○工藤(晃)
委員(共) 私は、前回の
質問に引き続きまして、第七条の排除措置のところについての
質問がまだ十分終わっておりませんので、引き続き続けます。
それで、ここでは第三条で
私的独占や不当な
取引制限の
禁止をし、それから第六条の中の第一項、第二項でそれらの排除措置について
規定されているわけでありますが、ここでこういう
行為を排除する、そのために「当該
行為の差止、
営業の一部の
譲渡その他これらの
規定に違反する
行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」ということになるのですが、この「その他これらの
規定に違反する
行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」ということをめぐっての、実は、二年前のこの
委員会での高橋
公取委員長の答弁や、裁判所での判決や、あるいはまたここでこの前聞かせていただきました
政府の答弁ではどうもいろいろと違いがあるということを前回
指摘せざるを得なかったわけであります。
つまり、その
行為の差しとめそのもの、これはわかり切っているのですが、その他の
行為を排除するため必要な措置ですが、それをめぐって三つの回答があったわけで、
一つは、この中にはこういう当該
行為の影響の排除措置というものは含まれないのだということ、これは前回ここで伺った
意見のように思えましたが、それで悪ければまた改めていただきたいわけであります。
もう
一つは、少なくとも部分的には含まれているのだということで、それはこれまで
公取が行った
審決などで、たとえば将来の違反
行為の
禁止を行っている。これはもうかなりきつい規制ですね。その
行為、あった
行為だけでなしに、将来もやってはいけない。これはある
意味から言えば、そういう
行為が定着することを防ぐとか、その
意味で言えば影響ともとれるわけですが、そういうこともあるとか、あるいは価格協定は破棄して、今後共同で価格は決めませんということを
取引先や需要者へ周知徹底する、そしてその
やり方まで
公取の承認を受けるという例もありましたし、それから価格表の回収、破棄ということもありましたし、さらに価格を再交渉して改めて決める
——これなどは大変はっきりして、いまの価格はもうだめにして、それで改めて決めよということになる。当然これは影響の排除措置と見られるわけでありますし、それをめぐっての五十年六月三日の当
委員会での野間
委員への答弁で、高橋
公取委員長が、「確かにそのとおりです。実際的にその影響を排除するための措置が入っていると考えます。」という答弁がなされたわけであります。つまり、これが
二つ目の回答であります。
三つ目のこれをめぐっての考え方として、
行為の影響の排除措置はすべて含まれるとはっきり受けとれる東京高裁の判決があったことはもうすでに何度も引用されたところであります。「違反してなされている
行為の差止、違反
行為から、もたらされた結果の除去等、直ちに現在において違反
行為がないと同一の状態を作り出すことがその中心となるべきこと」これが中心なんだ。つまり、そういう
行為がなかったとした場合にはこういう状態でなければならないという状態をつくり出すことが中心である。価格が上がってしまっている、しかし、カルテルがなければ当然その値上がりがないはずだという状態をつくり出すことが中心であるけれども、これにとどまると解するのは狭い、それだけでも狭いんだということをこの東京高裁の判決は述べていて、現在はたとえ違反
行為が継続していなくても、復活するかもわからないときには排除の必要が解消していないという立場から、将来にわたって同一の
行為を
禁止することもこの
行為排除のための必要な措置なんだという、こういう解釈を下しているわけであります。
そういうことから、ここでの
審議は、こういう三つの異なる
意見があることを前提にして法
改正をするということをどうしても考えざるを得ない。そういうことがいいことか悪いことかは別として、本来これは余り望ましいことと思えないのですが、それにしても私が
公正取引委員長に
一つ伺いたいのは、
公正取引委員会として言えばこういう
独禁法の条文そのものを今後も当然尊重されると思いますが、
公取のこれまでのいろいろな
審決の例も尊重する、同時に高裁の判決例もいずれも尊重するということだと思いますが、その点についてここで御明書ください。