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1977-04-18 第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十八日(月曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 木村武千代君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 小川 省吾君    理事 佐藤 敬治君 理事 小川新一郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       中村喜四郎君    中村  直君       加藤 万吉君    権藤 恒夫君       和田 一郎君    河村  勝君       三谷 秀治君    川合  武君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 坊  秀男君         自 治 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      佐上 武弘君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省理財局次         長       戸塚 岩夫君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君         大蔵省銀行局長 後藤 達太君         自治政務次官  中山 利生君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   中井  洽君     河村  勝君   川合  武君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   河村  勝君     中井  洽君   刀祢館正也君     川合  武君     ————————————— 四月十五日  地方財政危機打開等に関する請願大原亨君紹  介)(第三一六八号)  行政書士法の一部改正反対に関する請願外一件  (永田亮一紹介)(第三一六九号)  同(野田毅紹介)(第三一七〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第三二九九号)  同(和田耕作紹介)(第三三〇〇号)  行政書士法適用除外規定の新設に関する請願  (愛野興一郎紹介)(第三一七一号)  同(竹中修一紹介)(第三一七二号)  同外一件(野田毅紹介)(第三一七三号)  同(倉石忠雄紹介)(第三三〇一号)  行政書士法改正に関する請願篠田弘作君紹  介)(第三一七四号)  同外一件(野田毅紹介)(第三一七五号)  同外一件(萩原幸雄紹介)(第三一七六号)  同外一件(原田昇左右紹介)(第三一七七  号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第三一七八号)  同(倉石忠雄紹介)(第三三〇二号)  同(中村喜四郎紹介)(第三三〇三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号)      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案につきまして大蔵大臣出席されておりますが、出席時間を限られておりますので、質疑者各位におかれましては、理事会の申し合わせのとおり、質疑時間の厳守方をよろしくお願い申し上げます。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  3. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大蔵大臣に御質問いたします。この前の予算委員会のときも、しばらく御質問を申し上げたのですけれども、重ねて申し上げたいと思います。  たびたび、この交付税審議におきまして、いつ一体交付税総額確保の問題が解決できるのか、交付税を上げるべきではないか、こういうことを御質問しておるのですが、そのたびにはね返ってくる答弁というものは、交付税をこの異常な実情のもとにおいて変えていくということは必ずしも適切なものではない、こういう答弁がいつでも返ってくるのです。それでお伺いしたいのですけれども、一体異常でなくなるというのはどういう事態であるのか、さらにまた、いつ一体そういう異常でない事態になるという見通しを持っているのか、このことをひとつ御答弁ください。
  4. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  いつも同じ答えがはね返ってくるとおっしゃることでございますが、実は私がお答えを申し上げておるのは、中央地方を通ずる異常なる財政経済状態は、先般お答え申したときと今日とでは依然として変わりがないというふうに私は考えますが、そういったような事態におきまして、長期的、抜本的な交付税率を変えるということはやはり適当ではない。そこで、中央地方を通じての財政状態がこの異常性というものから脱却したときに、こういったような大事な問題は変えていかなければならない。ちょうど人間の体で申しますと、大変貧血をしておるとか、あるいは熱が出ておるとかといったようなときに、体の根本的な改造をやるということは必ずしも適切ではないということから考えまして、この状態から脱却したときに本当にいろんなことについて考えていかなければならない、かように考えておりますが、なお、詳細は政府委員からお答えさせます。
  5. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 できるだけ、政府委員はいいですから、大臣からお答えをお願いいたします。  脱却したとき、こう言われますけれども、具体的に脱却するということはどういうことですか。
  6. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、一応国につきましては、財政収支試算というものがございます。地方財政につきましては、自治省の方で地方財政収支試算というものがございますが、具体的になかなか申し上げにくいわけでございますが、一つの観点で申しますと、国の場合、五十五年に赤字公債をなくそうという政策目標を掲げて、財政運営の手がかりとしてそれを使おうという考え方でやっているわけでございます。公債依存度が現在御承知のように三〇%近くなっておるわけでございますが、大体公債依存度なり赤字公債なりが、まず赤字公債がなくなるということが最初かと思いますが、公債依存度が通常一〇%とか五%とかいうようなことがノーマルな財政状況だと思いますが、交付税の絡みの議論というのは、これは地方財政収支試算の方の地方財政全体の見通しも絡んでまいります。国のサイドだけで申しますと、ただいま申し上げましたように、赤字公債がなくなるということ、公債依存度がノーマルな水準になるということ、こういうことかと思いますが、同時に、地方財政の問題として考えれば、地方財政収支がノーマルな状態にならなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  7. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 赤字公債をなくする一応あの中期収支試算表なんか出しておりますが、依存率を三〇%から一〇%あるいは五%にするのがノーマルだと、国の場合そう言っていますけれども、具体的にどういう手段でもってやるのですか。
  8. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 これは申すまでもございませんが、一つ歳出面でできるだけ経費優先順位を洗い直しまして重点的な財源の配分をやる。同時に、受益者負担のような系統のものにつきまして適正化を図っていく。それから歳入面につきましては、企画庁の経済五カ年計画の方でも、五十五年には国、地方合わせまして三%ポイント増税を考えた政策目標が掲げられておるわけでございますが、そういうような歳入歳出両面におきます改善を通じましてやらなければならないというふうに考えます。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは今度はお役人さんでなくて大臣からお答え願いたいのですが、そうすると、来年度は増税をやるつもりですか。
  10. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  今日から来年度は増税をやりますというお答えはできませんけれども、いまの実情に即しまして、どうしてもやはり自然増収だけを頼みにしては日本財政健全化は五十五年度までに期しがたいとい、うことでございますので、必ずしかるべきときに相当の税の見直しというものを考えなければならないという事態であるということは、私もさように考えております。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 その増税をやる時期です。いままで皆さんお答えを聞いていると、五十年代前半という非常に漠然としたものです。もう少し詰めてお聞きしますけれども、いま大臣は、来年やるとは必ずしも言えない、こう言っていますけれども、来年やる可能性はうんと強いですか。
  12. 坊秀男

    坊国務大臣 五十五年度に相当程度の、国民所得比三%の増税をしていくということになりますと、これは相当増税額になります。それを五十三年、五十四年、五十五年というふうにやってまいりますと、増税の坂がなだらかになっていくということでございますから、そこで、今日税制調査会におきまして、中期税制の、まだ計画はできておりませんけれども、その計画を、日本の現在の事態に即応すべき租税体系がどういうものになったら一番適切であるかというようなことを考えていくために、あらゆる税の、直接税、間接税資産課税といったようなものについての素材について検討をしていただいておるということでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、五十五年までは必ずやるという一つめどを、いままでいろいろな御答弁を聞いていますとつけていますね。そうすると、いまのお話では、五十五年度に一遍にやるには大変な負担になる。そこで分割してやるということになりますと、まず五十三年、五十四年には必ず増税が実施されるということですね。
  14. 坊秀男

    坊国務大臣 それにやるとは決まっておりませんけれども、いま前途を展望さしていただければ、いま私が申し上げたようななだらかな坂になるか急坂になるかというようなこともやはり税制調査会検討していただいておりますが、しかし、いずれにいたしましても、これはやはり国民の御批判国民にひとつ選択をしてもらうということに、すなわち国会において慎重なる批判と慎重なる審議とやっていただかなければ、私どもがどう考えましても実現すべくもないことでございますから、ぜひともその際は慎重なる御検討をひとつお願いを申し上げたい、こういうわけでございます。
  15. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 地方財政収支試算によりますと、三ポイント増税することにして計算しても、なおかつ五十五年までには大変な赤字が出ます。そしてそのまま続けていくと、新しい、改定した地方財政収支試算によりますと、五十五年にはなくなるということになっておりますけれども、恐らくいまの状態でいくと五十五年までなくならない、来年になればまたあれを再改定しなければいかぬという状態だと思います。その場合に、お伺いいたしたいのですけれども、今回、自治省大蔵省に五%のアップをお願いしました。しかしそれは、先ほど一番先に申し上げたような大蔵省見解でもって却下されました。そこでちょっと考えるのですけれども、いま大臣お話を聞いていても、五十五年度までは非常に不安定です。恐らく何かしらの来年も再来年も改定されれば、五十五年も恐らくはこのままでいくと大きな交付税総額不足が出てくると思います。そこで、五十三年度には、来年度には、税金アップしようがしまいが、それにかかわらず、私は税率アップをしなければ地方財政はもっていけないと思う。この前にも予算委員会大臣と議論しましたので重ねては申しませんけれども、五十三年、五十四年と、ことしのような一時的なこそくな手段をとっていけば五十五年ごろになると、幾ら一般会計からつぎ込んでも、出ていくのが多くなって何にもならなくなります。だから私は、必ず来年度にはアップしなければいけない、こう思います。先週のこの地方行政委員会でもって同僚委員質問に答えて小川自治大臣は、来年もまた交付税アップ大蔵省に要請するつもりだ、こう御答弁しております。大臣は、来年はもし地方財政にことしに似たような大きな、たとえば交付税法に定められているところの総額に対して一割以上減るというような大きな赤字の、不足時代が来れば、交付税率アップに積極的に応ずる意思はございますか。
  16. 坊秀男

    坊国務大臣 来年の日本経済というものが今日よりも成長して、日本の国のいまの苦しい中央地方財政がもっとノーマルな姿に近づいていかなければならない、そういうことを考えておりますけれども、今日、地方交付税だけを取り出して、これに対しましてこれをどういうふうにふやしていくか、増率していくかといったようなことについては私は考えておりません。すべての、財政経済状況だとかあるいは租税状態、収入の状態だとか総合的に勘案をいたさなければ、いまの御設問のように、もしこうだったら地方交付税を増率するかという御質問に対しましては、ここでそうはっきりとお答え申し上げることはひとつ差し控えたいと思いますし、またできないと思います。
  17. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私はこう申し上げたいのですよ。  大臣は、現在の地方財政状態というのはよく御存じですね。五十年、五十一年、そしてさらに五十二年と大変な不足額が出ております。そしていまやこの地方財政というものはこの赤字のために首が回らない状態になっているということも御存じですね。そうしますと、この首の回らない状態が、いま大臣の御答弁でもわかりますように、はっきりとした見通しを何にも持っていない。恐らく経済というものはそれほど急激に、高度経済成長みたいになることはないだろうということは衆目の一致したところです。恐らくいま現在の状態よりも、ことしの状態よりも、五十二年の状態よりも税収が極端にふえ、景気が極端によくなるということは考えられない。そうすれば、いまあなたが言われるように、いまよりも税もどんどんふえるし、あるいはまた景気もどんどんよくなって税収がどんどんふえてくるというようなことは考えられない。恐らく、しばらくこのままの横ばいの状態が続くのじゃないかと思われます。いまの大臣のあれを聞いておっても、すぐに増税するというようなことはない。ましてこの間の新聞を見ますと、来年は消費税ですか、増税はやめるというような記事等もあります。またいろいろ見ても、経済が急に立ち直るということもちょっと考えられない。いろいろな問題が出てきておる中で、この地方財政を展望してみますと、まずここ三年ぐらいというものは、財政状態というのはますます逼迫していくことはあっても、よくなるということはほとんどないと思うのです。そういうときに、いま大臣が言われますように、税ができてからでなければ、景気がよくなってからでなければ、全般がもっとよくなってからでなければ直さないといっても、これはこの間も言ったようにつぶれちゃうのですよ。大臣はよく車の両輪だと言っているけれども、私はこの前もるる言いましたように、国と地方財政は決して車の両輪ではないと思う。同じ二十八兆でも、国は大変な、強力な統一体財政、金融を全部コントロールできる。ところが地方は四千近い自治体、しかもそのうちの約七割か八割というものは財政力指数が半分に満たないというような、吹けば飛ぶようなものなんです。地方財政と国のあれが同じ二十八兆であっても、その量は同じでも質が全然違うのです。だから私は今回の三・六%、これくらいのものであるならば、むしろ国が全部これをしょってそして地方に渡して、地方財政というものを安定させて安心させた方が、同じ金を使うならばずっと効果がある、私はこういうふうに思うのです。  言うまでもなく、あなたが望んでいるところの景気回復あるいはまた国民が望んでいるところの福祉向上、これをやっている現場は地方自治体なんです。地方自治体を安定させなければ、景気回復福祉向上もできないのですよ。だからこのくらいの金、地方にとれば大変な金だけれども、国にとればそう大きな金じゃないと思う。だから、これを税率アップという形で地方自己財源として与える、これは法律にも適合するのです。与えて、そして地方を安定させておいて国を安定させる、こういうことが大きな力を持った国として私はやるべき方途じゃないか、こういうふうに思います。いかがですか。
  18. 坊秀男

    坊国務大臣 やはり、地方財政というものが大事であるということは、私もこれは身にしみじみと感じております。その地方財政をこれを何とか立て直していかなければならぬということも、これはもうわれわれ財政当局としてもこれが大事な仕事なんだ。だけれども、今日、五十三年度の予算におきまして地方財政だけを取り上げまして、しかもその中で地方交付税率を上げていくということを、いまここでそれだけ取り上げて申し上げるということは、私はできません。  そこで、今度五十三年度の予算を編成するに当たりまして、一体日本の国の財政の根底をなすところの、基礎をなすところの日本社会経済がどうなってきておるかというようなことに即応しまして、そうして予算をつくることに相なりましょうが、そのときの予算の全体的の姿、それをよく見まして、そうして地方交付税にいたしましてもその他の重要なる経費にいたしましても、これをうまくバランスをとってそして決めていくというのが、これが私ども財政当局がやらねばならない問題であって、いまそれだけ取り上げてどうしろ、こういう御言明でございますが、承知いたしましたということはちょっと申し上げかねるのです。
  19. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 高度経済成長時代においても、いまの三二%じゃとても地方自治体はやっていけなかった。だから超過負担の問題とかいろんな負担の問題ができまして、これを何とか上げてくれないかという、非常に強い地方団体要望があったのです。ところが、いま低成長時代になって、ますますその要望が強くなってきているのです。景気回復したからといって地方財政状態がいまのところではよくなる可能性はない。しかも三・六%といいましても、大体ことしの総不足額の四分の一なんです。四分の一にも満たないかもしれない。そのぐらいの低い率なんです。いまこれを上げておいたところで、あなたが言われるように税を何とかし景気がよくなってそうしても、この三・六%上げても恐らくまだこれは足りないのです。しかも、これを本当に交付税に繰り入れて自主財源としてやる、このことは地方団体にとっては単に三・六%の問題じゃなくて、非常に大きな心理的な安定感を与えると私は思います。一時的にはことしだけは何とかなったけれども、来年どうなる、再来年どうなるということは、何にも保障されていない。それがすでに将来の問題じゃなくて、過去から三年も続いてきておる。これから将来の三年もどうなるかわからない、こういうことじゃなくて、金はこれだけ、三・六%で本当に少ないけれども、これだけでもやってやったんだぞという、こういう誠意を見せてどうか協力してくれ、私はこうやるべきだと思う。国も借金しているから地方も借金するのはあたりまえじゃないか、こういうことでは私は国としての責任は無責任だという感じを持ちます。もう一遍ひとつ……。
  20. 坊秀男

    坊国務大臣 私は、国も借金しておるから地方も苦しいのはあたりまえじゃないかなんという、そんなことはいまだかつて申し上げたことはございません。やはり国と地方というものが、これは全く協調と連帯でいかなければならないということは、よく考えております。  そこで、国も借金をしているから地方いいじゃないかというようなことではなしに、国、地方ともにこれは手をつないで健全財政にいかなければならない、こういうふうに私は考えておる。そのためには先ほど来申し上げておりますとおり、地方財政だけをいま取り上げまして、これに対して何らかの措置を講ずるということを、来年度の予算編成に先立ちましてここで申し上げるということは、ちょっと私としてはいたしかねるわけでございます。
  21. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この問題いつまでやってもあれですから、最後に一つお伺いしますが、たとえば来年税金を上げると、法人税になるのか何がなるのかわかりませんが、それを上げることになれば一応国の財政めどがついた、こういうような見解でありますか。
  22. 坊秀男

    坊国務大臣 来年の税制改正というよりも、中期税制につきまして、これは考えていただいておる最中なんです。それのおよそのめどが恐らくはことしの秋ごろにつくであろうと思います。そのめどがついたときに、一体しからば日本社会経済情勢に適応すべき日本税体系はどういうものにするべきかということはおおよその見当が私はつくであろう。そのついたものを五十三年、五十四年というふうに、どういうふうにこれを採用していくかというようなことがおよその見当をつけた上でなければ、いまの御質問に対しましてどういうふうにするのだというお答えはこれはできない、こういうことでございます。
  23. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私の言ったのは、税制の改革というか増税ということが、大臣お話を聞くと、財政状態の安定するということに対する非常に大きな要素になっておる。そこで、先ほどお話を聞きますと、五十三、五十四、五十五くらい、少なくとも五十四、五年にはぜひやりたい、こういうような意向ですが、税制が、増税が一応めどがつく、こうなれば、国の財政が安定したということを意味しますかと聞いているのです。
  24. 坊秀男

    坊国務大臣 ことしの秋に大体のめどがついたものを、何も大蔵省とか政府とかがそのめどがついたからそれを基盤にして、それで増税を伴う税制改正を実現できるというものでございませんことはよく御案内のことでございますが、それに対しまして国民皆さんの御批判をお願いして、そうして最も適切なる措置に出たい、こういうふうに考えておるわけです。
  25. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、こういうことですか。来年も恐らく増税はできないだろう、まずこういうお見通しですね。
  26. 坊秀男

    坊国務大臣 私はそうは思っておりません。やはり五十五年代までに日本財政というもの、日本税制というものを、いまの三割も公債をはらんだそういったような財政をこのまま続けていくということは、まさに財政破綻を来し、そうして日本国民生活というものにどうにもならぬようなことに相なるということから考えますと、ここは苦しかろうともひとつ税制改正ということに御協力を願いたい、こういうことでございます。
  27. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私の言っているのは、協力しておるとかしないとかいうことじゃなくて、現実の問題として、ただいつやるかわからないじゃ困りますので、来年度事務的にもいろいろな、たとえば税調の問題もいろいろありましょう。そういうことを全部総合的に見まして、来年増税することができますか、増税する意思ですか、こうお聞きしているのです。もう一遍どうぞ。
  28. 坊秀男

    坊国務大臣 来年、全然増税ができない、税制改正ができないというふうには私は考えておりません。
  29. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、まずあなたの御意見と御意思としてはやるつもりなんですね。どうですか。
  30. 坊秀男

    坊国務大臣 これも先ほど来申し上げておりますとおり、私が幾らやるつもりでも、これは国民皆さんの御同意と御選択を得なければできない、こういうことであります。
  31. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私はさっきも言ったでしょう。税調から、事務的な手続から、国民に対するいろいろなものから、そういうものを全部ひっくるめて総合して、来年やれるのかやれないのか、大臣見通しを聞いているのですよ。どうですか。
  32. 坊秀男

    坊国務大臣 来年適切なるそういったような中期税制の一部の案ができましたら、でかせたいつもりでございますけれども、ぜひともひとつ御協力をお願い申したい、こう思います。
  33. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、この最大の問題である増税によって国家財政が安定してくる、こういうことになると、それに基づいて地方交付税法税率アップというものは十分に前向きに検討できるという状態になりますね。
  34. 坊秀男

    坊国務大臣 いまも申し上げておりますとおり、税についてはあらゆる角度から、あらゆる税の種目について検討してもらっております。ところが、その中でどういったような種目をとって日本の国の租税体系をつくるかということについては、いまのところはその青写真、目算はついておりません。ですから、そういったようなことも青写真ができましたならば、これは所得税を幾ら増税するか、減税するか、法人税をどう扱うか、あるいは間接税をどう扱うか、新たにどういったような税を取り入れるかといったようなことを検討いたしまして、日本租税体系というものを打ち立てていくということに相なりますれば、いろいろなことについての目算というものもついてこようと思いますけれども、いまのところまだそこまで行っておりませんから、そこで地方交付税というものだけを取り上げて、これをいま五%とか上げたらどうかという御意見でございますけれども、それに対しましては、とてもいまここでお答えするだけの域に到達していないということを申し上げているのです。
  35. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 結論的に申し上げますけれども、やはり国は非常に強い力を持っておりますから、地方財政というものを少しでもいいから具体的にめんどう見て、安心させて、一生懸命働かせる、これの方が私はいいと思います。幾ら議論していても、これはどこまで行っても平行線でしょうから、どうかひとつ早急に国の財政というものを立て直し、地方財政というものを立て直すように御努力くださるようにお願い申し上げます。  そこでひとつ、時間が余りありませんので、お伺いします。  五十年度に約一兆一千億ばかり、五十一年度に一兆三千億、特会の借入金がありますが、いよいよ来年度から返済が始まるのです。これはやはり非常に大きな問題です。特に交付税総額の確保が問題になっているときに非常に大きな問題になります。特に五十年は大蔵省自治省との間に覚書があります。あの覚書の趣旨を発動いたしまして、来年度からの五十年度分の返済を国が責任を持つべきである、返済してやるべきである、こういうふうに思いますが、そういう御意思はございませんか。
  36. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 目下のところは、五十年の補正の際に決めました線でお願いしたいというふうに思っております。
  37. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 将来地方財政が非常に困ったときは国が考えるという覚書なんです。いまくらい地方財政が困っているときはないのです。ところがそれをやらないというのは、一体覚書というのは何のために出しているんですか。いまくらい困っているときはないのです。もう一遍どうぞ。
  38. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 五十三年の国の財政なり地方財政状況をいまから推しはかりまして云々することはできませんので、現段階におきましては既定の考え方でお願いしたいと考えております。
  39. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 すべてが混乱している、混乱している、混乱しているから何もやられない。この混乱の状態はいつから続いていると思いますか。五十年、五十一年、五十二年と続いている。もう三年も続いているのです。しかも二年も三年も続く見通しでしょう。それが困難だからできない、困難だからできないと言う。片方ではその混乱を安定させる努力はしなければいかぬけれども、片方では何かしらの方法を講じていかなければいけませんよ。しかも覚書まできちっとやっているじゃないですか。あの覚書があったからこそ私どもはあれを承認したのです。それを混乱しているから何もやりません。あの五十年当時、こういうふうになるのは皆わかっていたのですよ。いま初めてできた困難じゃないのです。五十年の特会の借入金の返済、これはぜひひとつ国が責任を持ってやってくれなければ、九百五十億や何ぼ、少しずつ特別会計に一般会計から入れたって、これは片方で持っていかれれば何もならないじゃないですか。ちゃんと税率でも安定してやるならいいけれども、一方ではごまかしとも思われるような方法をとって、片っ方ではどんどん元利償還金を持っていかれたら、ますます総額が減るだけじゃありませんか。ぜひこれをやっていただくように、もう一遍ひとつ御答弁をお願いします。
  40. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 大変恐縮でございますが、現段階におきましては何とも申し上げられませんので、既定の方針でお願いしたいと思っております。
  41. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私はこれから大蔵省というのは信用できないような気がする。あれほど念を押して、こんなに多額の借り入れをしたのでは、これが将来非常に大きな地方財政のがんになる、われわれは認めない。ところが大蔵省は、これを必ずめんどうを見てやるという覚書まで出しているから、私どもは信用して通してきたんです。それをはなはだ残念だと言う。残念なのはあなた、こっちの話ですよ。この足りない金をもう一遍総額の中から返していったら、ますます足りなくなるじゃないですか。何のために覚書をやっている。大蔵省は覚書をやろうが約束しようが全然信用ならないということですよ。どうです、もう一遍。
  42. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 この覚書に書いております精神は決して捨てるわけでございませんので、覚書の精神を踏まえながら、五十三年の編成過程で、この文章に書いてございますように検討することになるわけでございますが、ただいまの段階では何とも申し上げられない、そういう意味でございます。
  43. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それではこういうふうに解釈してよろしいですね。いまは言われないけれども、五十三年の予算編成過程においてはこれを十分に検討する、こういうふうに了解しておいてよろしいですね。
  44. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 覚書に書いてあるとおりでございます。
  45. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ちょっと待ってください。覚書に書いてあるとおりというのはどういうことですか。もう一遍。
  46. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ここに書いてございますように、「協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」こういうことでございます。
  47. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 だからいまあなたが言われたように、五十三年の予算の過程でその覚書のようにやるということでしょう。
  48. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 五十三年の予算編成過程でこういう協議をいたすことになるわけでございます。
  49. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 決していじめるためにやっているのではなくて、地方財政を何とかしなければいかぬためにやっているのですから、そうこわい顔をしないで、ひとつしっかりと、にこにこして御協議して、ぜひこれを実現していただくようにお願いいたしたいと思います。  あと一分ありますが、一分で御質問します。  この前、地方行政委員会で、参考人に大学の先生二人、知事一人、市長一人、自治労の委員長等呼びまして来ていただきまして、この意見をお伺いしました。その中で、今度の交付税に対する措置は、地方交付税法六条三の二項に合致したいわゆる制度の改正であるか、こういうふうに全部の人にお聞きしましたら、ただ一人として、これが制度の改正であると答えた人はございません。私は、この状態というものは、普通の人が普通の常識で考えれば、これが制度の改正でないと答えるのがあたりまえだと思います。これに対して、大臣はどういう御見解をお持ちですか。
  50. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 技術的なことを……
  51. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 技術的なことは百も承知だから要りません。大臣からお聞きします。一番最後に大臣の出番をわざわざつくってやったのです。
  52. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  五十二年度の地方財政対策については、現在のわが国が経済財政状況にかんがみ、交付税率のような国、地方を通ずる財源配分の抜本的かつ長期的な変更は適当でないが、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨に照らしまして、後年度の地方財政への影響をも考慮しながら、地方財政の運営に支障を生ずることのないようにするために所要の制度改正を行うこととしております。地方交付税法第六条の三第二項に言う地方財政制度の改正につきましては、法律は広い選択を許しているのでありまして、五十二年度に措置しようとしている制度改正は、この規定に言う地方財政制度の改正に該当するものであるというふうに考えます。
  53. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 一番最後に。私、さっき言いましたように、あなた方はずいぶん強弁しておりますが、普通の頭で常識的に考えれば、だれもあれを交付税法の制度の改正だ、こうは考えないのです。私はそれがあたりまえだと思うのです。あれが制度の改正だと考える人は私はかなり常識に欠けているのじゃないか、こういう感じさえ持ちます。恐らく自治省大臣を初め財政局長、この人たちは胸の痛みを感じながら制度の改正だと答弁していると私は思うのです。普通の国民はこれを制度の改正だと思いません。思わない、私はこういうふうに確信します。それで、この間全部を集めたら一人もこれが制度の改正だと答えた人はありません。だから私は、この問題についてはもっともっと真剣に、ごまかしではなくて、本当に国民の了解を得るような方法でもってやってくれるように心からお願いを申し上げます。  時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  54. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 小川新一郎君。
  55. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、久方ぶりに大蔵大臣がおいでになりましたので、部分的な問題から聞いてまいります。  地方財政の大きな柱であります縁故債、この縁故債については、これはもう御存じのとおりでございますが、地方交付税の落ち込み分について、ことしは一兆三百五十億の縁故債というものが言われておりますが、最近銀行は非常にもうけ過ぎているのではないかという観点から、歩積み両建てとかまたは拘束預金や見合い預金、一般の金融機関に対してはこういう措置を講じてはならない、こういう大蔵省の通達がございますが、地方公共団体の財政の大きな柱でありますこの縁故債がどれくらい出ているかと申しますと、昭和四十八年で引受総額一兆四千六十七億円、昭和四十九年度で一兆五千二百二十四億円、五十年度で二兆二千九百四十六億円、五十一年度で二兆九千七百六十七億円。五十二年度の見込みは幾らでございましょうか。
  56. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 お答えいたします。  五十二年度の縁故債の見込みは一兆九千九百九十五億円でございます。
  57. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、非常に多額な、四十八年、四十九年、五十年、五十一年、五十二年、特に五十年度から五十二年度のこの三年間は、地方交付税法第六条の三の二、これに抵触するほどの地財の赤字が、この交付税という当然一般会計としてもらえるべき金さえも二兆円以上の穴が出て、しかもその半分が地方の借金によって賄わなければならない。しかもこの賄う銀行の縁故に頼って消化する地方銀行、これらの当該公共団体の最も大きな柱でありますこの縁故債の消化に当たっては一体どういうふうになっているか。この問題が大きく公営企業金融公庫、そしてこれが地方公営企業金融公庫の引き受けをさらに拡大して、地方公営事業のこれらの当該公共団体のすべての縁故債の引き受けについて、この金融公庫の改組という問題が当然浮かび上がってきたことが昭和五十二年度の自治省の大きな政策の一つであります。もう一つの柱が地方交付税率アップもしくは六条の三の二の制度の改正、この二つが大蔵省自治省との話し合いの一番大きな眼目であったと思います。しかるに私は、概算しただけでも約七兆円から八兆円、四十八年度から五十二年度を見ても約八兆円にも及ぶところの地方縁故債の引き受けが、実は銀行がこの問題について手数料を取っている。こういう事実は大蔵大臣御存じでございましょうか。
  58. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 引受手数料が各縁故債によって区々な点はございますけれども、大体手数料を銀行が取っております。
  59. 小川新一郎

    小川(新)委員 この引受手数料というのは百円につき幾らでございますか。
  60. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり縁故債に頼っているたくさんの団体、それぞれ金融機関と話し合って手数料が決まることでございますので、平均的に申し上げるのも何かと思いますが、公募できるような団体、二十二団体あるわけでございますが、そこら辺の手数料を見ますると、縁故債についてほぼ一円十銭から、低いところもございますが、そういう実態になっております。
  61. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、これは大事な話だからよく聞いていただきたいんですが、受託手数料、登録手数料、元金払い手数料、利金払い手数料、こういうふうにございますが、受託の場合は百円につき五銭、登録の場合は百円につき五銭、元金払い手数料については二十銭、利金払いについては三十銭、それからお互いに一番手数のかかります一般の方々に対する市場の公募、これは特に証券会社がやっておりますが、市場公募の場合については一円四十銭ぐらいはこれは手数が非常にかかるのでやむを得ないだろう。ところが当該地方公共団体が一括してある銀行に縁故債を申し込む手数料というのが法的に認められているんですか。そういうものこそ利子や何かからやるべきお金であって、これは民間会社からいま禁止されております歩積み両建て、拘束、見合い預金、これらに匹敵するような重大な問題になってまいると私は思います。いまお聞きいたしましたように、二十二団体でも平均して一円十銭以上だ。そういたしますと、東京都の場合約三千億から四千億縁故債がある。これに一円十銭掛けますと三千億としても三十三億ですね。これが手数料として出ていっちゃう。こういうのは銀行法か何かで、銀行と公共団体が縁故債を結ぶに当たっての手数料というものをどこかで法律で定めているんですか。これは大臣、いかがです。
  62. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 ただいま理財局の方から御答弁申し上げましたように、手数料をどうするかはまさに当事者間の折衝の問題かと存じます。法律によって幾らにすべしという規制にはなじみにくい性質のものだと私ども考えております。
  63. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは自治省にお尋ねいたしますが、昭和四十八年から五十一年までで結構ですが、約七兆円以上の縁故債の、三千余の地方公共団体の縁故債の手数料というものを計算したことがございますか。
  64. 首藤堯

    ○首藤政府委員 手数料の合計を計算したことはございません。
  65. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣にお尋ねいたします。  地方自治団体は財政赤字だ、しかも地方公共団体の大きな財源の柱であります地方交付税の落ち込み分もことしは二兆七百億、その約一兆三百五十億は縁故債、その一兆三百五十億円の縁故債を消化するに当たって銀行が百円につき一円十銭の手数料を取る、こんなことが許されていいのでしょうか。元来銀行はもうけた利子の中からそういうものの経費負担すべきではないでしょうか。さらにその上に手数料を取る。地方財政がどんどんどんどん逼迫し、縁故債に頼れば頼るほど縁故債の利子でもうけ、手数料でもうけ、もうけてもうけてもうけた上で、さらに民間からは歩積み両建てをやる、こういう銀行、金融のあり方というものが法の上で野放しになっているということは私は納得できないと思うのですね。きょう初めて私がこの問題を提起しているわけですが、こういう問題さえもだれも知らなかった、まさか地方公共団体の発行する縁故債について銀行が手数料を取るなどということは。これは正規の利子というものを払っているのでしょう、ただ借りているわけではないのでしょう、いかがでございましょう。
  66. 小川平二

    小川国務大臣 実際問題といたしまして、この縁故債の額、種類、あるいは消化の方法等に応じて手数料が徴収されておるということは事実でございますが、これは申すまでもなく地方公共団体の財政を圧迫することになるわけでございます。したがいまして、今後これは大蔵省に要請を申し上げまして是正に努めてまいりたい、そうしなければいけないと考えております。  その総額について計算をしておらなかったということ、これは申しわけないことでございますが、個々のケースによりまして手数料も区々でありまするため、今日までそのような作業をいたしておりませんでしたが、そういう御発言がありましたのを機会に、今後ひとつ総額がどのぐらいになるかということの計算もいたしてみるつもりでございます。
  67. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵大臣、いまのお話を聞いて自治大臣はそうおっしゃっておりますね。概算計算してもこれはもう莫大な額になりますね。東京都だけで三十三億ですから、これは大ざっぱに三千億と見て。それでは日本全国で昭和四十八年のときの手数料は幾らだったのですか、これは大蔵省の専門の方に聞きたい。
  68. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 お答えいたします。  縁故地方債についての手数料というのは、先ほどお話しいたしましたように、個々の団体と金融機関との相対的な話し合いで決まる性質のものでございまして、大蔵省として介入はしておりません。公募の地方債につきましては、他の公社債の発行条件との関係もございまして大蔵省として指導はしておりますが、先生お尋ねの縁故地方債についての手数料というのは直接調べてございません。
  69. 小川新一郎

    小川(新)委員 冗談じゃないですよ、あなた。縁故債といったら地方財政の柱じゃないですか。私はそんな小さなことを言っているのじゃないです。  ではもう一遍お尋ねしますが、住宅公団が出す縁故債、公社、公団の手数料は銀行はありますか。
  70. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 手元に五十一年三月現在の公社の手数料がございますが、一円十六銭になっております。
  71. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、公社、公団も当該公共団体も全部銀行では縁故債については手数料を取る。縁故債がないと地方公共団体はそのときの財源の柱が浮かばれないから、埼玉県の場合を取り上げましても、北陸銀行の本店のある金沢までわざわざ行かなければならない。その電車賃だとか旅費だとかを払って、さらに手数料を取られる。しかも、割り当てられた縁故債の消化ができないから手数料が毎年上がっていくんです。これは来年もどんどんどんどん地方債がふえていったら莫大な額になる。しかも、昭和四十八年のときの縁故債の手数料の額も調べてない、合計額もわからない。昭和四十八年、四十九年、五十年度では公団や公社は手数料を取ってないと思うのだけれども、取っていましたか。
  72. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 お答えします。  公社、公団については取っていると思います。
  73. 小川新一郎

    小川(新)委員 取っていると思いますでは、これはもうはっきりしていないわけですね。このように極端な例を申し上げましたけれども、私が聞きたいのは、昭和五十三年度の大蔵省中期計画地方財政見通し政府の改定後の地方財政収支試算によっても、五十三年度に一兆一千八百億の財源不足が見込まれているのですよ。さっきからお尋ねしていますと、大蔵大臣はそれはそのときの景気が立ち直るためにとおっしゃっておりますが、大蔵省の試算した地方財政収支試算によっても、これは大蔵省がやったかどうかわかりませんが、政府のものによっても一兆一千八百億昭和五十三年度に財源不足が見込まれていると言っているんです。だからこそさっきから地方交付税率アップやいろいろな問題が議論になっているのです。この不足額のすべては縁故債によって埋められるのです。要するに地方公共団体の借金によっておまえたちは切り抜けよというわけなんです。しかもその借金をするためには市中の銀行を頼らなければならないから、公営企業金融公庫を改組して地方団体金融公庫としてこれらの縁故債の消化をやらなければならないというのが自治省の本当のねらいだった。それを昭和五十二年度の覚書の中で、おまえらのいろいろ言われているような財政上のいろんな変化が生じたときは話し合いに応じるということで逃げておりますけれども、昭和五十三年度の収支見通しでさえも一兆八千億も赤字になるということが見込まれているいまの日本経済の中で、交付税率アップもはっきりしない、しかも縁故債については銀行が手数料まで取ってさらに苦しめている、地方公共団体の首を絞め上げている。この点だけでも改正しなかったら、地方公共団体に対する思いやりだとか財政上の措置だとか、抜本的、根本的改正などということは絵にかいたもちだと思います。大蔵大臣、まずこの手数料を廃止しなければならない、廃止できないのだったら率を下げろとか、またはこれ以上上げさせないとか、何らかの適正な指導を講じない限りこれは大変なことになります、いかがでしょうか。
  74. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 私ども銀行を指導する立場でございますが、銀行に対しましてはこういう際に地方債の引き受けについては特段の協力をするように、こういうことは基本的に要請をし指導をいたしております。しかし、先生御指摘の手数料あるいは利率等々の条件の問題につきましては、これはまさに縁故債としては各個別ケースに応じましてそれぞれ当事者同士が話をされて決定をされておることでございまして、行政府がそれは幾らにすべし、こういう対象とすることにはなじまないものである、こういうふうに私どもは考えております。
  75. 小川新一郎

    小川(新)委員 あなたはまさに商慣習と言っている。商慣習は縁故債の利子によってやったらいいじゃないですか、そのために利子を取るのでしょう、そんな問題は。これは何が手数なんです。おかしいじゃないですか。地方公共団体と銀行とどんな手数がかかるのです。そのための銀行じゃないですか。そんなに銀行は思い上がっているのですか。大臣いかがですか。
  76. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  縁故債等についての手数料を取るということはけしからぬじゃないか、こういう御質問ですが、この手数料の性質がたとえば利回りを補てんするといった性質のものだとこれはよろしくないのじゃないですか、その本質、性質が。ただし、手数料を取るか取らぬかということについては、先ほど銀行局がお答え申し上げておるとおり、これは当事者の間でそういうようなことになる場合もこれはありまして、これに対して大蔵省が介入をするということもちょっと考慮を要するのじゃないかと思いますが、個々の場合のその手数料の性質というものを検討してみる必要があるのではないか、かように考えます。
  77. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵大臣全く御存じないですね、いまの答弁は。縁故債は縁故債ですよ。なんでそんなに幾つも縁故債に種類があるのですか。公募債と違うのですよ。そんなことを言っているから、大蔵大臣大蔵省自治省との関係がみんな考えが違ってしまって——地方財政を救うという立場に立っていま私は議論しているのですよ。何も大蔵省が腹痛むわけじゃないじゃないですか。ではなぜ手数料が一円十銭も一円八十銭も上がっていくかというと、余りにも引受額が多いように地方財政の縁故債がふえるから、銀行としては強気に出て手数料よこせと言うのだ。何も手数なんかかからないじゃないですか。一体これは何の手数がかかるのです。私どもがこういうふうに金を持ってこういうふうに、そんなことはみんな銀行がやることじゃないですか。それとも出店をつくって、公募債のように、宝くじを売るように出張所をつくってそこに人をやるとかというならこれはしようがないから、公募債では一円何十銭取ってもしようがない。しかも、あなた方の方で決めた受託、登録、元金払い、利金払いについても額が決まっているのです。これは手数料取ってもよろしいと指導している。これは五銭、五銭、二十銭、三十銭である。一番複雑な手数のかかるものは五銭で、一番手数のかからなくて額の多い縁故債が一円十銭から一円六十銭だからぼくはおかしいと言っているのだ。それを認めることは商慣習だからだめなんだ、大蔵省の介入すべきではないのだ、ところが、自治大臣はこういうことは好ましくないから何とかするといま言ったじゃないですか。それを大蔵省がんとして、それは銀行と地方公共団体の問題だから介入すべきでないと言うけれども、好ましくないことだったらこういうことはやめて、地方公共団体の財政が立ち直るまでは銀行は援助してあげろ、それが私は筋論だと思うのですが、そういうことはおできになるかと言ったら、知らないと言っている、おれの責任じゃない、私は責任問題をいま言っているのじゃない。大蔵大臣に責任を転嫁しているのじゃない。そうでしょう。大蔵大臣に、あなたけしからぬじゃないかといって怒っているのじゃない。銀行のこのような姿が好ましいことでないということは自治大臣おっしゃっているのだから、それに対してはどういう手を打つのか、そしてこの赤字で悩んでいる、交付税として当然現金が入ってくる金ももらえない状態の中ではこのくらいのことをしてあげるのが親心じゃないかと言っているのです。     〔委員長退席、木村(武千代)委員長代理     着席〕
  78. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 同じようなことを申し上げて恐縮でございますけれども地方債の消化につきましての基本的な協力は私ども強く要請をいたしております。いま御指摘の手数料などにつきましても、事業債等と比べれば比較的安目になっていると承知をいたしております。しかし、物事の性格としましては、やはり当事者間の話し合いによって決定されるべき性質のものだと思います。行政府が幾らにせよということではなくて、基本的にそういうことに協力の姿勢を示せ、こういうことは申しておりますけれども、具体的にどうせよということにはなじまないと申しますか、適切ではないのではないかと私どもは考えております。
  79. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃどうしてこんなに差が出てしまうのですか。どうしてこういうふうに高いところと安いところとばらつきが出てしまうのです。六十銭のところもあれば四十銭のところもあれば一円八十銭のところもあれば一円十銭のところもあれば……。あなた方はこれをただ人ごとだと思って計算しているけれども、この金が何百億になっていますよ。なんで銀行にそんなにもうけさせなければならないのですか。自治大臣は好ましくないと言っているじゃないですか、さっきから。何とかしなければならない。首藤局長、あなたは財政通で自治省の立場で、こんなことおもしろくないことだと私思っているのだけれども、どうなんです。
  80. 首藤堯

    ○首藤政府委員 縁故債の募集の際に、いろいろ銀行側としても、状況によりましていろいろ手続、手数等が変わるケースもございます。たとえばシ団等を編成をされて一定の縁故債を登録債のかっこうで引き受けられる、この場合にもいろいろ事柄があろうと思います。したがって、発行の形式そのほかによりましてある程度の手数料、こういうものが双方の了解づきで、話し合いづくでやられていく、これはケースとしてはやむを得ないだろうと思います。しかし、先ほどから大臣が申し上げましたように、その手数料が実態を反映しない、非常に高いとかあるいはこれをもって利回りの補てんをすると申しますか、さっき先生がおっしゃっていますように、縁故債が非常に多くなったからせめて手数料よけい出して実質利回りをいいようなかっこうにせいとか、こういうような体制になってくれば非常に望ましくない、こう考えるわけであります。しかし、実態的にはこれは各団体ごとの契約でまいりますので、私どもとしてはなるたけ利回りも手数料も安くやってほしいという要望はいろいろいたしますけれども、強制をしていくという筋道のものにはなかなかなっていない。  それから、先ほどのこの手数料等につきましてどのくらいの金額になっているか算定をいたしておりません。確かにいたしておりませんが縁故債関係、公債関係の発行関係に要します経費、これは昭和五十年に約百四十六億ぐらいになっています。これは私どもの方で発行しておりますこの中の一部分が引受手数料、こういうかっこうになっていると思いますが、これは幾らになっているか、先ほど申し上げたように調べたものはございません。
  81. 小川新一郎

    小川(新)委員 とにかくここで議論していたって、だんだん頭へきましたよ。無責任な、何が地方債、地方を救うのだ、そんなばかな話がありますか。口ではうまいこと言って地方を救っていこうとか財政がどうだとか、何言っているのですか、本当のこと言って、こんなばかげたこと、私、質問していて頭にきたことはないです。これは銀行が取らなくてもいい金じゃないですか。自治省だって大蔵省だって本当に地方のいまの財政の面で救える——抜本的も根本的もできない、交付税率のあれもできない、何もかもできない、縁故債に頼れ頼れと言っておいて、その縁故債やれば手数料まで取られていた実態がきょう明らかになったのではないですか。いままで一回だってこんなこと委員会に出ないじゃないですか。その証拠には額も調べてないじゃないですか。そんな無責任な政府がありますか。行政指導するとかしないとか、商慣習だとか、政治というものは果たしてそういうものなんでしょうか。昭和五十年度の上半期、下半期の決算で銀行がどれぐらいもうけているか、あなた方が一番よく御存じじゃないですか。一カ月に千二百件も千四百件も中小企業がばたばた倒れているときに、首つりの足を引っ張るように歩積み両建て、そして拘束預金、見合い預金、何回注意したって、川口の本店で振り出した手形の割引を今度積み立てるための歩積は大宮でやらしている、大蔵委員会で口が腐るほど言われたって改善されていない。私は、まさか地方公共団体や公団や公社のこういった連中の縁故債の手数料なんというものはないと思っておった。百円につき一円八十銭も取っている。これは小川大臣の言うのが本当に筋が通ると私は思うのです。行き過ぎは是正するのが政治であり、間違ったことがあったらそれを注意するのが関係当局であって、それは知らないのだ、そういうことは構わないのだ、もうけ過ぎなんだ、あなた方の話し合いなんだ。しようがないから、縁故債を消化しなければ地方財政ができないから、どんなに手数料を言われたって泣き泣きやっているのが実情でしょう。じゃ縁故債だめだからと言って、いやだと言っておれはやらない、財源は何から払うの。聞きたいです。何もないでしょう、財源は。現金が入ってこないのだったら借金する以外にないでしょう。  私はもう一遍お尋ねしたい。大蔵省、何らかの手を打って、これ以上まず上げさせない、やめさせる、いくつまでならこれは許す、何らかのかっこうで、これはきょうここで委員会ではっきりなったのだから、明確な指導をすべきであると私は思う。それが政治の情けであり、地方公共団体の財政危機を救うわずかささやかな政府の、これは甘露の涙ですよ。これぐらいのことができないのだったら、地方交付税率アップなんかできるわけないのだ、こんな簡単なことができないのだったら。私はこの問題できょうは費やしてしまった、本当のことを言って。答弁が余りはっきりしないから。自治大臣、私の気持ちわかってもらえるでしょう、お互いに同じ小川という姓を名のっているのだから。坊大蔵大臣だって、私は尊敬しておった。御僧侶の出身でしょう。違うのですか、お坊さんじゃないのですか。本当に、もっと情け深い大蔵大臣で、この公共団体のいまの財政を救うために、銀行がこんなことをやっているのだったら、おれは何らかの適切な手段を講じてあげようというのが、日本財政をつかさどる大蔵大臣の決意であり、国務大臣の襟度だと思うのです。私の言っていることが間違っているのだったら、間違ったと言ってください。何にも無理なことは言っていないのだから。あなたに富士山に駆け足で上がれなんて言っていないのだから。大蔵大臣としてできること、そのことを言っているのじゃないですか。いかがでしょうか。これは大臣に聞きたいのです。
  82. 坊秀男

    坊国務大臣 御意見もわからぬじゃございません。それはわかります。これはひとつ慎重に考えてみたいと思います。
  83. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣、さっき非常にいい答弁をいただきました。自治大臣の御決意はいかがですか。これだけの、私がるる情熱を込めてしゃべった。本当にほかのことを言わないです。もっと聞きたいことはあった。いかがでしょう。
  84. 小川平二

    小川国務大臣 先ほど来、大蔵省からるる答弁を申し上げておるわけでございますが、これは発行の額、種類等、相対で決まるわけでございましょう。なかなか早急に改めるわけにはいかないという大蔵省答弁でございますが、少なくともこの利回りを補正するために、利回りはしかじかになります、そのかわり手数料をもう少しちょうだいしますというようなことは、これはまことに好ましからざることだと思いますので、少なくともこの点につきましては大蔵省にお願いをしまして、急にいかなくとも、せめてだんだんでも是正していただきたい、こう考えております。
  85. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたから、残念ですけれどもこれで終わりますが、大蔵大臣がわざわざおいでになって、もう少し私は花も実もある答弁をいただけると思いましたが、しかし慎重に検討してくださるということになりましたし、自治大臣もこの問題については好ましくないことだから大蔵省に申し込むということでございますから、私はきょうの質問は、時間が参りましたのでこれで引き下がります。どうか十二分なる御配慮をお願いいたします。
  86. 木村武千代

    ○木村(武千代)委員長代理 河村勝君。
  87. 河村勝

    河村委員 先ほど大蔵大臣は、地方交付税率の改定につきまして、現在は国の財政がきわめて異常な状態だから、異常な状態から脱却するまでは改定ができない、こうおっしゃいましたね。それでその説明として主計局次長が、異常な状態から脱却するということは国の公債の中で赤字公債がなくなって、それから公債依存度が五ないし一〇%ぐらいまで下がらなければ脱却とは言えないのだ、こういう説明でありましたが、そうなると、このとおり公債依存度が五ないし一〇%程度にまで下がるまでは交付税率の改定はやらない、こういう御返事ですか。
  88. 坊秀男

    坊国務大臣 先ほどお答え申しておりますとおり、やはり地方も国も、これは私は一にして二、二にして一という関係であろうと思うのです。これは無論、地方と国とは独立関係にありますけれども、しかしながらお互いが福田総理の言うように車の両輪のように栄えていかなければならないといったような時代に、双方の財政がとにもかくにも異常な状態にあるときに、本当に長期的な、抜本的な、言うなれば構造上の重大問題について、これを変更改定していこうということは、これはどうも必ずしも適当ではない。そこで何とかひとつ両方の姿が全うな姿になってから本当に理想的な改定をやりたい、かように考えておるわけであります。
  89. 河村勝

    河村委員 抽象的な御返事はわかりましたが、さっき五%から一〇%ぐらいに公債依存度が下がらなければやらないというふうに聞こえましたが、そういう答弁だったように思いますが、そういうことですか。
  90. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ちょっと言いわけめきますけれども、国の財政の正常な状態は、ということで御答弁したわけでございます。国と地方との関係は、地方財政状況も踏まえて考えなければいかぬわけです。国の財政の正常な状態というのは、私は申すまでもなく赤字公債がなくなって、そして公債がノーマルな水準、ノーマルな水準というのは大体一〇とか五だろう、そういうふうに思うわけでございます。それと、いまの交付税を云々するというのは、そこはどういうふうに考えるか、これは地方財政状況をやはり判断の要素に入れなければいかぬだろうと思います。あくまでも国の正常な財政状況というのはどうであるかと言えば、この二点が一つのメルクマールになることは間違いないと思います。
  91. 河村勝

    河村委員 しかし、地方財政の事情と言えば、これはもう悪いときこそ交付税率を直さなければならないわけですから、別段国の公債依存度とは直接関係がない。だから、そうなりますと、あなたの返事のように異常な状態から脱却するのは国債依存度が五ないし一〇%にならなければ正常でないのだと言えば、国の財政は現在でも悪いわけですから、いつまでたってもそれでは——いつまでたってもというのは語弊があるが、とにかく公債依存度が五ないし一〇%になるというのは相当年月がかかりますね。そこまではやる気がないということに等しい返事だと思いますが、本当にそうなんですか。
  92. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 これは全く不確定な要素が多過ぎるわけでございます。ですから一体そういう状況にいつなるかという問題がございますが、一応現在われわれの手がかりになっておりますのは、国の財政収支試算地方財政収支試算地方の方はごらんになっておりますように五十三年、五十四年ぐらいで要調整額は消えるようなかっこうになっております。国の方も、これは経済情勢なりあるいは歳入歳出の見直しがどういうふうに進展するのかという絡みがございますから、遠い先の将来というのは、ただいま私が申し上げましたような二つのメルクマールが達成されるのはかなりかかると思いますが、その場合に国と地方との財政関係で地方財政に対して国がどういうことをやるのかということは、これは別の観点から議論がなされるのだろうと思います。
  93. 河村勝

    河村委員 それならば一応わかりますが、現実にいまの地方財政状態というものが引き続いて、三年越し、財源不足が非常にひどい状態にある。したがって、地方交付税法六条の三の地方交付税に関して、制度または税率改正をやらなければならない状態にあるということは、これは大臣、お認めになっているわけですね。
  94. 坊秀男

    坊国務大臣 交付税法六条の三の二でございますか、その法律はよく存じております。それで、現在の状態につきまして、今度五十二年度にとりました措置というものは、この法律に違背するものではない、かように考えております。
  95. 河村勝

    河村委員 交付税率改定はやらないけれども、制度の改正はこれでやったんだ、そういうことなんですね。そうすると、今度の地方財源不足対策の中で、どれが制度の改正に該当するんですか。
  96. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 一つは、四千二百二十五億円を法律でかくかくしかじかのやり方で交付税特会に繰り入れるという点でございます。あとは、マル優というのを地方債に適用したことがございます。さらには、公営公庫の方で、公営住宅だとか廃棄物を追加したりしております。基本的にはただいまの四千二百二十五億円を入れるという点、それから地方債をマル優の対象にしたということでございます。
  97. 河村勝

    河村委員 制度というのは、かなり長期的なものを制度と言って、それで短期の応急措置みたいなものは制度と言わないものだと私は理解をしている。だから、交付税特別会計に一般会計から繰り入れるとか、それからマル優扱いするとかなんとかいうことは、これは措置ではあっても制度ではない。強いて言えば、臨時地方特例交付金ですか、こんなものは制度と言えるかもしれないけれども、大部分はやはり、制度と言うのは無理だけれども、そう言わないと法律違反になるから、だからやむなく言っておる、そういうことだと私は思いますが、そんなことなんでしょうね。
  98. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 交付税法の条文の考え方でございますが、法律の解釈といたしましては、相当幅広い制度改正も考えているのではないか。交付税率の引き上げあるいは引き下げと地方財政改正ということになっておりますが、私どもの考え方は、地方財政改正ということであれば、決して暫定的な制度改正——今回の場合、暫定的な制度改正というふうにお考えいただくことになるかもしれませんが、     〔木村(武千代)委員長代理退席、委員長着席〕 私どもとしては、五十五年から八年間にわたって、国が地方財政に対して一般会計から繰り入れるわけでございますから、そういう意味において、交付税法の条文で言っている制度改正ではないかというふうに考えております。
  99. 河村勝

    河村委員 実際は、交付税率は変えない。しかし、交付税率の算定の基礎になるものをいじる。たとえば物品税とか相続税とか印紙税収入とか、そうしたものを地方交付税算定の基礎に入れる。そうすれば税率をいじらぬでも金がふえる。そうしたものをこの法律というものは予定をして、それでこの制度の改正または交付税率の改定、こういったものであるというのがこの法律の趣旨であると私は考えておるんです。大蔵省としては、無理にそう強弁せざるを得ないと思いますが、これは裁判所で争えば恐らく法律違反だと思います。最小限度一体政府部内で法制局にこの解釈を確認したことがおありですか。
  100. 小川平二

    小川国務大臣 これは法律解釈の問題でございますので、あらかじめ法制局の意見をただしたわけでございます。
  101. 河村勝

    河村委員 法制局では、どういう解釈をなさいましたか。
  102. 小川平二

    小川国務大臣 これは法制局の意見が文書になっておりますので、朗読をさしていただきます。「地方交付税法第六条の一二第2項に該当する事態が生じた場合には、同項は地方財政制度の改正又は地方交付税率の変更を行うものとすると規定している。ところで、ここにいう地方財政制度の改正とは、いわゆる恒久的な制度の改正を予想しているようにも考えられるが、同項の規定のしぶりからも窺われるように、」——「規定のしぶり」と書いてございますが、要するにこの制度の改正という頭に、何らかこれを限定するような、限定的な字句がない、ただ制度の改正と書いてある。これを「しぶり」という表現をしておるものと理解をしております。「いかなる内容の地方財政制度の改正を行うべきかについては、法律は広い選択を許しているのであって、例えば経済情勢が変動期にあるため将来に向かっての的確な財政見通しが予測し難い状況にあるような場合には、さしあたり当該年度の地方交付税総額を増額する特例措置を講ずることもまた、ここにいう地方財政制度の改正に該当するものと解される。」これが法制局の見解でございます。
  103. 河村勝

    河村委員 昔は、法制局というのは非常に厳正な解釈をしたものでありますけれども、どうも近ごろの法制局は、政府に追随する解釈が得意なようでありまして、それは水かけ論になりますからやめますが、地方交付税に依存をしている地方自治体ですね、この大部分を依存している自治体というのは、財政的にも本質的に非常に弱い自治団体である。そういう実態は、これは大蔵大臣御存じでしょうか。
  104. 坊秀男

    坊国務大臣 地方交付税を交付されておる地方公共団体というのは、これはもう私が申し上げるのは釈迦に説法で、あたりまえのことでございますけれども、基準財政需要と基準財政収入との差額というものを、これを中央から交付しておるというものでございます。そこで、その基準財政収入が非常に貧弱であるというような地方団体に対しましては、これは比較的高額の地方交付税——比較的でございます、それが交付されておるということであると思います。
  105. 河村勝

    河村委員 そこで、先ほど大蔵大臣は、国の財政地方財政は車の両輪である、あるいは協調と連帯であるということを強調なさいましたが、同じ協調と連帯、車の両輪と言いましても、地方自治体の中でも地方交付税で食っている自治体というものは非常に弱いのであって、両輪といってもびっこなんですね。だから、協調と連帯であると言うならば、国も地方も苦しい、それはよくわかりますが、しかし同じ苦しい状態であれば、この弱い自治体に先にめんどうを見ておかなければならない。同じ赤字が出て借金で賄うにしましても、国で国債を発行するのと弱い自治体が地方債を発行するのとでは条件がまるっきり違うわけです。ですから、多少国が苦しくとも、こういう際は地方自治体のそういう弱いものをまず救済をしていく。どっちみち、最後は一体なんですから、どこかでしょっていかなければならぬことは同じなんですから、もう三年も続いて非常に地方が窮迫しているというならば、少なくとも、地方税率の改定というような一つの安心感を与えてやるということが私は非常に望ましいことだと思いますが、そういう考えにはならないんでしょうか。
  106. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ちょっと技術的な御説明をさせていただきたいと思いますが、私どもの場合、公債依存度が二九・七でございますが、地方の場合には一〇・五ぐらい。決して私ども地方財政と国の財政とそのまま比較しているわけではございません。マクロ的な数字でもまた議論しているわけではございません。個々の三千の団体の集合でございますから、単なるそういう出っ放しの数字で、国が三割の公債依存度地方が一〇だ、だから地方の方が楽だとかそういうようなことは決して言っていないわけでございます。国も借金しているから地方も借金しろ、そういうことも言っておりません。個々の団体のそういう実情をよく踏まえまして、考え方といたしましては国の財政地方財政が調和をしながら改善していくというような考え方でございます。端的に申しまして、いま申しましたような借入金、赤字依存の数字でもかなり地方の方には私どもとしては配慮をいたしているつもりでございます。  それからもう一つ、具体的な数字で申しますと、本年の場合、国の財政は二十四兆から二十八兆で、アバウト四兆二千ほどふえておりますが、地方財政関係費といたしまして、そのうち一般会計で約四分の一を当てておるわけでございます。これは主要経費の中でごらんいただいて、社会保障やなんかよりもはるかに大きいわけでございます。国債費の伸びを除いては地方財政関係費に最重点的な投入をやっております。具体的な観点から御説明いたしました。
  107. 河村勝

    河村委員 先ほど財政の異常な状態から脱却するということを厳格に言うのではなくて全体の情勢を見ながら考えていくということだと思いますが、ことし五十二年度、政府としては六・七%の実質経済成長率というものを目標にしていま財政金融政策をやっておるわけですね。六・七%が達成できるかできないかというのはいま本当は非常にむずかしいところに来ていて、私どもは非常に心細いと思っておりますけれども、これが達成できるようならば一応日本経済も軌道に乗って、まあすぐに公債依存度が五ないし一〇%に下がらなくとも大体そういう見通しが立っていくという状況になる、とば口ではあっても一度軌道が敷かれる、そういうことであろうと思いますが、政府のこういう財政経済指標というものが無事に達成できた暁には、来年度は三二%の地方交付税率を三六%ぐらいに上げるというぐらいのことは、私は当然お考えになっているであろうと思いますが、大臣、いかがですか。
  108. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ちょっと技術的な説明をさせていただきますが、六・七%は河村委員が御承知のとおりでございまして、昨年十一月に七項目、これを裏づける補正予算を二月にお認めいただいたわけでございます。それから五十二年度の予算全体が景気浮揚、国民生活の安定、こういうようなものを目途に経費の重点配分をいたしております。さらに三月の中旬に、十一日でございますが、四項目ということで公共事業系統の繰り上げ促進、こういうような強力なてこ入れをやりまして、予算も先週成立させていただいたわけでございますが、早期に予算執行いたしまして、実質六・七の線を確保できれば、いわゆる安定成長路線に経済を乗っけていくことができるわけでございます。そうしますと、前期経済計画で考えております七%弱の安定成長軌道に乗るわけでございますから、その上に立って経済計画で考えていたいろいろな問題を解決できるような雰囲気ができるんじゃないかと思います。ただ、これは内外の経済情勢が非常に流動的でございますので、率直に申して非常に心配な点がまだまだございます。  それから第二点の問題でございますが、これは五十三年度の予算編成の過程でそのときの五十三年の経済情勢の見通し、それから全体の経済財政運営のあり方、こういうものを踏まえませんと、先ほど小川先生、一番最初の委員の御質問のときに、私、えらいくどい答弁をいたしまして申しわけなかったわけでございますが、何せ現段階では何とも申し上げられないわけでございます。五十三年の予算編成の過程で議論をさせていただかなければいかぬだろうと思います。
  109. 河村勝

    河村委員 非常に慎重な御答弁でありましたが、大臣いかがです。大体六・七%成長で軌道に乗るというのが政府のいままでおっしゃっていた一貫した御説明ですから、やはり一般的に軌道に乗ってくれば、これだけ法律的にも法律違反のおそれもある交付税率のことでありますから、優先的に解決するぐらいのことはおっしゃってしかるべきであろうと思いますが、いかがですか。
  110. 坊秀男

    坊国務大臣 要するに問題は、先ほど加藤次長申し上げましたとおり、五十三年度予算の編成ということの問題でございまして、そこでその五十三年度予算はことしの秋ごろからだんだんと進めていくことになろうと思いますけれども、これに先立ちまして、その中で地方税の中の交付税率をどれだけ上げるとか上げないとか、上げないということはないにいたしましても、これをどうするかということについては、ちょっとただいまはお答えする段階ではございません。
  111. 河村勝

    河村委員 私は、いま地方財政も全部と言ったら問題があるでしょうけれども、多くの自治体で長い間高度成長期の中でわりと財源も豊かであったから放漫になっているところが多いと思うのです。それがいまちょうど急に苦しくなって、よけいに苦しいという面があろうと思います。だからこの際、地方自治体に対して、国でもやってもらわなければならないけれども、行財政の改革を思い切って要求し、やらせるべきだと思うのです。それにはやはり与えるべきもの——与えると言うとあれですけれども、国が出さなければならないもの、当然出すべきものは出して、しかる後に合理化なり近代化なりを要求すべきものであって、何かこういうつなぎの措置ばかりやっておりますと、本当に改革をやろうという考えにはなかなかならないのです。またそれを国が強く要求することができない。だから多少無理してでも国が交付税率を上げて、これでやったんだからおまえたちしっかり行財政改革もやれというような体制をつくった方が、長期的に見たら、多少のごまかしでやるよりもはるかに得であろう、こういうふうに、私は、これは政治判断だと思うのです。だから、そういうような考えで臨まれたら私は国としてははるかに得策であろうと思いますが、いかがですか。
  112. 坊秀男

    坊国務大臣 先ほど来も申し上げておりますとおり、まあ五十三年度におきましては、五十三年度、五十四年度、五十五年度までに相当程度税制改正ということも考えなければならない、地方交付税というものは現在におきまして三税の一定の割合というものが地方交付税になっておるというようなことから、御要望は、要するに地方交付税税率を上げろとかなんとかということよりも、つまるところはその額を上げろ、そういうことだと私は思いますけれども、額を上げるということは率を上げるというかあるいはベースを広げるというか、いろいろなことが私はあろうと思うのです。そういったようなこともやりまして、いま現在の租税体系から考えて、これの率を上げるの、あるいはベースをどうするのといったようなことは、やはり税制改正がどういった姿になるかということから考えていかなければならない、こういうふうに考えますので、いまとにかく地方交付税だけ取り上げてその率を上げろ、こういう御要望にはちょっとお返事をいたしかねるような次第です。
  113. 河村勝

    河村委員 私は、そういう事務的な技術的な話ではなくて、政治論としてこれをやった方がはるかに国全体として得になるであろうという見地から申し上げたのですけれども、まあ御返事がなければそれで結構ですし、やむを得ません。  最後に一つだけ伺っておきますが、この交付税特会の借金、地方自治体の借金、これは大蔵、自治両省の間で覚書があったそうでありますが、実際は表向きはただ、返さぬでいいというわけにもいかぬが、実際はやむを得ぬだろうというような措置をされているというふうに聞いておりますが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
  114. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 そういうことはございませんで、これは基本的な考え方は、御承知のように交付税の年度間調整ということでとった措置でございまして、四十六年、四十七年のとき、このときもあの当時といたしましては三千億という借金を年度間調整ということでやったわけでございますが、あのときも地行の当委員会で大変議論になったわけでございますが、あれは満額みごと償却できたわけでございます。今回の場合、五十年の補正、五十一年、五十二年、この三年間で、三千億どころの騒ぎではないわけでございますが、相当多額の三兆円になんなんとするあれでございますが、私どもとしては、交付税の年度間調整という立場でこれは計画どおり償還されてしかるべきものだというふうに考えております。
  115. 河村勝

    河村委員 これで終わりますが、野党五党で交付税率を三二%から三六%に引き上げる、それから交付税特会の借入金は国で償却するという修正案を用意をして、この次の委員会に提出をすることに相なっておりますので、ひとつ、きょうの御答弁は御答弁として、もう一遍考え直してぜひ野党修正に応ずることを強く要望しまして、質問を終わります。
  116. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 三谷秀治君。
  117. 三谷秀治

    ○三谷委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、五十年、五十一年、五十二年の国税三税の三二%、これに交付税特会の借り入れ措置等を含めました総額は、国税三税を基準にして何%になるのか、これをお尋ねしたい。  もう一つは、その上、毎年度におきまして交付税に算入すべき費目を交付税算入から外して、そして地方債に振りかえてこられた、これを加えた場合の総額の率、これは幾らになるか、お尋ねしたい。
  118. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 前段の方のお話に最初お答えいたしますが、三二%の基本分と、それから一般会計ベース、特別会計ベース、交付税特会の出口で申しまして、五十年の補正後が四三・二、五十一が四二・九、五十二が四〇・一でございます。  後の方の御議論、ちょっといま手元に数字を持っておりませんので、自治省の方がお持ちでございましたら自治省にお願いいたしますが……。
  119. 三谷秀治

    ○三谷委員 自治省わかりますか。——ないそうですけれども、これを加算しますと六%ないし七%増加するだろうと推定されます。そうしますと、現実の実効交付税率、これは大体五〇%の線にいっている、五十年、五十一年、五十二年。そういう概算ができますが、これがこの三年間の安定的な、実質的な交付税率になっている。この実態に対応する措置というものがこの三年間の間になぜとられないのか、大変な疑問を持つのでありますが、この点についてお尋ねしたい。
  120. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 一つは、オイルショック以後、日本ばかりでございませんで、ほとんどの主要国の国の財政が急速なる不況の反映で税収が落ち込みまして、ひとしく赤字に悩まされておったわけでございますが、わが国の場合、非常に各般の諸条件のハンディキャップが大きいわけでございまして、一番大きなダメージを受けたのではなかろうかと思うわけでございます。本年の場合、わが国は二九・七の一般会計の借金依存度でございますが、アメリカにしろ西独にしろフランスにしろ、ほとんどそういうような大きな借金依存はやらないで済むように立ち直っておりますが、わが国の場合にはダメージがでかかったということと、それから国自身が若うございますので、社会資本の整備水準も低い、年金制度も成熟が進んでいないというようなことで、財政需要の方も非常に大きい。そういう歳入歳出両面で国の財政状況が非常に窮境に陥っておる。同時に、地方の方もほとんど同じような税源に依存しておるわけでございますから大きな打撃を受けておる。国、地方がひとしく財政困窮状態にあるというのが、これが第一の理由だろうと思います。  それから第二の理由は、何といいましてもいろいろの条件に恵まれていわゆる高度成長下におきましては自然増収が出てきた。そういうような過程で私どもも現在非常に反省し、何とか直さなければいかぬという、そういう高度成長下におけるなれといいますか、そういう問題についてこれから立ち向かわなければいかぬ、そういういろいろな問題点がある。この二つによりまして国、地方財政ともども非常に苦しんでおる、そういうことだろうと思います。
  121. 三谷秀治

    ○三谷委員 財政の問題をおっしゃいましたが、財政の問題というのは非常に多面的な問題を含んでいるのです。これは後でお尋ねしますが、税収はどうなのか、地方税収の増加についても手を打たれていない、交付税率の改定についても手を打たれていない、そして財源難だ、こうおっしゃっている。  そこで私はお尋ねしますが、いま国と地方を通じました歳出純計は、国と地方の対比はどうなっておりますか。
  122. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ちょっといま数字を取り調べますので、暫時……。
  123. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間がありませんから、帳簿を繰ってもらっておると大変私の方は不自由をしますので、細かい数字はよろしいが、これは地方が七、国が三という比率であるということは、まあ幾らか端数はありますが、間違いないと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  124. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 七、三の端数のところはちょっといま記憶しておりませんが、ここのところずっと大体そんなような比率になっておると思います。
  125. 三谷秀治

    ○三谷委員 そして税源の方、これは国が七、地方が三、大まかに言えばそういう状態にある、これも間違いはありませんか。
  126. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 さようでございます。
  127. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、いずれにしましても地方は三しか財源がないわけですが、しかし歳出は七やっておるわけなんですね。そうしますと、国から当然財源が補てんされている、移転されている、これは間違いありません。その移転をすべき財源の内容が、交付税もあれば、国庫支出金もあります。譲与税もある。その中で交付税の占める比率を上げなさいということなんです。これが交付税率を上げなさい、こういう要求なんです。ですからこれを財源問題ですりかえたのでは、これは合点がいかない。いずれにしても国がそれだけの財源地方に渡しておるわけです。その渡しておりますものを地方自主財源、つまり交付税でやってください、その率を上げてください、それだけのことでありますから、財源がどうとかこうとかいう議論はこの場合には通用しないと思いますが、どうなんでしょうか。
  128. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 一つは、国が税金を七集めまして地方の方が三集めている。歳出の状態になると、それが国が三使って地方が七使っておる。この中間項として交付税があるわけでございますが、交付税を入れますとこれが五、五になるのは三谷委員よく御承知のとおりでございます。ただいまの御質問はそういうことを踏まえた御質問かと思うわけでございます。財源、税源の議論の場合には当然のことながら事務配分の問題が前提になるわけでございますが、現在の事務配分を前提といたしますと、そういう交付税率を上げればいいということだけではなかなか解決できないようなギャップが非常にでかくなっておる、そういう問題は一つあろうかと思います。
  129. 三谷秀治

    ○三谷委員 事務と財源の再配分の問題も長年にわたる地方財政上の要求になっております。ただ、私どもがここで交付税の問題を論議します場合に主張しますのは、交付税率を加えました国と地方との財源の関係はおっしゃる状態にあるようです。しかし七となりますと、あと二があるわけなんで、あと二は国庫補助金が主体になっている。その国庫補助金を削ってもらう、つまりここで言っておりますのは、国が公共投資つまり景気刺激対策だとかあるいはその他の、その都度その都度における国の政策に地方を従属させるという観点でおりますから、地方自主財源というものをどうしても強化しようとしない。そして国の補助金によって地方財政を抑えていく、あるいは地一方の行政を規制していく、こういう傾向がずうっと一貫して続いていく。これを改めてくださいと言っているのです。地方自治というのは、皆さん御承知のように地方の行財政の独自性を言うわけであって、その面から申しますと、自主財源を強化する、そして財政上困難があれば補助金を減らしていく、そういう措置をとって地方の一般財源を強化するということが地方自治の本旨から言って正当な方法だ、私はこう思っている。その面からしますと、これは当然交付税率の引き上げというものが行われるべきだ、財源問題でごまかせるものではないと私は思っておりますが、その点どうでしょうか。
  130. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 二つあろうかと思います。一つ地方自主財源の強化の問題でございますが、これはもう御承知のように、税源の偏在という問題をどういうふうに考えたらいいだろうかということが一つあろうかと思います。  それから税務執行の問題があるわけでございますが、国税の方が歳入調達としては地方税でやる場合よりもすぐれているのではないかというような考え方があるわけでございます。  一番目の御指摘の点はそういうことで理論的にも実際面でもかなり両方の議論があろうかと思います。地方自治の本旨ということから言いますと、地方税の増強を図る、自主財源を強化していく、自治省はこういう立場にお立ちになって本年の場合も地方税の増徴、制度改正をおやりになっていることは事実でございます。ただ、大規模な大がかりなものになると、ただいま申し上げましたように税源の偏在というような問題が出てくる。それから税務執行上のいろいろな問題が出てくる。こういうようなものを一体どう考えるのかという問題があろうかと思います。  それから第二の方の問題でございますが、自主財源でなくて一般財源的に考えていくという問題をどう考えるか、この問題については先ほど交付税率アップの問題の議論で出てまいったわけでございますが、何せ国、地方を通じまして異常なる状況下に財政というものが置かれているわけでございますから、これをある程度脱却できるめどができないと、そういうような抜本的な制度改正あるいは長期的な基本的な政策の前進というようなことは無理ではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。
  131. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのおっしゃることを聞いていますと、これはいつになりましても問題が解決できない。交付税法の規定なども全く頭の中にない。要するに実際上のいま政府がやっております措置の中だけで物を考えていくということになってきますから、そういう態度というのは正しくない。やはり法律を基準にして措置をとってもらうということでなければ。実際上の措置というものが法律を曲げてしまっている、そういう措置が一貫してとられてきている。ここに私は問題があると思うのであります。  そこで、税の問題が出ましたが、国税の特別措置などは当然遮断すべきである。それから、たとえば法人事業税の損金算入などは当然これは廃止すべきである。とにかくいますぐに手をつけることがたくさんある。さっき次長は何か根本的な行財政問題ばかりおっしゃっている。このことは非常に大事なことです。ですから、これは検討して実施してもらう必要があります。しかしこの三年間にわたりましてこういう不合理な状態が続いてきている。その間に租税特別措置については若干の是正がなされましたけれども、しかしこれはとるに足らぬものであります。ほとんど手がついていない。ですから、これが地方収入に大きな影響を与えてきておる。これを遮断する措置をなぜとらないのか。国税の特別措置地方税の特別措置ではないのです。それが影響を与えてきておる。これを遮断する措置がなぜ考えられないかということなんです。  それから、法人事業税の問題で申しますならば、御承知のように事業税というものは物税なんですから、所得課税すべきものじゃない。地方団体の行政庁の恩恵を受けて事業をやっている、そこに着目した税でありますから所得に対して課税すべきものでない。しかし所得課税をやっている。所得課税をやっておれば、もうけに対して課税するわけですから、損金算入にする根拠はありはせぬ。物税の場合は損金算入の根拠が生まれてくる。たてまえは物税でありますから、損金算入というものは認められますが、実際は所得課税をやっているわけですから損金算入の根拠がない。そういうものをなぜ手をつけて地方財源を豊かにするということができないのか。さっき言いましたように、地方税も全然そういう措置をとろうとしない。交付税の方もとやかく言って改定しようとしない。結局借金で地方自治体をますます困難な深刻な状態に追い込んでいる、こういう結果になってきておる。これは地方団体としましては承服できるものではないわけであります。なぜこういうことができないのか、お尋ねしたい。
  132. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 前段の方は私どもの領域なので最初に答えさしていただきます。  率直に申しまして五十年度の補正、五十一年度、五十二年度をごらんいただきますと、非常に改善のテンポは緩うございますけれども、国の方も非常に苦労しながら改善をしておりますが、地方財政の方も五十一年あたりがどん底のような気がいたすわけでございます。五十二年は若干でも収支が改善されてきているんではないか、そういうふうに思うわけでございます。それでいまの租税特別措置法を交付税にはね返すのはおかしいという御指摘でございますが、御承知のように交付税は三税収入の三二%という制度的な枠組みになっておりますので、ただいまの基本的な政策論議としてはいろいろ御議論がございましょうが、われわれとしては現在の交付税の制度の枠組みの中で考えていけばいいんではなかろうかと考えておる次第でございます。
  133. 森岡敞

    ○森岡政府委員 国税におきます特別措置につきましては、基本的には国の政策として実施すべきもの、これは私ども地方税としては排除することが望ましいと思います。しかし、国も地方も同じようなたてまえで、たとえば中小企業とか、農林漁業対策とか、住宅対策とかいう国民大衆一般の税負担の軽減という考え方に立って措置するもの、これはやはり地方税も同じような立場で特別措置を設けている、これはやむを得ないのではないか。  それから第三に、国の特別措置策の中で排除することが至当であると考えましても、課税所得の計算に関連いたします非常に技術的な問題につきましてこれを別計算いたしますと大変な混乱なり手数がかかる、こういう問題があるわけでございます。しかし、全体といたしまして地方がインセンティブを与えなければならないと考えられないものにつきましては排除していくという考え方をとるべきだと思っております。  それから法人事業税の損金算入の問題でございますが、実は、法人事業税を損金算入することによりまして出てまいります問題は、法人税の減収の問題でございます。それがまた地方交付税の減収につながるという問題ももちろんございますけれども、直接的には法人税の減収とそれから法人事業税自体の減収、この二つになるわけでございます。お話の中にありますように、所得課税をしながら損金算入をすることについてはやはり問題はあると思いますけれども、しかし営業税時代からずっと物税という感覚で損金算入をしてまいっておりますので、私どもといたしましては、そういう物税として損金算入を認めるという税なんだから、まさしく外形標準による課税を導入する、それによって事業税の性格を明確化するという方向で物事を処理する方が妥当であり適切ではないか、かように考えておるわけでございます。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 最初の方ですけれども、いまの特別措置の問題については現在の税制の枠の中で考えていくべきだとおっしゃったのですが、その枠組みの中で考えていくということは、そのことで地方財政上における困難のない時期におきましては、おっしゃいますようなことでいいかもわかりません。しかし、現実に地方財政が大変な破産的な状況に落ち込んでおるときに、そして借金で後年度における大変な困難が予想されますときに、制度の枠組みの中でやっていくということだけでいいのかどうか、そこを変えなくちゃいけないのではないかと言っておるわけであります。いまの枠組みの中でいいとおっしゃるのでありますならば、いいことの証明をしてもらわぬと、私どもはいまの状態ではだめだと言っておる、いいとおっしゃるならばなぜそれでいいのか、それで一体地方財政はどうなっていくのか、このことを説明していただきませんと合点がいくものではありません。  それから法人税の問題ですけれども、これは外形標準を導入するという方向で検討すべきだとおっしゃいますが、それなら早くやりませんとどんどん地方財政というものが困難の度合いを深めていく。ですから、もしも損金算入などを含めました全体としてのそういう法人事業税の合理化を図るというのでありますならば、早くやらなければ、ことしなどやらなくちゃいけませんよ。ところがそれをやらずに単に論評するだけでは、これは問題になりません。なぜそれをことしからでもやらないか、そういう問題になってくる。この点どうでしょうか
  135. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 非常に形式的な御説明になって恐縮でございますが、租税特別措置法の方は、租税特別措置法として政策目標があってやっておる。交付税の方は、そういう租税特別措置法という政策目的を前提にして三税の三二%ということになっておる。そういうことから考えますと、私も地方財政の立場に立っておるわけでございますが、現在の枠組みでは三税の三二%ということになるのではなかろうか、そういう意味でございます。
  136. 森岡敞

    ○森岡政府委員 私どもといたしましては、できるだけ早く外形標準課税の導入が実現するように努めてまいりたいと思っておりますが、何せいまの経済情勢でございますので、税制調査会の答申も御案内のように引き続き検討ということになったわけであります。御承知のように、十月末までに税制調査会中期的な税制のあり方につきまして最終的な御報告をいただくわけでございますので、その中で明確に結論づけていただくように私どもとしては努力し、それに基づいて適切な措置を講ずるよう努めたいと考えるわけでございます。
  137. 三谷秀治

    ○三谷委員 次長のお答えですが、租税特別措置法が政策目的を持ってつくられたとおっしゃっている。高度経済政策という目標によってつくられている。つまり、高度経済成長政策というものの手法としてこれは出てきたものです。ところが、いま高度経済政策は転換をして安定成長と言っている。三木さんもその点については、これは高度経済成長の政策減税だから安定成長政策においては当然見直すべきである、こういうことをおっしゃっている。ところがあなたは、いまだに高度経済成長政策の政策目標というものをそこで主張されて、これには手をつけようとされないわけなんでしょうか。  それから、さっきおっしゃいましたのは大変な形式論理です。国税三税の三二%になっているから、だからいまの国税というものがそういう租税特別措置を含めて規定されているわけだから、その三二%だからこれでやむを得ないというふうな意味ですけれども、そこのところがいま政策転換されたんでしょう、安定成長に。そういうふうに政策転換されましたならば、その政策目的というものは当然これは変化すべきはずなんだ。それに基づいてこの租税特別措置というものについても見直すというのはあたりまえのことであって、その点からしますと、当然この措置についての見直しをやる必要がある。特に地方財政に対するはね返りなんというものはこれは是正する必要がある、私はこう思いますが、大臣。  それからもう一つでありますが、税制調査会を盛んに使います、諮問機関を盛んにひっぱり出して、行政責任を持つ政府の責任を、あたかもそういう審議会や協議会などに責任が所在するかのような議論をしばしばおっしゃる。これは私どもは納得できるものじゃありません。それは政府の諮問機関であって、そこからどのように政府が答申を受け、それを選択するか、これは政府選択権の問題であって、従来答申が全部実施されたかといいますと、されていない。地方制度調査会の答申なんというものは全く実現されないものが多いわけなんだから、そこのところで問題をすり変えてもらっては困る。ですから、いまおっしゃいます税務局長の答弁によりますと、来年度からでも外形標準課税を導入するというお考えなんでしょうか。
  138. 坊秀男

    坊国務大臣 御指摘の租税特別措置法の中には、ある国の政策目的のために決められた法律もたくさんあります。しかし、租税特別措置法の中にはそれだけではない。そういったような特別の政策目的でつくられた法律によりますと、どうしてもその政策目的と、税本来の国費を調達するという目標との間には若干の相食い違うところがあるといったような場合に、そのときどきの経済情勢によりましてどちらを重要視するかということによって決められたものがたくさんございますが、そういったようなものにつきましてはすでに五十一年、五十二年におきましてずいぶん整理をしてまいっております。したがいまして、租税特別措置の中には、たとえば現在災害に対する施設に関する償却といったようなものだとか中小企業だ、いろいろそういうようなものに対する特別措置もあるわけなんです。特別措置は全部が高度経済成長時代の遺物であるというものではございません。そういったようなものについては今日までずいぶん整理をしてまいっておりますが、特別に国のためにつくったそういったような規定につきましては、あの一兆円減税のときに野党各党からいろいろの御示唆もあったわけなんです。そういったようなことにつきましては、慎重に今後もその精神を生かしていくように持っていきたい、かように考えておる次第でございますから、どうぞひとつそこの点も御了解願いたいと思います。
  139. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 自治大臣、外形課税の問題でお答えになりますか。——自治大臣
  140. 小川平二

    小川国務大臣 これはかねて御質疑に対して答弁申し上げておりましたように、私といたしましては、できるだけ今後努力いたしまして、関係方面の了解を得て実行に移したいと考えておる次第でございます。
  141. 三谷秀治

    ○三谷委員 大蔵大臣がおっしゃいましたように、租税特別措置の中にはいろんな要素のものが入っておる、これは私どもも全面的にそうでないとは言っておりません。しかし、高度経済成長に従属するものが非常に多い。しかもまだ手をつけていない。ことしも特定引当金などは若干手をつけられたようでありますが、しかし負債性引当金だとかあるいは評価性引当金、こういうものはほとんど手がついていない。きわめて大きな金額に達する内部留保というものが実際には特別措置によって認められてきている。こういうものなどに手をつけまして、地方財政が実際に立っていくように考えてもらわぬといかぬ。それがほとんどない。結局、借金ということになる。  そこで大臣、もう一つ聞いておきますが、ことしの覚書ですね、これによりますと、四千二百億ほどは国の一般会計から元本を補給するとなっておりますが、あとはどうなるのでしょうか。
  142. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 基本的な考え方は年度間調整という考え方で二年間据え置きまして、本年の場合の年度間調整でございますが、五十五年から始まるわけでございますが、その際に五十年の補正、五十一年の当初、それから今回と三つの数字を勘案しまして、それに対してできるだけ地方財政負担が少なくなるように四千二百二十五億を五十五年から一般会計から繰り入れていく、こういうことをやったわけでございます。あとの方は、先ほど河村委員の御質問のときに御答弁申し上げた次第でございますが、年度間調整の趣旨に即しまして、将来の交付税収入で返済していただく、そういうふうに考えております。
  143. 三谷秀治

    ○三谷委員 大変あいまいなことで終わりますが、時間ですから約束を守りまして、これで終わっておきます。
  144. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 川合武君。
  145. 川合武

    川合委員 先輩の委員から交付税質問がございましたので、私は補助金につきまして質問をいたしたいと思います。  最初に、これは次長さんで結構でございますが、法律で補助するとかあるいは補助できるとかという規定に基づいて補助している場合と、それからまた予算補助というのがございますね、ちょっと私の持っております資料によりますと、たとえば農林省の農林漁業調査研究費補助金あるいは同じく農林省でございますが、国際協力事業費補助金、こういうのは予算補助だというふうに思われるのでございますが、いま申しました農林省の補助金の御説明じゃなくて結構でございまして、補助するとか補助できるとかあるいは予算補助、こういうのがあるが、その区別はどういうところにあるのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  146. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 御承知のように、基本的な考え方は地方財政法の九条なり十条、それから予算補助の問題は十六条に書いてあるわけでございますが、そういう基本的な原則を踏まえまして、それぞれの政策を定めた実体法で補助するとか補助できるとか負担するとか、そういうような法律構成になっておるところでざいます。
  147. 川合武

    川合委員 そうすると、もう一遍言っていただきたいのですが、地方財政法に書いてあるということでございますか。予算補助はどういう場合でございますか。
  148. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 予算補助の基本的な考え方は地方財政法の十六条にあります。それで別途それぞれの政策を遂行するための実体法があるわけでございますが、そっちの方で補助するとか補助できるとか負担するとか、予算補助の場合にはそういう実体法の趣旨を踏まえてやる場合、それから純然たる予算だけでやる場合、こういう二つの形態があろうかと思うわけでございます。
  149. 川合武

    川合委員 たとえば地方財政法の十条の中に「国が、その経費の全部又は一部を負担する。」こういうものの中に、たとえば義務教育職員の給与、これは義務教育費国庫負担法に基づいてやっているわけですね。それからまたこの地財法十条の中に予算補助のものもありますね。生活保護に要する経費の中なんかにはあるんじゃないでしょうか。
  150. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 基本的にはいま申し上げたようなことになっておりますが、御指摘の義務教育国庫負担の例で申せば、これは地方財政法のどの条文かと言えば、いま御指摘のように十条であるわけなんですね。それで義務教育費国庫負担法にぴしっとこういうものの範囲で負担すると書いてあるわけでございますね。それ以外に予算補助の小さな費目がある場合があり得るわけでございますが、基本的には義務教育費の国庫負担法という実体法で規定し、そういうものの基本的な考え方は地方財政法に書いてある、そういう仕組みになっておると理解しております。
  151. 川合武

    川合委員 それでは次に伺いますが、補助率です。これまた一級国道がどうのというような例を引いて言うだけですから、それについての答えでなくて結構です。一級国道は二分の一及び四分の三ですか、義務教育職員の給与は二分の一とか生活保護費は十分の八とか、これは一々これについての答弁でなくて結構なんですが、こういうように差があるが、どうして差があるのか、その根拠について伺いたい。
  152. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 基本的にはやはり同じでございまして、それぞれの実体法と地方財政法のそれぞれの条文の趣旨を踏まえておりますが、具体的に申しますと、一つは国として当該行政を確保する必要の度合い、それから地元の利益の度合い、それから類似補助金とのバランス、それから国と地方のそれぞれの財政状況、そういうような諸要素を勘案いたしまして個々の補助金について検討がなされ、あるものは法律で書かれ、あるものは政令に委任されあるいは予算で決められる、そういう構成をとっております。
  153. 川合武

    川合委員 いまの予算補助だとか法律に基づく補助だとかいうことをお聞きしているのではなくて、十分の八とか二分の一とかあるいは四分の三とか、こういう数字的な根拠というものに何か合理的な基準があるのかということを伺ったわけですが、もう一遍ちょっと答えてください。
  154. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 原理原則の方は御承知のように十一条に補助の割合というような規定が地財法でございます。実体的にそれが数字的に根拠があるかという御指摘でございますが、たとえば公共事業の場合、道路なら道路をおとりいただきますと大体二分の一が原理原則になっておって、そこから国道の場合であれば普通は三分の二、緊急措置をとって四分の三、それから局部改良みたいなものは三分の一、先ほど具体的に四つ五つのファクターを申し上げましたが、そういうようなものを前提にしてそういう割合が具体的に決められておるわけでございます。
  155. 川合武

    川合委員 私の印象ではいまのお答えは何かきわめて複雑であって、主として沿革によるんじゃないか。余り合理性に乏しいのではないか、こういうように思うのですが、今度は別の問題に移りましてこれは大臣に、せっかくお見えなんですからちょっと伺いたいと思いますが、いつでしたか私が本会議でお伺いしたときに、これは総理のお答えですからそれを大蔵大臣にお聞きするのも恐縮ですけれども、私こういうことをお聞きしたのです。一つの町づくりをするときに現在の制度では、たとえば街路は街路、下水は下水、こういう縦割りの、施設別の補助になっておる。したがって、実際に地方団体が町づくりをするときに、保育所はでき上がったけれどもまだ道路はできてない、これでは非常にぐあいが悪いので、地方団体みずからがその進みぐあいの調整をして、そして町づくりをうまくやるように流用はできないのか、施設別補助金の流用といいますか、そういうことは考えられないのか、今後行うべきじゃないか。これに対して総理のお答えは、気持ちはわかるんだけれども、「国の補助金を出す目的を滅却する」ということになるのでこれは妥当じゃない、こういう総理のお答えになっているのですが、「国の補助金を出す目的を滅却する」とまで、私は思わないのですが、できればこの方が合理的で、施設別の補助金を流用して地方団体がその判断でやるという方法は——私どもは補助金の制度そのものについて否定的な考え方を持つのですが、しかしそれはそうとして、現状ではこうやった方がより合理的でいいんじゃないか、こう思うのですが、大蔵大臣、どうでございましょうか。大局的なお答えで結構でございますから、大蔵大臣ちょっとお願いします。
  156. 坊秀男

    坊国務大臣 これからの町づくりと申しますか、たとえば住宅街と申しますか快適なそういうものをつくっていくためには、ただそういったような宅地をつくって住宅をつくるというだけではこれは不十分だと思います。だから、これに関連する道路とか水道とかそういったような公益公共施設といいますか、学校だとかそういったような設備はやはりあわせ考えていかなければいけないと私は思います。総理はどういうふうにお答えになったかは知りませんけれども、そういったような場合には、その町村においていまの補助金等について、そういったような町づくりをしていくのに資することができるような道路、学校あるいは公益施設をできるだけ優先させるように指導していくのがいいと私は思いますが、現にそういうことがある程度行われておるのではないかということを思っております。
  157. 川合武

    川合委員 そうすると、相互流用していい、こういうことですか。
  158. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ただいま大臣お答えになりましたのは、具体的に申しますと、ある一つの町づくりをやる際に、計画を公共団体がつくられる、そういう計画を前提にして道路の補助金であるあるいは学校の補助金である、そういうかっこうで全体が調和のとれたようにやることは望ましいのではないかということであって、いま川合委員御指摘の問題の方は私どもはこう考えておるわけでございます。行政目的を遂行する場合に、各省に個別の補助金があるわけでございます。別途、これを基盤として支えている一般財源補給の交付税がある。両方で、国が地方に対して財政援助をやると同時に政策を遂行しておる。その場合に、行政目的を異にする前段の方のいわゆる条件づき補助金について彼此流用ができるようにすべきではないかという御質問かと思うのでございますが、こちらの方はまさに行政目的を異にする補助金でございますので、これはなかなか統合というようなことにまいらないのではないか、これが総理の御答弁だろうと思うわけです。ただ、私どもといたしましては、ただいま大臣お答えになりましたように、そういう総合的なプロジェクトの場合に、計画をつくって所要の施設についてバランスがとれるように個々の行政目的の補助金を計画的に投入していくということはやらなきゃいかぬ。それから類似した行政目的の場合、できるだけメニュー化をしていくという努力はいたしておるわけでございます。
  159. 川合武

    川合委員 いまのお答えを聞いておりますと、国の中央官庁は縦割りかもしれないけれども地方団体というのは面ですから、点と線ではないのですから、やはり受けた補助金を総合して使う、そういうところに意味があるので、やはりどうも何か現実に合わない、これは補助金制度そのものの限界があるのじゃないか、私はこういう気がするのですが、時間がありませんので、次に進みます。  これも私が予算委員会でも関連のときにまさに大蔵大臣にお伺いいたしましてお答えいただいたことを蒸し返すようで恐縮でございますけれども、いま主計局次長がちょっと触れかけた類似の国庫補助金あるいは同じ目的の国庫補助金、これは統合してもいいのじゃないか、こう思うのですが、しかし、何かあのときのお答えでは、私の記憶では大分やったのだけれどもまだ残っておる、残っておるけれども大分やったことはやったのだ、こういうふうにお答えをいただいたと思うのですが、そういうことでございましたね。大臣にお願いいたします。
  160. 坊秀男

    坊国務大臣 そういうことでございますが、いろいろ具体的に……。
  161. 川合武

    川合委員 いろいろ具体的な細かいことは聞かぬですから結構でございます。質問は次にさせて一いただきます。  私はこう思うのですが、こんなものはここに例もあるのですけれども、これはたとえでございますから、時間の関係で基本的なお考えだけで結構でございますから、例は省略しまして、もうおわかりのことと思います、こういうものは全部整理してしまっていいのではないか、してもちっともおかしくないのではないか。恐らく大蔵省でもそう思っているのじゃないかと思うのです。しかしどうも整理し切れないというところに、何かいやみの言い方だけれども、全部整理してしまうと、どこかの役所の課がなくなってしまう、係がなくなってしまう、こういうことで余り一気にやってしまってもどうか、こういうようなちょっと合理的じゃない理由で残ってしまっているのではないか、こんなふうに勘ぐってしまうのです。そうしますと、これは中央の行政機構を温存する手段のためにこういう補助金が残っているというような見方もできると思うのですが、どうでしょうか、大臣
  162. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  五十二年度の予算編成に当たりましては百三十件について統合、メニュー化を行い、六十一件に統合したわけなんです。今後とも実情に即しまして改善について努力してまいろう、こういうことでございます。
  163. 川合武

    川合委員 今度主計局の次長さんに伺います。  負担金だとか委託費とかじゃなくて、補助金でございますね、これの件数はどのくらいあるものでしょうか。去年でも、おととしでも、五年前でも、あるいは現在の件数でも結構でございますけれども、一体どのくらいふえているのか、減っているのか。
  164. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 五十一年の場合は日数で数えまして六百二十三でございました。本年の場合は六百十六でございます。
  165. 川合武

    川合委員 相当数の補助金で、補助金の目的はそれはあるのでございましょうけれども、私どもから言わせると、地方団体を縛りつけている、こんな感じもするのです。にもかかわらず、道路法の五十条ですか、直轄事業の負担金、特に維持管理費についてたくさんの金を地方団体が出しておる。今度また直轄事業の負担金は取っている。これは、この前参考人の意見でもこの点が強く言われたというか、不満が言われたのですが、これは河川法にもありましたかね。こういうものは主計局次長、どうでしょうか、おかしいような気がしますけれども……。
  166. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 直轄分担金についてはかねて御議論があるわけでございますが、先ほど申しましたように、地元地方公共団体に受益がある、そういう観点で負担をしていただいておるわけでございます。  それから、たとえば十分の十の補助というものは非常に経費優先順位をあいまいにするというような、これは、法律問題あるいは財政問題でございませんが、補助金の行政執行の場合そういう点も考慮しなければいかぬ点だろうと思います。御指摘の点は、まさに地方公共団体の側にも受益がある、そういうことによって直轄についても応分の負担をしていただく、そういう考え方でございます。
  167. 川合武

    川合委員 どうも何か混雑しているような気がするのですが、もっとすっぱりといかないかというような気がするのです。  これは、こういうのを例に引いて、大臣に感想をお聞きするのも失礼かもしれませんけれども、わりあいと権威のある辞典で「補助金」を引いてみますと、ちょっと略しますよ、途中のこっちの聞きたいところだけを読み上げます。「国庫補助に伴う陳情行政の弊風、超過負担の問題さらに、各省がその行政を通じて、地方財政に好ましからざる指示、指導を行なう例があること等の問題がある。」途中略しまして、「その他関係者が陳情、視察を繰り返すこと等、補助金の交付に関する冗費、非能率は、はかり知れないものがある。」云々というようなことが辞典の「補助金」という項目の説明に書いてあるのですが、これは大臣、感想で結構ですが、根拠のない言いがかりというふうにおとりになるか、あるいは同感とおとりになるか、あるいはそういうようなことも言えるかもしらぬが、しかしなおそれを越えてもっとメリットが補助金制度にはあるというふうにおとりになるのか、感想で結構でございますから、伺いたいと思います。
  168. 坊秀男

    坊国務大臣 これは大変むずかしい問題でございますけれども、補助金というものは、国がこれをやりたい、また、国というのは地方を通じてこれをやりたいといったような施策について何とかその実効を上げたいというようなことで、国がこれに対する経費上の突っかい棒をするというものが補助金だろう。私だけの考えでございますが、私はそう思っております。そこで補助金というものは、補助金を欲しい方にとりましてはできるだけその率を高く欲しい、ところが国全体から見れば、一ところにばかり固まっていくということよりもできるだけ広く欲しい、こういうようなことになりますと、その補助金の率をうんと高くしていきますと、重点主義にはなりますけれども、国全体に対してはこれは普及していくわけにはまいらない。そこでどうしても一カ所、一件当たりの補助金の補助率というものは小さくなってくるというようなところから、そこで超過負担。どうしても薄くなってくる。これだけではやれない、しかしもうちょっと地元において金を出せばこれを完成することができるというようなことが超過負担というものの始まりになって、それがだんだんと高じていくと大変な弊害を起こす、こういうことだろうと思います。
  169. 川合武

    川合委員 どうも時間がありませんので進めさせていただきますが、地方財政法の十六条を読みますと、「国は、その施策を行うため特別の必要があると認めるとき又は地方公共団体の財政上特別の必要があると認めるときに限り、当該地方公共団体に対して、補助金を交付することができる。」と、「限り」と書いてありますし、また国庫負担金も制限主義をとっているところから見ても、私は、地方財政に対しては、国の財政的支配を極力排すべきだという考え方が基本にあるのだと思いますが、しかし現状は、補助がこれだけ多くて、先ほどから申し上げますようなことで、地方団体に便利は与えているかもしらぬが、逆に言えばがんじがらめにしている。いままでは地方団体も欲しい欲しいと言っておったけれども、このごろは、補助金を全部やめてもらえば千数百人の地方団体の人間を減らすことができるとまで豪語する市長もあらわれてきた。そこで私は、どう考えても、補助金は、現状では地方をコントロールする役割りをやっているのじゃないか、こんなふうに思えてなりません。補助金は多くの副作用を生み出してしまった。ですから補助金制度は思い切って廃止して、そして本来の姿といいますか、あるべき姿に返って、国と地方団体の事務配分もちゃんとやり、またそれに関連して財源の再配分もやり、そしてどうしても国の仕事を地方に委嘱する場合は十割の支出金だ、こう思うのですが、大臣の大局的なお考えを伺いたいと思います。
  170. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ただいまのお話は、地方財政の方から補助金をごらんになっているわけでございますが、私どもの方から補助金を見ましても、そういうような問題があるわけでございます。したがって、使命を達成した補助金だとかあるいは競合しているものだとか、効率の低いものだとかそういうような補助金は、国家資金の効率的な使用というような観点からも問題にしておるわけでございます。地方財政の観点もそういう御議論ございますけれども、われわれの方も別の観点からの議論はいたしておるところでございます。
  171. 川合武

    川合委員 私は、いまわが国の行政の悲劇というとややきざな言葉ですが、同時に政治の悲劇というものは、国と地方団体がお互いに不信感を持っておる、信頼感に乏しい、欠けている点がある、こういうことだろうと思います。ですから、そのことは両方、国と地方団体の責任の分野がはっきりしないということによってきているのではないか、こう思います。したがって、補助金制度廃止の方向に向かってさらに強く進まれることを大蔵大臣に希望するのですが、これは大臣、一言で結構でございますから答弁を願います。
  172. 坊秀男

    坊国務大臣 いまの体制において早急に補助金を廃止するということにつきましては、私は賛成いたしかねます。
  173. 川合武

    川合委員 非常に残念なお答えですが、いますぐ全部やめろということは現実的に無理かもしれないけれども、私の伺った趣旨は、補助金廃止の方向に向かって大きく進まれることを期待するということを伺ったのですが、どうでしょうか。
  174. 坊秀男

    坊国務大臣 やはり、これは中央地方財源だとかあるいは行政事務だとかいろいろな配分の問題、根本的な問題に関連してくると私は思います。だからこの体制のまま補助金を廃止するということは、これは適当ではない、私はかように考えます。
  175. 川合武

    川合委員 前提を申し上げて質問をしたつもりでございます。国と地方の行政事務を再配分をして、責任体制をはっきりして財源の再配分をする、こういうときに、もう決断してそれに進むときじゃないか、そしてその前提のもとに補助金の廃止ということをやるべきじゃないかと伺ったつもりですが、時間が参りましたので、最後に、委員長、もう一問だけ質問させていただきます。  補助金の質問は以上にとめまして、これは自治大臣にお伺いして、大蔵大臣にもあわせてお伺いしたいのでございますが、経済閣僚会議というのがございますね、これは補助金と全然別の話でございますが。で、私どもは、総理も、また大蔵大臣も言われたように、ことしの景気を目覚めさせるために公共事業の大事なこと、その公共事業の担い手は言うまでもなく地方団体、こういうことでもございますし、その他日本の国、日本の全体の財政、また日本の全体の経済の中における地方団体の役割りというものは非常に大きいと思うのですが、されば、経済閣僚会議にはいま自治大臣お出になってないと思うのですが、これはお出になるべきじゃないか、こう思うのですが、自治大臣のお考えをお伺いし、また大蔵大臣にもその点をお伺いいたしたいと思います。
  176. 小川平二

    小川国務大臣 従来も、地方財政に関連のある経済閣僚会議には、その都度出席をいたしておるわけでございます。これから景気の浮揚を図っていく上におきまして、仰せのとおり、地方公共団体の果たす役割りはきわめて多いわけでございますから、これからも必要があると判断いたしました都度出席をして意見も述べるつもりでおります。
  177. 坊秀男

    坊国務大臣 いま自治大臣の言われたとおりでございまして、いまたしか経済閣僚会議というのは、企画庁の月例報告というもの、そういったような経済報告をしておるというようなことのようでございまして、必ずや何かの問題についての関係閣僚会議というものは、これは関係閣僚が出席いたしております。
  178. 川合武

    川合委員 私の勘違いかもしれませんが、経済閣僚会議が報告だけ受けているというのも何かちょっとおかしな気がしますが、これは私ももう少し調べさせていただきましてでございますが、さっき自治大臣が言われましたように、必要に応じてというのですが、私どもから言わせれば、ほとんど経済の問題には必要があるのじゃないか、関係があるのじゃないかということを申したかったのですが、与えられました時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  179. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 以上をもちまして、大蔵大臣に対する質疑は終わりました。  次回は、明十九日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会