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1977-05-18 第80回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十八日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  電波放送に関する小委員       伊藤宗一郎君    加藤常太郎君       亀岡 高夫君    左藤  恵君       志賀  節君    廣瀬 正雄君       阿部喜男君    久保  等君       鈴木  強者    竹内 勝彦君       小宮 武喜君    藤原ひろ子君       依田  実君  電波放送に関する小委員長  加藤常太郎君 ————————————————————— 昭和五十二年五月十八日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 八百板 正君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 阿部喜男君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君       堀之内久男君    本名  武君       鈴木  強君    野口 幸一君       古川 喜一君    山花 貞夫君       大野  潔君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    青山  丘君  出席国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君  出席政府委員         郵政政務次官  綿貫 民輔君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     板野  學君         参  考  人         国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    増田 元一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     大島信太郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     鶴岡  寛君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 惇一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     宮  憲一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      井上 洋一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      笹本  昇君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件(国際電信電話株式会社の  事業)      ————◇—————
  2. 八百板正

    八百板委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  本日は、国際電信電話株式会社から、お手元に配付いたしました名簿のとおり、参考人の方々が出席されております。  この際、同社の事業概況について説明を求めます。板野参考人
  3. 板野學

    板野参考人 当委員会委員長並びに委員の諸先生方におかれましては、平素より国際電気通信事業に格別の御理解と御支援を賜り、また、本日は、当社事業概況を御説明申し上げる機会をお与えくださいまして厚く御礼申し上げます。  当社は、昭和二十八年の創業以来、満二十四年を経過しましたが、おかげをもちまして社業も順調に伸展し、今日では、世界のいずれの国と比較いたしましても決して遜色のない国際電気通信サービスを御利用いただけるようになりました。  当社といたしましては、今後とも世界各国との国際通信網拡充整備に努めますとともに、日進月歩とどまるところを知らない技術革新情報化社会進展に対応し、旺盛なる企業意欲をもって事業の運営に当たり、たゆまぬ研究と真剣な努力を重ねまして、国民の皆様方に、より一層御満足のいただけるサービス提供してまいりたいと念願している次第でございます。  つきましては、ここに昨年度事業概況を御報告し、引き続き、本年度事業計画を御説明申し上げたいと存じます。  最初に、昭和五十一年度における事業概況について御報告申し上げます。  まず営業関係でございますが、昨年度は全般的に不況のうちに推移したにもかかわらず、貿易が比較的順調に伸びたことを反映いたしまして、国際通信需要は当初の予想を若干上回る結果となりました。主要業種別年度末現在の概数を申し上げますと、国際電報四百九十九万通、国際加入電信一千九百七十七万度、国際電話一千九万度でありまして、前年度と比較いたしまして国際電報は四・九%の減少、国際加入電信及び国際電話は、それぞれ二一・八%、一七・八%の増加となる見込みでございます。  次に、財務関係について申し上げます。まず昭和五十一年度収支状況でございますが、いまだ確定的なことを申し上げる段階にはございません。したがいまして内定額を御報告申し上げますと、営業収益九百六億円、営業費用七百四十一億円、これらに営業外収益営業外費用及び特別損益を加減した期末の利益は、九十一億一千万円となりまして、おおむね順調な決算となる見込みでございます。  資産状況につきましても内定額でございますが、年度末現在におきまして総額一千四百六億円、そのうち流動資産は四百五十二億円、固定資産は九百五十三億円となっております。一方、負債総額は五百八十六億円で、そのうち流動負債は三百三十二億円、固定負債は二百四十六億円であり、差し引き純資産は八百二十億円となっております。  この間、設備計画も順調に実施してまいりました。昨年八月、加入電信用電子交換設備運用開始、九月には大阪国際電話局の開局、十月には日中間海底ケーブルの開通、本年一月には電話託送による電報自動受付システム運用開始、二月には電話用電子交換設備運用開始と、昭和五十一年度当社事業計画に掲上いたしました設備拡充整備計画は順調に実施することができましたことを御報告申し上げます。  以上で、昭和五十一年度事業概況報告を終わりまして、続いて本年度事業計画の概要につきまして、御説明申し上げます。  今後、わが国国際通信需要は、長期的には内外経済安定的発展と政治、経済文化等分野における国際化情報化進展を反映して緩やかながら着実な増大を示すものと考えられます。  本年度におきましては、このような需要の動向に対処し、多様化する利用者のニーズにかなったサービス提供するため、昨年度に引き続き、各種国際通信設備拡充整備に努めることといたしております。  なお、その実施に当たりましては、現有設備有効利用を図るとともに、緊急性経済性を十分に考慮して、できる限り効率的な設備投資を行ってまいる所存でございます。  すなわち、当社昭和五十二年度事業計画といたしまして、まず、対外通信回線につきましては、引き続き拡張に努めることといたしまして、加入電信回線百三十七回線電話回線百五十二回線を初め、電報回線専用回線等、総計三百二十二回線及びテレビジョン伝送対地対地を新増設する計画でございます。これが実現いたしますと、当社対外回線数は全体で三千四十八回線テレビジョン伝送対地三十九対地となり、国際通信サービスは一層の改善を見ることとなります。  次に、海底ケーブル施設拡充でございますが、沖繩ルソン香港ケーブルにつきましては、すでに昨年九月、ルソン香港間のケーブル敷設が完了しております。引き続き、すでに本年三月から、KDD丸によって、沖繩ルソン間のケーブル敷設に着手しておりまして、八月には、全区間が開通する予定でございます。  衛星通信施設につきましては、従来の短波による船舶通信に比べ格段に品質のよい海事衛星通信サービスを本年四月十八日より開始いたしました。当面は、米国マリサットシステムによりまして、海事衛星電話通話及び海事衛星テレックス通信サービス提供してまいりますが、昭和五十四年を目途に、国際海事衛星機構インマルサット設立準備が進められておりまして、当社政府の指定する事業体として、これに参加することとなりましたので、将来はこのインマルサットシステムを通じまして、よりよい海事衛星通信サービス提供に努力してまいる所存でございます。  中央局設備関係では、昨年度導入いたしました加入電信用及び電話用電子交換設備機能拡充を行うほか、新規サービスとして今後発展が予想される国際公衆データ通信サービスを開始するための準備手配、さらに国際航空データ通信用設備等を設置してまいる計画でございます。  通信非常障害対策としては、昨年九月運用を開始した大阪国際電話局設備整備拡充を行うとともに、東京−茨城間、第二マイクロ波連絡線設備の建設に着手する予定でございます。  新技術研究開発につきましては、各種通信方式研究に加え海事衛星通信システム回線情報処理システム、その他各種端末装置等研究開発を行うことといたしております。  また、新技術の導入、通信方式の変革に対応して、職員の能力開発と資質の向上を図るため、本格的な社内研修機関として、国際電気通信学園を設置するほか、各種訓練設備を整備する考えでございます。  以上の計画に対して、設備投資総額約二百二十九億円を予定しております。  最後に、昭和五十二年度収支でございますが、主要業務需要量国際電報四百九十五万通、国際加入電信二千三百八十三万度、国際電話千二百五十一万度と見込みまして、この予測のもとに、収入については約千九十七億円、支出については、さらに一層の経費節減に努めることといたし、約千五億円を予定いたしました。  簡単ではございますが、以上で事業概況の御説明といたします。  何とぞ、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  4. 八百板正

    八百板委員長 これにて説明は終わりました。
  5. 八百板正

    八百板委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
  6. 野口幸一

    野口委員 私は、いま御説明をいただきました国際電信電話株式会社事業概況報告に基づきまして、若干の御質問をいたしたいと考えます。順序が不同でまことにお答えがしにくいかもわかりませんが、お許しをいただきたいと存じます。  まず第一番目でありますが、昭和四十六年に公衆電気通信法が改正されまして、いわゆるデータ通信に関する条項が設けられたのでございますが、特に通信回線利用につきまして、この法律上の取り扱いはどのようになってきているかということについて、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  7. 松井清武

    松井政府委員 公衆法によりまして、データ通信回線利用につきましては種々の制限があると  ころでございます。
  8. 野口幸一

    野口委員 公衆電気通信法の一部改正によりまして多数の者が利用できるようになったわけでありますが、その利用の仕方というのは共同使用他人使用の面でいろいろ制限が設けられている、こういう趣旨でお答えになったと思うのでございますけれども、さらに、データ通信をめぐる技術開発利用増大というのは、最近非常にめまぐるしくふえておりまして、このような事実は回線利用の仕方をますます複雑にしてまいると思うのであります。通信情報処理境界線、これは今日非常に問題になっているところでありますが、いよいよ不分明なものになってきているというのが現状であろうと思うのです。こういった実情にありまして、郵政省としてこのようなことを考えた場合に、どのような点が最も問題点になるのか、どのような点が今後の施策上重要な課題となってくるのかという点についてお答えをいただきたい。
  9. 松井清武

    松井政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、データ通信発展に伴いまして、回線利用の仕方につきましても種々複雑になってきたわけでございます。したがいまして、通信情報処理境界線と申しますか、そういった点につきましても、いろいろ複雑な、不分明な点も出てきておりますような現状にあるわけでございますが、特に郵政省といたしましては、これら回線利用に当たりまして、わが国の基本的な通信秩序を乱すことのないように配意してまいりたいというふうに考えております。
  10. 野口幸一

    野口委員 ところで、その国際データ通信のために国際電電から回線を借りる場合に、他人使用基準というものは一体どのように考えておられますか、伺っておきたいと思います。
  11. 松井清武

    松井政府委員 他人使用基準につきましては、公衆電気通信法五十五条の十三によりまして郵政大臣がこれを認可するということに相なっておるわけでございます。
  12. 野口幸一

    野口委員 それで国際回線における現在の基準は、一つコンピューター一つ入出力装置で終始するものに限ってこれを利用する、これは正しいのですか。
  13. 松井清武

    松井政府委員 お説のとおりでございます。
  14. 野口幸一

    野口委員 それでいま郵政省から説明をいただきましたことによりますと、現行他人使用基準は、一つコンピューター利用する場合のみ回線他人使用を認めるということでありますけれども、これは、国際間の通信国際電電に専掌させるというわが国の基本的な通信政策が、データ通信によって乱されることのないようにしようとする配慮があらわれていると思うのでありますけれども、郵政省現行他人使用基準を改正するつもりがあるか、あるいはないのか、ひとつ伺いたいと思います。
  15. 松井清武

    松井政府委員 先生の御指摘にございましたように、国際データ通信にありましては、その回線接続されるコンピューターやあるいは入出力装置国際間にまたがるという特殊性のものもございますので、慎重に検討はしてまいらなければならぬところでございますが、現在におきましてはその基準を改正する考えは持っておりません。
  16. 野口幸一

    野口委員 それでは最後にこの問題について大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますけれども、データ通信という問題は、その将来が非常に大きく開けてまいる重要な課題でございます。大臣はどのようにこの問題を見ておられるか、またこれに対してどのような基本的な施策をお持ちか。御意見をひとつこの段階で伺っておきたいと思います。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 データ通信の出た当初、いろいろな問題を国内で惹起してまいりました。またそれによりまして、いろいろなコンピューター等等の問題もございますけれども、将来におけるデータ通信というものは、国内だけではなくて国際的な広がり、いわゆるグローバルな物の考え方の中に入ってくると思います。しかしその半面このようなデータ通信利用によって、いま松井君が申しましたように、日本通信網が混乱するようなことがあってはならないと思いますので、そういう意味では、今後とも私たちはこの問題については十分監視をしていきたい。  ただ、将来的に申しますと、データ通信と簡単に言いますけれども、一つの新しい技術というものが出始めますと、それに付随してまたいろいろなものが出てくる、非常に日進月歩でございます。そういう意味で、やはり技術面では新しいものを求めていくことが必要であろう。そういうようなことで、将来の展望については大変むずかしいものがございますが、現時点ではそのように考えている次第であります。
  18. 野口幸一

    野口委員 データ通信が将来に向かって進むに当たってのわが国施策の中心的な課題といいますか、そういうものをいま一通りお伺いしたわけでありますが、具体的にいまから先といいますか、将来に向かって恐らく問題になってくるであろうと思われる一つのものは、通信という分野情報分野との分け方といいますか、これを処理するに当たりましての分類のあり方ですが、これが非常にむずかしいと言われているわけでありますけれども、現在の段階において郵政省は、この分け方の基準というのですか、そういうものをお考えになっておればひとつお聞かせおきいただきたいと思うのであります。
  19. 松井清武

    松井政府委員 一般に業として他人通信を媒介するということは、本来、公衆電気通信業者専掌事項であるということにされているわけでございまして、これはいろいろな法制面から考えられるところでございますが、データ通信におきましても、そういった回線利用に当たりまして、単に情報の媒介をするというようなことば原則として認められないというふうに思っているわけでございます。しかしながら、今日の情報化社会を迎えましてこれらの利用というものを推進するに当たりまして、ある一定制限を設けまして、今日、そういった基準あるいは大臣の認可というような方法によりまして一部それを解除しておる、一部認めておるというような状況にあるわけでございます。  ただいま具体的な施策というものはございませんが、先ほど申しましたように、公衆法の五十五条に明示されております各種のそういった回線利用につきましての制限というものを十分慎重に考えながら、今後現状に即した対策を練ってまいりたいというふうに考えております。
  20. 野口幸一

    野口委員 明確にお答えいただけないのは残念なんですけれども、いまの段階ではちょっとむずかしい問題もあろうかと思いますが、今後他人使用を行う外資系に対する規制措置というものも必要でありますし、あるいはまた通信分野におけるところのキャリアの領域が当然あるべきでありますし、これらの問題を考えます場合、こういった外資系の進出を認める場合においてもキャリアを通じて行わせることが肝心であろうと思うのでありますが、その点についてさらに伺っておきたいと思います。
  21. 松井清武

    松井政府委員 いま御指摘の点はまことにごもっともと思う点でございまして、現在、KDDにおきまして、そういった外資系情報処理業者あるいはVAN業者等々の対処につきましては慎重に検討しておるところでございますが、KDDが直接その取り扱い利用にタッチするという面で進めておるのが現状でございまして、おおむねそういう方向に進むであろうというふうに考えております。
  22. 野口幸一

    野口委員 そこでKDDの方にお答えいただきたいのでございますが、データ通信サービス現況、いまどのような状況に置かれているかという点ですね。非常に大ざっばな質問でありますけれども、国際電信電話株式会社としてのいわば経営の位置づけと申しますか、その辺はどういう状況にあるかということと、さらに今後いわゆるビーナス計画というのをお立てになって、私も見せていただいたのでありますが、その内容を概説をしていただきたいと思います。
  23. 大島信太郎

    大島参考人 お答え申し上げます。  最初の御質問は、KDDデータ通信サービス現状がどうなっているかという御質問と存じますが、現在、KDDにおきましては、メッセージ交換を所定の電文形式によって行わせます国際オートメックス業務というものがその一つでございまして、これは昭和四十八年三月から実施しております。現在、利用顧客は十四社でございまして、さらに増加見込みがございますので、さらに拡張計画を持っております。  それから、同じオートメックスでございますが、これはいわゆる型にはまった一定電文形式でございませんで、お客さんの注文に応じたあらゆる電文形式によってメッセージ交換が行える個別システムサービスを五十一年十月から開始いたしました。現在提供中のシステムは一システムでございますが、さらにこのシステム増加考えております。  三番目としましては、専用線お客様にお貸ししまして、お客さん自身でデータ通信をやっていただく、いわゆる特定回線提供するサービスでございますが、電信回線といたしましては百三十八回線音声級回線といたしましては三十八回線、それから公衆通信回線、いわゆるテレックス利用していただくのが五回線、以上のものが現在提供しておりますデータ通信用回線でございます。  それから四番目には、日本外国の不特定多数の加入者相互間にデータ通信及びファクシミリ伝送を行う、いわゆる国際デーテルサービスというものを昭和四十七年三月から実施しておりまして、現在の取扱対地はアメリカとカナダだけでございますが、KDD加入者はすでに三十四社でございまして、今後さらに加入者拡大に努め、あるいは対地拡大を検討したいと考えております。  以上が現在行っておりますデータ通信サービスでございますが、先生質問の第二番目の、将来の新しい通信サービス計画、われわれこれをサービス計画と呼んでおりますが、それについて御説明申し上げます。  ただいままで申し上げました現況でいろいろなサービスを行ってまいりましたけれども、近年通信並びに情報処理技術が著しく進展いたしまして、現行サービスだけではお客様に十分満足いかない状態になってまいりました。さらにまた技術の高度の進歩その他がございまして、これからは単なるデータ通信ではなくて、コンピューターをつなぐデータサービスあるいはコンピューター端末あるいはコンピューターと機械というようないろいろなデータ通信が起こってまいります。それからさらに画像をハイスピードで送りますディジタルファクシミリ通信、これも一種のデータサービスの中に入ります。コンピューターから出ます出力を画像にして送る場合もありますし、画像そのもの通信もございます。KDDでは、これらの新しい利用に適した、便利で使いやすく、しかも高品質な新サービスを検討しておりまして、これをビーナス計画と呼んで、早ければ昭和五十三年度には始めたいと考えておりまして、鋭意進めておるところであります。しかし、御承知のように、われわれの通信サービス国際間にまたがるものでございますので、KDDだけがこういうものをやると言ったところで通りませんので、外国もこれに賛成していただかなければいかぬということがございますので、昨年この計画をもちまして欧米各国に提案をいたしまして、非常に必配いたしましたけれども、欧米諸国から絶大な支持の反応を得ましたので、各国ともこのKDDの案をべースにして、世界的な公衆データサービスと申しますか、そういうものを始めようという機運になってまいりました。それに力を得ましてわれわれはこのビーナス世界的にこれを骨子として広めていき、各国意見も聞きまして早急に実現していきたいと考えております。  それでは、このビーナス計画とはどんなものかということを簡単に御説明申し上げます。  これは、いままでの、申し上げましたような線貸しデータ通信をやるというようなサービスでございませんし、それから各社が自分の枠内で通信をやるデータサービスでもない。ちょうどテレックスと同じように加入型のデータ交換サービスである。だれでも加入できる。そしてどんな速い、と言うと語弊がありますが、非常に速いスピードから低いスピードまでの各種データサービスができる。それからお客さんのいろいろな要望にできるだけ沿うことができるようなサービスでございます。内容としましては、いわゆるアナログ通信と違いまして、符号通信サービスと言ってもいいでしょうが、一般にディジタル通信サービスでございます。それから各種コンピューター及び各種端末接続ができる。しかもこれは異なったコンピューター間でも接続ができる。いままでは同じコンピューター間でないとなかなか通信ができないという問題がございましたけれども、これによりますと異称コンピューター間でも通信ができるということで、問題が解決されております。それから非常に高速度まで使える、しかも高品質であるということでございます。これは品質の点で申しますと、十のマイナス七乗ですから、千万分の一のエラーで通信ができる。ですから現在テレックスなんかでやっております一万分の一の誤字あるいは十万分の一の誤字に比べてはるかに高品質サービスができるというものでございます。  それから料金につきましてはお使いになった量だけいただく、いわゆる従量制と申しますか、使われた通信量に応じて料金をいただく。専用線ですと、月間幾らというように月決め料金でいただいておりますが、これは使用量に応じた料金をもらいますという料金制度にいたします。  それから各種の付加サービスができます。これはたとえば自分の支社−本社だけを結ぶ通信ネットワークにしてくれ、ほかからそれには通信を打ち込むことができないようにしてくれと言われれば閉域ループの回線をこれによってつくることもできます。あるいはこういうような新しい方法の通信をやりたいからそれもできるかということに対して、できるだけその御要望に応じて付加的サービスをやりたいということでございます。  こういうようなサービスをもってとりあえず開始したいと思っておりまして、対地及び開始時期につきましては、これも外国通信事業者との関係がございますので現在はっきりいたしておりませんが、現時点では、昭和五十四年の初めごろ、昭和五十三年度中には始めたい。それからとりあえずは欧米諸国との間で開始いたしまして、順次東南アジアその他に拡大していきたいと考え、現在鋭意諸準備を推進中でございます。  以上でございます。
  24. 野口幸一

    野口委員 非常に詳しく御説明いただきましたので結構なんでありますが、ともすれば逓信委員会の中でこういう資料をいただく機会が余りございませんので、この機会に、どんどんと進んでまいりますから私どもも頭を切りかえなくちゃなりませんので、勉強する資料をぜひともお出しいただきたいということをお願いをいたしておきます。昨今ちょっと見せていただきまして、非常に進んだ計画をされていることをつぶさに伺って、実は内心驚いておるのでありますけれども、そういったものを私どもがいろいろと検討させていただく場合に、資料そのものが余り私どもの方に提供されていない向きがございますので、ひとつその点をちょっと付加してお願いをいたしておきます。
  25. 大島信太郎

    大島参考人 できるだけさようにしたいと思います。
  26. 野口幸一

    野口委員 昨年、電電公社の料金の値上げに伴いまして国際電信電話料金などが値上げされましたが、その値上げの必要性とその具体性が私にとって若干疑問があるのであります。かつて社長は、国際電電というのは値上げをしない歴史が延々と続いておって、これがまた一つの自慢なんだ、こういうことを答弁された国会の記録が残っておるわけでございますが、今日国際電信電話料金も値上げをしなければならない、その具体的な理由と、それからその必要性はどこから生じてきたものかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  27. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  この値上げの理由と申しますか必要性には大体二つございます。  一つは、電電公社の値上げによりまして国内電報料、電話料が上がった、そのために国際料金とのアンバラが生じたということでございます。たとえば電電公社で扱っております国内の欧文電報はいままで二十円でございましたのが今度八十円になる。しかるに、たとえば私どもの韓国に対する国際電報は四十円であったというわけでございます。そうしますと、これはもうだれが見てもはなはだおかしいということでございます。韓国との対比は一例でございますが、そういう点について是正をいたしたわけでございます。それからもう一つは、電電公社の値上げによりまして、私どもが電電公社に委託をしております国際電報取り扱いでありますとかその他が値上げになる、委託の取り扱い費が値上げになる。と申しますのは、委託の手数料というものをいわゆる料金べースでやっておるわけでございます。料金が上がれば手数料も上がる。そういうようなわけで、電電公社の値上げによりまして直接に私どもの手数料が相当額はね上がる、それに対応しての値上げの必要性もある。大体その二つが理由でございまして、いわゆる増収を目的とした値上げのための値上げではないというようなことでございます。  以上が値上げの理由ないし必要性でございます。  具体的内容についてお尋ねでございます。簡単に申し上げますと、私どもといたしましては、先ほど第一の理由に挙げました料金の国内国際のアンバラ是正のために、近隣の対比でございますが、たとえば韓国、香港、グアム、フィリピン、台湾、マカオ、朝鮮等あての料金を一語百円に改定いたしております。五十一年の十二月一日からでございます。なおまた、国際無線電報の料金につきましても、これは五十二年の二月一日からでございますが、国内部分を一語百六十円に改定いたしました。これも内国の欧文の無線電報料が一語百六十円になりましたのとバランスをとるためでございます。  さらにいわゆるテレックス端末設備料でございますが、電電公社の同じ国内テレックス設備使用料が一万五千円から三万円になりました。私どももそれに相応して同比率の値上げをいたしたわけでございます。これは五十一年の十一月十七日からでございます。  大体そういうようなものが電電公社の値上げに関連する私どものいわば対応措置でございました。
  28. 野口幸一

    野口委員 その御説明を聞く限りにおいてはそれで納得をせざるを符ないわけでありますけれども、およそ料金を値上げするという立場からの議論をいたしますならば、よそが上げたからおれのところもそれに関連をして上げなければならないのだという理由だけで料金を上げていくということについては、若干利用料金という立場を——一つの会社が存在をしておって料金を決めている。しかし、それに関連する部分が上がってきたからといって、即座に自分のところの経営収支にかかわりなくそれを実施をしていこうという姿勢そのものには若干疑問があるような気がしてならないわけであります。そうしますと、今後電電公社の料金の動きによって国際電信電話も動くのだということについて何か先鞭をつけられたような形を感じるわけでありますが、この点、将来的に料金体系、料金の持っていき方について、これからデータ通信関係もいろいろございますが、どういう基本的なお考えになっているでしょうか。その点ちょっと伺っておきたいと思います。
  29. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 その点につきましては、電電公社が値上げをするからそれに即応して値上げをする、あるいはしなければならないということは考えておらないわけでございます。ただいま申し上げましたように、韓国向けの電報の方が国内相互間の国内料金よりもはるかに安い、その半分になったというようなことは、やはり利用者にとってはなはだ不公平あるいはまた不均衡を感じさせる問題でございます。そういうような考え方から是正をいたしたわけでございます。今後におきまして私どもの国際料金と申しますものは、これは事業の経営状態も一つのファクターでございますが、その他諸外国との料金のバランスをとるというか、諸外国との話し合い、そしてまた過去の習慣を重んじながらそういうような措置をとっていくわけでございまして、電電の値上げに即応するという考えはないわけであります。
  30. 野口幸一

    野口委員 それでは次に移ります。  法の改正によりまして、国際通話料金を滞納した場合に通話停止の措置をすることになっておりますが、これはKDDと電信電話公社とが協議をすることになっております。これは現状がどのようになっているかということと、さらに最近非常に多くの滞納があるということを聞いておりますが、幾らぐらいに上っているか、このことについて伺います。
  31. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、法の改正が実施されましたのに伴いまして、KDDと公社との間において協議が行われました。その協議も最近ようやくまとまった次第でございます。この協議の内容といたしましては、いろいろ問題がございまして、たとえば電電公社さんにとっては従来なかった新しい仕事が加わるので、それに対する保障をどうするか、あるいは滞納されたお客さんがその後料金をお払いになったときに通知がおくれたために通話停止の解除がおくれるというようなことがないようにするにはどうしたらいいかというような、非常に細かい詰めがございましたために、かなり時間を要したわけでございますが、ごく最近におきまして協定が成立いたしまして、五月一日から実施されておる次第でございます。  なお、滞納の状況につきましては笹本参考人から申し上げたいと存じます。
  32. 笹本昇

    ○笹本参考人 先生の御質問の最近の滞納状況についてお答え申し上げます。  電信関係の料金滞納につきましては、電話に比べきわめて良好でございまして、問題がほとんどありませんので、電話関係の滞納について申し上げますと、五年前の昭和四十七年三月末における支払い期限経過後六カ月以上の国際電話料金の累積滞納額は六億六千六百万円でございましたが、五十二年三月末におきましては、これが十九億四百万円になっております。滞納額としましては需要増大等に伴って数値的に約二・九倍ぐらいに増加しておりますけれども、これは取り扱います国際電話のトラフィック量が三倍半強に増大しておりまして、むしろ回収率でこれを比べてみますと、六カ月目の時点におきます回収率は五年前の四十七年三月末におきましては九五・九%という値でございましたが、その後滞納料金の回収率改善のための諸施策の効果と関係職員の努力によりまして年々向上いたしまして、五十二年三月末では九七・三%となっております。  以上でございます。
  33. 野口幸一

    野口委員 滞納に対する努力をしておられるということは伺っておるわけでありまするけれども、一般の国民が見た場合に、あるいはまた関係者が見た場合、滞納額が二十億近いということについて、その金額を聞いただけでびっくりするわけであります。この内容等については、もちろん他の一般の滞納なりあるいは未収金というような関係では理解をしがたいというものがあることは理解をいたしますが、なお一層滞納を解消していくための努力というのはさらに続けていただきたい。具体的なものを新しく本年度においてお考えになっているのかどうなのか、従来どおりを踏襲してやろうとしておられるのか、新しく意欲を出して違った方面で施策を出そうとしておられるのか、その辺のところがありますならばお伺いをいたしたい。
  34. 笹本昇

    ○笹本参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、滞納額の増加はトラフィック量に応じてふえることばある程度避けられないと思いますけれども、現状に決して満足することなく、ただいま木村参考人からも申し上げましたように、電電公社と連絡いたしまして、通話停止の措置をここに取り入れますとか、あるいは現在も二カ月以上の滞納に対しましては通話取り扱いの停止をやっております。これをさらに一層強化いたしますとかあるいは収納督促体制を整備する法的措置の強化ということで、現在よりもさらに回収率を上げるように一生懸命努力してまいるつもりでございます。
  35. 野口幸一

    野口委員 通話停止関係についてはちょうど話し合いがついたようでございますけれども、電電公社の側としても、この問題についてはいろいろと意見を言っていた経緯があると私も聞いております。したがいまして、ことしの五月から通話停止関係について一応の協議がついて軌道に乗ったと言われるのでありまするが、理解をいたしますが、これまた後ほどで結構でございますから、協議をやって、どういう形でやっていくのかという書き物がございましたならば、ぜひとも私どもにお示しをいただいて参考にさしていただきたいと思います。
  36. 木村惇一

    ○木村参考人 かしこまりました。御要望に沿いたいと思います。
  37. 野口幸一

    野口委員 次の問題に移ります。  日本と台湾の間の海底ケーブル建設構想があるようでありますが、それはどういうものか。既設の東南アジアカーブルの一環であるOLUHOの関係とはどういう関係にあるのか、この辺ちょっと伺っておきたいと思うのであります。
  38. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  日台間の通信につきましては、現在非常に数量が多うございまして、電話につきましては、韓国、米国次いで第三位でございます。また、テレックス等は第七位でございますが、電報は第四位に位しておるというように、非常に通信量が多うございます。  一方、日台間の通信は、ただいま衛星回線だけでこれを行っておる、こういう状況でございまして、通信上、衛星にいろんな故障があるとか支障がありますればもう他の通信にはかえられない、無線はもちろんぐあいが悪い、こういうことでございまするので、やはり私ども事業といたしましては通信の安定的なサービスをいたしたい、こういうようにかねてから考えておりまして、ずっと以前はさらにマイクロで結ぶとかあるいは散乱波通信、いま韓国との間でやっているOH通信で結ぶとかあるいはケーブルによるとか、いろんなことが検討されてまいってきたわけでございまするが、ごく、昨年度ごろからやはりケーブルによって代替ルートをつくるというのが一番安定したよい方法であるということになった次第でございます。これは国際的に見ましても、ケーブルと衛星を両々使いまして、そして通信の安定を期するということが、大体いままでの方法となっておりまするので、私どもといたしましては、ケーブルを敷くということが一番いい方法ではないかと考えておった次第でございます。  そういう点につきまして、昨年度、アメリカのAT&丁会社の方も、台湾と米国との通信量は日本に次いで多いわけでございますけれども、通信の安定を期するためにはぜひ何らかの方法を講じたい、自分の方ではケーブルを敷くということが一番いいように思う、自分たちの方は台湾と日本間を最初結んでいくという方が通信網として非常にいいと思われるが、どうであろうか、ただし、日本側が非常に都合が悪ければ、米国としては台湾とグアムの間を結んでいきたいと思うが、KDD意見を聞きたい、こういうような申し出もございまして、以後私どもといたしましては、事業の立場から、台湾との間でケーブルを敷くとすればどういう方法がいいかということを現在まで検討してまいっておる次第でございますけれども、これは御承知のようにいろいろな国際間の問題もございますので、郵政省の方にも連絡をいたしまして御指導を仰いでおるというのが現状でございます。  それからもう一つ、御質問がありました東南アジアケーブルとの関係はどうかということでございますけれども、最初東南アジアカーブルがいまから十四、五年前に日本を中心として計画された場合には、このケーブル計画の中に実は台湾関係も入っておったわけでございますが、その後台湾の方はこの計画から外れてまいりました。しかしながら、台湾の方は現在高雄から香港、それから高雄からフィリピンにいまのOH、散乱波通信というものがございますから、その方面を通じまして、私どもが現在敷いております沖繩ルソン間のケーブル、沖繩香港間のケーブルにつなげるということはできるわけでございます。  それからもう一つ、東南アジアケーブルの件でございますけれども、ルソンとシンガポールと結ぶケーブルの計画、それから香港とシンガポールと結ぶ第二SEACOMケーブルと申しますか、これはイギリスが持っておるケーブルでございますが、この二番目のケーブルを敷くというようないろいろなことが検討されておりましたけれども、ASEAN五カ国におきまして南方の方のケーブル計画というものができまして、その計画によりますと、ルソンとシンガポールを直接に結ぶというのを取り上げることになっております。このルートは以前、十何年前に考えておりました日本計画と一致するルートでございますので、私どもといたしましては、こういうASEAN五カ国のケーブルルートにはぜひ賛成をいたしまして、できるだけの協力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上、御説明申し上げます。
  39. 野口幸一

    野口委員 それでは、日台の海底ケーブルの敷設というものは直接的にはOLUHOケーブルとは関連なく進める、こういうことに理解していいのですか。
  40. 板野學

    板野参考人 そのとおりでございます。
  41. 野口幸一

    野口委員 その次に、同じくケーブル関係でありますが、第二太平洋ケーブルの運用状況と、それから沖繩−本土間の海底ケーブルの建設構想がちまたでいろいろ話を聞かされておりますが、一体今日の段階においてどういう状況にあるのかということをちょっと御説明をいただきたい。
  42. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 第二太平洋ケーブルは昨年の一月に運用開始しております。現在沖繩経由によりまして米本土—ハワイ−オーストラリアとの間に四十八回線運用中でございます。そういう状況であります。  次に、沖繩−本土間の海底ケーブルの問題でございますが、これにつきましてはこの委員会でずいぶんと取り上げられた問題でございますが、当時から沖繩−本土間のケーブルを国際電電といたしましてはぜひつくりたい、つくらなければならないと思っておったわけでございますが、いまお尋ねのように、第二太平洋ケーブルが沖繩一つ端末として、そしてまたことしの八月には、先ほど話が出ましたいわゆるOLUHOケーブルと申しますか、沖繩からフィリピンのルソン島、そして香港に行きますケーブルが開通いたします。またその先もいろいろ計画があるようでございます。そうしますと、沖繩を経過する回線の数が非常にふえてくる。そういたしますと、もうこの問題はいわば焦眉の急となりまして、急いで建設をしなければならない問題になっております。と申しますのは、一つは、私どもまだ沖繩と本土の間にケーブルがございませんので、電電公社から回線を借用いたしておるわけでございます。私ども自体がつくりますと、それがいわゆる経費の面で経費的に非常に安くできるということもございますが、同時にまた、国際的にこれを見ましても、たとえば第二の太平洋ケーブルを沖繩に揚げますときに、やはりなるべく早い機会に沖繩と本土との間にケーブルをつくって、そしてそこにいわゆる所有権に似たような非常に強い使用権を設定さしてくれ、そういうことにしようという議事録もございますし、また沖繩から先ほど申します東南アジアケーブルの北の部分でございますOLUHOケーブルの場合にもそういう一つの申し合わせのようなものがございまして、特に沖繩ルソン、そして香港ケーブルのパートナーでございますフィリピンの会社あるいはイギリスのC&W等に至りましては、ことしの秋に運用を開始しますが、それから三年内に沖繩−本土ケーブルが使えるようにならないならば、自分たちはもうそういう沖繩−本土ケーブルができたとみなして、そしてその場合の使用権相当の額しか払わないというような強硬なことまで言ってきております。  そういうような関係でございまして、私どもとしましては、これを最近のうちに、早急にひとつ解決を見たい。そしてそのためには、郵政省の御指導も仰ぎ、また日本電電公社の御了解もいただいてそういうことに取り運んで、私どもの経営のためにも、また対外的な立場からもこれをひとつ建設をしたい、そのように考えております。
  43. 野口幸一

    野口委員 理解をいたしました。  その次に伺いますが、これは昨年でありまするけれども、一時話題となりました日本とベトナムの直通電話回線の設定でありますが、原則的にこれはもう発足をしたわけでありますけれども、本年度の対外回線の設定計画の中に入っているようでありますけれども、これの実施に当たりまして、政府といいますか、郵政省並びにKDDはどのように現在進めていられるか、進捗状態をひとつお聞かせいただきたい。
  44. 木村惇一

    ○木村参考人 初めにKDDからお答え申し上げますが、日本とベトナム社会主義共和国との間の通信は、現在直通回線がございませんために、中国あるいは香港を経由いたしまして電報を、中国中継で電話を、それぞれ取り扱っておる次第でございます。現在の取り扱い量は、平日平均で、電報が、発信のみでございますが約百通、電話は一ヵ月平均約三十度、これは発着合計でございます。  ただいま先生指摘のとおり、両国間の通信は今後さらに増加することが予想されますので、直通回線の設定計画につきましては、私どもは鋭意努力し、再三再四にわたってベトナム共和国に申し入れている次第でございますが、いままでのところ、これに対して同意の回答は得ておりません。私どもといたしましては、所要機器の提供技術者の派遣等についても協力いたしたい意向でございまして、政府御当局の御指導のもとに、引き続き直通無線回線の開設を目指して積極的に努力を進めていきたい、かように思っております。  一方、従来旧サイゴンにございました直通回線は、当時短波無線で電報回線、電話一回線テレックス回線がございましたが、昭和五十年四月三十日以降この回線は全回線とも通信が途絶しております。私どもの方としては、先方さえ応ずればいつでもこの回線を復活できるよう、依然としていま電波は出しておる次第でございますが、いまのところまだ先方から何の応答もないという現状でございます。
  45. 松井清武

    松井政府委員 郵政省といたしましても、ただいまKDDから答弁がございましたように、ベトナムとの直通通信回線の設定につきましては、今日までも積極的にその設定についての申し入れをしているところでございまして、今後とも引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 野口幸一

    野口委員 そうすると、本年度の対外回線の設定計画の中に入っているように聞いておるのですが、入っていないのですか。入っているのですか。入ってはいるのだけれども、向こう側が同意しないからまだ実施の段階になっていない、こういうことですか。
  47. 木村惇一

    ○木村参考人 先生指摘のとおり、私どもとしてはできればこの直通回線を設定したいという希望のもとに計画の中に入っているわけでございますが、何分相手国のあることでございますので、果たしてこの計画がそのとおり実現できるかどうか、なるべく実現するように努力したいという意味計画に入っているわけでございます。
  48. 野口幸一

    野口委員 あと二、三点ちょっとお聞きいたします。  郵政省では、従来使っておりました銅にかえて、アルミニウムを使用した高品質低価格の新海底同軸ケーブルシステム開発を行うようになってまいりましたが、その進捗状況開発の体制及び現在の銅とアルミの経済比較、この点についてひとつ伺っておきたいと存じます。
  49. 佐野芳男

    ○佐野(芳)政府委員 郵政省では、御存じのように昭和五十年度から大型のプロジェクトといたしまして新海底同軸ケーブルシステム研究開発というのを始めまして、当初計画は三年の予定でございましたが、諸般の事情から一応四年間ということで、五十三年度にこの開発研究計画が完成する。  方式の概要でございますが、新海底同軸ケーブルというのは、先ほど先生も御指摘のように、海底ケーブルの従来の内部導体、外部導体の銅というのを、外部導体だけアルミに置きかえる。内部も置きかえますと非常にロスが多くなりまして経済性が損なわれるということで、外部だけ置きかえるというやり方でございますが、方式の概要は、伝送の方式といたしまして使用周波数帯域は十二メガヘルツ方式、伝送チャンネルは三キロヘルツバンドの電話一チャンネルと換算いたしまして千六百チャンネルとし、それから最大方式長、一番長い敷設距離でございますが、三千ノーチカルマイルですから七千キロをちょっと切れますか。  それから最大の水深、これは約五千メートル。大体世界各国で六千見ておけばいいと言われていますが、大体五千メートルを考えております。  それからケーブルの太さですが、いわゆる一・五インチケーブル、三十八ミリでございます。無外装ケーブルでございます。  それから、いわゆる平均の故障発生間隔、これは専門用語ではMTBFと申しますが、十年——十年に一回しか故障が出ないぐらいの非常に高品質のものだということでございます。  現在の進捗状況でございますが、五十年度、五十一年度いろいろ基礎的な検討、研究をいたしまして、五十一年度末におきましてこの主体をなしますケーブルと、それから中継器などに関しましての基礎的な研究開発予定どおり終わりまして、その開発目標も当初の目標を達成といいますか満足する結果を得ております。この研究結果を実際に確認するために来年三月末、五十三年度に現場試験というものを計画しておりますが、そのための機器、ケーブル等の製造、それから現場試験のための準備を現在進めておる段階でございます。  それから第二にお尋ねの経済比較の問題でございますが、そもそもこの新方式のケーブルの開発を思い立ったのは、銅が現在世界じゅうでも三億トンぐらいしかないということで、あと二十年で枯渇するのではないかと言われておりますし、アルミの方は三十九億トンあるそうで、これはそれでも四十数年間もつのじゃないか。それからもう一つは、銅の価格が非常に乱高下いたしますので、そういう省資源という意味で、銅の値段が高かろうとも安かろうとも、やはりアルミを使ったケーブルを開発しておく必要がある。それから、世界市場でこういう海底ケーブル方式の応札をやる場合に、英国のように、両方のケーブルを持っているC&Wなどにはこれがないと対抗できないケースも間々ありますので、そういう意味で国策としてこういう技術開発しようということで始めたわけでございます。  経済比較というのは、基本的には銅とアルミの値段の比較になりますけれども、それだけでは非常に銅の値段が上がったり下がったりいたしますので、現在では銅が恐らくトン当たり三十九万で——ということはアルミが非常に下がっておりまして、アルミの方は三十三万円ぐらいでしょうか。だから、いまその比率が非常に接近しておるわけです。ひどいときには銅の価格が二倍、三倍になることもあるのでございますけれども、現在は安定しておるといいますか接近しておるわけです。比較の仕方というのは非常にむずかしいのですけれども、先ほど申し上げましたように、価格のこともありますけれども、要するに少ない銅を豊富なアルミに置きかえて使用した方が世界の資源の立場からもよろしいですし、それから国際競争力をつけるということからもよろしい、こういうことでございます。  もちろん銅とアルミの置きかえだけではありませんで、その他カップリングだとかケーブルのほかの部分だとか中継器等において、従来の経験を生かしましてでき得る限り経済化を図っていきたいということで、これはパーセンテージで申し上げるのは非常にむずかしいのですけれども、目標といたしましては五ないし一〇%価格安ということでやっております。
  50. 野口幸一

    野口委員 それではさらにちょっとお聞きしておきますが、この現場試験に対する試作品はことしじゅうにでき上がるのですか。
  51. 佐野芳男

    ○佐野(芳)政府委員 はい、でき上がります。
  52. 野口幸一

    野口委員 時間がありませんので、ちょっと飛ばすということではないですが、伺ってまいります。  海事衛星関係について若干伺います。  先ほどの御説明にもありましたように、これからの通信網のさらに充実強化のために海事衛星が重点的になってくるということについても伺いましたし、その重要性も伺っておるのでありますけれども、インマルサットに関する条約が国会に提出されましたけれども、その国会提出に至る経緯というものをちょっとお聞かせをいただきたいと存じます。
  53. 松井清武

    松井政府委員 国際連合の専門機関でございます政府間海事協議機関、IMCOと申しておりますが、この協議機関におきまして昭和四十年以降船舶と陸地の間の通信あるいは船舶と船舶間の通信につきまして、従来主として短波で行われているわけでございますが、衛星通信技術発展に伴いまして海事通信を改正するために、これら衛星通信技術を海事通信に導入することにつきまして検討してまいった次第でございます。昭和四十九年に至りましてこのIMCOの総会におきまして、ただいま先生指摘国際海事衛星通信機構を開設することを決議した次第でございます。  この決議に基づきまして昭和五十年以降インマルサットを設立するための政府間の会議が三回にわたって行われたわけでございますが、結果といたしまして昨年の九月、この条約の最終案文につきまして合意に達し、この条約は昨年九月三日以降署名のために回付をされた次第でございます。  わが国といたしましては、海事通信の改善に対するインマルサット設立の意義を認めまして、本年三月二十二日、条約に署名を行い、現在承認を得るために今次国会に提出をした次第でございます。
  54. 野口幸一

    野口委員 インマルサットは、インテルサットと比べまして組織の面につきましてはどういったところが異なっているのかという点についてお答えいただきたいと思います。
  55. 松井清武

    松井政府委員 インマルサットの組織につきましてはおおむねインテルサットの組織に準じてそれぞれ構成されたわけでございまして、すなわちすべての締約国の代表からなる総会、上位の出資率を有する署名者当事国または署名者当事国の集団の代表及び地理的地域を代表する署名者当事者からなる理事会並びに理事会に対して責任を負う事務局から構成されておるわけでございまして、インテルサットにつきましては、これ以外に署名当事者総会が設置されている点が異なる点でございます。
  56. 野口幸一

    野口委員 わかりました。  それで、当面アメリカのマリサットシステムに参加をすることになっているわけでありますが、この実験の結果ばいまどのような状況にあるのでしょうか、ちょっとそれだけお聞きしておきたいと思います。
  57. 宮憲一

    ○宮参考人 お答え申し上げます。  マリサットシステムが一般公衆通信のために提供されるわけですが、何しろこれは初めての経験でございますので、私どもは、昨年七月から八月にかけましてコンテナ船の鞍馬丸を使いまして、それからまたもう一つはケーブル船のKDD丸に施設を置きまして九月から十月にわたって二回の船上実験を実験局の免許をいただきまして行いました。  それからまた先般五月十二日にこのマリサットシステムを使いました通信の開通式をいたしましたが、そのときも皆様に実際の通信の状態をお聞きいただいたわけでございますが、電話につきましては大体満足すべき結果が得られております。非常に明瞭でございまして、現在は一回線しか提供されておりませんので、手動接続でもっていたします関係接続に数分ぐらいかかりますけれども、大体良好な結果が得られております。  それからテレックスにつきましては、標準の一万字につき一字の誤字以下でございまして、これもまた実用には十分なる確信を得ておりません。以上でございます。もまだ実用には十分なる確信を得ておりません。以上でございます。
  58. 野口幸一

    野口委員 大体私の伺うことが終わりましたので、KDD関係する質問を以上で終わりますが、一つだけこの機会に大臣に伺いたい問題がございますので、委員長、よろしゅうございますか。  実は、全然国際電信電話関係とは別のことでございます。大臣にちょっとこの機会をかりてお伺いいたしますが、去る十二日、郵便貯金の原資から直接貸し付けをする一般小口消費者ローン、こういう仮の名前をつけられまして、アピールされました一般融資制度の問題について伺いたいのでありますけれども、郵政省がいま考えておりまする、郵政省というよりも郵政大臣がお考えになっているこの融資制度、原資総枠六千億に及ぶ小宮山構想なるものは、一体どういう形で実施しようとなされておるのか、考えておられるのか。単なるこれは参議院選挙に向けてのアピールであるのかどうなのか、その点も含めて、明快にひとつお答えをいただいておきたいと思います。
  59. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 大変日本経済の危機だと思いますけれども、日本経済新聞の記事だと思います。二%という数字をどこで掛けるかということで問題があります。三十兆に掛けますとそのような数値になるのであって、本年度目標額の六兆二千億に掛けますと千二百億という数値になる。単年度で計算するのか、総預金量で計算するのか、その辺の問題がございます。私はそれはちょっとミスリードであろうと思います。これは私が会ったということの話ですけれども、それはそういう話の中でそういう話をいたしました。しかし、三十兆というものが現実に七年ごとに動いておるわけでございますから、では、それが幾ら大きければいいかというと、そうではない。私は先生方にぜひお願いしておきたいのは、毎年、郵貯が目標額を超えております。いわゆる伸び率は非常に落ちてきております。二一、二%、五十一年は一七ぐらいに落ちたはずでございます。そういう落ち方でも、全金融機関から全部落ちてきたというようなことから考えてまいりますと、それでも目標額より上回る問題がございますので、やはり目標額の二%ぐらいのところを、財政投融資の資金運用部資金を変えなくても、大蔵省と一緒になって緊急避難的な考え方で使えるという考え方。先ほどの六千億という数字でございますけれども、これは基金としてというようなことで、金利その他のことを考えてもそういうようなことにはいかないだろうと思います。それよりも毎年毎年の目標額の幾らかを、入学期の中学生、高校生、大学生を抱えて大変困っておられるお母さん方に、近くの窓口でお貸しができるのを、どのくらいの年度で、どのくらいの利率で、どのような形で貸すかという問題を、やはりいま郵政事務当局で検討をしているところでございます。特に今回郵政審議会でいただいた答申には、速やかに直接的な融資方式を検討すべきである。と書いてあります。これは大変問題になりまして、いろいろな文字の使い方もございましたけれども、ゆうゆうローンしかやっていないのではないか、だから直接的なことをやりなさいということで、暗に何人かの委員の方はいわゆる奨学資金を指していらっしゃって、ここはしょっちゅう大蔵委員会で使っている部屋ですけれども、大蔵事務次官は、できないことについては検討しない、ですから、前向きに検討いたしますという郵政審議会の中で発言がございますので、私も聞いておりますし、大ぜいの方が聞いておりますし、これは速記録がございますから、ぜひ皆様方にもお力を借りて、いいことはイデオロギーを超えてどしどしやるのだというのが私の考え方で、先生のおっしゃるような選挙公約だというような、細かい、つまらないことで私は考えておりませんので、何とぞ御協力のほどをお願い申し上げておきます。
  60. 野口幸一

    野口委員 私はその意味では大臣を信頼いたしておりますから、ぜひともこの実現については私ども、この郵政事業の中で、特に郵便貯金事業の中で直接的な貸し付けといいますか、融資制度を持つということについては基本的に賛成の立場であります。  ただ、やり方いかんによっては、この問題がゆうゆうローンその他の関係に付随をいたしまして大きな問題となり、ひいてはこれが預金者のためでなくてその他のためになってしまうというようなことになってはならない。あくまでも預金者のための利益につながるものであるということだけは忘れないでいてもらわなければならないということと、それからこの貸し付けの原資の額が大きくなればなるにつれて、あらゆる面において対銀行の問題も出てきましょうし、あらゆる問題で大きな風当たりが出てくる。これに当たっても郵政大臣が、郵貯にも融資制度というものを設けるべきなんだという毅然たる姿勢を崩さないで、単なる見せかけ的な、その場限りのものであってはならない、将来を含めて検討していくのだという姿勢を堅持をしてもらいたいということをさらに申し添えておきたいと存じます。  以上で私の質問を終わります。
  61. 八百板正

    八百板委員長 山花貞夫君。
  62. 山花貞夫

    ○山花委員 本日、KDD事業概況報告を伺いました。この内容に関連いたしまして、野口委員に引き続いて若干のお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、本日の事業概況報告内容についてお尋ねする前に、きょうの報告書を見ても余り触れておらないところでもありますので、KDDの人的構成と申しましょうか、企業の実態を知る意味においてその点をお伺いしておきたいと思うのですけれども、現在の従業員数、平均年齢、男女の別、平均賃金、所定労働時間、男女別の平均勤続年数、こういった関係についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  63. 井上洋一

    ○井上参考人 お答え申し上げます。  最初KDDの従業員数、そういうものから申し上げます。昭和五十二年三月三十一日現在におきます従業員数は、男子四千三百九十六名、女子一千三百四十一名、合計いたしまして五千七百三十七名でございます。次に平均年齢でございますが、男子は三十九・〇歳、女子は二十八・四歳、全従業員の平均では三十六・五歳となっております。  また、平均勤続年数、これは男子は十九・四年でございます。女子は七・八年でございます。全従業員の平均では十六・七年になっております。  次に、労働時間、こういうものにつきまして申し上げます。  労働時間は一週間につきまして四十時間でございます。ただし、警備員とか自動車運転手、あるいはその他雑務の関係がございますが、これにつきましては一週間に四十三時間でございます。  次に、年次休暇、そういう関係の問題につきましては、入社当初は初年度に十日間が与えられます。二年目には十六日でございまして、以後勤続年数が一年増すごとに一日ずつ加算されていくということになっておりまして、勤続六年目には二十日ということになります。そうしてそれ以後はずっと勤続に関係なく一律に二十日ということになっております。  以上の状態でございます。
  64. 山花貞夫

    ○山花委員 いまお伺いした中で、所定労働時間、大方四十時間である。その他一部四十三時間の者もある、こういうお話でした。  四十三時間の警備員、運転士さん、あるいは雑務という関係については、いわゆる監視断続労働の部類に属する人だけではないようにも思うわけなんですが、大体全体の従業員の中で四十時間労働の方と四十三時間の方、どのくらいのバランスになっているかということについて、もしおわかりでしたら御説明いただきたいと思います。  もう一つ、いまの御説明に関連して、年休については大体相場、標準ということだと思いますけれども、問題は年休の取得、消化状況というところにあると思うのですけれども、その点についても関連して御説明いただければと思います。
  65. 井上洋一

    ○井上参考人 申し上げます。  最初に、警備員とか自動車運転手、雑務の関係のことでございますが、これはもうごくわずかの人員でございまして、後ほど詳細の人員を申し上げますが、ごくわずかでございます。ほとんどが大勢四十時間の者でございます。  次に、年次休暇の事情につきましてちょっと申し上げます。  これは各事業所とも完全に近い状況にとっておりまして、たとえば東京国際電話局におきます昨年度状況について見ますと、管理者を除く職員、これは九百十四名でございますが、このうち完全消化した者は九百名、パーセンテージにいたしますと九八%でございます。残りの十四名というものがなぜとれなかったかと申しますと、残りの十四名は課長代理というような仕事をやっておりまして、しかしこれとても一人当たり平均一日程度が残るということで、ほとんど全部の年次休暇を消化することができております。  最初に戻りまして、ちょっと先ほど申しました四十三時間の断続勤務の関係の警備、自動車運転関係を申し上げますと、自動車運転の関係で十九名、警備で七十八名、その他雑務関係七名でございまして、五千七百三十七名中合計して百四名でございます。  以上でございます。
  66. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの御説明いただいた中で、ひとつ大臣にも別な機会にお尋ねしますので御記憶いただきたいと思うのですけれども、五千七百三十七名のうち、百四名のいわゆる監視断続労働の人を除いた皆さんが四十時間労働である。これはいわゆる郵政省関係その他の時間短縮とか週休二日の問題とも関係してくる部分でございますので、また機会を改めてその点については御質問させていただきますけれども、KDDの四十時間相場という実情にあるということについては、ひとつ御記憶いただきますよう希望申し上げる次第です。  なお、もう一つ二つだけ伺っておきたいと思うのですけれども、先ほど現在の労務構成について大体のお話しいただきましたけれども、きょうの御説明によりましても毎年度事業が順調に成長しているということの中で、採用の人員の関係ですけれども、採用の人員については従来に比べて、たとえば昨年度、本年度ふえているのかどうか。採用方法とか応募者に対する採用の比率などについて資料がありましたら、若干各年次別にお教えいただきたいと思います。  もう一つは、先ほどの全体の従業員数のうち、いわゆる役員を除いた管理職の数と組合員の数、組合員、非組合員の数でありますけれども、この点についても資料がございましたら御説明いただきたいと思います。
  67. 井上洋一

    ○井上参考人 申し上げます。  昭和五十一年度の職員採用数でございます。これは本年、五十二年四月に入社した者でございますが、男子九十五名、女子五十七名で、合計で百五十二名でございます。  これで年度別のことにつきましてちょっと申し上げますと、過去四、五年にさかのぼってみますと、合計いたしまして四十七、八年という時代が三百名、あるいは四十七年が三百八名、四十八年が三百七十七名、四十九年が四百三十名、五十年が二百三十八名、昨年が百三十四名、五十一年度でございますが、ことしの五十二年四月入社でございますが、これが百五十二名でございます。  これらを概観しますと、通信量がふえてきておりますけれども、自動化その他高品質通信のために取り扱い方法が非常に簡略化された。その傾向で漸減はしております。  以上のようなことになっております。  これらにつきましてその内訳を少し詳しく申し上げますと、本年の百五十二名でございますが、そのうちで大学の事務系というものは採用が十二名でございます。技術系は二十七名採用しております。国際電話交換関係の業務でございますが、これは多くて七十八名を採用しております。  なお、高校の出身でございますが、男子高校関係通信業務に携わる者、これが十九名採用しております。なお技術関係、高校の通信の施設関係の仕事をやる者、これを十六名採用しております。以上のような状況で、大学及び高校の卒業生を国際電話関係に毎年新しく入れております。  これらの採用関係の倍率、応募者と採用数との関係でございますが、大学系事務系は九・七人に一人、それから技術系は三・三人、電話関係は八・五人、それから高校通信及び高校施設関係は、それぞれ五・一及び五・五人、全体といたしまして六・九人に一人という倍率になっております。以上が採用関係でございます。  なお続きまして、会社全体におきます役員を除きます管理者と組合員でございますが、管理者は、先ほど申しました全体で二二%おります。したがいまして、組合員全体は七八%になります。以上でございますが、管理者の数は千三百十七名になっております。組合員の数の出し方につきましては、短時間制職員その他がございまして、ちょっと数が複雑になりますが、先ほどの短時間制その他を入れまして四千五百九十九名、以上でございます。
  68. 山花貞夫

    ○山花委員 お話を伺いますと、大体企業体として人的な充足度においても完成した、採用人数などを見ましても、そういう感じで伺っておったわけですけれども、そうしたことと関連していると思いますが、別に事業計画書もいただいておりますが、きょうの事業概況報告の五十二年度事業計画、こういった関連の中におきましても、十ページから十一ページにかけてのところですが、「新技術の導入、通信方式の変革に対応して、職員の能力開発と資質の向上を図るため、本格的な社内研修機関」を計画しておる、こういう記載があるわけでありますけれども、こうした職員の能力開発施策として、従来も各種訓練設備はあったと思いますが、従来の状況がどうであったのかということと、計画されている社内研修機関の概要、計画について御説明いただきたいと思います。
  69. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  まず、現在計画しております研修所の概要でございますが、従来の諸訓練を強化しますために業務的な専門分野に関する研究、訓練を行うことを目的としまして、新たに経営研究室を設けまして学園の所属といたします。また将来高度な知識、技能、幅広い能力それから豊かな国際性、そういうものを備えた人材を育成しますために従来研修所で行っておりました一年制の長期研修というものを二年制にいたしまして大学ということにいたしましてこれを学園に所属させます。それと現在の研修所、これは三鷹にございますが、それを今度の学園に吸収させます。それが大体の概要でございます。  それから、現在の研修状況でございますが、かなりたくさんの研修を行っておりまして、それを分類して申し上げますと、まず新入職員の訓練を行っております。それから新技術の導入がございますので、新技術がしょっちゅう会社の業務に導入されますので、それに伴いまして知識、能力を向上しますための訓練を行っております。それから職員の管理能力等を増進させますために能力開発の訓練を行っております。それからまた、私どもの会社の国際通信という特殊性に合いますように各種外国語の訓練を行っております。これは教室で行うものもございますし、通信教育で行うものもございますし、あるいは海外へ派遣するような場合もございます。それから先ほど申し上げました将来の中堅幹部になり得るというような基礎的能力を十分備えさせますために、現在一年の期間の研修をやっております。その他、いろいろ輪番勤務の合い間等を見まして、たとえば電話の交換機が新しい装置にかわりましたような場合、それに応ずるような訓練も行っております。  以上でございます。
  70. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの御説明で学園を建設する趣旨、目的といったところについてはわかりましたけれども、いつごろをめどに建設して、どのくらいの学生数でスタートしていくのか、具体的なめどについておわかりでしたらお教えいただきたいと思います。
  71. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  学園の発足は本年の十月にいたしたいと思っております。それはまだ建物等も準備できませんので、現在の研修所において行いたいと思っていますが、一方小室受信所の用地内に学園の建物を約千六百平米の建物をつくりまして、昭和五十三年九月に完成させたいと思っておりますが、これができましたらそちらで訓練を行うことになっております。それから先ほど申し上げましたように、今度は大学部の訓練が主でございますが、これは業務関係技術関係、各十名ずつぐらいと考えております。  以上でございます。
  72. 山花貞夫

    ○山花委員 大学の部門については各十名ぐらいずつというお話でしたけれども、そのほかの部門ですね、どのくらいの人数を構想として持たれているのか。どうでしょうか。
  73. 古橋好夫

    ○古橋参考人 先ほど申し上げましたように非常に広範囲の訓練を行っておりまして、その訓練は現在研修所が行っておりますが、それが学園にそのまま吸収されるわけでございますが、その方の訓練は続けて三鷹で行います。あるいは現場のあいている部屋とかKDDのあいている部屋で行いますが、非常にたくさん行っておりまして、何らかの形で訓練に参加した者、たとえば通信教育もございますし、そういうものを全部合わせますと恐らく二千名強が参加したことになるのではないかと思っております。  以上でございます。
  74. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話で研修訓練に参加した対象人数ということについてはそれだけ大ぜいの人数になると思うのですけれども、具体的にその学園を建設して収容する生徒の数というのは先ほど御説明ありました十名、十名、二十名ぐらいずつ、こういう計画なわけですか。
  75. 古橋好夫

    ○古橋参考人 さようでございます。
  76. 山花貞夫

    ○山花委員 その問題についてなおお尋ねするところも出ると思いますけれども、私の方も少し調査してから伺いたいと思うので次の質問に移りたいと思います。  職員の関係で一緒にいただいている事業計画の方に若干説明が出ておりますけれども、職員の能率向上の施策、こういう関係で「福祉の向上を図るため、社宅等の福利厚生施設を充実する。」こういう項目が挙がっているわけですけれども、具体的に本年度計画としてはどういう計画をお立てになっているのかということを現状を踏まえて御説明いただければと思います。
  77. 井上洋一

    ○井上参考人 申し上げます。  福利厚生施設の充実でございますが、ふだんからこれにつきましては注意を払いまして最善の施策を持ってきておりますが、組合との間でも住宅の相談会あるいはその他各相談会を持ちまして、この中で条件を決め、進めております。特に社宅あるいは独身寮、こういうものにつきましては、採用時、自宅通勤不可能な者は希望すれば入寮ができる、また世帯社宅につきましても、一定の条件を満たせば入居できる状況になっております。現在、世帯社宅は、戸数にしまして全部で千百五十二戸ございます。そのほか独身寮は、先ほど申しましたように東京地区、大阪地区及びそれぞれの事業所にございます。  五十二年度計画でございますが、社宅につきましてはいま申しましたようなことで、部屋及び世帯社宅の戸数につきましては現在のところは十分に間に合っておりますが、これらの中には会社発足当時からの分もございまして、したがいまして、約二十年も経過いたしておりますたとえば練馬その他のところがございますが、こういうふうなところにつきまして、本年度は修繕、改善ということに力を注ぐという計画をいたしております。  なお、能率向上のための福利厚生という面からは、職員が安定した環境のもとで職務に精励できるようにするということから、ハイキングの補助費とかレクリエーションの設備の充実とか、こういうふうなことを計画しております。こういうことで、本年度は福利厚生施設を一般的に社内で計画をしております。  なお、このほかに一つ大きな計画を持っておりますのは、新宿分室というものが新宿の西大久保にございますが、これは会社発足以来二十数年間、社内、特に東京地区におきますただ一つの大きな厚生施設として、多数の職員、家族に利用されてまいったのでございますが、建物もそういう経過から老朽化いたしまして、改修につきましても不可能な状態になってまいりました。したがいまして、現在の建物を撤去いたしまして、その跡地に業務用の宿泊施設を主といたしまして、さらに職員の家族、その他福利厚生施設、こういうものをその中に収容いたしまして建設をしていくという計画を進めております。これは来年の三月ごろ着工できるという目標で、五十四年九月を目途に現在建設を取り運び中でございます。  以上のことが大体本年度の具体的な施策でございます。
  78. 山花貞夫

    ○山花委員 先に進んでお伺いしたいと思います。  事業計画を拝見いたしますと、従来もこの委員会で議論されてきたところでありましたけれども、通信非常障害対策として去年九月にスタートした、大阪国際電話局設備整備拡充関係について触れられております。そこで、昨年九月に運用を開始した以降その実績がどうなっているのかということについて、どの程度カバーしているのかとか、通信回数はどの程度になっているのかということについて御説明いただきたいと思います。それとの関連で、それが通信非常障害対策として現実にどのような役割りを担当してきているか、それで十分なのかということも含めてひとつ御説明いただきたいと思います。
  79. 笹本昇

    ○笹本参考人 お答え申し上げます。  国際通信非常障害対策につきましては、国際通信事業の公共性にかんがみ、良質なサービスをいかなる場合でも提供するという使命を全ういたしますために、従来からその強化を図ってきております。特に国際電話につきましては、ただいま先生のお話にありましたように、東京地区被災時のバックアップ局といたしましてすでに昨年開局いたしました大阪国際電話局、ここは現在、市外局番で〇六地域と申しております大阪の市内及び隣接都市から発進される通話を扱っております。今後その取扱地域を順次西日本全域に拡大いたしまして、あわせて通信設備そのものも拡充いたしまして、東京被災時のバックアップ能力の増大ということも考えながら常時運用をしていくということで進めております。  それから、単に電話だけではございませんで、電報テレックスにつきましても、東京あるいは大阪地区の被災の場合に備えまして、たとえば電報の場合には、これは埼玉県でございますが小室受信所及び大阪の河内元送信所に非常用の設備を配置して有事に備えております。またテレックスにつきましても、東京地区被災の場合に備えまして、従来から大阪に手動、半自動用の交換設備がございますが、これも全自動化の進展に対応いたしまして、さらに全自動用交換設備を大阪地区に設置すべく検討中でございます。  そのほか、国際伝送路につきましては、海底ケーブル、衛星回線等、ルートを多様化いたしまして危険分散を図っております。国内伝送路につきましても二ルート化を図るなど、信頼度を高めるよう努めております。  なお、先生質問の、ただいま大阪電話局の取り扱っております通信量は、電話で全発信通話の約一〇%に当たりまして、具体的数字で申し上げますと、平日約千八百コールを運用しております。  以上でございます。
  80. 山花貞夫

    ○山花委員 局舎の問題に関連してお伺いしておきたいのですけれども、例の大手町の局舎から副都心のKDDビルヘの通信設備あるいは回線の移設計画が進められているようでありますけれども、現在なお進められているというように伺っています。現状どうなっているかという点と今後の見通し、いつごろまでに完了する予定なのかという点はいかがでしょうか。
  81. 宮憲一

    ○宮参考人 お答え申し上げます。  KDDの大手町ビルからKDDビルの方への移設につきましては、第一陣としまして、昭和五十年の十一月にまず国際オートメックス業務が移行をいたしまして、以来、システムの増設はございましたけれども、非常に順調に進んでおります。それから、五十一年になりまして電話またはテレックスの電子交換装置が完成して、その後移行業務が非常に急速に本格化してまいりました。まず五十一年の八月に国際加入電信業務の移設をいたしまして、香港及びオーストラリアを手始めとしまして、それ以来引き続き逐次移設をいたしまして順調に進んでおりますが、今後、今年の九月末にすべて完了する予定にしております。  それから国際電話の業務につきましては、国際電子交換システムがその試験に期間を要しましたために、本年の二月一日になりましてこの移設を始めまして、まだ一部でございますが、順調に移行が進んでおります。今後もこれを年度に分けて階段的に実施していきたいと思っております。  それから電信業務のことでございますが、電信業務の中に発信電報電話託送する業務がございますが、このための電子装置を完成いたしまして、本年の一月下旬に業務を移行いたしました。  それから電信電話のうちに着信電報の自動処理の問題がございますが、この装置の方は五十二年度の末になって完成できると思います。  それからまた電信の準自動受付システムというものがございますが、この方は昭和五十三年度の後半には完成いたしたいと思っております。  それからなお、専用回線設備の移行がございますけれども、そのうちの電信回線の方は昨年の十月から移行を始めまして、現在のところちょうど五〇%くらいの移行が済んでおります。それで、九月になりますとほぼ全部完了ということになります。  それから電話級のものにつきましては、目下準備、検討中でございます。  そのほかに、国境局とKDD局との間を結びます連絡線がございますけれども、この方も業務の移行に合わせまして逐次考えていく。また、電電公社との協力もございますので、その方の状況も見ながら移行を進めている次第でございます。  それからなお、この複雑なる移行業務につきましては、労働組合の関係の方々とも十分話しまして、密接なる協力のもとに進めたいと思いますので、この計画についてあらかじめお話ししてありますが、またその保守体制とか運用計画等につきましても、十分協議いたして従来進めてまいりました。今後もこの点につきましては十分配慮していきたいと思っております。
  82. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話を伺いましても、なお年次計画を立てて移行について計画推進中であるというお話でした。同時に、そうなりますと職員の要員、配置転換という問題が当然起こってくると思いますが、その点について一定のお考えを披瀝していただきましたけれども、労働組合との協議の関係についてはおっしゃったとおりの状況で、ひとつ円満にお進めいただくよう希望しておきたいと思います。  次に、先ほど野口委員質問にもありましたし、全体の事業計画でもその点が指摘されている国際的な協力の体制について、残る時間伺っておきたいと思うのです。  まず、全般的な問題として、ITU、国際電気通信連合の構成と申しましょうか活動の現状と申しましょうか、概略御説明いただきまして、そこでのわが国の役割りは現状では一体どうなっているかということについて御説明いただきたいと思います。
  83. 松井清武

    松井政府委員 ITUは先生の御存じのとおり国際連合機関の電気通信に関します専門機関でございます。そこで扱われておりますのは、電気通信自体が、世界各国はもちろんのこと、さらには宇宙空間にまでその利用が及んでおる次第でございまして、こういった関係上、国際協力の問題あるいは国際間の調整のための取り決めの問題、または技術協力の向上、水準の向上あるいはそれらの調整等々の問題につきまして、ITUにおきましてこれらの調整取り決めがなされておる次第でございます。現在百五十二カ国がITUに加盟をしている次第でございまして、わが国は一八七九年、明治十二年にITUの前進でございます万国電信条約に加入して以来、引き続きメンバーといたしまして電気通信分野における国際協力の実を上げてまいったところでございまして、一九五九年、昭和三十四年にITU管理理事会の理事国に選出されまして、それ以来理事国として活躍をしている次第でございます。また、ITUの中に設けられております常設機関の一つでございます国際周波数登録委員会委員にも選ばれておる次第でございまして、ITUにおけるわが国の活躍というものはきわめて高く評価されているというふうに考えている次第でございます。これらの中における各種会議あるいは研究会等におきましては、積極的にこれらの会合あるいは研究会等に参加しておる次第でございまして、研究会の幾つかのポストにつきましては、議長あるいは副議長等も兼ねておるわけでございます。たとえばこの国際電信電話諮問委員会の第三研究委員会におきましては、KDDの児島取締役がこの議長をしておるというような状況でございまして、その他にも副議長六名、これはKDDあるいは電電公社等から出ておる次第でございます。これらの会合におきましても積極的な役割りを果たしておる次第でございます。  また、このITUの非常に重要な務めでございます国際協力につきましても、発展途上国に対する技術協力等も積極的に行っておる次第でございまして、専門家を派遣するあるいは研修生の受け入れ、セミナーの開催等を通じまして、できる限りの貢献を今日までいたしてきておる次第でございます。
  84. 山花貞夫

    ○山花委員 国際協力の現状日本の役割りを伺った上で、あと一つ、二つだけお伺いしておきたいと思います。  これは事業計画書の方ですけれども、「設備計画の(I)の2のところに「衛星通信施設」という項があります。この中で、国際電気通信衛星機構、インテルサットに対して十九億三千余万円を財政分担金として拠出することを予定している、こういうように記載されているわけですけれども、この分担金の算出の根拠が一体どうなっているのか、それから諸外国と比べてこの分担金の負担の割合がどうなっているのかということについて、御説明いただきたいと思います。
  85. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 いま先生質問のとおり、衛生通信施設として十九億三千余万円を事業計画予定をしております。このうちインテルサットに対します純粋の財政負担金は、ほとんど大部分でございますが、十八億二千五百万円でございます。そして、その算出でございますが、この算出は、非常に簡単に申しますとインテルサット全体の当年度の、この場合、インテルサットでは暦年をとっておりますから、五十二年なら五十二年の全体の資本投資額、これにKDDのいわゆる分担割合と申しますか、それを掛けて算出をするわけでございます。現在私どもの分担率は現時点においては四・二八%でございますが、この事業計画をつくりました時点では四・六五五%でございました。したがいまして、インテルサット全体の資本投下額に四・六五五を掛けて出しましたのがこの分担金でございます。ただし、先ほどちょっと触れましたように、私どもの方では年度計算でございますし、インテルサットでは暦年計算でございます。したがいまして、その算出に若干の修正といいますか調整をとりまして、五十二年の分といたしましては、五十二年のインテルサットの予算の一億三千四百余万ドル、それに四・六五五を掛けましてさらにこの四月から十二月までの九カ月分をとっておるわけでございます。数字で申しますと四分の三を掛けたわけでございます。さらにこれに五十三年における一月から三月までを継ぎ足しますために、五十三年のインテルサットの予算の一億二千余万円に対しましてこれも同じく四・六五五%を掛けて、そしてそれに掛ける四分の一、三ヵ月分でございます。そしてその二つをプラスしまして、先ほどの十八億二千五百万円が算出を見ております。  それから諸外国との関係はどうかというお尋ねでございますが、各国ともインテルサットにおきますそれぞれの分担比率がございますが、それぞれの国の分担比率によりましてそのような算出で、同じ算式を使って分担金をそれぞれの国に割り当てられておる、そういうことでございます。
  86. 山花貞夫

    ○山花委員 もう一つ、先ほど野口委員質問の中で、インマルサット関係の条約についての国会提出の経緯、インテルサットとの違い等について質問がありましたけれども、実は国際協調ということを考えていった場合に、アメリカのマリサットシステム現状それからいまスタートしておりますインマルサット関係についてこの辺をどうとらえておられるのか、今後の方針、国際協調の観点から混乱のないようにあらかじめ準備をしておく必要もあるのではないかと思いますけれども、そこでの方針についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  87. 松井清武

    松井政府委員 まずマリサットシステムでございますが、これば昨年の七月にアメリカの四業者の共同によりまして運用を開始されました米国の海事衛星システムでございまして、現在太平洋及び大西洋の海域におきましてその運用を行っておる次第でございまして、わが国もこれに参加することにした次第でございます。  またインマルサットにつきましては、現在国会におきましてこれらの御承認の手続をとっておる段階でございますが、これらのサービスが開始されますのはおおむね五年先というふうに見込まれておる次第でございます。したがいましてその間におきましては、一般の通信需要にこたえるためあるいは技術研究を行うためにマリサットを利用することにした次第でございます。  インマルサットとマルサットとの関係でございます。これは現在確たるものはございません。ただいま国際間におきましてこれらの扱いにつきまして協議が重ねられておるところでございますが、一般的な見通しとしましては、マリサットが発展的に解消してインマルサットに移行するというふうに考えられておるわけでございまして、私ども日本といたしましても、そういう方向で努めてまいりたいと考えております。
  88. 山花貞夫

    ○山花委員 以上で質問を終わります。
  89. 八百板正

    八百板委員長 午後一時三十分委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  90. 八百板正

    八百板委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木強君。
  91. 鈴木強

    鈴木(強)委員 国際電電の皆さんには大変お忙しい中をおいでいただきましてありがとうございました。  国際電電に御質疑をする前に、大臣にお願いをしておきたいことが一つございます。それは、ことしの春闘は御承知の経緯で収拾をしているわけですが、きのう公労委から仲裁裁定が出ております。これが完全実施のために大臣の格段の御配意をいただきたいと思います。来週関係大臣のお集まりもあるようですが、電電、郵政が昨年のようなことのないように、ぜひひとつ格別の御配意をいただきたいと思いますが、大臣の御所見をちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  92. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 仲裁裁定の問題については、来週関係閣僚会議があるような話、私、初めて聞きましたが、存じないのですけれども、御趣旨はよくわかっております。ぜひその線に沿うてやっていきたいし、私、今回の春闘なども、郵政の中で首を切られる人がなかったということでほっとしている。もっともっと労使が本当に話し合いができるような状況にあるべきだ。どなたかの質問だったと思いますけれども、前回、握手の話が出ましたが、まあ人間ですから人間らしい、両方が話し合えるような雰囲気というのが一番必要じゃないかと思います。そういう意味でも、仲裁裁定については御趣旨をわきまえておりますので、今後ともそういうことでやっていきたいと思っております。
  93. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ぜひお願いをします。  それからもう一つ、きょうは国際電電関係ですから次に譲りたいと思いますけれども、郵便貯金の利子の引き下げについて、私はどうも若干腑に落ちない点がありまして、郵政審議会の内容等についてもちょっとお伺いしたかったのですが、これはまた改めていたしますので、大臣に対する質問はきょうはこれだけにしておきます。  それから国際電電の方ですが、最初に、国際電電も春闘については賃金引き上げの分は妥結していると思いますが、簡単でようございますから、妥結の内容についてちょっとお知らせをいただきたいのでございます。
  94. 井上洋一

    ○井上参考人 申し上げます。  春闘につきましては、三月一日に一人平均二万五千五百円、一六%の賃金引き上げと、夏季臨時給与といたしまして、基準内賃金三ヵ月分の要求を労働組合から受けてまいりました。これにつきまして三月十日に検討中の回答をいたしまして、その後組合と折衝いたしました。いろいろの曲折はございましたが、中に話し合いがなかなか困難なところもございましたが、四月二十日早朝、円満話し合いによる解決を持つことができました。これからの健全な労使関係を保つためにも、そういう解決ができましたことは喜んでおる次第でございます。  内容は、物価上昇その他を勘案いたしまして、一人平均一万五千五百円、夏季臨時給与は二・六ヵ月、こういうことでもって解決したわけでございます。この率は、昨年は九・五%のべースアップでございましたが、本年は各一般の条件も協議されまして、話し合いによりまして九・八%の賃金引き上げ率で解決を見たわけでございます。この中におきましてそれぞれ紆余曲折はございましたが、一般のサービスにつきましても滞りなく、それほどの問題もなく円満に事を解決することができました。  以上、簡単でございますが、内容を申し上げました。
  95. 鈴木強

    鈴木(強)委員 国際電電の賃金のあり方その他についてはまた別にお伺いをいたしますが、春闘を妥結するに際していまお述べになりましたような内容で収拾を得たようですが、こういう場合に、郵政省の方へ何か、こういうふうな内容で妥結しますというような内示的な報告をやるのですか。
  96. 井上洋一

    ○井上参考人 会社と組合との自主的な交渉で物を処理しておりますのですが、組合協約、こういうふうなことに関係します事項につきましては御報告することになっております。したがいまして、協約締結の結果につきましては御報告をさせていただいております。
  97. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、組合との交渉の過程で郵政省の方から何か意見が出されるというようなことはないですか。
  98. 井上洋一

    ○井上参考人 会社と組合との関係は自主的な交渉でございまして、これにつきましては一切郵政省の方から問題は出ておりません。これにつきましては、会社経営の中で真摯に組合との間で自主交渉をやって進めております。
  99. 鈴木強

    鈴木(強)委員 まあ、そうおっしゃるので、私もあなたのおっしゃることを信用いたします。ただ、いろいろな情報がありまして、国際電電の会社を設立してから二十五年目に入るのですけれども、どうも設立当初の目的を忘れまして、郵政省が監督をするという設置法上の権限を持っておりますから、ベースアップについて高いとか安いとか、そういった言ってはならないようなことが言われるようなことも私ども仄聞しているわけですけれども、そんなことがあってはならぬのでありまして、あくまでも労使間の自主的な判断によってお決めになるものだと私は思います。したがって、そういうことはないと思いますけれども、もし仮にあったとしてもそういうものは排除して、ひとつ自主性を持って労使間の団体交渉によってすべて解決するように、これは賃金だけではないですが、やってほしい、こう思います。  それから、昭和二十八年に会社ができましてちょうど二十五年目に当りますが、この会社を設立をするときの思想というものは那辺にあったか、二十五年目を迎えてひとつ思いを新たにしていただいて、ちょっと社長の見解を述べていただけますか。
  100. 板野學

    板野参考人 ちょうど二十四年前にKDDが創立されたわけでございまするが、当時の設立趣意書等を見ましても、やはり民間の非常に機動的で活動的なそういう経営のやり方を取り入れまして、そして国際電気通信というものを世界の大勢におくれないように発展させるというところにKDDが特別の会社として設立をされた趣旨がありました。私どももそういう意を受けまして、そして先輩のいろいろな後を受けまして今日やっておる次第でございまするが、会社の発展につきましては、これはもちろん経営する者、これに従事する者、それからこれを利用する国民の皆様方、こういうものが三者一体になりましてこれを円滑にやらなきやならぬ、こういう趣旨を体しまして、私どもも運営、経営をいたしておる次第でございます。
  101. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あの当時、吉田茂さんがまだ総理大臣で、佐藤榮作さんが当時の電気通信大臣でありました。日本の電気通信事業は終始国有国営で運営されてきたのでありますが、国内通信は公企体、国際は会社、こういうシステムに変えたのは、少なくとも官僚的な経営から脱却をして民間的な経営システムに近づけよう、そういうことが趣旨だと思うのですね。私は当時労働組合の方におりましたから、公企体ないしは会社に移行することについては国会に入りまして大分反対しました。そして昭和三十一年に国会に出まして、その後、いろいろ会社法の問題あるいは公企体の問題について、これはアメリカの公企体経営というものがそのまま日本の中に受け継がれてきているから幾多の欠陥がある、その欠陥を是正してもっと民営に近づけ、サービス精神を発揮して、昔のお役人時代の、電報を打ってやるんだ、電話をつけてやるんだという精神から、電報を打たしてもらうんだ、電話を継がしてもらうんだ、そういう考え方にわれわれも頭を切りかえてやってきているだけに、いまの公企体の中にあるいろいろな不備、欠陥というものを一日も早く是正しなきゃならぬと私は思っているのです。昭和二十九年に公企体審議会からも答申が出ているし、三十一年にも出ている。しかしもう二十年以上たちまして、この答申が全くなおざりにされ、ほこりをかぶって眠っているわけです。それとの関連が国際の中にもあったはずですね。昭和二十七年の十月から一応公企体として発足して、国際電信電話事業も、二十八年の三月までは国内国際一緒にやっていたのですから、そして二十八年の四月に会社組織になってここに二十五年目を迎える、こういう姿です。そのときに吉田茂さんが大きな巻紙に、なぜ国際にするかという趣旨を書いたのを私は佐藤榮作さんから見せてもらっておる。その中には、外国との国際通信においては向こうが、アメリカあたりを中心に大体民間経営をやっておりますから公企体では太刀打ちできない、したがって会社にするんだということですね。そして世界じゅうで一番いいサービス提供してもらう、同時にそこに働く職員に対してもりっぱな待遇をしていく、世界一の待遇をしていく、こういう思想に燃えて国際電電というものはスタートしたと私は思うのです。最近の経営について資料をいただきました。これを拝見しますと不況、いろいろな経済情勢の中で皆さんの御努力によって非常にうまく運営されている。非常に同慶にたえないわけでございますけれども、そういう設立の精神というものを、時移り人変わりますとどうしても忘れがちになってしまう。ですからいつも初心に戻って、なぜ国際電電会社にしたのかというところを全職員がわきまえて、そしてその目的のためにやってほしいと私は思うのです。私たちは反対しましたけれども、通った以上は、法治国家の国民としてわれわれもひとつこの精神を体してやろうというので、われわれ自体率先して、窓口に座って、ありがとうございますということを言うようなしつけまで私どもはしてきた。ですからそういう点を忘れないで、なおよいサービスと、そしてそこに働く従業員が一生懸命になるから、こういう技術革新においても、どこにも負けないものを生み出し、そしてサービスをよくしているのですから、そういう点にひとつ思いをいたして社長以下やってもらいたいと思うのです。ですから従業員に対する待遇にしても、ことし春闘九・八%とおっしゃいますけれども、これだけの経営をしておって、右にならえ式にやられているんだね。政府の方針か財界の方針か知りませんけれども、私はそういうふうに受け取りますよ。なぜもっと独立性のあるものができないかということを私は直観するわけです。ですからどうかすると日経連の一つ経済政策の中できますから、社長が幾らやろうと思ってもできない場合もあるでしょうけれども、そこいらは日経連の諸君も法律による独占事業として会社経営にした意義をわきまえておればもう少し、二けたを超すぐらいの待遇改善をしたっていいと私は思うのです。ですからそこをよく考えていただいて、設立の精神を忘れないで今後も、労使問題を初めあらゆる問題について努力をしていただきたい、こう私は強く願うのですが、社長、どうですか。
  102. 板野學

    板野参考人 ただいま鈴木先生のおっしゃいましたこと、私どもよく服膺いたしまして、やはり事業発展というものは国民にいいサービスをする、それからまたいいサービスをするためにはわれわれ経営陣というものが十分考えまして、そして従事員の非常な協力を得て、そしてサービスをしなければならぬ、こういうことも考えますので、そういう従事員の待遇につきましては私どもよく考えまして、ますますこれがよくなるように私どももひとつ努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  103. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私も二年半ばかりちょっとブランクがありましたので、大変不勉強のところもあると思いますので、もし私の質問の中で誤解等がありましたら、率直に指摘していただきたいと思います。私どもは十六年間この仕事をしてまいっておりますだけに人一倍、さっきも申し上げましたような立法の精神からいたしましても、心を砕いて、何かと皆さんと御苦労を見守っている一人でございます。  それでまず、いまの精神からしまして、労使間のあり方はもちろんいまの基本でいいのですけれども、人事管理上、たとえば会長、社長、副社長、常務取締役それから取締役、こういうふうな役職の方がおるわけでございますけれども、会長、副社長その他常務取締役、取締役、全部これは株主総会でお決めになる人事だと思います。その場合に、どういう人をそれぞれのポストにつければいいかということは社長がお一人でお決めになるものなんでしょうか。その辺はどういうふうになっておりますか。
  104. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  大体の私どもの方の人事は、株主総会に対しまして原案を提出いたしまして株主総会の議決を受け、それから郵政省にこれを提出いたしまして大臣の承認を受けて決まる、こういう順序になります。それで株主総会に提出いたしまする際におきましては、ただいまは会長という制度がございまするので、大体会長の手元におきまして各役員、いろいろな方面の意見を聞いて、そこで一応の案がつくられる、こういうことになります。もちろん、会長のない場合におきましては定款上社長がこれをやるということに相なっておる次第でございます。ちなみに株主総会におきましては、ただ取締役としての候補を決める、こういうことになる次第でございます。
  105. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうすると、株主総会で社長以下お決めになりますね。それは郵政大臣が承認するのですか。手続的にはどうなんですか。
  106. 板野學

    板野参考人 株主総会に提出する議案につきましては、先ほど申し上げましたようにただいま会長制度がございまするので、取締役会等に諮りまして会長が大体その原案を決めて株主総会に提出する。株主総会に提出されましてそれが議決をされますると、それの郵政大臣の承認が要る、こういうことに相なるわけでございます。
  107. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あくまでも株主総会が主体ということでございますね。それでいいわけでしょう。
  108. 板野學

    板野参考人 そうでございます。
  109. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで取締役の人数ですが、いま常務取締役と取締役が二人ですか、合計何名ですか。それで現状の取締役の数で十分やれるのかどうなのか。発足以来の役員数との関連で多少は幅を持ってふやすとかというようなことは可能なものですか。その点はどんなふうに考えていますか。
  110. 板野學

    板野参考人 ただいま役員数は監査役を含めまして十七名ということになっております。  当初からの役員数がどうなっておるかということにつきまして、ちょっと資料がここにございませんので、これは後ほどまたひとつ提出いたしたいと思います。  役員の数等につきまして、御承知のように、私どもの国際通信世界を相手にしておりまするので、その仕事の量並びに質等につきましても年々非常に複雑になり、また量もふえ、多岐にわたっておる次第でございます。またそれに加えて電気通信技術的な発展が非常に早いということ、ますますその方面からの複雑さも加えてくる、また利用というようなサービスの点から見ましてもますます複雑になってくる、こういうような状況でございまするので、私どもといたしましては、でき得れば役員の数もそういうような情勢に従って増加し得るようなことになれば非常に幸いである、こういうように私どもは考えておる次第でございます。
  111. 鈴木強

    鈴木(強)委員 定款上、会長は置くようになっておりますか。
  112. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  定款上は置くことができるということになっている次第でございます。
  113. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは恐縮ですけれども、後ほどで結構ですから、発足当時からの事業量のふえ方、それからそれに対して取締役社長以下役職員がどういうぐあいにふえているか、そういったデータがございましたらひとつお願いします。
  114. 板野學

    板野参考人 ただいまの鈴木先生の御要求につきまして、後ほど資料等をつくりまして出したいと思います。
  115. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、社長さん、取締役というものがあるのですから、そこでいろいろと御相談になって人事その他もお決めになると思いますが、まず役員の人事について、もちろんこれは優秀な方々がお集まりですから、だれをするかということは大変御苦労のあることだと思います。私がちょっとお願いして意見を聞きたいのは、国際電信電話株式会社というのは、御承知のとおり逓信省からずっと電気通信省、電電公社と長い歴史の中からきているわけですから、その中で事業とともに生涯をかけて歩んできた人もおると思うのですね。そういったいわゆる苦労人といいますか、それは学歴から言えば大学を出ておらないかもしれません。しかし、そういう大変御苦労した人たちもやはり役員の中に入れる。そして全体の士気高揚のためにもそのくらいの待遇をしてやることは必要じゃないかと思うのです。だから、力のある者のことですよ、ない者をやれといったって、これは仕方がないわけですから、そういう御配慮をバランスの中で考えていただくということは、経営の基本にとって一つの大事なことではないかと私は思うのです。そういう御配慮もいただいているようですけれども、なお一層そういうような配慮をぜひお願いしたいと思いますけれども、どうですか。
  116. 板野學

    板野参考人 ただいま鈴木先生のおっしゃいましたことはまことにもっともなこと、当然のことでございまして、私どもといたしましても、経営をやっていく上におきましては、まず経営能力ということがもちろん必要でございまするし、また非常に機動力に富んだ経営をしなければならぬということでこれを非常に活動的に、アクチブにやっていくという能力も必要でございます。また、会社が一致団結してやっていくという上におきましても、人の和という、いわゆる協力体制にあるということも非常に必要なことでございますが、特に先生のおっしゃいましたように、長くこういう道に携わっておる方々、能力のある方たちにつきましても私ども十分考慮いたしまして、これを役員の中に加えていくというような考え方はもちろん持って今後ともやっていきたい、こういうように思います。
  117. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、国際電電の場合ですと、電話を持っておりますから、女子の職員もかなりおると思います。先ほど山花委員からお話がありましたけれども、どうでしょうか。一概に管理職といいましても、主任とか係長とか、課長補佐とか課長さんとか部長さんとかいろいろおるわけですけれども、女子で管理職になっている人は国際電電に何人くらいいますか。
  118. 井上洋一

    ○井上参考人 現在、女子の管理職のおりますところは東京国際電話局及び大阪国際電話局にございます。これらにつきましては最高副局長から次長、課長、こういう職についております。これらの職につきまして現在総人員で五十二名の者が課長以上の職についております。
  119. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうすると、国際電電としては性別によって差別はしない、やはり力のある者はどんどんと任用していく、こういう人事管理をしているというふうに承知していいですね。
  120. 井上洋一

    ○井上参考人 おっしゃるとおりでございまして、そのとおり実施しております。
  121. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから職員の研修については、計画を見ますと今度社内に研修機関として国際電気通信学園を設置されるそうでございまして、私も非常にいいことだと思います。問題は、これからの研修がどういう内容でやられていくのか、そういう点にあると思いますが、どうかすると、こういう部面に金を使うことについていろいろな意見があると思いますけれども、しかし研修いわゆる技術開発を含めまして、私はこういう面には惜しみなく金を使っていいと思います。そして優秀な人材をどんどんとつくっていただく。これはもうおそきに失したと私は思います。ですから、せっかくの御構想ですし、詳細な内容についていまここで伺う時間がありませんから、いずれまた改めてにいたしますが、そういうことが国際電電事業がさらに発展していく道になると思いますから、どうぞひとつこの点は思い切って、りっぱな成果が得られますように皆さんの努力をお願いします。
  122. 板野學

    板野参考人 ただいま先生のおっしゃいましたような方向で、私どもさらに努力を重ねていきたい、このように思っております。
  123. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間もありませんが、後若干の質疑をしたいと思いますけれども、今度インマルサットと同時にアジア=太平洋電気通信共同体憲章というのが国会に条約の承認が求められておりますね。アジア=太平洋電気通信共同体憲章、これをちょっといまここでわかりますか。わかったら内容を概略でいいですから説明してくれませんか。
  124. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 お答えいたします。アジア=太平洋電気通信共同体憲章の関係でございますが、これにつきましては御承知のようにアジア及び太平洋の地域は世界の中でも最も電気通信の発達のおくれている地域の一つでございまして、最近この地域の各国におきます国内通信網の整備並びに拡充あるいは数カ国に及びます地域的な通信網の実現等の計画が立案されまして、推進されるようになっております。その一環といたしまして推進されておりますのがアジア電気通信網計画でございます。昭和四十五年の十一月にバンコクで開催されましたエカフェの第二回電気通信委員会におきまして、このアジア電気通信網計画の完成の促進とその後の有効な運営を図るために、地域的な協議機関といたしましてこの共同体を設立しようという構想が提案されまして、その後、昭和四十九年の十一月の政府間電気通信専門家会議以来数度にわたりまして、憲章案の作成のために会議が持たれました。この共同体憲章の文案が確定されたわけでございます。そこで、昭和五十一年三月二十七日に、第三十二回のESCAP総会におきまして、この共同体の憲章が採択されまして、現在ESCAP域内の加盟国及び準加盟国に対しまして署名及び批准のために開放されている次第でございます。現在までに署名国が十三カ国、それからそのうち批准国が四カ国となっておりますが、この憲章は事務局の所在地のタイを含めまして七カ国の批准によりまして発効されるということになっております。  わが国におきましては、国内手続といたしまして、本年の三月二十二日に国会の御承認を条件といたしまして署名を終えまして、現在国会の御承認をお願いしておる次第でございます。  以上がこれまでの経緯でございます。
  125. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  それで、七カ国が批准した場合に発効するというけれども、いまは何カ国批准していますか。
  126. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 四カ国でございます。
  127. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、これが批准されて発効した場合、具体的にはどういう手続が必要になってくるのですか。この共同憲章によってアジアと太平洋における電気通信というものを相談するとかなんとかさっき言っておったけれども、具体的にどういう行動を起こすということがわかっていますか。
  128. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 共同体の目的が、ただいま申し上げましたように地域的な国際電気通信網計画の調整と、それからそれぞれの通信網国内構成部分の発達を援助することが目的でございますので、加盟国がそろいまして、そこで共同体が発足しました場合に、まずそれぞれの構成をいたしまして、つまりこの共同体のあれで申しますと最高機関である総会、管理委員会、それから共同体の事務局というようなものをそれぞれ構成するわけでございます。そこで、総会並びに管理委員会を経まして共同体の事務局の構成をまず行うということが実際の活動上必要になってこようかと思います。  それからわが国におきましては、これは現在各国間のペースで行っております。いわゆる政府間のペースで行っておりますので、まず国としての加盟が先決でございますが、その後におきまして、国内的にはいわゆる賛助加盟員という形がございまして、これに国以外の国際的な電気通信機関あるいは国内の電気通信機関、こういったものが賛助加盟員になるという資格を持っておりますので、またこれらとの間におきまして、その参加の意思というようなものも確認していくという手続が必要になってくる、かように思っております。
  129. 鈴木強

    鈴木(強)委員 国内法の改正は必要になってくるというのですか、それとも国内法の改正は要らぬというのですか、どうなんです、批准された場合。
  130. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 現段階におきましては、国内法の改正は直接必要ないというふうに理解しております。
  131. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから十三カ国のうち七カ国が批准しなければ発効しないのですが、日本が今度批准をしてもまだだめですね。そうすると、見通しはどうなんですか、発効の。
  132. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 日本が加盟ということが決定いたしますと、これはよその国の事情でございますので、明確なことはお答えいたしかねますが、他国におきましてもそれに同調するというような動きも出てくるところもあろうというふうに聞いております。
  133. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは外務委員会にかかる議題だと思うのですが、本来ならばわが委員会との連合審査というものが必要な条約だろうと私は思うのです。海事衛星もそうですよ。それをしないでいま進んでおるわけですからね。国会に提案するに際してはもう少し歯切れよく、せっかく批准するのだから、われわれがこの国会で承認してもこれがいつ発効するのか、他の国の事情もよくわからぬですから、そういう点、われわれが理解できるようなちゃんとした回答が欲しいのです。いまのところその程度であれば、私らもちょっと二の足を踏むような気もするのですが、後でいいですから、われわれが納得できるような見通しを聞かしてくれませんか。  それから会社の方ですけれども、だんだんと事業拡大してきておりますから、事業経営のための資本というものも増大をしていかなければならぬと思うわけですけれども、二回か三回ですか増資をしておりますが、これからまだしばらく現状より増資するというようなことはお考えになっていないですか。
  134. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 ただいまの当社の資金状況について申しますと、繰越資金等も二百二、三十億あるような現状でございます。これは四十九年のオイルショック後の世界的な不況、貿易の萎靡沈滞、そういうことを見越して、当社としても資金の準備も要るというわけで八十八億の銀行借り入れ、そして三十億の社債を募集いたしました。そういう関係もございまして、ただいま資金は一応ございます。したがいまして、お尋ねの増資につきましては、ここ当分の間必要はないか、そのように存じております。
  135. 鈴木強

    鈴木(強)委員 この中間貸借対照表を拝見しますと、昨年九月三十日現在でございますが、ここに流動負債固定負債が計上されておりまして、この中に長期借入金というのが六十億四千三百二十八万八千四百八十七円ございますね。それから流動負債の科目に一年以内返済の長期借入金が二十五億三千六百六十九万九千二百六十円というふうな借り入れがあるのですけれども、こういうのはどういう性格のものですか。
  136. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 これは、固定負債に計上してございます長期借入金の六十億四千三百万余と、そしてただいま先生おっしゃっております流動負債の一年以内返済の長期借入金二十五億三千六百万、これを足したものが八十五億九千万ばかりございます。これは、ただいま触れました銀行からの長期借入金でございます。
  137. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これに利息は幾ら払っているのですか。どこから借り入れているのですか。
  138. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 利息は、二回に分けて借り入れたわけでございますが、最初の借り入れ、四十九年の五月に借り入れました分につきましては九・四%で、十一月に借り入れました分は九・九%でございます。  それから借り入れ先でございますが、これは、当社と取引のございます都銀十三行、たとえば富士銀行、住友銀行、第一勧銀とか、そういうところの都銀十三行と、それに長期信用銀行であります日本興業銀行でございます。それと、当社と設立以来非常に関係の深い横浜銀行、この合計十五行のいわゆる協調融資でございまして、各銀行から、多いところは一二%、少ないところは四、五%というようなシェアでいわゆる協調融資を受けておる、そういうことでございます。
  139. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、中間損益の方の計算書の中に減価償却費として五十二億五千三百九十四万ありますが、これは非常に高度な技術を必要としまして、こういうりっぱな機械が開発されてもまた新しい機械にいかなければならぬということもあると思うのですね。ですから、そういう場合に五十二億、総資本から見て何%になるかわかりませんが、この程度の償却費で完璧だと判断されるのですか。
  140. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 償却につきましては、ただいま当社技術革新に伴っていわゆる要償却が当社としては非常に少ないのではないかという御質問と存じます。償却の問題につきましては、これは償却に経費をよけいに立てますと、償却は御案内のように費用でございますから、その分だけ利益が減るということがあります。利益が減ると、いわゆる現在利益の五〇から六〇%は税に持っていかれるわけでございますが、その利益が減少し、したがって納税額が減少するというようなことから、いわゆる利益を減らす手段に償却を使ってはいけないというようなことで、大蔵省の方で償却については厳しい基準を設けております。たとえば、私どもの場合でございますと、海底ケーブルは二十年であるとか、あるいは交換機とかその他の機械は七年であるとか、そういうふうに向こうと協議決定した償却年数、耐用命数でございますが、そういうものからいわば自動的に出された額がここに掲げてあります半期分で五十三億、そういうことでございます。
  141. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは、私が心配するのは、やはり高度の技術を必要とする仕事ですから、あるAという機械を発明して実用化してきた。ところがその後におっつけ新しい機械がまたできたという場合に、将来にわたる経営の面から、あるいは事業運営の面から、財政の面から考えてみて、新しいやつを使った方がメリットがあるという場合もあると思うのですよ。そういう場合に、二年後にすぐやった場合、大蔵の方では何かかんか言うと思うのですよ。そこらがもしあるとすれば、それはやはり言う方がおかしいのであって、新しい技術を導入することによって会社経営にプラスであるというならばやるべきである。そのための減価償却費は必要になってくるわけですから、一面考えてみるとその分だけはむだになるかもしれない。しかし、大きな将来に向かった長期展望に立てばその方がいいという場合もあると思うのですから、一概に一つの規定を押しつけられてそれでやらなければならぬ——仕事の性質上そうでない点もあるだろうから、私はそこを心配しているわけです。ですから、必要な減価償却というものはちゃんと盛ってやっておかなければいけないだろう、こう思いましたから申し上げたわけですよ。
  142. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 その点につきましては、手段として二つほど通常の償却のほかにあるわけでございます。  一つは、たとえば技術的に一番変革の激しいコンピューターを使っております場合等につきましては、これはいわゆる特別償却と申しますか、そういう手段が許されておるわけでございます。  もう一つは、財産除却という方法もございます。まだ耐用命数はある程度あるのだが、もうこの機械は現時点における技術から見ると、そしてまた別な言葉で申しますならば、こういう古い機械を使っていたのでは経営上不利であるというような場合には、財産除却という方法でその機械をいわゆる帳簿から落として新しい機械を購入するという方法もあるわけでございます。
  143. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、事業計画を見ますと、今年度設備投資として総額二百二十八億七千余万円を計上してありますが、政府の方では、ことしこの不況克服の意味において、できるだけ公共投資的なものは上半期に七〇%の投資をやるように指導されているようですね。相手が国際的なことであるし、国内の仕事と違った面がありますから、一概にそういう政府の方針が決まったからそれによって不況克服のための施策をやるといっても無理な点があるかと思うけれども、いずれにしてもそういう方針に協力をすることにはなるのだろうと思いますね。したがって、上半期に七〇%の消化をする、そういう方針についてはKDDはどうなさっていますか。
  144. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 ただいま鈴木先生からお示しのとおり、政府といたしましてもそのような方針がございますので、私どもといたしましても、たとえば海底ケーブルであるとかその他のものについては世界の各キャリアとのスケジュールもございますので、これを自由に左右はできませんが、しかしそのほかにわれわれだけでできる、たとえば厚生施設であるとか宿舎であるとかあるいは一般の庁舎等であるとか、こういうものは可能でございます。したがいまして、そのような方針に従ってそのような努力をしたい、そのように考えております。
  145. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、これは時間がありませんから資料でお願いしたいのですが、さっき野口委員から御質疑のありました国際電報電話料金の滞納の問題ですけれども、これは十九億といいますと、パーセンテージは低いとしても、額としてはかなり大きいと思います。したがって、この滞納のよって来る要因、それから電報の方は大体よさそうで電話の方が主のようですけれども、一体どういうケースのものが滞納になっていくのか、相手国があれば相手国、どことの通話の中でそういうのが多いとか、それから地域別、種類別の金額、そういったふうな資料をお願いしたい。  それからもう一つ、電電公社との間で何か協定事みたいなものが実際にでき上がったとおっしゃいましたが、どういう内容のものであるか、これは資料として出していただきたい、そう思います。その点よろしゅうございますか。
  146. 笹本昇

    ○笹本参考人 ただいま先生の御要求がありました料金滞納につきましての資料は後ほど提出いたします。
  147. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、五十一年度末の概要報告といいますか概数報告、電報電話の取り扱い通数についての数字を見ますと、国際電話それから加入電信の方は二二・四%、一〇・七%それぞれ増加しておりますが、国際電報については二・五%ですか減少をしておる。こういうふうになっておりますが、これは確かに国内におきましても電話が非常に急ピッチで普及をし、発達しておりますので、どうしても電報が電話に移行していく傾向はやむを得ない傾向だと思いますが、国際電報の場合には国内とはまた違った数字を残すとか、そういったふうなものからして多少性格的に違うと思いますけれども、これから先、国際電報というのは一体どういうふうな歩みをしていくのか、ここ五年、十年先どうなっていくか、そういったふうな推定をなさったことがございますか。ありましたらその辺をちょっと教えていただきたい。
  148. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 ただいま先生指摘のとおり電報というものはこの四、五年前から少しずつ減っておるわけでございます。ただし、四十八、九年の時点、日本経済が、世界貿易が最も伸びておった時代はそれが若干免れておりますが、原則としてずっと減ってきておるということでございます。そうして、これは基本的には電報というものがテレックスに食われ、そしてテレックス専用線に食われるという一つの大きな需要の構造の変化があっております。これは別にKDDだけでなしに世界の各キャリアに共通した現象でございます。ただし、いま御指摘のように、国内電報とやや趣を異にいたしまして、電報は現在特性として二つございますが、一つはいわば発展途上国と申しますか、そういうところが、だんだんに世界貿易あるいは世界の文化交流が始まるにつれてまず最初の手段として電報を使っておる。そういう面にまた新しい需要も起こっております。同時にまた、銀行であるとかそういういわば裏に金銭の授受を伴う利用先、こういうところでは、そのようにいわば固定客と申しますか、そういうものもございます。ただし、そういうところも専用線にかわる傾向にはあって、非常に心配をしておることば事実でございます。  最後にお尋ねの今後の見通しでございますが、これは本当の私どもの見通しにすぎませんが、今後五年間に平均いたしまして年率で五・五%の減、度数におきまして四・五%の減を見るのではなかろうか、そのような推定をいたしております。
  149. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いまの国際電話加入電信それから国際電報の前年度対比の問題ですが、ちょっと私の資料が違っておったようですね。これは速記も訂正しておいていただきたいのですが、新しい資料によると、国際電報が四・九%の減ですね。それから国際加入電信の方が二一・八%増、それから国際電話の方が一七・八%増、こういうことで、国際電報の方は四・九%の減少をしているわけですから、予測はなかなかむずかしいと思いますが、いまの御説明の五・五%ぐらいにずっととどまっていけばと思いますが、もう少し減ると思います。これはいま減るとか多いとか言ってみたってしょうがないですから、一つの目安としてお聞きしておきますが、電報電報としての利用価値というものがあるわけですから、できるだけお客様に御利用できるようなPRも一面で大いにやっていただいて、電報の御利用についても余り減少を来さないように加入者の方々、利用者の方々に御協力いただいたらどうでしょうか。  それから、もう時間がなくなってしまってあれですが、前に、私ははっきりした名前はちょっと忘れましたけれども、新国際空港ができるに際して航空通信サービスといいますか、こういうものを会社にやらせるというような計画がございましたね。あれは現状はどうなっていますか。
  150. 笹本昇

    ○笹本参考人 お答え申し上げます。  成田空港におきます航空無線業務の提供につきまして、昭和四十六、七年当時、郵政省を中心にいたしまして、運輸省、電電公社、当社そのほか関係機関が協議いたしました結果、業務を能率的かつ有効的に提供するため国内業務関係は電電公社、国際業務関係当社がそれぞれ無線局を開設するとともに、新たに会社を設立いたしまして、これに保守、運用業務を委託するということになりまして、開港までにこのような形でサービス提供できるよう目下必要な準備を進めている段階でございます。  航空無線業務提供のために必要となる設備につきましては、当初開港を昭和四十七年半ばごろと予定しておりまして、急遽その準備手配を行いましたため、その当時必要といたします機器の製作は完了しましたが、その後御高承のとおり開港が数次にわたり遅延いたしましたので、これらの機器は関係の向きにおきまして保管しております。  また開港の時期につきましてはまだ最終的には決定になっておりませんけれども、利用者の方々に不便を来さないよう関係機関と協議して必要な準備を鋭意とり進めているところでございます。  以上でございます。
  151. 鈴木強

    鈴木(強)委員 会社はつくったのですけれども、すると、その会社はいままでずっと開店休業でおるわけですか。
  152. 笹本昇

    ○笹本参考人 お答え申し上げます。  会社につきましては現在その設立の準備をしておるところでございます。
  153. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうすると、会社はまだつくっておらないが、設立の準備をしておる、開港のめどがつけば速やかにその会社設立はできる、万全な体制ができている、こう理解していいですか。
  154. 笹本昇

    ○笹本参考人 そのとおりでございます。
  155. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、同僚議員から質問がありましたマリサットとインマルサット関係ですが、マリサットに日本があえてこの時期に加盟をし、国際電電会社が事業体になって海事衛星通信をやるということになったのですけれども、せんだってもその御議論がありました。私は、アメリカがマリサット機構をつくりまして、数カ国に呼びかけてアメリカ主導のもとにおける海事衛星通信を始めたわけです。これは本来インマルサット的なシステムをつくり上げて、その中で世界各国がこれに加盟してやるのが筋だと私は思うのです。ところがアメリカが先にこういうシステムでスタートして、そこにわが国が入っていく。将来、インマルサットが五年後に実用化されてくる場合に、それじゃ既得権益的にマリサットを運営しているアメリカがどういう態度をとるかということはにわかにここで推測できないでしょう。仮にインマルサットにアメリカが加入をしない、独自のマリサットでいく場合があったとしたら、日本としてはどうするのですか。そこのところが一つです。  それからもう一つは、会社をつくっているようですけれども、代表取締役が大島さんで、取締役が笹本さん、福地さん、監査役が小林さん、これはいずれも国際電電の現役の役員の方じゃないですか。いま国際電電がいろいろと仕事がふえて大変なときに、こういう会社をつくってその会社の役員に現役の役員がなると、これは二重の負担になると思います。こういう人事は私は納得できない。それほどひまがあるならば役員を減らしたらいいのです。これは一体どういうわけで現役を持っていったのですか。会社をつくるならば新しい会社にそれぞれの人がおるはずですから、そういう人たちを据えたらどうですか。これは社長、どうですか。ちょっとおかしいですね。
  156. 宮憲一

    ○宮参考人 ただいまの御質問、前半のマリサットとインマルサット関係の分について、とりあえず私からお答え申し上げます。  御承知のとおり、ただいまの船舶通信は短波でもって行われておりまして、電波伝播上の問題とか回線が非常に混雑しているとかいう不満がいろいろあるわけでございまして、こういう利用者の御要望に一刻も早くこたえたい、そして安定、良質なるサービスを早く提供したいというのが私どもの念願でございまして、マリサットが公衆通信として一般に提供されました上に、できるだけ早くこれに参加し利用に供したいというので、マリサットをいま業務開始ということで認可いただき、ようやく業務開始にこぎつけたわけでございます。  ただ御指摘のとおり、将来インマルサットに非常にいい形で、しかも業務の断続がないように、しかも世界的に統一ある規格としてこれを発展させたいというのが私どもの念願でございまして、実はマリサットのほかにマロッツというヨーロッパの宇宙機構が考えております実験衛星計画がございます。これも将来のインマルサットにつながる場合の一つの状態として考えていかなければいかぬと思いまして、こういうような動きに対して、私どもも郵政省当局の御指導も十分いただきながら、世界の情勢を見ながら進めて対処していきたいと思っているわけでございます。
  157. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 それでは後半の御質問、マリサットに対応します国際通信施設株式会社の人事の件でございます。  御指摘のように、確かに社長は大島技師長の兼任、そしてまた笹本取締役が工務部長を兼任されております。しかし、これはあくまでも五月の後半と六月いっぱいくらいの暫定措置のつもりでございます。そう申しますのは、当社の異動が大体六月末前後、例年恒例として行うことになっておるわけでございます。その際に、恒久的に社長であり、あるいは取締役でおってもらえる適材を選ぼうということで、ここ一ヵ月か一カ月半の間は両方を兼務されて御苦労ではあるが、そういうことでお願いをしてこういう人事になっております。
  158. 板野學

    板野参考人 人事の件につきまして申し上げたいと思いますが、ただいま鶴岡常務が申し上げましたように、新しく会社をつくりまして、まだそう本格的な仕事は出ておりませんけれども、やはり区切りをつけてひとつこの仕事を始めたい、こういうことで私どもそういう兼務体制を一応とっております。そのうち、いまその役員になっておりますのは半数の者は現在その実務ができますように一応私どもの職員でございますけれども、やがては退職していく、間近に退職していく、こういう者もおりますから、そういう人は専心その仕事に当たってもらえる。それから仕事の発展のぐあいを見、いろいろ異動その他の時期等も見ましてさらに責任者を決めていく、こういうぐあいにいたしたいと思っておる次第でございます。本当に暫定的なそういう考え方でございます。
  159. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。いま社長なり鶴岡常務のお話であくまでも暫定的なものであるということであります。これから何百隻の船が実際に地球局を通して通信をするようになるのか、そういった収支決算書というようなものがあると思いますが、そういうものもまた後で私は見せていただきたいと思います。それで、できるだけ早い機会に新陣容をつくり、国際電電本体の仕事に支障のないような中での施設会社というものでないと国民は納骨しませんから、そういう方向に早く持っていっていただきたいと思います。  それから最後に、世界広域帯通信網というものがいま盛んに建設されておりまして、御苦労に思っておりますが、私はかねてから東南アジアに向けての海底同軸ケーブルの敷設は時期を失すると大変なことになりますよということをずいぶん警告をしてきたはずですけれども、なかなか現状意のままになっていないようです。幸い沖縄−ルソン香港ケーブルが近く完成されるそうですか、その先のルソン−シンガポール、あるいは香港−シンガポールといったケーブルの敷設については、いろいろ長い植民地政策をとっておったイギリスの影響もあるでしょうし、東南アジア各国意見もあるでしょうし、大変むずかしい条件はあると思いますけれども、最後まで日本がこの中に参加してやれるような建設計画というものを基本に据えてこれからもぜひ努力していただきたい、そういうことをお願いをしまして、時間がありませんからこれで終わります。
  160. 八百板正

    八百板委員長 鳥居一雄君。
  161. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これまでの質疑の中にマリサット計画がございました。まず、いま始まりましたマリサットシステムによる海事衛星通信について少々伺いたいと思います。  いま船舶局の数は五万少々ございますけれども、五万局からある船舶局の中で大体どのぐらいをめどにマリサットの船舶地球局を開局しようとされているのか、その辺の見通しをまず伺いたいと思います。
  162. 宮憲一

    ○宮参考人 これから提供していこうという海事衛星通信計画につきましては、非常に船舶の数は多いわけでございますけれども、現在の衛星の技術条件から見ますと、そう非常に簡単な装置でもって通信をやるわけにまいりませんので、かなり複雑な装置を必要といたします。したがって費用もかかるということになりますので、当初の段階はとりあえずは一万トン以上の船を対象にして臨むべきだろうかと思っておりまして、前年度の推定数は大体六百九十六隻ぐらいあると言われておりますが、ただこの場合も、これは日本の船でございますけれども、最初年度、五十二年度におきましては十六隻くらいを対象にして船舶地球局施設を提供すべきじゃなかろうかと考えております。それ以後毎年、目標でございますけれども、二十隻ぐらいを考えまして、施設を逐次提供していきたい、こういう考えでございます。
  163. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、いますでに設備がされて交信ができるような形になっている鞍馬丸、それからKDD丸、この局なんですけれども、実験局として始まり、いま実用化試験局という段階ですね。これが正式に免許を取れるというそれはどういう運びになるわけですか。もうすでに始まっておりますから、郵政省は局として免許をする方針ですか。
  164. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 郵政省といたしまして、このたびのマリサット用の船舶地球局の免許でございますが、これは船舶の運航者ということではなくて、国際電電に対して免許を与えたわけでございます。実用化試験局として免許を出したわけでございますが、これは、五月四日に鞍馬丸に積んでおります船舶地球局、五月九日にはKDD丸の船舶地球局に対して免許を与えたわけでございます。
  165. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、それは正式な免許ですか。正式に免許を与えられたわけですか。
  166. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 正式に実用化試験局として免許を与えたわけでございます。
  167. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうするとそれは正式じゃないでしょう。実用試験局……。
  168. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 いま御説明申し上げましたように、郵政省としましては、マリサット用の船舶地球局に対して当初実験局として免許をいたしまして、そして実験を行ったわけでございます。その後、これを実用の段階においてどのような形で免許を行うかということについて検討しました結果、当面、これに対しては実用局の免許を与えるのではなくて、実用化試験局として免許を与える、このような方針を決めまして、鞍馬丸とKDD丸に実用化試験局の免許を与えたわけでございます。この実用化試験局の免許によりましても公衆通信業務を取り扱うことができますので、実質的には影響がない、かように考えております。
  169. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、実用化試験局というのはあくまでも過渡段階としての免許になるわけでしょう、KDDに免許を与え、そして船舶地球局の方にも免許をするという形で初めて正式な交信ができるわけですから。次の段階は局として免許しなければならないわけでしょう。
  170. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 従来から、このような新しい技術によりまして開発された通信に対しまして、すぐ実用局で免許する場合もございますし、また実用化試験局で免許する場合もあります。この海事衛星につきましては、どちらかと申しますと、将来のインマルサット問題との関連もございますので、現在、マリサット計画というものがどういう形でインマルサット計画とつながるかという点など、技術的に考えてみますと、やはり現段階では実用化試験局で免許した方がいいだろう、かように判断したわけでございます。
  171. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、この免許は実質的には変わらないけれども実用化試験局という形で、将来のいつの段階か実用局となるわけですね。それはインマルサットとの関係だけですか。マリサットシステムとしていま始まったそういう段階のために実用化試験局として免許を与えている。インマルサットの問題が具体化しなければ実用局にはならないということですか。
  172. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほど申し上げましたように、このインマルサットという計画は、現在協定につきましても国会の方にお諮りをしておるわけでございますが、インマルサットができ上がりますと、これについてのいろいろな技術基準がまた設定されるわけでございます。その時点で、このマリサット計画との技術的な絡みというものを考えないといけないと思っております。したがいまして、先生指摘のようなマリサットの実用化試験でインマルサットにつながるのかという問題につきましては、先ほど御説明がございましたようにマロッツという欧州の計画もございます。こういうものを含めまして、技術進展というものを見ながら今後検討を進めていくわけでございますが、将来この国際的な海事衛星がインマルサット一本にまとまるということになりますと、その時点では当然実用局としての免許になる、かように考えております。
  173. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もうマリサットシステムで実用通信として始まっているのですからね。だからそういう意味では、これを試験局のままに置いておかなければならぬという理由はどこにもないだろうと私は思うのです。ですから、政治的に、行政的にインマルサットの中に加盟をし、五年後それに移行をしていく。移行上の手続はいろいろあるだろうと思うのですが、私はそう思うのですよ。
  174. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 いまの実用化試験局の問題でございますが、ただいま申しましたように、海事衛星といたしましてマリサット計画インマルサット計画、マロッツ計画、このようなものがございます。郵政省といたしまして、実用局にするときにはそれに必要な技術基準というものを設定するわけでございます。それをマリサット用の技術基準、あるいはインマルサット用の技術基準、こういうことを行うことは問題を非常に複雑にいたしまして、また実質的ではない、かように考えております。しかもインマルサット自体が発足いたしまして、今後実現の可能性が非常に近くなっているという段階においては、実質的に影響のない実用化試験局という形でもっていくのが一番適当であろう、かように判断いたしております。
  175. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。  今回のマリサットシステムによる衛星を介しての通信、これは電話、それからもう一つはテレタイプ。公衆通信ということがねらいになっているわけですね。それで現在、一ヵ月にどのぐらいの公衆通信が普通の船舶で考えられるか、これはちょっと当たってみますと、一カ月に大体三十通程度の交信ということですから、今回のマリサットシステムそのものを考えてみたときに、その公衆通信だけをねらいにしていくという行き方は宝の持ち腐れと言ってもいいんじゃないかと思うのです。つまり、すでに船舶にあるコンピューター、これと通信回線がどんなようなつながり方をするかということがユーザーの大変な要求事項にもなっているだろうと思うのです。たとえばタンカーなんかで言いますと、非常な高速で積み上げをやったり積みおろしをやったりいたしますから、船が傾いてしまわない、転覆しないために、バルブの開閉をコンピューターによって操作している。あるいはサテナビ航法なんというのがいまかなり普及しているそうでありますけれども、このサテナビ航法、非常な悪天候の中で衛星から送られてくる信号を受けて、それで位置を決めていく。これも船の中にあるミニコンピューター。ですから、今回の海事衛星通信そのもののねらいというのが、第一段階はいまのような電話あるいはテレックスという形、これでいいだろうと思うのですけれども、次の段階はやはりデータ通信として回線が両端末コンピューターがつながる、そういう形に発展していかなければならないという要求があると思うのですね。その辺の対応はいかがでしょうか。
  176. 大島信太郎

    大島参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、公衆通信としましては、トラフィック量としては将来ともたかが知れているのではないかと考えております。最近のコンピューターの発達、それからオートパイロット的な発達を考えますと、もうすでに航空機においては飛び上がるときと着陸するときは人手の操縦を多少いたしておりますが、途中はオートパイロットによって飛んでいるという状況でございますので、当然船の方もそういう傾向に行くであろうということはわれわれも想像しておりました。船自身で自動的に操縦するほかに、やはり陸地からのいわゆるコントロール化に船を置いておくという必要もございましょう。そのためにやはり船等のデータ通信というものが今後最も重要な問題としてクローズアップするだろうと考えております。そういう意味では現在ではまだ回線としては不足でございまして、このマリサットとしましては電話一回線しか現在ございませんので、電話一回線ですと一番早くて九千六百語ぐらいの通信が現在できます。だけれども、これは一回線ではいろいろな船が要求した場合に非常にぐあいが悪い、ただ現在でもテレックスは二十二回線ございますので、このテレックスは千二百語までの通信ができますので、その程度のデータトランスミッションでよければこのテレックスを使いましても運航自動制御というようなものは可能であろうと考えます。そのほかに船上の貨物の管理とかそれから積み荷とか船内の重さのバランスの問題あるいは港湾倉庫の在庫管理というようないろいろな意味データ通信があろうかと考えられます。私たちは、公衆通信もさることながら、将来の方向としてはそういうデータ通信の方にできるだけ早く回線提供できるように努力をしていきたい、こう考えております。
  177. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そういういろいろな利用のされ方の中で、やはり一番大きなねらいというのは、船のコンピューター回線と陸上のコンピューターを結びつけまして、それでその船の方のコンピューターでは状況を読み取るわけですね。これは、気象の状況、海流の状況、風力、風速、それが陸上局に自動的に送られる。どのコースをどういうふうに通って、スピードどのくらいでという、それ全部コンピューターによって動いていくというような形のねらい方だろうと私は思うのです。それがいいか悪いかは別問題として、展望としてはどうですか。そういう種類のデータ通信というのはいつごろから具体化できるか。
  178. 大島信太郎

    大島参考人 これはもう回線さえあれば現在からでもできるだろうと思いますが、何しろマリサットによります現在提供できます回線は電話一回線しかございません。それからテレックスは二十二回線ということでございまして、将来は電話六回線までいくということでございますが、インマルサットになりますと、これは相当量の電話回線が使えると思いますので、とりあえず千二百語ぐらいの通信コンピューター間を結ぶとすれば現在でもやれますけれども、回線数がちょっと少ないのですが、まあ数年先を考えなければいけないのではないか、そう考えております。
  179. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 六百九十六杯ありますね。一万トン級以上の船が。六百九十六に対して設置をしようという目標が向こう五年間で九十六というのは非常に少ないという感じがしますけれども、どうでしょうか。
  180. 宮憲一

    ○宮参考人 私どもは極力努力したいと考えておりましてがんばっているわけでございますが、ちょっといま船舶界やや不況のような観がございまして、この目標数達成にもかなり努力しなければいかぬと思います。ただ日本の評価の方が諸外国の評価よりも若干慎重のような気味がございまして、インマルサットの専門家会議、その他アメリカのある機関がやった推定などによりますと、日本よりもはるかに大きな、二倍以上の推定数をやっておりますので、今後の動向を見ながら努力していきたいと思っております。
  181. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 需要調査というのはどういうふうにおやりになったんですか。
  182. 宮憲一

    ○宮参考人 過去におきまして数多くございませんが二回ほど調査いたしまして、設置の希望それからそれに伴う要求等を調べまして、それに基づいて日本国内の推定をやったわけでございます。日本の船舶界やや慎重の気味がこれまではございました。ただ、いままでで新しいサービスを出しますので、あるいはまた変わった結果が出てくるかもしれないと思いますが、過去においてはそういう傾向がございました。
  183. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、船舶地球局の設備ですけれども、KDDの直営だという点ですね。契約料が二十八万、使用料が月額四十八万、取りつけ料については実費をいただく。つまり非常に高いレンタル料金を要求されていると思うのですね。こういうふうになっている。これはちょっと不都合が多いように私には思えるんです。つまりリースの形と、どの機種にして自前で持ちたい、こういう要求に対して、受け入れられない。まあ悪く言えば独占事業としてレンタル料を要求していく、こういう形になっているわけですけれども、この点、どうもユーザーの側に選択をさせる、こういうふうにできないものでしょうか。それが船舶地球局の設備についてはいまメーカーが三つあるわけですよね。それで造船所との系列なんか考えますと船会社、たとえば郵船がコンテナ船をつくる。鞍馬丸をつくった。そうすると郵船がつくる場合には、どこの会社というふうにもうメーカーが決まっているわけですね、系列が。ですからそういう系列の中にあってこれを設備していくという場合にはやっぱりごく自然な形というのは、KDDの方で貸し与える、それを受けて設備していくという形より、むしろ造船の段階でどんどん設備ができるということになってくるんじゃないかと思うのです。やっぱりあくまでもメーカーからKDDが買い取ってそれをリースしていくという形ですか。
  184. 宮憲一

    ○宮参考人 ただいまの御質問に対しまして、船舶局の経費のことでございますが、現在の船舶地球局の価格は、まだ初期段階でございまして十分  技術的に固まっておらないところもございますが、一千数百万円程度の価格になっております。それでそれに対する減価償却とか資本利子、それからさらには保守費の見積もりをやりまして、それが主なものでございますけれども、さらに諸外国提供条件なども考えまして月額四十八万という線が出たわけでございます。複雑な船舶界の実情を考えますと、いろんな提供の仕方があると思いますが、とりあえず初期の段階、スタートにおきまして公衆通信であるということを考慮しましてそういうような措置がとられたわけでございます。さらに実情を考慮した高度の判断というのはこれからまだされるかもしれませんが、一応現在はそういう形になっております。
  185. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その公共性ですね、公衆通信提供していくという公共性からいって、キャリアという立場をどこまでも守られる姿勢だと思うんですよね。端末機器まで今回の場合にはおやりになろうという形ですね。別会社をおつくりになって、国際通信施設株式会社、これの仕事を見てみますと機械の保守までやる、保守が完璧にできるかというと限られたところに持っていかなければその保守はできないという形で、これじゃ現実はもうユーザー泣かせだと思うんですね。ですから、その辺にどうも無理があるように思えてならないのです。今後検討を要する問題じゃないでしょうか。
  186. 宮憲一

    ○宮参考人 ただいまの御意向を拝しまして、将来もよく検討していきたいと思っております。
  187. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 インド洋を航行中の船舶の陸上の地球局を設置する問題ですけれども、日本国内に設置しようという展望をお持ちだろうと思うのですが、この辺の計画はどういうふうになっておりますでしょうか。
  188. 宮憲一

    ○宮参考人 御高承のとおり、ただいま、マリサットは大西洋と太平洋に衛星を打ち上げまして、これに接続する局がアメリカに二局ございます。ただ、インド洋衛星に対しましてはどこもまだ接続できる商用の地球局がございませんので、KDDといたしましては、日本がインド洋地域で非常に船舶の重要性を持っておる関係上、ぜひ日本にインド洋衛星に接続できる地球局をつくりまして、日本の船舶のみならず外国の船でインド洋地域からそれぞれ接続する場合にも中継の業務を提供していきたいと考えて目下準備中でございますが、来年の半ばごろまでには完成したいと思っております。
  189. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、それが完成することによって料金の上では大体どのぐらい軽減することができるのですか。
  190. 宮憲一

    ○宮参考人 現在の海事衛星通信の料金は、すべての船舶からの通信がアメリカの地球局を経まして普通の国際通信の形で日本接続されるように!なっております。料金体系は海事衛星の部分と国際通信料金の合算されたものになっております。日本に地球局をつくりますと、少なくとも日本の船と日本国内との通信におきましては、国際料金の部分がなくなり海事衛星の部分だけになりますので、料金にもそれがすぐ反映できることになっております。
  191. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その反映ぐあいはどのぐらいですか、三分の一程度ですか。
  192. 宮憲一

    ○宮参考人 ただいま日本の船舶と日本との間の、たとえばテレックスを例にとりますと、毎分二千九百円になっております。この中には国際テレックス料金の千八十円というのが含まれているわけですが、ただ、これはまだ実際にどれぐらいにするかというのは、地球局の経費等いろいろございますので、はっきりした数字は申し上げられませんけれども、その程度の差額に近いものになっていくんではないかということでございます。
  193. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、アメリカと日本の間の在来のケーブルですね、それを使わないで済む、その分は安くなるという意味でしょう。そうですね。ぜひ早くつくるべきだと思うんですね。  それで、このマリサットシステムからインマルサットに移行をしていく。インマルサットそのものもかなり障害があるわけですよね。たとえば指定事業体のどこかの国一カ所、それが大体出資しなければならない、それが五%のシェアを持っている、それが一つ払い込みをしなかったという形になった場合には、これはできなくなりますね。ですから、インマルサットヘの移行というのは、インマルサットそのものが完璧なものという考え方に立つことはちょっとむずかしいのではないかなという感じもするのですけれども、その辺の展望をどういうふうにお考えですか。政府側、どうでしょうか。
  194. 松井清武

    松井政府委員 お説のとおり、インマルサット条約の発効につきましては、大変厳しい条約ないし運用協定上の制約もあるわけでございまして、ただいまのところ、見通しにつきましては、成算はまず五分五分のような感じで考えておる次第でございます。
  195. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 KDD、株式会社ですから、十分採算ベースを考えなければならない立場におありだろうと思うのですね。株主さんに対する責任、こういう立場からいって、十分やっていけるのだという展望をお持ちですか。指定事業体になっておりますけれども、いかがです。
  196. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 その点でございますが、先ほどの先生の御質問で、インマルサットの加盟国がもし予定よりも少なかった場合の話が出ましたが、これにつきましては、ほかの国が、加盟いたします国が、若干、自分の分担比率に応じまして、そのいわゆる不足分をまたプラスアルファしてしよい込むというような形をとるようになって、なるべくインマルサットがきちんと予定どおり発足するようにという、まあそういう仕組みに相なっております。  それから、今後の見通しでございますが、これは、今後のインマルサット自体、またこれに資本参加をいたします私どもKDDインマルサットについての収支と申しますか、そういう面につきましては、私どもも御指摘のように株式会社でございますから、慎重にこれに対処いたしたいと思っております。  ただ、このサービスが、先ほど来お話に出ておりますように、海運業界が非常に熱望し、そして従来の短波という非常に不自由な通信に革命的なサービス向上を与えるものであります以上、私どもとしましても、インマルサットに参加し、そしていろいろな諸設備国内においても投資をいたすわけでございますが、そういうことによりまして収支がある一定の時期償わないことがありましても、これは私どもの本来業務でありますし、また私どもが唯一のこのような通信事業体であれば、それは可及的にいろいろな経営の合理化、また努力をいたしまして、その収支の悪化を極力小さくするというような努力をしてこれに対処したい、そのように考えております。
  197. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、情報通信事業の業界で、アメリカの情報通信業者が日本上陸を意図している、そういう動きが伝えられております。これはアメリカの最大手のVAN、付加価値通信ネットワークの事業者であるテレネットが、すでにことしの一月FCCに海外進出ということを認められ、そしてパケット通信サービスの海外展開を計画中だといいますけれども、すでに事業展開の要請が出ているように思うのですが、いかがでしょうか。
  198. 大島信太郎

    大島参考人 先生指摘のテレネットに関しましては、これはアメリカの付加価値業者、付加価値キャリアでございまして、最近国際的にもFCCからキャリアとして認められた会社でございます。しかし、このテレネットからはKDDに対しましてはまだ申し込みが参っておりません。そういう状況でございます。
  199. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 来た場合、どういう対応をなさいますか。
  200. 大島信太郎

    大島参考人 テレネットはアメリカ国内キャリアでもありますので、アメリカ内の公衆通信網考えなければいけないと思います。それで、これを通じまして、日本の公衆通信網でありますNTTの回路網と直接つなぐことは公衆法上禁止されております。国際回線の両側に公衆網があるということは公衆法上禁止されておりますので、これは現行法規ではできません。しかし、この間で、たとえばアメリカ側でありますとRCAなりあるいはITTという国際キャリアが一遍受けとめまして、それから日本ではKDDが一遍受けとめてそうして国際回線としては公衆回線でつなぐということになりますれば、これは可能だろうと思います。  以上でございます。
  201. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 時代の流れという点からいきまして、法の上で整備をしていくこと、これを急がなければならないのじゃないかなという感じがするのですけれども、郵政省としては、電気通信監理官、どういうふうにお考えですか。
  202. 松井清武

    松井政府委員 この問題につきましては、要するにテレネットと申しますのは、データ通信を主目的とする通信網でございまして、現在、わが国開発研究を進めております電電公社のDDXあるいは国際電電ビーナス網等と同種のものであろうというふうに考えているわけでございます。したがいまして、これらわが国におけるそういったデータ通信網の開発状況等ともにらみ合わせながら、また通信法制上の問題等も検討しながら今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  203. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 さらに外国勢の情報通信業者の日本上陸というのは大変根深いものがあると思いますね。たとえば電通−GE、そういうものに続きまして今度はCDCあるいはタイムシェアといったような大物が名のりを上げている、こういう状況です。ですから、新規のコモンキャリアという立場でテレネットの場合に拒否できたとしても、日本国内法になじむような形でサービスを修正する、そういう場合にこれを認めざるを得ない立場に立つのじゃないか、こういう心配が実はあります。もしもそういう形になった場合には、国内に対する影響性というのは非常に大きいと思うのですけれども、あわせて見解を伺います。
  204. 松井清武

    松井政府委員 現在、これらの問題につきましては、CDCはKDDあるいは公社に対しまして電気通信回線の申し入れを行っており、この問題の取り扱いにつきまして、KDD等で検討をしている段階だというふうに承知しておる次第でございます。これらの問題につきましては、先ほど来も出ておりますように、通信法制上の問題もあるわけでございますが、同時にまた電通−GEに対してもすでにこういったサービス利用を許可しておるというような点もございます。そういうふうなCDCの利用条件等が、すでに許可しておる電通−GEの利用条件等と対比いたしまして、どういうふうなものであるかという点をも十分検討しながら今後進めてまいりたいと思いますが、ひとまずKDDの結論を待って郵政省といたしましては対処してまいりたいというふうに考えております。
  205. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、株式会社KDDに少しお伺いしたいと思うのですけれども、いま株は幾らぐらいになっていますか。
  206. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 ただいま当社の株式は、日によって変動がございますが、四千二、話百円となっております。
  207. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 高いですね。配当はどのくらい見込めますか。
  208. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 配当は一割でございますので、年に五十円でございます。
  209. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 株主の数はいま幾人ぐらいいらっしゃいますか。
  210. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 株主数は法人が二百四十二名、個人が九千六百十名でございますから、合わせて九千八百五十二名でございます。
  211. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 法人、個人合わせまして、十万株以上の株主は何名ですか。
  212. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 十万株以上の株主は四十三名でございます。
  213. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 株式数からいって何%ですか。
  214. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 株式における比率は七九・九二%でございます。
  215. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 二十八年に電気通信省が郵政省になり、NTT、KDD、こういう運びで発足いたしまして今日に至っておりますけれども、私はこの過程の中でたとえば一万人という株主数、これを単純には比べることはできませんけれども、たとえばAT&Tと比べてみますと、AT&Tの方が株主が大体二百万人といわれていますけれども、それとKDDの一万人と比べますと、株主数では大変な大きな違いです。それから経営の安定、公共性、こういう意味からいって、確かにどこかへ行ってしまうような国策会社では困りますから、安定性がなければならない。その反面余りにも閉鎖性といいますか、閉鎖社会になってしまったらいけないのじゃないか。そういう面が裏表の問題としてあるだろうと思うのです。  もう一つは、国民に愛されるKDD、これもたとえば電話の最近の伸び方を見てみますと、従来の法人が海外との連絡に使う、そういうシェアが非常に大きかったのですけれども、最近個人として海外との通話に電話が大変利用されている。そういう面からいっての公共性ですね。ですから私はその公共性、閉鎖性とは全く違う会社としての努力、これが非常に大事な一つKDDに要請される点じゃないかと思うのです。これは公募をするかしないかによって株主数がふえるか——現在は公募されているわけですけれども、増資のときあるいは今後の社の方針として国民の皆さんに株を持っていただくような行き方、この努力はいかがでしょうか。従来のように増資というと従来の固定した株主さんにお渡ししていく行き方、これを今後乗り越えられないものでしょうか。いかがでしょう。
  216. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 ただいまいろいろ御質疑いただきました。私どもといたしましても、いわゆる株式の民主化といいますか、また端的に申しますと個人株主の増加、こういう点についてはずいぶんと配慮もいたしておるつもりでございます。と申しますのは、会社創設から三年目の三十一年一月にはこれを店頭売買に付しておりますし、三十六年の十月には東京、大阪、名古屋で第二部に上場いたしております。そしてまた四十五年の二月には、同じ証券市場におきまして第一部上場というようなこともいたしておるわけでございます。その結果と申しますか、会社創設から三年目の三十一年三月に個人株主は合わせて三千六百五十四名でございましたが、ことしの三月末ではこれが九千六百十名ばかりになって、三倍とまではいきませんがそれに近いようなふえ方をいたしております。そのようなことで、また証券市場としましても御案内のように個人株主の増加を非常に奨励しておりまして、浮動株の基準というようなことで、その基準に満たないものは上場の停止ということもやっておりますので、そういう面からも個人株主の増加には力を入れて、相当程度の効果を挙げておるように存じます。  いまお話のありました公募増資と申しますか、そういう方法もまた新しい株主の増加には効果があろうかと存じます。しかし、これがいわゆる当時の言葉で言いますと時価発行というようなことであろうかと存じますので、これにはやはり既存の株主の反発が非常に強いということもございます。そしてまた現在、この公募方式は非常に厳しい基準を大蔵省または証券取引市場において課しておるような状況でもございますし、もう一つこれについて問題は、確かに形の上では新しい株主がふえるわけでございますが、ある特定の法人あるいは個人が金に任せて株を買いまくるというようなことがありますと、これは結果としてはまた個人株主がふえないということのほかに、もう一つ、そういうはなはだ歓迎したくない株主がまた出てくるということもございます。そういう点で、これにまだ私どもとしては踏み切ることができずにおりまして、それ以外の、まあいわばこういうような品位を持たなければならない当社のような会社にふさわしい方法で、少しずつしかし堅実に株主の増加を図っていきたい、そういうことでただいまおるわけでございます。
  217. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私は経営上の安定期にあると思うんですよね。たとえばNTTが一〇%株をお持ちになっていらっしゃるわけですよね。それから、そのほかに郵政省の共済組合あるいはNTTの共済組合も株を持っていらっしゃる。合わせて二二%からある。あるいは生命保険会社、銀行という、法人でも十の法人で、先ほど御説明の中にあった四十三人で七九・四%の株式を握っているわけですから、法人十社で持っている株が、これを見ていただいてもわかるのですが、五二・一%に実はなっておりました。ですから、あくまでも国民に愛されるKDDとして、経営上の不安定が来てしまうようなそういう株式の発行の仕方ではなくて、一株ずつ国民が持てるようなKDDに努力をしていただきたいと私は思うのです。そういう意味なんです。ですから、国民の皆さんがお持ちになる、それをまた乗っ取りのために買い集めるという悪玉がいたとして、KDDが揺らいじゃうかといいますと、このシェアからいきましてもそんなことは決してないわけですね。ですから、あくまでも閉鎖性を廃していくという上から、その努力はひとつ御協議いただきたいと思うのです。よろしくお願いいたします。
  218. 板野學

    板野参考人 ただいま先生のおっしゃいましたことはごもっともでございます。私ども従来の株主を尊重するというのは、ただいままでは各株式界にしきたりというか規則というかそういうものがございますけれども、できるだけ多くの株主をつくるということがやはり株式界でも要望されておるような事項でもございますので、今後先生のいろんな御趣旨に沿いましてひとつできる限りの手を打っていきたい、こういうように考えますので御了承いただきたいと思います。
  219. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。  先ほども俎上に上っておりますが、KDDの役員をざっと見てみますと、平取の方まで含めて十五人、常務取締役以上といいますと七人、その七人の常務以上の皆さんの中に、三十八年に郵政大臣をおやりでありました方だとか、あるいは三十六年に郵政省の簡易保険局長をやっておられた方だとか、それから四十二年に貯金局長をやっておられた方であるとかがいらっしゃるのですね。そういう要所要所に適材配置されているような、失礼な言い方かもしれませんが郵政省の何か出店みたいな、そんなような形であってはならないと私は思うのです。先ほどは、後進の皆さんの道をふさがないようなという御指摘もありました。しかし経営の安定ということが何か大網で、郵政省の言うことば何でも聞くような株式会社にしておくためにか、いずれにしてもそういうような形ですね。三人の監査役の中の一人は四十七年に郵政省の局長をおやりになった方がいらっしゃるとかという形ですから、この点についても、これは総理大臣と議論をしなければならない問題かもしれませんけれども、私は開かれた、国民に愛されるKDDとして今後発展していただくためにも、会社として株主に責任を持つ経営という立場から言っても、ひとつ確固たる経営方針を確立をしていただきたいなと実は思うわけです。きょうは大臣もいらっしゃいませんので、これはこの次の議論になるかと思いますが、これは要望にとどめておきます。  もう一つ具体的な事例でお伺いしたいと思うのです。海外放送に関して設備提供という付帯業務がいまKDDのお仕事になっておりますけれども、これの根拠はどういうことですか。
  220. 木村惇一

    ○木村参考人 NHKに対します国際放送設備提供は古い歴史がございまして、昭和十年以降、当時KDDの前身の一つでございます国際電話株式会社という会社が所有、運営しておりました八俣送信所に始まって、その後ここの設備国際電気通信株式会社、逓信省、電気通信省、日本電信電話公社等を経まして、昭和二十八年四月KDD創立と同時にそのままKDDに引き継がれた次第でございます。KDDといたしましては、この業務を会社創立と同時に、会社法第二条に基づく付帯業務として郵政大臣の御認可をいただきました。その際、御認可の中で、このサービスに適用する料金その他の条件について規定されたわけでございます。したがいまして、その後NHKから、このサービスを受けるに当たりましては、申し込みの形でKDDに対して、たとえば送信機の台数、送信出力、送信方法、専用時間、空中線等につきましての具体的な内容を盛り込んだ申込書を提出していただき、それをKDDといたしましては、郵政省の御認可を得て定められました料金に従いまして承認するという形をとって今日に至っておるわけでございます。
  221. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 八俣送信所の提供している設備、ぱっぱっと言っていただけますか。
  222. 木村惇一

    ○木村参考人 現在、八俣送信所におきましては百キロワットの送信機八台、五十キロワット二台、二十キロワット二台を主力といたしまして提供しております。
  223. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この提供という付帯業務の収支はどうなっていますか。
  224. 木村惇一

    ○木村参考人 収支につきましては、残念ながら収益が支出を償うに足りませず、特に最近におきましてはその差額はかなり大きなものになっております。  たとえば昭和五十年度におきまして収益は三億八千万円、支出は十億七千八百万円という次第でございます。
  225. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この数字は簡単ですから、四十七年からざっと収入、支出をひとつ挙げていただけませんか。概数で結構です。
  226. 木村惇一

    ○木村参考人 では申し上げます。  昭和四十七年度は収益三億七千七百万円に対して支出が六億八百万円、四十八年度は収益三億八千万円に対し支出七億五千三百万円、四十九年度は収益三億八千万円に対し支出十億八千万円、五十年度は収益八億八千万円に対しまして支出十億七千八百万円、五十一年度はまだ見込みでございますが、収益四億七千五百万円に対し支出十一億四千九百万円になっております。
  227. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いまの数字、ちょっと間違っているんじゃないですか。五十年度八億八千万というところは三億八千万の間違いですね。  それで、いまお話しの収支のバランスが余りにもひど過ぎる。一番近い五十一年度、これは現在見込みでありますけれども、四億七千五百万に対して実際に支出が十一億四千九百万かかっている。この付帯業務というのは、考えられない業務を引き受けておやりになっているわけですよね。これは株式会社がやっている仕事かなと思えるような大赤字、それこそよく株主さんは何にもおっしゃらないな、たとえば四十七年は収入の二倍に近い支出をしています。これは一体どういうわけなんですか。今後改善の見通しというのはあるのですか。それから、過去にどんな経緯があったとしても、公共性の上からやらなければならないものであるとするならば、提供を受ける側に対する要求というのはきちんとなすべきじゃないですか。そういう率直な疑問を持つのですけれども、お答えいただけませんか。
  228. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように、株式会社としてはなはだ遺憾な収支状況にございます。しかし、これは発足が昭和十年、そして会社の形態が変わるたびにずっと引き続いて当社が担当してまいったわけでございます。これはもちろん付帯業務でございますから本来業務とは全く違い、当然収支相償うべきものであるわけでございます。私どもとしましても、発足の当時からこれは赤字を出してはならない業務である、したがって、当時の約束といいますか話し合いにおきましては、これは収支償う形で発足をいたしました。  しかし、その後いろいろな事情がございまして、現在は、先ほど来お答えがあっておりますように、収支率二百四、五〇あるいは六、七〇というような収支率の悪化を見ております。赤字額が一億を超えましたのは昭和四十五年以来でございます。私の方といたしましても、それまでももちろんNHKに対しまして値上げを強力に言っておったわけでございますが、ついに赤字が一億を超え、収支率が急激に悪化を招いておるという段階に及びまして、NHKに従来にも増して強力な折衝をいたし、また監督官庁の御判断も得まして、ようよう五十一年度には三〇%の料金値上げ、五十二年度には一〇%の料金値上げをやっておる。今後もこの値上げの交渉は続けていくという基本方針をとって、NHKもそれはよく承知をしております。  収支の改善につきましては、ただ単に先方からの受け入れ収入を多くするということのほかに、私どもとしましてもまだなすべき努力がある。すなわちいろいろな合理化を可能な限りやっていこうじゃないか、そして支出の幅を縮めていこうという案も持って、少しずつではございますが、すでに実行に着手しておるわけでございます。
  229. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 NHKとの契約はどうなっておりますか。
  230. 木村惇一

    ○木村参考人 先ほど申し上げましたとおり、NHKとの間の契約関係は、サービスの申し込みとこれに対する承諾という形でなされております。私どもといたしましては、そういった形のものでなくて、基本的な恒常的な契約関係をNHKとの間で結びたいというふうにも考えておりまして、鋭意その点について検討を進めているところでございます。
  231. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 こんな会社はどこにもないですね。毎年毎年大変な大赤字の仕事をしょい込んで、契約書一つないのでしょう。申し込みに応じて提供するという形で延々と続いてきておるわけです。しかも四十五年以来赤字で、これは好転できないわけです。これはひどいと思います。ですから、これは早急に明確なものを取り決めるべきだと思いますし、株式会社なんですから、営業方針上十分検討した上で対応していくという立場をおとりになって当然だと思うのです。大体、NHKに対して請求書は出ているのですか。これだけ費用がかかりますというきちんとした形の請求。これも口頭ですか。
  232. 木村惇一

    ○木村参考人 請求書と申しますか、先ほど申し上げました申し込みとそれに対する承諾書の中にもちろん金額が書いてあります。それに従いまして、正規の会計手続に従いまして請求、領収をしておると存じております。
  233. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ひとつこの改善のために御努力していただきたいと思います。きちんとした契約は一般社会で常識です。付帯業務であろうが付帯業務という名のKDD事業でありますから、KDD事業として提供する側、される側両者の間に契約書があってあたりまえなんです。契約条件があってあたりまえなんです。それが全くなくて今日までこうして延々と続いてきているなんというのは納得できない話です。どうかひとつ早い時期に改善をしていただきたいと思います。
  234. 板野學

    板野参考人 先生のおっしゃること、ごもっともでございまして、私ども三年くらい以前からこの料金といいますか、委託の経費の増額方につきましてNHKと強力な交渉をしておりましたし、また郵政省の方にもお願いをいたしまして、この三者でいろいろ協議をしながら、大体当初は三カ年くらいで赤字を埋めていくというようなことで、第一年度は三〇%ということでございましたけれども、その後NHKのいろいろな財政問題もございましたし、今年度一〇%ということになりましたけれども、やはり基本契約を結ぶということが大変大切でございますので、私ども、二年くらい前から基本契約の内容、特にその料金とか経費の収入という問題を中心にいたしまして、NHKとの間の協議も進めておりますので、できるだけ早い機会に協定を締結いたしまして、そうしてこの赤字を早い機会に収支相償うような方法でひとつ努力をいたしたい、こういうぐあいに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  235. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 終わります。
  236. 八百板正

    八百板委員長 本日の国際電信電話株式会社に対する質疑はこの程度にとどめ、次回は、明十九日午前十一時から委員会を開会し、残余の質疑を続行いたします。  参考人各位には御多忙中のところ御出席いただき、ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会