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1977-03-01 第80回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月一日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 鈴切 康雄君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       関谷 勝嗣君    塚原 俊平君       中村 弘海君    藤田 義光君       上田 卓三君    矢山 有作君       安井 吉典君    市川 雄一君       宮井 泰良君    米沢  隆君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君         気象庁長官   有住 直介君         気象庁次長   岩田 弘文君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     長谷川 宏君         文部省学術国際         局国際学術課長 大門  隆君         気象庁総務部企         画課長     竹内 清秀君         気象庁予報部長         期予報課長   青田 孝義君         気象庁観測部測         候課長     山田 三朗君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 町田  直君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     古屋  亨君 同日  辞任         補欠選任   古屋  亨君     宇野  亨君 三月一日  辞任         補欠選任   新井 彬之君     宮井 泰良君 同日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     新井 彬之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三号)      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案審査のため、本日、新東京国際空港公団総裁大塚茂君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  5. 木原実

    木原委員 今度の運輸省設置法案は、気象衛星センター設置東京航空交通管制部の所沢への移転というのが主な内容だと思います。  そこで、まず気象関係のことから少しばかりお尋ねをしたいと思います。  世界気象機関計画に参加をして、七月にわが国でも静止気象衛星を打ち上げる計画だ、こういうことになっておるわけですけれども、まず、この計画の達成によって気象観測機能、もしくは予測機能というものがどのように、どの程度に強化されるのか、ひとつ計画の概要をお示しを願いたいと思います。
  6. 有住直介

    有住政府委員 お答え申し上げます。  効果がどの程度あるかという御質問でございますが、その前に、この衛星はどういうことを観測するかということを簡単に触れましてお答えしたいと思いますが、わが国で打ち上げます静止気象衛星というのは、赤道上で、東経百四十度、つまりニューギニア付近上空に上がりまして、三万六千キロの距離でございまして、そこから地球を見ます。そうすると、そのニューギニヤの点を半径といたしまして、大体六千キロの範囲が常時見えるわけでございます。静止気象衛星という名前のとおりに、地球に対してはとまっておりますので、常時監視できるという特徴を持っているわけでございます。そのために、気象上非常にデータがなくて困っております太平洋上、そういうところの雲の状態、そういうものがわかるわけであります。それで幾つかの任務がございますけれども可視光線赤外光線温度計が積んでありまして、リモートセンシングと最近は言っている方法でございますけれども、それで地上を監視いたしますと、雲の状態、それから雲の高さと申しますか雲の温度がわかる、それから海面の温度がわかるわけであります。それから地面の温度がわかる。そういうような温度が全部わかるわけであります。わかったものを処理いたしますと、雲のある存在とそれから雲の性質、それから雲の移動から風向風速、そういうものがわかってまいります。それからのデータを処理いたしまして、衛星にはさらにこれを中継いたしましてデータを収集したり、できました図を配ったりという仕事もございますが、その予報精度がどれだけ上がるかと申しますと、この入ったデータ、特に海洋上の風向風速というようなデータが入りますために、これを現在数値予報で私ども予想天気図をつくっておるわけでございますが、これがイニシアルのデータとしての海洋上のデータがないということでネックになっておりますのが、ここにデータが入りますので、私どもとしては非常に精度が上がるであろうということを期待しております。  それからまた、端的に解析上、大洋上の台風が時々刻々動く様子がわかってまいります。いまアメリカで上げております極部を回っております衛星ですと、一日二回しか日本上空に参りませんが、これは必要であれば毎時の映像を得ることができますので、台風あるいは前線の動き、そういうものがわかるわけでございます。たとえば十七号台風、去年停滞をいたしまして、動き出す時期、停滞する時期というものがわからなくて御迷惑をおかけいたしましたが、そういうような点は時々刻々わかるということから、かなり従来よりはよくなるであろうと私ども期待しているわけでございます。  簡単でございますが……。
  7. 木原実

    木原委員 これは打ち上げまして、寿命というか耐用年数はどれくらいもつものですか。
  8. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  機械でございますので、どうしても故障というものは理論的には出てまいりますけれども、大体私どもの考えといたしましては、一番ネックになるのが燃料等ではないかということでございますが、燃料等も考慮した上で四年前後は成功すれば大丈夫だ——打ち上げのときの成功、不成功が非常に大きな問題でございますけれども、そこを乗り切れば四年前後は寿命があるであろう、うまくすれば五年までいくであろうというふうに思っております。
  9. 木原実

    木原委員 寿命が四年もしくは五年ということなのですが、そうしますと、これは耐用年数が切れるということになりますと、かわりのものを継続して打ち上げるという形になるわけですか。
  10. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  この打ち上げが非常にむずかしいという点から、打ち上げに失敗いたしましたとき、これはいろいろ条件がございますが、そのときには予備が一基ございますのでそれをできるだけ速やかに、と申しましてもすぐにというわけにはまいりませんが、打ち上げる計画でございまして、成功いたしました後、たとえば四年前後たった後は第二の気象衛星を、大体仕様的には同じようなものを上げるということで計画を考えておりまして、これは年月日を忘れましたが、宇宙開発委員会の方でも計画としては御了解を得ているような形になっております。
  11. 木原実

    木原委員 これはなかなか費用のかかるものでして、何か予算によりますと少なくとも百数十億費用がかかるわけですが、そうしますと、将来にわたって四年もしくは五年ごとに仮に更新をしていくということになりますと、長期にわたってかなり費用の負担という側面があるわけです。その辺は計画に入っているわけですか。費用はどれぐらいですか。
  12. 有住直介

    有住政府委員 おっしゃるとおり、かなり経費がかかるものですから、この宇宙開発につきましては宇宙開発委員会というのが総理のもとにございまして、そこで日本宇宙開発に関しては計画がなされているわけでございますが、そういうところに御相談をしたり、それから打ち上げということになりますと宇宙開発事業団が打ち上げることになりますので、そういうところとか、各方面と御連絡をとりながら、そういう経費の点も考えながら私どもは永続して、持続してやっていきたいという希望を持っておるわけでございます。
  13. 木原実

    木原委員 費用はどれぐらいですか。
  14. 有住直介

    有住政府委員 費用は、第一回としては地上施設その他含めまして約百三十六億かかったわけでございますけれども、二号機以後になりますと、維持運営ということになりますが、これはそれほどの金額は要しませんで、この地上施設維持運用ということでは年間約二十億ぐらいの経費がかかる予定でございます。  それから、第二号機を打ち上げるとなりますとその第二号機の衛星と打ち上げの費用ということになりますが、これに関しては事業団その他と御相談しながらやっていこう。この経費は私の方ではちょっとつまびらかにはいたしませんが、お願いしながらやっていこうとしているわけでございます。
  15. 木原実

    木原委員 少し違うのでしょうけれども、大まかな説明でどうも十分でありません。いずれにいたしましても、第一回の打ち上げに地上費用を含めて百数十億円の金がかかるということですね。  そこで、将来のことですけれども、これは気象庁でおわかりかどうかわかりませんが、最近科学技術庁所管の「きく二号」のロケットの打ち上げなどが御案内のように成功した、わが国ロケット打ち上げの技術も大変進んだ、こういうような評価が行われているわけですが、今度の場合はアメリカ機関に委託をして上げる。しかし将来はどうなんですか、日本技術気象衛星を打ち上げるというようなことは考慮の中には入っていないのですか。
  16. 有住直介

    有住政府委員 今回につきましては、この気象ロケットを打ち上げるということを決めました当時、Nロケットというものを開発しておりましたのですけれども、それのペイロードが百五十キログラムぐらいでございまして、私ども気象衛星というのは三百五十キログラムで、この能力を超えるということからアメリカに依存するということになりましたが、第二回目と申しますか、数年たった後に打ち上げるものにつきましては、宇宙開発委員会その他で国産品通常N改ロケットと言っているものを利用しようという計画で進められているというふうに聞いております。
  17. 木原実

    木原委員 いずれにいたしましても、一つには莫大な経費もかかるし、それだけに国民の側としてはそれにふさわしいサービスを期待する面が多いと思うのです。  と申しますのは、ことしも大変異常な寒波といいましょうか、そういう経験をわれわれしたわけですね。伝えられるところによりますと、アメリカでも大変異常な寒波といいましょうか気象状況に見舞われて、経済的にも社会的にも大変に大きな痛手をこうむった。あるいはまた、少しさかのぼってみますと、この十年ぐらいの範囲の中でもわれわれは余り経験をしなかった干ばつであるとか集中豪雨であるとか、あるいはまた寒波であるとかといったような経験をしているわけですね。最近われわれが経験をした寒波、これは異常気象というような形で報道されているわけなんですが、われわれが経験してきたようなたとえばことしの寒波、これは異常気象というふうに認識をしていいんですか、あるいはまたこの異常気象というのはどういうことなのか、これはひとつ気象庁の見解をお伺いしておきたいと思うのです。
  18. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  異常気象定義かもしれませんが、定義といたしましては、世界気象機関では、災害を伴うような短期間の気象現象の異常というものと、それから月平均値が二十五年以上に一回起こるような起こり方をするような長期異常現象というものを区別して言っております。前者の方は豪雨雪だとか台風だとか集中豪雨だとかそういうもの、それから後者の方は冷害とか干ばつとかいうものでございます。昨年からことしにかけまして起こりましたような雪とかあるいは昨年の冷夏、こういうものはこのWMO定義でいきます長期の方の異常気象と言えるものだというふうに思っております。
  19. 木原実

    木原委員 これは何といいますか、たとえばことしのように大変寒波に見舞われますと、いろいろ世上マスコミ等でも解説その他のことが行われ、またわれわれの生活の経験を通じて、国民の中に一つの不安があるわけですね。地球がだんだん冷えていっているのではないのかというようなこと、あるいは短期的には、ことしの冬の寒さというのは、ことしの夏はまた冷たい夏になるのではないかとか、長期的にも短期的にも、やはり一種の気象の異変の中で国民の中に不安があると思うのです。あるいはまたわれわれもいままで経験をしなかったような、たとえば寒さあるいは干ばつというものがある程度予想されるということになりますと、政治的にも行政的にも早目対応しなければならぬという課題を持っているわけです。そのような観点から、われわれはことし経験をしたばかりですけれども、たとえばこういうような寒さあるいは冷たい夏、あるいはまた異常な集中豪雨などというものが、長期的にもしくは短期的に、一つはどの程度に予想されるものなのか。つまり異常ということが普通のことになっていっているのかという問題があると思うのです。ですから、せっかくの機会ですから、ことしの寒さという問題の性格はどういうものなのだ、気象庁判断を示してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  20. 有住直介

    有住政府委員 気象庁といたしましては、長期予報といたしましては一カ月予報、三カ月予報、また六カ月先から出します暖候期報寒候期報というのを出しております。一カ月まではやっている国も試験的にはございますけれども、三カ月以上というのは非常にむずかしくて、世界でも気象庁のみがやっているような状態でございます。  ことしの暖候期報というのは三月十日に出すべく非常に努力しているところでございますけれども、過去の事象はどうかというお話がございましたので、でき得れば、長期予報課長を連れてきておりますので、答えさせてよろしゅうございましょうか。
  21. 青田孝義

    青田説明員 お答えします。  ただいまの御質問のうちで、過去の事象がどうかという御質問だと思いますが、たとえばことしの寒波は、これは戦後初めての寒波でありまして、昭和二十年以来三十二年ぶりの寒波であります。そういう寒波の後に続く夏はどうかというような過去の事象を見ますと、明治三十五年、それから大正二年、それから昭和二十年、こういった年は大寒冬でありました。その続く夏というのは大冷害を受けております。こういう年のときには、普通太陽黒点といろいろ関係がありまして、これらの年はいずれも太陽黒点極小期であります。ところが、では太陽黒点極小期でかつ大寒冬があった場合に、続く夏が冷害になるかといいますと、そうでない年があります。それはたとえば大正十二年、それから昭和八年がそうです。これは大寒冬であったけれども、続く夏はそれほど悪くなかったという夏でございます。そういう過去の事例があります。ですから、そういう、あるときにはよい夏が来たり、あるときには悪い夏が来たりすることの違いがどこにあるのかという点をいま検討中でございます。
  22. 木原実

    木原委員 ことしの寒さは戦後初めてというお言葉がありましたけれども、そうしますと戦後は比較的コンスタントにといいますか、気象的には、たとえば冬は温暖に推移をしてきた、ことし初めてこういう寒波に遭遇した、こういうことですね。寒波に襲われた冬の後の冷たい夏は、あるときもあるし来なかったときもある、こういう御説明でございましたけれども、そうしますと戦後は比較的コンスタント推移をしてきた。ことし初めてこういう寒波に襲われた。将来の問題として、長期的に見て、こういうことは将来もあり得るということですか。これはまあ予測能力限界というものがもちろんあるわけでありましょうけれども一つはいままでがコンスタントに過ぎたのだ、こういう寒波がこれから先何年かに一回ぐらいはやってきても不思議ではないという状態にあるのかどうか。それぐらいのことは判断ができるのですか、どうですか。
  23. 青田孝義

    青田説明員 お答えします。  ただいまの御質問は、これからは戦後続いてきたようないい気候、いい気候といいますと何かちょっとぐあいが悪いのですけれどもわりとしのぎやすかったような冬とか、あるいはわりと豊作に恵まれた夏といったような年回りがもう終わったのかというような御質問だと思いますけれども気象庁昭和四十九年に世界異常気象実態調査を行いまして、その報告をしてありますが、その報告の中には、今後十数年は大雨とか干ばつとか異常高温とか低温といったコントラストの大きい天候が続くだろうというふうな結果を報告してあります。それによりましても、現在もその状況は変わっておりません。ですから今後しばらくの間は、特に低温干ばつが起こりやすいと思いますが、そういう年回りは続くのじゃなかろうかというふうに考えております。
  24. 木原実

    木原委員 どうもよくわからないのですけれども、何といいましょうか、われわれは台風などには比較的ならされているわけですね。ですから、毎年のようにあるいは一年置きぐらいにかなり激しい台風が来る、その際にしばしば被害を受ける、被害は受けますけれども、たとえば国会の中でも災害対策特別委員会などというのができておりまして、少なくともそれに政治的に行政的に対応する姿勢のようなものは一応あるわけなんですね。しかしことしの寒波を体験してみまして、たとえば運輸省所管の中でも、とまらなくてもいいような国鉄まで寒さのために被害を受けている。列車がしばしばとまっているわけですね。従来の豪雪地帯、ことしはとりわけ雪が深かったというわけですけれども豪雪地帯豪雪地帯なりに雪に対する対応はあったわけですね。しかし比較的温暖に推移をしてきた地域列車がとまる、新幹線がとまるというような被害を受けているわけです。そうしますと、やはりことしのような冷たい冬に対する対応の問題を、われわれは行政的にも政治的にもこれから考えていかなければならぬわけです。だから、ことしの経験が来年も再来年も、あるいは何年置きかに必ず来るような状況になっているのかどうか、それが大事なんです。ことしは全く異常であって、こんなことはめったにありませんよというのならともかくですけれども、しかし、ことしの経験はことしだけではないですよ、地球の全体的な傾向からいっても日本気象推移の動向からいっても、あるいは来年はともかく再来年は、あるいは五年先は、何年かに一回は、こういう寒波に見舞われるような状況にあるのかどうかという、その辺の判断を聞きたいと思うのです。長期予報中の長期予報みたいなことで大変御無理かと思いますけれども、私たちはいまそのことが議会として必要だ、こう思ってお伺いしているのですが、その辺はどうですか。
  25. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  確かに社会的な影響というものは非常に大きいので、こういうものを予報するということは切実な要求で、私どもも一生懸命やっております。これは国際的にもこういう変動研究するということが大事だということで、世界気象機関におきましても、一昨年WMO執行委員会の中にパネルができまして、学者が集まりまして検討した結果、去年一応の結論が出ましたが、やはりそこにおきましても非常にむずかしくて、これから研究体制を整えてやっていかなければいけないという結論でございます。これに対しては各国も、各国のできるだけの研究をやって協力しようという申し合わせになりまして、わが国気象庁におきましても、気象庁内に委員会設置したりいたしまして鋭意研究しているわけでございますが、まだ遺憾ながらその精度——社会的影響が大きいだけに精度よく発表いたしませんといけないということがございまして、外れたときのマイナスが非常に大きいということがございますために、精度を上げなければならないということがあるために、非常にむずかしくて、私ども研究をしているわけでございます。  ただいま青田から、四十九年の四月に気象庁から出た気候変動に対する見通しというものでございましたが、極地方低温状態ということがあるために、偏西風帯と申しておりますが、西風が非常に強く、かつそれが、メアンダーと言っておりますが、非常に曲がりくねって流れる、そのために寒気が南におり、暖気が北に上がるわけでございますが、こういう状態というものが若干続くであろう、だから、たとえば毎年これからだんだん寒くなりますとか、毎年寒い年が続きますとかということではございませんで、メアンダーが非常に強くなるために、暑くなったり寒くなったりという気候変動が非常に激しい、そういう時期が続くであろうと気象庁では考えられているわけでございます。しかし何分にもまだ技術的には確立されておりませんので、大変むずかしい、確定的なことはなかなか申し上げられないというのが現状でございます。私どもとしては、鋭意研究を続けさせていただきたい、そのように思っておるわけでございます。
  26. 木原実

    木原委員 何というのですか、気象庁予測能力ですね、これは気象全般にわたって予測能力限界みたいなものを今おっしゃったわけですが、これは時間的に見まして、あるいはたとえば場所を特定して、この地域はたとえば集中豪雨可能性がありますよとか、あるいは干ばつ可能性がありますよとか、時間的、場所的に見まして予測し得る限界というのはどの程度ですか。先ほども一カ月とか三カ月とかというお話がございましたけれども、その予測限界はどの辺に置いているのですか。
  27. 青田孝義

    青田説明員 お答えします。  気象現象には一般的に言ってこういう特徴があるのです。それは、時間が長くなればなるほど空間の規模も大きくなるという特徴があります。ですからそういう意味では、東京都の一カ月先、三カ月先の予報がどうかということはなかなかむずかしい問題でございますけれども、時間的に長くなるということは、月平均値とか十日平均といった、そういった平年からの偏りを問題にするわけですから、当然空間的な規模も大きくなるわけであります。  そういうことで、空間的な規模が大きくなるということは、日本だけに限らず、世界的な現象の一環としてあらわれてくるだろうというふうな現象になりますので、そういう点に着目すれば、場所的には東京都の予報はむずかしいですけれども、関東の予報とか、あるいはもっと広く言えば中部地方予報というようなことはできると私は思っております。
  28. 木原実

    木原委員 時間的にはどうですか。
  29. 青田孝義

    青田説明員 ですから先ほど言いましたように、平均値の問題ですから、平均値からの偏り、ですから来年のきょうは雨が降るか大風が吹くかということについては非常にむずかしいですけれども平均値偏りという点では、これは来年の、一年先の予報というのは、非常にむずかしいですけれども、何らかの形で推測はできるというふうに考えられます。
  30. 木原実

    木原委員 私が問題にしたいのは、ことし経験した異常気象の問題のことなのですけれども、たとえばわれわれ素人が報道で見ておりましても、ことしものすごい寒波に襲われたのは、たとえばアメリカの東部の方からカナダの方であるとか、あるいはまたヨーロッパのスカンジナビア半島からドイツあたりまでですね。それからまあ日本がやられた。ことし異常な寒波に襲われたというのは、世界的な規模で見てほぼ地域が特定されましたですね。たまたまその中の一つ日本が入っていたというような感じを受けているわけなんです。そんなようなことを考え合わせますと、統計的処理ということは、これは統計の条件、与件が違いますから無理かと思うのですけれども、最後に一つ聞きたいのですけれども、ことしのような異常と言えるような寒波というものは、近い将来にもこの日本の場合には起こり得るゾーンの中にあるのだ、圏内にあるのだというようなことぐらいは判断ができるのですか、できないのですか。
  31. 有住直介

    有住政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました、四十九年の四月に一応気象庁の見通しとして出したものの中にうたわれておりますことは、極地方が非常に寒い、で、偏西風が非常に蛇行するであろう、そういう現象は今後も続きそうである、ですから寒気が非常に南下するときには南下する、ですから寒くなるときにはかなり寒いときがあるであろう、そういう気候変動の激しい時期が若干続くであろうという予想でございますので、かなり寒い時期というのは起こり得るであろう、ただ、それが来年であるか再来年であるかということをはっきり申し上げることはできないわけでございます。
  32. 木原実

    木原委員 気象庁は、やはりおてんとうさま相手ですし、それからまたすぐれた科学者や技術者の集まりですから、なかなか特定したことが判断しにくい、こういうこともよくわかりますし、それからまたいたずらな予測をして、社会的な不安をという御配慮もあるのでしょうが、ただ大臣、大臣の所管の中に重要な部門として気象庁があるわけですが、いずれにいたしましても、ことしはわれわれは異常な気候に見舞われた、そのために社会的にも国民生活の上でもある種の不安や被害を受けました。こういうことは、ほかの災害に対してはそれなりにいままでも対応があったと思うのです。しかし温暖な地域がこれだけの寒波に見舞われたということは、ある意味では珍しいとい・いますか、われわれの経験としても初めてのことですね。しかも将来、再来年かいつかわからないけれども、こういうことがあり得るという判断がいまございましたけれども、そういうことになりますと、やはりわれわれは行政的にも政治的にもそれなりにそういうものに対する対応をしていかなくてはならぬわけですね。なかんずく食糧事情等のことを考えましても、あるいはまた、いまはわれわれは、都市の構造にしても、あるいはまた国内の大量輸送というシステムにしましても、温暖の地域は当然のことですけれども、寒いことに対しては意外に無防備の状態ですね。そうなりますと、やはりそれにふさわしい対応なり提言なりを試みていかなくてはならぬと思うのです。いままでの御説明や、私の質問に対するお答えの中では、必ずしも明確なものが出ておりませんけれども、しかしわれわれはことしの冬を経験したということで、しかもこういうことが将来あり得るような状態にある、こういうことになりますと、その辺については対応を考えていかなくてはならぬと思うのです。  そこで、これは大臣にお願いですけれども、やはり何といいますか、こういう経験というものを大切にして、われわれが対応していくために気象庁予測機能を強化していくということはもちろんですけれども、それをやはりきちんと政治的にあるいは行政的に受けとめるようなシステムをとってもらいたい、そうしてまた必要な対応を今から準備をしていく、こういうことが必要だと思うのですが、いかがですか。
  33. 田村元

    ○田村国務大臣 実は私、運輸大臣というのを拝命いたしまして、各局の説明を聞くわけですが、どうしてもその説明そのものがわからないというのが気象庁の問題なんです。私は科学に弱いものでありますから、専門用語やいろいろな言葉が出てきて、率直に言って、あの気象庁の高度な説明がわかる人は、文科系の出身ではちょっとなかなかないのじゃないかと思うほどむずかしい。でございますので、私がここでしたり顔で大みえを切るということはもちろん控えなければなりませんが、率直なことを言って、今の木原さんの御質問に対する答弁を聞いておりまして私が感じましたことは、彼らは皆科学者でございますから、対話ということについては、いわゆる日本語を話すという点においてはいささかちぐはぐな面もあったかもしれませんけれども、ふと思ったのでありますが、やはり日本気象関係気象庁というのは、世界に冠たるものであるということだけは、これははっきりしておるわけであります。でありますから、特に農業関係等もございますから、何とか長期予報をもっと研究してもらう、今でも長期予報は、実際には大分控え目に話はしておりましたが、私どもの前では相当長期の問題を論ずるのですけれども、さっき木原さんがたまたまおもんばかられたように、よって与える不安というものがありますから、国民的な不安感というものを引き起こしても大変ですから余り言わないのでしょうけれども、何とかこれをもう少しうまくまとめて、運輸省といいますより、むしろ政府が、長期的な予報というもので第一次産業を初めとして対応できるように、少し農民大衆その他に準備する余裕の時間を与えることができるように、そういうふうにすべきだというふうにしみじみいまも感じておったところでございました。それはいわゆる政治、行政の問題でございます。その点でこれからも私は声を大にしていきたいというふうに考えた次第でございます。
  34. 木原実

    木原委員 いずれにいたしましても、何といいますか、この気象の条件というのは、国民全体にとっては生活あるいは経済、社会的に見ましても影響が大きいわけですから、やはり異常に対しては機敏に対応してもらいたい、こういうふうに思います。そのことによって、外れたからといって外れれば結構なことなんですから、ぜひひとつ大臣のおっしゃったような方向で、まず行政的な対応の姿勢をとっていただきたいと要望しておきたいと思います。  それでは、その次に問題を移したいと思います。  もう一つ設置法で出てまいっておりますのが東京航空交通管制部の所沢への移転の問題です。これも最初にお伺いしておきたいのですが、機能を拡大して新施設に移られるということになるのですが、移られまして、管制部の最大処理能力というものはどの程度に向上をするのか、あるいはまたその処理によって安全性というものがどの程度に向上をするのか、ひとつ考えを示してもらいたいと思います。
  35. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、現在航空交通管制のうちの航空路管制、管制部で行っておる管制でございますが、これは大体東経百六十五度から同じく東経百二十一度あたりまで、それから北緯二十一度辺まで、日本の北の方は、ほとんど日本海の真ん中辺、これだけの広い空域の中を通っております航空機の中で、計器飛行で飛んでおります飛行機、これについての管制をしておりますのが航空交通管制部でございます。このうちの東京航空交通管制部、ただいま問題になっております東京航空交通管制部というものは、そのほとんど全部の面積の中を飛んでおります飛行機の管制をする、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、今回この設備を拡充するということを議案としてお願いしておるわけでございますが、実は昭和四十六年から発足いたしました第二次の空港整備五カ年計画の中におきまして、わが国におきます航空交通管制能力というものの飛躍的向上を図ろう——飛躍的向上と申しますのは、内容は二つに分かれるわけでございまして、一つは安全性の向上でございます。もう一つは、フレキシビリティーと私ども呼んでおりますが、要するに管制能力に弾力性を持たせよう。ぎりぎりいっぱいのところでねじりはち巻きでやるというのではなくて、弾力性のある管制能力を持たせよう、この二つが実はこの計画の大きなねらいであったわけでございます。そのための手段といたしまして、東京管制部の例で申し上げまするならば、東京管制部の中に管制情報処理システムというものを大々的に導入をすることにいたしました。これによりまして、従来管制官が自分で小さな計算尺のようなものを使って計算をしておりました飛行機の予測位置の計算、こういうふうなものは全部コンピューターがはじいてしまう。今までの管制というのはマニュアル管制と申しまして、そういうふうに予測位置を計算機ではじきましたものを、ストリップと申します短い紙に書きまして、それをたくさん並べておきます。そうしますと、たとえばアンカレジから東京へ向かって飛んでくる飛行機があったといたしますと、何時何分にどこを通ったということを飛行機の方から通報してまいりますと、そのときの飛行機の早さ、向かい風であるか追い風であるかといったようなことを念頭に置きまして、管制官が計算尺のようなもので計算をいたします。次に経度で十度を置いた次の予測点に来るのは何時何分になるだろうということを計算をいたしまして、ストリップに書いておきます。そういたしますと、一つの航空路の中を、大洋の場合に二十分置きに飛行機が飛んでくるわけでございますので、これがうまく二十分間隔で参りませんと後ろの飛行機が追いついてしまうというふうなことになって、管制上安全の問題が起こってまいります。こういうふうなのを管制官が手でやる、手で計算をする、そのためにまた位置を確認する、それは一々無線電話で聞いてやる、こういうふうなことをしておったわけでございますが、この位置を聞いてやりました場合に、それをコンピューターに入れてやりますと、コンピューターが自動的に風の状況その他を全部記憶しておりまして、コンピューターがそういったデータをもとに複雑な計算式によって計算をして、それをちゃんとストリップに打ち出して、管制官の手元まで出してくる、こういう仕掛けが、従来東京管制部だけでしか使っていなかったものを全国に広げよう、先ほど申し上げました東経百六十五度から百二十一度まで、北緯二十一度まで、北は日本海の真ん中辺まで、この広い範囲東京管制部がほとんど持っておりますが、そのほかに札幌管制部、福岡管制部、那覇管制部、全部で四つの管制部が連係動作をとりながら管制をしておるわけでございます。従来は東京管制部だけにコンピューターがございましたものを、全部のこの四つの管制部全体をコンピューターで計算をしてしまう、こういうふうにしようというのがまず一つでございます。  次に先ほど私がべーシックにはマニュアル管制である、つまり耳で聞いたものをストリップに書いて、それを管制官が頭に入れておきまして、そろそろこの次の飛行機が後へ来ているはずだからということで呼び出して、相手の位置を確認をするというふうなやり方をしておりましたものを、全国的に八つのレーダーを置きまして、従来二カ所しかございませんでした航空路監視レーダーというものを八カ所にふやします。そういたしますと、日本の国内線のほとんどの幹線はこのレーダーでカバーすることができます。これによりまして管制官はレーダーの上に飛行機がいまどこを飛んでおるのかというのを時々刻々見ながら管制をすることができる。その場合に、ただレーダーの上で見ておりますと、レーダーの上に点にしか映ってまいりません。つまり地図を見ているのと同じことになりますので、この飛行機が高いのか低いのかという高度がわからない。この飛行機はJALの飛行機なのかANAの飛行機なのかというのもわからない。これは全部ストリップに書いておいたものを、管制官が頭の中でレーダーの画面とストリップを組み合わせまして管制をするというのが従来のやり方であったわけですが、このレーダーを八つにふやしますと同時に、このレーダーにもコンピューターを一緒に組み合わせてしまいました。その結果、まだ現在完全に動く段階に至っておりませんけれども、これが完全に動く段階になりますと、レーダースコープの上の飛行機の映像が、ただの点ではございませんで、たとえばJL何便、つまりJALの何号機である、高さは幾らである、こういうふうなことが全部出てまいります。したがって、二つの点が非常に接近しておる場合には、管制官は間隔がとれなくなったのではないかということで心配をいたしまして、従来ですと、この両方の飛行機に無線電話で話をしながら確かめなければならなかったわけですが、この装置が動き出しますと、レーダースコープを見ておりますと、ちゃんと高度が出ておりますので、これで安全だ、こういうことが確認をできる。このように管制官がよけいなことに頭を使わないで、管制間隔の設定でありますとか、効率のいいルートの決定でありますとか、こういうことに力を注ぐことができるようにしよう、この二つのねらいを持ってこの仕掛けをつくってまいったわけでございます。したがいまして、先生御質問の安全度の向上という点につきましては、私は飛躍的に安全度が向上した、こういうふうに御理解いただいてよろしいと思います。  それから次に、能力的な問題になりますと、これは非常にむずかしゅうございまして、管制能力を上げますということはどういうことかと申しますと、限られた空域、エアスペース、この中に何機の飛行機を詰め込んで安全に動かすかということが、管制能率、管制能力というものの基本になるわけでございます。レーダーで見ておりますと、従来の耳で聞いておりますのに比べて管制の間隔を詰めることができますから、そういう意味においては、限られた空域の中により多くの飛行機を入れることが可能でございます。しかし、そのためには全部がレーダーでつながってしまわないといけません。一部はレーダーで、一部はマニュアルでと、こういうことになりますと、やはりより安全ということを考えました場合には、マニュアルの間隔で飛行機を詰め込まなければなりませんので、せっかくのレーダーが生きてこない。したがいまして、現在なお八つのレーダーが全部動くには至っていないわけでございますけれども、五十二年度内には、これらのレーダーが全部運用を開始することになりますので、この状態になりますと、管制能力をふやし得る素地というものが出てまいります。  これが冒頭私が申し上げました管制能力に弾力性を持たせる、こういう意味でございまして、いままでは少し機数がふえますと、それこそねじりはち巻きで管制官は管制をしなければならない。安全度は落としません。しかし管制官のロードが非常にふえる。これが今度の装置が完全に動き出しますと、多少ふえても、管制官は従来と同じ程度のロードで十分に管制ができる、こういうことにもなりましょうし、いずれ飛行機がふえた場合には、十分に対応できるという素地があるわけでございます。
  36. 木原実

    木原委員 この飛行機のふえ方ですけれども、管制需要の増大については、どれくらいふえるかという何か見解を持っていらっしゃるのですか。それに対応するだけの能力は備えた。この需要の増大について見通しをひとつ聞かせてください。
  37. 松本操

    ○松本(操)政府委員 従来の管制の場合には、管制の能力というものを数字であらわすわけでございますが、現在、東京管制部の現実に管制をしております飛行機の数が、年間に四十万機でございます。  これに対しまして、将来の管制対象機数がどうなるかということを予測いたしますのは、これは多少むずかしゅうございます。と申しますことは、第三次五カ年計画を策定いたしましたときに、飛行機の数ではございませんで、旅客需要といたしましては、大体国内線が二・五倍、国際線が三・二倍程度になろう、こういうことを予測したわけでございますが、しかし、今後の航空機がどの程度大型化してくるか、それから新しい路線がどの程度に開設されてくるか。それからさらに、空港の設備能力がどの程度にこれから整備されていくかということによりまして、飛ぶ飛行機の数というものは、明確な推定をするということが困難でございます。  しかし、いま申し上げましたように、国内線においては約二倍半、国際線におきましても三倍以上の旅客需要ということを考えますと、仮にこれを大型機でこなすといたしましても、当然管制対象機数というものはふえていくと考えられます。したがいまして、昭和六十年程度を考えました場合の数字をいま私申し上げたわけでございますが、その程度の旅客需要に対応する管制対象機数というものをあれこれ勘案いたしました場合に、現在の施設をもってするならば多少増設をする、つまり最後の管制官と向かい合う部分の仕掛けを多少ふやすというふうなことは、あるいは必要になってくるかもしれません。専門的にはセクターをふやすと申しておりますが、そういった広い管制空域を幾つかの細かなところに区切りますので、これを多少ふやすということは必要になるかと思いますが、建物そのものといたしましては、多少そういうセクターをふやしましても十分に対応できる。現在東京管制部は全部で十のセクターを持っておりますが、大体これが二倍半以上の能力を持ち得る。セクターをふやしましても、それだけの能力は対抗できるというだけの施設を考慮しておりますので、先生の御心配の点につきましては、十分に対応できるとお答え申し上げてよろしいかと思います。
  38. 木原実

    木原委員 私の関心は、政府が推進しております成田の開港という問題に関連をするわけです。ですから、将来どれぐらい管制上の需要が増大をするのか、この辺で予測があってもいいと思うのですけれども、管制部の新設に伴う能力としては、六十年度ぐらいの計算で二倍半ぐらいまでという御説明がございました。しかし、いずれにいたしましても、そのことは、できましたらもう少し需要の増大について根拠のある数字を示してもらいたいと思います。  ただ、ここでお伺いしておきたいのですが、成田の開港に伴う飛行経路というのは、まだ決まっていないのですか。
  39. 松本操

    ○松本(操)政府委員 成田の空港を開港いたしました場合には、現在関東空域というものは羽田におります飛行機だけの経路で占められておるわけでございますが、これを成田の空域と羽田の空域に分ける、こういう必要がございます。しかも成田の空港に出入りいたしますのは国際線で、羽田の方は国内線、こういうことになりますので、入り口のところからまず分けてくるということが必要になります。さらに、空港のごく近傍に参りました場合には、これはかねてから、たとえば直線進入、直線出発をしろとか、あるいは六千フィート以下、つまり飛行場におりるときには当然高度が下がりますが、それ以外の場合には、六千フィート以下で千葉県の上空を通過しろとか、こういういろいろな御注文が従来からもあるわけでございます。したがいまして、そういう点を十分に勘案しながら、最も効率のいい管制の方法、最も安全確実な管制の方法というものを念頭に置いて管制ルートというものを決めなければなりません。  それから、一応そういうことを予想いたしまして、管制をする前提になります飛行経路が設定できるだろうという前提で、幾つかの航空保安無線施設はつくってございますが、これらにつきましては、実際に飛行機を飛ばしまして、フライトチェックということをしなければなりません。これがまだ成田空港そのものに飛行機が出入りできませんので、十分に行われていない、こういうふうなこともございますので、現時点におきましては、成田の飛行コースというものを明確にお話し申し上げるような形にはまとまっておりませんが、しかしICAOの規約なり、あるいはIATAと申します国際的な航空企業の団体等からの要望もございますので、開港の少なくとも三カ月前にはこれを明確にして皆さんにお知らせをする、こういうふうなことを考えておる次第でございます。
  40. 木原実

    木原委員 この飛行経路の設定の問題、あるいはまた空域全体の調整の問題、私は何回かいままでも問題を提起をし、質問をしたことがあるわけですけれども、何かいまだにむずかしい問題があるような感じがいたします。きょうは詳細なことは省略をいたしますけれども一つ気になりますのは、御承知のように成田開港に伴いますと、百里基地という存在がございます。百里基地は、非常に機能が——機種は現在ファントムですけれども、次の段階では恐らくFX、F15の導入などということが防衛庁サイドで考えられております。非常に機能の高い飛行機が使用する基地です。そこと民間の国際空港とが、空域としてはかなり接点になる状態にありますね。その辺についての調整は、その後どうなっておるわけですか。
  41. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生ただいま御指摘ございましたように、成田空港の北側の方に百里基地がございます。百里基地を現在使用しております防衛庁の航空機は、F104とF4というふうに私ども聞いておるわけでございますが、これらは戦闘機でございますので、戦闘機の飛び方と申しますのは、民航機と違っております。したがいまして、この間に何らかの調整を要するのは当然でございます。  そこで私どもが考えておりますのは、百里空域の南の部分、この一部を調整をいたしまして——成田の空域の北の部分と百里の空域の南の部分が重なり合ってそのために管制上問題を起こす、あるいは管制上は安全な方式が確保できるけれども、管制官のロードがお互いに増す。百里にも管制官がおりますし、成田の方にも管制官がおるわけでございますから、両方の管制官のロードが無益に増す、こういうふうなことがないようにしようということを基本原則といたしまして、防衛庁とずっと話し合いをしてきておりますが、いま私が申し上げましたように、百里空域の南の部分について何がしかの手直しをいたしまして、全体的に百里の空域と成田の空域との間に無用の摩擦を生じないで、それぞれ民間機も軍用機も安全確実に相互に影響を及ぼさないで飛ぶことができるようにするという点についての話し合いがかなり進んできております。ただ、管制技術上の細かい点が非常にいろいろございますので、そういう点をいま最終的に詰めている、こういうふうな段階でございます。
  42. 木原実

    木原委員 防衛庁は来ておりますか。——防衛庁の意見を少し聞いておきたいのですけれども、一般的に航空自衛隊の基地、その機能を考える場合に、航空自衛隊の基地として持たなければならない機能といいますか、条件はどういうものですか。
  43. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 御説明申し上げます。  先生御存じでいらっしゃいますように、航空自衛隊の実戦任務と申しますのは、防空それから航空偵察、航空輸送、あるいは対地支援とか洋上阻止というふうな五つのジャンルに大体分けることができると思いますけれども、この百里基地の場合には、先ほどお話がありましたように、要撃戦闘機が防空任務を持っておりますと同時に、偵察航空隊、RF4Eが配備されておりまして、航空偵察もやっておる。したがって、防空と航空偵察がこの基地の主要な任務でありますということでございます。  いまのは有事の戦闘任務の御説明をいたしましたけれども、平時におきましては、これらの部隊は、百里周辺を主にしまして、対領空侵犯措置あるいは航空救難あるいは教育訓練というものを行っておるわけであります。  詳しく申し上げますると、百里基地そのものは、首都圏を中心とする中部航空方面空域の防空と先ほど申し上げたとおりの航空偵察のための基地でありまして、要撃戦闘機部隊第七航空団というのが配置されております。これはF104二十数機と、それからF4E、これがやはり二十数機であります。それから、航空偵察の任務を持ちます偵察航空隊は、十数機のRF4Eを持っておるということであります。ほかに百里の救難隊というものが置かれておりまして、MU2やバートルでもって救難活動を実施している、こういうことでございます。配置人員は総計約千八百人ということであります。
  44. 木原実

    木原委員 そういうことなんだけれども、訓練空域を要求していますね。百里の場合はどういう訓練空域が必要なのですか。
  45. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 当庁は百里に関連しましては、昭和四十六年、七年ごろから大変長い間、訓練空域を設置していただきますようにと御要望申し上げてまいりました。これは現在のところ、あそこにはR121と申しますが、これは中部本州空戦訓練区域というものでありますが、この空対空射場で訓練を行うほかは、全然格闘技その他の高度の訓練ができませんので、三沢とか千歳に移動訓練をしてやっております。移動訓練をした先で行いまするのは、すでに設定されております訓練空域における高高度要撃訓練とか、超音速訓練とか、それから格闘技を含む曲技飛行であります。このようなものをほかの基地に行って処理しませんとこなすことができない。通例の平易な航法訓練あるいは編隊飛行程度のものは、一般の民間機と同じような飛行を重ねるものでありますので、この辺のものは量的に相当こなしておりますけれども、先ほど申し上げましたような高度の訓練というのが全然できないわけであります。まあ全然と申しますか、先ほどのR121という空対空射場で一部機動を制限しながら行っておるほかは、他基地に行かなければできない。他基地に行きますると、これは他基地の訓練を当然圧迫いたします。それから、行きますためにいろいろな準備、手間がかかります。それから油も要るわけであります。燃料を異常に食っておりまして、何とか自前の百里基地のそばで訓練がしたいものと熱望してきたわけであります。  しかし、いろいろな事情がありまして、これまでのところ認められておりません。私どもは、あすにでも基地のそばに訓練空域が技術的に合理的な線で設けられることを願っておるわけであります。私自身も、二十カ月前に着任しましてから、このことばかり考えてきたわけなんでありますけれども、ついにまだ全然できてないということであります。
  46. 木原実

    木原委員 現在の訓練状況でも、確かにあなたおっしゃるように、よその空域に出かけていって訓練をする、これは経費燃料その他のことについても大変あれがあるわけですが、しかし、いずれにしましても、百里の基地というのは、基地としてもそういう欠陥条項をもうすでに抱えておるわけだな。機能がそれだけ落ちているわけだ。どうですか。
  47. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 御説明いたします。  いまの点は、確かに教育訓練のレベルだけで考えますると、他基地にたとえばファントムの部隊で修了した人間が行きましても、まだ補備訓練が必要だというふうな実態がございますので、そういう意味では確かに教育訓練基地としての水準はやや低いと言わざるを得ないと思います。これは練度一般の問題になりますので、非常に抽象的なあるいは主観的な要素が入ります。したがって断定的なことは申せませんけれども、教育訓練のレベルに限りますれば、そういうふうなことが言えると思います。しかし他方、対領空侵犯措置任務を持っておりますF104の部隊、第二〇六飛行隊は、非常に優秀な部隊でありまして、教育訓練のことを若干差し引いて考えましても、基地の総体としての水準は、航空偵察の高い水準を持つ唯一の偵察航空隊でありますが、そういうふうなものも含めますると、決して他基地に見劣りのする基地ではないということであります。
  48. 木原実

    木原委員 スクランブルは、百里で年間どれぐらい回数があるのですか。
  49. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 昨年の四月から本年の一月末までの統計によりますると、約四十回であります。これは例年になく多いわけでありますが、航空自衛隊全体といたしましてはその期間に四百数十回でありまして、約一割方を百里がこなしておるということであります。中部航空方面隊管内で計算いたしますと約二百回でございました。
  50. 木原実

    木原委員 自衛隊の固有の任務としてスクランブルという体制があるわけだけれども、われわれも何回か基地を見て経験をしているわけだけれども、いずれにせよそれだけの回数のスクランブルがあって、スクランブルのときというのは、パイロットの人たちの話を聞きますと、まず直進をして速やかに上空に達する、上がっていくということ、直進上昇というのか、それがまず最大の仕事だ、上がってからいろいろなことを判断をするのだ、こういう話を聞いているわけだけれども、要するに、これはスクランブルのときの民間機との交錯の問題が念頭にあるわけです。スクランブルというのは相手があることだから、何月何日の何時に出てくるというわけのものではないし、不特定の時間に、しかも直進上昇するというような形で任務の遂行をしなくちゃならぬ。そういう場合に、当然のことだけれども、近接をして国際空港ができるわけだけれども、その辺の交錯について一体どういう判断をしておるのか。
  51. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 御説明いたします。  スクランブル体制と民間機の関係のことでありますが、私どもの理解では、スクランブル体制と申しますのは非常に精密な安全手順によって守られております。いま先生がおっしゃいました直進上昇して一定の地点まで行くということでありますが、これは管制圏を守っております航空局の管制官によって全部誘導されるわけであります。まず離陸そのものが管制官の許可によって行われるということであります。そうしてその誘導は全部管制官がやってくださる。管制圏を越えるときには、それまでに自衛隊のレーダーサイトの要撃司令官がちゃんと掌握しておりまして、モニターしておりまして、その飛行機を今度は、誘導開始点と言いますけれども、誘導の開始点から引っ張るわけであります。この間はレーダースコープにおいて当該機の航跡をきちっと保持しておりまして、万一他機が接近するようなことがありましても直ちに回避ができるような、したがって絶対に接近事故など起こすことのないような、そういうふうな監視をしているわけであります。それで、その後また誘導終了点に参りますと、今度は航空局の管制官の管制によりまして、先ほど申し上げました管制もそうでありますが、今回のものも計器飛行方式による管制であります。IFRによる管制を行っていただきまして、そうして着陸する、こういう手順を踏んでおります。この間、全部が要撃機等に関する管制及び誘導に関する中央協定、例の四十七年七月の航空局長と防衛局長間の協定によって律せられ、あるいはその下請の地方協定によって規律されておりまして、管制官と要撃司令官との関係はまことに密接に行われております。したがいまして、民間機がそのそばを飛ぶというふうな空域が仮にありましても、それはたとえばオーシャン・トラフィック・ルートと申しますか、そういう洋上経路等がございましても、そこはきちっと管制官が管制してくださいまして、そういうルートとぶつかることがないように引っ張っていただきますので、それはもちろん国籍不明機はいつ参りますかわかりませんけれども、手順全体としては何の御心配も要らないというふうに私どもは考えております。
  52. 木原実

    木原委員 航空局にお伺いしますけれども、百里との空域の調整については、一定の訓練空域を認め、それからいつかお伺いしましたように、高度差、時間差あるいはトンネル、そういう方式で調整しようというふうにいまでもお考えになっていらっしゃるのですか。
  53. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生御承知のように、四十六年の大事故がございました後に緊急対策要綱というものができました。この緊急対策要綱によりまして訓練空域というものを一般の空域から分離して、その中で確実、安全に訓練飛行をするのだ、こういうことになっているわけです。  百里の訓練空域につきましては、ただいま防衛庁の方からお答えがございましたように、大分前からその設置要求があったわけで、この間の事情は先生十分御案内のとおりでございます。私どもといたしましては、やはり緊急対策要綱というものを根っこに据えまして、民間機の安全を確保する。もちろん民間機だけではございません。航空局といたしましてはすべての航空交通の安全ということが念頭にあるわけでございますが、とりわけ民航機の安全の確保ということに重点を置きまして、十分な安全が確保されるという空域の設定の仕方、それから管制のあり方、こういうものの組み合わせによってハード的にもソフト的にも確実に安全が保てる、こういうふうな方針で訓練空域を設定し、防衛庁の方の御要望におこたえをしたい、こういうふうに考えておりますが、現実にどうするかという点は、先ほども防衛庁の方から御返事ありましたように非常にむずかしい問題が多うございますので、現在なお技術的な面をあれこれと詰めておる、こういう段階でございます。
  54. 木原実

    木原委員 大臣に要望しておきたいわけですけれども、成田の開港、空域の問題というものがあるわけです。それで、いまお聞きのとおり百里基地が隣接をしておりまして、百里基地は洋上に幾つかの訓練空域を要求をしているわけですね。それとの調節という問題が実はあるわけなんです。私どもが非常に心配なのは、国際空港の鼻っ面にかなり大きな軍用の訓練空域が設定をされる。第一に安全のことがあるわけです。どうしても自衛隊機の方は、戦闘機が中心で小回りのきく、しかも機種が更改されるたびに機能の高いものが動くことになります。一方民間機の方は、ジャンボのような動きの比較的鈍い、しかも大型化したような機種が就航をする、そういう形ですね。ですから、これは素人目で考えますと、どうしてもニアミスが起こりがちなんじゃないのか。国際空港の玄関先に軍事的な空域があるというのも、もともと平和憲法を持っている国としてはおかしいわけですけれども、しかしそのことはさておきまして、非常に交錯する分野というものがあり過ぎるわけです。  当初、たしか昭和四十三年か四十四年のころだったと思いますけれども、私は同じ質問を当時の運輸大臣にただしたことがあります。比較的楽観的なお答えが返ってきたわけです。自衛隊の基地というものは国内の問題だ、たとえば米軍の関係ではない、だからいかようにも調節はできるからそれは心配要らぬよ、こういうお話であったわけです。総じて成田の計画が始まりましたころは一般的に楽観論が強うございまして、後でお伺いしたいと思うのですが、いま問題のパイプライン等の問題等につきましても、なに本体の方ができれば三カ月もしくは六カ月であれはできますからといったような公団の総裁のお答えがあったり何かしたような時期なんです。少なくとも比較的楽観的であったわけです。しかしながら、その後、羽田の過密と言われておりますけれども、便数も非常にふえておりますし、関東のエリア全体の空域というものが非常に狭まっているわけです。そういう中で、近接して成田、百里が重なり合うような形になっているわけです。いまそれぞれお答えがありましたように、防衛庁側も訓練空域がどうしても必要な部分を要求をしている。それから、いま航空局次長の方からお話がございましたように、まだ詰まってない段階を技術的に詰めている、こういう御答弁であったわけです。  そこで、お願いをしたいということは、これはすぐれて安全上の問題であるし、それだけにきわめて科学的にと申しましょうか、技術的にベターというよりもベストのものをつくってもらわなければならぬわけです。したがって、一方に開港は十一月なんだというふうな総理大臣の号令がかかったからというところに焦点を合わせて、妙な言い方ですけれども、政治的な、言葉は悪いのですけれども、足して二で割る式の調節は行わないでほしいということです。事務レベルでの話がどうしても残る、しかし開港が迫ってきた、大臣折衝でこれはひとつ調節をしよう、こういうことがほかの分野では間々ありがちなんですけれども、この問題につきましては何といっても安全という大きな命題があるわけですから、詰める問題につきましてはどこまでも科学的、技術的に詰めていただいて、少なくとも政治的な足して二で割る式の妥協といいましょうか交渉といいましょうか、そういうことをやらないで、ひとつ事務当局で詰めるだけ詰めて、そうして国民にこれがベストの安全の体制だ、こういう理解のいけるような空域の設定をやってもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  55. 田村元

    ○田村国務大臣 実は空域設定の問題につきましては、航空局長や先ほどから御答弁申し上げております松本次長からいろいろと事情を聞いております。私が両君に厳しく申しておりますことは、いま私が実は両君に言っておることを木原さんがもうそのままおっしゃったわけですよ。同じ言葉なんです。要するに、安全というものを絶対的に考えろ、もちろん防衛も大切だし訓練も大切だろうけれども、それ以上に人命というものはもっと大切なんだから、ベターのプランでなしにベストのプランで行きなさいということを申しております。  それから、足して二で割る——実は私はもともと大野派なんですけれども、足して二で割るということができますこととできないこととあると思うのです。私は、どうせ防衛庁長官と話し合わなければならぬ時期が来るでしょうが、人間の命を妥協でばくちにかけるようなことは絶対いたしたくありませんし、それはしない決意であります。そういう点で、いまおっしゃったように、技術屋が、まあ事務当局というか、十分に詰めて、安全の上にも安全を確認した空域、その設定ということでなければならないと思いますので、御激励を受けたような御趣旨を体し、自分の決意をいよいよかたくしてこの交渉に臨みたい、こう考えております。
  56. 木原実

    木原委員 航空局にもう二、三聞いておきたいのですが、いまの空域の調整の問題、それから成田開港に伴う経路の設定、これで残っている問題というのは具体的にどういうことですか。
  57. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず、空域の問題について先にお答えをいたしますと、ただいままで御議論がございました百里の空域と成田の空域の調整の問題それから、現在は百里の空域を除きましてあとほとんどが羽田の空域、それから西の方に横田の空域がございます。この羽田の空域の部分を割いて成田の空域をつくる、これは物の考え方といたしまして、二つのわりあいに近い空港でございますので、いわゆるコモンIFR方式と申しますか、一カ所の管制所で両方の空港を管制する、こういう考え方もあり得るわけでございますけれども、現在私どもそういう実例を持っておりません。したがいまして、この際はやはり空域をきちっと分けて、分けた空域をそれぞれの管制所が管制をする、こういう考えをとった方が確実である、こういうふうに考えておりますので、成田と羽田の空域の分離、こういう問題がございます。  この分離をいたしますと、今度は東京管制部の方は、東京管制部といたしましては従来は羽田と百里を対象にエンルートの管制をしておったわけでございますが、そこに成田がもう一つ入ってまいります。したがいまして、東京管制部との関連におきまして、関東空域の中をどのように分けて、どこでどういうふうに受け渡しをしていくかというふうな管制技術かなり細かな点まで詰めてまいりませんと、空域の設定というものが確定した形になってまいらない。これが空域の設定上非常に問題が多うございますので、相当詰まってきてはおりますけれども、現在、いま私が申し上げましたようなどこを管制移管点にするか、それから、入ってくる航空機と出る航空機をなるべく往復を分けた方が管制が確実にできることになりますので、やむを得ないときには一本の線の上を高度を分けて、どうせ出発機は低うございますから、出発機を低く進入機を高くというふうな高度差で分けるという方法もあり得るわけで、現在一部大島の近傍では行われておりますけれども、できることならこれを複線に分けてしまいたいというふうなこともあわせて考えておりますので、それの関連で、たとえばどのVOR、どのNDBをどういうふうにとっていけばそれが確実に分離できるか、その場合に通信が果たして航空機ととれるのかどうか、先ほど私御説明いたしましたレーダーがどの程度その場合に活用できるのかどうか、こういうふうな細かな技術的な点を詰めている、こういうことでございますので、遠からずこれの結論を得るに至るというふうに考えております。  それから、飛行経路になりますと、これは先ほど申し上げましたように、飛行場のごく近間なところは従来から直線進入、直線出発、こういうことでございますので、これはアウターマーカーあたりのところから真っすぐ入ってきて着陸をする、離陸しましてから八マイルないし十マイルあたりまでは真っすぐばっと出てまいります。これは何も特に工夫をするところはないわけですが、それから先それぞれの目的地へ分けていかなければなりません。この分けていきますときに、どのVORをとって方位何度で、あるいはDMEで何マイルの地点で右へ曲げるか左へ曲げるか、そういうふうな細かな点を詰めてまいらなければなりません。これを詰めてまいろうといたしますと、私どもといたしましては、十分な高度をとっている、したがって地上に騒音を及ぼす影響はほとんどないと考えていいというふうに確信をしておるわけでございますが、地元の方が飛行経路というものを地図の上でごらんになりますと、これは平面的にかいてございますので、したがって、何か自分の頭の上を飛行機がばんばん飛ぶような感じを実はお持ちになる傾向が非常に強い。そこで、現実にどのVORをとり、DMEで何マイルの地点でどういうふうに曲げれば確実に曲がるかどうか、そのときに一番重たい飛行機はどのくらいの高度まで上がっていくか、上がっていった場合に、上昇の状態をとったとして地上に及ぼす騒音がどうなるかというふうな点を細かに詰めまして、従来いろいろと、先ほどもちょっと申し上げましたが、六千フィート以下に下がらないとか、あるいは人家の密集した地域のところはなるべく避けてくれとか、こういうふうな御注文もいろいろございますので、そういうものとの兼ね合いをきちっととって、完全に御説明し、御納得いただける状態になった時点で申し上げませんと、これは非常に無用の混乱を招いてしまう、こういう心配がございます。その点をせっかく詰めておる、こういう段階でございます。
  58. 木原実

    木原委員 もう一つ聞いておきたいのですけれども、横田の空域の管制権といいましょうか、これが戻ってくるという話が実は沖繩返還の当時、四十五、六年ごろですか、何か聞いたことがあるのですけれども、これはどうなっているのですか。返還の体制にあるわけですか。
  59. 松本操

    ○松本(操)政府委員 横田空域につきましては、御案内のように関東地方の西の部分、南は相模湾の上空から北は新潟の近傍まで、それから西側の方は山梨県の上空に引っかかるくらい、かなり広大な空域がございます。したがいまして、この空域を民間航空機のためになるべく自由に使うようにしていきたいということがまず最初の取っかかりでございました。この国会でも何回か御質問を受け、その都度その状況を御説明申してまいったわけでございますが、最初は、まず空域の天井の高さを、非常に高かったものを、四万一千フィートだったかと思いますが、下げる。それからその中にトンネルを何本かつくりまして、あらかじめそのトンネルについて横田の管制機関との間に協定を結んでおきます。そのトンネルにほうり込むよということさえ一言言うてやれば、横田の方は文句なしにこれを受け取るというふうな形で現在運用してきておるわけでございます。しかし、行く行くはこの横田の空域を可能な限り縮小していくということを当然考えていくべきではないか、こういうふうに思っております。  そこで、つい昨年の秋にも南の方の一部を削り取りまして、そして浜松の沖に真っすぐ出られますような航空路を一本つくりました。これは従来そういう航空路がなかったわけでございますから、新しくそういったような出発経路をつくることによりまして、横田の空域の一部を削減して新しいそういった経路をつくりことによりまして、西向きの飛行機の取り扱いというものがかなり向上したということになっております。五十二年度におきましては、現在の予定といたしまして、この横田の空域を大体通常の進入管制空域と同じ程度に引っ込めてしまおう。進入管制空域と申しますのは、先ほど来いろいろと御答弁申し上げてまいりました成田とか羽田とか、こういうところに飛行機を上げおろしするために必要な空域でございますが、大体半径六十マイルとかあるいは七十マイルとかいった程度の空域でございますが、この程度の空域にまず小さくしてしまう、そしてその残りの部分はわが方が取る。わが方がと申しますのは東京管制部が取るわけでございます。東京管制部にそのためのセクターをつくりまして、そのセクターによって、従来使わずにおいた空域を使うようにしよう。これを使うことによりまして、大阪、福岡あるいは韓国方面に向かう航空機、あるいは西日本と関東、東北を結ぶ直行経路という従来の航空路を通りませんで——二地点間を最短距離で結ぶのを直行経路と申しておりますが、この直行経路を引くことがある程度可能になってくるのではないだろうか、こういうふうなことで、まずこれらをいままでは横田の管制所に一たん管制移管をしまして、横田の管制所が管制をしてから再び東京管制部に移管をする、こういうやり方をしておったわけですが、これを削ってしまって取ってしまうことによりまして、東京管制部が直接始めから終わりまで一貫して管制をしてしまう、こういうふうなことを五十二年度中に実現したいと考えております。  将来の問題といたしましては、これはいつということをいま申し上げられる段階ではないと思いますけれども、可能な限りその管制空域というものを小さくしていきまして、あそこら辺には軍用基地が幾つかございますので、そういったところの管制までわれわれの管制官が直接やるかどうかというふうな点については多少の議論は残ろうかと思いますが、必要最低限のところまで空域を詰めて、その残りの空域は東京管制部の直轄空域として使う、こういうふうな方向で鋭意作業を進めている段階でございます。
  60. 木原実

    木原委員 そうしますと、横田空域はかなり広がるということですね。最終的に米軍の軍用機までの管制はやらないまでも、事実上、全面返還という言葉が適当かどうかわかりませんけれどもわが国の方でかなり自由に使える分野が広がった、ある意味では必要最小限度のものを向こう側に残して返ってくる時期だ、五十二年度はほぼそれの体制ができ上がる、こういうふうに理解していいのですか。
  61. 松本操

    ○松本(操)政府委員 必要最小限度の軍用基地周辺の進入管制空域をどうするかという点は一応残りますが、これを一応残しておくといたしますならば、その残りの空域につきましてはこれを返してもらいまして、というのか取り上げてと言った方が適当な表現かもしれませんが、東京管制部が直接的に管制する。つまり現在東京管制部が直接的に管制しております空域の広さというものからいいますと、先生おっしゃいましたように広がる。それから、横田空域という関連で申し上げますならば、横田空域が小さくなる、こういうふうにおとりいただいて結構でございます。
  62. 木原実

    木原委員 あわせてその他の、従来米軍の専用空域と言われたルートが何本かありますね。それらについてはどうですか。返ってくるあるいはこない、交渉があるのかどうか、あるいは見通し……。
  63. 松本操

    ○松本(操)政府委員 現在米軍の管制機関が事実上の管制行為を行っております空域は、ただいま議論になっておりました横田の空域と、それから岩国の基地がございます。この岩国基地の周辺の空域、それから嘉手納を中心といたしまして、嘉手納、普天間、那覇、この三空港がきわめて接近をしておりますので、この嘉手納によって行われております進入管制の空域、この三つがございます。  それから、いま航空路というふうなお話がございましたが、現在米軍専用の航空路どいうものはございません。かつてブルー14というのが、あたかも米軍の専用航空路であるかのように言われておった時代がございますけれども、管制上私どもはこれは横田空域の一部と理解しておりまして、米軍専用の航空路というものではございません。したがって事実上そういうものはございません。  そこで横田空域につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、必要最低限に削っていくということを、いま五十二年度を念頭に置きながら作業を進めておるわけでございます。  岩国の空域につきましては、岩国の基地のほかに、広島及び松山の空港の進入管制、これを岩国が行ってきておったわけでございます。しかるところ、ちょっといま正確な年次を私記憶しておりませんが、数年前に広島空港にレーダーを置きまして、この広島空港の進入管制をレーダー管制に切りかえました。この時点におきまして岩国の空域をその部分だけ削り取りまして、広島につきましては広島が直接進入管制をしております。したがって、現在岩国の管制空域の中に残されております民間空港は松山でございます。松山空港にもレーダーを置いて、岩国の空域と分離できないかということをこの二年ばかりいろいろな方面から検討してまいっておるわけでございますが、ここは非常に複雑な空域であるということと、それから岩国と松山の滑走路の方向がほぼ平行しておるというふうな悪条件が重なっておりますものですから、現在の技術ではこれを分離するということが非常に困難でございます。したがって別の方法で、この岩国の管制空域というものの中における松山のありようというものを改善していこうということを、いませっかく検討中でございます。  それから嘉手納につきましては、これは四十七年の沖繩の返還のときにもお答え申し上げておりますように、非常にこの三つの空港がくっついておりますので、いずれか一カ所で総合的な、先ほどちょっと私申し上げましたが、コモンIFRという方法で管制をいたしませんと、空域を分離するということは、管制技術上ほぼ不可能といってい掛のではないか。そこでこれをいつの時点で分離をしていくかということになりますと、先ほども申し上げましたお答えの中で触れましたけれども、コモンIFRという手法そのものを実は私どもやったことがございません。したがいまして、たとえば成田と羽田の間というふうなこと、あるいは成田と百里とか、そういったような手近なところでまず十分の経験を積みまして、それをベースに嘉手納の空域をどうするかということに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  64. 木原実

    木原委員 もう一つ。羽田の管制所の機能を、成田開港後も現在の水準というか基準というものを維持するという前提でございますか。
  65. 松本操

    ○松本(操)政府委員 現在の羽田空港の管制の能力、年間十七万五千回あるいは一日四百六十機、これはIFR機につきましてですが、Vを入れますと大体四百八十近くなりますが、この能力というものにつきましては、成田を分離いたしましても変わるべき要素がございません。したがいまして、私どもといたしましては、羽田の管制の能力というものは現状のままで維持をしていきたい、こういうふうに考えでおります。ということは、百五、六十機の国際線が成田に移行いたしますと、現在国内線におきまして増便をしたいという要求がありながらも、能力限界にいまございますものですから、何年来これを抑えてきております。したがいまして、成田に展開をいたしました後に、新しい空域において管制官が管制をしますので、十分慣熟ということも必要であろうかと思いますから、慣熟というふうなことを念頭に置きつつ、徐々にまた一たん減った便数が戻っていくということが当然考えられてよかろうかと思います。したがいまして、そういう意味からも、羽田の現在の能力というものは減らさないでそのままの状態を維持していく、こういうふうに考えております。
  66. 木原実

    木原委員 これは少し気になることがあるのですけれども、羽田の能力を維持するために、たとえば成田の使用する空域の部分が北へずれているとかあるいは制約を受けるとか、そういうことはございませんか。たとえば御宿の待機空域ですか、御宿を羽田の方につける、あるいは佐倉の待機空域はどういうことになるのですか。あるいはまた私どもが正確かどうかわかりませんけれども、たとえば百里の頭を切ってルートをつくる、何かこういうような考えがあるように聞いておるのですけれども、羽田の能力を維持するために、その影響を受けて成田の空域が必要以上に狭くなってくる、そのことが今度また百里との調整をいろいろ困難にする、こういうような循環になっているんじゃないですか、どうですか。
  67. 松本操

    ○松本(操)政府委員 進入管制空域における管制能力というものは何で決まってくるかと申しますと、飛行機と飛行機の間のセパレーションをどう取るかということで決まります。これはすでに御案内のように、昨年の三月から羽田の空港にはARTS・Jという非常に新しいコンピューターの入りましたレーダー施設がついております。したがいまして、管制官はロードをふやすことなく確実に安全なセパレーション、安全間隔というものを設定することができる、こういうふうになっておるわけでございます。そこで、羽田の空域というものは従来に比べれば多少縦長の形になってまいります。つまりいま例に出ました御宿あたりのところから上の方を成田の方が使うことになりますのでその分は変わってまいりますが、しかし御宿のVORは従来どおり羽田が使う、こういう考え方でございます。そこでいま先生がおっしゃいましたのは、御宿で羽田が使うためにそこで飛行機が待機をする、その場合に飛行機の待機経路というものの外側にバッファーというのをとります、安全圏をとります。高度を上げるに従いまして安全圏の幅が広がってまいります。そこで非常に高いところまで積み上げるようなことをいたしますと、上の方では非常に広い安全空域をとらなければならない。そのそばを通って成田へ入っていく、こういうことになりますので余り上まで上げますと成田に入る飛行機との間に問題が出てまいります。そこで、御宿に積み上げてまいります積み上げ部分の待機経路の高さというものをある限度で抑えるということを考えておりますが、しかしこれは仮に非常に高く積み上げますと、その近所を通る飛行機というものは成田へは事実上おりられなくなってしまいますので、そういう点については先生御指摘のような点はないというふうに私ども考えております。  それから佐倉につきましては、これは成田も羽田も待機空域としてはもはや使わないということを考えておりますので、いま申し上げましたバッファーの問題というのはここでは出てまいりません。
  68. 木原実

    木原委員 空域の問題は細かい問題がたくさんあるわけですけれども、大分時間も経過しましたのでこの程度にしておきます。  最後に詰めておきたいのですが、先ほど少なくとも開港の三カ月前、こういうふうにおっしゃいましたが、空域や経路の決定、これは国際運輸機構に通達するのは六カ月前じゃなかったのですか、どうですか。大体これが詰まるめどというのはどんなふうに考えていらっしゃるのですか。
  69. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず通告の期間につきましては、IATAの方では先生おっしゃるように半年くらい前には言うてくれ、こう言うておりますが、私どもの方としては三カ月前には明快にお答えしましょう、こう言うております。それからICAOというのが国連の下部機構としてございます。これが管制の方の根拠になりますが、これは勧告で国際空港を開港する場合には少なくとも三カ月前、こう言うておりますので三カ月というので十分であろうかと思います。  それから決める時点は、三カ月前にあわてて決めてすぐ通告するというのでは訓練も何もできませんので、それよりなるべく早く前広に決めるということは努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  70. 木原実

    木原委員 それでは少し話を変えまして成田空港の一般の問題について、特にパイプラインの問題についてお話を聞きたいと思うのです。  運輸大臣、成田の開港ということなんですけれども、私どもは成田に振り回されまして十年に余ってこの問題にかかわってきたわけです。この時点で総理は十一月までに開港だというような号令をかけた。そのことでいろいろな機関が動いておるのはいいわけですけれども、それにしても余りにも問題が多過ぎるわけなんです。きょうは総裁にも来ていただいているのですけれども、成田を開港させるためにいま必要な要件というものは何が満たされていないのか、何と何という条件が整ったら成田は開港に至るのか、この時点での御見解を聞きたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  71. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  成田を開港するために必要な条件の一つは、空港の開港に伴って当然必要になります航空機燃料の輸送経路の確定でございます。これは、御承知のように本格パイプラインの設置を中断いたしまして現在列車輸送によります暫定輸送方式を検討いたしておりますが、このことの輸送経路が確定するということ、沿線市町村の御理解も得たいということで十分努力したりいたしておりますが、その点が第一点。第二点は、現在成田の四千メートル滑走路の南側にございますところの二基の妨害鉄塔と言われておりますところの航空法上の障害物、これが除去されることが第二点でございます。この二つが済みますと、あとは先ほど来次長が説明申しておりますようなフライトチェックあるいは機長の慣熟訓練等行いまして開港にこぎつけるということでございます。  それからなお、開港後に当然予想される事態といたしまして、成田空港と東京を結ぶアクセスの問題がございます。これは鉄道の問題、道路の問題等々でございますが、これらも最小限度開港に必要な手当てをいまいたしております。しかしながら、理想的な状態になりますのは物によりましてなお二、三年要するものもございますけれども、最小限度開港時に必要なものについては何とか間に合わせるべく現在努力いたしております。
  72. 木原実

    木原委員 妨害鉄塔という問題も出ておりますけれども、私ども見ておりますと、妨害鉄塔が立っていたり反対派の人たちが依然として反対をしておる、それだから開港ができないのでおくれているのだというのは、どうもそこに問題をしわ寄せしているような感じがするわけです。確かに油が通じ、アクセスが通じ、妨害物がなくなればスタートするというのは、これはある意味じゃ当然のことでしょう。しかしながら、そのいずれにも少なくともいまの時点で余りにも問題が残され過ぎているのじゃないか、こういう感じがするわけです。  そこで、話がちょっと飛びますけれども、妨害鉄塔の問題が出ましたが、私は昭和四十九年に文書で問い合わせをしたことがあるのです。全国の各地にいろいろ飛行場の航空法に違反をするような妨害物、障害物みたいなものがある、こういう一覧表をもらったことがあります。その後各地でそういう障害物の撤去などというものは行われているのですか。現状はどうでしょうか。私の手元に、昭和四十九年の五月にあなたの方からもらいました答弁書というものがあるわけです。これによりますと、東京国際空港の鉄塔、あるいは大阪空港、新潟空港、広島空港、北九州空港、あるいは宮崎空港等にそれぞれアンテナとか建物とか建造物とかいろいろな障害物がございますという実は一覧表がついておるのですが、これらの処理はできているのですか。
  73. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これらの障害物につきましては、その所有者と再三折衝を重ねておりますけれども、まだ撤去されるに至っていない現状でございます。
  74. 木原実

    木原委員 鉄塔を建ててまで農民の諸君が反対をしておるという背景の中には、やはりまだそれだけの問題があるわけなんですね。いろいろと反対のために過激な運動を行っておる人たちもいるわけですけれども、しかし、根が御存じのようにあそこで長年農業をやってきた人たちですね。そういう人たちが、ともかく体を張ってでもという文字どおりのことをやって、いまだにやはり反対せざるを得ないという状況があるんです。  先般私どもは久しぶりに現地の調査をして、反対同盟に加わっている農民の人たちとも話し合いをしてみました。たとえば、代替地の問題一つとりましても、確かに行政的ないろんな措置はやっている、公団も努力をしている、こういうわけなんですけれども、しかしながら、一例を挙げますと、同じ代替地についても約束どおりのことが行われていないんですね。たとえば、代執行の前に、当時の千葉県の知事はわれわれに対してある部落についてはお寺もお宮も含めて部落全体が、共同体そのものを移転をするような措置を講じますという文書での約束があります。そのことで、その地域の農民の人たちは、そうかということになっていたんですけれども、これが行われていない。あるいはまた代替地といいましても、価格は同じ百万円であっても、しかし片方は農業をやろうというわけですから、建物を建てれば、宅地にすれば百万円になっても、しかしこの価格だけでは砂まじりの、石まじりの土地では百姓ができない、農業ができない、こういうような措置がとられているという訴えを聞いたわけですね。きょうは細かいあれは言いませんけれども、そういう事例といいましょうか、余りにも多過ぎるわけですね。最初の閣議決定のときから、地元対策については万全を期すというのが政府の方針であった。しかし、この十年を経て、地元対策というのはおよそボタンのかけ違いですね。現に、われわれの県からも皆さんの手元にことしは二十八項目にわたって地元対策についての要望を出しているわけです。しかし、それに対する回答もほとんど行われていない。これは騒音対策の面、あるいはまたいま申し上げた代替地にかかわる面、あるいはそれに関連するさまざまな事業、あるいは過大と思われる要求があるかもわかりませんけれども、しかしながら、地元としてはこの十年間混乱に混乱を続けてきたわけですね。なかんずく成田市を含めて近隣の自治体などは、いたずらにこの空港の問題に引きずり回されまして、予算上もこれは事実上破綻に瀕するような状態になっているという姿があるわけです。ですから、おっしゃるように油を通して、鉄塔がなくなってアクセスがつけば、飛行機は飛ぶでしょう。しかしながら、その他の大部分のものが行政上はある意味では打ち切られ、ある意味では先に延ばされたまま飛行機が飛ぶ、こういう姿、総理は果たしてその辺の認識があるのか、機会があれば総理にも私はただしたいと思うのです。そういう状態についてどういうふうに認識なさっていらっしゃいますか。
  75. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 内陸部に巨大な能力を持った空港ができるわけでございますので、空港が開業した後にいろいろ地元の住民の生活に与える影響も大きいことは十分よく承知いたしておりますが、そこでこの空港を建設するときから、地元対策を十分にやるという方針に基づきまして、私ども現在数十項目にわたる要望を県あるいは関係市町村からいただいております。これらのすべてにつきまして、誠意をもっていま検討いたしております。中には若干時間のかかるものもございますし、すぐできるものもございます。それらの要望事項を全体整理いたしておりますけれども、たてまえ上どうしても御要望に応じ切れないというふうなものはそうたくさんはございません。ただ時期的に若干時間をおかし願えれば可能であるというものが、私は全体の七割か八割ぐらい占めていると思いますが、そういったことで現在地元の市町村、それから県当局とも要望事項に対する回答をなるべく早く申し上げるべく整理いたしておりますが、それらをなるべく早く詰めまして、成田の開港についての地元の方々の御理解を得たい、こう考えているわけでございます。
  76. 田村元

    ○田村国務大臣 実はこの問題につきましては、私から直接問題点といいますか、いろいろな要望事項を洗いざらい皆持ってこい、こう言いまして、実は昨日もまる一日かけて検討をしておりました。いままで私自身が就任日がまだ浅く、運輸大臣になりますと同時に予算編成、その後は御承知のように予算委員会で終日座っていなければならぬというようなことでありましたので、私が直接の検討をすることがなかなか時間的にも物理的にも余裕がございませんでしたが、予算委員会もどうやら一段落、一つの峠を越えたものでありますから、検討を始めました。  で、実は私は事務次官以下によく申しておるのでありますが、こういう巨大な国際空港をつくる、これは大変な国策である、だから、とにかくりっぱなものをつくらにゃならぬ、しかしながら、そのつくられる地元の者の身にもなってみろ——実は私の郷里で、もう大分前でありますが、原子力発電所をつくるということで大騒ぎがありました。結局いまもって留保のようになっておりますが、そういうことの経験に徴しましても、この際、地元の要望は可能な限り聞くという前提の上に立ってこういう問題を整理した方がいいのじゃないか、こう申しております。  率直なことを言いまして、役所へそのまま事務当局に預けておきますと、なかなかそれがもたもたすることもあるのです。それは御承知のとおりです。でありますので、私が直接持ってこい、おれが目を通してやる、こう言って、航空局長もそれから空港公団総裁、副総裁も、きのうもそうだったのですが、呼んで、事務次官以下も陪席させまして、この問題は何省だからむずかしい、よろしい、それじゃ何省へおれは自分で直接話をつけに行く、こういうふうにしていま鋭意整理中である、こういうことでございますので、こういう地元の要望の処理につきましては、私は誠意ということと同時に、愛情を持って処理をしていきたい、こう考えておる次第でございます。  ただ、ほんのわずかでございますが、どうにもこうにも行政のまないたに乗っからないものもあります、率直なことを言って。これはまた地元にそういう事情を事細かに説明もしなければならぬかもしれませんけれども、多くのものは処理できるのじゃないかという判断をきのうもしたところでありますが、いろいろとまたお知恵もかりなければならぬと思いますけれども、よろしく御協力のほどをお願いしたいと思います。
  77. 木原実

    木原委員 これは大臣のいまのお話に便乗するわけではないのですが、私の方も問題を持っているわけです。そうして、その問題についても、これが問題であるという整理もできているわけです。もし大臣にそういう御意思があるならば、これはとりあえずと申しましょうか、近いうちに少し時間を割いていただいて、こういう席でなくて、私ども意見もひとつ聴取してもらいたい、あるいはまた私どももぜひ改めてもらわなくちゃならない点、あるいはまた対処してもらわなくちゃならない点、あるいはまたわれわれが整理をしなくちゃならない点、そういうものを抱えているわけです。ですから、ひとつ別の機会にこの成田の問題について、私どもの県の出身の何名か衆参両院議員がおりますけれども、大臣とお話をする機会をつくっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  78. 田村元

    ○田村国務大臣 ぜひ御意見を承ろうじゃありませんか。そして、私は政府だからとにかくやるんだ、野党はとにかく批判だということでなしに、地元の人々のちょっとでも幸せの向上のために相談をし合うということはいいことだと思います。はっきり申し上げて、これだけの飛行場をつくる、国際空港だ——私は、オリンピックや万博とは意味が違うと思うのですよ。オリンピックや万博でもあそこまで手厚い保護が加えられた。高度成長時代であったからと言えばそれまででございましょうけれども、私は、この問題はああいう問題とは意味が違うと、そのように考えておりますので、ひとつ木原さん、恐縮でありますけれども、ごあっせんいただいて、いろいろとまた御相談いたしたいと思います。
  79. 木原実

    木原委員 ぜひ近いうちにそういう機会を持つように別途御相談をしたいと思います。  私ども経験ですと、初めにボタンをかけ違えまして、次々とボタンがかけ違ったまま今日に至っている。歴代、私どもがかかわりましてからも、大臣、局長あるいは公団の総裁、それぞれの責任者が大変目まぐるしくかわりまして、それぞれの時点でそれぞれの衝に当たられた人たちがそれなりの努力はされたのでしょうけれども、残念ながらボタンがかけ違ったままであったわけです。しかしながら、それならば、やはりこのボタンのかけ違いを改めない限りは、飛行機は飛びましても、地元の人たちの言う恨みの空港になってしまうわけですね。恨みの空港のまま発足をさせるなどということは、われわれとしては耐えがたいことなんです。ですから、一つ一つの問題について、未解決の問題がかなりあります。それらの問題について、できるだけやはり政治的に詰めていくところは詰めていく、こういうお考え方で対処をしていただきたいと思います。  なお、御了承いただいて、もう少し時間をかりまして、さしあたって問題になっております問題を少し聞いておきたいことが、総裁、ございます。  実は、千葉市のパイプラインにかかわる問題です。将来にわたって油の補給ということが空港の死命にかかわる問題となりますと重要な問題だと思うのですが、実は、いま千葉でパイプラインについての裁判が進行をしております。ところが、その中で、公団から代理人として出席をされました理事の方が、公判の後記者会見をしまして、いわゆる本格パイプラインについては、もうすでに計画は公団の手を離れていると、こういう発言を実はなさっているわけですね。公団の手を離れているということになりますと、その計画はどの程度にできているのか、どこへ上がっていっているのかという疑念が当然わくわけですけれども、いかがでしょう。
  80. 大塚茂

    大塚参考人 お答えいたします。  新聞にそのような記事が一部載りましたけれども、これは正確でございませんで、申しました本人に聞きましたところが、要するに公団としての一応の腹が固まって、それを関係機関との協議調整の段階に入ってきたと、こういうことを言ったということでございます。  ルートの案について再検討いたしておりましたが、公団としての大体の腹案ができましたので、それを関係機関お話しをいたしまして、いま御指導をいただいておるという段階でございます。そうした段階に入ったのは大体今年に入ってからでございます。
  81. 木原実

    木原委員 そうしますと、その関係機関というのは、たとえば運輸省であって、地元の自治体その他との協議ということではないわけですね。
  82. 大塚茂

    大塚参考人 さしあたり現在やっておりますのは運輸省、自治省、建設省、通産省という中央官庁の意見聴取といいますか、調整でございまして、そこで大体よかろうということになった段階で千葉県なり千葉市あるいは住民の方々に御説明を申し上げ、御相談をしたい、こういうふうに考えております。
  83. 木原実

    木原委員 総裁も御存じのように、パイプライン事業法が成立をする過程の中で、衆議院も参議院も附帯決議をつけておりますね。法の精神として、この事業の施行に当たっては関係住民、参議院の場合には地元自治体と協議をすると、こういう形になっているわけですね。そのことについてはどんなふうにお考えですか。
  84. 大塚茂

    大塚参考人 衆議院で附帯決議がございますことを私どももよく存じておりますので、十分その趣旨に沿ってやっていきたいと、かように考えております。
  85. 木原実

    木原委員 さかのぼりますけれども、パイプライン事業法が施行された以後、たとえば千葉市を通過する本格パイプラインについては、約四年半にわたって、そのことが全然行われておりませんね。そのことについてはどうですか。
  86. 大塚茂

    大塚参考人 おっしゃられますように、四年半ではないと思いますが、四年近い期間協議が行われておりません。これは、工事が中断をされまして、その後ルートについて再検討に入りましたために、そのルートが決まるまではお話しをする具体的な原案がないわけでございますのでまだお話を申し上げていないということでございますので、大体先ほど申し上げましたようなことで原案が固まりましたならば、ぜひ御協議を申し上げたいというふうに考えております。
  87. 木原実

    木原委員 福田さんが改めて、行政に携わる者、政府機関に携わる者は法の執行や遵守については厳重であるべきだというようなことを述べられたことがあります。公団の事業を遂行する過程の中で、私はこれは一例として申し上げているのですが、余りにも初歩的な行政上の怠り、ミスあるいは法の無視、そういうものが積み上がり過ぎているわけですね。パイプラインの問題にしましても、これだけ住民が不安を持ち、それからその過程の中で、たとえばパイプライン事業法というものが成立をした。そういうものが一方では法として進行をしながら、公団が現場でやる仕事というのは、それらをある意味では全く無視をした、ある意味ではそれを顧みない、直接的にも間接的にも関係住民に対してはこれを無視をする、こういう形は余りにも多過ぎるわけですね。それが今日の公団の仕事に対する地元の不信感というものを生んでいるわけです。一方ではもう開港は十一月だと、こういう宣言が行われているわけですけれども、不信感が残る最大の原因は、私は、やはりそういうやり方の中に積み上げられてきたと思うのです。ですから本格パイプライン、いまは暫定でやろうというわけです。暫定で、たとえば今度市原から貨車輸送をやるということが起こりまして、先般公団の担当の人たちが説明などをいたしました。聞いてみますと、私だってこれは腹が立ちますよ。私のところへその説明に来てくれと言いましたら、担当の人が見えまして、何かリーフレットのようなものを一枚持ってきて、これは大丈夫です、市原は石油地帯ですから御理解があります、というようなことを言って、こういうふうに回して成田まで貨車輸送します、せいぜい一日二両くらいですから大したことはございませんと、こういうお話。大したことはないかもわかりません。しかしながら、あれだけ鹿島から成田まで鉄道輸送する際には沿線の住民の人たちが不安を感じて、公団が恐らく予測をしなかったような問題が起こったわけです。その後、今度は一部を千葉から輸送をするんだ、市原から輸送をするんだ、——その不安はないのかと言ったら、いやそれは鉄道の問題でございます、鉄道の問題ですから私たちの方の問題ではございません、こう言うわけなんですね。なるほど鉄道の問題かもわかりません。私はいま改めて資料を取ったわけですが、それではこの輸送をする総武線、この十年間ぐらいの間にどれだけ事故があったのだ、こういう資料を請求しましたら、事故が頻発しているわけですね。なるほど鉄道の問題かもわかりませんけれども、その仕事を委託するのは公団ですから、沿線の住民の人たちに不安を与えないで済むかということを配慮するのは、あなたたちの仕事に携わる前提でなければならぬと思うのですね。全くそういうものが無視されている。それでは一体公団というのはどういう仕事をやっているのだということでいまでも改めて問い直さなければならぬ、そういうことを繰り返しているわけですね。このパイプラインは一例です。増村理事が記者会見で述べた中にこういうことがあります。石油パイプライン事業法第十五条の工事計画の認可申請は、昭和五十三年三月まで一年間延長せざるを得ない、こういうふうにおっしゃるのです。事業法によりますと、こういうことを延長するかどうかを認めるのは主務大臣の権限ですよ。どうして公団の一理事がそういうことを公表するのでしょうか。ある意味では思い上がりもはなはだしいじゃないですか。越権じゃないですか。そういう姿勢を私は問いたいと思うのですが、どうですか、それは。
  88. 大塚茂

    大塚参考人 本格パイプランにつきましては、ちょうど石油パイプライン事業法が制定せられる前に工事に着手をいたしまして、しかもある事情で途中で工事を中断をするというようなことがあり、さらに先ほど申し上げましたようにルートの再検討に入っておるというようなことから、いろいろ手続的に遺憾であったという点が幾つかございました点は私どもも率直に認めております。最近は絶対そういうことのないようにということで十分に注意をしてやっておりまして、最近は私どもはないと確信をいたしております。  それから、暫定輸送の千葉側の鉄道沿線の市町村との話し合いでございますが、これは鹿島ルートにつきまして茨城県側との話が済みました直後、直ちに沿線の各市町村には公団から出向きまして、茨城県とこういうことでお話し合いがつきました、つきましては同様のことを千葉県側の沿線の皆さんのところにもやりたいから、ひとつぜひお話し合いをいたしたいということを積極的に公団の方から話をいたしまして、現にいわゆる佐原グループといいますか、佐原から成田間の西二町については、昨年の十月二十五日に具体的な要望が出されまして、そのうちの公団が担当いたします安全対策については、もう実質的に話が相当煮詰まってきております。それから佐倉、酒々井、四街道という千葉側につきましてもお話し合いをいたしまして、市議会の全員協議会等に説明に伺うというようなこともいたしまして、いろいろお話し合いをいたしておりますが、まだこちらからは具体的な要望がまとまらぬということで、いま現地で要望をまとめておるという段階でございます。市原市についても同様なお話をしております。ただ千葉市につきましては、まだいろいろの事情がありましてお話を申し上げてないということでございまして、いろいろ過去においてわれわれのやり方にまずかった点があるということでございますが、最近におきましてはそういうことのないように十分の注意をしながらやっておるということをひとつお認めをいただきたいと思います。
  89. 木原実

    木原委員 増村理事の話は最近の話なんです。私がなぜこういうことを問題にしますかといいますと、過去に余りにもその種の問題が、つまり法の無視あるいはそのことを通じて住民無視、トラブルを起こしているのは公団の方じゃないかと思うぐらい重なっているわけですね。私はかつて質問主意書でもお尋ねをしたことがありますけれども、たとえば法律が出る前に、国会で法律が成立をしていない前に、そのことを予測をして手続を怠るといったようなことをやっているのです。たとえば本格パイプラインは、事業法施行前は消防法の適用があった。ところが消防法の許可を受けなかったという答弁が、四十九年の五月に同じこの質問の中でございました。いわば政府が私に謝ったわけです。そのときのことだって、さかのぼって考えますと、いずれこのパイプライン事業法が国会に出るだろう、それは成立するだろう、こう言って、それがまだ国会にかからない前に、したがって消防法というのは消えてしまうからそれの手続はやらぬでもいい、こういうようなことを実はやってきているわけですね。これは国会を無視といいましょうか軽視といいましょうか、信じられないことを過去にやってきているわけですね。  そして先ほどの増村理事の発言を問題にしたいと思うのは、同じようなことをやるんじゃないかという心配があるわけです。これは過ぎたことですから改めてこの責任を追及したいとは思いません。しかし実はそういうことを重ねてきていて、そうしてまた先般の増村理事のような発言があったわけですね。一年間延長したい、公団の腹づもりはあるいはそうかもわかりません。しかしそれはどこまでも大臣の権限なんですよ。それを飛び越えて公団の一理事がそういう見解を出す、そういうことをいま考えますと、総裁がこれからそういうことはないとおっしゃいますけれども、そういうものが余りにも積み上がり過ぎていたわけなんです。  これは大臣に、これは監督の責任にあるわけですが、この種のものを挙げれば私は幾つも指摘することができるわけです。しかも一番大事な油の輸送に関する問題、しかもいまは非常に過密な、いわゆる団地の真ん中を通る、消防法上からいっても疑義のあるようなところを通そう、こういうことでストップになっているわけですね。そうして、お話によりますと腹案ができて、関係の中央官庁でいま話し合いに入っている、こういう段階なんですが、これは重要なことなんです。私は、腹案ができたら、従来のいきさつもあるわけですから、地元の人たちの納得を得られませんと、法のたてまえもあります、きちんとやるべきことをやらないと通るべきものが通らぬと思うのですね。その辺の監督の責任者としての御見解をひとつ出していただきたいと思います。
  90. 田村元

    ○田村国務大臣 公団側にもつらい気持ちもありましょうし、いらいらする気持ちもありましょうし、また言い分もあろうかと思います。しかしながら、私は最近特に強く言っておるのでありますが、こういうことをするのに官僚的であってはいかぬ、いわゆる悪なれというものを持ってはいかぬ、誠心誠意やれば道おのずから通ずなんだから、そういう意味でも姿勢を正しなさいと厳しく忠告もいたしておるような次第であります。御指摘のあったようなこと、それがよしんば違法行為でなかろうとも、住民のひんしゅくを買う、あるいは反感を買うような態度を絶対に示してはならぬのであって、これから十分に指導監督をしてまいる所存でございます。
  91. 木原実

    木原委員 もう時間が参りましたので、最後に二つばかり総裁の御見解をお聞きして終わりたいと思うのですが、一つは、千葉市の中に、本格パイプラインにかかわる分野ですが、掘り返している部分がありますね。それから、本体がまだ掘り返されていない部分が実はあるわけです。それを一体どうなさろうとするのか、御見解をお聞きをしておきたいことが一つと、それから、いま腹案ができて、中央官庁との話し合いに入っているというのですが、その腹案について地元の自治体や関係の住民にお話しする時期はいつごろだとお考えになっていらっしゃいますか。
  92. 大塚茂

    大塚参考人 ただいまの御質問の前に、先ほどの増村理事の記者会見での発言にちょっと弁解をさしていただきたいのでございますが、増村理事並びにあの記者会見に立ち会いました者の言によりますと、延期を申請せざるを得ない、こういうことは申しましたけれども、何年何月までとか一年とかいうような言葉は絶対申していない。ただ、延期を申請せざるを得ないということを申し上げた、こういうことでございますので、その辺ひとつ誤解のないように御理解をいただきたいと思います。  それから、先ほどの問題でございますが、本格パイプラインで千葉市の中に埋設をされたままになっておりますものは、その後できました石油パイプライン事業法の技術基準にまだ適合いたしておりませんので、これについては掘り返しまして、技術基準に適合するような工事をいたしたいというふうに考えております。  それから、ルートについての腹案について、現地にいつごろ話をするかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、本年に入ってから中央各官庁との調整といいますか、協議に入っておりますので、それが大体固まり次第ということにしたい、こういうふうに考えております。決まらぬものをお話をいたしまして、後で中央でそんなルートはだめだというようなことになりますと、これは非常な混乱を招くことになりますので、大体中央での話し合いがついた段階で地元にお話をしたい、こういうことでございます。
  93. 木原実

    木原委員 これで終わりますが、いまのお話もそうなんですが、中央官庁との折衝はいいでしょう。決まったものを、これは変えられませんよと言って地元に示すからいままでも混乱が起こったわけです。行政運営上も幅を持たせて、なお地元との話し合いの中では変えられるルートがあるんだ、A案、B案、C案ぐらいはつくって、地元にもやはり選択の余地を残しませんと、これは押しつけることになるわけです、協議といいましても。そのことでいままでも成田はさんざん苦労してきたわけです。ですから、中央官庁とで腹案についてお話しになっておるのは結構ですけれども、しかし、地元と協議をするということであるならば、修正の余地のあるもの、地元の意見が反映する余地のあるものを示してもらわないと、同じような混乱が起こりますよ。それじゃ決まったものに対しても、われわれ地元の者はノーと言う権利があるわけですから。その辺のことが、行政上の姿勢として成田の問題が各部門に混乱を起こした原因なんです。ですから、これは要望しておきたいわけですけれども、幅のあるものを示して、地元の声を聞いていただきたい。こういうことを要望して終わりたいと思います。
  94. 正示啓次郎

    ○正示委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後直ちに再開いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  95. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  先刻決定いたしました参考人に追加いたしまして、本日、新東京国際空港公団総裁町田直君に参考人として御出席願い、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  97. 正示啓次郎

    ○正示委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行いたします。宮井泰良君。
  98. 宮井泰良

    宮井委員 私は、運輸省設置法の一部を改正する法律案に対しまして、主に気象業務に関する件につきまして若干の質疑をいたすものでございます。  そこで、まず気象通報所の廃止問題につきましてお伺いを申し上げます。  昨年秋に、第四次定員削減計画の一環といたしまして全国の通報所の二十三カ所が廃止される、こういうことになりまして、以来、地方自治体あるいは利用団体、地域住民の方々から廃止反対の声が上がりまして、そして各地において廃止反対のための運動が起こっておるということでございます。また、マスコミ等にもこれが取り上げられまして大きな反響を呼んでおります。こういった廃止に対する運動が起きておるということにつきまして、大臣はこのような点について御承知されておるかどうか、簡単で結構ですから御答弁をお願いを申し上げます。
  99. 田村元

    ○田村国務大臣 実は私も聞いておりまして、何とかならぬのかと言ってみたのでありますけれども、どうも非常にむずかしい説明を受けたものでありますから、この問題につきましては長官から御説明をさせたいと思います。
  100. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  この気象通報所の問題につきましては、これは元来無線ロボット雨量計というものを雨の観測が重要だということで設置いたしまして、そのロボット計からデータが入りますのを通報所にいる職員が聞きまして、それを親官署の方の地方気象台等に知らせる、それから一日一回九時に観測いたしましたものを知らせる、それから親官署から情報がございましたときにそれを地元の関係のところに、自治体等に知らせるというような三つの仕事が本来の業務ということでつくられたものでございますけれども、その後技術的ないろいろな進歩がございまして、そのロボットの雨量計のデータというのは自動的に電電公社の電話回線に入りまして集められるようになったり、それから地域気象観測網というものがおいおい整備されてまいりまして、主な観測地につきましてはこれまた自動的に入るようになりました。また、地元に情報を流すということにつきましては地域防災計画等で検討されて、地台の方から関係のところ、建設省とか警察庁とかに知らせますと、そこからいろいろな情報伝達の方式が合理化されまして、その方で済むということになりまして、この本来の目的というものが達せられるようになりましたので、私どもとしてはこれを無人化したいということで大分前からおいおい無人化してまいりましたけれども、今回二十何カ所か、うち事情によりまして四カ所は若干延びるかもしれませんが、無人化するということでわれわれは進めておるわけでございます。いまそういうことでいろいろ御説明に伺ったりいたしております。また、ぜひ廃止——廃止というか、無人化しないでくださいという陳情もいただいておるのも事実でございまして、この陳情においでになった方には詳しく私どもの考え方を御説明いたしまして、また私どもの方からも出向いて御説明をしているわけでございますが、なかなか御理解が得られていない向きもございますが、今後とも努力したいということで私ども考えているわけでございます。本質的になくなったときに住民の方々に大変御迷惑をかけるかどうかということなんでございますが、私どもとしては、気象庁の業務でございます予報なり警報なりを精度をよくしてやるということのために地域気象観測網を整備したり、レーダーを整備いたしましたり、計算機を入れて数値予報をやったりということで精度を向上させておりまして、地元の方々にはその予報精度その他においていままでよりはよくする方向で考えているわけでございます。簡単に申し上げますとそういうことでございます。
  101. 宮井泰良

    宮井委員 いろいろ御答弁ありまして、いろいろな機能が自動化されたためにそういったものが無人化していく、こういう御答弁もあったわけですが、そのような技術的なことは後ほどまた議論するといたしまして、各市長さんとか地方自治体なども、陳情が北見の市長さんとか夕張の市長さんとか、特に雪害、そういった雪の多い地域におきましてはずいぶん来ておることは御承知であろうと思うのですが、それは後ほどまたお尋ねするといたしまして、こういう廃止に対する運動が起きていることは確かでございますから、その辺の認識ははっきり持っていただきたい、このように思います。  御承知のとおりわが国気象変化の激しい国土的な特徴を持っております。毎年気象災害による被害というものが続発いたしておるわけでございます。昨年の自然災害による主なものでも、七月十日から十二日の梅雨前線豪雨によりまして伊豆半島南部で死者十六名、約二百五十七億円の被害が出ておる。また七月十八日から二十日にかけまして、台風九号による被害で死者、行方不明五人を出しまして、約四百億円に上る損害をこうむっておる。さらに台風十七号による被害は一都二府三十七県において死者、行方不明百六十五人、約一千九十八億円に被害が及んだということは記憶に新しいところでございます。その他東北一円を襲いました異常低温等はずいぶん稲作等の農産物に大きな影響を与えたわけでございまして、このような被害のために自殺者まで出しておるというのが現状であります。こうした気象災害を未然に防止するために、気象庁機能というものはきわめて重要なものでございます。そのために観測体制の強化というものはこれからますます大事になってくる、このように考えるわけでございます。したがいまして、地域のあらゆる自然現象を常時監視して観測する体制、こういった体制はなお一層ますますこれから強化していかなくてはならない、このように私は考えるわけでございますが、この点についての大臣の御所見をお伺いいたします。
  102. 田村元

    ○田村国務大臣 長官から。
  103. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  実にいまお話しございましたようなことを私どもも肝に銘じて計画を推し進め、りっぱなサービスをしていきたいということで努力しているわけでございます。いま、たとえば集中豪雨に対しましてどういう考え方をしているかと申しますと、集中豪雨をはっきり予報して人命を救い財産を救うためには、やはり予報精度を上げなければいけない。適時適切なときに予報を出し警報を出す。このためには、気象現象というものは非常に大規模なものから小規模なものまで重なって起こっておるというようなことがございますので、大規模なものにつきましては、大型の電子計算機を入れ全地球データを集めて、正確なシノプティックな予報というものをやっておるわけでございます。これには、けさほどもお話の出ました静止気象衛星の太平洋上のデータのないところも、これを入れることによって数値予報精度を上げるということでございます。  それからまた第二には、レーダー等を、全国に二十カ所ございますが、これを完備いたしまして、これによりまして、多少それよりスケールの小さなものは観測で押さえていく。あくまでもレーダーというものは面的に押さえることができるわけでございます。観測所と申しますと、どうしても一点、一点の観測になります。レーダーあるいは衛星というものは面あるいは立体的に押さえていくことができるという特徴を持っておりますので、これを活用いたします。  第三には、レーダーでは面的に特性を押さえることはできますけれども、どこに積乱雲が発達した、どこに移動しているということはわかるわけですが、その積乱雲のために雨が実際にどれだけ降るかということは、やはり雨量計ではからなくちゃいけないということで、現在約千カ所の観測点を日本国じゅうに置きまして、地域観測網というものをつくっているわけでございます。これは約千カ所、大きく見ますと、平均十七キロごとに観測点が置かれているわけでございまして、これが東京にございます大型の計算機で呼び出しをかけますと、毎正時の値、たとえば八時、九時というときの値が十分以内に全部集められまして、これを編集いたしました上で、さらに十分以内に管区気象台または地方気象台の予報官のそばにございます宅内装置というものにデータとして打ち出すわけでございます。必要な場合には、管区におきましてこれを地図の形にして打ち出すこともできる。したがいまして、雨がどういうふうに降ったということを毎時間、時間に押さえていきますと、雨域も一時間ごとにどういうふうに動いているかということもすぐわかるようなわけでございます。ただ、雨だけでは足りませんので、雨のほかに私ども四要素と申しておりますが、気温と風向風速と日照と降水量、この四つをはかる官署を今年度末には、四百カ所あるわけでございますけれども、これにつきましてはさらに増設していきたいと私どもは考えているわけでございます。確かに観測というものは大事でございますので、その意味ではこういう観測網をさらにふやしていき、そして私ども予報なり警報なりを、大きな現象から小さな現象までを網羅いたしまして、精度のいい予報を出したいということでわれわれ励んでいるわけでございます。
  104. 宮井泰良

    宮井委員 いま観測網を何カ所かふやすというお答えがございましたですね。これと通報所との関係はどうなっていますか。
  105. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  ふやしていきます観測所は、地域気象観測網計画の中のネットの中に入っていきますので、東京にございます大型計算機で自動的に呼び出し、自動的に配ることができるということで、予報、警報の仕事上非常に有効に役立つわけでございます。ただ、この通報所における観測と申しますのは、先ほども若干お話しいたしましたが、本来の目的から申しまして電話で、あるいは気象庁専用の無線で親官署に連絡というような形でございますので、非常に効率が悪いわけでございます。そういうことで、私どもとして、これから近代的な技術を導入して技術を革新していくためには、こういう地域観測網等を整備していきたいというふうに考えているわけでございます。
  106. 宮井泰良

    宮井委員 気象衛星を打ち上げたりいろいろなものを自動化していく、ですから大丈夫だということであると思うのですが、その議論はまだ後ほどもいたしますけれども、まあすべてが機械万能という、これが果たして当てはまるかどうかということで、私も特別に気象の専門家でもございませんが、やはり肉眼で長い間の経験で、いろいろな気象の変化というものをはだでといいますか、機械でカバーできないようなところもやっていくというような面が一つあるのじゃないか、それは無視できないのじゃないか、皆さん方はどういうお考えかわかりませんが、私はそういう考えを持っておるわけです。そういう観点からしまして、先ほど申しましたような気象災害というものがいま毎年起きておるということにおきまして、気象通報所の削減計画というものは、こういった気象災害、自然災害を防止する意味から、地域の皆さんに対する気象情報のサービスの低下をもたらしていくのじゃないかというふうに考えるのです。したがいまして、この削減計画の大要ですね、さらに細かくどのようなことになっているか、説明をお願いいたします。
  107. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  お話の初めの方で情報のことが出ました。これは先ほどもちょっと触れはいたしましたが、市町村長等に連絡するという業務は、地域防災計画におきまして、地方気象台から県庁あるいは建設省、警察等に連絡いたしますと、そこから別ルートで連絡されるということが非常に効率的な有効な方法ということになっておりまして、通報所から知らせるというのは一応サブルートということになっております。私どもとしては、本ルートがありますので、その点は大丈夫であると考えているわけでございます。  それから削減をどういうふうにやってきたかというお話がございましたが、通報所につきましては、全国に八十二カ所ございましたが、その後科学技術の進歩、特に通信技術の進歩によりまして、その理由のなくなったところから逐次無人化しましたり、親官署に併設をしたりしてまいりまして、今後の予定といたしましては、現地に人がおります通報所につきましても、一部特殊な事情のあるところを除きまして、親官署に集約いたしまして無人化したいということで、地元地方公共団体初め関係機関に御説明申し上げている最中なのでございます。
  108. 宮井泰良

    宮井委員 廃止することによりましていろいろな機関に委託する、気象庁だけじゃなしに消防署とかいろいろな出先機関とか、ということもあると思うのですが、こういったことももちろん責任はないとは言いませんけれども気象庁以外の所管省庁にいろいろと委託をしてやるということがどこまで本当に正しいデータ、情報が集まるかというようなことも実は心配しておるわけです。もちろん簡単な、だれでもやれるような観測というものなら、ただ目で見てもう簡単にできる。われわれだって教えてもらえればすぐ操作できるというようなものであれば、それは委託ということもできると思うのですが、そういった点を、削減のために手落ちのないようにひとつしてもらいたいということは要望をいたします。  それで、先ほどから気象庁長官がいろいろとお答えになっておる自動化という問題は、通報所の廃止によって自動化という観測機器、専門語で言いますとアメダスということだと思うのですが、このことをおっしゃっていると思いますけれども、このアメダスという機械で、人を使わないでこれは自動的に記録が送られてくる、こういうわけなのですが、このアメダスというのは、雨量とそれから風向風速それから気温、日照、この四種類の計測データを集めたり、そういったことを操作する機械である、こういうシステムである、このように承知いたしておるのですが、これで間違いございませんか。
  109. 有住直介

    有住政府委員 そのとおりでございます。
  110. 宮井泰良

    宮井委員 そういたしますと、このアメダスという機械は、温度それから気圧、瞬間風速などの気象観測データの要素、こういった非常に重要な、瞬間風速とか気圧とかあるいは湿度なんというものは、いろいろな気象災害にとりまして非常に重要なデータになってくるわけですが、こういう重要な要素が欠落しておると言っても過言ではないということです。したがいまして、湿度、気圧、瞬間風速関係する災害と申しますと、たとえば降霜、いわゆる霜の災害あるいは霧、船舶などに影響を与えますところの霧、あるいは農作物に被害を与える霜、このような災害の防止のためのそういった気象予報データ地域住民にお知らせする、また将来の予測をする、長期的な予測というのは、午前中の審議の中にもいろいろむずかしいというふうな議論もありましたが、こういった予測が、不可能ということは言いません、全然だめだということは言いませんが、そういうものが著しく低下する、このように思うのですか、どうですか。
  111. 山田三朗

    ○山田説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生も御指摘になりましたように、目視観測がなくなるということと、それに伴ってサービスが低下するのではないかとおっしゃっておりましたけれども、そういう意味でのサービスの向上のためにいまのアメダスが、地域気象観測網が展開されておるのでありまして、いまの雨量だとか風だとか気温、天気、日照時間、そういうふうなものを毎時間でも観測し、通報するためには、委託では困難なわけです。委託先の方も次第に断ってきておりまして、委託できなくなっているので、なお一層アメダスの効用が発揮されるわけです。  いま御指摘になりました湿度それから気圧、最大瞬間風速の問題でございますが、湿度は、空気中の水分というものは代表性がありまして、そう急には変化いたしません。それが変化するのは、気温が変化するために、気温が高くなりますと湿度が下がる、気温が下がれば湿度が高くなるという形で出ますので、気温の変化がわかっておれば推定できる。空気中の水分量の方は近くの気象官署、気象台や測候所ではかったものを空気の特性としてとらえ、それをアメダスの方の気温で計算すれば、その地点での湿度も出せるわけでございます。それから、気圧の方は局地的に大きく変化するものではございませんでして、台風の場合でも、あるいは低気圧の場合でも、大きな規模でありますから、全国の気象官署のネットで十分把握できて、等圧線を引くことによって台風の中心も低気圧の中心も決めることができるというわけで、これもアメダスにいま直ちに入れなくても十分、大きなスケールの現象も小さなスケールの現象も解析できることになっております。それから、最大瞬間風速でございますが、風は、いろいろ風害のために必要なデータであるためにアメダスには入れておりますけれども、瞬間的に吹く風は、上空の風が不安定のためにおりてきて最大風速が出ているものですから、これまた高層の天気図を使えば最大風速の推定はできて、地点による差は余りないのが過去の統計結果から出ております。ですから、平均風速を求めておれば、最大風速は必ずしも細かいネットではからなくてもいいということになっているので、現在、このような形でアメダスを進めておるわけでございます。以上です。
  112. 宮井泰良

    宮井委員 大体予想されるというふうなことですね。そういうことは絶対心配ないということでないとちょっと困ると思うのですが、そういった通報所というものは、私は、もちろん全国的に全部なくしてはいけないというようなそんなむちゃな議論はしないわけでございまして、もちろん日本列島でも気候のいいところ、その反面、雪の多いところ、そういった地域、特に被害の多いようなところ、こういったところは機械化あるいはまた人的な面と両面でやっていけば、なおそういった機能というものが発揮されるのではないか、こういうことを私は言いたいわけです。  それで、具体的に地域を申し上げまして重ねてお尋ねするようになると思いますが、たとえば東部北海道地帯ですね。ここは毎年降霜の被害の多いところです。そこの北見の通報所が廃止されますと、その周辺には、根室、網走、雄武、この三カ所の観測点があるだけ、三つ残るだけである。これらはいずれも海岸の近くにありますために、内陸の気象とは異なる気象観測が行われておる。釧路もありますが、これも同様でございます。したがって、内陸部の北見通報所は内陸気象の唯一の観測点にある。こういうことになっておるわけですね。その内陸気象の唯一の観測点であるところの通報所が廃止されるということになりますと、これがいま言うアメダスにかわる、こういうことになりましても、湿度という点についていまお答えがあったわけでございますが、その観測が不十分になりまして、降霜の予測機能が著しく低下する、このようなことが心配されておるわけでございます。この点につきまして、そういう霜の被害を防ぐために、そういった気象観測の機能というものは低下しないかということを重ねてお尋ねいたします。
  113. 山田三朗

    ○山田説明員 いま北見での霜の予報のことをお尋ねになりましたので、その件について具体的に少し申し上げてみたいと思うのです。  霜の起こる気象条件と申しますと、普通、夜間天気がよいために夜間冷却、放射冷却が進みまして温度が下がる。その場合に風が強いと余り下がりません。もちろん天気が悪くなれば下がりません。したがいまして、霜の予報をするためには、気温の変化と風の変化と天気の変化を連続して見る必要がございます。そういう点、従来の通報所の観測は、先ほど長官が説明しましたように、普通は一日一回ですし、農業気象観測所も九時の一回でございます。そうしますと、九時一回のデータで翌日の朝の霜の予報をしようとしますと、かなり精度が落ちるといいますか、その後の風や気温や天気の変化が補正しにくいわけです。  そこで、アメダスで毎時間の風や気温や天気の変化を見ながら、夕方から夜半、翌朝にかけて天気が悪くなってくればそれほど温度は下がらない、風が強くなればそれほど下がらない、そういうふうに気温の変化と風の変化と天気の変化を細かく見比べまして、きめ細かな霜の予報、注意報、警報、情報を出すと、適時適切な情報になりまして、たとえば重油を燃して防霜対策をする場合も最適切な重油の消費になるわけで、それがわかりませんと、必要以上の重油を燃すとか、あるいは不足のために霜の害を受けるとかということになろうかと思います。  そういう点で、このアメダスは霜の予報等には非常に効用を発揮することが考えられます。そういう意味で、北見のように網走の南西方にある地点でございましても、通報所の職員がいなくなっても、アメダスによって代行できると考えております。
  114. 宮井泰良

    宮井委員 そこで次にお尋ねしますが、先ほども私は強調いたしましたように、このアメダスという自動の観測器は、降雪量いわゆる雪の降った量、それから雪の降り方の強弱、強く降っているか弱く降っているか、そういうものは全く観測ができない。この機械では観測できないわけですね。ことしはいままでにない豪雪に見舞われたわけでございまして、午前中の質疑の中にも、大変雪の被害についてどうにか予報はならないかということがございましたが、北日本日本海側に多くの被害が出たわけでございまして、今回廃止される気象通報所のその多くが、いわば先ほどからも強調いたしていますとおり豪雪地帯にある。豪雪地帯の通報所が廃止されていく、こういうことになりますので、そしてなお、雪のそういった観測というものはこのアメダスでは観測ができないということになっておるわけでございます。そのような雪害防止に不可欠な降雪量の測定ができなくなるということは非常に問題があると思うのです。  後ほどでも申し上げますが、富山の大野通報所に二月の初めに問い合わせが集中したわけです。そういった雪のことにつきまして問い合わせが集中しておる。これは御承知であると思いますが、二月のどか雪に地元が深刻な事態に追い込まれたということを意味しておるわけでございます。しかし、今後このアメダスという自動化にかわっていけば、地元に対して適切な気象データというものができなくなる、こういうことを私は心配をしておるわけでございます。  なおお尋ねしてみるんですが、気象庁は降った雪をとかして雨量に換算して測定すれば大丈夫である、こういうことは本当かどうか。この降った雪を一たんとかしまして、そして雨量として換算する、そうすればもうそういうようなデータはちゃんと出てくるんだ、こういうことをおっしゃっているようですが、それは大丈夫かどうか。雪が強く降っておる、弱く降っておる、そういうような問題とか、また、雪であるのか雨であるのか、こういうふうな違いもありますし、必ずしも適切な気象データが得られるかどうかということが私は大変疑問が残るわけでございまして、この点について明快な御答弁をお願いいたします。
  115. 山田三朗

    ○山田説明員 お答えいたします。  いま一つの例として、福井県の大野通報所だと思いますが、おっしゃった中で、雪のことについてそういう御心配に対するお答えをしたいと思うのですけれども、現在、雪の方は確かに人手による観測をやっておりますので、それは委託観測によって大体従来と同じ程度データが入るようにしてあります。現実に通報しておる個所は千百カ所くらいになりますが、委託しております。ただし、委託でありますと、先ほども申し上げましたように普通は一日に一回、それも普通は十二時間に三十センチ以上降った場合に通報するという規定にしてありますので、そう頻繁には来ない。それでは不十分なので、五十二年度の予算の内示をいただいているのでぜひ御支援をお願いしたいと思いますが、積雪深計をいまつける計画をしております。そうなりますと毎時間の雪でも入りますので、雪の刻々の深さの変化がわかり、雪害に対する対策もいろいろときめ細かくすることができます。しかし、それができる前でも、現在、先生御指摘のような温水式の雨量計を置いておりまして、降った雪をすぐとかして雨にしてはかっておりますから、相当降水量というものが得られます。これは密度を仮定すれば雪の深さに換算できますので、雪の深さがやはり推定できることになります。それをきめ細かくするためには、やはりレーダーによる雪雲の観測もできますし、気象衛星による雲の分布もデータとして入りますので、それらを併用することによって雪の予想も、現状でもできますし、いまの積雪深計を展開していけば、なお一層高い精度のきめ細かな情報提供ができるかと思っております。  それから、雨雪判別の件については、現在その測器を開発中でございます。以上です。
  116. 宮井泰良

    宮井委員 そこで、それでは、雪の方は大丈夫だ、こうおっしゃいますので、今後またそういった気象変化というものは毎年変わってくると思うのですが、そういったことに備えてさらに十分心配ないようにひとつしてもらいたい、このように思います。  さらに具体的な地点を指摘いたしましてお尋ねしますが、これは雪ではなくして、霧とか、あるいは潮汐、潮の流れですが、これはもうすでに廃止されました通報所の問題ですが、岡山県の玉野市に通報所というものが——もう廃止されたと思うのですが、雨量はもちろん、霧、先ほど申しました潮汐等の観測をいままで行っておった。玉野市は瀬戸内海に面して、わが国有数の霧の発生地域である。重要な観測点であったのですが、この廃止によりまして、岡山の方で、岡山の気象台ですか、この方から出される濃霧注意報ですね、この基礎データというのは、海上保安庁、それからその付近にありますところの造船所あるいは高松側の観測点、高松側には観測点はあるんですね。だから、そういった自動化というもの、自動装置もつけないで廃止してしまった。同じ廃止するんなら自動化を、自動装置を取りつけてから廃止するというのが本当だと思うのですが、高松側にはそういう観測点はありますけれども、玉野の方には自動化もなければ通報所もない。みんな廃止しちゃって、そこには船舶が毎時間何隻も往来しておる。それをそういった海上保安庁や造船所に委託して、それを入手して、それのもとにデータをこしらえて、そしていろんな情報を提供しておる。現在は、瀬戸内海の直島というんですか、直島というところに観測機器を置いて観測を行っているようですが、これはアメダスというものかどうか、私は見に行ってないのでわかりませんが、何か直島というところには観測機械が置いてある。しかし、この直島の観測機器は、霧の観測には余り役立たない、こう言われておるわけでございます。このような状況にあることをまず御存じかどうか、これに対してどう対処されるか、お尋ねいたします。
  117. 竹内清秀

    ○竹内説明員 お答えいたします。  霧は非常にむずかしいものでございまして、玉野の分につきましては、海上保安庁から資料をもらっておりますので、それは前と変わりないものが得られておると思います。  それから、瀬戸内の非常に航海の頻繁なところは、いまおっしゃいましたように、無人でもって霧の観測をするというものをいまつけておりますので、また私どもは非常に有効な測器だと考えております。
  118. 宮井泰良

    宮井委員 何だかちょっとはっきりしないのですが、その霧のデータに威力を発揮すると考えておりますというようなことで、どうも玉野の方はちょっとこれはもう少し気象庁でも調査されて、ひとつそういった点が手抜かりがないかどうか、このことを一つ要望をいたします。  それで、先ほども申しましたように、こういった気象観測の基礎データをいわば外部の機関に依存するというようなことが、余り好ましいことではないんじゃないかというように私は思うのですがね。そういう外部の機関に委託してやるということが、どういう事情でそういうことになるのか、またそれでいいもめか。大臣どうですか、お考えがあったら。
  119. 岩田弘文

    ○岩田(弘)政府委員 お答えいたします。  気象庁の観測を全部自分でやるかどうかの問題でございますけれども、これは前々から、たとえば離島なんかの気象の観測の資料につきましては、海上保安庁の燈台部の御協力をいただきまして、燈台部の航路標識事務所から通報をいただいておりますとか、あるいはたとえば空の場合になりますと、航空機から情報をいただく、船の場合は外洋の航行船から情報をいただく、たとえば雪やなんかにつきましても鉄道からいただいておるというようなことで、全部の観測網を気象庁の人で直営で運営するということはなかなかむずかしいことでございますし、また従来ともそういうふうにいたしておりません。  ただ、私ども心がけなければならないことは、通信機器あるいはコンピューターというものが非常に発達してまいっておりますので、観測した資料を早く私どもの方へやっていくということで、ただいま、御承知のようにアメダスと申しますのは、雨量につきましては全国に十七キロ平方のメッシュで観測点を置きまして、一日二十四回の観測値がオンライン・リアルタイムで直ちに東京の方へ入り、あるいは地方気象台にも入るということで、適時適切な情報が入るという体制を機械化によって進めておるのが気象庁の現状でございます。
  120. 宮井泰良

    宮井委員 きょうはさらに突っ込んでというところまではやりませんが、機会があれば、また具体的な点を運輸委員会などでも議論をしたいと思っておりますけれども、霜や霧やそういったことはいま申し上げたわけですが、特に異状乾燥などによるたとえば森林火災、こういうようなものもやはり大事な情報提供をするという面で大切であると思うのです。そういうふうなことが、このアメダスによって気象測定機能というものが果して威力を発揮するものかどうか。先ほどからも言いますように、全くこれは機能発揮してないと私は言っておりませんので、ずいぶん部門によってはもちろんそれは威力を発揮しておるわけですが、こういった森林火災などの異常乾燥などはどうかということ。くどいようですけれども、それにまたこの通報所の廃止ということをもうどんどん進めていっていいものかどうか、防災上どんなものかということをこの森林火災などの点に少ししぼりましてお尋ねいたします。
  121. 山田三朗

    ○山田説明員 お答えいたします。  御承知のように、火災という燃焼の物理は、確かに湿度が一番ききますが、風もききますし、その他の気象条件がいろいろききます。そこで森林火災の場合もそこでの単に湿度だけではなくて、気温も天気も、特に風が延焼方向や延焼の程度の目安として必要になってきます。そのためには気象官署といわゆる通報所程度の二百カ所くらいでは、山林等の火災については十分な気象情報が得られませんので、このアメダスの方の四要素における風向風速等を利用して地域別の風の方向、速度等を使いますと、その延焼方向等の予想も可能になり、防災対策もそれだけ適切にできようかと思います。そのときの湿度については、先ほども申しましたように、空気中の水分量はおおむねエアマス、気塊によって決まっておりまして、保存性がございますから、変化するのは気温による変化あるいはそれの継続時間による変化、これをわれわれの方は実効湿度という形で、乾燥度の時間的な経過、いわゆる履歴効果を考慮した指数で求めておりますけれども、そういうふうな推定をするためにも気温や天気の時間的な変化をデータとして得ておく必要がございますので、そのためにはやはりたくさんの観測点から自動的にデータが入る方が望ましい。そういう意味では、従来の人間による少数の観測点でやるよりは、数が多くかつ時間密度の高いもので連続してデータを得た方が適切な対策がとれようかと思っております。以上です。
  122. 宮井泰良

    宮井委員 そこで、通報所の廃止については、冒頭でも申しましたように、北見市を初め、夕張、名寄、滝川等の各市から陳情がなされて、その存続の要請がなされておるわけでございます。こういった点から見ましても、ずいぶん地域住民に密着していままでサービスもされたし、それだけの役割りがあった。あるからこそこういう存続の要請が市長の名前で来ておるのだと思うのですが、たとえばどのぐらい地域住民の方に利用されておるかというデータをちょっと申し上げますと、大野の気象通報所には一日平均四十回電話で問い合わせが来ておる。ことしの豪雨期には六日間で四百回の問い合わせがあった。これは一日平均六十六回ですね。これだけの問い合わせが来ておるわけです。一日四十回から六十回という間、ほとんど電話が鳴り続けたというのです。係の人は大変な仕事であると思いますが、このような状況であること自体が通報所と地域住民が非常に密接しておる、このように考えるのです。したがいまして、このような通報所の廃止が地元市町村の反対運動として起こっているということは当然であると思いますが、この点、もう一日六十回も問い合わせがあったような電話が、廃止されますとどこへ尋ねていくか。それは今度はその近辺の主要都市の気象台の方へ問い合わせていただければ十分できますということにもちろんお答えはなるのだろうと思いますが、まあそうでないかもわかりませんが、そうしますと、今度は大野だけではなしに各所から電話の照会が一カ所へ来るわけですから、それこそ電話が焼きついてしまうのではないか。話し中、話し中というようなことにもなったり、そのうちに聞きたいデータが聞けなくて地域の方々が右往左往する、こういったことに対してどう対処されるか、この点をお伺いします。
  123. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  通報所の本来の業務と申しますのは、先ほども申しましたように三つの仕事があった。そういうことで人がいました。人がいるのでいろいろな問い合わせもございます。そうすれば、われわれ気象庁には親切なのがそろっておりますので、いろいろ御相談にも応じていたということでございます。けれども、先ほどからお話しいたしましたように、この情報というのは、どうも通報所の御説明よりは地方気象台にお問い合わせいただいた方が本当に親切な詳しい情報を差し上げることができる。それは、地方気象台には、先ほどもお話しいたしましたように、レーダーからの映像をファックスにしましたものが届いておりますし、あるいは衛星からの資料も入っておりますし、アメダスの資料も入っている。そういうことからこの予報、皆さんが知りたいのはやはり予報でございまして、現実に自分の土地の天気というのはその人にはわかるわけで、やはり一番欲しいのは予報でございます。そういう予報というものは、やはり資料のそろっております地方気象台が適切な予報を出せますし、また情報も流せる。それで最近は、当庁で調べた資料によりますと、天気や何かを何で聞きますかというようなアンケートによりますと、大体八八%ぐらいはラジオとかテレビで受けておる。現在NHKの天気予報だけでも一日に二十四回はやっておりますし、ラジオでも二十数回やっておるというようなことで、一般的な情報というものは、最近は皆さんが大体ラジオとかテレビとか新聞とか、そういうもので見ていただいておりまして、さらにそれよりも何か詳しくお聞きになりたいというときに電話で御相談いただくわけでございますけれども、そういうときこそやはりデータのそろっております地方気象台に、いろいろ自分のところの条件などをお話しいただいて御相談いただく。通報所にお聞きいただく限りでは、それほど、テレビその他でお流ししているものよりもプラスになったものは少ないというふうにわれわれは思っているわけで、そういう点では地方気象台にお聞きいただくのが私どもとしては一番望ましいというように考えているわけで、その点もまた地元の方々にはよく御説明しているわけでございますが、やはり地元の方といたしましては、この心情は私もわかるのですけれども、自分の町なり市なりに気象人が二人いるということはいろいろな意味で心強いとか、やはり心情としては考えていただいている、その面、私どもとしては感謝すべきことであろうと思っておりますけれども、何せ近代化に向かいまして仕事を進めていくという現段階におきましては、やはり気象庁のやり方というものを御理解いただきたいということで御説明しているわけでございます。
  124. 宮井泰良

    宮井委員 地方気象台で間に合うという御答弁でございますが、ラジオやテレビでそれを知る、一般の人はそれでいいわけですね。あした遠足に行くとか、そういったことで知りたいというような人は結構だと思いますが、実際本当に汗水流して野菜を丹念に育てている、それが一夜にして霜でつぶれてしまう、こういった、もうそれこそ生活がかかっておるし、そういった専門的な人たちのデータというものは、私はやはり微妙なそういうものがあると思うのですね。こういった点で、その点の不備な点がないようにしていかなくてはいけない、このように思いますが、そしてまた、この問い合わせてくる対象、相手には、個人だけではなしに、市役所とか建設省、それから電力会社、それから農林省、農協等の官公署、地方の局ですか、こういうのが実情である。中には、私も調べて聞いてみてわかったのですが、税務署なんかが問い合わせてくると言うのですね。これは御承知のとおり豪雪による税控除の対策というものがございますから、税務署なんかもそういうことが知りたい。こういうふうなことに対してはそれに十分こたえられるかどうか、その点をお伺いします。
  125. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  先ほども申しましたように、やはり資料のそろっております地方気象台の方が御要望に十分にこたえることができるというふうに私ども考えておるわけでございます。  いままた農業気象に関してのお話がございましたが、農業気象におきましても、やはり一番大切なのは予報を的確に出すということでございまして、農業気象に関しましては、私ども長期予報研究しながら出しており、それから週間予報を出しております。そういうものを出しましたものを、農林省の方が専門でございますので——気象のことは私どもでわかりますが、作物に関しましてはわかりませんので、農林省と協力しながら進めておりまして、東京には全国農業気象協議会というのがございます。地域には地域農業気象協議会、地方にいきますと地方農業気象協議会、県にも協議会がございまして、そこで地方気象台の者と農林省の出先の機関の方々と協力いたしまして御相談をし、私どもが出しました週間予報長期予報を検討いたしまして、実際の作物の成長状況に合わせ、また栽培の時期に合わせていろいろのサゼスチョンをし、それらを一緒にいたしまして、農業関係の方々にお知らせするというようなシステムでやっております。それで、そういうシステムから見ましても、私どもといたしましては地方気象台を有効に使う、また、私どもから言わせますと、地方気象台に活躍させたい、そういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  126. 宮井泰良

    宮井委員 いままで何点か申し上げましたように、いろいろとお答えもありましたが、問題の点もあると思うのですね。こういったことに対して全廃してしまうということには問題が残るのじゃないか、このように思います。特に地元の理解が得られないままにこういったものをすべて全廃してしまう、その点もどうかと思うのですね。ですから、こういうような自然災害から人命やそういったものを守るというふうな、こういう気象官署のような大事な機関においては、そういった削減というものはするべきではないのではないか、このような考えを持っております。そういう観点から、こういった気象通報所の全廃、もう全国豪雪地帯も何も全部、あるいはまた自動化のそういう装置ができないときにも廃止していくとか、そういうようなことはひとつ再検討をされた方がいいのではないか、このように思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 有住直介

    有住政府委員 アメダスには雪が入っていないということで、アメダスの観測点につきましては雪の観測は委託観測で残していきたいと思っております。その委託観測ということで御疑問を先生も先ほどおっしゃいましたが、雪の観測と申しますのは、積雪の深さの観測と申しますのは、雪尺という目盛りを打った柱を垂直に地面に立てておきますと、そこに雪が積もっていきますと雪が何センチのところまでいったかということで積雪のかさというのをはかりますので、これは技術的にむずかしいということは何もございませんで、委託をいたしましても気象庁でやっているのと同じことをやっていますので、精度等で心配ではございません。雪のあるところには雪の委託をするということで進めさせていただくという考えで進めておりますので、私どもとしては、事情のあるところ四カ所を除きましては、無人化の方向でいきたい。もちろん陳情をいただいておるところに対しましては、これからも御説明に努めていきたい、御理解を得るようにしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
  128. 宮井泰良

    宮井委員 そこで、最近宅地開発などの乱開発が行われまして、そういう開発が進行して、国土自身にも防災能力というものがだんだんなくなってきておる、あるいは低下しておるというときにあります。そこで大臣にお伺いしたいのですが、先ほどから議論いたしておりますけれども、そういう人命を預かる非常に大変な使命を持った役所である気象庁などの人員の削減というものについては、たとえば昭和四十四年四月八日に前佐藤総理は内閣委員会で答弁をされておるのです。「気象観測などはこれから最も大事なことで、そういうところで人を減らしていいわけないのです。」こういったことをお答えになっておるわけでございますが、こういった発言もございますから、これは現内閣もそういう考えでおるかどうか、あるいはまたこういった大事な役所においては、人員削減の枠外にするのが妥当ではないか、このように思うわけですが、御見解をお伺いいたします。
  129. 田村元

    ○田村国務大臣 実は気象庁というのは一般の役所と違いまして、非常に科学といいますか、技術官庁としてちょっと私ども素人で説明を聞いてもしっかりわからぬぐらい高度な科学的な仕事をやっております。でありますので、人員削減、これが国民に御迷惑をおかけする、あるいは気象観測等に大きなマイナスになるというのなら、これは絶対に削減をしてなりませんが、率直に言って、こういうふうであるからという非常にむずかしい説明をされまして、私その話を聞く範囲内では、そういうものかなあ——普通一般の行政の問題でございましたら、私どももその場で明快に物が言えるのでございますけれども、さような次第でございますので、十分勉強をしてみたい、このように考えております。
  130. 宮井泰良

    宮井委員 それではこの問題はこのぐらいにいたしますが、最後に申し上げたいことは、気象業務を近代化していくということは、私は大いに推進してもらいたいと思うのです。これは時代の進展とともに機械化していくということも大切なことでございますし、この法律の提案にもございますように、気象衛星を打ち上げるということでございますから、これによってまたより一層気象業務というものが充実される、これは望ましいことであると思うのです。したがいまして、先ほどから申しておりますような、くどくどと申しましたが、この自動観測装置についても、それをやってはいけないと私は反対しているのではないのです。その点はよく承知していただきたいと思うのですが、しかし、通報所のかわりとして何でもかんでも自動化すればいいんだ、こういう機械万能主義といいますか、こういった皆さんのお考えも再考していただきたい、このように考えておるのです。  以上何点か問題点を指摘いたしました。また、地域によっては具体的に地名も挙げて申しましたので、こういったところにおきまして気象観測の能力が低下しないように、あるいはまた適切な情報が提供されますように、それが地元住民の皆さんの要望でございますので、そういった点も十分ひとつ配慮をして進めていただきたいということを要望をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  あと二つだけ簡単にお伺いいたしておきますが、一つは南極観測隊員の待遇の問題でございます。これは、厳しい条件の中で自然科学等の重要な観測や研究に携わる南極観測隊越冬隊員の待遇、中でも極地観測手当、これは観測が始まりまして——十一年前からこの南極の観測というものが始まったわけでございますが、今日まで十一年間で二回しか改定されていないわけですね。こういった南極の非常に厳しい中で仕事をされるにもかかわりませず二回しか改定されていない、そういう点ですが、現状はどのようになっているか、ちょっとお尋ねいたします。
  131. 田村元

    ○田村国務大臣 実は南極観測隊は文部省所管でございまして、そういう点においては運輸省には直接関係がございませんので、私どもの方の役人ではちょっとお答えしにくいのではないだろうかと思いましたので、私が出てまいった次第であります。
  132. 宮井泰良

    宮井委員 大臣のお話はよくわかるのですけれども、この観測隊員の中には気象庁の職員の人もおられるのです。ですから運輸省の——では文部省の方の人も来てくれていると思いますので、気象庁で答えられる分はやっていただいて、あと文部省の方から……。
  133. 竹内清秀

    ○竹内説明員 この件は、先ほど来の話にありますけれども、文部省の所掌でございます。しかしながら、気象庁から職員が行っておりますけれども、それを見ますと、極地手当として一日について千六百円ないし二千百円が支給されていると承知しております、これは気象庁から行っている職員の分でございますけれども
  134. 大門隆

    ○大門説明員 お答えいたします。  極地観測手当は人事院規則で定めました特殊勤務手当の一つでございまして、「南緯五十五度以南の区域において南極地域観測に関する業務に従事」しましたときに支給されるものでございます。それで、各隊員の職務の等級に応じまして日額千二百円から二千八百円の幅で定められております。先ほど気象庁の方から御説明ございましたが、その等級に応じて支級されておりますので、その額に若干の差がございます。
  135. 宮井泰良

    宮井委員 いまお話しございましたように、極地手当は千二百円から二千八百円ということですね。これは、富士山の山岳の観測をされている人もございますが、この日額旅費が聞くところによりますとやはり二千八百円から二千六百円、それと大体同じぐらいという。私は富士山の日額旅費よりも安いんじゃないかと思っておりましたが、いまお聞きしますと大体同じぐらい。南極観測というのはこれから重要な時期になるわけでございまして、これは行政職の俸給の関係にもなってくると思いますのでむずかしい面もあると思いますが、隊員の激務や厳しい条件下にあることを考えまして、この手当を前向きに検討していただきたい。大臣にお尋ねしますが、この手当を前向きに検討していただきたい。このことを少し……。
  136. 大門隆

    ○大門説明員 南極地域観測隊員につきましては、この極地観測手当のほかに日当など旅行手当も支給いたしております。極地観測手当につきましては、先生御指摘のようにその額を上げる必要もあるというようなことで、実は五十二年度若干の増額をお願いいたしております。平均一七%増ということで現在国会に提出いたしておるところでございまして、これが認められますと、現在の千二百円から二千八百円の幅が千四百円から三千三百円になる見込みでございます。  それから、旅行手当につきましても、これは国家公務員等の旅費に関する法律、これによって定められておりまして、その定額が改定されるたびごとに同様に改定されております。以上でございます。
  137. 宮井泰良

    宮井委員 それでは少し上がるようでございますから、なおそういった厳しい条件下にあるということについて、また運輸省の中にも気象庁の職員もおりますから、運輸大臣からも文部大臣によくその面もお話ししておいていただきたいということを要望いたします。  最後にもう一点だけ、別の問題でお聞きしたいと思います。これは地震予知観測につきまして、駿河湾地震の予知研究を進めております爆破地震動研究グループの人工地震による地殻構造調査が地元漁民の反対で暗礁に乗り上げておる。地震の研究をするために、要するにそういった爆破をして人工的に振動を起こしましてそのデータをもって調査する、それが地元漁民の反対で非常に暗礁に乗り上げておる。どのような状況にあるか。また、東大等の各大学が気象庁、工業技術院、地質調査所と協力する形をとっているようですが、気象庁が知っている実情を御報告していただきたいと思います。
  138. 有住直介

    有住政府委員 お答えいたします。  地質調査所と大学が主になってやっておられる計画だそうでございまして、気象庁はこれに関与しておりませんので、その点御了解をお願いいたします。気象庁では、海底につきましては海底地震計の開発というのをやっております。
  139. 宮井泰良

    宮井委員 私が承知しているのは、東大を初め各大学が気象庁や工業技術院、地質調査所と協力する形をとっている、このように承知しておるんですが、それでは要望だけして終わりたいと思います。  漁民の方々が反発をするというのもやむを得ないわけでございますけれども、駿河湾地震の予知研究ということも非常に重要なことでございますから、漁民の理解を得るためにどうしたらいいかというような対策を、そういった気象庁関係しておる機関意見が述べられる機会がございましたら、そういう漁民の対策を十分講じていくように意見を述べていただきたいと要望いたしまして質問を終わります。
  140. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次に、柴田睦夫君。
  141. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 最初に気象庁にお伺いしますが、気象庁は国内気象監視計画、NWWを進めて、気象衛星センターをこの計画の最大の目玉である、こう言っているわけですけれども、まず国内気象監視計画の内容、それから気象庁の将来の構想について簡単にお話を伺いたいと思います。
  142. 有住直介

    有住政府委員 お答えを申し上げます。  この静止衛星気象計画と申しますのは世界気象監視計画、WWWと言っておりますがワールド・ウェザー・ウォッチというものの略でございまして、これはアメリカ気象衛星を上げましたときに、気象衛星から地球の写真を撮りまして、非常にこれが有効であるということになりまして国連でこれを取り上げまして、この宇宙開発を平和利用に使って全国民の福祉の向上のために使うべきであるということになりました。それが世界気象機関に勧告されまして、そこで検討いたしました結果、WMOで検討いたしました案をさらに国連に上げて、そして承認されたという形で生まれたものがこの世界気象監視計画でございます。この中では、観測とか予報業務を推進する、あるいは通信組織を整備する、研究を整備する、ないし研修等を進めるという五つの柱で進められておりまして、その観測の中の一つの目玉といたしまして、周極衛星二個とそれから赤道を取り巻く五個の静止気象衛星地球を監視し、お互いにデータを交換し合って世界国民の福祉のために役立てようという計画、その一環として静止衛星気象が始まったわけでございますが、気象庁といたしましては、このほかに国内的にもいろいろ考えておりまして、先ほどもお話が出ましたレーダー網の観測、全国二十カ所整備いたしましたが、これを整備するということ。それから先ほどのWWWの計画の中の予報ということに関しましては、大型の計算機を入れまして数値予報というものをやります。人間が勘で予報したのでは将来の進歩がございませんために、理論的、物理的につくりました方程式、非常に複雑な方程式を電子計算機に解かせまして、予想天気図というものを三十六時間とか四十八時間先までを現在かかせているわけでございます。そういう仕事を気象庁はやっております。  また通信関係に関しましては、アデスと申しておりますが、やはり東京に大型の計算機を入れまして、これは世界各国とのデータのやりとりをやっております。このデータにつきましては、アメリカとモスクワに世界中枢というのがございまして、そのほかに地域中枢がありますが、アジア地域におきましては日本が中枢となっております。日本付近のデータを集めまして、それを世界各国データとやりとりをして、全世界データが迅速に日本にも集まるわけでございます。たとえばアメリカ東京の間は、二千四百ボーという非常に早い速度でデータを交換し合っているわけでございます。  それから、先ほども出ましたアメダスという整備をいたしまして、この数値予報、それからレーダーの利用、アメダスの利用というようなことで、私ども予報精度を上げ、また警報等に対しての出しおくれ等を極力なくするという方向で努力しているわけでございまして、きょうNHKのニュースでもごらんになった方があるかと思いますが、外洋波浪につきましても数値計算によりまして理論的に外洋の波浪の図をつくりまして、これを電送によりましてきょうからお送りするということを始めました。これも海洋で働く人にとりましては、現在までは実況だけはお送りしておりましたが、きょうから予想の波浪図も送れるということになりまして、私ども喜んでいるわけでございます。  そのほか、さらにアメリカで周極衛星として打ち上げているものの写真、画像を受けとるという仕事をやっておりまして、これも現在非常に有効に働いておりまして、この写真を見ますと、季節風がどういうふうに吹いているとか、九州と四国の間を吹き抜けたり、あるいは関ケ原付近の低地を雪が降り抜けているというようなことが一目瞭然にわかるような次第でございます。それをさらに推し進めまして、静止衛生も本年七月には打ち上げられるというような状況に近づきつつあるわけでございます。  私どもとして、現在までどういうことをやってきて、これからどういうふうに行くかということを簡単に御説明いたしました。
  143. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 将来の構造によると、一方では膨大な予算また人員を要する、そういう中で気象衛星センター設置されるわけですけれども、これに伴って先ほど問題になりました末端の地方官署であります通報所が廃止される。気象庁は、これは廃止というよりはロボット化だという説明をされているわけですけれども、先ほど問題になりましたが、雪であるとかあるいは霜であるとか、そうした国民の生活あるいは農民の営農、こうしたものと直接に関係あるものが測定できるかどうかという問題について、やはり疑問を持つわけです。現実に通報所が住民の生活と気象のかかわり合いという点で大きな機能をいままでも果たしてきておりましたし、地方自治体あるいはその他の官署から通報所に向けて問い合わせがいままでたくさんあるわけですけれども、この機械化の一方、人間の仕事、人間の目で見る仕事、人間が口で答える仕事、そうしたものが廃止されるということは、これはやはり国民生活の上には現在重大な影響があるというように考えるわけです。  そういう意味で、私もこの通報所の廃止ということについては、これを廃止するという方向で進むべきではない、もちろんアメダスの性能やら、あるいは技術の向上を否定するわけではないのですけれども国民に対する気象サービスという点から、通報所と自治体や住民を結ぶパイプとして存続させるというように考えておりますので、先ほどからずっと議論がありましたので、そのことを私主張して、この点はこれだけにしておきます。  それから次に航空交通管制の問題ですけれども、先日私、沖繩に行きまして那覇の管制部を見せていただいたわけです。ここで気づいた点についてお伺いしたいと思うのですけれども一つは、沖繩の場合、四十七年五月の日米合意で、進入管制を含む航空交通管制の権限は日本側に返される、その中の進入管制の業務については当分の間暫定的に米軍が実施する、こういうようになっているわけです。復帰後すでにもう五年を経過してまいっておるわけですけれども、ここで言われております暫定的というのはいつまでを暫定的だと考えておられるのか、お伺いいたします。
  144. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生御指摘のように、四十七年の沖繩の復帰のときに、ただいまお読みいただきましたような協定を結んだわけでございます。それに基づきまして四十九年五月十五日那覇の管制部というものを新たに起こしまして、文字どおりエンルート管制につきましては、わが方が完全に米軍からテークオーバーをいたしました。その時点において嘉手納、普天間及び那覇、この三つの空港が非常に接近して、御案内のようにくっついておるものですから、どうしてもこれを一カ所で管制をいたしませんと管制上非常に問題がある、安全の確保がしがたい、わが方の用意が整うまで暫定的に嘉手納においてこの進入管制を行う、こういうことになっておるわけでございます。四十九年の五月に私どもはエンルートの管制をテークオーバーいたしましてから、ことしの五月でようやく三年になるわけでございますが、その間、設備もいろいろと新しいものに入れかえてまいりましたし、エンルートの管制につきましては、まずもってその後特に問題もなく、順調に行っておるわけでございます。ただ、進入管制につきましては、三つの飛行場を一カ所で管制するという技術、コモンIFR方式と申しますが、残念ながら私どもこの技術を実は持っていないわけでございます。現在、開港が議論されております成田の空港につきまして、将来、成田と百里、あるいは成田と羽田、こういうふうなものを、これらの複数空港を一括して管制する、これがコモンIFRの典型的なものであろうかと思いますが、まずそういうところで私どもとして十分の手順を踏みまして、技術的な検討も加えておきたい。さらに、これをいたしますためには、レーダーでございますとか、その他通信施設でございますとか、そういったようなものの整備も要りますし、またそれに対応して管制官の技術というものも相当高度なものが要求されるわけでございますので、そういう点の準備が相整いますれば、お約束どおりこれをテークオーバーするという方向で鋭意研究をしておる段階でございますが、現在の時点で何年何月までにというふうなことをはっきり申し上げるような時期にはまだ至っていない、こういう次第でございます。
  145. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 沖繩で私が聞いたところの説明では、復帰時に管制をすべて行うだけの準備がなかったからだ、こういうような説明でありました。そしてまた、現在の機能では現実にすべての管制をできるだけの機能はあるんだが、少し人員が足りない。そうすれば、人員をもう少し増員すればできるというような説明があったのです。そうなれば、暫定という段階ではなくて、管制権をこちらの方で握るべきだというように考えたんですけれども、これはいまおっしゃったことと少し違うようですけれども、いかがでしょうか。
  146. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生ごらんになりましたように、現在、那覇空港にはレーダーがあるわけでございます。このレーダーのカバレージの範囲を六十マイルと仮にいたしますと、現在嘉手納で管制しております空域というのは半径五十マイルでございますから、理屈の上ではレーダーは届きます。しかし、あの空域におきましては非常に多くの航空路が錯綜をしております。そういう関係で、現在米軍が実務上行っておりますあそこの管制というものは、非常にきめの細かな管制をしておるわけでございます。実はこういったきめの細かな管制という点につきましては、もちろん、いま御指摘ございましたように管制官の人数をふやす、つまり別の言葉で申しますならば、セクターをふやすということも必要になってまいりますが、その前にそういった管制方式そのものをしっかりしたものをつくらなければならないわけで、それを自家薬籠中のものにしておきませんと、ウのまねをするカラスのようなことになると非常に困りますので、そういう点において、私先ほどお答え申し上げましたように、まず成田−百里とか成田−羽田とか、こういうふうな手近なところで十分な技術を持ってからそれを適用してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  147. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 暫定と言いながら長い期間がたってしまっているということに問題があると思うのです。  もう一つ、沖繩の米軍基地にはSR71といういわゆるスパイ偵察機が配置されているわけで、現在のシステムでは、この航空機から飛行プランを出して、それをコンピューターに入れるということになるわけですけれども、このSR71の飛行プランというものもやはり提出されているのかどうか、お伺いします。
  148. 松本操

    ○松本(操)政府委員 航空交通管制というものは、計器飛行方式で飛ぶ飛行機に対して、その安全を確保するために行います。もっぱら航空交通の安全という見地から行うわけでございますので、相手が軍用機であろうと何であろうと、計器飛行をするためには、フライトプランを出さなければその対象にできません。SRにつきましても途中までは計器飛行方式で飛んでおるわけでございますので、その計器飛行に係る部分についてのフライトプランというものは、当然提出をされてきておるわけでございます。現在はそれをマニュアル操作で処理をしておるわけでございますが、いま先生御指摘のように、将来、いま東管に整備しておりますコンピューターが全四管制部に完全に足を伸ばして動く、こういう段階になりますれば、フライトプランはファイルされる、そのまま通信経路を通って中央の東管のコンピューターの中にはうり込まれて、ほかのフライトプランと同様の形で処理をされる、こういうことになります。
  149. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ただ、このSR71というのは、世にも有名なスパイ偵察機であるわけです。運輸省の管制サービスというものは、民間航空機の安全サービスであるというように考えるわけです。そういうことから言いますと、こうしたアジアに対するスパイ偵察機に対する管制サービスというのはやるべきじゃないというように私は考えているのですけれども、この点大胆から所見が聞けたらお伺いしたいと思います。
  150. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほども私お答え申し上げました中にございますように、航空管制というものは航空交通の安全の確保のためということが主眼でございます。SR71がどういう性格の航空機であるかという点については、実は管制という立場から見ました場合、私どもは特に関心は持っていないわけで、別の観点に立てばいろいろ御議論もあろうかと思いますが、航空交通管制という立場に立ちますならば、この航空機を管制しないということになりますと、それこそほかの飛行機との間に非常に危ない状態が起こってくるわけでございますので、そういう意味において、おしなべて航空交通の安全のために管制を行う、こういう立場に立っておる点を御理解いただきたいと思います。
  151. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 じゃ、その点は指摘だけにとどめておきまして、午前中問題になっておりました成田空港の問題について若干お伺いしたいと思います。  福田内閣が成立して、発足と同時に成田新空港の早期開港という方針が出されて、新聞報道では十一月の一日に開港したい、こういうふうに伝えられております。成田空港が閣議決定されてすでに十年以上を経過するわけですけれども、まだもちろん開港されてはおりません。また、この間に周辺の市町村あるいは農民に対していろいろな不安を与えたり、現実的に損害を与えたり、こういうことが出ているわけです。これは翻ってみれば、もちろん政府の農民無視といいますか、また強権的に空港をつくっていこう、こういう態度があって、これが今日の事態をもたらしているわけですけれども、福田内閣が成立して自治体やあるいは周辺住民がこうむっている被害の実態、これに対してちゃんとした責任をとる必要があると思うのです。こういう意味で、どのような条件が整ったら開港できるか、こういう点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  152. 田村元

    ○田村国務大臣 午前中に航空局長から開港に至るまでの障害というものについて御説明を申し上げました。いまの御質問の御趣旨は、開港を急ぐの余り地元の住民無視をやってはいかぬという意味の御趣旨だろうと受けとめましたので、そういう趣旨で申し上げたいと思います。  過去においていろいろと御批判があったことは事実でございます。先ほども申し上げましたように、空港公団にもそれなりの事情もあったかと思いますけれども、地元住民からいろいろと御批判が出たということもまた現実でございます。でありますので、私どもはそういう点を厳重に注意をいたしまして、官僚的であってはいかぬ、悪なれがあってはいかぬと口を酸っぱくして申しておるわけでございます。  同時に、地方公共団体を中心としていろいろな要望が出されております。そういう問題について、実は私自身が一つ一ついま目を通して対策を検討いたしておるところでございます。先ほども申し上げたように、昨日もその仕事で一日忙殺されたというようなことでございます。いろいろと地元の事情を掌握いたしまして可能な限り努力をいたしたい、万遺憾なきを期したい、このように考えておる次第であります。
  153. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 開港については、ことしの秋というようなアドバルーンが揚げられたわけですけれども、その理由としていままで一般的に説明されているのが、暫定燃料輸送それから鉄塔の撤去のめどがついた、こういうふうに挙げられているのですけれども、やはり問題は、成田市や芝山町などの関連市町村から騒音問題やあるいは空港関連施設の要望が出ていて、これらの要望が解決される、こういうことでなければ実際上開港できる条件にはなり得ない。そういう意味で、大臣に先ほど決意を述べていただきましたけれども、こうしたいろいろな騒音を初めとする自治体や住民の要求、これが本当に解決できるように最大の努力をされることを特に要望しておきたいと思います。  それに関連してお尋ねしていきますけれども、まず騒音対策の問題です。運輸省は昨年の一月八日に騒音区域の指定を行いました。この指定の基礎となった騒音予測コンター、この内容については明らかにされていないわけです。ですから私は、この騒音予測コンターの内容を明らかにしてもらいたいと思うのですが、どういうお考えかお伺いします。
  154. 松本操

    ○松本(操)政府委員 昨年一月八日に騒防法に基づきます騒音区域の指定をいたしましたのは、もちろんいま先生がおっしゃるように騒音コンター、WECPNLのコンターに基づいたものでございますが、そのコンターの算出の基礎となりましたバックグラウンドというふうなものにつきましては、実は当は新聞発表等によっても一般にお知らせしたわけでございますが、重ねて申し上げまするならば、年間の離着陸回数を五万五千五百回、この五万五千五百回という数字は、現在羽田の離発着回数が大体四百五、六十、制限としてはIFR四百六十、こう抑えられておりまして、そのうちの大体三分の一、百五十程度が国際線でございます。これはもうほぼ固定した状態になっておりますので、まずこれをベースにいたしました。それから、その中で貨物機あるいは旅客機がどういうふうになっているか。これを大体一対四の状態で旅客が四、貨物が一、これも大体現状固定の数字でございます。それから、飛行機によって発する音が当然違うわけでございまして、低騒音大型機と申しますかいわゆるジャンボと申されておるものは、一般に音が低うございます。現在の羽田のジャンボ化率というものは、おおむね六〇%前後というふうに承知をしておりますが、これをやや低目に三五%という数字を使いました。したがってこのジャンボ化率は、実際はもっと上がってまいるものと予想されます。これが上がりますと、一機当たりの音が低くなりますので、当然コンターは小さくなりますから、ジャンボ化率を三五%に抑えたということはどちらかと言えば有利なように、つまりコンターが広がる方向に勘定をしてある、こういうふうに御理解いただいてよろしいかと思います。  こういうふうなことを前提にいたしまして、それぞれの航空機につきまして私どもが長い間のデータを蓄積してつくりました距離と音との関係の線図がございます。これをベースにしてデシベルAという形で音をそれぞれ出してまいります。そうしまして、デシベルAという数字のパワー平均値プラス十倍のロガリズムNマイナス二十七、これは環境庁がおつくりになった式でございますが、この公式によって計算をいたします。Nというのは飛行回数でございます。これが昼間の場合、夕方の場合、夜の場合、それぞれ係数が違っております。たしか昼間が一、夕方が三、夜が一〇であったかと思います。その係数を掛けて全体の計算をいたしまして、それによって八十五WECPNL、これが環境庁の五十三年末までの第一次中間目標値、こういうことになっておりますので、それをベースにいたしまして現在の地区割りをした、こういう次第でございます。
  155. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 地区割りの結論の問題ではなくて、その地区割りをするについて使用航空機の型式、回数あるいは経路、飛行時刻、そうした具体的な問題に即して計算するわけですけれども、それらの算定の基準というものが提示されていないということなんです。だからその算定基準の提示されない理由をじゃお尋ねしたいと思います。
  156. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま私がお答え申し上げました以上のことは——計算式に当てはめて計算をするだけでございまして、ただ時間帯でどうとるかという議論がございます。これは私どものかねてのお願いいたしておりますのは羽田空港並み、すなわち夜の十一時から朝の六時までは飛行禁止にする、それ以外は飛ばさしていただきたい、こういうことを申し上げておりますので、したがって、たしか午後の七時あたりからと十時からの二段階に分けまして、Nの係数が三と一〇に変わってくるかと思いますが、それは現在羽田において飛んでおります状況をそのまま引き写してきておりますので、隠し立てをして出さないというわけではございません。そのままの数字を使って計算をしているはずでございます。
  157. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それならば当然計算をしたその資料が出されていいわけなんですけれども、それが出されないところに問題があるわけです。現に成田空港の騒音対策委員会でもこの理論コンターの算定基準を公表するようにという要求がずっと出ているわけです。四十七年の三月に運輸省の航空局が発表しました関西国際空港候補地における航空機の騒音調査というのがあるわけですけれども、これは地元公共団体及び住民から計画案に従って騒音の実態を把握したいとの要望があったから出すのだ、こういうふうに言って、騒音コンターの機種別、風向き別などまで考慮した詳細な資料を公表しているわけです。実際は、この関西新空港の場合は計画案を白紙撤回せよというような要求もありますし、またテスト飛行がずさんだからテスト飛行をやめろというような要求もあるというように聞いております。こういう、やるなというようなところでは詳細なデータが発表されて、成田のようにこれを早く提出してもらいたいと言っているところでは公表されない、提示しないというのでは、何か矛盾があるように考えます。一貫性がないと思うのですけれども、この点についてどういうお考えか、お伺いします。
  158. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま関西空港と対比して御指摘があったわけでございますが、関西空港の場合にはこれから十年計画というふうな問題でございますので、かなりラフな——ラフなというと言葉が適当でございません、推定値のたくさん入った状態で御説明をしなければならない。したがって、根っこはこうなっておりますということも御参考までに申し上げた。成田の場合はもっと間近な話でございますから、推定値ばかりがたくさん入った数字ではこれは話にならないわけで、もっと正確な数字でお話しをすべきであるのは当然でございます。  私、先ほど来御説明申し上げておりますように、年間五十五万五千回というものに対しまして、旅客が四、貨物が一という形で分けまして、それに対してジャンボ率を三五%にとりますと、大体一日当たりボーイングで四十二便、それからDC10クラスが十一便、つまり五十三便程度がジャンボクラスである、こういう前提を置きまして、それからここは風向きの関係上、南から入ります場合と北から入ります場合をイーブン、同じにとっております。ちょっとこの数字は私自信がございませんが、風速が五ノット以下のときにはどちら側から出し入れしても構わない、こういう管制上の決まりがあったように記憶をしております。したがって、十五ノットあるいは二十ノット程度を超してまいりますと追い風で離着陸ができませんので、向かい風になるように切りかえますが、成田の気象状況から申しますと、これを五〇、五〇にとって間違いなかろう。南から五〇、北から五〇、こういうふうにとって支障がないであろう。  それから時間帯別には、先ほど私十時と申し上げたのは間違いだったかと思いますが、失礼しました。朝の七時から夕方の七時まで、これがNイコール一の勘定になります。それから夕方の七時から十時までが二の勘定になります。それから夕方の十時以降が十という計数をかけることになるわけでございまして、これらにつきましてそれぞれ数を、便数を出発と到着に分けて、トータルで百五十二、こういうふうな数字を出しておるわけでございまして、この数字は、先ほども私お答え申し上げましたように、隠し立てしておる数字ではございませんので、新聞発表等には漏れておったかとも思いますが、この点についてこの数字を皆様に御案内申し上げることについては一向支障ございません。
  159. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それではそうした計算した数値、その基準について詳細なデータも発表されるというように伺っておきます。  それから、区域指定に関連して問題になりますのは、航空機騒音に係る環境基準というのが四十八年の十二月に出されて、この環境基準の中で、生活、健康を維持する基準値、七十WECPNLを基礎とした騒音分布図、これも関西空港の場合は出されているのですけれども、この七十W、これを成田の場合も出すべきだというように考えるのですけれども、これはいかがでしょうか。
  160. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま先生引用して御指摘ございました四十八年十二月の環境基準によりますと、成田空港は五年目、つまり五十三年末までに第一次中間目標を達成し、さらに五年後の五十八年末までに目標を完成する、こういうことになっております。第一次中間目標におきましては、屋外において八十五、屋内においてたしか六十五WECPNLであったと思います。それから五十八年におきましては七十五、住居専用地域におきましては七十、こういうことになるわけでございます。  そこで、先ほどもお答えしたわけでございますが、関西空港の場合には非常に長期的な見通しのもとに大体こういうことになるでありましょう、こういうことを御説明するための資料としていろいろ数字を出しておるわけでございますが、成田については現実に生きて動かそうということでございますので、まず私どもといたしましては、五十三年の中間目標については可能な限り正確を期する。次に五十八年になりますと、三里塚等一部の住居専用地域につきましては七十WECPNL、その他については七十五WECPNL、屋内において六十WECPNL、こういうことになってまいるわけでございます。その時点において果たして便数がどうなっておるのか、機材がどうなっておるのか、こういう点をいまから推定をいたして計算をしなければなりません。そうしませんと、七十Wあるいは七十五Wというコンターがかけないわけです。この推定をただいま出すということが、それがそのとおりになる可能性が非常に高いのであれば、将来の設計を皆様方にしていただくという意味から必要であろうかと思いますけれども、現時点におきましてはともかくも五十三年目標ということが当面の最大目標でございまして、それからさらに五年先の五十八年目標の推定を、ただその計算上こうなりましょう、こう言って皆様にお知らせしますということは、いかにもそれが権威あるかのごとくにとられてしまいますと非常な間違いを起こしてしまう種にもなりますので、今後の使用航空機の推移なり便数の変化なり、さらには、よく問題になっておりますけれども、B滑走路の使用とA滑走路の使用の使い分けの問題とか、こういうふうな点をも含めましてもっと正確になった場合、つまり五十三年の暮れまでには第一次の中間目標を達成するわけでございます。その義務を課せられておるわけでございますので、それ以後可能な限り速やかに五十八年の予想値というものを出しまして、その時点には先生御指摘のとおり七十五あるいは地域によっては七十、こういうふうなコンターをもとにして処置をしていく、こういうことになると御了解いただきたいと思います。
  161. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に移りますけれども、このいわゆるA滑走路についても現在の区域内で第一種から第三種の対象戸数が千八十八戸あって、そのうち移転あるいは防音をしたものは六百三十六戸、約六〇%できているわけです。いわゆる民家の防音区域になりますこの一種では、四十七年の告示の七百八十一尺これも完了していないわけですけれども、この完了していない理由はどこにあるのか、御見解をお伺いします。
  162. 大塚茂

    大塚参考人 防音工事の施行につきましては、私ども極力力を入れまして努力してまいっておるわけでございます。現在第一種区域内に三百八十一戸、防音工事をまだやっていない戸数が残っております。これはいろいろ事情がございますが、防音工事というのは御本人がやる気になってやる場合に補助金を差し上げるということになりますので、私どもとしては極力お勧めをいたしておりますけれども、音を聞いてみてから決めるんだとおっしゃられる方等もございます。しかし、何とかわれわれとしては開港までに全部の方々にお勧めをしまして、できることなら全部防音工事を施すようにひとつしていただきたいということで、目下馬力をかけて勧誘をしておるという状況でございます。  また、移転につきましても六十六戸移転をしていただきたい戸数が残っておりますが、これに対しましても極力お勧めをしまして、開港までに全部移転を、まあ終わらなくても少なくとも移転の着工ができる、契約ができるというところまでは持っていきたいということで努力をいたしております。これもやはり御本人の合意、御賛成を得なければならぬところでございますので、各個人のお考えによって必ずしもわれわれに御同意を得ないというようなこともございまして、思うように進んでいないというのが現状でございます。
  163. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 結局音を聞いてみなければわからない、これはまあその地域の人の率直な考え方だと思うのです。というのは、いろいろな区域の指定がされましたけれども、その計算の根拠というものがいままではっきり示されておりませんし、またその計算の根拠が示されても、現実に経験をしてみなければ、テスト飛行あるいは飛行機の音を聞くことによってその修正があり得る、そういうことから、要するに体験してみなければまだわからないということは、これは自然な気持ちであると思うのです。こういうところでは、騒音テスト飛行をやってからだ、やった後だという人がいるわけですけれども、公団は騒音テスト飛行ということの要求をすると、鉄塔があるからテストができないんだということをいつも言うわけですけれども、これは実際は低空飛行で区域内住民に実情を理解してもらうということはもちろんできるわけです。条件が違うと言われますけれども、関西空港ではそれを実施してコンターの七十W、この線引きも実際上やってきているわけです。  そこで、騒音テスト飛行をいずれやるということを言っておりますけれども、開港直前にテスト飛行をやっても、これがまた重大な、せっかく区域は指定していてもそれで間に合わないような事態、あるいは農民が受ける騒音による感じ方、こうしたいろいろな問題が出てくるわけで、騒音テストは早くやらなければならないというように考えるのですけれども、この点についてどう考えておられるか、お伺いします。
  164. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生御指摘のように騒音テストフライトというものをやりまして、皆さんにこういう音だということを承知していただくというのは非常に有効な方法でございます。  関西の場合には、お言葉ではございましたけれども、これはただ飛んだのではございませんで、一応着陸するためにおりてくる、離陸するために上がっていくというふうな想定を置いてやったわけでございますが、ただ、何せ海の上の上がりおりという点もございましたものですから、やり方が適当でないという御批判があったわけでございます。  成田の場合には、たびたび繰り返すようで恐縮でございますが、現実の空港、目の先の空港でございますので、そういういいかげんな飛び方では許されないわけです。なぜかと申しますと、離陸のときには飛行機はフルパワーを引いてまいりますし、水平で飛びます場合と八ないし九デシベル音が違います。したがいまして、これで飛んでみてこうだと言っても実はよくわからない。あるいは着陸のときにはフラップの角度を何度にするかというようなことで非常に音が違ってまいります。  そういうことを考えますと、やはり滑走路の前方に塔が建っておりますと心理的な圧迫ということだけではございませんで、現実にタッチ・アンド・ゴー的な飛び方をしようと思いますと、非常にこれが問題になってくるというふうなことでございますので、鉄塔が除去されますと、私どもとしては当然フライトチェック、午前中にも申し上げましたが、フライトチェックをしなければならない。そういうようなときに、これはYS程度の飛行機ですから、まずリファレンスと申しますか、比較になる音、一番これより低い音はないという音を聞いていただく。それから慣熟飛行に入ってまいります。そういう段階でやはり大型の飛行機の音も聞いていただくというふうな措置をなるべく早くとれるようにいたしたい、このように考えております。
  165. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その騒音のテスト飛行というのは開港のどれくらい前にやればできるんだというように考えているのですか。
  166. 松本操

    ○松本(操)政府委員 なるべく早くやるのにこしたことはないのでございますけれども、まず、先ほどもお答えいたしましたようなフライトチェックが要りますので、鉄塔が撤去されまして、空港自身が全面的に使えるということが確認されました直後に直ちにフライトチェックを行う、これが三週間ないし四週間かかろうかと思います。これによって先ほど来先生からいろいろと御指摘のありました、ああ飛ぶ、こう飛ぶという飛行コースがかなりはっきりとしてまいりますので、これが終わりましてからでございますが、私ども遅くも開港前三カ月というふうに考えておりまして、できるだけこれを前広にやるようにしたい、こういうように考えております。
  167. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 遅くとも三カ月ということですけれども、この騒音問題についてはいろいろな研究もされ、意見も出されているということから、これはやったから、それから理論的に決めたその区域内の計算と余り誤差がないからというようなことで住民に押しつけるようなものになったのでは、実際上住民の立場を考慮してから開港するということにはならないということになるわけで、その点を指摘しておきます。  それから騒音の測定という問題では、公団は飛行経路沿いに、空港外に八十カ所に測定装置を設置して、管理運営も公団がやると言っておりますけれども、地元の市町村や住民からは、もっと多くの測定装置を公団の負担で空港外につくって、維持管理も市町村に任せるようにというような要望が出ているわけですけれども、当然にこの騒音の測定はチェックすることが必要であって、そういう意味では騒音を正確に測定していくというために、公団の負担でこういう地元の要望、要求に従ってやるべきだと思うのですけれども、公団の考えをお伺いします。
  168. 大塚茂

    大塚参考人 ただいま公団としましては、八カ所に騒音監視装置を設置をいたしまして、そのうちの六個はオンラインで空港の管理事務所の中につながれておりまして、観測の結果が自動的に記録をされるというような仕組みになっております。そのほかに、千葉県でたしか三カ所と思いますが、県自身が騒音観測装置を設置をして、これは県自体でその操作をやるということになっております。  そういうふうな仕組みでございますので、これからも必要に応じて増設はいたさなければならぬと思っておりますが、その運営を地元市町村に任せたらという御希望がございます。しかし、先ほど申し上げましたように、オンラインですでにもう空港の管理事務所の中へつながれて、そこに自動的に記録されることになっておりますので、その結果は当然私ども公表するつもりでおりますので、それで御信用いただいて一向差し支えないんじゃなかろうか、かように考えております。
  169. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、飛行コースに関連してですけれども、この騒音問題と飛行コースというのは密接な関係を持っているわけです。いままでの公団の説明によりますと、千葉県当局の要望であります直進上昇、直進降下、これは必ず守るけれども、まだこの飛行コースについては決定しているのではないというように言っております。しかし、千葉県の佐原市では、運輸省からほぼ確定的なものだといって口頭で説明を受けたものを地図に示して市議会に提案した。飛行コースを示す地図をつくっているわけです。このコースというのはほぼ確定的なものと言えるのか、どういう検討段階なのか、この点をお伺いします。
  170. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、確かに、飛行コースの確定ということがございませんと騒音の議論が成り立たぬではないかということも一面あるわけでございますが、ただ、先生冒頭おっしゃいましたように、これはもう大分前からでございますが、千葉県から、九十九里から利根川までの間は直線進入、直線出発ということをぜひ守ってほしい、それから、当該成田空港に出入りするためには当然高度を下げなければなりませんが、それ以外の場合には六千フィート以上の高度を持って飛んでほしい。六千フィートという高度にまで至りますと、大体どの飛行機も七十ホンとかその程度以下の音になってまいります。したがいまして、ちょっと騒がしいところでは暗騒音に紛れて聞こえない、こういうことになってまいりますので、この条件は絶対に守るという考えで処置をしております。  しからば、いまおっしゃった佐原でございますか、どういうふうなことを市議会でお話しなさったのか私ども十分には承知をいたしておりませんが、飛行コースにつきましていまのような原則のほかに、私どもの方から申しますと管制上の諸般の問題点がございまして、最も安全かつ確実に飛行機を上げおろしする、こういうふうなためには、どこでどういうふうに飛行機を曲げたらいいのか、どこでどういうふうに飛行機を待たせておいたらいいのか、こういうふうな問題がございます。そういう点と、これは午前中にも議論がございましたけれども、太平洋あるいは北の方あるいは南の方、これから出入りしてまいります飛行機をどこに集めてどういうコースで突っ込むか、こういうふうな外回りの問題。その場合にどのVORなりどのNDBなりを使ってポイントを決めていくかといったような航法上の問題、こういう点を逐一詰めてまいりませんと答えが出ませんので、現在のところは、まだこれが確定したというところまでは遺憾ながら行っていないわけです。ただ、近傍の市町村からは、平面図的に見ますとあたかもその町の真上を飛ぶように見えることになるものですから、自分の町の上を飛んでほしくないとか、こういうふうな集落の上は避けてくれとか、こういう個々の御要望は従来もございます。したがいまして、地元の御意見を承りつつまた地元に御納得をいただく、こういう趣旨で、従来私ども非公式ではございますけれども、大体こんなふうに飛ぶとしたらおたくはどうでしょうか、こういうふうなお話をしたことはございます。そういう意味において、佐原につきましても、大分前になるかと思いますけれども、太平洋の方へ出ていく場合に佐原の近所をどうしても通らざるを得ません、その場合に高度はこのくらいになります、したがって音はもう聞こえないと思いますが、こんなもので何か特別に問題がございましょうかというふうなことを御相談申し上げたことがあるはずでございます。そういうふうなものをもとにして市議会で御発表になったのかと思いますけれども、正確にこれでございますと言って皆様にお示しできるようなものは実はまだ遺憾ながら決まっていない。これをなまなかな形で世の中に出してしまいますと後で非常に訂正がしにくくなってくるということもございますので、私ども、今後非公式には御意見を十分伺いつつも、管制上の問題、主として安全上の問題あるいは騒音対策、こういうふうな点を念頭に置いて鋭意詰めてまいりたいと思います。  ちなみに騒音について言いますならば、現在の五十三年目標に関します限りは、直線進入、直線出発部分で八十五WECPNLは終わるけでございますので、それから先に右に回りあるいは左に回りという部分については直接的な影響はない、このように考えておる次第でございます。
  171. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 発表され、佐原市議会で説明されたこのコース図いま説明を聞いておりますと、もちろん確定的なものじゃない、何か具体的に考えたものじゃないというような趣旨のようですけれども、一般的に、四十八年九月二十三日の新聞に発表された飛行コースがあるわけですけれども、これもそっくりになっているわけです。また、運輸大臣と県知事の直進上昇、直進降下という約束、あるいは百里とか羽田の空域、あるいはVORの位置から考えてみて、千葉県上空のコースは技術上はこうならざるを得ない、こうなるというように見る人がいるわけですけれども、この飛行コースについては、現在は確定的になっていないということはわかりましたけれども、検討は相当程度進めているのか、お伺いします。
  172. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま先生おっしゃいました新聞に載りましたコースというのは、大分古い、三年ぐらい前であったかと思いますが、このコース自身は実はいま私どもが考えておるのと少し違っております。ということは、私どもの方も、専門の担当者のほかに、成田の空港準備室それから羽田、東京管制部、この三つの管制所におります管制官、現場の管制官が実際は管制するわけでございますので、こういう人たちの意見というものも十分にしんしゃくをしなければなりませんので、こういうふうなものを絶えず聞きながら、一つのワーキンググループを持っておりまして、そこでいま一生懸命に検討しておる、決して放置しておるわけでもございません。正直、私申し上げましたとおりに、まだ、皆様方にこれでいかがでしょうかと言って確定的な案の一、案の二というふうな形でごらんに入れるところまでは詰め切っておりませんけれども、しかし相当程度作業が進んでいるというふうには御理解いただいてよろしいかと思います。
  173. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 では最後に、この飛行コースについては、航空機騒音防止法の第六十五条一項で航行の方法を指定するときは知事の意見を聞くということになっているわけですけれども、飛行コースについて意見をいままで聞いているのかどうか、それだけ伺って終ります。
  174. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ちょっといま先生おっしゃいましたのと私が取り違っておりましたらおわびしたいのですが、飛行コースそのものにつきましては、騒防法の三条に飛行コースを決めることができるということが書いてございます。ところがこれを決めますと、実は罰則がかかってまいります。そこで、その飛行コースを決めて騒音を規制いたしました場合に、それに外れた場合、果たして罰則を適用するかどうかということがこれまた非常にややっこしい問題になりますので、この点については国会でも何回か御議論があったように記憶しておりますけれども、現在のところ、これによって処置をするということは差し控えておるわけでございますが、先生御指摘の六十五条の方は、いまの区域割りをいたしますときに意見を聞く、こういうことでございまして、これにつきましては、千葉県に手紙を出しまして千葉県知事の意見を徴し、千葉県は恐らくまた関係の市町村にそれぞれ意見を聞かれたことと思います。それらに基づいて区域割りをした、こういう次第でございます。
  175. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次回は、来る三日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会