○橋本(利)政府委員 ただいま
先生御指摘になりましたように、エネルギーの安定確保ということが経済成長の大前提ということは、いずこの国でも同じだと思います。特にわが国におきましては、今後年々ふえる労働人口に対して、完全
雇用の場を準備しなければなりませんし、だんだん老齢化しております社会構造の中で福祉政策も充実していかなければならぬ。そのためには適正な経済成長の維持、その前提としてのエネルギー安定確保というのは非常に重要な問題でございます。ところが、御
承知のように日本のエネルギー構造なるものは、きわめて輸入依存型、石油依存型でございます。そういったところから、一昨年の十二月に策定されました総合エネルギー政策の
基本方向に即応いたしまして、積極的にいろいろ対策を推進いたしておるわけでございます。
まず、国産エネルギーとしての
石炭につきましては、御
承知のように一昨年、五十年七月の
石炭鉱業審議会の答申に基づきまして、いわゆる新
石炭政策の方向に即しまして、最小限二千万トンの現状の生産を維持したいということでいろいろ努力いたしておるわけでございます。
地熱につきましては、
昭和六十年において二百十万キロワットということを前提として政策を進めておりますが、環境の保全に意を用いると同時に、いわゆるサンシャイン計画の中で地熱利用のための技術開発も計画的に進めておる。
それから水力発電につきましては、同じく六十年に対して、四千二百万キロワットの開発ということは、いまより千数百万キロワットの開発を必要とするわけでございますが、これも積極的に進めておるわけでございます。
一方、代替エネルギーといたしましては、
先生ただいま御指摘の原子力あるいはLNGの問題がございます。原子力につきましては、現在七百四十万キロワットが稼働いたしております。建設中のものが約千三百四十万キロワットぐらいございます。都合二千百万キロワットぐらいまではめどがついておると申しますか、
現実のものとなっておりますが、ただ目標に対してまだまだ努力を必要とするわけでございますが、これに対しましては、安全性、信頼性を高めると同時に、国民の理解と協力によって
立地を促進してまいりたい。
LNGにつきましては、同じく
昭和六十
年度におきまして四千二百万トンの努力目標を掲げておるわけでございますが、現在まで手当てできておるのは約千六百万トンでございまして、さらにサラワク、イラン等におけるプロジェクトを進める必要があろうかと思いますが、LNGにつきましては、これも御
承知のとおりイニシアルインベストメントが非常に多額にかかりますので、最低年間五百万トン
程度の需要を組織化する必要があるということでその方でやっております。
それから最後に石油でございますが、これも先ほど申し上げました総合エネルギー政策の
基本方向の中では、石油輸入の依存度を減らしていくということで、六十
年度ベースにおきましては六三%まで引き下げたいということで努力いたしておりますが、それにいたしましても絶対量としては四億八千五百万キロリットル、非常に多くのものを海外から持ってこなければまいりませんので、先ほど
大臣がお答えいたしましたように、二国間あるいは多国間協議などを通じながらこれを安定的に供給確保しなければならぬ、こういう方向で進んでおるわけでございます。
それから新規エネルギーの開発につきましては、サンシャイン計画のもとに水素エネルギーあるいは地熱エネルギー、太陽熱エネルギー等の開発をやっております。ただ現在時点まで必ずしも順調に進んでいない面がございますので、この際その計画を整合性と実効性のあるものにする、特に財源対策に意を用いまして、見直しをする作業に取りかかっておるというのが現状でございます。