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1977-03-30 第80回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月三十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 岡田 春夫君    理事 愛野興一郎君 理事 楢橋  進君    理事 山下 徳夫君 理事 岡田 利春君    理事 多賀谷真稔君 理事 西中  清君    理事 西田 八郎君       大坪健一郎君    藏内 修治君       篠田 弘作君    菅波  茂君       三池  信君    山崎平八郎君       中西 績介君    細谷 治嘉君       権藤 恒夫君    野村 光雄君       安田 純治君    中川 秀直君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君  委員外出席者         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君         参  考  人         (日本石炭協会         会長)     有吉 新吾君         参  考  人         (日本炭鉱労働         組合中央執行委         員長)     里谷 和夫君         参  考  人         (全国石炭鉱業         労働組合中央執         行委員長)   岡  新一君         参  考  人         (全国炭鉱職員         組合協議会議         長)      鈴木 照生君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)   両角 良彦君         参  考  人         (電気事業連合         会専務理事)  藤本  得君         参  考  人         (全国鉱業市町         村連合会副会         長)      藤井 儀作君         参  考  人         (全国鉱業市町         村連合会副会         長)      吉田  久君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   野田  毅君     藤田 義光君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出第三一号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)  石炭資源活用法案岡田利春君外二名提出、衆  法第三号)      ————◇—————
  2. 岡田春夫

    岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭資源活用法案を議題として審議を進めます。  本日は、各案につきまして、参考人から御意見を聴取することにいたしております。  午前中は、日本石炭協会会長有吉新吾君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長里谷和夫君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長岡新一君、全国炭鉱職員組合協議会議長鈴木照生君の御出席をいただいております。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、御意見開陳はお一人十分程度お願いいたしたいと存じます。  議事の順序につきましては、まず参考人各位からの御意見をお述べいただいた後、委員各位からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それではまず、有吉参考人お願いいたします。
  3. 有吉新吾

    有吉参考人 日本石炭協会有吉でございます。  諸先生方並び関係当局におかれましては、政策の決定及び予算確保等につき種々の御配慮にあずかり、また本日は、当委員会におきまして意見開陳機会を与えられまして、まことにありがたく厚くお礼を申し上げる次第でございます。  初めに、石炭鉱業現状を簡単に述べさせていただきます。  協会傘下企業は現在七社でございまして、炭鉱数は十四炭鉱で、ほかに協会外炭鉱が十七炭鉱ございまして、全部で三十一炭鉱となっております。労務者数は現在直轄鉱員二万二千六百人、生産能率労働者一人当たり月々七十五トン前後となっており、坑内採掘においては世界最高水準にあります。採掘深度坑口水準下五百四十メートル、年々深部に移行していく傾向にあります。生産につきましては、組合協力のもとで保安確保最大目標として努力してまいりました結果、五十一年度は幸い大きな災害もなく、順調に推移をいたしまして、合理化実施計画の千八百六十万トンをほぼ達成する見込みでございます。石炭の一トン当たり山元生産費は約一万二千五百円見当でございまして、うち約六五%が労務費でございます。政府並びに需要業界の御協力による助成と炭価の引き上げによりまして、年々収支改善が見られておりますが、依然といたしまして赤字基調を脱することができず、本年度の経常収支はまだかなり赤字となる見込みでございます。  また、私ども石炭企業で設立しております石炭技研におきましては、業界共同負担と国の援助のもとで、採掘、掘進切り羽機械化運搬技術等生産向上のための技術研究と、ガス突出防止、山はね防止等深部化に伴う保安技術開発及び加工利用、選炭、公害防止技術等、広範な研究を続けておりまして、着々とその成果を上げているところでございます。  一昨年総合エネルギー政策のもとに石炭鉱業の位置づけが決定されまして、唯一国内資源である石炭生産維持海外炭開発輸入石炭利用技術開発促進の三本がその柱とされております。また、国内炭生産維持のためには、石炭企業経常収支ができるだけ早い機会に黒字となることを目標とすべきであるとされております。  私ども業界といたしましては、石炭エネルギー資源多元化のために改めて見直されたことを高く評価し、その国家的負託にこたえるために、万全の努力を払っているところでございます。この新石炭政策に関しましては、一昨年七月二十一日、本委員会において陳述いたしましたので、本日は省略させていただきます。  さて今回、新石炭政策具体的裏づけとして法律改正案提出されているところでございますが、私どもは、石炭鉱業現状認識に立って、すなわちまだ経常収支かなり赤字であること、今後炭鉱深部化に伴うコスト増のあること、物価上昇賃金上昇等を考えた場合、現行の各種助成制度維持存続お願いしていたところでございます。幸い通産省提案法改正案は、合理化基本計画目標年次昭和五十六年度末まで延期し、事業団の従来の各種助成策を継続することとされ、新たに石炭鉱山における大規模災害発生に対する処置として、資金貸し付け債務保証制度と、海外炭開発に必要な資金貸し付け及び債務保証制度を取り入れていただきましたことは、画期的なことと喜んでいる次第でございます。  次いで、石炭資源活用の見地から、閉鎖した鉱区または事業団が買収した鉱区の再開発のための鉱区調整と、電力用炭販売株式会社の廃止に伴う電力用炭一手購入販売業務合理化事業団に移管することとされており、時宜を得た御処理と考え、賛意を表するものであります。  今後私ども石炭業界としましては、これらの措置実施されるに伴って、国内炭安定供給の責めを果たしていくことに最大努力をするつもりでございます。また、世界的エネルギー供給構造の変化に対応し、海外炭開発に際しましても、石炭業界が参加することによって、エネルギー安定供給に資するよう努力いたします。  以上述べましたとおり、今回の法律改正は、私ども業界にとりましては、当面の情勢に即して妥当なものであると考えている次第でございます。  最後に一、二の点について御要望申し上げたいと存じます。  一つは、財源問題でございます。すなわち、石特会計法は、今回の改正により昭和五十六年度まで延長されますが、五十二年度の予算編成におきまして、不足財源を賄うための原重油関税引き上げについて、関税率審議会で問題となり、結局二ヵ年間の措置ということで認められたと仄聞しているのでございますが、引き続き、その必要財源確保するための対策を早急に確立していただくことでございます。  二つ目には、わが国におきましては、残念ながらまだエネルギー問題に関心が薄く、特に石炭重要性につき、完全な国民合意を得るに至っておりません。エネルギー政策から見た石炭需要拡大策として、特に石炭火力発電所の建設につきましてよろしくお願いを申し上げて、私の陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  4. 岡田春夫

  5. 里谷和夫

    里谷参考人 炭労里谷でございます。  当委員会では、石炭産業の当面する問題、将来の問題につきまして大変な御討議をいただき、私どもに元気をつけていただいておりますことを心から感謝を申し上げます。  私どもは、いま石炭産業安定のためにいろいろの施策を行ってまいっておりますが、まず最初に、現状について申し上げたいと思います。  不幸にいたしまして、一昨年の十一月の幌内の重大災害で九〇%を水没するという状況にございましたが、いろいろな国の施策当局のいろいろの御努力によりまして、幌内炭鉱災害問題がこのたびの法改正の中で議論あるいは予算づけをされることにつきまして、心から敬意を表するものでございます。  北炭現状を申し上げますと、幌内はあと一週間程度で水を揚げられる状況になってございます。したがって、労使確認をいたしました六月十三名の遺体の収容、十月出炭開始、この状況について鋭意奮闘いたしているところでございますし、なお五百四十名の鉱員夕張の新鉱にいまもなお出向しているという状況でございます。  新鉱でございますが、二月以降五千トン出炭体制でいろいろの対策を進めてまいっておりますが、現状のところ四千トン内外の出炭ということで、労使交渉におきましても、五千トン体制を早急に確立するため努力をいたしておるところでございます。  三点目は、真谷地炭鉱自立再建の問題でございますが、二月一日に労使協議が行われまして自立再建確認をされ、現状一千六百トン以上の出炭を好調に続けているというところでございます。  夕張第二炭鉱の件でございますが、労使炭量調査を行いまして、結論は出たのでございますけれども鉱命延長の問題についていまもなお交渉を行っていますが、昨日団体交渉を行いましたが、すでに会社閉山提案をする、あるいは閉山提案をするのは時間の問題、こういうような態度になっていることを御報告申し上げなければなりません。そういう意味で、いろいろ再建努力をしてまいりましたが、昨年の賃金が四〇%しか支給されない、こういう現状の中で再建のために努力をしているということが一つでございます。第二の問題でありますが、今月の二十一日、二十五日の両日にわたりまして住友炭鉱といろいろ協議をいたしておりますが、主題は経営不振によるということでございまして、累積赤字七十五億、五十二年度の経営悪化二十七億という中で組合に提示されてまいりました案は、十一億に及ぶ資金捻出のために、現在協定している賃金の約一七%をダウンしたい、こういう申し入れがございます。したがって、今年の四月一日から新しい賃金になるのでございますけれども、これの見通しは全然ない。こういう提案がございまして、私ども今年度の賃金の展望を示すべきである、こういう意味会社と現在交渉を行っているところでございます。  北炭住友現状の御報告を申し上げましたのは、四十九年の通産大臣のわれわれに対する賃金取り扱い、あるいは環境整備政府回答、あるいは一昨年の七月の第六次石炭答申を見ましても、二千万トン以上の生産拡大を図っていく、こういう方向であるにもかかわらず、現状は依然として七社間の企業間格差は増大をしてまいりますし、その企業安定のためには労働者労働条件をダウンすることによって推移しなければならぬという現状を考えてみまするときに、まさにたくさんの回答政策はございますけれども国内炭を二千万トン以上拡大生産するということについてきわめて悲観的な心境に立ち至っているのでございます。  このほか、私どもなりに判断をいたしますと、経営悪化を招くような自然条件を持った炭鉱もございます。個々に労使関係だけで炭鉱存続を議論するということになりますと、二千万トン体制はもう瓦解をするのにも等しいのではないか、こういう考え方を持っている次第でございます。したがって、この国会で、当委員会で議論されます四法案の問題につきまして、これらいま私どもが当面している問題を十二分に理解をして、どこに対策の重点を置くべきか、この見定めを明確にしていただきまして、石炭産業安定のために健全な政策を施行していただきたいと思うのでございます。  きょうの参考人は、四つ法案についての意見陳述でございますが、それぞれ炭労としての考え方を持っていますが、時間の制約がございますので、具体的に申し上げられませんが、たとえば石炭鉱業合理化臨時措置法改正法案につきましては、五つの考え方を持っています。  それは、政策助成制度存続それ自体に反対ではございませんが、わが国石炭産業拡大生産を目指すこと、現場の保安生産体制近代化を大幅に促進すること。  二つ目は、重大災害復旧資金貸付制度について出されておりますが、この貸付枠返済条件等について当該炭鉱再建に重圧とならないよう配慮する必要があると判断をいたします。  三つ目に、海外炭開発問題、電力用炭その他の問題がございますが、割愛をさせていただきたいと思います。  四つ目に、石炭対策財源確保の問題でありますが、当面、石炭及び石油対策特別会計制度存続石炭勘定として十二分の十の確保お願いしたいと思うのでございます。  なお、最後でございますが、改正法案には含まれていない問題ではございますが、この際、合理化臨時措置法名称を、国内炭の完全有効な開発利用を目指す、そういう前提に立って、それにふさわしい法律名称改正をすることを申し上げておきたいと思います。  時間がございませんが、この四法案の中で、石炭資源活用法案の審査が行われていることを私ども十二分に承知をいたしています。昭和三十七年以降、炭鉱労働者、そして家族、その地域を守るために闘いを進めてまいりましたが、この今回提案をされています石炭資源活用法案を拝見いたしますと、当面する問題を解決するには、この法案現実に成立することである。こういう自信と確信を持って、賛意を持って私ども見詰めてまいっております。どうぞこの委員会で、石炭資源活用法案の成立を見ることをお願いをいたしまして、炭労意見陳述を終わります。  ありがとうございました。
  6. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、岡参考人
  7. 岡新一

    岡参考人 全炭鉱の岡でございます。  長い期間、私たち、石炭問題につきまして、当委員会で真剣に、しかも石炭産業の将来について御検討いただきます先生方に対して、心からお礼を申し上げます。  すでに前置きを申し上げるまでもなく、資源有限時代を迎えまして、非常に容易ならない資源エネルギー情勢である。そういうことから、第六次政策におきましては、安定供給の一翼を担う、そういうことから二千万トン体制ができました。私どもは、この政策を、国内炭生産維持がその一つ。それから海外炭開発及び輸入円滑化がその第二。第三番目が石炭利用技術研究推進。この三点が大きな柱である、こういうようにとらえておるわけでございます。  しかし、実施第一年目を経ました現在、北炭幌内鉱の不幸な事態などに起因いたしまして、石炭産業全体としてまだその実効をおさめ切らない事態にあることを大変残念に思っておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、この二千万トン以上の生産確保というのは、これが一番大きな柱だ、そういうことから、われわれの関係炭鉱といたしましては、まず三池では五百二十万トン体制に対して、上期の出炭減を補いまして、五百二十三万トンに大体なると思います。それから松島におきましては、百十万トン計画に対して、すでに百二十五万トンを上回る努力をいたしております。  この両面から見ますと、松島あるいは三池はいいではないかというような見方でございますが、これはただ表面の数字だけから見ますと、非常によくなったというような印象を受けるわけでございますけれども、その内容は、たとえば松島におきましては、坑内が非常に深部化したために、その出炭確保するためには、運搬関係において四交代九時間作業をしなければならぬというような実態があるわけでございます。  それじゃ正常な労働をすればいいじゃないかという問題もございますが、正常な労働をいたしますと、九十万トンにも満ちません。したがって私どもは、さきの石炭政策にありますように、坑内骨格構造改善するというようなこともうたわれておりますから、その間何とかわれわれ努力をしようということで、その努力の結果がこのような数字になっておるわけでございますから、問題はこれからだ。非常に老朽化してまいりました、いわゆる閉山あるいは崩壊寸前に追い込まれました炭鉱、これは全炭鉱関係炭鉱だけではございません。炭労さんを含めまして、全部の炭鉱が非常に深部化し、しかも老朽化してきておる。そういうようなことから、この坑内骨格構造改善しなければ、業界全体として、将来ともに二千万トン以上の安定供給確保はできない、このように考えておるわけでございます。  そういうことから、私といたしましては、いまの主要坑道、これは立て坑を含めました主要坑道、こういうものを国有道路にする、いわゆる高速道路と同じような国有道路にいたしまして、そしてそれを買い上げていただく。国として、その坑道を今度は維持していただく。もちろんその管理は、それぞれの炭鉱でいたしましょうが、そういたしますと、坑内坑道十分離隔距離等もとれますし、しかも保安上も安全な通行道路あるいはまた運搬道路にもなるんではないか。しかもそれを使用する場合には、いわゆるレンタル料として使用料はお支払いをする、そういうような形での再建方法もあるんではないか。これは、一つの試案としてそういう方法も考えておるわけでございます。  いわゆる今後の石炭というものは、国内資源確保のために、経済性のみにとらわれることなく、有効活用をしていただくことが大事ではないか、このように私どもは考えておるわけでございます。  そこで、石炭産業全体に係る助成措置の問題として、二千万トン以上をどうしてもこれは安定供給をさせなければならぬ、こういう立場から、たとえばその一つとしては、先ほど里谷委員長も申し上げておりましたけれども石炭及び石油対策特別会計、これを五十二年度以降もやはり存続をしてもらいたいし、しかもその使途については、前向きにこれをひとつ使っていただきたい、そして対策費財源の強化をお願いしたいという点がございます。  また、いま助成をいただいております坑内骨格構造整備拡充事業費補助金等も、率においてはかなり高い率に見えますけれども、実際においては四〇%程度にしかならないわけでございます。いわゆる頭打ち等がございます。  それからまた、災害が起きた場合に重大災害復旧特別貸付金制度の新設、こういう問題等の提起もわれわれは持っておるわけでございます。  それから、炭鉱労働者の福祉を増進するために住宅、これはけさのテレビでも出ておりましたが、遠隔地にある、あるいは狭い住宅にはなかなか人が入らないというようなことも出ておりましたけれども炭鉱住宅も非常に狭うございます。やはり若年労働力、魅力ある炭鉱とするためには、住宅改善も必要ではないか。あるいはまた古くなった炭鉱住宅、これを建てかえようとしても、それを撤去する場合には、これは自費でやらなければなりません。これは撤去費用かなりかかるわけでございます。こういうものも近代化融資の対象にしていただくということが、住宅関係改善、こういうようなものにも結びつくのではないか。  医療の問題あるいは保健体制問題等も多々ございますが、やはり自己資金というものがかなりかかるということになってまいりますと、そういうものもおくれてまいります。  それから石炭鉱業年金基金制度がございますが、これも他年金との対比ではかなりおくれております。こういうものも、もっと魅力のあるものにということを考えますと、仮にこの金額を二倍にするということになりますと、掛金が六倍というようなことでございますから、やはりこれは企業拠出金任せということではなくて、もっと石炭対策の中で魅力あるものにできないものかという考えがあるわけでございます。  そのほかにも、われわれは全炭鉱として従来から提起してまいりましたいろいろな意見、要望、要請等があるわけでございますけれども、それははしょりまして、主な点だけにあと三点しぼらせていただきます。  まず、輸入炭でございますが、私どもは、これは賛成の立場をとっております。とっておりますけれども、これは国内炭を圧迫しないということを法的規制、そういう中で明らかにしていただ希ないと、やはり国内炭はまた三十年ごろのあの労い油に圧迫される、今度は安い石炭に圧迫されるこういうことになりはしないか。そういう懸念もは、明確にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  それから次に、石炭関係法規改定でございますけれども、新石炭政策につきましては、非常にわれわれは評価をいたしております。しかしながら、その路線のねらいに適切に即応するということが最も大事な問題ではないか。したがって、新石炭政策のあの文章を現実のものとして、それが各炭鉱に生きていくというような形にこの諸法規改定については、ひとつ十分御配慮お願いしたいと思うわけでございます。  それから最後に、先ほど有吉会長も申しておられましたが、石炭見直し石炭活用必要性認識について、石炭見直しというものがもっと国民全階層に行き渡るようにしていただきませんと、石炭見直しというものが本当に浮かび上がってこないのではないか。国会の中では諸先生方が、やはりこれから先のエネルギー問題について非常に真剣に配慮をしておられます。そしてまた、そのために国内唯一資源である石炭を使わなければならぬということについては、国会内合意を見ておられるように私は理解をいたしております。ところが、地方に参りますと、必ずしもそうではございません。したがって、ひとつ先生方、御苦労でございましょうけれども、われわれも努力をいたします。どうぞこの石炭見直し石炭を活用しなければならぬのだということをもっと国民全般に広げていただく諸措置を講じていただければ幸いであろうかと思います。  最後に、私どもは、この二千万トン確保についてできるだけの努力をいたしますので、そしてまた必ずこれを確保するようにいたしますから、その間ある程度の無理もして努力もいたしますから、できるだけ早い時期に正常な労働、これができますように対策を講じていただきたい。  以上、私、舌足らずの点もございましたが、全炭鉱を代表しての意見陳述にかえさせていただきます。
  8. 鈴木照生

    鈴木参考人 炭職協の鈴木でございます。  日ごろ石特の先生方には、石炭産業の安定のため何かと特段の御配慮をいただきまして、ありがとうございます。  五十年の七月に出されました新しい石炭政策の答申、これは新しい総合エネルギー政策のもとにおける石炭政策についての考え方、そしてあるべき姿を明示していると判断いたしまして、われわれはこの答申を高く評価しておったところでございます。と同時に、答申の趣旨が具体的な展開の過程で一〇〇%生かされることを期待しましたし、と同時に早急な具体化を待っておりました。  その具体的展開に際しましては、国内炭を長期的に安定して維持していくためには企業収支と財源問題、財源問題といいますのは、政策助成と炭価問題でございますが、これを最重点項目というふうに私たちは認識しております。  すなわち、国内炭を長期的に安定して維持するためには、石炭企業収支が安定する、こういうことが不可欠の要因でございまして、したがって、企業経理の問題は経営者だけの問題でなく、われわれにとりましても重大関心事であります。しかも、企業経理の健全化を実現するかどうかという問題は、政策助成と炭価問題のいかんにかかっているというふうに認識しております。  このため、われわれは、石特会計の制度を堅持する、そういうことによりまして、政策助成財源の基盤を確立するということとあわせまして、炭価問題につきましては、コストをカバーした上である過程の内部留保、これは通常の益金を意味するわけではございませんが、ある程度の余裕を持った資金繰りということが可能になるような炭価決定のルールの確立を主張してきたところでございます。  こうした観点から、今回の石炭関係法律改正を見ますと、炭価問題には何ら触れておりませんで、政策助成と炭価問題というのは、前にも述べましたように、車の両輪というふうな観点から見ますときわめて遺憾でございますが、石特会計の堅持という問題と、その他積極的な助成制度の新設、こういうようなことがございますので、新しい政策の具体的な方向性が出された、しかも具体的な展開への一歩を踏み出したということにつきましては、一応評価できるというふうに考えております。  まず、石特会計法の五ヵ年延長につきましてでございますが、政策助成の財源確保、そういう意味から高く評価できるというふうに考えております。しかしながら、石特会計が維持されるとはいうものの、五十二年度の政策の予定額を見ますと、助成財源というのは十分とは言いがたいのではないかというふうに考えております。  すなわち、坑内骨格構造整備拡充事業費補助金や鉱山保安確保事業費補助金は、絶対額では前年度よりわずかではありますが上回っておりますが、物価上昇、そういうような要因を考えますと、必ずしも実質的には前年度を上回っていない、逆に下回っているというふうに考えられます。生産体制の確立のための助成が薄いと言わざるを得ない。  石特会計の収入の大宗は原重油関税からの収入でありまして、五十二年度は、いろいろな御努力によりまして関税率の引き上げというものがありましたが、これは二年間の暫定措置ということでございまして、加えて、今後石油の輸入量の大きな伸びというものが見込まれないのではないかというような観点から、政策助成の合理的な限度を無視するということではございませんが、政策財源について抜本的な施策の必要があるのではないかというふうに考えております。  次に、石炭鉱業合理化臨時措置法についてでございますが、合理化基本計画目標年度を五年先に延長したということは、国内炭を長期的に安定して維持していくということのためには必須の要件であり、当然のことといいますか、評価できるというふうに考えております。  さらに、災害の復旧に必要な資金貸し付け並びに借り入れに係る債務の保証が新設されましたことは、企業収支が悪く、借入金の増加というような悪循環のため慢性的な資金不足の実態にある石炭産業にとりまして、重大災害時におきますところの復旧費の負担は非常に重いわけでございまして、本措置は当を得たものど思い、高く評価できるというふうに考えております。  ただ、この資金貸し付け及び借り入れに係る債務保証が、災害復旧が石炭鉱業の合理化の円滑な実施を図るため必要と認められた場合に限られている。このことは肯定できるものでございますが、その認定に当たりまして、単に経済性のみにこだわることなく、国内炭維持活用、二千万トン体制の堅持、こういうような積極的な立場から判断を下していただきたいものだというふうに考えております。  なお、これの予算措置はすでに石特会計に組み込まれておりますが、今次の復旧には著しく多額の資金を必要とする、こういうことだけに予算も相当の額となっておりますが、前述いたしましたように、生産体制確立の助成金が実質的な増額がないというようなことからも明らかなように、石特会計の財源が十分でないというようなことを勘案しますと、災害復旧資金の財源措置につきましては、前向きの政策助成にしわ寄せのないような配慮がなされてしかるべきであるというふうに考えております。  次に、海外石炭の探鉱資金貸し付け及び海外石炭開発資金借り入れに係る債務保証の新設につきましては、現在、巷間エネルギー問題につきまして非常に大きな問題となっておりますが、長期エネルギー計画が原子力発電の核燃料の供給や技術問題や環境問題こういうものから開発がおくれております。また一方、LNG、液化天然ガスの供給先、こういうものの確保難ということから大量輸入が困難視されているため見直しを迫られておるわけでございますが、さらに原油の構造的な供給不足ということも懸念されておりまして、石炭の増量ということへの取り組みが世界共通の問題として取り上げられております現状からいたしまして、わが国にとりましても、従来のような単純買い付け輸入、まあ資源ナショナリズムの問題もございますので、そういうようなことでなくて、やはり海外石炭開発輸入ということは必至な問題であろうと思います。そういう点から、答申の趣旨に沿ったものというふうに考えまして賛成の立場をとっております。  しかしながら、輸入炭国内炭を圧迫してはなりませんし、また各種エネルギーの価格プール化というような観点、すなわち、答申には、競合エネルギーにより割り高となった場合には国民経済的に許容される範囲内での割り高分を吸収するということがうたわれておりますが、そのような観点から、やはり輸入炭国内炭の価格プールというような場合、あるいは海外炭開発輸入という問題につきましても、これは非常に大きな問題でございますので、海外炭開発援助、こういうものを統一的に取り扱うという点と、それからあわせて輸入炭の統一取り扱いの機構、こういうものを考えますときに、石油業界におきますところの石油開発公団でございましたでしょうか、そういうようなものが石炭鉱業のバックアップの機構といたしまして、あってしかるべきではないかというふうに考えております。  次に、「鉱床の一体的な開発のため必要な場合における採掘権の取得及び処分」に関する要件を緩和する、こういうことでございますが、新鉱開発への積極的な取り組みのための措置理解して賛成いたします。国内炭開発可能性調査が二ヵ年間にわたりまして実施されたというふうに聞いておりますが、開発地域の的もそろそろしぼられてきたというふうに考えておりますので、早急に新鉱開発に着手されることを期待しております。  その他、産炭地における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置法及び炭鉱離職者臨時措置法の五カ年延長につきましても、現状から判断いたしまして、当然の措置というふうに考えております。  終わりに、新しい政策が答申されまして一年余りを経ておりますが、ようやく答申の具体的展開の一歩を踏み出したというふうに考えております。石炭鉱業合理化臨時措置法改正が、その目的といたしますところの石炭鉱業の合理化と安定化ということについて、答申の基本理念に沿りた姿勢で整備されんとする点につきましては、評価できるというふうに考えております。  しかしながら、新しい石炭政策が緒についたばかりでございまして、先ほども触れましたが、炭価決定のルールだとかあるいは労働力の確保、こういうような問題が数多く残されております。こういう重要な問題が山積みとなっておりますし、問題解決のため、委員長を初めとする諸先生方の御理解と御支援をお願いする次第であります。  むろん、われわれといたしましては、供給の安定と生産性の向上ということが国民の皆様方の御理解を得る唯一の道というふうに信じております。そのため全力を尽くすことを申し添えまして、私の陳述を終わります。  どうもありがとうございました。
  9. 岡田春夫

    岡田委員長 以上で参考人意見開陳は終わりました。     —————————————
  10. 岡田春夫

    岡田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大坪健一郎君。
  11. 大坪健一郎

    ○大坪委員 いま参考人の皆さんからお話を伺いまして、石炭産業が非常に苦境の中で皆さんの非常な御努力で今日まで再建策を講ぜられておるということは大いに敬意を払うところでございますが、ただいまそれぞれの方々から御意見を伺いましたところによりますと、率直に申し上げて、石炭産業の、昔から親方日の丸思想と申しますか、そういう考え方が若干まだ残っておられるのではないかというような感じがいたすわけでございます。  時間がございませんので、簡単にはしょって御質問申し上げたいと思いますが、最初に協会の有吉会長にお尋ね申し上げたいと思います。  総合エネルギー政策のもとで石炭産業の見直しが考えられておるわけでございます。しかし、経常収支を黒にするための石炭業界の御努力というものが、ある意味で言えば、国の助成依存の体制にまだ非常に傾斜しておるように見えるわけでございます。たとえばエネルギー問題の関心が国民に薄い、もっと政府でPRをしてくれというようなお話もございます。それから石炭火力発電所の建設についても、もっと積極的に取り組めというようなお話がございますが、石炭協会あるいは石炭業界として、こういう問題についての御努力をどのようにお払いになっておられるのか。  それから合理化基本計画目標が五十六年まででございますけれども、その助成措置継続について、これは石炭石油特別会計の存続の問題とも関連いたしますけれども、石油の輸入量の増大が見込み薄であるし、石油の価格上昇はOPEC等の動向から見ても将来なお累年行われるであろう、そういう情勢の中で、石油関税を引き上げるという措置に依存するだけの考え方でこの財源確保ができるかどうかという問題もあるわけでございます。その辺について、まず、基本的な問題でございますので、有吉さんの御見解を承りたいと思います。
  12. 有吉新吾

    有吉参考人 最初のいささか親方日の丸の気風が残っておるんじゃないかというようなお話、少し政府助成に依存し過ぎるのじゃないか、こういうふうなことでございますが、いわゆる石炭エネルギー革命による撤退に入りましたのは、御承知のように、いまから二十年近い前、三十三年でございますけれども、当時の国内の能率と申しますか、これは一人月十四、五トンぐらい、こういうことでございまして、ドイツとかフランスあたりがその当時二十四、五トン、こういうことでございました。それで千二百円ダウンという過酷な対策に対応しなければならなかったわけでございます。確かに、ヨーロッパあたりで二十四、五トンなのに国内は十四トンというところには、これはわれわれ石炭業界としてやはり考えなければならぬ点があるわけでございます。  ただ、ドイツ等の石炭の賦存状況と日本の国の石炭の炭層の状況自然条件と申しますか、これは圧倒的に違うのでございます。しかしそういうことを言っているわけにはいかぬということで、先ほども陳述申し上げましたように、当時の十四トンから現在は七十トンから七十五トン、こういうことになっておりまして、これは西欧各国に比べますとはるかに高いのであります。アメリカのアンダーグラウンドがわずかにこれよりも高い、こういうところがあるのでございますが、私は最高の水準に来ておるというような表現を使ったのでありますが、最高である、こう実は言いたかった。そういうことでございまして、そういう努力を払ってきておることをひとつお答えをしたいと思うのでございます。  ただ、日本の炭鉱は、先ほど申しましたように、平均深度五百四十メートル、こういうことでございまして、これからどんどん深部に入っていくわけでございますので、ガス、盤圧、温度等非常に条件が過酷になってくるわけでございます。まず第一に、そういうものに対処いたします保安上の問題、これを克服しなければなりませんので、私は、これから先の能率というものの飛躍的な上昇というのは非常に困難ではないか、こういうふうに考えております。  それから国の助成ということだけではございませんで、一昨年の新政策の答申によりまして、私どもが極力訴えましたのは、二千万トンを維持する、あるいは石炭の位置づけというのは何かと言いますと、端的に言いますと、その生産を担っております石炭企業をやっていけるようにしてくださいというのが私どもの主張であったわけでございまして、それには従来需要家と国と、とにかく金を出してくださらなければ石炭はやっていけないわけです。ところが。需要家に行きますと、いや政府から金をもらったらよかろう、政府に行きますと、炭価を上げてもらったらいいじゃないか、こういうことでキャッチボール、投げ合いみたいなことであったのが、一昨年、新政策の出るまでの実情でございまして、その根底にはやはり石炭というものが要るのか要らぬのか、こういう問題があったと思うのであります。私は、石炭というものをどうしても維持するのだ、必要というのであれば、そういうボールの投げ合いをせずに、われわれも努力をするが、ひとつ需要家と国も一緒になってとにかく石炭がやっていけるようにしてください、こういう話をしてきたわけでございます。  したがいまして、その当時約千七百円の経常収支赤字でありましたものが、国の助成は大体横すべりかちょっとプラスか、その程度で来ておるかと思うのでありますが、もっぱら需要家の炭価アップにお願いをいたしまして、当時千七百円でありましたものが現在ではほぼ七百円見当、千円ばかり需要家の御負担において改善をされておる、これが実情でございます。第一の問題はそういうことでございます。  それから、石炭火力を増設をすべきではないかとか、エネルギーに対する石炭の位置づけと申しますか、これを、業界においてどういうふうに動いておるのか、こういうことでございますが、これは民間といたしましてはこの一月十一日に、経団連会長が総理大臣にお目にかかりまして、日本としてはエネルギーというものをもう少し本気で考えるべきじゃないか、こういう一つ提案を申し上げておるのは御承知のとおりでございます。  この窓口は経団連になっておりますが、内容的には、経団連それから業界で結成をいたしておりますエネルギー総合推進委員会、それに日本原子力産業会議という民間の三団体が中心になりまして、一昨年の七月に出ました総合エネルギー調査会の答申をもう少し見直すと同時に、単なる目標数字を掲げるということにとどまらずに、いかにそれを実現していくか、こういう手段、それまでもひとつ——手段の一番大きなものは財源でありますが、そういうものまでをひっくるめて考えるべきじゃないか。  それで、先ほども話に出ましたように、石油というのは余り期待できない。現在、御承知のように三億キロ弱のなにでございますけれども、一九八五年時点におきましても、中東の産油の政策からいきますと、せいぜい三億五千万キロくらい、これが限度ではなかろうか、こういうふうな大方の見通しになっております。  そこで、諸外国の現在の動向というのは、石炭というものにも非常に大きなウエートを置いておるわけでございまして、大体一九八五年くらいにおきまして石炭の全エネルギーに占める割合というのは二五%を超す。アメリカのパターンなんか見ますと、そういうふうになっておるわけであります。現在アメリカは六億トンくらいの出炭をやっておりますが一九八五年には、一ころは十二、三億トンと言っておったのですが、いまは三倍の十七、八億トンを掘るのだ、そして、大きくそれにディペンドしていくのだ、こういうふうな政策をいたしておるわけでございます。どうせエネルギー資源を持たない日本としましては、油を世界から求めなければならぬと同様に、石炭もまた世界から求めて、そうしてエネルギーソースというものをやはり多様化していく必要があるのじゃなかろうか、こう思うのであります。  私ども石炭業界も、幸いにしてそのメンバーの一員に加わっておりまして、ただいま、この前の総合エネルギー調査会の答申では、一九八五年に一般炭千五百万トン、こういう数字が出ておるのでございますけれども、本当に開発をするといたしますと、一体どこからどのくらいのものを日本に持ってこれるのだ、こういう作業をやっております。  それによりますと、来月いっぱいくらいには結論をまとめるつもりでおりますけれども、本気になって取り組みますと、現在わかっておるところだけからでも四千万トンとか五千万トン見当のものは持ってこれるのじゃないか、こういうふうなことになっております。それにどのくらいの開発資金が要るのか、それを日本としてどのくらい負担したらいいのか、それから同時に、日本における受け入れ関係の施設としましてどういったことを考えたらいいのか、こういうことを現在やっておるわけでございまして、これを民間における総合エネルギー考え方の一部としてひとつ実現方をお願いをしたい、こう考えておるわけでございます。  それと並行いたしまして、そういうことを考えますもとになりますのは、まず石炭というのは将来は、液化するとかガス化するとか、そういうクリーンな形において使っていく、それも進めておるわけでございますけれども、当面の五年、十年という間は、石炭を生でたく、つまり石炭火力発電所というものが中心になる、こう思うのでございます。したがって、大々的に海外炭開発をしてエネルギーの一端を担わせるというその出発点におきまして、電力業界石炭を使おうという気持ちになってもらいませんと、どうにもならぬわけでございます。  それで私は、そういう話をあちこちでして回っておるわけでございますが、午後は電発さんの話があります、電発さんには大いにそういう気持ちになってもらっておるのでございますが、九電力さんは、ほんの一部の人たちを除きまして全然、いまでも、マクロ的に見るとエネルギーが足らぬということはもうはっきりしているのですが、石炭はだめだ、こういうのが現在大きな風潮でございます。  なぜ石炭はだめかと申しますと、石炭はだめだと言って一遍石炭から油に転換をされた電力業界としまして、そういう一つの過去の経緯もございましょうが、やはり石炭はダストがあるとか、それから一番問題なのはNOXでございまして、石炭そのものにNというものを含有しておりますので、NOxが油の三倍くらいあるわけです。だから、立地上のコンセンサスを得ると言ったって石炭を使うということは全然問題にならぬというのが電力さんの大きな理由でございます。  しかし、燃焼のあるところ必ずNOxがあるわけでございまして、この石炭のNOx問題は一つ程度の問題である、つまりコストの問題である、こう考えておりますので、私どもは技研を中心にいたしまして、政府の補助も受けておりますが、電発において石炭燃焼の場合のNOx対策というのを研究いたしております。あわせて、各メーカーがNOx関係研究はSOxの場合と同じようにどんどんやっておるわけでございますから、その情報を集めまして、そして石炭特有の問題がありますれば、やはり業界としてもある程度金を出してでも石炭特有のNOx対策というものをつくり上げていきたい、こういうことでいま取り組んでおる次第でございます。全面的な御返事になっておりませんが、そういうふうなことでやっておる次第です。  それから最後の、五十六年まで石特法を延長していただいて大変ありがたいのでありますが、実は財源をどう考えておるかという問題につきまして、これも私どもも本当にどうしたらいいのか、重油関税あと一年でございますので、私どもとしましても、先ほど申しましたように、とにかくお願いをしているのでありますが、どういう財源をつかまえてきたらいいのか、この辺が私どもにもまだ案がないわけでありまして、これはひとつよろしくお願いを申し上げたい、こういうことでございます。
  13. 大坪健一郎

    ○大坪委員 時間が来ましたから……。
  14. 岡田春夫

    岡田委員長 この際、参考人の皆さんにお願いをいたしておきます。  一人の質問時間が十五分ということになっておりますので、貴重な御意見でございますが、質疑応答を含めまして十五分でございますので、ひとつその点をお含みをいただいて、簡単明瞭にお答えをいただきたいと思います。  それでは次に、岡田利春君。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 初めに有吉参考人に承りたいと思うのですが、私ども石炭政策を進める場合に、率直な感じとして、どうも石炭協会の場合には石炭企業としての連帯性といいますか、そういう面については非常に欠けているのではないか、こういう率直な感じがあるわけです。二千万トンを維持する、そして石炭の位置づけをして、これに政府のいわゆる支える助成が必要である、ここはぴんと一致するわけですね。しかし、各論になってくると、どうも石炭協会の場合には同床異夢で、布団は同じだけれども夢が各社違うのではないか、こういう率直な感じをわれわれは受けておって、政策を決定する場合にそういう感じを非常に強くいたしておるわけです。  そういう立場から二、三問題をお聞きいたしたいと思うのですが、特に私は、二千万トンの体制を長期的に維持する場合には新鉱の開発を進めなければなりませんし、これに伴ういわゆる火力発電所を中心とする需要の体制を築かなければならないと思うわけです。しかし、これには資本と技術力と、しかも訓練された技能労働力がなくして新鉱の開発はもはやできないと思うわけです。そういう意味で、これからの新鉱開発は単に所有鉱区にとらわれず、いわばモデル的な新鉱開発、こういう意味石炭協会全体の協力が必要ではないか、そういう点について議論されたことがあるかどうかということが第一点であります。  第二点は、一般炭の問題でありますが、先ほど言われたように、昭和六十年度には一千四百六十万トンの一般炭が海外から輸入をされる。そのときの国内炭は一千万トンであるということでありますから、その比率は逆転をするわけです。これは原料炭の経過もございまして、いわば十八年ぶりに一般炭を輸入をする、そして長期的にこれは国内炭出炭より上回る、この歯どめを一体どうかつたらいいのだろうか。いま法律は電炭会社をやめて、新昭和石炭とそして合理化事業団に業務を委託する。ぼくは、実際これは逆の政策だと思うのです。むしろ電炭会社を一般炭の販売株式会社にしたらどうか。ハウスコールについては、私ども法案でも公団は直接扱うなどということは考えていないわけです。従来の特約店との関係を契約を結んで出せば、従来どおりハウスコールや一般産業向けは販売ができる、電力用炭に対しては、電炭会社のように押さえていこうじゃないか、したがって輸入の一般炭も押さえようではないか、これが社会党の出している資源活用法案のいわゆる販売権能の内容であるわけなんです。そうすると、すっきりするのですけれども、なかなかそうはいかない。こうなってまいりますと、一体一般炭の歯どめについては、業界としてはどういう御意見を持たれておるのかというのが第二点であります。  第三点は、近代化資金関係の問題でありますけれども、いま岡参考人も述べられましたが、松島は四交代で九時間の労働をして、いわゆる運搬関係が非常に詰まって、将来の出炭計画からいってこれらは早急に改善さるべき問題なのかどうかという問題もあるでしょう、あるいは太平洋炭礦のごとき選炭がもう間に合わないで、これも改善しなければならぬという問題も抱えている。いわば新しい政策に基づいていま近代化しなければならない面が非常に多いのではないか。しかし政府の側は、一応現予算でいけるのだ、だから少なくとも私の受けている感じでは、ここ一、二年需要は非常に強い、こう考えるわけです。予算が決まっておるから、こう言いますけれども近代化資金のすぐ繰り延べをするということは、確かにこれは資金不足になりますから問題があるでしょうけれども、年次ごとに近代化資金があるわけですから、必要であるならば、年次を精密に計算をしてある程度延伸をすれば、これは財源に直接一、二年影響なく近代化資金の財源を実質上ふやすことも可能ではないか、私はこういう積極的な私見を持っておるわけでありまして、こういう点については十分なのかどうかという点について、ひとつ率直なお答えを願いたいと思うのです。  そして第四点には、海外開発については、特に三井鉱山の場合には、カナダの水力採炭方式による開発の経験をお持ちになっているわけですが、そういう面からいって、今度新たに海外開発の業務を合理化事業団が行えるということになっているわけですが、先ほども説明ありましたように、これからの調査の結果という問題もあるようですが、私は非常に思い切った姿勢を持たなければこれからの海外炭開発はむずかしい、環境がやはり前よりがらっと変わっているのだと思うのです。そういう意味で、相当な構想を持たなければ、結局は三十万トン、五十万トンのような小さなプロジェクトぐらいを対象にするだけであって、安定的な長期的な石炭資源わが国が海外において確保することはできないだろう、こういう見解を持っているわけですが、この四点について御説明をお願い申し上げたいと思います。
  16. 有吉新吾

    有吉参考人 最初に、石炭業界というのは連帯性が少し欠けているのじゃないかというようなお話があったのですが、これは、私どもはむしろ逆じゃなかろうか、こう思っております。と申しますのは、この二十年間撤退に撤退を続けてきたわけでございまして、当時十八から二十ぐらいの会社があったのが現在は七社でございまして、つぶさに一心同体としてのそういう意識というものは非常に強い、こう思うのでございます。ただ、対役所とか対需要家というのは、これは一体だけれども、内部的には非常にと、こういうことでございますけれども、これはやはり皆古い会社でございますし、長い伝統と習慣の違い等ございまして、各社ごとに労働条件にしましても違っておるわけですね。ですから、相互扶助的に手を差し伸べたらいいじゃないか、こういう問題は各社ごとのぎりぎりの線までの努力というものが、まずその前の問題としまして、私はあるのじゃないかと思いますので、したがって、そういう問題はなかなか発展しないのでございますが、たとえばほかの産業でございますと、技術的な問題というのは全部一つのノーハウとかになっておりまして、絶対にこれは人に知らさない。ところが石炭業界は、こんな技術はお互いに公用をして、山の中を見てもらってやっておる、こういうふうなことでございますので、皆そっぽを向いているのだ、これはちょっと私はそういうふうには理解はいたしておりません。  それから第一点の新鉱開発の問題でございますけれども、これはまさにいま残っております鉱区そのもの、いま対象になっております鉱区そのものがやはり数社が隣り合って持っている。天北のごときはそうでございます。したがいまして、今後のこれからの新鉱開発というのはどうしてもちょっと構想を新たにしないとだめじゃなかろうかという感じを持っております。ただ、まぜ物というのは非常に意欲がなくなるのでございまして、私どもかって中国で中興、淮南というような炭鉱をやったのです。二社、三社でやるのですけれども、必ずその中にうまくいかない問題が起こってくるわけです。だから、一緒にやるという、しかも地方自治体とかそういう応援を得なければできないわけでございますし、やはり何らかの新しい考え方をしなければならぬと思うのでありますが、どこかに責任を持たせるというような体制がいいのじゃないか。たとえばメタルマインで海外の開発をやっておりますが、メタルの数社が一緒になってやっている。しかしこの山はA社が責任を持つのだ、こういうふうなことで指揮系統と申しますか、こういう点をやはりすっきりしなければ、非常に非能率なものになっていくのじゃないか、こういう感じはいたしております。  それからその次の、電炭会社はむしろ残して、そういうもので一般炭の開発輸入したようなものをプールすべきじやないか、それでなければ歯どめがないんじゃなかろうか、こういうことでございますが、私どもユーザーでない石炭会社が海外の開発をやるわけで、海外問題というのは全部いままでユーザーがやっているのです、原料炭にしましても何にしましても。今度の法律は、石炭会社が関連しておるからこそそれに対して融資をし保証する、こういうことになっている。だから海外開発というものが即国内の石炭企業というものと何らかの形において結びつき、そしてメリットがある、こういう形を私どもも何とか実現したい、こう思っておるわけでございます。ただ、後で電発さんの話もありましょうけれども、電力さんはそういうふうになることを非常にきらっておられます。安いものを買ってこようというのがわれわれの努力で、それがみそもくそも一緒になってプール平均価格でということは意欲がなくなるのだ、こういうのが非常に強いのでございまして、その辺をどう調整するかということが一つの問題かと思っております。  ただ、電炭会社がなくなったがゆえに歯どめ問題が心配ではないか、こういうことでございますが、現在はどうやっているかといいますと、石炭鉱業審議会の需給部会におきまして、外国炭と国内炭を合わせまして総合的需給を決めて、何万トンだけ外国炭を輸入しよう、こういうことを決めていくわけでございます。そしてさらにまた、私ども民間でつくっております新昭和石炭株式会社というのがございまして、そこで外貨の申請をしますときに、再度国内炭に影響はないかということをチェックをしてやっているわけでございまして、今後、相当外国炭というものがふえてまいりましても、そういう制度で何とか心配はないのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。ただ、石炭企業との結びつきをどうするか、それが一つの大きな問題だ、こう考えております。  それから、三番目の近代化資金の問題でございますが、これは先ほど全炭鉱の岡さんからも話がありましたように、掘進費等につきましても頭打ちというのがございまして、頭打ちを決めてそれの何割ということでございますから、表向きは六割とかなっておりましても、実際は支出した金の四割ぐらいしか近代化資金をもらっていない、こういうことになっておるわけでございまして、財源がございますれば、私は、やはり石特会計の中の一つの配分だと思うのでございますけれども、私にもいろいろ注文があるわけでございますけれども、ぜひとも生産性の向上とか、こういうものに寄与するようなところにもうちょっと配賦を多くしてもらいたいというのが希望でございます。  それから、先ほどもお話ございますように、そうしょっちゅうやっているわけじゃないのだから、借金でひとつ先にこれはやっていく、そういうような機動性を持ち得ると非常にありがたい、こういうふうな感じを持っている次第でございます。  それから、ことに今後の新規の開発はもちろんでございますが、新鉱開発は昔はトン当たり五千円くらいでできたのがいま三万円ぐらいかかるわけでございます。したがって、そういう設備投資をしたところからのコストは非常に高いわけでございますので、どうしてもこういうふうな無利子とか非常に低利な金、こういうものを大きくして使っていく必要が、石炭経済性を持たせる意味から必要ではなかろうか、こう考えております。  それから、海外開発の問題でございますが、これは今度法律改正になりまして、予算措置としては頭を出させていただくというような程度なのでございますけれども、やはり私は一番根本だと思いますのは、国として石炭火力というものを相当大きく推進していくのだということが、そしてその推進していく方法をもあわせてひとつ考えていただくことが非常に大事ではないかと思うのであります。幾ら考えられましても、九電力が全然そっぽを向いて、石炭に取っつかないということでございますと、どうにもならぬわけでございますし、やはりそういうものがありませんと、外国に行って話をしても全然話にならない。数日前に通産省のエネルギーミッションがオーストラリアへ行っておるわけでございまして、その中に石炭も加わって行っているわけです。電力さん、石炭さん、ガスさん行っているわけです。  向こうに行ってどういうふうに話をするかというと、オーストラリアは、向こうの一般炭を日本に取ってもらいたいという関心を非常に持っているのです。ところが、余り積極的なコミットメントをすることは困るというのが電力さんの言い分なのです。私どもは大いに、日本では一般炭というものを使うのだということを言いたいのですけれども、国内のそういうものがまとまっていないところに、まだまだ出発点に着いていない、こういう気がいたします。  それから、だんだん資源についてはナショナルになってきておるのは、世界的な傾向でございますけれども、しかし、私どもが接触しております限りにおきましては、アメリカにしろカナダにしろオーストラリアにしろ南アフリカその他にしましても、やはり石炭を輸出して外貨をかせぐというのが非常に大きなものになっておるところが多いわけでございまして、私はいまであれば、何らかの権利を取得する、エクイティーを取る、こういうことは、早く決心をして立ち向かえば可能である、こういうふうに考えております。私は、本当を言いますと、先ほど石炭公団というような話も炭職協の方から出ましたけれども、名前は各企業の名前でもいいかもしれませんが、外国の鉱区をどんどんメジャーが押さえておるわけですから、大きくそういうものを先手を打って押さえておく。これには何百億かの金が要るかもしれませんが、そういうことを大きな政策として考えるべきではなかろうか、こういうふうに思っております。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 労働組合の方に一問ずつお伺いしておきますけれども炭労里谷さんには、北炭再建というのは北炭新鉱が中心であることは当然なわけであります。しかし、訓練された労働力の確保がなくして新鉱を中心にする再建はむずかしい、こういう認識は一致するのではないかと思うのであります。そういう意味で、これらの問題についてどう考えておられるのか。  それと同時に、企業格差はもちろんあるわけです。しかしながら、統一賃金闘争をやりながら、なおかつ賃金格差が非常にある。そういう意味で、格差の問題が、賃金ベースと企業ベース、二重格差に経理上なってきているのではないか。これらを一体どう解決していこうというお考えか、承っておきたいと思うのです。  それから岡参考人には、いろいろ御意見をお伺いしたのでありますけれども、確かに主張点についてはわれわれも理解できるわけですが、これを政策化するという場合には、国の管理といいますか、国民的な管理をその代替としてもう少し強めるということを容認しない限り、いま述べられておる主張というものは非常なむずかしさがあるのではないか。その決意は一体お持ちになっておるのかどうかという点をお聞きしたいと思います。  それから鈴木参考人には、一般炭の問題に最後に触れられましたけれども、新鉱開発を含めて、特に職員としてこれからの安定需要を目指す、先ほど有吉参考人にもお聞きしたのですけれども、この歯どめという問題については、思い切った組織的な整備というようなところまで踏み切って考えられておるかどうか、この点を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 里谷和夫

    里谷参考人 一点目の北炭新鉱の問題でありますが、昨年の十月十七日に労使協定をいたしまして、二月以降五千トン体制ということで、人員充足その他の問題についても効果を上げて行っています。現状分析をいろいろ行っているのですが、まさに労働意欲の問題もございますけれども自然条件に対応する諸対策の欠陥が、技研その他の専門的な調査を行った結果、いろいろ指摘をされています。そういう意味で、深部開発でもございますし、保安を優先するという意味から、いま慎重な対策をしていますが、いま申し上げましたように、労働意欲を盛り上げる、これが基調でございまして、それと同時に、自然条件に合う訓練を、いま職階を問わず、採炭作業を行いながら着実に実施をしている、そういう現状でございます。  それから、企業間格差労働賃金の二重格差でございますが、炭労の調査によりますと、確かに企業間格差の問題についていろいろ実態を把握するというところまでいきませんが、各社の決算等を見まして、私どもなりに判断をいたしています。  その中で、賃金の問題に入ってまいりますと、各十四炭鉱賃金でございますが、確かにでこぼこがございますが、驚異的な賃金を取っている炭鉱がある、こういう認定はいたしていません。ところが、企業の方では、企業の実態から判断をして、たとえばA炭鉱の総収入は坑内労働で二十万である、当炭鉱としては十八万である、したがって、当企業賃金ベースとしては、この二万円の格差をどうしても消化をしなければならぬ、そういう意味で合理化が出されてくる、こういう現状にあるのではないかと思います。  端的に申し上げますと住友でございますが、五十二年度二十二億の経営悪化の説明がございますが、その中で十三億は、原料炭を保持するために現場資金がかかるのだ、そこで一般炭を捨てなければならぬ、そういう現状で、企業努力として十一億が必要である。しかしながら、その残りの十一億の問題については、労働賃金を下げなければならぬ、能率を上げなければならぬ、そういうものが出てきていると思うのでございます。ですから、企業間格差がございますけれども賃金は、いままでの長い間の歴史がございますから、一挙に合理化という名においてどこどこの炭鉱のベ−スに合わせるべきである、あるいは最低賃金ベ−スに合わせるべきである、そういう考え方が如実にあらわれていますので、これらの問題は政策的にも、あるいは企業努力の問題からしても、企業間格差はあるにしても労働賃金の格差をつける、そういう必要はなかろう、こういうように思いまして、指導もいたしますし、今後も企業とその問題についての協議を行って、可能な限り坑内労働にふさわしい統一条件を出していますから、どこの炭鉱でも、どこの労働者でも賃金が画一的に同一ということはできないにしても、その線をならす、そういうことは可能であろうと思いますし、そういう意味企業努力を要求していく、こういう姿勢でございます。
  19. 岡新一

    岡参考人 質問の点は例のレンタル方式の問題でございましょうか。(岡田(利)委員「まあ一般的には」と呼ぶ)実は従来から私が主張しているレンタル方式というのは、坑内がだんだん深くなってまいりますと、限られた資金では、出炭をする切り羽並びに切り羽周辺、こういうものに重点が注がれる。そうすると、資金にも限度がありますと、ほかの中間の坑道というものは、手抜きをするわけではないですけれども、そういう形のものが出てくる。しかも、今後だんだん深部化してまいりますと、その探炭、いわゆる炭量の確認のために相当な費用が要るのではないか。しかも、安定出炭ということになりますと、その炭量確認は欠かすことができないと思うのです。そういたしますと、片一方には借金が重なると肩がわり。炭鉱は肩がわりで放漫経営をやっておる、何でも赤字がふえると肩がわりをしてくれるのではないか、だから炭鉱は放漫経営なんだというような見方が、炭鉱を知らない人の間には出てくるのではないか、また現に聞いたこともございます。したがって私は、主要坑道について、国がこれを買い上げ、しかもそれに通行料を支払いますと、その金が今度は坑道維持経費に回っていくのではないかという、素人的な考え方でございます。  と同時に、坑道が長くなりますと、どうしても運搬距離が長くなります。そうすると、人車で坑内に下がる、切り羽に着いて、そして炭を出して、坑口から坑口まで八時間であれば、いわゆる切り羽稼働時間というものが少なくなる、あるいはまた運搬も長くなる。したがって、これをもっと切り羽稼働時間を長くし、運搬距離を短くするためにはバイパスをつくる以外にはない。そうすると、バイパスをつくる費用が要る。それはやはり主要坑道として国につくってもらって、それを使ってわれわれはレンタル料を払っていく、こういう単純な発想でございますけれども、これも今後の石炭産業維持していく、しかも安定供給をしていくという上においては必要ではないか、こういうことから私見を申し上げたわけでございます。
  20. 鈴木照生

    鈴木参考人 今後大きく輸入炭にも依存せなければならぬという段階で、やはり先生おっしゃいますように、国内炭を圧迫してはならないわけでございますので、何らかの歯どめが必要であろう。それからそうした観点のほかに、先ほども申しましたが、各種エネルギーの価格プールというような問題も当然出てくるであろう。それと、さらには海外炭の海外開発の問題、そういうものを含めまして、具体的には現在の海外石炭開発株式会社電力用炭販売株式会社を発展的に解消いたしまして、さらにそこに国及び需要家の参加を求めて、新しい機構を設けるということを考えてはどうかというふうな考え方でございます。
  21. 岡田春夫

    岡田委員長 野村光雄君。
  22. 野村光雄

    ○野村委員 先ほど来、今日の日本のエネルギー資源確保のために日夜非常に御努力なさっていらっしゃる皆さん方の貴重な御意見を伺いまして、敬意を表する次第でありますが、二、三点、私の方から御意見等をお聞かせいただきたい、こういうことで御質問さしていただきます。  まず一つには、有吉協会会長さん並びに岡委員長さんに代表してお聞きいたしたいと思っておるのです。  御存じのとおり、通産省もまたわれわれも、そして石炭産業に直接携わる企業の方々、また労働者の皆さん方も、石油ショック以来最小限度二千万トン確保というものを叫び続けてきているわけです。しかし、現実面で二千万トンが非常に容易でない、こういう現況であることは、現場に携わる企業の皆さん方、また労働者の皆さん方が一番おわかりになっている問題でございます。われわれといたしましても、やはり安定した日本のエネルギー確保のためには最小限度二千万トン確保しなければならない、そういうためにいろいろ論議を積み重ねているわけでございます。  そこで、ぜひひとつ御意見を聞かしていただきたいことは、二千万トン確保をするに当たって、労使の問でこれが真剣に討議されているのかどうなのか、こういう問題であります。  私が非常に解せない問題は、一つは、現在の三十一炭鉱、わずかここまで縮小されてしまったわけですけれども、これに対する鉱命といいますか、これはおのずからもうすでに当事者がわかっているはずだと思うのです。であるならば、このそれぞれの三十一炭鉱の鉱命というものが、現在の採炭量からいって、あと何年後に炭量が枯渇するということは、当然これは事前にわからなければならないし、わかっているはずであります。それに基づいて当然労使並びに国、三者一体になって新炭鉱開発計画というものの準備を進めていかなければならない。これは理の当然でございます。しかし、先般私もここの場所で通産省の大臣を初め各関係者といろいろ論議を積み重ねてまいりましたけれども、具体的な年次計画というものが国自体にも明確に樹立されてない。こういう状態に対して、私は非常に無責任だ、こういう率直な感じで受けとめたわけでございます。  そういうことで、まず有吉会長さんの方から、現在の三十一炭鉱においての鉱命、すなわち、二千万トン確保するためには現在の三十一炭鉱で完全に確保ができるのかということが一つ。  それからいま最も問題になっております夕張新二鉱の問題等は、真新しい問題としてすでに炭量そのものが枯渇をしてきている、こういうことで閉山的な問題がいまクローズアップされております。こういう問題が突如として勃発したというような感じを受けているわけですけれども、当然これは数年前にわかっていなければならないものだ。こういうことで、各三十一炭鉱の鉱命というものでどこまで二千万トン確保する可能性があるかどうか。これに対して労使ともに話し合っているのかどうかのか。  さらに、この鉱命がいつまでしか持続できないということは当然わかると同時に、国との話し合いは、新鉱開発に対しては二千万トン確保のためにどういうプラン、計画というものが要請されているのか、この三点をひとつお尋ねをしたいと思います。  それから、時間がございませんから、お尋ねしたいことだけ最初に申し上げます。  次に、大きな私どもの関心は、保安体制の問題でございます。これはいずれにいたしましても、当然労使一体となってやっていかなければならない、石炭産業にとって逃れることのできない最大の課題だと私は思っておりますけれども、この保安をどう確保していくかということがこれからの大きな課題として、まず第一点に有吉会長にお伺いしたいことは、だんだん採炭現場が深部に入っていく、これに対する採炭技術の確立とあわせて採炭技術員の養成というものが現在の対応策で間に合っていくのかどうなのかという、技術員の養成と技術の開発の対応策について、将来に対する心配はないのかという問題であります。  もう一つは、特に里谷委員長に代表して、労働者立場で、責任者としてお伺いしたいわけですが、御存じのとおり、炭鉱労働者がだんだん高年齢層になりまして、新規炭鉱あたりは最近労働条件なり生活環境が相当改善されておりますけれども、旧態依然とした生活環境、労働条件の中で、結局は労働者確保がだんだん至難になってきたという状況が深刻な問題として起きておるようでございまして、ともいたしますと、労務倒産さえされるんじゃないかという懸念の炭鉱もあるようでございますけれども、これに対する労働者の責任者の立場として、現況に対してどういう対応策で臨んでいらっしゃるのかということ。  もう一つは、これからの課題として、組夫の問題でございますが、いろいろな災害があるたびごとに、同じ坑内で同じような災害に遭いながら、組夫であるがために命にまで差別をされるというような状態が巻き起こってきております。そういう中で、今後の労使等の話し合いで希望者——組夫というのは労働者の約三分の一をいま占めていて、七千数百名いるようでございますけれども、これらの方々を今後むしろ常動労働者として、労使間で話し合いながら、可能な限り安定した立場に切りかえをしてあげることができないのか。これは一〇〇%全部下請なしということには、いまのあり方としては当然できるはずもないということは、私どもは十分承知しておりますけれども、約三分の一に及ぶ労働者が組夫で賄われているというこのあり方に対して、委員長立場として、対会社側との立場の中、また労働力の今後の安定確保立場の中から、どのように対応なさろうとしていらっしゃるのか、お考えがございましたら、お聞きいたしたいと思います。
  23. 有吉新吾

    有吉参考人 第一点の二千万トン維持の根本になります鉱命はどうかということでございますが、三十一炭鉱のうちに、先ほど陳述申し上げましたように、大手の炭鉱が十四でございまして、あとの十七につきましては詳しいことはわかっておりませんけれども、大手の十四の炭鉱で千六百六十万トンぐらい出しております。そういうふうなことでございますので、夕張新第二のように、これはいつになったら炭量がなくなるということはわかっておる一したがって、新鉱に移ろうということだと思うのでございますが、あとの各十四の炭鉱につきましては、いますぐに鉱命がどうという問題ではございません。ただ、常磐さんの露天掘りだけは、一部鉱区調整によって鉱命を延ばす必要があるというふうに聞いておりますが、あとのなにはいますぐに枯渇を考えなければならぬというふうな問題はございません。したがいまして、新鉱の開発等につきましては、そういうものを踏まえまして、役所の方でもいろいろ検討班をつくり、検討されておるというふうなことでございます。  それから、保安体制の問題でございますが、これはまさに炭鉱にとりましては一番重要な問題でございまして、全般的にいま炭鉱が問題にしておりますのは、有能適格な係員の養成ということでございます。係員と申しますのは、何人かを区処してやります係員でございまして、この保安問題等に関しましては、ことにそういう人たちの一つの経験と申しますか、そういう人たちを訓練することがやはり非常に重要な問題でございますので、各社とも係員の養成と訓練ということに力を入れて、いまやっておるわけでございます。しかし問題は、深部に移行するに伴います保安確保の問題でございまして、これにつきましては、政府の方から補助をもらいまして、私ども石炭技術研究所でございますか、技研を中心に深部関係の検討をやっておるわけでございます。なおそのほか、大学とかその他の研究機関にもいろいろお願いをいたしまして、応援を願っておるというふうなことでございます。  ただ、炭鉱深部に関します保安対策の問題、これは学理的になかなか簡単に究明できないという問題がございまして、やはり一つの経験に基づいて、いままでの炭鉱の実態は保安との戦いであったと言われますように、まさに経験を積み重ねてきているわけでございますので、その点が、金を投じてやればすっとわかるというような問題でないだけに、私どもは非常に気を使っておるわけでございます。先ほどの鉱命の問題も、深部には相当な炭量があるわけでございます。これをいかに安全に掘るかということでございまして、非常に重点問題として取り組んでおる次第でございます。  私のお答えはそういうところかと思うのでございます。
  24. 里谷和夫

    里谷参考人 前半の御質問は私にございませんので、意見がございますけれども省略をさせていただきまして、労働人口の確保の問題についてお答えをいたしたいと思います。  私ども、いま定年延長の問題で労使で話し合いをいたしておりますが、会社側からの答弁の中で出ておりますのは、現行の生産体制を大幅に変革する考え方はない、したがって、定年延長までして人員を確保する考え方はない、こういう回答現実でございます。しかし、私どもは、先生が御指摘になりますように、労働年齢が四十八歳になるのではないか、炭鉱によっては違いがありますけれども、非常に高年齢になっている、したがって、将来展望を見通すと、やはり新規採用をどんどんしておく必要があるのではないか、炭鉱産業は、何と言っても労働力依存の産業でございますから、ここに重点を置くべきだ、むだな人員を採用しろということを言っているのではなくて、やはり将来展望を期してやるべきではないのか、こういう主張をいたしております。  最近の端的な例でございますが、夕張新鉱で新採用を募るということで、二千名に達するまで募集しようということでいろいろ協議をしていますが、労使で人員対策委員会を設置をいたしまして、いまいろいろ努力をいたしています。私ども政府に強く申し上げておりますのは、政策全般は通産省で持っているのだが、通産省も労働省に対して、労働人口を若返りさせる、そういう意味で両省が相協力して努力すべきじゃないか、こういう問題で常に指摘をしているところであります。そういう意味で、新鉱の問題にかかわりますが、定年退職その他のことで減耗人員もございますけれども労使努力によりまして、この三月まででは採用と自然減も入れまして月々プラスが二十五名出る、こういうような効果もあらわしています。ですから、私どもは、今後労働人口を新規にかえる、あるいは若年労働者を抱えるという意味からいきますと、まず保安を完全に守って、坑内労働にふさわしい労働条件会社は出すべきである、そのことが若年労働者を吸収することであろうということで、具体的な問題を提起をして協議をしている、こういうことでございます。  それから請負夫の取り扱いでございますが、御指摘のとおり、いま労使間あるいは政府も入りまして、坑内労働に見合う作業というのは、三原則を立てまして、それに基づいて請負夫の許可をする、こういう現状をたどっております。先生がおっしゃられますように、非常に差別があるのではないか、こういう面でございますが、最近の状況を見ますと、直轄鉱員と請負夫の労働賃金の差というのはないのではないかと思います。しかしながら、私どもも、直轄鉱員労働条件だけを闘い取る、請負夫その他は関係がないのだというようなつもりではございませんので、期末手当あるいは不幸にして起きた災害等の取り扱い等について、会社といろいろ協議をいたしまして、逐次改善をしているつもりであります。  そこで原則でございますが、直轄鉱員はいま二万名程度でございますし、先生御指摘のとおり、請負夫が七千名もおりますので、二万七千名が坑内稼働をしているのだということになれば、私は、請負制度を廃止をして全部直轄鉱員で雇用すべきである、こういう原則は変えません。そういう意味で、私どものこれからの会社との話し合いも続けてまいりたいと思います。  特に労働条件の問題でありますが、A炭鉱と請負のB会社との会社間のいろいろ取り決めがございまして、請負夫の労働条件までA炭鉱がB社に対して差し出がましいことを言うことはできないのだ、そういう意味で非常に壁がかとうございますので、私どもも請負夫の労働条件について思うに任せませんけれども、われわれの労働条件と同水準にすべきである、それの手っ取り早い話は、やはり請負制度を廃止して全員が一緒になる、こういうことの方が当面の問題だろう、こういうように考えております。
  25. 岡田春夫

    岡田委員長 西田八郎君。
  26. 西田八郎

    ○西田(八)委員 有吉参考人岡参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、その前に、国内の唯一エネルギー資源である石炭産業のために御努力をされておられます皆さんに敬意を表したいと思います。  まず、私の選挙区は石炭が全然ないところなんでございますけれども、そういうところへ行きますと、まだ日本に石炭があるのかというぐらいな認識でなかろうかと私は思うのです。ところで、先ほど有吉参考人は、いわゆる石炭火力発電所の増設であるとか、あるいはもっと国民的に石炭が知ってもらえるように普及をしたい、それも国民意識の向上だというふうにおっしゃっておりますが、政府もいろいろ考えておるのですけれども、なかなか妙案がないようです。協会として石炭普及のために何かこれという妙案があるのか、決め手があるのか、ひとつお伺いをしたいと思うのです。
  27. 有吉新吾

    有吉参考人 妙案というのはないのでございますけれども一つは、福田総理も、今度はエネルギー問題、こう言っておられますけれども、やはりエネルギーについての総括的な一つ認識をはっきりするということ、そしてそれを各方面にひとつ徹底してもらうということがまず大事だろうと思うのでございます。どうも、本当にエネルギーが足りない、将来大変なことになるのじゃないかという認識がやっぱりないと思うのでございますね。私ども石炭ですから石炭のことをやかましく言うようでございますけれども、これは世界的にそうだと思うのです。それが、日本は、そういう評論家とか専門家だけがそういうことを言って、ようやく少し広がってきておりますけれども、内心は石炭は過去の問題だというような空気がある。だから、それはもう少しグローバルに資源というものを考えれば、みんな日本は輸入しているわけですから、油と同じようにという、そういう一つ考え方をやはり諸先生方、また行政府が持ってくださって、そういうふうな指導をしてもらうということじゃないかと思うのです。エネルギー庁あたりでも、なかなかいままでは、公益事業部という石炭をされておるそういうところでも、石炭火力をなにすべきだという積極的な指導というものは私はなかったのじゃないかという気がするのですね。そういうところからひとつ変えていかなければならぬのじゃないか、こう思っております。  それから一番ひっかかっておりますのはNOx問題でございますから、これはどうしたらいいかということは、原理的には大体もうわかっておるわけでございまして、あとはいかに経済性を持ったメカを確立するかということでございますので、そういったものを石炭業界も、使う人の問題だというのじゃなしに、多少の金を出してもやっぱりそれに取り組まなければならぬ、こういうふうに思っております。
  28. 西田八郎

    ○西田(八)委員 それでなくてさえ石炭は他のエネルギー資源、いわゆる石油や天然ガスに比べて非常にハンディが大きいわけですね。したがって、なかなか普及することも困難でしょうし、もう一回もとへ戻すのも、人間というのは、一回便利さになれるともう一回もとに戻るということは非常に困難でありますから、これは大変なことだと思いますが、ひとつ協会自身も御努力を願いたい。これは参考人に要望するのはおかしいのですけれども、先ほど自民党の委員から少し国政依存じゃないかというような厳しい御批判があったわけでありますが、そういうことを言われないためにもひとつ御努力を賜りたいというふうに私は思います。  次に、岡参考人にお伺いしたいのですが、交代制は何交代とおっしゃいましたかね。
  29. 岡新一

    岡参考人 四交代九時間です。
  30. 西田八郎

    ○西田(八)委員 四交代九時間ですか。作業として四交代九時間というのは、私は大変な労働だと思うのです。そうした九時間も労働をして帰ってきて労働生産ということになると、やはり住宅環境というものはかなりよくないといけないというふうに思うのですが、先ほどのお話では、住宅がまだ旧態依然たるままだというふうにお伺いをしたわけでありますけれども、一体どのような状況であって、どうしてほしいのか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  31. 岡新一

    岡参考人 若干、四交代九時間について申し上げておきませんと、誤解を招いたらいけませんので申し上げますが、実は先ほどの御質問にもございましたように、やはりわれわれ生産体制を組む場合には事前に労使協議をいたします。そして協議した上に立って、通産の方のヒヤリングに臨む。それが終わったならばまた再度労使協議をやるという形をとっておるわけです。ところが坑内が蟇島地区、いわゆる深部になりましたので、採炭は何とか確保できるという、しかもこれは残業体制です。これは二千万トン体制維持するためには、全炭鉱であるわれわれも、炭労里谷さんのところも、やはりかなりな時間外労働をやって出炭確保努力しておるというのが実情なんです。それもやはり限度がございますし、われわれとしては何とか通常の正常な作業体制に戻したいというのがわれわれの考えなんです。ですから、われわれの口から近代化資金を出してくれとか、あるいは補助金を出してくれと言うのは、これは本当は経営側が言うことかもわかりませんけれども、正常な労働に戻すためには、やはりそういう資金をもらわなければやれない。しかし、それがいますぐできない間は、何とか出炭確保するためにできる範囲の努力をしようじゃないか。それがいわゆる運搬については切れ目がないように四交代、いわゆる現場で顔を合わせて交代をする。そのためには九時間しなければならぬ。そのために、また人員もふえる。だからこれを正常に戻せば、人員も減るし、大きな合理化にはなるわけです。そういう意味で、われわれとしては何とか早く正常な労働に戻してもらいたいというのが願いでございます。  そこで、そうなってまいりますと、やはり炭鉱でございますから、三交代あるいは四交代ということで、住宅ではやはり寝なければならぬわけです。ところが子供は、学校から帰りますと、お父さんが寝ているそばで遊ばなければならぬ。そうするとお母さんは、外に行って遊びなさいと言う。こういう実態は、どこの炭鉱でもあると思います。やはり安眠できるような部屋、これは少なくとももう一部屋、二部屋はふやさぬと、いまの炭鉱の生活では保安上にも影響するのではないか、こう思っております。木造の住宅であれば、なおさらだと思います。  それからまた、夏場になりますと、寝れません。子供たちが騒ぐ、あるいは暑い、そういうことで寝れませんので、仮眠所を設けてやっておりますけれども、仮眠所に行きますと、みんなたくさんおりますから、そこで今度は雑談に花が咲いて、寝るどころか、涼しいものだからとうとう寝ないで帰るという形になります。そこで何とか各家庭に冷房機を導入するようにという話が出ておりますけれども、これもやはり金をくれと言うのじゃないのです。融資していただけるならばそのような措置もとれるのではないか。これは北海道の暖房の関係もやはり同様に入ってこようと思います。そういうことで、安眠をし、そしてまた再生産できる体制保安に十分対処できるような居住区をつくってほしい、これが私の要請でございます。
  32. 西田八郎

    ○西田(八)委員 時間がないので、これは最後になりますが、九州の一部の炭鉱で、一たん掘ったものを海から搬出をして、またおかに上げなければならないという炭鉱があると聞いておるのですが、その中で、漁民とのトラブルがあって、せっかく掘った炭が搬出できないというような事態があるように聞いておるわけですが、その事態は目下解消されつつあるのかどうなのか。それと、先ほどお話のあった、いわゆる坑道国道化の話とは一体なのかどうかお伺いしておきたいと思います。
  33. 岡新一

    岡参考人 そのために貯炭が二十万トン、金にして約二十数億ですか、これが生産されても搬出されないままにあるということを聞いておりますが、幸い有吉会長が当事者でもいらっしゃいますので、私からお答えするよりはその方がもっと明確ではないかと思います。
  34. 西田八郎

    ○西田(八)委員 じゃ有吉さん。
  35. 有吉新吾

    有吉参考人 三池に隣り合っております有明新鉱でございますが、ようやく着炭いたしまして、切り羽、ことしは、五十二年度は六十万トンの計画をもってそれに向かって進んでおります。坑内の水を、川を通じまして海に放流しておるのでありますが、あそこに養殖しておりますノリでございますか、これができが悪くなったということで、いま三池炭鉱と有明炭鉱坑内で両方から坑道を掘りまして貫通しようとして、来年の春か夏にはでき上がるのでございます。その間はやむを得ず大部分は船で三池に運んでおるわけでございますが、そのノリの損害の問題が解決するまでは漁業組合の方で輸送を認めない、こういうふうなことになりまして、掘った炭は全部坑口の近くに貯炭をしている、こういうふうなかっこうでございます。しかしずいぶん、もう数ヵ月になりますが、話し合いをいたしてまいりまして、近々両者立ち会いの上水質試験をひとつやりましょう、こういうところまできておりますし、ほどなく解決をする、こういうふうに考えております。
  36. 西田八郎

    ○西田(八)委員 これで質問を終わりますが、大変御苦労でございます。ひとつがんばっていただきたいと思います。
  37. 岡田春夫

    岡田委員長 安田純治君。
  38. 安田純治

    ○安田委員 里谷参考人に若干お伺いしたいのでございますけれども、まず夕張新鉱、五千トン体制が実際は現実に五千トン達成されていない、この原因は何かということをお伺いしたいわけであります。これは、聞くところによると、地圧が高くて常に坑道拡張の必要があって、掘進のおくれや、空気の流通に障害になるということで、どうしても労働力を確保しなければとうてい五千トンの体制は達成できないのじゃないかというふうなことも聞くのですが、その点どうかということが一つでございます。  それから北炭の場合に、賃金は大企業並みに妥結しながら、何か聞くところによると、ボーナスで五五%、賃上げで四〇%遅配といいますか、おくれになっているということを聞くのでございますけれども、そうなりますと、これ以上労働者協力しろと言っても、これは限界じゃなかろうかというふうにも考えられますが、里谷参考人としては御意見いかでしょうかということ。  それからもう一つは、保安に関する労働者の発言権について要求あるいは御不満がありましたら、お述べいただきたいということでございます。
  39. 里谷和夫

    里谷参考人 端的に申し上げます。  御指摘のとおり、深部炭鉱でございますので、地圧あるいはガス突出、その他非常に悪条件の中で稼働していることは事実でございます。現在四本の切り羽が動いておりますけれども、実際の採掘量は六千四百から六千五百までいっているのですけれども、非常に石炭の歩どまりが悪いわけです。したがって、三千五百あるいはいいときで四千二百、こういう状況を続けておりますが、先ほども岡田先生の質問にお答えいたしましたように、訓練度の問題もございまして、いま鋭意調整をしながら目標達成のためにがんばっている、こういう実情でございます。  労働力の問題でありますが、新二鉱の直轄鉱員が千四百名おります。それから幌内の出向者が五百四十名おります。それに負請労働者が四百三十名ございます。しかしながら、幌内の出向者は土曜に帰宅して日曜に帰山するという出向体制でございますので、出役としては非常に低いものがある。こういう問題もございますし、請負労働者四百三十名ございますけれども、これの出役が五六%ということになっています。しかしながら私どもいま会社に申し入れていますことは、一応二千人体制はでき上がったのではないか、そういう意味でこの自然条件を克服しながら目標達成のためにがんばるべきであるということで、私どもも、その都度現場の中で協議をしながら努力をしている、こういう実情でございます。  それから賃金遅配の問題でありますが、昨年の十月十七日に会社の一千億に近い累積赤字その他の問題、幌内の完全復旧という意味でいろいろ協議をいたしましたが、先生御指摘のような協定に相なりました。昨日団体交渉を現地で行って、私も出席をいたしたのでございますが、五十一年度四〇%支給という問題で、残六〇%があったのでございますが、これは四月一日から支給をするという回答を昨日かち取りました。なお期末手当その他の問題は七月、十一月に解決をするということでございますので、置かれている労働条件が低下をしていることは事実でございますので、一日も早く復元をするという意味で私ども今後努力をしてまいりたいと考えております。  なお今年度の賃金でございますが、五者の交渉を行いまして、それが決定をいたしましたら四月一日から七〇%を支給するという回答も獲得をしているところでございます。  それから職場における保安発言権の問題でありますが、昨年当委員会のいろいろの御指導をいただきまして保安懇談会を設置させていただきまして、労使でいろいろ協議をいたしました。もちろん第三者の先生方意見も入れながら現状保安体制を万全にするという作業を続けてまいりまして、いろいろその対策を決定いたした次第であります。  なお北炭では、その中で特に保安を重視するということで、労働者側選出の監督員を増員するということで他社に比べまして員数を増加して対策を進めておりますので、これらの者が職場の労働者と話をするということになりますから、職場における発言権が封じられているということはないというように、いまのところ私ども確認をいたしています。
  40. 安田純治

    ○安田委員 保安問題につきまして私の伺っているのは、保安についての労働者の発言が封じられているという意味ではなくて、たとえば作業中止権といいますか、そういうことについて労働者側の方で実際にどれだけの権限を持っているのか、そういうことについての御不満なり要求があったらお聞かせをいただきたい。
  41. 里谷和夫

    里谷参考人 ただいま申し上げましたように、昨年の保安懇談会でそれらの面について十分協議をいたしました。私どもの当初の主張は、私どもの監督員あるいは保安員がその中止権を持つということでいろいろ議論をしたのですけれども、懇談会の結論としては、ルールは一本でなければならぬだろうという意味で、直ちに作業の中止を必要とする職場があれば保安担当者に直ちに報告をして、担当者はそれに対して適宜な指導をする、なおざりにされるような方向があった場合は明確に記帳をしておって、その問題の処置について明らかにする、こういう点もございますので、それらの権限については昨年の決定どおり遵守されている、こういうようにお答えを申し上げます。
  42. 安田純治

    ○安田委員 それじゃ時間がございませんので、そういう懇談会の決定が遵守されている程度で御満足なのかどうかということを最後に伺いたいのが一つと、もう一つ夕張新鉱の場合に幌内からの応援といいますか、出向五百四十名ですか、これが幌内が再開ということになりますと引き揚げるわけですが、その穴埋めはどういうふうに考えていらっしゃるのか、里谷参考人のお考えを伺いたい。
  43. 里谷和夫

    里谷参考人 そもそも保安の問題はいま労使間の協定でございますので、私ども保安を守るという点から言えば不満がございます。したがって、当委員会でも何回もお願いしているのですが、保安に関しては、生産保安は両輪だということを言っていますが、生産担当者が保安の担当をするというのは矛盾ではないか。そういう意味で、保安は完全に生産と分離をする、いわゆる保安に関しては、国家管理の方向で行うべきではないか、そういう要求を一貫して持っておりますから、現状の問題について炭労考え方からいえば満足かと言えば、満足ではございません。したがって、保安の完全管理をする、その実現のために闘いを進めていきたいと思っています。  それから新鉱の問題でありますが、人員の問題について、幌内の出向者がことしの九月になれば引き揚げるということになっています。もちろん幌内も十月から出炭開始ということになりますから、そういう必要人員を戻さなければならぬことは事実であります。そこで、私どもがいま行っておりますのは、二千名を確保するという意味で新規採用をやろうではないかというので労使委員会をつくり、通産省、労働省にも強力なバックアップを願って、その人員補充をするという考え方を持っているのでございます。  なお、作手の十月の十七日のときには、夕張新二鉱の鉱命延長の問題も絡みまして、新鉱に移ってくれないかという提案がございましたが、私どもは、新鉱の炭量調査を明確にした上でなければ結論が出せぬという意味で、いまこれらの問題については関連をさせていません。しかし、会社提案現実にされているということだけは、お答えをしておきたいと思います。
  44. 安田純治

    ○安田委員 先ほど伺いますと、実績から見て労働者の人数がプラスマイナス二十五名ということがあったということですが、コンスタントにいっても十カ月二百五十名にしかなりませんので、五百四十名が九月なり十月に引き揚げるということになりますと、プラスマイナス二十五名程度がずっと毎月行われても間に合わないはずでございますから、何らかの改善策がなければ、二千名体制が一応体制としてはできているというふうにも言えないようにちょっと感ずるのですが、その点最後に……。
  45. 里谷和夫

    里谷参考人 先ほど人員の問題を御説明申し上げましたが、いま先生がおっしゃいますように十ヵ月たって二百五十名という体制で私ども人員充足をしていくというつもりはございません。より以上懸命に努力をしていかなければならぬだろうと思っています。  そこで問題は、請負夫の四百三十名がございますので、足し引きして二千名になるからいいではないかという考え方ではなしに、私ども直轄員の二千名をできる限り確保しようという意味と、請負夫の出役を上げてもらって、今年度も九月以降は二千名体制を充足でき得るということで努力しなければならぬだろう、こういうように考えておるところです。
  46. 安田純治

    ○安田委員 時間がございませんので、それで結構です。
  47. 岡田春夫

    岡田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日あ、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  この際、午後一時より再開することとして、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  48. 岡田春夫

    岡田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中に引き続き、各案について参考人から御意見を聴取いたします。  午後は、電源開発株式会社総裁両角良彦君、電気事業連合会専務理事藤本得君、全国鉱業市町村連合会会長藤井儀作君、全国鉱業市町村連合会会長吉田久君の御出席をいただいております。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  なお、御意見開陳はお一人十分程度お願いいたしたいと存じます。  議事の順序につきましては、まず参考人各位からの御意見をお述べいただいた後、委員各位からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  まず、両角参考人お願いを申し上げます。
  49. 両角良彦

    ○両角参考人 本日は、御提案になっておられまする石炭関係法案並びに石炭政策につきまして意見陳述する機会をお与えいただきまして、御礼を申し上げる次第でございます。  御案内のとおり、電源開発株式会社政府の出資を七二%いただいておりまして、国策会社としての性格上、従来から、石炭の需要を確保する趣旨においてお進めをいただいておりました石炭火力、国内炭の需要の創出のために、当社としての全力を尽くしての協力をさせていただいてまいった次第でございます。  今日の時点におきましては、電源開発株式会社といたしましては、国内炭を使用いたしまする石炭火力の発電所を全国に四カ所持っておりまして、その出力は合計いたしますると百四十三万キロワットということに相なっております。これに要します石炭は年間約三百万トンを使用いたしておりまして、わが国におきます一般炭の生産量の約三分の一を当社において使わせていただいておる次第でございます。  このような火力発電所は、九州の若松地区におきましては低品位炭の地元炭を消化することを目的に建設をされました。また横浜の磯子火力あるいは兵庫の高砂火力、広島の竹原火力、それぞれは揚げ地火力という性格におきまして北海道炭、九州炭を使用いたすように位置づけられておる次第でございます。  このような、従来存在いたします、国内炭を使用いたす火力発電所四カ所に加えまして、昨今のエネルギー情勢の急転回に対応いたし、また国際的なエネルギー需給の要請にも即応する意味におきまして、広く国内炭のみならず海外炭をも含めまして一般炭の活用を図るという趣旨から、新たに、輸入炭を主たるソースといたします火力発電所を長崎県の松島に建設を開始することにいたした次第でございます。  この松島火力は、五十万キロワットの発電機二台を据えつけました百万キロワットの出力のものでございまして、当社としましては、これが完成いたすならば、最大の発電所に相なる次第でございます。  松島火力発電所は、現在の予定におきましては恐らく来月ぐらいから着工にかかれるかと存じておりますが、五十五年七月におきまして第一号機の運転開始をいたしたいと考えております。また、できれば五十六年の一月、半年を置きまして二号機の運転を開始できるように目下各方面と折衝をいたしておる次第でございまして、すべてが順調に推移いたしますならば、昭和五十六年一月を起点としまして、長崎県松島におきまして国内炭及び輸入炭を消費する火力発電所百万キロワットが完成をいたす予定でございます。この電力は九州電力、中国電力並びに四国電力の三電力会社によりまして、それぞれの比率に応じて引き取りを行っていただく予定になっております。  それで、この松島火力は、当社といたしましては主として輸入炭を燃料といたしまする大規模火力発電所の第一号でございまするが、これに引き続きまして、今後とも国内炭並びに海外炭の有効利用を図る見地から大型火力発電所をでき得る限り建設を進めたいという希望を持っておる次第でございます。ただいまのところ、松島以後につきましては明確に定められてはおりませんが、恐らくは広島県の竹原において同じような趣旨の大型火力の建設が可能になることを期待いたしておる次第でございまして、また、そのような趣旨から中国電力よりはすでに当社に対しまして要望が寄せられておる次第でございます。  また、竹原以後につきましても、全国の立地適地を積極的に開発をいたしまして大型石炭火力の建設をさらに促進をいたすことは、わが国エネルギー全体の需給の好転のために、あるいは燃料の安定供給確保のためにお役に立つのではなかろうかと考えておる次第でございます。  それで、これら大型石炭火力が新設をされますると、これに伴いまして当社の火力発電所に対するいわゆる電力用炭の供給体制をどうするかという問題が出てまいるわけでございます。私どもといたしましては、従来三百万トンに上る国内炭の優先使用を継続してまいりましたが、今後ともこれら既設並びに新設の各石炭火力を通じまして国内炭の引き取りを優先せしめるという原則、そのような方針についてはこれを堅持してまいりたいと存じておる次第でございます。  しかしながら、国内炭のみをもって足りない石炭需要というものに対しましては、これを広く海外の石炭産出国から調達をいたさなければならないのでございまして、そのような趣旨から、ただいま中国、オーストラリア、その他の諸国と鋭意が、私どもといたしましては、国際的に一般炭の供給を確保するに当たりましては、最も良質な石炭を最も安い国際競争力ある条件のもとにおいて安定的に引き取れるということを前提として、とれら諸国の関係企業と折衝をいたしておる次第でございます。  そして、このような海外からの石炭輸入を経済的に、そして合理的に行ってまいりまするためには、その前提といたしまして、国内におきまする将来の海外炭需要がどの程度のものになるであろうか、またその時間的な配分はどのようになるであろうかといった、将来の見通しがある程度明らかにされることが肝要でございまして、そのような将来構想というものを基礎に、経済的な輸入を可能にするような量と条件において海外炭の調達を図ってまいりたいというのが私どもの方針でございます。  今日までかような趣旨で石炭火力の建設並びに運転に努力をいたしてきた次第でございまするが、当社の立場から石炭火力にはどのような問題点があるかということを二、三申し述べさせていただきますと、一つは、建設費というものが重油火力に比較いたしましてやはり割り高につくという事実でございまして、石炭に固有の建設投資といたしまして、灰捨て場を確保しなければならない、あるいは石炭の荷揚げ設備を必要とする、あるいはボイラーの機器等が石油火力に比べまして割り高にならざるを得ない要因でございまして、今日の実勢において比較をいたしますならば、建設費においては石炭火力は約三割強割り高につくのではないかと考えております。しかしながら、石炭火力の建設費が割り高でございましても、その運転費という面におきましては重油火力に比べまして有利な条件があり、かつ政策的に石炭の引き取り交付金あるいは排脱交付金といったような恩典を与えられることもございまして、いわゆる建設費と運転費と両者を総合いたしまして勘案をいたしまするときには、今日の時点におきまし立つならば、石炭火力と重油火力とはほぼ競争し得る条件に来ているのではなかろうかと考えております。しかしながら、今後石炭の有効需要を拡大していくという見地から石炭火力の建設を推進するためには、このように重油火力と石炭火力とが建設費、運転費を合わせてほぼ均衡するといった条件のみでもっては、私ども石炭火力の建設促進には不十分であると考えております。なお一層の石炭需要有効確保の見地からする諸般の施策が講ぜらるべきではなかろうかという希望を持っておる次第でございます。  石炭火力の問題点の第二は、環境問題でございまして、これは御案内のとおり、SOxあるいはNOx対策が環境容量基準との関係におきましてきわめて重大な問題として浮かび上がっておるのでございますが、幸いにして今日まで当社の火力発電所におきましてはすでに排脱設備は完全にこれを設置し終わりました。また、将来の当社の火力発電所の建設に当たりましては、NOxの対策としましての所要の設備も、その研究開発にめどを得ました今日においては、十分に対処し得る見込みを持っておる次第でございます。  石炭火力の第三の課題は、石炭のような固形、しかも大容量の燃料を最も効率的に、経済的に使用いたしまするためには、願わくは石炭の流体化ということが最も望ましいわけでございますが、このような流体化はいわゆるサンシャイン計画におきましての一つ目標としまして石炭液化事業として取り上げられておるところでありますが、さしあたりこの液化計画が経済的に成り立ちまするためには、なお多少の時間を要するかと思われます。  その間におきまして、石炭の有効利用、効率的な使用を高める一つ方法としましては、石炭と石油との混合燃料による流体化の促進を行いたいと思っておりまして、この研究課題につきましては、当社は重点的に研究開発費を投入し、またイギリス並びにアメリカの関係機関とも密接な提携でございます。  このような石炭の流体化利用の技術が開発されますならば、石炭火力というものの建設はより効率的に、かつ経済的に、また立地問題においてもより容易な条件において打開ができるめどが立つのではなかろうかという期待を持っておる次第でございます。  以上のような、当社の石炭火力につきましての現状の御説明の上に、将来の石炭政策につきまして、あえて当社といたしましての御要望を申し上げるならば、二、三の点に触れさしていただきたいと思います。  その一つは、やはり一般炭の需要そのものを刺激、拡大していただくことが何よりも大前提であり、この一般炭の需要を拡大する意味におきまして、石炭火力というものは今後のわが国の火力発電の中においてそれ相応の位置づけを与えられるべきであるという、エネルギー政策上の明確な方針を打ち出していただくことが、最もこの際望ましいのではなかろうかという点が第一点でございます。  次に、私どもとしましては、一般炭需要が今後の石炭火力の増設によりまして拡大され、かつ増大をいたしましても、国内炭の引き取りは常に優先的に保証さるべきであるというふうに考えておりまして、かような国内炭引き取りを優先せしめる各種の政策、たとえば引き取り交付金あるいは外貨割り当て制度といったようなものは、その保証措置という意味において継続をしていただくことはこの際必要なのではあるまいかと考えておる次第でございます。  第三点としまして、どうしても足りないところはこれを輸入にまたざるを得ないわけでありますが、その輸入を最も経済的に行い得るようにいたしますためには、輸入の量というものを計画的に拡大をしていくことが肝要でございまして、いわゆる産炭国に対する開発投資あるいは石炭専用船の建造といったような面を考えましても、将来のわが国輸入炭活用の石炭火力がどのようなテンポで、どのような規模で伸展をしていくかということとあわせて、長期的な展望を持つことが望ましいと考えます。  第四点といたしましては、石炭火力を国内において効率的に運用をいたしまする見地から、いわゆるコールセンターといったような構想が取り上げられ、その建設が、たとえば第三セクターのような形態のもとにおいて推進をされることが望ましいと考えております。  最後に、先ほど触れました一般炭の利用のための新しい技術開発という面につきまして、国の側におかれましてもこれを促進し、推進をしていただくような施策をいただければありがたいと考えておる次第でございます。  私としましての意見は大要以上のようでございます。  ありがとうございました。
  50. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、藤本参考人
  51. 藤本得

    ○藤本参考人 ただいま御指名を受けました電気事業連合会の専務理事をやっております藤本でございます。  当業界で使っております石炭のことにつきましては、本委員会の諸先生方にはかねてから格別の御理解と御配慮を賜っておりまして、この席をかりまして厚く御礼を申し上げます。  なお、本日は九電力会社の代表といたしまして、石炭鉱業合理化臨時措置法改正等に関する電気事業界意見を述べさせていただく機会を与えられまして、まことに光栄に存じておる次第でございます。  御承知のとおり、電気事業といたしましては、エネルギー流体化が急速に進展するという世界的な環境変化の中で、国の石炭政策に全面的に実は協力をしてまいったわけでございます。  しかしながら、公害が大きな社会問題となり、硫黄酸化物、ばいじん、窒素酸化物等に関する規制が相次いで制定、強化され、特に窒素酸化物につきましてはこれを除去するための脱硝技術にまだ未解決な問題を多くはらんでおります。これに加えて地元の住民の方々の公害に対する意識の高まりから、国で定められました条件以上の厳しい規制の要請を受ける場合も多くなり、ほかの燃料に比べて硫黄及び窒素分の含有率の高い石炭を引き取る上での環境も非常に大きく変化してまいったのであります。  また、最近におきましては、石炭火力に限らず、重油火力あるいは原子力発電所等の電源立地がきわめて困難な状況になってきておりますが、とりわけ石炭火力の場合につきましては、輸送あるいは灰捨て場等の制約も加わりまして、立地点の選定が非常に制限される状況になってまいっております。そういう意味で、石炭の引き取りにつきましては実は限界が生じてまいりまして、昭和四十年代の半ばのような大幅な引き取り量の減少はなくなりましたものの、年々その引き取り量は弱含みの横ばいの状態とならざるを得ない実情にございます。  しかしながら、昭和四十八年秋の石油危機から始まって昨年暮れまでのOPECの再々の値上げ等によりまして、石油資源に対して危機感が非常に高まってまいりました。われわれ電力業界といたしましても、電力の安定供給に努めなければならないわけでございますが、環境規制への対応に留意しつつこれまで以上に燃料源の多様化を強力に推進しなければならない状況となってまいった次第でございます。この観点から、石炭につきましても、環境立地問題あるいは地元の方々の合意問題等いろいろな困難な情勢もございますが、可能な限りこういう条件を克服いたしまして、なるべく積極的に石炭の活用を図ってまいりたいというふうに考えております。  政府におかれましてもこの事態を重視されまして、本年初めから総合エネルギー対策閣僚会議あるいは総合エネルギー対策推進本部等の設置、さらには総合エネルギー調査会基本問題懇談会の改組、拡充等によりまして、五十年八月に総合エネルギー調査会がお出しになりました答申の中身について、六十年度九百六十万キロワットの石炭使用設備あるいは輸入一般炭千四百六十万トン等を含めた答申でございますけれども、そういう答申につきましてもその実現の具体策について現在検討が進められておると承っております。  このような石炭の活用におきまして、その根底をなすものは国内炭安定供給が基礎となりますために、国内の石炭業界の安定的な経営基盤の確立、石炭供給力の確保が強く望まれるところでございまして、かかる折から第六次石炭政策の具体化としての法案改正が行われますことは、まことに当を得たものと考えられ、賛意を表する次第でにざいます。  なお、この際一言つけ加えさせていただきますならば、これまで電力業界が格別のお世話になっておりました電力用炭販売株式会社に対しまして深く感謝の意を表するものでありますが、今回、これが廃止されましてその主業務が石炭鉱業合理化事業団に引き継がれることになるようでありますので、引き継ぎ後も従来と同様、電力用炭の取引に関しまして円滑に運営されますよう御配慮お願いする次第であります。  最後に、現在の電力業界の実情に立った石炭に関します要望といたしましては、今後とも石炭の供給確保につきましてよろしくお願いしたいことでございます。特に石炭のウエートの高い北海道電力につきましては、露頭炭の確保を初めとする安定供給対策について特段の御配慮を賜りたいと存ずる次第でございます。  以上、いろいろ申し述べましたが、この法律改正の速やかな成立と改正の趣旨に沿った石炭政策が進みますようお願い申し上げまして、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  52. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、藤井参考人
  53. 藤井儀作

    ○藤井参考人 ただいま御指名になりました私は、全国鉱業市町村連合会会長、佐賀県多久市長の藤井儀作でございます。  本日は、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案などの御審議に関し、参考人として所懐の一端を申し述べる機会を与えていただきましたことは、まことにありがたく光栄に存ずる次第でございます。  本法案改正につきましては、わが国総合エネルギー政策石炭重要性が再認識され、唯一の国産エネルギー資源として石炭の見直しが叫ばれて、このたびこれら関連諸法律改正提案されたことは、関係者としてまことに慶賀にたえない次第でございまして、むしろ遅きに失したという感じすら持っております。  私は、産炭地市町村長の立場から申しましても、その地域の中核企業である石炭鉱業の盛衰は、同時に産炭地住民の生活に重大なる影響を与えるものでありますので、法律改正内容に対しましては大いなる関心を寄せているものでございます。しかしながら、その改正内容の是非につきましては、石炭企業その他、専門的知識の豊富な方々の御批判にゆだねることといたしまして、私は、産炭地市町村に直接重大な影響を及ぼす第三条の石炭及び石油対策特別会計法の改正に関連いたしまして、重点的に意見開陳させていただきたいと存じております。  改正案は有効期限の延長のみをうたったものでございますから、原則的に何ら異論のないところでございますが、昭和五十二年度予算編成の経緯をおもんぱかってみますときに、幾多の問題点に当面するのでございます。  その一つは、延長期限は昭和五十六年度、いわゆる昭和五十七年の三月三十一日限りで五ヵ年間の延長になっておりますが、本特別会計の原資であります原重油関税を現行のまま財源とすることにつきましては、昭和五十二年度までの二ヵ年間に限定されておるやに承っておりますが、残余の三ヵ年間の財源の見通しはいかが相なっておりましょうか。国の一般会計の現状から推察いたしましてまことに不安にたえないものがあるのでございます。期限の延長とともに、財源の充実確保に対する何らかの保証が得られないものでございましょうか。この際、ぜひとも諸先生の御高配をお願い申し上げたいと存ずるのでございます。  次に、仄聞いたしますところでは、前述の二ヵ年の間に同特別会計の見直し、特に石炭勘定の洗い直しを行うという条件がついておるという由でございます。従前より石炭対策上の鉱害復旧あるいは産炭地域振興あるいは離職者対策、これらに関しましていろいろ議論が行われておることは承っておりますが、一部の方々の間に言われている、産炭地域振興はもういいではないかというような廃止論につきましては、産炭地に対する認識の欠除もはなはだしいものと申し上げねばなりません。  石炭対策特別委員会の皆さん方、諸先生方には、日ごろ深い御理解のもとに長年にわたって御支援を賜っており、地域住民は常に感謝いたしておるところでございますが、あえて現状の一端を申し上げ、そしてこの産炭地の窮状を訴える非礼をお許し願いたいと存ずるのでございます。  産炭地には、降雨のたびに流れ出す、そしていつ崩壊するかわからぬ危険なボタ山がまだたくさん残っております。あるいは復旧の進まない鉱害地、いわゆる陥没地が散在し、数百、数千に及ぶ失業者が滞留しております。加えて全国平均の十、二十倍に達するところの生活保護者が滞留しておるのでございます。  その一例を申しますと、現在、炭鉱離職者臨時措置法によって、マル炭事業と申しておりますが、これに二千八百人、開発就労事業が三千二百人、特開事業は五千人、一万一千人の炭鉱関連の失業者がまだ残って働いておるのでございます。また生活保護にいたしましても、全国平均は千名に対して十二・一名、ところが産炭地においては実にその十倍の二百人、最高では三百人と、十倍二十倍に達する生活保護を抱えておるのでございます。  かように、失対の状況なり、あるいは人口の減少の状況なり、鉱害復旧の状況なり、あるいは生活保護の状況なりを考えますときに、本当に産炭地が回復されたのでございましょうか。この点も御認識いただきたいと存ずる次第でございます。  閉山により人口は激減いたしました。今日、全国の産炭地の三五%に及ぶものが実に半分以上なだれ的な人口減を起こしておるのでございます。もちろん、産炭地域振興法によって一部の条件のいいところにおいては人口のふえたところも、あるいは横ばい状況になったところも確かにあるにはありますが、これはほんの一握りでございまして、大部分の産炭地はいまだに人口の流動が継続しておる。これは産炭地が安定していない一つの大きな証拠になるのではなかろうかと私は考えるものでございます。  中核企業を失い、人口急減等に加えまして産炭地特有の財政需要がまた多額に上っております。これもお手元に別紙統計表で挙がっておりますように、いろいろ鉱害復旧なり生活保護なり、あるいは同和対策なり開発就労その他によりまして、いわゆる持ち出す金が五十年度の決算で二百八十八億くらいに上っておりますが、大体一市町村当たり二億一千万円程度余分の金が、普通の市町村ではない、産炭地なるがゆえにやらなければならぬそういったマル炭事業その他に対して金が要っておるわけでございまして、それだけほかの事業ができないというような状況にあるのでございます。  また、昭和五十年度の財政力指数を見ますときに、これまた全国平均は六四・三%、これもお手元に差し上げております。この全国の市町村の平均は六四・三でございますが、われら産炭地の平均をとってみますと三四%、三四しかない。こういうような状況でございまして、ひどいのになりますと、三四どころか、一〇にも満たない産炭地さえあるのでございます。いかに産炭地の財政力が弱いかということの大きな証拠になっておると存じます。  こういうように貧乏、貧困をきわめた産炭地市町村の財政でございますので、住民サービスも心に任せず、公共事業につきましても、失業対策事業と産炭地域振興臨時交付金のかさ上げ等に助けられて細々とやっておるのが現状であります。産炭地対策はもういいではないか、そういうことにつきましては、私どもはまことに現実を無視したものと本当に悲しくなってしまいます。  しかしながら、産炭地の中にも、先ほど申しましたように、確かに財政力も四〇以上を保って、一応人口流出もとまっておるところも確かにあるにはあるのですけれども、これとても現行の石炭及び石油対策特別会計に支えられる国の助成措置に負うところでございまして、万が一にもこの命脈を断ち切られますと、たちまちに衰退、衰微し、荒廃の一途をたどっていくということは、まことに火を見るよりも明らかなことでございます。  ここに一言申し上げておきますが、私ども産炭地市町村長といたしましては、いたずらに国の助成だけを頼りにして手をこまねいておるのではございません。最小の経費で最大の効果を発揮すべく経費の節減につきましては、行財政全般にわたって徹底的な見直しをやって、職員の定数も削減し、議員の定数も二割も削減し、あるいは定期昇給をストップしたり、紙一枚でも粗末にしてはいかぬというような厳しい節約をしておるのでございまして、われわれができることはわれわれ自身でやる、こういう方針で、厳しい態度で臨んでおるということを御認識いただきたいのでございます。  また、工場団地の造成に、あるいは企業誘致に、進出企業の育成に、日夜営々と努力を重ねておるのでございますが、御高承のとおり、産炭地は遠隔僻陬の地が多く、こういったこともなかなか思うような効果が上がっておりません。そもそも産炭地振興臨時措置法は、鉱工業の発展を目的としておるのでございますが、経済低成長時代に入ってまいりますと、鉱工業にとらわれることなく、むしろ地場産業、特に農林水産業、いわゆる第一次産業、ここに力点を置いて、産炭地振興法の第十一条の助成対象の中に、これらいわゆる第一次産業をぜひ入れていただきたい。現在の産炭地振興法は、新産都市と同じときにできまして、仕事をすれば一定以上の補助率のかさ上げをしてやろう、こういう法律なんです。これでは、金のない鉱業市町村は仕事ができないから、せっかくつくられた法律も絵にかいたもちである、こういうことを私はこの前、四十一年に申し上げたことがございます。しかし、その後通産御当局の奮闘によって、このかさ上げの一部をさらに引き上げてもらうとか、臨時交付金の一部の制度がなされておりますけれども、しかし、われわれの本当のねらいは、離島振興法並みに産炭地振興法も補助率のアップをはっきりずばりわかるように書いてくださいというのが私の大きな願いでございます。  石炭鉱業振興のことのみいろいろと申し上げたのでございますが、石炭合理化臨時措置法の一部改正の重点事項の一つでありますところの新鉱開発閉山炭鉱の再開発につきましても、地域住民の協力は産炭地振興対策によって推進され、炭鉱労働力の確保には同離職者対策が裏打ちされること等を考慮いたしますときに、現行石炭及び石油対策特別会計法における石炭対策、鉱害復旧、産炭地振興、炭鉱離職者対策の四本の柱を変更することなく継続されることは、わが国総合エネルギー政策の一翼を担う石炭鉱業の伸展にも大きな希望を与えるものと信ずるものでございます。  以上、所信の一端を申し述べまして、石炭対策特別委員会の諸先生の御高配をお願い申し上げる次第でございます。  以上でございます。よろしくお願いします。
  54. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、吉田参考人
  55. 吉田久

    ○吉田参考人 私は、全鉱連の副会長をやっておりますが、そのほかに北海道の鉱業市町村会の会長もやらしていただいておりますので、その立場からもいろいろ申し上げたいと思います。夕張市長の吉田でございます。  北海道は、二十三の鉱業市町村を持っておるわけでございまして、石炭で大体九十万人近くの人間が生活をしている地域でございます。御承知のように、全国の出炭規模の大体六〇%を北海道で出炭をしているわけでございます。  北炭再建問題、なかんずく幌内炭鉱の復旧につきましては、非常に諸先生の御協力をいただきまして、だんだんと緒についてきておりますので、厚くお礼を申し上げたいと思います。  いま、わが国エネルギー政策の問題について承りますると、一年半ほど前にでき上がりました総合エネルギー政策というのがすでに見直しをしなければならぬ、こういう時期に来ておるわけでございまして、私は年来この国内炭、これは現在二千万トンというわけでございますが、これを年々少しでも増産をすべきだ、こういう政策を具体的にとってほしい、この国内炭生産のテンポというのは非常に遅いじゃないかということを主張しておるものでございます。  次に、この出炭規模の上乗せに際しましては、何といっても新鉱開発を促進してもらわなければなりません。いまわが国では三十一億トン程度のいわゆる実収炭量というのがあると言われておりまして、したがって、この新鉱開発の経営形態につきましては、第六次政策におきまして第三セクター、こういうものが現実政策として載っておるわけでございますが、私は、この新鉱開発、これについては何といっても公団あるいは公社でやらなければならないものだと考えております。現在の私企業炭鉱におきましても、もうすでに政府の管理下に置かれておる、こういう状態を考えますと、もはや、国民生活をエネルギーで守るという立場からいきますと、いまの自由経済下であるからあるいは公的なものではやらないというような論議をしている時期ではないと思います。もうすでに三十年後には石油が枯渇をする、世界的な枯渇が目の前に迫っておるわけでございまして、何といっても、国民生活を守るためにはどうしたらいいかということについて御検討を願いたいと思う次第でございます。  次に、私の市内で北炭夕張新第二炭鉱がいま炭量枯渇という名前で閉山の危機にさらされておりまして、労使の間で目下これは団体交渉中でございますけれども、この閉山という問題は地域の市民生活に大きな影響を与えてまいります。商工業者も約六百おりまして、この商工業者が今後どうしたらいいかという不安に駆られておるわけでございまして、これにつきましてもいろいろ御配慮をいただいておるわけでございますが、非常に厳しい状態に入っております。  もう一つ北炭の経営下にあります化成工業所が存廃の危険にさらされております。これはコークスを生産しておるわけでございますが、これがなかなか売れないということがこの経営危機の原因になっておりますけれども、このコークスの備蓄制度というのはすでに西ドイツでもあるわけでございます。コークスは、御承知のように、酸化後風化がない、燃焼するときにばい煙もない、こういう非常にすぐれたものでございますから、今後この備蓄制度を何とかお取り上げを願いたいものだと思っております。  医療体制の縮小問題もございまして非常に悩んでおりますので、これにつきましてもよろしく御指導を願いたいと思います。  次に、これからの炭鉱の問題につきましては、何といっても深部開発、こういう問題が出てまいるわけでございまして、非常に高温あるいは高圧あるいはガス突出、こういうようなものもありまして非常に問題が多い深部開発でございますので、私は、何とかこの際、いまいろいろ進められておるとは思いますけれども、現在休鉱している炭鉱利用いたしまして、この深部開発の問題について各大学の関係教授陣を中心にしたプロジェクトチームでもつくっていただきまして、保安技術の確立とともに何とかこの深部開発ができるように、ぜひ試験坑道をお取り上げ願って、あわせて技術者の養成もぜひお願いしたいと考えておる次第でございます。  次に、今回の法案の中にも鉱区の調整の問題が出ておるわけでございます。これは確かに消滅鉱区、買い上げ鉱区、こういうものの再設定の問題だろうと思いますけれども、私は、今後国内炭開発ということになりますと、各炭鉱が持っておるところの鉱区というものが、それぞれ各炭鉱開発するなら問題ありませんけれども、これが永久にそのままになっておるということは非常にいまの現状では合わないと思いますので、全体の鉱区というものをすべて含めてこれを調整ができるようにお願いをしたいものだと思っております。  海外炭開発でございますが、私は直ちにこれに反対だという立場にはありませんけれども、いままで第六次にわたりましてほとんど一般炭というのをつぶしておる政策をとっておるわけでございまして、最近におきましては一般炭を見直ししているわけでございますけれども海外炭開発に対する補助または資金貸し付けというのは、結局は外国のエネルギーに依存をするということになるわけでございます。当面はあるいはやむを得ないといたしましても、この問題は、何といっても国内炭の増産をして、それが本当に軌道に乗る、その中でどうしても足りないものを海外に求めるという形にしてもらいたいものだと考えておる次第でございます。  次に、今回の法案にはもちろんありませんけれども産炭地域の振興策の問題につきましては、何としてもいまの振興策というのは工業出荷額を中心にした物の考え方でございますが、なかなかいまの経済情勢の中におきましては企業誘致も活発ではございません。ほとんど設備投資を控えておる。せっかく来た企業でもかなり倒産をするという結果になっておりますので、私は、当分の間この企業誘致というものはなかなか見込みがない、こう考えられますので、今後、産炭地の振興策というのは自治体のそれぞれの計画というものをできるだけ採用していただいて、九州は九州なり、北海道は北海道なりの問題について御検討を願いたいと思います。純炭鉱都市におきましては、できるだけ炭鉱モデル都市、こういうものを指定していただきまして、それに財政の裏づけをして、そしてこれが計画的に年次計画で進むようにしていただきたい。これは裏を返せば若年労働力確保のためにはどうしても生活環境をよくしなければなりませんので、そういう意味お願いを申し上げたいと思います。要するに、各地域の特徴、特性というものを生かす産炭地振興の実施計画改定にしていただきたいものだと思っておるわけでございます。  次に、石炭特別会計の問題でございますが、これは九州の皆さんとあるいは北海道とは意見が異なるかもしれませんけれども石特会計の中では鉱害対策あるいは労働対策、これが四五%を占めておるわけでございまして、私は九州の状態から見ますと、この政策は当然やるべきだ、こういう意見はもちろん持っておりますけれども、この政策についてはできるだけ一般会計からこれを繰り入れをして、そうして余裕ができたものは石炭生産対策に、直接の政策の方に回していただきたい。石炭生産対策は全体の予算から見ると四〇%程度でございますが、よくほかの人の意見を聞きますと、千億以上も石炭に使っておるじゃないかということを言われますが、中身はそのような状態でございまして、私は何としても石炭生産対策の方にできるだけ重点を置くような予算にしてもらいたいものだと考えておるわけでございます。  以上、申し上げたいことはたくさんございますけれども、時間が限られておりますので、以上で終わります。よろしくお願いいたします。
  56. 岡田春夫

    岡田委員長 以上で参考人意見開陳は終わりました。     —————————————
  57. 岡田春夫

    岡田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  58. 愛野興一郎

    ○愛野委員 参考人の皆様方にはまことに御苦労さまでございます。  時間が十五分間で質疑応答ということになってお願い申し上げたいと思います。  まず、電源開発総裁の両角先生にお伺いをいたしますが、現在のエネルギー政策の中心を石炭に置くべきであるという御意見であったと考えております。  そこで、核融合とかあるいはまた液化ガスとかいうのはこれは大分先の話でありますが、今日すぐ供給し得るエネルギーの中で、すなわち水力、地熱、原子力発電、太陽熱、潮力の中で一番比較的短期間に商品と申しますか、需給に間に合うようなエネルギーというものは石炭であるのかどうか。石炭にはいろいろ難点があるのはよくわかっておりますけれども、しかし、片っ方原子力発電も、現実の問題としてはいろんな難点があるわけでありますし、また地熱にしてもいろいろあるわけでありますから、そこでコストとかなんとかは度外視いたしまして、一番スピード的に間に合うというのは石炭であるとお考えなのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  59. 両角良彦

    ○両角参考人 お答えを申し上げます。  端的に申し上げまして、電力供給の立場から申しますと、時間的に一番有利な供給体制がとれるものは石炭火力、重油火力であろうかと思います。  なお、水力開発につきましては従来から長期計画で漸次これを進めておりますので、計画的に投入するという場合には、やはり水力開発も評価をしていただきたいと思います。
  60. 愛野興一郎

    ○愛野委員 そこで、現実問題として、できるだけ早くこの中心を石炭に置かなければならぬとするならば、やはり国民的信用を石炭に置いていただかなければならぬ。  そこで、私は藤井先生にお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、石油にかわる前のエネルギーの一番中心は石炭であったわけであります。それが今日、北海道とそれからまた藤井先生のお話では、前向きと後ろ向きの四〇%云々ということにもなっておるわけでありますから、これはこの際御意見をお伺いしておきたいと思いますのは、石炭が一番中心であったときにおきましては、今日の鉱害市町村というものは、本当に国策の中心という観点から、石炭産業に御協力を願ったというふうに私は理解をいたしておるわけであります。そこで、昭和二十七年に臨時石炭鉱害復旧法あるいはまた三十八年に石炭鉱害賠償等臨時措置法あるいはまた三十四年に炭鉱離職者臨時措置法産炭地域振興臨時措置法、こういうのができたゆえんのものもまたそこにあった、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この四法の今日までの運用、そういったものが果たして立法の原点にのっとった運用が国においてもなされておるかどうかという所見をお伺いいたしておきたいと思います。  同時に、時間がありませんから一遍にお伺いをいたしますが、毎年、石炭・石油会計で千数百億の予算を原資として、いま申し上げました石炭対策あるいは産炭地域振興、離職者対策、こういった鉱害復旧をやっていただいておるわけでありますけれども、これがもう十分でないということは、まさに私どももそこに住んでおるわけでありますから十分認識をいたしておるところであります。  そこで、鉱害復旧市町村の行政を担当しておられる藤井先生は、本当にそうであると思っておられるのか。そうであるとすれば、どこに欠陥があるのか、そしてどうすれば本当に困っておる産炭地域、旧産炭地を救えるのか。いまお話しのように、後ろ向きであるというような論議が国会でさえもまかり通るということであれば、せっかく石炭が中心であった時分に一番協力をしておった市町村が泣きの涙である。しかも、言うなれば、これは通産省とか大蔵省とかの問題じゃなくて、現実にそこに住んでおるところの人の立場に立って考えなければならぬわけであります。立法の趣旨に沿って考えなければならぬと思うわけでありますから、その所懐をひとつお聞かせ願いたいと思います。  私ども産炭地振興法によって確かに幾ばくかの効果があったことは十分認めますけれども現実には鉱害復旧にいたしましても、とてもまだまだ現在の法で定めておる期限内に復申し得るものとは考えておりません。残念ながら、まだまだ未認定の鉱害がたくさんあるのでございます。  それからまた、先ほども申しましたように、人口の流出状況、人口減の状況を見ましても、まだとまっておりません。横ばいになったり、ふえたのは大都市周辺の一部の産炭地でございまして、大部分の鉱業市町村はいまだに人口が流出しておる。しかも、先ほど申しましたように、生活保護者の数にしてもあるいは失対の関係の従業員にしてもまだたくさん残っておるわけです。したがって、今回の法の改正は、なるほど五ヵ年の延長ではあるけれども、特別会計法によってその原資をわれわれは得ておるのだけれども、二年間しか関税は認められないというようなことを聞きまして、それじゃあとの三年間は一体どうなるのだろう。特に失業者の連中は非常に心配しておるわけなんです。もちろんわれわれ産炭地鉱業市町村としても、これは一体どうなるのだろうと非常に心配しておるわけでございます。  現在までの振興法その他効果はあったということは認めながらも、まだまだとてもの談ではない、産炭地振興の談じゃない。基盤整備さえ、鉱害復旧もまだできていない。そのほかの事業ももちろんまだできておりません。そしてまた、先ほど申しましたように、産炭地は僻陬な地域が多うございまして、工業を誘致しようと思っても、一生懸命やっておりますけれどもなかなか来てくれない。もちろんこれは並行して工業誘致もやらなければならぬわけですけれども、もう一つ大事なことは、どうしても農業というものをおくわけにはいかない。  農業の振興は、どうしても産炭地としてやらざるを得ない宿命でございます。ところが、その農業の振興に対する措置が全然してないのです。施行令の九条でございましたかに、十七種目の補助率アップの特別臨時交付金を上げるような温存になっておりますけれども、残念ながら、その一番大事な農業方面の、いわゆる第一次産業に対する事業については、補助率のかさ上げの恩典に浴していない。ここに私たちは一つの大きな要因があると思う。ですから、今後、期限の延長とともに、こういった第一次産業も補助の対象にしていただく、こういう措置をまずとっていただきたいということをお願いする次第でございます。工業の振興を図り産炭地は大いに振興させようというその理論は、それはわれわれも非常に結構なことですが、実際十五年間やってきて、事実その恩典に浴せない。しかも農業は、御承知のように、どうしても近代化していかなければならぬ。圃場整備なりあるいは畑作なり、いろいろ産炭地は産炭地なりにやっておるのですよ。ところが、それに対する恩典がないものですから、非常に困っておる。  それから、財政需要が、ほかの一般の市町村よりも余分の財政需要がある。失対事業、鉱害復旧、その他いろいろあるわけです。こういうことが、ほかの事業をやれない一つの要因になっておる。  それからもう一つ、私はこの際お願い申し上げたいのは、産炭地域振興になっておるわけですね。しかし、佐賀県に例をとりますと、これは愛野先生も御承知のように、四十九市町村ございます。それで産炭地の六条の地域は十ヵ市町村です。ところが、産炭地域振興になりますと、佐賀県四十九のうち四十一は産炭地域になっておるのですよ。ですから、唐津市とかあるいは武雄市とか、非常にギャンブルによって財政豊かなところさえ補助率アップの対象になるわけなんですね。そこを私は少しお考え願いたい。やはり一番貧乏な困っておる六条地域に、この補助率アップの恩典が浴し得るように、傾斜的に——十条地域をやるなと私は申しません、ひとつ財政力なり失対なり、あるいは生活保護者なり、そういうものを勘案しながら、傾斜的に援助の手を差し伸べていただく。十条の地域は、そういった金持ちの市町村まで入っておるわけなんです。だから、そういうのは私は、ちょっとどうか、問題があると思うわけでありますので、そういう点も、この際、法の延長とともにひとつお考え願いたいということを訴えておるような次第でございます。  もう一つは、産炭地振興をやるためには、以前は、産炭地域振興事業団のころは、一万坪、二万坪の小さな団地でも事業団がやってくれておったわけです。そして工業誘致のために大きな役割りを果たした。ところが、現在は、公団になってからは大型プロジェクトの工業団地造成が主眼となっておりまして、一万とか二万とかの小さな団地はつくってくれないのです。それが産炭地としては非常に実情に即さない。われわれは、やはり、以前にやっていただいたと同じような、公団において小さな団地でも取っていただく、これが産炭地振興の一つの大きな引き金にもなりますから、これもぜひひとつこの際やっていただきたいと存ずる次第でございます。  それから、せっかく誘致した企業も、この不況によって非常な打撃を受けております。伊万里木材、バンボード、あるいは先月私どもの安永理研が倒産いたしました。でございますから、せっかく誘致した企業は何としても倒産しないように、何とか運転資金その他どうか公団においてもひとつ、倒産しないような法、政策ですか、こういうものをやっていただきたいと考えておるような次第でございます。  大変いろいろ申しましたが、要は、産炭地域臨時措置法も非常に効果はあったけれども、しかし、それはいわゆる新産都市と同じ趣旨でつくられたために、まだ実際には産炭地の振興にはなっていない、これをひとつぜひ改正してほしいということ、あるいは団地の問題なり、あるいは離職者の連中は非常に心配しておりますから、もう産炭地振興は済んだというような声を聞くことになりますと、われわれはもう本当に怒りすら感ずるのであります。これだけ苦労しておるのに、やるべきことはやりながらも、いまだに振興できない、まことに遺憾千万でございまして、こういう点をよくひとつ御認識いただいて、われわれのできることはわれわれ自体でやりますから、どうかそれ以外のことは国においてもう少し親心のある、温かみのある是正を講じていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
  61. 愛野興一郎

    ○愛野委員 ありがとうございました。
  62. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、岡田利春君。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 参考人の皆さんには、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  第一点、両角参考人にお尋ねしますが、ずっといま拝聴していて、率直に申し上げて、私は、さすがにまとまった御意見であった、こういう実は感触を持っておるわけです。そういう意味で、問題点その他も非常に整理をされておるのではないか、こう感じています。ただ、これからの外国炭の供給先というのは、国際環境も、やはり石炭もナショナリズムが高まってまいりますから、そう簡単な問題ではないだろうと思うのです。午前中も、しかし時期としては早急に手を打たなければならないという、石炭会長の御意見もいただいたわけですが、当面松島の供給炭の供給確保はどういう見通しでおられるかというのが第一点であります。  第二点としてコールセンター構想の問題でありますが、いま述べられた松島あるいはまた竹原地区その他の地区は揚炭設備が持たれると思いますから直接コールセンターと結びつくのかどうか、ちょっと問題点だろうと思います。しかし、長期的にこれから石炭火力というものを考えていくということになれば、当然コールセンター構想がなければなりませんし、そしてストックヤードといわば適正炭種の造出、こういう面を兼ねるものだろう、こう私は思うわけです。そういう意味では、やはりある程度国の影響のある機関がコールセンターの主体的な任務を背負う。もちろんそのことも含めて第三セクター的なものになるのでしょうけれども、そういうことがどうしても必要ではないかという感じがするのですが、御意見があれば、承りたいということであります。  それと同時に、いま低カロリーや高カロリーのガス化、液化の問題がありますけれども、私も技術的に考えますと、石炭を重油とコロイド状にするのが最も近道であろうか、こう考えるのは当然だと思うのです。したがって、この点、せっかくの御意見でありますので、その見通しについても若干御説明願えれば幸いだと思います。  次に、藤本参考人にお尋ねをいたしたいと思う点は、石炭と油の競争、千二百円下げから石炭政策は混迷を深めて今日に至った。当時電力会社がもう少し石炭に対して愛情があったならばもう少しましな道を歩んだのではないか、私はこういう率直な感じを持っておるわけです。現に石炭をたいておるのは北海道と九電、あと若干中国、そして東北だけである。あと石炭の消費は皆無である。これは石炭エネルギーの主力になってきた歴史的な経過から言えば、諸外国に見られない状況だと私は思うのです。しかし、今日、燃料の面では、カロリー的にいいましても今後の重油の見通しからいっても、燃料費としては十分採算に合う段階になってきておるので、今度アメリカも西ドイツも電力会社石炭火力の割合を義務づける、これがアメリカや西ドイツの動きであります。そうしますと、わが国では電発と九電力に一定割合の石炭火力を義務づける、ここまでいかなければならないエネルギー情勢になってきた、私はこう認識をしておりますが、この点についての認識はいかがでございますかという点が第一点です。  第二点は、いま電発がそれぞれ水力及び火力の発電された電気を卸しておるわけでありますけれども、この卸売電気料金の問題であります。もちろんこれは電調審で決められる問題でありますが、特に石炭火力の問題について、たとえば私の試算によりますと、高砂の火力発電所、同時に同規模の発電所が同時期に建ったという計算をすれば、一円以上安く九電力は受けている、こういう計算が出てまいるわけであります。私は、石炭政策上この点については特に配慮をすべきではないか、こういう意見を持っておりますし、私の試算が間違っているかどうか。そういう点について是正され、協力さるべきではないかというのが第二点であります。  第三点の問題は、どうしても石炭になじみの深いのは北海道、九州、中国、常磐を含めて東北ですね。これは炭鉱があったわけですからなじみが深いわけです。ですから、そういうところが立地しやすい可能性は他の地域よりも大きいことは当然であります。しかし、北海道電力の場合も一単位の電力会社でありますから、本年三百五十万トンの石炭を消費する。ようやく苫小牧が決まった。前の重油の伊達はできてもまだ運開ができないという状況、これらを経験した感じから言いますと、石炭火力という問題についてどうしても九電力全体が連帯的に割り切っていかなければ、北電だって油の発電所も欲しいし、原子力の発電所も欲しい、しかしわが国最大産炭地域である、こういう点が出てまいるわけであります。たとえば一例を申し上げますと、いま釧路炭田の太平洋炭礦から電発に船で持ってきて送っている流通経費と、太平洋から内陸の北海道の発電所に持っていく流通経費では、北電の内陸に納める方の流通経費はむしろ磯子あたりに納めるよりも若干割り高になっておるわけなんです。そうしますと、どうしても国内炭の価値を高めるという意味では、できるだけ産炭消費の方向を目指すということも私は当然だと思うわけです。しかし、北電の場合には、今度また重油の発電所を道南地帯に長期計画で考えられておる。しかし、国民合意や経済や全体のエネルギー政策から言えば、当然石炭火力というものが考えられなければならない。これをどう調整するのか。これは電事連がわが国エネルギーゼロ成長時代を予想しながら、そうして公益事業であるという立場から、全体的な立場でこれを評価する、こういう発想の転換がなければいかぬのではないか、こう思いますので、この点について御意見を承りたいと思います。
  64. 両角良彦

    ○両角参考人 御質問の第一点の、松島石炭火力の輸入炭のソースをどこを予定しておるかという御趣旨と承りました。  御指摘のとおり、各国とも資源ナショナリズムと言われるような傾向が見られることは事実でございますが、同時にまた、事一般炭につきましては、ここ当分の間は買い手市場が国際的に継続してまいる公算が強いかと思っております。私どもが今日まで松島のための供給源といたしまして中国、オーストラリアあるいは南ア連邦、ソ連その他の国々の関係機関、企業と接触をいたしました範囲におきましても、先方の対日輸出の希望はきわめて強いものがございまして、五年、十年の長期契約というものを合理的な条件において設定することは十分可能であるというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。  なお、これら各国にどういう割合でわれわれが供給を期待するかということにつきましては、やはり相互に競争をしていただくことが大変必要な条件でございまして、決して一つの国に偏ることなく、いわゆる供給源の分散という趣旨から、適当な割合をもって経済性のある条件による輸入体制を築きたいと思っております。  御質問の第二点の、コールセンターの必要性でございますが、端的に申し上げまして、将来ともわが国において輸入炭を主たる燃料とする大型の火力発電所は幾つか建設されるという前提をとるならば、私はコールセンターの建設が最も望ましい計画であると考えます。  その理由は、申すまでもなく、個々の発電所単位に岸壁をつくり、荷役設備をつくり、貯炭場をつくっていくということは、石炭輸送の大型化ということを考えますと、投資においてきわめて非効率な面がございます。たとえば一つの五十万キロワットあるいは百万キロワットの発電所の岸壁の投資のために六十億円ないし九十億円という経費がかかるわけでございまして、このような大型の岸壁設備をどこか一ヵ所に集約をいたしまして、かような大幅な岸壁投資を必要としない形態において、各発電所に対する原料としての石炭の供給ができる体制ができれば、きわめて経済性の向上に寄与すると考えます。このようなコールセンターは、先生御指摘のように、やはり第三セクターと申しますか、公的な部門からの協力をいただくということも大変望ましいことではないかと考えております。  第三点の、いわゆる石炭、重油の混合によります流体化燃料の見通しでございますが、私どもとしましては、技術開発に現在鋭意努力をいたしておりまして、先ほど申しましたように、国際的な技術情報の交換体制をつくりまして、各国と緊密な連絡をとりながらいまこれを進めておる最中でございますが、技術面で申す限り、ここ二、三年の間に一応のめどが得られるのではないかというふうに申し上げることができるかと思います。反面、このような流体化が、固形燃料としての石炭を直接使うのに比較してコスト的に有利か否かという点の検討もあわせて進める必要がございまして、この点につきましては、なお研究の余地が残っておるのは事実でございます。しかしながら、大勢といたしまして、石炭をより効率的に、かつより経済的に使う方策としまして流体化ということが実用化されるめどがつくならば、私は当社の火力発電所は国際的に見て第一号になり得るという考えを持っておる次第でございます。
  65. 藤本得

    ○藤本参考人 お答えさせていただきます。  まず、石炭火力をつくった方がいいんじゃなかろうかという御質問でございますけれども、私ども石炭に対する愛情につきましては、先生御指摘もございましたけれども、従来から実はずっと持ち続けておりまして、昭和四十年代の初頭の国内炭が非常にたくさん出るときは、優先して電力業界が二千万トンに及ぶ量を実は使わせていただいたわけでございますけれども、その後いろいろな環境条件あるいは石油等流体化の問題等もございますし、あるいは国内的にも石炭出炭量の減少等もございまして、石炭火力そのものを電力業界で使う使い方が実は非常に困難になってまいった次第でございます。もっとも当初は、石油そのものが経済的に相当メリットもあるというような形で、しかも石炭火力に比べてわりあいに大型なユニットのものができるというような技術面の問題もございまして、あるいは石炭の置き場、揚げ場その他のいろいろな関係もございまして、油火力が御承知のとおりのような形で非常にふえてまいったわけでございます。そういうわけで、電力業界といたしましては、石炭そのものが経済的にあるいは環境の他の面で十分設置できる可能性のございますものならば、あわせて立地地点の住民の方々の御理解、御納得がいただけるものならばつくってまいりたいという所存でございますので、これは実は先ほども申し上げましたとおりでございます。  それから、卸売電気料金が高砂について一円ばかり安く受けているのではなかろうかという御指摘でございますけれども、先ほども総裁からもお話がございましたように、電発さんでお使いいただいている炭につきましては、特別に補助金の性質のようなものも実は入っておりますし、一概に石炭と石油の火力の比較はちょっといたしかねるのでございますが、総体的に見ましてそれほど差はないというふうにも考えられます。場所、場所によって相当違いますし、条件もございます。したがいまして、ほかの条件さえ整えば石炭火力を使うのも決してやぶさかではございませんので、そういうふうに御承知おき願いたいと思います。  それから、従来石炭の産地になじみの深い地域が立地でも容易ではなかろうかという御指摘でございますけれども、多少そういうことも考えられるかと思いますが、現在におきましては立地そのものが石炭、石油にかかわらず、原子力、水力に至るまで非常にむずかしくなってきております。電力業界といたしましては、資源のナショナルセキュリティー的な問題もございまして、さしあたっての将来の油等の見通しあるいはその他の燃料の見通し等もございまして、ここ当分は原子力を頼らざるを得ないような形に実はなっておるかと存じます。これは、先ほど御指摘のございましたアメリカ、西独等のわりあいに炭のたくさんございます国でも、そういう方向で原子力を使うというような政策も打ち出しておりますが、アメリカあるいは西独等も御承知のように電源立地の問題につきましては、日本ほどひどくはございませんけれども、いろいろ問題を抱えております。あるいはエネルギーのセキュリティーの問題等もございまして、そういう意味で、炭の利用もあるいは外国で考えておられるかと存じますけれども、日本といたしましては一次エネルギー、要するに電力に回すべきもとの量がほとんど輸入に頼らざるを得ない状況でございますので、石炭の産炭量は前から申し上げますとずいぶん減ったとは申しますけれども、安定的にしかも経済的にお出しいただけるならば、しかも立地点が現在非常にむずかしゅうございますので、これも一生懸命努力してつくらざるを得ないかと思いますけれども、これは先ほど先生のおっしゃいましたなじみの地域ばかりでなくて、立地点が可能なところがございますれば、そういういろんな条件を考えさせていただいて、つくらせていただきたいというように考えております。  以上、簡単でございますが……。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの問題は、石炭政策は結局、全体で国内エネルギー資源というものを維持しようという合意で成り立っているのだと思うのです。だから、別に電発という会社に補助するために政策を出しているのではなくて、電発が発電する電気が九電力に流れるわけですから、その場合に差があると困る、大体まあまあというところで卸売の価格をやはり決めなければならない。ですから、私はそういう意味で自社で発電する場合の発電コストの面とにらみ合わせて、やはり同じレベルで引き取られることが政策上当然ではないか、またそういう方向性を持って政府政策を出しているのだという点について、これはぜひ御検討願いたいものだなという気持ちを私自身持っておるのであります。その点、これはもう結構ですから、特に意見だけを述べておきたいと思います。  最後に吉田参考人に伺っておきますが、石炭政策上の問題はほぼ私ども意見が一致するわけであります。ただ問題は、北海道の産炭地振興の問題ですが、実際団地ができても売れておるのは五〇%であります。九州の方も大変ですけれども、九州の方は公団、事業団の団地は八割近く売れている。中身を分析すると、北海道は半分だという状況ですから、北海道の産炭地振興というものは非常にむずかしいということをこの数字が如実に物語っているだろうと思うのです。したがって、それぞれの自治体の特性を生かすということは当然でありますけれども、たとえばいまの制度の中で特にこうしてほしい一やはりこういう低成長時代だから、特に産炭地振興政策も発想の転換が必要だということはわれわれも理解をしておるわけです。そういう意味で、この際、特にその点について何か御意見があれば、承っておきたいと思います。
  67. 吉田久

    ○吉田参考人 お答えいたします。  現在のいろいろな制度の中で特に生かしてほしいという内容の問題でございますが、先ほど申し上げたように、企業誘致というのはなかなか来ない。来ても非常に経営が困難になってくる、そして造成した団地が半分も余っている。こういうふうな状態でございますから、実際は各炭鉱市町村は、石炭生産している市町村、全く生産がなくなった市町村、さらには一部生産している市町村と、こういう大体三つに分かれるわけでございまして、それぞれその地帯の開発計画を持ちながらいま努力をしているわけでございますが、いまの炭鉱地帯の自治体の財政力からいたしますと、なかなか思うようにいかない。そこで何とか、そういう工業出荷額とかいうものが中心になったり、あるいは各省でやっておる道路だとか鉄道とかいうものはやっておりますけれども、それはそれとして進めてもらいたいと思いますが、この総合計画の中でどうしても夕張夕張、三笠は三笠と、要望する非常に金のかかるものを二つや三つずつそれぞれ持っておりますから、これを何とか実行することによりまして、産炭地におきましては、実際に石炭を出しているところには、結局は労働確保のための生活環境の整備にもなるでしょうし、全く石炭を出していないところは、その地帯の振興策にもちろんなってくる。私は、実は何でもかんでも全部やれということを主張しているわけではございません。やはりその中で一番その地帯の特徴を生かすような事業についてひとつ強力なバックアップをしてもらって、それによって少しでも産炭地の振興策が成功して、そこに住んでいる市町村民の生活の安定、これにぜひ重点を置いてもらいたい。先ほど申し上げました、私どもの純然たる炭鉱都市におきましては、生活環境整備を目的とした炭鉱モデル都市というようなものを指定していただきまして、それに強力な財源の裏づけをしながら、年次計画で、何年たってもいいということではだめですから、五年計画なりそういうもので逐次確実に進むようなバックアップをしてもらいたいと思っております。  以上です。
  68. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  69. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、権藤恒夫君。
  70. 権藤恒夫

    ○権藤委員 本日は、参考人の方々には大変御苦労さんでございます。また、日ごろからの御努力に対しまして、深く敬意を表する次第でございます。  私は重複を避けまして聞いてまいりたいと思います。  初めに、電発の両角氏にお伺いしたいのでございますが、五十年の統計によりますと、日本の電力の総出力数は九千九百七十四万キロワットになっております。その中で、石炭によりますものが約四百九十万八千キロワットでございます。先ほどからお話がございましたように、電発だけで百四十三万キロワットということでございます。これは約三分の一強になろうかと思うわけでございます。計画によりますと、昭和五十五年では、この一般炭、電力用炭を一千四十万トンにしよう、今日より約二百万トンふやすわけでございます。先ほどから昭和五十三年、五十四年、五十五年でございますか、松島に約百万キロワットの発電所を設置するということでございますけれども、五十五年では二百万トン石炭の需要がふえます。また六十年におきましては電力用炭を二千八十万トンにする、約一千五十万トンふやす計画であるわけであります。  こういうような中で、電発が今後どういうふうな発電所計画、それからどれだけの出力を予定しておるのか、その点ちょっとお伺いしたいと思うわけでございます。また、その計画が果たしてそのとおりいくかどうか。
  71. 両角良彦

    ○両角参考人 松島計画は、五十五年から五十六年にかけまして百万キロワットの出力を完成させる予定でございますが、私どもは、ただいままでの準備並びに進行状況を見まするならば、予定どおり完成をすることが可能であると考えております。  これに要します石炭は、百万キロワット発電時点におきまして大体二百三、四十万トンというものが新たな追加需要になるわけでございます。したがいまして、昭和六十年に先ほど申されました一般炭の需要が二千万トン台に達するかどうかは、それ以降にどれだけ大型石炭火力が建設されるか、立地面におきまして特に問題が解決されるか否かにかかっておる問題かと思っております。
  72. 権藤恒夫

    ○権藤委員 ありがとうございました。  次に、電気事業連合会の専務理事の藤本氏にお伺いしたいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、国内の総出力が九千九百七十四万キロワット、その中で石炭によりますものが約四百九十一万キロワットでございます。その中で電発のものが百四十三万キロワットでございます。そうしますと、あと九電力でこれを平均していきますと、あくまでも平均の話でございますが、約四十万キロワットということになるわけでございます。いま石炭火力につきましての立地的な条件、環境問題、特にNOx、SOxの問題、非常に厳しいかと思うわけでございます。しかしながら、電発が昭和五十五年に百万キロワットの松島発電所を建設するということでございますが、それに使用します石炭が約二百万トンとなりますと、九電力の御協力をいただける分、五十五年の石炭分といいますか、予定しておりますものから考えてみますときに、電発以外には流用できないような、そういう計画のように見えるわけであります。  そこで、また六十年を見通しまして、現在の約倍以上になるわけでございますが、先ほどからも今日の電力危機、エネルギー危機に協力したい、こういうような御決意も聞いておるわけでございますけれども、今後、五十五年の電力用炭一千四十万トン、それから六十年の二千八十万トンに対します九電力の御協力と申し上げますか、火力発電に対する取り組み方と申しますか、そういうことにつきまして、具体的なことはなかなかむずかしかろうと思いますが、御計画がお話しできればぜひとも聞かしてほしい。これから先、電力用炭としてどれだけ使うというお考えがおありか、お話しいただきたいと思います。
  73. 藤本得

    ○藤本参考人 お答えさせていただきます。  ただいま御指摘のございました石炭火力の将来の増強の計画と申しますか、そういう点での御質問であったかと存じますが、御承知のとおり、五十年の八月に出ました総合エネルギー調査会の答申の中にございますように、原子力四千九百万キロワット、あるいはLNGが四千二百万トンのうち二千六百万トンを電力で使うとかといういろいろな御意見も出ております。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕 五十年からまだ約二年もたたないわけでございますけれども現状は、その後の電源立地が非常に進みませんで、毎年電源開発調整審議会にわれわれの立地点の申請をお諮りしてお認めいただいておるわけでございますが、昭和五十一年度、この三月までに電調審にお認めいただいたのが、基本計画が九百万キロワット、その約七七%くらいしかありません。しかし、五十一年度がここ数年間のうちでは最高の率で実はお認めいただいたわけでございまして、従来四〇%そこそこ、たまに五〇%を超した年はございますが、絶対量が三百万キロワットという非常にわずかな量でございます。  そういうことが、どうしてそうなっておるのだろうかということを実はわれわれ非常に反省しておるわけでございますが、要するに、電源立地の地元の御理解をいただくのが非常にむずかしくなってきております。これは先ほども実は申し上げたわけでございますけれども、環境の問題あるいはいろいろな周囲の状況その他でなかなか、石炭火力だけじゃなくて一般的にも、水力もあるいは従来の重油火力も、特にわれわれといたしましては、火力燃料の将来見通しの関係から、さしあたってどうしても原子力に移らせていただきたいということを実は考えておるわけでございますけれども、原子力については安全性の問題を含めまして地元の御理解を得るのがますます困難になってきておりまして、最近そういう状況で国の基本計画になかなか到達できないような形でお認めいただいておるわけでございます。     〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕  そういうずれもございまして、先生御指摘のございました五十一年度の石炭火力は九電力、電発合わせまして大体六千二百万キロワットのうちの数字でございまして、そういうわけで先生御指摘されました石炭火力以外のものは主として油あるいはLNG、LPGというような形の火力になってきております。そういう面で、われわれの感じからいきますと、石炭を使わせていただくよりは、環境問題その他で油が困難ならば、それにかわるべきLNG、LPG、最近はナフサ等も使わせていただいておりますけれども、そういうものに移らざるを得ないという形になっております。五十五年、中期見通しの程度のあれでございますけれども、その時点で九電力、電発合わせまして火力全体として約七千七百万キロワット程度の発電所をつくりたいというふうには考えております。  ただ、立地がそういうふうで非常にむずかしゅうございますので、果たしてどういう形になるんだかよくわかりませんけれども、立地のあり方によっては石炭火力あるいはLNG火力、LPG火力あるいは原子力等、そのときのお認めいただけるような状況でつくらせていただかざるを得ないと思います。  それから、政府の方でもことしは五十年八月の答申の検討をされるやに聞いておりますので、細かい数字につきましてはそういうところでひとつお許しをいただきたいと思います。
  74. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いまお話しのように、総電力の中で石炭が占める割合はわずか五%くらいでございますので、原子力あるいは石油に頼らざるを得ないと思いますが、きわめて石油が厳しい今日でございますので、ひとつ御協力と言えばなんでございますが、ぜひとも国策に沿った行き方をしてほしい。と申し上げますのは、先ほど石炭業界の方のお話の中にも、九電力が一般炭を使用するようにひとつぜひ協力してほしいというような要望もございましたので、これは御意見は結構でございますので、そういうことがあったということだけはお知りおきいただきたいと思うわけでございます。  それから、全鉱連の藤井氏にお聞きいたします。私も実は出身が福岡県でございますので、産炭地の実情につきましては知り過ぎるほど知っておるつもりでございます。その中で私どもが一番問題にしておりますのは、過疎化をしていく、したがいまして町独自の財源がきわめて少ない。そういう中で、産炭地振興政策というものはございますけれども、裏負担ができないために、財源のある団体とない団体との格差がますます広がっていくわけでございます。そのことをどうするかということは非常に私どもも心配をしておるわけでございますが、裏負担のものにつきましては先ほど絵にかいたもちのようである、こういうふうにおっしゃっておりましたが、この裏負担の分につきまして、当該市町村としてはどういうふうにしていくことが一番解決になるのかというような御意見がございましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  75. 藤井儀作

    ○藤井参考人 お答えいたします。  裏負担の問題については表でお配りいたしておりますが、一般失対事業を初め緊急就労事業あるいは開発就労事業、また生活保護費、鉱害復旧、炭鉱住宅改良、ボタ山防災事業、閉山炭鉱水道整備事業あるいは小水系用水工業用水道整備事業、同和対策事業、こういうものを事業費総額、基本額、国庫補助金その他、ずっとこの表でごらんになっていただきたいのです。一番最後に五十年度の決算において二百五十九億八千五百九十三万七千円、それからその次に元利償還金が二十九億九百七十一万三千円、これを両方足しますと二百八十八億九千五百六十五万円、こういう数字になるわけでございます。それで、これは六条地域の九十三の市町村でございますから、九十三でこれを割りますと、約二億八千万以上になっておる。これが現実の五十年度の裏負担のかぶった額である、こういうことをこの表でおわかりになると思います。  いずれにいたしましても、まだまだ環境整備なりあるいは基盤整備なり——先ほども申しましたように、炭鉱は宿命的に工業を誘致しなければならぬけれども、なかなか来てくれない。であるならば、従来ありました第一次産業を発展させる以外にない、こういうことでやはり農業を近代化していかなければならぬ。これが補助率アップの対象になっていない。これが私は一番残念でならない。ぜひともひとつ産炭地が、六条地域——困っているのは六条地域ですから、産炭地域になっているけれども、私から言わせれば産炭地にしてほしい、六条地域だけに限定してほしいとさえ思っているくらいでございます。しかし、十条地域、二条地域にしてもなかなか一遍には断ち切ることは困難でございましょうから、先ほども申し上げましたように、生活保護者とかあるいは財政力指数とかあるいは失対とか、そういう要因を勘案して傾斜配分するような形で補助率アップについては再度御検討を願いたいということを申し上げた次第でございます。  実際、炭鉱離職者のごときは、先ほど申し上げましたように、関連のあった事業を入れれば一万一千人おるんですよ。この連中が一番心配しておるのは二年後、五十四年、五十五年、五十六年以降は一体どうなるであろうか、これを一番心配しておりますから、この点は特にひとつ離職者のために私はお願いを申し上げる次第でございます。よろしくお願いします。
  76. 権藤恒夫

    ○権藤委員 どうもありがとうございました。
  77. 岡田春夫

    岡田委員長 安田純治君。
  78. 安田純治

    ○安田委員 時間が非常に短いので、若干だけお伺いしたいと思うのでございます。  まず国内炭の優先引き取りにつきまして、電源開発株式会社の両角参考人のお話ですと、これは国策会社といいますか、ということでその方針を貫くというお話でございます。藤本参考人に伺いたいのですが、やはり九電力側でも国内炭優先引き取りの方針はお持ちなのかどうか、最初にそれをお聞かせいただきたいと思います。
  79. 藤本得

    ○藤本参考人 両角総裁がおっしゃいましたように、九電力会社といたしましても、石炭火力ができます以上は国内炭を優先して使わしていただくということでつくらしていただくことに変わりはございませんので、そのように御承知いただきたいと思います。
  80. 安田純治

    ○安田委員 そこで、これは両角、藤本両参考人にお伺いしたいのですけれども海外炭国内炭の価格をプールするという考え方について、お二方からそれぞれお考えを伺いたいわけです。ことに、九電力側で、何か海外炭国内炭の価格のプールという考え方について反対していらっしゃるようにも仄聞したものですから、その点お考えを伺いたいと思います。
  81. 両角良彦

    ○両角参考人 私どもは、海外炭をできるだけ安く輸入をいたしたい。安く輸入をいたしまするためには、特定の地域に偏らないで、いわゆる分散化というたてまえで、相互に競争をして、一番有利な条件のところを国内に持ってまいりたい。そして、その価格が国内炭に比して有利な価格であるならば、当社の国内炭の原価と、それから輸入炭の原価と、当社全体の中においてただいま御指摘のような効果を持つものではないかというふうに思います。  もし、たてまえとして、一切の海外炭を、その有利な条件を国全体として一括プールされるというような構想の場合には、なお慎重に検討をしていただくへき点があろうかと思います。一つは、安い海外炭を買い付ける努力というものにつきましてどういう影響が起こり得るかという点も、あわせて御検討を賜りたいと思う次第でございます。
  82. 藤本得

    ○藤本参考人 お答えいたします。  海外炭は、現在のところ相当高くつくというふうに予想されております。したがいまして、石炭用の火力発電所が現在非常に立地がむずかしゅうございますので、そこまでして石炭火力が果たして可能であるか、輸入炭まで引き当てなければならぬほど石炭火力の建設が進捗するかどうか、至近時点においては大変むずかしいかと実は考えております。したがいまして、先生の御指摘の点は数年先のことにあるいはなろうかと存じますが、その時点になりまして、そのときのいろいろな状況を勘案いたしまして、なるべく輸入炭国内炭に比して経済的であるような形でぜひ輸入していただきたいと実は考えております。  以上でございます。
  83. 安田純治

    ○安田委員 私がお伺いした点で、藤本参考人のお答えは若干あいまいなところがあったと思うのでございます。要するに数年先のことをわれわれはもちろん心配しているわけでございますが、海外炭国内炭の価格のプール、そういう考え方について反対でいらっしゃるのか賛成でいらっしゃるのか、あるいは全く別な考え方をお持ちですか、その点明確にもしお聞かせ願えれば、お答え願いたいと思います。
  84. 藤本得

    ○藤本参考人 お答えさせていただきます。  御指摘の点については、十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
  85. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、現状においてユーザーが反対しておる、現状というのは数年先のことかもしれませんけれども、その考え方について反対しておるというふうに聞いたのですけれども、現時点で反対しているということは間遠いですか。
  86. 藤本得

    ○藤本参考人 お答えいたします。  反対しているわけでもございませんし、決して賛成しているわけでもございませんが、そういう事態が起こる可能性のあるときに十分検討さしていただきたいというふうに考えております。ただ、九電力会社は個別で、独立採算をやっておりますので、その点も含めて検討したいというふうに考えております。
  87. 安田純治

    ○安田委員 私ども心配しますのは、国内炭優先というたてまえは、もちろんこれは皆さんと考え方は一緒だと思うのでございますけれども、いざ海外炭を、ことに開発輸入してくる、こういうことになってきますと、相当投資もあるし、相手国との関係でも相当長期的になると思うのですが、そういう際に、安い海外炭を買い付ける努力は必要だとは思いますけれども、そちらの方に傾斜していって、結果的に、石油に石炭がどんどん押しやられたと同じことが、今度は海外炭国内炭の間で行われる危険があるのではないかということを非常に心配するわけでございます。そういう意味で、価格のプールという考え方一つ考え方として十分検討に値すると思うのですが、そういう形でお伺いをしたわけなんです。  いま両角参考人のお答えによりますと、安い海外炭を買い付ける努力と言われましたけれども、これとプール制との関係、たとえば全国的にすべての海外炭国内炭の価格をプールするということになるのかどうか、この点についてのお考えはいかがでしょうか。その方がいいとお考えかどうか。
  88. 両角良彦

    ○両角参考人 私個人の意見でございますが、国内炭をできるだけ活用をするためにも、海外炭をできるだけ安く輸入をすることが望ましい。そして、海外炭をできるだけ安く輸入をするためには、各企業が相手国企業との折衝を通じまして、最も合理的な条件で買い付ける選択の自由をお与えいただくことが望ましいと思います。そして、当社としましては、国内炭を優先引き取りをいたし、それに安い海外炭輸入をしてつけ加えてまいるわけでございますので、結果的にその効果は、プールされる効果を持つと思っております。
  89. 安田純治

    ○安田委員 次に、吉田参考人にお伺いしたいのでございますけれども、第三セクター方式と俗に言いましても、いろいろな形があると思うのです。石鉱審の答申によりますと、こんなふうに言っておりますね。「例えば関係地方公共団体、石炭企業等により構成される共同開発体を開発事業者とするのが適当であると考えられる。」つまり、開発事業者として、共同開発体の中に関係地方公共団体も入るというような考え方が出ておるようでございますが、これに対して、地方公共団体の責任者といたしましてどうお考えか。たとえば、こういう場合に、非常にリスクを負うと思うのですけれども、地方公共団体が共同開発体の中に入るという考え方について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  90. 吉田久

    ○吉田参考人 お答えいたします。  五十年の七月にでき上がりました第六次政策の中に、いま先生が御指摘のような第三セクター的な表現があるわけでございまして、その当時から私はこういうことを言っておるのですが、ただ、文章の表現の中には、国がどこまで力を入れるのか、それがないわけなんです。地方公共団体といっても千差万別でございまして、たとえば都道府県、県なり道なりが相当力を入れるということは、県ごとの財政力もあるでしょうけれども、それはある程度できるだろうと思いますが、弱小の市町村が大きな出資をするということは、少なくとも現状では私はできないと思います。いろいろ説明を承りますと、その地帯の開発をするためには、鉱害の問題もあったり、あるいはいろいろ道路、住宅の問題も出てくるわけですから、そういう面をできるだけ協力的な立場で、現実に産炭地はそういうことで新しい炭鉱ができれば振興策にもなりますし、そういう程度のものは、第三セクターの中に入らなくてもあるいは協力ができるものがあると思います。したがって、そういう出資などということは、わずかな金額であれば別といたしまして、まとまった金額というのは非常に困難だろうと私は考えております。  したがって、国の相当なてこ入れ、それから従来の石炭会社のてこ入れ、それにさらに需要家、この相当な出資、こういうものがそろわなければなかなか困難だろうと思いますから、その文章で表現をしている地方公共団体ということになりますと、実際の出資能力というものはない、私はこういうように考えております。
  91. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、共同開発体の中に入るか入らないかは別といたしまして、とにかく対等の発言権は地方公共団体が持たないと、いままでの鉱害問題をいろいろ振り返ってみますと、地方公共団体が相当な発言権を持って対処しなければならないだろうと思いますけれども、しかし、出資としてはとうてい負担の能力がない、そういうお考えなわけに伺ってよろしゅうございますね。——わかりました。  それから、あと藤井参考人にお伺いしたいのでございますけれども、工業団地などを造成してもなかなか企業が進出してこないという原因、この点について地方公共団体の責任者として思い当たるところをお述べいただければ大変ありがたいと思います。
  92. 藤井儀作

    ○藤井参考人 私のところは、事業団で造成していただいた団地は全部売り切れておりまして、そういうことはございませんが、仄聞いたしますと、公団でつくっていただいた団地はどうしても高くなる、こういうことを一面聞いております。それで、企業家が自分で造成した方が安上がりである、間接費が少ない。したがって、市町村であっせんしてもらって、企業体自身で造成するということが好ましいんじゃないかというお話も承っております。  一概に言えないと思いますが、いずれにしても、せっかくつくった団地に来ないというのは、これはやはり経済情勢ですね。要は、国全体が高度成長期ならば相当来ますけれども、こういった低成長時代になりますとなかなか誘致——三年間の固定資産の免税とか、いろいろやっておりますけれども、それくらいのことでは来ないのです。産炭地に来るのは、当初は労働力があるということ、土地が安いということ、こういうことで進出してきたわけなんですね。ところが、こういった不況になりますと、一番先に音を上げて倒産するというような状況でございまして、しかも、従来はそういった僻地に来る事業というものは主に女子型、ミシンでつくる縫製工場とか、あるいは人形工場とか焼き物とか、いわゆる零細な企業なんですね。大型の中核的になる企業は、水の問題とか交通の問題とか、港湾の問題その他いろいろ問題がございまして、そういうのはなかなか産炭地にはそろっておりません。しかし、全然私のところにはないものですから、つくっておけばいつかは来てくれるだろうという、そういう誘致上も有利に展開しますから、団地もございますよ、どうかひとつおいでくださいという誘致のためにも、小規模の団地でもつくっておいていただきたい、こういうことで公団の方にお願いを申し上げておるような次第でございます。これはやはり地域地域によって違いますと思います。
  93. 安田純治

    ○安田委員 そこで、多久市の場合でございますけれども、何か工業用水のためにダムをつくりたいということで適地を探したところが、適地があって地質調査をしたら、実はこれは炭鉱の掘削の跡といいますか、そういうことでだめになったという話をちょっと聞いたことがあるのでございますけれども、それは事実かどうか。そしてもし事実だとすれば、工業用水の確保ということは多久市としてはお考えになったけれども、結局これはだめになった、一種の鉱害後始末、その一つの影響ということになるのでしょう。そういうふうに工業用水の確保というのは、努力されたのに結局はそれはだめだったというふうに伺ってよろしいんでしょうか。
  94. 藤井儀作

    ○藤井参考人 確かにその事実はございました。実はわが多久市は非常に山間地域でございまして、山に水がないのはおかしいじゃないかとお考えになるかもわかりませんが、四方の山がみんな急峻で、傾斜が非常に激しゅうございます。ポケットがないわけなんですね。たまたま立山炭鉱の後ろの方にあったところに、約二百万トンくらいたまるだろう、そういうダムの計画をしたわけです。それで佐賀大学の大島教授その他地質学者の方に来てもらったところが、ここは立山炭鉱採掘した跡であるから、これは安心できぬ、大きな二百万トンのダムをつくった場合に、その水の圧力その他によってクラックでも入ったら大変だから、ここには安心してダムをつくれぬ、こういうことで残念ながらその計画がおじゃんになってしまった。  しかし、実際は工業用水が欲しいのでございますから、われわれは松沢ダムなり、あるいは嘉瀬川からなり筑後川からなり、何としてもひとつ工業用水の確保を図りたいと各方面にお願いをしておるのが現状でございます。  以上でございます。
  95. 安田純治

    ○安田委員 時間ですから、終わります。
  96. 岡田春夫

    岡田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。     —————————————
  97. 岡田春夫

    岡田委員長 引き続き、各案に対する質疑を続行いたします。質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田利春君。
  98. 岡田利春

    岡田(利)委員 午前、午後、参考人からいろいろ意見を聞いたわけですが、石炭部長も参考人の御意見を聞かれておったと思うのです。この際何か感想があれば、承りたいと思います。
  99. 島田春樹

    ○島田政府委員 午前中は労使、午後はユーザー、産炭地市町村の皆様方からそれぞれ熱心な御意見陳述があったわけでございます。それぞれのお立場からではございますが、非常に実態に即した、やはりそれぞれその立場でないとなかなか言えない御意見であったというふうに私ども謹んで拝聴した次第でございます。  私どもといたしましては、午前、午後、述べられました御意見、その実態というものをよく踏まえまして、今後の行政に努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  100. 岡田利春

    岡田(利)委員 公益事業部長、参っておると思うのですが、エネルギー政策そのものがいま見直しの段階に再び入ったわけですが、昭和六十年には、一般炭が国内、国外合わせて二千四百六十万トン、そのうちの大部分が石炭火力発電所で消費されるという一つ計画があるわけです。そういたしますと、これはやはり電発がすべて背負うという方針なのか。そうではなくして、九電力、電発にそれぞれ電源の計画に基づく割合を決めるということで策定されたのか。いずれにしても、そういう裏づけがなければこのエネルギー計画というものは無意味なわけであります。そういう点で私もいま参考人意見のやりとりをしたわけですが、そういう点については、通産省として明確な指針を一体お持ちなのかどうか、承っておきたいと思います。
  101. 服部典徳

    ○服部政府委員 石炭火力の建設につきましては、もちろん電発が主力になって建設を行うという考え方を私ども持っておりますが、九電力会社におきましても、石炭火力の適地についてはやはり積極的にその建設を促進するという考え方をとるべきだというふうに考えております。  御指摘の、六十年度の目標というのはこのままで一体達成できるのかどうかということでございますが、確かに見通しとしては非常にむずかしい問題がございます。ただ、それを実現するに当たってどういう方策をとるかということでございますが、それを義務づけるとかいう方法というのはいかがなものであろうか、むしろ個別、地点別に地元の理解を得られたところへ石炭火力を積極的に誘致してまいるという方策が適当ではないかということで、個別、地点別にそれぞれ問題点を詰めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  102. 岡田利春

    岡田(利)委員 電源の立地政策が最近非常にいろいろ問題があって、電源開発が立ちおくれている。この傾向は、これからも環境がよくなるという見通しはないんじゃないかと私は思うのです。だがしかし、概して言えば、たとえば電発の磯子にしても、高砂にしても、竹原しても、あるいは今度の松島、北電で言えば今回電調審で決まった苫小牧火力、これは一つには国のいわゆる電源開発会社であるという信頼感、このことが立地を地元と話をする場合には容易にしている。現実に、磯子の第二号機は住民で非常に問題がありましたけれども、われわれ自身も乗り込んで話した結果、国のエネルギーであり、しかもまたそういう国策でやる会社であるという信頼感の中で、磯子の二号機というのはスムーズに建設された、こういういきさつもあるわけです。そういう面から考えますと、苫小牧だっていろいろ問題があったけれども、北海道の産炭地という中で火力発電所の建設が決まった、こう思うわけであります。  そういう意味では、これからの電源開発そのものにもう少し新しい発想を持たなければ、わが国の電力の安定供給、そのための建設というものはなかなかスムーズに進まぬではないか。単に地方自治体に電源立地を認めれば交付金を出すということだけではむずかしいのではないか。こういう点がぴちっともう少し意思統一をされて、電源立地政策というものを新たな観点で確立をしなければならない。それは石炭火力のみならずそうだと私は思うわけです。そういう点についてのお考え方。  同時にまた、いまSOx問題は一応解決できるわけですが、NOxの問題については、たとえば外国の例を見ましても、油の場合が一に対して石炭は三倍のNOxが出ることは当然であります。しかし、その地域のトータルで見ますと、いまのNOx対策の技術から言って、石炭の場合には半分にしなさい、またそれ以外のNOxの発生源についても半分にする、トータル的に結局受けとめるという割り切った考えがないと、私は問題が解決しないと思うし、エネルギー源の多様化と口先だけで言っても問題が解決しないと思うわけです。そういう意味では、今日のNOx技術というものを十分確かめた上で一つのびちっとした政策を出さないと、これは環境庁の問題でもありますけれども、そうでなければ、これからいろいろ支障が出てくるのではないか。そういう点、どうもまだ整理されていないのではないかという気がするのですが、いかがですか。
  103. 服部典徳

    ○服部政府委員 御指摘のように、石炭火力を建設いたします場合にNOx問題というのが非常に大きな問題でございます。実は東苫小牧の石炭火力は、電調審の際におきましても、環境庁と私どもの間でNOx問題をどういうふうに考えるかということが議論の焦点になったわけでございます。そこで、現在時点におきまして、東苫小牧ほどの大型の脱硝設備というのは技術的にまだ確立はされていなかったわけでございますが、小型のものについてはすでに経験もあるし、使用開始が五十四年の年末だと思いましたが、それまでにはまず間違いなく技術開発ができるのではないかということで、万々技術的に脱硝ができないということはあり得ないという考え方で電調審は踏み切ったわけでございます。先ほど参考人の方からも技術的には見通しを得ているというお話もあったかと思いますが、そういうことで、NOxについては、今後もそういう東苫小牧と同様な考え方で、脱硝が必要な地域については脱硝設備をつけさせるという方向で考えたいと思っております。
  104. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど私、九電力の方に質問したのですが、当初、石炭政策石炭火力との関係、そして電気事業との関係は、油と石炭の価格は石炭がはるかに高い、したがって流体化の方向が進んで、石炭の方が後退をしてきた、しかし放置をするわけにいかないから、交付金を出したりそういう形で直接国の資金が入るのは九電力はいやだから、電炭会社でもつくってそこで歯どめをかったというのが、政策の歴史的な経過であるわけです。今日の事情は変わってきておるわけです。  先ほど私は、私の見方で高砂の問題を出しましたけれども石炭政策があるから卸売電気料金は安くてもいいんだという考え方は、政策の発想から言えば全く逆なわけですね。私はやはり初めは三方一両損的に発想されたのが政策的な歴史的経過でありますから、そうしますと、競争力が出て自分で発電所をつくって発電してもこれだけのコストがかかる、したがって発電料金はこうなるということになれば、大体そこまでは状況によって随時上げていかなければ、上げることを容認していかなければならぬではないか。しかし、情勢が変わって高くなれば下げるということも、下げるためにどうするかということも考えなければならぬ。これがやはり政策の基本だと私は思うわけです。しかも卸売電力料金は電調審で決められるわけでありますから、そういう調整は容易にできると思うのですよ。そういう点が、部長の前に言われた答弁と私の試算からいって、どうも若干のずれがあるわけなんですけれども、この点、もしそうではないというのであれば、ぜひそういう試算をしてみてほしいし、もしその点についてお考えがあれば、承っておきたいと思います。
  105. 服部典徳

    ○服部政府委員 電発が石炭火力を建設いたします場合に、松島の例もそうでございますが、その際には、松島石炭火力をつくると同様な規模で同時点に重油火力をつくったらコストはどうなるだろうかということで、実はコスト比較をいろいろと計算をしているわけでございます。  結論を申しますと、松島火力の場合、試算といたしまして十円前後、九円ないし十円という金額でございましたが、重油火力にいたしますと、ほぼ九円前後ということで若干開きがあったわけでございますが、若干の開きということで、買い入れる九電力側もこれは経済的に見合うということで納得をいたしましたし、そういうことで建設に踏み切ったという経緯がございます。
  106. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう政策をある程度前向きで、しかも一定のルールとか視点を定めて議論をすることが必要でありますし、そういう認識の中で是正するものは是正することも必要だとわれわれは思うわけです。したがって、そういう点についてはぜひひとつ十分御検討願いたいということを申し上げておきたいと思います。  特に、電力向けのC重油は、たとえば昭和四十五年を一〇〇といたしますと、これは日銀の卸売価格の推移で見れば一番よろしいのでしょうから、それで見ますと、五十一年の一月には三三八・一、そして五十一年十月には三六二・六、四十五年に比べて三・六倍にはね上がっておるわけです。この傾向はさらに毎年続いている。したがって、七%程度のOPECの値上げが行われるということが見通してみますと、昭和六十年には大体一バレル二十ドルを超えるだろう、こういう見通しになるわけであります。したがって、今後政策が見直しをされるのでしょうけれども、そういう見通しに立ってなおかつエネルギー源の多様化を図る。一方、確かに環境問題ではNOx問題がありますけれども、その点は、いま言った一つの方針を出してバランスをとっていくという立場に立てば、私は積極的にと言っても、六十年計画輸入炭は一千四百六十万トンでありますから、何もそれ以上のことを急速にやれということを言っているわけじゃないのです。少なくともそういうわが国エネルギー計画が組まれている。今度の見直しの場合にも石炭についてももう少し検討できないか、こういう関係閣僚の発言もあるということを踏まえる場合に、公益事業部としてもこの程度計画は実行に移す、こういう決意がないと、エネルギー庁全体で、どこのセクションも自分の担当セクションにきちっとした視点がないとすれば、日本のエネルギー政策は一体何なんだ、エネルギー庁内部がそうじゃないかということになると思うのですよ。エネルギー庁がセクションごとにぐらぐらしておって日本のエネルギー政策ができるなんというのは、おこがましい話だ。結局、何ぼやっても作文にしかすぎない、こういうそしりを免れないのだと思うのです。そういう意味で、今度も、再来年ですか、夏までに新六十五年度目標の新しい計画が出るわけですから、これはやはり実行に移すという決意で計画を組まなければならないと思うのです。先ほど千四百万トンというのが輸入されて電源開発はむずかしいと担当部長さんが言われているわけですから、これでは何をか言わんやだという気がするのでありますけれども、長官を頂点とするエネルギー庁の公益事業部を担当する部長さんとしての考え方を明確に聞いておきたいと思うのです。
  107. 服部典徳

    ○服部政府委員 エネルギー政策全般につきまして、御指摘のように、現在総合エネルギー調査会基本問題懇談会の場においてこれから検討を進めていくという段階でございます。私どもとしましては、一昨年の石炭火力九百六十万キロワットという線が出ておりますので、それを一つ目標といたしまして、現在個別、地点別に積み上げて、一体どこまで行けるのだろうか、どこまで積極的な具体的な解決策を図るべきかということを、実は現在もう二年たちましたので、振り返りましていろいろと検討しているという段階でございますので、石炭火力の明確な目標につきましては、い考えるわけでございます。
  108. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国の電源開発がこれ以上さらに伸びていくということになりますと、電力事情は大変な状況になります。そうすると、昔は九電力というものが一本で、電源開発とそれから配電、電気の発送とはそれぞれ区別された機構になっていたわけですが、そういう意味では、これからのエネルギー計画を組む場合に、石炭であろうと油であろうと余りこだわらないで、特にある一定の地域には、国の影響を受けている電発が電源立地についてはできるところはやっていく、そういう十社的な相互協力が機動的に必要な段階に入ってきた、そう思うわけです。これは住民サイドでも比較的そうなんですね。電発の場合と九電力の場合の受け方とでは、ずいぶん違うのですよ。いまのは、これからの伸び率を見てもそれが電発にぐっと片寄るという意味ではなくて、相当地点についてはそれぐらいの、やはり九電力側も十電力体制という中で公益事業としての電源開発の任務を果たしていく、こういうぐらいの検討もしなければならぬのではないか。こういう気がするのですけれども、それに対してどういう考えか、お聞きしておきたいと思います。
  109. 服部典徳

    ○服部政府委員 電発は国策会社としての使命、役割りを持っておりますので、その使命、役割りに照らして、電発がみずから電源立地を図った方が適当な地点、あるいは電発と九電力が共同で立地を図った方が適当な地点、それから九社みずからが立地を図った方が適当な地点と、地点別にそれぞれ事情もあろうと思いますので、一番有効な方法でそれぞれ考えていたきい、かように考えております。
  110. 岡田利春

    岡田(利)委員 エネルギー庁の顧問である向坂さんも、これからの日本のエネルギー政策には、経済全体は別にして、エネルギー政策に関しては混合経済的な手法が不可欠であろうという先見的な意見も述べられておりますので、今後のエネルギー政策を検討するに当たって特に二次エネルギーの電力政策ですね、これがもう相当大きなウェートを占めてまいりますので、この点、私も期待をいたしておりますので、ぜひ御検討願いたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、石炭部長にお尋ねするわけですが、先ほど聞いておって、電発の総裁は、安い外国炭を輸入するという積極的な姿勢を示されたし、九電力の側は、現時点では外国炭は高いのだ、こういう認識を示されたわけですね。同じ電気事業者としても認識が大変違うわけです。したがって、石炭部としてはその認識についてはどういう判断を持たれておるか、承っておきたいと思います。
  111. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答えいたします。  どういう時点でどういうような判断をするか、あるいはどこを対象にして考えるかによって御意見もいろいろ違おうかと思います。前回もいつかお答えを申し上げたと思いますが、海外炭の特に一般炭につきましてこれから輸入を考えていくといった場合、やはり問題はどういう地域、要するに場所の選択というのが相当影響してくるであろうというふうに考えます。一応私どもが想定しておりますのは、太平洋を取り巻く諸地域というものが、恐らくわが国の今後の一般炭の輸入を考える場合、最も主たる地域になるであろうというふうに思います。これらの地域のそれぞれの国に豊富に石炭が賦存しておりますが、問題は、どこの場所を選ぶかによりましてそのインフラの問題あるいは輸送費の問題等々で相当異なってくる。したがいまして、うまい選択を行うならばという前提に立つならば、しかも計画的にそれを行うということであるならば、今後わが国に入ってくる石炭というものは十分わが国の重要なエネルギー源としての役割りを果たすというふうに考えております。
  112. 岡田利春

    岡田(利)委員 同時に、コールセンターの問題で先ほども私から両角さんに質問いたしたわけですが、やはり大量輸送、そういう体制で流通コストを下げなければならない、こういう発想からコールセンターというものは必要である。しかし、の問題、キャパシティーの問題だと思うわけです。たとえば五万トンであれば、こちらの側のコールセンターに五万トン以上の岸壁がなければいけませんし、また向こうの供給側にも五万トン以上の岸壁がなければ、そうにはならないわけであります。したがって、そういう面からすれば、どうしても海外のプロジェクトはある地点に集中化する傾向が出るのではないか。もちろん、既存の岸壁から、たえとば原料炭のそういうような岸壁、があってそこで揚炭ができるということであれば、これはまた結構な話でありますけれども政策的に考えてみますと、主たるソースというものはやはり一元的に考えざるを得ないのではないか、こう私は感じておるわけです。  したがって、いま通産省が構想しているコールセンターというのは、いわばビッグなのか、ミドル級なのか、ミニなのか、やはり大、中、小、形態はいろいろあると思うのですね。この点の結論が、コールセンターという構想が何か大型なものにすぐ理解しやすいのですけれども、そういうことなのか、そうではなく、ミドル級であろうとミニだろうと、それがそういう必要性があって効果があるとすれば、弾力的に考えられていくものなのか、発想から言って一体どういう構想でこれから検討されようとしているのか、承っておきたいと思います。
  113. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答えいたします。  コールセンターの構想につきましては、御案内かと思いますが、現在、本年度調査いたしまして来年度も引き続き調査をいたす予定でございます。何分にも、これから相当一般炭の利用というものを国内炭のみならず海外炭も含めましてやっていくという場合に、その中継基地というものが必要であろう、われわれとしてはそういった発想に基づいて調査を開始したわけでございます。  これを考える場合に、最終消費と申しますか、そういった最終消費の立地、その規模というようなものも考えながら、具体的にどういった規模の当かということを考えなければならないわけで、いまその辺の問題を含めまして本年度さらに検討するという段階なものですから、いまおっしゃいました規模の問題もいろいろな可能性も含めて一緒に検討したいというのがわれわれの立場でございます。
  114. 岡田利春

    岡田(利)委員 答申の中には「格差の是正」ということが一つの項目で取り上げられて、それも若干の質問をしたわけですが、この中に「資源産業である炭鉱は、炭層の厚さ、数、深さ、傾斜、石炭の品位、坑内の水、ガスの量等の自然条件が異り、また需要地との遠近等の立地条件の差が著しいこともあって、炭鉱別の損益に格差が生じている。」とある。いままでの答申で格差問題を答申に取り上げたというのは初めてであるわけです。そういう意味では非常に画期的なのですね。同時にまた、この意味は、石炭産業というものは本質的にやはり体制的な整備というものが特に必要であるという主張を裏づけているものである、こう言えると思うのです。アメリカと違って日本の場合には、前に申し上げましたような産炭の地質構造になっているわけでありますから、なおさらであります。  したがって、そう考えますと、やはり体制的な意識というものが常になければならないのではないか。どうも通産省は、陰ではジャッジ権を出すのですけれども、公式的にはジャッジ権を出さたい、相手に言わせて結果的にジャッジ権の行使をやる、こういううまい操作でいままで石炭政策なやってきた、こう率直に言えるのだと私は思うのです。しかし、二千万トン体制というものを維持するとすれば、やはりジャッジ権をある程度持ってやらないとならないということをこの答申の意味は少なくとも物語っておるのではないか。こういう点について私の認識石炭部長の認識が違うのかどうか、違うならば何が一体違うのか、この点について説明願いたいと思うわけです。
  115. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  私ども現在の石炭政策を考えていく場合に、いまもお話がございましたけれども、それぞれの炭鉱は、現在、それぞれの地域自然条件あるいは過去のその炭鉱の持ってきた歴史と申しますか、いろいろなものに基づいて形成されてきた存在であるというふうに考えております。したがいまして、そういったものを前提にして考える場合、現在の私どもとしましては、そういった炭鉱の過去のそれぞれの持っている特性というものを前提にしながら、国の方は国の方の立場として石炭政策エネルギー政策という観点からそれに対して必要な支援措置というものを講じていくというようなかっこうで今後石炭政策を進めていくというのが望ましいのではないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  116. 岡田利春

    岡田(利)委員 どのように言おうと、先ほど言われているように、露頭炭鉱まで含めて三十一でありますから、そのうち大部分は大手炭鉱生産に依存している、そうすると、十四炭鉱ですか、その程度炭鉱になるわけでありますけれども、そのことは、いまの政策を進めようとすれば、石炭産業政策として一応政策は出すけれども、それぞれの問題を持っているわけでありますから、結局個別対策をやらない限り石炭産業というものは単位炭鉱ごとに安定しないということになるのではないかと私は思うのです。その点いかがですか。
  117. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答えいたします。  確かに、現在の状況からいたしまして、個々の炭鉱の持っている問題というものについて個々に対策を打っていかなければならないという問題が多々あるという点は事実である、その意味で個別対策という側面を持っておる点は私はあると思います。しかしながら、通産省の立場からいたしますれば、石炭産業というものをどういうふうに持っていくかということ、すなわち、考えてみれば、エネルギー源としての石炭というものを維持していく観点から何をなすべきかという政策の方向というものは、産業政策的な立場から考えるべきであるという意味で現在の石炭政策というのは構成されているというふうに思います。
  118. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう立場で、標準的な一つのものとして一般炭の炭鉱もある、純原料炭の炭鉱もある。それから、原料炭と一般炭の併産炭鉱がある。住友赤平はまさしくそういう意味で原料炭と一般炭の併産炭鉱であって、生産能力から言えば、大体原料炭と一般炭がフィフティー・フィフティーで生産でき得る炭鉱なわけであります。しかし、こういう格差を埋めていかなければならないということで、原料炭得率を強めていく。そのためには浅いところの一般炭は投げる、そして鉱区の調整も図らなければならない、そして新たな展開をしなければならない。しかも炭層はうねっておりますから、急傾斜部分が多い。この機械化というのはまだ日本の技術ではおくれている。こういう特殊的な問題があるわけです。もちろんいまの合理化の内容は、先ほど参考人も述べたように、それだけの理由じゃありませんけれども、この面は考えてみますと、やはりそれだけの、そういう持っている条件に対応した対処の仕方をしなければならない面があるのではないか、私はこういう認識をせざるを得ないのですけれども、いかがでしょうか。
  119. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  それぞれの炭鉱の持っておる立地条件、あるいは自然条件というものは異なっております。したがいまして、最大限の企業努力というものを前提にしても、なおいろいろな自然条件から来る問題点というのが残る場合があろうかと思います。それにつきましてどういうふうに考えていくかということかと思いますが、現在のところ、この前お答え申し上げましたように、一般的になかなかこの問題というのはむずかしい問題をたくさん持っております。仮に格差というものをある程度是正ということを考える場合、一体格差の範囲とは何か、どういうものを対象に考えたらいいだろうか、またそれを解消するために、仮にその負担公平というものを考えるとしても、どういった配分方法が適切かというような、問題は非常にむずかしい問題をたくさん持っておりますので、なお慎重に検討しなければならないというふうに思っておる次第でございます。
  120. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産省は格差の問題で、たとえばこれだけの条件を並べておるのですが、これを一定の指数を使って、いわゆる炭鉱間の条件格差、こういうものを出したことがあるかどうか。もちろん企業努力によって格差は云々という口の事項がありますけれども認識としてはこういうものを全部出せば、このウエートを決めて電気計算機にかければ一応出るわけです。そういう手法を使ってこれら格差の問題について検討されたこと炉あるかどうか、そういう手法に絶対的な無理があると思われるかどうか。
  121. 島田春樹

    ○島田政府委員 私ども事務的にそういう作業を検討したことがございます。しかしながら、非常にファクターが多くてなかなかいま御指摘のようなかっこうで解を得ることはできなかったようでございます。
  122. 岡田利春

    岡田(利)委員 それともう一つは、この中に恐らく石炭の品位ということで読んでいるだろうと思うのですけれども、大きな格差が表現上抜けているのです。それは歩どまりの問題なんです。炭層の厚さ、数は書いてありますけれども石炭の品位というのは原料炭、一般炭のカロリーの意味じゃないかと思うのです。それから歩どまりという問題があるわけです。たとえばほぼ一〇〇%近い歩どまりもあれば、極端なことを言えば五五%、百トン出して五十五トンが石炭で四十五トンがずりだ、こういうのもあるわけです。ですから、搬出原炭量で労働量というものを計算すると非常にハンディが変わってくるわけです。たとえば太平洋炭礦艦ですと六五%くらいの歩どまりである。三池炭鉱であれば洗炭で洗ったって八七、八%、昔は九四、五%だったわけです。だから、働いている労働力からいえばそれだけ働いているわけです。そういう大きなハンディが実はあるわけです。こういう点の問題は答申にも触れられていないのですけれども一つの大きな格差の問題として受けとめておかなければならない問題ではないか。たとえばいま問題になっている赤平の場合でも、歩どまり率というのは他の炭鉱に比べて、夕張方面に比べて低いという問題もある。こういう点について正確に把握されておると思うのですけれども、この点もやはり格差として認められるかどうか。これは答申に書いておりませんので、聞いておきます。
  123. 島田春樹

    ○島田政府委員 歩どまりの問題、確かに場合によって大分変化する点もありますので一概には申せませんが、自然条件一つという意味では、同じように考える問題かというふうに思います。
  124. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう意味でヨーロッパの炭鉱と比べると、そういう歩どまり換算すると、日本の炭鉱労働者の能率というのは大変な能率になるわけです。そういう点で、われわれは正しく把握をしながらこれからの対策を考えていかなければならない問題でありますので、ぜひこれらについて、格差は企業努力格差だということに余りウエートを置かないで、科学的に格差を一応把握しておいて、その上で企業努力格差があるのだ、こういう認識の方向にぜひ石炭部としても統一してほしいという私の意見を述べておきたいと思います。  次に、先般問題になりましたが、炭鉱の合理化が進んでいく。坑外の職場が関連企業やあるいは下請会社という形に移行されてきておる実態は御承知のとおりであります。したがって、直轄鉱員でやっている場合には、その労働者炭鉱閉山の場合に黒い手帳の対象になり、そして合理化を進めた結果、それが関連企業労働者、かつて炭鉱にいた労働者が合理化されてそこにもおるというケースも多いわけです、それが閉山になる場合には黒い手帳の対象にならない。したがって、いまの合理化されている坑外の職場——直轄従業員がその職場にいて黒い手帳の対象になっている基準の職場にいる関連企業労働者、この実態というのは仕事の内容からいえば全く同じである。黒ずりの捨て場だって白ずりの捨て場だって下請企業がやっておるのですから、生産工程の一環であります。そう考えますと、当然この労働者も同質の仕事をし、閉山になればほうり出されるわけでありますから、そういう意味では全く同質の仕事を下請機関としてしているという認識については、通産当局は、石炭部は、全くそういうことだ、同じ仕事をしている、こういう私の認識については同じ見解を持っていますか。
  125. 島田春樹

    ○島田政府委員 どういう認識かというお尋ねでございます。その見方にいろいろあろうかと思いますが、現在、特に坑外の場合、大体請負の組夫は、私ども把握している数字では、統計によりますと、全体で昨年十二月で五千七百九十四名、そのうち大手で見ました場合に四千八百六十名でございます。坑外につきましては、そのうちの九百八十名ということに一応相なっております。ただ、その坑外の職種を見ました場合に、工作とかボタ捨て、資材運搬といったような関係が多いというのが実態であるというのがわれわれの把握している状況でございます。
  126. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで労働省にお尋ねするのですが、いま言われたとおりなんであります。  そうしますと、これは仕事の内容から言って、直轄と全く同じ仕事をしているわけですから、そういう指定された職場の労働者が、炭鉱閉山になってその鉱区内の職場からほうり出される、こういう実態でありますから、私は、この段階で法律を五年間延長するに当たって、この点は黒い手帳の対象者の炭鉱労働者に読むべきである、そういう措置をすべきである、こう思うのですが、いかがですか。
  127. 細見元

    ○細見政府委員 前回も御答弁申し上げましたように、私どもで三年間就職促進手当を支給しながら濃密な職業指導を行い、職業紹介活動を続ける対象としての炭鉱離職者求職手帳の発給の対象になる炭鉱労働者につきまして、確かに先生お話しのように、常用と組夫の間に差がございます。  もう一度繰り返すようでございますけれども、常用の労働者の方につきましては、まず坑内の掘進、採炭、充てん、仕繰り等坑内の業務、それから坑外の選炭、ボタ処理等の業務で炭鉱における一連の基本的工程に属するもの、それから第三の分類として、その他の坑外の業務で機械器具または資材の保管、受け渡し、製作または修理等、石炭の掘採を助けるために行われる補助的業務、それから第四の分類といたしまして、事務所、診療所、浴場、配給所等、当該炭鉱に付属する施設における業務、第五番目に、主として当該炭鉱において掘採した石炭を処理、加工する施設であって、当該炭鉱に付属するものにおける業務、このような業務に離職の日前一年以上引き続いて従事された場合に、常用の方については炭鉱離職者求職手帳を発給する、組夫の方につきましては、いま申し上げました五つのうち最初の二つ、掘進、採炭、充てん、仕繰り等の坑内における業務と、選炭、ボタ処理等の坑外の業務で炭鉱における一連の基本的工程に属するもの、そのような取り扱いの区別をいたしておるわけでございます。  どうしてこういう取り扱いの区別ができておるかということについて申し上げますと、まず第一点といたしましては、炭鉱労働者の方は、長年地下労働に従事されて、その他の業務に対する再就職の適応性について、一般の労働者の方に比べて非常に不利な面が多いというようなところから、三年間という就職促進手当支給期間を特に設けて、再就職の促進を図るということにいたしたわけでございます。  坑外の、その他の業務の方について申し上げますと、そこまで私ども炭鉱離職者求職手帳の発給範囲を拡大いたしました場合には、産炭地域におきますその他の関連企業との区別が困難になるというような観点もございまして、いま申し上げたような区別をいたしておるわけでございます。  ただ、通産省から御説明のございましたように、組夫の方でありましても、坑内の作業に従事される方についてはもちろん発給いたすわけでございますし、また坑外の業務につきましても、選炭、ボタ処理等、炭鉱における一連の基本的工程に属される方については、これは発給いたしておるわけでございますから、組夫の方につきましても、相当部分は炭鉱離職者求職手帳の発給対象になっておろうかと考えます。  ただ、先生お話しのように、常用と組夫の方についてすべて同一に取り扱うといたしますと、その他の炭鉱関連企業の離職者の方との関係で非常に大きな問題が生じてくるのではないかということで、私どもとして、従来までこういう取り扱いをいたしてまいったわけでございます。
  128. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま部長が説明されたことについては、私も百も承知なわけであります。ですから、結局は、本鉱員でいままで占めていた職場が、石炭産業の自立存亡のために合理化をして、それはもう直轄の人が行っているというのもあるわけですね。もちろん、人が足りなければ採用している人もあるわけですが、そういう厳密な線を引けば、そう他の関係等云々という問題にならぬのではないか。これは経過がある問題で経過のない問題じゃないわけですから、そういう意味で線引きをぴちっとすれば、他に比較して云々という問題にはならぬではないかという気がするわけです。問題は決断だと思うのですが、もしこれをやるとすれば、政令を変えなければいかぬわけですか。法律は読めるはずですから、政令だと思うのですが、いかがですか。
  129. 守屋孝一

    ○守屋説明員 これは政令とか法律という問題以前の、一体どこまで炭鉱離職者と考えるかという基本的な問題だろうと思います。これは決して先生にお言葉を返すつもりではございませんが、いままでの経過を見ますと、非常に古い昔は別といたしまして、たとえば昭和三十年代、この時期を見ますと、大体直用労働者の場合は坑内が主力で坑外が少ないという形になっておりますが、この時期の組夫の状況を見ますと、むしろ坑外の方が多くて坑内の方が少ないというのがその当時の状況かと思います。最近の状況は、たとえば五十一年十二月の時点等で見ますと、先ほど通産省からも御説明がありましたが、組夫の場合も圧倒的に坑内が多い、もちろん常用は坑内が多うございますが。こういう形でございまして、私どもといたしましては、やはりどこかに合理的な線を引かなければ行政運営がやれませんので、そこの合理的な基準を考えるといたしますと、先ほど部長が申したような形になるわけでございます。  さらに若干補足いたしますと、たとえば九百八十名という大手の坑外組夫がいますが、これらの方々のうちほぼ四分の一がボタ処理に当たられておるわけでございます。ボタ処理は、先ほども申しましたように、認めておるわけでございます。また、そのほかに運搬等の部門に二割弱の方がおつきでございますが、この運搬につきましても、たとえば全部だめだということをわれわれ言っているわけじゃございませんで、坑口に直結するところの生産機材、人員の運搬というようなものは、われわれは当然対象に入れるという考え方でやってきております。また機械部門につきましても、坑口に直結する運搬施設というような場合につきましては、この部門を担当しておる人も、これが請負の形であろうとこれは考えるというようなことになっておりまして、われわれとしては精いっぱい拡大したつもりでございます。といいますのは、三十八年以前の扱いといたしましては、これは坑内に限るという形の扱いをかつてはすべてしておったわけでございます。しかし、当時、閉山が相次ぎまして炭鉱が次々に倒れていく、こういう中で炭鉱労働者の方をどこまで救うかという議論がありましたときに、これは国会でもいろいろ議論がございましたが、そういう中で、直接炭鉱に雇用されている方は、その炭鉱がつぶれるという意味合いもありまして、まあ最大限、ある意味では法律の解釈の範囲の許されるぎりぎりの最大限まで——はみ出したとは私、ちょっと申し上げかねますので、最大限まで見たつもりでございます。  しかし、組夫の場合につきましては、これはわれわれは決して差別待遇をしているということではございませんで、これはあくまでも石炭関連企業であるという一つの大きな制約があるわけであります。そうして、その中で精いっぱい見るとすればどうなるかというところに、いまのような一応の合理的な基準を引いたというように私は考えております。そういう意味では、単に政令を変えるとか、あるいは法律あるいは規則を変えるとか、そういう問題よりももう一つ大きな問題があるというように考えております。
  130. 岡田利春

    岡田(利)委員 私鉄の場合は、これは閉山の特例として企業が——鉄道が炭鉱企業に合併した場合には、閉山の場合にはこれは炭鉱離職者として扱う、したがって黒い手帳が発給されるわけです。そうでしょう。
  131. 守屋孝一

    ○守屋説明員 おっしゃっているケースが、もし石炭輸送用を主力とした鉄道であるという場合に、そこに炭鉱が直接に経営しているという条件がついた場合に、過去に救った例がございます。
  132. 岡田利春

    岡田(利)委員 雄別閉山のときからこの問題が議論になって、そういう措置でこれが閉山をされ、そしてその時点でそういう鉄道については将来同様な扱いをする、これは労働省も通産省も確認されていますから、今後もそういう事態が起きれば、そうなるわけです。そうしますと、従来直轄の職場であって——組夫と言ったってこれはちゃんと企業ですからね。組夫という言葉は私はどうも気に入らぬわけですよ、一つの下請企業というか系列企業であって、そこにいる労働者という意味ですから。そうしますと、閉山する場合に、そういういきさつがありますから、私鉄と同じようにその企業が親会社に吸収されて炭鉱労働者になるという場合に、では私鉄と同じようなそういう制約された扱いができるかどうかという点についていかがですか。
  133. 守屋孝一

    ○守屋説明員 先生のいま御設定のケースは、炭鉱の鉄道部門がほかの会社に合併するという意味でございましょうか。そういう場合に、合併した後々もそちらへ吸収された労働者炭鉱労働者として吸うのかという御趣旨であるとすれば、これは私どもとしては、そこですでに企業体が変わるんだという考え方に立つわけでございます。  基準のとり方としてはいろいろ御意見があるかと思います。しかし、私どもが一番重点的に考えております一つの要素といたしましては、やはりあくまでも炭鉱労働者炭鉱離職者というように物を考えて処理する場合、そこには雇用関係炭鉱というのが一番優先する。という意味は、過去の扱いにおきまして、先生も御承知のように、雄別の閉山のときに、雄別鉄道の問題があったわけでございます。その場合も、われわれは法律を読み得る範囲、合理的な範囲で精いっぱいの努力をしたつもりでございますが、それが今度は物の考えようによりましては、産炭地の工作会社というのが仮に別にあって、そこがまたある炭鉱から炭車の修理であるとかあるいはその他の修理を請け負っているといたしますと、ではそこも一緒に救うかという問題が出てくるわけでございます。そこら辺は、炭鉱離職者の臨時措置法の立法精神から見まして、おのずから一つの合理的限界を引かざるを得ないんだという点を十分御理解いただければまことに幸いだと思います。
  134. 岡田利春

    岡田(利)委員 製作のケース等いま言われた答弁、これ以上質問しませんが、どういうケースが予想されるか、人数は大体把握できた問題で、これは減ってもふえることはないわけですから、そういう意味で、六日が最終的な委員会でありますから、それまでに検討を願いたいということを申し上げて、この質問はとめておきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。  最後に、合理化事業団の問題ですが、今回、法律も変わって海外の問題、災害の問題、これらの問題の業務を扱う、そして電炭会社の仕事も扱う。こういうぐあいに業務が拡大されているわけです。そういう意味で、今日北海道の歴史的な炭鉱のウエートも地域的に高まっているわけですが、実は合理化事業団ができて以来、札幌に事務所はありますが、在札専任理事が置かれた例はないわけであります。鉱害事業団理事が九州におることは当然だと思うのです。しかし、九州の理事がおって、北海道は担当理事はおるけれども駐在理事がいない、これはやはり問題があると私は思うわけです。この際、合理化事業団は北海道の駐在理事を置くべきである、こう思うのですが、いかがですか。
  135. 島田春樹

    ○島田政府委員 現在、事業団理事六名でございますが、それぞれ事業団の各部門を担当し職務を行っておるわけでございます。御指摘のように、現在、九州にも一名理事が駐在いたしております。御承知のように、九州の場合には特別に事業団の担当理事を常駐させておりますが、九州の場合には保有鉱区が非常に多い。公害、ボタ山対策等々問題がありますために、現在理事を常駐させて、現地でいろいろ問題が処理できるような体制をとっておるわけでございます。  北海道に理事がいないではないかという御指摘でございますけれども、決して北海道の石炭対策あるいは事業団の業務の重要性というものをわれわれとして軽視しているつもりはさらさらございません。現在、北海道には御承知のように支部が置かれておりますし、約五十名近い職員も置きまして職務に当たらしておるという状況でございます。ただ、何分にも理事の定数というのもございますので、現在のところ、私どもといたしましては、この体制をにわかに変えることは困難かと思っております。
  136. 岡田利春

    岡田(利)委員 人事問題でありますから、すぐ明確な答弁はできないと思いますけれども、これはやはりおかしいですよ。国会で議論になったりしないとなかなか変わらない、惰性でずっと行ってしまう、これは私はその事業団の性質から考えておかしいと思うのですね。だから、専任理事を置くべきだ。置くと約束してほしいと思うのです。これは六日にもう一回聞きますから、置けるか置けないか、もう一回考えて答弁願いたいということを申し上げておきます。  特に合理化事業団の今度の法律改正の中で災害復旧に関する融資の保証、こういう問題があるわけですが、災害が起きて、北炭の幌内の例をとれば財政資金が約二十五億程度ですか、保証その他全部含めて八十九億、これが生産が正常な体制になっていっても——北炭という会社はいまでは一番単位炭鉱を持っている会社になってしまったわけですね。そういう意味で何とかなるだろうという認識をお持ちかもしれませんけれども、非常なむずかしさ、問題があると私は思うのです。  そういう意味から考えますと、たとえば一定契約で保証しますね。その契約が延長される場合にまた延長契約が一体できるのかどうか、そういう弾力性を持っている保証なのか、あるいはまた、そういう一定の復旧後の実態を見て、保証している融資に対しては政策助成の補助金に切りかえられていく部面はあるのかないのか、そういうような含みは一体持たれていないのかどうか、この点どう考えておられるかお聞きしておきたいと思います。——意味わかりますか。
  137. 島田春樹

    ○島田政府委員 御質問の趣旨は、一応今度法律が通って何らかの措置がとられた場合、それがその後において、たとえば融資というのが補助金に切りかわる可能性があるかというような意味でございますか。
  138. 岡田利春

    岡田(利)委員 それが一つと、契約に保証するでしょう、これが延長されたら、延長後もまた保証するのかどうか。これは金融機関でやるわけですね、それを保証するわけですから。そうすると、十年のが十五年に……。
  139. 島田春樹

    ○島田政府委員 まず、後者の点ですけれども、それはいまのところ私はできないと思います。  それから、前者の点につきましても、これは要するに、事業団として従来債務保証制度というのはほかにもございます。その制度との関係もさらに私、ちょっと調べてみますけれども、そういうかっこうにするのは恐らくできないのではないかというふうに思っております。
  140. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、ある程度弾力性のある保証でないと、何か海外開発の保証と違って、災害なるがゆえに弾力のある保証制度、いずれぴしっときめられるのでしょうけれども、そうすべきではないか。そういう弾力性は持たれていいんではないか、こういう意見を持っておりますので、これもぜひ六日、結論出るまでに御検討願いたいと思います。  最後に、産炭地振興事業の問題でありますけれども、これはいろいろ意見を聞いても、北海道もなかなか五割しか団地が売れない。九州の方は比較的団地が売れている、八割近くいっているのですか、平均すると七割近く売れている。これを分析すると、北海道は半分しか売れていない。もちろん企業はすぐなかなか来ないと思うのですけれども、団地が売れるということは、やはり地域のムードはずいぶん違うのだと思いますね。  そういう意味で、いま考えられることは、こういう経済情勢の中で、しかもなかなか団地も売れないし企業も来ないという情勢に対してどうわれわれが対応するか。こう考えますと、一つには、融資の特定金利をつくるかどうか、こういうことを考えてみたらどうか。あるいはまた、二年据え置き、十年返済の資金運用をある程度弾力的に延長する、しかもそれは二年なら二年という限った期間でそういう弾力的な措置をとるとか、そういうような何らかの方法を考えても促進をする。そしてまたそのことが動けば産炭地にいいムードを与えるわけですから、そういうような点を考えて対処すべきではないか、こう思うのですが、この点について見解を聞いておきたいと思います。
  141. 島田春樹

    ○島田政府委員 御指摘のように、最近産炭地への企業進出というのは、景気停滞もございまして、鈍化しております。特に北海道の場合には、立地条件の問題もありますし、団地ができたのが比較的新しい時期のものが多いというようなこともありまして、譲渡率は低いわけでございます。私どもとしましては、特にこれ、地域振興整備公団でございますが、による融資の弾力的な運用というようなことをやりながら、また一方、地方公共団体、商工会議所等、関係機関との連携で積極的に企業誘致活動というのを現在行って、できるだけ企業誘致に努めたいというふうに思い、努力をいたしております。  現在、いまお話のありました、もう少しいまの状況にかんがみて条件について何らかの措置がとれないだろうかという御指摘でございます。この点につきまして私の感じを申し上げますと、現在産炭地域に立地しております企業に対しての措置、たとえば団地の譲渡の場合の譲渡条件の問題、あるいはそこに立地する企業についての融資の条件というようなもの、私どもほかの各種の政府関係の融資等々と比較いたしてみますと、産炭地の条件、本件の場合には、その中で最も——最もというのが適当かどうかわかりませんが、かなり優遇されておるという状況でございます。したがいまして、それをさらにもう少し優遇措置を強めるということになりますと、これは率直に申しましてなかなかむずかしい問題ではないかというふうに思います。  しかしながら、一方私どもといたしましても、団地をつくる以上はできるだけ企業に早く来てもらって産炭地振興に役立っていただくというのが本旨でございます。そういう意味で、企業誘致というのは産炭地振興政策上非常に重要な問題であると思っておりますので、いま御指摘の点につきましては、私はなかなかむずかしいのじゃないかというふうに思いますけれども、何か知恵がないか、現在産炭地域振興審議会の審議も行われております状況でございますので、その推移も見守りながら、今後さらに勉強いたしたいというふうに思います。
  142. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  143. 岡田春夫

    岡田委員長 次回は、来る四月六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会