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1977-03-25 第80回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十五日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 松本 忠助君       青木 正久君   稻村佐四郎君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       藏内 修治君    佐々木義武君       島村 宣伸君    辻  英雄君       楢橋  進君    西銘 順治君       前田治一郎君    与謝野 馨君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       後藤  茂君    清水  勇君       中村 重光君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       宮田 早苗君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房審議官    栗原 昭平君         通商産業大臣官         房審議官    織田 季明君         通商産業省通商         政策局次長   間淵 直三君         通商産業省貿易         局長      森山 信吾君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁次長 西山敬次郎君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君  委員外出席者         議     員 板川 正吾君         法務省民事局第         四課長     稲葉 威雄君         大蔵省銀行局総         務課長     宮本 保孝君         大蔵省銀行局中         小金融課長   吉田 正輝君         農林省畜産局食         肉鶏卵課長   甕   滋君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      杉山 和男君         通商産業省貿易         局輸出保険企画         課長      新井 市彦君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      井上 宣時君         工業技術院総務         部技術審議官  蓼沼 美夫君         労働大臣官房国         際労働課長   石田  均君         建設省計画局建         設振興課長   中川 澄人君         会計検査院事務         総局第四局長  松田 賢一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     中西 啓介君   萩原 幸雄君     与謝野 馨君   前田治一郎君    稻村佐四郎君 同日  辞任         補欠選任  稻村佐四郎君     前田治一郎君   中西 啓介君     安倍晋太郎君   与謝野 馨君     萩原 幸雄君     ————————————— 三月二十三日  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案松本忠助君外三名提出衆法第九号)  小規模事業者生業安定資金融通特別措置法案  (松本忠助君外三名提出衆法第一〇号) 同月二十四日  中小企業事業分野の確保に関する法律制定  に関する請願(下平正一君紹介)(第一九八三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五四号)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(板  川正吾君外九名提出衆法第五号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号)  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び板川正吾君外九名提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、政府及び提出者より順次提案理由説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。     —————————————  小規模企業共済法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 田中龍夫

    田中国務大臣 小規模企業共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  小規模企業共済制度は、小規模企業者相互扶助精神に基づきまして、毎月掛金を積み立て、廃業や死亡といったような有事の事態に備えるという共済制度でございますが、小規模企業者にとりましてはその果たす役割は非常に大きく、昭和四十年十二月の制度発足以来その加入者数は年々累増いたし、今日までに約五十二万件という加入を得ております。  現在、制度発足後十一年余りを経過したところでありますが、本制度法律上、経済事情変化に対応すべく、制度の眼目でありまする掛金共済金等の額の検討を五年ごとに行うように義務づけられております。  そこで、前回昭和四十七年に改正が行われて以来五年目に当たります本年、改めて制度の見直しを行い、必要な改正を行うべくこの改正法案を提案いたした次第でございます。  改正の趣旨は、最近におきまする所得や物価の推移などの経済事情変化小規模企業者から本制度に対しまして常日ごろから寄せられておりまする要望などを勘案いたしまして、本制度の一層の整備を図ろうとするものでございます。  次に、本法案要旨を御説明申し上げます。  まず、第一に、掛金月額の上限を現行の一万円から三万円に引き上げ、また、下限についても現行の五百円から千円に引き上げることでございます。これに伴いまして、共済金最高額現行の三倍に引き上げられることと相なりまして、税制上の優遇措置とあいまって小規模企業者にとりましては大変魅力のある制度となると考えております。  第二は、現行法におきまして、いわゆる老齢給付といたしまして、六十五歳に達しました共済契約者加入期間二十年以上になれば共済金支給を受けることができることとなっておりまするが、その要件を緩和いたしまして、加入期間が十五年で共済金支給が受けられるようにすることでございます。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛同いただきまするようにひとえにお願い申し上げます。
  4. 野呂恭一

  5. 板川正吾

    板川議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました小規模企業共済法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  この法律は、小規模企業者相互扶助精神に基づき、小規模企業者事業廃止等につき、その拠出による共済制度を確立し、もって小規模企業者の福祉の増進と小規模企業振興に寄与することを目的として昭和四十年に制定されたものであります。  対象は、常時使用する従業員が商業、サービス業では五人以下、その他は二十人以下の個人事業主及び会社企業組合協業組合の役員となっております。また、一人あるいは家族だけで事業を営んでいる、いわゆる一人親方及び自由業者対象となっています。労働者には退職時に退職手当支給されるのに対し、これら対象者事業をやめるときや退職するときには十分な給付がなされない実情にかんがみてこの共済制度が創設された経過があります。  この制度は、昭和五十一年十二月末現在で五十二万人の加入を見ておりますが、加入割合は全国の小規模企業者の一割強にすぎません。しかし、わが国経済安定成長へと移行する中で、小規模企業を取り巻く経済環境は一段と厳しさを増してきており、経営や生活の不安に悩まされがちな小規模企業者にとって本制度の果たす役割り重要性は今後ますます高まってくると考えられます。  ところで、法制定後十年を経て、この企業共済は幾つかの点で実情に合わなくなってきております。  一つには、共済契約掛金月額現行一口五百円を二十口までですが、これではいざというときの生活保障にはほど遠いものになっています。  二つには、企業共済積立金運用の問題であります。現行掛金納付済み額の九割を限度として貸し付けられることになっていますが、事業団資金加入者のためにさらに活用するため、融資業務拡充し、事業転換資金貸し付け住宅建設資金貸し付けを追加し、貸付額も増加する必要に迫られています。  三つには、右に述べた事業団融資業務拡充のために政府資金の導入が求められています。  わが党は、以上の諸点につき本法を早急に改正し、小規模企業者生活保障を図ることが必要であると考える次第であります。  これが本法律案提出する理由であります。  次に、その内容概要を御説明いたします。  まず、第一は、掛金月額口数最高限度の引き上げであります。すなわち、法第四条を改正して、小規模企業共済契約掛金月額口数限度現行の二十口から六十口に引き上げることといたしております。これに伴い、掛金最高月額現行の一万円から三万円となり、また、共済金最高額現行の三倍に引き上げられることとなります。  なお、第一種共済契約については税法上全額所得控除が認められていますので、本改正により年額三十六万円まで控除されることとなります。  第二は、小規模企業共済事業に要する費用補助の規定の新設であります。すなわち、法第五十八条の二を新設して、政府は、小規模企業共済事業団に対し、政令で定めるところにより、小規模企業共済事業に要する費用の一部を補助することができるものとしております。  第三は、小規模企業共済事業団の行う融資業務拡充であります。すなわち、法第四十二条を改正し、事業団は、共済契約者に対して、一つには、事業転換に必要な資金貸し付けを行うことができるものとしており、二つには、みずから居住するための住宅建設、改良または購入に必要な資金貸し付けを行うことができるものとしております。  なお、右のうち、事業転換資金融資条件は、事業団業務方法書により、(イ)融資対象掛金納付月数が百二十月以上のものまたはその会社。(ロ)融資限度は三千万円。(ハ)償還期間据え置き期間三年以内を含めて十二年以内で、特別の事情がある場合は償還期間及び据え置き期間をそれぞれ二年以内延長できるものとする。(ニ)利率は年八%以内で、特別の事情がある場合は年三%まで軽減できるものとすること。以上のように定めるべきものと考えております。  また、住宅建設資金融資条件は、事業団業務方法書により、(イ)融資対象掛金月額が八十四月以上のもの。(ロ)融資限度納付に係る掛金合計額の二倍に相当する額で、一千万円を限度とする。(ハ)償還期間は七年以内。(ニ)利率は年八%以内。以上のように定めるべきものと考えております。  以上が本法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げて提案理由説明を終わります。
  6. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で、両案についての提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 野呂恭一

    野呂委員長 内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮田早苗君。
  8. 宮田早苗

    宮田委員 貿易によってしか生きる道のないわが国にとりましては、プラント輸出が二十一世紀に向かってますます重要な分野になりつつあることは改めて申すまでもございませんが、プラント輸出契約承認ベースで見ましても、プラント輸出の座は鉄鋼自動車船舶に次いで第四位でありまして、最近国際問題化してまいりました素材や大衆消費財に対するEC諸国アメリカ輸入規制の動き、いわゆる貿易摩擦現象を見るにつけ、国を挙げて取り組まなければならない重要な問題であると思うのであります。  産業界では、プラント輸出の将来性について、鉄鋼自動車船舶を抜く新しい主役としての期待感を持っているのでありますが、プラント輸出市場国際競争はますます激化しております。何よりも国の外交通商政策がその基本になるのでありますが、国内の産業構造あるいは産業界貿易構造変化の中でプラント輸出産業をどのように位置づけをしていくのか、大局的な点をまず大臣にお伺いいたします。
  9. 田中龍夫

    田中国務大臣 宮田委員にお答えいたします。  このプラント輸出わが国貿易構造の中におきます重要性、またそのウエートが非常に高くなっておるという点は御指摘のとおりでございますが、元来がわが国自体構造というものが御案内のとおりに無資源工業大国でありまして、自給できますのは米以外にない。あるいは食糧におきましても、その他原材料におきましても、ほとんどすべてを依存いたしておるような姿におきまして、われわれが一番問題といたしますのは、燃料あるいは原料を購入いたしまするための外貨獲得ということが非常に重要性を持っておるわけであります。同時に、それは、貿易立国と申しますか、そのためにこそあくまでも自由経済平和外交という二本立てで進んでまいらなくては相なりません。  しかしながら、貿易の面におきましては、集中豪雨と言われるような問題も、あるいはECに対し、あるいはアメリカ等々の国に対していろいろと惹起いたしております。しかしながら、こういう単体の輸出ではなく、向こうの方のニードにこたえましてその国の産業をレベルアップし、あるいはまた開発途上国に対しまする民生の安定、さらにまた需要の喚起というような市場の拡大にも貢献いたしまするプラント輸出に対しましては、国といたしまして摩擦のない輸出摩擦のない外貨獲得、ことにまた偏在いたしまするオイルマネーというものを国際的にリサイクルするということは国際経済の上から申しましても非常に重要な問題でございます。  しかるに、こういうふうな産油国等になりますると、プラント輸出なりあるいは大型プロジェクトの要請というものがだんだんと規模が大きくなってまいりまして、同時にそのことは両国に対しましての友好を深めることに最も効果があり、同時にまた大量の外貨獲得となり、同時に産業に対しましても景気回復のための波及効果の非常に多いものといたしまして、改めてプラント輸出を再評価いたしたい、かように存ずる次第でございます。
  10. 宮田早苗

    宮田委員 プラント輸出の実績を見ますと、確かに伸び率は高いのですが、アメリカ、西ドイツ、イギリス等に比較をすると日本シェアはまだまだ低いわけです。さらに、イギリス、フランス、イタリア等の国を挙げての政治攻勢が非常に強いわけでございますが、これに対してわが国はどうこたえていくのか、その点についてもお聞きをいたします。
  11. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  今日までの日本プラント輸出なりあるいは大型プロジェクトに対しまする取り組みは、これらの御指摘各国に対していささか劣っておる。その劣った原因はいろいろございまするが、その重要な一環といたしまして、いろいろな保険制度、国がギャランティーする、そのメカニズムが整備されておらないといううらみがございます。後ほどまた政府委員からも詳細に申し上げまするけれども、これらの各国先方国の発注に対しまして相当程度ギャランティーいたします輸出保険制度が整備されておるにもかかわりませず、今日までわが国はそれを持たないということで、この新しい制度の創設、輸出保証に対しまする保険制度を創設いたすわけでございます。
  12. 杉山和男

    森山(信)政府委員 宮田先生から御指摘がございましたように、わが国プラント輸出は逐年上昇を続けておるわけでございますが、アメリカ西独等に比べますと、そのシェアもまだ依然として低いということでございます。  私ども、先ほど大臣から答弁を申し上げましたように、日本産業構造あるいは日本貿易構造上に占めるプラント輸出重要性ということにかんがみましてできるだけの努力をしてまいりたいと存じておるわけでございますが、輸出金融上の問題あるいは輸出保険上の問題は各国それぞれ共通の問題がございますが、その中におきまして、今回御審議をいただいております輸出保証保険につきましては、他の先進諸国がすでに制度を発足しておるわけでございますけれども、残念なことに日本におきましてはまだその制度が確立されておらないということがございまして、今回政府提案をさせていただいた次第でございます。  なお、このほかにどういう具体的なプラント輸出につきましての振興策を講じておるかということをお答え申し上げますと、先生承知のとおり、最近海外でのプラント規模が比較的大きくなっておりまして、これに対応いたしますいわゆる大規模開発プロジェクト対応策というものがなければならないという観点から、大規模経済協力プロジェクト準備調査委託制度というものを創設いたしましたが、さらに大規模プロジェクト事前調査補助制度といったものを創設いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、ファイナンスの問題でございますが、日本輸出入銀行の行いますプラント輸出関係融資規模を、五十二年度におきましては、対前年度比三〇・二%増の七千三十億円まで拡大いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  また、プラント輸出に関連いたします輸出代金保険につきましては、その契約限度額を対前年度比三七・八%アップの六兆二千億円に五十二年度は引き上げたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに、プラント輸出に関連いたします海外市場調査機能拡充するために日本貿易振興会、つまりジェトロでございますが、ジェトロ事業拡充いたしたいというふうに考えております。  さらに、経済外交強化という問題を今後は特に重視して行ってまいりたいと思います。従来とも経済外交強化には努めておったわけでございますけれども、先ほどの先生の御指摘のとおり、欧米諸国におきましては国を挙げてプラント輸出に取り組んでおるということもございますので、わが国におきましても十分対応をさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 宮田早苗

    宮田委員 いわゆる経済外交は一省庁だけで取り組むようなものではないわけでございまして、内政問題についても縦割り行政の弊害というものがよく指摘されるところでございます。発展途上国に対する開発援助にいたしましても、民間の進出にいたしましても、日本の場合は交渉段階を見ますと外務省主導型というふうに見えるわけでございます。  肝心の通産省あたりが、最も責任のある立場の高官の派遣や、それによる交渉現地視察ということを活発にしなければならぬと思っておりますが、その点についての見解をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  経済外交という言葉が示すように、経済交渉をいたします外交、これは外交でありまする以上外務省というふうに相なって、外からはそのようにごらんになるかも存じませんけれども、現実の問題といたしましては、まず二国間の条約協定に基づきます対外援助政府援助というもの、専門語で申しますとODAと言われまする部分、それとはまた別に、後発途上国に対し、あるいは産油国に対し、その他日本経済の上から申しまして、原料、材料、食糧を確保するための努力、それは場合によりましては政府の機関を通ずるもの、すなわち外交を通ずるものもありまするし、また、大部分が各経済人企業努力として積極的に交渉をいたしつつある分野がございます。そういうふうなもののパーセンテージから言いますと、全体の経済協力の中のごく一部がODAでありまして、大部分は一般の経済活動にゆだねられておる。  そういう面におきましては、これは御案内のとおりに、企業を管掌いたしております通産省が多かれ少なかれほとんど連絡をいたしながら進めておる次第でございまして、対外経済協力に関する基本的な文献と申しますか、「経済協力の現状と問題点」という政府刊行物がございますが、この対外経済協力についての基本的な最も信頼をされております文献通産省が出版をいたしており、また、先般皆様方の方にもお配りいたしたようなあれが経済協力におきまする最高の権威ある文献であろう、かように存ずる次第でございます。  御指摘のように、対外的な面では、外交交渉のときにはあくまでも在外公館あるいは外務省がいたしまするが、その他の面におきましては通産省が大部分いたし、あるいはまた農林省関係省庁もその所管に応じていたしておるような次第でございます。
  15. 宮田早苗

    宮田委員 ところが、海外でのプラント建設工事等に関する経済雑誌や新聞のルポを見ますと、現地でのトラブルや問題点がよく指摘されておるわけです。その大部分現地大使館員駐在商社員の話として報道されておるケースが非常に多いと思いますが、このような場合にも専門分野から人を出しまして相手国に協力すべきじゃないかと思っております。  そこで、労働省の方がお見えになっておると思いますが、プラント類輸出海外建設工事等に直接関係のございますところの、技術者は当然のことですけれども、労働者につきましては——もちろん工事基幹要員わが国から一緒に連れていくわけでございますが、労働の面につきましては、わが国だけでなしに第三国から募集して連れていくというケースも案外に多いと聞くわけでございますが、その場合に、工事をしておりますその国との慣習の違いとかいろいろな政治の違いとかいうものがあるわけでございます。その点は後からまた小まめにお聞きいたしますけれども、いま申し上げましたような例は一体どのくらいあるものか。もしあれば一、二それを示していただければ結構だと思っております。  たとえばわが国建設業者が他の国に行って工事をいたします場合に、基幹要員は連れていきますけれども、なかなかわが国の人が行ってくれない、行きたがらないというケースがあるように聞いておるわけです。例を挙げて大変失礼でございますけれども、韓国の方を募集をして連れていくとか、そういう面もあるやに聞いておりますが、もし掌握されておりますならば、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  16. 石田均

    石田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のような点につきましては、たしか去年でございましたが、プラント輸出に伴いまして韓国労働者を連れていったというふうな事例を耳にいたしておりますが、その件につきましては、韓国におきましては、先生案内のとおり、労働者労働力海外に進出させたいという欲求が非常にございます。一方、現地では、そういう仕事に適した労働者が得られないというふうな問題があってそういうふうになったのだというふうに承知をいたしております。  ただ、私ども労働省といたしましては、新聞に報道されたこともございまして、関係者に労働省に来ていただきまして、現地なり、労働者を集める地域なり、持ち込む地域なりにつきまして、現地の大使館なり何なりとよく連絡をとり、現地政府ともよく連絡をとってトラブルを起こさないように対処してもらいたいという要望をいたしたような経過はございます。  それから、現地的なトラブルというお話でございますと東南アジア諸国で一、二見受けられるわけでございますけれども、雇用についての慣習がいろいろ違うというためにトラブルが起きたとか起きかかったとかという例はございます。それにつきましてもいろいろと外交ルートを通じまして対処をいたしておる、こういうような状況でございます。
  17. 宮田早苗

    宮田委員 外交ルートなり、現地の大使館を通じてなり、その点の対策を立てて対処されておるということなんでございますが、さらに、この種の関係になりますと、現地での工事でございますから、その国の労働者を雇わなければならぬということになるわけであります。ところが、その国のあらゆる面の違いによって、雇用の方法とか、あるいはまた労働の条件とか、さらに言いますならばその国に労働組合というものも存在するわけでございますが、そういう面についての掌握というものが外交ルートだけではなかなかし切れないのじゃないかと私は思うのです。  そこで、お聞きいたしたいのですが、その国の大使館なり領事館なりにこの種の専門家を一体配置しておられるのかどうか。もちろん何カ国かは配置されておると思いますけれども、そういう面についてお聞きをしたいと思います。まず、その点をお答え願いたいと思います。
  18. 石田均

    石田説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のような点を含めまして、現地労働事情そのほかにつきまして的確な情報をとるということは、私どもとしてもやはり大変必要なことでございますので、実は、レーバーアタッシェという形で労働専門家を配置してございます。東南アジア諸国につきましては、昭和四十六年だったと記憶いたしておりますけれども、東南アジアの一番重要な地域でございますタイのバンコクにレーバーアタッシェをまず配置をいたしました。その後インドネシア、韓国に配置をいたしまして、それから五十一年度はブラジルに配置をいたすことになりまして、ごく最近でございますが、労働省からエキスパートが一人参りまして赴任をいたしております。それから五十二年度につきましては、シンガポールにアタッシェを配置することを予算上認めていただきまして、これも人選を進めて五十二年度中には派遣をいたしたい、かようなことを考えております。  ただ、先生案内のとおり、レーバーアタッシェの問題と申しますのは、外務省の管轄下にございます在外公館の人員配置の問題になるわけでございます。したがいまして、労働省独自でこうしたいああしたいということが決められる性質のものではございませんので、今後とも外務省を初めといたしまして関係各省とよく相談をする必要がございますが、先生の御指摘の点を頭に置きまして慎重に対処いたしたい、このように考えております。
  19. 宮田早苗

    宮田委員 この種の関係が活発になり、さらに大きくなりますと、現地での労使関係というもの、が非常に大きく出てくるのじゃないかと思います。たとえば工事に参加された方々の御意見を開いてまいりますと、慣習の違いによってわが国で考えておるような労働の様態とは非常に大きく異なると言う。これは皆さん方は十分御存じと思うわけですが、それはともかくとして、やはり争議という問題も考えておかなければならぬわけであります。この点によって工事が相当におくれるわけでございまして、せっかくの工事が予定どおりなかなか完了しにくいという問題もあるわけでございますから、こういう点については特に考えておかなければならぬと思うわけでございます。  私どもが考えますのには、そういう問題を事前にキャッチして、また、輸出をする場合にはその点を十分加味させるようにして、万全の対策を立ててそれに携わさせるという配慮を特に必要とするわけでございまして、いま労働省の方がおっしゃいましたように、レーバーアタッシェですか、それを何カ国かに配置をされ、またこれからもされるということを聞いておりますけれども、その点についてのことが先進諸国とのおくれという一つの原因にもなっておるのじゃないかと思いますので、そういう点については特に要望をしておきます。  何しろ、労働組合もこの点については非常に関心を持っておるわけでありまして、御存じのように、わが国の組合も国内だけの運動をやっているわけじゃありませんから、合化でも、あるいはまた化学でも、鉄鋼でも、自動車でも、すべてが国際的な連携をとりながら労働運動を指向しておるというのが今日の実態でございますから、そういう点については特に小まめに配慮していただくようにお願いをしておく次第であります。  そこで、もう一つは、中東諸国での工業開発に当たりまして国際入札をいたしますと、日本企業の入札価格が他国に比べてけたはずれに高い例が新聞等で報道されておるわけでございまして、具体的なケースは省略いたしますが、特にサウジアラビアでのプロジェクトについて調査をしておいでになると思いますが、この点についてまずお聞かせを願いたいと思います。
  20. 杉山和男

    森山(信)政府委員 ただいま宮田先生指摘の、わが国プラント入札価格がきわめて高いというのは、確かに一部において現実の問題として私どもはとらまえております。  その理由といたしましては、御承知のとおり、プラントの入札をします場合はコンサルタントがつくりました設計書その他に基づきまして入札をするわけでございますけれども、わが国企業はこの設計にきわめて忠実に入札をするわけでございまして、言ってみますと厳格にその入札条件を守るという定評がございまして、そのために入札価格は当然高くなる。この辺の事情が必ずしも相手国側によく理解をされていなかったという点もございまして、一部の国におきまして、日本が不当に高い入札価格をもって出してきたのじゃないかという非難を受けた例がございました。  サウジアラビアというのはまさにそういう例に該当するかと思いますが、その点につきましては十分コミュニケーションを密にいたしまして、わが国の入札の条件等がこういう条件になっているということを理解してもらうように相手国に対して努力をしておるところでございます。
  21. 宮田早苗

    宮田委員 ただいま上程されております輸出保険法の一部改正案もプラント輸出振興にかける政府の積極的な姿勢の一つだと理解をしておりますが、政策の欠如の一つに、発展途上国に対する政府開発援助の伸び悩みというものがあるわけであります。  特に、石油ショック後の不況、財政難という国内事情もあるわけでございますが、国際収支黒字国としての責任論もまた別にございまして、政府援助の対GNP比を国際目標の〇・七%に近づけるためにはどのような対策が必要か、お考えがありましたら示していただきたいと思います。
  22. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘ODAと言われます、いわゆる政府援助の中の賠償とか無償協力、技術援助というふうな問題が、御承知のピアソン報告以来、GNPの一%の中の少なくとも〇・七を必要とするにもかかわりませず、現実には十六カ国かの援助国の中で平均が今日〇・三六程度だと心得ておりますが、計数は後ほどはっきりと申し上げます。  ところが、日本の援助は依然として〇・二で、先般新聞等をごらんになりましても〇・二から〇・二を割るような低い状態で、いわゆる全世界の三大経済国と言われます日本が、しかもこれだけ蓄積されました外貨に対しましても国際的に非常に非難をこうむっておることは御承知のとおりでございます。ところが、そうなります原因は那辺にあるかと申しますと、今日の予算の編成作業におきまして、各省に分属いたしておりますものが依然としてその省内の一般の査定、一般の配分を受けます関係から、限界効用の上から言ってどうしても小さくならざるを得ない。ところが、そういう点では、この五十二年度の予算におきましては、従来のようなあり方を抜本的に変えまして、まずGNPの計算、さらに予算概算の要求の根本の編成方針をつくります際に、最初に〇・二八という線を概定いたしましたことはまさに画期的な問題でございまして、今日までどうしても実現できなかったその壁を破って、ただいまは〇・二でありますから、漸増という点から考えましても〇・二八という線は相当大幅な努力でございます。これを概定いたしましたことはいままでの宿弊を本年から改めたというふうにおとりになっていただいて結構だろうと存じます。  なお、そういうふうな分属いたしまするものは、かつての離島振興の予算が各省にばらばらでありましたものをまとめたこともございます。それから、同和対策の場合もばらばらの各省のものをまとめて一本に計上したこともございますが、対外経済協力政府援助の分の〇・二八というものはそれと同様に今後非常に大きな成果を発揮し、国際場裏におきましても顔のよい外交ができるというふうにも存じておる次第でございます。
  23. 宮田早苗

    宮田委員 国際協力の負担の問題については、国際目標にできる限り近づけるように最大の努力を払っていただきたいということを要望しておきます。  また、わが国貿易はASEAN諸国との関係がきわめて深いのでございますが、さきに通産省は増田審議官を現地に派遣されたわけでございまして、ASEAN諸国の日本に対するあらゆる面での協力要請といいますか、期待といいますか、これが具体的に今後出てくるのではないかと思うわけでございますが、その点はどうとらえておられますか、お聞きします。
  24. 田中龍夫

    田中国務大臣 アジアにおきまするASEAN各国重要性はいまさら申し上げるまでもございません。総理が今度訪米せられるにあたりましても、特に、アジアの友邦でありまする日本経済援助、経済協力の点においていろいろとこれから責任を持たなければならない日本の重要な立場を認識されまして、カーター大統領との折衝に当たりましても特にASEANの問題を主張せられておった次第でございます。  しかしながら、このASEANの問題は東西問題と南北問題とがふくそういたしており、また、その中には、文化的にも多種多様であるだけではなく、宗教的にも回教ありキリスト教ありというようにいろいろあります。それから、また、人種的にも華僑という一つの大きな勢力がございます。非常にむずかしい面がございますが、その中におきまして、私どもは、ASEANを今後一層重視することによりましてアジア全体の責任を日本がまず背負って立たなければならないという国際責任を改めて痛感いたす次第でございまして、総理が今回の訪米からお帰りになりましてからまたいろいろとお話も承るつもりでございます。
  25. 宮田早苗

    宮田委員 大臣の御答弁と重複いたしますけれども、ASEAN諸国とECあるいはカナダ等の定期的な協議の場が常設されておるということでございますが、お話のように、わが国に対する期待が大きいものであればあるほどわが国も具体的な対応策を考えておかなければならぬと思いますが、この点についての今後の政府の考え方がございましたらお聞かせを願いたい。  いま大臣がおっしゃいましたのは基本的な考え方だと思いますが、具体的にはさっき言いましたECなりあるいはカナダの関係で詰めておるような方法、こういう点をお考えでございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  26. 間淵直三

    間淵政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように対話の場というものが非常に大切でございまして、先生の御指摘のカナダとかオーストラリア、ECといったようなものが常設的な対話の場を持っておるということもございまして、私どもといたしましてもこういう常設の場を持ちたいということをかねがね向こうに通じておったわけでございまして、先般、その対話の場として協議フォーラムというものが日本との間に設けられまして、この数日前第一回の会合を終えたところでございます。  今後ともこういう場を足場といたしまして対話を一層深めていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 宮田早苗

    宮田委員 次に、中小企業分野海外進出についてでありますが、これは非常に活発になってきておるわけでございまして、輸出契約の数字でも中小企業が契約の半分を占めているということと、さらに、プラント産業のすそ野が広く、国内の中小企業への波及効果が非常に高いわけです。  このような観点から、行動転換に迫られている中小企業対策としてプラント輸出産業を考えてみる必要があると思うわけですが、この点政府はいかなる施策を考えておられるか、その点についてもお聞きいたします。
  28. 杉山和男

    森山(信)政府委員 先生指摘のとおり、中小企業プラント輸出海外建設工事分野に積極的に進出いたしますことは、中小企業の近代化のためにも、あるいはわが国貿易構造の高度化のためにもきわめて重要なことと考えておるわけでございます。しかしながら、中小企業の場合、せっかく高い専門的技術を持っておりましても、海外の需要をなかなか正確にキャッチできないという問題もございますので、私どもは、そういう観点から、日本プラント協会におきます中小プラントの引き合い、あっせん、指導、中小プラント調査団の派遣、ジェトロ海外建設協力会等によります情報提供を従来とも行っておりますが、こういう業務を今後とも活発化してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、輸出保険のサイドにおきましても、中小企業の方々の利用しやすいようなかっこうで考えたい、たとえばいま御審議をいただいている輸出保証保険においてのすそ切りをできるだけ中小企業の方に活用していただくような線に持っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  29. 宮田早苗

    宮田委員 またASEAN問題にちょっと返らせていただきますが、増田審議官がお行きになりましたのは先月の二十七日から三月十日ですか、報道によりますと経済協力の基盤づくりのことだそうでございまして、この点は結構かと思いますが、各国とも関心を持って迎えたのじゃないかと思います。  そこで、それぞれの国がどういうプロジェクトに日本の協力を期待しておるか、わかっておりますなら、まず、説明をお願いいたします。
  30. 杉山和男

    ○杉山説明員 お答え申し上げます。  正式にはASEANとしていかなるものを日本に要請するかという話はまだ参ってきておりませんが、ただ、いろいろな交換ベースの話、あるいは先ほどお話しのございました増田審議官の海外出張等々を通じまして私どもが推定いたしておりますのは、ASEANの共同プロジェクトとして定められた五プロジェクトあたりがまず日本に対する経済協力要請の対象プロジェクトとして出てくるのではないかというふうに考えております。  これは申し上げますと、インドネシア、マレーーシアにつきましては尿素肥料プロジェクト、フィリピンにつきましては過燐酸肥料プロジェクト、タイにつきましてはソーダ灰プロジェクト、と、このあたり天然ガスの活用、それから農業上の必要ということで肥料プロジェクトが主体になっておるわけでございますが、さらにシンガポールのディーゼルエンジンプロジェクト、こういうものではないかというふうに考えております。
  31. 宮田早苗

    宮田委員 経済協力といいましても、従来のままだといろいろな批判もあるわけでございまして、これからの経済協力をする上での障害というものが考えられると思いますが、これを何とか乗り越えなければならぬと思います。  そこで、いろいろなむずかしい問題に当面するのじゃないかと思います。障害というのはちょっと言い過ぎかと思いますけれども、そういう問題の調査もされたのじゃないかと思いますが、どういうものが障害になっておるか、その点をまずお聞きいたします。
  32. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  障害の問題としましては、相手国のいろいろな複雑な事情やらその他いろいろな問題があることは申すまでもございませんし、また、アラブ各国に対しまして日本がアプローチをする面がいままで非常に少なかったことや、あるいはまた語学上の問題もございます。こういうふうなものは対外的な問題でありますが、また、障害の中で一番対内的な問題がありますのは、単体の輸出やなんかとは違いまして、大型のプラント輸出あるいは大型のプロジェクトになりますと、日本の役務、日本の頭脳、日本の技術を売っていくわけでありますから、それに対しまして日本自体の制度がまだ完備されていない。  その解決の一つが御審議をいただいておりますボンド保険の問題でもございますが、総じてこの輸銀法の十八条等にあります保証債務等につきましても、先ほど先生が御指摘になりましたように、現地労働者を使い、現地でいろいろな機材を購入するといったような場合は、一つのコントラクトの中におきます先方の国で買いつけたり何かするようなローカルコストが非常に多いということは、いままでの日本の金融機関あるいは政府の金融機関でさえもそれに対する担保というものが取れないということが大きな欠陥でございます。そういう面も今度のボンドの保険の問題あるいはまた建設関係の基金の問題、さらにその次にはローカルコストのシェアの高いものに対しましても、金融とか保証とか担保というふうな制度を国内的にもっともっと整備していきませんと円滑な契約の履行ができない。こういう問題が国内的には未解決で残されております。
  33. 宮田早苗

    宮田委員 さきの質問のときに、政府発展途上国に対する国際開発援助についての伸び悩みについて、不況とか財政難とかいうことで私が申しましたことに御答弁があったわけでございますけれども、どうも不況、財政難ということだけではないような気がするわけでございまして、別にさらに大きな原因があるんじゃないかというふうに思うわけでございますが、その点を掌握されておりますならば、ちょっとむずかしい質問だと思いますけれどもおっしゃっていただきたい。  財政難とそれから不況ということでなしに、この種の関係を活発にするためには、別に伸び悩みの原因があるんだというようなことを調査とかいろいろな情報でお調べになっておりましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
  34. 杉山和男

    ○杉山説明員 お答えいたします。  たとえば一つのプロジェクトが発展途上国との間に約束ができまして、これに対しまして日本から経済協力を行っていこうという場合に、これはなかなかプロジェクトが進展しないという場合が例として挙げられるかと思います。これを考えてみまするに、発展途上国のサイドにおきまして、本当に初めからいいプロジェクトを協力要請の対象として持ってきたかどうかというあたりを反省してみる必要があるのではないかというふうに考えます。つまり、発展途上国の中で考えられるプロジェクトの中で日本が初めから協力をして優良なプロジェクトというものを発掘いたしまして、これを形成いたしましてこの実現にいろいろの力をかすということが必要ではないか、この相手国の開発計画の中に入ってまいりまして手助けをいたしまして、初めから優良プロジェクトを形成していくという努力が必要ではないか、こういうふうに考えます。
  35. 宮田早苗

    宮田委員 開発援助の落ち込みによって、先進諸国あるいは発展途上国もですが、非常に批判が強くなっておるわけでございますが、これに対する対策について、いままでもいろいろおっしゃっておりましたが、特に中期計画等の必要があるんじゃないかと思う。こういう点を明確にわが国がいたしますと、受け入れる国々も案外に参考にしながらこれを活発にする一つの原動力になるのじゃないかと思うのです。  いわゆる開発援助に対する中期計画等を考えておいでになると思いますが、その点について何かありましたら御説明を願いたいと思います。
  36. 田中龍夫

    田中国務大臣 中期計画と申されますのは、国民経済計算の中に占める対外投資の長期展望という意味でございましょうか。ちょっと御質問の点が把握できないのでございますが……。
  37. 宮田早苗

    宮田委員 対外開発ですね。開発援助に対するこれからの方向を指し示す計画といいますか、中期の計画でもございましたならばひとつ御説明願いたいということです。
  38. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの御質問でございますと、まず大別いたしまして、ASEANを含みます東南アジア方面の、ことに後発途上国に対しまする計画ですが、ところが、これだけを取り上げてみましても、御案内のとおりに、デタント以来の非常に長期にわたります戦乱地帯でございまして、われわれの方といたしましては、本来ならば、あそこの後発途上国から日本原料といたしましてのすずとか亜鉛とか木材とかのいろいろな安定供給をこちらが開発して受けなければならないような計画も存在し得るわけでありますが、現実には各国が非常に戦火に追われておるということと、また、かの地におきましては農産物のような場合は三毛作地帯でありますので、従来は非常に米産地帯でありましたものが一転いたしまして、農業生産者が鉄砲を担いで消費者に回ってしまうというようなことから、むしろ非常に食糧難に見舞われる。しかし、これが平和が回復しますればまた農業生産が復活し、特に米作地帯でございまするから世界食糧の上にも大きな貢献をいたすでございましょうし、そういうふうに後発途上国自体を見ましてもなかなかまちまちでございます。  同時に、各国がこのプロジェクトファインディングと申しますか、中期の計画でもつくることができるような状態ならよろしいのでございますが、これがまたなかなかできないというふうなこともございまして、ただいま担当官が申しましたように、われわれの方としてはそういうところにむしろ最初のプロジェクトを発掘し、また、こういうことをやったらいいというサゼスチョンも与え、そしていわゆる中間のフィージビリティースタディーまでずっと一貫してやっていくということができればいいが、それがなかなかむずかしいし、それから、また、中近東方面におきましてはどうかといいますと、これまた産油国同士のいろいろOPECの内情もございまして、先方からの多発的な要望はありましても、なかなかそれが統一されない。  そういう点から、先ほど申し上げましたASEANが一定の中期に対しまする分野を決めて、そして今後の発展に貢献しようというような姿はまことに望ましいことでございまして、それに対してはわれわれの方も喜んで交渉に応じ、同時にまた全力を挙げてこの平和の再建のために努力をしなければならぬというふうに考えております。
  39. 宮田早苗

    宮田委員 質問はこれで終わりますが、最後に要望をしておきます。  援助を実施するための体制についてでございます。ただいま審議しております輸出保険法は援助の非常に大きなものだと認識しておりますが、やはり、事が対外的なものだけにわが国の体制の一元化というものが特に必要じゃないかと思うわけでございます。体制の一元化と言うとちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、外務省ということだけではなしに、通産省労働省ですね。そういう面についてきちっとした体制をつくって初めて受ける側の立場も安心して発注ができるのではないかと思いますので、その点について特に留意していただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
  40. 野呂恭一

    野呂委員長 大成正雄君。
  41. 大成正雄

    ○大成委員 大成でございます。輸出保険法改正に関しまして若干質問をさせていただきたいと存じます。御承知のとおり、わが国輸出貿易をめぐる問題が最近いろいろ起こっております。アメリカのカラーテレビ、あるいはヨーロッパのベアリング、造船、あるいはまた電卓、時計、カメラ等いろいろな問題が起こっておるわけでありますけれども、このプラント輸出あるいは建設工事海外受注といった問題については、むしろこの海外のニーズにかなったものとして、好まれる輸出として今後大いに助長もしていかなければなりません。同時に、また、貿易構造そのものも高度化をしていかなければなりませんし、何よりも、国内的には、いわゆる減速経済下における民間設備投資の停滞という面からいたしまして、このプラント輸出あるいは建設関連の海外進出というものを大いに助長していかなければならないと思うわけであります。  そういった意味におきまして、今回政府輸出保険法改正いたしまして、既存の八つの保険に対して新たに輸出保証保険、ボンド保険を今度制度化することは非常に結構なことだと私は思うのでありまして、このプラント輸出あるいは建設工事海外進出をさらに助長する意味において若干質問をさせていただきたいわけであります。  あらかじめ質問通告をさせていただいておるわけでありますが、順序を変えまして、最初に、最後の五番目に通告しておりますが、この問題から入らせていただきたいと思うのでございます。  御承知のとおり、四十九年二十五億ドル、五十年で五十二億ドルというように倍増してきておるわけでございますけれども、その実態をつぶさに見ますと、通商白書等でも指摘しておりますように大型工事で敗退する事例も出ている。あるいは海外競争力が弱いとかいろいろな問題もあるわけであります。OECDの統計から見ましても、これは七四年の統計でございますが、プラント輸出シェアアメリカ、西ドイツ、イギリスに次いでわが国が四番目ということになっておるわけでございます。そこで、このシェアを高めるためにどうしたらいいのか、政府はどういうふうに考えておるのかということであります。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕  私は、この輸出保険制度に新たな制度を加えるということだけでプラント輸出あるいは建設工事海外進出がさらに大幅に助長されるとは考えておりません。むしろ、内包されているいろいろな問題があるわけでありますから、これにメスを加えていかなければならないと考えるわけでございますが、まず、今日の現状からして、どうしたらこのプラント輸出なりあるいは建設工事海外受注を促進することができるのか、この問題点は何なのか、これからひとつお聞きしてまいりたいと思います。
  42. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘をいただきましてありがとうございます。  ただいまも宮田委員にお答えいたしましたように、このメカニズムの点において構造的に非常に不備が多いと私は思っております。その中の一つの解決が今度のボンド保険でございまして、そのボンド保険をつくりましても、今度は大体資金枠というものがなければなりません。御案内のとおりに、大体のところ七千三十億という一応の目安を確保してあるわけでございますが、これとてもさらにもっと大きな需要がございます場合にはさらに増加する目安もあるわけでございます。  このボンド保険の新しい制度の創設と、それに対する枠は一応確保されましたが、今度は建設業等のような役務のウエートの非常に高いものになりますと、先ほど申し上げましたように、金融機関というものの担保制度というものが、これがローカルコストが多い分野でございますとそれをカバーできないというようなことで、大型のプロジェクトあるいはアサハンの問題、あるいはその他のいろいろな問題は非常に無理をしてコンソシアムをつくり、シンジケートをつくって解決してまいったのでありますけれども、やはり、金融機関というものがローカルコストの多い大型プロジェクトに対しての担保という問題でまだ制度上の不備が残っておると私は存じておる次第でございます。こういうふうな問題も基金の別途創設やら、分割発注というようなことやら、いろいろな方法で当面解決していかなきゃなりませんが、そういう点では輸銀法その他もさらに改正を必要とするような段階もあるであろう、かようにも存じております。
  43. 大成正雄

    ○大成委員 過去の実績等から見ますと、西ドイツあたりの場合、OEC関係国向けが七〇%を超えておる。わが国の場合には、発展途上国が七四%、先進国七%といったプラント輸出の現状でございます。なお、かつ、この取引形態からいたしましても、延べ払いが件数で四八・五%、また、金額で五七・七%という数字になっておるわけでございます。また、特に代金決済の金融面等から見ますと、サプライヤーズクレジットの占める率というものが全体の六〇%から七〇%を占めておるという状態です。この現状からしますと、発展途上国には御承知のとおり外貨がない、お金がない、したがって現金払いができないということと、また、非常に大幅な延べ払いである。要するに、日本プラント輸出建設工事海外進出の現状からしますと非常に痛しかゆしといった点も多いわけであります。  こういったギャップなりハンディをどのように政府は解決し、これを助長しようとしているのか、具体的に承りたいと思います。
  44. 杉山和男

    森山(信)政府委員 ただいま大成先生から御指摘のございましたように、わが国プラント輸出は、経済協力全体として考えてみますと発展途上国に対するウエートが非常に高いわけでございまして、一方、アメリカ西独等、言ってみますとプラント輸出の先進国におきましてはかねてよりプラント輸出を進めておりましたので、どうしても需要の先進地域に対して行ってきたということがございます。  私どもといたしましては、御指摘のとおり、輸出入銀行の資金等を利用いたしましてプラント輸出の促進をいたしておるわけでございますが、サプライヤーズクレジットの枠がきわめて多いということも御指摘のとおりでございまして、従来、わが国の場合、プラント輸出はサプライヤーズクレジットが原則であるという線を堅持しておったわけでございますが、この四、五年来、バイヤーズクレジットにつきましても、あるいはバンクローン等につきましても積極的に利用を進めるということでございまして、前回の輸出保険法の一部改正におきましても、バイヤーズクレジット、バンクローンに対する保険の引き受けの制度も新設をしたわけでございます。また、現実に昭和五十二年度の財政投融資におきます輸出入銀行の貸付枠の増大におきましても、バンクローン関係を四五%伸ばしたいということもございまして、逐次バンクローンに対するウエートを高めてまいりたい、こういうふうに判断しているところでございます。
  45. 大成正雄

    ○大成委員 こういう現状を国の援助等によって、あるいは新たなる制度化によって打開していけるように、政府としてもぜひ一段の御努力を願いたいと思うわけであります。  そこで、建設工事海外発注も最近非常に伸びております。五十年度で言いますと約三千五百億をちょっと超えております。しかしながら、わが国建設業界の海外進出を見ますと、まだ非常に海外受注率が低い。総受注額の五%ぐらいです。これを一〇%ぐらいに伸ばそうとして努力している会社もあります。たとえばアメリカなんかで例を挙げますと、フルアー・コープ社あたりは海外工事の比率が九四・四%、ブラウン・ルーツ社が二二・八%、ベクテル社が三八・一%であります。このベクテル社は鹿島、大成と業務提携しておりますけれども、そのように、アメリカあたりの建設業者に比べますと、日本建設業者はまだまだ海外の受注が弱いわけであります。  きょうは建設省からどなたか来ていただいていると思うのですけれども、日本建設業界はいままで海外で非常に活躍してまいりました。特に、五十年度だけを見ましても、香港の地下鉄工事七百億、スエズ運河五百億、イラクのコンビナートの造成で千二百三十億、シンガポールの空港で三百億、あるいはテヘラン郊外の住宅二万戸で三千億とか、クウェートのニュータウンの千五百億とか、エジプトのホテル等の観光関連工事千五百億とかありますが、ほとんどが民間自力でそういった市場開拓をしておる。政府がめんどうを見て援助してやったがためにそうなったという事例は少ないような気がいたすわけであります。特に、わが国の公共事業も精いっぱいやってもらわなければなりませんけれども、高度成長下に蓄えられたわが国建設業界の力からするならばもっともっと海外市場開拓をしてもいいと考えるわけでありますが、この点、どうしたら政府主導型によって大手建設業界あるいは中小建設業界の海外進出を助長できるのか、問題点は何なのかも承りたいと思います。  関連いたしまして、発展途上国等では民族主義的な性格が非常に強いわけでありまして、資本の持ち出しというものを非常にきらいます。資本流出をきらいます。そういうことで、いわゆる現地法人化されたものでなければ契約しないといった例が出てきております。ブラジルであるとかインドネシアなんかはもう現地法人以外は契約しないということ等もあるわけでありますが、ボンド保険の場合には、これは通産省の方ですが、現地法人に対してはどのように補償をされるのですか。その点もひとつお聞きしておきたいと思います。
  46. 中川澄人

    ○中川説明員 ただいまお尋ねのわが国建設業の海外進出の状況並びに、それが欧米諸国に比べまして非常におくれをとっておる事由はどういうことかというお尋ねでございますが、一般的に申し上げますと、欧米先進諸国での国内の建設需要というものは、当該諸国のGNPの割合に比べますとかなり低位でございます。わが国は単純にGNPと建設投資の割合を出しますと二〇%を若干超えるという程度でございまして、非常に額が多いわけでございます。これは社会資本が十分整備されていないとかいうような関係でそうなっておるわけでございます。  したがいまして、わが国建設業の大手と言われるところは、世界的に見ましても、契約高といいますか、完成工事高といいますか、そういうものは非常に大きいわけでございまして、つまり、国内に十分な投資機会が従来あったということが言えるかと思うわけでございます。そういう実情を反映いたしまして、四十五、六、七年ごろにおきましては、大体海外建設活動が五百億を割るというような状況でございます。  その後、オイルショック等で国内の建設投資が急激に減ってまいりました。受注機会も同時に減ってまいりまして、言うなれば、建設関係につきましても輸出ドライブがかかっておるという状況下にあるわけでございます。先ほどの先生の御指摘アメリカの状況にもございましたが、アメリカのランキングの上位を占める建設会社海外工事のウエートが非常に高い。その前年のトップの会社は国内建設工事が一〇〇%というようなところでございますが、それがフルアーがトップに出ました年にはもう上位のランキングから姿を消しておる、低位に落ちておるというような状況で、アメリカにおきましても似たような現象があるように思われるわけでございます。そういうことで、五十年度のわが国建設事業海外活動は三千億を超える、五十一年度は四千億程度に達するのではないか、こんなふうに見ておる現状でございます。  問題点といたしましてはそのようなことで、国内に受注機会が恵まれておったということで、海外で受注を取るという体制が必ずしも十分にとられていないということが一般的に言えるかと思うわけでございますが、そのほかに海外建設工事の大型化に伴いましていろいろと事前の調査に多額の費用が要るとか、あるいは国内にはそういう慣行がないにもかかわらず、国際的な慣行によって各種のボンドを提出しなければいけないとか、そういう問題点が多々ございます。  このような問題点は急に解決するというような性質のものではございませんけれども、逐次対策を講じてまいりたいということで、さしあたりまして、五十二年度におきましては政府から補助金一億円をいま用意することにいたしておりまして、社団法人の海外建設協力会にこれを交付いたしまして、民間企業からの出捐金も含めまして海外建設促進のための基金を設けまして、事前の調査費に対する低利の融資というようなことを準備いたしておるわけでございまして、このようなことで逐次対応策を進めてまいりたい、こういう状況でございます。
  47. 大成正雄

    ○大成委員 せっかく建設省から来ていただいていますからもう一点だけ承りますが、大事なことは、建設にしてもプラントにしても、要するに海外のニーズを事前にどのように早くキャッチして対応していくかということが問題だと思うのです。また、同時に、いま申し上げたとおり、この調査費に非常に金がかかるとかいろいろ問題があるわけですが、この国際協力事業団海外開発計画調査委託費制度というものがあるそうですけれども、この制度の活用はどういう状態になっておるのですか。これは通産省でしょうか。  それから、日本プラント協会に対して国はどの程度援助しておられるのか、その点もついでにちょっと承りたいと思います。
  48. 杉山和男

    ○杉山説明員 海外計画の事前調査でございますが、国際協力事業団関係は、外務省に計上されております予算と、それから通産省に計上されておる予算と両方ございます。  外務省の方は五十一年度四十億八千百万でございまして、五十二年度予算案には五十五億一千九百万が計上されております。予定件数といたしましては、五十一年度が九十一件、五十二年度が百六件ということになっておりまして、その主たる目的は、社会インフラあるいは農業関係のプロジェクトを主たる対象としているわけでございます。  それから、通産省に計上してございますのは、五十一年度十四億三千四百万円でございまして、二十九件の調査委託費でございます。それから五十二年度は十七億九百万、三十八件を対象といたしております。通産省関係は主として鉱工業のプロジェクトの事前調査ということになっているわけでございます。
  49. 大成正雄

    ○大成委員 次に、中小企業関係について承りたいわけでありますが、先ほど民社党さんの方からの御質問にもあったようでございますけれども、私は論点を変えて伺いますが、輸出保険法の十条の二の第二項に、「外国為替公認銀行その他政令で定める者」とされておるわけでありますが、商工中金はこの取扱銀行になっておりますか。
  50. 杉山和男

    森山(信)政府委員 ただいまの先生の御指摘のとおり、十条の二の二項におきまして、取り扱いは政令で定めるということで、「外国為替公認銀行その他政令で定める者」となっておりますが、御指摘の商工中金は御承知のとおり外国為替公認銀行ということでございますので、当然にボンド保険の対象というふうに私どもは考えておるところでございます。
  51. 大成正雄

    ○大成委員 商工中金が扱う海外進出案件について、その下限をどの程度で押さえるのか、政府としてどのように考えておられるのかを承りたいと思います。一件ごとの下限です。
  52. 杉山和男

    森山(信)政府委員 中小企業の方々に利用していただきやすく下限を定める、いわゆるすそ切りということでございまして、現在法律段階でこれを決めることではなくて、内部の取扱規程で決めさせていただきたいと思っておりまして、具体的にどういう線ということはまだ結論が出ておりませんが、できるだけ低く、御利用しやすいような線に持っていきたいと思っております。
  53. 大成正雄

    ○大成委員 ただいまの御答弁で十分だと思うのですけれども、中小企業の皆さん方がそのケースごとにできるだけ政府の保証が得られるように、この下限の設定等についても御配慮をいただきたいことを御要望を申し上げておきます。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕  次に、日本輸出入銀行が本年度の財投計画で七千三十億の、先ほど大臣もおっしゃっておられましたが、計画を持っておられるわけであります。細かく言うと時間がありませんから大ざっぱに申し上げますが、この七千三十億の主たるものは何だ、目玉は何だ、これをひとつお知らせいただきたいと思います。
  54. 杉山和男

    森山(信)政府委員 七千三十億と申しますのは、五十一年度に比べまして約三〇%の増加でございますが、繰り返し私ども申し上げておりますように、プラント輸出重要性ということでございまして、五十二年度は五十一年度の倍増の計画を立てておりますので、それに見合う十分なる財源を確保したいということでございまして、もちろん、七千三十億で不足を生じた場合は弾力的に運用するということでございまして、調整枠は五百億をとってございますが、そういうものを活用いたしまして、プラント輸出振興に支障のないように配慮をしておるところでございます。
  55. 大成正雄

    ○大成委員 この輸出保険特別会計全体の規模等、提出されておる予算書等を見ますと、五十二年度歳入で千三百四十八億、剰余金の繰り入れで九百十九億、保険料収入で三百三十六億となっております。  そこで、このボンド保険に関しては、今年度とりあえず年度途中からということで四千億くらいというように規模を設定しておるわけでありますが、他の八つの既設の保険制度とあわせまして、この輸出保険特別会計の保証残高は現在どれだけあるのか、また、現在のこの特別会計の規模において果たして十分であると考えておられるのかどうか、また、安全率、保険料率の設定等について、海外のこの保険料率、安全率と比べてみたときに日本のそれが劣るのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  56. 新井市彦

    ○新井説明員 現在の輸出保険特別会計責任残高は十五兆円余りでございます。これに対しまして、その準備高は現在におきまして八百五億でございまして、支払い準備率〇・五二%となっております。今後この支払い準備率も徐々に増加する見込みでございまして、現行保証率のもとで輸出保険の責任残高もまた増加するわけでございますが、その率は徐々に向上していく見込みでございまして、現在の水準でこれを改定する必要はないというふうに考えております。  それから、わが国の保険料率は保険種別ごとに異なっておりまして一概に申し上げることはできませんが、一般的に申しまして、諸外国と比較してかなり低位にあると言えるかと思います。
  57. 大成正雄

    ○大成委員 先ほど私が御質問申し上げた中の日本プラント協会に対して政府はどのように援助しておられるのか。私は、今後のプラント海外進出を助長する意味でこれは非常に大事な機関だと思っておりますので、御答弁がなかったので、もし答弁漏れでありましたら答弁していただきたいし、わからなければ後ほどお知らせをいただきたいと思います。  最後に、韓国等に対するプラント輸出関係でありますが、余り細かいことまで聞いてもなんですけれども、一つだけ聞いておきたいと思います。  過般政府韓国の新しい近代化計画の調査団を派遣されまして、近いうちその報告がなされるはずであります。また、この計画の中にはいわゆる韓国の重工業化のための数々のプロジェクトがあるはずであります。そして、これらに対しても当然このボンド保険は適用されるでしょうし、他の輸出金融あるいは他の保険制度の援助もあるはずだと思うわけでありますけれども、この韓国向けの今後のプラント輸出、特に韓国の新しいこの計画に対応した日本プラント輸出の姿勢というか、考え方について承っておきたいと思います。
  58. 杉山和男

    森山(信)政府委員 まず、プラント協会に対します助成でございますが、七千五百万円程度を補助金といたしまして交付いたしておりまして、これをベースにいたしましてプロジェクト発掘の事業を行ってもらっておるわけでございます。この中にはもちろん中小企業関係のプロジェクトチームをつくるという問題も含まれております。  それから、韓国の問題でございますが、東アジアという範疇で私どもは数字をとっておりますが、四十九年度に約四億ドルの輸出承認をいたしております。五十年度に五億ドルの輸出承認でございます。機種別に見てまいりますと、一般機械がきわめて大きいわけでございまして、その次は電気機械ということでございます。最近の数年におきましては通信機械及び繊維機械が減少傾向にございまして、相対的に電気機械のシェアが広がっておるわけでございます。また、プラント輸出関係いたします政府関係機関の資金の利用状況を見てまいりますと、輸出入銀行の東アジア向けの貸付承諾状況は、四十九年度七百億円、五十年度千四百二十億円ということでございます。  今後、東アジア向けのプラント輸出承認に当たりまして、他の諸国向けと同様に輸出貨物代金の回収の確実性というものを勘案いたしましてケース・バイ・ケースで対処する、これが基本方針でございます。
  59. 大成正雄

    ○大成委員 これは大臣に最後に承りますが、日本プラント輸出の機種別のシェアを見ますと、ただいまのお話にもありましたように一般機械が非常に多いわけであります。これは韓国もそうでありますし、中近東もそうでしょうけれども、プラント輸出は結構ですが、結果においていわゆるブーメラン現象によって日本産業が痛めつけられる、特に中小企業が痛めつけられるといったことのないように配慮をしていただきたい。  これはむずかしい要望かもしれませんけれども、こういった行政指導等について大臣の御見解を承って終わります。
  60. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  御心配の件は、私ども前々からプラント輸出をやりながら非常に考えさせられた点であります。たとえばこれが東ヨーロッパでありますとか中近東程度くらいまでの、アフリカというふうなところのプラント輸出でございますとこれは何にも心配はないのでございますが、身近な近隣諸国に対しますプラント輸出は、ともすれば日本の製品の貿易シェアを縮めてしまうような結果にもなるのでございまして、地域的にも銘柄的にもいろいろ検討を要する問題があるのであります。ところが、最近は非常な競争でありまして、もし日本がそれに応じなかったならばすぐに欧米各国が後の受注をして建設するということになれば、まだ日本の同じ規格のプラントをつくった方が結果的にはいいというようなことにも相なります。その辺、御心配の点は特に留意いたしながらいたしたいと思います。  それから、きょうは先生から御指摘いただいて非常にありがたいと思ったのですが、建設業に対しまする今後の進出が何といいましても非常に劣っておるのですが、元来が単体の輸出から始めました輸銀法でありますので、このプロジェクトの役務の関係につきましては日本の金融機関の構造建設業にまだなじんでいないので、これを何とかして、一体どういうふうな担保の制度をつくったらよろしいか、どうかまたいろいろと教えていただきたいと存じます。  きょうは御質問ありがとうございました。
  61. 大成正雄

    ○大成委員 終わります。      ————◇—————
  62. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本忠助君。
  63. 松本忠助

    松本(忠)委員 エネルギー問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思いますが、本会議開催までの限られた時間でございますので、答弁も簡潔で結構でございますが、お願いをいたしたいと思います。  最初に大臣にお尋ねを申し上げますが、福田総理は組閣以来資源有限時代をうたいまして、エネルギー政策を国の最重要の課題として、陣頭指揮で長期総合エネルギー対策に取り組む姿勢を示しておるわけでございます。石油にかわる原子力あるいは石炭あるいは液化ガス、太陽熱、地熱等いろいろと代替エネルギーの開発がございますが、それと並行しまして、石油の安定確保のためのエネルギー外交強化を含めたところの新政策を打ち出しているわけでございますが、今回の総理の訪米に当たりましての、カーター大統領とのワシントンでの会談の中での日本側の最重要な課題は、原子力エネルギーを今後とも有効に利用するための使用済み核燃料の再処理を認めさせることでなかろうかと私は思うわけでございます。  私は、このような一連の政府の動きを見ておりますと、すべては次は原子力なのだ、原子力しかないのだという考え方に固まっているのではなかろうかとも疑いたくなるわけでございますが、何はともあれ、まだ総理が帰国をされていないわけでございますし、新聞報道の段階でございますので、帰国後詳細にその会談の内容もわかると思うわけでございますが、先般発表になりました訪米の共同声明の中でも、大統領は、新原子力政策の立案に際し日本の立場に十分配慮を払うことに同意したという点で発表がされております。一部では、わが国の主張を米国が理解して、今後の交渉の基盤ができたと受けとめているようではございますけれども、これは玉虫色の発表でございます。米国は、これまでの方針から、対日ウラン供給の保証にとどまるということになるのではなかろうかと思うわけでございます。  当商工委員会といたしましても、総理の帰国後この報告を正式に受けたいと思うわけでございますが、その報告をする用意があるかないか、これをまず大臣から最初に伺いたいわけであります。
  64. 田中龍夫

    田中国務大臣 もちろん、総理が外国に使いをされまして、そして国会に対しましては詳細に御報告を申し上げなければならぬと考えておりますが、当委員会にお出ましいただいて御報告をいただくかどうかということは委員会の方のことでございまして、私はいまちょっとそれを申し上げかねます。  しかしながら、いまお話がございましたように、今後の外交交渉の一番重大な問題はこの核燃料の再処理の問題でありまして、そのことにつきましてはわが国事情もるる申し述べ、また、米国側に強く申し入れをいたしたような次第でございまして、このことは総理が帰国されましてから早急に協議を行うことが合意事項と相なっておりますので、しかるべき担当者がこれから鋭意この問題について話を詰めるという段階に参る予定でございます。  なお、きょうはどうせ総理が飛行場から真っすぐに予算委員会にお入りになりまして御報告もあると存じますので、さらにまた当委員会におきましてもお聞きいただいたらどうかと、かように存じます。
  65. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理の報告の中身の点についてまで私どもはいますぐと言うわけではございませんが、今後の政府交渉によってはっきりしてくる点については、私はそれぞれの機会を通じてまた承ってまいりたいと思っております。  しかし、それ以前の問題としまして、国民の中に原子力開発に対する根強い不安というものがある点は指摘せざるを得ません。要するに、この点についてのわが国の国民的なコンセンサスというものがまだできていない。原発に対する国民の意識というものはまだまだ非常に流動化している。政府、財界がマスコミを使いまして巧みな宣伝をし、そしてまたエネルギーの危機を叫んでおるようでございますし、こういう恫喝を受けつつも、相次ぐ原発の故障、事故、放射性廃棄物の処理方法の不備などから、事実われわれを初めとして不安ど不信を強めているのが実情ではないかと思います。  また、一面、必要悪であるという考え方をする者も一部にはあるわけでございまして、一体この必要悪の必要の中身は何かというと、それはまさしく政府、財界の必要であって、国民の必要ではない。悪をそのままにしておけば、後世取り返しのつかないような悪になった場合どうするのか。こういう中にありましてそれほどまでに原子力開発に執着をするという理由が一体何なのか。エネルギー危機というものが叫ばれておりますが、このエネルギー危機を救い得るものは原子力しかないんだという考え方は、これはどうも私どもは受け取れないわけでございます。  もちろん、政府としてもこれにかわるものとしてのサンシャイン計画なども挙げているわけでございますが、本当に原子力しかないのか、その考え方を大臣はどう思っていらっしゃるのか、この点をお答えをいただきたい。
  66. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、エネルギーの大宗をなしますものはやはり原油でございまして、その確保ということも非常に努力をいたしつつあります。それから、また、国産のものに依存いたします場合に、石炭あるいは水力というふうなものもございます。しかし、全体の、どんどんと高度に成長いたします日本の国家経済に対しまして、相当量の不足するエネルギーを準国産としての原子力に頼ろうということは、これはもう必然そうならざるを得ないと存ずるのでございます。  なお、これらの計画につきましての詳細は政府委員からお答えをさせていただきます。
  67. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣のお答えを一応ちょうだいしまして、時間もございませんから私は次に進めたいと思います。  日本のように非常に人口の過密な国で、そしてまた省エネルギー政策というものを考えなければならないというこの時代に当たって、本当に日本としてはエネルギーの単位面積当たりの消費では先進国の中ではトップとなっているわけでございますし、今後、環境保全の上からも消費量の増加にできるだけブレーキをかける必要を私は痛感しております。今後のエネルギー行政というものは、エネルギーの確保はもとよりでございますけれども、いかにして少ないエネルギーで高い成長率の達成ができるかということと、また、エネルギー問題が、いままでの環境破壊から、破壊しないという消極的な政策でなくて、積極的に環境を保全していくのだという立場に立って考えるべきではなかろうかと私は思うわけでございます。  省エネルギー対策というものについていろいろと問題が言われておりますけれども、とにかく、日本の国としては、いまエネルギーの消費節約ということを考えなければならないときでございます。御承知のように、国内の資源はございませんし、そして、また、石油の輸入というものに頼らなければならない。それにはまたマラッカ海峡の通過の問題もあります。そしてまた備蓄のためには、コンビナートを増強しようとすれば住民の反対運動がある。こういった中において消費節約運動というものは間断なく進めなければならないと私は思うわけでございますけれども、とにかくそういうものが、いまの政府の考え方を見ておりますと、何やら、一服できた、備蓄も若干できたという感じで、この石油の消費節約というものに対してはどうも一歩後退したような気がしてならない。これは石油精製業者の圧力があるのではないか、あるいは売らんかな商法というものがあるのではないか、こうしたものに通産省が影響を受けて行政指導を少し手控えているのじゃなかろうかというような気持ちがするわけでございますが、エネルギー節約運動にもっともっと前向きに取り組むべきではないかと私は思いますが、大臣の御所見を伺いたい。
  68. 田中龍夫

    田中国務大臣 米国その他の各国の例によりましても、エネルギー節約という節約の運動、省エネルギーの効果は相当評価してよろしいのでございまして、われわれの方もその面におきましては今後ますますこれらの運動を展開いたしたい、かように存じております。  なお、また、経済全体の落ち込みといいますか、景気の落ち込んでおります関係からそちらの方面の消費が緩和されておりますので、私どもが気が緩むこともあるかもしれませんが、このエネルギーの節約運動だけは、あるいは熱管理の問題あるいはこれらの省エネルギーのための開発といった問題とぜひとも今後取り組まなければならないと考えておりますので、どうぞよろしく御協力をいただきます。
  69. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣の答弁のように、石油の消費の節約ともっともっと前向きに取り組むと同時に新エネルギー開発の問題に取り組んでいくべきであろうと私は思いますし、現在、原子力の平和利用の安全性が未確認であるというところから大きな問題を抱えているわけでございますので、政府としてもサンシャイン計画が発足をしたものと思うわけでございます。  四十九年の七月以降サンシャイン計画が発足いたしまして、自来今日に至るまで、外国の先進諸国日本とを対比してみた場合に一体どんな状態なのか。先進諸国で新エネルギーの技術開発に費やしている予算面と対照してみて、日本の取り組み方についてもう一度御検討願わなければならぬのじゃないかと私は思うのであります。  たとえて申しますと、太陽エネルギーであるとか地熱エネルギーの開発を予算面から見て、金額的に日本アメリカあるいはヨーロッパの諸国を対比してみた場合に、一体日本はどんな状態にあるのか。中身についてはなかなかむずかしいと思いますので、予算面の金額だけでも結構でありますが、この面をひとつ示していただきたいと思うのでございます。
  70. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  サンシャイン計画といたしまして予算面に上っておりますのは、昭和五十二年度におきます四十八億七千万円でございまして、これは一部の技術についての基礎研究の段階からプラント開発の段階に対しまする経費でございます。  なお、詳細は担当の工業技術院の政府委員も参っておりますから、お答えをいたします。
  71. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 諸外国の新エネルギーの技術開発の状況でございますが、現在、アメリカ、ドイツあるいはフランスにおきましていろいろ見直しが行われているようでございますが、いままでに入りましたデータでお答え申し上げます。  日本におきましては、いま先生案内のように、五十二年度の予算案におきまして四十八億七千万という数字でございます。  アメリカにおきましては、一九七〇年度、太陽が三百六十億、地熱が百五十億、石炭が千百七十億で、この数字は変わる可能性が相当ございます。  それから、ドイツにおきましては、一九七五年から七九年まで、太陽が百十億、石炭が五百八十億と聞いておりますが、これも最近の新聞情報によりますといろいろ変えて行っておると聞いております。  それから、フランスにおきましては、太陽が六十九億、地熱が八十一億、これはいずれも一九七七年の数字でございます。
  72. 松本忠助

    松本(忠)委員 それで、いまの日本のエネルギーの総予算はわかりましたが、太陽熱エネルギーだけで五十二年度の予算は幾らですか。
  73. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 五十一年度予算といたしましては十四億一千九百万でございます。五十二年度の予算案につきましては十四億六千八百万となっております。
  74. 松本忠助

    松本(忠)委員 アメリカあるいはまたドイツ、フランスの例をそれぞれ挙げられたわけでございますが、いずれにしても、日本の金額とこれらの先進諸国の金額を対比してみた場合にはけた違いだと思うわけです。  こういった数字だけをとらえてどうこうは言えませんけれども、あるいは国の大きさ、または人口密度、環境等いろいろの相違がありまして、ただ単なる予算の問題だけでは全部を律することはできないと思いますが、とにかく、日本と諸外国の取り組み方において、予算がけた違いに少ないということがわかるわけでございまして、こうしたことで満足な研究開発というものができるのだろうか、今後取り組まなければならないエネルギーの開発にこんなことでいいのだろうかというふうに私どもは思います。この予算は、来年も、いままでの四十九年以降五十二年までの取り組み方を見てみると倍額などということも恐らく考えられないと思います。こんな状態ではとてもじゃないけれども遅々として進まないと思います。  そこで、今後どうするかということで、この増額が当然必要ではなかろうかと私は思うわけでございますが、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  75. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、エネルギーの問題は、五十年十二月の総合エネルギー政策というものから客観情勢の変化も織り込んで見直して、本格的に取り組まなければならぬが、その取り組む場合に、まず、第一は国民の皆様方のエネルギーに対する特に深い御理解と御協力をいただくことと、第二は必要な資金をこれに裏づけるという、この二つの目標のもとに今回の新しい体制づくりに取り組もうといたしておる次第でございます。  当然、このサンシャイン計画も節約と並びまして最も重大な問題でございますので、今後思いを新たにして取り組んでまいり、同時にまた資金的な予算の裏づけも十全を期してまいりたい、こういうように考えております。
  76. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣のお答えのように予算の面でも大いに増額もし、これに前向きに取り組んでいかなければならないことは当然のことでございますが、私は、工業技術院の方で発行している「サンシャイン計画ニュース」というものの五十一年度版をいただきまして拝見をいたしましたが、この中に「競争的開発の重視」ということがございますのでちょっと読んでみますと、「広範囲かつ、多岐な技術分野を包含する長期総合技術開発計画においては、各方面からアプローチを強め、各分野における技術的成功を集約する必要があるので、競争的開発が重視されなければならない。競争的開発の成功例は内外共に多く、またその必要性は全ての研究者に認められているにもかかわらず、我が国ではややもすればそれが、重複又は、競合と見られてきた。このことがエンジニアリング面の軽視と共に、戦後日本の技術開発の弱点となっている。サンシャイン計画では、その超長期性と総合性からも、エネルギー問題の重要性からも、特に競争的開発を重視する必要があると考える。」と、このように書かれているわけでございます。そこで、この「競争的開発の重視」ということは非常に重要なことだと私は思うのです。また、さらに、これの十七ページに、「サンシャイン計画の研究開発には多額の資金と長期の研究期間、多分野の技術的総合とその動員を要し、かつ多大の開発リスクを伴うため、国が中心となって、産・学・官の密接な協力体制のもとに、研究開発を計画的かつ効率的に推進して行こうとしている。」と書かれておりますが、ここに書かれていることと大臣のいまのお答えはどうも非常にそぐわないと私は思うのです。大臣も一生懸命に資金的にこれから予算をつけようという考えでいられるようでございますが、しかし、工業技術院の方では本当に競争的な開発をするんだと言っても、その競争的な開発というものが本当に行われているんだろうか。何か一つの研究体が自分のからの中に閉じこもってしまって、その研究を発表しない。これはいろいろの問題があると思いますけれども、この辺のところを少し考え方を改めていかなければならないと私は思うわけでございます。  そこで、工業技術院にはサンシャイン計画推進本部というものがあるわけでございますけれども、また、さらに、その新エネルギー技術の研究開発に対する提案要綱というようなものも五十二年二月に発行されておりますが、これを見ましても、サンシャイン計画というものは民間への委託研究をすることを提案しているわけです。  そこで、四十九年度以降五十一年までの項目別の委託費といったものを私はぜひとも承知をいたしたいと思うわけでございます。そしてまた五十二年度ではどのくらいの計画をしているのかということでございます。太陽、地熱、石炭、水素、総合研究といったものが大体項目別に五つの項目に分かれておりますけれども、五十二年度では一体これはどのように配分されているのかということをお伺いしたいわけでございます。  時間もございませんので四十九年から五十一年までのものについてはいま触れないでおきますが、五十二年だけの計画についてひとつお示しをいただきたいと思います。
  77. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 五十二年度の案につきましては、太陽エネルギーが十二億三千七百万円、地熱エネルギーが十四億七百万円、石炭エネルギーが四億四千八百万円、水素エネルギーが一億三千五百万円、総合研究等が一億七千七百万円となっております。
  78. 松本忠助

    松本(忠)委員 五十二年度の予算はただいま参議院で審議中でございますので、これが通ればそういうふうに分けたいというわけでございましょう。  ところで、その五十一年度ですが、五十一年はそういった予算は一体どこへどういうふうに分けられたのかという点については再々にわたりまして資料の要求をしたわけでございますが、どうも政府側としては要求に応じてくれません。そしていろいろと資料をいただきまして、五十一年度にこれらの予算が配分された団体といったものを計算してみますと、太陽が二十一、地熱が十八、石炭が八、水素が七つ、総合研究が八つ、合計六十二です。こういう中には重複して参加している団体があるわけでございますが、この重複している団体あるいは会社は幾つございますか。その点は調べていただいた御報告を聞きたいわけでございます。
  79. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 いま先生がおっしゃいましたような数字でございまして、重複の数字につきましてはただいま手持ちにございませんので、すぐ調べまして御報告申し上げたいと思います。
  80. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、時間もありませんから後で御報告をいただくことにいたしますが、ざっと私どもが計算してみましても、六十二の会社の中には、重複して、非常にいろいろの面に協力してくれている会社のあることもわかるわけでございますが、特に、三菱重工業のごときは総合研究を除いて全部に加わっている。東京芝浦電気も太陽と地熱というふうにやっているわけでございます。これらの会社はいろいろと研究の成果を逐次上げていることと思うわけでございますけれども、五十一度年までの委託研究費の個々の会社別のいわゆる予算と申しますか、金額と申しますか、そういったものにつきまして私は再々資料の要求をいたしましたけれども、どうしてもこの資料の提出がございません。そこで、私どもこの点については非常に不満でございますので、五十一年度までどこの会社に一体幾ら予算をつけたのかということを、この点は資料としてぜひ提出をしてもらいたい。この点は委員長にも御配慮を願いたいと思うわけでございます。  なお、少なくとも四十九年から発足をしておりますから、四十九年、五十年につきましては、会計検査院の方では、要するにこれの委託研究が行われ、そしてこれがどんな成果を上げているかについては、支出についての検査が十分に終わっていることと思うわけでございます。会計検査院の方に私もいろいろと問いただしてみたわけでございますけれども、とにかく、会計検査院としては、割り当てられている会社別の金額は承知はしているけれどもお答えできないということです。これはもう会計検査院としては当然のことだと思います。しかし、少なくとも通産省へわれわれの方からそういう資料の提出を要求して、その提出にこたえられないという点が私は非常に不満に思うわけでございますが、会計検査院においでをいただいておりますので、本当にそれらの会社でやったのかやらないのか、あるいは四十九年、五十年に対しては、個々の団体ごとに支出された金額というものについて調査が完了しているのかどうか、その点だけをひとつ会計検査院から御確認を願いたいと思うわけであります。
  81. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまお話しの委託費でございますが、これは新エネルギー技術研究開発委託費でございまして、数多い補助金、委託費の中でも私どもとしても重要な検査対象となっております。したがいまして、どこにどれだけ委託しているか、それがどういうふうに行われているかということにつきましては、検査の資料として十分私たちも承知しております。そして、検査も実施しておるわけでございます。
  82. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣、会計検査院では四十九年、五十年については十分に検査をし、そしてまたそれが適正であることを認めているようでございますが、通産当局として、そういうものをわれわれが要求してもなぜ要求にこたえてくれないのか。われわれの方からお願いすると、上司に相談してとか上司に聞いてとかという答えが返ってくるばかりで一向にその問題を処理しようとしないわけで、私は非常にその点を不満に思うのですね。この点は、ぜひとも資料を至急に出していただきたいと思って委員長にもいま私はお願いしたわけでございます。  しかし、もう一点私が疑問に思いますのは、いまわれわれが承知しております、調べたところの会社というのはいわゆる大企業と称しますか、大きな会社ばかりでございまして、これらの会社がどんな方法で四十九年以降このサンシャイン計画に取り組むことになったのかということで、これを私は考えてみたわけでございますが、いろいろと問いただしてみますと公募をしたとおっしゃるわけです。これは公平に公募をするということが一番正しい方向だと思うわけでございますけれども、この公募の方法というものに私はどうも非常に疑問を感じている面がございます。  そこで、四十九年以降五十一年まで、まだ五十二年は予算が通っておりませんから未決定でございますが、これらの民間企業がどういうあり方によって選定されたのか、この方法についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  83. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 委託先の選定でございますが、この選定に当たりましては、研究開発の受託を希望する者を公募いたしまして、その応募した中から、工業技術院の各課とかあるいは省内の関係部局などの職員で構成されております管理委員会というところで、提出されました研究計画内容とかあるいは応募をいたしました企業の研究開発の実績、技術的能力、それから経営の健全性というものを審査いたしました上で委託先を決定しておる、こういうような手続でございます。
  84. 松本忠助

    松本(忠)委員 管理委員会の問題も後から詰めたいと思うのでございますが、まず、公募ですね。公募をなさったとおっしゃる、その公募の方法、公募のあり方といったものをもう一度はっきりお答えをいただきたいと思うのです。
  85. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 公募の方法でございますが、通産省の広報紙でございます通産省公報というものに研究開発テーマを掲載いたしまして公募を行っておる、こういう手続でございます。
  86. 松本忠助

    松本(忠)委員 通産省公報というものによって広く皆さん方に周知徹底を図ったとおっしゃるわけでございますが、そこで、私は、五十二年度についても公募をするのかとお伺いいたしたいわけであります。
  87. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 五十二年につきましては、五月二十二日に公募をいたしております。
  88. 松本忠助

    松本(忠)委員 いよいよ時間がなくなってまいりましたので、私は質問をはしょらなければなりません。  公報に掲げたとおっしゃるわけですね。その公報は何日付ですか。  いままでもその公報を御提示願いたいと言って私はお願いいたしましたが、それによって送られてきた公報は二月二十三日付の八千百六十三号と二月二十八日付の八千百六十七号ですが、先に二十八日の方を持ってこられて、これに載っておりますと言うのです。しかし、実際にそれを見ても載っておりません。そのことを指摘しましたら二月二十三日付のものを持ってこられました。これも私は見ましたけれども、どうもそれらしきものがないわけでございます。  私は、その公募の方法というものが、一部の通産省に出入りする人であるとか、あるいはこの公報を簡単に手に入れることができる人とか——もちろんこれは政府刊行物サービスセンターがございますから、そこへ行けば求めることができないことはないわけでございますけれども、いわゆる町の発明家などというものはなかなかそうした公募の方法がわからないままにおるのではなかろうかと思うわけでございます。  いずれにしましても、何度も何度も催促した結果二月二十三日付と二十八日付の二つをお届けいただきましたけれども、この中にもそれらしきものは拝見できなかった点を私は残念に思っているわけでございます。  そこで、先ほどあなたから言われましたところの管理委員会によっていろいろ検討されたとありますが、この管理委員会というのは、この青い冊子の方を拝見いたしますと、省内の職員によって構成されるとあります。しかし、もう一つの政策委員会あるいは推進委員会というのは、省内の職員ばかりでなく、学識経験者や委託先企業従業員などといった方々も入ってやっている。それにかかわらず管理委員会だけは省内の職員が決めるということになっておるようでございますが、省内の職員だけで決めるということはちょっと片手落ちではなかろうかと私は思いますので、この点を大臣にもお伺いをしておきたいわけでございます。  時間がございませんからもうやめますけれども、とにかく、このサンシャイン計画を推進するからにはもっともっとフェアに、そして公平に行っていかなければならないと思うのですが、どうも何かしら奥歯に物がはさまったような物の言い方であって、われわれが要求した資料がなかなかもらえない。そして、また、新しいエネルギーがどのようにして開発されたかといった報告があるだろうと思うのですが、そういった報告についてもわれわれにそれを見せようともしない。私どももいろいろ手を尽くしまして、昭和五十年四月三十日の「新エネルギーの技術シリーズに関する調査研究」とかいろいろのものを手に入れて勉強はしておりますけれども、通産省は、このサンシャイン計画に対して十分門戸を開いていろいろの意見を聞きながらやっていこうという体制がどうもない。何かしら隠しているようにしか思えない。  いろいろと言い分はあるだろうと思いますけれども、競争的開発を重視されるというふうに書いてあるならば、各会社がそれぞれ開発した研究の成果というものをお互いにもっと競い合って、そしてよりいいものを実行に移していくということこそ必要ではなかろうかと私は思うのであります。国費が非常に少ない。そういう中でやっていく研究でございますし、どうしてもいろいろの問題が起ころうと思いますけれども、とにかく、いまの通産省のやっているサンシャイン計画に対する取り組み方というものをもう一度検討しなければいけないのじゃないだろうかという点を私は指摘いたしまして、きょうの質問を終わります。  最後に、大臣からその面についてのお答えだけを簡単にいただいて終わりにいたしたいと思います。
  89. 田中龍夫

    田中国務大臣 いろいろと御検討をいただいておりましてありがたいと存じますが、この種の研究は競争的な各社の非常な努力が払われており、同時に、また、この研究の内容の公表を非常にしないというたてまえのようでございます。  「競争的開発」ということがございますが、委託されました後の研究は、ある程度の成果が得られるまで、特に研究というものの本質がそういうものか存じませんが、非常に公表をしないような仕組みになっておると聞いております。
  90. 松本忠助

    松本(忠)委員 先ほどお願いしました資料ですが、四十九年から五十一年まで各会社別に五項目にわたっての研究開発が進められているわけでございますが、それらの予算を年度別に幾らずつ支出したのか、この資料だけはぜひともいただきたいと思います。  委員長からも御配慮をひとつお願いいたしたいと思います。  以上で終わります。
  91. 野呂恭一

    野呂委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  92. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水勇君。
  93. 清水勇

    ○清水委員 私は前回三月十一日に一般質問をいたしましたが、その際、東洋バルヴの倒産に関連をして、現在裁判所で進めておられる更生開始決定の時期の問題について尋ねたことがございますが、定かなことは申し上げられないが近く決定を見ると思うという情報局長の答弁を承っております。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕  その後すでに約半月間経過を見ているわけでありますが、一般的に申し立てを行って以降三カ月間くらいで開始の手続が決まるのではないかと伺っているわけでありますが、東洋バルヴのこの開始手続の決定について、その後どのような時期に決定をされるというふうな情報を得ておられるか、また、一般的に何カ月間くらいで手続開始の決定がなされているか、初めにその辺の事情をお聞かせを願いたいと思います。
  94. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  実は、先生の御指摘の件につきまして、三月八日に法律に基づきますところの意見の照会というのが通産大臣あてに出てきておりまして、具体的に申し上げますと、これは東京地方裁判所民事第八部の裁判官から通産大臣あての書面による意見照会でございまして、会社更生手続の開始申し立ての事件について、ということでございます。  これは御存じだと思いますが、更生手続の開始につきまして所管官庁の意見を求めるという条項が会社更生法上ございまして、また、行政庁といたしましても自主的に意見を申し述べる規定がございますが、それに基づきまして三月八日にこの書面が私どもに参りまして、機械情報産業局及び私ども中小企業庁の間で、現在、これに対してどういう意見を述べるかということで検討をいたしております。近々これに対する返事を裁判官あてに提出することになると思います。それが出ましてから裁判官の方ではほかの債権者との関係等を考慮いたしまして具体的なスケジュールを決めていくという手順でございますので、残念ながら、いつから手続開始だということをいまはっきり申し上げる段階にございません。
  95. 清水勇

    ○清水委員 この際希望を申し上げておきたいと思いますが、十一月二十四日に申し立てを行って以来ちょうど四カ月の経過を見ようといたしておりますが、この間すでに会社が希望退職を募集し、そして五百名になんなんとする人が現実に希望退職を申し出ているというような経過があり、かつ、また、後でこれは法務省にお尋ねをするつもりでおりますが、少額債権企業企業維持にも重大な影響と関連を有しているわけですから、通産当局、とりわけ中小企業庁としても急速に裁判所にも要請をされて、これが決定をされるよう働きかけていただくことを強く申し添えておきたいと思います。  次に、私は、法務省当局に会社更生法との関連で二、三のお尋ねをいたします。  その第一は、会社更生法百十二条の二に、「中小企業者が、その有する更生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障をきたす虞れがあるときは、」——まあ、長い文章ですから中略いたしますが、「更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより又は職権で、」「弁済をすることを許可する」と定めておるのでありますが、このことに触れてまずお尋ねをいたします。  いま申し上げた東洋バルヴの例を引用いたしますと、保全命令において十万円以下の債権については全部これを弁済をする、と、こういうふうに定められているわけでありますが、問題は、下請企業は平均して従業員数が一社当たり十五、六人でいわば小零細規模でございます。そして、下請工賃で事実上生計を営む程度という、そういう企業ばかりでございます。また、同時に親企業——この場合には東洋バルヴということになりますが、これへの依存度についても、長野県内の債権会社七十七社を見てまいりましても、そのうちの約三分の一、二十五社までが八〇%から一〇〇%という大部分を東洋バルヴに依存をしているという状況でございまして、現に、本年一月までに、うち十二社、九十七名の人員整理が行われているという状況がございます。したがって、詰めて申し上げれば、こういう企業における債権は賃金の一部と言ってもいいのではないか、共益債権と解しても妥当なのではないかと私は考えているわけでありますが、現行法では無担保債権のほとんどが切り捨てられるおそれがあって、これは大変な問題だと言わざるを得ないのであります。  そこで、提案なのでありますが、たとえば債権の一部を国が立てかえて弁済をするなどのことを含めて、必要があれば法改正を行うべきだと思うのでありますが、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。  また、当面、百十二条の二が言っている「事業の継続に著しい支障をきたす」という言い方に立脚して弾力的に法の運営に幅を持たせることができないのか。そして、管財人の申し立てまたは職権で弁済ができるような、そういう運用を確保して、そのことを通して小零細規模の下請企業の救済に当たるべきだというふうに私は考えるわけなのでありますが、更生法上の規定とのかね合いでどのような見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  96. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 御質問の第一点は、会社更生手続が開始された、あるいは開始前においても、という趣旨かもしれませんけれども、その場合には下請企業の債権の保護について法律上特段の措置をすべきではないかという点であろうかと思いますが、法律上で申し上げますと、下請企業というものはやはり更生会社とは別の一つの人格でございまして、その間の関係というものは労働契約ではなくて、あくまでも請負なりあるいは売買なり、そういう法律関係によって律せられるわけございまして、その関係が確かに現実問題としては非常に雇用に近いような支配従属の関係にあるということはあるかもしれませんけれども、法律上それを直ちに労働債権と同様に保護を与えるということはほかの法制度とのバランス上きわめて問題がございまして、さしあたりはそういう改正をすることについてはもう少し検討を要するのではないかというふうに考えております。ただ、その場合に、関連企業の債権について十分な保護を与えるように行政的な措置をとる、あるいは融資等について配慮を払うということにつきましては、政策当局で十分御検討になることではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、第二点の会社更生法の百十二条の二の関係でございますが、これは、御承知のとおり会社更生手続が開始された後の規定でございまして、会社更生手続開始前においてはこういう規定が働く余地はないわけでございます。会社更生手続が開始されますと、一般に更生債権というものは更生手続によってのみ更生計画に基づいて支払われるということになりまして、更生計画が実際に立案され、そして裁判所が認可決定をするまでは支払われないということになるわけでございまして、こうなりますと更生計画が認可されるまでに長年月を要するというようなケースにおいては非常に関係人に損害を与えるということで、関連企業の連鎖倒産を防ぐという趣旨でかような規定が設けられているわけでございます。  その前の段階の、開始決定がされる前ということになりますと、これは会社更生が果たしてできるものやらできないものやら、その辺も定かではないということになりますので、そして、その段階での保全命令というのはもっぱら会社の財産状況をそのままの状態で凍結しておくということに力点がございますので、こういう下請企業についてだけ特段の処理をするということは通常行われていないと思われます。  以上でございます。
  97. 清水勇

    ○清水委員 二つに分けていま質問をしたわけでありますが、そこで重ねてお尋ねをしたいのですが、いわゆる手続の決定後、更生計画認可の決定までの間というものにかなり長い時間がかかると見なければならぬわけですね。そこで、更生計画認可決定前でも管財人の申し立てあるいは職権で弁済をするということが法律上規定をされている。  そこで、私が言わんとしていることは、その際に事実上親企業に対する依存度が非常に高い、また、その企業自身は小零細規模である、弁済を受けなければ企業の存続を著しく阻害をする、というような状況の場合には、実態として事実上共益債権というような重い見方をしながら、たとえば政策当局の問題だというふうに逃げられてしまうのではなしに、法運用上も一定の幅を持ち、連鎖倒産はもとより企業の経営が持続し得るような方向についてもう少し裁判所側等が弾力的な運用をなすってもいいんじゃないかということを言わんとしたわけでありますから、この点について重ねてお聞かせをいただきたいと思います。     〔橋口委員長代理退席、中島(源)委員長     代理着席〕
  98. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 会社更生法の百十二条の二という条文によりますと、御指摘の弁済の許可ということをするにつきまして、裁判所は、中小企業者との取引の状況、これは先生の御指摘の、つまり、非常に依存度が高いというようなことを意味しているわけでございますが、それから会社の資産状況、つまり弁済をするだけの金があるかどうかというようなこと、それから利害関係人の利害、これは利害関係人と申しますのは、当該中小企業者が倒産するということも利害関係人の利害としていうことになりますが、そのほかにもほかの債権者もたくさんいるわけでございますから、その債権者の取り分を減らすというようなことになってはまずいと、こういうようなことを一切の事情を考慮して弁済を許可するということになっておりますので、御指摘のように、その下請企業の置かれている地位というものは十分に考慮された上で裁判所は運営に当たっておられる、かように私どもは考えております。
  99. 清水勇

    ○清水委員 ただいまの点について通産当局、とりわけ中小企業庁としてはどのようなお考えを持っておられるか、お聞かせを願いたいと思います。
  100. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 法制的な問題につきましてはいま御答弁がありましたとおりだと思いますが、中小企業対策という観点からいたしますと、更生手続開始前の問題として緊急に金融上の措置を講じて、まずつなぎの措置をとるということが第一だと考えております。これにつきましては、先生御存じのように、昨年の十一月にこの事件が発生いたしましてから、早速関係機関及び行政当局との間で機動的に現在ある制度をフルに活用いたしまして、信用保証その他の措置について出動態勢に入っております。  それで、現在のところ、たとえば下請の業者関係というのは百件弱ございますが、この人たちにつきましても、金融上の措置について商工中金及び国民金融公庫、中小企業金融公庫等を動員いたしておりますが、着々と実績を上げておりまして、現在のところ百件近くの実績がございます。  それで、御存じのように、東洋バルヴの関連倒産として出てまいりました案件で申し上げますと、中規模以上、あるいは融通手形を出し合っているといったような商社関係等の倒産は見られたわけでございますが、下請等につきましては、特にこの際ということで一身上の判断から廃業ないし転業したという例が一、二ございますけれども、そのほかの案件につきましては一応金融上の措置でつながれておりまして、さらに深刻な点はむしろ仕事がないという点でございます。  この点につきましては、法制上の問題とは別に、私ども、中小企業対策の緊急な一環といたしまして、下請企業振興協会を動員いたしまして、特に広域的な仕事のあっせんということで、東京通産局管内のみならず名古屋の通産局とも連系プレーをとりまして下請の仕事のあっせんに現在乗り出しておりまして、この事件が発生しました当時を一〇〇といたしますと、充足率が必ずしも高くはございませんが、たとえば八〇%以上の充足率で仕事をもらえたという例が、一部でございますけれども、少なくとも五〇%以上のものにつきましては相当数の下請企業がその恩恵に浴しておるという状況でございます。  下請に関する限り一時見られました相当ホットな状態が解消いたしまして、鎮静化の方向に向かっておりますが、そうは言いましても、金融でございますからいつまでも続くというわけではございませんので、やはり、債権として特別の措置をとる必要がございますので、先ほど御指摘いただきましたように、更生手続の開始という時点を早めましてできるだけ早くするという努力をいたしまして、その後におけるところの百十二条の二の条項の発動という点に鋭意努力したい、このように考えております。
  101. 清水勇

    ○清水委員 もう少し尋ねたいことがありますが、時間の関係がありますので先へ進みます。  第二に、私は、定年退職者の退職金の取り扱いについてお尋ねをしたいと思いますが、昭和四十二年に会社更生法の一部が改正をされた際、同年の七月二十日の参議院法務委員会で当時の新谷民事局長は、この一部改正労働者にとって不利にならないかという質問に対して、特に定年退職者の退職金は共益債権に格上げされるからむしろはるかに有利であるというふうに答えておられます。  ところで、開始の決定から更生計画認可の期間における定年退職者については、新谷局長の答弁で明らかなように、法改正による百十九条の二の新しく加わった三項で二百八条が適用される、そこで退職金の全額が共益債権とされる、と、こういうことでありますからいいわけでありますが、申し立てから開始決定までの間の定年退職者の退職金については、百十九条の二が仮に適用されるのだということになると、「退職前六月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の三分の一に相当する額のうちいずれか多い額を限度として、共益債権とする。」という規定が生きてしまいまして、したがって、差額といいましょうか、残りの額は優先的更生債権とされるという、そういう心配がございます。心配どおりだとすれば、著しい不均衡をそこに感ずるわけであります。  そこで、私は、申し立てから開始決定までの間の定年退職者に対する退職金についても、四十二年の一部改正の際の労働者の利益の増進という法改正の趣旨に立脚して、その総額を共益債権というふうに認められないものか、認めるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、法律上の規定はどのように解すべきなのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  102. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 この百十九条の二という退職手当につきましての条文は、御指摘のとおり昭和四十二年の改正で入った条文でございまして、この規定が入ります前におきましては、退職金の債権というものはまだ現実化していないけれども、その性質は給料の後払いと見るべきものであるということで、したがって、その更生手続開始前から勤務している者の退職金につきましては、その勤務年限に応じた部分、つまり更生手続開始前の勤務に応じた部分については更生債権と見るべきであるという考え方がございまして、そういう考え方をとりますと、届け出をしない限り失権してしまうというような考え方で運用されていた面もあるようでございます。  そこで、これにつきましては、届け出をしないでもある部分については少なくとも共益債権として扱おうということでこういうことにしたわけでございまして、これにつきましては更生計画認可の決定前に退職した者というふうに規定されておりまして、その更生計画開始の前後によって分けないということが特色であると言われているわけでございます。更生計画開始後に退職する者について全額が共益債権として扱われるというのは、一つは、更生計画開始後に雇われた者につきましては、その勤務年限はもっぱら更生手続のため、更生会社のために働いていたわけでありますから、それは全額共益債権になる。それから、もう一つは、会社都合でやめさせるという者につきましては、これは全額が共益債権となるということでございまして、定年とかあるいは自己都合でやめる場合につきましては原則として百十九条の二が適用されるということになるのではないか、その点では余りバランスに差はないのではないか、こういうふうに考えております。
  103. 清水勇

    ○清水委員 いまの答弁に関連してちょっとお尋ねをしておきますが、定年退職というのは会社都合の退職ではないのでしょうか、お聞かせを願います。
  104. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 労働協約に基づいて定年の定めがあるという場合におきまして、それが会社都合の退職であるかあるいはそうではないかということにつきましては考え方に争いがあると思われます。法務省としては、それが会社都合であるかあるいはそうではないかということについて、必ずしも確たる見解を持ち合わせてはおりませんが、終局的には裁判所がお決めになるということではないかと思われます。
  105. 清水勇

    ○清水委員 昭和四十二年七月二十日の参議院法務委員会で新谷局長は、労使の交渉で勧奨退職をさせる場合あるいは定年退職の場合、こういうものは共益債権の対象になるということを明確に言っておられるが、ただいまの答弁の趣旨とニュアンスだけではなしに内容もいささか異にすると思われるのですが、もう一回明らかにしていただきたいと思います。
  106. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 確かに、退職するのが自己の意思に基づかないもので、しかもそれが人事管理上の都合によって退職させられるという意味では、定年退職というものもあるいは会社都合の退職であるという説が強く、その趣旨で新谷局長も言われたのであろうと思われますけれども、しかし、その後判例で完全にそういう結論が出て固まっているわけではございませんので、ここでは断定的にそういうふうに申し上げかねるという趣旨でございます。
  107. 清水勇

    ○清水委員 それでは、この件については質問を打ち切りまして、次に移りたいと思います。  次に、私は、商工中金の金利に触れてお尋ねをいたします。  現在、政府系三公庫について見ますと、中小公庫、国民公庫はそれぞれ原則として五年以内の貸付期間につき利率を八・九%と定めております。この両公庫とはいささか性格が違うんだという言われ方をされてはおりますが、政府の出資額等から見ても明らかに政府系と言うことがふさわしいこの商工中金の場合には、一年から五年については九・二%から九・四%です。これは組合と組合員との違いなんでありますが、そういう利率です。  五年以上については九・四%から九六%という利率が定められていて、両公庫と比較をすると平均〇・五%ぐらい高いように見られるわけでありまして、融資を受ける中小企業ではもっぱらこれが引き下げを強く求めているという状況でありますが、引き下げを検討したことがあるかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  108. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 商工中金の原資につきましては、先生御存じのように債券によって調達しておりますのが八割ございまして、その辺が中小公庫、国民金融公庫との非常な差でございます。したがいまして、その条件というのはなかなか克服できないわけでございまして、現在までいろいろ御指摘のような要望ないし陳情を聞いておりますけれども、私どもも下げられるものならということで常に心がけてはおりますが、現在そういった原資の調達条件というものがございますので実現は事実問題として非常にむずかしいということでございます。  したがいまして、今後もし長期金利の引き下げが行われるというような事態が仮にございまして、そして商工中金の原資調達につきましても何らかの新しい好材料が出てまいりますと、私どももフランクに金利引き下げの方向で検討してみたい、常々このように考えております。
  109. 清水勇

    ○清水委員 私は、この点については政府がもう少し前向きに積極的に下げる気になれば下げられないことはないのではないかということを常に考えているのです。無論、一遍に中小公庫等並みに下げるなんということは無理だというふうに承知をいたしておりますけれども、しかし、たとえば〇・二%くらい下げようとする気があれば現実に下げられないことはないのじゃないかと実は感じておるのです。もっぱら五十一年の九月分の数字を少し分析をしながら検討してみたのですけれども、現在の貸出残高が三兆七千八百五十億、したがって、仮に〇・二%引き下げるということになると、約七十億からの財源が必要になることになろうかと思います。  そこで、たとえば、いま政府はお話にあったような商工債券をたくさん引き受けておられて、金額にして六千二百八十二億くらいに達しているというふうに思うのでありますが、この政府の引受債のうち、総額の七一・三%までを利率の高い利付債を引き受けている。そして二八・七%を割引債ということなんでありますが、この際一〇〇%を政府が割引債に乗りかえるということを仮に行うとすれば——これは大して蛮勇の要る話でもないのでありますが、それを行うとすれば、両債券の間に〇・九%の差があるわけでありますから、これだけでも約四十億を捻出することができるというふうに私は試算をしてみたわけなんであります。  それから、もう一つは、現に政府も四百四億の出資をされているわけでありますが、この際さらに思い切って政府の出資金を二百億くらい増額するというような措置をとるとすれば、金利分を〇・九と見ても十八億というものの原資をそこからひねり出すことができる。  非常に素朴な発想でいま二つの点を申し上げたわけでありますが、この二点だけでもおよそ六十億に近い財源の生み出しが可能なんでありますから、この辺のことについてどのようにお考えになるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  110. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 いまいろいろな試算をお示しいただいたわけでありまして、私どもも気持ちといたしましては全くそういう方向で常々考えているわけでございますが、全体との絡みを考えますと、いまこの場での御指摘でございますので、思いつきでございますが二、三申し上げますと、たとえば割引債につきましての問題点といたしましては、やはり期間が短いとかいうことで、現在ございますところの商工中金の約四兆円の残高の金利低減ということについての方法、手段として、問題点として一つ頭に浮んでいるわけでございます。  その辺はあるいはほかのいろいろな解決策があるかもわかりませんが、そもそも私ども一番頭の痛い問題は、これの引き受けをやりますときの資金資金運用部を中心にやっておりますので、先生御存じのように非常にむずかしい郵便貯金との絡みが出てまいりまして、うまい解決方策としてのいいアイデアがなかなか浮ばぬわけでございますが、いずれにいたしましても、出資というような方法も、実は、私ども、毎年、乏しい財政の中から何らかの弾力性を持たせたいということで、少なくとも金利の引き上げ要因は打ち消しながら、財務の健全性を図りながら、しかも中小企業者へのサービスをキープしていくという必要性から、いま御指摘のような二百億というような数字まではいっておりませんが、ここ一、二年五十億程度ずつ入れているわけでございます。  究極におきまして、一番正統的なこの問題解決の行き方は、先ほども私が申し上げましたように、やはり、債券の発行条件の改善を図る環境が全体的に出てまいりませんと金利引き下げという問題になかなか具体的に私どもが切り込んでいきにくいという事情がございまして、こういう不況のさなかでございますので要望も非常に強いということで、金利に対する感覚も中小企業者自身非常に強くなってきておりますし、私どもも政策上の位置づけからいきまして非常に重要な問題というふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、資金調達の方法の中での大変大きな部分を占めますところの債券の条件というものについて、たとえば現在商工中金の四兆円の資金調達の中で三兆円を占めているわけでございますが、そういったものについての条件改定が具体的に非常に踏み出しにくい環境にある実情でございます。
  111. 清水勇

    ○清水委員 いまも御答弁の中で繰り返し言われているように、金利負担の重圧に苦しむ中小企業の立場に立って何とか金利の引き下げを考えているんだけれどもなかなかしかるべき条件を見出し得ないというふうに言われているわけでありますが、この点は、確かに、一、二年来政府出資を五十億程度増額をするというような動き等を承知をしております。しかし、その程度の規模であるために、そのことを通して金利引き下げというようなところまでその波及効果を期待し得ないという面があるわけですから、せっかく増資をする意味を有効に生かしていくためにも、この際もっと政策的に思い切った、金利との絡んだ増資の態度というものを打ち出してもらうということも必要なんじゃないか。確かに、全体を割引債にということはいろいろな意味でネックがあるというお話でありますが、しかし、これらについてもやはり当然政策的に行われている引き受けなんでありますから、ひとつ一層中小企業の窮状に思いをされて、この際突っ込んだ検討を希望しておきたいと思います。  次に、時間の関係もありますので、信用保証協会の保証づき融資に関連して、普通銀行の金利が高いという角度から少し意見を申し上げながらお尋ねをしたいと思います。  通産省は、五十二年度予算で信用保証協会に十億円の出資増をするという計上をいたしております。これは私が言うまでもなく、都道府県を通じ、都道府県もまた国の増資分にあわせて、県によっては違うでありましょうが、多分二、三倍ぐらい出捐金をふやすという形で保証協会に出していくことになろうかと思うのでありますが、これはこれで結構なことだと私は考えております。  ところで、問題は、国及び地方公共団体が信用補完制度に基づいて財政援助をしているこういう信用保証協会の保証づきの融資について、都銀とか地銀、いわゆる普通銀行が何ら金利の引き下げ措置を講じていないということはきわめて不当ではないかというふうに私は考えているわけであります。いまも指摘をした商工中金なんかの場合にも、保証づきの場合には〇・五%下げている。あるいは地方の信金なども〇・五%下げることを通してこの信用補完制度に協力、協調をするという態度をとっております。とりわけ強力な普通銀行が一般金利にプラス一%ないし一・二%という保証手数料を上乗せして高い金利を取り立てているというようなことは私にはどうしても納得がいかない。この点についてひとつ見解をお聞かせをいただきたいと思います。
  112. 吉田正輝

    ○吉田説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の保証つきの貸し出しにつきましては保証料は取るわけでございますけれども、その金利につきましては、保証がつきますと金利負担がなくなるという意味では金融機関にとっては楽なわけでございます。  一方、金融機関がこれを貸し出します対象と申しますのは、保証がないと貸し出せない、つまり、公的な援助を受けておる保証がないとコマーシャルベースとしてはなかなか貸し出しにくいというものが多うございますので、一般的な信用度や危険度あるいは中小企業の営業状況等から見ますと、一般的にわりあい金利が高い分野企業が多いようでございます。  ただ、先生の御指摘の保証がついた場合の貸し出しにつきましては、危険がない貸し出しでございますので、なるべく中小企業者の金融負担を軽減するということで、私どもの保証協会の関係の行政の中では御指摘の点が重要施策の一つになっているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、年々サンプル調査などもいたしまして、どの程度下がっていくかというようなことを金融機関を——これはサンプル調査でございますので完全にカバーしているとは申し上げにくいし、また、完全に自信を持っているとは申し上げにくいのでございますが、その状況を監視しながら、毎年財務局長会議や何かでも傘下の金融機関を指導するようにということで年々続けております。  あるいは、全体といたしましては、大体の私どもの感じといたしますと、保証なしの貸し出しと保証つきの貸し出しと比較いたしますと、大体〇・三%から〇・四ぐらい引き下がっているのが私どもの認識でございますけれども、あるいは間々先生の御指摘のような例がある。——全部カバーしているわけではございませんので、あるかと思います。  個々の事例がわかりましたら、また指導の対象、調査の対象といたしたいと思いますが、十分に気をつけてまいりたいと存じております。
  113. 清水勇

    ○清水委員 大蔵省では銀行局長名でこれまでに一回なら、ということでありますから、二回か、三回か、この辺はお聞かせを願いたいのでありますが、都銀や地銀などに対して保証つき融資の金利は応分に引き下げるようにという勧告を出しておられるというふうに承っておりますが、こういう勧告を出さざるを得ないということは、実は、現実に応分の金利下げが行われていないということを裏書きをしているんじゃないかというふうに私は思うわけなんであります。  いまも答弁の中で言われておるように、銀行の立場で言えば、貸し付けを受けた中小企業者がその債務を履行できなくなった場合は、保証協会がこの銀行の請求によって中小企業者にかわって保証債務を履行する。代位弁済するのですから何ら危険度がないわけなんですね。だから、サンプル調査をやるやらないまでもなしに、現実に当然のこととして応分の、それが〇・五であるかどうかは別として金利を下げるということでなければ余りにも銀行がうま過ぎるんじゃないかというふうに私は考えざるを得ないのです。  ですから、最近どのような時期に勧告をされておられるのか。また、サンプル調査によると〇・三前後の金利差があるんだと言われるけれども、しかし実態はちっとも下がっていないじゃないか、けしからぬというふうな意見の方がむしろ一般的なんですから、その辺の事情をもう一回お聞かせいただきたい。
  114. 吉田正輝

    ○吉田説明員 役所の方でただいま御指摘の点をどのように指導しているかという御質問でございますが、これにつきましては、実は、昭和四十五年でございますが、大蔵省の銀行局長中小企業庁長官の連名で、ただいま御指摘の普通銀行をカバーしております全国銀行協会連合会会長、全国地方銀行協会長、それから全国相互銀行協会長、全国信用金庫協会長、それから全国信用組合中央協会会長ということで、全部の金融機関に対しまして、保証つき貸し出しの金利については金融機関の危険負担が皆無であるということからできるだけ引き下げを行うようにということで、具体的には、当該貸し出しが保証つきでない場合に通常見込まれる金融機関の貸し倒れに伴う損失、それから保証が付されていることによりまして軽減が見込まれる担保等の徴求及びその管理、処分のために要する費用、それからもう一つ、簡単にやります信用調査、貸し出し審査等の費用の軽減が見込まれる費用、これは実は具体的には幾らという算出が非常にむずかしいわけでございますけれども、それは金融機関の感覚というものがございましょうから、それに応ずる分だけ引き下げるようにという通達を出しまして、これは全部の金融機関の協会長に出しておりますので、協会長から傘下金融機関にこの趣旨を徹底させております。あわせて全国信用保証協会の連合会会長あてにもこういう通達が出ているので、それを受けとめて保証を行うようにという指導をやっております。  先生の御指摘の点はこの通達の中に全部包含されておりますので、毎年同じものを出すというのはちょっとあれでございますから、毎年の財務局長会議とか理財部長会議等の——これは地方の金融機関を具体的に把握して指導している機関でございますので、それに対しまして、毎回、毎年、その都度でございますが、この通達の趣旨を徹底するように指導しておるわけでございます。先生の御指摘のような点がございますと遺憾でございますので十分に今後も気をつけたい、かように存じております。
  115. 清水勇

    ○清水委員 時間がありませんので私の質問は以上で終わりますけれども、特に、最後に、中小企業向けの金融政策については、改めて言うまでもなく政策的に見ても非常に重要な課題でありますし、いまの答弁等を通してなお私が実態の調査等をして問題を感ずる場合には重ねてお尋ねをするつもりでありますけれども、そういうことがなくて済むようにひとつ鋭意努力を重ねていただきたい、こういうことを要望して終わりたいと思います。
  116. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 佐野進君。
  117. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間も大分経過いたしておりますし、参議院の予算委員会も開かれておるようでございますから、余り長い質問をすることはかえってどうかと思いますので、きょうは重点をしぼって数点にわたり質問をしてみたいと思います。  第一番目は、エネルギー問題であります。過日、エネルギー問題については、特に石油製品の問題を中心にして質問をしたわけでございますが、きょうもそれらの問題について若干の質問をしてみたいと思うわけであります。  御承知のとおり、この前の当委員会において他の委員からも質問がございましたけれども、石油元売り会社の価格引き上げの問題は、それぞれ為替差益が出ているとか、あるいはまたその他いろいろないい条件が続いておるにもかかわらず値上げが行われているということについては一般的に大変疑問であるというように言われておるわけでありますが、その後の状況はどうなりつつあるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  118. 古田徳昌

    ○古田政府委員 本年一月一日以降のOPECの原油価格の引き上げを受けまして、石油精製各社は石油製品価格の値上げを打ち出したわけでございますけれども、出光興産等の先発組六社が三月一日から値上げをしたいということと、それから、これは日石が先頭になっておりますが、その他七社が四月一日以降値上げをしたいということで、値上げの通告をしている状況にあります。先発組は二千四百円の値上げ、後発組は二千円前後という数字になっております。この日石等の後発組の値上げが明らかになるまでは出光等の先発組の価格交渉は全くできない状況でございました。今後各社がそれぞれ個別にユーザーとの間で価格交渉が行われることになると思いますが、最近の景気動向等の関係からしますと、見通しは非常にむずかしいのではないかと私どもは考えております。  なお、通産省としましては、灯油につきましてだけは、需要期の混乱を回避するために、先発各社の値上げの打ち出しがありました直後に、今需要期に限って値上げを抑制するようにということで指導したわけでございますが、なお、OPECの原油価格の引き上げが先生御存じのとおり二本立てという形になっておりまして、各社への影響も非常に区々になっております。  そういう関係で、私どもとしましても、当面石油企業とユーザーとの価格交渉の推移を見守りたいというふうに考えておる次第でございます。
  119. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで一見守りたいという形でございますが、いまの答弁でも明らかなように大変むずかしい問題でございますけれども、値上げの幅あるいは一律値上げの方式、値上げの時期というものについては、それぞれ元売り関係の段階において大きな開きもあるし、内容等においても大きな開きがあるわけでありますが、実際上の問題として、それらの値上がり幅の開きとか、あるいは値上がりしないとかあるいは先行、先発しているとか、こういうような形の中において、結局消費者がそれに対して戸惑いを感ずるというか、その結果によっては流通関係にも大きな影響を来してくることになるわけでございますが、この値上げの幅あるいは一律値上げ方式、値上げ時期等について政府はどのように判断しているのか、あるいはどのように指導せんとしているのか、この際明らかにしていただきたい。
  120. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、三月一日以降値上げしたいということで発表いたしました先発六社の打ち出しの幅は二千四百円引き上げということでございますが、後発の各グループは二千円前後ということで、若干区々の姿になっております。この数字につきましては、OPECの原油価格引き上げのわが国に対します影響が、全体としましては、ならしますと七、八%程度の上昇になるであろうと思います。これに伴います外貨の支払い増加が一年間で十七億ドル程度、それからさらに七月以降に予定されておりますOPEC十一カ国の引き上げが五%追加されることになっておりますが、これがもしそのとおり行われますと、さらに外貨支払い額は増加するわけでございます。この辺の金額を仮に二百九十円ぐらいのレートで計算しますと、五千億円から七千億円近いような水準の負担増となるということでございます。  これを踏まえまして各社が先ほど言いましたような値上げ発表を打ち出したわけでございますが、この具体的な値上げの幅あるいは時期等につきましては、各社ごとに、たとえば備蓄原油に対します評価の方法とか、あるいは経理処理の仕方とかいうふうなものが相違しておりますので、その辺の関係もありまして一概には決められませんが、いずれにいたしましても、最近の景気情勢との関係で非常にむずかしい段階にあります各需要業界の実情を十分反映しながら各製品ごとの価格が最終的に決まっていくのではないかというふうに考えている次第でございます。
  121. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、各製品ごとの価格が決まっていくという形になるわけですが、為替差益その他の諸条件の中で元売り会社の経理内容もよくなりつつある、特定の元売り会社においては相当の利益を上げている、こういうような報道等もなされておるわけでありますけれども、そういう形の中で値上げが行われるということですから、一般的になかなかがえんじない。しかし、OPECの方での値上げ、そのずれがあるとしても、一応あるという情勢の中でやむを得ないのじゃないかというような判断等も出されて、大変むずかしい時に来ていると思うのであります。そういう状況の中で結果的にどういうような指導を政府がしたら安定供給が図られ、値上げの幅のずれもなくなり、消費者に対する利益を守っていくことができるのかということは大変むずかしい問題だろうと思うのでありますが、そういう情勢の中で二つばかり私はこの際聞いておきたいと思います。  この値上げが行われた際、たとえば後発が二千円で、先発が二千四百円で、あるいは値上げをしない企業もあるかもしれないが、そういうことがそのとおり行われたとした場合、それぞれの影響する産業ないしは国民生活への悪い影響というか、そういうものが大変深刻にあらわれてくるのではないかというぐあいに考えるわけでありますけれども、その点については政府はどのように把握しておられるのか、どのように指導されようとしておるのか、この際見解を明らかにしておいていただきたい。
  122. 古田徳昌

    ○古田政府委員 まず、第一の影響についてでございますが、先ほど言いましたように、二千四百円と二千円という形での値上げが打ち出されはしておりますけれども、これがどういう水準に落ちつくかということにつきましては、現時点では非常に見通しがむずかしいということでございます。  しかし、仮に二千円程度の価格の引き上げが実現したというふうなことで考えてみますと、灯油の場合、当分据え置きということではずして計算してみますと、直接の影響が消費者物価指数では〇・〇三%程度、卸売物価では〇・二%程度というふうな試算がございます。  それから、ガソリン、灯油がそれぞれ二千円ずつ上がった場合どうかということで試算してみますと、この場合も直接的な影響としましては、消費者物価に、ガソリンの場合で〇・〇三、灯油の場合で〇・〇二%程度の影響があるというふうな計算になっております。  それから、原油の七ないし八%の引き上げが全体としてわが国経済にどういう影響があるかということで、産業連関表を用いまして間接的な波及効果も全部入れた上で計算してみますと、卸売物価について〇・七ないし〇・八%程度、消費者物価で〇・三%程度といったような影響度が計算されております。  なお、この石油製品価格の引き上げに関しましての私どもの指導方針でございますが、先ほど言いましたように、影響の度合いが各社ごとに非常に違うということで、当面この推移を見守りたいと思っておりますが、特に、現時点で、現在の景気動向のもとで考えました場合、何らかの指導的な方向を出すということはかえって価格指示的な効果を持つのじゃないかというふうな見方もしている次第でございます。
  123. 佐野進

    ○佐野(進)委員 価格指導的な傾向にもなるので推移を見守りたいということでありますけれども、推移を見守る形の中でどういう悪い影響が出てくるかということも大変心配されるわけです。したがって、それらの点については、いま言われた配慮は配慮としても、国民生活に悪い影響を与えないように十分努力をしてもらいたいと思うわけであります。  そこで、そういう形の中で元売り関係の値上げがいま行われつつあるわけでありますが、それぞれの状況の中で各元売りも大変苦しい元売りもあるし、あるいは経理状況の大変いいところがある。こういうようなところで元売りの再編成が行われようとしておるわけでありますが、そういうような形について、エネルギー庁当局は再編成をどのように見ておるのかということについて、この際その見解を示しておいていただきたいと思います。
  124. 古田徳昌

    ○古田政府委員 最近の石油精製業の実態を見ますと、一昨年暮れの標準額の設定以降、昨年前半の円レートの傾向もありまして、五十年になりましてから経理状況が好転しております。五十一年度上期の決算を見ますと、全体としまして約九百億円の黒字という形になっております。今後につきましては、OPECの値上げ等の関係で事態は非常に苦しくなっていくんじゃないかと思いますが、中でも、この過程で外資系と民族系の格差の問題が漸次拡大していくんじゃないかというふうな見方をしているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては民族系を中心とします再編成といいますか、構造改善につきましては従来にも増して積極的な努力が必要になるのじゃないかと思います。  この再編成につきましては、五十年十二月の総合エネルギー調査会石油部会の答申でも明確に打ち出されておりますように、民族系を中心に二ないし三グループ化を促進するということで方向が出されているわけでございますが、この方向をベースとしまして、最近、各社ごとに相互の委託精製あるいは業務の共同化といったものが具体的に出てきているわけでございまして、この傾向が今後とも進み、これが中核となりまして構造改善あるいは再編成の方向が次第に明らかになっていく、ないしは具体化していくということは私どもとしても非常に期待しているわけでございます。
  125. 佐野進

    ○佐野(進)委員 期待しているということは、明らかになるように指導していくということにも通ずるのかどうか、そういう点について、その見解を明らかにしていただきたいと思います。  さらに、いま言われたように、灯油は行政指導によって需要期はこれを凍結をするのだ、したがって石油元売り各社の値上げに対して灯油価格の据え置きは続けられるのだということが再三にわたって説明をされておるわけでありますが、その需要期というのは通産当局は一体いつまでと判断しておるのか。逆に言えば、いわゆる需要期明けということはいつなんであって、その需要期明けの時期においてはこの値上げを認めるということに当然なるのではないか。需要期は値上げを認めないのだということになれば、需要期明けという問題が非常に重要な時期になると思うのです。時期設定が非常にむずかしいと思うし、それが重要な問題になってくると思うのでありますが、この時期を一体いつと判断しておるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  126. 古田徳昌

    ○古田政府委員 灯油の価格につきましては、昨年十月十八日と、それから本年になりましても二月十八日付をもちまして、今需要期の抑制指導をしたわけでございます。  需要期の期間につきましては、私どもとしましては、寒冷地であります東北、北海道地方等では四月に入りましても、また場所によりましては五月に入りましても暖房が必要であり、実際に灯油が消費されているという実態は十分承知しております。この実態を踏まえまして、需要期間中の混乱が起きないように灯油価格の安定的な推移に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  127. 佐野進

    ○佐野(進)委員 先ほどの再編成については指導するのかということも後で一緒に答えていただきたいと言ったのですが、この次に答えてください。  そうすると、その需要期というのは、いわゆる北の方では四月ないし五月というようなこともあり得るということは、桜の花が咲いて大体灯油を使わなくともいいという時期だというぐあいに判断しておるというようなことも見受けられるわけでありますが、その時期についてはどのような措置を具体的にされる予定なのか。  それから、需要期後の値上げを認めるとするならば、その上げ幅がどの程度のものと判断しておられるのか、いわゆる各社が自然に行ってくる利益採算の計算に基づくところの値上げ幅をそのまま認めるようになるのか、あるいはそれに対してさらにチェックをして一定の幅の中に抑えようとしておるのか、この点をこの際明らかにしていただきたい。
  128. 古田徳昌

    ○古田政府委員 まず、最初の再編成についての問題でございますけれども、これにつきましては、何といいましても、再編成なり構造改善の当事者である企業同士が具体的な方向についてまず十分協議をすることが必要ではないかと思います。先ほど言いましたように、相互の受委託なりあるいは業務提携なりというものが具体的に現在進行しておりますので、私どもとしましては、その内容を十分把握し、かつ、たとえば関係の金融機関とも十分協議しながら基本的な方向については指導する、しかし、具体的な進め方については関係各社の主体的な動きを十分見守りながら進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、灯油の価格についてでございますが、これにつきましては、昨年も需要期中の抑制措置というものをやったわけでございますが、これにつきましても、需要期は何月何日までだというような明確な規定をしたわけではございませんでして、したがいまして、需要期の解消宣言といったものを措置としてやったわけではございません。実態的には昨年は五月一ぱい据え置かれたというふうな形になっております。  本年につきましても、私どもとしましては、今後の全体としての需給動向の推移あるいは他の石油製品の価格動向を見守りつつ灯油の価格につきましての方向を定めていきたいというふうに考えておりますが、特に量的に見ました安定供給の確保との関係を十分慎重に配慮する必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  129. 佐野進

    ○佐野(進)委員 どうも部長も答えにくい問題を質問しているようで悪いのだけれども、しかし、いずれにせよ答えなければならない。いわゆる答えは出さなければならない問題でありますから質問を続けておるわけであります。  そこで、政務次官、先ほど来話を聞いておられるわけでありますから後で一括してこの問題について答弁をいただきたいと思うわけでありますが、その前にもう一度この点について念を押しておきたいと思うのでありますが、いわゆる元売り各社が値上げをしてくることはもう時期の問題ですね。需要期という言葉で抑えておるわけですからね。それは答えにくいことを無理に答えさせておるようなきらいがあるけれども、これは重大な関心事なのでその点を聞いておきたいと思うわけであります。  いつとは言えないけれども、いわゆる社会的、客観的情勢の中で値段を上げる時期について元売り各社が申し入れてきた場合、あるいは申し入れないでそれをやった場合、これに対して行政指導をするのかしないのかということです。いわゆる各社の値上げにその時点の中でどのように対処していくのかということと、その値上げの方法についてチェックするのかしないのか、そのまま認めていくのか、あるいはそれに対しては一定の指導をするのかどうか、その時期と各社の動向に対する指導と、それに対する判断、この三つをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。  部長に聞くのはちょっと気の毒なんだけれども、後で政務次官にそれを聞くから……。
  130. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油製品の価格は、先ほど御説明いたしましたように、現在の時点で考えますと四月一日以降値上げしたいということで、これは灯油ではございませんけれども、全体の石油製品について石油関係各社は需要業界と話し合いを始めているところでございます。  しかし、これにつきましては、いまの情勢で考えますと非常に見通しがむずかしいということで、その時期については私どもとしましても具体的な予測が非常に困難な状態でございまして、かつ、その値上げの幅につきましても、二千円ということが恐らく現在の交渉では基準になっているかと思いますけれども、これにつきましても、各需要業界の状況なりあるいは為替レートの問題なりがそれぞれ議論されていくことになるのではないかと思っております。したがいまして、私どもとしましては、現時点では、先ほど言いましたように行政的な介入はむしろ価格の指示的な効果を持つというふうな点もございますので、この推移を見守っていきたいというふうに思っている次第でございます。
  131. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ちっともわけのわからない答弁になっちゃっているが、これは長官もいないし、大臣もいないのだからしようがないと思うのだけれども、部長にこれ以上突っ込んでみてもしようがないと思うので、政務次官、どうですか。いまのお話を聞いていて、あなたならば政治的な判断が非常に的確だという評判があるので、いま言われた、私の方で質問しておる値上げの需要期とは一体いつなのか、値上げの幅を認めるとするならば全部認めるのか、あるいは行政指導をするのか、あるいは需要期明けという形の中で消費者の利益を守るために通産当局としてはどうしたらいいと判断されるのか、この点をひとつお答えを聞いておきたいと思います。
  132. 松永光

    ○松永(光)政府委員 先ほどからの石油部長の答弁に尽きるわけですけれども、要するに灯油につきましては、需要期の供給の安定と価格の安定を図っていきたいということでございまして、しからば、需要期とはいつからいつまでかということでございますが、これは暦でいつからいつまでということは言えない。言えないといいますか、供給の安定と価格の安定という面からしかるべきときを考えるわけでありまして、いまここでいつまでだということは答えることは御勘弁願いたい、こういう趣旨でございます。
  133. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほど私が石油製品全体についてのお答えをいたしましたので、家庭用灯油につきましての御説明をさせていただきたいと思いますけれども、従来から家庭用灯油につきましてはいろいろな形で私どもとして指導をしてきたことは先生御存じのとおりでございますが、従来の指導方針は、具体的には需要期前にまず在庫を十分確保しておこうということが第一点でございます。それから第二の点としまして、価格の面では、軽油とかA重油等、いわゆる中間留分からの需要シフトが起きないように、それらの中間留分油種相互間の価格のバランスをとるというのが第二の指導のポイントであったということでございます。それから第三点としまして、需要期の混乱を防止するために、必要に応じまして元売り仕切り価格を需要期間中について抑制するというふうな指導を行ってきたということでございます。  需要期についての議論は先ほど御説明したとおりでございますが、今需要期後の家庭用灯油につきましては、その需給動向なり他の石油製品の価格動向との兼ね合いということを考えながら方向を打ち出していきたいというふうに思っている次第でございます。
  134. 佐野進

    ○佐野(進)委員 まあ、押し問答をしていても時間がたつばかりでありますし、これはまた後日機会を見てこの問題について大臣なり長官に聞いてみたいと思います。  最後に、エネルギー問題で石油部長に聞いておきたいのですが、いわゆる揮発油法の通過に伴い、御承知のとおり、政省令のタイムリミットが刻々と迫りつつあるわけでありますが、給油所の駆け込み建設に対する指導方針は、これは過日法案審議したときも大変議論になったところでありますが、これに対してどのようにしておるかということについて過日私も聞いたわけでございますが、それに対しては目下考慮しつつあるというような答弁がなされたわけであります。  あれからもう十五日ぐらいたつわけでありますが、その後どのような方針になったか。この問題は関係業界にとっては大変重要な関心事でありますし、また、われわれが審議する際にもこの問題に対しては非常に大きな関心を持って審議をいたした経過もございますので、この点について当局の考え方をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  135. 古田徳昌

    ○古田政府委員 揮発油販売業法の施行を目前に控えまして、給油所の駆け込み建設が行われています実態につきましては、私どもも十分承知しているわけでございまして、その大勢について心配している次第でございます。  これに対しまして、各通産局に対しまして、従来からの凍結指導を徹底するようにということで具体的に指導しているわけでございますが、それに加えまして、先般元売り各社の最高責任者に対しまして、私から直接、元売りの行動によって駆け込み建設が助長されることのないようにということで強く要請したわけでございます。  御指摘のとおり、スタンドの駆け込み建設につきましては、従来の行政指導を守っている業者とのバランスの問題があります。したがいまして、当方としましても、法施行前の混乱を防止するためにできるだけの措置を講じたいと思っているわけでございますが、たとえば先ほど御説明しましたように、元売り各社に対しまして強く要請しましたが、その要請の効果等を十分見きわめるように考えていきたいというふうに思っている次第でございます。
  136. 佐野進

    ○佐野(進)委員 エネルギー問題は当面する最大の課題の一つでありますので、私はもっと質問をしてみたいと思いますが、時間が余りございませんので、きょうはこの程度にとどめたいと思います。  いずれにせよ、機会を見て改めて質問をするわけでございますが、先ほど来質問を続けてまいりました問題は当面する緊急の課題でありますので、エネルギー庁当局として、通産当局として、積極的に対応していただくことを強く要望したいと思います。  次に、中小企業問題に入ります。  中小企業問題は、今日のこれまた最重要課題であり、御承知のとおり、中小企業分野法の問題を初め、各方面における課題が山積をいたしております。きょうも商店連合会の全国大会にいま出席してきたわけでありますが、自由民主党の大平幹事長もこれらの問題については全力を尽くすと表現せられておりますし、各党代表も積極的に対応するという、それぞれの決意を披瀝されております。そういうような決意の披瀝があるにもかかわらず、常々それが行われているにもかかわらず、中小企業問題はいつまでたっても解決を見ることができ得ない。もっとも、解決をしてしまえば中小企業庁も要らなくなるということにもなるかもしれませんが、まあそんな問題でもないかと思うわけでございまして、解決のないのを楽しむことなく、ひとつ、解決を積極的にしてもらうということで中小企業当局の決意を促したいと思うわけであります。  その中で幾多の問題がありますが、それを全部取り上げるわけにもまいりませんので、私は幾つかの点について質問をしてみたいと思うわけであります。  まず、最初に、倒産問題に関係する対策でありますが、先ほども清水委員の方から倒産問題に関係する質問が行われたわけでありますが、このことを前置きを長く言いますと同じことを何回言うのかということになりますから省略いたしますが、一体、今日の中小企業の倒産の原因は那辺にあるか。こんなことは中小企業庁に聞くまでもないと思うのでありますが、その根本的な原因は一体どこにあるのかということを三つにしぼって——これは三点でいいですよ。いっぱいあることはぼくも知っているのです。知らないで質問しているわけじゃないが、後の質問のためにいま聞いているわけですから、一体何と何と何かという三つの点についてあなたの方からお答えをしていただきたい。
  137. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 最近も倒産が絶えず増加しておりまして非常に懸念しておるわけでございますが、今回の不況と前回の四十年の不況とを比べまして、いまさら申し上げるまでもないかと思いますが、際立って目立っております点は、まずは、業種におきまして建設業、サービス業の比率が非常に高いこと、それから原因といたしましては、不況型のいわゆる販売不振といったものが非常に大きな比重を占めておるという点であろうかと思います。したがいまして、この倒産の原因といたしましては、われわれはまずはやはり販売不振といった当面の景気循環の問題と、さらには、今後の日本経済が従来の高度成長から安定成長に移ります場合のうまくそれに乗り移れるかどうか、それに失敗した企業がかなりあるんじゃなかろうかということを懸念しておるわけでございます。
  138. 佐野進

    ○佐野(進)委員 抽象的な質問ですから抽象的な答弁しか出ないのはやむを得ないと思うわけでありますが、今日の中小企業の置かれている現状の中で倒産が激増を続けている、いつになっても倒産がとどまらない、その数をふやし続けているということの原因の中で、いままでその原因を探求する中で対策というものが出てきて、その対策が打たれておるにもかかわらずそういうような倒産が続いていくということは、その原因を探求し対策を打っておるにもかかわらずその対策が的を得ていない——的を得ていないとまでは言い切れないわけで、一生懸命やっているのですから的を得ているわけでございまするけれども、的を得ていない面が多々ある。したがって、その的を得ていない点についてわれわれがこれをやったらどうですか、あれをやったらどうですかという幾つかの提言をし続けてきているわけです。したがって、私は、ここで、いま中小企業問題の中で倒産を続けあるいは苦境に陥っている人たちに対して何をなすべきかということについて、政府ないしわれわれが取り組むべき問題として、中小企業庁が取り組むべき大きな問題として御承知のとおり分野法を提案しておるわけです。  分野法は中小企業問題の今日的課題の中における最大の問題であり、経済の根幹に触れ、産業構造の根幹に触れる問題としてあなた方も位置づけておると思うわけです。それほどの重要問題を中小企業問題として今日取り上げておるわけでありまして、それが一つあるわけです。  さらに、この中に小売商業を含め、小売商業者も入れる形の中において総合的な中小企業対策をしようとしておるわけですが、これは大規模小売店舗法、小売商業調整法との関係があって、分野法の中に包括できるのかできないのかということが今日的な大きな課題であると思うわけであります。いずれにせよ、これらの問題を中心にしながら中小企業問題は、いわゆる今日的課題の中におけるその課題解決のために、分野法の持つ当面する問題と同時に歴史的な意味があることはあなたも御承知のとおりだろうと思うのであります。  二つ目は、いまあなたもお話しになりましたけれども、不況をどうやって脱却させていくか。第一段の問題が低成長下における中小企業問題の課題であるとするならば、第二の課題は、引き続き低成長が続く形の中においてこれはやむを得ざるものとして見た場合、しかし、それにしてもこの不況を脱却する手段と方法はあり得るにもかかわらず、その手段と方法の模索を続けている現状の中で日本経済は行き詰まりを来している。福田さんに大きな期待を持っていながら財界が失望しておることや、中小企業者が自由民主党の政策に多く依拠しながらなおかつ満足していないという状況の中においてもそのことが明らかであろうと思うわけであります。したがって、私は、第二の点といたしましては、何としてもこの不況を脱却するための有効な施策——これはあなたのおっしゃるとおりだと思うのですが、しかし、その有効な施策を打つ形の中において犠牲が出ることもやむを得ないとするならば、これはその考え方の誤りを徹底的に是正しなければならない。  したがって、この不況を脱却する上において、政府としての行政の対象としては、大企業優先という形でなくして中小企業優先の形の中において不況対策に万全を期していくべきで、その考え方がなければ中小企業の倒産は防ぎとめることができ得ないと思うのであります。しかし、これに対するところのあなた方の中小企業対策は微温策にしかすぎない。いわゆる需要を喚起し、さらにはまた仕事の量をふやす、中小企業者に対して不況から脱却する形の中でその対応をさせるということについてはきわめて手ぬるい対策しかとっていない。きょうは長官がいないのであなたに言うのは申しわけがないけれども、たまたまかち合ったからそうなっておるので、これはいずれの機会にかまたその見解を明らかにしたいと思うのでありますが、私はそうだと思うのです。  第三点目には、いま続けられつつある中小企業対策の中で当面最も力を入れている対策、これは私は否定することのでき得ない重要な対策だと思うのですが、金融指導あるいはその他特に小規模零細企業に対する対策等々、幾つかの重要な対策があることは事実であります。しこうしてこの面におけるところの努力を私は評価するにやぶさかではないわけでありますが、もっと端的に言うならば、中小企業政策というものが中小企業庁の中において展開されているのはこの三の部面だけに限定されていると言っても言い過ぎではないのではないかという気がするわけです。しかも、この三の部面がいずれも中途半端で、いずれも微温的な形の中で後追い的な政策をとり続けているがゆえに、中小企業政策というものに対して中小企業庁が存在している以上に余り芳しい成績を上げていないんじゃないかという気がするわけであります。しかし、私どもはこの第三の点をきょうここで質問をするということになるわけでございますが、そうなれば私どもの立場からすれば叱咤激励をする、皆さん方しっかりやってくれよと、こういうような形の中で質問を展開する以外にないと思うのです。  そこで、私は、原則的な面について、この第三の点につきまして質問をしてみたいと思うのでありますが、中小企業当局としては、まず、倒産の原因に結びつく金融面についてどのような対策をおとりになっておられるか、この点について見解を明らかにしていただきたい。
  139. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 倒産対策といたしましては、いまもお話がございましたように、まず基本的には景気を着実に回復することにあるわけでございますが、それに加えまして、われわれといたしましては、政府系の中小金融機関の融資あるいは市中銀行の行います融資に対しまして信用補完制度を活用するといったことを行いまして、金融面からもできるだけ倒産の起こらないようなふうに一層努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  140. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大蔵省からお見えになっていると思いますが、この質問がどの方に適当するか私も判断に苦しみますが、中小企業金融あるいは金融全体に対しますところの指導について、今日の倒産状況に対して大蔵省当局としてはどのように対応されておるか、この際その見解を明らかにしていただきたい。
  141. 宮本保孝

    ○宮本説明員 私どもも中小企業問題を大変重視いたしておりまして、特に、民間金融機関に対します指導監督におきましては、その融資比率を高めること、あるいは金利についても十分考えていくべきであるというふうなことでもってやっているわけでございますけれども、いま中小企業庁の方から御指摘のありましたように、別途信用保証制度というふうなものが倒産につきまして非常に有効な制度でございますので、特に中小企業信用保険法に基づきます倒産関連保証特例措置を機動的に運用いたしましたり、あるいは中小企業信用保険公庫ないしは信用保証協会の経営基盤を強化することのために出資をいたしましたり、あるいは補助金をふやすというふうなこともやっておるわけでございます。  また、別途政府関係金融機関も私どもが所管いたしておりますので、特に中小三機関に対しましては、五十一年度下期におきましても四千八百七十億円というふうな財投追加も行っております。  また、五十二年度の計画におきましても、一八・三%の貸出枠を確保するというふうなことで、中小企業金融問題につきましては鋭意努力いたしているところでございます。
  142. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大蔵当局も通産当局も、中小企業の倒産防止ないしは発展のために金融面その他については積極的に対応しているという答弁でありました。私は、この点は、今年度予算の中でそれぞれ中小企業予算に対して積極的に対応された両省の努力に対しては評価するにやぶさかではございません。しかし、これの運用その他についてはわれわれはたくさんの意見を持っておるわけであります。しかし、これらについていまここで具体的に質問を続けていく時間的な余裕がございませんので省略いたしますが、私は二点について中小企業庁と大蔵省に質問をしてみたいと思います。  一点は、いわゆる拘束預金制度の問題であります。これをきょう深く突っ込んで質問いたしますればきわめて長時間にわたりますので省略をいたしたいと思いますが、特に、大蔵当局がこの問題について深く努力しておられることは私ども実例をもって知っており、拘束預金問題を解消しつつあるということについては理解をするにやぶさかでないわけであります。しかし、理解をするにやぶさかでないにもかかわらず、そしてまたそのようなことが行われていないという表現があるにもかかわらず、現実的な面としては、中小企業金融機関当局のそれぞれの個々の金融機関の人たちの取り扱いに基づいて大変苦労しておる企業の存在することは事実であり、その形の中で倒産が誘発をされておることは事実であるということは私は幾多の事例の中で知っております。しかし、きょうここでその問題の一つ一つを挙げて議論する時間的な余裕がございませんから省略いたしたいと思うのでございますが、この際大蔵当局の原則的な見解を示していただければ結構でございます。  たとえば中小企業金融機関としての相互銀行、たとえば信用金庫、信用組合——信用組合は都道府県知事の監督下にありますけれども、金融機関としての立場からすれば大蔵当局も当然これに対する指導性が発揮されると思うのであります。この問題について、私どもは、いま言った順序に指導性がゆるやかになっているような感じを一番持つわけであります。しかし、たとえば信用金庫等においては、相互銀行もそうでございましょうけれども、拘束性の預金はございませんと各個人個人の預金者に通達を出すというような努力をしておる金融機関のあることも私も知っております。しかし、信用組合に至っては、その点についてはそれぞれの努力をしていないという面も事実であります。  したがって、それら各金融機関が一貫した方針のもとに一貫した形の中で拘束性預金を持つことによって生ずる弊害、特にそれが今日の経済情勢の中における中小企業の倒産を誘発する原因の一つになるとするならば、これは重大な決意を持って排除していかなければならぬと思うのですが、これについてどう判断されるか、大蔵当局の見解、中小企業庁の見解、二つ、あわせて明らかにしていただきたい。
  143. 宮本保孝

    ○宮本説明員 御指摘の点はあろうかと思います。やはり、相互銀行、信用金庫、信用組合というふうに規模が小さくなるに従い、あるいはまた相手の取引先の規模が零細になればなるほどそういう点があろうかとも思います。私どもといたしましては、そういうものにつきましても、これは主として出先の財務局を通じてやることに相なろうかと思います。  そこで、たとえば本省、財務局、財務部というふうな組織になっているわけでございますけれども、末端のたとえば財務部なんかにおきます指導などにおきまして、本省からの趣旨が徹底していないというふうな面があっては困るわけでございますので、各会議の席上ないしは通達を出したときのそれの徹底というふうな点につきましては十分意を用いているところでございます。しかし、特に信用組合なんかになりますと大蔵省直轄ではございませんで、これは県に監督を任せているというようなことになっておりますので、その点につきまして遺漏があるようでは困るわけでございまして、銀行に出します通達の趣旨の徹底という点につきましては、そういう中小金融機関にも十分伝わるように努力してまいっておりますが、先生指摘の点はよくわかりますので今後とも努力していきたい、こういうふうに思っております。
  144. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 ただいま大蔵省から御答弁がありましたように、昨年の十一月の通達の趣旨が徹底されるように大蔵省を通じて指導していただくようにお願いしてまいりたいと思っております。
  145. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、中小企業問題としてはまだ幾つかの問題がありますが、もう一つ倒産に関連をして質問をしてみたいと思うのですが、倒産はやむを得ないものだというぐあいに判断される行政当局としては、やむを得ないものだと判断しなければその仕事がなし得ないという事情は私どももわかりますけれども、今日の経済情勢の中で、中小企業対策として、救済をするということが目的ではなくして、その中小企業が存立し得る条件をつくり上げることがその対策の目標であるということは私どもよく判断するわけでありますが、しかし、中小企業対策はそもそも弱者対策としての認識を持たざる限り存在をいたさないわけであります。そういう状況の中で倒産をした企業が存在すると連鎖的に大きな悪影響を与えるわけであります。したがって、大企業に対してはそれに対する対応策を金融機関なり政府等がとり得てきていることも事実であります。  その点をいまここで具体的にどうだこうだと言うには時間が足りませんので私は省略をいたしますが、ひとつ端的に質問してみたいと思うのです。結論的な質問をしてみたいと思うのでありますが、これは政務次官も御答弁をしていただければ結構だと思うのでありますが、中小企業の倒産はやむを得ないものだということではなくして、倒産を出さないように努力することが第一義的な問題であるけれども、倒産が出た場合においても、それが連鎖的に各企業に悪影響を及ぼさないような措置をこの際講じておくべき必要があるのではないか、十分検討するに値する課題ではないか、そういう意味において、倒産防止基金制度を創設する形の中で倒産と称する一つの事態が発生した場合、その事態に対応する対策を立てていく必要があるのではないか、こういうぐあいに私どもは判断しておるわけです。  これは抽象的でなかなか意味はおとりになれないかもわかりませんが、概念としては把握できると思いますので、この点について大蔵省、中小企業庁、政務次官の御三方の御意見をひとつ聞いておきたいと思います。概念ですから、概念で答えていただいて結構です。検討に値するかどうかということだけをひとつ答えてください。
  146. 松永光

    ○松永(光)政府委員 先生の言っていらっしゃる倒産防止基金という制度は、これは先生の研究されたアイデアではあると思いますけれども、私どもとしては、倒産防止対策としては従来からやっておる政府中小企業金融三機関の融資と、それから信用補完制度の活用、下請振興協会による仕事のあっせん等、いままでの政策をよりきめ細かくより充実した形で対処していきたいと考えておるわけでございます。
  147. 宮本保孝

    ○宮本説明員 本件は第一義的には中小企業庁の所管でございまして、仮に政府出資というような御提案でございますれば、その段階でまたこちらとしても検討するということじゃないかと思います。
  148. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 ただいま政務次官からお答えしたとおりでございますが、さらに補足させていただきますと、われわれとしましては、さらにこの体制を強化するために、先般、二月三日でございますが、倒産防止のための組織体制につきまして各通産局に防止対策を指示したところでございます。こういう点を徹底いたしまして一層倒産防止に努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  149. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この問題はこれから大きな課題になりますので、私どもも積極的に取り上げて法制化のために努力をしていきたいと思いますので、皆さん方もひとつ大いに研究をしていただきたいと思います。  さて、中小企業問題はあといろいろあるわけでありますが、特に、組織問題については産政局長がぐあいが悪いということでございますので、きょうはこの問題については省略をいたします。大蔵省も結構でございます。審議官の方も、後で産政局長が出られるときこの問題について質問をしてみたいと思いますから、きょうは省略をいたしたいと思います。  そこで、最後の問題として、原皮業のなめし業者等の問題について、いわゆる豚皮の輸出問題を中小企業問題の一つとして取り上げた形の中において質問をしてみたいと思います。  大企業中小企業事業分野に進出するという形の中で、中小企業の人たちがその分野を守るために必死の運動を続けておることは御承知のとおりです。そういう形の中で今日最大の政治課題の一つともなり、昨日は四千五百名にものぼる人たちが日比谷の野外音楽堂に集まって法制定のために努力していることは御承知のとおりであります。この種問題は、いま促進協に加盟している加盟していないにかかわらず、あらゆる業界に共通する最大の課題として存在をいたしておるわけでございます。この点について、豚皮の原皮を輸出することについて、大企業が一括それを取り扱い、国内の業者にその仕事をやらせるよりも外国に輸出することの方が利益が上がるという形の中で一方的に国内業者を圧迫する状況をつくり出しつつあるというように私どもは聞いておるわけでありますが、この点はどういう状況になっておるか、通産、農林両省からその状況についての説明をいただきたいと思います。
  150. 甕滋

    ○甕説明員 お答え申し上げます。  原皮の生産につきましては、五十一年の半ばごろまで豚の屠殺頭数が減少しておりまして、原皮がやや不足ぎみで価格が上昇いたしまして、その時点におきましては輸出も減りあるいは国内需要も減退するということが、秋口にはやや緩和するという状況がございました。最近輸出の引き合いがふえまして、価格も上昇ぎみになっており、一枚千三百円から千四百円程度になっているという状況のように聞いております。この間、国内生産といたしましてはざっと一千万枚程度の生産があるというふうに承知しておりますが、そのうち輸出に向きますのが三十万枚程度というような状況になっております。  最近国内の鞣成業者の方に渡る価格が高い、手に入りにくいというような状況になっておるという話を承っておりまして、輸出についてこれを規制してもらいたいという声が業界にあるわけでございます。つい一週間ほど前にも業界の代表の方方が農林省に来られましてそのような話を承っておる、こういう実情でございます。
  151. 井上宣時

    ○井上説明員 豚皮の原皮の輸出でございますが、昨年来主としてイタリアからかなり大量の買い付けがございまして、昨年十二月あたりからかなり高水準の輸出状況に相なっております。特に、ことしの二月につきましては六百四トンということで、かなり高い水準に相なっております。その結果、先ほどもお話もございましたように原皮価格が上昇してまいっておりまして、原皮の入手難とか、そういった問題があるということで国内のタンナーから私どもの方にお話があったところでございます。
  152. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私がいま質問申し上げていることはあなた方も判断されたと思うのでありますが、中小企業、小規模零細にわたる企業において、その生活を支えている材料が手に入らなくなって、入らなくなることによって生活の危機を訴えておる方々がある。材料が入らなくなった原因がどこにあるのかということを探求していった場合、それが材料が存在しないために仕事ができなくなってきておるということでなくして、材料は大量に存在するのであるけれども、その大量に存在する材料が、大企業の一方的な恣意によって、自分の考え方によって材料を輸出する形の中において国内におけるところの業者の存立の基盤をゆるがしているということ、大企業の独善的な考え方に基づいて日本における中小零細企業の存立の基盤をゆるがしているというところに一つ問題点がある。その独善的な企業の考え方に対して、それを改めさせる措置をとらざる限り、それと同じような条件は中小企業界全体に幾つか見ることができるわけであります。  その観点からいま質問をしておるわけでありますけれども、いま説明をされた農林、通産両当局の方から、この私の質問に対して、そのような行為をとる大企業の業者に対して行政的な指導をする余地があるのかないのか、中小企業分野中小企業者の経営の基盤を守るためにいかなる方策が存在すると判断されるのか、その点についてひとつ原則的な答弁を求めたいと思います。
  153. 甕滋

    ○甕説明員 ただいまの先生の御指摘のような事情は一週間ほど前私も聞いておりまして、これにつきましては、現時点でのそういった流通の問題等を含めまして、全国原皮協会など関係者から事情を聞いておるところでございます。したがいまして、こういった実態をはっきりさせる中で農林省として何らかの手が打てるかどうか、これは早急に検討いたしたいと思います。
  154. 井上宣時

    ○井上説明員 輸出をいたしておりますのが独善的な大企業であるかどうかという点につきましては、私ども必ずしも実態を十分把握いたしておりませんが、先ほど農林省からもお話もございましたように、十分実態を把握いたしまして、今後どういう対策がとれるかということで農林省と相ともに協力して考えてまいりたいと思っております。
  155. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 非常に抽象的なことで恐縮でございますが、そういうような中小企業原料につきまして、大企業の営利によってそれが十分入らないというようなことがもしあれば、これはいささか問題じゃなかろうかと思うわけでございまして、よく実態を把握して善処してまいりたいと思っております。
  156. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いま農林、通産両当局から、あるいは中小企業庁から答弁があったわけでありまするけれども、結果的にこの問題の解決は、分野法の成立を待たずとも、いま行われている政府の行政指導の枠内においても当然この問題の解決が図られる問題であろうと思うのであります。したがって、農林当局の甕食肉鶏卵課長の方から答弁があったように、十分検討してみたいということでありますが、そこで、私は、その検討してみたいという条件に対して次のことを提案してみたいと思うのでありますが、これについてのお考えをこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。  その提案は、原皮のなめし業者と大企業、つまり、原皮を仕入れてそれをなめしの業者に売るというような形の中におるこの両者間において適当な機関を設けて、お互いに良識を持ってそれぞれの中で対応していく、仕入れた物を直接的に自己の判断で国内の業者に流さないで外国へ全部出してしまうというような形での処置を、これを当時者間における協議の中で措置をする、こういうような形の中での協議機関を設けることが最も必要ではないかと考えるわけであります。原則的な意味として、その協議機関をつくることについては、われわれが分野の問題で追及いたしますと、行政指導がありますからそれは大丈夫ですということを中小企業庁長官も通産大臣も繰り返し繰り返し言っておるわけでありますが、この場合その方法を採用すべきではないかと思うわけですが、この点についてそれぞれの考えをお聞かせいただきたい。
  157. 甕滋

    ○甕説明員 当事者の方々がいろいろ自主的に話し合って解決をされていくということが基本だと思いますので、いまのような御提案につきましても意味のあることだと考えますけれども、そこで、どういう内容を協議し、どういうことをやるかということによりまして、自由な取引の原則といった問題とも絡むことがあるかもしれません。いろいろ内容につきましては検討を要すると考えるわけでございます。
  158. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私も当然あなたのそういう答弁が出てくるであろうと予測しまして、次の問題を準備しているわけです。これは後で政務次官にもお答えいただきたいと思うのですが、通産省基本的な原則でありますから、協議会をつくるということについては中小企業庁を含めて賛成であろうと思いますが、それでは、この協議会においてどういうことをお話し合いをしたらいいかということになってくるわけです。  その第一として、原皮の価格について、一応公正取引法違反とかなんとかということにならざる範囲の中においてその協議会で話し合いをして、いわゆる社会的な通念といいますか、常識といいましょうか、そういう形の中で協議をするということは、いまの状況の中においては何としても絶対に必要ではないかと私は考えるわけです。  それから、第二の問題は、この仕事がないという問題が発生した一つの大きな条件は、結果的に大手企業が国内の業者にそれを流さないで、外国へ輸出することによって国内の業者の仕事を圧迫し、その特定の業者、大企業だけが多くの利益を得るという形になっておるわけでございますから、国内業者に対して一定量の仕事は与えなければならないということを原則とするために、その輸出量の協議を第二番目としてはこの中でなすべきではないかと判断するわけです。  それから、第三番目には、原皮を輸出する際、いまはもうわが国輸出をするということについて外国からいろいろな形の中でクレームがつけられておるわけでありますけれども、この場合には、国内にその仕事と対応する仕事があるにもかかわらず外国へ輸出をするということになるわけでございますから、これは輸出に関して一定の制限を加える。そういうことを輸入に対してわれわれは制限を加えたらどうかと繊維やその他については言っているわけで、輸出に対して制限を加えるなんということは輸出立国としてのわれわれの立場からすると言い得ないわけですが、国内産業、特に小規模零細企業の国内産業を守る場合において、これらの点について一定の税制等についての措置を考えるべきではないかと思うわけであります。  そういう点についての協議をこの協議会の中でさせることは必要ではないかと私は考えますが、この点についてひとつお答えをいただきたい。これは農林省、それから中小企業庁。
  159. 甕滋

    ○甕説明員 非常に具体的な御提案でございますけれども、とっさにここでいい悪いという私の感じを申し上げることは、申しわけございませんが控えさせていただきます。  実態につきまして十分把握をするということが現時点で私どもがやろうとしておることでございますので、それを見きわめました上でその辺の措置につきましては検討いたしたいと考えておるわけでございます。
  160. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 ただいまの御提案は十分検討させていただきたいと思っております。
  161. 佐野進

    ○佐野(進)委員 十分検討するということでございますし、さらに農林省は実態を把握するということでございますから、その実態を把握した上で、これは時間を急ぐ問題でございますので、ひとつその点については十分時間を急いだ上で、実態の検討とそれぞれの協議会を持つ形における措置等を検討していただきたいと思います。  さて、そうなりますると、これらの問題を検討する経過の中で、結果的には一定の時間を必要としてくることは当然であります。しかし、現実の問題として、いまそれらの問題について大変困っておる人たちがあるがゆえにいまのような問題が発生し、私はここで質問をしておるわけでございますので、当面緊急の措置としてどのような措置をおとりになるか。私は、中小企業庁、通産省、さらに農林省と、直ちにそれぞれの関係者を呼んでその事情を聴取すると同時に対策を立てていただきたいと考えますが、中小企業庁長官、政務次官、どう御判断になりますか。
  162. 松永光

    ○松永(光)政府委員 国内のなめし業者が原皮が入手難で大変困っているという問題については、先ほど中小企業庁の次長が述べましたように、どういういきさつでそういう状態になったのか、まず実態把握が大切だと思うのでありまして、実態を正確に把握した上で適切な対策を打っていくということになろうかと思いますので、実態を正確に把握するために関係者から速やかに事情を承りたい、このようにいま考えている次第でございます。
  163. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういたしましたら、実態を調査した上で、協議会ができて、その協議を行った場合、いわゆる行政指導の欠陥ということもございましてなかなかうまくいかないという点も出てくるわけでございます。したがって、この協議会の持つ性格というものに対して十分一定の位置づけをしてもらわないと単なる行政指導の域を出てこないということになりますので、そういうような段階が生じた場合、これは分野法ができれば分野法との関連の中でそれぞれの点については当然対処されるようになると思うのでありますが、こういうような形の中で私は次の点について見解を聞いておきたいと思うわけです。  一体、その協議会を持つ主務官庁はどこになるのか、農林省なのか、あるいは通産省なのか、生活産業局なのかあるいは中小企業庁なのか、あるいは三者合同でそれらの問題について対処するのか、この点の責任の所在のあり方をこの際はっきりしていただきたい。  もう一つは、それらの問題と関連した中でもしその話し合いが行われた場合、その話し合いに応ぜずに一方的な措置を講ずるような事態が発生した場合にどう対応していかなければならないのか。これも責任の所在と直接的に関係がございますので、その点について、この際、指導する直接的な責任のある官庁はどこなのかという点を明確にしておいていただきたいと思います。
  164. 甕滋

    ○甕説明員 協議会をつくるかどうかということを含めまして、検討させていただきたいという趣旨でございます。
  165. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 この問題はわれわれと関係原局との関係がございますし、協議会も含めてどういうふうにするか、この後の打ち合わせ自身も検討させていただきたいと思っております。
  166. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは質問を終わりますが、政務次官、いまの点につきまして、協議会を持つかどうかということを含めて農林省は検討させていただきたいということでありますが、これは直接的な原局的な立場にあるようでありますが、製品という形になれば通産省の日用品課で、これは生活産業局ということになるわけでございます。どれがどうかということについては直接的には言い得ないと思うのでございまするが、中小企業庁が中小企業問題としては最大の責任があるわけでございます。  いずれにしろ、政府として、通産当局として、これらの問題について先ほど来私が質問している点あるいはお答えなされた点を基礎にいたしまして早急に着手するという、その点について、通産当局の最高責任者としての基本的な言明をこの際していただきたいと思います。
  167. 松永光

    ○松永(光)政府委員 国内の中小企業者が、先ほど先生が御指摘のような原皮の入手難ということで大変に困っておるということでありますので、中小企業庁として困っている中小企業者から事情を承って、事態を正確に把握した上で、農林省とも十分協議をして速やかに対策を立てていきたい、こういうことでございます。
  168. 佐野進

    ○佐野(進)委員 以上をもって質問を終わります。
  169. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会      ————◇—————