○小林
参考人 NETさんがどういう条件で向こうと
契約されたか、私も知るよしもございません。しかし私
どももこの問題についてソ連側からやかましい催促が何遍も来て、このままでいったらNETさんだけと
契約を進めるぞというふうなそういう照復もありまして、それじゃやっぱり
NHKさんを中心にしてみんな行って、正式に向こうの話も聞いて進めなくちゃいかぬじゃないかということを
考えるのは当然で、それで橋本さんに
代表で行ってもらったのでございます。したがいまして、橋本さんからようやく委細の報告をきのう初めて聞いたわけなんですが、私は率直に言って、橋本さんよ、何にも気にする必要はない。うまくいかなかったからと言ってやけに気にしておられましたけれ
ども、こういう
要求ならば捨てるのがあたりまえ、当然こんな条件と何とかでわれわれは協力すべからずという感じを率直に受けたのであります。したがいまして、NETさんがどういう条件で得られたかは知りませんけれ
ども、われわれとの話し合いで出たような条件ならば私は受けちゃかえっておかしいという心証をむしろ得たのでございまして、今後どうするかと言われましても、これはもうそういう条件を前提にした問題は一切私は
考えるつもりはない、これだけはっきり申し上げておきます。こういうものはどういう条件でどうしてやるか、そこと兼ね合いの問題でありまして、ただ単になにを見せたらいいじゃないかというものじゃないだろうと私は思うのです。だから最初
NHKさんが
代表で行かれる場合にも当然にわれわれは協議しました、どういう方針でいくかと。そうすれば、これは
国民の
立場から、特に
NHKさんの
立場から一体どういう条件なら
NHKさんとして可能であるかということが私は一番基本的な問題であると思う。
NHKさんは
国民から
受信料を取っておられて、いろいろな
公共活動をしておられるのですから、そう野方図な条件で
放送権を買うわけにいかないだろう。私は当然だと思うのです。もちろんモントリオールと同額であるという必要はない。物価ももちろん上がりましょうし、条件が上がるのだから、多少は上がることはやむを得ない。その幅がどれだけか。それは
NHKさんに
一つのお
考え方があるに違いない。そこへわれわれが参加するのですから、これはある意味ではNETさんと競争になるから、競争も頭に入れて、われわれ民放が参加するのだからある
程度の幅も当然にあっていい。それくらいの金は、NETさんが出せるようなら、われわれだって出せるに決まり切っておるのであります。これは一局だってもちろん出せますよ。したがって、三局束になればもっと出せることは明瞭な事実です。しかし、この場合もある限度があるはずであって、限度と条件をはずすような
契約はしてはいかぬ、特に私はそういう確信を持っておりまして、だからそういう前提で橋本さんに任せた。
契約するもよし、せざるもよし。場合によっては、申し込みが不当だとお
考えになればギブアップ、断念されて一向に構わない。その結果橋本さんが断念された。きのう報告を詳細に聞いたのですが、私はよかったと思う。よく断念して帰られた。それは、NETさんとの
契約は知りませんけれ
ども、私は向こうのドラフトもちゃんと見ました。金額は、お互いの話で、言ってはいかぬという話ですけれ
ども、ドラフトを見まして、このドラフトで仮に橋本さんが
意見を聞いてこられたら、もちろん、ノーと私なら言います。そういう状況でございますから、この問題はやはり相対的な問題であって、一体中身を、どう適正な条件でどうするかということを前提にして議論をしなければ、私は正しい
あり方じゃないだろうと思う。
さっきちょっとラジオの話が出ましたが、私は、これはソ連側に不服が非常にあるのです。私のところはラジオをやっておりません。話が来たのは、テレビ、テレビと来ておるのです。テレビ局に対して、こうしたいから
代表者を送れとか、入札金額を何日までに具体的に教えろとか、こういうことが来ておった。これは事実です。しかしながら、ラジオの問題は一言半句もない。私のところに来ておらぬから、
NHKさんに来ておるのか、ほかのラジオ局に来ておるのか、聞いてみたら全然来ておらぬのです。ラジオはいままではオリンピック一貫してフリー取材なんです。その後調べたら、今度のモスクワに関連してかどうか知りませんが、
放送権の中に入れたということは事実だったらしい。最近それは判明しました。しかしながらそうならそうで、こういうものはオープンにラジオ局に当然に、おまえらも自由な
立場で参加すべきだ。
NHKさんには当然そうあるべきですよ。だから委細経緯をはっきり調べていただきたいと言っているのです。もしそうなら、ラジオについて全然一言半句もラジオ局に公平に話がなしに、そして向こうでラジオも含めてやったとすれば、この
やり方は国際的に見て私は許せぬ。少なくともオリンピックのような世界的、
国民的行事にそういう形でラジオだけがやみ取引を、やみ取引という言葉は悪いが、やるということは適当じゃない。したがって、
NHKさんもほかのラジオ局も正式に抗議を申し込むべきだとさえ私は思っておるわけでございます。そこらの点をみんな総合的にお
考えになって、皆さんの方で御
判断を願いたい。私
どもは、こうして
一つの結末が出たのですから、ああいう中身の内容のものには何とも手の出しようがない、したがって控えたい、これだけの話でございます。