○佐藤(敬)
委員 ただいま議題となりました
地方交付税法の一部を改正する
法律案に対する修正案につきまして、日本社会党、公明党・
国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表し、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
地方財政は、御承知のとおり本
年度においても二兆七百億円という膨大な財源不足に見舞われ、三年続きの深刻な
財政危機に直面いたしております。
地方財政がこうした深刻な危機に直面することとなったのは、引き続く不況とインフレに起因しているのでありますが、その根本的
原因としては、歴代自民党
政府が、住民福祉の充実や生活基盤の
整備よりも、産業基盤の
整備など中央集権化のもとに大
企業優先の高度成長政策を推進してきたことによるものであります。そのため自治体においては、過疎、過密、公害その他の対策に膨大な
財政需要を引き起こすことになりましたが、これに対し国が十分な自主財源を付与してこなかったところに
地方財政の構造的な危機が招来されたと言わなければなりません。
さらに重大なことは、
地方財政危機を契機とする自民党
政府の一連の政策によって、単に
財政上の問題だけでなく地方自治そのものの危機をも迎えていることであります。
われわれは、このような
地方財政の危機を打開し、自治体の自主的な行政
運営を
確保するため、
地方財政の長期的な見通しに立って、抜本的な恒久対策を講ずるようこれまでたびたび自民党
政府に
要求してきたのでありますが、残念ながら今回の自民党
政府の
地方財政対策は、われわれの
要求のみならず、地方六団体を初めとするすべての自治体関係者の
要求をも踏みにじったものと断ぜざるを得ないのであります。
二兆七百億円の財源不足額に対する今回の自民党
政府の
地方財政対策によりますと、
地方交付税率三二%は依然として据え置かれたままになっており、財源不足額の実に四分の三が
地方交付税特別会計の借り入れと
建設地方債の増発によって措置されているのであります。
昭和五十
年度及び
昭和五十一
年度における膨大な借り入れと巨額な地方債の増発に加え、
昭和五十二
年度におけるこうした措置が、
償還財源を全く保障することなく強行されるならば、
地方財政の崩壊は火を見るよりも明らかであります。そればかりか
地方交付税法第六条の三第二項に明らかに違反する今日の自民党
政府の措置は、地方自治の発展を願う
国民に対する重大な挑戦と言わなければなりません。
今日、
地方交付税制度の
改革なかんずく
税率の
引き上げは、いまや
国民的合意となっており、この
国民的期待にこたえることこそ今国会の重要な課題であります。このような
立場からわれわれは、
地方交付税率の
引き上げ措置等を含め、
一般財源の充実強化を図り、もって
地方財政の危機を緊急に打開し、地方自治の発展を図るため、本修正案を提出した次第であります。
次に、本修正案の概要について御説明申し上げます。
第一は、最近における自治体の
財政需要の増大に対処するため、
昭和四十一
年度以来、据え置かれてきた
地方交付税率を現行の三二%から三六%に
引き上げることといたしております。
第二は、
地方交付税率の
引き上げに伴い五千百七十五億円の借り入れ措置は不要となるわけでありますから、九千四百億円の借入額を四千二百二十五億円に減額することといたしております。
第三は、
昭和五十三
年度以降の
地方交付税の総額を
確保するため、
昭和五十
年度及び
昭和五十一
年度における借入額の元金
償還については、
昭和五十三
年度以降、
当該年度に
償還する額に相当する額を臨時地方特例交付金として
一般会計から繰り入れることといたしております。
第四は、自治体の財源の充実強化を図るため、速やかに国・自治体間を通じて行
財政全般にわたって抜本的
検討を加え、その結果に基づき、国と自治体との間の財源の再配分が実施されるよう必要な措置を講ずることといたしております。
第五は、
地方交付税の交付額は、自治体固有の財源であることにかんがみ、国税収納整理
資金から
交付税特別会計へ直接繰り入れることといたしております。なお、本規定は、
昭和五十三
年度から実施することといたしております。
以上が本修正案の概要でありますが、本修正によって
地方交付税の総額は、五百十二億六千万円増額することとなりますので、この増額分を一兆三百五十億円の
建設地方債の発行予定額から減額すべきであることを表明し、私の提案理由の説明を終わりたいと存じます。
何とぞ慎重御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)