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鈴木(強)
委員 あの当時、吉田茂さんがまだ総理
大臣で、佐藤榮作さんが当時の電気
通信大臣でありました。
日本の電気
通信事業は終始国有国営で運営されてきたのでありますが、
国内の
通信は公企体、
国際は会社、こういう
システムに変えたのは、少なくとも官僚的な経営から脱却をして民間的な経営
システムに近づけよう、そういうことが趣旨だと思うのですね。私は当時労働組合の方におりましたから、公企体ないしは会社に移行することについては国会に入りまして大分反対しました。そして
昭和三十一年に国会に出まして、その後、いろいろ会社法の問題あるいは公企体の問題について、これはアメリカの公企体経営というものがそのまま
日本の中に受け継がれてきているから幾多の欠陥がある、その欠陥を是正してもっと民営に近づけ、
サービス精神を発揮して、昔のお役人時代の、
電報を打ってやるんだ、電話をつけてやるんだという精神から、
電報を打たしてもらうんだ、電話を継がしてもらうんだ、そういう
考え方にわれわれも頭を切りかえてやってきているだけに、いまの公企体の中にあるいろいろな不備、欠陥というものを一日も早く是正しなきゃならぬと私は思っているのです。
昭和二十九年に公企体審議会からも答申が出ているし、三十一年にも出ている。しかしもう二十年以上たちまして、この答申が全くなおざりにされ、ほこりをかぶって眠っているわけです。それとの関連が
国際の中にもあったはずですね。
昭和二十七年の十月から一応公企体として発足して、
国際電信電話事業も、二十八年の三月までは
国内、
国際一緒にやっていたのですから、そして二十八年の四月に会社組織になってここに二十五年目を迎える、こういう姿です。そのときに吉田茂さんが大きな巻紙に、なぜ
国際にするかという趣旨を書いたのを私は佐藤榮作さんから見せてもらっておる。その中には、
外国との
国際通信においては向こうが、アメリカあたりを中心に大体民間経営をやっておりますから公企体では太刀打ちできない、したがって会社にするんだということですね。そして
世界じゅうで一番いい
サービスを
提供してもらう、同時にそこに働く職員に対してもりっぱな待遇をしていく、
世界一の待遇をしていく、こういう思想に燃えて
国際電電というものはスタートしたと私は思うのです。最近の経営について資料をいただきました。これを拝見しますと不況、いろいろな
経済情勢の中で皆さんの御努力によって非常にうまく運営されている。非常に同慶にたえないわけでございますけれども、そういう設立の精神というものを、時移り人変わりますとどうしても忘れがちになってしまう。ですからいつも初心に戻って、なぜ
国際電電会社にしたのかというところを全職員がわきまえて、そしてその目的のためにやってほしいと私は思うのです。私たちは反対しましたけれども、通った以上は、法治国家の国民としてわれわれもひとつこの精神を体してやろうというので、われわれ自体率先して、窓口に座って、ありがとうございますということを言うようなしつけまで私どもはしてきた。ですからそういう点を忘れないで、なおよい
サービスと、そしてそこに働く従業員が一生懸命になるから、こういう
技術革新においても、どこにも負けないものを生み出し、そして
サービスをよくしているのですから、そういう点にひとつ思いをいたして
社長以下やってもらいたいと思うのです。ですから従業員に対する待遇にしても、ことし春闘九・八%とおっしゃいますけれども、これだけの経営をしておって、右にならえ式にやられているんだね。
政府の方針か財界の方針か知りませんけれども、私はそういうふうに受け取りますよ。なぜもっと独立性のあるものができないかということを私は直観するわけです。ですからどうかすると日経連の
一つの
経済政策の中できますから、
社長が幾らやろうと思ってもできない場合もあるでしょうけれども、そこいらは日経連の諸君も法律による独占
事業として会社経営にした意義をわきまえておればもう少し、二けたを超すぐらいの待遇改善をしたっていいと私は思うのです。ですからそこをよく
考えていただいて、設立の精神を忘れないで今後も、労使問題を初めあらゆる問題について努力をしていただきたい、こう私は強く願うのですが、
社長、どうですか。