○
有吉参考人 最初のいささか親方日の丸の気風が残っておるんじゃないかというようなお話、少し
政府の
助成に依存し過ぎるのじゃないか、こういうふうなことでございますが、いわゆる
石炭が
エネルギー革命による撤退に入りましたのは、御承知のように、いまから二十年近い前、三十三年でございますけれ
ども、当時の国内の能率と申しますか、これは一人月十四、五トンぐらい、こういうことでございまして、ドイツとかフランスあたりがその当時二十四、五トン、こういうことでございました。それで千二百円ダウンという過酷な
対策に対応しなければならなかったわけでございます。確かに、ヨーロッパあたりで二十四、五トンなのに国内は十四トンというところには、これはわれわれ
石炭業界としてやはり考えなければならぬ点があるわけでございます。
ただ、ドイツ等の
石炭の賦存
状況と日本の国の
石炭の炭層の
状況、
自然条件と申しますか、これは圧倒的に違うのでございます。しかしそういうことを言っているわけにはいかぬということで、先ほ
ども陳述申し上げましたように、当時の十四トンから現在は七十トンから七十五トン、こういうことになっておりまして、これは西欧各国に比べますとはるかに高いのであります。アメリカのアンダーグラウンドがわずかにこれよりも高い、こういうところがあるのでございますが、私は最高の
水準に来ておるというような表現を使ったのでありますが、最高である、こう実は言いたかった。そういうことでございまして、そういう
努力を払ってきておることをひとつお答えをしたいと思うのでございます。
ただ、日本の
炭鉱は、先ほど申しましたように、平均深度五百四十メートル、こういうことでございまして、これからどんどん
深部に入っていくわけでございますので、ガス、盤圧、温度等非常に条件が過酷になってくるわけでございます。まず第一に、そういうものに対処いたします
保安上の問題、これを克服しなければなりませんので、私は、これから先の能率というものの飛躍的な上昇というのは非常に困難ではないか、こういうふうに考えております。
それから国の
助成ということだけではございませんで、一昨年の新
政策の答申によりまして、私
どもが極力訴えましたのは、二千万トンを
維持する、あるいは
石炭の位置づけというのは何かと言いますと、端的に言いますと、その
生産を担っております
石炭企業をやっていけるようにしてくださいというのが私
どもの主張であったわけでございまして、それには従来需要家と国と、とにかく金を出してくださらなければ
石炭はやっていけないわけです。ところが。需要家に行きますと、いや
政府から金をもらったらよかろう、
政府に行きますと、炭価を上げてもらったらいいじゃないか、こういうことでキャッチボール、投げ合いみたいなことであったのが、一昨年、新
政策の出るまでの実情でございまして、その根底にはやはり
石炭というものが要るのか要らぬのか、こういう問題があったと思うのであります。私は、
石炭というものをどうしても
維持するのだ、必要というのであれば、そういうボールの投げ合いをせずに、われわれも
努力をするが、ひとつ需要家と国も一緒になってとにかく
石炭がやっていけるようにしてください、こういう話をしてきたわけでございます。
したがいまして、その当時約千七百円の
経常収支の
赤字でありましたものが、国の
助成は大体横すべりかちょっとプラスか、その
程度で来ておるかと思うのでありますが、もっぱら需要家の炭価アップに
お願いをいたしまして、当時千七百円でありましたものが現在ではほぼ七百円見当、千円ばかり需要家の御負担において
改善をされておる、これが実情でございます。第一の問題はそういうことでございます。
それから、
石炭火力を増設をすべきではないかとか、
エネルギーに対する
石炭の位置づけと申しますか、これを、
業界においてどういうふうに動いておるのか、こういうことでございますが、これは民間といたしましてはこの一月十一日に、経団連
会長が総理大臣にお目にかかりまして、日本としては
エネルギーというものをもう少し本気で考えるべきじゃないか、こういう
一つの
提案を申し上げておるのは御承知のとおりでございます。
この窓口は経団連になっておりますが、内容的には、経団連それから
業界で結成をいたしております
エネルギー総合推進
委員会、それに日本原子力産業
会議という民間の三団体が中心になりまして、一昨年の七月に出ました総合
エネルギー調査会の答申をもう少し見直すと同時に、単なる
目標数字を掲げるということにとどまらずに、いかにそれを実現していくか、こういう手段、それまでもひとつ——手段の一番大きなものは財源でありますが、そういうものまでをひっくるめて考えるべきじゃないか。
それで、先ほ
ども話に出ましたように、石油というのは余り期待できない。現在、御承知のように三億キロ弱のなにでございますけれ
ども、一九八五年時点におきましても、中東の産油の
政策からいきますと、せいぜい三億五千万キロくらい、これが限度ではなかろうか、こういうふうな大方の見通しになっております。
そこで、諸外国の現在の動向というのは、
石炭というものにも非常に大きなウエートを置いておるわけでございまして、大体一九八五年くらいにおきまして
石炭の全
エネルギーに占める割合というのは二五%を超す。アメリカのパターンなんか見ますと、そういうふうになっておるわけであります。現在アメリカは六億トンくらいの
出炭をやっておりますが一九八五年には、一ころは十二、三億トンと言っておったのですが、いまは三倍の十七、八億トンを掘るのだ、そして、大きくそれにディペンドしていくのだ、こういうふうな
政策をいたしておるわけでございます。どうせ
エネルギー資源を持たない日本としましては、油を世界から求めなければならぬと同様に、
石炭もまた世界から求めて、そうして
エネルギーソースというものをやはり多様化していく必要があるのじゃなかろうか、こう思うのであります。
私
ども石炭業界も、幸いにしてそのメンバーの一員に加わっておりまして、ただいま、この前の総合
エネルギー調査会の答申では、一九八五年に一般炭千五百万トン、こういう
数字が出ておるのでございますけれ
ども、本当に
開発をするといたしますと、一体どこからどのくらいのものを日本に持ってこれるのだ、こういう作業をやっております。
それによりますと、来月いっぱいくらいには結論をまとめるつもりでおりますけれ
ども、本気になって取り組みますと、現在わかっておるところだけからでも四千万トンとか五千万トン見当のものは持ってこれるのじゃないか、こういうふうなことになっております。それにどのくらいの
開発資金が要るのか、それを日本としてどのくらい負担したらいいのか、それから同時に、日本における受け入れ
関係の施設としましてどういったことを考えたらいいのか、こういうことを現在やっておるわけでございまして、これを民間における総合
エネルギーの
考え方の一部としてひとつ実現方を
お願いをしたい、こう考えておるわけでございます。
それと並行いたしまして、そういうことを考えますもとになりますのは、まず
石炭というのは将来は、液化するとかガス化するとか、そういうクリーンな形において使っていく、それも進めておるわけでございますけれ
ども、当面の五年、十年という間は、
石炭を生でたく、つまり
石炭火力発電所というものが中心になる、こう思うのでございます。したがって、大々的に
海外炭を
開発をして
エネルギーの一端を担わせるというその出発点におきまして、電力
業界が
石炭を使おうという気持ちになってもらいませんと、どうにもならぬわけでございます。
それで私は、そういう話をあちこちでして回っておるわけでございますが、午後は電発さんの話があります、電発さんには大いにそういう気持ちになってもらっておるのでございますが、九電力さんは、ほんの一部の人たちを除きまして全然、いまでも、マクロ的に見ると
エネルギーが足らぬということはもうはっきりしているのですが、
石炭はだめだ、こういうのが現在大きな風潮でございます。
なぜ
石炭はだめかと申しますと、
石炭はだめだと言って一遍
石炭から油に転換をされた電力
業界としまして、そういう
一つの過去の経緯もございましょうが、やはり
石炭はダストがあるとか、それから一番問題なのはNOXでございまして、
石炭そのものにNというものを含有しておりますので、NOxが油の三倍くらいあるわけです。だから、立地上のコンセンサスを得ると言ったって
石炭を使うということは全然問題にならぬというのが電力さんの大きな理由でございます。
しかし、燃焼のあるところ必ずNOxがあるわけでございまして、この
石炭のNOx問題は
一つの
程度の問題である、つまりコストの問題である、こう考えておりますので、私
どもは技研を中心にいたしまして、
政府の補助も受けておりますが、電発において
石炭燃焼の場合のNOx
対策というのを
研究いたしております。あわせて、各メーカーがNOx
関係の
研究はSOxの場合と同じようにどんどんやっておるわけでございますから、その情報を集めまして、そして
石炭特有の問題がありますれば、やはり
業界としてもある
程度金を出してでも
石炭特有のNOx
対策というものをつくり上げていきたい、こういうことでいま取り組んでおる次第でございます。全面的な御返事になっておりませんが、そういうふうなことでやっておる次第です。
それから
最後の、五十六年まで石特法を延長していただいて大変ありがたいのでありますが、実は財源をどう考えておるかという問題につきまして、これも私
どもも本当にどうしたらいいのか、
重油関税は
あと一年でございますので、私
どもとしましても、先ほど申しましたように、とにかく
お願いをしているのでありますが、どういう財源をつかまえてきたらいいのか、この辺が私
どもにもまだ案がないわけでありまして、これはひとつよろしく
お願いを申し上げたい、こういうことでございます。