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1977-03-04 第80回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月四日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 武藤 嘉文君    理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君    理事 山崎  拓君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 松本 忠助君       青木 正久君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       佐々木義武君    島村 宜伸君       辻  英雄君    中西 啓介君       楢橋  進君    西銘 順治君       林  義郎君    前田治一郎君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       後藤  茂君    清水  勇君       中村 重光君    渡辺 三郎君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    宮田 早苗君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       水口  昭君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         外務省アジア局         次長      大森 誠一君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房審議官    栗原 昭平君         通商産業大臣官         房審議官    織田 季明君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         外務大臣官房海         洋法本部室長  久米 邦貞君         大蔵省銀行局総         務課長     宮本 保孝君         工業技術院技術         審議官     中屋敷正人君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   安田 純治君     不破 哲三君 同月四日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     中西 啓介君   不破 哲三君     安田 純治君 同日  辞任         補欠選任   中西 啓介君     安倍晋太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員長代理 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  3. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私は、田中通産大臣所信表明に関する一般質問を行うに当たりまして、資源エネルギー政策一本にしぼって御質問申し上げます。  福田総理は、施政方針演説の中で、人類始まって以来の変化時代が到来した、資源有限時代認識に立ち、強調と連帯の基本理念に立って、世界の中での日本丸の運営に当たり、その枠組みの中で、当面する問題の処理に当たると述べておられますが、このことは、資源エネルギー政策資源エネルギーの九〇%を海外に依存するわが国にとりまして国政の最重要事項であるとの認識に立っておられるものと考えます。  この点、通産大臣はどのような御認識をお持ちであるのかお伺いを申し上げたいわけでございますが、率直に申しまして、所信表明を拝見いたしましても、諸般通産行政と並びまして、エネルギー政策につきましては通り一遍の取り扱いがなされておるようにも感ずる次第でありますが、この際エネルギー省でも設置してもっと積極的な取り組み方をすることが必要であるというお考えをお持ちではないのかどうか。あるいは、先般石油関税引き上げ問題に伴いまして石特会計あり方等が議論されたわけでございますが、思い切ってエネルギー特別会計を設置して長期的、総合的な取り組みをやったらいいのではないかという考えもあるわけでございますが、このエネルギー危機に対する基本的認識につきまして、大臣の御所見をまず冒頭にお伺いしたいと思います。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 山崎委員にお答えいたします。  エネルギーの問題が、今日の、とりわけ日本におきましては最も根本的な基本的な最大の問題であろうと、かように存ずる次第でございます。ただいまの、私の所信表明通り一遍であったという御批判もございまするが、御案内のとおりに、今日の国産エネルギー並びに準国産、さらにまた輸入いたしまするエネルギー、これらの全般を通じまして、国際情勢変化やあるいはまた外交上のいろいろな案件、さらに、国内的におきましても、昭和五十年の総合エネルギー計画というものが六十年度を予定した一応の十二月の決定がございまするが、客観情勢変化等にもかんがみまして、近くこれに対しまする新たな判断をいたさなければならぬ。かような次第で、明日のエネルギー対策推進閣僚会議というものを皮切りにいたしまして真剣に取り組んでまいるという姿をとっておる次第でございます。  御指摘エネルギー省という問題もございますが、これはカーター政権になりましてからそういうふうなこともございますが、アメリカの場合と日本の場合とはまた趣を非常に異にいたします。私は、エネルギー省をつくったからといいましてこのエネルギーの問題が思いを新たにして推進できるとは思っておりません。やはり、既存の省庁を動員いたしまして国を挙げてエネルギーに取り組むということの方がより効果的ではないか、かように存ずる次第でございます。
  5. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私どもが最も心配をいたしますことは、自由世界が再び原油不足に直面するのはいつかという命題であります。資源エネルギー庁長官私的諮問機関であります長期エネルギービジョン研究会がまとめました「わが国エネルギー長期展望」によりますと、一九八〇年代後半ごろにも世界エネルギー慢性的供給不足に見舞われるという予測でございます。また、OECDも一月末、世界エネルギー展望報告で、一九八五年に深刻な危機が到来するということを予測いたしておりますし、二月初めに総合研究開発機構が開きました長期エネルギー戦略選択シンポジウムでも、世界石油生産は九〇年代の半ばには増産限界点に達するというような試算結果が発表されております。いずれにいたしましても、一九八〇年代には、新規発見量の低下や可採年数の減少等によりましてOPEC諸国資源温存政策をとることは間違いないと思われるわけでございます。  ただいま、大臣から、総合エネルギー調査会見通しにつきまして、これを見直すという御発言もございましたが、これによりますと、一九八五年度におきまして、わが国輸入石油量を四億八千五百万キロリットルといたしておるわけでございますが、これにつきましては、IEA国際エネルギー機関も批判的であるということを承っておりますが、このような四億八千五百万キロリットルというような輸入石油見通しが果たして妥当な、あるいは可能な数値であるのかどうか、御見解を承りたいと思います。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまは詳細にわたりまする、今日まで検討いたしました諸般の計数をお挙げいただいて御質問いただきましてありがとうございます。  橋本エネルギー庁長官政府委員として参っておりますので、具体的に詳細なお答えをいたしたい、かように存じます。
  7. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま山崎委員の御指摘のとおり、一言で申し上げますと、世界原油需給というのは非常にタイトになってくる、ますます不安定さが増大していくということになろうかと思います。  まず、当面の問題として申し上げますと、昨年の十二月のOPEC生産は、一日当たりでございますが、三千四百四十万バレルに戻っておるわけでございます。これはいわゆるオイルショック直前のピークが三千二百九十万バレルであったわけでございますから、すでに四十八年秋当時以上の生産を開始しているという状況になっておるわけでございますが、ことしに入りましてから一〇%の値上げを打ち出した国で若干生産は落ちてきているというのが実情でございます。  一方、かつて六百万バレル程度輸入国であったアメリカが最近では八百万バレル、人によりますと、近く一千万バレルまで輸入をふやしていくんじゃなかろうか、しかもそれは中東地域に依存してくるんではなかろうかといったような観測がございまして、当面の問題といたしましても、世界原油需給、特に日本との関係におきまして不安定な要素を増してくる、あるいはタイト化してくるということは申し上げられるかと思います。  それから、中、長期的な問題といたしましては、いままで地球上で発見された石油埋蔵量が約一兆バレルと言われておるわけでございますが、現在その一兆バレルのうち六千億バレル程度残っておる。この六千億バレルというのは、石油の寿命があと三十年だとよく言われる根拠になっておるわけでありますが、問題は、三十年平穏に済むかどうかという問題でございます。もちろん、一説にはさらに一兆バレルぐらいの発見可能性があるという調査もあるわけでございますが、当面の六千億バレルを前提として考えてまいりますと、現在の世界石油消費率を年率四%といたしましても、先ほど御指摘のように、一九八〇年代の後半、遅くとも一九九〇年代になりますと、原油供給量、ひいては価格面で相当の制約要因が出てくるんではなかろうかという見方が一般化いたしておるわけでございます。  そういったさなかにおきまして、現在われわれが進めておりますエネルギー政策のベースにある昭和六十年度において四億八千五百万キロリッター石油輸入が可能かどうか。ただいま先生はIEAの例を出されたわけでございますが、ことしの一月にOECDがワールド・エナジー・アウトルックという報告書を出しております。この資料からいたしますと、もちろん産油国生産活動がどうなるかということも関心を持たざるを得ないわけでございますが、昭和六十年度において世界生産は一日当たり大体四千五百万バレルになる。それに対しまして日本は四億四正方キロリッターから五億キロリッターまでは輸入が可能であるというような数字もあるわけでございます。  しかし、これはサウジその他の国の増産あるいは産油国政策とも関連があるわけでございまして、実現の可能性のある範囲内に入っておるとはいうものの、今後の情勢等考えますと、四億八千五百万はきわめて容易に入手できるものだと必ずしも即断するわけにもまいらないという状況でございまして、内外の情勢あるいは国民経済に与える影響等も考慮いたしまして、一昨年の十二月に決定を見ております六十年度を目標とする総合エネルギー政策につきましても改めて検討していく必要があるだろう、かように考えておるわけでございます。
  8. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいまの御答弁の中にも出てまいったわけでございますが、石油需給が非常にタイトになってくる、同時に、石油価格の面でもこれが制約要因になり得るというような御発言があったわけでございますが、石油価格の長期的な動向につきましてはさておきまして、当面の石油価格動向についてお伺いしたいのでございます。  御案内のとおり、本年の一月からOPEC原油値上げを行いました。五%及び一〇%の二本立て値上げとなっております。最近の永野重雄氏を団長とします中東経済使節団報告によりますと、サウジアラビアヤマニ石油相が、二本立て石油価格は好ましくなく、いつまでも続くものとは思えない、カタールのアブドル・アジス石油相が最近、サウジアラビアが一〇%値上げに同意すれば一〇%派は七月以降の五%値上げをやめると言ってきたけれども、これは拒否した、しかし、いつ一本化するかはわからない、需給原則に基づいてどちらが勝つかということだ、現にインドネシアは六%しか上げていないし、イラクも最近安値の売り物を出したという報道がある、と、こういうようなことを述べられたということを伝えておられます。  これから二本立て価格動向はどうなっていくのか、特に、この七月以降の五%値上げというものを一〇%派では予定されておられるわけでありますが、これが強行され得るのかどうか、そういった点について、これはエネルギー庁長官から見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
  9. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のように、OPEC内部では、石油価格値上げにつきまして二本立てというきわめて異例な形になっておるわけでございます。これはOPEC諸国としても異常な事態であると同時に、大量の輸入に依存しているわが国石油事情としても非常にむずかしい局面に当面しているわけでございまして、もちろんわれわれといたしましては、できるだけ低位で、しかも一本化されることが望ましいということであるわけでございますが、これもただいま御指摘のように一本化がなかなかむずかしいというか、難航いたしておる。当初、一月時点におきましては、三月末までには一本化されるんじゃなかろうかという楽観的な見通しもあったわけでございますが、当面これはどうもむずかしそうだといたしますと、当時の多数説であった六月説が残ってくるわけでございます。  現在の情勢からいたしまして、果たして六月までに一本化されるかどうかということはOPEC内部での問題でございますので、われわれとしては、それまでには少なくとも一本化が実現するということを期待しておる立場ではございますが、あるいはそれよりも早い時期に一本化されることを期待するという立場でございますが、何せOPEC内部での問題でございますので、いつごろまでには一本化されるだろうということを即断することはなかなかむずかしいことではなかろうかと思います。
  10. 山崎拓

    山崎(拓)委員 次に、国内石油製品価格の問題であります。  ただいまお話がありましたOPEC二本立て値上げに伴いまして、どういうふうにこれが国内石油価格影響していくかということが大事な点であると思うのです。去る二月十日に、まず出光興産が元売り価格を一キロリットル当たり一律二千四百円の値上げを発表いたしまして、三月一日実施ということでございましたが、引き続き同じく民族系共同石油丸善石油と、メジャー系ではありますがシェル石油が同様の値上げに追随をいたした次第です。しかしながら、業界トップ日本石油がいまのところ値上げを発表しておりませんし、モービル、エッソ、昭石等メジャー系値上げを見合わせておるわけでございますが、今後国内石油製品価格値上げはどういう見通しになるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。  それと同時に、すでに値上げを発表いたしましたグループと未発表グループとではOPEC二本立て値上げ影響が違っておると言われております。恐らく、石油輸入価格値上げ幅にいたしまして二百円から四百円の差があるのではないかということが言われておるわけでございますが、その場合に、石油製品値上げ二本立てとなる可能性があるのかどうか。要するに、一物一価ではなくなる可能性があるのではないかと思われますが、この点についてはどうかということと、それから、もう一点は、仮に値上げ幅が小幅の方にさや寄せられるということになりますと、今日もなお企業格差というものがあるわけでございますが、民族系の経営がさらに圧迫されまして企業格差が一段と広がることにつながりはしないかというような諸点があるわけでございますが、以上の点につきまして長官からお答えいただきたいと思います。
  11. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ことしに入りましてから産出国あるいはメジャーあたりから日本企業に対していろいろと通告ないしは価格のオファーをしてきております。これは会社によって違うわけでございますが、日本石油業界全体として平均的に申し上げますと、原油コスト上昇は七ないし八%というふうに見ておるわけでございまして、年間にいたしましてざっと五千億円程度外貨流出と申しますか、あるいは原油コスト上昇ということになろうかと思うわけでございます。ただ、いまも御指摘のように、企業によりまして五%と一〇%のシェアが違っておりますので、それぞれの元売り会社あるいは精製会社ごとに検討してまいりますと、その事情はおのずから異なってくるということは当然であるわけでございますが、ただいま御指摘のように、すでに元売り十三社のうち七社が値上げを発表いたしておるわけでございます。他の六社はまだいまのところ情勢を見ておると申しますか、値上げ交渉に入っておらない、こういう段階でございます。  これは、一つには、御質問二本立てになるのか一物一価になるのかという問題とも関連が出てくるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、原油価格だけをとっても差があるわけでございますから、おのずからそこに各社コストに差が出てくるということは当然であろうかと思います。ただ、国際的に二本立て価格になっておるわけではございますが、国内的にこれが二本立てでいくかどうかということは、これは私見でございますが、一物一価と申しますか、供給量との関係もあろうかと思いますが、結果的にはやはり一物一価にならざるを得ないのじゃないか。特に、石油製品のように各社によって製品の特質が違うといったものではなくて、どちらかといえば同じような品質のものである場合ますます一本化になると申しますか、二本立てのままではむずかしいのじゃなかろうかと思います。  そういったところも含めまして、じゃ企業間格差あるいは特にその中で民族系企業はますます状況が悪くなるのではないかというお尋ねでございますが、今回のOPEC二本立て価格について検討いたしますと、外資系民族系という関係よりも、外資系の中でもアメリカ系の方は比較的有利であり、イギリス系の方は不利である。民族系というのもいろいろございますが、どちらかといえば中間もしくは平均値よりも下ではなかろうかという感じがいたします。したがって、今回の二本立て値上げによって民族系外資系との格差がそれによって拡大するということよりも、従来から言われておりますように、民族系の方は、どちらかというとガソリン、ナフサといったような白物生産ウエートが低くて、黒物の方の生産ウエートがかかっている、そういった現在の価格体系前提として、民族系の方がやはり外資系よりも不利な立場にある、あるいは稼働率外資系に比較して低いといったような、そういう従来から民族系が内在的に持っておる問題点という面からの格差というものは出てくるかと思いますが、今度二本立て価格だけでさらに格差が開くかということは一概に申し上げられないのじゃないかと思います。
  12. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいまの長官の御答弁の中にあったわけでございますが、企業格差要因として、高収益ガソリン生産比率の高い石油会社とそうでない会社との企業収益の差が従来あるということですが、これは従来の価格体系というものが、要するにガソリン高重油安という体系になっていますね。ガソリンだけが高いといういまの価格体系がいろいろな弊害を生み、これは企業間格差だけではなくて流通秩序を非常に乱している、それが揮発油業法の制定にもつながったという経緯があるわけでございますが、そういうことを考えますと、今回の値上げを機に、いまの価格体系の手直しが必要ではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  13. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点もよく理解いたすわけでございますが、問題は、御承知のように石油製品というのは連産品でございまして、その間におけるコストが他の物資ほどの差がないということもございまして、結局、需給関係からどういうふうに価格が形成されていくかということになろうかと思うわけでございます。そういったところから、方向としては現在の価格構成でいいというわけにはまいらないと思いますが、やはり一挙には実現し得ない問題ではなかろうかと思いひす。
  14. 山崎拓

    山崎(拓)委員 これは需給によって価格体系が決まるというお話でございますけれども、石油ショック以後の経緯考えますと、これは政府行政指導価格を定めましたときに非常にガソリンを高く決めたという事実もございますし、その後標準価格決定いたしました際にもそれに準じた価格になったということを思いますときに、これはマーケットプライスであるという言い方は私は納得できないわけでございます。したがいまして、今後値上げが行われます際には、これは民間サイド値上げを行うわけでございますが、灯油につきまして行政指導を行っておるという現状でもございますから、やはり、その点につきましてはしかるべき政府指導が必要ではないかと私は考えておるわけです。  ただいま申し上げました家庭用灯油価格でございますが、エネルギー庁は二月十八日付で通達を出しておられるわけです。すなわち、昨年九月末時点を基準にして、それ以上の値上げを打ち出さないこと、と、それからもう一つは、すでに特約店通告を行っている場合は取り消すこと、こういう内容になっております。もとより国民生活への配慮は重要でございますし、灯油価格低位に安定的に推移することは望ましいことではございますけれども、灯油価格政策的に長期的に無理に抑えていくということには実は問題があると存じます。  たとえば価格体系観点から言いましても、ただいま申し上げましたように、灯油価格だけ行政指導を行っていく。その他の価格体系には問題があるのに、これは民間企業の努力によってやる。非常に不況の中で、需給がこれほど緩んでおる油種が多いときにこれは非常にむずかしいわけでございますが、そういう点で私は問題があると思うのです。  それから、もう一つの点は、ただいま長官の御答弁の中にもありましたように、生産及び得率観点でありますけれども、灯油生産するために軽質油輸入がふえるということが当然行われるわけです。あるいは灯油得率を高めますために、他の油種、他の石油製品が余剰となってくるということもありますし、また、その余波といたしまして他の油種品質が落ちるというようなこともしわ寄せとして出てくるわけです。そういう問題点もあります。  それから、もう一つは、これは一番重要な点でありますけれども、エネルギー節約観点からいきまして、これは通産省の代表の方もIEA会議に出席した際に指摘を受けたということも伝え聞いておるわけでございますが、そういう諸般観点からいたしまして、灯油価格について今後どういう対策を行っていかれるかということは非常にデリケートな問題だと私は思うのですが、長官、御所見はいかがですか。
  15. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 灯油価格についての行政指導に対する御意見でございますが、私、一々ごもっともだと思います。ただ、いままでも、冬場におきまして石油製品価格を引き上げざるを得ないような時期におきましても、少なくとも灯油につきましては、需要期であるがゆえにということで、当該需要期には当分据え置いて販売してもらいたいという指導をしてきたわけでございます。  ことしは特に異常寒波等のせいもございまして、全国平均いたしましても昨年よりも一六%程度も消費がふえており、特に、九州地域につきましては昨年の四割から五割以上の消費が出ておるといったような事情考え合わせまして、これもいままた御指摘がございましたように、得率を一二%まで上げることによって量の確保もいたしておるわけでございます。  一方、そういう時点において、民生に直結する灯油価格の引き上げということは今需要期は少なくとも慎んでもらいたいという趣旨で対処いたしておるわけでございますが、先ほどからお話しの石油価格体系をどう持っていくかといったような問題とも関連いたしまして、今後の扱いについてはやはり慎重な検討を必要とするだろう、かように考えるわけでございます。
  16. 山崎拓

    山崎(拓)委員 この点だけちょっと大臣にお伺いしたいのですが、わが国エネルギー別の供給見通しなんですが、細かい点は長官にお伺いしますけれども、先ほど長官も見直すと言われました昭和六十年度の見通しでございますが、一次エネルギーの合計が、石油換算で、総合エネルギー調査会が七億六千万キロリットルでございます。日本エネルギー経済研究所によりますと、Aケースで七億キロリットル、Bケースで六億四千万キロリットルというふうになっております。これらはいずれも前提となる経済成長率の評価が違うのでありますが、一番数字の大きいエネルギー調査会の場合、昭和五十年代におきまして約六・六%です。細かくは申しませんが、エネルギー研究所の場合、Aケースで六・四%、Bケースで五・二%というふうに見ております。  そこで、経済成長率とエネルギー供給量との関係でございますが、相互に規制し合う関係になっておるわけでございますが、私が申し上げているのは弾性値を申し上げているのではないのでありまして、要するに、政府経済成長率を一体どのくらいに目標設定しているのか、それからエネルギーの必要な供給量、消費量というものを割り出してくるのか、逆に、エネルギー供給量はこれくらいであるから経済成長率はこれくらいに落とさざるを得ないという観点になるのか、その辺のところは非常に重要なことだと私は思うのです。けさの新聞を見ておりましても、これは昨日の予算委員会であると思いますが、大蔵大臣が、昭和五十五年度におきまして五十五兆円の国債発行残高になるということを言っておられるわけでございますが、それも最善を尽くした場合の数字でございまして、増税やむなき財政状態であるということでございます。  したがって、やはり一定の経済成長率を維持いたしませんと税の自然増収を図ることもできませんから、そういうことでおのずから必要な経済成長率というのは出てくると思います。また、これからは安定成長の時代に入ると言われておりまして、安定成長の概念もございますので、まず経済成長率を那辺に目標設定するかということは、これからのエネルギー政策考えていく上におきましても非常に大きな規制要員で——規制要因というのはおかしいですが、要因になりますので、その点についての大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  17. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  山崎先生のただいまの御質問は、まさに私どもも非常に関心を抱いておりまする問題であると同時に、国政の根本でもございます。そこで、単なる当面のエネルギー問題の対策、処理ということだけではなく、やはり、政府全体のエネルギー諸般客観情勢の判断、あるいはまたそれに対しまする具体的な対処ということから必然的に生じてきます長期の展望というものも当然出てまいるわけでありますし、それから、また、今後の景気の動向等々もあわせまして、私どもは政府を挙げてこのエネルギー問題に取り組みますと同時に、いまお話の出ましたような根本問題もやはり慎重に検討してまいりたい、かような次第で、特に総理にも申し上げまして、エネルギー問題対策推進閣僚会議というものを明日から発足いたします。そして、ただいまの、弾性値をどう決めるかとか、あるいはまた今後の景気の動向経済の成長率等々の問題も全部ひっくるめまして真剣な検討に入りたい、かように存じておる次第であります。  いま私が単独に通産大臣といたしまして、今後何ポイントの成長と見るかということを軽々には申し上げられないことをお許しいただきとうございます。
  18. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいま申し上げました総合エネルギー調査会エネルギー研究所の見通しの数値が大きく食い違っている点でございますが、これは、ただいま申し上げたような経済成長率に見合って各エネルギーの供給体制を割り出したものではないと思います。むしろ、各エネルギーの供給可能量を推定して、最終的に輸入石油を調整要因として割り出したという感じがいたすわけであります。  先ほど、これだけ膨大な石油輸入が可能かどうか御所見を伺ったところでございますけれども、それ以外の重大な見通しの違っておる点を申し上げますと、御案内のように、原子力におきまして、総合エネルギー調査会は四千九百万キロワット、それからエネ研の方は二千七百万キロワットということでございまして、これで二千二百万キロワットという大きな食い違いがあるわけでございます。それから、輸入LNGでございますが、これがエネ調が四千二百万トン、エネ研が二千七百万トンということでございまして、これも千五百万トン食い違っております。それから、地熱におきましても、エネ調が二百十万キロワット、エネ研が五十万キロワットで、こういうふうにエネルギー別に相当大きな開きが見通しの数値において生じております。  こういう諸点について、エネルギー庁長官はいかがお考えでございましょうか。
  19. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、原子力でございますが、御指摘昭和六十年度四千九百万キロワットに対しまして、現在稼働中のものが七百四十万キロワット、それから建設段階に入っておりますのが千三百四十万キロワット程度でございまして、合計二千八十万キロワットまではまずまず間違いがない。あと四千九百万まで、どこまで到達できるかという問題になるわけでございますが、これにつきましては、当然その地元住民の理解なり協力なりを得なくてはいけませんし、その前提といたしまして、電気事業法等の運用を適正にやると同時に、あわせまして原子炉なるものが安全なものであり、また、安全なものにするためのかような努力をしておるといった信頼性あるいは安全性ということを実証的に詰めてまいりまして、そういったものを国民に提示することによってその協力を得ていく必要があろうかと思います。  それから、LNGにつきましては、現在アラスカ、ブルネイから入っておりまして、近くアブダビあるいはインドネシアから輸入が始まるわけでございます。そういったものは、現在手当てされておりますものが年間ベースで約千六百万トン程度になろうかと思います。したがいまして、これも四千二百万トンに対してまだまだでございます。ただ、サラワクだとかイランだとかいった地域でも具体的なプロジェクトの検討に入っております。これの問題点は、非常に多額の投資を必要とする。特に、現地におきましてマイナス百六十二度まで下げて液化するわけでございますので、そのための液化設備、あるいはこれを輸送するための特別の船、あるいは揚げ地における気化設備というような、こういったところの多額の初度投資を必要といたしますので、やはり、需要のサイドで少なくとも年間五百万トン程度にまとまらないと経済性が成り立たないという面もございますので、ただいま申し上げたような問題点を煮詰めながら、さらに一段の努力をすべきではなかろうかと思います。  それから、地熱につきましては、これも景観を害するとか、あるいは公害を発生するのじゃないかといったような御意見もございますので、もちろんそういった点にも十分配慮いたしますと同時に、実は、来年度から、五十二年度予算におきまして、そういったことのないように、地熱開発をするに当たっての事前調査をするための予算も計上いたしております。  いずれにいたしましても、そういった努力を続けながらエネルギーの安定供給確保を図らなければいけないと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、六十年度時点における目標数値に対しまして実効性と整合性のある計画として見直しをする必要があるのじゃなかろうか、そのためには、国民経済にどのような影響を与えるか、あるいはエネルギーの国際的な需給関係はどうなるか、いわば適正成長をどこに持っていくかというように、エネルギーの供給可能量を、日本立場からいたしますと確保の可能量といったような面からも総合的に判断をしていく必要があろうかと思うわけでございます。
  20. 山崎拓

    山崎(拓)委員 代替エネルギーといたしましては原子力の問題が最重要でございますが、エネ調の四千九百万キロワットに対して、ただいまのお話では二千八十万キロワットまではもう設置も決定しておることだからいけるのだ、その余は努力だということでございましたが、しかし、原発稼働までにはいずれにしても相当長期間のリードタイムというものを必要とするわけで、最低七年と言われております。したがいまして、ここ両三年のうちに、このエネ研の二千七百万キロワットという数値をとりましても、なおかつあと六百二十万キロワット分を確保しなければならない、電調審の設置地点の決定を見なければならぬわけでございますが、そういうことが可能かどうか。二千七百万キロワットという目標ですらきわめて疑わしいわけでございますが、その点いかがなものか、お伺いいたします。  それから、ただいまお話がありましたように、原発の立地が遅々として進まない最大の理由は何といっても安全性の問題でございます。わが国の軽水炉は実用化されておるわけでございますが、設備の利用率が、改善の兆しはありますもののまだ五〇%前後であるという状況でございますから、運転の信頼性が格段に上がらなければ原子力の安全性を国民に納得させるのはむずかしいというように考えられております。この点に関連いたしまして、昨年七月の有沢答申に基づきまして原子力安全行政の一貫化が図られることになりましたけれども、通産省として、今後実用炉の所管を全面的に受け持っていくことに相なったわけでありますけれども、体制は整っているのかどうか、この点についてもお伺いいたします。
  21. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 幾つかの点についてお話がございましたが、まず、四千九百万キロワットに対してどこまでいけるかという問題でございますが、先ほど御指摘になりましたように、エネ研では当初二千七百万キロワットと言っておったのですが、最近では三千万キロワットといったことを言っております。ただ、私どもの方といたしましては、いまの時点でどの程度まで可能であるかということは、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますように、これから見直しの作業に入る前にあらかじめプレジャッジするような形で申し上げることはお許しいただきたい。ただ、四千九百万キロワットというのは、達成は非常に困難である、事実上四千九百万キロワットまではむずかしいということは申し上げざるを得ないかと思います。  それから、三つ目の軽水炉と稼働率関係お話がございましたが、もちろん、一方で稼働率が高くなるということは、やはり、住民に対する安心感と申しますか、信頼性を与える大きな要素でもあろうかと思います。反面、われわれといたしましては、トラブルというほどのものでなくとも、若干でも問題があるということの発見をした場合には、直ちにこれは炉を停止いたしまして、それに対する原因の究明なり対策を立て、かつこれをオープンにするといった方向でやることも、一つは住民に対して安心感、信頼感を与える方向でもあろうかと思いますので、そのあたりは何が安全性にとって必要であるかという方向でこの問題を考えてまいりたいと思うわけでございます。  それから、安全行政の一貫化に伴って体制は十分かというお話でございますが、来年度からも数名の人員増加を要求いたしておりますし、部内における人員の配置替え等を行いまして安全規制の一元化に対応してまいりたいと考えております。
  22. 山崎拓

    山崎(拓)委員 時間の制約がございますので、核燃料サイクルの問題につきましてもお伺いしたかったのですが、これを割愛いたしまして、最後に省エネルギー政策について伺っておきたいと思います。  大路の所信表明をお読みいたしますと、「需要面からのエネルギーの節約も重要であります。」という指摘がされておりまして、「幅広い省エネルギー運動を展開する等、広く省エネルギー意識の高揚に努めておりますが、今後とも、総合エネルギー政策の一環として省エネルギー政策を積極的に推進していく方針であります。」というふうに述べておられます。この省エネルギー政策は、代替エネルギー政策と並びまして、これからのエネルギー政策の車の両輪となるべき重要な分野だと私は思うわけでございますが、私は、いまのところ果たしてお言葉どおりに通産が本当に積極的に省エネルギー政策に取り組んでおるかどうかということについて疑問を感じておるわけでございます。  たとえば、先ほど灯油の問題にちょっと触れましたが、西欧諸国の暖房油は——これは灯油と若干油種が違うようでございますけれども、暖房油の消費状況というのは、昭和四十八年を一〇〇といたしますと、フランスは五十年で七六・六で、実に二三・四%も減少しておる。イギリスは八六・五で、これは一三・五%、西ドイツは八九・六で一〇・四%というように、いずれも二年間に急速に暖房油の消費量を減らしておるわけでございます。カーター政権も、ことしの急激な寒波襲来に当たりまして、石油不足が生じたからではございますけれども、暖房の温度を下げるように国民に呼ぶかけたというのは非常に有名な話でございます。ところが、一方のわが国の場合は灯油の消費量が急速に増大をいたしておるわけでございまして、数字は申し上げませんけれども、そういう観点からいたしますと、もっと政府は勇気を持って国民に対して省エネルギー認識を持ってもらうべく呼びかけるべきではないかという感じがいたすわけでございます。  この大臣所信表明の中に「二月を省エネルギー月間とし、」ということがございますけれども、この二月の省エネルギー月間にどういうことをおやりになったのか、お伺いしたいと思いますし、また、長期的に省エネルギー戦略として、産業、交通、民生の各分野でこれからどういうことを力点に置いてやっていかれるのか、お伺いしたいと思うのです。これはもういろいろな試算がございますけれども、省エネルギー率は、二〇〇〇年までに少なくとも需要の最低一五%あるいは最高二五%必要だということが言われておるわけでございますので、その点を最後に承っておきたいと思います。
  23. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  お話しのごとくに、この省エネルギーの問題は、一方において供給の増大を図りまする反面に、むしろ非常に効果的な結果を生むものとして、ことにアメリカにおきましても、あるいはヨーロッパにおきましても、お話しのような状態でございます。日本といたしましても、これだけの資源のない国柄から申しまして、この省エネルギーという問題は、ただいまも今後もますます真剣に取り組んでいかなければならぬ、かように存じておりまするが、御案内のとおりに、二月が省エネルギー月間として計数的にどのくらいの成果が上がったのか、私もそれを知りたいと存じまして、実は担当の方にも聞いておったような状態でございます。  御承知のように、省内におきましても、資源とエネルギーを大切にする運動本部というものを設けまして、そして、あるいは熱管理の問題でございますとか、あるいはその他いろいろの消費の運動とか、あるいは設備の導入の促進といったような関係におきまして、エネルギーの節約、省エネルギーに取り組むつもりでございます。  日本の場合を考えますると、欧米各国の方では、生産関係におきまするこういうふうな液化燃料の消費を守って、そのかわりに国民一般消費の方に非常に強い規制をいたしたように思っておりますが、どうも日本の場合にはむしろその逆をいっておるのじゃないかというようなことも感じられます。  今後のエネルギーの消費節約につきましては、特段の真剣さをもってこれに取り組んでいかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  24. 山崎拓

    山崎(拓)委員 最後に、時間が参りましたので御要望を申し上げておきたいわけでございます。  きょうは、実は、輸入原油の確保のための経済協力の問題、あるいはもう少し長期的にながめました新エネルギーの開発の問題、あるいはこれから二〇〇〇年までに五十兆円とも百兆円とも言われますエネルギー政策のための財源確保の問題等、そういった問題についてもお伺いしたかったわけでございますが、残念ながらこれを割愛いたしまして、最後に特に申し上げておきたい点は、先ほどの原子力の開発を促進する点、あるいは省エネルギー政策を推進する点、これは非常に重要な車の両輪であるわけでございますが、これをやりますためには、ここに大臣がお述べになっておられますように、国民の深い理解と支援が不可欠であります。そういった点で、今後とも勇気を持って国民に強く積極的に協力を呼びかけていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  25. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員長代理 宮田早苗君。
  26. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は、通産大臣経済企画庁長官の所信表明の内容からまず質問に入りたいと思います。  資源有限時代、これはだれが考えても同じ認識でございます。福田政権の看板はこの有限時代一色に塗りつぶされた感がするのでありますが、政策の面で変わったという印象が非常に薄いと見るわけでございます。国民の内閣に対する期待感、内閣支持率が低いのもそのあらわれではないかと思うわけでございます。  福田総理は本会議や予算委員会で協調と連帯論をしきりに強調して、協調と連帯の社会があたかも目標とする社会のごとく答弁しておられるわけでありますが、私は、資源有限時代だから、国民すべてが連帯と協調の精神で一九八〇年代にはこんな社会をつくろうではないか、あるいはまた二十一世紀にはこんな日本にしようではないか、と、こんなふうに考えて、政策の転換を示して国民に協力を求めるのが筋だと思うのでございます。  予算委員会では、経済に最も詳しい総理の答弁が余りにも多く、大臣長官のカラーが乏しかったというのが会議録を読み直しての感想なのでございますので、本日は、経済政策を直接担当なさっております通産大臣、経企庁長官の、今日の情勢に対しまするところの決意の表明をまず先にしていただきたいと思うのであります。
  27. 田中龍夫

    田中国務大臣 宮田委員にお答えいたします。  ただいま御指示がございましたごとくに、当面いたしました景気の回復に対しまして、われわれは全力を傾けてこれが回復に総力を上げる決意でございますけれども、しかし、周囲を取り巻きます国内的あるいは国際的な諸情勢というものは、必ずしもそれが即効的に効果を上げておるような状態ではないように見られます。  実は、昨年の秋の国鉄、電電等の予算が通過いたしましてからも、関連のこれらの諸企業に対しましては、あれだけでも非常に効果的ないい影響を持ってこれらの関連企業が動き始めたと私は存じておりまするが、補正予算の早期の成立を見ました後におきましても、さらにまた本予算を早く上げますことによりましてこの効果をもたらさなければならぬ、かように存じております。  なお、また、カーター新政権ができますと同時に米国におきましても景気対策に真剣に取り組んでおる姿と同時に、このアメリカの景気回復の波及効果というものもまたわれわれにとりましては大きな結果をもたらすであろうと期待もいたしております。  世界全体の景気の回復とともに日本が景気を回復することは当然でありまするが、それだけではなく、国内的な諸施策によりましてこの景気の回復を速やかにいたしたいものである、かように存じております。
  28. 倉成正

    ○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。  すでに、私の所信につきましては本会議並びに当委員会においても申し述べたとおりでございますけれども、ただいま宮田委員からのお尋ねは、所得倍増論あるいは日本列島改造論に匹敵するようないわゆるナショナルプロジェクトというか、国民的な目標がいまないではないか、もう少しそういうことについて積極的に考えたらどうかという意味を含めてのお話だと思いますが、私も、これからの困難な国際情勢、国内情勢の中で、われわれが将来の目標をどういう形で求めていったらよいかということを模索をしている段階でございまして、基本的には宮田委員のお考えと同じような考えを私は持っておるわけでございます。  そこで、オイルショックの後の日本経済考えてまいりますと、国際的に見ると比較的うまく巧みに乗り切ってきた方ではないかと私は思っておるわけでございまして、物価の二けたから曲がりなりにも一けたに持ってきた。また、ゼロ成長から五・七、六・七という、必ずしも高い成長ではありませんけれども、国際的に見ると高い成長路線を歩こうとしておる。また、三つ目には、国際収支の問題が、十年ほど前はもうほとんど日本経済のゴー・アンド・ストップで、国際収支がどうであるかということが日本経済を動かす大きな要素であったわけですが、昭和四十八年から四十九年にかけて百三十億ドルの国際収支の赤字という、これから国際収支の均衡をもたらしてきたということで、国際的に見る限りにおいて日本経済は比較的順調にやってきたと私は思っておるわけでございます。  しかし、細部にわたって見ますと、現在の景気の情勢も、企業倒産も高水準であるし、雇用情勢も必ずしもはかばかしくない。また、いろいろな産業についても、業種別、地域別に見ると非常に深刻な問題を抱えておるということでございますので、やはり、これらの問題を直視しながらこれからわれわれは当面の景気回復を着実にやっていく。同時に、物価の安定を考えながら、安定成長路線に日本経済をいかにして乗せていくか、同時に、その乗せていく過程において、長期の見通しのもとにわれわれが将来の生活、産業の基盤というものをやはりつくる準備をしていくということではなかろうかと思うわけでありまして、エネルギーの問題、食糧の問題というものは、一朝一夕にいまやろうとしてもすぐ来年に解決するというものではない。電力の問題一つにしましても、懐妊期間が少なくとも十年ぐらいかかってくるということになりますと、どうしても今日からそういう長期のものを考えながら政策を進めていかなければならないと思うのでございます。  同時に、政策を運営していく上において非常に大事なことは、これからの時代というものは非常に不確定な要素が国際的にも国内的にも多いということでございます。国際的な不確定の要因エネルギーとかあるいは食糧、世界景気というものは、日本の力によって動かし得る部分というものは非常に少ないわけでございます。したがって、そういう不確定な要素に機動的に対処していくということが一つではないかと思います。  それから、もう一つは、やはり低成長時代に入ったという認識のもとに、これから少し低成長に適応する形にすべての政策とか制度というものを考え直していかなければならないのではなかろうかと思います。  雇用の問題物価の問題、財政の問題、あるいは経済の活力の問題等、そういう問題が問題意識としてあるわけでございまして、そういうことを踏まえながらこれから当面の景気対策に取り組んでいこうというのが私どもの考え方でございます。
  29. 宮田早苗

    ○宮田委員 ところが、経済企画庁では、五十一年度のGNPは、実質五・七%という政府の当初見通しを達成可能だというふうに言っておられるわけです。また、消費者物価の上昇率も目標値におさまりそうな見通しを発表されておるわけであります。消費者物価については、年度末になって農産物を大量に放出して何とか数字合わせをする手段といいますか、これは感心した政治の姿ではないと思いますが、ともあれ成長率あるいは消費者物価が目標を達成することは結構なことと思います。  ところが、産業界に目を転じますと、景気は上昇過程に入っておるが、再び足踏み状態に陥っているというような所信表明の中でのお言葉もあったわけでありますが、しかし、これでは済まされないのが今日の実態ではないかと思います。一年前の話になりますが、景気回復のために五十一年度予算の成立、執行が必要という観点から私ども予算審議に入った経過があるのですが、暫定予算編成に追い込まれて、さらには衆議院選前にすべき補正予算が年明けにずれ込んだわけです。  減税の問題もありますが、このような後手後手の政策が景気回復の芽を摘んでしまったというふうに私は思うのですが、長官、その点はいかがでございますか。
  30. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いま宮田委員仰せのとおり、補正予算が非常におくれた、それから五十一年度予算が暫定予算によってその成立が非常におくれた、これは国鉄、電電のおくれを含めまして景気の足を引っ張ったことは事実でございます。もしあのときに輸出という援軍がなかったら日本経済はさらに大きな停滞に入ったであろうということは御指摘のとおりであろうかと思います。
  31. 宮田早苗

    ○宮田委員 さらに深刻な問題といいますか、産業界の抜き差しならぬ実態は、企業倒産の件数を見れば歴然としておるわけでございます。  数字を省略しますが、通産大臣、業種間の、あるいは地域間のばらつきが激しいのですが、いわゆる不況業種の実態と、どうすればそのてこ入れができるのかということ、この点をまずお伺いいたします。
  32. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  御案内のとおりに、一月の倒産件数も千二百八十五件という、十二月に引き続きましての相当数に達しております。先般も鉱工業生産の計数を発表いたしましたが、ごらんになりましてもおわかりのとおりに、非常に業種間、地域間におきましての格差がございまして、特に、いい面と悪い面とが非常に極端に出ておるように存じます。自動車でありますとか家電というふうなものはまことに好調でございますが、これまた御案内のとおりに、対外輸出という面におきましては、ECその他アメリカの方面におきましての厳しい抵抗がございますが、これが先行きにつきましては、われわれはきめの細かい外交折衝あるいは業者間交渉を遂げておるような次第でございます。  また、その反面におきましては、あるいは鉄鋼におきまする平電炉の関係でありますとか、セメント、紡績等の資材部門が非常に停滞を続けておりまするが、これの中におきましても、セメントその他の問題は、予算の早期の決定とともに需要の見通しができますれば発注に相なる面もございまするし、あるいは棒鋼その他のような建材におきましても、やはり予算の早期執行とともに伸びが出てくるであろうと期待をいたしておりまするが、繊維関係におきましては、後進性のありまする後発途上国の方からの突き上げ、あるいはまた国際的な見通し等、まことにむずかしい問題に逢着いたしておるような次第でございます。  また、これらの地域の面におきましてもいろいろなアンバランスが出ておる次第でございますが、今後、政府の方といたしましても、これら景気刺激政策をとりますると同時に、あるいは倒産その他の防止につきましては、中央、地方を通じましてきめの細かいこれが政策をばとってまいらなくてはならない。きめの細かい愛情の込もった指導をすることによりまして、この厳しい冷え込みを何とかして通り抜けてまいりたい、かように存ずるのでございます。  さらに、また、需要の喚起の面におきましても、予算の早期の執行のみならず、官公需という面におきましてはできるだけ中小企業その他を官公需に向けたい、かような政府間のきめの細かい折衝も遂げてまいる、かような次第でございます。
  33. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいま答弁をいただきましたように、非常に深刻な状態にあるわけですが、もう一つ大きな問題は、景気対策に必要欠くことのできない民間の設備投資の問題についてであります。  特に五十二年度、政府は、経済見通しで、前年度に比べて実質経済成長が六・七%、その場合の民間設備投資を一二・二%ということを前提にしておいでになるようですが、私どもが知る限り、民間の設備投資はふえるどころか、実質的には昨年に比べてマイナスという深刻な状態になると思うわけであります。言うまでもなく、装置産業においては設備の供給力と自給のギャップが非常に大きいわけでございますが、この点について大臣はどうお考えか、お聞きいたします。
  34. 倉成正

    ○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。  一二・二というのは五十二年の設備投資の名目の伸び率のことでございますが、お尋ねは五十二年についてのお尋ねでございましょうか。——それではお答えいたしたいと思いますが、現在の状況は、ただいま仰せのとおり、基礎産業部門、特に鉄鋼等をとってまいりますと非常に稼働率が低い状況にございますので、恐らく五十二年におきましても設備投資はかなり落ち込むのではないかと思っております。したがいまして、その面から見ますと御指摘のような感じが出てくるのではないかと思いますし、また、その他の製造業部門につきましても、一部を除きましてはやはり稼働率が低いわけでございますし、なかなか設備投資の意欲というものが出てこない。したがって、製造工業全体につきまして、五十二年の設備投資というのはあるいはマイナスの要素が立つかもしれないと思うわけでございます。しかし、非製造業の部門、たとえば電力その他卸、流通関係という方面はやはり伸びを示してくるということが予想されてくるわけでございます。  それから、もう一つ中小企業関係一つをとりますと非常に小さいわけでありますけれども、こういうものをずっと集計してまいりますとやはり伸びが出てくるということで、全般としてそういうことをにらみながらマクロの計算をしてまいりますと、名目一二・二%程度の設備投資は可能ではないか、また、そうしなければ雇用問題その他に非常に支障がある、そう心得ておる次第でございます。
  35. 宮田早苗

    ○宮田委員 個々の問題については後からお聞きいたします。  関連をいたしますのですが、安定成長路線に福田総理がおっしゃるところの軟着陸をした場合に、五十年ごろから業種によっては供給力の不足に陥るところもあると思うのです。石油ショック後の金利負担を中心に、財務内容の悪化した企業に再生能力があるだろうかと思うわけです。いまこそ民間の経済活動の指針を示すべきではないかと思うのです。  そのような見通し政策面での誘導策を両大臣からそれぞれお聞かせ願いたいと思います。
  36. 倉成正

    ○倉成国務大臣 私から総括的なことを申しまして、あと通産大臣にお願いしたいと思っております。  いま、現在のような企業の経営が非常に思わしくないということになりますと、やはり、企業の姿勢としては、量的な拡大よりも価格で勝負をしようという行動に移る可能性があるわけでございますし、また、同時に、企業も、供給先行型、高度成長の場合には供給を先につくっておこうという、そういう姿勢から需要についていこう、そういう形になっていく可能性があろうかと思います。  そういう点から、民間の設備投資は、一つには技術革新が一巡して投資機会が非常に減ってきたということもございますし、また、いま仰せのとおりに、プラントの建設費の投資のコストがまた上昇してきたこととか、また、減価償却が十分でないので、設備投資をやろうとしてもどうも新しい機械が十分買えないとかいうようないろいろな要素が重なりまして、なかなか設備投資に踏み切ることをちゅうちょしているというのが企業の現在の姿勢じゃないかと思うわけでございます。  しかし、そうなってまいりますと、基礎資材部門あるいは電力もそうでありますが、また、化学関係の方面とか、五十五年以降の問題になってまいりますとどうしても供給力が足らないで、その辺がボトルネックになるという部門もやはり考えられますので、そういうところをにらみながら、これから将来、中長期的な観点から設備投資が十分行われるようにわれわれとして努力をしていかなければならないと思っておる次第でございます。  問題意識につきましては、官田委員のおっしゃるとおりでございます。
  37. 田中龍夫

    田中国務大臣 御質問の中に、供給力の不足がないかという御質問がございましたが、これは宮田委員よく御承知のとおりに、現在、鉄鋼におきましても、セメント等におきます基礎資材につきましても、設備が相当余剰がございますので、今後の景気の回復に伴っての安定的な供給はまだまだできる、かように存じておりまするが、同時に、また、需要の喚起面におきましても、ただいまお話し申し上げた平電炉メーカー等の非常な苦境に対しまして、建設省方面ともお話をいたしまして、特に平電炉メーカーの生産の救済ということについて両省の間で交渉を始めておるような状態でございます。  なお、また、景気の回復の具体的な問題でございまするが、それはもちろんいろいろな方策を総合的にとってもらわなくてはなりませんが、一つ、新しいと申しますか、いい面で考えられますことはプラント輸出の創造の問題がございます。これはいままであちらこちらにプラント輸出の大型のものにつきましては相当コミットメントは約束はいたしてございまするが、日本が全く食言であって、一向にそれが実施に移らないというような非難も受けておったのでありまするが、実を言いますと、これは日本のプラント輸出を受けるメカニズムができていないというようなことで、今回御提案申し上げておりまするボンド保険の創設によりまして、少なくとも保証料につきましては、半期で四千億でございまするから、通年いたしますると八千億のボンドの政府によりまするギャランティーと申しますか、保険がなされるわけでございます。  待っていましたと言っては語弊があるかも存じませんが、ボンド保険の問題が今回予算を通り御提案申し上げたということだけでも、相当いままで停滞いたしておりましたプラント輸出につきまして契約が殺到し始めておるような状態でございます。これはもちろん短期的な速効性と申しますよりも、これから契約いたすわけでございますから、すぐ右から左へとは申しません。遅効性になるかも存じませんけれども、少なくとも設備投資なりあるいは発注という意味では全部がほとんどタイイングでございますので、国内発注の大きな目安と考えられるように存じます。  このポンド保険の問題と、それから基金の創設の問題やら、対外経済協力という面におきまして、新しい市場の開拓あるいはまた受注という面では明るい面が出てまいりつつあることを御報告申し上げます。
  38. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、エネルギー問題に入りますが、私は冒頭に大臣長官の政治姿勢をお伺いしたわけでありますが、福田総理の協調と連帯論はこのエネルギー対策を手段としてお使いになるべきじゃないかと思うのです。有限時代だが、文化的で快適な生活をすべての国民が営むために必要なエネルギー供給あるいは施設の建設に協力してほしいとか、あるいはエネルギーの節約に協力してほしいとかいう、このような姿勢が欠けていることを私は指摘したいのであります。  さて、エネルギー資源、主要な鉱物資源が量的に有限ということはわかっておるわけでございますが、これらはいずれをとってみても日本の生命線でございます。資源ナショナリズム下のわが国の安定確保等の確立は言われて久しいわけでありますが、四十八年の石油ショック以来著しい改善が進んでいないように思うわけでございますが、この点についてまずお考えを聞かせていただきたいと思います。
  39. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘のように、この資源エネルギーの問題こそは、国にとりましての最も基本的な大問題でございまして、これが解決のためには、国内的にもそのエネルギーというものの重要性を国民の皆様方によく十分に御説明も申し上げ、御理解をいただかなければなりませんし、あるいはまた、電源開発その他のエネルギー供給の面におきましても、深い御理解のもとに御協力をいただいて推進しなければならぬと思います。計画はつくりましても、その計画が実際の実施面におきましてできなければナンセンスでございます。総論よりも各論でありまして、また、同時に、理屈よりも実践がこれから最も重要な問題と存じます。  かような意味におきまして、このエネルギー問題の解決には、一つは国民の深い御理解と御協力と、もう一つは、それに必要といたしまする資金的な財源的な、相当膨大なものになりましょうが、裏づけがなければこの問題は解決できない、かように存じております。
  40. 宮田早苗

    ○宮田委員 私が改善が進んでいないのじゃないかというふうに指摘いたしましたのは、一つは備蓄の問題があるわけでありまして、五十四年度末の九十日の備蓄体制でございますが、これが果たして進捗しておるのかどうかということであります。五十二年度予算ではどうにか財源を確保できてまいりましたが、今後の財源対策を含めてお答えをしていただきたいと思います。
  41. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般も、備蓄の問題につきましては、一応五十二年度といたしましての予算をキロ当たり百十円とお願いを申し上げて予算を調えましたが、九十日という予定に対しましてのなお相当膨大な資金を要する次第でございます。  なお、備蓄の計画の詳細につきましては、政府委員からさらに詳しくお答えいたします。
  42. 大永勇作

    ○大永政府委員 先生御指摘のように、五十四年度末に九十日備蓄ということになっておりまして、この三月末には七十五日が目標ということになっておりますが、この目標につきましてはおおむね達成可能であると思います。  しかし、今後九十日備蓄まで持っていきますためには、先ほどの大臣の御答弁を含めまして種々の対策を講じていく必要があるわけでございまして、そのために、一つには共同備蓄会社というものを推進していくことになっておりますが、その第一号が最近新潟地区につきまして会社の設立を見たわけでございます。これにつきまして政府としては積極的な助成を行っていくことになっておりますが、さらに第二、第三の共同備蓄会社を推進いたしまして、九十日備蓄達成に遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。
  43. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、長期のエネルギー需給見通しについてお伺いいたしますが、五十年十二月の政府の総合エネルギー対策閣僚会議のそれと、最近のエネルギー経済研究所との間には明らかに予測の違いが出てきておるわけでございます。  その相違点は果たしてどこから出ておるものか、この点をお伺いいたします。
  44. 大永勇作

    ○大永政府委員 最近、たとえば日本エネルギー経済研究所あるいは総合研究開発機構等におきまして種々の見通しが述べられておるわけでございますが、主に一昨年総合エネルギー調査会で出しました見通しと食い違っております点は三点あろうかと思います。  一つは原子力発電の点でございまして、総合エネルギー調査会見通しといたしましては、昭和六十年度四千九百万キロワットと見込んでおったわけでございますが、たとえば日本エネルギー経済研究所の見通しによりますと、これは二千七百万程度しかいかないんではないかということを言っておられます。  それから、第二の点は、輸入のLNG、液化天然ガスの見通しでございまして、総合エネルギー調査会では四千二百万キロリットルの見通しを立てておるわけでございますが、これもエネルギー経済研究所では二千七百万キロリットル程度ではないかという見通しでございます。  それから、もう一つは、エネルギー全体の年々の伸びでございますけれども、これがエネルギー調査会の見通しでは年々六・八%程度伸びると見ておったわけでございますが、これをエネルギー経済研究所では六%、あるいはそれを若干下回るということで、多少低目に見込んでおられる。  この三点が主な相違点ではなかろうかと存じます。
  45. 宮田早苗

    ○宮田委員 有限時代に入ったわけでありますが、石油にかわるエネルギーとしては原子力発電の開発があるわけであります。ところが、壁に突き当たっておるように思います。  昭和六十年の原子力発電が、いまおっしゃいましたように四千九百万キロワットの計画でございますが、修正を迫られることになると思うのですが、この点はどうですか。
  46. 田中龍夫

    田中国務大臣 総合エネルギー需給計画は、その当時の五十年十二月の閣議決定の際の計画でございまするが、同時にマクロ的な計算であると存じます。しかしながら、それに基づきまして諸般の精密な計画もつくりはいたしましたけれども、何と申しましても国際的ないろいろな客観情勢変化がございます。また、国内的に見ましても、発電所の設備の進捗状況にしても、あるいはまたいまの備蓄のタンクヤードの問題にいたしましても、なかなかむずかしい問題を抱えておるような次第でございます。  かような問題を踏まえまして、われわれは国を挙げてのエネルギーの問題に真剣に取り組まなければならない段階に来ておる、かように存じまするので、先般来たびたび申し上げましたごとくに、政府の、総理を中心といたしましたエネルギー対策推進の閣僚会議を明日から実は発足いたすつもりでございまして、そこにおきまして諸般の問題を十二分に検討をさせていただくように考えておりまするし、同時に、また、通産省方面におきましても、各省挙げてこのエネルギー問題の推進対策本部を設置いたしますることと同時に、科学技術庁と私どもとの間におきまするところの、特に原子力等の安全規制等の問題につきましての行政的な所掌事務の試験研究並びに安全規制の問題につきまする行政の一貫性を諮問委員会の答申の線に沿いまして実現をいたしたような次第でございます。  なお、今後これらの諸般計画を真剣に取り組んで調整をいたしてまいらなくてはならない、あくまでも計画を具体性を持って一つ一つきめ細かく解決いたしていこう、かように存じておる次第でございます。
  47. 宮田早苗

    ○宮田委員 それにしても、修正を余儀なくされる場合を考えておかなきゃならぬと思うわけです。その際一番問題になりますのは代替エネルギーをどうするかという問題でありましょう。これは大問題と思いますが、サンシャイン計画などを考えてみますと、これは二十一世紀のエネルギーを開発するまでになるわけですから、それまでは原子力に依存せざるを得ないというのが実態じゃないかと思います。そこで、原子力発電の必要性と安全性について国民の理解を求める努力を積み重ねる以外にないわけでございます。  最近の一連の発電所事故を踏まえて、この問題についてどう対処なさるのか、この点をお答え願いたいと思います。
  48. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま申し上げましたごとくに、国民の皆様方の深い御理解のもとにこのエネルギーの問題を真剣にお考えいただいて、そして、国家の隆替は実にこのエネルギーの問題にかかっておると申してもあえて過言ではない次第でございますから、かような意味におきましても、まず、第一に、この安全性の問題についての国民的な御理解をいただかなくてはならないし、それと、もう一つは、計画はつくりますけれども、それを裏づける資金という問題を十分に用意しなきゃならないというふうなことからも、このエネルギー対策の推進機構というものの決定的な活動にこれから入りたい、かように存じております。
  49. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、産業界の構造不況について、私は一つの業種を取り上げて質問をしたいと思います。  二月の二十八日でしたか、平電灯基本問題研究会が平電炉業界に対する構造改善案をまとめておるわけです。それによりますと、平電炉の現有設備で、五十五年粗鋼換算で三百九十万トンから五百九十万トンの供給過剰になるという指摘をしております。当面三百三十万トンの設備を廃棄するとしておりますが、これに対して対策を考えておいでになると思いますので、それの説明をまずしていただきたいと思います。
  50. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  平電炉の問題は御指摘のように非常に困った問題でございまして、これが救済を何とかしなきゃなりませんが、一面、対外的なECとの交渉あるいは対米関係の交渉もあわせまして、先般出ました答申と、さらにそれに対しまする具体的な御報告を担当の政府委員の方から詳細にお答えいたします。
  51. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 二月二十八日の答申は新聞に発表されておるとおりでございまして、私どもはこの答申の方向は基本的に正しいと考えておりますので、できるだけあの方向に沿って実現をしたいと考えておる次第でございます。  それで、あの方針を実現いたしますためには、何と申しましても平電炉業界が結束いたしましてあの方針に従って体質改善を図っていくという、そういう決意をすることがまず第一番目に必要であろうと存じております  それから、第二番目には、現在の平電炉業界は自己資本がほとんどないというような状況で、換言いたしまするならば、商社、金融機関等に非常に大きく依存をしておるという状況になっておりますので、商社、金融機関あるいは高炉メーカー等々に対しましても説得をいたしまして、あの方針の推進にできるだけ協力してほしいということをこれから申し入れまして、そこで、平電炉業界との協力のもとに、通産省もできるだけ後ろから援助をいたしましてあの答申の方針の実現を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 宮田早苗

    ○宮田委員 一つの対策として、産構審の鉄鋼部会の下に小委員会を設置をするということなんですが、その構成として、学識経験者あるいは商社、金融機関、地方公共団体ということになっておるわけですが、直接関係者でございます従業員、いわゆる働く者、この人々にとってはこれは死活の問題でございまして、関心が非常に強いわけであります。  したがって、これらを組織しておる労働組合としても無視できないという態度をいまも持っておるわけでございますが、この労働組合の立場についてどういうお考えを持っておられますか、まずお聞きしたい。この構成の中に入れるとか、通産省はその労働組合に対してどういうような対策をお考えか、こういう点をお聞きいたします。
  53. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 鉄鋼部会の中の委員会の役割りには、新増設に関するルールをつくるというのがございます。片一方で廃棄を進めながら片一方で新増設をするというのでは何をやっているのかわけがわからなくなりますので、構造改善を進めている期間は新増設は原則として禁止というようなことが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  そういう役割りの審議をする場のこの委員会の構成をどのようなものにすべきであるかということにつきましては、目下まだ検討中でございまして、具体的な成案は何も持っておりません。その中に労働組合の代表を入れるべきかどうかということにつきましても、先生の御意向もよく頭に入れておきましてこれから検討したいというふうに考えております。  それから、構造改善を進めるに当たりまして、一番むずかしい問題は労働問題であるということはきわめて明白であろうと存じます。設備の廃棄等をやりますと、どうしてもそこで労働の余剰分が出てくるということになりますので、これを円滑に配置転換なりあるいは別の分野への再就職というようなことができるかどうかということが構造改善を進める上におきましてきわめて重要であるというふうに存じておりますので、通産省もそれから関係者ももちろんのこと、労働組合と常に緊密な連絡をとりながらこの構造改善を進めるということが必要であるというふうに考えております。
  54. 宮田早苗

    ○宮田委員 平電炉業界の不況の実態は需給ギャップの数字を見れば一目瞭然だと思います。石油ショック後の需要の大幅の落ち込みに加えて、業界の強気の設備投資がギャップをより大きくする原因になったと研究会の報告書は分析しておるのです。  ここで問題にしなければならないのは、通産省や建設省の需給予測がどうだったかということであります。業界独自の、また、業界内部からの強気な投資意欲だけだったというふうには思われないわけであります。行政指導といいますか、誘導政策といいますか、通産省の需給予測は一体どうだったかということをお聞かせ願いたいと思います。
  55. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 平電炉の業界と申しますところは、近経学者の言うところの完全競争に近い競争が行われておった分野でございます。この分野に関しまして通産省が行政指導をしたということは従来ほとんどございません。  ただ、例外がございまして、狂乱物価のときにあらゆる物資の価格が高騰をいたしたことがございまして、当時小棒の価格が十万円を突破しそうになったというようなことがございましたが、このときは、異例のことではありますけれども、小棒のみならずほとんど全物資にわたって政府価格の高騰を抑制し、あるいは引き下げを指導するというようなことがございまして、その一環といたしまして、小棒につきましても価格の抑制の行政指導、それから増産行政指導というようなことをやったことはございます。しかし、それを除きますれば、小棒につきましてはプライスメカニズムがきわめてよく働いておった、価格に従ってこの業者が需要をみずから予測をして生産をしたり投資をしたりしておった、というのが実情かと考えております。
  56. 宮田早苗

    ○宮田委員 これと関連をいたしますが、この業界への影響力という点では、金融機関以上の力を持っております商社の思惑もあったと見るべきではないかと思いますが、その点はどうお考えですか。
  57. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 この業界は、商社もそうでございますし、平電炉自体もそうでございますが、非常に思惑によって動きやすい業界でございます。思惑によりまして価格が暴騰したり暴落したりするということをずっと繰り返しておる業界であります。それから、第二番目に、商社の立場からいたしますと、原材料の納入でコミッションがかせげますし、また、でき上がった製品の販売でもコミッションがかせげるというようなことで、商社にとりましては、一般的に申し上げれば従来はうまみのある取引先であったというふうに思われます。  そこで、そのうまみのある取引先の中でのシェアを広げようというようなことで、商社は平電炉業者に対しましてどんどん金を貸し込んでいき、その金によりまして設備拡張が行われたというようなことが今日の設備過剰の一つの原因にはなっておるというふうに考えられます。
  58. 宮田早苗

    ○宮田委員 途中で大変失礼ですけれども、通産大臣は予算委員会へ行かれるということですから、一つだけ伺います。  この前の予算委員会でわが党の塚本書記長が、総括質問の際に、平電炉業界の窮状打開のために幾つかの提案をしておるわけです。たとえば不況カルテル指定業種、まさしくいま問題になっております平電炉、これは棒鋼ということでありますが、その製品を建設省が予算内で一部買い上げるような提案をしておるわけでございまして、これに対して総理並びに通産大臣は、不況対策として研究をする、検討をする、というふうに言っておられます。これは二月九日のことでございますが、その点についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  59. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほどもちょっと触れた次第でございますが、御案内のとおりに、この小形棒鋼その他共同販売会社を活用いたしまして、建設省の直轄工事に対しまする発注に際して、不況打開の有効な手段としてひとつ活用したい、こういうことでせっかく建設省と交渉中でございます。何とかこれを実現しただけでも冷え切った平電炉のために少しでも役に立てばありがたい、かように考えております。
  60. 宮田早苗

    ○宮田委員 大胆、もう結構です。  さきの商社の関係に戻るわけでございますが、商社が介入する場合に、設備資金の融資とか不況時の運転資金を援助しておると思うのですが、この点を把握しておいでになるならば、金融機関借り入れとの比較ということでできると思うのです。わかっておいでになりますならばひとつお聞かせ願いたいと思います。
  61. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お尋ねでございますけれども、商社から平電炉企業に対しましての金融の実態につきましては、われわれはその余り詳細なデータは掌握しておりません。
  62. 宮田早苗

    ○宮田委員 今度の予算の中で、政府は、公共投資四兆二千八百十億ですか、二一%強の計上をしておるわけですが、景気対策の柱ということなんです。しかし、もしこれが実施されるということになりますと、平電炉メーカーがつくり出します、特に小棒関係需給にどれほどの波及効果があるものか、わかればひとつお聞かせ願いたいと思います。
  63. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 小形棒鋼の需要は、内需で申し上げますと、トータルで七百二十万トンくらいでございまして、そのうち建築用が約六〇%、それから土木用が約三〇%、したがいまして約六百五十万トンくらいが土木、建築用の官民合わせた内需ということになっておるわけであります。したがいまして、公共事業を拡大いたしますと、これが小形棒鋼の需要の拡大に相当寄与することは明瞭でございます。  どの程度寄与するかということでございますが、この点に関しまして余り正確な統計がございませんので、現段階におきましては大ざっぱなことしか申し上げられませんが、御参考までに申し上げますと、公共土木事業一億円当たりの小棒の需要誘発効果は十八トンでございます。一億円について十八トンというような誘発効果があるというふうに見ております。  それから、第二番目に、建築につきましては、建築着工面積一平方メートルにつきまして小棒の需要が八十キログラムというふうに見ておるわけでございます。  昭和五十二年度の公共投資予算によりましてどの程度の小棒の需要が出るかということにつきましては、まだ現在調査中でございまして、特に地方の予算がこれから出そろってまいりまして、それの中で道路が幾ら、橋梁が幾ら、あるいは住宅建築が幾らとかいうようなことの中身が少しはっきりしてまいりませんと正確な予測ができないわけでございますが、現在そういうデータを把握して需要見通しを作成しておるところでございます。
  64. 宮田早苗

    ○宮田委員 中小企業の定義から、平電炉七十四社中三十九社が中小企業ということになると思います。この三十九社の再編なり一部の事業転換に当たって、中小企業の事業転換法で誘導、助成する方法が考えられないかどうか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  65. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 いま先生が三十九社とおっしゃいましたのは、多分単圧業者の数ではないかというふうに存じますが、これにつきまして、この単圧業者の中でもいろいろ苦境にある企業につきましては、事業転換法その他あらゆる方法を通じていろいろな救済策を講じていく必要があると存じますが、事業転換法の適用がうまくいくかどうかということに関しましては、これから検討させていただきたいと考えております。
  66. 宮田早苗

    ○宮田委員 平電炉メーカーについての最後の質問ですが、棒鋼の輸出実績を児ますと、四十九年度から急にふえておるわけですが、五十一年度の見通しはどうなっておりますか。この価格の推移をあわせてお聞かせ願いたい。国際競争力の問題もございますので、この点も含めて御説明していただければ結構かと思います。
  67. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 輸出につきましては、石油危機以前は非常に少ない数量でございました。たとえば四十七年が三十万トン、四十八年が五十一万トンという程度でございましたが、石油危機以降急増いたしまして、四十九年が二百二十万トン、五十年が百九十七万トン、五十一年度の見通しはおおむね三百万トン程度というふうに考えております。  こういうふうに石油危機以降輸出が急増した大きな理由は、やはり内需が不振であるということでございます。それから、価格につきましては、国内の価格と同様きわめて低迷をしておるという状況でございます。
  68. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は、昨年の国会において、わが国の民間航空機産業が戦後ゼロからスタートをして蓄積しました技術力をなお一層発展させるためにも、次期民間航空機の開発に取り組むべきだという主張をした経緯があるわけです。  提案されています予算案でも、YX開発計画予算として十億九千二百万円が計上されております。しかし、昨秋来共同開発に当たるアメリカのボーイング社の内部事情ということでしょうか、ボ社の都合によって日米交渉が中断されているようであります。私どももこのような大型プロジェクトを単年度でどうこう言うつもりはありませんが、通産省の民間機開発に対する方針をまずお聞かせ願いたいと思います。
  69. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 民間航空機の問題につきましては、先生御指摘のとおり、今日までボーイングと交渉を続けてまいっておりましたYX計画につきまして、現状は、ボーイング社におきます最終的な本件についての検討作業が行われております間、日本側との間の交渉について中断という状況になっておりまして、昨年の夏ごろかなり進展した時期がございましたが、今日におきましては、ボーイング側におきます検討作業結果を聞きまして、それを踏まえて交渉を再開する、その時期は恐らく五、六月ごろになるのではないか、というふうに考えておるわけでございます。  このような事情になりましたのは、第一の事情は、民間航空機に対します需要自身がきわめて流動的でございまして、とりわけ昨年の秋ごろから、たとえばヨーロッパ等におきます新しい機種の構想等も出ましたし、ボーイングといたしましても、競合機に対します対処方針も検討しなければなりません。従来ボーイングが持っておりました7X7を中心といたしますところの、つまり日本側のYX計画との合体計画につきまして、周辺のいろいろな飛行機の開発構想とも絡み合わせての最終検討が行われるというような事情でございまして、私どもも、この民間航空機の需要自身がこういう状況にあります間やむを得ない状況であろうというふうに判断をいたしておるわけでございます。ボーイング自身が日本側と続けておりました従来の交渉の態度あるいは意欲がここで消えたというふうには判断いたしておりません。  私どもは、従来の基本方針に沿いまして、ボーイング側の検討作業結果を踏まえ、その上でさらに交渉の再開を行うという構えでございますが、他方におきまして、五十二年度予算に十億九千万の補助金を出すことを予定をいたしておるわけでございますが、本件は日本側がボーイングとの共同開発ということでございまして、パートナーの一人であり、日本側が技術的にもまた設計その他いろいろな面で十分実力をつけておく必要がございます。  この十億九千万は、設計あるいは風洞実験その他試験等々に使用する予算として計上しておるものでございまして、国際共同開発をやろうという私どもの基本方針は何ら変わっていないというのが現状でございます。
  70. 宮田早苗

    ○宮田委員 この民間機開発に関連して、ジェットエンジンの開発について工業技術院の方にお伺いいたします。  このプロジェクトは五十一年度から第二期段階に入るわけですが、一期の成果と今後の開発経過を参考までにお聞かせ願いたいと思います
  71. 中屋敷正人

    ○中屋敷説明員 昭和四十五年八月の航空機工業審議会の答申によりまして、「今後の航空機工業政策に関する中間答申」というものが出されたわけでございますが、その中で、頻繁な離着陸に耐えるということと、それから、航行時の経済性が高く、かつ騒音及び排気による大気汚染の少ない高性能なエンジンを開発する必要があるという答申が出されておるわけでございます。その答申に基づきまして、昭和四十六年度から工業技術院でやっております大型研究開発制度という制度によりまして、昭和四十六年度から五十年度まで五年間かけまして第一期の研究が完了したわけでございます。この五年間に投じました経費は六十九億円でございまして、非常に成功裏にその第一期計画は完了したというふうに認識しております。  続きまして、第一期の計画が技術的な基礎研究でございますが、これのさらに空中における実用化のための開発研究という第二期の計画があるわけでございますが、この二期の計画を早速昭和五十一年度から着工いたしまして、現在二期計画に入った段階でございます。
  72. 宮田早苗

    ○宮田委員 時間の関係でこれで終わりますが、最後に一つ要望しておきますのは、不況産業の中でも、構造改善を必要といたします業種というものが非常に多くなってまいりました。これは単なる小手先だけの対策ではもう済まない状態だということは通産省の方々が一番よく御存じと思いますので、これを根本的にどう改善していくかということについて格段の御努力をお願いしたい。  大臣がお見えになりませんが、次官がお見えになっておりますので、大臣にもそのことを強力にひとつ強調していただきますように要望をいたしまして、終わります。
  73. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時五十六分開議
  74. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。工藤晃君。
  75. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私は、通商行政の基本問題にかかわる問題として伺いますが、いま、というよりも最近の日本経済状況が、不況が長引き、同時にインフレーションが重なってきているスタグフレーションといったような状況でありますが、その中でインフレーションは、まさに国民に対しては両極分化的な、つまり働く国民や中小零細企業にとっては一層厳しい状況をつくり出す、それに重なって不況、この中で大きな資本はますます小さな資本、業者を犠牲にし、勤労者を犠牲にする、そういう方向で進んでいるわけであります。  そのことで、特に小売分野につきまして、最近の大型店、大資本の進出の状況は、これは一つの重要な問題となってきているわけでありますが、最近の大型店の進出の状況はどうか、そして小売業におけるシェアがどのように変わったのか、さらに今後の予想はどうか、それについてまず質問いたします。
  76. 織田季明

    ○織田政府委員 お答えいたします。  現在、スーパー、百貨店の数は二千五百九十七軒、これは五十二年一月末でございますが、そのうち大店法施行以後に出店をしたと申しますか、三条の届け出をしたものが九百五軒でございまして、そのシェアでございますが、百貨店のシェア、あるいはセルフサービス店のシェアが、それぞれ八・九、一〇・六でございます。  今後の見通しについては、だんだんにふえていくかという感じでございます。
  77. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 今後の予想については、だんだんにふえていくということでありますが、しかし、実際の状況を見ますと、あるいは民間のいろいろな調査によりますと、たとえば野村総合研究所で昭和六十年の予測はシェアが三六・〇%であろうとか、あるいはまた東洋経済の五十一年十一月四日号に載った調査によりますと、五十五年には二八%であるというような予測も出ているわけであります。  そこで、続いて伺いたいことは、いまのこのような大型店の進出が今日地方の商業、地方の小売店、中小小売店に対してどういう影響を与えてきたのか、政府はどのような実態調査を行ってきたのか、この点について伺います。
  78. 織田季明

    ○織田政府委員 従来局部的には調査をしたことはございますが、余り大々的な調査はいたしておりませんので、現在調査中でございます。
  79. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 先ほど私が言いましたように、この問題は中小商工業者や中小小売店にとってはきわめて深刻な問題であるにもかかわらず、この調査がまだ局部的で、そして全体としてはまだ進んでいない。これはきわめて重要な問題だと私は考えます。  たとえば、これまで民間の調査によりましても、あるいは埼玉県とか千葉県等といったところの調査によりましても、いろいろ新しい実態が出ているわけであります。たとえば、日経流通新聞七六年三月一日号によりますと、百七十五の都市で大型店の売り場面積シェアが二二・一%に達したということと同時に、その中では、地方によりましては、武蔵野市、立川市、千葉の柏市、神奈川県の藤沢市、兵庫の川西市というところではすでにシェアが六〇%から七〇%、そして売り場一平方メートル当たりの人口が一人から二人といった状況に達しているわけであります。そして、ダイエー、西友、ジャスコ、ニチイ、イトーヨーカドーなどの大手のスーパーが全国的に最近すさまじい進出競争を行って、いまやその進出は線から面へ移ってきたという状況になってきているわけであります。このように最近の大型店の進出は、全国的平均的に見ても急速な伸びを示しているだけでなしに、地域的に見てすでにもうシェアが三〇%以上であるとか、売り場一平米当たりの人口が一けた台になっているところだとか、そういうところがふえてきているわけです。  それと同時に、これに伴って、中小小売店の受けているさまざまな被害についての調査も幾つか出されておりますが、たとえば志木市にダイエーが進出しました。埼玉県でありますが、その結果埼玉県の商工部が調査した結果、「よい影響」というのは四・四%にすぎない。「悪い影響」が六六・七%である。圧倒的であります。これは朝霞市における西友ストアーにおいても、「よい」というのが四・三、「悪い」が五二・九です。そして、志木のダイエー進出の場合は「八カ月たってもまだ回復しない」が約四割に達している。こういう状況になってきているわけであります。  それに加えて、私がここで強調したいのは、このように最近大型店の進出が急速になっているということとともに、最近の国民の消費の動向はどうかということです。これは月例経済報告においても示されておりますし、昨日また新しい統計が発表されておりますが、全国勤労者世帯の実質可処分所得は四十九年が〇・〇と、全く伸びがなかった。五十年が二・六。これは実質であります。ほんのわずかです。さらに、五十一年はマイナス〇・九である。このところサラリーマンや勤労者の消費はずっと伸びていない。マイナスにさえなっている。こういう状況が続いているわけであります。  このことを考えるときに、地域的にはすでにこのような驚くべき進出が行われ、しかも消費が伸びないというときに、地方の中小小売店の困難、苦難はきわめて大きい問題であり、したがって、この大型店の進出問題は大変重要な問題であると考えますが、その問題については大臣はどのように考えられるか、お答え願います。
  80. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  ただいまお話しのような小規模小売店、零細規模の業界が大規模小売店舗の進出等々によりましていろいろと圧迫等をこうむっておるというようなことがますますひどくならないように、私ども通産行政をいたしております者は、消費者の利益を守りますと同時に、これらの中小規模のまた零細規模の小売業界のために守ってまいらなくてはならない。そういうような意味からも大規模店舗法というものの必要性を痛感いたす次第でございます。
  81. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 大臣のただいまの御答弁では、圧迫を受けている状態がこれ以上ひどくならないようにしようということだと思いますし、また、それで大型店舗法を活用されるということでありましたが、一つだけ実際的な問題について伺っておきたいことがあります。  それは、大型小売店舗法の中に「周辺の中小小売業の事業活動に相当程度影響を及ぼす」ということがあり、それが一つのこれからの勧告とか命令の基準となっているわけでありますが、このことについて、たとえばこれは実際にどうやられるかということから言いますと、その市の商工会議所、商工会に商調協が設けられまして、そしてこの商調協について、「商業活動調整協議会の運用について」という、これは通産省の通達だろうと思いますが、それがありますが、その中の、たとえばその商調協は何を一体物指しにしていろいろ判断するかという中で、たとえば「人口、店舗面積比」というのが、その「次の事項を総合的に勘案」の(イ)に書いてありますが、では、その「人口、店舗面積比」というものの物指しですね。実際にどういうものを示されてきたのか、そういうものはできているのかどうか、その点についてひとつ伺っておきたいと思います。
  82. 織田季明

    ○織田政府委員 ただいまお話のありました点につきましては、いま役所の方で審査資料というものの作成を急いでおりますが、そこで検討している中身の一つでございます。したがいまして、これという決まった指標はいまのところ各商工会議所には示しておりませんが、いままでも各地区の実情に応じましてそういう点を一つの指標として運営をしてきたように思っておりますし、今後はより充実したものをつくって地方に示したいというふうに考えております。
  83. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) つくってないけれども何か示してきたというきわめてあいまいなお答えですが、ただ、大型小売店舗法が施行されてもう三年になっている。三年になって、商調協でそういうようにいろいろやらなければいけないというのに、その物指しの方がこの三年間つくられず、はっきりしないまま来たということは、私は、一種の無政府状態をつくってしまうことになると思うのです。実際そうだと思うのです。こういうところにこれまでの通産行政一つの姿勢問題が問われなければならない。  この問題については、実際を言えば、これまでの経験則から言って、大体一平米当たり七人くらいまでいったらもう大変な状態になるということはわかっているし、まして、これが二人とか三人とか四人になったら大変になるということは経験則から言っても明らかになっているし、実際はそういう判断ができるのでありますが、それがこの三年間いまだにつくられない。聞くと、まだできない、まだできないというままで来てしまった。この重要性を私は指摘すると同時に、大型小売店舗法が施行されて三年たった今日、この三年間をいろいろな面から振り返ってみて、どうしてもこの改正を行わなければいけないのじゃないか、改正すべきであるというように私は考えるわけであります。  この前この法案を審議し、また採決するに当たって、共産党・革新共同はこれに反対いたしました。これは大型小売店舗法はいわば一つの促進法になっているという点を鋭く追及したわけでありますが、そのときにわが党はどう言ったということだけでなしに、実際にこの三年間を振り返ってみて、いろいろな地方の実情を調べてみるに、たとえば千葉県で言うと、この間に売り場面積で大型店がほとんど二倍くらいになってしまった。そして、そのところにもってきて、いま消費者の消費の停滞が続いており、大変な苦難を中小小売業者が負わされているという実態です。  それから、また、この大型小売店舗法が、実際に地方で中小小売店を守ろうという立場に立って地方自治体がいろいろ施策をやろうとするとなかなか役に立たないということから、全国知事会からも、あるいは都道府県議会の議長会からも、これを改正すべきであるという要望が、実に、施行されて四カ月以後からすでに出ているという状況はもう御存じのとおりだと思います。たとえば全国知事会からは、これは五十一年七月二十三日の昭和五十二年度に関しての要望でありますが、この中で、「また、大規模小売店舗法については、大規模小売店舗進出の際地域の実情に応じ円滑な地元調整をはかり得るよう、基準店舗面積の引下げ等その整備を行うこと。」とか、あるいは全国都道府県議会議長会からの五十一年十一月の要望においては、「大規模小売店舗法について、地域の実情に応じた規制がはかられるよう、届出受理権限の地方公共団体への委譲等地方公共団体の関与の明文化、店舗基準面積の引下げを行うとともに、調整基準を明確化すること」など、続々とこのような要請が国に対しても行われておりますし、それだけでなしに、多くの地方自治体やあるいは商工会議所が、豊中市の例や、熊本県の例や、横浜市の例や、埼玉県の例や、さまざまありますが、要綱とか条項などで規制をするにはどうしてももっといろいろなことをきめ細かくやらなければいけないと、その規制や調整に乗り出している。これがこの三年間の実情であります。  それに加えまして、もう一点つけ加えなければいけないことは、あの商調法との関係であります。小売商業調整特別措置法では一つの建物の中に十以上のいろいろな小売商が入る。これは大型店舗法の場合の千五百平米というものよりかさらに小さい規模のこともあり得るわけでございますが、その場合でも都道府県知事の許可制になっている。この問題については、すでに革新共同の田中美智子議員がこの商工委員会で取り上げたことがあります。そして、また、今度予算委員会でも取り上げたわけであります。もちろん、それは、この商調法そのものがきちっとやられていないという角度でありますが、こういう商調法との関係から言っても、大型店舗法の方は届け出制でこのように緩くなっているということは、通産行政としてもきわめて大きな矛盾を露呈したことである。  以上のことから、どうしてもこの大型店舗法改正は必至である、早急にしなければならない、このように私は主張し、考える次第でありますが、大臣、この点についてぜひはっきりした答弁をお願いしたいと思います。
  84. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘の件でございまするが、この前田中委員からの御質問にもお答えいたしましたとおりに、この御要望に対しまして、御趣旨を体しまして、今後これらの意見について十分に検討してまいりたいと申し上げたのでございますが、これはただいま直ちに通産省といたしまして大店法を改正する必要があると考えてはおらないのでございまして、むしろ運用面で、商調法との関係のきめの細かい指導なり、あるいは今後これにどうして対処してまいりまするか、われわれの今後の努力と相まちまして所期の目的を実現してまいりたい、かように考えておる次第でございまして、いろいろな問題につきましてのなお一層の御協力をお願いいたしたいと存じます。
  85. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) この前の予算委員会での答弁は、趣旨に沿って十分検討するというのでありますが、いまの発言の方はそれよりも後退したとしか受け取れません。しかし、先ほどの全国知事会の、要望を挙げるまでもなく、この改正問題というのはまさに必至であり、また、国民の大きな声となっている次第であります。  さて、そのことを重ねて申し上げると同時に、では、こういう大型小売店舗法のもとでどういうひどい大型店の進出状況があるのか、一つ具体的な例を挙げてここで検討しなければならないと私は思っております。  それは、小平市小川東町へのダイエーの進出の問題であります。これをめぐっての大きな特徴というのは、地元商店街挙げての大反対があるだけでなしに、小平第三十三都営や小平市小川東団地など、周辺の住民もこれに対して大きな反対を行っておりますし、東村山市の議会では五十年十二月に反対の決議を行っております。特に、商店の皆さん方の反対は、あの白装束でハンガーストライキをやったということや、昨日も小平、東村山小売商近代化促進協議会、近代協と呼んでおりますが、これが絶対反対の決議を行い、きょうも大衆的な行動が行われているわけでありますが、なぜこういうことになっているのか。  第一、このダイエーの進出のスケールそのものが、売り場面積一万八千六百七十七平米で、その規模は、先ほど私が一つの例として挙げましたところの志木のダイエーの例から言っても、「悪い影響」が六七%で、「八カ月たっても回復せず」が約四割です。そして、この小平のダイエーの進出ということになりますと、これまでの大型店の進出とあわせて、一平米当たりが実に四・八人になってしまう。そして、また、シェアは大型店が四四%になる。こういうようにまるきり地域の小売商を併呑するような、お客さんの半分はいただいたよというような進出になっているということに加えて、都市問題上もきわめて大きな問題があるのです。  府中街道、そしてまた東京街道の交差点、その交差点を含んで七差路になっているところ、ここへの進出から、大変な交通や騒音、排気ガス公害が予測されるがゆえに住民の方の大きな反対がありますし、それから汚水処理の問題が全然解決されていない。下水道で処理されるのではなしに、毎日十台、二十台といったタンクローリーが汚水をどこかに持っていく。この行く先の問題が事実上解決されておらない。それに加えて、改正された建築法によりますと、この建築法に基づいてあすにでも政令ができるならば、ここは第二種住宅専用地域として建設が行えないところであるにもかかわらずこの計画が強行されていくという。こういうように住民にとってはきわめて重大な数々の問題を含んだ進出であるということから問題がこのように深刻になってきたわけであります。  このことについて、最近の動きとしてわれわれがきわめて注目したこととしては、これまでも都に対しての念書や小平の民商あての回答の中で誓約とか確約という言葉を使って、それはやらないと言ったにもかかわらず、その話し合いなしに二月二十二日の段階で鹿島建設が、三月一日に着工する、あらかじめ立入禁止や妨害排除の仮処分申請をするという申し入れを一方的に行ってきたという事実もあるわけであります。そこで、これに対しまして、われわれは建設省を通じて、建設省は都を通じて鹿島建設側にいろいろと行政指導を要望しましたが、その結果として、都への念書や小平民商への回答の趣旨を十分尊重するつもりですという返答が来たということでありました。このように、これほど住民にとって重要な問題である進出計画について、そのまま強行着工ということをやり、そして建築基準法の問題から言っても、あすにでも政令ができればまさにそれでできなくなるような建築を無理やりやろうとしている。そして、その場合も、問題にしている民商やその他の商店街に対しての話し合いはやらないで、部分的に近代協だけにはテナントを一部出そうかというようなことで分断工作さえやろうとしている。こういう状況が行われているわけであります。  さて、そういうことでありますから、この問題一つとりましても、建設省のサイドでそのような行政指導をやるということでありますから、通産行政のサイドとしても、このような併呑型の計画を持って強行しようというダイエー側に対しても、地元の商店会あるいは小平民商などのそういう念書や、都に対するいろいろな念書や、そういうものを守り、同時にどの団体とも十分話し合いを尽くして強行政策をとらないようにするというように行政指導をすべきであると私は要望するものでありますが、これについてひとつお答えをお願いしたいと思います。
  86. 織田季明

    ○織田政府委員 小平の問題につきましては、四十九年以来地元と話を続けてきておるわけでございますが、いまだに話がつかないで問題が残っている次第でございます。したがいまして、まだ商調協にもかかっておりませんので、先ほどお話のありました面積につきましては、これから商調協で議論する問題ではないかと考えておりますが、地元との方は四十九年以来ずっと話を続けてきておりまして、最近も一段と精力的に話を続けているというふうに聞いております。  私の方からも極力地元と話し合いを続けるようにということで指導しておりますので、解決するものというふうに思っております。
  87. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 地元と極力話し合いをすると言いますが、先ほども言いましたように、念書あるいは回答を受け取ったことがある。これは鹿島建設からでありますが、そういう民商やあるいはその他の方とはまだ話し合いをしようという態度さえ十分示していないというのが状況であります。そういうことでありますから、極力話し合いを続けるように指導すると同時に、話し合いをやらないで強行策をとらないということをいま一度ちょっとはっきりさせていただきたいと思います。
  88. 織田季明

    ○織田政府委員 私の方といたしましては、話し合いがつかなければというふうなことにいたしますと、話し合いがつく場合がかえってつかなくなるケースもありますので、先ほど申し上げましたように、極力話し合いをして解決するようにということで対処したいというふうに考えております。
  89. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの答弁はきわめて不満でありますが、私は、そこには、通商行政のいまのビッグビジネス寄り、大企業寄り、大資本寄り、大型店寄りの姿勢がはっきりとあらわれているというふうに判断せざるを得ません。したがって、この問題については、鹿島、ダイエーの一方的な進出、強行策に対しては、強行策をとってはならないという行政指導を当然に強く行うべきであります。そのことを私は要求するとともに、私の持ち時間がなくなりましたので、最後に重ねて要望をしておきます。  こういう実態一つを見ても、このように大型店舗法の改正というのは実に必至になってきているということをはっきり示していると思います。ともかく建築を先行させてしまい、それからやれ商調協だとか何だとかいうことが実際行われているわけであります。そして大きな建物をつくるぞつくるぞと言い、地元に対してはいろいろ分断工作をやる。こういうことをやる大きな資本の横暴な姿が一つあらわれている。そういうときに、いまの大型小売店舗法では実際にそういうことがやられるようになってしまっており、どうしてもこういう建築がまず先行してしまう。その前に、それこそ許可制でいろいろ抑えられるようにしなければならないし、また、基準面積も検討しなければならないし、いろいろ問題がありますが、わが党は、少なくとも千五百平米を千平米に下げることと、通産大臣への届け出制を知事への許可制にすることと、そういう内容を持った改正を要求するものであります。重ねてこのことを要求しまして、私の質問を終わらせていただきます。
  90. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 安田純治君。
  91. 安田純治

    安田委員 私は、まず、小売商業調整特別措置法、いわゆる商調法に関して伺いたいのですが、先日の予算委員会で田中美智子委員質問に対して御答弁があったわけでございますけれども、なお確認の意味で伺うわけでございますので、ひとつ端的にお答えいただきたいと思います。  大阪のダイエー富田林店がキーテナントになっておるショッピングセンターの場合は、商調法三条一項の許可が必要であるのに、同法の許可を受けていない。したがって、現に同法違反の違法状態が存在している。このことは確認してよろしいでしょうね。
  92. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お答えを申し上げます。  商調法におきましては、一の建物の中で十店舗以上の小売商が存在し、その中に生鮮食料品、生鮮魚介類あるいは野菜類の販売店を含んでおるといった形態の販売を小売市場としてとらえまして、一つの建物を小売市場とするために賃貸譲渡するということを許可にかからしめておるわけでございます。  いま、田中美智子委員の御質問にお触れになりましたが、その際に私からお答えをいたしましたように、この条文の適用につきましては、従来必ずしも府県によりましてその運用が統一をされていなかったといううらみがございます。そこで、私ども、先般いろいろ議論をいたしまして、従来の伝統的な意味における小売市場だけではなくて、たとえばショッピングセンター形式をとっており、その中に賃貸譲渡が含まれておるといった形のものも許可制の対象とする、小売市場とするために賃貸譲渡する場合に該当し得るというような解釈をとることにいたした次第でございます。  ただ、さらに、いま富田林の問題について御言及がございましたけれども、その解釈論とは別に、従来各府県の運用を見ておりますと、区分所有をした場合にこれをどう扱うかということについても同様に解釈がまちまちでございまして、私どもは、この区分所有の問題をどう考えるかということにつきましていまいろいろと議論をしておる最中でございまして、いわばその結果にかかっているのではないかという感じがいたしておる次第でございます。
  93. 安田純治

    安田委員 ただいま、建物の区分所有のケースの場合にはいま議論をしているとおっしゃいますけれども、商調法を見ていただければはっきりしますが、この商調法の第三条でございますね。この第三条の三項に、「前二項の規定の適用については、屋根、柱又は壁を共通にする建物及び同一敷地内の二以上の棟をなす建物は、これを一の建物とし、建物に附属建物があるときは、これを合わせたものをもって一の建物とする。」と明文で書いてありまして、建物の区分所有等に関する法律がこの商調法の最初にできたときから以後に制定されておるわけでございますが、仮に建物の区分所有の法律が後からできたとしても、この三条三項の明文で、屋根、柱または壁を共通にする場合は一の建物とするということが書いてあるのですから、所有権の個数というよりは、物理的な建築物といいますか、建物の個数によって一つの建物とする。おまけに、一つの敷地内で棟が違っても、附属建物がある場合には、これを主たる建物と一緒に一の建物とするとちゃんと書いてあるわけでして、解釈の余地がないんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  94. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお話がございましたように、第三条三項におきましては、建物の定義をどう考えるかということについて規定がございます。実は、私どもがいま議論をしておりますのは、この建物の定義の問題もさることながら、第三条の一項にございますが、省略して読みますと、「小売市場とするため、その建物の全部又は一部をその店舗の用に供する小売閥に貸し付け、又は譲り渡してはならない。」という条文の「小売市場とするため」というのをどう読むべきであろうかという点が特に議論の中心になっておるところでございます。建物自体が許可申請をするわけではございませんから、だれかの意思がここに働いてくる。そのときに、やはり、「市場とするため」という当事者は、個々に区分所有をしておる当事者ごとにとらえるべきであるか、あるいはそれらを合わせてとらえるべきであるかということが一番議論の焦点になるのではないかと思っておるところでございます。  建物の話に触れまして、あわせて私どもが議論しておりますことを御報告いたしますと、たとえば、最近、市街地再開発等で一つのブロックが建物を一新して、そしていわば屋根を共通にした形であるけれども、その中に結果として個々の小売店舗が十店舗入っており、しかもその中にたまたま生鮮魚介類を扱っておる店があったという場合に、それが果たして一つの市場というようなとらえ方ができるのだろうかどうだろうか、それから同様のケースは、地下商店街なんかの場合どう考えるべきであるか、あるいは公共駅における右の端と左の端に小売店ができた場合、これを一つの市場というふうに観念できるかどうか、と、こういった実例を少し勉強してみることによってその答えが出るのではないかといったことをいま議論しておる最中でございます。
  95. 安田純治

    安田委員 そういう実例が仮に研究の対象になるとしても、この法律自体の解釈といたしまして、小売市場というものもちゃんと括弧して定義がされておりますね。ですから、伝統的な意味での小売市場というふうに区分けしなくても、この条文自体ではっきりと小売市場の定義がされておる。そして、次に、この小売市場としようとするという、その「とするため」であるかどうかということを一々その区分所有をしておる人の主観的な願望なり希望によってかからしめるとなれば、これは法律の適用はできなくなってしまうわけですから、客観的にこの第三条一項が定める「小売市場」は、はっきり十以上の小売店があって、そして政令で定める品物を売る場合——これを政令で見ますと、「野菜」「生鮮魚介類」となっておりますけれども、こういう定義がちゃんと明文で書かれておるわけでございまして、ほかの概念をもって引用してこの条文の小売市場の解釈をひねり出すという必要は全くない事案ではなかろうかと思うのです。  そうしますと、「とするため」というのは、あくまでもそれはそういう三条一項の「小売市場」となる認識さえあればいいのであって、としようとするかどうかという主観的な願望は法解釈上何ら問題にならないと思うのですけれども、どうでしょうか。
  96. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先生は法律の御専門でございますから、私も勉強中の身でございまして、まだ十分なお答えができるかどうかわかりませんのですが、私どもがいま議論しております経過はいま申し上げましたとおりでございます。  ただ、この問題は、やはりあいまいなままで残しておくということでは済まない問題であるという気がいたします。いずれにせよ、何らかの解釈の統一を図り、また、それに従ったこれからの運用というものを考えていかなければならないというふうに心得ております。
  97. 安田純治

    安田委員 いや、あいまいなままに残されてはもちろん困るわけですが、現に、ダイエーの大阪の富田林店ですか、そこでこういう事例があるわけでございますね。そうすると、おたくの方で研究をされている間、これはどうなりますか。
  98. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまこの商調法によって指定されております都市が四十五ございますが、その約半分ぐらいが大阪府の関係の都市でございます。先ほど申し上げましたように、区分所有につきましては、大阪府におきましては、伝統的に、区分所有の形態をとるときには個々の所有者ごとに判断をするというルールで長い間運用してきたという実績があるわけでございますし、そのほかに、私の無知しております範囲では、たしか和歌山県も同様な解釈でやっておったと思います。それ以外の府県におきましては、必ずしもその辺の解釈が明確でない。  こういった一定の過去の事実というものを私どもは判断するときには頭に置かなければならないと思いますが、ただ、それを余りルーズに解釈いたしますと今後の例としては好ましくないという場合もあり得る。こういったことは、いま当面問題になっておりますのは富田林のケースかもしれませんけれども、全国各都市にある各種の小売形態の実態はどうなっているかということをいろいろのケースに分けて考えてみて、そういうような実態の認識の上に立って新しいルールをつくるということがいずれにしても必要なのではないかと思っておるところでございます。
  99. 安田純治

    安田委員 その個々の所有者ごとに判断するというふうに運用されておったという先ほどの御答弁ですけれども、そうしますと、この三条の三項は一体意味のない規定になってしまうのではないでしょうか。どうでしょうか。
  100. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これは先ほど申しましたように二つの解釈があり得るということでございまして、一方の解釈は、先生の御指摘のように、建物ごとにそこの中におります小売商の意思を一つのものとして考えて処理をするというやり方でございますが、他のやり方としては、区分所有者ごとにその市場とするための意思を判定をして、それが結果として一つの建物ごとに集約をして許可にかからしめるといった運用のやり方で、この二つをどう考えるかという問題ではないかと思います。
  101. 安田純治

    安田委員 そうしますと、いまのところ、あえて建物を分割して二人以上の者に所有させればこの商調法の規制を免れる。商調法の三条でいう「小売市場」に当たるような施設であっても、区分所有さえさせれば、そしてそのおのおのについて十店舗にならない、しかし建物一つとして見れば十店舗以上になるという場合に、こうした人為的な操作を行えば、この商調法の規定というものはほとんど規制として役に立たない結果が生ずると思いますけれども、こうしたいわば脱法行為といいますか、これはどうやって防ぐおつもりですか。
  102. 岸田文武

    ○岸田政府委員 まさに、いま御指摘になったような問題意識なるがゆえに、私どもも一方では過去の事例というものを十分配慮しなければならないということと同時に、やはり、今後のルールとしてどういうルールをとることが一番適切であるかという、この両面の判断が必要であろうと答弁をした次第でございます。  いまの段階では確定的な解釈についてのお答えが用意をされておりませんが、いずれにせよ解釈の統一を図りまして、それについて今後はルールの統一を図り、適用していくというようなやり方を考えておるところでございます。
  103. 安田純治

    安田委員 では、法制局の方に伺いたいわけですけれども、実は、この商調法の三条三項と同じような規定が大規模小売店舖における小売業の事業活動の調整に関する法律の三条八項にもございます。  そこで、この解釈の問題なんですが、この大店法と商調法の同じような規定、つまり、「一の建物とする」という規定は、これは別意に解釈することができましょうか。できませんか。商調法においての「一の建物」とはこういうことであって、大店法における「一の建物」とはこういうことだと区別して解釈すべきかどうかということです。
  104. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  ただいま安田委員から御指摘がございました小売商業調整特別措置法、簡単に商調法と呼ばせていただきますが、この商調法の三条の三項に書いてあります規定と、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律、いわゆる大店法でございますが、この大店法三条八項に書いてある規定とは、規定の一部分において、たとえば商調法の方では、同一敷地内で二棟以上の棟をなす建物も一の建物だというような若干の違いがございますけれども、この商調法三条三項と大店法三条八項それ自身、建物の範囲をどういうふうにするかという意味ではほぼ同じようなことを考えているという点は安田委員指摘のとおりかと思いますが、ただし、商調法なり大店法なりでそれぞれこのような建物の範囲の決め方を規定したこの規定だけではなく、安田委員御専門で十分御存じのとおりに、たとえば商調法全体の規定から言って、この規定が商調法のたとえば三条一項の許可とどうかかわってくるか、あるいは大店法の三条の一項の届け出とどうかかわってくるかという点につきましては、そのかかわり方の差があるということは十分考えられるのではなかろうかと思います。  とりあえずそれだけ申し上げます。
  105. 安田純治

    安田委員 建物の定義、建物としての範囲を決めた点では、これは全く同じようでありますね。
  106. 別府正夫

    ○別府政府委員 ほぼ同じであります。
  107. 安田純治

    安田委員 ところで、ただいま中小企業庁長官の方の研究中であるという答弁でありますが、これは大変な問題でありまして、商調法の三条違反の場合には五十万円以下の罰金という罰則がございますね。ですから、これはだれかが告発でもすればダイエーの富田林店ではとんだことになるかもしらぬわけですね。検察庁と裁判所の判断いかんによっては、ですね。そういう危険な中でダイエーが富田林店を経営しておる。ショッピングセンターをやっておる。行政官庁の方は、ただいま解釈を研究中だと言って、このまま通りますかね。もしだれかが告発をして、検察庁としては、いわばこれは特別刑法でしょうけれども、それなりの独自の判断をすると思いますが、必ずしも通産省あるいは中小企業庁の判断に合うかどうかわかりませんですね。こういうことを放置しておいていいのでしょうか。
  108. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これは先般の田中委員の御質問に対してお答えをしたことでございますが、この問題を判断するときには、商調法のできた経緯というものをやはり振り返ってみる必要があるのではないかと感じておるところでございます。  御承知のとおり、商調法ができましたのは昭和三十四年でございます。その当時は、小売業界の実情といたしましては、大規模な小売店としては一方に百貨店というものがありますが、それ以外はいわば零細な小売店が無数にあるというような実情にあり、その零細な小売店をある程度集約化する意味で小売市場というものが存在するというような小売形態であったのではないかと思います。また、そういうことに着目をして商調法が制定をされたというふうに理解をいたしております。ただ、その後の経過を振り返ってみますと、小売形態というものが非常に変化をしてまいりました。寄り合い百貨店というような形態が出てまいりましたし、また、ショッピングセンターというような形態ができてまいりましたし、また、大型店の中に一部テナントを求めるというような形態も出てまいりました。こういった小売形態の変化にもかかわらず、小売商業調整法はそのままの形で今日に至っておりますが、現実にこの商調法を運用しておりますのは都道府県でございまして、実は、その都道府県のこの条文に関する解釈が必ずしも一定をしていなかったという点が問題の根本ではないかと思っております。その結果、個々の当事者にしてみれば、特にこれについて悪意があって違法をするとかあるいは脱法するというような意識なしに今日に至っておる。これは府県によってでございますが、そういったことが今日初めて問題になったということではないかと思います。  したがいまして、この問題を解釈いたしますときには、そういった経緯を踏まえながら、その解釈論といま置かれておる現実論とをどうやって埋めていくのかということが課題になってくるように思うわけでございます。この法律に違反をするということを強くあげつらってまいりますと、中にいる小売店舗を追い出すというような問題もあり得ますし、また、せっかく協業化した寄り合い百貨店をどうするかというような問題にもなってまいります。  したがいまして、今後の問題としては、いずれにせよ解釈の統一が必要であるということは私どもも十分感じておるところでございますが、過去の事例の取り扱いということについては、何らかの別途のルールづくりあるいは運用論というものが必要なのではないかと思っておるところでございます。
  109. 安田純治

    安田委員 もうできてしまったものについて影響があるから、これは解釈して何かしなければならぬという意味だとすれば、これからの場合にはどうなりますかね。こういう大阪の富田林みたいな傾向のものが出て、大店法の売り場面積の違反にはならないような場合、このままでいくと、これは届け出も必要ない、もちろん許可申請も必要ないということになりますね。そうすると、どんどんどんどんそういうものができてくる危険がある場合にはどうしますか。
  110. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これは、いまのお話は、これからのルールをどうするかという点であろうかと思いますが、いままでの経過はともかくとして、これからの運用におきましては、やはりはっきりしたルールのもとに全国を統一して運用していくという形が必要なのではないかというふうに考えております。  その際に、一つ、ショッピングセンター形式をとりながら中で賃貸、譲渡が行われているというようなケースにつきましては、私どもも積極的に解釈をして、これも許可制にかからしめることが妥当なのではないかというふうに考えておりますが、第二に御指摘のございました区分所有の問題につきましては、先ほど来御報告いたしておりますとおり、これらについてのルールをいまどうするかということで検討いたしております最中でございますので、その解釈についてのルールが決まりまして後に全国的な適用を図るべく通達を出す、こういうような段取りを考えておるところでございます。
  111. 安田純治

    安田委員 私が伺っているのは、その全国の通達が出る前に似たような区分所有でやってくる場合があった場合は、これは床面積が三千平米もしくはある場所によっては千五百平米になるわけでしょうけれども、そういう床面積で大店法の網にもかからぬというようなことがあったりなんかした場合に、これは届け出も許可も必要ないわけですからね。そうでしょう。これはどうなりますか。
  112. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  ただいま中小企業庁長官から商調法についての答弁がございましたが、大店法の解釈につきましては、安田委員指摘の区分所有の場合にどうなるかという点につきましては、大店法は、実は、いわば建物主義から出発しておりますので、大店法の方は区分所有の場合でも届け出を必要とし、届け出がなかったときでも通産大臣が公示をし、大規模小売店舗ということになった場合には、そこにおける営業についての規制が十分かかるような形になっておりますので、大店法側の規制がかからないという事態は起こり得ない。  実は、先ほどかかわり方が違うと申し上げたのを一部補足いたしますと、商調法の場合には「許可」というようなことで、しかも、三条一項の規定の書き方それ自身だけではなくて、後で出てまいります許可の申請の仕方あるいは許可の基準、変更許可、そのあたりの規定全部を読み合わせますと、特に許可の申請なり基準のところに、安田委員御存じのとおりに貸付条件、譲渡条件等が入っております関係で、これを所有者が違うものについて貸付条件、譲渡条件を云々するということが法律的にやや疑義があるというような点から言いまして、三条一項の解釈に、中小企業庁長官が申し上げましたような現実に即した具体的な解釈、運用をする余地が十分あるのじゃなかろうか。大店法の方はその点を考慮に入れまして、最初の建物自身につきまして十分事細かに規定を置いておりますので、安田委員指摘のような問題は出てこないというふうに考えております。
  113. 安田純治

    安田委員 大店法の場合には一応、床面積といいますか、売り場面積がありますね。私がいままで伺ったのは、売り場面積三千平米以下のところで十店舗ということがあった場合には、これは大独法の網にもかからず商調法の網にもかからないだろうということを聞いておるのですが、どうですか。
  114. 岸田文武

    ○岸田政府委員 大店舗法に規定します三千平米、千五百平米以下のところにつきましては、当然大店舗法は適用にならないわけでございます。商調法の解釈につきましては、一部まだ解釈を詰めておるところがございますので、それまでの段階というのは明確な指示というものが不可能でございますが、これは余り時間をかけてその間混乱を巻き起こすようなことがあっては不適当でございますので、なるべく早く解釈の統一をし、そして、それに従って運用できるようにしたいと思っておるところでございます。
  115. 安田純治

    安田委員 ここで法律解釈の押し問答をしておってもしようがないわけですけれども、事情が変更されてこの商調法が立法された当時予想もできなかったような事態が起きたとおっしゃいますけれども、しかし、この商調法の規定それ自体は、それほど古くなってもう使い物にならぬというほど社会事情が変更したとはとうてい思えないわけでございます。ショッピングセンター方式にしろ、何にしろ、この商調法の第一条の目的から考えますと、いかなるものを規制の対象にするかということはおのずから出てくる問題であって、その賃貸借契約なり何かの法的な形態がどうあろうとも、第一条の規定の目的から照らし、かつ三条三項の建物の定義などを照らし合わせますと、どういうものが規制の対象になるかということは、いまショッピングセンター方式が出ようとも、解釈にそれほど天地の違いがあるはずはないというふうに私は考えるわけであります。  その点について押し問答しておってもしようがないのですけれども、そういう点で、中小企業庁の姿勢を見ますと、こういうダイエーのような巨大なスーパーを、規制の論理じゃなくて、もうできちゃったのだ、何とか救済の論理にしてやろうというような姿勢がどうも明白に考えられるようでございまして、この点は商調法の第一条の目的に立ち返って、小売商の事業活動の機会を十分適正に確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去するためにこの法律を運用するように至急に解釈の基準を出していただきたいし、また、その解釈の基準は、当然、こういう路線型のいままでの商店街の保護ということを中心にして考えられるべきであるというふうに思いますので、その点強く要望しておきます。  ただ、どうしてもお伺いしたいのは、おたくの方の見解が出るまでの間に、私の言ったような大店法の網にもかからずに商調法の方でもひっかからないという——後の解釈になってくればひっかかるかどうかわかりませんけれども、こういうケースは何とかならぬものでしょうか。この点中小企業庁の考え伺いたい。
  116. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども中小企業庁は、中小企業者の健全な発展を念願し、そのために日夜努力をしておるわけでございます。  いま私どもが悩んでおりますのは、先生がおっしゃいますような特定の大店舗を擁護するというようなことでは決してなくて、むしろ、こういった問題を契機として全国の各種の小売形態が問題になっておる、したがってそれらについてある程度実情も踏まえた判断をしませんと、かえって一つの分野だけにいいルールがほかの分野では不適当なルールになりかねないということで、したがって、その意味で慎重にやる必要があるというふうに考えておる次第なのでございます。  いずれにせよ、そのルールができるまでの過渡的な問題というものはございますが、しかし、それが余り長くなって混乱が巻き起こるというようなことになってはかえってぐあいが悪うございますので、なるべく早くルールづくりをしたいというつもりでございます。
  117. 安田純治

    安田委員 この商調法の運用に関しまして、昭和三十四年七月七日に、中小企業庁長官名で「小売商業調整特別措置法の運用について」という通達が出されておりますけれども、この通達は現在もそのまま生きておるというふうに考えていいのでしょうか、どうでしょうか。
  118. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私は、一応は生きておるというふうにお答えを申し上げたいと思いますが、実は、今回の問題に関連をいたしまして、この通達を全部一応私どもも読み返し、また、検討いたした次第でございます。その結果は、最近の実情に照らしますとやはり必ずしも適切でない、あるいはもう少し親切な表現をした方がいいというような部分が幾つかございますような気がいたします。  私どものこの新しい解釈の通達を出します際に、あわせてそれらの点についても検討の結果を織り込んで処理をいたしたいと考えております。
  119. 安田純治

    安田委員 持ち時間が来ましたので最後にお願いしておくわけでございますが、最近の実情に合わせて実情にそぐわない面が出るということで、この三十四年にできた法律をそうやたらに運用、解釈を変えてもらっては困るわけですけれども、それにしても、とにかく大企業、巨大スーパー救済の論理を考えるのに苦心するのではなくて、まさにそういう大企業によって圧迫されておる小売業者の保護のために一生懸命研究していただきたいということを特に強調いたしまして、私の質問を終わります。
  120. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 大成正雄君。
  121. 大成正雄

    ○大成委員 新自由クラブの大成であります。  私どもに割り当てられた時間は五十五分ということで、きわめて優遇されておりますので、この時間を効率的に使わせていただくために、総ざらい的に総論的な御質問をさせていただくわけであります。便宜上六項目にわたりまして質問通告をさせていただいておりますが、通産大臣におかれては四時半に予算委員会の方へ出席されるということでございますので、先に通産大臣の御関係の方をやらせていただきたいと存ずる次第でございます。  私の質問通告の第一の景気浮揚対策と第四番目の日韓大陸だなの共同開発のことについて御質問をさせていただきたいと思います。  通産大臣所信表明を拝読させていただきますと、通産行政の第一の課題として景気浮揚を挙げておられます。その対策といたしましては、公共事業の波及効果に期待するということが書かれておるわけでありますし、また、同時に、景気動向に細心の注意を払い、事態に即応した対策を迅速に講じていくということが書かれておるわけでありますが、そこで、まず二点について重点をしぼって御質問を申し上げますが、まず、現時点において景気動向大臣はどのように御判断になっておられるのかという点が第一点と、第二点は、新年度予算を初め、いま政府が用意している景気対策で十分であると考えておられるのかどうかという点でございます。  いまの景気が不振であるとの大臣の判断材料として、大臣は、深刻な倒産と失業者、あるいは地域別、業種別跛行性、設備投資関連産業の不振、基礎資材業種の不振といったこと等を挙げておられるわけでありますが、いま私が判断材料として取り上げるものといたしましては、去る二月の二十八日に通産省が発表いたしました鉱工業生産動向でございます。本年一月の生産指数を発表しておるわけでありますが、この結果は、昭和四十五年を一〇〇とした場合に、季節調整済みで一二八・八という数値が発表されております。今次不況前のピークであります昭和四十八年十一月の指数から比べても三・一%ダウンしておる数字でございます。また、同時に、現在の政府経済指標の一三・二%に対しましても一二・六%というアップになっておるわけであります。明らかにこの景気動向は深刻であります。特に、出荷停滞業種といたしましては、鉄鋼、非鉄金属、合成繊維、石油化学というものが挙げられておりまして、著しい在庫増の業種といたしましては、紡績、鉄鋼、アルミ製錬といったもの等も挙げておられます。  また、判断材料の第二といたしまして、去る二月一日現在で東証一部上場三百十九社に対しまして日本経済新聞が調査をした設備動向調査がございますが、この調査結果は、製造業が八・三%減、非製造業が一三・四%減、おしなべて工事ベースで二・五%の微増という結果になっておるわけであります。さらに、この数値から物価上昇分を差し引きますというと、実質ベースでは明らかにマイナスになるわけであります。政府経済指標を引用させていただきますと、昭和五十二年の名目は一二・二%、実質が六・九%の増ということになっておるわけでありますが、現状で推移する限りはとても政府の目標を達成することは困難である、政府の期待するような景気浮揚効果は不可能であると私どもは判断せざるを得ないのであります。  また、三番目の判断材料といたしまして、国民消費支出はどうかということでありますが、総理府が二月二十五日に発表いたしました家計調査速報によりますと、昨年一年間の家計調査は、サラリーマン一世帯当たりにおきまして消費支出名目八・八%増、実質で〇・五%減ということになっております。すなわち、消費の面においても明らかに低迷をしておるわけであります。伸び悩んでおるわけでありまして、政府経済指標、昭和五十一年の実績の見込み九十六兆五千億、名目で一三・六%、実質で四・六%増といったことの達成も困難と思われるのであります。また、昨年十二月度政府が発表した可処分所得五十四万九百七十二円の数値も名目において一〇・四%、実質でマイナス〇・九という数字が出されておるわけであります。このサラリーマン世帯の消費の不振というものは深刻にこの数値の上にもあらわれております。  四番目の判断材料としてGNPの関係を申し上げてみたいと思うのでありますが、五十一年度の第三・四半期のGNPが前期比〇・六から〇・七%増であるというふうに発表しております。これは通年の伸び率に換算いたしますと、政府計画五・七%を達成するためには、前期比において一・七から一・九のアップでなければならないはずであります。瞬間風速にいたしましても七、八%の伸び率でなければこの目標は達成できないという計算になるはずであります。  以上、私は四つの判断材料を申し上げたわけでありますが、総合的な判断とするならば、明らかに景気は中だるみの現象が長期化しておる、あるいは先行きが非常に不安である、より一層深刻な状態が予測される、ということでございます。  そこで、通産大臣は、去る二月二十八日の記者会見で、新聞紙上で拝見いたしますと、金利水準の引き下げであるとか、あるいは業種、業態に応じた構造改善を含めたきめ細かな個別業種対策というものを打ち出しておられるわけであります。また、同時に、これは後ほど公取にも関係いたしますが、不況カルテルの結成への弾力的な運用といった面もにおわしておられるようでございます。  そこで、結論として具体的に承りますが、通産大臣及び経企庁長官におかれては、四兆二千億余のいま予算に計上されている公共事業だとかあるいは運用幅の狭い金利政策の運用によって本当に景気の浮揚が可能であると考えておられるのかどうか、政府のこの経済指標は修正の必要がないといま考えておられるのかどうか、また、三千五百億程度の減税だけで十分であると考えておられるのかどうか、責任ある御判断を賜りたいと存じます。  次に、世界経済日本との関係について承りたいと存じます。  大臣所信表明を拝読いたしますと、世界的な不況克服のためには日本やドイツやアメリカが一致協力して世界の景気回復の牽引車となることが期待されるということを言われておるのであります。さきに訪米いたしました吉野外務審議官や松川大蔵財務官のブルメンソール財務長官などの政府要人との会談においても、日本、西ドイツは世界経済の牽引車になるべきだ、経常収支の均衡は回復すべきだ、エネルギー問題や発展途上国の累積した内部の債務の責任を分担すべきだというようなことが強調されたというふうに報道されておるわけでございますが、この国際協調に関しましてどのように対処されようとしておるのか、承りたいわけであります。  次に、大陸だなの問題について承らせていただきたいと思うわけでありますが、去る二月十七日の予算委員会におきまして、永末委員の共同開発区域の設定に関する線引きの解釈についての質疑がなされまして、これに対する政府答弁がなされておるわけでありますが、それによりますと、まず、第一に、日韓間の大陸だなは一つである、その中間線を北部境界線としたということが言われております。二番目には、西の境界線は日中の等距離中間線であるというふうに答弁がなされておるわけであります。  そこで、通産大臣に承りますが、これは外務大臣ということかもしれませんけれども、通産大臣としてもきわめて重要な問題でありますし、提案されておる協定に関する責任大臣でありまするので承るわけでありますが、このような解釈に大臣は御同意なされるかどうか。  二番目に、第三次海洋法会議の趨勢からいきますと、排他的経済水域、非公式単一草案の改訂版でございますが、この第四十四条の「沿岸国の権利」として、「沿岸国は、距岸二百海里の排他的経済水域において、海底及び上部水域の生物・非生物を含む天然資源の探査、開発、保存及び管理の目的上、主権的権利を有する。」とあり、また、その第二項におきましては、「沿岸国と第三国の間でその利益をめぐる紛争が生じた場合には、その紛争は、全ての事情、かかわっている利益の重要度等を考慮に入れて、衡平の原則に基づき解決されるべきである。」となっており、こういうことが世界の趨勢として海洋法会議の草案にはうたわれておるわけであります。といたしますと、この海洋法の通念からすれば、わが国が二百海里経済水域を宣言することによりまして、この共同開発区域は明らかに日本の権益に属するものと解釈することが正しいのではないかと考えるわけでありますが、大臣のお考えを承りたいわけであります。  日韓交渉の経緯からいたしますと、日韓両国の重複した鉱区の出願あるいは両国の大陸だな理論のかち合いといったことによりまして妥協的な協定がなされたというふうに経緯を承っておるわけでありますが、この海洋法の解釈等からいたしますと、大陸棚協定と排他的な経済水域とが相対して主張した場合には、わが国の国益上からするならばどのような立場をとることが正しいと考えるのかを承りたいわけであります。  このことは非常に重大であります。もし日本が協定をいつになっても承認しない、韓国が一方的にこの開発に乗り出したといった場合に対する日本の対抗策、あるいは日本と台湾との関係日本と中国との関係といったこと等を考えたときにきわめて重要であります。特に、この海洋法では、排他的経済水域の中には、水中の生物だけでなく、地下の資源ということも当然権利として言われておるわけであります。それだけに、この経済水域の問題については非常に重要な意味を持っておると思いますので、あえて承りたいわけであります。  次に御質問申し上げたいことは、同日の予算委員会におきまして、安宅委員の共同開発区域内の開発権者に関する質問に対しまして、中江政府委員とそれから矢野通商政策局長がこれに関しまして、まだ開発権者は決めてないんだ、現在の鉱業法によって出願しているものをそれぞれ並べただけだという説明をしておられるわけであります。  これまたきわめて重要な問題でありますので、本委員会において重ねて確認をしておきたいと思うのでありますが、まず、第一に、共同開発区域内の日本側の開発権者や、その開発区域は何びとにもまだ与えておらないのかどうか。二番目には、鉱区の出願をしても、必ずしも出願者を開発権者とはしないのか。三番目としては、先願権を認めるのか認めないのか。認めるとするならば、この予算委員会の政府答弁は詭弁であると考えるのですが、大臣の所見を承りたいわけであります。  三番目に、この鉱区の出願者が、そういった論議が予算委員会でなされておるにもかかわらず、音波探査等の詳細な調査をすでに完了していると私は聞いておるわけであります。このようなデベロッパーの事前調査政府は承知しておられるかどうか、この点を承りたいわけであります。  四番目の問題として、この協定の内容でございますが、この共同開発区域の探査、開発のための費用は折半であるというふうにうたわれておるわけであります。この資源の配分ももちろん折半であるというふうに規定されておるわけでありますが、まず、第一には、開発投資の韓国側負担分は韓国と協定した第三国のメジャーが負担するのか、あるいは韓国自身でやるのか、この点を明確に承りたいと思います。  二番目には、この開発費用の中で、韓国側が負担する分に対してわが国石特会計資金を貸し付けることがあり得るのかどうか。これも現在本問題をめぐって非常に疑惑に包まれておりますので、あえて御質問をさせていただきます。  三番目には、開発の結果もし果実が得られたと仮定した場合に、純然たるわが国の果実の取り分は二分の一であるのか、四分の一であるのか、このことをはっきりと承っておきたいわけであります。  以上、概括的に多数の項目にわたりまして御質問申し上げて失礼ではございますが、大臣の御都合でございますので協力させていただいた次第でございます。
  122. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  大変多岐にわたる多くの問題がございまするが、私の所信の表明に当たりましてまず最初に御質問をいただきましたことは、先般通産省の方で発表いたしました鉱工業生産指数その他の動向調査の発表でございます。  御案内のとおりに、政府の方におきましては、五十二年度の国民経済計算によりまする予想というものにつきましてはほぼ実現が達せられるという考え方を持っておるのみならず、五十二年度におきまする経済の成長につきましても、これが実現でき得るものという確信のもとに進んでおる次第でございます。  ただし、御案内のとおりに、十二月におきましては倒産件数も千六百八十五件とか、あるいは一月になりましても千二百八十五件というように、なお多くの倒産が出ておりまする現況にかんがみまして、所期のごとくに直ちに上向いた状況にはなっておりませんことは御案内のとおりでございます。今日の経済の趨勢というものを考えましても、なお相当冷え切った状態にありますることは御案内のとおりでありまするし、これに対しましては何とかして景気の回復のために全力投球をしなければならぬというふうな状況下にございます。  これらのいろいろな国民経済計算上の統計指数その他の景況の問題につきましては、私よりも経済企画庁長官の分野でございますので、私の方の鉱工業生産に関することのみについて一言申し上げますれば、業態別につきましてはいろいろなばらつきが非常に出ておる。御案内のとおりに、家電でありますとか、自動車でありますとか、そういう方面の状況は、不況下にございまするけれども非常によろしいのでございます。しかしながら、これらの問題も、対外貿易、輸出という面におきましては、EC方面あるいはまた対米関係におきまして今後なかなか容易ならざる状況下にございますると同時に、この問題は外交折衝なりあるいは業界の今後の努力に待たなければ相ならぬ。反面、また、あるいは平電炉でございますとか繊維産業と申しまするものになりましては、これは非常な落ち込んだ状況でございまして、これらに対しましていかにするかという問題と真剣に取り組まなくてはなりません。  御案内のとおりに、対策の一つといたしまして、御承知の設備の買い取りといったような問題までも配慮しなければ相ならぬのではないかということと同時に、これらの中におきましても、中小企業をいかに救済してまいるかということにつきましては、あるいは官公需の需要をば開発し、さらにまた政府の金融三機関を動員いたしましてこれが救済に当たりまするとか、あるいは信用補完制度を全面的に活用するのみならず、中央地方を通じましてのきめの細かいこれらの対策を考えてまいりたい。かような施策の総合性によりまして景気の回復を図り、全力投球をいたすわけでございますが、それにつきましても、補正予算が先般成立いたし、さらにまたただいま御審議をお願いいたしておりまする通年の予算が早期に実現をいたすのみならず、その内容におきましても、波及効果の多い公共投資、さらにまた同時に、実施の面におきましても、上半期にそれを集中することによりまして膨大な政府資金の散布ということがございますれば、これまた景気回復のために非常に大きな貢献をなすであろう、かように存じます。  同時に、御案内のとおりに、対外経済協力という面におきまして、今度のボンド保険というような制度の創設、あるいはまた建設業界方面の海外進出についての基金の設定、こういうふうなことが法案提出ということを発表されただけでも、プラント輸出その他についての業界におきましてはすでに相当積極的な意欲を持ってこれに対しておる。御承知のとおりに、対外経済協力と申しまするものは、摩擦の多い輸出と比べまして、先方も喜び、当方もこれに対しまして、タイイングローンというような関係から申しましても、はね返りが産業界に来るということは、波及効果の最も多い経済回復のための施策である。御案内のとおりに、公共投資が二ポイントと申しておりまするが、この対外経済協力のプラント輸出という面におきましては三・二というような波及効果を持っておる。これがどんどんとディスパースすることによりまして——今日はコミットは多いのでありますが、ディスパースができなかった、これがボンド保険等々の制度的な裏づけによりまして非常に積極化いたしておりますることはわが国経済回復のために好影響をもたらすであろう、かように考えておるのでございます。  さらに、また、対外援助の増額も、アジアを中心といたしました後発途上国に対しまする市場の開拓、ニードの回復というようなことによりまして、これまた大きなプラス面が出てまいる。こういうようなことを総合的に考えますれば、政府がお示しいたしておりますような本年度の六・七というような目標も十分に達せられるだろうという強い信念を持ってこれに臨んでおる次第でございます。  なお、また、第二の大陸だなの問題でございまするが、共同開発との関連におきまする二百海里の問題でございますが、御承知のとおりに、この経済水域の設定につきましては海洋法会議での議論がまだ固まっていないという問題もございますし、設定の事例も少ないことにかんがみまして、国際法上の確立した制度でありますことはなかなかいろいろとまだ議論の存するところでございますが、現在のところにおきましては、経済水域を設定することにつきましてなおいろいろの論議が続いておるような状態でございます。  反面、また、御案内日本におきまするエネルギーの問題を考えてみますれば、われわれは国の最大の問題といたしまして、このエネルギーの安定供給ということを確保しなければ相ならぬのでありまして、かような意味から、いわゆる産油国からの油の問題につきましても、これのほとんど九九・七というものを海外に依存しておる現状からするならば、何とかしてわが国の周辺の油というものを開発するということは当然重大な問題でございます。あるいは国内的な石炭の二千万トンの安定供給の確保でありますとか、あるいはまた原子力のエネルギーの問題ともあわせまして、わが国周辺にこの給源が求められるならば、これは国民的な非常に大きな希望を持てるものだ、と、私はかようにも考えております。  なお、大陸だなにおきます外交上の今後のあり方とか、さらにまた採掘につきましての鉱業権でありますとか等々の問題は、本日は、先生の御質問に対しまして、外務当局におきましても、あるいは鉱業法関係政府委員もみんな参っておりますので、詳細なことは政府委員から御説明を申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
  123. 久米邦貞

    ○久米説明員 先ほど、海洋法会議の審議の模様につきまして御質問がございましたので、この点について私から簡単にお答えいたしたいと思います。  まず、単一草案の四十四条の経済水域の規定についてでございますが、現在海洋法会議で交渉のベースとなっております単一交渉草案の改訂版の四十四条におきましては、海底及びその地下、それからその上部水域の生物、非生物を含む天然資源の探査、開発、保存及び管理の目的上の主権的権利は沿岸国がこれを有するという点につきましての明確な規定が置かれておることは御指摘のとおりでございますが、しかし、海洋法の単一草案におきましては、他方、六十三条以下に大陸だなの制度に関する規定がございまして、六十三条は、自然の延長論をベースにいたしまして、沿岸国が大陸だなについて主権的権利を有することが規定されております。海洋法の単一草案におきましては、大陸だなの制度と経済水域の制度と、この両者の関係というのは現在のところ全く別々に審議されておりまして、また、規定されておりまして、この両者の間の関係がどういうふうになるかというところについては必ずしも明確な規定が置かれていないわけでございます。  海洋法条約は、海洋法の広範な領域にわたりまして一般的な規則を定めるということでございまして、こういう特殊な、経済水域と大陸だなの制度が競合するようなケースについて、将来の問題といたしましても、明確な調整の規定が置かれるかどうかということは必ずしも見通しがないわけでございまして、結局、こういった両制度の間の調整の問題というのは関係国間の協議と合憲にゆだねざるを得ないのではないかというのが目下の見通しでございます。  それから、経済水域の設定の問題について御質問がございまして、通産大臣の方からも、経済水域というのは国際法上まだ確立していないのでこれを当面設定する考えはないというお答えがございました。海洋法会議におきましても、経済水域につきましては、幅員を二百海里までとするという点と、それから漁業及び鉱物について、資源に関する主権的権利を沿岸国が有するということについては大体コンセンサスが固まりつつあるわけでございますけれども、経済水域というのは必ずしも資源の管轄権のみではなくて、汚染その他広範な管轄権を規定しようという動きがございまして、経済水域の内容につきましてはなお海洋法会議でも種々議論が行われているところでございます。  したがいまして、先ほど通産大臣がお答えいたしましたように、経済水域というのは、現在二百海里水域が一方的な立法で行われておりますけれども、これは主として漁業に関する水域でございまして、経済水域につきましては、先ほどのお答えのとおり、国連海洋法会議でもまだ非常に議論のあるところでございますし、また、設定の例も非常に少ないということが言えるのではないかと思います。  以上でございます。
  124. 大森誠一

    ○大森政府委員 先生の御質問の諸点のうち、ただいまの海洋法関係についての答弁以外の外務省にかかわる部分について私から御答弁申し上げます。  一つは、先般の予算委員会における外務大臣答弁についての御質問でございましたが、日韓大陸だなは一つの大陸だなであるという認識は、日本がとっておりました中間線論に基づく立場の根拠として、日韓間にまたがる大陸だなは一つの大陸だなとして双方が共有しているものである、したがってその境界区分については中間線理論によるべきであるというわが国の主張を述べられたものと理解いたしております。  また、日韓大陸だなの共同開発区域の西側の線、その一部は日中間の等距離中間線をとっているというのはそのとおりでございますし、なお、西側の他の部分につきましては、韓国側の考える韓中中間線というものも使われているわけでございます。  海洋法会議における大陸だなの制度と経済水域の制度の双方についての説明は先ほど行われたとおりでございますが、いずれにいたしましても、結局、日韓間の大陸だなの境界をどうするかという点については、それに自動的に適用されるような規定が海洋法会議の結果を待っても設けられる見通しはないというのが現状でございまして、したがって、いずれにいたしましても、この問題は日韓間の話し合いによらなければ解決がつかない問題であるというふうに考えている次第でございます。  それから、開発権者の問題でございますが、この日韓の共同開発協定の第四条第一項によりますと、「各締約国は、この協定の効力発生の日の後三箇月以内に、各小区域について一又は二以上の開発権者を認可する。」という規定が設けられております。したがいまして、わが国による開発権者の認可は協定発効後に行われるわけでございます。  次に、韓国側のメジャー系企業関連いたしまして、韓国側における開発の費用の負担は韓国政府が行うのか、それともこのような企業が行うのかという御質問でございますが、この点については、韓国側の認可する開発権者、具体的にはメジャー系あるいは中立系の企業がその資金は負担する、かように理解しているわけでございます。  以上でございます。
  125. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま幾つかの御質問をいただきましたので、順次お答えいたしたいと思います。  まず、初めに、開発権者の関係の問題でございますが、特定のものにすでにコミットしているんじゃないかというお尋ねでございますが、これは明らかにノーでございます。現在国会に提案いたしております特別措置法案の規定に基づいて処理することになります。  それから、出願した人は直ちに特定鉱業権者になるのかというお尋ねでございますが、これは今回の特別措置法案の中に、能力主義と申しますか、経理的基礎あるいは技術的能力について審査することにいたしておりますので、そういった審査基準に合致したものでないと特定鉱業権者にはなり得ないわけでございます。  それから、先願権者の取り扱いについてのお尋ねでございますが、これもこの特別措置法案によりまして、「特定鉱業権を設定する区域等の告示」という行為がございます。一般的にはこの告示があった後三十日を経過しないと出願できないことになっておるわけでございますが、本法案の附則におきまして、鉱業法上の先願権を有する人につきましては、告示後三十日以内であっても出願することができる旨を経過措置として規定しておるわけでございます。かような経過措置を置きましたのは、御承知のように、先願権のあるものは財産価値を有しているわけでございますので、憲法上の私有財産の保護という見地と日韓大陸だなの共同開発という目的との調整点ということでかようにいたしたわけでございます。  次の御指摘は、共同開発区域ですでにもう調査をやっておるんじゃないかというお尋ねであったと思いますが、御指摘のとおり、現在日石開発と西日本石油開発が物理探査をやっております。前者につきましては、昭和四十六年の十月から十一月まで、と、それから西日本石油開発につきましては、北部地域につきましては昭和四十四年から四十八年まで断続的にやっております。それから南部につきましては、四十八年の五月から六月まで、と、こういうことで物理探査をやっておるわけでございますが、この趣旨は、日石開発につきましては、協定が調印されようとは考えられていなかった昭和四十六年の時点で、みずからが鉱業法上の優先出願権者であるということに基づいて物探をやったものと理解しております。それから、西日本石油開発につきましては、同社が持っております全部の優先出願区域について物探をやったわけでございますが、たまたまその一部が共同開発区域内に入っておった、こういう次第でございます。  次のお尋ねは、費用折半と配分との関係についてであったかと思いますが、これにつきましては、韓国側についてはいま外務省の方から御答弁がございましたので、日本側の負担者について申し上げますと、これは特定鉱業権者が負担することになろうかと思います。ただ、こういった場合、石油開発なるものは多額の資金を必要とする、しかもリスクが大きく、そういった点から、リスク分散を図るとともに、技術力を活用するために、石油開発事業では世界的に一般に共同事業契約というのが結ばれておるわけでございますが、こういったものに基づきまして、われわれといたしましては、日本側取得分はすべて日本に供給させる所存でございまして、御指摘のように四分の一にしかならないといったようなことはないわけでございます。現に、日本の大陸だな周辺におきましても、帝石とエクソンあるいは出光とアモコが共同でやっておりますが、そういった場合には、この際は全部を、外国企業のシェアの分も対日供給させるように指導し、あるいは共同契約を結ばせておる、と、こういった方向に即して対処することになるだろうと思います。  それから、次の御質問は、石特資金を韓国側に貸すのではないかというお尋ねがございましたが、これは石油開発公団の資金を言っておられるのではなかろうかと思いますが、五十年の六月に石油開発公団法を改正いたしまして、外国の政府機関等にも直接貸し付けを行うように規定いたしたわけでございますが、この趣旨は、産油国がナショナルリザーブとして保有している鉱区につきまして、みずからの国営石油会社が探鉱開発をやる際に、その採掘された油を日本に持ってくる、その見返りの資金供給ということでこういう業務を追加したわけでございます。  韓国の場合、本件に照らして考えてみますと、みずからの国内で消費するということが考えられるわけでございまして、いま申し上げたように、日本への対日石油供給ということを前提とした本制度にはなじまない、したがって対象にすることはできない、かように解釈しておるわけでございます。
  126. 大成正雄

    ○大成委員 時間がありませんので、はしょって整理させていただきたいと思います。  二番目の、物価抑制対策の問題でございますが、いま、日本経済のかじ取りといたしましては、景気対策とインフレ抑制と両面をにらんでいかなければならないことは御承知のとおりでございますが、政府の指標としております年度中上昇率八・六%、年度平均九・四%ということの目標達成が当面政府でも非常に心配されており、重大な目標であろうと思うのでございます。しかしながら、東京都区部一月の消費者物価指数前年同月比九・三%アップであるとか、あるいは生活経済研究所のいわゆる生活実感指数では一二・〇二%のアップであるとか、こういったこと等からいたしますと政府の目標達成はなかなか容易でない。したがいまして、政府もここで最後の年度末努力をされておるわけでありますが、農林省においては、フードウイークというものを設けて、生鮮蔬菜、果実あるいは食料品等の特売をやるとか、あるいは大豆油、灯油値上げの抑制指導をするとか、あるいはまた通産省では日用品の安売り、バーゲンを展開するとか、こういったこと等の措置でやっておるわけであります。  一部の勘ぐりからすれば、ちょうどこの特売期間中に総理府の統計局の消費者物価指数の調査があるから、これがうまくいくように、期待する数字中におさまるようにそういうことをやっているのだろうとか、あるいは春闘の賃上げ抑制の援護射撃としてこういうことをやっているのだろうとか、いろいろな勘ぐりがあるわけでございますけれども、このような措置で政府の物価対策が万全であると考えておられるのかどうか、また、この政府の目標八・六%の達成が可能と考えるのかどうか、この点について承りたいと思います。  次に、先般承知したところによりますと、食料品関係輸入差益が大変出てきているという数字が発表されております。輸入牛肉で百八十七億、輸入製品で九十九億、合わせて二百八十六億、また、食管輸入麦の勘定の黒字で百二十五億、と、こういうような差益が出ているというふうに聞いているわけでありますが、これらは消費者に還元されるのか、あるいは生産者に還元されるのか、あるいは会計内にプールされるのか、その辺のところを承っておきたいと思うのであります。  また、何よりも物価に関して一番問題なのは公共料金でございますが、昭和五十二年度中に政府が予定しておる公共料金の値上げというものは何々であるのか、承らせていただきたいと思います。  それから、先般、経済企画庁が新聞の広告を出しておられるわけでありますが、どういう意図でこういう広告を出しておられるのか、これもついでにひとつ承っておきたいと思います。  次に、資源エネルギー関係の方はちょっと飛ばさせていただきまして、独禁法の関係について承らせていただきたいと思うのですが、御承知のとおり、野党各党は過般の五党一致の再提出を期待しているわけでございます。自民党内部の調整がまだついておらないのでまだ提案にはなっておらないわけでありますけれども、公取委員長さん御自身として、この五党修正案の構造規制部分についてはどのように評価をされておるか、承りたいと思います。  二番目には持ち株規制の問題でありますが、一方において独禁の方で持ち株規制をいたしましても、商法を盾にとって会社がこれに対抗した場合にどういうような考え方を公取は持たれるのか、また、商法の改正についてはどのように期待しておるのかを承らせていただきたいと思います。  なお、通産省側としても弾力的に不況カルテルを認めざるを得ないといった立場があるようでありますが、いままでの不況カルテルの期待された成果というものは出ているのか、あるいは今後の不況カルテルに対してはどのように委員長はお考えであるのかを承らせていただきたいと思います。  次に、中小企業政策について承りたいと存じます。  分野調整の問題をまず最初に承りたいと思いますが、大臣所信表明の中にも、本件立法作業は鋭意努力中であるとも書いてありますが、この努力の結果、いつごろ閣議決定となる運びであるのか、承らせていただきたいと思うのであります。  この分野調整で問題なのは、業種指定であるとか、小売業、建設業を入れるか入れないかとか、あるいは事前チェックをどうするかとか、罰則をどうするかといったようなことが問題点として洗い出されているわけでありますが、一番問題なのは業種指定と事前チェックの問題でありまして、これはうらはらの関係になると思うのであります。中政審の答申ではこの業種指定は盛られておらないわけでありますが、政府が業種指定は困難であるとされておる立法技術上あるいは行政上の理由は何なのか、この機会にひとつ明らかにしておいていただいた方が今後のためにも非常にいいような気がいたしますので、承らせていただきたいと思います。  なお、答申プラスアルファ的な事前チェックについて何かいい知恵を持っておられるのかどうかも承らせていただきたいと存じます。  次に、小規模事業の問題でございますが、本年度予算におきましてマル経資金も大幅に拡充されましたし、また、貸し付け対象あるいは返済サイト等も拡大、延長されておるわけでありますが、それだけに、最末端において本制度を運用する経営指導員、補助員等の責務は非常に重い、また、この審査会の委員の皆さん方の背任も重いと思うのでありますが、とりわけ経営指導員の資質のレベルアップが期待されると思うのであります。  全国に数千名配置されております経営指導員は、資格要件についてきわめて簡単な採用基準が定められておるわけでございます。たとえば大卒におきましては五年のうち経営実務を二年以上とか、短大の場合は五年のうち三年以上であるとか、あるいは高卒サラリーマンは七年のうち五年以上経営実務に携わるとか、あるいは弾力的には知事が認定した研修課程を修了した者といったような解釈とか、そういうことで認定されておるわけでありますが、各地域末端の実情からするならば、会頭あるいは会長以下役職等の縁故採用とか、ずいぶん複雑な要素を持っておると思うのでございます。  現在、政府は、この指導員の資質レベルアップについては、年間四十時間の指導研修をするとか、いろいろの対策も講じておられるわけでありますが、年間四十時間の研修でなおかつその研修内容はきわめて雑駁でありまして、場合によっては経済講演会的なものでお茶を濁してしまうとか、割り当て時間だからこれだけ消化しておけば何とかいいだろうとか、こういう対処をなされておるのが現状でございますが、これは国の小規模事業対策の最末端の責任を持っておられる方々でありますから、いわゆる国家試験的な採用基準を設けるとか、あるいは中小企業大学校なんというものもありますけれども、もっと国が精力的に資質の向上策を講ずべきだと考えます。同時に、また、現在配置されている指導員そのものの現状の資格認定等も当然やらなければならない時期が来ていると考えるわけでありますが、どうであるか。また、同じ指導員でも、給与においても十三万九千円ということでありますけれども、三〇%の上下限が認められておりますけれども、であるとするならば、たとえば一級指導員であるとか、二級指導員であるとか、そういった格づけもあってもいいのじゃないか。こんなふうにも考えるわけでありますが、これらについて承りたいと存ずる次第でございます。  次に、先ほど共産党さんの方からしつこく御質問がなされておりましたが、床面積の規制の問題ですが、これは全国的にやかましい問題であります。この大都市三千平米以下、千五百平米以下のぎりぎりのいわば中型店的な進出がいま非常に大きな問題を起こしておるわけであります。先ほどの共産党さんへの答弁からするならば、ああいう解釈では末端現場は非常に混乱すると思います。小売商業調整特別措置法の解釈等も、もう少し早く明確にして全国に示さないと現場は混乱すると思います。  昭和三十四年以降ほこりをかぶって眠っていたものを、ほこりを払ってここで持ち出したわけでありますが、ただほこりを払っただけで、いま直ちにこれが都道府県知事の調整権限、勧告権限等で機能するとは考えられません。何か、幾らか床つけをして出さないとぐあいが悪いと思いますが、これらに対して、時間がありませんので詳しいことは申し上げませんけれども、言わんとするところだけ申し上げて、御答弁をお願い申し上げたいと思うのであります。  次に、歩積み両建てでありますが、先ほど申し上げたような景況からするならば、一番金融のしわ寄せを受けるのは中小零細企業であります。いわば選別融資というものが強化されてまいります。不動産だけの担保では金を貸さないということであります。すでに商工中金等の預担等も問題とされているような状態でありまして、中小企業金融をこういう不況下において円滑に実施していくためには、歩積み両建ての問題は非常に重要であります。公取においてもユニークな調査をしておられるわけでありますが、この調査結果に対して大蔵省はどのように対応されておるのかを承りたいと思います。  最後に、後に残って恐縮だったのですが、時間がありませんのではしょりますけれども、資源エネルギー政策であります。この問題だけでも一時間ぐらいいただきたいのですけれども、結論的に申し上げますと、政府エネルギー政策は無策であるという言葉に尽きると思うのであります。また、同時に、各研究機関等がいろいろな計画数値あるいは予測数値等を発表されております。エネ調にしてもエネ研にしても、稲葉私案であるとか、総合開発研究機構であるとか、あるいは民間のシンクタンク等でもいろいろなことを出しておるわけでありますけれども、政府が現在総合エネルギー対策閣僚会議として——これは三木内閣当時といまのと違うのは「推進」という字があるかないかの違いだけでありますけれども、三木内閣当時に符申されたものの数値というのは、先刻来の御質疑にもありましたが、当然これは修正をされていかなければならないし、また、GNPの伸び率やエネルギーの節約率であるとかいったことでいろいろな数値を予測するということも大事でありますけれども、それよりも、中長期的に見て必要とされる多様化されたそれぞれのエネルギーの供給がどれだけ可能なのかといったこと等を英知を傾けて、固めていただいて、それを柱としたエネルギー政策というものが展開されなければならないし、同時に、また、国民的な合意が得られなければならないと思うのであります。  エネルギー政策はいわば経済の安全保障の問題でございますので、これらが自民党内部でロッキードだとか三木おろしだとかいったようなことで等閑に付されてきた、休眠してきた、その間エネルギー政策について権威のある政府の措置が何らなされなかったということはきわめて重大な問題だと思うのでありますが、いまからでも遅くないわけでありますから、これらについて、中長期的な考え方について承りたいということが私の質問の趣旨でございます。  次に承りたいことは核燃料サイクルの問題でありますが、先般井上ミッションがアメリカに行かれまして、アメリカの核拡散防止政策というものは非常に深刻であるという受けとめ方をしてお帰りになったようでございます。福田総理が近くアメリカに行かれるわけでありますが、この日米会談において当然これは重要な一つの課題になると考えられるわけでありますが、核燃料サイクルの確立についてはどのようにお考えであるか、答弁時間がなければ後ほどで結構です。  それから、先般私は非常にいいニュースとして承ったのですけれども、新聞の報道そのままでございますけれども、プルトニウムとウランを混合状態で抽出するといった技術開発が動燃において成功しておる。このことは対米交渉でも非常に有利なわが国一つの技術だと思うのでございますが、井上ミッションはこういう技術は交渉上お使いになっているかどうかも承らせていただきたいと思います。  それから、もう一つ、省エネルギーの問題についてだけ承らせていただきますが、ともかくこの省エネルギー率は、政府の言う数値ではたしか九・四%ぐらいでしたか、こんな程度では日本の長期的なエネルギーはとても確保できないという数値が幾つかの研究機関の中で発表されております。一四、五%ぐらいの節約率が出てこなければならないといった事態でもあります。省エネルギー期間等を設けて政府も努力しておられますが、これまた新聞の内容等を見ますと、衆議院の議員会館であるとか、公正取引委員会であるとか、厚生省であるとか、そういうところのビルの室内温度が必要以上に上がってしまっているといったようなことが指摘されているようでは、政府機関そのものがどこまで資源の節約を真剣に考えているかということが疑われると思うのでございますが、この省エネルギー対策というものについて承らせていただきたいと存じます。  電力需給、電源多様化については割愛をさせていただきます。  以上でございます。
  127. 倉成正

    ○倉成国務大臣 お答えします。  大変問題が多かったと思いますが、私は、物価と、それから公共料金、それから新聞広告、また為替差益の問題の一部、これをお答えいたしたいと思います。  物価につきましては、卸売物価は、私の所信表明で申し上げましたように、一昨年末から昨年夏にかけてやや高いテンポの上昇を続けてまいりましたけれども、その後は景気の回復のテンポが緩慢化した中で海外商品市況の軟化がありまして、落ちついた動きを示しております。もっとも、最近多少海外商品の値上がりがございましたけれども、これは円高で相殺しているというような形で、卸売物価は大体落ちついておりますので、政府見通しを十分達成し得ると考えております。  消費者物価は、いま御指摘のように、十二月に電話料金の改定の影響がありまして、一月、二月は何十年来という異常寒波があったわけでありまして、一時的な要因で季節商品の値上がり、野菜や果物その他の値上がりがございました。しかし、これらを除いた基調としては安定基調にある、何十年来の寒波というものを除外すれば安定基調にある、というふうに考えておるわけでございます。  五十一年度末の八%程度というのは、これは五十一年の経済見通しで四十五年基準を挙げたので、政府見通しはこれを使っておるわけでありますけれども、これについては、大体四月からことしの一月までの上昇率が七・八%でございます。二月は全国がまだ出ていないで、東京都の関係が出ておるわけですが、東京都の数字から類推しますと二月八・五という数字になるわけでございますので、八%程度という本年の目標というのは非常に厳しい情勢にありますけれども、端境期の野菜対策その他の対策をいたしまして、できるだけこの目標達成に最後の努力をいたしたいというのが私どもの考え方でございます。  五十二年度の公共料金でありますけれども、五十二年度の公共料金につきましては、五十一年は御承知のように国鉄、電電というのが非常に大きな値上がりをした。それに電力、ガス等がありました。予算関連で申しますと、国鉄、電電で、旧指数、四十五年基準で〇・九%、新指数で一・三%程度のものが国鉄、電電だけであったわけでございます。五十二年は、予算に関連するのは国鉄と電電でありますけれども、これは両方合わせませて大体〇・六%程度ということでございまして、そのほかいろいろなものを合わせましても、五十一年と五十二年と比較すると、五十一年の方は電力とかガスとかいう大口があったわけですけれども、五十二年はいろいろなものがございますけれども、しかし、そういう大口が少ないという点から、公共料金が消費者物価を押し上げる要素は五十二年度の方が少ないというふうに判断をいたしておりまして、政府目標の七%台をぜひ実現いたしたいと考えておるわけでございます。  公共料金で、いま、タクシーやその他の値上げの申請がいろいろと出ておることは事実でございますけれども、これからどういう公共料金があるかということは、またそれぞれの場合にこれは判断すべき問題であろうかと思うので、いまから予測するのは必ずしも適当ではないと考えておる次第でございます。  それから、為替差益の問題はあるいは農林省から、あるいは通産省から少しお答えをするのが適当かと思いますが、実は、円の切り上げをやった場合、これははっきりしておるわけでございますけれども、あるいは今回は円は非常にフロート制にあるわけでございますね。ですから、きょうあたりはたしか二百八十一円ぐらいではなかったかと思いますけれども、大体この状態がいつまで続くかという問題もありまして、もう少し様子を見きわめるのが適当ではないかと思います。したがって、いろいろな物資につきまして追跡調査をするということで商品の値動きを監視をしていくということを考えておるわけでございます。  なお、前回の円の切り上げの際には、輸入量の増大とか関税あるいは間接税の引き下げというものがあったわけでございますから、今回はそうした条件がないということも考慮に入れておく必要がある。しかし、円高傾向により発生する差益を消費者に還元するという基本的な考え方はできるだけ貫いてまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、新聞広告の問題ですが、恐らく、これは、狂乱物価のときは二四、五%前年同月に比して消費者物価が上がった時代があるわけでございます。それから三年経ましてまだ相当高い水準でありますけれども、物価が一けた台にとにかくなってきた。したがって、努力をしていけば十分これから物価の安定は期待できるという意味のPRの広告であったと思うわけであります。  なお、いろいろな表現についてまだこれから工夫をしていって、ちょうど西ドイツのように国民の協力を得なければ物価の安定というのはできないわけでありますから、全国民のコンセンサスを得て物価の安定を図るようにこれから努力をしてまいりたいと思いますので、またいろいろな点で御教示をいただけば幸いだと思います。  以上でございます。
  128. 澤田悌

    ○澤田政府委員 いろいろお尋ねでございましたが、今国会に提出を予定されておると言われております独占禁止法改正案は、従来の経緯も踏まえまして現在調整作業が進められておるところでございますけれども、公正取引委員会といたしましては、最近の経済社会の変化等にかんがみまして、強化のための改正が必要であるというふうに考えておるのでありまして、その場合、私といたしましては、第七十五国会の衆議院におきまして全会一致で修正可決されましたものがその基本とされるよう期待をいたしておる次第でございます。  それから、その法案につきまして、株式の規制と商法の関係についてのお尋ねがございましたが、現在、株式の所有規制につきましては、すでに現行法の中に金融機関の所有についての規制がございます。したがいまして、金融機関以外のものについての総量規制が規定されましても、商法との関係では問題はございません。しかし、むしろ、いわゆる構造規制、営業譲渡というようなものと商法との関係がなかなかむずかしい問題がございますけれども、これは七十五国会におきます政府の統一見解が出ております。私もあの考え方の線で差し支えはないのではないかと考えておる次第でございます。  それから、不況カルテルについてお尋ねでございますが、不況カルテルは、一言で申せば、需給が回復してくるまで生産を制限して業況の安定を図るというものでございますが、今回の不況期におきまして、独占禁止法による不況カルテルを認めましたものは五件で、紡績とか梳毛糸とかいろいろございますが、これらの不況カルテルはそれなりに一応目的を達成したものと考えております。しかし、景気の中だるみ、不況が長く続きますと再び問題が起こるというようなことで、現在小形棒鋼のカルテルがございますし、特別法によります砂糖その他のカルテルが存在するわけでありますが、今後の問題としましては、いろいろ不況カルテルの申請の動きがございます。出てまいりますれば、法の要件に照らして速やかに審査をいたしたいと考えております。  それから、拘束預金についてお尋ねでございますが、公正取引委員会は毎年二回この実態調査をいたしまして改善に努めておるのであります。過般もいろいろな角度からその調査をいたしまして、また、新しいやり方も加えた調査をして発表したわけでございます。徐々に改善はされておるとは思いますが、なおさらに改善を要する点があることは認めざるを得ないのでありまして、私どもとしましても引き続きこの問題については取り組んでまいり、金融機関の自粛も促したいと考えておる次第でございます。  以上であります。
  129. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業関係のお尋ねの中で、まず第一点は、いわゆる分野調整法に関してでございますが、私どもは昨年の十二月にこの分野調整に関する委員会の意見具申をいただきまして以降、目下具体的な法案づくりを一生懸命進めておる最中でございます。私どもの心づもりといたしましては、何とか三月下旬ぐらいには閣議決定に至れるようにしたいと考えておるところでございます。  この法案の中でいろいろの問題点がございますが、一番議論の焦点になっておりました問題は、御指摘のように、業種指定をするかどうかという点であったわけでございます。業界の中にもそういうことをやってほしいという要望のあることは私どもも十分承知いたしております。ただ、この問題について審議会においていろいろ議論いたしました末に、やはりこれはむずかしいという結論に一応到達いたした次第でございます。  その理由といたしましては、競争政策上の問題あるいは憲法の職業選択の自由の問題等々の基本的な問題がいろいろございますが、それに加えまして、私どもが当面問題として考えておりますのは技術的な問題でございます。分野問題について業種指定をするというのは、分野問題がそもそも問題になりますのは、大企業が出てまいりまして、それによって中小企業が非常な混乱を受けるということが根本的な問題であろうかと思うわけですが、一体大企業がどういう分野に出てくるのか、また、そのときにどういう出方をするのか、この辺がわからなければ事前に業種の指定をするということは実際問題として不可能でございまして、それを避けるためにある程度抽象的な基準で線を引きますと、これまた対象業種数が非常に多くなってしまい、実際問題として事務処理ができないという問題にぶち当たるわけでございます。たとえて申しますと、中小企業が出荷の七割を占めております業種の業種数が製造業全体の業種の六割を占めるという状況でございまして、こういった例からしても、六割の業種について一々事前に審査をするということが実務上不可能であるということは御理解をいただけるのではないかと思っておるところでございます。  ただ、業界の希望が、なるべく問題が深刻になる前に手を打ってほしいという点にあることは当然でございまして、従来、私どもも、この問題についての特別の担当官を用意し、あるいは業界にモニターを用意して対応策を講じておりますが、さらに一層そういった体制の強化を図っていきたいと思っておるところでございます。  それから、第二にお尋ねのございました経営指導員に関連する諸問題でございますが、小規模企業対策の中でも私どもとして一番大きな柱として考えておりますのは経常指導員を通ずる経営指導体制の強化ということでございまして、御承知のとおり、今年度でも七千七百人を上回る経営指導員を配置して一生懸命やっておるところでございます。その中には、私ども見ておりましても頭の下がるほど地域に密着をして活動していただいておる方が多いわけでございますが、他方、それほどでもないと言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう方も含まれておることも事実でございます。こういう経営指導員の重要性にかんがみまして、何とかその資質の向上を図るべく一生懸命やっておるところでございます。採用等につきましても、最近は府県ごとに統一試験をするという制度を進めておりまして、五、六県すでにもうやっておるかと思います。こういったことも役に立つのではないかと思っております。  それから、研修の面では、従来振興事業団あるいは府県等を通じてやっておりましたが、私自身も、ほうっておきますとやはり総花的な上滑りの研修になりがちでございますので、お互いに事例研究をするとか、そういった役に立つ研修をもっと強化していく必要があるのではないかと感じておるところでございまして、御趣旨に沿いまして今後とも努力をいたしたいと思っておるところでございます。  それから、特に優秀な経営指導員につきましては、御承知のとおり、特別研究指導費という制度で特別の手当を支給する道が開かれております。こういったことも刺激剤としてうまく使っていきたいと思っておるところでございます。  それから、三番目のお尋ねが商調法の関係でございますが、昭和三十四年にできて以来必ずしも十分に活用されなかったうらみがあるという点は、私どももいま振り返ってみまして、御指摘のような点があることを感じておりますが、ただ、昨今のように小売問題が非常に大きな問題になってきておるという際に、あの条文の中には、十五条から十八条くらいまででしたかしら、あっせん、調停、勧告という規定がございます。これはある意味では、使いようによってはかなりうまく使える条文ではないか、そうであるとすれば、これが有効に使えるような工夫をこの際してみる必要があるのではないかと感じておるところで、目下部内でいろいろ検討いたしておる最中でございます。  以上でございます。
  130. 宮本保孝

    ○宮本説明員 大蔵省へのお尋ねは、公正取引委員会の歩積み調査関連いたしましてどういう対策を立てておるかということであったかと思います。  現在、歩積み問題の調査は年に二回、大蔵省が金融機関を対象にいたしまして調査をいたしております。それから、御指摘のとおり、公正取引委員会企業を対象に二回やっております。ただ、私どもといたしましては、いままで主として金融機関対象でございましたので、公正取引委員会企業を対象といたしました調査につきましては大変参考にさせていただいておったわけでございます。  ただ、去年初めてわれわれといたしましても企業を対象といたしましてアンケート調査を試みたわけでございますけれども、その結果によりまして、現在の歩積み問題の一番大きな問題は、金融機関は拘束していないと言っているにもかかわらず、企業側がこれは拘束されているというふうに受け取っている預金がたくさんあるようでございまして、まあ、たくさんでもございませんが、かなりあるようでございまして、それがいまにらみ預金と言われておる問題でございますが、そのにらみ預金が非常に問題でございますので、去年の十一月に新しく通達を出しまして、このにらみ預金対策を主にいたしました施策を業界の方にも実行するようにいま指導中でございまして、具体的な方法を現在話し合っておりまして、ことしの四月からその具体策が完全実施に移される予定でございますので、そういうことの結果を見まして、また秋には私どもといたしましても企業を対象といたしました調査もやってみたいと思っておりますので、その辺は事態の推移を、新しい通達に基づく対策の結果を少し見守っていきたいと思っております。
  131. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私の方には三点御質問がございました。  まず、長期エネルギー政策についてでございますが、先生御承知のように、日本エネルギー構造というものはきわめて海外依存型あるいは石油依存型という構成をとっておりますが、一昨年の十二月策定されました「総合エネルギー政策の基本方向」の中では、こういった情勢から石油依存度の低減ということを大きな骨子として掲げておるわけでございます。  この方向自体は非常に正しいと思うわけでございますが、LNGあるいは原子力といった石油代替エネルギーの開発が必ずしも順調にいっていないといったような情勢からいたしまして、国民経済への影響あるいは世界におけるエネルギー需給動向といったものを勘案いたしまして、整合性と実効性のあるものにいたしたい、そのための見直し作業をやりたい、こういうことでございます。  特に、先ほど無策というおしかりを受けたわけでございますが、財源の問題だとか、あるいは国民の理解と協力を得るためのパブリックアクセプタンスだとか、そういった点において具体的手段に欠けるところがあったことも事実だと思いますので、そういった点に重点を置いてやってみたいと思います。  二つ目は、核燃料サイクルについてでございますが、原子力発電の開発に合わせまして、整合性のある、また自主的な核燃料サイクルの確立というものはどうしても必要でございます。昭和六十年度の四千九百万キロワットという原子力開発目標を前提といたしまして、ウランの資源と濃縮についてはもう手当て済みでございます。問題は、使用済み燃料の再処理ということになるわけでございますが、御承知のようなアメリカの動きもございまして、そういったところから井上ミッションが日本の実情をよく説明に参ったわけでございます。要は、核拡散防止ということも非常に大切なことではございますが、核燃料の平和的利用ということもまたゆるがせにできない問題でございますので、そういった観点に立ってさらにコンタクトを続けたい、こういうことでございます。  三つ目の省エネルギーにつきましては、先ほども御指摘のありましたように、六十年度において九・四%、石油に換算いたしまして八千万キロリッターの節約を考えておるわけでございまして、これは自主開発原油がせいぜい二千数百万キロリッターという点からすると、必ずしも低い数字ではないと私は思います。ただ、これを達成するために非常にむずかしい問題がございますが、われわれといたしましては、熱の効率的使用あるいは使用の節約、省エネルギーのための技術開発といった点にポイントを置きまして、産業部門、輸送部門あるいは民生部門、あるいは事務管理部門といった各部門ごとに適切な対策を打っていきまして、実効のある、省エネルギー効果が上がるような対策を進めたいと考えております。
  132. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会