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富田(朝)
政府委員 宮内庁が所管をいたしておりますカモ場は、ただいま
委員が御指摘のとおり
千葉県
市川市の新浜と埼玉県越谷市にございます。これはそれぞれ非常に古くからございまして、新浜の方は
明治二十六年、それから埼玉の越谷の方は
明治三十九年からいわばカモ場として維持管理されてまいっております。
そういうような経緯もございますし、私
どもとしては、どうも私
どもの方の舌足らずもございまして、新聞等にちょっと誤解を招くような発言等も出たようにも思うのでありますが、私
どもの管理の基本的な方針としましては、野鳥保護と自然環境の保全ということを眼目にして、ずっとカモ場の維持管理に努めてまいってきたわけでございます。そのカモ場におきまして、国際親善、これは外交団が年に六回程度、その他
国会議員の方あるいは政府
関係者あるいは裁判所
関係者、こういう
方々をおぼしめしによりまして御招待申し上げて、ここで古来、非常に古くからあります、自画自賛であるかもしれませんが、一種の無形文化財と言われるような捕獲技術、これによりましてカモを捕獲をして、そしてまたこれを放す、こういうようなことで、御接待としてそういう
方々を呼んでおるというのが実情でございます。カモの捕獲につきましては非常に古くから伝わっておりますさで網という、口径三尺ぐらいの竹の枠のついた網でございますが、これでカモを捕獲する。これは全く無傷のままカモがそれにひっかかるわけでありますが、しかしなかなかひっかからないのもたくさんおる。それで捕獲いたしましたカモは、国際鳥類標識
調査というのが世界的にございまして、これは環境庁が恐らく主管をしておられると思いますが、環境庁からの御依頼もあり、これに協力をいたしまして、そしてつかまえたカモはすぐさま種類とか尾胸の特徴をレコードしまして、足に国際的に共通しておりますリングをはめて放鳥する、こういうようなことでやっておるわけでございます。一昨年、ソビエト連邦のシベリアその他の地域で、両カモ場から放されたカモが、たしか九十一羽だと思いますが、つかまったということで通報をいただいている。これは一例でございますが、そういうことで鳥類学会等も非常にこれに
関心を持っておるようでございます。
なお、御案内のように、
市川市周辺は大変開発が進み、湾岸道路とかいろいろのあれが進んでおりますが、その
市川市は例の都市近郊緑地保全地域と保全法に基づく地域に指定され、その中にこの新浜も入っておるということでございまして、やはり大きな野鳥の楽園になっている。しかし、さらに
市川市が鳥の人工干潟をつくるということで計画されましたものに対して、私
どもの方のカモ場が隣接いたしておりますので、そのうち約十三ヘクタールは、
千葉県を経由いたしまして
市川市が私
どもの方の用途を廃止してそれを広くお使いになっている、こういうような現状で運営をいたしております。