○永原
委員 少し
範囲を広めて、まとめて御質問いたします。
景気対策で非常に御苦労なさっていますけれ
ども、最近は
経済の二重構造論というのは比較的耳にしなくなりました。しかし、マクロ的に見るとやはり大
企業と
中小企業概念の中には大きな差がある、これは否定できないと思います。特に労働生産性の問題などについて見ましても、両者の間には極端な差があるわけです。きょう本
会議の席上で総理
大臣は、両者が相まって
経済を支えているのだ、補完し合っているのだというような
お話をしておいでになりましたけれ
ども、まさに
経済規模をそういうふうに支えていると思います。
そういう中で、なるほどGNPは自由主義
経済体制下でアメリカに次ぐ第二位の規模を占めておりますが、これを支えているのは一億一千万の国民なんです。同一言語、同一民族で形成されている国家、世界に例を見ないような誇りと特色を持った国だと思いますけれ
ども、こういう一億一千万という
人たちが支えている総量的な
経済規模、これが世界で第二位だということでございますけれ
ども、それで必ずしも喜べないというのが実態ではな
いかと思います。国民総生産が高くなってまいりますと総量的に生産
所得は上がってまいります。したがって、それを受けて今度は分配
所得も総量的にはふえてまいります。GNPが大きい、こう言いますけれ
ども、やはり人口が要因になっていますので、一人当たりに換算した場合に、これはGNPも第二位という地位からはるかに下がって世界では十六、七番目になるのではないだろうか、そういう実勢にあるのではないだろうかという気がするわけです。この総量的に大きな
経済規模に大
企業が果たしている
役割り、これは率直に私は認めたいと思います。しかし、余りにも
中小企業と農林漁業、こういうものとの格差が開き過ぎているような気がしてなりません。
経済規模の大きないわゆる
経済大国の総理として国際的責任を果たすべく胸を張るのも結構です。また、アメリカや西ドイツと相並んで世界的な同時不況を克服するのだということでがんばるのも私は結構だと思います。しかし、内政的に見て、
中小企業や農林漁業の沈痛な声をどういうように受けとめていくか、これに対する
景気対策をどういうように
考えるか、この点について
伺いたいのです。
海外
経済協力が非常に少ないと言われております。しかし、五十二年度の予算を見れば二千百億を超える。それと並んで
中小企業対策は、これは予算千七百数十億で済むのではありませんけれ
ども、ほかからの影響ということは当然ありますが、一応並んだ数字を見ますと、国民は海外
経済協力にこんなに出ているのかというような気持ちを持つのではな
いかと思う。最近OPPが非常に緩和され、解除されるような方向にございますけれ
ども、オレンジとかグレープフルーツの
輸入というのが先行き農民の経営不安を強くするでしょう。また、外圧によるとはいえ漁業が締め出されている
状況、こういう先行き不安に対してどういうように手を打っていくか、この点をまず第一点として
伺いたいと思います。
第二点として、今国会で問題になっているのですけれ
ども、日ソの漁業交渉と領海問題、あるいは大陸棚協定と協同開発の問題、貿易
黒字と
円高の
関係、さらに核燃料再処理の問題などいろいろ小資源国の悩みを一層深めるような問題が累積しております。どれも重要な問題ですけれ
ども、時間がありませんので、核燃料再処理について
見通しを伺ってみたいと思います。
オイルショックというのは非常に
経済的に大きな痛手を与えました。世界の中では比較的順調に
回復しているとはいえ、この前、中村俊男
参考人もおっしゃっていましたけれ
ども、まだ確かな
回復の軌道には乗っていない、こういうのが実態だろうと思います。いままでの
経済発展の
状況を見ますと、電力
需要と
経済発展の相関
関係は非常に密接でございます。発電、特に原子力発電に好むと好まざるとにかかわらず今後は大きく依存して
いかなければならないと思います。ウランからプルトニウムへというような再処理、これはやはり核燃料事業団な
ども力を入れて勉強しておりますけれ
ども、「もんじゅ」とか「ふげん」とか新しい原子炉を開発しながら成果を上げつつある。燐鉱石からウランを抽出するというのも成功した、こういうように報道されておりますが、そういうようなものに対してカーター・ショックがどういうように影響するか、これを打開するのに総理からどのように自信に満ちた
お答えをいただけるか、その辺を伺ってみたいと思うのです。
それと、時間がありませんけれ
ども、
経済の発展にはいろいろな阻害要因もあります。内在する矛盾もあります。しかし、総量的にはやはり安定成長路線で六ないし七%の成長を遂げつつ発展していくでしょう。
財政収支もこれとのバランスにおいて拡大していくのは当然のことだと思います。ところが、六、七%の
経済成長では、四十一年から始まった建設
公債の制度が恐らく定着してしまって解消することが不可能になるのではないだろうか。資源有限論の中で高度
経済成長論をぶつのは適当でな
いかもしれませんけれ
ども、しかし、やはり安定成長路線だけで果たしてこの
財政窮迫が克服できるだろうか、ここに疑問を持ちます。
特例債についても異例の
措置であったはずですけれ
ども長引きつつある。五十五年にはゼロにするという決意は結構です。しかし、そのために大増税をするというならば、これは大きな国民の不満を買うでしょう。やはり歳出の抑制というようなことで、
財政の平準化が必要だと思いますけれ
ども、この点についてのお
考え。
次に、公共事業の上半期の
状況を見まして、七十数%をおやりになるということになれば、年度後半に至って、また補正が必要になってくるのではないだろうかという懸念がありますが、こういう点についてのお
考え。
同時に、これは異質のものですけれ
ども、予算修正権をめぐって三権分立論がいろいろ論議されました。いま各
大臣とも、立法府の一員として選ばれた方々ばかりでございますけれ
ども、その方方が、行
政府の長に御就任になっております。憲法に示す議院内閣制のよって来るところでございますけれ
ども、三権分立を混乱させる
原因がここにあるのではないだろうか。よく言われた政権政党と官僚の癒着というようなものも、こういうところから起こるのではないだろうか、こういう気がしてしようがないんです。憲法改正までは言いません。しかし、六十八条の趣旨を総理
大臣は
いかにお
考えになるか、その辺を
伺いたいと思います。