○林(義)
委員 独禁法の
運用というのは、特にこの「
独占的状態」というのは、世界的にもきわめてまれな形での寡占対策をやるわけであります。学問的にもまだ進んでいないところがたくさんある。また、アメリカでもいろいろ
議論のあるところであります。そういったようなことでもありますし、
日本の学者の中においてもいろいろ
議論のあるところであります。そういったものをあえて決めるわけですから、やはり、そういった学者の
意見や
経済実体の問題を十分に入れて
運用をやっていただきたい。とにもかくにもいっちゃったからしようがないのだということではなくて、そういった形の
本当にいい
意味での物の
考え方、進んだ
経済学の
考え方も取り入れてやっていただくことを私は心から切望しておきます。
それから、時間が余りないようでございますから次に移らせていただきますけれども、これは総務長官に
お尋ねしますけれども、この問題を
議論するに当たりまして、
独占禁止法の問題をやるときに常に
議論になりますのは公取の第四権的な機能であります。
公正取引委員会は準司法機関と言っておられるわけでありますが、私は、今回の
独占的状態のような問題は明らかな行政的な裁量によって行われるところの処分だろうと思うのです。たくさんの、九つも十もあるような実態をいろいろ
判断しなければならない。しかも、著しく
価格が高いとか、著しく需給に影響する、これはたしか新自由クラブの方からの御
質問もあったのだろうと思いますけれども、「著しく」なんというのは
裁判所の
判断する問題ではないのです。これはまさに行政庁が
判断をする問題だと思うのですね。
そういう
意味で、これは行政権に基づくところのいろいろな
判断だろうと思いますけれども、実は、
公正取引委員会は準司法機関という形で独立の権限を持っておる。ところが、独立の権限を持って、それがどこかに訴追をされるということだったらいいのですが、残念ながら
公正取引委員会は五年間は身分保障がぴしゃっとしておる。私は、民主主義の
ルールというものはやったことに対して責任を持つという体制でなければならないと思うのです。たとえば
独占的状態についていま
澤田委員長が
判断されたことが国会においても非難され、国民的にも合意が得られないというようなときには、たとえば内閣がやったときには内閣に対して不信任案をつきつける。不信任案が通ったならば内閣はやめなければならないし、または解散をする。こらいった形で民意を問うという形になる。
裁判所におきましても、最高
裁判所の
裁判官の国民審査というのがありまして、非常に形式だとは言われるけれども、やはり国民の投票にまつということになっている。ところが、
公正取引委員会はそういった形の
考え方が非常にはっきりしない。
特に
法律に書いてありますのは、内閣総理大臣の所轄に属するのが
公正取引委員会だと書いてある。所轄というのは、当該官庁の独立性が強くて、主任の大臣との関係が最も薄いものにつき、行政機構の配分方法としては一応その大臣のもとに属するという程度の
意味をあらわすという言葉で所轄という言葉は用いられておる。これは政府が出しておるところの解釈でありますが、そういった解釈であるけれども、やはりこれだけ非常にむずかしい問題であり、しかも国会でも非常に問題になり、
新聞その他でも大変に問題になるような問題であり、
参考人の
意見を聞きましてもこの
独占的状態は大問題だというような話でありますから、そういった問題を処理したときに間違いかあったならば、だれかがそれに対してノーと言うことを
考えておかなければならない。そういった
意味で、国会の下の機関という形にするのか、あるいは完全なる行政機関の中の一部にするのかということを
考えていかなければならない。私は、これは行政組織のたてまえの問題としてあると思うのです。政府の方でも今度は行政機構改革云々というような話でありますから、この問題はこれからの問題としてぜひ
考えていただきたい。これはアメリカの行政
委員会をまねてつくった機構であります。占領政策の遺物としてできたものである。そうした点はやはりいつかの機会には直していかなければならないという点が河検討すべき問題だろうと思うのです。
それから、第二の問題として、これからの減速
経済の中において
運用する場合にこの
競争政策をどう導入していくかということは非常にむずかしい問題であるけれども、自由体制を守るためにはぜひともやっていかなければならない
一つの大きな政策だと思うのです。単に
公正取引委員会というところの一部の機構でなくて、政府全体が取り組むべき問題ではないかというふうに私は
考えるわけでありまして、そうした
意味で
公正取引委員会を除いたところの一般の行政機関は、たとえば
経済企画庁が総合計画の立案をするのでありますけれども、その中で
競争政策というものを一体どう
考えるか。通産省、農林省、厚生省、運輸省と各省ありますけれども、各省の中でのそういった
競争政策の
運用というものはやはり
考えていかれなければならない。それはたとえば酒の話になりましたら、大蔵省は酒をできるだけ
カルテルをつくってやれなどということではいかぬのでありまして、この
自由主義体制をとっていくためには、やはり各省の力によって
競争体制というものができるような仕組みを
考えていくべきだろうと私は思うのです。そういったようなことは今回の
法律を党内でいろいろ
議論をしたときにもありました。私は、これはこれはこれからの課題としてやっていかなければならないと思いますので、この辺についての総務長官の御
答弁を求めます。
それから、もう
一つ申し上げておきますけれども、最初に私が申しましたように、
独占禁止法を今回こういうふうな形でやりますが、これは
日本の風土との問題がある。最初に申し上げましたように、中小企業の床屋の人が休日に休もうなどということをやったならば
公正取引委員会にひっかかって不当な取引制限だなどという形は、
日本の風土には少なくとも合わないわけであります。先ほど申しました鉄鋼と自動車の間の話し合いをするということも、
日本に
春闘運動というものがある以上は、これも
日本的な風上のたてまえで出てきているものだと私は思うのです。そういった
日本の風土のたてまえがありますから、単にアメリカをそのまま面輸入したところの
独禁法というものはやはり
考え直していかなければならない点が
一つあると思います。
それから、もう
一つ私は申し上げますけれども、
法律の立場を離れて
日本で一番独占的な企業というものは何かといえば、政府が関与している公社公団というか、要するに国鉄あるいは電電云云というような政府がやっているところの機関の問題だと思うのです。これらにつきまして、それをすぐに分割してしまえなどということは私は申しませんが、
競争政策の観点からすれば、やはり、こうした国鉄なり電電なりその他の機関が非常に効率よくやるということだと思うのです。なぜ
競争政策をとらなければならないかといえば、それは効率のいい経営をやり、効率のいい
運用をやるからということでありますから、そうした効率性ということをやはり
考えていかなければならない。効率性をやるために、場合によったら一部のものは外して
競争に任せるというような政策もとっていかなければならないと思いますし、特に、政府の方では、この前の国鉄の違法なスト権ストなどというものがありまして以降やっておられますのは、公共企業体の関係を抜本的に見直すということを
考えている。その
考え方の中に、
競争政策の
考え方、今回とった
独占的状態に対するところの問題と同じような
考え方を入れていくべきだろうと私は思うのです。少なくともそういった
考え方を入れて、これからの公共企業体はどうあるべきかということを
議論していただかなければならないと思うのです。
経済学的にはX非効率性というものがあるのです。新しい学問でありまして、そういったものがあるのです。それは
経済の効率性というものを
考えていかなければならない。単に民間のビッグビジネスだけではなくて、パブリックなビッグビジネスの問題についてやはり思いをいたしていかなければならない問題だろうと私は思います。そういった
意味で、これは政府の方にもお願いをしたいのでありますけれども、国会でもぜひやっていただかなければならない問題だと私は思うのです。
これは最後に
委員長にお願いをしたいのですけれども、最初に申しましたように、いま
お話をして
野党の諸君も大体うなずいておられたようでありますけれども、当
委員会で
競争政策というものを取り上げていただくということが必要なことだと思うのです。そういった
意味で、先ほど申しましたように、今回の
法律につきましても、「
独占的状態」その他の問題についてはいろいろとまだまだ
議論をしなければならない点がある。
競争政策というものをうまくやっていくためには、政府に任しておいたからもうそれで知らないということでなくて、当
委員会においてもそういった
議論を活発にしていかなければならない。私は、
本当ならば特別
委員会あたりをつくっていただいてやった方がいいと思いますけれども、少なくともそういった
議論を
積み重ねをしていくことが必要だと思いますし、当
委員会にそういった
競争に関する小
委員会でもつくっていただいて、そこで少し具体的に掘り下げて与
野党を通じて
議論をしていただくことが
本当にいい実りある
競争政策なり
独占禁止政策の遂行になるだろうと私は思うのです。
総務長官からのお答えと、それからあとは
公正取引委員会の
委員長から御
答弁をいただいて、最後に商工
委員長から御
答弁いただきたいと思います。