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1977-04-05 第80回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月五日(火曜日)     午後五時三十七分開議  出席委員    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       丹羽 久章君    林  大幹君       原田  憲君    村上 茂利君       村山 達雄君    毛利 松平君       森田 欽二君    山崎武三郎君       山下 徳夫君    山中 貞則君       伊藤  茂君    池端 清一君       沢田  広君    只松 祐治君       村山 喜一君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    小林 正巳君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵大臣官房長 長岡  實君         大蔵大臣官房審         議官      佐上 武弘君         大蔵大臣官房審         議官      山内  宏君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 岩瀬 義郎君         大蔵省銀行局長 後藤 達太君         大蔵省国際金融         局長      藤岡眞佐夫君  委員外出席者         国税庁間税部長 大槻 章雄君         農林省畜産局自         給飼料課長   山田  績君         運輸大臣官房政         策計画官    金田 好生君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     松村 義弘君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   砂田 重民君     森田 欽二君   永原  稔君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   森田 欽二君     砂田 重民君   刀祢館正也君     永原  稔君     ————————————— 四月四日  狭山市ジョンソン飛行場住宅地区跡地利用に  関する請願外一件(永末英一紹介)(第二四  七六号)  同(沢田広紹介)(第二五九六号)  税・財政金融制度改善等に関する請願外一  件(沢田広紹介)(第二四八九号)  税制改正及び税務行政民主化に関する請願  (安藤巖紹介)(第二四九〇号)  同(荒木宏紹介)(第二四九一号)  同(浦井洋紹介)(第二四九二号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二四九三号)  同(小林政子紹介)(第二四九四号)  同(柴田睦夫紹介)(第二四九五号)  同(瀬崎博義紹介)(第二四九六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二四九七号)  同(田中美智子紹介)(第二四九八号)  同(津川武一紹介)(第二四九九号)  同(寺前巖紹介)(第二五〇〇号)  同(東中光雄紹介)(第二五〇一号)  同(不破哲三紹介)(第二五〇二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五〇三号)  同(正森成二君紹介)(第二五〇四号)  同(松本善明紹介)(第二五〇五号)  同(三谷秀治紹介)(第二五〇六号)  同(安田純治紹介)(第二五〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第二五〇八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二五九五号)  景気回復のための減税措置等に関する請願(荒  木宏紹介)(第二五九四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五〇  号)  昭和五十二年度公債発行特例に関する法  律案内閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 これより会議を開きます。  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る一日、質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  4. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して山下元利君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。山田耻目君
  5. 山田(耻)委員(山田耻目)

    山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨内容を簡単に御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  御承知のようにアジア開発銀行は一九六八年に業務開始以来、アジア太平洋地域開発途上国経済的、社会的開発に寄与しているところであります。今後も同地域の発展のため同銀行の円滑な業務継続が望まれており、これには多額の資金を必要としているのであります。  しかしながら、同地域には、現在の銀行通常資金による貸付条件を厳しく感じる開発のおくれた国が数多くあることも事実であります。このような国に対しましては貸付資金量への配慮もさることながら、その金利負担の緩和をも配慮する必要があろうと思われます。  このような観点からいたしまして、緩和された条件融資が行えるアジア開発基金拡充に努める必要があると思うのであります。したがって、政府は、その実現を図るよう所要措置を望むものであります。  以上であります。  何とぞ御賛成くださるようお願い申し上げます。     —————————————     アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議   アジア開発銀行はその融資先開発途上国であることにかんがみ、加盟開発途上国負担軽減を図る見地からアジア開発基金の一層の拡充に努める等の必要があるので、政府は、これの実現を図るよう所要措置を講ずべきである。     —————————————
  6. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。坊大蔵大臣
  8. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては御趣旨に沿って努力いたしたいと存じます。     —————————————
  9. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  11. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 次に、昭和五十二年度公債発行特例に関する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。坊大蔵大臣。     —————————————  昭和五十二年度公債発行特例に関する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  12. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十二年度公債発行特例に関する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和五十二年度予算編成に当たりましては、わが国経済及び財政の現状に顧み、景気の着実な回復国民生活の安定を図るとともに、財政健全化に努めるという二つの課題を達成することを主眼としたところであります。  ところで、昭和五十二年度においては、歳入面では、中小所得者負担軽減を中心とする所得税減税を行う一方、現行税制の仕組みの中で当面の経済運営の方向と矛盾しない範囲内において増収措置を講ずることといたしましたが、なお十分な租税収入を期待できない状況にあります。  他方、歳出面では、ただいま申し上げました財政課題にこたえていくためには、財政体質改善合理化を図るとともに、社会経済情勢に相応した適切な予算規模を確保する必要があります。  このような歳入歳出両面状況に顧み、昭和五十二年度においても、前年度に引き続き、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債発行のほかに、特例公債発行によらざるを得ないと考えられます。  このため、同年度特例措置として昭和五十二年度公債発行特例に関する法律案を提出する次第であります。  しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが、財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府としては、財政健全化実現するよう全力を尽くす決意であります。  以下、この法律案内容について御説明申し上げます。  まず、昭和五十二年度一般会計歳出の財源に充てるため、予算をもって国会議決を経た金額の範囲内で、特例公債発行することができることといたしております。  次に、租税収入実績等に従って、特例公債発行額の調整を図るため、この法律に基づく公債発行は、昭和五十二年度出納整理期限である昭和五十三年五月三十一日までの間行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、昭和五十二年度所属の歳入とすることといたしております。  また、この法律規定に基づき、特例公債発行限度額について国会議決を経ようとするときは、その公債償還計画国会に提出しなければならないこととしております。  なお、この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は、行わないものとしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  13. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  14. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  15. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 最初にお伺いをいたしますが、今日まで倉成経済企画庁長官大蔵大臣等、今国会で来年度見通しについていろいろな発言がされているわけであります。ところが、今度の赤字国債のこの法律を出すに当たって、当然今日主計局等計画された——年度以降昭和五十五年度までの経済企画庁なりの経済見通し、あるいは租税なり国債見通し、そういうものが大幅に変更されたと言われてもおりますし、またそうなるはずなのであります。当然この委員会には変更されたものが提出されるべきものだと思うのでありますが、その点の用意はどうなっておるのか、その点を両者からお伺いをいたしたいと思います。
  16. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 私どもが予算委員会に三月三日に御提出いたしました財政収支試算は、企画庁の方の五十年代の前期経済計画と昨年閣議了解になりましたフレームによっておりまして、変わりましたのは、五十二年度予算数字が昨年出した五十二年の数字と変わりましたので、その点だけを入れかえたわけでございます。     〔委員長退席野田(毅)委員長代理着席
  17. 柳井政府委員(柳井昭司)

    柳井政府委員 昨年の五月に閣議決定をされました五十年代前期経済計画におきましては、内外のいろいろな諸条件の制約のもとにおきまして今後の国民生活充実を図る、こういうことからいたしまして、国民生活の安定を基礎にいたしまして、この前期期間におきまして約六%強の成長を図るというふうなことで計画が組まれておるわけでございますが、五十一年度におけるところの実施状況につきましては五十年代前期経済計画の五十一年度経済報告におきましても、経済審議会におきまして御審議されましたとおり、需要項目等におきまして若干の出入りはありますものの、ほぼ計画どおり路線に進んでおる、こういうふうな御報告をいただいておるところでございます。
  18. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 いや、そういう形式的なことでなくて、重大な変更が今日行われているわけなんです。いわゆるGNPが百九十二兆円、来年度どのぐらいに見ますかわかりませんが、常識的に見れば、これでいきますと二百何兆円になるのでありますが、それの三%程度を何らかの税金で取りたい、こういう発言もされているわけであります。そうすると、それだけでも大体六兆円のいわゆる租税収入というものがどういう形であるにせよ、入って、いわゆる赤字国債をなくしていくものを来年度から図っていきたい、こういうことも言われているわけであって、一部分の変更とか何とかというものでなくて、根本的な日本経済変更がいま提起をされているのでありますから、当然これに伴って昭和五十五年度あるいは昭和六十年を目指しての展望に立った計画案が提出されなければならないと思うのでありますが、これは大蔵大臣の方もそうでありますけれども、経済企画庁の方は当面の担当として当然この委員会にその変更案を提出すべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  19. 柳井政府委員(柳井昭司)

    柳井政府委員 前期経済計画におきましては、税及び税外負担国民所得に対する比率を、四十八−五十年度二二・七%に対しまして大体三%程度を引き上げることを予定しておるわけでございます。これは経済計画におきまして、やはり国民生活安定向上を図るために、社会資本充実とかあるいは社会保障の強化、こういうふうな支出の増に対しまして、一方、現在公債に依存しておりますところの財政については、計画期間中に特例公債に依存しないような、そういう状態に復帰するということをあらかじめ予定いたしまして、このような計画を立てておるわけでございまして、その点につきましては、計画作成時と現在の状態におきまして基本的に変わりはないものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 基本的に変わりがないと言われると、五十三年度計画された、いわゆる国債の大体六兆四千八百億、租税収入二十五兆七千九百億、こういうような計画基礎ベースというものは変わらないというふうに理解していいんですか。それからまた国民総生産は、昭和五十五年度で二百兆円程度ということで六%に見ておりますけれども、現在ですでに百九十二兆円、来年度でも二百兆円を超える——成長ですから、三%なり四%程度に見たとしても、二百兆円を超えるというふうに推定されるわけでありますが、その辺も基本的に変わりはないと言うけれども、具体的な数字でひとつおっしゃっていただきたいと思うんです。
  21. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 ただいま企画庁の方から御説明がありましたとおり、五十五年の租税負担率国税で二%上げる、地方税で一%上げるというのは、五十五年の国民所得が二百三十四兆程度というのが昨年の閣議決定になりました計画の中に入っておるわけでございます。これから計算いたしました、五十五年度租税収入の三十五兆五千八百億という数字は、昨年の場合も同じ数字を使っておるわけでございます。それで、五十一年からつないだものが昨年の収支試算でございまして、本年の場合は、五十二年からつないである。途中年次の計数につきましては、本来五十五年の数字政策目標を置いておるわけでございまして、途中年次数字というのは便宜に出したものであるということも申し添えるわけでございますが、租税負担についてはそういうことでございます。  それから国民所得は、経済計画で一応先ほど申しましたように二百三十四兆程度。これは企画庁の方から御答弁いただいた方がいいかもしれませんが、本年の場合のGNPが、昨年は一五%増で見ておりましたが、確かに一三・七%になっておるわけでございますが、途中経過の数字であって、五十五年の目標に向かって進むという基本路線は、企画庁の方の審議会変更する必要はないというような御認識の上にこういう数字が与えられておりますので、われわれといたしましては、そのフレームに立って、一般会計税収なり歳出項目なりを五十二年をベースにしてつないだわけでございます。
  22. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうすると、いままで総理大臣その他が、三%増、一%地方税とかあるいは二%は国税、あるいはいろいろ一般消費税というようなことは、昭和五十五年度から考える、こういうふうに理解をしていいわけでありますか。
  23. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 経済計画の中にもそういうふうに書いてございまして、われわれもそういうふうに理解しておるわけでございます。
  24. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうすると、昭和五十五年度においては、租税収入三十五兆五千八百億、公債収入が六兆二千六百億、こういう計画になっておりますが、この三十五兆五千八百億の税金中身には、総理大臣が言った、GNPの三%というと六兆円を超えるんですが、七兆円近くなりますが、七兆円近いものが含まれる。それは、五十六年度から入るということですか、五十五年度には入らないということですか、もう一回その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  25. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 先ほど主計局次長がお答えいたしましたとおり、経済計画では五十五年度状態が、四十八年度から五十年度平均に対して、国民所得に対する租税負担率が三%程度上がらないと、ここに盛り込まれております社会資本充実振替支出水準向上、なおかつ特例債依存から脱却するという政策目標を達成できないであろうという前提ででき上がっておりまして、それをいわば一般会計ベースに翻訳いたしましたものが、お手元にございます財政収支試算でございます。したがいまして、三十五兆五千八百億円というのは、国民所得に対する一般会計税収、これは専売納付金を含むわけでございますが、その負担率が四十八年度から五十年度平均に対して約二%上がるという想定を置きまして、まず三十五兆五千八百億という数字を先に導き出しまして、それを五十二年度予算ベース税収との間でつないでいるわけでございます。したがいまして、五十五年度までにそういう姿を達成しなくては、社会資本充実振替支出水準向上を図りながら、なおかつ特例債依存から脱却するということはなかなかできないのだという姿を描いているわけでございます。
  26. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうすると、六兆二千六百億の公債は、これはすべて建設国債というふうに見るのですか、この中には赤字国債は含まれてないという解釈なんですか。
  27. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 お手元ケースAあるいは本表でも結構でございますが、公債金収入六兆七千八百億円、うち特例公債括弧ゼロということになっておりますので、この五十五年度の姿は、六兆七千八百億円は全部四条債という姿を予定して試算をしているわけでございます。
  28. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうしますると、総理大臣が三%なり二%と言い、また一般消費税というようなことを言われているこの中身というものは、いまの説明でいきますと、昭和五十二年度は本年度でありますから、税収も二十兆円には現在到達してないわけであります。ですから、五十三年度一応二十五兆七千九百億を想定しているわけでありますが、大体来年度に向かってはどの程度を想定しているのですか。それから昭和五十四年度を三十一兆二千四百億と見ておりますが、どの程度修正値を求めているのですか。それから五十五年度を三十五兆五千八百億と見るためには、この数字を結局どういうような勾配で見ているのか、その点をお伺いをいたしたいと思います。
  29. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 お答えいたします。  先ほどのお答えと若干重複いたしまして恐縮でございますが、三十五兆五千八百億円というのが一つの期待数値として先にございまして、それと五十二年度の十八兆七千九百億とを結んで各年度を一応つくってあるわけでございますが、結び方はかなり機械的に結んであるわけでございます。ケースAの場合は、五十三年度予想GNP伸び率を対前年度一五%と置いてみまして、五十四年度、五十五年度はそれぞれ対前年度一二%というふうに置いてみまして、その予想伸び率といわば並行して税収が伸びるという仮定で機械的に年次別をつくってみますと、お手元にございますように五十三年度は二十三兆九千四百億、五十四年度は二十九兆一千九百億という形でつながっていくことになる。ケースBの場合は一五、一二、一二という仮定をやめまして、この間平均的にGNPベースで約一三%で伸びていくという仮定に基づきまして、この伸び率と並行して税収を置いてみますと、五十三年度は二十三兆二千五百億、五十四年度は二十八兆七千六百億というプロセスをたどって三十五兆五千八百億にたどりつくという機械割りになる。しかし各年度は、いま申し上げましたように、終点とスタートとを機械的に結んであるものでございますから、各年度が絶対にこうならなくてはならないという性格のものではございません。その意味では、各年度数字はいわゆる財政計画ではないということを大臣から申し上げているわけでございます。
  30. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 重複するようで大変恐縮でありますが、もう一回確認いたしますると、総理大臣が従来委員会で答弁をしたりあるいは経済企画庁の方で大臣が答弁したものはすべて五十五年度のこの三十五兆五千八百億、それから公債は六兆五千二百億、こういうものを起点として五十五年度に解消される、こういう意味で述べられたものであって、途中の間においてこれが実施をされるものではない、こういうふうに改めて確認してよろしいですか。
  31. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 ただいまの沢田委員のお言葉のままに、私がそのとおりでございますと申し上げますと、五十三年度、五十四年度は特別に税制改正による負担増加を求めなくてもいいというふうに受け取られるかもしれません。そういうことではございません。五十五年度にここで予想しているような姿に持っていかないと、くどくて恐縮ですが、社会投資を実質百兆円やり、振替支出国民所得の一〇%付近まで持ち上げ、なおかつ特例債は出さずに運営するということはできない。したがって五十五年度にやるか、五十三年度にやるか、五十四年度にやるか、ともかく何らかの負担増加を制度的にお願いしないと、自然増収だけでは三十五兆五千八百億にはなりませんでしょうということを申し上げているわけでございます。
  32. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうすると、三%と言われている数字は五十五年度目標に設定をして言っている数字である。五十三年度実施をする場合は、あるいは五十四年度実施をする場合は、少なくとも三%以下の数字、まあ二%ですが、三%以下の数字が二十四兆であり二十九兆である、こういうことにならなければ、五十五年度に三%が三十五兆にならない、こういうことに常識的にはなるわけでありますが、その点はそういうふうに解釈していいのですか。
  33. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 三%ポイントと申しますのは、国税地方税を合わせたものとして計画で想定されております。中期財政収支試算では、それを一般会計ベースに翻訳いたしますときに大体二%程度一般会計の分だという想定を置いてこの試算ができております。  そこで、お手元の資料に数字が入っておりませんので恐縮でございますが、ちょっとただいまから申し上げますが、予想される国民所得に対する負担率を各年度について申し上げますと、五十二年度は一一・四という計算になります。それから五十三年度は、ケースAでございますが、一二・六という計算になっております。五十四年度は一三・七という計算、五十五年度が一五・〇でございます。先ほど申し上げました四十八年度から五十年度平均は一三・二でございます。したがって一三・二を大体一五程度まで持ち上げようということでこの試算ができ上がっております。  そこで、御質問に即してお答えいたしますと、これを五十三年度に必ず一二・六に持っていくというような意味での計画ではございません。しかし五十三年度に、それが一二・六の上に多少行くのか下になるのか、それは五十三年度経済情勢いかんにもよるし、どの程度のことができるかにもよる。したがって、非常に理論的に極端なことを申せば、五十三年度も五十四年度も一一・四のままで五十五年度に急に一五・〇にするという可能性も含まれるし、そうではなくて五十四年度にもう一五まで行ってしまって五十五年度はそのまま一五で引き継いでいくという姿もあり得る。途中の年次経過というものはそのときどきの経済情勢をにらみ合わせながら、財政経済に対してどういう態度をとるかということとも絡み合わせてこれから研究していくよりしようがない。ここに書いてあります姿は、それを機械的に割り振ってある、五十三年度、五十四年度は。しかし五十五年度には何とか一五%に持っていかないと、再々申し上げております社会資本充実、社会福祉の向上、なおかつ特例債からの脱却ということができないのではないかという姿を示しているわけでございます。
  34. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 大蔵大臣にお伺いしますが、いま主税局長の方が答えましたが、結果的に、福田総理大臣が述べた方向というものは、いまは非常に事務的に明快に答えられたわけですが、総理大臣のは非常に政治的な発言なのです。大蔵大臣としては、いまわれわれが危惧を感じ、あるいはこれからどうなるのであろうかという心配をしているものが幾つかあるわけですが、たとえばその言われた増税というものは、これで見れば五十五年度の三十五兆五千八百億、あるいは五十五年度において六兆五千二百億のこういう歳入にしていく、この時点にその形を整える、こういうことがいわゆる総理大臣発言内容なんだ。そうなのかどうか。これは政治的なことなんですね、いままでのことは非常に事務的に返答されてきたわけですから。五十三年度にちょっぴりやるかもしれません、五十四年度にまたちょっぴりやるかもしれません、五十五年度は少なくともこういう形になります、これがいままでの答弁の経過です。ところが総理大臣は、来年度あたりには地方税を含めて三%お願いするかもわかりません、したいと思っています、こう答弁しているわけですから、その辺のプロセスについては若干の不明点なきにしもあらず、その辺をはっきりお答えをいただきたいと思います。
  35. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 お答え申します。  ただいま財政収支試算について主計局、主税局から御説明を申し上げましたが、これは試算説明したのであって、そこで何ら何年度にどうする、何年度にどうする、こういったような計画、いわゆる財政計画と申しますか税制の計画と申しますか、そういうことについては申し上げていない。ただ問題は、五十五年度において要するに特例公債、赤字公債から脱却していこう、こういうために一体どうすればいいか。いまは数字試算について申し上げましたが、数字よりも何よりもそういうことをやっていくためにはどうしたって租税収入増加を図らなければならない、こういうことでございますが、その租税収入増加をどうして図っていくかということにつきましては、去年の六月から税制調査会で税制のあらゆる材料と申しますか、それを俎上にのせまして真剣に検討していただいておる。その中では無論、直接税の中には所得税、法人税を中心にしたいろいろなものがある、間接税につきましては一般消費税とかその他の間接税がある、それからまた資産所得に対する課税をどうするかといったようなあらゆる材料を俎上にのせましてこれを検討してもらっておるということでございますが、それではそれらの材料をあんばいしてどういう租税体系をつくっていこうかということについては、まだその結論は出ていない。たとえば所得税、法人税というものは直接税の中では一番の眼目でございまするから、それをどういうふうに増税するか、あるいはそれだけでもって増税したのではこれは大変なことになるというので、それじゃ間接税について何らかの増収を図ろうか、あるいは新しい資産所得課税を何か取り入れようかといったようなことについて真剣に勉強していただいておる。しかも、それが大蔵省の方針といたしましては、税制調査会の今日のメンバーの方々、熱心にやっていただいておる方々の任期がことしの秋あたりに切れまして更新されるというような順序になっておる。少なくとも、そういったようなときにはこの中期税制でそういうものをどうしてやっていこうかと、その案をたたき台と申しますか、そういったようなものをつくっていただいて、もちろんできたものは何と申しましても国民の皆さんの御批判と御選択によらなければならないということを私は思っておりますが、国民の皆さんの選択なりあるいは御批判なりを経るということ、これすなわち国会の御審議によって決めていただく、こういう段取りにしていかなければならない、かように考えておりますけれども、いまのところは、それじゃ何年にどうするんだ、何年にどうするんだ、結局五十五年にはどうなるんだということについて、税制の計画を申し上げる段階にまでまだ到達していないことをひとつ御理解願いたいと思います。
  36. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 この問題だけやるとほかができなくなるからこの辺であれしますが、少なくとも国会の中にこれだけのいろいろ資料をわれわれには提示をされていたわけです。急に途中で方向変換をしたわけです。方向変換していないとおっしゃるかもしれないが、とにかく方向変換をしたとわれわれは思っている。ところがいま言っているような重大な問題が出てきているのに、そのことにこたえる資料というものが十分提起されていない、何かあいまいもことしているということだけであって、そのことについて解明されていない点がわれわれとしては不満であるということを述べておきたいのですが、結果的には何とはなしに、こういう計画はわれわれも常識的に考えて、いまの景気状況から言って現在の二十兆が十八兆になって見通しが狂った、また来年度も恐らく二十四兆といったってそうは簡単に問屋はおろしてくれないだろう、またこのままで行ったならば三十五兆五千八百億の租税収入なんというのはそうはなかなかいかないであろう、それは火を見るよりも明らかだと思うんですね、現在の国際情勢あるいは日本の経済情勢の中で。ですから、これは当然修正を余儀なくされる現在の状況下にあるというふうにわれわれは受けとめるわけです。ですから、三十五兆五千八百億の中には三%が含まれるとすれば——含まれているということになるのか、含まれないということになるのか、その点はこの計画の中にどっちなんだということだけははっきりしておいていただきたい、こう思うんですね。だから三十五兆の中から七兆除けば大体二十八兆くらいになりますか、二十八兆くらいになりますと五十四年度もとんとんくらいの数字になっていく、こういうことになるわけですが、その辺の解釈が、何かそっちの思惑とこっちの考えていることとがすれ違っている、こういうことなんで、その点もう一回簡単にお答えいただきたい。
  37. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 五十五年度に対国民所得比三%上げる、こういうことでございまして、そこの計画であることをひとつ御説明申したらどうか……。
  38. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 三十五兆五千八百億円と申しますのは、三%の中で約二%分をここで受け持って織り込んでございます。五十五年度までにそれだけの税収増加がないとほかのことがうまくいかない。ただし、その二%分全部が増税であるというわけではございません。その中には自然増収もある。
  39. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 新聞の報道その他によれば、一般消費税というふうな言葉が使われております。一般消費税という言葉の意味は、これは非常に多様性を持っているわけでありますが、フランスの付加価値税、あるいはドイツ、オランダ等の累積税あるいは取引高税、あるいはイギリスでやった単段階の税金、あるいはベルギー、イタリアの累積と段階制の混合制度、この一般消費税ということの中身はどういう方向を考えているのか、その点ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  40. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 一般消費税という言葉でいま税制調査会で議論をされておりますのは、現在わが国にございますような物品をある程度特定して税負担を求めるという、個別消費税に対応する観念として使われております。具体的な形としましては、ただいま沢田委員がおっしゃいましたように、累積型もございますし、前段階控除型もございますし、あるいは単段階型もございます。いままでの御議論ではまだ一般消費税全体を、あらゆるタイプを取り上げようかというところまではいっておられませんのですが、昨年の十一月十二日に、これは担当は第二部会の方が担当しておられますけれども、第二部会の部会長からの御指示がございまして、従来から国会などで取り上げられたことがあるもの、あるいは税制調査会の中自身で議論が出ていたものをたたき台として今後の審議の参考としてまとめてみてくれないかという御指示がございまして、部会にメモとしてお出しいたしました。そのメモの内容はお手元の部会長報告に入っておりますが、その中で一般消費税という名で呼んでもいいだろうと思われますのは三種類入っております。まあ、場合によりましては四種類という考え方があるかもしれません。
  41. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 その三種類、場合によっては四種類と言われているのは、これは答える方が答えるべきであって私の方が言うのはおかしいのでありますが、いわゆる複数税率を使っていくという意味なのかと思うのでありますが、そういうことでいわゆる一般消費税をつくっていく、こういったことを考えているのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
  42. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 くどくて恐縮でございますけれども、一般消費税をやるべきだという御議論にまだなっているわけではないわけでございます。議論の参考としていろいろなタイプのものを一度まとめてみてくれとおっしゃられてお出ししたわけでございます。お手元に部会長報告をお持ちでございますれば、四十二ページから四十三ページ、四十四ページにかけて出ております三番の製造者消費税、これは先ほど私が申し上げた意味で個別物品課税にかえて考えられるという意味一般消費税という類型に入る、まあそう言った方がいいのではないか、その意味ではこれも入る。四十三ページの四番、EC型付加価値税、これは一般消費税として欧州各国で行われているタイプでございます。それから四十三ページの下の方の五番の大規模売上税、これも一般消費税の一つの形であろうかと思います。六番の大規模取引税、これも一つの形であろうかと思います。以上の四つがいままでの御審議では参考として出てきておる。しかし一般消費税というものはこの四つに限られるものではございません。また冒頭に戻って繰り返して恐縮でございますが、税制調査会が一般消費税を導入するという結論を持って審議をしておられるというわけでもございません。
  43. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 疑うわけではありませんけれども、この四月三日の一般消費税導入による税収、自治省がばかに熱心になって大蔵省と合意をしたということで、一般消費税の導入で自治省の赤字二兆三百五十億が解消するならば、一般消費税の導入もある程度やむを得ない、こういうようなことを自治省と大蔵省で合意をした、合意をしたという言葉が適切であるかどうかは別問題といたしまして、そういう報道もされているわけです。いまおっしゃっていられることとは天と地というほどではありませんけれども大分差があるわけなんでありますが、これは真っ赤なうそなんだ、こういうことなんでしょうか。それとも事務的なレベルにおいてはそういうことになっているという話なんでしょうか。その点、お伺いいたします。
  44. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 私もその新聞記事を見てびっくりした一人でございまして、導入するかしないか決めないで、これから議論が始まるという段階でございますから、私どもが自治省とそういう話をしているはずもございません。
  45. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 念のために申しておきますが、私もこれは全然聞いておりません。
  46. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 では中身をいま全然聞いてない、こういうふうに……
  47. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 そういう合意をしたとかしないとかということについては全然聞いておりません。
  48. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 ガットの規約がありまして、この一般消費税をかける場合にもガットの規約を守っていかなければならない一つの制約があると思うのであります。たとえば一般消費税をどういう形にせよつける場合には当然これが関連をすると思うのでありますが、その場合の配慮することの方法についてどう考えているか、この点お伺いをしておきたいと思います。
  49. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 私ちょっと不勉強で申しわけございませんが、内国税として一般消費税をつくる場合にガット規約との関連があるとは私は実は思っておりませんのですが……。
  50. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 ガットの規約では国内商品と外国商品との競争条件を同一にする、こういうことの規約があるわけであります。そのために、このいわゆる消費税をかけた場合にはそのかけ方によっては還付率というものをつくらないと、消費税を差し引いたもの、それが累積の場合についてはそれを全部換算していかなければもとの値段が出てこない、こういうことになるわけであります。さらにもう一つは、食品はゼロの税率をかけて、あるいは私が言った複数税率というのは個別消費税の複数化ということになるだろうと思うのであります。そういうような意味において食品的な国民のシビルミニマムといいますかナショナルミニマム的な生活必需品についてはゼロ税率をかけて、やや奢侈的なものについてはいまの酒、たばこと同じような個別消費税を複数化をしてかけていく、こういうのが複数税率ということで言われているようでありますが、いまのところは何も考えてないということなんで、考えてないという一方で総理大臣が、それじゃ一般消費税も考えてないのかもわかりませんけれども、そこも考えてないということなのか、それ以外のものは考えているのか。それではその点はどうなんですか。ただ三%取りたいという気持ちはあるけれども、それ以外のことは何も考えてない、こういうふうに受け取ってよろしいわけですか。
  51. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 さっき私が申し上げましたとおり、いま一般消費税をかけるとかかけないとかこういうことについては結論は出ておりません。ただしかし税制調査会においてはこれを勉強してもらっておるということでございまして、全然何もそれは考えてないということではございません。勉強の対象としてはこれを熱心に研究してもらっております。
  52. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 どうもそういう答弁は少し国会——税制調査会、税制調査会と言う。何か金科玉条のように、昔の憲法みたいに、五カ条の御誓文じゃないけれども、税制調査会、調査会ということで逃げて、何かのときには税制調査会で決めたからというふうな形じゃなくて、政党政治なんですからね、政党政治をやっている以上、自民党として考えているものはこうなんだ。税制調査会がまたどう決定をするか、これは別ですよ。またそれをどう調整するかは別ですよ。それぞれの立場にあってそれぞれの主張があっていいんだと思うのです。何も政府は税制調査会で振り回されているわけじゃないでしょう。だから当然大蔵大臣大蔵大臣としての財源をはかるべき責任者として考えるべきものを考え、あるいは自民党の政調会は政調として考えるべきものは考えてあるべきだと思う。当然そうじゃないですか。
  53. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私が先ほども申し上げましたとおり、そういったような案ができましても、これは何と申しても議会というものがあるのでございますから、議会の御審議なり議会の御選択、すなわち国民の御審議、国民の御批判というものを経なければなかなか物にならぬのでございますけれども、しかし国会で御審議を願うためのそういったような案、そういったようなものが、一応これは——税制調査会というのは大蔵大臣の諮問機関ではない。総理大臣の諮問機関でございまして、そういったような案をつくるのに一応税制調査会というものが今日までの仕組みとしてはそれをやってもらっておるのでございまするから、ぜひそこでできたものを慎重にひとつ国会で御審議を願う、また自由民主党の政調の税制調査会でもこれは研究いたしますけれども、まだそういうものはそこへも何も出してもおりません。それで野党の皆さんにもぜひひとつこれは御審議願いたい、こういうわけでございます。
  54. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 大変皮肉なことになるかもわかりませんけれども、とにかくいまのところは何も考えてない、しかし金は取りたい一心ではいるというけれども、その策はまだいまのところは何もないというのが結論のようであります。  では次の問題に入らしていただきます。  国債が今度発行されるに当たって、毎回の議会で論じられているようでありますけれども、地方債と国債の消化について、その見通しと実態というものについてどう把握されているか。昭和五十一年度の場合に、国債が七兆二千七百五十億、運用部で一兆円、ほとんどが市中で十一兆円、合計十一兆八千八百六十億、それで全体で十四兆三千六十億ということですか、そういう昭和五十一年度の実績で、それ以外に地方債には枠外にもまだあるはずですから若干の数字の相違があったならばひとつこれに加えて述べていただきたいのでありますが、国債と地方債の消化及びその影響について、その見解をお伺いいたしたいと思います。
  55. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 理財局長が参りますまでちょっと数字を申し上げておきますが、五十二年度はただいま先生のお話のとおり、全体の公共債は十五兆九千億でございます。運用部等が二兆八千五百億、市中が十三兆というようなことになっております。私の承知いたしておりますところでは、本年の場合昨年よりはかなり景気回復過程にございますが、国債、地方債ともに消化はできるというふうに聞いております。
  56. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 現在の資金事情の中で、これだけまた中小企業も非常に厳しい。また同時に景気も後退している。御承知のとおり百貨店の売り上げもそう伸びてはいない。失業者は顕在失業者で百二十二万を超えている。政府の言ういわゆる景気の底上げというものは、少しも底上げになっていかない。外貨だけは大分ふえたけれども、少しも景気の上昇という方に向いていない。こういう状況の中で、これからの国債あるいはこれからの縁故債あるいは二兆三百五十億という地方債、こういうものが市中に出回るという場合の受け入れ機関としては、どういうふうな割り当てでこれを消化していく考えであるのか。さっきのは昨年度の例を述べたのでありまするが、今年度はどういう割り当てでこれを消化していくのか。その計画についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  57. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 国債につきましては、市中銀行のシ団の形成を行いましてやるという点は従来と同じでございます。地方債につきましては、この二、三年来かなり問題もございましたが、昨年の下期以降大体金融の緩慢状態が続きまして、さらに大蔵省と自治省の間で細かい消化対策につきまして打ち合わせをいたしまして、地方債の消化に万遺漏ないような行政的な措置がとられております。
  58. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 まるで砂をかんでいるようなあれなんでありまして、これで政治が行えるのかと疑わざるを得ないのでありますが、とにかくやむを得ぬと思いますが……。  これは大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、簡単に一口に国債と言ってみても、八兆三千億を超える金を市中にばらまくわけですよね。市民の中でも買う人もいるようでありますけれども、実際にはなかなかいないわけです。そうすると、ほとんど銀行なり保険会社なりあるいは信用金庫という、いろいろな金融機関にこれを預けていかなければならない。これで今度恐れてくるのが、いわゆるマネーサプライというようなものあるいはインフレというようなものがどうなっていくのかという危惧をみんな持つわけですね。ですから、ひとつ大臣からこれはお答えをいただきたいのです、そう砂をかんだような答弁でなくて。国債なり地方債の消化によってこれからの金融機関の中小企業への貸し付けの影響、あるいはこれが圧迫にならないのかどうか、それの手当てはどうなっていくのか、あるいはこれの発行段階にはどういうプロセスをとっていくのか、配慮することはどうなのか、そういう点について、これはどういうふうな配慮の仕方をしていくのか。いま言っていることがあるいは答弁になっているのかもわからぬけれども、そういうことについてひとつ大蔵大臣としてのお答えをいただきたいと思うのです。私が答えてやっているようなものかもしれませんけれども、とにかく大蔵大臣としてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  59. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 多額の公債を円滑に消化していくということは、御心配のとおり、私どももこれは大変な仕事だということは考えております。しかし、いまの金融の状況から申しますならば、金融がそれほど逼迫せずに順調にやっていってもらっております。しかし、いずれにいたしましても、五十二年度におきましては景気を上げるということが一番大事なことでございますから、景気を上げて投資意欲が非常に盛んになってくるということ、投資意欲が盛んになってくればやはり資金に対する民間需要というものがふえてくる。そこに対しましてこの大きな公債が消化されていかなければならぬというようなこともやはり考えなければならない。そういったようなものに対応して何をやっていくかということは、これは公債の管理だ、市場の整備だ、そういったようなことにも十分気をつけまして、そしてこの大きな大変むずかしい仕事というものをどうしても片をつけていかなければならないという羽目になっておりますけれども、今度つくった予算だ、あるいは五十一年度の補正予算だ、それから今度の四項目の景気刺激策だ、そういったようなものがこれからだんだん効果を発生するということになってまいりまして、それほど私は悲観的には考えておりません。何とかやっていこうという決意をいたしております。
  60. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 大蔵大臣赤字国債に対する認識として提案理由説明には、簡単に言えば景気回復国民生活の安定、それに財政健全化、この三つの柱が挙げられているわけであります。私は、この国民生活の安定の中身赤字国債としてどうとらえているのか、その認識についてお答えをいただきたいと思うのです。
  61. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 今度の予算を、財政計画をやっていくに当たりまして一番考えなければならぬことは、景気を浮揚していくということとそれから国民生活を安定するために物価を抑えていくということ。これは単純に考えまして二律背反とは言わぬまでも、そういったようなことをやっていかなければならないということでございます。さらにまた健全財政ということを考えなければならぬということから、いろいろな内部矛盾といったようなものをはらんだものをやっていかなければならぬ。今日の日本の財政というものは大変なところへ来ておるということを考えるのでございますが、いま御心配をなすっていらっしゃる五十五年度に一体これが達成できるのかということ、これは私は大蔵大臣として、どんなに苦労してでもぜひともなし遂げねばならぬというふうに考えて、とにかく命をかけてそれをやっていくというつもりでおりますけれども、国民の皆さんにそういったようなことについての御心配をしていただいておるということは、私にとりましても一つの大きな刺激になります。その国民の皆さんの御心配の反面には御期待が——これはもうだめになるのだというふうにはお考えになっていないと思う。この窮境を何とかして切り抜けていこうという御期待もおありのことと思いますので、それを私は受けとめまして、ぜひとも五十五年までに日本のこの中期財政計画というものをりっぱに立てて実現をしていきたい、かように考えております。
  62. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 現在、赤字国債の残高は、私の簡単な計算では二十四兆円近いものがあります。さらに今年度の分を加え、あるいは五十五年度までの分を、来年度からどうなるかわかりませんけれども、加えていきますと相当の金額になる。しかし、それはさておいて、そのことについてもお答えをいただきますが、国民生活の安定のためにはやはり物価の安定ということが当然必要になってくる。あるいは雇用の安定、いわゆる失業からの解放というものが必要になってくる。あるいは景気回復というものが必要になってくる。簡単に言って、物価の安定、雇用の安定あるいは景気回復というものは当面した政治の重要課題だ、こういうふうに私たちも認識しておりますが、大蔵大臣もそのように認識されていると思ってよろしゅうございますか。
  63. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私もそう思っております。
  64. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 ところで、運輸省も呼んでありますけれども、先般の報道による、営団なりバスなり、それからそれぞれの定期なり通勤なりタクシーなり、そういうものが一斉に値上げされるようであります。  それで、これは大蔵大臣と運輸省と両方にお伺いをするわけでありますが、やはりこの予算が着実に景気回復なり、あるいは雇用の安定なり物価の安定にある程度定着をする段階まではこういうことをするべきではない、私はそう思うのです。今日、こういうことをこの不況の中で行っていくということは、言うならば経済の破綻を起こす起因になる、こういうふうに私は認識します。これは、野党だという立場でない立場で、経済という純粋な立場に立って見た場合にも、私はそういう感じがするわけです。  たとえば、タクシーを三〇%引き上げる、また地下鉄も一区間を八十円に引き上げる、あるいはバスを七十円から九十円に引き上げる、あるいはタクシーもまた三百三十円に引き上げる、こういうこと、しかも、通学の定期を倍額にする、通勤の場合はやや企業負担というものがありますから考えられる余地もなきにしもあらずと思いますけれども、それにしても九五・五%というのは、この営団の値上げもひど過ぎると思うのです。そうして、通学については九六・六%、これはもう倍ですね。そういうものをこの段階でやっていくということは、果たして妥当なのかどうか。こういうふうに、国民生活を守るという条件を、やや安定しかけていると言われているこの状況の中で、わざわざ平地に波乱を起こす、こういう条件をつくっていくということが望ましいと思われるのですか、どうですか。大蔵大臣、この点ひとつお答えをいただきたいし、運輸省の方もお答えをいただきたいと思うのです。
  65. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 この時期に公共料金を上げるということは、私といたしましてもこれを喜んで上げるというような気持ちにはもちろんなっておりませんけれども、御承知のとおり、公企業が赤字赤字の経営を続けていっておりますと大変なことになるということは、すでにわれわれは身をもって感じてきたわけでございます。そういったようなことを、これは非常に今日苦しいことではございますけれども、適当と言えるかどうかは知りませんが、しんぼうして、がまんをして、やはりある程度のそういったようなものはその都度その都度是正をしていくということが、これは苦しくてもやっていかなければ大変なことになる、こういうことではないでしょうか、さように私は考えております。
  66. 金田説明員(金田好生)

    ○金田説明員 お答えいたします。  公共交通機関の運賃は、各事業主体ごとに経営合理化の徹底に努めることを前提として、事業の健全な経営が維持できる水準に定められるべきものと考えております。これら運賃の改定に当たっては、国民生活に対する影響について十分な配慮をしなければならないことは言うまでもございませんが、人件費、物件費等のコスト上昇の中にあって、これを長期にわたって厳しく抑制することは、価格体系をゆがめ、運輸事業者の経営を悪化させ、ひいてはサービスの低下、安全、公害対策や輸送力増強のための設備投資のおくれ等の弊害を生ずる結果となるものと考えております。  したがって、公共交通機関の運賃、料金につきましては、物価全般に与える影響、企業の合理化等に十分配慮しつつ、適正なコスト及び利潤を償う水準になるよう、適時適切な改定を行っていく必要があるものと考えております。
  67. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 これは営団地下鉄のあらましなんですが、営団の場合だけでいきますと、経常収支は一〇〇に対して八九・一なんですよ。経常収支としては黒字なんですよ。これは昭和五十年度です。いま赤字だ赤字だと言って、何か赤字とさえ言っていれば何でも物事が通ると思っているらしいけれども、経常収支としては黒字なんですよ。問題は、減価償却を見ると、結果的に二十億赤字が出る、こういうことなんです。減価償却も百十四億見ているわけなんですが、この減価償却がそれでは果たして今日の段階においてどういう価値を、あるいはどういう意味を持つと、こういう企業の場合に考えておられるのですか。これだけのインフレがどんどん進んでいるときに、これは将来何に該当すると思いますか。再生産費に見合うと思いますか。こういうことで車一両でも買えると思いますか。これだけのインフレが進んでいく中に、百十四億の償却が何に充当されると思いますか。経常収支では完全に黒字なんです。そういう状況の中で何も九六・六%も通学定期を上げる理由はないじゃないかと思うのですが、どうですか、お答えいただきたいと思います。どこにその赤字と言わなければならない理由があるのですか。
  68. 松村説明員(松村義弘)

    ○松村説明員 減価償却についてのお考えかと思いますが、減価償却と申しますのは、企業の健全な経営を維持していくために必要な経費とわれわれは考えております。  営団の場合には、建設を進めるに当たりまして、政府また民間から借入金をしまして建設を進めております。それらの借入金につきましては、いずれにしろ返済しなくてはなりません。資金繰りの関係から減価償却を見てみますと、そういった借入金に対する返済に充てられているのが実態でございます。
  69. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 借入金の返済が減価償却ということにはならないでしょう。借入金の返済はあくまでも返済ですよ、貸借対照表の中で。借入金の返済が減価償却という言葉にはならぬ。減価償却はあくまでも固定資産なりあるいはその他のものの施設の償却を、定額でやるか定率でやるかわからぬけれども、その減価償却をしていくということなんですよ、車両であるとかあるいは機械設備の備品類であるとかを。それを借金の問題が償却だなんて、そういうことを言っているのは、それは支払い利息でしょう、貸借対照表では。経常で利益が八九・一%で、とにかく利益が上がっているという事実を否定することはできないでしょう。それで九六・六という数字が出てくる根拠はどこにあるのかと私は聞いているのです。これは無理に繰り上げて減価償却をして、結果的には赤字をつくっているようなものじゃないですか。
  70. 松村説明員(松村義弘)

    ○松村説明員 いささか説明不足があって先生の誤解を招いたようでございますが、私どもの方に申請された運賃に添付されております書類によりますと、お手元にあります先生の資料と多分照合するかと思いますが、五十年度の実績におきまして、収入が八百六十一億七千四百万円、それに見合いますコストが八百八十六億七千百万円、差し引き損益、これは損と出ておりますが、二十四億九千七百万円となっております。問題になっておりますのは、コストに当たりますところに減価償却費百十四億九千万円と計上されているのがいま議論の対象になっていると思いますが、やはり損益計算上は減価償却をして企業の健全な経営を図るというのが考えでございます。それから、資金の流動の関係でこれを見てみますと、減価償却というものは、これは借入金の返済に充てられるというのが実態でございます。以上、損益勘定の面と資金繰りの面と分けてお考えいただきたいと思います。
  71. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 別に、運輸委員会になっちゃってはいけませんから、この辺でやめておきますけれども、念のため言っておきますが、営団のこのあらましには、経常収入が八百六十六億九千七百万円、それから支出の部では、人件費、経費、雑件、諸税、支払い利息、その他、そして支出合計が七百七十二億一千八百万円、差し引きしますと、大体百億円ですか、八九・一%ですから大体九〇%と見ても、一〇%、一割の利潤が出ている、こういうことなんですよね。ただ、その減価償却を——今度は償却前の利益で九十四億七千九百万円、大体百億の利益を上げております。こういうことになっておる。貸借対照表の方で見てもそのことは言えるのです。大蔵大臣に聞きたいのは、私らが見てもこういうふうに経常経費では黒字だ。その黒字を——年度、いまの段階で何もこれを上げなくとも、もっと時期をずらしてもいいんじゃないか。大蔵大臣がやりたいと言っておる景気回復の時期までためておいてもいいんじゃないのか。何カ月であるかわからぬが、政府が公約したとおり景気回復されて、景気が出てきて、みんながお金を使い出す、あるいは払い戻し税が出てきた、そういう時期までこういうものに圧迫を与えないような配慮が必要なんじゃないかということがいま私が言おうとしていることなんですよね。いまこのどん底のときに、失業者もどんどんふえている、倒産もどんどんふえているこういう時期に、何も一般国民の足を上げることはないんじゃないか、一応ちょっと待ったらどうだという提案なんです、私は。永遠に上げないでおけとは言いません。しかし、通学の定期については少なくとも、これは子供なんかのことですから、父兄負担の増になるのだから、三段階ぐらいに分けるとか、四段階ぐらいに分けて漸進的に上げるなら上げるようにするぐらいの配慮は政治的なものとして必要なんじゃなかろうか。一度に倍にするというようなことは、これは自分が父親になった場合、母親になった場合の苦しみを感じてみたらどうかということだけ聞いて次に入りますから、その点ひとつ大蔵大臣、お答えをいただきたいと思うのです。政府機関の一員としてひとつお答えをいただきたい。
  72. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私は大蔵大臣でございますから、これはまあ別に専門でありませんけれども、公共料金を上げるというようなときには、絶えずこれに対する、上げるべきではないといういろいろな議論も行われるだろうし、強い抵抗もあろうと思います。しかし、そういったようなことがあるがゆえに、私は、国鉄運賃を初めいろいろな公共料金が据え置かれたりあるいは非常に思い切ったことができなかったというようなことが今日まで続いてまいりまして、そうして今日のこの状況を招来したのだ、かように考えます。そういうようなことから考えまして、国鉄の方では、いまとにかく国鉄といたしましても、今日これを上げるということについてはいろいろな反対論、いろいろな抵抗というものがあるけれども、これをやろうというふうな決意をいたしておるのだ、かように私は考えます。さような意味におきまして、財政当局の私が、これはやるべきではないということを今日申し上げることは差し控えたい、かように考えます。
  73. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 ただ、ここに提案してありますように、赤字国債発行するということは国民がそれだけ借金を負うことになるのです。借金を負うことになりますのですから、それだけ国民がこれから背負っていかなければならない負担が、先ほども述べたように、だんだん累積をしていく。いつかはこれは増税なりその他によって払っていかなければならない。そういう状況にかんがみたときに、なるべくそういうものに見合わないように、いわゆるバランスのとれた、均衡のとれた経済体制というものをとる必要がある。そのためには、むちゃな引き上げ論というものは避けていかなければならぬだろう。そういう全体的な視野に立って——部分的には、赤字であるから上げなければならぬというものはあるでしょう。しかし、タクシー一つとらえてみたって、運転手は、上げてもらうことをちっともありがたがってないですよね。いま足切りがどのくらいだか、大蔵大臣知っていますか。どのぐらいだか知らないでしょう。足切りと言ったって、第一、足切りの言葉を知らないでしょう。第一、運転手の諸君は、これが上がればいままで二十八万だった足切りが三十何万になって、それ以上上がらなければ自分の手取りはふえていかないということになる。結局、企業主の収入はふえるけれども、運転している人には収入はふえていかない。だから、タクシー代が上がったから結果的には運転手の収入がふえるということには結びつかない。運転手は、上げないでくれた方がいい、こう言っているんだから、大蔵大臣も、その辺の庶民の声をよく聞いて、企業主の声だけ聞くのじゃなくて、そういう声を聞いて、足切りというのが何だかということをやはりもう一回勉強し直してもらいたいということを願っておきたいと思うのです。  次に、予算総則の中で、財政法第四条第三項の規定による公共事業費の範囲——これは建設国債の一部でありますけれども、これの公共事業費の範囲は、次に掲げるものとあります。非常に広範なものが挙げられているわけでありますけれども、これの耐用年数をどのぐらいに置いておられるものであるのか、この点、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  74. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 建設国債の対象の経費は、考え方といたしまして、ただいまごらんになっております公共事業関係費の中が大部分でございますが、その他の施設費というのもあるわけでございます。それから出資金、貸付金、これは財政法四条にそういうような規定がございますが、それで建設公債見合いの資産の平均耐用年数でございますが、平均的な効用発揮期間というような考え方で整理をいたしまして、税法などの耐用年数表を参考にいたしまして、平均的に六十年というような数字を用いております。
  75. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうすると、いわゆる赤字のこの国債で対象にしてやる施設費というようなものは耐用年数が六十年程度、赤字でやるのだから、将来の子孫に財産を残す、そういう立場に立って工事を行うものなんだ、それがこの建設国債趣旨だと思うのですね。そういうふうに理解していいと思うのですが、いかがですか。
  76. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 資産がございまして、その資産があるということと、その資産が長年にわたって効用を発揮する、それが回り回って経済を引き上げてその借金の償還財源を生み出す、そういう考え方をとっておるわけでございます。
  77. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 そうしますと、先ほど言われた耐用年数六十年以下のものは、財政法第四条第三項の規定による公共事業費の範囲には該当しないものを原則とする、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  78. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 先ほど申しましたように、平均的な年数ということで申し上げましたとおりでございまして、中には六十年を下回るものもあります。上回るものもあります。下回るものの典型的な例は林道などでございますが、これは二十年というふうになっております。そうして、いろいろなそういう年数が経費別にございますが、それを複合いたしますと、大体六十年になる。そこで平均的な耐用年数、そういう言葉を使っておるわけでございます。
  79. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 この中に、一つ例を挙げて申し上げますと、六十年ということでこれはまた解釈を変えられちゃっては困っちゃうのですが、これは言わずにおいた方がいいのかもわかりませんけれども、たとえば給食施設なども入っておりますね。給食施設が六十年というのが、平均六十年というその最低の、いまの説明でいってみても、とても給食施設がそれに該当するものではないだろうと思うのですね。だから、そういう点についてはどういうふうに考えておられますか。
  80. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 給食施設はわれわれの計算では二十九年になっております。
  81. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 それから、結局この中にある資産の中で、特定国有財産整備費の「一般庁舎等施設費特定国有財産整備特別会計へ繰入に限る。」五百億の金が入っておりますけれども、これは具体的に言うと何を意味するのですか。いわゆる施設としては何を称するのですか。六十年に該当するものは何になるのか、お答えいただきたい。
  82. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 約五百億でございますが、三種類ばかりのグループに分かれます。従来の一般的な官庁営繕、提供施設の問題、それからもう一つは大部分が筑波でございますが、本年の場合ほかの二つは減が立っておりますが、大部分筑波でございます。それで御承知のような筑波に移転いたします各省庁の研究機関の建物系統が大半を占めております。
  83. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 続いて、次に入らせてもらいますが、日本経済のこれからの健全化を図っていく上という立場に立ってお答えをいただきたいのですが、時間がなくなりそうですからちょっとはしょりますけれども、日本経済健全化を図るという立場では、輸出入の問題の健全化ということが一つはあると思うのですね。これはカラーテレビその他が相当いろいろ問題に上がりましたけれども、当面日本の国民生活を維持していく上において最小限度必要なものは何かということになりますと、石油であるとかあるいはゴムであるとか食糧であるとか、その他最低限度日本の国民生活上必要なものがあると思います。  そこで、私がいま聞こうと思っておりますことは、この赤字国債をだんだん減らしていく上に立っては、まず一つは経費を節減をすることである。いわゆる道楽息子を抱えておやじが酒やたばこをやめておいたってこれはどうにもならない。そういうような意味において、一生懸命自分じゃしようと思ったって、道楽息子にどんどん金を使われていたのでは話にならない。だから、結果的には日本経済もある程度の節約をした一つの経済体系をとらざるを得ないだろう。同時に、日本の輸出入の面からの日本経済というものもある程度の制約と実利を得るというような形態をとっていかざるを得ないだろうと思うのです。  そこで、日本の輸入の一番大きな負担を感じているものはまず石油ですね。その次には食糧です。その次には、食糧の中に飼料が入っています。えさです。このえさについてお伺いをするわけなんでありますが、これは農林委員会になったと思ったら困るのでありますが、いわゆる石油はどうにもならない、日本で出ないのですから。それから、その他のゴムだとかあるいはココアだとかコーヒーだとかいうのも、これも日本でできるわけではない。また鉄だとかその他も掘っても出るわけではないのです。どうにか何とかなれるものは何だというならば、自給率を向上させるのは食糧以外にはない。そうすると、食糧の中でも、特に畜産関係の飼料の自給率の向上を図っていく以外には道はないのじゃないか、こういうことになっていくだろうと思うのです。  そこで、この飼料の自給率の向上について大蔵大臣にお伺いをしたいわけなんですが、とにかく簡単に結論だけ言いますが、政府で買い入れた千円程度の飼料が卸売、小売価格では千五百三十円というような価格で出回るということについては、もう少し政府の干渉を強めていく必要があるのじゃなかろうか。それから民間の購入の飼料についての管理体制というものも強めていく必要があるのじゃなかろうか。豚一頭幾らかと大蔵大臣に聞いても、恐らく知らないでしょうから聞きもしませんけれども、とにかく一時は大変な農家の状態だったのですよ。けつっぺたに張られる豚の入札札が一万円だなんという時代もついこの間はあったのですからね。そういう状況の中で畜産農家は泣いていた時代があったわけです。飼料代にも足りなかった時代がある。だからその飼料に対する対策を購ずるということも、私の言うのは遠回りをしているようだけれども、赤字国債減少の一翼を担うものである、こういうふうに私は自信を持っています。そういう意味において食糧の自給体制を強めていく、こういうことがやはり緊急な事業ではないかと私は思うのですが、その辺の見解を承りたいと思うのです。
  84. 山田説明員(山田績)

    山田説明員 お答えいたします。  飼料の国内の自給力を高めることは現在の畜産の経営の安定上きわめて大切なことでございまして、また従来から、国内生産でございますが、国内では濃厚飼料につきましては余り生産のポテンシャルエナジーを持っておりません。でございますから、草食性の家畜に対しましての粗飼料を、草でございますが、これを重点として、この給与率を高めることによって、できるだけ輸入飼料の節減に努めていくということにしておるわけでございます。このため、草地開発計画的な推進やあるいは林間放牧の促進等によりまして新規に飼料基盤の外延的な拡大を図るとともに、既耕地につきましてはいろいろなる政策、たとえば緊急粗飼料増産総合対策とか、あるいはいま百万ヘクタールほどが利用せずに放置されております水田裏で積極的に飼料作物を生産するというようなことによりまして、生産力の増強に努めることによりまして飼料穀物の節減に努める、あるいは飼料穀物につきましても現在飼料用の麦、これも水田裏作でできるわけでございますが、生産対策を積極的に進めてそのことに対処していきたいと考えているところでございます。
  85. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 大蔵大臣、いずれにしても赤字国債発行するに当たって謙虚な態度という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、とにかく赤字国債を出すのにはさっき言ったような国民に相当な負担をかけるのだ、そういう立場に立ってその運営なり資料なりについても、やはり国民にある程度理解を求めるなら求めるような姿勢、税金でも同じでありますけれども、いわゆる取る立場ではない、取られる立場に立って徴税をする、そういう気持ちでこの赤字国債に臨んでいただくように願ってやまない次第です。  この前の質問の続きで、最後にこれは大蔵大臣じゃないのですが、大蔵省の方に、酒税の方でちょっとお伺いいたしたいのです。この前は中途半端に終わっちゃったのですから、あと残された時間でお伺いをいたします。  酒税について、第九条で酒の販売は所轄税務署長の許可を得るということになっております。第十一条は、保全上需給の均衡を維持し、それを販売する酒類の範囲、販売方法ということで規定をされております。別にそれ以外の規定の制限はないようであります。ただそれ以外に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律というものがあって、許可された者はこの組合に加入する、こういうことが規定されているようであります。  酒なんというものは自由販売で、いまどこでも売っているわけですね。これをなぜ昔のように——それは水を混合したり、何かにせものもこのごろ出ているようなときもあるようでありますけれども、こういう券で酒がどんどん出ているわけですね。これをなぜ販売業という特定の権利を与えて市販しなければならないのか、その点もう一回ひとつ。もっと自由にやったら、五千億は増税になるだろうと思うのですね。これは大蔵大臣、考えてみたら、もっと一般に販路を広げてみれば、いまみたいな古色蒼然の昔の酒販売の指定店だけで売らせないで、もっと広くある程度範囲を広げてやっていったら、五千億は上がってきますよ。いま一兆円ぐらいですかね。五千億は上がってくる。五割は上がってきます。そういうふうに思うのです、自由に売っているのですから。     〔野田(毅)委員長代理退席、小泉委員長代理着席〕 自動販売機で売っている実態もあるわけなのですから、そういう状況から見て、酒販関係についての自由化をもう少し進めていくべきじゃないかと思うのですが、関係者の御答弁を願いたいのです。
  86. 大槻説明員(大槻章雄)

    ○大槻説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、酒の販売につきましては免許制度がとられておるわけでございますが、これは、酒には高率の酒税が課されておりますし、歳入源としても酒税の占める位置は高いわけでございまして、このような酒税につきまして保全を図るためには、製造者が納付すべき酒税が流通段階を通じて消費者に転嫁されて、それが取引を通じて租税相当額が円滑に製造者に回収されることが必要なわけでございます。このように酒類の販売業者は酒税保全のために重要な機能を営むものでございますから、一定の条件を満たす場合にのみ販売を認めることが適当と考えて免許制度がとられているわけでございまして、このような趣旨から、免許制度は維持すべきであると私どもは考えておる次第でございます。
  87. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 その一定の条件を言ってみてください。  それから、「のみ」と言われましたけれども、「のみ」とはどういうことを言われているのか、言ってみてください。
  88. 大槻説明員(大槻章雄)

    ○大槻説明員 販売業免許の実際の運用に当たりましては、国税庁長官の通達によります酒類販売業免許等取扱要領というものが定められてございまして、そこに、主要な要件といたしまして、申請者の人的要件、販売場の場所的な要件、それから酒類需給調整上の要件等が定められておるわけでございまして、その要件に該当する場合に、いろいろ総合的に判断いたしまして税務署長が免許を与える、こういうふうに相なっておるわけでございます。
  89. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 こういうふうに自由販売なり、あるいは自動販売機で売っているわけですね。だから、そういう状態になってきている今日、もう少し範囲を拡大してこれを自由販売にすれば、税金の方の入りもよくなるわけでしょう。税金の入りもよくなるのだから、遠くの方まで行かなければ買えないという状態じゃなくて、なるべく広い範囲に拡大をしていって、余りかたくなに、昔のように条件にこだわらずに、もう少し範囲を広げて自由に酒の販売ができる。いまはもう大体びん詰めですから、ウイスキーにしても何にしてもそういうものはみんなびん詰めで、動かすことができない状態になっているのです、調合するなんてわけにいかないのです。そういう古色蒼然と、何か特定の権利のごとく扱わせておくような状態からもっと開放的にしていくという考え方はないですか。もっと自分の税金を取ろうという考え方はないですか。今日の段階でそれが困難な条件はないでしょう。もう少し自由に申請させて自由に許可して、ある程度の自由競争もあっていいじゃないですか。それがいまの大勢でしょう。
  90. 大槻説明員(大槻章雄)

    ○大槻説明員 免許制度の運用に当たりましては、私どもはそれほど硬直的に考えているわけではございません。あくまでも消費者の利便ということも十分配意しながら、酒類の一定地域に対する供給が円滑に行われるように、しかも、販売業者に対しましては、免許の上にあぐらをかくことなく公正なる競争を通じて消費者にサービスができるように強く指導しているわけでございます。  それから、自動販売機の件が御質問として出たわけでございますが、自動販売機にコインを入れますとガチャンとお酒が出てくる、そういう意味におきましては人的要件が要らないのじゃないか、物を売っているのは機械だから、人間が関与する部面がないので要らないのじゃないかというようなお考えであるいは御疑問を呈されたのかとも思うわけでございます。自動販売機の場合におきましても、酒屋の場合におきましては、記帳とか商品の管理とか仕入れとか、いろいろ問題があるわけでございますが、自動販売機だけで売っている場合ではなくて、店頭でいわゆる一般に売っている場合と同じような問題があるわけでございますので、私どもとしては、人的要件は必要である、さように考えておるわけでございます。  なお、自動販売機のみによる酒類の販売業に対する免許につきましては、四十八年八月以降当分の間免許を与えないという方針にいたしております。これは、未成年者の飲酒禁止あるいは飲酒運転の防止、さような見地からとっている措置でございます。
  91. 沢田委員(沢田広)

    沢田委員 どうも御苦労さまでした。終わります。
  92. 小泉委員長代理(小泉純一郎)

    ○小泉委員長代理 後藤田正晴君。
  93. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 妙なめぐり合わせで、主客転倒した形でこうして御質問するわけですけれども、大臣にはごしんぼう願いまして、時間がありませんから簡単に結論だけお答え願いたいと思います。  先ほど沢田さんから、現在の国の財政状況についての認識、また国債がこれまでふえた現段階においての国債というものに対する考え方、これは一体どうなんだということで御質問があって、大臣がお答えになっておられた。私は、率直なところ、予算委員会での答弁なり、また先ほどの坊さんのお答えなりを伺っておって、財政の現状に対しても少し認識が甘いのじゃないか、これは会社ならもう破産しておる、破産でなくても、少なくとも会社更生法の適用申請ぐらいはもうやっておる段階じゃないか、地方団体ならもう再建団体に指定されているというような厳しい財政状況ではなかろうかなと思うわけなのですよ。  また公債についても、なるほど四十年代の前半は大分努力の跡も見られますけれども、ドルショックなりオイルショック以降、五十年代に入っての状況を見ますと、一たん覚えた味は忘れられない、これはやはり麻薬だなというような考え方で御処理なさらないと、国債についても、国債の利払い、元本の償還のためにまた国債を出すというおそれがありはしないかなと私は思うのです。政府はいろいろ御苦労なさっていらっしゃる。むずかしいということも私はよくわかりますけれども、そういう御認識で財政の再建に取り組んでいただかなければならぬと思うのですよ。  そこで、改めて財政の再建ということにつきまして、公債発行の歯どめということをも頭に入れていただいて、簡単にお答え願いたいと思います。
  94. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 今度の五十二年度予算の編成に当たりまして一番重大視しなければならないことは、公債特に特例公債を減らしていこうということで骨を折りましたが、これはもうここでお話し申すまでもなく、事情は御存じのことと思いますが、金額においては少しわれわれの目的を達成することができなかった。依存率におきまして辛うじて減らしていったということでございますが、今日、日本で何といっても一番大事なことは、やはり景気を浮揚さすということである。景気を浮揚さすためには、積極財政でもってやっていくということでございますが、しかし、それに急なるの余り公債がふえていくということになりますと、結局これは日本の財政をぶつ壊してしまうというようなことで、先ほども申し上げましたとおり、単純なる方式でいけば、まさに二律背反の上を通っていかなければならないということで、私は、後藤田さんに御注意を受けるまでもなく、これは実に大変なことであるということはしみじみと感じております。だから、どうしても五十二年度にはこういうような姿で、とにかく依存率だけはどうにかこうにか落ちましたけれども、五十二年度から五十三年度、五十四年度、五十五年度には、先ほど来申し上げておりますが、どうしたって特例公債のない財政というものをつくっていくことが一番大事なことでございます。そのためには普通の税の収入を相当程度引き上げていかなければならぬということが、これまた国民の皆さんに対しましては、まことにどうも苦しい目に遭ってもらわなければならぬと思いますけれども、しかし、将来日本の財政を何とかして立て直していくためには、ぜひとも国民の皆さんにも御協力を願い、特に国会の議員の皆さん方の御協力によってのみ目的を達することができるのだ、かように考えておりますので、どうぞよろしくお願い申します。
  95. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 大変御苦心のあるところだと思いますが、まあ決死の覚悟でひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。  ところで、いま国債の依存率を〇・二%下げるということで非常に努力をしておるのだ、なるほどその話もよくわかるのですけれども、この点どうも数字のつじつま合わせではないのか、こういう疑問がある。間違っておったら直していただきたい。それは、ことしの予算を見ますと、交付税会計で九千四百億円の借り入れを予定しておられる。これは国の交付税特別会計の借金なのだ。したがって、広い意味での国の借金と考えられるのではなかろうかなと思う。間違っておったら直していただきたい。  それから、この九千四百億円の交付税特別会計の借入金のうち四千二百二十五億円、これは将来償還費相当額を、国が臨時地方特別交付金を交付することで、実質的には国の一般会計が肩がわりをする。これは法律案が出ているわけですね。これは実質的に国が四千二百二十五億円の債務を負担したことになるのではなかろうかなと思う。後で国が返すわけです。だとすれば、形式はともかく、実質的には国債と同様に考えられる。そこで、それらを考えると、節度ラインと言われている三〇%がどうもすでにオーバーしている、それぐらい国の財政というのは苦しいのではないかな、こう思うのですが、これをちょっとお答え願いたい。
  96. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私は、その四千二百二十五億円というものは将来の債務というふうには考えない。五十五年から償還を地方がやっていく、そのためには地方財政が非常に苦しくなる、苦しくなるから交付するということでありまして、借金を返すというふうには私は考えておりません。そういうことで、そこのところは後藤田さん大変な専門家でいらっしゃいますが、そこの点について何でしたらひとつ事務当局から聞いてください。そういうふうに私は考えております。  それから二九・九と二九・七と、これはまるで大したことはないじゃないかというお話でございますけれども、なるほど数字の上におきましては、確かに〇・幾らというようなことですから、おっしゃることがわからぬじゃありませんけれども、いやしくも歯どめというものはそこ一線、三十八度線というものは幅の広いものじゃないのですよ。その歯どめというものはそこの一線だと私は思う。その一線を守るか守らぬかということによって財政が崩れてくる。少なくともそこのところは私は守った。その数字というものは一つの線だというふうに考えていただきたいと思いますね。それをどうでもいいのだ、一や二のことならどうでもいいのだというようなことでは、これはどうにも崩れてしまうということであろうと私は思います。
  97. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 それでは私は、この財政再建のためのいろいろな方策についてお伺いしたいと思うのです。  私は、予算の編成というプロセスをじっと考えてみますと、どうも各省、大蔵省あるいは政治家、すべてが高度成長時代の惰性から脱却していないのじゃないか。というのは、やはり前年度何%伸びたから、ことしはこの何%以下に落ちたのでは、少しでも落ちたのではメンツに関する、何としてでもこれは確保するのだといったような姿が見られる。これは高度成長時代ならばそれでも可能かもしれませんけれども、これから先はそういうことじゃとてもだめじゃないか。     〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕 だからこの際こういったパターンを改めて、各省も改める、われわれも改める。そうすることによって、大蔵省の皆さんも各省の力を合わせながら、既定経費だとかあるいは当然増といったような経費についてもひとつ厳しい洗い直しを行って、行政経費の総点検をやる。そして財政自体の減量作戦、これが私は必要ではないかな、こう思うのです。これが一つ。  もう一つは、何といっても今日複雑多岐にわたってきた行政機構、それと定員、これらについてはもう少し厳しい合理化措置を講じなければいかぬのじゃないか。毎年これは言われておる。なるほど日の出の内閣でありませんと、行政規制などということはできないことは私はよくわかっているのですよ。わかっているのだけれども、今日の財政の実情を見ると、これにメスを入れぬ限りはどうにもならぬだろうという気が私はするわけなんです。ところが、長年言われながら、昨年は法務省は訟務局をおつくりになっている。ことしのは若干意味が違うかもしれないけれども、飛行場で税関事務をやるのを役人がやっておった、それが今度は政府出資の会社になる。これはみんなそういうように逃げていくのですよ。しかし、これはみんな国民の負担になる。財政再建策をやろうというときに、国民の理解を求めなければとても増税できないわけですから、まず政府みずからが何といったって安い政府にしなければ私はとても通らぬと思うのですよ。そういう意味合いから、行政機構の改革あるいはそれに伴う定員の合理化といいましょうか、縮減といいましょうか、そういうことについて、八月にやるのだとおっしゃるけれども、いまの取り組み方じゃそれはとてもじゃないが羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいになりはせぬかな、こう思う。これらについて大臣の御所見を承りたい。
  98. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 御指摘のとおり、一たん腰の伸びたのをしっかりと縮めようと思うことは非常にむずかしいと同様に、国家予算におきましても、御指摘のようなことをやることは、私は容易ならざることであるということはしみじみ感じておりますけれども、五十一年度、五十二年度予算におきましても、その点をないがしろにするというようなことは全然なくて、一々私は覚えておりませんが、でき得る限りのそういったものに対する見直しということはやってまいりましたが、今後もこれにつきましては真剣に、福田総理も八月までにという決意をいたしておりますが、私も先日福田総理から、おい、これをしっかりやらにゃいかぬぞということをひそかに、心安いものだから言ったのでしょうけれども、御指示を受けておるというようなことで、これもひとつ腰を入れてやっていきたい、かように考えております。
  99. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 ぜひそういう真剣な取り組み方をお願いする次第でございます。  次に、財政再建策の一つとしての増税問題、これは中期財政試算表によりますと、五十五年度までに中央、地方合わせて三%程度の増収を見込んでいらっしゃる。政府は、いままでの答弁を聞いておると——これは私にも経験がございます。前非は悔いております。しかしながら、どうも税調というものをつい立てにしがちなんですよ。しかし税調にはすでに各省の案というものは出ていて、かんかんがくがくやるわけだ。まあそれはそれとして、税調にかけておるのだからなかなか言いにくい、それは結構です。しからばお伺いしたいのは、たとえ税制調査会の答申があったとしましても、私はこれはなかなか実現するのは見込みがないな、こう思わざるを得ないわけですよ。それじゃいかぬわけですね。  そこで、この委員会でもしばしば野党の皆さん方からいろいろな御意見があった。私はその中身については必ずしも野党の皆さん方と同じ意見でございません。しかしながら、そうは言いながらも、今日のこの租税特別措置、これの中には、毎年努力していらっしゃるけれども、坊さんもよく御存じのはずなんです、これがどれくらいむずかしいかというのは。しかしこれはやはり残っておる。同時に租税特別措置でなくても、課税所得の計算をする際に、租税特別措置的なものが相当残っておる。不公平税制というものは何よりも、できる限りは手をつけないと、とてもじゃないが、こんな増税求めたってうんと言うはずがないのではないか。もう一つは税務執行上の不公正ですよ。これは給与所得者が考えればすぐわかるでしょう。こういったような改革を本当にやっていただきたい。私はその御決意をお伺いしたいわけなんですよ。いままでどおりじゃ、これは坊さんできませんよ、残念ながら。  もう一点は、増税の際に、考えていらっしゃると思うけれども、改めて答えにくいなとは思うけれども、できればひとつ明らかにしていただきたい。それは、これから先の増税を考えた場合に、それはなるほど所得税とかあるいは法人税、つまり所得課税、これもどんどん取ったらどうだという御質問等野党から出ていらっしゃった。しかし私は、今日の日本の税の仕組みを考えた場合に、どう考えたって、七〇%という所得課税に頼っておったのでは、税の安定性ひいては財政の安定ということは期せられないと思うのですよ。同時にまたこれらについても本当はアッパーリミットに達しておるのではないか。だからどうしてもこれから先増税ということを考えた場合には、もちろん低所得者に対する過重な負担であるとかあるいは逆進性であるとかいろいろ問題がある、これらには十分配慮せねばならぬけれども、やはり私は間接税の増徴以外手がないのじゃないかと思うのですよ。そういう点について率直な感じ方でもいいですから、ひとつお答えを願いたい。
  100. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 これからある程度の増収を税によって図らなければならないということは、これはもう避けられないことです。それを実践していくためには、おっしゃるとおり、まず税制に不公平、不公正があったのじゃこれは私はできまいと思うのです。それはどうしたって税制の公正化ということを考えつつこの大きな増収を図っていくということでなければ世間は相手にしてくれない。さような意味において、これも後藤田さん十分御存じのことでございますが、税制の中には、ただ単に租税特別措置法の中の租税特別措置、この中に私もいやなやつがありますよ、大変な、何とかしなければならぬというのもこれはあります。しかし、そういったようなものについては、これを是正していくということは方々でつっかえましてなかなか困難でございますが、これはどうしたって租税の公正化ということはまずやらなければならないと、後藤田さんからその御忠告を受けまして——受けなくても、恐らく後藤田さんのお考えそうだろうと私は拝察しておりましたが、非常に力強く感じております。  それをやるとともに、大きな増税をやるためにはひとつ間接税をやらなければと、こういうお話でございますが、そういったようなことについてはやはり甲論乙駁がございます。私には私の意見がございますよ。ありますが、それなら私が今日ここでどういう税をやるんだというようなことを、これはとても申し上げかねますよ。後藤田さんとは本当に莫逆の友ということを私は痛感しておりますけれども、いま私は、いろいろ税の材料があるが、その材料の中でどれを選んで、そして国民の皆さんに、たとえば直接税でいく方がよろしゅうございますか、間接税でいく方がよろしゅうございますか、いずれかの方法でもってしなければ日本の財政は立て直すわけにはいかないんだ、日本の財政を立て直すためには何らかの方法でもってやらなければならぬのだが、どちらで協力していただけるかということをお聞きした上でやっていきたい。そのためには、何と申しましても国会の皆さんにまず第一に御批判を願って、そうして選択を願うということが大事なことだと思います。いま私の頭の中はいろいろな材料でいっぱいになっておりますけれども、さて、これをいかなる料理を私自身が食べさしてもらうか、国民の皆さんに食べていただくかということにつきましては、しばらくひとつ御猶予を願いたいと思います。
  101. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 次の問題は、一つは、国や地方の財政の現状、つまり税の仕組みとかあるいは歳入全体のありさま、あるいはまたその歳出、つまり税の使い道、こういうような事柄について、これくらい国なり地方団体はいま困っているんだよということを一般の国民に何かやさしい方法で知らせる手だてはないものだろうか。なるほど大蔵省なり自治省から、あるいは府県庁もそうでしょう、いろいろとパンフレットが出ています。どれを読んでみても、食いつきたくなるものは余りありませんよ、むずかし過ぎて。一般の人はいわんやわかるはずがない。これではやはり税金というのは取られるものだといったような感じしか残らぬと思うのですね。だから私は、こういった国民への周知徹底ということを、本当にいままでと考え方をまるっきり変えて、やさしいやり方でやって、しかも今日の財政の窮状というものを本当に裸の姿で国民に訴えるということをまずやらないと、これまたなかなか増税はむずかしい。これらについて何か大蔵省の方で、事務当局でもお考えになっていらっしゃることがあるのならお伺いをしたい。
  102. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。何しろいま増税なんということほど国民がいやなことはない。それで、坊が大蔵大臣になって増税を考えておるぞというようなことを言われたら、私個人のことを考えれば、これは決して得じゃございません。これは得じゃございませんけれども、日本の財政立て直しのために、私自身のことなんかは本当に考えておりません。そこで、何とかして立て直しの方法を立てていかなければならぬ。それにつきまして後藤田さんのおっしゃられた増税というのは、鬼かジャかというような考えを国民の皆さんの大部分がお持ちになっておるのも全く無理のない話でございますけれども、そこのところをこれはこのまま置いておいたのでは日本の財政がもたぬのだ。そこで、財政をもたすためには何とか国民の負担というものをがまんしてもらわねばならぬというようなことを、おっしゃるとおり国民の皆さんに対して納得させて、納得までもせられなくても、なるほどやむを得ないなというふうにこれを考えていただくことが何よりも大事なことだと私は思っております。それをぜひとも事務当局にも考えさせまして、しかしそれの一番有効なる、有力なる手段は、議員の皆さんが選挙区へお帰りになって、後藤田さん徳島県へお帰りになったら真っ先にそれを話をしていただきたい、これをお願いしたいのです。不公平な税制はたくさんあります。これは真っ先に直そうじゃありませんか。お願いします。
  103. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 選挙区へ帰ってやれというので、やります。やりますけれども、せっかく二階へ上がったらはしごを外さぬようにお願いしたい。今度の所得税の追加減税、これはこういうので一生懸命にやれと言われて話しておったら、いつの間にか追加減税をやるようになってしまった。こういうのでは困りますから、これはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に国債の消化につきまして、時間がありませんから私はひっくるめて質問いたしますから、お答え願いたいと思うのです。  これはいままで四十一年から四十九年まで発行高も比較的少ない。経済環境にも、一時期は別として大体恵まれておったといったようなことで、九〇%前後は金融機関が一応引き受けて、都市銀行だけ聞いてみましても大体四〇ないし五〇%程度は引き受けておった、こう言っておるのですよ。一年後には買いオペで日銀が吸収するわけですね。これはいままで成長通貨の範囲内だったからサイクルがうまくいっておったのでしょうけれども、今日のように膨大な国債発行せられることになると消化が大変だな。一体成長通貨は幾らですか。五十二年度成長通貨はどのくらいと計算していますか。——結構です。私の聞いている範囲では一兆五千ないし二兆といっているのですよ、これは正しいかどうかわかりませんけれども。五十二年度だけとってみても八兆五千億出るわけですよ。そうしますと、どう考えたって円滑な国債の消化はいままでのやり方ではなかなか容易ではないと私は思う。さっき大倉君かだれかが、やり方はいままでのとおりだとおっしゃるけれども、私はこれではなかなかうまくいくはずはないと思いますよ。そこで、そういったことをやっていると、結局最後は通貨増発にまで追い込まれますよ。いまにして公債の管理、市場の育成であるとかあるいは——政府だって借り手なんですよ、だとすれば、市中の実勢金利の動きを見ましてやらなかったら、これはとてもじゃないが、どうにもならぬじゃないかと思う。だとするならば、発行条件等についても何かのお考えがあるんじゃなかろうかな、私はこう思うわけですよ。  御案内のように、国債の流通市場というものは現在整備されておりませんね。いままではそれでいいかもしらぬけれども、これから先はそうはいかぬのだから、流通市場の整備ということについて一体どのようにお考えになっていらっしゃるのか。五十二年度は八兆五千億という多量の国債発行せられますけれども、幸か不幸か、ことしは民間の前向きの設備資金が余りないわけですよ。いまの金を借りにくるのは、大体後ろ向きの、銀行の貸したくない人ばかりが来ているわけでしょう。こういうことに恵まれておるわけですね。私はまだことし限りであれば、何とかこれはある程度改善するんじゃないかと思います。しかし五十三年、四年になったら、とてもじゃないが動かなくなる。せっかく余裕のある時期なんですね、時間に余裕があるわけですから、したがってこの際、将来に備えて流動化の促進であるとか発行条件の検討であるとかあるいは流通市場の整備、こういった問題に私は早急に取り組まなければならぬと思う、取り組んでおられると思うのですよ。だから、どういう取り組みの仕方をいま準備を進めておるかということについて、ひとつお答えを願いたいと思うのです。
  104. 岩瀬政府委員(岩瀬義郎)

    ○岩瀬政府委員 お答えいたします。  国債の大量発行下においていろいろの問題が生じてくるであろうということの御指摘はそのとおりでございまして、私どももいわゆる国債管理政策というものをいままでも時宜に合わしてやってまいりましたけれども、それに対処していきたいということで用意はいたしております。  そこで先ほど先生御指摘の、大量に国債を出すのだが、金融機関の手持ちが、いままでのように買いオペの残りが残るであろう、したがってその辺の処理はどうかということでございますが、これは私どもとしましては、そのときの金融環境を踏まえながら、日本銀行等の金融政策等とあわせながら、環境の整備をどういうふうにやっていくかということにつきましては、経済の動きがそのときによってかなり違いますので、あらかじめ用意をするというよりも、その辺の点を十分にいろいろなケースを想定して対処していくということが適当じゃないかと考えております。  そこで、先ほどちょっと成長通貨の御質問がございましたが、成長通貨は幾らであるかということにつきましては、これは現金通貨の伸びあるいはM2の伸びと、いろいろございます。最近では月々大体一二、三%ぐらいの伸びになっておりますので、現在のGNPの伸びと比較いたしますと、大体経済成長に合わしたような、それよりやや高い程度の通貨の伸びかと存じます。したがいまして、いまのような状況下におきましては、とにかく国債をめぐる環境というのは、資金需要が強くございませんから、非常に問題は含んでおるけれどもまだ問題は顕在しておりません。しかし将来、実は景気対策を盛んにやっておりますので、そういうものが効果を出してきたときに、あるいはそのある時期におきましては、よく言われるクラウディングアウトの問題が生じてくる可能性もございます。いま御指摘の点は、そういうときに用意があるかということであろうと思いますが、いずれはその景気対策が効果を生じてきて税収等が上がってくれば国債が減っていくという形の、その間のタイムラグをどう考えるかということかと思いますが、そういう点も含めまして鋭意国債管理政策の検討を続けておるところでございます。
  105. 後藤田委員(後藤田正晴)

    ○後藤田委員 まだ税の問題もお伺いしたいのだけれども、時間が参りましたので、また適当な機会にさしていただくことにして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  106. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 伊藤茂君。
  107. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 お互いに遅くまで御苦労さまでございます。  最初大臣伺いたいのですが、いままでの本会議あるいは予算委員会の議論の中で総理も言われておりましたが、国債は一般的に悪いとは言えない、しかし、もろ刃の剣みたいなものであって、使い方によっては危険な場合もある、言うならば毒にも薬にもなるのだというふうなことを言われているわけでございますけれども、大臣いかがでしょう、現状ですね、今日の情勢において、現在の建設国債という言葉遣いも私余り好きじゃないのですが、四条公債あるいは特例債を含めたこの状況ですね。日本の経済あるいは財政にとってもろ刃の剣あるいは毒か薬かという、どちらの方に当たっているとお思いになりますか。
  108. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 公債というものは、やはり総理が言っておるように、二つの意味がある。もろ刃の剣と申しますか、毒にもなれば薬にもなるというふうに私は考えます。ある時期においては、公債というものは、これは喜んで出すものではございませんけれども、ある目的のために公債を出して、ある時期、ある環境のもとに公債景気調整ということにも相なりますし、本来の目的はこれは歳入が足りないから、そこでこれを補てんする、こういったようなことから公債というものはあるのだと私は思いますけれども、その時期、時期によっていろいろな作用をするのではありませんでしょうか。そういうようなことから申しますと、一概に公債は毒だ薬だと言うわけにはまいらない作用を持っておる。(伊藤(茂)委員「現在」と呼ぶ)現在ですか。現在は、このままこの公債政策が続いていくということだと、これは大変な毒になる。少なくとも、この公債というものは毎年毎年減らしていきまして、そして五十五年度には少なくとも特例公債というもののない財政をつくらなければならない、かように考えております。
  109. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 何か最初から揚げ足取りみたいな質問にとられたら大変残念でございまして、やはり今日の状況認識というものは、いささかの甘さも許さない厳しさを持って今後の状態に対応しなければならない。そしてまた、こういう財政危機をどう打開をするのかということについては、この国会の議論を通じても、いわば国民的課題として、この打開の方途というものについてよりベターな結論を見出さなければならないというふうなことだと私は思います。ですから、私どももこの伯仲国会という新しい状況の中で議会に参加をいたしましたが、何か揚げ足取りをより激しくやろうという姿勢ではなくて、国会の論議を通じて、より国民にとってメリットを生み出す、そういう重要な責任を担っている。こういう時期に新しい議員になりました私どもは、特段にそういう考え方を持っております。ということは、いままでの政府の責任なりあるいは今日の対応なりについて、これは決していささかも是認をするというものではございません。戦後かつてないこの財政危機に直面している。それをシンボライズするものが今日の赤字国債であり、あるいは国債全体であるというふうなことであると思いますし、もろ刃の剣で、毒になるときも薬になるときもある、このままでいったら毒になるであろうというふうな悠長な現状ではないのじゃないだろうかというふうに思います。それからそういう打開についても、いままでの議論を通じましても、何かいままで膨大に積み上げてきたこの財政赤字国債、これを既定事実として、ある意味では残念ながら既定事実でございますけれども、これを盾にとって大増税のキャンペーンをしいていくというのが、特に最近の大蔵省の態度ではないだろうかということを感ずるわけであります。それは後ほどいろいろ詳しくお伺いをいたしたいと思います。  一つまずお伺いをしたいことは、赤字国債特例中の特例であるという説明がいままで何遍かございましたけれども、もはや特例ではなくて通例化している。また、歯どめの話がありました。大蔵大臣政府の政策で歯どめをかけるということではもう間尺に合わないのじゃないか。財政上あるいは物理的にも、こういうことでは大変なことだということをもっと考えて、歯どめをかけていくというのが必要な時期ではないだろうかと思います。  そういう意味で考えますと、先ほども、昨年は国債依存率が二九・九%、ことしは二九・七%、そのわずかの差のことについての御議論がございましたが、私は正直に言いまして、欧米の諸国、アメリカでも西ドイツでもフランスでも、これは御承知のとおりに、七五年当時は大変な公債依存赤字財政でございましたが、今年度あたりからは相当大胆にこれを軽減していく。そういう一歩を踏み出しているという状況が国際的な状況ではないかと思います。それに比べますと、本年度予算編成の過程の中で、一体日本の政府がどういう努力をしたのだろうか。この法案に関連して振り返ってみても、改めて何か疑問を深くするわけでありますが、大臣はどうお考えですか。
  110. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 どうも財政が苦しいということは初めからわかっておる。そこで、しかしながら赤字公債特例公債というものは減らしていかなければならないということを初めから考えておりました。だけれども、予算を編成するに当たりまして、一方において福祉ということを軽視してしまうわけにはいかない。教育にいたしましても、公共投資——これは建設公債で行きますが、いろいろな問題について国民生活の安定を図っていくというためには、ある程度予算の規模を保っていかなければならないというような、体は一つでも、二つも三つもの要請を何とか実現していかなければならないといったような羽目に予算編成のときに遭ったわけなんですね。で、私どもといたしましては、その中で一番大事なことは景気浮揚だというようなこと、しかしその景気浮揚のために余り馬力をかけますと、物価が上がるとかいろいろなことが起こってくるというようなことを考えまして、それはなかなか思うとおりにはいけなかったということを私は考えておりますけれども、しかし、今日、この事態に臨みましてできた予算というものは、この事態に沿うて、これを実行していくことによって、われわれの目的を完全に果たす、そういう神のつくりたもうたようなものではないと思いますけれども、まあまあこれでもって、ぜひ皆さん方の御審議を願って、そうしてやっていくことによって、この窮境を突破していく一つの足がかりをつくった、かように考えております。
  111. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 大臣説明になりましたが、私ども、租税特別措置討論の中とかいろいろなところで、この方がベターであり、可能ではないかというようないろいろな提起なりしてまいったわけでありますし、これからもしたいと思います。そういう意味で考えますと、大臣ですから当然かもしれませんが、いま言われたような評価は私どもは大変不満ですが、それはいろいろな議論を通じてさらに展開してまいりたいと思います。  そういう姿勢の問題とも関連をいたしますが、これは念のために一つ伺っておきたいのですけれども、御承知のとおり三千億減税が実現をいたしました。私どもは画期的なことだと思っておりますが、いままでの議論の中でも、また新聞報道を見ますと、総理もこの三千億の減税の財源策として、この財源策は英知を結集して、早くいいものができるように私どもも共同で努力したいと思いますが、その財源に関連をして、赤字国債は積み増しはしないというふうに言われているようでございますが、この点ははっきり断言をしていただきたいと思います。
  112. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 これが大変な問題でございます。現在のところまだこれに対する財源措置のめどはついているわけではありませんが、今後、財政状況の推移を見きわめつつ適切に対処して、年度中における特例公債の増発という事態は何とかして回避してまいりたい、かように考えております。
  113. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 何とかして積み増しなしに解決していきたいと言われました。一〇〇%完全に赤字公債をいたしませんということであれば言うつもりはなかったのですが、昨年の特例債の議論の中で、この法律の中に発行限度は書き込まない、予算総則の中に書き込んでいくということに関連していろんな議論がございました。それから、今度の財政審の答申で今度の予算に関連した中にも、法技術論から見たようなことで幾つかの文章が書いてございます。それは読ませていただきました。ただ、私どもが昨年の国会でも一貫をして述べてまいりましたのは、そういう法技術的に二重議決になるではないかとかどうかということではなくて、やはり財政法第四条自体の立場として、これは特例中の特例であって、言うならば歯どめの意味を持っているのだ、法律が一遍通ったから、補正予算か何かで法律の議論をすることなしに積み増しができるというようなことはあってはならないという議論をいたしたわけでありまして、財政審の昨年決まったこの問題についてのいま出ている考え方とかいうことは、私どもが追求してまいりました、あるいはまた意図してまいりました内容とは大変ずれているというふうなことではないかと思いますし、そういう議論がまた根本に繰り返されることのないようにお願いをいたしたいというふうに思います。  それから姿勢のようなものを伺いたいのですけれども、今日の財政危機の打開、まさに国民的な課題としてこれを打開しなければならないということを先ほども申し上げましたが、これを打開するためには、やはり国民的な合意を極力求めるような努力を根底にしながら、あるいは国民的な合意というものを極力追求する姿勢の中でこの財政危機を打開する、そういう姿勢と行動が非常に大事ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  114. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 おっしゃられるまでもなく、やっぱりこういったような難関を突破していくためには、国民的の合意、国民の皆さんの御協力ということがなければ、これはなかなか困難であろうと考えます。
  115. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 それではお伺いいたしますが、先月の初めにいろんな新聞に桜田私案というのを発表されております。申し上げるまでもなく、日経連の会長というよりは、大蔵大臣が任命をしている財政制度審議会の会長でございます。この桜田さんが、五十五年度には赤字国債ゼロは無理である、桜田さんが自分で書いたというよりも、これは日経連で調査をいたしまして関係の専門家が作業をしたものだと思いますが、そういうことが一斉に報道されております。     〔委員長退席山下(元)委員長代理着席〕 私もその資料の中身を読ませていただきました。これだけ難局にある、あるいはまた大臣もいま、国民的な合意を国民に向けて求めながらこれを解決をしていかなければならないということも言われました。そういう中で、国民的な合意を求める一番焦点にある政府、大蔵省、そしてまたそういうものを具体化し、国民にも大いに意見を求めながら作業をする立場にあるべき財政審の会長が、大臣説明とはえらく違ったことを言われている。これは非常に重大なことであると思いますが、どういう感想をお持ちですか。
  116. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 桜田さんは財政制度審議会の会長であって、そしてわれわれが五十年代前期経済計画に基づきましてそれを足がかりとしてつくった財政収支試算というものを十分御存じのはずなんです。御存じのはずより、これは了承されておる。その桜田さんが新たにそれよりはずいぶん厳しい桜田試算というものを出されたということ、私もそれをいただいております。ただ、私はこれについて考えますと、桜田さんは、とにかく財政収支試算につきまして、これは容易ならざることだというふうに私どもと同様にお考えになった、そこで、おまえらよほど腰を据えてかからなければこれはこんなことになってしまうぞというふうに、桜田さんは非常な警鐘を乱打してくれたものだというふうに私は考えまして、それで桜田さんの私案を見ましてさらにこれはひとつ大いに努力をしなければならないぞというふうに私は受けとめております。
  117. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 新聞を見た国民の中でそれほど善意に解釈をする人は私はほとんどいないのじゃないかと思うのです。大蔵大臣はずいぶん上手に答弁をされましたが、やはり多くの国民が、今日の財政危機の状態、そしてまたこれをどう解決したらいいのか心配していると思います。それからこういう事態が国民生活にどう影響するのだろうかということも多くの人が心配をしているという状況だと思います。私どもも地域に帰りましたら、とにかく三十一兆円の残高とか、五十五年度の五十四兆七千億ですか、そういう借金とかを人ごとのように思ったらだめですよ、国民全体が責任を持つのです、三十万、五十万の借金に一人当たりなるのですよ、これをどう打開したらいいのかということで、私どもの意見も言い、いろんな話もするわけであります。これは政治家としての責任だと思います。そういう意味から言いますと、それでは一体どういうふうに打開をするのかその方策を示す責任が政府にもある。当然なことです。それと同時に、私は桜田さんの方がよくて大蔵省が悪いとかその逆であるとかいう意味ではありません、両方とも批判する立場ですから。ただ、国民に判断を仰ぐ大きな権威のあるあるいはあるべき大蔵省の方と、それから財政審の会長と、言うことが違っている。私は、こういうことを見ますと、単におかしいというだけではなくて、現在の財政審あるいは財政審の構成、存在そのもの、あるいはまた政府の姿勢そのものということをもうちょっと考えなくちゃならぬという気がいたします。  もう一つ関連してお伺いしたいと思いますが、いまこの財政危機の中で財政の中長期計画を導入するということが話題となっているようであります。伺いますと、昨年の九月に財政審の中に財政運営基本問題小委員会というのを設置をして、調べてみますとこれも桜田さんが小委員長のようですが、二年がかりでこれを議論する。その前には、四十九年の秋ですか、長期財政見通しについての中間報告というのがございました。これも読ませていただきました。こういう作業をしていく。新聞や何かでは、何か財政法の改正まで結びつく、あるいは現在の単年度主義というものを改めていくということに結びつくのじゃないかというふうな評論も行われているわけでありまして、非常に重要な問題だと思います。これは言うまでもなく、憲法八十六条とかあるいは財政法十二条とか、いわゆる単年度主義というふうなたてまえにいまなっているわけでございますが、こういう作業をやっていただいている側として、これらの発想あるいは作業についてどういうことを期待しているのか、見通しなどを伺いたいと思います。
  118. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 財政審におきまして、三つの視点で問題を取り上げようというようなことになっております。一つは、長期的、計画的な観点。その中に、ただいま御指摘のような財政収支試算というようなもの、いわゆる財政計画、毎年度歳入歳出の予定をかなりかた目に見ていくというような問題をどうやって取り込んでいくかというようなのが一つ入っております。二番目には、弾力的、機動的な制度というようなものはどういうものがあり得るのか。たとえて申しますれば景気調整資金みたいなものでございますが、そういうようなものに対してどういうふうに考えるか。それから三番目には、効率的、合理的に財政運営をやっていくにはどうしたらいいか。これもかねて議論になっておりますが、たとえば、アメリカが採用いたしましていまはギブアップしておりますが、PPBSというようなものをどう考えるか、あるいは経費論の一分野になりますが、公共経済学的に、どういう理由税金の金で持つべきであるかどうかというようなことを経費について洗い直す、その場合の基本的な考え方をどうするか。  いま、一つ、二つ例を申し上げて、三つの視点を申し上げたわけでございますが、財政審の基本問題小委員会におかれては、そういうような三つの問題意識を持たれまして昨年の十月から議論をいたし出したのでございますが、当面の五十二年度予算編成の方に重点が移りまして、五十二年度予算が成立いたしましたならばまた継続して審議に入る、そういうような段取りになっております。
  119. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 私は、こういう財政危機の折ですから、もっと中期、長期の確実な見通しを立てる、あるいはそういうことについての論議を深めていくということは、一般論としてやはり当然考えなければならない、あるいは考えられることだろうと思います。  ただ、先ほど国債はもろ刃の剣と。それと同じように、こういう中長期計画の発想をどう取り入れるのかということについても、場合によってはこれは非常にむずかしい、危険な問題になるということも出てくるのではないだろうかというふうに思います。当然のことですけれども、伯仲国会というだけではなくて、まさに財政民主主義あるいは経済の民主的な改革、国民に合意を求めるということが必要な時代でありまして、そういう中で、それをベースにするのではなくて、それと反対の方向に行ったら、これはやはり財政あるいは税制に対する国民の信頼が大きく崩れていくということになると思います。  そういう意味で、いろいろ報道されておりますこととか四十九年の秋に出されましたあの時点でのこの問題についての中間報告とかを読んで見ますと、幾つか懸念する点があるわけでございまして、この中長期計画の導入あるいは財政運営基本問題小委員会で議論していることなどについて具体的に二、三申し上げておきたいと思うのです。  私、非常に懸念いたしますのは、一つは、議会との関係についてです。そういう中長期のプランをつくっていく中で、四十九年の答申をずっと読んでみましても、何かよその国でも議会に出す責任はそうはない、あるいはまたことさらに議会の議決の対象となっていないとかいうようなことをずいぶんたくさんあちこちに書いてあるわけであります。何か大蔵省の予算査定の材料をふやすためのような印象で読んだわけでありますけれども、そうではなくて、大いに国民の前に、あるいは議会でこういう問題についても議論を深めながらやっていくということが必要ではないかと感じたことが一つです。  それからもう一つは、いまの中期財政見通しにも関連をすることかもしれませんが、性格として、計画をつくっていくのかあるいは推定見通しをより豊富にし、確実にしていくというふうな姿勢なのかという問題です。これによって予算編成から含めたあり方がずいぶん変わってくるのじゃないかというふうにも思いますし、諸外国の場合にもいろいろの例、があるようです。  それからもう一つは、何か現在の予算編成の制度、機構、そういうものはそのままにしながら予算査定の材料をふやしていく、そういう中で大臣や、あるいは主計局になりますか、何かそういう権限を非常に大きなものにしていくというふうな発想があるのか、結果としてそう出るのか、いろいろあると思いますけれども、いままでの経過を見ながらそんな懸念を三つほど感じたわけですが、考え方を伺いたい。
  120. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 財政計画は、ごらんになりました四十九年の報告の中にも問題点が要約してございます。  一つは、日本のような高度成長から安定成長に移る経済の構造の激変する場合に的確な経済見通しができるであろうかどうかというような問題、それから財政運営のフレキシビリティーが確保できなくなるのじゃないか、三番目には、経常経費が既得権化するのじゃないか、あるいは推計の技術的な手法は一体できるのかどうか、利用可能な統計資料との関連でございます。それから、そういうような作業をやる機構というものは、各省の予算要求権との関係でどういうことになるのか、あるいは現在公共事業関係にいろいろ法律、したがって閣議決定で五カ年計画があるわけでございますが、そういうものとの関係をどう考えるのかというような問題指摘がございます。  それで、ただいま御指摘になった三点についてでございますが、二番目の、計画見通しかという点でございますけれども、大体ヨーロッパを見ますと、経済計画がありますのはラテン系の国が多いわけでございますが、その場合にはいわゆる財政計画というのはつくっておりません。それからアングロ系の国は経済計画というものはなくて、財政計画的なことをやる国が多うございます。その計画の場合にかたさにいろいろなニュアンスがございまして、議会に参考資料として出す国もあれば、行政府限りで扱ってくる国もある。それから、いまの、計画というよりももっと展望といいますか見通しといいますかそういうような側面で濃淡がございます。これの利害得失がいろいろあるわけでございますが、二番目の問題から先に申し上げたわけでございますが、計画見通しかという問題についてそういういろいろなやり方がございます。  それから一番目の、議会との関係でございますが、これは計画をつくった際に、それを法定して議会に出すというようなやり方をとっている国とそうでない国とが先ほど申しましたようにあるわけでございますが、それは財政運営上に一体どういう意味を持っているのかという御議論のとおりでございまして、その辺も財政の基本問題にかかわる点でございますので、慎重に検討しなければならないというのが四十九年の報告にも書いてあると思います。  それから三番目の、査定当局に有利な道具立てをつくるのではないかというような御指摘。これはPPBSの場合にも議論になったのですが、あの場合には要求側をジャスティフィケーションすることになるのではないかという指摘があったことはございます。新しいこういう手法に取り組みます場合にはメリット、デメリットがいろいろあるわけでございます。それから、国によって政治の統治機構も違いますし、憲法あるいは財政法、会計法も違うわけでございます。そこで、われわれとしては、四十九年の段階で約一年ほどいろいろと外国の制度を調べたわけでございますが、あの報告に書いてありますように問題点、デメリットというようなことで報告が要約されておりまして、それを受けましてただいま御指摘のような問題点、あるいは私が申し上げましたような四十九年の報告が指摘している問題点、そういうようなものを含めまして慎重な検討をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  121. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 いや、いま伺ったようなことは私も答申を読み、その他の資料を読み知っております。大臣、いま私が伺いたいことは、要するにこういう難局を打開する、あるいは中長期を論ずること自体私はもっと深めなければならない問題があると思いますが、大蔵省やっていることですから、私はその基本姿勢として、何か大蔵省がもっとたくさんの材料を持って、もっと権限を持って運用していく、そういうことじゃなくて、やはり財政のあり方、経済見通し、いろいろな周題について議会にもそれから国民の前にも豊富に材料を提供して、判断を求めながら財政民主主義の精神を基礎にして考えていくということが必要だと思うがいかがかということで伺ったわけでありまして、言。
  122. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 とにかく国会の議会制民主主義というものが行われておるのですから、そこでわれわれといたしましてもこれは国会と密接に手をつないで審議をしていくということでなければ、私は、宝の持ちぐされになってしまう、こういうふうに考えます。そこでこうやって国会を開いて、そして本会議委員会だ、あるいはその他の各党の政調と政調との話し合いといったようなこと、これはやっておるわけでございますけれども、私はこれがすなわち議会主義を運用して、そして政策を実践していくということであろうと思います。しかしながらそういったこととは別に、新たな、政府国会とが密接に何かの姿でもって相談し、協議しやっていくというような方式が一つあってもいい、こういうふうに考えております。ただ、それはしかし、それぞれの政綱、政策の違う、これは同じだったら問題になりませんが、違う政党同士でございまするから、そこにおのずから、和して同ぜずという言葉がございますけれども、そういうようなことで何らか新しい形式が生まれてこなければならない、また生まれさすべきだというふうに考えております。
  123. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 いろいろ伺いましたのは、実は私は財政審のあり方ということを申し上げたかったわけであります。大臣は、任命されている財政制度審議会委員何人いるか御存じですか。メンタルテストみたいなことを言って失礼ですが。
  124. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 いま聞きました。二十三人だそうです。
  125. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 いま聞きましたということがございましたが、大変失礼な質問をいたしまして……。私はまじめな意味で、税調もそうですけれども、こういう時代、流動化時代とか変化の時代とかいろいろ言われております。やはり国民的なコンセンサスを求めながらいろいろな議論の違い、大臣も言われたようにいろいろな意見の違いもあります。しかし、何かよりはでにけんかをやるかあるいはけんか別れになるのじゃなくて、やはりもっとベターなメリットを国民のためにつくっていこうという責任を持っている。だから政府の方もわれわれも、あるいはいろいろな行政審議会もそういう方向に改革をしていく必要があるのじゃないか。そういう意味で言いますと、私は二つ、税調も財政審もそうですが、必要な要件があるだろう。一つはもちろん専門性が必要だと思います。専門的な高いレベルでの知識を持ち、意見を言っていただくということが必要なことは言うまでもないと思います。その要件が一つと、もう  一つは、大いに民主的に国民の意見を広く求める、参加を求める、これが二つ目の要件ではないだろうか。そういう二つの要件があって、それぞれやはり国民のためにメリットを生み出すような役割りを果たすのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  126. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 いつも私は考えるのでございますけれども、本当に与党、野党が議論に議論を重ねていくということも一つの行き方だと私は思います。しかしそうでなしに、裸になって、とにかくお互いにひとつ国民というものを目標に置いて物を建設していくというようなことをやっていかなければうそだと思うのですが、しかしそこは余りそういうことになりますと、ちょっと私はまたそこで考え直す。政府とか与党とかいうものに対しては、これは厳しく野党の方々に批判をしてもらうということも大変大事なことではなかろうかということを考えますと、一方において非常に裸になってやっていくということは大事なことであるとともに、また野党の方々には本当に厳しく批判をしてもらうということも大事なことであるというふうに考えまして、ここのところをどう調整していくかというようなことは、そう単純に簡単ではない。しかしながら、ひとつ何とかして——私は何も与党、野党が伯仲したからというようなことでそんなことを言うのではございません。常にそういうふうに何らか実りある話し合いということをやっていくのが大事なことだ、こう考えます。
  127. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 いや、私が伺ったのは、与野党のあり方じゃなくて、審議会のあり方について専門性と民主性といいますか、二つの要件が必要じゃないかと申し上げました。そういう考え方が必要ではないかということについての御意見を伺いたいのです。
  128. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私、取り違えておりますが、ちょっとその御趣旨が……。
  129. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 もう一度言いましょうか。与野党間だけじゃなくて、審議会とかいろいろな政府のやられる作業、そういうものを通じ、たとえば審議会をつくる際にも、二つの性格が必要であろう。一つは、当然のことながら、その分野について専門的な高いレベルの知識を持ち、意見を言われるということは当然必要だと思います。もう一つは、より民主的に、それから広く国民の参加を求めながらという姿勢、その二つの要件が、特にこういう時代の行政審議会にも必要なんじゃないかと思うわけですが、それについてです。
  130. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 広く国民の意見を求めてということは、与党、野党を通じてひとつ何か機構をつくったらいいじゃないか、具体的に申しますとそういう御意見ですか。——いや、審議会を与党、野党を通じて……(伊藤(茂)委員「考え方としてそういうことが必要ではないかということです」と呼ぶ)だから、そういう意味でしょう。現在もそういう委員会はあるのじゃないですか。大蔵省にもそういうあれがあるのじゃないですか。それから、私厚生省におりましたが、厚生省の関係の社会保険の審議会などというものも、おっしゃるように各党と申しますか、各基盤の違う人たちが集まって、そうして審議をやっておるということも行われておるように思いますが、それとは違うのですか。
  131. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 どうも大臣、用心して巧みに話をそらされるのですが、私は、特にこういう政治情勢、これからの社会の中でいろんな国民に広く知恵を求めて、よりベターな解決をしていかなくちゃならぬ、社会の改革をしていかなくちゃならぬという時代ですから、財政審も含めていろんな委員会、あるいは政府の作業もそうですが、やはり専門的な知識を持った方々の御協力を得ることが必要だ。それから、国民みんなに関係のあることですからね、大蔵大臣だけに関係のあることじゃないわけですから、広く各界の意見を民主的に求めていく、あるいはその委員会審議会の運営にしろ、広く国民の発言、参加を求めていくというものがあって、初めて今日の時代に機能するということじゃないかと思うのです。  大臣ちょっと、当然の原理だと思いますがね、慎重にイエスかノーか言われないのですが、私はそういう立場からいって、現在の財政審は落第だと思うのですよ。これは会長の桜田さんも社会的に権威のある方ですし、今度、参考人なんかのときはぜひいらしていただいてお伺いしたいというふうにも私は思っております。本人に、やめるかやめないかと聞くのも大変失礼ですから、任命された側に伺わなくちゃならないということですけれども、私は、いま申し上げたような財政審議会も含めて、いろんな行政審議会のあり方、そういうものから考えますと、ちょっとというよりも、いまの構成、運営その他全般にわたってつくりかえるか解散した方がいいんじゃないかという気がするわけです。  一々採点表と理由をもう申し上げませんが、一つは会長が財界の代表ですからね、日経連の会長ですから、いま七七春闘で激しくやられているわけですけれども、これはやはり労使一方の代表というふうな性格じゃ、社会的な均衡のある発言をするということにならないんじゃないか。桜田さんが有能であるかないかというわけではありません、あり力として。税調にしたって小倉さん——私も学生時代に小倉さんから教えてもらいましたけれども……。ところが税調ではそういうことになっている。国民の多くの人が、あの人は公正ないろんな考え方を出す人だろうというふうに思う人を会長に大臣が任命されて、初めてやはりイメージも違ってくるんじゃないかというふうにも思います。それから構成その他を見ても、たとえば税調の場合には、私も全部賛成じゃありませんけれども、それなりのいろんな作業その他も実際に行っている、それは敬意を表しております。それから、その中には私どもと考え方を同じくする人も若干参加をされているというふうにも伺っておりますし、私はその方の何か人間的な是非を言う、そんな失礼な意味じゃないんです。あり方の問題として大体これはまずいんじゃないだろうか。委員の構成にいたしましても、先ほど大臣に教えていただいた、二十三人と言われましたが、その肩書きその他をもう一遍大体ごらんになってください。日経連の会長自体もそうですが、銀行その他学者の方々についても、現在の学者の分野で建設的な意見を前向きにそれぞれ表現するという形にはなかなか構成としてなっていないんじゃないか——いや、一人一人の方のいい悪いを言っているわけじゃございません。それから、さっきも指摘をいたしました桜田私案、五十五年度までは無理である。大臣がえらく力んで決意のほどを述べられておりますけれども、会長は違うことを言っておられる。もうちょっとぼくは、大臣と、政府が任命される委員会ですから、年じゅう意見交換をしながら呼吸を合わせて、国民に信頼のあるようなものにしていくというのが当然なんだろうと思うのですね。  いずれにいたしましても、採点表を私はここで全部言うわけではありませんが、会長も含め、今日の時代に合わない構成じゃないかという気がするのですよ。いかがです。
  132. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私はこの審議会のメンバーにつきまして、人間個々的にどうということを申し上げることは、これはもう差し控えます。  それで、こういったような審議会の機構がいけないじゃないかというお話、もっと構想を変えたらどうだ、こういうお話もあったかのように拝聴いたしておりますけれども、これにつきましても、いまここで一大蔵大臣がこの機構をどうするこうするというものではございませんから、これにつきましても、ここで申し上げるということは差し控えます。
  133. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 大臣はやはり任命した側ですし、現実に何か作業をやってもらっている立場ですから落第点をつけるというわけにもいかぬでしょう。しかし、ぜひ考えていただきたいと思うのですね。今日の時代に対応するような活動ができるのかできないのか、あるいはそれにふさわしいような問題なのか。一般の国民でも、財政は大変な危機である、国民はみんな関心を持ってこういう問題をどうするか考えましょうと、私どもはやはり地域の市民に問いかけるし、語り合いますね。そのときに、日経連の会長が会長になって、それでこういう構成、これでは政府のことをほめるわけにはとてもいかぬ、あるいは評価をするわけにはいかぬということになるわけでありまして、私は、いま任命されている委員会全体が、そういう傾向が残念ながら全体についてはあると思います。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、いろいろな審議会民主化ということを私ども主張いたしております。しかし、そういう一般論からだけじゃなくて、税調と比べても、やはりこういう公正さを欠いた財政審というのは、解散するか改造するか、私はぜひ必要だろうと思いますので、そうでなければますます不信は高まるということだと思いますから、ぜひこの面は大蔵省の権威のためにも検討されるように強く要求をいたしておきたいと思います。
  134. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 いまの税制調査会も財政審も、これは大蔵大臣が任命したことは間違いございませんけれども、私が別に任命したのではありませんけれども、私は、あの財政審も税制調査会も非常によく勉強していただいておるということを申し上げておきます。
  135. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 大臣はよくやっていられると言われますが、私は税調と比べても、大蔵省の高級役人の方いらっしゃいますけれども、大体、普通言われていることの中では、この行政機構にとっても、税調と比べてももうビヘービアはないというふうに通常言われていることを私も聞くわけでありまして、これはここで罷免するかしないかを大蔵大臣に何遍言ってもらちは明かぬと思いますから、次の問題に移りたいと思います。  ぜひ中心で伺いたいことは、国民的な関心の焦点でありますけれども、このような赤字財政をどう脱却するのか、この危機をどう打開するのかという道筋についてでございます。これは中期財政見通し、この簡単なペーパーを出されましたが、その内容、それから償還計画ということにも関連をしてくるということでございます。ただ、これについても私は、政府なり大蔵大臣の姿勢を厳しくもうちょっと考えてもらわないといかぬじゃないかという気がするわけです。  幾つかの問題があるわけですが、この伯仲時代あるいは流動化時代と言われている、こういう中で、どう広く国民の意見を求めるのかという視点ですけれども、大臣の所属されている自由民主党におきまして、私、読んでびっくりしたのですが——たまにしか読まないのですけれども、三月二十九日号をたまたま読みましたら、一面の大見出しで出ておりましたのでね。この間の減税の問題について「野党の予算修正」「その無責任ぶりを斬る」という特集がなされております。「あきれた社公共」、一つ二つ抜けておりますけれども、それから、「修正ゴリ押し・採決で反対」何がしという大見出しの記事が載っています。私もこの記事を読んで、ちょっとこれではと思いまして、中身を読んでみましたら、「この修正が本当に日本経済財政に福をもたらし、国民生活の将来に明るい展望を開くものと思っているのだろうか。」「予算案を“人質”にし、早急な景気回復という国民的願望から予算の早期成立を願うわが党を追いこんだものであり、いわば、ムリヤリにもぎ取ったものである。」「将来に禍根を残すことを考えない、参院選挙めあての人気取り作戦に過ぎないことは次の事実によって明らかである。」云々、それから、「企業の不振で税収が減り、財政は三割もの部分を国債に依存するという“借金財政”である。そういう時に大幅減税をするということは、天にツバする行為である。」こういう特集が一ページの半分ぐらい書いてあります。(「よくやったものだ」と呼ぶ者あり)よくやったというふうにおたくの与党の人が言っていること自体、私は今日の時代に対する認識が欠けているんだと思うのですよ。(「減税をよくやったと言うんだよ」と呼ぶ者あり)  世論調査を見ましても、あの減税問題が終わった後、国会状況についてどう思うかという世論調査が幾つかの新聞でございました。それを読んだら、伯仲国会になってよかったという比率が非常に高いですよね。これは私どもも真剣に努力をして、五つの野党ですから、必ずしも全部一致するわけでは、場合によってはございませんけれども、率直にいろんな意見をまとめたり、言ったりしながら、より混迷する国会にするんじゃなくて、何か建設的なものを生み出していく国会にしようというのが伯仲国会における基本姿勢ですし、私もそう思います。そういう意味で出た結論について、これは遅い時間に大臣に悪口を言うのは失礼ですから言いませんけれども、いままでの審議の中でも、あれが決まったときに総理大臣が言ったこと、官房長官が言ったこと、その発言と、直接予算をつくられた主管省ですから気持ちもわかりますけれども、大蔵省なり大蔵大臣の言われたこと、大分違う発言をなされているわけでありまして、私は伯仲国会の場をより実りあるものにしていくという意味から言っても、こういう形でキャンペーンがなされるということは少なくとも、あなたは与党ですから、大変遺憾なことだと思いますが、大蔵大臣として、お読みになりますか、いかがですか。これはおたくの党の新聞のコピーです。
  136. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 私は忙しくてそれを読んでおりません。とてもそんなものを読む時間も何もありませんでして、読んでおりませんが、しかし、個人個人としてはいろんな意見があろうと私は思うのですよ。だけれども、党としては六党が、これは幹事長、書記長が会談をやって合意をしたということでございまするから、私自身も心境を申し上げますれば、自分のつくった、私一人でつくったんじゃありませんけれども、予算が一番適切だ、こういうふうに思っておったんですよ。いまも思っておるかもしれません。しかしながら、いやしくも政党政治が行われておって、そして与党も加わって六党が合意をいたしまして、これでいこうということになった以上は、それに対しまして、どうしたって私も党員の一人でございまするから、その合意の趣旨が十分行われるように努力するのが自由民主党から出ておる財政当局の一人として、これは当然のことである、私はかように考えております。
  137. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 私は党が違うし、与党と野党ですから、これが全部いいとか悪いとか、そんなつもりで言っているわけじゃありません。ただ、やはり大臣、自分がつくった予算が修正されるという意味では残念な気持ちがあるかもしれません。しかし、こういう新しい時代に入ったなあということをぜひかみしめて、そういう時代にふさわしいような与党としての前向きの努力をどうされたらいいのかをぜひ考えていただきたい。またそういう姿勢になれば与野党間の議論もより実りあるパターンになってくるのじゃないかという意味で申し上げました。  もう一つ申し上げたいのですが、さっき沢田委員が言いましたけれども、四月三日の日本経済、先ほど大倉さんが私も読んでびっくりしましたと言いました。「一般消費税導入による税収」「一部を自治体に配分」「五十三年度以降自治・大蔵省が合意」、まことに大きな見出しです。そうして非常に断定的に書かれておりますね。「大蔵、自治両省は「同税を創設する場合は」」、同税とは付加価値税のことですが、「「創設する場合はその税収の一定割合を地方自治体に配分する」ことで原則的に合意していることが二日、明らかとなった。」四月三日にこういう新聞がありました。これだけじゃないのですよ。前の日の四月二日にはこれは毎日新聞ですか、「参院選後がこわい」「増税、大蔵省が“大作戦”」と書いてあります。その冒頭のところに「いまのところ参院選前に大蔵省事務当局ががっちり増税案を練り上げ、選挙が終わったら税制調査会を開いて一気に浮上させようという考え。」しかし「増税といえば国民から見れば最も不人気な政策で、」いま不規則発言があったようなことを言いますと、「自民党の足を引っ張りかねない」ので、いろいろ苦労しているということが書いてあります。この二つだけじゃないのですけれども、この三月の末か四月の初めに幾つかの新聞でずっと読みました。まあ火のないところに煙は立たないというわけで言うわけじゃありませんけれども、先ほど主税局長はびっくりしたと言いましたけれども、正直言っていろいろやっているのだと思うのですよ。私はそういう細かい揚げ足取りをするつもりではございませんで、まじめな意味であり方の問題を申し上げたいのですが、この財政収支見通しなり、これからの税制の問題についても何か財政審か、私はさっき財政審は落第より改組した方がいいと申し上げましたけれども、税調でも、税調で何か一つの案をつくる、大蔵省と相談をして税調で案をつくる、それで大体そこでいままでもレールが敷かれたというパターンなんですね。後は国会というトンネルか障害物か何かをいかにどううまく乗り越えていくのかということになってというのがいままでのパターンではないか。そうして今回の減税問題についても、そういうことについていささかの新しい変化なり、条件なり障害が生まれてきたというようなことじゃないかと思うのです。  ですから、大臣、私はぜひ考えていただきたいと思いますのは、これからも税調、先ほどから税調、税調という言葉ずいぶんございましたけれども、何かそこで答申が出される、そこでレールが決まった、そこで決めてもらうために事務当局はがっちりとここに書いてあるとおりに作業して、そこに盛り込んでもらう、こういう姿勢はもう変えなくちゃならぬと思うのです。そうではなくて、やはり税調でも大いに議論しなくちゃならぬでしょう。それから国会でも大いに議論しなくちゃならぬと思います。ことしの秋まで税調任期ですから、ここで言われている大増税プランというのですか、そういう作業を精力的にやるということになるのかもしれません。私は休会後でも会期中と同じくらい熱心に大蔵委員会を頻繁に開いて、そこでこちらでも税調で議論をしたことを議論する。こちらで議論したことを向こうに反映させてもらう。やはりそれくらいのあり方の改革が必要じゃないだろうかというふうに思うわけでありまして、いずれにしても一連の新聞記事を見ますと、何か税調でレールを敷いたら、後は突っ走るだけというふうなことを非常に強く感ずる。しかも今度の減税問題があった新しい状況の後、依然としてそういうことが懸念されるということです。大臣、どう思いますか。
  138. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 やはり国会に対して政府が案を——議員立法は別でございます。政府が案をつくって、そうして提出して御審議を願うというためには、政府がその案をつくるまでにそれは調査会だとかそういったようなところの諮問機関と申しますか、そういうところで一応原案、素案——絶対それでもってやっていくというようなものではございません。結局、国会にかけて、あるいは政府においてもいろいろな手直しもやることもありましょう。しかし大体総理大臣が任命したりあるいは大蔵大臣が任命したその委員会でつくったというものにつきましては、やはり尊重はするのが私は当然だと思いますけれども、しかしそれをそっくりそのままうのみにしてしまうというものではございません。それからまた、そこでできました政府の案というものを国会へかけて、そうして国会で厳しく批判をしていただいてということが議会政治における真っ当な姿じゃありませんか。私どもは議会を逃げようとか国会を避けて通ろう、そんな大それた考えは持っておりませんから。
  139. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 公式にはそう言われますけれども、現実にはこういう新聞報道が出たり、私も非常に懸念をするわけでありまして、ぜひ民主的に、今日の新しい時代にふさわしいパターンを推進されるように強く要望したいと思います。  幾つか具体的なことをお伺いしたいのですが、この五十五年赤字公債をゼロにするという中期財政収支見通し、ケースIーとケースIIとございますが、これからこの目標を達成するためにどちらの方がより望ましいということでしょう。簡単に……。
  140. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 昨年の場合もケースIというのとIIというのがございまして、ことしはAとBという名前にしたわけでございますが、昨年の場合は御承知のように、五十五年にゼロにするというのと五十四年にゼロにするというのでI、IIにしたわけでございますが、その場合の前提になっておりますGNPというのは、一つのコースを考えたわけでございます。本年の場合には、五十四年にゼロにするというのはあきらめたわけでございます。五十五年にゼロにする。その場合に、昨年とりました経済のコース、五十三年が一五、後が一二、一二、もう一つは、そのコースを一三%ずつでやっていきますと、やはり五十五年に同じ高さになるわけでございます。そういう意味で、単純に等率で伸びる場合と、それから昨年使いました数字と両方を試算いたしたわけでございまして、いずれがどうということではないわけでございます。昨年の場合もそういう御指摘がございましたが、やはり同じような答弁をしておりまして、全くいずれがどうというわけではないということでございます。
  141. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 私、このA、B——I、IIでなくてA、Bの数字をじっと見て大変疑問に思ったのですが、この数字を並べたのを見てみますと、これも先ほど御説明がありましたように、積み上げたものあるいは科学的な基礎を持ってつくった数字というのではなくて、目標年度に向けての、言うならば努力目標という数字を掲げたということでございまして、それ自体私はもうちょっと責任感があった作業があってもいいんじゃないかという気もいたしますが、それは別として、これを見てけげんに感じましたのは、なるほど並べてあるこの数字を見ますと、赤字公債はゼロになるという数字が並んでいます。ところが四条公債の方はむしろふえているということですね。五十五年を見ましても、四条公債だけで六兆七千億ですか、赤字公債はゼロにすると同時に建設国債の方はむしろ増加計画になっているということではないかと思います。この国債と、余り好きな名前じゃないのですがいわゆる建設国債と、建設と言うといかにも何かいいみたいな印象を与えるのですが、借金は借金ですから、私はこの特例債と四条公債についても、これは目的とそれからこれを決める制度、その他の制度的な違いということじゃないだろうか、国民にとって借金のあることは同様ですから。それから財政法規定からいって公共事業その他にという四条国債というものは、赤字国債とは性格が違うというようなこともいままで説明をされておりますけれども、公共事業にしたってもともと公共のための事業であって、いわゆる私益事業というものではありませんから、償還財源をそこから生み出してくるというものではないと思いますし、あるいはまた使用目的の中でも、たとえば役所の、官庁の建物を建てるというようなことはそれ自体生産的な事業化投資というぐあいにも言えないと思います。何か特例中の特例というふうに最初、当時は言っておりました四条国債が、いまや不感症になったみたいにどんどんふえてくる。しかもそれが建設国債としょっちゅう言われておりますから、何か無害の建設が主であろうというような印象を与えて慢性化をしてくる。この計画を見ましても、むしろ建設国債増加計画になっているわけでありまして、私はこの際、四条国際と特例債とある意味では厳しく同様に見て、その将来をどうするのかということを考えなくちゃならぬじゃないかという気がするわけでございますが、いかがでございましょう。
  142. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 四条公債の計数でございますが、経済計画の万で五十一年から五十五年まで公共投資を百兆という政策目標がございます。この中で一般会計サイドにどのぐらい来るかという数字を昨年計算いたしましたわけでございますが、五十五年の公共投資の数字をごらんいただきますと、本年の表と昨年の表は同じ数字になっておるわけでございます。結局、五十一年から結ぶ、五十二年から結ぶという点が違うだけでございます。ただいま御指摘の四条公債特例公債は同様の眼をもって厳しく見なければいかぬという点は、まさしく財政法の四条に書いてあることでございまして、国の歳出はあくまでも普通の歳入で賄うべきである。ただし書きで、ただし公共事業、出資金、貸付金の財源に充てる場合には公債が許されるということでございますから、とりあえずは特例公債の脱却を優先目標にいたしますが、景気がよくなれば公共投資を抑える。そうすれば四条公債も減るわけでございます。  四十一年以来の公債政策の跡を振り返っていただきますれば数字的にわかるわけでございますが、四十一年度の場合には一六・九ぐらいの依存度から始まって四・六ぐらいまで行ったわけでございます。これは景気公債政策とが非常にうまくいった例ではなかろうかと思うわけでございますが、その後、ドルショック、オイルショックで公債政策が非常につらい思いにさらされてきたわけでございます。  そういうことで、公債一般についてやはりわれわれは考えておるわけでございまして、ただ当面は特例公債を何とかなくさなければいかぬ、その上に立ってただいま申しましたような経済の動向と公債政策との調和をとっていく政策は本来あるべき姿だろうと考えております。
  143. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 というふうな話でございますけれども、私は、国債の巨大な発行による今後の経済あるいは国民の負担、増税攻勢を言われておるわけですから、そういうことを考えますと、とりあえず特例債をゼロにするということを言いながら、逆な面では四条国債がむしろ増加する計画になっているということを含め、もっと厳しい視点が言葉だけではなくて現実にあるべきじゃないだろうかというふうに思います。  それから、当然のことながらこの四兆五百億、これも含めた、いままでのことを含めました特例債は、若干の中期債の計画は別にして、十年後に償還ということになるわけです。前にお願いしたのですが、十年後の償還数字は機械的にこの資料に載っておりますけれども、ちょっとむずかしいかと思いますが、前期経済計画を単純に延長してみて、六十年のときに予算規模がどの程度になり、その予算の中で国債費がどの程度のウエートを持つものになるのかという数字、わかりましたらちょっと言ってください。
  144. 加藤(隆)政府委員(加藤隆司)

    加藤(隆)政府委員 昨年の大蔵委員会におきましても五十五年から先、一体どうなるんだという御議論が非常にあったわけでございます。償還計画あるいは減債制度の絡みの問題でございました。そのときにわれわれの方は、頼るべきよすがとしては、経済見通しについて五十五年までしか経済計画数字がないわけでございます。その後を一体どうするのかというようなことで、これは四十一年の公債政策を導入したときも問題になったわけでございますが、いろいろな組み合わせがあるわけです。GNPの見方をどうするのか、租税負担率をどうするのかというようなことで、何らかのかっこうでオーソライズされた数字がないといろいろな組み合わせができてしまうわけです。四十一年のとき私は作業員の一人でございましたが、三百通りぐらいのことをやったのですが、いろいろな数字ができる、どれがどうということもなかなか見きわめがつかないというようなことで、昨年の大蔵委員会におきましてはそういうなかなか見通しが立たないということで御答弁を申し上げてきたわけでございます。佐藤委員も御発言があったわけでございますが、それじゃおれの方で条件を与えてやるというようなことで計算をいたしました。その数字によりまして計算をしてみた数字を申し上げます。  六十一年が、昨年出しました数字と本年やり直した数字と申し上げてみますが、余り時間をとってもいけませんので公債が五十五年と同額であった場合、こっちの方のケースだけ申し上げます。われわれの方のケースの場合はAのケースで申し上げます。昨年は六十一年の国債元利償還費が十兆八千九百と言いました。それでそのときの予算規模が九十五兆九千億、割合が一一・四であったわけです。それが本年やり直しますと、予算規模が九十六兆五千七百億、国債元利償還費が十一兆三千三百億で割合が一一・七になっております。
  145. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 将来のことも議論したいのですけれども、時間が大変ございませんので、せっかく計算していただいて答弁していただきまして済みませんが。大臣、私はどっちにしても十年後に責任を持つことをいまここで議論しておるわけですから、さっきもちょっとお話がございましたが、十年後になって、そのときに国民の側が十年前のこういうことを決めた大蔵大臣はだれだったのだろうかということで今日よりも十年後の方が有名になるというようなことにならないように、ぜひ真剣に考えていただきたい。また機会がございましたら、数字を出していただきましたからお話をしたいと思います。  次に伺いたいのですが、その十年後は別にして、当面する大きな問題ですから、予算はまだ成立してませんが、議論している今年から来年、五十五年までの見通しの中で一番近いその今年から来年について、ちょっと二、三聞きたいと思うのです。  出されました資料から見ますと、税収の面で今年から来年、大ざっぱに言って四兆五千億くらい新たな増税が必要だというふうなことになるのではないかと思います。時間がありませんから細々質問したいことも省略をいたしますが、その間に弾性率をどの程度に見るかあるいは自然増収をどう見るか、その他いろいろな問題がございますが、大まかに言って四兆五千億くらいの新たな財源が必要であろう、その中の七割になりますか八割になりますか何か増収の措置を講じなければならないということだろうと思います。先ほどから大蔵大臣、与党委員の質問にも、とにかく税金をふやさなくちゃならぬ、そういうことを言わなくちゃならぬ、大臣としては大変残念だけれども、これは必要である、国民の理解を願わなくちゃならぬということをずいぶん言われました。私はやはり問題は、こういう計算に基づく中で、そういう増税というものをだれがどのように負担をするのかということが一番大きな問題ではないか。何か衆議院で予算が通った後の審議なり新聞報道なり皆さん方の発言なりを聞いておりますと、今年ぽっきりであるということを盛んに言われます。そちらの方はえらく御記憶がいいようですけれども、六党申し合わせの最終項目である不公平税制の是正、これは将来ではなくて五十三年度予算に反映させるということについて申し合わせがなされているわけであります。これは私ども本当に真剣に議論しなくちゃならぬ。要するにどうやって増税をしなくちゃならぬかの前に、これはそれぞれ各党の責任者が言われたことでありますから、合意したことでありますから必要ではないか、そのことはお忘れにはなっていないと思いますが、大臣お忘れになっていないでしょうね。
  146. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 この三千億の追加減税というものは、これは私は一年限りのものであるという合意になっていると思います。それから不公正税制というものにつきましては、これは野党の皆さん方の御要望もこれを十分尊重いたしまして、できるだけ——これは合意じゃなかったけれども、私はしょっちゅうそういうふうに御答弁を申し上げております。
  147. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 いや、どうもそういう姿勢じゃ困るので、文章にそれぞれ何を書いてあるかどうかは別にして、何行ずつどっちが多く書いてあるか別にして、今度の予算委員会の冒頭から議論をされて、いろいろな形で総理も含めて答弁なさっている中には、野党の要求とか要望というだけじゃなくて、そういう方向に努力しなくちゃならぬということがあらわれているのだと思うのですよ。それをまず忘れないでいただきたい。  細かく言う時間がございませんから幾つかだけ質問をしたいと思いますが、たとえば五十二年から五十三年度四兆五千億か四兆円余りの税増収が必要とされる。この前東京都の新財源構想研究会と関連をしていろいろお伺いをいたしました。何か、大きな問題なのに時間が足りなかったものですから中途半端になって、私ども残念でございましたが、その中身を議論する暇はございませんから、これに関連してひとつ伺っておきたいと思います。あのときにも、それは東京でやることであって、東京でおやりになっております、それから、政府側は政府側として大蔵省でやっております、というようなことじゃなくて、やはり大いに、できるだけ互いに意見を求めるか、そういう姿勢が必要ではないか。去年、おととしの議事録を読んでみて、今度の答弁を伺いますと、やや前向きなといいますか、そういう姿勢にも私伺ったわけでありますが、もう一度伺っておきたいのですけれども、たとえば東京都のこの研究会の方では、東京で言っている不公平是正という場合に、五十三年度三兆三千三百二十五億増収が可能であるという数字を出しております。この中身は、それぞれいろいろな議論があるところでございましょう。ただ、ここで申し上げたいのは、いずれにしてもそういう有力な案もあるわけですから、お互いにここで、大蔵省側も東京都側も、特に大蔵省側が必要ないろいろなデータなどを公開して、そういう試算が適切であるかないかを計算してみて、それに基づいた事実で国民の前に判断を求め、争っていくというふうなことが必要ではないかというふうに思うわけでありまして、大蔵省の城と江戸城と別々に構えているというようなことのないような努力が必要ではないかと思いますが、確認も含めて、もう一度伺っておきたいと思います。
  148. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 前回お答えいたしましたような記憶がございますが、東京都の新財源構想研究会、これは都そのものではないわけでございますが、新財源構想研究会という方々の報告がございまして、それを税制調査会に資料としてお出しして、御議論を願いました。そのまま引用いたしますと「この試算を法人税負担の論議の基礎とするのは適当でないという意見が多かった」というのが、その審議の経過としてお手元に資料としてお出ししてございますけれども、そのときに、これは、こういう数字を出した人に来ていただいて、もっと説明を求めて、議論したらどうかという御意見もございまして、私はそのときにお答えいたしましたのは、実はこの日にそういう予告をいたしました、このメンバーである方も税調の専門委員でいらっしゃいますし、この報告をしばしば雑誌などで引用しておられる方も税調の委員をお願いしておるわけでございますから、予告をしまして、この日はこういうことをお出ししますからお越しいただきたいと申し上げたのですが、残念ながら、それぞれ御都合があって、きょうは出られないという御返事で、その機会がなかったわけでございますけれども、これからは中期税制をさらに議論を深めていただくわけでございますから、そういう過程でそういう機会があれば、ぜひ差し繰ってお越しいただいて議論を深めるということは、それは考えてみたいと思います。大蔵省の計算とどこがどう違うかということは資料としてお出ししてございますし、大蔵省が予算委員会に出しております減収試算基礎になります準備金の利用状況につきましても当委員会に資料としてお出ししてございますので、私どもは意図的に計数を隠しておるというようなつもりは全くございません。
  149. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 これは、法案が済んだ後の議論の中でも、どっちに自信があるかないかとかいうことじゃなくて、ぜひ前向きな議論を私も国会の場でもしたいと思いますし、それから、税調その他いろいろな作業の中でも、何か対抗的に、年じゅう新聞に出て、大蔵省が反論とかいうようなかっこうで出るんじゃなくて、もっと有益な結論を見出すようなあり方というものを私どもはやはり模索していきたいと思いますし、ぜひそういう努力もお願いしたいと思います。  一つだけ最後に伺いたいんですが、さっき申し上げましたこの新聞にも関係をして、付加価値税の問題が非常に話題になっております。前提としてちょっと伺いたいんですが、税の直間比率という問題について、私は、これは国の制度、風土、いろいろなものがあってそれぞれの国の税制というものがあるということなんで、ほかの国の税制をいきなりそっくり持ってきてうまくいくものじゃないと思いますし、あるいはEC型付加価値税というふうなことも、そっくり持ってきてうまくいくはずもないし、この委員会国会で通るはずもないと私は思っておりますが、それは別にいたしまして、この直間比率という概念は、アメリカの場合、日本の場合、それからヨーロッパの場合、大分大きな違いがあります。一概に日本だけが低いというわけではありません。アメリカの場合なんかは全然違うという状況ですが、私は、直間比率というものは、何かそういう他国との制度、風土の違いを抜きにして、アプリオリに間接税の比率を高めなければならないとかこれが妥当であるとか、そういうふうにとらえる概念のものではないと思いますが、いかがでしょうか、ちょっと簡単に言ってください。
  150. 坊国務大臣(坊秀男)

    坊国務大臣 同感です。税をかけるのに初めから直間比率をどうするというようなことで考えていくべきものではないと私は思います。これは、やっぱりそのとき、その国のいろいろな諸事情を考えまして、そして税体系をつくってみた、それを後で直間に分けて考えてみたら直間比率がどうであったというようなことが自然でありまして、初めからその直間比率を、ひとつフランス並みにいこうか、ひとつアメリカ並みにいこうかといって考えるものではないと私も考えます。
  151. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 私はこの問題に関連して二つお願いしておきたいと思うのです。一つは、この問題に関連をした同僚議員への御答弁ございましたが、私は、大臣の答弁を含め、非常に残念です。新聞その他を見ましてもたくさんの報道がなされている。否定されても、こういう報道がこれからは続くんじゃないでしょうか、ことしは税金の年だと大蔵省の方でも言われているそうですから。それから、いままでの委員会審議の中でも、この間総理がその場所で、付加価値税についての検討をやっているんじゃないかと言ったら、そんなことは検討は前からやっております、大いに研究、検討いたしておりますというような総理の御答弁でございましたし、この間税調の会長に参考人でお越しいただいたときも、一般論としていいか悪いかという時代じゃなくて、その中身を大いに議論をして、それが日本でどう採用できるかを決断する、そういう段階ではないかと、去年、おととしとは大分違った情勢にさらされていると思いますし、皆さん方の方からは重要な検討課題であるということは年じゅう言われております。ところが税調の部会長中間報告、部会長メモを見ますと、たとえば「EC型付加価値税」というテーマを挙げてございまして、それの問題点を数行書いてあります。ということでございますけれども、私は、こういう問題について、さっきも申し上げましたが、大蔵省では大いに原案を事務当局は練って税調に乗っけてレールを敷いちまおうということではないということも、大臣そういう意味のことを言われましたが、こそこそとどこかで大作業をしているというんじゃなくて、大変勉強されたそうですから、勉強した資料——問題点その他、数行の税調の中間報告、部会長メモしか見られないというんじゃなくて、国民の代表ですから、まずこういう場でそういう資料を全部出していただきたいということが一つです。  それからもう一つお願いしたいのは、こういうことを一遍調べてもらいたいと思うんです。一般国民にとって、たとえば標準的な家庭にとって間接税の負担が月間か年間かで大体どんなことになっているか。これは、経企庁なり総理府なりいろいろな家計調査その他をやっておられるわけですから、あるのかもしれませんし、作業すれば出るのかもしれません。  大増税時代になるという話で、きのうもうちへ帰って家内と話したんですが、私はノードリンキングですから、ノードリンキングでまじめに勉強するわけですけれども、ただ、ごらんのとおりにチェーンスモーカー、たばこはプカプカ吸っている。じゃ、標準的な家庭で、お酒は、あるいはビール一本とかお酒二合とか晩酌をなさる。あるいは、たばこは一日に三十本吸われるとか、などなど、標準的な姿があるんじゃないかと思うんです。間接税ですから、たばこを吸うときに、札がついていませんから、これは税金が幾らかと思いながらは吸わない。非常に感覚的に麻痺した形の中でそれがふやされていくという危険性を非常にはらんでいるんだと思うんです。また、新聞報道から言うわけじゃありませんけれども、それをねらっているという向きもあるんじゃないかという感じがするわけでありまして、そういう意味で言いますと、一般国民、特に勤労者の生活にとってどのような負担になっているのかというようなことも客観的にもっと全部洗ってみて、こういう問題を考えるということが必要ではないかと思います。そういう意味で、いま申し上げた二つの点、ひとつ正直にデータを出していただきたい。
  152. 大倉政府委員(大倉眞隆)

    大倉政府委員 再々新聞記事を御引用になりますので、一言申し上げたいと思いますが、私が当委員会で只松委員にお答えした答弁、それを速記録に即してごらんいただいたら、翌日の新聞記事がかなり違うニュアンスで大見出しで出ておったことは御記憶にあると思いますが、私が責任を持ってお答えしている方を御信用いただきたいんであって、新聞の見出しの方で大蔵省が何かを考えておるというようにおっしゃられるのは、私としては心外でございます。  それから、もう一点は、付加価値税について資料をというお話でございましたが、先般総理大臣がこの場所で私を振り返っておっしゃいましたのは、事務当局としては勉強しているんだろうという御趣旨でございまして、私もうなずいてお答えしたわけでございますが、これは私どもの当然の責任といたしまして、EC諸国であれだけ一般的に採用されており、大きな税収を持っている税目でございますから、当然勉強しなくてはいけないということで、数年前から勉強もいたしております。また、租研に頼みまして、実際に企業経営に携わっておる中小企業の方を含めて、外国に行っていただいて勉強していただいた結果も、報告書として本にまとまっておりますので、ただいま部数がありますかどうかよくわかりませんけれども、ちょっとこれは増刷するというのは非常に大変であろうかと思いますが、可能かどうか、残部を調べました上で、もし可能でございますれば、それはお出しいたしたいと思います。  それから、小倉会長が参考人としていらっしゃいまして、会長として具体的に検討すべき時期に入ったという趣旨のことをお答えになったということは、私も後から報告を受けておりますが、それはこの部会長報告の四十七ページで「いずれにしても、なんらかの形での一般的な消費税について積極的な検討を行うべきではないかとする意見が多かった。」という多数意見を受けまして、会長としての個人的な感触をお話しになったのではないかと思います。  私、ちょっとお言葉に逆らうようで恐縮でございますけれども、税制調査会に資料を出して国会に出さないというようなことは一遍もなかったと私は考えております。  それから、この部会長報告というのは、実はまだ非常に中間的な段階なので、こういうのを印刷にして外にお出しするのはどうかという御意見が税調の中にあったのでございますけれども、それはやはりこの機会に印刷をして、新聞に話しただけではこれだけ膨大なものはなかなか正確にはキャリーされませんし、印刷してある時期に国会にお出しして、これを基礎に議論を深めていただきたいという趣旨でこういうことをお願いしているわけでありまして、私どもの真意をぜひおくみ取りいただきたいと思います。(「酒、たばこはどうした」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。答弁漏れです。  現行の間接税は非常に個別消費税の体系になっておりますので、それが各家計にどのように負担されておるかということは、非常に大事な問題だと思うのでございますけれども、自信を持って国会にお出しできるような計数がいまだに出てこないわけでございます。ある時期に総理府の家計調査を、綿密に原表まで戻りましてやってみようかということでやった時期がございますけれども、何分にももともと家計調査のサンプルが非常に少ないわけで、これで全体に推し広げていいかという点に非常に疑問があって、一度やってそれっきりになっております。私ども、何かほかにやり方はないかということで、専門委員である学者の方々とも内々御相談をしておるのでございますけれども、いかんせん基礎データがどうもない。今後の勉強課題であると思いながら、いまだに責任を持って国会に資料としてお出しできるようなものが実は見当たらないというのが現状でございます。
  153. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 もう時間もわずか五分ほど超過いたしておりますし、わずか五分ぐらいですが、夜遅くですから、もっとお聞きしたいことはあるのですが、終わらせていただきたいと思います。  ただ、いま局長がお答えになりました後者の方ですね。私は、国会にお出しするには権威あるものというふうなことではなくとも、何か非常に付加価値税を大いに議論する。それが国民にどう負担になるかということですから、その基礎となる問題はやはり極力調査をして、その影響を調べてやる。まずどう上げられるかということよりも、国民に対してどういう影響を及ぼすであろうかということをよく検討した上で、こういう問題の議論を深めるということが必要だと思いますから、第一の方の資料と、それから後の方の問題についても、これはぜひ、こういうことについての議論をしている中でお願いをしたいというふうに思います。  一言だけ申し上げて終わらせていただきたいと思いますが、私は先ほど、不公平是正ということをまず冒頭に考えるようにということを申し上げましたけれども、たとえばこれは三月三十一日ですか、何か新聞報道を見ましても、国税庁が十一月期に決算を行った大法人の所得申告の状況その他を発表になっております。これなんかを見ましても、固有名詞を外しますけれども、全体として約四三%の増益となっているというようなことが報道されております。逆に、同じ政府の統計を見ましても、勤労者の実質所得というものの計算があるわけですが、総理府統計局が発表した五十一年の家計調査報告などを見ましても、去年一応八・八%のベースアップがあったにもかかわらず、いろいろの税金、社会保険料などを引いた可処分所得は逆に実質で〇・九%マイナスになっていた。私は、税の不公平是正、公平ということは、こういう事態をきちんと踏まえた解決策でなくちゃならぬのじゃないか、こういう両方の記事を見ても、国民の理解できるところでなければならぬのじゃないか、これがやはり一番大きな責任であろうというふうに思いますし、そういう意味を含めて、いわゆる大増税キャンペーンというふうな現状についてぜひ姿勢を正して対応していただきたいと思います。  要するに、だれがどういう負担をするのかということについて、社会的公正を基礎にした判断をぜひお願いしたいというふうに思いますし、前から指摘をされました、次々に新聞に、何ぽかぽか出てくるといったようなことがないようにぜひお願いしたいと思います。そうして、抜本的な日本の財政危機の打開、日本の財政再建の道をどうしていくのかということについても、私どもは私どもとしての提案なり考え方があるわけでございますから、国民的な大きな問題、視点、課題という観点から、さらにこの問題を国民的合意を基礎にして解決していくという姿勢で対応されるように最後にお願いいたしまして、時間が若干超過をいたしまして済みませんが、質問を終わらせていただきたいと思います。     —————————————
  154. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、ただいま議題となっております本案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 小渕委員長(小渕恵三)

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明六日水曜日午後五時理事会、午後五時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時三十一分散会      ————◇—————