○
中西(績)
委員 それでは、いまお答えにもありましたように、これを十分取り入れてやっていただくことを特に期待するものです。
次に、がらりと変わりますけれ
ども、私はいままで住んでおるところが筑豊という
産炭地の中にあるために、特にこの
産炭地問題について一、二、
質問を申し上げたいと思います。
特に
筑豊地区におきましては、明治以来、全国の
石炭の約半分を産出しておりましたし、
御存じのように鉄道も網の目状に敷かれている、このことは炭を輸送したためであったし、
日本の資本主義発達の
エネルギーをこの筑豊が担ったと言っても過言ではないと思うのです。この筑豊からいま一かけらの
石炭も掘り出されなくなり、
炭鉱労働者も完全にいなくなってしまった。近代
石炭産地としての百年の歴史をいま閉じたと言ってもいいと思います。私
たちはあの
石炭合理化の波が大きく波及した際に、
筑豊地区がいまのように全滅するということは夢にも思っておりませんでした。こういう
状況の中でありますから、私
たち筑豊に住む者として、
石炭産業のある程度の残存と
石炭にかわる中核
産業の進出に期待をかけてまいりました。特にその中で失業者の就労
対策事業を初めといたしまして、国あるいは自治体の
産炭地振興
対策を当面受け入れ、食いつないできたというのが筑豊の実態であったわけであります。
いま改めて筑豊を見渡してみて、一部の例外地を除いて旧
産炭地は一向に変わっておらないことを私
たちは現実の問題として見ることができます。特に陸の孤島といわれる
筑豊地区の広さは目立っておると思います。たとえば、私はいまここで生活保護の実態などを見てみたいと思いますけれ
ども、これは
一つの例でありますが、田川地区における実態がここに示されております。田川郡というところを見ますと、全国平均の保護率が一二・二%、福岡県全県で三八・一%に引き比べまして、田川郡の場合には一八七・九という大変な高率になっています。その隣の山田市の場合には一九三・七という、私
たちが想像もできない
状況に置かれておるのがいまの実態であります。特にまたその中のひどいところでは、田川郡の川崎町におきましては二三九・七という率を示しておるわけであります。
こういう
状況でありますし、さらにまたその他の面を、これはちょっと長くなりますけれ
ども、知っていただきたいためにも申し上げたいと思いますが、たとえば十三年前の
炭鉱合理化による
閉山が大手にまで及んだ
昭和三十八年、このときに全県で離職票の
提出が九万六千三百十七件にも上っておりましたけれ
ども、大体そのときの月平均が七千五百五十三件です。五十一年三月の離職票
提出の数は大体七千八百三十三になり、四月におきましては九千八百四十七。このように見ますと、全県的に見ればあの
炭鉱合理化の怒濤のあらしと言われたあの時期に匹敵する雇用
情勢がいま再現をされておるわけであります。
特にそれに対応してどのように就職の機会が与えられたかと申しますと、これは昨年の例になりますけれ
ども、田川職安管内の三月における深刻さはもう想像を絶するものがあったわけであります。特に、
産炭地域開発就労事業あるいは特定
地域開発就労事業のいわゆる年度末の仕事切れの時期になるわけでありますけれ
ども、田川職安におきましては、求人一人に対して十四人の求職者が殺到したことを示しておりますし、五千五百人もの中で高齢就労希望者に対して就職できた者はわずかに十三名です。ですから、四百二十三人に一人しか就職できなかったことになるわけであります。
ところが、これが四月になってどうなったかといいますと、五十一年度の開就、特開の工事が始まって就労者が急増したとはいいますけれ
ども、田川職安の例を見ますと二千八百人、飯塚で五百五十八人、そして直方で七百二十九人にすぎません。
先般の三月二十四日でしたか、本
委員会におきましても、わが党の多賀谷氏の
質問に対する
政府当局からの
答弁でも明らかなように、いかに職がないかがわかるわけであります。こういう
状況でありますから、この条件の中で四事業の占める役割りは非常に高いものだということが言えるわけであります。いま筑豊を救う
体制としては、このことなしには考えられないというのが、いまの実態であるわけであります。特に緊就と開就につきましては、石田
労働大臣は多賀谷氏の
質問に答えまして将来にわたってやめるとかあるいは縮小するということは考えていない、こう言われました。しかし私は、いまは閣議決定はしておらない、こういう現状の中でありますから、もし現状のように就労希望者がおるといたしますと、打ち切りはしないということにならないと、この
筑豊地区における実態というのは、大変な様相になるということはもう明らかであります。
ですから、私がここでお答え願いたいのは、就労希望者がいる以上、景気がよほど回復してその方々が就労できるという条件がない以上は、このことの打ち切りはない、こう理解してよろしいかどうか、この点について私
たちが安心できる
答弁をいただきたいと思います。