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藏内委員 これは非常にむずかしい
法律論争になりますから、余り深入りはしないで、別途また個別に御見解を聞くようにいたしたいと思います。
実は
大臣、富山県のイタイイタイ病という病気があります。この病気の判決では、要するに、財産的
損害であろうと非財産的
損害であろうと、
損害は
賠償すべきである、特にこの財産的
損害については既存利益の減少、要するに、あったものが非常に価値が少なくなってしまった、そういう
損害、当然得られるべき利益をその
損害によって喪失したという場合、そういうものを一切問わない、これはすべて
賠償の責任があるという判決を出しているわけです。これは
公害判決、
健康被害に対する補償法、こういうものの適用が今日行われまして、そういう判決が実は出たのであります。冒頭に私は、
石炭鉱害も
公害の最も具体的な
一つであるということを指摘しておいて、これについて、そうではないという御
意見は
環境庁からもなかったのでありますが、ひとつ具体的な例を
大臣に申し上げましょう。
北九州小倉北区の一番中心街のところに毎日会館というのとそれから福岡銀行北九州本部、北九州支店、この高層なるビルがあります。この
地域は地価が、いまからもう十年前後前に建てられた建物でありますが、この土地を取得いたしましたときには二百五十万から三百万円くらいしておった。現在ではもっと上がっておると思います。それから直線距離にして二百メートル行きますと小倉炭鉱の鉱区になり、
鉱害地になるわけであります。そのために、小倉北区砂津という、わずか二百メートルその
地域から離れたところは地価が十万五千円であります。この
損害は一体だれが
賠償するのかということになります。これはもう当然、既存価値の減少であります。要するに、
鉱害によって減耗された個人の財産、これに対する補償がだれも行われない。だから私は、
公害の補償の
規定と、いわゆる
鉱業法に基づく
賠償の
規定、これを比べますと、
被害者にとって条文上は確かに
鉱業法の
規定の方が有利にできております。たとえば、加害者である
鉱業権者がかわりましても、最終
鉱業権者が追及されるということになっております。共同でやった人まで責任を追及されるということになっております。
期限も先ほど申しましたとおり、
鉱害が発生してから二十年間請求できるということになっております。そういういろいろな
観点から
鉱業法の方が有利にはできておるが、
現実の問題になってくるとこういう欠点がある。だから、私は、誤解しないでいただきたいのですが、これをいわゆる通産省あるいは
鉱害事業団、要するに国が補償しろということを言っておるのではないのであります。いまの
公害に関する
賠償規定と
鉱業法に基づく
賠償規定との間には非常に
考えなければならぬ多くの盲点がある。これを解決しておきませんと、やがて、これは
大臣の御所管になっておりますいわゆる地下水法あるいは工業用水法、
地盤沈下に対する防止のための
法律、こういうものの
立法に全部
関係してくるのであります。ですから、私は、法
体系全般を見渡して、この
公害の
賠償規定、
鉱業法の
賠償規定、これは見直さなければならない時期に来ているのではないか。当然これはしておかないと、将来にわたって日本の行政にあらゆる面において大きな問題を発生してくるおそれがある、こういう点を私は指摘したいと思うのです。これに対する
大臣の御見解を承りたい。