運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-04-19 第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十九日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 大西 正男君 理事 木村武千代君    理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       中村喜四郎君    中村  直君       西田  司君    堀之内久男君       加藤 万吉君    新村 勝雄君       山田 芳治君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    和田 一郎君       中井  洽君    三谷 秀治君       川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      塩田  章君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         議     員 小川新一郎君         経済企画庁調整         局財政金融課長 高倉  建君         沖繩開発庁総務         局企画課長   関  通彰君         沖繩開発庁総務         局参事官    瀬沼  勤君         国土庁長官官房         審議官     下山 修二君         国税庁間税部長 大槻 章雄君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 長尾 立子君         農林省農林経済         局保険管理課長 船曳 哲郎君         水産庁漁港部計         画課長     福地 辰馬君         建設省道路局国         道第二課長   渡辺 修自君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   川合  武君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     川合  武君     ————————————— 四月十八日  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  小川新一郎君外三名提出衆法第三二号) 同日  行政書士法の一部改正に関する請願外五件(坪  川信三紹介)(第三三九一号)  行政書士法の一部改正反対に関する請願(栗原  祐幸君紹介)(第三三九二号)  同(戸沢政方紹介)(第三三九三号)  同(長谷川峻紹介)(第三三九四号)  同外一件(前田治一郎紹介)(第三三九五  号)  同(村山達雄紹介)(第三三九六号)  同(池田行彦紹介)(第三四一三号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第三四一四号)  同(中井洽君絡介)(第三四一五号)  同外一件(渡辺美智雄紹介)(第三四一六  号)  同(林義郎紹介)(第三四八七号)  同(増岡博之紹介)(第三四八八号)  同(松野幸泰紹介)(第三四八九号)  行政書士法改正に関する請願外一件(林義郎  君紹介)(第三三九七号)  同(奥野誠亮紹介)(第三四一八号)  同(砂田重民紹介)(第三四九二号)  行政書士法適用除外規定の新設に関する請願  (奥野誠亮紹介)(第三四一七号)  同(砂田重民紹介)(第三四九〇号)  同(林義郎紹介)(第三四九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  小川新一郎君外三名提出衆法第三二号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号)      ————◇—————
  2. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 これより会議を開きます。  この際、小川新一郎君外三名提出に係る公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。小川新一郎君。     —————————————  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 小川(新)議員(小川新一郎)

    小川(新)議員 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対し、公明党・国民会議を代表し、その提案理由内容の大要を御説明申し上げます。  不況とインフレの長期化地方行財政制度根本的不備とが相まって、今日の地方財政はかってない深刻な危機に直面しております。  現在の地方財政危機を打開する道は、地方税交付税などの一般財源の安定的かつ十分な確保を図るための地方財政抜本的改革が必要であります。しかし、政府はこれらの抜本改革を行わず、地方債増発交付税会計借金増大など地方公共団体借金を押しつける、その場しのぎの施策に終始してきたのであります。  地方債は後年度に負担を強いるものであり、政府のような安易な地方債等増発は厳に慎まなければなりません。  地方公共団体一般財源を十分に確保した上で、地方財政を弾力的に運用するために地方債は重要な役割りを持っております。特に社会資本整備が著しく立ちおくれているわが国では、公共施設整備計画的推進を図るために地方債を活用することが好ましい場合が少なくありません。また地方債資金としては、長期低利政府資金を優先的に充てるべきでありますが、政府資金が十分に措置されていない現状では、地方公共団体条件の悪い縁故債増発を余儀なくされております。  しかも今年度においても、景気の動向いかんでは民間資金需要が旺盛となり、地方公共団体民間資金融資を受けようとしても、地方公共団体資金調達が円滑に行われないおそれがあります。  今日の地方債を取り巻く諸情勢の解決と地方債弾力的運用を図るためには、現在、公営企業だけを対象とした公営企業金融公庫資金地方公共団体普通会計債にも融資できるように公営企業金融公庫を改組することが地方公共団体の長年の悲願でもあり、また、きわめて肝要であります。  以上の理由によって、本改正案提出した次第であります。  次に、本改正案内容について御説明申し上げます。  第一は、本改正案により、公営企業金融公庫地方公共団体金融公庫に名称を改めることとし、公庫低利長期資金地方公共団体普通会計債融資できる道を開き、住民福祉の増進に寄与することを目的としております。  第二は、政府公庫地方債の利子の軽減に要する費用に充てるため、補給金を交付することにいたしております。  その他所要の改正を行うこととしております。  また本改正により、地方公共団体金融公庫運用について申し述べさせていただきます。  地方団体等に貸し付ける資金確保するために、法律事項ではありませんが、現行の運用に加えて証券市場の実勢にゆだねる特別公募債発行を積極的に行うことが適当ではないかと考えております。  この特別公募債発行は、地方公共団体縁故債の消化が困難な団体または高金利の資金でなければ融資を受けられない団体に対し、融資できるに足る額を適当としております。  なお、本改正案に要する経費としては、平年度約五十億円を見込んでおります。  また、この法律は、公布の日から三カ月以内に施行することとしております。  以上が、本改正案趣旨及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  4. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小川省吾君。
  6. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 他省からもおいでをいただいておりますので、他省にかかわる問題を先にお尋ねいたしたいと思います。  大蔵省と国税庁からおいでをいただいておるわけでございますが、特に酒類製造業及び酒類販売業関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。  酒類製造及び販売は、酒税法の第七条なり第九条によって免許が与えられているわけですが、酒税が国税の主要な財源一つであることになるわけでありますので、かなり厳しい条件がつけられておるようでありますが、いかがですか。
  7. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  酒類につきましては、先生案内のように、販売につきましては免許制度がとられておるわけでございますが、酒類につきましては、かなり高率の税が課されておりますし、また国家歳入に占める地位もかなり比率でございますので、私ども免許制を持っておるわけでございます。  御案内のように、酒税メーカーが納めるわけでございますが、その税金というものは流通過程を経まして転嫁されていくわけでございますので、メーカー販売した代金が、流通業界からあるいはさらに消費者まで転嫁されて、円滑に返ってきて、それが納付されるということが必要なわけでございます。したがいまして、流通段階の占める機能というものは重要な機能を持っておるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして、酒税保全上の見地から考えましても重要な点でございますので、私ども免許制は必要であるというふうに考えておるわけでございます。  なお、その具体的な運用ということにつきましては、消費者利便ということも十分配慮いたしておるわけでございますし、また、既存小売業者に対しましては免許制度の上にあぐらをかくことなく、消費者利便を十分考えて、そして公正な競争を通じまして消費者にサービスをするようにということで運用してまいりましたが、今後ともその方針で、その地域の具体的な需給状況等勘案しながら運用してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  8. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 現在酒類製造状態はどんなふうになっているのかお尋ねをいたしたいわけですが、私どもの周囲でもかなり水割り党といいますか、ウイスキー洋酒党がふえてきているのが実態です。そういうので清酒がどんなふうになっているのか、かなりダウンをしているのではないかということでお聞きをしたいわけですが、昭和五十二年度酒税を見ますると、一兆五百八十億で、昨年比百三十億減少しているわけですね。逐年減少をしているわけですが、また、この酒税の中の清酒洋酒ビール、そういう内訳はどんなふうになっているのか御説明をいただきたいと存じます。
  9. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  酒税課税実績というのは五十年度まで出ているわけでございまして、五十一年度と五十二年度予算額でございますが、ちなみに五十年度ということで申し上げますと、酒税課税実績でございますが、清酒は二千六百億円、ビールは四千百九十億円、ウイスキー類が二千百十九億円、その他が二百十六億円でございまして、合計九千百二十五億円でございます。この九千百二十五億円を一〇〇といたしました構成比で申し上げますと、清酒が二八・五%、ビールが四五・九%、ウイスキー類が二三・二%、その他が二・四%になっております。  五十一年度は、清酒が二千九百二十億円、これは予算額でございます。先ほど申し上げた構成比で申し上げますと二七・三%、ビールが五千二百二十億円で四八・七%、それからウイスキー類が二千三百六十億円で二二・〇%、その他が二百十億円で二・〇%、計で一兆七百十億円でございます。  五十二年度、これはもちろん予算額でございますが、清酒が二千六百億円で二四・六%、ビールが五千五十億円で四七・七%、ウイスキー類が二千六百八十億円で二五・三%、その他が二百五十億円で二・四%、合計一兆五百八十億円ということでございます。
  10. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 私が大体思っているような形で、清酒の占める比率が若干ダウンしてきているわけですね。清酒の中でいわゆるナショナルブランドといいますか、灘や伏見等大手の酒の製造業者と、ローカルというか地方には地酒で大変うまいお酒もあるわけでありますが、ウイスキービール業界酒製造業事情についてお尋ねをしたいわけなんでありますけれども、どうもウイスキーといえばサントリー、ビールといえばキリンというように、洋酒ビールウイスキーではかなり寡占の状態をしているわけですが、独禁法の分割の対象にもなりかねないような状態になっているわけですね。しかし、酒の業界というのは地酒メーカー等中小企業を入れて二千数百あるということですが、どうも大蔵といいますか国税庁中小地酒メーカーに対して少し指導が厳し過ぎるのではないかというふうに実は思っておるわけであります。どうも淘汰していって、いわゆるナショナルブランドというか大手に統合していくような指導をやっておられるのではないかというふうに思われる節があるわけであります。税確保という見地からなんでしょうけれども、そういう観点からのみとらえて中小地酒メーカーを圧迫していってはならぬと思っているわけですが、中小地酒メーカーに対する保護、育成というふうなことについてはどのように考えているのかお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  地酒に対してどういうことを考えているのかという御質問の御趣旨のように思いますが、先ほど酒税収入ということで御説明いたしましたように、確かに清酒酒税全体の中に占めるウエートは減りつつあることは事実でございます。これは酒の種類間の競争ということになるわけでございますが、いわゆる酒というものは先生案内のように嗜好飲料でございまして、その時代その時代嗜好というものによって、その商品実態かなり変わりつつあるわけでございまして、最近で考えてみますと、酒類全体としては対前年度で見ますと減ってきているわけでございますが、その中でふえているのはウイスキー類ということで、いわゆるヤングの人たちに対してウイスキー類がよく愛飲されているという、生活様式洋風化とかあるいは食生活の洋風化というようなことも多分に影響しているのではないかというふうに思っておるわけでございますが、そういう中で清酒産業をどういうふうに考えていくかということで、私どもはこの五十二年度から第三次の近代化計画を発足させまして、五十二年度から五年間実施するということに相なったわけでございます。  清酒製造業につきましては、御案内のように昭和三十九年度から四十三年度までガイドポスト方式による第一次の近代化を実施してまいりましたし、それから四十四年度から四十九年度まで第二次の近代化を実施し、いわゆる構造改善計画というものを実施してまいったわけでございますが、なお清酒製造業中小企業性、体質の脆弱化ということから、さらに第三次の近代化ということをこの五十二年度から発足させたわけでございます。  五十二年度から発足させました第三次の近代化と申しますのは、経済がいわゆる高度成長時代でありますれば、合併とかあるいは協業化ということで、メーカー段階における協業化あるいは生産規模増大というようなことから生産向上性を図り、スケールメリットの追求ということを主眼とした政策を進めてきたわけでございますが、御案内のように、オイルショック後は消費需要停滞ということで、酒類一般需要停滞化状態にあるわけでございますので、つくったものがいかにして売れるかということが重要なモメントになるわけでございます。それで、第三次の近代化におきましては、関連業種協調型ということでございまして、清酒製造業だけではなくて、卸、小売流通販売業界をも踏まえたところの総ぐるみ近代化計画を進めておるわけでございまして、御質問にございましたような地酒振興ということも、需要開発あるいは新製品の開発ということで構造改善計画一つの柱になっているわけでございます。  それで、くどいようでございますが、今回の第三次近代化においては、販売業界も入っておるわけでございますので、販売業界を通じてどういうようなものが消費者に愛飲されるかということから、そちらの方のいろいろな情報も得、また私どもの組織にあります鑑定官という技術屋サイドもあるわけでございまして、そちらの方の意見も申し上げて、そして、その土地において皆様方から愛飲される酒を新しく開発し、また商品も多様化して地場産業振興も図っていくようにというふうなモメントから、地酒振興ということを推し進めていくのが、第三次近代化の中における一つの柱となっておる次第でございます。
  12. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 そうすると、お伺いをいたしますと、大手に比較をして中小メーカーが非常に企業努力をやっていることはわかりますし、そういう御指導をなさっているわけですから、いわゆる販売機構整備でありますとか、情報充実等を図るための助長をしているのであって、決して中小メーカーを淘汰をして大手に統合しようというような意図ではないというふうに理解をしてよろしいわけですね。簡単に一言。
  13. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  第三次近代化におきましては、いわゆる構造改善計画というものを、これは業界から申請が出されまして、去る三月三十日と三十一日に、中小企業近代化審議会大蔵分科会及び大蔵部会大蔵大臣からお諮りしたところ、御了承を得まして、近代化計画につきましては、これは国税庁が策定するものでございますが、四月十一日に公示いたしました。それから構造改善計画につきましては、四月十二日に承認をしておるわけでございます。  そしてその構造改善計画は、先ほどもちょっと申し上げましたように、関連業種協調型の構造改善事業で、知識集約化事業とか経営規模適正化事業、あるいは取引関係改善事業として、共同事業開発あるいは取引関係改善ということを進めていくわけでございます。その構造改善計画の中に二百三十七社の転廃業というのが入っておるわけでございますが、これは私どもが強制的に進めているということではございませんで、業界の方から、こういうかっこうで、先ほど私が申し上げました事業内容にわたっての申請がありましたことについて私ども承認をしたということでございまして、無理やり進めていくということではございません。競争関係の中において、みずから努力していかれる方はもちろん存続されるわけでございまして、決して強制的なものではないということを申し上げたいと思います。
  14. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 お答えは、時間が一応あるのですから、簡単に要領よくやってください。  流通機構関連をしてお伺いをいたしたいわけですが、酒類は、先ほどもおっしゃったように、メーカーから卸、卸から小売というように流れていくわけですが、通常メーカーから卸へは一割から一割五分くらいのマージン、それから卸から小売へは一割くらいのマージンで取引されているというように聞いておるわけですが、しかし最近はこれに通常一ケースに三本か四本ぐらいの一・八リットルびんをつけるというような状況がかなり出てきているようであります。すると、末端販売小売業にはそういう点が集約をされてまいりますから、末端小売では、粗利は二割七分とか八分とか言っておりますけれども、銘柄によっては四割から五割ぐらいの利益になっているようですが、そのとおりですか。
  15. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 清酒マージンでございますが、いわゆる建て値について申し上げますと、たとえば清酒二級の場合には販売価格マージンで卸が約一二%程度小売が二一、二%程度ということに相なっておるわけでございます。  それから、先生御指摘のような現品つきとか、そういうような話も私どもも全然聞かないわけではございませんが、先ほどおっしゃられたほどのひどいものではないというふうに聞いております。
  16. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 資本主義社会自由競争ですからある意味ではやむを得ないと思いますが、一ケースに三本なり四本なりをプレミアムとしてつけている、そういうふうな余り感心をしない商慣習ですが、そういう商慣習は是正をできないのですか。
  17. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  御質問のような商慣習につきまして、私どもは、値引きとかリベートというようなものにつきましては、これは昔からのいわゆる商慣習があるわけでございまして、これはゼロというわけにはいかないわけでございますが、余り極端にわたらないように、合理的な範囲内にとどめるようにということで行政指導をしておるわけでございますが、御案内のように酒類需要が全般的にどうも低調でございますので、当然その間にありまして競争が過当にわたることになるわけでございますが、私どもは、値引きとかリベートというものを極力縮減するようにということで行政指導をしておるわけでございます。
  18. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 次に、免許実態について若干お尋ねをいたしたいわけですが、酒税保全というような意味で、どうも既存販売業者保護という状態になっているのではないかというふうに思っているわけですが、戦前七、八千万の人口当時に約五十万軒の小売業者がいたというふうに言われていますが、現在一億一千万の人口で約十五万軒程度というふうに言われているわけですね。戦前より非常に減っている、こういう状態は少しおかしいなというふうに私は思っています。そういう点で、農協なり生活協同組合なりが免許申請をすると、既存小売業者保護ということで、販売業者組合が強くて許可をおろさない、こういうふうになっていますが、農協とか生活協同組合等には免許をおろさないというのが基本方針ですか。
  19. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 主として酒類小売販売業免許につきましては、運用考え方ということは先ほど説明申し上げたとおりでございますが、昭和五十一年三月末現在で酒類小売販売場数というのは十六万五千場でございまして、最近の例で言いますと、毎年二千数百ないし三千場程度が新たに免許をされておる実情でございまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、免許制度は必要であるという前提に立っているわけでございますが、消費者利便も考えまして、その地域需給事情等実態に即しまして弾力的に運用をしているわけでございます。  それから、第二点の農協とか生協に対しては免許を与えないことにしているのかという御質問でございますが、私どもは、農協とか生協につきましても、決して免許を与えないということではございません。毎年かなりの件数の免許をおろしておるわけでございます。ただ、生協の場合には員外利用を認めるということが免許を与える場合の一つ前提になっておりますが、それ以外の要件といたしましては、一般免許の場合と同じように考えておるわけでございます。既存業者との関係一つの要素として考えておりますが、酒類免許というのは、一定の地域に対して適正に酒を供給するということが目的でございまして、私ども販売免許等取扱要領、これは国税庁長官通達でございますが、そこには申請者人的要件申請販売場場所的要件あるいは需給調整要件というようなものが決められておりまして、それに基づきまして、その地域実態に即して免許をおろすというふうに考えておるわけでございます。
  20. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 あなた方は販売業者のいわゆる合理化省力化による企業努力消費者への利益の還元、こういう安値による販売をさっぱりお認めになろうとしないように見られるのですが、その理由は何ですか。
  21. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 酒類価格というものに対する考え方でございますが、歴史的に申し上げますと、先生案内のように、三十五年の十月に統制価格廃止になりまして原則として基準販売価格に移行したわけでございますが、その基準販売価格も三十九年の六月に廃止になりました。したがいまして、その後は全面的に自由価格となっておるのでございまして、製造及び流通ごとの各企業が自主的に判断して決定するものでございますが、ただ酒類先ほども申し上げましたように多額の酒税を負担している物資であるとともに、嗜好飲料といたしまして国民の消費生活に関係の深い物資であるので、酒の販売価格は、酒類業者の経営の健全性の確保と国民の消費生活の安定との両面の要請にこたえる合理的かつ妥当なものであるのが望ましいというふうに私どもは考えておるわけでございまして、安売りということを私どもはかたくなに考えているわけではございません。ただ問題は、安売りということの意味合いがどの程度であるかということでございまして、いわゆる不当廉売と言われるような、たとえばメーカーの場合でございますならば総原価を下回って売るとか、あるいは流通業者の場合でありますと実質仕入れ価格販売経費を足したものを下回って売り、しかもそれがその地域の市場に影響を与えるというようなことでございますと、酒税保全上という観点から私どもは好ましくないということで、そういう場合には個別に指導をするという場合もございますが、一般的には先ほど申し上げましたように、酒類業の経営の健全性の確保と国民の消費生活の安定、この両方の柱を踏まえながら生産なりあるいは流通なりの各段階において自主的に価格を決定していただくわけでございまして、個別に介入しようという考え方をとっておるわけではございません。
  22. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 先ほども申し上げたように、販売業者のところに卸やメーカー企業努力というかサービスなり、リベートが集中してくるわけですから、そういう意味販売業者が仕入れ価格販売経費を入れても、私がこれから言うのは原価より安く売るということじゃないのですが、いわゆる定価よりもかなり安い価格消費者にサービスをしようとすれば、税務署はすぐに立ち入り調査という形でいやがらせをやっている例をたくさん聞いているわけであります。こういう理屈に合わないことが通っていいはずはないわけでありまして、販売業者企業努力、廉価サービスの中でやっていくような努力を立ち入り検査などで介入はしていないというふうに断言できますか。
  23. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生のお話にもございましたように、定価より下回ってということでございましたが、恐らくその定価という意味は、メーカーの希望販売価格あるいは建て値というものであろうと私は理解したわけでございますが、私どもメーカーの希望販売価格あるいは建て値というものを下回ったからといって、すぐ立ち入り調査するとかあるいは検査ということをしているわけではございません。先ほども申し上げましたように、いわゆる流通段階で申しますならば、実質仕入れ価格プラス販売経費というものを下回っているような場合には、私ども酒税保全上の見地から個別に指導をするというたてまえでおるわけでございますので、いわゆる建て値をちょっと下回っているからといって調査をしているということではございません。それからその原価なるものも、それは業界の平均的とか標準的とかそういう考えではございませんで、当該お店の原価ということでございますので、あくまでも個々の実態に即してということでございます。
  24. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 関税五−一(例規)五十二年一月二十七日の指導通達がございます。これについてお伺いをいたしたいわけですが、「酒類販売価格に対する指導等について」という題名になっております。一般指導で原則としては価格決定に介入しないというのは結構なんですが、「個別的指導」という中に「販売価格が当該酒類の原価を下回っている場合で、かつそれが地域市場全体の過当競争を誘発するおそれあると認める場合」云々とあります。どこでも営業ですから原価を下回ることは考えられないし、酒税保全見地から販売価格を改めさせるとあります。しかし、酒税は当然蔵出しの段階ですでにかかっているわけですから、それが転嫁をされてくるわけですが、原価プラス最小限の販売必要経費を加えた価格販売をしているものを規制する必要はないと思います。いまのお答えもそのとおりなんですが、いわゆる原価プラス最低必要限の販売経費を加えたもの以上の廉価で販売をしている場合には当然介入をしないというように理解をしてよろしいわけですか。
  25. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 企業経営ということで考えます場合に、しかもそれは継続企業ということでありますれば、通常の場合再生産活動を行うためにはどんな場合であれ、利潤というものが当然必要なことは私が申し上げるまでもないことでございます。この通達で申し上げておりますのは、販売業界の場合におきましては、実質仕入れ価格プラス販売経費ということで見ているわけでございますから、これは要するに個々の場合には、個別指導ということで私どもが調査等する場合には利潤までも入ってないわけでございます。したがいまして、酒税保全ということで考えます場合には、これがぎりぎりの線であろうというふうに考えておるわけでございます。免許制度をとっている前提といたしましては、当然税金はメーカーが納めるわけでございますけれども、その代金が流通過程を経まして転嫁されて回収されるということが重要なわけでございますので、当然流通業界におきましても、それが不当ダンピング等ということで赤字というようなことであるなれば、代金の回収もむずかしくなるわけでございますので、私どもとしては個別の指導をする線としてそういうふうに考えた次第でございます。
  26. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 どうも酒税保全という名分に走って、企業努力による自由競争を認めないというふうな点が見受けられるわけです。この通達内容にしても、踏み込み調査をやれるのだぞというふうなおどかしをかけて、そういう業者の努力を抑えつけているような悪代官的な要素があるというふうに思っておりますので、ぜひ適正に運用をしていただきたいということを要望をいたしておきます。  それから酒税についてですが、現在の日本の酒税というのはアルコールの含有量によってかけておるようですが、外国では製造石数によって、たくさんつくればたくさん税金を納めるということになっている。日本の場合のアルコールの含有量でもそうなるわけですが、そういう酒税の税制をとっている国もあるようでありますが、そういうことについて検討をしてみるお考えはありませんか。
  27. 大槻説明員(大槻章雄)

    大槻説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘の点は恐らく西ドイツのビールの規模別課税というようなことを御念頭に置かれましての御質問であろうかと拝聴いたしたわけでございます。これについてどうだということでございますが、私どもは出庫の問題をやっているわけでございまして、間税部長といたしましては制度論というのは権限外でございますので、御容赦いただきたいと思います。
  28. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 特に要望しておきますが、酒類販売等に対する不当な介入指導がないように強く要望してこの問題については終わります。  それから、国土庁においでをいただいておりますので、奄美群島の振興開発特別措置法について私はお伺いをいたしたいと思うのであります。  奄美群島も復帰後すでに二十四年を経過をいたしたわけですが、この法の施行によって着々と振興開発が行われて整備が一段と進みつつあることは同慶の至りだというふうに思っております。しかしながら、僻地であるということ、あるいはまた離島であるというようなこと、あるいはまた鹿児島が財政的にも楽ではないというような事情もこれあり、本土との格差は覆うべくもないと思うわけであります。治山治水の整備であるとか、あるいは北方漁業がソ連の理不尽な態度でああいう状態であるだけに、南海の水産地域としての漁港関係整備であるとか、あるいはまたサトウキビ産業振興であるとか大島つむぎの保護育成など、継続をして振興整備を図るべき問題が山積をいたしておるわけでございます。同法は五十三年までの時限法でありますが、再度延長する必要があることを今月の初めに奄美群島を視察をしてまいりまして痛感をしてまいったわけであります。五十三年度で切れる同法の再延長を図るおつもりが現在の時点でおありかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  29. 下山説明員(下山修二)

    ○下山説明員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘のように、比較的に本土から離れまして恵まれぬ地域でございますが、振興開発のいろいろの事業をやりましても本土との格差がまだまだ埋まらないという状況にあるのは御指摘のとおりでございます。私たちといたしましては、あと二年この立法によりまして振興開発をやる期間が残されておりますので、この二年にわたりまして全力投球いたしまして、振興開発を図っていきたいというふうに考えております。特に本年度は各省庁の御協力を得まして、前年度の予算の伸び率が三八%というふうな大幅な事業費、それから行政部費も計上しているところでございます。  ただいま先生の御指摘の期限延長問題につきましては、現段階では結論的に申し上げることは私としてはできないところでございますが、四十九年のこの法律改正の際、当院の附帯決議をいただいております。それには「計画期間後も諸格差が是正されない場合はさらに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。」こういうふうになっておりますので、実は本年度の予算でも新しく奄美群島全体につきまして総合調査というものを私たちは予算計上して企画しております。この結果は、いま先生がいろいろの分野について御指摘になったようなことを計量的にもはかってみまして、その法律の期限切れのときにどういう状態になるかということを予想したいと思います。その時点における諸整備状況を踏まえまして、ただいま先生の御指摘の御趣旨も十分尊重しましてその御趣旨に沿うよう今後十分検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  30. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 具体的な問題で数点お伺いをいたしたいわけですが、まず一番初めに民放テレビの問題であります。南部地域ではまだ民放テレビが見られないわけですね。プロ野球であるとかプロレスであるとかみんな見たいわけでありますけれども、見られる状態になっていない。こういう点で早急に民放テレビが視聴可能な状態にやっていく計画になっているのかどうかお伺いいたします。
  31. 下山説明員(下山修二)

    ○下山説明員 お答え申します。  ただいま先生おっしゃられましたように、特にこういう情報関係、ただいま情報社会と言われているようなことでございますし、特に本土との格差感をなくするためには、こういう民放テレビが見られるというのは相当大きなメリットになるというふうに私たちは考えているわけでございます。しかし実際には、これには大変お金がかかるわけでございますので、民放の会社と国それから県が協力をしまして、五十年から一応四カ年計画ぐらいで、先生御指摘の一番南の島まで民放テレビが見られるようにとわれわれは考えているわけでございます。  若干経過も含めて御説明いたしますと、五十一年の十一月に中之島の中継局をまずつくりました。それから本年の二月に名瀬の中継局を開設いたしました。これによりまして名瀬市龍郷町、笠利町、喜界町及び住用村の一部で受信が可能になりました。本五十二年度につきましては、五十三年の三月、約一年後でございますが、瀬戸内中継局を開設する予定にしております。これによりまして住用村の一部、それから大和村、宇検村、瀬戸内町それから徳之島の徳之島町の一部が受信可能になると考えております。なおその後の計画におきましては、五十三年の十月をめどに徳之島中継局をつくりまして、徳之島町の残りの部分、天城町、伊仙町で受信可能というふうに考えております。それからさらに年を越しまして五十四年三月の予定でございますが、知名中継局を開設いたしまして、知名町、和泊町それから先生御指摘の最南端の与論町まで受信可能というふうに考えておりまして、ちょうどこの期間が先生御指摘の先ほどのこの振興法の期限切れの時期でございますが、これまでには一番南の島まで民放テレビ可能というふうに努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  32. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 建設省においでをいただいておりますので伺いたいのですが、国道五十八号線の支線なんですが、高瀬から瀬戸内町へ抜ける本茶トンネル、現地では、ふんちゃトンネルと言っているようでありますが、本茶トンネルは何年度開通の予定で工事を進めていかれるわけですか。
  33. 渡辺説明員(渡辺修自)

    渡辺説明員 お答えいたします。  国道五十八号につきましては、昭和五十年度に昇格をいたしまして、本土から奄美群島を経まして沖繩とつながったわけでございまして、五十年度からただいまの本茶トンネルにも着手いたしております。ただ全体で六十二億円というような予算が必要と推定されておりまして、ただいまは地質の調査関係あるいは用地の測量といったことを始めておるわけでございまして、当面は取りつけ道路の方を急ぎませんとトンネルにかかれませんので、まだいまのところいつ終わるということについては未定でございます。
  34. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 そうすると、土地問題が解決がつけば、何十年もかかるということでなしに突貫工事でやっていただけるというふうに理解をしてよろしいのかどうか。  あわせてお伺いいたしたいわけですが、やはり五十八号線支線で本島南部へ抜ける名瀬から朝戸方面へ抜けるトンネルがどうしても必要だという現地の要望が強いわけです。現地ではいまのところ奥又トンネルと呼んでいるわけですが、この開通についての必要性を認められておられるのかどうか、これに着手していただけるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。
  35. 渡辺説明員(渡辺修自)

    渡辺説明員 本茶トンネルの取りつけでございますが、これの延長が八・五キロほどございます。したがいまして、これの事業費はやはり先ほど申し上げました六十二億の中の四十四億ほどかかるという状態でございますので、いまのところ予算は非常に伸ばしていただいております。今年度予算も対前年四割増しというような状況でございますが、それにいたしましてもまだはっきりした時期は未定でございます。私どもといたしましては、何とか五十五年くらいにはトンネルにかかるようにはいたしたいと思っております。  それから、二点目にお話のございました奥又トンネルでございますが、名瀬から南の方に参るわけでございますけれども、一応四十七年にいわゆる一次改築が完了したばかりのところでございます。しかしながら先生現地でお聞きになりましたように、縦断勾配が若干きついというようなことで、それからヘアピンが三カ所ほどございまして通りにくい点があるわけでございます。ただ、これもいまやっております本茶の関係、それから瀬戸内町の方に網野子地区というのがありまして、これはまだ一次改築さえも終わっておりません。その辺の事業等々と調整をとりながら、奥又についてはまだ未定ではございますが考えてまいりたいと思っております。
  36. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 ああいう島ですから、ぜひひとつそういう点で工事を早く進められるように、さらにまた必要性のあるところについてはぜひ開通をしていただくように要請をいたしておきたいと思います。  農林省においでをいただいておるわけでありますが、サトウキビ産業があの土地の主要な産業であるわけですが、御承知のように台風常襲地帯でございます。それだけにサトウキビが台風を受けた場合の経済的な影響というのは甚大であるわけですが、農業共済の対象作目として当然取り入れていくべきだというふうに思っていますが、実情はどうなっていますか、お伺いをいたしたいわけです。
  37. 船曳説明員(船曳哲郎)

    船曳説明員 お答え申し上げます。  サトウキビ共済につきましては、本格実施制度の確立に資するために、臨時措置法に基づきまして昭和四十九年度から試験実施を行っているところでございます。試験実施を希望する農業共済組合等は、都道府県知事に対しまして試験実施指定の申請を行い、その指定を受けて実施することとなっております。  なお、サトウキビ共済につきましては、現在試験実施中の実績を踏まえまして、できるだけ早期に本格実施に移行するよう検討を進めることといたしておりますが、最も早めましても昭和五十四年度になるものと考えております。
  38. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 ぜひひとつ対象作目として加えて、サトウキビが台風の被害によって経済が壊滅的な打撃を受けないように、一日も早く実現をしていただきたい。指導もあわせて県の方を通じてお願いをいたしたいと思っております。  それから、水産庁においでをいただいておりますので伺いたいわけですが、北方漁業がああいう状態ですから、北方漁業で失うところのメリットを他の地域でカバーをしていかなければならない面が多分にあると思うわけでありますが、そういう意味であの周辺の漁業というのは大事です。しかし、見ると漁港の整備が大変おくれているようであります。大熊港の整備だけはある程度進んできているようでありますが、漁港整備をそういう意味で本格的に、年次的に早くやっていただかないと困ると思うのですが、漁港整備についての実情と今後の計画についてお伺いをいたします。
  39. 福地説明員(福地辰馬)

    ○福地説明員 ただいま先生御指摘ございましたように、最近におきまする諸外国の二百海里漁業専管水域の設定等に見られまする新しい海洋秩序の時代に相なりまして、日本といたしましては、国民の食料としての水産物の安定的供給を確保いたしますために、海外の漁場におきますこれまでの実績の確保に努めますとともに、わが国の周辺海域におきます漁業の積極的な振興を図ることが非常に重要であるというふうに考えられるところでございます。このような情勢でございますので、漁業生産の基盤でございます漁港の整備を一層促進することが急務でございまして、このために従来やってまいりました漁港整備計画を最近の実情に合いますように変更いたしまして、昭和五十二年から新しい整備計画に基づく計画によりまして、漁港の整備を一層促進いたしたいということで先般国会で御承認をいただいたところでございます。  奄美群島につきましては、現在指定漁港二十三港ございまして、昭和三十年以降、復興計画、振興計画、それから振興開発計画と引き続き整備がなされてきたわけでございまして、昭和四十九年から始まりました振興計画におきましては、各島の主なる漁港を重点的に整備いたしますという方針で、大熊、小湊、知名、早町、この四港を中心にいたしまして、これを漁港改修事業という事業整備いたします一方、その他少し規模が落ちます事業、局部改良事業というもので古仁屋外十一港について整備をいたしてまいったわけでございます。  この事業費につきましては、この振興開発計画に入ります前年度昭和四十八年度事業に比べまして、最近の五十一年度におきましては、全国の漁港予算がおおむね四〇%程度の増加に比べまして、奄美分につきましてはいろいろ関係方面の御理解もございまして十一倍強程度に増加してまいっておるというふうな状況でございまして、これまでも整備に努めてまいったわけでございますが、今年度から始まります新しい漁港整備計画におきましては、引き続き大熊、小湊、知名、早町、この四港を国会の承認を受けました漁港整備計画として今後一層促進してまいりまするほか、必要に応じまして漁港改修事業、局部改良事業、こういった事業もあわせまして一層今後進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  40. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 ぜひひとつよろしくお願いをいたします。  それから自治省にお伺いをしたいわけですが、これは特別法でございますから特別法でカバーをするのでしょうが、離島なり僻地なりに対する手だては年々厚くされていっておると思うのですが、いかに補正をしてもなかなか不十分な点は免れないだろうというふうに思っています。これは特別法で措置をしているわけですね。実際に離島なり僻地なりということでカバーをするのではないのだろうと思いますが、そういう点が十分に五十二年度はさらに充実をした形でやられていくのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  41. 石原(信)政府委員(石原信雄)

    ○石原(信)政府委員 地方交付税の算定におきまして離島、僻地等につきましては態容補正係数等の算定を通じてそれぞれその特殊要因を算入しているところでございますが、五十二年度の算定におきましても、従来に引き続きその内容充実を図ってまいる方向で検討をいたしておるところでございます。
  42. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 国土庁に要望をしておきたいのですが、実は離島でありますがゆえに医師の数が圧倒的に不足をしているわけですね。そういう点で、特に病院事業整備充実が急務になっておるわけでありますが、救急病院、救急対策等を含めた県立病院等の充実が大変強く要望せられているわけでありますから、特に病院整備等について計画の中で充実をしていっていただきたい、こういうことを要望して奄美に関する質問を終わります。  そこで、交付税の本論に入るわけでありますが、ずっと昨日までの質問をお聞きをいたしてまいりまして、あらゆる問題にわたっての論議が尽くされておるというふうに思っておりますので、余り申し上げる点もないわけでありますが、私としては具体的に端的に何点かについてお伺いをいたしたいと思っております。しかし、重複をする点も免れ得ないと思っておりますが、お答えのほどをお願いをいたしたいと思っております。  まず第一は、今回の借り入れによる措置の問題についてであります。当初、自治省は大蔵省に対して五%の税率の引き上げを要求をしたわけです。これがいつの時点で、いかなる理由で、またまた五十年、五十一年と同様な借り入れに変わっていったのか、変わったのは一月の何日で、大蔵に屈服をしたのではないとは思いますけれども、どういう理由で変わったのか、この点について御説明をいただきます。
  43. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 自治省といたしましては、五十二年度地方財政対策として交付税の五%引き上げを要求いたしまして努力を続けたわけでございます。そのために、まことに異例のことでございますが、大蔵省の予算原案内示後になってもまだ妥結を見ないという状況に立ち至ったわけでございますが、この折衝の過程で、今日の財政経済の状況下においては交付税率を変更することが困難だ、こういう判断に到達をいたしたのでございます。そこで、これにかわる措置といたしまして臨時特例交付金の繰り入れ、あるいは交付税の増額という制度の改正をもって対処することになったわけでございます。最終的に話が妥結いたしましたのは十八日でございます。
  44. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 いまの時点では困難だと判断をしたのが理由のようであります。ということは、大蔵の壁が厚かった、五%は幾ら要求をしても大蔵にいなされてしまって何ともならなかったということですか。
  45. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 これはもう押しつ押されつしたことは事実でございますが、いろいろ話し合いの過程で、今日の財政の状況あるいは経済の状況というようなことを検討いたしました結果、最終的にかような措置で当面はやっていこうということで話し合いがついたというわけでございます。
  46. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 昨日までの御答弁によれば、いまの御答弁もそうだと思いますが、五%要求をしたのは正しかった。正しい当然の正義の理由があった——正義の理由があったとは言いませんが、正しかったということを言っておるわけでありますから、私もそのとおりで、五%当然真剣になって要求をしたのだと思うのですが、だとすると、いまわれわれ野党が五%要求を仮に出したとした場合に、自治省としてはどういう態度をとるのか。むげに反対だというわけにはいくまい。当然正しいことを主張して、いまでも正しかったと思っておられるという御答弁なんでありますから、当然おれたちも真剣に要求をしたのだということだろうと思うし、ただ客観的条件が違うのは、予算案が通過をしたという理由だけであろうということで、要求の正しさという点については認めるのにやぶさかではない、こういうふうに自治省としても判断をされると思うのですが、いかがですか。
  47. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 折衝を開始いたします時点では、この際、ぜひとも交付税率を引き上げなければならないという認識を持っておったわけでございますが、最終的にはこのような経済環境のもとにおいては困難でもあるし、また望ましくもない、こういう判断に到達いたしたわけでございます。交付税率を大幅に引き上げるということは、私どもはもとより希望しておることでございますから、将来このことが可能な状況になりましたならば、文字どおり抜本的な改正をしたいと願っておるわけでございます。今日の時点においては適当でない、かように考えざるを得ないわけでございます。
  48. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 切れ者として評判の高い財政局長が、交付税法の審議以来非常に苦しい答弁ばかりをしているわけです。恐らく法律には違反したくないのだということで苦しい答弁をやっていらっしゃるのだと思うのですが、どんな理屈をつけても自治省の財政局、自治大臣を初め自治省以外の者にとっては詭弁であり強弁であるとしか実は受け取れないわけですが、いかなる理由で法制局に見解を求められたわけですか。
  49. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 私どもといたしましては五十二年度、ただいまの状況が地方交付税法六条の三第二項、これに該当する事態であるという認識を持っておるわけでございます。毎々申し上げておるとおりでございます。したがいまして、今回の地方財源措置、これはやはり交付税法の六条の三、二項の趣旨、これにのっとりました措置をとる必要がある、こう考えておるわけであります。したがいまして、当初は先ほど質問ございましたように、交付税率のアップ、これを要求いたしたのでございますが、いろいろ経済情勢そのほか事情がございまして、実現を見ません。しかし六条の三、これは厳存をするわけでありますから、これに該当する措置、これをもってやはり対処をしなければならぬ、こう考えたわけでございます。そこで御高承の措置をいろいろとったわけでありますが、これが六条の三に該当するかどうか、これは当然法律解釈として確立をしておく必要がございますので、法制局とも相談をいたしたわけでございます。
  50. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 そうではなくて、どうも六条の三の二に該当しないおそれがあるのではないかという後ろめたさがあったから、法制局で何とか合法であるという理屈をつけてもらいたいということで協議をしたのじゃないのですか。
  51. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 それはそんなことはございません。私どもは当初から申し上げておりますように、たとえ単年度の措置でありましょうとも、将来に国に対する負担をはっきりさす、こういう法定もやるわけでございますから、六条の三に違反をしないという信念は持っておったのでございますが、なお念のため法制局にも法律解釈をお伺いをした、こういうことでございます。
  52. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 法制局の見解を聞いて、どう思われましたか。ほっとしたのですか、ずいぶん苦しい理屈づけだなと思われたのですか。率直なところを聞かしてください。
  53. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 私ども解釈をいたしておりましたことと幸いにしてほぼ同じ方向でございましたので、やはりそうであったかと思っただけでございます。
  54. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 御承知のように、六条の三の二というのは、制度の改正と税率の変更とを並列をしているわけですね。私は法制局の見解は少し違うのではないかと思うのです。これは制度の改正に準ずる措置と言えぬことはないというような説明で、これは誤りであって、そう言うから苦しい答弁をなさるので、税率変更に準ずる措置であると言えないことはないというような解釈をされれば、あなたそんなに苦しまなくてもよかったのじゃないか。結局、直接、正確には六条の三の二に違反をしていないと言って言えないことはないというような措置であるということが正解ではないのですか。
  55. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 いろいろな点から六条の三の二項の読み方、制定当初からのいきさつもございます、検討をいたしたのでございますが、結局、法制局も見解を漏らしておられますように、もちろん平常の事態でございましたならば、通常の事態は長期にわたる制度改正ないしは税率の変更、こういうようなことが通常の事態であるわけでございましょうけれども、ただいまの時点のように先行きの見通しが非常につきにくい、こういう事態にあっては、その当該年度交付税の額を増額をする、そのための各種の措置を講ずる、こういうことも、たとえ単年度であってもここに言う制度の改正、これに当たるのではないか、こういう考え方を持っておったわけでございます。したがいまして、そのような意見もあるがということでいろいろ御相談をいたしたのでありますが、そのような御解釈をいただいて意見が一致をしておる、こういう状況でございます。
  56. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 制度の改正ではないのでしょう、交付税率を三・六%引き上げたのに準ずるような措置だというのが正しいと私は思うのです。いいでしょう、水かけ論になりますから。  財政局長、五%を大蔵に要求をしたときの心境を思い起こしていただきたいのですが、あのときの心境と、交付税法の審議が始まって以来答弁をやられている現在の心境と、恐らく財政局長自身が矛盾を感じておられると思うのです。あるいはむなしさでいっぱいであろうというふうに思っておりますが、その心境についてお伺いをしたいのです。もし矛盾がないとすれば、要求をしたのは国会の手前であるとかあるいは六団体の手前であるということで、本心ではなく、真剣に取り組んでいなかったということですか。
  57. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 五%要求いたしまして、決して真剣でないことではございません。交付税率の引き上げをまずやはり実現をしたいという希望に燃えておったわけでございます。しかし、先ほどから大臣もお答え申し上げましたように、その後の折衝の経過、特にただいまの経済情勢がこのような不安定な時期である。それからいずれにいたしましても近々国民の租税負担のアップ等を含みます非常に大きな抜本的な税財政全般の改正をしなければ、国の場合も地方の場合も基本的にこの財源不足から抜け切れないという事態、それに対応してどのような抜本策をどのように講じていくかということがこれからの一番大事な命題であろうという事態でございます。したがいまして、私どもは五%のアップを要求いたしまして交付税率のアップを希求したのでありますが、このような変化をたどっております事態において、まず何と申しましても五十二年度の所要財源を的確に確保をする、これが第一であります。そのやり方としては制度改正によることが一番望ましい、交付税率のアップをやることが望ましい、このことでございますが、この問題は今後の抜本的な制度改正、これに絡めまして逐次実現をしていくことでやむを得ないのではないか。まことにやむを得ないという表現でございますが、やむを得ないのではないか、こう考えたわけでございまして、ただいまの時点として、私ども要求をしました財源を一応確保し得て、しかも将来に対してそのような対処のやり方をやっていこう、こう考えておるわけでございますから、決してむなしさとかそういう気持ちを持っておるわけではございません。今後も大いに努力をしていきたいという希望に燃えております。
  58. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 どうも交付税法の審議が始まって以来の御答弁は希望に燃えている人の答弁とは受け取れませんが、矛盾がない、心残りはない、むなしさはないということですから、いいでしょう。  そこで、昭和五十年、五十一年も借り入れによって同様の措置をとったわけですが、法定をしなかったからあれは制度改正ではない、こういうように言われるわけですね。だとするならば、もしも国家財政が苦しくなってきて、五十年、五十一年の措置に対して、どんな大蔵大臣が出てきて、特例交付金として交付をしなくなったというような事態があっても、あれは法改正ではないのだから、制度改正ではないからやむを得ないと、自治省は泣き寝入りですか。
  59. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 五十年、五十一年の借入金につきましては、地方財政の状況、国の財政の状況、こういうものを勘案しながら両省で十分検討して、地方にとって過重な負担とならないような措置をする、こういう約束をしてございます。具体的な手法といたしましては、今後当該借入金の償還が起こります各年度年度に、例の財政計画の手法によりましてそれだけを償還をした場合に幾ら財源不足が出てくるかという計算をこれは的確にいたします。財政計画の手法を通じてそういう計算をいたします以上、そこでもし財源不足が生ずるということであれば、これを完全に埋めていくのが自治省の本来の使命であり、また絶対これは完遂をしなければならぬ使命であると考えておるわけであります。したがいまして、この償還が事実地方財政に過重な負担になるという事態は生じない、また、生じさせることはない、このように考えております。
  60. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 だけれども、五十年、五十一年は法改正をやらなかったから、あれは制度改正じゃないのですよね。いかに約束をしたか、悪い大蔵大臣が出てきて、その気はないんだというふうに開き直られたら、いまの大蔵に対する態度からすれば、それ以上主張できないんじゃないですか。私はそういう状態を憂えているわけなので、それならばなぜことし改正をする際に、五十年、五十一年等のものも含めて法改正をやらなかったのですか。
  61. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 法改正をいたしておりませんので、いわゆる特例交付金という形で支出をさせるというかっこうのみに限定をしたことにはならない、それは御説のとおりでございます。しかしながら、いずれにいたしましても五十年、五十一年度の借入金の償還、これが地方財政に過酷な負担を及ぼすということがないようにということは約束をいたしておりますし、また、たとえそのような約束がもしなかったにいたしましても、当該年度ごとに立てます地方財政計画、これに基づきまして非常に大きな財源不足が生ずるということであれば、これは地方財政は動かないわけでありますから、そういう事態、政府全般としてそのような動かないような事態を現出をさすということはないもの、こう確信をいたしております。  ともあれ、私どもとしては将来についてのそういう約束をいたしておりますので、この線はあくまでも遵守をしていく、地方財政に困難な事態を生じさせない、こういうかっこうでやっていきたい、こう思っております。
  62. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 そこで、来年度以降どうされるかという問題でありますが、きのうも大蔵大臣が言ったように、公債依存度が国の財政で五%か一〇%というような状態は当分の間来そうにもないわけですよね。そういう理由でことし法改正をして、来年以降もこういう手法をとっていく、そういうことでことしは法改正に踏み切ったわけですか。
  63. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 来年度以降の問題は、先ほどから申し上げておりますように、来年度以降のいわゆる財源の不足額、これがどういう状況になってくるのか、それからもう一つは、経済のある程度の安定が前提になりましょうが、全般的な税財政制度の改正、これがどういう段取りで進んでいくのか、こういうこととあわせまして検討していかなければならぬと思っておるわけであります。したがいまして、ことしどおりのような措置を来年もとる、こういう前提をとっているわけでは決してございません。五十三年以降は、交付税率のアップも含めまして、それから税財政制度の改正、これも含めましてどのような措置をとるのか、これから検討してまいりたい、こう思っております。
  64. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 とにかく抜本的対策を講じなければならないような地方財政ですから、ぜひひとつそういう構えで、法改正をしたからといって、こんな手法ばかりを繰り返されていたんじゃ困るわけですから、ぜひひとつお願いをしたいと思います。  そこで、ここ数年にわたり、いつも交付税質問の際にわれわれも主張をしてきたわけですが、ルール化をした特別交付税は普通交付税に繰り入れるべきだという主張を修正案としても提出をしてきた経験があるわけです。ことしの改正に当たたってなぜ——答弁をされるのは、ルール化をしたものは移したいという答弁をされるわけですけれども、なぜことし踏み切らなかったのか、あるいはまた、近い将来において六%の交付税を五%なり四%に減らしていくというふうなことをやられる意思がおありかどうか、まずこの点をお聞きします。
  65. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 昨年の法改正で、先生案内のようにルール化できます特別交付税は早手回しに配分をするということで十二月に交付をし、残りの分を三月に交付をする、こういう改正をさしていただいたわけでございます。もちろんルール化をしますものの中で、普通交付税の算入になじみますようなものはできるだけ普通交付税に算入をしていきたい、こう思っております。現にことしも消防の救急関係の業務、こういったようなものは普通交付税に入れたりなんか、移しておる事態があるわけであります。しかし、たとえば災害の例をとって申し上げますと恐縮でございますが、明らかにこれはルール化をして交付税を配っておりますけれども、災害の分を普通交付税に移すわけにはまいらない、これは先生案内のとおりでございます。こういう事態で、ルール化をできるものは十二月に早手回しに配るという措置をとることによって、御主張のお考え方を具現をさしていただいておる、このように実は考えております。  しからば、ある程度ルール化したものを普通交付税にほうり込むことによって、六%の率が下げられるではないかという御指摘もあるわけでございますが、これまた先生案内のように、最近の経済情勢、社会情勢、住民のニーズ、こういうものの変化に伴いまして、地方行政の財政需要の方にもいろいろ変化が出てまいりまして、また、新しい普通交付税にはなかなかなじみがたいような特交の要因になるような要素も出てまいっております。何分にもそういう要素が多うございますので、各団体ごとに特別交付税の交付に対する希望は非常に多額に上ります。したがいまして、現在のところやっと六%、この総額をもってどうやらこれに対処をいたしておるという現状でございますので、この率を直ちに下げるという事態はなかなか現在としては困難である、このように考えております。
  66. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 交付税に対する地方団体の不満は、基準財政需要の算定がなかなか必要な需要を満たしてくれないという点にあることは御承知のとおりでありますが、この点に関連をして若干お伺いをいたしたいわけですが、第一に、標準団体のとり方の問題ですが、府県が百七十万、都市が十万という数字であれば、私はやはりどう補正をしてみても補正し切れない点があるのではないか、そういう意味では府県は百万なり百七十万なり三百万なり、特に東京は別格にするということと、あるいは都市は五万なり十万なり三十万なり百万というような段階的な標準団体をとっていかなければならないんではないか、特に自治省としては手間がかかるわけですが、手間がかかるのは初年度だけだというふうに思いますが、標準団体を複数の段階制に変えていくことをおとりになりませんか、いかがですか。
  67. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 基準財政需要算定の適確化を期しますために、現在の標準団体県百七十万、市町村十万、この二つをもう少し細分化すべきではないかという御意見がございますことは、私どももよく承知をいたしております。あるいは非常に段階別に適確に算定をするためには、そういった手法が有効であるかもしれません。  しかしながら、ただいまも御指摘をいただきましたように、たくさんの段階に分けてそれぞれの単位費用を設定をいたします。これは非常に複雑化をするわけでございまして、現在よりもまたそれだけの倍数だけ手法としては複雑化をしてまいります。それとともにもう一点考えられますことは、たとえば市町村における交付税の配分見込みも、たとえば市分と町村分、こういったものを初めから交付の総額を仕分けて考えていかなければならぬ、こういったような実際上の問題も起こるわけでございまして、それぞれの段階別に代表されるグループごとに、何と申しますか、増加要求、こういうものも出てくる可能性があろうかと思います。こういった配分にもなかなか困難が伴うと思います。  したがいまして、現在の状況では標準団体を二つに設定をいたしておりますが、この間の段階別の補正係数あるいは態容別の補正係数、こういうものをなお精査をし、研究をしていく、こういう手法をもって対処をしていく、こういうことよりほかに現実の問題としてはなかなかむずかしい問題ではなかろうか、こう考えております。
  68. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 基準財政需要額の算定を五十二年度も一部改正をしたということは、自治省もその必要性を認めているということで評価をできるわけですが、公共施設の整備に要する経費の財源措置を五十二年度やられたようですが、具体的にはどういうふうに措置をされたわけですか。
  69. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 これは五十二年度地方財政計画中におきまして、公共施設、特に生活環境をめぐります各種の投資的経費、こういうものの充実を図っておるわけでございます。  そこで、単独事業関係でもかなりの増加をしたわけでございますが、特に清掃関係、それから都市公園関係、住宅関係、こういったようなものにつきましては、特に増加をさして見ておるわけでございます。それから、このような投資的経費に対します財源措置でございますが、ことしは具体的には公共事業等の裏負担、これに対しましては地方債を九五%充当する、こういう具体的措置になりましたので、むしろ交付税措置と申しますよりはそちらの方で財源措置をした、こんなかっこうに相なります。ただ、この地方債通常の年よりも充当率をアップしましたその差額分と申しますか、充当率をかさ上げいたしましたこの分については、その償還費を将来交付税需要算定に算入をしていく、そういうことで償還財源確保する、こういう対策をとったわけでございます。
  70. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 また、過疎というか、準過疎ですね、準過疎に対する手当てが少し足りないようだというふうに私は思っているのですが、実態はどうですか。
  71. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 過疎対策事業は、近年大分増加を図っておりますのは御承知のとおりでございまして、国庫補助金等の国の過疎対策関係予算もことし三千二百億余りになりまして、去年に対して一六・六%ぐらいのアップになっております。  それから、地方債関係で過疎債、辺地債、これも千二百五十億ほどに増加をいたしまして、約一五%ぐらい増加をさせております。  それから、その他国庫補助金制度、たとえば特定農山村振興特別対策事業費とか、あるいは地方バス路線の運行関係費とか、それから僻地中核病院等の医療対策費等とか簡易水道とか、こういったたぐいの国庫補助制度もかなり拡充をしてもらっておるわけでございます。  それから、準過疎団体、これに対しましても、交付税その他の措置で、人口減少率等を勘案をいたしましてかなりの増加をさせておるわけでございます。したがいまして、全般といたしましては、過疎対策としては最近かなり財源措置をし、このことによって相当の事業効果が出ているのではなかろうか、むしろ私どもそう考えております。
  72. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 それから、五十二年度財源不足額二兆七百億円が出てきた理由を聞きたいわけなのですが、この額が何らかの操作によって出てきたものかどうなのか、あるいは大蔵と協議をしている間に期せずしてそうなったのか、大蔵に押しつけられたものなのかどうか、あるいはこの額の設定に際して基準財政収入額を操作したり、あるいは基準財政需要額を抑えたりするようなことはあったのかなかったのか、お聞きをしたいと思うのです。
  73. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 結論的に申し上げますと、決してそのような財源不足額を目の子にして差し引き増減をやるといった操作を一切いたしておりません。  歳出面につきましては、私ども当初から持ち出しておりました歳出所要見込み額、こういったものを基礎にして積算がされております。具体的に変化がありましたのは、たとえば公共事業事業量等は国庫補助金の増減によって増減をいたしますので、こういったものは増減をいたしますが、しかしながら、他の通常見込み得ます経費を無理やりに削減をされたという事実は一つもございません。  それから、歳入面におきましても、それぞれの収入の見積もりをいたしておりますが、税収の見積もり等において、法人関係税そのほかがいわば国の法人関係税の見積もり、こういうものとの関連で変化をした、これはございますけれども、特別の理由もないのに、しゃにむに地方税収をよけい見積もっておけ、こういうようなことは一切ございません。
  74. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 歳入面なのですが、国税に合わせたということですが、もし税収が不足をしてきた場合には、いわゆる不足対策債を認めていくというお考えですか。
  75. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 ただいまのところは、あの程度の歳入は確保できると一応思っておるわけでございますが、もし万々が一でも大きな減収が出てくるということであれば、これは地方財政計画に見積もった歳入はわれわれやはり確保する責任があると思いますので、御指摘のような対策を種々講じてまいりたい、こう考えております。
  76. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 給与費の中に給与改定の経費が五%見込まれておるという答弁をずっとやってこられたわけですね。今年度の給与改定は、大体きょう、あす、あさってあたりが山なんですけれども、五%の枠内でおさまらないことはもう明らかであります。そういう点はその他の三千五百億円を使うんだということでありますが、実際にその三千五百億円の中で給与改定経費に見込むというのはどのくらいまでを見込むわけですか。一%の経費がどのくらいだか知らぬけれども、どのくらいまでを見込んでもいいというふうにお考えになっているのか。不時の災害等に対しては当然予備費の中から出していく形になるわけですが、給与改定経費も当然この三千五百億円の中で操作をしていかなければならぬわけなのでしょうが、どの程度まで見込めるわけですか。
  77. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 御指摘をいただきましたように、まず五%分を先組みをいたしまして、五%分というのは一般財源で三千三百五十九億、この程度でございますが、それを先組みをいたしまして、あと三千五百億の予備費を持っておるということでございます。この三千五百億の予備費は、どの程度が給与費で、どの程度がそのほかか、これは予備費でございますからいまお答え申し上げようもないわけでございますが、ベースアップが一%ございましたならば、これが一般財源のベースで申しますと約六百七十億余り、一%相当でそのくらいの金額に該当すると思います。したがいまして、金額の対比をもって御判断をいただきたいと思います。
  78. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 五%で三千三百五十九億ならば、もしも給与改定が一〇%になれば、さらに三千三百五十九億を三千五百億円の中から食うわけですね。そうなれば、災害等は補正等で組んでいくわけですから、そうなったってそれに耐え得るということに理解をしていいわけですか。
  79. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 今後いろいろ出てまいります追加財政需要、これには給与改定がどのくらいになるかという問題もございますし、御指摘のように災害そのほかの不時の出費がどのくらいになるかということもあると思います。そういったものを包括をしてただいま三千五百億という予備費を持っておる、こういうことでございます。この予備費できわめてたくさん賄えないという事態になれば、やはり補正措置そのほかが当然必要になろうかと思いますし、それは追加財政需要額の出方、それから国のこれらに対します予算補正のあり方、こういうものと関連をして将来研究すべき問題だと思います。
  80. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 論議をしても切りのない問題ですが、いずれにしても、給与改定が行われる際には責任をもって、この三千五百億あるいはその他の方法をもって、いかになろうとも措置をするという理解をしていいわけですね。
  81. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 給与改定がございました場合、それに所要な金額、これは措置をいたします。
  82. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 そこで、地方財政収支試算を拝見をすると、こういう借金依存の財政をこの両三年来とってきているわけですから、歳出に占める公債費の比率が年々増していくことは当然であります。自治体にとっては、五十四、五年度、償還が始まるときを考えると、容易ではない状態ですね。そこで、従来公債費依存の危険ラインという点をやはり一〇%だとか二〇%だとかということを言ってきたわけですが、これについての議論もすでにやられました。そういう点で、当然変える必要があるのではないかというふうに思っていますが、財政局長は、基準財政需要の中に公債費の元利償還額を見込んでいるから、比率は変えなくもいいんだと受け取れるような答弁をなさいましたけれども、どういう公債費の元利償還を基準財政需要の中に見ていくわけですか。
  83. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 ただいまの地方債の許可制度におきましての公債費ライン、先生御承知のように、公債費比率が二〇%を超える団体については将来の借金を少し慎んでもらう、こういう方策をとっておりますのは御承知のとおりでございます。最近の事態で、ただいま御指摘をいただきましたように、非常に一般財源の起債への振りかえ等をやった、こういうことによりまして公債費の比率が全般的に上がってくる、そういう事態にどう対処をするかという御指摘でございます。これは、いまもお話にございましたように、このような特別の地方債につきましては、将来その償還費を基準財政需要額に算入をすることによって償還財源を与えていくという措置をとっておるわけでございまして、具体的には、いままでこのような特例措置がない間は、たとえば災害復旧事業に対する起債、これに対しましては、この償還費を全く地方団体の責任にしてしまうことはかわいそうでありますので、これを交付税に算入をいたしております。それから最近では、いわゆる人口急増地域の都市の義務教育施設でありますとか、こういうたぐいのものであります。これを基準財政需要額の中に公債費を算入をすることによってその負担の軽減を図っております。それから最近の地方債への財源振りかえ、これが起こりました事態から、先生御指摘のように、この財源振りかえに使いました地方債については、また同様にその償還費を財政需要に算入をしていく、こういう措置をとっておるわけでございます。そこで、このような財政需要額に償還費の算入措置をとりましたその公債費につきましては、この公債比率の計算をしますときにこれをカウント外にする、こういう措置をとりますと、残りがいわゆる純粋の、将来に当然負担を残してしかるべき地方債、これだけになりますので、公債比率考え方は、それをカウントから除いて考えれば従前のような考え方でいいのではないか、そのカウントから除くという措置はことしの地方債の許可方針からすでにとっておる、こう申し上げたのでございます。
  84. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 地方債資金対策ですが、民間資金政府資金との金利差を見ていくわけですが、今回の改正で公募地方債にマル優税制を採用していくんだということですね、これは公募地方債の全額に適用をするわけですか。
  85. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 今回、租税特別措置法の改正によって公募地方債もマル優制度を導入をしていただきました。これの対象になります地方債は、昭和四十九年の四月一日以降に発行されました市場公募債で、個人が購入をしたもの、こういうことに相なっております。その分につきましては、国債と合わせまして、通常の三百万円のマル優制度の上に積み増して、さらに三百万円まで租税がかからない、こういうマル優制度をとっていただいておるわけであります。いま申し上げましたように、四十九年の発行以降でございます。これは、ただいまの公募地方債発行総額としましては、七千六百億余りの発行額がございます。いままで個人消化をされましたものは、そのうちの約一五、六%、このくらいのものが個人消化をされておるのではなかろうかと、このように考えております。
  86. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 縁故地方債の一部を日銀担保の適格化を進めるんだということがありますけれども、これは縁故地方債のどういうものが適用になるのか、縁故債が全部日銀担保適格になるのかどうか。
  87. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 これは縁故地方債におきましてもいろいろなものがございますので、一言で申し上げますれば、一定の要件を備えておって、しかもかなり流通性がいままでもある、こういう性格のもの、これに限って適格担保債にしていく、結論としてはこういうことにならざるを得ないだろうと考えております。これはまだ、具体的には現在日本銀行において検討中でございます。したがいまして、まだ結論は出ておりませんが、われわれとしては、いま申し上げましたように、少なくとも流通市場でかなり流通量が多い、それから発行形式もかなり整備をされておる、こういうかっこうになってまいりますと、たとえば都道府県債、指定都市債、こういったたぐいのものが挙がってこようかと思いますが、そういうたぐいのものについて指定をしていただくようにただいま折衝中でございます。
  88. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 御承知のように、地方公営企業が軒並み赤字ですね。そういう点で、特に交通なり水道なり病院の生活関連事業企業債の確保については責任を持って配慮してくれる、こういう理解でよろしいですか。
  89. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 御指摘のとおりでございまして、公営企業債につきましては、住民生活に直結をするサービスを安定的に供給しなければなりませんので、各般にわたって努力をいたしておるつもりでございます。ことしは、上水道、地下鉄、ガス、こういったものを中心にいたしましたが、総額で一兆七百九十一億円でございます。特別地方債で、病院関係、簡易水道事業、こういったものもかなり増額をいたしました。したがいまして、概括的に申し上げますれば、このような公営企業の運営のために必要な地方債資金、これはほぼそう無理なく賄える程度地方債計画が確保されておるように私どもとしては感じております。
  90. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 財源不足のほとんどを地方債に依存をするという現在の施策が将来の自治体の死命を制するようになるであろうということは明らかだと思うのであります。そこで、現在地方債は許可制度をとっていますが、地方債の計画額と実際に許可された地方債との関係は、非常に著しい乖離があるわけであります。一般会計債などは六〇%から七〇%も乖離をしているのが実態ではないかというふうに思っています。自治省の指導で、安易に地方債に依存をするという風潮すら自治体の中には、ある意味においては出てきているのもまたいまの実態ではないかというふうに思っているわけですが、このような乖離の実態を見るときに、許可制度にしても意味がないのではないか。許可制度そのものが意味がなくなったのではないかというふうにすら考えますが、許可制度そのものをどうしようとしていくのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  91. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 地方債の許可制度につきましていろいろ御論議を承っておりますが、ただいまの事態では、やはり二つの主な理由から許可制度をどうしても存続をする必要があるのではないかと私どもは考えております。  一つは、資金配分の問題でございまして、ただいまのように多額の地方債がございます、また、その資金も全部政府資金というわけにはまいらない、こういう事態でございますと、全般的に民間資金と公的資金との割り振りという問題ももちろんございましょうが、この地方債の中におきましても、地方債資金を三千余りの各団体にどのように配分をしていくのか、この点についてやはり計画的な運営をいたしませんと、平たく申しますと、財政力のある強い団体だけが消化が可能であって、残りの団体はなかなか資金にありつけない、こういう事態も起こってこようかと思います。また、先ほどから御指摘をいただいておりますいろいろな財政運営上の面から、地方債というものを正しく活用していくということも必要かと思っております。  しかし、地方債の許可制度につきましてよく御批判を賜ります最大の理由は、許可手続をできるだけ簡素化してほしい、なるたけ複雑でないようにしてほしい、こういう趣旨で、あわせて地方団体の自主性を確保してほしい、こういう御要望が根っこにあることは、よく承知いたしておるわけであります。したがいまして、許可制度の存続はいたしますけれども、許可に当たってはできるだけ手続の簡素化、自主性の尊重、これを図り得る方法でやっていく。具体的には地方債資金を枠配分をやっていくというやり方でございますが、これをただいま拡充をいたしておるわけでございます。五十二年度においては、普通会計債はほとんどその資金の八〇%近くは枠配分方式で、県ごとに枠を配り、その中でどの事業にどう充てていくかは各団体の選択にゆだねる、こういう方式をとっておりますので、この面での趣旨かなり貫かれておるのではないかと考えております。  それからもう一点、枠外債の御指摘がございました。枠外債は、昭和五十年度では約七千五百億、五十一年度で、これは見込みでございますが、約六千億、この程度の枠外債があるのは、御指摘のとおりでございます。これには簡単に申し上げまして二種類ございます。一つは公共用地先行取得等の土地取得の資金でございます。これは当初から地方債計画の中に枠として見込んでいくということが必ずしも実態に合わない。取得の見込みがついた、契約ができた、こういう際に、土地でございますから、地方債をもって取得する、これは適当なことかと思っておりますので、こういったものの運用がございます。  それから、単独事業関係とか下水道関係とかによくあるわけでありますが、地方で特に緊急にいまこれだけの事業をやっておけば将来非常に助かる、資金確保ができる、こういう事態のものがございました場合には、これは適当でありますので、私どもとしてはちゅうちょなくこれを許可するという態度をとっております。  したがいまして、むしろこのような面では、こういった枠外債、これを当初から枠に見込んでしまいますと、これこそまた逆に非常にきしむと申しますか、不自由になる、こういう状況でございますので、性格によっては枠外債の弾力的な運用を図らしていただきたいと思っておるわけであります。  なお、土地問題でいままで枠外債で扱っておりました義務教育施設関係の用地、これはことし政府資金をつけることにいたしましたので、この分は枠内に持ち込んだ、こういう経過はございます。
  92. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 今後とも地方債については十分な運営と指導をやっていただきたい、こういうことを要請いたしておきたいと思います。  次に、計画職員の問題、いわゆる職員の規模是正の問題についてお尋ねをしたいわけですが、五十年度、五十一年度は規模是正に真剣に取り組まれました。私ども高く評価をしているところですが、本年度はどうも取り組んでおられない。取り組まれなかった理由は何か。そしてまた、いまでも実際の人員との間には約三十万人に近い乖離があると言われておりますが、今後どうなされようとするのか、二点についてお伺いいたします。
  93. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 財政計画における職員数でございますが、いま御指摘のように、去年まで、四十九年から約二十四万人、規模の是正をいたしました。ことしは規模の是正をいたしておりません。ただいま御指摘のように、実人員と計画人員との差は、現在では表面上の差は約二十九万人でございますが、この中には財政計画上給与費関係のところに組んでいません地方財政計画上の計上人員が約二十一万人ございますので、実質の差は八万人余り、細かく申し上げますと八万三千人、このくらいの差だと思っております。  この差の内容につきましては、分析をいたしますと、義務教育関係の国庫負担対象外の教員でありますとか、あるいは警察官におきますそのような政令定数外でありますとか、こういうものがございますとともに、いままで地方財政計画上の定員合理化の措置をとってまいりましたものが必ずしも実施されていない、こういうものが主としてその内容だというように考えられますので、ことしは是正をせずにそのまま残したわけであります。  なお今後、この人員につきましては、給与実態調査等の結果も毎年いろいろ出てまいりますので、その都度細かな分析をしながら、できるだけ直していく、こういう方針はとりたいと思っております。
  94. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 いま八万三千という実人員との差を把握しているわけですから、ぜひひとつ、今年度はもう終わってしまったことでやむを得ないですが、来年度は規模是正に真剣に取り組んでいただきたいということを要請しておきたいと思います。  それから大臣、しばしばこの委員会で、国家財政と地方財政は車の両輪だという車の両輪説が出ました。大臣も口にされましたし、予算委員会では福田総理も言われたようであります。しかし、車の両輪説というのは、どうも国のサイドから見て地方団体を言いくるめるために使われているようなきらいが多いわけであります。車の両輪だったならば当然直径が同じでなければスムーズには前進をしないわけでありますから、そういう意味で、地方サイドから見れば、少なくとも国と地方との財政は五対五でなければならないというそういう車の両輪説がございます。大臣はこの点について共鳴をなさいますか。
  95. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 確かに御指摘のような国、地方財源配分の状況になっておるわけでございまして、昭和五十二年度の見通しの数字は国税六四・四%、地方税三五・六%、こういうことになっておるわけでございますが、地方交付税及び譲与税を考慮いたしますると、この数字が国四七・四、地方五二・六とほぼ半分半分という数字になっておるわけでございます。しかし、これから福祉を高め、あるいはおくれた社会資本整備を実行する上において、そういう仕事を担っていきます地方公共団体の果たす役割りというものは、申すまでもなくきわめて大きいわけでございますから、これからも地方公共団体の独自の税源を拡充するということに対しましては一生懸命努力をしてまいりたい、こう考えております。
  96. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 さっき財政局長に聞くのを忘れたのですが、山村振興代行道路整備事業という事業についてお聞きをしたいわけでありますが、私は昨年の質問で、この事業が準過疎等の山村部に非常に好評な事業だということを評価をしたわけであります。そこで昨年、特に財政局長に対して代行事業をやる府県に対して財源手当てを要望したわけでありますが、財政局長もその点については検討をしているという答弁があったわけでありますが、それがどう検討されたのか、その点を伺いたい。それと本年度のおおよその総額はどのくらいなのか、本年度あるのかどうか、あったらその総額はどのくらいなのか、お聞きしたいわけです。
  97. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきました山村振興道路代行事業、こういったことに関しまして過疎地域、特別豪雪地域、それから山村地域、こういう代行事業全般につきまして、その他の諸費で過疎地域人口を指標といたしまして投資補正をやる、こういうかっこうをとることにいたしたわけでございます。過疎地域人口を数値にいたしまして、五十二年度単位費用八百六十数円ぐらいになりますが、こういった計算をいたしまして、府県に財源措置をいたすことにいたしました。五十二年度の算入予定額はほぼ百十億円ぐらいになるのではなかろうか、こういう措置をとっております。
  98. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 最後に大臣なんですが、再び次官通達を出す季節がやってまいります。従来の次官通達が非常に悪名高かったのは、通達行政の典型的な悪い見本であったわけであります。法律、政令、規則を上回る強制力を持つ通達によって行政の指導指針とするところに問題があるわけでありますが、本年も当然このような地方財政の状況ですから、財政局所管の次官通達を出して来られると思うのでありますが、強く要望をして所見を伺いたいわけであります。あくまでも財政運営の指針であって、当然自治体の自主性に介入することのないような、問題を惹起することのないような次官通達に本年はしていただきたいことを強く求めたいわけですが、これについては所見はいかがですか。
  99. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 次官通達は、当該年度におきまする制度改正等について地方公共団体にこれを周知せしめる、同時にまた地方財政の運営に際して留意すべき基本的な事項をこれに盛り込む、そういう方針で通達をいたしておるわけで、もちろん地方公共団体の自主的な行財政の運営に介入をするというような意図は持っておらないわけでございます。
  100. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 介入するような意図は持っておらないということですから、ぜひひとつ、次官通達を出してその後で私ども野党の議員が打ちそろって大臣室へ押しかけて撤回を求めるということのないような次官通達にしていただけるのかどうか、お伺いします。
  101. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 これはあらかじめお約束を申し上げるわけにはいかないわけでございます。この点がけしからぬから撤回をせよとどういう点を御指摘になるのか、あらかじめ予見するわけにはまいりませんのでお約束は申しかねますが、ただいま申し上げましたような方針で通達を行うつもりでございます。
  102. 小川(省)委員(小川省吾)

    小川(省)委員 通達を出すことによって指導法律、政令等を上回るような強いもので、特に問題を惹起することのないような次官通達に本年はどうしてもしていただきたい、こういうことを強く要請をして質問を終わります。
  103. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 本会議終了後再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時四十分開議
  104. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  105. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 すでに議論は出尽くしておりますけれども地方交付税法はことしを含めて三年にわたってすでに法そのものが本来の目的を達成できない、あるいは機能できないというような状況になっておるわけでありますけれども地方交付税をめぐる地方財政についての現状認識はどうお持ちであるか、大臣にお伺いしたいと思います。
  106. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 五十二年度におきまして、二兆七百億の財源不足を生ずるという状況でございます。そこで、この際交付税率を引き上げることができますれば最も望ましいことである、かように考えまして、これを五%引き上げるべく大蔵省と鋭意折衝をいたしたわけでございますが、その折衝の過程におきまして、今日の経済、財政の状況下においてはこのことが困難である、また必ずしも適当でない、かような判断に到達いたしましたので、これにかえまして、すでに御高承のような制度の改正、臨時地方特例交付金の繰り入れ並びに交付税の増額、こういう制度の改正をもって対処いたしたわけでございます。今後経済が安定いたしまして、他の税、財政制度と関連をさせつつ交付税率につきましても抜本的な改正を実行する時期が一日も早く来ますように私ども引き続いて努力をしたい、かように考えておるわけでございます。
  107. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 自治省御当局は、「まさに地方交付税法第六条の三第二項の事態に該当すると断ぜざるを得ない状態となった」というふうに言っておられるわけですね。それから大臣も公開の席で、「交付税の税率そのものを引き上げるということが、根本的な、本来的な方法でございましょうし、それを主張したわけであります。」というふうに言っておられますから、税法本来の趣旨に基づいて税率を引き上げて、そして地方財政の運営、健全な合理化、健全な運用を保障するというのがまさに本来の姿であるという認識はお持ちだと思いますけれども、その点について重ねてお伺いをいたします。
  108. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 申すまでもなくこれが本格的な対処の仕方でございましょうから、条件が整いました際には根本的な改正をしなければならない、こう考えております。
  109. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 交付税法というのは一定の税率を法定いたしまして、その法定した額については自動的に地方の固有の財源として機能するということであります。ところが現在、過去二年、ことしを含めて三年でありますけれども、確かに自治省の御苦心によって財政措置はされておりますけれども、法の精神とはかなり違った形でされておるわけであります。そういうことで、法の精神がかなり曲げられておるというか、法の精神からは逸脱をした運営がされておるということは事実だと思います。いわゆる法の安定性といいますか、法律というのは制定の精神あるいは法の命ずるところを忠実にやっていかなければいけないという至上命令、原則があると思いますけれども、法の安定性というか、そういう点からいって、すでにこういう形では財源不足に対する措置はできておりますけれども交付税法の精神に基づいて安定的な地方財政を保障するという機能はすでに失っておると思いますけれども、その点についてどうお考えでしょうか。
  110. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 必ずしも交付税が本来の機能を喪失しておるという判断は持っておりません。それから法律との関係で申しますれば、これも繰り返し答弁を申し上げておるところでございますけれども交付税法の六条三の二項に違反するものではない。これは抜本的な制度とも考えておりませんし、もとより恒久的な制度でもございませんけれども、なおかつ違法ではない、こう考えておるわけでございます。
  111. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 違法ではないということでありますけれども、法の本来の命ずるところからはかなり違っておるということは事実ではないかと思います。自治省のお考えとしてこれは発表されておりますけれども、「地方交付税が国税三税の一定割合と規定されていることは、これら国税の一定割合は、当然にかつ自動的に地方交付税となるということである。いいかえれば、これらの国税の一定の部分は、本来地方団体の税収入であるが、国が代ってまとめて徴収し、これを財源調整および財源保障の見地から、地方団体の必要度に応じて再配分することとしたものである。」というようなことを言われておりますけれども、こういうふうに地方交付税というのは、単なる地方団体財源措置をすることではない、財源措置をすればそれでいいということではなくて、国税三税の一定割合を自動的に地方団体財源として保障するということでありますから、財源措置をするということと、それから地方交付税法を完全に機能させるということとは別だと思いますけれども、そこらの点についてお伺いいたします。
  112. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 お説のとおり、地方交付税は国税三税の一定割合、これを自動的に地方団体に収入せしめる、こういうことをもって地方団体財源保障ないしは財源調整、こういう機能をさせようという点であることはまことにそのとおりでございまして、間違いございません。ただ、いまの考え方といたしましては、国税の三二%そのものは、やはり正しく法律考え方のとおりに地方団体に固有の財源として付与されているわけでございますが、その三二%では総額が足りなくなった。つまり言いかえますと、国、地方を通じましての一般財源総額、これがいまの行政需要を支えるのに支え切れなくなった、総体が少なくなった、交付税を入れました結果、国と地方との財源の配分はまさしく五対五であるわけでございますけれども、その全体が足りなくなった、こういう事態であろうと思います。したがいまして、交付税率を上げるのか、行財政制度の改正をするのか、こういう抜本対策が近い将来に必ず必要なのでございますが、さしあたりの問題といたしましては、五対五に財源配分をいたしたその結果の額が足りない。したがって、その足りない額を少なくとも安全に補てんをしなければ地方財政が動かない、こういうことではなかろうかと考えておるわけでございます。
  113. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 局長さんの御答弁は、地方交付税法の完全な機能ということと、地方財政の保障ということとを混同しておられるようでありますけれども地方交付税法の本来の目的は、単に地方財政が運営できるように財源措置をし、保障をすればそれでいいんだということではないと思うのですね。やはりこれは長期的に一定割合を自動的に固有の財源として地方に与えるということですから、そういう面から言うと、交付税法の精神というのは、単に財源措置をすればいい、たとえば特例交付金というようなものを繰り入れて足りない分を補っていけばいいということではなくて、やはり本来の姿は、地方が支障なく運営できるだけの財源措置を率によって、単なる操作ではなくて、率によって自動的に地方財源として交付をして、そして保障していくということですから、その点ちょっと違うんじゃないかと思いますけれども、それをひとつお願いします。
  114. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 地方交付税の本来の機能として、御主張の点はそれはそのとおりございます。それからもう一つ、やはりこの地方交付税の本来の性格では、国と地方との財源配分、これをどうするかということにあずかって非常に力があると申しますか、租税と交付税、こういうことで国と地方との財源配分、これを行っておるという機能ももちろんあると思います。  先ほど申しましたように、ただいま不幸な事態でございまして、国、地方を通じましての一般財源の総量が足りません。それで先ほど申し上げましたように、これは御説のとおり、抜本的改正をやって、地方団体に長い目で見て確実な財源を保障するという機能を税、財政が発揮をすべきだ、私もそのとおり思います。しかし、ただいまの事態では、こういった抜本的な対策がいますぐはとれない事態にございます。そこで、やむを得ませんので、臨時的にも所要の財源確保するというこの措置をとらざるを得ない、こういう事態であろうと思うわけでございます。つまり、財源の配分としては、現行の税制及び交付税制で一応いままでずっと過去十年来とってまいりましたように、国と地方との財源配分比率が半々に保たれてはいるが、その額が全体として足りない、こういう臨時的な経過的な事態、これに対処をして、やむを得ず総額確保の措置をとってまいっている、こういう事態と御認識を賜りたいと思うのであります。
  115. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 財源配分、もちろんそうですけれども交付税法の機能によって結果的にこの財源配分ができるんであって、やはり一定の率で保障していくということが交付税法の本来の使命であり、また法の本当の基礎的な、重要な性格であり要素であると思うのですけれども、その点についてちょっとお考えが……。  そうしますと、五十二年度は五兆七千五十五億の交付税が交付されますけれども、三二%の率によって出てくる部分と、それからそれ以外の部分とがあるわけですね。ですから、観念的には、二つの部分で性格が法的には違うということになりますね。そこらの点をひとつ御説明願いたい。
  116. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 本来、長期的な制度として率を用いまして保障することが本来の正しい措置と申しますか、望ましい措置である、これはもう御指摘のとおりだと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、ただいまの非常に経過的、臨時的な、変動的な時期においては、それで算定をしております三二%の額が、全体の財政需要を支えるのに足りないわけでございます。そこで、直ちに率をもってはね返してこれを確保する、こういう方法ももちろんあろうと思います。そういうことを私どもも考えまして五%のアップを要求したのでございますが、率をただいまの時点で変更するということは、こういう非常に変動的な時期であり、しかも抜本的な税、財政制度の改正を目前に控えておる事態でございますので、長期的な制度となる率で変更する時期としていまが適当な時期であるかどうか、こういう点について判断が必要であったわけでございます。したがいまして、そういう意味では適当な時期でない、こういうことでございましたので、特例の措置を講ずることによって、ともかくも総額を確保した、こういうことでございます。交付税の総額が、いま御指摘のように、三二%に当たります分と、それから特例措置に当たります分との合計によって設定をされている、これは御指摘のとおりでございますけれども、しかし、これは交付税の総額の特例ということで条文修正をいたしております。交付税として出てきますものは、その両方合わさった額のものが交付税、あくまでことしの交付税でございます。それの九四%は普通交付税というかっこうで基準財政需要額マイナス基準財政収入額という一定の方式によって地方団体に、三二%の分、特例の分と区別することなしに配られるわけでございます。そこで、ことしの、五十二年度交付税の総額は、その両方を合わせたものとして存在する。これが長期的な制度というかっこうで率でリンクをされなかったというだけのことだろうと考えております。
  117. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 いまの局長さんのお話は、財政危機の中で地方交付税法が変質をしてきた、その結果ではないかと思いますね。交付税法に規定されました本来の目的は、やはり、あくまで率でいくということだと思います。ただ、最近の財政危機の中で、率でいくことが諸般の情勢、政治的な判断からして無理だということで、その補完的な措置として特例交付金を交付するとか、あるいは一般会計から繰り入れるというようなことが行われてきたのではないかと思います。ですから、これは交付税本来の精神ではないと思いますけれども、いかがでしょう。
  118. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 本来、平常時でありますならば、率でもって設定をされて交付税総額が決まる、これが望ましくまた正しい措置であるということは、先ほどもお答え申し上げました。お説のとおりでございます。しかし、何度も申し上げておりますように、ただいまのこの臨時的な激変的な時期では、その措置がとり得ませんので、やむを得ず総額の特例という法律改正を行いまして五十二年度の総額を設定をいたしておるわけでございます。したがいまして、それはいわゆる平常時、正しい意味での率ですべてが処理をされる、これが一番望ましいことには間違いございませんけれども、ただいまのこの措置をもって交付税の性格そのものが変質をしてしまったということにはならない、私はそう考えております。
  119. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 その点ですけれども交付税法の本来の目的は、あくまで率で財源措置を保障するということだと思うのです。これは疑いのないところだと思うのですね。ところがそれができない、諸般の情勢でそれができないために、それを補完する措置がその途中で講ぜられてきたということによって、交付税本来の性格が変質をしたということは疑いのない事実だと思います。それで、地方交付税法の精神から性格が若干変わって財政調整法的な、財源措置的な、財源措置をすればいいんだ、とにかく地方団体が困らないように財源措置をすればいいんだという思想に変わってきたのではないかと思うのです、交付税法の考え方が。その点についてわれわれは深い疑問を持っておるわけでございますが……。
  120. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 何度も申し上げますが、地方交付税地方団体財源を保障する、それから地方財源を調整する、こういうことで、これは地方団体の事務を処理し、行政を執行する権能を損なわずにその財源の均衡化を図る、それから地方交付税の基準の設定を通じて、地方行政の計画的な運営を保障する、こういう自治本来の、本旨の実現に資する、こういう目的をもって一般財源として配られる、こういう金でございます。その総額の設定は、先ほどから御議論がございますように、国と地方との財源配分、税制と絡みまして設定をされる財源配分でございますから、それは長期的に余り変動しない率で設定されるのが望ましい、それが正しい、これは私、何遍も申し上げておるとおりでございます。しかし、何度も申し上げますように、いま五、五に配分しておりますこの事態が、総額が足りないために金額が足りないわけでございます。その足りないものを追加する方法として率でやる方法もございましょうし、特例交付金というようなかっこうで増額をするという方法もございましょう。それは率の方が望ましいですが、いますぐ率ということに移り得ないとするならば、やむを得ず特例交付金といったようなかっこうで総額を保障する、こういうかっこうで、ともかく必要な総額は確保する、財源保障、これの機能確保する、あとは、この財源の均衡化それから計画的な運営に資するための配分、こういうものは交付税算定の本来の手法によってやっておるわけでございますから、その意味では変質ということにならないのではないか、こう申し上げておるのであります。
  121. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 その点がちょっと違うのです。この法の制定当時の思想、考え方としては、やはりそういうことではなくて、率で保障するというのがあくまでその根幹であったと思うのですけれども、それが財政状態の悪化の中で、諸般の考慮から、率だけでは無理だということでほかの措置が導入されてきたということだと思いますけれども、そうじゃないのでしょうか。
  122. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 率でやることが望ましい、それは何がゆえに望ましいかと言えば、それで長期的に財源の保障というものが行われてくるからでございましょう。ところが、ただいまの事態が、非常に財政状況も変動し、経済状況も変動しておって、税、財政制度の抜本的な改正がなければ国も地方もどうしても財源確保することができない事態でございます。そこで、その長期的な措置になる率をもっていますぐ切りかえることがむずかしい、そこで総額確保の特別措置をとっておる、こういうことではなかろうかと思うわけでございます。  交付税の率は、先生案内のように二〇%から出発をいたしまして、ただいま三二%というように、ずっと長い、三十年の間に増加をしてきたわけであります。これは絶えず地方税制のあり方、地方行政のあり方、それとの関連において、国と地方との財源配分が果たして適当であるかどうか、地方財源の付与が少ないではないかというようなことで、いままで減税がございますとか、行政需要がふえますとか、こういう事態に応じまして三二%というところまで立ち至っております。ただいまの時点は、その三二%で昭和四十九年ごろまではともかくも、曲がりなりにも何とか賄えたのでありますが、五十年に至りまして国、地方を通じて景気の変動によって大幅な税の減収が起きた、ここから事柄が出発をいたしておりますので、このような変動的な時期には特例の臨特をもって総額を確保する、こういう方策もまた許されるのではないか、こう申し上げておるわけでございます。
  123. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 そういうお考えですと、来年も何とかなるだろうと地方団体は思っていると思います。それから、ことしも確かに何とかなる程度には措置をしていただいたということは、これは事実であります。しかし、交付税法が制定をされたということは、地方財源を保障するということが大きな意義があり、またこの法の使命ではなかったかと思います。この保障をするという観点から率が決まったわけでありまして、率も決めないで、とにかく地方財源だけを保障するという規定であるならば、これはまたその考え方なり保障という意義が大分違ってくると思います。そういう意味地方財源を保障するという思想であるならば、やはりこれはあくまで率を上げる、それから下げる場合もあると思いますけれども、率で基本的には運営していくということが何としても本来の姿でなければならないと思いますけれども、その点はこの程度で終わりたいと思います。  それから、交付税の運営について若干の疑問があるわけなんです。というのは、交付税というのは、これは自治省の公式な解釈だと思いますけれども、こういう文書が出ております。「したがって、国税三税のうち、国がその施策の財源として使用できるのは六八%分なのである。このように、地方交付税は、国と地方との財源配分上の約束として国の一般会計の歳出に計上されるものであるのに、これを他のいわゆる国の施策に要する経費と同列のものとして扱い、国の財政硬直化の要因とし、国の財政を不当に圧迫する元凶のごとくいうのは」間違いであるというようなことを言っておられますが、交付税というのは、補助金あるいはほかの負担金というようなものとは全く根本的に性格が違いまして、言ってみれば、観念としては配分する前からもう国税のうちの三二%は地方に帰属するものであるというふうに考えていいと思います。そうしてまた自治省もそう言っておられるわけです。ですから、たとえば酒税にしても、酒税のうちの三二%は、もう国で収納したり処理はしますけれども、実際には、極端に言えば徴収される前から、すでに全期間にわたって地方に帰属している、そういうふうに考えてよろしいですか。
  124. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 私ども自治省の考えとしてはまさしく御指摘のとおりに考えております。三二%というのは本来地方に回るべきもの、したがって理屈っぽく言えば国の分は六八であり、地方の分が三二である、このように考えてしかるべきものだと思っております。したがいまして、この点につきましては、ただいまお読みをいただきましたのは、かつて国の財政硬直化キャンペーン等が張られましたときに、ちょうど交付税が他の予算、公共事業費だとかなんだとかと同列に置かれて、どれが多いの少ないのという議論がありましたのに対して私どもの考えを述べたものでございます。ただいまのところは、国庫側におきましてもそのように国と地方との財源の配分をあらかじめ決めておいて予算査定にかかるべきだ、したがって予算内示になります前に地方財政対策というものは決めていくべきだ、こういう点においては両方意見が一致をいたしておりまして、ことしは大変きしみましたけれども、いままでは大体予算編成前に両方とも所属財源を決めていこう、こういう態度に出ておりますのは御承知のとおりでございます。  ただ、根本的な性格、いわゆる地方の全くの個有の財源か、それとも国から交付される交付金か、こういう点につきましてはまだ両省の間に若干論争がございまして、それぞれ完全な意見の一致というところまではいっておりませんが、事実問題として、前もって地方財政に対する財源措置を決めてから国の予算編成にかかる、こういう考え方においては最近はそうなっておる、こういうように申し上げたいと思います。
  125. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 重大ないまのお話です。国の交付金であるかあるいは最初から地方団体に帰属をしておるものであるかということについてはまだ議論があるというお話であったのですけれども、その議論があるということになると、これは交付税法の根本問題であって、大変な問題になると思います。これはあくまで自治省の御見解どおりでないと、この法の運用あるいは地方財政に対する国の保障というようなことが根本から崩れてくるわけでありますので、その見解はあくまで堅持していただかなければいけないと思います。そういう前提のもとに運営されているわけですけれども交付税法全体を見てみますと、自治省御当局も必ずしもその考え方に徹しておられないというような面があるようであります。というのは、二十条二項に「自治大臣は、第十条第三項、第十五条第二項、第十八条第二項並びに前条第一項から第五項まで及び第七項の規定による決定又は処分について関係地方団体が」云々とありますけれども交付税の配分あるいはその使用について、国が権力的に介入をしてきているというような事実が——介入をしてきているんじゃなくて、そういうような思想のもとに交付税法がつくられているということがあるわけですね。それから二十条の二には、もらった交付税が適当に使われない場合には返還をさせるというような規定もあるわけですね。これはどういうことなんでしょうかね。交付税というのは、はっきり言えば徴収する前からすでにもう三二%については地方団体に帰属しているんだ、それくらい強い考えでなければ地方団体の財政の保障はできないと思います。税金を自治省が合理的に配分をされるわけでありますけれども、その配分されたものは地方団体の固有の財源でありますから、どういうふうに使おうと使うまいとこれは地方団体の自由であるわけであります。それに対して、こういう規定をされ、権力的な運用をされるということになりますと、交付税法本来の精神がここで根本的にゆがめられるということになると思いますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  126. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 地方交付税は御説のとおり地方団体の固有の財源であります。固有の共有の財源でございます。しかし一団体にはっきり所属するというものではございませんで、三千三百の団体の共有の地方団体の固有の財源でございます。したがいまして、これを配分をいたします場合には、いわゆる団体のそれぞれの行政水準、これを維持をする、それは法令等に定められました一定の住民のための事務、こういったものを担保をするだけの額、これだけがちゃんと渡されるような仕組みによって、それぞれの団体に帰属させられる、配分される、こういうことになっておると思います。したがって、一定の行政事務というものを行うのに一応足りるという担保をしておる、こうも言えると思います。  御説の交付税法二十条の二はいわゆる地方団体が法令で義務づけられた事務、これについてその規模と内容を怠って著しく水準を低下させる、こういうようなケースにあっては、当該行政を担当しております大臣が一定の水準は保ってくれ、法令上の義務需要でございますから一定の水準は保ってくれ、こういう勧告をし、その勧告に従わない場合には交付税の返還、こういうものを命ずることができるという規定があるわけでございます。これは、いま申し上げましたように交付税をもらいました地方団体としては、交付された地方交付税を良識を持って自治の本旨に従って財源に充てる、こういう責任を持つ、またそれを担保しておる、こういう性格から出てきたものだと思うわけでありまして、使い先は全く自由でございます。また、一々細かな点に至るまで国が行政関与をして、そうでなければ取り上げるという意味の規定ではないのであります。
  127. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 それから特交の中にも、使い道のいかんによっては交付税を通じて地方団体に制裁を加える——制裁という言葉じゃありませんけれども、実質的にそうであります規定がございますけれども、これもやはり交付税本来の精神からは逸脱をしているのではないかと思いますけれども、これについてどうお考えでしょうか。
  128. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 交付税先ほど申し上げましたような性格のものでございますから、地方財政法の二十六条にも規定がございますが、地方団体が法令の規定に違背をして著しく多額の経費を支出をしたとか、あるいは本来確保すべき税収入、そのほかの収入の徴収を怠った場合、こういった場合には交付税を減額をすることができるぞという規定もあるわけでございます。つまり、必要な行政経費これを担保いたしますために当該団体が徴収をしておる税収入で足りない分、これを完全に補てんをしていくのだというのが財源調整の機能でございましょうから、取るべき税金も取らないでいるとか、あるいは違法の支出をしているとか、こういうような場合には他団体との公平上、均衡上減額をすることができる、こういう規定がございます。  特別交付税の場合もいろいろ減額項目を立てておりますが、たとえば収入面でギャンブルそのほかの収入がたくさんある、こういうような場合には特別交付税を減額をいたしますし、また歳出の面でもプラスアルファ等の支給がある、つまりこれはいわば財源がたくさんあるのでそういう支出がされているのだろう、こういう観点に立てば、やはり特別交付税を減額をする、こういう措置をとっておるわけでございまして、精神はいま申し上げたような事柄でございます。
  129. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 先ほどおっしゃったように、交付税地方団体の共有の財源ではあると思います、分配する前は。しかし、各団体はそれぞれの財政需要に基づいてこれを受ける権利というか、これを受けることを主張することができるはずですね。ですから、当然これは権利だと思います。各団体がほかの税法に基づいてその地域から税金を徴収をする、やはりそれと同じ権限というか、それがあると思うのですけれども、その点についてはいかがでしょう。
  130. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 地方交付税は、ただいま御指摘をいただきましたように、地方公共団体固有の財源でありますが、共有財源でございますから、この配分の場合には、やはり地方公共団体全般に対して公平と申しますか、その原則を貫いて配分をしなければならぬ、こういうことだろうと思います。したがいまして、法令の規定は、先ほども申し上げましたように、自分で徴収すべき税金も徴収しないで、金がないからよこせ、こういうような要求がもしあったとすれば、これに応じることは不公平だということになりましょうし、また法令に違背をしておるような多額の経費を出しておって、金が足りないからその分交付税でよこせ、こういう御議論がありましてもこれは公平上問題になる。そこで、通常の状況で収入をされます収入、つまり標準税収でありますが、これを基礎に、また通常の事態で支出を要すると認められる経費、つまり基準財政需要額でございますが、これを客観的な数値で測定をし、その差額に対して交付をしていく、こういうやり方をやっていわゆる公平性を確保しておる、こうお考えをいただきたいと思うのであります。
  131. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 地方団体が合理的な運営をすべきであるということはもちろんですけれども、それとそれから固有の財源である交付税を交付するその運営とはこれは別個のものだと思います。これは当然固有の財源として与えられているわけですから、地方団体はこれをもらう権利があるし、国はこれを分配する義務があるはずですね。ですから、仮に運営に瑕疵があったとしても、その瑕疵に対する国の指導なりあるいは場合によっては制裁ということもあるでしょうけれども、これは別に考えなければ、交付税を通じて、交付税一つの手段として地方団体指導しあるいは制裁を加えるということの思想は納得できないわけですけれども、それらについてもう一回お伺いしたいと思います。
  132. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 固有の財源でございますから、必要な額を要求する権利は地方団体にある、もちろんあるわけでございます。しかし、共有財源でございますから、その配分をする際に、これが三千団体全部に対して公平でなければならぬ、これは御了解をいただけると思うわけでございます。したがいまして、公平に配分をします方法論といたしまして、基準財政需要額の算定、基準財政収入額の算定、こういうものをやって、その差額に対して交付をしていくという方策をとっております。その基準財政収入額の場合に、そこまでも税金を取らない、取れるのに取らない、それで差額が大きくなった、その分に対して配分をするということは、やはり公平性を欠くことになるのではなかろうか、歳出の方で、法令で支出をしてはならぬと言われておるような多額の歳出をやった、それで金が足りなくなった、その分もくれということであればやはり公平性を欠く、こういうことになるのではなかろうかと思うわけでありまして、御指摘のように固有の財源でありますから何にお使いになろうと自由なのでありますが、その公平性を保ちますために、歳出における標準性、歳入における標準性、これを一応確保したかっこうで交付税の算定というものはされていく、こういうことではなかろうかと思います。
  133. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 二十条には違法というような規定はないのですよ。それで、これは果たしてそういう事態をだれが認定をするのかという問題もございますし、これは国の方あるいは行政庁が一方的に判断をするということのようですけれども、そしてまたこれに対する地方団体の対抗手段というとおかしいのですけれども地方団体がこれに対して対応する方法としては——大臣が最終的に決定をするということになっておるようですね。普通仮にこういう財政上の争点があった場合には、訴願なりあるいは訴願を前置として裁判というようなことも道がなければならないわけでありますけれども、この問題について、きわめて重大な財政配分の問題について、一方的に国の判断で地方団体の運命が左右されるというような規定になっておるようですけれども、それらの点についてはいかがでしょうか。
  134. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 ただいま違法に多額の支出をして云々というのを申し上げましたケースは、地方財政法二十六条にございますケースでございます。  それから、ただいまの御質問交付税法二十条の二でございますが、先ほど申し上げましたように、法令に基づいて義務づけられた行政、それにつきまして一定の規模と内容を備えることを怠っているためにその行政水準をひどく低下をしているケース、このケースにあっては、その関係行政機関が一定の水準を備えなさいという勧告ができる、その勧告を聞かなかった場合には減額ができる、こういうかっこうになっておるわけでございますが、その場合にはあらかじめ自治大臣に通知をするとか、あるいはその勧告を受けました団体、これが自治大臣に対して異議の申し立てをするとか、こういうような救済の方法が講じられておるわけであります。  それから、もし万一減額になりましたら、この額は再び特別交付税の総額に算入をされまして、また地方団体全部に配られるわけであります。国が取り上げるわけではございません。  それから最後に一言申し上げておきますが、この二十条の二、この規定はいまだかつて適用されたことがございません。いままで規定の発動をされた例はないのでございます。
  135. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 地方の共有の財源とおっしゃいますけれども、これは共有には違いないけれども、合理的な基準に基づいて配分をされるわけですから、配分をされるということは予想をされるわけですよね。たとえばこの団体については五億なら五億行くということは確定されるわけですから、共有とは言いながら配分される分については権限がある。当然そこに帰属するわけですから権限があるわけです。共有とは言いながら、共有と同時に、やはり個別的に観念的には配分をされていると考えていいと思いますね。ですから、そういう場合に、一つ団体から召し上げて、ほかに配分するからいいんだということにはならないわけですよね。それと、行政の内容が気に食わないから召し上げるんだという理論は全く通らないと思いますね。しかし時間がありませんので、この問題については機会があったら継続してお願いをしたいと思いますけれども、この問題は交付税法の中できわめて重大な問題だと思います。論理的にも矛盾ではないかと考えますけれども、これはもう打ち切ります。  続いて、保育の問題でちょっとお伺いしたいのです。厚生省の方、いらっしゃっていますか。——交付税の単価、保育単価から交付税の測定単価が導き出されるわけだと思いますが、そういう意味で保育単価の算出の基礎をまず伺いたいと思います。  それから、現在の状況の中では、保育の必要性というのは、特に大都市あるいはその近郊では特殊なケースではなくてほとんど常態化しておる、すべての勤労者家庭では常態化している現象だと思いますが、これに対してまだまだ住民の要望にはこたえ得ない実態であります。これは児童福祉法ですか、「保育に欠ける」という言葉がありますけれども、「保育に欠ける」というのはどういう状況を言うのか、お伺いをいたしたいと思います。
  136. 長尾説明員(長尾立子)

    ○長尾説明員 お答え申し上げます。  第一点の保育単価の積算の方法でございますが、児童福祉法上は、児童福祉施設につきまして最低基準というものを定めてございまして、保育所につきましては、設備と並びまして職員の配置基準、児童一人当たりの職員の配置基準を定めておるわけでございます。たとえば三歳未満児の場合には六人に一人の保母を配置しなくてはならないというようなことが定めてあるわけでございますが、措置費の算定の一番大きな部分を占めておりますのが人件費でございます。この人件費につきましては、いま申し上げました最低基準上に定められております人員を配置した場合を例にとりまして、それから一人当たりの人件費の具体的な額といたしましては、国家公務員の給与表を適用した場合の額というものを設定いたしまして、これで算定をいたしておるわけでございます。そのほかの子供さんに対します直接処遇経費、たとえばおやつ代でございますとかミルク代でございますとか、それから保育材料費等を積算をいたしまして、それの保育単価という形で割り戻しまして、各施設に対しまして委託費として支給しているわけでございます。  それから御質問の第二点は、保育に欠けるという者はどういう者か、保育所の入所の対象児童はどういう者かという御質問であったかと思いますが、保育所の入所措置自体は市町村長がその地域の実情、お母さん方の家庭の状況というものを十分把握していただきまして措置をしていただくということが原則的な考え方でございます。私どもといたしましては、局長通知をもちまして、「保育に欠ける」というふうに児童福祉法に書いてございます範囲につきまして解釈の通知といいますか、指導通知をいたしておるわけでございますが、その第一点といたしましては、お母様方が働いておられる、居宅外の労働をしておられる場合、第二点といたしまして、居宅内の労働をしておられても家事に従事しているという形ではなくて、お子様の保育ができない場合というものでございます。そのほかの例といたしましては、お母様が出産前後の事情にあります場合、長期の疾病の状況にあります場合、または御家庭におきまして長期の疾病等の病人を抱えておられまして、その看護のためにお母様の手がかかるといったような場合を想定いたしまして指導をいたしておるところでございます。
  137. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 保育単価の算出の基礎ですけれども、これは非常に複雑で要素も多いわけです。たとえば乳児六人に一人の保母ということですね。これは実際の現場ではほとんど不可能に近いと思いますよ、乳児六人に一人というのは。こういう基礎で算出をされまして、そこから測定単位など導かれるということでありますので、したがって、地方団体のいわゆる超過負担が保育の面では非常に多くなっておるということをひとつ御認識をいただきたいわけです。それで、この最低基準にしても将来御検討のお考えがあるかどうか。  それから、特に最近は長時間保育の要望が非常に多いわけですね。現在の基準では保育時間は八時間ということになっておりますけれども、八時間というのは、母親の労働拘束時間が八時間ですからその前後は非常に困ってしまう。出勤の前に通勤の時間がございますので、八時間に朝プラス一時間、夕方プラス最低一時間ないし一時間半、これだけ保育してもらわないと母親の労働を保障することができないということになりますね。ところが、この長時間保育、時間外保育については、国の方ではほとんど措置をなさっていないと思いますけれども、その分は完全に地方団体の超過負担になっておる。これが少なからざる地方の負担になっているということ。それと、保育事業には、児童の福祉という面と女性の労働の権利義務を保障するという側面もあると思いますね。ですから、そういう面から言うと、現在の八時間保育では保育所の完全な機能を果たせないということになりますけれども、そこらについてお考えを伺いたいと思います。
  138. 長尾説明員(長尾立子)

    ○長尾説明員 お答え申し上げます。  第一点の現在の最低基準の問題でございますが、いま先生からお話がございました乳児の場合の受け持ち定数六人に一人というものについては、私どもも乳児を預かります保母さんたちから大変労働がきついというような御要望をいただいているわけでございます。乳児保育の問題につきましては、私どもの児童福祉審議会におきまして乳児というものが子供さんの非常に基本的な時代であるということ、それから疾病に対しまして、またさまざまな事故に対しまして弱いというようなことから非常に慎重に扱うようにという御意見をいただいておりまして、実は私どもこの審議会の御意見を受けまして乳児特別対策というものを実施をいたしておるわけでございます。乳児特別対策といいますのは、現在六対一というような保母の配置でございますのを、九人の赤ちゃんがおられます場合に三対一の割合になるように、保母と看護婦を配置をするという形で実施をいたしておるわけでございます。この場合、看護婦の配置を入れましたのは、赤ちゃんの場合には保健衛生上の配慮というものが非常に必要であろうという観点で入れたわけでございますが、この乳児特別対策につきまして五十二年度におきましては、現在九人セットという形で赤ちゃんが九人おられませんと適用対象にならないという形を持っておりましたものを、三人まで縮小するという形をとりまして、適用対象となります保育所の数をふやしていくという方向をとらせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一点の御質問の長時間保育の問題でございますが、私ども保育所の保育時間は原則として八時間と申し上げておりますけれども、これは長時間の保育ということがお子様方にとりまして心身に大きな負担をかけるということから申しまして、それとお母様方の労働とその両方の均衡を考えますと、八時間という原則を指導しておるわけでございます。しかしながら、先生がお話しございましたように、大都市の近郊等におきましては、通勤時間等を考えますと、八時間の保育ということでは、つまり保育所が保育を実施いたします時間が八時間では、確かにおっしゃるようにその時間に帰れないというお母さんもあることは事実でございます。私どもといたしましては早出、遅出と申しますか、大体朝一時間ぐらい早くから、また終了後一時間ぐらい遅くまで保育をするという形でローテーションを一応考えまして、保母さんの具体的な配置の状況というものを考えまして、現実には非常勤保母の賃金という形で措置費の中に算入をいたしておるわけでございます。これが九十人規模の場合でございますと、一日に約五時間分の非常勤保母の時間数を入れておりまして、それで九十人規模の施設を例にとりますと、大体早出、遅出という形で通常の八時間の保育の時間に入りませんお子様の数というのは、平均的なわれわれの経験則でございますけれども三分の一程度というケースが多いわけでございますが、一人、二人の保母さんが早出をしていただく、また一人、二人ぐらいの保母さんが遅出をしていただくというような前提で、保母さん自身の労働時間八時間として計算いたしまして、現在の体制では一応できるというふうに考えておるわけでございます。  長時間そのものの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、お子様が就学前の小さい年齢のお子様でございますので、余り長時間ということはお子様にとっても望ましくないというような考え方でございますために、前後一応一時間ずつということを考えて全体のローテーションを組んでおるわけでございます。
  139. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 子供の心身に影響があるということですけれども、これは要するに保育の内容の問題でございますから、良好な保育をすれば仮に二十時間やったっていいわけですね。もう少し保育内容を向上させることによってこれは解決がつくのじゃないかと思います。  それから早出、遅出といいましても、保母の総数が確保されませんとこれはできないわけです。八時間労働は確保しなければいけませんので、現在の厚生省最低基準ではとうていローテーションができないと思うのですね。ですからローテーションができるようにするためには、何人かを増員して、地方団体が完全な超過負担覚悟で増員するわけですけれども、こういうふうな実態でありますので、最低基準の子供何人について何人というような保母の基準と、それから保育時間の延長についてはさらになお一層の御努力をいただかなければ、末端の問題は解決をしないと思います。  それから非常勤といいましても、身分を保障しないでいま人を使うことはできない。非常勤ということになりますと、身分の保障がないわけですから。給料はもちろん低いのですけれども、それだけではなくていろいろな身分に関する保障が全然ない、いわばパートみたいなものですね。ですから、そういう形で人を使うということはいまはできない。ですから、国がそういう前提でお考えになること自体がちょっとおかしいのじゃないかと思いますけれども、それらをひとつお考え直しをいただきたいわけです。  それから、公設私設にかかわらず児童に対する保母の定数が少ないわけです。最近も御承知だと思いますけれども、これは私立ですけれども松戸市で乳児が死亡したという事件がございます。これは明らかに保母の手が回らなかったために、保母の不注意といいましても、十分注意をしながらも大ぜいの子供を預かっていれば十分な注意が届きませんので、そういった結果こういう不幸な事態が起こったと思いますけれども、定数の無理を押してやっておりますとこういうことが再び起こらないとは断言できないし、特に公立の施設でこういう事態が起こった場合には、これは大変な問題になるわけです。  それと同時に、いま保育に関してこういう事故に対する補償、保険のようなもの、これがないですね。あるにしてもほとんど申しわけ的なもので、学校安全会の制度を借用しているというようなのが実態ですから、こういう事態に対する何か抜本的な補償あるいは制度をつくるお考えがあるかどうか伺います。
  140. 長尾説明員(長尾立子)

    ○長尾説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がお話しございました松戸市の事件と申しますのは、無認可保育所におきます事故であったと思います。大変不幸なことであったと思うのでございますが、私どもといたしましては一般論といたしまして、保育所は本来親御さんにかわりましてお子様を安全に保育するということを目的としております施設でございますので、事故が起こることのないように十分指導してまいりたいと思うわけでございます。  先生の御質問趣旨は、認可保育所におきますこういった児童の事故というものを対象にして何らかの補償の共済制度というようなものを考える気はないかということであろうかと思います。私ども現在、先生いまお話しございましたように、学校安全会に保育所につきましては加入を促進するという方向をとっておりまして、保育所の施設数で見まして約八〇%程度のものが加入をいたしておるわけでございます。この学校安全会以外にも実は民間の損害保険会社が行っております災害補償保険というものがあるわけでございますが、こういうものへの加入が実態としては行われておるわけでございます。  これをある保険会社の例で申し上げますと、保育所の場合には大体百人前後の規模のものが多いわけでございますが、年間の保険料額が大体八千円ぐらいで、支払い限度額といたしまして一名につきまして二千万、一事故最高一億円までの補償があるというような形の損害賠償責任保険というものがあるわけでございます。これの保険料の問題でございますが、実は先ほど措置費のお話のときに、簡単に措置費の仕組みを申し上げたわけでございますが、措置費の費目の中には何に使ってもいいような庁費的なものと、民間の施設でございますと、民間の調整費という形で管理費的なものが計上してあるわけでございます。この金額を本年度の具体的な例で申し上げますと、九十人規模くらいのところで庁費が大体四十万ほどになるわけでございます。それから民間の場合には、これにいま申し上げました罠間の調整費の管理費を加えますと、大体七十一万くらいになるわけでございます。私どもとしましては、この経費をここの中から支出しているという実態があろうかと思うわけでございます。  先生のお話のように、私どもの方で共済制度をつくっていくということになりますと、保険の本来の性格から申しまして、いわば加入者の数が相当に大きくなっていくという必要があろうかと思います。保育所の施設数は相当な数ではございますが、学校安全会が加入しております全学校というものと比べますと、やはりまだ少のうございますし、それから保険制度をやりますと、それなりの一つの事務機構といいますか、事務費というようなものも別にかかるわけでございまして、別建てでこういう制度を設けることは適当でないというふうに考えているわけでございます。
  141. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 もう一つ、障害児の問題ですけれども、軽い障害児はいま一般の児童の中で一緒に保育されているわけですけれども、これが保母の人員配置と非常に関係がありまして、一つの問題点になっているということが言えると思います。一つには、障害児だけを別に分けて保育をするという方法がありますけれども、これは父母の感情からいいましてまたむずかしい問題があるということなんですけれども、この点についての基本的な方針はどういうお考えであるか。
  142. 長尾説明員(長尾立子)

    ○長尾説明員 お答え申し上げます。  実は、四十八年の十一月に中央児童福祉審議会から、障害児について、保育所において混合保育といいますか、一般の健常児と一緒に保育をするという形の保育の形態を考えてはどうかという御趣旨の御答申をいただきました。それで四十九年度より私ども障害児保育という形で、実は指定保育所を設けまして、軽度の障害児という範囲に限定はいたしましたけれども、九十名規模で申しますと大体それの一割くらいを障害児を入れていただきまして、保母さんをそれに二名配するという形で実験的に始めたわけでございます。この制度は、五十一年現在指定保育所が全国で四十カ所くらいになっておるわけでございますが、これは実験的という意味で各県一カ所ということを一応考えまして指定をしてまいったわけでございます。  ところが、こういった試験的な形でやってまいりました過程で、実はさまざまな問題が派生いたしまして、私どもといたしましては、現在、障害児問題の専門家の方の委員会を私どもの局長の私的な諮問機関といいますか、そういう形で設けまして、御検討をいただいておるわけでございます。  その中で問題になりましたこと、私どもが問題にいたしておりますことは、保育所で障害児を保育いたしますときに、私ども一応軽度という形でスタートいたしまして、これは身体障害児でも精神面の障害児でも同様にそういう形でスタートしたわけでございますが、障害の種別によりましてはその程度を相当に広げてもいいのではないか、また広げるということについては、それではどういうような問題をそのときに対処すればいいのだろうかというようなこと、障害児の範囲の問題でございます。それからもう一つは、保育の具体的な方法でございますが、いま申し上げましたように、一般の健常児と全くあわせて同一な形で保育をするという形で始めたわけでございますが、やはりある段階では障害児の専門の療育機関との連携というものが必要なのではないかというような御意見もございますし、また、指定保育所の中では、一時期障害児だけ別建ての保育の時間を設けまして、その後に健常児を一緒に保育するということが望ましい発展を保証するというような御意見も出てまいりまして、こういったもの全部をひっくるめまして、これはひいては障害児の在宅療育体系というものをどう持っていくかということにも絡む問題だと思うのでございますが、そういうような全体の視野の中でもう少し本格的に検討してみたいということで御検討いただいておるところでございます。
  143. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 保育の問題は実際市民の生活に直結をするというか、生活の一部になっているような特殊な行政であるし、いろいろと現場の中には問題が多いわけですから、今後ともなお一層実際の第一線の現場を調査願って、その矛盾なり問題点なりの解決に努力を願いたいと思います。どうもありがうございました。  次に、沖繩の問題について若干お伺いしたいのです。  沖繩の問題は、現在沖繩開発庁が担当して戦後の復興をやっておると思いますけれども、本質的には沖繩の問題はやはり自治の問題であるし、沖繩振興十カ年計画の半ばを過ぎたわけですけれども、その中でいかに社会資本の充実、民生安定の諸施策を進めていくかということは、開発庁だけではなくて、自治省におかれても十分御検討いただかなければならない問題だと思います。そういう意味で、特に自治の立場からの沖繩の復興、充実ということについて、ひとつ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  144. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 沖繩の問題につきましては、復帰当時いろいろな特殊の財政需要等の問題がございましたので、沖繩臨特といったようなものを設定いたしまして、特別の扱いをいたしたことがあるわけでございますが、ただいまでは、沖繩の地方団体に対します普通交付税の算定につきましては、単位費用も本土の地方団体と全く同じものを用いるということで、原則として本土におきます地方団体地方交付税の算定方法と同じ方法で算定をしております。しかし特殊事情がいろいろございます。たとえば島嶼や離島がありますとか、基地対策の問題がありますとか、渉外対策の問題がありますとか、または東京から違うございますから、公務連絡にもたくさん経費がかかるとかいったような問題もございますので、そういった点については特別交付税そのほかでいろいろ配慮をいたしておるところでございます。まあ、われわれとしては沖繩に対して親切な措置をとる必要があると考えておりますが、原則といたしまして、一般財源の賦与方式としては本土の地方公共団体と同じような方法ということでもってただいまは対処いたしております。
  145. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 特殊な事情があるし財政需要も特殊なものがあるわけですから、本土と同じでは果たして沖繩の復興が図れるかという問題があるわけです。ああいう離れ島あるいは交通の不便なところでは、恐らく補正の数字もかなり強くかかるのではないかと思います。  そこで、具体的にお伺いしますけれども、たとえば道路橋梁費で、最高の場合でどの程度の補正がかかっているか、これを伺いたいと思います。
  146. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 補正でどのくらいかはちょっといま調べさせておりますが、原則的にただいまお話がございました本土と同じやり方をとっておりますが、先生案内のように、沖繩復興の各種の事業につきましては本土よりも高い国庫負担率、補助率、こういうものが適用されて事業がされておるわけでございます。したがいまして、結論的に申しますならば、普通交付税の算定において本土と同じ方式のやり方をとるという方法をとりますことによって、そのかさ上げになりました補助金の分、その分が全く上乗せになる、仕掛け上はそういうかっこうになるわけです。普通交付税で本土並みの措置をとっているということは、沖繩を冷遇しておるということには決してなっていない、むしろその逆である、このように考えております。
  147. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 開発庁にお伺いしますが、全国平均と沖繩県とを比較した場合に、県民所得、それから社会資本の量でどのくらいの格差があるか伺いたいと思います。
  148. 関説明員(関通彰)

    ○関説明員 お答えいたします。  沖繩の振興開発計画は、基本的に復帰の際ありました本土との格差を速やかに是正するということを目標に十カ年計画が立てられているわけでございますが、これまで五カ年の経緯を見ますと、社会資本整備のうちでも道路、港湾等につきましてはほぼ順調に整備が進みまして、現在すでにほぼ本土並みに達しているというぐあいに申し上げられるかと存じます。学校等の文教施設につきましては現在まだ格差がございますが、現在の計画で進めてまいりますと、二、三年以内には本土並みに達するというぐあいに考えております。ただ社会資本整備の中でも、福祉関係、医療関係の設備等につきましては今後さらに努力を要する、後期の五カ年におきまして目標を達成するようにさらに努力したいという考え方でございます。  御質問の所得でございますが、復帰直前の沖繩の一人当たり県民所得は、本土の平均と比較いたしまして六割を切っていた水準にあったわけでございます。振興開発計画におきましては、十カ年でこれを本土の約八〇%程度にするという目標を立てているわけでございますが、復帰後、本土の国民所得の伸びが四十九年、五十年とむしろマイナス成長したこと等もございまして格差が急速に縮まっておりまして、五十年の県民所得の数字で見まして、沖繩の所得が本土平均の約七五%に達している状況でございます。
  149. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 沖繩には特殊の事情がありますので、いろいろと本土にはない財政需要があると思いますが、その中でも特に土地の入手難です。公共用地の入手難がはなはだしいということが言われております。膨大な基地がありますし、そのほかに復帰後にかなりの土地の買い占めが行われた。そういう中で公共用地の入手難が非常にはなはだしいということでありますけれども、こういう悪条件の中でたまたま琉球大学の医学部を新設するそうでありますが、この琉球大学医学部の用地を地元負担で調達をしなければいけないという事情があるそうですけれども、これはどういう事情でしょうか。
  150. 関説明員(関通彰)

    ○関説明員 御質問の琉球大学の建設の問題につきましては、国立大学でございますので文部省が直接所管をいたしておられますので、沖繩開発庁から的確なお答えができない事情でございます。
  151. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 学校用地については、高等学校の用地を各府県が地元に負担をさせるということで内地でも問題になっているわけですね。各所で地財法違反だとかなんとかいうことで問題を起こしているわけです。そういう事情もありますが、沖繩のような復帰後の、しかもきわめて困難な状況の中の地方団体に対して、大学の用地を地元で負担させるということはきわめて苛酷ではないかと思います。ですから、それらについて文部省に厳重な警告を与えていただきたいと思うのです。  沖繩には本土に見られない特殊な財政需要があります。その中でも土地の境界不明地が非常に多いということ、それからまた戦後米軍の一方的な計画によって道路を適当につくったというようなことで、私有地の上に公道が縦横に走っている。しかもそれらについては分筆も買収も補償も何も行われていない。道路と私有地との境界の確定も行われていないというようなことがあるわけです。ですから、将来道路を県なり国なりが買収をして、私有地と道路との境界を確定しなければいけないというような問題がありますけれども、これだけでも恐らく沖繩全土では、時価にすれば数千億の土地代金が必要ではないかというふうに言われておるわけですが、こういった問題についてどういうふうな措置をお考えになっておられますか。
  152. 瀬沼説明員(瀬沼勤)

    ○瀬沼説明員 いま先生のお挙げになった沖繩の特殊な問題につきまして一括してお答え申し上げます。  最初に地籍調査のことでございますが、沖繩県におきましては、基地の内外を合わせて現在百四十一平方キロメートルに及ぶ境界不明の土地がございます。これは戦災だとかあるいは米軍の接収とかいうことによって境界がはっきりしなかった土地でございますが、こういった境界不明土地の存在というのが沖繩の振興開発を進め、あるいは県土の有効利用を図るというために非常に支障になっておりまして、できるだけ早く地籍の明確化を図るということがわれわれとしても行政の基本であり、県民の要望にもこたえるゆえんではないかというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、この地籍境界不明地の処理につきましては、現在沖繩開発庁と防衛施設庁におきましてそれぞれ処理をしておるわけでありますが、具体的には、基地の中の土地につきましては防衛施設庁が、それから基地の外の土地につきましては、沖繩県の協力を得まして、沖繩開発庁がそれぞれ地籍の境界の確認作業というのを進めております。これらは昭和五十年度から進めておるわけでございますが、沖繩開発庁が分担しております基地の外の分につきましては、大体昭和五十六年ぐらいまでに完了したいというようなことをめどにして、今後もできるだけ処理を急いでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第二番目の道路の問題でございますが、先ほど先生が申されましたような沖繩の特殊事情によって未買収になっている道路用地、いわゆるつぶれ地などと申しておりますけれども、これのうちの国道及び県道につきましては、昭和四十六年に沖繩復帰対策要綱というのが閣議決定されておりますが、これに基づきまして昭和四十七年度から引き続き全額国費により買収を進めております。われわれとしましては、今後においてもできるだけ早期にこういった未買収道路用地の処理を行うように、その促進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第三番目に不発弾の処理の問題がございますが、これは昭和四十九年に沖繩県の那覇市の小禄というところで工事中に不発弾の爆発事故が起こりまして、これを契機として、政府としても早く沖繩にある不発弾を発掘して、沖繩を安全な土地にしなければいけないということで、中央では関係省庁及び沖繩県が集まりまして、合同会議というのを開きまして、対策を検討したわけでございます。それを受けまして、現地では現地の関係行政機関あるいは沖繩県、それから市町村代表というようなものを含めまして、現地の協議会を設けまして、まず住民からその不発弾の埋没についての情報を収集したわけでございます。その結果、二百六十三カ所につきまして不発弾が埋まっているという情報がありまして、これにつきまして、沖繩開発庁の方で予算措置をいたしまして、現在防衛庁の自衛隊の手による発掘と、それから沖繩県に交付金を出しておりますが、沖繩県と共同して、分担して、この作業を進めております。当初二百六十三カ所で大体三カ年ぐらいの計画で進めるつもりでおりましたけれども、その後情報の追加などがございまして、昭和五十一年度までに百七十三カ所の探査、発掘を終わっておりますが、これにつきましても、今後ともわれわれとしても、できるだけ早くその探査、発掘を済ましたいというふうに考えて、鋭意努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  153. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 沖繩に対しては、開発庁、自治省ともに特殊な状況を十分おくみをいただいて、努力を願いたいと思います。開発庁、どうもありがとうございました。  次に、景気対策と、それから地方財政について伺いたいのですが、政府は、新景気対策を立てまして、今後の事態に対処するということでありますが、きわめて大まかに言って、五十二年度の、これは当初予算についてですけれども、五十二年度政府財貨サービス購入の総額は、政府の発表では三十八兆九千五百億と言われておりますが、そのうちで地方団体がどの程度を負担するのか。これを経常購入と資本形成に分けて、それからまた資本形成の中で補助事業によるものと単独事業によるものとを一つお示しをいただきたいと思います。
  154. 高倉説明員(高倉建)

    ○高倉説明員 お答え申し上げます。  五十二年度経済見通しにおきます政府支出というのは、先生お話がありましたとおり、三十八兆九千五百億程度と見込んでおります。技術的なことでございますが、私どもの最終的な推計の技法といたしましては、中央政府地方政府を一本にいたしまして、計数整理あるいは推計をやっておりますので、的確な数字で申し上げることはできないわけでございますが、基礎になりました数字から概略試算をしてみますと、ただいま申し上げました三十八兆九千五百億というもののうち、地方政府支出となるものは大体六〇%、二十三兆円前後ということに相なろうかと思います。三十八兆九千五百億が経常支出と資本支出に分かれるわけでございますが、経常支出は、中央、地方合わせまして、二十兆七千という推定をいたしておりますが、これの中央、地方の割合は、大体一対二。ということは、地方につきましては、中央政府の支出になりますものが、七〇%弱という程度と見込まれます。それから資本支出につきましては、総額で十八兆二千五百億程度という推定をいたしておりますが、これは大体中央、地方ほぼ半々という感じになろうかと思います。  ただ、ここでちょっとお断りをしておかなければなりませんのは、私どもの行っております国民経済計算あるいは国民所得統計というのは、大原則といたしまして資金源泉主義という立て方をとっております。そのためにどういうことに相なるかと申しますと、地方団体に対します国庫補助金は、中央政府の支出という整理になるわけでございます。私ども、全部そういう作業をやっておりますので、ただいま申し上げました中央政府地方政府という区分は、いわゆる資金源泉主義による区分であるわけでございまして、その点いわゆる最終支出主体で押さえた感じとは若干異なるかと思います。それから補助、単独がどうであるかという御指摘でありますが、これは私どもは補助、単独一本でこの推計をやっておりますので、補助が幾ら、単独が幾らという計数は残念ながらないわけでございます。御了承願いたいと思います。
  155. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 二十三兆ということでありますが、補助事業と単独事業の区別は自治省ではおわかりにならないのですか。
  156. 首藤政府委員(首藤堯)

    ○首藤政府委員 私どもの方の地方財政計画、先生案内のようなかっこうで計上いたしておるわけでありまして、この地方財政計画中の補助、単独、これは区別がございますが、ただいま企画庁の方で御計算をしていらっしゃいますそのものとは手法が違いますので、経済企画庁の二十三兆の中の補助、単独がどうかということは、ちょっと私どもにはわかりかねます。
  157. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 二十三兆とおっしゃるわけですが、これは国民総生産、国民総支出に対してどのくらいの寄与率があるか、どのくらい寄与するのでしょうか。
  158. 高倉説明員(高倉建)

    ○高倉説明員 五十二年度の国民総生産、いわゆるGNPでございますが、総額といたしまして二百兆弱でございます。正確に申し上げますと、私どもの推計では百九十二兆八千五百億程度と見込んでおりますから、一割強ということになりましょうか、十数%というのが二十三兆に当たると思います。以上でございます。
  159. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 政府は五十二年度の上半期に公共事業の契約を七〇%を達成したいというふうに言っておられるようですが、七〇%を前半期にやることは、これはかなりのむずかしい問題ではないかと思いますね。地方団体事業の認定の決定の通知が来るのは、例年ですと、前半の終わりに来ればいい方ですから、それから資金の調達をして起債の決定や何かを待ってやるということになりますと、前半に七〇%果たしてできるかどうか、七〇%といっても、これは国の直轄事業もあるでしょうけれども、そのうちで二十三兆が地方の手によって行われるわけですから、地方団体ができるだけ早くこの公共事業に着工できるような条件をつくってやらなければ、これはとうてい無理だと思いますね。それで、果たして前年同期に何%くらい行われたのか、それからこういう考え方を実現するためにどういう新しい手を打っておられるか、補助事業の認定あるいは資金の手当て、こういったことについて、いままでと同じではとてもだめなわけですから、起債の計画、それから特に起債による入金の時期をどういうふうにして早めるのか、また補助金等についても、例年は年度末に来るのが例ですけれども、これではとてもうまくいかないと思いますけれども、そういう早期に着工するための手をどう打っておられるかについて伺いたいと思います。
  160. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 お答えいたします。  公共事業の早期施行につきましては、本日の閣議におきまして公共事業等の事業施行の促進についてという案件を閣議決定をいたしております。この中で、目標といたしまして上半期末における契約済み額の割合が全体として七三%となることを目途として事業別に定める。昨年の上半期の契約済み額の割合が五二%でございます。これに対して七三%を目標とする。大蔵大臣を本部長といたしまして内閣に公共事業等施行推進本部を設置するということを決定いたしたわけでございます。これを受けまして、自治省といたしましては本日付で各都道府県あてに事務次官名で通達をいたしておるわけでございます。この通達におきまして地方公共団体の協力を要請いたしておるわけでございますが、内容の要点を申し上げますれば、まず第一に実施の体制を整えてほしい、第二には単独事業についても事業施行の促進を図ってほしい、第三には許可事務の促進等について特に配慮してほしい、四番目には公共事業の施行を促進するための措置について、近日中に公共事業等施行推進本部の会議を開催する予定であるので、別途通知をする、さらにまた公共事業の執行の促進に関連して出てくる諸問題については速やかに当省に連絡をとってほしい、こういう趣旨の通達を出したわけでございます。  自治省といたしましては、補助金の早期交付ということを各省に向かって要請をするつもりでございまして、本日の関係閣僚会議におきまして私からこのことを要望いたしたわけでございます。今後さらに起債等につきましてもできるだけ許可を早める必要がございますので、その点についても十分自治省として配意いたしてまいりたい。実は先ほども私自身一括交付の決済をいたしたようなわけでございます。あとう限り公共事業の早期施行のために努力をしてまいりたいと考えております。
  161. 新村委員(新村勝雄)

    ○新村委員 財政危機の中で地方団体が一生懸命努力をしておるようですから、ひとつ資金手当てについては特にお願いをいたしたいと思います。  時間ですから終わります。
  162. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 佐藤敬治君。
  163. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 関連して、交付税について御質問申し上げたいと存じます。きょううまく答えていただけばあしたは質問しないつもりですが、もしまた質問することがあればあしたやらせていただきます。答弁は大臣お一人で結構ですから、どうかひとつ……。  この間参考人を招致いたしました。きのうも大蔵大臣に御質問いたしましたけれども、その参考人の方々、非常に学識経験ともにりっぱな人方ですが、その人たちの意見を聞きまして、大臣、おられなかったのですけれども、一体今度の交付税に対する政府の措置は、制度の改正であるか、こういうふうにお聞きしましたところが、一人としてこれが制度の改正である、こう言明した人はございません。私は、これは当然の答弁である、こういうふうに思います。だれが考えても今回の措置というものは、普通の常識で考えれば、交付税改正の措置である、制度の改正である、こういうふうには考えられないのは私はあたりまえだと思います。これに対して、大臣何か反省するところというか、お考えをひとつお聞かせを願いたい。
  164. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 今回抜本的な措置を講ずることができなかった、あるいは恒久的な制度の改正を実行できなかったということは遺憾に存じておるわけでございます。しかし、これは今日まで繰り返して申し上げましたように、かような時期における対処の仕方としてやむを得ざるものだと考えておるわけで、参考人の方々からもいろいろな御批判があったと承っておりますが、中にはやむを得ざる措置だとおっしゃってくださった方もあったと聞いておるわけでございます。私自身もやむを得ざる措置だと考えておるわけであります。
  165. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 それに近いような意見を話した人は長野知事なんです。長野知事はゴルフにたとえてチョロだ、こう言っております。そしてやむを得ざる措置だというふうな発言はしたかもしれませんけれども、これが制度の改正だとは決して言っておりません。そこで私は、これを無理に制度の改正であると強弁する必要は何もないと思うのです。私どももある意味ではやむを得ざる措置であるということは認めます。五十年、五十一年とやってきました、あのとおりの措置でやって、来年やるからどうしてもことしはひとつ許してもらいたい、こういうふうな形でくれば、私どもはこれほど大きくこれにこだわる必要はなかったと思いますけれども、余りにもこれが制度の改正であるという大臣のこだわりというものがこういう反発を招いたのではないか、こういうふうに思います。それでわざとこの参考人の方々に、これは一体制度の改正であるとかやむを得ざる措置であるとか、そういうことじゃなくて、制度の改正であるか、こういう質問をしたところが、全部の人が、これは制度の改正であると言明した人はいないのです。私はこれをもう深くこれ以上追及いたしませんけれども、やはりある一つの反省の材料ではないか、こういうふうに思います。  それから、これもきのう大蔵大臣に私お聞きしました。五十年の交付税の借り入れの一兆一千億ばかりの金が来年から返済が始まります。これはあの当時非常に大きな問題になりまして、自治省と大蔵省の間に覚書が交わされております。いまこの地方財政というものが最低の状態にあるので、あの覚書は当然発動されてしかるべきだ、こういうふうに思いまして、きのうこれを発動する意思はないか、こう言ってかなり執拗に聞きましたところが、主計局の次長の答弁ですけれども、五十三年度の予算編成の過程の中でこの覚書のとおり自治省と協議して前向きに考えます、こういう答弁を得ております。ぜひひとつこの答弁を受けまして、自治大臣は、来年度の予算編成の過程の中で、五十年、五十一年のこの借入金を政府が負担できるようにがんばっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  166. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 覚書の趣旨が完全に実現されますように努力をいたしますが、私といたしましては当然これが実現するものとかたく信じておるわけであります。
  167. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 それから今度の交付税を上げる、上げないという論争の中で、大蔵省も自治省も一貫して答えた答弁は、こういうような財政不安定のときに交付税をいじるべきではない、こういうふうな答弁であります。しかし、大蔵省のいろいろな言い方を聞いておりますと、来年になっても、この次再来年になっても、でき得べくんば交付税の税率はアップしたくないという意図がありありと見えるように私は思われます。増税あるいは景気対策、これがうまくいけば交付税率をアップしなくても交付税の総額は確保できる、こういうふうに考えているのではないかと思いますけれども、大臣はどういうような考を持っていますか。
  168. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 これはこの税、財政の根本的な改正をいたします際に、たとえば相当の安定した税収を確保できるような新税が創設されるということもあり得るかもしれません。交付税率を決定する際にそういうことも考慮のうちに入れて決定すべきものだと存じますが、大蔵省の答弁は私も聞いておりましたけれども、なるべく交付税率をいじらないで済ませたいというふうには必ずしも受け取っておらないわけでございます。
  169. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 大臣としてはそういう受け取っておるなどという答弁は、これは口が裂けても言えないでしょうから、やむを得ないと思いますけれども、私どもはそういう感じを受けておる。だから、自治省に大いにひとつがんばって大蔵省の壁を破ってもらいたい、こういうふうに念願しておるわけですが、あの答弁を聞いておりまして、私はこれは一つのごまかしがあるのではないか、私どもが学生のときに論理学を習って、その中に三段論法があって、よく例にとられますが、有名なソフィストのところへ行って詭弁術を習いに弟子に入った、その弟子入りのときに詭弁術が上達したならば授業料を払う、ところがいつまでたっても授業料を払わないので裁判になった、そのときにその学生が何と言ったかというと、この裁判で私が勝てば裁判の判決に従って払わない、もし負ければ詭弁術が上達しないのだから契約に従って払わなくてもいい、こういうような例が載っておりました。まことにもっともであるようだけれども、どうも少しおかしい。これと同じ論理が今度の交付税の論争の中に私はあると思う。それを申し上げますと、財政不安定のときは、不安定だからそういうときには交付税率をアップすべきではない、そして今度はいま大蔵省が考えているように財政が安定すれば交付税率なんかアップする必要がないではないか、ところが財政は安定しているか不安定かどっちかしかないのだから、いずれにしても、これは結論的に交付税率を上げる必要がないではないか、こういうふうな非常に巧妙な詭弁によるすりかえだ、こういうふうな感じを私は非常に強く持っているのです。何となくここで、上げると言ってみたり上げないと言ってみたり、そして最後になればどっかではぐらかされて、どうも私どもの論争が本質に入っていかない、かみ合わない、こういうような感じを強く持っているのです。  ただ、私はこういうふうに思うのです。この三つの前提のほかにもう一つ前提がある。それでは、いまの交付税の総額というものは、果たしていままでこの交付税役割りを果たすために地方の財政需要のバランスをカバーしてきたか、こういうようなことを考えてみますと、高度経済成長、いわゆる安定のときであろうが低成長の現在の不安定のときであろうが、常に総額が不足してきているのです。余ったなんということは一つもないのです。常に不足してきている。だから、高度成長のときでも安定成長のときでも、高度成長のときでさえも足りないのだから、ましてこういうような低成長になったらそのままでは足りないのがあたりまえなんです。だからどうしても行政、財政を、根本的に制度を改めるということをしないと言うならば、交付税率をアップするしか手がないのです、これは現在の状態で。大臣はそう思いませんか。
  170. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 やはりこれは経済が安定の軌道に乗りまして三税そのものについても相当の自然増収が期待できる、あるいは新しい税をつくればそれにリンクせしめるということをやりますれば、そういう前提交付税率の変更そのものも検討しなければならないわけでございますから、そういう意味において今日は必ずしも適当な時期でないと考えておるわけです。今日政府のやっております景気浮揚の施策というものは必ず功を奏するに違いないと存じます。そういう時期に根本的な改正を図りたい、これはいままで繰り返して申し上げたとおりでございます。
  171. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 景気が政府の思うとおり回復するのかあるいはそれによってまた三税がどんどんふえてくるのか、これはいろいろいまやっても水かけ論で、もう一年くらいたてばわかることですから、ここで論争はいたしません。  さらにもう一つは、この前の当委員会でもって地方税法が、政府案が否決されました。そして修正案も全部否決されて、本会議政府原案が生き返りました。今度の交付税のこの問題でも、大体五党一致いたしましたので、政府原案というものが恐らく否決されて、修正案が可決される、こう思います。しかしまた、これが本会議に持っていかれて、そして恐らく政府原案というものが逆転可決される、こういうふうに思います。しかし、私は考えますけれども、この委員会は逆転委員会です。そして次から次とこの委員会政府原案が否決され、そして修正案が可決され、あるいは議員提出のものが可決されていって、それが本会議に持っていって全部逆転して政府原案が可決されるというようなことがこれから恐らく続々と出てくると思うのです。そうすればどういうことになるかといいますと、いまの国会の審議委員会中心主義です。委員会で可決されたものが本会議でどんどん否決されていくということになれば、これはもう委員会なんか必要ではないじゃないか、全部本会議でやりなさい、こういうふうになってくるのは当然だと思います。これが逆転委員会でなければいいですよ、そういうことは起こりませんけれども、いまのような逆転の委員会になれば、委員会で否決、本会議で可決、修正案についてはそれでもってそれの逆をいきます。こういうことをどんどんやっていけば、これは議会制度のあり方の根底が問われるようになるのではないか、こういうふうに思いますけれども、大臣はどうですか。
  172. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 さような変則なことが繰り返されませんように、ぜひこの交付税法につきましても御審議の上、可決をしていただきたい、かように切望いたすわけであります。(「いい答弁だ」と呼ぶ者あり)
  173. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 それは何もいい答弁じゃないですよ。それを可決するためには私どもの言い分も聞いてもらわなければこれは可決ができない、あなたの言うとおりにはならぬのです。本会議委員会のこの矛盾を調整しなければいけない。修正案というものは、この逆転委員会でもって多分修正案が通るだろうというこの委員会のバックがあります。それから政府原案というものは、委員会で否決されても、本会議で多分逆転可決されるだろうという本会議をしょっている。この本会議委員会の矛盾、修正案と政府原案の矛盾というものはどこかで調整されていかなければ、いつまでたっても委員会で否決、本会議で逆転可決という、現行議会制度を否定するような状態がどこまでも続いていく、最後には議会制度の根本のあり方が問われてくるでしょう。そこで、この矛盾を調整しなければいけない、私はこう考えます。大臣はどうですか。
  174. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 委員会で否決されたものが本会議で可決をされるということは、今日の衆議院における各党の勢力分野からしてひとりこの委員会だけではなく、あるいはほかの委員会にも出てくるかもしれないと存じます。これは私は現状においてやむを得ざることであって、これが議会政治の根本を否定するということでは必ずしもないと思っておるわけでございます。
  175. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 議会制度全部を私は否定するとは言いません。少なくとも現在のこの新憲法によるところの議会の審議のあり方というものは委員会中心になって進行しているのです。だから、委員会で決められたものはかなりな価値をもって本会議で尊重されなければいけない、あるいは委員会の中でもっと尊重されていかなければいけない。ところが、ここで否決されてもどうせ本会議では多数だから、そこで逆転して可決するのだからどうでもいいということになれば、委員会の意思というものが無視されているでしょう。ところが、現在の議会の審議のあり方というものは委員会中心になっているのです。そうすれば、あなたの言われるように、それはもう人数がこういうふうになっているのだからあたりまえのことだ、こういうふうにはならぬと思います。この伯仲している現状、どこかの委員会で逆転しなければいけないというこの現状を認識すれば、もっと委員会の結論というものが尊重されていかなければいけないのだ。だからいまのままでは委員会の意思が尊重されないで、すなわち現在の審議の制度が尊重されないで、本会議で全部無視されて逆転可決するということになる。これは明らかに矛盾だと私は思う。この矛盾をどう解決すべきであるか。これを解決しなければいつまでもこういうへんぱな状態が続く。これは最後には現行の委員会中心の議会審議のあり方というものが崩壊してくると思いますよ。そう思いませんか。
  176. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 委員会の御決定というものは、私はもとよりこれを直視いたしまして、この交付税法案が否決されるということになりますれば、これを反省の資としなければならないと思っておりますが、本会議におきましては委員長から詳細に審議内容を報告していただき、各党が討論をなさった末に本会議の決定があるわけでございますから、これは議会制度の本旨に反するとまでは私は考えておりません。
  177. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 大臣としては原案が可決されることが一番いいからそう言われるのは当然ですけれども、私は、やはり大臣も困ったものだ、こう思っているのに違いないと思うのです。ここで可決されて本会議で可決されれば一番いいかっこうなんだ。当然なんですね。だから、何かしら私どもの修正案の考え方というものと政府の原案の考え方というものをどこかで調整する必要があるのではないか、本会議とこの委員会の矛盾というものを調整する必要があるのではないか、その場所がこの委員会だと私は思います。そしてそれをやるのが委員長であり、木村武千代理事である、こう思うのです。与党の方々が政府原案と野党の修正案というものの間に入って両方よく聞いて、ひとつ修正して、なるほどなというものを考えて、そして共同して持っていくというような方法をしなければ、いつまでたっても不毛の論争を繰り返しては、そのうちに私どもはどうせ本会議で負けるなら委員会などやめてしまえ、こうなってくるのですよ。だから私は、委員長なりあるいは与党の方々なりがこの両方のあれをよく調整して、そして矛盾のないような一つのものを持っていく必要があるのではないか、こういうふうに考えますが、大臣の先に委員長と木村理事のお考えを聞かせてください。
  178. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 委員長は、与野党の理事あるいは委員各位の御相談あるいは協力によって決められたことに対して、公平に裁定するつもりでございます。
  179. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 何だかよくわかりませんが、まあ委員長にはそういうような——公平じゃないですよ。両方の距離があったならば、その距離を何とか縮めてやるような努力を委員長がやるべきではないか、あるいは与党の方々、特に理事の方々がやるべきではないか、こういうことをお聞きしているので、両方やって裁判するという意味ではない。まあ、それはやめましょう。  特に私はなぜこれを言うかといいますと、たとえば沖繩の基地法案が沖特へ出た、これはわれわれは反対だから全部どんな抵抗をしてものばしてしまえ、こういうような法案は別ですよ。しかし、現在のこの地方行政委員会に出てきているところの地方財政の諸法案というものは決してそういうものじゃない。否決したり廃案にすればそれで済むというものではないのです。これは必ずどこかで成立してやって、そうして地方財政というものを確立する必要があるのです。これは与党も野党も問わず、地方財政というものをきちっと守ってやらなければいけない。そのために私どもは一生懸命になって、政府の原案はこれだけれども、なおベターな案がないかと思って探してわれわれの考えをぶつけている。そうしてあなた方政府の原案と私どもの原案というものを突き合わして、よりベターな案をつくってそれを送ってやって、地方財政の確立のために少しでも助けになるんだ、こういうふうなことをしなければいけない。ほかの委員会と違うのですよ。私ども決して政府の案をぶっつぶして、そうして地方財政が困ってもいいからこれを廃案にしてしまう、そういう意図なんか毛頭持っていないことは大臣おわかりのとおり。逆にむしろ私どもは、議論を聞いてもわかりますように、自治省が言いたいことを一生懸命代弁してやっているのですよ。これを見ても、ここでわれわれの修正案と自治省の原案、政府案というものが一致点を見出せないはずはないのです。私は、ないと思います。特に今度この修正案を出しました。これに対して余り色よい返事がなかったわけですけれども、いま申し上げましたように、この政府案と私ども野党の考え方というものがどこかで一致点を見出して近寄ることができないかどうか。この点について大臣の御所信をお聞かせください。
  180. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 地方財政の基盤を強化していかなければならない、こういう熱意におきまして、野党、与党、これはもう共通のものだと私は信じております。今回の御提案につきましても、与党の皆様が御提案の趣旨を十分玩味し、理解なさった上で、何とか妥結の道がないかということで非常な御努力をなさってくださったと承っておるわけです。いろいろ努力をしていただきましたけれども、まことに遺憾ながら妥結点を見出し得ないので、断賜の思いでたもとを分かれたというふうに承っておるわけであります。まことに残念に思いまするが、やむを得ざることだと考えます。
  181. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 私どもは、今度のこの野党五党の修正案につきまして一致点を見出して修正案をつくりましたけれども、これをつくる過程におきまして、いままでのようにとにかく筋だけ通れば、たてまえだけ通ればいい、そういう考えではなくて、何とかして少しでもよく、しかも政府がのめるような案にしたい、こういうことをまず第一に条件にしていろいろ検討してまいりました。その結果は、税率におきましても、いま政府がその交付税の税率のアップに相当するという三・六%、これをそのまま交付税のアップとして持っていこうではないか。私どもとしては、これは自民党の理事さんから中途半端だといって批判を受けましたけれども、批判を受けてもいい、とにかく自治省がのめるような案でなければこれはだめだというので、批判を受けるのをあえて覚悟の上で三・六%というので出していきました。それを五十二年度でできないか、こういうので出しましたけれども、みごとにこれは拒否されました。まあいろいろな事情があるでしょう。これは一つは五十二年度の予算が成立直前だ——もうすでに成立しましたが、成立直前だ、ことしはできない、あるいはまた中途半端だ、三・六%上げても借金が残るではないか、あるいはまた現在税制に手をつけている、あるいはまた景気の対策を盛んにやっている、それが不確定なのにやられない、こういうような大体三つの理由によって拒否されました。しかし、これを単に拒否するだけではなくて、五十二年度で成立がむずかしければ、では来年はどうか。あるいはまた中途半端だと言うけれども、それでは自治省が大蔵省に対して五%の要求をしたのは半端でないのか。あるいはまた景気対策あるいは税制の対策をやっていると言うけれども、この間からの論争でもわかりますように、来年できるか再来年できるかまだ未確定、まだまだ時間がかかる。あるいはまた三・六%という金額は、それでは景気がよくなれば金が余ってくる税率かというと、三・六%ではことしの二兆七百億のわずかに四分の一にも当たらないような非常に微々たるアップなんだ。景気がよくなっても、税制がよくなっても、私は三・六%ではまだまだ足りないと思います。こういうことを考えますと、何かしら私どもの案をさらに修正するところがあったらば修正して、何とかして一致点を見出せられないだろうか、こういうふうな努力がもう少しあってもよかったじゃないか、こういうふうに感じております。  特に、中途半端だ、三・六%上げてもなお借金が残るではないかという議論に対しましては、私はこういうふうに思います。地方団体はいままで、高度経済成長の時代においても長い間この税率のアップを熱望してまいりました。しかも今度は五十年、五十一年と引き続いて三年目だから、何とかこれのアップがあるだろうという大変大きな期待感を抱いておりました。ところが、みごとにその期待は裏切られました。ここでこの三・六%、ほんのちょっぴりですが、三・六%を交付税のごまかしではなくて、本当に税率をアップすることによってどのくらい大きな地方団体の激励になるかわからない、これからがんばる一つの大きな支えになるだろう、単に税率の問題ではなくて、地方団体がこれからがんばるところの一つの大きな支えになる、こういうふうに考えております。単に税率ではなくて重大な意味を持っているものだ、こう考えてあえてこういうような半端ではあるけれどもこれはやるべきだ、こういうふうに主張してきたわけであります。  これからもいろいろあるでしょう。決して自民党が絶対にのめない、政府が絶対にのめないような案ではなくて、できるだけ私どもとしてもがんばったのみやすいような案を出していく。だからこれからの政府並びに自民党の一つの対応の仕方として、私どもの悪いところがあったらここを直せ、ここを直せ、そうすれば少し何とか一致したものをつくりましょう、こういうふうな応待の仕方をしていただけば、私ども改めるものはどこまでも改めていって、何とか十全でなくても一歩でもいい案に近づくようにこれからやらなければいけない、これが伯仲時代の私ども野党の務めでもある、こういうふうに考えております。  いつまでもこういうようなかたくなな考え方、態度を続けていけば、恐らく議会制度の停滞地方財政の崩壊ということがもし起これば、これは政府・自民党の全面的な責任になってしまう、こういうふうに私は理解します。どうかひとつそういう意味で、これからまだあしたまでありますから、私どもが出しているところの修正案がこことこことここを直せば何とか一致点が見出せる、そういうような一致点が見出せるかどうかこれから一晩検討してくださいまして、もしできたらあしたひとつ御返答いただきたい、こういうふうに思います。いかがですか。
  182. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 この際現実的な提案をすべきだ、こういうお考えで三・六%を基礎に修正案をつくっていただいた、そのお気持ちはよく理解できますし、与党の皆様も評価しておると存じますが、繰り返し申し上げましたように、ただいまはその時期でないと私は考えております。しかし一晩検討せよというお言葉でございますから、仰せに従って一晩検討いたしますが、なかなか明日翻然として悔悟するというわけにはまいりかねるかと思います。とにかく御提案でございますから真剣に検討をいたします。
  183. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 もう一つ、これはちょっとくどいけれども、あした現在の修正案に対するあれが出てくるかどうかわかりませんけれども、私がいま申し述べたような私の考え、これに対しては大臣は賛成ですか反対ですか。
  184. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 ある時期にどうしても抜本的な改正をしなければならない、そう考えまして私は心から実は憂慮しておる次第でございます。今後その条件が整いました暁においては、御鞭撻のもとにぜひとも文字どおり抜本的改正の名に値する改正をしたい、こう考えておるわけです。
  185. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 もう一つくどいのですが、私はいまの交付税の問題を言っているのじゃないのです。これからいろいろな問題が出てくる。その場合に、常に修正案と政府案原案が対決したような形じゃなくて、何かここでひとつ調整していいものができるようなことを、もちろんケース・バイ・ケースでしょう、ケース・バイ・ケースでしょうけれども、心構えとしてそういうような心構えに賛成できますか、こうお聞きしているのです。
  186. 小川国務大臣(小川平二)

    小川国務大臣 対話を通じて共通の結論を導き出すということが議会政治でございましょうから、今後いろいろな御提言、御提案等もございましまう、心をむなしくして承りまして、譲るべきは譲らなければならない、そう考えております。今回に限ってぜひひとつ御容赦をいただきたい、こういうわけであります。
  187. 佐藤(敬)委員(佐藤敬治)

    ○佐藤(敬)委員 終わります。
  188. 地崎委員長(地崎宇三郎)

    地崎委員長 次回は、明二十日正午理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会