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高村委員 十八年ぶりの
国会返り咲きでございまして、ふなれでございますので、いろいろへまがあるかもしれませんが、お許しをいただきます。貴重な時間をお与えいただきましてありがとうございました。
まずもって、質問に先立ちまして、今回の
地方財政対策につきまして、
自治大臣以下
関係の方々の非常な御高配によりまして、
地方財政の窮迫、
危機がまずまず突破ができるということになりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。六
団体が強く要望しておりました
交付税率の
引き上げ、また
地方団体金融公庫の二つは
実現を見ませんでしたが、それに見合う内容の
実現をお図りいただきまして、恐らく各
関係者としても
理解をいたしておると存じます。このこともお礼を申し上げなければならぬと思います。
実は私、御質問申し上げるのですが、
福田総理大臣も言明しておられますように、八月までには
行政改革をするということを言っておられますが、この
行政改革というのは、
第一線で
仕事をいたしております、特に
市町村なんかでは、
総合行政等の点から申しましても、非常に
関係が深いわけでございます。私、
市長をやって痛感いたしましたことは、
市民と申しまして、それはまた県民であり、また
国民でございます。したがいまして、国の
政治、
行政、県の
行政、市の
行政というものが
一体となって、初めて
住民の幸福が図られるわけでございますから、その間に矛盾があったり、あるいはちぐはぐがあったりいたしますというと阻害されるわけでございます。実はそのことを私は相当痛感いたしました。したがって
行政改革をされるに当たりましても、そういった点を十分ひとつ御配慮願いたいということでございますが、ちょっとくどくなりますが、私が
市長をやっておりまして痛感いたしましたことを、当時私が
市長随想として書いたことがございますが、これは
地方の
第一線で働いている者がどういうふうに
苦労をしているかということを御
理解いただく
意味におきまして、一言お聞き取りを願いたいと思います。
これは私、
昭和三十九年にたしか書いたと思いますが、こういうことを書いてあるのです。「
市町村優先の
行政」をやってもらいたいということでございますが、
昭和三十八年十二月二十七日に、
地方制度調査会が
行政事務の再配分について
内閣総理大臣に
答申した中に「
行政は、
住民の身近かなところで、
住民の
意思を反映しながら、
住民の
批判と
監視のもとに行われなければならない。また、
行政は相互に
関連を有する
事務が、
地域において総合的に処理されることが、その能率のうえからも、
住民の利便のうえからも必要である」「この
行政の
民主的処理と
総合的処理を確保するためには、
市町村を優先さすべきである。このことは、憲法及び
地方自治法の精神にも合致する。」と述べています。
私は、この
答申位現在の
行政の急所をついたものはないと痛感しています。
民主主義の下においては、
政治も
行政も、
国民本位、
住民本位で行わなければならないことは当然であります。そのためには、出来るだけ
国民の身近かなところで行われることが望ましいことも異存がない筈であります。しかるに、今日の
政治の実際は、
地方の
実情を十分知らない
中央で決定せられ、それも
割拠主義で
縦割りの
行政の弊が甚だしく、総合的の配慮が欠けています。
徳山市の場合を
考えましても、約十六億の予算の中で、
人件費や公債の元利払いなどを除いたいわゆる
投資的経費などに使われる
費用が約六億円位でありますが、そのうち、
市長独自の
考えで出来る
仕事は、約壱億円足らずしかありません。
補助金その他
政府から市が貰う金は殆んど
ヒモ付きであります。どの
仕事に
いくら、どの
費用に
いくらというように決って参りますから、市で勝手に他に使うことは許されないのであります。もしも、その国から来る
費用を
ヒモ付きでなく、一括して市に交付せられますと、最も市の
実情に合うように、最も効率的に、最も
市民の
福祉に役立つように知恵を絞り
工夫を凝らして実行出来るのであります。勿論、それには若干の
弊害も起りましょうし、国全体の
政治の
バランスの点からも問題があるとは思いますが、それにしても現状は、今少し、
市町村の
行政を優先させ、その裁量に委ねることが、
民主政治の本領を発揮せしめ、真の
住民の
福祉を向上せしめる所以であると思われてなりません。
このことは、
市政の
バランスの点からもいい得ることであります。わが
徳山市としては
農村・漁村・市街地、
社会福祉、
環境衛生、
経済産業、
教育文化などなどに均衡の採れた
仕事をしようと思っても
中央政治によってきめられ、不均衡な、
市政を余儀なくさせられるのであります。そうした
意味で、
市町村行政を優先させ、
市町村の
権限をなるべく拡大して
住民の身近かなところで、
住民の
意思を反映しながら、
住民の
批判と
監視の下に
行政を行うことが望ましいという、
地方制度調査会の
答申が、
政府で採り上げられて、その線に沿った
改善が一日も早く行われることを切望いたしている次第であります。
これは三十九年の二月十日に書いた何でございますが、その後私は、実は
全国市長会の若干の
役員等もしておりましたが、昨年の六月に
全国市長会で、低
経済成長下の
都市政策に関する
提言というものをつくりまして、発表いたしております。
自治省等にもお届けしておると思いますが、これは私
特別委員長としまして、保革どちらも入りまして三十一名の
市長さんが参加され、大学の
教授等学識経験者も多数参加されまして、約一年かかってまとめたものでございます。これにもまたいま申しましたような点から、いろいろな点を
提言をいたしております。これもぜひひとつごらんいただきまして、
行政改革につきまして、
参考にしていただきたい、かように
考えます。
それから実はこういうことをやっておりましても、
地方としても、ただ
中央に
総合行政ができないからといってほうっておるわけではないのです。いろいろな
ばらばらで来ましたものをまとめて総合的な効果を上げるために、
市町村長はみな非常な
苦労をいたしております。そのことにつきましてどんな
苦労をしておるかということを若干御披露申し上げて御
参考にさせていただきたいと存じます。
実は私も少年の
非行対策とかあるいは
総合農政とかいろいろなことでやりました。ところが、市がやっている
行政自体がまた
第一線にいくと
ばらばらになっているわけですね。これもやはり何とかしなければいかぬというので、私がひとつ
モデル地区というものをつくりました。そのことをちょっと御披露申し上げまして、
第一線でどんなことがやはりまちまちになっているかという御
参考にしていただきたいと思います。これはたしか
昭和三十九年に第一回につくったのでございますが、「
市政モデル地区の目標」として私がやはり
市民広報で
住民に訴えたものでございます。お聞き取りいただければありがたいと思います。
そもそも、わたしが、
市政モデル地区指定を行なったネライはなんであったかというと、その第一は、
市行政の
統一性を
実現したいということでありました。稲、野菜、果実などの
勧業行政・
伝染病予防、
成人病対策、
環境衛生、
栄養指導などの
衛生行政・体育、青少年の育成、
成人教育などの
社会教育行政などが、国、県の
出先機関や
市役所の部局、課間の横の連絡がふじゅうぶんで、各自バラバラに行なわれて、
行政の
統一性が欠けていることが今日の
行政の大きな欠陥であります。そこで、
モデル地区では
農業改良普及所、
市役所、農協その他の
行政機関が
一体となって、
指導、協力する姿をつくりあげ、
行政の
総合統一性を
実現する契機としたかったのであります。
その第二は、
実情に即した
市政を行なうことであります。とかく、お役所しごとは、ひとりよがりに陥りやすく、大いに活動はするけれ
ども、
実情を無視したり、
住民の
意思に添わないため、から回りに終わって、ほねおり損のくたびれもうけとなる事例も少なくないのであります。こうしたむだをなくして、
地域の
実情にピッタリした
市政を行なうために、その
地区の
実態をよくは握したいと
考えたのであります。とくに、近時、
都市周辺の
農村は急激に変化しつつありますから、その最近の
実態を認識することによって、
実効ある
周辺対策を発見しようと
考えたのであります。
その第三は、
住民総ぐるみの
市政の
実現ということであります。
住民の
理解と積極的、自発的な参加、協力がないと、
市政の
実効を期待することは困難であります。それが
自治行政の本義であると信じます。この理想的な姿を
モデル地区で
実現してみたいものと
考えたのであります。称して「
住民総ぐるみの
市政」というのであります。
以下、いろいろ書いてありますが、そういうふうに
第一線ではいろいろ
工夫をいたして、国なり県なりあるいは
市自体の
ばらばら行政というものをいかにして統一したものにして
実効を上げるかということに骨を折っておるわけでございますが、先ほど申しました
全国市長会でもそうした苦心をした
市長が集まりまして、とにもかくにも一年かかってまとめたものでございます。そういうものを十分御検討いただきまして、
中央でひとつ、
行政機構の
改革も
行政改革の中に恐らく含まれると思いますが、そういうことについてぜひお
考えいただきたい。こういった問題について
自治大臣のお
考えをお伺いいたしたいと存じます。