はダン夫人、それから国際事情関係でございますね、これは亡くなられましたが、平沢和重さんとか、ときには外務省の関係の方とか、そのときそのときによって違いがございます。それから、経済中山伊知郎先生、歴史の関係は三上さんとかその他の歴史学者、日本文学は五島茂さん。あと書道その他、申し上げますか。書道の関係は桑原という方です。音楽は久保田良作という方と古池みさ子、それから小林という方、以上であります。
  97. 上田卓三

    上田委員 やはりこの対象者のお三方の教養というものは非常に大事だと思うわけでありまして、そういう点で私は先ほどこれは内廷費から出すべきであると、こういうことを申し上げたわけでありますが、同時に、少なくとも現時点で宮廷費から出されている以上は、何といいましても講師の選定というものについて十分に吟味していただきたいし、また科目についてももっと考えるべきではないか、こういうように思っておるわけであります。  いま特に、アメリカのジミー・カーター大統領なども人権問題を非常に大きく叫ばれておるわけでありまして、やはり人間が人間を尊重する、基本的人権をお互いに守っていく、これはもう平和憲法の基本理念になっておるわけでありまして、そういう点で平和憲法というものを十分に踏まえられて、まあ政治に関与する者ではないにしても、やはり象徴天皇にふさわしい教養を身につけられることが一番正しいのではないか、こういうように思うわけであります。  たとえば、国連での世界人権宣言に続きまして昨年三月に発効いたしました国際人権規約など、そういうものについても、まだわが国では批准されておらないわけでありますが、そういうものを十分勉強するとか、あるいは、私は部落解放同盟の役員だから言うわけじゃありませんけれども、やはり国民的課題になっておるいわゆる同和問題、部落問題についても、教養の中で十分に勉強されてしかるべきじゃないか、こういうように思っておるわけであります。  そういう点で、偏った教育にならないようにくれぐれもひとつ御留意いただきたいし、とりわけこういう科目とか講師の選定については一体だれが決めておるのか。何か長官の話では持ち回りでと言っているのだけれども、結局最終的にだれの権限でそれがなされておるのかということが大きな問題であろう、こういうふうに思いますので、もう一度、これらの科目とか講師というのは具体的にはだれが御選定されておるのか、あるいは持ち回りにしても、だれかが最初起案なさって原案的なものが出されるべきだと思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。
  98. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、結局東宮職におきましては、そういう問題は東宮大夫という人が最終的な責任者であると私は思います。それが自分だけの考えでなくて、広いいろんな人たちの意見、それから皇太子殿下、妃殿下の御意見を聞いて、重大なときには私どもにも参ります。そういう非常に慎重な態度で選定をいたしておるわけでございますが、これらも御進講内容とともに、たとえば礼宮様はまだ小学生でいらっしゃいますから、そういった長い将来、一生御勉強だと思います。ですから、その年代に応じたいろいろなものを組み合わせて、だんだんと高いところへ持っていかなければいけないと私どもは考えております。
  99. 上田卓三

    上田委員 それはその程度にしておきたいと思います。  次に、午前中からの引き継ぎになるわけでございますけれども、宮廷費の庁費の中にありますところの宮殿等管理費の問題でありまして、その内訳について御説明いただいたわけでございますが、さらに、たとえば那須の御用邸などを一例に取り上げますと、これのいわゆる管理費とか水道光熱費とか通常経費とかいうものが明らかになっておるべきだ、こういうふうに思うわけであります。その他の多くの御用邸もあるわけでありまして、何か一括した数字はわかっておるが、個々のはわからないというのがどうもわからないのです。一つの御用邸の中でどこの部屋とどこの部屋がどれだけの水道光熱を使っているか、維持管理費がどうだということではなしに、一つ一つが独立した御用邸であるわけですから、そういう点で那須の場合はどうである、あるいは葉山の場合は、これは焼けておるわけで、今度新築の予算が組まれるということでありますけれども、まあ須崎だとか那須とかたくさんあるわけでありますから、やはり個々別の経費を出すということが必要なんではないか。というのは、次に質問する中身にもかかっておりますので、ぜひともこの点についてわかる範囲、お答え願いたいと思います。
  100. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいま光熱水料のことを仰せになりましたが、実は、たとえば御用邸が那須にも下田にもございますし、それから葉山にも付属邸というのが古いのが残っております。そういうようなところは、その年に何日ぐらいおいでになるかということはそうはっきりとしておりません。その年になって、いろいろな事情からおいでになったり、よけいおいでになったり、いろいろあります。それから、備品なんかでも同様で、修繕費やなんかもこれは経常的な問題でございまして、いろいろなところが悪くなるというのが、いろいろな時期において大きな台風があったとか寒さが強かったというようなところから影響が出てくるわけで、それはある程度は各御用邸ごとに予定はしなければいけないとは思いますけれども、はっきりしたところは総括的に見ていかなければいけない。ことに光熱水料などは非常に価格の騰貴が違いますので、これらが上がってまいりますと、足りないのは大蔵省がすぐくれるわけではございませんので、みんなやりくりしなければなりません。そういう点がございますから、一応総括的に持って準備をしておるということでございます。お話がございました点はわかる範囲において申し上げますけれども、考え方としては大体そういうことがあることを御了承願っておきたいと思います。
  101. 上田卓三

    上田委員 いま長官がおっしゃいましたように、当然各年度によって違いましょうし、各御用邸ごとの利用度によって違ってくることも当然でありますけれども、しかし、五十一年度には三億五千万の予算が組まれておるわけでありますから、これの執行を見ればちょうど一年分ということにならぬかもわかりませんけれども、執行状況を見て、やはり五十二年度の予算要求もこの中で出ておるというように思うわけであります。だから、過去の例というものは各年度によって大分違うにしても、少なくとも五十年度あるいは五十一年度の予算執行をしておるわけでありますから、当然過去の分についてはこうだということで御報告願えるんじゃないか、あるいは五十二年度については過去の例からして大体このように考えているという形で御報告願えると思うのですが、その点、どうですか。
  102. 石川一郎

    石川(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、実は私ども、これは予算の要求のやり方そのものにもあるいは問題があるかもしれませんけれども、一応電気とかガスとか水道とかこうしたものについて申し上げますと、全体で実績がございまして、そして電気料金が上がるとかガス料金が上がるとか水道料金が上がるとか、あるいは消費量が上がるとか、そういうものを見通して予算を施設全体で考えておるというようなことがございまして、厳密に各施設ごとにどこで幾らというように簡単には調査できるようになっておらないのでございます。ただ、実績でございますからわからないはずはない、これはもうそのとおりでございまして、御趣旨の点は今後よく考えまして、いますぐというのはちょっと無理なのでございますが、出すようにいたしたいと考えております。
  103. 上田卓三

    上田委員 実績の問題であるからわからないはずはないと石川さんはおっしゃったのですから、恐らくわかっているはずですね。わからないのはおかしいわけでありまして、それなら、もう水道代とか光熱費は納めてないのかということになるわけであります。ちゃんと納められているのじゃないかと思うわけでありますから、そういう点で前半の宮内庁長官とか石川さんがおっしゃったのは、出す意思がないからそういう理屈を言うているだけのことであって、いま石川さんが後段の部分で、実績があるのだからわからないはずはない、いまはわからないということでありますが、出し惜しみをするのじゃなしに、われわれが何か言わないと、それも何回も言わないとなかなか出てこないというところにわれわれは疑問を感ずるわけであります。これを出したからといって、恐らく予算的に使い方にいろいろ問題があるということではないと思うのですから、率直に出していただいたらありがたい、私はこういうふうに思います。だから石川さん、どうですか、たとえば那須とか葉山とか須崎とか、こういう各御用邸の維持管理費、一切の費用というものは過去のデータではっきりしているわけでしょう。ただ、いま手元にないということですね。それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  104. 石川一郎

    石川(一)政府委員 いま手元にないのはもちろんでございますが、そういう整理の仕方をいままで必ずしもしていないのでございます。ただ、これはいま御指摘がございまして調査をいたしますれば、これは当然わかってくることであると思いますので、時間をかしていただければわかるようになると思います。いますぐとおっしゃいますと、やはり出てきました数字でも調査し検討しなければならない部面はございますので、また全体が合わないといかぬということにもなりますので、時間をかしていただければ御報告申し上げることができると思っております。
  105. 上田卓三

    上田委員 別段ごまかしているわけじゃないだろうと思います。そういう点で調査をして、いままでにもわかっていなければならないと思うのです。一軒の家でのどんぶり勘定というのはわかるのですけれども、場所も離れたところだし、別々の御用邸なんですから、その御用邸ごとの維持管理費というのは当然明らかであるべきだと思うのです。だから、過去調べてないというのも非常に疑問なんですけれども、これから調べるということでありますから、ただ、すぐにということもできないのだと思いますけれども、大体どのくらいのめどでできますか。
  106. 石川一郎

    石川(一)政府委員 一週間程度、時間をいただきたいと思います。
  107. 上田卓三

    上田委員 たとえば天皇の利用日数の一番長いのは那須の御用邸であろう、こういうように思うわけであります。私たちの調査によりますと、那須での天皇御夫妻の利用日数は四十九年度で五十三日間、五十年度で四十四日間、五十一年度で四十五日間ということに出ておるわけでありますが、これが事実なのかどうか、ひとつお聞きしたいのと、それともう一つは、相当の金額をこの御用邸につぎ込んでおられるわけであります。そういう点で、しかしながら一年三百六十五日のうち百日も使ってない、大体四、五十日ということになるわけでありますから、われわれから言うならば、非常にぜいたくとは言わないけれども、ちょっともったいないのではないか、こういうように思うわけであります。そういう点で、利用されてない日などはやはり自然公園にするとか、あるいは一部を地元に払い下げて別の用途での利用を図ったらどうだろうか、こういうように思うわけでありますが、その点についてひとつ御見解を賜りたい、このように思います。
  108. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 那須の御用邸の地積というものは山の方まで入れますと相当広いものでございますが、しかしそういった御別邸というのは年じゅうおいでになるというわけでない。特に秋から冬場は寒くて暖房もないような状態でございますし、ですから自然的な条件で限られることもございます。それで、那須の御用邸の中も、土地の町や何かで公共のためにある地積が欲しいというようなときにはこちらは何度か出したことはございますし、そういうような意味の公共のためには提供したこともあるわけでございます。なお、一般の交通上の問題から、御用邸の中を突っ切って道路も認めておるわけでございます。そういうような点は十分配慮をいたしておるのでございます。  そういうわけて、私どもは——ただお留守の場合には一般に全部開放してというような状態ではないと思うのでございます。雑木林ばかりでございまして、なかなかそういう場所は少ないのではないかと思いますし、何か事故があっても困りますし、それから最近は中に入って樹木を盗んでいく者もあらわれておりまして非常に困っておる事実もございますし、そういうわけで、ほんの数名の者で管理をしているわけで、一般に開放ということは非常に困難だと思います。
  109. 上田卓三

    上田委員 那須の御用邸は、私の調べによりますと千二百万平米ほどあるわけですね。非常に広大な敷地であるわけでありますから、常時使っているならばそれこそ用心がいいわけですけれども、本当にわずかな期間しか使ってないということでありますから、これの管理、人件費だけでも大変なものだというように思うわけであります。そういう意味で樹木なども盗まれるというような形でおっしゃっておるわけですけれども、もっとやはりこういうものを市民に、国民に開放するという立場があってしかるべきではないか。その土地的なこともあろうと思いますけれども、そういう点でやはり開放の仕方に問題があろうというように思いますが、私は積極的に前向きに、自然公園にするとか、あるいはそういう管理の行き届かないところはやはり別途そういう地元の公共施設に開放するというようなことを考えていただきたいと思うのですが、その点積極的に御検討いただけるのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  110. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 いま申し上げましたとおりで、現在のところ積極的に開放するという考え方は持っておりません。
  111. 上田卓三

    上田委員 非常に残念でありますけれども、そうおっしゃらずに、地元でもいろいろ要望があろうかと思いますので、ひとつ御検討いただきたい、このように思います。  次に、葉山の御用邸の再建の問題でございますが、昭和五十年の三月十四日の本委員会での政府委員答弁では、一部開放の腹づもりで再建する、こう言っておられたわけでありますが、この葉山の御用邸の方はどうなんでしょうか。
  112. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 これは御本邸が火災のために焼けましてから、各方面から、特に町の方でも、御用邸のためにできた町で、なるべく早く再建をしてほしいということが全体の町民によって出てまいっております。災害復旧じゃないか、早くやれという政府の方のお声も大分ありました。しかし、ほかの宮邸の建築とかいろいろありましたので、しばらくすぐ着手をしないでいたわけでございますが、いつまでもほうっておくといろいろな憶測も出てまいりまして、いろいろ検討の結果、来年度の予算として御本邸の跡に一つの御用邸をつくるということで設計費用を計上して御審議願っておるわけであります。それで全体としましては、御本邸のほかに付属邸がございます。その付属邸はもう非常に古くなっておりまして、非常に市街にも接近して、火事でもありますと危険なような状態でもございますし、なおその付属邸と本邸の敷地を合わせたところが、町に公園地として貸してあるところがございます。そういうようなところの問題をどうするかということで検討いたしておりますが、できるならばわれわれとしてはそこの皇室財産としての用途を廃止して、何か公共のためにというような考えも持っていることをこの前にも申し上げたのでございますが、どのくらいの地積になるかということはまだ最終的な決定をしておりませんが、今度来年度設計するに当たってははっきりしてくると思います。おおむね、これはまだ公式に申し上げることでもございませんが、付属邸とか町に貸してあります公園のところ、そういうようなところについて、私どもこれは処分権がないので、皇室財産を外しますと大蔵省に渡ります。ただわれわれの希望としては、そういうことにもしなるならば、何か公共の用に供すればいいのじゃないかという感じは持っておるわけで、いずれ設計も急がなければなりませんから、そういう結論は近いうちにだんだんと出てくるだろうと考えております。
  113. 上田卓三

    上田委員 地元ではやはり葉山の御用邸の用地の一部を払い下げてほしい、とりわけ教育施設、小学校が一つ、中学校が二つくらい建設したいという声もあるわけでありまして、また、自然公園にもしてもらいたい、こういう要求に対して、昭和四十九年の二月の十九日に瓜生政府委員は、「今後も、地元住民のそのお気持ちなども十分調査をしながら、どういうふうにしたら適当であろうかということを十分検討」したい、こういうふうに答えておられますし、また昭和五十年の三月十四日には富田政府委員が「葉山の御用邸の再建につきましては、将来、社会情勢あるいは経済情勢というものが許されるようになりました場合には、一部開放の腹組みで再建をいたしたい、こういう構想は有しております。」こういうことを言われておるので、いまの長官の御発言もこの域を出ていないと思うのですけれども、腹づもりはよくわかるわけですけれども、もっと具体的に、地元もそういう要求があるようですし、またある程度宮内庁においてもその地元の要望にこたえたいというお気持ちがあるならば、もっと積極的に速度を速めてもらったら、こういうふうに思うわけですが、そういう点で、今度また質問したら、そういう気持ちでございましてということではいけませんので、やはりそういう気持ちであれば、もっと具体化すべきだと思いますので、その点についてちょっとお答え願いたいと思います。
  114. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 来年の計画についての御審議中でありますし、最終的なことを申し上げるのはちょっと僭越になるんじゃないかと思います。ただ、いままで両次長がお答えし、あるいは私も申し上げたことがありますが、そういった一部を地方のために——しかし、なかなかあそこを欲しいというのはほかからも出てくるところがございまして、いま私どもははっきり申し上げかねる、これは大蔵省とも御相談しなければならぬ問題だと思います。
  115. 上田卓三

    上田委員 いろいろ欲しいということもわかりますけれども、特に公共施設に、公共用地にという要望でありますから、種極的に地元のために寄与できるように、本当にそれこそ積極的に、前向きにひとつ御検討を進めていただきたい、このように思います。  さて、次の質問でございますが、那須、葉山、須崎のそれぞれの御用邸の利用状況をお聞かせ願いたい。  さらに、御料牧場それからカモ場の利用状況なども、できましたらお聞かせ願いたいと思います。
  116. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 御用邸、御料牧場、カモ場の状況でございますが、御用邸はそれぞれ、那須は先ほども申しましたとおりに冬場というものは使いませんので、大体夏に両陛下が御使用になります。最近は余りございませんけれども、皇太子様や常陸宮様も見えますと、付属邸が一つございますので、そこにお入りになることも過去においては例があったように思います。それから須崎の方は、これは伊豆の先端でございまして、大体において秋とか春、冬の辺にお出ましになっております。できましてまだそう年月もございませんので、回数もそう多くございませんが、そういうように御静養あるいはあそこら辺の地方をごらんになるというような足だまりにしていらっしゃるわけでございます。葉山の方も付属邸があって、先ほど申し上げたわけであります。  それから御料牧場でございますが、これはもと三里塚にございましたが、飛行場になりますためにあそこに非常に縮小されて移転されたわけであります。これは、そこの生産品について皇室の御料にいたしますとか、あるいは一部は一般に払い下げるとかということのほか、外交団を年に一、二回招待をするとかというようなことで利用されておるわけであります。しかも、ああいうふうに馬や牛だとか羊だとかいう総合的な牧場というのは最近非常に少なくなって、それで学生とか何かの視察も相当あるように思います。そういうふうに利用されております。  それからカモ場の方は、これは昔と最近とは非常に違いまして、あそこはもともと、カモをとりまして、そしてそこでカモのすき焼きを食べるというようなことで内外人の接伴が行われていたわけでございます。しかし、最近のやり方としましては、カモは一切食べるとか殺すということはなく、とりましたものは、国際条約に加盟しておりまして、鳥類のいろんな調査をするために、つかまえたものはその足にリングをはめまして全部放すということをやっております。それで、それによってシベリアなりカナダなり、各方面においてつかまえると相互に通報するということで、これは環境庁から特に毎年依頼を受けてやっているわけでございます。そういうわけで、これも、十一月から二月の半ばまでの猟期でやっているだけでございます。  以上のような状況であります。
  117. 上田卓三

    上田委員 先ほど那須の御用邸の、いわゆる四十九年、五十年、五十一年の利用回数、私の方でわかっている——わかっていると言うとおかしいのですけれども、聞き及んでいる回数を申し上げたわけでありますが、葉山と須崎の方、ひとつわかりましたらお教え願いたいと思います。
  118. 小幡祥一郎

    ○小幡説明員 お答えいたします。葉山と須崎の御用邸の御使用の回数について申し上げます。  葉山につきましては、四十九年四回で八日、昭和五十年五回で十四日、昭和五十一年一回で三日ということになっております。須崎御用邸につきましては、昭和四十九年一回で九日、昭和五十年三回で三十五日、昭和五十一年三回で二十四日というふうになっております。
  119. 上田卓三

    上田委員 くどいようでございますけれども、これらの御用邸は、本当に年にもう数回あるいは数日と言っていいような利用でございまして、本当に一般庶民にとっては、皇室あり方というものに対してある程度疑問を感じるのではないか。そういう意味で、開かれた皇室という立場から、できる限り地元の方々に開放するなりあるいは自然公園にするなり、そういうことを各御用邸についても、葉山だけじゃなしに、その他についてもひとつ積極的に御検討をしていただきたい。具体的にああだこうだということはなかなかむずかしいと思いますけれども、やはりそういう立場で臨んでいただきたい、こういうように思うわけであります。これは要望ということにしておきたいと思います。  次に、皇室用の財産修繕費と、それから皇居等施設整備費でございますが、これにつきまして、両方とも内訳を詳しくひとつ御報告願いたいと思います。
  120. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ただいま御質問のございました皇室財産修繕費と皇居等施設整備費でございますが、これは、庁費の関係と、それから別に各所修繕、施設整備でそれぞれ分かれておりますが、庁費の関係だけを申し上げればよろしゅうございますか。
  121. 上田卓三

    上田委員 両方言ってください。
  122. 石川一郎

    石川(一)政府委員 では、庁費の関係からまず申し上げますと、皇室財産修繕費の庁費関係は千九百十万五千円でございます。これは庁費でございますので事務的な経費でございまして、陵墓墳塋等の調査費として四百三十余万円、それから、後ほど御説明を申し上げます皇室財産修繕工事に伴う付帯事務費等で千四百七十余万円となっているわけでございます。それから、皇居等施設整備費の庁費の関係でございますが、これは三千七百七十九万七千円でございます。これは、ただいまお話のございました葉山御用邸の基本設計の経費として千七百七十万円、東宮御所の増築等の事務費として千六百七十余万円、設計委託費といたしまして、これは施設整備、ほかに工事がございますが、その設計委託費といたしまして三百三十余万円でございます。  それから、財産修繕の特別修繕の中身について御説明を申し上げます。これは、各所修繕の中が一般修繕費と特別修繕費に分かれておりまして、特別修繕費は四億五千五百四十九万二千円を計上いたしております。これは、桂離宮の御殿の整備に要する費用が八千二百六十八万七千円でございます。昭和五十一年度から桂離宮の御殿整備に着手いたしておりまして、五年計画の第二年度目といたしまして八千二百六十八万七千円を計上いたしております。それから、那須の御用邸の改修に要する経費といたしまして一億一千三百八十二万二千円でございます。これは本邸の整備費でございまして、これも五十一年度から計画を進めておりまして、二年度目でございます。それから陵墓の特別整備に要する経費といたしまして九千四百九十八万二千円でございます。これは七カ年計画を立てておりまして、その中の第四年度目の経費でございます。毎年同額程度の国庫補助を計上しております。それから堀の漏水防止対策経費といたしまして八千六百二十六万九千円でございます。これは六カ年計画の三年度目ということでございます。それから老大木の保護その他庭園整備といたしまして三千五百九万一千円、それから修学院離宮のがけ崩れ等ございまして、砂防工事その他防災関係経費といたしまして四千二百六十四万一千円でございます。それから皇居等の施設整備の関係でございますが、東宮御所の増築関係経費といたしまして約一億五千万円、それから皇居と京都御所内の倉庫の整備に要する経費といたしまして約一億二千万円程度でございます。
  123. 上田卓三

    上田委員 いま内訳を明らかにされたわけでございます。特に葉山の御用邸の設計それから事務費が計上されているわけでありますが、それの、どういった構想で再建するのかという形で、いろいろ設計費とか事務費等が組まれているわけであります。そこで特にお聞きしたいのは、東宮御所、皇太子さんのお住まいでございますが、これは昭和三十五年の六月に新築されて、鉄筋コンクリート地下一階地上二階、延べ三千八百六十平米、約千二百坪の家が建っておるわけでございますが、今度それを増築されるということでございますが、その増築等の中身についてもう少しお聞かせをいただきたいし、その増築の理由というものを明らかにしていただいたら非常にありがたい、このように思うわけであります。
  124. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ちょっと、お答えする前に……。  午前中申し上げた中で、私が言い間違えまして、カナダに三笠宮寛仁親王殿下が四月ごろ国際身障者スキー大会に招待されて行かれると申し上げましたはずでございましたが、三笠宮寛仁親王殿下と申し上げるところを常陸宮寛仁親王殿下と申しておりましたそうで、これは訂正さしていただきます。  ただいまの御質問でございますが、皇太子殿下のお住まいというのは、いま仰せになりましたように大分前にできまして、その当時といたしましてはお二方を中心にして設計されまして、したがって、そのとき、将来お子様がおふえになりましたら増築するということを当時から方針として決めていたわけであります。その後、とうとうお三方になりまして、いろいろお客の用にあけてあったところとか方々をつぶしてお住まいになっておりまして、いよいよ皆様大きくなられまして、非常に窮屈な、御勉強にも差し支えるというような状況になってまいりました。そういう変化が来ておるわけでございます。それで、大分古くなって、非常に悪くなったところもございまして、その増築部分のすぐ上には両殿下の御寝室もございますが、お子様方のその先に延ばしてつくるということになりますと大分上の方も影響を受けまして困りますので、そういう点であるとか、人にお会いなさるところも非常に汚くなってしまっておりまして、そういう、少し化粧をするべきところも出てまいっております。そういうのをあわせてやりますので、主眼はお三方のお部屋をつくるというのが主眼で、それに伴って、つながるところの修正を幾らかするというようなことが内容でございます。なお、細かい点は、もし必要があればその担当者から申し上げます。
  125. 上田卓三

    上田委員 過去にもうすでに、王子室というのですか、お子様の部屋を増築されてあるんじゃないですか、ちょっとお聞きしたいのですが。
  126. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 増築いたしておりません。実はお荷物がふえましてそういうものを入れるところがなくなりましたので、そういうのを中の庭をつぶしてつくったことはございますけれども、王子室は全然手をつけておりません。数年前からわれわれは問題にしておったわけでありますが、殿下はこういう財政のときだからといって非常に御遠慮になっておりましたが、どうしてもぐあいが悪くなりまして、ことしお願いすることにいたしたわけであります。
  127. 上田卓三

    上田委員 次に、文化財管理費、これをちょっと詳しく内訳を御説明いただきたいと思います。
  128. 石川一郎

    石川(一)政府委員 文化財管理費の庁費の関係は三千九百四十五万五千円を計上いたしております。  これは正倉院がございますが、これの備品整備その他の管理の経費といたしまして一千十余万円でございます。それから図書の購入あるいは複本作製等図書関係経費として千八百四十余万円。それから楽部がございまして、雅楽とか洋楽を担当いたしておるわけでございますが、その雅楽の装束の更新とか修理その他音楽関係経費といたしまして一千八十余万円ということでございます。
  129. 上田卓三

    上田委員 次に、車馬管理費でございますが、その内訳をまずお聞かせいただけますか。
  130. 石川一郎

    石川(一)政府委員 車馬管理費といたしましては、五千五百五万四千円を計上いたしております。  これは文字どおり車の関係と馬の関係でございまして、馬の関係、乗馬、輓馬の飼料その他管理費といたしまして千百七十余万円でございます。それから車の関係は、更新期限の来ました自動車の交換あるいは自動車の維持費関係でございまして、四千三百三十余万円を計上いたしております。
  131. 上田卓三

    上田委員 乗馬と競馬の利用状況でありますけれども、五十年度と五十一年度の利用状況をひとつお知らせいただきたいと思います。
  132. 小幡祥一郎

    ○小幡説明員 お答えいたします。  乗馬と輓馬の利用状況でございますが、四十九年は十三回ございます。五十年は九回ございます。五十一年は十八回ございました。
  133. 上田卓三

    上田委員 この乗馬なり競馬の利用については、信任状の捧呈に際する利用が多いと思うわけでありますが、信任状の捧呈というセレモニーは法的根拠を欠いておるわけでありますが、慣行でされているということでありますが、戦後いつごろから、だれが——だれがという言い方はおかしいと思いますけれども、始められるようになったのか、ひとつわかればお聞かせ願いたいと思います。
  134. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 これは閣議決定で決まっておりまして、外国の全権大使、それから特別全権公使委任状、解任状捧呈の場合におきまして皇室用馬車を一行の送迎両用に供し、護衛として皇宮警察官をつけるというように閣議決定になりまして、それによって行っております。(上田委員「時期は」と呼ぶ)それは昭和二十七年三月三十一日でございます。
  135. 上田卓三

    上田委員 捧呈の際に、どこからどこまで馬車をお使いになるのですか。
  136. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 以前は、外国使臣の公邸まで迎えに行ったものでございます。ところが、だんだん東京都内の交通が激しくなりまして、馬車で歩きますと相当交通の障害になる。それから、東京はわりあい坂が多うございます。馬車は滑りますので、坂には全部砂を敷かなければならぬというようなことがございまして、事実上警視庁の方も大分困ってまいりましたので、最近はそれでも希望者がございますので、皇居の前のホテルまで来てくれればそこから宮中までは馬車でやる。希望がなかなか多うございますし、そういうような状況でございます。
  137. 上田卓三

    上田委員 ちょっと聞き取りにくかったわけですけれども、どこからどこ、場所ですね、それをもう一度言ってください。
  138. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 いろいろ変わっておりますが、現在は、皇居の前にパレスホテルというホテルがございます、そこまでみんなが来て集まってくれれば、そこからは宮中まで馬車で迎えるということにいたしております。
  139. 上田卓三

    上田委員 何かやらなければならぬからやっているというような感じで、ぼくたちから考えますと、これは本当に形式張っているんじゃないのか。それこそ車で用を足せばいいことではないのか。実際問題として、交通の渋滞防止にもなるわけでありますから、思い切ってこういう信任状の捧呈の場合など、いわゆる乗馬、輓馬によるところのそういう乗り物を廃止するということを強く要求したいのですけれども、その点どうですか。必要ないんじゃないですか、これは。
  140. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 これは私どもの国、皇室ばかりではない、イギリスでもほかの国でも相当そういうことをやっているそうでございます。いろいろな国の方で、自動車で直接来るという人もございますし、ぜひ馬車にしてほしいというのもございます。希望がなくなればこれは仕方がございませんけれども、むしろふえているような感じがいたします。それで、初めて信任状捧呈に来るというわけで、みんな非常に希望してきておられるので、これは私どもはいますぐやめられないような感じがいたしております。
  141. 上田卓三

    上田委員 まあ形式だけが残っているという感じでございます。われわれから言うならば、車というのがあるわけでありますから、馬車というような非常に時代錯誤というのですか、そういうものは映画やニュースなどで出るわけですけれども、古めかしいというのですか、そういう意味では非常に伝統に富んだということになるかもわかりませんけれども、今日の東京の事情というものを考えた場合に、はっきり申し上げてパレスホテルから二重橋まで行かれるほんのわずかの区間で、諸経費の節約の折でもあるので、その点については先ほど申し上げたような考え方を私持っておりますので今後検討していただきたい、このように思います。  それから、防弾車をふやされるということでありますけれども、何か特別理由があるのですか。
  142. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 御質問は、防弾車を外交団に出すということですか。
  143. 上田卓三

    上田委員 いやいや、ここで計上されていますね。
  144. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 それは、両陛下あるいは外国の元首が見えたようなときに、近ごろのいろいろな情勢からどうしても欲しいという声があるわけでございまして、各国に行きましてもみんなそういう傾向になりつつございます。それで、万一のことがあると国際問題にもなりますので、そういう防弾車を用意しておくというのは各国通例だろうと思います。したがって、そういう警備上の意味からやっておるわけでございます。
  145. 上田卓三

    上田委員 防弾車についてふやされるということで、非常に外国からの希望も多いし、事故が起きれば国際問題になるということはよくわかるわけですけれども、やはり善良な国民というものを十分に信頼されたい、こういうように思うわけでありまして、そういう皇室の外交というものに対していろいろとやかく意見もあるわけでありますから、そういう点で十分そういうことも関連して今後考えていただきたい、このように思います。  次に、特別修繕費でございますが、その内訳をまずお聞かせいただきたいと思います。
  146. 石川一郎

    石川(一)政府委員 各所修繕の内容でございますが、これは全体で九億五千六百七十五万二千円になっておりまして、一般修繕費と特別修繕費に分かれております。  特別修繕費は四億五千五百四十九万二千円、こういうようになっておりまして、先ほど簡単に御説明を申し上げましたが、桂離宮の関係が八千二百六十八万七千円、那須御用邸の整備の関係が一億一千三百八十二万二千円、陵墓の特別整備が九千四百九十八万二千円、堀の漏水防止対策、これは具体的には平河堀でございますが、八千二百二十六万九千円、それから老大木の保護その他庭園整備が三千五百九万一千円、それから修学院離宮の砂防工事その他防災施設の整備に関するものが四千二百六十四万一千円ということになっております。
  147. 上田卓三

    上田委員 皇族の四宮の方のいわゆる殿邸というのですかが次々新築されておるわけであります。それが終わると今度は那須の御用邸の修繕、これは二カ年計画でありますが、それが一応めどがつくと東宮御所の増築、さらに葉山の設計開始、こういうように毎年毎年絶え間なくという表現をしたらいいかと思うのですけれども、修繕だとか増築だとか、いやまた新築だという形で予算がとぎれなく出てくるわけでありますけれども、こういうものを終わったらそれ次というような印象を与えるわけでありまして、そういう点である程度長期的な計画というものをなぜお出しにならないのか。そういう全体の中でまずこれなんだ、その次はこれなんだという形にするべきではないか、こういうように思うのですけれども、その点についてなぜそうなっておるのかひとつお聞かせ願いたいと思います。
  148. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 各四宮家の御殿を新しくつくるということは実は池田内閣時代にすでに出ておりまして、皇室経済会議が開かれました際、久保田衆議院副議長が、余りひどいからあれは直せという御発言がございました。それで協議会が開かれまして順次やろうということになったわけでございますが、やはり各宮家の御都合もございまして延び延びになってまいったわけであります。したがって、順を追ってやるというようなことになってまいりましたが、おっしゃるように一斉にやれればよろしいのでございますけれども、建築には監督も要りますし、宮内庁の陣容としてはそう一遍にやることもできませんし、そういう大きな予算が一遍につきようもございません。大体宮内庁のは経常的な経費で毎年そんなに大きく変わってきておりません。ただ、いろんな人件費や何かの物価騰貴に基づくものはございますけれども、したがって順を追って考えていくより仕方がないということで、いま仰せになりました毎年出すようなかっこうになってしまったわけでございます。どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  149. 上田卓三

    上田委員 毎年出すことにぼくが問題を出しているんじゃなしに、事前に長期的な計画を出していてもらったらそういう誤解というのはなくなるわけでありますから、予算関係で単年度ですべてができるわけではないのですから、一つ終わればその次ということに、当然長官のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、全体の計画をお出しになる方がわれわれとしては検討しやすいのではないか、こういうように思ったので御質問したわけであります。  お伺いしたいわけでありますけれども、御用邸の付属邸の修繕とか、あるいは寛仁親王の独立に備えた新築計画といったものがあるのでしょうか、あればひとつ御報告願いたいと思うのですけれども……。
  150. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 いまそういうような御結婚でございますとか、あるいはそれに伴いまして御殿が必要になるということが予想されますのは、皇太子殿下のお小さい方がだんだん大きくなられるときとか、それから三笠宮様は大体において皆様適齢期になって来つつあられます。われわれも心ひそかに心配をしているわけでございますが、独立の生計を営むということを一体どういうふうにつかまえるかというのはなかなかむずかしいことでございまして、常陸宮様のときはちょうど御結婚ということを控えましたので、そういう機会に独立の生計を立てられるという前提において御審議をいただいたと思います。いま三笠宮様の方につきましてはどうしたらいいか、万一そういうことが起こったらどうしてお建てしたらいいのか、それから御長男であられるならばそういう方はどうなさるのかといろいろございますから、いまだ結論まではっきり申し上げるようにはなっておりませんが、やがて起こる問題だろうと考えております。そういう状況でございます。
  151. 上田卓三

    上田委員 付属邸の修繕の予定はないのですか。
  152. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 那須の付属邸の御質問でございますか。大分古くなりまして、まあ適当なときにという考え方もあり得るかもしれませんが、わりあい御使用が少のうございますので、われわれとしてはいま特に修繕を大きくやろうという考え方はいたしておりません。
  153. 上田卓三

    上田委員 全国にといいますか、特に大阪あたりにも陵墓がたくさんあるわけでございますが、維持管理というのですか、私の居住しております近くで羽曳野という市があるわけですけれども、ここらあたりでも、どういうのですか陵墓の管理というものが非常にずさんというのですか、あるいはその修復というものがどうしても必要になってくるというのですか、その近所がずっと宅地化されて、私有地の場合は堀が埋められるとかいうような形で、それに対してどうのこうの外部からできないわけでありまして、そういう点で、何としてもそういう陵墓の修復というものがぜひとも必要じゃないか。後の問題で、私はこういうものを文化財に指定すべきだ、こういうように思うわけでありますけれども、とりあえずことしのそういうものの修復に関する調査の計画があれば、どういうものなのかお聞かせ願いたいと思うのです。
  154. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 陵墓の問題につきましていろいろ御指摘をいただきましてまことに恐縮でございます。数は八百数十ございますし、職員はずっと少ないわけで、この管理については非常に頭を痛めるわけでございます。  それで、さっきも事務当局の方から申し上げておりますとおりに、七年の整備計画というものを立てまして、急ぐところからやっていくわけでございますが、何分わりあい広い土地でございまして、草を刈るにしても何をするにしても経費も相当かかりますし、そういう点で苦労をして、漸次予算をふやしていただいてやろうとしておるところでございます。  なお、周辺地との関係というのはこれまた一つ大きな問題で、特に関西地方に陵墓が集中したようにたくさんございます。そういう関係で、また開発も同時にあの地方は盛んでございますから、道路に一部欲しいとかいろんな問題が出てきまして、われわれは陵墓の維持上支障のない、しかもそれが公衆のためになるようなところを削る承認をしたのは幾つか例があるはずでございます。そういうわけて、これからも——いまなかなか解決困難な、先ほど御指摘になりましたような池を埋め立てるとかあるいはごみを陵墓内に捨てるとか、いろいろな問題が出ております。これらにつきましても一々原因をはっきりさせまして、陵墓としての尊厳と申しますか、体裁を壊さないように、また公共の方もいいように、いろいろな工夫をしてまいりたい、かように考えております。  なお御質問によって他の者から申し上げます。
  155. 上田卓三

    上田委員 陵墓の修復に伴う調査七カ年計画ということですでに三年を経過し、四年目に入ろうとしておるわけでありますので、できましたら中間報告、どの程度調査が進んでおるのか、その実態についてひとつ御報告いただきたいと思います。
  156. 野本松彦

    ○野本説明員 いまの御質問でどの程度調査が進んでいるかという御質問、ちょっと理解しかねるのですが、いまおっしゃいました七カ年計画というのは四十二年度から四十八年度まで、第一次の七カ年計画で陵墓の特別整備工事をいたしております。第一次だけではすべての整備ができませんので、引き続き四十九年度から第二次の整備計画ということで、ただいま実施しているところであります。
  157. 上田卓三

    上田委員 それを聞いておるのです。
  158. 野本松彦

    ○野本説明員 工事の件数は非常に多くなりますので一々全部について申し上げるのはどうかと思いますけれども、まずとりあえず五十二年度の予定について申し上げます。  景行天皇陵の整備工事でございます。それから後宇多天皇陵の整備工事、順徳天皇火葬塚の整備工事、これは佐渡島にございます。それから越知陵墓参考地の整備工事、これは今年度と来年度二カ年工事で、二年目の工事でございます。これは高知県にございます。そのほかに陵墓の特別林相整備工事ということで、これは陵墓の林相整備について来年度は桓武天皇陵ほか八件について予定しております。先ほど経済主管が申しましたように、その予算の総額は九千四百九十八万二千円という予定になっております。
  159. 上田卓三

    上田委員 過去の四十九年度それから五十年度、五十一年度のを後で資料でいただけますか。第二次のです。
  160. 野本松彦

    ○野本説明員 差し上げます。
  161. 上田卓三

    上田委員 そこで、あと四年間調査し、また修復しなければならないところを修復するということでありますが、特に調査に際しては、日本の古代史というものをわれわれが勉強するについて、非常に貴重な資料が内蔵されておるだろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、特に学界、そういう古代史を勉強されている、あるいは古墳などを特に御調査されている学術界の方々との事前協議がぜひとも必要だ、こういうふうに思うのですが、そういうことはなされておるのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  162. 野本松彦

    ○野本説明員 陵墓の工事につきましては、特に遺構の保存が必要なものについては専門家の意見を聞きながらやっております。これは考古学あるいは土木等それぞれ専門家の方々の御意見を聞いて慎重に調査もいたしまして執行しております。
  163. 上田卓三

    上田委員 慎重に相談され、また調査され修繕をされているということでありますけれども、いままでの調査済みの陵墓に関するたとえば文書とかあるいは記録、見取り図、実測図あるいは写真とか出土品についてすべて公開をされておるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  164. 野本松彦

    ○野本説明員 調査の結果につきましては、学術的に非常に参考になる事柄につきましては、調査後十分整理し検討しました上で、書陵部で発行しております「書陵部紀要」という雑誌に発表いたしましたり、また出土品なんかも整理いたしまして一般の展観に供していることもありますし、図面なんかも、専門の研究学者の方々が見たいという御要望があればお見せをしております。
  165. 上田卓三

    上田委員 やはりこういう陵墓の中から出てくるところのすべての出土品というものを公開すべきだ、こういうふうにいま思うわけであります。そういう点ですでに雑誌などで紹介もし、またお見せもしているということでありますけれども、私の聞く範囲では非常に公開について問題がある。なかなか公開してくれない、もっと見たいものが見られないということを聞いておるわけでありますが、特にどうなんですか、私もそういう先生方よく知っているわけですけれども、そういうものをすべてどことこの古墳について——たくさんあるわけでもなかろうかと思いますので、そういう点はすべて見せていただけるのですか。
  166. 野本松彦

    ○野本説明員 調査いたしました結果、整理いたしまして整理済みのものにつきましてはお見せしているのですけれども、非常にむずかしいというのは具体的にどういうものか、ちょっとわかりかねますけれども、できるだけ学会の利用にも供するという精神でやっております。
  167. 上田卓三

    上田委員 調査済みのものについては見せていただけるわけですね。
  168. 野本松彦

    ○野本説明員 調査して整理して一般に公開といいますか、閲覧に供するような状態になっているものについては……
  169. 上田卓三

    上田委員 条件つきじゃなしにすべて見せていただけるのですね。
  170. 野本松彦

    ○野本説明員 そういった宮内庁資料につきましては一般公開ということではございませんで、特別の研究者に利用を願うということでありますから、その調査目的とか研究されたいという方々というようなものは、やはりお申し出があれば具体的に個々のケースで審査いたしまして、それで利用をしていただいているということでございます。
  171. 上田卓三

    上田委員 私がいま申し上げているのは、本来ならば一般公開できる部分はしてもらったらいいと思うのですけれども、なかなかむずかしい面もあると思うんですけれども、私は専門家のそういう研究者に対して公開してもらいたいということを申し上げておるわけでありますので、そういう点で、そういう専門的な研究をなさっている諸先生方には、そういう審査と言わずに無条件で、特にぼくらなんかが責任を持って紹介しますから、そういう先生方には見せていただけますね。審査というのはちょっとよくわからなかったのですけれども。
  172. 野本松彦

    ○野本説明員 出土品等の資料については、学問研究の目的ということがはっきりされている方ならばお見せいたします。
  173. 上田卓三

    上田委員 ありがとうございます。ぜひともその機会にはすべてひとつ、変な審査とかいうことで排除しないで、研究のためでありますから、それ以外の目的で見る方はないわけでありますから、ぜひとも御協力を願いたい、こういうように思います。  それから、これからの調査の問題についてですけれども、その問題についてもいろいろ研究なさっておる専門の先生の立ち会い、協議ということにもなろうと思うのですけれども、そういう問題についてもぜひともどこどこの陵墓の調査については私も参加させていただきたい、したいという方があったら、これも審査ということになるのかもわかりませんけれども、参加してもらうということになるのですか、その点どうですか。
  174. 野本松彦

    ○野本説明員 工事の事前調査については、先ほど申し上げましたように専門家の方々の御意見を聞いて慎重にやっておりますけれども、そういう方々というか、特に御意見を聞いた方は現場に行って、現場を見てやはり御意見を言っていただくわけでございますけれども、それ以外の一般の研究者、学者が希望するからといって、一緒に調査していただいたということは従来はございませんです。
  175. 上田卓三

    上田委員 たとえば私の近くでもたくさんあるわけですけれども、そういう興味を持つだけでなしに、常日ごろその地域ではそういう専門的な研究者であるという方々がたくさんおられるわけでありますが、そういう方々が——これは自分たちが勝手にできないわけでありますけれども、宮内庁の担当の方と一緒になって、宮内庁のそういう調査に私も積極的に協力したいというようなことがあれば受け入れる用意があるのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  176. 野本松彦

    ○野本説明員 私もかつて経験したことがございますけれども、現地調査をやっている場所がすぐ公道に通じているところでやっているような場合もございまして、そこで調査をやっているということを知って、研究者の方なんか見に来ておられたのは知っております。そして自由にだれでも通れるところですから、そこで見ていろいろ質問されたり何かしているのを体験したことはございますけれども、そういう方がひょこっと来られてぜひ自分も一緒に調査したいから——一緒に調査していただくということは考えておりませんけれども、特にその方が特別のその工事についての知識を持っておられる方で、その意見を参考にすべきであるということが認められれば、そういうこともあり得ると思いますけれども、一般論としては考えておりません。
  177. 上田卓三

    上田委員 そのときはぜひともひとつ御配慮いただきますようにお願いしておきたいと思います。陵墓というのは、皇族の方、皇室の方の私的なお墓ということになるかもわかりませんけれども、しかし日本の古代史、日本の歴史をひもとく場合、これを抜きにして考えられないし、このことを通じて日本の歴史というものをもっと深めていくということになろう、こういうように思うわけでありして、そういう意味では全く私的なものというよりも公的な性格を持っておるのではないか、こういうように思うわけであります。そういう点で、古墳などが非常に荒らされている、また周辺が宅地化されておるということで、これの保護がぜひとも必要になってくるわけでありますが、そういう点でぜひとも宮内庁では陵墓を史跡に指定してもらって、いわゆる文化財保護法の法律の適用を受けるということが最も望ましいのではないか、いまのような宮内庁のやり方だけでは本当に不十分である、こう言わざるを得ないと思うわけでありますが、そういう点で文化財保護法の適用を受けるような用意があるのかどうか、その点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  178. 野本松彦

    ○野本説明員 ただいまのところ陵墓について文化財保護法の適用を受けて指定を受けるということは考えておりません。
  179. 上田卓三

    上田委員 それはなぜですか。
  180. 野本松彦

    ○野本説明員 陵墓は他の普通一般の文化財とは違いまして、天皇皇族の御先祖を葬る墳墓として管理しておりますもので、もちろん陵墓によっては非常に文化的価値のあるものも存在していることは十分承知しておりますので、陵墓として静安を保ち尊厳を維持するということに第一に重点を置いて管理しているのはもちろんでございますけれども、文化的意味においても十分保護する、保存するという点にも力を置いてやっておりますが、その面においては先ほども申しましたように工事をやる場合には文化庁にも通知し、関係地元の都道府県等にも通知いたしまして慎重に工事を施行しているということで、指定をされなくても十分文化財保護という趣旨にのっとって工事をやっておるということでございます。
  181. 上田卓三

    上田委員 ぜひとも文化財の保護法を適用して、本当にこれを末代まで大事にわれわれの国民財産としてひとつ管理、保護していただきたい。特にそういう意味で文化庁とも十分御相談なさって、別々な管理にあるということじゃなしに、端的なことで言うならば、保護法の規定でやりますと非常に管理が行き届いているのですけれども、宮内庁さんの方は予算関係にもなってくるのだと思いますけれども、私的だということからしてまた非常にお粗末な扱いというのですか、そういう管理が十分行き届いていないわけでありますから、そういう意味で、私は国民的な財産だという意味でぜひとも国の保護を手厚くすべきではないかという立場で申し上げておりますので、この点についてさらに御検討をお願いいたしたい、このように思います。  さて、次の質問でございますが、施設整備費について、その内容について詳しく御説明を願いたいと思います。
  182. 石川一郎

    石川(一)政府委員 施設整備費といたしましては、皇居等施設整備費といたしまして二億六千九百四万八千円を計上いたしております。  この中身は、東宮御所の増築に要する経費が概算一億五千万円でございます。それから皇居と京都御所内の倉庫の整備に要する経費として約一億二千万円程度でございます。
  183. 上田卓三

    上田委員 次に交際費でありますけれども、交際費では二千二百六十万円計上されておるわけであります。そこで四宮家の外国との交際費というわけでありますが、この算定根拠をぜひともお示し願いたいと思います。
  184. 石川一郎

    石川(一)政府委員 これは皇族関係を中心といたしました交際費でございまして、これは皇族が公的御活動をなさる際の交際上の必要な経費でございます。外国との御交際もございますし、皇族のお立場でいろいろ大公使等を招かれたり、あるいは公的色彩のある行事に御出席なさる、そういう際の経費がこの交際費でございます。
  185. 上田卓三

    上田委員 五十一年度の実績で、五十一年度どのように使われたか、ひとつ詳しく。
  186. 石川一郎

    石川(一)政府委員 五十一年度は実は予算といたしましては千八百六十万円でございまして、ただいま申し上げましたような国際親善上必要な御招宴でありますとか、あるいはおつき合いのための贈り物でございますとか、あるいは公的なお立場でいろいろな行事に御出席なさる際の旅費でありますとか、そうしたものが中心になっておるわけでございます。ただ内容——実は交際費でございますので、交際的な経費として使われておりまして、全体の目的がそういうところに支出されているということでひとつ御了承をいただきたいと思うのでございます。
  187. 上田卓三

    上田委員 この項目は宮廷費によるところの交際費ということになるわけでありまして、内廷費の中にも私的な交際費というものが当然含まれておると思うのですけれども、その公的と私的とどのように区別されておるのか。だから私的なものは私的、いわゆる内廷費で組んでいる、公的なものを宮廷費で組んでいるのだという御説明だけでは説明にならぬわけでありますので、そういう点で私は、特にこの交際費は一体、本当にどのような公的な費用として使われているのか、その中身について十分お聞かせいただきたい、このように思うのです。本来なら私は、こういうものは内廷費ですべて組むべき性格のものではないのか、こ  のように思うのですけれども、そのことも含めてひとつお答え願いたいと思います。
  188. 石川一郎

    石川(一)政府委員 宮廷費に計上いたしております交際費は、これは皇族、主として四宮家の交際費でございます。四宮家には皇族費支出されておりまして、これはいま議員御指摘のような、性格としては私的なものでございます。法律上は品位保持の資に充てるために皇族費支出が行われることになっておりますが、性格的には私的なもの、こういうように考えております。  それから交際費でございますので、もちろんこれは公的なものでございますが、ただ経費性格上、どれにどういうようにこれだけということは差し控えさせていただきたい、こういう意味でございまして、ただ内容といたしましては、大きく分けまして公的なお立場でいろいろ外国交際上御必要な招宴でありますとか、あるいは贈り物をいたしますとか、あるいはときに御旅行になる、もちろんこれは国内でございますが、そういうような経費に大体充てられております。
  189. 上田卓三

    上田委員 先ほども申し上げたのですけれども、こういう交際費特に外国との交際等については、政治的色彩抜きだといいながら、やはりそういうものが十分感じられるわけですね。だからそういう点で、はっきり言うならばやはり宮廷費などから出す性格のものではない。政治活動を禁止されているにもかかわらず、そういう公的な交際という形でいつの間にか外国とのおつき合いをだんだんなさっていく、こういうところにぼくらは非常に疑義を感じるわけでありまして、全く私的というならば全くそれに対して何ら口をはさむべきでないかもわからぬ。しかしながら、それでも今後においてはある程度慎んでもらわぬと、何か皇室皇族の方が、そんなにはでにということは申しませんけれども、いろいろ外国とのおつき合いをされると、そういうものがテレビ、マスコミを通じて報道されるということに対して、一体どういうことなのかと、われわれ貧しい者にとってはやはり大きな疑問を持つことになるわけですから、そういう点について私は申し上げておりますので、ひとつその点について検討してもらいたい。御感想をひとつお聞きしたいと思います。
  190. 石川一郎

    石川(一)政府委員 御意見はよくわかりました。私どもといたしましても、公私の区分というものをできるだけ明確にするように今後とも努めてまいりたいと考えております。
  191. 上田卓三

    上田委員 できる限り公的なものを減らして、私的な範囲でとどめていただくように御要望いたしておきたい、このように思います。  次に、本題の内廷費の問題に入りたい、こういうように思うわけでありますが、最初にも、午前中申し上げたわけでありますけれども、特に皇族費はなぜ定額方式になっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  192. 石川一郎

    石川(一)政府委員 内廷費皇族費とも現在定額制度がとられておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、戦前皇室経費は定額でございまして、また外国等の例を見ましても定額になっておるわけでございます。具体的には現在「法律で定める定額」ということになっておりまして、いろいろとそのための御審議を煩わすことになるわけでございます。考え方によっては予算で措置する——イギリスは、内廷費皇族費に相当するものではございませんが、従来王室費というのがございまして、これは一世代、女王在世の間は変わらないというようなことになっておったわけでございます。しかしながらこれは、最近イギリスは非常にインフレーションが激しい、物価騰貴が激しいということで、現在は実は予算になったのでございます。  内廷費皇族費は定額となっておりますのは、やはりこうした関係経費がそう頻繁に、できるだけ変えられないように、ある程度は一定の額で、その中で御処理になるというようなことが一つあると思います。同時に、定額ということになりますれば、それでその金額が安定をすると申しますか、そういうような面もあったと思うのでございます。ただ、実際の状況を見ますと、かなり物価の騰貴その他の影響がございまして、どうしてもそうした状況を見ながら定額を変更していかなければならないという状況にはあるのでございますが、そうしたような趣旨で定額制度がとられているというふうに考えております。
  193. 上田卓三

    上田委員 私は、基本的にはやはりこういう定額方式、こういうような形じゃなしに、予算の中に組み入れられるべきではないか、このように思うわけであります。こういう定額方式というのは旧憲法の遺物でありまして、われわれとしては何とも理解しがたい。ある程度の額を固定させるという意味をおっしゃったわけでありまして、まあ去年よりもことしが減る、あるいは来年はさらに減るというような形というのはよほどのことがない限り考えられないわけでありまして、戦後の日本においては象徴天皇という天皇地位が明らかになり、また憲法上においてそのことがはっきりされておるわけでありますから、特に増額のない年などは国会審議にもかけられないということになるわけでありますから、そういう意味国会財政統制権といいますか、すべての国の財政は統轄されなければならないという見地からして、そういうもののらち外に皇室経済なりあるいはそういう内廷費皇族費などがあるということはおかしい、私はこういうように思うのです。  そういう点で、たとえば内廷費あるいは皇族費につきましても、予算が増額されない年でもそれらが国会で、どのように今年度はそれを使うのか、去年と同じというような形になるかもしれませんが、やはりその年度その年度、国民の信託を受けたこの議会において十分そのことが明らかになるということでなければいけないのではないか、私はこういうように思うわけであります。  そういう点で今後定額方式をやめて、すべて予算で計上するという方向で御検討いただけるのかどうか、その点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  194. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 申し上げるまでもなく、内廷費は内廷におられる天皇を初め皇族の日常の経費ということであります。また、皇族費は品位保持に要する経費ということに現規定ではなっておるわけであります。それを法律上の一定額の範囲において日常の生活を整理していくということでありまして、大きな事業をやる役所でもなければ、日常の御生活ということであります。ですから、よほど特別なことがなければこれを変えないという考え方は私は当然であり、しかも総額が国民に示されるということは、ああいう程度でなさっているということがわかるということであります。しかし、いまでもその定額が決まりますと、そのお金は、受け取られると公金でなくなるわけであります。それを毎年毎年御生活の内容まで審議するというと、プライベートという点が非常になくなってくると私は思います。何も秘密にするとかいうことを強く言うわけでなく、どこの家庭でも普通の場合において日常使う経費というものをすべて論議されて使うと言われるのは余りよくないと私は思うのです。ですから、一定の定額の範囲においてやっていくというのはよろしいのではないかと私は思っております。  それから、皇族費におきましても、品位保持とは一体何かということは、われわれ自体もなかなかわかりにくいことであります。皇族さんもよく私にお尋ねになって、ぜいたくと品位保持とはどこに境目があるのかという御質問で、答弁がはなはだむずかしくなるわけでございますが、前は、要するに皇族、宮家というのは一定の収入があってもよろしいという前提であり、内廷の方はすべての日常の経費を定額であらわすということになっておるわけであります。しかし、最近の物価の上昇に基づきまして、現在の皇族様の中ではそれに見合う収入がどんどんふえるというわけにまいりません。したがって、正直に申し上げますが、いまの品位保持というのは、生活を維持するということになってきていると思います。ですから、各宮家でも若干の財政的な差あるいは使用される人の差もございますので、中には相当苦しい方もおありじゃないかなと推測するわけであります。そういうことで、各四宮家を一定の定額で抑えてしまうということも実はわれわれとしては非常に困る場合も起こるわけでございますが、いまの皇室経済法ではそういうたてまえになっておりまして、皆さん平等に出ているわけであります。  それで、御私的にいろいろ相当御収入のあるところもありますけれども、わりあい収入を生むというのは少ない。ですから、むしろ税金に苦しんでおられるというふうにわれわれは伺っておるわけで、そういう点でこれはなかなかむずかしい問題で、皇室経済法というものを将来どう考えていくかということは、私ももう相当長くやっておりますが、頭にあって、どうしていいかなかなかうまい考え方がつかないわけでございます。  非常に率直に正直に申し上げましたが、そういうような情勢でございまして、すべてを国家予算にさらけ出して御審議を願うと、日常の生活についてはちょっと差しさわりがあるように私は思います。
  195. 上田卓三

    上田委員 私的とおっしゃったけれども、確かに私的な生活かもわからないけれども、これは公的な費用が出されておるわけです。こういう例がいいかどうかわかりませんが、たとえば生活保護を受けなければならない家庭、確かにこの人たちの生活保護費は決まっておりますよ。しかし、それらの内訳というものは明らかになっておるわけです。それが多いか少ないかということも、やはり国会で議論になるわけです。そういう生活保護者が若干の別途収入があれば云々というような話もあるわけで、非常に過酷な実態があるわけであります。人間皆平等なんです。国民の中にそういう多くの貧しい勤労市民がおられるわけでありまして、私たちはそういう方々の代表として国会に参っておるわけであります。相当な公費をもって内廷費として予算が定額でお手元金として渡されておるわけでありますから、年一回の予算審議といいますか国会審議の中で、それが多いとか少ないとかいう議論の前に、やはり中身について明らかにされることの方がかえっていいのではないか。そういうプライバシーだという形で国会審議のらち外にある、増額のときだけ審議される、こういっても、多いか少ないかについても、もともとの算定基準というものがわからないのでは、われわれそれを上げていいとか悪いとかいうことはなかなか判断がつかないと思うのですね。そういう意味で私たちは言っておるわけでありまして、予算として内廷費が組まれる、そういうものに対してある程度ガラス張りということがいいのであって、ガラス張りになったらお金が使いにくくなるということは全然ないわけでありまして、公然化することの方がかえっていいのではないか、私はこういうように考えるわけであります。  何せ、お手元金というような形で出されて、会計検査院の検査の対象外に置かれて雲の上にあるということ自身が、開かれた皇室ということから遠ざかっていくのではないか、私はこういう立場で申し上げているわけであります。そういう点で、毎年内廷費とか皇族費につきましても支出計画とかそれぞれの細目の提出があってしかるべきではないか、このように思うわけであります。もう一度、その点についてお答えをいただきます。
  196. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 御指摘になりましたように、特別な気の毒な方々の費用につきましてのお説は、まさにそのとおりでございます。われわれはそれを無視しようとも思っておりません。しかし、国民全体についてそうなっているわけではございません。それは特殊の事情のある方々についてであろうと思います。私どももいまの内廷費がきわめてぜいたくなというふうにも考えていないのでございます。しかも、いままで過去の増額というのも、初め決まりました基本に対して、物件費と人件費の増加割合をかけてきてそれが一定の限度を越したときにお願いするというぐらいの形になっておりまして、内容を非常にぜいたくに直すとかそういうようなことは一遍も考えたことはございません。そういうようなたてまえでできておりますので、どういう経費というのは、大体パーセンテージで申し上げているところでありますので、そういうことでお察しいただいて御審議を願いたい、かように思うわけであります。
  197. 上田卓三

    上田委員 ちょっと勘違いされていると思うのです。そういう気の毒な人は少数だけれども、ほかの人はそうでない——ほかの人は何も公金で生活しているわけではなしに、自分たちの労働によってその収入を得て生活しているわけであります。やはり公金の支出国会で問題になっているわけでありますから、公金であるならば、当然予算として計上されてしかるべきでないか、そういうことを言っているわけです。一般の国民の場合だって、公金で生活を余儀なくされている方は、その点はそういう形で明朗化されているわけでありますから、そういう意味皇族の方だけがそういう密室にあるということはいいことではないのではないかという観点で申し上げておりますので、その点は誤解のないようにお聞き願いたいと思うのです。  次に申し上げたいのですが、たとえば内廷費の定額について、ある程度パーセンテージでは明らかにされたように思うわけでありますけれども、そういうものがなぜ金額的に明らかにされないのか。端的に言うならば、この内廷費が当初決まった時点で、たしか昭和二十二年に内廷費の定額は八百万であったと思うのですけれども、このときは定額費の各細目についてちゃんとした金額が明らかになっておったわけであります。ところがその後そのことが明らかにされずにパーセンテージなどでお茶を濁しているということで、私は納得できないので、もともとのそういう決まったときの数字が明らかになっておるわけでありますから、その後においての数字の移り変わりというものは細目にわたって報告されるべきではないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  198. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 最初のときに八百万円だったのは事実でございますし、その当時ある程度の説明があったということも聞いております。ただ、その構成の内容につきましてはほとんどその後変わっておりません。要するに物価が変わってきたために変えてきたというようなことでございまして、特に特別経費を付加してきたとかいうことはほとんどないわけでございます。定額を守ろう守ろうということで今日まで来ていたわけでございます。
  199. 上田卓三

    上田委員 パーセンテージが変わってないということですから、パーセンテージが明らかにされているというのか、前の委員会でもある程度の数字が出されておるわけでありますから、それに対して定額費にかけていけば各項目ごとわかるわけです。それはこっちでわかるのですが、なぜそのパーセンテージだけ発表されて、そういうちゃんとした数字はもう明らかなんでありますから、なぜそういうことを御発表にならないのか、私はそこが不思議でならぬということを言っているわけです。そういう点で、こんなことを何回も言うのはいかぬですが、生活保護の場合だって、電気光熱費がどうとかああだとかいってきっちり決められているわけです。細かいところまで本当に決められているわけです。それこそ生活保護世帯に対して、定額費だという形で、去年が何ぼだったからことしは何ぼだという形でどんぶり勘定で、ある程度そこへ物価上昇率を加えていっているのかというと、決してそうではないわけです。ごく細目についていろいろ検討を加えられて、そういうものについて、ある部分については何%上がり、どの部分については全然上がらないとかいう形になっておるわけでありますから、私はやはりこの内廷費についても、皇族費についてもそういう形で、数字で、パーセンテージではなしに、そういう額であらわしていただきたい、こういうように思うのです。その点どうなんですか。
  200. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 総額は決まっておりますので、パーセンテージをかけていただけば出るわけで、これをなぜ数字で出さないかという仰せでありますが、これは今後検討いたします。
  201. 上田卓三

    上田委員 それは本当に次から出していただくということで、そこまで来ているのですから、余り出し惜しみというのですか、くどいようですけれども、われわれが意地悪で言っているのではないのですから、やはりそういう点は国民に明らかにしていただきたい、そういう前向きな形で私も発言させていただいておるのですから、そういう点で次からははっきりとした額を明示していただきたい、こういうように思うわけであります。  次に、内廷会計委員会というのがあるように聞いておるわけでありますが、この内廷会計委員会内廷費の管理をしているということでありますが、どのような権限を持っておるのか、あるいはこの構成員はどうなっておるのか、またどのような活動をしているのか、またこの委員会はだれに責任を持っているのか、そういう点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  202. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、内廷会計につきましては内廷会計主管というものを置きまして、この内廷会計主管が基本的にはこの事務を取り扱うようにいたしております。ただ内廷会計全般にわたります重要事項につきましては、いまお話がございましたように、内廷会計審議会というものを設けまして、この審議会で御審議を願う。そして予算なり決算を御報告申し上げまして、そこで決定したところに従いまして処理をする、こういうような形になっております。  それから審議会は会長と委員六人で組織いたしておりまして、会長は宮内庁長官の職にある者が当たっております。それから委員は次長初め部局長クラスの方が六人なっておりまして、別に監査委員を置きまして、内廷会計全般の処理に遺漏のないように、私的なことではございますが、そうした形で処理をするということにいたしておるわけでございます。
  203. 上田卓三

    上田委員 この内廷会計委員会は、いわゆる活動について皇室経済会議に正式に報告はされておるわけですか。
  204. 石川一郎

    石川(一)政府委員 皇室経済会議は、内廷費なり皇族費の定額の変更等につきましていろいろと御審議を願う、こういう機関でございます。したがいまして、内廷会計規程、定額等の変更の際におきましては、それらの実情については御説明を申し上げたこともあるのではなかろうかというように考えております。ただ、これは具体的に支出されましたお手元金をどのように運用していくかというための機関でございまして、これは内廷費を全般的に効率的に運用していこう、こういうようなことで設けられている組織でございます。
  205. 上田卓三

    上田委員 先ほどの内廷費の内訳の形になるわけでありますけれども、一応ここで変わってないということのようでございますけれども、もう一度内訳についてのパーセンテージを提示願いたいと思います。金額は次の機会からやっていただきますから……。
  206. 石川一郎

    石川(一)政府委員 内廷費の内訳の問題でございますが、最近の支出状況を参考にして概要を申し上げたいと思います。  まず内廷費を人件費と物件費に分けますと、その割合はおよそ一対二でございます。人件費は、神事を預かる掌典、内掌典、生物学御研究所の職員等二十五人の人件費でございます。それから物件費の内訳を申し上げますと、御服装、お身回り品等の経費が一八%程度、お食事、御会食、厨房器具等の関係経費が一二%程度、奨励金、災害見舞い金その他御交際上の経費が一〇%程度、御研究、御教養関係経費が七%程度、宮中三殿のお祭りその他神事関係経費が七%程度、医療その他のもろもろの経費が一二%程度、こういうことでございます。
  207. 上田卓三

    上田委員 パーセンテージを明らかにしていただいてありがとうございます。  次に、内廷費の中で天皇御夫妻、それから皇太子の御一家との経費の割合はどうなっていますか。
  208. 石川一郎

    石川(一)政府委員 これは共通の部門がございましてぴしっと正確には出ないと思いますが、全体の経費で申しますと、最近では大体三対一ぐらい、両陛下関係が三、それから東宮御一家の関係が一、全体の経費はそういうことになっております。人件費関係は大体両陛下関係、こういうように考えまして、大体そういう割合になっておるようでございます。
  209. 上田卓三

    上田委員 次に、先ほど出ておりました御料牧場の生産品目それから生産額の詳細を明らかにしていただきたいと思います。
  210. 石川一郎

    石川(一)政府委員 昭和五十年度の数字でございますが千五百二十五万円が全体の総額でございます。皇室に供出されておりますのがそのうちの千三十六万円。内訳……
  211. 上田卓三

    上田委員 後で資料いただけますか。——定額の引き上げということでここで問題になっておるわけですけれども、特に皇室皇族につきましては公的活動のすべての費用宮廷費という形で出されておるわけでありまして、そういう意味内廷費の絶対的水準というのですか、ここが問題になると思うのですけれども、いわゆる七人家族になると思うのですけれども、この方たちの生計維持の問題で、われわれ一般庶民から見るならば、多少物価上昇はあるということもよくわかるし、そういう意味では去年は上がってないということでわかるのですけれども、しかしもともとの絶対量というものもありますし、先ほどからいろいろお聞きしていると特に増額をしなければならぬ逼迫している状況がなかなか理解できないわけでありますけれども、その点についてどのような見解を持っておられるのかひとつお聞かせ願いたいと思います。
  212. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 実は前に国会におきましても、いろいろな物価あるいは人件費の上昇ぐあいを見まして、時を置いて増加をお願いしておったわけでありますが、その後物価の変動も激しゅうございまして、委員会では一年置きに出すとか毎年出してはどうかという御意見がたくさん出まして、そういう結果から皇室経済会議の懇談会が開かれまして、結局経費の中に一〇%の予算的な経費がございます、それをオーバーした場合には要求したらいいじゃないかということを皇室経済会議で御審議になりまして、自来それに基づいてやっておるわけであります。したがって昨年なんかは若干オーバーしましたけれども、わずかな数字なので、こういう機会だからといって要求を控えたわけでございます。その後、ことしの経理状況を見ていますとそう楽でもございません。やがて年度が済みますと状況がわかると思いますけれども、ことしは昨年よりさらに上昇しておりますので、そういうことから今度お願いしたわけでありますが、これもわれわれはがまんできるだけすべきじゃないかというところから、普通の場合よりも要求を一〇%少なくお願いしておるわけでありまして、時局にかんがみましてできるだけ節約できるところはしようという考えでそういう措置をいたしたわけであります。
  213. 上田卓三

    上田委員 この問題は国民の中でいろいろいまの定額が多過ぎるとかあるいは少な過ぎるのじゃないかという意見もあろうと思いますけれども、しかしながら多くの勤労国民にとっては本当に大変な額でございまして、そういう点についてわれわれ自身も理解ができないわけであります。そこでちょっとお聞きしたいのですけれども、外国の例、いろいろあろうと思うのですが、イギリスあたりと日本皇室との関係でどのぐらい、物価の水準とかいろいろあるように思うのですけれども、その点について特にイギリスと比べて日本皇室予算関係内廷費も含めまして、少ないと見られるのか、どういうふうに比較されていますか。
  214. 石川一郎

    石川(一)政府委員 英国の王室の場合について御説明申し上げますと、英王室の場合はわが国の皇室の場合とはちょっと制度が違っておりまして、直接にいま御審議いただいております内廷費に相当するものは、実は女王の私有財産収入で賄われているという形になっているわけでありまして、これはまさに私有財産収入でございますので中身そのものが全くはっきりいたさない。ただ新聞等で報道されておりますが、かなり私有財産をお持ちでございまして、お金持ちであると思うのでございます。しかし具体的には明らかになっておりません。別に国庫から支出されておりますのは王室費というものがございまして、これはたてまえといたしましては、先ほど申し上げましたように御在世の期間は定額で変えないということで長くやって来たようでございます。これは一九五二年に発足しましたが、一九七二年に九十八万ポンドに改正されまして、その後一九七五年には百四十万ポンド、一九七六年には百六十七万ポンドに改正されております。それからなお、公的な御活動経費といたしまして各省庁に予算がやはり計上されておるようでございます。これも何分外国のことでございますので、的確にどれがどう見合うかわかりませんけれども、一九七四年度で、女王の関係の公的活動経費といたしまして四百六十四万ポンドが計上されております。以上申し上げましたのは、一応君主の立場での公的な支出ということでございます。  なお、別に内帑費というものがございまして、これは、女王のお立場での個人的な支出に充てられるというような経費がございます。これは一九七〇年度で三十万ポンド、一九七三年で三十三万ポンド、またその後増額にはなっていると思いますが、いまのところちょっと資料としては持ち合わせておりません。  以上でございます。
  215. 上田卓三

    上田委員 外国と比較するということは別段必要でないかもわかりませんけれども、比較するとするなら、またいろいろ尺度もありまして一概に言えないと思いますけれども、私たちがある程度調べた範囲では、イギリスあたりよりも日本皇室皇族の場合は三倍ぐらいの国庫支出があるのじゃないかというように考えておるわけであります。その点についてはその程度にしておきたいと思います。  次に、皇族費の問題でございますが、皇室経済法は、先ほど長官もおっしゃいましたように「皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てる」と、こういうことでありますが、内廷費のように生活費というふうには考えられないわけでありますが、より具体的に言うとどういう費用支出されておるのか。まあ、皇族の方は、別途生活費といいますか、そういうようなものの費用の捻出については、私有財産もあるだろうし別途収入をお持ちのようでありますけれども、その点、いわゆる皇族費支出がどういう形で算定されておるのか、別途に収入もあるわけでありますから、その品位を汚さないというのですから、そこの、先ほどむずかしいんだとおっしゃったのですけれども、もう少しその点詳しく御説明いただきたいと思うのです。
  216. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど長官からお答え申し上げましたように、現在の皇室経済法では、皇族費の年額によります分は、品位保持の資に充てるために支出するものとされているということでございます。この品位保持というものをどの程度に考えるかということはこれはなかなか実際にはむずかしい、どの程度の水準のものをどう考えるかということがあるかと思いますが、私どもといたしましては、やはり皇族としてのお立場においてその品位を保持するにふさわしいような日常の御生活なり日常の私的な御活動が行われます場合に基本的に必要と認められるような経費というものを大体考えながら、これは抽象的でございますが、現実には状況を見ながら積算をされておるというように考えております。
  217. 上田卓三

    上田委員 ようわからぬわけですけれども、なかなかわかるようにも説明しにくいんじゃないかと思うのです。  この皇族費の、これも額は発表できないことになると思うのですけれども、構成比をひとつお示しいただきたいと思います。
  218. 石川一郎

    石川(一)政府委員 皇族費の定額を算定いたします場合におきましては、独立の生計を営みます親王及び親王妃お二方の場合の所要経費を一応もとといたしまして、実態を見ながら算定をしている、こういうことでございます。先ほど来申し上げましたように、四十三年十二月皇室経済懇談会が開かれまして、当時やはり一定の方針で定額を改定していったらどうであろうかということでございまして、その中で漸次積み上げをやってきておるわけでございます。したがいまして、その中身を細かく、実はこれだけにこういうものがこれだけ要ると、こういうことではないわけでございます。現実の四宮家の状況もながめながら、実際の御所要の状況も見ながらやってきておるということでございます。ただ、いま割合ということでございますが、人件費の方が実はウエートが高うございまして、皇族費の場合は人件費が大体五四%程度、それから物件費が四六%程度というようになっております。その中でさらに物件費でございますが、物件費については実はいま申し上げましたように細かく積み上げはいっておりません。したがってまた各宮家ある程度まちまちでございまして、この程度になっているというようにはちょっといまの段階で申し上げかねるわけでございますが、先ほど内廷費で申し上げましたように、お服装、お身の回り、御用度の関係、それから御食事とか御会食の関係とか御交際の関係、御教養、御旅行の関係、その他の雑費等に支出されているわけでございます。ただ、内廷費と違いましてある程度殿邸で光熱水料等の負担がございまして、そういうような関係が違っております。それから神事関係経費皇族の場合はございません。そういうような違いがございますが、経費としてそういうものが物件費の中に含まれておるということで御了承を得たいと思います。
  219. 上田卓三

    上田委員 人件費が五四%ということですけれども、具体的に四宮家での各家庭に、そういう意味では私的な労働者といいますか、俗な言葉で言うたら使用人というようなことにもなろうかと思うのですけれども、別途宮内庁の職員が側近でおられるわけでありますけれども、全く私的な形で人件費が支出されておると思うのですけれども、その内訳を、どの宮家には何人の方がおられるのか、その点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  220. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  各宮家で雇用いたしております職員数でございますが、これは現在のところ、常陸宮家が五人、秩父宮家が六人、高松宮家が十二人、三笠宮家が八人、合計三十一人ということになっております。
  221. 上田卓三

    上田委員 この皇族費について、なかなか私は理解しにくいわけであります。本当にたくさんな方が私的な形でおられるわけでありまして、そういう点で、その中にもいろいろ、たとえば高松宮家などは十二人もおられる。他に比べて倍ぐらいおられるわけでありまして、なぜそうなるのかというような点がよくわからないわけであります。特にある程度財力のある方は、この皇族費の大部分を、あるいは全部と言っていいほど人件費に回しているということで、そういう者は皇族費がなくてもある程度生活できる。あと問題は、人件費の問題となるとそんなにたくさん人が要るのかなというふうに考えられなくもないわけでありまして、そういう点非常に私は納得いかぬわけであります。  特に、ちょっとお聞きしたいわけでありますけれども、先ほど長官からもちょっとお話しあったと思うのですけれども、皇族の方で独立の生計を営むといった場合に具体的にどういうことなのかということで判断の、認定の基準というのは、当然皇室経済会議の議を経るということに皇室経済法の六条の二項で出ておるわけでありますけれども、その認定の基準、どういう人が独立して生計を営むと、結婚ということが条件になっているのか、結婚でなくとも成人に達して云々ということもあるように聞いているのですけれども、その点は一体どうなっているのか、ひとつお聞かせ願いたいと思う。
  222. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 この問題は、常陸宮様お独立のときに、将来の問題も考えて一体どういう条件があれば外部からそう認定できるかということでいろいろ議論もあったわけでございます。  一つには、成年に達せられるということは条件であろうと思います。それから同時に、普通の社会観念では、まだ学業にあるというようなこともございますから、そういうものを済んで結婚でもなさるとき、それからその御家庭に大ぜいおられて独立すべきであるというような点をいろいろ検討するよりほかに仕方がないのではないかと私どもは思うわけでございます。なかなかこれは具体的な方について簡単に言えませんし、結婚といいましても一生結婚しないまでもずいぶん遅くなる方もあるかもしれません。しかも、社会的にいろいろ活動もなさるというようなことになりますと、何をもってそれを認めるかということもございまして、これは具体的問題について一般社会がそれはそうだと言えるような状況のときに研究すべきじゃないかというふうに考えております。  ただ、結婚なんという問題がございますと、たとえが常陸宮様でも、結婚あそばしても、ただでさえ家でもいっぱいでございまして、それがすぐできるかどうかという問題も、仮にすぐ予算をいただいてやることになりましても、これはまあ二年前後はかかってしまうというような点もありますが、しかしそうかといって、早くたくさん建てておくわけにもまいりません。そういう点でわれわれとしてはいろいろ頭を悩ましているところでございます。
  223. 上田卓三

    上田委員 認定の問題が特に三笠宮の寛仁氏に、現在独身であるわけですけれども、とりわけ成人に達し、それを独立した者としていつ認めるのかというような問題とか、そのほかいろいろありましょうし、特にそういう皇族の方の御不幸になった場合に税金の問題も出てくるだろう、そういう点についてみんな関心もあるわけであります。とりわけ皇族の方については相当な資産あるいは不動産、株券等を持っておられるわけでありまして、そういう点についてわれわれ自身、これから各党の方々の御質疑があろうというふうに思いますけれども、そういう中でも明らかになるかもわかりませんが、総論的に、非常に私たちとしては、いま聞いた限りではなかなか理解しがたいということを申し上げておきたい、このように思うわけであります。  次に、予算から少し離れるわけでございますが、いろいろお聞かせいただきたいわけであります。  きょうは宇佐美長官にわざわざ御出席賜りまして本当に喜んでおる次第でございますけれども、いままで余り出ておられないということもございますが、そういう点でぜひとも政府委員宮内庁長官がなるべく出ないかということで、先ほど午前中は委員長に要望いたしまして、理事会で検討して、そして内閣を通じて長官に要請があれば受けるということでいいわけでありますが、これはぜひとも次回には早急にひとつ実現をしていただきたい、こういうように思うわけであります。  そこで、ちょっと個人事で非常に恐縮でございますけれども、長官はいつから長官になられておるのか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  224. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 私は昭和二十八年の十二月からでございます。
  225. 上田卓三

    上田委員 二十八年と言いますから二十四年間されているということで大変御苦労いただいておるわけでございますけれども、大臣は別にしても、各庁の長官がこのように長らくされるというのは全然ないというようにぼくは思うわけでありますけれども、こういうことはどうなんです。いいことなんですか、よくわからないのですけれども。長ければいいということもありますが、長いのもいかぬということもあるのじゃないかと思うのです。私は、やはり役所の機構でありますから、そういう人事の停滞というのですか、そういうものをなくすことが非常にいいのではないか、もっと新鮮な空気というのですか、そういう人事があっていいのではないかと思うのです。私が冒頭言いましたように、何か宮内庁長官は閣内の上にあって超然とした存在にいつの間にかなっておる。世間では、これは長官のお耳に入ってないかもわからぬけれども、これは宇佐美天皇というふうに言う方もあるやに聞いておるわけであります。私は新人議員だからこういうことを言えるのかどうかわかりませんけれども、その点について私は本人から聞くのは酷だとは思いますが、私はそういうことを考えていかなければならぬのじゃないか。  なぜかと言いますと、次の問題にもなるわけですけれども、普通の省庁の官僚といいますか役人さんは、大体二年程度で異動になっていますね。長くて三年ということのようでございますけれども、宮内庁の場合は一体どのようになっているのか。長官からしてそうだから、人事が相当停滞しているんじゃないのかなというような気もするわけでありまして、そういうことが国会なりあるいは内閣から一段と雲の上に行ってしまって、国会の場で内廷とか宮廷とか、そういうものが審議されずにあるということが、やはり国民にあらぬ不信を与えることになりはしないだろうか、私はこういうように思いますので、その点、酷なようでございますけれども、ひとつ長官から御感想をお聞きしたいと思います。
  226. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 昔の宮内省時代の宮内大臣というのも比較的長い方が多いのでございますけれども、私のように長い人はまずおりません。私はこれは余りいいことだとも思っておりません。ただ、ちょうど私がなりましたころからお子様方が漸次御成長になって、学校を出たり成年式があったり御結婚になったり御外遊になったりそれから次と出まして、先のことを考えているうちにだんだん長くなりました。私自体もいろいろ考えたことございませんが、それがうまくまいらなかったこともございます。おっしゃるとおり、余り長いということは余りいいことじゃないんじゃないかと私も思います。それだけを申し上げておきます。
  227. 上田卓三

    上田委員 それで結構でございますけれども、庁内のいわゆる人事ですね、大体どのようになっておりますか。
  228. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 前は平均在職年数はほかの役所よりも平均して相当長うございます。それはやはり役所という以外に、一つに御家庭というようなところがございまして、しょっちゅう人がかわっては御主人の方も非常にお困りになるというような点があるんじゃないかと思います。ですから、各宮家におきましてもその事務官とか侍女の長のような人は非常に長うございます。すみからすみまで知っていてすぐ御用が足せる、いわゆる家庭の事務というような点がございます。いわゆる外部に対する一般行政のようなものとは大分違ったところがありますから、若干長くなるということは認めていただかなければ困ると私は思うのでございます。ただ二十四年もというのはちょっとどうかと私自体で反省するわけでございますけれども、まあその折が長かったということでございます。そういうわけで、宮内庁のたとえば上の方の、侍従長も、私が来てからもう三人目ぐらいでございましょう。上の人もずいぶんかわってしまいまして、人も若くなってきております。そういう点だけ申し上げておきます。
  229. 上田卓三

    上田委員 特に宮内庁関係の役所の方は、その中である程度長い方がいいというそういう職についておられる方もあるだろう、私はそのことは否定しないのです。そういう点で、皇室の方の御家庭のことについて余りかわらないでいろいろ接していられているということは、そのこと自身はわかるわけですけれども、まあ全般的に見て、やはり人事の停滞ということはよくないわけでありますから、やはりできる限り他の省庁とも交流を図っていく、新鮮な者を送ることによって、庁内をもっともっと明朗な、本当にすがすがしい、そういう職場にしていただきたいということを御要望申し上げておきたい、こういうように思います。  次に御質問申し上げたい点は、いわゆる天皇の公的行為の問題でございます。現在の憲法では、いわゆる天皇の公的行為というものにつきましては、たとえば外国元首との親電親書の交換という、たとえばアメリカ大統領へのメッセージなども含まれるわけであります。また、儀式行事では、新年の一般参賀というようなものもございましょうし、また行幸では地方巡業と国会開会式ぐらいです。最初は、憲法の施行当時は、公的行事というのはいま申し上げた三つぐらいではなかったか、こういうように思っておるわけです。重要なものは三つぐらいではなかったか、こういうように私は思っておるわけであります。ところが、サンフランシスコ講和条約以後はさらにそれが発展しまして、いわゆる元首等との交際が招待外交によって増加されてきているのではないか。あるいは儀式行事では遊園会などが復活し、強化されておる。また、いわゆる行事行幸では、全国の戦没者追悼式が行われる。私はこういうものは何か再軍備、自衛隊あるいは防衛庁、そういうものの一環として強行されてきているような感じで受け取っておるわけであります。また、その他おびただしい数のいわゆる公的行為が行われておるわけであります。こういう、いわゆる既成事実的に拡大されてきた公的行為には法令上の根拠があるのかどうか。憲法ではちゃんと公的行為の中身を規定しておるわけでありますが、規定以外の部分がずっと公的行為というような形で拡大されてきておるわけでありますが、その点の法的根拠についてどのように考えておられるのかお答えをいただきたいと思います。
  230. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいまもお述べになりましたように、天皇陸下は憲法上の行為というものが憲法によって限定されております。それはそのとおりでございます。しかし、象徴としての御活動、これにつきましてはやはり純然たる私的なものと言えないものはいろいろございます。公の立場と申しますか、象徴としてのお立場としての御行動というものはございまして、これが大体公的行為ということでございます。これは一つの国家的な事務として宮内庁が所管をし、したがって、これにつきましては内閣としても責任を負うという形になっておるわけでございます。そういうわけで、その他はいわゆる私的行為で、御自分の好きな御研究をなさるとか相撲をごらんにいらっしゃるとか、いろいろそういう行動もございましょう。非常にふえているという仰せがございますけれども、いろいろの希望は出てまいりますが、やはり私どもは、両陛下の御負担ということがございますから、何でもかんでもふやそうという感じは持っておりません。もちろん、これも余り政治行為的な意味を含むようなものにはお出ましになりませんけれども、そういった以外の点については、いまお述べになりましたような、国会においでになりますのも外国においでになりますのも、政府からの陛下に申し上げるという形において行われるようなことで、これは純然たる私的のものとも考えられないと思います。  そういうわけで、その他いろいろお述べになりましたが、そんなに多くふえているとは私どもは思いません。いっかも国会でも、そういうことをだんだんふやしていくんじゃないかとおっしゃいましたけれども、やはり両陛下個人がなさることはそうたくさんはできません。ですから、いろいろ願い出もあることもございますけれども、私どもはそういうものはなるべくふやさないようにむしろ努力しているところでございまして、御心配になるほどのことはないと私は思います。  そういうわけで、もちろん私的の場合におきましても、それは天皇であることにお変りございませんから、私的だから何でもできるというものでもないと思います。そこはやっぱり一つの限度はあろうかと思いますが、そういうような考え方で三つの問題を扱っておるわけでございます。
  231. 上田卓三

    上田委員 日本憲法第一章第四条には「天皇は、この憲法の定める國事に閲する行爲のみを行ひ、國政に關する権能を有しない。」こういう形で規定しておるわけでありますから、やはり憲法の定める国事、いわゆる天皇の権能だけに限るべきであって、私は、それを拡大解釈をするといいますか、あるいは定めていないものまで拡大していくということは、これは憲法違反につながるのではないか、こういうように考えておるわけであります。特に、皇位の継承については皇室典範があるわけでありまして、国事行為については臨時代行法があります。ところが、公的行為には、憲法を具体化した法的根拠や基準が存在しないということを理由にして、いわゆる天皇の行為と権限を定めた憲法の四条に違反して公的な行為をふやしていっているということ。特にこれは私は申し上げたいわけでありますが、政府なりあるいは与党の自民党あるいは当時の占領権力といいますか、そういうものが政策上の要請に従って強化されてきた、そういう歴史的資産ではないか、このように思うわけであります。政府は、法令上の根拠のないことを理由にして、公的行為の範囲を拡大したり、天皇の政治的利用の絶好の手段にしようとしているのではないか、このように思います。そういう点で、天皇の公的行為というものに対して一定の基準なり限界というものを決めないと、拡大されていくのではないか、こういうふうに思いますので、この時点で天皇の公的行為というものについて、厳密に基準をつくり、そして一定の限界というものを定めないと、政治的に利用されていくということは大いにあり得ることだ。戦前においてそういうことがあったわけでありますから、そういう点で、ひとつ長官の考え方というものを篤と承りたいと思います。
  232. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 この問題は、国会におきましてもその他におきましても、同様なお考えを持つ方もおられます。憲法学者の中にもいろいろ議論がございまして、当然陛下の公的な事実行為というものはあり得るという議論をする方もたくさんおられますし、また反対の方もおられると思います。しかし、いままでは、政府も私どももそう考えますが、陛下象徴として、政治行為じゃなくて事実行為としてなされることは成り立つんだ、これは憲法に書いてないからできないという解釈はとらないということで参っておるわけでございます。
  233. 上田卓三

    上田委員 そのことについて、私は理解できないわけでありまして、やはり公的行為というものの限界と国事行為との相違がどこにあるかということを明確にしなければならぬ。やはり国事行為のみという、憲法ではそういう規定があるわけでありますから、それを逸脱することは、私は憲法違反になるというように考えておるわけであります。  そこで一つお聞きしたいわけでありますが、たとえば国政に関する権能を含まず、非政治的なものということが一つ、それから象徴天皇の生活に合致するもの、三番目に国事行為と違って内閣の助言と承認はあり得ないということ、そうして四番目に公的行為の責任は内閣がとる、五番目に公的行為に際しては天皇の意思が非常に大きな意味を持つということを政府が考えておるのではないか、こういうように思うわけでありますが、その点についてはそのとおりでしょうか。
  234. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただいまおっしゃいましたようなことは一切考えておりません。天皇を政治的に利用するとか、意図をもって天皇の行為をどのようにいたすとか、そういうことは一切考えておりません。
  235. 上田卓三

    上田委員 私が質問したのはそういうことじゃなしに、天皇の国事行為というものは政治的な国政には関しないということとか、あるいは非政治的なものであるということでおっしゃっておるわけでありますけれども、しかし実際問題として、こういう公的な行為だというように意思決定するのは一体だれが行うのかという問題があるわけですね。これは政治的なものでないとかあるとか、こういうものを一体だれが、いつ、どこで決定されておるのか、私はそこに大きな問題があるのではないか、こういうように思っておるわけであります。そういう点で、いわゆる内閣の助言とかあるいは承認とかいうものなしに、実際内閣は本当に公的行為の責任はとれるものかどうかということで、非常にわれわれは心配しておるわけでありますので、そういう点についてもう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。
  236. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 なかなかむずかしいところでございまして、国事行為ということは、憲法ではっきりと第七条で明記されております。それ以外に象徴天皇とされまして、自然人の天皇が私的で行為をされても、そこには公的行為というものがやはりにじみ出してくる。国民の側あるいは外国の人は、私的な行為をされても、そうはなかなかとりづらい、そういうふうなお立場に私は天皇はあろうかと思います。ですから、なかなかその辺はむずかしいところでございまして、内閣の助言と承認なしに天皇が私的行為を行われた場合も、あるいは公的行為として受け取られかねないというふうなこともあろうかと思います。その意味で、なかなかこれはむずかしい問題だと思うんです。
  237. 上田卓三

    上田委員 結局、天皇の私的な行為を放置するということになりますと、それらがすべて公的行為だというように解釈されていくとするならば、象徴天皇の域からさらに国家元首的なそういう性格に移行していくのではないか。やはり象徴天皇というものと元首というものとは全然違うわけでありますから、そういう点で何か日本の場合は、そういう象徴天皇から元首化しょうとしているのではないか。それが公的行為という形の拡大解釈の中で進められておるというところに、私は大きな疑義があるわけでありまして、そういう点についてやはり一定の歯どめといいますか、限界というものをきちっと決めない限り、私的だということの名のもとで公的行為がなされておるとするならば、私は大きな問題だと思うんですが、そういう点についてもう一度聞きたいと思います。
  238. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただいま申し上げたとおり、なかなかその辺がむずかしいところでございまして、天皇の私的行為であるのか公的行為であるのか、それを決めるということ自体が、天皇の御性格上、地位という象徴的存在、これはなかなかむずかしいことだと思うんですが、おっしゃる意味はよくわかります。  そこで、天皇の公的行為についての、あるいは私的行為についての限界、その区別、その辺はっきりしろ、こうおっしゃる御質問だと思うんですが、その点につきましては、今後ひとつ研究いたしてみたいと思います。
  239. 上田卓三

    上田委員 それに関連して質問したいわけであります。  昭和五十年度にいわゆる公的行為は何遍行われたのか、ひとつ種類別に数字で示していただきたい。また同じく主要な私的行為の件数を示していただきたい、このように思います。時に自衛隊幹部の拝謁は昨年も行われたのかどうか、この点について。またそのときには、聖旨に従い云々というような文章を相変わらず読み上げているのかどうか、その点についてひとつお聞きします。
  240. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 自衛隊の幹部が陛下に拝謁するということは何年前からか行われております。やはり自衛隊も普通の官庁と同じように、ほかの役所でも会議等がありまして地方の幹部が集まりますと拝謁をしているわけで、自衛隊だけ区別する理由はないと私は思っております。それで、昨年は向こうから願い出もございませんので、ございませんでした。あの前で何かむずかしい文句を読み上げるということはいままでも余りないのじゃないかと思います。そのとき申し上げたこととか何かが雑誌に出たというようなことは聞いたことがございますけれども、特別に文章をそこで読み上げたというのではなかったんじゃないかと記憶いたしております。
  241. 福留守

    ○福留説明員 昭和五十年のデータでございますが、たとえば外国元首との御親書、御親電の交換、御親書が八件、御親電が四百九十六件、そういうものがございます。それから儀式行事関係といたしましては、定例儀式の行事が十二回、それから拝謁等はいろいろございますが、いま私の手元に持っております資料が公的なものと私的なものと若干入り混じっておりますので、後刻御連絡することにさせていただきたいと思います。
  242. 上田卓三

    上田委員 自衛隊幹部の拝謁、それはあえて断る必要がないということの御指摘でありますけれども、やはり国民戦前天皇制ファシズムというものを体験しておるわけでありますから、そういう点で、今後さらにこの自衛隊の増強に伴ってそういう対外的な侵略戦争というところまでわれわれ日本憲法の第九条をいただいておるわけでありますけれども、しかしそういう憂いというものが十分にあるわけであります。特にその拝謁したときの文言というものが大きな問題になるわけでありますから、そういう点について、いま公的なものについて件数を御報告いただいたわけでありますが、私的な問題も含めてもっと詳細なものをひとつ資料として後日提出いただきたい、こういうように思います。  次に、いわゆるさまざまの定例外の公的行為が考えられるわけでありますけれども、ことし新たに行うこと、計画していることがあるのかどうか、いままでと違った新しい公的行為というものを考えておるのかどうか、あるとすればどういうものなのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  243. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 毎年大体定例的なものでございまして、いま特別に新しいものを計画してはおりません。
  244. 上田卓三

    上田委員 次の質問に移ります。  三月の二十日に読売新聞なりあるいは——特に読売新聞の朝刊の三面に載っておった問題でございますが、ちょっと読み上げます。「天皇メッセージは口頭だった」との見出しで「一九五〇年六月の朝鮮戦争発生に伴い、米軍が朝鮮半島に出動したことについて、天皇が感謝の意を伝えるため米政府に送ったという秘密」のメッセージがあったと報道されておるわけであります。  米国の軍隊が朝鮮に出兵した、それに対して感謝のメッセージを送ったということでありますが、こういう事実があったのかどうなのか、そのことについて一体どう考えておられるのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  245. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 私どもも新聞のあれで初めて知ったわけでありますが、調べてみますと、アメリカの機密文書の公表されました中にそういう意味のことが出ておるそうであります。それで、その中にありまする秘密メッセージということが、親書が出たとか電報が出たとか、いろいろなふうに書いてある雑誌等も出てまいりましたけれども、当方には一切そういう記録は残っておりませんし、記憶している人もないわけであります。たとえば向こうの方の新聞報道を見ましても、そういった書類があるとは思わないというようなことであります。一体それではどういうことで伝わったのかということをいろいろな関係者に聞いてみましても全然見当がつきません。そういうわけで、そのころちょうど朝鮮に戦争がありまして、アメリカが参加したということに対する各国の反響をアメリカ側で、各大使館と申しますか、そういう関係者の方に聞いてきたのに対する返事らしいようでございますけれども、こちらでは一切思い当たるところがないわけで、いろいろ聞いてみましたけれども、書類も残っておりませんし、何もございません。
  246. 上田卓三

    上田委員 アメリカ国務省、まあ受け取った方でそういうことを言っておるわけであります。英文でコンフィデンシャルメッセージ、こういう言葉でありますが、それはそのとおり訳せば親書ということになるわけでありまして、やはり手紙ないしそういう文書ではなかったかとわれわれには推定されるわけであります。記憶があるとかないとかいうよりも、事実関係についてもっと私は、これは重大な国民の関心事だ、いや国民だけじゃない、世界的にこのニュースというものにやはり注目しておるわけであります。片方では、そういうものがあったということをわざわざ新聞でも報道されているということでありますから、もっと詳しく事実関係について調査される考えがあるのかないのか、お聞かせ願いたいと思います。
  247. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 いま仰せになりましたように、われわれもはっきりしたいということからいろいろ調べたわけでございます。ただメッセージということは親書、親書というのは陛下みずからのお手紙というような意味でありまして、そういうものは絶対に出た根拠はありません。それから電報等もございません。それで、その親書というのにはあるいは口頭で伝えたのもあるかもしれぬと言う人もあるのでございますが、それを陛下が直におっしゃるということもまず……。残ったものは何にもございませんし、ですからわれわれとしてはこれ以上調べようがございません。
  248. 上田卓三

    上田委員 調べようがないと言ったって、やはり疑問というものは残るわけでありますから、そういう点で長官がおっしゃるような形では国民は納得しない。私も納得できません。まあ調べた結果というような形でおっしゃっておるわけでありますけれども、このニュースソースというものもあるわけでありますから、もっと厳密な意味での調査をする、あるいは現地に行って、そういう調査団を派遣して真相の解明をするということは、私は当然あってしかるべきではないか。長官天皇にお聞きになって、いやそんなことはないとおっしゃったのか、その点もお聞きしてないわけでありまして、そういう点で、詳しくここではお聞きいたしませんけれども、この問題に対してもっと国民に納得できるような形で私は解明していただきたい、このように思いますので、その点についてだけひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  249. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 とにかく、文書が出たとか電報が出たという根拠は一つもないわけで、ただメッセージというわけでございます。これは外務省で調べてもらうほかないのでございますけれども、外務省においても宮内庁においても、そういうもとになるものは何も残っておりません。それから、当時関係があったような人の意見なんかも聞いてみましても、そういう事実があったというのは知らないという人が大部分でございます。  そういうわけでございますから、われわれとしてはどういうところからそれが起こったか、むしろ不思議なんで、アメリカ側から聞きたいぐらいなものでございますけれども、アメリカの方もどうもそういう親書はないということを言っておるらしいのです。ただ、メッセージというのは非常に大きく聞こえますけれども、どういう程度のものを言っているのか私どもにもよくわかりません。
  250. 上田卓三

    上田委員 そういうことをおっしゃいますけれども、いわゆる米国国務省の公表したところの外交資料集、米国の外交関係一九五〇年の第七巻にこのことが記載されておるわけであります。アメリカの国務省のそういう外交関係についての資料集の中に、当時天皇からそういう感謝のメッセージがあったということが記載されておるわけでありますから、やはりこの問題について、なかったらなかったということで明らかにしていかなければならぬし、あればあったでどうするかということも明らかにしなければいかぬと思います。  そういう点で、どういうすべもないというのじゃなしに、これはわれわれとしても、党としても調査団を出して、そういうものについて究明をするということもあるだろうと思いますが、やはり政府自身もこの問題について国民に納得できるような形で行動をとっていただきたい、そのことを要請をしておきたい、このように思います。それでいいですか。それじゃちょっとその点だけ聞いておきましょう。
  251. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 何度も申し上げましたが、われわれとしてはこれ以上調べようがございません。そういうことを申し上げるよりほかに仕方がございません。あらゆるところを当たってみましたけれども、そういうものが出たという痕跡がこちらにはございません。ですから、向こうにどういうことで行ったのか。それはどういう意味のものか、それはもう、向こうの発表の文書もきわめて簡単でありまして、わからないわけであります。
  252. 上田卓三

    上田委員 だから問題だと私は言っているんですよ。調べようがないというのじゃなしに、調べられるわけでありますから、相手の方で発表されているのですから、そのことに対してはっきりさせる必要があるんじゃないですか。私は絶対にこの問題については後日また問題にしたい、こういうように思っております。  次に、元号問題について少し御質問を申し上げたい、このように思います。  昨年十月に、当時西村総務長官国会答弁で、内閣告示で元号を存続する、と政府の基本方針を明らかにしたわけであります。いわゆる内閣告示で元号を存続するということでありますが、いわゆる公式制度連絡調査会議の検討はどこまで進んでおるのか、その進捗状況についてお聞かせ願いたいと思います。
  253. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 元号制度に関しましては、原則的に前内閣の意思を継承いたしておりまして、公式制度連絡調査会議での検討はまだ進めてはおりません。
  254. 上田卓三

    上田委員 明治以来の、いわゆる明治時代から続いているところの一世一元の元号制というのは、天皇こそが日本の統治者あるいは主権者であるという考え方に密接に結びついておるのではないか、こういうようにいま思うわけであります。この天皇がかわることによって年号、いわゆる元号がかわるという元号制は、国民の日常の生活の中から、天皇の統治のもとで年月が進行するという意識を植えつけるもとになっておるわけでありますが、そういうことになっておるということについて、現状認識について長官はどう考えられますか。
  255. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 上田委員のおっしゃいましたような意見もあろうかと思いますが、また別に、現在の元号があることを、非常に便利である、そうしてまた国民の間にその元号が現在非常に定着いたしておる、こういう意見も多数ございます。  昨年の八月に総理府といたしましては元号問題に関しまして世論調査をいたしました。その結果、元号は存続された方がよい、圧倒的に元号の存続支持でございました。一言申し上げておきます。
  256. 上田卓三

    上田委員 その調査は私はよくわかりません。どのような形でされたのかわからないわけでありますが、いずれにしても、この元号制というものが天皇の統治という——主権在民なんですからね。主権者は国民なんですから、天皇じゃないのですから、そういう立場で、日本の歴史が天皇によって進行しているわけではないのであって、国民の英知によって、努力によってやはり歴史がつくり上げられていっておるわけでありますから、そういう点で、元号制というものが便利であるという問題と、天皇の統治というものを国民に意識づけるという意味で、私はこの点についてはっきりとした考え方を持たなければならないのではないか、こういうふうに思うのです。だから、その点で天皇との関係を私は申し上げておるわけでありまして、現在の元号制というものが歴史的にそういう形で形成されてきたということで、やはりこの時点でこの問題を考え直すということが一番正しいのではないか、こういうように思うわけであります。  特に、元号制の法律的根拠はどこにあるのかということでありまして、そういう点で、旧憲法下ならいざ知らず、現在の憲法のもとではこういうものは法的根拠を欠いておるわけでありますから、この元号制というものをそういう内閣告示ということではなしに、正々堂々と国会の場で議論をされて当然であるし、また、その問題について法制化ということであるならばやはり国会で明らかにしなければならぬのではないか、そういう点で私たちは、何か非常に国会審議を避けてこそこそと大事な問題を処しようとしているのではないか、このように考えるわけでありますが、その点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  257. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 こそこそとやろうというふうなことは毛頭考えておりません。原則的に前内閣の意思を継承いたしておるということを申し上げたわけでございますが、こういう元号というふうな問題は、これは国民の世論、動向、意向、これを尊重しなければならぬと思います。ですから、原則的にということを申し上げたのはそのために申し上げたわけでありまして、なお国民の世論なり動向なり意向なりをもう少し見詰めて政府は決定いたしたい。しかし、現在はどうかと聞かれれば、原則的に前内閣の意向を継承いたしておる、こういうことでございます。
  258. 上田卓三

    上田委員 どっちみちこの問題は、その他の委員会でも、特にこの委員会で問題になろう、こういうように思うわけでありますか、やはり全国民が完全に納得するまで十分な国会討議を尽くすことは当然必要である、こういうように思うわけであります。  本当に元号制というのはわが国だけに通用している問題でありまして、世界的に見るならば、世界的なそういう諸関係を無視した、時代錯誤と言ってもはばからないわけでありまして、こういうような元号制をとっている国が諸外国にありますか。あればひとつお知らせ願いたいと思うのです。
  259. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 現在何カ国がとっておるかということをちょっとつまびらかにいたしませんが、調べて御報告いたします。
  260. 上田卓三

    上田委員 時間の問題はありますけれども、私もあらかじめ五時間ないし六時間ということを申し上げておりますし、一応予定しているので、ほかの人がもしかされるのだったら、私あとを譲っても結構です。次の機会にさしていただきたいと思いますけれども、質問を切るというわけにはいきませんので、御了解いただきたい、こういうように思います。  外国の例があるかないかということでありますけれども、これは非常に大事な問題でありますから、恐らくないのじゃないか、こういうように私は考えているわけですけれども、政府みずからの手で一回やはり事実関係についてお調べ願いたい、こういうように思います。  いずれにいたしましても、元号制度をとっているのはわが国だけであるというように断定してもいいわけでありまして、そういう点で元号制の存続をわれわれは策謀、こう言いたいわけでありますが、結局のところは、国際社会の中で日本天皇制ナショナリズムのもとで特殊化しようとする反動的、政治的傾向を助長するものではないか。国際的相互理解の向上、日本人の国際感覚の向上といった時代の要請に逆行するものであると私たちは考えます。  重ねて長官にこの二点の問題について判断をお伺いしたい。特にやはりこの問題について慎重に今後対処してもらいたい。私が申し上げていることを前内閣の云々と言うのではなしに、国際的にも注目されておると私は考えるわけでありますので、そういう点でやはり私の発言に対してもっと前向きな形でひとつ検討するという形で御決断をいただきたいと思います。
  261. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 しばしば私申し上げておるのでございますが、このような大切な問題は世論のおもむくところによって、いわばカキの実が熟するように世論が熟したところで決定すべき問題である、かように思います。  ただ、不測の事態が起こるということもございますので、そういつまでもカキの実が熟するのを待つわけにもいかぬという点はございますけれども、しかし考え方としては、国民の皆様方が全部御納得いただく、こういう方向で取り決めたい、かように思っている次第であります。ただ、いま現在と聞かれれば、さっき申し上げたような原則的に云々、こういうことでございます。
  262. 上田卓三

    上田委員 国民の意思のおもむくところということでありますから、国権の最高機関である国会で正々堂々とひとつ議論をしていただきますように切にお願いを申し上げておきたい、このように思います。  次に、三月三日の午後、日本じゅうというよりも世界じゅうをにぎわしたとも言える、経団連の事務局に立てこもったいわゆるヤルタ・ポツダム体制打倒青年同盟と自称する新右翼の行動について、長官はどのような印象を持っておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  263. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 私にもよくわかりません。研究を特別したわけでもございませんし、その後の調査メモを当局からとっておるわけでもございませんし、そのやった人々、三人でございましたか、その心境はよくわかりません。ただ、非常に遺憾であり残念なことをやってくれたものだ、こういう気持ちはございます。
  264. 上田卓三

    上田委員 新聞あるいは雑誌でも、この新右翼の行動が何が何だかさっぱりわからないということを言われておるわけであります。こういう表現をしておるわけであります。しかしながら、この四人の犯人というか、右翼の檄文は、先ほど言いましたYP体制、いわゆるヤルタ、ポツダム宣言の体制打破ということと同時に、天皇陛下万歳、こういうことを唱えておるわけであります。そういう意味で、私はこれが一体何を意味するのか、天皇と右翼というものが歴史的に思想系列として非常に結び合わされておるわけでありまして、行動右翼といいますか新右翼といいますか、こういう行動に対して、もっと政府としては対処していかなければ、国民はまたぞろ天皇制ファシズムの復活ではないか、こういう形で非常に憂えておるわけであります。そういう点で、さっぱりわからないという形だけでなしに、もっとこの点について厳しく対処する必要があるのではないか、こういうように思うわけであります。そういう点で、この事件に対して、真相の把握について一体どのような態勢をとったのか、あるいは現在時点でどんなようなことがわかっておるのか、そういう点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  265. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 私は、天皇の名前をかりて何か意図する、あるいは政治的に利用するということについては、先ほども申し上げましたように一切排撃すべきことであって、また禁止されていることだと思うのです。ですからそういう点については、いまの三人ですか四人ですか、その行動は私はまことに遺憾である、かように思うのです。  それから、その後の調査はどうなったかということでございますが、これは残念ながら私は聞いておりませんので、また調べて、機会があれば上田委員の方に御連絡申し上げます。
  266. 上田卓三

    上田委員 まだよくわからないということは、公安当局等からも事情は聞いていないということですか。こういう問題については当然聞くべきじゃないですか。私は怠慢だと思うのです。やはり真相を究明していく。この問題は天皇陛下万歳、こういうことを言って、天皇というものを政治的に利用しよう、こういう一つの集団があることも事実なのでありますから、長官としてそういう点について十分に関心を寄せ、事情聴取に当たってもらいたい、このように思うわけであります。  こういう事件が起こったということを考える場合、やはり歴史的に見ていかなければならないだろう、こういうように思うわけであります。たとえば、かつてドイツのヒトラーが最初の決起を図ったところのいわゆるミュンヘン事件も、当初は茶番劇のように、どうもわからないということで国民から笑われるような、そういうことであったにしても、しかし彼ら徒党は結局はドイツ民族社会主義労働者党というような名のもとに権力を奮取することに成功し、そうして最も凶暴な独裁体制を打ち立てたということがあるわけでありますから、そういう意味での右翼的な暴力革命、そういうものに対して十分に政府としては考えを新たにしなければならないのではないか、こういうように思うわけであります。まあヒトラー、彼らの徒党はいわゆるベルサイユ体制の打破を叫んだわけであります。いま彼らはいわゆるヤルタ、ポツダム宣言体制の打破と、同じようなことを——全く同じということじゃありませんが、思想的によく似た、そういう立場に立ってやっておるわけであります。そういう点で当時のベルサイユ体制いわゆる英、仏、米と対立した形でのパターンというものと、そして同時に、基本的には、今回の青年たちがとった動きというものは、何としてもソ連邦とかあるいはそういう内外の民主勢力の打倒というものを目標にしているということはもう言をまたないのではないか、こういうように思うわけであります。  そういう点で、今日の社会情勢というものは大きく変わってきておりますし、また歴史的条件は大きく変わっておるわけでありまして、そういう点で天皇の名を使っての新右翼の蛮行というものについて絶対に放置することなく——一定の条件のもとで政治犯罪への導火線になるということは大いにあることであります。こういう事態の防止のために、宮内庁としてはどのような対策が今後必要であると考えるか、あるいは警察が手錠もかけずに甘やかしたかっこうで、あたかも英雄気取りをしようという人らに対して、報道陣も含めてでありますけれども、そういう取り扱いというものについて一体どう考えておるのか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
  267. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいまいろいろお話を承りましたが、宮内庁としてこの問題につきまして批評的なことを言う立場にないと思います。御意見は十分伺いたいと思います。
  268. 上田卓三

    上田委員 そういうことですけれども、私は非常に不満であります。しかしながら、時間も来たということでもございますので、私の発言は終わりたいと思います。
  269. 正示啓次郎

    ○正示委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  270. 正示啓次郎

    ○正示委員長 速記を始めて。  次に、新井彬之君。
  271. 新井彬之

    ○新井委員 いろいろともう質疑があったかと思いますけれども、重複するかもわかりませんが、若干の質問をさせていただきます。  初めに、内廷費及び皇族費の定額改定の理由及びその算出の方法についてお伺いをいたします。
  272. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  内廷費の定額及び皇族費歳出の基礎となる定額につきましては、御承知のとおり皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定によりまして、現在それぞれ定額として一億六千七百万円及び千五百三十万円と定められておるのでございます。これらの定額は、昭和五十年四月に改定されたものでございますが、その後の経済情勢の変動がございます。特に物価も上がってまいっておりますし、二回にわたって国家公務員給与の引き上げが行われておりまして、内廷の職員につきましても国家公務員の給与に準じて改定をしなければならないというような事情もございまして、そういうような点から内廷費の定額を一億六千七百万円から一億九千万円、それから皇族費算出の基礎となる定額を千七百六十万円に改定いたしたい、こういうことで関係の法案を提出いたしておるわけでございます。  内廷費及び皇族費の定額の改定基準につきましては、昭和四十三年十二月の皇室経済に関する懇談会におきまして、原則として物価の趨勢、職員給与の改善等によって算出されます増加見込み額が定額の一割を超える場合に実施するという原則的な取り決めをいたしておりまして、この基準によりまして、しかし実態を見ながら必要が生じた都度改定をいたしてきておるのでございます。  定額の改定をいたします際におきましては、内廷費皇族費を通じまして、積算の基礎といたしましては、物件費及び人件費に区分をいたしまして、物件費については、前回改定時以降の消費者物価指数、これは東京都区部の指数を使っております、この指数の上昇率により、人件費につきましては、国家公務員給与の改善率によりましてそれぞれ増加見込み額を算出いたしまして、その算出された額の合計額の一割を予測できない不時の支出等に対処するための予備的経費として加算して定額を算定することといたしておるのでございます。  ただし、今回の定額改定におきましては、現下の経済情勢、財政事情等を考慮いたしまして、御日常の御生活に御不自由がないように留意しながらも、一層諸経費の運用について御工夫をお願いすることといたしまして、いま申し述べました方法によって算出された額から、その基礎となる物件費相当額の一割を減額いたしまして定額を算定いたしておるのでございます。  今回の改定につきまして数字的に申し上げますと、消費者物価指数は二年間で二二・九%の上昇でございます。それから二回の給与改善率は一八・五%ということになっております。このため、これらの上昇率を乗じた後、物件費については先ほど申し上げました総額の一割相当額を減じまして、さらに予備的経費を加えて計算いたしました結果が、内廷費については一億九千万円、皇族費算出の基礎となる定額については千七百六十万円となっておるのでございます。以上でございます。
  273. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま説明いただきまして、四十三年のときからただいまのような計算方法にしたというようなお話でございます。この皇室経済法の施行は二十二年の五月三日からでございますが、そのときの内廷費が八百万円、それから皇族費が十五万円ということが定められたわけでございます。私、この審議に当たりまして非常に困りましたことは、公あるいは私的、こういう問題があろうかと思いますが、その中で実際問題としてどういうことまでが公のことであって、私的な問題というものはどういうような内容があって、どういうことにお困りなんだろう。したがいまして、二十二年五月三日のときにこの定額を決められました、その定額が改定されて、四十三年の改定分からは東京都の物価指数であるとかあるいはまた人事院勧告によるベースアップの分とか、考え方によっては非常に合理的な内容になっておるように思うわけでございますが、その一番の基礎となる定額が決められた経緯について御説明をお願いしたいと思います。
  274. 石川一郎

    石川(一)政府委員 昭和二十二年当時は、御指摘のように定額が八百万円ということになっておるわけでございます。当時は非常な混乱期でございまして、実際にどういうように見積もるかというのは、私はなかなかむずかしい問題であったのではなかろうかと思うのでございますが、そしてまた、現在の内廷なり皇族状況状況が違っております。そこで、当時の状況に即して実際にいろいろとそこには判断が加えられたと思いますが、当時としてどの程度必要があるのであろうか、こういうような積算をいたして八百万円なり十五万円、特に宮家の場合は定額制度でございますので、各宮家ごとに幾らというようにはやっておらないわけでございます。定額で出しましてお一人、お一人幾ら、あるいは妃殿下の場合は幾ら、こういうようなやり方でございまして、必ずしもこれはぴったと現実の御所要とはマッチしないという面があると思いますが、やはりあるべき姿としてそういうものを考えながら計算がなされたのではなかろうかというふうに考えております。  これを基礎にいたしまして、実は昭和二十三年には、当時インフレーションでございますので、八百万円の金額が二千万円に改められております。その後はまた二千八百万円というように、これは連年でございますが、当時のそうした経済情勢が反映したことと考えております。皇族費につきましても十五万円が二十万円、三十六万円、六十五万円というように改められてきまして、以後情勢を見ながら、いろいろ御所要を見ながら計算をしてきているというような状況でございます。  時にはいろいろとやり方を考えたようでございますが、昭和三十九年にはこの内廷費が六千八百万円、皇族費が五百十万円ということになっておりまして、その後しばらく定額の引き上げというのは行われませんでございました。昭和四十三年に実は六千八百万円という内廷費の定額が八千四百万円に改定されたわけでございます。この前後にいろいろ御論議がございまして、ただ所要を見るとかいうことではなくて、ある程度基準的なものを考えたらどうかというような御指摘等もございまして、いろいろ御論議もございました関係から、四十三年の十二月に皇室経済懇談会で、一応内廷費について申し上げれば、人件費と物件費に分けまして、さらに予備的経費として一割を加算いたしまして、その定額の増加見込み額が一割を超えれば原則として定額の改定を行ったらどうであろうか。これはまあ原則でございますので、もちろん原則をただ例外なしに適用するということではございませんが、大体そういう方向になりましたので、以後その方針に従いまして定額の改定を進めてきている、こういうことでございます。
  275. 新井彬之

    ○新井委員 私がお伺いしたがったことも、ただいま答弁にございましたけれども、その点であったわけでございます。ちょうど昭和二十二年の五月三日に八百万円でありましたものが二十三年四月一日に二千万円になっておるわけでございます。したがいまして、よしんばいまのような計算方法をいたしましても、物価上昇率等も見たのでございますけれども、どうも合っていないような感じがする。そうしますと、一番初めに決められたこの定額と申しますものは、これはもうあらゆる論議を尽くしまして、特に新しい憲法のもとにおいてこれをどのように運営しなければならないか、こういうことでものすごい議論の中でこの八百万というものが決められたのではなかろうか、このように感じてまいったわけでございます。物価の変動とかいろいろな状況によって皇室経済会議で決められるわけでございますが、三年たっておるときもある、二年たっておるときもありますが、その幅におきましても一定のルールといいますか、どうも計算法が成り立たないような感じがした。したがいまして、四十三年のいまやられておるルールのやり方の定額そのものが、まずここで本当に見直しをされなければならないことではなかったか。したがいまして、当然今回のこの改定につきましても、これは皇室経済会議でいろいろ御議論があって決められるわけでございますが、現実はこうでございます、皇室経済会議を開いていただいてこういうことを改定願いたいというぐあいに御進言されるのは宮内庁ではないかと思います。したがいまして、東京都の物価指数が上がった、あるいは人件費かこれだけ上がった——確かに、四十三年のときの申し合わせによりまして、一〇%上がった場合はということになりますから、当然その一〇%上がっているからお願いしますということにもなろうかと思いますが、もっと掘り下げて、それだけではない、現実のいろいろな状況と申しますか、そういう中から、これを開いていただきたいというようなものがあるのではなかろうか、私はそのように感じたわけでございます。  今回、このことについて、これが正しいのか、間違っているのかについては、どこにも資料がないわけでございます。だから、こういう状態だからこれでいいんだとか悪いんだとかという状況がないわけでございまして、私といたしましても、率直なところ、この定額を決められたときの、そしてまた推移をされてきた御議論の中にあって初めて、ああ、これになら大丈夫だとか、ああ、これくらいならいいのではないかというような判断がつくのではないか、このように私自体が感じたわけでございます。  先ほども御答弁がございましたが、いままでは物価指数に対しまして、その物価指数が幾ら上がったかということを掛けて計算をなさる。ところが今回につきましては、内廷費につきましては、物価経費と物価上昇率を掛けまして、そしてその一割の削減というものをここでやって、それに足すところの人件費掛ける給与改善率、それからなおかつその総合計において一割削減ということを計算をされているわけでございますね。いま言ったことは間違いございませんか。
  276. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ただいま御指摘のあったとおりでございます。
  277. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、確かに前回のときにいろいろな御議論がございまして、毎年上げればいいではないか一ということは、毎年毎年人事院の勧告が現在の状況では出ております、それから物価も非常に上がっておるわけでございますから、この一割の予備的経費というのをやめて上げればいいではないかとかいろいろな御議論があったことを私もある程度承知しているつもりでございます。今回はやはりそういう議論を踏まえましてこういうような計算方法にされたと思うわけでございますが、このような計算をされた場合に、いままでの四十三年度からの状況からいきますと、やはりここで不足を生ずるのではないか、このように私は考えるわけでございますが、ここら辺の考え方について再度お伺いをいたしたいと思います。
  278. 石川一郎

    石川(一)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、定額の増加見込み額が一割を超える場合は原則として定額の改定をいたしたい。これは原則としてということでございまして、具体の適用に当たりましては、実際の諸般の事情等をも考えながら検討をいたしていかなければならない問題であるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、五十一年度について従来の方針によって定額の増加見込み額を計算いたしますと、内廷費皇族費いずれも一〇%を実は超えたわけでございます。しかし、これは経済情勢その他を考え、また超える率も〇%を上回ることがわずかでございまして、また改定をいたします際には連続三年の改定にもなるというようなこともございまして、諸般の事情を考えました結果、五十一年度は引き上げを行わなかったということでございます。  そこで、五十二年は積み重なりまして、結局物価の率も二年分、給与改善率も二年分ということでございますが、人件費の方はやはりできるだけ国家公務員に準じてやっていきたいということで、これはむずかしゅうございますが、物件費については国の予算等でもいろいろ節約をなされておりますし、皇室においてもごしんぼういただこう、こういうような趣旨を込めまして一割相当額を減額する、こういうことにいたしたわけでございます。したがって、それをやらない場合に比較しますれば、その面だけは多少御窮屈であるということはあろうかと思うのでございます。
  279. 新井彬之

    ○新井委員 そのときそのときに応じてこういう計算をされるということは、私もわかるわけでございます。かつて仁徳天皇のころに、民のかまどから煙が出ていなければ食事をされないというようなお話もございましたし、現在の陛下におかれましても非常に質素な方ということを漏れ承っておるわけでございますけれども、そういうような御意向を受けてやられたのではないかというぐあいに了解をいたしますが、いろいろなことがおわかりになっているのは宮内庁の方でございますから、そういう点については今後ともいろいろな面についてわれわれにも教えていただきまして、そして私たちが確信を持ってこうやられたらいかがですかと言えるような状況にしていただきたい、このようにお願いをする次第でございます。  そこで、今回のこの費用の中で、ただいまもお話がございましたが、現在内廷職員としては何名いらっしゃるのか、そしてまた宮家の職員は何名いらっしゃるのか、そしてその処遇についてはどのような状態になっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  280. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  内廷関係の職員は掌典、内掌典というのがございまして、こういう神事関係の職員と生物学御研究所関係の職員、その他奥向きの雑事等を扱う者、合計で二十五人でございます。それから宮家の職員でございますが、これは常陸宮家が五人、秩父宮家が六人、高松宮家が十二人、三笠宮家が八人、合計三十一人でございます。  これらの職員につきましては、かつては一般の職員よりは給与の水準がやや低いというような問題もございましたが、たとえば宮家の場合には国からの職員もございまして一緒に働いているというような関係がございまして、できる限り国家公務員に準じた処遇をしていこうということで取り扱いをいたしておるわけでございます。
  281. 新井彬之

    ○新井委員 ちょっと立ち入って御質問するかもわかりませんが、たとえて言いますと、一般の勤務をしておられます方というのは、健康保険とか厚生年金とか退職金とか失業保険とかいうものが比較的完備されておるわけでございます。給料は国家公務員の方よりも比較的低いということでございますが、そういうような処遇についてはいかがなっておりますか。
  282. 石川一郎

    石川(一)政府委員 そうした年金関係のものも大体一般の国家公務員に準じたような形で、これは強制加入じゃございませんが、各宮家あるいは内廷ごとで考えておるわけでございます。ただ恩給とか年金に相当するような面、その辺のところが、まだ少し足りないというような状況でございます。
  283. 新井彬之

    ○新井委員 この内廷費とか皇族費につきましては、管理運用というのはだれがやられておりますか。
  284. 石川一郎

    石川(一)政府委員 内廷費につきましては、先ほど上田先生の御質問にもお答え申し上げたところでございますが、皇室経済主管の職にある者が内廷会計主管ということで総括的にその処理に当たっております。しかし、これは別に内廷会計審議会というものを設けまして、そこで予算なり決算、それぞれ御審議を願って、それに基づいて執行をいたしていく。もちろんこれは私的なものでございますが、そういうような組織をもって当たっております。それから宮家につきましては、多少これは宮家ごとに違いがあるのではなかろうかと思いますが、宮家の私的使用人等が中心になって、これは陛下等と御相談しながら執行をいたしておるというように聞いております。
  285. 新井彬之

    ○新井委員 これは法律を見ますと、お手元金ということで、公金とは当然分離をされるのだというぐあいになっております。したがいまして、公のことは、そういう担当者がつきましてそしていろいろ管理もされ、また報告もされるというのは当然だと思いますが、このお手元金については少なくとも法律的にはそういうようなこと一切なしに、陛下なら陛下が御自由にそのことについては使われるようになっておるのではないかと考えるわけでございます。したがいまして、それらの管理そのものがそういう陛下の御意向を受けておやりになっておられることとは思いますけれども、現実の問題として、よそに買い物に行かれるなんということはちょっと考えられないことでございますから、どういう場合になるのかということについてはいろいろのことがあろうかと思いますが、現実の面としてそのお金がお手元金として御自由に使用されておるということが、不自由なくやられておるかどうかという問題ですね。そういうこととの兼ね合いで現在質問させていただいているわけでありますが、その問題いかがですか。
  286. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいまの御質問の点でありますが、もちろんいま経済主管が御説明しましたとおりに、相当の金額でございますし、過ちがあってはならないわけであります。私的なことではございまするけれども、私的なこともお手伝いしなければ陛下お一人でおできになるわけもございません。ですからそこにやはり役所に似せたような委員会をつくりまして、一年の計画を立ててその審議を経まして、そして陛下にも申し上げてお許しを得たらそれを執行する。しかもこれには監査員もおりまして、使った後の監査も厳重にいたしております。その報告によって決算を承認するというようなことを委員会はいたしているわけでございます。本当に予算ということになるとある程度縛られてしまいますが、ある程度の、余り大きいお金でもございませんが、御自由にお使いになれるお金はやはりお手元にある。これはもともと陛下皇太子様、たとえば内廷費で申しますとそういう方のお金でございますから、それはいろいろ御注文があればわれわれもそれを考えるということは当然でございますが、そういうようにして、しかもきちんきちんと整理をしているわけでございます。
  287. 新井彬之

    ○新井委員 いまも長官から御答弁いただきましたが、少なくともお手元金というのは御自由に本来ならお使いにならなければならない。しかしながら、直接そういうことができるわけではございませんので、だれかにお願いをしてそこでその支出がされると思うわけでございます。ところが、いまのお話だと、何か会計監査員みたいな方もいらっしゃいますし、いろいろなことのチェックがありまして、非常に厳重におやりになっておられるというようなことがありますので、私は陸下が不自由をされておるようなことはございませんかということを心配をして先ほど質問したわけでございますけれども、その件はいかがかということを再度御答弁を願いたいと思います。
  288. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 私どもは内廷といたしまして、いろいろな物件にしろ、人件費にしろ区分けがございます。これはやはり計画的にしなければなりません。しかしそのほかに、一銭でも陸下が何かお買いになりたいときにも予算審議を経なければならないということは余りに窮屈でございますから、お手元のある程度お使いになられるというものは、そういうふうに取り分けてございます。ですから、そう御不自由であるということには思いませんし、そういうことがありますれば、またその中でふやしてもいいことでございます。そういうようないま扱いをしておりまして、その他、役人の方で経理をいたしますから、間違いがあってはいけませんから厳重な監査もするということでございます。
  289. 新井彬之

    ○新井委員 これもまことに失礼になるかもわかりませんし、わからないからお伺いするわけでございますが、たとえて言いますと、私なら私が自動車を一台買いたい、こういうふうな状況のときには、給料もらっておりますからその給料の中からローンで買うとかあるいは一括して買うとかいうことがあるわけでございます。ところが、実際皇室の方々が、特に陸下等におかれて、そういうことは公用車というものがあるわけでございますから、そんなものは必要ではないとかいろいろなことがあるかと思いますが、たとえて言えばその自動車を買う場合に、われわれなら銀行で借りて物が買える。そういうようにある程度自分の意思としての融通がきくわけです。したがいまして、その中でいろいろな生活が楽しめるということになるわけでございます。したがいまして、私が一番思いますことは、憲法にうたわれております制度としての天皇陛下と個人としての天皇と申しますか、そういう公私というものは始終ついて回るわけでございますけれども、その公私の中にあって、私の部分を占めるのがこの内廷費ではないかというぐあいに私は理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、たとえて言いますと、植物の研究をなさる、これも私的な問題でございます。そういうことで自分で職員を雇われたりいろいろなことをおやりになるということでございますが、われわれならばいろいろとそういう金融機関でお金を借りたりいろいろな手配はできますけれども、そういうことができない方に対して、やはりお手元金というものの使い方について、これはあれですといって残ったものがちょっとしかないのだというような状況であっていいのかどうかということが、私も内容的にわかりませんから、いいとも悪いとも判断のしようがございませんけれども、御不自由をされておられるのではないか。少なくとも公あるいは私的な問題、この二つに分けまして、そういう面についてはやはり明確にしてあげなければならないのではないかということを考えるわけでございます。これはまた後で、ほかでもこの問題について私お話をしたいと思いますけれども、長官のお話を聞きまして、別に現在のところは御不自由はされておらない、こういう了解でいきたい、そういうことで進めていきたいと思います。  そこで、そういうぐあいに予算がちゃんと決められてしまっておりますから、お手元金として残ることはない、余り大したことはないというようなことに私はとったわけでございますが、先ほども説明がございました物件経費と人件経費、こういうことではある程度わかるわけでございますが、もう少し何か、たとえて言いますと私たちの生活の中で衣食住ということが基本になっております。したがいまして、そういう内廷費の中でどういうようなパーセントで占められておるのか、もしもよければお教え願いたいと思います。
  290. 石川一郎

    石川(一)政府委員 お答え申し上げます。  内廷費の最近の支出状況を参考にいたしまして使途別内訳について概要を申し上げますと、人件費と物件費の割合は一対二程度でございます。  物件費の内訳は、御服装、お身の回り品等の経費が一八%程度、お食事、御会食、厨房器具等の経費一三%程度、奨励金、災害見舞金、その他御交際上の経費が一〇%程度、御研究、御教養関係経費が七%程度、宮中三殿のお祭りその他神事関係経費が七%程度、以上その他の雑費もろもろの経費でございますが、一三%程度、こういうことでございます。
  291. 新井彬之

    ○新井委員 こういう場合はいかがですか。急に御病気になられた、こういう場合には病院の費用等については当然全部国が持つ、そういう宮内庁予算に入ると思いますけれども、健康に留意するような費用ですね。病気といいますと極言すると病院というのや、健康を保持するためにわれわれで言うと指圧をしていただくとか、あんましてもらうとか、あるいは栄養的なものを毎日錠剤を買って飲まれるとかこういうようなことがあろうかと思いますが、そういう費用についてはどちらに入るのでございますか。
  292. 石川一郎

    石川(一)政府委員 ただいまのお話によって判断いたしますと、これは御日常の経費ということでございますので、一般的には内廷費になると思います。
  293. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、そういうような費用も含まれるということになりますと非常にその予算が——お体の健康なときと悪いときとあるわけでございますけれども、そういうときの、極端にいえば今回削られた予備的経費でございますね、その予備的経費というものはそういうような何かハプニング、考えられないようなことが起こった場合に、当然国家予算につきましても——どこの家庭でも貯金というものをしているわけでございます。したがいましてそういうことが起こった場合の予算、これは当然予備的経費として前に置いてあったわけでございますが、今回は先ほどからの御説明のとおり私は納得しますが削られておる。そうしますとそういうときに費用が要るというような問題についてはどのような対処をされてまいるのかお伺いしたいと思います。
  294. 石川一郎

    石川(一)政府委員 私の御説明があるいは悪かったかと思いますが、先ほど申し上げましたのは人件費物件費に分けまして従来の方法で算定いたした結果、その物件費の一〇%に相当するものを減額しているということでございまして、そのようにして算出いたしました人件費と物件費の合計の一割に相当する予備的経費は定額の算定の基礎に入っておるわけでございます。これは積算上そういうようにいたしておるということでございまして、もちろん具体的に予算編成いたします際にも予備費というようなものは組まれるわけでございますが、しかし全体から申しますれば、決まりました定額全体がお手元の金でございますので、その中には決められたとおりこれは予備費だこれは人件費だこれは物件費だということでは必ずしもないわけでございます。まあ具体的には人件費等は大体そう変動がございませんのであれでございますが、ときに退職とかその他のことがございますし、それからかなり給与アップが行われるというようなことがあるかと思います。物件費は主として御所要の変化等があるということがあると思います。そうしたいろいろな変化がございますので、それ以外に中途におきまして思いがけないような支出がある、いまお話のございました医療費とかというようなこともそれに当たるかもしれませんけれども、そういうものに充てるために具体の予算ではやはり予備費というものを組んで遺漏のないようにいたしておるわけでございます。
  295. 新井彬之

    ○新井委員 皇室経済法の第六条に「独立の生計を営む」という表現がございますけれども、私たちで言えば独立するということは、二十歳を迎えますと成人式を迎えるとかあるいはまた結婚した場合に独立をするとか、こういうことになろうかと思いますけれども、皇室経済法で言われております「独立の生計を営む」という状況というのはどういうことが言われますか。
  296. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 先ほどもほかに御質問がありまして申し上げたわけでありますが、独立の生計としての認定ということは法律的には特別な条件とまでは書いてございません。したがいまして社会通念上の問題として考えるべきであると思いますが、一つには成年に達してないといけないということは考えられます。二つには結婚が行われて普通でございますとそれで社会に出るというようなときが外からもわかりやすいということだろうと思います。ただ先ほど申しましたけれども、結婚しない方でいつまでもおられるというようなことが起こりますとこれはちょっと困りますが、それで結局その際にどういう社会的な動き方をなさっているか、こういうふうないろいろな点を集めまして、それぞれの方の御生活ぶりを見て考えるよりほかにしょうがないのじゃないかと思います。そういうふうに考えておりまして、具体的な方の問題として、いま申し上げたようなことを中心に考えていきたいと思います。
  297. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、たとえて言いますと、自分は一応独立の生計を営みたい、こういうことで一般的に就職をされるとか、これは就職ということは食べるためという意味じゃなくていろいろ仕事につくというようなことがあろうかと思います。皇族の方の中でよしんばそういう仕事をしたいのだということがあった場合、これはそのまま認められると言ったらおかしいのですけれども、一般のところでもちゃんと仕事に行けるのかどうか。これはもう当然個人の権利でございますから、自分が社会に迷惑をかけない、あるいはまた自分でこういうことをやりたいということについて、これをとめるということは、ちょっと逆行するような感じもいたすわけでございますが、そういうことは自由にできるわけでございますか。
  298. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 皇族が職業につくことができるかどうかということは、法制局とも打ち合わせいたしておりまして、これは就職ができるという解釈になっております。現実には三笠宮様のところの宜仁親王がいまNHKに勤めていらっしゃいます。これは正式の社員でございませんが、嘱託として、かつてカナダの大学に二年以上御留学になりましたので、そのとき覚えられた英語を主として使って、いま熱心にお勤めになっております。ですから、これももうすでに大学も出て職業につかれたという意味で、あるいは独立の生計を営むというふうに見ていいのかどうかという問題も出るわけでございますが、お兄様の方はいろいろな社会事業に興味を持って、身障者の問題でございますとか、いろんなふうに動いておられますが、まだ御結婚も、もう三十を超されるところでありますけれども、まだでございます。そういうのをどういうふうに見ていったらいいか、いま現在われわれの課題でございます。
  299. 新井彬之

    ○新井委員 法制局等もこれを——私もいろいろ法律を、ほかの関連法規を見せていただいたわけでございますが、何かやはりこの経済法等からいきますと、当然国費でこうして予算計上されておる中で、仕事の種類も多々あろうかと思いますけれども、それの仕事の種類によってはこれは当然制限されるような法解釈があるのではなかろうか。しかしながら、もっと極言すると、全面的にその仕事というものが何か一つ与えられてしまって、こういうことはやりなさい、しかしほかのこれはだめですというような、一つ型にはまったようなものになるんではないかというようなことがこの法律の中では想像されまして、ただいま御答弁いただいたとおりでございますが、なるべくならば、これは本当に本人の御意思がやはり生かされるような方向の考え方をしてあげるべきではなかろうか、私自体はそのように考えるわけでございます。  それからもう一つ皇室典範第十一条に「年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」ということがございます。この件について、どういうことか御説明願いたいと思います。
  300. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 お答えの前にまたちょっと、三笠宮様の外国のお勉強になりました大学をカナダと申し上げたそうでございますが、オーストラリアでございます。失礼いたしました。  皇族が職業におつきになる、やはり皇位継承権をお持ちの方でございますから、余り営利的であるとか、まあ世の批判を受けるようなところに御就職というのは、われわれも望まないところでございます。やはりできるならば、一つの公的な、そういうことのないところに、就職されるならばそういうところを選んでいただきたい、かように考えるわけであります。われわれとしましても、もし起こってまいりますと、そういう点にお力添えをしたいというふうに思います。  それから後の御質問で、皇室典範の第十一条に、皇室の身分を離れる場合はどういうことかということでございますが、内親王とか王、女王は、御自分の御意思によって皇族の身分を離れることができます。その中に親王というものを除いておりますが、これは特に天皇のお身近の方として皇位継承関係もありますので、自分の意思だけではできないということにしてあるようでございます。それから、年齢も満十五年以上としておりますが、これも身分上の意思決定をする能力という限界を満十五年ということにしたはずでございます。それから王につきましては、皇位継承資格を有せられますが、そのときに親王が非常に少数であられるというような場合、あるいは皇位継承の点で不安があるような場合、皇族の身分を離れないようにお願いするようなことも考えるべきであるだろうと思います。そういうようなことでございます。
  301. 新井彬之

    ○新井委員 私、自分の意思に基づきまして皇族の身分を離れるということで、確かにただいまのお話のように、離れていただいては困るというような状況がある場合もあろうかと思います。しかしながら、そうでない場合に、御本人が離れたいというような場合に「皇室会議の議により、」ということがございまして、皇室会議が本人の意思というものをどのように尊重されるかどうか、具体例がないのでちょっとわかりかねるわけでございますが、歯どめとして、もう九九%は本人の意思でございます、しかし、何かの歯どめとしての一%というような形で置かれたのか、それとも何かほかの意図があって、そういうものが、この「皇室会議の議により、」というものが入っているのかどうかということがもう一点でございます。  それから、逆に今度は「やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」ということになっておりますが、「やむを得ない特別の事由」というようなことは、何か特別に想像されたようなことがあったのかどうか、なければ結構でございます。世間一般で言われるようなことであれば結構でございますが、何かそういう想定をされたような内容があればお教えを願いたいと思います。
  302. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 皇室会議の議によってということは、まあよほどの場合であろうと思いますが、次の「やむを得ない特別の事由があるとき」という、その「特別の事由」ということは、皇室としての品位を非常に傷つけるとか、あるいは皇族としてその地位を保持することが不適当な事情があるというような場合を言うのであろうと思います。  なお、そのうちには、皇族が非常にふえる、非常にたくさんになったというような場合には、ある程度皇位を離脱していただくということが考えられる場合があろうと思います。そういうようなことをいろいろ予想してできている法律だろうと思います。
  303. 新井彬之

    ○新井委員 憲法第八十八条とそれから国有財産法との兼ね合いのことについてちょっとお伺いをしたいのでございますが、皇室経済法の附則に「この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となったものは、第一条第二項の規定にかかわらず、皇室経済会議の議を経ることなく、これを皇室財産とする。」こういうぐあいになっているわけでございます。したがいまして、ちょうど憲法が公布されますときに、いままで皇室が使われておりました財産、これについてはそのまま国有財産とはなりますけれども、皇室用の財産としてあるわけでございます。そういうことでございまして、この皇室財産というもの、たとえて言いますと葉山の御用邸ですね、あの御用邸を、たとえて言いますと公園なら公園というものに少し分けてあげようというようなときに、やはりそれなりの、そのままいかない手続といいますか、そういうようなものがあろうかと思います。したがいまして、本来国有財産というのは大蔵大臣が管理をいたしまして、不要なものについては終始チェックをいたしまして、もっともっとこういう活用をしなければなりませんということでやっておりますし、逆に今度は、各省の長官等が、この土地についてはこのような活用をしてもらわなければ困りますというような形で再三にわたってやはり国有財産の適正管理の問題というのが言われておるわけでございます。そういう面につきまして、私はこの皇室財産というものの内容、そういうものは全体を知らないわけでございますけれども、皇室財産が何といいましても皇室の方しか使われないという限定された財産でございますから、これが現在本当に活用されてやられておられるかどうか、それからまた、もっとたくさんの皇室財産が要るんだというようなことがあるのかどうか、あるいは逆に、このところはもう要らないから整理をして、国有財産の普通財産としてお返ししようとか、そういうようなことについてはどのような経過といいますか、そういうことがあったかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  304. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいまお話しのとおりでございまして、憲法規定によって、すべての皇室財産国有とすということでございますが、その前に、国有財産の中には普通財産のほかに皇室財産という性格のものができております。ですから、いま陛下皇室がお使いになるものは皇室財産という形において宮内庁が管理するという形になっております。いままでも、たとえば沼津の御用邸なんかもありましたけれども、これを皇室財産から外しまして、大蔵省と協議の上で大蔵省に返して、そして国有財産の普通財産として、ただいまは沼津市の公園ということで、みんな市民が非常にたくさん訪れているそうでございます。そういうようなわけでございますから、私どもも皇室財産として不要になったものは大蔵省の方の普通財産の方にお返しする、用途を廃止するということに手続上なるわけでございます。
  305. 新井彬之

    ○新井委員 じゃ、あと二問だけで終わりたいと思います。  一つは、現在の憲法は、第一章の中で一条から八条まで天皇のことについて明確に規定をされておるわけでございます。これはもう私、自分の実感みたいな感じでお話をさしていただくわけでございますけれども、私もいままでは戦中、戦後ということで生きてきたわけでございますが、陛下に対するお考えといいますか、憲法は明確に変わったわけでございますが、具体的な、行動的な問題としてどういうことが変わったんだろう。  たとえて言いますと、皇太子殿下が来られたような場合におきましても、もう本当に警備に次ぐ警備ということの方が先に立ちまして、相変わらずやはり旗を振ってお迎えするだけで瞬間的に通り過ぎられてしまったというような状態です。だから、警備の問題だとかいろいろむずかしい問題はあろうかと思いますが、昔といまとこういうところが違っているんだ、旧憲法の時代と新憲法の時代では、確かにもう条文は全然違っておるわけでございますが、その具体的なことではこういうところが違っておるんだというようなところがあったらお教え願いたいと思います。
  306. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 仰せのとおり憲法上いろいろ変わってきておりまして、ですから陛下のお立場としましては、いろいろ政治上の問題につきましても御発言なり行動なりを非常に御注意になっておりまして、大臣なんかがいろいろ認証式その他で拝閲いたしましてお話しするときも、決してこうしろああしろということは絶対に仰せになっておりません。御質問はなさるかもしれません。そういうような点で、昔も大体そうじゃなかったかなと思うのでございますが、その点は特にみずから御注意になっておると思いますし、宮内庁といたしましても、政治的になるということをわれわれは非常に戒めて仕事をしているわけでございます。そういうような点で、いろいろ異常なことが起こりますと、天皇陛下にひとつお言葉をかけていただきたいとかいろいろ来る人がおりますけれども、事情をよく話してお断りしておるようなこともございます。  それから国民に接するお姿を見ておりましても、昔ですとああいうことはなかったと思いますが、子供なんかがいっぱい集まりまして両陛下を囲んで大変な騒ぎになります。頭をなでたり、にこにこしていらっしゃるような光景というものは昔は余りなかったのじゃないかなと思います。非常に気楽な気持ちで接していらっしゃるということだけははっきり出ておると思います。  警察のことを仰せになりましたが、これは警察もそう思っていると思いますが、ああいうことがなくて済むならばわれわれもいいと思いますし、しかし、いまの時局のいろいろな動きを見て、警察の責任者としてはいろいろ心配をしておるわけであります。余りそれが厳しくなりますと、国民と接するという面において欠けてくる点がございますので、いろいろ警察当局も苦心をして、なるべく目立たないようにはしておりますけれども、なかなかいまのいろいろな情報その他見まして、警察としても苦労しているようでございます。ですから、われわれはそういう警察の苦労も考えながら御行動もしていただきたいと思っておるところでございます。  突然のことで、どういう点というお尋ねでございますが、基本的に考え方が違っておりますから、いろいろな点で細かい点でも変わってきていると私は信じております。
  307. 新井彬之

    ○新井委員 いまもお話しございましたが、長官も非常に御苦労なさっておられるし、陛下も本当に大変だなという感じが私いたします。というのは、何か一つのことを発言されましても、すぐにそれを政治的にとられてしまう。実際問題、一人の人間として物事を考えた場合におきましては、それはもういろいろな御意見があろうかと思います。しかしながらそういうことも何も言われないでおられるということは、非常におつらいことではないかということが考えられますし、また外国等に行きますと、非常に伸び伸びされて非常に親善のお役目をされておられるというような姿を見ますときに、何か日本国内ではそういうようなにこやかなお姿というものを余りごらんになれないような感じがするわけでございます。そういうわけで、やはり憲法規定された制度としての天皇と、それからやはり人間天皇としてのそういうところも今後明確にしていかなければいけないのではないか。明治天皇が、朕に私はないということで、何から何まで全部公であったというようなことがあるわけでございますけれども、そういうようなことを考えますときに、私、長官の御苦労もわかりますけれども、本当に憲法に言われております私たち国民の総意の象徴としての陛下であられるという、制度としても個人といたしましても、そういうことで本当に健やかにやっていただきたいという気持ちでいっぱいであるわけでございます。  最後に元号の問題でありますが、せっかく総務長官長いことお待ちいただいて、一言ぐらい聞かないと何かいけないような感じがいたします。元号の問題についてお伺いしますが、たびたびこの問題については総理等も答弁をなさっております。国の方とすれば当然これはやっていきたいというような意向と受けとめておるわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
  308. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 前内閣の意向を原則的に継承いたしております。
  309. 新井彬之

    ○新井委員 一番大事なことは、この問題は賛否両論、いろいろございます。その中で、やはり国民総意ならばこれは一番いいなという感じがいたすわけでございます。したがいまして、全然必要ないという方と、それから必要である、それからやはり西暦とミックスしたような形で両方これからうまくあわせてやっていかなければいけないというような議論の方がたくさんいらっしゃいますし、いろいろの御意見を述べております。そういうわけで、総理府といたしましても、そういうような国民の皆さん方の動向がどういう方向なんだろうということに力を入れていただきまして、こういう決定をされる場合はやっていただきたい、このことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうも遅くまでありがとうございました。
  310. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次回は、来る四月五日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十二分散会