○工藤(晃)
委員(新自) 私が申し上げたかったのもその点でございまして、
医療問題についてはむだというのは一体何なんだということを真剣にお
考えいただきたかった。同時に、むだというものをチェックするためには、診療担当者を入れて、この
医療の中でどういうことがむだなのか、どういうことが有効なのか、そういうところもひとつ実際に現場でやっていらっしゃる方々の
意見を尊重していただきたいということを申し上げたかったからでございます。
それで、少し本論のところへ入っていきたいと思います。
けさほどから、
医療の荒廃、それから矛盾点だけが非常に大きくクローズアップされている。
一つ一つの問題が大変大きな問題だ。しかし、一歩下がって冷静に
考えてみますと、そういう問題の
指摘、あるいはその
一つ一つの問題の解決が、果たして本当に解決につながっていくのかどうかというふうに
考えますと、何となくそういう問題の
指摘だけに終わってしまうのじゃなかろうかというような気もいたします。そこで私は思うのですが、良薬口に苦しで、
国民に向いていいことばかりを私は言うつもりはさらさらない。また
医者の立場に立って、
医者だけの味方をするという
気持ちにもならない。問題は、
国民の
医療、
国民の生命尊重というものをどうやっていけばいいのかということ、その立場に立って私は
考えていくべきだろうと思いますので、あるいはまたいろいろな
意味でいろいろなところから、いまから申し上げることは御
指摘あるいは御批判を受けることを覚悟して申し上げますけれども、しかしそれが本当を言えば抜本の
医療の改革につながる出発点だと私は思うので申し上げます。
そういうことからまず第一番に、
国民が
医療に求めているものは一体何なんだということですね。言葉をかえれば、高
福祉高
負担を求めるのか、あるいは低
福祉低
負担を求めていくのか、そこのところのコンセンサスというものをはっきり
国民に問うべきだと私は思うのですね。要するに、
医療の内容は非常に悪くてもいい、しかしわれわれは
負担はしたくないのだという
考え方なのか、あるいはまた、人の命はとうといから、おれはふだん元気なときには少々応分の
負担はしていっても仕方がない、しかしながら
病気をしたときだけは生命の保障はちゃんとしてもらいたいのだというふうな要求を
国民は本当にしているのか、そこのところを私はやはりはっきりと問うていくべきじゃないか。それからまたもう
一つは、自由主義
経済社会の中における健康
保険制度を
考えるのか、あるいは別の
体制の中における健康
保険制度というものを論じるのか、そこのところもやはり
国民にはっきりと、皆さんがどうお
考えになるかというコンセンサスを求めていく必要があるのじゃないか。そういうところがぼやけてしまって、ぼうっとしておいて、何かそういうところへ入っていくことをタブー視してしまう、そういうことで末端的な、要するにそこから枝葉が分かれていく問題を取り上げていけばいくほど問題がわかりにくくなってしまうのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。
しかし、私が
考えますのに、ただ
国民に
負担だけを強要していいという問題ではない。だから、
国民が
所得の中で
負担し得る限界はどこまでかというコンセンサスをまず第一番に
国民に求めて、それでどうにもならない部分に対しては国がどう保障していくかということを
考えていく。あるいはまた
負担し切れない層に対しては手厚くその人たちを看護してあげる、あるいは救済してあげるという方法を別途に
考えていかないと、ある限られた
予算を数多くの人にばっと全部同じようにばらまいてしまえば、全部が救済されない、人命軽視という形で矛盾点ばかりが
指摘されてくるのじゃないかというふうに私は
考えるわけでございます。そういう
意味において、やはりそういう制度上のいろいろな矛盾点をはっきりと出して、どういう立場に立ってわれわれはわれわれの
医療というものを制度化していけばいいかということを、改めて洗いざらい
国民にはっきりと明示したらどうか。それで
国民がどういう選択の道を選ぶかということは
国民に決めてもらえばいい、そういうふうな気がするわけです。
やはり自由主義
経済の中では、健康
保険というのは応分の
負担をしていく、その応分の
負担の仕方、その限界、またそれに対して国がどこまでならめんどうを見れるかというめんどうの見れる限界、そういうものをまず十分討議することも必要でしょう。何でも
医療の無料化をしてしまえばいいのだというのならば、これは
国民の税金からその分を余分にちょうだいしていかなければどうにもならない問題じゃないか。それは
大臣も先ほどからおっしゃっているように、費用は、安くしろ、中身はよくしろと言われたってこれはできない、そのとおりでございます。だから最も簡単なことを私はもっともっと真剣に討議していくべきだろうと思います。そういうところを避けて、とにかく耳から入ってくるさわやかな感じだけを期待するような問題をここで百万遍論議してみたところで、私は解決の
一つにもつながっていかないと思います。ですから、そういう面においての正しい選択をしていただくために、われわれがここで改めて謙虚にそういう資料を提供しながら、
国民のコンセンサスを求めていきたいと強く感じるわけです。
それからまた、そういうものを含めまして
一つの
日本の
医療のビジョンというものを
考えた場合に、やはり
長期的な展望に立って将来どういうふうなビジョンをわれわれ
考えていくかということ、それから二番目には、中期的にはそれをどう解決していけばいいか、あるいは短期的にきょうの問題をどう解決するか、こういうふうに期間の問題も私は必要だと思うのです。
長期の中に解決しなければいけない問題をたったいまここでどうするかという論議をしても解決につながらないし、きょうの問題を
長期の展望に掲げたってこれはナンセンスになってしまうわけですから。だからそういうふうに分類しながら、
国民の方から見たときに、ああ、これはきょうの問題の解決なんだな、これは中期的な展望の上に立った解決方法なんだな、あるいはこれは
長期に結びつけていけるのだ、連動していけるのだというふうなことが納得できるように、わかりやすくその論議を展開していかなければいけないのじゃないかと私は思うのです。
そのためには、私自身は、自由
経済社会の中で健康
保険を
考えた場合には、
国民の応分の
負担をしていただくということを離れて物を論じることはできないと思う。また、今後いろいろな諸物価の
変動その他ございましょうけれども、その物価の上昇というものは避けられない。ところが一方においては、健康
保険料というものは、不況の中であるいは低成長の中では増収を期待することはむずかしい。大変解決がむずかしいでしょうけれども、しかし、そういうむずかしいことを避けて通るのじゃなくて、そういう状態をはっきりさせて、その中でこの健康
保険をよりよく維持していく、あるいはそのいけないところはもう抜本的にすぱっと解決して、要するにすかっとするような制度に切りかえていくためには、
国民に対して言いにくいこともお願いしてみるということも必要だろうと思うのです。
だけれども、その前にまずみずからの姿勢を正すということはもっと必要だと思う。そのためには、いままでやってきた
一つの経過に対して、人間のやることですからいいことばかりはない、失敗もありましょうし、また間違った判断もあったと思う。しかしそれはだれの
責任でもない、みんなの
責任としてとらえて、そういうところは謙虚に直していく。
そういうことで、いままでの長い歴史の中で矛盾点がたくさん
指摘されたものを、どういうふうに解決していけば一番合目的かということの合意点をどうやって見出すかということが、私はいまからの問題として
検討しなくてはいかぬ問題じゃないかと思う。また、
国民の方もそういうことに理解を示してくれる時期になっていると私は判断します。ですから私自身は、この社労
委員会が始まって以来、健保法を
中心にした問題だけを
中心に
質疑を重ねてきたつもりでおります。なぜならば、これは一番大切だからです。同時にまた、同じことを何遍も繰り返すかもしれませんが、繰り返すところはやはり大切だから繰り返すわけです。それを一歩でも改善する
方向へ進んでもらいたいという期待を込めて申し上げているわけです。
そういう
意味を含めまして、ひとつ
大臣、この前から
委員長にお願いしておったのですが、
抜本改正の中身をお互いに出し合わないで、
抜本改正をやりましょう、やりましょうと言ったって仕方がないから、一応ざっくばらんに、いまの
体制の中においてどうすれば人命が一番尊重されていく制度がつくれるかということを土俵にしまして、その中で各党のコンセンサスをどうやって求めていくかということを
考えればこれは必ず解決方法を見出し得るのではないか。なぜならば、土俵はつくれるのですからね。そういうことで社労
委員会の中に小
委員会を設けて、
大臣もコンセンサスを得られれば積極的にやっていきたいというお
考えのようでございますから、受けざらとしてぜひ具体的にそういうものをつくってみたらどうか。最初からあれはだめだよ、そんなこと言ったってむだだよ、できっこないよと言わないで、やはりつくってやってみるべきだと思う。やってみて失敗すればまた
考えればいいじゃないか。その中で
一つの目標を決め、
一つの土俵というものをお互いに認識し合った上で話し合えば、解決の方法は必ず見つかるのではないかなというふうな感じを強く持っておりますので、そういう方法でもし小
委員会を私が主張した場合には、
大臣、そういう問題について積極的にそういうところへ参加いただけるのか、あるいはそれはやっぱりちょっとまずいとおっしゃるのか、そこら辺のところをひとつざっくばらんに聞かせていただきたいと思います。