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1977-05-13 第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十三日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 小川 省吾君    理事 佐藤 敬治君 理事 小川新一郎君    理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    渡海元三郎君       中村喜四郎君    中村  直君       西田  司君    与謝野 馨君       岩垂寿喜男君    小川 国彦君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    和田 一郎君       中井  洽君    三谷 秀治君       川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     小川 平二君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君         警察庁刑事局保         安部長     吉田 六郎君         警察庁警備局長 三井  脩君         運輸省航空局次         長       松本  操君         自治政務次官  中山 利生君         自治省行政局公         務員部長    石見 隆三君  委員外出席者         法務省刑事局公         安課長     石山  陽君         大蔵省主計局共         済課長     山崎  登君         文部省大学局学         生課長     浪貝 一良君         厚生省年金局企         画課長     山本 純男君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      井上 宣時君         自治省行政局公         務員部福利課長 桑名 靖典君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  丸居 幹一君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     小川 国彦君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     加藤 万吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第六五号)  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 すでに共済法の問題につきましては同僚の各委員から質問がありまして、重複する点が多々あると思いますけれども、若干の点について御質問いたしたいと思います。  最初に、せんだって実は私はある退職教員にお会いしました際に、共済年金を五十二年度は四月からアップする、こういうことで大変喜んでおりました。そして、なお一年おくれになっておるのですから、これをぜひ早く是正してほしいという要望を聞きました。この委員会に出席されました参考人意見の中にも、年金の一年おくれを早急に是正すべきであるという意見が述べられました。  そこでお尋ねしたい点、特に大蔵省にお尋ねいたしたいわけでありますが、この一年おくれということを今後どうやって是正していく考えか。これはすでに関係の法案について衆議院の各委員会でも審議しておりますが、これが問題になっております。そこで大蔵省のお考えをお聞きしたいと思います。
  4. 山崎登

    山崎説明員 年金額改定実施時期につきましては、先生案内のとおり、最近におきまして毎月一カ月ずつ繰り上げて、本年におきましては、いろいろと事情があったわけでございますけれども、四月から実施したということで、いろいろと努力してまいっているわけでございますけれども、この年金改定実施時期をいつにするかということにつきましては、他の公的年金との均衡もあり、また財政負担の問題もあります。そういったものを総合的に勘案いたしまして、今後、各方面からの御意見も十分拝聴しながら決めていきたいというふうに考えております。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 年金問題は、国民年金という時代でありまして、重要な問題ですから、他との関係を総合的に検討して結論を出さなければならぬと思うわけでありますが、ことし四月から実施する、当初六月という予定を四月からに修正をいたしました。これは少なくとも最低限度として五十三年度以降、五十三年度にも保障されると了解してよろしいですか。
  6. 山崎登

    山崎説明員 本年の二カ月繰り上げにつきましては、御案内のとおり、減税問題を中心にいたしまして修正されたわけでございますけれども、これはいわゆる特別な事情によりまして修正されたわけでございますので、五十三年度におきましては、やはりその時点におきまして、いろいろな財政事情等もありますし、他の公的年金との関係もございますので、そういうところを十分総合的に勘案しながら検討してまいりたい、かように考えております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 課長、私の最初質問は、各種年金との間を総合的に判断をして、そして当初六月の予定であったものを四月にしたわけでしょう。そうでしょう。共済年金だけさかのぼったわけじゃないでしょう。でありますと、総合的に検討された結果、五十二年度は四月にさかのぼって実施する、こういうことに決まったわけでありますから、バランスが崩れているということはないわけです。さらに、一年まだおくれてますよ、これを早急に短縮していただきたいというのが年金関係者の切なる声でありますから、私の第一の前提は、その一年間はどう短縮してくれるのか、そういう方針についてお尋ねしたわけです。もちろん財源上の関係があります。ところが、いまのお答えでありますと、五十三年度には四月になるかどうかわからぬということになりますと、一年間をさらに短縮するという私の第二問は、前提が崩れちゃうわけです。私は、これは確認されたものという認識に立って、これから一体どうするのか、五十三年度以降どう短縮していくのか、この点を詰めているわけです。御質問しているわけです。いかがですか。
  8. 山崎登

    山崎説明員 本年度の二カ月繰り上げということにつきましては、先ほども申し上げましたように、先生案内のような種々の事情から特別な修正を行ったわけでございますので、五十三年におきましては、他の公的年金におきましてどのようにするかということも踏まえながら、総合的に、財政負担の問題もありますし、共済年金でいきますと保険料負担の問題もありますし、いろいろと問題が出てくるかと思いますので、五十三年におきましては、その時点で他の公的年金の額の引き上げとのバランスを考慮しながら検討してまいりたい、かように考えております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 一つ質問に対するお答えが進んでおらない。足踏みどころか、後退しているわけですよ。少なくとも他の年金については他の省の関係がありますけれども、あなたの方の主管する法律というのは国家公務員共済ですね。あるいは公共企業体等共済についてはあなたの方の主管法ですそして、恩給法が大きな柱になっておりますけれども国家公務員公企体というものの年金の問題が全体の年金の柱になっていることは間違いない。そういうもののバランスをとりながら、ことしは四月、一年おくれ、こういう結論が出たわけでありますから、五十三年度には少なくとも最低限としてこれは保障されなければならぬと思うのですよ。そういう考えに立って今後取り組んでいく、こういうことでなければならぬと思うのですよ。もう一度お答えいただきたい。
  10. 山崎登

    山崎説明員 もう一度というお尋ねでございますが、年金額改定実施時期というものにつきましては、私ども一番身近なのは恩給でございますけれども、そういう他の年金制度実施時期等を十分に検討しながら、総合的に勘案しながら、財源的な問題も含めて、五十三年度におきまして、その時点検討してまいりたい、かような次第でございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 少しくどく聞きますけれども大蔵省がいやがっておりました三千億円の所得税減税上乗せ、これと関連して六月を四月にしたということがありますけれども、この減税は一応スポットだ、五十二年度限りの措置だ、こういうことになっておりますけれども事年金に関して全体のバランスをとりながらやったことは、これは所得税減税の三千億の上乗せスポットであるということで、これもスポットであります。五十二年度限りの措置だ、こういうわけにいかぬと思うのですよ。だからこそ、今回の措置について、冒頭申し上げましたように、ある退職教員の方が大変喜んでおるわけで、しかもこれをできるだけ早く短縮していただきたい、こういう切なる要望が出ているわけだと思うのですよ。私は承服できないのですが、どうですか、最低限五十二年度の措置を後退させることは五十三年度においてはしないということをここで確約できませんか。
  12. 山崎登

    山崎説明員 繰り返すようでまことに恐縮でございますけれども、やはり年金額改定実施時期ということにつきましては、それぞれ財政負担の問題とか、それから他の公的年金バランスを見ながら検討するということしか、私どもとしては現在御答弁できない次第でございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 自分でやったことについて今後責任を持てないという答弁に終始しているのであって、私はきわめて遺憾です。総合的に判断したということであれば、五十二年度における各種年金について判断するばかりじゃなくて、長期的にまでいかぬにしても、短期的には見通して措置しているはずですよ。それについて、ことしやったことについて来年どうするかということについて責任も持てない答弁、まことに遺憾です。しかし、答えないのを指を突っ込んで答えさせるということもできませんから、問題であるということを留保して次に進みたいと思います。  すでに質問の中で出ておることでありますけれども共済短期財源率は、市町村共済等をとってみましても、すでに百を超えたところがたくさん出てきております。  ところで、林野庁共済に対して国庫補助金一億八千万円が計上されておるわけです。この国庫補助金一億八千万円というのはどういう趣旨なんでございましょうか。
  14. 山崎登

    山崎説明員 国家公務員共済組合短期経理につきましては、先生案内のように医療費の増高等に伴いまして、五十二年度の掛金率が大幅に各組合とも増加いたしまして、そういう事態になった際にいろいろ関係者皆様方から、上限設定の問題というような御要望が非常に強かったわけでございますけれども、実は国の共済組合につきましては二十五組合ございまして、その掛金率は三十ぐらいから五十近くまで非常に格差がございます。このような事態をそのままにいたしまして上限設定というような御要望にはなかなかこたえ得なかったということもございます。それから、そうかといって実は林野庁につきましては現在千分の五十以上になるということが予想されたわけでございます。林野庁先生案内のように、私ども組合の中におきましても組合員一人当たりの被扶養者の数が非常に多いとか、それから年齢の高い割合に給与が低い、あるいは勤務形態がいろいろ僻地に偏在している、そういった特殊事情に基づきまして、非常に高い掛金率が予想されたわけでございます。したがいまして、そういった林野庁特殊事情を勘案いたしまして、何らかしらの支えという意味で、事業主が臨時的に補助するものでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 林野庁共済については、いま述べられましたいろいろな条件がある、そういうことで特別に財源率百を超えた、掛金五十を超えた点について補助をやった、それは上限を意味するものではない臨時的なものである。しかし、短期というのは急速にここ二、三年のうちに悪化してきているわけですね。来年はどうするのですか。続けるのでしょう。どうですか。
  16. 山崎登

    山崎説明員 五十二年度につきましては、現在医療制度抜本的見直しという姿勢にある、そういうことで医療費全体の制度あり方というものを十分検討いたしまして、できるだけこういう事態にならないようにしていきたいと思うわけでございます。  しかし、なかなか医療制度検討するといっても、不幸にしてできない場合におきましても、私ども共済組合の場合におきましては、やはり事業主が同じ国だという観点からいたしまして、二十五組合のうち三十から五十というような掛金格差がある、これは調整なり何かをしながら、できるだけそういうことも含めまして、十分掛金が引き上がらないような対策をとっていきたいと思っております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 もう少しお尋ねいたしますが、そうしますと、ことし一億八千万円の補助をしたのは、先ほど来あなたが言ったような条件があるんだ、来年は医療費改定の問題もあるだろうから来年はどうするかわからぬけれども条件は別になるということですか。これもスポットだということですか。ことしやったような条件が続くならば——給料が安い、扶養家族が多い、あるいは非常な遠隔地におる、いろいろな条件のために掛金が五十を超したんで、その部分について補助をした。それは上限を意味するものではないけれども、こういう条件がある限りは同じような予算上の手だてをしなければならぬでしょう。どうなんですか。
  18. 山崎登

    山崎説明員 できるだけそういう事態にならないように検討してまいりたいと思いますけれども、やはり上限ということになりますと、いろいろ上限の率をどこに決めるかということもございます。なかなかそういった点の検討にも時間を要するわけでございますけれども、私どもには御承知のように共済組合審議会というのがございまして、その審議会におきまして今回短期につきましての意見書もいただいていることでもありますので、そういったことも含めまして、来年度につきましては十分御意見を聞きながら対処していきたい、かように考えております。     〔委員長退席佐藤(敬)委員長代理着席
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 何言っているのか、一つもわからないのです。ことしの条件はこういう条件補助をしました。来年になりますと医療費関係が出てくるでありましょう。ことしも現に健康保険法改正案改悪案か出ているでしょう。それからいまの条件というのについては、できるだけそういう条件をなくすようにいたします。給料を上げるか、あるいは扶養家族を減らすか。これはあなたの方で簡単にできるものではないですよ。条件は、その医療費の問題にいたしましても、あるいは健保の問題、国会の問題ですよ。今度の一億八千万を出した条件というものもそう簡単に片づくものではないのですよ。ところが審議会に逃げます。国会でもいろいろな人が言っているでしょう。審議会だけで問題は片づくものではないですよ。事態は明らかではないですか。来年もこういう制度が続くであろうということはもう明らかではないですか。もう一遍お答えいただきたい。
  20. 山崎登

    山崎説明員 御説明が足らなかったようでございますので……。実は林野庁補助金をつけたということは、先ほどもちょっと説明いたしましたけれども、二十五組合ございまして、これは実は事業主としては国ということで一本化されているわけでございまして、あるところが財源が高くなったからそこに補助金をつけるということにはなかなかまいらないと思います。したがいまして、その二十五組合掛金率格差をどのようにならしていくか。それからもちろん医療費につきましてもできるだけの努力は、企業努力もさることながら、政府部内といたしましてもいろいろと努力しているわけでございますので、そういった行方を十分見ながら、五十三年度につきましては対処してまいりたい、かように考えている次第です。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 ずいぶんくどくなってしまうのだけれども、あなたの方は林野庁共済についてやったということは、給料も低い、扶養家族も多い、また遠隔地である、あるいは職場の環境がどうしても病気になりがちなところだから、二十五のうちの林野庁についてはこういう措置をしたということは、言ってみますと、どう言おうとやはり林野庁の職員の負担の限界というものが背景にあるのでそういう補助をことしつけたという以外にないと思うのですよ。しかもその条件は容易にこれは解決できる問題ではないということであれば、五十三年度以降私はここで短期についても二〇%の国庫補助導入しなさいとか、そう言っているんじゃないですよ。負担能力を超えるようなところについてはこういう措置をしたということであれば、その背景には上限というものがある、負担能力という問題もある、特殊ないろいろな条件がある、そういうものは今後考慮していく、林野庁共済ばかしじゃなくて、他の共済についてもそういう場合には考慮していくということが考えられるのが常識ではありませんか。もう一遍。
  22. 山崎登

    山崎説明員 何度も御説明するようでございますが、実は林野庁につきまして、先ほどからも言っておりますけれども、国の共済組合として掛金率格差があるということの検討をしてまいっているわけでございますが、その検討がなかなか結論が出なかったので、やむを得ず、ことしにつきましては林野庁特殊事情を勘案いたしまして、財政上の支えということで臨時的に補助金を出したわけでございます。さらに、現在の法定給付、五十を上回った場合に一応一億八千万の補助金をつけたわけでございますけれども、その点につきましても上限ということでございますと、いろいろと他の健康保険とのバランス考えながらどのように決めていくか、健康保険共済組合掛金率の基礎になるところの標準報酬と本俸の差とか、いろいろな問題が出てくるわけでございまして、そういったものをどこに決めるか、それからさらに、現在国会に提出しておりますけれども健保におきましてはボーナスも徴収するというような事態になりまして、そのまま現在の掛金率上限ということにはなかなかまいらないということでございますので、五十三年度につきましては、そういったものも十分配慮しながら、さらにこの掛金率に差があるということも十分考えながら対処していきたい、かように考えている次第です。     〔佐藤(敬)委員長代理退席委員長着席
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 財政当局が渋ちんであることは私も当然だと思うのですよ。渋ちんであるけれども、こういう条件である以上はやむを得ないということで出した以上は、その条件が消滅しない限りはやはりやるのが筋であって、渋ちんに埋没してしまってルールも原則も常識も忘れ去られちゃ困りますから、ひとつ十分な配慮をお願いしたいと思います。  飛び飛びになりますけれども、もう一点お尋ねいたします。  昨日の委員会同僚委員から質問があったようでございますけれども、昨日の毎日新聞に「官民格差是正へ」「共済年金給付年齢引上げ」「大蔵省検討」という記事が載っておりました。「大蔵省首脳は、こうした世論の高まりを受け」、まあ世論というのは官民格差の問題が出ておりますから、「不公平是正に踏み出す意向を明らかにしたもので、その方向としては1共済年金支給開始年齢を段階的に引上げ六十歳に近づける2再就職し所得ある場合の支給制限を設ける」、厚生年金方式ですね、この二つをやる、こういうことでありますが、いつも新聞に出ていることは事実でありますけれども、知らぬ、存ぜぬというのが官庁用語のようでありますけれども、ひとつ正直に答えていただきたい。この新聞記事について、大蔵省首脳、あなたも首脳ですよね、どうですか。
  24. 山崎登

    山崎説明員 この問題につきましては、昨日、当委員会でも問題になりまして私、御答弁申し上げたわけでございますけれども、実はあの記事、私どもは全然知らないわけでございまして、またわれわれのところで検討を始めたという事実はございませんが、実は先生案内のように、共済年金につきましては、国家公務員共済組合審議会でもうすでに五十年の八月に、審議会の会長である今井先生の試案、今井メモというものが提出されまして、その後ずっとその今井メモ中心といたしまして共済年金あり方につきまして検討してまいっているわけでございます。これは年金制度全般にわたる検討の中の一項目といたしまして、支給開始年齢をどうするか、今井先生の六十歳にしろという御提案もありますし、そういった総合的な年金制度全般を見直すという中の一つ項目として検討している次第でございまして、特別に今回ああいった官民格差論が出たから検討を始めたという事実は私は承知しておりません。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 厚生省、お見えになっておりますね。  この問題が社労委員会で議論されて、当時、連日のように官民格差問題が出てきて、私は深くはこの問題について議論する時間がありません。最初にお尋ねしたいと思うのでありますが、まあ年金制度というのはたくさんございますけれども、大別して国民年金厚生年金、それから各種共済、これの組合員はどのくらいおりますか。
  26. 山本純男

    山本説明員 私ども関係国民年金厚生年金と、もう一つ船員保険という年金を所管しておるわけでございますが、共済組合という関係制度では、非常に粗っぽく申しまして大体五百万人程度の加入者があるというふうに存じております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 この意見が出た際に渡辺厚生大臣検討するということを発言したようでありますけれども、私が調査したところですと、厚生年金国民年金は、昭和五十年度で厚生年金が二千三百六十万、国民年金が二千五百八十八万、大体において国公共済地共済公企共済私学共済農林共済等で約六百万に近い数字になっておりますが、この数字は誤りありませんか。
  28. 山本純男

    山本説明員 五十一年三月末の数字として大体そのとおりでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 大体しか言わないんだから……。しかし、まあそういうことですね。(山本説明員「きわめて近い数字です」と呼ぶ)それじゃお尋ねいたしますが、厚生年金国民年金の間には給付格差がございますか。
  30. 山本純男

    山本説明員 両制度の間では制度の立て方、対象者の実情その他いろいろ違いがございまして厳格な比較はむずかしいのでございますけれども、私どもとしては両制度の間で、ある考え方の面から申しますとおおむねバランスをとって運営を続けてきているという立場でございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 おおむねバランスをとっているということは、裏から言うとまだ完全にバランスとれてないということですね。確かにお説のようにむずかしい。たとえばモデル的に計算した場合でも、間違いなく厚生年金国民年金の間には制度格差があるのですよ。格差があるのです。言ってみますと、よく世間で言われておる共済年金厚生年金との間に格差がある、厚生年金国民年金の間にも格差がある。これは一体どうするのですか。厚生省のお考えをお聞きしたい。
  32. 山本純男

    山本説明員 先ほど申し上げましたように厳格な比較は困難でございますが、一つ比較は、厚生年金でモデル的に勤続二十七年強で退職なさった方の年金というものにつきまして、五十一年改正で九万円という水準を申し上げておりますし、今回の改正案が成立いたしますとこれが十万円足らずに上がるという状況でございます。一方、国民年金の方は、同じようにモデル的に二十七、八年くらいの期間をとりまして計算いたしますと、一人当たりが三万円強という水準でございまして、夫婦二人分合わせましても厚生年金よりも低うございます。それと同時に、国民年金には任意加入制の付加年金という制度がございますので、これに加入なさいましてかなりの期間掛金をなさいますと、また格差はやや縮まるわけでございます。ところが一方、現実には、国民年金では昭和三十六年から掛金の支払いをお願いしておるものですから、まだ長期間掛金をなさった方はおいでにならない。現在三百万人を超える方が拠出制の国民年金を受給していらしゃいますけれども、そのほとんど全部が五年間あるいは十年間しか拠出しないで年金を受ける方でございますから、こういう方の年金額は、現在五年年金が一万五千円、十年年金が二万五百円でございまして、これが今回また引き上げの法案が出されておるという状況でございますので、これを夫婦二人分合わせましたとしても厚生年金とはかなり大きな開きがございます。  この問題、いま申し上げましたように、今後制度の運営を続けてまいりますと、国民年金のサイドでも掛金をする期間の長い方が漸次老齢年金をお受けになるようになるわけでございますから、時とともに徐々に格差が解消する方向になっているわけでございます。それについては、ただ非常に格差の縮小の度合いが遅くて、緩慢であるという御指摘をかねがねいただいております。これをどのくらい促進できるかという問題は、国民年金制度での財政負担の問題、保険料の水準の問題というものとも関係ございますので、方向としてはなるべく速やかに格差を縮めていくという方向を私どもとしても期待しているわけでございますが、現在どの程度までできるかということについて検討している段階でございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、いま厚生省からお聞きいたしますと、いわゆる共済年金厚生年金との間にも格差がある。端的に言いますと、サラリーマン・ユニオン等の資料を見ても、現状では共済年金を一〇〇といたしますと厚生年金は六五程度ではないか。いまの言葉を聞きますと、その厚生年金に対して国民年金はやはり六割か七割ぐらいというのが現状ですよ。しかも人数は厚生年金国民年金で六千万人、国民の圧倒的な部分を占めているわけですね。そうなってまいりますと官民格差是正というのは、年金というものは一種の社会保障でありますから、そういうものをまとめていかなければいかぬ、こういう一語に尽きるでありましょう。こういう問題について大蔵省としてはどう対応していくのか。これは大変大きな問題でありまして、短時間では、あなたとの約束の時間の範囲内ではあるいは議論できないと思うのですけれども、いかがですか。
  34. 山崎登

    山崎説明員 非常に大きな問題でございまして、私自身が担当しているのは国家公務員共済組合ということでございますので、全体のバランスということは、私ども共済年金とはいうものの、年金を預かる担当者といたしましては、いろいろな公的年金バランスということも十分考えているわけでございますけれども、国の共済年金につきましては、社会保障的な部分と、さらに私ども国家公務員法からくるところの共済年金だということで、やや企業年金的な色彩も入っている。そういうことでございますので、そういった問題も含めまして、水準がどうあるべきかという点につきまして私ども審議会等を通じまして十分意見を聞きながら、今後も他の年金制度とのバランスをとりながら考えていきたい、かように考えております。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 何を言っているかちょっと答えが私には理解できないわけです。  時間がありませんので厚生省にお願いしたいわけでありますけれども厚生省の方で、これは新聞等に報道されておるわけでありますが、厚生年金の長期的な見通し、給付の額あるいは給付率、そういうものについて試算が行われているようであります。この試算について私もいろいろと質問をしなければならぬのでありますけれども、ひとつその試算の資料をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  36. 山本純男

    山本説明員 仰せいただければいつでもお届けいたします。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 委員長、ひとつ委員にこの資料をいただけるようにお願いしたいと思います。
  38. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 承知しました。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省にお尋ねしますが、大蔵省厚生省の試算の結果を御存じですか。
  40. 山崎登

    山崎説明員 知っております。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 知っておられる。それを読んだ、あるいは知っておることについて大蔵省課長としてはどういう印象、どういう見解をお持ちですか、お聞きしておきます。
  42. 山崎登

    山崎説明員 将来の見通しにつきましては、いろいろとこれからの日本の老齢化が急速に進むということから年金、なかなか大変になってくるということも予想されるし、私ども共済年金を預かる担当課長といたしまして十分それは、全く同じようなことを予想しているわけでございまして、今後十分これに対処していかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省なり厚生省との約束の時間が来ましたから要望しておきます。  私は、いわゆる官民格差という問題で、共済年金の間にもいろいろと格差があるわけですね、共済年金厚生年金という問題にしぼって格差論をするのではなくて、やはり厚生年金国民年金とのいま確認されたような格差の問題、そういうものを年金の問題として、社会保障の問題として、将来の給付額、そしていわゆる掛金、こういうものを勘案しながらこの年金制度というものをきちんと統合していくということがやはり必要であろうと思う。その場合に、社会保障、特に年金問題というものは、理念としては哲学としては政治的にはやはり下方に合わせるということではなくて、現在検討されておる歴史の古いそういう制度、そういうものを柱として基準として検討をしていく、こういうことが私は必要であろうと思います。そういう立場でひとつ真剣に検討をしていただいて、国会というところは適当に答えておけば、内容があろうとなかろうと済むものだ、こういうようなことでは許せませんから、その点だけを申し上げて、ひとつ大蔵省厚生省、御苦労さんでした。  最後に、自治省に一、二点お尋ねしたいと思います。  この春、先ほど申し上げました短期の問題で、大変財政赤字で自治省も苦労されましたし、各市町村共済もずいぶん苦労されたわけでありますけれども、一体全体、四十九年ぐらいまでは黒字でまいりましたのが急激に赤字、財政破綻というような状態になった原因は何でしょうか、ずばりお答えいただきたいと思うのです。
  44. 石見隆三

    ○石見政府委員 地方公務員の共済組合にかかわります短期給付につきましては、とりわけその財政事情につきまして、昭和四十九年度を境といたしまして、ただいま御指摘ございましたように、五十年度ごろから急速に悪化してまいったことは事実でございます。その原因と申しますと、いろいろな要素が相重なっておると思うのでございますが、一つは、やはり給付面におきます医療費の増高ということが言えようかと思うわけであります。もう一点は、最近におきます給与の伸びの鈍化に伴いまして、いわゆる収入が従来のような大きな伸びが期待できなくなった、この両者が相まって急速に悪化したものであろうというふうに一般的には理解をいたしておる次第でございます。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 五十年度を例にとりますと、短期は二千九百二十五億円の支出、それに対して医療費が二千七百四十八億円、九三・九%を占めておるわけですね。いま部長が二つの理由を申しましたけれども短期はその名のごとく決定的なもの、九四%くらいというのは医療費が占めているわけですよ。ところが、日本の医療費についてはいろいろ問題があり、昨日も小川委員が指摘されたのでありますけれども、私の手元の資料によりますと、ある市町村共済が調べたところによりますと、あるところでは医療給付の八六・五%が薬であった、あるところでは七九・三%が薬価であった。日本の薬価というのはいま四十数%、こう言われて、世界でも類のない高さだと言われておりますけれども、八六・五%も薬価であった、七九・三%も薬価であったということになりますと、しばしば薬づけと言われておりますけれどもそう考えざるを得ない。そうしてその医療費というのが九四%の短期の支出のウエートを持っている、こういうことになりますとこれは底なしのような感じがするのであります。議論する時間がありませんけれども、政務次官どうお考えですか。
  46. 中山利生

    ○中山政府委員 国民の生活にこういう共済制度はもちろんでございますが、医療の占める役割りというものは非常に重大なものがあると思います。この問から、各党の委員の方々から御指摘がございますように、国民医療の体系というものが、こういう保険制度、社会保障制度を圧迫しているということは事実でございます。これも一面であると思いますが、全般的な医療体系、保険体系というものに対する抜本的な改正というものが必要だろうと思います。これはもう、前から抜本的、抜本的と言われておりまして、なかなか手がつけられないでおりますけれども、もうそろそろ限界にきている、医師の問題、歯科の問題、ただいま御指摘の薬の問題、いずれも限界にきているのではなかろうかと私は考えておりまして、ぜひとも政府挙げてまた国民全体を挙げて、この国民のための医療はどうあるべきかということを打開していかなければならない、そういうことによってこの社会保障制度、保険制度財政というものの健全化も図り得るのではなかろうかと考えております。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 このいま私が申し上げた数字、とにかく医療費のうち薬代が七十何%も占めているというのは——これは奇妙なことには公立病院もそういうことなんですよ。私立の病院なり医院ばかりがそうかと思うと、そうではなくて、公立病院もやはり薬づけをやっているのですよ。これは今日、自治体病院の財政の危機、こういうものからとにかくかせぎまくれということから出てきておって、真の医療のあり方でないということは申すまでもない。参考人も何らかのチェックシステムを設けなければならぬのじゃないか、こういうことも言っておりましたけれども、これに取り組むことなしには、毎年二〇%以上の成長率を保っておる医療費に対して、とてもじゃないが対応することは不可能であろうと私は思うのです。これはひとつ真剣に取り組んでいただきたいということを要望をしておきたいと思います。  こういう問題に関連いたしまして、短期財政赤字ということから、市町村共済では、この共済でやる短期の医療関係給付とか福利事業とかいろいろな事業があるわけですが、そういうものがカットされて医療費の方に金を回していくという傾向が起こってきております。  こういう問題に関連して、自治省の桑名課長は、四月十五日の自治日報に載っておることでありますけれども、こういうことを言っておるのです。「共済医療費の赤字 抜本改革を検討」ということで、「一、地公法四二条(厚生制度)に基づき各自治体では各種施策を行っているが、使用者としてやるべきこと、あるいは共済組合、互助組織がやるべきか線引きが明確でなかったこともあり、早く各分野の分掌を明確にしたい。」こういうふうに言っております。新聞記事責任持てないというのですけれども、これは本当ですか。どうですか。
  48. 桑名靖典

    ○桑名説明員 ただいま御指摘になりました点は、会議におきまして、医療の短期給付の経理が非常に赤字になっているということを踏まえまして、地公法の四十二条に書いてある地方公務員の福利厚生の基本原則、それを明確にする必要があるということを申し上げたわけでございます。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 地方公務員法四十二条は、「厚生制度」ということで、「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない。」国家公務員法にも同様の条項があるわけですね。これについて線引きをすると言う以上は、私が冒頭申し上げたように、短期給付の赤字のためにこういうものがだんだん抑えられていってしまう、四十二条の厚生制度が生かされておらぬという危機感を感じたからではないですか。どうですか。
  50. 桑名靖典

    ○桑名説明員 現在、地公法の四十二条に規定しておる厚生制度、四十三条に規定しておる共済制度、それから四十五条に規定しておる公務災害補償制度、これをすべて含めて地方公務員の福利厚生事業というふうに私ども考えているわけでございます。そのうち、共済制度並びに公務災害補償制度につきましては法律で定めることになっているわけでございます。地方団体が福利厚生事業として実施しておる事業につきましては、各地方公共団体ごとにそれぞれの事情がございまして、地域の特殊性あるいは従来からの沿革に基づいて千差万別であるわけであります。しかし、その内容は、一般的に申しまして、職員の保健、衛生、安全に関するもの、職員の元気回復に関するものあるいは職員の生活援助に関するものというように、区々ではございますが大別してそういうことをやっているわけでございます。そういう際に、地方公共団体独自で行うものもございますし、職員の互助組織で行うものもございますし、あるいは共済組合に委託して行っている団体もあるわけでございます。そういうところから見まして、地公法四十二条の地方公共団体の福利厚生に関する規定を見た場合に、共済組合でやる仕事は果たしてどこまでか、あるいは使用者としての地方公共団体がやる仕事はどこまでかというような線を一律に打ち出すことはなかなかむずかしいとは思いますけれども、一定の基準、一定の物差しというものを出す必要があるのではなかろうかという観点から、将来検討を進めてまいりたいということを発言いたしたわけでございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 公務員部長、いま私が質問しました地方公務員法四十二条、四十三条、こういう問題は国家公務員、地方公務員の一種の労働基準法的なものではないかと私は思うのです。だとするならば、何らかの最低基準というものを法定化することが必要ではないかと私は思っている。  私はかつて、いま課長が言ったようなそういう問題について、立法化すべきであるということをこの委員会でも主張し、また私自身も取り組んでその立法化の法案作成をいたしました。その際に、あなたが言うように画一的にはなかなかできない。地方団体の独自性で十分やっているところと何にもやってないところがあるわけですけれども、少なくとも最低基準は示すべきだと私は思うのです。長期あるいは短期についてはいろいろとやっておりますけれども、こういう厚生制度については民間の方がはるかにいいという議論もあるわけでありますから、こういうものについて何らかの最低基準を示すことが大切ではないか。私も当時そういう作業をやっておりましたが、ある民間の組織からあるいは共済をやっておるところの組織から、そういうことをやりますと画一的になってしまってうまみがなくなる、だから困るという強い意見を受けたことがございます。しかし、この種のものは最低基準を示していくということが大切であろうと私は思うのです。そういうつもりがあるかないか。いま検討中だということでありますが、この問題について担当の部長と、最後に政務次官のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 石見隆三

    ○石見政府委員 ただいま御指摘がございましたように、地方公務員についての厚生事業につきましては、国家公務員も同様でございますが、いわばその内容、基準等が法定されておらないわけであります。その理由といたしますところは、先ほど課長も御答弁申し上げましたように、厚生事業と申しましても内容が非常に区々でございましょうし、地域の特殊性あるいはこれまでの沿革というものがございます。やり方につきましても、直接地方団体がやっておるところ、また互助会という組織を通じてやる方がより職員のためであり、より能率的だという観点から、そこへ委託をするあるいは補助金を出してやってもらっておるというふうに、やり方なり中身が非常にまちまちでございます。私どもといたしましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、これを画一的にやってまいりますとかえってぎくしゃくする、あるいはまたうまみがなくなるという御批判も一方にあることは承知をいたしております。しかし、いずれにいたしましても、地方公務員法四十二条に掲げられております厚生事業をやらなければならない、これが地方団体の義務であることは問違いございません。その中身、やり方は、もちろん地方団体が自主的に御判断なさることだとは存じますけれども、やはりやらなければならないことは事実だと思うのでございます。  そこで、いま、私どもがいろいろ調べましたところでは、互助会組織を通じてやっておられる団体が非常に多いわけであります。伺ってみますと、それがきわめて合理的であり、地域の実情に即し、経費の面でも妥当だという判断に立っておるということで、互助会にかなり委託費を出して、そこでやっていただいておるという実態がございますので、ただいま私どもといたしましては、互助会の運営の実態あるいは各地方団体からどういう財政援助をなさっておるのかということの実態調査をいたしております。その結果を待ちまして、地方団体でそれぞれ一体どのようなことをなさっておられ、あるいはまたどのような方法が妥当と考えられ地方の実態に即すのかということを分析いたしながら、先ほど課長が申しましたように、線引きと申しますか、あるいはまた基準と申しますか、そういうものを何らかつくってまいりたいということで、実態調査の結果を待って検討を進めていきたい、かように考えておるところでございます。
  53. 中山利生

    ○中山政府委員 ただいま公務員部長からお答えいたしましたように、その基準をつくることがいいのか、また、つくらないで、自由濶達、自主的な運営をしていく方がいいのか、そういう問題を含めて、ただいま御指摘の問題は社会保障制度全般にかかわる重大な問題だと思いますので、これまでも十分検討を重ねてまいりましたが、今後も健全な運営に資するために何らかのそういう方途が必要であれば、また、あるかどうかということを含めて検討を続けてまいりたいと思います。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 公務員部長、あなたの答弁常識的だと思うのだけれども、ある問題についてはあなたの方は画一的な、強権とも思われるような指導もやってきておりながら、この問題については自治体の自主性、うまみを生かしたいと言うのは、少しおかしいじゃないですか、どうですか。だから、地方自治という以上は、その自治体独自のうまみがあっていいと私は思うのです。けれども、最低のものは物差しを示しておくことがよろしいのではないか、こういうことであります。自治省が最低のものを、あるいは一つの標準、基準というものを示すことはいいわけであって、その中でうまみを生かすか生かさないかは自治体の自主的なことですよ。しかし、あなた自体がほかのものについては断固強権を発動しようとしておりながら、この問題についてうまみ、うまみと言うのはおかしいじゃないですか、どうなんですか。
  55. 石見隆三

    ○石見政府委員 地方団体の福利厚生事業につきましては、ただいまも御答弁申し上げましたとおり、もとより地方団体がそれぞれの地域の実態に応じて、何が一番職員のためになるか、あるいはまた、法律予定しております元気回復のためには何が一番適当かということの御判断はあろうかと思っております。  そこで、私どもといたしましては、そのようなことで、いま先生おっしゃいましたように、いわば最低限というようなものにいたしますのか、あるいはまた一つの目安あるいは一つのやり方を御紹介するのか、いろいろなやり方があろうかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、本来共済組合としてやるべき事業と、片方、地方公共団体として四十二条に基づいてやるべき事業というものは、重なる部分はあろうかと思いますけれども、やはり本来あるべき部分はあろうかと思っております。そういうものを、ただいま申し上げましたように、現在実際やっておられます互助会等を通じての各般の事業を調査いたしまして、これを十分分析して、先生のお示しにございましたような一つの基準と申しますか、一つのやり方と申しますか、そういうものを地方団体にはお示ししていきたいというような方向での検討はいま進めておる最中でございます。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 ひとつぜひ検討していただきたい。  私が特にこの問題について申し上げるのは、あなたの方から出しておるたとえば共済年報等を拝見いたしましても、市町村共済だけでも福祉財源率というのは平均四・六だということになっておるわけでありますけれども、多いところは九になっておる。あるいは六あたりというのも非常に多い。掛金とフィフティー・フィフティーということでありますけれども、まちまちですよ。そして、あるところに私が、あなたのところは千分の六で、千分の三、千分の三で持っていっているけれども、実際どのくらいやっているんだと聞きましたら、実績は千分の三程度しかやっていませんということになっておるわけです。言ってみますと、うまみはありますけれども、実績はかなり恣意的で場当たりということがなきにしもあらずであろうと思うのですよ。そこで私は、ぜひひとつ最低の基準というものを、互助会法にするのか、あるいは労働基準法的なものにして、地方公共団体が責任を負うべきところをやるのか、その上でうまみを生かすことは結構なんでありますから、ひとつそういうことで……。政務次官からも前向きの答弁をいただいておりますから、それで私は了解いたしますが、事の発端は、福利課長新聞記者に語ったところから出ているわけだから、担当者としてどうするんですか。
  57. 桑名靖典

    ○桑名説明員 先生から御指摘のありました点は、十分了解いたします。  ただ、ただいま、福祉事業の千分の四あるいは六というような各組合の実態について御指摘がございまして、福祉事業についての財源率が、言葉が適切であるかどうか別といたしまして、十分有効に使われていないというような趣旨の御指摘があったわけでございますが、現在福祉事業の実態を見てみますと、従来からの薬品の配付であるとか、健康管理のための健康診断費用であるとか、成人病予防の費用であるとかいうような、いわゆる福祉事業本来の目的に使われているもののほかに、宿泊事業における赤字経営のための補てんというものに使われているものも非常にたくさんウエートを占めている事実があることも承知をいたしているわけでございます。今後とも福祉事業の財源につきましては、本来の事業に使われるよう指導してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 佐藤理事と打ち合わせた結果、約束の時間、私がやることになりましたから、しばらくごしんぼういただきたい。  遺族年金について最低保障、この問題もすでにこの委員会質問に出ておるわけでありますけれども、いろいろな共済がございますが、その共済の中で最低保障額にひっかかっておる率がいろいろどうも違いがあるようでありますけれども、教字をお示しいただきたいと思います。
  59. 桑名靖典

    ○桑名説明員 遺族年金の最低保障の適用を受けている者が全部で、これは五十二年の改定前の数字でございますが、三四%でございます。ただ、この数字は全組合平均でございまして、共済組合によりましてこの適用者のウエートが大分違っております。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 違っておりますということはわかっているものですから、各組合ごとで、たとえば地方共済はどうだ、公立学校共済はどうだ、市町村共済はどうだ、それをお聞きしておるわけですよ。
  61. 桑名靖典

    ○桑名説明員 地方職員共済組合におきましては三六・八%、公立学校共済組合におきましては二〇・五%、警察共済組合におきましては一五・九%、東京都職員共済組合におきましては二七・八%、指定都市職員共済組合におきましては三五・八%、市町村職員共済組合全部の平均が五五・四%、都市職員共済組合の平均が四四・八%となっております。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 市町村共済といっても広うございますから、最高と最低の率はおわかりになりますか。
  63. 桑名靖典

    ○桑名説明員 組合別の最低保障額の適用者については調査をいたしておりません。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 市町村共済というのは議論しますと、これは真相がわからないわけですよ。ぜひひとつ市町村共済ごとにどういう状態になっているのか、そういうことを御調査いただいてその資料を出していただきたい、こう思います。よろしゅうございましょうか。
  65. 桑名靖典

    ○桑名説明員 先生案内のように、市町村職員共済組合が四十七組合ございまして、それぞれの裁定事務が各共済組合実施しておりまして、しかもその年金裁定の事務を機械化しているところがございますので、既裁定者の分についてすぐに出すということは不可能かと思いますが、若干時間をちょうだいいたしましてできる限りの資料をつくってみたいと思います。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 いますぐ出せとか、あした出せとか申し上げませんけれども、その点が重要でありますから、ぜひひとつこの委員会に資料の提出をお願いしたいと思います。  ところでいまの御答弁で、各地方共済関係組合別で最低保障の適用者教を見てみますと、市町村共済が五六・一%、半分以上が最低保障額ですよ。その次は都市職員、これは言ってみますと中都市の職員共済の人たち、その次が地方共済、府県のものです。これも三六・八%、かなり多いですね。一番少ないのが、いまのお答えで警察の一五・九、このくらいなら了承できますけれども、半分以上が最低保障額の適用者、こんなに格差があるわけですよ。給与を調べてみますと、市町村共済というのは五十年で平均十二万円くらい、公立学校職員の平均給与が月当たり十八万を超しているでしょう。そういうところから出ておるわけでありますけれども、これも最低保障額というのはいろいろ問題があると思うのですが、これはまさしく先ほど私が大蔵省とやりとりしたように特殊事情です。何とか手がありませんか。
  67. 桑名靖典

    ○桑名説明員 御指摘のありました市町村職員共済組合とか、都市職員共済組合に最低保障の適用者が多いというのは、御案内のように市町村職員組合なり都市職員共済組合を構成しております市あるいは町村の職種の構成からいたしまして、技能職員、現業職員が他の組合に比べて非常に多いということからいたしまして、平均給与自体が下がっており、自然その年金額も低い、こういう結果に相なっておるものと考えております。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁は、原因はこうだろう、そう考えているというだけで、私の質問に答えていないのです。こんな事態では遺族はかわいそうじゃありませんか。最低保障額は改定されておりますけれども、五六%も最低保障額だ。これは大変なことじゃないか。何らかの手はないのか。さっき林野庁共済について特殊な事情があるとあなたおっしゃったように、市町村共済には戦後できました給食調理員の問題とか、いろいろな現業関係の特殊な事情がありますよ。ところが遺族年金というのは、半分以上が最低保障額で救われておるという姿は好ましい姿じゃないと思うのです。これは今後の方針もありますから、政務次官、どうですか。これは問題があると思うのですが、何か解決方法はありませんか。
  69. 中山利生

    ○中山政府委員 先ほど来の官民格差というような問題も含めて、先生のいまおっしゃった最低保障が五〇%カバーしている、これはそのままでほうっておけばもっと低い給付しか受けられないものが最低保障でカバーされているという点では、むしろこの最低保障がいい方向に使われていると思うのですが、問題は最低保障の額が低いということにあるであろうと思いますし、官民格差の問題も最高と最低の差が多過ぎる。最高の方はきのう三谷委員質問にもありましたように、八十歳、総理大臣をやった人で二十年で三百十万というのはそんなに高くないと私は思うのですけれども、それと最低との差が大分縮まってはきたけれども、いまだにかなりある。この格差を縮めるのには下の方をもっと上げていく、最低保障の額を上げていく、そういう努力をしていくことが先生ただいま御指摘になったような問題も解決をいたしますし、官民格差の問題もそういう点でカバーがある程度できるのではないかというふうに考えております。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官の答弁もつぼを得ておらないのです。公務員部長、いい方法はないですか。この遺族年金の最低保障額は、一番給料の安い現業等が多い、いわゆる底辺に近い人、こういう者は最低保障で救われておりますけれども、五六%も最低保障額で救われておるということは異常ですよ。警察共済の方は一五%でしょう。余りにも各共済の間で格差があります。いい方法はありませんか。遺族年金ですよ。
  71. 石見隆三

    ○石見政府委員 遺族年金につきまして最低保障額の適用を受けておられる方々が、それぞれのもと所属しておられた地方団体により、あるいはまたその方々の職種により差がございますことは、先ほど御指摘のあったとおりと思うのであります。私どもといたしましては、いずれにいたしましても、これは地方公務員共済制度という制度の中での運用でございます。したがいまして、それぞれの団体によりあるいはそれぞれのもともとの職種により、遺族年金の最低保障額の取り扱いにその面からの差をつけていくと申しますことは、他の公的年金、たとえば民間におきます厚生年金、あるいはその他国家公務員の取り扱い等々とのバランスもございまして、いま直ちに、いま申しましたような、もと勤務しておられました個々の実態によってそれぞれに差をつけていくということはきわめて困難であろうとは思っております。しかし、いずれにいたしましても、遺族年金の充実、いわば遺族年金の実質的な価値を今後とも高めていくということは、これは私ども非常に大切なことだろうと存じております。御案内のとおり、地方公務員の遺族年金につきましては、他の公的年金と同じように、これを二分の一ということにいたしておりますが、この率をさらに引き上げていくというのも一つの有効な方法だろうとは存じております。しかし、これにつきましても、全体的なバランスもございます。私どもといたしましては、そのようなことも踏まえまして、先生すでに御案内のとおり、老齢者でございますとかあるいは小さな子供さんを抱えておられる寡婦と言われるような、いわゆる一般的に経済的な稼得能力が弱い立場におられ、しかもその受給額が少ないという方につきましては、今回ただいま御審議をお願いいたしております改正法におきましても、その改善措置をとっていただくようにお願いをしておるわけでございます。と同時に、昨年設けられました寡婦加算制度というようなものをあわせて考えました場合には、現在百分の五十と言われております支給率は、おおむねマクロで申しまして大体百分の六十近くにまで来ておるのではないかというふうにも思うわけであります。  結論から申しまして、私どもといたしましては、いま申しましたように、それぞれの職種なり地方団体、種類、規模等によってこの差をつけることは困難であるといたしましても、これらをすべて含めまして、地方公務員共済におきます遺族年金の今後の改善ないしはその実質的な価値を高めていくという努力を続けてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  72. 細谷治嘉

    細谷委員 さすがに公務員部長だ。ただ、あれこれと物を言うからいかぬわけであって、一番確実な方法は五〇%を引き上げることですよ。政務次官、最低保障額を、五〇%を引き上げていって、いま六十ぐらいになっていると言うのですから、五〇%というのを引き上げればいいのですよ。そうじゃないですか。  そこでお尋ねいたしますが、年金というのは、それぞれ何らかの形で社会に貢献した、地方公共団体で働いた、国で働いた、こういうことから本人が積み立て、フィフティー・フィフティーの原則に基づいて年金制度が生まれておる。恩給とは違うわけですね。そうだとするならば、最低生活を保障するという生活保護法、これがありますね。遺族になりますと、核家族化が進んでいっているわけですから、老夫婦二人。そのときは退職金をもらいますよ。どっちかが死んだら、年金をもらっている方が死んだら、とたんに五〇%になるわけですよ。そして最低保障額で救われるわけですよ。生活保護というのは、とにかく国の施策として最低保障だけはしてやろう、こういうことでありますから、少なくともそれに到達しなければいかぬと思うのですよ。到達しておりますか。五〇%というのは低いのじゃないですか。生活保護になった方が得なんじゃないでしょうか。その辺、いかがですか。
  73. 石見隆三

    ○石見政府委員 遺族年金と生活保護費の比較の問題でございますが、これはそれぞれケースがございまして、一律にはお答えいたしにくいわけでございますが、その受給者の内容によりましては、実質的に、生活保護費よりも実質額において低いというような実態があることは事実でございます。
  74. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官おかしいでしょう、これ。生活保護の人よりも遺族になりますと低い。しかもこれは掛金をずっとやっているわけですね。それが低くなる。そうして、五六%も最低保障で救われるということがおかしいのであって、せんだっての参考人意見では、遺族年金というのは八〇%までにすべきであるという意見が陳述されました。生活保護と比べますと、恐らく生活保護の場合は、夫婦二人であったが一人欠けたという場合は七割ぐらいもらっているでしょう。ところが一方は五割になっちゃうわけですね。この辺は改めるのが現実的であるし、合理的であると私は思うのです。政務次官、ひとつ責任ある答弁をしていただきたい。
  75. 中山利生

    ○中山政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりまして、確かに制度が違ってそういう差が出てくる必然性はあろうかと思いますが、老後の生活の最低保障という意味で、生活保護よりもこういう遺族年金が低いということは、国民感情からしても非常に不合理なところがあろうかと思います。ただ、それが七〇%がいいのか八〇%がいいのか、あるいは五〇%が妥当なのか、また生前の夫の給与に比例する給付制度がいいのかどうかというようなこと、いろんな問題を含めて、先ほど私が御答弁申し上げましたのも、もっともっと最低生活を十分に賄えるだけの最低保障というもの、現実的な最低保障のあり方というものを、これから努力して、この地方公務員の共済制度だけではもちろんいきませんけれども、これと類似のいろんな制度と相談をしながらこの最低保障の金額を、現実の額を上げていくということに努力をしていくということが大切であろうと思います。そのように努力してまいります。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 最低保障額を給与水準なり物価水準によって改定していくことが必要でありますけれども、地方公務員共済で適用されておる組合の間にも異常な差がございます。こういう格差是正していく努力をする、そして生活保護等との不均衡、不合理、こういうものを直していく、そういうことになってまいりますと、やはりこの遺族年金についての百分の五十というのを改めるのが一番合理的であり、一番即効的であることは申し上げるまでもございません。そういう意味におきまして、ひとつ政務次官、責任を持って努力していただくように強く要請をして私の質問を終わりたいと思います。
  77. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  78. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、昨日の三谷秀治君の質疑に関して、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小川自治大臣
  79. 小川平二

    小川国務大臣 各種公的年金制度を通じてその責任官庁を明確にすべきであるという御指摘があったと承っております。その点につきましては、今後関係方面と相談し、検討することといたします。
  80. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  81. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 ただいま本案に対して大西正男君、佐藤敬治君、小川新一郎君、山本悌二郎君、三谷秀治君及び川合武君から、六党共同をもって修正案が提出されました。  この際、修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。大西正男君。     —————————————  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  82. 大西正男

    ○大西委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六党を代表いたしまして提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のように、原案においては、地方公務員共済組合が支給する年金の増額等の措置は、昭和五十二年四月一日から施行することといたしておりますが、すでにその日を経過しておりますので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  以上が、修正案の提案の趣旨及びその内容であります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  83. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  修正案については別に発言の申し出もありません。     —————————————
  84. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論を行うのでありますが、別に討論の申し出もありません。  これより採決いたします。  まず、大西正男君外五名提出の修正案の採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 起立総員。よって、大西正男君外五名提出の修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて原案は可決いたしました。  したがって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  87. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、中村弘海君、佐藤敬治君、小川新一郎君、山本悌二郎君、三谷秀治君及び川合武君から、六党共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。中村弘海君。
  88. 中村弘海

    中村(弘)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六党を代表いたしまして、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、地方公務員共済制度の一層の充実と地方公務員の退職後の生活を配慮し、次の事項についてその実現に努めるべきである。 一、地方公務員共済組合が支給する年金について、公務員給与の改定率にスライドするよう法律上の措置を講ずること。 二、年金額改定実施時期については、現職公務員の給与より一年の遅れがあるので、遅れをなくすよう特段の配慮をすること。 三、共済組合給付に要する費用について、公的負担の拡充を図るとともに負担区分のあり方について検討すること。 四、長期給付財政方式については、賦課方式の採用を含めて検討すること。 五、退職年金等の最低保障額について、引続きその引上げを図ること。 六、遺族年金給付水準の引上げについては、七〇%にするよう法律上の措置を講ずること。 七、年金額の算定の基礎となる給料を退職時の給料とするよう検討すること。 八、老齢者に対する給付について、更に充実するよう努めること。 九、高額所得者に対する年金支給のあり方について、慎重に検討すること。 十、短期給付給付水準について一層の充実を図ること。 十一、短期給付における組合員負担について、その負担能力等を十分考慮し、健康保険等の諸制度との均衡を失しないよう配慮すること。 十二、地方議会議員の年金制度について、その充実改善を図ること。 右決議する。 以上であります。  何とぞ、皆様方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  89. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  これより本動議の採決をいたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  90. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 起立総員。よって、中村弘海君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小川自治大臣。
  91. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  92. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  94. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 引き続き、内閣提出に係る銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。小川国務大臣。     —————————————  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  95. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。  この法律案は、最近における暴力団等による拳銃等の不法所持及び使用の実情にかんがみ、これらの拳銃等の供給源を封ずるため、販売を目的とした模擬銃器の所持を禁止するとともに、拳銃等の輸入禁止違反及び所持禁止違反等に対する罰則を強化することなどをその内容とするものであります。  まず、販売目的による模擬銃器の所持の禁止について御説明いたします。  模擬銃器、すなわち、金属でつくられ、かつ、拳銃、小銃、機関銃または猟銃に類似する形態等を有するもので銃砲に改造することができるものの社会的危険性にかんがみ、輸出のため、模擬銃器の製造もしくは輸出を業とする者またはその使用人が業務上所持する場合を除いては、何人も、販売の目的で模擬銃器を所持してはならないことといたしたのであります。  次に、拳銃等の輸入禁止違反、所持禁止違反等に対する罰則の強化について御説明いたします。  最近、拳銃等の密輸入事犯が著しく増加の傾向にあり、しかも、そのほとんどが暴力団等に譲渡されている実情にあります。そこで、今回、これらの密輸入事犯を防止するため、その法定刑を引き上げ、違反した者に対しては、重い刑罰をもって臨むことといたしたのであります。  また、拳銃等が不法に所持され、犯罪に使用されることを未然に防止するため、拳銃等の所持禁止違反についても法定刑を引き上げることといたしたのであります。  なお、これらの罰則の強化に関連して、銃砲の製造禁止違反についても、同様の措置が必要でありますので、附則の規定により武器等製造法の罰則の一部を改正することといたしております。  その他現行の罰金額を経済事情の変動に伴い引き上げることとするなど、所要の改正をしております。  最後に、この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することといたしておりますが、販売目的による模擬銃器の所持禁止に関する改正規定は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  96. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 次に補足説明を求めます。浅沼警察庁長官
  97. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条御説明いたします。  第一は、販売を目的とした模擬銃器の所持の禁止の規定を第二十二条の三として新設したことであります。  最近、暴力団等が金属製の玩具類拳銃を銃砲に改造する事犯が著しく増加するとともに、改造の対象が金属製の玩具類小銃、機関銃または猟銃にまで及んでいる実情にあります。  そこで、今回、この種の改造事犯の防止を図るため、金属でつくられ、かつ、拳銃、小銃、機関銃または猟銃に類似する形態及び撃発装置に相当する装置を有するもので、総理府令で定める基準に適合しない改造容易なものを模擬銃器とし、何人も販売の目的でこれを所持してはならないことといたしたのであります。  ただし、輸出のための模擬銃器の製造もしくは輸出を業とする者またはその使用人が業務上所持する場合は、その所持を認めることといたしております。  第二は、罰則の整備強化に関する第三十一条以下の改正であります。  その一は、拳銃等の輸入禁止違反に対する罰則の強化に関する第三十一条の改正であります。  この種の違反は、その危険性ないし悪性が非常に高いのでありますが、最近、暴力団等による拳銃等の密輸入事犯が著しく増加している実情にありますので、その防止を図るため、この種事犯に対しては、これまでより重い刑罰をもって臨むことといたしたのであります。  すなわち、拳銃等の輸入禁止違反につきましては、これまでの五年以下の懲役または三十万円以下の罰金を一年以上十年以下の懲役とし、営利の目的の場合は、これまでの七年以下の懲役または五十万円以下の罰金を一年以上の有期懲役または一年以上の有期懲役及び三百万円以下の罰金に、それぞれ法定刑を引き上げることといたしたのであります。  なお、これに伴い、武器等製造法の一部を附則で改正し、拳銃等の製造禁止違反の罰則をこれまでの五年以下の懲役または三十万円以下の罰金から一年以上十年以下の懲役に引き上げるとともに、新たに営利製造罪を設けてその法定刑を一年以上の有期懲役または一年以上の有期懲役及び三百万円以下の罰金とし、さらに、これらの未遂罪も処罰することといたしたのであります。  その二は、拳銃等の所持禁止違反及び偽りの方法により拳銃等の所持許可を受けることの禁止違反に対する罰則の強化に関する第三十一条の二及び第三十一条の三の改正であります。  現行法は、これらの違反について、拳銃等と猟銃の法定刑を同一に規定しているのでありますが、最近、拳銃等が暴力団等によって犯罪に使用されるなどその社会的危険性が高まってきていることにかんがみ、拳銃等の法定刑を引き上げ、猟銃より重く処罰することといたしたのであります。  すなわち、拳銃等についての法定刑をこれまでの五年以下の懲役または二十万円以下の罰金から十年以下の懲役または百万円以下の罰金に引き上げることとし、猟銃についての懲役刑は、従来と同じものとすることといたしたのであります。  その三は、販売を目的とした模擬銃器の所持の禁止に伴い、その違反に対する罰則を第三十二条第三号として、新設したことであります。  これは、銃砲に改造することができる模擬銃器の社会的危険性にかんがみ、その法定制を一年以下の懲役または二十万円以下の罰金としたのであります。  その四は、罰金額の引き上げに関する第三十一条の三以下の改正であります。  現行法における罰金額は、昭和三十三年に定められ、その後現在までほとんど改正されていないため、その後の経済事情の変動から見て実情に沿わないので、最近における他の立法例を参考として、その引き上げを行おうとするものであります。  すなわち、これまでの二十万円以下を五十万円以下に、十万円以下を三十万円以下に、五万円以下及び三万円以下を二十万円以下に、一万円以下を十万円以下にそれぞれ改めることといたしたのであります。  なお、販売の目的による模擬銃器の所持の禁止に関する改正規定は、公布の日から起算して六月を経過した日から、その他の改正規定は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することといたしております。  以上が、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の内容であります。何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。
  98. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。     —————————————
  99. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 この際、本案審査のため、本日参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君、新東京国際空港公団理事丸居幹一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  101. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上裕君。
  102. 井上裕

    井上(裕)委員 私は、銃刀法に関連いたしまして、特に新東京国際空港公団に御質問いたしたいと思います。  その前に、治安関係のベテランであり私どもの先輩でございます高村先生に、地元選出ということでまず第一陣を承りましたことに心から敬意を表したい、このように思います。ありがとうございました。  私は四月の地方行政委員会におきまして、このような今日の警備体制で、こういう事件にならないように努力いたす、それを要望いたしました。これは、昭和四十三年の三月十日、あるいはまた四十六年の、警察官が三名殉職なさった、あの当時、現在の川上知事が副知事時代、現地の本部長として、私自身県議会の土木委員長といたしまして、九月二十六日だったと思いますが、そういう生々しい事件に遭遇し、この目で見ましたので、今後あのようなことのないように御要望しておきました。  その状態で、鉄塔の撤去に当たりましては、いろいろな批判はあろうと思いますが、ほんの流血もなく一〇〇%最高のできであった、私はこのように考えていたわけであります。しかしながら、その後の問題におきまして、現在、成田市を含めたその付近住民がおののくような状態にある。この、状態は私ども非常に嘆かわしいわけでございます。  私ども新聞であるとかそういうものからの判断でございますが、妨害塔を撤去した後、そこにはゲリラが入って相当の活躍をしていた。しかも、その妨害塔を撤去したところ、直径一・五メートル、あるいは深さ八メートル、こういう徹底抗戦の構えにあったわけです。  その一つの結果として、九日の未明に、芝山の町長のお宅の前にある臨時派出所が抜き打ち的に焼き打ちを火炎びんによって行われた。そこの警察官が二名現在非常に重傷であり、数名の負傷者を出した。この前にも芝山の町長のお宅はやられておりますし、また今回こういうような状態になった。万全の警備があったと思いますが、まずこの点についてお伺いいたしたい、このように思います。
  103. 三井脩

    ○三井政府委員 三里塚におきます妨害鉄塔につきましては、過去の四十六年を初め多くの流血事件がありましたので、いまお話がございましたように、できるだけ流血の事態を回避してこれを倒すということで、撤去には成功いたしたわけでございますが、これに対しまして、現地に常駐する極左暴力集団を初め、その後応援に駆けつけたその極左暴力集団が、警察部隊に対する反撃を開始したわけでございます。  あの鉄塔を撤去して以来今日まで十六件に及ぶゲリラ的集団不法行為が起こっておりますが、その中の第一の大きな事案が、ただいまお話しの五月九日における事案でございます。  現在、この事件によりまして六名の警察官が負傷し、入院等いたしておるわけでございますが、この種ゲリラ行動につきましては、かねてそのおそれありということで、この芝山町長宅につきましては、本年一月この種ゲリラ行動によって襲われたこともありますので、臨時派出所を設置し、警察官がこれに常駐いたしまして警戒に当たっておったわけでございます。ところが、夜中、午前三時半ごろでございますが、四十名を超える極左暴力集団がヘルメット等に身を固めてひそかにこれに接近をし、派出所の窓を破る等により、火炎びんを警察官に集中的に投てきをするということにより、大変な負傷に至ったということでございまして、われわれとしては、これら事案については警戒をいたしておりましたが、さらにこの種問題につきましては、十分な警戒をして再発防止に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  104. 井上裕

    井上(裕)委員 そこで、いわゆる鉄塔をひそかにやったというようなことで、反対同盟あるいはまた反対同盟だけでなく学生の人たち、こういういろいろな問題にありまして不幸にして東山さんという方が亡くなられた。これは、私は心から御冥福をお祈りいたしたいと思います。  これに対して反対同盟が、ガス銃による直撃を受けた、こういうことを言って警察当局側を殺人罪で告訴すると言っております。また、新聞もそのような報道をしております。私どもはやはり、あくまでもそういうことはない。現在すでに司法解剖がなされたわけでありますが、この辺の結果も踏まえて、警察当局は、この東山さんの死亡に至る状況あるいはまた責任の所在、こういうものをどう考えておるか、さらにまた、私ども新聞だけでしかわかりませんので、この東山さんという方は、いままでにどういう経歴をたどっておるのか、新聞では運転手さんということになっておりますが、いわゆる反対同盟にあり、あるいは学生騒動におきますこの人は現実にどういう仕事をしていたか、こういうことも、わかるだけで結構でございますので教えていただければ幸いです。
  105. 三井脩

    ○三井政府委員 まず第一に、この東山薫さんが死亡した、こういうことでございますが、このときの状況につきましては、ただいまお話もございましたが、反対同盟等で告発をするという話もありますけれども、私たちとしては、そのときの状況等を十分に調査するということで、ただいま調査をいたしておりますその過程でありますので、どういう状況であったかということをただいま申し上げるところまで調査は進んでおりません。目下その調査中であるということでございます。  ところで、先ほど申し上げましたが、十六件のゲリラ的集団不法行為のうち最たるものが五月九日の事案であり、それと同等もしくはそれ以上に凶悪な集団暴行、暴力事件というのが五月八日に発生したわけでございます。  反対同盟が言うところによりますと、この人は五月八日の午前十一時過ぎに負傷した、こういうことでありますが、この時点でありますと、第五ゲート前に近い千代田農協前の空き地で集会をやるということで、当日、最高時二千七百名が集まる集会があったわけであります。これは午後でありますが、これに先立ちまして十一時ごろから、極左暴力集団の一部、これは第四インターが中核になっておりますけれども、五百五十名が団結小屋等を出発いたしまして、車両三台を用いて警察部隊に近づいてきたわけであります。そのうちの一台は投石用の石あるいは鉄パイプ等を満載いたしたわけでありまして、これは後に彼らが投石に使った石を調べてみますと、個数において約一万個、二トントラックいっぱいという状況で、それを押収しておるわけでありますが、その車にさらに乗用車二台、これはナンバー等を外したものでありますが、これに火炎びんを積み、そして火を噴かせ火をかけて警察部隊に無人のまま突入させる、こういう事案があったわけであります。  同時に、それと並行して鉄パイプによって警察部隊にぶつかる、あるいは石を無数に投げる、さらには、クロルピクリンという農薬を警察部隊に数十本投げております。これにより警察官の窒息状態等の被害が生じておるわけでありますが、こういう状態で約二百二十名の警察部隊が現地の警備の配置についておりましたが、その五百五十名の極左暴力集団の襲撃によりまして身に危険を感ずるという状態でありましたので、大盾等によって投石等を防ぐとともに、催涙ガス筒を発射することによって現場鎮圧並びに犯人の逮捕、検挙、そしてわが身を守る、こういう活動をいたしたわけでございます。  この現場におきまして警察官百二十五名が重軽傷を負っておりますし、また、犯人はこの現場だけで二十五名を検挙いたしておりますが、ただいまの状況はまさに殺人行為を含む凶悪犯罪と考えますので、逮捕いたしました二十五名のうち、事案が明らかになりました十六名につきましては、殺人未遂という罪名でもって検察庁に送致をしたというのがこの状況でありますので、東山氏自身の負傷の状況は目下調査中でありますので、その詳細はわかりかねますけれども、ただいま申し上げたような状況の中で警察官が活動した、こういうことでございます。  なお、お尋ねの東山氏はどういう人かということでありますが、これは四十七年五月ころから現地に常駐し、団結小屋に住み込んでおる人でございまして、大学中退をされた人でありますが、先日倒しました第二鉄塔の見張り小屋に交代で見張りに詰めておるという人でありまして、今回、今月も同様な活動をしておったということをわれわれは現認をいたしております。  それでは、当日、本人はどういうことでありましたかといいますと、一部、救護所におったとかというようないろいろの言い方もありますけれども、本人は、ただいま申しました暴力行為を行った五百五十名の集団の一員でありまして、この集団の到着する前から現地において同僚等を使って指揮をいたしておりまして、先ほど申しました大量の投石用の石を現地に運び込むことにつきましても、本人が指揮をしておった様子がうかがわれる、こういう人物でございます。  以上でございます。
  106. 井上裕

    井上(裕)委員 いまの局長さんのお答えで概要わかったわけですが、現在、このガス銃の水平撃ちが過剰警備である、こういう批判をしきりに浴びているわけです。これが原因だと思いますが……。そこで、私どももガス銃というものは撃ってはいけないということはよくわかりますが、しかし、前にも言いましたように、第二次執行のときのあのゲリラの状態を見るとき、警察官も人間ですので、やはり自分自身の体を守る、身の危険を感じるということで銃を使ったのか、あるいはまた、これまた報道では、女、子供がいたところで、しかも無抵抗の集会場でガス銃が発射された、こういうことが報道されておりますが、これが事実であれば、私はやはり警察にも手落ちがあったのではないか、このように思いますが、いずれにいたしましても、その辺の事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  107. 三井脩

    ○三井政府委員 まずガス銃の使用でございますが、催涙ガス筒発射器というのが正式の名称でございますけれども、俗称ガス銃と仮に申しますと、これの使用は、申すまでもなく、その使用根拠が法にのっとっておる、同時に、現場の状況から見てその使用が法に基づくほか、妥当適切であったかどうか、こういうことが要求されるわけでありまして、われわれとしましては、そういう適法かつ妥当な使い方について平素から訓練をしておるところでございます。  ところで、今回の状況につきましては、ただいま状況は申し上げたわけでありますけれども、これを法に即して申しますと、ガス筒自身は、発射いたしますと催涙ガスが出まして、一過性の涙を流させるということによって相手方の行動を鈍らせ、そしてまた、違法行動の意欲を減殺するということを目的としたいわゆる警備に使う——警備以外でも使えるわけでありますけれども、一種の用具ということでございます。警察官は、そのほかに拳銃という武器を一般に持っておるわけでありますけれども、この警備現場におきますガス銃の使い方について申しますと、相手方を、ガスを使うことによって制圧あるいは規制をするというための使用が一つございます。もう一つは、先ほど申しました警察官自身が自分の命の危険を感ずる、こういう状態のときには警察官は警職法第七条によりまして武器を使用することができる、武器使用の要件は、正当防衛、緊急避難、そうして警察職務執行の場合に二つの要件がございますが、四つの場合があるわけでございます。  今回の使用は主として正当防衛、個々の隊員が自分の身、命を守るための正当防衛行為としてのガスの使用と、それからもう一つは、凶悪犯人を制圧をする、逮捕をする場合に他に適当な手段がない場合には武器を使用していい、そしてかつ、相手方に危害を与えてもそのことは適法であるという警職法第七条ただし書き並びに第一号の規定によりまして使用したものでございます。したがいまして、当時の状況及び法的根拠、いずれから見ましても適法かつ妥当であると考えております。  なお、女、子供のおるところにガス筒を発射したのではないか、こういう御指摘でございますが、その種のことはございません。ただいま申しましたように、彼らは第五ゲートに近い千代田農協の広場におきまして集会をしたわけでありますが、さらに、それを離れたところで五百五十名が配置についておる警察部隊に突っ込んできた、こういうことでございます。集会場の外にまた若干のスペースがありますので、そういうところにも、この相手方の行動の中ではガス銃を撃ったということはございますが、あくまでも五百五十名の集団に対しまして撃ったのでございまして、女、子供に対して撃ったというようなことはないわけでございます。
  108. 井上裕

    井上(裕)委員 投石あるいはまた劇物を投げる、あるいはまた火炎びんの中で撃った警察官のガス銃、いま局長のお話で私は過剰警備でないということがわかったわけです。しかし、けさの日本経済新聞によりますと、司法解剖は特別公務員陵虐致死罪、舌をかむようなむずかしい名前で、私は法律は素人でございますが、こういう罪名はどういうものであるかよくわかりませんが、この新聞の解説程度によりますと、どうも私ども考えている罪名から受ける感じは、警備に当たっていた警察官により暴行され死に至った、こういうことを私ども素人で解釈するわけでございますが、こういう報道が事実ならこれはやはり大変なことであろうと思いますが、この点もひとつ御答弁を願いたい、このように考えております。  大変恐縮ですが、与えられた時間が四十五分でございますので、私、質問を続けさせていただきます。  さらに、この状態におきまして、当局としてなぜ東山さんの令状を請求しなかったか、当初私は、被疑者不詳による傷害致死と聞いていました。そうでなければ、この現場の生命、自分たちが第一線で働いていく警察官として非常に警備に対する自信もなくするのではなかろうか、このようにも考えます。こういう二点についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  109. 小川平二

    小川国務大臣 お答えいたします。  東山氏の解剖に使用しました鑑定処分許可状につきましては、千葉地検が千葉地裁から発付を受けたものでございます。千葉地検がただいま御指摘のあったような罪名を使用したことにつきましては、警察当局においてこの罪を認めたためのものではなく、単なる手続上の問題であると聞いておりますが、それにいたしましても、世間に対し誤解を与え、さらにまた第一線の警察官の立場を考えまするとき、率直に申して、私自身釈然たらざるものを覚えておるわけでございます。  御質疑の後段につきましては、警察の当局からお答えを申し上げます。
  110. 三井脩

    ○三井政府委員 この本件東山氏の死亡事案につきましての捜査をどうするかということにつきましては、反対同盟では警察が加害者であるように言っておりますので、警察において、たとえば解剖のための令状をとり、やるということよりは、警察でない、同じ捜査機関でありますけれども、検察庁においてやっていただく方がより適切であろうというように判断をいたしまして、地検と相談の上、地検においてやっていただくことにいたしたわけでございます。  なお、いま大臣から請求云々というようなことがございましたけれども、それにつきましては法務省のことでございますが、法務省からわれわれも伺っておりますけれども、法務省から直接お答えいたした方が適切か、このように考えております。
  111. 井上裕

    井上(裕)委員 このことにつきまして、私どもやはりいま言ったように素人でわかりませんが、陵虐罪というのですか、こういうことにつきましては、あるいはまた令状の状態、そういうものも法務省の方がおいででしたらひとつお答え願いたい。
  112. 石山陽

    ○石山説明員 お答えをいたします。  けさほど、日本経済新聞先生御指摘のような記事が載りましたことは私どもも承知いたしておりますが、記事全般のことについてとやかく申し上げるつもりはございませんが、あの中で、検察当局が少なくとも東山氏の死亡の原因について、いわゆる特別公務員としての警察官が現段階において犯行を行ったものである被疑事実が濃厚との心証を得た上で、そのような令状を請求したと思われるような記載があります部分につきましては、決してさようなことはないということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  ただいま警察御当局の方からも御説明がありましたように、令状請求という観点におきましては、これは令状請求事務も、御承知のとおり、検察といたしましては犯罪捜査という観点から、果たして何ぴとの犯行であるのか、あるいはそのような犯罪行為によるものであったとしても、それが正当づけられる根拠、契機があるのかどうかという観点から、検察当局といたしましても、いわゆる客観的な事情をそのまま考えまして、予断にとらわれることなく捜査すべきであるという大原則は決して守らないわけではございません。その意味におきまして、本件の令状請求の際には、当時集まりましたいろいな疎明資料とか当時の客観的な事情とか、そういう点を全部考慮しまして、もっぱら手続的な観点からそのような罪名に落ちつけることに、具体的な令状請求の過程におきましてそういうふうに決着をしたというふうにとりあえずの報告を受けておるという次第でございます。
  113. 井上裕

    井上(裕)委員 時間がありませんので前段に少し戻らせていただきますが、反対派によりますと、鉄塔の撤去というものが、強制執行は不法な暴挙である、撤去が合法とすればこの検証はどういう罪になるのか、さらにまた空港完成後五年になりますが、なぜ今日までこの鉄塔が長年にわたり放置しておられたのか、あるいはまた現実にこれまた私自身この目で見ましたが、跡地に、鉄塔を取ったところに新たに立てた木製のやぐら、これを法的に速やかに撤去することはできないものか、この三点にわたってひとつ御質問いたしたいと思います。
  114. 三井脩

    ○三井政府委員 まず第一点の鉄塔撤去の適法性でございますが、申すまでもなく、これは千葉地方裁判所の決定によりこれを千葉地方裁判所の執行官が執行いたしたわけでありまして、警察はそれの警備をした、そして執行官の援助要請に基づき、これに協力をしたというものでありまして、あくまでも裁判官の命令並びに民事訴訟法、この場合民事訴訟法でございますが、これに基づいたものでありますから、適法であることは全く疑問の余地はございません。  第二点の、それではそれに先立つ検証の問題でございますが、検証は申すまでもなく犯罪の容疑がありますので、その犯罪の証拠保全のために行う強制捜査の一つの行為、これが検証でございます。この鉄塔は、すでに数年前から立てられたわけでありますが、これは航空法四十九条違反の物件であります。したがいまして、犯罪はもう数年前に立てられたときから成立しておるということになるわけでありますが、空港の開港の時期その他から、被害者に当たります空港公団の告発の意思、意向というものをわれわれは十分勘案しながら、今日まで航空法四十九条違反の点については考慮し、考え措置をしてまいったわけでありますが、いよいよ仮処分でこれは撤去、取り払われてしまうということになりますと、証拠が散逸いたしますので、これをぎりぎりこの際、証拠を保全するためにやっておかなければいかぬということでやったわけでございます。  それで第三点の、その跡に立てられましたやぐら、木製のやぐらでございますが、航空法によりますと、あのやぐらの立っておる位置から申しますと、大ざっぱに申しまして大体二十一メートルを超える高さのものはいかぬ、違法になる。それに満たないものは、ただそれだけでは航空法四十九条違反にならない。他の事情が加わってまいりますと、また威力業務妨害その他の航空危険罪等のいろいろの要素が出てくると思いますが、いまの状態でただ立っておるという段階でまだ直ちに違法と言えない。しかも立っておる敷地が公団のものでない、こういうことでございますので、この状況をわれわれは十分関心を持っておりまして、違法の事態にわたるようなことがあれば直ちに取り締まりをするというつもりで見ております。
  115. 井上裕

    井上(裕)委員 四十六年の第二次執行のときと現在の状態、当時、私どもはその四十六年のときは火炎びんなどはなかったと思います。そしてまた、今回この撤去後のゲリラ活動、それが警察といたしましてどの程度把握しているのか、あるいは検挙人員あるいは負傷者数、そういうものを、わかった範囲で結構ですからお知らせ願いたいと思います。
  116. 三井脩

    ○三井政府委員 詳細の数字はまたあれでございますが、検挙者並びに負傷者は数千名に及ぶ。死亡三名を含めて三千四、五百名の警察官が負傷しておるというわけでございます。検挙者につきましても、千名を超える検挙者を現在まで出しております。  今回だけをとりましても、すでに現地においてこの一週間足らずの間に七十四名現行犯逮捕しており、先ほど申しましたように殺人未遂を含むわけでありますが、なおここにおきましては一日最高の動員が約三千名、今日まで延べ六千名を超える各種暴力集団が現地において行動しておる状況でございます。
  117. 井上裕

    井上(裕)委員 これまた私どもは素人ですが、たとえば成田の京成駅をおりる、あるいはまた車で来るというときに、もうすでに凶器とも思えるものを持っている、そういうことに対して法律で、集合準備罪というのですか、何とかむずかしいあれがあると思いますが、そういうもので、最初にそれをもう持っておるということで検挙できないものか、いわゆるこういう状態になる前に未然に妨げないものか、そういうことを私どもむしろ警察としてちょっとなまぬるいのじゃないかというような感じを抱くわけです。いま四十三年三月十日の毎日新聞記事を見ますと、混乱で成田の町は商店街とか大変迷惑をこうむっておる。駅で乱闘をやられる。その前に未然に防げないものかということも、私ども素人考えですがそういうことを強く考えるわけでございます。そこで、いわゆるゲリラというものが私どもの想像以上に見ず知らずの人のところへ火災びんを投げたり、見ず知らずの人たち、特にこの空港に全然関係のない人たちが犠牲になっている、こういうことを考えますときに、同じ人間としてこういうことができるものかどうか、こういうことを考えるわけです。十一日に空港周辺から現実に過激派が姿を消しているということを言われておりますが、私どもはいま静かなときがなお不気味であるような感じを抱くわけです。鉄塔を除去したときは、私は裁判所の処置であるとかあるいは空港公団——現実に当日、空港公団の理事でさえその撤去を知らなかった。これは事実です。また、第一線の相当の警察の幹部の方もこの事実を知らなかった。これは私は、流血の惨事を免れたということで、最大の、百点満点ということをよく言うのですが、そのとおりであろうと思います。しかしながら、取ったと同時に、どこから集まるかわからない過激派がどんどん数をふやす。成田、芝山にいわゆる常駐するゲリラの人たちの数と、中核であるとか革マルであるとか専門用語がありますが、どういうような方々が成田におったか、その点もわかりましたらひとつお知らせ願いたい、このように思います。
  118. 三井脩

    ○三井政府委員 極左暴力集団が成田における闘争のために全国各地からやってまいりまして、地元の市並びに町等に大変迷惑をかけておるということでありますが、これにつきましては、御指摘の凶器準備集合罪というのがありまして、複数の人間が加害の目的を持ちまして凶器を持っておる場合にはその罪に当たるわけでございますから、私たちは駅頭その他の場所におきまして強力な検問をやって、逮捕する。また、加害目的という点が当時の状況によって必ずしも明白でないという場合には、凶器準備集合罪になるかどうかという点にやや疑問が生じますので、そのときには説得をいたしましてこれを預かる、こういうことをやっておるわけでございます。ただ、結果から申しますと、この凶器の取り上げ、預かり並びに凶器準備集合罪による検挙がまだまだ十分でない。もっと強力にやるべきであるという点を痛感しておるわけでございます。  それから次に、現地に常駐しておる連中でありますが、通常百名。しかし、四月十七日に一万二千名近いものを集めまして、そのうち五千五百名が極左暴力集団でございますけれども、この集会以後は常駐の数をもっとふやしております。したがいまして、五月六日、鉄塔撤去仮処分当日は約百三十名が現地に常駐しておったものと見ておりますが、その後の動員を含めまして、当日約九百名が現地に来たということでございます。ただいまのところだんだん減ってまいりまして、現在は二百六十名が現地に常駐しております。この推移を十分見ておるわけでございますが、そのセクトは中核派並びに第四インターというのが中心でありまして、その他もろもろのいわゆる雑派というものがおりますが、中心はこれでございます。  なお、お話がありました革マルは現地に参加したいと言いましたけれども、いままで余り参加しておりませんので、いまさら来られても困るということで反対同盟に拒否されて、現地には来ておりません。しかしながら、それ以外のところでやるというような動きを示しておるわけであります。いずれにいたしましても私は、こういう極左暴力集団が現地に常駐し、かつ現地で凶器等を調達して暴力行動を起こしますについては、これを指導、激励しておる反対同盟の委員長の言動が大変影響があり、ことしの一月には、警察官は十名ぐらい死んでもらうとか、二、三百名警察官は死んでもやむを得ないというようなことをこういう常駐の連中を集めた集会でしばしば言っておる、こういうことが大変影響しておるという点についても注目しておるところでございます。
  119. 井上裕

    井上(裕)委員 時間がありませんので、さらにまた、この成田空港あるいはまた治安全般について、私の先輩の高村先生が詳しく御質問するそうでございます。  私は、いま局長からいろいろな答弁を聞きました。しかし、先ほど来言われておるように、むずかしい名前の罪人扱いされるということになりますと、第一線の警察官が自分の身を守ろうとして不幸にしてああいう結果になりますと、自分たちの生命を守ろうとしてやったことがそういうような状態になりますと、士気にも影響する、このように考えます。しかも、これまた報道によりますと、いわゆる機動隊といって特別訓練を受けたという方々、この方々は体も丈夫であり、また速やかだ。しかしながら、外勤の巡査あるいはまた交通警察官が、反対同盟の方々あるいはそういう一連の学徒の人たちあるいはまた恐らく学校へ行っていないOB、このいわゆるゲリラ、こういう数が多いために、警察としても特別訓練を受けなかったいわゆる機動隊でない人たちがこの警護に当たる、そういうところに、第一線の幹部の方も認めておりますように、負傷者あるいは犠牲者が出る。これは私、非常にかわいそうなことであろうと思います。  そういうことで、今回東山さんが亡くなって本当にお気の毒です。東山さんも人の子なら、この前亡くなった三名の警察官もこれも人の子である。そういうことを考えますときに、ああいうような状態のないように警備に万全を期して、しかも過剰警備であるとかいろいろなことを言われておりますが、自分たちの進めるところでぜひこの警備体制の万全を期してもらいたい、このように私は望みまして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  120. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 高村坂彦君
  121. 高村坂彦

    ○高村委員 本日提案されました銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正について、一部のモデルガン業者及び愛好者が訴訟を起こしているというお話を聞いたのでありますが、よく聞いてみますと、法律改正について国会で審議してはならないというまことに驚くべき内容でありまして、こういう訴訟があり得るのかと実は奇異に感じておる次第であります。  具体的に申しますと、衆議院議長保利茂、参議院議長河野謙三、衆議院地方行政委員長地崎宇三郎の各氏は被告とされており、銃刀法を改正する法律案国会で可決する議事進行をしてはならないという裁判を要求されているようであります。このような国会を無視した話はないと思いますが、このことについて被告となっておられる当地方行政委員会委員長であられる地崎委員長におかれましては、どういう見解を持っていらっしゃいますか、まずお伺いいたしたいと思います。  なおまた、憲法上、立法権と司法権との関係考えますと、このような訴訟はあり得ないと考えられますが、この点について法制局の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  122. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 私の見解を申し上げます。  本年一月、原告神保勉外十一名の方々から東京地方裁判所民事部に損害賠償等請求事件の訴状が提出されました。その請求の趣旨は、国、警察庁長官等に対し、損害賠償を請求するとともに、銃砲刀剣類所持等取締法改正作業を進めてはならない、また、改正法律案国会に提出してはならないとし、さらに、衆参両院議長及び衆議院地方行政委員会委員長に対し、同改正法律案国会で可決する議事進行をしてはならない」との裁判並びに仮執行の宣言を求めるというものであります。その理由は、「憲法違反の法律案の提出を受けてこれを可決すべく議事進行をはかる危険がある」のでその違憲行為の差しとめを請求するものとしております。  本件に対する私の見解を述べますと、国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関であり、両議院の議員は議院で行った演説、討論または表決について院外で責任を問われないことは憲法上も明らかであり、国会及びその機関である当委員会法律案審議に関しては何人の制約も受けることのないことは自明の理であり、本件訴訟は当然却下されるべきものと考えます。  日本国憲法がとっている立法、行政、司法の三権分立制度のもとにおいて、司法裁判所はいまだ成立、施行されていない法律について審査する権限は認められていないし、国会における議事進行を差しとめるがごときは司法裁判所の権限外の事項と考えます。  なお、本件につきましては、現在指定代理人に委任いたしまして訴訟を遂行しておりますが、本件のような訴状が裁判所において受理されること自体にも問題があると思われますので、何らかの手段を講じていくように検討してまいりたいと思います。
  123. 味村治

    ○味村政府委員 日本国憲法は三権分立の制度をとっておりまして、立法、司法、行政はそれぞれ独立してその職務を遂行するということに相なっておるわけでございます。もちろん、その間に相互の関連が生じないというわけではございません。たとえば立法につきまして、法律が成立いたしました後でそれが憲法に違反するかどうかということの違憲立法審査権は、これは裁判所が持っておるというように、その相互に関連はございます。  しかし、立法は国会の専権事項でございまして、どのような法律を制定するかということは国会の専権事項になっておりまして、それに関しましては司法は介入することができない、このように存じます。  したがいまして、特定の法律案の成立を差しとめるというような訴訟は不適法である、このように考えております。
  124. 高村坂彦

    ○高村委員 大体委員長のお考え、また法制局の御解釈はわかりましたが、委員長のお言葉にもありましたように、裁判所がこれを受理したということに対して、そういったものは一応受理しなければならぬのか。われわれ素人ですけれども、受理すべきでないと考えるべきじゃないかと思いますが、法制局の方はその点ではどうお考えになりますか。
  125. 味村治

    ○味村政府委員 具体的な事件につきましては、裁判所で係属中でございますので、差し控えさせていただきたいのでございますが、ごく一般論として申し上げますと、訴状の内容がいかにもおかしい、これはもう本来司法権の作用の範囲内に属しないというようなものでございましても、一たん受け付けばいたしまして、そしてその訴状の内容を見まして、それが不適法であれば却下するというのが裁判所の取り扱いでございます。つまり、訴状の内容を見ませんと、不適法かどうかということがわからないということでございます。
  126. 高村坂彦

    ○高村委員 それでは、先ほど井上議員からお尋ねのございましたことに対して、補充的にお尋ねをいたしたいと思います。  いろいろ伺っておりまして、私どもはあの新聞記事あるいはテレビ放送等を見ていまして、恐らく素朴な国民から言いましても、大変なことが起きている、いやしくも法治国家においてああいったことが堂々と行われるということに対しては、私はだれしも常識考えられないことが起きているというふうに感ずるだろうと思います。もちろん利害関係の直接ある方々が法律の範囲におきましていろいろな反対の運動をされることは当然でありますけれども、しかし、ほとんど関係のないような人が、先ほどのお言葉をかりますと左翼暴力集団、こういったものが数千人が乗り込んでいって、そうして妨害をする、そのために警察官からも、またそういう方々からも重軽傷者を出している、これは大変なことだと思いますが、私ちょっと疑問に思いますのは、なぜそういう左翼暴力集団の方がそういうところに乗り込んでそういうことをやられるのか、何かほかに目的があるのではないかとさえ考えられるのでありますが、一体この第四インターでございますとかあるいは中核派といったような団体の綱領といいますか、あるいは目的というか、あるいはどのぐらいの勢力を持っているといったようなことについて、お調べがついておればお教えをいただきたいと存じます。
  127. 三井脩

    ○三井政府委員 中核派、それから第四インター日本支部、その他幾つも極左暴力集団のセクトがあるわけでございまして、五流二十派とか、今日では五流三十派とかいう数でございまして、しかもそのセクトがそれぞれに綱領、規約を持っておるものもあれば、そういうものを備えないものもある、それから政治団体を持っておるものもあれば、学生及び労働者の組織だけであるというようなものもあり、千差万別でございますが、その代表的なものとしてお挙げになりました中核派並びに第四インターは、いずれもわが国における共産主義革命を目標として活動する、こういう団体でございます。その中で、とりわけ中核派の場合は、既存の左翼勢力、左翼政治団体とは絶縁をいたしまして、独自のやり方で革命を目指すというものでございます。第四インターの方は、その中で、どちらかといいますと、外国の革命勢力と連携をしてやっていこうということで、日本支部というような名で示されておるわけでございます。  なお、人数につきましては、中核派が一番多いわけでございますが、全国でおおむね四千名ぐらいの勢力であります。成田の現地におきましては千二、三百名を集めるということで、一つのセクトとしては中核派が最高の勢力を誇っておるというものでございます。  第四インターは、全体の数といたしましては二千名そこそこの勢力でございますけれども、成田の現地だけをとってみますと、革マル派が中核の対抗勢力として一番大きくかつ強いわけでありますけれども先ほど申しましたような理由で革マルは成田の現地闘争をいたしませんので、第二番目は成田では第四インターである、こういうことになりまして、中核派がゲリラ行動を夜間ひそかにやるということを主たる戦術とするのに対しまして、第四インターの方は警察部隊に正面からぶつかってくるという集団暴力行動を現在の戦術の基調にしておるわけでございます。もとよりこれもまたゲリラ的な行動をやるということも考え、かつやるわけでございますが、ただいまのところこういう状況であるという実情でございます。
  128. 高村坂彦

    ○高村委員 団体等の性格あるいは勢力等を伺ったわけでありますが、いまお話しのごとく、共産革命をやるという目的でできている団体ということになりますと、成田空港でのああした凶器を持っての警察官に対する抵抗といったようなものは、単なる成田空港の完成を阻止するということよりも、これはむしろ一つの名目であって、他に目的を持って、その一つの演習といいますか、そういうふうな動きじゃないかといったような見方をする人もあるわけでございます。特に第四インターは相当凶器を持っておったということですが、その凶器はどのぐらい持っておったか、おわかりになればそれもあわせてお教えをいただきたいと思います。
  129. 三井脩

    ○三井政府委員 いまお話しのように、成田において極左暴力集団が行動いたしますのは、いわゆる空港ができることに伴う騒音その他の公害に対する反対というような、今日よくある公害反対闘争ということがねらいではなくて、革命を目標としておりますので、あの空港がやがて軍事目的に使われるのではないか、だから反対するんだ、こういう言い方をしておるわけでございます。  なお、いま御指摘の第四インターがどれだけ凶器を持って行動しておるかということでありますが、これは今日、成田における中核に対応する新興の勢力でありますけれども先ほど申し述べました五月八日のあの第五ゲート付近での事案だけを取り上げてみますと、ここで準備いたしましたのは鉄パイプが約百本で、火炎びんは五百本、トラック二トン車一台分の石、個数において約一万個並びに劇薬クロルピクリン、これはこれを吸い込むと窒息するわけですが、これが数十本、それから自動車に火炎びんを積んで暴走させるいわゆる火炎自動車あるいは火炎車というわけでありますが、これが二台というのが現場において現認をし確認をした数でございます。
  130. 高村坂彦

    ○高村委員 きわめて常識的に考えますというと、法治国家においては自分たちの権利を擁護をするためには実力は行使できないというのが大原則じゃないかと思いますね。実力が行使できる場合には、特に法律に規定がある、たとえば正当防衛であるとかあるいは緊急避難であるとかということでありますが、こういう凶器まで持って、しかもいまお話があったような意図を持って大衆が集まってくるというふうなことになれば、これは単なるデモでもないわけですね。こういう者に対して厳格に規制する、先ほど凶器準備集合罪ですか、われわれ素人が考えると、そういうのを持って集まること自体すでにそういう法規に触れるのではないかと思いますが、そうであれば集合する前に何とか制圧できなかったものであろうかと思います。その辺、なかなかむずかしい法律上の解釈でもあるのでございましょうか、お教えをいただければと思います。
  131. 三井脩

    ○三井政府委員 法律上と事実上と両面がございます。法律上で申しますと、凶器準備集合罪は、多数が集合して加害目的で凶器を持っておる、こういうことでございまして、持っておる物が鉄パイプ等でありますと、これは凶器であろうということは明瞭でありますけれども、多数持っておるか、多数が一緒におるかということについては問題でございまして、ただ一人持っておるというときですとこれは凶器準備集合罪に当たらない。それから同時に、警察におきまして検問等職務質問をいたしまして、こういう物をできるだけ預かる、あるいは取り上げる、こういうことをいたしておりますので、一般のトラックに輸送だけを頼む、こういうことになりますと、検問でこれを発見いたしまして、鉄パイプは凶器に使われるのではないかと思いましても、運転手はそういうことは情を知らない。しかも鉄パイプといいましても、ごくその辺にあるありきたりの鉄パイプ、こういう工事用のパイプということになりますと、その状態で直ちに凶器と認定するに困難な状況もあるということはございます。ただし現場と接着した場所であるとか、時期的に接着しておるとか、諸般の状況から見て、そういう場合であっても、凶器性明白ということで措置できる場合もありますけれども、法的に言えば、そういう難点がなきにしもあらずという点が一点でございます。  もう一点は、いまの中にも含まれておりますけれども、擬装して、その法の構成要件に当たらないように情を知らない人を頼むということと、もう一つは現地で調達する。現地へ運ぶときには、なるほどさっき言いましたように工事用に運ぶとかいろいろな方法で運ぶわけでありまして、また竹やりに使える竹ざお等は現地で調達するということでありますので、検問をする場所、時間といったゆとりがない、こういうような点が問題がありますし、またトラック一杯の石というものも、これは当然に凶器でありますけれども、現地調達であるために、ぶつかるときは本番で、それ以前に措置できない、こういうような事実上の難点があるというところが問題点でございます。われわれといたしましては、そういう点につきましても地元の一般の善良な方々の御協力を得まして、できるだけ早い時期に検問、検索等を行いまして、それが隠してある場所を発見してこれを押収するということに努めておるわけで、五月八日の場合にも、石のいっぱい入った肥料袋を五十一袋であるとか、それからまた竹やりに使われる竹を数十本、これを検索の結果押収しておる、こういうような努力をしておるわけでございます。
  132. 高村坂彦

    ○高村委員 ごく素朴に考えますと、あれだけの凶器を持って何百人、何千人という人が集まっておるその事態はすでに凶器準備集合罪ですか、そういうものに当たって、もうすでに犯罪の態様と見ていいんじゃないかと思いますが、そういうことに対して、ひとつお考えを伺いたいと思います。それならばもう現行犯としてすぐ逮捕できるのじゃないかというふうに思います。  それからまた第四インターというものが国際組織の日本支部であるということを伺いましたが、私はどうも、これだけの人を動員して何日も泊まり込んだりするというようなことになれば相当の経費が要るのじゃないか、活動資金というものを必要とするのじゃないかと思いますが、第四インターが日本の支部ということになれば、国際的に背後からそういった資金でも来ているということがあり得るのか全然ないのかどうか。その辺の何か情報でもお持ちでございますればお伺いいたしたいと存じます。
  133. 三井脩

    ○三井政府委員 まず凶器を持って集団で行動するというそのこと自体が犯罪でございます。したがいまして今回の場合もそういう違法な状態を回避するべく警察部隊が配置についておった、その警察部隊に対して彼らは攻撃をかけてきた、こういうのが今回の五月八日の事案の性質でございます。  次に資金の関係でございますが、極左暴力集団各セクトとも資金の点については比較的豊富でございまして、数千万円をかけて事務所を借りるとかいうようなことをやっておるセクトもあるわけでございまして、私たちとしてはそういう活動の資金がどこから出ておるかということはかねてからの関心事でございます。しかしながら、今日こういう経済の状態のせいでもあろうと思いますけれども、極左暴力集団は第二次安保闘争当時は学生がその大部分を占めておりましたので、大学の自治会の主導権を握っておる者はそこから資金を入手するということが中心でありましたが、今日は一般学生はそういうことについては必ずしも関心を持っておらない、違法行為については関心を持たない、こういうことでありますので、多くはいわゆる労働者でありまして、労働者の方がその大部分を占めておる。したがって、こういう人たちはそれぞれ本職並びにアルバイト的な職業等を持っておりまして、その中から月々二、三万円ずつ組織に上納するとかあるいはボーナスから上納するとかというような、セクトによってその金額、方法等は違いますけれども、簡単に申しますと会費あるいは同盟費並びに資金カンパというのが中心でございます。第四インターにつきましては、その幹部は外国へも出張するということをやっておりますので、あるいはそういうことから資金が外から来ているというようなことも考えられるわけでありますけれども、私たちとしてはそういう点について、現在までのところ確たる資料、証拠を持っておらない、残念ながらそういうような実情でございます。
  134. 高村坂彦

    ○高村委員 最後にお尋ねいたしますが、新聞等の報道や先ほどからの御答弁にもありましたように、殺人といったようなことで警察当局を告訴しているという事実がございます。私どもそういうことはあり得ないと思いますが、いろいろなことを伺ってみましても、もうすでに犯罪を行いつつある集団であるということを考えましても、その辺のことはなかなか納得できませんが、人の死という厳粛な事実、これはわれわれも厳粛に考えなければなりませんが、特にそういう犯罪がこういう事実をもって成立しているということのしっかりした認識を持たないで、われわれもこの前も経験してきたのですが、すぐそういった訴訟に訴えるということがよくあるわけですね。これは事実に基づかないことであれば謹告罪なんというものが成立するわけです。万一事実に反することに基づいて告訴でもされたといった場合で謹告罪が成立するといったような見込みが立った場合には、それに対して適切な措置をとるといったようなお考えはございますでしょうか。
  135. 三井脩

    ○三井政府委員 その告訴、告発の内容、それからその後の捜査の状況その他によりまして、そういう措置を考慮してまいりたいというふうに考えます。
  136. 高村坂彦

    ○高村委員 以上で警察当局に対するお尋ねを終わりたいと思いますが、実は今回のいわゆる過激集団の中には、むしろ労働者の方が多くて学生が少ないようにいま御答弁でございましたが、とかく学生ということが言われているわけですね。相当学生もおるようにわれわれも承知しておるわけですが、学生がこういった暴力集団に入るということに対しては一般国民からいうと非常に奇異に感ずる。これは大学紛争等でいろいろなことがありましたけれども、大体おさまったんじゃないかというようなときにこうしたことを見まして、実は非常に奇異に感ずる。いやしくも次代を背負う最高学府の学生等が中心になってそうしたことを堂々とやられるということに対しては、私は父兄としても非常に心配していると思います。  そこで、文部省としてそういう問題についてどういうふうに考えておられるか、どういう対策を講じようとしておられるか、ひとつお尋ねをいたしたいと存じます。
  137. 浪貝一良

    浪貝説明員 現在の民主主義社会におきましては、理由のいかんを問わず暴力は絶対に容認されるべきではないということは当然でございまして、特に学問の府たる大学におきまして、学問の研さんに励むことを本分といたしております学生による暴力事件が多数発生しているということは、きわめて遺憾に存じております。  文部省といたしましては、従来から暴力行為の根絶について、あるいは在籍者の指導管理の厳正について、これは長期欠席者とかあるいは就学が定かならざる者、そういった者の実態を把握いたしまして、それに応じた指導管理をするということでございますが、そういった在籍者の指導管理の厳正について等の通達あるいは学長会議、学生部長会議等の機会をとらえまして、各大学に対しまして努力を促してきております。  今回の事件の発生に際しましても、当該事件に係る学生が所属していると思われる主要な大学に対しましては、さらに在籍学生の指導管理について努力するよう指導しているところでございます。  なお、今回そういうことはなかったわけでございますけれども、過去におきまして大学の諸施設等が彼らの基地として使われたという実例がございますので、特に東京近辺の大学に対しましては、大学がみだりに学生その他の者の宿泊等の場として利用されないよう、また薬品等の危険物の厳正な管理、また鉄パイプ、角材等の凶器を学内に持ち込まれたり隠匿されるというようなことのないよう、学内の施設設備等の厳正な管理に努めるよう特に注意を喚起しているところでございます。
  138. 高村坂彦

    ○高村委員 以上をもちまして大体お尋ねを終わりますが、法治国家において白昼公然と、もう内戦にも比すべきような、非常にたくさんの重軽傷者を出すといったような事態が起きるということはまことに遺憾千万でございまして、警察当局としてはいろいろな点で非常に努力をしておられると思いますが、いまお話もございましたように、国際的な連携を持った暴力集団、あるいは革命を意図する暴力集団がそういった場合に出かけていって事を拡大しているといったようなことがございますが、これらに対しましては、どうかひとつあらゆる現存の法律等を有効適切に活用されまして、制圧をして、事の大きくならないように、そして善良な国民がまくらを高くして寝られますように、ひとつ特別の御配意をお願いいたしまして私の質問を終わりたいと存じます。
  139. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 小川国彦君。
  140. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、最初小川国家公安委員長に、五月八日の成田空港現地の事態についてどういう方針で臨まれたか、あるいはまた空港公団、警察当局に対してどういうような態度で臨んでこられたか、その点をお伺いしたいと思います。
  141. 小川平二

    小川国務大臣 国家公安委員会は個々の案件につきまして、警察に対して具体的な指示をする立場にはございませんけれども、一般的にこの種の事案に対処いたしまする際には、これを抑止するための必要最小限度を超えない措置をとるべきである、双方にけが人あるいは死者を出さないようにすることを理想と考えて行動すべきことを平素から指導いたしておるわけであります。
  142. 小川国彦

    小川(国)委員 そういう御指導にもかかわらず、現実には千名近い住民、警察両方の負傷者を出し、最後には東山薫君という二十七歳の青年を死に至らしめた、こういう重大な事態を発生せしめたわけであります。  そこで私は最初に、公安委員長が必要最小限に事故を防止する、こういう考え方で日常臨んでいるということを前提にしてひとつ質問をさせていただきたいと思いますが、まず空港建設の当事者であります空港公団の総裁は、五月八日、空港現地の集会において大混乱の事態が生じましたけれども、先日あなたは、警察当局に空港を守ってほしいという要請をしたということをおっしゃっておられますが、どういう要請をされたのか、警察当局のだれにどういう依頼をしたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  143. 大塚茂

    ○大塚参考人 五月七日に総裁名をもちまして、千葉県警察本部長あてに、当分の間、過激派等による空港施設の損壊行為等が予想されるので警備を実施していただきたいという要請の文書を差し上げました。
  144. 小川国彦

    小川(国)委員 警察庁長官にお伺いをいたしますが、警察庁の当日の出動は、どういう目的で、どういう方針で臨まれたか。
  145. 三井脩

    ○三井政府委員 五月六日の当日のことだと思いますが、五月六日は、性質上二つございます。  第一段は、この二基の妨害鉄塔を航空法四十九条違反の証拠物件として検証を実施するというためでございます。これは、警察の捜査上の必要により捜査員がこれを検証するわけでありますが、同時に、こういう時期でありますので、常駐の極左暴力集団を初め妨害行動が容易に予想されるということでありましたので、警察部隊、部隊としての警察官の出動によりこれを警備する、これが第一段でございます。  第二段は、その検証の終了後、千葉地方裁判所の執行官が鉄塔撤去の仮処分を執行する、こういうことであります。これにつきましては、鉄塔死守を叫んでおる反対同盟を初め、各種勢力が妨害行動を当然に行うであろう、したがって警備しなければならぬ……
  146. 小川国彦

    小川(国)委員 発言中ですが、私は、五月八日のことについて尋ねておりまして、いま、公団総裁も、五月七日に要請をしたと答弁しておるわけですから、五月八日時点の警察の出動に対する考え方を伺っているのです。
  147. 三井脩

    ○三井政府委員 はい、わかりました。最初に六日かと念を押したわけでありますが、八日のことでございましたので、改めて申し上げることにいたします。  八日は、第五ゲートに比較的近い千代田農協の広場において午後から集会が行われる、現実に三千名を超えるものがあったわけでありますが、これに先立ちまして、極左暴力集団の集団による不法事案というものが予想されましたので、これに対する警備配置につくということでございます。もとより、このときの集会に限らず、警察におきましては、いろいろの方策をとって、双方にけが人等の出ないように工夫をしてまいるというのが基本方針でございますが、当日は、六日の撤去後のことでありますので、六日、七日の行動等から見まして相当の事態といいますか、行動があり得るということは考えておりました。
  148. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、公団の総裁は七日に千葉県警本部長に文書で要請をした、これはもちろん八日のことについての公団の要請だというふうに思うわけですが、警察庁の方の出動はこの公団の要請を受けて行われたのではなくて、警察庁独自の判断でこの行動を組まれた、こういうことですか。
  149. 三井脩

    ○三井政府委員 公団からの千葉県警本部長あての要請は、五月八日当日に限らず、当分の間とおっしゃったと思いますけれども、相当期間にわたり、彼らが直接破壊行動の目標としておる空港の施設に対する警備をよろしくお願いしたい、こういうことでございますので、五月八日の集会とは直接関係がない。警察といたしましては、集会に集まるあるいはその前後に極左暴力集団が不法行為を行うことに対して措置をする、こういうのが警備出動の目的でございます。したがいまして、極左暴力集団が空港施設に破壊行動等を行うことに対しては、空港からの要請の有無にかかわらず当然措置をしなければならぬ任務でありますが、その要請の部分もそこにダブっておるということはあり得るわけでございます。
  150. 小川国彦

    小川(国)委員 いまの御答弁ですと、集会とは直接関係がないということであります。それから、空港公団の総裁は、先般の警備については、空港を守ってもらうということはお願いをした、しかし、千代田の農協の前における集会あるいはその他の激突等については公団の関知するところじゃない、こういうふうに言っておられるのです。そうすると、あなたの方の出動というものは、空港施設を守ってほしいという要請に対してでもなければ、現実にこの集会とも関係がないということで、全く特定の集団だけを対象に行動を起こされたというふうに判断せざるを得ないのですが、そういうことになりますか。
  151. 三井脩

    ○三井政府委員 五月八日午後一時から予定されておりました集会に関係がないと申しますのは、公団総裁からの要請が、特定のその種集会に関係がなくて、空港施設全般の警備を当分の間不定期によろしくお願いする、こういう趣旨であったと思います。私たちは、公団からの要請の有無にかかわらず、公団施設に対する犯罪行為による攻撃からこれを守るのが当然の任務でございます。また、集会に集まったあるいは集まろうとする集団、人、これが犯罪行為、不法行為に出るときには、われわれとしてはこれに対する措置をしなければならぬ、こういうことでございます。
  152. 小川国彦

    小川(国)委員 今回の大きな混乱の中で、確かに一部にはね上がったような行動があった、こういう事実は私も認めるところです。しかし、現場における当日の状況、それからいまの局長の答弁を聞いておりますと、当然その警察の出動には、本来、住民を守るあるいは公共を守るという考え方が前段にあると思うのです。  先日も、私ども空港公団に参りましたときに、総裁、副総裁あるいは丸居理事がおいでになった席ではっきりおっしゃられたことは、公団は空港を守ってほしいということだけはお願いをした、しかし、千代田の農協の集会にガス銃を撃ち込んでほしいとか、路上で集団とぶつかってほしいとか、そういうことは公団の要請外のことだと言っておるわけなのですよ。それから八日の事態というのは、千代田の農協では一応地域の住民を中心とした平穏な集会があったわけです。それは日ごろから、特定集団に対するあなた方の関係はあるかと思いますけれども、住民なり地域なり公共なり、そういうものの要請がない部分で皆さん方が対峙するような形をつくり上げていく、そういういまの機動隊なり警察庁当局の指揮、指導のあり方、指示のあり方の中に今度のような大きな問題を引き起こす状態というものがあるのじゃないか。あなた方が公団の要請を受けて出動を行ったまではわかりますよ。行ったけれども、あなた方が現実に特定の集団と衝突を起こしたのは、いずれにも関係のない時点でやっておるわけです。むしろそのために、先ほど自民党の方も言っておられましたけれども、第三者や一般の人々が被害を受けるという形になってくるわけです。警察庁としても常に、何らかの公的な目標なり要請なり、そういうものの範囲の中で、あるいは住民を守る範囲の中であなた方の行動というものはあらねばならないわけでして、その点から見ますと、どうもあなた方の方がやはり特定の集団を意識して、そのための警備に出ていった、そういうところに過剰警備と言われる問題のまず根源があるのじゃないかというふうに私は思うのですが、その点はどういうふうに御判断になりますか。
  153. 三井脩

    ○三井政府委員 公団は空港施設の安全といいますか、そういう点に責任を持っておられるわけでありますから、また関心を持っておられるわけでありますから、警察の立場でよろしくそういう点を守っておいてほしい、こういう要望をなされることはもとより当然のことであります。われわれも、公団からの要請があるなしにかかわらず、そういう点はわれわれの任務の一部であると考えております。  ところで、特定の犯罪行為、いまの空港施設を守ってもらいたいからどういう集団を取り締まってほしいというようなことは、公団としてはそういうことをおっしゃるはずがないし、先ほど総裁が言われたように、そういうことを言っておられないわけで、それは専門であるわれわれに任していただく、方法は任していただく、こういうことでございます。  そういうことでありますから、そこで五月八日のあの大きな事態というのは公団の要請とは直接の関係がない。彼らが空港施設を破壊しよう、あるいはこれに損傷を加えようという意図を持っておったと思われるわけでありますが、そういう点を抑え得た、現実にまた空港に対して火炎びんを投げるということも当日やっておりますが、そういう点に対してわれわれが措置をしたという点については、公団からの要請部分にこたえてそこをやっておる、こういうことになると思います。  で、公団の要請とは全く関係なく、私たち警察の任務といたしましては、国民の生命、身体、財産を守る、同時にまた公安の維持をする、全体として治安維持が任務である、こういうことでありますので、犯罪行為が行われないように措置をする、行われれば取り締まるというのがわれわれの任務でありますが、先ほど高村委員の御質問にもお答えいたしましたけれども、当日の状態は、集会とは別に、この集会に参加するためであったと思いますけれども、五百五十名に上る第四インターを中心とした極左暴力集団が現実に犯罪行為を行っておる状態においてこの集会場に近づいてくる、そしてここに警備に当たっておる二百二十名の警察部隊に、それに倍する勢力で、かつ各種の凶悪な凶器を携行あるいは使用して攻撃をかけてきた、こういうことでありますので、これを取り締まるというのは警察の当然の任務でありまして、こういうのを取り締まらぬで何を取り締まるのかというふうに言ってもいいぐらいの事態であるというように考えております。
  154. 小川国彦

    小川(国)委員 これは、これから後ほど触れてまいりますけれども、先般の死傷者を出した事件というのも、あなた方が言われる特定集団とのそれに対する措置の中で起こったことではないわけです。その現場よりはるかに離れたところで起こっておる。そういうところにあなた方のまず警備のあり方というものが、ある意味で言えば挑発的とも思われるような行動というものがあなた方の方にもある。  私は成田闘争というものを十一年間この目で見てきておりまして、警察がどう動くか、あるいは特定集団がどう動くかというのは絶えずこの目で見てまいりましたけれども、その中には、成田という中央、都心から離れたああいう農山村地帯の中でありますだけに、非常に警備のあり方というものではさまざまな問題点を生んでおります。それは細かい点を挙げたら切りがありませんから申し上げませんが、非常なもう無法地帯の状態を常につくり上げる。あの成田から芝山にかけての農村の集落の農作業に行く車さえ全部機動隊がストップして、田植えをするのに、たんぼに代をかいて苗を育てて、田植えをするというのにはもうこの日しかないという天候やその他の条件があるそうですが、その日に田植えができないような状況まであなた方の機動隊の警備というものはやっているわけです。日常の生活の中のそういう過剰警備まであるのですよ。これは現地の農民の実情を、あなた方の広報でお調べになれば、具体的にそういう苦情は出てまいります。そういう日常の積み重ねの上に今度のような大事件におけるあなた方の、言うなれば独断的な判断の行動というものがこういう大事件を引き起こしていく、その引き金にもなっていると私は指摘せざるを得ないのです。そういう点をまず指摘しておきたいと思います。  それから私は、もちろん私ども社会党の立場においても、あらゆる運動における暴力、こういうものはもう基本的に否定しなければならない、こういう立場で私ども社会党も日常の活動なり運動に取り組んでいるわけでありますが、そういう中で警察庁は一体、警官というもののあり方をどういうふうに考えておられるのか。警察官はまた武力というものをどういうふうに考えておられるか。成田で見てまいりますと、紛争というのはエスカレートしていく一方なわけなんです。過激派が現地へ来てエスカレートすれば警察官もエスカレートする、そういうような形でどんどん拡大をしていくわけです。  私は先日、川路さんという警察庁をつくった人の手記を読んでおりますけれども、警察官はやられてもじっと耐えていかなければいけない、だからといってむちゃくちゃに耐えろというのではないのだけれども、やられたからやり返す、そういう考え方を持ってはならない、そういう耐え方というものの中に警官のあり方というものがあるんじゃないか、こういうことを説いておられるというふうに感ずるわけなんですが、私は、特に一番問題の多い警備警察を担当する警備局長は、こういう警察官のあり方、哲学というか、そういうものをどういうふうに持っておられるのか、参考のために伺っておきたいと思います。
  155. 三井脩

    ○三井政府委員 警察官はどうあるべきかということでございますが、一言で言いますと、俗な言葉で言いますと、気はやさしくて力持ちというのが警察官の一つの理想像というように考えております。  また、川路大警視の言葉を御引用でございますが、この点については、すでに第二次安保のときに、日本の警察官は大変忍耐、がまんに徹してよくあの難局を乗り切ったということで、今日世界的にも高く評価されておりまして、がまんというのは全学連と並んで世界でも通用しかかっておる、こういうような状況であるかと思うわけでございます。  おっしゃるとおり、相手方は法に縛られない違法行動を野方図にやっても、われわれは法に準拠し、かつ妥当な行為をやるのがわれわれの信条でございます。
  156. 小川国彦

    小川(国)委員 大変結構な御趣旨でありまして、気はやさしくて力持ち——私ども力持ちの方は十分認めるのですが、気のやさしい方はどうもちょっとまだ教育不足のように思いますので、これはひとつ今後十分御教育を願いたい。情操教育につきましても御見識あると思いますので、そういう点を私はお願いをしておきたいと思います。  さて、具体的な八日の現地に起こった問題でございますけれども、五月八日に起こった死亡事件に絡まる一連の機動隊の行動の中で、銃の水平撃ち、こういうことが行われました。  これについて、八日夕方記者会見をされた千葉県警の中村部長は、事態が急迫した場面に限って警察官は武器の使用を認められる。ガス銃の水平撃ちは拳銃よりやわらかい方法による同七条の行使だ。ガス弾は通常同法五条によって使用できる。しかし、この場合は三十度以上の角度を持たせて上空に打ち上げるものだ。水平撃ちする場合は武器として使用するものだが、このような使用の仕方は現場の指揮者に任される。本日の場合、午前十一時過ぎの警備に当たっては同法七条を発動した、こういうふうに言っております。  さらにまた、千葉県警の田口警備部長の発言は、水平撃ちの問題については個々の事態によるので一概に言えないが、危険な状況で警官の身を守るために相手を直接ねらって撃つこともあり得る、こういうふうに言っているわけなんですが、直接相手を撃つとして、そういうことをやってよいという規則があるのかどうか。  それからもう一つは、いま申し上げました中村県警本部長の発言というものを警察庁は認められるかどうか、あるいはまた、国家公安委員長はこの発言を認められるかどうか、その点からお伺いしたい。
  157. 三井脩

    ○三井政府委員 中村部長並びに田口警備部長新聞等に対する発言についての御質問でございますが、まず初めに申し上げておきますが、ああいう当日の忙しさの中で本部長並びに警備部長が記者会見等を行いますし、その後もしばしば行っておるわけでございます。記者会見は、性質上、大ぜいの人たちがいろいろな質問を方々からしてくる、それに対する答えということでありますから、質問の言葉その他によって、言葉は、あるいは表現はそれぞれの場合において差がある、こう思いますけれども、その言っておる趣旨は一貫しておるというように私たちは考えておりますし、新聞等では一貫してないかのごとくちょっと出ておるのもありましたが、よく見ると、それもまたそうでもないようであるというようなことでありまして、この点については私もしばしば本部長と電話でじかに話をしております。そういう点も確かめました。本部長は一貫しております。  それはどういうことかと申しますと、いわゆるガス銃の使用につきましては、これは制止のための用具、簡単に言えば道具、こういうことでございます。したがって、違法行動、ことに集団による違法行動を抑止、抑制する、あるいは集団を解散させるというときに使うのが催涙ガスの使い方であります。同時に催涙ガスにつきましては、それ以外の使い方も場合によってあり得るということであります。  これはどういうことかと申しますと、すでに御存じのように、警職法第七条には「(武器の使用)」という規定がありまして、この場合の武器は、警察官の典型的な携帯しておる武器としての拳銃を頭に置いておるわけでありますけれども、これによれば、一定の場合に、職務執行のために警察官は武器を使用することができる。その場合の職務執行は何かというと、先ほど触れましたが、生命、身体、財産の保護、犯人の逮捕、公安の維持という、大ざっぱに言えば警察法二条に掲げられておるそういう目的遂行のために必要な場合に武器を使用していい、こういうことであります。ただ、その七条のただし書きに規定がありますように、武器を使用することによって相手方もしくは第三者に対して、つまり人に危害を加える場合というのは一定の制限がございまして、これ以外の場合には人に危害を加えてはならない、こういう規定であります。逆に言いますと、この掲げられておるその制限の範囲内でありますれば、仮に人に危害を加えても、これは警察官の職務執行としては適法なものである。したがって、それについての刑事責任あるいは民事責任、行政上の責任というものは警察官は免除される、こういう趣旨でありますが、その四つの制限、四つの項目といいますのは、一つは正当防衛、二つは緊急避難、第三番目は警察官の職務執行、ちょっと言い直しますが、凶悪犯人に対する警察官の職務執行でございます。したがって、軽犯罪は対象になりませんけれども、長期三年以上の凶悪犯罪を犯そうとしておるとか、現に犯しておるとか、犯して間もないとか、つまり凶悪犯罪を敢行しておる、それに密着しておる、こういう段階においてこれを制止する、取り押さえる、そういうために警察官が武器を使用していい。第四番目は逮捕令状、その他令状の執行のときに抵抗がある、本人が抵抗する、第三者が抵抗するという場合には武器を使用して、かつ危害を与えても差し支えない、こういう規定でございます。  この五月八日の事態は、この規定に即して言いますと、典型的に当たるのは正当防衛、それからただいま言いました、第三番目の事態、凶悪犯罪に対する警察の職務執行ということで、これは警職法七条の一号でございます。その他に緊急避難の場合も状況によってはあり得ると思いますが、まず正当防衛と凶悪犯罪に対する措置、この二つがこれに該当するというように考えておるわけであります。  したがいまして、中村部長が申し述べました趣旨も、そういう規定並びにそういう規定に準拠して警察が行動すべきことはもとより重々心得ておるわけでありますから、そういう趣旨を踏まえての発言でありまして、それでは水平撃ちというようなことはどうかといいますと、水平撃ちの点につきましては、警察官が現場において水平撃ちをしたかどうか、こういう点についてはまだ確認しておらない。つまり東山さんが亡くなった点につきましては目下調査並びに捜査の対象として調べておるわけでありますから、結論が出ておらない。で、その途中で警察官が水平撃ちをしたという報告が来ておるかという点については、来ておりません。したがって、水平撃ちをしたという事実があったということは、本部長としては確認しておらない。われわれは確認しておらない。  ただし、仮に水平撃ちをしたとしても、水平撃ちに限りませんけれども、本件の場合は水平撃ちでございますが、仮に水平撃ちをしたとしても、その結果危害が生じたとしても、ただいま申しました四つの条件、ことに正当防衛と凶悪犯人に対する警察の職務執行に該当すると考えられるので、これはもうあれだけの状況を見てもはっきりしておる、こういうことで、そういう水平撃ちを仮にしたとしても、警察官の行為は適法な行為である、こういう趣旨を申し述べたのだということを言っておりますし、私はその点も本人から直接、電話でありますが、確認をしている、こういうことであります。
  158. 小川国彦

    小川(国)委員 ねらい撃ちしてもよい、このことについてはどうですか。
  159. 三井脩

    ○三井政府委員 ねらい撃ちをしたという事実の有無は目下調査の過程で、その点はわかっておらないということを前提とするわけでありますが、法の解釈として、それがただいま申しました警職法七条の四つの条件のいずれかに該当するときには適法な警察官の職務行為である、こういうことでございます。
  160. 小川平二

    小川国務大臣 私は、現場の指揮者あるいは県警本部長がガス銃の水平撃ちを指示したという報告を受けておりませんし、指示の有無にかかわらず、現実に水平撃ちが行われたという事実も承知いたしておりません。  警職法七条の一般的な解釈につきましては、ただいま警備局長からお耳に入れたとおりでございます。私もそのように理解をいたしております。
  161. 小川国彦

    小川(国)委員 いまの三井警備局長の答弁はきわめて一般的な場合をお述べになったのだろう、こういうふうに思うわけなんです。いまおっしゃられたことは、私は、たてまえとしてはそのとおりだろうと思うのです。  ただ問題は、現実に成田で行われた場合、それをたてまえどおりに行われたのかどうかという点につきましては、これはもう当日たくさんの人たちが現場に行っておりますし、報道関係の人も見ておりますし、それからいま公安委員長は、水平撃ちは全然承知していないなんて言いますが、あれだけ全国のテレビ、新聞、ラジオで水平撃ちの事実というものを報道しているのに、そういう事実を認めようとしない。こういうところに、何か一方的に物事を判断しようというふうにしていらっしやるのじゃないか。これはまた後ほど当委員会で、恐らく各テレビ会社に当日のフィルム等をお求めになれば、あるいは新聞社にお求めになれば、そういう水平撃ちの写真やフィルムは幾らでも出てくると私は思うのです。それだけの事実というものを安易に否定されるというところに、やはり警察がこの水平撃ちそのものに対してやましいというか、そういう気持ちがどこかにあるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう問題点を踏まえて、では当日の場合、言われるような正当防衛というのは急迫した場合ということだと思うのですが、当日警官が危ない、追い詰められた状態でやるのはやむを得ないわけですけれども、しかしその場面でやるのじゃなくて、その次の場面で銃を平射するというやり方、これは私納得できないと思うのですよ。警官がどこで危険なのか。全体で危険なのか。一つ危険な場面があった、しかしその場面は過ぎ去ったのに、今度は追い打ちをかけていってそこにガス銃をぶち込む、水平撃ちでぶち込む、こういうやり方ですね。そういう報復的なやり方というものはあってはならないのじゃないか。警官が危険な場合というのは、おっしゃるように自分の身体に危険を感じた場合はピストルを使ったりあるいは警官の正当防衛ということがあると思うのですが、この事件は、どうも見てまいりますと事件の鎮圧のためにこのガス銃が撃ち込まれたり、水平撃ちが行われたりということじゃなくて、攻撃的な形で行われているわけです。反対派に押されたからといって、次の段階で報復するというやり方でやっているわけです。これが果たして正当防衛になるのかどうか。急迫の事態になるのかどうか。当日の状況をずっと判断いたしますと、どうも急迫の事態、正当防衛の根拠というものはきわめて乏しい、報復的なやり方の中でそういうことをやっている、こういうふうに私ども理解せざるを得ないのですが、この点についてはどうなんでございますか。報復的なやり方でのやり方ということも正当防衛だ、こういうふうにおっしゃるのですか。
  162. 三井脩

    ○三井政府委員 正当防衛というのは刑法に規定があるわけでありますけれども、御存じのように急迫不正の侵害から自己もしくは他人の生命身体を防衛する、守るというのが正当防衛でございます。したがいまして、自分が危険であるという場合に反撃行動、不正の攻撃をはね返す、抑止するための行動はもちろん可能でありますし、同時にまた、八日の事態は目下調査中でありますのでもっと他の設例を申しますと、暴徒から警察官が狙撃をされようとしておるのを見た同僚警察官が、その暴徒を射殺するということは正当防衛であるということはあります。それからまた先ほど言いました警職法の七条一号は抵抗の抑止のために武器の使用、もちろんその状況はあるわけでありますが、これをやっていい。それだけではありませんけれども、一号の規定はそういう警察官の職務執行に対する抵抗、妨害の排除、抑止、こういうために武器使用が認められておるわけでありまして、ガス銃自身は武器ではありませんけれども、それに準じた使用というものが可能であるということでございます。  なお、五月八日の事態先ほど申しましたようにわれわれも調査をしております。また東山さんの死亡に関連をいたしまして死亡原因、死亡の状況等を捜査をするという観点で、千葉地方検察庁が主体となって捜査をしておる、われわれ協力捜査の立場でやっておる、こういうことでありますので、今日の段階でその具体的な状況がどうであったかという点については肯定的なことといいますか、結論的なことをただいま申し上げる立場にないということを御了解いただきたいと思うわけでございます。
  163. 小川国彦

    小川(国)委員 それではまずもっと具体的な問題点に入って、ガス銃というのはいま銃であるということはお認めになっているのですが、この銃を水平に撃てば身を守れる、それから先ほどのお話の中でも四つの条件、こういう条件のときにはそれは適法である、こういうふうに言っておられるので、したがってこの銃を水平に撃てば身を守れる、武器になり得る、こういう銃だというふうに理解してよろしゅうございますか。緊急避難とか正当防衛の場合は武器になり得るか。
  164. 三井脩

    ○三井政府委員 催涙ガス筒発射器というのが正式の名称でございますが、俗称ガス銃、こういうふうに言われており、そういう言葉で言うわけでございますけれども、ガス銃そのものは催涙ガスを飛ばして、そのガスの催涙効果により制圧あるいは抑止の効果を発揮する、こういうものでありますから、警職法は第七条のほかに第五条に制止の権限、つまり警察官の即時強制の権限として制止行為を第五条に規定しておるところでございますが、その制止行為の手段、用具としてガスを使うことができる、こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、ガス銃はと、こう言われますと、これは制止の用具である、しかし一定のあるいは特定の具体的状況のもとにおいてはこれが武器に準ずるものとして使用することはできる、こういうことでございます。警職法七条のただいま申しました正当防衛の場合ですと、これは自分の身もしくは第三者の身を守るためでありますから、これは手元にある物、手の届くところにある物、石ころであろうが何であろうが、何を使ってもいいというのが正当防衛の法理でございます。ただし警察官はそういう品の悪いことはしない、こういう意味で七条の一号の職務執行の場合にはそんなことはしません。正当防衛の場合には、仮にそういうことがあってもそれは刑事法上正当な行為である、こういうふうな規定になっておるところでございます。
  165. 小川国彦

    小川(国)委員 いまの御答弁ですと、武器に準ずるものである、こういうことになりますと、やはり準ずるということは武器の一つである、こういうふうに理解しなければならないと思うのですが、拳銃については細かな使用規定がおありになると思うのですが、このガス銃についての使用規定、使用規則というものはおつくりになっていらっしゃるのですか。その場合、こういう三十度の角度で撃ち込む場合ではなくて、水平で撃つ、こういうような場合についての使用規則、そういうことについてもガス銃の使用規則というものをつくっておられるのですか。
  166. 三井脩

    ○三井政府委員 まず前段の、ガス銃は武器に準ずるもの、こういう言い方でございますが、これはあるいは言い方だけの問題かと思いますけれども、私たちはまた法の解釈としてガス銃は武器ではない、制止の用具であるということを確認いたしておきます。ただ、用具であろうが武器ではないものであろうが、石ころでも場合によっては武器になり得るという意味において武器に準ずる使い方がある。その場合の責任云々あるいは適法かどうかということになれば、先ほど申した法の規定がある、こういうことでございますので、単純にガス銃は武器に準ずるものというものではなくて、ガス銃はと聞かれれば用具である、武器ではない、こういうことをはっきり申し上げたいと思います。  それからガス銃の使用でございますが、使用につきましては内部の取り決めといいますか、使用の仕方というものを決めたものがございます。ただこの中身は、お話しのように、制止の用具として使う場合には三十度の仰角で飛ばす、こういう規定の仕方がありますし、また危険な使い方に陥らないように心得というものも書いてありまして、たとえば、大変窓等がぴしっと閉まっておるようなところに犯人がおるのを制圧するためにガス銃を撃つというときには、余り集中して撃ちますと、密室的な状態の中ではガスの濃度が必要以上に濃くなっていかぬということで、そういうことは避けるとかという一定の注意というものが内部の定めとしてなされておるところでございます。
  167. 小川国彦

    小川(国)委員 今度の場合の具体的な使用状況を見ると、一斉に水平撃ちをやっておるわけです。一人が急迫の事態でやっているのじゃないです。何十人という人が、機動隊員が一斉にやっているわけです。そういうことについてはどういうふうに解釈されますか。
  168. 三井脩

    ○三井政府委員 ちょっとまたその前に戻って補足ですが、ガス銃が武器でないということは先ほど説明したところでございますが、これは東大事件のときにガス銃を相当使いましたから、その判決の中でも、裁判所でガス銃は武器でないと判決上認められておるということを付言いたしたいと思います。  なおガス銃の具体的な使い方の問題でございまして、ただいま一斉に並んで水平撃ちする場合はどうかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、五月八日の具体的事態の中でのガス銃の使い方というのはどうであったかという事実の確定にまだ至っておらないということでございますので、それを前提としてお答えするわけでございますけれども、そういうようなガス銃の発射の仕方というのも、具体的状況の中でそれが正当防衛並びに警職法七条一号に当たるかどうかということの判断の問題と考えるわけでございます。
  169. 小川国彦

    小川(国)委員 今度の成田における撃ち方というものは、東山君との因果関係はこれから明らかになると思うのですけれども、少なくとも百メートル三十度で飛ぶものを、三メートルか五メートルの至近距離で水平に撃っているわけです。それは人を死傷せしめるだけの破壊力を持っているわけです。これはお認めになりますか。
  170. 三井脩

    ○三井政府委員 先ほど申しましたように、用具であっても使い方によって危害を与えることはあり得る、それは警職法による場合である、責任問題はそれによって処理される。したがいましてどんなものでありましても使い方によっては危害を加える警棒でもそうでありましょうし、石ころでもそうであるという意味におきまして使い方いかんということでありますが、だからといってガス銃が武器になるわけではないということでございます。
  171. 小川国彦

    小川(国)委員 あなたの答弁はこの問題に対してきちんと答弁していないですよ。少なくともあなた方の方でお使いになっているガス銃、しかもその弾丸というものは大変な破壊力を持っているわけですよ。  具体的に出しますと、これがあなた方の方でガスの散布のために使っていらっしゃる。これがいわば三十度の角度で百メートル飛ぶやつでございますけれども、あなた方の新型と言われる硬質のプラスチックのダイダイ色でできたものですね、これはどう考えても百メートルを三十度の角度で飛ばして、この中に催涙ガスを入れるものとは理解できないのですよ。——これはわかりますよ。どちらもこういう大きな筒ですから、この中に催涙ガスが入って、それが空中から散布される。紛で散布されるか液で散布されるか、そういう催涙ガスで、あなたがおっしゃるように抑止の目的でやるということはわかりますよ。しかしこれは一体何ですか。これは現地における農民が拾って私のところに届けてくれたものです。プラスチックで、こういう大変硬質なものですよ。これが三メートル、五メートルの至近距離で撃ち込まれたらどのような破壊力を持つかということは、これはおのずとわかると思うのですね。これをしもあなた方は抑止の目的だとおっしゃいますか。
  172. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいまお見せになりました細い方は模擬弾でございます。模擬弾は当日午後二時以後若干のものに使っておりますが、これはちょうど拳銃を空中に向けて威嚇発射をする、威嚇効果をねらう、そういう使用が拳銃の場合にはありますが、そういう方法で使ったものでございまして、おっしゃる十一時前後の事態には全く使っておらないということは少なくとも明らかでございます。
  173. 小川国彦

    小川(国)委員 そういう模擬弾みたいなものを一般の住民がたくさんいるところに——これはそれこそさっき自民党の方が質問されたような一般の民家に転がっているのですよ。具体的に場所も芝山町大里という民家の人がこれを拾って届けてくれたのですよ。そういうところまでこういう模擬弾が撃ち込まれているわけです。これは何のために撃ち込んでいるのですか。
  174. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいま申しましたように、午前十一時前後から始まりました集会場の空港から反対側での事態、これとは別に、その後第五ゲート付近での中核の集団による攻撃行動に対する初期の段階で威嚇効果をねらって威嚇的に発射したものでございます。
  175. 小川国彦

    小川(国)委員 対象がどういう集団であれ、団体であれ、威嚇的に行うにしても——それじゃあなたの方ではどのくらいの距離を飛んで、初速度はどのくらいで、そうして三メートル、五メートル、十メートルの時点ではどういう破壊力を持つかということは研究されているのですか。
  176. 三井脩

    ○三井政府委員 先ほど申しましたように、拳銃につきましても警職法七条の危害を与えてもいいという条件、簡単に危害条件と言っておりますが、これのない一定の場合に拳銃を発射してもいい、ただしその場合は危害を加えてはならない、そういう撃ち方は何かといいますと空に向けて発射する、威嚇効果をねらう、こういう撃ち方が一つございます。と同様に、本件につきましてもそういう撃ち方をして威嚇効果をねらった、こういうことでありますので天に向けて撃ったわけでございまして、相手方に向けて撃ったわけではないというものでございます。  なお性能その他につきましては、ガス使用につきましてはこれが集団による凶悪な行動を抑止するためのものでありますので、相手方もまたそういう点について関心を持ち研究もしておる、こういう状況にかんがみまして、われわれとしては外には出さない秘密事項といたしておるわけでございます。この点は裁判における証言等におきましても、裁判長からときどきそういう点についての証言を求められてまいりますけれども、警察といたしましてはそれは証言できないということでお断りしておる、そういうものであるということを御理解、御了承をいただきたいと思います。
  177. 小川国彦

    小川(国)委員 警察当局がこういうものを使う場合はどういう目的でこれを使うか、いまあなた威嚇と言うのですが、威嚇というのは死傷を与える威嚇なんですか。そうするとピストルと同じことになるじゃないですか。ピストルというのは一つの威嚇ですよ。相手に注意をする場合には空に向かって一発撃って、それでも犯人が逃亡するあるいは相手が打ちかかってくる、こういうときに撃つにしても、今度は相手の心臓をねらわないとか、頭をねらわないとか、手足をねらうとか、そういうことはあなたの方で拳銃の取り扱い規則の中でやっていらっしゃると思うのですよ。そういう拳銃と同じような破壊力、死傷力を持つものを模擬弾だと称して使われたら、これからのいろいろな大衆行動に対して抑止策だと言いながらこういうものを使われたら、大衆は大変な不安ですよ。まさに脅威ですよ。そういうものについてあなた方は、ではこれはどのくらい製造されて、これがどういうような威嚇効果を持つというふうに考えていらっしゃるのですか。
  178. 三井脩

    ○三井政府委員 当時それを使った事態は、中核が火炎びん等で第五ゲート付近におる部隊に対する激しい攻撃を加えてきた、こういう事態に対して使用したわけでございまして、先ほど言いますようにこれは本人に当たらないように上へ向けて撃った、そのときの音等によりまして威嚇的効果を期待する、こういうものでございます。それでききませんので今度また本物を撃った、こういうのが当時の状況でございます。
  179. 小川国彦

    小川(国)委員 非常にあいまいなんですがね。先ほど申し上げたように、こういうものをあなたがおっしゃるように抑止力と考える、鎮圧のために考える、こういうものならこれでいいはずなんですよ。これもいいとは言い切れませんけれどもね。いわゆる催涙弾とかそういうようなもので集団を分散させるために考えるならいいんですが、これの性能をじゃどういうふうに考えておられるのですか。ちょっと伺いますが、これの中には催涙ガスは入るのでございますか。それからこれは二種類あるのですよね。二種類あるのですが、一つは全く催涙ガスは入らないというふうに私どもは判断をするのですが、この二つは種類の違うものなのか。それから催涙ガスはどちらが入って、どちらが入らないのか。それからこのガス銃で撃った場合どのぐらいの飛行距離があるのか。それから三メートル、五メートルのところでの初速の速度はどのぐらいあるのか。それからそのときの殺傷力はどういうふうになっているのか。
  180. 三井脩

    ○三井政府委員 二つ種類がありますが、催涙ガスの入るもの、どちらも物理的には入りますけれども、通常入れない、入れるものと両方ございます。  それで、威嚇効果について御疑問のようでありますけれども、それはごらんになるように細いものでございます。細いというのは、発射するガス銃、ガス器具は違うわけです。いまある太い方のやつは、一発一発銃を撃って込めるわけです。したがって、一発撃って第二発撃つのに時間がかかる。したがって、これを時間をもうちょっとかからないようにするために細くいたしまして、これを数発弾倉のような形でがちゃっと入れるわけです。そうすると、これは一発引き金を引けば一発飛び出す、また引けば一発飛び出すということで、その都度引き金は引かなければいかぬわけでありますけれども、つまり込める時間が節約できる。しかし、そのかわり、そういう銃でありますから、一つ一つを小さくしなければ次々出ないということで小さくなっておるわけでございます。しかしながら、そういう形状におきまして、先ほど申しましたように三十度の仰角で百メートル飛ぶということでございます。  初速その他の点につきましては、先ほど申しましたような意味におきまして、現在その性能その他を外に発表することについては差し控えさせていただきたい、というのは、公判等におきましてもそのようにして取り扱いをいただいておるというところでございます。
  181. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっと参考に具体的に伺いたいのですが、この青いラベルのやつは、何かP型というのとS一〇〇L型というのが二つあるそうですが、この黄色いのと青いのとありますが、まずこれは何という種類でございますか。
  182. 三井脩

    ○三井政府委員 そのいずれがいずれであるかという点については、その特定については御容赦をいただきたと思いますが、S型、P型とございます。Sというのは煙、スモーク、Pというのは粉末、パウダーでございます。したがいまして、その効果はおのずから、煙はすぐに風によって飛んでしまう、パウダーの方は少々の風があってもいい、こういうような差がありますが、その状況によってそれに適したものを使いたい、こういう趣旨でできておるわけでございます。
  183. 小川国彦

    小川(国)委員 そのS型、P型の場合はどのぐらいの粉末の量が何グラムそれぞれ入っているのですか。
  184. 三井脩

    ○三井政府委員 その細部につきましては、先ほど申し上げましたように、ぜひ御容赦をいただきたいと考える次第でございます。
  185. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは硬質の二つについては、これは何型と何型というふうに言っていらっしゃるのですか。
  186. 三井脩

    ○三井政府委員 特に名前はつけておりませんが、威嚇として使う場合には模擬弾と言ったりしております。
  187. 小川国彦

    小川(国)委員 これは私の判断では二種類あるように思いますが……。
  188. 三井脩

    ○三井政府委員 S、Pと二種類ございます。
  189. 小川国彦

    小川(国)委員 この場合には、この中に入るものはSの場合、Pの場合どの程度粉末が入りますか。
  190. 三井脩

    ○三井政府委員 量のグラム、数字等はちょっと御勘弁いただきたいと思いますが、先ほど言いました太いやつよりは非常に小さいわけです。威力は相当小さい。何分の一でございますので、数でかせぐ、こういうことになります。
  191. 小川国彦

    小川(国)委員 この内容は、私は当然あなたは明らかに発表すべきだと思うのですよ。少なくともこういう装備のものについてどういうものが警察によって使われているかということを国民が知ることによって、その威迫も増すであろうし、あるいはまたそのものの理解も深めるであろうしすると思うのですよ。それをあなた方がそういうことを知らせずに、言うならば赤の、これは八十グラムあるのですが、全管プラスチック製ですね。これは明らかに殺傷力を増す。これよりも殺傷力を増すために改良して製造されたものだ、こういうふうに理解せざるを得ないのですよ。ですから、あなた方がこれについての性能とそれから入れる粉末その他のガスの容量と、それからこれの容量と入らないものと、その内容をやはり明らかにしなければ、とても国民は安心して警察に治安を任せるなんということはできませんよ。その点の性能はやはり私は当然公表すべきだ。
  192. 三井脩

    ○三井政府委員 そのガスの性能その他の細部のことでございますけれども、あの事態、五月八日の事態をごらんいただいてもおわかりかと思いますけれども、相手方は集団で、いわば法に拘束されないで、むき出しの暴力を、武器を行使して攻撃してくる。火炎びんをどんどん投げてくる。火炎びんは一発投げられても大変でありますけれども、五月九日の様子でもおわかりのように、この集中攻撃を受けることによって大変な事態に陥っておる、こういうことが現実にあるわけでございます。しかもこれが集団でやってくるということでありますし、当日あの現場だけでも五百本も二百二十名の部隊に投げられておる、こういう事態であります。これに対応する警察の措置は何かと言いますと、大盾と警棒なんですね。それとガスということであります。大盾はなるほど石に対しては、それは身を守ることに役立ちます。しかし火炎びんのような、そこで当たって割れて油がかかって火がつく、こういうようなものに対しては、大盾はなかなか威力を発揮しないというようなところは、われわれとしては難点でございます。そうすると放水車ということでございますが、放水車はこれは部隊装備でございまして、そんなに数があるわけではありませんから、その部隊に一つあるいは何台ということを、あらかじめここは大変だろうというところに配置するわけでございまして、この場合も放水車を一台持っていきましたけれども、これが火炎車によって燃やされる、こういうことでありますから、ただいまのような状態で警察官が職務執行のためとは言え、わが身を守る方法というのはガス弾で撃つしか積極的に守る方法はない、こういうようなことでありますので、そのガス弾の性能を洗いざらい言って、相手方が対抗措置を講ぜられると、警察官は本当に丸腰とこういうことになるわけでありまして、そうしたら拳銃があるではないかというような議論もあろうかと思いますけれども、拳銃はガス弾よりはもっと直接に殺傷効果がある、したがってこれはまさに法律上も実際上も拳銃は武器ということでありますので、武器ではないものを持たして最後のとりでといいますか、そういう部隊活動の場合の一つの用具、場合によって武器に準じた扱いができる、こういう唯一のものでありますので、この点については、どうぞその警察官の立場もお考えをいただきまして御理解をいただきたいと考えるわけでございます。
  193. 小川国彦

    小川(国)委員 とても理解できる問題じゃないのですが、もう少し具体的なことをはっきりさしてもらいたいのです。  先ほど答弁では、飛ぶのは百メートル、こう言っているのですが、このP型、L型も百メートルなのか、それからこの模擬弾も同じように百メートルなのか。これは当然おのずから加速度が違うと思うのですよ、抵抗が違いますから。     〔委員長退席、大西委員長代理着席〕 ですから、これは同じ百メートルじゃない、こういうふうに思います。飛ぶのは当然違うと思うのですが、それはどういうふうに、こちらが何メートルで、こちらが何メートル、その辺はどういうふうになっているのか。それからもう一つ、成田での使用が初めてなのかどうか。
  194. 三井脩

    ○三井政府委員 大まかな数字でございますけれども、どちらも大体角度三十度で百メートル、若干の差はありますけれども、そういうものでございます。  それから、先ほど言われました赤い方の使用は、成田での使用が実際における使用としては初めてでございます。
  195. 小川国彦

    小川(国)委員 模擬弾の使用はこの二つとも成田で初めてと、こういうことですか。
  196. 三井脩

    ○三井政府委員 そのとおりでございます。
  197. 小川国彦

    小川(国)委員 飛しょう距離がほぼ同じだということはわかりましたが、衝撃力、破壊力、この点についてのテストはなさいましたか。
  198. 三井脩

    ○三井政府委員 そういう点につきましては、われわれの使い方というものが決まっておりますので、相手方に危害を加えない方法で使うということでありますので、特にその点についてはいたしておりません。
  199. 小川国彦

    小川(国)委員 先ほど来、局長は成田の特定した場合のことで非常に言っておられるんです。そういう特定集団だからやったという言い方をされているんですね。しかし、もうこれは成田でああいう事態が起こる以前につくられておったわけでしょう。いつごろこれをつくられたわけですか。
  200. 三井脩

    ○三井政府委員 わりあいに最近でございますけれども、全体としての形も小さいわけでございますから、トータルの威力においても大して変わらないというものでございます。
  201. 小川国彦

    小川(国)委員 それから、ここに黄色いたすきと青いたすきとあるんですが、これはどういうふうな意味を持っているんですか。
  202. 三井脩

    ○三井政府委員 特に意味はございません。片方がP、片方がSということを通常はあらわしておるわけでございます。
  203. 小川国彦

    小川(国)委員 この後のあなたが模擬弾と言われるものは、これは当初のものを改良してつくったものですか。
  204. 三井脩

    ○三井政府委員 改良をいたしましたが、どの点を改良したかといいますと、一発一発込める手数を省く、数発一遍に込めておく、しかし撃つときには引き金を一回、一回引く、そういう点が改良されたわけです。そのかわり、威力は大きいものよりもその何分の一というような催涙威力と、こういうものでございます。
  205. 小川国彦

    小川(国)委員 どう考えても、この新型の模擬弾と称するものは、私は抑止のためのガス銃弾とは受け取れないわけですよ。ですから、あなた方の方ではケース・バイ・ケースでこの取り扱いを決めているということを言っておられるんですが、これは非常に殺傷力を持つような、拳銃と同じような要素を持ってきている。しかも、これは空に撃ち上げて落とすなら、六連発撃ったところで、催涙ガスの量が当初のものより圧倒的に少なかったら、その効果というのはむしろ減っていくんじゃないか。この改良されたものは、ガス使用における抑止力じゃなくて、殺傷力を増す、そういう意味での改良としか私どもは受け取れないんですが、その点は御研究なさっているんですか。
  206. 三井脩

    ○三井政府委員 その点につきましては先ほども申し上げましたが、警察官として拳銃を除いては制止の最後の手段である、大衆行動の現場で拳銃を使うことについては種々問題があるということから発して考えておるわけでございますが、従前の型のものでありますと、一発撃って次に一発撃つ問に相手方の攻撃が連続してきた場合には、対応できない。したがって引き金さえ引けば次々飛び出す、数発分が飛び出すというものをつくった、こういうものでございます。しかし、その点が新しく改良された点でございますけれども、連続して引き金を引きながら飛ばすにつきましては、いままでのような大きさのものではいかぬというので、小さくし、したがってその中に入っておる催涙ガスの液あるいは催涙ガスの粉末というものも従前のものの何分の一、ただし速く出るということによってその不足を補っていくといいますか、威力の足りないところを補っていく、こういう趣旨でできたものでありまして、先ほど申しました威嚇的な使い方については、拳銃についても威嚇的使い方があると同様の意味におきまして、これが使われる場合があり得るということでございまして、本来の使い方といいますか、そういう点については、できるだけ威嚇で済めばそれでいいというものもありまして、若干のものはそういう使い方をされた、こういうものでございます。
  207. 小川国彦

    小川(国)委員 これはどう考えても、警備器具のエスカレートとしか考えざるを得ないですよ。しかもあなた方は、こういうような改良された殺傷力を持つというその点について、緊急性の場合にこれを用いるにしましても、先日のようにこれが現実に六連発、それは確かに一発ずつ出るかもしれませんけれども、至近な距離で撃たれているわけです。しかも水平撃ちで撃たれているわけです。緊急避難の状態じゃない場合に、正当防衛じゃない場合にこれを撃たれているわけですよ。そういう使用方法が今後なされていって、今度のような死傷者の事件がこれと結びついてきたということになると、これは大変なことだと思うのですね。そういう点では、このあり方についてはあなた方は根本的に考え直すべきじゃないか、私はこういうふうに思うわけですが、これは今後も継続して使用する、そういう考え方ですか。  それからもう一つは、水平撃ちの撃ち方についても、そういう使用規則その他がなしに、こういう殺傷刀を持ったものを、警官の全く独自な判断で、急迫性がないのに、報復的なことでこういうものを使用されたら、これは住民はたまったものではないわけですよ。そういうことについてあなた方は、今後の使用についての考え方というものをどういうふうに持っておられるか。
  208. 三井脩

    ○三井政府委員 用具でありましても、ガス銃の使用について慎重にやれ、こういう御趣旨については私たちも全く同様な考え方に立っておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、現場で実際に凶悪な相手を——殺人未遂といいますか、殺人行為に着手して攻撃してくる、こういう集団、単なる一人二人ではなくて、集団に対して対抗する場合に、それでは警察官に身を守る方法というものはなくていいのか。拳銃が警察法にはっきり書かれておるではないか。では、拳銃を持たせたらどういうことになりますか。先ほど申しましたように、正当防衛は手元にあるものを何を使ってもいいというのが正当防衛ですから、石ころがあれば石ころを使ってもいいし、相手方が打ちかかってきた鉄パイプが手元に転がっておれば、それを使って反撃をしてもいいというのが正当防衛でありますから、そういう場合に手元に拳銃があれば拳銃を撃ってもそのことは正当防衛である、こういうことになるわけでございます。私たちは、そういう場合に、そういう場合の訓練ということを警察官にいたしますけれども、警察官一人一人もまた個人として基本的人権としての正当防衛権というものを持っているわけであります。それさえも部隊活動の場合に制限を加えるということは不可能でございます。そんなことをやれば、現場で体を張ってああいう暴徒に立ち向かう警察官というものは、それでもあると思いますけれども、われわれ幹部といたしましてはそういうことまで、そういう困難を求めるわけにはまいらないというように考えるわけでございます。そういう意味におきまして、その使用については十分な配慮をし、訓練を積み重ねるということは今後とも続けていかなければならぬと思いますけれども、だからといって、これを配備あるいは持たせてはならぬというわけにはまいらないと考えるわけでございます。     〔大西委員長代理退席委員長着席〕  なお、先ほどのことでつけ加えるわけでございますけれども、模擬弾が全部プラスチックと、こういうことでありますが、全部プラスチックのものもありますけれども、その大部分が紙製のものも、いま手元にあるわけでございますけれども、両方あるわけでありまして、模擬弾は威嚇用のものは特別少数を渡しておる、こういうことでありまして、大部分は、新型のものも紙筒製でございます。
  209. 小川国彦

    小川(国)委員 ただいままでの私の質問に対する当局の答弁というのは正当防衛性を主張するだけで、この一番問題である新型の弾頭についての性能、具体的な内容を明示しないわけです。私は、少なくとも国民に警察のあり方というものをはっきりと知らせる、そういう意味ではこの内容というものは公表されなければならない、こういうように思いますので、委員長において、速刻理事会において公表についての取り計らいをお願いしたい。
  210. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 後刻理事会を開きまして、当局を呼びまして、その説明を聞き、その当否について相談をいたします。——ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  211. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 速記を始めてください。  小川国彦君。
  212. 小川国彦

    小川(国)委員 ただいま、この新型模擬弾の性能あるいはその他、中に含まれている薬品の成分、それから容量その他具体的な問題についてはさらに理事会において検討される。特にこれは国政調査権に関する重要な問題でございますから、その点についてさらに理事会の審議を深めてもらうということでございますが、ただ、私はこの際公安委員長なり警察庁当局に申し上げておきたいと思いますのは、こういういろいろな装備の機能については、私どもここに自衛隊の装備年鑑七七年のを持ってまいりましたけれども、この装備年鑑を見ましても、自衛隊で使用している装備の一切について具体的にその内容を公表しているわけです。それからまた、私が防衛庁に要求しました武器弾薬、航空機その他兵器発注の品目別見積額、購入額、発注先、こういうような資料を要求しましたが、それについても、小銃であれ、機関銃であれ、戦車、装甲車あるいは七・六二ミリ小銃弾とか戦車砲りゅう弾あるいは三十五ミリ焼夷りゅう弾、こういうものについてもそれぞれ製造メーカーまで明らかにしているわけです。こういう国の防衛に関する内容について防衛庁ですら明らかにしているわけでありますから、民衆の警察と言われる日本の警察が、こういう死傷力を持ったものを秘密にしておく、こういうことはぜひなくして、そういうものを国民に公表する、そういう中で警察の威信が保たれる、こういうことを私は考えていただきたいというふうに思うわけです。  それからもう一つ、ガス銃の製造元でございますが、これは私の調査によりますと、皆さん方の方ではいろんなところに分けて発注をしておられる。これは私、こういうところをもう数百社当たったわけですが、新中央工業株式会社、これは大田区大森にある会社ですが、武器をつくらせているメーカー、そういうところに、武器に準ずるということをさっき局長答弁しましたが、武器をつくっている専門メーカーにこれを発注しているという事実があるのですが、これはお認めになりますか。
  213. 三井脩

    ○三井政府委員 業者の名前は、私たちの方からも差し控えさせていただきたいと思うのです。これは第三次安保のときもそうでございますけれども、われわれは申し上げないのですけれども、いろんな機会にそれが外へ出まして、極左のねらうところとなるというふうなことがありまして、大変業者も戦々恐々といたしておる、こういうことでございますので、公の場での公表という点につきましてはぜひ差し控えさせていただきたい、よろしくお願いいたします。
  214. 小川国彦

    小川(国)委員 あなた方の方で本来明らかにすべき性能を公表しないと、私の方では弾体、薬品、つくっているメーカーを全部調べているのですよ。そういうところを国会へ呼んで、国政調査権に基づいてもそういう内容を明らかにしていかなければならないと思うのです。ですから、皆さんの方から当然、こういう性能、内容、死傷力、破壊力、衝撃力、そういう問題を含めて警察の装備のあり方としてこの問題については国民に明らかにする、こういう姿勢を私は持っていかなければならないと思うのですが、国家公安委員長として、こういう性能、機能の公表については、国民に対して前向きで対処していく、こういう考え方を持てるかどうか、その点を公安委員長に伺っておきたいと思います。
  215. 小川平二

    小川国務大臣 これは治安確保の観点から支障がないという判断になりますれば、その限りで公表をいたします。まるまる公表できないという結論になるかもしれません。それは申すまでもございません。この種の器具が使われるということは、恐らくきわめてまれなケースでございましょう。民主主義を否定しこれに挑戦する極左暴力集団でありますとか、あるいはいわゆる暴力団の活動、そういうものを有効に抑止するためにかような器具があるわけでございますから、この性能をことごとく公表することによって、平たく申せば、裏をかかれるというようなことがあっては困るわけでございます。  これはこの場でのとっさの急な御発言でございますから、ただいまこの場で私が責任ある答弁を申し上げるわけにはまいりませんが、御発言は承りまして、研究をいたしましょう。
  216. 小川国彦

    小川(国)委員 警察庁、公安委員長に対する質問については今後この理事会において検討される、そういう議会の国政調査権のたてまえもございますから、そちらの方の推移を見守りまして、この問題の内容が一日も早く国民の前に明らかにされることを要望してまいりたいと思います。  それから、この問題に関連いたしまして、運輸省の航空局がきょうおいでになっております。空港公団総裁の発表によりますと、十一月開港ということを明らかにされたようでありますが、開港前に運輸省なり公団が約束されたことがまだ具体的に果たされていない。そこで松本航空局次長にお伺いをしたいと思いますが、三月四日の予算委員会で私の質問に対し、B滑走路の騒音コンターを二カ月ぐらいで発表する、こう言ってすでに二カ月以上たっておりますが、いまだ発表されておりません。この点についてはいつ発表されるのか明らかにしておいていただきたい。
  217. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、三月の時点で一、二カ月程度のうちに発表いたすようにいたしたい、こういうことをお答えいたしました。その後鋭意作業を進めまして、現在の時点におきまして相当詰まっております。したがいまして、あともう少し詰める点が残っておりますので、来月の半ば、あるいはどんなにおくれましても来月いっぱい、できれば来月の半ばまでには皆さん方にごらんに供せるところまで仕上げたい、このように思っておりますので御了承いただきたいと思います。
  218. 小川国彦

    小川(国)委員 航空局次長はどうも議会で答弁されたことを、二カ月というのは三月四日から見れば五月、もうはるかに日が過ぎているわけですが、今度は六月いっぱいというように、騒音コンターを発表すれば騒音問題でまた住民から反対運動や批判が起こるだろう、そういうことで開港の時期だけは示しながらこういうことをどんどん延ばしていく、そういう小手先でごまかすというやり方はやめてもらわなければならないと思いますよ。少なくとも予算委員会の席上で二カ月以内に発表すると約束したことはきちんと守る、こういうことでないと、私は、航空局の責任者とは言えないんじゃないか、この点はきちんと守ってもらいたいと思います。  それからもう一つ、騒音対策について皆さん方は開港、開港とは言うけれども、周辺住民の騒音環境を守る対策というものは何ら進められていないのですよ。これは十一月開港に向けてこれらの問題が解決するとはとうてい私は考えてないのです。あなた方の開港というのは一方的な、飛行場をつくればいい、飛行機を飛ばせばいいということだけで、周辺の住民の問題というのは切り捨てられたまま進行されている、こういうことを指摘しなければならないと思うのです。  これも同じく先般航空局に対する質問の中で、銚子におけるボルタック、無線誘導装置の設置について、あなたはこのときの答弁で、住民の要請があって無線誘導装置を銚子に設置した、こういうふうに、これは議事録にはっきり残っているのです。しかし飛行コースを知らされていない住民が、ボルタックの設置について要請するなんということは全く考えられないわけです。本来銚子のボルタックというのは、百里基地と成田の境界をはっきりさせるためにあなた方はつくったと思うのです。それが成田に出入りする飛行機が御宿上空を通過する予定であったところが、御宿はあくまで羽田が使用する、こういうことになって、成田空港を北に向けて飛び立った飛行機は御宿へ出るコースがだめになっちゃった、そういうことで、結局北転して利根川沿いに銚子へ出るようになった。だから銚子の市長や銚子の市民には、ボルタックの設置は、御宿上空を入ってくる飛行機にその位置を知らせるための装置だということをあなた方は約束して、住民に設置を認めさせ、市に協力させて用地を求めてつくった。ところが、現実には羽田との競合の関係でどうにもならなくなった。結局銚子の市民をだます形で、ボルタックはその上空を飛行機を通す装置だ、こういうことを認めざるを得ないことになってきている。そういう事態が明らかなのに、住民の要請があってということをあなたは答弁しているのですが、一体どこの住民からどういう要請があったのか、これをはっきりさせてもらいたいと思うのです。
  219. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大変申しわけないのでございますが、私、住民の要請がありましたので銚子のボルタックを設置いたしましたというふうにはお答えした覚えがないのですが、あるいはそういうふうにもし議事録に明らかに書かれているとすれば、私はとんでもない間違いをそのときにお答えしていることになろうかと思います。これは、いま先生まさに御指摘のとおり、当初の段階では利根川あたりを境にしまして南側を成田の空域、北側を百里の空域として分けよう、その境目をはっきりさせるために銚子のボルタックを使いたい、こういうことを申し上げて御協力を得て、銚子のボルタックをつくった経緯がございます。その後、千葉県の方から、千葉県内における飛行のコースのとり方について県知事の方からかなり細かな御要求がございました。たとえば九十九里から利根川までの間は完全に直線進入と直線出発をとりなさい、あるいは出発、進入にかかわらない航空機のコースは千葉県内において六千フィート以下に下げてはいけない、その他幾つか細かな点の御注意がございました、御要望がございました。こういう点を考慮しながら、成田空港に安全にかつ効率的に航空機を出し入れしようといたしますと、まさに先生御指摘のように、御宿のボルタックを使いまして成田に出し入れしようというやり方がどうしてもうまくいかないということがだんだんとはっきりしてまいりました。御宿は依然として従来どおり羽田用に使わざるを得ない、そういうふうなことの関係から、銚子の使い方が、当初銚子の市の方に申し上げたのと変わってこざるを得ない、こういう状況になっていることも事実でございます。したがいまして、この点につきましては大分前から銚子の市長あるいは市議会、こういうところに断続的にお願いには上がっておるのでございますけれども、まだ御了解を得るに至っておりません。今後とも私どもとしては誠意を尽くしてそのことの変化してまいりましたいきさつをお話し申し上げまして、御理解を得ることに努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる状態でございます。
  220. 小川国彦

    小川(国)委員 どうもだましたままあなた方の方は開港、開港と言っているので、銚子の市民に対しても市長に対しても、いまだボルタックの設置については運輸省がだましたままになっていまして、それは保守系の銚子の市長すら了解を与えていない。これについては開港までにこれを解決するというめどがあるのかどうか、それから先ほど私が言った二カ月以内の公表の約束は直ちに履行すべきだと思いますが、その点について。
  221. 松本操

    ○松本(操)政府委員 これはだましてだましおおせるようなものでは絶対ございませんので、誠心誠意その作業を進めてきておるわけでございます。現在、絵がかけていないかというと、どうやら絵らしきものができておることを私、見て承知をしておりますけれども、これを皆様方にごらんに供する限りにおいては、また後で実はあそこが少し違っておりました、こういうふうなことを申しますと、いままでの私どもの経緯から見ましてまた運輸省はおかしなことを言う、こういうことにもなりかねませんので、多少お約束の時間が延びた点は重々御容赦を賜りたいと思うのでございますけれども、十分に精査をしました上で間違いのないものをお出ししたいということで、いま公団をも督励して作業をしている段階でございます。私、先ほどお答え申し上げましたのは、ややゆとりを見過ぎたという点でおしかりを受ける点は覚悟の上でございますが、ともかくお約束はお約束をしたはずでございますので、全力を挙げて早急に提示できるように努力をいたします。
  222. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  223. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 新村勝雄君。
  224. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、いま議題になっておりますモデルガンの規制の強化に関する件について、幾つかの点をお伺いいたしたいと思います。  まず、モデルガンの構造を変えてさらに一層安全性を増そうということでありますけれども、その前に拳銃、携帯用小型銃器の取り締まりのいままでの経過、歴史についての概要を伺いたいと思います。
  225. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 ただいまの御質問でございますが、わが国におきましては戦後の昭和二十一年に銃砲等所持禁止令を制定いたしまして、諸外国に比べて非常に厳しく銃砲刀剣類を規制したのでございます。同令はその後、昭和三十三年に銃砲刀剣類所持等取締法と改称され、現在に至っているのでございます。  その間、社会情勢の変遷に応じまして必要な改正が何回か行われてきておりますが、これらの改正は銃砲刀剣類による被害予防を目的として行われてきた関係から、おおむね規制を強化するという方向で改正が行われてまいりましたけれども、現在わが国の治安が諸外国に比べて非常によいという状況でございますのは、このような厳しい銃砲刀剣類の規制がその主要な原因となっておるのでございまして、戦後におけるわが国の銃砲刀剣類の取り締まり行政は一応成功しているというように考えております。  昭和二十一年に銃砲等所持禁止令が制定されてから現在までにおける改正のうち、主なものを挙げて御説明申し上げたいと存じます。  まず昭和三十年の改正でございますが、この改正は、飛び出しナイフが暴力団等によって犯罪に使用され、また空気銃による事故が増加の傾向にあったために、飛び出しナイフの所持をまず禁止するとともに、空気銃を所持許可の対象に加えるということを主眼として改正が行われました。  次に三十三年に改正がされておりますが、このときの改正は、銃砲刀剣類の所持規制の合理化を図るということを目的として行われたものでありまして、風俗習慣上やむを得ないと認められる刀剣類及び国際競技に参加する外国人の銃砲の所持許可を認めるということを主眼として改正されております。  次に四十年に改正されておりますが、このときの改正は、暴力団対策として拳銃等の規制を強化するとともに、建設用銃砲の所持の規制を合理化することを目的として行われたものでありまして、そのほか新たに拳銃等密輸罪を設けるとともに、建設用銃砲は許可を受けた者の従業者などにもこれを所持することができるというようなことがその改正の内容でございます。  それから昭和四十一年にもう一度改正しておりますが、この改正は猟銃による規制の強化を目的として行われたものでございまして、所持許可の基準を強化するとともに、猟銃の所持許可は五年ごとに更新を受けることが必要であるということに改正されております。  それから最後が昭和四十六年の改正でございますが、この改正は、ライフル銃の所持許可の厳格化を図るということと、それから模造拳銃及び模造刀剣類を新たに規制する必要により行われたものでありまして、ライフル銃を所持できる者を一定の範囲に限定するとともに、模造拳銃の所持及び模造刀剣類の携帯を禁止することといたしたというのがこれまでの改正の経緯でございます。
  226. 新村勝雄

    ○新村委員 参考までに外国の拳銃取り締まりの実態の概要を伺いたいと思います。
  227. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 すべての外国についてはなかなか掌握いたしておりませんけれども、おおむね先進諸国の拳銃などに対する許可と申しますか、持つことに対する容認といいますか、そういう関係を申し上げますと、アメリカにおきましては比較的容易でございまして、憲法上もその保証がございますので、大体所持の届け出をすれば認めてもらい得るというようになっておりまして、拳銃の所持者を把握するということでとどまっているようでございます。その他イギリス、ドイツ、フランスなどにおきましても、多少の難易はございますけれども、許可というものが一般的に不適当でない人に限って認めるというような方向で、大体わが国における猟銃の許可に近いというように私どもは把握しておるところでございます。
  228. 新村勝雄

    ○新村委員 今回、当局では、モデルガンについてもさらに一層厳しく構造等を規制するというお考えのようですけれども、モデルガンというのは、これは完全なおもちゃでありますけれども、このおもちゃの領域まで厳しく規制あるいは取り締まりをしている例、外国の例でありますけれども、外国の状況はどうでしょうか。
  229. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 諸外国におきましては、先ほど申し上げましたように、一般的に拳銃を、不適格な者を除きまして認めておるという状況でございますので、モデルガンに対しての規制はございません。
  230. 新村勝雄

    ○新村委員 現在モデルガンをつくっている企業あるいはその生産数量、生産金額等について伺いたいと思います。
  231. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 お答えいたします。  現在、モデルガンの製造、販売状況について申し上げますと、モデルガンの出荷丁数は、日本モデルガン製造協同組合の調査によりますと、昭和四十一年度に約十四万三千丁でございましたが、四十六年度には三十四万四千丁、五十一年度には約六十一万六千丁と大幅にふえてきておりまして、これに伴い技術の向上もあって、製品もきわめて精巧なものができるようになってきております。  なお、昭和五十一年度にはこのほかに小銃、猟銃等に類似する、いわゆる長物が約三万一千丁、プラスチック製拳銃が約十万三千丁出荷されるというように聞いております。  それからモデルガンの製造業者でございますが、昨年十月に行った特別調査によりますと、十三の業者が製造いたしておりまして、そのうち十一業者が当時組合に加盟しておりましたが、この法案を作成し、提案する過程におきまして、二業者は、一業者が廃業し、一業者は他の業者に合併いたしております。  それからなお、卸販売業者は六十一、小売販売業者は千九百二十八というようになっております。
  232. 新村勝雄

    ○新村委員 モデルガンの改造によって犯罪が行われているという事実が若干あるようですけれども、その場合には銃そのものを改造するということと、あと、弾丸ですね、これがどうなっているかということでありますが、これらがどういうふうな経路を経て使われるのか、またその取り締まりの実態がどうなっているのか、伺いたいと思います。
  233. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 改造拳銃を押収いたしましたのは、昨年が一千二十七丁、その前の年が一千二十六丁でございます。これらの改造拳銃は、そのほとんどが暴力団の手によって改造されているのが実情でございまして、機種といたしましては、初めのうちは回転式拳銃、この型のものが改造されるということでございましたが、最近に至りましてはいわゆるラーマ式とかそういう、自動拳銃でございますが、自動拳銃の中で、銃身が取りかえのきくという機種がございます。このものについて改造が行われるというのがだんだんとふえてきております。  なお、弾の方でございますが、弾の方は、製造業者で製造するモデル拳銃と付随して製造される弾そのものをくりぬきまして、火薬を詰めるというものもございますし、また、しんちゅうのパイプ、これらに火薬類を詰めて弾頭をさらに削ってつくるというのもございまして、いろいろと製造される弾もございます。さらにまた、実際に標的射撃用に使われております二十二口径の弾などもやみに流れまして、それらも使われるというのも出ておりまして、多様な方向で手に入れられているというようなのが実情でございます。
  234. 新村勝雄

    ○新村委員 ガンの改造を規制しても弾の問題が解決をしなければ本当の解決にはならないと思います。特に火薬の取り締まり、これについて現在どうなっているか。火薬についてはかなり玩具店等でも扱っておりますし、花火等の問題もありますけれども、火薬の取り締まりについて伺いたいと思います。
  235. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 現在、都道府県公安委員会の許可といたしましては、譲渡、譲り受けあるいは輸入、消費、それから運搬については権限がございますけれども、猟銃用火薬類の製造、販売、貯蔵、廃棄、こういうものについては都道府県知事の権限ということになっております。もちろん、そういうことでございますけれども、都道府県部局と十分協議いたしまして、これらの管理、保管あるいは販売のミス、そういうものがないように警察としても十分努めているところでございます。  なお、狩猟用の弾の購入に当たりましては、一定の限度は許可なくして買えるというその限度がございます。これは総理府令で定めておりますが、この一定の限度で買える弾の数につきましてもきわめて少数というように昨年改正いたしておりますので、残火薬の横流れというものも大分減ってきておるというように私どもは一応の評価をいたしておるところでございます。
  236. 新村勝雄

    ○新村委員 モデルガンについては、ガンそのものは実物ではないわけでありますし、かなりの工作をしなければ弾丸を発射することはできないわけでありますから、現在の程度であっても、爆発物の取り締まりあるいは弾丸の取り締まりを完全にやればその方が有効ではないかと思いますけれども、その点いかがでしょう。
  237. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 銃と弾、それを含めまして銃による危害とかそういうものの予防に努めなければならないことは、まさに御指摘のとおりでございます。しかし、何分にも、弾は猟用にも使われておりますし、標的射撃用にもかなりの弾が使われておるというのが現状でございます。さらにまた、しんちゅうのパイプや弾頭を簡単に手づくりにいたしまして、それに火薬を込めるということによりましても弾そのものはきわめて容易に製造できるという状況でございますので、確かに御指摘のように、弾について十分の取り締まりが行き届くならば、銃はあっても使えないということになるのは当然でございまして、私どもといたしましても、猟用銃などの残火薬の取り締まりにつきましても十分意を尽くしておるところでございます。
  238. 新村勝雄

    ○新村委員 現在の銃器全般を見た場合には、ライフルとか猟銃は所持が許されている、それから爆発物、火薬等についても入手の経路があるわけであります。そういう全般的に考えた場合には、むしろ危険はモデルガンよりは別の点にあるのではないかと思うわけでありますが、そういう銃器に対する取り締まりなり爆発物に対する取り締まりという全般的な配慮の中で、特にモデルガンだけに規制を強化しようとする意図はどこにあるかを伺いたいと思います。
  239. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 確かに、銃砲火薬につきまして総合的に強力な取り締まりをする必要があろうかと思います。ただ、先ほど答弁申し上げましたように、昨年、一昨年の二カ年間、暴力団等によって改造されたモデルガンがそれぞれ一千丁以上警察に押収されている。ということは、私どもの推定でありますが、その五倍ないしは十倍ぐらいのモデルガンが改造拳銃に回っているのではなかろうか。そうなりますと、これは一般国民にかなりの脅威を与えるようになってくるのではないかというのが私ども考え方でございます。さらにまた、これらの改造拳銃はほとんど暴力団の手によって行われているというのがこれまた大変な問題でございまして、確かに真正の拳銃の密輸もふえておりますけれども、真正の拳銃よりもはるかに改造モデルガンの方が多いというのが現実の姿でございますので、現在ではある程度の規制はやむを得ないのではないかということで御審議をお願いいたしておるところでございます。
  240. 新村勝雄

    ○新村委員 犯罪は、末梢的な点を抑えるだけではなくて、やはり源をふさがなければ本当に防止をすることはできないと思うわけです。暴力団という話が出ましたけれども、暴力団がいま社会的に隠然たる勢力を持っておることは事実でありますが、そういう暴力団の取り締まりをどうするか。それから、爆発物による犯罪が時折起こっておりますけれども、そういう方が危険ではないかと思うのですが、それらについて伺いたいと思います。
  241. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  暴力団の取り締まりをどうするかという趣旨の御質問でございますけれども先ほど来の議論の中にもありましたように、私たち、暴力団の壊滅ということを目標に日々苦労しておるわけでございますが、いまの実態を申し上げますと、約二千五百団体、人数にいたしまして約十一万という暴力団の勢力でございます。これら暴力団は、まさにきわめて反社会的な行動を日常とっておるわけでございまして、これを何としても壊滅したいということで、警察はあらゆる手だてを使って対処しているわけでございます。御承知のとおり、これは警察の強力な取り締まりというのが一つの大きなてこでございますけれども、それ以外に、警察の刑事部門以外の各部門はもとよりでございますが、税関とか国税庁とか、さらにまたそれぞれの関係団体と緊密なる連絡をとりまして、多角的、総合的にこれに対処しなければ暴力団の壊滅は図られない、要すれば総合的、多角的な根強い取り締まりが何よりも大切だということを痛感しておるわけでございます。  そういう意味で取り締まりの重点といたしましても、何といいましてもいま暴力団が自分の勢力を誇示するという面において拳銃が非常に大きな力になっておるわけでございまして、先ほど来、保安部長答弁にもございましたように、この九割ぐらいはそれぞれ暴力団が介入しておるものでございます。モデルガンの改造等もそうでございまして、最近新聞に出ましたあれで御承知かとも思いますが、生々しい事件として申し上げますと、つい過日、警視庁で関東関口一家という非常に悪性の強い団体を一斉取り締まりいたしましたが、その際、拳銃十五丁を押収したわけでございます。これはほとんど全部モデルガン、いわゆる改造拳銃でございまして、しかもSmマークのついた銃であるということがはっきりいたしたわけでございますが、これも、関東関口一家の親分格の者から、何とか拳銃が欲しい、一丁二十万円で拳銃をつくってくれ、こういう要請を受けた民間の人二人が、それぞれ工機具類をかき集めて修理工場をつくり上げて、そこで二十丁、モデルガンを改造して、いわゆる発射能力のあるものにつくり上げまして、一丁二十万円で関口一家に売り渡す、こういう事案でございました。これも、銃身のところを切り落としまして、しかも鉄工所に銃身になるパイプを注文いたしまして、それをくっつけていわゆる威力のある拳銃に改造しておるという実態でございます。また、その後、稲川会の一斉取り締まり等におきましても、同じような改造拳銃が押収されておるわけでございます。  暴力団といたしまして、一説には、拳銃一丁あれば二十人に匹敵するとか十人に匹敵するとかいうことも言うわけでありますけれども、とにかくいま暴力団としましては大きな峠に差しかかっておるという感じもするわけでございまして、社会、経済の変動に即応していろいろ多角的に、総会屋に転身し、あるいは金融暴力ということで各種経済界に進出する、こういうことで非常に多様な活動を続けておるわけでございます。そういうものを断ち切るためには、何といいましても暴力団が最も頼りにしておるという意味におきまして、最も危険性の強い拳銃から手を断たせるということが暴力団壊滅の一つの大きな手だてだと思いますし、さらにまた強力な取り締まりの一環としまして首領級を含む構成員を大量に検挙する、こういうことが必要だと思いますし、さらにまた一般に資金源と言われておりまするものを断つ、すなわち賭博あるいは各種非合法な活動、あるいは合法を仮装したような各種の活動から得られる資金源、こういったものを断っていくというふうなこと、いろいろな手だてが必要でございますが、当面やはりモデル銃を含めました拳銃を、暴力団の手に渡さないということが現在最も緊要の暴力団壊滅のための大きな手だてではないか、かように思っている次第でございます。
  242. 新村勝雄

    ○新村委員 暴力団は言うまでもなく最も反社会的な存在の一つでありますが、これに対する警察御当局の取り締まりがはなはだなまぬるいという世評があるわけでありまして、極端な場合には一部には警察と癒着があるのじゃないかというような風評もないわけではないわけでありますが、これに対しては、ひとつ毅然たる態度で、徹底的な壊滅作戦取り締まりをしていただきたいと思いますけれども、その御決意についてお伺いいたします。
  243. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 先ほど申し上げましたように、刑事警察に限らず、警察としましてこの暴力団を壊滅するというのは最も重点を置いている施策でございます。そういう意味合いにおきまして、本日も実は刑事部長会議を開催しているわけでございますけれども、この暴力団を壊滅するための手だてにつきましては、全国都道府県警察が力を合わせてそれぞれ邁進していくということでございまして、癒着とかなんとかそういう非難等が一応あるとすれば、私たちはきわめて遺憾でございまして、十分国民の声を聞き、そして本当に暴力団がどんなに国民の生活に侵透して、しかもその不安を与えるかということを十分くみ取りまして、根強く壊滅に向かってひとつ努力を続けていきたい、こういう覚悟でおりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  244. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひお願いしたいと思うわけです。  それから、モデルガンを強力に規制をしても、いま精巧な工作機械がもうどこにも普及しておりますので、最初から製造するというようなこと、密造でありますけれども、十分できるわけですね。そんなに技術を必要としないと思います。そうしますと、モデルガン、これは現在は趣味によって愛好しておる人が大部分でありますけれども、そういうところを完全に押さえても、かえってそのことによって初めから密造——銃器から一切をつくって発射できるようにするようなそういうしろものを密造することを誘発する危険はないかどうか、またモデルガンの規制によって拳銃の密輸を誘発するというような危険がないかどうか、その辺をひとつ伺いたいと思います。
  245. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 モデルガンを規制すると初めから拳銃を密造するという者がふえやせぬかという御質問でございますが、モデルガンを改造するのを暴力団が志向するというのは、モデルガンに撃発装置があるわけでございまして、この撃発装置を利用いたしまして改造するというので、撃発装置そのものを初めからつくるとなりますと、初めから拳銃をつくるためには大変高度な技術が必要になります。したがいまして、モデルガンにある程度改造しがたいような装置を施すということになりますと、やはり暴力団などにとりましては大変ショックだろうというようなことが言えると思います。  なお、拳銃につきましては、本来日本で製造されておるのは、これは警察などが使う拳銃とかそういうものに限定されておりますので、暴力団が持つ真正の拳銃はすべてといってよいほど全部が外国からの密輸入に頼っておるわけでございまして、これは現在におきましてもかなり密輸入の形跡がございますので、税関当局などとも十分連を保ちまして密輸入を、輸入されるその水際で捕捉するというようなことに鋭意努力しておるところでございます。  したがいまして、モデルガンを規制すると初めから密造する者が出てくるのではないか。もちろんそれがあれば取り締まりの対象になることは当然でございますけれども、モデルガンを素材としてつくるのと比べるとはるかに高度の技術が必要だという点を御理解いただきたいと存じます。
  246. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、こういう問題についてはできる限り自主的に業者が規制をするという自主規制が望ましいわけでありますし、従来は当局もそれを指導された時期があったと思いますが、しかも企業の数が非常に少ないというようなこれは特殊なケースでありますから、当局の御指導によって十分自主規制ができるのではないかと思うわけですけれども、その従来の経過、それから、これができるかできないかという問題について伺いたいと思います。
  247. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 自主規制の経緯と自主規制の効果について答弁申し上げたいと思います。  昭和四十九年に改造拳銃が相当出回るというような状況が出てまいりましたので、これの対策として、総理府令の改正を含む法改正検討をやろうじゃないかということで、警察庁としても論議が尽くされたわけであります。  こうした動きに対しまして業界は素早く対応いたしまして、業界として改造防止策を講ずるから、その推移を見てほしいというような申し入れが当庁になされたわけでございます。そこで警察庁としてもこれを了といたしまして、その実施状況を見守ろうということで法案の作成というものをストップした、こういう経緯がございます。  そこで、業界といたしましてはモデルガン協同組合を設立いたしまして、モデルガンの自主規制を開始して、その自主規制の成果として出てまいりましたいわゆるSmマークづきのものが五十年の十一月ころから店頭にあらわれる、こういうようなことで自主規制が行われてまいったわけでございます。  しかし、自主規制以前のモデルガンもその後も売られてきておって、現在でもなお若干のものが売られているというようなことが報告されております。したがいまして、昨年はもとより、ことしに入ってからも押収された改造拳銃としては、自主規制前のモデルガンが多く素材として使われてきておるわけでございます。ところがSmマークつきのモデルガンも実は改造されておるという実情がありまして、本年に入りましてからも八丁、先ほど刑事局長が説明したものを加えますとすでに二十丁以上、改造されたものが押収されております。  このように、Smマークつきのモデルガンが改造されたということは、自主規制の改造防止構造そのものにも若干の甘さがあったということもありますが、それはそれといたしまして、さらに手を加えてSmIIマークというものをつくることによりまして、回転型のモデルガンにつきましてはほぼ自主規制の線でかなりの効果があるというように私どもも評価いたしております。  しかしながら、いわゆる自主規制には限界がございまして、たとえばアウトサイダーの業者がおれば、これをその枠に取り込むことはできないという問題がございます。さらに困ったことには、組合に加盟している業者でつくったSmマークつきのモデルガンでありましても、自主規制の基準を守らないものが出てくるというような事例もかなり出てまいったわけであります。過当競争の激烈なこうした中小企業として、やすきにつくというような、そういう心情もわからないわけではありませんが、このような実情から、組合自体としてもなかなか統制がきかないということで悩みがあるということで、昨年の十月の半ばごろ、私どもの方も法案の作成の作業に入った段階でございますが、組合の代表者として理事長が、理事長名での陳情書を携えまして当庁にわざわざ来られまして、総理府令によってSmマークを法制化してもらいたいというような意思表示も私どもはいただいておるのであります。  そのような状況でございますので、当時は少なくども組合として法制化を希望されておったという実態もありますけれども、ただその当時は長物を加えるということはまだ検討されておりませんでしたので、長物が入ったということで、あるいは業界におきましても、業界の中の半分ほどの業者が反対に立ち上がるというようなことがあったのではなかろうかというように私ども考えているわけであります。  そのことは別といたしましても、自主規制がある程度効果を発揮してきたということは先ほど申し上げましたように私どもも評価しておりますものの、私どものいわゆる行政指導と申しましても、これはまた要望するという程度の性格のものであります。業界の方から、自分らの自主規制を守らない業者がおるからそれについて指導してくれということも再三ありましたけれども、私どもの指導と申しましても、要望するという程度のものでありますので、やはり何としても、今度のようなある程度最小必要限度のモデルガンに対する規制というのは、われわれにとっても必要ではなかろうかというようなことで、御審議を願うような法案を作成したというのがその経緯でございます。
  248. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題に対する当局のお考えが刻刻に変わっているような気がするわけです。四十六年に改正が行われたわけですけれども、その後業界を指導して協同組合までつくらした、そしていまおっしゃるように自主規制の効果もかなり上がっている、そういう時期に、わずか一年ぐらいの試験期間といいますか、経験だけを根拠にして、いま直ちにこれを法律をもって禁止するということは余りにも不見識というか、態度に一貫性がない気がするわけです。こういうものは愛好者が本当に単純な動機から所持して楽しむ、そういう場合がほとんど大部分でありますから、そういう領域にまで法律が入り込んでいく、そして禁止をしていく、そういう自由までも奪っていくということについては、細かいことのようですけれども、厳に注意をしていかなければいけないと思うのですが、何か刻々に必要以上の規制を加えていこうという意図、あるいは態度の変化が見られるようでありますけれども、その点、ひとつもう一回伺いたいと思います。
  249. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 先ほども申し上げましたが、五十年の十一月ごろからこのSmマークづきのモデルガンが市場にあらわれるようになったわけでございます。それからいろいろとその経過を見てまいったわけでありますが、その間におきましてSmマークづきのものが改造されるという事案がかなり目立ってまいったわけです。  その理由の一つは、自主規制そのものの構造、これ自体に甘さがあったということも先ほど申し上げましたが、そういう点が一点、それからさらに、自主規制をみずから守らない業者がかなり出てきておるということから、先ほども申し上げましたように、組合自体で大変お困りになって、私どもの方に何回か相談に参られて、いよいよ昨年の十月には総理府令で法定化してほしいということまで正式に書面としても私どもはいただいている、そういう事情がございます。私どもはそのとき、これまでの業界の御努力というものも評価いたしておりますので、Smマークを下敷きとして総理府令を定めるようなことをやっていきたい、それで結構だということで出発したわけでございまして、私ども考え方がふらふらしておるということは毛頭ないというように私ども考えております。  それから二番目の、モデルガン愛好者の趣味というものの領域まで入って影響を及ぼすのじゃないかということでございますが、今回の改正に当たりましては、業界の受ける損失はもとより、愛好家の趣味に対する制限というようなものもできるだけ最小限度にとどめようというように配慮いたしております。おもちゃとしての機能や外観につきましても、そういうような考え方で、その機能や外観を損なわないように十分配慮しておりますので、愛好者の方にはほとんど影響を与えないのではないかというように私ども考えております。  さらにまた、現に持っておるモデルガンにつきましては、販売目的がなければ現在持っておるものをそのまま持ち続けておられても結構なわけでございますので、そういう意味からも愛好者の方に御迷惑はかけないということが言えると思います。  ただ、一部の業者の中には、故意に、モデルガンは今後全く持てなくなる、あるいはモデルガンはすべて文鎮化されてしまうんだというような宣伝が行われておりまして、一部の愛好者の方が不安を抱いておられるということも私どもは聞いております。しかし、今回の規制の対象は、たとえば撃発装置に相当する装置があるものを一つ条件として対象といたしております。したがいまして、これを裏返しに申しますと、撃発装置そのものをなくしてしまうということはあり得ないわけでございます。撃発装置のあるものについて規制を加えるということですから、撃発装置そのものをなくしてしまうなら初めから規制の対象にならないわけでございまして、そういうことから申しましても文鎮化ということは考えられない。このような一部業者の宣伝は、現在あるものの売れ行きをよくするためではないかというような声も出ております。実際こうした宣伝によりまして売れ行きは大幅に伸びているというような状況もございます。  いずれにいたしましても、私どもは個人の趣味というような観点に対しましては最大限の配慮をしなければならないと考えておりますので、今回御審議を願うような、比較的緩やかなモデルガンの規制の条文ということにいたしたわけでございますので、御理解をお願いいたしたいと存じます。
  250. 新村勝雄

    ○新村委員 当局は二年ほど前にもこれを計画された経過があるわけですね。その当時と現在とでどう状況が変わっているかということ、それから今回の提案に当たっては、事前に報道の規制までして秘密のうちに仕事を進めたということが一部で言われておりますけれども、それらの事実があるのかどうか伺いたいと思います。
  251. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 今度の法改正の作業につきまして、報道機関に秘密でやったというのは全く逆でございまして、個人的にいろいろな報道機関の方の御意見を聞きながらつくったものでありまして、それは全くの反対のことでございます。はっきり申し上げておきたいと思います。  それから二年前の改正作業をやろうかと論議した時期、これはその当時におきましては、むしろ現在よりももっと強い意見がございまして、できればプラスチック製に限定してもらいたいというような感じの検討も行われたというようなことも私ども聞いておりますけれども、しかしその当時と比べてモデルガンの改造事例というものは、現在の方がはるかに多くなっているということで、二年前よりも現在の方がこういう法改正の必要性が一段と加わったということは言えるだろうというように思います。
  252. 新村勝雄

    ○新村委員 いずれにしても、これが実施をされるということになると、業界、業者は相当な経済的な打撃を受けると思います。  そこで、これを商品という立場から伺いたいのですが、玩具業界におけるモデルガンのシェア、あるいはこの業界に対して通産省としてはいままでどういうふうに指導されてこられたか。それからまた、現在の事態をどうお考えになっているか伺いたいと思います。
  253. 井上宣時

    井上説明員 モデルガンの業界でございますが、大体業界の規模は年間出荷額で約三十億、それで従業員数が約三百人でございまして、玩具業界の中では大体一%程度のシェアを占めています。玩具業界というのは大体出荷額で三千億、それから従業員が約三万人ございますので、ちょうど一%ぐらいになろうかと思います。  それからモデルガンに対するいろいろな現在のような指導につきましては、先ほどいろいろ御説明もございましたように、昭和五十年に実質的なSm規制というものを発足させております。それに基づきまして、昭和五十年の十一月からSmIと言われる自主規制の製品が出されておりますし、昨年にはさらにそれを強化していわゆるSmIIというものが出てまいっております。そういうことで若干の問題が当然あるわけでございますが、そういった自主規制を漸次強化して、そしてより安全なモデルガンを供給するというふうに考えておるわけでございます。  今回の法律改正に伴いまして、若干の規制の強化が行われるわけでございますが、これに当たりましては、従来からずっと警察庁とも十分御相談申し上げているわけでございまして、この総理府令の内容等につきましては、従来の自主規制の成果を踏まえて行うということでございまして、必要最小限の規制ということになろうかと思いますので、影響が若干はあろうと思いますが、非常に大きな影響が出るというようなことにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  254. 新村勝雄

    ○新村委員 これによって業界における損害、影響、これはこれに従事をしておる業者にとっては決して軽視できない問題であると思いますが、それらに対する対策。それから一部は輸出をされていると思いますが、この輸出についても同じように取り締まるのかどうか伺いたいと思います。
  255. 井上宣時

    井上説明員 もちろん影響が全然ないというわけではございませんけれども先ほど申しましたような基準が比較的従来の自主規制と大幅な変更がないということであれば、そう大きな影響は出てこない。もちろん長物につきましては、従来Sm規制をやっておりませんので、少し影響が出てくるのではないかというふうに考えております。これらにつきましては、それぞれ実態に応じて対応してまいりたいと考えております。  それから輸出は、全体の生産の約一割が輸出に回っておると思います。これらにつきましては、今回の法律改正の中では、そういう輸出については特別の扱いは行っておりますので、直接規制がかかるということにはならないと思います。
  256. 新村勝雄

    ○新村委員 国内向けはいけないけれども、輸出はいいということですか。
  257. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 さようでございます。
  258. 新村勝雄

    ○新村委員 国内で悪いものが外国へ向かって外国にはいいということは、これはちょっとおかしいと思いますが、その点どうですか。
  259. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 外国でそういうような批判があれば考えなければならないと思いますが、先ほども申し上げましたように、輸出先の国におきましては、本物の拳銃を許可を得ることが容易であるという国情でございますので、問題はないのではないかというように一応考えております。
  260. 新村勝雄

    ○新村委員 それから業界からの損害賠償の訴訟が出ていますね。いままで全く合法的に生産されていたものが、しかも生産者の責任ではなくて、法律改正によって損害を受けるということに対する取り締まり当局あるいは国の責任というものについて伺いたいと思います。
  261. 吉田六郎

    ○吉田(六)政府委員 乗用車の製造につきましても、排ガスの基準とかいろいろなことでこれまでの規制を強めるというようなこともありますし、たとえば石油ストーブにありましても、消防上の観点から、それがひっくり返った場合、火が消えるというような防止構造をつくらせるとかいろいろなケースはあるわけでございますが、このモデルガンの問題につきましてもそれに似たようなものがあろうかと思います。  ただ、現在一億一千万円の訴訟を受けている立場でございまして、第二回目の口頭弁論も済んでおりますけれども、そういう訴訟のさなかでございますので、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  262. 新村勝雄

    ○新村委員 訴えられているからそれを受けるということではなくて、こういうケースに対して、これは警察だけではなくて通産の関係もあると思いますけれども、こういう問題について国がどう責任をとるか、あるいはとらないかということですね。責任をとらないということでは、余りにも無責任ではないか。特にこの場合には零細業者でありますし、十分の配慮が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  263. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  お尋ねの点は、法律改正によって損害が生じた場合に国が損失補償をすべきではないかという点だろうと思うのでございますが、この点は、行政法上、憲法論が絡むところでございまして、憲法二十九条三項では、御承知のとおり、国の施策が私有財産権を侵害する場合には、正当な補償をするという趣旨が書かれておるのでございますが、他方、基本的人権につきまして、憲法十二条、それから財産権について第二十九条二項では、財産権の内容は、公共の福祉に適合するものでなければならないということが書かれているわけです。  そこで、行政法上、損失補償を要する場合は、いわば特別の犠牲が課せられた場合ということが通説でございます。したがいまして、今回の法改正がそうだと思うのでございますが、公共の安全、秩序の保持とかあるいは社会的共同生活の安全の確保という比較的消極的な目的のために最小限度の規制をする。その結果生ずる財産権の制限、それは特別の犠牲ではない、受忍すべき公共の福祉からする制限ではないかということで、学説上も判例上も損失補償を要しないという解釈が通説であろうと思います。  翻って今回のモデルガン規制法改正を見ますと、改造により容易に殺傷能力を持つ模擬銃器について個人の生命、身体の保護、そういう公共福祉の観点から制限するということでございますので、法律論といたしましては損失補償は必要ないものと考えております。政策論としてもできるだけ損害が少なくなるような立法政策をとっておるところでございます。
  264. 新村勝雄

    ○新村委員 それは大変狭い解釈だと思うのです。少なくともいままでは合法的に生産をされてきたわけでありまして、それが法改正によって損害を受けるということは明らかであります。そういう点が一つと、それからさらに政策的にも通産の関係になると思いますけれども、こういう零細業者が政策の変更によって被害を受けたという場合に、全く意に介しないということでは余りに冷たいのではないか、この点についてもう一回伺いたいと思います。
  265. 井上宣時

    井上説明員 安全問題等で規制の強化に伴って、業界に負担が生ずるというふうな事態はいろいろあるわけでございます。特に私どもおもちゃの関係につきましても、現在、消費生活用製品安全法という法律がございまして、これに基づきまして、一部の玩具につきましては規制を行っております。したがいまして、これらの規制の場合につきましても規制が強化されれば当然ある程度負担が出てくるということになります。零細企業ではございますけれども、当然ある程度の社会的責任ということで、そういった問題には業界として対応していただかざるを得ないと考えておるわけでございます。ただ政策論といたしまして、先生御指摘のように、零細企業がなかなか負担できないという事態もあるわけでございますが、これらの問題につきましては、今回の総理府令の制定に当たりまして、十分警察庁とも御相談申し上げながら、業界の実態を踏まえつつ規制の強化をしてもらいたいということで話し合いをしておるところでございます。
  266. 新村勝雄

    ○新村委員 いろいろお伺いしたわけですが、要するに犯罪の防止、防遏というものはその源をふさぐことがどうしても必要なわけですし、それが基本でなければならないわけであります。こういう形で個人の生活、あるいは趣味の世界、あるいは愛好者の全く無害なグループの中にまで法律の規制が及ぶということは決して好ましい事態ではないと思うわけであります。こういうことが進行することについては、われわれ国民は厳しく警戒をしておるわけでありまして、業界の反対もそういうどころから出ているのではないかと思うわけでありますが、この考え方が今後ほかの部面まで広がっていくということでは非常に困るわけであります。確かにこの規制についてはある面での一理はあると思いますけれども、できる限りこういう問題については法律ではなく自主的な規制によって行うべきであります。  大臣に伺いたいのでありますが、この問題を含めて、できる限り法的な規制ではなく、自主的な国民の協力によって犯罪を防止していくという基本的な態度を今後とも堅持されて、法規制についてはできる限り範囲を狭めていく、押さえていくという方針が必要だと思いますけれども、基本的な考え方を伺いたいと思います。
  267. 小川平二

    小川国務大臣 自主規制によりまして所期の目的を達成できればもとよりこれが一番望ましいことでございまするが、先ほど来るる御説明を申し上げておりますとおり、自主規制そのものに限界がある。現にSmのマークをつけましたモデルガンが改造されて、これが暴力団等によって殺人その他凶悪犯罪に使われるという事例がふえてきているわけでございますので、この際法律による規制に踏み切らざるを得ないというのが改正の趣旨でございます。もとよりさような場合に、従来モデルガンを製造してまいりました中小企業者の立場というものも十分念頭に置かなければなりませんし、モデルガンの愛好家の気持ちというものも尊重しなければなりませんから、これらの点を十分考慮した上で最小限度の法的規制を行おうというのが今回の改正の趣旨でございます。どうぞひとつ御理解をいただきまして、御賛同を賜りたいと思っております。
  268. 新村勝雄

    ○新村委員 以上で終わりますけれども、取り締まり当局には、こういうどちらかというと末梢的な施策だけではなくて、犯罪の根源をふさぐような対策、それから活動を切にお願いを申し上げたいと思います。  終わります。
  269. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 次回は、来る十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会      ————◇—————