○山口
参考人 それじゃ簡単にお答え申し上げます。
放送
番組センターは
昭和四十三年に設けられました財団法人でございますが、その目的は三つございまして、特に民放の
番組の向上を目的としました
教育教養
番組の企画、制作、配給、それからその
番組のライブラリー活動、三番目に海外との
番組の交流がございます。これはせっかくつくられた
番組が海外で使われ
日本の
教育教養
番組という
内容のもとにより広く知っていただくため、また
日本の国情、歴史、そういったものを正しく知っていただくためという目的がございますが、同時に、その裏返しといたしましては、やはり海外のいい
番組をできるだけ求めましてセンターのライブラリーの中で各社に使っていただく、そういう交流の目的があるわけでございます。
第三点についての動向でございますが、実は四十三年にできました後、四十四年時点までは準備がございまして余り活動しておりませんでした。そして四十五年、六年と若干の制作活動に入っておったわけでございますが、四十七年に入りまして、実は日米文化
教育会議、カルコンでございますけれ
ども、第二次の活動が勧告されましたのに基づきまして、外務省から、いま申し上げましたような目的をセンターが持っておりますので、ひとつ事務局を引き受けてくれないかという
お話があり、これをお受けしたことによりまして急に海外との
番組交流が活発化してまいりました。また同時にその時点で国際交流基金が生まれたということも大きな支えになっておるわけでございますが、主にこの国際交流基金の御援助、御
理解を通しまして四十七年から毎年ずっと
番組が海外に少しずつ出ております。
その実情を簡単に申し上げますと、
昭和四十七年度が十
番組、三十五本。
内容といたしましては、きょう、いま先生が御心配になりましたような、そういう
番組は極力避けておりまして、たとえば「くらしの再発見」という
番組では
日本の着物、織物あるいは紙の芸術といったようなもの、あるいは「こ
どもの国」という
番組では
日本の子供たちの生活の
実態、あるいは「われら一族」というシリーズがございますが、これでは
日本の歴史に焦点を当てた
番組といったようなものがございます。
四十八年に入りまして非常に
番組がふえてまいりまして、この年度には二十七
番組、五十本が海外に出ております。ここでは、たとえば「東北の芸能」あるいは「東北の民芸」、「四国の芸能」、「四国の民芸」あるいは「
日本の名匠」、いわゆる国宝的な皆さんの活動、工芸的活動、そういった名匠の皆さんを紹介した
番組などが中心でございます。さらにまた、この時点では「名城とふるさとの旅」という
日本のお城を中心にしました
日本の歴史を伝える
番組といったようなものが出てまいりまして五十本に達しております。
四十九年度でございますが、この年度は少し減っておりますけれ
ども、大体同じような性格のもので、特に
番組センターがこの年度におきまして、いま先生がおっしゃいましたような、
日本を正しく知らせるということにもう少し重点を置いた特別
番組をつくってみるべきだという
理事会での御意向がございまして、それに合わせて「JAPAN」という
番組と「TV TV NIPPON」という二つの一時間半の特別
番組をつくっております。これらがこの年度の特色でございます。十三
番組の二十六本でございました。
五十年度に入りまして、いま申し上げたような
傾向のもののほかに、たとえば「ウインターライフ」といった
日本の冬の生活でありますとか、ちょうど天皇がアメリカへいらっしゃるというようなことにも関連いたしまして、天皇御一家の御生活を取りまとめた
番組な
ども登場いたしております。さらに、この年度は、「女性と暮し」といった、
日本の女性に焦点を当てた
番組などがございまして、十三
番組の三十八本でございました。
そして昨五十一年度でございますが、この年度も、そのほかサラリーマンでありますとか手先の器用な
日本人の生活の
実態でありますとか、また「
日本の中の世界」といった、
日本の中で世界各国から輸入された文明がどのように受け入れられまた発展されていっているかといったようなテーマでございますけれ
ども、こういう
番組が登場いたしております。あるいはまた「歴史を旅する」といった、
日本の国内の人情、風俗といったものを伝える
番組などがございまして、五十一
番組、百十四本という
番組でございます。
ちょうど五十二年の三月までの五年間にわたるわけでございますが、いま申し上げましたものを総括いたしますと、それらの
番組は、放送を通しまして外国で世界各国に見ていただいたものが三十二本でございました。細かく申し上げますと、アメリカのPBSという
公共放送ネットワーク、スウェーデン、クウェート、サウジアラビア、ブラジル、モスクワテレビなどでございます。そのうち最も多いのはやはりアメリカでございます。その他のものといたしまして二百三十一本の
番組が海外に出ております。これは国際交流基金の方で買い上げていただいたものでございますが、主に外務省の出先機関あるいは国際交流基金の出先機関などに渡りまして、
日本研究のために多く使われているあるいはまた大学の研究部門でも使われているといったような経過でございます。そういう経過でございまして、その合計が二百六十一本ということになります。
たまたま私たちの方のこの五年間の
番組の、制作
番組、協賛
番組というのがございまして、これは各社の御意向に沿っていわゆる
教育的、教養的
番組に
資金的なある分を持たしていただくというやり方の
番組でございますが、これを合わせましてこの五年間に二千五百八十六本が生まれておりますけれ
ども、そのうち、延べでございますが、いま申し上げましたように二百六十一本が海外で、放送であるいは放送以外の手段で使われているというのが現状でございます。