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加藤(隆)
政府委員 財政の規律という
言葉が、私
どもの職場
言葉でございます。それからよその
財政当局も、フィスカルディシプリンというのを
日本語に訳しまして
財政節度とか
財政規律とか言います。そういうものが失われたかという問題でございますが、私
どもといたしましては決してさようなことはないので、本年の場合も、昨年の
公債依存度よりわずかではございましたが引き下げるということにフィスカルディシプリンというものを求めたわけでございます。
それから
財政法は確かに
昭和二十二年の制定でございますが、四条の精神というのは
財政一般に通ずる原則でございまして、普通
歳出というものは
普通歳入で賄わなければいけないという健全
財政の趣旨を書いたものというふうに言われておりますが、この点は主要国を見ますと、どこでも大体そういう
考え方でやっておるようでございます。決して最近になってフィスカルディシプリンをまあいいやというようなことになったということはないわけでございます。
先ほど銀行局長から
お話がありましたが、計数的にいま回顧いたしますと、
ドルショック、オイルショック、米国以外の主要先進国の
財政当局がひとしくそれに打ちひしがれまして、国際収支の赤字と
財政の赤字に見舞われたわけでございます。その場合にどういうふうにそれを克服していくかということが問題になるわけでございますが、七五年からの
経緯を見ますと、イギリスなりフランスなりドイツなりアメリカなりは、その
財政赤字を着実に回復しつつある。わが国の場合は、私
どもはできるだけのことをいたしたつもりでございますが、率直に申してわずかな改善にすぎない。これはしかし先ほど
大臣が申し上げましたように、
国民生活の安定、
景気の浮揚、
国民福祉の充実というような要請と比較勘案いたした結果そういう
行財政水準を維持する必要があるという判断のもとに
予算規模が設定されて、そこから
普通歳入を引きますと赤字になる。その場合、
建設国債だからいいんだというような
考え方は毛頭持っていないわけでございます。先ほど申しましたように、
公債政策というのはもろ刃の剣というふうに四十一年の
財政制度審議会の
基本的な報告にも述べられておりますが、使い方によっては
国民生活の向上に役立つが、使い方を誤ると
国民生活の困難を来すというようなくだりがございますが、そういうことで四条
公債といえ
ども決してイージーに流れてはいない。いわんや
特例公債をやということであって、フィスカルディシプリンはどうでもいいというような点は全くないわけでございます。計数的に見ますと、率直に言って
ドルショック、オイルショックの結果
歳入と
歳出が一年ぐらいずつずれたような
感じになっているわけでございます。それを五十一年、五十二年にかけて少しずつ取り戻してきておるような
感じがいたすわけでございます。ですから五十五年の目標に向かっていろいろな工夫と努力を尽くしてそういう
政策目標を達成したいというふうに
考えておるわけでございます。