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1977-04-06 第80回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月六日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 岡田 春夫君    理事 愛野興一郎君 理事 田中 六助君    理事 楢橋  進君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 西中  清君 理事 西田 八郎君       大坪健一郎君    藏内 修治君       篠田 弘作君    野田  毅君       藤田 義光君    三池  信君       山崎  拓君    山崎平八郎君       後藤  茂君    中西 績介君       細谷 治嘉君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    小宮 武喜君       安田 純治君    菊池福治郎君       中川 秀直君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    斎藤  顕君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君  委員外出席者         議     員 多賀谷真稔君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君     ————————————— 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   菅波  茂君     野田  毅君 同月六日  辞任         補欠選任   塚田 庄平君     後藤  茂君   野村 光雄君     斎藤  実君   西田 八郎君     小宮 武喜君   中川 秀直君     菊池福治郎君 同日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     塚田 庄平君   斎藤  実君     野村 光雄君   小宮 武喜君     西田 八郎君   菊池福治郎君     中川 秀直君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出第三一号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)  石炭資源活用法案岡田利春君外二名提出、衆  法第三号)  石炭対策に関する件(松島炭鉱株式会社池島炭  鉱のガス爆発災害に関する問題)      ————◇—————
  2. 岡田春夫

    岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  去る四月一日、長崎西彼杵外海町において発生いたしました松島炭鉱株式会社池島炭鉱災害について、政府より説明を求めます。斎藤立地公害局長
  3. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 池島炭鉱災害につきまして、概況を御報告申し上げます。  炭鉱名は、池島炭鉱池島坑甲種炭鉱でございます。  所在地は、長崎西彼杵外海池島。  鉱業権者は、松島炭鉱株式会社でございます。  災害の種類は、ガス爆発。  災害発生日時は、昭和五十二年四月一日十七時二十四分ころ。  災害発生個所は、蟇島排気立て坑坑口より二十七・四メートルの地点で掘削中でございます。  罹災者状況は、死亡三名、重傷一名、軽傷二名、計六名でございます。  当鉱の操業概況でございますが、鉱山労働者二千三百五十五名で、月産約十万トンの出炭をしております。  災害概況は、災害発生しました蟇島排気立て坑は、将来の蟇島区域の通気を確保するため、昭和五十二年一月二十八日より掘削を開始し、災害時は地表より二十七・四メートルの掘削をしておりました。災害発生時には、止水及び岩盤固化のためのボーリング孔からのセメントミルクの注入中でございまして、六名が材料段取りのため坑外に昇坑し、一名は坑内にとどまっておりました。昇坑した六名が坑口から出た後、ガス爆発が起こり、災害発生しました。  当時坑口付近には十名の労働者がいましたが、うち二名が打撲傷の後病院において死亡、一名が重傷、二名が軽傷を負い、坑内にいました一名は、四時間後の同日二十一時二十分救護隊により収容されましたが、すでに死亡しておりました。  推定原因でございますが、立て坑掘削前に出水対策及び地層確認等のためパイロットボーリングを行っておりまして、立て坑はこのパイロットボーリングに沿って掘削中でありました。このボーリング孔がマイナス六百十四メートルレベルの坑道とつながっており、可燃性ガスはこのボーリング孔から立て坑に流出したものと推定されております。なお、火源につきましては現在引き続き調査中でございます。  以上でございます。
  4. 岡田春夫

    岡田委員長 これにて政府説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭資源活用法案を議題として審議を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
  6. 中西績介

    中西(績)委員 石炭鉱業合理化臨時措置法が三十年の八月に第二十二回国会で制定されて以来、石炭危機は深刻な社会問題にまで発展してきました。その間、五次にわたる対策がなされましたけれどもわが国石炭鉱業の現状はむしろ深刻な状況に立ち至っております。石炭対策特別委員会政府答弁あるいは政府より示される各資料を検討しますと、その危機感はますます深まるばかりと言わざるを得ません。ところが、第六次石炭鉱業審議会答申の三本の柱である国内炭生産維持海外炭開発及び輸入円滑化石炭利用技術研究推進、そして、加えて財源特別会計確保し、石炭鉱業合理化臨時措置法等見直しを行うべきであるという答申を受けまして石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正案提出していると思いますけれども、しかしこのことは、いままでの延長線上にしかなく、ますます危機感は深まるばかりであります。特に二千万トン体制はおぼつかないと言わざるを得ませんが、通産、労働それぞれの省におきましては、本当にこの一部改正によって確保ができるかどうかという、この点についてお伺いをしたいと思います。  そこで、具体的に、果たしてこれによって二千万トン体制維持できるとお考えになっておられるかどうか自信のほどを、前々から何回か各委員からの質問はありましたけれども、再度お聞きしたいと思います。
  7. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  私ども、いまお話のありました答申を受けまして検討いたしたわけでございます。私どもといたしましては、保安確保鉱害の防止、これは大前提でございますが、そういったものを前提にいたしまして二千万トンの国内生産確保するということ、これが新石炭政策の主要な目標であり、この実現のためにわれわれとしては、従来も努力いたしてまいりましたが、今後も一層の努力をいたしたいと考えておるところでございます。  じゃ、具体的にどうするのだという話でございますが、私ども、今回の法律改正によります鉱区調整制度の拡大という措置を講ずる、また一方、現存炭鉱につきましては、現在操業中の炭鉱の周辺で、いま予算措置を講じまして、石炭資源開発調査というものを進めるわけでございますが、そういう調査によりまして現存炭鉱生産維持を図るというようなこと、それからもう一つは、現在すでに開発が進められております炭鉱も幾つかございます。そういった炭鉱生産もさらに軌道に乗ってくるというような点から考えますと、現在の石炭鉱業炭鉱群出炭で二千万トン程度の生産水準維持していくことはできるものというふうに考えておる次第でございます。
  8. 中西績介

    中西(績)委員 維持できるというお答えでございますけれども、特に私は、労働者の地位についてもう少し重要視する必要があるのではないか、このことを痛切に感じておる次第です。特に労働者確保のための労働条件改善住宅あるいは厚生、医療の拡充などを含めまして、また私が現場の実態をいろいろお聞きする際に特に感じますのは、中堅技術者、これらの人々がやはり不足しておるのではないか、こういうことが指摘されるのではないかと思いますので、これらの点につきまして、どのように措置をされておるのか、指導されておるのかをお答え願いたいと思います。
  9. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  炭鉱労働力の安定的な確保というのが石炭鉱業の長期安定のために不可欠の前提条件であるという点は、御指摘のとおりかと存じております。これは答申にも指摘されておりますが、地下労働の特性にふさわしい労働条件というような問題になるわけですが、最近炭鉱労働者賃金改善というのもありまして、答申では年間千名以上の労働力補充というようなものを指摘しておりますが、この千名以上の労働力補充というのは最近ではほぼ行われておるという状況でございます。  中堅技術者の問題でございますが、特に中堅技術者で一番問題になりますのは保安の問題が中心になりますが、これらにつきましては鉱山保安技術講習所における係員の養成あるいは鉱山保安センターにおける有資格者教育というようなことによりまして教育訓練というものを推進しているところでございます。  それからもう一つ住宅の問題につきましては、生活環境改善するために炭鉱労働者住宅に要する資金につきましては、政府関係住宅金融機関からの融資制度を活用するというような方向で、その改善に努めていきたいというふうに考えております。
  10. 中西績介

    中西(績)委員 さらに、この合理化一部改正案実現するためには財源的に大変心配される面が多いのではないかと考える次第です。必要財源は、先般の第六次答申の中でも特別会計確保すべきだということが指摘されてあるようでありますし、特に合理化臨時措置法について必要な見直しを行うべきだという、こういうものを含めて出ておるようであります。  そこで、この石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正をいたしまして五十七年三月へ延期をするという、このことは出ておりますけれども、ただ問題は、具体的に関税率審議会における原重油関税を当面暫定的に二年間一キロリットルについて百十円引き上げる、あるいは減税措置による措置をするということで二年間に財源対策を含めた費用の裏付けを抜本的に検討するという、こういう中身になっておるわけであります。この点につきまして、特に私は産炭地筑豊の出身でありますので、筑豊地区産炭地復興、それに必要な財源一つだけを申し上げますならば、残存鉱害復旧を試算いたしますと、その試算額は二千七百億、約三千億に近い金額が必要だと言われております。そして五十二年度予算でいま計上されておるのは三百七十六億円でありますから、これからいたしましても十年以上はかかるわけであります。そういうことからいたしまして、いま抜本的検討をするというこの点についての見通しなり、これに対する対策なり、どのように通産省としてはなされておるのか、これらについてお答えいただきたいと思います。
  11. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石炭対策に必要といたします財源につきましては、現在石炭石油特別会計を通じましていわゆる原重油関税をこれに充当しておるということは御承知のとおりでございますが、五十二年度の予算編成に当たりまして、いわゆる石特会計財源不足キロリットル当たり百十円関税を引き上げることによって対処いたすことにいたしたわけでございます。これによる増収が約三百六十億ございまして、石炭につきましてはトータル約千二百億円の財源措置を講じた、こういうことでございますが、かような予算案編成過程におきまして、原重油関税の引き上げに対しまして石油業界挙げて反対であった、あるいは一部の関税率審議会委員の中に、こういった原燃料について関税を増徴するということはいかがかといったような御意見もございまして、ただいま先生指摘になりましたように、とりあえず二年間を限りまして百十円の増徴を実現した、こういうことでございます。  かたがた石炭にかかわらずその他のエネルギー源に対しましても、今後とも多額の財源を必要とするわけでございます。そういった意味合いにおきまして、もちろん石炭を含めてでございますが、総合エネルギー対策実現性を高めるためにはどのような財源対策が必要であるかということを検討いたすために、総合エネルギー調査会基本問題懇談会の中にすでに資金分科会を設置いたしまして、この資金分科会におきまして各種エネルギーに対する所要額、それの適正な分担区分等の作業の第一歩に入った、こういう段階にございまして、先ほど御指摘になりました残存鉱害復旧等も含めまして、この財源対策検討する過程で、またその一環として石炭政策の遂行に支障を来さないように対処いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  12. 中西績介

    中西(績)委員 資金分科会において、このような対策なりあるいは検討がなされておるということでありますけれども、いま産炭地域における問題は、先ほど例に挙げた鉱害のみではありません。多くの問題が山積しております。これらの問題を具体的に提示をするということになれば、何と申しましてもその基本になるのは資金であるわけでありますから、資金がこのように二年間なりという期間の中で、しかも関税率審議会あたりにおきましても相当の反対があるという、こういう情勢の中で、これが果たしてでき得るのかどうか、この点政府としては自信を持って言うのか、ここら辺について明らかにしてください。
  13. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 財源をどこに求めるかということは、ただいま御指摘になりました関税も含めて広く衆知を集めまして考えてみたい、こういうことでありまして、自信があるかないかといった問題以前の問題として、日本におけるエネルギー政策重要性、その中における国内資源としての石炭をいかに有効に活用していくかといったような問題を含めますと、自信のあるなしの問題ではなくて、この財源対策ができない限り総合エネルギー政策、したがって石炭政策も遂行できないという立場でございますので、ぜひとも実現するための努力を続けていかなくちゃいけないということでございます。  先ほどいつごろまでかというお尋ねがございましたので補足させていただきますと、当面私たちは五十四年度の予算から完全実行に移せるように、来年の夏までに総体的な結論を得たいと思っておるわけでございますが、部分的には、五十三年度予算から実現し得るものにつきましては今年の夏ごろまでに準備を完了いたしまして、来年度予算要求に間に合うものからは順次実行に移していきたい、かように考えております。
  14. 中西績介

    中西(績)委員 五十三年度予算から具体的にという中身もあるようでありますけれども、特に私が感じますのは、この五十三年度までは一応こうして予算措置なりがなされておるわけでありますけれども、この分以降についてはやはり何と申しましてもエネルギー政策が多面的にわたってくるのではないかという理解をするわけなんです。そうなりますと、いままでより以上に多くの研究費なり多くの費用がかさんでくることは必然であろうと思います。その際にいまより上回る財源が必要だというのは、これは当然過ぎる話でありまして、そういうことになってきたときに、この二年間、関税率審議会で経ました上積みの分、この分と、それより以上のものを必要とするということが考えられるわけでありますから、その際にやはりどうしても、いままでいろいろ論議の過程の中にもありましたけれども産炭地振興そのものを見直すということによって、むしろ後退的なものがその中から財源的に出てくるのではないかということを私は危惧するわけなんですね。やはりエネルギーというものを先行するということになるわけでありますから、そうした場合にそういうものの保障が果たしてあるのかどうかという問題で私は大変危惧をするものなんです。特にそこには多くの人が住んでおるし、そこでの百年間にわたる炭を掘った後の跡地整地ども含めまして大変問題があるわけでありますから、こういう点について、もう少し私たちが不安のない状態における御答弁なりがいただければと思うわけであります。
  15. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一昨年十二月に策定されましたわが国総合エネルギー政策基本方向は、御承知のとおり、国産資源有効活用ということを大きくうたっております。これは、当然国産資源を優先的に活用するということのほかに、わが国エネルギー供給構造輸入石油に余りにも依存し過ぎておる、この依存度をできるだけ低下いたしたいという気持ちもありまして、さような政策課題が掲げられておるわけでございます。国産資源と言えば当然石炭ということにもなってくるわけでございまして、この石炭対策支障なく遂行するためにはやはりあらゆる努力をもってその財源確保しなければならない。先生は非常に関税問題について御心配なさっているやに私は考えるわけでございますが、必ずしも関税にかかわらず、いずれにいたしましても、エネルギー政策を推進するために必要な財源日本国民経済全体の場で賄っていかなければいけない。よその国にお願いするわけにまいらないわけでございまして、それが一般税制によるのか関税によるのか、あるいは目的税によるのか、あるいは価格によるのか、いずれにいたしましても、日本経済全体の場でこれを賄っていくということは当然のことであろうと思います。  そういったことを前提といたしまして、現在、有識者を集めまして財源対策検討いたしておる、こういうことでございます。ただいま御指摘産炭地域の問題にしろあるいは先ほどの鉱害復旧対策の問題にしろ、終閉山に伴う疲弊した地域に新しい経済的、社会的基盤を形成していくという意味におきましても、これはやはり石炭政策の大きな一環であるわけでございますので、さような事項につきましても渋滞を来さないように、支障を来さないように、当然石炭政策一環として対処していくべきものと考えておるわけでございます。
  16. 中西績介

    中西(績)委員 次に、石炭資源活用法案につきまして質問を申し上げたいと思います。  この提案理由説明の中にありますように、このように提起されてあります。   わが国石炭政策はその過程において体制的  整備の議論はあったにせよ、その政策はいずれ  も体制問題を避けて通り、個別企業対策に終始  してきたということであります。したがって、  いかなる政策もその出発から狂っていることと  なり、継ぎ足し政策にならざるを得ないことは  当然の帰結と言えます。   日本社会党は、昭和三十一年の石炭鉱業臨時  措置法審議に際し、石炭鉱業安定法案提出  し、昭和三十七年にも同案をさらに検討し直し  て再提出し、昭和四十三年には石炭鉱業国有化  法案日本石炭公社法案の二法を提出してきま  したのも、一貫して石炭問題に対する認識を体  制的整備にあることを示してきたものでありま  す。   したがって社会党は、石炭鉱業が当面してい  る危機を打開し、その構造的欠陥を克服して、  その長期的安定を展望しつつ、もって重要エネ  ルギー源として世界的に進行しつつあるエネル  ギー不足に対処し、わが国経済の健全な発展に  寄与するためその抜本的対策を講ぜんとするも  のであります。このようにありますけれども政府提案石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正とこの石炭資源活用法案とが根本的にどこが違うのか、なぜ対案を提案したのか、この点について明らかにしてください。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷議員 石炭鉱業は他の産業と異なった幾多の特筆すべきものがあります。それは第一、鉱区問題であります。でありますから、イギリス国有をしたというのは、御存じのようにイギリス鉱区地上権者が持っておるわけであります。そういう関係で非常に小鉱区乱立でありますから、いわば国有にして、統合して一元化をしたというところに国有産業的意義があったと思います。フランスの場合は、第二次世界大戦後に適正規模大型炭鉱をつくるというので、やはり鉱区統合である。でありますから、そういう形態で出た。西ドイツの場合は、これは私企業でございましたけれども私企業といいましても日本の場合と違いまして、いわば需要業界生産する炭鉱が資本的にも業務的にも一体化をしてきた。すなわち、鉄鋼会社石炭を経営し、石炭会社鉄鋼を経営し、そして、出ました石炭によって電力の約四割は石炭会社が発電をして供給しておる、いわば石炭電力鉄鋼一つ資本系統で行われておる、こういうところに西ドイツの特徴があったわけです。ですから、資本主義体制としてはきわめて強靭であります。日本の場合のように、電力資本鉄鋼資本炭鉱資本がばらばらであるという形ではありません。その西ドイツですら御存じのようにルール炭田株式会社をつくって一本化せざるを得なくなった、こういう情勢になってきておるわけであります。  日本石炭産業危機は、諸外国に比べていち早く起こりました。そこで、昭和三十一年に、本日審議をされております石炭鉱業合理化臨時措置法最初提案をされたときに、社会党石炭鉱業安定法案をつくり、その趣旨は、第一点は、新鉱開発については新鉱開発株式会社をもってこれに充てる。それは電源開発と同じような方式でいく。  第二は、流通機構が非常に乱れておりまして錯綜輸送がある、それから大手炭鉱中小炭鉱によって価格の差がある、こういうことでありますから、流通機構一元化が必要であるというので、石炭販売公団をつくったのであります。  さらにもう一点は、整理をする場合、それはやむを得ないかもしれないが、その整理をする場合にはその整理をする炭鉱鉱量であるとかあるいは坑道を評価しても意味がない、ですからそれはむしろ退職金であるとか賃金の未払いであるとかあるいは鉱害費用であるとか、さらに中小企業その他の売掛金を基準にすべきである。こういういわば物の考え方を変えて当時法案を出しました。今日もその点についてはいささかも間違いがないと私は思います。  その後政府政策も変わりまして、若干補償の点につきましては買い上げから補償へと移ったわけでありますが、今日、私どもがこの時点に対していろいろ検討をしますと、まず第一にエネルギー基本政策がなかった。バックボーンがないというのが第一。第二は、いま申しましたように体制問題はきわめて避けて通った、そして個別企業政策に終わった。そこに日本炭鉱の崩壊があったと私は思います。そういう点は、残念ながら、今度提案をされております政府案はいささかもその点について反省がない。でありますから、新鉱開発については少なくとも政府の責任においてやるべきでないかというので、石炭公団がこれに当たるということにいたしました。  第二は流通問題並びにいわば企業として経営が悪くなって、ついに閉山をせざるを得ない事態が起こる可能性がある。しかし、その山そのもの鉱量であるとか炭質であるという点から見ると、日本経済としてはぜひ必要であるし、二千万トン確保意味においても必要である。こういう炭鉱の場合、私は限界炭鉱と呼んでおりますが、これに対する救済措置が全然ない。これは何によってやるかと言えば、石炭公団によって一手販売一手買い取りの中で操作をする以外にはない、かように思い、公団を設けて業務の一つにいたしたわけです。  それから第三は、今後海外炭輸入あるいは開発について、これは全く私は、非常に憂慮すべき問題が将来も起こると思うんですが、国内炭保護ということについては、ただ政府答弁をしておるにすぎない。制度的には何らの保障がない。でありますから、海外から安い石炭が入ったときのいわば防御措置、保護措置が全然制度としてはない。そこで私どもは、海外の開発並びに輸入政府の責任においてやるというので、ことに輸入の面については、石炭公団を通じてやるというので、そこで安い石炭が入ってくるならばその安い石炭との価格の差を国内炭の差額補償の方に回す、こういう案を考えたのがこの活用法案の骨子であります。  その点は、私どもが危惧しておった問題について何ら回答がない、かように私ども思い、あえて法案提出したゆえんであります。
  18. 中西績介

    中西(績)委員 いま答弁の中に、公団を設置することによって流通問題あるいは買い取りの問題、いろいろ措置をしていくようになっておるようでありますけれども、この点でいま政府の示しておる合理化臨時措置法一部改正、このことによって国内炭の産出とそしてそれを保障していくという体制、それが政府側はとれるという先ほどの答弁があったわけでありますけれども、果たしてそういうものが事実——対案を出しておる多賀谷さんの方としては、政府のその見通しなりそういうものに対しての見解、そういうものをもう少しあればお示しいただきたいと思うのです。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷議員 私はいままでの経験から言いますと、産業政策というのは事前に防御措置をしておかなければ、その事態になって、救済措置をしよう、あるいはチェック措置をしようとしても、相手があることですから、必ずそれによって利益を受けている側があるわけですから、非常な強い力によって、政府が最初意図しておりましてもできないというのは、いままで幾多の問題として出っくわしておるわけです。でありますから、そういう危惧がある場合には、事前にそういうチェックをしておく、制度として行っておく必要がある。安い石炭が来た場合には、需要業界が非常に得をするわけですから、私は、一時的な面から見ると、そのときになって判断をし、措置をしようとしても、非常にむずかしい、だから、最初から制度をつくっておく必要がある、こういうように考えておるわけです。
  20. 中西績介

    中西(績)委員 私、いままで政府案なりあるいは資源活用法案なり見た場合、やはり依然として危惧が残るわけです。特に資源活用法案でこのことが解決できるという自信なりそういうものが、いままでの経験の中からおありなのかどうか、この点について……。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷議員 御存じのように、日本の場合でも、外国の物資と国内の物資の調整というのは制度として幾らもある。それがきわめて有効に働いておる場合と働いていない場合もありますけれども、やはりそういう方向にいままでかなり行っておる産業もあるし、また非常にむずかしい産業もある。でありますから、たとえばメタルマインの場合、外国から安い鉱石が入ってくる、その場合は一体どうするかというのでいろいろ論議がありましたけれども、結局備蓄制度という制度をつくって、それを価格までとは言わないが——現実は価格まででありますが、チェックをする。あるいは糖価でも、やはり安定資金を設けた時期もある。畜産だってそういう状態であります。ですから、石炭の場合、私はただ行政措置ではできないのではないかと思い、制度をつくっておればそれでプールできる、こういうように考えるわけです。
  22. 中西績介

    中西(績)委員 そこで政府にお伺いいたしますけれども政府はいま説明のありました石炭資源活用法案、この法案をどのように理解をしておるのか、この点についてお答えいただきたいと思うのです。
  23. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  石炭資源活用法案の考え方につきましては、いま多賀谷先生からお話がありましたような考え方に基づき立案されたものだというふうに、私ども理解しておりますが、私どもといたしましては、この委員会でも再々申し上げましたように、今後の石炭というものを考える場合に最も大事なことは、石炭というものをいかに今後使っていくかというところが、まず一番大事なところであろうかと思います。そのために、さきの答申にありますように、国内炭維持それから海外炭開発輸入、それから石炭利用技術の促進、こういったものを柱にして政策を進めておるわけです。そういった考え方に基づきまして、今回私どもといたしましては、所要の立法措置提案申し上げておるわけです。  私どもといたしましては、いま具体的にお話がありました新鉱開発の問題につきましても、あるいは今後の海外炭輸入に当たっての国内炭との関係というものにつきましても、時間の関係もありますので繰り返して申し上げませんけれども、現在私どもがとろうとしておる措置により十分対処し得るし、現在日本の置かれておる諸情勢というものを勘案いたしました場合、こういったかっこうでやっていくのが適当かと考えておる次第でございます。
  24. 中西績介

    中西(績)委員 いま答弁ございましたけれども、やはり過去十数年にわたる、第一次から第五次まで、そして第六次にわたる鉱業審議会の答申まで、そしてこの一部改正に至るまでの期間ずっと通してみました際に、いろいろまだまだ私たちが尽くさなければならなかった手だてが抜けておったのではないか。その手だてとして、先ほど指摘のありました各企業別に対する施策、そういうものが一貫していままで貫かれておったという、こういう体制の中でのエネルギー政策、そしてその間におけるいろいろな問題があったわけでありますから、このことを考えてみた場合に、あくまでもいま示しておる合理化臨時措置法一部改正ということでなくて、この石炭資源活用法案の内容をある程度取り入れてでも措置をしていくべきではないか、こう私は考えるわけでありますけれども、この点について通産省はどのようにお考えになっておるのか、お答えいただきたい。
  25. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石炭資源活用法案の考え方も私は一つの考え方だと思います。ただ先ほど石炭部長がお答えいたしましたように、われわれが御提案申し上げております合理化臨時措置法の範囲内においても、そういった考え方なりあるいは手法といったものを運用上織り込むことによってさらに一層の有効な効果を上げ得るというふうにも考えておりますので、われわれといたしましては、政府案をベースにして資源活用法案の中で適正なものについてはわれわれの政策運営の段階で生かしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  26. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、いまお答えにもありましたように、これを十分取り入れてやっていただくことを特に期待するものです。  次に、がらりと変わりますけれども、私はいままで住んでおるところが筑豊という産炭地の中にあるために、特にこの産炭地問題について一、二、質問を申し上げたいと思います。  特に筑豊地区におきましては、明治以来、全国の石炭の約半分を産出しておりましたし、御存じのように鉄道も網の目状に敷かれている、このことは炭を輸送したためであったし、日本の資本主義発達のエネルギーをこの筑豊が担ったと言っても過言ではないと思うのです。この筑豊からいま一かけらの石炭も掘り出されなくなり、炭鉱労働者も完全にいなくなってしまった。近代石炭産地としての百年の歴史をいま閉じたと言ってもいいと思います。私たちはあの石炭合理化の波が大きく波及した際に、筑豊地区がいまのように全滅するということは夢にも思っておりませんでした。こういう状況の中でありますから、私たち筑豊に住む者として、石炭産業のある程度の残存と石炭にかわる中核産業の進出に期待をかけてまいりました。特にその中で失業者の就労対策事業を初めといたしまして、国あるいは自治体の産炭地振興対策を当面受け入れ、食いつないできたというのが筑豊の実態であったわけであります。  いま改めて筑豊を見渡してみて、一部の例外地を除いて旧産炭地は一向に変わっておらないことを私たちは現実の問題として見ることができます。特に陸の孤島といわれる筑豊地区の広さは目立っておると思います。たとえば、私はいまここで生活保護の実態などを見てみたいと思いますけれども、これは一つの例でありますが、田川地区における実態がここに示されております。田川郡というところを見ますと、全国平均の保護率が一二・二%、福岡県全県で三八・一%に引き比べまして、田川郡の場合には一八七・九という大変な高率になっています。その隣の山田市の場合には一九三・七という、私たちが想像もできない状況に置かれておるのがいまの実態であります。特にまたその中のひどいところでは、田川郡の川崎町におきましては二三九・七という率を示しておるわけであります。  こういう状況でありますし、さらにまたその他の面を、これはちょっと長くなりますけれども、知っていただきたいためにも申し上げたいと思いますが、たとえば十三年前の炭鉱合理化による閉山が大手にまで及んだ昭和三十八年、このときに全県で離職票の提出が九万六千三百十七件にも上っておりましたけれども、大体そのときの月平均が七千五百五十三件です。五十一年三月の離職票提出の数は大体七千八百三十三になり、四月におきましては九千八百四十七。このように見ますと、全県的に見ればあの炭鉱合理化の怒濤のあらしと言われたあの時期に匹敵する雇用情勢がいま再現をされておるわけであります。  特にそれに対応してどのように就職の機会が与えられたかと申しますと、これは昨年の例になりますけれども、田川職安管内の三月における深刻さはもう想像を絶するものがあったわけであります。特に、産炭地域開発就労事業あるいは特定地域開発就労事業のいわゆる年度末の仕事切れの時期になるわけでありますけれども、田川職安におきましては、求人一人に対して十四人の求職者が殺到したことを示しておりますし、五千五百人もの中で高齢就労希望者に対して就職できた者はわずかに十三名です。ですから、四百二十三人に一人しか就職できなかったことになるわけであります。  ところが、これが四月になってどうなったかといいますと、五十一年度の開就、特開の工事が始まって就労者が急増したとはいいますけれども、田川職安の例を見ますと二千八百人、飯塚で五百五十八人、そして直方で七百二十九人にすぎません。  先般の三月二十四日でしたか、本委員会におきましても、わが党の多賀谷氏の質問に対する政府当局からの答弁でも明らかなように、いかに職がないかがわかるわけであります。こういう状況でありますから、この条件の中で四事業の占める役割りは非常に高いものだということが言えるわけであります。いま筑豊を救う体制としては、このことなしには考えられないというのが、いまの実態であるわけであります。特に緊就と開就につきましては、石田労働大臣は多賀谷氏の質問に答えまして将来にわたってやめるとかあるいは縮小するということは考えていない、こう言われました。しかし私は、いまは閣議決定はしておらない、こういう現状の中でありますから、もし現状のように就労希望者がおるといたしますと、打ち切りはしないということにならないと、この筑豊地区における実態というのは、大変な様相になるということはもう明らかであります。  ですから、私がここでお答え願いたいのは、就労希望者がいる以上、景気がよほど回復してその方々が就労できるという条件がない以上は、このことの打ち切りはない、こう理解してよろしいかどうか、この点について私たちが安心できる答弁をいただきたいと思います。
  27. 細見元

    ○細見政府委員 筑豊地区の雇用、失業情勢につきましては、前回私も多賀谷先生の御質問にお答えいたしましたとおり、大変厳しい情勢にあると十分認識をいたしております。  そのような点を背景にいたしまして、ただいまお尋ねのございました炭鉱離職者緊急就労対策事業及び産炭地域開発就労事業につきましては、五十二年度につきましてもこれらの事業を継続実施すべく予算措置を講じることといたしまして、ただいま御審議をお願いいたしております。  さらに将来の問題につきましては、大臣も御答弁を申し上げましたように、就労者の就労及び生活の実態、産炭地域におきまする雇用、失業の状況等を十分考慮いたしまして、必要な間、私どもとしても継続実施いたしたいと考えております。
  28. 中西績介

    中西(績)委員 いま答弁がありましたように、このように就労希望者がいる限り、これは継続していくというふうに理解をしてよろしいわけですね。  次に、さきにも明らかにいたしましたように、開就あるいは特開というのは、失対、緊就事業とともに制度事業の柱となっているものでありますが、年間を通じて仕事の保障のないのが大変問題であります。特に一カ月二十三日、そして十カ月というのが大体固定化されておるわけでありますけれども、二カ月は雇用保険で生活をしているというのがいまの実態です。ところが実際には、石油ショック以来自治体の財政が大変危機状況になっておりますために、八カ月あるいは九カ月の場合すらもあるわけです。そのために、雇用保険の受給資格をなくして無収入になる場合もあるわけですね。ということになりますと、この就労日数一カ月二十三日、そして十カ月でなくて十二カ月を保障すべきではないか、こう考える次第です。言いかえますならば、通年雇用をすべきではないか、こう考える次第です。この点についてどのようにお考えになっているか、お答えをいただきたいと思います。
  29. 細見元

    ○細見政府委員 ただいまお尋ねをいただきました件につきまして、先生すでに御承知のように、特定地域開発就労事業につきましては、中高年齢失業者の就職が著しく困難な地域において、地域開発と就業機会の造出という二つの目的、また産炭地開発就労事業につきましては、産炭地域の再開発炭鉱関連の失業者の方々に対して就業の機会を造出するという目的をもって実施いたしてまいっているわけでございます。したがいまして、失業者に対して就労の機会を与えるということを直接の目的といたしております炭鉱離職者緊急就労事業とは事業の性格を異にいたしております。両事業とも、本来ならば民間公共事業に就労の場が少ないとき、これを補うというような形で実施するという趣旨のものでございますので、お尋ねの特開事業または開就事業につきまして一定の就労日数を当然に保障する、あるいは十二カ月就労を保障するということは、事業の性格からいたしまして大変困難であると存じております。
  30. 中西績介

    中西(績)委員 困難であるということは十分認識した上に立ってお聞きをしたわけでありますけれども、このような困難の場合に、どのようにこれを保障していくかということになれば、他にその方策がないかということになるわけであります。この前もある程度のお答えが出ておったようでありますけれども、たとえば公共事業との組み合わせなどにつきまして、これらを策定をしていくことによって保障できる、こういう体制があると思いますけれども、これらの指導についてはどうなさっておられるのか、この点についてお答えいただきたい。
  31. 細見元

    ○細見政府委員 お尋ねのございましたように、公共事業あるいは民間の建設事業等と組み合わせまして、年間の就労日数をできるだけ確保するという努力をいたしておるわけでございますが、具体的には、各都道府県に指示をいたしまして、公共事業の施行前把握等を通じまして、十分公共事業に対しても紹介の機会をつくるというふうに、この数年特に努力をいたしておるところでございます。
  32. 中西績介

    中西(績)委員 最後に要望みたいになりますけれども、この種の問題につきましては、特に私が先ほど申し上げたように、政府委員指摘もありますように、その内容が異なるとは申しながら、実際に筑豊地区における実態等からいたしましても、何といたしましても緊就、開就、特開というものについてはそれぞれ分離いたしておりますけれども、できれば単純化し一本化をする、こういう体制ができれば大変な保障ができるのではないかということを私たちとしては感じる次第です。ですから、こういう方向に向けて政府なりで十分御討議なりあるいは考慮をいただけないものかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  33. 細見元

    ○細見政府委員 お尋ねのございました三つないし四つの事業につきましては、それぞれ事業の性格、目的、また事業を開始いたしました時期等も異にしておりますので、お話しのようにこれらの三事業なり四事業を一本化するということはきわめて困難かと思いますけれども、私どもといたしましては、先生の御指摘もございましたように、民間、公共あるいはこれらの三事業、四事業の施行につきまして、できるだけ一体化し、合理的な運営が図られ、かつそれぞれの事業の目的を十分達成できるように、運営にさらに工夫をいたしてまいりたいと存じております。
  34. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、特開事業における六十五歳以上の方々の就労についていろいろ問題がいま出ております。現在全国でも十人に一人は高齢者になっておるという状況でありますだけに、特に筑豊地区では、流出をする人口の状況からいたしましても、大変高齢者が多くなっているのは事実であります。そういうことを考え合わせていきますと、特開を除きまして、六十五歳以上の方々がある程度この制度事業の中では働いておるわけでありますけれども、特開事業におきましては、政府の方針そのものによって制限されておることは事実であります。この状況からいたしまして、筑豊地区における実態というのは先ほど申し上げたとおりでありますし、大変高齢化しておるという実態があるために、いま社会保障制度が確立されておらない、そういう条件の中におきましては、やはり何らかの措置をとるべきではないだろうか、こう考える次第です。したがって、この三事業と同じように、特開におきましても六十五歳以上の方々が就労できる体制は考えられないものかどうか、この点についてお答えいただきたい。
  35. 細見元

    ○細見政府委員 先生お尋ねございましたように、運営の実態といたしましては、特開事業を除きまして他の三事業には六十五歳以上の年齢の方がある程度就労しておられるという実態でございます。これは日本におきます社会保障制度の未確立の状態からやむを得ず生じておる事態だというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、六十五歳以上の方につきましては社会保障制度の充実ができるだけ早く実現することを期待しておるわけでございます。  ただお尋ねの点につきまして考えますと、失業対策事業あるいは炭鉱離職者緊急就労対策事業、産炭地開発就労事業のそれぞれにつきましては、事業の目的が特開に比べましては限定をされております。その事業目的を遂行いたしますために六十五歳以上の方を若干就労させておるというような状況でございますけれども、一般的な中高年齢者対策一環として運営されております特開事業につきまして六十五歳以上の方を就労させるということは、私どもといたしましては制度の目的等から見まして非常に困難であろうと考えております。
  36. 中西績介

    中西(績)委員 制度上大変困難だということも十分承知しておりますけれども、いまこういう実態にあるということを十分御認識いただき、今後の問題として先ほど申し上げた緊就、開就、特開、これら事業について存続をすると同時に、これら問題についても政府におきましては認識をさらに深めていただき、そしてこれらに対する就労者の不安のない状況をつくり出していただくことを最後にお願いを申し上げまして、この点については終わらしていただきます。  次に、時間の関係もありますので、もう一点だけ質問を申し上げたいと思います。それは産炭地における上水道問題についてであります。産炭地域における飲料水というのは、昭和十二年から十五年ごろ、第二次世界大戦に入りまして以来石炭の産出が多量になり、その結果は井戸水の枯渇ということになってあらわれてきたわけであります。それに加えまして、戦後特に石炭の乱掘によって鉱害の多発、これはもう目に余るものがありまして、全く水が出なくなったというのが実態なんです。そこで鉱害のために全く井戸水が枯渇をするという状況になり、したがってそれを保障する、いわゆる原水の保障というのは当然行われなくてはならぬと思うわけでありますけれども、このようにして保障しなくてはならぬということの原則、このことはもう政府におきましても十分認識いただけると思います。  そこで、炭鉱がまだ継続をされておった時期は各企業からこれが保障されておったわけでありますけれども企業が倒産なりあるいは閉山という状況が出始め、特に三十年代以降四十二年ごろに至りまして全鉱山が田川あるいは筑豊から姿を消していくという結果になったわけであります。こういう状況で住民は飲料水に事欠くという状況が出てきたわけでありますから、これを保障させるということはもう当然過ぎることだと思いますが、このことについては政府としてはどのようにお考えになっておるのか、この点、お答えいただきたいと思うのです。
  37. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  御指摘産炭地において炭鉱が所有しておりました専用水道施設が閉山に伴って管理する人がいなくなる、なお住民が住んでおるという状態が発生するわけでございますが、その際、一般には市町村に移管されて、当該市町村が管理運営をしていくという形で引き継ぎが行われてきております。当該市町村が移管を受けました施設につきましては、御指摘のように昭和十二年から十五年という古い時代につくられたものでございまして、かなり老朽化したものもございますし、一般公共のサービスとしては少し質的に落ちる部分についてはそれを改修し、あるいは更新をしていくという手当てが必要になってまいります。そういった事業につきましては国庫補助率三分の一ということで新しい施設に更新していくというような事業を現在行っているところでございます。
  38. 中西績介

    中西(績)委員 ところが、いまのお答えの中にもありましたように、昭和十年代からそのような企業が保障するということでもって飲料水を送水したわけでありますから、その施設はだんだん古くなり、そして腐食することによって使えなくなる、こういう実態が出てきたわけです。いわゆる施設の老朽化が進行し、そして産炭地特有の住宅地の偏在ですね、偏在というよりも点在といっていいと思います、それに加えまして、炭住地域というのはわりあいに高地につくられておるのが実態なんです。こういうように、上水道事業はいま老朽化し、そしてまた、効率的に見ましても、点在をしておる、あるいは高所にあるということからいたしまして、大変な状況に立ち至っておるわけです。ですから、この資料を見ますと、それぞれの自治体におきましては、第一次計画あるいは第二次計画に沿いまして、何回となく更新を行いながらやっておるというのが実態です。  そこで問題は、こういう地域におきましては水の確保についても大変な状況に陥っておりまして、たとえば一つの町の状況を見ますと、ここに資料等がございますけれども、これは五十二年の二月七日に地下水をくみ上げて検査をした結果、その原水たるやどうなっておるかといいますと、いわゆる赤水と称されるものになっています。鉄の場合で言いますと水質基準値は〇・三PPm以下になっていますけれども、ここでは六PPmになっています。それから色度を見ますと、基準値は五度以下になっていますけれども、八十度、濁度は二度以下でありますけれども、これは四十度になっておる、こういうデータすらもあるわけです。このように水資源そのものにも大変な問題があるわけです。あるいは表流水をとらざるを得なくなっている町村がありますけれども、ここでは小さな町営河川からの表流水でありますから、ろ過をせざるを得ない。そのろ過をした際に、ろ過装置が直ちに詰まってしまう。そしてまた低いところから高いところにポンプアップしなくちゃならぬという状況にあります。こういう状況ですから、一つの町で電力料金だけでも年間一千五百万を超える金額を払わなくてはならぬ、こういう状況になっておるわけであります。こういうことを見ますと、いまお聞きしたいと思いますのは、全国的に見まして給水原価が平均して町村で大体どの程度になっておるのか、そしてさらにまた供給単価がどのようになっておるのか。なぜ私がこのことを申し上げるかと言いますと、いま申し上げたような地域におきましては大変高い数値を示しておるからであります。一つの例を申し上げますと、現在単価が八十二円七十八銭、ここでは原価がどの程度になっておるかと言いますと百五十二円十四銭。ですからもし企業会計を黒字にするためには百円以上に引き上げなくてはならぬ、こういう実態すらもあるわけです。そのほかをとりましても給水原価が百四十円あるいは百二十円というように、ほとんどの町村におきましてこの田川という地域におきましては大変高額なものになっておるわけであります。  そこで先ほど申し上げましたように、全国的なものがどのようになっておるか、おわかりであればお答えいただきたい。
  39. 山村勝美

    ○山村説明員 自治省の公営企業年鑑によりますと昭和五十一年三月末の全国上水道の給水原価は六十七円になっております。なお販売価格は五十五円ということになっております。  先ほど先生指摘のように、百五十二円という非常に高いものがあるということでございますが、実は全国的に見ますと非常に散らばりがございまして、一番安いのでございますと大体十四、五円というレベルのものから最高三百七十五円というような、非常に差がございます。これ自体われわれ問題意識として持っておるわけでございますが、御指摘の田川地区の百五十二円も全国的に見ますと少し高いレベルにあるかというように考えております。
  40. 中西績介

    中西(績)委員 これを見ますと、いま平均が給水原価で大体六十七円、そして供給単価が五十五円と言われてますけれども、田川地区におけるこれを見ますと、全般的にこれよりはるかに高く、大体倍以上になっておる実態であります。そしてしかも供給単価にいたしましても、倍とまでいかなくてもそれに近い金額になっておるわけです。であるにもかかわらず、それではこの地域の水道会計がどのようになっておるかと申しますと、全般的に見まして、五十年あるいは五十一年の推定になりますけれども、平均いたしまして約二千万程度、一般会計から持ち出しがされています。であるにもかかわらず、大体平均いたしましても約一億円近い累積赤字、ほとんどの町村におきまして、一番低いところで、これは五十年でありますけれども、一千六百三十五万七千円ですから、五十一年度はこれがもう三千万ははるかに超える、こういう状況です。これが一番低いところ、高いところでは、大体一億三千万程度の累積赤字、こういう実態があります。特別のものを申し上げますと二億七千八百万、こういうところすらもあります。これから見ますと、まさに水道によって産炭地域におきましてはいま大変な状況にあるわけでありますけれども、先ほど資料を見ておりますと、産炭地域の財政力の指数が出ておりますけれども、これは大変古くて申しわけありませんけれども、四十九年のを見ましても大体財政力の指数が〇・一三、あるいは〇・一二、あるいは〇・一四、〇・一六、〇・一七、そして五十年度におきましてはこれが〇・〇八に落ちた町があるように聞いております。こういう状況の中で、この水道事業を見ましても、このような累積赤字、しかも先ほど当初申し上げましたように、大変な産炭地域における住宅の点在あるいは高所、あるいは老朽化、そして産炭地炭鉱閉山跡を引き継いだということ等を含みまして大変な状況になっておるわけでありますから、この点で自治体の危機を考えますと何とかしなくてはならないのではないか、こういうことを考えるわけであります。  そこで質問なんですけれども、特に単独で市町村で水源確保、そして原価を安くするという、低廉なものにするということが非常に困難であるわけであります。たとえば河川におきましては水利権だとか取水量の増加等についてはもう大変な困難さを持っておりますし、あるいは地下水におきましては先ほど申し上げたとおりであります。ですから、結局ダムなり何なりによってこれを確保する以外にはないのではないか、こう考えるわけであります。そこで、大体町村において平均どの程度の水道の普及率になっておるのか、もしおわかりであれば、それをお聞かせ願い、そしてこの田川におきましては低いところで大体八五%を超えておりますし、ほとんど一〇〇%に近い状況になっておる条件もあるわけでありますから、その普及率と、それともう一つは、原水を得るためのダムなり何なりをどのように保障できるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  41. 山村勝美

    ○山村説明員 まず第一点の水道の普及状況でございますが、全国的に見ますと、五十一年三月末現在で対総人口八七・六%ということになっております。さらに割ってみますと、市部につきましては九三%、町部、町では七二%、村では六三%というふうになっております。  御指摘の水源が非常に悪いというようなことから、新しい大きい水源を見つけざるを得ないというようなために、非常に金のかかるダムをつくらざるを得ないというような事態が出ました場合には、現在水源開発等補助金という制度がございまして、これはダムの建設単価、水コストで三分の一と二分の一と区分いたしておりますが、そういった制度がございますので、ダムをつくる場合には国庫補助が支出されることになります。
  42. 中西績介

    中西(績)委員 先ほどから申し上げておりますように、この水道事業によりまして、産炭地における自治体は、さらに財政的な窮迫とそして破壊の現状がますます進行するであろう、こういうことを考える次第です。したがって、産炭地域における自治体、これを救うための措置としては、何らかの措置ができないのかどうか。この点について通産省なりあるいは厚生省なり、どちらでも結構なんですけれども、特にこの産炭地域振興策の見直しの時期でもあるわけでありますから、総合的に抜本的に、これらの問題についてどうするかということを考えていかない限り、もう第一、生活できない条件があるわけですから、それをどうするかということとあわせて考えていかないと、いま見直しをしよう、こういうことを言っておるにもかかわらず、これはもう空論になってしまうわけでありますから、具体的にそこら辺についてお答えいただければ幸いです。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕
  43. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  水道の問題ですけれども、御承知のように、いま厚生省からお答えがありましたような制度につきまして、産炭法十一条の規定には国庫率の引き上げというのがございます。さらに御案内のように、産炭地振興臨時交付金の交付、これにつきましては、私どもといたしましても、最近改善をいたしまして、市町村負担の軽減を図るという努力をいたしておるわけでございます。確かに産炭地域の市町村の財政というのは、従来われわれといたしましてもいろいろな努力をいたしておりますけれども、なおかつての閉山その他の石炭の傷跡と申しますか、そういったものの影響を受けまして、財政的な疲弊から脱却できない、御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、こういった市町村の財政の状況を回復させるためには、御承知のいま申しましたようないろいろな措置、そのほかにもいろいろな措置をとっておるわけでございますが、基本的には地域の経済力をどうやって回復させていくかというところがやはり一番ポイントになるのではないかというふうに考えます。したがいまして、現在、産炭地振興計画につきまして、見直しの作業を行っておるわけでございますが、それぞれの地域、確かに産炭地と申しましても、地域によりましてそれぞれ実情を異にいたしますので、地域の実情というものをにらみ合わせて、またその実情に即した対策というものを打ちながら、基本的にはやはりその地域の経済力をどうやってつけていくかという対策というものを考えていきたい、そういった考え方で現在審議会で検討が行われて、改定が行われておりますので、私どもとしては、そういった考え方に基づきまして、計画の改定の推移等を見守りながら、さらに今後具体的な対策努力いたしたいというふうに考えております。     〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 中西績介

    中西(績)委員 時間が来たようでありますから、以上で終わりますけれども、残る分につきましては、また一般質問の際にさしていただきます。以上で終わります。
  45. 岡田春夫

    岡田委員長 権藤恒夫君。
  46. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私は数点につきまして、お尋ねをしたいと思います。  初めに、先ほど御報告のありました高島炭鉱の落盤事故とそれから池島炭鉱の爆発事故につきまして、若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。  炭鉱の採掘、採鉱並びに開発には、石炭重要性から考えまして期待を寄せておる今日であります。このような中で事故が起きたということはまことに残念なことでありますし、また罹災者の方方には深くお見舞いを申し上げる次第であります。  申すまでもございませんが、石炭の採掘はその安全性を無視してはもう考えることはできないわけであります。したがいまして、これらの安全性についてはあらゆる措置が講じられておるわけであります。どういう小さな事故でも今後のことを考えますと、決して見逃すことはできません。したがいまして、徹底的な原因の追及をする必要があるわけであります。このような今回の事故で負傷者を出しましたが、今後同じような事故を繰り返さないように、私どもを初めといたしまして、指導に当たりまする通産省や石炭部並びに企業、あわせて配慮を今後していかなければならない、これが指導に当たっていかなければならない、こういうふうに当初申し上げておきたいと思います。  そこで、この高島炭鉱の落盤事故につきましてここに報告されておりますけれども、この真相、原因はいま調査中であると思いますが、もう少し詳しく報告できれば報告していただきたいと思います。
  47. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 高島炭鉱の事故は昨日の十三時五十分に発生しておりまして、百メートル払いの中央付近の約十二メートルの炭壁が崩落したように報告されております。  なお、この払いは四月の四日に払いができまして、その翌日でございますが、その間におきましてどういうふうないわゆる荷重が壁面にかかったのか、なぜその荷重との兼ね合いにおきまして中央付近が落ちたのかというふうなことが、今後技術的に解明されていかれると思いますけれども、現在のところ、まだそこらのところが十分に掌握されておりませんので、崩落の原因がどういうふうなものであったかということにつきましては、残念でございますが、ここではっきりさせるというわけにいかない状況でございます。
  48. 権藤恒夫

    ○権藤委員 保安対策にはひとつ十分留意して今後とも対処してもらいたい、こういうふうに強く要望しておきます。  それから池島炭鉱の今回の事故でございますけれども排気立て坑掘削中の出来事であります。四インチのボーリングをしておったそうでございますが、この穴が打ち抜かれ、排気立て坑が二十七メートルですか掘削されている時点で起こっておるようでありますが、このような排気立て坑掘削中に事故が起こったケースが過去にあるかどうか、その点についてお知らせいただきたいと思います。
  49. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 立て坑の掘削中で、しかもこのような浅い部分におきましてこういう種類の事故が起こったというふうなことは、これまでございません。
  50. 権藤恒夫

    ○権藤委員 坑内の安全を確保するために掘りました排気坑の建設中に起こった事故というのはきわめて皮肉なことであります。ボーリングによってこの穴を通してガスの排出現象が見られなかったかどうか、その点についてはいかがでございましょうか。
  51. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 この排気立て坑掘削中におきまして福岡の鉱山保安監督局の監督官が一月、二月、三月と巡回しておりますが、その時点におきましても、そのような異常な事態は報告されておりません。また、当日も三井建設の保安係員がガスの検査をしておりますけれども、やはりそういうふうな事情は報告されておらないところでございます。
  52. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この四インチのボーリングをするときでございますけれども、ただこれ一カ所ではなくして、何カ所かはボーリングをしておるはずだと思うのです。そうしますと、この地点の地層がどのようなものであったかということは十分承知しておったはずだ、こういうふうに思う。そこでお尋ねしたいのですが、その試掘をした、ボーリングをした時点でその地層がどういう地層であったか、その中に炭層があったのかどうか、そういうことについてはどうでしょうか。
  53. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 先生指摘のように、この付近で、その地質状況を確かめるために相当数のボーリングが掘られております。今回事故のありました立て坑のボーリングは、パイロットホールと呼んでおりますけれども、主として立て坑内に工事中に出てまいります水を抜くため、同時にその付近の地層をはっきりさせるという両方の目的を持っておるわけでございます。  御指摘の、ボーリングによってわかった地質状況でございますが、地表から六百二十メーターまでは砂岩と頁岩の互層というふうに考えられております。六百二十メーターから六百五十メーターまでの三十メーターの間が來炭層でございます。
  54. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そういうような調査の中で、ガスが出るということがわからなかったかというふうに私どもは思うわけであります。この池島坑のガスの状況は一体どのようなものであったか、それについてお知らせ願いたいと思います。
  55. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 この池島炭鉱は甲種指定炭鉱でございまして、いわゆるガスの多い山ということでございますけれども、現在手元に常時のガスがどのような状態であったかというデータを時っておりませんが、少なくとも甲種炭鉱であり、しかも相当ガスが多い山であるということは間違いございません。
  56. 権藤恒夫

    ○権藤委員 事故が起こりまして即刻わが党の谷口議員を党の調査団といたしまして現地に派遣をいたしたわけでございますが、そのときに現地でいろいろと状況を聞いてきております。いまおっしゃったように、非常にガスが多い炭鉱である、したがって、この排気立て坑のボーリングをする段階で当然ガスが出るということは予想されておったはずだ、こういうふうに現地で言っておるわけですが、このボーリングをするときにはそこまで気をつけていなかったのかどうか、その点について再度お尋ねしておきたいと思います。
  57. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 通常の状態では考えられないガスがなぜ立て坑の坑底にあったかということにつきましては、いま鉱務監督官が十名現地におりますけれども、その点を調査しております。通常でございますと、恐らくこの通気はマイナス六百十四メーターレベルの方へ引かれてまいりまして、掘削中の立て坑の坑底にガスがたまるというふうなことは考えられないのでございますが、なぜ当日そこにガスがたまったかということを坑内状況とあわせて現在調査中でございまして、私ども、なぜたまったのだろうかということの的確な原因の把握はまだしておらない状況でございます。
  58. 権藤恒夫

    ○権藤委員 当時、ガス検出器は装備してあったかどうか、その点はどうでしょう。
  59. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 自動警報器は設置されていなかったわけでございますが、ここのガスの状況を検査する係員は当然携帯しておるわけでございます。
  60. 権藤恒夫

    ○権藤委員 石炭対策がきわめて厳しい中でこのようなことになりますと、その計画も今後大きく狂ってくるのじゃないかと憂慮するわけでございます。また、罹災者の方々に対しましてもこういうような中で二度と事故を起こしてはならないというようなことから考えて、保安対策には十分に指導をしていくように強く要望しておきたいと思います。  それから、罹災者の方々に対する配慮でございますけれども、これは十分な配慮をする必要があると思うわけであります。特に、今回の罹災者は、私どもがこの法案提出されましてからずっと指摘してまいりました鉱業所の職員でない人、いわゆる請負夫であるわけであります。こういう方々が罹災をしますと、身分の保障がきわめて弱い。したがって、職員と同じような補償をすべきである、こういうふうに私は要望してきておったわけでございますけれども、それが実現はきわめて厳しいような状況にあります。したがいまして、今回の罹災者に対しましては、鉱業所に対しまして、十分に補償するように、職員と格差がないように配慮をするべく当局から要請をすべきであると思います。その点について、何かお考えがあれば御答弁願いたいと思います。
  61. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 今回の事故によります三名の死亡者は、三井建設の現地採用者でございます。三井建設には現地採用者に対しましては一般社員と同様の取り決めはございませんけれども、今回、一般社員の場合の千日分の賃金を基準にいたしまして誠心誠意遺族の方と話し合いたいというふうに申しております。また私どもも、同じ山で働く人でございますから、遺族の方に対してできるだけのことをするように三井建設に対して指導しております。
  62. 権藤恒夫

    ○権藤委員 請負夫の方が一般職員と同様の待遇をされておらないというのは三井建設だけじゃないわけであります。これは全部であります。だから、やはりこの際、会社に対して強く要請をすると同時に、こういうことがあった場合を想定して、十分な補償がされるような制度を何か考えるべきである、こういうふうに思うわけでございますので、その点について十分検討してもらいたいと思います。  それから、会社の損害額はどのくらいになるものか、参考までに聞かしてほしいと思います。
  63. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 爆発事故そのものによります損害額につきましては、まだはっきりしておりません。現在調査中でございます。
  64. 権藤恒夫

    ○権藤委員 企業あるいは採炭計画、そのようなものに支障があるということは残念でございますので、そういうこともないようにひとつ大いに取り計らってもらいたいと思います。事故というものは思わぬところで起こるものでございますが、万全の体制を整えて今後の石炭の採掘に当たられるように再度強く要望しておきたいと思います。  次に、炭鉱鉱害についてお伺いいたしたいと思います。これは、前回の委員会でも質問いたしておりますが、再度お聞きしておきたいと思うわけであります。  最近は、私どものところにはこの炭鉱鉱害のことで再三陳情があっておるわけであります。特にその中で、住宅の被害について早く復旧してほしいという要望があるわけであります。そこで、今日まで鉱害認定の申し出があった件数はどのくらいあるか、それから、認定した件数はどのくらいか、それから、それを処理したものは一体どのくらいであるか、それについてまずお伺いしたいと思います。
  65. 島田春樹

    島田政府委員 全部の数字がちょっと手元にございませんが、最近の状況を申し上げます。  五十一年度の申し出件数が農地について百五十件、それから公共施設につきまして百二十一件、家屋について四千五百九件、それで、前年度からの繰越件数が農地について百六十六件、公共について三百十九件、それから、家屋につきまして三千七百四十六件という状況でございます。
  66. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それを処理したものは大体どのくらいでございますか。
  67. 島田春樹

    島田政府委員 処理件数につきましては、農地につきまして九十三件、公共につきまして百七件、それから家屋につきまして三千三百四十五件ということでございます。
  68. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そうしますと、家屋だけに例をとってみましても、処理をされた件数というのはきわめて微少であるわけであります。何回も言いますように、かかわりのない者が、せっかく家をつくって、そして数年もせずにふすまのたてつけが合わないようになってくる、ふすまのたてつけだけじゃなくて家の中ががたがたになってくるというようなことでは、本当に迷惑ということを通り越してもう怒っているというのが実情であるわけであります。  それで、いま御答弁になりました前年度の繰越件数が三千七百四十六件、それから、申し出をしておる件数が四千五百件、八千件近くあるわけですが、それが、今日までずっと処理されてきたものだけでわずか三千三百というようなことですが、この調査をしていらっしゃる人、いわゆる鉱害認定といいますか、調査をしている人は、一体何人ぐらいでやっているわけですか。この数はどのぐらいですか。お聞かせいただきたいと思います。
  69. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  鉱害の認定につきまして担当がどうなっているかということでございますが、御承知かと思いますが、鉱害認定につきましての現地調査などにつきましては、石炭鉱害事業団の支部の職員と、それからその認定をする通産局の職員によって行われておるわけでございます。  まずその関係の人がどれぐらいいるかということですが、これは主として九州でございますので九州の数字について申し上げますが、通産局関係が約四十名、それから事業団の九州支部の関係が大体二十五名程度、これは要するに担当している課のそのセクションの人数というふうな意味でございます。
  70. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そうですね。私どもで調べてきておりますのは、科学調査人が四、五人です。それから紛争関係の人が十二、三人ということなんです。それでもって、家屋だけですが、四千件も五千件も調査しておりますが、とてもとても、鉱害の認定の申し出をしましても調査にも来てもらえない。調査にも来なくて復旧のしようがないじゃないかというのが本当の地元での声であるわけなんです。ですから、もっと体制を整えて、そうして要求にこたえられるようにすべきじゃないでしょうかね。  これは北九州の方の話なんですが、被害調査は四十九年と五十年に三回行われました、調査期間は計九日間、一日平均九十戸近くを見て回るという駆け足調査のため、一部住民から、あんなずさんな調査では、どんな基準で認定するのかはっきりしない、家の中で雨漏りがしておると言っても、ああそうかということでぐるっと見回すだけで、わずか二、三分で引き揚げてしまいました、こういうことなんですよ。いまどき家を建てるということは大変でしょうが。食べるものも節約して、退職金の前借りまでして家を建てたという、そういうような中で、全くかかわりのない者が炭鉱鉱害に遭って、そうしてめためたにされている。それを復旧してくれといって頼んでも出てこない。来ても、ああそうかというようなことでぐるっと見回すだけ、これでは一体どういうことで認定をするのか、こういうようなことが言われておるわけであります。  そこで、くどくどは申し上げませんけれども、とにかく前向きの姿勢で原形復旧をすべきであると思います。市町村の首長さんあたりが何回も何回も陳情に来てお願いをしなければならぬ。また、市議会あたりか町議会あたりから議員団が何回も来て陳情する。あるいは直接被害者の方があらゆる手だてを通して陳情する。そうしてようやく復旧をされる。もともと迷惑を受けた方なんですから、こちらから頼むのじゃなくて、御迷惑をかけて済みませんということでどんどん復旧をしていくのが道理だと思うのです。ですから、今後の措置につきましては、私は、いろいろなことはあるでしょう、わかります、法律関係予算関係、いろいろあるでしょうけれども、誠意をもって地元の人に対して対処もしてもらいたいし、また事業も進めてもらいたい、こういうふうに思うわけでございますが、石炭部長さん、ひとつその決意をここでもう一度明らかにしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  71. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  鉱害問題の深刻さ、また地域に及ぼす影響等につきまして、私どもも非常に痛感しておるところでございますし、確かに御指摘のようにいろいろな問題がございまして、なお今日いろいろな鉱害で現地の皆様方が被害を受けておられるという実情につきましては、私どもといたしまして、一日も早くこういった事態がなくなるように、今後とも誠心誠意努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  72. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それでは、大臣がお見えになるまで続けろということでございますので、やることはたくさんありますが、続けて質問していきたいと思います。  これは大臣がいないと……
  73. 岡田春夫

    岡田委員長 ちょっとお待ちください。間もなく到着します。——ただいまより通産大臣への質疑を続けます。
  74. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それでは最後に通産大臣にお尋ねをいたしますけれども、私は炭坑排水の排水基準についてお伺いをしたいわけであります。  実を申しますと、全国でこの炭坑排水を海にそのまま直接排水しておるところは九州の大牟田にあります三井鉱山、その中で特に有明炭鉱であると言われております。ほかには例を見ないのであります。この有明炭鉱の一日の排水量が約六万トンと言われております。御承知のようにこの有明炭鉱の付近の海は有明海でありまして、付近の漁民が約三千人ぐらいこの海によって生活をしております。ところが、炭鉱鉱害でありますとかあるいは生活排水というような関係で、年々アカガイでありますとかアサリでありますとかあるいは雑魚がとれないようになって、そしてこの十年来ノリの養殖にすべてが転業しておるわけであります。ところが五十一年のノリの栽培に当たりまして——有明炭鉱が大量に水を出すようになったのが、昭和五十年から六万トンほど流しておるわけでありますが、その排水地点におきましてかなりノリの被害が起きております。直接の原因はツボ状菌と言われておりまして、したがって炭坑排水が直接の原因ではないということでございますが、この有明炭鉱は御承知のように海底を掘っておりまして、防水のために大量のセメントを使う、そのセメントの中に含まれておりまする成分が間接的に原因をしたのじゃないか、こういうふうに言われておるわけなんですね。そこで昨年の十一月まではもうノリが全然とれなかった。したがって福岡県が緊急措置として二億円を融資して、そうして当座の生活資金に充てていくというような措置をとってきたわけなんです。  そこで、ノリは毎年つくりますし炭坑の水を出さないというわけにいかないわけでございますので、やはり何らかの措置をしなければならぬというふうに考えるわけなんであります。ところが、炭坑のこの排水は灌漑用水には使えない。灌漑用水に使えないということはノリの生育には被害があるということが考えられるわけです。そこでこれから先のノリの栽培、あるいは海を汚さないというようなことから考えまして、この炭坑排水についてもやはり何らかの規制をすべきではないか。水を出すなということはいけませんので、水を浄化する、そうして少なくとも灌漑用水に使えるような状態にして海へ放流するなり排水するなり、そうしていかないとこれから先、漁民の方々がノリ栽培について不安を持つ、また毎年毎年このような炭鉱側と漁民の間に紛争が起こっていくわけであります。  そこで、先ほど申し上げましたように、この炭坑排水の中で規制されておらないのが総排水量、それと温度、これが環境基準でいま規制されておらないわけであります。  この点について、やはり漁民の方が被害を受けないように配慮する必要がある、私はこういう観点から質問したわけでございますが、温度の規制、あるいは総排水量の規制、あるいはその水の成分の規制、これがノリの生育に影響がないように措置をしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  75. 田中龍夫

    田中国務大臣 海底炭鉱鉱害かとも存じますが、本件につきましては、具体的な問題につきましてよく存じておりまする政府委員から、かわりまして御答弁いたさせます。
  76. 斎藤顕

    斎藤(顕)政府委員 有明炭鉱は現在、坑廃水を一日約四万三千トン排出しておりますが、これを四つの沈でん池で沈でん処理いたしまして、潮遊池を経て矢部川へ放流しております。水質につきましては、福岡鉱山保安監督局の検査結果では規制基準は十分守られておりまして、現在のところ特に問題はないと考えられております。  なお、御指摘の漁業との関係でございますが、現在、県と漁業組合と炭鉱側と一緒に、この経過とその影響等について調査しておる段階でございます。
  77. 権藤恒夫

    ○権藤委員 昨年の十月に起こったことでございますので、いまさら調査しても間に合わないわけです。ですからここで念を押して質問しているわけですよ。あなたのおっしゃったことは、私どもはもう昨年の十一月ごろ全部調査してしまっておるわけです。それでなおかつことしの操業がありましょう。ことしノリの生産をしなければならぬ、その生産をするのに、いわゆる大量の水が流れてまいりますと、塩分と真水の比重が変わってノリが生育できないのです。ですから原因者、いわゆる炭鉱が大量に排水をする、その排水の中に含まれておりますセメント、それが炭酸ガスを吸収して光合成をなくしてノリが枯れてしまう、自然に流れていく、そういうことまで研究の結果出ておるわけなんです。だから、少なくとも生産者に不安を与えないように対処してほしい。これは、もう時間がございませんから強く要望しておきまして、私の質問を終わります。
  78. 岡田春夫

  79. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は三点について、この際、大臣に質問を申し上げておきたいと思います。  第一点は、大臣もすでに報告を受けておられると思いますけれども、松島炭鉱池島鉱業所において去る四月一日に、排気立て坑の開削現場においてガス爆発発生をし、三名が死亡重傷が一名、軽傷二名という災害発生をいたしております。  そしてまた昨日、十三時五十分ごろに、三菱の高島炭鉱において一卸二片の胡麻払いのロングウォールの現場で五名が崩落のために埋没をして、不幸中の幸いといいましょうか、四名が救出をされ、一名が死亡するという、事故が相次いでおるわけです。  特に池島炭鉱の場合には、従来の常識ではこの開削立て坑現場でガス爆発が起きるということはとうてい予想でき得ない地域であり、しかもまた海底下の採掘で、松島炭鉱と同じような手法で、それぞれ他の炭鉱でも立て坑採掘が進められておる。他の問題は、ボーリングの坑井がいわゆる採掘現場と直結をしている、こういう一つの特殊なケースがあるわけです。  したがって、この原因は徹底的に究明されなければなりませんし、そういう意味では、従来の炭鉱災害でも、かつての山野や田川のように、特免区域においてガス爆発発生するという過去の経過もありますから、究明することによってこれに対応し、必要があれば炭鉱保安規則の改正をもしなければならないのではないか、私はそういう対応が必要ではないかとも考えておるわけです。いずれ、本委員会でも原因が究明され次第、これらの問題について審議を進める決意でありますけれども、これらを含んで炭鉱災害に対する大臣の所信をこの機会に承っておきたいと思います。
  80. 田中龍夫

    田中国務大臣 今回の事件につきましては、まことにお気の毒なことでございまして、私ども心を痛めておる次第でございます。現地には直ちに監督官を派遣いたしまして、原因の究明調査あるいはまた事後の処置を講じさせまして、また、本省の松村参事官を両鉱山に派遣いたしたような次第でございます。  なお、政府といたしましては、なお一層保安確保のために、鉱山保安監督局によりまする監督検査を一層強化いたしますとともに、保安確保のために必要な助成、保安技術研究の推進等を図りまして、今後のこれら災害の防止に万全を期したい、努めたい覚悟でございます。
  81. 岡田利春

    岡田(利)委員 特に特異なケースのガス爆発でありますので、これが対策の万全を期されるように重ねて要望をいたしておきます。  すでに、新政策答申に基づいて政府は二千万トン以上の生産体制維持をしていく、こういう決意が大臣から再三述べられておるわけです。もちろんこのためには、現存の炭鉱を中心にして、いかに安定的な生産体制を確立をしていくかということがきわめて重要であると思います。私は、やはり現存炭鉱の安定を図るということは最も経済的であり、最も合理的であり、二千万トン体制生産確保するためにはきわめて重要であると思います。しかし、現存の炭鉱は、海底炭鉱も主力炭鉱として多うございますし、また、地質条件からいって深部への移行は早まるものと判断をされるわけです。したがって現存炭鉱の安定的な生産は、深部移行に即応する体制というものを常に立てていくことが私は重要であると思うわけです。同時にまた、自然条件の変化等によって生産費の格差等も当然出てまいることは容易に予想ができるわけでありまして、それらを的確に判断をして対策を立てることが、二千万トン体制維持するためにも重要であると考えます。  そしてまた、新鉱の開発に当たっても、これから、それぞれの企業においても協力し合って鉱区及び資金、あるいはまた技術及び技能労働力というものを円滑に確保していく、そういう体制が望まれる地域が出てまいるのではないかと思うわけです。そういう意味では、そういう情勢に対応した開発の主体についても検討が進められることが望ましいと思います。  私のこのような見解に対して、この機会に大臣の所信をひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
  82. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のごとく五十年十二月の総合エネルギー対策におきまして、今後二千万トンの生産を堅持するということを決めましたが、御承知のとおりにこの二千万トンという数字は、なかなか容易なことではございません。政府といたしましても、鋭意努力をいたさなくては相ならぬのでございますが、ただいま先生が申されたごとくに現在稼働いたしております炭鉱、これをまずベースに置きまして、そうしてこれが確保をしなければならぬことは当然でございますが、御承知のとおりに、だんだん深部掘進になりますし、同時にまた経営の関係から申しましても、さらに一層の企業努力を必要とするのは当然でございます。  なおまた、これらの二千万トン計画というものを確保いたしますためには、現在操業中の炭鉱の周辺で行います石炭資源の開発調査制度、こういうふうなものを活用いたしましたり、あるいはまた現在進められております炭鉱生産が一層軌道に乗りますように、私どもは、お説のごとく今後ともに鋭意努力してまいりたい、かように考えております。
  83. 岡田利春

    岡田(利)委員 新鉱開発について答弁漏れがありますので……。
  84. 田中龍夫

    田中国務大臣 新鉱の問題におきましても、ただいまちょっと触れましたように、現在稼働いたしております炭鉱の周辺というものが、確実性の点から言ったら当然最も掘進すべきものだと存じます。その他いろいろと探鉱の問題につきましても、鋭意調査もいたさなくてはならぬと存じます。同時にこういうふうな問題につきましてのまず資金確保でありますとか、あるいはまた、これに対します政府のきめの細かい施策が必要である、かように存ずる次第でございます。
  85. 岡田利春

    岡田(利)委員 第三点として、本法の改正に当たって特に海外炭開発とそしてまた海外炭輸入、いわゆるいままでのエネルギー計画の中において、わが国エネルギー源としての石炭は海外から昭和六十年度に一千万トンを超える一千四百六十万トンの石炭輸入する、こういう計画が策定され、国内炭昭和六十年度で一般炭は一千万トンと想定をされておるわけでありますから、この比率はまさしく国内と海外の輸入では逆転をいたす見通しを立てておるわけです。したがってこの際、国内炭石炭産業を保護する、こういう立場、さらにまた、貴重な国内資源である国内一般炭の引き取りの体制の安定化、こういうことに常に留意を払ってまいらなければならないわけです。特にこういう計画に対して、国内の一般炭の引き取りがなかなか順調にいかないのではないか、あるいはまた輸入炭が多くなることによって一般炭の需給に関して混乱が起きるのではないか、実は関係者はこういう心配を持っておるわけです。私は、当然国内炭の優先引き取りという原則は明確に堅持をしてまいらなければなりませんし、またこれらの需給の調整に関しても特に何らかの、たとえば石炭鉱業審議会の組織的な機能を活用するとか、そういうような形においてこれらの調整をきちんと図っていくということがきわめて重要である、こう認識をいたしておるわけですが、そういう点について、この機会に大臣の見解を承っておきたいと思います。
  86. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  仰せられるごとくに、まず国内炭の安定的な供給を確保するということが、これが大前提でなければなりません。  なお、輸入炭というものを考えます場合におきましても、さらにこれらの外炭が、今日稼働いたしております国内炭の経営に対しまして不安を与えるというようなことや、あるいはまた圧迫をするというようなことがあってはならぬのでございまして、こういう点におきましては、先生がただいま申されましたごとくに、現行の輸入割り当て制度を効果的に運用いたす等、諸般の政策を進めてまいりたい、かように考えております。
  87. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  88. 岡田春夫

    岡田委員長 田中六助君。
  89. 田中六助

    田中(六)委員 通産大臣と労働大臣せっかく御出席でございますので、一問ずつ御答弁を願いたいと思います。  まず通産大臣に対してでございますが、先ほどから同僚の議員が触れておりますように、今月の一日、また昨日、連続して炭鉱事故が起こっておるわけでございます。私どもがこれらの法案整備しようというさなかにこういう事故が二件、一週間もたたないうちに連続して起こっているわけでございますが、きわめて皮肉なことでございますが、不思議と、過去を見ましても事故は連続して起こっております。そういう点で、十分保安面についての配慮を願いたいのですが、改めて通産大臣の御決意をお願いしたいと思います。それが通産大臣。  それから労働大臣は、炭鉱離職者の対策で、一部改正法案、私ども今回やっているわけでございますが、何しろ離職者は中高年齢の人ばかりでございまして、将来に対する不安を大きく持っております。緊就、開就事業、この継続、どの程度大臣はお考えか、その点を労働大臣にお尋ねしたいと思います。
  90. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般の二回にわたりまする連続の災害に対しまして、被害をこうむられました方方に対しましての深いお悔やみやら、あるいはまた今後こういうことをぜひとも繰り返さないような篤と特段の配意が必要であると存じまして、先ほども申しましたごとくに、直ちに担当官を現地にも派遣をいたし、さらに保安の問題につきましては十分に戒めてまいりましたような次第でございます。  なお、二千万トンの計画というこの中でまずもって考えなければならぬのは、いわゆる保安確保という問題と鉱害の防止というこの二つが今後の石炭対策の根幹でなければならぬ、かように私は存ずるのでございまして、私ども、本当に災害があってはならないし、災害のないことを本当に神に祈るような気持ちで今後の石炭政策を進めてまいりたい、かように存じております。
  91. 石田博英

    ○石田国務大臣 炭鉱離職者緊急就労事業、それから産炭地域開発就労事業、ともに現在の情勢を考えますとき、また離職者各位の現状を考えるときに、必要な間継続していかなければならず、また、継続するつもりでございます。
  92. 田中六助

    田中(六)委員 両大臣ともの決意をお伺いしましたが、炭を掘るということだけが目的じゃない。やはり人間性あるいはその他の条件、そういうものを十分御勘案の上対処を願いたいと思います。  質問を終わります。
  93. 岡田春夫

    岡田委員長 ただいま議題となっております四案中、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の三案についての質疑は、これにて終了いたしました。     —————————————
  94. 岡田春夫

    岡田委員長 これより三案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。山下徳夫君。
  95. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 自由民主党を代表して、ただいま議題となっております三法律案について、賛成の討論をいたします。  最近の国際的なエネルギー情勢は、石油情勢を中心といたしまして急激に変化いたしております。こうした情勢に対応いたしまして、今日、石炭資源について、より一層の活用を図るため、世界的に見直されてきております。  わが国石炭鉱業の現状を見ますと、現在の生産量は二千万トンを下回る状況にあり、経営状態も窮迫しております。したがいまして、現在の助成措置の継続等、適切な措置が必要であり、また、石炭を積極的に活用するために、鉱区調整の拡大、海外炭開発及び輸入が重要な課題となってきていると考えます。こうした観点から、去る昭和五十年七月、石炭鉱業審議会から、今後、石炭を可能な限り活用することを基本理念とする、新総合エネルギー政策のもとにおける石炭政策についての答申提出されたのは、すでに御承知のとおりであります。  本案は、この答申の内容を受け、提案されたものでありますが、以下その内容について触れますと、国内炭生産維持するための措置を講じますとともに、積極的に石炭の活用を図る措置といたしまして、今後、海外からの開発及び輸入を増加させるために必要な助成措置が新たに講じられております。さらに、答申の後、北炭幌内炭鉱発生いたしました災害を契機といたしまして、別途、保安対策の強化が図られたほか、本案で災害復旧のための助成措置が新たに講じられることになっております。まさに、石炭を重視する画期的な措置と考えるのであります。  以上のほか、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特例法、炭鉱離職者臨時措置法の延長措置が講じられておりますが、いずれも、今後とも必要な措置であり、賛成であります。  以上、簡単に賛成の理由を申し述べましたが、今日なお石炭鉱業の経営は赤字に悩み、容易ならぬ事態であります。政府が本案の諸施策を適確に実施して、一日も早く事態の改善を図るよう期待いたしまして、私の討論を終わります。
  96. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、岡田利春君。
  97. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました法律案に対して、きわめて簡潔に討論を申し上げたいと思います。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案については、昭和三十一年に、本法が制定されて以来、石炭産業政策をこの法律に基づいて進めてまいったわけであります。しかし、この間、中東戦争等の急激な情勢の変化等もあり、さらにまた、国際的なエネルギーの流体化の情勢の中で幾たびか見直しもされてまいりました。しかし、一貫してこの法律の志向するところは——国際的には石炭産業体制的整備が重要であり、そういう認識に基づいてイギリス、フランスでは国有化、公社化の方針がとられ、また西ドイツにおいては、御承知のように、ルール炭田一社化という画期的な方向を出し、石炭産業の安定とさらに積極的な石炭資源の活用対策を進めておるところであります。しかし、わが国は一貫して個別企業対策に終始をしてきたということ、そしてまた、今回の法律改正案についても同様、そういう立場に立って一部の改正が行われておるという点であります。  このことは、結果的に、日本石炭産業政策の大勢をなしてまいりました、第三次、第四次、第五次石炭政策に見られるように、いわばスクラップ・アンド・スクラップという傾向を深めてきたと言わなければなりません。第二次政策においては一時五千五百万トンの生産規模を確保したわが国炭鉱は、今日では一千八百六十万トンと、二千万トンを目標にしながらこれをも割るという深刻な情勢に立ち至っておるわけです。およそ鉱区の私有、そしてまた単位炭鉱が、それぞれわが国においては、特に地質及び地理的な条件の格差があるのにかかわらず、個別炭鉱対策を進める上においては、将来とも日本石炭産業の二千万トン体制を安定化することはむずかしいと指摘をしなければならないと思います。特に第四次、第五次政策においては、国際的なエネルギー情勢の中で、わが国石炭政策は、勢い原料炭確保に傾斜をし、その間、新鉱開発をされた三菱南大夕張、さらにまた引き続いて北炭新夕張、また三井三池の有明炭鉱の三炭鉱開発が進められましたけれども、いわば原料炭開発志向型であり、そういう傾斜を強めてまいったわけです。しかし、石油ショック以来、石炭資源がエネルギー資源として見直しをされている。いわば二次電力エネルギーにいかに石炭資源を活用するかという観点であります。残念ながら、そういう政策の中で、今日わが国の一般炭の炭鉱は、必要以上にスクラップされたと指摘をせざるを得ないと思います。  そして、本法改正に当たって、海外開発及び海外炭エネルギー源供給の多様化の政策に基づいて積極的に輸入をする、そしてまた、昭和六十年度には一千四百六十万トンという国内一般炭生産を上回る石炭輸入を図ろうという目的を持って、本法の改正提案をされておるわけです。このことは、われわれが一貫して指摘をしてまいりましたように、わが国の唯一のエネルギー資源である石炭産業の安定、そしてまた一定規模の確保、そしてまた石炭資源のさらに新しい活用、こういう主張に対する政府の施策のいわば混迷が今日の状況をもたらした、こう指摘をせざるを得ないと思います。  私は、そういう立場に立って、石炭鉱業合理化臨時措置法が、今回の改正に当たっては、むしろ石炭鉱業の安定の基本法として、石炭鉱業整備安定法として提案をされるのが、新政策答申の趣旨から言っても当然であるという立場の中で、本案に対して反対せざるを得ません。  ただし、今回の石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案の中で、附則をもって石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正、そしてまた、石炭及び石油対策特別会計法の期限の延長が同時に提案をされております。今日の石炭産業の経理状況、そして国が積極的な援助をするという立場から考えるならば、この経理規制法の期限の延長については、われわれは賛成の態度をこの機会に明らかにしておくと同時に、さらにまた、今後の石炭政策を進める上において、あるいはわが国エネルギー政策をさらに前進させるために、当面石炭及び石油対策特別会計法の五カ年間の延長についても、賛成であることをこの機会に明らかにいたしておきます。  同時にまた、本法改正の中で、電力用炭販売株式会社法を廃止し、その一部の業務を石炭鉱業合理化臨時措置法の中で定めている合理化事業団が受け継ぐという改正案が提示をされております。このことに一言触れておかなければなりませんけれども、今日の海外輸入炭の活用と国内炭との相対的関係において、より適正炭種を造出をし、そしてまた国内一般炭を保護するという立場から考えるならば、電力用炭販売株式会社法を廃止するということは一応容認するとしても、そういう機構を新たな観点で考えることが当然であったと思います。たとえば合理化事業団の出資に基づくいわゆる民間ベースの会社をつくり、そして、いま電力用炭販売株式会社法の中で扱っていた業務の一部が新昭和石炭株式会社に移行され、需給の関係については合理化事業団に分離をするという措置をとらない方が、より適確に運営できたものである、こう指摘をしなければならないと思います。  最後に、要約をして申し上げますと、そういう立場から、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正には残念ながら反対の意思を明らかにしなければなりません。と同時に、前述いたしました石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正及び石炭及び石油対策特別会計法の期限延長については賛成であることを、この機会に明らかにいたしておきたいと思います。  さらに、他の二案については、私どもは賛成であることを申し添えて、討論を終わります。  以上です。
  98. 岡田春夫

    岡田委員長 権藤恒夫君。
  99. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私は、公明党を代表しまして、ただいま議題になりました石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に関する討論を行います。  石炭鉱業合理化臨時措置法の果たしてきた役割り及び今回の改正点である北炭幌内炭鉱の復旧のための災害復旧資金融資の新設、閉山炭鉱の再開発を認める場合の要件の緩和などの前向きの姿勢は一応評価しますが、やはり一貫して流れている考え方は、消極かつ後ろ向きの域を出ないものと考えるものであります。  石油危機に直面し、国産エネルギー源重要性が再認識され、新たな見地からその確保が求められているとき、すなわち、石炭を初めとする国産エネルギー源の供給力を拡大し、将来にわたって一定の水準を確保することは、わが国経済並びに国民生活の安定を維持するための重要課題であります。かかる実情から、政府は、従来の石炭政策を抜本的に再検討し、石炭の位置づけ並びに将来のビジョンを明確にすべきであります。しかるに今回の改正では、何らそれがなされておりません。  さらに、一括提案されている石炭及び石油対策特別会計法改正案についてでありますが、この特別会計財源は石油関税である。ところが、先進国の多くは、関税政策産業保護や通商上の見地から運用しているのが現状でありまして、資金調達のための財政関税は世界の常識に反します。その上、産業の血液といわれる原油に関税をかけているのは、先進国ではわが国とアメリカぐらいであります。産油国の批判の的ともなりかねない状態であります。また特別会計法の延長が五年であるにもかかわらず、石油関税については二年の暫定措置であります。このような不安定な、そして世界の批判を浴びるような財源ではなく、新たな安定した財源措置を講ずべきであります。  以上の理由から、わが党は石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案反対するものであります。  また、他の二案については賛成であります。  以上、討論を終わります。
  100. 岡田春夫

    岡田委員長 安田純治君。
  101. 安田純治

    ○安田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、提案されている案件について討論を行います。  この案件中、特に反対である合理化臨時措置法の一部を改正する部分について、反対の討論を行うものであります。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案についてでありますが、今日までの政府エネルギー政策石炭政策の誤りを強く指摘せざるを得ないのであります。  この政府の誤りは、多くを論証する必要がありません。事業団買い上げ鉱区などの再活用の条件緩和などの法改正を余儀なくされていること自体、今日までの政府政策国内炭の放棄であったし、石炭資源破壊の政策にほかならなかったことを、何よりも雄弁に物語っているのであります。  しかるに、この改正案提案されて以来の本委員会における質疑を通じ、従来の政策に対する政府の真剣な反省の姿勢がついに見られなかったことは、はなはだ遺憾であります。なるほど口では二千万トン体制維持を唱え、国内炭優先を言いますけれども、たとえば夕張新二鉱の鉱命延長、東部開発などの問題について、政府調査団の派遣程度のことさえ踏み切ろうとしないのでありますから、とうてい国民を納得させる熱意ありとは言い得ません。私は、このことを強く指摘して、以下、反対の理由を述べます。  反対する第一の理由は、海外炭開発に対する政府の助成が、政府の対米従属、大企業本位のエネルギー政策下において、石油だけでなく、石炭までもメジャーや大企業に多面的かつ深く支配される呼び水となることが明らかであり、しかも国内炭を切り捨てさせた石油の役割りにかわって、海外炭がその役割りを果たす危険について、十分な歯どめが講ぜられていないことであります。  反対する第二の理由は、災害復旧に政府助成を行う際、災害企業責任を明確にし、労働者労働条件や安全を犠牲にしない災害対策に万全を期すことと、政府資金が適切に役立つような保証を確立することが重要でありますが、今回の法改正は、この意味でもきわめて不十分であることであります。  反対する第三の理由は、事業団買い上げ鉱区等の再活用の条件緩和について、国内炭の積極的な生産と十分な活用の立場から、たとえば国、地方自治体、企業、そして労働者が十分協議し、国民の納得できる管理制度を実施して、国内炭の完全な開発をするなどの措置を講ずるべきであるのに、その措置が講ぜられていない点であります。このままでは私的企業の意のままに、いいところだけのつまみ食いによる資源の荒廃をもたらすおそれがあります。  以上、要するに今回の改正は、政府の従来の誤ったエネルギー政策を大筋において変更するものではありません。  日本共産党・革新共同は、自主的、民主的な総合エネルギー政策の立場から、そして国民生活のエネルギー源確保し、国内炭開発を推進する立場から、政府提案石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案反対を表明して、討論を終わります。
  102. 岡田春夫

    岡田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  103. 岡田春夫

    岡田委員長 これより順次採決に入ります。  まず、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 岡田春夫

    岡田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  105. 岡田春夫

    岡田委員長 この際、田中六助君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。田中六助君。
  106. 田中六助

    田中(六)委員 提案者を代表して、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近の国際エネルギー情勢の変化に対応して、総合エネルギー政策の展開において積極的に石炭資源の活用を図るとともに、本法施行にあたり、特に、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、二千万トン以上の生産体制の確立のため、現存炭鉱生産の安定をはかるとともに、新鉱の開発を推進し、その開発主体についても検討すること。  一、石炭資源の積極的活用のため、石炭火力発電所の建設を促進し、国内炭の優先引取りの体制を確立するとともに、石炭の海外開発輸入にあたつては、合理的な輸入対策を推進すること。  一、炭鉱労働力確保のため、適正な労働条件及び生活環境の充実に努め、保安確保に万全を期すること。  一、産炭地域の振興を図るため、鉱害復旧を促進するとともに、産炭地域振興計画の見直しにあたつては、地元の意見を十分尊重し、企業の誘致及び既進出企業の育成等について適切な措置を講ずること。    なお、産炭地市町村の財政窮迫の実情にかんがみ、適切な措置を講ずること。  一、炭鉱生産保安技術の開発を促進するとともに、石炭の利用拡大のための技術開発を積極的に進めること。  一、石炭対策の的確な実施を図るため、必要な財源確保にさらに努めること。 以上であります。  決議案の内容は、審査の過程と案文によって十分御理解願えるものと存じますので、この際、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  107. 岡田春夫

    岡田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対して別に発言もありませんので、直ちに採決をいたします。  本動議に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 岡田春夫

    岡田委員長 起立全員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。田中通産大臣。
  109. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてはその御趣旨を尊重いたしまして、新石炭答申の線に即して今後の石炭政策の推進に万全を期してまいる所存でございます。  一言ごあいさつを申し上げます。     —————————————
  110. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 岡田春夫

    岡田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、炭鉱離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  112. 岡田春夫

    岡田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  113. 岡田春夫

    岡田委員長 この際、田中六助君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六派共同提案にかかる本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。田中六助君。
  114. 田中六助

    田中(六)委員 提案者を代表して、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、各種の援護業務を円滑に推進するとともに、特に、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、炭鉱離職者緊急就労対策事業、産炭地域開発就労事業については、就労者の就労及び生活の実態、産炭地域における雇用失業の状況を充分考慮し必要な間、継続実施すること。  一、炭鉱離職者が多く、再就職が極めて困難な北海道については、再就職の促進のため、援護業務の推進とあわせ、就職に関する相談指導、職業紹介活動等について一層充実強化すること。 以上であります。  決議案の内容は、審査の過程と案文によって十分御理解願えるものと存じますので、この際、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  115. 岡田春夫

    岡田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言もありませんので、直ちに採決をいたします。  本動議に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 岡田春夫

    岡田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。石田労働大臣。
  117. 石田博英

    ○石田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてその御趣旨を尊重いたしまして、今後の炭鉱離職者対策の推進に努めてまいる所存でございます。     —————————————
  118. 岡田春夫

    岡田委員長 ただいま議決いたしました各案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 岡田春夫

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  120. 岡田春夫

    岡田委員長 次回は、来る四月十三日水曜日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十四分散会