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1977-04-06 第80回国会 衆議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月六日(水曜日)    午前十時十一分開議  出席委員    委員長 橋本龍太郎君    理事 斉藤滋与史君 理事 戸井田三郎君    理事 葉梨 信行君 理事 枝村 要作君    理事 村山 富市君 理事 大橋 敏雄君    理事 和田 耕作君       相沢 英之君    井上  裕君       伊東 正義君    石橋 一弥君       大坪健一郎君    川田 正則君       津島 雄二君    戸沢 政方君       友納 武人君    山口シヅエ君       湯川  宏君    安島 友義君       大原  亨君    金子 みつ君       川本 敏美君    渋沢 利久君       田口 一男君    田邊  誠君       森井 忠良君    草川 昭三君       古寺  宏君   平石磨作太郎君       浦井  洋君    田中美智子君       工藤  晃君  出席国務大臣         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         労働政務次官  越智 伊平君         労働大臣官房審         議官      谷口 隆志君         労働省職業安定         局長      北川 俊夫君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君         労働省職業訓練         局長      岩崎 隆造君  委員外の出席者         議     員 枝村 要作君         議     員 大橋 敏雄君         議     員 田中美智子君         大蔵省主計局主         計官      窪田  弘君         農林省構造改善         局農政部就業改         善課長     川合 淳二君         水産庁漁政部企         画課長     大坪 敏男君         労働大臣官房労         働保険徴収課長 五十嵐圭三君         労働省職業安定         局雇用政策課長 小粥 義朗君         建設大臣官房技         術参事官    細川 弥重君         建設省計画局建         設労務資材調査         室長      浪岡 洋一君         参  考  人         (雇用促進事業         団副理事長)  上原誠之輔君         社会労働委員会         調査室長    河村 次郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     安倍晋太郎君   井上  裕君     木村 俊夫君   石橋 一弥君     前田治一郎君   大坪健一郎君     宮澤 喜一君   川田 正則君     萩原 幸雄君 同日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     相沢 英之君   木村 俊夫君     井上  裕君   萩原 幸雄君     川田 正則君   前田治一郎君     石橋 一弥君   宮澤 喜一君     大坪健一郎君 同月二十九日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     中野 四郎君   井上  裕君     平泉  渉君 同日  辞任         補欠選任   中野 四郎君     相沢 英之君   平泉  渉君     井上  裕君 同月三十日  辞任         補欠選任   井上  裕君     松野 頼三君   伊東 正義君     古井 喜實君   石橋 一弥君     川崎 秀二君 同日  辞任         補欠選任   川崎 秀二君     石橋 一弥君   古井 喜實君     伊東 正義君   松野 頼三君     井上  裕君 四月五日  辞任         補欠選任   住  栄作君     加藤 紘一君 同月六日  理事住栄作君同月五日委員辞任につき、その補  欠として葉梨信行君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月三十日  国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第三七号) 四月一日  母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス  君外一名提出、参法第八号)(予)  児童福祉法の一部を改正する法律案(柏原ヤス  君外一名提出、参法第九号)(予) 同月四日  雇用保険等臨時特例法案枝村要作君外五名提  出、衆法第二一号) 三月二十三日  社会福祉制度の改善等に関する請願(浅井美幸  君紹介)(第一七二四号)  同(松本忠助君紹介)(第一七二五号)  同(安藤巖君紹介)(第一七五六号)  同(荒木宏君紹介)(第一七五七号)  同(浦井洋君紹介)(第一七五八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一七五九号)  同(小林政子君紹介)(第一七六〇号)  同(柴田睦夫君紹介)(第一七六一号)  同(瀬崎博義君紹介)(第一七六二号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第一七六三号)  同(田中美智子君紹介)(第一七六四号)  同(津川武一君紹介)(第一七六五号)  同(寺前巖君紹介)(第一七六六号)  同(東中光雄君紹介)(第一七六七号)  同(不破哲三君紹介)(第一七六八号)  同(藤原ひろ子君紹介)(第一七六九号)  同(正木良明君紹介)(第一七七〇号)  同(正森成二君紹介)(第一七七一号)  同(松本善明君紹介)(第一七七二号)  同(三谷秀治君紹介)(第一七七三号)  同(安田純治君紹介)(第一七七四号)  同(山原健二郎君紹介)(第一七七五号)  同(浅井美幸君紹介)(第一八三四号)  同(竹内勝彦君紹介)(第一八三五号)  同(松本忠助君紹介)(第一八三六号)  同(渡部一郎君紹介)(第一八三七号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(伏木和雄君紹介)(第一七二六  号)  同(安島友義君紹介)(第一七五〇号)  同外一件(渡辺三郎君紹介)(第一七五一号)  同(渋沢利久君紹介)(第一八三八号)  保育事業振興に関する請願(竹内勝彦君紹介)  (第一七二七号)  同(小川省吾君紹介)(第一七五二号)  同(古川喜一君紹介)(第一七五三号)  障害者の生活及び医療保障等に関する請願(川  本敏美君紹介)(第一七四八号)  同(渡辺三郎君紹介)(第一七四九号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願(小川省  吾君紹介)(第一七五四号)  同(佐藤敬治君紹介)(第一八四一号)  社会保障制度改善等に関する請願外一件(稲葉  誠一君紹介)(第一七五五号)  中国残留日本人肉親不明者の調査及び里帰り  等に関する請願(小川平二君紹介)(第一八三  九号)  同(横山利秋君紹介)(第一八四〇号)  療術の単独立法化阻止に関する請願(内田常雄  君紹介)(第一八四二号) 同月二十四日  障害者の生活及び医療保障に関する請願(浦井  洋君紹介)(第一八八一号)  障害者の雇用及び生活保障等に関する請願(枝  村要作君紹介)(第一八八二号)  同(安島友義君紹介)(第一九七六号)  同(大橋敏雄君紹介)(第一九七七号)  同(川本敏美君紹介)(第一九七八号)  同外二件(西田八郎君紹介)(第一九七九号)  同(村山富市君紹介)(第一九八〇号)  同(草川昭三君紹介)(第二〇三一号)  年金制度の改善等に関する請願(村山富市君紹  介)(第一八八三号)  障害者の生活・医療保障等に関する請願(荒木  宏君紹介)(第一八八四号)  同(浦井洋君紹介)(第一八八五号)  同(田中美智子君紹介)(第一八八六号)  同(安田純治君紹介)(第一八八七号)  社会福祉制度の改善等に関する請願(浅井美幸  君紹介)(第一八八八号)  同(北側義一君紹介)(第一八八九号)  同(竹内勝彦君紹介)(第一八九〇号)  同外三件(長谷雄幸久君紹介)(第一八九一  号)  同(松本忠助君紹介)(第一八九二号)  同(渡部一郎君紹介)(第一八九三号)  同外一件(長谷雄幸久君紹介)(第一九六一  号)  同(谷口是巨君紹介)(第二〇二八号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(松本善明君紹介)(第一八九四  号)  同(市川雄一君紹介)(第一九六七号)  同(大久保直彦君紹介)(第一九六八号)  同外二件(大野潔君紹介)(第一九六九号)  同(中川嘉美君紹介)(第一九七〇号)  同(福岡義登君紹介)(第一九七一号)  中国残留日本人肉親不明者の調査及び里帰り  等に関する請願外二件(中村茂君紹介)(第一  八九五号)  同外五件(川田正則君紹介)(第一九七三号)  障害者の生活及び医療保障等に関する請願(枝  村要作君紹介)(第一八九六号)  同(安島友義君紹介)(第一九六二号)  同(大原亨君紹介)(第一九六三号)  同(草川昭三君紹介)(第一九六四号)  同(田邊誠君紹介)(第一九六五号)  同(西田八郎君紹介)(第一九六六号)  同(田口一男君紹介)(第二〇二九号)  同(森井忠良君紹介)(第二〇三〇号)  日雇労働者健康保険制度の改善に関する請願  (村山富市君紹介)(第一九五九号)  雇用保障及び労働時間短縮等に関する請願(沢  田広君紹介)(第一九六〇号)  同外二件(草川昭三君紹介)(第二〇三二号)  同(沢田広君紹介)(第二〇三三号)  旧満州開拓青年義勇隊員等処遇改善等に関す  る請願(中島衛君紹介)(第一九七二号)  精神衛生法の改正に関する請願(下平正一君紹  介)(第一九七四号)  難病対策に関する請願(下平正一君紹介)(第  一九七五号)  社会保障制度改善等に関する請願(大原亨君紹  介)(第二〇三四号) 同月二十八日  雇用保障及び労働時間短縮等に関する請願(草  川昭三君紹介)(第二〇六八号)  同外一件(沢田広君紹介)(第二一一〇号)  同(沢田広君紹介)(第二一六一号)  社会福祉制度の改善等に関する請願(林孝矩君  紹介)(第二〇六九号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(大橋敏雄君紹介)(第二〇七〇  号)  同(鳩山邦夫君紹介)(第二〇七一号)  同(井上泉君紹介)(第二一一一号)  同(池田克也君紹介)(第二一一二号)  同外一件(石野久男君紹介)(第二一一三号)  同(枝村要作君紹介)(第二一一四号)  同(小川仁一君紹介)(第二一一五号)  同(金子みつ君紹介)(第二一一六号)  同(下平正一君紹介)(第二一一七号)  同(鈴切康雄君紹介)(第二一一八号)  同(田口一男君紹介)(第二一一九号)  同外一件(竹内猛君紹介)(第二一二〇号)  同(武部文君紹介)(第二一二一号)  同外一件(野口幸一君紹介)(第二一二二号)  同(野坂浩賢君紹介)(第二一二三号)  同外四件(森井忠良君紹介)(第二一二四号)  同(山本政弘君紹介)(第二一二五号)  同(新村勝雄君紹介)(第二一五四号)  同(栂野泰二君紹介)(第二一五五号)  同(中井洽君紹介)(第二一五六号)  同(山原健二郎君紹介)(第二一五七号)  同外二件(大内啓伍君紹介)(第二一九七号)  同(浦井洋君紹介)(第二一九八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二一九九号)  同(柴田睦夫君紹介)(第二二〇〇号)  同(西田八郎君紹介)(第二二〇一号)  同(山原健二郎君紹介)(第二二〇二号)  公衆浴場法の一部改正に関する請願(市川雄一  君紹介)(第二〇九〇号)  同(田邊誠君紹介)(第二〇九一号)  同外八件(土井たか子君紹介)(第二〇九二  号)  同(西宮弘君紹介)(第二〇九三号)  同(加藤万吉君紹介)(第二一五一号)  同(島本虎三君紹介)(第二一五二号)  同(瀬野栄次郎君紹介)(第二二〇四号)  同(西田八郎君紹介)(第二二〇五号)  サッカリン即時全面禁止に関する請願(斉藤  正男君紹介)(第二〇九四号)  同(瀬野栄次郎君紹介)(第二二一〇号)  障害者の生活及び医療保障等に関する請願(大  原亨君紹介)(第二〇九五号)  同外一件(川本敏美君紹介)(第二〇九六号)  同外一件(河上民雄君紹介)(第二〇九七号)  同(古寺宏君紹介)(第二〇九八号)  同(田中美智子君紹介)(第二二〇三号)  日雇労働者健康保険制度の改善に関する請願  (森井忠良君紹介)(第二〇九九号)  各種障害年金制度改善に関する請願(河上民雄  君紹介)(第二一〇〇号)  障害者の雇用及び生活保障等に関する請願(古  寺宏君紹介)(第二一〇一号)  同(渋沢利久君紹介)(第二一六二号)  同(浦井洋君紹介)(第二二〇六号)  同(田中美智子君紹介)(第二二〇七号)  同(津川武一君紹介)(第二二〇八号)  老人医療費有料化反対等に関する請願(田口  一男君紹介)(第二一〇二号)  同外一件(大原亨君紹介)(第二一〇三号)  同(小林政子君紹介)(第二一四六号)  同(田中美智子君紹介)(第二一四七号)  同(山原健二郎君紹介)(第二一四八号)  社会保障制度改善等に関する請願(大原亨君紹  介)(第二一〇四号)  同(小川国彦君紹介)(第二一〇五号)  医療制度の確立に関する請願(枝村要作君紹  介)  (第二一〇六号)  同(下平正一君紹介)(第二一〇七号)  同(森井忠良君紹介)(第二一〇八号)  同(柴田睦夫君紹介)(第二一六三号)  中国残留日本人肉親不明者の調査及び里帰り  等に関する請願(塚田庄平君紹介)(第二一〇  九号)  同(大石千八君紹介)(第二一九三号)  心身障害者等のための生活環境改善に関する請  願(斉藤正男君紹介)(第二一四五号)  生活保護基準引き上げ等に関する請願(津川  武一君紹介)(第二一四九号)  障害者の生活・医療保障等に関する請願(浦井  洋君紹介)(第二一五〇号)  保育費増額等に関する請願外一件(広沢直樹君  紹介)(第二一五三号)  松江市水道事業に対する抜本的施策に関する請  願(工藤晃君(新自)紹介)(第二一五八号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願外一件  (浦井洋君紹介)(第二一五九号)  同(田中美智子君紹介)(第二一六〇号)  同(浦井洋君紹介)(第二二〇九号)  健康保険法改悪反対等に関する請願(浦井洋  君紹介)(第二一九二号)  保育事業振興に関する請願(金子一平君紹介)  (第二一九四号)  同(羽生田進君紹介)(第二一九五号)  年金制度の改善等に関する請願(浦井洋君紹  介)(第二一九六号) 同月三十日  国立千葉病院において障害児・者の歯科治療に  関する請願(鳥居一雄君紹介)(第二二九一  号)  歯科医療の確立に関する請願(鳥居一雄君紹  介)(第二二九三号)  社会福祉制度の改善等に関する請願(平石磨作  太郎君紹介)(第二二九四号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(大橋敏雄君紹介)(第二二九五  号)  同(鳥居一雄君紹介)(第二二九六号)  同(平石磨作太郎君紹介)(第二二九七号)  同(荒木宏君紹介)(第二三八五号)  同(有島重武君紹介)(第二三八六号)  同(浦井洋君紹介)(第二三八七号)  同(小川新一郎君紹介)(第二三八八号)  同外二件(大成正雄君紹介)(第二三八九号)  同(長田武士君紹介)(第二三九〇号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二三九一号)  同(長谷雄幸久君紹介)(第二三九二号)  同(東中光雄君紹介)(第二三九三号)  同(不破哲三君紹介)(第二三九四号)  同外一件(宮地正介君紹介)(第二三九五号)  同外二件(山口敏夫君紹介)(第二三九六号)  同(吉浦忠治君紹介)(第二三九七号)  公衆浴場法の一部改正に関する請願(鳥居一雄  君紹介)(第二二九八号)  障害者の雇用及び生活保障等に関する請願(平  石磨作太郎君紹介)(第二二九九号)  中国残留日本人肉親不明者の調査及び里帰り  等に関する請願(小川平二君紹介)(第二三〇  〇号)  同(中野四郎君紹介)(第二三九八号)  保育事業振興に関する請願(稲葉誠一君紹介)  (第二三〇一号)  同(上村千一郎君紹介)(第二三九九号)  同(粕谷茂君紹介)(第二四〇〇号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願(浦井洋  君紹介)(第二三〇二号)  同(平石磨作太郎君紹介)(第二三〇三号)  サッカリン即時全面禁止に関する請願(土井  たか子君紹介)(第二三〇四号)  心身障害者等のための生活環境改善に関する請  願(大橋敏雄君紹介)(第二三〇五号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第二三〇六号)  同(渡辺芳男君紹介)(第二三〇七号)  季節労働者失業給付金特例措置継続等に関  する請願(池端清一君紹介)(第二三〇八号)  健康保険法改正反対等に関する請願(渡部一  郎君紹介)(第二三八二号)  社会保険診療報酬引き上げに関する請願(渡  部一郎君紹介)(第二三八三号)  医療保険改悪反対等に関する請願(平石磨作  太郎君紹介)(第二三八四号) 四月四日  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(受田新吉君紹介)(第二四七八  号)  同(高橋高望君紹介)(第二四七九号)  同(寺前巖君紹介)(第二五六六号)  同(安宅常彦君紹介)(第二六二四号)  同(小川国彦君紹介)(第二六二五号)  同(大原亨君紹介)(第二六二六号)  同(井上普方君紹介)(第二六二七号)  同外十四件(板川正吾君紹介)(第二六二八  号)  同(木原実君紹介)(第二六二九号)  同(佐野進君紹介)(第二六三〇号)  同外二十件(沢田広君紹介)(第二六三一号)  同外二十一件(高田富之君紹介)(第二六三二  号)  同外二十七件(只松祐治君紹介)(第二六三三  号)  同外一件(千葉千代世君紹介)(第二六三四  号)  同(土井たか子君紹介)(第二六三五号)  同(中村重光君紹介)(第二六三六号)  同(成田知巳君紹介)(第二六三七号)  同(西宮弘君紹介)(第二六三八号)  同(長谷川正三君紹介)(第二六三九号)  同(福岡義登君紹介)(第二六四〇号)  同(山田耻目君紹介)(第二六四一号)  同外一件(山花貞夫君紹介)(第二六四二号)  同外五件(山本政弘君紹介)(第二六四三号)  サッカリン即時全面禁止に関する請願(永末  英一君紹介)(第二四八〇号)  老人医療費有料化反対等に関する請願外二件  (大原亨君紹介)(第二五一六号)  同(金子みつ君紹介)(第二五一七号)  公衆浴場法の一部改正に関する請願(瀬野栄次  郎君紹介)(第二五一八号)  同外一件(枝村要作君紹介)(第二六一六号)  同(島本虎三君紹介)(第二六一七号)  同(清水勇君紹介)(第二六一八号)  同外二件(下平正一君紹介)(第二六一九号)  同(原茂君紹介)(第二六二〇号)  同(山口鶴男君紹介)(第二六二一号)  同外一件(湯山勇君紹介)(第二六二二号)  同(渡部行雄君紹介)(第二六二三号)  心身障害者等のための生活環境改善に関する請  願(村山富市君紹介)(第二五一九号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願(大出俊  君紹介)(第二五二〇号)  雇用保障及び労働時間短縮等に関する請願外一  件(沢田広君紹介)(第二五二一号)  同(沢田広君紹介)(第二六〇八号)  障害者の生活及び医療保障等に関する請願外一  件(川本敏美君紹介)(第二五二二号)  同(川本敏美君紹介)(第二六〇三号)  中国残留日本人肉親不明者の調査及び里帰り  等に関する請願(宇野宗佑君紹介)(第二五六  七号)  同(山本政弘君紹介)(第二六〇九号)  東北地方に冬期暖房料の療養担当手当拡大適用  に関する請願(安宅常彦君紹介)(第二六〇〇  号)  同(西宮弘君紹介)(第二六〇一号)  同(渡辺三郎君紹介)(第二六〇二号)  中小業者婦人健康保全対策等に関する請願  (藤原ひろ子君紹介)(第二六〇四号)  旧満州開拓青年義勇隊員等処遇改善等に関す  る請願(増田甲子七君紹介)(第二六〇五号)  障害者の雇用及び生活保障等に関する請願(大  原亨君紹介)(第二六〇六号)  同(田邊誠君紹介)(第二六〇七号)  歯科医療の確立に関する請願(大野潔君紹介)  (第二六一〇号)  同(草川昭三君紹介)(第二六一一号)  健康保険法改正反対等に関する請願(大野潔  君紹介)(第二六一二号)  同(草川昭三君紹介)(第二六一三号)  社会保険診療報酬引き上げに関する請願(大  野潔君紹介)(第二六一四号)  同(草川昭三君紹介)(第二六一五号) は本委員会に付託された。     ―――――――――――――四月一日  医療行政の強化に関する陳情書外一件  (第一一二号)  診療報酬是正に関する陳情書外二件  (第一一三号)  難病対策促進に関する陳情書外六件)  (第一一四号)  筋拘縮症に対する公費負担制度拡大に関する陳  情書(第一一五  号)  がん予防対策の法制化に関する陳情書外一件  (第一一六  号)  脳卒中対策の推進に関する陳情書  (第一一七号)  血液対策確立に関する陳情書外一件  (第一一八号)  救急医療体制の早期実現に関する陳情書外一件  (第一一九号)  国民健康保険制度の改善等に関する陳情書外一  件  (第一二〇号)  老人医療費無料化堅持等に関する陳情書  (第一  二一号)  国民年金制度の改善に関する陳情書  (第一  二二号)  上水道事業財政措置強化に関する陳情書外一  件(第一二  三号)  母性保障法制定に関する陳情書外一件  (第一二四号)  母子家庭の母等の雇用促進に関する陳情書外十  一件(第  一二五号)  中小業者婦人健康保全対策等に関する陳情書  (  第一二六号)  保育所の最低基準等改定に関する陳情書外五件  (第一二七号)  都市児童健全育成事業費補助対象枠拡大に関  する陳情書外一件  (第一二八  号)  身体障害者の援護強化に関する陳情書  (第一二  九号)  生活保護法に基づく級地引き上げに関する陳情  書(第一三〇号)  雇用安定基金制度の創設に関する陳情書  (第一三一号)  季節労働者失業給付金特例措置継続等に関  する陳情書外四件  (第一三二号)  林業労働者振動病絶滅に関する陳情書外二件  (第一三三  号)  原爆被爆者援護法制定に関する陳情書外一件  (第一  三四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の補欠選任  参考人出頭要求に関する件  雇用保険等臨時特例法案枝村要作君外五名提  出、衆法第二一号)  雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 橋本龍太郎

    橋本委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  昨五日、理事住栄作君が委員辞任されましたため、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橋本龍太郎

    橋本委員長 御異議なしと認め、理事葉梨信行君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 橋本龍太郎

    橋本委員長 枝村要作君外五名提出雇用保険等臨時特例法案を議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。枝村要作君。     —————————————  雇用保険等臨時特例法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 枝村要作

    枝村議員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました雇用保険等臨時特例法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  近年、わが国経済は高度成長を遂げ、工業生産力は資本主義国においてアメリカに次いで第二位の地位を占めるに至りました。東南アジア等々の諸外国への年間資本輸出量においても、いまや日本の大企業はアメリカに次いで第二位となっております。  しかしながら、一方では、戦後最大の不況のもとで、中小零細企業の倒産や経営難による労働者の解雇、さらには不況を口実とした大企業における解雇、出向、配転など、雇用不安の拡大により、雇用・失業情勢はますます悪化し、深刻な社会問題となっております。企業倒産は年々急増し、負債一千万円以上のものだけでも、昨年は一万五千六百件を超えるほどに深刻化しているのであります。  いまや、政府の統計でさえも、完全失業者は百万人を超えたまま減りそうにありません。しかも、この統計には、家業に復帰した出かせぎ農民や、その他の短時間就労者などは含まれておらず、これらを含めた失業者数は三百万人を超えると推定されております。  一九七四年十月に一を割った有効求人倍率は、一九七五年平均〇・六五、一九七六年〇・七二と低迷を続けております。中でも五十五歳以上の求人倍率は〇・一にまで低下したまま、少しも改善される気配がありません。  このように、一たび職を追われた労働者の再就職はきわめて困難になっており、雇用保険法において定められている失業給付日数を過ぎてもなお再就職できない失業者が急増しているのであります。また、二、三年前までは職につくことのできた季節労働者の多くも、今年は職が得られないままになっており、とりわけ寒冷豪雪地域における季節労働者はきわめて厳しい状態に置かれているのであります。  命の網である失業給付さえ切れてしまう失業は、労働者とその家族にとって緩慢なる死を意味します。事態の改善はきわめて急を要すると言わねばなりません。  三党は、このような状況にかんがみ、失業者の生活を守るために、臨時特例法を制定することを共同提案する次第であります。  次に、この法案の内容について御説明申し上げます。  第一は、この法律の目的であります。  この法律は、長期にわたる深刻な不況によって生じている雇用の機会の著しい減少に対処するため、当分の間の措置として、雇用保険等に関する特例を定め、失業者の生活保障を図ることを目的としております。  第二に、雇用保険法に基づく一般失業給付の改善についてであります。  この法律は、一般被保険者の所定失業給付日数をそれぞれ百八十日間延長すること、船員保険法もこれに準ずるものとすることにいたしております。  第三に、雇用保険法に基づく短期雇用特例給付の改善についてであります。  季節労働者について、五十日分の特例一時金の支給を受けた者が、その支給を受けた日から起算して五十日を経過した日以後、失業している場合には、離職の日の翌日から起算して六カ月以内の失業している日について、四十日までの特例求職者給付を支給することといたしております。  第四に、失業対策事業等の拡大についてであります。  この法律は、失業者の就労の機会を確保するため、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法附則第二条の規定による制限を撤廃し、緊急失業対策法に基づく失業対策事業等の拡大を図り、この場合における緊急失業対策法の第十条第一項の適用において、公共職業安定所の紹介する失業者は、同条第二項の制限条件を要しないものといたしております。  最後に、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上、この法律案提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。  この法律案は、組織、未組織を問わず、三千七百万の全労働者とその家族の切なる要求であることを十分に勘案され、御審議の上、何とぞ速かに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  6. 橋本龍太郎

    橋本委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  7. 橋本龍太郎

    橋本委員長 次に、内閣提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案及びただいま提案理由の説明を聴取いたしました枝村要作君外五名提出雇用保険等臨時特例法案の両案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大坪健一郎君。
  8. 大坪健一郎

    大坪委員 雇用保険法の改正案が提案されました。それからまたただいまは雇用保険等臨時特例法案の御提案が野党の各党から出ております。わが国の雇用問題が非常に重要な時期に差しかかっておるというような御議論もある時期でございますので、この法案の審議に関連いたしまして若干の質問を申し上げたいと存じます。質問時間が非常に限られておるようでございますので、できるだけ要点を御質問いたしますから、御回答の方もひとつ簡略にお願いを申し上げたいと存じます。  石油危機以来、どうも非常な不況が継続をいたしておりまして、すでに石油危機以来三年をたっておりますけれども、景気が一向に華々しい立ち直りを見せておりません。特に昨年の秋ごろからの中だるみは、昨年の前半一時ちょっと景気がよくなりましたけれども、依然として続いておるようでございまして、最近の情勢では、経済企画庁の計画にもかかわりませず設備投資が伸びておらない。また、ごくこの近日の状況では円が非常に高くなってきておりまして、国際貿易の先行きが非常に憂慮されるような事態が出ております。     〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 したがいまして、まず、この設備投資が伸びていかない、あるいは、それにもかかわらずアメリカ、ドイツ、日本が世界の三つの機関車であるというようなことで、円が国際為替相場で攻撃をされておる、そういうような事態の中で景気回復の見通しが一体どうなるのか。そしてこの景気回復の兼ね合いで雇用・失業情勢がどうなるのか。どういうふうにお考えになっているかをまずお聞かせをいただきたいと存じます。
  9. 越智伊平

    ○越智政府委員 昭和五十年代前期経済計画におきまして、昭和五十五年度には完全失業率が一・三%台に低下するように努めることといたしております。昭和五十一年度は、景気のいわゆる中だるみのほか、冷害、豪雪等の影響もありまして、完全失業者は百五万人程度、失業率が二%と見込まれております。昭和五十二年度は、景気の回復を背景に雇用・失業情勢も次第に明るさを取り戻すものと思われ、完全失業者は百万人程度、失業率一・二%と見込んでいるのでございます。  今後の中長期的な雇用対策として、昨年六月に第三次雇用対策基本計画を策定いたしまして、成長率低下のもとでインフレなき完全雇用を維持、達成することとしております。本件計画にのっとり、五十二年度におきましては、積極的な失業の予防と円滑な職業転換を目的とした雇用安定資金制度の創設、なお、高年齢者雇用率制度を軸とした中高年齢者の雇用安定対策等に重点を置くことといたしております。
  10. 大坪健一郎

    大坪委員 いまの政務次官のお見通しでございますけれども、少し情勢について認識が甘いのではないかと私は考えるのです。特に最近国際経済市場で、日本の輸出は対米、対ECともに厳しい制約下に置かれようとしておりますし、先ほどもお話ししました国際通貨問題では円高が非常にきつくなっております。それから石油の将来、先行きの日本の確保見込みも余り伸びる見込みがございませんとすれば、経済成長率に相当の制約を受ける。ところが、わが国の完全雇用を維持していくためにはどうしても六%の成長が必要であろうという試算がございます。一〇%の成長ですと毎年七十万ぐらいの就業増があるけれども、六%が限度で、三、四十万人の就業増がこれでやっと確保できるのではないか。人口増を考えますと、こういう形の経済成長をどうしても維持していかなければならないのではないか。ところがその六%の成長維持が非常にむずかしいという現実がいま来ておる。だから、たとえば、これは野党には申しわけないのですけれども、ここで雇用保険法の改正をして給付を引き上げるというようなお話が簡単に出ておりますけれども、一体、保険経済上から見てもこういうような議論が早急に短期的なものとして通用し得るのかどうか、もう少し長期的に考えて雇用政策というものをしっかり立てなければならぬのじゃないかという感じがいたします。この点については多少技術的な問題も見通しの問題として入るわけですから、ひとう職業安定局長の方からお答えいただきたいと思います。
  11. 北川俊夫

    ○北川政府委員 先生御指摘のように、政府の本年度の経済見通しでは成長率六・七%伸びる、こういう見通しでございますけれども、最近における諸外国の対日輸入規制の問題特にEC市場における激しい批判、そういうものを考えますとき、あるいは今後の石油価格の国内経済への影響等々を考えますと、そうこれからの経済成長が楽観的に伸びるものではないと考えております。特に、雇用の問題と関連しますと、この停滞しております経済情勢以上に減量経営という考え方に徹したいまの日本の経済界が人の採用について大変慎重な態度を示しておる、こういうことから考えますと、先生御指摘のように、これからインフレなき完全雇用というものを目指しましてわれわれ雇用政策の展開をいたしておりますけれども、非常にいまの経済情勢に即応した、しかも地道な雇用対策を展開するのでなければその目的の達成は大変困難だ、こう考えております。  御指摘のように、今後起こります産業構造の変化に対応する雇用政策のあり方、あるいはときどきの不況に対応しての中高年の対策の問題あるいは日の当たらない不安定雇用者に対する対策等々に対しまして手厚い雇用対策を展開するとともに、先生も御指摘のように、何とかして経済成長率としては六%の伸びを確保するように、雇用政策の面からも強く政府の政策に反映をいたしまして、雇用問題の前途に不安のないように各般の努力をいたしたい、こう考えております。
  12. 大坪健一郎

    大坪委員 ただいまお話がございましたように、私どもと事務当局の御認識と余り違っておりませんので、私もその点では事務当局を御信頼申し上げるわけですけれども、経済成長率が、従来から、低い水準でずっと推移していくであろうということについてどうも国民全般の認識も私どもの認識もやや甘いようであります。したがって、不況が起こり、経済の回復が思わしくないと、どうも短兵急に、いますぐ何かしたらまたもとのように経済がよくなるのではないか、政府よ何かしろというような、そういう小手先の議論が横行するようでありますけれども、そういう点はひとつ、特に完全雇用維持に非常に責任を持っておられる労働省でありますから、十分な啓蒙活動あるいは官民の認識の持ち直しということに対してお力を出していただきたいと思うわけです。  低成長時代に入りますと、不況でありますとか産業の調整が起こりましたときの失業問題は非常に長い間表に出てきて、国民の気分をいらいらさせる、あるいはフラストレーションが増大するということになりかねないわけであります。したがって、単に離職者を中心とした対策ではこれから先はやっていけないということは当然でありまして、そのために今回この法律改正雇用安定資金制度を創設されることになったのだろうと思うわけでございますけれども、この雇用安定資金の創設そのものは、こういう時期でございますからまことにふさわしいものであろうと考えますし、野党の皆様方もこの制度が実現することについては御同様に賛成であろうと考えるわけでございますけれども、しかしこの内容、それから予算等について多少詳しく御説明をいただきたいと思います。  なぜかと申しますと、この制度は非常にいい制度だということでできることが間々ございますけれども、後々その制度の運用に当たりますと、予算が足りないあるいは時期が間に合わないというようなことで、極論をすると絵にかいたもちになるというような事態もときどき起こっておるようでございます。特に雇用政策というのは、この構造的失業を防止する雇用政策ということになりますれば労働省だけの御責任では非常に荷が重い。通産省なり経済企画庁なりあるいは政府全体なりの姿勢というものもそれと相まってしっかりしたものになっていかなければ、この国民的課題について本当に行政当局が立ち向かったということにはならないと思います。そういう点も含めて、雇用安定資金制度を創設するに関して、制度の中身とともに、従来ありますいろいろな諸制度の運用についても御当局の御見解を承りたいと思います。
  13. 越智伊平

    ○越智政府委員 今後におきますわが国の経済をめぐる内外の情勢は、先生御指摘のとおり非常に厳しいものがございます。特に経済成長率が低下するということは先生の御指摘のとおりでございまして、景気の変動、産業構造の変化等が雇用の面に与える影響がますます大きくなってくるものと見られます。このような情勢に備えまして、雇用対策の面からは御指摘のとおり積極的に失業を予防する、そして労働者の雇用の安定を確保することが重要な課題である、かように考えております。  そこで、今後の雇用対策の柱として、景気の変動や産業構造の変化等によりまして事業活動の縮小、事業の転換等を余儀なくされた場合における失業の予防を図るために、雇用保険事業の一環として新たに雇用安定事業を実施いたしたい、かように考えております。  あと、いろいろ数字の面等は安定局長の方から答弁をいたさせます。
  14. 北川俊夫

    ○北川政府委員 雇用安定資金につきまして事務的な説明を補足させていただきます。  雇用安定事業は、いま政務次官も御指摘のように、これからの低成長経済のもとで離職する場合、特に中高年離職者、身体障害者等の方々につきましては再就職がきわめて困難である、そういう観点から、でき得ればその失業を防止する、そのために企業内で行いますところの休業期間中の訓練等の助成をしよう、こういう考え方で、雇用保険事業の一環としまして、従来の三事業に加えて雇用安定事業の実施を今回計画したわけでございます。  雇用安定事業の内容につきましては二つございまして、まず第一は、景気の変動に対応して企業が失業の予防等を行うために行います生産調整期間中の休業に対する助成、あるいは生産調整期間中の教育訓練に対する助成、その他高年齢者の雇用安定のための助成等を考えております。  第二は、産業構造の変化等に対応しまして企業が失業の防止とさらに円滑な職業転換を図りますために行いますいろいろの事業、たとえば事業転換のために必要とする教育訓練に対する助成、あるいは事業転換のために施設、設備を設置あるいは変えるというような期間の休業に対する助成等々の事業に対する助成を安定事業として行うこととしております。  なお、このための財源といたしましては、雇用保険の保険料率、これは事業主負担分のみでございますけれども、従来の千分の三を千分の〇・五引き上げることとしております。ただ、大坪先生御指摘のように、これからの経済低成長の中で構造変化が非常に急激にかつ深化、非常に深い程度に起きた場合に、この程度の財源で十分なのかどうかという御懸念の御指摘がございましたけれども、私たちもその辺のことを考えて、当初は千分の一上げてそうして十分なる財源の積み立てをいたしたい、こう考えておりました。しかしながら、審議会の御指摘あるいは業界等の御指摘もございまして、いまの不況の時期にやはり企業負担としては大変深刻な問題になるということの御主張もございました。この点を勘案いたしまして千分の〇・五引き上げる、こういうことで財源措置をいたすこととしております。ただ、その不足分につきましては、従来の三事業、たとえば雇用福祉事業等の節減あるいは繰り延べによりまして、当初の構想が十分賄い得るように今後努力をいたす所存でございます。  なお、以上のような財源によりまして雇用安定事業のための資金を平常時に計画的に積み立てまして、不況期にこれを集中的に使用する、こういうための仕組みといたしまして、労働保険特別会計の中に雇用安定資金という特別の枠を設置いたしまして、これで事業の効果的転換を図ることといたしております。
  15. 大坪健一郎

    大坪委員 雇用安定資金の制度によって、それはそれなりの失業予防がある程度できるであろうということは考えられますけれども、この雇用安定資金の中身を伺いますと、短期的な景気変動に対応するものと構造的な失業に対応するものとの二つがあるようでございますが、特に短期的な失業に対応する雇用安定事業の発動というものが、進行しておる事態に対応して即時活動ができるような的確性を持っているかどうか。運用に的確性を欠くと、先ほども触れましたけれども、せっかくいい事業でも、国民の側から見て絵にかいたもちになります。したがいまして、たとえば適用業種をどういう形で決めるのか、あるいはそれぞれの企業が申請をしている場合に、どういう段階でどういう手続でどのようにして実際にその制度の運用が具体的に国民の側におりてくるのか、そういう点についてもう少し御説明いただきたいと思います。  それから、雇用安定資金制度ですべてが救われるというわけではなくて、従来とも非常にいろいろな制度をあわせておつくりになって運用しておられますけれども、こういうものについても、将来これをどういうふうに雇用対策として充実されていくのか。  それからまた、現実に出た失業者に対してどういう対策を今後おとりになろうとするのか、その辺もあわせてなお若干の追加的な御説明をいただきたい。
  16. 越智伊平

    ○越智政府委員 雇用安定事業は景気変動時における緊急対策でありまして、その趣旨が生かされるよう、産業の実情に即した運用の必要があることは御指摘のとおりでございます。特に、雇用安定事業の実施に当たり業種の指定等を行う場合には、その業種の事業活動の状況や雇用の実態に応じて、制度の趣旨に即して失業が予防されるように努めることはもちろんでございますが、この点につきましては、関係審議会の御意見等を伺って適切な運用を図ってまいりたい、かように考えます。  なお詳しい内容につきましては局長の方から御答弁を申し上げます。
  17. 北川俊夫

    ○北川政府委員 いま御指摘のように、業種指定に当たりまして、従来日本標準産業分類の細分類によることを原則といたしておりますが、そういう官庁統計だけによっておりますと、いま御指摘のように、事態と非常におくれて、むしろ手を打ったことが遅きに失する、こういうことが間々生じるわけでございまして、今後その業種指定に当たりましては、統計の使い方において、ときとしては業界そのものの統計で信頼すべきものをも活用するとか、あるいは産地における統計というようなことも一つのポイントとして取り上げる、そういうようなことをして、時期を失しない業種指定をいたしたいと思います。  特に最近問題になっておりますのは、繊維のカルテルに基づきますところの業種指定の要請でございますが、従来の指定基準からいいますと、生産量が対前年同月に対して一〇%あるいは二〇%低下というようなことを言っておりましたけれども、カルテルで明らかに生産減で就業人員か減るということがわかっておる場合に、いままでの基準ではなかなか対応しにくいのではないか、いままでの解釈ではやや硬直的過ぎるのではないか、そういう点で、これもその弾力的な解釈によってそういう点の補いをいたしたいと思っております。  それから、業種指定のみならず、これから考えられますことは、そういう業種指定をされましたところの下請の救済の問題、それから大型プロジェクト、本四架橋によっていわゆる運搬船、定期船等の打撃というような、大型プロジェクトによるところの影響のいろいろの企業の対策、それに大型倒産によるところのまたこれも下請関連会社への救済等々につきましては、業種指定とは別の観点で、本当に困っておる企業、労働者の救済に十分当たれるように考えたいと思います。  それからなおもう一点、先生が御指摘の今後の失業対策、雇用対策として、この雇用安定資金制度が整備をいたしましたので一応体系的にかなりの前進はいたしておりますけれども、従来の雇用対策をこの際やはり総合的に見直してはどうかと、関係審議会等からも厳しく御指摘をいただいておるところでございますので、われわれとしましてはいまの低成長下の失業問題に対処しまして、従来からやっておりますけれども、職業紹介あるいは職業訓練機能の充実あるいはその弾力的な実施、雇用保険事業におきます失業給付につきましてもいまの制度の十分な活用ということ、さらには保険制度の対象とならない、あるいは保険制度の給付の終わりました人たちに対する職業転換給付の支給の問題等につきましても、さらに改善の道を考えたいと思います。特に職業転換給付金につきましては、従来その中身としての職業訓練との結びつきが必ずしも十分でございませんでしたので、職業訓練を職業転換給付金制度と十分に密着させまして、再就職の本当の推進になるような制度に育て上げるということも考えたいと思っております。  なお、私たちさらに、中高年対策その他につきまして、雇用改善事業その他で奨励金等々いろいろの制度は組み立てておりますものの、その制度の活用という面について必ずしも十分でないことも謙虚に反省をいたしておるところでございまして、その制度の普及とともに体系の合理化等もこの際あわせて検討をいたし、推進をいたしたいと考えております。
  18. 大坪健一郎

    大坪委員 大分わかってまいりましたけれども、新しく設定されます雇用安定資金を使いまして雇用安定事業というのが特に行われるわけですけれども、いまのお話によりますと、雇用安定事業の内容が、事業主が行います職業訓練に対する助成にどうも重点が置かれておるようでございます。また、私ども余りまだつまびらかにいたしておりませんけれども、一時休業を行う場合の休業補償に対応して事業主に助成が出るというようなことも伺っておりますけれども、まず、実際この景気変動で特に打撃を受けるのは中小零細企業でございますし、構造的変化にあって産業として非常に打撃を受けるのも主として中小企業あるいは零細企業の集中しておる産業でございます。しからば、当然この対策の焦点は中小零細企業に向かわなくてはならないだろう。いま繊維のお話がございましたけれども、繊維のみならず、鉄鋼の関連の下請のいろいろな企業、あるいは、いま問題になっております漁業交渉の成り行きいかんでございますけれども、水産業、こういったものが出てくる可能性もございます。  そこで、そういう中小零細企業で非常に雑多な産業区分の中で、それぞれが苦労して企業再建を図るということになるわけですけれども、それを職業訓練に結びつけると申しましても非常に多岐にわたって、実は大変むずかしい問題が出てくるのではないだろうか。技術的にまず非常にむずかしい。それから財政的にもなかなか大変な問題でございます。したがって、その職業訓練に関連して特にこの雇用安定事業の対応を進めていくということになりますと、その職業訓練が目標とする企業の再建の次の段階の経営のあり方、その経営指導あるいは企業の合理化計画、そういったものと十分兼ね合った対策が要るし、またこれに関連して、休業補償に補助金を出すという労働省側面の問題とともに、企業自体の再建の融資の絡みもまた非常に必要になってくるんではないだろうか。そういう考え方を持ちますと、中小零細企業を中心として、特に適用の対象となる企業の実態に即した幅広いこの制度の活用というものが要ることになろうかと思います。職業訓練についてもなかなかめんどうくさい基準があって、一般国民、特に中小企業のおやじさん方はわかりにくい、制度があっても使いにくいということでは何もならないわけでございますが、その辺について、今度の制度に関連しては何か特別のお考えがあるのかどうか。  それから、景気の変動に応じて一時休業をして、休業補償の二分の一くらいを援助したいというようなお考えもあるようですし、また、構造改善で事業所が休んで中の設備等を入れかえるときの休業にも援助したいというようなお考えがあるようですけれども、その場合に労使関係をどうするのか。その労使関係との対応を特に労働省は大切にしていただきませんと、企業の立ち直りが非常にむずかしくなる。そこら辺のことも含めてひとつなお若干の御説明をいただきたいと思います。
  19. 北川俊夫

    ○北川政府委員 まず、中小企業につきましてこの制度が弾力的に、かつその制度の趣旨にかんがみ十分恩恵が均てんするようにという御指摘については全く同感でございます。この制度の前身でございます雇用調整給付金の支給につきましても、その点につきましてはそれなりの配慮をいたしまして、たとえて言いますと、中小企業の場合に、保険料の負担割合から言いますと四〇%程度でございますけれども、雇調金の支給実績としましては、金額にいたしましても約六五%程度を支給しておるというような実績を得ておるわけでございますが、この実績だけで必ずしも十分でございませんで、今後の雇用安定事業の推進に当たりましては、その業種指定におきまして中小企業に十分配慮をした業種指定、先ほど言いましたように下請の問題あるいは大型倒産に伴うところの関連会社の問題、さらには、今回通産省が全面的に実施をいたします事業転換臨時措置法に伴うところの業種を指定されたような中小企業に対しては、この制度が、先ほども御指摘のように、時期を失せず的確な救済が受けられるような配慮で業種指定あるいはその対象として拾い上げることをぜひ積極的に進めたいと思います。  それからなお、先生御指摘のように、今後この安定事業を推進するに当たりまして、生産調整期間中の訓練あるいは生産調整のための休業、そういう場合における労使関係を大事にするようにという点につきまして、これは非常に貴重な御意見だと思います。事業主が一方的な考え方で休業をする、それで政府の助成を受けて労働者の意に反したような休業が行われるようでは、事業転換あるいは不況に対しての企業の立ち直りということはあり得ないわけでございまして、やはり労働組合と十分な話し合い、納得の上での休業ないしは生産調整期間中の訓練というものでなければならないと考えておりますので、われわれとしましては、この安定事業の対象として取り上げる場合の条件といたしまして、当該労働組合との完全なる合意協定を結ぶことを前提とするということで、事業主に対しましては、当該労働組合とこの問題について完全な意見の一致をするような指導を強力に進めていくようにいたしたいと思っております。
  20. 大坪健一郎

    大坪委員 ただいまのお話に関連しまして、そうすると、その休業の場合などは、基準法にいうところの休業補償を前提とするというふうに考えてよろしいわけでしょうか。
  21. 北川俊夫

    ○北川政府委員 基準法二十六条の基準を下回らない休業手当を支払うことを条件といたしております。
  22. 大坪健一郎

    大坪委員 それはぜひひとつ十分周知して、この際そういう原則を確立していただければ非常に結構だと思います。  それから、なお若干の技術的問題ですけれども、この雇用安定資金ができましたために、今度、労働保険の特別会計もまたいろいろと中身が変わるようでございます。労働保険特別会計法によりますと、その第九条が新しくなりますけれども、雇用安定資金については毎年計画表をつけるということになっておる。ところが、たとえば急激に雇用情勢が変化して、雇用安定資金からの繰り入れというか、組み入れというか、それが非常に多くなった場合に、この計画表の変更をしなければならないということが起こるかもしれぬ。それは一体予算に準じて扱うのかどうするのか。そこのところをはっきりしておいた方がいいと思うので、それをひとつお聞きしたいのですが、どうでしょうか。  それからもう一つは、特別会計法の十八条の雇用勘定の中身が少し変わりまして、雇用勘定においては、雇用安定事業、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業に係る歳入額、四事業費充当歳入額と言うんだそうですが、この四事業費充当歳入額と四事業費充当歳出額の差額が雇用安定資金に組み入れられるということになっておるようです。それで、もし雇用安定事業その他四事業の歳出が多くなれば、雇用安定資金から補足するということになっておる。雇用安定資金は、ある意味で言えば景気変動が雇用面に及ぼす影響をこのプールした資金で調整しようというわけですから、この資金が万が一足りなくなった場合には失業保険会計制度における積立金をも使えるのかどうか、そこのところもちょっとひとつ御説明いただきたい。
  23. 北川俊夫

    ○北川政府委員 まず最初の、労働保険特別会計法の九条によります雇用安定資金の増減に関する計画表の添付でございますが、厳密に予算と同じということには法律上なりませんけれども、趣旨から見まして、やはり予算の扱いに準じ、計画表の作成、変更等については取り扱いたい、こう考えております。  それから、十八条の余剰金の処理の点につきまして、ここに二項として明確に書いておりますのは、結局、四事業の剰余分につきましては資金として積み立てる、そして資金については安定事業にのみしか使用ができない、こういう内容でございまして、安定資金につきましては、先ほど申し上げましたように千分の〇・五の財源、合わせまして千分の三・五で今後遺漏なきを期するつもりでございまして、それが不足するというような事態はあり得ない、こう考えますけれども、万一そういう事態が生じた場合に、では失業給付の積立金からこれの補充ができるかという点でございますが、この点につきましては、法律上そういう補充はできないというふうにわれわれは考えております。
  24. 大坪健一郎

    大坪委員 そういうことでございますと、雇用安定資金制度の運用というものをよほど慎重にお考えいただかなくてはならない。特に雇用安定資金がある程度資金の形をなすほどに蓄積されるまでは、制度の運用については特に慎重に御配慮をいただかなくてはならないという考えを持つわけでございます。  しかしながら、今回の雇用安定資金は労働四団体からも大変強い御希望のあった制度でもございますし、こういう時期にこの制度ができるということは、私どもも大変時宜を得たものであると考えております。したがいまして、ただいま時間がありませんので非常に概略的に問題点を御検討いただいたわけですけれども、今後の失業の予防について日本の産業界に相当の貢献ができる制度であると私どもは期待するわけでございます。したがって、当然この制度を早期に成立させまして、現在不況に悩んでおられるわが国の企業、特に中小零細企業の事業の立て直しあるいは業種の転換等に、国が積極的な温い援助の手を差し伸べるべきであろうという考えを持つわけでございます。この点は、先ほどから政務次官のお考えあるいは御決意で政府の方針は十分わかっておりますけれども、再度、いま申しました点について特に御検討いただきたい。政務次官の最後の一言をいただきたいと思います。
  25. 越智伊平

    ○越智政府委員 先生のいろいろ御指摘のような実態でございますが、産業の構造が非常に変化する、しかも、この安定成長時代に不況といいましても業種によってアンバランスがございます。そうした中で、労働省といたしましては雇用の安定、まず第一番に失業者を出さない。そして、産業の構造の変化あるいは業種の転換等の期間は、でき得るだけ事業所での訓練をしてもらって失業者を出さない。さらに、高年齢者の再就職等も非常にむずかしいのでございますから、これに奨励金を出して、できるだけ、いわば定年制を延長してもらってでも、失業者を出さない、こういう点。さらに、出た者につきましては、われわれといたしましてはできるだけ積極的に事業所にお願いをしていく。こういうことで雇用の安定を図っていきたい。これが労働省としての考えでございますし、大臣も非常に意欲を持ってこの点に当たっております。大臣以下全員で、一致協力いたしましてこの雇用の安定に努めていきたい、かように考えておりますので、よろしく御協力をいただきたいと思います。
  26. 大坪健一郎

    大坪委員 そこで、先ほど社会党の枝村先生から代表して御提案がありました問題にも関連いたしますけれども、雇用保険法のアップ・ツー・デートの非常に重要な問題の一つとして季節労働者の問題がございます。先ほど申しましたように、わが国の雇用構造が長期的にこれから大きく変わろうといたしておる、構造的失業が顕在化しようとしておる時期でございます。ところが、北海道の季節労働者に関しましては、特に北海道の場合でございますが、従来非常に多額の金が短期間に季節労働者の給付として出ておった。それが国会で問題になりまして、保険給付が九十日から五十日の一時金に切りかえられたという問題がございます。このために北海道では冬季の生活が非常に困難になったというような季節労働者の方々の御意見も出ておりまして、九十日給付をめぐっていろいろ御議論があるようでございます。  で、これはすでに国会で御決定になった制度ではございますけれども、私どもは実は新人でございまして、その辺の経緯をつまびらかにいたしておりません。雇用保険制度全体をこの際しっかりしたものにして、長期的なわが国の雇用政策に役立てなければならないという時期にございますので、特にこの雇用保険法の一つの重要な問題点であります冬季の季節労働者に関する給付についての従来の審議の問題点等について、若干お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 北川俊夫

    ○北川政府委員 ただいま御指摘のように、雇用保険法に失業保険法が改正をされました昭和四十九年の国会で、季節受給者に対する給付が従来の九十日から特例一時金の五十日の制度に切りかえられたわけでございます。なぜこういう改正が行われたかという点は、一言で申しますと、やはり負担と給付の均衡をある程度図る、こういう考え方でございます。もちろん保険でございますので、給付と負担というもののアンバランスがあることは一応のたてまえでございますけれども、ただ、季節的受給者の場合について考えますと、その不均衡がはなはだしかったというのが失業保険時代の強い指摘でございました。  たとえて申しますと、一般の失業者が、定年の六十歳まで勤めてその間に雇用保険の失業給付を受けられる機会がせいぜい二回ないし三回、少ない人は最終の定年退職のときだけというような事例でございますけれども、季節労務者の場合には、毎年冬季あるいは夏に失業して失業給付をもらうというような循環的な、失業と果たして言えるかどうかというような原因で給付を受けておるという点、それからいわゆる保険料を納めておる者、額から言いますと、労働者が保険料としてお納めになるのがせいぜい二日分ないしは三日分で従来は九十日、今回は五十日の受給をされるということでございまして、これをもう少し総括的に申しますと、季節労務者から雇用保険特別会計として保険料の形で収入いたします額は大体七十八億でございます。それに対しまして、これらの季節労務者の方に毎年支払いますところの一時金が、これは九十日の時点でございますが、九十日の給付の額が千三百九十億でございます。この間に非常にアンバランスがございました。だからこの問題は別に地域的にどうこうという問題ではございませんが、特に問題になっております北海道について地域的な問題を例で申し上げますと、北海道の場合には最近の時点で、ホワイトカラーの労働者も入れまして、保険料の納める額が約二百五十億に対して給付が一千億、こういうアンバランスでございました。東京の場合には、保険料といたしまして千五百億を納めまして給付をわずか五百億しかもらっておらない。結局、季節労務以外の方の負担で季節労務の方が従来手厚い給付を受けておった。余りにそのアンバランスがひど過ぎるということで、雇用保険の改正に際しまして、雇用保険が就職促進と直接結びつくための給付改善ということで高年齢者の方たちに一律三百日というような給付改善をいたしましたものとあわせて、この際五十日の特例一時金制度というものに踏み切ったわけでございまして、保険のたてまえとしては、私たちは、この制度は国会で十分御審議いただきまして、いまの時点では非常に適切な保険法上の処理ではなかったかと、こう考えておるわけでございます。
  28. 大坪健一郎

    大坪委員 この問題、非常に深刻な問題を抱えておるわけでございますが、私ども、社会保険制度を考えます場合に、その社会保険制度の一種であります雇用保険、保険という制度として給付をこういう形で出す。いまお話によりますと、保険料が七十八億で支払い給付が千三百九十億、十五倍以上の給付をしておる。各地域ごとにそういうアンバランスがはっきり出てまいりまして、もしこの点についてそれぞれの地域の方が真剣にお考えになるというと、保険というものは実は成り立たなくなるんではないだろうか。社会保険としてこういう形の給付を継続して行っていけば、必ず雇用保険制度そのものの崩壊につながるような大きな問題になるのではないか。この問題は、むしろ労働省がもっと責任を持って考えていただきたい問題ではないかと思います。季節労働者の方が、冬季に仕事がないために非常に苦労されておるということは事実でございますし、そのために夏場の北海道の季節労働者の方々の賃金が、これまた全般の日本の同種労働者の方々の賃金より非常に高くなっておるということも事実でございましょう。そうすれば、そういう点の調整を図る何か政策的観点というものが要るんではないだろうか。これは私の意見が多少まじりますけれども、季節労働者にどのようにして冬季の就労機会を確保するか、あるいは冬季の生活を安定していただくかということがこの問題の一番大きな解決の方向であって、まあ言ってみれば、非常にたやすく制度が運用できたために行われておりました雇用保険の利用という形では、この問題を将来にわたって国民的コンセンサスの上に処理していくことができないのではないだろうか。だから、季節労働者の冬季の雇用安定あるいは生活保障ということについて、政府としてどういうお考えを持っておられるのか、あるいは将来どういうふうにこれをしようとされるのか。労働大臣がおられれば労働大臣にお答えいただきたいのですが、まだお見えでございませんから、ひとつ政務次官から、基本的な方向づけについてまずお考えを聞かしていただきたいと思います。
  29. 越智伊平

    ○越智政府委員 ただいま御指摘のありました北海道の季節労働者雇用保険の問題でございますが、先ほど安定局長からお答えをいたしましたように、九十日を五十日に短縮された。このことにつきましては、与野党と委員会でずいぶん御審議をいただきましてこの決定をされました。これに従いまして労働省としてはこの実施をいたしておるのでございます。  さて、ただいま御指摘がございました北海道の問題につきましては、これは気象条件等も考慮をいたしまして、でき得れば通年雇用、この方向に向かって努力をしなければならない。政府といたしましては、こういった面で大いに前進をさせなければならない、かように考えております。これは一労働省のみではございません。通産であるとか北海道開発庁であるとか、あらゆる、政府全般として考えていかなければならない。そして、先ほど申し上げましたように、業種によりましては冬季に職業訓練等をやる、そしてでき得る限り通年雇用者を多くして、季節労働者でなく通年的に就労ができるように持っていきたい、こういうことについて大いに努力をしていきたい、かように考えております。北海道内でいまの問題につきましていろいろ御議論のあることも十分承知をいたしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、与野党の合意に基づき決定をされましたし、また実態もいま安定局長がお答えしたとおりでございますので、これをもとに戻すという考えは労働省としては一切考えておりません。むしろ積極的な就労のあっせん等によりましてひとつ前進をさせていきたい、こういう考え方でおります。  以上お答えをいたします。
  30. 大坪健一郎

    大坪委員 実際は、雪が降ってきて寒くなった場合に、事業が行えないので季節的な失業を受けられた労働者の方々は、夏場の賃金をため込んでその間の生活に使わざるを得ないという実態もあるようでございます。あるいはそのことについて関係市町村が貸し出しを臨時的に行ったり、あるいは何らかの特別の手を打っておるということもあるようでございます。まあ生活保護の問題のようなことにもなってくる問題でございましょう。したがって、季節労働者が、冬季の事業がない場合にどういう形で生活の資を得ておられるのか、どういう形で実際に日々を過ごしておられるのか、あるいは生活の資を得る、のりをしのぐ対策が何であるか、そういう点について政府では一体御調査をなさっておるのでしょうか。御調査をなさっておって、その結果問題点がはっきりすれば、当然それに合った対策というものを本気で考えなくちゃいかぬと思うのですが、その点をどういうふうにお考えになっておられるのでしょうかということが第一でございます。     〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕  それから次には、公共事業はこういう方々の非常に重要な仕事の場所でございますけれども、大体公共事業の発注は比較的遅くなる。そして夏場に集中して、むしろ労働者が足りないような状況も起こっておる。これも実際上は非常に矛盾したことでございまして、冬季に行えないだけに夏に集中するという事情はわからぬでもありませんけれども、その辺をもう少しならしてやるような方法がないのかどうか。これは労働省だけではなくて、公共事業の主管官庁にもお伺いしたい。北海道開発庁の方がお見えになっておられればこの点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。四月に予算が成立する時期が少しおくれましたけれども、予算が成立したら早急に公共事業の発注ができないものか。それから年度にまたがるようなものについては債務負担行為の事業適用を拡大していくということができないものかどうか。こういう点についてもひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  31. 越智伊平

    ○越智政府委員 冬季の市町村における貸付金等も一部行われておるようでございますが、この点につきまして、あらゆる季節労働者の問題につきましてはただいま実態を調査中でございます。先生御指摘のようにこの二月から調査を始めておりまして、六月ごろに結論が出るようでございます。この貸付金につきましては何らかの方法をとっていくように各省庁に要請をいたしたい、かように考えております。  また、公共事業等の早期発注、平準化の問題につきましては、すでに大臣も閣議で要請をいたしておりますし、私も政務次官会議で各省庁にお願いをいたしております。そしてまずできるだけ早く発注をする、冬季の季節をできるだけ縮めていくということで労働省では努力をいたしております。この点につきましてはなお、北海道開発庁からもお見えのようでございますからひとつ御答弁をいただくといたしまして、政府全般としてこの公共事業の平準化、特に早期発注に努めてまいる所存でございます。
  32. 黒田晃

    ○黒田政府委員 北海道開発庁の考え方、また実情を御説明申し上げます。  北海道におきましては、現在大体二十八万から三十万の季節労働者がおるのじゃないだろうかと言われておるわけでございますが、そのうち、いわゆる建設産業というものに従事している労務者が二十万から二十二万ぐらいだろうというように推定されておるわけでございます。片一方、北海道の公共事業の施行状況でございますが、季節的に申しましても大体四月下旬から十二月下旬ということで、通例的には一年のうち約八カ月が普通に仕事ができる時期だというようになっておるわけでございます。したがいまして、公共事業に従事する季節労働者の方々は、約八ヵ月近く働いて、そうして従来ですと三ヵ月分の給付金をいただいて、十一カ月で十二カ月を暮らしていくというのが実情であろうと思うわけでございます。  これの対策につきましては、恒久的には、御存じのように北海道におきましては一次産業、それから三次産業というものが非常にウエートを占めておるわけでございまして、二次産業のウエートが全国に比べまして非常に低いわけでございます。その低い二次産業の中でも建設業というのが圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、いわゆる内地と違いまして、工業とかそういうものが非常に少ないという構造的な問題がございます。北海道開発庁が二十六年にできまして以来、そういう産業構造を変えていくというのが一つの大きな命題として続いておるわけでございますが、私どももそういういわゆる地場産業あるいは付加価値の高い工業、また基礎産業というようなものの振興策を現在やっておるわけでございます。いずれにいたしましてもそういう問題は長期の問題でございます。  短期的にどうするかということでございますけれども、一つの問題といたしまして早期発注という問題が出てまいるわけでございます。これは北海道の気象条件からいいまして、従来とも四月に大体十数%の発注をしておるわけでございます。五十二年度にはさらにそれを高めるべく、私どもも道とも相談しながら努力をしておるところでございます。  もう一つには、冬の間に工事ができないかということでございますが、これは技術的に非常にむずかしい問題があるわけでございまして、現在建設省を中心といたしましていわゆる通年施工の研究会というようなものを持って研究をしておるわけでございますけれども、この一、二年に技術問題を解決する、または制度を新しく設けるというようなわけにはいかないし、若干時間がかかる問題だろうと思っておるわけでございます。  それで一つの考え方といたしましては、早く、四月早々に仕事を出すということで国庫債務負担制度の活用が考えられるわけでございます。従来とも国庫債務負担行為を行っておりますが、特にこういう季節労務者の問題が生じまして以降、私どもの方も五十二年度の予算にそれを反映すべく、相当大幅の国庫債務負担行為をお願いしておるわけでございまして、それが実現いたしますとしますと、五十三年度には国庫債務負担行為が八十数%ふえてくるということでございまして、私どもも大きな期待を持っておるわけでございます。これが季節労務のための国庫債務という一つの制度ということになりますと、これはいろいろむずかしい問題が出てまいります。私どもも検討しておりますし、また道においても現在研究中でございまして、関係各省とも十分相談をしながら五十三年度の予算には何らか考え方を出してまいりたいというように考えておるわけでございます。  しかし、北海道にまんべんなく、失業者の方が見えるところに公共事業を行うというわけにいかないわけでございまして、そういう給付金のようにまんべんなくというわけにいかないという問題もございます。片一方また、いわゆる公共事業全体としての国としての予算の枠というような問題もございます。したがいまして、枠を増大するということも限度が出てまいるわけでございまして、私どもも公共事業で少しでもそういう問題の解決に寄与できるよう努力しておるわけでございますけれども、公共事業でもってこの問題が解決するということは若干考えられない問題があるのじゃないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  33. 大坪健一郎

    大坪委員 最後になりますけれども、この北海道の季節労働者の問題を雇用保険だけで解決しようとした従来の政府の考え方なり行政態度は、現在非常に問題が大きくなっておる時期に反省しますと、これはやはり不十分であると言わざるを得ません。しかし、実際はいまお話のように、八カ月は仕事があって、残りの冬季四カ月のうち三カ月については何とか従来は給付金でつないできた。本来から言えば、夏場の日本全国の平均的な同種労働者の賃金よりも高い部分については、これは当然冬場のそこの生活に対応すべき賃金取得ができないということに兼ね合って出てくる問題ではないかと考えておりますから、そのものを何とか冬場に調整する措置というものをやはり考えなくちゃならぬのじゃなかろうか。まあ、私見ですけれども、たとえば非常に生活の苦しい労働者の方が、三十万人と言われる季節労働者の中でどのくらいおられますか、二割かそこらおられるというふうにも聞いておりますけれども、そういった方々の実態調査を克明にして、そうしてその中で冬季の生活に本当にお困りだという方々については、やはりいま北海道開発庁が非常に御努力をいただいて、早期施行に踏み切っていただこうとしております公共事業をもってこれに充てるとかいったことのほかに、やはりそういたしましても一カ月分あるいは二カ月分の生活費というものをどこかで見てやらなくちゃいかぬじゃないか。そういうものをたとえば市町村が肩がわりをして、いま生活資金を貸し付けておるというふうな話も聞いておりますけれども、そういったことに対してもっと行政的に援助をする手がないものかどうか。そういう点をぜひひとつ真剣に御検討をいただきたいと私は考えるわけでございます。雇用政策になじむかどうか、それは非常に問題があるところでございますけれども、雇用政策になじまなくても、これはしなくてはならぬ問題でございます。労働省なり北海道開発庁ができなければ、ほかの官庁をしてでもこれをやらせるということがどうしてもこの問題の解決に必要な問題点ではないか。  それから、北海道開発庁の御説明を大変ありがたく聞いたわけですけれども、やはり率直に申し上げて、北海道開発庁はどちらかと言えば建設サイドのお考えでございまして、建設は建設、雇用雇用であろうかもしれませんけれども、たとえばことしの予算で言えば、二十八兆五千億という予算の中で四兆数千億という金は公共事業に回っており、それがしかもわが国の景気回復のための一番重要なてこというふうに考えられておる。もはや単に建設事業としてだけ考えられてはおらない。それはむしろ乗数効果を考えて、雇用拡大の重要なてこであると考えられておるわけでございますから、そういう意味で、北海道開発庁におかれても、どうぞひとつ、雇用的観点というものを今後の公共事業のあんばいあるいは施行に十分含めてお考えをいただきたいと考える次第でございます。  私どもは、特にこの雇用保険に関連して季節労働者の問題が出ており、雇用保険の解決があれば何とかなるのではないかという安易な形ではなくてこの問題の解決にお取り組みいただきますようにお願いを申し上げたい。最後にこの点について労働省側の御見解を、念を押すようですけれども、お聞かせをいただきたいと思います。
  34. 越智伊平

    ○越智政府委員 いま先生から御指摘のございましたように、この問題はひとり雇用保険法の運用のみではできないことは御説のとおりでございます。しかし、季節労務者という背景がございますので、労働省といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ通年雇用、こういう点に重点を置きましてひとつ指導をしてまいりたい、かように考えております。  なお、公共事業の問題、この問題は建設、農林あるいは北海道開発庁、こういうところに要請をいたしますし、また、先ほど御指摘の貸付金の問題につきましては自治省なりあるいは厚生省、こういうところともよく連絡をとり、要請をいたしまして、いずれにいたしましてもこの季節労働者生活に困らないように、政府全般として前向きの方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。今後ともひとつ御指導、御援助のほどを私からもお願いをいたしておきたいと思います。
  35. 大坪健一郎

    大坪委員 どうもありがとうございました。終わります。(拍手)
  36. 橋本龍太郎

    橋本委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午前十一時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  37. 橋本龍太郎

    橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。枝村要作君。
  38. 枝村要作

    枝村委員 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、ただいまから質問していきたいと思います。  私の質問は総括的なものでありますので、主として大臣の答弁を求めていきたいと思います。  この改正の主な目的は、労働者の失業の予防等を図るため新たに雇用安定事業を行い、現にある三事業に加えて四事業に要する費用に保険料のうちの千分の三・五に相当する額を充てるというものであります。     〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 そしてそのために雇用安定資金を置くという、こういうことになるわけであります。  そこで、この雇用安定資金を置くことによって、五十一年五月三十一日に出された第三次雇用対策基本計画とどのようなつながりを持ってくるのかということと、基本計画は、成長率低下のもとでインフレなき完全雇用を達成し、維持することを課題としておるのでありますが、これはもちろん将来に対する備えとしての政策的対応の方途を示したものでありますが、この安定資金が完全雇用達成のためにそういう意味でどのような役割りを果たすか、こういうことです。その点ひとつ私は基本的にお伺いをしておかねばならぬ、こう思っておりますが、いかがですか、大臣。
  39. 石田博英

    ○石田国務大臣 第三次雇用対策基本計画は、今後の日本の将来を展望した中長期の雇用対策の方向を示したものであります。したがって基本的には、低成長下においてインフレなき完全雇用の達成ということが基本的な考え方でありますが、その基本的な考え方に基づいて雇用保険制度というようなものを考え、そして今度の改正をお願いするわけであります。  これは、いまお話のように失業の予防、それから、これからどうしても考えなければならぬことは、産業構造の変化であります。その産業構造の変化の中で、勤労者諸君が生活の不安なく移動できるような条件をつくり出す、そういうことが一番基本的なものだと思います。  それから、完全雇用の達成ということは、労働政策独自として考えなければならぬことでもありますが、もう一つは、やはり産業政策との関連を考えなければなりません。したがって、一方においては産業、特に経済の条件が悪くなっておりますけれども、あとう限り経済の成長というものと並行して考えてまいらなければならぬものとも思っております。
  40. 枝村要作

    枝村委員 完全雇用達成のためには、いろいろの柱が要りますから、この安定事業、安定資金を置くということは、そういう一つの柱にもなる、こういう意味ですか。
  41. 石田博英

    ○石田国務大臣 そういう意味であります。これは失業の予防と同時に、産業構造の変化によって生ずる雇用の転換、職業の転換、そういうものにも対応するものであります。
  42. 枝村要作

    枝村委員 そこで、質問の方向を変えますが、いま現に発生しております雇用不安とか失業、これに対する対策には、この今回の法改正によるものが、間接であるか直接であるか、それは別にして、直ちに影響を与えるものではないということに考えていいわけですね。
  43. 石田博英

    ○石田国務大臣 直ちには影響を与えるものではないと思います。
  44. 枝村要作

    枝村委員 いまのはわかりました。  さらにそこで、雇調金制度を拡充し、それを一歩進めるという意味の今日的なあれはあるわけなんでしょう、この法改正は。——そうすると、いま答えられましたように、今日起きているいろいろの事態に対しては、余りこの問題は影響はない、将来の問題としてある、その将来の問題も、いま言いましたように雇調金制度を、拡充強化になるか知りませんけれども、そういう意味で一歩前に進んだ程度の法改正であるというように私は受けとめます。  そこで、不安定雇用の動きの問題でありますが、労働省のある幹部は、今日では不安定雇用は存在していないと言う人がおったようであります。しかし、労働省の出された基本計画によれば、不安定雇用がこれこれしかじかあるというふうにはっきり言っておるのでありますが、今後の見通しとして、この不安定雇用の解消、これは完全雇用になってくるわけでありますが、この第三次計画でこれらの不安定労働者と言われる出かせぎ労働者、臨時工あるいは日雇い労働者、社外工などの雇用の不安な人たちをどのように守っていくことができるか、そういう見通し、計画がこの第三次計画の中にあるのかどうかということです。  それで問題は、先ほどから言いますように、この安定資金が、このたび千分の〇・五を上げて、全体とすれば千分の三・五ですけれども、当初の予定の千分の一は〇・五になりました。労働省の立案者からすれば、大変なそごになったかもしれませんが、そういうもので果たして、いま言いましたような不安定雇用をなくして完全雇用のそういうものが五十五年度には達成できるかどうか、こういうことについて自信があればひとつ答えていただきたい。
  45. 石田博英

    ○石田国務大臣 具体的な施策については政府委員からお答えをいたしますが、私は、不安定雇用というのはなお存在するものだと考えております。この不安定雇用を安定した雇用、常用化していくということが、やはり雇用対策の一つの大きな目標でございます。
  46. 北川俊夫

    ○北川政府委員 不安定雇用改善の問題につきましては、雇用対策基本計画の中で非常に重点を置いて取り上げておるつもりでございます。そのまず第一は、雇用失業指標の確立ということで、いままでの完全失業率のみで日本の雇用市場の判断はむずかしいのではないかという御批判がございますが、これは、いま先生御指摘のように、パートタイマーあるいは短期稼働者というようなものを勘案してのことでございますので、われわれは、いままでの完全失業率のほかに、そうした生涯雇用あるいは潜在雇用というような問題をも示し得る総合雇用失業指標の確立ということを、この方針に基づいて着手をいたしておる次第でございます。  さらに、この計画の中では、産業構造の変化等に対応する雇用対策の一つとしまして「不安定雇用改善」という項目を明示いたしておりまして、いま御指摘のように、日雇い労働者、臨時労働者、社外工等の不安定な雇用につきましては、これからの雇用管理のあり方の改善あるいは事業形態の改善等と関連して、建設業その他の事業において積極的に進めるという方針を示しておる次第でございます。
  47. 枝村要作

    枝村委員 計画期間は五十一年から五十五年までの五年間でありますが、五十五年に達成する場合に、いわゆる労働人口、そのときの失業率などはどういうふうに想定されておりますか。
  48. 北川俊夫

    ○北川政府委員 五十五年までの雇用の情勢につきましては、五十年代前期の経済計画ということで、政府の目標としましては、完全失業率一・三%の雇用の状況に持っていきたい、こういうことを目標として掲げておる次第でございます。
  49. 枝村要作

    枝村委員 そのときの労働人口というのは五千万幾らですか。
  50. 北川俊夫

    ○北川政府委員 そのときの労働人口が五千五百四十万、こう想定をいたしております。
  51. 枝村要作

    枝村委員 そうすると、七十万近くの失業者が依然としておるということなんですね。しかも、あなたが言われたかどうか知りませんけれども、職安審で報告された資料の中には、五十五年度の前の五十四年度には不況は必ず出てくる、不況の年になるという、そういう想定をされておるのですが、そのような見通しのもとで果たして五十五年度に完全雇用が達成できるかどうか、しかもこの安定事業、安定資金をその一つの柱にすると言っておりますが、このままでいくならば、これも資金的に非常に不十分だ。そうなると、いま私が言ったように、どこかで見直しでもすれば別ですけれども、このままの状態でいって完全雇用が達成できるかどうかという疑問がどうも持たれるわけなんです。そういうふうに私は思うから、あなたの方で答えてとは言いませんけれども、そういうふうに思う。りっぱな計画はどんどんひとつ立てていってもらわなければならぬ、しかし、それがそのとおりにいくかいかぬかというのは、時の情勢やら経済変動もありましょうけれども、しかし問題は、それよりも雇用政策の基本的な考え方にあると私は思うのです。そのことによって、いわゆる雇用安定資金の価値観というものが違ってくると私は思うのです。  先ほどもお話がありましたように、いまの雇用政策というのは、あなたの方では産業構造の問題とか産業政策と関連を持ちながらと、こういうことでありますが、そのとおりであれば、まあ不十分にしても一考するところがあるのですけれども、いま見ると、どうも産業政策、経済政策に追従し、その後追いの労働政策としか見受けられない点があるのです。初期の段階ではそうかもしれませんけれども、今日の段階でそれであってはならぬと思うのです。そういう基本的な考え方があるかないかによって、先ほど言ったように、いまからいろいろ計画を立てられるものが本当に実っていくものかどうか、こういうふうになってくるのではないかというふうに思っております。  先ほど言いましたように、もちろん雇用の質的な改善は、やはり企業の負担力のいかんによって変わるのですから、及ぼすところが大きいのでありますから、そういうことはよく承知しておる。それだけに雇用政策と産業政策が連携して事態の解決に当たることも必要であろうと思いますが、先ほど言いましたように、どんな事態になろうとも雇用政策というものは不動のものである、いろんな事態が予想されても発生しても、失業の防止と雇用の安定という政策をぴしっと確立して、そして失業者の生活保障とか職業訓練あるいは再就職の援護等の職業転換政策を強化することが今日一番大事である、これは私の意見になりますが、そのように思います。  そういう意味で、もう一度言いますけれども、この基本について非常に力が弱いような気がいたしますから、ひとつ私が言ったような力強い雇用の基本政策を打ち立てるように労働大臣に強く要望しておきたいと思います。
  52. 石田博英

    ○石田国務大臣 経済政策とかあるいは企業の経営の状態というものと無関係だとは決して申しません。これは関連をしなければならない。しかしながら、雇用政策というものを独立して確立するためには、そういう流れの中にあって、その流れをあるいは制御し、あるいは誘導して、そして雇用確立に努める。たとえば定年制の延長とかあるいは中高年齢層の雇用の促進とかあるいは身体不自由者の雇用の確保、こういうものは必ずしも企業経営の方向とかあるいは経済の成長というようなものと並行し追随するものではない。そういう点で、私は、雇用政策というものは、経済政策に追随しているものとは思っておりませんし一そうでなく進めていかなければならない。そして産業構造の変化やその他によってやむを得ず生じた失業に対しましても、生活の不安のないような最大限の措置をとるということは当然であります。
  53. 枝村要作

    枝村委員 大臣は、そういう明確な答弁をされましたけれども、多くの識者、関係者は、追従という言葉が適当でないとすれば、やはり後追い的な行政が、政策がとられておることは、だれもが認めざるを得ないのです。それは時代の一つの推移にもよりましょうけれども、いまここでは、そういうことのないように、あなたが言われましたように、できれば独立した雇用政策でも立てるようにしていく決意を持つことが一番大切だということを言っておるのです。  そこで、雇用不安を抜本的に改善するために、いろいろな手段がありますが、ここでいまあなたがおっしゃいましたように、定年の延長の問題、中高年齢者の雇用の促進の問題、これはひとつ大臣として全体の一つのムードがそうなるように醸成する努力を一生懸命やってもらいたい。われわれは、この雇用保険法改正の審査の間に与野党がひとつ集まって、そういう特別決議でもするような働きかけをお互いにしたいと思いますが、労働省も側面、裏面、表面どっちからでもいいですから、やはりそれに拍車をかけるような動きを示していただきたいと思います。それが一つあります。  また、労働時間制度の基本的な検討がいまされておるかと思いますが、いまの基準法を改正して労働時間の短縮を実施すれば、これは常識的に見て雇用の拡大ができるということで、やはりこれにも力を入れていかなければならぬ。  それから、最賃の問題についても、前にわれわれ野党四党が提案いたしました全国一律最賃制度というものを採用することによって、不安定雇用労働者の雇用の安定が確立される一つの基礎もできる。  こういういろいろな問題がありますから、ひとつ労働大臣は、いろいろ困難な事情その他たくさんあるでしょうけれども、抜本的に雇用不安をなくするための努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
  54. 石田博英

    ○石田国務大臣 定年制の問題は、これは前にもこの委員会で申し上げたと思いますけれども、五十五歳定年なんというものは、明治時代にできたものであって、平均寿命が四十三歳から五歳程度のときにできたものであります。これが今日まで当然のごとく存在をしているということは、非常におかしなことなんで、これは早急に是正をしなければならぬものと思っております。  また、中高年齢層の雇用促進についても、所要の措置を講ずると同時に、いま御発言にありましたようなムードづくり、使用者の社会的責任としてもこれに対応していく努力をしなければならぬという風潮をつくり上げていくことが大切だと思っております。無論、長い間の人事管理の体系とかあるいは賃金原資の分配とかいう問題はありましょうが、五十五歳定年というものがいつまでも続いたこと自体に問題があるわけでありますので、そういうことを一日も早く克服していきたいと思っております。  なお、定年制については、漸次改善を見てまいりまして、現在では五十五年定年制をとっておるところは五〇%ちょっとくらいでありまして、すでに三〇数%は六十歳定年に移行しておるのであります。  そのほかの雇用の確保、失業の予防あるいは失業が出た場合の対策につきましても、このたびの労働政策の基本的な柱の最も大きなものだと考えて対処するつもりであります。
  55. 枝村要作

    枝村委員 それとここで一番大事なような気がするのは、雇用の安定を図るためには、一つの歯どめとして大量解雇の規制を行うということも最も必要だと私は思っております。雇用安定事業によって失業の予防を図るというのであれば、やはり企業の雇用責任を明確にしなくてはならぬと思うのです。そういう意味から、やはり大量解雇の規制などを法制化するとかその他の方法でしていかなくてはいけない。また、そのことがされぬと、基本計画の中のそういううたい文句も死んでしまうことになりはしないか、私は、こういうふうに思っております。いま雇用対策法の届け出制度が現にあるのでありますけれども、実際はこれは何も役に立たぬのではないか、こういうふうに思っております。いろいろな手だての方法はあろうと思いますけれども、このことに考えを直ちに及ぼしてひとつやってもらいたいものだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  56. 北川俊夫

    ○北川政府委員 解雇に関する問題につきましては、基本的には労使が自主的に話し合いあるいは交渉で決めることだと考えております。先生の御指摘の点、私たちも共感できる点が多うございますが、ただ、現行法におきましても、たとえば基準法における業務上災害を受けた労働者に対する解雇制限あるいは解雇予告の問題、さらには最近の判例で、解雇理由につきましてそれ相当のものがなければ解雇権の乱用になるというような判例もかなり出ておりまして、そういう意味での解雇権の制約というような基盤が次第にできておるのではないかと思います。  それからさらに、先生からいま、雇用対策法の二十一条に基づく大量解雇の届け出が有名無実ではないかという御指摘もございましたが、私たちとしましては、安定機関におきまして適正にこの届け出を受理いたしまして、大量解雇の計画を持っておる事業所に対しまして、身体障害者、中高年、そういうものにしわが寄らないように、たとえば六%あるいは一・五%という雇用率を法律で定めておりますので、それに反しないようにというような行政指導を従来も行なっておりますし、今後もその趣旨を徹底してこの問題についての対処をいたしたいと考えております。
  57. 枝村要作

    枝村委員 労基法その他で一つのそういう規制がされておりますが、それは特殊な問題でありまして、普通一般の解雇規制というものは、労使の間で自主的に取り決めればいいのですけれども、しかし、それはやはり力関係によってどうにでもされるというゆらゆら揺れ動く存在になっておるのです。で、まあ労働省としてそういう行政指導なんかすると言われておりますけれども、実際にはそういうことになっておらない。  たくさん例があるのですが、一つだけ言いますと、広島硝子のケースなんかは私は端的だと思いますね。これは雇調金の関係にも関連するのですけれども、雇調金の適用を受けるということになっている、それが決まると全員解雇、それで工場閉鎖。ですから、労働者が地方裁判所に訴える、その結果、労使協議が整わないうちに解雇は不当だ、賃金を支払え、こういう命令が出されておるのです。それがどんどん各地方の中小企業では行われておる。全員解雇に当たっての労働行政は一体何をしたかといったら、何もできないのじゃないですか、いまのままでは。ここにも問題がある。それから判決で不当ということになっておっても、何もないから向こうが守らねばどうにもならぬというケースになっておるんですね。  それともう一つ、別な問題であるかもしれませんけれども、結局雇調金は不正に受給したのじゃないかということが、そういう意味では言えるんですね。あなた方きょうの大坪委員の質問に答えて、雇調金の問題については労使が合意をした上でと言っておりますが、こんなものは労使もへったくれもないんですからね、こういうケースは。これを不正受給したというのに対して、では、どういうことをしたかということになると、これらは今日の法不備、解雇規制がちゃんとしていないからこういうふうになっておるのだということが言えるんですね。  そこで私の要望は、ILOの百十九号、これは一九六三年にできたのですけれども、いわゆる雇用の終了に関する勧告ですね。これは言いかえれば雇用の規制についての勧告ですが、この勧告に関する報告の総合調査を一九七四年、ILOの第五十九回総会に報告されているものを見ますと、諸外国ではどのように運用しているかということを総合的にちゃんと出しております。その場合、労働者の代表と協議をするということを前提としながら、できる限り人員整理を回避し、あるいは最小限にとどめるために積極的な措置をとるべきである、こういうふうに出ておるのです。  ですから、こういうものをも参考にしながら、私ども考えておりますのは、第三者の構成による雇用保障委員会などを設置するというような意見もありますけれども、私は、それにこだわりませんから、とにかく何らかの形でこのような解雇規制について検討していただきたいと思うのですが、どうでありますか。
  58. 石田博英

    ○石田国務大臣 大量解雇の規制の問題でありますが、大量というのはどういうことかという問題もありますし、それから、その置かれている事情というものにいろいろ偏差があると思うのです。しかし、解雇がたやすくできないようにすることが、やはり雇用対策の一つの大きな前提であります。その次が、やむを得ず解雇された場合の対策であって、第一は、やはりなるべく解雇されないようにするのが前提であると思うので、そういう意味において、いまお話しの向きについて雇用政策の一つの目標として検討はいたしたいと思います。
  59. 枝村要作

    枝村委員 その次に、雇用安定事業の創設に伴って、雇用保険法等の一部改正をめぐって、各審議会はそれぞれの答申を行っております。ところが、いずれの審議会も制度の抜本的確立を強調しているのであります。  これは具体的には申し上げませんが、この答申の中にあるこういう問題について、どういうふうに対処するつもりでいるか。特に雇用問題に対する政府の責任を明確にするとともに、その実現に努めることを考えるべきであるというのが強調されておりますが、どのようにしてこれに応じようとしておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  60. 石田博英

    ○石田国務大臣 今回創設を図っております雇用安定資金制度というのが、やはりこの三審議会の答申に基づいたものであります。それ以外のものとして、職業訓練それから職業転換対策というようなものの充実、それから職業転換給付金制度の見直し、不安定雇用改善の方策の検討あるいは婦人労働者の就業をめぐる条件の整備などがあるので、今後これらについて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  61. 枝村要作

    枝村委員 時間がありませんから、余り追い打ち質問はいたしませんが、しかし各審議会が、いま言いましたように、本当に真剣になって政府に要求しておるのですから、いままで言いましたようなものを含めて、政府の責任を明確にするために早く検討するなら検討する、そして検討の結果を早く実現させるようにしていただきたいと思います。  その次に、失業給付の延長について要望しておきたいと思うのです。この問題は、先ほどこの委員会の冒頭に、私が三党共同しての雇用保険等臨時特例法案について申し上げましたが、さきの委員会で石田労働大臣も、このようなものが出されれば、大いに参考にし検討しようという約束をされました。私、非常に心強いと思います。  私は、そういう意味で、特に今日起きておる情勢の中で緊急に処理せねばならぬ問題がたくさんあると思います。国際的な動きの中で発生しておるのは、私が言うまでもなく、たとえば二百海里の漁業専管水域の問題で起きてくる水産に関する問題、それから日豪協定によって砂糖の関係が大変なことになろうとしておる、それとEC問題による造船の関係、それから輸入規制による家電の問題、こういうのが起きて、結局関連の産業労働者が本当に雇用不安におののいておる、あるいは失業するかもしれない、こういうことに対して真剣に政府、労働省は取り組んでいただきたいということと、それとともに、法案の中にあります季節労働者の五十日を九十日にする、これも選択の問題でなくして、あの中にありますように、いままで九十日であったものが、八カ月という資格のある日数を働きながら五十日にさせられたというのが北海道中心の労働者の大きな怒りなんですから、われわれが提案しておりますように、五十日はそれでいい、しかし、なお引き続いて職がない場合には四十日を加算してくれぬか、こういう問題であります。  これは先ほど言いましたものとあわせて、今日の不況の中で一番犠牲になっておる人たちの痛切な叫びだと私は思います。ですから、そのために法改正をする、そうして給付日数をふやす、これは大変いいことでありましょうけれども、しかし、それがもしできぬとすれば、何らかの方法でそういう人々の要求にこたえるように、単に公共事業をふやしてそれでということだけではなく、実際にその失業期間中の生活が保障できるような何らかの手当てはないか、これをやはり労働省、政府が今日の時点で解決せぬと、いろいろ将来の問題で雇用安定とか、それから安定資金をつくってみたって、これはやはり今日の国民の期待にこたえることができぬと私は思うのです。  そういう意味でひとつ、われわれは法案を提案しておるのですから、大臣も先ほど言ったように約束したのだから、この審査の期間中に、与野党ももちろん話し合いを進めますが、労働省も前向きの形でこの問題に取り組むようにしてもらいたいというのが私の強い意見であります。その点いかがでしょうか。
  62. 石田博英

    ○石田国務大臣 給付期間の延長の問題は、前の改正において、納付の期間によって給付期間が決められておったのを、再就職の機会が多いか少ないかというような状態を勘案いたしまして、年齢別に期間を設けたわけでございます。  いまの百八十日という御提案については、特別会計の内容その他を検討し、あるいは給付と負担との公平を期するという立場の上から勉強はさせてもらいます。勉強はさせてもらうことはお約束いたしますが、それににわかに賛成しろと言われても、いまここでそういうお答えはできません。基本的な方向としては、先ほど申しましたような事由を勘案しなければならぬわけであります。  それから、北海道における問題でありますが、実は私のところも季節労働の非常に多いところでありまして、恐らく保険金の納付額と給付額との割合では、青森県に次いで二番目だ、余り自慢にならぬことですが、二番目ではなかろうかと思っております。その私の県で該当者について調査をいたしましたところが、六二%か三%くらいが改正された現制度の方がいいという回答が出ておるわけであります。  ただ北海道の場合は、いわば特別に専業者が多い、大体二十八、九万の季節労働に対しまして、冬季において特別の手当てをしなければならぬ人たちが七万人くらいいるのではないかと思うわけであります。この人たちの中から、五十日か九十日かの選択制にしろという要望が非常に強いことは承知しておりますが、大体この季節労働だけで見ますと、現制度におきましても、納付金が七十八億円くらい、ところが給付が千四百億円に達しておる、しかも、これは四分の一という国庫の負担分を除いた数であります。  したがって、雇用保険法をお説のとおりにわかにいま改正するという意思はございませんが、北海道に対する措置といたしましては、まず第一に、昭和五十一年度の補正予算中に組まれております百五十一億円は、二月の二十五日までに全部発注いたしました。それから災害復旧は、債務負担行為によりまして五十何億円か、これもすでに実施済みであります。さらに各府県が行っております府県の単独事業その他貸付金等に対する特別交付金、これも約四億円を超えるものだと思いますが、これも手当てをいたすことに決定をしているのであります。  それから、五十二年度の予算の執行でありますが、これは例年より一カ月と言いたいところでありますが、もうちょっと早く施行できるように、いま北海道開発庁、北海道庁、その他と協議中でございます。  そこで、北海道の就労者は大体七カ月と十日ぐらい働いておるわけであります。そしてそれに五十日を加えておるのが現状でありますが、九十日にしろという間には四十日の差がございます。その四十日の差は、工事が一カ月早まればほぼ詰まるのではないか、こういうふうに考えて、いま申しましたような措置をとっているところであります。
  63. 枝村要作

    枝村委員 午前中の大坪委員の質問に対して、北海道開発庁の方の発言によってもわかりますように、いまあなたが言われたような公共事業、その他の発注によってだけでは、この救済はどうにもならぬというような発言をしておりましたが、そのとおりでありまして、それもひとつ十分やってもらわなければならぬけれども、石田労働大臣は労働者のことをよくわかっているのだから、いま北海道を中心とするそういうところの労働者、先ほども言いましたように、短期でない、普通の一般給付を受ける資格を持つ労働者ですから、そういうところに対しては、特別な何かの給付を、法改正をしなくてもできるようなものがありはしないか、こういう期待を持っているのです。石田さんなら、そういうものをひねり出すだろう、そういう期待があります。これは与野党通じて、北海道の人たちはやはり深刻にこれを考えていますから、そういうことなども含めていまから、審査の間にいろいろ労働大臣に直接お願いすることもあるかもしれませんが、含めて検討をお願いいたしたい、こういうことなのです。
  64. 石田博英

    ○石田国務大臣 いままだ案がまとまっているわけではありませんけれども、検討を命じておりますことは、やはりどうしても通年雇用を多くしなければならない、そのためには、やはり技能を身につけてもらわなければならない、したがって、職業訓練を北海道に集中的に実施する方法がないか、つまり、これは建物を建ててからやるといったらずいぶん暇がかかりますから、何かそういうような方法がないか、それによって訓練手当を支給できる可能性を見出す、同時に一方においては、通年雇用へ転換させる方途を考える、こういうことで期待を持っておるわけであります。  北海道の場合は、よその土地と違って、北海道の道内の季節労働が多いわけでありますから、そういう場合は、道外への就職のあっせんということも、やはり積極的にやらなければならぬのじゃないか、こんなふうに考えております。
  65. 枝村要作

    枝村委員 ひとつ頼みます。  それからその次に、雇用安定事業について若干の質問をいたします。  まず第一に、失業給付と四事業の経理の分離についてであります。いろいろ聞いてみると、保険料の千分の十を、いまは千分の三ですが、それとちゃんと区別してあると労働省は答えておりますが、一般的に見て、どうもそれがはっきりしない。予算書を見ても、決算書を見ても、もう少しはっきりわかるようにしてもらえぬか、こういう強い要求がありますが、その点についての御答弁をお願いいたします。
  66. 北川俊夫

    ○北川政府委員 雇用勘定に係ります収支につきましては、労働保険特別会計の雇用勘定に計上をされております。そういう意味では、形式上は失業保険給付と四事業の経理というものが一体のごとく見られておりますけれども、実際は雇用保険法の六十八条で、失業給付の財源と四事業の経理というものが明確に区分をされておりまして、失業保険給付のものは失業保険に要する費用に充てることとし、一般保険料徴収額に四事業率を乗じて得ましたいわゆる四事業分につきましては、四事業限りに使うのだというふうに法文上明確に区分をいたしておりますので、先生の御懸念のように、失業保険給付の額とそれから四事業の経理とが混淆するという事態は起きない、こういうふうに考えております。
  67. 枝村要作

    枝村委員 その次に、安定事業の管理運営の問題についてひとつお伺いしておきたいと思います。  この事業創設が提起されて以来、関係審議会や労働四団体と政府との交渉の中で、労働者側が特にこの管理運営の問題について強く要求してきておることは御承知のとおりだと思います。いろいろな経緯はありますが、要するに、私から見ると、一つの接点に近づきつつあるのではないかというように判断をいたします。ですから問題は、今後どのように民主的に管理運営するか、労働省を中心とする政府の考え方が注目されてきておる、こういうふうに私は思うのです。  その一つの中には、三月七日の政労交渉の中で、安定事業の運用問題を中心に、さらに雇用政策全般に係る労政による懇談会を設置することが確認されておるということですが、それは間違いないかどうか。私の方ではそういうふうに受け取っておりますから、その真偽をひとつ知らせてください。
  68. 石田博英

    ○石田国務大臣 二種類の提案があるわけですね。一つの提案は、雇用安定基金制度の運営を、政労使三者構成の審議会などを新しくつくって、そこでやらないか、民主的運用をしないかという提案が一つ。それからもう一つは、雇用問題とか労働基本権の問題とか、一切のそういう問題を含んだ政労の機関をつくらないか、こう意見と二つあるわけなんです。  前の案は、現在中央職業安定審議会というのがございますね、これはやはり三者構成になっているが、その三者構成を生かしてやるべきではないか。審議会を二つに分けるということは、最近こういう制度についての見直しを一般的に迫られている状態でありますので、やれるものなら現存の機関の中でやりたい。  それからもう一つの問題は、雇用の問題については、いまお答えしたような方法、それから、そのほかの基本権の問題その他につきましては、いま中山先生を中心に審議が進められているものと競合をするので、中山先生の審議の日程もほぼ決まっておりますから、それを見守ったらいいのではないか、こう考えております。  それからもう一つの提案は、例の産労懇で鉄鋼の宮田委員長から提案をされたものです。それについては、構成員の一人一人の意見を聞きましたら三通りに分かれたわけなんです。その三通りに分かれておる意見を五月中旬ごろから検討、調整をしたい、こう考えておるわけであります。
  69. 枝村要作

    枝村委員 しかし、雇用政策全般に係るいわゆる労政の懇談会というものは、いまのお話の中でも持つという確認がされているんですよ。だから労働者側は、この中にはやはり安定事業の運用の問題も含まれておるというように認識するのがあたりまえなんです。  そうすると、いま審議会を強化したり、これでやればいいというような問題については、二月十日から十四日の間の職安審議会ですかで、従来運用問題については、職安審で十分としていた労働省が、口頭でこの見解を撤回したということが伝えられておるのですが、これはうそですか。
  70. 北川俊夫

    ○北川政府委員 どこからの情報かちょっと存じませんけれども、安定審議会で、労働省当局としましては、いま大臣がお答えしましたように、三者権成の中央職業安定審議会の運用によって十分賄えるのではないかという御説明で御納得をいただいたのではないかと思います。  なお、この点につきましては、中央職業安定審議会が雇用安定資金に関する答申の中で、いままでの雇用調整給付金の運用よりもさらに一歩進めて、たとえば運用基準の大綱、それから業種指定の基準、方法のみならず、各種給付金の具体的内容等も含めて中央職業安定審議会にかけることが現段階では適当ではないか、こういうふうな御答申をいただいておりますので、その点を踏まえて、従来の安定審議会でのお諮りの仕方についてさらに一層の工夫を加えたい、こう考えております。
  71. 枝村要作

    枝村委員 結局、職安審でいろいろ検討するなら十分だということを、そういう発言があったから、撤回したということになるのでしょうな。いい意味で理解すればそうですね、それは後でまたやらなければいかぬでしょうけれども。  それと、もう一つの問題は、二月三日に本院の本会議で久保三郎議員が質問したのに対して、福田総理の答弁がしゃんとしているんですよ。「雇用安定資金は政労使の三者構成で民主的に運営すべしということであるが、これはそのような方向で運営をいたしたい、かように考える。」こういうふうに答弁しておるわけなんですね。これは議事録の中にあったのを私、持ってきたのですから間違いないのです。  そうなると、当然のように何らかの形で、ただいますぐやるとかやらぬとかいうことは別にして、近い将来に、やはり民主的な管理運営ができるようなものをつくらねばならぬ、つくる時期にもう来ておる、こういうふうに見ておるのです。それで、それがいけぬとすれば、いまの審議会を強化して審議会にこういう規制をさせるとか、いろいろありましょうけれども、何らかの形で三者協議して、そういう機能を持つようなものにしていかねばならぬ、そういう意味の接点に来ているということを、私は先ほどから言っているのです。  まあいろいろありますが、時間がありませんのでやりませんが、やはりそういうことをやらなければならぬという義務づけも、実は四十九年の雇用保険法の審査のときに、衆議院か参議院かわかりませんが、この事業の問題について民主的に管理運営できるように検討せいという附帯決議がされておるのです。それから二年たっているのですけれども、へのかっぱで何にも返答がないということなんでしょう。  だから、こういうことからしてみても、もう労働省がそうはとかなんとか言って逃げる余地が今日の段階では全くなくなっておる、そういうように私は考えるのです。ですから、先ほど言いましたように、民主的運営について正しい結論を近いうちに出す、そうしてもらいたいというのが私の要望です。
  72. 石田博英

    ○石田国務大臣 総理の答弁は、私も横で聞いておりましたからよく承知しておりますが、現在、中央職業安定審議会というものそのものが三者構成ででき上がっておるわけであります。そこで、新しくつくるという発言は総理の発言の中にもなかったわけでありますし、どうも審議会というものがやたらにできることにもいろいろ批判もございますから、中央職業安定審議会というものを強化いたしまして、あるいはその中に小委員会をこしらえるとか、あるいはまた具体的な方法は検討するといたしまして、そういう方向で、政府が独走するようなことがないように、民主的に運営されるようにいたしたいと思っております。  それからもう一つの御発言は、恐らく雇用促進事業団の運営のことも絡んでいるのじゃないかと思うのですが、これについては、それを民主的に運営するために諮問する機関をたしかつくったと聞いております。具体的には政府委員が答えます。
  73. 北川俊夫

    ○北川政府委員 雇用促進事業団の運営のための小委員会をつくりまして、その中に特別委員会というものを設置しておると聞いております。
  74. 枝村要作

    枝村委員 それは聞いておるだけですか。確かめたのですか。
  75. 北川俊夫

    ○北川政府委員 私が不勉強でいま聞いたばかりなのでそう申し上げましたが、実際に運営をいたしております。
  76. 枝村要作

    枝村委員 その次に、不安定雇用、中小企業にも、いわゆる安定資金がせっかく設けられるのですから、大坪委員も言いましたように、やっぱり適用できるように措置をしてもらいたいと思うのです。とにかく先ほどの広島硝子の話ではありませんが、指定業種にされる前にもう首を切って待っているというようなことがあるのですから、きわめてこれは深刻な事態だと思います。  現在、これは中央では職業安定審議会にいろいろ諮問されたり何だりして業種指定その他というものがされておるのですけれども、そうなりますと、大企業に対しては役立つことはあっても、地方の企業、いわゆる中小企業とか不安定雇用の関係に置かれておるところなんかは実際に即対応できるようなことにはならないと思うのです。地方にもやっぱり職業安定審議会があるのですけれども、実際は何の役にも立っていないで、年に二回ぐらい会合開いて、初め飲んで、しまい飲んで終わり、そういう調子のものでありますから、地方でそういう実態に苦しんでおって、そしてこういういいものがあるにもかかわらず、それは適用されないということがある。あっても、先ほど言ったように後追いで、首を切った後にというおかしなかっこうになっておりますから、こういうものに対して今後どうするか。  中央、地方を通じて、われわれが要求しておりますように雇用調整委員会なんかを設けて、チェックしたり、勧告を出したり、命令権をも持たせるようなものを考えたらどうかと思うんですけれども、これは労働省はなかなかうんと言わぬでしょうから、何らかの方法でそういうチェック機関を、すぐ対応できるようなものにやっぱりするように、ひとつ検討したらどうか、こういう提案です。
  77. 石田博英

    ○石田国務大臣 いまの広島硝子の問題ですね、これは雇用調整給付金をやることを先に決めて、そして決定するのじゃなくて、内定みたいなことをして、それを背景に首切った、こういう事件ですね。それは私、聞いておりませんけれども、もしそういう事実があるとするなら、これは今度の制度の精神を全くじゅうりんするものでありますので、調査をいたしたいと思います。  それから、この雇用調整給付金が苦しくなった親企業だけに適用されて、下請とかあるいは関連中小企業というようなものに適用されない、こういう御懸念でありますが、これは下請までずっと指定をするようにしておりますし、それから企業規模の小さい方が手厚く措置をされるようになっているはずであります。措置の内容は政府委員から答えます。
  78. 北川俊夫

    ○北川政府委員 いま大臣がお答え申し上げましたように、親会社が業種指定をされておりまして、その下請として五〇%以上の比率を占めるようなところは、当然付随的に業種指定と関係なしにこの安定事業の対象になるということは、雇調金と同じでございます。  そのほかに、いままでの業種指定が、先生おっしゃったような、たとえば産地というような中小企業集団に対して、全国的な統計のみを基準にして指定しておったのでは間に合わないというようなこともありますし、そういう点につきましては、これから使いますそういう統計につきまして、なるべく実情に合った統計を活用する。それから、あるいはその業種指定のほかに、たとえば中小企業の事業転換の臨時措置法に基づく、それと対応しての中小企業の業種指定とか、あるいは大型倒産に伴うところのそれの関連中小企業の救済というような点について、きめ細かく、中小企業に対しましても、この安定事業の恩恵が行き渡るように十分配慮をいたすつもりでございます。  また、大臣が申しました、助成率の点で大企業よりも優遇するほかに、今回の安定事業の場合には、訓練をするということを一つの前提にしておりますが、訓練基準につきまして余りむずかしいことを言いますと、中小企業ではなかなかそういう訓練ができないという点もございますので、その辺の弾力的な運用もあわせて検討させていただきたいと思います。
  79. 枝村要作

    枝村委員 これは当初これができたときには、先ほど言ったように、大企業だけの適用で、それで問題になりまして、下請やその他がんがん言うて、漸時いまのようなかっこうになってきている。しかし、まだまだ不十分だというのが、やはりみんなの多くの声であり、それが実態ですから、時が移り変わってりっぱになっていくのですから、やはりそういう不適用のないように、すみずみまで行き渡ってこの制度の万全を期すようにしていただきたいというのが私の提案で、そのためには地場産業、地元の何かのところにチェック機関が置かれればどうか。実質的にもあるかもしれませんが、いまつくっているところもあるようですけれども、そういうのを労働省の行政指導その他でできぬものかということを言っているのです。
  80. 石田博英

    ○石田国務大臣 地方の職業安定審議会が、初め飲んで、真ん中ちょっとやって、また終わりに飲むというような運営の仕方であれば、これは非常に困ったことであります。これが十分に機能するように行政指導は当然やらなければならぬと思います。
  81. 枝村要作

    枝村委員 最後に、今日の雇用保障制度が幾つにも分かれておりますね。このばらばらな状態で果たして機能が十分に発揮できるかという問題ですが、これは局長が、いや、ばらばらであっても、ちゃんとしておるという答弁をどこかでしておるようでありますが、まあそうかもしれませんが、しかし、できればこの機能を一元化して、やはり十分に雇用問題について保障ができて、直ちに対応できていくような制度にした方がいいような気がするのです。これは常識ですわね。  したがってこの際、体系的、総合的に直ちに労働省として取り組む必要があるのではないか。まあ、よければよいでいいですよ、しかし、少なくとも検討していくという姿勢で、多くのそういう疑問を持っている人たちにやはりこたえていただきたい、こういうことなんです。
  82. 石田博英

    ○石田国務大臣 実は正直に申しまして、私、十年ぶりで労働省へ行って、いまあなたが御指摘のような感じを非常に強く持ったのです。とても覚え切れないような、私のように何度も労働省へ行った者でも覚え切れないような制度が、たくさん、ばらばらにできておる。したがって、これをもっと簡単に、そしてもっと機動力を持たせるようにするよう、私は就任早々、説明を聞いた直後にそう指示をいたしておりますし、職業安定審議会も同様の指摘を受けております。
  83. 枝村要作

    枝村委員 以上で、私のきょうの質問はこれで中断しておきたいと思います。次回になりますか、その次になるかわかりませんが、幾つかの点でもう少し確認をしなければなりませんので、そういう意味で、そのことを申し上げておいて終わりたいと思います。     〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 橋本龍太郎

    橋本委員長 次に、田口一男君。
  85. 田口一男

    田口委員 私は、ひとつ大臣に、いまから個々の具体的な問題についてお尋ねをする前に、今日の雇用、失業の情勢について、一体、基本的な認識といいますか、どういう認識を持っていらっしゃるかということを、まずお尋ねをしたいのです。  たとえば、けさも新聞に載っておりましたが、総理府の調査によると、完全失業者が四万減ったとか、こういう数字がありますね。だから、ああいった完全失業者などの統計数字に一喜一憂するような今日のこの雇用情勢に対する認識なのか、または両極端ですけれども、欧米では六%という経済成長率はむしろ高い方と言われておる、ところが日本は、六%にこれを落としたために、こういった摩擦ができて雇用不安というのが生じておる、だから、どうにかなるのじゃないかといった認識を持っているのか。これは一つの例でありますけれども、まず、個々の問題に入る前にその御認識の度合いについてお伺いをしたいと思います。
  86. 石田博英

    ○石田国務大臣 石油ショック以来三年半くらいいわゆる先進国、石油消費国を襲った経済上の動揺、不況、そういうものの中で、先進各国の失業率に比べると日本の失業率はまだ確かに低いわけでありますが、しかし、これはどういうゆえんに基づくかというと、やはり日本独特の雇用制度に基づくものが多い。逆に言うと、それだけ過剰な人員を内包しておるから、失業率の回復という点においては、あるいは西欧のように速い速度で進まないかもしれない。つまり、内包している者を稼働させていけばある程度間に合ってくる。その統計的背景としては、従来は鉱工業生産の伸びとそれから失業率の減少というか、有効求人倍率の伸びと並行しておったのです。ところが、近年はどうも鉱工業生産が伸びていっても、それと並行しないで少し離れていっておる、これが一つの大きな特徴であります。したがって、基調としては順次少しずつ回復をしつつありますけれども、そのいままで内包しておる原因を乗り越えて、それが本当の失業率の低下ということにいくのには、これは非常な困難が伴う。それから、この失業率の減少を将来伸びていく労働人口とあわせて考えますときに、年間の経済成長率が五%前後ではとても追いついていかない、追いついていくためには、やはり六%と七%の間、むしろ七%に近いところでいかないと、なかなかカバーをしていかないのじゃないか、そういうふうに考えております。したがって、それとの整合の上でこれからの雇用対策というものは考えていかなければならないと思うわけであります。  それから、諸外国に比べて、いわゆる臨時的な雇用、不安定雇用、そういうものは多いように思います。したがって、こういう雇用の安定というものについての方策を何か見出さなければいけない、こういうふうに考えているわけであります。
  87. 田口一男

    田口委員 そこで、いまもお話があったように、企業に内包しておる過剰労働力というのですか、そういうものが一つのネックになっておるというふうなおっしゃられ方をされたと思うのですが、いま言った昭和五十一年の暦年をとってみても、完全失業者が百万を常に一進一退で来ておる、そういった中で、これは先ほどの枝村質問にもあったのですが、先般経済企画庁が出された主要経済指標のうちで、この労働力人口だけをとって見た場合、去年とことしと、雇用者だけの数を見ますと、五十一年の実績が三千七百二十万、五十二年の見通しが三千七百七十五万で、対前年度伸び率が一・五、このように雇用者数が伸びる。まあ一・五ですから、実数にいたしますと、大体五、六十万ということになるんですけれども、たとえば五、六十万であったにしても、受け入れる側、雇用する側の各企業のいわゆる雇用調整の態度というものを見た場合に、どうも楽観できないと思うのです。  これは、ちょっと資料が古いのですが、本年の二月に日経新聞が、各企業の最近の雇用調整の代表例といって、転籍なり出向なり新規採用の抑制なりという具体的な数字を出していますが、それを要約すれば「企業が一時的な不況対策としてだけではなく、長い目で人減らしに取り組んでいる現れといえよう。」こういうふうに代表例を挙げて総括をしておるのですが、五十一年と五十二年の実数の伸びが五、六十万にすぎないとしても、一方では採用を抑制しておる、さらに、どんどんどんどん減らそうとしておる、こういう傾向の中で、いま大臣は、経済成長率六%よりもむしろ七%に近い方の数字と言われるのですが、新しい雇用の創出ということ、これは、ただ単にいまの中で何とかしていこうというのでなくて、雇用創出という面について、一体それをどこに求めるのか、こういう点について、ただ単に雇用政策だけではなくで、産業全般のこともあると思うのですが、そういう点についてのお考えがどうなのかということを、まずお伺いしたいと思います。
  88. 石田博英

    ○石田国務大臣 先ほど申しましたように、終身雇用制のために各企業が抱え込んでおる労働人口というのは、かなりあると思います。もう一つは、一方、人不足時代がかなり続きまして、それに対応するための省力化が行われる、そういうものの対応というものもまだ残っていると思うのです。  したがって、新しい雇用をどこで一体創出していくのか。私ども、全体として見ますと、確かに製造業の面においては、そういう現象がずっと続いておると思いますが、三次産業の面では、雇用の増大というものが期待できるのじゃないだろうか。それから一つは、求職者側と求人側とのずれがまだかなりあります。たとえば、技能労働力ということから見れば、これはまだ七十七、八万の不足基調がある。それから事務系、管理部門系と販売、サービスの部門と比較してみますと、販売、サービス部門については需要が多いのです。ところが、求職者の方はそっちへ行きたがらないで、管理、事務部門に行きたがる。そういうことの調整、そして技能労働力の不足については技能訓練。それからもう一つは、中高年齢層の雇用というものが一番むずかしい問題であります。身障者につきましては、雇用労働の法定基準というものを決めまして、その結果として、新聞の広告なんかに最近ときどき出てまいりましたのは、大手企業で身障者に限り雇用するという広告が目立ってきておりますが、中高年齢層の場合は、この制度自体を知らない人が多いのです。定年延長の場合のわれわれの行政措置自体を知らない使用者が非常に多い。むずかしいのは中高年齢層がむずかしいのであって、若年層はまだそう困難な状態にはない。中高年齢層の雇用を促進いたしますための具体的措置を知らない。恐らく地方の中小企業の経営者はほとんど知らないのじゃないかと思うくらい徹底していない。これを徹底させることが必要であろうかと思っております。
  89. 田口一男

    田口委員 まあPRの不足ということもあるでしょうけれども、そういった問題も含めて、いま大臣がおっしゃったことに絡んで申し上げたいのですが、これは後で局長の方から、職業安定審議会に提出した資料のまた聞きなので、もし間違っておれば正しい数字をちょっと言っていただきたいと思うのですが、いま大臣の言われたことに関連をして、新しくどこに雇用創出を求めるか、そうすると第三次産業に期待ができる、まあ私ども、ミクロ的というか身近ないろいろな話を聞くと、そういうことはなるほどという気がいたします。ところが、いま言った職安審に出された資料を見ますと、経済成長年六%の前提で、昭和六十年には第一次産業が三百万マイナスという数字ですね、第二次産業は横ばい、そして第三次産業に四百万プラスという、この大ざっぱな数字をまた聞きしたのです。  そうなると、いま言った求人と求職のずれということも、これは確かにあると思うのです。しかし、大きな目で見た場合、いま言った第一次産業三百万マイナス、第三次がプラス四百万ということで見る限り、第一次から第三次への産業間の移動でしかすぎぬではないか、こういう勘定になるわけでしょう、まあ百万の違いがありますけれども、そうなった場合には、これは新しい雇用の創出ではなしに産業間の移動である。となると、いま審議をしておりますこの安定資金の訓練に要する金なんかも出すことになっておりますけれども、素人目に見ても、いずれおれのところの産業からよその産業に出ていく者に、幾ら政府から金をもらったからといって訓練をする、どこにそんなばかな話があるかということが出るんですね。大きい立場からいった場合、訓練をすればうちの企業で、企業内訓練というたてまえから言えば、いずれはメリットがあるのだ、そのために政府からも金をくれる、企業からも金を出してひとつ訓練をしようじゃないかということになると思う。ところが、製造業なんかを見れば、過剰労働力ということでもう何とかして切りたい、切りたいと思っておる、そこで訓練をするのは、他の産業に移動していく者に訓練をしていくということに実は数字の上ではなっていくのじゃないか、こういう気がするわけです。  昭和六十年の数字ですからなんですが、そういう点で、今度の雇用安定資金のうちで職業訓練に要するために金を出すということ、これは後でも私は雇調金の問題で質問をしたいと思うのですが、そういう気がかりがあるのですが、そういう懸念はございませんか。
  90. 石田博英

    ○石田国務大臣 百万というと、全体が四千万近い雇用労働力の中でそれは確かに少ないかもしれませんが、これは現在の完全失業者の数とほぼ見合うわけでございます。ただし、昭和六十年になれば、いわゆる労働力人口そのものがふえるわけでありますから、いま見合ったからといって、そのときは失業率が急速に低下するとは言えない、こう思います。しかし、これは産業構造が、エネルギー事情あるいはまた低成長に移管したこと、その他によって変わってくるということは仕方がないわけなんですね。その変わってきたことによって、職業を転換しなければならぬことも仕方がない。転換するための所要の措置を講じなければならぬというのも、それは仕方がない。そのためには訓練というのはどうしてもつきまとうわけであります。  そこで、どっちで訓練するか。つまり、現在いるところで訓練するか、新しく来た方で訓練するか。それはいずれにしても、企業内訓練ですから助成措置は当然講じます。ただ、いまから去っていく人だから、ばかばかしいから負担はしないというようなことをお考えのようでありますが、私、例の石炭の場合に経験したことですけれども、北海道の留萌の近くの炭鉱で、労使の間の話し合いでどうしても合理化をしていかなければならぬ、そこで、炭鉱にいる間にみんな自動車の運転を覚えさせまして、そしてそれを覚えた者を会社が出資したタクシー会社へ移らせていく、そういうようなことで円満に労働力の移動をした例があるのであります。ほんの一例ですけれども、そういうことも可能だ。それから製造工業においては人減らし、人減らしと考えている、こうおっしゃいますけれども、労働力不足時代に合理化という面ではかなり一巡したのではないだろうか。ただ、雇用制度の中で内包しているというものはかなりあると思います。つまり、終身雇用制度のために内包しているものはあると思うけれども、合理化という面の人減らしというものは一巡したものだ、私はそう考えております。
  91. 田口一男

    田口委員 確かに、大企業をとってみた場合に、省力化、合理化は、大体高度成長の間にほぼ終わったのじゃないかという気がいたします。それだけに、今日の不況の中で新規労働力を吸収するということは、若手はいいけれども、中高年の問題というのもまた起こってくる、そういった大変むずかしい時代であることは、私どもも認識をしております。そういった認識の上に立って、大臣就任以来、私どもに何度も言われるように、今度初めての労働大臣でないのですから、たとえは悪いですけれども、労働省の主というふうな、それだからこそいまから申し上げたいのですが、こういった減速経済といいますか、低成長下の労働政策ということを考える場合、大臣の経験をもう一遍この際振り返っていただくことが、今日特に必要なんじゃないかと思うのです。  というのは、昭和二十二年に初めて失業保険法ができてから今日までいろんな法律があるとさっきもおっしゃられましたけれども、その法律の流れをずっと追ってみますと、こういう言い方ができると私は思うのです。二十二年、失業保険法ができた、いわゆる昭和二十年代というものは、ああいう時世ですから、失業者を救済する、失業者の生活というものを何としても安定させなければならぬというところにどっちかというと力点が置かれた。それが昭和三十年代のいわゆる高度成長のはしりから四十年代になってくると、いろいろ訓練法を改正したり職安法を改正したりということで、ちょっと口の悪い言い方になるのですが、制度によって、職安の窓口で失業保険の給付を締めつけるという表現もあったのですが、そういうことをやったり、給付金を出したり、奨励金を出したりということで、政策的に労働力をある一定の産業に流し込む、こういう政策が三十年、四十年代にとられたと思うのです。そしてその中で高度成長があって、いま大臣がおっしゃられたように省力化が進み、一巡して、しかも石油パニック以降のこういった不況になった。  ですから、新しい雇用創出をどこに求めるかということはむずかしいと思うのですけれども、であればこそ大臣、さっきの御経験に基づいてという言い方、これはいろいろむずかしいだろうけれども、この際は二十年代のような考え方に立って、失業を予防するということも大事だけれども、ほうり出された失業労働者の生活を安定させるために失業給付、雇用保険法に基づくそういったものを最大限に活用する、そのことがいま望まれておるのじゃないか。楽天的なことを言えば、そのことをやっておれば、後二、三年たったら、いま言った五十五年から六十年になれば、そういった施策が生きてきて、産業構造の変化もあって、なだらかな成長の中での完全雇用になっていくのじゃないかという気がするのです。そして、そのつなぎと言ってはなんですが、いまここで集中的に失業労働者の生活安定のために金をほうり込む、こういうことが必要なんじゃないでしょうか。
  92. 石田博英

    ○石田国務大臣 初めて参りましてからちょうど二十年たつわけですが、二十年前と現在と同じような雇用問題にぶつかった。二十年前の雇用問題というのは、やっと日本の経済が戦前の水準に復活したばかりでありますから、農家の次三男の雇用問題というのが非常に大きかった。今日は中高年齢層の雇用問題というのが非常にむずかしくて、要するに若年層は、求人側と求職側との調整をすれば、これは数の上ではまだ余裕があるわけであります。それから、その真ん中のときには、流し込んだとおっしゃるけれども、やはり労働力というのは、需要と供給とがバランスがとれなければ失業問題の解決が成り立たないわけでありますから、したがって、需要のあるところへ職業安定所が世話をするというのは当然のことだったろうと思うのです。  そこで、給付の問題でありますが、そういう新しい、前の昭和二十二年から三十二年ぐらいまでの間と違ってきている、つまり中高年齢層にしわ寄せをされた失業問題、雇用問題、それに対応する給付というのは、いままでのように納付した期間によって給付期間を決めるというのではなくて、やはり現行制度のように再就職の難易によって給付期間を決める方が正しい。したがって、中高年齢層に、年代の上昇するに従って給付の期間を長くいたしておるわけであります。  それと同時に、もう一つは、これは具体的にそれを指していらっしゃるのかどうかわかりませんが、先ほども出ましたように、いわゆる季間労働、季節労働の問題ですが、そういうようなものの給付の条件を向上させるためにも、やはり給付と負担との均衡というものを考えなければならぬ。したがって、季間労働は七十八億ほど納付があって、そして給付は千四百億円、これをさらに大きくしろとかいうようなこと、また一律に延ばせというようなこと、これは現在の雇用情勢とは合わない。それより若い人たちは訓練をすることによって、新しい求人側の構造との整合点を見出していくという方が正しいのじゃないかと私は考えております。
  93. 田口一男

    田口委員 いや私は、二十年代、三十年代、今日のいわゆる雇用政策、労働政策というものを私なりに見た場合、いまだにそう見解は違わぬと思うのです。だから今日、二十年代に戻ってという表現がおかしければ、二十年代とよく似た情勢であるならば、給付というものは、失業労働者の生活安定にウェートをかけた雇用政策ということにならざるを得ぬのじゃないか。しかし、二十年代と違いのあることは、産業がずっと成長してきたのですから、若手労働者については、最近はやり言葉になった有効求人倍率一以上だと思います。ところが、中高年と言われるものは、〇・一なり〇・二というふうに低い。こういうさま変わりといいますか、内容が変わってきておるのだから、その変わってきたところにもっと層を厚くする、こういう方法をとるべきじゃないかと私は申し上げておるわけです。  そういった観点で、実はきのう要求をいたしまして、まだ手元に届いていないのですが、大体の流れを私は承知をしておるつもりなんですが、失業給付受給者の給付切れの人員などについて、失業給付を受けておってそれの期限が切れた、その給付切れの人員について、再就職の状況をどうつかんでおるか。つかんでおれば教えていただきたいし、それが無理であれば、せめて訓練延長の給付を受けた者の再就職状況ぐらいは、ひとつ資料として後でいただきたいと思いますし、それから、いま大臣がおっしゃったように、年齢によって給付の日額なり期間というものを延長したということは承知をしたいと思うのですが、そういうことに絡んで、雇用保険法に基づく個別、訓練、広域延長給付を受けた者の年齢別、月別、県別の人員なり金額というものについても、資料として後でいただきたいと思うのです。  大体の流れは私は承知いたしておりますが、そういった傾向の上に立って、いま大臣がおっしゃったことにあえて反論するのではないのですけれども、一番初めに、今日の雇用情勢についてどう御認識なんですかと聞いたこともここにあるのですが、終戦直後は別として、戦後未曾有と言ってもいいぐらい、これほど不況、不況と言っているときに、せっかくできた雇用保険法の全国延長というものが機能していないのです。機能する状態でないということなんです。あるいは四%と言っておりますから、完全失業率二・三%から見れば、まだまだじゃないかという御認識があるかもしれませんけれども、こういった不況の中で全国延長というやつをなぜ適用させないのか。私は、このことだけでも、ちょっと今日の雇用情勢に対する認識が甘いと言われても仕方がないという気がするのですが、これはどうでしょうか。
  94. 石田博英

    ○石田国務大臣 私は、こういう失業者の諸君に対する対策は、現在の生活の安定の保障ということは無論必要だろうと思いますが、しかし一番必要なことは、再就職の機会をつくり上げ、それから、その再就職の機会も安定したものにするということが私は一番大切だと思うのです。したがって、技能を身につける訓練を主体にするということは私は正しい、こう考えております。したがって、そういう訓練を受けても、なお再就職の機会がむずかしい人あるいはすでに訓練を受けるのには年をとり過ぎた人、そういうような人たちに対する手当てを重くする、これはこれからもなお進めていきたいと思いますし、いまでも個別延長等の措置を講じております。  いま御要求がありました資料は、安定局長が持っておるそうでありますから、説明をいたさせます。
  95. 北川俊夫

    ○北川政府委員 個別延長につきましては、五十一年の四月から五十二年一月までに個別延長の対象者が二万五千五十六人でございます。給付額が三十九億になっております。五十二年につきましては、対象人員を三万三千四百人程度見込んでおりまして、予算額としましては五十五億を計上いたしております。なお、これの年齢別につきましては、これは先生御承知のように、五十五歳以上ということにいたしておりますので、全員五十五歳以上、こういうことでございます。  それから、訓練延長給付につきましては、手元に新しい資料はちょっとございませんで恐縮でございますが、五十一年度の上半期の計で、受給実人員が四万七千四百になっておりまして、支給額が三十八億一千万円、こういうことになっておりますが、これにつきましては、年齢別の調査がいまのところ手元にございませんので、この点は調査をいたしまして、先生のところにお届けをいたしたいと思います。
  96. 田口一男

    田口委員 この全国延長を私は重ねて申し上げたいと思うのですが、確かに筋から言ったら、大臣が口癖のように失業は人生最大の不幸だと言われているのですから、すぐに就職するようにやるのは当然なんですね。就職したい、ところが、そういう職がない、ないために、個別延長という制度があったにしても、それでなお切れておる。局地的なことは別ですよ、全国的に見て、いまそういう傾向だと思うのです。しかも中高年齢者の状態、これは都内のある職安のテレホンサービスで実は聞いてみたのです。そうすると、さっき大臣のおっしゃったことも一部裏づけておるのですが、大体、言ってはなんですが、中小企業ばかりです。年齢的に見て十八から二十五、せいぜいいって三十五ですね。もう四十とか五十というのは、このテレホンサービスで聞いた限りでは二カ所しかないのです。業種はプレスで四人、四十五歳から五十五歳、賃金は十一万一千円から十二万九千円、これは税込み。それから、もう一つの四十五歳から五十歳というのは梱包関係で、税込み十万二千円。あとはもう全部十七、八からせいぜい三十五、六。こういうテレホンサービスの状態を見ても、私は、若手には求職と求人のずれを一応さておいたとすれば機会はあると思うのですが、中高年になるともう全くないと言っても過言ではない。それが北海道だどうだという局地的な現象ではなくて、全国的にあらわれておると思うのです。となると、個別延長とかどうとかというだけで律し切れるものか。だからこの際、全国延長といったことでぱっとやるべきではないか。
  97. 北川俊夫

    ○北川政府委員 先生の全国延長の御主張に対して、私たちの考えといたしましては、先生御指摘のように、全国の求人倍率がいまは〇・六二程度でございますけれども、年齢別にいろいろ差があることは事実でございまして、たとえば十九歳以下ですと、求人倍率で大体三倍も求人があるというような状況でございます。ただ、年齢が高くなるにつれて求人倍率が下がることは御指摘のとおりでございますが、私たちがやはり一番注目しておりますのは、五十五歳以上になりまして求人倍率が〇・二ぐらいに下がってしまうわけでございます。それが、たとえば四十歳代の四十から四十四ですと、〇・八五、一に近いというようなことでございます。  したがいまして、私たちが年齢に注目いたしまして、五十五歳以上の方について個別延長で六十日の延長をしておるというのも、こういう高年齢者については大変就職が困難である、したがいまして、五十五歳以上の支給要件、たとえば定年退職とかそういう支給要件を備えておられる方には、地域の限定なく全国どこにおられても個別延長の適用は受けられるわけでございます。ただ、それを年齢に関係なく全国一律に百八十日延ばすということになりますと、若い人で求人がかなりあるのに百八十日の失業保険をもらい切るまでは就職をしないというような好ましくない傾向も出る可能性もございますので、われわれの雇用政策としましては、就職の困難な高年齢者に着目して個別延長をしておる、こういう事情でございます。
  98. 田口一男

    田口委員 この問題をやっておるとあとがなくなりますので、全国延長をもう一遍押してあとの問題に移ろうと思うのですが、確かに、いまテレホンサービスの実態を見たって、若手と一言で言いますけれども、若手は有効求人倍率だって一以上であります。ところが求人と求職との意向が折り合わぬ、ここまで制度がどうこうするということは問題ですからね、これはどうこう言いません。しかし一般的に見て、中高年齢者にとっては、求職の意欲は山ほどあるけれども、こっちの方は全くない。これは特定の地域だけじゃないということは御存じだと思うのです。そこのところをもっと考えて、これは全国延長という言い方で百八十日が問題があるならば、一律延長というか何というか、そういった面を、さっき言った二十年代の雇用政策ということを頭に置いて、そこに力を入れたらどうかというのが私の主張なんですね。  さらに雇用の問題で、大臣、いつか私が労働省にお邪魔したときには、いまの最大の力点はいかにして失業を予防するか、こうおっしゃっておる。全くそのとおりだと思うのですが、さっきも枝村質問にありましたように、不況中のとりわけ不況産業といわれておる水産業であるとか繊維であるとか造船であるとか砂糖であるとか——実はきのう私、ある精糖会社の倒産の決起大会に行って実情も聞いたのですけれども、会社更生法なんかの適用を受けた企業が最近ふえていますね。その会社更生法を受けた企業に第一段階として、正確な名前を言いますと保全管理人ですね、その保全管理人がしょっぱなから人員整理を打ち出してきている。こういうことは、今日の情勢からいって私はおかしいと思うし、昭和四十年代、ちょっと日時は記憶しておりませんが、たしか参議院か何かの委員会で、保全管理人というのは、そういったところまで権限はないのだというような答弁があったようにも聞いておるのですが、そうだと言ったら、裁判官の力をかりて保全管理人が首切りを強制した、こういった問題がある。これはけしからぬとここで答弁をいただくという意味ではないのですが、そういうことで首切りをする。それから、きのう行った砂糖なんかの例を見ても、商社が高い豪州糖の買い付けをやる。それをやれば機械を回すだけ赤字ですから倒産をいたします。二百人、三百人一遍に首を切られる、こういう問題、これまた局地的ではないと思います。大分にも砂糖の問題がある。三重にも起こる。ちょっと聞いてみると、まだ大阪でも起こるだろう。こういう倒産の問題がぶつぶつ出てくるのですから、全国延長ということについて、法二十四条、二十五条をそうかたくなに運用するのではなくて、現実に即した運用ということが考えられるのではないのか。  ついでにと言ってはなにですが、さっきも北海道の問題がありましたけれども、私は勘違いして、広域延長というのは北海道のような広い地域で広域延長というのができるのだと思ったら、そうじゃないんですね。他の方面に出していくということで、そうなってくると、北海道は——まあ沖繩もそうだと思うのですけれども、北海道なんかのいまの状態は、失業者が滞留をしておる地域、こう見てもいいんですね。  そこで、それは広域延長の第二十五条の規定にはそぐわぬかもしれぬけれども、ある特定の地域に失業者が滞留するということについては、何とか給付の延長ということは考えられるのじゃないか、このことを申し上げたいのです。  ですから、さっき言った全国延長は年齢別のいまの違いがある中で百八十日ということが無理であるならば、もう一遍一律的に特定の年齢の者に対しては給付をするとか、それから例にとった北海道、沖繩のように失業者が滞留しておるような地域については、私の言った広域、そこだけ特定して給付の延長をするとか、こういったことも、私は、いまの時期に考えるべきではないのか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  99. 北川俊夫

    ○北川政府委員 先生の、広域職業紹介に乗る者に対していま給付延長をしておりますけれども、失業の深刻な地域についてそういう配慮をしろ、こういう御指摘でございますが、私たちの考えは、広域職業紹介に限定してそういう延長措置をいたしておりますのは、失業滞留地域でたとえ保険受給期間を延ばしても、再就職の機会が大変少ないのではないか、したがって、もっと雇用の機会のあるところに広域職業紹介で乗っていただくことを条件に雇用保険の給付期間を延ばすことが雇用政策としては適切である、こう考えておるわけでございます。  ただ、先生の御指摘のように、五十五歳以上の者につきましては、地域に関係なく個別延長をいたしておりますが、いまのような失業の滞留地域につきましては、特にその年齢を四十五歳まで引き下げて、その適用の弾力化を図っておりますので、先生の御指摘の点は、中高年層に限定すれば、一応現制度の運用でも目的を達しておるのではないか、こう考えております。
  100. 田口一男

    田口委員 そこで、中高年を中心にして言いましたけれども、さっきも定年延長の問題で一つのムードづくり、これの必要なことは大いにわかるし、そういった決議を実現したいと思うのですが、先般の国会で、中高年対策の雇用率六%というふうなことで若干の改善があることは認めるのですが、さっきから申し上げておるように、なお中高年齢者の雇用拡大ということにはいま言った壁がある、といって、定年延長、これを法律で六十歳まで首を切ることはならぬとかいうことも、いままでの大臣の御見解ではいかがなものかというお考えですね、そういう点でジレンマに陥るわけなんです。  そこで、考え方をちょっと一転して、一体企業がなぜ定年という制度を企業ごとに設けておるのか、設けていないところもありますけれどもね。五十五歳が明治時代のどうとかということも大いにあるのですが、その年齢はともかくとして、企業がなぜ定年ということを設ける必要があるのか、そこのところをまず出して、今度は逆説的に言うと、その設ける必要があるからということを一つ一つつぶしていけば雇用拡大になるわけでしょう、ですから、なぜ定年を設けておるのか、ちょっと常識的なことですけれども、その辺どう見ておるのですか。なぜ定年が必要なのか。
  101. 石田博英

    ○石田国務大臣 これは学問的に研究したわけでも何でもないわけですが、われわれが労働行政をお預かりした経験の上から推察いたしますと、やはり人事管理の面が一つあると思うのです。若い人たちの昇進の希望といいますか、それが一つあると思います。  もう一つは、やはり能力の問題が考えられる。それから、いろいろ技術や何かが進歩し変化する、年をとればその変化に応じにくくなるのではないか、こういうような点もあるかと思うのです。  しかし、そういう人事管理の面はちょっと別にいたしまして、あとの面は、人生平均寿命が四十三、四歳のときと七十何歳になったときと五十五歳の時点における能力というものはうんと違うわけなんでありますから現状に合わない、これはもう明確なことだと思います。  それからもう一つは、人事管理の面、これがやはり四十幾歳のときの人事管理の慣習というものがずっと続いて、それが一種の惰性になっているわけであります。したがって、何歳ぐらいになれば課長になるとか何になるとかいうような一定の階段ができておって、その管理の体系というものは、法律で決めて一遍に直す、これは、なかなかむずかしいことだと思いますけれども、しかし、ある程度自然と直ってきているような気がするのです。というのは、私は、二十年前に労働省にいましたけれども、二十年前には次官が大体四十七、八歳、いまこの人たちは五十を超えています。やはりそれだけずっと遅くなってきていることは確かなのです。各企業においても、そういうような、いわゆる人事管理体系を漸次直していくというような傾向というものは、やはり見えてきているような気がしますけれども、これを法律で一遍に直すというのはなかなかむずかしい。  そこで最近、各企業において中高年齢層の雇用というものについて、いろいろ企業ごとに工夫を始めております。たとえば交通公社あたりでは、中高年齢層で十分できる仕事とそうでないものと分けてまして、そして中高年齢層で十分できるものは別会社にしまして、そこでやっている。それから日立造船あたりでは、単能工を複能工に、年齢が上がってくるにつれて訓練をし直して、そして年をとっても働ける技能を付与する、こういうような工夫をこらしております。  ただ、定年制を法制化して、人事管理体系をいまのままにしておきまして、五十五歳になってから後の人をそのまま雇用するということになると、賃金原資の配分その他から、あるいは定期昇給ストップというような処置をとる、あるいは地位を降格する、こういうことになると、きのうまで自分が命令しておったのに逆に命令されるというような人事管理面のいろいろめんどうなことがあるので、一概にそういう拘束をしないで、むしろ中高年齢層の雇用助成の給付金制度というものをいま使っておるわけなのです。ただ、これが、非常に残念なことには、こういう定年延長に対する奨励給付金制度あるいは中高年齢層の新規雇用の場合における給付金制度を知らない人の方が大部分です。この前の日曜日に、ある地方の中都市へ行って、使用者が集まっているところへ行きましたら、その使用者のうちで一人も知らないので私は唖然としたことがあるので、これは確かに行政上の欠点であります。これはぜひ直していきたい。  ですから、そういう実情に接しまして、中高年齢層の雇用の促進というのがなかなか進まないのは、そういう給付、その他の奨励策をこちらで講じておっても知らない、それで、そういう制度についてはむしろ予算額を下回る措置しかできない、こういうことはぜひ改めていかなければならない。  それから各企業、業種によって工夫の仕方がまちまちでありますから、一律規制というのはなかなかむずかしい。しかし、各企業でいろいろ工夫した例を、私どもの役所で調べた資料もございます。そういうものも御入用であれば提示いたしますが、そういういろいろな工夫をする作業、それから人事管理の転換を図っていくように行政指導した結果、この数年かなり改善されております。その改善の経過その他は、御入用ならば事務当局から答えさせますが、現在依然として五十五歳定年制になっているところは五〇%ちょっとなんです。そして三二、三%は六十歳定年にもうすでに改めております。
  102. 田口一男

    田口委員 定年制を必要とするいまの理由はわかったのです。これについては後で言いますけれども、PRが不足だ。確かに、中高年の問題にしても、身体障害者の方々の問題にしても、私はPRが不足だと思うのです。さらに、この雇用保険法ができて二年になる。これは全面適用というたてまえになっておるのですが、こういう問題についてもPRが不足なんですね。  ですから、どうですか大臣、国労なんかでもストライキをやると新聞一面に訴えますね。あれをまねしろというのではないのですけれども、そういう予算措置もしておるのですから、ひとつ全新聞を一面買い切って、いま大臣が言われたような問題について大々的に宣伝をする、これをぜひやってもらいたいと思いますね。  それと同時に、全面適用の問題なんかでも、言いますとほとんどは知らない、知っておる者もある。そこで職安の窓口に行くと、何だかんだとしちめんどうくさい手続が要るので、もうやめておけということになる。ですから、一方で積極的に宣伝をしていただくと同時に、全面適用だから、おやじさんが保険料を納めていなくても首切られたから何とかしてくれということについて、まあ限度はあるでしょうけれども、安易に手続がとれる、そういった両面相まった措置をやっていただきたい。このことについて、ひとつ御返答いただきたいと思います。
  103. 石田博英

    ○石田国務大臣 いまちょうどその原稿をこしらえて、この間私のところに見せに来ましたから、数日うちの新聞に出ると思うのですが、身障者の雇用促進につきましては、いままでの役所の宣伝とはかなり違った宣伝方法をとることにいたしております。  それから、中高年齢層については、各職業安定所に使用者の団体その他に対して説明を行わしめる。それから強制加入であるのですから加入する義務があるのですが、それでも保険料をいままで納めていない人がこの保険法の適用を受けようとする場合は、さかのぼって保険料を納めてもらうことを条件にそれを適用させるようにいたしております。  それから、確かにおっしゃるとおり、手続がいろいろな点でめんどうである。手続のめんどうなために、制度がうまく利用されていないという面が確かにあります。その一番大きな例は、財形住宅貯蓄でありまして、これは予算が余って困ってしまっている。したがって、この手続をもっと簡素にするようにいま命じておるところであります。第一、長年労働行政に関係している私でさえも覚え切れないし、区別もし切れないというようにむちゃくちゃに分かれておって、ましてや手続に至っては思いやられるものがありますので、これは思い切って簡素化いたしたいと思います。
  104. 田口一男

    田口委員 もうそろそろ最後にしたいと思うのですが、いま言った定年延長の問題で、人事管理という面から定年制を企業が設けておる。定年延長ということは、本来労使の間でやるべきだと思うのですけれども、そういう人事管理の必要から定年制を設けておる、それを行政の側で一つ一つ解きほぐしていく、そうすれば、当面六十歳という定年の年齢、そこに労使がすんなりといけるのではないか。これは強制力を持って六十歳定年にすべしということは確かに問題があるだろう。問題があるとすれば、その六十歳に到達しやすいような条件、環境、それに行政が関与できるならば、いま言った人事管理の面なり何なりについて、いろいろな問題がありまして、それはわかるのですが、そういった条件づくりについて、決議が必要であれば全会一致で決議ができるようにこれも考えていただく、これが一つです。  それから最後に、雇用安定資金、これも枝村質問で出ておりましたから、簡単に触れて終わりたいと思うのです。  私は確かに、大臣がおっしゃったように、あれもこれもというように制度ができておることは否定をいたしませんし、全部が全部悪いとも思いません。ところが、この雇用問題については、どうも雇用調整給付金の例を見ていると、やりっ放しという感がするんですね。一体、雇用調整給付金制度をつくって今日の雇用不安をどれだけ緩和したか、私はノーとは言いませんけれども、あの雇用調整給付金というものについて、ある労政事務所が使用者側に対するアンケート調査をやったあれが出ておるのです。親の心子知らずというたとえがありますが、一体、この雇用調整給付金制度というものが失業の予防、労働者の生活安定という目的に果たして沿ったかどうかということをいま振り返ってみると、残念ながらそうじゃない。一部の大企業は喜んでおると思うのですが、中小の場合そうじゃないと私は思う。  こういう答えが出ておるのです。雇用調整給付金制度が役立ったかどうかということについて、不況感が理解された、作業密度向上に役立った、それから在庫調整、赤字減少、経費節約、こういう面から、人員整理という面を回避したということじゃなくて、どうも企業の面が前面に出ておるんですね。企業の経営と人員整理とは無関係とは言いませんけれども、どうもこのアンケートに対する答え方は、企業姿勢を前面に出したもの、これが多いのじゃないかと思うのです。  ですから、聞きますと、これは労働省の方にも耳に入っているかと思いますが、このことを逆用していわゆる不正受給をしたというケースが一部にある。何件あるか知りませんけれども、私どもの聞いた限りでは、金額にして二億以上あるのじゃないか。  ですから、こういった経験にかんがみて、今度つくる安定資金の管理運用についても、さっき政労使の問題がありましたけれども、やはり業種を指定する、それから、どういうふうに運用するかということについても、政労使がそれについてタッチのできることでなければ、雇用調整給付金のように、やりっ放しというふうなことになる。全部が全部と言うと、ちょっと語弊があると思うのですが、こういう弊害が起こる。親の心子知らずという状態ができてくる。  ですから、安定資金の管理運用についてはひとつ、総理大臣答弁もありましたし、いろいろな審議会、むずかしい面があるとは思うのですが、金の出し入れだけの管理運用に参加するのじゃなくて、制度全体についての管理運用という面で考えていただきたい、このことを申し上げ、お答えをいただいて終わりたいと思います。
  105. 石田博英

    ○石田国務大臣 いまの労政局を通じての調査、それはどういう人たちを対象にしたものか私にはよくわかりませんけれども、いまお読み上げになったような感じなら、まさに親の心子知らずで、そのこと自体は悪いことではありませんけれども、およそこの制度の目的とは違う結果であります。業種の指定その他につきましても、あるいは制度運用全体についても、これができたからこれでおしまいというものではありませんので、できるだけ広範囲な、特に政労使の御意見の調整をして、運用を民主的にやりたい、こう思っております。  特にちょっと意外に思ったのは、先ほどの御質問の中で地方の職業安定審議会か有名無実であるということ、これも活動の実態というものをさらに調査をいたしまして、改善を図らなければならぬものと考えております。
  106. 田口一男

    田口委員 終わります。
  107. 橋本龍太郎

    橋本委員長 次に、草川昭三君。
  108. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川であります。  まず最初に、今回、雇用保険法の一部改正雇用安定資金の創設ということになったわけでございますが、政府の方は、この安定資金をもって雇用政策の柱が一応整ったと言われておるわけでございますけれども、私は、必ずしもそうではない、こういう立場でいろいろと御質問を申し上げてみたい、こう思うわけであります。  特にまず最初に、政府が昨年六月に第三次雇用対策基本計画というものを打ち出されたわけでありますけれども、この関係で雇用というものについてお伺いをしたいと思うわけでございます。  第三次雇用対策基本計画というのが五十一年六月に閣議決定をなされたと思うわけでございますけれども、これは五年間にインフレなき完全雇用を実現をするというのが主体になっております。これは、もちろん具体的な数字の裏づけはないわけでございますけれども、この第三次雇用対策基本計画というのは、明らかに五十年の前期経済計画に立脚をしてこの雇用計画を打ち出されたと私は思うわけです。ところが、この五十年の前期経済計画の裏打ちになる政府の計画数字というものが、かなり崩れてきておると私は思うのです。たとえば物価の上昇率であります。これは私、第一回のときに、物価の上がることについて大臣に御質問したわけでございますが、もちろんこの社会労働委員会という席でございますから、また違った立場の御意見があったわけでございます。しかし、この物価上昇率というのが、明らかに当初予定をしたものよりも上がってきておる、そしてまた、経済の成長率というのも、最近の数字でまいりますと、六・七というものは明らかにダウンをするのではないか、こう言われておるわけです。しかし、この五十年の前期経済計画というのは、少なくとも六%のかなり強いところで、必ずしも六・七ではないと思いますけれども、六%の七に近いところで裏打ちがされておるわけでございますから、この第三次雇用対策基本計画というものも見直しをしなければいけないような状況というものがあるのではないだろうか。  そういうものにまた裏づけをされるところのこの雇用安定というものが出てくるわけですので、その基本的な数字の裏打ちの問題に合わせまして、いま労働省当局が考えておみえになります雇用計画というものは見直す必要がないのかあるのか、まず、その基本的なところから話をお伺いしたい、こういうように思います。
  109. 石田博英

    ○石田国務大臣 確かに、物価は政府の当初見通しよりは高いものになりました。ただ四十九年、五十年は、当初見通しよりはわずかですが低かったわけです。そして本年の見通しが狂った要因の中に、やはり豪雪という条件があります。それから、いわゆる狂乱物価のときに抑えてきて無理をしておった公共料金を、それこそ見直さなければならなかったという要因も、これは当初からは予定されていないで、それはほとんど理由にはなりませんけれども、やはりかなり大きなウエートを占めた。しかし、異常寒波による、豪雪によるいわゆる季節商品の異常な高騰、これが非常に大きな影響を与えていると思います。したがって、基調の数字においては大きな変化がない。そこで私どもは、六・七%の五十二年度における成長というものは、これは楽ではありませんけれども達成しなければならぬし、できるものと考えております。  そこで、基調においては変わりがありませんから、したがって、この第三次雇用対策基本計画というものを推し進めていきたいと考えておる次第であります。
  110. 草川昭三

    草川委員 基調は変わらないけれども、具体的にたとえば雪だとか寒波だとか季節的な変動というものが物価の上昇に影響しておるという、こういうことは、いまお認めになったと思うのです。  私、条件を変えてまいりますと、きょう朝から一日、特に北海道の話が大分出たわけでございますけれども、現実には景気の先行きが悪いという面もありますけれども、今回の場合は、寒波だとか異常な寒さのために、ずいぶん地域的には失業者もふえておるわけでございますので、私は、それなりの対策ということも、実は雇用対策の中では行われなければいかぬのじゃないか、こう思うのです。  第三次雇用対策基本計画の中に、それぞれ定年の問題だとか婦人の問題だとか、いろんな問題もございますけれども、季節的な変動というようなものに対する目の細かい配慮というものも、たとえばことしの現実ということから考えてみると、それを取り入れなければいかぬのじゃないか、こう思うのですけれども、ひとつこれは具体的に当局の方からお答え願いたい。     〔委員長退席、枝村委員長代理着席〕
  111. 石田博英

    ○石田国務大臣 この異常な寒波、異常な豪雪というのは、前から予測できないわけでございます。ただし、冬は寒くて夏は暑いというのは毎年決まっておることなんです。そういう毎年決まっている条件のもとにこの計画ができているわけであります。前から予測できないことに対しては、それこそミクロ的に対処していく。  今回の北海道、私は東北ですが、東北等の異常寒波に対しましては、確かに一面において、そのために職がない人、失う人、就業の機会を失う人も出てきます。しかし、もう一面においては、新しい屋根の雪おろし、これが出てくる。私の県などの例を申しますと、職業安定所では一日四千円から四千五百円くらいでお世話しようという姿勢をとっておったのですが、だれも来ないのです。それはみんな直接取引です。私の家は雪おろしを必要としない設計になっておりますので、私は雇いませんでしたけれども、人の話ですと、一万円に昼食つき、こういう状態になっている。そういうような豪雪のための就業というものもあり得るわけでございます。しかし、それも普遍的、全般的にだれでもというわけにいかない。たとえば年をとった人は危なくてできない、そういうことがあります。  そこで五十日、九十日の問題が出てくるわけでありますが、五十日、九十日の差は四十日、その四十日は就業の機会が一カ月早まればほぼおさまるわけであります。そこで、就業を早める施策といたしまして、五十一年度予算は二月二十五日までに、それから予算外負担の災害復旧費は三月前半に全部工事発注を終わりましたし、それから五十二年度予算も、前年に比べまして、一カ月とは言い切れませんけれども、できるだけ早く、それに近い数字の早さで実施するようにいたしております。それから各市町村におきまして、冬分の失業した人に対するために単独事業をやっている市町村がかなりある。それから生計費等の貸し付けをやっている市町村がかなりあります。それに対しましては、特別交付金を四億円増額をいたして給付をいたしました。北海道を除く東北の出かせぎ地等におきましては、むしろ現行法の制度の方がいいのだという人の方が非常に多くなっておりますが、そういうふうに具体的な対応策を講じております。それから明年度においては、やはり通年雇用あるいは常用化を促進しなければいかぬ、そのためにはどうしても技術を身につけてもらわなければいかぬ、そういう意味において職業訓練を積極的に北海道を中心にやりたい、こう考えております。
  112. 草川昭三

    草川委員 具体的なことについては、また後ほど古寺さんの方からもお話があると思いますので、私は、いまの雇用対策基本計画の、今度は経済成長の問題に絡んで少しお話を進めていきたいと思うのですけれども、経済の成長率が明らかに低成長になったという前提は、もう間違いのない事実だと思うわけでございます。当初私は、一体、日本の完全雇用というものを前提に考えるならば、経済の成長率というのはどの程度に抑えていくべきなのか、これをまたぜひお伺いしたいと思うのでございますけれども、その前提で御質問をします。  ことしの三月卒業した大学卒の就職、これはいまは決定になっておりますけれども、その決定の数字というのは実際はつかみ切れないと思いますけれども、内定の数字でいいと思うのですが、新規大学卒の雇用というものがいま大体どの程度になっておるかということです。これは日本リクルートセンターというのが、少し前の数字ですけれども、調べたのがあるのです。また当局とはちょっと違うかもわかりませんが、就職内定率は約八〇%、これが最終的にはどの程度上がるかということでございますけれども、ある程度、一〇%から一五%程度は留年というのですが、大学院へも入るわけでございますから、そういうのを大体七%前後にしますと、やはり八%から一割近い高学歴者の失業というものが出てくると思うのです。この人たちを、低成長下の中においてどう吸収するかという問題です。そして、これはまた後ほど私はいろいろと質問しますけれども、雇用の安定のために企業の中では中高年齢者に対する職業訓練だとか職種転換とか、いろいろな配慮をするわけですが、全体的な数字の問題とこれが絡んでくるわけでございますけれども、ひとつこの大学の新規卒業者の失業問題というものに対する考えをお聞かせ願いたいと思います。
  113. 石田博英

    ○石田国務大臣 ことしの現実の就職内定率というようなものについては、後で安定局長からお答えを申しますが、基本的なこの問題についての私の考え方を申し上げておきたいと思います。  二十年前に私が初めて労働省へ参りましたころから大学の増設というものがえらい速度で始まりました。したがって、この速度で始まっていくと、やがて大学の卒業生が同一世代の四〇%近くになる、あるいはもっとその勢いがさらに続くかもしれない。そうなると、いわゆる学歴による失業という問題が起こってくる。つまり学歴を持たなければ就業の機会があるのに、なまじ学歴があるために就業の機会が困難になるということがあり得る。そこで私は、その当時、文部省に対してそういう意味の警告をいたしました。ところが、教育と就職とは別問題だという返事が返ってきたのであります。私は、それでは未来永劫文部省は学卒者の就職問題について労働省に伺ってくることはないな、そう言って別れたわけであります。  今日、大学、短大、高専を含めますと千八校ある。昭和三十五、六年くらいの中学卒就職者と大学卒就職者はちょうど逆になっている。全く反対になっているわけであります。その上、本年は、いまお示しになった数字に基づきますと、そのほかに大学院へ行く者もありましょうし、自営業者もありましょうし、これから就職が決まる者もあると思いますから、本年はそう深刻なことにならぬかもしれません。しかし、やがて遠くないときに深刻な問題になることは明らかです。特に医科大学、それから歯科大学、国家試験を要するところですね、そこを裏金を何千万か出してせっかく入っても、国家試験にも通らないというのが大体二割近く出るのじゃないかと思います。そういう人の就職の問題というものは、これは将来は、将来でなくていまだって大変だと思うのですが、将来はなおさら人数が重なってくる、年々滞留してまいりますから大変なことになる。そこで、労働省といたしましては、大学の就職問題というものを見直そうじゃないかというパンフレットをこしらえまして、そして各教育機関に配布をして反省を促したい。  それから、やかましく言われておる指定校制度、これは排他的な制度としてはよくないのでありますが、しかし、学校差は歴然として出てきております。  それから、高学歴社会と言うけれども、さらに言わしてもらうならば、高学歴低学力社会、そういういまの大学教育の現状も反省してもらわなければならない。将来は非常に大きな問題になる。ことしはどうにかつじつまが合うとは思いますが……。  もう一つは、大学卒業者の就職の希望は事務系、管理部門系を指向する者が非常に多い。ところが、販売職あるいはサービス職、こっちの方は求人の方が求職よりもうんと多いのです。こういうところに非常に違いがあります。それで一体、企業平均に管理部門というのは何%ぐらい要るかということですが、労働省の調査によりますと二七%ぐらい。二七%ぐらいしか管理部門が要らないのに毎年四〇%ずつ出れば、そこに矛盾が生ずるのは当然であります。したがって学歴社会、学歴社会と申しますけれども、それはもう間もなく崩壊をする、そう思っております。事実、東京の職業訓練所の一五%は大学卒業者です。あと、いまお示しの数字については安定局長から申します。
  114. 北川俊夫

    ○北川政府委員 本年の大学卒業生の就職状況を最終的に取りまとめたものはございませんが、東京周辺八大学につきまして、昨年末、十二月末と本年一月末と二度にわたって就職内定率を調査したものがございます。昨年十二月末が七五%、本年の一月末が八三%と内定いたしております。なお、五十二年の三月現在で大学卒業者の求人倍率は、大学が四・九倍、短大が二・五倍、高専が五・〇倍、こういうことでありまして、いま大臣が御答弁いたしましたように、職種について管理部門とかホワイトカラーというような限定のない限り、このような大学生についての就職は、本年については問題がない、こう考えております。
  115. 草川昭三

    草川委員 高学歴の就職問題については、また別の機会に少し私どもも論議に参加をさせていただくことにして、時間の関係がございますので先に進みます。  そこで、雇用対策基本計画で昭和五十五年までに完全雇用を実現したいと、こうおっしゃってみえるわけですが、その場合の完全失業率というのは、大体いままでの論議の中では一・三%でいいわけですか、その設定は。そうお聞きしていいですか。
  116. 石田博英

    ○石田国務大臣 これは、そのときの数字のとり方で、あるいはまた経済の実情によって違うのですが、ある程度の失業者がいるということは、雇用の移動がありますからやむを得ないのですが、もう少し低いところが望ましいと思うのですが、まあ諸外国その他の例から見ればその辺ではなかろうか、そう考えております。
  117. 草川昭三

    草川委員 そこで、日本の労働統計というものが、正直なことを申し上げて、それぞれ総理府の失業調査あるいは労働省のがあるわけでございますが、国際比較がなかなかできぬのですね。いま、たまたま大臣も国際的にとおっしゃっていたわけですが、たとえば、もしおわかりになればお聞かせ願いたいのですが、失業と言っても、この前、山谷の話をしたのですが、山谷の労働者は実は失業者でないんですね。私は、山谷の人は失業者だと思っていたんですが、そうじゃない。十日間でたとえ一時間でも半日でも就労の機会があれば、それは失業者にカウントされぬわけですから。そういうことを言いますと、たとえば短時間就労を希望する人というのはずいぶんいると思うのです。あるいはまた食べていけないというようなことから、追加就労を希望する労働者もいると思うのです。それから転職を希望する人、これは自分の職種が適当でないからかわりたいという人もおりますが、低賃金なるがゆえに食べていけないのでかわりたいという、こういうような人たちをどうまた見るのか、あるいは家内労働者をどう見るのか、パートタイマーをどう見るのか、いろいろとあるわけでございますが、ひとつこの際、政府の方もいろいろとこの失業統計というものについて国際比較ができるように何か今度新しく予算がとれたのですか、もしそういうようなことがございましたら、新しい国際統計にも比較できる失業統計について、大体どういうようなお考えでこれから臨まれるのか、お聞きしたいと思います。
  118. 北川俊夫

    ○北川政府委員 いま先生御指摘のように、短時間の就業者あるいは追加就業希望者、転職希望者というようなものが、すでに労働調査あるいは就業構造基本調査で把握をされておりますが、現在の完全失業率ではそういうものが十分反映されておりません。したがいまして、外国の完全失業という定義から言えば、日本のいまの二%の完全失業というのは、完全雇用の状態に近いではないかというようなことで、一概に国際比較ができないような状態でございます。われわれといたしましては、今後の完全雇用の達成維持を目指しまして適切な政策の運営を図る、そういうためにも政策判断の指針となり得るような有効な雇用失業指標を確立する必要があるということで、本年度五百万円の予算が認められましたので、すでに労働調査等で完全失業率をいま調査しておられます総理府の統計局あるいは経済企画庁、それと労働省の事務当局、さらに学識経験者等の御参加を得まして、この指標の開発を早急に進めて、いま申しましたように、今後の完全雇用政策の総合指標をつくり上げたいと考えております。
  119. 草川昭三

    草川委員 では次に移りますが、雇用安定資金の基本的な考え方にもなるわけでございますけれども、いわゆる低成長になる、そこで産業構造の変化も当然行われて雇用不安というものが出てくるわけでございますが、そういう中から資金の創設という、こういう考え方になります。  そこで、お言葉の中に「雇用の安定」という言葉と「失業の予防」という言葉があるわけですが、これは私、言葉の解釈ではなくて一つの理念としてお聞きをしたいのですけれども、雇用の安定が優先なのか失業の予防というものが重点になるのか、これは両輪で、どちらがどうのこうのと言えないものなのか、ひとつそこをお聞かせ願いたいと思うのです。
  120. 石田博英

    ○石田国務大臣 普通の時代でありましたら、失業の予防が優先すべきものだ、こう思います。しかし今日のように、産業構造が変化して、それに伴ってやむを得ず失業が出る場合には、それはその他にあっせん、訓練によって再就職の機会をつくり出す、条件をつくり出すということを通じての雇用の安定が大切である、こう考えております。
  121. 草川昭三

    草川委員 大臣のおっしゃることで、これからの雇用計画が進められていくとしますと、当然予防が中心でございますから、職訓、いわゆる訓練問題がずっと出てまいります。  そこで、最初に私が質問をしましたように、低成長の時代ですから、絶対的な雇用量というものは頭打ちになるのです。操業度も頭打ちになると思うのです。そういう中で新規の若手の労働力をどう吸収するかという問題になりますと、絶対的な量が決まっているわけですから、若い人を、これから企業側では新しい労働力ですからどうしても入れたいとするならば、この雇用安定資金というものの意味は、どうしても追い出しコンパではございませんけれども、中高年齢の人に、やはり賃金が年功型で高いわけですから、職業訓練をしながら、いわゆる合理化というのですか、企業から追い出す形にどうしてもこれが作用するのではないか。これは本質的な問題になってくるわけでございますが、われわれとしては、ここに非常に問題になる点があるわけです、絶対的な量の問題から言って。そこの点についてのお考えを労働大臣にお伺いしたい。
  122. 石田博英

    ○石田国務大臣 労働力人口が増加するのに見合って雇用機会も増大していくようにするためには、一定の経済の成長が大事なわけです。その一定の経済の成長は、失業率ゼロにするような成長を目指すのが一番結構なんですが、しかし、それが今度はほかの条件から見て可能かどうかということが当然問題になってまいります。それと見合った可能の限界、それから雇用の状態としてがまんができる限界、その限界が年率六・七%ぐらいか、こう考えます。  そこで、雇用が頭打ちになるのではない、雇用労働者の数はある程度ふえてまいります、したがって、これは頭打ちとは言えないと思います。ふえた分だけいまの失業者を落としていくことにならなければならない。しかしその場合も、その条件だけでなく、さっきの高学歴社会と同時に高年齢社会になってきているわけで、その高年齢社会に移ってきていることとあわせて、これからの雇用問題というのは中高年齢層に集中されてくる、限局されてくる、私はそう考えております。
  123. 草川昭三

    草川委員 ですから私、先ほども申し上げたように、六・七という経済成長もなかなかうまくいきそうにもないし、中高年齢者あるいは先ほどの御質問にもありましたように、定年制延長という問題も一方では出てくるし、さらに高学歴という新規の労働力も吸収しなければならぬし、非常にむずかしい条件というのが、いまわれわれの問題ではないだろうか。だからこそ、逆に言えば、この第三次雇用対策基本計画というものを私は見直さなければいけなくなりつつあるのじゃないかということを実は言いたいわけです。  しかも、これは多少ちょっとあれになりますけれども、福田内閣ができたときに、福田内閣総理大臣は「さあ働こう内閣」ということを言われたわけですね。私この言葉は、いままでの政府が非常に働いていないから、福田さんになったから今度はさあ働こうと言っておみえになると言っていいのか、あるいはそんないやなことを言いなさんなということなら「さあ働こう内閣」ということを、素直に労働力という面でとらえてみますと、猛烈社員になっていくわけです。確かに今日の企業というのは、減量経営をしなければならぬ、国際競争に打ち勝たなければならぬ大変むずかしい問題があるので「さあ働こう内閣」というのは、それなりに意味があるのですけれども、雇用の機会を増大するということになりますと、逆の意味では労働時間の短縮ということ、雇用の機会をなるべくふやしていくということをしなければいかぬということになりますと、この理念というものは、これまた非常にむずかしいものになりますし、日本の経済というものに対する労働省の呼びかけというものは、大変次元の違う立場からの、これは哲学の問題になってくるのじゃないかと思うのです、経営側に要求するべきものは。その点について大臣から御答弁をいただきたい。
  124. 石田博英

    ○石田国務大臣 雇用機会の増大ということは、これは経済政策全般との関連で考えなければならぬ、こう思います。まずお互いの前提の違いは、あなたは六・七%はとても無理だと言う、私は、六・七%は楽ではないけれども、何とか達成しなければならぬし、また、できるものと考えておる、したがって、第三次雇用対策基本計画というものを見直さなければならぬかどうかは、つまり経済成長率の実際的な結果がどうなるかということに究極的にはなってくる、こう思うのです。  労働行政としてそういうものに対応いたしますのには、雇用の機会を増大するためには、やはりいまの労働時間の問題もありましょう。それから時間と同じことですけれども、週休二日制、有給休暇、その他の問題いろいろなそういうようなものによる雇用の基盤を広げていくということもあると思うのです。  それからもう一つは、いまECその他からの、日本の輸出貿易の増大に対して労働問題の面からの非難は、もう賃金の問題ではなくなったわけです。特に現在の賃金はフランスやイギリスやイタリアよりは高くなっております。西ドイツやアメリカよりは低いとは申しましても、日本はそのほかにいわゆるボーナスの制度、それから退職金という制度がある。これは欧米に見られない制度であります。そういうものを加えますと、賃金の面から非難はしない。非難をするのは、いわゆる週休二日制をやってないじゃないか、われわれの方ではやっておるのだ、それからもう一つは、有給休暇をとらないで、それを買い上げるみたいなことをしているじゃないか、そういう面の非難の方が強いと思うのです。そういうことに対応するためにも、やはり労働時間の短縮の問題というものに取り組んでいかなければならぬ、こう考えております。
  125. 草川昭三

    草川委員 では次に、雇用安定資金の収支見込みについて、少し意見を出してみたいと思うのですけれども、最初に私どもに見せていただいた収支見通しを見ますと、政府は、昭和五十七年を最終的なところに置きまして、五十四年という時代に非常に大きな不況が来るという見通しで収支見通しというものをつくってみえていると思うのです。  この中で安定事業費だけを見ますと、五十二年には約三百七十八億ですか、これが五十三年には七百二十七億と倍になるわけです。そして五十四年には二千百億、こう見ておみえになるようです。最初に私ども五十五年までに完全雇用を達成するという第三次雇用対策基本計画のことを取り上げたのですが、実際上行政当局が考えておみえになる失業の予測というのですか、事業経費というものを見てまいりますと、完全雇用というものと矛盾しておみえになるのじゃないか、こう思うわけです。たとえば五十四年のあれは、ことしに比べて約六倍近くになると思いますし、どうして二千百億というような膨大な予算が、この五十四年に計上されておるのか。  同時にまた、この一二・五%のアップ率というものがそれぞれ出ておりますけれども、収入の一二・五%のアップというものがなぜ見込めるかということですね。たとえば、いまでも春闘の問題が話題になっておりますけれども、とても二けたにはならぬという情勢であります。そういう情勢というのは、恐らく来年特別によくなるという見通しもありませんから、大体こんな程度だと思うのですけれども、その一二・五%の見込みが実現できるのかどうかお聞きしたいと思うのです。
  126. 北川俊夫

    ○北川政府委員 安定審議会でお配りした資料から先生御指摘かと思いますが、ここで五十四年、五十七年を一応不況年という想定で資金計画の素案をつくったことは事実でございますが、私たち五十四年、五十七年が必ず不況年になるというのではなくて、むしろ考え方としましては、五十年のときに雇用調整給付金制度を発足させて大変活用され、かつ最近としては大変深刻な不況年であった、その程度の不況が三年ないし四年の間隔で来るのではないか、したがいまして、この五、六年の間に二回不況年が来たというような想定のもとで資金計画の万全を期したという一つの想定でございますので、五十四年を不況年に置いておって、五十五年の一・三%の完全失業と目的達成とどうかという矛盾につきましては、想定の問題ということで御了承をいただきたいと思うのです。  それからなお、資金計画で二千億という資金を一応計画いたしておりますのは、先ほど言いましたように、五十年のときの雇用調整給付金で私たちは五百五十億程度の資金を実は使用いたしまして、大体効果としましては最低二十万、多く見積もれば三十万の失業の予防ができたのではないか。したがいまして、今後五十年と同程度の不況が来て、その程度の失業防止をやるために、今回の新たな安定事業では訓練の助成等事業内容をかなり拡充いたしておりますので、五百五十億を引き直すと、ややオーバーエスチメートがございますけれども、二千億程度の資金の準備をしておく必要があるのではないかということでこの資金計画をつくったわけでございます。  なお、ここにおきます資金計画の中で、たとえば収入の一二・五%の伸びというのは一つの試算でございますが、これは実は五十年代の前期経済見通しの雇用者所得の伸びを見ております。したがいまして、一人当たりの雇用者の伸びプラス雇用の増を合わせますと、五十年代の前期には年平均で一二・五%伸びるであろうというのが、政府の一応の前提でございますので、それをここでは借用をしたというのが実態でございます。
  127. 草川昭三

    草川委員 そこを、私どもももう一段実は立ち至って、この雇用安定資金の収支の見込みあるいは当局の考え方について論議をしなければいかぬと思うのですけれども、残念ながら具体的なこれ以上の資料もございませんし、考え方がないわけでございまして、そこは私自身として非常に残念に思っておるわけです。実はいま、五十年の状況で大体五百億程度のものを引き伸ばせば二千百億になると言うのですが、具体的になぜ四倍になるのか。一遍その積算を、どういうお考えでなるかということをしないと、これは私、少し乱暴のような気がするのです。あるいはもしそうだとするならば、一体どういうことがあるからこういうような計画を立てられるのか、われわれにも具体的な資料というものをぜひ明示してもらいたいと思うのです。しかも、これは一方では五十四年には失業者をゼロにするというマスタープランというものがあるわけですから、それとこれとは違うとおっしゃる、そうおっしゃられるのはわかりますけれども、当局としてはもし審議をさせるのならば、われわれにそのような材料も与えて、ぜひこの安定資金の計画はしかじかかくかくになるということを言っていただかぬと、これは少しわれわれとしても苦言を呈しなければいかぬ、こう思うのです。
  128. 小粥義朗

    ○小粥説明員 昭和五十年度の雇用調整給付金が年度間で総額五百五十億を超える給付がなされたということでございますが、この雇用安定資金の収支見通しで、昭和五十四年雇用安定事業費として二千百六億という額になるという想定をいたしておりますが、この二千百六億は五十年の雇用調整給付金五百五十億の範囲がそのまま二千億の規模にふくれるのじゃございませんで、この二千百億の中で雇用調整給付金相当部分は一千億程度のものでございます。それ以外に今回の雇用安定事業の中で新しく実施することにいたしております教育訓練に対する助成費、さらには事業転換等雇用調整のための新しい事業もございますので、全部合わせまして雇用安定事業としては二千百六億という想定をいたしております。したがって、雇用調整給付金外で申し上げますと、毎年の賃金のアップ率、これが休業手当の単価のアップにつながりますので、その分のアップを見込んでおる程度でございまして、五十年当時と比べて特に大幅に雇用調整給付金の規模をふくらませているわけではございません。
  129. 草川昭三

    草川委員 雇用調整給付金の給付の方の幅が上がるということを期待して私は質問しておるわけじゃないのです。それはさっき大臣おっしゃっておられるように、収入という面で私はお聞きしておるつもりですけれども、きょうは時間があれでございますから、また後ほどその各年度別の資料をぜひ出していただきたいということを要望しておきたいというように思いますので、ぜひ委員長の方によろしくお願いを申し上げたいと思います。  その次に、実は午前中大坪さんの質問がございましたが、その中で私ちょっと気になることがあったものですから、これは私、専門ではございませんので念のためにお伺いをしておきたいことでございますが、労働保険特別会計法の第九条の件と、それから十八条の三項についての御質問をたしかなされてみえたと思うのですが、九条の方で、雇用勘定にあっては前項の書類のほか当該年度の雇用安定資金の増減に関する計画表を添付しなければならないというときの当局の御答弁の中で、これはもう現在の予算の場合と同じだというようなことをおっしゃられたと思うのです。私ども、そのお話を聞いていて、予算審議と同様にこの計画表というものが添付されて、これは非常に大切な扱いをされておるのだなと、こういう感じをいたしたわけでございますけれども、実際上現実的にはこれは単なる資料にすぎぬのじゃないですか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  130. 北川俊夫

    ○北川政府委員 私が申し上げました趣旨は、この計画表というものが雇用安定資金の実際の計画を正確に計画づけるということで雇用勘定の策定に当たって添付するものでございまして、そういう意味で予算と同じように慎重に計画をいたします、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございまして、このもの自体は何かとおっしゃれば、先生の御指摘のように資料そのものでございます。
  131. 草川昭三

    草川委員 資料そのものでございますが、実はこれは膨大な金額にもなるわけでございますし、もとはやはりそれぞれの関係者の方々の原資であるわけでございますので、実際上の運営等に当たっては、労使それぞれの委員会というのがいろんな要望で出ておるわけでございますが、私どもは、実はこれは非常に具体的に報告なり、あるいは内容等については審議の対象になるようなものにしていかなければいかぬ、こう思っておるのです。これは要望でございます。  そして、その次の三の項で、雇用勘定において毎会計年度の四事業費充当歳入額から当該年度の四事業費充当歳出額を控除して、残余があるときにはこれを雇用安定資金に組み入れ、不足があるときはということについて、主として不足があったときにどうするのかという、こういう御質問が午前中にあったと思うのです。そして失保会計の方からはこれは入らぬという御答弁があり、さすれば、この安定基金というものができたときには、なかなか資金的な余裕もないので慎重にこれを使いながら、そしてある程度ふところが温かくなったらこれをというような御意見があったような気がするのです。私は、それは当然、一つの会計を預かる立場からはそういうようなことになるかもわかりませんけれども、逆に、この安定基金というものを非常に期待しておる不況化の中で、どんどんこれを適用してもらいたいという場合がありますときには、いや、まだ発足間際なんだから、余裕がないからこれはそう簡単には出ませんよという形になると、これは本来の意義を失することが非常に強くなるわけです。  だから私は、逆に、現在私自身も余り詳しくないわけでございますけれども、いわゆる不足をした場合に、四事業に対して——現在の予備費からは四事業の方に金が入ることができるわけでしょう。だから、四事業の方がたとえば赤字の場合には、それをどんどん予算の方から繰り入れてもらって、この雇用基金の方からは、ここの中にありますように、そちらの方に入るというようなことのないようにひとつこれを運営してもらわなければいかぬと思うのです。  私の言っていることおわかりですか。ちょっとおわかりにならぬですか。いわゆる何というのですか。四事業の方で、ここにありますように、四事業費充当歳出額を控除して残余があるときには雇用安定基金の方に組み入れ、不足があるときには安定資金の方からこれを逆に補足するということになっていますね。だから、補足をするようなことがあるならば、それ以前に四事業の方に赤字があるならば、十分予備費の方からも四事業の方に金が入るのではないだろうか。それを少し前提に考えておいてもらって、もとのこちらの方には余裕があるような形で運用してもらいませんと、せっかくのものがうまく運用されませんよ、こういうことを言いたいわけですが、その点についての御意見を聞かせていただきたい。
  132. 北川俊夫

    ○北川政府委員 今後安定四事業と、それから失業保険給付というのは、これは先ほども枝村先生にお答えしましたように、保険法六十八条の二項で、平たく言えば千分の十は失業給付に使うという区分、それから四事業については千分の三・五、こういう区分がもうはっきりしております。したがいまして、予備費で積み立てる場合も、四事業の財源というのは千分の三・五の枠からしか出ないわけでございます。だから、予備費を一緒に組んでも、いまの場合でも、たとえば五十二年の予備費約千四百億ほど組んでおりますけれども、そのうちの失業給付の予備費としましては二カ月分の千三百億、雇用改善等四事業につきましては九十三億というふうに、予備費そのものの区分が、これは原資の性格から出てくるわけでございます。したがいまして、予備費を常に四事業に優先してというわけにはまいらないということでございます。
  133. 草川昭三

    草川委員 予備費の中にもそれぞれの枠がある、こういうことをおっしゃりたいと思うんですね。まあ、そういうことでございますから、そんな簡単にこちらの方へ移動するというのですか流用するというのですか、そういうことはないだろうという御発言だと思いますけれども、いずれにいたしましても、私は、たしか本会議での質問の中でも、予備費というものが千四百億近く、非常に膨大な予備費があるのだから、それをもっとうまく使うことによって本来のこの事業というものを賄うことができるのじゃないだろうか、こういうことを実は言ったつもりであるわけでございますが、それはまたそれとして、ひとつ最初に申し上げましたように、この資金運用等のものについても、できる限り私どもに詳しい材料というものを提供していただいて審議をさしていただきたい、こういうように思います。  そこでその次は、これも実は本会議で質問をしてお答えがなかったことなんでございますけれども、雇用改善事業の中に、従来は四の中で事業主に対して「国際経済事情の急激な変化」というのがあったわけでございますが、これが今回は削除されておるわけです。なくなったわけです。この「国際経済事情の急激な変化」というのは、かなり大きな事態というものに給付が適用されるということであったと思うのですが、これがなくなるということは、非常に安易に、イージーに、これが簡単に適用できるということになるのか、これはメリットとして受けとめるべきか、あるいは逆に、非常に枠が離れたために、簡単に事業主の方が、雇用安定事業という今度の基金を使ってもらいたいというので、本来はがまんをしなければいかぬのが、これがあるために、これを利用することによって労働側に犠牲を与えていくということになるのではないだろうか。ここをひとつ明確にお答え願いたい、こういうように思います。
  134. 北川俊夫

    ○北川政府委員 いまの草川先生の御指摘は、現行法の六十二条四号の中にあります「景気の変動、国際経済事情の急激な変化」の中の「国際経済事情の急激な変化」の字句が、今度の改正法案の中に入っていないという御指摘だろうと思います。  これは、今回の雇用安定事業が景気変動の場合の安定事業と、それから事業転換の場合の安定事業の二つに分かれるわけでございまして、先ほどの六十二条の四号の「景気の変動は」まさに前者の景気変動ですぱっとそのままはまるわけでございます。ところが「国際経済事情の急激な変化」の場合には、短期的にそういう事態が起きる場合と、中長期的にわたるものと両面にわたるわけでございまして、国際的経済変動だから、これは景気変動に限定するというわけにもまいりませんので、景気変動の場合と事業転換の場合の両方にこの国際事情の変化を適用するために、ここの表現では「等」というような中で読み込むことにしたわけでございまして、むしろ事態としましては、短期に限らず中長期の事業転換をも含めたという意味では、適用の範囲が広くなったというふうに御理解をいただきたいと思います。
  135. 草川昭三

    草川委員 続いて、今後「構造変化」という言葉があるわけでございますけれども、構造変化というものは一体何なのかということ、それから大企業の場合は、当然各部門ごとに事業転換を事実始めている場合がたくさんあると思うのです。この事業転換から来るところのいわゆる職業訓練ですか、いろいろな方法があるわけでございますが、たとえば産業別に目指していきますと、いま当局がお考えになっておられます具体的に予想される産業、たとえば造船だとか繊維だとか、先ほどの製糖の話だとか電気炉メーカーだとか、たくさんあるわけでございますが、いま当局がお考えになっておみえになります具体的な考え方というのですか、対応策の大きな柱は、どういうような産業が予想されるとお思いでございますか。
  136. 北川俊夫

    ○北川政府委員 長期的、構造的な不況をもたらします要因としましては、いま繊維がこれに直面しておりますように、開発途上国の工業化による貿易構造の変化の場合とか、あるいは技術革新、消費パターンの変化等による需要の趨勢的減少の場合、第三としましては、資源の枯渇その他の事情による原材料の入手難、あるいは公害防止、安全対策の強化等による社会的責任の増大等による事業の縮小等々の要因が考えられますが、これの業種としまして、いますぐに申し上げられるようなのがなかなか浮かびませんが、あえて挙げるとすれば、繊維産業、それから織物、それから合板、造船、それから現に二百海里等でも問題になっておりますので水産加工等々を一応想定いたしております。
  137. 草川昭三

    草川委員 後ほど古寺さんの方からも御質問があると思いますが、特に水産加工等の問題は、緊急的な問題もございますので、できる限りの対応策をひとつ立てていただきたいというように思うわけであります。  それから、もう時間がございませんので、最後のことになりますけれども、職業訓練の実態ということについて、成功をしておる例というのは実際あるのかということなんです。それは個々にはたくさんの例があると思うのですけれども、大まかに言って、この職業訓練というものについて、多少お役所仕事的な発想があって現実の対応策が非常におくれておる点があると思うのです。  これは時間があれば、少し詳しく御説明申し上げてもいいのですが、総評の合化労連の方々が退職者の追跡調査だということの中で職業訓練の問題を取り上げられた資料等があるわけでございますが、ある程度の職業訓練校に入りましても、新しい仕事というものが他府県にしかなかったり、自分の居住地から通勤できる範囲内で新しい職業訓練の求職というのはなかなかないのです。ですから、ただ単なる訓練校というのですか、あるいはこれからも企業の中での職業訓練がどういうように行われるかわかりませんけれども、よほど現実的な対応策を立てないとだめだと思うのです。  まだほかにも例があるわけでございますけれども、たとえばコンピューター科というのがあるのです。ところが、コンピューターのプログラムを教える先生というのは本当にいないのです。あるいは現地で、各県段階でコンピューターのプログラマーが非常にふえるだろうからといって無理にある程度教えられても、その教育は実はもはや産業界では使いものにならぬと言うと言葉が悪いのですけれども、対応できない程度の訓練しかないわけです。それは大工さん、左官屋さんのような仕事というのはあるのでしょうけれども、これからは非常に重層的、多層的な職業訓練ということをやらなければいかぬわけですから、せっかく予算がついた、あるいはせっかくこういう方法があるよと言いながらも、それに対する指導者というのは現実にいるのか、いないのか、大変なことだと思いますけれども、その点について具体的な方針等がございましたらお聞かせ願いたい、こういうように思います。
  138. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 いま先生がおっしゃっておられますのは、恐らく転職者あるいは再就職の希望者に対する、いわゆる私どもの体系で申しますれば、能力再開発の訓練ということになろうかと思います。私どもは、雇用情勢等踏まえまして、これの対応についてすでに十数年前からやる努力はしております。それで、実際に高等職業訓練校、これには雇用促進事業団立とそれから県立とございますが、それぞれの地域の事情等に応じまして、そこで実効のある能力再開発訓練ができるようにということで、雇用促進事業団なり県と私ども具体策について詰めて、即効的にはなかなかまいらないのでございますけれども、やっております。  そこで、確かに問題点として、現在訓練校におります指導員は、それぞれの専門の職種の方がおられますけれども、新しく想定される需要である職業訓練の職種に対して訓練指導員自体がすぐに対応できるかというような問題がございますし、それから能力再開発の訓練をある訓練校に設置をいたしましても、その地域において実際に能力再開発訓練を受ける人たちは、家庭も持ち、余り寄宿舎に入って訓練を受けるというようなことができませんので、その点からの入校需要の問題等もあります。それからまた、従来の訓練のやり方ですと、一年に二回ぐらいの訓練校入校時期というものがありまして、これ以外の時期に入りたいといっても入れないというような対応の問題がございます。  いろいろそういう点を考えまして、今後の訓練のあり方について検討してまいらなければならぬと思いますが、いま先生のおっしゃる中で、私ども、たとえば大都市の場合にビルメンテナンスの職種、これは大都市でしか通用しないと思うのですが、ビルができてまいりますと、ビルメンテナンス関係の職種を設置いたしましたところの訓練の実績は、その後の就職状況等も非常にいいというようなもの、あるいは一部に造園というようなものが中高年者の転職には向いているというようなことは出てきております。ただ、たとえば中高年齢者が事務労働などをやりたいというようなことで実は希望が多いために職種を設けまして、その結果、その訓練を終わったものの、必ずしも就職状況がよくないというような事例も一方にございまして、この辺は今後も十分な検討をしながら対応策を講じてまいりたいと考えております。
  139. 草川昭三

    草川委員 時間が来ましたので、私、これで終わりたいと思いますけれども、いまのお話を聞いておりましても、私は、率直に言って問題が多いというふうに思うのです。いま御答弁なすった立場からでも、現状の問題点を十分御認識になっておみえになるようだと思うのです。     〔枝村委員長代理退席、委員長着席〕 でございますから、これから予想されるところの失業というのですか、雇用というものに対する対応策は、現在いろいろと立ちおくれというものがあると思うのです。いわゆる事後対策あるいは事前に対する予防というものについての考え方が非常に不十分だと思うのです。  私は、過日の本会議のときにも、実際現在の深刻な失業というものを救済しようとするならば、たとえば現行の法体制でも全国の延長給付、これを発動しなさいよ、一体どういうときに延長給付の発動をするのか、かつての石油ショックあるいは戦後最大の不況だといわれるときにすら全国延長給付の発動をしていないじゃないか、まずそういうこともおやりなさい、あるいは現在の職業訓練についても、いま言われましたように確かに部分的には造園業があるじゃないか、ビルメンテナンスがあるじゃないか、しかし、今日のように産業構造が基本的に変わるという時代の中では、なかなかそれだけで吸収できるわけじゃないのです。そして新規の高学歴の労働力というのがちまたにうようよしてくる。そして一面では定年延長をしなければいかぬ。いまの労働行政というのは、私は、雇用という問題を中心に取り上げれば、ものすごく行き詰まっておると思うのです。それを乗り切る姿勢というものが根本的にいまの労働行政にないという不満が私にはあるのです。それを基本的に解決をするという思い切った抜本的な見直しということをやらない限り、私は、この雇用というもの、特に新しい今日的な経済情勢の中における失業問題の基本的な解決ということは成り立たないのではないか、こう思うわけです。  最後に、そういう点で大臣の方から御見解を賜って私の質問を終わりたい、こういうように思います。
  140. 石田博英

    ○石田国務大臣 現在の雇用情勢というのは、確かに深刻であるし、しかも非常な変動期にあります。しかも、その変動の先が、高度成長の時代と違って決して明るくない、それはもう十分よくわかっております。しかし、そういう情勢の中でも若年層はまだまだ雇用の機会は十分あるわけであります。問題は、やはり中高年齢層であります。しかも年齢層の高いところであります。そういうところに集中して施策を行うべきだ。それからもう一つは、やはり構造の変化に応ずる転換にどう対処するかということであります。御意見はよくわかりますが、私どもが考えております現状認識におきましては、まだ全国給付というようなことを実施する段階ではない、こう考えております。
  141. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。     —————————————
  142. 橋本龍太郎

    橋本委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま議題となっております両案審査のため、本日、雇用促進事業団副理事長上原誠之輔君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 橋本龍太郎

    橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  144. 橋本龍太郎

    橋本委員長 質疑を続けます。古寺宏君。
  145. 古寺宏

    古寺委員 ただいま草川委員からも指摘がありましたように、わが国の雇用問題はいま重大な危機に直面しておると思うわけでございますが、今回のこの雇用保険法の一部改正によってわが国の雇用問題が大きく前進するというふうには考えられないわけでございまして、やはり抜本的な雇用対策というものを早急に政府としてやるべきではないか、このように考えるわけでございます。  そこで私は最初にお尋ねしたいのは、政府として、いまの現実の不況、この不況からわが国経済が、いつ、どのようにして立ち上がるというふうに見通しておられるのか、それをまず大臣にお伺いしたいと思います。
  146. 石田博英

    ○石田国務大臣 出おくれの面もありましたが、五十一年度の補正予算がすでにほぼ完全に実施されております。それから五十二年度の予算が成立いたしますと、公共事業または減税による景気浮揚効果というものが出てくるものと考えております。しかしそれは、かなり長い間の不況、それからそのもう一つ前にありました人手不足時代に行われたいわゆる合理化、それから将来の景気回復と申しましてもその回復に対する期待の度合い、それからあるいは回復そのものに対する不安感、そういうものがありまして、鉱工業生産の伸びと有効求人倍率の伸びが並行しない状態になってきておりますが、わずかずつではありますけれども漸次失業率は低下し、雇用者の数も前年に比べて増加の傾向をたどってはおります。おりますが、しかしもう一つ、大きな産業構造の転換ということにも直面して、それに対する各企業が転換努力をしております。そういうことでありますので、その転換によって転業あるいは失業を余儀なくされる人々に対する対策が非常に重要なものだと考えております。  したがって、これからは、一方において失業の予防あるいは職業転換の助成、それからその転換の助成はやはり訓練を主体として転換に対応できるような技能を身につけさせるようなことをするとともに、経済の回復というものを期待し、それに関連を持たせつつ雇用政策の充実、展開を図っていきたい、こう考えております。
  147. 古寺宏

    古寺委員 私が考えますに、今回の雇用保険法の一部改正というものは全く対症療法的な政策にしかすぎない。社会保障制度審議会あるいは中央職業安定審議会等の意見を拝聴いたしましても、やはり国が抜本的な対策を講じなければこの日本の失業の問題、雇用の問題というものは解決できないというふうに指摘をしているわけです。  そこで私は、きょうは時間がございませんので、季節労働者の立場から、この現在の置かれているわが国の雇用対策の欠陥を一つ一つこれから指摘をしてまいりたいと思う。  そこで最初に、先ほど草川委員の方から第三次の雇用基本計画についてのお話がございました。これはいま各都道府県でつくっております。この基本計画そのものが、いわゆる実態調査に基づいた、現在置かれている日本の労働の実態というものを把握した上でつくられた基本計画ではない、まずこの点を私は指摘を申し上げたい。ということは、第二次基本計画も再三にわたってこれはネコの目が変わるように変わっております。いま第三次基本計画を各都道府県が労働省に見習ってつくっておりますが、これは早晩手直しをしなければならない作文にしかすぎない、こういうふうに思うわけです。  そこで、季節労働者に対する実態調査労働省としていつ行ったか、まずそのことをお答え願いたいと思います。
  148. 北川俊夫

    ○北川政府委員 季節労務者の調査につきましては、いま特に問題になっております北海道の例をとって申し上げますと、この二月に担当課長を派遣いたしまして、関係者にいろいろ面接をして実態を把握させますとともに、昨年の十一月以降、北海道庁に委託をいたしまして、季節労務者約二十八万人、さらにそれを受け入れる事業主、それから関係の市町村等、三つに分かれる実態調査の実施を現在行っておりまして、大体六月にはその集計ができるのではないかと思っております。
  149. 古寺宏

    古寺委員 この季節労働者の問題はいま始った問題ではございません。いわゆる政府の農業切り捨て政策あるいは産業構造の転換に伴う、あるいは地域的な特性に応じて、こういう季節労務者というものは以前からあるわけです。そして現実の問題として、自分の郷里を離れて出かせぎに行くということは非常に不幸な現象でございます。当然、労働省がこういう実態を把握をして、そしてこういうような基本計画なりいろいろな政策の上にこれを実際に反映させていかなければならない。ところが実態を把握していないために、いつまでたっても同じことを繰り返しているわけです。母子家庭母等の就職の問題も、ことしは労働省が予算を組んで実態調査をすることになっておりますが、その予算も、当初三千万円の大蔵省に対する要求に対してわずか一千万円です。この一千万円の予算をもってして果たして母子家庭の実態調査ができるか、これはとうてい不可能でございます。いまこういう季節労務者の問題についても全く実態調査をやっておらない。わずかに北海道にこの二月に課長さんを派遣して実態をお聞きしてきているだけなんだ。都道府県に任せっ放しです。私は、こういう問題を抜本的に解決するためには、何としてもまず実態の把握が第一である、そういう立場から労働大臣に、この実態調査をするおつもりがあるかどうか、その御決意を最初に承りたいと思います。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
  150. 石田博英

    ○石田国務大臣 北海道と他の地域との季節労働の実情というのは多少違っておると思います。北海道の場合は専業化されており、本州は農業との兼業者が多い。違っておりますが、全体の数は、不景気もありましてだんだん減少して四十五万人くらい、そして北海道は二十八万から九万人くらい。その中で、冬には特別の手当てをしなければならない、対策を講じなければならない対象が七万人、残りは農林業をやっているかあるいは自分で仕事を探すか、そういうような層であると考えております。  実態調査を北海道の場合は今回特に重点を置いていたしましたが、全国にわたってその実情をもっと詳細、正確につかんでおく必要があるという御説はごもっともでございますので、そういうことをやらせたいと思っております。それだけでなく、そのほかの諸対策もあわせて考えたいと思っております。
  151. 古寺宏

    古寺委員 先ほどから大臣は、北海道の季節労務者、また東北も同じでございますが、通年雇用の問題、これを促進したい、職業訓練をおやりになる、あるいは公共事業の発注を早める、こういうようなお話でありました。大臣は東北の御出身でございますからその点についてはよく御存じかと思いますけれども、わが国においては、積雪寒冷地の冬季間の公共事業に対する研究開発というものが今日まだ十分に行われていないのです。そういうところに盲点がある。しかし外国では、カナダにおいてもアメリカにおいても、冬季間においても公共事業はやっておるわけです。現在、建設省がこういうものの開発のための調査をやっております。私は建設省に、現在研究を進めているその内容について、いつから始まって、どういう目的で、いつごろまでにその結論が出るか、時間がございませんのでその点についてまずお尋ねしたいと思います。
  152. 細川弥重

    ○細川説明員 それでは御説明申し上げますが、まず、設置の目的につきましては、通年施工化技術研究協議会というのは、積雪寒冷地域の冬季における厳しい自然条件を克服して建設工事を施工できる技術の研究開発を進め、従来の季節変動型の事業執行体制を通年施工型に移行し、建設事業の円滑な推進を図ることを実は目的としておるわけでございます。発足いたしましたのは五十一年でございます。この協議会は、次官を長といたします官房の内部にある協議会でございます。  それから、研究内容でございますが、本協議会におきましては、積雪寒冷地域の冬季間において施工された公共事業の実施例を工種別、地域別等に分類して、施工の方法、品質の管理、労働環境、作業効率等について調査し、問題点の解明の対策方法を検討して、その成果をモデル事業に適用することによって、冬季における施工技術の研究開発を進めることとしておるわけでございます。  それから、結論を得るめどについて御説明申し上げますと、本協議会で行う研究は、調査対象の工種も非常に多く、その調査地域も広く、かつ気象特性の差も大きい等、多くの条件のもとでの研究開発でございますので、また当協議会は昨年末発足し日も浅いので、今後の作業の進捗状況を予定することにはかなりの困難がありますが、現時点においては、昭和五十五年度を目途に一応の成果を得るよう作業を進めておる次第でございます。
  153. 古寺宏

    古寺委員 もう一つ建設省にお伺いしますが、三者協定の労務賃金というのがございます。これは建設省と運輸省と農林省の、いわゆる建設に携わっている労務者の賃金でございますが、ひとつこれを都道府県別に一読していただきたいと思います。
  154. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 ただいまの協定、正確には三省協定と申しまして、建設、農林、運輸の公共事業の執行三庁が毎年六月と十月の二回、全国で約一万の作業現場におきまして、十七万人を対象にして調査をしている賃金調査でございます。最近の賃金調査は五十一年の十月に実施したわけでございます。ただ、職種が建設関係労働者は五十職種に及びますために、全部を県ごとに申し上げるのは非常に時間を要しますので、先生お許し願えれば、たとえば普通作業員とか、そういうことで申し上げたいと思います。
  155. 古寺宏

    古寺委員 普通作業員でいいです。普通作業員を読んでいただいて、後で資料をいただきます。
  156. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 それでは都道府県別に、北海道から順番に申し上げます。  普通作業員、北海道六千四十八円、青森県五千五十六円、岩手県五千二百三十六円、宮城県五千三百八円、秋田県五千六十二円、山形県五千三百五十二円、福島県五千二百六十四円、茨城県五千三百七十二円、栃木県五千七百三十二円、群馬県五千三百二十七円、埼玉県五千八百十一円、千葉県五千六百八円、東京都六千二百二円、神奈川県六千十三円、新潟県五千七百四十円、富山県五千四百八十四円、石川県六千百六十六円、福井県六千八十円、山梨県六千十五円、長野県五千九百七十四円、岐阜県六千二百七十二円、静岡県六千四百三十円、愛知県六千三百三十六円、三重県六千五百二円、滋賀県六千四十三円、京都府六千五百七十四円、大阪府五千八百五十七円、兵庫県六千二十一円、奈良県六千三百六十四円、和歌山県五千九百八十円、鳥取県五千二百五十五円、島根県五千四百十七円、岡山県五千四百二十一円、広島県五千四百九十三円……。
  157. 古寺宏

    古寺委員 はい、よろしいです。  そこで私、大臣に申し上げたいのは、まず第一には、公共事業をやるとしても、わが国の場合には冬場は非常に限定された公共事業しかできないということです。それから大都市と地方では賃金の格差が非常に大きいわけです。特に残業の手当とかいろいろなものを加算しますと相当の開きが出てくるわけです。こういうような根本的な問題を解決せずして、ただ公共事業を早く発注したからこの季節労務者については心配ないんだという論理は現実の問題として成り立たぬわけです。  ですから、先ほどから私が申し上げておりますように、やはり実態に即した調査に基づいて対策を考えなければいけないと思います。五十日にした一時金の問題にいたしましても、それを受け入れる体制をつくって、そして五十日にした場合には、これは通年雇用にも移行していけるし、また積雪寒冷地帯の公共事業も発注できるようになるわけですから、そういう場合にはこれは適当であると言えるかもわかりません。もちろんこの一時金制度によって非常に喜んでいる方もございます。しかしながら、その反面、北海道あるいは青森のように、冬季間に仕事がないという季節労務者についてはこれはどうしようもない現実がある。それを、先ほどの大臣のお話を承っておりますと、七万人を公共事業の発注並びに職業訓練によって救済できる、こういうお話でございますが、私どもの調べた範囲では、公共事業を早期に発注いたしましても、北海道の場合でせいぜい二万人、職業訓練にいたしましても限度があるのです。施設以外のものでやるといたしましても、私は二千人も職業訓練ができれば最大限じゃないかと思う。その場合に、どうしても仕事のない人たちに対して、それを放置しておいていいのかどうか、これが私は大きな問題であろうかと思うわけです。そのために今回こういうような特別措置を提案いたしているわけでございまして、もう一度、こういうような現実の上に立って、大臣として、仕事のないそういう季節労務者をそれではどのようにして救済していかれるのか。それからまた、いま建設省が一生懸命やっております、積雪寒冷地帯の公共事業をこれから開発をして、そういういろいろな工種その他が決定するまでの間、そういう人たちをどういうふうにして救済をしていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  158. 石田博英

    ○石田国務大臣 保険という制度のたてまえをまず考えなければならぬと思うのです。現在、いわゆる季節労務者については、納付が七十八億円で、給付が千三百九十億円くらいで、比較にならぬぐらいの数字です。これは五十日にしてこういう数字になるわけであります。これをさらに幅を広げるということは、保険のたてまえから言うと非常に問題がある。もう一つは、そういう季節労務者の存在、そしてそういう人たちの救済という問題を保険だけに頼られるということは、いまの状態から言うと非常に不公平である。つまり、この保険はどこで賄いをつけるかというと、国庫の負担金は無論あります。約三百七、八十億ありますけれども、それ以外の全国各地のプラス勘定になっておる保険金で賄いをつけているわけです。一番大きいのは、東京都は千億円ぐらいのプラスになっております。それから愛知県で二百三十一億、大阪で三百二十億、そういうようなところの労働者の負担をしたもので賄っているわけです。したがって、そういう現実の事態を保険会計だけでめんどうを見ろというのは、そもそもの根本的な問題として、保険の性格からいって問題がある、これが第一。  そういう問題を直すために、失業保険時代の制度を雇用保険の現状に改めたわけでございます。事実、私は秋田県ですが、秋田県の季節労働者について調査をいたしましたところが、六十数%は現状を喜んでおるのですね。もとの方がよかったと言う人は十数%です。青森県も、初めのうちはやはり九十日の方がいいという議論が非常に多かったわけでありますが、最近は一部の地域を除いて現状の方がいいというふうに変わってきております。しかし、先ほどもお答えをしたのでありますが、内地の青森とか秋田とか山形とか岩手とかというようなところの季節労働者は大体農林業との兼業者が多い、北海道の場合は専業者が多い、そういうことは事実であります。そこで北海道の場合には五十日では不足であるから九十日にしろという御要求が出てくるわけですね。しかし、先ほどから申しましたとおり、そういう実情を保険会計だけにおっかぶせると、ほかの人たち、他の地域の勤労者の雇用保険の運用に影響をしてくるのであります。したがって、もっと総合的な施策の中で処理されていくべきものだと思うのです。  その総合的な施策というのの一つは公共事業の早期の発注、これは本年は一月早々から閣議等におきまして、補正予算成立に伴う公共事業の発注を急ぐこと、それから北海道については予算外負担で災害復旧事業をしてもらうということ、双方合わせまして二百十三億、これはすべて発注済みであります。五十一年度予算については二月二十五日までに全部済みました。それから本年度、五十二年度予算の執行、これは平年ですと大体五月の終わりごろになってしまう。それを一カ月早めようじゃないか。一カ月早めようじゃないかという目標は、五十日と九十日の間は四十日ですね。四十日ですと、一ヵ月早めれば三十日早まるわけでありますから、そういうところで処理できるんじゃないか。そういうことで、北海道開発庁、北海道庁、その他関係各省と鋭意協議を重ねまして、私の見込みでは四月二日ごろには、一カ月早まることがお互いに合意を得られるものだと思っておったのですが、どうもまだ難点がありまして、一カ月と私がここで言い切るまでには至っておりません。しかし、かなりの程度早められると思っております。  それからもう一つは、各市町村で冬季の労働者に対する単独事業をやっておる。その単独事業に対しては約四億円の特別交付金を追加支給することに決定をいたしておるわけであります。  それから、北海道の季節労働のもう一つの特徴は、よその土地へ行くのじゃない、北海道の中で働くという点であろうかと思います。そこで、北海道の中だけで消化できるならいいのですが、そうでない場合においてはやはり他府県へもごあっせんをするということをすでにやっております。  それから、やはりどうしても通年雇用に切りかえなければならぬ。通年雇用に切りかえるのには、施設その他から言ってまどろっこしい面もありますけれども、職業訓練を少なくとも来年度予算においては北海道にできるだけ集中的に増加させることによって、通年雇用に転化させられるものを増加させてまいりたい、こう考えているわけであります。  これを保険だけでやれというのは、くどいようでございますが、無理なんですよ。どだい七十八億に対して千三百九十億払っているものをもっと払えというのは、他に犠牲を生ずる。保険会計から申しまして、保険だけに背負わされるのは不満であります。  それからもう一つ、ちょうど建設省の人が来ておりますからついでにお願いしておきたいのは、積雪地における工事単価ですね、そういうものを特別に考えてもらうということが、冬期の事業を促進するためにも役に立つ。  さらにもう一つ、逆に今度は私らから言いたいことは、私は前に運輸省におりました。運輸省では港湾その他冬期にやれる仕事はまだあるのです。ところが、最近は直ってきたようでありますが、苫小牧などは工事をしようと思っても、苫小牧開発そのものに反対だといってしばらく工事ができなかった現状もございます。これはみんなえり好みをしないで応じてくれれば、港湾なんか冬期にできますから、私は、運輸省だけでもかなり仕事はある、こう考えております。
  159. 古寺宏

    古寺委員 大臣はいま公害の話まで話が発展したようでございますが、私は保険制度というものはあくまでも弱い人のめんどうを見ていくためにあると思うのです。そうでしょう。たとえて言うならば、いままでおやりになってきた職業訓練大学校にしてもあるいは労働者の住宅の問題にしても、こういうものは保険制度でやるべき筋合いのものではないのですよ。これは福祉国家として当然政府の一般予算の中でやるべき問題なんです。それを保険から持っていく。また、雇用保険のいままでの積立金は赤字になっているわけじゃないのですよ。しかも、その中の大部分のお金は財投として大企業が主に使ってきたのだ。なぜこういう弱い人を保護しようとしないのか。そのために保険制度がある。失業者の生活を保障するためにこそ保険制度があるのです。それが保障されないような保険制度だったら意味がないじゃありませんか。そういう面から言うならば、大臣はいつもいわゆる給付と負担のアンバランスとかなんとかおっしゃいますが、保険制度そのものの本質的な問題をもう一遍大臣は考え直してもらわなければいけないと思う。しかも、なぜこういうふうに季節労働者が減らないのか。これは政府の失政なんです。政府の責任ですよ。  そこで、私は農林省にお伺いしますが、昭和四十六年に発足して五年間進められてきた農村工業導入法、これが現在どういうふうな状態になっているか、御説明をお願いしたいと思います。
  160. 川合淳二

    ○川合説明員 お答え申し上げます。  四十六年に農村工業導入制度が発足いたしまして、それ以来計画を立てました市町村が八百四十六市町村ございます。     〔戸井田委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 その中で一部導入あるいは導入決定を含めまして何らかの形で企業が入ったものが六割強、六五%近くになっております。ただ、当初私どもが考え七おりました雇用従業員数から見ますと、百万人を予定していたものが三十万人弱ということで、三〇%を切るという状況でございます。
  161. 古寺宏

    古寺委員 そこで私、大臣に私が調べたものを申し上げますと、まず、北海道は土地を八百三十ヘクタール、決定したものが百九ヘクタールですから一三%、こういうことで出荷額その他からいくと二六・一%ということになります。それから大臣の御出身の秋田県の場合は一九・三%、七百十一ヘクタールに対して九十二ヘクタール、そのうち工場が進出してきたものが四十五ヘクタール、これはわずかに六・四%です。青森県の場合はまだまだ低い。五年かかって三・六%。そして各市町村は、大事な農地を団地として造成をして、工場が来ないために利息をみんな支払っているのです。それが市町村財政というものを苦しめている。こういう農村工業導入法という、政府のいわゆる出かせぎ対策と申しますか、農業者を救済する制度として盛んに宣伝をした政策が一歩も前進していない。むしろ後退している。そのために、地域住民はもちろんのこと、地方自治体が非常に財政的にも圧迫を受けている。こういう問題について、大臣は今後どういうふうにこの法律をまとめようとなさっているのか。閣僚の一員として、政府の一員としてこの問題をどのように収拾しようとしていらっしゃるのか、その点をお伺いします。
  162. 石田博英

    ○石田国務大臣 北海道へこの間私もこの問題の調査も兼ねて行きましたときに、そういう大きな工業団地が何か百万坪ほどまとまっているようなところがあるのだそうで、放置されていたという実情を聞きました。もったいない話だと私も思ったわけであります。ただ、私の所管ではありませんが、そういう状態ははなはだ遺憾な状態であるし、五年間かかって計画の三〇%くらいなら、先行投資をさせた行政指導も余り結構なものじゃない、こう思います。  ただ、私どもの申し上げるのも、確かに雇用保険というものは弱い者を救済する保険です。そのとおりなんです。そのとおりでありますけれども、その対象になる人はみんな失業というものの危険があるから入っているのです。それから、その失業をした場合は、年をとれば再就職の機会はだんだんむずかしくなるわけですね。そういう方向へ手厚い手当てもしなければならないのです。  それから、積立金があるじゃないかとおっしゃいますけれども、大体こういう保険は一年分くらいの積み立てというものは当然持っていなければならぬものです。どこでもそうです。それをだれが運用してだれが使ったかということは別問題として、だれが使っているか、借りているかということは別問題として、一年分くらいのものは持っていなければならぬものですが、大体昭和五十年で支出をいたしました総額が六千八百六十七億円に当たります。いま積立金は六千四百億円残っています。つまり一年分にまだ足らぬのです。それから単年度では赤なんです。五十年は三百八十億ほど赤なんです。  したがって、いまおっしゃいましたように弱い者の味方でありますけれども、ほかの弱い者の救済ということも考えなければならぬのです。それから、均衡とか不均衡と言いますけれども、七十八億対千三百九十億というのは、そのこと自体ですでに保険制度の給付の限界というものをはるかに超えてやっているものだと私は思うのです。そこで、保険会計だけでいまの問題をみんな引き受けてやれとおっしゃっても、それは無理です。今度はほかの弱い人たち、ほかの危険にさらされている人たちに犠牲を強いることになるので、いま申しましたような公共事業なりあるいは通年雇用を促進していきたい。農村の工業化の計画のおくれというものは、私の担当ではございませんけれども、いま担当者の発表した実情、数字を見ても、これは非常におかしなことだとは思いますし、その原因はどこにあるのか、私は担当者でないからわかりませんけれども、当然改善をしていかなければならぬ、そういうところでも引き受けてもらわなければなりませんけれども、私の言うのは、保険会計だけにおっかぶせられる筋のものではないということなんです。
  163. 古寺宏

    古寺委員 いま大臣は、所管の大臣でないからよくわからぬ、こうおっしゃったのですが、この農村工業導入法というのは、農林省とそれから通産省、労働省の三省でやっているのです。ですから、きょうからはこの問題とひとつ真剣に取り組んでください。  それから、あなたがおっしゃる保険の不均衡とか、給付と負担のアンバランスということを、私が百歩譲って、大臣のお説を拝聴してそういう気持ちになったとして、しからば現実の問題として、通年雇用のいろいろな制度がございますよ。たとえば通年雇用設備資金融資制度というのがございます。これは雇用促進事業団がおやりになっている。現実にどのくらい、いま利用されているか。青森県の場合はどうなっているか、北海道の場合はどうなっているか、その点について御説明をお願いします。
  164. 北川俊夫

    ○北川政府委員 通年雇用奨励金でございますけれども、五十年について言いますと、北海道の場合には事業所件数が千二百十九件、対象労働者が六千五百十人。ちなみに青森を申し上げますと、事業所百八十一件、対象労働者千八百八人になっておりまして、全国計で三千七百十件、対象労働者数二万二千三百七十七人、こういうことになっております。
  165. 上原誠之輔

    ○上原参考人 通年雇用融資の状況につきましてお答えをいたしたいと思います。  五十一年度の通年雇用融資の枠は、雇用促進融資の全体の枠の中で五億用意をいたしております。これに対しまして、現在決定をいたしております金額が約三億ということになっておりまして、まだ枠に対しましてはかなりの余裕がある、こういう状況でございます。  北海道と青森でございますが、本年度につきまして、北海道は決定金額が二億五千四百万で、青森につきましては申請がございません。したがいまして決定金額はゼロでございます。
  166. 古寺宏

    古寺委員 大臣、こういう通年雇用奨励金制度というのがあるのです。五十一年度は五万四千円でございましたが、これが今度八万円になるんですね。ところが、その中身に問題があるのです。利用されないような、利用できないような矛盾をはらんでおるのです。これはどういうことかと言いますと、二年間以上引き続いて雇用しなければならぬ、こうなっておる。ところが、先ほども申し上げましたように、東北、北海道では来年果たして雇用できるかどうか、見通しが立たぬのです。ですから、この制度を利用するためには相当の困難がある。ですから、私はこれを一年に直せばいいと思うのです。これは検討していただきたいと思う。  それから、通年雇用の設備資金融資制度というのがございますけれども、青森県の場合はいまのようにゼロです。あの広大な北海道でさえいま二億五千万でございますか、非常に金額が少ない。これは内容を見ますと、冬期間やいろいろなときにいろいろな工事ができるような内容にもなっておるのです。ところが、こういう制度になかなか乗っからないようになっておるんですね。東北の例で申し上げますと、雇用促進事業団の支部というのは仙台市にしかないのです。秋田県の人も岩手県の人も青森県の人も、仙台まで出かけていかないといかぬのです。そういう矛盾した制度でもって通年雇用を進めようとしても、これはできません。それからまた、せっかくこういうような融資制度をつくっても、活用されなければ通年雇用が促進されないわけなんです。  ですから、こういう制度の実態というものを労働省がよく把握をなさって、そして実態に即した、本当に通年雇用というものが定着していくような、季節労務者が大臣のおっしゃるようによその人に余り御迷惑をかけない、負担をかけないような保険制度にしていくためにも、こういう問題をもう一遍見直して、実際に通年雇用ができるような制度というものに改善していきませんと、いつまでたってもこの問題は解決つかない。農村工業導入の問題にしても、あるいは冬場の公共事業の問題にいたしましても、さらにまた労働省自体がおやりになっておるこういう制度があっても、活用されなければ、先ほど申し上げましたように、第三次雇用基本計画というものは絵にかいたもちにしかすぎない。こういう問題を大臣はこれから検討なされて、そして季節労務者が通年雇用されていくように、そういう季節的な仕事がないためにいつも不安に駆られているような生活から脱却していくためにも、大臣の故郷である秋田県も当然そういう宿命を背負っておるわけでございますので、どうかこういう問題については十二分に再検討なされて、通年雇用というものを今後促進していただきたい、こう思うわけでございます。大臣、どうでしょう。
  167. 石田博英

    ○石田国務大臣 私どもの役所だけに限って言っても、予算枠があって、それを消化していないものがほかにも幾つかあります。すべて手続がやっかいな点にかかわっているわけであります。したがって、その手続の簡素化、それから制度の普及、制度があるということを知らせなければならぬ、そういう点についてさらに一段の努力はしなければならぬ。これは先ほどもお答えいたしましたが、私はこのたび四度目に参りましてそれを特に痛感をいたしました。それから、せっかく制度ができても運用できなければしようがありませんから、基本的には通年雇用にできるだけ早く多く転換させるということが一番大切であります。そういう意味においても、いまの二年を一年にするという問題も問題点がいろいろあると思います。しかしこれは検討させたいと思っておりますが、基本的には通年雇用に早く多く転換させるように、われわれの方は訓練を通じ、あるいはいまのような諸制度を通じてやる。ただ、総額五億の予算の中で二億五千万北海道に行っているということは、多少評価していただきたいと思います。
  168. 古寺宏

    古寺委員 二億五千万といいましても、内容をごらんになれば、後で大臣お読みになればわかりますが、これは非常に少ない内容でございまして、全体の枠そのものがスズメの涙みたいなもので、その中で、北海道のあの広い地域でございますから、大分行っているじゃないか、こう思われるかもわかりませんが、内容はまだまだ問題がございますので、ひとつ御検討をお願いしたいと思うのです。  それから、今回、二百海里問題、それから領海十二海里の問題等によりまして、沿岸漁業の漁民はもちろんのことですが、特に北洋漁業に従事している方あるいは水産加工に従事している方々がいま非常に大変な状態に立ち至っております。かつて捕鯨船でございますとかあるいはカツオ・マグロ船でございますとか、別な立場では駐留軍の離職者対策でございますとか、こういうような特別措置を講じたわけです。そこで、労働省としては、そういうスケトウ船あるいはそういうものを原料としてつくる水産加工場、それからまたこれから問題になりますところの鮭鱒、そういう船員あるいはそれの関連企業、こういうものに対してやはり特別の措置を考えなければならないと思うわけでございますが、現在労働省としてそういうことをお考えになっているのかどうか。まず水産庁の方から対応策をお伺いしたいと思います。
  169. 大坪敏男

    大坪説明員 先生御案内のように、いまや世界的に二百海里時代が急速に到来しているわけでございますけれども、わが国の場合は遠洋漁業国といたしまして、外国の二百海里水域内に依存する割合が非常に高いという現状でございます。若干数字を申し上げますと、昭和五十年でございますが、外国の二百海里内水域での生産量は全体の三七%に相当いたします約三百七十万という数字になっておるわけでございます。したがいまして、今後の漁業生産を考えた場合、こういった外国二百海里内での水域の生産をいかに確保してまいるかということが最大の課題になるわけでございます。外国との交渉の結果いかんによりましては相当に影響を受ける。特に経営問題あるいは雇用等の点におきまして影響を受けることになるわけでございます。  こういった点につきましては、先生いま御指摘のように、昨年、漁業再建整備特別措置法を制定いたしまして、離職者対策といたしまして、その中で、海上への転職を希望する方につきましては就職のあっせん、職業訓練の実施、職業転換給付金の交付等の措置を講ずることといたしたわけでございます。また、陸上への転換につきましては、既存の雇用対策法に基づきまして同様の措置を講ずるということでございまして、この面につきまして関係省庁と御相談をしながら適切な対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、御指摘の水産加工業につきましての加工原材料の不足の問題でございます。これにつきましては、やはり何と申しましても加工技術の向上を図るということが基本的に重要だと考えるわけでございます。原材料で見ますと、日本の周辺で比較的豊富にございますサバ、イワシ、こういった資源の有効利用をこの際促進しなくちゃいかぬだろうというふうに考えておるわけでございまして、こういった面から開発されました新しい製品の普及ということにも力を入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  170. 石田博英

    ○石田国務大臣 いま交渉継続中ですから、われわれの要求がだめになることを前提にした話はできません。できるだけ日本側の要求の貫徹のため、努力をしなければならぬのですから。しかし、非常な危機にぶつかっているということはよくわかっております。  そこで、労働省としての対象は、三十トン以下の漁船の乗組員、それから一般の船であれば五トン以下の船あるいは河川、湖沼等に走っておる船の乗組員、それから陸上の加工業等は当然われわれの雇用保険の対象になります。それ以外は、御承知でしょうが、運輸省の所管で、保険金は厚生省の所管になっておるわけです。われわれの方としてはこの交渉の結果によって、カツオ、マグロあるいは捕鯨船、それからアメリカの二百海里で生じましたスケソウダラ、そういうようなものにはすでに雇用調整給付金をやっています。それは水産庁の方で業種指定をすることが前提なので、水産庁の方で業種指定をされますと当然われわれの方は雇用調整給付金の対象にいたします。それから職業訓練、その他の給付、補助、そういうものはわれわれの従来からの対象職種のものと同様の扱いをするつもりでおります。
  171. 古寺宏

    古寺委員 そこで、いままでスケソウダラで水産加工をやっておった工場は、これから水産庁がイワシ、サバ等の資源を活用した新しい技術を開発してそういう加工場を救済していくというお話がございましたが、ほとんどの加工場は中小零細企業でございます。したがって、先ほどからお話があります季節労務者と同じような、いわゆる五十日分の一時金をもらって失業する人が大部分でございます。特に東北地方、北海道もそうでございますが、そうしますと、季節労務者でいまいろいろ問題が起きている、さらにそれに追い打ちをかけるように、イワシ、サバの新技術を開発するまでの間はこういう人は失業しなければならぬわけです。大臣は強気で、それはもう日ソ交渉がだめになった話を予想しては、こうおっしゃっていますけれども、強力な外交を推進して漁民を守っていただくとともにわれわれ国民のたん白資源も確保していただきたいのでございますが、現実の問題として、いまみな北転船が帰ってきて、原料がないために工場を休まぬといかぬというところに追い込まれているのです。だから、これから外交の状態を見てしばらく待ってくれというわけにはいかぬわけです。こういう問題について、やはり労働省がもっと早く手を打たぬといかぬと思うんですね。     〔斉藤(滋)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕  それがどうも、先ほどの大臣のお話を承っていますと、非常にゆったりして、悠然としていらっしゃると申しますか、余り緊急の問題として考えていらっしゃらないようでございますので、どうかひとつこの問題については緊急に対応するような対策を、労働省としても水産庁とよく連携をとって打ち出していただきたいと思うわけです。  そして、先ほどからいろいろと申し上げてまいりましたように、今日季節労務者がいわゆる一時金五十日というものによってある人は救済をされていく、しかし反面、このために非常に困った立場の方もいる。そういう立場の方は、やはりこの保険制度の中で救済していくような特別措置というものは当然考える必要があると私は思うわけです。何遍も大臣と行き違いのお話になるわけでございますが、そういう立場の人たちをどうやって救済していくか。先ほどから私いろいろ、この公共事業の問題を初めとして農村工業導入の問題、現実の問題を一つ一つ申し上げて、いかにそういう五十日だけでは救済されない人たちが困っていらっしゃるか、こういう実情をいままでお話し申し上げてまいったわけでございますので、どうかそういう実態というものを十分に把握して、その上に立った対策というものを講じていただきたいということを特に御要望申し上げて私の質問を終りたいと思いますが、最後にそういう立場から大臣の御決意を承って終わりたいと思います。
  172. 石田博英

    ○石田国務大臣 ごらんのとおり、ずうたいが大きいものだからゆったりしているようにお思いかもしれませんが、決してそういうつもりではありません。特にスケソウダラなどを相手にしているかまぼことかそのほかの業者の方々、加工業の方々、これは現在非常に原料は入手難で困っていると思うのです。その状態に応じた処置は当然講じなければならないと考えております。決してぼやっとしておるわけではない。ただ、私の言っているのは、いま交渉しつつあるときに、全くだめになったことを前提にした話はしたくない、こう言うただけであります。
  173. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員長代理 田中美智子君。
  174. 田中美智子

    ○田中(美)委員 質問いたします。  雇用保険法が五十年四月から実施されて、そのときに五人未満の事業所全体に適用するということになったわけですけれども、その当時どれくらい五人未満のこれから適用されるという事業所の数があったでしょうか。
  175. 北川俊夫

    ○北川政府委員 雇用保険は、御指摘のように、五十年四月から、従来任意適用として目されておりました労働者数五人未満の商業、サービスの事業についても適用を拡大して、いわゆる全面適用となっておりますけれども、これに伴いまして百万の新規事業所が生じた、こう考えております。
  176. 田中美智子

    ○田中(美)委員 いままでその百万のうちのどれくらいが加入をしましたか。
  177. 北川俊夫

    ○北川政府委員 五人未満の事業所につきまして、現在まで商業、サービス業のすべてを含めまして、全産業含めまして五十年末で適用しております事業所は三十九万六千でございます。未加入の適用事業所は、推計でございますけれども、約百万まだ残っておる、こういうことでございます。
  178. 田中美智子

    ○田中(美)委員 そうすると、百万残っているということは、そのころ百万あったのにいまも百万ということはどういうことですか。これはおたくの方からいただいた資料ですけれども、この資料とちょっと話が違うのですけれども、数字をそちらはお間違いになったのではないでしょうか。時間がもったいないですからこれをちょっと確認します。五十年度には七万三千三百七十七事業所、五十一年度上半期で四万一千二百九十七カ所、合計十一万四千六百七十四カ所というふうにおたくからいただいた資料にありますけれども、よろしいですか。
  179. 北川俊夫

    ○北川政府委員 そのとおりでございます。
  180. 田中美智子

    ○田中(美)委員 正確に、間違えないようにおっしゃってください。時間がもったいないのです。  そうしますと、これから適用になる百万のうち、大体これは一一・六%しか加入していないということなんです。この分でいきますと、いまある事業所全体を、百万というものを全部加入させるためには、このテンポでいきますと十三年半かかるというように思うのですけれども、大臣、どうですか。     〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 北川俊夫

    ○北川政府委員 単純にいままでの推計値から計算をいたしますとそういう計算になりますけれども、私たちが現在やっておりますのは、事務組合を通じての把握、それから安定所にそういう雇用保険につきましていろいろ申し出のあった労働者を一つの契機として適用拡大というようなことで、従来以上の創意工夫を加えましてこの全面適用について努力をいたしておりますので、何年で完全適用できるかということにつきましては、これら零細事業所の把握が事実上大変困難な問題でございますので明言はできませんけれども、いまの推計よりもさらに努力をして、より早い段階で十分な把握をいたしたいと考えております。
  182. 田中美智子

    ○田中(美)委員 大臣、この法律ができるとき、私たちはその前に、失業保険のあったときから五人未満の事業所を適用しなさいということを要求してきたわけです。そのときには、なかなかこれは困難だということでなされなかったわけですね。それが御存じのように雇用保険にかわったわけです。そのときの大臣がこのように説明の中で言っているのです。「この法律は、零細企業の労働者はもちろん、従来から課題とされていた農林水産業の労働者をも含めて、すべての労働者に適用することといたしております。」こういうふうに言ったわけです。私たちが要求したときには、その体制ができていないからできないんだ、こう言ってきたわけです。そうすれば私たちも、体制ができないのなら、やれやれと言っても無理かと思ったのです。しかし、政府が踏み出したのだから体制ができたのだというふうに思っていたわけですけれども、実際は一一・六%しかなされていない。ということは、一体、体制はどうなっていたのかということです。創意工夫をするとか、把握が困難だとかいうことですけれども、創意工夫というのはどういう工夫をなさるのですか。
  183. 北川俊夫

    ○北川政府委員 適用の方法といたしまして、いままでもやっておりますけれども、事務組合方式による把握というものがかなりの効果を挙げております。われわれとしましては、そういう点をさらに進め、そのための報奨金制度の充実というようなことをぜひ考えたいと思いますし、また安定所におきます職業相談の過程で、そういう受給資格者の申し出、雇用保険についてのいろいろの相談というようなことを通じて、事業所に対して雇用保険の適用の指示をするというような、一日一日の日常の中で雇用保険の未適用事業所の把握に努力をいたす考えでございます。
  184. 田中美智子

    ○田中(美)委員 いま保険事務組合方式が非常に効果を挙げているというふうに言われたのですけれども、この雇用保険が施行されるようになったとき、これは労働省に伺いますが、こういう膨大な仕事ができるというためには人員増が要るはずです。いま創意工夫とかいろいろおっしゃいますけれども、相談するだとか、一日一日の業務でとか、非常に抽象的なことを言っていらっしゃいますけれども、これはどんなに創意工夫しても人間がいなければできないことです。これに対してどれくらいの人員を要求していらっしゃるか。労働保険適用指導官というのがありますね。この指導官を労働省は何人要求しましたか。
  185. 五十嵐圭三

    ○五十嵐説明員 全面適用に伴いまして必要な職員の増加というようなこともございます。またいろいろな事務体制も整備しなければならないということもございまして、その関係の予算等を要求しておりますが、いままでの実績を申し上げますと、五十年度で、これはネットの増でございますが、徴収勘定で二十七人の増員、五十一年度で、これもネット増で五十二人の増員、それから五十二年度、今度の予算案でございますが、一応五十人の増員ということになっております。こういった増員を含めまして、さらに体制の整備を図ってまいる考えでございます。
  186. 田中美智子

    ○田中(美)委員 いまのは要求なさったわけですか、この人員を。雇用保険に対してどれだけの人員を要求したかということを聞いているわけですから、それが達成されたかされないは別として、まず——よく聞いていてください。私の質問に答えてくださいね。労働保険適用指導官を何名要求したか、徴収、給付の職員を何名要求したか。五十年度と五十一年度ですね。それから資格得喪関係の職員を労働省は何名増員要求したか、こう聞いているのです。
  187. 五十嵐圭三

    ○五十嵐説明員 お答えいたします。  いま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、一定の業務量、これからの適用を重点的に進めていこうとする場合に必要と考えられるような人員について要求いたしております。
  188. 田中美智子

    ○田中(美)委員 ということは何名増員したか。これは十年も二十年も前のことじゃないですよ。去年、おととしのことを聞いているのです。労働省が、こういう大事業をやるのだから何名要るんだということを、人員要求をどれだけしたかということをその担当官が覚えていない、資料がなければわからないという状態では熱意のほどがうかがわれる。全く労働省に熱意がないのじゃないか。私は、労働省にはあるんじゃないかと思っていたのですよ。それを大蔵省が切っているのじゃないか。いつも大蔵省が悪者になるわけですけれども、事実悪いのじゃないかと思うのですけれども、そう思っているのですけれども、労働省さえそんな状態では……。労働省が、これだけの事業をやるのだ、この法律を通してくださいというときに、あれだけいいようなことを言っていながら、実際にはどれだけの人員を要求したかもわかっていない。私の方がいろいろあちこちで調べて、ある程度わかっているわけですけれども、まあおたくの方で調べてほしいと思います。  それではいまの三つの職員、これの増員というのは、御存じないようですから私の方が言います。保険適用の指導官は、五十年度、五十一年度ゼロでした。そうすると、いまおたくがおっしゃった保険事務組合方式をやっています、こういうことですね。これは新しい仕事ですよ。新しい仕事で、創意工夫して、こういう組合をつくって、お入りなさい、加入しなさい、こういうふうに指導しますなんてしゃあしゃあと言ってらっしゃるけれども、人間は一人も雇っていないということなんですよ。そうでしょう。それで給付のところだけは、これは四十四名、五十二名という増員がなっています。しかし、資格得喪関係のところは、これもゼロですよ。そんなのはあなた、詭弁じゃないですか、こういうことをやります、ああいうことをやります、こういうふうにして加入するのです、五人未満をやるのですと言うことは。人間がいないからできないのじゃないですか。把握が困難じゃないですよ。幾らでもそこいらに歩いていけばそういう事業所はあるわけですよ。把握が困難なのじゃなくて、把握する人間がいないから困難なんですよ。そういうことだと思うのです。  ちょっと大蔵省に聞きたいのですけれども、来ていらっしゃいますか。——どうして大蔵省は、労働省が人員を要求しているのにこれはゼロにしたのですか。
  189. 窪田弘

    ○窪田説明員 国家公務員については、御承知のように厳しい定員削減の方針がございます。年々、五十二年の場合で申しますと、五十二年から五十五年度にかけまして三・二%の削減をするという計画がございます。しかしその中にありましても、労働安定官署の重要性は十分認識しておりまして、五十年度以降四百二十五名の増員をしているわけでございます。四十九年度までは確かに労働省の削減は非常に多うございましたが、五十年度以降はかなり重点的に新規増員を図っているつもりでございます。
  190. 田中美智子

    ○田中(美)委員 あなたがつもりだとおっしゃったって、実際にふえてなければ……客観的事実というものは、実際に五十年度というのは労働省の増員は——こんなことは、労働大臣か大蔵省にやることを私が石田さんのかわりをやっているような感じなんですけれども、五十年度は二百六十人の増員をしていますね。しかし、三百二十七人の削減をしているのです。そうすれば六十九名純減していますよ。それから五十一年度は二百四十八名増員して三百五十名減らして、ということは百五名減っていますよ。それでそれだけふやしているという、つもりでございますというようなことですが、実際には減っているでしょう。  それに、さっき言いましたこの保険適用指導官というのをゼロにするということはおかしい。相当定員法が厳しい、厳しいということは、これは大臣にも関係があるわけですけれども、総定員法というのは全部の省に一律何%下げる、こういう言い方でしょう。それは法律の数を見たって、どこにどれだけの法律ができればその法律にのっとった仕事が出てくるわけでしょう。そうだったら、いままでの仕事というものの中で何%、三〇%削減した、こういうのでも話はおかしいわけですが、仕事は社会の変化によって対応は違ってくるわけですから。まして、新しい仕事に増員をしないということはおかしいじゃないですか。これは総定員法とは関係ないわけですよ。労働省がお忘れになるほど熱心にやってないということがあるかもしれませんけれども、一応労働省が要求しているのに大蔵省がそれを切る、ゼロにするということは何ですか。もう一度大蔵省、ちょっとおっしゃってください。
  191. 窪田弘

    ○窪田説明員 確かに定員については非常に厳しい査定をしております。安定関係につきましても、四十九年度までは毎年二百人以上の減ということになっておりました。しかし、五十年代に入りましてからはこれも五十人前後の減にとどまっております。もちろん、減らしているじゃないかという御指摘はあるわけでございます。しかしその中におきましても、雇用保険の施行を確保するということのために重点的に人員を配置しておるわけでございます。定員の方針につきましては閣議決定がございまして、新規事業についても極力振りかえで対処する、増員については極力抑制するという大方針がございます。この方針を踏まえながらも、しかし雇用保険の円滑な実施ができるように、労働省及び行政管理庁と十分相談をして予算措置をしているわけでございます。
  192. 田中美智子

    ○田中(美)委員 もう話にならない回答ですけれども、職業安定所というのは全国に四百八十カ所、出張所を含めて六百五十カ所もあるわけでしょう。そこで十人だとか五人だとか、それも実際には増員じゃないのですけれども、増員したところでどうやって当てはめますか。実際には出先機関には人間は行ってないのです。あなたたちは四百何人増員しただとか何とかかんとか言いますけれども、実際にはその職場の現場には人間はいないのです。ちっとも来てないのです。減ってきているのです。こういう状態をほうっておくということがどれだけ大きな行政の上にマイナスになっているかということです。先ほど言いましたように、こういう情勢だから十三年半もかからなければ五人未満の事業所を適用できないという状態になっているわけです。大臣、聞いていらっしゃいますね。(石田国務大臣「応援演説のつもりで聞いております」と呼ぶ)  これはある職安の窓口に来た人ですね。普通ならば全適になっているわけですから、失業すれば離職票を持ってくるわけでしょう。それが、離職票を持ってきてない人が二六%もいるんですよ。これは中小企業がつぶれて失業者になったのじゃないのですよ。それから、もともとその事業所が未加入なために離職票を持ってこない人が一七%。おたくの言葉で言えば、資格得喪未処理によるものが二六%、適用未処理によるものが一七%、合わせて四三%ですね。窓口に来た失業者の四三%、この人たちはいまのところ給付してもらっていないんですね。失業給付をもらっていないんですよ。ということは、多いところでは四〇%から五〇%がもらっていないのです。失業給付をもらえないということは、結局全適がちゃんとやれていないからなんですよ。十二年半もかからなければ全適がやれないということになれば、その間に出てきた失業者は、その中のほんのちょっとが救われるだけで、あとは失業給付さえもらえないのです。一般に世間では、失業すれば失業給付があるんだと漠然と考えていますよ。しかし実際にはこうなっているということです。ですから大蔵省も、そんなのんびりした、御存じでそういうふうに言っていらっしゃるのかもしれませんけれども、増員していますなんということは言えませんよ。いかに、増員をしないということが一般の労働者の権利を踏みにじっているかということ、法律があったって、それこそ仏つくったって心も何も入っていないわけですからね。こんな法律なんというのはあってなきがごとしだというふうに思うのです。  それからもう一つは、同じことなんですけれども、雇調金の事業が雇用保険によってできたわけですね。膨大な事業ができたわけです。仕事がふえたわけです。これに対しても人員増が全然ない。むしろ減です。大臣はおたくの、労働省に働いている労働者がどんな状態になっているかということは御存じなのだと思いますけれども、人員増が何もないところ、むしろ減っているところでこういう膨大な、支給した事業所というのは、おたくから聞いたのですが六万五千カ所、ここに雇調金を支給していますね。三百二十万人の労働者に雇調金を渡しているわけです。お金として六百七億円というお金を扱ったわけですね。こういう作業をやったわけでしょう。それなのに人員増がないということはどんなようになっているかと言えば、いま労働省は——本当に労働大臣の応援演説のようになりますけれども、四十九年の健康診断で十人に一人が要注意ですよ。これから見たら、労働省に勤務していれば寿命が短かくなりますよ、こんな状態ですと。四十九年だけで五十三人も死んでいます。大臣、あなたと一緒に働いている人たちはこういう状態に置かれているんですね。その上に、求職者というのは三時間も職安で待たされて、会ってもらうのはたった五分です。三時間待ってたったの五分です、面接が。そういう状態になっているのを大臣はどういうふうにこれから改善なさろうと思いますか。
  193. 石田博英

    ○石田国務大臣 行政整理の要求が国民の間に強いことを受けてそういう閣議決定があったということは、これはやむを得ないと思うのです。しかし、工業化が急速に進んでいるわが国において、これは安定所だけでなく、安定所はもう一つ別に雇用安定のための職業のあっせんという仕事があるわけです。それからもう一つは、基準監督署においては要するに安全衛生の確保のために監督を強化していかなければならぬ。したがって、そういう業務量が膨大にふえているところとそうでないところと同一に扱われることは、私にとっては大変不服でありますので、今度の折衝でも、これはちょっと異例のことではありましたが、行管長官、大蔵大臣に直接会ってこの事情を説明をしたわけであります。  それから、現在雇調金の支給のために安定所の職員がほとんどグロッキーにだんだんなりつつあるという状態も私はよく聞いております。本年の正月の予算折衝においてもずいぶん努力をしたつもりでございますが、なかなか諸般の事情でいま御指摘のような数字になったことは大変残念でありますが、なお業務量と見合うような職員の確保に今度は全力を挙げなければならぬと思っております。
  194. 北川俊夫

    ○北川政府委員 ちょっと事務的な補足をいたします。  雇調金の事務の新設の際に増員を全く認めておらないという御指摘でございますが、この点は事実と違いまして、人数は少のうございますが、四十七名の増員が雇調金の担当者として認められております。  なお、増員について、安定所でいろいろオーバーワークになっておるという御指摘、その点、一面において事実かと思いますが、われわれがいま安定所の事務の合理化としまして電算機の導入、それからOCRの導入等によりまして合理化を図って、その合理化で本来浮く人間をそういう新しい業務あるいは未適の適用把握の問題、そういう方に配置転換をするという合理化を図っておりますので、その点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  195. 田中美智子

    ○田中(美)委員 いまおっしゃった四十七名増というのは、これは机の上の四十七名増ということですよ。実際には人間は来てないのです。その四十七名というのも私伺っておりますけれども、実際には純減ですからね。純減をしているのですからね、ふえてないのですよ。第一、その人たちは雇調金だけをやっているかというと、そうじゃないでしょう。兼任してますでしょう。それから加入の問題だって兼任してますでしょう。やはりそういう新しい仕事ができたならば、それに専任の人を置くというのが増員ということです。あなたのおっしゃる増員というのは、どこかで帳簿の上で増員して、こちらでがさっと減らした、そうしてそれで増員と。実際その仕事は専任もいない。ですから、そういうごまかしをおっしゃらない方がいいと思うのですね。  ですから、「これが労働行政だ」という、これはおたくの組合が出されたものですけれども、これを一度石田さんもお読みになってみると、これは驚くべきことが書かれています。あっちこっちの方の短い手記が出ているわけですね。これによりますと、たとえば、これは全適の場合ですが、「来所するほとんどの事業所が労働者三〜五人までの零細企業で、従来の保険制度も十分に承知されておらず、旧制度と新制度の相違点をはじめとして、雇用保険の目的、被保険者のはんい、費用の負担、保険料の納付方法など説明していると、すべる様な早口で話してもざっと二〇〜三〇分は充分かかる。」というのですね。これだけ聞いただけでも説明するのに二、三十分かかる。さあそれから、こういう書類をお書きなさい、こういう書類を書きなさい、こういうふうにして届けなさい、こういうふうにしていたら大変な仕事がかかるのです。それがあなたのおっしゃったようにコンピューターに入れてこんなことができるか。窓口でコンピューター、そんなことができるか。それは、後で給付やなにかのときにはコンピューターやなにかでできますよ。しかし、こういう未加入の事業所にお話をするということは大変な仕事だというふうに思うのです。  ある二十八歳の男性がこういうふうに言っています。「雇用保険法が施行された四月一日より、調査給付課はそれまでの倍も三倍も忙しくなった。」ちょっと飛ばしますが、「離職票の多い日は」、これは離職票のある日ですね。「多い日は家族にもソロバンを入れてもらい、」もう自宅へ仕事を持って帰っているのですよ。「家族にもソロバンを入れてもらい、翌日やっと台帳の作成にかかれるわけである。女房との語らいもなく、子供と遊んでやる時間もなく、家庭はサツバツとしたものである。病気になっても医者に行く時間がもったいなく、せめてあと三名、いや二名でも一名でも増員されれば、勤務時間中に仕事が終わるのだがといつも思うのである。家庭にダンランが欲しい。」大臣、二十八歳の青年がこういうふうに訴えているのです。こういう仕事がふえているということが、こんなひどい状態になっています。  それから、いま増員増員、こういうふうにおっしゃいますけれども、これはある四十五歳の方です。「今から十二年前、現在と同じ仕事で三人いた。六年前は二人だった。そして現在は一名だけである。」こういうのですね。これは数字を見ても、先ほど何だかんだ、増員なんておっしゃいましたけれども、この全体の数字を見ても、最高のとき、戦後昭和二十二年、そのときと比べていま二千三百九名減っているのです。事業は膨大ですけれども、二千三百九名全体で減っているわけです。ですから実際の出先機関ではこういうふうに、三人でやったものが二人になり、一人になっている。それはコンピューターで幾らかよくなっているかもしれません。そういう面があるかもしれません。しかし、雇調金にしても雇用保険のいまの全適の問題一つとっても、一人の事業主にこうしなさいと説明するだけで二、三十分かかる仕事は、これはコンピューターでできないわけでしょう。この人は続けて言います。「本年一月より、雇用調整給付金、四月より雇用保険法が施行された。三人でやっていた仕事を一人で、そして新業務がそのうえ加わって最も大切な仕事(本来のと言うべきか)の求人、事業所との窓口、と言ったことは受身になって、積極的にやらなければならない仕事が時間、他の仕事に奪われて、主客転倒である。限られた範囲内で最善をつくそう、とない知恵もしぼって求人受理の助言。紹介係との連絡、事業所との情報交換などやっているが、役所の信用、責任を思う時、何とも形容のできない淋しさともどかしさが続く毎日である。」こういうことなんです。これはほんの一例を私はいま引っ張り出しているわけなんですけれども、このような状態になっているわけです。  そういう点で、私は大臣に、第一、総定員法を閣議決定したと言うが、これは人間がしたことですから、閣議決定しなければいいわけでしょう。単純明快なことです。そこら辺を変えていくということと、労働省として人員の確保というものには全力を挙げなければ、いま職安に働く労働者は本当に病気になってしまう。その上に、一般の労働者の権利である失業給付さえ、約半分の人たちが権利がありながら給付金をもらえない状態になっているという実情というものを、労働大臣は十分御承知だと思いますけれども、改めて全力を挙げて改善していただきたいと思います。
  196. 石田博英

    ○石田国務大臣 全体としての行政の簡素化、それは、私はできるだけ安い政府をつくり上げるという方針はやはり守っていくべきものだと思いますが、それぞれの業務量と見合ってそれはなさるべきものであって、私どもの方のように業務量が急速にふえている、これは、安定所のことばかりおっしゃいましたけれども、監督署も監督官の不足に実は悩んでおります。それこそ十年に一遍ずつも回れるか回れないかという状態のところもある。したがって、私どもの役所としての人員の確保には全力を挙げますが、安い政府をつくるという全体の構想というものは、これは守っていかなければならぬ。役所の対象人員が減ってきているというところもございますし、同じことを三つも四つものところでやっているところもありますし、そういう整理すべきは整理する。私どもの役所のように業務量が急速にふえているところはそれだけの配慮をしなければならぬ、それだけの努力をしなければならぬと思っております。
  197. 田中美智子

    ○田中(美)委員 増員の問題は国会でも採択されております。ということは、全員一致で増員せよという国会の採択も出ているわけですので、大臣がそれを十分にやっていただきたいと思います。いまのような回答が返ってきますと、四十七名増員していますなんということを言いますと、労働省の上の方にはその姿勢がないのではないかというふうに思うわけです。実際にはそこに人間がいないわけですから、そういう点では十分気をつけて、労働省一丸になってそういうことをやってほしいというふうに私は思うのです。  最後に、時間がありませんのでちょっと私が説明いたしますが、中高年の求職手帳の問題なんですけれども、おたくからいただきました資料で見ますと、年々求職者というものが数がふえていますのに、求職者手帳というのは年々数が減っているというふうになっているわけですね。そして、五十年度の数でいきますと、千八百八人に求職手帳が出されています。これは、新規の申し込み件数がおたくでいただいた数字はちょっと少ない。私の調査より大分少ないようになっています。ちょっと違いますけれども、おたくの数字でいっても、大体千人に一人か二人ぐらいの割りでしかこの手帳が出されていないわけですね。そうしますと、いま中高年の求人と求職、これの倍率で見てみますと、これはおたくでいただいた資料なんですけれども、たとえば千人の中高年の求職者がいる、それに対して百八十人か二百人ぐらいの求人しかないということになるわけです。そうすると、これはぴったりはいきませんよ、数のとおりぴったりいきませんけれども、いったとして考えても、約八百人ぐらいの人は絶対あぶれるのです。そうでしょう。そうしますと、千人に一人ぐらいしか求職手帳を出さないということになりますと、これは数字だけで大ざっぱに言っているわけですけれども、あとの人はどうなるのだ。最近私は余りあちこち知りませんが、名古屋駅をしょっちゅう通ります。もう最近は、浮浪人になってしまったのか、なりかけたのかわかりませんけれども、駅に寝ている人たちというのが非常にふえているのですね。これを見ても、こういう人たちというのがそうなっていくのではないかというふうに思うのですけれども、なぜ求職手帳をこんなに少ししか出さないのかということは、まず一つは人員が足らないのではないかということがあります。どうしてですか。ほかの理由は。どうしてこんなに出せないのですか。
  198. 北川俊夫

    ○北川政府委員 中高年の求職者の大部分、恐らく八割程度は雇用保険の受給者であろうと私たちは推測をいたしております。その場合には、一般に雇用保険の給付の方が手帳制度に基づいて支給されます手当よりも高いということが事実でございますので、恐らく通常は保険受給者は手帳の発給を受けずに求職活動を行っておる、これがいま先生御指摘のように、八十万人に対して千八百人というような数字が出ておる原因ではないかと思います。ただ、本制度の趣旨を考えますと、いまの失業情勢を踏まえてなお適切に活用するというための努力を安定機関としてはいたすべきかと考えますので、その点については今後努力をいたしたいと思います。
  199. 田中美智子

    ○田中(美)委員 今後努力するというのは、どれぐらいの数字にまでふやそうというお考えですか。
  200. 北川俊夫

    ○北川政府委員 これについては別に目標数というものを掲げるものではなくて、やはり御本人自体が雇用保険の受給という形で就職活動を続ける方がベターだというような御意思もありますので数字は申し上げられませんけれども、今後その手帳の発給について努力をいたします。
  201. 田中美智子

    ○田中(美)委員 ベターだという考え方は、おたくが勝手にしてはならないと思うのです。窓口でなぜ勧告しないのか。私はあちこち職安に行って聞いてみたのです。ほとんど勧告していない。どうしてしていないのか。忙しくてできないというのです。何か紙切れを置いて、ビラか何かをちょっとそこに置いたり、あるところに行けばすり切れたような黒板にちょこっと書いてある。そんなものを見たって何のことかわからない。そういうことで勧告もしないのですね。そうすれば、これはそういう努力をしていないんだ。できないんだと窓口では言っているわけですね。ですから、勧告できるような人数をそこに配置するということ。そうしなければ、幾らあなたが主観的に努力すると言ったってなかなか努力はできないと思うのです。ですから全力を挙げて人員増と、そしていまの中で合理的に、労働者の健康を損なわないようにこういうものが急速に進められていくようにお願いしたいと思います。大臣、よろしいですか。
  202. 石田博英

    ○石田国務大臣 努力いたします。
  203. 橋本龍太郎

    橋本委員長 次回は、明後八日金曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十一分散会