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田中国務大臣 ただいまの御
質問は、御提案申し上げました
プラント輸出あるいはまた
大型プロジェクトに対しまする
輸出保証の問題が、政治的にまた国際経済の面にどういう[意味を持ち、また、
日本のこれからの
プラント輸出等々についてどういう用心をしなければならぬのかということだろうと思います。
御案内のとおりに、今日
日本が経済大国に相なりましたにもかかわりませず、また、現在獲得いたしておりまするドルの相当額の累積というものも、国際的に見ますれば非常に評価されておるのでございますが、反面におきまして、国際協力あるいはまた対外経済協力という面におきましては厳しい批判をこうむっておるような
状況下にありますことは御案内のとおりでございます。その中におきまして、対外経済協力の中におきましても、ODA、いわゆる
政府援助の問題につきましては非常に厳しい批判をまたこうむっておりますと同時に、国際的なGNPに対しまする一%の海外援助、これはODAも民間協力も含めました意味におきましての姿でありますが、一回だけ一%を超えまして、またさらに四十七年あたりからダウンをいたしてまいっております。この非常な民間進出につきましての約束についてはあちらでもこちらでもたくさんつばをつけますけれ
ども、現実には一向にそれが実現しないじゃないかという非常に厳しい批判をこうむっておりますことも
先生御承知のとおりでございます。
一体その原因が那辺にあるのだろうかという問題につきましてはいろいろと問題もございまするが、一番われわれがその問題について
指摘いたしますことができますことは、先ほ
ども政府委員から
お話を申し上げたように、欧米
各国が相当な
プラント輸出をいたしておりますのにかかわらず、
日本の
プラント輸出がコミットメントはいたしますがディスパースしない原因は、そこにはメカニズムの点におきましてやはり非常に不備がある。その一番大きなものは何かと申すならば、ただいま御提案いたしておりまするような、
発注者が
ボンドの問題を要求したに対しまして、これを
政府といたしましてギャランティーすることがない
段階におきましてはみんな金融機関の自己負担にならざるを得ない。ことに、
輸出の中におきましても、
貿易品のような単体の
輸出ならば別でございまするが、
プラントあるいはプロジェクトというようになりますると、そこには役務あるいは
技術といったような、つまり、担保力の点におきまして従来のような金融機関の
保証がしにくいものがどうしても非常に多い。そういう面におきまして、これを金融機関が
ボンドを出し得るようにいたしまするためには、ただいまのような新しいと申しますか、そういう
制度の改正をいたすことによりまして
保証することによって初めて
発注者に対しまする
ボンド量というものを金融機関が発行し得るに至るのだということで、いろいろと検討も加えました末に本改正を特に提案いたした次第でございます。
しかしながら、ただいま
お話のように、
プラント輸出というものは、オイルマネーと言われまする産油国の方面からいろいろと大型の
プラントあるいはプロジェクトを申してこられる。この産油国のオイルダラーを
日本にリサイクルするということは、国際経済の上から言いましても非常に重要なことであると存ずるのでございます。しかしながら、同時にまた
日本経済にとりましても非常に重大な意義があることだと私は存じておりまするが、反面、また、
プラント輸出というものは、場合によりましてはそれだけ
貿易に対しまする
シェアを指を詰めるような結果にも相なるということも考えなければなりません。でございまするから、その
地域あるいはまた銘柄の検討を要することはもちろんでございますが、他方、また、もし
日本がそのオファーに対しましてそれを承諾いたさなかった場合はどうなるかと申しますると、先進
各国は非常な勢いにおいて
プラント輸出なりプロジェクトを虎視たんたんとしてねらっておるというのが今日の国際競争場裏でございます。でありまするから、
日本自体といたしましても慎重な配慮をいたしながらも、同時に、それにつきましてはある
程度積極的に協力をいたしてまいりませんと、これまた現実に欧米
各国からどんどんととられてしまっておるようないろいろなオファーが現実にあるわけであります。
そういう面からいたしましても、本
制度を速やかに改正いたしまして実現することによって国際的に
日本の
プラント輸出あるいはプロジェクトを積極的に獲得してまいりたい、同時に、それは国際的に見てもオイルマネーのリサイクルという点で非常に意味もあることでありまするし、また、
日本経済にとりましても非常に大きな貢献度を持つものである、かように考えます。同時に、また、景気浮揚対策といたしましても、
波及効果が非常に大きいということも詳細な御報告を申し上げたとおりでございます。
どうぞくれぐれもよろしく御
審議のほどをお願いいたします。