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1977-03-14 第80回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十四日(月曜日)     午後零時四分開議  出席委員    委員長代理 理事 多賀谷真稔君    理事 楢橋  進君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 利春君 理事 西中  清君    理事 西田 八郎君       大坪健一郎君    篠田 弘作君       中西 績介君    細谷 治嘉君       権藤 恒夫君    野村 光雄君       安田 純治君    中川 秀直君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    斎藤  顕君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君  委員外出席者         工業技術院総務         部技術審議官  蓼沼 美夫君         資源エネルギー         庁石炭部産炭地         域振興課長   檜山 博昭君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君     ————————————— 三月十日  石炭鉱業復興基本法案星野力君外三名提出、  参法第三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出第三一号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)  石炭資源活用法案岡田利春君外二名提出、衆  法第三号)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行います。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭資源活用法案の各案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 石炭関係のいろいろな立法について全体として御質問申し上げたいと思っておりましたけれども通産大臣所用のために遅刻するそうでありますので、まずその中の労働省関係の点についてお尋ねいたしておきたいと思います。  今度、炭鉱離職者臨時措置法、これは三十四年の法でありますけれども、ことしの「三月三十一日までに廃止するものとする。」となっておりまして、五年間これを延長するという方針でございますけれども、お尋ねしたいことは、この法律ができましてから、四十六年と思いますけれども法律に書いてある緊急就労事業というものが、法律にのっとらぬで予算措置という閣議決定で今日まで行われてまいりました。ところが、従来三年間ということを区切って予算措置で進めてまいったわけでありますけれども、今度は、情勢に対応するということだと思うのでありますが、年度ごと予算措置でやっていくということでございます。四十六年に予算措置だけでやるという際にも、石炭離職者について、労働者について、かなりの不安がございました。今度これが三年区切りでありませんで単年度ごと予算措置をするということになりますと、目が覚めたらもうぶった切られておったということになりかねないということで、かなり労働者側に不安がございますし、そればかりでなく、先ほど私の手元に届きました福岡県の鉱業関係市町村議長会産炭地域振興に関する要望の中にもそういうことが書かれてございます。そこで、そういう不安は今日の実態から言って当然のことでありますから、この単年度ということは、ここで労働大臣の言明によりまして、そういう不安がないんだ、必要があればこの事業予算を組んで推進していくんだ、こういうことを確約していただきたい。そして産炭地鉱業市町村なりあるいは労働者の不安をはっきりと解消していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  4. 石田博英

    石田国務大臣 産炭地状況というものが本年の三月三十一日で臨時措置法を廃止できない状態にあるので、五年間の延長をお願いするわけであります。五年間の延長をお願いするということは、それ自体がこの法の目的とする仕事をまだ少なくとも五年間は続けていかなければならぬ状態であることを物語っているものであります。したがって御説のとおり単年度予算措置をいたしますけれども事情によほどの好転が見られない限りは、緊急就労事業を毎年その事情を勘案しつつ予算措置を講じてまいる所存でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、この石炭合理化、廃山、離職、こういうことから起こった問題でありまして、今日ではやはりその地域の社会というものを守っていく、あるいは地域住民の不安を解消していく、こういうことから、後ろ向きとは言われますけれども、これは石炭政策プロパーの問題がどう行こうと、今日では現実の問題としては、やはりそのときの情勢に対応するという意味においては、仮にこれが五年間延長されたとしても、必要があればやはりこの問題は引き続いて予算を通じてやっていただく、こういうことが必要であろうと思うのであります。念のため、そういう考えに立っての今回の措置であるかどうか。  もう一つは、これに関連いたしまして、産炭地なりあるいは特別地区等について、開発就労事業あるいは特開事業、こういうものが行われております。これについてもやはり私は同様であろうと思うのであります。重ねてひとつ大臣の所見を伺いたいと思います。
  6. 石田博英

    石田国務大臣 先ほど申しましたとおり、また、いま細谷さんのおっしゃったとおりの、そのとおりの目的をもって法律延長をお願いしているわけでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、労働省関係質問はきょうは終わります。  それでは通産省にお尋ねいたします。  産炭地域振興ということが今日まで長い間続けられ、その間に法改正というものが数回となく行われたわけでありますけれども、きょう私の手元に参りました産炭地鉱業市町村議長会要望事項の中にも「産炭地域の経済の振興雇用機会の増大を図るため、中核企業の導入の促進、併せて、」云々ということがあります。この企業誘致、特に中核的な企業誘致ということは長い間問題になってまいったわけであります。私も最近調べたわけでありますけれども福岡県の山田市という日本でも一、二を争う、いまではミニ市がございます。多賀谷委員選挙区でございますけれども、ここの企業誘致の動向、これを調べてみますと、アサヒ革靴化工株式会社、これは本工場が久留米にあるわけでありますけれども、そこの企業が進出いたしました。この企業雇用者状況を見てみますと、男が五十三名、女が五百十一名、合計五百六十四名。そのほかにヤマエ畜産とか赤間産業とか荒木窯業その他等があるわけでありますけれども合計千二十九名雇用されております。このうち七百九十四名、七七・二%というのは、驚くなかれ女子なんですよ。こういう実態が明らかであります。私は、この実態でありますので、通産省の方に、どういう全国的な実態なのか、こういうことをお聞きいたしますと、全国産炭地道府県雇用状態は男六二・七、女三七・三、これが福岡県の実態でございます。でありますから、あなたの言う、女の方が七割もあるということはおかしいですよと、こういう話でしたが、おかしいどころじゃなくて、この産炭地の厳しい真っただ中にある山田市の例をとりますと、まさしく誘致企業というのは女を主体とした、七割以上もあるような企業だ、言葉をかえて言いますと、通産省が持っておる資料こそ、県単位で調べておりますから、実態を把握しておらぬのだ、こういう認識ではどうにもならぬのではないか、こう思います。いかがですか。
  8. 島田春樹

    島田政府委員 いま御指摘のありましたように、私の方で調べました数字では、熊本県を除きまして、全国的な統計で見ますと、すべて男子従業員の方が比率が多いということになっておるわけでございます。ただ、実際に個々の具体例を見てみますと、現地要望でも、もう少し男子型の雇用という声があるということは私ども十分承知いたしております。最近、産炭地都道府県でも、企業誘致の方向としまして、女子が多いというのはどちらかというと、従来の立地が食品とかあるいは繊維、衣服というような女子雇用型のものというのが、立地した場合どうしても女子比率が多くなりますので、できるだけ男子雇用型の機械、金属というようなものを持ってくるように県の方としても考えておるようでございますし、私どもも、地域振興整備公団あるいは商工会議所とタイアップしてPRなどやっておりますが、そういった場合にも、できるだけ企業誘致の際にこういうことを考えてまいりたいというふうに思っております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に対する答えになっていないのですよ。あなたの方は、三分の二は男子雇用であります。ところが、産炭地の真っただ中山田市の実態はそうじゃありませんよ。女子は七七・二%もあるのですよ。福岡県というのは四百何十万ですよ。山田市のミニで、一万八千か二万の市なんですよ。そこに産炭地振興という形でいろいろな企業が入っていきました。ところが、何とぞこの雇用女子が七割以上も占めておる実態である。こういうことでは、中核企業要望しているという、これは今回に限ったことではありません、長い間要求してまいりました産炭地実態、これは全く無視されておる。これでは何年産炭地域振興をやっても、百年河清を待つに等しいのではないか、こういうことであります。あなたの方の数字を私いただいておるのです。まあ、この問題はこれ以上申し上げません。実態を調べてみてください。山田市はどうなんだ、田川市はどうなっているんだ、あるいは北海道の夕張はどうなっているんだ、この辺の誘致企業についての実態を調査した結果を、県単位ではありませんで、市町村単位で把握した数字を調べて、この委員会に早急に出していただきたい。いかがですか。
  10. 島田春樹

    島田政府委員 そういうふうに、できるだけ早く努力いたします。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣が見えたわけで、本筋の私の計画どおり進めたいわけでありますが、話がここまで来ましたので、逆立ちしておりますけれども、ちょっと産炭地域振興から先に進めさせていただきます。  産炭地域でいろいろ問題になっているのは、いわゆる炭住の改良ということが問題になってきておるわけでありますけれども産炭地は、いま言ったように、雇用もそういう状態でありますから、きわめて低所得者がおるわけです。そこで、これはやはり福岡県の碓井町の話でございますが、ここは御承知のように四五%ぐらいは部落の方々であります。そこで、昭和二十九年以来今日まで二百五十四戸の公営住宅を建てておるわけであります。ところが、そういう低所得者が多いわけでありますから、建設省が示した家賃限度額というものを取っては、とてもじゃないが生活はできませんので、それよりもかなり低い、言ってみますと、建設省が示した家賃限度額の一七・六%にしか当たらない家賃現実に徴収しておるというのが実態であります。この事実を御存じなのか、これは市町村財政にも大変大きな問題でありますから、お尋ねしたいと思います。
  12. 関根則之

    関根説明員 そういう実態があることについては、現地市町村からも聞いております。知っております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 通産省御存じですか。誘致企業は六割もりっぱな男の労働者が働けるようにしましたと、こう言っておりますけれども、こういうやむを得ないところに追い込まれておるのですよ。御存じですか。こういう姿で、産炭地振興なんと  いうものはまさしく言葉だけじゃないですか。
  14. 島田春樹

    島田政府委員 私どもも、実態承知いたしております。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 この点も、ひとつ実態を調査してこの委員会に報告をいただきたいと思います。私は碓井の例を申し上げたのです。ほかの方も同様でございます。  自治省にお尋ねいたしますが、産炭地学校、これは鉱害等があるのですけれども、その学校を建設しようとしますと、この産炭地は特別な事情がありまして、全国一般標準児童生徒よりも低いところで学級定数が決まっております。ところが今度はその学校を建てかえるということになりますと全国平均定数でやりますから、本来産炭地では十学級あるわけですけれども学級にしかならぬ。そうすると、文部省の方は、おまえのところは八学級だ、危険校舎はこれでやれと、こういうことになってまいりますから、大変な超過負担が起こっております。超過負担の問題というのは大変大きな問題になっておりますけれども、そういうことでありまして、これも多賀谷委員選挙区のある中学でありますけれども文部省対象になってくる危険校舎改築面積というのは三九%、残りはすべて対象外、こういう実態であります。産炭地の教育を守るという意味において一学級当たり定数を減らしてもらったのが、学校を建てかえるということになりますと、その定数があだになって逆に負担が起こってくるというのが現状であります。こういう事実を御存じか、御存じであるとすればどういうふうに対応したいと思うか、お尋ねいたします。
  16. 関根則之

    関根説明員 いまお話し具体学校については話を聞いておりませんが、そういう事実関係が出てくる可能性というのは十分わが方としても考えられるところでございます。そういう場合にどうするかということですが、要するに危険校舎改築につきましては、第一次的に文部省国庫補助金を通じてできるだけ実態に合うような補助制度の運用をしていただくのが地方にとっては一番いいと思いますが、私どもの方で、そういった国庫補助対象から外れてしまうような建設事業をどうしてもやらなければいかぬというときには、起債の面でおおむね一割程度をめどに、実態上どうしても必要な校舎建設等については起債対象にいたしております。文部省補助金から外れるものにつきましてもそういう措置をとってやっておるわけでございますが、実態関係に応じて配慮をしていきたいというふうに考えております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 関根さん、その対象が少なくなって自治体負担がふえたら起債を見てやる、こうおっしゃるけれども産炭地自治体にそういう言葉は通用しないのですよ。いまや、地方債で見てやったという、そのための元利償還で、もはや予算の中で二〇%以上を公債費が占めるという段階に来た。にっちもさっちもいかぬところに来ているわけです。で、私が申し上げたいのは、産炭地についての標準定数というものを他よりも低く見ているのならば、それに対応してその補助対象面積を、きょうは時間がありませんから文部省呼んでおりませんけれども、対応して見てやるということをしてやらなければ、全く頭隠してしり隠さず以上の問題だと私は思います。この辺ひとつ実態を調査していただいて、そういうことは、一方でうまいことしてやったようですけれども逆にあだとなっている、こういうことでありますから、ひとつ十分に調査していただいて、善処をしていただきたい、こう思います。  そこで、産炭地財政問題に入りましたからちょっと申し上げますが、五十年度決算で、この産炭地決算を見てみますと、福岡県に直方市というのがございます。この直方市は、自治省が出しておる市町村指数表、こういうもので類似都市というのがあります、それと比べてみますと、類似都市では地方税が三一・九%、ところが直方は二〇・九%ですよ。そしてあなたがおっしゃるように、類似都市では九・七%の地方債を発行しておりますけれども直方は一一・二%の発行をしておるわけです。  一方、歳出の方を見てみますと、あなたの方、やかましい人件費、これは類似都市では二六・五です。これは標準ですね。直方は、二五・二ですよ。そして驚くなかれ、生活保護等扶助費類似都市は一〇・九でありますけれども直方は二三・九です。そして普通建設は、いま景気刺激のために建設やってくれやってくれと言うけれども普通建設類似都市は三二・九やっておりますけれども直方は一三・三ですよ。そうして失業対策事業はどうかといいますと、類似都市の一・一に対して一七・八%、失業対策事業予算が占めておるわけですね。これは決算額です。  それでは町村はどうかといいますと、これは川崎町でありますが、地方税類似町村では三一・八%の収入でありますけれども川崎町は五・五%、地方債は一二・五に対して一九・四%、歳出の方では人件費は二五・一に対して一八・九%、そして普通建設は三九・〇に対して二三・五%、失業対策事業は一・一に対して二五・一、驚くような、全国の同じような町村と比べますと財政構造はいびつでありますね。これを見てもはっきりしていることは、産炭地市町村、特に六条市町村財政事情財政構造、目に余るものがある、こういうふうに言わざるを得ないのでありますけれども自治省はそういう認識はどうか。
  18. 関根則之

    関根説明員 福岡県内産炭地市町村、特に六条該当市町村財政状況がきわめて厳しい状況にあるということにつきましては、私ども承知をいたしておりまして、自治省としてもできる限りの財政措置、財源を与えるための措置を講じているところでございます。  特に先生お話しの、川崎町が経常収支率で一〇四・三というようなきわめて異常な状況になっておりまして、周りの市町村も大体似たり寄ったりの状況である、こういう状況でございますので、昨年度産炭地につきまして投資補正を設けるというような措置もとっております。今後ともできる限り産炭地市町村財政につきましては配慮をしてまいりたいと考えております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの財政課長のお言葉の中に、昨年度と言っているのは五十一年度のことでしょう。
  20. 関根則之

    関根説明員 失礼をいたしました。五十一年度から実施をいたしました。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 ことし、現年度ということですな、現年度に特別な配慮をしていただいたことは私も承知しております。ところが、配慮いたしましたけれども、これは従来特別交付税配慮しておったものを普通交付税に入れていった、こういうことですね。いま五十一年度特別交付税決定の寸前にあります。この特別交付税から普通交付税に振りかえたおおよそが全国で六十数億、そういうものは特別交付税では差っ引くんですか、差っ引かないんですか。差っ引いちゃいまのような財政事情ではどうにもならぬから、何らかの合理的な要素というものでそれを埋めて余りあるようにする方針かどうか、これをひとつ明確にお聞かせいただきたいと思います。
  22. 関根則之

    関根説明員 普通交付税の拡充のための措置を先ほど申し上げましたように五十一年度からとったわけでございますが、これは従来特別交付税で見ておりましたものをただ単に横に移しかえるというだけではございませんで、特別交付税というのはどうしても枠が小そうございますので、やはり本体の普通交付税の枠の中へ持っていくことによって従来以上に充実した形で財政需要に対する措置ができる、こういうことをねらって、かつ、そういう形で、拡充したような形で普通交付税で見るということにいたしたわけでございます。ただ、その際、従来たとえば三就労につきましては、そのために起こしました地方債元利償還金をそれぞれ見ておったわけでございますが、その元利償還金の見方を普通交付税で率を変えて措置をすることになっております。  したがって、詳しく申し上げますと、たとえば従来見ておりました特別交付税普通交付税の方へ移しかえた部分につきましては、その部分をもう一回全く同じ要因で特別交付税の算定で見ていくということは、これは事実上私どもの方としてはできかねる問題であると思います。しかし、関係市町村が従来もらっておりました特別交付税をある程度予定をいたしておりますので、その額が著しく急に減少するというようなことになりますと困ります。そういう配慮も加えざるを得ませんし、また、従来特別交付税でも必ずしも十分な措置がなされておったとは考えておりませんので、できる限り今年度特別交付税配分におきまして産炭地市町村のために配慮をしていきたいというふうに考えております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 あと一週間ぐらいで決める直前で頭がほてっているところですから、なかなか言いにくい点があるでしょうけれども、こういうふうに理解していいか。  特別交付税で見ておった分を普通交付税に振りかえた、その中にはルール的に三事業等裏負担等は見ていった、これを特別交付税で同じものを持ってくるわけにはいかぬ。しかし、それをそのまま差し引くんじゃなくて、従来必ずしも十分に見ておらなかった、あるいはいろいろな枠の関係で落としておったもの、そういうものを拾ってその穴埋めは完全にいたします、こういう方針であるかどうか。イエスかノーかだけ聞けばいい。
  24. 関根則之

    関根説明員 考え方基本としては、先生のおっしゃるような考え方でございますが、完全に補てんをし得るかどうかについて必ずしもイエスという御返事ができませんが、いずれにしろ、産炭地財政運営に支障を生じないようにできるだけ特別交付税配分に当たって努力をしたい、こういう考え方でございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 言葉を渋っておりますけれども、せっかく産炭地実態認識して、焼け石に水のような状態でありますけれども特別交付税から普通交付税に振りかえていった、これは大変結構だと思うのです。しかし、特別交付税が済んでみたら、何だ、従来三月にもらうのを八月にもらっただけで、その分の借金の利子だけがちょっともうかったということだけでは済まぬと思うのですよ。完全にという言葉はあなたはいま使いにくいでしょうけれども、私としてはそういうような考えから出たものでありますから、完全に、あるいはそれ以上の対応をしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  そこで、今度は通産省に返ります。今度の予算産炭地域振興事業債調整分利子補給というのを十一億円程度組んであります。通産省からいただいた資料によりますと、昭和五十年度は七億七千万円であります。これは利子補給でありますから、四分五厘を限度として産炭地所在市町村利子補給をしているわけですね。ですから満度に利子補給をしたとしても、北海道から熊本までの産炭地市町村では、産炭地振興についての事業地方債で百七十一億円しかやっておらぬということになります。この産炭地振興法の十条を見ますと、道府県地方債調整分利子補給をやると書いてありますけれども、その対象別表で決めた市町村のある道府県にやるということになっているんですね。この事業量から言っても、あるいは産炭地市町村のある道府県地方債の助成を一定の方式でやるということになりますと、全くこれはコップの中のあらしですよ。道府県との連絡、こういうものがなければとてもじゃないが産炭地振興は——その市町村では三事業をやっているから日常道路の舗装ができた、よくなったじゃないかと言っておるけれども市町村市町村をつなぐもの、県と県との間をつなぐものというものは全然進展してないところに、今日の産炭地振興問題点があると私は思うのです。これは通産省もそう思っておると思うのです。こんなことではどうにもならないと思うのであります。十条の市町村を先に別表で決めておいてその市町村のある道府県にこういう地方債利子補給をやるという発想をむしろ転換なさったらどうか、私はこう思います。どうでしょうか。
  26. 島田春樹

    島田政府委員 いまの点でございますけれども産炭地域振興という場合に、もっと広域的な観点に立った振興という点で物を考えなければいけないじゃないか、その意味市町村、県という考え方を逆に考えたらどうかというような点も御指摘があったわけですけれども、お話のありましたように、確かに広域的な視点から計画を進めるということが適切な場合も当然ありますし、そういう意味で私どもとしても、たとえば振興計画をつくる場合にそういう点に配慮しながら進めていき、特に基盤整備の事業等につきましては、今後ともそういう御趣旨に沿ったかっこうで考えていきたいと思っております。ただ一方、地元の市町村からの非常にきめの細かい振興策というのもいろいろ要請がございますので、そういう点考え合わせますと、現在のところ私どもといたしましては、現在の産炭地域振興臨時措置法の立て方で政策を進めていきたいというふうに思っております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 通産大臣、第十条「国は、産炭地域のうち政令で定める地区内において、関係道府県が国から負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、」云々と書いてあるのです。でありますから、現実には県と県との間の連絡は起こっているわけですよ。たとえば福岡県の筑豊と山口県をどういうふうにつないでいくのか。市町村の間は生活道路までよくなっておりますけれども、そういう事態が起こっておりますから、本当の意味地域改革、広域的なものにつながっていっていないという問題があるのです。こういうものは特別会計じゃなくてもっと本腰を入れて、国が、産炭地振興について国の事業として複数以上の県にまたがるものについては積極的に取り組んでやるということが、道路に限りませんよ、河川でも何でもそういうことが必要でないかと私は思います。逆立ちしているとは申し上げない。これは重点であります。もはやこれだけの発想ではどうにもならないんじゃないかということを申し上げておるわけです。大臣いかがでしょう。
  28. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 いまの御指摘のような、行政区画の相違の点から両地域の間にアンバランスができましたり、あるいはまた実務上の問題でそごを来すようなことがございますので、私も知事時代に広域の関係で、たとえば中国・山口地区のブロック会議とかいろいろな調整を図ってまいりました。御指摘のような問題につきましては、実務上の問題でございまして、中央のわれわれの役所並びに現地の行政庁ともよく連絡をとりまして検討をいたすべく調整をいたしたいと存じます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで大臣、都道府県の県ごとの利子補給数字は、五十年度分はいまいただいてわかっておりますけれども、五十一年度はどうなるのか。どういう事業を、どれだけの事業量をやったのか。こういう都道府県利子補給等についてのもっと具体的な内容を資料としてこの委員会に出していただきたい、こう思いますが、いいですか。
  30. 島田春樹

    島田政府委員 若干作業に時間がかかると思いますが、できるだけ早くいたしたいと思います。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 産炭地の特定事業にかかわる補助率の引き上げについて、私はこの委員会で何遍も取り上げてまいりました。昭和五十二年度が、特定公共事業の補助率の引き上げが十億九千三百万、前年度が六億七千七百万でありますから、伸び率としては六一・四%。通産省の努力は認めた。努力は認めますけれども、少し五十年度の実績について御質問してみたいと思います。  昭和五十年度通産省資料によりますと、全国の六条地域の特定公共事業についての交付金は十五億七千万円であります。十条地域が二十五億円であります。合計いたしまして四十一億円であります。このうち臨時交付金の特別方式では五億三千七百万円であります。言ってみますと、十条指定地域というのが、かさ上げは六一%の恩恵を受けておるわけですね。ところが疲弊し切っている六条地域はわずかに三九%、こういう実態であります。私は通産省資料を洗ってみました。洗ってみましたら、たとえば福岡県でありますと、六条地域が四億八千八百万円。そして臨時交付金が一億八千八百万円であります。市町村ごとに洗ってみますと、これはおかしいですよ。たとえば頴田町は、六条では九百二十五万円もらっているんですけれども、臨時交付金はゼロです。それから香春町は、六条の特別方式で三千七百四十六万もらっております。特別交付金はゼロですよ。北海道について洗ってみますと、これは北海道も同様です。たとえば赤平一億三千九百二十万、これが六条の特別方式の算式の結果であります。ところが、特別交付金はゼロですよ。それから岩見沢を例にとりますと、特別方式で五千八百八十四万円が交付されております。特別交付金ゼロですよ。こんなばかげたことありますか。十一条の法律標準方式の計算と特別方式の計算であります。  そして、この問題について私はかなり前に取り上げまして、けさちょっと議事録を調べてみました。そうしたら、昭和四十七年の四月二十四日に、当時の田中通産大臣がこう答えている。「産炭地域振興臨時措置法第十一条に掲げる算式は、特に疲弊が著しく、公共事業の遂行能力のない市町村に対し適用されないという問題点があるので、六条市町村については、公共事業の実施額にかかわらず補助率の引き上げが行なわれるよう、次期通常国会において法律を改正する、または実質的に同様の効果を持つ措置を本年度中に講ずることとしたわけです。」こう言っておる。そうだといたしますと、この十一条の特別方式の〇・一五、そしてその第三項で百分の六というのがあるんですよ。百分の六というバーは消して、事業を少しでもやれば、その分について特別方式にならった方式で計算するというのでありますから、標準方式あるいは特別方式、六条で計算して、そこで補助金が出たら、ゼロから六%の間は出なければいかぬわけですよ。そうでしょう、理論的に。それは、財政力指数等が絡んできますけれども。バーがあって、バーの上の方で補助金をもらっておったのが、このバーを取り外したんですから、事業を少しでもやれば補助率はつくわけですよ。そういうふうに大臣答えているわけですね。  ところが、六条の特別方式で計算してもらっておるところが、特別交付金をもらっておらぬというのはおかしいじゃないですか。ずいぶんありますよ。もう時間がありませんから、こんなばかげた——これは法律違反じゃないですか。
  32. 檜山博昭

    ○檜山説明員 先生承知のように、この特定公共事業に対する補助率の引き上げにつきましては、法律改正またはそれと同等の措置ということで予算措置をもって、実施率が低くても事業を実施すればそれに対して補助率の引き上げをするような措置をとっております。それは、五十年度までは最大一五%まで引き上げる、こういうふうになっておりますが 五十一年度からこれを二〇%まで最大引き上げる、こういうふうな措置をとっておるわけです。  それで実施率の低いところ、六%以下のところでは十一条の方の適用はなくて、臨時交付金の交付ということによって代替されるわけです。それで六%から一二%ですか、ちょっと数字はあれですが、六%から上の方に行きますと、まず法律の補助率引き上げということがあって、さらにその上積みとして二〇%までは臨時交付金が交付される。二段構えになっておるわけです。さらに上がっていきますと、最終的には法律の最大二五%。実施率が二・〇を超えるような形になりますと、二五%まで上がる、こういうふうな制度になっておるわけです。決して法律違反というようなことじゃなくて、法律と同等の効果を持つ措置、これをとることによって実質的には六条市町村財政の窮迫に対してこれを救う措置になっておる、こういう意味でございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 いま法律違反というのは、ちょっと、法律じゃなくて、法律を改正したと同等の効果を持つことでやると言って、これは国会で約束しておるんですから、法律違反というのは少し言い過ぎましたから取り消します。国会に対する約束違反じゃないですか、こういうふうに訂正しておきます。  それならば課長、夕張市が四千六百九十二万七千円もらっておって、そして特別交付金千四百四十七万円もらった、二重にもらっておる。これはどういうことなんですか。おっしゃるように六条市町村の場合には、ゼロから六%までの臨時交付金と、六%を超えて特別方式で計算した〇・一五を〇・二〇まで五十一年度から直した分と、二種類あるわけだ。それを込みでもらうはずですよ、まとめて。まとめてか、あるいは別か知りませんが、二種類もらうわけですね。夕張はそれをもらっているわけですね。岩見沢は五千八百八十四万円の六条の特別方式のあれをもらっておって、そして特別交付金のゼロから六%に当たるやつはないじゃないですか。これはどういうことですか。
  34. 檜山博昭

    ○檜山説明員 ちょっと私の先ほどの説明が悪かったかもしれませんが、産炭法十一条では、六条市町村の場合に、実施率が六%未満の場合には法律の適用がないわけです。その法律の適用がないのですが、それを予算措置でもってカバーすべく、臨時交付金制度の中に特定公共事業に対する調整額という制度を設けまして、そして事業実施のいかんにかかわらず、補助率が最高、現在の段階で一・二〇と引き上がるようになったわけです。ですから、個々の市町村につきましては、つまり六%未満しか実施しない、こういうふうな市町村については、臨交金だけしか出ないわけですね。それから六%から、先ほどちょっと一二%と申しましたけれども、一六%の誤りですが、一六%あるいはもうちょっと上になるかもしれませんが、その途中の段階では、十一条の補助率のかさ上げと、それから補助率のかさ上げの率がまだ一・二〇を下回っておりますから、その差額分は臨時交付金の交付が受けられる。さらに上がっていきますと……
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 わかっている、わかっている、時間がないから。その辺はわかって質問しているわけなんです。  たとえば福岡県の志免というところを申し上げますと、いま六条分の十一条三項に基づく特別方式の計算によって二百六十五万三千円もらっているわけですよ。その上に臨時交付金として千三十六万九千円もらっているわけですよ。そうしますと、ゼロから六%分が千三十六万九千円で、この予算措置によって六条の疲弊した財政をある程度支えよう、その上に、六%以上やった分については二百六十五万三千円もらっているわけですね。いいですか。ところが、福岡県の水巻町を例にとりますと、六条の六%を超した分としては一億二千三十五万円もらっているわけです。そうしますと、水巻は六条町村でありますからゼロから六%のものがなくてはいかぬわけですよ、国会との約束上。これはゼロです。これはどういうことですか。
  36. 檜山博昭

    ○檜山説明員 どうも説明があれですが、ゼロから六%の分ということではございませんで、その市町村がたとえば一〇%やったと仮定しますと、実施率が一〇%ということになりますと、その市町村は一〇%のところでまず法十一条のかさ上げ率というのがありますけれども、それを上回って二〇%まで臨時交付金の方から出せるわけですから、その臨時交付金は二〇%と法十一条との差額が出ると、あとは法十一条の方の関係からお金が出ていく、こういうふうな二本立てになっているわけで、ゼロから六%までの間のお金が出るということじゃございません。一〇%の市町村ですと、一〇%の段階でまず最大一・二〇ですから一・二〇という線を出しまして、それから十一条の方のかさ上げ分を引いて、十一条の方は十一条の方で出る、その差額は臨交金の方から出る、こういうふうな形になっておりますので、決して国会のあれとは矛盾してない方式をとっております。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの話では納得できないのですよ。私は、ゼロから六%バーを外したその部分について臨時交付金でやるとするならば、これは特別方式によらない部分でありますから、六%を超した分は特別方式によるのですから、六条の疲弊したそれについては下の方が底がなくて上だけくっつくなんというのは、こんなばかげたことないわけで、それが変わるとするなれば、その市町村財政力指数、それによって計算が変わってくるのであって、ゼロになるなんというのはおかしい、こう思います。しかし、個々の市町村についてそういう例がたくさんあります、突き合わしてみましたら。しかし問題がありますよ。そうしてやはり問題は、六条市町村については六%のバーを外したわけでありますから、事業をやれば、一五%、二〇%という直した努力は認めますが、そこまでは、ゼロから二〇まではつくはずですよ、根っこから。つかなければいかぬじゃないですか。六条でないところは違いますよ。その辺についてはもう少し市町村ごとの計算実例をチェックしなければ、私は納得できませんよ。やがて五十一年度決算も出るでありましょうから、その辺はひとつ改めてあなたの方の資料をいただいて、こういうことでありますという議論でなければ、いままでのところやはり国会との約束に違反しているのはあなたの方だということをはっきり申し上げておきたいと思います。  そこで、ひとつスタートに返りまして、逆立ちした質問になっちゃって大変恐縮なんですけれども、通産大臣、一月三十一日の総理の施政方針演説で一番強調されたのは、資源有限時代を迎えた、その中において国はどう対応していくのか、こういうことだと思うのです。総理の施政方針演説でありますし、その総理の片腕と言われる通産大臣でありますから、ひとつ通産大臣の所見を伺いたいのであります。  総理の施政方針演説の中では、「資源有限時代を迎え、一体わが国の将来はこのままでいいのだろうかと、心から憂えたからであります。」「人類は貴重な資源を使い荒らし、遠くない将来に、一部の資源がこの地球上からなくなろうとしておるのであります。しかも、二十一世紀の初頭には、世界人口は現在の二倍に達すると予想され、さらにさらに膨大な資源が求められることは明らかであります。」「人類は、まさに資源有限時代の到来を意識せざるを得なくなったのであります。」まことにそのとおりだと思います。「資源小国のわが日本国は、資源を世界じゅうから順調に入手できなければ、一刻も生きていくことができないのであります。」「要は、われわれが時代の認識に徹してその対応ができるか否かであり、その対応を誤ることがなければ、より静かで、より落ちついた社会を実現することができると信じます。今日この時点でのわれわれの選択は、日本民族の将来にかかわる重大な意味を持っておるのであります。」こう言っております。まさしく大変重大な選択の事態に立たされておる。その資源有限時代にどういう選択をするかということは、まさしく今日の、ある意味ではこれからも含めて展望をしての一番のボトルネックというのはやはりエネルギー問題だ、こう言われておると思うのであります。そういう観点から今度の法改正を新石炭政策六次答申に基づいてなさったと思うのでありますけれども、どうなんですか。
  38. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 総理の施政方針演説に対しましてこれを真剣に受けとめていただきまして、いろいろと御検討いただいておりますことを厚くお礼を申し上げます。  御案内のとおりに、その中におきましても、経済大国として、今日アメリカ、ドイツそれから日本という国が非常に重大な国際的な責任を持っておりますにかかわりませず、日本自体はほとんど海外に資源を求めておるというような現状に照らして、まず第一に、従来以上に資源保有国との相互利益を図る形におきまして海外資源の安定供給を確保していかなければならない、こういうふうな意味もございまして、特にエネルギー問題については非常に重大な問題でございます。  御指摘のように、今回の法の改正におきましても、そういう根底のもとにこれから御審議をいただくわけでございまするが、一方におきまして、国際経済の協力また国連貿易開発の問題等々、他方におきましては、海外との協調をいたしますには、特に国内資源といたしましての石炭鉱業の重大性を改めてここに浮き彫りにいたしておる次第でございます。ことに法の改正に当たりまして、われわれはこれから石炭が見直されてまいっておるということを考えましても、御審議をいただきました二法案に盛られまする幾多の問題につきまして、今後石炭問題を本当に真剣に考えて直していこうという熱意のもとに、今回の御審議を改めてしていただくことになりますことは、われわれとしましても非常に感謝いたす次第でございます。どうぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 いま審議をしているのですがね。私は、総理の施政方針演説、これは資源有限時代、その資源を大切にしなければいかぬ、そして国際的な関係において原料として確保していかなければならぬ、それから国内資源を活用しなければならぬ、こういう基本的な姿勢については全く同感です。ところが、総理の施政方針演説は、冒頭はそれをうたいましたけれども、あとはしり切れトンボ、あとは余り書いていないのです。一体どういう基本姿勢でいくかということは、エネルギー問題についての基本姿勢はないのですよ。私は、それをこそ通産大臣が補うべきだと思うのです。ところが大臣、今度新石炭政策で出したといいますけれども、どうも十年一日のような法律の内容で、資源有限時代に対する重大な選択の関頭に立たされておる日本あるいは日本政府としての発想というのは、全く月並みなものにすぎない、お茶を濁しているにすぎない、こういうふうに率直に申し上げざるを得ないのですけれども、いかがですか。
  40. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 通り一遍の石炭問題に対する取り組み方ではないか、こういう御指摘でございまするが、とんでもないことでありまして、本当に今日のエネルギー対策に国を挙げて取り組んでまいろうといたしておりまする、なかんずく新政権におきまする石炭対策というものは、いろいろときめの細かい御指摘をこれからちょうだいするわけでございまするが、しかしながら、特に国内エネルギー源といたしまして、サンシャイン計画とか地熱発電の問題でありますとかいろいろございまするけれども、何と申しましても、やはり基本になりますのは石炭政策でございます。ことに、御承知のとおり、二千万トンという石炭の保有もなかなかいまの客観情勢といたしましては容易ならざる問題でございまして、今回御提案をいたしました石炭に対する問題も、かような真剣な取り組み方、真剣な心構えのもとに御提案をいたしたような次第でございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 気持ちはそうでありますけれども、重大な選択に立たされて、その資源を有効に活用していこう、国際的にもそのエネルギー源を確保していくという姿勢はどうも、災害を受けた炭鉱の復旧に取り組んでいこう、あるいは国外炭の開発について取り組んでいこう、こういう点はあらわれておりますけれども、これでは本当の重大な選択に立たされた姿勢とは申し上げかねるのではないかと私は思います。  そこで具体的に、昨年の十二月に日本エネルギー経済研究所長の生田という人が、ずばり「エネルギー多様化時代のわが国の戦略」と題して講演をしておるわけですね。それによりますと、原子力は六千万キロワットから四千九百万に下げたというけれども、生田さんのあれでは、二千七百万キロワットぐらいしか期待できない。私はこれも危ないと思っている。現実に稼働はしておりますけれども稼働率はどんどん下がっていっているというのが現状であります。  それから、これも十二月でありますけれども、経済調査会の稲葉さんという方がやはりエネルギーの展望をしております。それによりますと、総合エネルギー調査会の水力二千八百三十万というのが二千六百万キロワットしか期待できない。国内炭は二千万トンというけれども、稲葉さんは千五百万トンぐらいしか確保できない、こういうふうに書いてあります。原子力は二千七百万キロというのも危ないので、二千五百万キロだ、こう言っております。  こういうことになりますと、安定成長といいますけれども、このエネルギーと国民総生産の相関関係、いわゆる弾性値、こういうものからいきますと、経済の成長というのはゼロに近くなってしまうと思うのですね。これではもう日本は大変なことですね。そういうことが専門家の推算でも目に見えてきておる。そして最近は、経団連がこの問題について政府にも申し入れておるわけですね。私も素人でありますけれども、重大な関心を寄せております。こういう客観情勢の中において、いまの大臣の答弁では、まさしく国内資源も活用していこう、有効に利用していこう、資源有限時代を迎えた重要な一つの選択だ、こう言っておりますけれども、空念仏に近いのではないか、こういうふうに申し上げざるを得ないのでありますが、もう一度大臣御答弁いただきます。
  42. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま御指摘をいただきました六十年度を目標といたしました総合エネルギー対策につきましては、五十年の十二月に閣議決定をしたわけでありまするが、その後のいろいろな客観情勢の変化に基づきまして、われわれがなお一層真剣にエネルギーに取り組まなければならぬ、こういうことから、先般も御承知のとおりに、内閣におきましては、エネルギー対策推進の閣僚会議というものを総理を座長にいたしまして置き、関係大臣が審議をいたしまするとともに、その事務局を通産大臣がいたしまして、そうして通産省には、総合エネルギー対策推進本部という関係各省庁を横断的に統合いたしました対策本部を設置いたしまして、同時にまた、総合エネルギー調査会という従来ありました陣容をさらに拡大をいたしまして、改めてこのエネルギー問題の重要性に取り組むということにいたした次第でございます。  かような次第で、客観的には、ただいま御指摘がありましたように、非常に達成がいろいろと危ぶまれております原子力発電の問題、あるいはまたその他需給の問題等々も改めてこれを見直そう、こういう次第でございまして、これから総合的な検討に取り組むという段階にございます。  なお、エネルギーの再検討につきます詳細な諸般の問題につきましては、資源エネルギー庁長官もおりますので、政府委員から詳細にお答えいたしたいと存じます。
  43. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、エネルギーの安定確保ということが経済成長の大前提ということは、いずこの国でも同じだと思います。特にわが国におきましては、今後年々ふえる労働人口に対して、完全雇用の場を準備しなければなりませんし、だんだん老齢化しております社会構造の中で福祉政策も充実していかなければならぬ。そのためには適正な経済成長の維持、その前提としてのエネルギー安定確保というのは非常に重要な問題でございます。ところが、御承知のように日本のエネルギー構造なるものは、きわめて輸入依存型、石油依存型でございます。そういったところから、一昨年の十二月に策定されました総合エネルギー政策の基本方向に即応いたしまして、積極的にいろいろ対策を推進いたしておるわけでございます。  まず、国産エネルギーとしての石炭につきましては、御承知のように一昨年、五十年七月の石炭鉱業審議会の答申に基づきまして、いわゆる新石炭政策の方向に即しまして、最小限二千万トンの現状の生産を維持したいということでいろいろ努力いたしておるわけでございます。  地熱につきましては、昭和六十年において二百十万キロワットということを前提として政策を進めておりますが、環境の保全に意を用いると同時に、いわゆるサンシャイン計画の中で地熱利用のための技術開発も計画的に進めておる。  それから水力発電につきましては、同じく六十年に対して、四千二百万キロワットの開発ということは、いまより千数百万キロワットの開発を必要とするわけでございますが、これも積極的に進めておるわけでございます。  一方、代替エネルギーといたしましては、先生ただいま御指摘の原子力あるいはLNGの問題がございます。原子力につきましては、現在七百四十万キロワットが稼働いたしております。建設中のものが約千三百四十万キロワットぐらいございます。都合二千百万キロワットぐらいまではめどがついておると申しますか、現実のものとなっておりますが、ただ目標に対してまだまだ努力を必要とするわけでございますが、これに対しましては、安全性、信頼性を高めると同時に、国民の理解と協力によって立地を促進してまいりたい。  LNGにつきましては、同じく昭和六十年度におきまして四千二百万トンの努力目標を掲げておるわけでございますが、現在まで手当てできておるのは約千六百万トンでございまして、さらにサラワク、イラン等におけるプロジェクトを進める必要があろうかと思いますが、LNGにつきましては、これも御承知のとおりイニシアルインベストメントが非常に多額にかかりますので、最低年間五百万トン程度の需要を組織化する必要があるということでその方でやっております。  それから最後に石油でございますが、これも先ほど申し上げました総合エネルギー政策の基本方向の中では、石油輸入の依存度を減らしていくということで、六十年度ベースにおきましては六三%まで引き下げたいということで努力いたしておりますが、それにいたしましても絶対量としては四億八千五百万キロリットル、非常に多くのものを海外から持ってこなければまいりませんので、先ほど大臣がお答えいたしましたように、二国間あるいは多国間協議などを通じながらこれを安定的に供給確保しなければならぬ、こういう方向で進んでおるわけでございます。  それから新規エネルギーの開発につきましては、サンシャイン計画のもとに水素エネルギーあるいは地熱エネルギー、太陽熱エネルギー等の開発をやっております。ただ現在時点まで必ずしも順調に進んでいない面がございますので、この際その計画を整合性と実効性のあるものにする、特に財源対策に意を用いまして、見直しをする作業に取りかかっておるというのが現状でございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 やはりエネルギー問題を考える場合に、しょせん外国からのエネルギーの輸入ということは絶対必要でありますが、可及な限り国内資源を活用していく、そしてその資源を有効、効果的に使っていく。したがって、この間ある新聞に「代替エネルギー開発真剣に 政府の積極策が望まれる」という投書が出ておりました。それはエネルギー節約ということです。こう書いてあるのですよ。「日本消費者連盟が東京都内二十二か所の建物の暖房を調べたら、二十二度以上が二十か所、うち二十八度が五か所、しかも公取委審判廷、」ちょっと恥ずかしいですけれども「衆院議員会館が二十五度、厚生省二十四度と、官民あげてエネルギーの浪費というていたらくで、『省エネルギー月間』のかけ声もうつろに響くだけである。」こういう投書があるのです。私も調べたわけじゃありませんけれども、確かに衆議院会館は暑い。こういうことでありまして、省エネルギー、エネルギーを効果的に使うということも重要だと思うのでありますけれども、代替エネルギーあるいは新しい問題の技術開発について、時間がありませんから、これは次に譲りますが、これはよほどの決意をしなければならぬ。そして国内唯一のエネルギー資源である石炭というものを、二千万トンは危ないのだ、千五百万トンだと、稲葉さんの試案にもあるようなこういう姿勢では、どうにもならぬのではないか、こう私は思っておるわけです。  そこで、どうして私はそう思うかというと、石炭鉱業合理化臨時措置法、これは三十年の立法ですよ。それから三十三年、三十四年、三十五年、三十六年、三十七年、三十八年、四十年、四十一年、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年、四十八年と十三回改正されてきました。そしてこの法律は五十七年三月三十一日までとした、あと五年。十三回も法律改正されたけれども、この法律によって進んだ道は、何とスクラップ・アンド・ビルドではなくて、スクラップ・アンド・スクラップ、こういう実態ではなかったのか。  そして今度の法律改正では、石炭鉱業合理化臨時措置法に国内炭の災害等についても真剣に取り組もう、あるいは国外炭についての開発、そういうものの施策、そして石炭販売等もこの事業団にやらせる、こういう形で集約をしておりますけれども、どうも新しいこういう時期に対応するものとしてはいかぬ。いっそのこと国民の気持ちとしては、この石炭鉱業合理化臨時措置法なんというのは石炭山をつぶすための法律だったという印象しかないわけですから、この際、新しい政策を取り入れていくというならば、発想転換の意味において、国民の協力を得る意味において、法律をもっとぴんとくるように、つぶす印象しか持っていないこの法律を変えて、装いを新たにして出した方がいいんじゃないか、大臣、私はそう思っているのです。いかがですか。
  45. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 まことに貴重な御意見として拝聴いたしておきますが、今回御提案申しました意味は決してそのような意味ではございませんので、改めてひとつお断りを申し上げたいと存じます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一つ私を不安に陥れているのは、石炭及び石油対策特別会計法、これはこの三月で切れるわけでありますけれども五年間延長する。五年間延長しますけれども、中身は、すったもんだのあげく、石油関税、原油関税等について上げて、これも二年間の暫定措置ですよ、特別会計の裏づけがないわけですよ。石炭政策を推進する裏づけも不安定ですね。これはどう対応されるのですか。
  47. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 御案内のとおりに、エネルギーの問題がこれほど重大な問題であり、国を挙げて真剣に取り組まなければ相なりませんときに、先般皆様方御了承いただきました、あの今回の暫定的な処置、これはあくまでも二年間の関税によります暫定的なものである。  今度のエネルギー対策の根本は二つあると存じますが、一つは、まずこのエネルギーの問題がいかに国家的な重大な問題であるかということを国民大衆の皆様方によく御理解をいただいて、今後の施策について御協力をいただく。このパブリック・アクセプタンスと申しますか、深い全国民の御理解。  もう一つは、総論よりも各論でなければなりませんし、あるいはまた理屈よりも実践でなくてはならないということを考えまする場合に、一番大事なのは資金の問題でありまして、財源をどうするか、あるいは油の問題あるいは石炭の問題あるいはその他サンシャインの問題、さらに新しい技術の開発から省エネルギーの問題に至りますまで、やはり私は、膨大な財源がなくてはこれを到達することができない。その中の一斑といたしましての石炭対策におきましても同様でございます。あの暫定の二年間の問題はあくまでも暫定でありまして、これから取り組みますエネルギー対策はその資金の問題、財源の問題を中心に問題を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 時間が参りましたから…。私は今日工業技術院の人に来ていただいて、そしてMHD発電の近況を聞きました。技術的にはアメリカとソ連と日本、それぞれ特色を持ちながら技術的な研究の第一線にある、そしてこのMHD発電の問題はこれから第二期の、パイロットとまでいきませんけれども、研究から実施へのツーステップ段階に入っていく、こういうことで、心配しておることは、アメリカも真剣に取り組んでおります。ソ連も大変真剣に取り組んでおります。いままでは日本の方はリードしておったのですけれども、この段階へまいりますと、これはまあ経済力の規模が違う、こうおっしゃればもう何をか言わんやでありますけれども、これはやはり巨大な、巨大といっても相当の、とにかく三けたの億ぐらいの投資をやっていかなければどうにもならぬ、こういうところにきているのですけれども、アメリカはやっておる、あるいはソ連も技術提携しながらそれに取り組んでいっておるのだ、こういう技術者の何か心細い立場をお聞きいたしました。これはひとりMHD発電ばかりではなくて、サンシャイン計画においてもあるいは石炭政策においても、口では言っておりますけれども伴わない。重点的にいま何をやるべきか、どういう選択をすべきかということが行われないで、どうもやはりすべて平均的に総花式でいってしまう。こういうことではどうにもならないのじゃないか、こう思うのです。  たとえばアメリカの宇宙開発、これは大変な全力を挙げて、技術陣あるいは経済力を挙げてやった。そして一応結論が出ればそれはやめていく。こういうふうな実績がございますね。そういう点から言って、今日のエネルギーに対応する政府、特に通産省の姿勢というのはまだまだ不十分である。こんなことではとてもじゃないが、もういまからやっておかなければ間に合わないわけですから、エネルギーは。どんなに早くても七、八年かかる、こう言われているわけでありますから、もう目の前にきている、もう時間的な余裕がないところに今日われわれは置かれている、こう考えなければならぬのでありますから、ひとつ真剣にこの問題に取り組んで、そうしてとにかく無難にやっておけばいいのだというようなことでは済まされぬと思うので、ひとつ積極的にこの問題に取り組んでいただきたい。これを強く要請をいたしたいと思います。  時間がありませんので最後に、田中通産大臣の決意、とにかくそういうものをひとつこの席で表明していただいて、満足ができるかできないか、わかりませんけれども、時間ですからそれでやめます。
  49. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 細谷先生から大変な御激励をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。国民挙げてこのエネルギーの問題に取り組まなければ相なりません。その中核でありまする通産省の責任の重かつ大であることを改めて思いまするのみならず、命をかけてでもこの問題に取り組むというだけの決意を御披露いたしましてお答えといたします。
  50. 多賀谷真稔

  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 二時十分までの短い質問時間ですから、それぞれ問題提起を含めて御質問いたしたいと思います。  ただいま細谷委員に対する大臣の答弁もあったわけですが、政府は去る五日の日に総合エネルギー対策推進閣僚会議を開催をして、一昨年策定されたエネルギー計画というものを今度は六十五年度を目標にして改定をする、いわば二年足らずして総合政策は改定の憂き目を実は見たわけです。私はしかし、この閣僚会議で計画の見直しをするというに当たって政府の反省がどうも見られないのではないか。総括と反省がない上に新しく総合エネルギー政策を策定しても、また短期間で改正をしなければならない、こういう事態に追い込まれるのではないか、こういう心配を実はいたしているわけです。従来の政府の総合エネルギー政策のあり方は、一つには、余りにも抽象的であり、しかも総論的な方向の提示だけにとどまっている、こういう点がはっきり私は指摘できると思うわけです。もう少し具体的な、総合性と同時に計画性というものをきちんと示すというものでなければならないだろう。また、施策の選択の明示というものが政府案はきわめて不十分である、こういう点が従来のエネルギー政策の中で私は指摘できると思うわけです。したがって、わが国のエネルギー政策の改定も、昨年実は行わなければならなかった問題だと思うのです。しかし、政権不安定の状況の中でこれも見送られてきたというのが真相ではなかろうかと私は思います。西ドイツではいち早くエネルギー政策の見直しを行って、この三月末には新しく西ドイツのエネルギー政策の方向が決まる。しかもその中心は石炭政策の見直しである。そして百二十億の追加投資のうち十二億マルク、これを石炭重点にする当面の政策の選択の中心に据える、こういう大体方向がいち早く対応されて出されておるわけです。こういう面から考えて、わが国のエネルギー政策に対する政府の対処の仕方が非常にタイミングがずれているのではないか、こういう意見を実は私は持っておるわけです。この点について私はまず大臣の所見を承りたいと思います。
  52. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいまのお話を私の立場から要約してお答えいたしますると、今日までのエネルギー対策についてのタイミングを失しておるのではないかという御指摘につきましては、私どもも感を同じうするものがございます。しかしながら、いまからでも遅くはないという気持ちのもとに、真剣にこれに取り組むという姿勢でございまするが、まず石炭等の国産エネルギーの有効利用を図る。同時にまた、準国産でありまする原子力の推進をいたさなくては相なりませんが、これとてもなかなか容易ならざる問題であり、御案内のとおりのカーター政権とのこれからの折衝等の外交問題も含めまして、この原子力問題は重大な取り組みと相なります。また、海外エネルギーにつきましても、中近東のみに依存しておりますような給源から、多様化によりまするリスクの分散という問題が大きな問題でございまして、石油の安定的確保に努めなければならない、かような次第でございます。同時に、ただいまも御指摘がございましたような省エネルギーという問題、エネルギーの節約の問題につきまして、資源のない日本といたしましては、これまた真剣な努力を必要とし、国民の御理解を願わなければ相ならぬのでございまするが、さらに長期的な観点から新エネルギーの技術的な開発を推進いたす、これまた重大な問題でございます。  こういうふうな問題の幾つかをとらえまして、同時にまた短期、中期の期間計画的なプランも持たなければならぬ。同時にまた電力につきましても電力の施設計画、電力の供給計画が、また石油については石油供給の計画、石油備蓄の計画が、石炭につきましても石炭鉱業合理化の実施計画等がこれから真剣に取り上げられると同時に、さらにまた長期の総合エネルギー政策の基本方向につきましても策定をいたすのでございます。  ただいま申し上げましたような政府の取り組みの姿勢とあわせまして、基本問題調査会におきましては計画の再検討という重大な任務に取り組んでもらうわけでございまするが、少なくともこの夏過ぎまでには一応の輪郭だけでも見通しをつけ、同時に計画の改定と申しますか、見直しというものの目安がつくようにいたしたい、かように存じておるような次第でございます。  なお、さらに詳細な問題につきましては、担当の政府委員からお答えいたします。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょうは深く議論する時間がございませんので、問題点だけを私も指摘をしておきたいと思います。  次に 今度の政府の総合エネルギー政策の改定は、いわば中期需給見通しを立てるということでありますけれども、しかしわが国においても超長期のエネルギーの需給見通しというものを策定する必要があるのではないか。特にサンシャイン計画等をも考え、展望して、しかも長期にわたるエネルギー政策は、準備が必要である。そういう意味で私は、非常に問題はありますけれども、超長期の需給見通しがこれからの政策の基礎になっていかなければならないのではないか、実はこういう見解を持っておるわけです。もちろん不確定要素は多いのですけれども、いわば一つのシナリオ的なものでも超長期に政府が示していく、そういう積極的な姿勢というものが確立されなければならないのではないかと思うのであります。そういうものがなければ、国民の価値観が非常に多様化しておるわけですから、あるいはまたエネルギー問題に対する国民の一つのイメージというものもなかなかわいてこないし、そういう意味でこれからの基本問題である、重要問題であるエネルギーに対する国民の合意をも得ていくということはむずかしいんではないか。そういう総合的な面から判断をして、超長期のいわゆるエネルギーの需給の見通しといいますか、シナリオといいますか、そういうものを積極的に打ち出していく、こういう姿勢が必要だと思うのですが、見解を承りたいと思います。
  54. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 お答えいたします。  御案内のとおりに、過ぐる総合エネルギー対策は昭和六十年ということが目標でございましたが、先般の閣僚会議におきましても総理みずからが、より長期の、六十五年の一応の見通しもつけたいし、御指摘のような超長期と申しますか、長い見通しもさらに考えていかなければならぬ。かような次第になりますると、さらに超長期と申すならば、核分裂だけではなく核融合という新しい技術の開発も当然考えられる次第でありまして、いろいろの各般の要素というものが、なお多角的な、多元的な、高次のプランニングに相なるわけでございます。そういうふうな、少なくとも国民の前に、最大の重大案件でありまするエネルギーの問題を一つのビジョンを持った姿においてあらわすということは、御指摘のとおり非常に重大な、大事なことであると、かように存じます。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろんわが国を取り巻くエネルギー情勢は、国際原油情勢の非常に急激な変化といいますか、そういう大きな一つのファクターがありますし、先ほど来問題になっておりますように、原子力発電の立地が非常に困難で、これが大幅におくれている。だがしかし、どうも今回の閣僚会議で需給の見通しを変えるという直接の動機は、今回の予算措置におけるいわゆる石油関税二年間暫定措置、だから昭和五十四年度から新たな財源を持たずしてわが国のエネルギー政策は展開できない、五十三年の夏までに需給計画を見直して早急にやらなければならない、そういうところから発想されたのではないか、非常に不純ではないかというような気さえ実はするわけです。そういう意味で、この点、私先ほど指摘したように、対応の仕方がどうもぴんと国民の側にも響かないという感じがするのではないかと思うのです。特に閣僚会議で、席上福田総理並びに鳩山外相は、石炭の見直しをすべきだ、そして内外の石炭資源の活用を積極的に図るべきではないか、いわゆる石炭火力発電の見直しをすべきだ、こういう積極的な意見が反映をされ、そしてまた、先ほどエネルギー庁長官から説明がありましたけれども、わが国の包蔵水力はあるが、非常に高いために開発の実態は進んでいない。大体、発電の量なんというのは余り変わっていないのですから、進んでいない。これもひとつ見直しをやろうではないか、こういうことが閣僚会議では議論されたと聞いておりますから、そういたしますと、当然石炭政策についても、これは、おととし新政策が出されましたけれども、このエネルギー政策の再検討と相まって、もう一度石炭政策の見直しが行われるのかどうか、この点も含めて見解を承っておきたいと思います。
  56. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 今回の見直しが先般の関税問題等々に端を発しておるのではないかというような御指摘もございましたが、しかしながら、そういうこともこれあり、われわれは当面のびほう策でこのような重大な問題の資金源を考えるべきではない、抜本的に考えなければいかぬのだという議論が台頭いたしたことは非常に私は一つのいい契機だったと思うのでございます。しかしながら、お話しのように、この石炭火力発電所の建設の推進につきましても、進捗がおくれております問題でありますとか、あるいは輸入炭の活用等のごとが話題になりましたことも事実でございまするが、同時にまた、今後の石炭政策につきましては、五十年七月の石炭答申の趣旨を尊重いたしまして、実は国内炭の生産の維持あるいは海外炭の開発及び輸入を円滑に行い、さらに石炭利用技術の研究開発を推進していきますといったような、今後の総合エネルギー対策の推進の閣僚会議におきましても、この石炭の問題というものは、最もわれわれが確保しなければならない再重要なエネルギー源であるということにおきましては、だれしも論のないところでございます。つきましては、この二千万トンという石炭の供給という問題につきましても、われわれはさらにこれを継続的に安定して確保いたさなければならぬ、これはエネルギー対策の中の、これまた最も中核的な施策の一端である、かように存ずるものでございます。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 高度経済成長時代のエネルギー源の転換というのは、いわば高いエネルギーから安いエネルギーに転換したわけです。今度は石油の依存度を低減をさせて、石油以外のエネルギーに供給源を多様化して転換をしていくというわけですから、言うならば高いエネルギー源を使っていかなければならない。全く逆の転換をいまわが国のエネルギー政策は要請されておると私は思うのです。その点の認識がぴしっとないと、私はなかなかこれからのエネルギー問題に取り組むのにいろいろな問題が焦点が合わないのではないか、実はこういう気がしてならないわけです。  ただ問題なのは、政府のいままでのエネルギー政策の基本的な方針といいますか方向というものは、いわばエネルギーの市場ベースでこのエネルギー政策を組み立ててきた、ここに大きな欠陥、弱点があるのではないか、こう言わざるを得ないと思うのです。たとえば燃料の選択についてもあるいは電源の構成についても、すべてエネルギーの市場ベース、そういう面でずっと進めてきたのではないかと思うのです。だから、市場ベースの限界というものが見えてきているのだと私は思うのですね。そうすると、いままでの従来のエネルギー政策のいわば市場ベースから一つの重大な転換をするという決意なくして、今後のわが国の不動のエネルギー政策というものは生まれてこないのではないか、こう私は判断をいたしておるわけです。そう考えますと、結局従来の政府の誘導政策、こういう政策ではなくして、ある程度エネルギー産業には政府自身が公的に介入をしていくという、そういう重大な決意なくしてこれからの超長期のわが国のエネルギー政策というものをきちんと打ち立てることはむずかしいと私は思うわけです。この点についていかがでしょうか。
  58. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 御指摘のごとくに、エネルギーというものが、もとは湯水のごとく入ってまいりました油も、OPECの問題から非常に高価なものに相なり、あるいはまた同時に石炭のコストも昔のような状態ではございません。かような問題から、今後の新しい石炭問題の答申というようなものも考えられるわけでございまするが、しかし世界的な規模におきまする日本経済のあり方といたしましてのエネルギー問題につきましては、御指摘のような新しい発想、新しい構想のもとに抜本的に考え直していかなければならぬ、これは当然なことでございます。  なお、さらに政府の考えておりまする具体的なエネルギー問題の詳細につきましては、エネルギー庁長官も参っておりますのでお答えをいたさせたいと存じまするが、われわれも今回は真剣な気持ちでこの問題と取っ組んでおりますることを改めて申し添えます。
  59. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 今回、六十年のエネルギー需給バランスを見直すということになりましたが、それは計画自体を整合性のあるものにすると同時に、実行性のあるもの、実行に移す具体的手段を詰めていくということになろうかと思います。その意味合いにおきまして、一つは先ほど来お話が出ております資金対策の問題であり、いま一つは国民の理解と協力を得るということになろうかと思います。そういった意味合いにおきまして、先生が先ほど御指摘になりましたように、長期あるいは超長期の見通しを持つ必要があるのじゃないかという御指摘に対しましては私は全く同感でございます。これも先ほど先生御指摘のありましたように、すでに供給サイドにおきましては将来のエネルギー構造をどういうふうに持っていくかという、いわゆる選択の段階に入っておるわけでございます。特にリードタイムが十年ないし十五年もかかる、あるいは海外からのエネルギーの輸入可能性というものをどう見るかといった問題も踏まえまして、計画という名に値するかどうかは別といたしまして、少なくとも長期あるいは超長期の見通しといったようなものも背景にして、当面の六十年あるいは六十五年の需給バランスというものを考えていく必要があるのじゃなかろうかと思います。  そういったことを前提といたしまして、これをよく周知徹底すると申しますか、国民の理解と協力を得るための大きな手段にすべきではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、現に昨年の七月から暮れにかけまして長期エネルギービジョンの作成のための向坂委員会を設置いたしましていろいろ検討いたしております。それも御指摘のような方向に即してのわれわれの対処のあり方、かように考えておるわけでございます。
  60. 岡田利春

    岡田(利)委員 これから六十五年の需給見通しを検討されるわけですが、私はいまのいろいろなこれらの問題を検討していく体制がベターかどうかということについても疑問があると思うのです。まあ閣僚会議がある、今度は次官クラスの推進本部がある。なかなかかっこうを見ていると、そうそうたる感じはしますけれども、そして総合エネルギー調査会があって今度は基本問題懇談会でやるのだ。しかしエネルギーは国際的なものですからOECDなんかの動きというものを十分考えていかなければならぬ。同時にまた、いま民間ベースでできているわが国のエネルギーの総合研究機関の機構ですね、こういう問題などはどういう位置づけになるのかという点を考えてみますとどうなのかという感じがするわけですね。こういった点なんかでも、長期に続いていく問題なんですから長期的に対応でき得るそういう体制というものをぴしっとつくるということがこの際もう一度検討されていいのではないか、こういう気がしますので、これは時間がありませんから問題提起だけにとどめておきたいと思います。  次に、石炭の問題について二、三御質問申し上げたいと思いますけれども、新総合エネルギー政策、言うなれば第六次政策にも該当するわけですが、これは答申はすべて十年間なのに、法律延長はなぜ五年間ですか。同時にまた答申の趣旨は、これは従来と発想を変える、言うなれば石炭鉱業安定法というか、こういうものをつくっていこうという意気込みが当初あったはずです。もちろん石炭は限界産業ですから、整備をしなければならぬわけです。そうであるならば、石炭鉱業整備安定法、こういう形で出てこなければならないものなのに部分的な改正にとどまった、この点の意味は那辺にあるのか承っておきたいと思います。
  61. 島田春樹

    島田政府委員 いまお話のありましたように、今回の答申は十年間の展望に立って今後の石炭政策のあり方というのを述べたものでございます。私どもといたしましてはこの答申を受けましていろいろ検討いたしました。私どもといたしましては、石炭鉱業を取り巻く現状というのは御案内のように依然としてまだ非常に厳しいものがあるという状況にかんがみまして、現在のような石炭鉱業に対していろいろ助成措置をとっておりますが、こういったものからだんだんそれが変わってきて自立していくというような状況になっていくためにはまだ若干の期間、少なくとも五年程度の期間を必要とするというふうに考えた次第でございます。したがいまして、私どもとしましては法律改正に際しての現行法の有効期限というものを考慮いたしまして、現在五十一年度末までに廃止するものとされております現行の助成措置を五十六年度末まで延長するということとともに、答申の中にうたわれています将来の展望から出てくるいろいろな措置というものもあわせ加味して改正を行うということで、今回の法律の改正というかっこうにいたしたものでございます。
  62. 岡田利春

    岡田(利)委員 エネルギーの流体化の情勢の中で第一次、第二次、第三次石炭政策というのはスクラップ・アンド・ビルド、これはいろいろな問題があるわけですけれども、そういう方針で、一時は五千五百万トンまで生産力を拡大をしたという歴史的な経過もあるわけです。しかし決定的には第四次、第五次政策は、これは一般炭はいわゆる原料炭の随伴炭であって、石炭政策の戦略は原料炭中心である、このように明確に転換したものであると私は受けとめておるわけです。しかし今回の新政策は、そういう意味石炭エネルギーを電力エネルギーに、二次エネルギーに転換していこうという、そういう時代の要望にこたえなければならぬわけですから、そうすると、政策の流れから言えば一般炭の復活、これが新政策でなければならない、こう私は理解をするわけです。この点はいかがですか。
  63. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  私ども原料炭だけを重視するというふうに考えているわけではございませんが、結果として相当過去において一般炭が主として落ち込んだというのは事実でございます。今度の石炭政策というものにつきましては、総合エネルギー政策の一環として貴重な国内資源である石炭をできるだけ有効に活用していこうということで対策を打っていこうということでございます。したがいまして、その意味で一般炭というものも非常に重視するという政策になっておる点は御指摘のとおりでございます。
  64. 岡田利春

    岡田(利)委員 今度の政策は二千万トン以上、相変わらずそういう表現を使っておるわけです。大体ヨーロッパの産炭国と比較をすれば、わが国の産炭規模というのはフランスと非常に歴史的に似ておるわけです。フランスは今日でも二千二百万トン程度の出炭規模を維持しておる、こういう状況にあるわけです。しかし現状は一千八百六十万トンとすでに二千万トンを割っている。もちろん本来の事故もありますけれども、このままでいくとやはりじり貧の傾向をたどるのではないか、私はこう思うのです。まして一千八百六十万トンのうち百二十万トンは露頭炭であるという面を加味すると、やはり下降の傾向に行くことは間違いない。二千万トンを維持するということは、二千二百万トン程度を目標にしなければ二千万トンというものは維持できないだろうと思うのです。そしてこの生産のコンスタントな体制を築くためには、計画的な露頭炭の採掘もしていく、こういうものが加味されて二千万トン以上という問題が大体セットをされてくるのではないか、こういう考え方を私は持っておるわけですが、どうも今回の法律改正から見ても、新鉱開発についても別に法の改正はございませんし、いま調査の段階だという程度であって非常に私自身心もとないわけです。特にそういう意味でやはり二千万トン以上ということは新鉱開発をしなければならない。しかも、これからの新鉱開発は北海道内陸あるいはまた海底炭鉱でありますから、従来のような炭鉱鉱害という陥没鉱害のイメージは全然ないわけであります。そういう意味から言っても、積極的な新鉱開発が必要であるが、新政策では地方公共団体もひとつ参加をしなさい、そして第三セクター的な方式でやろうじゃないか、きわめて不明確な方針が出されておるわけです。  私は この段階に参りますと 鉱区 技術、労働力、あらゆるものがトータルされなければ新鉱開発はできないし、モデル的な、パイロット的な炭鉱というものはつくり上げることはむずかしいと思うわけです。そうすると、思い切ってこの際、たとえば合理化事業団がその場合出資をして、そういうすべての総合的なものを結集して新しいパイロット的な新鉱でもつくっていく、こういう意欲でもなければ、言うことは言うけれども実効の面ではさっぱり効果が上がらない、こうなるのではないかと思うのですが、この点の見解を承っておきたい。
  65. 島田春樹

    島田政府委員 今後の新鉱の問題でございますけれども、これはいまちょっとお話がございましたように、現在国内炭開発可能性調査を継続中でございます。現段階でどういうふうなかっこうでこの開発をやっていくかという点については、まだ明らかでございません。  ただ、今後、調査結果に基づきまして石炭鉱業審議会の場で開発すべき場所というものを、恐らくこれはやり方としては未開発炭田地域というかっこうで指定をして開発をするというかっこうになろうかと思いますが、そういった場合現行法のそういった措置によってやっていけるというふうに考えておるわけでございます。  いまお話しのありました、どういうかっこうで開発をしていくかという点につきまして、確かに大規模な新鉱を開発するということになりますと、石炭採掘に関して非常に豊富な経験を持っている者が必要でございますし、また今後開発をしていくような地域ということを頭に置いて考えますと、農林漁業等のようなものが主たる産業である地域でございますので、こういった地域における開発ということになれば、その地域の産業との関係あるいは地域住民等民生に与える影響というのも考えなければなりません。またその地域を開発する場合の雇用の問題あるいは道路、住宅等、社会資本の問題というようなことも考えていかなければいかぬということでございますので、地元との調整というのが非常に大事な大きな問題になってまいります。そういったようなものも含めまして、関係者が持っている機能あるいは開発のもたらす利益、影響等々いろいろなものを考えてどういったかっこうが望ましい開発になるかというあり方について、これからの検討の過程でそれを詰めていきたいというふうに考えているのが現在の段階でございます。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 新政策の新しい今度のエネルギー計画の中でも、わが国の一般炭は昭和六十年には一千四百万トン輸入をする、そして、その時点のわが国の一般炭の産出は約一千万トンだ、こういうような一応の計画見通しになっておるわけです。まさしく六十年内に逆転をするという計画になっている。そうしますと、国内の一般炭と輸入される一般炭との把握そして政策的需要の評価、こういうことが非常に心配されるわけであります。もちろん、外国炭の場合にはそれぞれ民間あるいはそこで長期契約を結んで輸入されるものだと理解をいたしておりますけれども、私は、国内一般炭と輸入一般炭とはやはりすべてが包括的に管理される、こういう一つの機構的なものが必要ではないか。今回、電炭株式会社が廃止をされて合理化事業団が瞬間タッチ方式の業務は受け継ぐ、こういう法律の改正にもなってきておるわけでありますから、そういう意味ではやはりこれらの包括的な需給の調整、こういう点の任務を合理化事業団に与えるべきではないか、こういう積極的な意見を持っているわけです。したがって、この点についての見解を承りたいと思います。
  67. 島田春樹

    島田政府委員 今後エネルギー源の安定供給、それからエネルギーの多様化という問題を考えますと、その対策の一環として石炭の積極的活用、またそのために海外炭の開発という問題が出てまいります。私どもとしましては、今後石炭の需要を考える場合に、やはり国内炭というのが安定供給源としてまず充当されるものだというふうに考えております。したがいまして、海外炭開発の場合におきましても、輸入量がふえてくる場合に国内炭が圧迫を受けることのないよう、これは需給見通しに沿いまして計画的に開発輸入をやっていくという考え方で政策を進めたい。また、現在輸入割り当て制度というのがすでに石炭についてはございますので、そういうものを効果的に運用していくということで対処していきたいというふうに考えております。
  68. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから、きょうは問題点の提起ということにとどめて、深い議論は後の委員会で行いたいと思います。  ただ、私は、もうここまで来た石炭政策というのは、もちろん、わが国の石炭産業をどうするかという総論的な議論も大事ですけれども、いま石炭産業の現状というのは新政策から約二年近いギャップも生まれているわけでありますから、北炭本来の問題もあるような事態でありますから、総論ではなくして各論的に実践的な施策をどう打ち立てるべきか、このことがきわめて重要だということを申し上げておきたいと思うのです。  最後に、保安と労働について一問ずつ御質問いたしたいと思います。  保安の問題は、保安法の問題でありますけれども、保安法の改正は三池炭鉱の災害後労働者の保安監督に対しての参加を認める、大変な議論を呼んでいわゆる保安監督員補佐員、こういう制度が設けられたわけであります。しかし、本来炭鉱に見られるように、いま重大な災害が起きればその炭鉱はそれで終わりというような状況なんですね。特にわが国の炭鉱は深部化していますから、そういう状況にさらされておるわけであります。そうしますと、死ぬも生きるもとにかく一緒だ、こういう思想がなければ炭鉱の保安というものは守っていかれないと思うのです。この保安法の改正の場合にも、労働者側の保安監督を認めるべきだという議論もあったけれども、妥協として一段下げて、保安監督員補佐員というものを考え出したというのがいきさつであるわけです。こういう段階に来ている炭鉱保安というものは、本当に山の盛衰にかかわる、死ぬも生きるも一緒だという、労使もそういう状況にあるのでありますから、労働者の保安参加をさらに強める、こういう意味労働者選出の保安監督員制度をつくるべきだ、保安法を改正すべきであると私は思うわけですが、この点についての立地公害局の見解を承りたいというのが一点。  第二点は、労働大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども北海道は御承知のように産炭地で、先ほども細谷質問もありましたけれども、九州には、もちろん炭鉱の合理化が早かったわけですからそういう意味では緊急就労、開発就労、これらが常磐にも一部あるわけでありますけれども北海道には緊急就労開発就労事業もないことは大臣承知のとおりです。そして炭鉱がずっと縮小されて、北海道の中には炭鉱の離職者はきわめて不安定雇用状態の中で働いている人が非常に多いわけです。土と縁がありますから建設業なんというのが特に多いわけです。ところが、今年雇用保険法が改正をされて、残念ながら五十日間一時払いという制度で全国統一されたという中で非常に不安定な状況にある離職者初め、一般の労働者もそうでありますけれども、多くの生活上の問題が提起をされておる。これはいろいろな委員会質問がありますので、大臣もこの点御承知でしょうし、先般北海道のある程度事情についても調査をされたように承っておりますので御承知かと思います。かつて雇用政策の場合にも、失対事業産炭地の場合には残す、こういう措置も講じてきておるし、そういう意味ではこの北海道雇用の問題を考えて、雇用保険法についていわば従来の九十日、今日の五十日、こういうものが選択できるような体制にするということは決して無理ではないのではないか、こういう私は見解を持っておるわけです。  同時に、依然として炭鉱労働者の平均年齢は四十三歳を超えるという非常に高い水準にあります。しかも五十五歳で現状では定年退職だ、そしてこれが不安定雇用の方向にまたいくという面が非常に多いわけであります。そういう面から考えてこれからの炭鉱の若年労働力の確保というものは古くて新しい問題であって、さらに力点を置かなければならない問題ではないか。そのためには魅力のある炭鉱、安全確保された炭鉱の基本でしょうけれども、そういう点についてそれぞれ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  69. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 第一の御指摘の点につきまして御答弁申し上げます。  昨年の石炭鉱山保安懇談会におきまして、監督員と監督補佐員についていろいろ議論が行われました。通産省としましては、この懇談会の報告を踏まえまして補佐員について充実を図るとともに監督員を補佐する役割りを重視し、補佐員の実施した調査の結果や意見についての措置を明確化することを内容とする石炭鉱山保安規則改正を行い、保安に関するチェック機能の強化を図ることにした次第でございます。監督員の業務は保安統括者に対しまして保安に関する勧告を行うものとして経験、技術、知識を十分持ち合わせていることが要求される重要な職務でございまして、このために上級の資格が必要であるとされております。また監督員の選任に当たりましては、鉱業権者がこれらの資格を有する者の中から適任者を選任することとしておりまして、単純に補佐員を格上げするということは現実問題といたしましてなかなかいろいろな問題点を含んでおることも、これもまた事実であろうかと存じます。しかし、保安問題のチェック機能における補佐員の職務も非常に重要であるというふうな観点から、補佐員の質的向上も含めまして今後とも十分炭鉱を指導してまいりたいというふうに考えております。
  70. 石田博英

    石田国務大臣 北海道の季節労働の実情というものは、私どもの方でも二月に特別の調査をいたしましたし、また私自身も北海道へ参りましていろいろ実情の陳情等を承りました。ただ、現在の改正されております雇用保険法は、給付と負担の均衡を図るという観点から改正されたものでありまして、いま北海道にだけ特別の措置をとるというわけにはまいりませんし、それよりはむしろ工事をできるだけ早く発注をいたしまして、そしてそれによって仕事に早くついてもらうような努力をすることが肝要だろうと思っております。それに対して、そのために五十一年度の補正予算の発注も急ぎましたし、五十二年度も、四月早々から仕事ができるように、予算の早期成立と相まって事業実施官庁の協力を求めておるところでございます。  それから、炭鉱の所要労働力、特に若年労働力確保の問題でありますが、これは、何と申しましても、魅力のある職場にすることが肝要であります。したがって、住宅の建設、福祉の増進等をあわせて魅力ある職場をつくり上げることに労働省としても全力を挙げたいと思っております。ただ、実際問題として四十九年、五十年、五十一年度は大体所要労働力は確保されておりますし、また三十歳未満の若い労働力も、年によって若干違いますが、多い年は六二、三%、少ない年でも五〇%ちょっと下回る程度というぐあいに次第に改善はされているものと思っておる次第であります。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長代理 権藤恒夫君。
  73. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私は、一般的な産炭問題についてお伺いしたいと思います。     〔多賀谷委員長代理退席、岡田(利)委員長代理着席〕 新米でございますので、過去のことはわかりませんので、いろいろなことを聞くと思いますが、また先ほどからお二人質問なさいましたので、若干重複するかと思いますけれども御理解いただきたいと思います。  国内炭につきまして目標を年産二千万トン維持、このようにしてありますけれども、最近の国内採炭現場がますます深部に移行しているというような悪条件の中で、保安に万全を期しながら二千万トンを維持するということはきわめて容易ではない、こういうふうに思っておるわけであります。そういうような点から考えまして、今年度の石特会計予算は前年度のわずか六・五%の伸びしか見ていない、これは一般会計の一七%を大幅に下回っておるものであります。また、石特会計以外の石炭関係予算でも、石炭のガス化でありますとかあるいはサンシャインの計画予算、これが前年度に対しましてそれこそ微増、こう思えるしか伸びていないわけであります。このような予算で、二千万トンを確保しなければならない、このように位置づけしておりますが、それが果たして可能なのかということですね。そういう維持をしていくだけの展望を持つ予算ではない、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、将来のエネルギー危機に対して果たして十分である、こういうふうに思っていられるのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  74. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 お答えをいたします。  二千万トンの新体制に対して今年度予算がまことに少ないではないかという御懸念かとも存じますが、御案内のとおりに昭和五十年七月の石炭鉱業審議会の答申を受けまして実施いたしております新石炭政策の重要な柱となっておる次第でございまして、このために、政府といたしましては、昭和五十二年度石炭及び石油対策特別会計、その中の石炭勘定におきましては、保安第一の観点から鉱山保安確保事業補助金の拡充を図りますとともに、坑内骨格構造整備拡充事業費の補助金あるいは石炭鉱業安定補給交付金の交付、及び石炭鉱業合理化事業団を通じまする近代化資金等の融資、長期にわたりまする石炭確保のための炭鉱周辺の石炭資源開発調査等炭量確定調査を行うほかに、幌内炭鉱の復旧のための特定災害復旧資金の融資等を行うことといたしております。今後ともに保安の確保及び公害の防止、これらの問題につきまして不断の努力を講じてまいる次第でございまするが、なおまた昭和五十一年度石炭勘定予算は千百二十六億円でございましたが、五十二年度におきましては肩がわり資金の支払い期間の満了等も含めまして約六十億円の当然減があるのでございまして、実質的な予算の伸びは百三十億円、伸び率一二・五と相なっておる次第でございます。ちなみに一千百九十九億円と申しますものが五十二年度石炭勘定でございまするが、しかしながらいま御指摘のような二千万トン確保ということにつきましては、これらの資金におきましてきめ細かく検討を続けてまいったものでございます。なおまた、さらに詳しい内容につきましては、担当の政府委員からお答えさせていただきます。
  75. 島田春樹

    島田政府委員 大臣が御説明されましたので大体つけ加える点ございません。少なくとも私どもといたしましては本年度石炭予算の構成に当たりまして、現在の石炭鉱業の現状というものを考えまして、また今回御審議願っております法律石炭答申というものを勘案いたしまして、それぞれの項目につきまして非常にきめ細かく予算を編成いたしておりますので、確かに御指摘のように、見かけで見ますと伸び率というのはそれほど大きくないという御指摘もあろうかと思いますが、それぞれ政策として必要なものの柱というものはおおむね織り込んだつもりでございます。
  76. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そのように言われますけれども、四十九年それから五十年、五十一年と相変わらず二千万トンは確保しなければならぬというふうに目標は設定してありますけれども、だんだんと減ってきておる。ことしは一千八百三十万トン、こういうふうに見込まれるのではないか。そこでこの二千万トンをなぜ確保しなければならないかという、その意義づけですね。二千万トンを実際は確保できないような状態の中にありながら、なおかつ二千万トン確保しよう、こう目標を設定してあるわけでございますが、その意気込みに対して、もっと予算の裏づけをもって必ず確保する、こういう態度が必要ではないか、こう私は思うわけなんですが、二千万トン確保の意義とその予算の関連について、もう一度答弁を願いたい。
  77. 島田春樹

    島田政府委員 私どもといたしましては、五十年七月の石炭鉱業審議会で今後の石炭政策について種々御審議を願ったわけでございますが、その審議会の結論といたしまして 今後の石炭政策として、総合エネルギー政策の一環として国内の石炭資源をできるだけ活用していくという基本的な認識のもとに、今後の政策を進めるべきであるという観点、一方現実石炭生産を進める場合には、申すまでもなく鉱山保安の確保それから鉱害の防止それからやはり限界コストの合理的な範囲に抑えるというようなことを前提にいたしまして、いまのような基本認識のもとに検討いたしました結果、少なくとも現在程度の生産の規模を維持していくべきであるというのが答申として結論になったわけでございます。私どもといたしましてはその審議会の趣旨を受けまして、答申を尊重いたしましてその線に沿って具体的な政策を展開していきたいというふうに考えているわけでございます。  それからいまの、それが具体的にどういう点で予算で裏づけされているかという点ですが、特にお尋ねのありました深部化、今後生産が拡大していく場合に深部化していくというものに対する対策といたしましては、これに対して、深部化に伴う盤ぶくれ等々いろんな保安上の問題がございますので、そういったものに対する保安上の研究等に対する予算の充実という問題、それからまたできるだけそういうものを避けるために、周辺地区に発展していくということを考えまして、新しく炭鉱周辺石炭資源開発調査というような予算を新規に設けまして、長期にわたる生産を確保していこうというようなことを新しく織り込んでおるわけでございます。
  78. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それはそれでいいでしょう。  それから鉱区拡大のことについてお伺いしたいわけでございますけれども、やはり二千万トンを維持していくためにどうしても鉱区の拡大は必要であろうと思うわけですね。ところがその地域全国的に見ましてどの地点にあるのか。また、これも質問が若干重複すると思いますけれども、どのような方法でやろうとするのか。これは事業団が投資をしてやるのか、あるいは私企業だけでやらせるのか、こういう点について見解を賜りたいと思います。
  79. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  今後の鉱区、御指摘の点、鉱区調整の問題が一つございますが、鉱区調整につきましては、現在現行法でも規定がございまして、現に採掘鉱区がある場合に、その隣に隣接いたしまして消滅鉱区があります場合に、これにつきまして、それが既存の採掘鉱区と一体的に開発ができるというような場合につきましては、鉱業権の再設定を認めるというかっこうで鉱区の調整というのをやってきておるわけでございます。今回法律の改正に当たりましてさらにそれを弾力化いたしまして、と申しますのは、炭鉱数が減少いたしてまいりました現状では、現在の隣接の場合に限って鉱区の復活を認めるという規定では、有望な消滅鉱区等の活用ができない事例も出てまいりました。したがいまして、できるだけ国内炭を合理的に開発していくという考え方から、さらに鉱区調整の規定の要件を今回の法律で緩和いたした次第でございます。やり方としましてはそういうかっこうでやっていく。  それからもう一つ、大規模な新鉱開発というようなことを考える場合には、現行法で未開発炭田の開発に関する措置というのがございまして、地域を指定いたしまして開発計画をつくって開発をやっていくというような制度がございますが、こういったものを活用していきたいというふうに考えております。
  80. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それではお尋ねしますけれども、現在の合理化事業団の体制でございますけれども、過去の経緯を見てみますと、やはりスクラップ化することに力点を置いたものでなかったかというふうに私は理解しておるわけであります。ところがこのように新しく石炭の見直しがされ、そして国内エネルギーとしては唯一の資源である石炭、この新石炭政策を実施すると申しますか、これを確保するための重要な実施機関として、果たして実質的に、また効率的に機能していくのか。したがって、この事業団のあり方についても再検討する必要があるのではないかと思うわけでありますが、この点について。
  81. 島田春樹

    島田政府委員 現在、石炭合理化事業団の業務はきわめて多岐にわたっておるわけでございますが、いまお話のありましたように、過去におきましては閉山関係、非能率炭鉱の買収をいたしましたし、その後にはいわゆる閉山交付金の交付というようなかっこうの業務も行っておるわけでございますが、事業団の業務の非常に大きな柱はいわばビルドの促進ということでございまして、そのために現在各種の融資をやっております。代表的なものとしては、近代化資金の融資、大規模な新鉱の場合の開発資金の貸し付け、炭鉱の近代化のために坑内骨格構造についての補助金の交付あるいは経営基盤の安定のために安定補給金の交付、こういう業務をやっております。石炭鉱業の全般にわたっての政策の推進機関として現在機能しているものでございます。
  82. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私が心配をしますのは、これだけ重大な新エネルギーといいますか、国内唯一のエネルギーとして石炭が見直されておる中に、二千万トンを確保しようと言いながら衰退をしていることなのです。ですから、新たにこの事業団を発展させるなり強化するなりして、要するに体制を強化してこの二千万トンを確保していく必要があると思うわけです。その上、今度また電力用炭株式会社の廃止が言われております。この電力用炭株式会社がとり行っておりました業務を新たに事業団でやるわけでありますが、これから先、原料炭、一般炭の輸入もふえてくる、また海外炭の開発のために力を入れていこうという計画もあるわけです。ですから、この事業団が果たして機能し得るのか、この点について再度質問したいと思います。
  83. 島田春樹

    島田政府委員 先ほど申し上げましたように、各種の業務を行っておりますが、いま御指摘がありましたように、今年度から新しく、海外炭の開発に関する業務、電力用炭に関する業務も事業団が行うというかっこうになってまいったわけでございます。私どもといたしましては、石炭の重要な政策に関する機関である事業団が、現在のような組織で今後政策を推進していくために十分役割りを果たし得るものと考えております。
  84. 権藤恒夫

    ○権藤委員 今日の石炭政策につきましては、さっき大臣も申されておりましたように、やはり国民のコンセンサスがより必要であるわけであります。莫大な財政投資をして、それが効率的なのかということにつきましては、きわめて重大な問題であろうかと思う。したがって、この事業団の体制が国民の期待にこたえ得るように、私はもっと強化をすべきであるということを付言しておきたいと思います。  次に、海外炭の探鉱開発としての百六十三億が今回新設をされたわけであります。しかしながら、メジャーなどが石炭資源を買いあさっておる。これはもう御承知のとおりであります。したがって、この二、三年のうちに主な鉱区の分割は終わってしまうのではないか。国内の生産は二千万トン体制を維持するのが精いっぱい、いよいよ海外炭に依存していかなければならない。そういう中で、この百六十三億円というのが十分な助成であるのかどうか、こういうふうに思うわけです。  そこでお聞きしておきたいわけでございますけれども、この助成措置は従来からの考えの踏襲の域を出ていないのではないかと私は考えるわけです。ただ単なる石炭政策としてやるのか、あるいはエネルギー政策としてやるのか、その位置づけもはっきりしてもらいたいと思います。また、助成措置はするけれども、今日、国内の炭鉱がきわめて厳しい中で、新たに海外に出ていく企業があるのかということについてお伺いしたいと思います。
  85. 島田春樹

    島田政府委員 総合エネルギー政策の立場から考えまして、今後、長期的な展望に立ちますと、石炭の需要は大幅にふえていく、それに応ずるためには海外炭の開発輸入を積極的に進めなければならないと考えております。  どういう位置づけかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、海外炭の開発というのは、これは五十年の答申にもございますが、国内の石炭鉱業の技術水準の向上あるいは混炭等による石炭鉱業の安定にも大いに資するものと考えております。したがいまして、今回予定しております海外炭の助成制度は、石炭鉱業合理化臨時措置法に基づき、石炭鉱業の合理化策の一環として行うという意味で国内の石炭鉱業の安定強化策であり、同時に、一方エネルギーの立場から見ますと、海外炭開発を円滑に進めるための施策として、エネルギー政策の観点からの要請にもこたえるということを期待しておるものでございます。  海外の諸国が相当石炭の開発に積極的になってきておるので、果たしていまからで大丈夫なのかという点につきましては、私どもといたしましても、できるだけ早くこういう施策に手をつける必要があると考えております。したがいまして、本年度の改正で海外炭の助成制度を設けたわけでございます。  具体的にどういうところがこれの適用を受けて出ていくのか、これは今後の問題でございますけれども、一般的に申しますと、最近、そういう世界的な情勢を反映いたしまして、わが国の企業、ユーザー等もこの石炭の開発輸入問題には非常に関心を強く持っておりますので、私どもといたしましては、今回のような措置をとることによって、今後海外炭の開発が促進されるものと考えております。
  86. 権藤恒夫

    ○権藤委員 海外炭の開発につきましてもう一つお伺いしたいと思いますけれども、現在メーカーの方でプロジェクトをつくって、そしていろいろと研究もしておるようでございますが、既存の研究をしていらっしゃる企業に助成をするのか、またさらに、事業団あたりが国内の企業等今後輸入に好都合なところをいろいろと検討をして、そこに重点的に助成をしていこうとするのか、このことについてお伺いしたい。と思います。
  87. 島田春樹

    島田政府委員 ちょっとお聞きしますが、開発の関係、技術の関係でございますか。
  88. 権藤恒夫

    ○権藤委員 技術じゃございません。とにかく、助成をするでしょう。どのような助成をするか、そして日本に輸入する方法です。それと、現在各企業がプロジェクトをつくって相当開発をやっていると思うのです。そういう既存のものにこの百六十三億を助成するのか、新たにまた何かつくるのかということです。
  89. 島田春樹

    島田政府委員 やや詳しくなりますが、今回の措置でいま考えております海外炭の開発政策につきましては、三つの段階がございます。最初に、概査と申しますか、海外炭の開発に関する調査をする段階、それからその次に探鉱をする段階、それから開発をする段階ということになるわけでございますが、先ほど申しましたように、今回石炭合理化臨時措置法に基づいて海外炭の開発施策を進める場合に、私ども考え方といたしましては、石炭鉱業の合理化に資するようなものを対象にするという考え方でございます。したがいまして、それぞれの段階で違いますが、主として今後石炭鉱業が海外で開発をする場合、それから開発あたりの段階になりますと、それと一緒に開発をやっていくユーザー等々も含めて対象にいたしたいと考えておりますが、主体は石炭鉱業ということでございます。それが新しい会社をつくってやるのかどうかというのは、プロジェクトカンパニーも含むというふうに考えております。
  90. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その場合、十分な措置がとられると思いますけれども、やはりこのプロジェクトの中に石炭鉱業だけではなくして、商社でありますとかあるいは電力会社等も含まれておるやに聞いておるわけでございますが、そうなりますと、やはり国内産業、国内企業を守るという意味から商社の介入がどういう形になってくるのか、私どもにはわからないわけでありますが、少なくとも石炭政策にプラスになるように十分の配慮をしていっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  また、資源というサイドで考えてまいりますときに、海外炭の輸入とあわせて国内炭の重視もしていかなければならない、また効率も上げていかなければならないと思います。外国と同一視するということはできないと思いますけれども、西ドイツあたりでは企業の一本化、一社化といいますか、あるいはフランスあたりでは公社化等をしておりますけれども、資源の確保という意味で海外炭にこれだけの助成をしていきながら確保しなければならぬという意味からも、やはりあわせて国内炭も二千万トンの維持を達成するようにひとつしっかりやってもらいたいと思いますが、その考え方をもう一度お聞きしておきたいと思います。
  91. 島田春樹

    島田政府委員 海外炭と国内炭との関係でございますが、先ほど申し上げましたように、私ども今後海外炭の輸入を大いにやっていかなければいけないと思っておりますが、しかしながら、基本的にはあくまで国内資源の有効活用という意味で、国内炭をできるだけ活用していくという考え方、それをベースにいたしまして、さらに総合エネルギー政策の観点から海外炭の開発も進めていきたいと考えているわけでございます。したがいまして、いまお話しになりましたように海外炭と国内炭との調整の関係につきましては、従来進めております国内炭生産の維持という考え方との関係は十分配慮して政策を進めたいと考えております。
  92. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、災害復旧の問題についてお尋ねしたいと思います。  今回、幌内炭鉱の災害復旧のために、五十一年、それから五十二年度で八十九億の資金助成をやる計画があります。その内訳は、近代化資金十億七千余万、それから債務保証四十一億三千二百万、それから災害復旧資金の十八億七千八百万という内訳になっております。しかしながら、果たしてこの八十九億の資金助成で目的が十分に達成されるのかどうかということにつきましては、はなはだ疑問があるわけであります。と申し上げますのは、再開するに当たりましては約二百十数億の資金が要るのではないか、こういうふうに言われております。その中で八十九億でございますが、北炭の方々に聞いてみますと、同資本系統のところから何とか都合をつけたということでございますけれども、じゃ、果たして採炭計画が計画どおりいくのかと申し上げますと、かなり厳しいということも言われておるわけでございます。この点についての見通しをお聞きしたいと思います。
  93. 島田春樹

    島田政府委員 いまのお尋ねの点につきましては、今回幌内炭鉱の災害復旧につきまして、これは石炭鉱業審議会でいろいろ議論が行われまして、慎重審議されました結果、御意見が一月十二日に出されたわけでございます。それに基づきまして既存制度の活用、新制度の創設を含めまして、いまおっしゃいましたのは使える金の合計でございますが、予算措置といたしまして四十五億七千七百万という予算措置を講じたわけでございます。厳しい財源の制約の中にありまして、私どもといたしましてはできるだけの措置を講じたつもりございます。  本当にこれでいけるのかという点につきましては、私どもといたしましては今後北炭が主力銀行を中心にした民間関係者の協力のもとに一層の自己努力をしていくということを行うならば、幌内炭鉱の復旧、北炭の再建というものはこれで達成ができるものというふうに期待をしている次第でございます。
  94. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この災害復旧の保証でございますが、これはこういうことがあってはなりませんけれども、北炭に限らず適用されることであるかどうか。
  95. 島田春樹

    島田政府委員 今回合理化法の中にそういう制度を設けるわけでございますから、一般的な措置でございます。
  96. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その場合、保証の枠と申しますか、これはその都度政令で決めるということですけれども、この決め方ですね、それについてひとつお伺いしたいと思います。
  97. 島田春樹

    島田政府委員 具体的な要件というのは法律に書いてございますが、どれだけかというのはその都度予算で決まるわけでございます。
  98. 権藤恒夫

    ○権藤委員 北炭に関しましては累積赤字が資本金の約八倍、五百三十五億、ことしの三月には約六百億、こういうふうに言われておるわけでございますが、とにかくこの再建が十分になされるようにひとつ努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  北炭融資また補給金その他の処置をされましても、なおかつ大手六社で一千百億円の累積赤字が出ておりますけれども、このままにしておきますと二千万トンの出炭の確保というものは厳しいのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、それにつきまして。
  99. 島田春樹

    島田政府委員 十数年にわたりまして炭鉱は非常に苦しい状況にございましたために、石炭企業も非常な累積赤字をしょっておるのは御承知のとおりでございます。ただ、近年エネルギー価格が総体的に上がってまいりました関係もありまして、石炭企業の経常収支も漸次改善の方向に向かっておるわけでございます。私どもといたしましては、従来から石炭鉱業の経理の改善を図っていくために石炭鉱業安定補給金というのがございますが、これを交付する、あるいは過去のそういう問題につきましてはかつて一次から三次までいわゆる肩がわり資金と申しますか、そういうものを交付するというような一連の助成策を講じてまいったところでございます。したがいまして、こういった従来の施策、それから今後のエネルギー全体の情勢というものにもよりますけれども、今後炭価の適正な水準の形成というものに努力することによりまして収支の改善、経営の自立というものを図っていけるであろうし、われわれもまたそのように努力してまいりたいというふうに考えております。
  100. 権藤恒夫

    ○権藤委員 さらにまた今回、北炭の再建計画でございますが、二転、三転して同社の経営力が疑われた。そういった中で昨年の十月二十一日、北炭が出しました再建計画案をその後十一月四日の石炭鉱業審議会経営部会では、生産計画について全般的に、「同社が直面している現実状況に対する認識の甘さが感じられる。」このように中間報告をされております。しかしその後修正再建計画では基本的に了承されておるわけであります。当初の再建計画と修正案には基本的にはさほど相違はなかった、こういうふうに聞いておりますが、これはどのように判断されたのかお伺いしたいと思います。
  101. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  北炭は御承知のように五山ございます。それ全般にわたる検討をいたしたわけでございますが、当初の段階ではやはり計画の細部にわたりまして細かく検討いたしました感じといたしまして、いろいろなところでまだ詰めの甘さと申しますか、そういうものが非常に数多く見られたということで、審議会としてはその点を事細かに指摘をしたという次第であります。その後、その再建をどうやって具体的に実行していくかという、これは技術的な問題もたくさんあるわけでございますが、そういう点につきましてその後いろいろと検討を重ねられた結果、フィージビリティーが増してきたという判断がなされたものだというふうに了解しております。
  102. 権藤恒夫

    ○権藤委員 政府それから企業の姿勢に何とかなるだろうというような甘さがあってはこれは絶対にならない。また、今回の措置というものが北炭の爆発というもの、それよりも、政府の無定見なエネルギー政策と北炭の安易な経営が今回の融資を乱した、こういうふうに私どもは思われてならないわけであります。このような財政投資をして、そうしてもし再建が計画どおりにいかずに失敗をした、またそれに金をつぎ込んでいくというようなことがあってはならないと思います。そういうことについてはどういうお考えを持ってやっておられるか、もう一回お聞きをしておきたいと思います。
  103. 島田春樹

    島田政府委員 北炭の再建問題につきましては、審議会の一月十二日の答申にもありますように、再建計画の一番最後のところにございますが、再建の過程においていろいろな問題があると思われるけれども、「その対処を誤って、再び今回のような危機的事態を招くようなことがあってはならない」ということを強く指摘しておるわけでございまして、北炭の経営が、また他の個所では「北炭(株)の経営再建問題は、基本的には企業の経営責任に帰する問題であり、同社自身の経営努力と主力銀行、需要家等の協力により経営再建がなされるべきである。」というふうな御意見もいただいているわけでございまして、同社といたしまして全力を挙げてこの再建に取り組むという強い姿勢で今後とも再建に当たっていただくことを強く期待しておる次第でございます。
  104. 権藤恒夫

    ○権藤委員 十分留意をしてこれが実施に当たってもらいたいと思います。  それから現在炭量枯渇を理由にいたしまして、北炭夕張新第二炭鉱の閉山問題が表面化しております。地元住民にとりましては非常に不安を与えられておるわけでありますけれども、過日も地元の商工会議所あるいは従業員の方々等がお見えになりまして、ぜひ存続をしてほしい、こういう要望があっておるわけであります。したがいまして、この新第二炭鉱の閉山はどのようなものか、その理由と申しますか、実情といいますか、それをお聞かせ願いたい。
  105. 島田春樹

    島田政府委員 夕張新二鉱の問題につきましては、昨年の十二月に学識経験者、労働者、使用者から成ります合同調査で調査を実施したわけでございます。現在その調査結果を踏まえまして労使で今後のあり方につきまして協議を行っておるというのが現状でございます。
  106. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この件につきましては、やはり二千万トンを維持するというようなことからも考えまして、地元の意思も十分にひとつ尊重して対処してもらいたい、これは要望しておきます。  次に、石炭石油特別会計の財源の問題についてでありますけれども、当面現行原重油関税を暫定的に二年間だけ一キロリットル百十円引き上げることにより落ちつくことになっております。先ほどからも問題になっておりますけれども、安定財源を確保するためには、このような暫定的な措置ではきわめて不満であると思うわけであります。この点について十分にひとつ対処してほしい。  それからこの百十円の負担でございますけれども、これは一体だれが負担をするのか、こういうふうに考えます。石油業界が全面的に負担をするのか、それとも消費者にこれが転嫁されるのか。この百十円に至るまでの経過を説明していただきたいと思うわけです。
  107. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまお話のございました石炭石油対策特別会計の財源問題でございます。われわれとしては昨年の夏以来いろいろと検討いたしておったわけでございますが、石油対策あるいは石炭対策の緊要性、当面の財政事情等からいたしまして、やむなく暫定的に原重油キロリットル当たり百十円の値上げを決定いたした、こういうことでございまして、今後、先ほど来お話が出ております総合エネルギー政策の見直しの中の重大な一つの柱といたしまして財源問題について検討に入りたいと思っておるわけでございます。具体的には、総合エネルギー調査会の基本問題懇談会の中に資金分科会というものをつくりまして、ここであらゆるエネルギーにつきまして、財源をどのように確保するか、その所要量あるいは負担の分配といったようなものについても検討いたすことになっておるわけでございます。  それから百十円パー・キロリットルの負担はだれがするのかというお尋ねでございますが、これは需要者と申しますか石油の消費者がその消費量に応じて分担することになるだろうと思います。と申しますことは、具体的には価格に転嫁していくということになろうかと思います。
  108. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この答申の中にも言われておりますように、新しい政策を掲げた石炭対策というような観点から考えまして、また総合エネルギー政策の中で、どうしても石炭によってエネルギーを確保しなければならないというような立場から、やはりもうと安定した財政措置といいますか、これはぜひとも確立すべきである。それが単なる石油の値上げによって全部そのツケが国民に回される、こういうことでは本当に力を入れてエネルギー対策をやろうとしておるのかというその姿勢が疑われてならないわけであります。  そうなりますと、この石油業界でございますが、為替差益金というものが、それこそ新聞の報道でございますから、その実態は私にはわかりませんけれども、この報道によりますと、二百億近い史上最高の経常利益を上げるものと推定をされるというようなことも報道されておるわけであります。また総理が経済企画庁長官に対しまして、この為替差益金のことにつきましていろいろと指示をしております。それは、業者にためることなく、また消費者に過大な負担を負わせることのないようにしていきなさい、こういうふうに総理も指示しておられるようでありますが、その総理が指示したこととやっていることが全然逆じゃないか、こういうように思われるわけですが、これについてのお考えを述べていただきたい。
  109. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 為替差益を物価対策に活用していくということは、当然と申しますか、その方向に立って考えるべきだと思います。ただ、一言石油における為替差益の事情を申し上げますと、四十九年と五十年で合計一千億円の為替差損が出ております。それから昨年五十一年の上期におきまして、石油業界全体として四百億の差益が出ておるわけでございます。下期についてはまだ決算が出そろっておりません。上期と同じぐらいの差益が出るといたしますと、かれこれ一千億近い差益が出るだろうというふうに見られるわけでございます。一方、御承知のとおり昨年の十二月OPECのドーハ総会におきまして、OPEC諸国が二本立ての原油価格の引き上げを打ち出しておるわけでございまして、ことしの一月以降わが方に通告があったもの等を勘案いたしますと、日本の石油業界全体として七ないし八%程度の原油価格の上昇になるのではなかろうかと思うわけでございまして、これは外貨にいたしまして十七億から十八億ドル、邦貨にいたしまして五千億円程度になるわけでございます。したがいまして、一方で為替差益が発生しておることも事実でございますが、今回の原油引き上げによりまして年間五千億程度のコスト上昇になるということも考慮しなければならないかと思います。  一方、為替差益の発生は二つの形態がございまして、一つは価格交渉に入る際にその前提として為替レートを幾らに見るかという問題と、現実にその石油製品が取引される段階における為替レートとの関係をどう見るかという問題が一つあります。それからいま一つは、産油国の港を出港すると申しますか、積み出し時期における為替レートとそれが現実に日本の税関をいわゆる通関をいたしまして一定のユーザーズ機関を経た後の価格と申しますか、代金の支払いをいたすときにおける為替レートとの差額と、こういうことになるわけでございまして、その都度為替差益がどの程度発生しているかということの把握が非常に困難でございます。くどくどと申し上げましたが、ともあれ為替差益を何らかの形で物価政策に生かしていくということは必要かと思いますが、ただいま申し上げたような実情も踏まえて対処することがやはり肝要かと思うわけでございます。
  110. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これにも報道されておりますように、差損ととんとんであるということでございますが、だからといってこの財源を安易に値上げというようなものの中で求めるということは、果たしてこれが今日きわめて重大な問題になっております石炭対策の財源かと、こういうふうに私どもは疑問を持つわけでありますから、この点につきましてもやはり安定財源の確保ということに全力を挙げるようにひとつ力を注いでもらいたいと思います。また、この百十円に至るまでのいろいろな中で通産省資料を出しております。その資料を要求しておきたいと思います。  次に、産炭地域振興についてお尋ねいたします。  通産省では、産炭地域振興策の見直しの作業を進めておられるようでございますけれども、これに対応して、新しい地域別の産炭地振興計画づくりがあると伺っております。しかし、一部新聞で報道されておりますけれども、この計画を五十七年度で打ち切ってしまう、その後は各自治体が自主的な浮揚策で地域振興を図る基本方針で改定作業を行うと、こういうふうに載っておりました。この真意はどういうことなのか。いずれにしましても産炭地域自治体は非常な不安を持っておるわけでございますから、この場でこれについて明らかにしておいてもらいたいと思います。
  111. 島田春樹

    島田政府委員 産炭地域振興対策は、御案内のように産炭地域振興臨時措置法に基づきまして、現在、昭和五十七年を目標年次といたしました産炭地域振興計画を定めまして、鋭意対策の実施に努めているところでございます。  で、いまお話のありましたように、現在産炭地域における内外の情勢変化を踏まえまして、この計画につきまして所要の見直しを行うべく現在審議会において審議をお願いしておる次第でございます。私どもといたしましては現在そういうことでございますので、改定作業が終わりましたら、この計画の線に沿いまして産炭地域振興に関する諸般の施策というものを推進いたしまして、計画期間内にできるだけこの振興を達成するように努力をするというのが現在のわれわれの立場でございまして、その後どうするかということをいま決めているというものではございません。
  112. 権藤恒夫

    ○権藤委員 お気持ちはよくわかるのです。わかりますけれども、実際問題といたしまして五十七年度ではとうてい私ども復旧がなされるとは思えないわけなんです。だから自治体の方々も心配をしておるのです。たとえば現在鉱害復旧予算の九〇%が九州、私どもの住むところでございますけれども、その中で田川郡が六〇%まで占めている。残存鉱害量復旧費推計というものが約三百億あると言われております。ところが、年間二十億の予算で復旧しましても十五年はかかる、単純計算でそうなるわけですね。また残存の鉱害量も、被害者側から見ますと、まだ田川市が推計しておりますそれ以上、倍はあるのではないか、こういうふうに見ておるわけであります。  その理由というものが、三十二年から四十年の売山処理の過程で打ち切り補償や復旧事業で一応復旧が完了した、こうされておりますけれども、家屋やたんぼ、農場ですが、それがまた四十五年ごろ二次鉱害が進行しておるわけであります。ところが、何が何でも五十七年までにやってしまおう、こういうふうにおっしゃいますけれども、こういうものが全然見積もりに入れておられないわけであります。ですから、私は方法はどうでもいいと思う。けれども、地元の農家の人や被害を受けた人たちは、とにかくもとどおりに返してくれということなんです。  私は、これ以上くどくどは申しません。やはり何らかかわりのない人が鉱害のために作物もつくられぬようになっておる。住む家もがたがたです。ですから、とにかくもとの姿に返してくれ、それは何も地元から何回も何回も陳情をしてお願いします、お願いしますと言う、そして復旧をするのじゃなくして、やはりそういう被害を受けた方に対しまして、御迷惑をかけました、このようにもとに返します、こう言うのが私はあたりまえだろうと思うわけです。そういう認識に立って私ども質問をしているわけですけれども、いかがでございましょうか。
  113. 島田春樹

    島田政府委員 鉱害の問題でございますが、私どもといたしましても現地の実情はもちろん十分承知いたしております。先ほど申し上げましたけれども、鉱害の場合につきましても、現在十年間でのいわゆる鉱害復旧計画というので現在できるだけ鉱害の処理をするということでやっておるわけでございまして、従来からも復旧の促進に鋭意努力をいたしておりますが、いまおっしゃいましたような二次鉱害の問題等いろいろ現地で厳しい情勢があるということも十分認識いたしながら、法律の期間内にこの計画を達成するように最大限の努力を払いたいというふうに考えております。
  114. 権藤恒夫

    ○権藤委員 最大限に努力を払っていらっしゃることはよく承知しております。けれども、推計して三百億もあるというのが年間二十億の予算で原形復旧ができるわけがないじゃないかというのが常識だと思うのです。ですから、とにかくきちっともとに原形復旧をして返していくように努力をしていただきたいと思います。
  115. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 私も山口県の産炭地宇部、小野田、美禰の出身でございますので、感を同じくするものがございます。同時にまた私は、戦時中、終戦に至りますまで石炭局で大いに掘れ掘れと号令をかけた立場にありましたので、先生のおっしゃることもよくかみしめておる次第でございますが、この復旧の問題につきましては、御案内のとおりになかなかむずかしい問題でございます。ことにまた県知事なんかをいたしておりました立場から見ましても、地元の負担が相当市町村にかぶってまいります。ことに地方財政が落ち込んでおります今日はなかなか容易なことではございません。しかしながら、この復旧の問題もようやくある程度まで緒につきまして、同時にまた第二次鉱害というようなものが新しく唱えられておるような次第でございますが、御案内のとおりに地域振興整備公団のやりました足取りを振り返ってみますと、これまた相当大きな成績を上げておりまして、工場の誘致、土地造成その他プラス面も非常に出ておるのでございます。  しかしながら、先生と全く立場を同じくする者といたしまして、いろいろ貴重な御指摘に対しましては、本当にありがたい気持ちでもって御指示を聞いておるような次第でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
  116. 権藤恒夫

    ○権藤委員 とにかく大臣、ひとつしっかりもとのとおりに返してくださいよ。私の家もがたがたひっくり返っておりますから。  それから最後にお聞きしたいのですが、いま三井炭鉱から分かれました新しい炭鉱で有明炭鉱というものがあります。これは有明海の人がほとんど掘っておるわけであります。地上でも鉱害が出ております。やはり海底でもあるわけなんです。ところが海底はなかなか測定ができませんので、どういうふうになっているかということは、これは長年そこで生活をしております漁業者、それがしかも勘でしかわからない。測定する方法がきわめてむずかしい。けれども、あそこは有明海の特性を生かしまして、ノリの養殖をやっております。これも以前は大体アカガイでありますとかタイラギ、それから雑魚、有明海のムツゴロウという有名なのがおるでしょう、そういうものをとって生活をしておったわけです。それが炭鉱鉱害で、炭鉱鉱害だけじゃありません、生活排水等の汚染等もございまして、こういうものがとれない。そこでノリに転向していったわけです。ところがノリを養殖するのに鉄のパイルなんかを打ち込んでいきます。それに竹を立てて網を張るわけなんですけれども、やはり地盤が沈下してかなり被害を受けておるわけです。そういうことで、この三井鉱山、有明炭鉱と漁民の間で毎年毎年補償の問題についてトラブルがあるわけです。陸上では鉱害補償規定が定められておりますけれども、海底の地盤沈下というものは規定が何らないわけなんです。ですから、炭鉱も漁民側も、この時期になりますともうそれこそ大変であるわけなんです。炭鉱がある限りこれからずっと続くわけなんでございますが、やはりなかなかむずかしいことでございましょうけれども、陸上と同じように海底の沈下ということについて部分的なもの、特定なところだと思いますけれども、何らかのそういう措置が講じられないかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  117. 島田春樹

    島田政府委員 いまの海底の沈下の問題でございますが、現在の臨時石炭鉱害復旧法の体系でまいりますと、海底の沈下現象というのは鉱害復旧の対象になっていないわけでございます。それからまた、法律論だけではなくて、技術的にも海底の沈下の復旧ということを考えた場合に、技術的にいろいろむずかしい問題が当然予想されますし、またやり方によってはそれが他の魚介類への影響という問題も出てくるというようなことで、復旧というのは非常にむずかしいのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、採掘に伴って被害が出たということになりますと、鉱業法上は鉱業権者に賠償義務が課せられておるわけでございます。したがいまして、臨鉱法の対象にできない物件につきましては、鉱業権者と被害者の間での鉱害賠償というのは鉱業法上の関係といたしまして適切な金銭賠償をするということになろうかというふうに思うわけです。  それで、それでは政府の方はどうかということにつきましては、こういったものにつきましては、石炭鉱害事業団を通じまして鉱害賠償に要する費用につきまして鉱業権者に長期低利の融資を行っておるわけでございまして、こういった措置を通じまして鉱害賠償の円滑な促進に努めているという次第でございます。
  118. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これは答弁は要りません。あとは朗読だけでございますが、福岡県につきまして緊就とそれから開発就労事業、これは地元の超過負担が非常に多過ぎるわけであります。ですから——長くなるからと思いましたけれども、それでは答弁もらいますか。  大臣もよく御存じのとおり、福岡は困っているわけです。県は何とかやりますけれども、小さな市町村なんかはこの超過負担を出すのが非常に苦しいわけです。ですから、たとえばこの緊就にしますと、A、B、Cという三地区に分かれておるようでございます。それでA地区で六千三百五十円、B地区で六千六百三十二円、C地区で六千二百二円、これは五十一年度ですけれども、それぞれ労務単価がまた決まっております。昨年の単価が六千五百円でございますが、その差額金が、夏の手当でありますとか、超過負担分の方に回っておるわけであります。それでもなおかつ弱小市町村に一億五千万ほどの超過負担が出ておるわけです。ですから、やはり失業者を救済するための措置としては続けてもらわなければ困る。けれども、その超過負担分をやはり解消していくように努力をしてほしいと思うのですが、それについてはいかがでございましょうか。
  119. 石田博英

    石田国務大臣 緊急就労事業、これは本年二千八百人を対象に五十三億くらい計上しております。それから産炭地開発の就労事業、これは三千二百人を対象に七十三億ほど計上しておりますが、補助率は前の方が五分の四、後の方は三分の二であります。したがって、それぞれ自治体負担があることは事実でございますが、逐年その負担の軽減に努力はしてまいっておるつもりでありますし、これからもそういう方針でいきたい、こう考えております。
  120. 権藤恒夫

    ○権藤委員 答弁をもらいましたので、ではもう一問つけ加えて申し上げておきます。  若干の予算はふやしていただいております。しかしながら、実際の就労人員が五十名ないし百名増加しているわけです。これは同じところにおりまして、これは予算がこれだけだ、二千三百名しかありませんからと言って、あとの百人の人をほっとくわけにいかないのです。というようなこともひとつよく知っていただいて、適切な予算措置をしていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  121. 岡田利春

    岡田(利)委員長代理 西田八郎君。
  122. 西田八郎

    ○西田(八)委員 まず、通産大臣にお伺いをいたします。  石炭対策は、単に石炭を掘るとかあるいはいままでに閉山になったものを復活させるとかいう問題だけでなしに、いわゆる総合エネルギー対策の一環としてこの問題が取り上げられておると思うのです。現在有効に活用されておるエネルギーと言えば水がありますね。次に地熱、これも多少は利用されてきておるように思います。石油はもう言うに及びませんが、あと石炭に次いでこれからの問題として太陽熱をどう利用するかということが重要な問題の一つになっていると思うのです。私の選挙区は滋賀県です。石炭はほとんどとれるところがありませんし関係もないわけでありますが、太陽熱の利用についていま試作的に電池をつくったりしておる工場がありますが、これはなかなか容易なものではないようでありますが、一体太陽熱の利用についてどの程度進んでおるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
  123. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 御案内のとおりに、国内の資源といたしましてこのエネルギーの中で一番適確なものといたしましては水力によりまする発電並びに石炭でございまするが、さらに地熱でありますとか太陽熱、先生のところからちょうど科学技術庁長官の宇野君が出ておられて、サンシャイン計画の一番中心的なあれでございます。本年の四十九億のサンシャイン計画の予算がまことに少ないというような御意見もございまするが、これは現在研究いたしましたもののパイロットプラントの経費でありまして、実は科学技術庁挙げて取り組んでおるような次第でございます。  なお、太陽熱に関しまする詳細な技術上の問題は、まことに申しわけないのでございますが私、学がなくてその辺の詳しいことはちょっとわかりませんが、せっかくこちらにエネルギー庁長官その他専門家が来ておりますから、詳細説明をいたさせます。
  124. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 お答えいたします。  新しいエネルギーにつきましては、いわゆるサンシャイン計画と申しまして昭和四十九年度から研究を進めております。このサンシャイン計画は四本の柱がございまして、太陽、地熱、水素、石炭、こういうことになっておりますが、その中の柱の一つとして太陽が取り上げられているわけでございます。現在研究を行っておりますのは、一つはソーラーハウス、これは太陽熱の冷暖房あるいは温水利用という形でいたしております。それから、太陽の熱の発電、熱を使いまして電気を起こすというシステムが一つ行われております。それから、太陽の光を利用いたしまして発電をするという光発電、この三つがいま太陽の利用の大きなものでございます。四十九年度から始まりまして、研究が、基礎的な段階のものが相当ございましたのですが、五十二年度からは基礎的な段階を通り過ぎましてパイロットプラント段階に入るものが出てまいりました。そのうちの一つが太陽熱の発電システムでございます。これは現在二つの方式を研究しておりますが、これを五十二年度から千キロワットの発電プラントの詳細設計を行う、こういうことでプラントものの段階に入ってきておるわけでございます。
  125. 西田八郎

    ○西田(八)委員 この問題、本当に実用化するためにはまだまだ先のものだというふうに思われますが、そうなりますと、やはりどうしても地下にまだ相当量埋蔵されておる石炭をいかに有効に使うかということなんですが、石油という便利なものがありますので、そんな危険な、しかも相当深いところまで掘って、掘り出していくという石炭はやはりどうしても敬遠されがちだと思うのです。またコストの面でも私はかなり違いがあると思うのです。そういう面で政府からもいろいろの補助金、助成金も出しておられますが、やはり一番問題になるのは価格の問題ではないかと私は思うのです。石油と石炭とを、カロリーなりその他に対比してどの程度の価格差が生まれるものなのか、またそれに対して政府の補助金が出ているように聞くのですけれども、もっとそれらのものを引き上げてでも石炭を使うという方向に指導をしていくべきときではないかというふうに思うわけであります。ということは、石油産油国もやはり石油の埋蔵に限界があることを十分理解をしておりますから、持てる資源をどう有効に活用するか、その間に自国の成長を、あるいは国民生活の水準をどう引き上げるかという政治的駆け引きにこれからは使われると思うのです。そうしますと、第二次世界大戦の敗戦は、言うならば石油戦争に負けておるわけでありますから、石油戦争に負けたわが国が戦後これだけ急速に石油を使うところまで来たけれども、しかしいつ何どきどういう形でまたいろいろな国々からの障害を受けるとも限らないと思うのです。そういう面から言うと、石油よりも自分の持っておる資源を活用するということが一番大切ではないか。それには、多少コストが高くなったとしても何らかの形でそれを補いながら活用する方法というものもやはり考えていくべきだと思うのですが、そうした面について、現状がどうであって、今後どうするつもりなのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  126. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 御指摘のとおり、石炭をある時期には五千五百万トンも掘った時代がございますが、このように相なりましたのは、何と言いましても、やはり石油の価格の問題であった。ところがその価格がOPECによりまして高騰いたしまして、改めてまた石炭に戻ったと申しても過言ではないと存じます。しかしながら、私、寡聞でありますので、経営上の面におきまする石炭コストのバラスンでございますとか、原単位の計算でございますとか、技術上の詳細なコスト計算は、専門の政府委員がおりますので、お答えいたさせます。
  127. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  最初、石炭と石油の経済性がいまどうなっているかという点でございますが、御案内のように、火力発電の場合の比較をする場合、その立地条件、あるいは燃料の種別、特に公害規制の状況等によりまして非常に値段に差がありますので一概に比較するのは非常にむずかしいわけでございます。あえて一つの例として、代表的な石炭火力発電所を例にとりまして、これは高砂火力をモデルにいたしまして一応試算をしてみたわけで、あくまで試算でございますけれども、それでやってみますと、石炭と重油のカロリー当たりの燃料費というのは、最近エネルギー価格が相当上がりました関係もありまして、燃料費はかなり接近してきております。ただ、まだ若干石炭の方が少し割り高、カロリー当たりを見ると若干の割り高という程度に縮まってきておる。ただ石炭火力発電所の場合には、御承知のように、貯炭場、灰捨て場、運転のための諸経費、建設費等がどうしても相当割り高につくという、いわゆる石炭デメリットと呼ばれる部分がございまして、その部分の分だけはどうしても割り高になっていくということになるものですから、現状ではまだそれを考慮いたしますと、石炭火力の方が割り高だと言わざるを得ないということでございます。  それから、それに対して、ではどういう対策をとっているかということでございますが、私どもの方といたしましては、予算上の措置として石炭需要確保対策ということで、産炭地石炭火力の発電所の建設の補助金、それから石炭増加引取交付金、これは石炭を一定量以上に引き取っていただいた場合の交付金ですが、それから電源開発株式会社の排煙脱硫装置を設置した場合の交付金というようなものに助成措置をとっておりまして、本年度予算といたしましては、合計で五十八億五千万円程度予算を計上しております。
  128. 西田八郎

    ○西田(八)委員 それは高砂の発電所は関西電力でしょう。(島田政府委員「いや、電発です」と呼ぶ)電発ですか。電発のような大きなところならいいのですよね。ところが、そうでないところが石炭を使う場合には、いまあなたがおっしゃるように、敷地は取るし、灰捨て場は困るし、そうして脱硫あるいは浮遊粉じんといいますか、ばい煙がいっぱい出る、そういうものの防除というようなことから非常な手間暇がかかるわけですね。重油だけなら石油会社に頼んでおけばタンクローリーでざあっと運んでくれて、それで狭い地域でしかも簡単に利用できる、そういうことがあるわけですから、いまおっしゃるように石炭デメリットというのは非常に大きいと思うのです。しかし、それでも使うてもらわなければいかぬわけですから、それに対するやはり積極的な姿勢というのが必要じゃないんですか。それが現在行われているのを見ると、結局そうした限られたところのみであって、いわゆるもっと産炭地の近くにおいて利用することもできるのではないかというようなことを考えるわけですが、そういう点についてどう対処していかれますか。
  129. 島田春樹

    島田政府委員 現状はいま申し上げましたとおりでございますが、今後さらに石炭をエネルギー源として使っていくというためには、確かに現状ではまだ足りないということでございます。いろいろ考え方があろうかと思いますが、基本的にはできるだけ石炭をクリーンなエネルギーとして使っていくという方向が何より必要であろうというふうに考えておりまして、これも技術的にいろいろな段階がございますので、ステップ・バイ・ステップでやっていく必要があろうかと思います。たとえば、現在微粉炭をうまく使うというふうな方法の研究、あるいはコールオイルと申しますか、そういったようなものとして使っていく、さらには低カロリーガス化発電というようなものを考えていくというようなかっこうで、そういった石炭のクリーンエネルギー化の研究というのを現在いろいろサンシャイン計画のもとで進めております。そういったことで石炭利用の拡大というのを長期的には考えていくべきだと思っております。
  130. 西田八郎

    ○西田(八)委員 この点は先ほども公明党の方の御質問の中で予算が非常に少ないということがあったわけですが、私は、やはり重要な国内の資源というのは何かということになれば、水はもうあり余っておると思っておったら水も足らぬということですね。ですから、あわててあっちこっちにダムをこしらえて水資源を開発しなければならぬ。それじゃ米は余っておるかといえば、いま米は余っておるように言われておるけれども、輸入食糧が相当ふえておるから、これは輸入食糧がぴたりととまれば米は足らぬようになってくる。石炭も十分とは言えないけれども、しかしまだ相当の埋蔵量があるとするなら、かなりやはりこれに対して力を入れてやるべきであるということで、私は、通産大臣はもともと産炭地の御出身でもありますし、このことに対しては非常に御理解が深いと思いますので、もっとやはり石炭鉱業というものを、産炭地をどうするとかこうするというのではなしに、日本のエネルギー源を確保するという意味でひとつ大いに努力をしてもらいたいし、何か石炭と言うと、私は繊維産業の出身ですけれども、最近、繊維産業はどうもやはり日暮れの産業だなんて言われて、みんなみずから卑下するような感じになっております。石炭鉱業界も若干そういう傾向があるんじゃないかと思うのですが、ひとつ大臣、思い切ってそういう人たちに活路を与えるというような政策を力強く進めてもらいたいということを要望しておきたいと思います。  次いで、海外炭の開発やあるいは導入、いまでも相当量の海外炭が輸入をされておるようでありますけれども、果たしていま時分から海外炭の探鉱に行ったりあるいは鉱区を設定するというようなことが現在の国際情勢の中で可能なのかどうか、ひとつこの点は事務当局の方、政府委員の方で結構ですが、見通しなどについて説明をしていただきたい。
  131. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 お答えいたします。  国内炭の関係は、先ほど来たびたび申し上げますように、大体二千万トン、これを確保するというので現状の段階におきましてはいっぱいいっぱいじゃないか。ことに石炭と申しましても、埋蔵の関係から言いますと、九州もございますが、やはり北海道、天北とか釧路とかというところに期待が持てるだけでございます。そういたしますと、今度は、私は先ほども申し上げたように、ずっと石炭関係をいたしておりましたので、ペトロケミカル、ペトロケミカルと、はやりものみたいに、いままでやっておったコールケミカルを一挙に捨てちゃって、全部ペトロケミカルに飛びついた、こういうようなこと。しかし中近東に偏在いたしておりまする給源では非常にまた不安定な状態。こうなりますと、私も対外経済協力をいたしておりましてつくづく思いますのは、やはりオーストラリア、カナダ、アメリカというようなところ、ここに相当のりっぱな炭田をこちらが経済協力してあげて、そうして開発して、安定供給を確保する、このことはわが国の国際外交上あるいは国際経済問題としましても非常に重要なことでございまして、現在もうオーストラリアの方面には、日本の需要に対する現地の期待も非常に大きいものがございます。  なお、さらに詳細な今後の見通しにつきましては、担当官から御説明をいたさせます。
  132. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  現在、わが国がこれから開発をしようと考えておりますのは、立地条件等々あるいは石炭の賦存条件等から考えまして、太平洋の沿岸諸国、すなわちカナダ、オーストラリア、それからニュージーランド等、いういったところが主になろうかと思います。こういった国の状況等、いろいろわれわれの方でもすでに二年前から、五十年から実は予算をいただきまして海外炭の開発の調査というのをやってきておりまして、もちろん最近の世界的な石炭見直しということでほかの国も相当積極的になっておりますので、できるだけ早くわが国もやらなければいけないとは思いますが、現状ではなお今後私どもが所要の施策を進めることによって所要の石炭を確保していくということは十分可能であろう。大体いまのエネルギー計画の目標では六十年度までにあと四千万トン程度の開発輸入ということを考える、一応の試算ですけれども、とすれば、その程度のものは十分可能であろうかと思っております。
  133. 西田八郎

    ○西田(八)委員 そこでまた問題になってくるのが、海外で安い炭がどんどん入ってくるということになると、国内炭との関係が出てまいりますね。その辺のいわゆるコストの面はどういうような勘定になりますか、私は全然素人でわからぬのですが。
  134. 島田春樹

    島田政府委員 これも一概に申せませんけれども。どこを開発するかによってもコストも非常に違ってまいりますので、一概には申せません。それからまた、どうしても運賃それから内陸の場合の輸送賃というようなものによって相当左右されます。そういう点、一概に申せませんが、先ほど申しましたように、いまやろうとしているのが太平洋を取り巻く諸国に石炭が相当豊富に分布しておるということでございますので、うまい開発プロジェクトを選ぶということにいたしまして、同時にまた、輸送に当たっての大型輸送船の利用ですとかあるいはコールセンターの建設によるというようなかっこうで流通の合理化というものをやれば相当の効果は上げ得るのじゃないかというふうに考えております。
  135. 西田八郎

    ○西田(八)委員 価格は……。
  136. 島田春樹

    島田政府委員 値段でございますか。一概に計算できませんけれども、現在の輸入炭の価格で申し上げます。
  137. 西田八郎

    ○西田(八)委員 国内炭より安いのか高いのかということです。当然安いんだろうと思う。
  138. 島田春樹

    島田政府委員 現状においては安うございます。
  139. 西田八郎

    ○西田(八)委員 安いのがどんどん入ってくるのは困るわけで、だから国内炭の生産コストをできるだけ切り下げるようにやはり技術指導なり安全対策なり十分にするということが大切ではないか。だから、海外にあるからあるからといって飛び出していくと、逆に今度はまた、せっかく盛り上がろうとしている国内炭の生産が落ちては何にもならぬ。二千万トンという目標を立てられながらも、それになかなか到達できない。審議会の六次答申を読んでみると、二千万トン以上というふうに言われておるわけです。そういうときに海外炭という問題、これはさしあたり、のどから手の出るほど欲しいものであるかもしれぬけれども、また同じような石油と——これはよそのものですからね、あくまでも自分のところのものじゃないのだから、やはりわが家のものにまず重点を置くという政策でひとつ取り組んでほしいということを申し上げておきたいと思います。  次に私は、そういう関係で、最近の産炭地における労働事情についてお伺いをしたいと思います。ということは、ここに、これは週刊サンケイですけれども、北炭の、果たして再建計画ができるのかということで、相当厳しい批判が出されております。これはもう、政府から八十億円の助成金を取ることに成功したが、ちょっとむずかしいのではないか、一たん水を入れた山をもう一回掘り返すということは容易なわざではないというのが専門家の意見のようでありますが、そういうような状況が続いておると、やはり産炭地における労働者はきわめて不安が高まっておると思うのです。  そこでまずお伺いしたいことは、いわゆる最近の炭鉱の離職者の発生状況、一体どうなっているかということと、今後、こうした事情の中でどの程度離職する人が予測されるのか、そういう点についてひとつ労働省から、大臣おられぬようですから、しかるべき人の答弁を求めます。
  140. 細見元

    ○細見政府委員 ただいま御質問のございました産炭地におきます離職者の発生状況につきまして、概数で申し上げますと、四十九年度の新規炭鉱離職者の発生が千八百九十人、公共職業安定所の紹介、事業主の方々の御努力その他によりまして、就業されました方が三千九百人。同じように五十年度につきましては、新規求職者の方が千四百人、就業されました方が二千六百四十人でございます。五十一年度状況について申し上げますと、昨年度末二千四百三十人の未就職者の方を引き継ぎまして、これに今年の一月までの新規求職者の方が千二百九十人、合計三千七百二十人の求職者の方が、現在まで約千八百人程度就職されまして、千九百人ぐらいの方がまだ未就職ということで残っております。申し上げましたように、現在のところ就業者の方の方が新規離職者の発生を上回っておりますので、逐次、未就職の離職者の方というのは減少いたしてまいっております。  それから今後の見通しにつきましては、ただいま申し上げましたように、傾向としては離職者の発生も、わずかでありますけれども毎年減少いたしておりますし、逆に、前回の委員会で申し上げましたように、毎年主要な炭鉱におかれましても、千人前後の採用を予定し、これに予定数をやや上回って就職されておるというような状況でございますので、もちろん今後の推移によりますけれども、私どもとしては、現在の事情が続きますれば、そう極端な離職者の発生はないのではないかという感じを持っております。
  141. 西田八郎

    ○西田(八)委員 それならばいいのですけれども、一時、産炭地から離職された方がいろいろな企業に炭離者という名前で就職してこられましたね。私どもの県でもかなりの数を受け入れているわけですが、やはりいままでの仕事とがらり違った仕事、いろいろと手に職を、職業訓練を受けて出てこられるわけですけれども、なかなかなじめない。特に、地域柄からその地域にはなじめない。で、炭離者住宅というのもありまして、何戸分かかためて建てられておるわけですが、そこだけがその地域から隔絶されておるというようなことから、なかなかそこに落ちついて住めないというような状況から、再びそこを離れて産炭地へ帰っておられる方も相当数あるように聞くわけであります。そういうUターン現象ということが、この不況の中でますますふえてくるのではないかという心配をするわけであります。  また、産炭地においては、こうした合理化等のために山が閉山される、事業場が閉鎖されるというようなことから、そこで余った労働力を活用すると言うと非常に言い過ぎかもわかりませんが、とにかくそうした労働者を救済する意味も含め、またそうした労働者を利用するという意味も含めて、かなりな他の企業石炭鉱業以外の企業、特に繊維では縫製だとか紡績だとかというような小さな二百人ないし三百人規模の工場がかなり産炭地誘致をされていったと思うのです。私は、それが一時的に産炭地の失業者を救済することにも役立ったかと思いますが、最近の繊維産業の実情で、それら川下にある企業はいち早くその影響を受けて、どんどんと閉鎖あるいはやはり自分の地元へ帰るという、これまた逆Uターン現象が起こってきておるというようなことで、それのプラス、マイナス面、非常に大きいものがあると思うのです。で、産炭地市町村においてもそういう面、非常に頭の痛い問題ではなかろうかと、私は各陳情者の方々のお話を伺って聞いておるわけですが、こうした人たちに対して、労働省として就職の道を開く対策としてどんな措置をしておられるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  142. 細見元

    ○細見政府委員 ただいま御質問のございました炭鉱離職者の再就職状況につきまして、しばらく前でございますけれども、私どもの方で抽出調査をいたしたものがございます。  これによりますと、全体を一〇〇といたしますと、そのうちの約八八%の方が定着と申しますか、その調査時点までに再就職をしたことがない、炭鉱からそちらへ就職された企業で落ちついておられる。それから一回職をかわられた方が四五%、二回かわられた方が一・六%、三回の方が一五%というような数字が出ておりまして、以下不明でございます。  この調査によりますと、比較的炭鉱離職者の方もその後の再就職先において定着されておるという感じがいたしておりますが、確かに先生お話しのように、一たん産炭地を後にされましても、なお再就職後の状況によりましてまた産炭地へ戻られた方等もございますが、まず第一点といたしましては、御承知の炭鉱離職者求職手帳の有効期間が三年でございますけれども、不幸にして、再就職なさった後一年以内に特別の理由と申しますか、御本人の方にどうという理由がなしに事業場の都合その他で離職なさったという場合には、一年以内の離職者の方に限ってはいま一度炭鉱離職者求職手帳を差し上げまして、手当を差し上げながら再就職の促進を図ってまいる。第二点といたしましては、このために公共職業安定所に専任の炭鉱離職者就職促進指導官等を置きまして、一々個別の方々の資料を本人が持ちまして、事業主に対して就職のあっせんをするということをいたしております。その他、援護措置、いろいろございます点につきましては、もう先生も御承知のとおりでございます。
  143. 西田八郎

    ○西田(八)委員 その中で心配されるのが高齢者なんですね。産炭地を離れるときにもうすでにかなりな年齢になっておられた方が舞い戻ってくる、あるいはまた、そのままそこに定着されていろいろな職をかえて仮に就職したとしても、今日のような情勢の中では就職するということが非常に困難ではないかというふうに思うわけです。そこにやはり、どうしても中高年齢者、高齢者が取り残されていくことになると思います。これはそのとおりだと思うのですが、それらのいわゆる高齢者対策として、何か特別の措置を講じておられるのか。また、それらに対して今後こうしたことをやりたいんだというような何か方針があるのかどうか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  144. 細見元

    ○細見政府委員 ただいま申し上げました離職者の方の実態調査をいたしました場合にも、全体の離職者の方のうち、四十歳から五十四歳までの方が六三・二%、五十五歳以上の方が一一・九%というような数字が出ておりまして、全体の七割五分以上の方が四十歳以上というような状況でございますし、また、私どもが実施いたしております炭鉱離職者緊急就労対策事業の従業者の方も、その平均年齢が五十年には五十六・七歳ということになっておりまして、確かにお話しのような全体の高齢化が進んでおりますことはもちろんでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、石炭鉱業の合理化、閉山で離職者がある程度まとまって出るというような場合には、まず現地に臨時の職業相談所を設けまして、ここに高齢者の方のいわば専門のコーナーを設けて職業相談を行いますと同時に、企業に対しても、企業の提示いたしました求人条件、年齢その他をそのまま安定所が受け付けるということでなしに、その時点でまず年齢の緩和あるいは給与その他の改善を要望いたして、極力高齢者の方につきましても就職の促進を図っておるわけでございます。  その他、今後の問題といたしましては、中高年齢離職者の雇用促進に対する特別措置その他の施策も逐次整ってまいりましたので、これらと総合的に勘案をいたしまして 利用いたしまして、公共職業安定所の第一線を督励し、高齢者の方の再就職にも最大の努力をしてまいりたいと思っております。
  145. 西田八郎

    ○西田(八)委員 それは努力するのはあたりまえのことであって、十分な対策をしてほしいと思うが、同時に、私は、こういう時代ですから、若い者でさえ就職が困難だ、こういう時期に、ましてや幾ら政府が高齢者対策で中高年層を雇えと言って指導してみたところで、企業は雇わないのですよ。それはやはり若い労働力に比べてみればメリットがないわけです。  単に職業を紹介するとかあるいはその条件を改善するということだけでなしに、そうした人たち自身を直接救う何らかの事業があっていいのではないかというふうに思うわけですね。そういうことに対して労働省は何か考えているのかどうか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。これは産炭地だけの問題じゃなしにこれから全国的な問題になってくるから、あるいはこの場所ではおかしいのかもわからぬ、社労委員会でやるのがあたりまえかもわからぬけれども、しかし、特にこういう厳しい条件の中に置かれてきた人たちに対して、やはり親切な措置をするということが政治ではないかと私は思いますので、特に伺っておきたいと思います。
  146. 細見元

    ○細見政府委員 確かに、ただいま先生のお話がございましたように、現在の時点におきまして高齢者の就職というのは決して容易でないことは私どもも十分承知をいたしております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今回、努力義務ではございますけれども、高齢者雇用率を法律を改正して設定するとか、あるいは定年延長をした場合に定年延長のための奨励金を支給するというような形で、高齢者の就職促進を図っております。  お尋ねの事業の問題につきましては、現在の炭鉱離職緊急就労事業は三十四年から実施したわけでございますけれども、途中で重点を炭鉱離職者求職手帳制度に移しまして、三年間手当を支給しながら就職の促進を図ってまいる、いわば事業吸収の方式から、手当を支給しながら就職の促進を図るという方向へ施策の重点を改めたわけでございますので、ただいまのところそのための新しい事業を起こすという考え方は持っておりません。
  147. 西田八郎

    ○西田(八)委員 持っておらなくては困るのですよ。  最後に、もう時間が来たようですから、通産大臣労働大臣に特に要望をしておきたいと思いますが、先ほどから私が申し上げるとおり、石炭政策というのはやはり国策としてもっと強力に進めるべき時期に再度来たと思うのです。一たんは国管法ができて国の施策として取り上げられてきましたが、そのうち石油に押されて、そして三十八年ですか、合理化がどんどん進んで閉山されていく、出炭量は減っていく、そのときがすでに問題だったと私は思うのですが、しかしそれを後へ戻すわけにはいかないわけで、いまもう一度振り返って、二度とそういう前轍を踏まないためにも十分なる施策をしていく必要があるのではないかということが通産大臣に望むことの一つであります。  労働大臣には、いまいろいろと失業者の数やあるいは高齢者対策等について伺いましたけれども、長年自分が業としてきた職業から離れて新しい職業に踏み切るということは非常にむずかしいことであろうと思うのです。脱サラという言葉もありますけれども、これはサラリーマンでわりあいに転換の融通性のある人に求められるものであって、炭鉱で生まれ、炭鉱で育って、炭鉱で働いてきた人たちが水の違うところへ行けば非常に苦労をしておられるし、そういう苦労をした末また自分のふるさとへ帰ってきたけれども、ふるさとは非常に冷たかったというようなことでは、私は、将来の石炭政策を進める上からもいい結果にならないと思います。したがって、そういう産炭地で非常に苦しんでおられる労働者またその家族のため十分なる対策を講じていただくようお願いをし、大臣の所信をそれぞれ一言ずつ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  148. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 先生の心温まる御激励をいただきまして、石炭関係者といたしまして厚く御礼を申し上げます。
  149. 石田博英

    石田国務大臣 御承知だと思いますけれども昭和三十五年、ちょうど三池炭鉱に象徴されるような現象が生じましたときにやはり私、労働省をお預かりしておりまして、それから、三十九年に緊急就労事業を開始するときも労働省をお預かりしていた。御承知のように地下労働で、しかも特定の周囲の中で暮らしておる人が外へ出てなかなかなじめない、またそれだけに当然特別の対策が必要であるわけです。ただ、そういう人たちの職業訓練なんかを何度も視察をいたしましたが、技術を覚えるとわりあいに定着率が高い、それから、石炭離職して東京等に就職したその後も何回も訪ねましたが、そちらから調べましてもやはり高いわけであります。しかし、それからもう十何年たっておるのでみんな相当な高齢になられた。特に高齢者の再就職、高齢の人たちが暗い気持ちにならないように全力を尽くして努力をいたしたいと思います。
  150. 西田八郎

    ○西田(八)委員 じゃ、終わります。
  151. 岡田利春

    岡田(利)委員長代理 安田純治君。
  152. 安田純治

    ○安田委員 ただいま西田委員からも炭鉱離職者の発生状況などについて伺いましたけれども、私も、まず数字について若干お伺いしたいと思うのです。  福岡県の飯塚、直方、田川三地域の職安管内での一般失業対策事業それからいわゆる緊就、開就の適格者数と、同じ地域の人口の一体何%にこの適格者が当たるのか、数字をお知らせいただきたいと思います。
  153. 守屋孝一

    ○守屋説明員 就労事業につきましては、まず第一点言えますことは、私ども産炭地域開発就労事業、これは先生承知と思いますが、いわゆる背番号、この人はこの事業につけるのですよという形をとるのじゃなくて、一般の職業紹介のベースの中で処理いたしますので、いわゆる背番号がついておりません。そういう意味では、この人が、いうところの適格者、いわゆる失対事業と同じような意味での適格者という概念はないわけでございます。しかし、私どもといたしましては、産炭地域におきましてより早い機会に将来方向に向けて安定した雇用の場が確立できるようにという意味合いでこういう開発事業をやっておりますので、そういう中に仮に紹介できる方があるとすればこれは極力紹介していこうということで非常に高率の吸収率を掛ける、こういうことをやっております。したがいまして、適格者という概念はございませんが、現在の吸収枠では、五十二年度では、たとえば産炭地域開発就労事業につきましては三千二百名の実施枠を一応持って、これは予算上の話でございますが、措置をしておるわけでございます。  同じようなことは特開事業についても言えるわけでございます。これも背番号をつけておりません。ただ、緊急就労対策事業につきましては、これは先生承知と思いますが、かつての炭鉱離職者臨時措置法に基づいてやっておった関係もございまして、失対と似た背番号がございます。これは現在人員をふやしておりません。三十九年以降背番号をつけたままでとめましたので人員をふやしておりませんで、五十二年度では予算施行枠といたしましてはほぼ二千八百人でこなし得るかと存じます。ただ、この三事業は、さらに申し上げますとどれも請負事業という形でやるわけでございます。したがいまして、ある時期におきましては非常に大ぜいの方を吸収する、しかしある時期では工事の施行の関係がありまして非常に変動がございます。したがいまして、一般平均的にどうかという話は非常にしづろうございますが、一応予算的な枠といたしましては、いま申し上げたような数字で入っております。
  154. 安田純治

    ○安田委員 なお伺いますけれども、同地域で、いま言った三地域でいいのですけれども、中高年齢者などの就職促進措置の適用者数と、措置切れの人の数はいかがになっておりましょうか。
  155. 守屋孝一

    ○守屋説明員 現在、中高年の措置切れの数字手元にございませんが、これは昔からの全部の、この中高年法ができましてからの累計をたどれば、これは四千とかあるいは五千ぐらいになるかもしれませんが、相当な数になると思います。ただこの方々は、中高年法の措置終了後、これは必ず特定地域開発就労事業に入るんだという資格を持っているというわけではございませんで、そういう方につきましても、措置切れの方につきましても、私どもは職業紹介なり、あるいはさらに必要に応ずれば職業訓練なり、あるいは職場適応訓練なり、そういうものをやる場合もございます。そういうことがございますので、現在その方々がそこに滞留しているというような形での把握はちょっといたしかねる状況でございます。  なお、先ほど答弁漏れがございまして、その地域の住民の人口割りに対する数ということでございますが、ちょっとこれは手元に人口を持っておりませんので、何とも申し上げるわけにいかぬ状況でございます。
  156. 安田純治

    ○安田委員 いま申し上げた三地域での中高年齢者の年間の有効求職数、就職件数、就職率などについての数字は把握していらっしゃるでしょうか。
  157. 守屋孝一

    ○守屋説明員 これも私、ちょっといま手元数字を持っておりませんが、もし私の記憶に間違いなければ、全国平均を相当下回りまして〇・一あるいは二というようなぐらいの数字になったかと思います。ちょっと私も記憶が定かでございませんので、もし間違っておりましたら後刻御訂正いたします。
  158. 安田純治

    ○安田委員 いまの数字は就職率でございますか。
  159. 守屋孝一

    ○守屋説明員 いや、これは私、求職率というようにお聞きしたのでいまのように申し上げたわけでございます。
  160. 安田純治

    ○安田委員 年間有効求職数や就職件数などはおわかりになりませんでしょうか。
  161. 守屋孝一

    ○守屋説明員 急なお話でございまして、ちょっとその方は担当しているところが違いますものできょう数字を持ってきておりません。はなはだ申しわけございません。
  162. 安田純治

    ○安田委員 それではこの数字などは、後でもしお知らせいただければありがたいと思うのですが……。  それから開就及び特開の一カ月の就業日数や、年間何カ月就業しているかという数字についてはお知らせいただけましょうか。
  163. 守屋孝一

    ○守屋説明員 特開、開就、それぞれこれは施行日数が違っております。と申しますのは、まず特開も開就も、私どもはここで就労を保証するという考え方でやっておるわけではございませんで、われわれは民間のあるいは一般公共の求人がこれら地域においては非常に激変しておる、そういう中で、これらの激変している、非常に薄い求人をわれわれの事業でもって極力カバーしていく、言うなれば二次的な考え方でこれをやっております。それを前提にいたしますと、特開事業、開就事業ともに予算上は年間十カ月ということを前提におきまして事業を組んでおります。ただ、緊就は十二カ月になっておりますが、緊就は先ほど申し上げましたように、いわゆる背番号をつけておる、言うなれば、ある意味ではちょっと保証するという形に、保証はしておりませんけれども、保証に若干近いような形になっておるからそういうことになるわけでございます。これも雨の日もあれば風の日もございまして、普通の場合でも屋外労働の場合は、月間二十五日全部就労するというような例はほとんどございません。そういうことも勘案いたしまして、予算的に考えておりますのは、月間二十三日という線を一応考えております。ただ、これはあくまでも予算上の計画の数字でございまして、実行面では、物によりましては、それは半年のものもあればあるいは十一カ月組む場合もございます。就労日数につきましても、ある時期二十三、四日いくときもあれば、あるいは二十日というようなこともある。これは個々の工事を施行する場合にいろいろと変わってくる問題でございます。
  164. 安田純治

    ○安田委員 次に緊急就労事業について、以前は閣議決定という形で行われておったと思うのですけれども、ことしから閣議決定もしないで、ただ予算措置をするというような形で、もちろん予算措置ですから単年度ということになりましょうけれども、こういう形になったというふうに承っておるのですが、どのような経過によってこうなったのか、御質問したいと存じます。
  165. 細見元

    ○細見政府委員 先生お話のございましたように、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきまして、従来は炭鉱離職者臨時措置法の期間延長に合わせまして三年ごとに閣議決定を行ってまいりましたが、この時点におきましても、すでに緊急就労事業の性格と申しますか、一時的に就労場所を確保するために行う臨時緊急的な措置であるというような点から、三年間一括して事業の実施を閣議決定するということについても問題がございました。今回は特に炭鉱離職者臨時措置法を含めまして、関係法律の期間を五年間延長ということになりまして、従来に比べましてさらに長期にわたる閣議決定ということになりまして、現実の問題として実施することが一層困難な問題でございますので、私どもといたしましては、類似の性格を持っております産炭地域開発就労事業についても、昭和四十四年以来予算措置でこれを実施してまいっておりますので、同様の措置によりまして、必要な期間これを実施してまいることにつきましては、先ほどの大臣が御答弁申し上げましたとおりでございます。
  166. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、従来閣議決定をやっておったこと自体が誤りであったというふうなことになりましょうか。
  167. 細見元

    ○細見政府委員 私どもとしては、閣議決定を行ってきたことが誤りだとは思っておりません。ただ、物事をつづめて申し上げますと、従来の三年の繰り返しに比べまして、今回、五年間の閣議決定を一気に行うことがなかなか困難である。そういたしまして、場合によりましてまたこれを二年、三年といったような、法律の期間延長と異なりました閣議決定を行うということもかえって事態を悪くするんじゃないか、そういう感じから、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、類似の性格を持っております産炭地域開発就労事業についてもすでに四十四年から予算措置で行ってまいっておりますので、同様の措置によりたいと考えたわけでございます。
  168. 安田純治

    ○安田委員 どうも法律延長が五年ということになったら、途端に、三年の閣議決定をやっていたのが、今度は単年度になってしまうというようのは、何かこうそぐわない感じがするのですけれども、どうでしょうか。
  169. 守屋孝一

    ○守屋説明員 いま部長が申しましたのを、もう一度私事務的なことで御説明したいと思います。  いままで閣議決定をやっておりましたのは、三年間は絶対やりますよという閣議決定ではないわけなんです。参考までに、その部分を読みますと、たとえば一番新しいものでございますと、四十九年三月二十六日の閣議決定の文章は、「炭鉱離職者緊急就労対策事業については、その就労者の再就職の状況にかんがみ、昭和五十二年三月三十一日までの間に限り、現行の例により、なお引き続き実施するものとする。」これはあくまでも終期を決めておるわけでございます。ということは、議論が妙な議論になるかもしれませんが、じゃ五年間やればもうそれでやめていいと言い切るのかという問題も一つあるわけでございます。それからもう一つは、これはあくまでも緊急就労対策事業である、言葉意味はあくまでも臨時的である、また、就労事業という形をとるのは、いまの私ども考えております雇用対策なり労働政策の考え方の中では、事業吸収方式というのはきわめて例外中の例外である、これはある意味では昔のものが経過措置で残っているという面もないとは言えぬわけでございます。そういう中でこのきわめて臨時的なものをいまの時点で五年間という中長期にわたってやりますよということを言うこと自体が、事業の性格から見てどうかということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、きょう前に大臣から御答弁もありましたように、われわれとしては、そこに就労している方々のその就労実態なり生活実態をよく考えて、これを廃止するかどうかということは慎重に考えてまいりたい、これが私どもの姿勢でございまして、何も五年前にやめるとかあるいは六年間やるとか七年間やるとか、あるいは一年でやめるとか、こういうことを申し上げておるわけじゃなくて、あくまでもこれは就労者の生活なり就労実態をよく見て、廃止ということについては慎重に考えていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、その辺ちょっと、大臣の御答弁の前に補足させていただこうと思います。
  170. 安田純治

    ○安田委員 いまの御答弁、言葉じりをつかまえるわけじゃございませんけれども、従来も三年というのは終期を決めたにすぎないという御答弁でしたら、五年だって終期を決めたにすぎなくてちっとも差し支えはないと思うのですよね。だからやはりこういうふうに三年ごとの閣議決定が単年度予算措置になってきたということには何らかの考え方の変化があったのではないかと心配するのは無理からぬところではなかろうか。もし三年が終期を決めたのであって、従来も三年必ずやりますよと言ったわけではない、それだったら、五年間の終期を決めたって、五年必ずやると覚悟したわけではないんだから、いままでとちっとも変わりないじゃありませんか。
  171. 守屋孝一

    ○守屋説明員 いや、私が申し上げたのは、五年という場合はこれはある意味では中長期の見通しになるわけでございます。最後に私が申し上げましたように、事業の性格から見てこの臨時的なものをそういう中長期にわたっていまから五年間限りでやめますとかなんとかというわけにはまいりません。あくまでも事業の性格から見て、単年度実態を十分見て考えていくというのが事業に合った考え方であって、ある意味ではいままでの三年というのは短い期間かと思います。しかし、五年というふうになってまいりますと、事業の性格から見まして、先生にお言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、中長期にわたって閣議決定するというのはいささか事業の性格に沿いかねるものではないかというように考えております。
  172. 安田純治

    ○安田委員 前の西田委員の御質問や何かで一応労働省の決意といいますかお考え方の大きな枠については大体明らかになったようには思うのでございますけれども、何かいままでの措置と違う変化があったということで、現地では率直に言って非常に不安が大さいというので、いろいろな陳情が、多分大臣手元にも行っておると思います。  そこでこの際、七十八国会でも緊就事業については従来どおり行うという請願が採択をされておることでもございますし、この席上ではっきり、来年度就労者がいたならば当然やることになるというようなことを明言をしていただけないかどうか。ひとつ労働大臣に。
  173. 石田博英

    石田国務大臣 むろんその方針でございます。
  174. 安田純治

    ○安田委員 わかりました。  それでは次に、問題をかえまして、二千万トン生産体制の維持の問題についてお伺いしたいのでございますけれども、第一次答申の数字は五千五百万トンということでございましたね。この五千五百万トン体制を確保するということを前提にして施策がなされておると思うのです。これが第二次答申になってもやっぱり五千五百万トンということでございますので、この第一次答申による施策はそのまま正しかったということになると思うのですが、第三次答申で五千万トンと、五百万トン少なくなっているようでございますね、経過から見ますと。そして、途中で数字が出なくなりまして、第五次に至って二千万トンを下らない水準というふうにその答申が変化してきたように考えます。  そこで、現在二千万トン体制ということを言われておるわけですが、このように数字が変わってまいります根拠を見ますと、最初の五千五百万トンという数字は、これは要するに、国内炭の生産の技術的限界を追求した結果出てきた数字ではなくて、いわば政策的といいますか、そのときそのときの経済やその他に合わせて決められた数字ではなかろうかと思うのでございます。そうでなければ、五千五百万トンが突然五百万トン減って、今度は数字が明らかにならなくて、最近になって今度は二千万トンというふうに数字が変わってくるのは、技術的限界でもうこれ以上掘れないというようなものではなくて、それ以外のファクターでこういうふうに決まっているというふうに考えますけれどもいかがでしょうか。
  175. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 その件につきまして、担当官が参っておりますから、詳細お答えいたさせます。
  176. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  いまお話のありましたように、第一次から第五次まで逐次石炭答申が出されておるわけですが、この第一次から第五次にわたる石炭政策におきましては、昭和三十年代から始まりました世界的なエネルギー革命の潮流の中でだんだん優位を増した石油との競争におきまして、わが国の石炭ができる限りこれに対抗し得るということを目標にいたしまして、高能率炭鉱の育成、非能率炭鉱の閉鎖というようなものを進めまして、一方、その数字につきましては、需要規模の想定、石油価格の動向あるいは炭鉱の合理化、近代化達成の進捗状況等、諸般の状況を勘案いたしまして、それぞれその時代に応じました出炭目標を定めてまいったというのが従来の経緯であろうかというふうに思います。
  177. 安田純治

    ○安田委員 そういうことになりますので、結局二千万トンというのも、よほど客観的な裏づけがないと、またまた都合によって幾らになるかわからぬのじゃないかという心配をするわけでございます。その点でこの二千万トンという見通しですね、これについてまず大まかなところを伺いたいと思う。細かい技術的な問題はまた後から伺いますけれども……。
  178. 島田春樹

    島田政府委員 二千万トンの考え方でございますが、これは一昨年の答申にありますように、保安の確保、鉱害の防止、それから限界生産コストを合理的な範囲に抑えるというような前提を置きまして、答申のねらっておりますできるだけ国内炭の活用を図るという方針に基づきまして検討いたしました結果、二千万トンという数字が出てきたというのが答申の考え方であろうかと思います。
  179. 安田純治

    ○安田委員 それでは二千万トン体制維持の施策について若干伺いますけれども、まず技術研究開発にどれだけ取り組んでいるのかという問題でございます。この技術研究開発、ことに深部採炭における技術とか、あるいは石炭のガス化、液化に関する研究とか、こうした問題については、現在、テーマ、それからそれに対する予算、スタッフやシステムの面でどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  180. 島田春樹

    島田政府委員 石炭の技術開発の問題でございますが、いまお話がありましたように、石炭の新政策の目的を達成するために技術開発は非常に重大な課題でございます。その対策といたしまして、大ざっぱに分けまして、深部対策を含む保安技術の問題、生産技術、石炭の利用技術、それから鉱害防止技術といったようなのが主要なテーマかと思います。それから、特に利用技術の面では、石炭のガス化、液化につきましてサンシャイン計画のもとに鋭意作業を進めておるということでございます。  もう少し詳しく申し上げますと、深部対策につきましての課題といたしましては、やはり保安の問題が重要でございますので、保安深部化対策という意味で、山はね、盤圧対策あるいは予知予防の機器開発というようなところが重点かと思います。また生産技術につきましては、採炭作業の機械化あるいは掘進運搬作業の機械化、それから探鉱作業のシステム化というようなのが重要な課題になるかと思います。また鉱害防止対策につきましては、排煙脱硝技術、それから洗炭廃水の有効処理。それからまた利用技術対策につきましてはガス化、液化の技術、それからコロイド燃料、一般炭の工業原料化というようなのが大きなテーマになります。  これらの進め方につきましては、保安、生産技術につきましては石炭技術研究所が中心になりまして、大学、民間機関等の関係機関の協力を得まして研究開発を進めておるわけでございます。また利用技術につきましては、長期的にはサンシャイン計画という計画のもとに計画的に推進いたしておりますが、短期的中期的な課題につきましては石炭技研、電発等、ユーザーそれからプラントメーカーの協力体制の充実を図りまして研究を進めるという体制になっております。
  181. 安田純治

    ○安田委員 ところで、この技術開発の面に関する予算の各国の比率を若干調べてみますと、たとえば西ドイツ——まあアメリカは国力が大分違いますので比較にならぬかもしれませんけれども、西ドイツの場合、石炭ガス化、液化技術の一九七四年から七七年までの合計が六億一千六百万ドイツマルク、それから採炭選炭技術が三億三千万ドイツマルクということになります。合計すると九億四千六百万ドイツマルクというふうになって、日本円に換算すると一千億円以上西ドイツではつぎ込んでいるように数字に出ておるようでございます。それからイギリスにおきましても七五年から七九年までの計画で総額約四千万ポンド、日本円にして三百億円くらいですか投入しておるように数字に出ておるわけでありますが、それに比べて日本の場合余りにも予算が少ないのではないか。先ほど通産大臣から、命をかけてもおやりになるという大変な御決意を承ったわけでありますが、こういう、予算の裏づけがきわめて貧弱だということになりますと、竹やり主義と同じになってしまう危険があるので、こういう点で予算が日本は西ドイツから比べてなぜこのように少ないのか、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  182. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 私も詳しい沿革の点はわかりませんが、御案内のとおりに、西独は戦時中から石炭液化あるいはその他のいろいろなコールケミカルに非常な資金を投じておりました。なおまた戦後に至りましても、日本の場合におきましては百八十度石油の方に転換してしまいましたが、西独におきましてはなお引き続いて研究開発をずっと継続しておったということを聞きまして私も非常に敬服いたしておるのでございます。しかしながら、先ほども申し上げたように、いままでの、既往の予算が貧弱であったということは過去のこととしていただいて、これからは本当にエネルギーの問題について真剣な——私は財政的な裏づけがなければナンセンスだ、いかにも名論卓説を申しましても、具体的なものがないし、実践がないならば意味がないように思うのであります。それにはやはりまず一つは国民大衆のエネルギーについての深い御理解、御協力と、それから資金、財政の面だ、かように考えております。
  183. 安田純治

    ○安田委員 時間がございませんので、ぜひそういう点で通産大臣の命をかけてそれこそ予算獲得されて、西ドイツやイギリスに負けない予算でひとつ技術開発などの研究に進んでいただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  それから最後に、一つだけですが、そういう姿勢についてですけれども、きわめて具体的な問題ですが、北炭の夕張新第二炭鉱の鉱命延長問題を例にとってみますと、これは八月ごろでもう鉱命が尽きるのではないかという心配をされておりまして、先ほどのお答えですと、北大の調査があったとか言われますけれども、何か私の方に来ておる訴えによりますと、政府に鉱命延長目的とした調査をしてくれというふうに頼んだ、ところが、断られて北大の調査団が入ったというふうにも承っておるわけですが、もしそうだとすれば、これは通産大臣の御決意とはちょっと違うのではないか。私の方に最近訴えに来ておりますところを見ますと、同鉱問題を解決するため政府調査団を派遣していただきたいというのが来ております。ですから、多分北大で調査したときには政府は関係しなかったと思うのですけれども、ひとつそういう点で通産大臣の御決意もありましたことですので、どうせ北大で調べても政府調査団派遣しても結論は同じだろうということじゃなく、ひとつ真剣にそういう問題で政府が取り組んでおるという態度を示すことによって、やはり現在炭鉱で働いている方々も安心するでしょう。それから、これから就職される方も、若年労働力が不足だなんて言っていますけれども、政府が口では国内炭は非常に重視するようなことを言っておっても、こういう鉱命延長に対する調査団の派遣その他について本気で取り組む姿勢を外形的に示していただかなければやはり納得しないと思うのでございます。その点で最後に通産大臣の御決意をひとつ伺いたいと思います。
  184. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 具体的なその件につきましては私ちょっと存じませんので、担当官からお答えいたさせます。
  185. 島田春樹

    島田政府委員 夕張新鉱の炭量の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、労使それから学識経験者から成る調査団で調査が行われておるわけでございます。その調査結果に基づきまして現在労使の間で話し合いが行われておるという状況でございますので、まずそういう状況でいくのが筋であろうかというふうに思っております。
  186. 安田純治

    ○安田委員 私が伺っておるのは、その際にあらかじめ政府もまざって調査してくれと頼んだのに、政府は参加しなかったというふうに伺っているわけですけれども、それを聞いておるのであります。そういう訴えが最初あったかどうか、北大の調査がある前にですね。
  187. 島田春樹

    島田政府委員 そういう御希望があったかと思います。ただ、この北炭の再建問題をめぐっての個々の山の問題につきましてはあくまで当事者の問題であるということで、労使、中立ということで調査をするということになったものだと思います。
  188. 安田純治

    ○安田委員 だから私は通産大臣の御決意を伺いたいのですけれども、個々の企業の問題だというふうにされたんでは二千万トン体制が一体維持できるのかどうかということになりますので、個々の問題には違いないかもしれませんけれども、しかし政府でも本気になって、ひとつ政府なりの調査団を派遣するなりそういう態度を示していただきたかったわけであります。いままだ調査団の派遣の要求があるようでございますので、今後通産大臣のそういう取り組みについての御決意を承って終わりにしたいと思います。個々の企業に任せるのではなくて、もっと政府が真剣に取り組んでいただきたい。
  189. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま担当官からお話がありましたように、民間の関係のいろいろな御依頼について、幌内の問題の大きな事件もありましたり、あるいは新二鉱の問題もありましたり、いろいろございました。そういうふうな非常にデリケートな環境下にありまして、多分これは私の就任前の話でもございますが、特定の民間の炭鉱に対してだけ援助をするなり協力をいたしますと、また関連のいろいろな企業体のむずかしいデリケートな問題もあったかとも思いますが、ただいまの先生からのお話は確かに私たち拝聴いたしまして、今後のことにつきましては、またさらに検討させていただきます。
  190. 安田純治

    ○安田委員 終わります。
  191. 岡田利春

    岡田(利)委員長代理 中川秀直君。
  192. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 きょうは大臣御出席でございますので、全体のエネルギー政策と石炭政策の絡みの総合的なことについて御確認をいただき、また御見解を賜りたい、こういうふうに私は思います。  まず大臣、一回五十年の四月にエネルギー対策閣僚会議というのをつくられて勉強会だけで休眠をしてしまって、改めて今回、総合エネルギー対策推進閣僚会議というのができましたね。前の閣僚会議のときに基本方向というものを打ち出しましたが、結果的にそれはただ作文に終わっておるという認識が一般的であります。今度の閣僚会議大臣が御中心になってお進めになるのでありましょうけれども、ただ勉強会をしたり、あるいは基本方向を出すだけだったらそれこそエネルギーのむだ使いであります。いよいよ本当に具体的な問題、とりわけ西暦二〇〇〇年まで百五十兆円ぐらい財源が要るのではないか、あるいは石油でも九十日備蓄をするだけで五十四年までに一兆円の金が要ると、差し迫った問題がここにあるわけでございます。そういう財源の問題等まで踏み込んだ議論をしないと大変なことになる、こういうふうに私ども認識するのでありますが、この閣僚会議について大臣の御決意、どの程度まで突っ込んだ対策を立てられるのか、今後の方向等をお伺いをしたいと思います。
  193. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 五十年の十二月の閣僚会議におきまして、総合エネルギー対策を決定をされたわけでございます。それが絵にかいただけではなかったかという仰せでございますけれども、それは私は実は違うと思うのであります。といいますのは、その方向に向かいまして全力をやはり挙げて努力を払った、また今回見直すということを客観情勢の変化によりまして考えて、そしてこの夏ごろまでには基本問題調査会の答申をもらいたいという要請をいたしておる新体制におきましても、やはりこの次の計画ができますまでというものは、私はいままでの計画はなかったとかなんとかじゃなく、やはりずっと継続して努力が払われつつある、こういうふうに考えてよろしいのではないか。ただ、余りにも客観情勢が非常に変わってまいりましたので、そのままの計画は遂行しようと思ってもできないというような明らかな状態になっておるにかかわりませず、なおこれを看板だけ掲げておくということの方がおかしい。一例を申すならば、原子力の関係でも、当初は六千万キロワットというのが、さらに現実には閣議決定は四千九百万キロワット、そのまた四千九百万キロワットも今日は七百数十万キロワットだ、しかし五十五年までには千六百六十万キロワットぐらいまではいくのではないかというふうな問題、つまり言えば客観情勢の変化、それから現実等を踏んまえて、そしてより確実といいますか、やれる計画に改めていこう、こういうふうなのが今回の見直しの根本でございます。  なお、詳細なことにつきましては、エネルギー庁長官も参っておりますから、お答えをいたさせます。
  194. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大臣に重ねてお伺いをいたしますが、そうすると今回の関係閣僚会議は、財源の問題まで踏み込んで御議論をなさり、御結論を出されるのかどうか。前回の分は基本方向までで終わりで財源の問題は何ら御議論しない。その基本方向も、いま大臣がおっしゃいましたように原子力発電体制も状況が変わってしまった、それは大臣のおっしゃるとおりだろうと思います。しかし、財源の問題まで議論しなかったところに若干絵にかいたもちになった部分があろうかと思うのでありますが、今回の関係閣僚会議においてはその点まで含めて御結論を出されるのかどうか、御確認をいただきたいと思います。
  195. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 お答えいたします。  それは閣僚会議のドラフトにもはっきりと示しておりまするように、まず一つは、国民的な深い御理解と認識と評価をいただかなければいかぬ。もう一つの柱は、この資金、財源の問題をまずこの閣僚会議において決めなければいかぬ。この二つが骨子でございます。
  196. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 それと同時に、せっかくこのエネルギー危機を踏まえまして関係閣僚がさまざまなお知恵を持ち寄って、今後のまさに民族の命綱とも言うべきエネルギー問題についてある一定の方向を出そうということでございますから、たとえば、いまの調子では経済成長率が三%に落ち込んでしまいますよとか、大まかなシナリオはあるにしても、たとえば核エネルギー、原子力発電所というものがこの程度に終わった場合はこの地域では電力消費量はこの程度に抑えざるを得ませんとか、あるいはその他のエネルギーでもこれくらいの負担をしていただかないと実際の経済生活はこの程度に落ちてしまいますよとか、いろいろなそういったシナリオを細かく、国民の合意をいま得なければいけないという大臣のお話、閣僚会議の一つの柱がございます。そういうことをするためには、そういうシナリオがどうしても必要だろうと思うのです。たとえば政府の公共事業を進めるに当たりましても、エネルギーの消費はどのくらいになってくるのかということはやはり数字できちんと出していかないと、そのエネルギー政策全体の流れの中では公共事業自身がむしろそのエネルギー政策というものとの絡みでまずい結果を及ぼすことさえ考えられなくはないという意味で、いろいろな意味のそういったシナリオをぜひ詰めていかなければいけないと思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  197. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 全く先生の御指摘のとおりでございます。かような次第で、われわれといたしましては、現実の姿というものを国民の皆さん方にぜひとも周知徹底して、そしてこれでよろしいのですかということから問題はほどいていかなければならない、私はかようにさえ考えております。
  198. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 具体的にお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず国内炭の生産コスト。いま生産コストが高いと言われている。ある推計によりますと、昭和六十年に恐らく原油価格というものはバレル二十ドルぐらいになるのではないかという一つの推測がございますけれども、そういう中で国内炭の生産コストを、何といっても経済活動でございますから、そういった原油価格に伍していけるようにいかにやっていけるか、この具体策についてちょっと御意見をお伺いいたします。
  199. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 御案内のとおりに、先生がいまおっしゃった石油価格がどのようになるか、OPECのこれから後の問題等も関連いたしますと、今度は逆に相対的に石炭のコストもまた可能な範囲が出てくるとか、それこそいろいろな高次の関数計算でもしないとならないようなむずかしい原単位の問題だろうと思います。担当者もおりますので政府委員からお答えをいたさせます。
  200. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  コストを下げるためには、生産面のコストと流通面のコストですが、特に生産面のコストを下げるために必要なことは結局二つあって、一つはいかに骨格坑道をきちっとやるか、設備を近代化するか等がポイントになりますので、そういう点については現在とられておる補助金あるいは近代化融資というような助成制度を活用していく、また同時に、さらに一層いわゆる生産技術それから保安技術というものを開発していく、そのためには先ほど申しましたような措置をとっておるわけです。この二点で今後の生産コストを考えていきたいというふうに思っております。
  201. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 昭和六十年にもし原油価格がバレル二十ドルという価格水準になる、一つの推定でございますけれどもなるとすると、その六十年に国内炭がそれに伍していけるだけのコストが確保できるかどうか、その辺はいかがでございますか。
  202. 島田春樹

    島田政府委員 ちょっと手元に検討した資料がございませんが、特にコストの場合、先ほど申しました以外に賃金、物価というようなものをどう見ていくかというのが大きなファクターになりますので、その辺等もよく検討してみないとにわかには、すぐここでお答えするのは差し控えたいと思います。
  203. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 第二の問題として、いかに各種産業の石炭転換を進めていくかという問題が一つあろうかと思います。  いまここに一つのデータがございます。たとえば国内石炭二千万トン生産体制、海外炭一千万トン、こういう計画でございますが、いま石炭の消費の一番多いのは発電用でございますね。ところが石炭を消費する発電所が、新規に石炭火力の建設が進んでいるのは電発の長崎県松島での一、二号機百万キロワット、北海道電力の東苫小牧三十五万キロワット、砂川の三号機十二万五千キロワットだけでございますね。これに既設のものを加えましても大方一千二百万トンの石炭を消化するにすぎない、こういうデータも一つあります。果たして 海外炭も含めまして三千万トンという石炭を各種産業がどういうふうに消費をしていけるだけの体制をつくっていくか、この辺の見通しはいかがでございますか。
  204. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま石炭の専焼火力計画中のものも含めまして御指摘のとおりでございます。六十年の需給バランスにおきましては、石炭の専焼火力設備は九百六十万キロワットまで持っていきたいというのが計画になっておるわけでございます。さようなところからあと四百五十五万キロワット建設をしなければいけない、こういう計算になるわけでございまして、これを実現いたすために一方で電源開発会社を活用するとか、あるいはその他の電力会社で石炭専焼火力を建設する場合には、これに対する建設に当たっての補助金を交付するとか、そういった建設面での助成もいたしておるわけでございます。  それからいま一つ大きな問題は、粉じんだとかSOxにつきましてはかなり実用化された技術、設備があるわけでございますが、いわゆるNOxにつきましては、特に石炭につきましては必ずしもその技術が確立されておらないということもございまして、現在、電源開発会社等を中心にいたしまして、脱硝技術につきまして鋭意開発研究を続けておる。こういった公害対策もあわせまして所望の九百六十万キロワットまで石炭の専焼設備を建設したい、かように考えておるわけでございます。
  205. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 計画どおりいけばいいのですが、いま長官おっしゃいましたようにいろいろなむずかしい問題があってそのとおりにいかなかったときに、また大変なことになるわけで、もう案だけつくっていたってだめです、念には念を入れて計画の推進をぜひとも願いたいと思います。  ところで、海外炭、国内炭の受け入れ体制、流通問題といったことについて若干お伺いをしたいと思います。  一番問題になるのは貯蔵倉庫ですね。コールセンターの計画等お進めになっているようでございますけれどもそれと、国内の輸送体制、コスト。これをたとえば国鉄でやるのか、海でやるのか、併用してやるのか、いろいろな検討をいまから加えておかなければいけない問題だと思いますが、そういう点について御見解を伺いたいと思います。
  206. 島田春樹

    島田政府委員 海外炭の受け入れ体制という問題を考えました場合に、やはり開発から輸入のためのいわゆるインフラ、持ってくる場合の輸送の手段、こちらのストックヤードといったような全体の流れを一貫して考えていかなければならないという点は御指摘のとおりであります。  具体的にどうやっていくかというのは、これから開発計画を徐々に詰めてまいるわけでございますが、先ほど申しましたように比較的太平洋を取り巻く諸国に豊富に分布している資源でございますので、いかにして効果的なプロジェクトを選択するかという点が一つのポイントになろうかと思います。また同時に、流通費軽減のための輸送手段、これは大型の輸送船をどうやってうまく使っていくか、あるいはコールセンターをどういうかっこうで建設し、またどこへつくるかというような点につきましていろいろ検討いたしまして、流通の合理化を図っていくというふうな方向で政策を進めたいと思っております。
  207. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 結論を出される時期及びそのコールセンターというのはどういう形態で、どういうところへつくられるのか、御見解があれば伺いたいと思います。
  208. 島田春樹

    島田政府委員 特にコールセンターでございますけれども、コールセンターの設置の問題につきましては、国内炭との需給調整、混炭利用、流通合理化といったような機能を考えていたストックヤードでございますので、それの設置の経済性あるいはどこがいいかという適地の選定につきまして五十一年度に委託調査を行わせたわけでございます。五十二年度につきましては、そうやって調査した結果をさらにしぼりまして、数カ所の候補地についてさらに具体的に調査をいたしましてその設計と申しますか、コールセンターの建設主体あるいは投資額、運営方法等具体的なプロジェクトの内容についてさらに検討をする段階、ことし、五十二年度はそういう段階であろうかと思っております。
  209. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 そうすると五十三年度からは、実際に候補地を決定をしてもう直ちにそういったストックセンター、コールセンターの設置を進めていくことになるのか、これはどうでございますか。
  210. 島田春樹

    島田政府委員 ただいま申し上げましたように五十二年度にさらに具体的な調査をしまして、経済性、適地等もよく調べなければ結論が出ないかと思いますし、またその段階、実際につくる場合に、さらに今度、それを使う特に火力発電所というのはどういう分布を考えるのか、そういう発電所の計画等とも一緒に関連してくる問題でございますので、その辺とにらみ合わせて最終的に結論を出していかなければいけないというふうに思っております。
  211. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 先ほど長官、お話がありましたけれども、環境対策でございますが、石炭は窒素分、NOxは原油よりも大方八倍という含有量があるわけでございます。排煙脱硝装置の開発というのは、これは言うはやすくてなかなかむずかしいことでございます。いつごろをめどにして、どの程度までいまきておるのか、簡単で結構です、ちょっと見通しをはっきりお伺いをしたいと思います。
  212. 島田春樹

    島田政府委員 排煙脱硝装置の見通しでございますけれども、煙の種類によって非常に違ってまいりますが、LNGなどクリーンガスに対する乾式の脱硝技術の実用化の見通しは大体立っておるというふうに考えられます。それから重原油などのセミクリーンガスにつきましては、触媒が劣化するとかその他いろいろ技術的な問題がありまして、現在のところまだ実用化された技術はございませんが、現在、比較的大型の実証プラントが運転を開始をされるというような状況でございます。あと一年ぐらいの間にはある程度の見通しが得られるんじゃないかというのがいまの段階でございます。
  213. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 海外炭として、ここに資料をちょうだいしております関係予算を見ますと、五十年度から毎年四地区プロジェクトファインディングをしていく。五十二年度はまた四地区を予定しておると、いろいろ書いてあるわけですけれども、実はちょっと心配になることが一つございますのは、若干事柄の性質は違うかもしれませんけれども、石油開発公団、きょうはそのことについて深くはお伺いいたしませんが、実は石油開発公団の事業には、いろいろな企業体をつくったんですけれども、四十社五十プロジェクトぐらいございますけれども、かなりの法人が休眠会社の状況になっている、あるいはその予算の使途についても、焦げつきもあれば、参院の決算委員会でもいろいろ御質問が出たり、いろいろこれについては議論が出ているわけでございます。海外炭についてこれから事業を展開されようとするこの探鉱開発にいたしましても二の舞を踏まないような保障、御配慮、こういうことをどのように考えておられるか。石油開発公団関係の休眠会社のようなことにならないような保障、あるいはそういう状況にならないような対策、これは政府においてお考えがあったらお聞かせを願いたいと思います。
  214. 島田春樹

    島田政府委員 海外炭の開発につきましては、先ほども議論がございましたように、国内炭との関係というのも十分考えなければいけません。したがいまして、長期的に石炭の需給というものを十分に検討いたしまして、秩序ある開発をしていかなければいかぬというふうに考えております。そのためにやはり需給見通しというものを十分検討いたしながら逐次そのプロジェクトを検討し、それを軌道に乗せて計画的な開発を図るという方向で対処いたしたいというふうに考えております。
  215. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 お尋ねをしたのはそういうことではなくて、これから海外炭について探鉱開発あるいは調査、実際にまた探鉱資金融資をする、あるいはまた債務保証基金で債務を保証する、いろいろなことをこれから政府として展開をしていくわけでございますけれども、実は原油の掘削、海外原油の開発についてその資金の焦げつきだとかあるいは使途だとか、いろいろなことがいま問題になっている。石炭もそういうことの二の舞にならないような手だてを考えているかどうかということをお伺いしているのです。
  216. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石油探鉱について一言申し上げますと、大体ボーリングの成功率が世界的に見まして一八%、油田としての成功率が二・七%と言われておるわけでございまして、決して言いわけがましく申し上げるわけじゃございませんが、石油開発のリスキー性に比べると、石炭の探鉱開発はそれほどではないんじゃなかろうか。もちろん地下資源でございますから、全くリスクはないというわけじゃございませんが、石油と比べますとより安全度が高い、確率が高いというふうに申し上げられるかと思います。  むしろ私たちの心配しておりますのは、先ほども質問がございましたが、いわゆる海外において開発する場合のコストがどうなるかということが非常に心配であるわけでございます。現在、既開発されておる石炭につきましては、むしろ国内炭よりはコストが安く上がる。日本に運んできてもまだ割安であるということでございますが、新規の開発をやる場合に、そのやり方によりまして、下手をするとコストがむしろ割り高になる可能性もある。たとえば港湾だとか荷役設備、道路といったような公共土木事業と申しますか、インフラ関係をどのようにして考えるかということでもコストに大幅な影響を及ぼすわけでございます。  したがいまして、御指摘の点は重々私としても御趣旨よくわかるわけでありますが、いま申し上げたような観点も入れまして、きわめて適切な海外炭の開発なり輸入ができるように心がけたいと思うわけでございます。
  217. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 最後に、各党委員からも御質問があったようでございますが、石炭の液化、ガス化、未来エネルギーとしてわが国の場合実用化がいつごろになるのか、またその実用化を早めるためにいまのようなのんびりしたやり方ではなくて、徹底した開発、先ほど大臣もお話がございましたけれども、西ドイツの場合は非核エネルギーというものに対して抜本的な研究開発をしようということで、大変な勢いでいま研究費を投じてきているわけですけれども、わが国の場合もそのぐらいの姿勢で取り組まないと、すべてのエネルギー政策の各面にわたって影響が出てくるだろうと思う。その点について御決意をお聞かせ願い、方向をお聞かせ願って私は質問を終わりたいと思います。
  218. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 石炭の液化、ガス化でございますが、石炭の利用技術の中で今後一番必要な技術、このように考えておりまして、わが国におきましてはサンシャイン計画を昭和四十九年度から始めまして、四本柱のうちの一本といたしまして、現在鋭意液化、ガス化両方につきまして研究を進めております。いままでの段階におきましては基礎的な研究が主力になっておりましたけれども、五十二年度からプラント物に入るようになりまして、ガス化につきましては七千立米のガス化の設備の詳細設計、それから液化につきましては一トンの液化プラント、これは建設でございますが、国産技術のソルボリシス法という新しい技術を使いました液化法のプラント段階に入る、このようになっております。  予算の話でございますが、実はそのように始まってからまだ三年くらいでございますので、いままでのところは主として基礎研究でございましたけれども、今後プラント物の建設、それから運転、評価ということになりますと、やはり予算的にはこれから相当ふえてくるわけでございます。世界的に、特にアメリカにおきましてこのガス化、液化につきましては非常に力を入れておりまして、国内では委託費あるいは補助金、それからほかの国に対しましてもそのような金の支出をやっておりまして、やはり一番進んでいると思います。ただ、これはプラント物の段階の始め方が少し早くて、たとえばいま一トンとわれわれ考えておりますのが、これが五十トンのものをやる、そういうものの段階に来ておりまして、わが国としてもこの技術的な内容については十分力があると考えておりますので、これから鋭意世界に劣らずにやっていきたい、このように考えております。  そこで、いま先生のおっしゃいました実用化の見通しでございますが、長期にわたる研究開発でございますので、この時点をはっきり申し上げますのは、まだ世界的に確立された定説はないわけでございますが、われわれとしては、できるだけ早い機会に実用化に持っていきたい、全力を尽くしてやりたい、このように考えておるわけでございます。
  219. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 本日は、まことに御親切な御質問をいただきましてありがとうございます。国家の、民族の命運をかけたエネルギーの問題でございますので、私どももかたい決意を持って臨む次第でございますが、どうぞ御協力、御鞭撻のほどをひとえにお願いを申し上げます。
  220. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 エネルギーの問題はイデオロギーでも何でもない。イデオロギーでなくてエネルギーの問題でございますから、政治的な問題ではありません。われわれもそういうつもりでやっておりますので、世界の研究開発がこの程度だから日本はこの程度でいいのだなどと考えられたら大間違いであります。世界の最先端を行くぐらいの御決意で研究開発をお進めを願いたい。最後にお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  221. 岡田利春

    岡田(利)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会