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1977-04-20 第80回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十日(水曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 岡田 春夫君    理事 愛野興一郎君 理事 田中 六助君    理事 楢橋  進君 理事 山下 徳夫君    理事 西中  清君 理事 西田 八郎君       大坪健一郎君    藤田 義光君       三池  信君    中西 績介君       細谷 治嘉君    安田 純治君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    松村 克之君         資源エネルギー         庁石炭部炭業課         長       高瀬 郁弥君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君     ————————————— 四月二十日  理事西田八郎君同月六日委員辞任につき、その  補欠として西田八郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 岡田春夫

    岡田委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る四月六日、理事西田八郎君が委員を辞任され、現在理事が一名欠員になっております。これより、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田春夫

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事西田八郎君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中西績介君。
  5. 中西績介

    中西(績)委員 去る五十年の十一月二十七日に北炭幌内におきまして大変な事故が発生をいたしまして、いまなお十一名遺体を残しておるという状況にあるわけでありますけれども、この遺体をどうするのか、そしてさらにまた、生産をいつ再開するかということが大変重要な課題になっています。特に二千万トン体制を維持するに当たって、この北炭幌内をどうするのか、こういう点で質問を申し上げたいと思います。  まず第一は、六月に遺体収容するということがこの前から答弁の中に出されておりましたけれども、この収容は果たして間違いなく行われるのかどうか、現在の進行状況についてお聞かせください。
  6. 島田春樹

    島田政府委員 お答えを申し上げます。  幌内炭鉱の現在の状況でございますが、現在幌内炭鉱につきましては、鋭意取り明け作業を実施しているところでございます。最近の取り明け状況につきましては、五片地並み及びその以深の取り明けを行っております。ベルト斜坑につきまして、六片から七片に向かって現在進んでおる、四月九日現在で二十二メーター進んでおるというふうに聞いております。三月二十五日からこの取り明け人員の入昇坑を行うにつきまして、災害の前と同様に立て坑ケージで入昇坑を行うことができるようになりました。そういう点、それからまた、最近の取り明けの現場の状況におきましては、崩落状況がよくなってきておるというふうに聞いております。現在、そういったような状況からしまして、会社の方といたしましては、遺体収容を六月末、採炭開始を十月という目標につきまして、最大限の努力をして取り明け工事をしたいということで、鋭意努力をしているというふうに聞いております。
  7. 中西績介

    中西(績)委員 会社の方のそういう計画の中で、六月の遺体収容そして十月の生産再開ということが言われておるようでありますけれども、この遺体収容が行われそしてその後に来る生産再開について、現在の進行状態からいたしますと、いまの会社報告だけじゃなしに、通産省なりが、いままでの経験からいたしまして、これの問題、果たして十月に生産再開ができるのかどうか、この点は大変重要な時期的なものになってくるわけでありますけれども、この点についてもう一度お答えください。
  8. 島田春樹

    島田政府委員 いま申し上げましたような取り明け状況でございます。要するに、計画と対比して進行状況を見ますと、大体ベルト斜坑計画から約一カ月おくれという状況になっております。しかしながら、先ほども申しましたように、一方で入昇坑時間の短縮とかあるいは崩落状況深部になるに従って比較的いいというような点がございます。したがいまして、もちろんこれは、ずっとこれからその深部に入っていく段階でのいろんな自然的諸条件というものによりまして変わってまいりますので、確言するわけにはまいりませんが、いまのような状況からすれば、一応計画と比べて比較的順調に進んでいるのではないかというふうに見ていいのではないか。ただし、これはまだ今後の状況自然条件の変化というものは予測しなければいけないと思います。
  9. 中西績介

    中西(績)委員 それとのかかわりにおきまして、保安状況についてお聞きしたいと思いますが、このような炭鉱災害、先般も出ておりますので、この点についてはもう本日は質問はいたしませんけれども、現在の進行からいたしまして、いままでこの状況の中では別段問題はなかったと思うのだけれども、この保安状況が将来的に維持できる情勢というのはここで目安が立つのかどうか、この点お聞かせいただきたいと思うのです。
  10. 松村克之

    松村説明員 お答えいたします。  いま石炭部長から答弁がありましたように、幌内炭鉱の取り明け状況については、現在までのところは非常に困難な作業をほぼ大過なく進めてきた、こういうふうに私ども考えております。ただ、これまでの経緯から見ましても、坑内の崩落位置について、高いところ、低いところ、いろいろでございます。やはりその場所に行ってみませんと、予想よりも意外に崩落の多いところあるいは崩落の少ないところがあるわけでございます。それと同時に、通気系統確保するということについても種々の自然条件上の問題が出てくるわけであります。これらの状況を今後とも勘案しながら、もちろん取り明け期限どおりに行うということは非常に重要でございますが、私ども立場からいたしましては、その取り明けについて保安上の問題が生じないように、全力をふるって保安確保ということに現在努力しているところでございます。
  11. 中西績介

    中西(績)委員 そういう時期に、夕張新第二炭鉱におきましては、四月の十一日の日に会社側からの閉山通告が出されておるようであります。理由としては、技術的あるいは経済的に大変困難だということを言っておるようでありますけれども、この問題を考えますと、先般の五十一年の十月の十九日再建協定労使間におきまして結び、−その結果、炭量調査団を設定をして鉱命延長することを労使努力をするということを確認いたしたようでありますけれども、これが五十二年の本年に入りまして三月に調査団編成をいたしまして調査をいたしておるようです。その結果、百二十五万トンになるかと思いますが、大体百十万トンから百二十五万トンと言われる一年間の採掘量があるということの結論を出しておるようであります。ところが、いま一カ月をわずか超えることによって閉山通告という結果が出ておりますけれども、このような体制でまいりますと、いまこの委員会でもいろいろ討論をして、何としても国内における石炭産業を、エネルギーをどう確保していくかということから考えましても、このようなことで企業の経済的なものを理由にする閉山ということが優先してまいりますと、従来から行われておりましたスクラップ・アンド・ビルド、こういう体制の中における石炭政策の誤り、これと全く同じような結果が出るのではないかということを想定するわけであります。特に、この調査の結果からいたしますと開発は不可能ではないし、少なくともこれを直ちに開発に着手することが必要ではないかというやさきであるわけでありますから、開発に着手するようにむしろ指導強化をしていくべきではないか、こう考える次第でありますけれども、この点について通産省における考えを述べていただきたいと思います。
  12. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  北炭夕張新第二炭鉱につきまして、四月十一日会社側から労働組合に対しまして閉山提案がなされたということでございます。これにつきまして政府としてどうするかというお尋ねでございますが、本件につきましては、現在労使でこの問題につきまして鋭意交渉を行っておる最中でございます。したがいまして、私どもといたしましては、当面事態の推移を十分見守っていくということを考えておる次第でございます。
  13. 中西績介

    中西(績)委員 先ほど私が申し上げましたように、労使における調査団による結論が出され、そしてその結果は、経営者側からこのような閉山通告がなされておる。そういう中で、いま答弁をお聞きしますと、労使間における交渉推移を見守りながら云々ということを言われておりますけれども、こういう体制では先行き大変暗いものが他の部分にも出てくるのではないかということを危惧するものであります。したがって、この調査団なるものが信頼できる体制にあったかどうかということも、むしろ今度は客観的に見るならば、こういう労使間におけるものが結果を生んでおりながら、その結果、逆に今度は閉山というものに結びついておるわけでありますから、この点、むしろ政府なりあるいはその他の機関による調査団派遣なりをして、十分その内容を見きわめる必要があるのではないかと考えるわけであります。したがって、この調査団派遣の意思なりそういうものがあるのかどうか、お答えいただきたい。
  14. 島田春樹

    島田政府委員 炭量調査につきまして、労使、それから中立の学者の方で調査団をつくられて、調査をされたわけでございます。私どももこの調査報告は拝見いたしております。私ども感じといたしましては、この報告書は相当詰めた内容でつくられております。また、その構成につきましても、権威のある学者も入っておられるわけでございまして、もう一度調査をすると申しましても、いまの報告書以上の結論は望めないのではないかというふうに思います。したがいまして、現段階で私どもといたしまして改めて調査をするという必要はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  15. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、労使間における、あるいは第三者の学者あるいは学識経験者なりが入った調査団調査の結果というのは、信用に足るものとして見ていいわけですね。この点はよろしいですね、いまお答えのとおり。
  16. 島田春樹

    島田政府委員 この調査報告にも書いてございますが、炭量調査についての報告書でございますから、炭量調査に関しては、いま申し上げたような感じであるということでございます。
  17. 中西績介

    中西(績)委員 ということであれば、この調査団の結果、百二十五万トンの石炭が埋蔵され、採掘量はあるのだということを示すわけでありますから、先ほどから申し上げておりますように、開発をすればそれだけのものが採掘できる、こういうことになると思うのです。ただ、その際の技術的な問題あるいは経済的な問題等で困難な面があるということはわかりながらも、このような閉山通告を直ちに一カ月を出ずしてやるというところに、いまの石炭企業側における問題点が存在するのではないかということを特に痛感するわけであります。したがって、この点について、先ほどから申し上げておりますように、少なくとも閉山通告については、労使間における交渉推移を見守るということだけでなしに、一定の行政的な指導なりそういうものがなされないのかどうかですね。この点を突っ込んでお答えをいただきたいと思います。
  18. 島田春樹

    島田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、いまこの問題の見方につきまして労使間でいろいろ見解の相違もあり、議論が行われ、交渉中であるわけでございます。そういう段階でございますので、私どもといたしましては、繰り返して恐縮でございますけれども、やはり当面労使間での交渉というのが十分なされるということを期待しながら、その推移を見守りたいというふうに考えております。
  19. 中西績介

    中西(績)委員 労使間のそういう突っ込んだ交渉なりあるいは細部にわたる検討なりなされた中で、いい結論が出れば、私たちから言うなら問題ないわけでありますけれども、そういう点で果たして出るだろうかということを大変危惧するものであります。したがって、少なくとも行政指導ができる範囲内でこれらの問題について対処するということをぜひお願いを申し上げたいと思うわけです。この点についての決意なり何なりをお聞かせください。
  20. 島田春樹

    島田政府委員 北炭再建問題につきましては、私どもも非常な関心を持っており、昨年末、御案内のように、石炭鉱業審議会経営部会において北炭再建問題、幌内の復旧問題を含めまして鋭意検討し、その結果、この一月に一応の意見をいただいておるという段階でございます。こういったような措置をとってまいりましたことも、石炭産業重要性に対してわれわれとしてできるだけのことをしようということでこういうことをやってきたわけでございます。そういう意味におきまして、今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
  21. 中西績介

    中西(績)委員 このような計画がされ、閉山通告がされるという大きな理由の中に、幌内における十月からの再生産、これに向けていま新鉱の方に派遣をしております五百名に上る労働者皆さん、千二百名体制の中における五百名ですが、この五百名の方をもとに返すということになれば、必然的にこの新鉱における五千トン体制というものは崩れてくる。そうする中で、いま問題になりました新二鉱の方から労働者を移すという体制考えておるのではないかと私は思うわけです。ということになりますと、これは労働省にお聞きいたすわけでありますけれども、いままで何回かの委員会の中でもそれぞれ、特に北炭あたりにおける状況中心として労働者確保が果たしてなされておるかどうかという問題についていろいろ討論してきたところです。いま申し上げたように、五百名を幌内へ、そして六百名を新鉱へという、こういう中で新二鉱の閉山もあわせ考えられてきたのではないか、このように考えるわけなんですね。といたしますと、現在石炭確保する上で大変重要な役割りを果たす労働者確保をどうするかということが大変重要な課題になるわけです。そのときにこの体制からいきますと、どうも先ほどから申し上げるような感じがしてならないわけでありますけれども、いま炭鉱労働者の場合には、このように大変流動的だし、保安上あるいは厚生施設上いろいろ問題があるためになかなか確保が困難だろうと私たちは推測をしておりますけれども労働省考え方の中には、むしろ予定以上に確保されているということもこの前答弁があったところでありますが、しかし、このやり方からしますと、そういう実態でなしに、何としてもこの五千トン体制なりあるいは幌内再建というものに向けてこの新二鉱を閉山するということにしかつながらない感じがしてなりません。ここら辺はどのようにとらえられておるのか、お答えいただきたいと思います。
  22. 守屋孝一

    守屋説明員 私ども立場といたしましては、このいまの閉山問題とそれから確保問題と両方重なった場合に二つの見方があります。  一つの点につきましては、やはり私どもといたしましては、何ぶん雇用政策立場から考えますと、離職者の方が一人でも少なく、離職を余儀なくされるといたしましてもできるだけわずかの方であってほしいという気持ちは常にございます。そういう意味合いでは、これはもちろん労使間の話し合いの問題にはなりますが、いままでも配転その他できるだけ離職者を出さないようにお願いしたという経緯もございます。また一方で確保対策、新規に雇い入れるという問題になってまいりますと、これにつきましては、先般大臣あるいは私ども部長が御答弁いたしましたのは、大手の全般的な趨勢といたしまして、大体年度当初に採用を予定している数から見まして、実際に採用される方々はその予定数を上回っておる。しかもその中で三十歳未満の若年の方が占められる割合も、最近は五割とかあるいは六割というような割合になってきておるというように申し上げたわけでございます。しかし、個々の山とか個々会社ということになってまいりますと、やはり労働者の方がそこに就職しようという場合には、一つには労働条件の問題もありますし、保安の問題もありますし、また労働福祉面というような問題もございます。私どもといたしましては、やはりこういう問題が整理されたところの中に必要労働力確保できるという基本的な考え方は持っておりますが、労働省対策といたしましても、たとえば雇用促進という意味で、こういう福祉施設をつくる場合の融資制度あるいは雇用促進住宅というようなものも、雇用促進事業団対策の一環としてやっております。これはいままで北海道につきましてもこういう面で御活用願ってきたところでございます。私どもといたしましては、当面こういうような対策を通じて極力労働力確保という問題に対処してまいりたい、かように考えております。
  23. 中西績介

    中西(績)委員 そこで通産省の方にお聞きしますけれども、そのように労働力確保なりあるいはその対策については万全を期してやる、したがって労働者がいままでの状況からいたしますとむしろ十分に確保されておるという状況でありますから、五百名を幌内に、そして新鉱に六百名の穴埋めをという、こういう中からいま申し上げたようなこの閉山通告が出てきた感じが私はどうもしてなりません。ところが、確保をされるにかかわらずこういうふうな閉山通告がされておるということからいたしますと、まさにこの閉山会社の一方的な、企業の一方的な考え方の中でやられておるとしか映らないわけでありますから、この点特に通産省あたりから企業に対しまして強く指摘をし、そしてむしろそういう面における雇用関係確保されておる状況にあるわけでありますから、何としてもこの閉山通告については撤回なりあるいは検討する、そういう体制をとらしていただくことを最後に要請をしておきたいと思います。  そこで、もう二点ばかり幌内との関係質問をしたいと思います。  清水沢東部開発問題でありますけれども、ここの場合には近代化資金だとかあるいは坑道補助金などでいろいろめんどうを見ているのではないかと思いますけれども、これらの問題につきましては、特に現状の中で、いろいろ北炭の場合には多くの問題を抱えておるだけに、新しく開発をしていく、そういう点で特に重要視する必要があるのではないかと考えます。開発をするとなると、資金対策なりいろいろな問題が残るわけでありますから、その点で、新鉱方式による資金措置ができないものかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  24. 高瀬郁弥

    高瀬説明員 清水沢東部地域といいますのは、現在の新鉱の稼行区域の一部になっております。これが第一点でございます。それから第二点は、坑口を新たに開設して開発を行うというスタイルでございませんので、新鉱制度にはなじまないということになるかと思います。新鉱制度になじむ前提としましては、あの区域を未開発炭田区域という指定をいたしまして、新鉱開発資金をつけるという制度になっておりますので、新鉱方式にはなじまないということでございます。
  25. 中西績介

    中西(績)委員 いまのお答えのように、新鉱方式にはなじまないということでございますけれども、この点については、先ほどから出ておりますように、ただ単に企業を擁護するという立場だけでなしに、もう少し石炭を見直す、そういう体制の中における対策をぜひ考えてほしいという願望からこのことについて申し上げたわけでありますけれども、新鉱方式ができなければ、それにかわり得るような何らかの検討をしていかなくてはならぬのではないか、こう考えるわけであります。ぜひこの点を見直していただくようにお願いしたいと思うわけであります。  次に、同じく北炭の問題で、付帯事業としていままでやってまいりました病院だとかあるいは化成工業所等の問題がありますが、先般からも、自治体の皆さんあるいはそれぞれの労働者皆さんからも、大変強くこのことにつきまして、私たちのところにも要請が参っておるところです。いま化成工業所コークス生産をやっておるようでありますが、相当数労働者皆さんがおられるわけでありますし、そして、炭鉱をいわゆる石炭採掘以外のものとして、この地域における産業としては唯一のものになるわけでありますから、この点私は、筑豊炭田、しかも最もいまおくれている田川の出身であるだけに、その実態からいたしますと、このことが将来的にも大変厳しい条件の中に立たされるということを身をもって体験をしているだけに、この付帯事業等につきましても、可能な限り援助なりあるいは政策的に方針を出していくということが、これから重要ではないかということを考えるわけです。そういう意味で、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 島田春樹

    島田政府委員 付帯事業部門の問題、すなわち具体的に申せば、化成工業所あるいは病院といったような問題でございますが、北炭再建ということを考えた場合に、これらをどうするかというのは大きな課題でございます。  しかし、一方におきまして、地域社会との関係考えますと、これと非常に密接な関係を持つ問題でもございます。したがいまして、これらの問題の解決をしていくに当たりまして、労使とも、地方自治体等関係者と十分な意見交換をして、具体的にこの問題を詰めていくというところで解決策を出していくことを期待しておるわけでございます。その過程におきまして、私どもといたしましても、具体的にどういう問題が起きてくるかということで、検討推移を見ながら善処していきたいというふうに考えております。
  27. 中西績介

    中西(績)委員 それでは時間がありませんので、いままで申し上げた北炭問題につきましては、石炭見直しの時期でもありますし、特にまた大変重要な段階に立ち至っておる状況の中での閉山通告あるいは新鉱開発あるいは付帯事業問題等でありますので、ぜひこの点については検討をしていただくことを期待するものであります。  次に、住友赤平の問題につきまして、時間が余りありませんので、簡単に質問を申し上げ、お答えいただきたいと思います。  まず第一に、住友赤平の場合には、いままた企業側から出されておる合理化案等を見ますと、一般炭を七番層と十一番層からとり、そして原料炭を八、九、十、この層からとっておるようであります。そこで、この生産コストを切り下げるということからいたしまして、一般炭である七番、十一番層を切り捨てる、こういう合理化案が出されておるようであります。そういうことになりますと、この赤平で約三十年に近い資源があるにもかかわらず、これでまいりますと十年から十五年、大体十一年ぐらいではないかと言われておるようでありますけれども、それぐらいに切り下げられていくというのが必定であるようであります。先ほどから出ておりますように、企業がもうけない、あるいは大変な状況、これを経済的なあるいは技術的なものからいたしまして、何としても合理化をしなくちゃならぬということでもって、どんどんこのように切り捨ててまいりますと、いままでと全く変わらない状況がまた生まれてまいります。そういう意味で、資源を重要視する意味からいたしまして、このようなやり方に対して行政指導が果たしてできないのか、もう少し見直しをすべきではないかということを考えるわけでありますけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。
  28. 島田春樹

    島田政府委員 住友赤平の問題だと思います。  住友赤平の問題を考えます場合に、赤平炭鉱中心にしました周辺には相当な炭量がございます。したがいまして、こういったこの地域開発をしていくためにも、赤平炭鉱の操業が長期的に維持されるということが必要であろうかと考えております。  いまお話しのありました問題につきまして、具体的に操業体制を集約化するという問題が出ておるわけでございますが、これにつきましては、開発テンポを一時緩めて、四十五年、四十六年当時と同じように中央部に操業区域を集約化していく、その中で生産体制を整備しようという考え方であるというふうに聞いております。先ほど申しましたように、何よりもこの地域開発を進めていくために、長期的に赤平炭鉱というものの生産の維持を図っていくという観点から見ますと、一時的にそういう措置をとるということにいたしましても、炭鉱の鉱命と申しますかにつきましては、それほどの影響はないのではないかとも考えております。
  29. 中西績介

    中西(績)委員 鉱命に対する影響は余りないんではないかという指摘のようでありますけれども、このことに関しましては、いままでの石炭政策、それに基づく各山をつぶしていった経過から考えてみましても、七あるいは十一番層を切り捨てた場合に、確かに企業としての生産コストは保たれるにいたしましても、この鉱命が果たしてそのように影響なく続けられるかということになりますと、ここの場合には約七百五十メートル程度深部にあるようでありますから、さらにこれが最深部に入っていくという条件からいたしますと、私は、また大変な内容を含んでおるんではないか、こう考えますだけに、この点についてはもう一度再検討していただきたいと思います。  そこで、もしこの鉱命をさらに延長し、一般炭をある程度確保するという、こういうことからいたしましても、炭価の引き上げあるいは見直し、そして、さらにまたこの地域、特に北空知炭田の地域というのは地層の関係から申しますと大変複雑であり、しかも、この赤平の場合が最も複雑な条件の中にあるようでありますから、こういうことを考え合わせていきますと、機械化をある程度しなくてはならぬし、そのことによって生産コストを切り下げるなども考えてまいりますと、この傾斜の非常に強い欠口払いなどにおきましては、機械でなしに人の手による採掘が大変多く行われておる、あるいは直接夫よりも間接夫が非常に多く必要だという条件等がありますだけに、これに対する機械化をどうするかということとあわせて、特に指導なりあるいは炭価見直し等を含めてお考えになっていただきたいということを特に強く要請を申し上げ、そしてまた、この北空知炭田における特別対策、全般的にやはりあるわけでありますから、この点についてはお考えいただきたいと思うわけです。この点に対しましてのもしお答えがいただければ答えていただきたいと考える次第です。
  30. 島田春樹

    島田政府委員 いろいろな点についてお話ございましたが、まず急傾斜地域の採炭技術の問題、これにつきまして、確かにこれは非常に大事な問題であるというふうに考えております。  石炭答申の中にも、この石炭に関する技術開発というのは非常に大事だということを特に指摘されておりますし、私どもといたしましても、深部対策を含む保安技術あるいは生産技術、利用技術、鉱害防止技術といったような研究を進めておるわけですが、特に急傾斜の採炭技術につきましては、石炭技術研究所を中心にいたしまして、赤平炭鉱等で急傾斜の自走枠等につきまして研究開発をし、実用化の段階にもなってきておるというようなことでございまして、この急傾斜採炭技術につきましては、今後とも私ども努力をいたしたいというふうに考えております。  また、北空知炭田の問題、御指摘がございましたけれども、一般的に自然条件によりましていろいろ炭鉱間で差が出てくるという問題につきましては、これは前の委員会でも私どもお答え申し上げましたように、たとえば五十一年度以降安定補給金の交付につきまして、これは立地条件を主として考慮したのですが、格差を設ける等の措置をとっております。ただ、一般的に格差是正問題ということになりますと、この格差の範囲あるいは配分方法をどうするか等々、なかなかむずかしい問題もたくさんございますので、私どもとしましては慎重に検討いたさなければならないというふうに考えております。
  31. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたので、最後になりますが、この赤平の問題につきましては、三月二十一日、労使で協定しておりました協定書を破棄いたしまして、このような合理化提案がされておるわけです。その結果はもう明らかでありまして、労働者に対するしわ寄せによってこのような赤字をなくしていく、こういう従来からのやり方を一歩も出ておらないわけです。こういう問題につきまして、結果的には労働強化になりますし、ひいては賃金の切り下げにつながっていくわけでありますから、こういう点について、これは労働省かあるいは通産省、どちらかになると思いますけれども労使協定を一方的に破棄をする、こういうやり方に対して、行政的に一定の指導をしていかないと、先ほどから申し上げる労働者確保問題等とのかかわりがまた将来的には出てくる可能性があるし、そのことはまた、いま出されておるこの二千万トン体制を維持できるかどうかということにつながってくると思うのです。こういう点で行政指導を特に強めていただくことを最後にお願いを申し上げまして、時間が参りましたので終わらせていただきます。
  32. 岡田春夫

    岡田委員長 次回は、来る四月二十七日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十七分散会