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1977-05-25 第80回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月二十五日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 八百板 正君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 阿部喜男君 理事 久保  等君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       丹羽喬四郎君    堀之内久男君       本名  武君    野口 幸一君       古川 喜一君    山花 貞夫君       大野  潔君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    青山  丘君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君  出席政府委員         郵政政務次官  綿貫 民輔君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         文化庁文化部長 鹿海 信也君         労働省労働基準         局補償課長   溝辺 秀郎君         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (財団法人放送         番組センター事         務局長)    山口  進君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   依田  実君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     依田  実君 同月二十四日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     山花 貞夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ————◇—————
  2. 八百板正

    八百板委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査が終了するまで参考人として日本放送協会当局出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八百板正

    八百板委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八百板正

    八百板委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 八百板正

    八百板委員長 それでは、本件について綿貫郵政政務次官から説明を求めます。郵政政務次官綿貫民輔君。     —————————————  日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対   照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 綿貫民輔

    綿貫政府委員 ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和四十九年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十年三月三十一日現在における資産総額は、一千五百四十四億一千七百万円で、前年度に比し、三十六億七千万円の減少となっております。これに対しまして、負債総額は、六百十五億二千万円で、前年度に比し、三億五千三百万円の増加となっております。資本総額は、九百二十八億九千七百万円で、前年度に比し、四十億二千三百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産二百九十三億八千七百万円、固定資産一千二百四十億三千万円、特定資産八億八千六百万円、繰り延べ勘定一億一千四百万円であり、固定資産内容は、建物五百二十億三千七百万円、土地百四十九億五千四百万円、機械三百五十九億百万円、その他の固定資産二百十一億三千八百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債百六十四億二千九百万円、固定負債四百五十億九千百万円であり、固定負債内容は、放送債券八十八億六千万円、長期借入金三百十七億八千百万円、退職手当引当金四十四億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金二百十九億二千万円、当期欠損金四十億二千三百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、一千二百五十七億八千六百万円で、前年度に比し、七十億六千三百万円の増加となっております。これに対しまして、経常事業支出は、一千二百九十八億三千四百万円で、前年度に比し、百一億五千五百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支は、四十億四千八百万円の欠損となっております。これに特別収入十億三千六百万円及び特別支出十億一千百万円を含めた事業収支全体では、四十億二千三百万円の欠損となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 八百板正

  8. 坂本朝一

    坂本参考人 ただいま郵政大臣から日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。  まず、当年度末現在の資産総額は、一千五百四十四億一千七百万円で、この内訳は、流動資産二百九十三億八千七百万円、固定資産一千二百四十億三千万円、特定資産八億八千六百万円、繰り延べ勘定一億一千四百万円でございまして、固定資産内容は、建物五百二十億三千七百万円、土地百四十九億五千四百万円、機械三百五十九億百万円、その他の固定資産二百十一億三千八百万円でございます。この資産総額を前年度末に比較いたしますと、三十六億七千万円の減少となっております。これは主として、前年度から繰り越した当年度事業安定のための資金を使用したこと等により、流動資産が二十九億六千八百万円減少し、また、老朽施設売却等により固定資産が七億三千七百万円減少したためでございます。  一方、これに対します負債総額は、六百十五億二千万円で、この内訳は、流動負債百六十四億二千九百万円、固定負債四百五十億九千百万円でございまして、固定負債内容は、放送債券八十八億六千万円、長期借入金三百十七億八千百万円、退職手当引当金四十四億五千万円でございます。この負債総額を前年度末に比較いたしますと、三億五千三百万円の増加となっておりますが、これは債務の返還により固定負債が五億円減少しました一方、受信料前受金増加等により流動負債が八億五千三百万円増加したためでございます。  また、資本総額は、九百二十八億九千七百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金二百十九億二千万円及び当期事業収支差金のマイナス四十億二千三百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、四十億二千三百万円の減少となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず受信料等経常事業収入は、一千二百五十七億八千六百万円で、前年度に比較しまして、七十億六千三百万円の増加となりました。これは主として、総合教育テレビジョン放送網の建設を推進いたしますとともに、放送番組内容充実刷新及び事業の周知、受信者維持増加に努めました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして、当年度内に二百十七万件の増加を示し、当年度末二千四十六万件となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者増加に伴い、当年度内に百四十五万件の減少を示し、当年度末四百八十一万件となりました。  次に、経常事業支出は一千二百九十八億三千四百万円で、この内訳は、給与四百九十七億七千六百万円、国内放送費三百十億七千四百万円、国際放送費八億一千百万円、営業費百四十七億三千二百万円、調査研究費十七億一千百万円、管理費百四十三億五百万円、減価償却費百三十九億三千四百万円、財務費三十四億九千百万円、となっております。これを前年度に比較いたしますと、百一億五千五百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容充実刷新受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業規模拡大に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、極力受信者の開発と事業運営合理化を図りましたが、経常事業収支差金は四十億四千八百万円の赤字となりました。  この経常事業収支差金に、固定資産売却益等特別収入十億三千六百万円を加え、固定資産売却損等特別支出十億一千百万円を差し引いた当期事業収支差金は四十億二千三百万円の赤字となりました。  なお、収入支出決算においては、特別収入の項に、当年度事業安定のための資金として前年度から繰り越しました東京放送会館売却収入の一部、三十四億九千三百万円を受け入れ計上しました結果、事業収支差金は五億三千万円の赤字となっております。  これをもちまして、協会昭和四十九年度末における財政状態及び当年度事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  9. 八百板正

    八百板委員長 次に、会計検査院当局から、検査結果について説明を求めます。高橋第二局長
  10. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 検査結果の御説明を申し上げます。  日本放送協会昭和四十九年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和五十年十一月七日内閣から送付を受け、その検査を了しまして、同年十二月五日内閣に回付いたしました。同協会の会計につきましては、書類及び実地につきまして検査いたしましたが、検査の結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  11. 八百板正

    八百板委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  12. 八百板正

    八百板委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHK昭和四十九年度の決算審査に当たりまして、NHKの幹部の皆さん方お忙しい中を御出席をいただきまして、大変恐縮に存じます。  四十九年度の決算に関する質問の前に二、三お伺いをしておきたいことがあるのですが、まず、「週刊時代」という週刊誌の三月二十九日号を会長、お読みになったことがございますか。
  14. 坂本朝一

    坂本参考人 拝見いたしました。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、この記事を拝見して、非常に奇異に感じたのですけれども、この記事の出どころが、権威ある国会のこの逓信委員会委員のお一人でございます。当然、私どもは、この国会国民視聴者を代表して不信の点があれば、NHKなり監督官庁郵政省にいろいろお伺いする機会があると同時に、それだけ私ども逓信委員というものの受信者に対する責任は重いものだというふうに考えております。ところが、この記事によりますと、まずこの見出しが大変なんですけれども、「着太りNHKなんかつぶしちまえ」というのが大体出だしでございます。これはそれぞれ主観がありましょうが、もしつぶす方がいいようなNHKならば、私は、できるならばこの委員会で御審議をいただくべきではなかったかという気がいたしますが、これは御本人の御自由でございましょう。  ただこの中でいろいろ記事が出ておりますので、逐次実態について明確にしていく必要があろうかと思いますから御質問をいたしますが、まずこの記事の中で、「最近は集団で、とくに電々とか国鉄全逓など大組合で払わなくなってきている。」これはNHK受信料についてのお話の一部でございますけれども労働組合名指しで、電電とか国鉄とか全逓などの大組合で払わなくなってきているということをおっしゃっておられますが、そういう事実、実態があるかどうか、まず御説明いただきたいのです。
  16. 中塚昌胤

    中塚参考人 国鉄とか全逓とかあるいは電通とか、そういう大組合で組織的に不払いということが行われていることはございません。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も念のために、それらの組合について、何か組合が特段にNHK受信料不払い等の申し合わせをしたとか、そういう傾向があるかどうかを確かめてみたのですけれども、こういう事実は全く私の聞いた限りでもないようでございますし、また、いま当局からの御答弁によりましても、そういう事実はないということでございますから、まずこの委員会の名誉のためにも、また指摘されておる関係の向きの名誉のためにも、そういう事実はないということを、第一点目、この公式の委員会において確認をしておいていただきたいと思いますが、会長、よろしゅうございますか。
  18. 坂本朝一

    坂本参考人 おっしゃるとおりでございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に二点目でございますけれども、同じくこの記事の中でNHK職員が多過ぎる、大体八千人おればいいのではないか、こういうふうに意見を述べておられますが、公共放送としてこれだけの組織を持つNHKが、八千人くらいの陣容で現行のサービスが維持できるような実態にあるのかどうか、この点は会長どうですか。
  20. 坂本朝一

    坂本参考人 その御論旨の中に、民放との比較の上での数字で御論旨が進められておるようでございますけれども、私どもの方は、先生方に申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども総合教育、第一、第二、FM、それに国際放送、そして全国ネットワークということに事業実態がございますので、私は、現在の要員というのは、少なくとも現状の公共放送使命を達成するためにはぎりぎりのところでやっておるつもりでございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 われわれもここで予算審査等をさしていただいて、現行運営はおおむね適当であるというふうに郵政大臣も認められ、われわれ委員会としてもそういうふうな決定をしてきた経緯もございますので、もしこれが、八千人くらいでやれるものをこの委員会現行の制度で適当であると認めたとすれば、これは大変問題のあるところでございますので、この点もひとつ明確にしておいていただきたいと思ったところでございます。  次に三点目でございますけれども管理職が大変多過ぎる。何でも、「NHKへ行って窓際のほうへ石を投げると管理職に当たる」んだという表現がなされておりますが、いまのNHK職員の構成で、総人員、それから管理職の方の頭数とその割合、種類、職責、そういうふうなものを簡単に御説明願えませんか。
  22. 川原正人

    川原参考人 現在NHK管理職として扱っておりますのは一万六千五百数十名のうち約三千人でございます。職種等細かいのは調べさせていただきますけれども日本社会全般傾向でございますけれども職員平均年齢等もかなり高くなっていることと、それから協会の場合は、通常の企業と異なりまして、いわゆる学卒者、特に大学卒割合が約半数を占めておりますので、社会的な処遇の上ではやはり当然その程度処遇はしていかなければならぬのではないか、私どもとしてはかよう考えているわけであります。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまの御説明は私、ちょっと納得しかねるのです。やはり管理体制上必要であるならば置かなければならないし、必要でないならば、大学出ておるから、いないからといって管理職などというのは大変おかしな話でありまして、私、郵政省をよく知っておりますが、郵政省の場合には特定郵便局というのがございまして、二名局というのがございます。一人が局長さんで一人が職員でございます。三名局というのが非常にたくさんございます。二人が職員で一人が管理職です。これは管理上必要だということで置いてあるのだと思いますし、NHKの場合にも、たくさんの放送局の中に支局等があります。こういう方々は、ある場合にはいろいろな管理を担当しなければならないだろう。郵政省の場合でも、職場によっては二人に一人の管理職があり、三人に一人の管理職がある。NHKの場合にも、非常に全国に点在しておる点では変わらない傾向にあるように思われますし、計算上大まかにいきますと、一万六千の三千ということになりますと、五人強に一人の管理職という割合になりますね。その程度は大体管理職として常識の数ではないかというふうに思うのですが、これはむしろ外から見て、政務次官なり電波監理局長あたりの見たところで、この程度管理職が要るのかどうか、どうお考えですか。
  24. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答え申し上げます。  郵政省考えでございますが、内部の問題につきましてはいろいろ仕事の分類について細かくわかりませんので、その三千という数が適切かどうかということはわかりませんが、放送事業というものの体系から見ますと、やはりこのあたりが適当ではなかろうかというふうに考えております。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 全く同意見でございまして、私どもも大体その程度は必要だろうということで今日まで予算審査等に当たってきたわけですから、それが間違っておるということになると大変なことなんです。いま監督官庁の方も、大体この程度は妥当ではないかというお話ですから、私もそう感じますのでこれ以上申し上げませんが、この委員会では妥当であるというふうに認められた、こう理解をさせておいていただきたいと思います。  その次に、NHKで一番の問題は、労使関係が悪いんだというふうに述べておられます。私は、NHK労使関係はいいというふうに、常識的な表現ですけれども理解しておったんですが、非常に悪いという表現を使っておられますが、この実態はどうでしょうか。
  26. 坂本朝一

    坂本参考人 私、会長に就任して以来、やはり何といっても企業根幹をなす一つのポイントは労使関係であろうと思いまして、テーマによって対立するところは当然あるわけでございまして、それはかなり激しい交渉をいたしますが、しかし基本となる労使信頼関係と申しますか、そういうものは根幹に置いております。対立する問題については激しく論議するにいたしましても、基本の点については信頼関係にあるべきだということを就任のときにも表明いたしましたし、現在もその考え方を変えておりませんし、組合側といえどもそういう点についての理解はいただいているというふうに確信している次第でございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、労使関係などというものは本来われわれの立ち入る筋合いのものではない、自主的に当局組合の間でお話を進める筋のものだと思いますけれども、私どもが感じておったことと違う表現労使関係が非常に悪いのだと言われてみると、やはり運営上問題があるのではないかという懸念がありましたので、お伺いしましたが、そういうことがないということであれば大変安心をいたしました。今後ともこういう指摘を受くることのないように、労使関係についての一段の御努力をお願いしたいと思います。  その次に、これは非常にむずかしい問題なんですけれどもNHK職員をもって構成する組合日放労というのがあるわけでございますが、この「日放労機関誌に「NHK労働者をつくったのは、この人である」という言葉がある。」ちょっと中を飛ばして、「だから、メシを食うためにNHKで働いているんで、いい番組を作るとか、国民に迅速に公正なニュースを伝えるとかの気持ちはさらさらない。」こうなっておるわけでございます。私、博学ではありませんけれども、今日、世界の国々で資本家のいないという国は幾つかあるようでございますが、残念ながら労働者のいないという国を見たことがないのでございます。私は、今日の国なり社会を支えておるものは労働者だ、そう理解をしておるのですけれどもNHKでは労働者が飯を食うためだけに働いておって、いい番組をつくるとか迅速にニュースを流さないように足を引っ張っておると言うのですが、そういうことがございましょうか。
  28. 坂本朝一

    坂本参考人 私はそういうことはないと思います。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まだ取り上げれば幾つかの問題があるようでございますが、労働者なり労働組合というものについては、いま会長もお答えになりましたが、そういうことがあってはならないし、またこれは社会の非常に大切な存在でなければならないし、中心的なものだ、労働者を誹謗するようなこういう言い方については別な機会に、要すれば論争もしてみたいと私は思っておりますが、ただ一番大きい問題は、こういう意見を述べられた方が、NHKとは非常に関係の深い逓信委員会委員のお一人であるということですが、こういう記事をお読みになったならば、いま大体お伺いするところ、ほとんどの問題が誤解に基づくように私には思われますが、ならば、そういう誤解を解くような努力NHKはまずなさらなければならないのではないか。こういう記事についてそれが誤解であるとか、あるいはまた週刊誌記事ですから、おっしゃったとおりが出ておるとも私は思いません。率直に言っていろいろ粉飾されて記事になっておるのではないかという懸念もございますけれども、それがいずれであれ、NHKとしては当然釈明をし、また真実をお伝えする責任があるのではないかという気がしますが、そういう御努力はなさいましたか。
  30. 坂本朝一

    坂本参考人 まあインフォーマルな形での接触の中で釈明はいたしましたけれども、その後、雑誌社の方から翌月に、NHKに御迷惑をおかけしたという意味の自発的な訂正文が掲載されましたので、この問題は一応この形でのピリオドを打った次第でございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは、雑誌社の方がこういう記事を載せたことがよかった悪かったというよりも、そこはむしろ報道の自由なり表現の自由にかかわる問題ですが、こういう御発言をなさったのかどうか、なさっておるとするならばそれは真意であったのかどうか、真意であったとするならば誤解に基づくものであるかどうか、御本人についてのお話し合い、釈明はどうだったのですか。
  32. 坂本朝一

    坂本参考人 まことに恐縮でございますが、私自身、この記事の中の二、三についてはこの委員会で御質問を受けて、それにお答えした記憶がございますけれども、いま御指摘のもろもろについては正直言ってそう深くお話し合いをしておりませんので、今後の問題として御説明したいというふうに思います。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 同僚の一人でもございますから、私これ以上は申し上げませんけれども、冒頭申し上げましたように、その立場からしても与える影響が非常に大きいと思われますし、最近NHKがとかく話題になりがちでもございますので、この種の問題があるときにはひとつ進んで誤解を解き、国民、視聴者の皆さんに誤った印象を与えることのないように、この上の努力をお願いしておきたいと思います。  それでは次の質問に移りますけれども、私たちは報道の自由と自主性を守るために公共放送としてのNHKに大きい期待を持っておりますし、また同時に、NHKを守り育てていかなければならない、そういう意味合いからたまには苦い言葉も申し上げますけれども、本心どこまでも日本の言論機関の中で、公共放送としてのNHKを守り育てていくという期待があるからこそ申し上げているわけなんですけれども、最近NHKの報道姿勢にどうもときどきわれわれの期待を裏切るような出来事があるように思われてならないわけです。  たとえば、先般この委員会で私も質問しました韓国問題についての報道では、電話がかかってちょっとお話がありましたという程度の御答弁だったのですけれども、そこで私は少し具体的にお伺いしたいのですが、日本国民の中でも公共放送としてのNHKに期待をし、それを守っていくという風潮のある中で、外国から公共放送であるNHKにいろいろな注文がつけられ、あるいはその報道の内容に立ち入っての抗議や意見等があり、またそのためにNHKの報道等がゆがめられておるとするならば、これはゆゆしい問題であると言わなければなりません。その意味から二、三の事実についてお伺いいたしますけれども、昨年の五月三日に韓国の三・一民主救国宣言事件の初公判の関係を取材をして、これはNHKだけではございませんが、NHK、NET、NTV、フジテレビ等のニュースの現像フィルムが、すでに通関手続を完了して発送直前に韓国の治安当局の手によって差し押さえられたという事実があったかどうか、まず第一点目です。
  34. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  一時的ではございますが、そういう事実はございました。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 続いて、五月の十九日にも同じような事件がございましたか。
  36. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  五月四日、五月十八日の公判に関するニュースフィルムについて同様のことがございました、一時的ではございますが。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは向こうがおやりになることですから、その点についてのいい悪いは私ども言えません。ただ、そういう事実があったということを一つの前提にいたします。  その次に、二点目お伺いしますが、これは少し古くなりますが、一昨年の一月三十一日夜七時のニュースの途中で、いわゆる文世光が大統領を狙撃した事件についてでございますが、韓国の元海軍参謀総長の李竜雲さん、このお方の記者会見の報道が七時のニュースの途中でニュースから消えていった、いわゆる原稿を落とした、そういう事実があったかどうか。
  38. 堀四志男

    ○堀参考人 この問題に関しましては、昭和五十一年六月の当委員会において同じく阿部委員から御質問がございまして、それに対して当時の坂本局長から説明申し上げたとおりでございまして、そういう原稿が出て当初そういう放送をする予定でございましたが、外信部からその李竜雲氏の話についての他の情報がございまして、その情報を入れ再検討することになった、したがって七時では放送されず九時で放送され、翌朝放送されたということはございます。こういうことは間々あることでもございます。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この放送白書によりますとそうではなくて、七時のニュースの途中で「整理部長が、社会部デクス席にかけより、何事かことばを交し、さらにこの直後、外信部デクスが社会部に現われて社会部デクスとのやりとりがあって、外信部デスクの判断でこのニュースを落すよう、整理部に電話していたことが判った。」そしてこの李氏の会見ニュースは七時では脱落したが、NC9、あの九時のニュースセンターで原稿の内容をごく簡潔に報道をした、こうなっておりますが、これは違いますか。
  40. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  大略そのとおりだと思います。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その次に、この前、予算の際にお伺いをして明確な御答弁をいただけなかったのですけれども、二月七日の七時の朝のニュースで、元駐米韓国大使館公報館長のリ・ザイ・ゲンさんと呼ぶのでしょうか、このお方の発言の報道が報じられたときに、在日韓国大使館の李公使が佐野編集長を訪れて遺憾である旨を伝えたというふうに私は聞いておるのですけれども、せんだっての答弁では何か電話があった程度だった、こういう御答弁をいただいたのですが、いずれが本当ですか。
  42. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  この前のときに、李公使が朝日新聞に引き続いてNHKを訪れ、その間の事情、特に李在鉉イリノイ州大学の助教授についての韓国側の情報を詳しく提供されまして、公平な立場での報道を強く望まれたということは後刻佐野編集長より承知いたしましたということで、佐野編集長を訪れたことについては私からはっきりお答え申し上げております。電話ではございません。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それならちょっと私の勘違いかもわかりません。あのときの答弁では、朝日から電話があって佐野編集長が聞いたというふうにちょっと聞いたのですが、私の誤解ですからそれはようございます。しかし、いまのお話では何も遺憾である旨の申し入れがあったのではなくて、李在鉉さんのいろいろな問題についての説明があったということでございますが、それはそういうことでございましょうから私は重ねて聞きませんが、このニュースがさらに夜の九時のNC9の際に伝えられたとき、これはフィルムインタビューになっておったようですが、韓国の大使館から抗議の電話が相当入ってきたというふうに聞いておりますが、これはどうですか。
  44. 堀四志男

    ○堀参考人 抗議の電話はなかったと思います。李公使も参りました際に佐野編集長に対し、誤解のないようにということで、私は抗議に参ったのではございません、ただ、李在鉉という方についてはこういう情報があるので、それを踏まえた上、公正な判断と公正な報道を期待して参ったわけでございますということを前後三度にわたって繰り返しおっしゃいましたので、われわれは抗議というふうには受け取っておりません。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 少し立ち入って恐縮ですけれども、報道関係の原稿はずっと保存されておりますか、おりませんか。
  46. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  放送法によりまして保存の義務の期間は限定されておりますが、われわれとしては、将来にわたって問題になるであろうと思うことについては保存をいたしております。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それではいまの李在鉉さんのお話が報道された。その報道の原稿の中に、李在鉉さんの談話として、日韓癒着の日本の政治家の中に椎名、岸、福田というふうな名前があったのが、整理段階でしょうか、その辺で削られておるという事実がありますか、ありませんか。
  48. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  いまここにはっきりした記憶はございません。しかし、先ほど申し上げましたように原稿は各取材部門から整理部に参ります。各取材部門の意見が違う場合は、あるいは取材部門でほかの情報が入った場合はとりあえずすぐ整理部にこれを連絡いたします。整理部の判断で原稿をちょっと抑えたり、あるいは補足原稿が必要だと思われる場合には各取材部門間の協議をお願いするわけでございます。そういう協議がこの李在鉉氏の原稿について行われたということは後刻聞きました。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 放送法にもありますように、意見の違う場合もありましょう、そういう場合はより多くの意見を報道すべきであると放送法にも規定されておるわけでございますから、事実かどうかは別にして、こういうことが李在鉉氏から話されたんだということを国民に伝える、またその反論も恐らくありましょう、その反論も伝える、そして国民が正しい判断をするような措置をとってあげるのが公共放送としてのNHKの姿勢でなければならない。それを一方的にどうだろうかというふうに気がねをして、報道の原稿から落としていくというようなことは、今日NHKの報道について、いい意味で言って、NHKニュースほどおもしろくないものはないと言われ、悪い意味で言って、偏向しておる、体制側ではないかと言われるゆえんだろうと私は思います。  私が、こういういわば旧聞に属する問題をことさら取り上げてここで質問しておりますのは、実はいまから申し上げることが重要なんでございます。  これはことしの五月二十七日付の朝日ジャーナルでございますけれども、この朝日ジャーナルの三十二ページに日韓協力委員会第十三回合同常任委員会会議録なるものが出ておるのです。まず、これは電波監理局長にお伺いしましよう。日本に国営放送というのはございますか。
  50. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ございません。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 日本に国営放送がないのに、もし外国の方々が、日本に国営放送ありというふうな誤解をするとすれば、それはどの放送局に当たりましょうか。
  52. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ちょっと心当たりございません。ただ、経営の形態、いわゆる外国での国営放送に似たような感触を受けるところとしては、あるいはNHKが該当するということも考えられます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も全く同意見なんです。もし外国が日本に国営放送というものがあるというふうに見ておるとすれば、それはNHKだろうと思いますので、そこでNHKに聞かなければならないことになってくるわけでございます。  この日韓協力委員会というのは、民間の団体でございますから直接われわれに関係のあるものではございません。しかし、この日韓協力委員会会長は、かつて日本の総理でありました岸信介さんがおやりになっております。このメンバーには現閣僚の田中通産大臣が入っておられますし、あるいは前の閣僚でありました山中貞則さんとか、いわゆる日本の国政を動かす重要なメンバーがたくさん入っておられるのです。その日韓協力委員会の議事録の中で非常に重要な問題が出てきます。  金周仁という韓国のお方の発言によりますと、前後を略しますけれども、「そのためには、わが国営放送に日本紹介のプログラムを入れて日本が民主社会として機能している姿を週一、二回、放送し、同時に相互主義によって、日本の国営放送でも韓国の政治、経済、文化等をプログラムに入れ定期的に放送するなら、両国友好のためにいいのではないだろうか。」という発言が出ておるわけです。これを日本のメンバーのえらい方々が否定していないのです。そうすると、そういうことが以心伝心あるいは具体的にNHKに伝わって、NHKが韓国の問題についてことさらに報道を制限をし、自主規制等が行われておるのではないか、現に行っておると断言をする学者も数多くおいでになるわけです。そういう点についてはどう考えますか。
  54. 坂本朝一

    坂本参考人 そういうふうに誤解をされるのは私としてははなはだ残念でございます。しかし、御指摘のような事例があるということについて、私としてはさらにいま一層自主性と申しますか、そういうもののための努力あるいはそういうことを各方面に御理解いただくための努力をしなければならないというふうに思っております。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たくさんありますが、もう一つ参考までに申し上げておきますけれども、「このような日本言論の偏向性を是正する方法として、」——韓国の方がおっしゃっておるのですよ、日本の言論が偏向しておるようでございますから。「このような日本言論の偏向性を是正する方法として、国営テレビなどを通じた特別プログラムもいいが、私の考えでは両国の文化団体なり、その他民間団体の主催で講演会をたびたび開く方が有効だと思う。」ここで国営、金守漢という方がおっしゃっています、やはり国営テレビというのが出てくるわけなんです。  私がいま申し上げましたのは、いままでずっとここ二、三年NHKが韓国問題の取り扱いについて、特にその報道の中で国民の、われわれの疑惑を招くような取り扱い、それが自主規制という言葉で行われるかどうかはわかりませんけれども、どうもおかしいではないか。いま私が申し上げたのは、たとえば「マスコミ市民」ですか、こういうものには非常にたくさん同じようなことが書かれておりますが、少なくとも、こういう報道について非常に深い関心を持っておられる方々の中でそういう意見があることは、何とおっしゃろうと否定ができないのですよ。韓国問題の取り扱いがおかしいではないかという意見がたくさん出ておることだけは否定ができない。私は、これからのNHKの報道の姿勢として、あるものはどんどん遠慮なく伝えていく、判断は視聴者がすべきであって、NHKが勝手にこれは報道すべきかすべきでないかなどという判断をなさるべきではないと思うのです。その意味で、特に韓国問題にからんでは微妙な段階にあるからかもわかりませんけれども、われわれが想像する以上にNHKの中における自主規制が強く行われておるように受け取られてならないのです。そういう点について、いま会長からもはっきりしたお答えがございましたけれども、もう一度NHKの報道の自主性と公正を伝えるということについての決意を承っておきたいと思います。
  56. 坂本朝一

    坂本参考人 放送するかしないかという判断を当然NHKがしなければならないと私は思っておりますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思いますが、その判断の基準として、公正であり中立であるということを誤らないようにしなければいけないのではないかというふうに思っております。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまNHKがおやりになるというお話で、NHKと言っても非常に幅が広いと私は思っておるのです。先ほど来私が質問したような一つ一つの問題について、恐らく会長はその当時御存じなかったはずだと思うのです。それは放送総局なりもっと下の整理部あたりで自主規制的にやられたものだ、したがって、恐らく総局長にしても会長にしても、いまこういう質問を受けて調べてみてそういうことがあったということをお知りになった程度であって、実際問題としてはもっと下の段階での自主規制、そういうことをやることが上の人の気に入られるのではなかろうか、そういう考えから行われておるとするならば、私は、この自主規制というのはNHKの姿勢にかかわる問題だとさえ思うのです。そういう意味で私は、会長のような公式論でなく、そういう自主規制等を行うようなことはないということを、それぞれのセクションの判断に任せてやるんだということをもっと明確に、しかもそれは放送法の精神にのっとった報道でなければならぬということを明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  58. 坂本朝一

    坂本参考人 おっしゃるとおり、日常の業務を運行する上においてそれぞれのセクションの責任者が責任をとる形での判断を下すというのは、これはもう当然のことでございまして、そのことについていま阿部先生の御指摘のような必要以上の自主規制、必要以上に報道することをためらうというようなことがあっては、それは国民に対するNHKの信頼を裏切ることでございますので、そういうことのないように指導したいと思います。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 特にこれはNHK基本的な姿勢の問題ですから、その点をよくお願いをしておきまして、次の質問に移ります。  どうも私は週刊誌をうんと援用して申しわけないのでございますけれども、これは週刊文春でございます。「NHKよ驕るなかれ」こういう見出しがつきまして、サブタイトルが「はじめて明かされたモスクワ五輪放映権・獲得戦争の全内幕」、これは三浦甲子二、たしかテレビ朝日の常務で、この前ここにお見えになっておったと私は思うのですけれども、このお方がインタビューか何かでずっと文春にお答えになっておる。その内容はここで議論をしたときの内容とは私いささか違うような気もしますし、こういうことが言いたかったのならばあのときなぜ言ってくれなかったろうかという気もするのです。  その中で私は特に指摘したいのは、今日の放送界の中が非常に混乱しておるように思われてならないのです。この三浦さんの意見の中で、これは言葉じりをとるわけではございませんけれども、非常に重要ですから申し上げますが、たとえば、「ぼくのところはこれからは、まったくNHKのお世話になってないから、」これは言葉がちょっとおかしいのですが、「受信料値上げや、不払い運動の実態もやるよ。」この趣旨は、いままではNHKにいろいろ弱いところがあっても隠してきたが、これからどんどんおれのところでやってやるんだ、こういう意味だと受け取れるのですが、放送界の内にはそういう隠し合うようなことがあって、報道されては困るような内容があるのでございますか。
  60. 坂本朝一

    坂本参考人 そういうことは全く思い当たりませんでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは同じ放送界の中のテレビ朝日の常務さんがおっしゃっておるわけですから、やはり国民で、しかも文春などを読む方は、何かNHKには暗いところと申しますか隠さねばならぬところがあって、いままで朝日の方で隠しておったけれども、これからはどんどんやるんだなというふうに受け取られないでしょうか。  同時にもう一つ。その次に、これはわれわれの名誉にもかかわるのでございますが、「ぼくは、NHKの受信料のとり方は憲法違反だと思ってるからね。」NHKの受信料のとり方が憲法違反であるかどうか、これはわれわれ国会で議論をすべき問題だと思っておるのですけれども、彼の説によると——そう言うことは彼の勝手でしょう。その次が問題なんですよ。「公平じゃないんだよ。国会や自民党本部、社会党本部はテレビ台数分ちゃんと支払ってるのかどうか。」私はいつも申し上げておりますが、郷里に一つ、宿舎に一つ、会館に一つ、しかも会館は白黒ですけれども、おのおの三つのテレビの受信料はちゃんとお支払いをしておりますし、会館なり宿舎の各部屋を回ってみてもNHK受信料の徴収のマークは張られております。にもかかわらず、同じ放送界の中にある重要な地位にある方が、われわれ国会議員や特に党の本部、自民党なり社会党の本部に対して、あれは受信料は払っていないのではないかと聞き取れるようなことを公然とお話しになっておる。その起こりは、私はモスクワ五輪だけではないと思いますけれども、放送界の中の意思の統一が乱れておるから同じ放送界の中でこういう見苦しいといいますか、ないようなことまでも表に出しておる。明らかにこれはないことですから、ないことまでもわざと国民が疑惑を持つようなことを表に出して物を言っておる。その放送界の中の混乱というようなものを会長はどうおつかみになっておりますか。
  62. 坂本朝一

    坂本参考人 放送事業者の一人としてまことにお恥ずかしいことでありますし、また申しわけないと思っておりますが、残念ながら現状においてはややそういう点について混乱が見られるというのは御指摘のとおりでございますので、これは何としてもあれをしなければならないと考えておる次第でございます。(「混乱はないと言ったぞ」と呼ぶ者あり)
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまお話がありましたように、この前は別に混乱はないというふうに伺っておったのですけれども。  どうも最近の週刊誌がある程度興味主義であるということは確かにあるかもわかりませんけれども、しかし逆に言えば、国民の中からも、火のないところに煙は立たないという言葉があるように、そしていま会長もおっしゃったように何もないと言えば私はうそだと思うのです。やはり確かにあると見なければなりません。あるとするならば、日本のこの放送界について、もう少しNHKなりが中心になって自主的な話し合いによる調和が保たれていかないものだろうか。NHKは、いろいろ民放の関係についてもお金も出しておるし、いろいろやっておると私は承知をしております。細かくは申し上げませんけれども、財政の面でもNHKの負担はかなり大きいように私は承知しておりますし、またNHKがつくったいろいろなフィルム等についても、われわれから見れば相当安い価格で民放等にも提供しておるようですし、それは私は放送界のあり方として必ずしも反対するものではありません。しかし、そういう中にありながら、同じ放送界の中でこういう意見が出てくるのは一体なぜなんだろうか、その辺に非常に疑問を持つのですが、これからの対策なり見通しとして、会長の方でお持ちであるならば、一番大きいとか言うと語弊がありますけれども、何といっても日本の放送界の中核であるはずですから、NHKの立場からひとつ今後の対処について明確にしておいてもらいたいと思います。
  64. 坂本朝一

    坂本参考人 私の方といたしましては、全く何も含むところもございませんし、できるだけ放送界全体が一致して事に当たるということであろうかと思いますので、テレビ朝日さんは民放連の会員のお一人でもありますしするので、民放連の会長等とも今後の問題についてよく話し合いながら努力したいというふうに思っております。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 このモスクワオリンピックにおいでになったのは橋本理事でございましたか、きょうお見えになっていますか、これは全く大変な扱いを受けておるようでございますが、この記事はお読みになりましたか。
  66. 橋本忠正

    ○橋本参考人 先生御指摘の記事は読んでおります。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何か理事の方で、ここで、それは違うとか、この点はこうだとか、釈明したいことがあるならば、むしろ隠さずに、歯にきぬを着せずにおっしゃっておいた方がいいように私思われますので、希望かなければ結構ですが——希望がないとこれは是認されることになりますよ。御希望があるならばおっしゃっておいてください。
  68. 橋本忠正

    ○橋本参考人 大変微妙な交渉事でございますので、余り微に入り細にわたり申し上げるのは、前々からここで申し上げておりますように、差し控えたいと思います。  これにつきまして、いろいろ感想はございますのですが、まあいろいろな機会で少しずつ理解を得る方向をやっていきたいということで、いまさしあたって、せっかくの御指摘でございますが、ここで、どうということ、ちょっと頭に浮かびませんので、御了解いただきたいと思います。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何もそうことさら遠慮をしなくてもいいのですよ。経営委員に朝日の古手が来るかもわからぬからといって何も遠慮することはありませんから、思うことをちゃんちゃんとやっていってくださいよ。  続いて、もう一つ、こう出ているのです。これは日刊スポーツですが、「朝日夏の高校野球独占へNHKに真っ向挑戦」サブタイトルが「相撲放送と徐々に実績」こう書いて、「“全面戦争”の構え」こうなっていますが、これは会長はお読みになりましたか。
  70. 坂本朝一

    坂本参考人 拝見いたしました。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういううわさが流れておるとすれば、真意のほどを確かめて、NHKの夏の高校野球放送をどうするか、そういうことについても検討なさらなければならない問題だと思いますが、こういうものについて放送総局長、どういうふうなお考えを持っておられますか。
  72. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、うわさは流れておりますが、私たちが得ている責任者あるいはそれに近い方の話は全く逆でございまして、アマチュアスポーツ、しかも教育的機能をきわめて高く評価されているアマチュアスポーツについて、これを商業主義にのみ基盤を置いて、結果的に全国で見られないところが出るというようなことは考えていないというのが私の理解でございます。  また、相撲についても同じく、国技として社団法人で運営されている性格をかんがみて、責任者はそういうことは考えていないというふうに私は承知いたしております。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 国会の答弁ですから、余り思ったとおりのこともおっしゃれないのかもわかりませんけれども、しかし、先ほど申し上げました「週刊文春」における三浦常務の物の言い方からすれば、いま放送総局長お話しになったような甘いものではないように思われるのですが、私はそういうことがないことを期待しますし、あってはならないと思います。しかし、これは全部読む時間はなかったのですけれども、テレビ朝日の三浦さんのお話の筋からいくと、こういうこともあり得るのではないかという気が素人なりに私はするのですが、これは絶対ありませんか。
  74. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  近い将来においてはあり得ないことと確信をいたしております。しかし、何といたしましても、お金がなければ実際問題として運営が困難になる時世でもございますので、視聴者からお預りしたお金もそういう点では公共放送使命を達成するために、あえて商業主義とは申しませんが、金銭面でもできるだけの努力はして、そして御期待にこたえていきたいというのが決意でございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 お金で片がつくかどうか私はわからないのですが、もっと根が深いといいますか、感情的な問題のように思われるのですよ。特にモスクワ放送をめぐって感情的に非常にこじれてきて、それが朝日のあれだからNHKには高校野球を放送させないぞ、そういう言い方になっているように思えて、放送料が高い安いということはそれほど問題ではないように思われるから、その方が気になるのです。もうちょっと金を出してくれ、そうすれば放映権をあげますとかいうなら率直に言って話はわりあいに簡単でしょう。そうでないところに問題の根があるように思われますが、たてまえもありましょうけれども、大丈夫ですか。
  76. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  テレビ朝日における三浦さんは確かに常務という重要な地位ではございますが、テレビ朝日には三浦さん以外にも重役の方はおられますし、過般一緒に旅行した方もおられますし、私は必ずしもそういう感情に走った行動だけがすべてであるというふうには思っておりませんし、またそうあってはテレビ界全体の秩序といいますか、協調的競争の原則は貫けないというふうに思います。われわれも感情的にならないように自戒いたしまして、競争的協調の基本路線を確保してまいりたいと思っておる次第でございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総局長がお読みになっておるなら私はことさら言いませんけれども、これは高野社長の定例社長会見が十七日に行われたわけなんです。そこで三浦さんがお話しになったわけなのですから、したがって、三浦さんだけの意見とも受け取れないところがあるわけですよ。ただ、これは週刊誌やスポーツ新聞の記事ですから、これがすべてそのとおりだとは私は申しませんけれども、この記事内容によるとそうなっておりますから、いろいろ懸念があるところで、私は高校野球の放送がいいとか悪いとか言うのじゃありません。ただ、放送界の中が統一がとれなくて非常に混乱しているというところに注目しなければならない、そう思うわけですので、繰り返して申し上げますが、やはりNHK等が中心になって放送界の中をうまくまとめていくような努力を重ねてもらいたいと思います。  続いて質問させてもらいますが、私はNHKの放送のシステムが非常にわかりにくいのです。いま新聞などを見ますと、総合教育というふうにチャンネルが分かれておりますから、チャンネルで言う限りは総合教育だ、こう思うのです。放送法の二条によりますと、番組に教養と教育という二つの定義があるわけですね。それだけしかないのです。ところが、放送法の四十四条の四項にいきますと、娯楽であるとか報道であるとかいうものが入ってきておる。一体NHK番組を編成する関係で、こういうシステムはどういうようになっておるのか、簡単でいいですから知らせてくれませんか。
  78. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  放送法にのっとりまして、私たちは国内放送番組編集規程というものをつくって、その中で番組の定義をいたしておるわけでございますが、第一に「報道番組 ニュース及びニュース解説など時事に関する報道を目的とする放送番組」、「教育番組 学校教育または社会教育のための放送番組」、「教養番組 教育番組以外の放送番組であって一般的教養の向上を直接目的とする放送番組」、「娯楽番組 娯楽を目的とする放送番組」、以上、報道、教育、教養、娯楽の四番組に分けております。  なお御指摘のとおり教育、教養番組については放送法二条に基づいております。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 基準でどう分かれておるかよくわからないのですが、たとえばいまそういうふうにおっしゃいましたけれども、この番組は何かいろいろつくり方があるようでございまして、たとえばチャンネルで言うならば総合教育とは大体チャンネルは分かれておりますけれども教育番組総合に入ってくる、総合で放映したものがまた教育に入ってくる、そういうものもあるのでしょう。
  80. 堀四志男

    ○堀参考人 一昨年度くらいから教育総合の相互乗り入れということで、たとえば料理の時間が大体総合の朝と午後に放送しておりましたが、働く方々やあるいは御婦人で夜間見たいという希望がございました。夜間に再々放送の時間を設定することは非常に困難でございますので、教育番組の午後九時以降に放送をしているということもございます。さらに教育番組で「おかあさんの勉強室」という番組がございまして、これはかなり家庭婦人の方がごらんになり、かついろいろな集会のときのディスカッションの一つの材料にもなさっておりますので、これはどうしても総合で見たい、また総合で放送してくれた方がそういう活動を活発にするきっかけにもなるということで、午後十一時台でございますが、総合で再放送をいたしているというていのものはございます。しかし基本的には大きな性格の変更をするような相互乗り入れはいたしておりません。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は相互乗り入れがいい悪いは別として、どうも番組の基準がわからないのですが、これは法解釈ですから郵政省もお気の毒ですが、定義のところではさっき申し上げたように教育番組とそれから教養番組というものが第二条で規定をされていますね。これは定義です。したがって定義から言うならば教育番組と教養番組以外にはないと思うのですけれども、しかし四十四条の四項では、今度また教養番組または教育番組並びに報道番組、娯楽番組を設けよ、こうなっておる。教育と教養はわかったが、並んだところの報道番組とか娯楽番組というのは、一体定義上どういうことになるのか、その辺も私はわからないのです。その辺が番組を編成する上でいろいろな混乱を生んで、見る方も非常に見にくいシステムになっておるのではないかという気がするのですが、どういうことでしょうか。
  82. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 御指摘ございましたように、第二条の定義におきましては、教育番組と教養番組という点がございます。四十四条の方には四つあるわけでございます。ただ一般的に、教育番組、教養番組の区別の仕方が非常にむずかしいということで定義に入れてあるわけでございます。それ以外の報道番組、娯楽番組、これは常識的に判断いただけるものということで番組の全体の構成から見ますと、やはりこの四つが組んで一つの放送番組になっておる、こういうふうに解しております。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たとえばNC9というのは、それでは報道番組ですか、教養番組ですか。
  84. 堀四志男

    ○堀参考人 はっきり報道番組でございます。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、朝の七時半ごろからある、前スタジオ一〇二とかなんとかいっていたいろいろ解説を含んだあれは教養ですか、報道ですか。
  86. 堀四志男

    ○堀参考人 NC9同様報道番組でございます。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 お料理は何になりますか。
  88. 堀四志男

    ○堀参考人 テキストを発行している関係等もございまして教育番組になっております。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 放送総局長はよくおわかりになっていると思うのですが、一般の視聴者はそういう言葉で呼ばれる場合に、これは教養番組なのか報道番組なのかあるいは教育番組なのか非常にわかりにくい体系になっておるように思われるわけです。もしできるならば、こういうものについては、報道番組はいま放送している中ではこれこれのものが入っているのです、教育番組というのはこういうものでございます。教養番組というのはそれを除くこういうものでございますとか、こういうものが娯楽番組でございますというふうなことさらな分け方は要らぬかもわからぬが、何かなければ、ちょっと聞かれても私どもも、いやあれは教養番組ですとかいやあれは報道番組ですなんというのはなかなかわかりにくくて困るし、一般の視聴者は総合教育があるくらいのことしかわかってなくて、それから先のことは余りわかってないようですが、いまお聞きしてみると非常に複雑な内容になっておることだけはよくわかりました。  そこでもう少し詳しくお伺いしたいのですが、その中で教育放送、またこの教育放送に学校放送というのが私の考えでは入るのだと思いますが、教育放送の中には学校放送というのがある。この教育放送がまた総合でもやられる場合がさっき言ったようにあるのではないかという気がするわけで、これは大変ややこしいのですが、その中の教育放送というのは一体何を目的にしてやられておるのか。
  90. 堀四志男

    ○堀参考人 御指摘のように教育放送の内容はかなり多岐にわたっております。一番はっきりしているのは学校放送でございまして、そのほか「きょうの料理」まで全部この中ではわれわれとしてはきちんと整理されておりますが、一般的に学校教育のお手伝いとしての学校放送、それから一般的教養、それから中学校、高等学校の教育のお手伝いのための放送、さらに語学のための放送、そのほか成人教育と申しますか、終身教育と申しますか、そういうための放送その他、そういうふうに分かれておりまして、一般に社会教育を含めた広範な能力の開発あるいはノーハウの修学に役立つものを教育放送というふうに一括しておる次第でございます。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 教育放送なり学校放送というのは非常に重要なものであるとは思っておるのですが、これはNHKがおつくりになったのですか、昭和五十一年の関東と近畿の「テレビ番組視聴率調査」というのがここにございます。これを見ますと、教育放送の視聴率というのは非常に低いようでございますが、どの程度になっておりますか。
  92. 堀四志男

    ○堀参考人 大体教育テレビ全体の中で一番視聴率の高いのが囲碁、将棋等で一・五%、それから、悪いものでなかなか調査の対象になりにくいという筋のものまでございます。最高一・六%程度の視聴率というふうに御承知願えば間違いないと思います。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一・六%というのはいまおっしゃった最高で、この中には、近畿の場合なんかにかなり多いのですが、視聴率〇・〇というのが大分あるんですね。視聴率〇・〇というのは一体どういうことなんだろうか。これじゃ視聴率を調査した意味が全くないような気がします。〇〇〇一でもいい、出てこなければおかしいのじゃないかという気がするわけですね。〇・〇で切ってしまえば、〇・〇はあくまでもゼロであって、一にもならないわけでしょう。せっかくこういう視聴率の調査をされて、視聴率は〇・〇でございますというような報告を出してみても意味のないものではないかという気がするのですが、これはどういう意味ですか。
  94. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  教育テレビ及びラジオ第二は大部分教育関係の放送でございますが、これは明らかに、目的聴視と言いまして、一般の人にテレビをごらんになってくださいというのじゃなくて、何かのはっきりした、たとえばロシア語を学びたいとか中国語を学びたい、あるいは学校でこの時間にこれを利用して授業の手助けにする等のものでございまして、したがって、視聴率調査をすべきかどうかということについてはそれ自体一つの疑問があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、どの程度の方が見ていられるかについての一般的なものはとっておく必要があるだろうということで、視聴率調査の対象からも外してはございません。しかし、視聴率調査と申しましても、全国約三千六百程度のサンプル調査をするものでございますから、その中に入らない場合は入ってこないわけです。  なおそのほかに、われわれといたしましては、特に学校放送関係については別に文化研究所が中心になりまして、各学校に問い合わせをいたしまして学校における放送の利用状況等を調査いたしております。私たちとしては後者の調査の方が事学校放送に関しては信頼もできるし、また今後の指針にもなり得ると思います。しかし、そのほかの、たとえば語学番組等につきましての調査で、そういういわゆる目的聴視の方の調査をどういう方法でやるかについては非常に大きな困難がございますので、いわば学校放送と一般聴視率調査の間にあるものについてはまだ手が及んでない次第で、したがって、一般的な聴視率調査から見ますと、何のために調査するのかという御疑問が出てくるような結果が出てくるのはまことにやむを得ない次第であると思いますが、今後ともその中間の調査の方法等につきまして研さんを続けてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまのお話わかりましたが、しかしそんなお話があったからといって視聴率の調査をして〇・〇などという数字を挙げてみても全く意味のないものであることだけは間違いありません。もしおとりになるのならば、〇・〇〇何ほかの数字が出ているはずなんです。それが出てこなければ、〇・〇はあくまでゼロなんですから、そういう視聴率はないはずだと私は思っています。したがって、数字を挙げるならばそういう挙げ方をしなければ意味がないのではないかと思います。  そこで、学校放送関係のものについてお伺いします。最近学校放送の利用状況はどういう傾向にございますか。
  96. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  昭和五十一年度の学校放送の利用状況につきましては、五十一年十二月、去年の暮れにこれを発表いたしておりまして、ほとんどの学校がテレビ及びラジオを聴視している、利用しているという結果が出ております。小学校につきまして、テレビの学校放送の利用率は最高九五・三%、保育園で九一・四%、幼稚園で八一%、中学校においてはやや落ちまして四四・七%、しかし中学校はラジオの方の利用率もかなりございますので、テキストの普及率等々を勘案しますとその利用功績はほとんど各学校に及んでいると申し上げて差し支えないかと思っております。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは「文研月報」でおとりになった一九七四年の学校放送利用状況の調査でございます。こちらは、たしかことしの分でしょう、五十二年四月でございますから。これを見ますと、学校放送の利用率が一九七四年に出しておるものと五十二年に出しておるものが非常に食い違っておるわけです。私のこと調査では、むしろ利用率は下がっておるというふうに思われるのですが、いまのお話では利用率は上がっておるというようなお話でございましたけれども、どちらが本当でございますか。
  98. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申します。  基準年度をとることによって多少違ってまいりますが、先ほど言いましたように、小学校につきましては三十七年度約七〇%をちょっと切る利用率が逐次上がりまして、五十一年九五・三になりました。テレビでございます。保育園につきましては、最高が四十七年に九二%程度になりまして、いま少し下がりまして九一・四という数字が出ております。また幼稚園においては、ほとんど八一%程度で四十一年以来推移いたしております。したがって、小学校においてふえ、その他において大差がないという結果がテレビについては出ておる次第でございます。なお、定時制高校とか全日制高校につきましては、かなりの有意差をもって利用率が上がっております。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 昭和三十何年か知りませんが、昭和三十年代を基準にとって上がりました、下がりましたと言っても余り意味のないことで、私は七四年の四月号の「文研」で見ますと、これは残念ながら四十八年までしか出ていませんが、少なくとも四十七年に比べて四十八年は小学校、幼稚園、保育園ではテレビの視聴率が下がっています。もっと極端に言うならば、四十三年を基準年度にとってみても下がっておるのです。少なくとも四十三年を基準にしても、テレビはカラー化してどんどん普及していっておるのに学校放送の利用率が下がっていくとするならば、これは基準年度のとり方ではなくて、前年度に比較して見るのが一番わかりやすいと思うのですけれども、なぜ学校放送がこんなに下がっていくのだろうか。どんどん普及をしておるテレビの中で、学校放送の利用率が下がっていくということは、何かそこに原因があるのではないかという気がするのですが、どう把握をされておりますか。
  100. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  数字の、事実のことでございますので、ここで特に論争はいたすつもりは全くございませんが、小学校ではやはり昭和四十七年を基準にいたしましても五十一年最高に上がっておりますし、保育園等はわずかに〇・六%の変化でございます。また、幼稚園等もほとんどその点では変化ございませんので、いまの調査方法等の違いということも多少あるかと思いますが、われわれとしては利用率というものは決して有意差をもって下がってはいないし、また上がっている部分はある、総合してやはり利用率はもう限界に近い数字ではございますが、かなり有効な利用率だと考えていいのじゃなかろうかと思っております。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれこの委員会でも放送に関する小委員会等もつくっていろいろまた勉強させてもらいたいと思いますから、その際に詳細にお伺いしますが、たとえばいま視聴率をおとりになる場合でもいろいろとり方があるとおっしゃいました。一つの学校で一人の先生でも学校放送を利用しておれば、それを一としてとるのか、六つの学級があれば六つでやっておるときにそれを六としてとる、したがって、四つであったら四ととるとり方もあると思います。そういうとり方によって変化を来たしたものと思いますけれども、少なくとも私の手元では、従来のとり方によって、一九七四年の四月ごろのとり方によってとっていけば、利用率は落ちていることは間違いないと私は思います。これは私の見方ですから数字でもって議論しなければなりませんが……。  そこで私は、なぜそんなにテレビが普及しておるのに利用率が落ちていくのだろうか、そのことについて疑問を持ったわけです。これはたしかおたくでつくられたものと思うのですが、五十年の三月、ちょっと古いのですけれども、「これからの学校放送と重点制作再使用計画」というのがあるのですけれども、いま学校放送での再使用というのは何割くらいになっていますか、時間と本数を知らしてください。
  102. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  いま阿部先生の御指摘になりました重点制作再使用ということは、再放送とはまた別のジャンルで議論されている問題でございまして、年を越して同じものを使うということでございます。したがいまして、いわゆる再放送とは原則的にちょっと違う面でございますが、再放送につきましては、こういう組織的、系統的な学習ということについては再放送をするということで初めて利用者が安心して勉強にとりかかれるという性質もございまして、原則的には再放送をするのがたてまえでございます。  なお、せっかくのお尋ねでございますが、再放送の率は、教育番組、大学講座、通信高校講座、学校放送番組を通じまして大体四四・九%という比率になっております。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれもっと細かい議論をさせてもらいたいと思います。  ただ、私が心配するのは、再放送が非常に多い、そのことが新鮮味を失って、あるいはまた、逆にVTRでとって先生自身がまた再使用する場合も出てくるでしょう。そういう関係から利用率が落ちるのではないかと思うのですが、私はおたくの番組の中でちょっと再使用しておるものを調査させてもらったのです。ずっと見たらわかりますように、赤い鉛筆で塗ってあります。これは全部おたくの再使用になっています。この中にはたとえば朝の娯楽番組みたいなものがありますが、あれは午後放映する、これももちろん再使用に入ります。言葉がいろいろあって、二次利用という言葉を使っておるところもあるようでございますけれども、ともあれこれだけの数がいまNHKの放送の中で二回以上、いま総局長のおっしゃるように、ある場合には年を越えて再放送されておることは間違いがないのです。それは教育なんかの場合に有効な場合もあり得ましょうが、新鮮味を欠いて、もうあんなものを見ても見なくてもいいというような場合も起こってくるでしょうし、また一般の教養番組にもそれが多くなってくる。これはNHKの財政から来ておるのではないか、私はそのことを心配するのです。再使用することによって単価を安くあげて、そして何とか安く放映できるようにしようという財政面の圧迫が、今日のNHKをしてこのようなたくさんの再使用をさせなければならない状態になっておるのか。それとも再使用することが好ましいから再使用しておるのであって、必要であればいつでもどんどん新しい番組をつくるというお考えなのか、その辺をお伺いしたいのです。
  104. 堀四志男

    ○堀参考人 あれは教育放送が中心でございますが、確かに御指摘のように、週の後半になりますと事柄の性質上再放送が多くなっているのでございます。しかし総合テレビにおきましての再放の率は約一六・八%ということで、ずっと余り変わっておりません。また再放送は原則的に先ほど申し上げました教育番組についてはある意図とプリンシプルを持って再放をいたしておりますが、その他については視聴者の希望、リクエスト等に応じてやるもの、またリクエストが恒常的に多いと判断されてやるものと、この三種類に分かれておりまして、特に財政的な理由から再放をするというつもりはございません。また、今後ともそういうことのないようにしてまいりたいというふうに思っております。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もそれを聞いて安心したのですけれども、どうもNHKの財政が苦しい、財政が苦しいから再使用によって切り抜けていこうとしておる、特に教育番組、学校放送の関係等でそういう傾向が顕著にあらわれておるのではないか、そういう懸念がありましたが、いまの放送総局長お話では財政的に心配はないのだ、その方がいいと思うからおやりになっておるのだということでございます。したがって、いいか悪いかについては場を変えてもう一度議論をさしてもらいます。  それから、なお受信料の徴収状況等についてももう少し私はお伺いしたい予定を持っておりましたけれども、残念ながら約束の時間が参りましたので、きょうの質問はこれで終わらしていただきますが、また日を変えて受信料の徴収の状況等についても質問させていただくことをお願いをしまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  106. 八百板正

    八百板委員長 午後一時委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時十二分開議
  107. 八百板正

    八百板委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日参考人として財団法人放送番組センター事務局長山口進君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 八百板正

    八百板委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  109. 八百板正

    八百板委員長 質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、今回のNHKの四十九年度決算に当たりまして、関連して経営基盤という面から考え、この経営というものを強化していく意味でも重要なものは、これはどう考えても受信料の収納率をいかに高めていくかというところに最大の力点を置いていく必要があるのではないか、こう解釈するものでございます。御存じのように、この前値上げをして、そしてことしあるいは来年ずっと過ぎていくときに、またNHK自体が経営という面で値上げというものを余儀なくしていかなければならないというような事態になっては、国民に信頼されるNHKとしては非常に問題が出てくるのではないか、こう考えるわけでございます。したがいまして、この受信料の収納率を上げていくという面で、一体いままでどういう努力をしてきたか、ここ二、三年で結構でございますが、その努力のほど、さらにまた今後どうやっていくのか、その決意をまず最初にお伺いしたいと思います。
  111. 中塚昌胤

    中塚参考人 受信料の収納率が徐々に悪くなっているということは、率直に申し上げまして事実でございます。その原因がどういうところにあるのか、現在の社会状況あるいは生活実態、そういうところから見まして、昼間の不在の世帯というのが非常に多くなっております。それから世帯の移動というものも徐々に多くなっているということでございますが、収納の面から申し上げますと、この昼間不在の世帯というものに対しまして私どもが面接をする、在宅時に訪問をするというのがまず第一でございます。そのために早朝あるいは夜間の訪問を強化するということをできるだけ努力をしてやっております。  それから何と申しましても、こういう昼間不在の世帯が年々多くなっている、そういう方から確実に収納ができるようにするにはやはり銀行口座振替にしていただくということが一番収納を安定させる方法でございますので、金融機関等に働きかけまして、また私どもNHKの直接のお勧めによって、この口座振替をできるだけ多くしていくということをやっております。先般の予算の御審議願いましたときにも申し上げましたように、今年度におきましても不在世帯、要するに夜間、早朝の訪問、これを強化するということに一番の重点を置いております。それから先ほども申し上げましたように、銀行口座をできるだけふやすということで銀行の協力も求める、そういう施策を講じてまいりたい、このように考えております。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 御存じのように、欠損償却率というのが四十六年で〇・七六%、四十七年で一・三%、四十八年で二・〇%、四十九年で二・三%と着実に増加してきております。いま指摘がありましたとおりですが、これは非常に憂うべき状況でございます。この原因というものを一体どこに置いておるか、それからその解決としてはどうやっていくか、この見解をまず聞いておきたいと思います。
  113. 中塚昌胤

    中塚参考人 欠損償却額あるいはその償却の率が年々ふえている、これは事実でございまして、その原因、これは先ほど申し上げましたように収納率、契約をしていただいている方々から収納することがだんだんむずかしくなりつつある。したがって、収納率が低下している、未収がふえている。要するに私どもでは滞納と申しておりますが、この滞納がふえているということでございまして、その滞納がふえる原因は、先ほど申し上げましたように昼間不在の方、こういう方が非常にふえている。したがって、私どもが訪問して面接をするということがだんだんむずかしくなっているというのが一番大きな原因でございます。  それから都市の受信障害、そういうものも年々ふえておりますので、そういうことを理由にして支払いを拒否される方、そういう方もふえております。  それから、NHKの放送番組なりあるいはNHKの経営姿勢なり、そういうものに対して批判をお持ちの方、これもやはりふえているということは事実でございまして、そういう方々に対しましては、私ども十分NHK番組、経営姿勢について御理解をいただき、また番組につきましては、その内容について共感を得られるような番組にしていかなければなりません。  それから、受信障害につきましては、私ども従来にも引き続いて原因者責任主義という原則に立って、NHKとしてできるだけの努力をしてまいるということでございますが、何と申しましても、営業サイドから申し上げますならば、先ほど申し上げましたように夜間あるいは早朝、これの訪問を強化して、在宅しておられるときにお伺いするということに一番の重点を置いてやっていくつもりでございます。
  114. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここで全国的に収納率の低迷状況というものをちょっと検討してみたいと思いますけれども、まず府県別に、よくない県、ワーストファイブがわかりましたら、収納率の悪い県から言ってください。
  115. 中塚昌胤

    中塚参考人 府県別のものはちょっといま手元にございませんので、後ほど調べてお伝えいたしたいと思いますが、地方本部別で見ますと、一番悪いのは近畿本部の管内でございます。それから、あと北海道管内、それから東京本部の管内が悪いということでございます。
  116. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この受信料を徴収できない世帯、あるいはその中でも見えないから払わないとか、NHKがきらいだから払わないとか、行っても留守で結局もらえないといういろんなケースが考えられますけれども、その中で、全国的で結構でございます。どういうものがどれぐらいあるのか。たとえばNHKがきらいだから払わないのだ、あるいは払いたくても来てくれないのだというような、いろんなケースがあると思いますけれども、その面で全国的にどれぐらいの世帯がそういうようなものになっているか。たとえば意識的に払わない世帯がどれぐらい、これを説明してください。
  117. 中塚昌胤

    中塚参考人 お答え申し上げます。  昨年の九月末現在の滞納者の数でございますが、全体で約六十五万件ございます。その中で常時不在と申しますか、そのために滞納になっているというのが約四十四万でございます。それから、私ども理解と申しておりますが、NHKの経営姿勢が気に食わない、あるいは番組が偏向しているとか、そういう理由によって滞納になっているというのが約十三万でございます。それから受信障害によるのが約三万五千。それから空港周辺等におきます航空機の騒音による障害ということを理由にして滞納になっているのが約四万四、五千というふうに私どもでは理解しております。
  118. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると全国の中にあって、番組が気に入らない、NHK自体の方針あるいはそういったものに非常に反感を持っておるという形の人が十三万世帯もおる。それとまた受信障害、これも当然解決していかなければならない問題で、NHKとして努力をしていかなければならない点が三万五千、その他航空機関係、こういったものも入れて約二十万というものはやはりNHK努力をしなければならない、そういった数になると私どもは解釈いたします。  同時にまた、常時不在、これも朝行くとか夜行くとかあるいは銀行の体制をとっていくとか、いろいろと今後やっていけば解決できる問題これが非常に多く、四十四万、こういう形になっておるわけですが、こういった面を、これはこの論議としては何回もいままで行ってきたわけですが、ちょっと会長にお伺いしますけれども、こういう面を根本的にひとつ意欲を持って解決していこうという形で努力を、たとえば経営委員会等、現在その機能はどのような状況で果たしておるのか、あるいは集金業務のシステム、こういった面がどういうふうになっておるのか、そういった面から見解をお伺いしたいと思います。
  119. 坂本朝一

    坂本参考人 経営委員会におきましても、当然この問題は非常に重要事項でございますので、会議のたびごとに必ず営業状況、それに対する施策、これを担当専務から御報告し、これについてまたいろいろと御指示あるいは御示唆をいただいておる次第でございます。  また集金業務の実態につきましては、職員自身が受け持ちます部分と、それから委託によって集金いたします、二つのシステムにおいて努力しているというのが現状でございます。
  120. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いま会長説明で、集金業務のシステムでございますけれども、これは外務員という形でNHK職員、この人たちがこれに当たっていく、それから委託集金人という形で外部の人にお願いしていく、こういった二つのケース、このように言われましたけれども、この割合はどうなっていますか、そうしてそういった二つのシステムだけですか、その点をお伺いしたいと思います。
  121. 中塚昌胤

    中塚参考人 NHK職員で外務職員というのが約千百名でございます。それから委託集金人と申しますか、収納、それから契約、これで委託契約をしております集金人というのが約四千名でございます。それから、この収納なりの業務はこのほかに郵政省に委託している部分がございます。収納の方は以上でございますが、受信契約の取り次ぎ業務をNHKサービスセンターに委託をしている。これは全体の取り次ぎの中のほんの一部でございますけれどもNHKサービスセンターにこの取り次ぎ業務だけを委託をしているという部分がございます。
  122. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKサービスセンターのこの人たちというものは何人の構成になっているのか。それから、そういった人たちの給与面であるとか、労働条件であるとか、こういった面が掌握できておりましたら話していただきたいと思います。
  123. 中塚昌胤

    中塚参考人 NHKのサービスセンターでこの契約取り次ぎ業務をしている方、これは全体で約二百七十名でございます。雇用の形は、NHKサービスセンターとの雇用関係を締結いたしております。  それから処遇につきましては、五十二年度、これはモデルでございますけれども、大体年収で二百七十万余というふうになっております。
  124. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 サービスセンターの場合は契約業務というものを委託しておるわけですが、職員の千百人あるいは外部への委託四千人、こういった人たちは、契約と集金という形ではどういうような配分になっておりますか。
  125. 中塚昌胤

    中塚参考人 職員の外務職員約千百名でございますが、これは主として滞納対策と申しますか、滞納契約者に対する対策というのにほとんど従事している。それから契約の取り次ぎ、それから一部非常に収納の困難な地域、先ほど申し上げましたビル陰障害で非常に収納が困難であるとか、あるいは空港周辺で非常に収納が困難である、委託の方にやってもらうには収入面で非常に分が悪いというふうな地域、そういうところは外務職員が直接収納にも当たっております。しかしそれは全国的に見ましてきわめて少ない範囲でございまして、外務職員の主たる任務と申しますのは、先ほど申し上げましたように滞納の対策、それから契約の取り次ぎということでございます。それから委託の集金人の主たる業務は収納でございます。その収納の間にやはり契約の取り次ぎもいたしますけれども、主たる業務と申しますか、重点は収納の方に置いております。
  126. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私ども考えるには、たとえば集金等に回っておって、ここで未契約のものが出てきたという事態になれば、契約あるいは収納、こういった面に関しては全く一体のもので、どっちかに主たるものを置いていくというものでなしに、これは外務の仕事として同時に考えていった方がよいのではないかと考えます。たとえばNHKサービスセンターに任しておるのは契約のみ、こういうような点をどういうわけでそういうふうに分離させていくのか。それは何か理由があるのでしょうか。
  127. 中塚昌胤

    中塚参考人 サービスセンターに契約の取り次ぎだけを委託しているというのは、主として大都市と申しますか、そういうところが中心でございまして、そういうところは人口の移動も非常に激しゅうございますので、未契約者の捕捉、そういう移動世帯の捕捉というのが、NHK職員の外務職員あるいは委託の集金人だけでは戦力的にどうしても十分でございませんので、契約の取り次ぎの面だけサービスセンターに委託をしているということでございます。
  128. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここでNHK職員の外務職員と、委託集金人と、それからサービスセンターの受信契約の三つ、大きく分けるとこういう形になると思いますけれども、この人たちに対して待遇の面で、あるいは福利厚生、労働条件等の面で差別はございませんか。
  129. 中塚昌胤

    中塚参考人 外務職員と委託集金人、これは契約の形も違いますし、それから労働の実態と申しますか、業務を遂行していく実態、これも違っておりますので、処遇の仕方というものは違っておりますが、極端な差別をしているということはございません。
  130. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHK職員の場合は別といたしまして、外部の委託集金人、NHKサービスセンターの人たちからの現状に対する何らかの不満が、NHKさんの方に、要望等あるいはどんな形でも結構でございますが、そういったものがいままでありませんか。これは会長にお伺いしたいと思います。
  131. 坂本朝一

    坂本参考人 労働条件等も含めまして、いろいろと先方には先方の御言い分があろうかと思いますので、毎年契約の更改期にそれらの点についての要望は当然出てきておる次第でございます。
  132. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この論議をするに当たっては、一番最先端で最もNHKの経営基盤をなす受信料を収納していく、こういった人たちが何らか不満を持ったり、あるいは意欲をなくして、そしてこういうものに当たっておったならば、先ほど指摘のように収納率がいい方向に来ていない、かねてからのいろいろの問題が一向に解決の兆しが見えない、こういった面から考えて、もう一歩突っ込んでこういった人たちの意見等を聞いたことが一体ありますか。
  133. 中塚昌胤

    中塚参考人 委託の集金人、これは、先ほど先生がおっしゃいましたようにNHKの業務の中で一番最先端で受信者と直接接しておる方々でございますので、そういう人たちが出先で接した受信者の意向、そういうものは逐一所轄の営業所あるいは営業部等を通じて上げるようにいたしております。それから彼らの労働の実態、そういうものにつきましては、いま委託の集金の方々も労働組合を結成しております。で、毎年処遇の問題について私どもと話し合いをして処遇を決めているわけでございます。そういう交渉の中で彼らの意見は私どもも十分受けとめて対処しているつもりでございます。
  134. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここで、実は名前は控えておきますけれども、こういったところに関係しておる人たちの実態あるいは要望という形で私の手元にあるものをちょっと皆さんに申し上げておきます。  たとえばNHK職員、非常に大ぜいの人たちがおります。だがここで外部の委託あるいはサービスセンター、こういう形でやっておる人たちというものは、その職員の人たちから比べれば、労働条件やあるいは福利面、厚生面、すべての面にわたって非常に厳しいものに追いやられておる、この現状は御存じのとおりであると思います。たとえばこういう人たちの定年制という面を考えても、高齢者、成績不振者に対しては退職勧告が行われていく、あるいは一時金という問題では、夏と冬に非常にわずかなものが支給される。名称は報奨金という形で、実質上ボーナスというものはないと解釈できる。あるいは出張旅費という問題に関しても出張割り当てが不公平で、低賃金から来る労働者の不満をそらす、あるいは労務管理対策として経営の言うままに働く、こういう面がございますし、あるいはまた休日という面に関して低賃金との関係で週一回きちんと休んでいる人は少ない。祭日は特にかせぎどきであるがゆえに働く人が多い。これはいま中塚さん言われましたように、特にまた朝であるとか、夜であるとか、祭日であるとか、休日であるとか、こういうようなときに働いていかなければならない。労災の面でも六割の支給しかないのでこれもまた問題である。退職金の例を考えても非常に低いものである等々、幾つものものが考えられるわけでございます。こういった面に皆さん方は一体どう対処し、なぜいままでこの三つの形態をとってきたのか。NHK職員にせずに外務という形にして、そしてこういった人たちが非常に労働意欲を損なうような形でやってきたところに問題があるのではないか、こう考えるわけでございますけれども、その辺どのような見解を持っておるか、これをお伺いしたいと思います。
  135. 中塚昌胤

    中塚参考人 いま全国で約二千七百万の受信契約者がおられるわけでございますけれども、これの分布は非常に千差万別と申しますか、非常に密集している部分それから非常に散在しているところ、そういうふうに非常に態様が違うわけでございますので、これを一律に分けましてそこに職員を配置するということはきわめて適当ではないというふうに考えております。  そこで、この委託の集金の方をAとBの二つの種類に分けてございますが、委託のAという方はほとんど専業的にやっておられる、約九〇%の方は専業でやっておられるわけでございます。一方、委託のBの方は専業でやっておられる方は約四五%ぐらいで、残りの五五%の方は兼業あるいは副業的にやっておられる。したがいまして、この委託のBの方の受け持ちの数と申しますのは少ない方が五百件ぐらいの受け持ち数、多い方は五、六千の受け持ち数というふうにばらつきがございます。したがいまして、その処遇につきましてもばらつきがあるということでございます。その労働の実態を見てみますと、二カ月、これを一期と申しておりますけれども、一期二カ月間の実働日数と申しますか、これは委託のAの方で三十四日ないし三十五日、それから委託のBの方は約二十八日ぐらいというふうになっておりまして、もちろん日曜日あるいは祭日等に働いておられるわけでございますけれども、一方、きょうは雨が降った、雪が降ったから休もうというふうにそれぞれ自分で業務をあんばいしてやっておられるというのが実態でございます。そういうわけでございますので、その処遇につきましてもばらつきがあるということでございます。  ただ、先ほど先生おっしゃいました一般の職員のボーナスに該当する報奨金、これは確かに従来少のうございました。そういう点を私どもも十分認識いたしまして、まだ私は十分とは申せないと思いますけれども、今年度は昨年度に比べて大幅と申しますか、従来に比べれば大幅にふやしたということもいたしました。  それから社会保障的な部分につきましては、こういう方々はそれぞれ独立の事業者でございますので、労災保険とかそういうものがございません。入っておられませんけれども、それに見合うものは私ども実施をしており、今回もこれをふやしまして、社会的な水準には十分達しているというふうに私は考えております。  それから解約時の慰労金と申しますか、職員の退職一時金に該当するようなもの、これも大体こういう方々の委託の期間というのは、全体の平均で見ますと大体六・五年ぐらいでございます。職員の勤続年数に見合うものでございますけれども、わりあいに期間が短いということでございますので、職員の勤務年数というものから見ますならば、私はそんなに遜色はないというふうに考えております。しかし私どもも彼らの処遇がこれで十分であるというふうには思っておりませんので、今後ともさらに改善するように努力は続けてまいりたい、このように考えております。
  136. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 やはりこういうところでがんばっておられる人たちがおればこそNHKの経営基盤というものがあるという認識をどうかしっかりと持っていただいて、その努力を続けていただきたいと思います。決してそういった人たちが現状に満足しておるのではないということ。これは、なぜこういった面で収納率等もなかなか上がってこないか。やはりそこに意欲を持ってやっていけばこういった面が解消していくわけでございますけれども、いまありましたように雨が降れば休む、あるいはちょっと何かあればやらないというような事態を、もしそれだからしょうがないんだと言ってこのまま見過していったならば、これはこの前予算のときにも皆さんの決意を伺ったわけですけれども、収納率を上げるために全力を挙げてがんばっていきますというものと、そこに相違が出てくると私は考えます。したがって、ここにこういった面を解消し、そしてそういった不満の声もよく聞いてやり、そこに建設的なよいものをつくっていくものはないかと努力していくことが大事ではないか、こう考えるわけです。そういった意味から、私はこの論議を進めたわけでございます。  同時に、会長に御認識いただきたい点は、この人たちは外部委託という形で、それはNHK職員の皆さんと比べたならばそこにはいろいろな面で大きな差がございます。今後NHK赤字を出していかないためにも、あるいは受信料を再度上げなくてもよいというように持っていくためにも、収納率を上げていくということは第一条件でございますが、同時にむだを省いていくという面、いろいろな面で努力しなければならない点が幾つもあると私は思いますけれども、その辺、会長は今後の方針としてどう考えておるか、お伺いしたいと思います。
  137. 坂本朝一

    坂本参考人 先生御指摘のNHKの経営の基盤にかかわります問題、収納の問題もさることながら、むだを省き冗費を省いて経営の安定を図る、いろいろな経営上の諸問題、これは五十二年度のNHK予算国会審議でも御指摘をいただきましたので、経営の当面の問題として検討すべき問題もございますし、また基本にかかわる長期展望に立った経営のあり方についても検討を進めるという必要から、私はNHK部内において総合的な検討をしたいということで、識見を有する部外学識者の方々中名程度がどうだろうかといま思っておるわけでございますが、そういう委員会をつくっていろいろと御助言、御示唆をいただいて万全を期したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひその辺の御努力をお願いしたいと思いますが、ここで私はある民間の人の意見からちょっと述べさせてもらいます。  このNHKと民放と比べてみまして、スタジオカメラその他どれくらいあればたとえば一日十八時間程度の放映が可能か、そういった面を比較してみて、NHK職員は民放その他と比べて非常に人数が多いのじゃないか、三分の二ぐらいで賄えるのではないかという意見もあるわけでございまして、もちろん中には記者だとかプロデューサーといった人たちが非常に過重な労働を課せられて健康を害していく。ですから、そういった中でいろんな格差はあると私は思いますけれども、こういった面での合理化あるいはいろいろと改善をしていかなければならない点が私は幾つもあるように考えられます。そういった面の考え方はどうでしょうか。
  139. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKは何と申しましても番組が命でございますので、その番組の質の向上という点につきましては物心両面で努力しなければならぬというように常々考えておりますが、さればと言って多々ますます弁ずるというような形で制作するわけには当然まいらないわけで、先生御指摘の民放との比較の点については、民放さんの場合には多少部外にお仕事をお出しになるというようなそういう経営形態もあろうかと思いますので、必ずしも算術的に比較はむずかしいかと思いますが、私どもといたしましては、いま言ったむだを省きつつ、番組充実という点に主眼を置いてやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この面でNHKで働いておる人たちの労働条件等が過重になって、かえってその人たちの人権をも害するというような形になっては、これは大変なことでございます。ですから、その辺は会長としても十分御配慮の上で、このままいままでのようなやり方でいくならば、これは近い将来また受信料値上げというような、そういった安易な考え方に陥ってはならないという立場から、私はその面を言っておるわけでございまして、どうかこの集金業務のシステム及びいろんな面でむだを省いていき、いろんな面で改善していかなければならない点等をよく御検討を願いたい。これを要望しておきます。  そこで、論点をちょっと変えますけれども教育番組の編成についてお伺いいたしたいと思いますが、NHKとしましては、青少年の教育についてどのようなビジョンをお持ちでございますか。また、具体的にはどういう番組教育の向上という面を図っているか、こういった面で、概略で結構でございますが、説明していただきたいと思います。
  141. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えを申し上げます。  健全な次代を担う青少年をつくる、それにまたつくる御努力に協力申し上げるというのが番組制作の基本的理念でございます。また、それにつきましては、教育あるいは教養そのほか青少年に対する番組等でいろいろ工夫をこらしてございまして、興味をそそり、かつ健全な次代を担う青少年を育てる、それに協力するというのが基本でございます。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いろいろと教育番組がございます。また、授業の補助的な役割りをも兼ねたいろいろなものが、番組を見ておれば私どもわかりますけれども、それが実際どれだけ利用され、視聴率の面からもどうなっているか、そういった面で、こういうものをやったがゆえにNHKとしては確信を持ってこういった方向に持っていく、視聴率もこのように上がってきておるというようなものが何かありましたら、ここで説明してください。
  143. 堀四志男

    ○堀参考人 純教育番組の視聴率につきましては、先ほど申し上げたとおり、必ずしも高くはございません。しかしながら、たとえば英語の講座とかあるいはその他テキストの発行部数等を見ますと、かなりの数に上っておりまして、それを利用する人も多いかと思っております。  過般、つい最近でございますが、現在中国から新しいテレビジョンセンターをつくるために、技術者が十一名ほどNHKを中心に視察に参っております。それが過般、地方の放送局という意味で山梨を訪れました際に、山梨大学の学生が飛び込んでまいりまして、ぜひ中国語で話をしてみたいということでございました。そして、話をしましたところ、あなたの中国語は非常にうまい、一体山梨大学の中国語はどうなっているのだと言ったら、全く講座はない、しかし、私はNHKの中国語講座で学んだのですということで、中国からおいでの方も驚いておられました。私は、そういう数は必ずしもトータルでどうということはないと思いますが、そういう面でのお役にはかなり立っている面があるというふうに最近も感じた次第でございます。先週の日曜のことでございました。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いま皆さんも御存じのように、学習塾というものが非常に社会問題化され、授業から落ちこぼれた生徒や、あるいはそうではなくして受験のために、あるいはいまのものが物足りない、その補習の面、あるいはそれをますます伸ばしていく面等々、学習塾に対してはいろいろな論議があると思います。私は、いまの塾というものを決して奨励したり否定したり、こういった形でいまこの論議をしておるのではございませんが、たとえば小中学生が、これだけ非常に多くの人たちが塾に通うようになってきている。これは文教委員会においても何回か論議が重ねられて、御存じのとおりでございますけれども、ここでひとつ提案でございますけれどもNHK教育番組として、決して塾に対抗せいとか、あるいは塾と同じようなものをやれとかいうような考えで言っているのではございません。一般家庭の中で、ちょうど小中学生が塾に通う時間、これは三時ごろから六時ごろまでになるのではないかと思いますが、この約三時間ぐらい、この番組を、何らかの形で、家庭の中にあってお母さんやあるいは家族の人とその小中学生が一緒にその子供の創造性や開発性を伸ばしていくことのできるような、こういった番組をここで根本的に考え直してやっていこうという考え方はないか、いまの状況はどうなっているか、それからそういった考え方はないか、ちょっとこの辺をお伺いしたいと思います。
  145. 堀四志男

    ○堀参考人 学習塾につきましての先生の重大性の御指摘は私たちも同様に考えておりまして、ちょっと回り道になりますが、学習塾のあり方、いいのか悪いのか、どうすべきかという点については、いろいろな部面でかなりの特別番組を組んでございます。  それからもう一つは、何とかNHK番組を利用していただくことによって充実を図って、結果的に学習塾等に余り関心を持たないでもという趣旨もございまして、昨年度、「おかあさんと一年生」というテキストを発行いたしまして、これによって、お母さん方がNHK番組をごらんになって、学校でやっていることも推察なさり、さらに学校との対話も増して、学校教育、子供の学校における教育を側面から助けられるようにというテキストを発行いたしましたが、実は余り売れ行きが伸びませんでした。しかし、「おかあさんの勉強室」というのは大体そういう問題を中心に取り扱っております。それで、今年度から「おかあさんの勉強室」というものにテキストを発行いたしまして、これはいまのところかなり売れております。二十万近くになっておると思います。そういう面から、やや間接的ではございますが、NHK番組利用による学校放送の充実をしていただきたいという気持ちを具体化したわけでございます。  なお、学習塾に行っている間の時間帯に番組をつくるようにということでございますが、来年度の編成に当たりまして、先生の御指摘もございますので、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは、日本教育の中における非常に重要な問題点ではないかと思います。きょうも私、新聞で三時から六時までの番組を見てみました。じゃ、これをうちの小中学生の子供たちに見せてやろうというような意欲を持つ、そういった番組には私は決してなっていないように思います。したがって、その時間帯の面からも私は申し上げたわけでございますけれども、そういったいま説明のとおりいい面も出てきているわけですから、そういった面を伸ばして、決して学習塾に対抗するという意味ではなくて、ほかの面から、また違った角度から、しょせんは日本の青少年の教育という面に貢献し、日本の発展のために尽くしていかなかったならば——国民によって支えられたNHKでございます。そういう面で私はお返しをしていかなければならないのではないか、こう思いますので、その辺の今後への見解を、郵政省の次官の方からと、それから会長にお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 綿貫民輔

    綿貫政府委員 ただいまNHKからも、来年の編成に当たって先生の御意見どもございましたので検討したいと申しております。そのような方向について指導してまいりたいと考えております。
  148. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘については十分検討させていただきたいと思います。ただ一言、ラジオの第二放送で六時に「そろばん教室」というのをやっておるのですけれども、これがある意味では実務的に大変小中学生のお役に立っているというようなことで、最近うれしい反響もいただいておる次第でございますので、なお一層努力を進めたいと思う次第でございます。
  149. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ありがとうございました。
  150. 八百板正

    八百板委員長 青山丘君。
  151. 青山丘

    ○青山委員 NHKの業務報告に載っておりますNHKの事項別テレビ番組の比率というのをずっと見てみますと、四十九年から教育番組がふえております。総合放送の中では四十九年、五十年の両年度とも教育番組が多くなっております。一方、教養番組がその分以上に比率が下がっておるように思います。娯楽番組が年を追うごとにふえております。特に五十年は二四%と大きくなっております。教育放送では報道番組がそれまで〇・一%であったものが〇・六%と上がっております。これはどういう理由によるものか、またその傾向は五十年以降も続いていくものかどうか、まずお尋ねをいたします。
  152. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  まず教育テレビにおける報道番組充実が少し比率が高くなっている理由は、実はアマチュアスポーツが報道と教育とに分けてカウントされますので、半分半分ということでカウントされますので、それが五十年度は、ここにもたくさんありますが、かなりアマチュアスポーツに力を入れまして試合を放送しましたために、結果的に〇・六%の増というふうになったわけでございます。全体としては〇・一%から〇・六ということで、パーセンテージとしてはそう大きなものはないと思います。  なお総合における娯楽番組の増は、実は一つの理由は、放送時間が十八時間から、四十八年、四十九年とまいりまして多少変動はいたしましたが、減っております。それで、減ったのに教養関係の再放送が、主として夜間の十二時前でございますが、それがなくなったので、結果的に娯楽番組がふえたというのが一つ、もう一つは昼間の三時台に各民放に対抗いたしまして、八時台の娯楽番組も見られない方が多いということで入れた。この消極面と積極面と両方から多少ふえておる次第でございます。  なお今年度もほぼ同様の比率かと思いますが、今後特段に大きな変化をするという見込みはいまのところ私たち持っておりません。
  153. 青山丘

    ○青山委員 総合放送の教養番組が減って教育番組がふえたというのはどういう意図ですか。
  154. 堀四志男

    ○堀参考人 これは「おかあさんの勉強室」というものを、この前も申し上げましたように、教育番組でやっておりますものを総合で再放送いたしまして、先ほど言いました趣旨に沿いたいと思ったのが直接的な理由でございます。
  155. 青山丘

    ○青山委員 これからもそういう方向で進まれるのですか。
  156. 堀四志男

    ○堀参考人 番組編成は、ある意味でそのときどきに応じていかなければまいりませんので、いまのところ何とも申し上げようもございませんが、特に著しく伸ばさなければそういう傾向が強まるような結果になるだろうということは、いまはちょっと予測できません。
  157. 青山丘

    ○青山委員 放送法第四十四条第四項には事項別の「放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。」とあります。郵政省NHKの現在の番組が調和を保っていると考えておられるのかどうか。
  158. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  放送法四十四条の第四項には、ただいま先生の御指摘のようなことが書いてあるわけでございますが、郵政省といたしましては放送事業者から提出される資料がございまして、これで検討しているわけでございます。それから見まして、NHK総合番組はおおむねその調和が保たれているというふうに考えております。
  159. 青山丘

    ○青山委員 この趣旨はNHKはもちろん、他の民放にも準用されておるわけです。民放各社の番組も現在の段階でおおむね調和を保っておると考えておられるのかどうか。
  160. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、NHKについても同じでございますが、一般民放からもそのような資料をいただいてわれわれは判断しておりますが、それもおおむね調和が保たれているというように考えております。
  161. 青山丘

    ○青山委員 調和を保っているのかいないのか、それを一体だれが判断しているのですか。  それからもう一つは、その判断の基準がおありかどうか。あればお聞かせいただきたい。
  162. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この放送番組の調和の問題でございますが、これは放送法四十四条の四項にこの番組の問題が出ておりまして、番組といたしましては教養、教育それから報道、娯楽、こういう番組の相互間の調和を保つようにしなければならないということでございますが、これは放送事業者が守るべき準則というものでございます。したがいまして、放送事業者がみずからの判断に従って調和を保つということをわれわれとして求めているということでございます。放送事業者がその与えられました責任を自覚して、良識を持ってこの調和のある番組を編集するということをこの四十四条で期待しているわけでございまして、その判断と申しますか、それはもちろん放送事業者がみずから判断を行うということになっております。
  163. 青山丘

    ○青山委員 そうすると、郵政省としては保っているというふうに判断をしておられるのですが、その判断は放送局に任しておるという段階でしょうか。郵政省としてある機関を設けてそれについて審査をするというようなことはしておられないのか。
  164. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほど申し上げましたように、判断の資料といたしまして——判断と申しますか、そこの調和がとれているというふうに考えているかということにつきまして、われわれは事業者から提出されました資料というものによってお答えしたわけでございます。  この資料から見ますと、やはり調和が保たれておるとわれわれは判断するわけでございますが、果たしてその調和を保っているかどうかという判断でございますが、これは先ほど申しましたように保っておるかどうか、四十四条四項守られているかどうかという問題については、これは放送事業者自体が判断すべきものである、かように考えております。
  165. 青山丘

    ○青山委員 郵政省としては特別に機関を設けておるとかということじゃなくて、担当の部課で判断をしておるということですか。
  166. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この問題につきましては、郵政省におきましてこのために機関をつくって審査を行っておるということはございません。
  167. 青山丘

    ○青山委員 たとえば、郵政省から出されております昭和五十一年十一月、ここにありますが、再免許に当たってのそれぞれ放送各社に条件を付しておられます。その中で、その条件をつけておられるのは、それじゃなぜなのか、お聞かせください。
  168. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先生御質問のように、郵政省といたしましてはテレビジョンが国民の間に広く普及している、それから社会的に非常に影響が大きい、こういうことからかんがみまして、教育番組それから教養番組、こういうこの番組の放送が確実に実施されるということを図っておりまして、その番組の向上を期するために昨年の十一月のテレビジョンの一斉再免許のときに、一定の割合教育番組と教養番組の放送を行うように条件をつけたわけでございます。  この条件につきましては、一般の従来の放送局につきましては教育番組の一〇%以上、それから教養番組二〇%以上という条件をつけております。
  169. 青山丘

    ○青山委員 したがって、その条件をつけた理由はどういう基準で条件をつけられたのか。それまで調和を保っているんだというふうに判断をしておられたんでしょう。
  170. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま申し上げましたように、郵政省といたしましては教育番組、教養番組というようなものの充実を図りたいということで、かねがね放送に対する行政を指導してきておるわけでございます。そういうことで、各放送会社から再免許のときの申請の中に、郵政省の意思を体しまして教育番組、教養番組についてこの程度充実を図りたいということで事業計画を組んでくるわけでございます。それをわれわれの方で見まして放送会社の考え方というものに対して、やはり教育番組が一〇%以上、教養番組二〇%以上が適当だろうということで条件をつけたわけでございます。
  171. 青山丘

    ○青山委員 郵政省なりの考え方で条件を付しておられると思うのです。そうですね。その郵政省考え方がどの辺でつくられていくのか。先ほど判断の基準があるのかと聞いたのはその辺なんです。郵政省の内部でどの辺で条件を付していく、郵政省考え方をどの辺でつくり出されていくか。
  172. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この問題につきましては担当が、電波監理局の組織からいきますと放送部で再免許の申請を受け取りまして、そうしてこの最終的な作業まで行うわけでございます。その段階におきましてただいま申し上げましたように、各放送会社から再免許に当たりましての事業計画というものが出てまいります。それを踏まえましてわれわれといたしましては、番組の編成というものについても入れまして再免許の作業にかかるわけでございますが、これは担当としましてはそれぞれの課で作業を実施いたしまして局として決定いたしまして、さらに大臣のところまで上げるわけでございますが、大臣といたしましては、このような問題につきましては電波監理審議会に諮問いたします。電波監理審議会でもそれを認められた場合、答申いただきました場合に大臣の名前で再免許の許可を与える、こういう仕組みになっております。
  173. 青山丘

    ○青山委員 さきの十一月の場合に、NHKそれから東京十二チャンネルとNETですね、に付された条件、さらにはNHK及びその他の民放各社に付された条件に違いがあります。それはどのような理由から出ておりますか。
  174. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま御指摘のように日本教育テレビ、現在は全国朝日放送と言っておりますが、これとそれから東京十二チャンネル、これについてはほかの放送会社と違った比率になっております。ほかの放送会社につきましては教育番組一〇%、教養番組二〇%、それぞれ以上ということで再免許しておるわけでございますが、この当時の日本教育テレビとそれから東京十二チャンネル、これにつきましては教育番組が二〇%以上、それから教養番組が三〇%以上という形になっております。  これについての御質問だと思いますが、これはこの両社が四十八年に免許をもらったときに、この両社の従来のいろいろな実績を見てみますと、教育番組の制作に対して非常に特別な実績を持っていたということで、免許されましたときにもそういうような形で教育番組は二〇%、教養番組は三〇%ということで免許になっておりまして、再免許の申請においてもそれを続けたいという事業計画が出てきております。したがいまして、郵政省といたしましても教育、教養番組充実ということは非常に好ましいことでもございますし、国民の皆さんの要望というものを配慮いたしました結果、申請どおり教育番組、教養番組の比率をそれに決めて免許した次第でございます。
  175. 青山丘

    ○青山委員 ということは、郵政省としてはこの条件が守られている、したがって調和を保っていると判断しておられるわけですね。
  176. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほどから御説明申し上げておりますが、再免許のときの条件とそれから放送番組のときの調和の問題、これは私たちは切り離しているわけでございまして、再免許の条件というのは教育、教養番組の確実な実施を図るという趣旨でつけているものでございます。番組の調和の判断基準を示すものではございませんので、条件が守られることとそれから番組の調和というのはそれぞれ別問題であって、調和という問題は、先ほど申し上げましたように放送事業者が判断すべきもの、かように考えております。
  177. 青山丘

    ○青山委員 この再免許に当たって付された条件、これは電波法第百四条の二に規定されている条件と考えていいのですか。
  178. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 再免許のときの条件につきましては、電波法の百四条の二の第一項の規定に基づくというふうに考えているわけでございます。
  179. 青山丘

    ○青山委員 そうであるとすれば、この条件の違反があったときに電波法の第七十六条の適用の対象となるのですか。
  180. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 対象となります。
  181. 青山丘

    ○青山委員 郵政省がこのような条件を付することについて、郵政省がこの条件違反を理由として放送局運用の停止、そういった行政処分を行うことができるようにするためだというふうに言われる方もあるのです。この点について郵政省はどのように考えておられるのか。
  182. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、この再免許の条件に違反した場合は、当然電波法の第七十六条の規定の適用の対象になるというふうに解されるわけでございます。  ただ、問題が番組に関連いたします場合は、別に放送法の三条の規定がございますので、この場合は必ずしも七十六条の規定が適用されるということにはならないわけでございます。と申しますのは、第三条の規定では番組についての介入問題があるわけでございます。したがいまして、その内容につきましては、放送事業者が自主的な判断を行うということのたてまえになっておりますので、郵政省といたしましては、この番組問題に関しましては、七十六条の規定の適用ということは困難かと存じております。
  183. 青山丘

    ○青山委員 次に、テレビ番組内容についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。  NHK基本問題調査会というのがあります。NHKの健全な運営を確保する方策について審議をするNHK基本問題調査会が五十年十一月に提出をされた報告書は、その提言の末尾において、NHKの副次的収入について触れておられます。「現在は放送法の営利目的禁止の規定により大幅な拡大は望み得ない。しかしながら、可能な限りの国民負担の軽減を図る立場からいえば、さらに詳細な検討を行い、若干でも増収を図ることを望みたい。」こう述べておられます。実は私は、本当はフィルムの海外提供についてこれから触れていきたいのですが、この副次的収入がどうなっているのか、なるべく詳しく説明をいただきたい。
  184. 山本博

    ○山本参考人 基本問題調査会の提言としまして、NHKの現在の財政状況を考えますと、受信料収入だけに九八%以上の大きな比率で現在依存をしておりますけれども、なお副次的収入その他もろもろの努力をすることによって少しでもそういう面において改善を図るべきであるという提言があったのはただいま御指摘のとおりでございます。それに基づきましてではございませんが、かねがねNHKとしましてはこの点についていろいろな努力をしてまいったわけではございますけれども、さらに基本問題調査会の提言がございましたので、金額としましては相当努力をいたしてまいりましたし、わずかではございますが、その効果が上がってまいっております。  たとえば五十一年度の決算の現状における数字、これはようやく決算が済みました段階でございまして、経営委員会の議決もまだ得ておりませんけれども、約三億八千万の収入がございます。五十年度はこれが約三億二千五百万でございましたので、約五千五百万ほどの増収を一応図っております。その内容としましては、いま御指摘がございました海外の番組関係の問題もございますが、その他、著作権の使用料、テキスト関係の収入、技術関係では技術協力収入、受託研修収入、その他協会の施設の貸与料とか、たくさんのそういう細かいものも含めましていま申し上げた数字で、五十一年度は前年度に比べましてそれ相応の改善を図ってまいっておりますが、何せ法律上できる限界が非常にシビアなものでございますので、非常に顕著な形でふえるということにつきましては、もう少し基本的なところまで含めた検討というものが必要ではないかと思っております。
  185. 青山丘

    ○青山委員 NHKの財政上の見地から副次的収入の拡大を図るべきだけれども、それについては放送法の営利目的禁止の規定の問題があるということは基本問題調査会でも指摘しておられるわけですが、この点についてはきょうは論議を避けたいと思います。ただ、いまも触れていただきましたが、テレビ番組の海外への提供、これについてちょっと触れたいと思うのです。  テレビ番組の海外への提供ということは、NHKの副次的収入の拡大に資することはもちろんでありますが、外国の人々に対して日本の国情、国民生活の実態を知ってもらう上でテレビの番組は最も適していると考えるのです。よく言い古されたことですけれども、外国ではまだ日本のことを余り御存じない。日本人というのはまだちょんまげを結って人力車に乗っている、あるいは富士山と舞子さん、芸者に代表されるという程度しか日本は知られていない。そういう人が外国人に非常に多いということは心外だと思うのです。もちろん外務省も大変御苦労をいただいておると思うのです。しかし、こういった場合にテレビの番組が果たしていく役割りというのは非常に大きいと私は思うのです。そういう点で、テレビ番組を海外に提供をして外国で放映してもらうということに大きな意義があると考えているわけです。NHKのテレビ番組で海外に提供されているものはどういうものがありますか、またどの国に提供されているのか、御説明をいただきたいと思います。
  186. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  海外頒布の番組は、五十年度四百八十本、五十一年度九百八十五本、金額にいたしまして一千五百七十七万円でございます。そしてそれらはイラン国営放送に「潮騒の町」などドキュメンタリー百五本、一千万円をちょっと超えます。オランダ放送協会にオーストラリアの自然物など四本、西ドイツ放送協会等になっており、かつブラジル等に対して「紅白歌合戦」の生での提供、その他も加えましてかなりの数に上っている次第でございます。
  187. 青山丘

    ○青山委員 テレビ番組の海外提供については放送番組センターが行っていると聞いておりますが、その実情はどうなっておりますか。
  188. 山口進

    ○山口参考人 それじゃ簡単にお答え申し上げます。  放送番組センターは昭和四十三年に設けられました財団法人でございますが、その目的は三つございまして、特に民放の番組の向上を目的としました教育教養番組の企画、制作、配給、それからその番組のライブラリー活動、三番目に海外との番組の交流がございます。これはせっかくつくられた番組が海外で使われ日本教育教養番組という内容のもとにより広く知っていただくため、また日本の国情、歴史、そういったものを正しく知っていただくためという目的がございますが、同時に、その裏返しといたしましては、やはり海外のいい番組をできるだけ求めましてセンターのライブラリーの中で各社に使っていただく、そういう交流の目的があるわけでございます。  第三点についての動向でございますが、実は四十三年にできました後、四十四年時点までは準備がございまして余り活動しておりませんでした。そして四十五年、六年と若干の制作活動に入っておったわけでございますが、四十七年に入りまして、実は日米文化教育会議、カルコンでございますけれども、第二次の活動が勧告されましたのに基づきまして、外務省から、いま申し上げましたような目的をセンターが持っておりますので、ひとつ事務局を引き受けてくれないかというお話があり、これをお受けしたことによりまして急に海外との番組交流が活発化してまいりました。また同時にその時点で国際交流基金が生まれたということも大きな支えになっておるわけでございますが、主にこの国際交流基金の御援助、御理解を通しまして四十七年から毎年ずっと番組が海外に少しずつ出ております。  その実情を簡単に申し上げますと、昭和四十七年度が十番組、三十五本。内容といたしましては、きょう、いま先生が御心配になりましたような、そういう番組は極力避けておりまして、たとえば「くらしの再発見」という番組では日本の着物、織物あるいは紙の芸術といったようなもの、あるいは「こどもの国」という番組では日本の子供たちの生活の実態、あるいは「われら一族」というシリーズがございますが、これでは日本の歴史に焦点を当てた番組といったようなものがございます。  四十八年に入りまして非常に番組がふえてまいりまして、この年度には二十七番組、五十本が海外に出ております。ここでは、たとえば「東北の芸能」あるいは「東北の民芸」、「四国の芸能」、「四国の民芸」あるいは「日本の名匠」、いわゆる国宝的な皆さんの活動、工芸的活動、そういった名匠の皆さんを紹介した番組などが中心でございます。さらにまた、この時点では「名城とふるさとの旅」という日本のお城を中心にしました日本の歴史を伝える番組といったようなものが出てまいりまして五十本に達しております。  四十九年度でございますが、この年度は少し減っておりますけれども、大体同じような性格のもので、特に番組センターがこの年度におきまして、いま先生がおっしゃいましたような、日本を正しく知らせるということにもう少し重点を置いた特別番組をつくってみるべきだという理事会での御意向がございまして、それに合わせて「JAPAN」という番組と「TV TV NIPPON」という二つの一時間半の特別番組をつくっております。これらがこの年度の特色でございます。十三番組の二十六本でございました。  五十年度に入りまして、いま申し上げたような傾向のもののほかに、たとえば「ウインターライフ」といった日本の冬の生活でありますとか、ちょうど天皇がアメリカへいらっしゃるというようなことにも関連いたしまして、天皇御一家の御生活を取りまとめた番組ども登場いたしております。さらに、この年度は、「女性と暮し」といった、日本の女性に焦点を当てた番組などがございまして、十三番組の三十八本でございました。  そして昨五十一年度でございますが、この年度も、そのほかサラリーマンでありますとか手先の器用な日本人の生活の実態でありますとか、また「日本の中の世界」といった、日本の中で世界各国から輸入された文明がどのように受け入れられまた発展されていっているかといったようなテーマでございますけれども、こういう番組が登場いたしております。あるいはまた「歴史を旅する」といった、日本の国内の人情、風俗といったものを伝える番組などがございまして、五十一番組、百十四本という番組でございます。  ちょうど五十二年の三月までの五年間にわたるわけでございますが、いま申し上げましたものを総括いたしますと、それらの番組は、放送を通しまして外国で世界各国に見ていただいたものが三十二本でございました。細かく申し上げますと、アメリカのPBSという公共放送ネットワーク、スウェーデン、クウェート、サウジアラビア、ブラジル、モスクワテレビなどでございます。そのうち最も多いのはやはりアメリカでございます。その他のものといたしまして二百三十一本の番組が海外に出ております。これは国際交流基金の方で買い上げていただいたものでございますが、主に外務省の出先機関あるいは国際交流基金の出先機関などに渡りまして、日本研究のために多く使われているあるいはまた大学の研究部門でも使われているといったような経過でございます。そういう経過でございまして、その合計が二百六十一本ということになります。  たまたま私たちの方のこの五年間の番組の、制作番組、協賛番組というのがございまして、これは各社の御意向に沿っていわゆる教育的、教養的番組資金的なある分を持たしていただくというやり方の番組でございますが、これを合わせましてこの五年間に二千五百八十六本が生まれておりますけれども、そのうち、延べでございますが、いま申し上げましたように二百六十一本が海外で、放送であるいは放送以外の手段で使われているというのが現状でございます。
  189. 青山丘

    ○青山委員 ちょっとまた後でこれは触れたいと思うのですが、海外へ日本のテレビ番組を提供するのをさらにふやしていく、拡大をしていく、そういう具体的な施策を考えておられるのか、質問します。
  190. 坂本朝一

    坂本参考人 私、当委員会でもあるいは申し上げたことがあるかもしれませんが、先生御指摘の、やはり番組の交流と申しますか、それには力を入れるべきであろうというふうに考えておりまして、NHKの中に特に海外を目指して番組を出していくための特別プロジェクトみたいなものを、放送総局を中心に検討するようにというふうに指示してございます。
  191. 青山丘

    ○青山委員 後でもちょっと触れたいと思うのですが、放送番組センターが取り扱っておられる番組、またNHKが海外へ出しておられるもの、いろいろ考えてみますと、どうしてもかた過ぎる。どうも、外国人が非常に知性と教養に満ちておって、ああいうかたい番組をこれが日本の姿なんだと思って、そして楽しみながら見てくれるような番組ではないように思うのです。確かに、われわれでも外国の実情を知りたいと思うときに、余りかたい報告番組でありますと途中で退屈をしてしまう。現実にわれわれが外国の生活の実態というものを知ろうとするときに、たとえばアイアンサイド警部、あの推理番組の中で、ロサンゼルスの人たちがどんな生活をしているのか、かいま見ることができます。また、NHKに「警部マクロード」というのがありますね。あれを見て、南部の田舎の刑事がニューヨークの都会へ出てきたギャップをおもしろおかしく感じるのです。それがその国、その地域に生活をしておられる実態を感ずることができる、私はそう思うのです。  ところが、いまやっておられる、たとえば先ほど御説明いただいた番組センターが取り扱っておられる内容、これは本来の趣旨からしてこういう若干の偏りがあるのかもしれませんが、「東北の芸能」、「東北の民芸」あるいは名匠、人間国宝といった人たちの作品、ずっと聞かしていただいて感じることは、かえってそのことの方が日本に対する誤解を生んでしまうのではないか。日本という国はこういうことばかりが毎日の生活なのかしらと外国人が思ったときに、やはり富士山と芸者に結びついてしまうのじゃないか。私は、あるままの日本の姿を外国に知っていただくにしては、ちょっと偏りがあるのじゃないかということを心配するのです。その辺の御見解はどうでしょうか。
  192. 山口進

    ○山口参考人 ただいまの御指摘の点につきまして、実はことしの一月に日米の間のテレビ交流の第四回がございまして、そのときに全く先生がおっしゃいましたような反省が出ておりました。そこで、従来はいわゆる教育教養番組という範疇、解釈をできるだけ広げていたわけでございますけれども、やはりもっと広げなければ交流の実は上がらないし、また見方を変えますと、フィクションであるドラマの中にも日本の実情がいろいろ織り込まれているということから、おのずからそのことが日本の紹介、実際を知ってもらうのに役立つだろうというようなことからその参加番組の範疇を実は広げまして、たとえて言いますと、NHKさんで言いますと「となりの芝生」というドラマ番組などが参加されましたとか、それからそのほかには小野田寛郎さんの第二の青春を追求したような番組、これはちょっとドラマと違いますけれども、そういった番組でありますとかあるいはテレビ朝日さんがやっております長寿番組の一つである「題名のない音楽会」といった、従来の教養という観念から少し飛躍して前進していると思うのですけれども、こういう番組が登場するとかいうようなことがございます。  それからもう一つ御報告を申し上げていいと思いますのは、ことしの四月に日米の番組交流の実態を見まして、フランスの放送界がぜひ日仏間でもテレビの交流をやりたいということで、一月の時点に三人の放送界の代表の方が日本へ見えまして、これらの番組を見ていかれまして、彼らが見た上で——このときには日本番組二十九本参加しておりましたが、その中から十三本をみずからフランスの放送界の代表が選んでフランスへ持っていきまして、この四月にフランスで日本のテレビの一週間というテレビ週間が持たれたわけでございます。このときにも、いま申し上げましたようなかなり幅の広い番組を彼らが選んで持っていっているというようなことで、成績を上げているわけであります。
  193. 青山丘

    ○青山委員 そこで、外国と日本ではテレビの受け取り方が若干違うかもしれませんが、国連のユネスコ本部が世界各国のそれぞれ地域のマスコミ事情調査をやっております。そのまとめられた結果を見てみますと、先進国におけるテレビの役割りは、何といっても一番が娯楽、二番がニュース、三番が教育、この教育の中には教養も含まれるのじゃないかと思います。一番が娯楽、その次がニュース教育、こういう順序になっておるのです。そうすると、テレビというのは娯楽なのかということになってくるわけですね。それには考え方もいろいろあるでしょうが、いま日本人に対して、冷蔵庫、自動車、新聞、電話、テレビのうち一つしか持てないとしたら何が欲しいかというと第一番がテレビ、ちなみにアメリカの調査結果によると第一番が自動車、二番目が冷蔵庫、三番目がテレビということになってくるのです。それからニュースを知るのは何からか、第一がテレビ、六四%、テレビで見たことと同じことを新聞や雑誌で後で読む、これが八八%、こういう報道がなされているわけです。やはりテレビから受ける影響というのは非常に大きい。そういうようなことから、後でNHK番組について触れてみたいと思うのですが、いまのにもちょっと関係してきますけれども日本番組、特にNHK番組はおもしろくて見たいという気がほとんど起きない、こういうことを言うのです。先ほどのテレビ交流の番組ももう少し娯楽性を加味していかないと、幅広く見ていただくことができないのではないか、こういう危惧を持つわけです。その点について御見解はどうも一緒だと思いますので、今後そういう方向で努力していただければ大変いいと思います。  番組の制作態度について若干触れてみたいと思います。  最近NHKの未収、契約拒否が増加しております。これは負担の公平あるいはNHKの財政という面からきわめて重大な問題でありますが、これを営業関係だけでいろいろ苦労しておられるように思います。営業関係だけではなかなか解決しないのではないかと思うのです。NHKの存在している理由、なぜNHKがこの国の報道機関として必要なのか、その辺が理解されないと本当にNHKの財政は確立してこないのではないか、こういうふうに心配をするわけです。それは、いまも触れたようにNHK番組をよく見てもらう、NHK番組が見たい、視聴者に楽しんでもらえる番組を放送していくことによって国民NHKということになっていくのではないかと思うのです。このことがまず第一だと思うのですが、この点について会長の御見解をお尋ねいたします。
  194. 坂本朝一

    坂本参考人 私も当委員会で申し上げたかと思いますけれどもNHKのレーゾンデートルと申しますか存在理由は、何といっても言論報道機関としての中立性、公正、そういうものを保つために受信料制度というものに支えられて存在しておるのだ、そこが一番のポイントであるというふうに理解しておりますし、そういうふうに御理解賜りたいということで視聴者の方々に申し上げているわけでございます。しかし、さればといってやはりおもしろくないから見ないということになりますと、理屈は理屈として、受信料をいただくというたてまえからいって受信者の方々の率直な御協力がいただけないという事態が出てくるのではないか。したがいまして、私はやはり迂遠なようでも番組が見ていただけるということが大前提になるだろう、しからば、娯楽番組である以上、おもしろくない娯楽番組ということになると、これは存在理由がなくなってしまうわけでございますので、そういう意味での、おもしろいという解釈にはいろいろございますから、なかなか価値観の多様化の現在、むずかしい点はあるんですけれども努力すべきではないかというふうに思って、せっかく努力しておる次第でございます。
  195. 青山丘

    ○青山委員 NHKが見識を保ってそれなりに努力をしていい番組を送っている、私はこの点は率直に認めております。けれども、しかしそこにおぼれてしまっていてはいけないという面も同時にある。その面を申し上げるので、誤解を受けるかもしれません。問題は視聴者から見てもらえる番組を放送をしていく、それが視聴者におもねって視聴率だけの競争に走っていくということではもちろんないんです。しかし、NHK番組が先ほども申し上げた、かたくておもしろくない、娯楽の面での放送についてかたくておもしろくないということが一般的に言われているのです。ニュースNHKを見る、しかしそのほかの放送は民放を見る、こういう人が多いと聞いておるのです。視聴者は教養番組教育番組、ためになる番組、教えてくれる番組を見るのではなくて、一般には肩のこらない、楽しめる、おもしろい番組を求めているのではないかと思うのです。NHKはそういう点での考え方をどのように取り組んでこられたのか、これからもどういうふうに取り組んでいかれるのか、その点ちょっとお尋ねします。
  196. 坂本朝一

    坂本参考人 それはもう先生のおっしゃるとおりで、正直申し上げましてつまらない番組をつくろうなんという気はさらさらございませんので、おもしろい番組をつくりたいと思っているわけでございますけれども番組は生き物でございますので、なかなか思うようにいかない点が多々ございます。しかし、最近の一、二の例を挙げさせていただければ、朝やっております「いちばん星」というような番組につきましては非常におもしろいというようなことで御好評をいただいておるようでございますし、それで満足しているわけにはまいりませんので、なお一層いまおっしゃった意味のおもしろさというものについての努力は当然しなければならないだろうというふうに思っております。
  197. 青山丘

    ○青山委員 いまの「いちばん星」、なかなかいい番組で私も毎日見ています。それはやはり娯楽という面での価値もあり、また見識もあって、私は非常にいい番組だと思っています。低俗に陥らない、NHKが持っているよさだというふうに私は受けとめております。ただ問題は、そのこと以外の問題として、それにとやかく言っているんじゃなくて、多くの人たちが、いろいろな階層があって受けとめ方がみんな違っている。先ほど資料を発表したように、まず一番が娯楽、二番目がニュース、その次が教養、教育、そういう点でテレビを求めておられるという実態からして、その辺を踏まえて娯楽という問題についてひとつ真剣に取り組んでいただきたい。かたくなり過ぎない、さりとて余り低俗に陥らないという意味のことを申し上げておるのです。NHKがやっておりますドラマ、これの制作に当たってどのような考え方で計画を決めておられるのか、お尋ねをしたい。
  198. 堀四志男

    ○堀参考人 全く先生のおっしゃるとおり、低俗に陥らない、おもしろい番組をつくってまいりたいというふうに思っております。たとえば先ほど話に出ました「いちばん星」でございます。事実は、佐藤千夜子なる歌うたいの人は実際は妾腹の子供でございます。しかしそれをそのままの形でドラマにいたしますと与える影響も悪い。そしてそれがあの「いちばん星」の主役佐藤千夜子を描くに絶対必要な条件とも思いませんので、原作者との話し合いの結果、後妻の子供というふうに改めてございます。そういうふうに、おもしろいけれども、しかし、何と申しますか、社会のひんしゅくを買う要素のあるものはなるべく避けていきたいというのが私たちの考えでございます。
  199. 青山丘

    ○青山委員 視聴者と言っても幼児、子供は別として、ハイティーンから老人まで年齢的にも幅が非常に広い。教養だとかあるいは好み、それぞれまちまちであります。だれにでも受けるという番組はないだろうと思うのです。しかし、番組によってはどの層をねらっているのか、そういう点をはっきり層を決めて取り組んでいく、そういう層をねらうことが一つには大切ではないかと思うのです。その点考えてやってきておられるのだろうと思うのですが、もう一つには家族が一緒になって楽しめる番組、こういうことが要求されてくるのではないかと思うのですが、この点についての御見解をお聞かせください。
  200. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  ちょっと話はずれるかと思いますが、昭和三十八年に、当時一億総白痴化というふうなことが言われまして、そしてテレビジョンの反省が世論として求められたわけでございます。それに対して私たちは、七時半台からある程度かたいいわゆる情報番組を提供いたしまして、その批判に対してある種の決断をしてこたえたわけでございますが、その後の聴視傾向を見てまいりますと、七時のニュースはとにかく、その後はチャンネル権が子供さんが中心になってチャンネルを回すということで、子供さんのない家庭では七時のニュースから情報番組と、そのまま見ていただいている家庭が多いのですけれども内容的に分析していきますと、子供さんのある家庭でそこからNHK離れが始まっていくということでございます。したがって、内容も家族そろって楽しめる、子供さんにも魅力あるということでございますが、どうしても七時半以降の夜の早い時間帯は、やはりいままでのような大人を対象にする番組じゃなくて、はっきり子供さんにもという番組をことしからも少しずつではございますが、月曜日に加えて編成しているわけで、内容は先生のおっしゃるとおりですが、それも今度は編成面からもそういうわれわれの意図がはっきりするような編成を徐々にではございますが、いたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  201. 青山丘

    ○青山委員 さらに視聴者の立場から見て近親感を覚える番組、感じる番組、それはやはりローカル番組を取り上げて話題にしたこともありました。現在ローカル番組が一日一時間三十分だと聞いています。そうですね。これをもっとふやしていく考え方がおありかどうか、お尋ねします。
  202. 堀四志男

    ○堀参考人 ローカル番組充実についてはここ四年来かなりやってまいりました。これは時間量をふやすとかふやさないとかという問題ではございませんで、情報の質と量をどうするかということを中心にやってまいりまして、昨年度画期的な編成をいたしまして、ほとんどお昼のニュースの一後のローカルニュース時間帯を集中いたしまして、大体において六時四十分から二十分間の情報を提供をいたしております。その結果、これは視聴率その他からもかなり好評を得ております。また、内容的にも細切れと申しますか、三分、五分のローカルニュースですと、場合によっては火事、どろぼう、交通事故という世の中の暗い面だけでニュースが埋まるということもございましたが、二十分という時間帯になりますと、やはり話題を発堀しませんと、またどうにも時間的にも聴視者の失望を買うだけでございます。そして、乏しい資材、人員ではございますが、各地方の局の方に非常な努力をしてもらいまして、現在ではかなり視聴者に喜ばれている番組が出ているというふうに報告も来てございますし、確信もいたしております。ただ、これをいままでの放送時間じゃなくて、時間の集中編成とかということで、質の向上を図ってきた、それはある程度所期の目的を達しておりますが、今度時間量ということになりますと、これはまた特段の工夫、配慮をいたしませんと、なかなかそうもまいりません。と申しますのは、ローカル放送で電波を出しておる局が四十九、ざっと五十でございます。一ケ所当たり一万円の予算でも五十万ということで、十万となれば五百万、百万となれば五千万ということで、それを東京であるいはどこがで集中的に使用する場合の効果等を考えますと、まだ質的充実に力を注ぐ時期だと思っておりまして、量的な拡大はしばらく御猶予を願いたいというふうに考えております。
  203. 青山丘

    ○青山委員 質の問題、量的な問題があるでしょう。しかし、テレビの番組を通じて、身近に感じていくのには、やはり地域の問題を取り上げてもらうこと。近所の知り合いというようなところの問題に触れていくことが、テレビの番組に視聴者が近づいていくことになると思うのですね。そういう努力をしていただけることが、またNHK国民生活に深く結びついてくるということになると思うのです。  もう一つの問題は、番組の制作費を見てみますと、たとえば日曜夜あの大型ドラマ、これは目玉商品ですから、その制作費が四十九年、五十年一本当たり四、五百万円、これが最近では物価の上昇もあるのですが、一本当たり八百万円となっています。こういうような数字が適当かどうかは別として、余りに豪華な番組というもの、これがかえって反発を招いたり、親近感をなくしたりしてくるような面はないのか。まずその点について、親近感を薄くさせていく、そういうおそれはないのかどうか、お尋ねします。
  204. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  私は、娯楽大型番組につきましては、結局その中に含まれている情報の量と質の問題が中心だと思います。たとえば何の変哲もない番組をいたずらにりっぱな役者さんを金に飽かして、集めて、そしてきらびやかな衣装を、あるいは美術装置を豪華にして見せれば、これは何だ、札束番組だと言われるかもしれません。しかし、そういうものを本当に必要とするような本があれば、私は一千万円かけようと二千万円をこれに投じようと反発を招くものではないというふうに考えております。要するにお金をかけて、いいものができたなというふうな印象を与える番組を今後もつくってまいりたいというふうに思っておりまして、金の節約に対しては余りそれほど神経質になる必要はないのじゃないかろうかと思っております。  なおちなみに、ちょっといま番組一本は九百万を超えております。
  205. 青山丘

    ○青山委員 一年ものについての考え方はどうなんでしょう。あのクラスのものをもう少し短くして、十本ぐらいで一巻というような考え方が、いまの非常に速い世の中の移りかわりの中で、その方がかえって受け入れられるのではないか。あるいは、一年ものは一年ものでそれなりの成果が上がっていると受け取っておられるのか。
  206. 堀四志男

    ○堀参考人 これも私は主として本の内容の問題だと思います。また各作者の力量の問題でございます。私たちとしては、せっかくいままで定着いたしました歴史ドラマを、できれば一年もので続けたいと思いますが、もちろん水増しして一年続けたり何かということを考えるのは間違いじゃないかと思います。  なお、念のため、御承知だと思いますが、たとえば朝の連続テレビ小説、かつては一年続けておりましたが、やはりそういう声もございましたし、なかなかあれだけの一年ものは無理だということで、いま半年に切りかえた次第でございます。必ずしも固執はしておりませんが、できるだけ努力は続けたい、こういうわけでございます。
  207. 青山丘

    ○青山委員 時間が来ましたので、最後に一点だけお尋ねしたいと思います。  ニュースNHKは信頼されている。NHKを見られているということは、それなりに信頼されているというふうに私は受けとめております。しかしニュースについて、世論調査によると、ニュースを知るのはまずテレビが六四%、テレビで見て新聞や週刊誌で後で読む、八八%、そういう調査が出ております。実は、NHKの「放送白書七五年」これは組合のものです。その中にちょっと興味のあることが書いてあるのです。「テレビのニュースは現代社会の事象の“目次”であり、決して“本文”たることはない。そして人々がテレビの画面に関心を示すとき、それは人々にとって娯楽であるからだ。」というふうに触れてあるのです。内容についてはいろいろ評価があるでしょう。私もこれを全面的に肯定するものではありませんが、しかしそういうふうに受けとめられていることは私は一面のとらえ方だと思うのです。というのは、テレビはやはりその場にいるような感じになりますし、また非常に早く報道してくれる。しかもその内容についてはそれなりの報道はしてくれるけれども、しかし番組は常に移っていくので、残らない。しかし新聞ではその内容が活字になって残っていく。したがって、テレビの果たしてきた役割りは目次的な役割りであって、本文は新聞から読むのだ、あるいは週刊誌で知る、こういうような役割りがいま受けとめられていると思うのです。その辺の御見解を最後にお尋ねをしたいと思います。
  208. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  おっしゃるような区分は原則的にはそのとおりだと思います。しかし新聞にないテレビニュースの特徴は、その臨場感と、そして同時性にあります。ライブトランスミッションと申しますか、生中継、これこそがやはりテレビニュースでなければならないもの、記録性とか味わいとかというものはやはり活字に劣っております。どうしてもニュースはそういう意味で正確さと早さと同時に内容充実も必要でございます。ですからそれをどうしてやるかということにかなり苦心してまいりました。そしてかつていわば原稿を集めて、それを整理がチェックし、さらにほかの方面の情報も入れて原稿をアナウンサーが読むというニューススタイルだけでございましたが、大分前に一〇二という番組をつくりまして、その後ニュースセンター九時をつくりました。さらに六四〇というローカルの時間もつくりました。テレビニュースの言われている欠点を補い、同時に長所を生かす方法を考えております。今後といえども、視聴者の要望に応じて、私たちはニュース伝達の方法にさらに一層の苦心を払ってまいりたいと思っております。
  209. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わります。
  210. 八百板正

    八百板委員長 山口参考人には御多忙中のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。退席されて結構であります。  藤原ひろ子君。
  211. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、電波障害によりますNHK受信料不払い問題と国の責任につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  現在、受信機を設置していてもNHKと受信契約を結んでいないという人たちは全国にどのくらいいらっしゃいますか、お答えいただきたいと思います。
  212. 中塚昌胤

    中塚参考人 受信機を設置しておられる方というのは私どもがいろいろなデータから推定している数字でございます。受信契約者の数というのははっきりしております。年度末現在で約三百万の差がございます。それが未契約でおられる方というふうに私どもとしては考えております。
  213. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そのうち、高層建築物等によります電波障害のためにNHKのテレビが見えない、こういう理由で受信料を支払っていらっしゃらない方はどのくらいありますでしょうか。
  214. 中塚昌胤

    中塚参考人 その三百万の中で高層建築物による障害を理由に契約されない方というのは、正直に申し上げまして、私ども正確にはわかりません。現在、高層建築物で受信障害を受けておられる世帯の数というのは、全国で約五十万ぐらいというふうに考えております。それから、先ほどのお答えの中でも申し上げたのでございますが、契約しておられる方の中で、五十一年九月末で約六十五万の滞納の方がいらっしゃる。その中で、受信障害を理由にして滞納になっている方は約三万五千ぐらいございます。これは先ほどお答えしたとおりでございますが、三百万の未契約の中で受信障害を理由にして契約をされない方というのは正確にはわかりません。障害を受けている世帯の数は全国で約五十万世帯ぐらいあるということでございます。
  215. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 正確にはわからないということでございますが、当然いまのシステムではいたし方ないと思います。しかし、高層建築のビルの障害によって見えない、そのためにわざわざお金を出すというのはいやだとおっしゃる方は常識で考えても幾ばくかはあるだろう、幾ばくどころか相当数あるであろうというふうに私は考えるわけです。うなずいていらっしゃいますから恐らくそうであろうと思うわけですが、その人たちに対しまして受信契約を結ぶためにどんな努力をなさっていらっしゃるでしょうか。
  216. 中塚昌胤

    中塚参考人 その高層建築物等による受信障害を受けておられる方々に対しましては、私ども、原則は原因者の責任ということで解消していただくわけでございますが、NHKの立場から、障害の対策ができるだけスムーズに、できるだけ早急に進められるよう措置をされるように、その受信者と原因者との間に立ちまして努力をいたしております。  具体的なことを一つ申し上げますと、新宿の副都心の高層建築物が昭和四十八年から問題になりましたときに、地域の障害を受けておられる受信者の方々と、それから新宿副都心のいわゆるSKKと申しておりますが、その間に立ちまして、この障害の対策につきましてNHKとしてもいろいろできる限りの努力をしてまいったわけでございます。
  217. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは郵政省にお尋ねをいたしますが、高層建築物などの、この理由によりまして起こります電波障害について、その障害を除去するためにどのような行政指導を今日まで行ってこられましたでしょうか。
  218. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  高層建築物の問題いわゆる都市における受信障害の問題でございますが、受信障害の解消につきまして、郵政省といたしましてはこの問題の解決ということに非常に努力しているわけでございますが、この問題につきましては御承知と思いますが、こういうものに対する一つの調査会を設置いたしまして、そこで内容についていろいろ検討いただいたわけでございます。その報告書もいただきましたが、その報告書の中にもいろいろ指摘された面がございます。それを受けまして、われわれといたしましても、都市の受信障害の解消についての具体的な問題等について検討を進めている段階でございます。しかし従来から省といたしましては、このような受信障害につきましては原因者責任のたてまえで措置されるべきものであるというふうな考えで建築主等を指導いたしまして、そうしてかなりの成果をおさめてまいりました。  さらに郵政省といたしましては、昨年の三月六日に「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」、こういうものをつくりまして、それぞれの各地方の電波監理局にその内容を指示いたしまして、そうしてそれぞれの地域におきます高層建築物による受信障害を解消するために当事者間で協議が行われるわけでございますが、その場合に当面の基準的な考え方はこうであるということを示したわけでございます。この指導要領の考え方の骨子でございますが、これは共同受信施設の設置等については「受信障害発生の原因である建築物の建築主の責任と負担においてこれを行うことが適当である。」という考え方を基本といたしております。さらに基本といたしまして、先ほど申しました原因者責任という従来の考え方をこの指導要領の中でも明確にいたしております。省といたしましてはこの指導要領を、先ほど申しましたように地方電波監理局にも指示いたしまして、さらに地方電波監理局におきましても地方公共団体あるいは建築主、今後さらにそういうような建造物を建てるであろうと思われるような方々にも十分周知徹底したいということでそのような指導も行っております。したがいまして、そのような形で、今後当事者間の協議が円滑に行われるように指導してほしいということを地方に指示している次第でございます。
  219. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いろいろ行政指導を行っておられるわけです。しかしそういっても、現に各地の都市で難視によります紛争が起こっているわけです。それで、高層建築物によります電波障害というのは、いまもおっしゃいましたように明らかに人為的なものである。人為的な行為によってもたらされました電波障害というのは、テレビの受信者としては当然その被害を受けるわけです。またNHKにとりましても、正常な方法で電波を送っているにもかかわらず、建築物等によります障害のために受信者側に正常な映像を映し切れない、こういうことが起こっているわけです。これは皆、いまおっしゃいましたとおり建築主の原因責任によって引き起こされたものだ、こう思います。その結果、受信機を設置していてもNHKと受信契約を結ばない、つまり放送法が守られていないということを生み出しているわけでございます。それで、高層建築物等によります電波障害というのは、その原因が明らかになれば原因者の責任によって障害を除去しなければならないのは当然のことで、またいまそういうお答えもあったわけでございます。そうであるならば、電波を監理する、また放送法を所管する省庁としての郵政省は、放送法の条項に基づいてNHK受信者と契約をスムーズに結ぶことができるように、障害を取り除くための指導を徹底しなければならないのではないでしょうか。また、そのことが原因になって受信料の不払いが起こっている、こういうふうに確認された場合には、受信料は原因者が負担するように行政指導するべきだ、こういうふうに思いますが、郵政省にはその検討の用意があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  220. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この高層建築物によります受信障害につきましては、郵政省といたしましても、指導要領をつくりまして、そして地方の問題解決に当たらせているわけでございます。その要旨は、先ほども申し上げましたように、原因者責任というたてまえでつくられた指導要領でございまして、そのような方針でこの問題は解決しようということでございますが、ただ、これはやはり建築主と受信者側の問題でございます。それで、この問題の解決につきましては、本来は当事者間で解決するというのがたてまえでございまして、そのときの責任者、責任側と申しますか、それは建築主側であろうということを私たちの指導要領で申しているわけでございますが、どのような形で解決するかということについては、やはり当事者間で御相談いただくというのが一番適切でございます。  ただ、従来の高層建築物によります受信障害につきましての解決方法でございますが、その方法といたしましては、有線による方法、いわゆる共同受信施設でございますか、これによる方法と、それから無線による解決方法ということでございまして、いずれにいたしましても、そのような方法をとることによってなるべく早くテレビの受信障害というものを回復するというのがたてまえでございます。したがいまして、この有線による受信設備を設置する場合の責任者、その費用の負担についての御相談ということもその当事者間で行われるわけでございますが、ただ実態の問題につきましては、従来の経験等からしましてやはりNHKが一番豊富な経験も持っておりますし、判断も正確でございます。そういう意味におきまして、この解決についてNHKの方に御相談されることが多いわけでございます。またNHKの方でもその相談に乗りまして、解決方法などにつきまして当事者間にいろいろサゼスチョンを与えているというのが現状でございます。
  221. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほど行政指導につきましていろいろお答えをいただいたわけでございますが、もう一歩踏み込んでお聞きいたしますといろいろなたてまえが出てくるわけです。しかし、このたてまえは全く本音と違ってきたというふうなことを感じるわけです。といいますのは、当事者間でおやりなさい、これがたてまえだということは、やはり郵政省は、放送法に定められたNHKの受信料というのはすべてNHK努力によってやりなさい、こういう考えなのだということを私は強く感じるわけです。なぜかと申しますと、私は三月のNHK予算審議のときに、米軍基地内の受信料の件で質問をいたしました。覚えていただいていると思いますが、郵政省は、NHKが要望すればこたえてやるというふうな態度の答弁をされたわけです。それで私はそのときに、何とまあ水臭いなあ、無責任だなあというふうに思ったわけです。いまの問題もまたまた傍観者的な態度に終始をするような感じが強いわけで、まことに遺憾に感じるわけです。郵政省放送法を本当に守るという立場に立つならば、電波監理局長、あなたはもっと責任を持つべきだ、こう思うわけです。この問題を取り上げましたのは、三月のその問題とかかわりがあるので、最後の機会に再度質問をしたわけでございます。受信料が本当に自覚的に広くとられていく、正常にとられていくという姿にするために郵政省が徹底して責任を持つべきだということでございます。よろしいですね。次の質問に移るつもりですが、何か言いたいことがおありでしたらどうぞおっしゃっていただいて結構です。
  222. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この前のときも、所沢のときにもお答えしたと思いますが、ちょっと私、記憶が確かでございません。たしかお答えしたと思うのでございますが、NHKの問題につきましては、言論機関でございますので、そのNHKにわれわれの方で経費を出すということは、やはり言論との問題で非常に重要な問題でございます。したがいまして、そのような問題を扱う場合には非常に慎重に行わなければいけないということでございますので、実はこの問題につきましては、われわれとしても慎重に検討させていただきたい。ただ、放送法にあるから、それをNHKが受けられなくなったから政府は金を出すべきだということになりますと、やはり言論機関のたてまえといたしまして、われわれとしては、必ずしもそれが適切な方法であるということは言い切れないと思います。そのような点におきまして、われわれも検討いたしますが、答えは保留させていただきたいと思います。
  223. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 慎重にしていただくということは、大変遅いということや不公平があってはこれは慎重にならないと思うわけです。私は、電波障害を取り除き、そして受信料が正常に入ってくるように郵政省責任を持つべきだと言っているので、それに対して郵政省がかわりにお金を払ってあげなさい、経費を持ちなさいというようなことは言っていないわけなんです。その点、誤解がないように徹底していただきたいということを再度お願いをして、次に進みたいと思います。  次は、芸能人のテレビなどの出演に関連をいたしまして、特に待遇問題について幾つかお伺いをしていきたい、こういうふうに思います。  最初に文化庁の方にお伺いをいたしますが、日本の芸術、文化を発展、育成させるために、政府としてどのような施策を講じていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  224. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  私ども、文化行政の課題は、わが国の文化的伝統を継承、発展させるため文化遺産を保存いたしますとともにその活用を図ること、それから文化の水準を高めるために創作活動を奨励すること、芸術文化の普及及び国民の芸術文化活動への参加の促進を図ること、並びに文化の国際交流を図ること、またそれからこれらの施策を進めるための拠点となります文化施設を整備充実すること、以上のようなことを施策として講じておるわけでございます。  若干具体的な例を申し上げますと、創作活動を奨励いたしますためには芸術家の養成がございます。国立劇場におきます歌舞伎とか文楽の後継者の養成あるいは民間の芸術関係団体に委託いたしまして、いろいろの養成を図ってまいるというようなこと、また芸術家の研修といたしましては、新人芸術家を海外に派遣いたしまして、在外研修と申しておりますが、外国で勉強していただく、あるいは本年度からは国内研修制度も発足させることにいたしております。また新人芸術家に対しましては新人賞を設けて活動を奨励する、あるいはその美術作品等は買い上げるというようなことをいたしております。また、すでに功成り名遂げた芸術家に対しましては、御承知の文化勲章あるいは文化功労者あるいは一般の勲章あるいは褒章というようなものを差し上げる。また年間の芸術活動を奨励するために、すぐれた業績を上げられました方に芸術選奨という制度を実施いたしておりまして、文部大臣賞を差し上げるというようなことがございます。また、創作活動の奨励、援助といたしまして芸術祭を主催いたしましたり、また民間各芸術団体で行います芸術活動に助成金を差し上げるというようなことをいたしております。  また国民に対する普及につきましては、芸術を鑑賞する機会を提供いたしておりまして、各地方に子供芸術劇場あるいは青少年芸術劇場、移動芸術祭というようなものを実施いたしております。また巡回美術展というようなものも実施いたしております。また国民各層が、特にアマチュア青少年が文化活動に参加するための参加する文化活動の奨励に五十二年度から力を入れてまいりたいと思っております。  また国際交流につきましては、民間団体が行います事業につきまして助成を行う措置をとっております。  また、先ほど申しました、それらのための施設の整備といたしまして国立の文化施設の整備とともに地方各地に整備されつつございます公立文化施設につきましても補助金を交付してこれの整備を図るというような具体的諸施策を行っております。
  225. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。  いまお聞きいたしましたのは、文化勲章など個人に渡るという分ももちろんあるわけですけれども、大体助成というのは、芸術団体個々に対して政府として助成をしていらっしゃるというふうに思われたわけですが、政府といたしまして個々の芸術家に対する何らかの助成は一般的にも行われているのでしょうか。勲章をもらう人だけではなくて、個々の芸術家を育てていくというために何らかの措置なり助成が行われているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  226. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  先ほど申しました芸術関係団体の補助金という中にそれぞれの組織、たとえば日本バレエ協会に対しまして、バレエの創作活動に対してバレエ協会を対象に助成するということをいたしますが、具体的にはその中でバレエ協会所属の各バレエダンサーがその助成金を得て物をつくったり発表したりするということになっておりますので、バレエ協会を通して個々人に及ぶということがございます。また先ほども申しました芸術家の在外研修あるいは国内研修につきましては、個々の芸術家につきまして海外あるいは国内で勉強することを助成するというようなことをいたしております。
  227. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 日本の芸術文化を継承、発展させるためにそれぞれの芸術団体あるいは個々の芸術家の方々が大変御努力をなさっているわけでございますが、日本の文化の発展のためにも、文化庁として物心両面にわたります一層の援助を当然行う必要があるというふうに私は思います。  個々の芸術家の方々が文化、芸術、こういう活動に努力をされているわけですけれども、どういった条件のもとでその活動をしておられるのか、実情を把握しておられるでしょうか。もしつかんでおられましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  228. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  先生御質問の御趣旨に対するお答えになるかどうかわかりませんが、私ども、芸術関係団体とは常時いろいろの場で懇談の機会を持っておりまして、芸術家の活動について何が問題点か、国にどういうことをしてほしいかというようなことを伺いつつ施策を立案いたしております。そういう点では、芸術家の活動につきましていろいろの要望等も聞いておりますが、どういう条件でやっておるかということにつきましては必ずしも明確に把握いたしておりません。
  229. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは労働省にお伺いいたしますが、事業者が仕事上の都合でアルバイトを雇って、その仕事の中で災害が起こった場合、その責任は使用者側にあるのか、それとも被使用人が負うべきものなのか、どちらでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  230. 溝辺秀郎

    ○溝辺説明員 労働災害につきましては、労働基準法で使用者に無過失賠償責任が課されております。その範囲におきましては使用者に補償責任ありということでございます。
  231. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私がこのことをお伺いいたしますのは、去る一月二十六日にNET番組の収録中に出演者の一人がライオンによる傷害をこうむった、こういう事件があったわけでございます。このような事例を見るまでもなく、芸能人の方々がその出演中に予測し得ない事故、危害を受けるということは当然あるわけでございます。文化庁として、テレビに出演中あるいは公演中などに芸能人が災害を受けている事例というのは把握されているのでしょうか、どうでしょうか。
  232. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  いま先生御指摘なさいました件につきましては、新聞その他の報道により承知いたしておりますが、そのほかのことにつきましては必ずしも全部把握しているわけではございません。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは芸能人の方々が出演中、公演中に起こった災害はどのような方法で補償されているのか。だれがそういった目に遭っているかわからない、ライオン事件以外は余りつかんでいない、新聞に出る以上はつかめないというふうなことでしたら、補償もだれがどのように出しているのか、自己負担になっているのか、その点、わからないでしょうね。いかがでしょうか。
  234. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  芸術家、芸能人が安んじて芸術、芸能の創造あるいは普及活動に携わるように配慮することは、芸術、文化を振興する観点から非常に重要なことと私どもは存じております。いま御指摘の芸能人のそういう労働災害につきましては、私どもといたしましては、社団法人の日本芸能実演家団体協議会、芸団協と通称申しておりますが、そこにおきまして芸能人のための年金並びに共済制度を行っております。また、国民健康保険制度の一環といたしまして、芸能人の国民健康保険組合がつくられております。私どもはそのような制度の充実を期待しておるわけでございますが、非常に危険の伴うものにつきましては、使用者が保険を掛け、処置しているというように個々のケースでは承知しておるものもございますので、そのように把握しておるわけでございます。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃNHKにお伺いをいたしますが、NHKのテレビやラジオ等に出演される方がその出演中あるいはリハーサルのときに災害が起こった場合、どのような補償をされているのでしょうか。
  236. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  災害の事例等につきましては、現在でも約三年間にわたりまして個々の具体的な事例を持っております。そしてそれに対して、NHK責任で補償をいたしております。  なお、ついでながら申し上げますと、たとえばNHKホールへ見においでになって不慮の事故に遭ったり、あるいはNHKの見学者コースを歩いていて災害に遭ったりという場合も考えられますので、私たちとしてはホールについては一括して保険を掛けております。また見学者コースにも一括して保険を掛けて、その場合の不時の災害に——不幸なことで、ないにこしたことはございませんが、あった場合に備えております。しかし、スタジオ等につきましては一つ一つ場合が違いますので、一括しての保険ということでなしに具体的に一つ一つ補償を申し上げている次第で、現在まで多少不幸なこともございましたけれども、大事にも至りませんし、また補償についての不満もございません。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、その補償というのは予算で裏づけているわけですか。お尋ねいたします。
  238. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  もちろん予算で幾分かは——そういう不時の災害でございますので、ないにこしたことはないわけで、あらかじめ予算のあれはございませんが、大きな場合にはもちろん予備費等からの流用もございますし、全体的にその都度われわれとして予算措置を講じていっているわけでございます。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、NHKの場合は個々の芸能人がNHKと契約を結んだ場合、その契約の中で、出演中あるいは録画中における災害が起こった場合に何らかの措置を講ずるということが明記されているわけですね。
  240. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  一人一人につきましては先方からの要望もございませんし、私たちがいままでとった処置で不安もないようで、一つ一つにはございません。しかし、総括いたしまして、昭和四十六年四月に日本放送芸能家協会との間でその趣旨をうたった団体協約を結んでおりまして、それに応じて個々の事例に対応している次第でございます。ですから個々にはございませんが、総括してはございます。
  241. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 芸能人の方々が放送番組へ出演する行為というのは、当然その番組の制作担当者の指示のもとに行われているというふうに思うわけです。したがいまして、個々の芸能人の方のテレビの出演中あるいは録画中における災害というのは、放送事業者がその責任を負うべきことは当然だというふうに思うわけです。出演者の行動が放送事業者の拘束、指揮下でなされる状態のもとで万一の事故、災害については、全面的に事業者側の責任に帰すべきものであるというふうに思いますが、それでいいでしょうか。
  242. 堀四志男

    ○堀参考人 原則的にはそのとおりだと承知しております。
  243. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 原則的にはそうだけれども、違う場合もあるということですか。
  244. 堀四志男

    ○堀参考人 違う場合があるというわけじゃありません。そのときどきにたとえばこうしてくれと言ってやった場合もあるし、演出その他が全く思いもかけないことをおやりになる場合もなきにしもあらずでございます。その辺のところはケース・バイ・ケースでお話し申し上げる以外にないのじゃなかろうか、したがって、原則を外れる場合もあり得るのじゃなかろうかと思いまして、原則的にはと申し上げた次第で、われわれの責任において私たちの指示と申しますか、お願いにおいてやってまいる場合にはもちろんそのとおりでございます。
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ケース・バイ・ケース、誠意を持って話し合うということは当然なことだと思います。私が言っておりますのは、芸能人の方々が出演中において災害を受けた場合、その補償というのは当然全面的に放送事業者が負うべきものだ、こう考えているわけです。その補償というのは、方法としては幾らでも考えられると思います。先ほどは共済制度とか幾つかおっしゃったわけですけれども、さらに私はたとえば出演者に災害保険というのを掛けるというようなことなど措置をするべきだ、これがしかるべきではないかというふうに思いますが、傷害保険についてはいかがでしょうか。
  246. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  それは少し実際的ではないように思います。と申しますのは、ホールとか見学者コースというふうにはっきりした場所でさえわれわれは保険を掛けているわけです。ですから、当然そういう精神で運営はいたしますが、一つ一つのものに具体的に保険を掛けるとなりますと、非常に事務が煩瑣になりますし、実際的ではない。その精神で全部を対処していままで一つの不満も起こりませんでしたし、またその精神で対処する気持ちははっきりいたしておりますので、ひとつ具体的な措置までのことはこちらにお任せ願いたいというふうに考える次第です。
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ここに社団法人日本芸能実演家団体協議会、芸団協の資料といたしまして、「芸能人の生活と意識」という昭和四十九年に発行されたものを持ってきたわけですけれども、ここにこのように書いておられます。仕事上のけがや事故ですね。そういう問題について「俳優では約三〇%が傷害の経験をもっています。延回数にしたらもっと多くなります。洋舞の場合も同様です。そして傷害の起きた場所としては、舞台、稽古場、テレビ局、撮影所、スタジオ、ロケ先などで、俳優ではその範囲が広く、洋舞では稽古場に集中している傾向があり、演芸では舞台、地方公演中によく起こるようです。傷害の内容をみますと、捻挫、打撲、切傷、骨折の順で多くあります。治療に要した期間としては、全治十日間くらいが一番多く、長い人では二カ月以上になったひともあります。そしてこれに対する補償がどのようにされたかというと、自己負担で補償がなかったのが六〇%強もあるのに対し、全額補償されたのは六・八%に過ぎません。見舞金程度のものは五・一%、専属契約などで労災保険の適用を受けたのはこれも五・一%ですから、傷害時には一応の手当はしてくれても、そのあとは自己の負担になる場合が多いと考えなければなりません。」「傷害そのものの補償といっても治療のための補償であって、傷害による休業中の補償までされたかどうかわかりません。問題はここにあります。治療もさることながら、病気休業による収入の中断ということが、前出のように重大な問題なのです。」こう訴えられているわけです。  先ほど文化庁に芸能人等の活動条件についてお聞きいたしましたら、その実態について十分把握されていないわけでございます。文化庁として、芸術や文化の発展、育成という立場から、このような実態について芸術家団体に任せておくのではなく、政府みずからが当然その実態を調査すべきだ、こういうふうに思いますが、文化庁、いかがでしょうか。
  248. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、いろいろの機会に芸術活動についてのいろいろな問題点につきましては伺っておりますが、なお芸団協の報告書にもございますようなこと、芸団協とも機会あるごとにそういう点につきましても話をいたしておりますが、今後もよく状況を伺いたいと思っております。
  249. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いろいろという言葉、私は大変あいまいだと思うのです。もっと科学的に真実を見詰めるというためには、ここにこれだけ芸団協の方でさえ病名を挙げ、何日間の治療を要したかとか、その後どうなっているのかということまで言うているわけですから、人を寄せ集めていろいろと聞いたということでなくて、もっと本当に科学的に真実性をきわめていくという調査をぜひしなければならない。それが一番初めに、それこそいろいろおっしゃっていただきました日本の文化、芸術を発展させるという文化庁の仕事ではないかというふうに思いますが、調査をするのかしないのか、お尋ねをしたいと思います。
  250. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  当初申し上げましたように、芸術家が安んじて芸術活動に専念できるということのために私どもいろいろと——またいろいろでございますが、努力をしてまいるわけでございますが、この傷害の問題につきましては、他の関係省庁もございますので、そういう方面とも連絡をとって調査すべきことは調査したい、このように思っております。
  251. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほどの私の質問に対しまして文化庁のお答えは、日本の芸術それから文化の発展、育成のためにそれぞれの芸術団体等に助成をしているということもおっしゃったわけでございます。私はこれに賛意を表しますと同時に、日本の伝統、文化、芸術、これを守るために一層必要な助成金の増額というものを期待をするものでございます。  同時に、あのライオン事件などというのは余りにもひど過ぎるテレビ番組だというふうに思います。放送に対する番組制作者の基本姿勢を私は全く疑うものでございます。なるたけ金をかけずに出演者を犠牲にして、視聴者をぎょっとさせるというような視聴率万能主義といいますか、商品主義のもとで出演者の人命にもかかわりかねないというような不祥事を起こしたわけでございます。全く、文字どおり非人間的なショーだとしか言いようがないわけです。しかし、ここまでひどくなくても、芸能人が出演、公演をする営みの中では絶えず災害の不安があります。事実予想もしない突発事故が起こっているわけでございます。NHKでも先ほどおっしゃったように起こっているわけです。芸能人の方はみずからの体を張って活動して、芸に精進をしているのですから、出演に際して不幸にも災害が起こった場合は何らかの制度的な補償を文化庁として考えるべきだ、こういうふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  252. 鹿海信也

    ○鹿海説明員 お答えいたします。  芸術家の公演あるいはテレビ出演中におきます労働災害につきましては、先ほど民間においていろいろの手当てが行われておることは申し上げたわけでございますが、新しい制度をつくることにつきましては、なお他の職種との均衡等をも考慮して、関係者にも十分意見を聞いて検討してまいりたい、このように思っております。
  253. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そのためにもまず調査が要る、関係者を呼んで聞かれたり、それこそいろいろな方法を使って調査をする、その上に立っていまのような状態から本当に解放される、安心して日本の文化、芸術を守り発展させることができるという条件をつくり出す。そのためにも、いま検討するということでございましたが、早急に検討していただいて結論を出していただきたい、こういうふうに心からお願いを申し上げたいと思います。  放送に携わる者は放送局及び制作関係者、出演者など、立場のいかんにかかわらず放送事業の持つ高度な社会性、公共性に対する自覚と責任、この上に立ってそれぞれの職務を果たすべきだ、私はそう思います。それが電波の特徴でありますし、最終的には国民に対する義務につながるというふうに思うわけです。しかし、事故が発生しても、ごくまれな例を除いてそのほとんどがいままで表面化しない、文化庁もつかめないというふうな状態が一方ある。それは文化庁が怠慢だというだけではない面があると思うわけです。つまり、うやむやのうちに処理してしまうという過去の例があるわけです。しかも重要なことは、その被害をこうむりました芸能人たちがみずから声を大にして苦情を訴えない、逆にそれを天下に明らかにしないではばかるというような風潮さえあるわけです。これは、仕事の上で特にスターというような名前がつきますと一層こういった状態が起こってくるわけです。これは、そのまま今日芸能人が置かれている社会的地位の低さのあらわれだと私は思うわけです。もちろん、芸能人が力を合わせてこういった一面封建的とも思える状態から脱皮をして、毅然たる態度でみずからの人権をみずからの手で守るということが私は重要だと思います。それと同時に、経営者、事業者の側は、このような社会的に弱い立場といいますか、泣き寝入りせざるを得ないような環境にいる芸能人の方々の社会的地位の向上のために配慮のある補償の確立を行い、それを制度化させていくという必要が私はどうしてもあると思うわけです。このことが日本の文化や芸術を守り、後継者づくりをして、さらに発展させていく基本となると思うわけです。だからこそ、文化庁に心からお願いをしたいと申しているのでございます。同時に、いま述べました点につきまして、最後に、こういった点をNHK会長さんはどのようにお考えになっているのか、御意見を承りたい、こう思うわけでございます。
  254. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKにとりまして、出演者というのはNHKの放送を支える大きな柱であり、こういう表現はあるいははばかりがあるかもしれませんが、大きな財産であるというふうに考えておりますので、ゆめゆめ粗略に扱う気はさらにございません。いま先生のお言葉の中に、芸能人が社会的に低い位置づけにあるとか、あるいは弱者であるとかいうような御表現もございましたけれども、私に言わせれば、むしろわれわれの方が弱者であるような場合も多々ございますので、そういう点では、私は、私ごとを言って恐縮でございますけれども、私の仕事の従来の経験で芸能人とのおつき合いもかなりございますので、その実態もよく承知しておるつもりでございますが、ゆめゆめ粗略に扱う気はさらにございませんので、それはこの場ではっきり申し上げられると思います。
  255. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 言葉じりをとらえるわけではありませんが、私、最後ですので、ちょっと一言、あれですけれども会長さんが芸能人よりも自分の方が低いというような状態がある、これは全く御冗談でしょうというわけなんです。いま私は本当にまじめに述べたつもりなんですね。ライオン事件などであんな人権を無視されたようなことをされながら、しかもみずから言えないという立場、それは私はやはり社会的地位の低さ、弱さだと思うわけです。NHK会長さんで、身分も地位もあり、やめられても次まで保障されているというような方とは違うわけですから、保険で保障していく、制度化していく、労災ができなくてもいろいろな面で考えていくということが必要だ、それをぜひとも御理解をいただきたいというふうに思うわけです。よろしく。
  256. 坂本朝一

    坂本参考人 よけいなことを、一言多かったようで、申しわけございません。本当に放送を支えてくださっている大きな柱だという認識については、私は十分認識しておるつもりでございますけれども、制度的な問題につきましては、先ほど放送総局長が申し上げましたように、さらにケース・バイ・ケースで慎重に対応したいというふうに考えております。
  257. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。ありがとうございました。
  258. 八百板正

    八百板委員長 次回は、明二十六日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十三分散会