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1977-03-16 第80回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十六日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    後藤田正晴君       佐野 嘉吉君    砂田 重民君       原田  憲君    村上 茂利君       村山 達雄君    毛利 松平君       山崎武三郎君    山下 徳夫君       山中 貞則君    伊藤  茂君       池端 清一君    大島  弘君       川口 大助君    川崎 寛治君       沢田  広君    只松 祐治君       村山 喜一君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    小林 正巳君       永原  稔君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       道正 信彦君         大蔵大臣官房審         議官      山内  宏君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君         大蔵省国際金融         局次長     北田 栄作君         国税庁次長   山橋敬一郎君  委員外出席者         国税不服審判所         次長      松本 久男君         厚生省医務局医         事課長     古賀 章介君         通商産業省通商         政策局経済協力         部経済協力課長 河野権一郎君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   永原  稔君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     永原  稔君     ————————————— 三月十六日  支那事変賜金国庫債券の償還に関する請願(加  藤万吉紹介)(第一三六四号)  同(小泉純一郎紹介)(第一四八四号)  税制改正及び税務行政民主化に関する請願  (上坂昇紹介)(第一四八五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五号)  租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)      ————◇—————
  2. 小渕恵三

    小渕委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、ただいま議題となっております両案について、来る十八日金曜日午後一時、参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 小渕恵三

    小渕委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  5. 沢田広

    沢田委員 私は、きょうの大蔵委員会質問に当たって、素朴な国民の一人として、これからの日本経済あるいはこれからの私たち税金がどうなるか、あるいはこれからの自分の事業がどういうふうになっていくのであろうか、そういうような立場からお伺いをしてまいりたいと思います。その立場に立ってひとつお答えいただくようにお願いいたしたいと思うのです。  第一に、現在の不況ということ、あるいは首相が常日ごろ言っている有限の時代と言われている現象、あるいは赤字国債が非常に大幅に伸びていっているという状況、また一方、黒字を抱えまして、海外援助資金もさらにこれを伸ばさなければならないという要請、あるいはまた、失業者が百万あるいは潜在失業者を含めて三百万と言われているこの現象をどうやって解消をするかという課題、こういうように、大ざっぱに挙げて問題を抱えている現状にあります。これからの向こう二、三年でありますか、二、三年程度なりに向けての日本経済の歩み方というものがどうあるべきか、きわめて重要な意味を持っているものだと思うのです。そういう立場に立って、機構の改革も必要でしょうし、あるいは節約も必要でありましょうし、その中における税制というものはどうあるべきかということは、特に重要な要素を持っているものだと思うのであります。  現在、ちなみにこれだけで見ますと、これは相当数が変わってきていると思いますが、これからの五十三年度も七兆三千八百億の赤字、いまのままでいけば五十四年度も七兆余、五十五年度も六兆五千億余、こういうふうに赤字を依然として抱えていくというような状況があるわけでございますが、いま私が申し上げたような状況にかんがみて、これからの税制に対する方向、そういうものに対する見通しについて、その財源措置についてはどう考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  6. 大倉眞隆

    大倉政府委員 大変広範な角度からの御質問でございますが、財政立場からお答えをいたしますと、五十年代前半について経済全体のいろいろな要素のバランスをとりながら、あるいは整合性考えながら、なおかつ五年間に実質百兆円の公共投資を行って社会資本を充実する、しかも振替所得国民所得に対する比率を一〇%近くまで持ち上げて社会保障の充実を考える、一方では五十五年には何とか特例債に依存しない財政を実現したいという三つの主要な柱を立てて計算をいたしてみますと、沢田委員よく御承知財政収支試算の姿になるわけでございます。その姿で見ますと、今後予想されております国民経済全体の伸びを一といたしました場合に、税収はその一・八三倍ないと、こういう三つの目的が達成できないという姿になっておること、これもまた御承知のとおりだと思います。  ところで、一・八三というような比率現行税制税収が出るであろうかということを考えてみますと、これは不可能であると考えざるを得ないのではないか。と申しますのは、過去五年の平均で考えてみましても、国民経済が一伸びた場合に、税収というのは大体一・四ぐらいしか伸びない。これから若干成長のスピードが落ちるという前提をとります限り、一・四もなかなか無理であるのかもしれない。したがって、その差はある時期に何らかの負担増加をお願いせざるを得ないように思われる。国民の皆様に負担をお願いすることでございますから、決して容易なことではございませんけれども、これを避けて通るわけにまいらないということが計数的には出てまいっておると思います。このような試算は実は昨年度もお出しいたしておりまして、昨年の二月に予算委員会にお出しいたしたのでございますが、そのときすでに今後ある時期に増税をお願いせざるを得ないという考え方に立ちまして、昨年の六月以来政府税制調査会現行税制をまず全部洗い直していただきたい。その上で将来負担を求めるとすれば、どの税目負担を求める余地があるかを考えてみていただきたい。さらには、現行税制ではできない、あるいは限度があるということであるならば、いままでにない新しい税も考えざるを得ないかもしれないので、その点もあわせて御検討を願いたいということをお願いいたしました。  六月から十一月まで非常に精力的な御審議をいただきまして、その審議内容につきましては当委員会資料として提出いたしてございますのでよく御承知かと思いますが、現在の段階では、まだ具体的にどの税目でどの程度という詰めをやっていただくまでに至っておりません。途中の段階でとまっております。今国会が終了いたしましたら、直ちにこの作業を引き続き行っていただきまして、ことしの秋に現在の委員の任期が切れますので、そのときまでには何らかの指針を出していただきたいということをお願いしている段階でございます。
  7. 沢田広

    沢田委員 いまのお答えに続いて、もし負担の増というものがこれから起きると仮定をするならば、あるいはいろいろ資料がありますが、第一にその前提として置かれるべき条件というものは何であろうかということについてお答えをいただきたいのですが、これは私の方が言った方が早いのかどうかわかりませんけれども、一応お答えを簡単にひとついただきたいと思います。
  8. 大倉眞隆

    大倉政府委員 このように厳しい状況の中で、将来負担増加をお願いするとすれば、まずその前提として、あるいはそれと並行して歳出で極力むだを排除する、資金の一層効率的な配分に努めるということをやらなくてはならないし、歳入面では納税者の方々が不公平だと感じておられるものをしさいに吟味してそれを整理していくということもやらなくてはいけない。それらの努力が十分になされ、かつ国民になるほどと思っていただかなければ、なかなか一般的な増税というものは簡単にできるものではない、そのように私ども考えております。
  9. 沢田広

    沢田委員 税をもらうという、いただくということは一われわれがよく税を取るという言葉を使うのでありますが、これは今後ひとつ改めていただきたいと思うのであります。やはり税をいただく、この姿勢大蔵省になければ、まず国民信頼は得られないであろうと思うのであります。税を取る、こういう姿勢である限り、税を徴収していくことは不可能である。だから、まず第一には税に対する信頼感をどう取り戻すかということであろうと思います。それから第二には、いわゆる税の不公正を国民がだれが見ても公正である、こういうふうに見られるような税制にすること、そのことが地ならしができないうちにでこぼこのところに家を建てるようなものであって、それはいわゆる砂上楼閣をつくるようなものであるということは言うまでもないと思うのです。そういう点についてはどうお考えになっておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  10. 大倉眞隆

    大倉政府委員 基本的な考え方につきましては、私は全く沢田委員のおっしゃるとおりだと思っております。私どもの方もそういう意識を持ちまして、すでに一昨年の八月から税制調査会にいわゆる不公平税制という問題を取り上げていただきまして、現在各方面からこれが不公平ではないかと言われておるものを全部さらい上げていただいて、それを政策税制とそれ以外のものに区分していただいて、政策税制につきましては現実の社会に余り大きな混乱を起こさない限度で着実にこれを整理していこうということを御審議をお願いいたしました。非常に長い期間御審議をいただきまして、五十一年度ではかなり整理をいたしたわけでございます。
  11. 沢田広

    沢田委員 ひとつ言っていることをよく聞いていただきたいのです。私は、税を取るという姿勢をなくして、税をいただくという思想にまず大蔵省なり税務官僚がなることが前提である、そして不公正をなくすということが第一の前提である、そのでこぼこがならされた上で負担の増ということを考えなければ、それは砂上楼閣である、こういうふうに言っているわけですから、その前の二点が確実に行われるかどうかがいま私の質問の焦点なんですから、その点についてお答えをいただきたいのです。
  12. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的に沢田委員のおっしゃるとおりに私ども考えておるわけでございます。
  13. 沢田広

    沢田委員 次に、この不公正という言葉意味なんでありますが、私たち見解とあるいはあなたの見解と違うかもしれません。あるいは私の見解とだれかの見解ともまた違うかもわからない。この不公正と言われていることの一つ物差しとしてあなたの方ではどういうふうに考えて、公平というものは何か、公平の物差しとは何かということについて、ひとつどうお考えになっておられるか、お伺いをいたしたい。
  14. 大倉眞隆

    大倉政府委員 公平という言葉は、抽象的に申せば、水平的な公平と垂直的な公平として論ぜられているわけでございますが、そのような二つの角度から考えました場合に、個別に、具体的に、現在ある制度が公平であるのか、ないのかという点につきましては、おっしゃいますようにそれぞれの方でかなりの違いがございます。ある方はこの制度が不公平だとおっしゃるし、ある方は、いや、それは不公平な制度ではないんだとおっしゃるわけで、したがって作業といたしましては、先ほど申し上げましたように、あらゆる角度から、とにかくどなたかがこれは不公平だ、直すべきだとおっしゃったものを全部一遍拾い上げていただく。その上でこれを分類してみていただくということをまずお願いしたわけでございます。それが先ほど申し上げました政策税制とそれ以外の税制との振り分け作業でございました。
  15. 沢田広

    沢田委員 時間の関係もありますから次に進ましてもらいます。  税を取るというものの方の方向について質問をしておきますが、現在の行政不服審査法内容主計局長は知っておられますか。
  16. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私の仕事に必要な限りにおいてはできるだけ勉強しておるつもりでございますが、その専門家と申し上げるほどの自信はとうていございません。
  17. 沢田広

    沢田委員 一般的に知っておられれば結構なんですが、行政不服審査法と、いわゆる租税における審判所の申請の手続、あるいはその効力、あるいは罰則、そういう点についてどういう程度の違いがあるか、おわかりになりますか。
  18. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これもまた抽象的なお答えになって恐縮でございます。なお、詳細な点、お尋ねがございますれば、国税庁が参っておりますのでお答え申し上げますが、私の理解しておりますところでは、国税通則法の中に国税関係不服審査システムを取り込んである。それは税務に関する不服、異議申し立てかなり量が多い。しかも反覆的に出てくるケースもあるということで、通常行政不服審査に比べまして大量、反覆というような事実を踏まえながら、しかもできるだけ迅速に処理をいたしたいということで、通常行政不服審査とは違うシステムを持っておるというように理解いたしております。
  19. 沢田広

    沢田委員 結論的にひとつお答えをいただきたいのでありますが、現在の所得税法は非常に強権的な文字が使われている法律です。常に「処分」「執行」という、簡単に言うならば——ここでいう行政不服審査法におきましても、犯則事件の場合における処分は該当しない、こういうふうになっておるわけでありまして、この「犯則」といわれている、これは犯罪はもちろんあるわけであります。罪名が伴っていることはもちろんでありますが、では「則」とは何を指称するのであろうか。「犯則事件の「則」は何を指すのであろうか。その該当する範囲は何であろうか。これは果たして一般国民が知って——あなたも首をかしげるほどのことなんだ。そういう首をかしげるようなことがやはりこの法律の中にはあるわけです。さらにそういうふうに一般国民租税の不服あるいは租税に対して疑問を持つ。あるいは租税に対して修正を求める。手続はいろいろ修正申告手続もあります。あるいは更正請求手続もあります。ありますが、非常に強権的な手続制度になっている、こういうことについてはあなたはお認めになられますか。
  20. 大倉眞隆

    大倉政府委員 とっさのお尋ねで、あるいは御質問に直接お答えしないことになるかもしれませんので、その節は恐れ入りますが再度御質問をいただきたいのですが、ただいま御指摘のお話は、所得税法と申しますよりも、むしろ国税犯則取締法でそのような事案を処理いたしております。
  21. 沢田広

    沢田委員 そういうことではないのですが、次に行かしていただきます。  申告納税方式というのは、「納付すべき税額納税者のする申告により確定することを原則とする」と書いてあります。この原則がやはり一つ納税のたてまえなんであります。ですから、納付すべき税額納税者によって申告をする、こういうことが原則になっているわけです。ただ、ただし書きがありまして、税額計算法律の規定に従っていなかった場合、あるいはまた署長の調査したところと異なる場合に限り、この処分によりということが書いてある。  この処分とは何を言うのかということなんであります。その処分とは、これはいわゆる罪人扱いという形になる。法律用語でいろいろな問題がありますが、処置ということをするとか、あるいは確定するという言葉を使うとか、常識的にはいろいろありますが、しかし、ここであえて申告納税方式原則をとりながら、処分をする、こういう形の表現を使っているところに税の強権制度というものの意識があらわれているとしか思えないのでありますが、あえてこの処分と使った言葉意味あるいはその内容、その点についてお答えいただきたい。
  22. 大倉眞隆

    大倉政府委員 申告納税制度の基本は、納税者が御自分で御自分所得計算してください、納める税金計算してください、それで確定するのを原則とする、おっしゃるとおりでございます。  しかし同時に、私ども立場から申せば、御自分がこれは百だと思っておられても、実は百五十であるという場合に、申告したんだから百だといってそのままにしておきますと、それはまさしく公平を害することになりますから、それは私どもの方で調査をいたしまして、百ではなくて百五十であるというのが真実であるならば、それを百五十に直していただかなくてはなりません。それを法文上は処分という言葉を使っている場所もございますけれども、それは刑罰を加えるとかなんとかいう意味じゃございませんで、そういう行政措置をする、一般的に行政措置をすることを行政処分と称しておる、長い間の言葉の使いぐせで処分という言葉が使われておるのだと私は考えますが、具体的には、申告をなさったものが、その所得が少な過ぎる、税が少な過ぎるという場合には、それは更正という処分をいたします。それから、自分所得が少なくて税を納める必要がないということで申告をしていらっしゃらなかった方について調査をして、これは所得がこれだけでございますからこれだけの税を納めていただきたいというときには、決定という処分をいたします。更正または決定という行政処分をいたします。
  23. 沢田広

    沢田委員 だから、行政処分なんという言葉を聞くとわれわれはびくびくっとしてしまうのであります。一般の市民も同じだと思うのでありまして、この処分という言葉意味は、日本語の常識から見ると、やはり行政上の強権的な扱い、こういうことになるのであって、少なくとも、税を納めていただきますという言葉表現ではありませんね。少なくとも命令的な言葉であることだけは間違いない。  ですから、さっき言った、税を取られるかあるいは取るかあるいは納めていただくか、こういう一つ姿勢の根因に触れる言葉なんであって、ここでも、申告納税原則というものがあるのだから、調査したところ、異なる場合については、その更正によって納税していただくこともありますとかあるいはできますとか、調査して確定する方式によって納税していただきますとか、そういう言葉が使われるのが常識なんです。ところが、異なる場合に限り、処分により、確定する方式、こういう処分という言葉を使っていくところに日本の強権的な税のあり方がある。しかも税金罰則は三年以下の懲役、五百万円あるいは一千万円の罰金、こうなっている。これは尊属殺人にも、まあ精神異常なんかの場合だけでありますけれども、判例から見ても、に匹敵するような罰則の強化なんです。  要するに、税金というものに対しては日本の総権力を当てているということだけは言い得るのではないかと思われるくらいに私たち考えるわけなんでありまして、そういう処分という言葉も次回の改正等に当たっては、いわゆる取るという考え方なのか、あるいはいただくという考え方になるのか、その辺の姿勢によっては、同じ取るのにも、改めていただくということが必要なんではなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点いかがでしょうか、お伺いをいたします。
  24. 大倉眞隆

    大倉政府委員 所得税法上にそういう処分という言葉は私の記憶ではほとんどないような気がいたしますが、どういうことによって税額が確定するかというときに、まず御自分計算なさっていただいて確定するのを原則とするけれども、それが違っておれば、それは公正を確保するためにはやはり直していただかなくてはいけないわけでございますから、直していただきたいということをお知らせする、それを行政処分と申しておるわけでございまして、どうも沢田委員のおっしゃるように、それはしゃにむに取り上げなくてはいかぬから処分という言葉を使っているというふうには私は考えません。
  25. 沢田広

    沢田委員 時間の関係がありますし、たくさん問題を持っていますから次に行きますが、修正申告効力、それから更正請求効力、しかもこれは二カ月以内ということになっておりますが、行政不服審査法でも、修正申告更正請求というような場合は大体六十日以内なんであります。ところが三カ月以内に回答を出す、これはいわゆる国税不服審判所に対して請求をした場合については三カ月もたたなければ出てこない、こういう形になっておる。三カ月もたって、その間は更正決定されたものは効力はどんどん進行していってしまう、延滞金利子税も取られていってしまう、こういうことでしょう。その点どうですか。
  26. 松本久男

    松本説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘につきましては、更正決定納税者にございました場合に、異議申し立てが三カ月以内に決定がないときは不服審判所に来て審査請求ということになるのは御指摘のとおりでございますが、先生御指摘の点は、更正決定について不服がある場合に、三カ月もたって返事が来ないのは、非常に納税者に対する権利救済措置として不十分ではないかという御指摘かと思います。その点につきましては税務当局の方の問題でございますけれども税務当局としましてもできるだけ三カ月以内に早く処理するように努力をされまして、かなり多くのものは三カ月以内に事実処理されておると思いますけれども、三カ月たちますと、納税者の方は私どもの方に審査請求ということでお持ちになるか、あるいはもう少し税務当局決定を待ってみようというふうに選択なさるか、どちらでもできるようになっておるわけでございますが、私どもの方をお選びになりました場合には、すでに三カ月たっておるわけでございますので、できるだけ早く決定するように努めておるわけでございます。  ちなみに、私どもの方に参りましてからは、いろいろ非常にむずかしい案件とか、そういうあれはございますけれども、できるだけ半年以内ぐらいには処理をするように努めておりまして、事実私どものところに参りまして二、三カ月のうちに結論を出しているというふうなものもございますが、できるだけ早く処理をするということが権利救済につながるということは全く御指摘のとおりでございますので、今後ともその方向努力させていただきたいと思う次第でございます。
  27. 沢田広

    沢田委員 私の言うのは、三カ月が長いということも一つで、努力をされることも結構ですが、その間のいわゆる税の利子延滞金、それの効力がどういうふうに進んでいっているのかということ。税は税としてどんどん進んでふくらんでいってしまう、あなたの方は三カ月間たってのうのうとやっていっておる、そういう状況が正しいのかどうかということをいまお伺いしておるわけなのです。だから、あなの方で受け付けたこの審査期間中は、たとえば利子なり延滞金なりは取らないで、審査期間中だけは保留するとか、そういう措置が当然講じられなければ民主的ではないでしょう。そう思いませんか。その点についてのお答え伺いたいわけです。
  28. 松本久男

    松本説明員 その点につきましては、審判所よりは税務当局の問題かと思いますが、私の方から若干お答えをさしていただきますと、不服を申し立てになっておる納税者の方が、仮に不服は不服だけれども、ともかく当初の決定について税金をお納めになるということになりますと、それから後の利子はかからないわけでございまして、審査の結果私どもの方が後に取り消して、余分にいただいたお金をお返しするということになりますと、その分を逆に利子をつけてお返しするという仕組みになっているように私は承知いたしております。その点は原処分庁の方のお取り扱いでございますけれども、取り消した分についてはその段階で当然お返しすると同時に、還付加算金をつけることになるのではないかと私は承知いたしております。
  29. 沢田広

    沢田委員 それで間違いありませんか。
  30. 大倉眞隆

    大倉政府委員 御自分でお納めになった場合はそのとおりでございます。  それから、先ほどの非常に大ざっぱな例で申し上げますれば、真実が百五十であるかどうかを争っておる、それを百として申告をなさっておる。その場合に、五十の差額についてはこちらが納めていただきたいと申し上げている段階ですから、日が延びれば利子税はついていく。しかし、最終的に百が正しかったのだということになれば、もちろん五十は取り消しますし、五十に対する利子税も延滞税もいただきません。  しかし、その期間利子税をとめてしまうことになりますと、それはまた別の角度からの公正という点を考えますれば、百五十として本来正しく申告をしていただいて、百五十を期限内に納めていただいた方とのバランスがございますから、百として納めた方が、残りの五十の分は審査継続中は利子がつかないということでは、正当の期限に正当に納めていただいた方とのバランスはとれません。ですから、さかのぼって百が正しいというのならば利子はいただきません。しかし、本来百五十が正しかったのだというのならば、五十を納付期限内に納めていただいた方とのバランスから、その間の利子はやはり納めていただきたい、そう考えております。
  31. 沢田広

    沢田委員 具体的な例でお伺いします。私も幾つかこういう問題を扱ったこともありますので、その例で聞きます。  これはことしの例でも一つあるのですが、土地の売買が行われました。地権者があって、その地権者に土地を売ったわけであります。御存じでありましょうけれども、これは埼玉県の与野市であります。その場合に、坪当たり三万三千円程度の金で購入しました。ところが、三尺道路でありまして、狭いところで四メートルの道路がありません。大体十五万ぐらいが国土庁の発表の価格であったと思います。固定資産の評価額でも恐らく十万程度にされていると思います。しかし、その地主から見れば、袋小路でもあるし、建築制限も受けなければならぬということで、地権者でありますから常識的に二分の一になりますから、二分の一からさらに下げた金額で買ったわけであります。税務署はこれは了承しない。税務署はこの金額で買ったという事実を否定する。こんなばかな金で買ったはずはないとどうしても承知しない。承知しないから、現実に申告書を受け付けてくれない。そして結果的には、こんな安いわけはないのだから、その評価額書を持ってこい、そう言って更正決定をされる。この場合に、それは自分でそのとおり事実が伴っているのだから、私はこれで買ったのだからそれで納めます、それ以上に来た分は不服ですから、不服審査法で持っていきますと言っていったならば、あなたの方で査定された金額の差額はどんどん延滞金がついてしまう。そう思いませんか。
  32. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 事実関係の問題でございますので私の方からお答えいたしますが、土地の評価の問題にかかる案件であろうと思います。  土地の評価につきましては、常々路線価格をきめまして適正に評価をしているところでございますけれども、先生のいまのお話しのような場合は、いわゆる袋地のケースではなかろうかと思います。袋地とかあるいは間口の狭小な宅地の価格につきましては、通常の評価額に補正を行いまして、その実態に即するように評価をしているわけでございます。  問題は、評価額の適否の問題が争われていると思いますが、この点につきましては、税務の一線におきましては、その実態を十分見きわめまして、その評価額が正しいかどうかということを判断の上課税をしておるというのが実態であろうかと思います。御指摘の点につきまして、その契約内容がどうであったかというような細かいいろいろな要件があろうかと思いますが、事実関係につきましてはなお詳しくわれわれの方も調べまして、どのようなケースであるかも一応検討してみたいと思いますが、一般的には、そのような形でわれわれは仕事をしておるわけでございます。     〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕
  33. 沢田広

    沢田委員 私の言うのは、一般的な市民のいわゆる常識程度からいきますと、こういう例はたくさんある。私もこの例は、この間相談を受けた例だけにとどまらない。毎年のようにこういう相談を受けるのです。とにかく争っていてもしようがないのだ、言われたとおりにしなければ受け付けてくれないのだし、そして受け付けてくれなければ結果的に不申告になってしまうのだから、泣きの涙でそのまま更正決定をもらう以外になくなってしまう。そういう点について、どういう修正なり、その本人の申し出の回復措置を講ずる措置があるのか、その点を税制上の方途として考えるべきではないのか、こういう点を、先ほどの審判所の問題をあわせて聞いているわけなのであります。その点もう一回抽象的ではなくて御回答いただきたいと思います。
  34. 大倉眞隆

    大倉政府委員 制度としましては、先ほど来の御質問の中で終始おっしゃっておられますように、いまのケースの例で申せば、三万三千円で売ったのだ、それが正しいのだというならば、それで申告をしていただく。税務署が三万三千円よりはもっと高い値段でお売りになったのではないですかと言うなら、税務署が調べて、税務署の方で三万三千円より高い値段で売られたのだということが判断がつけば、それは更正という処分を行う。その更正に対して不服がおありならば、それは不服申し立てをしていただき、それに対する税務署の回答が、なおそれではおかしいのだ、事実に反するのだというならば、国税不服審判所に来ていただく、そこでなおかつ決着がつかないならば裁判をしていただく、そういうことで権利救済のための仕組みは十分でき上がっておると思います。
  35. 沢田広

    沢田委員 そういうような問題で、事実はそういうふうに泣きの涙で納めてしまう人が多いわけですが、また一方、このことは裏金で授受をして脱税をするという面もあると思うのですね。表はそうだとがんばって、裏であとの残りの五万を授受しているという脱税が存在しないとは限らないい。この場合は、この人は市会議員ですから事実を私のところに言ってきたわけなんでありますけれども、そういう条件は明らかですが、しかし一方、あなたの方の税務署では、疑って物を見るから、これは裏金が動いているのではないか、三万円なんてそんなばかな値段で売買ができるはずがない、そういう前提に立って物を発想するから、そういう疑惑を持って罪人扱いしながら物を扱っていくところに問題の出発点がある。そこに私がいままで言ってきている論拠があるわけなんです。  そこで、いまいみじくも言われたように、そういうものの不服審査の簡略化、これは行政不服審査法でも口頭でもいい、こう言っているぐらいですから、いわゆるこの行政不服審査法に準じた国税の不服審査というものについての簡略化と、それから税務署長の兼務をやめて、第三者機関なりあるいは税務大蔵省官僚でも構わないですから、いわゆる税務署と違った機関で、審判所ありますけれども、皆これは遠くの方に行くと税務署長が兼務だそうですが、そういう兼務ではなくて、別な機関で第三者的なものを一名ぐらい入れて、そして審判所を構成する、そういうことについてはどうお考えですか。
  36. 松本久男

    松本説明員 ただいま御指摘の点につきましては、現状といたしましては国税部内の税務署ないし国税局の職員と私ども国税不服審判所との間の人事というものが基本になりまして審判所の職員が構成されておることは、大勢としては御指摘のとおり事実でございますが、しかしまた同時に、先生御指摘のようなもう少し部外から見識のある方に審判所に来ていただくということにつきましては私どもの方も全く同じような考えでおるわけでございまして、ごく少数ではございますけれども、たとえば私どもの本部の審判所長は高等裁判所の判事から代々来ていただいておりますし、大阪の審判所長もやはり判事から来ていただいておる。東京の審判所長は検事から来ていただいておる。さらにもう少し下の方におきましても、少数でございますが公認会計士の御出身とか裁判所の書記官とかからも来ていただいておるわけでございます。ただ、仕事の性質が税務というかなり専門的な分野でもございますので、現実の人事が税務署ないし国税局と交流しているという点もやむを得ない面があろうかと思いますが、できるだけいまおっしゃったような点につきましても心がけてまいりたいと存じておる次第でございます。
  37. 沢田広

    沢田委員 では、それはひとつ善処を特に要望します。  次に、二つの問題を確認しておきたいのです。  先般田中角榮氏に対しまして五億円余の重加算税その他をつけて税金をかけたようでありますが、これも非常に参考になりますので、その算出根拠、それから本税は幾らであって加算税が幾らであって、それが延滞金が幾らであって利子税が幾らであるとか、その内訳をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。  それからもう一つの場合、これは具体的な例なんですが、われわれが金がなくて二年で分割で土地を買う。あなたならあなたが二年で分割で買う。ところが契約のときに一括収入とみなして税金をかけてくる、それも不当じゃないかと思うのです。事実上たとえば売り値が十五万だと言います。だけれども、十五万を十三万にまけてくれと言う。十三万にはまけられない。じゃ、十五万の言い値で買います。しかし、言い値で買うけれども、これは一年で支払いができないから二年に分割して払わしてください、こう言って契約をする。ところが、税務署では契約した日をもって所得とみなす。確かに一方ではそういう方法が可能だとすれば、毎年基礎控除があるから毎年脱税されるという心配もなくもないということは私もわかります、税法上。しかし、事実として一般の庶民大衆が三年分割なり二年分割で購入したという場合にそれを一緒の所得とみなして、その購入価格として収入の入ってない人に入ったものとして税金をかけていくということは、これは越権もはなはだしいのじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  38. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  最初の田中元総理に関する課税の問題でございますけれども、田中元総理の課税問題につきましては、税務当局といたしましては、税務処理上必要な実態を調べて適正な処理をするというふうに申し上げてきたわけでございますけれども、このほどその方針に沿いまして適正な処理をいたしました。処理に当たりましては、税務当局として税務処理上の実態の把握に努めたところでございます。しかし、具体的にどのような方法をとったかということとか、その課税の内容がどうであるかということにつきましては、個別の案件一般税務処理上のことでございますので、一般納税者の場合と同様に、その内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。また、この結果ふえました税額に対しましては加算税が賦課されることは当然でございますし、納付されるまでには延滞加算税が加算されることになることは、一般の例と同様でございます。  二番目の問題でございますけれども、これは具体的な事実関係がどういうふうな形であるかということが判然といたしませんので、ちょっとお答えがなかなかむずかしいかと思いますが、一般的に言いますれば、実際に契約が単一であるけれども、代金が三年の分割で支払われるというふうなことでありますれば、これはまとめて課税をするのがたてまえであろうかと思います。ただ契約の内容が真に各年別であれば、各年別に課税をするのが筋道であろうかと思いますが、いずれにしても、その事実関係がどういうふうな関係であるかということがいま私たち判明いたしかねるわけでございますので、一般論としてはそのような考え方処理をすべきものと考えております。
  39. 沢田広

    沢田委員 おかしくないですか。住宅ローンなんかは十七年償還のものを一回の契約で一千七百万の所得としては税金かけてないでしょう。そういう事実もありますが、単一契約であったならばと言いますけれども、せめて十五万で百坪買うのに千五百万だ。千五百万で買うものを、七百五十万の契約を一年度にしておいて、次に七百五十万の契約はできっこないでしょう、百坪なら百坪買うのに。そんな不可能なことを強いたって無理ですよ。千五百万で買うのを一つの契約としてこれはこの年度に払います、この年度に七百五十万払いますという契約をするので、それは税金というものは所得によって納めるということになっているのでしょう。架空な、収入になってない所得まで税金をかけるということは税法上書いてないでしょう、どうですか。
  40. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  売買契約の問題とそれから支払いの条件とは、これはやはり別個の問題だと思います。私たちの課税上の根拠と申しますか、課税の基礎となりますのは、売買の契約の内容がどうであったかというところに着目をいたすわけでございまして、その契約の内容が単一の契約である、一体としての契約であるというふうな場合には、その支払いの条件というものが、たとえば三年であろうとあるいは五年であろうと、それはやはり一回の契約というものに基礎を置いて課税をすべきものと考えるわけでございます。ただ、本当の売買の契約そのものが真に別個の契約が結ばれておるということならばその個別の契約ごとに課税が行われるということになるわけでございます。
  41. 沢田広

    沢田委員 そうすると、公団住宅とかそういうような公営住宅というような場合に十七年償還とかなんとかの場合は、これは単年度でやはり千四百万の公団住宅を買えば千四百万の税金をその年度にかけるのですか。
  42. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 いまの千七百万で買ったというお話でございますけれども、譲渡所得が起きる場合は売った場合でございまして、買った人について税の問題というのは起きないのでございます。したがいましてその売った人につきましてその売買契約がどういう内容であったかということを精査いたしまし、売った人の所得といたしまして譲渡所得という課税が起きるわけでございます。
  43. 沢田広

    沢田委員 じゃ、その方の側だけの問題で聞きますが、単一契約であるとすれば、一本の契約で千五百万と決めないで、もう一本の契約書をつくって七百五十万で決めればそれでいいということになりますか。
  44. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  そこは形式的に申しますればそういうことでございますけれども、真にその契約の内容が本来一本の契約であった。本当はそうであった。しかしそれを便宜上二つの契約に分けたというふうにわれわれが判断した場合には、これは一本の契約とわれわれは判断をして課税をするということになろうかと思いますが、そこは事実関係の判断の問題であろうかと思います。
  45. 沢田広

    沢田委員 所得というものはそこに発生したその年度の所得に基づいて税をかけるというたてまえの原則を、この契約論ですりかえて変えていくということは、税のいわゆる課税客体としての把握から見てやはり問題があるんじゃないかと思うのですね、この点は。ですから、その点は税の体系を崩すということにもなりかねないと思うのであって、契約になっていくならば、どんな契約書をつくっても、それによって納めていくんだという形になるとすれば税の本質を崩すことにもなりかねない。その点どう思われますか。
  46. 大倉眞隆

    大倉政府委員 御質問の点は、一番根元にございます問題は、所得をどの年の所得考えるかというときに、現金主義的に考えるか、発生主義的に考えるかということに最後はなってまいると思います。ただいま所得税法も法人税法も発生主義的に所得の帰属を考えるというたてまえになっておりまするので、そのことを個別の事態に即して平たく申せば、国税庁次長が申しておりますように、ある百坪の土地を私がここにおります田谷さんにまとめて売りましたということであれば、それは売った年の所得である、あと現金がどの年にどのように入ってくるかということは別の問題であるという考え方で構成をされております。それは企業の未収金がある場合と同じようなものだとお考えいただけないかと思います。
  47. 沢田広

    沢田委員 まだ大変残っておりますから、今度ちょっとスピードを上げますから、答えも簡単にしていただきたいと思います。  酒等の販売あるいはたばこ等の販売、米等の販売、若干税の問題に触れるわけでありますが、こういうものが独占化されているという形態はもう脱却していいんじゃないかというふうな時代を迎えていると思うのであります。酒なんかもすべてびん詰めで、水を薄めて売るなんという昔ながらの時代はもう去ったのでありますし、米もちゃんとした密封された袋で売れるのでありますから、これも自由に販売することも可能だと思うのであります。そういう意味においても、許可権限というような、いわゆる独占化といいますか、そういうものをもっと拡大していくという方向についてどう考えておられるか、あるいはこれを撤廃するというようなことについてどう考えておられるか、その点についてお答えをいただきたい。
  48. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  酒の販売につきましては免許制度となっているわけでございますけれども、酒類というものにつきましては、それに課されておりますところの税金が非常に高率でございます。その税収におきましても国家財政上非常に重要な地位にある財政物資ということが言えようかと思います。したがいまして、もしその販売を自由にいたしますと、経営の基盤が非常に薄弱なものまでが酒類を販売するということも考えられます。また必要以上に流通業者が乱立をいたしまして過当競争が激化をする、取引が混乱するというふうな結果を招くおそれがあるわけでございますので、その結果販売業者の経営基盤が悪化をいたしまして、納税義務者であるところの製造業者の販売代金等の回収が停滞をいたしまして、ひいては酒税の納付に支障を来して酒税の確保ができなくなる、こういうふうなことが予想されるわけでございます。したがいまして、以上のことから、私たち一線の免許を具体的に扱っている立場といたしましては、この免許制度の存続というものは意義があろうかというふうに考えているわけでございます。
  49. 沢田広

    沢田委員 担税能力があったら安心ができるという、私ら余り望ましいとは思わないけれども、たとえばデパートなりあるいはそういうところであったなら絶対心配がないんだというところなら大丈夫だ、こういうことですか。
  50. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 免許の具体的な運用に当たりましては、いろいろな条件を実は要素として考えておりまして、単に資力のみということではなくして、その販売に携わろうという人の経験であるとか、あるいは周囲における酒類の需給状況であるとか、すでに免許を与えている業者の状態であるとかいうふうな点を総合勘案をいたしまして、免許をいたしたいと思います。
  51. 沢田広

    沢田委員 その発想がもう古いんじゃないのかということを私は言っているわけなんです。それは業界とのつながりはわかります。長年のつながりもあることはわかっておりますけれども、もうそういう段階を去らなければならない時期に来ているのではないかということの私の問題提起なんです。そういう従来の慣行だけに縛られたんでは、やはりこれからの税金が上がっていくということも——いつになっても許可に裏金を使ってみたり、許可をもらうために国会議員に物を頼んでみたり、あるいは許可をもらうためにはあちこちの業界の理事や何かをやってみたり、そういうことをやっている許可業務を簡略にしていくことがいま必要になってきているのじゃないか、ずばり言えばそういうことなんだ。そういうことに固執をしているのは、あなたのふところを温めているとは私は言わないけれども、そういう許可権限を持っているところに、今日の行政の腐敗というものが発生する芽があることだけは否定できないと思う。これはその一例なんだ。だからそういう意味において、この酒税なんというものも、もっと普及的にやっていったらどうか、こういう提案をしているわけなんですが、この点はどうなんですか。どういう事実があったかということ、具体的な例を挙げろと言えば幾らでも挙げてあげますよ。
  52. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  免許制度の運用に当たりましては、私たちは非常に硬直的な態度でその問題、制度を運用するというつもりはさらさらございません。現在におきましても、酒類の需給状況を見まして、地域の状況も勘案をいたしながら相当弾力的な運営を図っておるところでございますし、また販売業者自体に対しましても、公正な競争を通じまして消費者サービスを心がけるよう指導を強めているところでございまして、硬直的な態度で制度を運用するというつもりはさらさらないわけでございます。
  53. 沢田広

    沢田委員 いまだに余り変わってないようでありますが、大いにひとつこれは政務次官等も含めて、この辺は腐敗の除去というものを含めて能率化するように希望しておきます。  続いて、差し押さえ物件の状況とその経過それから差し押さえ物件の流通についてお伺いをいたします。それから物納の処分とその経過、これも特に差し押さえ物件が固定化された業界へ流れている。これはそれぞれの税務署管内もありますけれども、そういう経緯もあるわけであります。これらをもう少し何か公表化といいますか、公表はしているのですけれども、公示していることはわかっておりますが、その経過、金額の明朗化、こういうものを図る意思はないかどうかお伺いをいたしたいと思います。
  54. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 差し押さえ物件の公売の関係でございますけれども、最初に若干数字的なお話を申し上げます。  五十年の七月から五十一年の六月までの一年間の統計をとってみますと、実は公売公告をいたしましたのは四千九百九十二回でございます。この対象となった物件数が十一万一千三百九十件でございます。この公売公告を行いまして実際に公売を実施いたしました回数が二千五百五十八回でございます。物件数といたしましては十万六千七百三十五件でございます。実際にこの公売実施をいたしました結果売却を決定いたしましたもの、その金額は十七億五千八百万円でございます。物件数としては九万二百八十二件ということでございます。  私たちといたしましても、この公売につきましては国税徴収法の規定にのっとりまして、公売をする場合には公告をするという形でございますし、現実に公売を行う場合には、その適正な運用に常々心がけておるわけでございます。
  55. 沢田広

    沢田委員 もう時間がないから切望しておきますけれども、なるべくオープン化をして、固定的な業界、業者だけに固定化されないように、ひとつその点は十分配慮をしてもらうようにお願いしておきます。細かい点はまた別の機会に聞きたいと思います。  次に、不労所得と税の関係であります。いわゆる不労所得と称せられるものに対する税をどのように、これからの税を増加させていく場合に、不労所得、いわゆる労働の伴わない、みずからの労力が伴わない所得に対する税というものについてどのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  56. 大倉眞隆

    大倉政府委員 おっしゃいます不労所得というのが勤労性所得以外のものという御趣旨のように承りましたが、それは資産所得と申す〇が普通のグループであるのかもしれません。  そこで、資産所得に対しての課税につきましては、勤労性の所得に比して負担が低くなるということは決して望ましいことではない。ただ、長い間の積み重ねで利子配当所得などに対していろいろの特別措置がなお残っておるということは否定できないわけでございますが、少額貯蓄のように、広く一般大衆の零細貯蓄のためにつくられている制度はともかくといたしまして、利子配当全体に対する特別措置につきましては、経済全体に与える影響も考えながら、逐次完全に総合課税をするという方向に持っていきたいものと考えております。  キャピタルゲインにつきましては、現在は土地のキャピタルゲインはむしろ所得税法本法よりも課税が強化されているというのが現状でございます。
  57. 沢田広

    沢田委員 たくさん材料を持ってきたのでありますけれども、ここでは一つだけ、土地の問題にいま触れられたようですから申し上げますが、たとえば駅の前の土地が一千万円する。それは本人の努力は少なくともなかったということだと思うのですが、そう思われますか。
  58. 大倉眞隆

    大倉政府委員 土地のキャピタルゲインにつきましては、一般的に申せば、いわゆる地価狂騰の結果のウインドフォールという部分がかなりに多いということは確かだと思います。
  59. 沢田広

    沢田委員 言うならば、そこに駅ができる、あるいはそこにビルができる、マーケットができるというその客観的な条件、社会情勢の変化、そのことによって価値が高騰をした。言うならば本人の意思あるいは本人の労力というものは加わらない。幾らか、何千分の一ぐらいは加わっているでしょうけれども、そういうことだと思うんです。そうすると、その土地の税というものはやはり社会に還元される分がより多くていいんじゃないかということに当然なるだろうと思うのであります。ですから、当然、その土地の売買に当たっては、たとえば土地公示価格を標準にすれば土地公示価格以上の分、あるいは固定資産税評価額を標準にすればそれ以上は社会に還元をする。そして、社会のおかげでこれだけになりましたという形になって、社会の公共と福祉の充実に寄与する、そういう税制が正しいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  60. 大倉眞隆

    大倉政府委員 土地税制は四十五年ごろから非常に論議の対象になっておりまして、その過程では、いま沢田委員がおっしゃいますように、固定資産税評価額を使うか、あるいは当時やっと芽生え始めました公示価格制度を使うか、いずれにしてもそれより上で売られた部分については課税の強化を、極端に言えば一〇〇%に近い課税をしてもいいではないかという御議論があったことは事実でございます。ただ、非常に各方面からの御議論を合わせました結果、ただいまのところは所得税法の本法よりもむしろ課税を強化して、本法は二分の一総合課税でありますのを四分の三総合課税にするということで一応安定した姿にはなっておりますが、なお今後の議論としておっしゃるような御指摘も生き残る。依然としてこれから土地税制をどうするんだという論議は続いていくものと思います。
  61. 沢田広

    沢田委員 さらに、土地を買い占めておいて値上がりをする。これもその人間の知恵なり創意性については敬意を表するとしても、その意味は、これもやや不労所得に類するものであるというふうに同一視しても差し支えないと思うのであります。そういうような意味において、これも——それから総会屋の所得、これも、まあこの前やった全日空にしても十六分で終わるとか、総会屋によってなぐられた一般市民もいるわけでありますから、そういうような所得なんかの把握についても、これは暴力を使っているから言うならば全然不労所得じゃないかもわかりませんけれども、しかし社会的に見てこれは一番悪い不労所得だと言ってもいいと思うのでありまして、やはりそういう点についての税の追及というものは、これを許すことはできないものではないかと思うのでありまして、その点の見解と追及についてお伺いをいたしたいと思います。
  62. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  総会屋の所得についての追及を厳しくというお話でございますが、全く同感でございます。ただ、この総会屋関係所得の把握につきましては、出し手である方の企業の協力を十分得なければならないという点が実は一番の問題でございまして、今後ともこの点につきまして、出し手の方の協力を十分得ながらその追及を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  63. 沢田広

    沢田委員 若干問題が残っておりますが、急ぎます。  次に、高額所得者の税制なのでありますが、日本の個人の能力の差というものをどの程度に見るか、これは非常にむずかしいものがあると思うのです。若狭社長は二千万円の月給取りだったそうでありますが、主計局長はいま幾ら給料を取っているかわからぬが、どの程度の能力の差があるとお考えになっておられるか。それぞれ考えの違いはあると思うのですが、いわゆる高額所得者の限度を、中国の例を出しますと毛沢東は八倍というふうに言っておる。われわれも組合の中で給与関係をやっておりました場合においては、これは大体八倍から十倍論というのが常識的な企業の賃金配分の原則になっていることも事実であります。また、社会的にも大体そういう方向がとられておるようであります。ところが、民間企業等においては一千万あるいは二千万、こういう給与が支払われておる。しかも公益法人等に多い。ですから、少なくとも人間の能力の差というものの倍率は十倍なら十倍ぐらいを限度に置いて、十倍以上の分についてはそれはいわゆる過剰所得である、こういうふうに判断してもこれは間違いないのじゃないか。いま高校卒業の初任給は七万幾らですね。人事院勧告があって八万ぐらいになるかもしれませんが、これを九万円、十万円としてもいいでしょう。それの十倍としても年収一千万円です。ですから、十倍として一千万以上の所得、人間の能力の十人分です。そういう所得以上は少なくとも一〇%増しから、二千万の所得になるのならば五〇%ぐらいの課税をしても少しも悪くないのじゃないか、こういうふうな気がするのでありますが、その点を伺っておきます。
  64. 大倉眞隆

    大倉政府委員 給与の体系として、トップと一番若い方とのと申しますか、一番初めて来られた方の較差がどれくらいがいいのかということは、私全く専門家でございませんので、何ともお答えする能力がございませんが、税でそれを受けとめますときには、最初の御議論にございましたその垂直的公平というものを保つために、個人の所得については累進課税を行うという考え方が成立しているのだと思います。したがって問題は、日本のいまの所得税の累進度がそれでいいだろうかという問題に帰着して判断さるべきであろう。ただ、その点で申しますと、お手元にある税制調査会の部会長報告にグラフにした各国比較がございますけれども、その中では、日本所得税の累進度というのは、イギリスのように非常に所得税の高い国は別にいたしますと、アメリカ、ドイツ、フランス、いずれに比べてもかなり高いという分析がなされております。いま一千万という例示をいただきましたけれども、たとえば二百五十万円の年収の方と一千万円の方とは、収入は四倍でございますけれども税額では今回の政府案で大体四十一倍になります。収入が四倍なら税額は四十一倍になるというような高い累進度を持っておりますので、今後とも、その累進度がどの程度が適当かという議論として、なお論議を深めていくべき問題だ、そのように考えております。
  65. 沢田広

    沢田委員 意見はありますが、時間の関係があるのでまた別の機会にひとつこの議論はやらせてもらいますが、ただ、いま言った税金の分野における議論も、いわゆる一千万円の中の百万円の税金と、二百万円ぐらいの所得の人の十万円の税金の重さというものの価値はやはり違うということ、これも念頭に置いていただかなければ、ただ単なる倍率で論ずるわけにはいかない。それは価値が違うということをひとつ御記憶にとどめていただきたいと思います。  次に、問題がちょっと大き過ぎて時間がないので申しわけないのでありますが、アジア諸国に起こっている排日運動の原因はどこにあるのかということがひとつ聞きたいのであります。どういうふうに受けとめておられるのかということが一つ。  それから今度の議案の出ているアジア援助、〇・三六に今度引き上げなければなりませんね。だんだん引き上げなければならぬ。アジア援助もある。二国間援助もある。これのあり方がどのようにあるべきかということについてお伺いをいたしたい。  それから、現在ダンピングがとにかく問題になっておる。そのダンピングはどういうところに日本のダンピングがあると指摘をされているか、どう受けとめておられるか、これをお伺いいたしたい。これは通産省も来ておられますから、アジア援助、アジア開発銀行における援助、あるいは二国間協定における日本の商社あるいは業者がどのような状態において営業行為を行っているか、これがやはり排日運動を盛り上げていることの事実は否定できないと思うのであります。その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  66. 北田栄作

    ○北田政府委員 海外の特に開発途上国に対する経済援助につきましては、世界の相互依存関係が非常に高まっておりまする中で、開発途上国の民生の安定、開発の促進を図るということが非常に重要でございまして、われわれといたしましては、その各国の自助努力を助けながら、経済の発展、民生の安定を促進することに協力をいたしておるわけでございます。そういった意味で、二国間援助並びにアジア開発銀行等の国際開発金融機関を通ずる援助に努力をいたしておるところでございます。  ただ、ただいまそういった経済協力の関係でわが国の業者がどういうことをやっているかということのお話がございましたが、御承知のように、こういった経済協力に伴います個々の実施に当たりましては、各国の調達機関がそれぞれ自主的な手続に従いまして各業者と契約をいたし、発注をするというたてまえになっておるところでございまして、原則として入札制度になっておるわけでございます。したがいまして、どういった業者がそういった経済協力にタッチするかということは、直接政府がタッチするわけではございません。ただ、そういった経済援助の実施でございますので、日本の企業等がそれに参画いたします場合には、十分適正な運営を行われるべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  67. 沢田広

    沢田委員 もう一つ最後に、ダンピング問題、排日運動の原因、答えてくださいよ。
  68. 北田栄作

    ○北田政府委員 経済協力のみならず、たとえば日本の企業が海外投資というようなかっこうで現地でいろいろ従来トラブルを起こしたというようなことがあることは承知しておるところでございます。そういった点につきましては、海外に進出いたします各企業は、現地の状況をも十分考えながら、現地とトラブルを起こさないように適正な企業活動をすべきもの、このように考えておる次第でございます。
  69. 沢田広

    沢田委員 ダンピング問題はどうです。
  70. 河野権一郎

    ○河野説明員 ダンピング問題につきましては、先進国では、日本がアメリカ、ヨーロッパその他について商品を輸出する際にそういったことでダンピングとして問題になっているケースがございますけれども、先生御指摘の東南アジア地域その他については、日本がダンピングをして輸出するということは、私ども承知しておりません。したがって、こういったものが排日運動の原因になっているというふうには私ども考えておりません。
  71. 沢田広

    沢田委員 それでは、時間が来たようですからこれで質問は終わりますけれども、アジア開発銀行における商社の行為、あるいは二国間協定による援助行為、そのことが間組の爆破事件に結びつき、あるいは三菱の爆破事件に結びつき、それが一部の過激分子の問題であるにせよ、多くの国民がそのことによって迷惑を受けた事実は否定することはできない。またそのことの原因が、あるいはアジア諸国における植民地主義と彼らが言っておりまする、帝国主義と言っておるその状況の原因も否定することはできない。また、イエロージャップと言われている事実も、とにかく腹巻きから札束を出して、まあ団体の名前は言いませんけれども、とにかく日本人が横行しているという現状も否定できない。今日の排日運動の原因をしっかり把握しないで、アジア援助をやろうが二国間援助をやろうが、それはちっとも誠意ある行動として相手は認めてくれない現状にあると思います。だから、その意味においての排日運動の除去、あるいは誠意ある商社の行動、あるいはいわゆるまじめな地元に還元する商社活動、こういうようなものが今日求められているものだろうと思いますので、アジア開発銀行の中身なりあるいは二国間協定の中身なりにもいろいろ疑惑も持たれているようでありますけれども、できるだけ国会に報告をするようにしていただいて、国民世論の中からこれが討論の場を持たれるように特に切望してやまない次第です。  ダンピング問題もそのとおりでありまして、これはEC諸国からだけ言われておりますけれども、下水道が足らないから、日本社会資本が足らないからということを一口には言われている現実も否定できない状況なんであります。それがやはり今後の日本の予算を組む場合の一つの大きな要素になっていることも否定できないわけでありますから、これらについても、いまの排日運動、今回のカラー問題も含めて、十分に御配慮していただくことと同時に、これからのアジア援助、二国間協定の資料提出については特に委員長の方において適宜手配していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 小泉純一郎

    ○小泉委員長代理 次に、村上茂利君。
  73. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 一兆円減税をめぐりまして与野党の間にいろいろなやりとりがございまして、御承知のような決着を見たわけでございますが、私は結論的に、半分は所得税の減税、これは議題になっております所得税法の改正で半分を見て、あと半分は、老人であるとかあるいは身体障害者あるいは生活困窮者といったような、社会保険ないしは社会保障諸費で二カ月繰り上げて手当てをした、この決着の仕方が、今後こういう問題を処理するに当たって、非常に大きな方向を示唆しておるということで、今後の問題の非常に大きな参考になると思っておる次第でございますが、それに関連いたしまして、この一兆円減税をいろいろ議論しました過程において、概念が、たとえば戻し減税であるとかあるいは物価調整減税であるとか、ちょっと見には響きはわかりやすいのでありますが、厳密に概念を調べていきますと、それは言葉の正しい意味においての税なのか、あるいは言葉の正しい意味における物価調整であるのかどうかという点々ついては、概念をあいまいに使用いたしまして、それが非常にいいことであるかのように考えられ、今後に問題が起きましたときに再び不明確な概念のままこの問題を扱うということになりますれば、無用な摩擦を生ずるおそれがあると思いますので、私はそれらに関連をいたしまして、まず二、三点質問をいたしたいと思います。  まず、一兆円減税でいろいろ押しっくらしたわけでございますが、所得税減税についてはある程度限界があるということがはっきりしたのではないか。つまり、その第一は、日本所得税というものは決して高くないのだ、減税しようにも免税点が相当高くなってしまいまして、減税の恩典に浴する幅というものが勤労者の総数から見ましてもそう多くはないというような形になりますれば、言葉で言ってみても、所得税に手をつけてもこれは限界があるということがわかってくる。そこで私は、この国際比較における所得税の日本の位置というものはもうわかっていますよ、資料で配付されておりますけれども、確認の意味で主税局長の言葉からもう一度所得税の国際比較ということについて数字を挙げて説明していただきたいと思う。
  74. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは今国会の当委員会でも一度お答えいたしましたけれども、御質問でございますので繰り返し申し上げます。  端的に申し上げまして、主要先進国の中では、日本所得税はフランスと同様ほかの国よりも非常に低いということが事実であると私ども考えております。三つ角度から数字を申し上げたいと思います。  一つは、給与所得者の所得税の課税最低限でございます。日本は、ただいま御審議をいただいております政府案の成立後で夫婦、子二人のサラリーマンの場合、二百一万五千円でございます。アメリカは本年の一月現在で百七十八万七千円でございます。それから、現在カーター減税が提案されておりますが、入手し得る資料によりまして計算いたしてみますと、カーター減税の後でも百九十九万二千円でございまして、日本の二百一万には及びません。イギリスは非常に所得税の高い国でございまして、課税最低限は八十四万二千円でございます。西ドイツが百十三万一千円でございます。Zフシスは一般的に所得税は安い国でございますが、課税最低限に関します限りは百六十五万五千円でございます。つまりほかの国のいずれよりも課税最低限が高い。  もう一つ角度は、個人所得に対して所得税の負担率がどうであるか、日本の場合は四・七%でございます。アメリカは一〇・九%でございます。イギリスは一五・一%でございます。西ドイツは九・七%でございます。フランスも五・三%でございます。
  75. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 私どもは大体承知しておるわけでございます。当委員会で配付されました資料、これは予算委員会に提出された資料でございますが、その中に、ある党からこの所得税の国際比較の資料の求めがございまして、載っておりました。  そこで、この所得税が一体国際的に見て高いか低いかということは国民はよく知らないんじゃないか。現に論より証拠です。要求がありまして予算委員会資料を提出しているような次第でございますから、私は一兆円減税などの議論が出発する前に、所得税というのは日本ではどういう地位にあるのかということを明確に確認し合って前進いたしましたならば必要以上の摩擦はあるいは減殺されたかもしれない、そのように思うわけであります。  そこで、それに関連していろんな税の制度、あるいは景気刺激という目的のために、一体所得税減税で果たしてうまくいくのかどうか、こういう問題があるわけです。結果的には事態収拾の結論は、この所得税の減税は政府原案のままで終わったわけなんですが、私は結果的に見ますと、所得税減税でやろうといったってある程度の限界があるということを皆さんが了解いただいた結果ではなかろうかと思うのであります。  それはさておき、いろんな議論の過程におきまして戻し減税ということが言われました。戻し減税というのは、言葉の正確な意味におきましていま所得税を納めておる人が戻されるというなら、これは戻し減税でしょう。しかし、それは現在だって還付金で返ってきているわけでありますから、また新たなる角度から政策的な意味の戻し減税というのは十分考えられましょう。ただ、所得税を納めていない人に戻し減税ということになりますれば、それは税の問題ではなくて別の政策的な意味からする一種のプレミアムなんですね。これを戻し減税と言うのかどうか、正しいのかどうか。その点について局長のお考えを承りたいと思います。
  76. 大倉眞隆

    大倉政府委員 言葉をどのようにお使いになるかについて私が批判がましいことを申し上げる立場にございませんけれども、戻し税という言葉を厳密に使おうとするならば、それば所得税を納めておられる方に税を軽減しお返しするというところまででございましょう。所得税を納めておられない方に何らかの特別の給付をするとすれば、それまでを戻し税というのは言葉の使い方としてはそれはやや範囲が広過ぎるということは、御指摘のとおりだと思います。
  77. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 私もさように思います。そして今度の一兆円減税の結末としまして、半分は老齢年金であるとかあるいは生活保護費であるとか、そういう社会保障費的な給付によりましてカバーした、二カ月さかのぼって支給する、これは考えようによっては一種のプレミアムでございます。しかしこれは税体系の問題ではない。そこで今後いろいろな問題が起きました場合に、いわゆる富の再分配と申しますか、分配の公正という立場から所得税にその機能を期待いたしましても限界がある。そこで結局は社会保障制度とのいろいろな絡み合いになってまいります。そういうことから、いまの税体系におきまして、諸外国のように社会保障税ないしは社会保険税という形で税体系の中においてその保険料徴収を賄っている国が非常に多いのでありますが、日本の場合は保険料という形でやるものですから税と全く無関係だという感覚を持っておる者が大部分だと思うのでございます。これは遠い将来の話になるかもしれませんが、私は方向としては社会保険税ないしは社会保障税という形で問題が進められるのが成り行きじゃなかろうか、過去の経験を通じましてもそう考えておるものでございます。  こういうことを申し上げては恐縮ですが、昭和四十一年から四十五年にかけまして、労働省で失業保険と労災保険を徴収を一元化するというので労働保険という形で徴収することにいたしたのでありますが、その過程におきまして、徴収事務は税務署でやってくれないか、こういう話をある程度公式に申し入れたことがあるのでございますが、事務の煩瑣、いろいろな問題がございまして、これは結局実現をしなかった。そして労働省だけで失業保険、現在の雇用保険でありますが、雇用保険と労災保険を一本で徴収するという形を実現したわけでございます。これは、諸外国のいろいろな制度を見ますると社会保険税として一本で取っておる、こういうような形が相当多く見られるところから、私は、社会保障税として将来一本化することによって、所得税減税という問題が議論された場合には必ず一方において社会保障税というものを顧みるというような意識を醸成することが非常に大きな問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。いま主税局長、即答はできない問題かと思いますが、近い将来における研究検討事項としてこれを取り上げる価値があるかどうか、その点についての所感を承りたいのであります。
  78. 大倉眞隆

    大倉政府委員 おっしゃいましたように私がいますぐお答えできる立場にございませんけれども、しかし非常に示唆に富んだ御発言だと思います。まあ私なりに理解いたしておりますところでは、やはりいまの各種の社会保険制度がもう少し相互に整理されて、統合されて、そのような過程の中でおっしゃるように社会保険料負担がむしろ租税として考えられるという時期がいずれ来ざるを得ないのではないかという感じは私も持っております。
  79. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 それから、先ほどちょっと概念の問題として物価調整減税という言葉を取り上げたのでありますが、私は所得税の減税で物価調整をするといったってこれは限界があってできやしない。免税点以下の人についてはどうしようもない。それから税を納めておる人についても、物価上昇にパラレルの関係で減税でめんどうを見ようなんということはなかなか困難だ。たとえば年収三百万円の所得の人で夫婦、子供二人という場合に、現行税制では八万円、厳密に言うと八万四百円ですか、納めることになっておりますね。たとえば物価上昇八・四%を見込むとすれば、三百万円にそれだけ掛けますと二十五万円を調整しなくてはいかぬ。今回の法律改正によりまして減税してもたしか六万六千円程度だと思います。こういうようなものを物価調整減税だというふうに言うこと自体がちょっと問題があるんじゃないか。そうしてもともと税の本質論としてそういうふうに機動的にうまく適応できるものかどうか、こういう点から、物価調整、物価調整と、こう言いますけれども、私は、厳密な言葉意味においては、それを所得税に期待するというのは、これは非常に過重な期待だというふうに思っておるのでありますが、その点についてのお考えをお聞きしたい。
  80. 大倉眞隆

    大倉政府委員 おっしゃいますように、物価調整減税という言葉がひとり歩きをいたしまして、物価が上がって収入が目減りする、それを減税でカバーしてもらうのだというふうにお考えの方が非常に多いように思いますけれども、それは三百万円の年収の方がそのままの状態で物価が八%上がれば二十四、五万円目減りをする、それを税で全部補てんをしてほしいということは、これは所得税ではとうていお引き受けいたしかねる問題である。むしろ政策全体としてはそんなに物価が上がらないように努力するという以外に答えの出しようがない問題であると思います。  従来から物価調整減税と言われておりますのは、基本的には、名目所得が上がったことによって名目の税負担がふえる、それが累進的にふえる、それを一定の物価指数を基準にして、物価上昇率の範囲内においては負担率が上がらないということにしたらどうであろうか、いわば実効税負担の累進度のカーブを現行法で置いておきまして、それが物価が上がった場合に負担率のカーブを全く平行移動するというようなことはできないか、それが所得税の中での物価調整、いわば名目所得増加に伴う名目的な累進負担の部分を、物価に応じて出てくるであろう部分だけを何とか消去することはできないかというのが基本的な考え方であるように思います。  ただ、その基本的な考え方を徹底いたしますと、それは諸控除を物価上昇率だけ引き上げると同時に、税率の間差、私どもがブラッケットと申しております、その部分も物価上昇率だけ広げていくということにいたしませんと、いま私が比喩的に申しました平行移動の姿は出てこない。諸控除だけを引き上げてまいりますと、累進度はだんだんきつくなってまいります。しかし、それは強いて中高所得層までそこまでのことをしなくてもいいではないか、課税最低限周辺の方の負担についてそういう調整をすれば最少限度満足していただけるのではないかということで、ここ四、五年来、物価調整減税のための所要財源は幾らかという予算委員会での資料要求に対しましては、終始一貫して課税最低限を物価上昇率程度に引き上げるとするとこれくらいの財源が必要でございますということをお答えしておりまして、国会の中では物価調整減税というのはそういうものなんだというお考えはほぼ定着しておるのではないか。ただ、くどくて恐縮ですが、国会の外に参りますと、いやそれは目減り分を全部税金で返してもらえるのだと思っておられる方が依然として非常に多いのではないか。したがって、どうも物価調整減税という言葉はある意味では非常に誤解を招いておるというふうに私は感じております。
  81. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 今回の一兆円減税についても、いわゆる不公正税制を是正する、こういう問題がいろいろ議論されました。私らも不公正な税制は正さなければいかぬ、これはもう事の当然の帰結であると思っておりますが、しかしいろいろな減税、特に今回提案されております租税特別措置法によるところの特別措置といったようなものについてはそれぞれの政策目的があるわけでございます。あるいはまた法人税につきましても、いろいろな引当金等が控除されておりますが、それぞれの目的があると思うのでございます。ところが大企業優先だ、いや企業優遇だというような見地から、そういう政策目的とかいろいろな目的をネグってしまって、ただこれだけ減税すれば財源が浮くというような荒っぽい計算をされますと、これは非常に誤解を招くおそれがあると思うのでございます。  私も、過日、東京都新財源構想研究会の試算というものを見まして驚いたのでありますが、これは法人税の問題でございますけれども、退職給与引当金、これが、計算によりますと、全体の計算の二兆五千八百三十七億円の中の四千七百二十五億、全体の一八・三%、こういう大きな額を占めております退職給与引当金、これを召し上げてしまうというお考えのようなんで、これは大変なことだと私はびっくりしたのであります。そこで、私ども従来関係をしております仕事の分野から申しますと、退職金というのは、労働基準法第八十九条第一項によりまして、退職金に関する定めがあります場合には必ず就業規則に書かなくちゃいけない必要記載事項になっておるわけであります。事柄は労使間の問題であるわけでございます。そういう規定に基づきまして労働者の権利が発生し、その担保としての引当金があるわけでございますが、それを東京の場合まるまる四千七百二十五億召し上げるようなかっこうの計算をしておりますので、これは労働者保護の見地から見ても大変なことだなというふうに私はびっくりしたわけでございます。  そこで、技術的な問題で恐縮ですが、退職給与引当金を計算して控除いたしますその手続を簡単にお示しいただきたいと思う。
  82. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは、期中に引き当てできる金額と累積的に持てる金額と両方規定いたしております。期中に引き当てできる金額の方は、ごく簡単に申しますと、前期末に勤務しておられた方が全員前期末でおやめになった場合の金額と、今期末の在勤者が今期末で全部やめた場合に必要な退職手当の金額と、その差額を当期の損益にチャージしてよろしいというのが期中引当額の計算でございます。ただ、それでずっとやってまいりますと、累積的に——これは累積的な準備金でございますから、累積的に今期末の在職者全員がやめたときに支払うべき退職手当額の全額を持ってしまうことになりますが、それはやはり行き過ぎであろう。平均的に大体あと何年ぐらいで退職することになるだろうかというような計算をいたしまして、いわば保険数理的に将来の必要額を現在の価格に引き直してみまして計算をしてみるということをいたしまして、現在の具体的な比率といたしましては、今期末に全員が退職した場合に必要な退職手当額総額の二分の一を、累積額としましては超えることはできないという仕組みになっております。
  83. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 私の申し上げたいのは、引当金とかいろいろな準備金を直ちに企業優遇、特別減税だ、これが不公正じゃないかというような議論ではなくして、もっと精細に政策目的というものを検討して、それぞれの特別措置の社会的あるいは経済的効果というものを慎重に判断をして処理していただきたい。特に私は、退職給与につきましては、労働者保護の見地から非常に重大な関心を持たざるを得ない。そしてまた、現下不況の時期でございますから、これを召し上げるなんということになりますと、金額そのものよりも、働く人たちに対して非常に心理的なマイナスをもたらすということを恐れるわけでございます。幸い、今回も取り上げられておりませんから、私は当局の態度を適当とするものでありますけれども、こういう問題につきましては今後十分慎重に考慮していただきたいと思います。要望を申し上げておきます。  それから最後に、御承知のような借金財政でだんだんと国債の負担が重くなってまいりました。これをいかにして償還するか、財政計画はどうか。すでに財政計画をお示しになりまして、そして政府は将来のあり方についてその計画を示しておられるわけでございます。先ほど沢田委員が冒頭に御質問なさいましたから、私は繰り返し申し上げようとは思いませんけれども、これは非常な大きな国民的関心事であります。本当に借金を払えるのか、計画を見ると増税することになっておるが、どの分野でどの程度増税になるのか、これは非常に大きな問題であります。  そこで、沢田委員質問にもお答えになっておりましたが、これは抽象的なお答えよりほかに道はないと私は思いますけれども、少なくとも税の現在のあり方、そして国際的比較でどこが日本は恵まれておるのか、あるいはどこがでこぼこがあるのかということを国民に周知させてもらいたい。少なくとも五年計画で、五年先の問題を、いまから正しい姿をPRいたしまして、正しい理解を得ていただくというように努力をしていただきたいと私は思うのであります。  そのためにも提言申し上げたいのですが、税に関する全国的な、統計学的にも権威のある調査というものを、毎年とは言いませんが、二年に一回とか三年に一回、一億以上の金をかけて調査をする意思はないか。私は常々遺憾に思うのでありますが、どこどこの調査だというので千とか二千ぐらいの対象を全国的に調査して、税の現状はこうだとそれぞれの立場から発表して社会的に訴えている、こういう傾向がありますけれども、これは統計学的に見たらほとんど取るに足らぬ調査でありますけれども、いかにももっともらしく聞こえる。そこで、国民の一番の大きな関心事であります税の問題について、国民はどう考えておるか、税の現状に対してどういう認識を持っておるかということについて、統計学的な観点から見て十分な確度と信憑性のあります税の意識調査というものを実施されて、そして国民なり特に国会に、統計学的に見ても信憑性のある調査で、国民全般はこういうふうに考えておりますよということを資料として提示していただけないものかどうか、かように私は考える次第でございまして、その点について、PRの問題とそういった国民意識を的確にとらえるための調査というものをやる必要性を感じておりますが、これについてのお考え伺いたい。
  84. 大倉眞隆

    大倉政府委員 幾つかの御指摘がございました。  一つは、政府が手元に持っている実態調査についてもっと広く国民の方々に知っていただくように努力をすべきだということでございます。私もそのとおりに考えておりますが、遺憾ながら、いままでのところ率直に申し上げて、新聞の方もいらっしゃる場所で恐縮でございますが、政府広報というと毛ぎらいされてしまって、なかなか記事にならないというむずかしさはございますけれども、できるだけの努力を今後とも続けてまいりたい。  実態につきましては、私どもなりにかなりの時間と手間をかけまして法人企業の実態、申告所得税の実態、民間給与の実態というようなものを毎年調査いたしております。それらを基礎にして、おっしゃるように国民の方にもっとよくわかっていただくという努力を積み重ねてまいりたい。  意識調査でございますが、これはときどき総理府の方にお願いしてやっております。ただ、おっしゃるほど広範なサンプリングにはなっていないようでございます。その点はなお総理府とよく相談いたしまして、指定統計的なかっちりしたものにまでもっていけるのかいけないのか、今後の問題として勉強さしていただきたいと思います。
  85. 村上茂利

    ○村上(茂)委員 なお質問したいこともございますが、休憩時間をだんだん削減いたしております。同僚議員の健康の問題もございますので、私の質問はこれにて終わります。
  86. 小泉純一郎

    ○小泉委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  87. 山下元利

    山下(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため、委員長がお見えになりますまで、指名により私が委員長の職務を行います。  午前に引き続き質疑を続行いたします。伊藤茂君。
  88. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 最初に、まず一つ伺いいたしたいと思います。  御承知のとおりに、三千億減税に関する問題が与野党の幹事長、書記長、書記局長のレベルで確認をされまして、当大蔵委員会においてその立法作業その他を行うということになっているわけでございまして、国民にとって極力いい内容で、早期にその内容決定されるということが大変望ましいと思います。そういう扱いでございますから、その内容は別にいたしまして、与野党の確認の中で、その財源につきましては政府側で行うという取り扱いになっているわけでありますが、その点について一つだけお伺いしたいと思います。  御承知のとおりに、与野党の書記長、幹事長、書記局長レベルでの集約あるいは予算委員会での確認の中でも、その中の一つの項目に、いわゆる税の不公平是正について、五十三年度予算に関係をして大いに検討するというふうな方向が確認をされているわけであります。それと今度の三千億減税の財源措置等どうするのか。私どもは、ぜひそういうものは兼ね合って、不公平是正の方向に向けてそういうことを処理されることが望ましいと考えるわけであります。何か予算委員会の議論で見ますと、第三・四半期ぐらいまでをめどにしてこの対策を考えなければならない、決めなければならないというふうな御答弁も政府委員の方からあったようでありますけれども、この現実の税額控除方式による支払いが六月になるのか七月になるのか、そういうこととも兼ね合って、一つはその支払いの時点での、減税実行時点での手当ての問題があると思います。それと、最終的には予算の財源としてどう処理をするのかという問題がかみ合ってくるというふうなことではないかと思います。  いずれにしろ、最終的なこの問題の決定その他は補正予算の段階になりますか、その段階になると思いますが、このような与野党間の減税と財源についての真剣な議論が行われた後でございますから、そういうものの考え方姿勢方向づけなどについてまずひとつお伺いしたいと思います。
  89. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいま伊藤委員から御指摘がございました三千億の減税についてでございますが、予算委員会における審議の経過等からいたしまして、私どもといたしましては、その審議の経過を十分踏まえた上におきまして対処をしてまいらなければならない、このように考えておる次第でございます。  そこで、その財源措置等についてでございますが、ただいま御指摘のございました不公平税制の問題につきましては、各種優遇措置等の見直しについては、五十一年度全面的に行われたところでありますが、さらに本年度におきましては、主として期限到来のものを中心にいたしましてそれぞれ洗い直し、見直しをいたしているところでございます。今後、さらに五十三年度以降におきましても、これらの検討は十分重ねてまいらなければならない、このように考えておりますが、そのことが直ちに直接三千億減税の財源にできるかどうかということになりますと、それはまだ若干時間を要するのではなかろうか。なお検討させていただかなくてはならない、このように思うのでございます。  そこで、三千億の財源措置についてでございますが、御承知のとおり、非常に厳しい財政内容でございますので、所得税を初めといたしまして、各種税収については目いっぱい見積もってあるわけであります。一方また、歳出を減らすということにつきましては、これはせっかくの景気対策ということを念頭に置きました場合には、なかなかやはり問題があるのではなかろうか。これらのいろいろな問題を踏まえながら、今後の経済状態ないし税収の見通し等を十分検討いたしまして、今後見当をつけてまいりたいということで、まだ具体的に、では、どれをどうというところまで申し上げる段階には残念ながらございませんが、せっかくこのような御措置をなさるという御意思の決定があったわけでありますから、政府といたしましては、その御決定の趣旨を十分踏まえまして対処をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  90. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 御説明を伺いましたが、具体的には、たとえば自然増収がどの程度ございますかとか、それが見込めるかとか、あるいはいまも言われましたが、歳出カット、合理化の問題とかあるいは増税赤字国債という話題もございますが、そのような幾つかのことが考えられるというようなことではないかと思います。ただ、予算委員会におけるところの与野党間の議論あるいは与野党間の合意などの経過からしまして、やはりこれからの財政健全化の方向、そしてまた税の不公平是正ということを基本に据えながらこの問題を処理をしていくということが必要ではないだろうかというふうに思います。そういう意味で、私ども赤字国債にはもちろん反対でございますし、また、新たな財源、増税というような場合でも、やはり不公平是正を基礎に置いてこの問題は解決するというような方向処理されることを強く要望しておきたいと思います。  次に、いま議題となっております中で、特に租税特別措置に関連をして御質問を申し上げたいと思います。  予算委員会審議の中でも、不公平是正あるいはその大きな焦点として租税特別措置が強く指摘をされている。さらにはまた、こういう内容が、歴史的に見ても大企業奉仕の性格が非常に強い。そういう観点から追及なり質問が行われてまいりました。私も、今度の不公平是正という面では、大きな焦点として租税特別措置の問題を挙げなければならないということだと思います。また、この問題は大胆に処理しませんと、先般提出をされました五十五年度までに特例債をゼロにするという意味での中期の財政収支見込みというようなこともとても実現はできないということではないかと思います。  午前中の沢田委員質問の中で、いわゆる公平、不公平ということについての物差しという議論、質問がございました。実は率直に伺いたいと思うのですが、これから不公平是正をしなければならないという場合に、大蔵省側として、十も二十も挙げろとは言いませんけれども、特に焦点となる問題として、大蔵省行政側で、こういうことをやらなくちゃならぬではないか、こういう問題があるのではないかとお考えになっている大きなものはどういうふうにお考えになっているか。あるいはまた、その中で全部お答えしにくいものがあれば、世論から見て、ぜひこういうものは直さなければならぬじゃないか、そういう面でどういうことをお考えになっているか伺いたいと思います。
  91. 大倉眞隆

    大倉政府委員 今後、ある時期に負担増加をお願いしなくてはならないという予測に立つ限り、いわゆる不公平税制の是正というのにまず手をつけなくてはならぬ、そういうことで、すでにおととしの八月から私ども政府税制調査会に御審議をお願いしているわけでございます。  それで、作業の第一のステップとしましては、およそ国会なり新聞なりその他の場所で、これが不公平ではないかという御指摘を受けた項目を全部拾い出してみる。全部並べてみた上で、政府税調としては考え方整理して、政策税制というものとそれ以外のものに分けていただいたわけであります。これは資料として前国会にすでにお出ししてございます。政府税調の考え方は、政策税制というものは、本来、政策目的を持って税を誘導ないし抑制のために使うものである。したがって、誘導政策として設けられている特別措置は、それを利用する人と利用できない人との間に不公平が生ずることは、いわば結果としては当然である。したがって、今後政策目的を尊重するとしても、そのフェーバーの度合いは漸次縮減すべきである。また、言うまでもないことながら、政策目的としてすでにある程度目的を完遂したものはこれを廃止すべきであるという考え方作業が進められまして、その結果として五十一年度の税制改正ではかなりの幅の縮減合理化をお願いして成立いたしました。  この種類の問題と申しますのは、いわば整理対象というものはほぼ共通の認識がある。問題は、どの程度、どれぐらいの大きさで、どういうスピードでやっていくかということに帰着するかと思います。一つの例といたしましては、利子配当所得について、私どもの案では三五%になっておる。それを、お立場によれば、いや四〇にすべきだ、あるいは五〇にすべきだという御主張がある。それは、方向は同じであって、どの程度やることがこの時点で適当かという一種の政策判断として御論議を願う問題であろうと思います。したがってそのグループについては方向性についてのむずかしい議論というのは余りない。一番むずかしいのは政府税調で政策税制以外のものと考えておられるものを、お立場立場によりましてこれこそが不公平税制である、それを直さなくてはいかぬという分野、そこに一番の問題がある。それは政府の方では政策税制ではない、税の本来の仕組みから出てきたのだと考えておる。それを違う角度でごらんになった場合には、いやこれは不公平だとおっしゃる。それは一体その事柄自身を不公平だと考えるかどうかという御議論を国会の場で十分闘わしていただかないと、不公平税制という言葉内容が必ずしも人によって同じでないところにこれからの処理の一番のむずかしさがあるように私は感じております。
  92. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 失礼ですが大変優等生的な答弁でございまして、国民世論でこれが不公平ではないかといろいろ取り上げております、新聞でも取り上げておりますし、私ども一言いますし一般にも言われております。また私ども国民税調というものをつくりましていろいろな検討などもしているわけでありまして、国民世論として不公平是正の焦点となっている具体的な問題というのは案外に本質をついた問題が多いのではないだろうかというふうに思うわけでありまして、それらのことについて大いに大胆な検討を私はぜひお願いしたいと思います。  それについてもう一つ、これは姿勢を政務次官伺いたいのですが、これだけの財政危機、それからこれから増税の時代、また負担をお願いしなくてはならぬということも政府からしばしば言われております。その際に国民にどう合意を求め理解を求めるのか。この前の委員会の私の質問のときにもお願いをしたのですが、国民的な合意に基礎を置いた新しい租税原則は何かとかいうならば、そういう発想を正しく立てて税制考えるということが私は非常に大事になっているのではないかと思います。それだけに大蔵省あるいは国税局、税をいただく側の姿勢として税制についての国民の中から出ているたくさんのいろいろな意見、こういうものについて耳を傾けて聞く、あるいは率直に意見を伺って議論をする、できるものはそれに最大限に生かしていく、そういう国民的な広い合意を求める姿勢というものが基礎にあるということが当然必要なことではないだろうか。何か悪い意味でのお役所官僚的に上の方で考えて上意下達という形では、とても大変な日本財政危機は打開をされないというふうなことではないかと思います。いただいた資料を見ますと、いろいろなところ、経済界からもそれから民間の団体からもいろいろの要望などが来たものを項目別に整理したものを拝見いたしましたが、もっと広く国民の意見を聞きあるいはいろいろな団体からさらに意見を聞いて、また率直に討議をしながら国民的な合意を求める総意に立った税制考えていくことが必要ではないかと思いますがいかがでしょう。
  93. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの伊藤委員の御意見につきましては私どもも同様に考えておりまして、たとえば国民の側から見ましての不公平税制感を持たれておるいろいろな問題点につきましては、いつでも、税制調査会等にいろいろな形でまとめまして、これを提示して御検討いただくということを重ねておるわけであります。ただ不公平税制と申しましても国民の側から見られて不公平感があるにしても、現実には、現在の経理原則、会計原則等で広く認められておるものもあるわけでありまして、いわゆる租税特別措置等にはなっていない、そういうところに一番意見の乖離をするところがあるのではなかろうか。東京都の試算等を見ましてもそういう点が相当大きな部分を占めておるわけであります。したがいまして、これらをどう判断するかということは今後の大きな課題であろうと思いますが、いずれにいたしましても税制調査会等で十分御検討いただきながら、国民の皆様方に御理解をいただきながら御協力のいただける税制というものを確立していかなくてはならない、このことを基本に置いて対処してまいりたいと思うわけであります。
  94. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 そういう姿勢伺いましたが、それでは具体的に問題を取り上げていきたいと思います。  いま政務次官も言われましたが、東京都の新財源構想研究会、ここで数年にわたっていろいろな作業がありまた報告書も出されております。また当委員会でもここ何年か繰り返しこれに関連する議論が行われているというふうなことではないかと思います。東京都の新財源構想研究会の出しました特に不公平是正、大企業優遇の是正と申しますかそういう観点からの、これは四十九年度の数字を基礎にしているわけでありますが、いわゆる不公平税制の是正と財政構造の改革第五次報告というものが出ております。御承知のことだと思います。また、それに関連をいたしまして大蔵省の方から先日「東京都新財源構想研究会の試算について」、新聞では反論というふうにタイトルをつけて報道されておりましたがそういうものが出されております。私はその内容を読ませていただきましたが、まず姿勢といいますか感じとして、いま政務次官がお答えになったことは当然の姿勢だと思いますが、そういうものとは大分違った感じを受け取るわけであります。  ここで述べられている内容は、たとえば企業優遇税制による軽減税総額試算についての見解というものを見ましても、制度上あるいは現在の税制上これこれは租税特別措置の中には入らないものである、それは一、2、3などを除きます、そういうふうな取り扱いになっているわけでありまして、そういう案といいますか制度上の機械的な分類でただはじいてこれは違いますと言えばいいというふうなことでは論議も進まないし、お互いにこういう計算をしても生産的な結果は出てこないというふうなことではないかと私は思います。そういう意味で、東京都で挙げておりますところのこの租税特別措置関係でありますかこの十二項目、これらにつきましても、たとえば貸倒、退職給与、製品保証等の三つの引当金などは法人所得の合理的な計算方法として認められているのでこれは範疇から外します。またこの中の4と10ですか受取配当の益金不算入あるいは軽減税率適用分とかいうものについては、所得税、法人税の調整の仕組みとして認められているということでこれをのけるべきであるというだけの実は取り扱いになっているわけであります。私はこれから後の議論の中で、これらの問題もいままで税調でも何遍か指摘をされたところだと思いますが、中身の性格として事実上の租税特別措置、こういうことではないだろうか、現実実際の性格として事実上の特別措置というふうに言われるべきものではないだろうかというふうに思うわけでありまして、その点はこれから後お願いしたいと思います。  ただ、この都の資料大蔵省が出された資料と両方を拝見いたしますと、やはり思うのは国民が求めているのはこういうやりとりではないのじゃないか。国民がまた東京都民がこの深刻な財政危機の中で求めていることは、その内容あるいは実質において不平等であるのかないのか、あるいは企業優遇という性格を持っているものであるのかないのか、そういう中身を十分に議論をして国民の合意が得られるような努力をお互い大いにしてもらいたい、また大蔵省側でもそういう提案なり東京都の研究会の資料があれば前向きで検討していくということが望まれていることじゃないかと思いますが、この二つの文書を拝見した私の感じを申し上げて、感想があれば伺いたいと思います。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 大倉眞隆

    大倉政府委員 新聞で大蔵省が反論したというふうに報ぜられたことは私も記憶いたしておりますが、この資料はそうではなくて、予算委員会での御審議の中で、東京都の計算というのは二兆何千億じゃないか、大蔵省は二千何百億と言っているじゃないか、どこが違うんだ、それをひとつ資料にして出してくれという御質問に応じてお出ししたものでございます。したがって、フラットにこれとこれが違うのでございますと申し上げているだけでございます。  さてしからば、東京都は企業優遇と言っておる、政府側の説明の文書を読むと、それは法人所得の合理的計算方法だと言っておる、それはどっちがより現実に即するのかという問題は、やはり一つ一つ制度を取り上げて御議論を願うことが最も望ましいだろうと、現実に予算委員会での御審議では、余り時間はございませんでしたけれども、ある程度個別の項目についての御審議があった、それで、国会の御審議を通じて国民の皆様が、なるほど、こういう考え方とああいう考え方とあるんだなといって理解を深めていただくのが、私ども立場からしても一番望ましいことであると思っております。先ほど御答弁しましたときに、抽象的で優等生的であるというおしかりを受けましたけれども、そもそもこれは企業優遇税制なのか、そうではなくて、企業所得を合理的に期間計算するために必要なのか、一つ一つを議論願って方向を決めていくということでやっていただきたいと、それを、一律にこれは不公平だと決めてしまった、やらないのはけしからぬというふうにはなかなかならないということを申し上げたわけでございます。
  96. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いま局長の方からもその中身の性格を論ずることが必要だという意味のお話がございました。私は、やはりこれらの問題については、国民あるいは東京都民の立場からして、東京都民だけではなくして、自治体は同じような財政危機に置かれておりますから、たくさんの自治体でそういうことも検討しておると思いますし、恐らく話題にもしているというようなことではないかと思います。非常に大きな話題となっている問題ではないかと思います。そういう中で私は、ここに出ている東京都の出した数字一つ一つを、東京都の八十一社でございますか、一定の能力の中での試算ですから、大蔵省が、法人企業の実態に基づいてやれば、その他もっと多くの資料に基づいて、また、多くの人員を駆使してやられれば試算とは違うと思います。ただ、私はそういう意味で、出ている数字が正確であるかどうかというところに何か埋没した議論をすることは生産的な議論ではないのではないかというふうに思います。先ほど申し上げましたように、たとえば企業優遇税制というタイトルがついて出された十二項目がある。これはこの制度に入っておりませんということで、いわばマル・バツ方式のように、これは入れる、入れないというような形の議論も生産的なものではないのではないか、そういうふうに思います。そういう角度から二、三、中身のことについて御質問をして、御見解を承りたい。  要するに、大蔵省試算の、中から除いた部分は合理的なものとして言えるのか、大蔵省の説明にも書いてあるように、簡単に合理性を持ったような印象を与える表現でいいのか、あるいはそうでないのかということを、中身の部分について幾つか御質問をしてみたいというふうに思います。  都の研究会が挙げている最初に貸倒引当金というものがあります。これについては、いま申し上げましたように、大蔵省の方ではこれは範疇に入りませんという取り扱いの数字が出ているわけであります。ただ、私は、純粋の会計学、税制の理論上の問題としては、概念規定をすれば、当然貸倒引当金というのは債務性の非常に強いものであるし、それから負債性の引当金というふうな概念になるということだと思います。しかし、現実は大分違っている。現実は自己資本と同様にこれが機能をしてその企業の利益に貢献するところが非常に大きいというふうな実態になっているのではないかというふうに思うわけであります。この一番目の問題につきましても、昭和五十年八月の政令改正で繰入限度額を千分の十から千分の八に下げるということではなかったかと思います。また、五十二年度の税制改正でも千分の五まで引き下げようということになっていると承知をいたしております。また、そういうぐあいにこの数年の間に、というよりも二、三年の間に千分の十から千分の五まで引き下げていくという急激な改革をしなければならないこと自体、これは長年合理的に行われてきた、あるいはそういう合理的な実態であるということよりも、事実上やはりこれは企業優遇の不平等なものという認識が基礎にあってこういうふうに急激に変わってきているのではないか、私どもは、もっと変えなくちゃならぬという党の立場ですが、という感じがするわけであります。具体的に調べてみますと、一番これを使っている中心となっている金融機関、政府の統計で見ましても、全金融機関の貸倒引当金の残高は、五十年度末で一兆一千三百三十六億円という巨額に達しております。  ところが、正確なデータでそれじゃ貸し倒れの目的利用の実態はどうなのかということについては、正確なデータは私どもはわからぬわけであります。また、東京都の方も含めて、現在の制度のもとではこれはわかりにくいという状態になっているということじゃないかと思います。ですから、政策的見地からしても、何か不十分な、あるいは基礎的データがない中でこれが議論をされ、判定をされているというような欠陥を持っているのではないかと思います。私は、これは何か出したいと思ってずいぶん苦労してあちこち資料を探してみたんですが、大分古い資料も使いまして調べてもみましたが、大体推計しますと、私の調べたところでは、残高に対する貸し倒れの実績、目的利用のためにこれを使ったというのは恐らく三%前後くらいじゃないだろうか。極端な数字では、たとえば時事通信の古い資料などを見てみましたが、〇・〇三とかいうようなことも出ておるわけですけれども、これは非常に低い比率になっているのではないかと思います。ですから、実際の貸倒率の、百倍とまで言えますかどうか知りませんが、そういう前後の莫大な積立金が認められている。そうして、これが税制上非常に優遇された取り扱いをされているというのが実態ではないか。正確な数字は別にして、こういう実態自体は大蔵省も認められているということだと思います。そういうのをどう把握されているか、あるいは不平等の最たるものの一つとしてお考えになっているか、その点伺いたいと思います。
  97. 大倉眞隆

    大倉政府委員 一般論を最初にやっぱり申し上げなくてはいけないと思いますけれども、お手元にございます税制調査会の部会長報告では、これは一般論でございますが、九ページでございます。九ページに、「引当金についても見直しが必要であるという意見もあったが、」「引当金については、法人の課税所得を合理的に計算するために設けられているものであり、今後ともその繰入率等の適正化を図っていくことは必要であるとしても、この制度自体を企業に対する優遇措置と考えることは誤りであるという意見が多かった。」という報告になっているわけでございます。したがって、問題は、この制度自体は企業優遇のためにできた制度という考え方はとるべきでないという意見の方が多いけれども、しかし、いま法律なり政令なりで規定されている繰入率が、果たしてその制度本来が予想しているものに比べて過剰でないか、そこにいわば、お言葉を使って言えば、実質的に租税特別措置のように働いている部分はないか、それは見直しが必要だというのがいまの税制調査会考え方の基本であるように受けとめておるわけでございます。その意味では、ほかの引当金にはそういう部分がほとんどないように私どもいま考えておりますが、貸倒引当金に関しましては、実際の貸倒率に比べると法定の繰入率か甘過ぎる、そう考えて、おっしゃるようにまさしくそう考えたからこそ時間をかげながらいままでの千分の十五から漸次千分の五までの引き下げを図ってきているわけでございます。したがって、先ほどのお答えの趣旨に即して申しますれば、方向性としてはそんなに違いがない、あとはテンポが遅いとかもっと一度にやれとかそういう御議論の対象になっている分野である、そのように考えます。  そこで、具体的な貸倒率でございますが、これは税務統計でございませんけれども、銀行の種類ごとに財務諸表分析がございます。これは各種類ごとの銀行の協会が計算しておりますのでかなりオフィシャルな数字と考えてよろしいかと思います。それの数字を申し上げますと、五十年下期というものが一番新しいわけでございますが、都市銀行は貸し金総額に対しまして滞り貸し金償却額、これはいわば貸倒額と考えてよろしいと思いますが、これは千分の〇・〇三でございます。それから信託銀行は同じく千分の〇・〇四でございます。地方銀行が千分の〇・〇五でございます。相互銀行が千分の〇・一二でございます。信用金庫が千分の〇・三五ということになっているようでございます。したがって問題は、このような実績率を踏まえながら、今回漸次引き下げて千分の五まで到達したいと考えております政府の案、そのテンポの問題を一応別にいたしますと、その後で千分の五をさらにどうするかという問題はどうしてもこれからもう一遍議論をしなくてはならない。そのときに、この件は毎回ほとんど必ず当委員会で御論議になっているわけでございますけれども、完全な実績主義というものをとってよろしいかという点が一つございましょう。それにつきましては、実績というものを非常に強調いたしますと、現在の銀行と取引先との現実の関係を私どもなりに理解しておりますのは、とにかくできるだけつぶさない、非常に怪しくなってきても何とか命をつなぎとめて生き返るように持っていきたいということが圧倒的に多いように私どもとしては感じております。またそのことは企業の立場から言えばいいことだろう。つまり、ちょっと怪しくなってしまったら貸し金を引き揚げてしまう、取れない部分は貸し倒れにしてしまうということになりますと、これはむしろ政策としてはいろいろなひずみの方がたくさん出てきはしないか。その意味では金融機関の貸倒引当金に関しましては余り実績、実績と言うことはいかがなものだろうか。やはり実績に対してある程度のアローアンスを持って、銀行にも、言葉は変かもしれませんがある程度ここに引き当てがあるからという安心感を支えにしてできるだけつぶさずにいくということの方が全体としてはいいんではなかろうか。したがって、問題はどの程度のアローアンスならいいだろうかというところに結局はなると思います。そこは、数字的な決め手は恐らくない。ほかの国でどうしているだろうかとか、いままでの率からいってその締めていくテンポがどのくらいなら意外なショックを起こさずに済むだろうかとか、そういうことをあれこれ考えながら決めていくといういき方しかないのではなかろうか。  ただ、その意味からいたしまして、千分の五というのが最終的な到着点であると考えていいかどうか。これは実は部内にも両様の意見がございます。もう千分の五までいけばいいという意見がかなり多くございますけれども、私どもの部内でも、いや五までいったらもう一遍考えよう。しかしそのときには金融保険業だけではなくてほかの業種についても銀行協会が調べているように非常に広い範囲のものをもう一遍調べてみて、小売業、卸売業、製造業、それぞれがいまの引き当て率でよろしいか、その中に特別措置的な部分が混入していないかということをあわせて議論してみたいなというのがただいまの私の率直な心境でございます。
  98. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 実態、現実の認識については総評でも言っておるようなことを共通して認めざるを得ないという現実の姿ですからというふうなことではないかと思います。ただ、いま主税局長がお答えいただきましたように千分の五が最終到達点でいいのかどうなのかというベースの、そういうレベルでの検討の話とか、あるいはいつも言われることですが、この先どうするのかということになりますと、いろいろ指摘をされながらも現実には、現実的に段階的にという言葉がいつも言われるわけでありまして、問題はやはり認識の問題ではなくて、これをどう処理をして国民に不平等感を抱かせない税制にしていくのか、まさにその行動こそがあるいは決断こそが求められているというようなことではないかと思います。私はこれらについては思い切って大胆な処理をしても、これだけの実態ですから、現実の経済あるいは企業に対するその運営に大変な破綻を来すとか悪影響を及ぼすとかというふうなことではないじゃないかということを思うわけであります。  実はついでに一言だけこれについて申し上げたいのですが、私、初めて当委員会に参加をさせていただいておるわけでありますけれども、議員になる前に、昨年の九月でしたか、エコノミストに連載をされた座談会をずっと読みまして、非常におもしろく読みましたので、大蔵委員会に席を置かしていただきましたので、もう一度最近読み直してみました。局長も御承知のことだと思います。私は、ここに座談会に出られております非常に率直な話をされている泉さん、吉國さんあるいは高木さん、それぞれいま現実に各界で活動されている方々でございますから、また皆様の先輩にも当たるわけでございますから、だれがどう言ったからどういうように思うかとか、そういうことは申し上げるつもりはございませんし、そういう聞き方をするつもりもありません。ただ、そこで指摘されておるようなことは、先輩の方々がやった、そしていまやめた後思っていることとして検討かあるいは傾聴すべきものがあるんじゃないかというふうに思います。  ただその中で「銀行専用の貸倒引当金」というタイトルがついておりますけれども、だれがどう言ったかということは別にしまして、二、三、こういうことが指摘をされております。私も非常におもしろく、おもしろくと言ってはなんですが、興味を持って読んだのです。たとえば、大変な不況になったのでこの貸倒引当金が相当強力に効果を発揮するか、機能するかと思ったらそうでもなかった。その意味は、それ以上に大きな余裕を持っている。実態はさっき言ったとおりだと思う。いいことの意味だと思います。それからこれも読んで思わず笑い出したくなったのですけれども、貸倒引当金はそもそも預金者のためにつくったのか、企業一般のためにつくったのか、銀行のためにつくったのかというような話が行われておりまして、結論としては、結局は金融機関の引当率が非常に高い、そして金融機関はその恩恵にあずかったということなんじゃないか。大変正直な話だと思います。それから先ほど現実的に段階的にというお話がございましたが、引当率を下げているということは先ほどお話のあったとおりです。しかしこれは抜本的に考えてみて貸倒引当金は外に積むあるいは全部預金保険にしたらいいんじゃないかということも、これは前任者の方が言われているわけであります。  要するに私は、現状認識よりは現実これに対して大胆な処理あるいは処置をとっていくのかということが求められているわけでありまして、現実的、段階的に千分の五が終局でいいのか悪いのかというペースではない、もう一つ見通しを持つべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  99. 大倉眞隆

    大倉政府委員 幾つかの点御指摘になったわけでありますが、まず、金融機関のためにできた制度ではないということはこのやりとりの中にも出ております。それは金融保険業以外の全企業についていま貸倒引当金を認めておりますから、したがって問題の、指摘の本質は金融機関の貸倒引当金の繰入率が実績に比べて余りに大きいけれども、それをもっと縮減すべきではないかというところに集約されて出てきておるのだと思うわけです。  そこで、東京都と全く意見一致かとおっしゃいましたが、私はそうではございません。東京都はこれは要らないという立場でございますから、私は要らないとは思っていない。それは引当率を漸次縮減するという方向である。その意味ではむしろ、おっしゃいました国民税調は引当金を圧縮しろとおっしゃっている、それが同じ立場でございます。東京都の——これは東京都が言っておるわけではなくて、率直に申せば三人だけの方がおっしゃっているわけですけれども、それはやめてしまえ、そうおっしゃっているわけですから、それは立場が違います。  それから、預金保険との関係でございますが、これは私の先輩に対してそういうことを言うのは生意気ではございますけれども、どうもちょっと違うのではないか。預金保険というのは、これは金融機関がつぶれてしまったときの話でございまして、つぶれてしまって預金が払えなくなったらどうするか。それを外部に積み立てておいて、とにかくある限度までは零細預金者に迷惑がかからないようにしようという制度でございますから、それは評価性引当金としての貸倒引当金を預金保険ができたら要らないということには、私はならないと思います。それは先輩と一遍議論してみたいと思っておりますけれども……。(笑声)
  100. 村山喜一

    村山(喜)委員 高鳥政務次官、いま主税局長の話を聞きながら、貸倒引当金の問題、これは予算委員会の中でも私質問をしたわけです。都市銀行の五十一年度上期の貸し倒れの償却額は七十八億円であった。その率は千分の〇・一四であるという報告を政府委員から聞きました。そこで大倉主税局長、それを千分の五に今度下げる。貸し倒れの実態がそういうようなことであるとするならば、後藤銀行局長に、やはりそういうような意味において過剰な引き当てではないか、しかし実態はそうではないじゃないかと言って迫ったら、銀行検査というものは厳しくやっております、こういうような話でございました。それで安心しましたということなんですが、銀行局は銀行局の立場から金融機関の信用保持の必要性がございますから、貸倒償却等については、これはどうしても、有税償却をやってでも健全な姿にしなさいという通達を出して指導をするわけです。ところが、今度は国税庁は税の徴収に当たりましては非常に厳しい原則を決めまして、これの滞り金は、もう絶対に取れないものだという認定のあるもの以外は償却を認めないのです。だから、実質的にはもう取れないという見込みがついているものも、これは貸倒引当金の中から償却をすることを認めない、そういう徴税方法をやっている。そこに大蔵省内部で問題をもう少し煮詰める必要があるのではないかと私は実情を聞きながら思っているわけですが、これは政務次官、単に主税局とか銀行局とかあるいは国税庁とかという、そういう専門の分野だけで論議をする問題ではない。だからやはり総合的にこの問題については判断をして、そして高いか低いかという問題を決めなければならない。いまこういうふうに一千万円以上の負債を背負ってつぶれる企業の倒産件数が一カ月に一千件を超えている状態の中ですから、相当なそういうようなもたれ合いの中で、実際は焦げついているのだけれども償却はできないという姿の中で、現実が処理をされている。このことに思いをいたして、貸倒引当金のそれがいいかどうか、現実が正しいか、率が正しいかどうかということの判定と、行政的な措置をそのようにとっていることについて、もう少し大蔵省も内部で検討すべきだと私も思っているのですが、高鳥政務次官の御見解をお伺いしたい。
  101. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいま村山委員からの御指摘でございますが、貸倒引当金につきましてはただいま御指摘のとおりにただ単に税の面だけではなくて、金融あるいは銀行等の信用機関、これらに対する全体の対処の仕方と密接に絡み合っているというふうに思います。現にいま引当金の繰入率については、有税をもってしても積み立てるというようなことの指導が行われた時期もあったように承知をいたしております。私自身といたしましてはこの貸倒引当金の繰入率につきましては、ただいま主税局長からも実態についてお話を申し上げましたけれども、やはりある程度のゆとりを持った繰り入れなり積み立てなりをしておかないと、地震のときに地震に対応するある程度の設計基準上のゆとりというものがあると同じように、銀行もよほどの経済的な変動にも対処し得るだけの——やはり何と言っても信用機関であり、一般大衆のお金をお預かりするところでありますから、金融機関がいかなる経済情勢のもとにおいても揺るぎなく対処できるようなゆとりはある程度持たせておくことは必要ではなかろうか、このように思うのでございます。そういう意味におきまして、貸倒引当金の繰入率をゼロにしろという論に対しましては、私どもといたしましては賛成できないわけであります。しかし、余り現実とかけ離れたものはもちろん必要ないと思いますけれども、適当な限度において十分打ち合わせをして検討することは必要である、このように思います。
  102. 大倉眞隆

    大倉政府委員 一つ補足させていただきたいのでございますが、村山委員のおっしゃいました有税でも償却というお話は、いま政務次官が申しましたように、有税ででも引き当てるという方の話でございます。  それから現実に償却を税法上の損金にするかどうか。これはもう損金にしてそれっきりで処理が終わる問題でございますから、やはり本当に回収できないのかということは税務の側としては十分見なければいけない。ただ、それが銀行検査なり銀行の経理指導なりのときにどの程度までで判断するか。これは村山委員よく御承知の上での御質問だと思いますが、いわゆる第四分類でございますね、第四分類というものを実質的にどう判断するかということとあわせて考えるのが私は一番いいのだろうと思っております。第三分類まではまあいい。第四分類になっているものは、もういわば実質的には焦げつきと同じだ。だからそれをあわせて貸し倒れ実績があるのだというふうに考えてみたらどうだろうかということを個人的には考えております。  ただ、問題がもう一つ厄介なのは、先ほど伊藤委員の御質問の中にも出てまいりましたが、目的利用という観念がこの洗いがえの引当金についてはぴたっと出てこないわけでございます。つまり当期に倒れればそれは損金になってしまう話でございまして、いまある引当金を崩して使うというシステムでないものでございますから、貸倒引当金から幾ら貸し倒れに充てたかというふうに出てこない。これは非常に技術的な話で恐縮でございますが、したがってあくまでも期末の貸し金総額に対してどの程度の引き当てが必要かという角度の吟味に入る。持っていたものから幾ら使ったかというシステムでないわけでございますから、そこのところはひとつ御理解いただきたいと思います。
  103. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が政務次官にあえて尋ねたのは、高鳥さん、あなたは政務次官として、大臣の代理として、そこへ座っていらっしゃる。これは主税の問題だけではありませんよ。銀行局の問題でもあり、国税庁の問題でもあります。だから、そのある程度の一ある程度のと言ったって、千分の五と千分の〇・一四とは大分開きがあるのですよ。そこら辺がどの程度の安全係数を見ればいいのかという問題もあります。だからそういうような各局にまたがる問題はやはり政務次官という立場であなたが全体的に総合的にこの問題をにらんで、これが適当でございますという判断なりあるいは行政方向というものを調整的に進める立場に高鳥政務次官あるわけだ。そういう答弁を私は欲しかったのです。あなたの単なる見解だけでは満足できません。そのことをつけ加えて、私は関連でございますから終わります。
  104. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの御指摘でございますが、千分の八から千分の五に下げようというこの今回の改正につきましても、当然のことではございますが、銀行局と主税局との間におきまして十分打ち合わせがされているところであります。今後どの程度が適当かということにつきましても、大蔵省としてやはり十分検討を深めてまいらなければならない、当然のことと承知をいたしております。
  105. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いまの議論にも関係をしてまたお尋ねしたいことがたくさんございますけれども質問時間が何か九十分が六十分になっておるということもございまして、時間が大変ございませんから、あと幾つかお尋ねをさしていただきたいと思います。  いま貸倒引当金で一つだけ議論があったわけですが、都の方で指摘をし、それから大蔵省の反論というか、この資料を出されておるものでは除外をするという取り扱いになっておる二つ目に退職給与引当金がございます。これも私は同じような実態を指摘できるのではないかと思います。これについても、大蔵省としても実態についてはそう違った評価をなさっているわけではないのじゃないかというふうに思うわけであります。  御承知のとおりに、この引当金につきましても、税務計算上、企業の従業員全員が一斉にやめた場合の二分の一、五〇%までは引き当てても無税とされてきたわけでありまして、それの合計残高が、統計を見ましても、五十年分は全国合計でたしか四兆二千四十一億円という巨額に達しているということではないかと思います。これの方も税操作上かあるいは会計処理上、前と同じような問題もあるのではないかと思いますが、いろいろ資料で出てくるところでも、現実に退職に使われる額というのはわずか数%ではないか。まあ五・七%などという数字を出しているデータもございますが、非常に低い率になっているというふうなことではないかと思います。そういう実態から見ましても、これはやはり大きな問題の一つとして東京都の新財源構想研究会で話題の一つにするというのは当然であるというふうに私は思います。  また、これは音心地悪で言うわけではありませんが、先ほどちょっと申し上げました「エコノミスト」の座談会の中でも、お名前は申し上げませんが、やはり大企業ほど非常にこれを活用しているということを率直に言われておりますし、それから意見として、退職給与引当金は外部に積み立てさせるということの方が適当なんではないか、これはいま論じておりますような企業の利益に役立つという性格ではないかという問題点と、もう一つば、もし倒産した場合に、現実に会計監査の中に金額は残っているがお金はないというふうな問題もあり得るわけでありまして、両面から含めて外部に積み立てる方が合理的ではないだろうかというふうな指摘もなされております。  そういうことで、この退職給与引当金の問題について、このような不公平税制是正といいますか、不公平是正の立場から言いましても、大胆に処理しなければならない問題が一つあるのじゃないか、対策を検討しなければならぬ問題じゃないだろうかということと、それから制度そのものの問題としても検討を加えなければならぬ問題じゃないだろうかというふうに思いますが、いかがでございましょう。
  106. 大倉眞隆

    大倉政府委員 時間の関係でできるだけ簡単にお答えしたいと思いますが、これが期間損益をどう計算するかということで申せば、労働協約なり就業規則がある、したがって、ある期中に退職金の支払い所要額が、ベースアップもあればその他があってふえる。それをその期にチャージすべきだ。それをチャージした残りがその期の本当の利益なんだというのが企業会計の方の考え方でございまして、これを一概に否定し去るということはやはりおかしいのではないかと思います。  不公平だと言われます最大の理由は、どうも伺っておりますと大企業の引当額が大きいというところにあるようでございますが、それは人数をたくさん雇い、それなりの退職手当の支給を約束しておれば、引当額が大きくなるというのは、いわば制度の結果そうならざるを得ないではないか。したがって、大企業の引当額が大きいものがすべて不公平だという考え方には私どもはにわかには賛成できないと思います。  しかし、その点は別といたしまして、とにかく半分やめちゃうなんということはないのじゃないか、だから累積が甘過ぎるではないかという点がむしろ問題の焦点であろうかと思うわけでございますが、それは、けさほど村上委員お答えいたしましたように、全員が期末に全部やめる、その金額をそのまま全部累積的に持っている必要は、それはないだろう、しかし現在勤めている人たちがいずれ何年か後には退職するのだから、その平均退職年数のようなものを用いて、いわば保険数理のように計算してみて、たとえば平均的に十年後には百億の引当が必要になるというなら、それは現在価値としては何億持っておればよろしいかということを累積残高の基準にするのが合理的ではないかということで、一種のモデル計算をやってみて、いまの二分の一がよかろうということになっているわけでございます。経緯を申し上げるわけでございますが。したがって、その二分の一という計算をやってからずいぶん年数がたっておるということも事実でございますから、もう一遍そういう平均的なモデル計算をしてみて、それが一体、二分の一じゃない、四五%になるかとかあるいは逆に六〇%になるかとかいうことをやってみる値打ちはあると思います。ただ、やはり腰だめで二分の一になっているわけではない制度でございますから、それを変えるとすれば、変えるなりの、納税者が納得されるような——大企業といえども納税者でございますから、納税者が納得するような論理を持っていないと、引き当てが大き過ぎるからだめよというだけでは問題はなかなか片づかない。  もう一つの問題は、外部に拠出した方がいいではないかという考え方、これは実は制度発足当初には、御承知の特定預金という制度がございまして、ある程度外部に特定の預金として持っていてほしいということがございました。それはその後、それを持っているからといって従業員の請求権が担保されるわけではないという議論から制度として廃止されて現在に至っております。  それで、現実に倒産——非常に不幸な事例でございますが、倒産をしてしまったときに、帳簿上は引当金があるはずなのに、ほかの請求権者の方がうんと強くて、月々の月給は一番強いですからそれは払えるけれども、退職金は払えないという例を間々耳にいたします。その問題は、またおしかりを受けるかもしれませんが、税法上で一種の先取り特権なり、抵当権、質権に優先するような請求権を持たせるということは、これはとてもできないわけでございまして、これは労働法規なりそういうもので従業員の退職金手当請求権というものをどこまで保護してあげるか、その場合にほかのいろいろな順位を持っている債権者との私的な経済効果としてどこまで優先を認めるかという非常に幅の広い問題として別途御検討いただくよりしようがないだろう。それから仮に外部に積んでおりましても、それに対して従業員の退職手当請求権がどれだけ強く及ぶかということが決まっていないと、外に持っていれば必ず払えるというものでもございませんから、それは別の問題としてやはりこれから御吟味を願いたい、そのように考えます。
  107. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 御説明を伺いましたが、確かにこの「エコノミスト」の座談会で言っているように、外部に積み立てるとか制度そのものを変える場合、いろいろな意味で大きな検討事項が必要であろうかと思います。ただこういう発想が出てくるのも、現実に実態が非常に不合理といいますか、あるいは健全な税制体系に合わない、産業界としてもどういうものか、国民立場からはどうかということからこういうふうなことも出ているというふうに思いますし、いずれにしても抜本的なこれらについての検討ということが望まれているのではないかと思います。  これも局長の言葉じりをとらえるわけではございませんけれども、やはり大企業といえども納税者である、確かにそのとおりでございましょう。ただ、いま問題は、不公平是正に関連をして、納税者全体あるいは国民全体の立場から見て納得できる税のあり方、あるいは租税原則をより民主的なといいますか、そういう改革をどうやっていくのかという角度が一番求められているということだと思います。そういう視点から、納得の得られる検討を深めていくということをぜひ要望していきたいと思います。また、これらのことは当委員会でもいろいろな場でも熱心な論議が交わされなければならない問題だと思います。  時間もございませんから、いまの東京都の問題に関連をして三つ目の問題に移りたいと思います。  ただお断りしておきますが、いまここで東京都の問題を取り上げて議論しているのは、私は東京都と大蔵省との大論争をこの場でやろうと意図しているということではございません。先ほども申し上げましたように、東京都民だけではなくて広くこの問題について関心を持っている。私どもも非常に大きな関心を持っておりますし、国民税調も作業どもいたしております。国民の目から見ても都民の目から見ても、どうやって税の不公平あるいは大企業優遇と言われるものを是正していくのかということが焦点となっているということでございますから、そういう角度から、国民生活と国の財政の将来を真剣に考えるという立場から、率直に議論をしたいということでございます。  そういうことから言いますと、これは政務次官の姿勢をお伺いしたいと思うのですが、東京都の方でもそういうことをやっている、大蔵省は大きな行政権がございますから、現実の税制を進められている。先ほどのお答えの中で、やはり広く国民から意見を率直に聞きながらというお話がございました。そういう意味から言いましたら、数字が合っているかどうかとか、あるいは税制、会計の概念上そういうような点が入るとか入らぬとかということではなくて、実質的な内容的なことについて、いろいろな意味で共同の討議もあってもいいと私は思いますし、それから東京でなさっているようなそういう発想に基づいた試算なり検討なりというものを大蔵省側でもなさってみて、まあ失礼ですが第五次にわたるこういう分厚い作業をなさっているのですから、これだけのものが出るということではない、やはりお互いの合意が得られるような努力というものをなさるべきではないだろうか。それは東京でおやりになるでしょうから、うちはうちでやっておりますとかということでない、お互いの議論あるいは共同の努力のあり方、こういうものが現実に行われてしかるべきじゃないか。東京都も日本の首都という立場の一定の行政権の枠内で議論しているわけですから、一個人がやっているということはおのずからビヘービアが違うということだと思います。そういうことを前向きになさったらいかがかと思いますが、いかがでしょう。
  108. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほど政務次官からお答えしましたように、各方面からの御要望なり御意見というものをできるだけ税制調査会審議に反映するように、私どもとしては一番努力を続けておるつもりでございますが、なお不足の点がございますかもしれません。今後とも努力を続けてまいりたいと思います。  それの一環として、東京都がお出しになった数字も税制調査会にはお見せしてございます。御議論もいただいてございます。ただ、税制調査会の中では、圧倒的多数の意見として、これはやはりそのまま議論の基礎にするのは適当でないということにいまのところはなっております。しかし、一部の委員から、それはやはり実際にこういう計算をした人に来ていただいて、それでこの場でいろいろ意見交換をしようではないかということもおっしゃられました。私どもも、実は東京都の資料をお出しするときにそういうことをお願いしたのでございますが、この東京都にお名前が挙がっておられる方はいずれもお越しいただけませんでしたけれども、今後機会を見まして、ぜひそういうことで論議を深めるということは私どもとしても考えてみたいと思います。
  109. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 ぜひそういう御努力を前向きにお願いしたいと思います。  それから同じく東京都、それから大蔵省側の資料、この二つの資料に関連をいたしまして、大蔵省側が指摘をされている中に、欠落軽減税額分が積算方法が不明ということで、相当大きな金額についての簡単な取り扱いというものがなされております。私はこの点について東京都の関係者に伺いましたら、第五次報告の中で相当詳しくこの部分は実は述べられているところでございます。簡単に言いますと、軽減項目別に見ますと、大蔵省計算の基礎となっている法人企業の実態、あるいはその基礎となる調査といいますか、そういうものは計数あるいは内容把握の処理として全体をカバーしていない、非常にたくさんの欠落部分があるではないかという指摘がなされているわけであります。これも具体的に出ております。  それから、それと関連をして伺いたいのですが、大蔵省側の方では、関連した部分の中で東京都の計算の基礎を論評された後、「四十九年度予算における大蔵省租税特別措置による」云々、「二百二十億円と見込んでいる。」これも何か私もよくわからないのですが、こういうふうにたとえば二百二十億円と見込んでいる推計の場合に、個人分、それから法人分とあると思います。そういう個人分、法人分の振り分けというものが一体どうなっているのかという試算の基礎、それからこういうものを出されれば当然でございましょうけれども、それぞれ所得階級別の構成がどうなって、どういう効果がそれぞれの階級にあってどうなっているのかというようなことになるのではないだろうかというふうに思います。  そういう意味で、一つ計算する上で項目全体をカバーしていないのではないか、大蔵省の方ではその一部だけで数字を出しているのではないかという、この挙げ方の問題と、それから大蔵省自身がこの当時言われておりました、いまの問題とつながってまいりますが、二百二十億ということについての積算の基礎の考え方、その二点、簡単にお願いいたします。
  110. 大倉眞隆

    大倉政府委員 東京都の五十一年八月の報告の十四ページの中にございます引当金関係、これは私どもの減収試算には入っておりません。それは考え方の違いという部分でございます。それから租税特別措置法の適用分としてずっと挙げておられますものは、圧縮記帳を除きましては私ども計算には入っております。それは当然特別措置法として私ども計算は入っております。東京都は便宜一括して欠落軽減という表現をしておられます。したがって、そこは違いはないわけでございます。  それから利子配当の減収額試算でございますが、これは個人、法人分の内訳は、私どもは日銀の統計などから引っ張ってきて推計をいたしております。個人、法人の分け方につきましては東京都の法人、個人の分け方と余り違いはないようでございます。東京都が何をお用いになったかは実はよく承知いたしておりませんけれども、余り違いはないようでございます。ただ、配当につきましては、私どもの推計に用いております法人分の方が、東京都よりも大分少なくなっております。東京都の方が、逆に申せば、法人分が多くて個人分が少ないという推計をしておられるようでございます。  それから、上積み税率につきましては、これは、残念ながら現実には利子所得については非常に限られた人数の方しか申告をしていただいていないということでございますので、それだけをベースにして上積み税率を計算するのは、若干推計方法としては問題があるように思いますけれども、東京都が四十九年度ベースのいまおっしゃった八百六十一億円という計算をなさった基礎は、私どもが伺ったところ、二五%という税率を用いられたそうでございます。  私どもの方は、これは制度上の問題で一つ考え方が非常に違うところがございまして、東京都は、いま申し上げましたように、上積み税率を二五と置いておられる関係で、当時の源泉選択税率が二五%でございましたから、源泉分離選択分については減収は生じないという計算をしておられる。それは確認いたしました。その一方で、一般源泉徴収税率が当時は一五%である、したがって、二五%が平均税率であるならば、一般源泉徴収の一五%の差はすなわち特別措置による減収額である、そういう計算をして八百六十一億円を出しておられるそうでございます。それに対しまして私どもは、一般源泉徴収分というのは、制度的には本来総合課税になるべきものでございまして、現実に申告していただけない、なかなか把握ができないというのはそれは制度の問題ではない、いわば現実にその執行がなかなか行き届かないという問題である、その分が幾らであるかということはなかなかわからないと同時に、それを特別措置による減収であるというふうには制度としましては考えられないということで、そこはひどく違うわけでございます。  しかし、同時に私どもは、平均税率が幾らかということは、確たることはわかりませんけれども、源泉分離選択をされた場合には、それは二五%よりも高い税率の方が二五でとまってしまう、それこそが特別措置による効果ではないか、したがって、二五%を超えるような所得の方が大体所得分布と同じように預貯金を持っておられるとしますと一その前提自身、ほかにないからそうしておるわけでございますが、そうすれば利子所得の平均上積み税率は理論的にはどれくらいになるだろうか、理論上積み計算みたいなものをいたしてみますと、四十九年ベースでは三三%ぐらいであろうか、したがって、対象となる利子所得額に三三と二五の差を掛けまして、それが源泉分離選択という特別措置によって得べかりし税収が失われている部分である、そういう計算をいたしております。したがって、計算考え方自身がかなり違う。  しかし、あくまでもこのお出ししました資料は、そういう議論をするためにお出ししたわけではなくて、東京都の数字はこうなっているじゃないか、大蔵省の数字はこうなっているじゃないか、どこが違うんだといって比較しろという御要請に応じて出したものでございますから、そこでとまっているわけでございます。
  111. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いままで東京都の新財源構想研究会と大蔵省の出された資料と関連して話を伺ったのですが、私は、東京都の関係者のお話も伺い、いまの御説明を伺って、これからはそうであってはならぬと思います、そうでない方がいいと思いますが、いままでのそれぞれの作業なり関係なり姿勢なりというものがすれ違いで終わっている。それから、前の議事録なども、これに関係した資料がございますときには私も読み返してみましたが、やはり意識してすれ違うような姿勢で御答弁になっていると言うと語弊があるかもしれませんが、そんなことを古い議事録を読ませてもらって感ずるわけです。  それで、局長の言われた二五%ということも、聞いてみましたら、全体を計算した上で詳しいデータが全部手に入らない、それから資料をどうとらえるかということについて、トータルとしての資料を整えるという体制もなかなかない。いろいろ推計をして、大ざっぱに二五という数字を掛けてみて推計をしたのだというふうなことなわけです。ですから、こういうものも税調なり大蔵省側で掌握されている、あるいはその他の機関も含めていろいろな資料でそういう発想をどう生かしてみるのか、あるいはそういう試算というものを一遍やってみたらどういう価値があるのか、やってみればもっとそういう正確な意図に基づいた結果も出るだろうし、また参考にもなり得る場合も多いのではないだろうかというふうに思うわけでありまして、いままでの議事録を読んでみましたこの問題の経過からしますと、きょうは大臣のかわりに次官が答弁をされましたが、いままでと比べると、事態が深刻なわけですから当然かもしれませんが、もっと率直に突っ込んでお互いに議論をして意見を求めていこうという姿勢が出されていたように思います。そういう方向をもっと大きく発展させていただきたいということを要望したいと思います。  済みません、あと一つだけ伺わせていただきたいのです。いま議題とされている租税特別措置法の見直し改正などについての中身を少し詳しく取り上げたかったのですが、きょうは時間がなくて残念です。また同僚議員の方から取り上げると思います。  ただ一つだけ、いままでの取り扱い、いままで税調でこの問題についてはしばしば議論として取り上げられたことがあると思います。御承知のとおりです。それから、各界からこういう実態についてのもっと大胆な改廃の措置をとるべきであるということも、この一、二年ではない、実は長年あるわけであります。それに関連をして、こういうものを続けている——揚げ足取りではありませんが、いつも現実的、段階的にというような表現での御答弁が政府側からなされている。そういうことについて、現実にこのような制度が、それぞれにわたってかあるいはトータルとして、日本経済あるいは財政の発展にどのような貢献をしたのか、そういう効力の測定といいますか、そういうことになってきますと、制度があってずいぶん得をしている企業はたくさんあるが、実際にどういう効果があったのかはよくわからないというのが非常に多いのじゃないか。これはいまの政策、やり方自体がそうなっているのじゃないかということを、調べてみて非常に痛感するわけであります。ずっと前から取り上げられていたという意味で古いことを言いますけれども、たとえば三十九年十二月の特に租税特別措置の問題を取り上げました税調の報告なんかでも、新聞紙上では租特の廃止という方向への三原則とか言われていたことも御承知のとおりだと思います。政策目的自体が合理性があるかどうかの判定とか政策手段としての有効性を厳しく判定するとか、それに付随して必ず起こる、特に不平等という意味での弊害、それとこの措置をとることの効果との比較の問題とかいう、原則的に言って、大分大げさに世間で評価をされるほどきつくこの問題も取り上げられております。ただ、その後の現実の経過を見ますと、そのときにも−十年前ですね。三十九年の段階指摘をされていた、ややもすれば特権化するという心配があるとか、あるいは短期に改廃することが必要であるとか、そういう、このときのいろいろな指摘がございましたが、まさにそのことがずっとそのとおり続いているというふうなことではないかと思います。また引用して失礼ですが、さっきの「エコノミスト」の座談会なんかでも、この措置というものは産業政策としてずっと前には意味を持ったかもしれぬ、しかし安定成長に入った時代になって全く価値が変わってきたはずなんだ、むしろそれが要らなくなってきたということじゃないか。不公平なことは租税特別措置法をやる初めからわかり切っていると大変正直に言われているが、その中で、大蔵省主税局などでは、最初からこういう租税特別措置には反対した立場をとっているのだという好意的な発言もありましたけれども、こういう歴史的経過を振り返って調べてみますと、実際の効果あるいは測定といいますか、非常に不十分ではないだろうか。今度一年間で休む、今度の中でも調査が出ておりますが、これなんかでも何か説明の中には経済条件は全く変わっていない、どういう効果があって、どうやめるのかということがわからぬという状態ではないだろうかと思います。ですから、そういう意味で三十九年のときにも厳しく指摘されているわけでありますからひとつ総括してみたらどうか。こういう経過と効果がどう測定できるのか、全体を含めてやはり締めくくり総括と言っては語弊があるかもしれませんが、全体を総括してみて、この取り扱いについての大胆な議論をしていく姿勢が必要ではないかということを痛感するわけであります。最後に一つだけそれについての感想を承りたいと思います。
  112. 大倉眞隆

    大倉政府委員 言いわけを申し上げるわけではないのですけれども、エコノミストで諸先輩がいろいろ言っておられる中でも、ずいぶん整理してよくなったねという御発言もあるわけで、そういうところも御引用いただきたいとは思いますが、おっしゃいますメリットの計算といいますものは、たとえば公害防止準備金制度というものがあったがゆえに公害防止の設備投資が幾ら進んだかという計量評価というものは私は非常にむずかしいと思います。振り返ってみて、ある期間に公害防止準備金が何億から何億にふえた、その間に公害防止設備投資というものは何億から何億やられたということはわかりますが、それは準備金があったからであるのか、規制強化があったからであるのか、それとももっと切実な問題があって出てきたのか、それは直接にリンクさせて計量評価をするということは非常にむずかしいだろうと思います。それはちょうど利子所得の特別措置をやったがゆえに貯金が幾らふえたかと言われても、それを直接に結びつけることは恐らくできないだろうということと同じではないかと思います。ただそれはあきらめてしまうという意味で申し上げているのではございません。そういうことのできるものがあればそれはできるだけやってみなくてはならないと思っておりますが、ただ一般論としましては、特別措置を総括的に見て、これによってGNPが幾らふえたかとか、あるいは産業投資が幾らふえたということは、御趣旨はよくわかりますけれども、自信を持って国会に御報告できるような数字はなかなか出ないのではないかという気がいたしております。
  113. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 ではこれで終わります。
  114. 小渕恵三

    小渕委員長 坂口力君。
  115. 坂口力

    ○坂口委員 一兆円減税の話がああいう形で、与野党合意の形で幕を閉じまして一応の決着を見たわけでありますけれども、私ども、上積みの額が三千億でありますとか五千億でありますとか、あるいは合計で一兆円になるとか、その額もさることながら、何をどう改革をして得た減税かというところに一つの大きなウエートを置いていたわけであります。全体から見ますと減税ではなしに税制改革ということを野党の方は訴えていたわけであります。その中で三千億という一つの額は決まりましたが、その中身の税制改革といったことには今回は一応手をつけられずに上乗せされた形になった、そこに私どもとしては一つの不満を残すわけであります。ただ一つ、細い糸ではありますけれども、将来に対してつないでおりますのは、幹事長・書記長会談の中で不公正税制の改革に今後引き続き努力をしていく、それを来年度予算にも反映させていくという一つの合意に近いものが得られている。このことだけは、一つのまことに細い糸ではありますけれども、今回の話し合いの中で今後に一つの望みを残したというふうにも考えているわけでございます。これは三千億円が決まりました後の予算委員会でも私、大臣に質問をいたしまして、これははっきりとした答弁を得られないままで実は終わったわけでありますが、来年度の——来年のことを申し上げてまことに恐縮ですが、来年度に向かって不公正税制なるものの改革をしていかなければならないわけです。  きょう午前中にも、不公正税制とは何ぞや、その尺度は何かという話がございました。これは考え立場によりまして何を公正税制と言い何を不公正税制と言うのかかなりの違いのあることも承知をいたしておりますが、しかしこれだけの一つの合意を得たということもありますから、ぜひひとつ合意の中で不公正税制というものを一つでも二つでも直していかなければならないと思うわけであります。  予算委員会で私大臣にお尋ねしましたのは、現在の税制の中でどの部分を一番直すべきだとお考えになっていますか、細かなことでなくても結構ですから、現在特別措置の中を最も整理しなければならないというふうにお考えになっているか、それともたとえば法人税なら法人税にまず手をつける、その程度の差は別にして手をつけることが大事だとお考になっているか、大まかに言ってどこに第一に着手すべきとお考えになりますかということをお尋ねをしたわけでありますが、時間の関係もございましたし的確な御答弁は得られなかったわけでございます。その的確な答弁を得られなかった問題をここで的確にお答えしてくれというのもいささか無理な話かとも思いますけれども、主税局長なら主税局長の段階でどのようにお考えになっているか、あるいは政務次官なら政務次官の段階でこれくらいなことは補足ができるというような点がございましたら、ひとつおつけ加えいただきたいと思うわけでございます。
  116. 大倉眞隆

    大倉政府委員 大臣も予算委員会お答えいたしましたように、いまの段階で大蔵大臣なり大蔵事務当局が具体的にこれだと申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、坂口委員のおっしゃいましたようなごく大枠ということでありますならば、中期税制審議を進めていただく、法人税としての負担の問題はその中で御議論をしていただく、しかし中期税制審議を進める前に不公平税制といわれるものは、いままで政府のやっているのでは不十分ではないか、もっとやるべきだという野党の御主張は十分承って、それをできるだけ五十三年度予算に反映いたしたい。これは合意事項というのではないのでございましょうけれども、そういうお互いのお話し合いがあったということは私ども伺っておりますから、私どもの側から申せば、租税特別措置として私ども考えているもの、それを五十三年度にどういう経済になるか経済情勢をあわせ見ながらどの程度までやれるか考えてまいりたい。  ただ一言だけ申し上げますと、私ども租税特別措置と考えておりますものの減収額はさほど巨額なものではございません。全体は八千億ございますけれども、圧倒的に多いのはやはり少額貯蓄でございますとか生命保険料でございますとかそういうものでございますから、これをいまにわかに縮めていくというふうには私どもとしては実は考えておりませんので、強いて申せば企業関係というのは二千三、四百億、しかもその中で中小企業関係が約千億ございますから、中小企業をどう考えるかということとあわせて、全部やめてもそう大きな増収は出てこない。所得関係では、利子配当は、それは不満足だとおっしゃられますけれども、私どもなりにできるだけのことはことしお願いしておるつもりでございますから、来年またそこで大きな税収が出てくるというふうにも思えない。金額的に大きいのはお医者さんでございますが、これは現段階では野党の御要望にも出ていないという状況でございますから、特別措置の中から大きな増収を期待することは言うべくしてなかなか無理ではないかというふうな感じはいたします。
  117. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つ、大枠で考えました場合に、これから福祉等もさらに充実をせしめていこうと思いますと多くの財源が必要なことは、これは当然でございまして、私たちもトータルプランでいろいろ検討いたしましたときに、昭和五十五年度までに三・五ポイントはどうしてもふやさないことにはやっていけないという結論を出しているわけであります。ただ、それを一律に上げるというのではなしに、不公正税制のところをできるだけ改革して、そこから財源をつくり出していきたい、こういう考え方でありまして、そこのところは政府のお考えとわれわれとの若干の違いがあるかもしれません。その財源を確保しますためには、経企庁長官はことし五十二年度、六・七%の成長をかなり自信を持って言っておみえになりますけれども、その辺のところが進んで自然増収というものが図れるのか、あるいはまた税制の改革をするか、さもなくば現状のままにしておいて増税をするか、三つ一つしかないわけであります。  そこで、この不公正税制というものが大きくクローズアップされてくるわけでありまして、ぜひ五十三年度に向かってより前進した税制の改革というものに政府は取り組んでいただきたいと思うわけであります。その都度私どももわれわれの考え方を示しまして、そしてお聞きをいただきたいと思うわけであります。  いまお話のありました中で、この特別措置の問題、今回もかなり数はたくさん出てきているわけでありますが、われわれから見まするとまだ不十分だと思う点もたくさんございますし、ぜひ特別措置の方も手がけていただきたいと思うわけであります。先回、これも予算委員会で若干私触れましたけれども、たとえばその中で給与所得控除の問題もございます。これは四十九年に改正と申しますか改革されまして、そして一律一〇%、六百万以上一律一〇%として、いわゆる青天井にされたわけであります。これによって私ども会議員の報酬も中から税金として取られる分はかなり少なくなりましたし、局長さんもそうだろうと思うわけでございますが、これはわれわれ個人的な考えからいけば楽になっていいわけでございますけれども、しかし、こういったことがサラリーマンの中での不均衡というものを起こしていることは事実でありますし、ぜひこの問題ももう一遍四十九年度以前に戻って考えなければならない問題ではないか、こう思っておりますが、いかがでございますか。
  118. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほど申し上げましたように、今回いわゆる一兆円減税に関連して野党から御提案のあった諸項目については、できる限り五十三年度予算に反映するようにひとつ政府としてもその趣旨を踏まえて検討いたしますということを申し上げておるわけでございますから、いま直ちにそれをやるつもりはございませんとかございますとかいうことを申し上げるのは私としては不遜であろうと思いますけれども、しかし事柄の性格としましては、私はこれは不公平税制というものではないという考え方は変わっておりません。それは、給与所得者の中で給与所得控除が、ある程度高額の収入についても一〇%であれ認められるということは、低額のサラリーマンから見れば上の方の人の税金が安いんだなというふうにお思いになるのかもしれませんけれども、これはお手元にございます給与所得者の累進度のカーブをごらんいただけば、イギリスを別にいたしまして日本のいまの累進度、サラリーマンの実効税負担の累進度というのは、ほかのどの国よりも上にきつく下に甘いという姿になっておるわけでございますから、それを、事業所得者の場合には必要経費は必ず認められる、しかし一定額以上のサラリーマンには必要経費なんか認めなくてよろしいというふうに、事業所得とのバランスの問題はたな上げにしておいてサラリーマンの中で上に甘い下にきついというふうにおっしゃられても私はなかなか納得できない、そのことだけは申し上げておきたいと思います。
  119. 坂口力

    ○坂口委員 昭和五十年分の民間給与の実態から試算いたしますと、給与所得者のうち納税者は、あらあらの数字でございますが約二千四百万人でございます。このうち五百万円以下の人は二千三百二十二万人と約九六・四%を占めておりまして、この青天井は残りの三・六%の人々の税負担を軽くしてやる制度となっていると思うわけであります。つまり四十九年度までは一千万円以上の収入の人は七十六万円しか控除が認められなかったわけでありますけれども、四十九年度以降は二百五万円とこれがなっておりまして、この方式所得の多い人ほど税金の割合が軽くなる、こういうことになっておるわけであります。いまこれが不公正でないというふうにおっしゃいますけれども、しかしこれは少なくとも今後検討を続けていかなければならない問題の一つではないかと思います。きょうはひとつ問題提起の形にさせていただいて、今後まだ三、四回審議の日数がございますので、次の機会のときにもう少し詰めさせていただきたいと思います。  それから、これはけさから何度か出ておりました問題の一つに、退職給与引当金の問題がございます。けさ自民党の方の御議論にもございましたが、これを根っこから全部税金で取っちゃうということは、これは私たちもいささか無謀な議論ではないかと思います。しかしここが、大変黒字が続きましたときに大挙して臨時避難をするという一つの場になるということも、またこれは考え直さなければならない問題ではないかと思うのでございます。したがって、いままで累積されているものにまでと私たちも申しませんけれども、さらにこれから加えられるもの、しかもその中で、たとえばすでに何%以上を超えている、あるパーセントを一つ設けておいて、これ以上さらにしていこうというときにはある程度税金を取るというような形は考えてもいいのではないかと思うわけでございます。  ちなみに数字を見てみますと、昭和四十九年度の法人企業の実態から見ますと全企業で、累積でございますが三兆七千三百二十九億円あるわけでありまして、その中で資本金一億円以上の企業が三兆二千百八十七億円でありますから、約八六%ぐらいになろうかと思います。また四十八年には、資本金一億円以上の法人で二兆四千九百七十四億円でありまして、一年で実にこの年には七千二百十三億円も伸びているわけでございます。このうち百億円以上の大企業が三千八百二十六億円も積み増しとなっているわけでありますから、これを考えますとかなり一部の企業において多額の積み立てが行われていることは事実であります。また、従業員数のことを先ほどお話しになっておられましたが、従業員数を見ましても、一億円以上の企業で働く労働者は約三〇%弱でございますから、資本金百億円以上の企業ということになりますと十数%ぐらいになるのではないかと思います。しかしながら、その額は五〇%以上を占めている、こういうことでございまして、この制度一つの問題をはらんでいることだけは私事実だと思うわけでございます。  ですから、先ほどこれはまあ手をつけるに当たらない真っ当な制度であるというふうなニュアンスにも聞こえましたけれども、決してそういう意味ではなしに、これは検討を加えなければならない点があることだけは私主税局としてもお認めをいただかなければならない点ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  120. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほど伊藤委員お答えいたしましたように、毎期の引当額をどう考えるかということにつきましては、これはやはり企業会計の立場を尊重せざるを得ないのではないかというのが私のいまの気持ちでございますけれども、そのときにあわせて申し上げましたように、累積限度が全員が退職したときの二分の一までよろしい、それなりの理屈があっていまできておりますけれども、それをひとつ新しい角度から考え直してみる、もう少し違ういろいろな問題意識を持って検討し直してみるということは今後の課題であろうと思います。ただ、それは先走ってよけいなことを申したのかもしれませんが、それをやった結果がむしろ二分の一もふえるかもしれないけれども、それらすべてを含めましてこれから勉強いたしてみたい。  それから、御指摘の中に利用割合のお話がございました。これは私どもが実績をながめておりましても、確かに大きな企業の方がこの引当金を利用している割合は大きゅうございます。先ほど私が伊藤委員に申し上げたのは、個別の会社をつかまえてここは大きいとか少ないとかいうのは、それは従業員数とかいろいろなことでございましょうという趣旨で申し上げたわけでございまして、会社全体をグループとして考えて大企業の方が利用割合が高い、これはおっしゃるとおりだと思います。それはやはり小さい企業の場合には、極端に申せば就業規則すらないとかそういうことがどうしてもある、その結果なんだろうという気がしないでもございませんけれども、しかしそれは別の問題でございまして、累積限度の二分の一というものが絶対にこれしかないというものであるのかどうか、それはせっかくの強い御主張でございますから、これから私どもとしましてもひとつ新しい目でもう一遍議論をしてみたいと、ただいまのところ考えております。     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着     席〕
  121. 坂口力

    ○坂口委員 どうも短い時間でございますので、以上の点で終わっておきますが、きょう提案をいたしました不公正税制の改革につきましてあとまた残った時間でお話を詰めさせていただきたいと思います。  きょうは、これで終わります。
  122. 山下元利

    山下(元)委員長代理 永末英一君。
  123. 永末英一

    ○永末委員 私は、本日は企業組合についての大蔵省の認識を伺っておきたいと思います。  昭和二十四年に中小企業等協同組合法が制定をされましてすでに四分の一世紀以上たっておるわけであります。この中小企業等協同組合法に企業組合というのが取り上げられまして、それ以後わが国には企業組合という全く経験しなかった経済単位が生まれたわけであります。もちろん、昭和二十四年と申しますと、戦後の経済の混乱期でございます。したがって、税金というものに対する中小企業者の考え方はいろいろまちまちでございまして、したがって、大蔵省のこの企業組合に対する対処の仕方もいろいろな変遷があったと思います。  しかし、いまや四分の一世紀たって、当初この企業組合にいろいろな夢を託して中小企業者が中小企業組合をつくったのでございますが、それぞれ四分の一世紀以上にわたる経済の流れの中でいわば淘汰をされ、いま残って活動を続けておりますのは、日本の現在の経済事情の中で確固とした経済単位としてその仕事を続けているものだと認識をいたしております。したがって、大蔵省といたしましても、そういういわば日本経済構造の中で確固とした事業単位としてその営みをしているものについて、当初の中小企業等協同組合法が制定される、その中に企業組合という事業単位が設けられたその法律の初心に返ってこれらの問題を処置すべき段階に立ち至ったと考えます。  衆議院大蔵委員会におきましては、昭和三十九年わが党の春日委員がこの問題を取り上げまして以来取り上げられてまいりました。私自身も、昭和四十一年にこの問題を取り上げて大蔵省見解をただしました。取り上げられるごとに、あるところまで進むとひとつその辺は検討しようということでお別れになっておるのでございますが、私自身が質問いたしましてからすでに十年たっておるわけでございます。十年という月日は検討いたすに十分な月日ではなかろうかと思います。  そこで、大蔵省とされましては、一体企業組合というのは現状をどういうぐあいに把握しておられるんだろうか、どれぐらいの数があり、どれだけの規模の経済活動を行い、そしてまた、大蔵省はその経済活動からどの程度税収を上げておられるのか、そういう一つの企業組合の経済活動に対しての現状認識のほどを伺っておきたいと思います。
  124. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは五十年度でございますが、企業組合の数は二千四百八十九、うち利益を上げておられる組合の事業年度数、これは大体一年一事業年度だと思いますが、一千六百二十六、それから欠損になっておられるのが八百七十二、利益額は一千六百二十六の組合で六十七億四千一百万円ということになっております。
  125. 永末英一

    ○永末委員 税収はいかほどですか。
  126. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは税収としての統計になっておりませんのですが、一件当たりが千六百でございますからまあ数百万円になりますので、大体は二八%適用だと思いますから、概算でございますが、十八億強になろうかと思います。
  127. 永末英一

    ○永末委員 企業組合は御承知のとおりにいろいろな人間の勤労がその中に組み込まれておるのでございまして、したがって、企業組合というものがわが国の税収に対してどれだけ寄与しておるかを、わかれば一遍御計算願っておきたい。これは後で質問で申し上げますけれども、たとえば役員に関する賞与の取り扱いについても企業組合側の主張と大蔵省の取り扱いとは違うわけでございまして、そういう意味合いで、概算でございますけれども、企業組合のいわば規模の大きいものについては必ずしも二八というぐあいにいっていないはずでございます。その辺にも争いがあるのでございますから、一応精査をして一度御報告を願いたい。委員長、お願いいたします。  さて、そのお願いをしておきましたところで、大蔵省は企業組合というのは一体どういう事業体であるか、法人格は付与されておりますが、人的結合であるか物的結合であるか、どういうぐあいに判断しておられますか。
  128. 大倉眞隆

    大倉政府委員 人的か物的かという御質問に関しましては、一般の株式会社にもいろいろございますので、ちょっと直接のお答えは非常にむずかしいような気がいたしますが、それはやはり資本を持ち寄っていわゆる協同組合的な共同事業でなくて独立の事業を行う、そういう意味では普通法人であるというふうに私どもは理解しております。
  129. 永末英一

    ○永末委員 株式会社というのは要するに株式という一つの物、それが集中せられて、人間はいわばその株式に一体化してその背後におるわけですね。集中されている一つ社会的存在としては、株式会社などは物的結合だと私は思います。それに比較をいたしますと、企業組合というのは協同組合法によって設定せられたのでございまして、したがってその組合員比率も二分の一以上でなくてはならぬ、こういうことでありますし、またその組合の事業に従事する比率も三分の二以上なければならない。つまり仕事に従事せよ。物は仕事はしやしませんわね、人間が仕事をするわけでございます。また、議決権におきましても一人一票である。株式は物でございますから、量の多い者が議決権の数も多い、こういうことになるわけでございまして、まさに人間中心の取り扱いをいたしておるのがこれではなかろうか。  また、剰余金がございました場合には従事分量分配をすべし、つまり仕事に応じた分配をすべしということが法律で規定をされておるのでありますから、それはすなわち人間がその事業に従事した分量で分配すべし、こういうことでございますから、きわめて人中心に考えられておる。言うならば、協同組合の協同組合たる原則を生かすべき事業体である。すなわち、それは協同組合法で認められているように相互扶助ということを目的にした人的結合であると私は思うのですが、あなたはどう思いますか。
  130. 大倉眞隆

    大倉政府委員 いまいろいろお述べになりました協同組合法に書いてある出資のやり方、組合員が組合の事業に従事しなければならないという規制、あるいは剰余金を出資に応じて配分するのには限度を設けていること、いろいろ考え合わせますと、その角度から申せば人的結合の色彩が非常に強いということ、それを否定するつもりはございません。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、株式会社の中にもそういう人的会社というのは非常にたくさんあるであろうからという趣旨で申し上げただけでございます。
  131. 永末英一

    ○永末委員 後学のために承っておきますが、株式会社の中で人的結合的な色合いの強いものというのはどんなものなんですか。
  132. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私の頭の中にございますのは、当初七人で設立されても、現実には、現在動いている姿としては株主が二、三人、会社の社長さんがお父さんで、奥さんがもう一人の株主で息子さんがもう一人の株主、皆さん全部その会社で働いておられる、剰余金をどう配分するかはそのお三人でお決めになっておるというようなものを漠然と頭の中に置いてお答えをしておるわけでございます。
  133. 永末英一

    ○永末委員 いわゆる個人企業の法人成りみたいなものは人間的色彩が濃いかもしれません。しかし、はっきりとそれは株式会社であって、責任もまたその保有株の限度でおありだ、こういうこと。この企業組合は協同組合としてその人間が勤労でもってそれに参加するということが、私はそこをその人的結合の要素ととらえているのでございますが、これはいまの法人成りの個人企業の生まれかわりである小さな株式会社とは違いますね、いかがですか。
  134. 大倉眞隆

    大倉政府委員 言葉が足りませんで、全く同じものだというつもりはございません。ただ、人的結合体としての色彩が企業組合は非常に強い、それはおっしゃるとおりでございましょう。また、株式会社にもその角度から見ればそういう色彩のものもあるんではないでしょうかという意味だけのことでございまして、全く同じだということを申し上げる趣旨はございません。
  135. 永末英一

    ○永末委員 私はこの際、企業組合の本質を大蔵省がどう考えられるかということをやはりきちっとしておきたいと思ってこの質問をいたしておるのであります。この協同組合法に定めるところにより企業組合もまたその組合員の加入、脱退は自由でございますし、出資口数は一人四分の一以上はだめだということになっておりますし、また配当についても制限を設けておる、つまり協同組合そのものではないかと私は思いますが、協同組合と企業組合とは違うのですか。
  136. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これはまた大変お答えをいたしにくいのでございまして、協同組合法に法的根拠を持っているという意味では、それは協同組合の一つの形態であると申せましょう。ただ、私どもが税法上の負担をしていただく方式をいわゆる協同組合と企業組合を異にしておりますゆえんは、それは企業組合というものは人的結合体という御趣旨をそのままにいたしましても、それは他との事業をみんなが集まってやるものである、通常の協同組合というものは組合員のための共同事業を行うものである、それは非常に違うんではないかというふうに理解をいたしております。
  137. 永末英一

    ○永末委員 他との事業と組合員のためのと対比されました。しかし、協同組合もまた一本になった経済単位から見れば他との交渉、第三者との交渉を持ちますわね。それから、企業組合もまた事業の内側を見ればその協同行為でもって組合員相互のことをやっているわけでございまして、いわばその程度の問題であって本質的な差異ではないと私は思うのですが、あなたはどの点が本質的な差異だと思いますか。たとえば協同組合として取り扱われている協同組合法による公的機関なんかも第三者とのいわゆる経済行為をやっていますね。農業協同組合というのはみんなが協同組合だと思っていますわね。これは明らかに第三者との事業を一経済単位でやっている、その点においてはまさに本質的には同じことをやっているのではなかろうか。それを分けられて、企業組合はもっぱら外向きの事業をやっており、協同組合はもっぱら内向きのことをやっておるということは言えるでしょうか。いかがでしょうか。
  138. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これまた言葉が足りませんでしたが、協同組合も企業組合も、第三者との経済取引を行うということを否定したつもりは全くございませんで、第三者と行う取引が、自己が一つの事業体として、通常の株式会社であれ、有限会社であれ、そういうものと同じ立場で事業を行っているのが企業組合。協同組合というのは、第三者との取引は組合員の共同事業のためにのみ行っておる、自分独自の利益追求のために行っているのではない。それが非常に違うのではなかろうか、そういう趣旨でございます。
  139. 永末英一

    ○永末委員 これはそれぞれが対外的な経済行動をやりまして、そしていろいろ生産が行われたあげく、剰余金が出ましたら、協同組合では利用事業分量分配と称して、企業組合では従事分量分配と称します。その取り扱いは、いまのような御感覚ですから、協同組合においてはこれ損金扱いになり、企業組合においては益金処分扱いになっておるという思想のもとになりますが、そのことは後で聞きますので、そこへ行くまでに、それなら信用金庫というのは協同組合に入っているのでございますね。これはもともと協同組合法に信用協同組合、これは企業組合と同じときに協同組合であるということで、その組合法で取り上げられて設置されてきたものでございますが、その都市地域における信用組合が発展をいたしまして、そして信用金庫法がつくられて、信用金庫が設定をされた。その信用金庫は、なるほどたてまえとしてはそれをつくっているメンバー相互間のものだということでございますけれども、その行っている経済行動にはきわめて対外的なものが多いわけですね。そうなりますと、一体いまのように、外向きのことと内向きのこととが二つを差別するものだとおっしゃいますけれども、現在の信用金庫と企業組合とどこに差異がありますか。
  140. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私の理解しております限りでは、員外利用を認められておる、その限りにおいては、信用金庫の場合にやはり通常の他の法形式による金融機関と同じようなファンクションを営んでおるということ、それは否定できないと思います。ただ、どこまでいきましても組合員との間で仕事をする、組合員の共同事業としてやるというのが本来の趣旨であるということは動いていないのではございませんでしょうか。
  141. 永末英一

    ○永末委員 信用組合の中に社寺信用組合というのがあるのですね。お寺と神社ですかな。その社寺信用組合がどういうことをやっておるかといいますと、一般の人に対して金融するわけですね。しかし、それ日本人はほとんど大部分がどこかのお寺か神社の氏子か檀家なんですね。だから、まずそれは社寺信用組合のメンバーである、員数で組合員である、こういう解釈で行われておる。だから、いまあなたが、信用金庫はもともと組合員の内部の金融機関なんだとおっしゃったが、いわば出発点はそうであっても、これだけ中身を変えて行われているものもなおかつ協同組合として扱われておるわけですね。これはいかがですか。
  142. 大倉眞隆

    大倉政府委員 信用組合は員外貸し付けはできないわけでございますから、お金を借りておられるとすれば、それは何がしかの出資を払われて組合員になって入っておられるんじゃないかと思うのです。
  143. 永末英一

    ○永末委員 そうなんですよ。ただ、一般の人が来たときに、それ日本人はどこかの神社の氏子か、お寺の檀家だ、だからメンバーになる資格はある、こういうことなんですね。そこまで拡大解釈されて、やられておる。一般員外利用なんかありはしませんね、私はその中に会社が入っておるかどうか知りませんけれども。そうなってまいりますと、最初あなたが立てられた内向きか外向きかということだけでは律し切れないいろいろなことが起こっておる。そこで、もう二十五年たっているわけですから、その辺の判定をどうするのか。企業組合側からいたしますと、共同行為を一〇〇%やっている状態が企業組合になるわけですね。共同行為が一〇〇%。中でお互いに向き合ってやっているのではなくて、そういう形が企業組合になっているからもっぱら外向きに映るわけですね。そう考えられませんか。
  144. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは実は同じ発音なので非常にやっかいなのでございますが、「共」という字を書く共同、そして一個の事業体として事業をしておられるというのが企業組合、本来的な企業組合であり、それから「協」の字を書いた、そういう組合員のために共同事業をやるというものが協同組合であるというのが私の理解なんでございますが……
  145. 永末英一

    ○永末委員 それはそれでいいのですよ。それはそれでいいのですが、「協」がそもそも、その企業組合を中に入れたのは、その共同化が進んでいって、あたかも一事業体として外向きに活動していることがもつ。ばらであるかのように映っている。しかし、それはそっちからならし方が非常に濃密であって一〇〇%である、こういう結果が出てくることではないかと思う。だから、その内部の処置の仕方、内部事業の処置のやり方も、やはり「協」の協同組合に対してあなたの方の税制が立ち向かっているやり方。すなわち、協同組合に対して特別法人扱いをしておれば、企業組合にも特別法人扱いをすべきではないかと私は思うわけであります。あなたの方はちっともしないわけですな。そこのところを聞いているわけです。
  146. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その税を負担していただくパターンが違う、それはなぜかということになりますと、繰り返しで恐縮でございますが、たとえば農協というものは、農業は組合員の個人個人がやっておられて、それを「協」の共同事業というものを農協がおやりになる。しかし、企業組合というものは、一人一人が豆腐屋さんをやっておられるということもそれは別途ございましょうけれども、企業組合そのものは、そこで働く方が「共」の共同の作業をして、そうして豆腐屋さんをおやりになる、そういうふうに私は理解をしておるのでございますが……。
  147. 永末英一

    ○永末委員 いや、それは単一の企業組合もございますし、相互の企業組合もございますけれども、たとえば単一の企業組合の場合には同じ仕事をやるわけでございますから、したがって、仕入れを共同——これは「共」、ややっこしいですな、つまり一緒のことをやる。ちょうど農業というのが、おのおのがその事業をしながら、田畑が違うから、いわばそれは事業場の差異と似たようなものですね。そうして、その協同組合なら米を集荷してそれを政府に売り渡すという経済行為をやる。同じように、たとえば単一事業、豆腐屋さんの仕事なら、似たように原料を買い入れ、それで計算を同じくして、そうしてそれはちょうど田畑が違うように事業場が違うわけであります。そして同じことをやっていくわけですね。同じことじゃないですか。どこが違いますか。
  148. 大倉眞隆

    大倉政府委員 田畑はそれぞれの協同組合員が自分でお持ちになって、その上で自分の仕事をしておられて、農協は、その共同仕入れであるとか共同機械購入であるとか資金のあっせんであるとか、「協」の方の、それぞれ独立している農家の方々のための、「協」の共同の仕事をするんだ。企業組合というのは、事業所はばらばらにございましても、たとえば大倉という豆腐屋がその豆腐屋さんの企業組合に入るという場合には、私は企業組合で働いておる、私の店も企業組合の持っている店であるというふうになるのじゃございませんでしょうか。やはり相当違うのではないかと思います。
  149. 永末英一

    ○永末委員 名前はある企業組合の事業所です、これは間違いありません。しかし、その労働の成果等々が外に対して行われる場合の経済の単位は一個一個やっているのじゃなくて、農業協同組合というのは一括してやりますよね、それと同じことを企業組合はやっておるではないか、違いますか。
  150. 大倉眞隆

    大倉政府委員 どうも私はわかりが悪いのかもしれませんが、農協は農業の部分まで共同しておられるわけではないだろう。それは農業者のために農協がおやりになる仕事というのは確かにある。しかし耕作をし農作物の収入を自分に帰属させるというところまでを農協がおやりになっているわけではないのではないか。ただいまの例で申せば、私の店を使って出てくる利益というものは企業組合の利益であって、それを後でいかに配分するかという問題である。つまり田畑ごと、大倉個人ごと企業組合に没入しておる、そういうものではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
  151. 永末英一

    ○永末委員 企業組合が主体である、つまり外向きになれば企業組合が主体に違いございませんが、その企業組合たるものは、当初私が申し上げましたようにそれぞれの事業所とは言っておりますが、組合員の勤労というものを実体として成り立っているものです。もちろん出資もございます、金も出しますが、主たる部分は組合員の勤労。したがって、なるほどそれらが給与をもらいます。給与の所得計算をしていますね。あたかもそれは株式会社に似ているけれども、しかしながらそれは内容が協同行為をやっておるわけで、つまり力を合わしてやっている、仕事をしておることに対する対価が与えられておるわけでしょう。つまり事業所だから、要するに株式会社の支店があちこちにあるという形じゃないのじゃありませんか。それを同じだと思われますか。
  152. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは出資の形態とか剰余金の分配の方法とかが株式会社と違うという点は御指摘のとおりでございますが、それぞれの事業所で働いている人と組合との関係、位置といたしましては、株式会社の支店と同じだというふうに私は考えます。
  153. 永末英一

    ○永末委員 それから協同組合の場合においては、組合員に対して営利行為はしませんよね。外側に対しての別に営利行為とは言わぬが、経済行為をやった場合の決算をした場合に剰余金を分配する、組合員に対して営利行為をしない。その点は企業組合も同じですよね、組合員に対して営利行為はしない。その点は協同組合と同じ姿勢でもっている。つまり、それは組合員の相互扶助のためにつくられた組織体であるという点においては、協同組合と企業組合とは全く差異がないと考えますが、いかがですか。
  154. 大倉眞隆

    大倉政府委員 申しわけございませんが、そこの理解は私はちょっと違っております。協同組合というのは、もちろん第三者との取引を組合員の協同事業のために行いますけれども、またある場合にはそれ以上に組合員との取引をやっておられる。  たとえば、これはちょっと例が悪いかもしれませんけれども、消費生活協同組合というのは組合員にいろいろな物を売っておられる。それが後で剰余金が出れば、百円で売ったのだけれどもやはり組合員の方に一円お渡ししましょうということでやっておられる。ですから農協の場合でも組合員との取引で、締めてみたら剰余金が出てきたということはございましょうから、それは利用分量配当で損金になる。しかし、協同行為として第三者との取引をやって剰余金が出てきたら、それは利用分量配当じゃございませんから損金ではない、そう考えております。
  155. 永末英一

    ○永末委員 従事分量の話になりましたが、従事分量配当は剰余金が出た場合にいわゆる配当処分後の残余の処分、こう言うて、配当というのは出資金に対する配当、これは企業組合の話ですが、これを行っている場合に普通何を標識にして分配していますか、従事分量は。
  156. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そこはごたごたいたしますが、協同組合の場合は一番多いのは利用分量配当で、それは利用度、それから企業組合はおっしゃるように勤労の提供がベースになりますからそれは従事分量配当であって、それは当該計算期間内における各組合員の仕事に従事した、いわば力を提供したその程度に応じて分配する、そういうことだと思います。
  157. 永末英一

    ○永末委員 だから企業組合の従事分量配当と称せられるものは、いわば勤労の対価の一つの姿である、こういうものですね。
  158. 大倉眞隆

    大倉政府委員 勤労の度合いに応じて分配されるという意味で勤労の対価というとらえ方はあると思います。
  159. 永末英一

    ○永末委員 一般的に勤労の対価というのは給料ではありませんか。
  160. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは雇用契約に基づいて支払いを受けるものが給与である、それ以外に勤労の対価として受けるものはたくさんあると思います。
  161. 永末英一

    ○永末委員 従事分量配当については勤労の対価みたいな取り扱いを各企業組合がしておる。もしこれは勤労の対価、つまり勤労の対価は給料に限らないけれども、給料は逆に勤労の対価とみなされるならば、従事分量配当と称するものもまた給料と似通ったものだとはお考えになりませんか。
  162. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そこは私は必ずしもそうは思いません。やはり雇用契約というものに基づいて自分が労務を提供するその対価は給与であろう、しかし自由職業者の場合に得てくる報酬というものも、それは知恵の対価という考え方もございましょうが、やはり広い意味での勤労の対価である。勤労の対価イコール給与であるというふうには私は考えてません。
  163. 永末英一

    ○永末委員 私もそんなことを申しているわけではないのであって、ただ、給料というものは何の対価かと言ったらあなた、雇用契約という法律形式を言われましたけれども、その雇用契約があって、自分が勤労を支出するからその対価としてもらえる経済量ですね。従事分量というのは何を目安に分配されているかと言うと、その企業組合の事業に従事した分量、すなわちそのために働いた分量であって、つまり組合員の勤労の提供と出資と二つのものが企業組合をつくっておるとするならば、まさしく勤労の面に重点を置いてこれは分配せられておる、この二つのことを考えるならば似たような性格だという結論になりませんかと伺っておるわけです。
  164. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そういう角度からお考えになるというお立場を全く否定し去るというような不遜なことを申し上げるつもりはございませんけれども、やはり私の頭の中では、それは通常の会社の収益であっても提供資本とそこに働いている人の労務とすべてが集約されて出てくる対価ではなかろうか、したがって人間が働いて出てきたものはすべて給与であるというふうには、どうも私はちょっと納得がいかないという感じがいたします。
  165. 永末英一

    ○永末委員 普通の株式会社において、一応決算をして剰余金が出たら、これは利益と言われる分類に属してくるわけですね。だから大蔵省のこれまでの扱い方は、企業組合も法人だ、株式会社も法人である、そして決算をしたら剰余金は一応利益だ、利益だからそれを何ぼか分配したら、言うならば利益処分なんだ、こういう考え方なんです。ところが、もともとそういうつもりで企業組合の組合員は働いているわけではないわけである。したがって、最終的にその処分を決算した場合にそういう剰余金がくるならば、ほかのメルクマールではなくて、やはりその勤労の分量に応じて分配する。そのことを、だから法律で、協同組合法で決めておるわけですね。そういうものだぞ、そうせいと。そうしたにかかわらず、これが損金扱いになってないというのは、勤労を提供している組合員からは納得できない重要な点なんです。いかがですか。
  166. 大倉眞隆

    大倉政府委員 御質問に直接にお答えしておりますのでいろいろ言葉が足らない点が多いかと思うのでございますが、従事分量配当がすべて利益分配である、いま完全に税法上はそのようにしかならないということではございませんです。それは従事分量配当というものは企業組合の本来の性格上組合員の労務提供によって生ずる部分がかなりのウエートであるということを否定しておりませんから、したがって、組合員でない人が企業組合で働いておって、それで給与をもらう。従事分量配当の中で組合員でない人が同じくらい働いてもらう給与に相当する額まではこれは給与です、そうしておるわけでございます。したがって、その上に残っておる部分というのは、これはみんなの働きを集約して結果的に出てきた利益であり、それを分配しているのだ、いまの税法はそういうふうに受けとめているわけでございます。
  167. 永末英一

    ○永末委員 協同組合の場合に、似たような経済行偽をやって生産してみたらある経済量が残った、それはしかし組合員に分配する、それは事業の量によって、利用の量によって分配する。だから別にそれは利益金ではないのだから当然の経費だという扱いをしておる。ところが、似たようなことをやっておる企業組合についてだけなぜそれは利益なんだ、益金処分なんだ。だからもう少し計算がうまくいっておるならば−当然もらうべき組合員ですよ、非組合員じゃありませんよ。従業員じゃなくて組合員のみペイバックするわけですからね。その取り扱いをたがえておるところが得心がいかないのです。なぜたがえるのかというところの御説明を願いたい。
  168. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは先ほどちょっと申し上げたかと思いますが、協同組合が組合員との間の取引で出てきた剰余金でなくて、外の人との取引で共同事業のために行った経済行為の結果出てきた剰余金を分配いたしましてもそれは損金ではございません。
  169. 永末英一

    ○永末委員 だからあなたの言い方は、協同組合においても外のものとやったものはそれは損金扱いをしない。ところが企業組合はもっぱら外をやっておるから、余ったものは皆利益だ。(大倉政府委員「給与に相当するものは給与ですけれども……」と呼ぶ)初め給与は払っているわけですからね。一応計算してからやっているのですから。そういう御見解ですな。
  170. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ですからそこは、給与に相当するものばと申し上げている趣旨は、最初から給与と決まっているものということではなくて、組合員に分配する従事分量分配の中で、組合員以外の給与に比べてみても、これは給与相当分だというのは給与にして、残りが利益になって、それは利益分配である。員外との関係、つまり組合員外との取引関係はおっしゃったとおりに私は整理いたしております。
  171. 永末英一

    ○永末委員 これはもう先ほどから申し上げておりますように、企業組合の本質をどう見るか。なるほど対外的には活動をしているけれども、それはもう株式会社等と同じように営利を目的とする経済活動をしておるんだから、企業組合を一単位の法人とみなして、中の事業所を担当している人間は給料を払うが、そうして決算したら、余ったもの、剰余金は皆利益だ。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 だから利益処分だ。こういう考え方のようですが、それならば、なぜその協同組合法で、先ほど最初申し上げたような人的結合的部分のような制限があるのでしょうか。それならもうそういう制限をもっと緩めて、株式会社と似たような姿になっておっても構わぬような話じゃありませんか。なぜそういう人的ないろいろな制限、配当制限までやって、やはり組合員の勤労——もちろんその従業員もいますよ。しかしいま一番問題点は、組合員に対する問題点ですからね。なぜそういうことをやったのか。そこは説明つかぬじゃないですか。いかがですか。
  172. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは組織法上の御判断でございますから、私が余りとやかく申し上げるのは必ずしも適当でないと思いますけれども、しかし、協同組合法の中に企業組合という経済的な実体を取り込むという角度からして、おのずから余りに一人の個人が支配するような姿は好ましくないということで出てきているのではないかと思います。
  173. 永末英一

    ○永末委員 組織として、人間のつくる組織が経済界でいろいろなことをやっていくわけでありますが、それをやはり協同組合で用いられている原則に基づいてある経済単位をつくらしている。したがって、その経済活動の態様は、協同組合と企業組合と違いますな。その場合に税法上の取り扱いが、協同組合に似ておる取り扱いをするのではなくて、株式会社に似ておる取り扱いをしておるところに問題があるわけですね。なぜそこまで引っ張っていかねばならぬか。そこまでいきますと、それなら、この従事分量をやって損金扱いしないために何ぼ税収が上がっているのでしょうね。そんなことわかりますか。
  174. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その前段を繰り返しお答えいたしたいのでございますが、私どもが適用税率なり従事分量配当の扱いなりを、先ほど来お答え申し上げておるような角度から普通法人並みにしておるということは、同じ協同組合法に法的根拠を持つものでございましても、たとえば生産組合というものは同じように考えておるわけです。生産組合というのはやはり協同組合法の中でできているけれども、組合自身が生産事業をやるんだ、それは普通法人並みに考える、そういうことでございます。  それから第二点の、従事分量配当というものを全部損金にしたらどうなるかということでございますが、それは全部損金扱いにしますれば、恐らく全部従事分量配当でお分けになるでしょうから、その企業組合としての税収は、何かの理由で内部留保される場合を除いてゼロになるということではございませんでしょうか。
  175. 永末英一

    ○永末委員 いま内部留保のお話がございましたが、祖税特別措置法六十一条では、農業協同組合の留保所得については、これは損金の額に算入すると書いてあるわけですが、企業組合はそうでないわけですね。ここでもやはりはっきりと、同じ協同組合法に基づく法人格を付与せられたものが違いがあるわけですね。この問題はいかがでしょう。
  176. 大倉眞隆

    大倉政府委員 おっしゃいました留保所得の特別控除は、実は事の発端は、永末委員よく御承知の、農協の再建整備でございました。農協の再建整備のためにこういうことが起こってきた。かなりの期間続いておりますが、農業協同組合につきましてはほとんどその目的を達したという面もございまして、漸次縮小をいたしております。それ以後ほかの協同組合が幾つか適用対象に入ってきておることは事実でございますが、これはあくまでも協同組合の力をつける、組合員全体のために協同組合が倒れてしまうことがないようにひとつ政策的配慮を加えようという趣旨であろうかと考えておりますので、企業組合はこのジャンルには入っておらないということでございます。
  177. 永末英一

    ○永末委員 企業組合も栄枯盛衰がございましたけれども、いまある企業組合は余り破産、倒産はしませんな。そうすると、この組織は中小企業者の生存のために非常に役立っておるとみなされる。  それからもう一つは、しかしながらやはり資本主義社会でございますから、その力の増大、資本の充実というものが望まれる。だといたしますと、そういう観点から政策的に見た場合、企業組合が力をつけていくためには留保金というものの存在を認めてやる。その認めてやる形が、損金扱いにしたら一〇〇%と思いませんけれども、協同組合として企業組合がつくられ、そしていまのような要請があり、社会的役割りも果たしているということなら、損金扱いにしてやっていいのじゃございませんか。
  178. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そこは、お言葉ではございますが、損金扱いにしますればむしろ社外流出がふえるのでございますから、組合自体を大きく育てたいというのであれば、それは内部留保の方に何らかの政策的な優遇措置を与えたらどうかという御提案になるかと思います。それにつきまして、農業協同組合に特別措置はございますけれども、それはそれなりのバックがあってでき上がっておりますので、企業組合というものに特に新しく租税特別措置を設けてそういうことをやるのかということになりますれば、それはいわば中小零細法人一般の問題としてもう少し議論をさせていただきたい、そういう問題であろうかと思います。
  179. 永末英一

    ○永末委員 中小企業法人一般と一緒だと言うが、つまり一つでは法人にもなり得ない、先ほどおっしゃったように法人成りくらいのことであってどうにもならぬ、記帳の能力も十分にはない、経理能力もないというのが集まって企業組合をつくっているところにその社会的意義があるわけだから、一般と同等だというのは言い過ぎでしょうな。いかがですかね。
  180. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そこまで参りますと、企業組合にも行けない、法人にもなれないというような個人も一緒に考えて、やはり全体をながめて議論していただくということではないかと思います。
  181. 永末英一

    ○永末委員 当初この企業組合ができましたときには、それは法人格を認めなくなっておる、個人が税金を逃れるために一緒に合わさっておるのだというので、企業組合の事業所としての存在を否認される取り扱いをされた時代がございますね。ところがいまや法人格をお認めになっておって、今度は個人の方に重点を置いたようなお話をされる。私が言っているのは、要するに企業組合が二十六年の歴史があって、その中で耐え抜いてきたものについては、それに対しての一定の社会的評価あるいは大蔵省的評価があってしかるべき時代が来ているのじゃないか、こういうことを申しておるのであります。  たとえばこれに役員がおりまして、専務理事とか常務理事とか名前をつけておると、これは大株式会社の専務でも常務でもありませんが、それが給与以外に期末手当を賞与と名づけますと、これは一遍に株式会社の役員賞与と同じ取り扱いを受ける。実際は小さな仕事をしておって、そしてもう使用人と同じことをやっておるわけです。ただ名前が専務とか常務とかつけておるだけでございますが、これは名前でも改めたら賞与や益金処分でなくなりますか。
  182. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そこは税法上できるだけ取り扱いが不統一にならないようにという配慮もございますので、ある程度名称で形式的に割り切っていくという面があることば否定できません。したがって、言葉は悪いかもしれませんが、平理事さんであれば、それはいわゆる使用人兼務重役という方と同じような扱いはできると思います。
  183. 永末英一

    ○永末委員 だから、専務理事とか常務理事とかつけておるからやられるということであるならば、これは法律上の問題ですけれども、専務的役割りをする者に違った名前をつけたら大会社と似たような取り扱いを受けない、こうなりますね。
  184. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは全部形式で割り切るということをむしろ逆にうまくお使いになったわけで、実質的に全体の指導監督をしておられるという方は、やはり肩書きだけが変わりましても、それは専務理事に相当する方だということにしなくてはいけないのだろうと思います。それはまたおしかりを受けるかもしれませんが、同族会社で専務取締役が一人もいない、みんな平取だということになってもこれは困るわけでございまして、やはり実態判断というものは入れざるを得ない。実質的に要するに平理事さんであればいいんだけれども、しかし、それはそちらから攻めるときには、肩書きば専務さんなら専務さんでしょう、こういうことになっておる、そう御理解いただけませんでしょうか。
  185. 永末英一

    ○永末委員 つまり、組合の運営上、専務的な仕事をせざるを得ない人間がある、ところが実際は、それはそうに違いないけれども、やっていることは使用人と同じことをやっている。ある組合は交代制でやっているわけですね。そういうところもある。だからだれかが当たらねばならぬからやっておる。自分が従業員の立場に立っておる場合には、税率が違いますからね。ところが、専務ということになると扱いがばっと違う、おかしいじゃないかというのが普通の勤労を中心にした企業組合における役員賞与の問題。だから、実態に即して、最初申しましたように、これは勤労の集合体がその主軸なんだ、こうなればその取り扱いも変わる。一たん専務とついたらやはりやってしまうんだというようなことではいかぬのと違いますか。いかがですか。
  186. 大倉眞隆

    大倉政府委員 御趣旨は私もわからないではないつもりでございます。ただ、国税庁が一体うまく執行できるかという点もございましょうから、ただいまの御趣旨を一度国税庁に伝えまして、実際はどうやっているんだということを、私ももう少し勉強いたしてみたいと思います。
  187. 永末英一

    ○永末委員 時間が参りました。十年ぶりに企業組合問題を取り上げましたが、大蔵省見解、必ずしも余り前進しておるように思えません。やはり現実に解決をしなければならぬ問題ですので、私はこの際、もう一度企業組合の実態を精査をされ、それが零細企業者の集合体として果たしている経済的役割りを認識され、そしてそれに参加しているそれぞれの組合員が、自分たちの企業組合がどういうものであるかという認識を持ってやっておるか、それもひとつ御判断をいただいて、企業組合側が主張している特別法人扱いというものにした場合に国の財政に物すごい穴があくわけでも何でもございませんで、ただ企業組合が協同組合運動の一環としてわが国の零細企業者が生存を続け、あるいは発展をするために一つの重要な運動だという認識があるならば、政策的にそれに対してやるべき道がまた開かれてくると私は思いますので、われわれも研究をいたしますが、大蔵省も早急にひとつ御検討願いたい。政務次官……。
  188. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの一連の御質問を承っておりまして、非常にむずかしい点が多々あるようでございますけれども、十分また勉強さしていただきたいと思います。
  189. 永末英一

    ○永末委員 終わります。
  190. 小渕恵三

    小渕委員長 荒木宏君。
  191. 荒木宏

    ○荒木委員 利子配当税制について少しお尋ねしたいと思います。  今回の改正案は三〇%を三五%、そして五十五年までこれでいこうということでありまして、従来の政府の本委における答弁では、五十五年をめどに総合課税に移行する準備を進めたい、こういうふうに伺っておるわけです。  政務次官も御承知のように、先般六党でいわゆる一兆円減税の問題での協議が進められました際に、野党の方からは利子配当の分離課税を四〇%に五十二年度から引き上げるように、こういう要求が出ました。これは文書にはなりませんでしたけれども、五十三年度の税制にできるだけ反映するように努力する、こういう申し合わせができたように伺っておるわけです。  そこで、政党と政府は言うまでもなく別であります。政務次官も自民党に所属されているのですが、五十三年度にできるだけ反映するように努力するといった口頭の合意については御承知いただいていると思いますが、この五十五年まで三五%のままでいくという政府の方針、これはさきに申しました六党合意から言いましてやはり検討を要するのではないか。ほかの項目も幾つかありますけれども利子配当税制について、政党間の合意を受けて、政府としてのお考え伺いたいと思うのです。
  192. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 利子配当の分離課税の問題だと思いますけれども、三千億の追加減税を行うということのいろいろな御論議の過程におきまして、この問題についていろいろと御検討があったということにつきましては承っておりますが、具体的にどうしろというような御指示をいただいておる段階ではまだないのでございます。  ただ、私どもといたしましては、いわゆる利子配当の分離課税の問題を含めて今回も検討をさせていただいて、一部是正をいたしたところでございますが、今後ともそうした面については十分検討をいたしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  193. 荒木宏

    ○荒木委員 そういたしますと、五十五年までいまの三五%でいってそこで総合課税にいくという路線では必ずしもないわけですね。つまり、五十三年度にこの問題についても含めて検討していく、こういうことでございますか。
  194. 大倉眞隆

    大倉政府委員 政務次官からお答えいたしましたように、幹事長、書記長、書記局長会談で、紙に書いた合意ということではないがということでお話のございましたのは、一兆円減税問題に関連して野党が申し入れた不公平税制是正については、できるだけ五十三年度予算に反映するようにしてほしい、政府としてもその趣旨を踏まえて今後検討するという旨を予算委員会で答弁してくれないかということであったように私ども承知いたしておりまして、その点につきましては、予算委員会で大蔵大臣から、野党側の一兆円減税に関連して出された税制改正の諸案を五十三年度税制改正にできるだけ反映してほしいという御希望は十分承ったので、その趣旨を体して政府としても検討いたしますという御返事を申し上げたという経緯でございます。  したがいまして、具体的にあの中にございました交際費課税とか貸倒引当金とか利子配当とか、それらすべてを五十三年度に必ずやりますというお約束はなかなかできないわけでございますが、そういう御要望があったということを踏まえて五十三年度税制改正に臨みたいという政府姿勢は、大臣の答弁のとおりだと思います。
  195. 荒木宏

    ○荒木委員 約束はできないが、検討の姿勢、用意はある、こういうふうに伺ったのですが、そこでお尋ねしたいのです。  従来、なかなか一遍にはやれぬというふうに一口に言えばおっしゃっておったように思います。しかし、だんだん、過去の事例その他、そのときの情勢もあります、要請もあります、いろいろなかかわりがあるのですけれども、一遍にやってしまった例があるのでしょう、一年、二年、三年の間にばさっと。うんと引き上げる、うんと引き下げる、これは方向は上り下り逆ですけれども、やった例はあるのじゃないですか。
  196. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私の記憶では、利子配当課税に関します限り、税率の動き幅が五%を超えたことはないように思いますが……。
  197. 荒木宏

    ○荒木委員 昭和二十八年当時、源泉の選択税率が五〇%であった、それが廃止をされまして、そして源泉徴収税率一〇%になった。しかもそれは短期について一〇%であって、長期は五%になった。当時一般税率は最高が五五%であったように思います。一般本則と比べて五〇というのですから、そこそこのところへいっておったわけですね、並びの。ところが、それをやめてしまって源泉徴収一〇%に落とし、それも廃止をして、三十年のころには非課税になったというふうに聞いておるのです。そうすると、その両三年を見てみますと、数字だけとらえてみますと五〇からゼロというふうになったと思うのですけれども、経過はそういう事実があったのじゃないですか。
  198. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほどここ十年ぐらいのことを頭に置いてお答えしましたので、まことに失礼いたしました。  昭和二十二年に源泉選択制度が入りまして、それから二十五年は源泉選択を廃止してすべて完全総合という制度になりまして——これはシャウプ勧告でございます。その翌年の二十六年に源泉選択制度が復活されまして、そのときに五〇%でございますが、二年続いて、二十八年に源泉選択制度をやめ、また総合課税もやめてすべてを源泉分離だけにした。そのときの適用税率は一〇%であったという点は御指摘のとおりでございます。
  199. 荒木宏

    ○荒木委員 政務次官、伺いますけれども、政治的に判断されまして、技術的には実務上の問題とかいろいろあると思うのですが、しかし時の要請、政治的な要請あるいは経済を踏まえた情勢の中で、かつて思い切ってずいぶんがさつとこういう度合いが急増したといいますか、措置がとられたわけです。私は必ずしも飛躍的にやることが常にいいとは思いません、慎重な配慮が必要な場合もありましょう。しかし、だからといって五%刻みしかいじれないものだというようなものでもなかろうと思うのです。すでに、基本的な方針としては総合課税に移行するということは政府みずからも本院でたびたび答弁されておるとおりでございますので、かなり以前の、それも一時期の例を申し上げたにすぎませんけれども、しかしそうしたことも踏まえて、五%ではなくて、野党が足並みそろえて一〇%という要求をしたわけですね。私どもは五〇%に、こう言いましたけれども、共同要求としては四〇%、決してそんなに思い切って、一階から二階へ跳び上がるというよりも、むしろ、踊り場へ行くというよりも階段を一つ二つという程度の違いであろうかと思うのです。そういうことを踏まえて、必ずしも五%上げ幅にこだわらない。そして情勢を見、それから政治的な要望の高まりを踏まえて、五十二年度あるいは五十三年度に、三五%のままでいくのじゃなくて、これを手直ししていく、四〇%にしていく、五〇%にしていくということが必要であろうと思いますが、いかがですか。
  200. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまも御指摘ございましたが、本来、利子配当課税につきましてはいわゆる総合課税をすることが一番望ましいと思うのでございます。ただ、具体的にこの課税客体を把握するということにつきましては、膨大な件数がございまして、それを的確に把握して公正な課税ができるかどうかということについては、技術的になかなか容易でない面があるのではないだろうか。そうしたことから一部のものについて非常に過重になるということはかえって実態的には不公平なことになるのではなかろうかということからいたしまして、当面三五%で、昭和五十五年にはできればもう一回徹底的な見直しをするという前提のもとにとりあえず三五%という税率を設定させていただいたわけであります。いま御指摘のような三五%がいいのかあるいは四〇%がいいのか、それらの点につきましては部内においてもいろいろと検討いたしたところでございますが、当面、現在の他のいろいろな税制とのバランスを考えまして三五%というところに落ちついたわけでございます。これを来年また直ちにいじる、動かすということになりますと、たとえば国債の利息との問題等々、いろいろな調整の関係がございますので、余り毎年毎年動かすというのはいかがなものであろうか、したがって当面昭和五十五年まで十分検討いたして、その段階においてひとつ決定をしたらどうであろうか、このように考えておる次第であります。
  201. 荒木宏

    ○荒木委員 他の横並びの調整は必要があればやらなければならないし、またやることができると私は思うのですね。いま次官おっしゃった膨大な資料調査が必要だ、そういうことになりますと、これはもう本院でも論じられてずいぶん年月久しいわけでありますが、果たしてあと両三年の間にそういう本則課税に移行するような準備調査ができるであろうか。つまり、いままで二、三年なかなかできなかったものが、これからそういうことができるという保証が裏から見ますとなかなかうなずきがたいということから、いま言われた、とにかく三年間このままで走って、準備をして、そこのところで飛躍をする、そういうやり方が実効性の上からも、それからかねてから論議されております要望にこたえる点からも、適当なやり方であるかどうか。むしろそれよりもいま五%と言われておるのを一〇%にし、あるいはわれわれの主張したところの五〇%にし、それに必要な調整あるいは影響に対する手当て、もちろん必要な面がありましょう、そうしていく方が−そして同時に並行して総合課税に移行する準備をやるという方がより現実的であり、より効果的ではないかと思うのです。特に私が言いますのは、いまの時点で制度本来の目的が必要な経済情勢、社会情勢であろうかということも一つあるわけですね。この点は次官はどのようにごらんになっておるでしょうか。高度成長の時代、総貯蓄をうんとふやして総投資に回していく、いまはむしろその転換の時代とおっしゃっておるわけです。だとすれば、その転換の兆しがあらわれるような税制の仕組み、それもまた必要であろうかと思うのです。転換のやり方についてもいろいろな見方はあると思いますけれども、いま私が申し上げた五十五年までいまのままでいくよりも、むしろそれまでにいまのやり方を加速していくという方法、これはどうかという点、それからいまの情勢から見て、転換の足取りを確かにしていくという点から見て妥当ではないかと思われるのですが、いかがですか。
  202. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの御意見も確かに一つ考え方ではあろうかと思いますけれども、私どもいま現実に当面をいたしておる問題、特に政府税調等において指摘されております問題点といたしましては、一つはやはりある程度の徴税費用がかかっても税務執行体制をもっと十分整備してかかるべきではないだろうか、そういうことが一つ問題としてございます。それからまた無記名預金を廃止する、さらにまた大口預金取引等の通知制度を創設するとか、さらにはまた貯蓄者に住民票等住所氏名が真実であることの証明をしてもらう告知制度を設けるとか、さらにはまた納税者番号を定め預貯金等の際にこれを使用することを義務づけるとか、そのようないろいろなことをいたしませんとなかなか的確に把握できないのではないだろうか、そういうことの検討を十分させていただきながら、決して後ろ向きな考え方をしているわけではないのでありまして、ひとつ総合課税に持っていくような努力をすべきではなかろうか。当面いろいろと、御承知のとおりに実は課税客体の把握につきましてはなお問題がたくさんございますので、現行税率を五%上げるという形でひとつ御決定をいただきたいものだ、このように考えておる次第であります。
  203. 荒木宏

    ○荒木委員 ちょっとお尋ねしておりますのと違うのですね。関連はあるのですけれども、論点がちょっと違うのですが、総合課税移行の準備調査、これは前々からおっしゃっておりますし、進めていただく必要はあるだろう。ただ、ここ両三年見たときに、準備オンリーでいいかどうか、その間いまの税率を維持することがベターかどうか、これを伺っているわけです。  御承知のように投資の面ではいま傾向としてはずいぶん停滞ぎみでありまして、大体民間の調査でも減価償却の範囲内でやっていこうというのが四分の一ぐらいあるのじゃないかという指摘もありますし、しかも償却自体が、四十九年、五十年と見ますと調査では八兆七千億から八兆一千億に減退をしてきている。この中で、この財布の中でいこうという袋自体が狭くなり、しかもそれだけでいこうという企業がふえており、製造業を見ましても、跛行性はありますけれども、業種によって違いはありますが、しかしどんどん使っていこうというのはいまのところは全体としては非常に少ない。むしろ金は銀行の方に戻っていこうというのですから。そのときにここ数年、あるいは十年と言っていいでしょうか、論議が高まるに従って、五%刻みでやってきた同じテンポ、同じ方式、同じ考え方のままで処していいかどうか、もちろん五十五年を一つの目安に体制が変わるための準備があるとおっしゃるのですが、その間もうすでに転換ということが言われて一両年、その間にそのままの体制でいいかどうか、こういうことを言っているわけです。いろいろな指標、世間の様相、あるいは括弧つきでありますが投資家心理、企業家心理が変わっているということに応じてのこの問題の対処の仕方の転換ということが必要ではないか、これは次官にひとつ政治家として、三年準備オンリーで同じペースで行かれることがいいかどうかというのをもう一つ伺っておきたいと思う。
  204. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの御主張のお気持ちはよくわかるところでありますし、政府部内におきましても検討段階において初めから三五%が最も適当であるというフィックスした考え方で検討したわけではないのであります。ただこの利子配当所得に対する現在の課税の特例というのは、一応昭和五十年度の税制改正において昭和五十五年末まで適用期限を認められていたものであります。その適用期限を認められていたものを年度途中において改正をするということでございますので、余り大幅なことにはしないで五%程度のアップにしていただいて、そして昭和五十五年という一つの期限が切られておるわけでありますからその間に十分対応策をさらに検討を深めていったらどうであろうか、こういうことで三五%というところに落ちついたわけでございます。
  205. 荒木宏

    ○荒木委員 政党間の約束もあることですから、ひとつ十分今後とも提起した問題の論点も踏まえて検討されることを希望しておきたいと思います。  次は税務行政の問題について伺いたいと思いますが、お尋ねしたいのは、ちょっと大きく申しますと質問検査権と人権プライバシーの問題であります。具体的には例として医師のカルテの調査ということをお尋ねしたいと思うのです。  医業に関する税については、税制度の問題あるいは医業所得の問題、いろいろ論議があるところであります。しかし本日はその点は一応おくとしまして、行政税務職員の方がカルテの閲覧をかなり広範囲に、またいささか恣意的になされておるやの声を耳にしておるわけです。具体的な例で申しますと、昨年の後半ごろから、宮城県の仙台南税務署の職員の方、あるいは仙台の、これは少し地方の方になりますが、大河原税務署というのがあるそうですが、そこの職員の方、あるいは群馬県の前橋税務署の職員の方、これらの方が医師のもとに来られて、調査に必要だからカルテを見せなさい、こういうお話が相続いたという話を聞いております。  そこで、いろいろな考え方があると思いますが、初めに国税庁の方から、調査の際にカルテの閲覧ということをどういうふうに考えておられるか、その点をまず基本的といいますか、一般的にお考え伺いたいと思うのです。
  206. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  税務署の行いますところの税務調査というのは、正しい所得金額を把握するために、その所得計算に必要な事項につきまして納税者質問をし、また帳簿書類その他の物件の検査をする、こういうたてまえでございます。先生仰せのとおり、医者の場合には特定職業人としての守秘義務というものがございますので、税務調査に際しまして患者の個人的な秘密に属する事項を明らかにする必要はないというふうにわれわれは考えておりますけれども、われわれの税務調査の主眼が所得金額の計算上必要な事項についての調査でございますから、その所得金額の計算上必要な事項についての調査には、これは応ずる義務があるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、医者に対しますところの調査の際には、元帳とかあるいは現金出納帳などの帳簿書類を調べるのはもちろんでございますけれども所得計算上関連のございますところのあるいは投薬した薬品であるとか、患者に対する請求額だとかあるいは入金月日だとか、こういうふうな所得金額の計算関係する事項がカルテには記録されているわけでございますので、そういうカルテにつきましても調査を行う場合があるということもまた当然だというふうに考えております。  ただ、私たちといたしましては、カルテを調査する場合には、通常は患者の氏名とか病名等、これを結びつけた調査は、これは所得計算に特に必要がないのが通例でございますので、所得計算上必要がないわけでございますから、こういう点につきましてはこの質問検査の調査の対象にしないという配慮をいたしまして、患者の特に個人的な秘密にわたることについては特段に慎重に配慮をするようにというふうな心がけを持ってやっておるわけでございます。
  207. 荒木宏

    ○荒木委員 カルテに請求金額や収入金額などは書いてあるのですか。私、ちょっといまそういうふうに伺ったのですがね。  厚生省はお見えいただいていますね。診療録、こういうことを書きなさいというのがあると思うのですが、それを少し御説明いただいて、同時に厚生省の方の立場から、この問題についてどういうふうな御見解かということをお聞かせいただきたいと思います。
  208. 古賀章介

    ○古賀説明員 まず第一点の診療録の記載事項でございますけれども、これは医師法の施行規則の第二十三条に列挙されております。「診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢」「病名及び主要症状」それから「治療方法(処方及び処置)」でございます。それから四番目が「診療の年月日」、これが必要的記載事項であるということでございます。  それから、税務職員のカルテの閲覧の問題でございますけれども、これはあくまで一般論として申し上げますと、診療の内容というのは個人の秘密に属する事項が多いわけでございますから、医師には先ほど来お話がありますように刑法上守秘義務が課せられているわけでございます。したがいまして、医師が診療録を他人に見せることができますのは、個々の法律にその根拠が明らかである場合、たとえば医療法の二十五条のごときものがございますが、それとか、裁判所の提出命令ないしは裁判官の発付いたします差し押さえ令状というふうなものによって他人に提出し、これを見せることができる、こういうふうに一貫しております。
  209. 荒木宏

    ○荒木委員 厚生省もうお引き取りいただいてけっこうでございます。  国税庁伺いますが、必要的記載事項というのですから、他の余事記載を許さないという趣旨でもなかろうと思いますが、しかし私も医療関係の方に聞いてみますと、実態としてカルテそのものに幾ら請求して幾ら入ったという所得計算を記入されている例というのはまず珍しかろうと思うのですね、そういうふうに聞いておるのです。そうだとしますと、所得調査ということに当たって、いろいろお尋ねもありましょう、話も聞かれましょう、あるいは所得に関する記帳というのもある場合もありましょう。そういうことで、がんがんやって、なおかつカルテを見る必要がある——どの部分ですか、さっき言われたその金の計算ということですか、これは普通はないと思うんですがね。
  210. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  先ほど厚生省の方から絶対的記載事項というお話がございましたけれども、先生の仰せのとおり、医者によりましてはそのカルテの中に入金状況だとかあるいは点数とか、そういうふうなものも書いている例もあるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきましてはカルテというものの中身の一部分につきまして、その所得金額の計算関係のある事項というものがある場合もあるわけでございまして、そのような、たとえば薬品、高い薬品を使ったと言っているけれども、どういうふうな薬品であるかというふうなこととか、いろいろな面で所得計算関係の出てくる事項があるということもまた事実でございます。
  211. 荒木宏

    ○荒木委員 私はもう少し具体的なことを伺っておるのですけれども一般的にそこへ金目のことが書いてあるかも知れぬというので頭からカルテを見せなさいというのは、これは国税庁としては容認しておられるのですか。私先ほど伺いましたのは、一般的な方針で慎重にやっておるというふうに伺ったのですが、具体的な事例としてそういうふうなことがやられております、こう聞いておるのですと、こう言っておるのですが、そういうやり方は是認されておるのかどうか。
  212. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 調査の方法につきましてはいろいろな方法があろうかと思いますけれども、やはり元帳あるいは現金出納帳というふうないわゆる会計帳簿というものが中心になるわけでございまして、その会計帳簿があるいは不備である、あるいは内容において問題があるというふうな場合には、個々のその基礎になったいろいろなデータに当たるということになろうかと思います。そういう帳簿を全然抜きにして、のっけからカルテから当たっていくというふうなことは、これは調査としては普通のやり方であるとは考えませんけれども、その通常調査段階におきまして、いろいろな証拠書類、データという観点からこれを明らかに検証をする、こういう必要が出てくるわけでございまして、その段階におきましてカルテ等にも当たるということは十分考えられるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  213. 荒木宏

    ○荒木委員 一つは手順ということがありますね、いま御答弁にもありましたように。やはり事のだんだんと話の進む中での双方納得する必要性といいますか、そういった手順の問題が一つありますね。同時にその書類自体の持つ本来目的、性質の違い、これもあるんじゃないでしょうか。つまり所得に結びつく基礎事実が記載される、そういうことを本来目的としておるような書類の場合、それから診療録の場合は、先ほど厚生省の方からも少しお話がございましたけれども、本来病気を治していく、健康を守る、それ自体崇高な目的のために作成される書類だ、しかもそのことが同時に患者自身のプライバシー、人権にも関するということですから、その書類の持つ性質、目的に対する配慮ということも当然必要なんじゃないでしょうか。手順、書類の性質、そのことを十分踏まえて、こうした場合に絶対に見せてはならぬものだという論も一つあるかもしれぬと私は思うのです。そうしたことの是非はおきまして、実際に現場といいますか実態の中では、先ほど幾つか私が聞いておりますような事例もあるやに報ぜられておりますので、手順あるいは要件といいますか、そうした線引きを厳格に改めて見直し、徹底される必要があるのじゃないか、こう思いますが、御所見を伺いたい。
  214. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  仰せのとおり、カルテの中身につきましては、医者とその患者との間の個人的な信頼関係に基づいたいろいろなデータというものが記入されておるわけでございまして、そういうカルテの性格、あるいはいま先生のお話のございました調査の手順というようなものにも十分配慮をいたしまして、適切な調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  215. 荒木宏

    ○荒木委員 多少の事例を申し上げましたが、ひとつ徹底するように御処置をお願いしたいと思うのです。同時にいま診療録を一例で申しましたけれども、それだけに限らず、つまり他の目的、他に法律上の根拠を持った、社会的に十分是認される専門的な関係での書類にも同じようなことが言えようかと思いますので、そういうことも含めて要望しておきたいと思います。  最後に、時間の点もありますので、行政に関してもう一点お尋ねしておきたいのです。  五十一年度の確定申告に当たりまして、これは大阪局の管内で行われたことでありますが、税理士会が無料で税務相談をやっている、そこへ、局の方でつくった調査票を各税務署を通して持ち込んで、相談の中で出てきたいろいろな事実をその票に書き込んで、それの回収を求める、こういった事例が報告されておるわけですが、これが税務当局と税理士会の間で話し合いがなされて、協力というのでしょうか、あるいは一つの援助というのでしょうか、そうしたことがなされる場合の見方というのもまたいろいろあろうかと思うのですね。よろしいと言っておってもそれは問題があるという見方もあろうかと思います。しかし、私が聞きましたのは、税理士会の神戸支部の役員会で、これは問題であるからお断りすると決議をして、税務署の方にもその旨をお知らせした、にもかかわらず、太陽神戸銀行のある支店で行われた税務相談に、三月の一日と四日であったと思いますが、所轄の署の方から職員の方が見えて、そしてその調査カードなるものを担当の税理士の人に渡された、そしてその場で回収をして持って帰られた、こういう事例があったと聞いております。ちょっと御参考にその局の方でつくられた調査票というのをごらんいただいてお答えいただきたいと思うのですが、こういうふうなやり方は庁の方としてはどういうふうなお考え、お取り扱いであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  216. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  確定申告に当たりまして税理士会が無料相談をやっておるということは仰せのとおりでございます。これは税理士会が自主的に協力をしていただいておるものでございます。ただ、どういう内容、どういう協力の仕方かということは実はただいまお話を聞いたばかりでございまして、個々の国税局がどのような具体的な細目について行っているかということは承知をしておらないところでございますが、その無料相談の方法等については、原則として税理士会の方の自主的な判断にいろいろゆだねて行っているものとわれわれは考えておるわけでございます。もし仰せのようなカードあるいは資料というようなものを要求するあるいは書き込むということがあるとすれば、恐らく翌年納税相談に応ずる税理士さんの参考ということで相談内容をあるいは記録にとどめておくというふうなことを考えておる、そのためにあるいは税務署の方でそういう内容を依頼したのかもしれないというふうに考えますけれども、具体的な中身をいま実は先生の方からいただいたばかりでございますので、ちょっと判断いたしかねるわけでございます。  いずれにいたしましても、税理士によりますところの無料相談につきましては、税理士会の自発的な協力によってこれを行っておるわけでございまして、その方法その他につきましては税理士会の方で適切な方法を考えていろいろ行っておられることというふうに私たち考えておるわけであります。
  217. 荒木宏

    ○荒木委員 ちょっといま委員長の御了解を得ないで渡しましたので、御無礼をお許しいただきたいと思います。  事実関係はひとつ調査をしていただきたい。私、言いますのは、何か税理士会を、言葉はちょっとよくないですけれども、下請機関のように扱うというふうなやり方、これはそうとられかねないようなやり方ですね、それから相談に見える納税者の方の信頼を裏切るような結果になるそういうやり方、これはひとつ十分御留意願いたいと思うのです。自主的に納税者のいろんな相談に乗って、そこに信頼関係が生まれていくのでしょうけれども、当局としてもその点は十分配慮をして調査それから指導をお願いしたいと思いますし、事の結果がわかれば何らかの方法で私の方にも御連絡をいただきたいと思います。一言その点だけ伺って質問を終わりたいと思います。
  218. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 無料相談の方法等につきましては、適切な方法を講ずるようわれわれとしても配慮してまいりたいと思います。また、仰せの話はただいま聞いたばかりでございますので、実態を調査いたしまして、後刻また報告に上がりたいと思います。
  219. 小渕恵三

    小渕委員長 次回は、来る十八日金曜日午前十時理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会