○土井
委員 ただ低過ぎるから、高過ぎるからという立場で検討しているということは一切ございませんという御
答弁ですが、先ほど還環庁長官の御
答弁の向きを承っておりますと、私ちょっとひっかかるのです。やはり企業者側からすると、多額のこれに対しての防除資金というものをかけて、そして大変に厳しい
環境基準というものを果たして守っていく必要がありやなしやという側面もあるというあたりをお述べになっていらっしゃるということからいたしますと、片やこの
環境問題、特に
公害対策についてございます基本法の先ほど私が読みました第九条では、人の健康を保護し、生活
環境を保全する上で維持されることが望ましい
環境基準というものを定めなければならないのだということがあくまで至上命題になっているのです。だから、その点からいたしますと、その至上命題になっている点は、どんなことがあったって外されてはならない、これはもう長官も知っていてくださるとおりだと思うのですが、そういう点から言いますと、ことしの二月の初めに
環境庁の方が出されました「複合大気汚染健康影響
調査」というのの結果が一応まとまった形で出ております。大阪とか、千葉とか、福岡、三府県に六
地域の主婦と高齢者を対象に、かなり長期、四十五年から五年間これにかけられた
調査期間があるわけですが、その結果を見ますと、窒素酸化物と有症率との関連性というのが四十八年度ぐらいから非常に高くなってまいりまして、特に四十九年度の分析結果というのは一〇〇%近い相関
関係を示しているというのがはっきり具体的に
環境庁からのデータとして出されているわけであります。特に大阪とか尼崎かいわいは御承知のとおり大気汚染でどうにもならない
地域だというふうに申し上げていいわけですが、ここでは健康被害を受けられる
住民の方々の立場からいたしますと、硫黄酸化物などの
環境濃度というものは大幅に改善されて低下してきておる。ところが公害病の認定患者さんはふえていく一方だ。一体、こういうことになってくると、那辺にその理由があるかというと、やはり窒素酸化物による汚染以外に
考えようがない。したがって、窒素酸化物に対しての取り上げようが今後どうなるかということが、実は公害病の認定患者さんが多いこの大阪とかそれから尼崎かいわいでは、さらには川崎あたりではもう非常に切実な問題になってきていると思うのです。まさに本日出されました五十一年度の公害白書、この
中身を見てまいりますと、大阪と尼崎などではこの被認定者数というものが激増いたしておりますが、四十九年あたりから
地域拡大をやり、大阪の場合には五十年に至っても
地域拡大をした結果によるということでも
一つは人数がふえたという
関係はあるかもしれませんが、大阪の場合はもうすでに一万六千四百六十人、尼崎市は東部と南部とで四千七百七十一人という、この数字はずんずんウナギ登りになっていって、決して横ばいでもなければ、低下していっているわけではないのですね。だから、こういう認定患者さんがふえる一方の
地域なんかから申し上げますと、設備投資にお金がかかるというむだ遣いを省くために一体どうする、こうするという姿勢がみじんもあってはならない、こういう問題だろうと思うのですよ。そこでいま
環境庁としてはいろいろ中公審に対して諮問をされている
段階でありますけれ
ども、この基準見直しのための新判定条件というふうなことが一体どういうことになっていくかというのが実は大変気にかかるところでございます。
そこで、このNO2の
環境基準を一応ここで中間的に見る、それから長期的に見る、両者がありますけれ
ども、五十三年について一応見直した上で再出発するというふうに
環境庁としてはお
考えになった取り組みをいま進められるお
気持ちがおありになるのか。それとも、この〇・〇二という
環境基準というものは絶対変えないで据え置きにしておいて、ただ達成期間というものを少し延長させていく、その間に中間的な目標値というのを
考えてみようというふうな、いわば行政のガイドラインを引くというような方法もあろうかと思うのですが、いろいろなことに対してあらまし、まだ確定的なものはないにしろ、心づもりくらいはお持ちになったからこそ。私は中公審に対しての諮問がおありになったはずだというふうに
考えますが、長官、そのあたりはどうなんですか。