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1977-05-17 第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十七日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 大西 正男君 理事 木村武千代君    理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       渡海元三郎君    中村喜四郎君       中村  直君    西田  司君       堀之内久男君    与謝野 馨君       岩垂寿喜男君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    和田 一郎君       中井  洽君    三谷 秀治君       川合  武君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   小川 平二君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君         警察庁刑事局保         安部長     吉田 六郎君         警察庁警備局長 三井  脩君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 町田  直君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 五月十四日  行政書士法の一部改正反対に関する請願(春日  一幸君紹介)(第四九三六号)  行政書士法改正反対に関する請願宮田早苗  君紹介)(第四九三七号) 同月十六日  行政書士法改正に関する請願塚本三郎君紹  介)(第五〇八六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十六日  地方財政確立に関する陳情書外七件  (第一六四号)  東京都特別区の財源獲得に関する陳情書  (第一六五号)  地方行財政充実強化に関する陳情書  (第一六六号)  社会保険国民年金行政事務地方移譲及び職  員の身分移管に関する陳情書  (第一六七号)  退職地方公務員年金制度改善に関する陳情書  (第一六八号)  地方議会議員半数改選制等反対に関する陳情  書外二件  (第一六九号)  日本道路公団等有料道路に対する固定資産税  課税に関する陳情書外二件  (第一七〇号)  農家使用乗用コンバインに対する地方税免税  措置に関する陳情書  (第一七一号)  消防職員団結権保障及び消防施設拡充強化  に関する陳情書(  第一七二号)  行政書士法改正に関する陳情書外一件  (第一七三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四四号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、本案について、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁町田直君、新東京国際空港公団理事角坂仁忠君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 地崎宇三郎

    地崎委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。小川新一郎君。
  5. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、前回問題になりました成田空港警備問題及び銃刀法改正法案について御質問させていただきますが、銃刀法の問題につきましては和田君がやりますので、時間内、許された範囲内で成田空港の問題について御質問をさせていただきます。  まず、公団の方は来ておりますか。
  6. 地崎宇三郎

    地崎委員長 参りました。
  7. 小川新一郎

    小川(新)委員 お名前は……。
  8. 地崎宇三郎

    地崎委員長 町田総裁です。
  9. 小川新一郎

    小川(新)委員 では副総裁にお尋ねいたします。  成田空港開港見通しについてお尋ねいたしますが、まずいつ一番機を飛ばすのか、これは年内なのかそれとも来年なのか。それから関係千葉県との問題、千葉県側はどういうことをいま空港当局陳情しているのか、そして千葉県とのネックは何なのか、そしてその問題が解決するためにはどのような手段、方法、対策を講じて、この空港開港という問題に努力していかれるのか、これが一番目の問題でございます。  それから、あなた方の見方でございますが、今後の反対派動きをどのようにまず空港公団としては見ているのか、そのことによって警備体制との話し合いが出てくると思いますが、反対側とは話し合い余地は全くないのかどうか。  また、第三点といたしましては、年内開港を急ぐ理由ですね。福田総理からの指示があって公団としては努力をなさっていると思いますが、流血惨事がいま起きております。御存じのとおり東山さんが亡くなられ、また警備体制を整えている警察側でも、いま瀕死の重態が伝えられている警察官もおられます。また過去に三人の警察官が亡くなられております。このようなとうとい人柱、犠牲の上に空港公団がいま強行しようとしている、年内開港を目指して闘っているという一つ理由は何なのか。この辺の問題をひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  10. 町田直

    町田参考人 お答え申し上げます。  まず開港見通しでございますが、先生承知のとおり、現在まですでに四千メートルの滑走路、それからこれに対応いたします旅客ターミナルビル貨物ターミナルビル、その他空港施設はほぼ全部、第一期分は完成をいたしております。また御指摘のように、去る五月六日にいわゆる妨害鉄塔が撤去されまして、現在運輸省におきまして飛行場の完成検査のための飛行検査を実施いたしております。このように開港につきましての空港側としての準備は着々と整っておるわけでございます。  なお、御指摘のございました地元要望というものがたくさん出ておりまして、特に千葉県からは二十八項目の要望が出ておりまして、この中にはアクセスあるいは騒音対策というような大きな問題がたくさんございます。  それからまた、空港開港いたしますための必要な問題といたしまして航空燃料暫定輸送の問題がございます。  これらの問題につきまして、ただいま運輸省中心といたしまして、政府並びに公団におきまして鋭意努力をいたしている最中でございまして、まあ私どもの感じから申し上げますと、燃料輸送の問題につきましても、いわゆる千葉県側の関係市町村に関しましても、千葉市を除きましてはかなり話し合いが煮詰まっておりまして、千葉市につきましても運輸省中心になりまして今後話し合いを進めていただくことになっております。また千葉県から御要望のございましたアクセスあるいは騒音対策につきましても、特にアクセスにつきましては運輸省中心になっておりますけれども騒音対策につきましても公団が主体となりましてお話し合いを進めている最中でございまして、誠意を持って解決努力をいたすつもりでおります。したがいまして、開港見通しにつきましては、これらの問題をできるだけ最善の努力をいたして解決をいたしまして、政府の方針のとおり年内開港をいたしたいということを私どもとしては考えておる次第でございます。  問題が前後いたしますが、何でそんなに急ぐのかという御指摘でございますけれども、これは先ほどからるる申し上げておりますように、すでに空港施設はほぼ完全に完成いたしておりますし、それから一方、国内的にも国際的にも羽田空港状況あるいは国際空港関係考えますと、国家的、国民的にも一日も早く開港することが必要であり、また、私どもに課せられた使命であるというふうに考えております。ただ、先ほどから申し上げておりますように、地元関係というものにつきましては、十分なこれに対する対策をいたしまして、御了解を得た上でということで努力をいたしておる次第でございますけれども、こういう問題を解決いたしました上で一日も早く開港することが必要であるというふうに考えておる次第でございます。  次に反対派動きでございますが、いわゆる三里塚芝山反対同盟並びにこれを支援しております学生集団等動きにつきましては、私ども公団といたしまして、今後これがどのような方向に行くのかということは、いまの段階でなかなかその動向について見きわめることは困難でございます。ただ私どもといたしましては、一日も早くこの反対同盟方々が私ども考えております新空港必要性あるいは地元対策等につきましての努力理解をしていただきまして、ただいまのようないわゆる過激な運動、考え方は一日も早く捨てていただくということを心からこいねがっておる次第でございます。  話し合い余地があるのかどうかということでございますが、私どもは当然のことながら、地域社会と調和のとれた空港ということで、地域住民との話し合いをいままでも進めてまいりましたし、今後も地域住民、特に地元農民方々との話し合いは引き続き強力に進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。  ただ、いわゆる反対同盟方々のお考えは、私どもいままで承知しております範囲におきましては、とにかく成田空港を廃港に持っていくんだ、こういうことが第一の何というか、中心考え方であるように聞いておりますので、こういう方々話し合いをいたしまして、何らかの解決策を見出すということは非常にむずかしいのではないかというふうに考えております。  しかしながら、やはり反対者に対しましても、先ほどから申し述べております新空港必要性あるいは地域社会との共存共栄の国、公団方策につきまして、理解を得る努力は今後とも続けていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は何も空港公団のやっていることにここで改めて文句を言っているわけじゃないのですが、巷間伝えられるところによると、非常に熱意の問題、総裁みずから陣頭指揮をとって話し合いの場をつくるとか、または一理事を危険にさらさして話し合いをさせているとかということでなくして、総裁、副総裁みずから現地に飛んで陣頭指揮をしている姿が世間に対する非常にいろいろな影響を与えてくる、こういう問題が非常に批判されている点もあるということをまずお考えをいただきたいと思うのです。  それから、何でもかんでも与えられた公団の機能の中でやろうとするのでなくて、解決するためには、前向きに解決方策を打ち出していかなければならないんじゃないかという考えがするのです。ただ、これだけの枠の中で処理をするんだ、予算もこれだけなんだからこれだけのことでやるんだというのでなくて、解決のためには金も惜しまない、糸目もつけない、こういった前向きの姿勢というものが当然要求されないと、これはもうその枠の中だけで処理していこうとするところに官僚セクションと申しますか、そういったものの発想では解決ができないんじゃないか。そしてできなければ実力行使だ、後は警察機動隊に任せればいいんだ、しかもこの反対派人たちは何も過激な行動をするというのではなくて、これは過激派とは別の考え方を持ってもらわなければ困ると思う。一体、戸村さんを初めとする反対同盟人たち過激暴力極左集団を導入させることを要請したのか、果たしてそういう連中が勝手に入ってきたのか、そういう人たちが先頭に立っていることが、その反対同盟の全体の動きとして見るものなのかどうなのか、そういうところの公団考え方が私はわからないのでお聞きしたいのであります。
  12. 町田直

    町田参考人 ただいま御指摘のございました幹部陣頭指揮の問題につきまして、一部新聞等にもそれに似たような報道がございました。ただ、私ども決して絶えず逃げたり何かしているというような、新聞に書いてあるようなことではございませんで、実際に私も必ず毎週数回は現地へ参りまして、実際に仕事をいたしておるわけでございます。その点若干の誤解はあるかと思いますけれども、私ども努力が足りないという御指摘でございましたら、それは甘んじてお受けいたしますけれども、決して陣頭指揮をしていないということではございませんので、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。  それから、前向きの解決考え方が非常にセクショナリズムではないかという御指摘に対しましても、そういう御批判もあるいはあるかと存じます。御承知のように、公団公団なりの一つの枠がございまして、必ずしも何でもかんでもできるわけではございませんので、その辺がいろいろ公団としてはつらいところがございます。しかし、要は考え方の問題でございまして、先生の御指摘にございましたように、枠を超えるというわけではございませんけれども、枠の範囲内でできるだけのことはいたすように、私どもから関係政府その他にも働きかけ、御指摘解決策に向かって努力いたしたいということは考えておりますし、最近若干そういうふうなことも実績としてあらわれているんではないかというように考えておりますので、この点も今後ともひとつ御叱責をいただきたいと思っております。  反対同盟のことにつきましては、なかなかむずかしくて十分わからないところもございますけれども、私ども、現在のいわゆる三里塚芝山反対同盟幹部と、それから実際に農地を持って公団の要請に応じて農地を売り渡す立場にある方々とが、必ずしも一体であるかどうかということについては若干の疑問を持っております。私ども努力によりまして御納得をいただいて土地を売っていただいた方も、最近に至りますまで数人ございました。したがいまして、廃港に持ち込むという一つの思想的な考え方と、それからそうでなくて、本当の農民の方で、産業をするためにどうしても農地が要るんだという方々との立場は必ずしも同じではない。したがいまして、そういう方々に対しましては、公団の必要のために農地は売っていただきますけれども、それに対する補償と申しますか、代替地の提供と申しますか、そういうことにつきましては、少なくとも現在の生業が悪くならないようにという努力は今後とも続けていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 小川新一郎

    小川(新)委員 民主主義ですから、考え方は幾つもあると思います。絶対に廃港に追い込む、または農業がやっていける保証があれば協力したい、こういう現地人たちの声が二つ、三つに分かれることは当然のことであります。  そこで、私どもは、廃港に追い込むとか廃港に追い込まないとかをいまここで議論しているのではありません。ただ、空港公団姿勢の問題をいま私は追及しているので、これは追及と言ってはあれですが、私の意見の中に、たとえば代替地の問題について、土地評価の問題についてもあくまでも協力して、それを地主と話し合いの場に持っていけるような評価をする場合も、安く買えばいいんだ、これは国家の利益になるんだというような一方的な考え方ではまとまる話もまとまらなくなるだろう。そういう問題の一例を挙げても、前向きに、弾力的に、この空港公団解決姿勢の問題、これが努力が欠ければ、もうお役所的な物の発想でいって、何でも与えられたものはこれだけなんだという考えでいきますと、最後実力行使お互い意見の激突、最後には流血惨事、流さないでもいい血を流すような事態にもなるから、私はそういった姿勢の問題を、弾力的な物の発想ができるのかできないのか、それをきょうはお尋ねしているわけでございます。
  14. 町田直

    町田参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、空港公団としては一つの枠なり何かございますけれども、その枠の範囲内におきまして、あるいは枠がある程度変えられる分につきましては変えられる努力をいたしまして、御指摘のようにそういう問題についてはできるだけ努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、副総裁お忙しいようですから、結構でございます。  では具体的な問題として、今回の成田空港反対闘争で動員された反対派の内訳はどうなっているのか。現地から動員されたものの勢力、他から動員されたものの勢力、また過激派と言われるものの集団との関係はどうか。先日も埼玉県浦和市内過激派内ゲバ事件があり、ライトバンが焼き討ちに遭いまして、中で四人蒸し焼きにされました。この事件はいまだに解決されておりません。また、芝山町長宅警備警察官を襲撃した集団浦和内ゲバ事件によって蒸し焼きにされたこれらの青年とは同じ集団なのかどうか、このような殺人集団千葉県に入り込んでいるのかどうか、それとは全く別個な温和な集団なのか、この辺、警察当局はどのように理解しているのか。  それと、まず、なぜこのような人殺しをした集団が大手を振って大衆の目にさらされるととろに出没できるのか、この辺がわれわれまじめな一般国民には理解できがたい問題であります。しかも、内ゲバでは姓名や住所やそういうものまで発表している、次には予告までしている、この次はどこの集団のだれをやる、こんなことはやくざの世界にもないことであります。これらのことが野放しのような状態になっているやにわれわれには想像されますが、これでは安全な警備もできないと思います。これは早急に解決できるのかどうか、いま言ったような点を順次御説明をお願いします。
  16. 三井脩

    三井政府委員 まず第一に、全部で十六件ありました五月六日以来の事態の中で、五月八日及び五月九日の事態が一、二を占める大きな事態でございました。そのうち、五月八日には現地三里塚千代田農協前広場において集会を催したわけでございますが、これを目指しまして五月八日当日、反対同盟も含めまして三千七百人が現地入りをいたしました。集会に集まりましたのはそのうち二千七百人でございます。三千七百人のうちその大部分、三千名を超える部分がいわゆる極左暴力集団でございまして、日ごろ内ゲバ等過激な行動をやっておる連中でございます。  そこで、いまお話しございました四月十五日の、浦和市内におきます革マル派の幹部四名を襲って火災びん等によりまして焼き殺す事件がございましたが、これにつきましては、犯行を行ったセクトは、その声明等から革労協革命的労働者協会であることがほぼ明らかになっておるところでございまして、いま捜査の重点をそこに置いておるわけでございますが、ただいま一口で成田現地に集まった極左暴力集団と申しましたが、そのセクトは、多い順に申しますと、第四インター、中革派革労協、その他ブント系、こういうことでございまして、四人焼殺という殺人事件を敢行いたしましたセクト革労協もまたここに約三百名参加したわけでございます。  次に、五月九日、警察官芝山町長宅前派出所におきまして勤務中、六名が四十名ないし五十名の極左暴力集団の襲撃を受けました。火災びん数十本の投てきを受け六名が重傷を負ったわけでありますが、お話しのようにそのうち危篤状態を続けておる、こういう者もあるわけでございますが、この犯行集団はいまのところ、ただいま申しましたこのいずれの集団であるかということは明らかでありませんが、現地におりますはっきりしたセクトとしては、第四インター、中革、革労協ブント系、大ざっぱに言いましてこの四つのセクトのいずれかに属するものというように考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、この極左集団三里塚闘争におきまして、先ほど三里塚は廃港を目指す、こういう言い方がありましたが、これは地元反対同盟が廃港ということを言っておるわけでありまして、極左暴力集団が言っておりますのは、これは革命における一種の予行演習でありまして、この成田空港ができ上がりますと、これは軍事的な性格を持っておる、だから革命路線一つ闘争の課題としてこれを粉砕する、こういう趣旨でございます。  そこで、そういうような集団でありますので、一般に言われておる公害反対闘争といったような意味での平穏な意図を持ってやっておるのではなくて、最初から暴力革命ということを実践する集団としての極左セクトというものの現地動員でございます。これがそういうものであることは明瞭でありますから、現地に来る、つまりそれを現地集合させないで、現地流血事態を引き起こさないように、事前段階において各種措置をすることの問題でございますが、私たちもこの点については鋭意努力しておるわけでありまして、平素から彼らがどういうような意図を持って、どういう時期及びどういう地点にどういう行動をするかということを、いわゆる情報活動の中で彼らの意図をつかみたいという努力をいたします。  次に、現地入りをいたしますに当たりましては、バス等で参る者、電車等で参る者等があるわけでありますが、現地入りするその付近で強力な検問を実施いたしまして、これが角材、火炎びん、あるいは鉄パイプ……。
  17. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が質問しているのに、芝山町長宅警備警察官を襲撃した集団と同じかどうかという質問なんです。  そこで、こういう過激派の、いままでお互い内ゲバで人を殺し合った集団が集まってきたことは事実であり、浦和で四人殺し連中も三百人来ておる。これが話をひっくり返して、暴力やくざ集団がこういうふうに集合してきたときには警察としてはどういう処置をとります。人殺しをやったということがわかっておる組の者が三百名もそういった意図、目的を持って集合し、危害を加えるやもわからない連中が集まってきたときには、警察としてはどういう態度をとりますか。
  18. 三井脩

    三井政府委員 それは兇器準備集合罪を犯す直前状態ということが考えられますので、警察におきましては、その集団の個々に警察官が張り込むとか尾行するとかということで、その行動行動に出る直前、つまり凶器を持ったという段階でこれを取り押さえるという努力をいたします。
  19. 小川新一郎

    小川(新)委員 行動と言うけれども集合しましたね、ヘルメットをかぶり、パイプ火炎びん石等を持ち集合した、まだ行動しない、その集合しているときには逮捕できないのかどうか。
  20. 三井脩

    三井政府委員 凶器を持って集合しておる段階で検挙できます。
  21. 小川新一郎

    小川(新)委員 今回の場合はそういう事態では逮捕できなくて、投石をし、火炎びんを投げ、火をつけた車を警察官の側へ突入させ、そこから行動が——そのときにはまだ逮捕段階にはなくて、警察ではただこうやって並んでいたのかどうか、逮捕に飛びかかったのかどうか。
  22. 三井脩

    三井政府委員 警察官二百名余りが集会警備のために配置についておりましたところ、離れた団結小屋集合をして五百五十名が凶器等を持って警察部隊に突入してきた、こういう段階でございますので、凶器等を持って団結小屋付近集合した段階、ここで法的には検挙できるという事態でございます。
  23. 小川新一郎

    小川(新)委員 その集合した人数のときに複数、多数の、警察官以上の勢力があるときには、飛びかかっていったのでは警察官も袋だたきに遭う危険性があるわけです。だけれども、そこで逮捕しなければならないわけです。そこでガス銃使用が問題になっているのですが、成田の現状はどうなっているかということをまず聞きたいのです。特に、第五ゲートにおける衝突の状況の具体的な模様ですが、それはこちら側が逮捕しようと思ってわあっと行動を起こしたのか、向こう側が警察官を撃破しようと思って行動を起こしてきたのか。向こうがこっちをやろうとしたのか、逮捕できる状態にありながら逮捕しなかったのか。そこでガス弾が使用されたという状況が出てくると思うのですが、その辺はどうなんですか。
  24. 三井脩

    三井政府委員 まず五百五十名が凶器等を持って一団としてやってくる状態、これは法律的には凶器準備集合罪になるわけですから、警察においてそこで検挙することが適当であると判断すれば検挙できるわけでありますが、多勢に無勢と申しますか、そういう状態であるのと、二百二十名の部隊は千代田農協前で行われる集会、これが平穏に行われるように、この集会凶器等を持って参加する人間をここで検問をして凶器等を取り上げる、それから凶器なるものは一時預かる、こういう措置をとることを任務として二百二十名配置しておったわけであります。そうしたら突然五百五十名が集まってやってきたということでありまして、警察としては予期しない事態が突然に出てきた、こういうことでありますので、この二百二十名に対して五百五十名の集団が向こうの方から攻撃をかけてきたという事態でありますので、これは凶器準備集合罪の域をすでに越えまして、凶器を行使して人に対して暴行、傷害等を加えるための実力行動に移った。この段階警察がこれを制止をし検挙するという活動に入ったわけでございます。
  25. 小川新一郎

    小川(新)委員 制止し逮捕する行動に移ったが、その結果は出たのですか。
  26. 三井脩

    三井政府委員 いまのような状態でありましたので、本来ならば五百五十名全員を検挙すべきもの、そういう事態だと考えますけれども、二百二十名の部隊であったということ、それから相手方の手段、方法が大変凶悪といいますか、火炎びんはもちろん、自動車等を用いる等のことでありまして、努力をいたしましたがここでの検拳は二十五名、つまり二百二十名の警察官のうち百二十五名が負傷するというような状態でありましたので、五百五十名検挙すべき対象のうち二十五名しか検挙できなかったという、われわれとしては大変残念な状態でありました。
  27. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、運の悪いのが二十五名つかまった。だけれども参加した六百名、全部同罪ですか。
  28. 三井脩

    三井政府委員 原則として同罪でございます。個別に見て個別の事情があれば別でありますが、現場の状態としては全部同罪。
  29. 小川新一郎

    小川(新)委員 過激派はどんな方法でどんな襲撃を仕掛けてきたのですか。
  30. 三井脩

    三井政府委員 まず五百五十名の集団の真ん中に小型トラックを持ってまいりまして、これには鉄パイプ、それから石、その他を満載をいたしております。何回か往復したようでありますが、最終的には石はそのそばにおろし、鉄パイプを各人が取って武装する。その車は後退をいたします。今度はその車の前に小型乗用車二台を持ってまいりまして、これに火炎びんを積み、さらに火をつけ、エンジンをかけたまま警察部隊に突入させる。これが先頭部隊、相手方の先頭でございます。それから火炎びんを投げる、それから投石をする、鉄パイプ及び角材で攻撃をかけるということでありまして、いまのは質的な点を申し上げたわけでありますが、これを量的に申しますと、火炎びんが五百本余り、それから石は二トントラック一杯分というものを現場で押収しておりますし、鉄パイプ、角材等も数十本その後現場の実況検分で押収しておる。これは持って帰ったものがありますので全体とは言えませんが、そういう状態でありますし、もう一つ、大変凶悪だと思いますのは、農薬、劇薬のクロルピクリン、これのびん入りのものを数十本投げたわけであります。これを受けまして、これに当たった警察官は呼吸困難に陥り入院をいたしました。これは四十三年にも市役所前の事件のときにも、クロルピクリンを投げられて警察官がのどを切開してやっと一命を取りとめたというようなことでありますが、これを数十本投げるということで、彼らの意図は少なくとも警察官を殺す、こういう意図があったと推定されるわけでありますし、それの裏づけとして、ことしの一月、反対同盟委員長は、警察官を最初は数名殺せ、その次には十名ぐらい殺す、その後は二百ないし三百名の警察官に死んでもらうというようなことを演説で言っておりますので、あるいはそういう気持ちでそれを実行に移したのか、もちろんそれだけではないと思いますが、そういうような行動状態でございました。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういう無法が行われているということは、大臣、大変なことだと思います。この中には純粋な成田の先祖伝来の土地を守ろうとしている農民、婦女子、老人、そういった地元人たちは入っていなかったのですか、入っていたのですか。
  32. 三井脩

    三井政府委員 この五百五十の中にはほとんどゼロであると思います。三千七百名と先ほど申しましたが、三千七百名は当日成田地区に集まった人でございまして、その中には七百人ぐらい地元の方もおられました。反対同盟自身は二百名ぐらいしかおりませんけれども地元の人もおりました。そのうち二千七百人が千代田農協前の集会に参加をいたしました。この中には反対同盟関係はわずかでございまして、それとは別に攻撃をかけてきた五百五十名の中には地元民はほとんどゼロというように私たち考えております。
  33. 小川新一郎

    小川(新)委員 問題は、これらの行動をした人たちにわれわれが考えている地元農民方がまじっておったのかどうかということなんです。純粋な左翼暴力の過激派連中だけで別途の行動をしたのかどうか。しかもガス銃を撃つのは、向こうが投石をし火炎びんを投げ、実際の戦闘行動に移ってから撃ったのかどうか、それともまだ行動を起こさない、集合して粛々とやってくる、石も投げない何も投げないけれども、もう凶器準備集合罪に当たって逮捕する段階だから、二百二十名で約三倍の勢力に対しては、ガス銃を撃って麻痺をさせて取っつかまえるというために先に警察官の方が発砲したのかどうか、この辺はどうですか。
  34. 三井脩

    三井政府委員 先ほど申しましたように、相手方の集団警察官に凶悪な手段で攻撃、襲撃をかけてきたのに対応して、これを抑え、制止をする、また逮捕する、警察官自身の身を守る、こういうためにガスを使ったものでございます。
  35. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大臣にお尋ねしたいのですが、東山さんですか、亡くなられた方は。まことにお気の毒だと思います。御冥福を祈りますが、この方がお亡くなりになったということで、検察庁が警察に対してつけた罪名は何という罪名ですか。
  36. 小川平二

    小川国務大臣 特別公務員暴行陵虐致死罪という非常に長い名前の罪名でございます。
  37. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまのお話を聞いておりますと、全くもってこのような罪名をつけること自体、警察としては不本意なように受け取られますが、最高指導者として検察当局のつけた罪名に対してはどのような御見解をお持ちですか。
  38. 小川平二

    小川国務大臣 この罪名が世間に与えます印象は、警察官が職権を乱用して無辜の良民を陵虐し、暴行して死に至らしめた、そのような容疑が濃厚であるという判断を検察が持っておるに違いない、かような印象を与えると存じます。こういうことは、第一線で日夜、生命の危険を顧みずに、国民生活の安全のために職務の遂行に当たっている警察官の士気に与える影響ということを考えますときに、非常に遺憾に存じます。  解剖さえ行われておらない段階で、いかなる判断、いかなる配慮によるものか私は存じませんけれども、まことに釈然たらざる思いをいたしております。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 私も全くそのように思います。  これは、なぜ私はそのような見解を持っているかと申しますと、この暴力集団は、浦和市において、かぎをかけた自動車の中に四人を閉じ込めておいて、火炎びんを数十本投げ込んで蒸し焼きにしてしまった、こんなことが人道的に許されるでしょうか。また、大宮においての内ゲバでは、頭の骨がめちゃめちゃになって、首の骨がもぐり込むほど角材で殴りつけて二人殺されております。しかも、女性まで含んでおる。このような連中が、成田闘争の名をかりて、正義漢ぶって横行すること自体、私は許せない。  しかも、警察官といえども人の子です。私ども関係者の中にも警察官がたくさんおります。こういう罪名を与えられたのでは、全く私は逆に言って検察ファッショと言わざるを得ない。これでは治安、また国民の生命、財産を守るために献身的な努力をやろうとする警察官の意欲さえもなくなる。  私はいまの大臣のお言葉を聞いておって、何もごまをすっておるわけではございませんけれども、同じ人間として、これはちょっと行き過ぎた考え方じゃないかと思う。  しかし、これは今後の調査にまつといたしまして、あくまでもこの権威のある委員会においては、警察官が先に手を出したのではない、石を投げられ、火炎びんを投げられ、竹やりで突かれ、あまつさえ、蒸し焼きを目的とした火炎自動車を二台までも警察官集団の中にはうり込み、無人自動車を暴走させる、もしもわれわれまじめな人間がそんなことをしたら警察は黙ってないでしょう。しかも、二十五人しか逮捕できない。しかも、浦和ではそういう事件が起きておってもいまだに逮捕されていない。しかも、予告まで出ている。全くもって警察はなめられてしまっている。だから、警察過激派を甘やかせ、泳がせているんだというような非難さえも起きる。  しかも、埼玉県においては、まだ憂うべきこととしては新幹線の反対があります。これは、東北六県では新幹線を早く通せという、埼玉県県南三市連合では反対をする、実力行使もいとわないという状態にまでいま立ち至っております。しかも、不幸な事態ができてもそれは責任を負わない。そういうところに、またまたこれらの連中がお先棒を担いで、全然目的外の闘いをするようなことがあったのでは、これは平和な埼玉県が千葉県と同じような流血惨事になることを私は憂えておる一人であります。  そこで、私はいま大臣がおっしゃられた気持ちというものはよく了解しながら、過激派の攻撃に対して警察官は、このときの心理状態では、指揮官や機動隊員はどのように受けとめていたということをあなた方は聞いておりますか。
  40. 三井脩

    三井政府委員 現場の隊員、それから隊長等の意見を聞いておりますが、大変激しい凶悪な手段による攻撃で、この火炎自動車等の前面におった警察官は、もうこれで一巻の終わりかと思ったという率直な意見、感想を述べておりますが、私はまさにそのとおりだった、こういうふうに思っております。
  41. 小川新一郎

    小川(新)委員 そのとき警察側は、火炎びんや火炎自動車に十分耐えられたのかどうか、また十分耐えられるような装備ができておるのかどうか、また十分なる装備というものはどういうものを今後目標にしておるのか、また、そのような装備ができたときにはどういうふうにお考えを持たれるのか、また、できるのかできないのかということも含めてお答えいただきたい。
  42. 三井脩

    三井政府委員 警察官の装備は、一言で申しますと大変貧弱なものでございまして、従前それで用が足りるというような治安情勢であったかと思いますけれども、最近とみに内ゲバ殺人手段が凶悪化しているように、彼らの行動もその手段、方法が凶悪化してまいったわけでございます。  そういう意味におきまして、警察の装備は相手方の手段よりもどうしてもおくれる、頭の中で考えるのではなくて、現実にそれが行動としてあらわれたものに対応していくということになるわけで、おくれるわけでございますが、警察のこういう事態に対する対応の仕方として、装備は部隊装備と個人装備と二通りございまして、いまの、投石、火炎びん、それから農薬、火炎自動車、こうなるわけですが、まず投石に対しましては、個人装備として大盾、それから火炎びん、それから鉄パイプ、竹やり等で突いてくるやつに対しましても、とりあえず大盾でこれを防ぎますが、そのうち火炎びんについては、どうしてもそれだけでは不十分でございます。  そこで、部隊装備として放水車を配置するわけでありますけれども、放水車は百名とか二百名の大きな部隊に一台程度のものでありますし、また、水を携行するという構造上からも行動に機動性を欠いておる、こういうことで、主として放水車は施設を守る、つまり固定して守るときに、攻めてきたときにこれに対抗するのに適当するわけでありまして、今回のような集会場の警備にまで、施設から離れて前面に部隊を配置するというようなときに十分の効果を発揮しないわけですが、それでもこの際放水車を持ってまいりましたけれども、これが先ほどの火炎自動車で焼かれてしまう、こういうことでありましたので、あとは個人装備となりますと大盾で、拳銃は平素は個人装備として持っておりますけれども、こういうところへは持っていかないということを原則といたしております。したがって、当日も持っていっておりません。  したがって、あと残りますのは催涙ガスということでありますが、これまた部隊装備でありますけれども、隊員に持たせるということで、ほかのものは相手方からの攻撃に対してみんな受け身でこれをしのぐだけの装備でございますけれども、放水と催涙ガスだけは、ちょっと警察官の手を伸ばすといいますか、その延長として相手方の方にやや手を伸ばす、こういう性格を持っておるものでございまして、放水車が使えないとなりますと、催涙ガスがわずかに残された唯一の手段というものでございます。
  43. 小川新一郎

    小川(新)委員 火炎車によって放水車は焼かれてしまった。そうすると、身を守るというか、逮捕するに必要な、これらの集団を取っつかまえるに必要なのはガス銃しかない、そこでガス銃を使ったとあなた方はいま申しておりますけれども警察成田闘争の現場でガス銃を使ったことがいま問題になっておりますが、大臣、このような状態では警察官ガス銃を使うことはやむを得ない、こう思いますか。
  44. 小川平二

    小川国務大臣 当時の状況は、先ほど来、警備局長が詳細にお耳に入れたとおりでございまして、これは殺人を含む凶悪犯罪が現に行われておるという状況でございます。  警職法の七条は、かような状況下で、警察官がみずからを防衛するため、あるいは犯人を逮捕するために武器の使用を認めておるわけでございます。警察官にとって本来の武器は拳銃であります。催涙ガスは人体に及ぼす影響は一過性のものでありますから本来の武器ではございませんが、使い方によっては人体を傷つけることもあり得るでございましょう。しかし本来の武器そのものが使用を認められるような状況下でガス銃を使ったということは、これは少しも違法なことではないと考えております。
  45. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、いまの状況のところでは使ってもやむを得ない。もっと言いかえれば、拳銃を使っても差し支えない状態だった、こう理解するのですか。
  46. 小川平二

    小川国務大臣 法律問題としては仰せのとおりでございます。
  47. 小川新一郎

    小川(新)委員 警職法第七条との関連でお尋ねいたしますけれども、正当防衛として使ったのか、それとも相手を制圧するためであったのか、ここはひとつ警備局長から。
  48. 三井脩

    三井政府委員 結論から申しますと、正当防衛並びに警職法七条ただし書き一号の職務執行ということでございます。
  49. 小川新一郎

    小川(新)委員 では逆に、ガス銃が使えないときにはどうなるのか。それから放水車が焼かれてしまったときにはどうなるのか。また逆に、放水車だけで防げるのかどうか。焼かれないで、放水車だけが残った場合にはどうなるか。この警察活動は十二分にできるのかどうか。
  50. 三井脩

    三井政府委員 あの現場で催涙ガスが使えないといたしますと、言葉は変でございますけれども、二百二十名の警察部隊がいわゆる全滅をいたしまして、警察側に相当の死傷者が出たのではないかというふうに思います。ただいま申しました放水車は水を積んでおりますから、かなりの大きさで、これが小回りできませんので、火炎自動車がこれにくっつきますとなかなか後退ができない。前にも後にも集団がおる、これをひき殺すというかっこうになりかねない。第一次羽田事件のときにそういう事態がございました。となりますと、それを放棄せざるを得ないということになります。  それからまた、催涙ガスがありませんと、警察官が、先ほど申しましたように本当に命の危険を感ずる。命の危険を感ずる場合には、これは何人もそうでありますけれども、正当防衛ができることになるわけで、正当防衛という法律は後からできたことでありまして、人間の行為として自分の身を守るために何をするかわからないし、また何をやってもそういう事態においてはそれが違法ではないというのが正当防衛の法理だと思いますが、そうなりますと、警察官が拳銃を持っておりませんので、もし拳銃を持たしておれば拳銃を発射するということになりましょう。諸外国ではこういう場合に警察官の発砲で何人か死んだというのはよくニュースにあるわけでありますけれども、わが方ではそういう危険を避けるために持たせない。そうなりますと、手元にあるものを身を守るためには何を使ってもいいというのが正当防衛でありますから、相手方が鉄棒をそこに落としておる、それを使ってもいいし、また自分に投げつけられた石ころを拾って相手に投げ返すことによって身を守るということも法的には可能だということになりますので、そこでは相手方にも相当の死傷者が出るというような、今回のような事態では済まない大変な修羅場ということになったものというように考えるわけでございます。
  51. 小川新一郎

    小川(新)委員 現地指揮官の判断の問題でお尋ねいたしますが、世論がうるさい、またいろいろな面で警察行動が制圧される、その場合に正当防衛、警職法第七条の判断を指揮官が誤ったと仮定して、多数の警察官に死傷者が出た場合には、その責任は現場の長の責任になるのか、最高の警察庁長官の責任になるのか、どっちなのか。
  52. 三井脩

    三井政府委員 そのときの事態によって違うと思いますけれども、まず、簡単に申しますと、警察庁長官といたしましては現場の事態に応じて最も適切なガスの運用、使い方をしなさい、こういうことを言っておりますので、もっぱら主としては現場の問題になると思います。したがって、指揮官が現場の状態をどのように判断するか、その判断をして、指揮官も現場では機動隊長から末端では分隊長までということになりますので、この状態ガス銃を使ってよろしいという命令を機動隊長が出しておったといたします。そのときに中隊長以下が判断を誤ったということになるわけでありますが、主としては現場の判断をどのようにするかということでございますので、第一次的には現場の機動隊長、指揮官と考えます。
  53. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは二つの判断が要求されると思いますが、一つは過剰防衛的な判断をしたときの責任の所在、また逆に言えば、正当防衛をおくらせたために警察官が多数死傷してしまったための責任の所在の問題、これは二つの問題が出ると思います。いずれにしても、人間がその修羅場の中で判断を下すということは、この引き金を引くということについての判断は非常に微妙な問題があると思います。私はそういうような問題を踏まえて、いま克明にこうして一つ一つ聞いておりますと状況が浮かんでまいりますが、無法状態を野放ししないために、警察側がやられっ放しになってしまったのではこれまた問題になるし、だからと言って、新型機能を持つ治安防護のための兵器といいますか、そういった器具をどんどん無制限に開発していたずらに被害を大きくすることを目的としてしまったのでも、これまた世論の問題が起きる。この辺の問題が国会ではいま非常に微妙な段階に差しかかっております。過日の委員会における質問の内容を聞いておりましても、いまやその警備の体制、状況の模様よりも、警察側使用した器具の問題に問題が移ってきているやに思われます。  そこで私は、ガス銃の性能や催涙弾の成分というものは、日に月に進歩している科学、また取り締まりの体制の進歩の中で、どうしても必要なのかどうか。しかも、このように過激派がエスカレートしてきて農薬まで使用したり、新型の火炎びんを投げる。そもそもその火炎びんも私どもは兵器とみなしているくらいです。ノモンハン事件のときにおいて、当時の満ソ国境における戦闘においてソ連軍に対して、対戦車戦法として考え出されたのがこの火炎びん戦法であります。これは一個中隊においてほとんど全滅に等しいような被害を受けながら、戦争を二ないし三擱座させる目的で火炎びんを投げつけていったということですから、当然これは兵器の中に入ると思いますが、この戦訓を利用して、こういった過激暴力集団が過去の帝国陸軍の遺産を引き継いでいるということになれば、これまたいろいろな問題があるでしょう。また、この火災びんの中にさらに劇薬を投入すれば、もっと被害が大きくなるということを考えると、警察側もこれに対抗するために取り締まり兵器をエスカレートすることが果たして好ましいか好ましくないかということは、これは理論の明でございますが、こういった問題がいまや国会においてもう議論の対象になってまいりましたので、私もこの問題を避けて通るわけにまいりませんので、ガス銃の性能や催涙弾の成分、構造は公表はできるのかどうか、そして、なぜ新型のこういったものがつくられるようになったのか、そのいきさつ等御説明いただきたい。
  54. 三井脩

    三井政府委員 警察が持ち得る武器につきましては、警察法にその上限について制限がございます。小型武器しか持てないということになっておるわけでございます。ところで、この催涙ガスは武器ではございませんで、いわゆる催涙効果によりまして一過性の行動制約をする、こういうものでございますから、いわゆる用具でございまして、武器ではないわけでございます。ただ、先ほど申し上げました状況のもとで、警察官が通常持っております武器である拳銃さえも使えるような状態におきましては、何を使っても、そして相手方にその結果危害を与てもいいという状況下でありますので、警棒を持っておればそれを使う。ガス銃を持っておれば、通常ガス銃というのは相手方に危害を加えない方法で一過性のものとして使われるわけでありますが、これも使い方によって危害を与えても差し支えないような状態で、使ってもいい、こういうことでございます。  そこで、この催涙ガスについて申しますと、先ほども申しましたように、われわれは制約のある中で工夫を加えて、相手方の戦術に対応していくというためにいろいろ考えるわけでございます。それで、できておる催涙ガス銃、ガス器具でございますが、伝統的には単発式のガス銃、ガス器具というものを持っておるわけでございまして、これは一回一回催涙ガス筒を詰めるわけで、これには何秒か要するわけでありますので、集中的攻撃を受ける場合に間に合わないということであります。その結果、四十六年に秋に警察官成田で三名、渋谷で一名、四名死亡いたしました。これに対して、何とか警察として対応するような手段、方法はないかということを研究いたしました結果、ようやく二年ほど前に連発式のガス銃を工夫したわけでございます。これは一発一発込めるのではなくて、引き金を引くことによって一発ずつ数発出てくるという程度のものでありまして、そのかわり、そういうものでありますから一発の重さその他を小さくしなければ出ないということでありまして、従前のものよりは小さいわけでありますけれども、数発連続して出る、時間の節約ができるということで、トータルにおいては、従前のものよりは催涙ガスの量が二倍ぐらい、一定の時間内に投射できる、こういうものを開発したわけでございます。そういうものでありますので、この点につきまして性能その他を公表いたしますと、相手方がこれに対応措置を講ずる。従前の単発式のものにつきましては、東大事件のときでも相手方は対応措置を講じまして、なかなか効果が上がらなかったということもありましたし、今度もまた鉄塔には板を張ったりいろいろなことをやって、あれはガスを頭に置いたものかどうかわかりませんけれども、対応措置を講ぜられるということでありますので、この点の公表をいたしますときには対抗措置がエスカレートしていく、警察の手段、方法がますますなくなっていくということで、こういう現場での警察活動、治安維持が困難になってくるおそれが大変大きいという意味で、従前の単発式のものもそうでありますが、裁判の公判廷におきましても、また従前の国会におきましてもその事情を申し述べまして、警察としては公表しないということで措置をしていただいておるわけでございますので、その点をどうぞよろしく御理解をいただきたいと考える次第でございます。
  55. 小川新一郎

    小川(新)委員 いろいろと議論もありますが、そういったこともわれわれは考えなければならぬと思います。  そこで、今回の闘争で大変な死傷者が出ておりますが、こうした犠牲は可能な限り避けなければならないと思いますが、大臣は今後過激派に対してどう対処するのか、また今後過激派がゲリラ活動や飛行機を飛ばさせないため過激な計画を立てると言われておりますが、警察は無用の犠牲を避けるためどのように対処するのか、この二点をお尋ねして終わります。
  56. 小川平二

    小川国務大臣 極左暴力集団の活動と申しますものは、これは申すまでもなく民主主義を否定し、民主主義に挑戦をする行動でございますから、これに対しましては警察当局は最も峻厳な態度で対処することを期待いたしておりますが、その際、申すまでもないことでございますが、違法な行為を抑止するのに必要な最小限度を越えないように、こちらにも相手方にも死傷者を出さないようにということを旨として活動すべきは当然だと思っております。
  57. 三井脩

    三井政府委員 当面、五月二十九日集会を計画しておりまして、また四月十七日に一万二千人を集めた集会がありましたが、それを上回る集会をやって廃港に持ち込むための行動をする、こういうことを言っております。そのためにやる方法といたしまして、空港施設を攻撃する、また彼らが敵と考える個人を対象として攻撃を加えるというようなことをある程度公言もいたしておりますので、私といたしましては、こういう点につきまして固定の警備配置、人に対する警戒、こういうことを十分にいたしまして、当日も全国から機動隊を集めて、多少オーバーというようなことがありましても、蠢動させないという体制で無事に済むようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  58. 地崎宇三郎

    地崎委員長 和田一郎君。
  59. 和田一郎

    和田(一)委員 私は、銃砲刀剣類所持取締法の一部を改正する法律案についての質疑を行います。  まず質問の初めに、この問題は参議院でも審議されておりましたし、またいろいろな議論もございます。それをずっと読んでまいりますと、社会一般に与える影響、たとえば愛好家に対する影響または治安に対する影響、いろいろございます。そういうことなので、前もって私が当局の方に預けておきましたモデルガンの資料を使って、具体的にこのように改造されたのだという点を御説明願えればありがたいと思います。
  60. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデルガンの改造にはいろいろな種類がございますが、まずそのうちの最近の新しい事例について一応申し上げたいと思います。  まず、最近押収いたしました事件といたしまして、新聞にも大きく報道されましたが、関口一家の拳銃改造事件というものがございます。これで押収された改造拳銃は十一丁でございます。いずれもベレッタ自動式モデル拳銃でございまして、関口組では都内で約三十丁のモデルガンを八千円で購入して、そして、このベレッタ自動式モデル拳銃の様式でございますが、この拳銃は中の銃身が取りかえのきくものでございます。そこでこの銃身を取り出しまして、鉄工所に頼みましてこの銃身の長さのパイプをつくってもらって、これを百三十本注文してつくりました。ところが、売られております本物の銃身には、ここに超合金が詰めてございますので、この超合金を詰めているところまでカットいたします。したがいまして、ここに残っておりますこの部分は販売されておるものの一部でございますが、この長さのパイプを工場でつくってもらいまして、そしてこの長さの部分だけを削りまして、この残した、販売されたもののこの一部にこれをはめ込みまして、それからさらにこの撃針のところ、これを改造してつくったものを、十五丁つくったうち十一丁押収したわけでございます。  もう少し詳しく申しますと、この銃身の薬室部の先端から銃身を切断し、鉄パイプを薬室に挿入して、銃身についてはそういう加工をした。それからスライドの部分でございますが、スライド内のインサートをたたき出してあります。このインサートは亜鉛合金の中に完全に鋳込まれておらず、大部分が露出しておるもので、Sm基準に若干違反しておるものでございます。それから撃針につきましては、発火ブロックのみぞにしんちゅうをはめ込みまして、その先端に鉄製の撃針をとりつけたものでございます。  それからこの拳銃に使用されます弾につきましては、これは一緒に押収された実包は手製のものでございまして、モデル拳銃用の模擬弾を利用して、これに穴をあけて、それから銃用雷管をそれに装着し、猟用の無煙火薬を装てんしたものでございまして、その弾丸はしんちゅう製でございます。  この手製実包をこれらの改造拳銃に装てんして発射いたしてみますと、厚さ十二ミリの杉まさ目板を三枚から四枚貫通いたしております。したがいまして十分に殺傷能力があるというように判断されます。  なお、このMGC製のモデルガンを改造したものは三月十七日に羽田上空で起こりました青酸犯人岡野正夫がハイジャックに使用したものと全く同様のものでございます。
  61. 和田一郎

    和田(一)委員 モデルガンに対する規制、これはいままでもございましたけれども、それの経緯等を段階的に説明を願います。
  62. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデルガンは大分以前からおもちゃとして売られておったようでございますが、昭和四十年前半まではその数も少なく余り弊害もなかったので、容易に改造できるものについては銃刀法で規制していたほかは特別の規制を受けていなかった。つまり少許の加工で拳銃になるというようなものは、これは銃刀法上の規制を受けますので、それ以外の規制はなかったという状況でございます。  ところが、四十四年ころになりますと、四十万丁以上のモデルガンが市販されるようになり、これに伴いまして、モデルガンを本物の拳銃のように見せかけて強盗などに用いられるというような事案が、四十四年中に六十件、四十五年になりますと七十三件発生して、これは問題ではないか、しかも、さらに四十五年の八月十九日には、やはりこの見せかけのモデル拳銃をもちまして全日空のアカシヤ号事件、ハイジャック事件が起きております。  それで、四十六年の銃刀法改正というものが行われたわけでございますが、これは一見しておもちゃの拳銃であるというような改正でございまして、その後モデルガンの出荷数は三十万丁に一時減ったわけでございますけれども、このモデル拳銃がだんだんと精巧をきわめていくに従いまして、昭和四十七年ころから拳銃、特に改造拳銃の押収数が増加いたしまして、これに伴い、四十八年にはモデルガンの出荷数も約五十万丁に急増するという状況が見られたのであります。そこで、四十九年にモデルガンの改造防止措置につきまして、法的規制を含むいろいろな対策を実は庁内でいたしたわけでございますが、この過程におきまして、モデルガン業界におきましては、自主規制によって改造防止措置を行いたい、そういう趣旨を当庁に対して申し出てまいりましためで、当庁としては一応これを評価し、その推移を見守っていこうということに態度を決したわけでございます。業界では四十九年の十二月に協同組合を設立いたしまして、五十年の十一月から改造防止措置の検査に合格したSmマークつきのモデル拳銃が市販されるようになったのであります。  ただ、この検査は、業者が持ち込むものを検査するというもので、いわゆる抜き取り検査ではございませんので、そこにも問題があったかと思います。この自主規制も一応の成果は上げてきておりますが、これはあくまでも組合の自主的な活動でありますから、そこにはおのずから限界がございまして、改造事犯を減少させることが必ずしもできなかったという経緯がございます。そこで今回の改正をお願いするということに至ったわけでございます。
  63. 和田一郎

    和田(一)委員 モデルガンの製造、販売状況なんですが、いまも多少の御説明がありましたけれども、機種ですね、どういう種類、または製造業者の数、それから大体どのくらいの値段でどういうものが販売されているのかということを警察でつかんでいらっしゃったらお教え願いたい。
  64. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデルガンの出荷数は、日本モデルガン製造協同組合の調査によりますと、昭和四十一年度に約十四万三千丁でありましたが、四十六年度には約三十四万四千丁、五十一年度には六十一万六千丁と大幅に増加してきておりまして、これに伴い、技術の向上もあって、製品も精巧になってきております。  なお、昭和五十一年度には、このほかに、小銃、猟銃等に類似するいわゆる長物が約三万一千丁、それからプラスチック製拳銃が約十万三千丁出荷されております。  モデルガンの機種につきましては、機構上から区別してみますと、回転式、自動式、中折れ式、それから張り合わせ式等に分けられますが、その約七割が回転式であります。  機種については、各メーカーがそれぞれ実在する外国製拳銃、小銃、ライフル銃、マシンガン等のモデルをつくっておりますので、拳銃で約六十機種、長物が約四十機種ほどあります。  モデルガンの製造業者につきましては、昨年十月行った特別調査によりますと、十三の業者がありまして、そのうち十一業者が改正作業当時組合に加盟しておりました。  なお、卸販売業者は六十一、小売販売業者は千九百二十八というように把握しております。  販売の単価でございますが、一般的に、モデル拳銃では一丁当たり安いもので二千五百円から三千円程度、高いもので八千円から一万円となっておりますが、特に高いものには、ウエスタンアームスでつくったルガーブラックホークで八万五千円というものがあります。  長物では、安いもので七千円から八千円、高いもので一万五千円から二万円となっていますが、特に高いものでは、国際産業がつくったウインチェスターモデルが十六万八千円、それから、ワイルド・アームスの九九式軽機関銃のモデルでございますが、これが二十五万円というようになっております。  なお、プラスチック製のモデルガンが大量に売り出されてきておりまして、五十一年中に約十万丁出荷されておりますが、価格は五千円から六千円程度というように承知いたしております。
  65. 和田一郎

    和田(一)委員 モデルガンの製造状況だとかをいま説明されたわけでございますけれども、今度は改造状況、それから、それを犯罪にどういうように使っているか、それから、いわゆる暴力団との関係、その説明を、簡単で結構ですからお願いいたします。
  66. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデルガンを発射機能のある拳銃に改造された、いわゆる改造拳銃等を不法所持違反として押収した丁数は、五十年が千二十六丁、五十一年には千二十七丁と、いずれも千丁の大台を超えておりますが、捜査の過程で判明した改造数と押収数の関係を考慮いたしますと、年間に五千丁ないし一万丁が改造されているものと一応考えられます。  これらの改造拳銃の約八五%は暴力団から押収されておりまして、暴力団と拳銃のつながりはきわめて深いものがあり、治安上重要な問題と考えております。  次に、これらの改造拳銃が各種の犯罪に使用されている状況は、五十年には六十五件、五十一年には九十五件と増加の傾向にありまして、各年ともその約九割が暴力団によるものであります。これを罪種別に見ますと、昭和五十一年には殺人が二十二件、強盗七件、恐喝十六件、暴力行為等処罰に関する法律違反十一件、傷害八件などとなっております。
  67. 和田一郎

    和田(一)委員 暴力団のことについては資料に出ておりますけれども、今度はたとえば極左集団であるとか、または右翼等が改造拳銃を政治的なテロその他に使用するおそれはあるのかどうか、その点についてちょっと……。
  68. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 極左暴力集団による爆破事件等の捜査の過程でモデルガンを発見押収した事例もあり、極左暴力集団の一部に銃器に関心を寄せている傾向が見られます。また、一部の右翼が最近拳銃等を使用した例もあり、十分注意しておりますが、いまのところ右翼がモデルガンの改造による武装化を図っておるという動きは聞いておりませんけれども、そういうこともあり得るという考え方で今後警戒してまいりたいと存じております。
  69. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、モデルガンの機種によって、先ほどの御説明でもありましたとおり改造のやさしいもの、むずかしいものと、こうあると思うのですけれども、改造されやすい機種というものはどんなものがあるのか。
  70. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 現在のところ、モデルガンのうち拳銃タイプのものが最も多く改造されておりますので、それを例にとって御説明いたします。  これら拳銃タイプのモデルガンを見ますと、大きく分けて先ほど申し上げましたように回転式と自動式、それに中折れ式の三機種がありますが、これらの機種もSmマークつき以前と以後とにより、それぞれ難易の程度が違ってきております。  まず、Smマークなしの機種でございますと、回転式は銃腔部内をドリルでくり抜くだけでよいので、最も改造されやすかったのであります。しかしSmマークつきになりますと、この回転式の拳銃の改造がむずかしくなりましたので、勢い中折れ式のもの、いま持っておりますのが中折れ式でございますが、こういうものと、それから自動式のうち先ほど申し上げました銃身が分離できるタイプのもの、それが最も改造されやすい機種であるというように考えております。
  71. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは、Smマークつきで改造されたものがあるというような説明でございましたけれども、その状況についてもう少し詳しくひとつ、具体的にあればおっしゃていただきたい。
  72. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 Smマークつきのモデルガンが発売されましたのは昭和五十年の十一月からでございます。しかし最近までそのSmマーク以前のものも売られておるという状況でございます。  そこで、それ以後、五十年の十一月以降現在まで五十三丁の改造例が、Smマークつきでございますが、警察庁に報告されております。改造されたことがわかっておりますが押収されないものもございますし、改造したことがわからないものも相当ございますので、実際には数百丁ぐらいSmマークつきのものが改造されているというふうに推定できます。これら五十三丁の改造方法を見ますと、まず最も改造されやすいのが銃身が取りかえられる自動式ですが、これは銃身をそっくり別のものでつくりかえて、撃発装置に若干手を加えて撃針をつくるということで発射できるようになるわけでございます。また中折れ式ですと、銃身をちょうどまつ二つになるように縦に切り開きまして、中の鋼材を除去した後、鉄パイプ等で補強すればできるというようになっております。回転式ですと銃身の基部を残して、銃身のもとですが、これを残して切断いたしまして、中のかたい鋼材を取り除き、その部分を土台にして銃身となるパイプを取りつけて改造するのが実情でございます。
  73. 和田一郎

    和田(一)委員 大体その改造の方法はわかりましたけれども、着色剤についてちょっとお聞きしたいのです。そのモデルガンを販売しているお店で着色剤も同時に販売しているというふうに聞いたこともあるのですが、これは一体どういうことか。それから着色剤というものはどういうものかということをお聞きしたいと思います。
  74. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデルガンの販売店で、ここにございますようなびん入りの着色剤が売られております。ガンブラックと称する着色剤でございます。これを金属の表面に塗りますと酸化被膜ができまして、さびの発生を防ぎ腐食を防ぐのに役立つものでございますが、同時に、表面は金属光沢を持った黒色に変化するというような性質のものであります。これは昭和四十六年にモデル拳銃の表面の色について規制する以前のものについて、黒く着色するために使用しておったというように言われております。販売店では表向きは現在長物の光沢を出すためと称して販売しているようでございますが、モデル拳銃の表面の黄色のメッキをやすりやサンドペーパーなどで削り取りまして、このガンブラックを塗りますと、金属光沢を持った黒色に変色しますので、今回の関口組の改造事件のように悪用されるというようなおそれも十分ございます。このようなものがモデルガン販売店で売られていることは、良識のある業者のする行為ではないと思いますので、今後業界に強く要望してまいりたいと考えております。
  75. 和田一郎

    和田(一)委員 結局はその改造を防止するということが最大の問題でございますけれども、やはりいままで自主規制を業者の方がやってこられた、結局は自主規制が十分ではなかったということで、この法律が出されたわけでございますけれども、その理由一体どういうことでしょうか。
  76. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデル拳銃の改造事犯は、暴力団の対立抗争の増加の影響を受けまして昭和四十八年ごろから急増いたしましたので、警察庁におきましては、昭和四十九年に総理府令を改正するなどの方法によりまして規制したらどうかという検討を始めたわけであります。ところが先ほども申し上げましたように、業者の方で自主規制をやりたいということで、その経緯を見守るということにいたしたわけでございますが、しかし先ほども申し上げましたように、こうした組合の自主規制は一応の成果を上げたものの、これはやはりあくまでも組合の自主的な活動でございますから、そこにはおのずから限界があるということであります。特にモデルガンの場合は他の商品と異なりまして、需要者側によるチェックが期待できないというような性格がございますので、これから申し上げるような問題が生じてきたわけでございます。  まず組合に加入していない者にはその規制が働かないため、アウトサイダーが組合の安全基準に反し、より本物に近いものをつくり、しかもその売れ行きがよいということになりますと、組合の中には自主規制に服しても服さなくても同じことだというような気分から、自主規制を受けるより売れ行きのよいものをつくりたいと考える者が出てくるということは当然の成り行きでございまして、昨年七月二十二日に当庁になされた組合からの陳情は、こういう状況を反映してなされたものでございます。  次に、自主規制の基準がドリルで銃身に穴をあけるという改造方法を前提としたものであったために、最近のカッターを使用した改造方法については効果が弱くなり、手直しの必要が生じてきましたが、業界は出費がかさむためか、この手直しには消極的な態度を示してまいったという、こういう経緯がございます。  また自主規制による統制は各業者が自主的に基準を守ってもらうという程度でありますので、Smマークはついておるものの、基準に反していて改造される事犯が出てまいりまして、すでに現在までに五十三丁に達しているという実情がございます。  さらに、この自主規制は製造業者の間の規制でありまして、販売業者には全然及ばないわけでございますので、Smマークつき拳銃が製造されるようになってからも古い型のモデルガンが売られておりましたし、またアウトサイダーがつくったものも販売できるという点で、せっかくの規制の効果が余り期待できなかったという点もございます。しかも、一方では改造事犯が急増している実態に適切に対処する必要に迫られでまいりましたので、今回必要最小限での法による規制は私どもとしてはやむを得ないものというように考えた次第でございます。
  77. 和田一郎

    和田(一)委員 この案の内容を見てみますと、総理府令でさらにまた規制をするということになるわけでございますが、その総理府令の規制の対象になるモデルガンというのはどういうものを言うのか。  もう一つは、総理府令で定める改造防止措置というのですか、どのようなことを考えているのか、材質だとか防止装置だとか、いろいろあると思うのですけれども、内容について具体的に説明を願いたいと思います。
  78. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 総理府令の規制の対象となるモデルガンは、金属でつくられていること、拳銃、小銃、機関銃または猟銃に類似する形態を有すること、それから撃発装置に相当する装置を有していること、この三つの要件を具備しているものを対象としております。したがいまして、金属以外のたとえばプラスチック製や木製のものは当然規制の対象にはならないわけでございます。また、形態も拳銃、小銃等に類似していることが必要であります。また、撃発装置を有していないものについては、まず改造ということは考えられませんので、対象外となります。  業界では文鎮化されるのではないかというようなことを危惧しているようでございますが、文鎮化されたものは初めから撃発装置がないわけでございまして、撃発装置を有するものを規制するということでございますので、文鎮化にはならないということになるわけでございます。このように今回の改正は非常に限定したモデルガンを対象としているわけでございます。  それから、規制の対象となるモデルガンのすべてを通じ、材質を亜鉛合金程度の硬度以下の硬度を有する金属とするほか、構造に応じて、まず、回転弾倉式拳銃に類似するものにつきましては、銃身及び弾倉に相当する部分にドリルの刃を通さない程度のかたい鋼材、これを鋳込むほか、弾倉内の薬室相互間の隔壁に切り込みを入れるなどの措置を施さなければならないことといたしたいと考えております。  また、自動装てん式拳銃に類似するものにつきましては、全機種を通じて銃身に相当する部分に回転弾倉式拳銃の場合と同様の鋼材を鋳込み、かつ、撃針に改造することができるものを設けてはならないことといたしますが、最も改造されやすい先ほどから申し上げております銃身が、フレームから分離することのできるタイプのもの、ラーマタイプのようなものでございます。これにつきましては、その改造事犯の実態に照らしまして、新たに改造防止のための措置をもう少し検討しなければならないというように考えております。  小銃、機関銃等のいわゆる長物でございますが、その構造が自動装てん式拳銃に類似しているため、ほぼこれに準じた措置を施せばよいということで足りると考えております。  なお、以上のほか、張り合わせ形式のものにつきましては、強度が低いので材質を亜鉛合金とし、その大きさを指定するほかは改造防止のための特別の措置は必要ではないというように考えております。
  79. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がありませんので先を急ぎますけれども、結局これが通りますと、総理府令の基準を守っているかどうかという、いわゆる検査というのですか、そういうのはどういうような形になっておりますか。
  80. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 現在、製品検査は各業者と組合との契約のもとに組合が、日本文化用品安全試験所に委託して、年一回自主的に実施しておりますが、今回の法改正によって、販売業者も改造防止措置が施されないものを販売目的に所持できないこととなりますので、業界の検査の方法もこれまでのものとは若干密度の高いものにしなければならないというように考えております。  また、警察としましても、各都道府県警察の鑑識施設を利用いたしまして、市販されているモデルガンの抜き取り買い上げ検査を計画的に行いまして、基準に違反しているかどうかということの発見に努めてまいりたいというように考えております。
  81. 和田一郎

    和田(一)委員 国家公安委員長がいらっしゃればお答え願うのですけれども、ちょうどいらっしゃらないので保安部長にお聞きいたしますけれども、今回の改正によりましての規制の効果、影響、これは各方面に出てくると思うのです。たとえば先ほど言いました愛好家に対して、それから暴力団等に対して、業界に対して、または警察立場から、いろいろとあるのですけれども、その点に対してのお考え、それをひとつお願いします。
  82. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今回の改造防止基準は、これまでの自主規制による安全基準を基礎にして、不備であった点について若干手直しを加えようとするものでございまして、しかも、この基準に適合しないモデルガンの販売目的の所持を禁止することとし、一般的な所持禁止という強い規制をいたしておらないわけでございます。したがいまして、愛好家が現在所持しておるものにつきましては、現在のままでよいわけでありますし、これから販売されるものについても外観上特に変更されるわけでもありませんので、愛好家に対する影響は余りないのではないかというように考えております。  業者につきましては、モデルガンの機種によっては鋳型の若干の変更などの措置が必要になりますが、組合が行ってきました自主規制を踏まえた上での改正でございますので、業界に対して過大な負担になることは一応ないというように考えております。  一方、暴力団等がモデルガンを悪用してこれらを改造するということにつきましては、今後は改造の素材の供給源が絶たれるというようなことにもなりますので、拳銃等の密製造、不法所持等の罰則の大幅な引き上げと相まちまして、暴力団に対しては大きな打撃を与えるということになりまして、警察としては治安の維持上の面にも大いに効果があるというように信じております。
  83. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がありませんので、これで終わりますけれども、結局、いわゆる悪用しようとする者に対しては非常に効果があるけれども、愛好家に対しては大したことないとおっしゃいましたけれども、やはり巷間言われておりますように大変な問題でございます。その点についてもいろいろ今後も検討されて施行されるように望みまして、以上で終わります。
  84. 地崎宇三郎

    地崎委員長 午後二時から再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  85. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。山本悌二郎君。
  86. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 銃刀法改正の議論もかなり進んでまいっておりますし、できるだけ重複を避けながらお伺いいたしたいと思います。  銃刀法改正理由として、暴力団などの殺傷事件あるいはモデルガンを改造した銃器が使われる、あるいは極左暴力集団や極右の過激分子の武装化に使われるのではないか、あるいはそういうふうに着目しているというふうに見られている。そうした一連の動きの中で、業界の自主規制に限界があり、法的な規制が必要になったことが問題になっているのですが、何といってもその改正の背景となった情勢をまず御説明いただきたいと思います。
  87. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 お答えします。  昨年の十月、大阪の市街地において白昼発生した殺人事件など、最近暴力団が拳銃等を不法に所持いたしまして、これを犯罪に使用する事犯が目立つという傾向がはっきりとあらわれておりまして、このことは暴力団の武装化が進んでいるとも見られるわけでございます。しかも、これらの拳銃のほとんどはモデルガンを改造したものと、それから密輸入された真正の拳銃などで行われるわけであります。今回の改正は、このような実態に対処するために、販売の目的で銃砲に改造することのできる模擬銃器としてのモデルガンの所持を禁止すると同時に、拳銃などの密輸入禁止違反、あるいは製造禁止違反の罰則を強化しようとするものであります。  なお、これらの対策のうち、モデルガンに関するものにつきましては昭和五十年十一月から業界の自主規制による改造防止措置を実施してきたのでありますが、相当の効果があったとはいえ、なお組合に加盟していない業者には及ばないということや、また組合に加盟しておる人たちでも、売れ行きを伸ばすためには基準を守らないというような動きが出るなどの問題が生じてきたわけでございます。しかも、一方におきましては、暴力団による改造事犯が急増しているという実態に対処するためには、やはりどうしても必要最小限度の法律による規制が必要ではないかというふうに考えた次第でございます。
  88. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 局長にお伺いしますけれども、暴力団による殺傷事件、それから極左などの武器製造の動き、それに加えて業界の自主規制というような問題を具体的にもう少し御説明をいただきたいのです。暴力団による殺傷事件だけで規制するということが一体許されるというのか、いいのかどうか、あるいはまた今後そういういわゆる極左暴力集団の武器製造の危険があるかどうかというようなことでございますが、いかがですか。
  89. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデル拳銃の改造事犯は、暴力団の対立抗争の増加の影響を受けまして、昭和四十八年ごろから急増いたしてまいりましたので、警察庁におきましては、四十九年ごろ総理府令の改正などによってこうした規制ができないものかどうかという検討を始めたわけでありますが、その状況に呼応いたしまして、モデルガン業界においてこれまでも御答弁申し上げてまいりましたような自主規制というものが行われたわけでございます。ところが、こうした組合の自主規制は一応の成果はありましたものの、これはあくまでも組合の自主的な活動でありますから、おのずから限界というものも生ずるという点がございました。特にモデルガンの場合は他の商品と異なりましてこれを使う人、これを用いる側の人たちからのチェックというようなものが期待できないということで、だんだんと性能が向上すればこれを購入する人は喜ぶという性格の商品でございます。しかも、組合に加入していない者にはその規制が働かない。したがいまして、アウトサイダーが組合の安全基準に反しまして、より本物に近い物をつくりますと売れ行きがよいということになりますので、組合の中にも自主規制に服しても服さなくてもどうせ同じことなら、自主規制を受けるよりも売れ行きのよい物をつくろうというような考え方が出てくるのもまた当然の成り行きでございまして、そういうことから、昨年の七月二十二日に当庁になされた組合側からの陳情もそういうものを反映して、何とか自主規制がうまく行われるように指導してほしいというような陳情がなされたわけであります。  次に、自主規制の基準がドリルで銃身に穴をあけるという改造方法、これを前提として、こういうことができないようにするというような、当時はそれでよかったわけでありますが、単純な防止措置ということから出発いたしたため、最近のカッターを使用した改造方法には対応できないという弱みがございまして、しかもそれに対応するためには、やはり業界としては出費がかさむというために、その手直しについてはやや消極的である、こういう経緯がございました。  また、自主規制による統制には、統制は各業者に自主的に基準を守ってもらうという程度でありますので、Smマークがついているものの基準に反している物が販売され、それが改造されるという事犯も目立ってまいりまして、すでに現在までにそういうSmマークつきのものも五十三丁に達しているという実情もございます。  さらに、この自主規制は製造業者の間の規制でありまして、販売業者にはこの規制は及ばないというものもございますので、Smマークつきの拳銃が製造されるようになってからも、現にいまでも若干の古い型の物が売られているというような状況もございますし、またアウトサイダーがつくった物も販売できるという点で、せっかくの規制の効果も薄れておるというのが実情でございます。  しかも、一方では改造事犯が急増しておりまして、昨年は千二十七丁、一昨年は千二十六丁というモデルガンを改造した拳銃を警察で押収いたしております。ということから考えてみますと、年間五千丁から一万丁ぐらいモデルガンが改造されているのではないか。そういうことから考えますと、やはり国民に対する危険性がだんだんと加わってきているというような見方もできるわけでございまして、今回必要最小限の立法ということでお願いした次第でございます。
  90. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 わかりました。  それで、いま業界の中でこの改正に反対している業者というのはどんな業者でございますか。また、その業者は過去の自主規制についてどんな態度をとって、またさらにこの法改正のどういうところに反対をしているのか。
  91. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 組合に加盟しておる業者は現在十一業者ございます。今回の改正に反対しているのは、日本モデルガン製造協同組合に加盟している十一社のうちの六社の代表者で、その社名と代表者の氏名を申し上げますと、日本MGC協会神保勉氏、国際産業株式会社荒井茂氏、ハドソン産業株式会社山田一雄氏、有限会社鈴木製作所鈴木八郎氏、東京レプリカコーポレーション小田京介氏、有限会社東京CMC江原芳松氏でございます。これらの業者は今回の改正を不服として、国とそれから議会を相手に訴訟を起こしており、現在係争中でございます。  なお、反対の理由は、今回モデル小銃等のいわゆる長物の規制をも対象として加えたということなどもあっただろうと思いますが、それとまた、これまでの自主規制よりもやや強化されるというようなことなども業者の利益にはならないという面もあっただろうと思います。しかし、昨年業界におきまして、総理府令の改正などを含む法規制を陳情してまいった経緯からいたしますと、このような訴訟に踏み切ったその真意につきましてははかりかねるものがございます。
  92. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そこで、いまの業者の問題で少しお伺いしますが、反対業者のそうした組織、それからまた反対業者の運動、それからこの法案が通ることによって業界に対しての圧迫にならないか、それから四番目が業界と愛好者との関係はどうなっているのか。ということは、私どもにもよく愛好者からこれを規制されると困るのだという陳情、手紙が来ておりますけれども、そういう愛好家からの投書が来ているが、それに対して説得ができるのかどうか、この五点をお伺いしたいと思いますし、また、改造されることによって暴力団の点のみが強調されるが、それが行き過ぎがあって、かえって愛好者たちの趣味の規制にまでならないかという心配はどうか、いかがでございますか。
  93. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今回の銃刀法改正に関し、ただいま御質問にございましたような反対動向でございますが、これは一つにはモデルガンは文鎮化されるとか、あるいは一般国民がすべて所持できないとか、そういった誤った宣伝がなされていることから考えまして、その真意がはかりかねる面もございますけれども、いずれにいたしましても、大衆を反対運動に誘い込もうとする動きがモデルガン愛好家協会あるいはモデルガン法案反対訴訟委員会等の名称をもって行われているということは事実でございます。モデルガンの業界と愛好家協会が、金銭的にも人的にもどのようなつながりを持っているかということにつきましては、私ども定かに把握いたしておるところではございません。  また、次に、御質問にございましたモデルガンの規制がいろいろな国民に必要以上の束縛を与えるとか、あるいは業者にかなりの負担を与えるとか、そういうようなこともるる論議されておるところでございますけれども、私どもとしてはできる限りそのようなことが少ないのがよろしいのであって、また私どももできるだけそのように対処していきたいということを初めから一貫して念じているところでございます。
  94. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 趣旨はよくわかるのですけれども、私の申し上げた、趣味で好んでやっている人がやはり規制されるのはかなわぬということだと思うのです。  そこで、私の次の質問のところで、ひとつそういうものがあったら出していただきたいし、どういうところを改造して——私はこの委員会の初めに私自身が持ち込んできて、そしてお見せしたわけですけれども、まだ十分納得できませんので教えていただきたいと思います。  参議院の地方行政委員会で法案が採決されて以降、例の関口組一家ですか、警視庁が手入れをされた際に多量の拳銃を押収した、まずその内容を、先ほど質問がありましたけれども、簡単にお聞かせいただきたいし、その押収した拳銃の中に、いままで自主規制で改造防止措置をとってきたにもかかわらず、Smマークづきのものがあったわけですね。また、暴力団にある改造拳銃はどのくらいの数に上っているのか、おわかりでしたら物も含めてひとつ御説明していただきたいと思います。
  95. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  最初にどういう改造をしているのかということについてでございますけれども、けさほどから申し上げておりますように、拳銃のタイプを大きく分けまして三つに分けて私ども考えておるわけでございます。  それで、第一のタイプはこういう回転式でございます。この回転式につきましての改造方法でございますけれども、これはここのところにかたい鋼材が入っておりまして、それでこちらからドリルで突きましても穴があかないようになっておるわけでございます。ところが、これを今度カッターで切りまして、切ってから、逆にここに入っております鋼材をたたき出すわけでございます。そして、たたき出した後に鉄パイプをはめ込む、こういうやり方をするわけでございます。それからこれは弾倉でございますけれども、弾倉にはまっておるものにつきましても、これ自体を取りかえてしまったりあるいは途中で切ってしまうといったような……(山本(悌)委員「それは簡単に取れるのですか」と呼ぶ)これは取れます。そういう改造の仕方をするわけでございます。  それからもう一つは、中折れ式というので、けさほどちょっと説明しました、中から折れるものでございます。(山本(悌)委員「空気銃みたいですね」と呼ぶ)そうでございます。これにつきましては、これ自体ば新しくつくってしまえばすぐできるということで……(山本(悌)委員「銃身だけかえるわけですね」と呼ぶ)そうでございます。これにつきましては業界の方もぐあいが悪いということで製造をやめましょうということを前から話がついておるものでございます。  それから三つ目のタイプが自動式というタイプでございます。それにつきましては、このルガー式のような、銃身とそれからフレームとが一体になっておるというタイプがあるわけでございます。これにつきましての改造の仕方は、やはり回転式の場合と同じように銃身を切って改造していくというようなやり方をするわけでございます。(山本(悌)委員「Smマークというのはどれですか」と呼ぶ)それはまたお答え申し上げたいと思います。その次がラーマタイプというタイプでございまして、これは銃身とフレームとが分離できるわけで、これが銃身になるわけでございまして、この銃身を改造をするわけでございます。そのやり方はいろいろありますけれども一つは、ここのところがやはり詰まっておりますので、これを上から切りまして、そしてこれに別なパイプを詰め込むというようなやり方をこの間の関口一家の場合なんかはやっておるわけでございます。  そういったこと全般を考えまして、SmマークのIそれからIIというのがあるわけでございますけれども、SmIIというのが銃の一番つけ根のところの改造をしにくくしてしまうというやり方をするわけでございます。これをやりますと、ほとんど改造意欲も起こらないし、改造することもむずかしいだろうと私どもはいまのところ考えておるわけでございます。  それから、こういうルガータイプのものにつきましても、銃身の構造が似ておりますので、先ほど申し上げたものと同じような考え方措置してまいりますと、これは改造が非常に困難だろう、こう考えておるわけでございます。したがって、そういうものをSmということで今後措置していきたいと考えております。  それで、実は一番頭を痛めておりますのが分離できるタイプのものでございます。これにつきましては、いま何かいいアイデアがないかということでいろいろ検討いたしておる最中でございます。ある程度私どもも案は考えておりますけれども、しかしなお不安な点が非常にございます。そういうことでなお検討をしてみたいと考えておるわけでございます。  それから関口一家の関連のことでございますけれども事件の概要は、被疑者小島猛三十八歳でございますけれども、暴力団極東関口一家中村睦の四代目の首領でございます。これが詐欺罪で東京拘置所に服役中であった昭和四十六年十二月ごろから同四十九年八月ごろの間に、同じころ拳銃密造事件で服役していたイラストレーターの松本栄毅三十一歳と知り合いまして、松本がモデルガンから拳銃を密造する技術を持っていることに目をつけまして、昭和五十一年五月ごろから松本にモデルガンの改造を依頼しておった、こういう事案でございます。依頼を受けました松本は、やはり刑務所仲間であるホテル従業員の堀江格、三十三歳と共謀しまして、マンションの一室を借りまして、そこで五十一年六月中旬ごろまでに十七丁の改造拳銃を密造しておったということでございます。被疑者の小島は、改造代金として現金百万円余の支払いをしたのでございますけれども、それが惜しくなりまして、松本、堀江に暴行、脅迫を働いて、同人から改造拳銃十五丁、実包三百個及び自分が支払った現金を奪い返してしまったという事案でございます。
  96. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 その機関銃みたいなのは、それは何ですか。
  97. 柳館栄

    柳館説明員 これがいわゆる一般に長物と言われているものの一種でございます。
  98. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それはどこを改造するのですか。それは改造すると弾が出るのですか。
  99. 柳館栄

    柳館説明員 これを改造いたしますと、やはり弾が出るようになります。
  100. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 どこを改造するのですか。
  101. 柳館栄

    柳館説明員 ちょうどこのタイプは、こういう自動式のタイプと機構的には同じに考えていただいて結構なわけでございます。そうしますと、やはりここに詰まっている、この銃身が差し込まれているといいましょうか、一体となっているこの部分に入れられている超硬材その他を切り取って、別なパイプをはめ込むということで弾丸の発射機能が出てまいるということでございます。
  102. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 もう一つお尋ねしますが、ピストルはよくわかります、改造すれば飛び出しますが、機関銃の場合私は不思議でしようがないのですが、実際これを改造してやったことはありますか。
  103. 柳館栄

    柳館説明員 現在まで長物で改造された例として十一件ございます。
  104. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そしてそれは使われたことがありますか。
  105. 柳館栄

    柳館説明員 これが犯罪に使われたということはございません。
  106. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 距離にしてどのぐらい飛びますか。
  107. 柳館栄

    柳館説明員 私ども、その一つ一つにつきまして全部報告は取っておりませんので、ちょっと明確な数字は申し上げるわけにいきません。
  108. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 わかりますけれども、そこでたとえばピストルの場合だったらどのぐらい飛んでどのぐらいの殺傷力があるか。それから長物だったらどのぐらいの距離飛んでどのぐらいの殺傷力があるか。これだったらかなり弾が出るわけでしょう。私は兵隊に行ったことがないからわかりませんけれども、機関銃ですからかなり出ると思うのですよ。耐久力はどのぐらいあるのか。おもちゃだとは言うものの単なるおもちゃではないわけですから、そういうことを警察庁としては研究したことがあるのですか。実験したことがあるのですか。お聞きしておきたいのです。
  109. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま申し上げましたように、長物についての実験というものは、私どもは直接はいたしておりません。しかしながら、それが銃刀法に言う銃であるという認定をしますのには、それぞれの都道府県警察が押収した段階において実験をいたしているはずでございます。したがいまして、必要であれば後刻都道府県から報告を徴しましてお伝え申し上げてもよろしいと思っております。現在のところ、数字は持っておりません。ただ、拳銃につきましては普通の真正拳銃の場合でございますと、これの一番弱いもので発射しますと、十二ミリの杉板を六枚貫通するというのが一番弱いものでございます。ところが改造拳銃の場合の一番性能のいいものが、ちょうどそれに相当する程度でございます。
  110. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 私がそれを微に入り細にわたって聞いても使うわけでもございませんし、またどうというわけではないのですけれども、やはり規制をするには相当実験をされて、これはいかぬということがあっていいと思うのですよ。それが発表できなければいいのですけれども、強いてお聞きしようとば思いませんけれども、これだけいろいろ議論になっているところですから、ある程度わかったら、たとえば百メートルの距離から撃てば人間一人は楽に殺せる、二百メートルならだめだ、三百メートルなら届かないとか、これだけのものが出回っているわけですから、その程度ぐらいのことは、私は、皆さん方に知ってもらっていいんじゃないかと思います。もし資料がありましたら、後でいただきたいと思います。  そこで、改造拳銃のモデルガンのメーカーというのはどこですか。先ほどちらっと出ておりましたけれども、そしてそこの責任者というような人がおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  111. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 前の保安課長の説明を若干補足して申し上げたいと思いますが、先ほど来出ておりました関口組から押収した改造拳銃のほかに、暴力団によるSmマーク入りモデル拳銃の改造事案としましては、主なものを挙げますと、五十一年の二月ごろから同年の五月ごろにかけて暴力団事務所及び自宅などで、かねてから買い求めておいたSmマーク入りモデル銃等約二十丁を改造した暴力団員、これは会津小鉄会系の村山組の事件がございますが、これも昨年五月京都で検挙しております。また昨年十月には暴力団員三名が貸工場を借り受けて、電気ドリル、旋盤等を備えつけてSmマーク入りモデル拳銃三十丁を改造して友誼団体に売りさばいた事件を検挙しております。このように暴力団の銃器使用犯罪の増加に伴いまして入手意欲は非常に高くなっておりまして、暴力団員によるモデルガン改造事犯も大がかりなものになってきております。  これまでにSmマーク入りモデル拳銃が改造されたのは五十三丁でありますが、これをメーカー別に見ますと、CMC製、これが十六丁、CMCというのは、いま訴訟に踏み切っている会社の一つでございます。それからマルシン製十丁、国際産業製、これも訴訟派の業者でございますが、これが五丁、それから前の理事長の神保氏が代表となっているMGC製、これも訴訟派でございますが、十三丁、ハドソン製が二丁、それからメーカー名を削っておって不詳のものが七丁となっております。このメーカーのうち今度の改正に反対しておるのは、先ほど申し上げました日本MGC協会、代表は神保勉氏、それから国際産業株式会社、代表は荒井茂氏、ハドソン産業株式会社、代表は山田一雄氏、有限会社東京CMC、代表は江原芳松氏の四社でございます。
  112. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 今度の法改正に絡んで、先ほどから話が出ておりますように、衆参両院議長及び当地方行政委員会委員長、まあ当委員会を相手取って法案を審議しないように、可決をしないようにということで裁判所に訴訟を起こしているということなんです。  そこで、これも何人かの御質問がありましたけれども、改めて私は大臣に、また委員長にもお伺いしたいと思いますが、司法権の立法権に対する侵害じゃないか。当然そうだと思うのです。けしからぬと思うのですね。この種のものがしょっちゅう出されることになりますると、もう国会としては何も審議ができない。気に入らなければいつも訴訟を起こしてやめさせるというようなことを平気でやってこられますと、国会の最高機関性というものはなくなってしまうし、同時に三権分立というものが壊されていくと思うのですが、まず大臣のお考え、それから委員長考え及び決意というところまでお聞きしたいと思います。
  113. 小川平二

    小川国務大臣 憲法、国会法に基づいて適法に行われまする審議を差しとめるというようなことがそもそも訴訟の対象になり得るのであろうか、私は非常な疑問を持っておるわけです。これは取り下げられてしかるべきものだと信じております。
  114. 地崎宇三郎

    地崎委員長 委員長としての見解は、先般高村委員質問に答えて述べておきましたが、いま山本委員のおっしゃるように、憲法で立法権を、国会におけるあらゆる審議、あらゆる発言、すべて保障されておるわけですから、それをいまおっしゃるように何でもかんでも裁判所が受け付けて、こういう訴訟のようなものなり、民事訴訟のようなものが行われたのでは混乱を来すと思いますので、私は、いま法務省に委任しておりますけれども、この際はっきり結論を出してもらいたいものだということを考えております。
  115. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 法制局、おいでですか。いかがでございますか、この見解は、どんなふうに……。
  116. 味村治

    ○味村政府委員 前回もこの委員会で申し上げましたが、わが国の憲法は三権分立の制度をとっておりまして、司法権が立法作用に関与するというのには、やはり憲法上なり法律上の根拠が必要でございます。たとえば違憲立法審査権のごときは、一種の司法権が立法の可否を論ずるということになるわけでございますが、立法の作業それ自体につきましては、司法権が国会に干渉するという権限を認めた規定は全くございません。これは国会で御自由にお決めになることでございます。そのような意味で、今回出されておりますように、国会の審議を差しとめるということ自体が裁判の対象にならない、裁判の対象として適法でないというように考えます。
  117. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 高村先生質問のときにも同じような御答弁だったのですが、裁判所はその訴訟に対して、受理してみなければ内容がわからぬ、こう言うのですけれども、明らかに国会を相手取って訴訟するようなものを受け付けること自体が私はおかしいと思うのですよ。その辺は法制局はどうお考えですか。
  118. 味村治

    ○味村政府委員 裁判は、訴えがございますと、すべて裁判所はそれを受理いたしまして、それについて判断をする、判断をしなければならないことに相なっております。前回申し上げましたが、非常におかしな訴訟であるという場合でございましても、それについて裁判官が判断をいたしまして、その判断を裁判という形で行う。その裁判に対してまた不服がある方がございますから、そういう場合には控訴するという制度になっておりまして、訴えの提起がございましたのに、全然まるっきり門前払いを食わして何も裁判をしないということはできないことになっております。
  119. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 同じ答弁でありますね。私も何か方法がないだろうかと首をひねってみましたけれども、結局同じことだと思います。  そこで警察庁にお伺いいたしますが、取り締まり面から見て、何のために業者はこのような訴えを起こしてきたかということ、この理由はおわかりですか。
  120. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 私ども承知している限りでは、このモデルガンは商売上大変利益の上がるものであるというように承っております。それで、やはり何らかの規制が加えられますならば、それに伴いまして業界としては若干の負担増がかかるということも考えられますし、また今度新たにいわゆる長物についても若干の規制が加えられるということから考えてみますと、業界としてはできるだけその負担増を避けたいというような意味合いで、この法案が通らないことを期待し、差しとめ命令を訴訟として出すとか、あるいはまだ現実に法案ができないうちからやはり何らかの圧力と申しますか、そういうような観点から損害賠償を請求するというような二段構えで訴訟を出しているものと思いますが、しかし、繰り返して申し上げますけれども、昨年の十一月ころ、いま訴訟のリーダーであります神保氏から、総理府令の改正ども含めて立法措置を講じてもらいたいというような陳情もあったという経緯から考えてみますと、本当のところ、その真意をはかりかねているというのが正直なところの感じでございます。
  121. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 この法改正後に総理府令が出る、その総理府令の内容というものはどんなものを考えておいでですか。それから、その際に銃器専門家なんかの意見を聞くようなお考えがありますか。
  122. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 規制の対象となる玩具類銃器のすべてを通じまして、材質を亜鉛合金程度の硬度以下の硬度を有する金属とするほか、構造に応じていろいろな措置を施させる必要があるというように考えております。  まず、回転弾倉式拳銃に類似するものにつきましては、銃身及び弾倉に相当する部分に、ドリルの刃を通さないかたい鋼材を鋳込むということのほか、弾倉内の薬室相互間の隔壁に切り込みを入れるなどの措置を施さなければならないというようなことにしたいというように検討しております。  次に、自動装てん式拳銃に類似するものにつきましては、全機種を通じて銃身に相当する部分に回転弾倉式拳銃の場合と同様の鋼材を鋳込みまして、かつ撃針に改造することができるものを設けてはならないことといたしますが、最も改造されやすい機種である銃身がフレームから分離することのできるタイプのもの、こういうものにつきましては、いま少し改造を困難にするための措置を施す必要があるというようなことで、鋭意検討中でございます。  小銃、機関銃等のいわゆる長物に類似するものにつきましては、その構造が自動装てん式拳銃に類似するため、ほぼこれに準じた措置を施させることを考えております。  なお、以上のほか、張り合わせ形式のものにつきましては、強度も低いので、材質を亜鉛合金とし、その大きさを指定するほかは、改造防止のための特別の措置を施さなくてもよいということに一応考えております。  なお、御質問でございましたこういう模擬銃器などに関する専門家の意見を聞くということについてでございますが、これの専門家としていま四、五人名前を挙げて、この法案が通過するならば早速そういう人たちに委嘱をいたしまして、また業界からもそういう人を推薦してもらいまして、十分意見を聞いた上で、技術的にあるいはまた製造コストの上において、そういう両方の観点から十分検討してまいりたいというように考えております。
  123. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 先ほどから業界との話をいろいろお聞きしているわけですけれども、いまお話がありましたように、改造ができなくなるというと、業者の方は文鎮化するということで大反対なわけですね。そういうことで、さらに愛好家それから業者が運動を起こしておるわけです。  一つは、どういう形の業者、それからどういう形の運動を起こしているのかということを、先ほどちょっと触れておられましたけれどもお聞きしたいのと、それからもう一つは、この運動に参加をしない者に圧力を加えているという話をときどき聞くんですね。運動に参加しない業者に対して、参加している業者の方から圧力を加えるというようなことを聞くのですけれども、そういうことについて事実をお確かめでございますか。
  124. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今回の銃刀法改正に関して、ただいま御質問にございましたような、モデルガンは文鎮化されるとか、あるいは一般人が所持できないことになるとか、いろいろな誤った宣伝をいたしまして、大衆を反対運動に立ち上がらせようとしている動きは見られます。しかし、何回も御答弁申し上げておりますように、撃発装置に相当するものについて規制をするということでございますので、撃発装置そのものを文鎮化してしまえば、これは初めから規制の対象にならないわけでございまして、逆から言えば、文鎮化するということはあり得ないということは、この法案が出た当初からわかるはずでありますにもかかわらず、文鎮化、文鎮化ということで子供などにも働きかけまして、いろいろと議会や私どもの方に印刷したあて名先で、記載だけを子供にさせるというようなことで、私どもにも千通ぐらい寄せられております。  そういうようなことで、多彩な動きをしておる人は前の理事長ではないかと一応推測しておりますけれども、大変多彩な動きをされておりますその過程において、また一緒にモデルガン愛好家協会の方も大変いろいろと協力されているようでございますが、その間の運動費とかそういうものが一体どうなっておるのかということは、私どももいま被告の立場でございますので、定かにそれを調べること自体問題がありはしないかということで静観している次第でございます。  特に、私ども非常に遺憾だと思いますのは、モデルガンのサービス券をえさに子供をデモに動員しようとしたことも事実あったようでございますが、私どもは、やはりこういう問題で子供の気持ちそのものに影を差すようなことがあってはならないということで、私どもちょうど少年警察というものも担当しておりますので、特にそういう点に気を使って、どちらかと言えば黙って静観しているというような状態で経過しているわけでございます。
  125. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 部長の方からそういう話がありましたが、私は地元の地域で青少年育成協議会の会長をしているのです。いろいろな問題を持ち込まれて、青少年の育成に努力をしているのですけれども、いま部長から話がありましたように、サービス券を配ってこの反対運動にというようなことは、どうもわれわれの常識からすると考えられないのですが、これは行き過ぎだと思います。そこで、この点でぜひひとつそういうことのないようにしていただきたいと思います。  最後に、暴力団や極左行動のみに目をやって、規制を厳しくする余りに、愛好家や業者の不当な圧迫にならないというようなことをぜひ保障していただきたい。そういう意味で、ひとつ大臣から御決意のほどをお聞きして、このモデルガンの質問は終わりたいと思うのです。
  126. 小川平二

    小川国務大臣 お答えいたします。  モデルガンの愛好家の気持ちというものはもとより十分尊重しなければならないと考えておりますので、目下の事態に対処するのに必要の最小限度の改正にこれはとどめなければならない。各方面の意見をも聞きまして、十分慎重にとり行っていくつもりでございます。
  127. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 成田空港事件についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  これもかなり御質問が出ておりますし、十分承知をいたしております。しかし、東山さんという方が亡くなられたという事件、それからまた一方、警察官の方もかなり重体だというようなことを聞いておりますので、少しお聞きをさせていただきたいと思います。  この成田空港の反対闘争をめぐって、警察過激派の双方に多くの負傷者を出したと聞いております。そこで、今回のこの衝突になった場所と、またそのときの状況を簡単に御説明していただきたい。
  128. 三井脩

    三井政府委員 十六件各種事案が六日の鉄塔倒し以来あるわけでございますが、特にその中で二件が典型的に悪質な事案でございまして、一つは五月八日、一つは五月九日であります。  五月八日は、白昼公然と警察部隊に対する悪質な手段による攻撃をかけた事案ということで、事案の規模等につきましては、二百二十名の警察官に五百五十名の極左暴力集団が、火炎びん攻撃、火炎自動車、投石、鉄パイプ、角材、劇薬を投げるというような方法で襲撃をしてきたのであります。これに対して警察部隊が催涙ガスの使用等により対応いたしましたが、百二十五名の負傷者を出し、二十五名を現行犯で検挙する、こういう事案が一つございました。  東山さんの死亡原因となった負傷はこのときにされたものと言われておりますが、この点につきましては警察自身において調査をしておる、また一方、告発等もこれあり、その以前からでありますけれども、検察当局において捜査をしておる、こういうことでありますので、現在までのところその結論は出ておらないわけでございます。  もう一件は、その翌日の五月九日午前三時半ごろの発生事案でございますが、芝山町長宅前臨時派出所に勤務しておる六名の警察官に対しまして、四十名を超える極左暴力集団の一派が突如襲撃いたしまして、これまた四十本から数十本に及ぶ火炎びんを集中的に投てきするということによりまして、六名全員が負傷し、そのうちの三名が重傷、一名が死線をさまよっておりますが、もう一名は現在重体というような被害を出しておるわけで、この点につきましては鋭意特捜本部において捜査をいたしておりますけれども、現在までのところ犯人検挙のめどはまだついておらないという状況でございます。
  129. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 不幸にして亡くなりました東山さんの所属は何ですか。その集団におけるいわゆる位、地位、五百五十名の指揮をとっておったと言うが、どのぐらいの位を持って、位というのは変ですね、地位でしょうね、それから職業は何ですか。あるいはまた、いまのお話では死亡の原因がわからないということになっていますけれども、死亡の原因はおわかりにならないのですか。
  130. 三井脩

    三井政府委員 亡くなられた東山さんは大学中退をいたしまして、四十七年の五月ごろから現地に常駐し、団結小屋に住み込んでこれを住所としておる方であります。妨害鉄塔につきましても、ここに見張り台がつくってありますが、月に数回この見張り台に交代して見張りに立っておるという方でありまして、セクトは旧ベ平連系でありまして、当日五月八日の事案では五百五十名の極左暴力集団行動いたしましたが、その中の一員としての行動でありますので、第四インター中心集団に参加をした人ということになります。  当日の行動につきましては、この人は常駐の人で、もう長年にわたって先ほど言いました見張り台等におりますので、視察に当たっておる警察官等も本人の顔をよく知っておるわけでありますが、これが当日朝現認いたしましたところ、トラックに鉄パイプ、投石用の石等を積み込んで現場周辺に集積をするということにかかわっておった、こういう人でございます。
  131. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 はしょって御質問いたしますけれどもガス銃やそれからいろいろな銃器の使用について行き過ぎはなかったのか。このことを当局にお聞きするのはおかしいかもしれませんけれども新聞やその他の報道機関が、どっちかといえば警察当局の方が行き過ぎではないか、やり過ぎだ、たとえば水平撃ちをして死傷に達しているのじゃないかというようなことを書いているし、われわれもそれしか現状はわからないわけですけれども、その点はいかがでございますか。
  132. 三井脩

    三井政府委員 結論から申しますと、私たちは行き過ぎはなかったものと考えております。警察官が持っておる装備等を使用するにつきましては、慎重にこれを必要最小限度において行う、しかし同時に相手方の行動というものを抑止、抑制をする、それによって不法の事態を抑える、こういうことでありますから、その限りにおきましては積極的にそういうものを相手方の行動にマッチするように、最も適切に行使をするということが平素からの訓練その他によって努めておるところでございます。  今回の事案につきましては、警察が帯用をしてそれを行使いたしました当該対象となった事態という点につきましては、しばしば申し上げておりますようにきわめて凶悪な行為でありまして、集団による殺人行為であると言い切ってもいいような事案であります。したがいまして、逮捕した被疑者につきましては、殺人未遂罪という罪名でも検察庁へ送っておるということでありますけれども、ただ反対同盟側はこの点につきましては、野戦病院であるとか、本人が戦闘員であるとか非戦闘員であるとかと、いかにも警察官相手にあるいは空港そのものを相手に戦争をしておる、こういうようなことから、そこに発想の基本を置いておるというような感じがするわけでありまして、私たちは法を守る立場、彼らはあえて言っておりますように警察官を多数殺し、空港を壊す、こういうことでありますから、向こうは違法目的で行動しておるということにおきまして、その目的の最初から、行動の最初から違法であるということは明瞭でありますので、私たちはそれに対する最小限度の法維持のための警察行動であって、そこにおける彼らの行動をよく見ますと、そこから出てきた警察措置、決して行き過ぎではないというように考えておる次第でございます。
  133. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 暴力集団というか革命闘争の一環としてやっている行動ですから、当然いろいろな問題が起きてくることはあたりまえのことですけれども、その中で私は疑問に思っておることが幾つかあります。一つ革命予行演習である、いわゆる左翼暴力集団とそれから反対闘争の指導者というか指揮者である戸村一作というのがいますね、この人との関係はどうなっているのか。これは幾ら制止をしてもだっとやっておるのか、あるいはこの人も一緒にやっているのか、まずそこからお聞きしたいと思うのです。
  134. 三井脩

    三井政府委員 成田では三里塚芝山空港連合反対同盟というのがございまして、その委員長が戸村一作ということになるわけでありますが、この反対同盟勢力がだんだんと小さくなってきておりまして、今日では二百名前後ということになっておりますが、この極左暴力集団との関係につきましては同床異夢で、空港建設に反対をするという点については一致しておる、こう思います。といいますのは、極左暴力集団の方は革命という遠い目標があって、その手近な一里塚といいますか、手前の闘争目標、実現すべき目標としてやっておるわけで、反対同盟はおのずから違うものだ、こう思うわけであります。  そこで、この両者の関係でありますが、そういう意味でもうすでに十年以上の期間現地に援農と称して学生、当時は学生であった者、最近は労働者の方が多いわけでありますが、極左暴力集団が常駐しておる。この数も鉄塔倒し当時は大体百名程度でありました。現在二百六十名が常駐をいたしておりますが、そこで何カ月に一回、最近では四月十七日に大きな規模の集会、デモを共催で、名目は反対同盟の主催でありますが、これに極左暴力集団も参加してやるわけであります。したがいまして、現在の状況からいきますと、この数等から言いますと、反対同盟はいまや非常に一握りの勢力である。他から地元と直接関係のない極左暴力集団が押しかけて彼ら自身の目的のために利用しつつこれに支援をしておる、こういうのが実態だと思います。したがいまして、事の実態におきましては、反対同盟側がいろいろ極左暴力集団側と話はいたしますけれども、これを統制する力、実力は反対同盟にはない、こう思われます。しかし事が比較的平穏な事態におきましては、集会をやるというときには反対同盟の名において集会をする、これに極左側が参加をするという意味では、名目的に反対同盟は表に立ってやるという意味ではそれだけのある程度の統制というのは持っておるわけであります。ところがこの鉄塔を五月六日に倒しまして以来、反対同盟の戸村一作委員長は、もう統制をする必要はないということを公言、宣言をいたしました。したがって、極左暴力集団反対同盟に何らの気がねすることなく、彼らの本来の目的である革命へ向かっての目の前の闘争目標としての空港反対闘争というものについて手段、方法を何ら縛られない、こういうことで過激な行動に走っておるというように考えるわけでございます。
  135. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 その五百五十名の中に、いま私申し上げた反対同盟とそれから暴力集団とがあるわけだけれども地元農民や地域の住民がどのくらい参加をしているかおわかりですか。
  136. 三井脩

    三井政府委員 ほとんどゼロであったと思います。二千三百名ないし二千七百名に及ぶ集会に集まった人たちの中で、反対同盟側というのは数名、十名前後というように、私たちの見たところではそうであります。ただ傍観者等がほかにもおりましょうから、行動に参加したというのはほとんどゼロに近いごく一握りの人たちであるというふうに考えております。
  137. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 大臣にお伺いしますけれども、こういう悲惨な闘争が行われるということは非常に嘆かわしいことですけれども、こういう革マルあるいは暴力集団行動一体何が原因だとお思いでございますか、またどういうふうにしたらこれを抑えていけるとお思いですか、お伺いします。
  138. 小川平二

    小川国務大臣 何が原因かというお話でございますが、私に率直に言わせていただきますならば、不可解の一語に尽きるわけであります。いずれにいたしましても、かような勢力に対しましては最も峻厳なる態度で対処していかなければいけない。これは国民生活の安全、公安の基本につながる問題でございまするから、そういう方針で対処していきたいと存じます。
  139. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 不可解の一語はよくわかりますけれども、やはり法治国家でありますから当然そういう御答弁なんでしょうけれども、ただそれだけで片づけておくわけにもまいらぬでしょう。この極左集団というものがなかなか減らない。ふえこそすれ減らないみたいな実態でございますから、ただ一語で、革命予行演習だ、あるいは先般の質問でもありましたように、そういうことが好きで、どこから金をつくってくるのかよくわからぬけれども、とにかく資金があって、そして竹ざおから車から、いろいろなものを装備をしてやってくるわけですから、私は基本的に、根本的に何なんだ、どういう問題なんだということもひとつ御研究をしていただきたいと思うのですね。
  140. 三井脩

    三井政府委員 ただいまの点でございますが、極左暴力集団の最盛時ば全国の勢力で五万五千人を超えるものがございました。ここ数年の間にだんだん減ってまいりまして、私たちは、現在では全国総計で三万五千人と見ております。二万人減ったわけです。これの基本は何かと申しますと、やはり世間一般の厳しい批判、世論による批判というのが一番大きいと思います。しかし私たちは、世論の批判を厳しく極左暴力集団行動に向けるということも大事ですが、当面、目の前にある彼らの違法行為を法に照らして厳しく取り締まっていくという警察の仕事、これが大事だ、これがそれにつながるんだという、そういう観点から鋭意取り締まりに当たって——成田だけでも三千三百人の警察官が負傷しておる。相手方を検挙いたしましたのは約千六百名を検挙いたしておりますが、こういう積み重ねというものが大事であります。  そこで、彼らの勢力が、あるいは行動が一向にダウンしないように見えますのは、勢力がいまのような世間の批判、取り締まりというものによってだんだん減ってきておりますために、逆にまた行動するときには激しい手段に訴えるということもあるわけでありまして、彼らがゲリラあるいは内ゲバ、あるいは爆弾といったような手段を用いますのは、彼らの力がだんだん落ちてきているということの証左でありまして、力がありますときには、街頭における集団によるデモといったようなことが中心の戦術になるわけでありますけれども、いまのような手段をとっておるということは、だんだんと落ち目になってきておるということの証左でありますが、しかし、それでありましても激しい行動、被害を与えるような行動をやること自身、これがまたかなりの被害を与えるという意味におきまして、法秩序維持の観点から、われわれはそれをも許さない、それをも抑え込んでいくという立場でこれに取り組んでおるわけでございます。
  141. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そこで、警備に当たった機動隊の方もかなりの負傷をしておるということなんですが、こんなような事態が起きることの予測はまずしていなかったのですか。先ほど火災びんのお話がいろいろありましたけれども、していなかったかという点が第一点です。  それから、これは投石、鉄パイプ火災びん、火災自動車、こういう殺人的行為に対して、いまのような防備ではやっていけないのかどうか、その辺はいかがでございます。
  142. 三井脩

    三井政府委員 予想しておったかどうかということでございますが、大変激しい場合には、彼らの行う大変凶悪な行為の上限においてはそういうこともあるだろう。それからまた下限につきましては、鉄塔も倒れたし、これからは暴力行動ではいかぬ、言論で大いにやるべきだということで合法的な集会、デモというものは、規模の大きいものはしばしば繰り返すであろう、その中間にどの辺の事態が起こるかということをいろいろと想定しておりましたけれども、そのあり得る姿として想定した中では、大変上限の方が近くて、部隊配置等当日の五月八日の事案について言いますと、当日の部隊配置の際に想定をした中には、ああいう凶悪な事案が起こるであろうかという点については想定の中に入っておらなかったという意味では、予想外の事態であったというように考えます。  それからまた、今日そういうような事態に対してわれわれ警察の持っておる装備で対応できるかということでありますが、ああいう事態がほぼ確実に起こるであろうということが想定される段階におきましては、これを処理するということについては十分の自信があります。しかしながら、その場合でありましても、現実に火災びんが投げられ、車を突っ込まされるということに伴う被害は、ある程度の被害は避け得ないというように思うわけでございます。そういう意味におきましては、突然の事態であればあるほど、こちら側の被害も大きくなるということでありますが、私たちといたしましては、情報活動等によりまして、あり得る事態のいずれにも対応できるように一層よく準備をしてまいりたいというように考える次第でございます。
  143. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 もう二、三点お尋ねをして私の質問を終わらせていただきますけれども火災びん取締法ができてからこの種のものが大分減っておったと思うのですね。ところが、今度は大量に使われた。どのぐらいの量が今度の闘争で使われたかおわかりですか。  それから一本の発熱量ですね。これは薬を入れればいろいろと変わるのですけれども、今度使われたものはどんなものであったか。  それから機動隊員が負傷しているけれども、ほとんどやけどだと思うのです。火傷ですが、その実態はどんなものか。そしてまた今後そういうものに対して対処していく対処のあり方、これらについて一括してひとつ御答弁ください。
  144. 三井脩

    三井政府委員 火炎びんは、いわゆる第二次安保闘争、学園紛争の中で大量に使われましたので、四十七年に火炎びん取締法という単独法ができたわけでございます。四十七年その法律が施行になって以来、今日まで火炎びんは現実にはほとんどゼロ、たまに出ることはありますけれども、ほとんどゼロと言っていいぐらい出ておりませんでした。今度成田において四十七年以来初めて大量に出たという事態でございまして、成田では五月八日のあの現場だけで五百本でございます。その前後を加えまして六百本以上出ておるわけです。したがいまして、五月八日が中心でありますけれども、あの二、三時間の間に五百本以上出ておるということでございます。  火炎びんはあくまで手製でございますので、この威力という点につきましては、先日、高速道路から第一機動隊の隊庭へ投げたものは一升びん二本でありますが、これは相当燃え上がるわけでございます。ああいう成田のような大衆行動の現場におきましては、おおむねビールの空きびんに入れて投げるものというのが一番多用されるものでございます。火炎びんは集中的に投げられますと——渋谷の事件で四十六年十一月十四日、新潟県から応援に参りました警察官火炎びんで焼死いたしましたということで、機動隊は重武装——重武装と言っても大したことありませんけれども、編上靴を履いたり、出動服の下に防弾着を、剣道の胴のようなものを着ておったりいたしますので、火がつきますと、これを脱がす、はがすのに大変時間がかかるということで、本人の衣服に火がつきますと、ごく近所に数人の同僚がおってすぐに手当てをしない限り致命傷を受ける、こういうようなものでございます。  いままで火炎びんでやけどをして助かったというのは、安田講堂のように、火炎びんが投げられたその中を走って飛んでいくという、その通過するときけがした人は、かなりけがした人でもいままで治っておるというのが相当あります。成田の今度の事件におきましては、火炎びんによるやけどというのが一番多い警察官の負傷原因でございます。
  145. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 いま局長から話がありましたように、実は渋谷事件中村君というのは私の遠縁に当たるのです。佐渡の出身でして、相川の橘という部落の、お父さんは役場の課長さんです。私は当時はまだ浪人をしておりましたけれども、非常に気の毒に思ったのですが、この種のことが起きないように、またさりとて行き過ぎがあっていろいろ警察が批判をされるというようなことのないように、両面からひとつ見てやっていただきたいと私は思うのです。  特に、中村君の場合もそうですし、今度のこの事件の被害者になっておるやけどをされた警察官機動隊方々は本当にお気の再だと思うのですけれども、余り批判をしますと、しまいになり手がなくなってしまうのじゃないか。現にあの事件が起きたときでも、機動隊に入るのがいやだ、私のおいっ子がかつて機動隊にいたことがあるのです。機動隊というよりもまだ警察官になったばかりでございまして、一年近くやっておりましたけれども、羽田事件に駆り出されて、いやになってしまいまして、やめていまはもう家で商売しております。そういうこともありまして、私は非常に心配をしておるのです。  国の公安、それから国民の安全ということを考えますると、私は非常に重要な問題だ、こう思っておりますので、行き過ぎのないようにして、しかもけがのないような方法でひとつこれからの闘争に対して処置をしていっていただきたいということをお願いを申し上げまして、持ち時間が過ぎたかもわかりませんけれども、始まりが遅かったので御勘弁を願いたい、こう思います。  以上をもって私の質問を終わります。
  146. 地崎宇三郎

    地崎委員長 三谷秀治君。
  147. 三谷秀治

    ○三谷委員 モデルガンの規制についてお尋ねしますが、モデルガン、いわゆる模擬銃器というものは、それ自体は玩具である、おもちゃである、これは間違いないと思います。その点、どうでしょう。
  148. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 そのとおりでございます。
  149. 三谷秀治

    ○三谷委員 これを素材にして銃器を製造する場合に取り締まりの対象になる、こういう性格のものだと思いますが、それも間違いないでしょうか。
  150. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  151. 三谷秀治

    ○三谷委員 ところが、今回の改正案というのは、銃器を製造するに至るまでの間にモデルガンを販売目的で所持すればこれが可罰対象になる、こういう内容のように思いますけれども、この点は先ほどの御見解とはどのように調整されるわけでしょうか。
  152. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今回の改正は、これまでモデルガンが改造されたときに違反になるというのを一歩深めまして、模擬銃器の、総理府令で定める以外のもの、構造になっていないもの、こういう模擬銃器を販売目的で所持することを禁止しようというのがその趣旨でございます。  モデルガンと真正の拳銃との差でございますが、モデルガンもだんだんと精巧になっていきますにつれて真正の拳銃に近づくわけでございます。大変近づいた場合、たとえばちょっと撃針をはめ込むだけで真正拳銃になるというようなものは、これはもうすでに銃器でございます。これは判例上も、少許の加工で発射機能を持つということになれば銃器でございますが、そこに至らないまでも、ちょっと手を加えれば真正な拳銃になるという段階のものにまで進んでいくのを今後は防ぎたいというのがその趣旨でございます。
  153. 三谷秀治

    ○三谷委員 刑事罰をもって規制すべき範囲は、犯罪及びこれときわめて密接な関係を持つ行為に限定さるべきものであって、今改正案のように商品としての玩具そのものが所持を禁止される、こういう立法というものは本来個人の自由に属する問題に立ち入ることになりはしないか。現行法で可罰対象であります改造行為を徹底的に取り締まること、これが徹底しますならば目的は十分に達し得るものではないかと考えますが、その点はどうでしょうか。
  154. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 確かにモデルガンが改造された途端にそのすべてを押収するということができますならば仰せのとおりだと思います。しかし、現状はやはりひそかにモデルガンが改造されるのでございまして、なかなかそのすべてを押さえることは事実上不可能かと存じます。ことに昨年は一千二十七丁、モデルガン、改造拳銃を押収しておりますし、その前の年は一千二十六丁ということで、ここ二カ年間、一千丁を超えているという状況が出ております。これは警察で押収したモデルガンの改造拳銃だけでございまして、捜査の過程で、つくったけれどもそれが流れてしまって押収できなかったとかいうのもかなりたくさんございます。そういたしますと、私ども、推定でございますけれども、一年間にモデルガンが改造されるというのは現実には五千丁ないし一万丁ぐらい毎年行われているのじゃなかろうかというような推定ができるわけでございますし、そうなりますと、やはりモデルガンとはいえ、若干の規制はやむを得ないのではなかろうかというように判断いたした次第でございます。
  155. 三谷秀治

    ○三谷委員 御説明を聞きますと、やや取り締まり上の御都合主義的な御意見のようでありますが、改造銃器がモデルガンを素材とするからモデルガンの販売を禁止する、こういう発想に立ちますと、たとえば金属があるから銃器の製造の素材となる、こういう飛躍した論理も生まれてくるわけであります。そういう要素がいまのお答えの中には多分に存在しております。本来法規制の対象とすべきでない領域にこの法律が介入しようとしますために、この法案でも販売目的のための所持のみが規制されておる。製造や譲渡、輸出、輸入についてはこれを認めるという内容になっております。大変一貫性がないわけです。したがって、虞犯性があります暴力団が一定の資金さえ投ずれば無制限に製造、所持することが可能である、こういう条件も存在しております。いま部長がおっしゃいましたように、ひそかに改造するという行為があるそうでありますが、このひそかに改造する行為というものを前提として考えますならば、製造をひそかに暴力団が資本を投じて行うという可能性もあるわけでありますし、したがって、販売目的ではない、自己が使うというような目的を持ってこれを製造することは公然性を持ってくる、こういう大変矛看したことになってくるわけであります。こうして見てきますと、結果的には、改造など考えていないモデルガンの愛好者からその趣味を奪ってしまうだけの効果しかないのではないか、法改正の目的である銃器の改造の防止には実効性が薄いのではないかという疑問を持たざるを得ませんが、この点についてどうお考えでしょうか。
  156. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 暴力団が資金を投じてモデルガンの密造工場をつくるというようなことがあれば、この法案はまことに無意味ではないかというような御趣旨の点もございましたが、そういうことをだんだんと突き詰めていきますと、それでは真正拳銃をつくる密造工場をつくっても同じではないかということになろうかと思います。しかし、一般的、常識的にとらえますと、真正拳銃をつくるための密造工場あるいはモデルガンを製造するための密造工場、そういうものを暴力団がつくる場合、これは比較的とらえやすいだろうというように私どもは捜査的な立場から言うならば言い得ると思います。一般に、五十万丁も売り出されているモデルガンから改造されるということになりますと、これはなかなかとらえにくい、そういう問題がございます。何も捜査上の都合で申し上げるわけではございませんが、実態としてはそういうことになろうかと思います。  なお、先ほど来申し上げておりますように、モデルガンといえども年に一万丁も改造の方に回されるということになれば、やはり何らかの法規制を加える、それによって多少愛好者の趣味の領域に入るということがございましても、これはいたし方ないのじゃなかろうか。また、私どもとしまして、それほど愛好者の趣味の範囲を狭めるという考え方を持っておるわけではございませんし、今後もできるだけそういう愛好者の領域に入るということが少ないように努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  157. 三谷秀治

    ○三谷委員 真正拳銃を製造する施設などを暴力団が設けました場合に、これは比較的捕捉しやすい、こうおっしゃいました。そして、モデルガンの改造は捕捉しにくい、このような御意見であったと思いますが、モデルガンの製造というものは禁止されておりませんから、もしも真正拳銃の製造が困難であるとしますならば、モデルガンの製造に暴力団が資金を投ずる、そして現在行っておりますように、秘かな改造を行っていくという可能性はないとは言えぬわけであります。しかも、これを規制する実際措置というものは、これは従来から行われておりながら、なお十分に取り締まりができない、こういう状態になっておるわけであります。そういう点からしますと、結局、これはモデルガンの愛好者がその趣味を侵害されるという結果以外には効果がないのではないかということを私は懸念しておりますが、その点はどんなものでしょうか。
  158. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 暴力団が資金を投じてモデルガン業者と同じような行為をやってモデルガンをつくっていく、それが暴力団の手によってさらに第二の段階として改造されていくということになれば、モデルガンを製造するそのこと自体が結局密製造の共犯という形になっていこうかと思いますので、いまこの法規制が愛好者だけに制約を加えることに終わるということには決してならない、私どもはそういうふうに判断いたしております。
  159. 三谷秀治

    ○三谷委員 しかし、モデルガンを販売目的以外に製造することは規制されておらぬわけですから、だれ人であろうとも販売目的以外の製造は差し支えがない、こういう規定になっておるようであります。そうしますと、モデルガンを製造して第二段階でこれが改造される、そして殺傷力を持つ武器に発展をする、この第二段階におきましては規制の対象になります。これはいまでも規制できるわけです。第一段階におきましては規制の法的根拠はこの法案のどこにもないわけでありますから、そうしますと、事実上は、さっき申しましたように、結局は暴力団そのものはそれほどの影響を受けるのではなしに、モデルガンの愛好者が趣味を奪われるということになりはしないかということが私がお尋ねしている点であります。
  160. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 先ほども申し上げましたが、暴力団がモデルガンの製造工場をつくって大量にモデルガンをつくる、それが第二段階で今度は改造の方に回る、しかし、それは販売ではなくて、営利の目的でなくて、ただ何となく暴力団の方にいく、それが回って改造拳銃になるというのはまことに不思議な話でございまして、それは一貫して共犯としてとらえるということが十分可能だろうと思います。
  161. 三谷秀治

    ○三谷委員 私がお尋ねした点、どうもよくわかってないのじゃないでしょうか。モデルガンをつくるのはいいわけなんですね。販売目的でなかったら構わぬわけなんですね。これがいまの法案になっております。そこで、モデルガンをつくりまして、それを今度改造する場合が可罰対象になるわけなんです。ですからその可罰対象になる規制法規というのは現在あるわけなんで、現在あっても密造が阻止できない。そうしますと、結局先の段階におけるモデルガンは販売目的の所持だけが規制対象になってくる。製造が規制対象になっていない。ここのところにいま申し上げましたような疑いが持たれてくる要素がある、そう思っておるわけであります。これをお尋ねしておるのです。
  162. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 販売目的がなければモデルガンをつくることは差し支えない、これは今度の法案ではまさにそうでございます。しかし、販売目的でないモデルガンをつくって、それが暴力団の方に流れるということは、その改造拳銃をつくるための素材を供給するだけの目的でつくったというように認定できると思います。したがいまして、改造された段階で、改造者はもちろんのこと、そういう供給しておるモデルガンを製造しておる工場を経営しておる者、それはまさに共犯でとらえられるというように私は先ほどから御答弁申し上げている次第でございます。
  163. 三谷秀治

    ○三谷委員 暴力団が資金を投じまして、たとえば自己目的のためのモデルガン工場をつくるというような事態が生じました場合、これはどうなるのか。取り締まりをするとおっしゃっておりますが、これはなかなか取り締まりがむずかしいというところに今日の改造問題が法改正の根拠になっているわけでありますが、これが容易に取り締まりができるかどうか、ここのところにも一つの疑問が持たれておるわけであります。共犯と言うにしましても、果たしてそのような法律上の解釈が現行法によりましてできるかどうか、私どもはまだ疑問を持つものでありますが、共犯というよりも、もしも暴力団自身が非合法でそのような処置をとっていくという場合、これはどうなっていくのかお尋ねしたいと思います。
  164. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 暴力団が工場を経営して、そこでモデルガンをつくって、それが別な暴力団の系統に流れて、そこでモデルガンが拳銃に改造されるということは、やはり改造したものはもちろん武器等製造法に該当するわけでございます。ところが営利の目的でも販売の目的でもないのに、素材であるモデルガンをつくって暴力団の方に流しているということは、まさに改造拳銃がつくられることを援助しているということに尽きるだろうと思います。したがいまして、共犯として捕らえることは容易であるというように私ども考える次第でございます。
  165. 三谷秀治

    ○三谷委員 改造したものが取り締まりの対象になる、これはもうわかり切ったことなんです。現行法で取り締まりはできる。ただ現在、これが実際には取り締まりが容易にできない、捕捉ができないから改造拳銃が出回っておる、こういう実態があるわけなんです。実はここのところが、改造したものが取り締まれるということは現行法で可能である。問題はモデルガンの製造でありますけれども、これがいまおっしゃいますように主観的にモデルガンをつくってこれを暴力団に渡した場合、共犯とか何とかおっしゃいましたけれども、モデルガンをつくるという行為と、それがどのような形でどう渡っていくかという行為、この間にはなかなかそう簡単には捕捉できない複雑な要素が入ってくる。したがって実際にはいろいろな欺瞞的な糊塗的な処置をとりながら、そういう行為がとられていく可能性というものがないのかどうかという点が私が疑問を持っている点であります。  もう一つお尋ねしますけれども、そこでモデルガンの存在そのものよりも、これを改造しこれを悪用する実勢力に対する規制、取り締まりの強化、これが一層優先的に重要であるということを私は考えておるものであります。ですから暴力団の反社会的な活動を十分に取り締まらずに、取り締まることができない状態でモデルガンの存在自体が犯罪の原因であるかのような見地に立つこと、ここのところは本末転倒ではないかという判断を私はしておりますが、この点はどうでしょうか。
  166. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  先ほど来の御質疑の中で、暴力団と拳銃というものの結びつきがきわめて深いということは現実でございまして、改造拳銃が五十一年度で千余丁押収されておりますけれども、御承知のとおり、そのうち九割近いものが暴力団員からの押収であるという現実でございます。いま全国に約二千五百団体、約十一万という構成員でございますけれども、これは御承知のとおり一番ピークでございました昭和三十八年、この当時から半減いたしております。しかし現実の暴力団の動きというものはこれまた御承知のとおり非常に流動的でございまして、特に現在注目されるところは暴力団の寡占化と言いましょうか、警察庁では指定七団体と称しまして、山口組初め広域的な暴力団を指定いたしまして、全国都道府県警察が総力を挙げてこれに対決するというかっこうでいっているわけでございますけれども、こういった七団体に寡占化しまして、数は減っておるけれども、その六割ぐらいの人員はこういう大きな団体にどんどん加入しておるというふうな現実、さらにまた経済情勢その他も非常に資金源との絡みで反映するわけでございますが、やはりなわ張り争いというふうな問題、さらにまた跡目相続のいろいろの抗争の問題、そういったものを含めまして、御承知のとおり、昨年は大阪を中心に大変世人に御迷惑、御心配をかけたというふうな事案が起こり、また最近は福井県であるとか、あるいは山口県であるとか、また東京新聞には出ないのですが、沖繩、沖繩もことしに入りましてからすでに拳銃発砲事件その他の死傷事件がもう数件市中真っ昼間起こっておるというふうな状況でございますし、福井でもまた真っ昼間喫茶店で拳銃を放たれて殺害される。これは幸い民間の人は被害ございませんでした。また山口県でもやはり合田一家という山口を中心にする暴力団の拳銃発砲事件、白昼であってこれまた殺されるというふうなことでございまして、いずれにしましてもそういういろいろの暴力団の動向、経済情勢その他を敏感に反映しながら動いておる暴力団と拳銃というものが、やはりそれぞれの組織の勢力を誇示するといいましょうか、そういう意味できわめて強力なる武器になっておるという現実でございまして、九割ぐらいの改造拳銃も暴力団からであるというふうな実態でございます。したがって暴力団の壊滅ということが私たちの悲願でございまして、これにつきましては何といいましても警察自身がやはりふんどしを締めてこれを壊滅するために強力なる取り締まりを永続的、根気強く続けていくというのが先決であると思いますが、何せ日本の風土その他いろいろの面で暴力団が存在する、そのことがまたいろいろのやはり土台があろうかと思うわけでございまして、決して一筋なわ、これだけやれば壊滅できるという手はないわけでございまして、警察の強力なる取り締まりと合わせて、やはり何といいましても国民全体の暴力を排除するという、何といいましょうか、強いそういう世論といいましょうか、そういうものに乗っかりまして、国民の協力を得ながら、あらゆる面から多角的、総合的にこれに臨んでいくということでございまして、そういう意味で、私たちはまず何といいましても彼らの勢力を誇示する一番の手だてになる武器、これをひとつ徹底して摘発するということであり、さらにまた構成員を大量に検挙していく。しかも数だけじゃなくて、やはり首領級、いわゆる組織の壊滅が目的でございますので、幾らつかまえてもその組織が依然として生きておるということじゃ、これはもういかぬので、やはり首領級を含めました構成員を大量に検挙していくということが必要だろうと思いますし、そしてまた資金源でございますが、最近は総会屋とかあるいは特に覚せい剤というふうなものが非常に大きな資金源になっておるわけでございまして、こういう金融暴力というふうに言われるものを含めました知能的な暴力をひとつ徹底的に摘発していく、こういった一つの作戦でいま取り組んでおるところでございまして、多角的、総合的な取り締まりというものにおきまして、拳銃及び国民の暴力排除の思想といいましょうか、そういうものが相まって、目標の暴力団の壊滅というものに持っていけるのじゃないか、かように思っておる次第でございます。
  167. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの刑事局長の御決意は全く同感でございますが、しかし実際の取り締まりの状況などを見てみますと、たとえば暴力団の犯罪検挙件数というのは、昭和四十年の六万八千三百件に対して、五十一年が六万八千九百件、犯罪検挙人数が、四十年五万六千七百人、五十一年五万六千四百人という状態になっておる。銃刀法違反を見ましても、件数としましては、四十年の四千百件に対して五十一年の四千九百件、同人数を見ますと、四十年の二千六百人に対して五十一年の二千八百人、こういう横ばい状態になっております。  いわゆる暴力団壊滅作戦と銘打って行われました取り締まりというものが、結果としてはこの程度の数字であるというところから、国民の中には、本気でこれは暴力団の取り締まりをおやりになっておるのかという疑問が出ております。これは私が疑問を持っているのではなしに、マスコミの論調などを見ましてもしばしばそういう論評が行われておるわけでございますが、これについてはどういうような御見解でございましょうか。
  168. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 いま抑せの数字でございますが、まことにそのとおりでございます。ただ警察努力及び国民のそういう暴力排除思想の高揚といいましょうか、そういうものが相まちまして、暴力団構成員も非常に多かった三十八年時代より半減いたしております。ちなみに四十年度では構成員は十五万六千余名でございましたが、先ほど言いましたように現在約十一万をちょっと欠けるということでございます。また暴力団の数も、四十年当時は約四千ございましたけれども、現在約二千五百というふうに団体の数も解散その他で減っておるということでございます。また検挙でございますけれども、これも四十年度では約六万八千ちょっと検挙しておりますが、例年努力を続けておりまして、昨年あるいは一昨年それぞれ六万二千から六万八千台の検挙、これは実数でございます。十一万の構成員のうちこれだけの数を一応一年間で——昨年で約六万九千弱の構成員を検挙しておるということでございまして、数からいけば相当の数であろうかと思います。ただ仰せの警察が本腰でやっておるのかどうかという、国民の一部にそういう声があるということにつきましては、現実に暴力団が永年の努力にもかかわらず依然として存在し、そして白昼拳銃等を発砲して国民に不安感を与えているという現実から見れば、われわれの努力がまだまだ足りない、まだまだ知恵をしぼってこれの壊滅に向かって努力をしていかなければならないと思っておる次第でございます。
  169. 三谷秀治

    ○三谷委員 この十年間に暴力団の世界に組織化、広域化が進みまして、広域暴力団員数が加速度的にふえております。これは四十年度の四万六千人に対しまして五十一年度が六万四千人という膨張を示しておるわけであります。ですから暴力団の広域化あるいは近代化といいますか、こういうものが進みまして、国民にとっての脅威もさらに高まってきておるという事態一つあるわけであります。それからもう一つ暴力団を温存する社会的な条件というものがありはしないか。たとえば企業が暴力団を利用するという事態があるのではないか。たとえば企業の総会対策としての総会屋というのがあります。それから労働組合対策としての殺し屋、おどし屋というのがある。それから産業廃棄物などの不法処分を事とする捨て屋というのがある。主として暴力団がこれを請け負っておるようであります。こういう広い分野にわたりまして暴力団が社会的に利用され育成されてきておる。この事態があるということですね。そして、これらの分野における暴力団の不法行為に対する警察の取り締まりの姿勢がはなはだしく微弱であるということが指摘されておりますし、私もそれを実態として見ておるわけであります。  たとえば全自交の三交タクシーの丸山さんの殺害事件というのがあります。繊維労連のエリザベス労組の神原委員長の殺害事件というのがあります。日産ディーゼル川口工場の従業員夫婦の殺害事件というのがあります。これはすべて暴力団の行為と見られておりますが、この犯人である暴力団員はどのようになっておるのか、警察の捜査はどう進んでおるのか、お尋ねしたい。
  170. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 御質疑の企業暴力といいましょうか、総会屋あるいは捨て屋ということで御指摘がございましたが、暴力団が社会的存在として現実にあるということについては、先生の御指摘のようないろいろの面の問題があってやはり存在している面があろうかと思います。そういうことで先ほど来言っておりますように企業暴力、いわゆる企業に巣くう犯罪を厳格に摘発していく、このためには企業自体がそういう姿勢で臨んでいただくということが先決でございまして、これらはなかなか被害が出てこない、暗数として相当あると思われながらなかなか被害が出てこないといった実態がございます。したがって、そういう暴力団の存在をとにかく一般国民が許さないという土台がありませんと、大変息の長い問題だということを日々の取り締まりを通じて痛感しているわけでございまして、そういう意味での国民の暴力排除思想があらゆる分野にしみ通りまして、警察とタイアップして悪きものは悪きものとして処断されるという方向に持っていくべきであろう、こういうふうに基本的には考えております。  先ほど具体的な事件について、全自交の三交タクシーの事件でございますか、等の御指摘がございましたが、これらにつきましては、私の理解では、全体としてそれぞれの事犯としましては古い、古いと言うとあれでございますが、昭和三十七年代からの事犯でございまして、当時国会でもいろいろの面で相当論議されたと伺っておりますけれども、暴力団がこれらの事犯に具体的に介入したというケースについては、私具体的にそういうあれでは聞いておりません。
  171. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの三件につきましては同じ御見解ですか。
  172. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 先ほどちょっと聞き漏らしましたが、仰せの点は神奈川の全自交の三交タクシーの問題が一つ、それから二つは大阪の……(三谷委員「エリザベス労組ですね」と呼ぶ)大阪の四十八年の事件、それから四十六年の埼玉の日産ディーゼルの事件でございましょうか。
  173. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうです。
  174. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 この三件につきましては、暴力団というふうな、いわゆる構成員としてのあれの事実は私は聞いておりません。
  175. 三谷秀治

    ○三谷委員 犯人が逮捕されておりませんから、暴力団員とも何とも特定はできない状態じゃないでしょうか。暴力団員ではないということば犯人の逮捕とは別に警察としては断定ができる、こういうお考えなんですか。
  176. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 仰せのとおり、犯人検挙されてないこれらの事件につきまして、もとより確定、断定的に言っているわけではございませんで、いままでの捜査過程の中におきまして何々組、何々団という当方警察の方で組織としてとらえている暴力団員の犯罪として、具体的な芽は出ておらないという意味でございます。
  177. 三谷秀治

    ○三谷委員 大阪のエリザベスの神原委員長殺害事件といいますのは、本人が会社に出勤途上で何者かに二百メートル尾行されて、会社の真横で背後から太ももの後ろを出刃包丁で刺された事件でありますが、犯人は太ももの前部に突き出ました凶器をねじって、えぐって引き抜いてそのまま逃走したという事件であります。当時福島署は、素人のやり口ではないと言いながら、二日後に神原氏が死亡してからやっと聞き込みに入るというありさまでありました。当時の医師の診断でも、完治しても片足切断という状況であったことから見ましても、あるいは会社側の労務対策等を総合しまして、労働組合幹部殺害をねらった暴力団関係者のしわざであるとされておりますが、これは真犯人がいまだに挙がっておりません。  これに類似した事件は、大阪では東洋製罐という会社の下請の片岡運輸というところの労働組合の委員長が殺害されるという事件どもありまして、これは逮捕されましたけれども、こういう事犯がしばしば起きておりますが、これがどうも捜査が手ぬるくて、容易に逮捕されないという事態にあります。  それから、全港湾労働組合というのがありますが、関西地方の沿岸東支部関光分会の脇田分会長というのが、昭和四十二年の春闘中に暴力団の原田組の組員に白昼刺殺されました。しかも、これは争議警戒中の警察官の目の前で登山ナイフでめった切りにされて死亡したのであります。この場合は犯人が逮捕されましたけれども、しかし警戒中の警察官が目前におきまして行われている凶行を何ら適正に抑止しないというような事態一体許されるであろうか。こういう点から見ますと、企業の絡む暴力事犯というものに対して警察の処置が大変手ぬるいということが言い得るのであります。  これは一つ一つ部長にいまお尋ねしましても、具体的にはお答えできないと思いますから、これについてはお答えを求めるよりも、一つの例証として御紹介しておくわけでありますが、そういう事態があるということです。  暴力団によります殺害事件のうちで、犯人が逮捕されないで現在に至っておる事件は何件ぐらいありますでしょうか。五年間分ぐらいの数字をお示しいただきたいと思います。
  178. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  御質疑の大阪のエリザベスKK労組委員長の神原護さんが刃物で死亡した事件につきまして、先ほど仰せのとおり、この件については犯人がつかまっておらないわけでございますけれども、企業が絡む暴力団犯罪については警察姿勢が弱いのではないか、この仰せにつきましては、私たちとしてはそういうことはない、暴力事犯についてあらゆるものにつきまして、いやしくもこういう殺人事件につきましては、当時も大阪の福島警察署を中心に、府警の捜査一課員も合わせまして捜査本部を設けて、事件発生以来鋭意捜査を続けたということでございまして、この事件も、遺留凶器からの犯人の割り出し、組合活動に伴う紛議事案、これがどうであったかという面からの捜査、あるいは女性問題をめぐる痴情怨恨関係はどうであったかというふうな問題、あるいは販売先等取引関係者に対する聞き込み捜査、こういった面につきまして鋭意専従捜査員をもちまして努力したわけでございますが、残念ながら現在まで有力な手がかりが得られず、現在に至っておるということでございまして、現在も福島署としてはこれを捨てておるということじゃございませんで、重大なる関心を持ってやっておるということでございますし、また全港湾関係の関光分会長脇田智男さんが殺された事件、これについては仰せのとおり犯人が検挙されておりまして、逮捕の後、大阪地裁におきましてそれぞれの判決が下っておるというふうな状況でございます。また、警察官の目の前で殺されたというふうなことでございますが、これも当時いろいろ論議があったようでございますけれども警察としては万全の措置をとったにかかわらず、殺人という意表外の事件というふうな発生があったということはまことに遺憾でございまして、ただ、警察としてはやるべき手はいろいろ警戒その他の面において尽くしておった、当時の状況はそういうふうに私は聞いております。  それで、先ほどの御質疑の中で、こういう暴力団による犯罪のいわゆる未検挙の件数がどうかということでございますが、率直に結論的に申しまして、暴力団による犯罪、特に殺人というふうな問題につきましては大体ほぼ一〇〇%検挙しておる、こう申しても過言ではなかろうかと思います。と申しますのは、一般殺人におきましても大体九六%の検挙でございます。暴力団によるこういった凶悪事犯というものにつきましては、それ以上に率が高いというふうなのが一般的ないままでの歴史的、統計的な数字でございまして、そういう意味殺人事件だけに限って申しますと、大体年間殺人事件は二千件ぐらいございます。五十一年を見ますと、二千百十一件でございまして、そのうち殺されたというのが、現実に死者が出ておるというのが年間約千件ございまして、そのうち暴力団によって殺されたというのが去年の数字ですと百二十七件、大体おととしも百二十五件でございます。というふうなことでございまして、この百二十七人の方の中には暴力団員が被害者になっているのが約半分近く、それから一般の人が被害者になっているのがそれよりちょっと上、五二%ぐらいになっているというふうな数字でございますが、そういう意味で、相当の高い率でこれら暴力団によるこういう凶悪事犯はほぼ検挙されている、こういうふうに私たちは一応数字から推定いたしております。
  179. 三谷秀治

    ○三谷委員 その殺人事件の場合の検挙者の中には、犯人と自称して警察に出頭するというふうな事案がかなりあると聞いておりますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  180. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 やはり仰せのとおり、暴力団というのは一つの同一体意識といいましょうか、そういうことで親分をかばうとかということで、身がわり自首というのが昔よく聞かれたわけでございます。そういう意味で、現在科学捜査という面をモットーといたしております警察といたしましては、たとえ自首をした場合にも、その供述、そういったものを全体を詳細に裏づけしまして、これが真犯人に間違いないという一つの確証といいましょうか、どこに出しても争いのない、そういう科学的なあれに基づいて処置しておるということでございまして、やはり間々現実にも身がわり自首という問題はあり得るというふうなことでございます。
  181. 三谷秀治

    ○三谷委員 暴力団の取り締まりについて国民が最も奇異に感じますのは、暴力団への手入れの事前公表という問題、昭和四十九年の十月の稲川会の手入れ、それから同年十一月と五十年二月の山口組の手入れに当たって警察行動がその日の朝刊で報道されておる。つまり取り締まり情報が事前にオープンされておる。これを暴力団がキャッチして対策を講ずることは当然のことであります。これでは手入れが成功するはずがない。五十年九月の山口組の田岡組長宅の捜査につきましては、新聞が次のように報道しております。「午前七時、装甲車など五台に分乗した警官約八十人が到着。居室や集会用大広間のある鉄骨二階建ての住宅計十二室のほか、前庭の植え込みの中までくまなく金属探知機を使って捜索したが、凶器類などは見つからず押収品はゼロ。」「二階寝室で寝ていて捜索を知らされた田岡組長は「ごくろうさまです」とひとこと言ったきりで、寝床から起き上がらなかった。」こういう記事が出ておるのであります。ですから、このようなやり方で果たして暴力団の取り締まりができるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  182. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 いまの御指摘の事例については、まことに遺憾な事実であろうと率直に思います。もとより捜査は隠密が生命でございまして、着手前に外に漏れるということはやはり捜査の目的を達するゆえんではございませんので、これは捜査員のイロハのイの字として、やはり隠密に、外に漏れないように着手にかかるというのが基本でございます。そういう意味で、その記事自体、まあ警察が意識的に事前にそれを漏らしたということは、これはあり得ないと思いますが、何らかのかっこうで、いろいろ動向で察知されたというふうなケースもあり得るわけでございますけれども、基本的に捜査は隠密をもって旨とするというのがもうイロハのイの字でございまして、現在もそういう面に十分着意しながらやっていくというふうなことでございます。
  183. 三谷秀治

    ○三谷委員 暴力団の取り締まりに関するケースで、大阪府警及び石川県警で、内部の者が取り締まり情報を暴力団に流して謝礼をもらっておった、あるいは、宮崎県警では賭博遊具手入れ情報を流して謝礼を受け取っておったという報道も出ておりますが、これは警察庁の暴力団取り締まりの姿勢に大いに関係があるんではないか、たてまえと本音に違いがないかという点を、このような末端における具体的な事例を見ますときに、私どもは疑問視せざるを得ないわけでありますが、このような事実が果たしてありましたのかどうか。そして、いまお尋ねしましたように、これが警察庁自体の暴力団に対する取り締まりの姿勢を反映するものではないのかという疑問を持たされる点についてどうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  184. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 たてまえと本音が暴力団の取り締まりについて違うんじゃないかという、これは私にとってはまことに心外なお言葉でございまして、われわれは、まさに全警察が挙げてこの暴力団の壊滅を目標に努力していくということで、実はつい二日前も、全国刑事部長会議でそういう点でお互いに討議し、やったような経緯もございますけれども、そういうことは絶対ございませんで、あくまで壊滅を目標に日夜ひとつ努力していこうということでやっているということを十分御理解願いたいと思います。  また、そういう中で、残念ながらいま御指摘のような、いわゆる暴力団に情報を漏らしてその対価をもらっておったというような事例が散見されるようなものがあるわけでございます。これにつきましては、それぞれ事犯に応じて厳格なる懲戒処分、懲戒免職等の措置がとられておるわけでございまして、いま御指摘の大阪府警の問題、石川県警の問題、宙崎県警の問題につきましては、大阪は四十五年二月の事犯、石川県は四十四年五月、宮崎県につきましては、これは巡査二人でございますが、四十九年二月の事犯でございますが、警察でそれぞれ逮捕いたしまして、懲戒免職ということで、収賄被疑者として事件を処置しておるというふうな事例がございます。
  185. 三谷秀治

    ○三谷委員 約一年ほど前に、兵庫県警の姫路署長であった藤田が、暴力団の帰化申請に手心を加えて、暴力団指定の結婚式に部下を引き連れて出席をする、そしていろいろなみやげ物を受領しておる、いわゆる黒い交際事件が表面に出ました。藤田は逮捕されて公判が始まっておりますが、そのほか、これに関与しました警察官が停職一人、減給一人、戒告六人、訓戒七人、注意八人となっております。  このときに、藤田とともに最も深い交際があったと言われておる竹村警部というのがおりますが、これは停職二カ月の処分を受けるだけでなしに、収賄幇助の容疑で書類送検をされましたが、神戸地検はこれを起訴猶予にしております。これに対して贈賄側暴力団の陳伝鋒は、贈り物を要求したのは竹村なのに起訴猶予はおかしいということを報道陣に強調しております。むしろ暴力団が被害者であるということを主張しておるのであります。  そして、暴力団と黒い交際がありましたのは、警察だけではなしに、検察もあるということであります。竹村の起訴猶予を決めた神戸地検傘下の尼崎支部の樫原義夫支部長も、問題の結婚式に出席しておりました。そこでこの状態を見ますと、地検の尼崎支部の支部長もこの結婚式に出席しておる。そこで、警察の収賄幇助の容疑による書類送検に対して、起訴猶予にするというふうな処置がとられておる。ですから訴訟もなれ合いという感じを国民に与えております。法務省はこの取り扱いについてどのような御見解なのか。一罰百戒ということわざがありますけれども、そういう厳格な姿勢に欠けておるというところに、この種の事犯が後を絶たない一つの要素があると思われますが、この点について法務省からお見えになっておれば……。
  186. 佐藤道夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの収賄幇助事件につきましては、神戸地検におきまして警察からの事件送致を受けまして、鋭意捜査をした結果、昨年の十月起訴猶予ということで、御指摘のとおり不起訴処分に付しております。  不起訴の理由と申しますのは、本件がいわゆる収賄幇助ということでございまして、贈賄者の会社から収賄者である藤田署長の手元まで、賄賂の品であるトラの置物を運搬した、こういう事実でございます。その事実につきまして、捜査の結果、本件につきましては、すでに警察官としての懲戒処分を受けておるということ、あるいは十分な反省をしているということ等、諸般の情状を考慮の上、不起訴処分に付したわけでございます。
  187. 三谷秀治

    ○三谷委員 地検の樫原支部長に対する処置としてはどのようにおやりになりましたのか。  それから、トラの置物を運搬したというだけではなしに、この人が介在をして藤田を暴力団に紹介したという、これが事実上はこの関係の最も中心的な立場に立ってきておったということが言われておりますが、この点についてはどうなんでしょうか。
  188. 佐藤道夫

    佐藤説明員 まず第一点の、神戸地検の尼崎支部長がこの会合に出席したということにつきましては、大変遺憾なことであろうと考えまして、厳重に注意いたしております。  なお、本人は、友人からの誘いを受けまして、深い事情を知らずに出席したということで、調査の結果、おおむね本人の弁明のような形でございました。しかし、いずれにいたしましても、地検からさような誤解を受ける者を出したということは、検察官の立場としてまことに遺憾なことであると存じまして、厳重に注意はいたしてございます。  なお、先ほどの収賄幇助の被疑者につきましては、これはやはりいろいろな角度から検討いたしまして、もちろん先生指摘のような問題とすべき点もあったわけでございますが、その点も含めまして収賄幇助、要するに運搬をしたというこの事実につきまして、あえて公判を請求するというほどの必要はないという判断に立ちまして不起訴処分にいたした、かようなわけでございます。
  189. 三谷秀治

    ○三谷委員 暴力団に対する態度というものが峻厳さが足りないという一つの事例だと私は思っております。法務省はもう結構です。  そこで、もう一つ警察にお尋ねしますが、ここに昨年十月の朝日新聞の論評があります。このような内容であります。昨年の十月のことでありますが「四日未明、大阪市住吉区の暴力団松田組組長宅の前で起きたピストル発砲事件のときも、弾こんを捜して検証しようとする捜査員に組員が食ってかかり、「オレたちが捜してやる」と懐中電灯を持って歩き回ったりした。けれども、捜査員たちは黙ったままだった。」もう一つは、「「組長宅襲わる」の報に、早朝から組員が続々と詰めかけ、午後三時ごろには百人にもなった。しかし、組長宅前で防弾チョッキを着て警戒していた警官は十人足らず。「(ピストルを持っているかもしれないので)組員のボディーチェックもする」との大阪府警幹部の説明にもかかわらず、ほとんど行われなかった。組員たちは大威張りで歩き、警察官の顔をじっとのぞき込む者も。こんな中でNHKカメラマンが取り囲まれ、おどされた。だが、近くにいた人の話では、そばにいた三、四人の制服警官は組員たちに「報道の自由があるのだから……」とぼそぼそと話しただけで、取り囲まれた時は素知らぬ顔をしていた、」こういう記事です。  もう一つは、「五月十四日、山口組ナンバー2の地位にある神戸市生田区の山健組を大阪府警捜査四課が銃刀法違反などの疑いで捜索した。幹部の一人が捜査員に「きょうの態度はどういうこっちゃ。たいてい警察には協力しているんやで」と腕組みして叫んだ。捜査員は「きょうは大阪府警や。つまらんことをいうな」とにらみ返したのだが、幹部は「それにしても、もうちょっとあいさつのしようがおますやろ」と心外そうな態度だった。」つまりこれは兵庫県警に対してきょうの態度はどういうこっちゃと抗議した。大阪府警の捜査員は、きょうは大阪府警だからつまらぬことを言うな、こういうことを言ってにらみ返した、こういうことが報道されております。  それからこの報道を見ますと「弱腰警察に疑惑も」という主題になっておりますけれども、これを読みますと、暴力団というものがまさに傍若無人に取り締まりに対しても肩を張っておるという状態が明らかになるわけであります。これで一体果たして暴力団というものの取り締まりができるだろうか、真に壊滅作戦がとれるのかという疑問を持たざるを得ないわけでありますが、この点についてどのような御見解かお尋ねしたい。
  190. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 ただいま大阪、兵庫での新聞の記事等についての御質疑でございますが、御承知のとおり関西の暴力団、これはまた関東とは若干ニュアンスが異なるようでございまして、山口組というふうな全国一、構成員が一万名もいる大きいものから、非常に細かい、いわば貸し金の取り立てというふうな、そういう庶民金融的なものを果たしておるものということで、大変数が多くございます。  御承知のとおり、昨年山口組と松田組というものとの抗争があり、さらにまた菅谷組長がそこで山口組からボイコットされるというふうなこともございまして、昨年来の大阪府警、兵庫県警の暴力団に対する取り組みというものはまさに大変な努力でございまして、総力を挙げてこの対立抗争事件の未然防止という面について大変な努力を注いでおるわけでございます。現にその取り締まり体制の面におきましても、ことし四月から条例その他の規則を改正いたしまして、組織改正によりまして、大阪府警におきましても刑事部のもとに参事官を設置するということ、さらにまた兵庫県警におきましては刑事部のもとに参事官制をしきまして、暴力対策第一課、暴力対策第二課という、暴力団を専従して担当する新しい課二つを新設いたしまして、山口組初め暴力団に徹底的に対決して、この壊滅に向かっていくというふうな姿勢を示しておるというふうなことでございます。組織を挙げまして暴力団と対決し、徹底して取り締まっていくということでございまして、その過程におきまして、先ほど来御指摘のように、暴力団と癒着しているんじゃないか、情報を漏らしておるんじゃないかというふうな点につきまして、ミイラ取りがミイラにならぬような、こういう捜査官としての基本的な腹構えのもとにやっていかなくちゃならぬという自戒のもとに、今後ともそういう御指摘のないような徹底した対決でひとつ暴力団に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。記事で言いました捜査官のいろいろな片言隻句、そういうことのないように私たちは十分戒心してやっておるということでございますので、よろしく御了知願いたいと思います。
  191. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は新聞記事を材料にして質問するのは好きじゃありませんから、いままでやったことはありませんけれども、それでなければ一つの主観のようにおっしゃっては困るからこれを取り上げたものであります。私どもが実際経験しておりますのは、たとえば八鹿事件におきまして、二人の国会議員が暴力分子に襲われて警察に逃げ込んだら、警察は、早く出てもらいたい、おってもらったら混乱が起きるから困るというふうなことを言ってこれを排除しようとする。あるいは羽曳野市役所におきましては、これまた警察官警備の目の前におきまして宣伝カーの上に暴力分子が飛び上がって、車の上から乗務員を突き落とすというような事件どもあり、私どもこれを目撃しておるのであります。こういう態度を見ますときに、真に警察一体となって暴力団の取り締まりに取り組んでいきつつあるのかどうか、疑問を持たざるを得ないのであります。  もう一つお尋ねしたいのは、本年三月三日に発生しましたあの暴力分子の経団連の襲撃事件がありますが、この四人の凶悪犯が手錠をかけずに武士のメンツを立ててもらったということになっております。犯人は悠々として英雄気取りで反り返って出てきたということでありますが、この事態の異常さについては、各紙が問題意識を持って報道しており、右翼暴力団に対する甘さが批判されておりました。このような姿勢が、単に偶発的にあちこちに出るのではなしに、いま幾つかの事例を挙げましたけれども、至るところでこの暴力団との癒着だとかあるいは取り締まりの不十分さ、弱さ、こういうものを見受けることができるのであります。こういうことで果たして暴力団の跳梁を本当に抑止できるかという疑問を依然として持つものでありますが、この経団連事件はどういう見解でこのような処置をおとりになったのか、お尋ねしたいと思います。
  192. 三井脩

    三井政府委員 経団連襲撃事件の犯人四名を現行犯逮捕いたした際に、逮捕現場において手錠をかけなかったということに対する御批判と承るわけでございますが、逮捕現場において手錠をかけなかったことは事実でございます。しかしながら、手錠をかける目的といいますか、つまり犯人が逃亡しない、あるいは手錠をかけないために暴行を働く。これを押える。また、場合によっては手錠をかけなかったために自殺をはかるという、このおおむね三つのことを手錠をかける場合の主たる目的としておるわけでありますが、この目的を確保するための現場における措置、手錠をかけなかったけれどもかけたと同様の両腕を警察官がとらえるとか、その他の方法によってその目的は十分に確保して措置したわけであります。  それにいたしましても、この種凶悪犯につきまして、逮捕の現場において手錠をかけないというのは確かに異例といいますか、そうあるわけではありません。絶無とは言えませんけれども、そうあるわけではないわけでございまして、これはこの事件の性質の特殊性に由来するところでございまして、多数の人質をとって占拠し、立てこもる。しかも犯人が複数である。こういう場合の措置はいわば大変むずかしいところでございまして、諸外国のように人質の生命をある程度犠牲にしても、また犯人の生命を犠牲にしても、現場で銃を撃って解決をするというような思い切ったやり方も、国情によってはあるのかと思いますけれども、わが国におきましては、何回も浅間山荘その他、こういう経験をいたしておりますけれども、人質の生命も安全にこれを救出する。そして同時に犯人も逮捕する。これは二つながらの、端的に言えばある意味では相矛盾する要請でございますけれども、この二つの目的を達成するためにこれをやるというための、具体的なこの事件の特殊性に由来する苦心の末に編み出された方法というわけでございまして、これも私服警察官が説得をし、御存じのように三島未亡人のおいでを願いまして、長時間にわたる説得をするという中での結果でございまして、常にああいう場合にああいうやり方が成功するとは限ったものではございませんので、あの事件の特殊性に基づいて、二つながらのむずかしい目標を達成するために苦心の末にとった措置、しかも現に二つながら目的が果たされたということにおきまして、手錠をかけなかったということの意味は御理解をいただきたいというように考える次第でございます。
  193. 三谷秀治

    ○三谷委員 おっしゃることの意味は半ばはわかりますが、同時に、ああいう暴力的な凶悪犯というものが逮捕の瞬間に手錠をかけることを免除されて、悠々として国民の前に姿をあらわすというような事態が、この種の暴力的な人たちに与える影響、それから国民一般に与える影響、この影響を考えます場合に、いまのおっしゃっております評価というものは、半ばはわかりますけれども、しかし、いま申し上げました点からしますと、これは十分に検討を要するものだと私は思っております。  それで、警備局長がたまたまお答えいただきましたから、成田事件が大変論議されましたが、極左暴力分子の犯罪、特に内ゲバ殺人事件ですね。この検挙件数が非常に少ない。先ほど刑事局長が説明されましたように、一般殺人事件は九六%から九七%程度の検挙率だと言われておりますが、極左暴力分子の殺人事犯というのは四二%の検挙率しかない。これはただし一九七四年、七五年の二ヵ年の統計でございますが、そういう状態になっている。しかも極左分子というのは、殺人をみずからひけらかして機関紙なんかで天誅を下したとか、断罪を下したとか言って、みずから殺人を犯したことを公然と誇示している。そういう状態にありながらこれが逮捕されていないという状態は、一体これでいいだろうかという疑問を持つのであります。そういう状態でありますから、先日のような事件も起きてくるということになってくるわけでありますが、これについてお尋ねしたいと思います。
  194. 三井脩

    三井政府委員 極左暴力集団による内ゲバ事件、ことに内ゲバ殺人事件について警察がしっかり取り組んでおるか、こういう御指摘でございますが、まず極左暴力集団は、いわゆる内ゲバを四十四年以来始めておるわけでございまして、その中でこれがこうじて殺人に発展するということでありますが、殺人は四十四年以来今日まで四十三件発生しております。まず、内ゲバ全体で申しますと、これは五十一年の末まででございますが、総数で千七百八十二件発生しておりまして、ここで検挙いたしましたのは三千四百八十九人の被疑者を検挙いたしておるわけでございます。なお、このうちの殺人事件につきましては、四十三件発生をいたしまして、死者五十四人、これは現在までの総数でございます。これにつきましては検挙二十二件。したがいまして五〇%を超えておりますが、この内ゲバ殺人事件の被疑者として検挙いたしました者は三百五人に上っておるわけでございます。そういう意味におきまして、私たちとしてはできる限りの努力をいたしておるところでございます。  なおまた、この種、内ゲバ殺人等行った場合に、犯行を声明する、いろいろな機会、方法を用いまして、自分のセクトがやったということを公然と公表いたします。それからまた、はなはだしきは、これからだれを殺すということも発表いたしましたりするわけでございます。こういう点につきましては、私たちはそれの防止、検挙のためにいろいろの手段を講じておるわけでございますけれども、すでに行った犯罪について、自分のセクトがやったという点については、これは参考になります。     〔委員長退席、大西委員長代理着席〕 したがって、捜索の資料としては大いに活用できるわけでありますけれども、だからといって、そのセクトが犯人というわけにはまいりませんし、また、仮に自分のセクトのだれがやったと犯人らしい者の名前を彼らが挙げたといたしましても、それだけで犯人として逮捕するわけにまいらない。警察独自の立場で犯人と認定するだけの資料を捜査により収集して、それで初めて逮捕状が出るというようなものでございまして、確かに言っておる内容には間違いなかろうという心証は持ちましても、疎明をいたしまして逮捕令状が出るというだけのものにまで固めなければならない、こういう制約がございます。また、事前にだれそれを内ゲバでやっつける、こういうことを言いますけれども、口頭で言っただけでは、これが殺人罪、予備罪あるいは未遂といったようなことにもなりかねますので、これに対して、私たちといたしましては、それの予防のための措置をとるということでありますが、予防にしろ、犯罪の捜査にしろ、この種事件一つの問題点というのは、被害者あるいは被害者になるような立場にある人、こういう人たちが、いずれも警察を敵と考えておる人たちの間における内ゲバ、こういうことでありますので、あなたがこういうふうに名指しでねらわれておる、ついてはこういうふうに警備をいたしたい、こういうことを言いましても、警察関係ない、われわれはわれわれで勝手に身を守る、こういうようなことで警察で身を守ることに協力をされない。また、内ゲバ殺人事件、死んでしまうと問題でありますけれども、一緒におった同僚、あるいは殺人に至らない内ゲバ事件につきまして関係者から聞きますけれども、現実に被害を受けておる人も、自分ですべって転んでけがをしたという話でありまして、要するに、警察と口を聞かない、こういうような態度で一貫しておるというのが、この捜査におけるむずかしさのいわば壁であります。警察のこういう捜査等につきましては、関係者の、また国民の協力があればこれはとんとんと進むということは多いわけで、そういう場合でも、こういうむずかしい条件のある場合も多いわけでありますけれども、当該被害者自身が警察の捜査を拒否しておるというところがハンディキャップでございまして、そういう壁をも破って捜査を続けておるということで、一般殺人事件がほとんど一〇〇%の検挙率を誇っておる中で、その半分の五〇%という点が大変残念でありますけれども、この点については加害者に協力を求めることは困難といたしましても、被害者の協力、関係者の協力はぜひともいただきたいというように考える次第でございます。
  195. 三谷秀治

    ○三谷委員 右翼の取り締まりが大変甘いというだけでなしに、極左暴力分子に対する取り締まりも熱がないのではないかということを、ついこの間、四月の十七日の読売新聞の社説が書いております。     〔大西委員長代理退席、委員長着席〕 これは、もう少し取り締まりの方法がありはしないかということでありますが、しかし、きょうはこれ以上長い時間とれませんが、ただ、私が警備局長に申し上げておきたいのは、例の安保闘争に国会突入を叫んで蠢動した例のトロツキスト、唐牛健太郎あたりですね、この連中がTBSラジオを通じまして、安保闘争当時のいろいろな裏面史を語っておりますが、この中に、警察がきわめて好意的であり、温情的であった、同情的であったということを語っております。  たとえば「当時警視総監をしておられた小倉謙氏や、そのときの学連の闘争を扱っておられた野村佐太男検事正とときどき会い、フランクな話をし」そして「なみなみならぬ温い感情と同情心をもって事に当たられている」こういうことを述べている。それから、三井局長も、当時公安一課長をなさっておりましたが、当時公安一課長をしておられた三井脩氏とお会いして、そして余り好きではなかったけれども——建物が好きでなかった。どこの建物か知りませんよ。印象に残っている。「この方も全学連に対してなみなみならぬ同情心を持っておられた。」そして、このときの話でありますが「全学連を制止すると同じぐらいに警官を制止するのに苦労されたそうだ」、装甲車を乗り越えてあの暴力分子が暴れ込んだときにも「警官には絶対両手から警棒を放すなと言ってあったそうだ。」つまり、両手で警棒を握って、殴ってはいけない、そういう指示が行われていたということを東原吉伸という男がTBSを通じて、これは全国に報道されております。  ですから、この極左暴力分子を泳がすということが当時いろいろな面で問題にされましたけれども、そういう事実がこういう中で明らかになってきておる。特定の政治目的のためには、極左暴力も使うし、右翼暴力も使っていく、そういう警察権力の性格というものがここに示されておるのではないかと私は思うわけでありますが、いまここでお答えを求めますと時間がありませんから、指摘するだけにとどめまして、機会を改めてその点はお尋ねしたいと思います。  そこで、この法改正でありますが、こういう犯罪の実態であります暴力団そのものの不法暴力行為を徹底的に究明して壊滅に追い込む、この姿勢が非常に欠けておる。そして、そういう状態の上に、モデルガンという玩具の販売を禁止するという本末転倒の措置を目指していらっしゃる、これは不可解なんであります。  そこでお尋ねしたいのは、総理府令で制定されます改造が著しく困難な銃器とはどのような銃器なのか、例示していただきたいと思います。
  196. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 最近の改造事例を見ますと、銃の構造上モデルガンの撃発装置がそのまま、または補強されて利用されているものが多く、モデルガンの撃発装置が改造可能性の重要な役割りを果たしております。今回の改正で、この重要な役割りを果たしております撃発装置を有するものを規制の対象としておるわけですが、必要な改造防止措置、これは本来は撃発装置をとめてしまえばこれは全く改造ができないということになりますけれども、それではおもちゃの機能を損なうということで、撃発装置そのものをとめるということはしないまでも、それに付随する銃腔とか、そういう点を規制しようということになるわけでございます。また、改造防止措置としましては、銃腔部に穴をあけないことが大きな要件でありますが、総理府令によって、銃腔部等に非常にかたい金属を取り出せないような方法でインサートすることにするのが主たる内容でございます。したがいまして、改造は非常に困難になり、相当の効果が上げられる。つまり、銃腔を金属でふさぐ、しかも、その銃身を切り取ればそのフレームとかその辺まで傷むというようなことで目的を達したいというのが今回の趣旨でございます。
  197. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、構造とインサート材料、これが当面の問題になると思いますが、このインサート材料としてセラミックを使用することを条件づけられるのかどうか、これをお尋ねしたい。
  198. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 セラミックというのは特殊な陶器製のものでございまして、非常に硬度はありますけれども、しかし破壊検査をしてみますと、もろいという欠陥がございます。したがいまして、そのものを採用するということは全く考えておりません。
  199. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、セラミックというものはインサートの材料としては使う価値がない、これは非常にもろくて役に立たない、こういう御見解ですか。
  200. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 さようでございます。
  201. 三谷秀治

    ○三谷委員 このセラミックをめぐりまして、これは大創エンタープライズ株式会社というのが開発した新しい磁器材料のようでありますが、これを警視庁の科学検査所で検査をされて、徳永技官が検査結果をまとめていらっしゃるということを聞いております。そればかりでなしに、徳永技官が、現在は保安課長補佐に転任されておるようでありますが、大創エンタープライズの試作品検査に関して、モデルガン製造協同組合あての紹介状を書いて破壊検査を依頼されておる。それで、大創エンタープライズ社の専務の辻一夫氏というのは、今回の法改正は自分たちの政治工作によって実現したものである、こういうことを広言している。常務の若松幸吉氏という人は、警察庁保安部にせがれの恩師の弟がおって、このつながりを生かして法改正の実現に持ち込んだものである、こういうことを業者間で自慢をしておるのであります。ここに私のところにテープが四枚ありますが、この中に全部入っておるのであります。このことを見ますと、この法改正があたかも新インサート材料セラミックの導入を目的とするきわめて不純なものであるという印象を受けたわけでありますけれども、しかし、いまおっしゃいましたようにこれを使うものでないということが明らかであれば、この疑惑は当然解けてくるわけであります。したがって、その点はもう一度確かめておきますが、特殊なセラミックというふうな材料をもってインサート材料にするというふうなことは、規制の条件としては考えてはいないということでございますか。
  202. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 先ほども申し上げましたように、セラミックなどというものは余り価値がないというように判断いたしまして、これを採用することは毛頭考えておりません。
  203. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは時間のようでございますから、これで終わらしていただきます。
  204. 地崎宇三郎

    地崎委員長 川合武君。
  205. 川合武

    ○川合委員 光線銃、ビームライフル、ビームピストルですが、これは昭和五十年の国民大会から光線銃の競技が正式な種目として採用されておりますし、また現在全国の地方公共団体の体育施設のうちで五十カ所以上、この施設が設置されているというほど普及してきていますけれども、この光線銃の内部構造はモデルガンとは本質的に違っている、しかし形が拳銃やライフル銃に似たものですので、いわゆるモデルガンと同一視されて取り締まりの対象とされては困ると思うのですが、念のため公安委員長小川大臣に確認しておきたいのでございますが、光線銃は今回の規制の対象外と理解してよろしいかどうか、伺いたいと思います。
  206. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま仰せのビームライフル、光線銃につきましては、今度の法改正に対しまして、これが規制の対象になるものかどうかについて、構造あるいは機能をきわめて詳細に検討いたしまして、この光線銃には撃発装置がないということ、したがってこれは金属性の弾を発射できるように改造することができないと判断されますので、規制の対象に加えるべきものではない、こう考えておるわけでございます。
  207. 川合武

    ○川合委員 今度は保安部長さんに伺いますが、光線銃が模擬銃器に当たらないものであるならば、総理府令で、日本ライフル射撃協会が検定した光線銃、これは模擬銃器に当たらないという旨をはっきりと明記することはできないか、伺います。
  208. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今回の銃刀法改正による改造防止のための規制は「金属で作られ、かつ、けん銃、小銃、機関銃又は猟銃に類似する形態及び撃発装置に相当する装置を有する物で、銃砲に改造することが著しく困難なもの」の範囲を総理府令に委任しているものでございます。したがいまして、総理府令で定めることとなります事項は金属でつくられたものであり、かつ、形態が拳銃などに類似し、しかも撃発装置に相当する装置を有するものであることが前提となっているわけでございますが、ただいま御質問の光線銃につきましては元来、撃発装置を持たないものであるという見解でございまして、法の規制の対象外でありますので、総理府令に書くべき性質のものではないというように考えております。
  209. 川合武

    ○川合委員 そうであるならば、この法が成立した、そして施行された後において第一線の警察官が誤解して問題を生じないように、光線銃は法の規制対象ではないということを徹底するための方法を講じていただきたい、こう思うのですが、その点について伺いたいと思います。
  210. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今回の改正法案が成立いたしますれば、これが施行される段階で当然運用通達を出すことになります。その際、光線銃につきましては、規制の対象外であるということをも含めまして、運用上必要な事項を詳細に第一線の警察官に十分徹底させたいというように考えておりますので、御指摘のことにもこたえ得ることになろうかというように考えております。
  211. 川合武

    ○川合委員 了承いたしますが、徹底については、第一線の警察官と国民との間にトラブルがないように配慮をされるよう重ねて強く要望をいたします。  次に、これはモデルガンの問題ではございませんが、銃刀法の問題で、現行の銃刀法では所持許可を受けた鉄砲しか所持が認められていない、他人に貸すことも、短時間持たせることもいけない、こういうふうになっておるわけですね。そのことは非常に厳格に守られていて大変結構なことだと思います。けれども、指定の射撃場で初心者に指導する場合などに、どうしても指導を受ける者の銃を使って射撃して見せるとか、銃の調子を点検する、こういう必要があると思います。これは危険予防上重要なことだと思います。そのため射撃団体等では、指定射撃場の管理人とか指導員とかの特定の者については例外的に、指導上必要がある場合にはいわゆる来場者の銃、他人の銃になるわけですが、他人の銃を所持、発射すること、これを認めてほしいという要望が強いようですが、これについて総理府令の第八条第六号に、前がございますが、前は略しまして、「射撃を行なう者に対し、射撃に伴う危害の防止のため必要な注意又は指導を行なうこと。」とありますが、この条文で直接に来場者の銃を手にして発射して、そして射場の管理人とか指導員が指導する、こういうふうにこの規定は読めないものかどうか、私は何か読めるような気もするのですが、そうすれば、先ほどから申し上げたこの問題も解決するわけですが、この八条六号はそういうふうには読めませんでしょうか、ちょっと伺います。
  212. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 御質問の指定射撃場の指定に関する総理府令の第八条の規定は、指定射撃場の管理方法の一般的な基準を定めているものでありまして、その第六号では、「当該指定射撃場において射撃を行なう者がある場合は、管理者又は従業者が射座の附近に位置し、射撃を行なう者に対し、射撃に伴う危害の防止のため必要な注意又は指導を行なうこと。」とされております。この内容から考えますと、この規定から、指定射撃場の管理人が来場者の銃を手にして発射することができると読むということは、困難かというように思われます。  そこで、御指摘のように現行法では、銃の貸し借りについて厳格に運用いたしておりますが、これはそれなりに管理責任を明確にし、そして事故を防止するために必要なことというように考えております。ただしかし、御指摘のように一方において、最近マナーの悪いハンターも目につきますので、所持許可をする前に、猟銃の取り扱いについての指導を十分徹底すべきであるというような声も上がっております。したがいまして、そういうことを具体的にやるということになりますと、指導上、御質問のような問題も生じてまいるのではないかというように考えられます。私どもといたしましても、所持許可を与えるに際し、取り扱いについての指導を十分行う必要があると考えておりますので、効果的な指導方法について射撃団体とも今後協議してまいりまして、御指摘の趣旨を十分踏まえて、今後も検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  213. 川合武

    ○川合委員 申し上げるまでもありませんけれども銃刀法の第一条には、「この法律は、銃砲、刀剣類等の所持に関する危害予防上必要な規制について定めるものとする。」と書いてありますし、また、先ほどから私が申し上げます、射撃場における指導という点は、これはもう部長、よく実際を御存じのとおりと思いますが、射撃場における指導という点については、逆に危害予防上危険な状態が生じる結果となっている、その点矛盾している、こういうふうにも思います。  なお、ただいまの問題は、毎日毎日全国の射撃場において初心者の射撃が行われている実情でございますから、検討という答弁でございますけれども、これはひとつ早急に対処して、この問題について法的にと申しますか措置をとっていただきたい。危害防止の見地から、早急な措置を講じていただきたいと思いますが、重ねてもう一度その点について伺いたいと思います。
  214. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 危害防止のためには、やはり所持許可をする前に十分指導、教育するということが、最も大切なことでございます。私ども初任の警察官に銃を練習させるという場合にも、手とり足とり教えて、また自分で貸与した拳銃を撃ってみる、そういうこともやっておるわけでございまして、先生指摘の趣旨は十分私ども理解できるところでございます。したがいまして、厳しくするところは厳しくする。しかし実際上、運用上、むしろその方がよろしいという面は、前向きに検討するというような考え方で今後も十分検討させていただきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  215. 川合武

    ○川合委員 重ねて早急に措置をされますことを要望しまして、以上私の質問を終わります。
  216. 地崎宇三郎

    地崎委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  217. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、佐藤敬治君から修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐藤敬治君。
  218. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本社会党を代表し、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。  国民の生命、財産の保護に全力を挙げることが警察行政に課せられた唯一、絶対の任務であることは、申し上げるまでもないことでありますが、一たびこれが行き過ぎれば、国民の基本的権利を侵害するものであることは、残念ながらわが国の歴史において証明されているところであります。警察の権力が過大にも、また過小にもなってはならないというわれわれの考えも、まさにこうした歴史的教訓に大きく由来しているのであります。こうした立場から昨今の暴力団あるいはそれに類する者の銃器等を使用した犯罪の頻発に対し、厳しい処置をとることは当然のことと考えますが、同時に忘れてはならないことは、こうした警察の権力の行使も、不法な暴力を許さない国民の確固たる決意と協力があって初めて有効に機能し得るということであります。その意味で今回の法改正が、模擬銃器について規制を加えることは、これら模擬銃器改造による暴力行為への利用を抑制するという点では、一定の必要性を認めるものでありますが、その規制内容が、国民の基本的権利と深くかかわっているがゆえに、慎重の上にも慎重を期さねばならないと言わなければなりません。特に従来の模造銃器に対する規制と異なり、新たに模擬銃器について規制することは、規制対象の大幅な拡大であるばかりか、これまでの自主規制を根底において否定し、さらには国民の基本的権利にも深くかかわるきわめて重大な問題と言わなければなりません。  これまでの製造業者による積極的な自主規制を評価し、その成果を行政指導の面においてさらに徹底するとともに、模擬銃器の改造による暴力行為への使用を許さないとの国民的合意の形成に努めることも、広い意味での警察行政の課題であると考えるのであります。  このような立場から本修正案を提案いたしたわけでありますが、本修正案の主たる内容は、総理府令の制定に当たっては、模擬銃器審議会を設け、その意見を聞かなければならないといたしております。  以上が本修正案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  219. 地崎宇三郎

    地崎委員長 以上で、修正案についての趣旨の説明は終わりました。  修正案については、別に発言の申し出もありません。     —————————————
  220. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより、本案及びこれに対する修正案を一括して討論を行うのでありますが、別に討論の申し出もありません。これより採決いたします。  まず、佐藤敬治君提出の修正案の採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  221. 地崎宇三郎

    地崎委員長 起立少数。よって、佐藤敬治君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 地崎宇三郎

    地崎委員長 起立多数。よって、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  223. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中村弘海君、佐藤敬治君、小川新一郎君、山本悌二郎君、三谷秀治君及び川合武君から、六党共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。中村弘海君。
  224. 中村弘海

    中村(弘)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六党を代表いたしまして、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。      銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。 一、法第二十二条の三に定める「銃砲に改造することが著しく困難なもの」を定めるに当たっては、従来の経緯と当委員会の審議の経過にかんがみ、銃器について専門的知識を有する者の意見を聴取する等慎重を期し、国民の基本的権利を侵すことのないよう配慮すること。 二、最近における暴力団等の銃器使用犯罪の実態にかんがみ、暴力団等のこの種犯罪に対する取締りを継続徹底するなど暴力団犯罪絶滅のための対策を講ずること。 三、銃砲による危害を防止し、公共の安全を確保するため、猟銃用火薬類の不正流出防止の徹底を期すること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  225. 地崎宇三郎

    地崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  226. 地崎宇三郎

    地崎委員長 起立総員。よって、中村弘海君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、小川国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小川国務大臣。
  227. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまは銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について、慎重御審議の結果御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。  ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして法律を運用してまいる所存でございます。(拍手)     —————————————
  228. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  230. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は、来る十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十三分散会      ————◇—————