○山内
政府委員 まず最初の、一〇〇%
課税をしてもいいのではないかという点でございますが、これは
企業みずからが飲み食いをするのではなくて、やはり
企業が
利益を得るために商売相手をつかまえて飲み食いをさせるというのがこの二兆円の主力だろうと思います。もともとそういう
意味合いの経費でございますから、
企業会計上は当然損金に落ちてしかるべきであろうというふうに思うわけでありますけれ
ども、現在の交際費
課税制度は、それにもかかわらず社用交際費に対する世論の強さということからこういった特別の
措置を講じておるというふうに私
どもは理解をしておるわけであります。
先ほどアメリカの例をお引きいただきましたけれ
ども、恐らく交際費に対する物事の
考え方、組み方というのは、わが国の場合とアメリカなりドイツなりの場合と少し違っているのではないかと私は
考えております。と申しますのは、わが国の場合は御指摘のとおりある一定の枠を設けまして、その枠の中で支出をした交際費の認定につきましては、比較的緩やかと申しますか、お金を払っておることがある
程度確認をされ、それが
個人の
ポケットに入っていないんだということさえわかるならば、それは比較的緩やかに交際費として認定をされておるわけでありますが、そのかわり一定の枠があって、枠の外へ飛び出したものについては
それなりの否認を行われる。一方、アメリカ式の場合はどうかと申しますと、これはむしろ個々の交際費が
企業として経費になるのかどうか、あるいはそれを受けた相手方が所得
課税を受けておるのかどうか、そういった個別の交際費に対する認定なりあるいはその後始末の
課税なりということについて非常に厳格でございまして、その
一つ一つについて右であるか左であるかということの点においてはわが国の交際費の税務調査よりははるかに厳しいように思われます。ただ、しかしながら、わが国の場合と違いまして、それぞれの
企業にとって一定の枠というふうなものを与えられているものではなくて、いま申しました個別のチェックで通過をいたしました交際費はいずれも全額損金になるということで、わが国と諸外国とは少しその仕組みの仕方が違っているように思いますが、そういう
意味でいずれが適正に行われておる、いずれがきついということはなかなか申しかねるわけでございます。
そういう状態でおります
関係上、私
どもといたしましては、わが国の交際費
課税が直ちに一〇〇%損金不算入にならないとおかしいとは
考えられないわけでございます。しかしながら、他方、いま
委員御指摘のように税制を強化しても、あるいは全般的に不景気であるというふうな状態であるにもかかわらず、交際費だけはどうも順調に成長をいたしておるようでございますので、そういうふうな点をも勘案をいたしまして、私
どもといたしましても今回ごらんのような形で御提案をさしていただいたわけでございます。
それから第二番目の四百万の点でございますが、これにつきましては、私
どもとしても基本的には御指摘のとおりかと思います。大体全体二兆の交際費の中で、一億未満の
中小法人はその一兆五千億、約四分の三は
中小企業によって占められております。しかも、その支払った交際費の中で何がしが否認をされておるかという否認割合を見てみますと、
中小企業の場合ですと一六・七%でございます。百円支出をしたら十六円七十銭が否認をされるという状態でございますが、大
企業の場合はそれが六四・五%でございます。そこら辺が非常に大きく差が出てまいっておりますのは、いま
委員御指摘の四百万が大きく働いておるからでございます。毎度税制
改正、特に交際費の
課税の
改正を試みますごとに、われわれといたしましても四百万についてこれでいいのかということを
議論いたすわけでございますが、片や
中小企業におきましてはみずから意図せざると申しますか、大
企業の押しつけを受けて払わざるを得ない、そういった
意味では、大
企業とかなり前提と申しますか、根拠の違った交際費に対する支出圧力があるというふうなこともございますし、また他方、四百万につきましてはかなり長らく、
昭和三十九年以来四百万ということで維持をしてまいっておりますので、その間の
物価その他の上昇を
考えまするならば、相対的には四百万もある
程度の節約になっておるであろうということもあわせ
考えまして、四百万のままで御提案を申し上げておる次第でございます。